1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月六日(火曜日)
午前十一時十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 松野 孝一君
理 事
青田源太郎君
井川 伊平君
亀田 得治君
大谷 瑩潤君
委 員
野上 進君
高田なほ子君
赤松 常子君
辻 武壽君
国務大臣
法 務 大 臣 植木庚子郎君
政府委員
法務大臣官房司
法法制調査部長 津田 実君
法務省民事局長 平賀 健太君
法務省矯正局長 大沢 一郎君
法務省保護局長 武内 孝之君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総長 石田 和外君
最高裁判所事務
総局総務局長 桑原 正憲君
最高裁判所事務
総局総務局第一
課長 長井 澄君
最高裁判所事務
総局刑事局長 樋口 勝君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
法務省刑事局青
少年課長 荻野鑵一郎君
本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関
する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○訴訟費用等臨時措置法等の一部を改
正する法律案(内閣送付、予備審査)
○平和条約第十一条による刑の執行及
び赦免等に関する法律を廃止する法
律案(内閣提出)
○商法の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/0
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001・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
先般、当委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員から報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/1
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002・亀田得治
○亀田得治君 私から、関西の現地調査の結果を御報告いたします。
私たちは、大谷理事、青田委員と私とが奥村調査員及び大関参事を伴いまして、二月二十日から五日間にわたり、大阪府、兵庫県において交通事件の処理などに関する問題等、四項目について現地調査を行なって参りました。
今回の調査は、集中方式をとり、まず二月二十一日午前は、大阪高等裁判所に、大阪、神戸の各法曹の参集を求め、交通事件処理などの問題及び暴力問題につき調査、会談し、午後は、近畿管区警察局に、大阪府、兵庫県の各警察本部の参集を得て、交通、暴力、少年犯罪の三項目について調査会談を行ないました。翌二十二日は、現地視察の日とし、大阪簡易裁判所交通即決部、神戸、灘簡易裁判所交通部、さらに神戸家庭裁判所庁舎、神戸法務合同庁舎の順に現地の実情を視察したのであります。
調査第三日目の二十三日は、法務関係施設の視察のため、姫路市に赴き、神戸地方裁判所姫路支部の新庁舎、同地方検察庁姫路支部庁舎、さらに姫路少年刑務所本町拘置支所を実地視察し、ここで法務合同庁舎建設促進の事情も知ることができたのであります。なお、本調査にあたり、最高裁判所事務総局の長井総務第一課長と千葉刑事第二課長とが終始同行され、もろもろの便宜を与えられたことを御報告いたしておきます。
第一、交通事件の処理等に関する事項であります。今日大きな社会問題となっているのは、大都市や主要幹線道路における交通の渋滞、混雑であり、交通法令違反者の著増、交通事故の多発であります。その原因としてまず道路と交通量のアンバランスがますます増大しつつあることがあげられるのであります。大阪で見れば、昨年の自動車登録台数は三十八万台で、昭和二十五年の十二倍、三十四年の七倍以上に当たり、しかも毎月一万台ないし七千台ずつたえず増加しつつある状況であり、また、交通事情は、実質的には東京より深刻であって、五百メートル以上にわたって車両が連なり、停滞し、機械的信号で整理できない状態が三十分以上継続する状態の発生が月百三十回以上に及び、その規模も広がりつつある実情であるのに対し、自動車の増加に対応すべき道路の整備改善は遅々としており、道路率(道路面積を都市の総面積で割った率)は九・四%で、著しく低いのであります。
交通事件処理の実情でありますが、昨年警察の交通法令違反送致件数は、大阪で約十六万五千件、神戸約六万三千件に上り、これを処理する大阪簡裁交通即決部は東京と同様、免許証保母形式による待命略式制度を採用しており、神戸灘簡裁交通部は在庁略式手続により、いずれも流れ作業式に処理しておりますが、昨今の事件数の増加に、物的にも人的にもこれに応じ切れない状態に追い込まれているのであります。施設、人員に相応した事務適量は、大阪一日五百件、神戸、灘は法廷もないためもあり、一日五十件であるのに、最近は、大阪は適量の三倍が常態となり、ときには千六百件に上ることすらあり、また、神戸、灘は昨年中は適量の七倍をこす事件数であります。結局、施設狭隘と職員不足で病気欠勤も連続発生している実情でありますが、他方連日の所内の混雑ぶりはすでに墨田簡裁の状態を視察された委員各位として十分御推察願えることと思うのであります。
交通事故件数は、近畿警察骨内でも増加し、昨年は十三万四千件を数え、死者二千五百九人、傷者六万八千人となっており、大阪だけで昨年死者がついに一千人をこえるに至ったので、府警察は緊張し、取り締まりの非常態勢をしき、ようやく効果を上げている様子であります。
ひき逃げ事故は、大阪より兵庫が多く、昨年は千二百三十六件、通行地帯であること、検挙率の高いことなどが原因と思われます。
次に、家庭裁判所による少年の交通法令違反事件の保護事件に対する比率は、大阪で八二%、神戸七八%となっており、いずれも交通保護事件が一般少年保護事件に比べ署しく増加しています。
そこで現地の関係諸機関、職員のこぞっての強い要望として、交通事件処理のための施設拡充と人員の増加が第一にあげられたのであります。たとえば神戸、灘簡裁交通部の出頭被疑者待合室(八・九坪)の収容可能人数は四十名であるのに、昨年は一日平均二百八十名が立って待たされている実情であるからであります。次に、手続の合理化、円滑化をはかるための意見として、検察庁は送致書、起訴状の簡略化、略式命令請求告知手続の廃止、少年法適用除外など、検務手続の合理化、能率化、さらに大都市の交通検察部特設を望み、警察からは手続の合理化、即決裁判の実施区域の拡大、そしていわゆるチケット制採用が要望されたのであります。
第三に、最近の阪神地区の事件増加から交通即決裁判所庁舎の新設が特に強く関係方面から要望されたことであります。
ひき逃げ事件に対する罰則については、刑法二百十一条の法定刑引き上げ論が多く、これは実際上不可抗力による場合以外、道交法七十二条は適用を見す、交通事故発生の際、過失のあるときは刑法の軽い禁固となり、不可抗力のときは重い懲役となり、法の盲点とされているからであります。
終わりに、大阪、神戸両弁護士会から、近時多発する交通事故に伴う紛争につけ込んで仲裁、和解、保険金の請求など法律事務を取り扱ったり、被害者のため補償金をとったりする、いわゆる事故屋の登場に注目し、これを一掃し、損害賠償請求等民事事件の適正処理、市民の権利救済のため交通事故委員会を設置するなど積極的に交通事件としての民事手続制度の確立の必要があると説かれたのは注目に値いします。これは本年二月兵庫県の交通安全県民運動の一環として交通対策委員会が設置されたことなどから特に機運が高まったものであります。また、昨年から京都に出現した「婦人交通指導員」や大阪の「死者ゼロの日」には、地方公共団体を推進母体とする地域的交通安全運動が活発化していることがうか
がわれるのであります。
次に、都市の交通事情は今後ますます悪化すると思われるのでありますが、抜本的交通問題の対策は、道路、運輸行政上の施策、そして交通取り締まり、交通規則、交通安全運動など交通警察行政上のもろもろの施策の上に総合的、効果的に推進されなければならないことはもちろんでありますが、交通違反事件の処理手続の適正の合理化点からまず感ずることは、これら都市交通に関する予防的行政諸施策の推進が考えられるとしても、将来の交通事件の増加、三年後の東京オリンピック大会ではますます交通事情の悪化に拍車をかけるであろうことが予想される今日、現在の交通裁判手続でよく対応できるかどうか、国の機関の施策としても取り残されるのではなかろうかということであります。国家的にも事件増加に伴い、無制限に予算措置のとれないことは明らかであることを思えばなおさらであります。この点手続の合理化、円滑化の点にさらに注目すべきであるし、さらに警察側ではチケット制の採用について意見が述べられておるのであります。チケット制については、公訴権の侵犯、罰金徴収の困難など、法律的批判もありますが、いずれにせよ、現在の交通事情から違反者に罪悪意識はほとんど認められず、将来も望み得べくもありません。もちろん反覆違反者、無謀運転などの重大事犯は別であります。交通事件の処理について再検討の段階にきているのではないかと思われたのであります。
