1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月一日(木曜日)
午前十時十七分開会
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委員の異動
十二月十四日委員阿部竹松君及び亀田
得治君辞任につき、その補欠として小
笠原二三男君及び大森創造君を議長に
おいて指名した。
一月二十二日委員高橋衛君辞任につ
き、その補欠として古池信三君を議長
において指名した。
一月二十三日委員棚橋小虎君辞任につ
き、その補欠として天田勝正君を議長
において指名した。
一月二十四日委員河野謙三君及び大河
原一次君辞任につき、その補欠として
梶原茂嘉君及び田中一君を議長におい
て指名した。
一月二十五日委員秋山俊一郎君辞任に
つき、その補欠として木島義夫君を議
長において指名した。
一月二十六日委員田中啓一君辞任につ
き、その補欠として温水三郎君を議長
において指名した。
一月二十九日委員田中一君辞任につ
き、その補欠として藤田進君を議長に
おいて指名した。
委員長の異動
一月二十四日仲原善一君委員長辞任に
つき、その補欠として梶原茂嘉君を議
院において委員長に選任した。
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出席者は左の通り。
委員長 梶原 茂嘉君
理事
石谷 憲男君
桜井 志郎君
安田 敏雄君
委員
青田源太郎君
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
木島 義夫君
古池 信三君
柴田 栄君
仲原 善一君
温水 三郎君
藤野 繁雄君
清沢 俊英君
戸叶 武君
天田 勝正君
千田 正君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 河野 一郎君
政府委員
農林政務次官 中野 文門君
農林大臣官房長 昌谷 孝君
農林大臣官房予
算課長 桧垣徳太郎君
農林省農地局長 庄野五一郎君
農林省振興局長 斎藤 誠君
農林省畜産局長 森 茂雄君
農林省蚕糸局長 立川 宗保君
食糧庁長官 大沢 融君
水産庁次長 村田 豊三君
農林水産技術会
議事務局長 増田 盛君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
(農林水産基本施策に関する件)
(昭和三十七年度農林省関係予算に
関する件)
(今期国会に提出予定の農林省関係
法律案に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/0
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001・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
なおこの際ごあいさつを申し上げたいと存じます。
私はなはだ不敏でありますが、今回きわめて重要な当委員会の委員長を仰せつかったのであります。微力でありますが、全力を尽くしましてこの重責を全ういたしたいと念願をいたしておるのでありますが、何とぞ委員の皆さんにおかれましては、御協力、御支援、御鞭撻を賜わりますよう、お願いを申し上げます。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
それから仲原委員から発言を求められておりますので、仲原さんどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/1
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002・仲原善一
○仲原善一君 過ぐる過般のこの国会におきまして、不肖私が農林水産委員長の重責を拝命いたしましたところ、微力でありましたにもかかわりませず、皆様方のたいへんな御協力によりまして大過なく過ごしましたことを心から厚くお礼を申し上げます。その期間中、ほんとうのわずかな期間ではございましたが、幸いに衆議院から上がって参りました法案は、全部当委員会におきまして、たいへんな御協力によりまして通過いたしましたことを、心から厚くお礼を申し上げます。
退任にあたりまして一言お礼の言葉を申し上げまして、感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/2
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003・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) この際、委員の異動につきまして報告を申し上げます。
昨年十二月十四日阿部竹松君及び亀田得治君が辞任、その補欠として小笠原二三男君及び大森創造君が、本年一月二十二日高橋衙君が辞任、その補欠として古池信三君が、一月二十三日棚橋小虎君が辞任、その補欠として天田勝正君が、一月二十四日河野謙三君及び大河原一次君が辞任、その補欠として梶原茂嘉君及び田中一君が、一月二十五日、秋山俊一郎君が辞任、その補欠として木島義夫君が、一月二十六日、田中啓一君が辞任、その補欠として温水三郎君が、一月二十九日、田中一君が辞任、その補欠として藤田進君がそれぞれ選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/3
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004・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) 農林水産基本施策に関する件を議題といたします。
この際、河野農林大臣から、農林水産基本施策について御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/4
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005・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 今国会に提出いたします農林省関係の予算案及び法律案につき、皆様の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、農林水産施策の方針につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。
まず、農業については、農業の生産性及び農業従事者の生活水準の向上を目標として去る三十六年六月に制定実施された農業基本法を基軸として、同法に定める施策を着実に具体化することを昭和三十七年度における農業施策の基本態度といたしております。
言うまでもなく、農業基本法の目標は、農業の動向及び農業外部の諸条件に適合して、そのときどきに具体的妥当性のある施策の積み重ねによって長期的に実現されるべきものであります。
最近における農業の動向を振り返ってみますと、去る十二月末に本国会に提出いたしました昭和三十六年度農業の動向に関する年次報告において明らかにいたしたように、三十五年度においては、農業生産と農業所得は堅実な伸長を示し、農業経営をめぐる価格関係も有利に推移するとともに農外所得の著しい増加等もあって、農家所得の伸びはめざましいものがあり、農業従事者の生活水準は大きく上昇したのであります。それにもかかわらず農業と他産業との生産性の開差は拡大し、また農業従事者と他産業従事者との生活水準の開きも縮小をみせなかったのであります。
これは、他産業の成長があまりにも急速であったため、農業がそれに歩調を合わせられなかったことによるものでありますが、同時に生産性の不均等発展の背景には、農業の資本装備の相対的低下、農業と他産業間の労働力移動の不円滑、農産物需要の高度化に対する農業生産の適応体制のおくれという諸現象がみられるのであります。このような諸現象を是正するためには、資本の高度化、生産技術の革新、農業生産の選択的拡大、価格の安定、流通の合理化等が必要でありますが、基本的には、資本と土地の零細性を特徴とする農業構造の改善が必要と考えられるのであります。
以上の点は、若干の事情の差こそあれ、漁業についてもほぼ同様のことがいえ、また林業につきましても、農業経営との関連、林業経営の特殊性からその経営の改善が必要であるとともに森林資源の培養、国土保全の見地から諸施策を推進することが必要であります。
三十七年度における政府の経済運営の基本的態度としては、輸出の振興と、内需の抑制による国際収支の均衡の達成を第一義的目標とし、財政金融政策を中心とする国内経済政策は引き締め基調を堅持するが、それとともに当面の経済の不均衡の是正をはかりつつ、長期にわたってわが国経済が均衡ある発展をするための基盤の整備に努めることとしております。
三十七年度の農林水産業施策としましては、このような経済運営の基本的態度に基づき、かつ前述のような農林水産業の動向を考慮して、農林水産業の生産性及び農林漁業者の生活水準を向上し、国民経済の成長の一環として均衡のとれた農林水産業の発展を確保するため、各般の施策を充実強化して、これを総合的に実施して参る所存であります。
以下、農林水産業施策の重点につきまして、その概要を申し上げます。
まず、農業につきましては、第一に、畜産物、園芸作物等の成長農産物を重点として生産の選択的拡大を一そう促進することであります。
このうち、まず畜産については、需要の急速な増大に即応しつつ、長期にわたりその生産の拡大を達成するため、家畜の改良増殖と畜産経営の確立向上に重点を置き、特に後者については、草地造成改良事業の拡充による飼料自給基盤の確立、多頭羽飼養経営の育成及び畜産主産地の形成を推進することといたしております。
