1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月二十七日(火曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
三月二十三日委員村山道雄君辞任につ
き、その補欠として秋山俊一郎君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 松野 孝一君
理事
青田源太郎君
井川 伊平君
亀田 得治君
委員
加藤 武徳君
野上 進君
林田 正治君
赤松 常子君
辻 武寿君
政府委員
法務省民事局長 平賀 健太君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
建設省住宅局建
築指導課長 前岡 幹夫君
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本日の会議に付した案件
○建物の区分所有等に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/0
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001・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について御報告申し上げます。
三月二十三日付村山道雄君辞任、秋山俊一部君選任、以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/1
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002・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 本日は、建物の区分所有等に関する法律案を議題といたします。
本案については、去る三月二十七日に提案理由の説明並びに逐条説明を聴取いたしておりますので、本日は質疑に入ります。ただいま出席の政府側は平賀民事局長であります。御質疑のおありの方は、順次御発言下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/2
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003・井川伊平
○井川伊平君 建物の構造がだんだんと大きくなって参りまして、一棟の建物を一人で所有しておるというような時代がだんだんと過ぎていこうとするときにあたって、一つの建物について独立した用途を持っておる部分のはっきりしておりますものについては、その部分々々を所有することができるという事柄につきましては、すでに現行民法の二百八条にも規定あるところであり、さらに、その管理等につきまして、あるいはその他のいろいろの関係におきまして不十分な点があるから、これを改正しようとされることは、納得のいくところであります。
しかし、この第一条に書いてありますようなきめ方よりももっと進んで、区分所有を目的とする建物については、大よそこういうような構造を持たねばならぬといったふうに、建物の建築以前においてのいろいろの区分所有を許そうとする建物であるとすれば、設計からある一定の指導をする必要があるのではないか。統一した建物の形にする必要があるのではないか。こういうような観念も出てくるわけでありますが、たとえば、今、東京の市内を歩きましても、実に醜い建物もあって、こんなものをこういう所に置いておくのは不適当でないか、あるいは新築される建物でも、せっかく建てるなら、こういう建物は将来の東京の、あるいはその他の都市の体裁上おもしろくないではないかといったふうな観念をするものが多々あるゆえに、区分所有をしていくような大きな建物を建てるとすれば、一定の構造上の模範的な設計というものが必要ではないか。そういう観念において、この法律に何か不備があるのではないかというような感じがいたしますがそれらにつきまして詳細なる御説明を、ちょうだいいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/3
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004・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 仰せのような事情も考えられないことはないのでございます。たとえば共同で建築をいたしまして、それぞれ各部分をその共同者が所有しようという計画のもとに建物を建ててみた。ところが、どうも区分所有の客体にならぬ。区分所有には適当ではないというような建物ができてしまった。こういうおそれが、これはないことはないと思うのでございます。非常にごもっともと思いますが、その点は、むしろ建築基準法なんかにおきまして、そういう住宅その他店舖、事務所なんかの建築の規制ということで規制をすべきものではなかろうかと思うのでございます。それから、なお、この法律におきましても、かなり抽象的ではありますが、第一条におきまして、区分所有権が成立するためには、構造上の独立性といいますか、物理上限られたもので区切りがなくてはいけないと同時に、効用の上においても、あるいは経済的に見ましても、それが独立の使用に適するものでなければいけない。物理的な独立性、経済的あるいは効用の面における独立性というものを要求いたしておるわけで、これである程度具体的になっておるのではないかというふうに私どもは考える次第でございます。それから、区分所有の建物というのは、今後できるというよりも、先ほどもお話がございましたように民法の二百八条がすでにございますので、現在でもそれはあるわけで、それから、まだ現在区分所有権は成立してなくても、部屋を分譲していくことによって区分所有になる、既存の建物で今後区分所有が成立する建物もあるわけでございまして、やはり現存するもの、それから今後新しく建てられるもの、そういうものを通じまして、建物の区分所有関係はいかなる要件のもとに成立するかということは、これはやはり規定しておく必要があるのではないかということで、第一条にそういう規定を置いた次第でございます。
それからなお、従来の民法第二百八条における解釈も、やはり第一条と同じ趣旨の解釈がされておったわけでございまして、それは、お手元の裁判例の資料にもございますが、なお、逐条説明書の一番最後に、大審院の判例を三つほど引用いたしておきましたが、ことに、一番最後の二十七ぺ−ジのところに昭和二十年の大審院の判例がございますが、「建物ノ一部カ区分有ノ客体タリ得ルカ為ニハ或程度ノ独立性ヲ有シ其ノ他取引上一側ノ権利ノ客体トシテ認メラレルニ適スル性状ヲ具備シ又之ヲ認ムルコトカ取引ノ実情二適合スルモノ、」例示といたしまして、「所謂棟割長尾ノ各戸カ障壁其ノ他ニヨリテ他ノ部分ト載然区別セラレ而モ独立シテ所有権ノ内容タル物的支配二適スルカ如キ」という例があがっております。これを明文化したのが第一条でございまして、この程度の規定を置いておけば、一さい今後新しい建物を建てまして、それをそこに区分所有関係を成立させたいという場合にもこれが基準になりまして、うまく行くのではないかというふうに私どもとしては考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/4
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005・井川伊平