次に、現行体制のもとで進めるにしても、手続の簡素化、合理化が急務であります。にもかかわらず、他方普通略式命令送達事務が郵券不足のため大量遅滞し、四カ月の失効期間にも迫られているという裁判事務の実情にあぜんとしたのであります。さらに現実の問題として、交通裁判所の施設の拡充、職員の増加が先決であることには変わりなく、現状はまさに人権問題とさえ感じられるのであります。ひいては司法の権威にもかかわる問題と思われます。
次に、暴力事犯に関する点について報告いたします。大阪府下の暴力団推定数は、本年初め大阪府警調べで、四百六十九団体、一万一千名、準構成員約七千名を加え、計一万八千名と見られ、兵庫県では昨年末二百七十四団体、九千九百名、昭和三十四年に比べ五割増であります。
一般的傾向として、犯罪手口の知能化、潜在化、犯罪現象の多様化が見られ、暴力団の動向としては、組織の拡大、先鋭下部組織の編成、偽装右翼団体の結成が目立っています。暴力事犯の実態については、集団抗争事犯の多発現象と、麻薬、売春、白タクなど、非合法分野に組織の収入源を求める団員による犯罪の多発現象が注目されます。
かかる組織的、常習的暴力事犯に対処するためには、人員、装備など、捜査態勢の強化充実は急務でありますが、特に検察庁、警察から暴力団構成員の権利保釈の制限など法改正と、一般市民、被害者、参考人の協力を得る方策が必要であると主張されました。
次に、青少年犯罪に関する事項について報告いたします。戦後増加した少年非行は、逐年増加し、近畿管区警察局管内では、昨年は戦前戦後を通じ最高数を示し、少年刑法犯と触法少年で約四万人、特別法犯が十三万三千人、このうち九五%は道交法令違反であります。それに虞犯少年十一万七千人を合わせ、計二十九万人となっております。
犯罪の傾向として、強姦、普通強盗、恐喝など凶悪、粗暴事犯が成人のそれを凌駕しているのが注目され、少年非行では、顕著な傾向として中学生の非行問題、朝鮮人少年を主とする外国人少年の暴力事犯の増加が神戸であげられています。
次に、少年非行を暗示する京都府下某高校の具体例をあげます。同校二、三年生が不良交遊するうち、グループを作り、団体行動で校内外の生活をおもしろおかしく送ろうと相談し、昨年六月二十日、十四名で「がらくた党」を結成し、放課後党員宅で花札賭博を開帳するほか、十数回にわたり万引、野荒し、下級生に対する暴行などを行なっていたもので、参考までに「青春がらくた党憲法」を抜粋朗読いたします。
第一条、我等のクラブを「青春がらくた党」と呼ぶ。二条、党員は本校の同級生とし、男女を不問。三条、党員は行動を共にする。四条、日本国家、社会の大人の空気を清くするため正義の鉄拳を振う。五条、武装心を持つこと。六条、学校への通学は遊ぶためである。七条、他への邪魔になるように心掛けること。八条、遅刻、内職、エスケープ、リンチを心掛けること。十一条、禁酒禁煙を絶対に守らないこと。十七条、一日一悪をなすこと。十九条、花札遊びをすること。二十条、産児制限を守ること。二十一条、午後十二時以後に寝ること。夜明かしに努めること。二十三条、学校のテストは白紙か、五〇点以下の点をとるようにすること。二十四条、必ず女をつくること。党員の女には手を出してはいけない。ただし、党員以外の女ならよい。
以上であります。第四、法務関係施設の視察。神戸地方検察庁姫路支部の視察の際、姫路法務合同庁舎の新築計画に関する陳情を受けたのであります。御承知のとおり、最近の姫路市は、工業地として躍進途上にある新進都市でありますが、昨年初めころから同市に散在する神戸地検姫路支部、同区検、本町拘置支所、神戸地方法務局姫路支局を合同庁舎として新築する機運が都市計画を進める姫路市と法務関係者との間に台頭し、その計画としては、これら法務関係施設の現在の土地、建物と、現在神戸地裁姫路支部新庁舎の北に接続する市所有の土地及び同地上に市が建築する法務合同庁舎の一部とを交換し、評価総額二億一千六百万円のうち、なお不足の庁舎建設財源一億三千八百万円は国家予算をもって新築完成せんとするもので、結局、大蔵省で予算を組み、差額を確保しない限り実現しない現状であります。本件は、法務省を含め関係者の間で話し合いがついている問題であるので、法務省もさらに積極的にこれが実現に努力されるよう望むとともに、われわれとしても全面的に協力を惜しまないものであります。
姫路少年刑務所では、給食の状況が悪く、現行蔬菜代指定額二十二円七十銭を最近の物価高騰にある程度相応した基準に引き上げられたいとし、最低限度一日一人当たり指定額を二十五円程度に増額することを強く要望されたのであります。これは今後全般的に検討を加えるべき問題点であろうかと感じます。
以上、詳細は調査室の資料等に譲ることとし、調査の報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/2
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003・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいまの報告に関し、御質疑のおありの方は、順次御発言下さい。
なお、ただいま出席中の当局側は、法務省の羽山刑事局刑事課長、同じく荻野刑事局青少年課長、それから最高裁の石田事務総長、同じく桑原総務局長、同じく長井総務局第一課長であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/3
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004・亀田得治
○亀田得治君 視察に参りましたほかの委員の方のあるいは御質疑があろうと思いますが、私も実際に現場に触れてみまして強く感じた二、三の点について、この際当局に確かめてみたいと思います。大阪関係、神戸関係、両方あるわけですが、まず大阪の関係の問題としては、ただいまも大阪の交通裁判所の実情の報告をいたしたわけですが、施設と人員というものが非常に窮屈である、これはこの前の当委員会における質疑の際にも、御当局も最近はそういう状態が特に現われておるということはお認めになっておるわけですが、これに対する対策をどういうふうにされるのか。前回は大阪の状態、あるいは神戸の状態、昨年の終わりごろから特にひどくなった、予算を準備する段階等では混雑しておることはお認めでしょうが、それほどには思っていなかったのだというふうなお話もあったわけですが、しかし、現にもう非常に混雑した状態というものが現われているわけです。その辺に対する最高裁としての考え方をもう少しお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/4
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005・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいま最高裁の樋口刑事局長も出席しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/5
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006・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) たいへん御多用の間を御視察をいただきましてありがたく思いますが、この前も一申し上げましたように、また、御視察いただきましたように、大阪の簡易裁判所の交通事件処理のための施設並びに人員、ことに施設につきましては、ごらんになったとおり、きわめて狭隘を告げておる、人員の点につきましては、裁判官が三名、現在の職員が昨年末増員いたしました分を含めまして二十六名、そのほかに本年になりましてから臨時要員として八人ばかり増強いたしたような次第でありまして、実を申しますと、昨年度の予算編成の時期にあたりまして、われわれ当局も今から考えますと、もっとその点に思いを深くいたすべきだったと思いますが、実はこれも御視察をいただきましたのでおわかりだと思いますが、大阪の交通事件は昨年秋ごろから急にふえて参りました。これは漏れ承るところによりますと、警察のはうで非常に力を入れられるようになって非常に事件が急激にふえたというわけでございまして、そこが裁判所、検察庁側との連絡が完全でなかったせいか、あるいはまた、一時的な現象と裁判所側では見ましたのか、さような点からしてズレができまして、今日のようなことになったような実情でございます。事件がなおこの上ふえてくる、それからまた、いろいろ政府部内等で交通対策の問題が今年初めから大きな問題として取り上げられておりますので、その結果どういう態勢になっていくかということをも念頭には浮かぶわけでございますけれども、ともかく現在のような事件のふえ方が続いていく限り、さしあたり私ども裁判所当局者といたしましても、何とか処置をとらなければならないという羽目に追い込まれておりますが、考えられますのは、何と申しましても、施設の拡張でございますが、これは、しかし四月ころからになりますと、大阪地裁の事務棟の増築分が多少完成することになりますので、ただいま簡易裁判所におります地裁関係のものがそちらへ移っていくということが考えられますし、さらに情勢によりましては、大阪の拘置所が移転することになっておりまして、あの辺のいろいろな弁護士会、主として検察庁、法務省等々との関係で拘置所跡はあるいは裁判所が使えることになるようでもございますので、さような土地等も念頭に置きまして、来年度予算におきましては、今のような情勢が続くようなら、増築の予算の請求もしなければなるまいというふうに考えているのが実情でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/6