果樹については、果樹生産の安定的発展をはかるため、適地における主産地の形成を目途として果樹園の集団化、経営の合理化、優良種苗の確保等の措置を充実する考えであります。
なお、畜産、園芸等の振興に資するため、これらの導入との関連において、水田利用の高度化、稲作の機械化等により土地利用および労働力の円滑な配分調整に配慮する所存であります。
第二に、他産業との生産性の不均等発展を極力是正するとともに、貿易自由化等の国際経済の諸情勢に対処して、国際競争力の培養をはかるため農業の生産性の向上を促進することであります。
生産性の向上をはかるためには、その基礎条件として技術革新により資本集約的な農業技術の高度化をはかる必要がありますので、その源泉となるべき試験研究の拡充強化に努めることとし、研究の重点を畜産、園芸及び加工部門の充実と、大型機械化経営および多頭羽飼養に関する技術体系の確立に置くこととしております。
次に、生産の基盤である土地及び水の有効利用ならびに開発をはかるため、草地の造成改良を含め農業生産基盤整備事業を推進する考えでありますが、事業の実施にあたっては、既着工地区の早期完成に重点を置くとともに、事業の効率的かつ総合的な施行に努める所存であります。
第三に、農産物の価格の安定及び農業所得の確保をはかるため、米、麦、カンショ及びバレイショ、大豆、菜種、テンサイ、繭糸等、従来から価格の安定及び所得の確保の措置を講じている農産物については、引き続き現行制度を堅持しつつ、現実に即して弾力的かつ効率的にその機能を発揮し得るよう検討を行なう所存であります。また、畜産物及び青果物については、価格変動の幅が大きく生産の選択的拡大への適応体制を困難にしている現状にかんがみ、これに対する流通の合理化及び価格の安定対策を重点的に整備強化することといたしました。このため、畜産物については、昨年発足した畜産振興事業団に追加出資を行ない、同事業団の価格安定のための業務を強化するとともに、生乳の生産、出荷の自主的調整、共販態勢の強化、取引契約の改善等の流通の合理化をはかるための体制を一そう整備する所存であります。
青果物については、時期的、地域的な生産、出荷の調整により価格の安定をはかるとともに、新たに青果物生産安定資金を設置し、調整出荷による青果物の市場価格が著しく下落した場合における補てん措置を講ずることとし、三十七年度においては、タマネギについて事業の実験的実施を助成する考えであります。
第四に、零細な資本と土地を特徴とするわが国の農業構造が、農業の生産性の向上と農業経営の近代的発展を基本的に制約ずる条件となっていることにかんがみ、このような農業構造の改善をはかることを、三十七年度の最重点施策として推進することといたしております。
このため、圃場の整備、集団化その他生産基盤の整備、近代的な施設、機械その他資本装備の増大等農業構造の改善に関し必要な各種の事業の自主的、総合的な実施を促進するための画期的対策として、新たに全国の市町村についておおむね十カ年にわたり農業構造改善事業促進対策を強力に推進する所存であります。
以上の総合施策のほか、構造改善に関する個別の施策についても充実をはかることとし、経営規模の拡大を助長するため、農地の流動化と協業化に資するよう、農地法、農業協同組合法等の制度を改正するとともに、大区画圃場の形成、農地の集団化、開拓等による生産基盤の整備開発を行なろほか、農業の機械化を促進するため、農業機械の試験研究と検査を行なう農業機械化研究所の設立と大型トラクターの導入事業の拡充等を行なうこととしております。
以上申し述べた施策のほか、災害対策その他従来から継続実施しております各種の施策についても、その充実と円滑な推進をはかる所存であります。
次に、林業振興のための施策について申し上げます。
第一に、台風災害その他の災害の頻発に備える国土保全対策といたしましては、治山十ヵ年計画に基づき治山事業を総合的に実施することとし、保安林等の保安施設制度の改善と相待って災害の防除に万全を期して参りたいと考えております。
第二に、今後の国民経済の成長に伴う木材需要の増大に対処して木材供給の増大をはかるため林道の開設、改良の事業を推進し、林道網の整備充実をはかることにより、森林資源の開発を促進するとともに、長期的に木材資源を確保するための施策として、造林事業を積極的に推進することといたしております。これとともに外材の輸入と木材利用の合理化の促進にも努力して参りたいと考えております。
第三に、林業の生産性の向上と林業所得の増大をはかるため、林業経営の合理化を推進する考えであります。
これにつきましては、林業改良普及事業を強化し、山林所有者の個別経営計画の作成に対する指導援助、林業機械導入についての指導を行なうとともに、密植造林の推進、早成樹種の導入をはかることとしております。また、森林組合を主体とする機械化による協業の助長、林業経営改善維持資金の活用等によって、林業経営の合理化をはかってゆく所存であります。
以上の諸施策の推進にあたって、林業に関する基本的な法律である森林法についても、最近における林業の動向や森林資源の状況等に即応して、伐採制限を緩和することを中心とした改正法律案を今国会に提出し、御審議をお願いすることとしております。
次に、水産業の振興のための施策について申し上げます。
第一に、沿岸漁業の振興につきましては、わが国沿岸漁業の置かれている現状にかんがみ、健全な経営の確立をはかるため、沿岸漁業構造改善事業を積極的に推進する考えであります。すなわち、経営近代化のための施設の導入等の事業を地域の特性を生かしつつ総合的に実施して参るため、前年度に引き続き構造改善計画の樹立を進めるとともに、準備態勢の整った地域において養殖施設の造成、小型漁船の操業能率の高度化、処理加工施設の設置等の事業に着手することといたしております。
これとともに、漁場改良造成事業を全国的規模において実施するため、事業量の大幅な拡大をはかるほか、沿岸漁業経営安定資金制度の創設と、沿岸漁業改良普及事業の拡充を行なうこととしております。
第二に、遠洋漁業の振興につきましては、近時国際協定による操業上の諸規制が強化される事情にあることにかんがみ、わが国遠洋漁業の操業の場を極力拡大確保するため、資源の科学的な調査研究を推進し、あわせて海外新漁場の開発調査を行なうことといたしております。
第三に、水産資源対策につきましては、右に述べました海洋漁場の調査の実施並びにサケ、マス人工孵化放流事業の拡充のほか、新たに栽培漁業センターを瀬戸内海に設置し、漁民の実践活動を通じて沿岸重要魚種についての稚魚の採取、保護、育成及び放流事業を行なうことといたしております。
第四に、水産物の流通改善につきましては、三十六年度に設置をみた魚価安定基金及び漁業生産調整制度の円滑な運営をはかるとともに、特に産地における貯蔵、運搬施設の設置を助成し、魚価の安定と流通の改善に資して参る考えであります。
第五に、漁港の整備につきましては、漁港整備計画に基づく漁港修築事業の早期完成を重点的に促進するとともに、漁業の実態の推移に伴い、漁港整備計画について検討を加えることとしております。
なお、漁業の実態の推移にかんがみ、漁業権制度、許可漁業制度、水産業協同組合制度等漁業の基本的法制について、抜本的な改正を行なう考えであります。
以上、三十七年度の農林水産業施策の重点について申し述べたのでありますが、これらの諸施策等の適確な推進をはかるため、農林省機構の抜本的改革を行なうこととしております。すなわち、農林行政の専門分化の要請に即応するとともに、総合調整の機能を一そう円滑化するため、園芸局の新設及び振興局の農政局への改組等、農林本省の機構を再編成するとともに、地域の特性に適合した農林行政を強力に推進するため、新たに総合的な地方機構を設置する所存であります。
これとともに、農林漁業者の自主的な努力を助長するため、農業協同組合等の合併の促進その他により、農林漁業団体の活動についても、その強化をはかる考えであります。
また、農林関係予算の充実をはかるとともに、経営の近代化に必要な資金の供給を円滑化ならしめるため、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金を初め、各種制度金融を拡充することとするほか、特に農業近代化資金については、貸付金利の引き下げの措置を講ずる考えであります。
以上、農林水産業施策の概要を申し上げたのでありますが、各位の御協力を得まして、農林関係予算案及び法律案の御審議が円滑に行なわれますようお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/5
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006・戸叶武
○戸叶武君 ただいま河野農林大臣の御説明を聞き、特に政府が農業政策に重点を置いて、まず第一に畜産物、園芸作物等の成長農産物を重点として生産の選択的拡大を一そう増進するということに力点を置いて説明されましたが、しかもその具体的な施策としては、畜産について需要の急速な増大に即応しつつ、長期にわたりその生産の拡大を達成するため、家畜の改良増殖と畜産経営の拡充向上に重点を置くということを指摘しておりますが、現実において、この数日来の状態を見ればわかりまするように、農家に大きな打撃を与えているのは、政府のこの選択的拡大という施策に即応して、各都道府県で養豚の奨励をやったところが、豚肉の暴落により、農家の受ける被害というものは甚大なので、この現実に照らしてみても、需給関係の調整ということに対して、政府が一方的に、これは成長作物であり、需要が急速に増大しているから生産を拡大しろという方式でやってきたこととは、逆な現象が出ておるのでありますが、政府はこれに対して、河野さんはさっそく緊急対策というものを三十日にですか、きのうですか、発表したようですが、どうもその中において河野農林大臣が指示したところの出荷調整の問題、それから第二に余剰豚肉の無制限買い入れの問題、買い上げ等を学校給食に売却していく問題、それから豚肉の消費増進のために小売値を値下げるというようなことが、その題目としてはりっぱでありますが、どうも政府の言うことを国民一般が、言うだけで、結果は逆なものが出ているのだという現実の回答で不信感を持っているようですが、河野さんは、その緊急対策に対して全責任を負われると思いますが、その点をこの機会に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/6
