1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月三十一日(土曜日)
午後七時二十七分開議
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議事日程 第十四号
昭和三十七年三月三十一日
午前十時開議
第一 所得税法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 物品税法案(内閣提出、衆
議院送付)
第三 酒税法等の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第四 租税特別措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、議員派遣の件
一、日程第一 所得税法の一部を改
正する法律案
一、日程第二 物品税法案
一、日程第三酒税法等の一部を改
正する法律案
一、日程第四租税特別措置法の一
部を改正する法律案
一、法人税法の一部を改正する法律
案
一、関税定率法及び関税暫定措置法
の一部を改正する法律案
一、豪雪地帯対策特別措置法案
一、中小企業団体の組織に関する法
律の一部を改正する法律案
一、工業用水法の一部を改正する法
律案
一、運輸省設置法の一部を改正する
法律案
一、義務教育諸学校の教科用図書の
無償に関する法律案
一、著作権法の一部を改正する法律
案
一、昭和三十五年度一般会計予備費
使用総調書(その2)
一、昭和三十五年度特別会計予備費
使用総調書(その2)
一、昭和三十五年度特別会計予算総
則第十一条に基づく使用総調書
(その2)
一、昭和三十五年度特別会計予算総
則第十二条に基づく使用総調書
一、昭和三十六年度一般会計予備費
使用総調調書(その1)
一、昭和三十六年度特別会計予備費
使用総調書(その1)
一、昭和三十六年度特別会計予算総
則第十一条に基づく使用総調書
一、昭和三十六年度特別会計予算総
則第十二条に基づく使用総調書
一、国会議員の歳費、旅費及び手当
等に関する法律等の一部を改正す
る法律案
一、参議院事務局職員及び参議院法
制局職員の定員に関する件
一、昭和三十七年度一般会計予算
一、昭和三十七年度特別会計予算
一、昭和三十七年度政府関係機関予
算
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
来たる四月二十三日から同月二十九日までローマにおいて開催される列国議会同盟本年度春季会議に、本院から鈴木恭一君、武内五郎君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/2
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003・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一、所得税法の一部を改正する法律案、
日程第二、物品税法案、
日程第三、酒税法等の一部を改正する法律案、
日程第四、租税特別措置法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
及び本日委員長から報告書が提出せられました。
法人税法の一部を改正する法律案、
関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
を日程に追加し、六案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長棚橋小虎君。
〔棚橋小虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/5
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006・棚橋小虎
○棚橋小虎君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案のおもな内容について申し上げますと、
第一に、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現行の九万円より十万円に引き上げるとともに、税率について百八十万円以下の所得階層に適用される税率の緩和をはかる等、その負担を軽減しております。この改正により、夫婦及び子三人の家族の場合で、所得税を課せられない限度領は、給与所得者につきましては、現在の約三十九万円から約四十一万円に引き上げられております。第二に、国と地方公共団体との間の税源配分の適正化をはかるため、所得税の収入の一部を道府県民税の収入として移譲する措置として、本案の附則で地方税法の改正を行ない、道府県民税の税率を改めております。
第三は、生命保険料控除の引き上げ、教育、科学の振興のための寄付金控除制度の新設等、その他所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
委員会の審議におきましては、租税負担率が年々増加しても減税と言えるか、自然増収に比して減税額が少な過ぎないか、国民の最低生活を保証するという点から、課税最低限が低過ぎないか、物価の上昇により減税の効果がなくなるのではないか等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
かくて、質疑を終了し、討論に入り、原島委員より、自然増収に比して減税が少ない、高額の資産所得者に有利で、低所得者に対してきわめて不利であるとの反対意見が述べられ、次いで永末委員より、経済成長下の現在、今回の減税は調整にすぎず、累進税率を改めるとともに、課税最低限を引き上げるべきであるとの反対意見が述べられました。
採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、物品税法案について申し上げます。
本案のおもなる改正内容について申し上げます。
第一は、税負担の軽減合理化をはかるため、紙、セロファン、化粧用具、文具類等十六品目について課税を廃止し、また飾りもの及び玩具については、製造課税から小売課税へ移行し、また、現在製造従価課税の税率が三%から五〇%までの八段階にわたっておりますものを、五%から四〇%までの五段階に改めるとともに、消費の態様に応じて、電気冷蔵庫、写真機、楽器類等、二十一品目について軽減を行なうこととしております。
第二は、同種の課税物品に比べて、物品税を課さないことが著しく不均衡となっているカー・クーラー、ステレオ装置等については、新たに課税することとしておりますが、取引の慣行を害することのないよう、課税の適用時期等について所要の配慮を加えております。