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007・亀田得治
○亀田得治君 いろいろ積極的なお答えがありましたが、ちょっと確かめておきたいのですが、まず、大阪のほうの交通裁判所の点ですが、二階に現在大阪地裁のほうで一部を使っているところがある。これを四月からは完全に取りのけて、交通裁判所の一部として使える、これはもうはっきりしているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/7
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008・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 大体四月だったと思いますが、大阪地裁のほうも、事務棟が完成いたすように聞いておりますが、そうなりますれば、地裁の同居分はあけて、交通裁判のほうに振り向けることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/8
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009・亀田得治
○亀田得治君 それからもう一つは、現在大阪交通裁判所で臨時雇八名を使っているということが私たちも現地調査でわかったわけですが、ところが、現地で聞きますと、これは臨時雇でありまして、今年の三月までしか予算はついておらない、四月以降はどうなるかわからぬわけです、予算的に。しかし、これはまさかこういうものを削られるということはなかろうと思いますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/9
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010・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 大阪の実態は、非常に急を告げましたので、さしあたり八名増強いたしましたけれども、これをただいまのところは、直ちに八名が三月一ぱいで、四月になると打ち切りということにはきまっておりませんので、ただ、余裕をみましたならば、事件のふえ方等も考え、それから、墨田その他の交通裁判所等々との負担量等も研究いたしまして、その結果あるいは多少減ることになるかもしれないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/10
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011・亀田得治
○亀田得治君 ほかとの関係などを検討して、減る場合もあるかもしれぬといったようなことをおっしゃるわけですが、この最高裁のほうでは全体のバランスということに重きを置いてお考えになるかもしれない。しかし、その検討される対象というものは、これは全部オーバーになってしまっておるわけなんです。だから、そういうものの扱いは、ほかと比較してといったようなことからやっぱり判断すべきではないのでして、実態そのものはともかく、もう手不足で困り切っているわけですからね。そんなところに、ほかとの比較なんというようなことは私は出てこないと思うのですよ。だから実際は、こういう臨時でなしに、きちんと正規の方をぜひふやしてほしいというのが、やっぱり地元の要望です。私たちがちょっと拝見しましても、当然そうだと思う、そうすべきだと思うのです。決して臨時雇いの人を、一生懸命やって下さっているのをどうこう言うわけじゃありませんが、やっぱり裁判所に関係しているわけですから、一見私たちが見ても、やっぱり臨時であるかないかということで多少感じが違う。だから、そういうことは外部の人だってやはり感ずることでしょうし、これは私たち三人とももうすぐわかったくらいです、実際説明を受けたとき。だから、そういうわけですから、そんなあなた、この臨時の八名を減すというようなことは、これはもってのほかです。これは減さぬということを、ここではっきり約束できますか。長井さんのほうは現場を見ておるから、きちんとそういう実情をもっとはっきり伝えてもらわぬと……。それからもう一つ、この問題については、臨時をもらったのは十名のようですね、実際は。ところが、十名で、一名四百円ですか、四百円ではとても適当な人が来ない。そういうことで、実際は五百円以上やっぱりかかるのですね。それで仕方なく八名ということにしているのです。そこら辺のことだって、非常に窮屈な中でやりくりして確保しておるようでして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/11
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012・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 現実の点から申しますと、お尋ねの、また御要望の趣旨は、もうそのとおりだと思うのでございますが、何しろ予算を伴う問題でありますし、それからまた、大阪の裁判所のほうの、これはもう地裁も含めてもいいと思いますが交通事件のみならず、民事、刑事等の裁判に要しておる人の数等をも考慮に入れて、つまり大阪でそういう民事、刑事の交通以外の分の人も考慮に入れてある程度やってもらえば、そう不足もしないのではないかという意見も出ておるようなわけでございまして、さような点をやはり多少勘考いたしましてからでないと、八名そのまま残しておくという確答は、この席ではお約束はできないことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/12
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013・亀田得治
○亀田得治君 まあ意味がよくのみ込めないのですがね。大阪地裁全体としての人員などを考慮してとおっしゃるわけですが、その意味がよくわかりませんが、ともかく交通裁判所で人手不足でもう毎日困り抜いているわけですからね。そこはそこで確保するのだ、ほかにも何かそういうところがあればそこはそこで確保するのだと、そうしてやりませんことには、あれもこれも全部一緒にして、そういう悪平等のようなことを考えられたのでは、それはとても悪くなりますよ。やはりきちっと、そういう現象が出ておれば、この点は絶対譲れません、そうしておいてほかについてしからばどうするか。そういかなければ、全体が苦しいから、今おっしゃったような考え方で処理するということでははなはだこれは不安ですね。われわれから見て。それと欠勤が多いのですね。この交通裁判所関係の職員は、これは非常な過労なんです。だから何というのか、少しの予算を惜しむことによって非常な非能率になるわけです。欠勤が多いからまた臨時を応援させなければならぬ。そういうわけで、その一定限度をこえますといろいろなやっぱり欠陥が出てくるわけでして、しかし、あれだけの混雑しているのに対して、これはどうしても確保する、そういうようようなことが事務総長から委員会の席上ではっきり言えぬようでははなはだ心もとない。言うておってもなかなか確保できぬのが現状なんですからね、予算の折衝になると、ところが、事務総長の考えは初めからえらいたよりないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/13
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014・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) まあお約束した以上は必ずしなければならないという前提に立って申し上げているわけでありますが、まあ確約は、お約束はできませんけれども、極力善処に努めようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/14
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015・亀田得治
○亀田得治君 とにかくただいま交通裁判所に関連して、大阪の拘置所の問題の建設などについても若干お話があったからついでにこれは聞いておきますが、大阪の都島拘置所の完成ですね、これはどういう程度に考えておるのか。都島拘置所の完成、あれを早く完成して、現在の大阪地裁の裏にある拘置所を早く移す、こういうことになりませんと、大阪の地裁なり高裁としての建物を拡張するという問題も軌道に乗らぬわけですね、その点をひとつ。まあ私たち当初はいろいろ関心を持ち、促進のためにも君子努力もしたわけですが、現状どうなっていて、そしていつまでにそれらの問題を処理するつもりなのか、そこら辺ひとつはっきりしておいていただきたい。