○井川伊平君 区分所有する建物については、その建物を一個の建物として見る場合と、数個の建物の集合体であるという、こういう見方もできますね。それで、一個の建物として見れば、採光の点であるとか、換気の点であるとか、いろいろ建築上注意すべき点があろうと思いますが、そういうのは別の法律できめられるだろうと思うけれども、これは数個の建物の集合体だというような見方をしていきます場合には、建物を建てるとき、現在の民法におきましても、境界から一定の距離を離れなければ建てられぬということがありますね。そういうことのために、何階作りで、そしてその一つの階に部屋が幾つある場合には廊下の幅をこれだけにしておかなければならぬ、それから、エレベーターの大きさはこういうものであるといったような、一つ一つが独立しておる建物で、普通の今までの建物でいえば、敷地の関係で隣りの家との関係があるように、一つの建物の中ではあるけれども、隣の部屋との関係で別の敷地の上にあるような観念が出てくるから、そういう考えからすれば、廊下の幅であるとか、エレベーターの大きさであるとかいうものが建物の全部の坪数であるとか、部屋数であるとか、それからそこに収容される人間の数であるとかいうものから割り出しまして、こういうふうにしなければならぬということをきめる場合は、いろいろの大事の起きた場合にどぎまぎしないで済むのではないかと考えるから、区分所有をする建物については左記のことが云々ということをきめたらどうか。なるほど、これから作るばかりではない、今までもたくさんあるじゃないかと、私は、そのとおりであるが、今までの分は今までの分として、今後の分については、そういうような注意をしてやるということが、建物を建てる人も気楽に設計ができるし、いろいろの災難にあったときも不安がなくて済むと、こういうふうに考えられるが、そういう点を全然注意をしないで、建物の一条にきめてある条件があれば登記だけは別々にできるのだとして、別々に一部分所有ができるのだといった、そうした権利関係だけでは何だか物足らないような、言いかえれば、新しい時代に少し手の届かないような感じがするのでありますが、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/5
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006・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) お話の点はよくわかります。それは、単に独立の建物所有権として所有権の客体たり得るためにはどうあるべきかということのほかに、なお、その建物の中に住んでおる人、あるいは事務所その他店舗なんかとして利用する人、そういう人たちの安全性、それからまた、隣接しておる建物との関係とか、そういう安全性というような考慮からも、そういうものがあるいは必要だと考えられるのでございます。これは建築基準法にもある程度の規定はあるようでございますけれども、あるいは、なお不備がないとはいえません。たとえば、住居用としてはスペースが最小限度どのくらいなければならないとか、あるいは、仰せのように、廊下なんかをあまり狭くいたしますと、万が一災害が起こったという場合には、それではどうにもならぬ。それでは非常に危険を感じる。それから、階段の幅はどのくらいなければならぬとか、エレベーターの強度はどのくらいなければならぬとか、そういう基準を設けること、これは安全性の見地から十分考えられることでありまして、それはやはり建築基準法、その系統の法律でそういうことを規定する必要があろうかと思うのでございます。ただこの法律におきましては、むしろそういう安全性というようなことも全然考慮しないわけではないのでありますが、それよりも、むしろやはり権利の客体として、権利関係を規制しようというのがその法律のねらっておるところでございまして、そのいかなる場合に区分所有権というものが成立するか、権利の客体たり得るか、それから、その権利者相互間の法律関係はどうなるかということを主たるねらいとしてこの法律ができておるわけであります。ただいま仰せの件は、単に権利関係にとどまらず、やはり安全性の見地から、なおこれは検討を要するかと思いますが、この点は、さらに今後建設省ともよく協議をいたしまして、現行の建築基準法に不備があれば、それを改めていくということで検討をいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/6
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007・井川伊平
○井川伊平君 それから、建物の区分所有の点を考えると、法律でどうせいこうせいというきめ方も、基本的な点は当然必要であるけれども、それよりももっと大切なことは、この法案できめてある、二十五条にきめてありますが、中に入って区分を所有する人たちの自由な意思によりまして規約を作って、その規約の実行によって運営をしていくという点に重点を置くということは、これは非常に必要なことであろうと存じますが、その必要の度合いから申しますと、現在の法案では、なおまだ不十分ではないかと考えられる点があるようでございます。この二十五条には、「規約は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。」と規定いたしてありますが、これは、私はきわめて適切であると思うが、特定承継人だけではなしに、賃借人等についても、これはある程度この規約を守らせるという必要があるのではないかと存じますが、特定承継人に限って、賃借人等を度外視しておる点、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/7
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008・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 規約は、区分所有者相互間でこれはきめるわけで、いわば区分所有者間の契約といっていいと思うのでございます。この規約の制定につきましては、二十四条の一項におきまして、「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者全員の書面による合意によってする。」区分所有者全員の合意なので、賃借人などはこの規約の制定に参与しない、全然発言権がないのでございます。そういう関係で賃借人などを除いたのでございます。しかしながら、他面規約というのは、今申し上げましたように、区分所有者間の契約なのであって、当然これは賃借人などを直接に拘束するものではないということにもなるわけでございます。それだけに、ただいまのような御質問も出るわけでございますけれども、賃借人というのは、本来区分所有者の持っておりますところの使用権を行使するわけで、区分所有者も持たない権利を賃借人が持つということは、これはあり得ないわけでございます。本来的にあり得ない。ですから、やはり間接的にはこの規約によって規制されると言っていいのではないかと思うのでございます。もし賃借人がこの規約の定めに従わないというような場合には、どういうことになるかと申しますと、これは、この賃貸借契約の内容としまして、当然規約を順守すべきことということがこれは入るのか普通であります。規約順守ということが賃貸借契約の内容になっておると思いますので、賃貸人である区分所有者は、その賃借人に対して規約を守るようにということを請求する権利がある。もしそれに違反した場合には、その違反行為の停止あるいは損害賠償を請求するということになりましよう。それからまた、他の区分所有者は、その賃貸人たる区分所有者の持っておる権利を代位行使する、民法四百二十三条の債権者代位権の規定によりまして、それを代位して行使する、同じように、やはり違反行為の差しとめであるとか、あるいは損害賠償の請求ができる。それからなお、そういうふうに代位行使ができるほかに、他の区分所有者は、その賃貸人である区分所有者に対して、賃借人をしてその規約を守らしめよということの請求ができることにもなるわけで、これだけのことがあれば、賃借人に当然効力が及ぶとしなくても十分ではなかろうかと考えまして、「特定承継人に対しても、その効力を生ずる。」ということで二十五条の規定を置いた次第でございます。
それからなお、この法律案の第五条におきまして、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と、これも区分所有者の義務というふうに規定してございますけれども、これは、賃借人についても、やはりこの規定の趣旨は適用されるわけでございまして、他の区分所有者は、この五条一項の規定に基づきまして、区分所有権に基づくいわば物権的請求権と申しますか、それの行使としまして、違反行為の差しとめあるいは損害賠償の請求ができる。この五条の規定の趣旨の適用があるという点から考えましても、三十五条は特定承継人だけに限ってよかろうかというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/8
