1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十日(火曜日)
午前十時五十九分開会
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委員の異動
四月五日委員赤松常子君辞任につき、
その補欠として松浦清一君を議長にお
いて指名した。
本日委員松浦清一君辞任につき、その
補欠として赤松常子君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 松野 孝一君
理事
青田源太郎君
井川 伊平君
亀田 得治君
大谷 瑩潤君
委員
西田 信一君
野上 進君
高田なほ子君
赤松 常子君
辻 武寿君
国務大臣
法 務 大 臣 植木庚子郎君
政府委員
法務省民事局長 平賀 健太君
法務省刑事局長 竹内 寿平君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案
○商法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(被疑事件の処理状況に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/0
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001・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について御報告申し上げます。
四月四日付西田隆男君辞任、大谷藤之助君選任、
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/1
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002・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 本日は、まず商法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続き質疑を続行いたします。ただいま出席の政府側は、平賀民事局長、上田参事官であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/2
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003・亀田得治
○亀田得治君 商法の一部改正について、相当いろいろ問題点がたくさんあると思います。関係資料等をいろいろ拝見いたしておるわけですが、企業会計原則ですね。こういう言葉が使われ、また、せんだっての参考人からも、企業会計原則というものを重視していかなければならないという意味のことが出ているわけです。大よそはわかるわけなんですが、正確に説明すると、これはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/3
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004・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 企業会計原則と申しますのは、これは、現在大蔵省の所管になっておりますが、戦後御承知の経済安定本部というのがございまして、この経済安定本部の所管のもとに、企業会計制度調査会でございましたか、というのが設けられたのでございます。その企業会計制度調査会におきまして、企業会計のあり方というものはどういうふうであるべきものかということが審議されまして、昭和二十四年、この企業会計制度調査会の報告が経済安定本部にあったのでございます。それが企業会計原則なのでございまして、別に法律的な拘束力があるものでも何でもない、そういう諮問機関が、政府に対しまして、企業会計の合理的なあり方はこういうものであるという意見を表明した、それがいわれております企業会計原則なのであります。その後、企業会計制度調査会は、企業会計審議会と名前を改めまして、現在は、大蔵省の所管のもとで、引き続き検討をいたしておるのでございます。メンバーとしましては、会計学者、商法学者、それから実際界、経済界の人たち、私どももその委員の一人となりまして参加しておりますが、直接これは日本の企業というものを拘束するものではない、そういう性格のものであるように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/4
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005・亀田得治
○亀田得治君 二十四年、調査会において一応そういう案を作りまして、安本に答申された。それは法律あるいは規則といったようなものではないかもしれませんが、どういうふうに使用されているのですか。どういうふうに活用されているのですか。あるいは、調査会から現在は審議会になっているとおっしゃいましたね、この審議会等では、二十四年にきめたものを、その後の企業発展の状況に照らして発展的に変更していくとか、そういうことなどもおやりになっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/5
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006・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 私どもの承知いたしておりますところでは、この企業会計原則、一たんこういう報告がなされておりますけれども、これも必ずしも完全なものではないのでございまして、いろいろなやはり意見、批評があるわけであります。なお引き続きこの問題が検討されている。もちろん、その後における経済の発展なんかも考慮に入れられていると思いますけれども、やはりあくまで原則的なものにつきましていろいろまだ意見がある。さらに詳細に検討しまして、これの修正というようなことも考えられているようでございます。
この企業会計原則がどういうふうに利用されているかということでございますが、一般経済界におきましても、
企業会計原則では商法の認めていないような繰延資産、今度の改正に織り込みましたのでございますが、そういう商法では認められていないような繰延資産というものを計上している会社があるようでございます。一般的には、やはり企業会計原則というものが参考にされているということが考えられるのでございますが、法制の面におきましては、御承知の証券取引法に基づきまして、一定規模以上の会社は、大蔵大臣に対しまして、企業の収益状態につきまして報告をすることになっておりまして、それにつきましては、財務諸表規則という、これは、制定の初めは、証券取引委員会の規則ということになっておりまして、現在は大蔵省令で定めることになっているわけでございますが、その財務諸表規則というものが大体この企業会計、原則というものによっているように思われるのでございます。それから、税法なんかの面におきましても、この企業会計原則を、取り入れている面が多少あるというのが現在の実情でございます。この企業界計原則も、今度の改正案で採用いたしました資産の評価につきましては原価をもってするという大原則をやはりとっておりまして、この原価主義ということがこの会計原則のさらに大原則といってもいいのでございますが、それがやはり財務諸表規則においても取り入れられている、そういうことではないかと思うのでございます。したがいまして、商法におきましても、商法の時価以下主義という非常に古めかしい制度は近代化さるべきであるということで、やはり原価主義をとったのでございますが、この企業会計原則と一致する部面が非常に多くなったと、大原則においては大体一致していると言っていいのじゃないかと思うのでございます。そういう意味におきましては、今度の改正案も、やはり企業会計原則の影響を受けている。企業会計原則を模範にしただけではございませんけれども、結果的には大体一致していることになっております関係で、この企業会計原則というものが商法の改正に影響を及ぼしているというふうに言ってもいいのじゃないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/6
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007・亀田得治
○亀田得治君 その企業会計原則が、現在審議会という形になって、昭和二十四年以降も引き続いて検討されているようですが、二十四年当時にきめられたものに対して、どの程度修正なり追加というようなものがなされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/7
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008・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 二十四年に答申されましたこの原則は、どの部分をどう修正するという、修正はまだなされておりませんが、今、それはまだ検討中という段階のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/8
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009・亀田得治
○亀田得治君 二十四年当時きめたことにつきまして、相当実際の企業の状態とは合わないといったような問題点が出ているのだろうと思うのですが、おもなる点はどんなようなことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/9
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010・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま申し上げましたように、この原則自体はまだ修正がないのでございますが、この改正案とたとえば違っておる点でございますが、市場性ある有価証券、株式、社債で一時的所有のものは原則として時価によって評価するという時価主義、こういう例外的に時価主義をこの原則ではとっておるわけでございます。これにつきましては、批判が非常に強いので、これは間違いではないかというような批判があるわけでございます。この改正案では、やはり原価主義をとりまして、そういう点は、この原則と食い違っておるのでございますが、こういう点なんかは、やはりこの企業会計原則自体におきましても、やはり修正というものを検討されるべきではないかというふうに私どもとして考えておるのでございます。少なくとも商法がこういうふうに変わりました以上は、この企業会計原則も、やはり商法に合わせるように改正されるべきものだろうというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/10
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011・亀田得治
○亀田得治君 今、商法の一部改正というのが、ずっと時代の移り変わりによっていろんな現象が違ってきた、それに合わすと、そういうふうに提案理由等の説明も受けておるわけですが、それならば、まず企業会計原則というものをきちんと直すべきものを直して、企業のあり方としての柱でしょうからね、その上に立って関係の諸法規の制定をしていくというこになりませんとと、多少不自然ではないか。商法をまず変えて、そしてそれに企業会計原則を合わすというようなことになって、主客転倒するような感じもするわけですが、それほど昭和二十四年の企業会計原則が実際に合わないというものであれば、今までに改まっていなきやならぬわけですね、調査会から審議会ということになって、ずっと続いているわけですから。それが改まらないということは、いろいろまたそこにも意見があるんじゃないかというふうに想像もされるわけですね。もしそういう実際の問題にタッチしておる諸君の間で意見が不一致のままのものであれば、それをすぐ法律改正に持っていく、多少こう不自然なような感じがするのでお聞きするわけですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/11
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012・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 私どもとしましては、むしろ逆に考えるのでございまして、やはり企業会計の大原則というものは、商法に規定があるべきもので、その商法の規定の範囲内においてさらに細部の点につきましてどうあるべきかというのが、こういう企業会計審議会なんかでなされるべきことじゃないかと、むしろ私ども思っているのでございます。ただ、前回鈴木参考人の御意見もございましたが、商法の改正が非常に暇どりまして、長引いておる、明治時代のものがそのまま今日まで行なわれてきている、非常に時代に合わない、商法こそ先に実は改めるべきだったのだろうと思うのでございます。ところが、何分基本法という関係で、その他の改正のほうが先に行なわれまして、計算関係の部面があとになったというようなことになったのでございますが、本来から言いますと逆ではないかと思うのでございます。法制審議会におきましては、この企業会計審議会のメンバーでありますところの会計学者、それから商法学者はもちろんでございますが、それから、同じくその審議会のメンバーであります実務家——経済界の実務に明るい方、こういう方も法制審議会には加わっていただきまして審議していただいたわけでございますので、まず企業会計原則を改める、それから商法ということではなしに、むしろ商法のほうが先にきまって、商法の原則の中において、この企業会計というものはいかにあるべきかということをこの審議会で検討されるというのが本来の筋ではなかろうかと思うのでございます。これは私の単なる感じでございますが、先ほど私申し上げました、市場性のある有価証券については時価主義をとるというようなことが、企業会計原則の中に出ておるのでございますけれども、これなんか、やはり商法の時価以下主義の影響を受ける、こういうことになったのではないかというふうに考えられるのでございます。でありますから、今後の問題としましては、商法に合わせてこの企業会計原則も再検討されるべきであるというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/12
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013・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、企業会計に関するこの審議会においては異論のないというような部分、結果においてはそういう異論のない部分がここへ、取り上げられておる、こういうふうに解釈してもいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/13
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014・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 結果にいおては異論のないというよりも、これの正しいと思われるような点、これはそのままこちらでも同じことをやりましたし、それからまた、この商法におきましては、企業会計原則の中では述べられていないようなことも、この改正案の中には織り込んでおるわけでございます。たとえば、企業会計原則の繰延資産の種類なんかにつきましては、大体この改正法でも一致いたしておりますけれども、この利益配当の制限をつける、配当制限をつけるというようなことは、企業会計原則では何らいわれていない、こういうのを商法で取り入れているわけでございまして、商法の立場から、必ずしも企業会計原則そのものを踏襲しているのではないのでございます。ですから、単に異論のない部分だけを取り上げたというよりも、むしろ積極的に、やはり商法としての立場から、株式会社の計算規定というものはいかにあるべきかという見地から法制審議会においても審議がなされまして、企業会計原則のとるべきところはとったというのが実情だろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/14
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015・亀田得治
○亀田得治君 民事局長はそういうふうに説明されますが、私たちのこれはしろうと考えの常識かもしれませんが、企業の正しい姿はどうあるべきか、これがやはり土台ですね。それが皆ちゃんときまってくる、各項目別にきまってくるその中で、法的な規制の対象にすべきものがどれとどれか、これは全部企業会計原則できまったから、それを商法上の制度にする必要が必ずしもないと私は思うわけですね。企業会計原則では扱う必要がないかもしれぬが、法律、商法という立場からすれば、また別個に付け加えたければならぬものもあるかもしれないが、私は、それは少ないのじゃないか、逆に、そういうものもあり得ると思いますが。だから、順序としては、企業会計原町の、言うてみれば、真にほんとうの意味で現在の状態にきちっと合うような結論ですね、そういうものが得られておらぬものだから、だから、やむを得ず商法のほうが、大体当然と思われるというような問題、そうして法的な規制対象にすべきだと思われるような点を拾っておる。だから、結果から言いますと、商法が先になって、そうして企業会計原則のほうが、今度はそれに合わすような審議の仕方になるかもしれませんが、本来は、これは逆のものじゃないでしょうかね。そうして企業会計審議会等でいろいろ検討された、その頭をもって実はこの商法の改正に取っ組んでおられるように、せんだっての参考人の意見等も私は拝聴したわけですがね。だから、そういういきさつで、順序が逆になったのを今ひっくり返す必要もないわけですが、筋から言うと、そういうものじゃないでしょうか。だから、企業会計のほうの審議会のほうがテンポがおそ過ぎると思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/15
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016・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ちょっとこう見解の相違ということになるのかもしれませんが、この企業会計制度調査会が昭和二十四年に答申しました企業会計原則というのではなしに、企業会計は理論的にどうあるべきものか。これはまあ会計学の問題だと思いますが、そういう会計学というようなものを商法も無視しない、その基礎の上に乗らなくちゃならぬという意味においては、この企業会計の理論というようなものが商法の基礎になるということは言えると思うのでございます。ただ、そうにいたしましても、やはり法律としては、政策的な立場から、必ずしも企業会計の理論でいわれておることをそのまま法律にするというのではなしに、先ほど、例として繰延資産を計上した場合の配当制限の規定のことを申し上げましたが、そういうような工合に、政策的な立場から規制を加えるということがやはり法印の立場としてあるわけでございまして、企業会計の理論そのままが商法になるというわけのものじゃないと思うのでございます。
それから、この企業会計審議会というのは、あくまでこれは政府の一つの諮問機関なのでございまして、現存の商法のもとにおいて企業会計というものはいかにあるべきかということをやはり検討されるというのが筋ではなかろうかというふうに、私どもとしては考えるわけでございます。それで、法律を無視した、法律と異なる原則をきめるということはすべきではない。ただ、現実の問題としましては、商法が明治時代の古い法律で、時価以下主義という、あまりにも非近代的な、現実に合わない建前をとっております関係で、商法とは違った、原価主義というようなものが原則では採用されておることになっておりますけれども、これは非常に変則の状態なんで、まず商法の改正ということから、制度全般の問題としては考えるべきではなかったろうかというふうに私は考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/16
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017・亀田得治