それからもう一つ、前からの懸案である、大阪の裁判所に検察庁が同居しているわけですね、ああいう大都会の検察庁としてははなはだこれはぶざまな格好です。ほかはみんなほとんど独立しておるのに、ああいう大阪のどまん中でいまだに裁判所に検察庁が入っている。方針としてはこれは分離することになっている。土地問題などもほとんど片づいておるように聞いておるわけですけれども、この分離もいつから手がつくのか、明年あたりは当然僕は調査費などをきちっと予算の中に計上されるものだというふうにも思っていたわけですが、どうもそこまでにいっていないようですが、そこら辺の整理をきちんとすることが非常な急務だと思います。
それからもう一つは、検察庁を裁判所から独立させる。その場合に、合同庁舎にしろという意見があるようです。しかし、まあ大阪のような大きな検察庁ですから、やはり庁舎を作ればどうしても検察庁的な空気で全体がこれはおおわれます、検事の数も多いし、何といったって。だから、小さいところの合同庁舎とは多少考え方というものを変えてかからなければならぬのじゃないか。たとえば、東京あたりでそういうことが実行できるか。私はできないと思う。たとえ場所があってもはなはだそれは不適当だと思う。だから、そういう意味で大阪でも一部そういうまあ東京で出ておる意見などを心配しまして、検察庁と法務局——今府庁の裏にある法務局などはこれはやはり別々にしておくべきじゃないかと思う。新築される場合にそれを持っていって合同庁舎を作るということは、大きな検察庁の場合には少なくともこれは不適当じゃないか、そういう意見が非常に出ているわけです。これはまあ最初の方針が間違いますとあとあとまでごたごたしますから、非常に大事な問題だと思っているのですが、そこら辺の問題も含めてひとつお答えを願いたい。それから法務省のほうにも、若干関係がありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/15
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016・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) お尋ねの点はおおむね法務省の御所管のようでありますから、法務省側から御返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/16
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017・津田実
○政府委員(津田実君) ただいま亀田委員の御質問につきましては、ただいま係の者が参っておりませんので、ちょっとお答えしかねまするが、御趣旨を伝えまして、適当な機会にお答えするようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/17
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018・亀田得治
○亀田得治君 それじゃその点はあらためてきちんとした答弁をひとつお願いすることにしまして、それからもう一つは、神戸の交通裁判所——先ほど報告したように私たち見てきたものです。まあここも結局は同じことなんですね。混雑の状態が多少大阪より少ないという感じは、これは受けております。しかし、まあ全体の交通裁判所の入れ物が小さいわけですから同じことなんです、実質的な混雑の状況というものは。しかも、神戸の場合には、現在の神戸地方裁判所の庁舎の中の一部を使っているわけですね。だから、地方裁判所の前に若干の空地があるわけですが、そこら辺に車が全部並ぶわけなんです。そうすると、あすこは神戸地裁の建物であるにかかわらず、一部を交通裁判所としておるために、ちょっと外から入ってくると全体が何か交通裁判所のような感じ——まあどれだけ乱雑でも裁判は裁判としてきちっとやるとおっしゃればそれでもいいわけですが、まあこれは程度問題でして、そういう点からも非常にあのままの状態で続けていくということは不適当じゃないかという感じを強く持ったのです、内部におけるそういう混雑という問題のほかに。だからこれはどうしても場所を早く移さなければならぬというような感じを強く持ちました。たまたまそういう話をしておるときに、家庭裁判所が新たにできまして、その裏に非常に広い土地があいておるということを聞きましたので、私たち、まあ参考までにということで見に行ったわけですが、そこですと非常に広いわけでして、自動車などがたくさん入ってきてもそんなに混雑しないし、かたがた交通事件には少年が非常に多いわけですね。家庭裁判所との関係なども多少あるわけですし、そういう点でむしろ積極的にそちらのそうに早く移すような方針で、最高裁なり、まあ法務省も関係が出てくるわけでしょうが、考えるべきじゃないかということを強く感じたのですが、どこでも敷地に困るわけですね。だが敷地はある、神戸の場合。ほかに目的を考えているものはないようです。現地ではそういうふうに聞きましたがね。現地でないものが最高裁にあるわけはないと思うので、これはどういうわけなんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/18
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019・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 神戸の交通事件処理上の状況も御指摘のとおりでありまして、あのまま現在の場所で継続していくことは感心しないということは、私ども感じております。結局新しい敷地を求めて、何とか善処しなければならぬと考えております。御指摘の家庭裁判所の裏の敷地は、何か、こんなことを申していいかどうかわかりませんが、アパートが二棟ばかりあって、それを立ちのいてもらうことがなかなか困難だろうという問題と、もう一つは、自動車等の騒音で家庭裁判所の静かな雰囲気をこわすのもいかがかという、そういう意見等もございますので、まあ御指摘の点は十分参考にしたいと思いますけれども、できれば、すぐ敷地があるわけじゃありませんが、新しい敷地を求めて善処すべき状況であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/19
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020・亀田得治
○亀田得治君 まあアパートの立ちのきは、それはまあ時間的な問題だと思うのです、これは。これはどうしてもしなければいかぬことですし、やり方なり時期の問題で、国有地をいつまでもそういうふうなことでいけるわけはない。まあ家庭裁判所の雰囲気と言いますけれども、それはあまり、みんな土地がなくて困っているときに、ぜいたくなことを一つの個所だけがやはり私は主張すべきじゃないと思うのです。それじゃ家庭裁判所の雰囲気などということのために、あの広い土地をあのまま置いておいて、一体世間がはたして納得するかどうか。ちょっと私は筋が通らぬと思うのです。だからそれは家庭裁判所が家庭裁判所としてああいうりっぱなやつができておるわけですから、そこはひとつあまり感情を害しないようにしながらやる工夫というものはあろうと思うのです。それじゃ家庭裁判所にも寄りつけぬようなものを、何で神戸地裁の本庁舎にそんなものをくっつけておくか。そのほうがむしろ問題です。だからそこはよく前向きで研究してほしいと思うのです。それから大阪のほうは幸い敷地はあるわけですね、大阪の交通裁判所は。だから結局施設をもう少し拡充すれば現在の場所でも相当ふえても処理できると思うのです。これは施設の問題です。その施設拡充の一つの基準を私は聞くのですがね。私はたくさんの人が何百人とがあっと一時に交通裁判所に押しかけてくるわけですが、あの人たちが待っているときに、ともかく腰かけられる、こういう状態にすることが私は基準じゃないかと思うのです。まあこんなきちんとしたいすにかけなくとも、やはりベンチにきちっと腰かけれる、そうでなければ……、もうこれは根本だと思うのです。いろいろ整理の仕方あります。しかし、ともかくそれができてその上で呼び出しの仕方なり、またいろいろ工夫があるでしょうが、ともかく立ったままざわざわしたああいう中では、これは一体何しているのかということです。そういう基準を私たち現場を見てそういうふうに強く感じたのですが、そのとおり予算化するにはたいへんな努力がいるでしょうが、しかし、まず基準ですからきちっとしたものはやはりこっちが基礎として打ち立てるということでないと強い予算折衝等もできないと思うのです。そういう点どういうふうにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/20
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021・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 最初墨田に交通裁判所ができたわけでありますが、その当時はどういうふうなことになるのか実はみなよくわからなかったと申し上げても過言ではないと思います。交通裁判所と俗に呼ばれておりますから裁判所だけの問題でありますけれども、墨田の例で申し上げますと、一番下のところには警察の係官が相当おります。その三階に検察庁の係の方がおられ、その上が裁判所というふうになっております。それで出頭するように言われて行った人は、初め警察の係の調べを受け、検察庁に回り、次いで裁判所に来るわけでありますが、大体二時間前後待たされるのだというようなことを耳にしておりますが、その待たされます時間がどこで待っているのか私どもにもよくわからないのであります。さような関係で警察、検察庁、裁判所、今のような体制が続きます限りは、各官庁でもそれは十分に協議いたしまして、一つのアイデアを出して、それで解決をつけるべきものではないかと私はそういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/21