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009・井川伊平
○井川伊平君 この規約は、契約であることはよくわかるわけであります。契約であるから、契約のうちでは物権契約ではなく、債権契約である。だから、特定承継人にも及ばない、これは原則でございましょう。例外として、この債権契約が物権的拘束を特定承継人の上に及ぼすということを規定するのだから、そこまで規定するんなら、賃借人にも及ぶと加えたらいいんではないかという趣旨でお伺いしておるのであります。規約におきまして、部分所有者が他の部分所有者とともに契約をしてありまして、それを賃借人に課してある場合に、あなたのお説によると、賃借人と部分所有者との賃借契約のうちに規約を順守するということを書くであろうという、きめるであろうというお話でありますが、きめる場合もあり、きめない場合もあるだろうと存じます。だから、そういう場合には、当事者がきめてもきめなくても、きめたことにするということにするならば、条文をちょっと直せばできることでございましょう。債権契約であるけれども、そこに物権的な効力を及ぼす、賃借人にも規約の効力が及ぶのだということにすれば、それでいいわけですね。ところが、そうしないということになると、今あなたのお説にもあったとおりに、賃借人が本来の規約に反したようなことをする、管理の立場にある者が迷惑するというときに、直接お前はこうせいということを言われないで、部分所有者に向かって、お前の賃借人はこういうことで、こういう点がいけないから、契約に反するから、お前のほうから督励して、こういうことはさす、こういうことはさすな、こういうようなことを要求することになるでしょう。したがって、その建物全部の管理者の権限というものは、賃借人は間接的になって、直接にこうせい、ああせいということが言われないことになりますね。そういう場合においては、その部分所有者が非常な遠方の所に行っているとか、あるいは、何かの関係で、はっきりと賃借人にすぐに意思表示することのできないような場合もあり得ると思う。そういう不便がありますから、管理人は、規約の範囲においては、賃借人に対しても、直接にこういうことをせよ、こういうことをするな、規約にこうなっておるぞということが言えるようにしたほうが簡単ではないか。こういう趣旨で、ややこしく回り回ってできるのじゃないかというようなことじゃなく、直接的にしたらどうか。それも、債権契約を特定承継人に及ぼすというような、物権的拘束を認めるとするくらいならば、それも簡単に、賃借人についても、賃借人たる者は規約の内容をその範囲で、彼の権限の範囲で守らねばならぬということを加えましたならば非常に簡単ではないか、こういうような考え方から質問しておるのでありますが、そんな必要は全然ないのだというならば、その御説明を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/9
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010・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) この賃借人のほかに、なお、質権者であるとか、あるいはその区分所有者の使用人なんということも考えられるわけでございます。要するに、規約の規定事項が、二十三条に規定してございますように、管理、使用に関する事項、それからそのほか、なお前のほうの規定で、共用部分の所有関係、持ち分がどうなるかというようなこともこれは規定するわけで、この共用部分がどういうふうに処理されるか、その持ち分がどうなるかということは、これはもう賃借人には直接関係のないことなんで、もっぱらこれは所有者に関係のあること、大体今までできております規約なんかを見ましても、所有関係に関する規定が非常に多いのでございまして、これはもう直接賃借人には関係がない。賃借人に関係がありますのは、この共用部分などの使用関係についての規約、たとえば、もっぱら住宅にのみ使って、ここで営業してはならないというような規約の例がございますが、そういう使用関係に関する部分が若干賃借人に利害関係があるわけで、なるほど、そういう部分だけ取り上げますと、これは賃借人にも直接拘束があるようにしたほうがいいようにも考えられるのでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、事柄はそういう使用関係となりますと、ひとり賃借人に限らず、質権者であるとか——質権者なんというのは、実際問題として例はあまりないかとも思いますけれども、区分所有者の使用人なんかもやはり同じことなのでございます。これは、債権法でよく履行補助者というようなことを申しますが、いわば履行補助者なのでございまして、区分所有者にかわってそこを使用しているものと考えるべきじゃないか。したがいまして、他の区分所有者としましては、自分の部屋を賃貸しておりますところの賃貸人たる区分所有者に対して、賃借人に規約を守らせることを請求することができる。賃貸人たる区分所有者としては、他の区分所有者に対しては、自己の賃借人に規約を守らせる義務がある。したがいまして、もし賃借人が規約違反をやりますと、他の区分所有者は、賃貸人たるところの区分所有者の責任を追及する、損害賠償の請求ができるというようなことで、賃貸人たる区分所有者は、他の区分所有者に対してそういう責任を負っておる。そういう関係からいきましても、区分所有者としては、当然賃貸借契約の内容といたしまして、規約を順守するということを条件の中に加えざるを得ない。加えておきませんと、非常に後日不利益をこうむるおそれがございますので、当然これは賃貸借契約の内容にすべきものでございます。そうなっておりますと、賃貸人はその賃借人に対して規約を守る請求権もありますし、先ほど申し上げましたように、他の区分所有者もまた、賃貸人の有する権利を代行することができるということになるのでありますし、それからなお、先ほど申し上げましたように、第五条の趣旨の適用になりますので、それで十分ではなかろうかというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/10
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011・井川伊平
○井川伊平君 今のお話の、部分所有者が、その賃借人との契約に、規約を守るということを賃貸借契約の条件の一つにしておかなければ非常に不利になる、だからするのだというお話でありましたが、それは理屈でありまして、部分所有者がそれをしなかった。たとえば、その部分所有の建物は商店に使ってはならない、住宅のみに使うのだという規約があったといたしましても、だから今度、賃借人に対しまして、こういう規約があり、その規約を守るということを言うておけばよかったかもしれぬが、言わない場合もありますね、人間ですから。そういう場合には、言うても言わなくても、それは当然に、規約にきめてあることは、規約を見る機会が利害関係人として賃借人はあったのだから、規約を見て、そして賃貸借契約を締結するようなふうになるのが普通であり、見ておるはずでありますから、当然に、部分所有者がそういう意思表示をしておかなくても、規約の拘束がそこまで及ぶので、住宅に使うところを商店に使ってはならないという義務を賃借人は負担しておるのだとしたら、直接の取り締まりができるのだが、そのほうが便利じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/11