第三は、納税方法を申告納税制度に改めるとともに、課税済み物品を輸出した場合には、物品税を輸出業者に還付することができる道を開くこととしております。
委員会においては、物品税を存置する理由等について質疑応答がなされたほか、参考人より意見を聴取する等、慎重審議を行なったのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、酒税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案の要点のみを申し上げますと、
第一は、酒税負担が過重であるのみならず、逆進的になっている実情にかんがみ、大衆酒を中心に平均二割程度の税率の引き下げをしようとするものであります。また、価格の高い高級酒類は、現行の従量税では負担の公率を失することとなりますので、これらについては従価税を採用することにしようとするものであります。
第二は、酒類の区分等について、消費及び取引の実情にかんがみ、現行の九種類を十種類に改めるほか、清酒について特級及び第一級を特級とし、準一級を一級とする等、紋別についても改正しようとするものであります。
第三は、納税方法を原則として申告納税制度とし、輸出免税等の承認制度についても、原則として申告制度に改めようとするものであります。
第四は、以上の酒税法の改正に伴い、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の規定の整備等をはかろうとするものであります。
委員会におきましては、参考人より意見を聴取する等審議し、今回程度の税率引き下げを妥当とした理由、いわゆるデラックス酒類に従価税を採用する理由等について質疑がなされましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案のおもなる改正点について申し上げますと、
第一に、貯蓄奨励の見地から、利子所得についての分離課税の特例及び配当所得の源泉徴収税率の軽減措置を、それぞれ一年間延長することとしております。
第二に、わが国の外貨資金の状況により、緊急な必要性に基づいて、国または日本銀行が借り入れる外貨借入金に対する利子について課税を免除することとし、また内国法人等が支払う一定の外貨借入金等の利子について、三年間に限り、二〇%の源泉徴収税率を一〇%に軽減することとしております。
第三に、技術輸出振興のため、自己の研究成果である工業所有権など技術に関する権利を有する者が、第三者を通じてこれを輸出した場合、その者に技術輸出所得控除を認めるとともに、その輸出した第三者に対しても物品輸出と同様の輸出所持控除を認めることとしております。
第四に、既成市街地におけるげたばき住宅など、防災建築街区造成のため、土地等を防災建築街区造成組合に現物出資した場合の譲渡所得に対する課税の特例措置を設けることとし、また、新増築貸家住宅の特別償却制度の適用期限を三年間延長することとしております。
第五に、公共事業のため収用する土地の上にある建物の買い取り等に対する補償金について、収用の場合と同様、譲渡所得に対する課税の特例を認めることとしております。
委員会の審議におきましては、利子所得及び配当所得に対する課税の特例をさらに一年間延長する理由等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、所得税及び法人税を通ずる退職年金に関する税制の整備をはかるための措置として、退職年金に関する信託または保険の業務を行なう法人の退職年金積立金につき課税を行なうこととするとともに、外国税額控除制度の拡充及び外国法人に対する課税の合理化をはかり、その他所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
委員会の審議におきましては、税制面よりする企業の資本構成の是正策、寄付金の損金算入制度等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入り、永末委員より、経済の均衡成長のため、中小法人に対する税率を軽減して、自己資本の蓄積をはからすべきにもかかわらず、見送られたことは不満足であるとの反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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最後に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、貿易自由化計画の繰り上げ実施に伴い、関税率について所要の調整を行なおうとするものであります。以下おもなる改正内容について申し上げます。
第一に、石油、バナナ等六十九品目については税率を引き上げ、コーヒー豆、医薬品原料等三十二品目については税率を引き下げ、鯨肉、マッチの二品目を従量税率に切りかえ、銅、鉛等十品目について税率を実質的に引き上げて従量税率に切りかえ、魚油、ガンニー袋等九品目については従量従価の選択方式によることとし、時計部分品については従量従価の併課方式により、ニッケル、マンガン等十四品目については関税割当制度を採用し、オレンジを季節関税とし、全部で百三十八品目について関税率の改正を行なうこととしております。
第二に、本年三月末日で適用期限の到来する重要機械類、給食用脱脂粉乳等の暫定免税品、及び暫定税率により減免税率が定められている小麦、コークス等についての適用期限を、それぞれ一年間延長することにしております。
第三に、製油用原油については、石炭産業の安定をはかる見地より、今回一キロリットル当たり五百三十円の基本税率に復することとしております。ただし、石炭の長期引取契約を行なう電力、製鉄業者が消費する重油については、今後一年間負担増分に見合う金額を還付することにしております。
委員会における審議の詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/6
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007・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、所得税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、物品税法案及び酒税法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/9