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022・亀田得治
○亀田得治君 ぜひそれはひとつ研究してほしいと思うのです。あすこへ出頭した人が警察、検察庁、裁判所とずっと順に行くわけですから、ベンチを置くにしても置き方というものは相当工夫が要ると思うのです。その置き方がどういうことが一番いいかによって、そういう広い部屋を作るにしても、どういうふうに作ったらいいのかという点がまた変わってこようと思うのです。ともかく、ああいうものは立ったまま右往左往しているような状態だけはひとつ解消するように、やはり最高裁が中心になって検討を進めてほしいと思うのです。
もう一つは、これは主として弁護士の皆さんから出された問題ですが、民事事件の処理ですね。交通事件に関する損害賠償請求事件、こういう問題は特に早くやるようにしてほしい。新聞で拝見しますと、東京の地裁の刑事のほうでは、ひき逃げなどの刑事事件は早くやるような何か特別の部を設けるとというふうなことが新聞に出ておりましたが、これは私は非常にいいと思うのです。交通事件に対してこれだけ関心が集まっているときですから。しかし、同じようなことを民事関係においてもやる。これは私、今度の調査のときにそういう点の指摘を受けまして、ともかく、交通違反といったら罰金を取る、そういう刑事的な処分のみに今まで関心が集まっていた。それに対して、これではいかぬのだ、やはりそれよりもひき逃げで死んだとか、そういったような場合における民事上の裁判、損害賠償、これのほうが何といっても金額が大きいのですからね。だから、そのほうが加害者にとっては痛手が大きいわけなんです。それが裁判所に持ち出しても、なかなか手っ取り早くいかない、だから、そこで事件屋というようなものがはびこってくる。また、加害者のほうでも、したがって、何か事件が起きたらそこへまかしておけばいい。やはり、こういうことを、交通事件に対する国としての全体の取り組み方の中においては、裁判所としては十分考えなければならないのだ。したがって、そういうことを聞きまして、しからば大阪では昨年度はどれくらいそういう民事上の提訴があったのかと聞きましたら、三十六年中で九十九件と言っておりました。で、東京などはもっと多いのだと思います。しかし、本来から言うならば、私はもっともっとこれは出るべきものだし、刑事事件でこれだけ莫大な件数があがっておいて、罰金を取っておいて、肝心の被害を受けた、あるいは自分の親をなくしたとか、子供をなくしたその人に対する被害の救済というものは国家としてできていない。そういうけしからぬことを理由にして国が大いに罰金を取って収入をふやしておる、悪口を言ったらそうなる。そうしておいて、ほんとうに被害を受けて泣いておる人、それに対する救済は進まないのです、遅々として。仕方がないから事件屋に行く。で、刑事事件の処理の問題と同時に、ぜひこれは私は、最高裁でひとつ裁判官会議なども開いてもらって、現在の世間の要望に応じ得るような態勢というものを作ってほしいと思うのです。てきぱきそういう点についての判決はやっていく、これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/22
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023・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 御指摘の実情は、私どもといたしましてもことごとく同感でございます。刑事のみならず、民事の損害賠償請求の事件も、もっと迅速にいきたいと思います。東京地方裁判所におきましては、幸い今年度から民事におきましても交通事件処理のための特別部ができまして、やることになりましたので、その実績等も見まして、御要望のような趣旨に沿った善処をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/23
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024・亀田得治
○亀田得治君 私は刑事だけかと思いましたが、民事にもそういう特設部が東京にできたということなら、ぜひ全国的にこれはやはり国の交通事件対策の一環として早くやるように指示をしてほしいと思うのです。裁判の内容に関係するわけじゃない、事件を早くやれというのですから、これくらいの指導は、私は、最高裁としてできると思うのです。
それから、東京では、ちょっと参考までに聞くわけですが、昨年はどのくらい出ているわけですか、交通事件に関連した損害賠償請求事件は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/24
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025・桑原正憲
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいま手元に数字がございませんので、調査してお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/25
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026・亀田得治
○亀田得治君 これは数字だけの問題ですから、あとから御報告をいただきたいと思います。
それからもう一点、だいぶ時間が長くなりましたが、まことに聞き捨てならぬ問題がありまして、それは姫路の裁判所のことですが、郵券が不足して略式命令がたまっているわけですね。こういうことは一体どうなんですかね。いつかも埼玉でしたかね、略式命令が失効するといったような問題などを大量に起こしたところがありましたが、うっかりやっていると、そういうことにもなりかねないわけです。こういうふうな費用というものは、もちろん、あらかじめ最高裁で予算を配分するわけでしょうが、しかし、足らなくなれば、これこそ、これは裁判の執行のための費用ですから、こんなものがなぜ右から左に最高裁から渡せるようにできないのかどうか。そんなことで下級の裁判所が困るというような事態がどうして起こるのか、この点を少しはっきりしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/26
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027・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) ただいまの姫路の件は、実は私は初めて知るわけでございますが、一般にはさようなことはほとんどないのでありますけれども、たまにそういうことがありますのは、私は経理のことはあまり存じませんけれども、予算はもちろんあります。それを配付いたしますのに、一年分とおぼしきものを全部配付するのでなくて、四回ぐらいに分けまして配付するわけであります。さような場合にも見込み違いとか、あるいは処理の食い違いとか、あるいは意外にその裁判所でたくさんそういう費用が一時に必要だったとか、そういうふうな特殊な事情のために、ごくまれに御指摘のようなことが起こるのだと思います。しかし、なるべくそういうことがないようにみなが心がけておるわけでありますが、今後とも注意していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/27
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028・長井澄
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 事務的なことでございますから、私から補足的にお答え申し上げます。姫路で御指摘を受けましたような点は、総長の耳に達しておりませんで、まことに申しわけないと思っております。深くおわびを申し上げます。略式の送達費用は、昨年度の予算が配付されました後、郵便料が高くなりましたこと、それから略式事件が道路交通事犯の激増に伴いまして、予測できない増加ぶりを示しましたために、予算面の手当が追いつかなかったという事情がございまして、姫路においてあのような事態が生じましたことは、まことに遺憾に存じております。戻りまして、さっそく経理当局に伝えましたところ、即日、姫路には送金を了しております。そういう事態は姫路については解消しておるものと信じております。なお、いろいろ会計法上の制約等がございまして、裁判費をあらかじめ十分に送れないということが現在ございますが、これは今後大蔵省との予算折衝の結果によりまして、円滑にいくように経理当局は努力しているように聞いておりますので、こういう面についての配慮が、今後ないように努力できるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/28