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012・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 万一賃貸借契約の内容に規約順守ということが入らなかったらどうなるか。あり得る、それは考えられないことはないと思うのでございますが、賃貸人の区分所有者としては、あくまでも規約順守の義務があるわけでございますから、もし賃借人が規約を守らないということになりますと、あたかもこれは賃貸人たる区分所有者自身が規約を守らぬということになるわけで、規約違反を犯したことになるわけで、他の区分所有者から請求を受ける。規約が順守されるまでは絶えず責任を問われる、損害賠償の請求などを受けることになりまして、賃貸人としては、非常にこれは重大な責任を負うことになる関係で、当然これを賃貸借の内容にするだろうということが、私は期待できると思うのでございます。しかしながら、所有権を譲渡しました場合、これは、その譲渡人であるかっての区分所有者に対しては、そういう責任を他の区分所有者が追及するというわけにいきませんので、この場合はどうしても手当が要る。賃貸人の場合には十分手段があるのじゃないかというふうに考えた次第でございます。
それからなお、一番最初に申し上げましたように、賃借人というものは、規約の制定に参与できないわけでございます。規約で定めたことは当然賃借人を拘束するということになりましては、これはまた不都合な場合も出てくるのじゃないか。勝手に所有者間できめて、賃借人に、さあ従えと言うのも、これは不都合な場合も……これはまあ、普通の場合はそうないかもしれませんが、例外的な場合には、そういうケースも起こり得ないとも限りませんので、当然効力が及ぶというところまでは持っていかなかった次第でございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/12
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013・井川伊平
○井川伊平君 そうすると、結局あなたの今の御説明では、規約は部分所有者とその他の、全部のものとの間にきまっておるのだから、部分所有者が賃貸をする場合、その規約を守るということを書いてないとしても、相対的には規約の対象になっておる。多数のほうの人は、間接的にその部分所有者を通じて賃借人のほうに規約の内容を守らせるということができると思うから、特に賃借人についてその規約の効力が直接に及ぶという規定を設けないでもまあ用は足りると思ったと、こういう御説明ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/13
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014・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/14
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015・井川伊平
○井川伊平君 その点は、それで了承いたしておきます。私は、この規約の内容ということが非常に重大なことであり、また、第三者で利害関係人となる人にとりましても重大なことであるから、この規約というものを自由に何人でもいつでも知ることができるという方法を講ずる必要があるのではないかと存じますが、この案によりますと、その点は不完全ではないか。なるほど、利害関係人は、規約の書類を持っている者に向かいましては、規約を見せてくれと言う権利がある。利害関係がなければできないというのでありますが、その利害関係ということはどういうことを意味するのであるかということが、内容を決定することがはなはだ不明確である。それから、内容を決定するほかに、事実お前は利害関係があるかないかという認定をして、事実利害関係があるのに、私のほうは、利害関係は、そんなものはないだろうと思うといったことで、見せないような場合があるかもしれない。そういう不便が私はあるのじゃないかと思いますが、そういう不便から考えてみますと、こういうような特定承継人に対してまでも効力を生ずるような規約は、何らかの方法で、何どきでも、利害関係の有無にかかわらず、調べたいと思えば調べることができるという方法にしておくことが便利ではないか。知りたいと思うものは何か利害関係があるからだと言えましょうが、そういう関係からすれば、知りたいと思うものには知らせる方法をとるべきである。利害関係があるものに限るという特定をすると、何人に対してもという観念とは違ってくると思うのです。そうすると、特定の利害関係があるものにはということになると思う。そうしますと、その特定の利害関係とは何ぞやということでいろいろややこしいことが生ずると思うから、尋ねてくるものは利害関係があるから尋ねてくるのだとするならば、何人でも、何どきでもということにすべきが至当じゃないかと思いますが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/15
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016・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) この利害関係というのは、まあ具体的なケースによって決定しなければならぬわけでございますが、普通考えられますのは、その区分所有権の譲渡を受けようと思う者、受けようとしようとする者、あるいは、先ほどお話がございましたような、これを賃借しようというような者、それからまた、この区分所有権の上に抵当権を設定しようという者、また担保権を取得しようとする者、それからまた、区分所有者に対する債権者がこれを差し押えたいというような場合もございましょう。その債権者、そういうものが考えられるわけでございます。こまかく考えますと、まだいろいろ例があるかもしれぬと思いますが、やはりそういう何らかの利害係関があるものに限るのが事項の筋ではなかろうか。だれでもということになりますと、こういう場合はそうないかもしれませんが、単なる好奇心で見たいというような人にも見せなければならぬということになってくるわけで、だれでも無制限にということは行き過ぎではなかろうかと考えまして、必ずしもこの言葉自体で具体的に明確になりませんが、他の法律に例がございますので、この利害関係人ということでいっておけば、これで十分ではなかろうかと考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/16
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017・井川伊平
○井川伊平君 今のお話でいくと、土地や何かのブローカーやなんかが、だれかがあれは売りそうだというようなことを聞いて、そのブローカーが部分所有者の関係なしに調べる場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/17
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018・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ブローカーの場合でも、たとえば、買い受け希望者から依頼を受けまして、あれは売りに出ておるようだから交渉してくれというようなことで、やはり調査することがあり得るだろうと思います。売買の仲介、あるいは代理人としてブローカーが利害関係人という場合もあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/18
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019・井川伊平
○井川伊平君 その依頼があって調べる場合は、それはあなたのおっしゃったとおりであるけれども、彼らは耳が長い。だから、あいつは売ると言ってない。また買い手を探してくれとは言うていない。しかし、どうもあいつはいい条件を持っていけば売るかもしれぬという、そういうことを自分だけの考えでわかって調べる場合、こういう場合もやはり利害関係がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/19