○亀田得治君 この問題はその程度にいたしておきます。
それから次に、大会社と小会社の関係ですね。こういう点は、立案の過程においても御意見もあったようですが、大体の方向としては、どのようにお考えになっているものか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/17
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018・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 実は、この法制審議会におきましては、この商法の株式会社の規定を改正する大前提の一つといたしまして、大会社というものと小会社というものを区別すべきではないかという議論が実はあったのでございます。非常に群小の、小さい株式会社というものがたくさんあるのであるが、株式会社法というものは、この大会社も、そういう小会社も一猟に規制する、同一の原則で同一の規定で処理すべきものなのかどうか、まずこの大会社と小会社を区別して、別個の規定を設けるべきではないかという議論があったのでございます。この計算規定につきましても、この審議の初めにおきまして、やはり二つに分けて規定をすべきではなかろうかという議論があったのでございますが、まあとにかく一応改正の要綱というものを作って、それができ上がったところで、これは小会社にもはたして適用し得るものなりやいなやということを検討したらどうだろうかということになりまして、この審議の初めにおきましては、真に株式会社らしい株式会社、個人企業とあまり変わらぬようなそういう会社というものは無視いたしまして、一応大会社というものを前提としまして審議を始めまして、一応の要綱の試案ができたのでございます。その試案ができた結果に基づきまして、これは一体小会社なんかにも適用してしかるべきものかどうかということをさらに法制審議会におきましては審議をしていただいたのでございますが、この改正要綱のどれをとりましても、小会社にこれを適用してはいけないというものはないではないか、別に大会社と小会社を区別する必要はないというのが多数の意見になりまして、一律にこれは株式会社に適用するということにしたわけでございます。
ただ、今度の改正案では盛られておりませんが、現行の二百八十三条の規定でございますが、貸借対照表を会社は公告しなくてはならぬという規定があるわけでございます。日刊新聞紙または官報に公告するということになっておりますが、この公告は、そういう小会社についても必要であるかどうか、大会社だけでいいんではないか、一定の規模以上の会社だけに限っていいんではないか。それからまた、この貸借対照表あるいは損益計算書の様式は、これは法務省令で定めることになっておるわけでございますが、その省令の定め方におきまして、非常に影響する範囲の広い大会社と、まあ個人企業とあまり変わらぬような小さい株式会社と、この様式の面においても区別することが必要ではなかろうか、一定の規模以上の株式会社については詳細な様式を規定するけれども、小さい株式会社については様式を多少簡略化する、そういうところで差別をすることが筋ではなかろうか。しかし、商法の規定そのものは、二つを区別するのはどうも筋が通らないという結論になりまして、今回の法律案のようなことになったわけでございます。なお、この公告の点につきましては、前回も参考人の御意見の中でございましたが、貸借対照表及び損益計算書を登記所に提出するという問題がありまして、これはもう一律に大会社も小会社も全部適用するが、公告の面においては大会社のみに限る、小さい株式会社は、日刊新聞、官報なんかに公告しなくてもよろしい、そういうことにしてはどうかという御意見も実はあったわけでございます。大会社と小会社の区別はそういうところに現われてくるのでございまして、商法の規定自体としては区別する必要はないということでこの法律案ができておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/18
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019・亀田得治
○亀田得治君 一応今、公告制度にお触れになったわけですが、私たちの聞くところでは、九九%までこの規定は守られておらない。小さな会社も全部含めて計算すればね。そういうふうに聞いているわけです。そういうものであればですね。貸借対照表の公告制度をとるかとらぬか、一応それが別個な問題として、商法の一部改正をなさるのであれば、ほとんど有名無実になっているような規定などは変えてよかったのじゃないかというふうな気がするわけですが、それはどうして手をつけられなかったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/19
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020・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点は、この法制審議会の答申におきましては、前回も申し上げたのでございますが、貸借対照表及び損益計算書を登記所に提出させまして、登記所でこれを閲覧に供する、公示するということになっておったわけでございます。現行法の官報または日刊紙に貸借対照表を公告するという制度につきましては、さらに検討するということになっておりまして、この点の改正を実は今回の法律案にも織り込むつもりであったのでございますが、登記所におきまして、これらの計算書熱の提出を受けて、これを備えておいて、そうして公示するということになりますと、相当の予算を伴うことになるわけでございまして、この予算折衝の段階におきまして、これがうまくいきませんでした関係で、この点は見送らざるを得ないというような状況になりました関係で、今回の法律案に載せることができなかったのでございますが、できる限り早い機会にこれを実現したいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/20
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021・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、こういうふうな理解でいいでしょうか。この計算書類の登記制度というものが、いずれはこれはできるわけでしょうが、それができるとき、同時に公告制度について改正すると、その際、小さな会社につきましては、公告の義務というものは削除をする、こういう理解でいいわけですか。どこに線を引くかは問題があるでしょうが、大体の理解はそういうことでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/21
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022・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 審議会の空気も、そういう意見が多数でございました。私どもといたしましても、将来はそういう方向に持って行ったらよくないかと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/22
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023・亀田得治
○亀田得治君 それからもう一点ですね。前回の参考人を呼んだときに、監査制度についての意見が辻さんからだいぶん出たわけです。この問題は、将来の方向としてどういうふうに理解しておいて間違いないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/23
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024・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいまの点は、率直に申し上げまして、私どもも実はその方針、どう持っていったらいいか、まだはっきりしたものを持ってないのでございます。実は、この点につきましても、法制審議会で一応の問題点として検討されたのでございます。で、御承知の例の公認会計士の制度が戦後できておるわけでございますが、ああいう制度ができた以上は、この現行の監査役の制度というものと一体どう関係づけていくべきものなのか。まあこの監査役の制度が必ずしも法律の所期しているように現在動いていないのではないか、どうも有名無実になっているのではないかというような見方もございまして、監査役の制度をどうするかというようなこととも関連してくるわけでございまして、法制審議会におきましても、一応の問題点としてはあげられておりますけれども、結論めいたものはまだ出ておりませんで、これは、今後の検討に待つべきものだというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/24
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025・亀田得治
○亀田得治君 その際にも、大会社と小会社の問題が出てくると思いますね。やはり大きな株式会社といいましても、これは資本を中心にした組織といっても、それに対する関係者というものが非常に多いわけです。そういう意味でこの公益性を持ってくるでしょう。小さな会社で、仲間だけでやっているというものは、そういう公益性の面では非常に違いがあるわけですね。だから、そういう意味で、ことに独占的な株式会社なんというようなものは、相当違った強い制約を受けるのが私は正しいと思うんですね。その辺は、実際に経済の実情を見ておれば、そんなに野放しにしておいていいものではないんじゃないか。野放しにはなっておりませんが、監査役の制度がともかく弱い。公認会計士制度も、いま一息という感じですわね。どうも中途半端です。そういう独占的な、たくさんの人に関係している組織体に対して、にらみという点になると、必ずしも十分じゃないと思います。しかしこれは、制度上は非常に必要なことなんで、非常な力を狩っているわけですから、だから、その点をどうして結論が出しにくいのか、そういう点について、大会社の内部からそういうことをされちゃ困るといったような傾向でもあるのか。これは、一般の世論から見たら、以前の株式会社とはだいぶ性格が違うわけですからね。相当強いやはり要請のある問題だと思うんです。どうしてそれが具体化されないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/25
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026・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 実は、公認会計士、監査役の問題につきましては、ただいま御指摘のように、大会社と小会社がある。監査の必要なことは、程度の差はありましても、やはり小会社についてもこれはないとは言えないと思うんでありますが、大会社と小会社の区別とさらにからみ合いまして、この監査役の制度をどうするか、公認会計士の監査の制度をどうするかということがやはり一つの問題になるわけでございます。どうも小さい株式会社も、公認会計士の監査ということは、どうもあまり費用ばかりかかって、大きな負担をかけることになりはしないか。大会社だけに限ってよくなかろうか。ところが、この大小の区別をするということが必ずしも簡単にできない。これもやはり監査の制度を早急に確立することの困難な一つの事情なのでございます。ただいま御指摘のような点は、まさしくこれは、監査制度の改正ということを早急に実現するのに困難な理由の一つになっているわけでございますが、いずれにいたしましても、株式会社の現状というものは、監査役が必ずしも所期の目的を達していない。それから、株主総会なんかにいたしましても、これは会社の経営者まかせで、個々の株主というものは、経営の内容につきましてほとんど関心を持たないという現状で、何らかの監査の強化のための制度というものが必要なことは、もう仰せのとおりでございます。これは、今後の検討の課題として、引き続いて法制審議会におきまして検討していただきたいと思っております事項の一つなのでございます。ただ、この計算関係は、これは監査の制度が確立しないと有名無実になるという御批判ももっともでございますけれども、何分現実には守られないような非常に時代おくれの時価以下主義、これだけは少なくとも改めなくてはならぬ。この実体規定を監査の制度が確立するまでほおっておくというわけにはいかぬ。まずできたものからということで、この実体規定の改正に踏み切ったのでございます。監査の問題につきましては、今後引き続き法制審議会におきまして検討していただきたいと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/26
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027・亀田得治
○亀田得治君 じゃ、総論的なことは大体その程度にいたしまして、少しこまかい点について確かめたいと思います。
この同定資産の評価ですね。これにつきまして、毎決算期に相当の償却をするということになっているわけですが、せんだっても、ちょっと参考人にもお聞きした点ですが、「相当ノ償却」ということの意味ですね。これをもう少し具体的に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/27
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028・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) まあ法律として非常に抽象的な、相当な償却をしなければならぬということ、そういう抽象的な表現を使っておりますが、趣旨は、会計学でいわれておりますところの減価償却をしなくてはならぬという趣旨なのでございます。減価償却は、会計学では、定職法とか定率法とかという方法があるようでございますが、そういう一定の方法によりまして規則的に償却をしていく。資産ごとに一定の耐用年数、それから残存価額というものを定めまして、その耐用期間にわたりまして一定額あるいは一定率の金額を毎決算期に控除していく、それをやれということをこの規定でいっておるわけでございます。何が相当かということは、やはり企業の種類、それから固定資産の種類によりまして、これは合理的に定められなくてはならぬと、そういう趣旨なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/28
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029・亀田得治
○亀田得治君 この定率法と定額法との違いというのは、どういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/29
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030・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 私も会計のほうはあまり専門ではございませんのですが、定額法というのは、一定の金額——毎年十万円なら十万円、百万円の取得価額の固定資産につきまして、それが耐用期間十年と定めまして、毎年十万円なら十万円というふうに、一定の金額を償却していくというのが定額法、それから定率法というのは、その一〇%という工合に、率できめていくというのが定率法、ごく大まかに言いますと、そういうことなのでございます。実際界におきましては、その両方が使われておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/30
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031・亀田得治
○亀田得治君 この定率法を使う場合と定額法を使う場合の区別ですね。百万円の場合に、十万円と一〇%なら結論は一緒ですが、必ずしも結論が一緒にならないような場合があり得るわけでしょう。二、三ちょっと例示してみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/31
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032・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、現実にまあ毎決算期に償却していきます金額というのは、定額法によった場合と定率法によった場合は違うわけでございますが、商法におきましては、いずれかでなくちゃならぬといういことはいっていないわけで、そこは会計の一般原則と申しますか、企業会計原則式のものにこれはゆだねる、そういう趣旨なのでございます。法律自体としては、どちらでなくちゃならぬと、私もこの点は専門でございませんが、やはり資産の種類によりまして、定額法のほうがより適当なもの、あるいな定率法のほうがより適当なものというものがあるのではないかと、より適当というだけでございまして、法律としては、この場合には定額法でなくちゃいかぬ、この場合には定率法でなくちゃいかぬ、そこまでは強制しない、そういうことなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/32
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033・亀田得治
○亀田得治君 定額法で処理したほうが適出であるのに定率法で処理したということになると、会計学上の定率法を認めておりましても、商法上はそれは相当とはいえないと、こういう解釈になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/33
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034・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) いや、その点は商法は強制はしていない。そのために違法になるというところまではいっていない。会計学におきましても、よりこちらのほうが適当ではないかというだけのことで、商法の立場におきましては、そういう二つの償却方法がある、いずれでもいいという、ここはかなりゆとりを持たせてあるということなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/34
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035・亀田得治
○亀田得治君 会計学上で、最近の企業というものをずっと研究されて、償却法について、もっと別個な理論を立ててくる、定額法でも定率法でもない、そういうものができてきた場合には、それによっていいわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/35
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036・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、会計学もやはりだんだん進歩して参りまして、新しい見解が現われてくることもございます。そういうことも少なくないようでございますが、要するに、商法の立場としましては、それが合理的であるということであればいい、そういうゆとりのある規定だというふうに理解すべきものだと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/36
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037・亀田得治
○亀田得治君 まあ学説だから、一応みんな合理性を根拠にして主張するわけでしょうから、それなりにみんな合理性を持った主張だろうと思うのですね。だから、定額法とか定率法とか、そういうものにとらわれるものではない。企業の種類なり、あるいはその企業の中の資産の種類などによって、これは定額法でもだめ、定率法でもだめなんだ、やはりこういう第三の償却の仕方がいいのだ、こういうことが出てきた場合には、それでいいわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/37