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010・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/11
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012・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/12
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013・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、法人税法の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/13
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014・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって同案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/14
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015・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
豪雪地帯対策特別措置法案(衆議院提出)、
中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案、
工業用水法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。商工委員長武藤常介君。
〔武藤常介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/16
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017・武藤常介
○武藤常介君 ただいま議題となりました三法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
まず、豪雪地帯対策特別措置法案について申し上げます。
本法案は、衆議院の提出にかかわるものでありまして、積雪が特にはなはだしい地域の産業振興と民生安定を目的とするもので、内閣総理大臣は、これらの地域を豪雪地帯として指定し、その地域における豪雪地帯対策基本計画を決定することとしております。また、その指定、計画の作成及びその実施の推進等に関する事項について調査審議する豪雪地帯対策審議会を設置する等のことを定めております。
商工委員会におきましては、豪雪地帯指定の基準、本法案と地域開発法との関係等につきまして質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、続いて採決いたしました結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、昨今経済情勢に対応して、中小企業の組織化をさらに促進するため、商工組合に同業組合的性格を認めようとするものであります。
その要旨を申し上げますと、商工組合は、従来不況の場合でないと設立できなかったのを、本改正により、不況の場合でなくても設立できるようにして、いわゆる不況要件を撤廃するとともに、その事業内容を拡充して、業界に対する指導事業、経営改善等のため、合理化事業を実施できるようにしようとするものであります。
本委員会におきましては、きわめて慎重に審査を行ない、新しい商工組合の性格、合理化事業の内容、これが消費者への影響、協同組合による価格協定等につき、質疑応答を重ねたのでありますが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、近藤委員より、本法施行に際し留意すべき諸点について注意を要望して賛成討論があり、次いで採決いたしました結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
次に、工業用水法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法案は、最近、工業地帯における地盤沈下が重大化している現状にかんがみまして、工業用水として地下水をくみ上げるために生ずる地盤沈下を防ぐことを主目的の一つに加え、その方針のもとに、特に指定した地域におきましては、地下水くみ上げの井戸に対する規制の範囲を拡大し、既設の井戸であっても一定の大きさ以上のものは、工業用水の給水が開始されてから一年後は使用を禁止できることとし、あるいはまた、緊急の事態には通産大臣が地下水のくみ上げ制限命令を出せるなど、その規制を強化することとなっております。一方、地下水くみ上げにかわる施設の設置、改善について、国及び地方公共団体が必要な資金のあっせんに努めること等を定めております。
委員会におきましては、工業地帯における地盤沈下防止に対する本法案の寄与について熱心な質疑応答がありましたが、その詳細は会議録で御承知を願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、椿委員より、指定地域の拡大と工業用水道の補助増額を要望して賛成の意見が述べられました。
次いで採決いたしました結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/17
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018・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、豪雪地帯対策特別措置法案及び工業用水法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は全会一致をもって可決せられました。
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/20
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021・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/21