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020・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) そういう場合は、利害関係ありとは言えないだろうと思うのでございます。これは、最後の過料の罰則においても出ておりますが、規約を保管者に閲覧をさせる義務を探しているのでございますから、「何人に対しても」というのは、やはり行き過ぎだろうと思うのでございます。こういうときに、見せることは一向差しつかえない。頼んで見せてもらうということはだれでもできる。それで十分じゃないか。見せる義務を課するということで、その義務に違反した場合には過料の制裁まで課するということになりますと、だれでもというのは、これはやはり行き過ぎで、ほんとうに利害関係あるものというふうに制限すべきではないかというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/20
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021・井川伊平
○井川伊平君 不動産の取引が簡単にできるようになりますと、流動資本の性質を帯びてきまして、非常に経済界は円満にいきますね。したがって、あすこの土地を売るそうだという、あるいは売るかもしれぬというだけで、その土地の回りをぐるぐると自動車で回って見る、こういうことも実際ありますね。そういうような意味で、ある部分を売るかもしれぬと思うた場合に、調べたいという気持が一般の人にあれば調べさしていいのじゃないかと私は思うのだが、そういう者には見せないのだ、土地の回りを自動車でぐるぐる回って見ることはできるのだけれども、家の区分所有の関係については、そこまではやらせないと言ってきめつける必要もないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/21
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022・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点は見解の相違かもしれませんが、法律案では、見せる義務を課している。見せなかった場合には過料の制裁をとる。そういう残務を課しております関係で、だれにでも、何も利害関係がないのに見せなくてはならぬというところまでは、これは行き過ぎではなかろうかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/22
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023・井川伊平
○井川伊平君 私がこれを聞くのは、こういうことを実は言いたいから、あなたに聞いているわけです。こういうような、区分所有者の特定承継人に対して物権的な効力まで有するというのは、本質は債権契約ですけれども、物権的効力を持つものだから、そういう書類は、東京でいえば、区役所か登記役場のどっかでそういう書類は全部備えて、登記の閲覧ができると同じように閲覧制を認めたらどうかということを私は言おうとして、こんなことを聞いているんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/23
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024・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点、私どもも実は考えたのでございます。これは、まず登記することにしてはどうか。それから登記は、これは規約の内容が非常に膨大になる例がございまして、これを一々登記したらたいへんだろう。登記所もたいへんだし、現在の登記所の能力としては、とてもそういうことはできない。しからば、この規約を登記所に提出するだけでもいいではないかということも実は考えたのでございます。まず第一に考えられますことは、現在の登記所が、非常に仕事の割に人が少ないということで、非常に困難な事態に直面しております関係で、どうも規約を提出させて、それを登記所で整理して、保管さして、閲覧に供するということでも、ちょっと現在では困難ではないか。その点仰せのとおりで、登記所に保管するということになりますと、非常に便利なのでございますが、現在の登記所の実情からしましても、ちょっとこれは非常に困難である。区分所有関係の登記をすること、これはもう当然しなくちゃならぬことでございますが、それがせい一ぱいで、規約までも登記所でということは、現状では非常に困難である。それからまた、利害関係人にしましても、やはり現場に行って、その現場で実物を見ると同時に、規約もそこで見れるということのほうがむしろ便利ではないかという点も考えまして、登記所で保管するということは断念いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/24
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025・井川伊平
○井川伊平君 縁組をします場合に、戸籍謄本は、だれでも下付の申請ができるようですね。それから、土地でも家でも、登記簿の謄本をだれでも下付の申請ができるようですね。これは何人でもできるようですね。利害関係がなくてもできるようですね。私は、その意味におきまして、こういう規約も、利害関係があるとかないとかいう事実の立証を待たずして、何人もできるように、戸籍の謄本の下付及び閲覧、それから不動産の登記簿の閲覧、登記簿の謄本の下付、こういうことができると同じような取り扱いをしたほうがよろしいという観念で言っているわけです。あなたの今のお話では、そうしたいと思ったが、登記役場の人が、法務局ですか、登記する役場ですね。あの役場で人が足らぬからできないと思ったというのは、人をふやしたらできるわけですね。いいことならば、人をふやせばいいんですね。あなたは、いいと思わなかったから、そうやらなかったのとは違いますか。人をふやせばいい、人が足らぬなら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/25
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026・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) なるほど、登記につきましては登記所、いわゆる法務局、それから戸籍につきましては市町村役場に参りますと、何人も登記簿あるいは戸籍簿の閲覧ができますし、謄本、抄本の請求ができるわけでございます。それが理想かとも思うのでございますが、登記所が非常に窮状にございまして、増員もなかなか簡単に認めてもらえない。現在の平常の業務をやるのに精一ばいという状況なのでございます。ただ、区分所有建物につきましても、これは、附則におきまして、不動産登記法の一部改正をやりまして、ある程度これは詳細な登記をすることになっております。でありますから、その区分所有建物がその一棟の建物の中の大体どこにあるかということ、その位置、それから構造がどうなっているか、床面積がどうなっているかというようなことは、それからまた、それが住宅なのか、あるいは店舗なのか、あるいは事務室なのか、所なのか、そういう種類も、これは登記簿でわかることになっております。でありますから、こまかい使用規則なんかは、これは登記はされておりませんけれども、その区分所有建物がいかなる建物であるかということは、簿自体でこれは判明いたすわけでございます。それで見当をつけて、そして現場に臨んで規約を見せてもらったらいいんじゃなかろうかというようなのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/26