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038・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 合理的なものであれば、それでもよろしいということなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/38
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039・亀田得治
○亀田得治君 それは会計学上認められていなくても、それが内容分析をしてみると、なるほどこの場合にはこれがいいというものであればいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/39
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040・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) それは、会計学においてだれかの説としていわれていなくても、それが合理的であればいいということで、まあ観念的にはそういうことに相なると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/40
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041・亀田得治
○亀田得治君 それから、耐用年数等のことが税法上でも問題になるわけですが、何か説明書には、必ずしも税法上のものと一致しなくて、もいいと、書いてなかったですかな。何か見ているうちにそんなようなことを書いてあるのがありましたが、そういうものは不一致でいいというものでもなかろうと思うのですが、これはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/41
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042・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 税法の建前におきましては、やはり課税負担の公平であるとか、あるいはまた、ある企業につきまして、たとえば近代化を助長するというようなことで税金を安くしてやる、そういうような政策的な考慮、そういうものから、やはり耐用年数というものが定められておるわけでございます。これも、もちろんこれは、この商法にいう減価償却の場合の一応の基準には私はなると思うのでございます。しかしながら、必ずそれによらなくちゃならぬか、税法の定めておる耐用年数というものを必ず採用しなければならないかというと、これは必ずしもそうではないと私は思うのでございます。税法の定めておるものよりも長い耐用年数を用いること、これはもちろん可能でありますし、それからまた、場合によりましては、税法の認めておる耐用年数よりもっと短い耐用年数がこの企業にとっては合理的であるという場合も、これはあり得ると思うのでございます。そういう関係で、全然無関係のものではない。一応の基準にはもちろんなりますけれども、必ずしも税法に定めておる耐用年数というものが、この商法にいう耐用年数ということにはこれはならないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/42
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043・亀田得治
○亀田得治君 これは、私は平出から疑問を持っている一つですが、こういう商法改正とは別に、企業上の問題としては、実際の耐用年数、それに対する償却という考えが基礎なんでしょう。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/43
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044・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 理論的にはそうでございますが、やはり企業の種類、その資産の種類によりまして、これは耐用年数をどういうふうに定めるかということにつきましては、これは相当幅があってしかるべきものであるというふうに私どもは理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/44
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045・亀田得治
○亀田得治君 実際には十年なら十年で償却する、それをたとえば五年とするというふうな考え方に、早く償却する、その場合に認められるのは、実際は十年だが、五年ということで切りかえていくんだということなら、これはやはり実際に合うわけでしょうね。ところが、実際はやはり十年なんだ、ただ計算上だけ五年でいく、こういうことは私は間違いじゃないかと思っているのですが、法税上の扱いにいたしましても、特別な償却というふうなことを認める場合に、企業の近代化等を促進するというような意味もあってそれをやるということなら、それはわかるのですが、そのかわり、それは設備の更新等をやっていかなくちゃいけないと思うのです。それで、実際にそれをやらない場合には、やはりそれは認めるべきではないのじゃないか。会社をある程度政策的に保護するとかいったような問題は、何か別個な方法でやるべきなんで、償却という問題について、そういう実際と違ったものを認める、非常に私はそういう点が筋が通らぬのじゃないかと平生から思っているのです。そういうことをおやりになる気持はわかります。しかし、その気持なり政策というものは、別個な措置があり得るわけだというふうに思っているのですが、これは、世界じゅうこういうふうなことを適当におやりになっているものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/45
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046・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、適当にと申しますか、相当の幅と申しましても、企業の経営の実際に照らしまして、やはり常識でもって判断いたしまして、これはあまりに非常識である、収益が非常にあるのだから、できる限り早い期間に償却してしまう、どうも常識から考えて不相当に短い期間内に償却するということは、これはやはり商法の立場としても許されないのでございます。税法のほうでは、ただいまちょっとお話がございましたが、政策的な考慮から特別の償却を認めるというようなことも、租税特別措置法でございますか、ああいう税法の中では規定してございますが、これは必ずしも商法のいう「相当ノ償却」の中には含まれない場合も出てくると思うのでございます。要するに、これはやはり健全な常識で判断いたしまして、妥当と思われるところに定めるべきものだろうと思うのでございます。普通であったら十年とするのが妥当である、それが、十年が少し違いまして、八年とか九年とか、あるいは十一年とか十二年とかいうふうなことがありましても、これはなお相当だといえるが、それを五年とか四年とかいうことになると、これはあまりに非常識である、こういうようなことでございましたら、そういう短い期間の耐用年数というものは相当でないということにもなる場合が出てくると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/46
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047・亀田得治
○亀田得治君 そういう理論からいいますと、ああいう税法上の特別措置としてのそういった特別な償却、こういうことは間違いじゃないかと思うのです。その会社を政策的に優遇するのであれば、税率の問題を検討するとか、あるいはまた、金融措置の問題で検討するとか、そういくべきものなんで、償却なんというものは、きわめて客観的にきまってくるべきものだと私は理解するわけでて、商法としては大体そういう考え方だということですから、一応理解しますが、ああいう特別設置法などで償却について特別な措置をとるということは、どういうふうにお考えになりますか、実際に行なわれないことを、政府が税金を安くするために行なわれるかのごとく計算関係だけをする、これは私はごまかしだと思う。そんなことをするなら、特別に税率を下げてやったらいい、税率を下げるのははなはだむずかしいからということかもしれませんが、こういうことはどこでもやっていることでしょうか。そういう考え方がびまんするということは、非常に企業に対する考え方をイージーにすると思うのです。それはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/47
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048・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 商法の立場といたしましては、ここに二百八十五、条ノ三の第一項にありますように、規則的な計画的な償却以外に特別な償却というものは認めない。これは、株主の権利を害することにもなります関係上、これは認めないのでございますが、税法の関係におきましては、いろいろな政策的な考慮なんかもありまして、これは一がいに言えないことであるように私どもは思うのでございます。よその国におきましても、そういう例は多々あるのじゃないかと私ども思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/48
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049・亀田得治
○亀田得治君 悪例ですね。実際ないことを無理やりに法律上そういうふうにしてしまうということは、これは非常な間違ったやり方ではないかと思うわけです。
それから次に第七ののれん代、これについて若干質問しておきたいのですが、商標とか商号などを有償で買い取ったといったようなものもここで含んでおるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/49
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050・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 商号は、まさしくのれんのこの評価の規定が適用になると思うのでございます。商標につきましては、これは商標法で法律上はっきり権利として定められておりますし、これはむしろ同定資産の中の無形同定資産に入るというように解釈す
べきものと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/50
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051・亀田得治
○亀田得治君 それから、ここでは五年以内に償却する、こうなっておりますが、この五年というのは、いろいろ論議があって五年になったのか、その五というものの根拠ですね。相当値打ちのあるのれんですね。相当長期的に確実に位打ちがあるといったようなものについては、必ずしも五年といったような短い期間に限る必要がないのじゃないか、それをもっと長くするほうが、実情に適するのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/51
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052・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) のれんと申しますのは、ある具体的な財産、資産というものがあるのではなくして、その企業の名声であるとか、取引先関係、それから仕入先関係、それから金融関係などのそういう事実関係なのでございまして、実体的な資産があるというものではないわけでございます。その点から見ますと、これはむしろ繰延資産に類似したようなものなのでございます、他面また同定資産に類似しておる面もございますが、いわば固定資産と繰延資産の中間のもの、要するに、これは資産としては不確実な資産と見なくてはならないと思うのでございます。たとえば、会社が清算の段階に入り、破産した場合に、こののれんというものは価値のないもの、無価値なものになってしまうのでございます。そういうことを考えますと、これは、資産としては認めるけれども、あまり実質のないものだと言わざるを得ないのじゃないか。現行商法におきましては、二百八十六条の会社の設立費用、これは繰延資産で、やはり五年というものを償却期間に定めております。この法律案におきましては、開業費その他新らしく認められました繰延資産につきましては、やはり、五年という償却期間を定めておりますので、のれんも、それに準じて、五年くらいにしたらどうかということで、五年という期間を採用したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/52
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053・亀田得治
○亀田得治君 まあ五年くらいということで、これは、数字については相当議論でもあったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/53
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054・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 法制審議会におきましても、五年が適当であるか、もっと長くしたほうがいいか、あるいはもっと短くすべきではないかというふうな議論もございましたけれども、大ぜいの御意見は、五年でいいのではなかろうかということで、落ちついたわけございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/54
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055・亀田得治
○亀田得治君 ちょっとさっきに戻りますが、第四の金銭価権の評価の点ですが、その第二項の取立不能という概念ですね。これは、客観的に相手方が破産するような状態にあるような場合には、もちろんこれはそんなに疑いはないわけですが、財産はあるけれども、なかなか取立てが大へんだというような事態ということはよくあるわけですね。そういうふうなものはどういうふうなことになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/55
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056・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 取立不能なのでございますので、財産はあるけれども、どうも払いが悪いというようなのは、これは、取立不能ということにはならぬだろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/56
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057・亀田得治
○亀田得治君 取得不能じゃなしに、「取立不能ノ虞」となっているわけですね。「虞」というのは、割合主観的な要素も入ってくるわけだろうし、きちっと取立不能というふうに断定できるわけでもない、そういう概念だと思うのでお聞きしたわけですが、財産はあるけれども、なかなか払ってくれないのだ。こちらのほうでいろいろ費用を使っても、費用倒れになってしまって、実際はもうつまらぬことなんだというようなものについてお聞きしているわけですかね。そういうのを取立不能として減価評価していいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/57
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058・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま仰せのように、取り立てについては非常に費用がかかる、費用倒れになるというような場合でございましたら、これに取立不能のおそれありと言ってもいいのじゃないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/58
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059・亀田得治
○亀田得治君 それから、この第六のところで、取引所の相場のない株式については、発行会社の財産状態が著しく悪化したときと、これは、大体どの程度のことをお考えなんでしょうか。著しく悪化したとき……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/59
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060・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これも、まあどの程度と、その株式を取得した当時のその会社の資産と、それから、その株式を評価する当時の会社の資産を比較して、何パーセントぐらい減っておればと、パーセンテージは出すわけにはいきませんが、これもやはり社会通念に従いまして、非常に悪化しておると、資産が減っておるということであればということで、結局これは、社会通念で判断をするということになると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/60
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061・亀田得治
○亀田得治君 従来たとえば一割とか二割ずっと配当しておって、ことしからもう配当できない、こういうのは、やはり著しく悪化したときというふうに、そのこと自体から判断していいわけでしょうか、それだけでは足らないということになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/61
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062・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) そういうような場合は、それだけの事由で資産状態が感化したとは言えぬと思うのでございます。従来は一割あるいは一割以上の配当をしておったのが、今期からは配当ができなくなった。それだけの事由では、これは財産状態が悪化したというふうには解することができないと思うのでございます。やはり資産の実質か非常に減ったということがなくちゃならぬと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/62
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063・亀田得治
○亀田得治君 この財産状態というのは、この収益の減ることも入るわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/63
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064・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 収益の減少ということだけでは、これは資産状態が悪化したとは言えぬと思いますが、まあ収益が非常に落ちるというような場合には、実際問題としましては、資産状態も悪くなっている場合が多いと思うのでございます。そういう意味では、収益が非常に下がってしまったという場合には、資産状態が悪化しておると言ってもいい場合があり得ると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/64