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022・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/22
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023・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長河野謙三君。
〔河野謙三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/23
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024・河野謙三
○河野謙三君 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案の改正点は、本省の付属機関として、港湾技術研究所を設置すること、館山海員学校を新設すること、海運企業整備計画審議会を設置し、自動車審議会を廃止すること、航空交通管制本部の所在地を変更すること、気象庁研修所の名称を気象大学校に改めること、及び、運輸省の定員を定員外職員千百六十八人の定員化を含め千三百三十八人増員することであります。
本委員会におきましては、海運企業整備計画審議会の運営と委員の人選、気象庁、航空交通管制本部、海運局、自動車同等における定員配置及び職員の処遇、港湾、漁港両行政の関係等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、直ちに採決に入りましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/24
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025・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/25
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026・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/26
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027・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)、
著作権法の一部を改正する法律案(衆議院提出)、
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/27
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028・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。文教委員長大矢正君。
〔大矢正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/28
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029・大矢正
○大矢正君 ただいま議題となりました二法案について、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律案について申し上げます。
政府の本案提案の理由によれば、教育の目標は、わが国土と民族と文化に対する愛情をつちかい、高い人格と識見を備えて国際的にも信頼し敬愛される国民を育成するにありとし、祖国の繁栄と人類の福祉に貢献し得る子弟の成長をこいねがう親の願望にもこたえんがために、義務教育諸学校の教科書を無償とする方針を確立し、これを宣明することによって、日本国憲法第二十六条に掲げる義務教育無償の理想に向かって具体的一歩を進め、同時に、父兄負担の軽減をはかるとともに、児童生徒に国民的自覚を深めさせようとするものであります。
次に、本法案の内容について申し上げます。
第一に、義務教育諸学校の教科用図書は無償とし、この措置に関して必要な事項は別に法律で定めることといたしております。
第二に、文部大臣の諮問機関として、臨時義務教育教科用図書無償制度調査会を設置すること。
第三に、調査会は、文部大臣の諮問に応じて、無償措置に関する重要事項を調査審議し、必要事項を文部大臣に建議すること。
第四に、調査会は、学識経験者及び関係行政機関の職員のうちから、文部大臣が任命する二十人以内の委員で組織すること。
第五に、調査会は、諮問事項のうち、昭和三十七年度の予算執行及び三十八年度の予算作成に関する部分については、その審議結果を、昭和三十七年十一月三十日までに答申すべきこと等を定めております。
本案は、去る二月二十一日、予備審査のため内閣から本院に送付され、二月二十八日、参議院本会議において文部大臣より趣旨説明を聴取いたしましたが、同日文教委員会に予備付託され、三月二十三日衆議院において可決の上、本院に送付され、同日当委員会付に本託となりました。
委員会におきましては、本法案の重要性にかんがみ、審査に当たり、参考人を招致し、本案に対する参考意見を聴取して慎重を期し、各委員からはきわめて熱心な質疑が行なわれました。
質疑の主要点は、本案提案に至るまでの経緯、憲法第二十六条に定める義務教育無償の原則について解釈及び教育の機会均等との関係、教育基本法に定める教育目的と教育行政者の責任、無償を学校給食にまで拡大する用意ありやいなや、教科書無償措置開始の時期及びその推進についての政府の決意、無償に要する経費は全額国庫支弁とするかいなか、調査会の委員の選任方法及び調査内容の主要点、教科書の検定、採択及び供給についての現行制度を改変する意思の有無等でありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、まず、豊瀬禎一委員より、日本社会党を代表して、本案に反対し、その理由として、「本案の提案理由は、教育基本法及び学校教育法の精神に反し、教育の目的をはなはだしく歪曲するものであり、教育基本法を改正して、愛国心の養成による国防力の増強につながる企図のあること、昭和二十六年以来の政府の行なった教科書無償の措置は、いずれも憲案第二十六条の精神に徹せず、しかも本案は、過去の失敗を反省することなく提案された、調査会設置法案ともいうべき、無計画にしてずさんなものであること、無償の解釈について深く検討し、総合的義務教育無償を実施すべきであること」の三点が述べられました。