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027・井川伊平
○井川伊平君 その程度で了承いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/27
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028・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいま前岡建設省住宅局建築指導課長が出席しておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/28
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029・井川伊平
○井川伊平君 前岡さんにちょっとお伺いいたしますが、すでに御承知のように、今度、二戸の建物をいろいろに部分を区切りまして、その部分々々が別の人によって所有されることができる。もちろんこれは、旧民法の二百八条にもあったことでございますね。でありますが、その間に、部分所有者間にいろいろのお約束をする必要があるので、規約を設けるということなのでございますが、規約よりも、そういう建物については、建築上特に留意すべき点がないか。たとえば、普通の大きな建物を旅館なりあるいはお店なりに使う、一人の人が使うという場合とは別に、所有者が違うのであるから、それで、部屋と部屋との間の幅であるとか、あるいはエレベーターの大きさであるとかというようなものを、地面に独立した建物を建てるときに一定の距離を保たさねばならないといったような思想と同じ思想に基づいて、建物の特にこの際部分所肩を認め、登記をし、そうしていろいろのそれについて新しいきめ力をしていくという際に、建物の構造巨体に何か留意すべきことはあるかないか、こういうことを知りたいのでありますが、その点に触れましてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/29
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030・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) 現在、建築基準法では、建物の扱いといたしまして、たとえばアパートのような場合でございますと、アパート全体を含めまして一つのものと、こういう工合に考えておるわけでございます。したがいまして、廊下の幅でありますとか、その他階段の構造等につきましては、それぞれの規定が働くようになっております。そのアパートとしての規定が働くようになっておりますので、その点差しつかえないのではないか、こう考えております。なお、規定してございません事項につきましては建築基準法で、建築協定という規定がございます。その中の住民の総意によりまして、ここはこういう工合に確保しようじゃないかというようなことを、敷地、位置、構造、形態、用途、意匠、建築設備に関するこういうような事項を建築協定ができるようになっております。大体以上のようなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/30
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031・井川伊平
○井川伊平君 今の建物全部をアパートにして使うとか、ホテルにして使うとか、それから、物の販売所に使うとかというように、一人の人がそういう経営をする場合は、十分御研究になっていると私存じ上げますが、今度はそうではなしに、その一部分々々々が所有者が全然違うのですから、一人の人が全部の建物を使って事業を経営する場合とは違う。したがって、隣の部屋とこの人の部屋との間には、挙に住んでいる人がアパートに住んでいるというのではなくて、おれの家に住んでいるのだという見識をもっていますね。そういう考えで、ちょうど地面に、一軒の家がここに建ち、また一軒の家が建っていて、まん中に小さい道路が通っているというような場合と同じような気持ちに住んでいる人がなるだろうと思うのでありますが、そういう意味で、こういう建物については、特に何らかこういうものについて心を用いる必要があるかどうか、全然用いなくていいかどうか、そこを確かめてみたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/31
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032・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) ただいまのお話によりますと、たとえば階段でございますか、これは、中に入っている人が全部共用される、共用持ち分というようなことにあるいはなるかもしれませんが、そういうものの維持、確保の点だろうと、こう考えるわけでございますが、これは、お互い責任があるという工合にしておいてもらわぬと困る問題じゃないか。なお、それを確保するために、ただいま申し上げました建築協定というようなものを結んで、自主的に確保される方法も現在の基準法であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/32
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033・井川伊平
○井川伊平君 私は、建築協定ということは全然わからぬのですが、建築協定とはどういうことか、ちょっと説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/33
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034・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) これは、建築基準法の六十九条から七十七条まで、建築協定に関する規定がございまして、ちょっと読んでみますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/34
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035・井川伊平
○井川伊平君 そういう点ではなくて、建築協定をする当時者は、どういう者が当事者になるか、どういうことをきめられるか、そういうことを聞けばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/35
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036・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) その敷地の中の土地の所有者、それから建物の所有を目的とする地上権者あるいは借地権者、こういう方の総意によりまして、その建物について協定できます。内容は。敷地、位置、構造、形態、意匠、建築設備に関する基準を協定することができるようになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/36
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037・井川伊平
○井川伊平君 そうすると、建物に対する協定というのは、独立した甲の建物と乙の建物と丙の建物と、独立した建物が幾つもあるときに、その間の協定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/37
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038・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) それもできますし、それから、一つの建物が区分所有されている場合も、同様に適用されることになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/38