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065・亀田得治
○亀田得治君 そういう場合もあると。たとえば財産の目録などは前と一緒だと。しかし、売れ行きなり、そういう関係が非常に悪くなってきた。そうして、とても配当していけない。目に見えるいわゆる財産、それはまあもとの状態かもしれぬが、今私が申し上げたような状態にある場合には、やはり財産状態が悪化したと、こういうふうに見ていいわけですか、状態だから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/65
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066・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) それは、個々具体的の場合について考えなくちゃならぬと思うのでございますが、これは取引所の相場のある株式でございますと、そういう収益の減少というのは敏感に株価に反映して参ります。これは流動資産の規定の、時価が取得価額より低いときは時価によることができるという、その場合に当たるわけでございます。ところが、著しく下がって回復の見込みがない——取引所の相場のある場合だったら、著しく時価が下がって回復の見込みがない、それに相当する場合といたしまして、この発行会社の財産状態が著しく悪化した、それとの権衡からもやはり考えまして、まあ結局はケース・バイ・ケースで、個々の具体的な場合について判断をしなくちゃなりませんけれども、ただ配当が減った、今期は配当ができないということでは、それだけでは資産状態が悪化したと直ちに言えぬかと思いますけれども、これは将来相当続く、とても配当可能な状態になりそうにもないと、まあそういう状態でありましたら、やはりこれは資産状態が著しく悪化したと見ていい、あるいはそう見るのが相当だという場合は、これはあり得ると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/66
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067・亀田得治
○亀田得治君 繰延資産に関する償却の年限ですが、せんだって、多分番場さんだったと思いますが、「五年内」というふうな「内」は要らない、五年でいいじゃないか、こういうふうにおっしゃったように思うのですが、私もこれはのれんなんかの場合と相当やっぱり違いまして、現実にそれだけのやはり金を使い、それによって現在の企業というものがやっぱり存立しておるわけでして、こういうのはもう特定でいいのではないかと思うのですが、これはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/67
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068・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) この要綱の第八で認めておりますところの繰延資産というのは、これは一時に費用として損益計算書に計上する、言いかえますと、繰延資産にしないという道も開いておるわけで、企業の判断でもって繰延資産として貸借対照表の資産の部に計上することができる。決してこれは計上しなければならないと言っているわけじゃないのでございます。その建前から見まして、これは任意的な規定なのでございまして、繰り延べる場合は必ず五年の期間をもって償却をしなくちゃならぬというのは、ちょっとおかしいんではないか。繰延資産として計上しないこともできるのでございます。その建前から、「五年内」いうふうにしたのでございます。
それからなお、現行商法が認めております創業費その他の繰延資産も、やはり「内」と必ず「内」がついておりまして、これとの権衡からも、やはり「五年内」ということが筋ではなかろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/68
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069・亀田得治
○亀田得治君 私の聞き違いかと思いまして、今委員長のほうへちょっと確かめてみたのですが、この前は確かに会計学の専門家の番場さんがそういうふうにおっしゃっているわけですが、特に御指摘になったわけですので、相当現実の企業の状態から出発した意見だというふうに考えていたものですから、理由などはおっしゃらなかったわけですが、それで疑問を持っていたわけですが、どうですか、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/69
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070・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、会計学者の中にも、番場先生のような御意見の方もございますが、そうでない力もございまして、法制審議会における審議のときには、太田先生その他の一流の会計学者も加わっていただいたのでございますが、この点については、この要綱に御賛成でございまして、この「内」というのがいけないという議論は、法制審議会ではそういう御意見は私ども聞かなかったように承知いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/70
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071・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、番場説は間違いであるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/71
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072・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、番場説が間違いというわけではございませんけれども、この商法に繰延資産を認めました趣旨は、繰延資産として貸借対照表の資産の部に計上することができるというのでございまして、計上しないこともできるわけで、計上しないということは、すなわち、要するにこれは一ぺんに償却してしまうということなのでございます。それも認めているので、資産の部に計上したら必ず五年間に償却しなければならぬというまでの必要はごうもないわけで、むしろ繰延資産というのは、これは豊川の繰り延べなんであって、実質的な資産性というのはかなり乏しい、あやふやなものとも言えるわけで、資本維持の原則というような点から見ますと、こういうものはなるたけ設けないほうが会社債権者の保護になるわけでございます。そういう趣旨でこの繰延資産が認められた関係上、早ければ早いほうがいいというわけでもございませんが、もっと早い期間内に償却しようというなら、それを許して一向差しつかえない、そういう性質のものなのでございます。でありますから、まあ番場説のような御意見もございますけれども、商法としましては、「五年内」ということで一向差しつかえない、そちらのほうがむしろより適当ではないかということで、こういうことになったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/72
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073・亀田得治
○亀田得治君 この繰延資産の中で、新しい経営組織の採用というのが一項目入ってきているわけですが、たとえば今炭鉱などで問題になっているような人員整理、配置転換、当然これは特別な退職金なども要るわけでしょうし、そういうものもこれは入ってくる意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/73
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074・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 普通は、退職金なんかは退職給与積立金、これは一種の負債なのでありますから、普通の会社でありましたら、これは負債として当然貸借対照表の負債の部に計上してあるべきものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/74
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075・亀田得治
○亀田得治君 特別なもの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/75
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076・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 普通はそれを取りくずしていくというのが順序と思いますが、特別なものでありましたら、これはこの中に入るということも考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/76
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077・亀田得治
○亀田得治君 この引当金に関する点を二、三確かめておきたいと思うのですが、これも前にちょっと一度お聞きしましたが、「特定」ということの意味ですね、この限界を一もう少し明確に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/77
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078・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 「特定の」と申しますのは、単にばくぜんと何か費用が要るかもしらんから引き当てておくということじゃなしに、ある一定の目的のために将来支出すべき金額が予定されている、そういうことなのでございます。まあ実際行なわれております引当金で、この要綱の第十に当たると考えられますものに、修繕引当金であるとか、あるいは渇水準備金、そういうようなものが実務上は使われているようでございます。要するに、支出の目的が一定している、単にばく然と抽象的で不特定であるというのでは困るということなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/78
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079・亀田得治
○亀田得治君 こういう引当金というものは、これはあまりたくさん作ってもらっては困る、こういうやはり考え方は立法根拠にはあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/79
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080・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 要するに、これは利益が減ってくることになりますので、株主の権利を害するということにもなりかねないわけでございます。ことに、現在の株主総会というものが、どうも形式に流れまして、株主というものは、会社の経営者に一切一任するというのが実情でございますので、法律の立場としては、なるたけこういう引当金というものはやはり制限すべきではないか。そういうわけで、「特定の支出」と、特定していなくちゃならぬ。それから、その特定している目的を貸借対照表で明らかにしなくちゃならぬというふうに制限をつけましたのも、実はそのためなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/80
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081・亀田得治
○亀田得治君 会社の機密費とか交際費といったようなものは、この商法一部改正の論議の中では何か問題になったわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/81
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082・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 法制審議会におきましては、そういう点は特に問題にはなりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/82
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083・亀田得治
○亀田得治君 しかし、会社によっては、ずいぶん結果としてはたくさん使っているところもあるわけですが、当然、こういういろいろな引当金というようなものすら正式の貸借対照表で明らかにするということであれば、金額において決して私は劣らない点もたくさんあろうと思うのですね。引当金であっても、それよりも機密費なり交際費のほうが大きい、そういう点はどうしても問題にならぬわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/83
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084・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 問題にならぬと申しますか、そういう機密費であるとか、交際費というものは、経営の費用ということで、損益計算書の中には出てくると思いますし、それから第十の引当金は、次の期に予定しているという、ちゃんと目的は特定しまして、機密費であるとか交際費というようなことで引当金を計上するというようなことは、これはもちろん可能であるわけでございます。ただ、はっきり損益計算書なりあるいは貸借対照表の中に表示されますので、株主総会において株主の批判を二受けるということは、もちろんこれはあり得るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/84
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085・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、そういう機密費なり交際費というものは、引当金というものをこういうふうに商法上きちんと作るわけですから、そうして機密費なり交際費を使う以上は貸借対照表の中にそれを記入しておく、これは大体使うのに間違いないわけですから、さっきの御説明の「特定」という概念の中へ入るものだと私は思うのです。だから、そういうものを持っておる会社は、やはり筋からいってこの対照表の中に明らかにしておくべきものだ、こういうふうに解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/85
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086・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 普通これは、機密費とか交際費というものはあると思うのでございますが、それを支出いたしました年度の損計益算書の中で費用として計上すれば引当金の問題にならぬわけでございます。次の期の費用としてあらかじめ予定いたしまして、これを引当金として計上する場合でございましたら、これは第十の引当金で、貸借対照表にもちろん引当金として計上することできるわけでございますが、必ずしもそうなくちゃならぬというものでなくて、それを支出しました年度の損益計算書の中で費用ということで計上して、それで足りるわけでございます。しかし、仰せのように、引当金に計上する、次の期に支出すべきものをあらかじめ計上するということも、これは不可能ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/86
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087・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、あらかじめ計上していないといたしますと、結局はほかの引当金を食う、こういう格好になって、損益計算書のほうは違ってくる、こういう格好になるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/87
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088・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 普通は、実際の取り扱います機密費とか交際費などというものを引当金に計上しておる会社というものは、私はないと思うのであります。会社の全体の経費から見ますと、そういう機密費、交際費といったものは、普通はごくわずかなものでございまして、経営費用ということで損益計算書の中に計上されておる。次の期に支出すべきものを見通して貸借対照表の負債の部に計上するというようなことは、普通行なわれていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/88
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089・亀田得治
○亀田得治君 それは、八幡製鉄とか、どんな大会社でも、そんなことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/89
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090・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 私具体的なことを存じませんが、普通は、損益計算書の中で一般管理費及び販売費というような項目が設けられまして、その中に雑費という細目があがっておりますが、この雑費の中に普通は入れて計上しておるんじゃないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/90
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091・亀田得治
○亀田得治君 しかし、そういうことがほんとうは不親切であり、また、そのような費用の使い方について、必ずしも世間一般から見て妥当ではないということが行なわれやすくなるわけでして、あらかじめ貸借対照表でほんとうに必要な機密費なり交際費を明確にしておくということのほうが、この企業経営というものを明朗にするためにいいのじゃないかと思うのですが、実際に使うんですから、それを雑費だといったような——ほんとうの雑費というものは、それらのおよそ予定される支出以外にまたあるわけでして、そういうものを、わかっておるのに、雑費というような中に入れて認める、こういうことはどうもおもしろくないと思うんですがね。あらかじめ明白にしておいたほうが、第二項からいいましても、目的外に使用した場合には、また損益計算書で特にその理由を明らかにしなきゃならぬ、こうなっているわけでして、会社の経営自身を非常にやはり堅実にするんじゃないかという感じがするものですからお聞きするわけですが、次の商法改正のときには、そういう点はひとつ問題にしてほしいと思うんですがね。これからの大会社は、資本は自分たちが集めて、おれがもうけているんだ、おれがもうけているのを何しようとそんなことは自由だ、そんな単純な考え方では私はいかぬと思うのです。利益が上がってくるということ自体は、やはり大衆がその会社の品物を買うから上がってくるだけなんで、そんなに利益が余り過ぎて困るんなら、それは販売価格を安くすれば、むしろ理が合うと思うのです。だから、そういうものなんですから、せっかく引当金というような項目を、今まで事実上認めてきたものを、商法上の制度としてきちっとするというのであれば、今言ったような点も検討されて、そうして引当金についての例示をするとか、それ以外のものはいけないんだ、こういう意味にもなりますしね。最初の説明では、決してこういうものをみだりにたくさん作ることではないんだという考え方が基礎にあるように承ったわけでして、それなら実際上やむを得ないものをやはり例示して、特定の支出または損失という格好がつけばどんどん新設していけるということのないようにやっぱりすべきである。そういう方向で研究いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/91