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007・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) ちょっとお待ち下さい。戸叶君に申し上げますけれども、きょうは基本施策について農林大臣からの説明を伺って、それに対する質問は、後日お願いするという大体の段取りにいたしておるのであります。豚肉価格の問題はお話しのようにきわめて重大なまた緊要な問題でありまするけれども、適当なしかも早い機会に質問の場を持ったらどうであろうか、こう私思うのですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/7
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008・戸叶武
○戸叶武君 原則的なお話としてはその通りだと思うのですが、たとえば政府のほうでこれは緊急を要するというので、大臣が今までの官僚大臣と違って、緊急対策としてはっきりしており、しかも、昨日衆議院の予算委員会においてこの問題が中心に論議されたときに、参議院では運営上そういう形式だけにとらわれて、政府も衆議院も緊急対策に対して取っ組んでいるのに、参議院の農林水産委員長は、そういう形式にとらわれてこの緊急の問題に対して一言も問題にしなかったということになると、この緊急性というものに対して、参議院側の感覚というものがずれているのじゃないかという一般からの批判を受けるおそれもあるので、私はその原則を否定するものじゃありませんが、やはり緊急なものに対しては緊急な対応ということが、この委員会においても必要なのじゃないかと思いまして、そういう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/8
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009・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) それでは、ひとつ大臣の御説明に関連いたしまして、それを敷衍する趣旨で御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/9
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010・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 実は御指摘の通り、先日来豚の値が非常に下がってきた。しかも、地方にはなお未熟といいますか、小さいころの肥育が相当に行なわれている。これを早期に何とかしなければいかぬということで、畜産課長会議を開き、政府のほうとしても打つべき手は打つから、それまでひとつなるべく出荷を見合わせるように指導するようにというようなことをやって参りましたが、なかなか思うにまかしません。そこで、緊急施策を決定して発表いたしたのでございますが、実は御承知のとおり、昨年の国会で、畜産価格の安定のための事業団を作り、これが運用をすることにいたしましたときに、その必要な委員会を作って、その委員会で適正な価格の決定をして事業団が動き出すということになっておりまするその委員会に、議会の代表を加えるようにという附帯決議が実はついております。そこで、その委員の方の選任に対して御推薦方を実はお話をいたしておったのでございますが、その人選、数等がなかなかきまりませんので、この出てくるのを今度は待っておりましたために、決してそればかりとは申しませんけれども、むろん政府のほうにもなにが多いのでございますが、その委員会の構成が、実は今日まで発足することができませんでした。やむなく実は二十四名の委員のうち五名だけを後日加えることにして、十九名だけの委員をお願いをして、それで発足せざるを得ない立場になりまして、十九名の委員をお願いをし、その選任を終わって、今月の六日に実は第一回の委員会を開いて、そこで標準になるべき価格を決定して事業団を発足しよう、こういう仕組みにいたしておるのでございます。そういたしますと、そこで標準になるべき最低と申しますか、最低価格の決定をいたしますから、その価格で買える豚は、無制限に実は買うつもりでございます。多いといっても大したことはございませんから、ある程度のものを買えば、もちろん下値は買い上げるのでございますから、それより下がらぬ、そういう安定感を農家の人に持っていただく。出てくれば買います。産地でも買いますから、そこで下値は押えられる。ただし、買います豚の冷蔵庫はないだろうといううわさもございましたが、そんなことはございません。十分貯蔵する場所もございます。しかし、貯蔵して金利、倉敷を払ってそれをやっていくよりも、それを学童給食に回したほうがいいんじゃないかという考えを私は持ちまして、これを持っておって処分する時期までの金利、倉敷等を想定して、これを勘案して、学童給食等にこれを値引きをして配給いたしたいというふうに考えております。そうして消費のほうも、学童給食によって需給の関係を調整して参る。一方貯蔵によってそれを保管するということにいたしますれば、一応決定されます価格、これを下値にして、それによって下値は押えることができる。地方の方にも、あわてて出さなくても、下値がきまっているのだからということの安心感を与えるということで調整がついて参るのじゃなかろうか、こう考えております。まあ、これだけでむろんよろしいのじゃないのでございまして、実は今回のこの豚の暴落に対する政府の施策としていろいろ考えてやってみますと、地方に強力な農業団体がない。したがって、生産もしくは生産調整等をする上におきましても、役人のルートでこれが参るだけでございまして、自主的に生産団体があまり強く指導性がないということについて反省をしなければならぬということを、行って、私は強く考えさせられました。
都市部におきまして、御承知のとおりこれは先日来非常に強く問題にいたしておったわけでありますが、たとえば東京で申しますと、芝浦の屠場の値段と店頭小売価格との開きが異常に開き過ぎている、小売のほうは少しも下げない、したがって、消費は増大して参らない。ところが、芝浦にはどんどん入って来るということでございます。それと同時に、一方、芝浦の屠場のほうは、豚にして一日三千頭ぐらいの処理能力でございます。ところが、これが野菜物、魚その他と違いまして、近県の屠場で処理するものが、豚肉で東京都内に入って来るものがどういう数字の動きになっているか、ちょっとつかみにくいのであります。それぞれの関係等がございまして、これらが系統的に、施策の上に非常に困難性がございます。したがって今後におきましては、これらについてもぜひ地方の出荷団体、これらの屠場の流れの関係等についても十分調査をいたして万遺憾なきを期する必要がある。また卸、小売との関係等についても、団体を指導いたしまして、整備された小売の団体、卸の団体を作ることもやっていかなければなるまい、こう考えておりまして、これらの早急に施策をいたしまして、適正なる価格が維持できるように努力いたして参りたい。こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/10
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011・天田勝正
○天田勝正君 私も緊急の問題について発言したいと思っておったのでありますが、どうなんですか、農林大臣の先約というのがあれば、この際は遠慮して近い機会に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/11
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012・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 実は予算委員会のほうで、午前中に出席を要請されておりますので、予算委員会が始まるその前にこちらに参りまして、三十分間ほど出席いたしますと言うて、予算委員会のほうはどういうふうになっておりますか、おそらく待つというのじゃないかと思いますが、日をあらためてやるというならば……、衆議院の予算委員会の方でもちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/12
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013・戸叶武