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029・亀田得治
○亀田得治君 年四回に分けて予算を配付されるわけですから、見込み違いとか、そういうことは私は当然あり得ると思うのです。ただ、裁判の、そういうぜひ必要な費用の問題ですから、おそらく下級裁判所のほうでそういう事態になれば、実は困っておるのだということは必ず上のほうへ言うてきておるに違いないと私は思うのです、ほかの費用じゃないですから。だから、そういう場合には、ともかく早く送っておく、調整はあとから考えるというくらいにしませんと、ほかの費用と違いますから、そういう点についての、何といいますか、手ぎわのいい処理に欠けておるのじゃないか。私たちが実際にそういうものを調査して、それはひどいといったようなことを言い出しますと、すぐ行くといったようなことじゃなしに、それは、あなた、裁判所の職員の人だって、そんなことはわれわれに言いたくありませんよ、内輪のことまで一々。それは言わざるを得ぬのだと思うのです。だから、そんなことのないように、そういうものは優先的に、実際に不足してきたら、さっとやって、そんなものにごまかしがきくわけはないのですからね。ちゃんと計算の上にすべて出るわけですから、だから、そういうふうに今後ともやってほしいと思います。一応調査に関連してのことは打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/29
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030・青田源太郎
○青田源太郎君 ちょっと一点だけ。私は今、亀田委員の指摘されたことをわれわれ痛切に感じたことであって、そのとおりでありますが、ただ、単に、同行しまして姫路においてちょっと視察したことについて触れたいと思うのであります。大体姫路の法務関係の総合庁舎の問題についての従来の経過と申しますか、大蔵省その他に交渉の経過をちょっとこの際、御報告いただきたいと思います——法務省の経理関係出ておられないということですが、そこで、この問題について私、実地を見たのでありますが、現在の検察庁が非常に老朽しておる。それで、あそこでは、ほんとうに仕事が十分に行なえないというようなことも痛切に感じたのでありますので、この検察庁の庁舎の新築ということについて、当局はどういう考えを持っておるか。
さらに第二点として、現在の法務局、いわゆる登記事務をやっておるところが、姫路のもとの裁判所の焼け跡にちょっと臨時にやっておるのですが、これも地域から考えて非常に便利が悪いし、また、庁舎も非常に貧弱なんです。こういう点から、姫路市が総合ということを考えておるのも、私はそういうことがうかがえるわけでありますので、この問題について、どういう法務局は考えでおるか。
そうして、なお、本町の拘置所でありますが、これは実際行って見たのでありますが、拘置所はもとの陸軍の懲治監ということでありましたが、陸軍のもとの営倉というのですか、そういうところを、戦災都市でありますので、間に合わしておるのでありますが、これが今、現在、市の中心になっておる、民家に囲われておるということで、ちょうど拘置所の視察にわれわれが入っておったおりにも問題が起こったのでありますが、外部から市民が物を庁舎の中に投げ込んだ、これを看守が見つけて、それと被疑者とで非常な争いがあったということを、現に私どもが視察中にそういうような報告があったのでありますが、こういうふうに拘置所が声のそういうような住宅と接近しておるというようなことは、条件も悪いし、また、取り締まりも困難であると思うので、この拘置所あるいは法務関係、検察庁、こういうものを市が合わせてこの際総合庁舎にしようということで、市長を初め市当局が非常に熱意を持っておるわけでありますが、こういうことはひとつ法務関係がもしも総合庁舎をやるということに誠意を持っておられるというのなれば、この機会が非常に僕はいいチャンスでなかろうかと思うので、大蔵省関係に対しましてひとつ熱意を持ってこういう交渉をしていただきたい、また、交渉をされておるか、こういうことについてお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/30
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031・津田実
○政府委員(津田実君) ただいまの御質問の点につきましては、担当の者が参っておりませんので、御質問の御趣旨は伝えまして、しかるべき機会にお答えさせるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/31
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032・井川伊平
○井川伊平君 法務省の青少年課長荻野さんにごく簡単に一、二の問題、ただいま調査視察をされました結果の報告がありましたが、そのうちにある学校の一つの不良学生の実例があげられましたが、こうした学校の在学生の不良の団体ですね、こういうものも法務省関係において調査をしておるものかどうか、こういうことをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/32
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033・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) お答えいたします。できる限り、地元の検察庁並びに警察署から報告を受けるようにいたしておりまして、私どもの力でそれを整理いたしております。
それからなお、昨年の九月から少年調査票という制度を全国の検察庁に実施いたしまして、犯罪を犯しまして検察庁の方に参ります少年につきましては、一々いろいろな事項の調査をいたしまして、ことに御指摘のようなグループに入っておる者等につきましては詳細なデータをとるようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/33
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034・井川伊平
○井川伊平君 現在中学校及び高等学校で日本全国を通じまして在学中のこうした不良団体というものは、数はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/34
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035・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) その関係の資料を私持っておりませんので、今ここでちょっとお答えいたしかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/35
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036・井川伊平
○井川伊平君 大ざっぱにいってどのぐらいということも言えませんか、今。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/36
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037・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/37
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038・井川伊平
○井川伊平君 それでは、こういう学校の不良団体がいろいろな関係で公になった場合は、学校はどういう処置をしているかについては御存じありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/38
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039・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) 承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/39
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040・井川伊平
○井川伊平君 してない…… 。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/40
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041・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) はい。学校からでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/41
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042・井川伊平