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092・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 引当金の制度は、株主にとっては不利益になるおそれがございますので、はっきりさせたい。これは法制審議会におきましても、その点は問題になったのでございますが、なかなかこれを限定することが困難なのであります。要するに、見越しの費用あるいは見越しの損失ということなんで、どういうものに限られるべきであるか、限界が必ずしもはっきりしないのでございます。そういうわけで、これを繰延資産と同じような工合に限定的に列挙するということをやめざるを得なかったのでございますが、ただあまりにこれが野放しになってはいけないというので、目的を限定しなくちゃいかぬ。目的を特定して貸借対照表の上で明示しなくちゃならぬということで、制限をいたしたわけでございます。先ほど問題になりました会社の機密費であるとか交際費というようなものを、見越しの費用ということで引当金に計上することも、もちろんこれは可能でございますけれども、はっきり貸借対照表に出ますので、やはり株主総会において株主の批判にさらされるということになるわけでございます。ところが、実際の会社の会計の実務の上では、そういう交際費とか機密費なんかを引当金に計上するという例はもう私絶無だろうと思うのでございます。その支出した費用、その費用を支出した年度におきまして、これは損金、費用として損益計算書の中に計上していくということ、これが普通の実際の取り扱いだと思うのでございます。損益計算書につきましては——貸借対照表についても同じでございますが、法務省令をもちましてかなり詳細な様式の定めをする予定でございまして、仰せのような点も考慮いたしまして、できるだけこれは具体的に明らかになるようにというふうに考えたいと思うのでございます。それから、よけいなことかもしれませんが、そういう機密費であるとか交際費などというものは、とかくこれは不適当な、あるいは不正な経理が行なわれる原因にもなりかねないのでございまして、その点までも規制するということは、商法の立場としては困難でございますが、それは他の、たとえば刑法の背任とか横領の規定であるとか、そういうような規定で規制される。ただ、そういう経費が支出されたかどうかというふうなことは、これはできるだけ損益計算書の中で明らかになるように、法務省令を作ります際には考慮いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/92
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093・亀田得治
○亀田得治君 損益計算書は、これは結果でして、あらかじめ——毎年々々大きな会社になれば費用が出ているわけですから、それが株主総会で事前に批判の対象になる、そこに私は意味があろうと思うのです。今まではなるほどそういうふうなことをやっておりませんが、それは実際の、社長にしても、専務にしても、そんなことで議論にならぬほうが都合がいいからそういう処理をしておらぬだけであって、そのことが必ずしも今後の企業として明朗なあり方だろうかということは、私は問題だろうと思う。事前に総会の批判等も受けるのだということになれば、やはりそういう費用の計上も自然に最小限度になってくると思う。だから、そういう点はやはり今後ひとつ十分検討をしてほしいということを要望しておきまして、大臣がお越しになりましたので、一つだけ大臣にお尋ねしておきます。
それは、この前参考人を呼びましたときに、大臣も多分お開きになったのじゃないかと思うのですが、鈴木参考人が、現在の法制審議会は、民法とか、同法とか、こういう大きな法制を変えるというふうな立案機関としてははなはだ不十分だということを非常に具体的におっしゃっていたわけです。そういうことになりますと、そういう不十分なままでこういう事業を続けておるということは、たいへんこれは制度としてはおくれをとるわけでして、そこら辺の問題を大臣としてはどういうふうにお考えなのか承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/93
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094・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま御指摘、御質問になりました法務省所管にありまする法制審議会のスタッフの充実の問題につきましては、われわれ部内におきましても、実はその強化の必要性があることを、いわゆる現実の姿といたしましては、充実の必要があることを認めているのであります。やや弱体ではないかという御質問のように思いますが、私、先ほどお話のありましたその参考人の力のときには、それを開き漏らしておりましたので、ついうっかりしておりましたが、三十七年度予算の編成要求の際におきましても、当局といたしましては、この委員の充実の問題について要望を実はいたしておりました。いたしておりましたが、他に法務省所管の定員増加でもっともっと急を要するものが数多くございましたので、そのためにことしはついこの点、大蔵省と折衝の際に一年間がまんをしようということになりましたので、今にしてこうして御指摘を受けてみますと、もっと要望して実現を期すればよかったなと反省をいたす次第であります。何しろことしは最初から、政府の予算編成方針といたしまして、公務員の増加は極力避ける、なるべくならば全然ふやさぬというような強いことを最初から計画をいたしておりまして、私はその当時以来、そうばかりは言えないと、やはり部局により省によっては定員の増加ということが一番緊急な場合もあるのだというので、除外例を求めまして、最小限度若干それぞれの部局で少しずつ増加をいたしましたけれども、どうもここまではとても手が及ばなかったというところで、微力の点おわびを申し上げる次第でございます。今後三十八年度予算編成の際には、十分検討もいたしまして、財政当局と折衝の上、誤まりなきを期したいと、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/94
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095・亀田得治
○亀田得治君 今回の予算編成の過程でその点をすでにお取り上げになっていたということでありますので、私たちの指摘以前に大臣のほうですでにお気づきになっていたようでありますから、あまりこまかいことを言う必要もないかもしれませんが、今年度の予算編成過程で強化しようというふうにお考えになったその中身ですね、それは、たとえば委員をふやすとか、あるいは委員はなかなか適当な人がそうざらにあるわけでもないので、事務局的な仕事をおやりになっておる部署を強化するのだとか、いろいろやり方があろうと思うですが、どこら辺のところに的を置いていたわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/95
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096・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 法務省といたしましては、本年度人員充実に特に努力をいたしました点は、交通関係の事犯増加にかんがみまして、関係のスタッフをふやそうというので努力をいたしました。これが一点。
さらに、全国を通じまして、地方の法務局あるいはその出張所における定員の寡少、これに対しての対策として、その増加を特に要求をいたしました。あるいはまた保護関係、しかも少年犯罪に対応するための定員の不足、これは少年院、少年鑑別所、少年刑務所、さらに本省の当該関係部局というようなところにおきまして、青少年問題のために特にどうしても必要だというので、これについても努力の重点を置きました。
最後に、公安調査庁所管におきましても、最近における定員不足の実情にかんがみまして、これも前年よりは強く要望いたしまして、ある程度の、もちろん理想の程度ではありませんが、定員要求に成功いたしたわけであります。民事局関係のこうした仕事につきましても、いろいろ調査事務等のために増員の要求もし、あるいは経費の要求もいたしました。しかし、希望から考えますと、非常に九牛の一毛であったということであります。重ねて申しますが、さらに今後の努力に待ちたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/96
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097・亀田得治
○亀田得治君 まあ、法制審議会に来られる方は、非常な専門家で、外部では非常に重要な仕事をされておる方がそろっておるわけですが、日当が千円だそうですね。まあ、その千円をもらうために来る方はもちろんいないわけでしょうが、やはりこういう専門的なことでお集まりになれば、半日なり、仕事が少しありますとやはり一日つぶれるわけでして、千円というのは、これは一体どこから出ておる数字でしょうか。これはひとつ民事局長から……。あまり安過ぎるから、やはりせめて二千円程度にするとかということでなければ少しおかしいのじゃないかと思う。まあ鈴木参考人は、別にそれを上げてくれというのでこの間食堂でおっしゃったわけでもないでしょうが、しかし多少扱い方が冷たいというふうな感じがあるものだから、飯を食っているときにちょっと私は出たのだと思いますが、やはりこういうことは、事務局の強化と同町に、考えなければならぬことじゃないだろうかと思うのですが、いかがでしょうか。民事局長が、もし委員として、月給をもらっておらぬ場合、それで行きますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/97
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098・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 法制審議会の委員の日当が千円と申しますのは、これは予算の範囲内で差し上げるというわけで、千円以内ということが慣例のようになってしまいまして、それでいいじゃないかということで、そういうことになってしまったわけでございまして、実は法制審議会の関係では、この立法関係におきましても、民事局の増員と、それから委員の謝金を含めました各種立案調査のための経費の大幅な増加を要求したのでございますが、どうもワクが固定してしまいまして、増員はもちろんなかなか認められません。そういう謝金だとか、庁費なんかも、前年度どおりということで、なかなかこれは増額が認められない。そういうような状況なのでございます。で、私ども実際この立法関係の仕事をいたしておりまして一番困っておりますのは、何と申しましても、この具体的な調査立案に当たるスタッフが非常に少ないということなのでございます。たとえば、民事局に例をとって申し上げて恐縮でございますが、実際立案関係に従事しております職員の数は十名以内でございまして、その十名の者がもっぱら立案に専念しておるわけではありませんので、不動産登記でありますとか、商業登記であるとか、戸籍であるとか、供託であるとか、法務局で所管しております行政事務の指導監督の面、そういう行政事務をやるかたわら、こういう立案関係の仕事をしておるという関係で、なかなかこれに専念できないのでございます。法制審議会の委員の方の謝金の増額、これももちろん必要でございますが、もっと緊急を要するのは、事業スタッフがもっと充実するということが先決ではないかと思うのでございます。現在法務省の民事局関係で担当しております立案関係、先般御審議願いました民法の改正の問題、そのほかに商法だとか、たくさん問題が残っております。その中に、民事訴訟、手続の問題、強制執行の問題、国際私法の問題と、問題ばかりございまして、参事官一人で二つも三つもかけ持ちでやっておるというのが現状なのでございます。これが立法関係が必要に応じててきぱきとすみやかに行なわれることが非常に望ましいのでございますが、一番大きな障害をなしておるのは、事務スタッフが非常に不足しておるということにあるのじゃないかと思うのでございます。
これが充実いたしますと、法制審議会のほうもある程度スムーズにいくのじゃないか。法制審議会の委員をしておられます先生方は、非常に多忙な方々ばかりでございまして、学校のほうの授業のほかに、各種の審議会にやはり引っぱり出されて関係しておられる関係で、商法でありますと、商法の改正のみに専念していただくというわけにはなかなかいかないのでございます。そういう関係で、どうしてもやはり私ども事務スタッフというものが中心
になりまして調査をして原案を作るというところでまずやりませんと、万事がうまくいかぬのが実情なのでございます。そういう実情でございますので、国会におかせられましても、ひとつ何分の御援助をお願いいたしたいと、私からもお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/98
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099・亀田得治
○亀田得治君 どうもお願いされたのですが、まあ今度民法の一部改正なり、商法の一部改正などがこう出てきたものですから、ちょうど関連して、しばらくあまり見なかったようなことをお互い勉強してみたわけですが、そういたしますと、参考人の御意見にもあったように、問題点がたくさん残されたままになっておるわけですね。これじゃもう法律のほうがおくれてしまうのですね。多少のおくれは、まあ法律のことですから、それはいいわけですが、アンバランスが大き過ぎるような感じがするわけですね。さっき問題になりました株式会社の監査制度の問題にいたしましても、これはもう至急今の社会の需要からいったら、やはり結論をきちっと出すべき問題であろうと思う。しかし、あれ一つ出すにしても、まあ相当な意見が各方面から私は出てくると思う。それを精力的にまとめるというのは、やはりたいへんな仕事だと思うのです。で、まあこの委員は、私の意見を言わしていただきますと、やはり各種の専門家を広くお願いしておるそのクラスの方に、何か今の仕事をやめて幹事役として専念してくれと言っても、これはなかなか適任者を私は引き抜きにくいだろうと思うのです。そうしてまた、そういうやり力よりも、いろいろなんの意見を多く吸収するという意味では、そういう格好にならないほうがいい。あまり大家の人が二、三事務局に入ってぐんぐん推進しますと、やっぱり欠陥が出てきます、ある程度これは。だから、そういう意味で、やはり幅広く何して、そのかわり手当も、一千円ということじゃなく、これはひとつ再検討をしてもらって、そうしてやはり事務当局をうんと強化されて、その方々が委員のところを走って回ったりして、どんどん意見を推進していくということがやっぱり適当だと、私たちも思うわけですがね。まあ、実情はそういうことのようですから、これを機会に今後ひとつ努力されるように希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/99
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100・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 他に御質疑はございませんか。——なければ、本案に対する質疑は終局したものと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/100
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101・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 御異議ないものと認め、さように決定いたします。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにして御述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/101
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102・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。商法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案、とおり可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/102
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103・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますけれども、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/103
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104・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
それでは、午後二時まで休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後二時三十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/104
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105・松野孝一
○委員長(松野孝一君) これより法務委員会を再開いたします。
検察及び裁判の運営等に関する調査中、被疑事件の処理状況に関する件を議題といたします。
本件については、昨年十月以来、四回にわたり委員会の議題とし、調査を行なっておりますが、去る二月一日の委員会において、当局側で御調査の上、追って御報告いただくことにした事項がございます。ただいま竹内刑事局長が出席しておられますので、本事件のその後の処理状況及び御調査の結果等につきまして、御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/105
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106・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 昨年七月八日、野田検事正が本件の被告発人竹林勇氏とともに阿蘇観光ホテルに宿泊して、翌九日ゴルフをしておりますが、そのときの一行は十四名であって、野田検事正は二百十五号室に宿泊しており、竹林氏が事前にホテルに予約しておる。野田検事正は午後七時三十五分ごろにホテルに到着いたしましたが、同時刻ごろ、戸上、村田、古賀、大即等の各氏が到着していること、それから竹林氏が各人の部屋割りをきめたことなどの事情から見て、その際野田検事正は偶然竹林氏に会ったのではなくて、当初から一定の計画に基づいて竹林氏と行動をともにしていたのではあるまいかという点の御疑念に答えるために調査をいたした次第でございますが、その調査の結果を申し上げますと、まず、このときの一行が運転手四名を含めまして十四名でありましたこと、それから野田検事正が同日午後七時三十五分ごろにホテルに到着いたしましたが、同時刻ごろ、相前後して戸上、増本、村田、古賀、大即、竹林、桝田等の各氏が到着しておりますこと、野田検事正が二百十五号室に宿泊しておりますことは御質疑のとおりでございまして、事実、そのとおりでございます。