○戸叶武君 この問題については、日をあらためて十分検討しなければならないと思いますが、ただ一点だけ。今まで発表された河野農林大臣の趣旨は大体わかりますが流通過程におけるいろいろな矛盾を整備する必要がある、ここに重点があるようでございますが、やはり環境衛生法なにかが逆に作用して、実際卸値段と小売値段のギャップ、これを規制するということを農林大臣も言っておりますが、どの程度まで規制できるか、実際これだけの開きが出ているのだから、やはり消費の拡大ということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/13
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014・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 実は小売の代表者と懇談をいたしまして、大体小売業者のほうも政府の指示に協力して、そうして従来の小売価格を相当に値下げをして売るということに、政府のほうには回答してきておりますので、おそらくもうきょうにもあしたにも、豚肉の小売価格は下がるということに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/14
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015・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) 戸叶君にちょっと申し上げますけれども、豚肉の価格の問題は、お話しのようにきわめて緊急であり重要であると思います。各位におかれても、それぞれ質問されたい向きも多かろうと思います。本日のところ、時間の関係もあり、基本的な施策だけ伺うという段取りにも相なっておりますので、できる限り早い機会にこの問題を中心にして御検討を願うということにいたしたいと、委員長は、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/15
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016・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 御参考までに、東京では卸のほうは一応一キロ二百三十円見当を最低価格と押えるつもりでございます。もしそういうことに、枝肉の最低価格を二百三十円前後にした場合に、小売はどのくらいが大体従来の趨勢でよろしいかというと四百三十円くらい、豚の中肉四百三十円くらいが適当だということになっておりますので、これを小売業者に勧告をいたしております。大体、小売業者も政府の勧告に基づいて、相当大幅に小売価格を下げるというようなことになっておると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/16
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017・温水三郎
○温水三郎君 今、大臣は二百三十円と言われましたけれども、豚の生産費はなお五十円ばかり高くつくので、おそらくそういうことになれば恐怖相場を出現するような事態になるかもしれませんので、その点、もう少し御考慮願いたいということを申し上げておくとともに、それから値段だけ上げるのではなくして、生産費を下げることが重大問題なんですが、えさ対策につきましては、これはどういうふうにお考えいただいているか、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/17
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018・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 飼料の対策につきましては、けさの日経等に相当詳しく出ておりますが、あれを——実行案でございます。実行案を新聞に発表しておりますが、順次、強力にやって参る。相当大幅なふすま対策等を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/18
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019・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) 農林大臣の農林水産基本施策に関する御説明に対しましては、大臣への質疑は後日行なうことにいたしたいと存じます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/19
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020・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) 速記を始めて下さい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/20
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021・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) 次に、昭和三十七年度農林省関係予算に関する件を議題といたします。
本件につきましては、初めに予算全体の概要につきまして総括的な説明を中野政務次官から聞き、引き続きまして補足的な説明を昌谷官房長から聞くことにいたしております。
それでは、順次、御説明をお願いいたします。中野政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/21
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022・中野文門
○政府委員(中野文門君) 昭和三十七年度農林関係予算案についてその概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。
農林省所管会計といたしましては、二千二百二十九億円となっておりますが、これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管を加えた農林関係予算合計は二千四百五十九億円となり、これを昭和三十六年度補正後の予算二千二百十八億円に比較すると二百四十一億円の増加、また昭和三十六年度当初予算千八百七十二億円に比較すると五百八十七億円の増加となっております。
この予算の編成にあたりましては、特に農業につきましては、さきに制定された農業基本法に基づく諸施策の推進をはかることとし、林業、水産業につきましてもそれぞれ施策の充実をはかることとしたのでありますが、以下、本予算編成の重点事項について申し上げます。
第一に、農業生産の選択的拡大を推進し、食糧需要の動向に対応して成長農産物の伸張と生産の合理化をはかるための予算について申し上げます。
一、最初に畜産の生産振興につきましては、畜産経営の基盤となる飼料自給度の向上に必要な草地改良事業を計画的に推進するため、新たにこれを公共事業として実施することとし、大規模草地改良事業、小規模草地改良事業及び湿地牧野改良事業についてそれぞれ事業量の拡大をはかったほか補助率引き上げと補助内容の充実等を行なうことといたしております。これがため、九億五百万円を計上しておりますが、このほか農業構造改善事業の一部として行なうものも含め、総額十億九百万円となっております。
また、家畜導入、家畜衛生対策、家畜改良増殖等の事業につきましては、寒冷地等特殊地帯に対する国有家畜貸付事業を県有貸付事業に切りかえるとともに、導入頭数の拡大を行ない、また肉用素畜導入事業の拡充、各県の中央家畜保健衛生所の整備、国立種畜牧場の施設整備等所要の改善措置を講ずることといたしまして、これがため十八億六千五百万円を計上しております。
なお、新たに畜産振興事業団が畜産振興のため行なう助成事業に対して国は同事業団に交付金を交付することとし、十億円を計上いたしております。
二、次に園芸の振興につきましては、生産、流通を通ずる行政の円滑強力な実施を期するため、新たに園芸局を設置してその推進をはかることとしたのでありますが、果樹農業の生産振興につきましては、果樹農業振興特別措置法に基づく果樹園経営計画の樹立実施を促進し、農林漁業金融公庫から融資する果樹植栽資金を十五億円に拡大するほか、果樹栽培適地調査等の新規実施、果樹種苗対策、果樹病害虫発生予察事業、果樹栽培研修施設設置等の継続実施を行なうこととし、これらに必要な経費として四千一百万円を計上いたしております。
三、テンサイの生産振興につきましては、北海道のみならず府県のテンサイにつきましても力を注ぐことといたしたのでありますが、前年度に引き続き、日本てん菜振興会に対する政府出資、北海道におけるテンサイ採種事業に対する助成、前年度は麦作対策として行なったテンサイ集団導入。パイロット施設の設置等を継続実施するほか、新たに府県テンサイについて、栽培適地検定圃の設置、栽培適地調査、移植栽培促進のための共同育苗圃の設置、テンサイ栽培機械化のための深耕用トラクターの導入等の振興措置を講ずることとしたのでありまして、これらに要する経費として四億八千五百万円を計上いたしております。
四、以上のほか、農業生産の選択的拡大を促進するためのおもな予算措置といたしましては、特用作物の振興について優良種苗の確保、耕種基準圃の設置等に要する経費として二千万円、養蚕生産の合理化について農業構造改善事業において実施される桑園集団化事業のほか、軟化病の防除調査等に対して一千四百万円、大豆及び菜種の生産改善対策について、前年度に引き続き大豆生産改善推進地区及び菜種生産改善施設を設置する等のため八千七百万円をそれぞれ計上いたしております。