○井川伊平君 学校ではどういう処置をしているかということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/42
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043・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) はい。承知いたしておりません。ただ、警察を通じて学校がどうしたかということがわかる程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/43
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044・井川伊平
○井川伊平君 それを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/44
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045・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) それもよくわかりませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/45
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046・井川伊平
○井川伊平君 それでは学校のこういうような不良の仲間ができて、それからそういうものが大体公に発見されるまでの期間、どのくらいを要するものですか。発見されてからそれが処置されてしまってなくなるのにはどのくらいの期間を経過するかというのもわかりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/46
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047・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) よくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/47
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048・井川伊平
○井川伊平君 わからぬ……。先ほど報告にありました事例ですね、あれは現在どういうふうにあの仲間はなっているかわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/48
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049・荻野鑵一郎
○説明員(荻野鑵一郎君) よくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/49
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050・井川伊平
○井川伊平君 さっぱりわからぬじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/50
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051・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 他に御質疑もなければ、本報告についての質疑は、この程度にとどめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/51
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052・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、植木法務大臣から提案理由の説明を聴取します。本案は、去る三月二日当委員会に付託され、本院先議であります。植木法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/52
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053・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
この法律案は、最近における市町村の廃置分合等に伴い、簡易裁判所の名称及び管轄区域を変更する等下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を行なおうとするものであります。以下簡単に今回の改正の要点を申し上げます。
第一は、簡易裁判所の名称の変更であります。すなわち、簡易裁判所の名称は、その所在地の市町村の名称を冠するのを原則としておりますので、このたび、長野県南佐久郡野沢町及び中込町並びに北佐久郡浅間町及び東村を廃し、その区域をもって佐久市を置く処分に伴い、岩村田簡易裁判所の名称を佐久簡易裁判所に変更しようとするものでありまして、地元の住民の希望を考慮したものであります。
第二は、簡易裁判所の管轄区域の変更であります。すなわち、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、福岡簡易裁判所の管轄に属する福岡市大字田尻外十五大字の区域を前原簡易裁判所の管轄区域とするほか、四簡易裁判所の管轄区域を変更しようとするものでありまして、これらの管轄区域の変更は、いずれも、地元の住民、関係諸機関等の意見を十分参酌したものであります。
第三は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表の整理であります。すなわち、市町村の廃置分合、名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表について当然必要とされる整理を行なおうとするものであります。
以上が下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/53
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054・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。
本案の質疑は、次回に譲ることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/54
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055・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 次に、去る二月二日、当委員会に付託されました訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案について、植木法務大臣より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/55
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056・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
この法律案は、第一に、民事訴訟及び刑事訴訟の証人等の日当等の最高額を増加するため、訴訟費用等臨時措置法に所要の改正を行ない、第二に、執行吏の受ける恩給の年額を一般の公務員に準じて増額するため、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律(昭和二十四年法律第五十五号)に所要の改正を行なおうとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
第一点は、訴訟費用等臨時措置法の規定による証人等の日当及び宿泊料の最高額を増額しようとする点であります。御承知のとおり、民事訴訟における当事者、証人等の日当及び止宿料、刑事訴訟における証人等の日当及び宿泊料並びに執行吏の受ける宿泊料につきましては、民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法及び執達史手数料規則にそれぞれその規定があるのでありますが、現在、その額については、訴訟費用等臨時措置法の定めるところによることとなっているのであります。
まず、民事訴訟における当時者及び証人並びに刑事訴訟における証人の日当につきましては、その最高額は、現在、出頭または取り調べ一度につき三百円以内と定められているのでありますが、民事、刑事の裁判における証人の機能の重要性等にかんがみ、その日当の有する損失補償的機能をより充実させる必要があると考えられますので、今回その最高額を引き上げることとし、訴訟関係者の負担の点等を考慮した上、これを千円以内に改めようとするものであります。