次に、ホテルに対する宿泊の予約の申し込みにつきましては、その月の五、六日ごろ、三井鉱山の田坂氏が職員に命じて電話で八日五、六人行くという程度の申し込みをさせていることが明らかでございます。その後同月八日の夕方竹林氏がゴルフ場から電話で、今申したのとは別に二、三室用意してくれという申し込みをしているのでございます。またホテルの都屋割りにつきましては、九州産業交通株式会社側の竹林、大即、桝田の王氏の部屋につきましては、竹林自身が割当をしておりますが、その他の七人の部屋は戸上氏が田坂氏と協議をして、橋本氏に一番よい部屋を与え、その他の各氏には普通の部屋を適当に出てることとして、戸上氏が具体的な割当をいたしたということでございます。
そこで野田検事正がこのゴルフに参加するに至った経緯を見ますると、昨年七月上旬、九州産交会社の常務取締役であって元阿蘇観光ホテル担当重役でありましたこの大即氏から検事正に話がありまして、阿蘇にゴルフに行かないかということでありました。そのときの大即氏の話によりますと、メンバーは大剛氏のほかに、検事正も個人的に懇点な間柄であります司法関係の人、それからかねて知り合いの田坂氏、元弁護士会長で付則のある人と考えておりました村田弁護士であるとのことでありました。野田検事正といたしましては、かつて公務上の客を案内して、阿蘇観光ホテルに投宿したこともあって、同ホテルの経営を統括しておりました大即氏とはかねて顔見知りの間柄であったばかりでなく、同氏からゴルフの手ほどきを受けたというようなこともあったそうでございまして、このときも先生格の同氏からの勧誘でもあり、またその顔ぶれも、連絡のあった四民だけであろうというふうに考えまして、それ以外に参加者があろうとは全く考えずに承諾の返事を与えたということでございます。ところが、同検事正は八日、ホテルの食堂に入りますと、初めてそこに竹林氏が来ていることを知りまして、御自身の言葉によりますると、ちょっとまずいと思ったが、そのまま退席することは社交上いささか妥当を欠くというふうにも思われたので、一に旧知の人とともに楽しむという気持で、その会食や、ゴルフに参加したものであって、会食の席上でも、同氏とは特段の話し合いをしてもおらないし、翌日のゴルフにおきましても同氏と組んでプレーをするようなことはしなかったというふうに申しておるのでございます。それらの検事正自身の陳弁するところ並びに検察当局がホテルその他につきまして調査をいたしましたところなどを総合してみまするに、野田検事正はかねてからの知り合いとの親善を深めるという気持から泊りがけで同行のゴルフに参加したものでありまして、竹林氏がこれに参加していることは現地に至って初めてこれを知った事情にあったというふうに認められる次第でございます。
なお、前回亀田委員から御質疑のありました点をさらにつけ加えてお答え申し上げたいと思いますが、そのときのホテルに対する支払い関係でございますが、これも調査をいたしました結果を申し上げますと、まずホテルに対するものといたしましては、昨年の八月二十八日に三井鉱山関係者のグループということで九名の分の費用として支払われております中に、野田検事正分と運転手二名分が含まれておるのでございますが、その関係の支払いが三万七千八百八十五円でございます。これが現実に支払われておる金でございます。さらに同月四日、九州産交会社関係の五名分の費用といたしまして、運転手二名分を含めまして九千三百三円が現実に支払われておりますことはホテルの関係書類等によりまして調査の結果明らかでございます。このうち、運転手四名分の費用は部屋の料金が合計千五百円でございまして、これに定食代、奉仕料その他を加えまして合計六千円前後と考えられるのでございまして、この運転手四名分を除く十名分の費用は合計四万円ぐらいとなるのでございますが、そこで一人当たりの費用は大まかに申しまして四千円ぐらいと考えられるのでございます。なお、こ検事正が宿泊いたしました二百十五号室の規定上の料金は、御質問のとおり二千五百円でございますが、ホテルに対する支払いが他の者と一括して行なわれておりますために、その詳細は必ずしも明確ではございません。
次にゴルフ関係の費用でございますが、野田検事正は前の日、土曜日の八日の日のゴルフ料金につきましては、その日にゴルフ・クラブにみずから支払っておりまして、九日、日曜日の当日のゴルフ料金は九州産交関係者三名を除く七名分と一緒にして支払われておるのでございます。同検事正分の料金は、検事正が特別会員の取り扱いを受けておりましたので千五百円でございます。——千五百円じゃありません。一千百五円であります。このほか同検事正は当日五等の成績をおさめたそうでございまして、その五等には三百円ぐらいの賞品をもらったそうでございます。さらにゴルフ場で食事をしました費用が一人当たり四百円ぐらいということでございまして、同検事正分として現実に要した費用は、合計千八百五円ぐらいでございます。そこでこのホテルの分と、何方の関係を寄せますと、四千円と千八百円、合計いたしまして五千八百五円ぐらいが、野田検事正がホテルでの宿泊と、翌九日ゴルフに要した費用の総額であった。これは客観的に見てそういう金額になるということでございます。ところで野田検事正は、九日のゴルフの終わりました後に、会費として戸上氏から三千円出せということでございまして、他の人たちと同様に三千円ずつ払ったそうでございますが、今申しましたように、この金額は客観的には現実に要した費用を下回っておることは否定できないと考えるのでございます。ただ検事正の気持といたしましては、ホテル料金を正確に記憶をしていたわけでもなく、また会費の支払いに際しましても、特に金額を計算する余裕もなかったので、ばく然と現実の費用もこの程度のものであろうというふうに考えて支払ったという心境のようでございます。
それからこれは別の機会であったと思いますが、御質問のもう一つの重要な点といたしまして、一行が夕食をともにしておる席上で、関係者の間で、熊本地検あるいは熊本地裁で現実に取り扱っておる事件の話が、当事者の間で話題になったということが疑問とされたのでございますが、この点につきまして従業員の相当上のクラスの方の名前も、実は内々承っておったのでございまして、そういう点につきましても十分調査をいたした次第でございますが、その際の話題はゴルフの話に終始しておったようでございまして、当時熊本地検において捜査中の九州産交労組告発事件はもとより、その他の事件につきましても、そういう点につきましては何の話も出なかったということが、これは調査の結果明らかになったということでございます。このことは先ほどちょっと触れました従業員の人につきましても十分聞いたのでございますが、その結果においても同じようなことでございます。もちろん野田検事正は、先ほど申しましたように、まずいことになったというふうに考えておりましたので、本人としてはことさらそういう点は避けて竹林とは口も聞かなかったように申しておるのでございます。
以上が大体御質疑に対するお答えになろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/106
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107・亀田得治
○亀田得治君 相当こまかい点について口頭で御報告がありましたので、あるいは多少私聞き漏らしておるかもしれぬと思いますが、もし聞き漏らしておりましたら、また訂正していただくことにします。若干、せっかくの御説明でありますが、ふに落ちない点等がありますので、確めておきたいと思います。このホテル代は、野田検事正の分は、三万七千円の中に入っておると思います。これは皆さんのほうの調査でもそうなっておると思います。それからこの九千三百三円というのは、これは産交関係の支払い、こういうふうになっているのです。で、産交関係のほうはこれは相当三、四割特別の関係ですから割引されている料金なんです。したがいまして、この二日を一緒に通算したのでは正確なやはり計算に私はならないと思うのです。この点はどういうふうにこれは割引料金のはずです、九千三百三円のほうは、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/107
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108・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 御指摘のとおり、野田検事正の分はこの三井鉱山関係者九名分の三万七千八百八十五円の中に含めて計算しております。で、一方の産交会社の関係者のほうはやはり割引になっているようでございまして、したがって、御指摘のように、これを一緒にして十で割るという計算はもちろん適当でないと思うのでございますが、うちのほうへ参りました報告で、そこのところ区別してやれないかということでいろいろやってみたわけでございますが、今ここで何銭何厘を支払うという関係でございませんで、まあ三千円と五千八百円というような概括的な数字との食い違いから当、不当を議論するということでありましたので、そこのところを計算ができないということでありましたので、まあ突っ込みで一応出したわけでございますが、かりに区別して片一方を九名の中から二名をいた七で割るというやり方をしたとしましても、多少違うという程度にとどまって、当、不当の点につきましては、それによっていささかも消長を来たさぬのではないかという考え方をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/108
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109・亀田得治
○亀田得治君 まあわけをわかっておってそういう計算をされたならば、それでいいわけですが、そういう調査を落としているかと思いましてお開きしたわけです。まあ正確に計算してもそれは三、四百円の程度の違いではないかと思うのですが、まあ一ぺんはじいてみないとわかりませんが。それからもう一つは、ホテルに関してお調べになったと言われるわけですが、これは熊本の地検から行かれてお調べになったのでしょうか、高検でしょうか、どっちです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/109
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110・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) これは福岡高検の検事長からの報告でございまして、差し向けまして調べた高検の、ただいまは山形の検事正に先般転任いたしました曾我部次席検事が、みずから検事長の命を受けましてホテルに参りまして調査した結果ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/110
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111・亀田得治
○亀田得治君 これはどなたにお会いになってお調べになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/111
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112・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 報告書によりますと、関係の帳簿を全部見せていただきまして当たりましたほかに、人としましては、従業員の立石市郎氏につきましても事情を聞いて確認をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/112
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113・亀田得治
○亀田得治君 まあ、帳簿のほうは、大体これは客観的に是認されることですからいいわけですが、ホテルにおける行動ですね、これはやはりお客様に接する関係の人でないとこれはわからぬわけでして、そういうわけで、私のほうから特にあなたに立石市郎を調べてくれ、こういうふうに申し上げたわけなんでありますが、どうも結論が私たちのほうの調査とは違うわけでして、実際に立石さんがおっしゃったことが直接話法でそこの調査報告の中に載っているんですか。あるいはお調べになった高検の次席検事の調べた結果の結論的なものとして書かれているのか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/113
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114・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 曾我部次席は立石さんに直接会って、立石さんから事情を聞いておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/114
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115・亀田得治
○亀田得治君 いや、そこで立石がどう言うたというふうにきちっと書かれているわけでしょう、立石の言葉を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/115
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116・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 問答体で君
いてはもちろんございませんが、立石さんの話としてここに文章でしるされておる内容が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/116
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117・亀田得治
○亀田得治君 その辺はたいへん私どもの調査と食い違っておるわけですが、その調査はいつになっているんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/117
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118・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 調査した日は確実にはわからないのでございますが、検事長からの報告書は二月二十七日付の報告書でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/118
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119・亀田得治
○亀田得治君 ちょっと開き漏らしたわけですが、最初、野田検事正が、自分たちは四人が集まるんだと思っていた、その四人の名前をここにちょっと、だれとだれの四人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/119
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120・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 大即氏からの最初の話では、まず第一に大即氏、それから検事正が個人的に前から知っております司法関係者の人、それから田坂氏、それから元弁護士会長であって、現に弁護士である村田氏、その四名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/120
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121・亀田得治
○亀田得治君 二番目はだれでしたっけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/121
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122・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 田坂氏。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/122
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123・亀田得治
○亀田得治君 田坂氏の曲。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/123
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124・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 司法関係者の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/124
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125・亀田得治
○亀田得治君 名前は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/125
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126・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) これは古賀さんという方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/126
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127・亀田得治
○亀田得治君 古賀さんは、これは弁護士ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/127
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128・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) これは福岡高裁の判事でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/128
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129・亀田得治
○亀田得治君 橋本弁護士は、その四人には入っていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/129
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130・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 大即さんからの最初の話のときには橋本弁議士は入っておらないのでございますが、現実に行ってみると橋本さんも来ておった、こういうことのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/130
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131・亀田得治
○亀田得治君 そこでお聞きするわけですが、大即さんは産交の常務でしょう。村田さんは三井と産交と両方の顧問弁護士をやっておる。田坂さんは三井の総称部長なんです。なるほど人数は最終的には相当ふくれ上がったわけですが、最初のこの三、四名をちゃんとそろえましても、非常に事件をたくさん持っておる三井と産交の人がちゃんとそろっておるじゃないですか。私はこういうことは、最初は四人のつもりであったかもしれぬが、あれだけの事件をいなかでやっていたら、これはもうたいへんなことなんだ、向こうは。あの辺でちょっとうわさを聞いたって。そういうことはどういうふうにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/131