なお、麦作対策といたしましては、小麦生産合理化機械化パイロット施設、菜種生産改善施設、飼料共同化施設及び肉用素畜導入利子補給等に対する助成を行ない、大麦裸麦の転換を促進することとし、このため五億八千万円を計上いたしております。
第二に、農業の生産性の向上と総生産の増大に関する経費について申し上げます。
一、まず、農業基盤整備事業につきましては、生産の選択的拡大の方向を考慮しつつその計画的推進をはかるため総額五百五十九億八千五百万円を計上いたしております。
(1) このうち土地改良事業につきましては、総額三百四十億九千五百万円となっております。その重点について申し上げますと、特定土地改良工事特別会計事業については、事業の計画期間内完了を目途として、一般会計より四十億三千八百万円の繰り入れを行なうほか、借入金を含め六十四億九千万円の事業を実施し、一般会計国営事業及び県営事業については、事業効果の早期発現と経済的施行を配慮し、特に国営付帯県営事業について、国営事業との建設進度の調整をはかるとともに、一般都道府県営事業につき、残事業の早期完成を目途として事業の推進をはかることとしております。また、団体営事業につきましては、農地の集団化と末端の圃場条件の整備との有機的連携をとりつつ事業の拡充をはかるとともに、区画整理事業について特に三反歩区画の形成を促進することとし、これに関連する事業については、補助率の引き上げ等に特段の考慮を払うことといたしております。
また、非補助事業についても積極的に事業を拡充することとし、三分五厘資金の融資ワクを前年に比し、三十五億円増額し、百五十三億円に拡大いたしております。
また、愛知用水公団事業につきましては、愛知用水の管理とあわせて、豊川用水事業の一貫施行とその早期完成をはかることにいたしており、また、篠津泥炭地開発事業につきましても、その事業を促進いたすこととしております。
なお、防災事業につきましては、最近の相次ぐ風水害等にかんがみ、事業の推進をはかることとしたほか、新たに湛水防除事業を実施いたすこととしました。
(2) 次に、干拓事業につきましては、農家の経営規模の拡大をはかるとともに、国土造成及び保全に資するため事業の計画的推進をはかることとし、八郎潟干拓事業について四十九億円の事業を行なうほか、大長崎干拓の全体設計に着手する等のため、特定土地改良工事特別会計については、一般会計よりの繰り入れ七十六億一百万円のほか、借入金を含め百十九億四千四百万円の事業を行なうこととし、一般会計事業については七億七千九百万円を計上いたしております。
(3) 開拓事業につきましては、総額百二十三億四千九百万円を計上いたしておりますが、振興地区の建設工事と開墾作業の促進、入植施設の拡充に重点を置いて事業を実施するとともに、一般農家の経営規模の拡大をはかる見地に立って開拓。パイロット事業の推進に努め、また、機械開墾地区の事業の促進をはかることといたしております。なお、新規入植戸数は前述の事情を考慮して既着工地区で営農の安定が確実と認められる地区に限定して八百戸といたしております。
(4) また、農地の開発に必要な建設用機械の貸付等の管理業務を農地開発機械公団に一元化する方針のもとに、地方農業機械管理所を廃止し、その保有する汎用性機械を、同公団に現物出資するほか、公団が事業実施上必要とする建設機械の購入等につき出資を行なうとともに、公団経営の健全化をはかるための補助金とあわせて二億五千五百万円を予定いたしております。
二、次に、農業の生産性を向上し農業高度化を達成するために必要な技術的基盤を確立するための、試験研究事業及び技術の普及指導事業等に関する予算について申し上げます。
(1) 試験研究体制の整備強化につきましては、特に畜産、園芸等に重点を置き、畜産試験場及び園芸試験場の施設整備、内部組織の充実をはかったのでありますが、このほか、新たに大規模機械化営農体系を確立するための産業開発的総合研究を実施する等研究内容の充実に努め、国立試験研究機関における運営費の増額、施設整備の促進及び都道府県試験研究機関に対する総合助成の拡充等と相待って、最近の農業の動向に即応した試験研究の推進をはかることとしたのでありまして、これがため五十四億二千四百万円を計上いたしております。
(2) 技術の改良普及に関する予算のうち、農業改良普及事業につきましては、生活改善事業も含め二十九億二千六百万円を計上いたしておりますが、普及職員の活動旅費の大幅増額、普及員に対する研修の強化、普及機動力の整備等を行なうほか、新たに改良普及員に対して指導を行なう普及指導主事を設置することとし、また、生活改善事業については専門技術員及び漁家担当普及員の増員と農山漁家の生活改善の実習施設としての生活近代化センターの新設を行なうことといたしております。
また、畜産技術の指導事業といたしましては、畜産会の行なう畜産技術経営診断事業のほか、産乳能力検定事業及び生乳品質改善事業を継続実施するとともに、国、都道府県を通ずる畜産技術の講習研修事業の整備をはかることとし、これらに対し一億四千四百万円を計上しております。
一方、蚕糸技術改良事業においても、蚕業技術指導所職員及び蚕業普及員の活動強化と資質向上により、蚕業技術及び経営の高度化とこれが普及の推進をはかることとし、四億三千五百万円を計上いたしております。
(3) 以上のほか、主要農作物の優良種子の確保、地力保全、農業改良資金、植物防疫事業等農業の生産性を向上するための諸事業につきましては、九億七千一百万円を計上して事業の充実をはかったのでありますが、特に植物防疫事業につきましては、土壌病虫害検診員の増員及び土壌病害防除実験事業の新規着手等をいたすこととしております。
第三に、農業構造を改善し農業の近代化をはかるための予算措置について申し上げます。
一、三十七年度からは、農業の構造改善事業に本格的に着手することとし、おおむね十カ年にわたり三千一百市町村を対象として農業基盤の整備開発、農業経営近代化施設の導入等農業経営の近代化と立地に即した主産地形成を目途とする諸事業を自主的計画に基づき総合的に実施していくこととしたのであります。
このため三十七年度におきましては、全国の地域分類、営農類型を代表する九十二地区について、農業構造改善事業推進の拠点となる。パイロット地区事業を実施するとともに、一般地域事業の初年度として二百地域を指定し、一地域当たり九千万円の事業に対する平均二分の一の補助と、二千万円の融資事業を三カ年間にわたり行なうことといたしております。また、別に全国三百市町村において農業構造改善事業計画の樹立を促進することとし、都道府県、関係機関を通ずる指導体制の強化と相待って事業の強力な推進をはかることといたしております。
以上の事業に要する経費として四十二億九千三百万円を計上いたしておりますが、この金額中には土地改良、開拓、草地改良等の土地基盤整備事業に対する助成十五億円が予定されており、また、農林漁業金融公庫より八億円の融資が計画されております。
二、農業近代化の根幹となる農業の機械化を強力に推進するため、前年度に引き続いて深耕用、土層改良用、草地造成用等の大型トラクターの導入台数を拡大し、機械化栽培実験集落、開拓営農振興用小型トラクター導入、農業研修室の充実及び新たに行なうヘリコプターの農林水産業への利用促進事業を含め五億八千万円を計上いたしておりますが、このほか、農業機械の試験研究と検査事業を一貫して行なう特殊法人農業機械化研究所を民間と協力して新たに設立することとし、これに対し政府出資二億円と事業費の補助二千五百万円を行なうことといたしております。
三、次に、農業近代化資金融通制度の拡充強化について申し上げます。農業経営の資本装備を充実し、農業の近代化をはかるために前年度創設された農業近代化資金融通制度につきましては、貸付資金ワクを三百億円から五百億円に拡大するとともに、協業施設を含む個人施設に対する融資については、新規貸付金利を六分五厘に引き下げることとしたのであります。このため農業近代化助成資金に五十三億円の追加繰り入れを行ない、運用益五億円をもって利子補給の財源に充てるとともに、債務保証を行なう都道府県信用基金協会に対する出資補助を行ない、これらに要する経費として六十六億九千一百万円を計上いたしております。
第四に、農産物の流通合理化と価格の安定をはかり、農業者の所得を確保するに必要な予算について申し上げます。
一、農産物の流通改善につきましては、まず家畜畜産物について、家畜市場の再編整備、中小都市枝肉冷蔵施設設置を継続助成するほか、新たに食鶏の出荷合理化施設を設けるとともに、生乳の取引改善と生産出荷の調整をはかるため、中央及び都道府県における酪農会議の設置、クーラーステーション及び生乳検査施設の整備に対して助成することとし、これらに要する経費として一億七千七百万円を計上いたしておりますが、畜産物の価格安定事業として畜産振興事業団の行なう畜産物価格安定事業を拡大するため、同事業団に追加出資五億円を行なうこととしております。
また、青果物の流通合理化について、自主的な出荷調整を促進するため流通改善協議会を開催する等に対して二千三百万円を計上するほか、三十七年度においては、新たに青果物生産農家の経営安定対策に着手することとし、差しあたりタマネギについて、全国的な生産出荷調整事業と並行して、市場価格が一定水準以下となった場合の差額補てん事業を実験的に実施するため、これに必要な資金の造成に対して五千万円を助成することといたしております。
なお、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通そ確保するための中央卸売市場の新増設及び改設を行なう都市に対する施設費の助成として一億五千万円を計上いたしております。