次に、民事訴訟における当事者、証人、鑑定人、通事及び民事訴訟法第三百十条第二項に規定する説明者、刑事訴訟における証人、鑑定人、通訳人及び翻訳人並びに執行吏の宿泊料につきましては、現在、その最高額は、行政職俸給表(一)の七等級以下の職務にある国家公務員が内国において出張し、または赴任した場合に受ける宿泊料の定額に準じ、特別区の存する地、京都市、大阪市、名古屋市、神戸市及び横浜市においては千三百二十円、その他の地においては九百八十円と定められているのでありますが、政府におきましては、職員の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行における宿泊料等の定額を引き上げる必要を認め、今国会におきまして、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を別途提出いたしておりますことは御承知のとおりでありまして、証人等の宿泊料につきましても、これに準じて、その最高額を引き上げる必要があると考えられますので、今回、これを特別区の存する地等においては千五百円、その他の地においては千二百円に改めようとするものであります。
第二点は、一般の公務員に準じて、執行吏の受ける恩給の年額を増額しようとする点であります。執行吏は一般の公務員と同様に恩給を受けることになっておりますが、政府におきましては、一般の公務員の恩給の年額を公務員のいわゆる二万円ベース給与の俸給を基準として算定した額に引き上げる必要を認め、今国会におきまして、恩給法等の一部を改正する法律案を別途提出いたしておりますことは御承知のとおりでありまして、執行吏の恩給につきましてもこれに準じて、その年額を引き上げる必要があると考えられますので、執行吏の恩給を受ける者のうち、その年額の計算の基礎となる俸給年額が公務員のいわゆる二万円ベース給与の俸給に見合う金額である十二万八千円に達しないものにつきまして、昭和三十七年十月分から、その年額を十二万八千円を俸給年額とみなして算出した年額に改定しようとするものであります。
以上が訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/56
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057・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。本案の質疑は、後日に譲ることとし、本案についてはこの程度にとどめます。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/57
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058・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 次に、昨三月五日当委員会に付託されました平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。
本案も本院先議であります。本日は、植木法務大臣より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/58
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059・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
すでに巣鴨刑務所仮出所中の者八十三名に対する昭和三十三年十二月二十九日付刑の軽減決定によりまして、それまでわが国が平和条約第十一条に基づいて取り扱ってきた戦争犯罪受刑者の刑の執行及び赦免または軽減の事務は終了し、かつ、過去における海外戦犯引取事務の処理状況から見て、平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を適用する可能性のある者が海外に存在するとも認められない次第でありますので、右法律を廃止いたさなければならないのであります。
次に、この法律の廃止に伴いまして、この刑の執行施設でありました巣鴨刑務所の存続も必要がなく、また、刑の執行及び赦免等に関する事務を法務省の所管事務として規定しておくことも必要がなくなったわけでありますので、記録の保存その他所要の事務以外の事務につきましては、法務省設置法の規定を整理いたしております。
以上が、平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止する法律案の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/59
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060・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。本案の質疑も次回に譲ることとし、本日は、本案についてはこの程度にとどめます。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/60
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061・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 次に、昨三月五日当委員会に付託されました商法の一部を改正する法律案を議題とし、植木法務大臣より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/61
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062・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 商法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
この法律案の内容は、大別して二つの部分に分かれております。一つは、株式会社の計算の内容に関する改正であり、他は、株式会社等の事務の簡素化に関する改正であります。
株式会社の計算の内容に関する規定は、株主に配当できる利益を計算するためにも、また、株式会社の資産状態、常業成績等の経理内容を明らかにするためにも重要な規定でありますが、現行商法は、これについて簡単な規定を設けているだけであります。しかも、資産の評価につきましては、原則として、時価以下主義の立場をとっているために、現在の企業会計の理論に適応しないものが少なくないのみならず、会計実務の上でも種々の不都合を生じていますので、株式会社の計算の内容に関する規定を整備する必要があるのであります。
この法律案は、このような必要に対処するため、株式会社の計算規定を改正し、あわせて実務上の要望に応じて、株式会社の事務の手続等に関する規定を改正しようとするものであります。
次に、この法律案の要点を申し上げますと、第一に、資産の評価について、現行商法は、時価以下主義によることにしていますが、この法律案においては、原則として、原価主義によることにし、流動資産、固定資産、債権、社債、株式等について、それぞれ、その資産に相応する評価の規定を設けることにいたしております。
第二に、繰り延べ資産について、現行商法は、設立費用、新株発行費用等のごく限られたものを資産として認めているにすぎませんが、この法律案においては、繰り延べ資産の範囲を拡張し、開業のための費用や、試験研究、新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓等のための特別の費用をも資産として認めることにいたしました。しかし、これらの資産は、不確実な資産でありますので、これらの資産を計上したときは、配当の制限を受ける場合があることにいたしております。
第三に、現行商法では認められておりませんが、特定の支出及び損失に備えるための引当金の計上を新たに認めることにいたしております。
第四に、株式会社の支店の所在地を定款の記載事項としないこと、その他株式会社の事務並びに登記手続の簡素化をはかるために所要の改正を加えることにいたしております。
以上が、この法律案の主要な内容でありますが、この法律案におきましては、なおそのほかに、附則において、所要の経過措置を定めるとともに、商法の一部改正に伴い、有限会社法、会社更生法その他の関係法律に所要の整理を加えることといたしております。
以上がこの法律案の概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに可決されますよう希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/62
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063・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。
本案に対する補足説明等は、次回に譲ることにし、本案については、本日はこの程度にとどめます。
午後二時三十分まで休憩いたします。
午後零時五十分休憩〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00919620306/63
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