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132・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 仰せのとおり、大即さんという人は産交の常務取締役でございまして、まあいわば被告発人側の人でございます。したがいまして、なるほど検事正はあとどういう人がふくれ上がってくるかということは予想し得なかったとしても、大即さんがそういう関係者の一人であるということはわかっておるわけでございますから、やはりこれは、時期としましては、大即さんからそういうお話があったとしても、そこでちょっと慎重に考えてみることが必要ではなかったかというふうに私ども考えるのでございます。それから古賢さんにつきましては、これは司法官でございますから、別段問題はないと思います。また田坂さんは、三井関係の人でございますけれども、この方も何かきわめて個人的な関係でお知り合いのようでございますが、そういう人である。それから村田さんは顧問弁護士をしておられるかもしれませんが、とにかく弁護士であられるわけで、まあそういったようなわけで、他の三氏につきましては、これもあとになってせんさくすればいろいろな問題がありそうな気がせぬでもありませんが、少なくとも大即さんにつきましては、産交の常務取締役であるという現在の位置から考えまして、あのときにああいうお誘いを受けた際にもう少し慎重に考慮をしてみる必要があったんではなかろうかというふうに、私ども今日になってみて考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/132
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133・亀田得治
○亀田得治君 私がたとえば告発したり、あるいは法務委員会等で大いに追及しておるその相手の弁護士なんかと、あるいはその会社の重役と一緒に飯でも食っておったといったら、私に対する陳情なり要請をしてきた諸君がどう考えるか、それはもう常識ですよ、こんなことは。ことに検事正ともあろう人がそういうことは特に厳格に対処しなきゃならぬわけですからね。ただいまの刑事局長の御報告を聞きましても、これははなはだ遺憾な行動であったと、私はお答え自体の中からわかるわけです。十二人はなるほどその点にこだわれば偶然であったと言えるかもしれんが、しかし、最初の四人はこれは何も偶然じゃないので、大即さんから誘われてちゃんと承諾をしてそうして集まっているわけで、そうなればむしろその点が大事なわけでして、あとはどれだけふえようと、それはみんな同じような関係の人ですからね。そこの点はむしろたいした問題では私はなかろうと思う。だから、最終的にひとつ大臣の御意見を聞いてみたいと思います。
そこでいろいろお調べになったようですがリンドウ会というものをその八日から九日にかけて関係者がお作りになったと、こういうふうなことは調査されておらぬでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/133
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134・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 何かリンドウ会というのがその後できて、そういう会としてそういうプレーをやっておるという話が、検事正転任後にそういうものがあるやに報告の中にもちょっと出ておるのでございますが、検事正はリンドウ会としてやったことはないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/134
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135・亀田得治
○亀田得治君 私のほうで戸上に会いまして、まあ私じゃないですが、本件に関心を持っておる諸君が戸上に会いまして、そうして調べたところによりますと、その日現地でリンドウ会というものを作った、こういうことになっております。この辺もどうも割り切れないものを感ずるわけでして、まあ偶然かなんかにしろ、ともかく一度ゴルフをやってそうして飯を一ぺん食ったということなら、それは一時的なことになりますがね。ところが、何か会を作るというようなことになりますと、これははなはだ私は穏当を欠くと思うんです。それはどんなにゆるい会、まあおそらくそんな規約のあるような会でもないのでしょうが、検事正ともあろう者が、問題になっている会社の重役やそういう諸君と何かグループを作るというような印象を外へ与える、こういうことはもってのほかじゃなかろうかと思うんですがね。まあそんな会ですから、別にどこまでが会員で、しからば検事正が正式の会員と言えるのか言えないのかということにもなるでしょうが、まあ世間はそんな法律的なこまかいことを別にせんさくしているのじゃないのでして、あの人たちが寄って何かリンドウ会みたいなものを作ったらしいと、もうそれだけでやっぱり非常な疑惑の種になるわけですね。それはあとから検事正が転任されてから作ったのじゃなしに、現地でその日作った、こうおっしゃっているわけだ。だから、まあ検事正がそう主体になってやったわけでもないでしょうが、それはほんとうに偶然にこういう機会があったのなら、それはちょっと待ってくれ、そんなことは少なくともおれのおらぬところでしてくれと言わなきゃならぬところですわね。それもおっしゃらないで黙っているところに、少し検事正という地位を忘れられておるのじゃないかという感じがするんですね。幾ら飲んでおったって、それは大事なことですから言いますよ。で、局長は、何かそれからあとに、とかいうようなことをお答えになっておりますが、その辺は相当正確に調査されているわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/135
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136・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 今のようなお話も、報告書の中にちょっと見えておりましたので、ちょっと神経質みたいなことになりますが、なお念を入れて調査をしてみたわけでございますが、その場でそういう話が出たかどうか、これは確認する資料がないわけでございますけれども、その後に、そういうものがあるということでございまして、検事正自身も自分は役人でもありますし、当時転任を予定しておったわけではありませんけれども、役人が外部の者と懇親会という特別なパーティのようなものを、グループのようなものを作るという考えは自分で狩っておらないので、気にもとめていなかったため、最初の報告の中にそんなことも書かなかったが、その後、仲間がリンドウ会でございますか、そういう会を作って、ずっと、自分が転任してから後も懇親のゴルフ会を続けておるやに聞いておると、それがどうしてそんなことが出てきたかというと、自分も、三千円でちょうどいいと思って、向こうがそう言うから払ったけれども、足らぬという話なら追加して返さなきゃならぬが、だれに返したらいいかというようなことから、そのリンドウ会というようなものがあるらしいということもわかった、ということの報告でございまして、かりにその席でそういう話が出て、何もオブジェクションをそこで出す必要もない、黙って聞いておって、自分が入らなけりゃそれでいいことじゃなかろうかとも思いますが、もちろん、その仲間に、一緒になってリンドウ会を作って、今後そういう外部の人と一緒になって特別な懇親のグループを作るというようなことは、仰せのとおり、私どももきわめて妥当を欠く行為だと思います。しかし、検事正はそんなことは考えておらなかったように推測されるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/136
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137・亀田得治
○亀田得治君 まあ検事正の問題は一応この程度にして、例の本筋の告発問題ですね。これは、報告書を文書でいただきましたから、さらにこれを朗読されるのも時間がかかりますから、一応これによって報告を受けたとの前提で、二、三確かめてみたいと思います。
その第一点が、この報告書を拝見いたしますと、犯罪の嫌疑がないというのと、犯罪の嫌疑不十分というのと、分けて書かれております。そこで問題は、犯罪の嫌疑不十分と指摘されておる点ですが、これは、主として架空の領収証を用いて金を引き出しているんです。その点までは、もちろん担当の検察官も認めております。これは、不起訴になった後に、告発人の諸君が、これは重大な問題でありますので、確かめに行っておるわけですが、いろんなでたらめな領収証で金を出しておる。このこと自体は、これははっきりしているわけですね、検察庁で。ただ、それによって引き出された金ですね。それがどう使われたのか、はっきりしない。だから、その嫌疑不十分だ、こういう論法のようです。あなたの報告書を拝見いたしましても、三枚目の終わりのところ、(三)の「第三事実」というところ、あるいはその裏の「第四事実」、それから一番終わりですね。報告書のこれはまあ森告発人の分の一番終わりのやつですが、まあこれなんかもそういうことです。で、告発人たちがどうしても納得しないのは、正当に使う機密費なり交際費であれば、何もそんな架空の領収証などを作って、会計から金を引き出す必要がないではないか。これは、だれしも持つ疑問なわけです。検察庁としても、その点はまあ認めているわけでして、それはそうだろうというふうに認めていなければ、これは疑う理由というものは出てこないわけですから、それは認めると思うんですが、ただ、そういうふうにして引き出した金の使い方が、自分の私費に使っているとか、そういうことになれば犯罪が成立するということで、そこを追及、お調べになったようですが、そこがはっきりしない。結論としてはどうもそういうことのようです。そこで、二、三どうしてもこれに告発人側としては納得できないわけでして、お聞きするわけですが、しからば、架空の領収証というものは、金額にしてどれだけ、枚数にして何枚ぐらい使われたのか、その点をまずひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/137
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138・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) ただいま御質問の、その金額にして幾ら、枚数にして幾らという点につきましては、私どものほうへ参っております報告からはお答えいたしかねる状況でございますが、もちろん、捜査当局は握っていると思うのでございますけれども、その点は、公にいたしますことも困難な事情にあるのじゃないかと思いますが、不起訴記録の内容を公表するというような結果にならないような意味においてのお答えということでございまして、そういう形でまあお答えを申し上げるということになろうかと思いますが、それも、現地の検察官について、告訴人という立場から、告発人という立場からお聞き取りを願うほかないのじゃないかというふうに考えているのでございます。私のほうには、そこまでこまかい点は報告されて参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/138
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139・亀田得治
○亀田得治君 この告発人は従業員でありまして、それで、でたらめな告発をしたということであっては、これはたいへんな問題が起こるわけなんです。そうして告発事件を検察庁に持っていっているわけですから、それは検察機能に対するやはり協力なんです、ある意味では。また、非常に熱心に協力もしたわけなんです。したがいまして、これは、告発人としては、何としてもある程度のことは説明してもらいませんと困るわけです。じゃ会社が一方的に何か処分するというようなことをやった場合に、こちらとしてどうして対抗するのか。そういう面から考えたって、これは必要なことになるわけです。だから、一体架空領収証というものは何枚ぐらい出て、金額は幾らぐらいか、それが何に使われたかという点は検察庁か——これは非常に重要な問題です。しかし、私が指摘したような点ぐらいは、それは疑いを持たれた出発点なんですから、こちらにしてみれば、それくらいの説明がなければ、これは何としたっておさまりっこないわけです。そこで、お聞きするわけですが、これは地元の検察官に開いてくれというようなことのようですが、地元の検察官じゃなしに、それは本省のほうでお調べ願うわけにいかないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/139
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140・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 私のほうには、現実にそういう調査報告は参っておらないのでございますが、先ほど申しましたように、不起訴事件の記録の内容というようなものは、公開しない建前になっておりますけれど、告訴人という立場から関心を持っている事項につきましてお尋ねを受け、それに対してある程度納得のいくように説明をするということは、今申しました不起訴記録を公開するというような制限かちまた別の観点で理解し得る事柄であろうと、そういうふうに考えるわけであります。私が事情を聞いて、この公開の席上でお答えを申し上げるということになりますと、今言ったような制限に若干抵触してくる場合があるのじゃないかというふうに考えるわけでございまして、そういう意味におきまして、現地の告発人から取調官にお尋ねになってみてはいかがかということを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/140
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141・亀田得治
○亀田得治君 この架空領収証で引き出したお金を、使途を検察庁が調べたわけですね。しかし、どうもはっきりつかめない、そこで嫌疑不十分、こうしているわけですが、全然はっきりしないわけじゃ私はなかろうと思う。その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/141
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142・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) これは、一つの法律論があるわけでございますが、架空の領収証を使って、ある金をここへ浮き出させる、その金を機密費等に使ったと、こういうことになっているわけでございます。その場合に、官庁の会計などでございますと、予算費目というものはちゃんときまっているわけで、旅費を庁費に流用したり、庁費を旅費に使ったりというようなことは、科目を乱るわけでございまして、固く会計法上禁止されているわけでございますが、それとても、もしその禁を犯した場合に、刑法の犯罪としてはどういう犯罪になるのかという問題が一つございます。で、この九州産交の会計の書類を見ますると、官庁会計などとは違いまして、すこぶるそこはずさんと申しますか、官庁会計のような予算の科目から見ますと、そういう点はすこぶるあいまいもことしている面が多いようでございまして、ただ機密費のワクというものはあるわけなんで、何でもかんでも機密費だ機密費だいって使えば犯罪にならないというようなものではなくて、一定のワク内の機密費は、あらかじめ予算として決議されておるそうでございまして、そのワク内において使う。その場合に、国の予算と違いまして、必ずしも常に、使ったが、そのとき現金があるとは限りませんので、どんどん使った場合に、金券のようなものを、ちょっとメモを書いて、これを使ったということで渡すと、会計のほうでは、それに基づいて整理をしていくようでございますが、そのとき現金がないから、集めておったやつで渡す。あるいはあとで調整しますときに、今言った架空のものを使って埋め合わせをしていくといったような経理のやり方をやっているようでございます。この点は、私どもの目から見まして、すこぶる公正を欠くような案件でございます。しかし、それをもってすぐ業務上横領というように見えるかどうかということにつきましては、これはなかなかむずかしいのでございまして、もちろん、積極的に解する学説もないではございませんが最直截の判例等は、そういう場合には、機密費でありましても、それは会社のために使ったのでありまして、自分のために使ったということになりませんと、背任にも、また業務上横領にならないというふうになっております。そこで、検察官としては、浮き上がらせたその機密費の使い方が、ほんとうに会社のためであるか、自分の、個人の用にも使っていはせんだろうかという点が捜査の焦点になったようでございまして、その点の追及をしていくわけでございますが、官庁の会計と違って、証憑書類といったようなものはなかなかない。そういう意味におきまして、非常に捜査は難航したようでございますけれども、結局、何か疑いは残っているのだけれども、きめ手となる証拠がつかめんというのがこの結論のように承知しているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/142
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143・亀田得治
○亀田得治君 その報告書は、会社以外のことには決して使ってない、全部会社のことに使っている、自費には使っておらない、そういう結論の報告ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/143
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144・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) そうではございませんで、会社のための機密費として使ったのだ、機密費として使ったということは、会社のために使ったということでございますが、そういう弁解はしているけれども、私に使ったものもあるのじゃなかろうかという嫌疑が残っているけれども、私に使ったというはっきりした証拠がないというのが、嫌疑なしという結論になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/144
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145・亀田得治
○亀田得治君 それじゃ、会社のために使ったということも、きちんと全部裏づけできているのですか。私に使った点についても証拠が握れん、こうおっしゃるが、その膨大なお金が会社に、ここで二十万使った、ここで五十万使ったというふうに、裏づけがちゃんとできているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/145
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146・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) その機密費というものがなかなかつかみにくいのでございまして、会社のために全部使ったのだという証明がつけば、犯罪は嫌疑なしということで、比較的「罪にならず」に近い裁定になると思いますが、そうとも言えず、さればといって、私に使ったという証拠もあがらないというところから、嫌疑不十分ということに相なったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/146
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147・亀田得治
○亀田得治君 いつかの質問でも、例の美宝堂の林敏夫ですね。これが問題になったわけですが、昨年の十一月三十日の刑事局長の御答弁でも、美宝堂から実際に品物を買っていないのに、にせの領収証を切らしている。そういう関係があって、ぜひ林敏夫は調べてみる必要がある、こういうふうにおっしゃっているわけです。ところが、美宝堂はまだつかまらないのですね。林敏夫。なぜそんな、こんなものがいつまでもつかまらんというのは不思議なんですがね。しかし、つかまらんのはつかまらんでしょう。なぜ、そんなものがつかまらんうちに、その部分の結論をお出しになったのです。ちょっとこの前の答弁からいっても筋が通らぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/147