二、農産物の加工及び需要を増進するための予算としては、関係企業の経営技術の高度化を促進するために企業合理化試験研究助成及び経営調査指導を行なうとともに、小麦の学校給食を継続実施することとし、これらの経費として十四億五千七百万円を計上し、また、輸出振興対策としては、日本絹業協会による生糸の海外需要増進事業、輸出生糸の検査事業の充実とともに、新たに輸出生糸問屋の借り入れる生糸取引資金につき債務保証を行なう輸出生糸信用保証基金協会の設置を助成することとし、これらに要する経費として輸出農林水産物の検査事業等を含め八億二千四百万円を計上いたしております。
三、次に、食糧管理特別会計における食糧管理及び農産物価格安定事業につきましては、国内米麦の管理及び輸入食糧の管理を現行方式により実施することとし、これら食糧管理事業を実施するため食糧管理特別会計の調整資金に対して一般会計より六百七十億円の繰り入れを行うことといたしております。
また、澱粉、カンショなま切りぼし、テンサイ糖、飼料等の価格安定事業につきましては、これらの事業によって見込まれる損失補てん額として四十億円を食糧管理特別会計の農産物等安定勘定に繰り入れることとしております。
なお、大豆輸入の自由化に伴う国内産大豆及び菜種の保護措置としては、前年度に引き続き、生産者に交付金を交付するため販売数量及び方法を調整して販売事業を行なう生産者団体等に交付する交付金二十五億円を計上いたしております。
四、農業資材の生産流通の合理化及び価格の安定に必要な措置といたしましては、肥料及び飼料の品質を保全し、その公正な取引を確保するため肥料検査所と飼料検査所とを統合して新たに肥飼料検査所とし、検査事業の充実強化をはかったほか、農薬検査事業、動物医薬品検査事業等を継続実施することとし、また、流通飼料につきましては、都道府県の検査施設設置に対する助成を行なうほか、飼料需給安定法に基づく輸入飼料の買い入れ売り渡し措置に伴う差損額として前述の食糧管理特別会計農産物等安定勘定への繰り入れ額中に二十九億円が見込まれておりまして、これを含め以上の諸事業に必要な予算額として三十一億二千一百万円が計上されております。
第五に、農業経営担当者の養成確保と農業従事者の就業促進及び福祉の向上に関する予算について申し上げます。
一、農業近代化推進のにない手となる農業経営者の養成につきましては、農業講習所、農村青年研修館、果樹経営技術研修施設等の整備を促進し、新たに経営伝習農場における企業的経営の研修施設に対し助成を行なうこととしたほか、農村青年窟設班、ラジオ農業学校、農村青年教育会議等の農村青年対策と農村青壮年海外派遣事業を継続実施することとし、これらについて二億六千二百万円を計上いたしております。
二、農業従事者の就業促進につきましては、前年度より開始した農業委員会組織による農業労働力調整協議会の開催に対して一億二百万円の助成を行なって農業就業構造の改善に資するとともに、日本海外協会連合会、都道府県、拓殖農協連合会及び農業拓殖基金協会等の行なう農業移住促進事業に対して、補助するため一億三千六百万円を計上しております。
三、農業従事者の福祉向上に関する農林省関係の予算といたしましては、すでに述べました生活改善事業を除くほかは、開拓地の振興対策、離島振興対策、僻地農山漁村電気導入、農山漁村同和対策等の経費であります。
1 開拓地の振興対策としては、不振開拓者の営農安定と生活環境の整備をはかることに重点をおき、開拓者資金融通特別会計による融資として三十四億九千二百万円を確保するほか、中央開拓融資保証協会に対する追加出資、開拓営農指導員による営農指導事業の充実、開拓保健婦の増員、開拓農協に対する指導及び事務合理化の促進等を行ない、さらに今後の開拓営農を改善するための標準設計を新たに作成することといたしており、また、過剰入植地対策として入植者の移転整理のための奨励金を交付することとし、これらに要する経費として十一億五千四百万円を計上しております。
2 離島の後進性を除去し、島民の経済力の培養と生活安定、福祉の向上をはかるための農林関係予算としては二十七億七千八百万円を計上いたしておりますが、これはすでに述べました農業基盤整備費に含まれる農地条件整備事業のほか、治山、造林、林道、漁港修築、海岸等の事業及び離島電気導入等の公共事業でありまして、離島振興法に基づき計画的に事業の推進を行なうことといたしております。
3 僻地農山漁村における未点灯集落の解消をはかるため実施してきた僻地農山漁村電気導入事業につきましては、三十七年度においては五カ年計画の第三年度として八千九百五戸を対象として事業の推進を行なうこととしておりますが、このほか、新たに自家用共同受電方式の一般供給への切りかえに対して助成を行なうこととし、これらのために二億三千九百万円を計上いたしております。
4 最後に農山漁村の同和対策といたしましては、前年度に引き続き、政府の同和対策の一環として同和地区内の農山漁家三千戸を対象として営農の振興と生活環境の改善に必要な土地整備事業及び共同利用施設の設置に対し四千六百万円の助成を行なうこととしております。
第六に、林業振興対策の推進について申し上げます。
一、林業の基盤整備を計画的に推進することとし、まず、造林事業につきましては、五十三億六千五百万円を計上しておりますが、前年度に引き続き拡大造林に重点をおき、人工造林計画を推進するため、補助造林を拡充実施することとし、新たに密植方式の導入、事業単価の引き上げを行なうほか、融資造林の拡充をはかるため農林漁業金融公庫に対する一般会計よりの出資を十三億円とし、これにより融資ワクを三十三億六千万円に増額いたしております。
二、林道事業につきましては、奥地林開発を重点に林道網の整備をはかるとともに、前年度より開始した山村振興林道事業について、従来の計画期間を短縮して山村地域の開発に特段の考慮をはかることとし、また、新たに林道路線の合理的な開設計画を樹立するため全国的な林道網調査に着手することといたしたほか、林道改良事業、森林開発公団林道事業への助成を引き続き実施することとし、これらに要する経費として、三十六億一千万円を計上いたしております。
三、治山事業につきましては、治山治水緊急措置法に基づく治山事業前期五カ年計画の第三年度として、国有林野事業特別会計治山勘定において民有林の治山事業を計画的に実施するため一般会計より同勘定に八十五億七百万円を繰り入れることとしておりますほか、水源林造成事業につきまして、前年度に引き続き森林開発公団によりその事業を実施するため必要経費十三億円を一般会計より同公団に出資することといたしており、合わせて九十八億七百万円となっております。
四、次に、森林計画制度の改善と保安林の整備管理事業の充実に関する予算でありますが、森林計画制度につきましては、林産物の弾力的供給をはかるとともに、森林資源の積極的維持培養をはかるために、従来の伐採制限を緩和する等合理的な制度の運用を期することとしたのでありまして、このため三億二千二百万円を計上いたしております。
一方、治山治水事業の進展と相待って保安林の国土保全機能を特に強化するため保安林管理体制の整備充実をはかることとし、六千九百万円を計上いたしております。
五、林業経営の改善と技術の普及を目的とする林業普及指導事業につきましては、前年度に引き続き普及指導職員の資質の向上と活動の強化に努めるとともに、新たにモデル林家を選定して個別経営計画の作成指導を行なうこととしております。さらに林業経営構造の改善に必要な機械装備の高度化と協業組織の促進をはかるため、新たに森林組合を事業主体とする機械化作業組織を育成することとし、三十七年度においては九十二組合を対象として機械購入の助成を行なうこととしております。また、山村における製炭者の経営合理化をはかるため、簡易搬送施設及び切炭機に対する助成を継続拡充するほか、新たにチェンソーの設置を助成し、共同製炭の育成をはかることといたしております。これらの林業経営改善に要する経費として、六億一千八百万円を計上いたしております。
六、一方、林業関係試験研究の推進につきましては、国立林業試験場の運営を充実するとともに、都道府県の林業試験研究活動の強化に必要な現地適用試験、連絡試験の継続実施及び実用技術開発試験に対する新規助成を行なうこととし、五億七千三百万円を計上いたしております。
第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。
一、まず、三十七年度の水産関係予算におきましては、沿岸漁業の振興対策に特に重点を置いたのであります。このため、新たに沿岸漁業の生産基盤の整備開発、沿岸漁業の近代化のための施設導入等を含む沿岸漁業構造改善事業を地域の特性を生かして計画的、総合的に実施することとしたのであります。三十七年度においては−漁業経営一近代化促進事業を五地域について一地域当たり事業費三億円、四カ年間にわたり実施するとともに、漁礁設置等の漁場改良造成事業を全国において一地域当たり事業費三億円、十カ年間にわたり実施することとし、これらに要する経費として、八億三千六百万円を計上し、これとともに、沿岸漁業における水産技術の高度化をはかるため、沿岸漁業改良普及事業につきましては、事業体制の整備を目途として、沿岸漁業改良普及員の増員と機動力の強化及び普及資材の整備を行なうこととして、五千九百万円を計上し、また、漁村青壮年の資質を向上し、実践活動の促進をはかるため、技術交流事業、技術研修事業等を行なうほか、新たに沿岸漁民研修センターの設置を助成することとして一千七百万円を計上いたしております。
二、次に、水産資源の維持培養に関する経費といたしましては、北海道サケ、マス孵化場における人工孵化放流事業の規模を拡大するともに、サケ、