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039・井川伊平
○井川伊平君 それは、建築前の話ですか。建築後の話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/39
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040・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) これは一般的な規定でございますから、ある区域がございまして、その関係者が集まって、これからは、この区域では、こういう建物を建てようじゃないかという協定をすれば、その残りの人がその協定にしばられる。そういうふうな場合には、前ですか、中途ですか、そういう場合もありますし、これから、建ててしまってから、こうしようじゃないかという協定もできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/40
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041・井川伊平
○井川伊平君 それでわかりましたが、独立した建物が幾つもある。その建物の所有者たちが協定をする場合には、建築前に、この町内の、お前も土地の所有者、おれも土地の所有者だ、こういうものを建てようじゃないかという協定ができて、建物が建っていくからたいへんけっこうです。一つの建物を分ける場合にはそうはいかぬで、初めからもうできてしまっているのですから、だから、できてしまった後に各当事者というものができるのだから、あとからできてくる当事者のために、事前に、建築上注意してやっておく必要があるのじゃないかと、こういうことを伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/41
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042・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) 建物ができ上がってしまいましてからも、お互いに、こういうふうに維持しようじゃないかという協定はできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/42
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043・井川伊平
○井川伊平君 できることは先ほど聞きましたが、それは、でき上がったものについて、不自由ながらこうしていこうじゃないかという考えでございましょう。建てる前ならば、そんな不自由な考え方ではなしに、ゆうゆうといけると、おれはこうするからお前はこうせいということでございましょう。その独立した建物を幾つも建てる場合の協定をするような、それにかわるべき方法として、部分所有の建物については、そういうことにかわるために、あとからできる当事者が満足ができるように、事前に建物の建設について特別の注意を払っておいてやるということが必要ではないかと、こういうことを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/43
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044・前岡幹夫
○説明員(前岡幹夫君) この建築協定につきましては、事前にもちろんできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/44
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045・井川伊平
○井川伊平君 建物を、ビルを建てましてから、部分々々を売るわけでございましょう。それから、中に入った人が協定する場合には、建物ができているのですね。そうすると、こうしておいていてくれれば、ああしておいていてくれればということができてきましょう。先ほどの、最初のように、甲の家、乙の家と建てる場合には、建てる前に、こうしようじゃないかという約束ができればいいんだけれども、できてしまっている場合には、できたものの上に立って、がまんのできるような方法でやっていこうじゃないかということでございましょう。してみれば、大きな建物ができて、これを個々の人に分けて、部分を売るのだといった場合には、部分を買うた人は、もうでき上がった上に立っているのであって、建てるときにこうしておいてくれればよかったと思っても、事おそいのでございましょう。そういう考えが起きないように、あなた方、事前に注意してやることが必要じゃないかと、こう聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/45
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046・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ちょっと私から補足して申し上げておきますが、建築基準法を見てみますと、ただいま建設省から御説明の建築協定のほかに、法的に、やはり建物の建築基準につきまして、こまかい規定が設けられているようでございます。廊下とか階段はどうなくてはならないとか、外壁はどうなくてはならないとか、エレベーターはどうなくてはならぬとか、こういう場合に避雷針を設けなければならないとか、いろいろなこまかい規定それから、最後は政令に譲ってあるようでございますが、これは、ひとり区分所有のみならず、一般のそういう大きな建物に共通する面もございます。ただ、法律としましては、そういう建築基準の規格に合っておりましても、内部に適当な区分がないと、ただ広いところを、何も区切りがないのに、まん中から切って、こっちはだれのもの、こっちはだれのものということは、これはできない。御心配の点はおそらくその点ではないか。建築基準法の基準に合致しているけれども、その構造上の区分がない。構造上の区分がないので、これは区分所有の対象になり得ないなどという場合ができては困るのじゃないかという、これはもっぱら権利関係——安全とか危険の防止とかいうようなことの関係ではなしに、区分所有権の客体にならぬようなものを作ってしまった。そういうことがあっては困るではないかという御趣旨かとも思いますが、その点は、やはりこの法律の第一条で、構造上区分されているということが必要だということをいっておりますので、その点に関しましては、この法律の第一条で十分ではなかろうかというように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/46
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047・井川伊平
○井川伊平君 この程度で私も満足しましよう。前岡さん、お忙しいでしょうから、もうお帰り下すって私はけっこうです。
それから、別のことをお尋ねしますが、区分所有を目的とする建物の登記の関係のことをちょっとお伺い申したいのでありますが、これは、まだ区分所有者の全部きまらぬ場合ですね。全部というより、きまらぬ場合といったほうがかえってはっきりするかもしれませんが、所有者は家を建てた。だけれども、まだ区分所有者はきまっておらぬ。そういう場合に、登記はどういう登記にするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/47