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148・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 仰せのとおりでございまして、私も、美宝堂主人は、ぜひ検察庁としてもこの関係で調べたいという一人であるということを申し上げているわけでございますが、そのように私も現地から報告を受けておるのでございますが、今日調べずに結論を出すということが適当でないんじゃないか。欲を申しますればそうだと思うのでございますが、ただ、事案の性質から言いまして、美宝堂から違った受取を使ったということが文書偽造とかいうようなものになれば、それは、それ自体犯罪でございますが、金を浮かせる手段としてそういうことをやったということでありましても、そのこと自体は、不当経理というだけであって、犯罪としては、その浮かした金を私に使ったから、会社のために、つまり機密費として使ったかという点に捜査の焦点をしぼってきておるようでございまして、その結果、十分証明がつかぬということになりますと、美宝堂主人を調べないというこの一点で、じんぜんと結論を出すことをちゅうちょするということは、やはり捜査官としては、かね合いの問題でもございますが、まずはこの辺で、その点は調べなくても判断がつくという考えに立ち至ったのではないかというふうに思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/148
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149・亀田得治
○亀田得治君 ともかく何に使ったかということは、これは任意捜査でやっておるわけでしょう。それは適当なことを言いますよ。したがいまして、たぐる方法としては、美宝堂まで行って、何でそんな領収証を出さしたのか、そういうことでも追及していかなければ、それは手がかりが実際上ないでしょう。美宝堂を調べたら、あるいはこのにせのやつを出すかわりに、出した金で何かちょっと待遇するということもあったかもしれぬし、私は、これは強制捜査をやられておれば、追及の仕方はだいぶ違うと思うのですが、強制捜査しないわけですからね。普通でない形式で金が出ていることは認めながら、あとはその会社の重役の言いなりですね、結局。だから、そういう状態なら、たとえ間接的であっても、美宝堂の主人に聞いて、お前がこういう領収証を会社に出してやったか、どんな関係なんだというような点をどうしてこれは追及しないのですかね。これは追及するつもり、だったとおっしゃるのでしょうが、そこまでやって、なおかつそれでも手がかりが出てこぬということなら、告発人も多少誠意は認めると思うのですが、もうさっさと結論をお出しになっている。これは、刑事局長も、美宝堂のことはぜひ調べよということで御指示なさったはずですが、これはどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/149
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150・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 美宝堂の点につきましては、警察署長でございましたかにあてて手紙が来ておる。わかっておるじゃないだろうかという御疑念に対しまして、当時調査をして、それはわかっちゃいなかったのだけれども、そういう手紙が来たということだけはわかったということで、その岡山でございましたかの消印であるというので、岡山、広島方面の探索を、指名手配をしてやっておるということの回答でございます。その点につきましてはですね。そういうことになって、調べて、何もほったらかしてあるわけではなかったように思われます。
それからなお、亀田先生のお話の強制捜査の点でございますけれども、強制捜査をすればそういうことを言うということは、必ずしもそうはならないので、やはり強制捜査をするというのは、証拠隠滅のおそれがあるとか、逃亡のおそれがあるとかいうのが理由なんで、供述を求めるために強制捜査を、身柄を拘束するというようなことはしてはいけないことなのでございます。これは申すまでもないことでございます。しかし、それにしましても、会計帳簿の点検をした結果、こういうところに書き上げてあるけれども、その使途は本人に聞かなければわからないというような根拠をもとにして質問をしていくというのでなければ、金券一枚で、メモ一つでどこそこの払い、機密費としてぽっと渡してしまったそのメモを、幾ら横からながめても、縦からながめても、そこから私に使ったという証拠を、たとえ身柄を拘束いたしましても、そこから引き出すというようなことはなかなかむずかしいのでございまして、もちろん、これは強制捜査をしてやるべき案件か、あるいは任意捜査であくまでこの事件のように押し進めてやるのがいいかというようなことは、現場の検察官の責任において判断をすべきことでございますから、一がいに批判をすることは差し控えなければなりませんが、これはなかなかむずかしい問題で、身柄を拘束いたします場合に、供述だけを得るというようなことではやっちゃいけないということに取り扱っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/150
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151・亀田得治
○亀田得治君 供述だけ取るために逮捕するのもずいぶんありますよ。竹内さんはそうおっしゃるけれども、ずいぶんありますよ。そういう場合には一々訂正を申し込みますけれども——私の申し上げるのは、にせの領収証などを作って、金を出して、そうしてそれが、それじゃ出し方が悪かったが、使用の仕方はちゃんとはっきりしているのだと、帳簿の上で、おそらくはっきりしておらぬのでしょう。はっきりしておらぬから、検事としては、どっちかわからぬ、こういう疑いを持っておるわけでして、帳簿の上で、あれに使った、これに使ったとなっていたって、それを一々当たっておるわけですか。当たって、なるほどと、こうなれば、それは犯罪の嫌疑なしでやったらいいですよ、そんな不十分というようなことじゃなしに。そこまで行っておらぬでしょう。つまり、会社の重役としては、説明のつかない金があるわけなんでしょう。全部説明がついておるなら嫌疑なしですよ。説明のつかぬ金があるなら、強制捜査をやっていいのじゃないですか。どうなんですか。それから、もっと早く書類なども押収して。大体あなた、ゆっくりやっているから、全部帳簿だって変わっておるはずです。説明はついていないのでしょう、会社の重役の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/151
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152・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 書類の押収につきましては、時期を失したことは、捜査上、あとから考えてみましても、ないというのが検事長の監察結果でありまして、その点は御信頼を願いたいと思うのでございます。今の、あとが調べてないのじゃなかろうかという御疑念でございますけれども、仰せのとおり、調べられればはっきりすると思うのでありますが、機密費で使いましたということでありまして、その機密費をどこへどういうふうに使ったかということになりますと、相当古い、つまり数年前のものもありまして、それがどこの料理屋の払いに使っておるのか、その料理屋というのは、どういう会であったのかというようなことにつきまして、記憶は薄らいでしまっておって、その点を一々全部当たっていく手がかりもないわけです。手がかりがありますれば、もちろん検察官としてはこれを調べていって、それが機密費に相当する使い方であったか、それは単なる自分の飲食の費用であったかということなどがはっきりしてくるわけでございますけれども、そういう手がかりになる資料は、会計帳簿には、もちろん機密費として書き上げてあるだけでございまして、会計帳簿からはそれをうかがう方法はない。そこで、会計帳簿に機密費として書き上げたもとになる伝票みたいなものは何かというと、先ほど申し上げましたように、金券のようなもので、鉛筆でちょっとメモに書いた程度のもので、幾ら出せというような式のものを重役から会計係に渡されたというようなことで、そのメモを上から見ようと縦から見ようと、そこから料理屋も浮かんでこなければ、それを説明させようにも、数年前のことで、一々はっきり記憶しておらぬというようなことで、非常に難渋したということでございます。そういうことで、調べる方法がないということで、嫌疑を蔵しながらも、有罪のきめ手となる結論が得られなかったということのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/152
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153・亀田得治
○亀田得治君 はなはだたよりないですな、そうなると、検察庁は。これはもう機密費で、忘れてしもうたと言えば、それ以上は追及できないんですね。何にせい、堂々と、会社のために金を使うのであれば、正規に出していけばいいんですからね。だから、何といいますか、こういう事件があがらぬようでは、これはちょっと検察庁も困るですね。
それからもう一つ、万日山の事件につきまして、四月七日に、伊津野検事が、再び万日山の問題をよく知っている池田嘉一、木村茂義、こういう人を呼び出しているんですがね、不起訴処分にした後に。何かやはり自信がないのと違うんですか。呼び出したときの問答も、私、報告は受けておりますが、不起訴処分にしてしまってから、何でそんな者を一体呼ぶのか。しかも、呼び出しておいて、お前たちはまだ万日山事件を追及するつもりかと、あまりそんなことをしていると、誣告になるぞ、というようなことを検事が言っておる。まあ悪くとったら、多少疑いはまだ残っているが、あとからそれがひっくり返って、ばれてきたのでは検事のミスになるから、もうここら辺でやめておいたらどうかというような、半ば脅迫的な勧告のような感じを受ける。ただし、別れぎわには、何か証拠があったらひとつ知らせてくれ、というようなことも言うておったようですが、相矛盾したような言葉を使っているようですが、いずれにいたしましても、不起訴処分にして、なおかつ参考人をもう一度呼んで、今私が申し上げたような、相矛盾するようなことを言わにゃならぬような、へっぴり腰で処分するというのは、はなはだけしからぬと思っている。きのう初めて私このことは聞いたわけですが、こんなことはないでしょう。処分してから未練たらしいということは、自信がないということなんでしょう。まああなたに質問していると、いつも次から次へ新しいのが出てきて、質問が残るわけですけれども、それで、検察官がそういうことをおやりになるから、これ、また関係者としては、はなはだふに落ちないわけです。検事はなぜあんなことを、今ごろになって呼び出したんだろうと、全然あなたは知らぬですか、そんなこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/153
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154・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 全く初耳でございまして、そういう報告ももちろん受けておりません。起訴不起訴を決定しました後においては、もちろん一事不再理というような関係はございません。起訴猶予になりましたものでも、さらに再び起訴するということもあり得ますけれども、いわんや嫌疑不十分とか、嫌疑なしというような処分をしたものにつきましては、さらに新しい資料によって嫌疑が生まれてきたというような場合もないとは言えない。そういう場合に、さらに捜査をすることを禁止した法律の規定はないわけでございますけれども、通常はいたさないのが常識でございます。もし、その伊津野検事が関係者を呼び出して聞いているというようなことでございましたならば、通常考えられますことは、何かその問題に関して新しい情報、知識を検察庁が得て、その点を確認した上、関係者に来てもらったというようなことが考えられるわけでございます。その一事をもって、自信がない結論を出したから、そういうことをやっているのだというようにも勘ぐれば勘ぐれぬこともありませぬが、そうでない見方を通常はし得ると思いますが、通常、一度決定しましたものにつきましては、特段の理由がない限りは、重ねて調べをするということはないように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/154
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155・亀田得治
○亀田得治君 万日山の点については、この報告書を見ても、嫌疑不十分じゃなしに、嫌疑がない、こうなっている、結論は。そういうものについて、私が指摘したような、そんな扱いをしていること自身に、はなはだ了解できぬものがあるわけです。これはまあどうせ検察審査会なり、いろいろ別個な機関のほうに移されることになるのだろうと思いますが、そこで、最終的に一点お伺いしたいのは、例の野田元検事正の身分ですね。先ほどのあなたの調査報告からいたしましても、決してこれは偶然な会合ではない。偶然じゃないです、これは。十何人は偶然かもしれないが、もとは偶然じゃない、これは。それからまあ三千円支払ったといいますが、実際にかかった費用の少なくともこれは半分です。いろんな表に現われない経費などを入れたら、それはもっと……少なくともこれよりはかかっているに違いないわけですから、半分ですから、まあ一割か二割足らなかったというのとはこれはだいぶ違う。しかも、産交、三井といったような、検察庁で重大な事件を扱っている相手からそれが結局は支出されているわけです。今ごろから払おうかというようなことを言っておったって、それは言うてるだけでしてね。そういうまあホテルにおける話の内容につきましては、私たちの調査と御報告とは、これはまあ食い違っておりますが、しかし、他の点だけから判断いたしましても、これは検事正としてはなはだ格好の悪い話だと私は思うのですね。これにつきまして、法務省としては一体どういうふうなお考えなのか、これは、法務大臣にお聞きしたほうがいいかと思うのですが、何かそういう点についての打ち合わせ等なんかあるのでしたら、お答えを願いたい。一方では、あの検察官適格審査会にもかかっているわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/155
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156・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 検事正の身分上の問題につきましては、法務大臣から御答弁を願うのが相当だと思いますが、本件につきまして、担当の局としまして調査をいたしました関係上、資料を取りそろえまして、法務省内部の相当機関に提出いたしまして、先般もいろいろ身分上の処置につきまして詮議を進めておる段階でございまして、何分の身分上の処分がなされるものというように期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/156
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157・亀田得治
○亀田得治君 それは、法務大臣の決裁を仰ぐ、そういう段取りになっておるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/157
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158・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 法務大臣の御内意をすでに得ておりまして、あとは手続を進行させるという段階だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/158
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159・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/159
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160・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/160
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161・亀田得治
○亀田得治君 私たちは、あそこの三池労組なり産交労組の諸君の気持等から考えまして、非常に野田検事正の行動に対しては疑惑を持っておるし、そして表に現われた現象だけででも非常にやはり憤慨しているわけなんです。そういうことについては、十分答えられるような処分が出ると、こういうふうに了解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/161
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162・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) 私は、事実に即して、可能なる限り正当な評価をして、それに相当な処分をされるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/162
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163・亀田得治
○亀田得治君 実は、私のほうで、参考人または証人として関係者を一度法務委員会に呼んでほしいという考え方を持っているのです。それは、野田検事正のこの言動にいたしましても、御本人から私たち聞きたい点もありまするし、なおこの立石市郎についての話も、福岡の高検検事長の調べとわれわれと、だいぶ開きがあります。これは非常なやはり問題点だと思います。まあそういう点もあり、さらに、野田検事正がずっと指揮されてきた本件告発事件の扱い方というものが正当であったかどうかというような点につきましても、これは、今までは刑事局長を通じましていろいろ質疑しておるわけですが、やはり関係の担当検事なり直接の指揮された検事正、そういう諸君の弁解をわれわれとしては開きたい。まあそういう意味で、次に申し上げるような皆さんを参考人として呼んでほしい。これは、直接聞けば大体全貌というものが一そうはっきりするんじゃないかというふうに思います。名前をあげますと、熊本地検の池田検事正、担当の伊津野検事、それから、告発人の今村真純、森武徳、それから野田検事正関係の問題について、御本人の元野田検事正、それから戸山安喜、立石市部、ほかにもいろいろありますが、この程度はひとつ呼んでいただいて、面接ここで事態を明らかにして、まあ法務省の処分も、できますれば、そういう調査が終わったあとに、事実関係をより一そうつかんでもらって、そうしてやってもらいたい。おそらく、先ほどの御説明ですと、会食のときなどには、そういう事件のことは話をしておらぬといった前提に立っておるようなように思いますし、これは非常にやはり一つの問題点でありますので、そういう気持でこの七名の参考人を要求いたします。理事会等でどうぞ御相談願いたいと思います。一応本日は、そういうことで質疑と打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X01919620410/163
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164・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいまの亀田委員の御提案の取り扱いについては、いずれ理事会において協議いたします。
他に御発言もなければ、本件に関する調査は、本日は、この程度にとどめます。次会は、四月十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時散会
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