マス、アユの種苗放流事業等、内水面漁業資源の維持培養事業を拡充実施するため、二億五千二百万円を計上するほか、新たに瀬戸内海における漁業資源の培養を漁民に対する栽培化漁業の教育研修を通じて行なう目的のもとに、稚魚の飼育管理技術の確立している重要魚種の飼育放流体制を作り上げるため、国は初期飼育と漁民研修のための施設を設置することとし、九千五百万円を計上いたしております。
一方、海洋漁場の開発を推進するため、マグロ漁場、日本海北方冷水域漁場の開発調査及び中型底曳網漁業についての転換漁場調査を実施し、また、北洋及び東海黄海の生物資源調査を実施することといたしておりまして、これらについて、一億二千七百万円を計上いたしておりす。
三、水産物の流通改善事業といたしましては、多獲性大衆魚の価格安定をはかるため、前年度に引き続き生産者団体に対し、主要生産地における冷蔵庫及び冷蔵自動車の設置を助成するほか、新たにノリの保管倉庫の設置及び盛漁期における冷蔵運搬船の用船料に対して補助を行なうこととし、これに対し、一億七千五百万円を計上いたしております。
四、水産試験研究の強化につきましては、国立水産研究所における増殖研究及び加工利用研究の強化等を行なうほか、都道府県水産試験場が行なう漁況海況予報、指定試験及び幼稚魚調査に対し引き続き助成を行なうこととして、五億二千八百万円を計上いたしております。
五、漁業の生産拠点である漁港の整備につきましては、漁港整備計画に基づく漁港修築事業を既着工地区の早期完了に重点を置いて、五十七億五千七百万円を計上いたしております。
第八に、農林漁業融資事業につきましては、前述の農業近代化資金のほか、農林漁業金融公庫資金の融資の拡大をはかることとし、新規貸付ワクを七百十億円に増加することといたしております。
このうち、昭和三十七年度の新規貸付に伴い予定される資金交付額四百二十六億円と前年度貸付契約済みで、三十七年度に資金交付が予定されます二百十億円との合計額六百六十六億円を、三十七年度交付額とし、この原資につきましては、一般会計出資十三億円、産業投資特別会計出資百二十億円、資金運用部資金特別会計等からの借入三百二十三億円、回収金等、二百十億円を予定いたしております。
新規貸付枠の内容につきましては、土地改良事業において、非補助小団地等、土地改良資金を百五十五億円に増額し補助残融資とあわせて二百五十二億円、林業については、造林、林業経営改善資金等を増額し六十七億円果樹園造成事業の拡充をはかるため十五億円、自作農維持創設資金を前年度に比し三十五億円増額して百九十五億円とし、新たに農業構造改善事業に必要な資金、沿岸漁業構造改善事業の実施に伴う漁家経営安定化資金、酪農振興のための乳業施設の合理化資金を新設いたしました。
第九に、その他の重要施策について申し上げます。
一、まず、農業団体の整備強化に関する予算といたしましては、農業委員会、農業協同組合等関係団体の活動を促進するための指導援助を行なうとともに、前年度に引き続き農業協同組合の合併を積極的に推進するほか、農業協同組合の整備特別措置等を継続実施することといたしております。
また、開拓農協の事務処理を補強するほか、新たに不振土地改良区の再建をはかるため実態調査及び再建方策の指導を行なうこととし、これら団体関係の予算として十八億八千三百万円を計上いたしております。
二、次に農業災害補償制度につきましては、農作物共済について料率の改訂、蚕繭共済について共済金額の引き上げを実施するほか、家畜共済については、診療点数の引き上げに伴う農家の掛金負担の軽減をはかるとともに、多頭飼育者の加入の促進をはかるため、新たに加入奨励金の交付を行なうことといたしました。
なお、昭和三十八年二月より農業共済保険特別会計を廃止して、農業保険事業団を設立することといたしております。
以上により総額百三十七億六百万円を計上いたしております。
三、災害対策公共事業の推進のための経費二百二十八億七千六百万円について御説明申し上げます。
このうち、まず海岸事業につきましては、チリ津波対策事業を含めて、十七億四千五百万円を計上し、緊急度に応じてその事業を実施することといたし、また、伊勢湾高潮対策事業につきましては、所定の計画に従いまして、直轄事業は三十七年度台風期まで、補助事業については三十八年度中にそれぞれ事業を完了することとして二十二億一千二百万円を計上いたしております。
災害復旧事業につきましては、三十六年発生の梅雨前線豪雨、第二室戸台風等による激甚な被害の状況にかんがみ、三十六年度における予算措置とあわせて、その復旧進度を引き上げ事業の促進をはかることとし、百八十九億一千九百万円を計上いたしております。
次に、昭和三十七年度の農林関係特別会計予算案について申し上げます。
第一に、食糧管理特別会計について申し上げます。
まず、国内産米麦につきましては、米は、その管理については現行の事前売渡申込制度による集荷方式を継続し、その集荷量を六百三十万トン(四千二百万石)とし、麦につきましても、現行の無制限買い入れ制度により買い入れを行ない、その買い入れ数量を、大麦、はだか麦および小麦をあわせて百四十六万トンといたしております。
また、予算上の買い入れ単価は、米は前年産米の決定価格と同額の百五十キログラム当たり一万一千五十二円五十銭とし、麦につきましても、三十六年産麦の買い入れ基準価格と同額といたしております。
なお、米の消費者価格は現行どおりとし、その一般消費者への配給数量は従来どおり月十キログラム建とし、また別に卸、小売業者の販売手数料の改訂を行なうこととしております。
輸入食糧につきましては、国内産米麦および輸入米麦の需給事情を勘案し、必要な限度の数量を輸入することとし、その買い入れ価格も最近の実績および今後の見通しにより算定いたしました。
農産物等につきましては、従来の方針を継続して価格の安定をはかるものといたしますほか、テンサイ糖については、テンサイ生産の振興をはかるため、新たに一部工場の製品の買い入れを行なうことといたしました。
飼料につきましては、畜産振興政策の進展に対応し、飼料の需給及び価格の安定に必要とする所要予算額を計上いたしております。
なお、この会計の三十七年度における損益見込みにつきましては・食糧管理勘定、すなわち国内米、国内麦、輸入食糧の三勘定の損失額は、合計七百一億円と見込まれ、前年度の損失見込額六百六十三億円に比べ三十八億円の増加となっておりますが、この損失額の処理に充てるべき調整資金といたしましては、前年度における損益見込の好転によって四十六億円の資金残額が三十七年度期首に持ち越されますので、三十七年度予算としましては、一般会計から六百七十億円を新たに繰り入れることとした次第であります。
また、農産物等安定勘定につきましては、三十七年度において四十億円の損失が見込まれますので、一般会計から同勘定へ四十億円を補てんのため繰り入れることといたしております。
第二に、農業共済再保険特別会計については、農業勘定といたしましては歳入、歳出ともに百二十二億七千万円でありまして、うち一般会計よりの繰り入れは八十二億六千三百万円となっております。
また、家畜勘定につきましては、歳入、歳出ともに、二十八億三千四百万円で、うち一般会計よりの繰り入れば七億二百万円であります。
第三に、漁船再保険特別会計について申し上げます。
この会計の普通保険勘定におきまして小型漁船の保険掛金の船主負担を軽減し、その加入の促進をはかるため、二十トン未満の漁船についての国庫負担対象の付保率を一〇%引き上げ、六〇%といたしますほか、新たに、事故防止のために、奨励金を組合に交付する道を開くことといたし、歳入、歳出ともに、二十九億九千四百万円を計上し、うち一般会計よりの繰り入れは、五億六千九百万円となっております。
その他、特殊保険、給与保険、業務の各勘定は、前年度に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。
第四に、国有林野事業特別会計について申し上げます。
まず、事業勘定につきましては、木材増産計画と木材価格安定緊急対策とによる収獲量及び事業量を予定するほか、治山治水緊急措置法による前期五ヵ年計画の第三年度事業量により、三十七年度予算を編成いたした次第であります。
まず、造林事業については、植栽本数の増加、育林方法の改善等を強力に推進することとし、林道事業については輸送機関の大型化、輸送力の確保のため、奥地林開発を主力に増強をはかることといたしております。また、事業推進の円滑化をはかるため、各事業につき機械化の推進をはかることといたしております。
なお、この会計の資金と組織を活用いたしまして、民有林への協力をいたすこととし、関連林道開設事業の増強をはかるほか、前年度新設の特別積立金制度による資金の取りくずしにより、融資造林の拡大のための農林漁業金融公庫への出資十三億円及び水源林造成事業を森林開発公団に実施せしめるため同公団への出資十三億円、その他の林業振興費財源を含めて三十億円を一般会計を通じて、それぞれ支出いたすことといたしております。このため事業勘定の歳入、歳出は八百二十五億六千九百万円となっております。
次に、治山勘定につきましては、さきに一般会計で御説明申し上げましたが、この勘定の歳入、歳出額は、一般会計よりの繰り入れ額のほか、地方公共団体の負担金収入等を含めまして、九十三億七千七百万円を計上いたしております。
第五に、中小漁業融資保証保険特別会計について申し上げます。
この会計は、昭和三十一年度以降六億円の基金で保証業務を実施いたして参りましたが、保証実績も漸増の傾向にあり、その保険金支払も増加が予想せられ、この基金に不足を来たすおそれがありますので、さしあたり三十七年度一億五千万円を一般会計より受け入れ、歳入、歳出ともに、八億九百万円を予定いたしております。