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048・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 今の具体的な例で申し上げますと、民間の会社が、分譲する目的で、一棟の大きなアパートを建てるわけです。それから、各部星を分譲していくことになるわけでございますが、この一棟の建物が建ちました当時は、その民間の会社の単独所有なんです。その場合の登記は、その一棟の建物を一個の建物として登記いたします。それから、この法律案の附則の規定で不動産登記法の規定を改正いたしておりますが、その後に分譲をするということになりますと、今度は、一棟の建物として登記しましたその登記用紙を閉鎖しまして、また新しい登記用紙を作りかえるわけでございます。今度は、各区分所有ごとに登記を作りまして、一つの登記用紙に全部登記してしまう。その各区分所有者を全部一括いたしまして、一つの登記用紙の中に登記していく。そういうふうに登記簿の用紙をまるで新しく作りかえていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/48
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049・井川伊平
○井川伊平君 表題部はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/49
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050・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 各区分所有者ごとに表題部というものを設けるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/50
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051・井川伊平
○井川伊平君 そうしますと、初め建てました一つの建物を、部屋がかりに五百あった、五百人の人に分有されるのだと、五百の所有権の客体になるのだ、こう言ったほうがいいかもしれませんね。そういう場合には、最初の登記はどういうふうにするのですか。やはりその五百の所有権の客体となることがわかるようなふうにこれは登記されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/51
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052・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) それは、一番最初に登記します場合に、一棟の建物としても登記できます。あるいは五百の建物としても登記できる。どちらにもできる。要するに、所有者の意思によりまして、それを一個の建物としてもできるし、五百の建物としてもできる。どちらでもできるという建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/52
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053・井川伊平
○井川伊平君 初めから五百の建物として登記することもでき、あるいは五百をまとめた一つの建物として登記することもできるとおっしゃるんですね。そして最初に一つの建物として登記をした場合に、あとに五百人のうち百人入ってきた、次に百人入ってきたというふうに、だんだん人がふえてきますと、登記の時期がズレますね。そういう場合には、どういうふうに変わっていくのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/53
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054・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) そういう場合には、建物の区分の登記というのをいたすわけでございます。区分所有権の部分だけを、それぞれにつきましてまた表題部と、それから甲区、乙区というのを作りまして、区分していくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/54
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055・井川伊平
○井川伊平君 今、司法代書さん、それから調査士ですか、こういう方々がだいぶ心配して、うろうろしておるようでございますが、うろうろという言葉は適切でないかしらぬが、まあ心配しておるようでありますが、司法代書さんとしましては、登記の手続は、本人にかわって司法代書人がこれは登記の手続をする権利があるように思うがどうかと、あるいは、後の第二次の所有権の移転の場合は別として、第一次の保存の登記をする場合には、調査士のほうにおいて本人にかわって登記手続をする代理権があるんだといったようなことで、だいぶ願いでおるようでございますが、こういう点につきましては、どういうお見通しに立っておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/55
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056・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点は、現在建物を新築しました場合と根本的には違いございませんで、現在と同じように、たとえば、この区分所有する目的で建物を作りました場合には、まず、建物の新築の登記を申請するわけでございます。建物の表示の登記と申しております。これは、一戸建の建物を建てた場合も同じでございまして、表示の登記は、これは、土地価格調査士がやるという建前になっております。ところが、それに保存登記すなわち所有権の登記をしようということになりますと、法律の処前としましては、これは司法書士。で、調査士のほうは、建物の物理的構造と申しますか、建物の表示だけで、権利関係は司法書士のほうで代理してやる、これは、区分所有建物についても、事柄は同じことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/56
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057・井川伊平
○井川伊平君 私、よくのみ込めない点があるのでありますが、現在、建物を新築した場合の手続と同じだと、う聞いてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/57
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058・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/58
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059・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 速記中止。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/59
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060・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 速記をつけて。
他に御発言もなければ、本案については、本日はこの程度にとどめます。
なお、本法律案に関する建設委員会との連合審議会の開会日時は、委員長と建設委員長と協議の結果、来たる三月二十九日午前十時に決定いたしました。
次回の法務委員会は、三月二十九日に、法務、建設連合審査会散会後開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01519620327/60
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