以上のほか、特定土地改良工事特別会計につきましては、さきに御説明申し上げておりますが、森林保険、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、糸価安定の各特別会計につきましては、それぞれ前年度に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。
最後に、財政投融資計画について御説明申し上げます。−昭和三十七年度における農林関係財政投融資計画は、農林漁業金融公庫への出資を一般会計より十三億円、産業投資特別会計より百二十億円といたしますほか、資金運用部資金等からの借り入れにつきましては、農林漁業金融公庫三百二十三億円、愛知用水公団事業十三億円、開拓者資金特別会計三十二億円、特定土地改良工事特別会計六十二億円とし、財政投融資総額は五百六十三億円となっております。
以上をもちまして、農林関係の一般会計予算案及び特別会計予算案並びに財政投融資計画の概要の御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/22
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023・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) 引き続きまして、補足的説明を昌谷官房長から伺うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/23
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024・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) お配りいたしました資料のうち、「昭和三十七年度農林予算の説明」という活版刷りのものと、それから「第四十回通常国会提出予定法案」と題しました縦とじの提出予定法案の一覧表がございますので、簡単に補足的に御説明申し上げます。
予算の説明につきましては、編成の様式その他は、昨年度の作成ぶりとほぼ同じでございますので、特に内容にわたっての御説明は、ただいまの政務次官の御説明で尽きておりますので、省略さしていただきます。
最初に概観を書きまして、それから三ページの総括表のところで計数だけをあげておりますが、御承知のように、農林関係予算と申しますのは、A、B、Cと並べておりますような各省所管を含んでおります。これは実施の段階で農林省に移しかえその他が行なわれるものに限っていわゆる関係予算というふうに言っておりますが、それらを合わせました合計額は四ぺ−ジの中ほどのところに農林関係予算合計として二千四百五十九億円、それを公共と一般に分けて総括をいたしております。前年度予算は、表紙の裏にもお断わりしてございますが、第一次補正予算の後でございます。本国会にまた第二次補正予算がお願いしてございますが、その計数は含まれておりません。
以上がその総括表でございまして、七ぺ−ジの第三のところで、ただいまの政務次官の御説明とほほ同じ分類で重要政策別に農業、林業、漁業というふうに政策分類で記述がしてございます。内容は省略さしていただきます。
二十三ぺ−ジのところで第四といたしまして、以上政策別に御説明いたしましたものを今度はそれぞれの部局ごとに分類をし直したもので計上してございます。政策別のところで多少中身について御説明してあるものは(前記何頁参照)というふうにして省略をして、そこで漏れましたものを若干補足的にここのところでも御説明を加えております。
三十一ページに第五といたしまして、同様各特別会計についてその概括的な説明を加えております。
以上が主文でございまして、あと三十八ぺ−ジ以下に、これは公共事業費は北海道、離島というふうにさまざまになっておりますので、それを内地、北海道、離島、失対といったような区分別に整理をして表をつけております。
四十四ページのところには、以上の説明のうち特に三十七年度から新規に発足いたしました主要な項目につきまして、項目の概要と金額を各局別に整理をして並べてございます。
それから四十八ページのところでは、予算に伴ないます定員の増減関係を一括整理をいたしました。新規定員としてふえましたものが百九十六名、それから減員となりましたものが三百八十二名ということで、差し引き百八十六名農林省の一般会計の関係では減員になっております。これはそれぞれ新しく機関ができましたり、事業が移りましたりといった関係で人が移る関係でございます。
それから定員化の問題は、一番最後に、(3)のところで、本年度は一般会計、特別会計、両会計を通じて四千七百五十八名お願いをし、これでほぼ農林省におきまする常勤職員の定員化の問題は片がつくわけでございます。
それから四十九ページのところに、今回、設置法でお願いいたします機構改正の概況を図示いたしましたものをつけております。
以上がこの資料の内容の概観でございます。簡単な御説明にとどめておきたいと思います。
次に提出予定法案でございますが、欄外に書きましたように、すでに提出の手続をとりましたものと、目下審議中で、近いうちに提出をいたしますものと合わせまして、本国会に新規にお願いいたしますものが、全部で十四件予定いたしております。そのうち、予算に関係が深いものが九件、それから、関係はございますが、さほど深くないというのが一件、それから予算にほとんど関係がございませんものが四件というような分類になります。
なおこのほかに、御承知のとおり、先国会以来の継続審議となっております法案が、農地法、農協法、それから農業災害補償法、農業保険事業団法の四件ございます。なお農業災害補償法につきましては、先ほど予算の御説明にもございましたが、現在継続審議をお願いいたしております法案は、本日でございますが、この三十七年二月一日から事業団が発足する建前で法律ができておりますので、補正予算でこれを三十八年二月一日発足ということに延ばしていただく手続をお願いいたしておりますが、その関係で、近く、継続審議中の災害補償法の一部改正法案を政府修正さしていただくつもりにいたしておりますので、あわせて御了承いただきたいと思います。
なお、法案のリストでございますが、この十四件のうち、最初に書きました設置法は中央、地方を通じましての農林省の機構の手直しでございます。これは内閣委員会で御審議いただく法律であろうかと思います。したがいまして農林委員会にお願いいたしますのは残余の十三件ということになります。
公庫法の一部改正、これはすでに提出済みでございます。
それから、次の災害関係が、この暫定措置法の一部改正と、次のペ−ジに、三欄目に、天災法の一部改正と二つございます。この二つは、昨年の臨時国会でできました法案の御審議のあとの災害を含めるための修正でございますが、すでに衆議院の方は災害特別委員会で昨日御可決いただきました、あすの本会議に上程いただける手はずになっておりますので、この二件を一番先にお願いすることになろうかと思います。
それから、一枚目の最後にあります開拓融資保証法の一部改正、これは公庫法と同時にすでに提出済みでございます。
二枚目の最初の機械公団法もすでに提出手続を終わっております。
それから天災融資法を飛ばしまして、機械化促進法、これも提出手続を完了いたしております。
次の、競馬法の一部改正でございますが、これは予算に関係のない法律でございますが、目下政府部内で調整中でございまして、二月の中ごろに上程ということに取り運びがいこうかと思っております。
それから三枚目の一番初めの畜産物の価格安定等に関する法律の一部改正では、出資の増と交付金でございますが、これも最終的な整理を法制局でやっておりまして、来週早々閣議で御決定がいただける手はずになっております。
それから次の、てん菜生産振興法案でございますが、これは予算としては、北海道の工場でできますテンサイの買い入れを特別会計でやりますので、予算に関係がございます。ただ、在来の法律を延ばすのでなく、もっと抜本的な措置を加えて目下検討いたしておりますので、なかなか取りまとめに骨を折っておりますが、予算関係の法律でもあることでございますので、あるいは予算関係法案の提出時期を二月六日の閣議を最終というふうに、きつく内閣からもお達しを受けておりますので、なお法律の最終の姿をどういうふうにまとめるか、目下部内で検討中でございます。
森林法の一部を改正する法律案は、来週早々閣議で御決定をいただき、さっそく上程手続をとりたいと思っております。
この紙の一番最後の漁業法は、△印は、やや予算に関係があるという趣旨でございますが、これにつきましては、目下最終的な調整をはかっておりますので、二月の中ごろを目途に整理を急いでおります。
水産業協同組合法の一部改正についても同様でございます。
それから、沿岸漁業等振興法案につきましても同様でございます。
以上が今国会にお願いをいたします法律案につきましての、現在までの準備の進捗状況を中心にした御説明でございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/24
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025・梶原茂嘉
○委員長(梶原茂嘉君) 以上の御説明に対して、この際御質疑のおありの方は、御発言をお願いいたします。
別に御発言もないようでありますから、本件につきましては、この程度にいたします。
本日はこれで散会をいたしたいと思います。
午後零時七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015007X00219620201/25
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