次に、北畠教真委員より、自由民主党を代表して、「本案は憲法第二十六条の趣旨を簡明端的に表明する画期的施策であり、調査会の設置は教科書無償実施の慎重を期するための当然の措置である、また父兄負担を軽減し、児童生徒に国家社会の構成員としての自覚を深めさせるものである」として、賛成の意見が述べられました。次いで、相馬助治委員は、民主社会党を代表して、「無償は原則的に賛成であるが、本案は臨時義務教育教科書図書無償制度調査会設置法案であって、羊頭狗肉の法案であるから、安心できないとと、貧弱な明年度予算をもっては無償の原則を完成できない未熟なものであること、立案にあたって、教育書供給業者、子女の親たる主婦たちの意見を聴取していないこと、高校増設や学校給食が予算面において後退しつつある現在の政治情勢のもとで無償を糊塗するものである」等の理由を掲げて、反対の意思を表明されました。次に、柏原ヤス委員は、「本法案は憲法第二十六条に定める義務教育無償の原則に基づき教科書の無償を宣言するものである」として賛成され、調査会の答申に基づく別の法案が次期国会に提案されることを要望されました。最後に、岸間正男委員より、日本共産党を代表して、「この法案は真に憲法第二十六条の原則を実現しようとするものではないこと、すし詰め学級の解消や教育費の大衆負担の解消なくして、いたずらに教科書の国定化をねらい、参議院議員選挙に資せんとするものである」として、反対の陳述がなされました。
討論を終わり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、著作権法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、衆議院文教委員長の提案にかかるものであります。
現行著作権法は、社会の進運に即応した根本改正を期待されており、政府も制度審議会を設けてこれが全面的検討に入らんとしておりますが、本案は、その結論が出るまでの間、取りあえず著作権保護期間の終了する人々を救済するため、若干保護期間を延長しようとするものであります。すなわち、本案で認める著作権保護の特例は、演奏歌唱、レコード等のいわゆる隣接著作権を除いた他の著作物の著作権について、現行三十年間とあるのを、当分の間三十三年間と改めるものであります。
委員会におきましては、保護期間の延長を三年とした理由、また期間延長による社会的影響等について質疑があり、提案者より、今後三年以内に本法の全面改正が期待されること、また延長による影響はさしてない旨の答弁がございました。
質疑を終わり、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/29
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030・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/30
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031・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/31
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032・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/32
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033・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/33
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034・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
昭和三十五年度一般会計予備費使用総調書(その2)、
昭和三十五年度特別会計予備費使用総調書(その2)、
昭和三十五年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用総調書(その2)、
昭和三十五年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用総調書、
昭和三十六年度一般会計予備費使用総調書(その一)、
昭和三十六年度特別会計予備費使用総調書(その1)、
昭和三十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用総調書、
昭和三十六年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用総調書、
(いずれも衆議院送付)
以上八件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/34
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035・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。決算委員長相澤重明君、
〔相澤重明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/35
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036・相澤重明
○相澤重明君 ただいま議題となりました昭和三十五年度一般会計予備費使用総調書(その2)ほか七件の事後承諾を求める件につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を報告申し上げます。
まず、予備費使用の内容を概略申し上げます。
第一に、昭和三十五年度一般会計予備費使用総調書(その2)につきましては、昭和三十五年度一般会計予備費の予算額は百億円でありますが、そのうち昭和三十五年十二月二十三日までに使用されました七十六億余万円につきましては、第三十八回国会で承諾を与えておりますので、今回は、昭和三十六年一月十四日より同年三月三十日までに使用されました二十三億余万円について承諾を求めているものであります。
第二に、昭和三十五年度特別会計予備費使用総調書(その2)につきましては、昭和三十五年度各特別会計予備費の予算総額は千四百二十八億余万円でありますが、そのうち、昭和三十五年十二月二十三日までに使用されました六百五億余万円につきましては、同じく第三十八回国会で承諾を与えておりますので、今回は、昭和三十六年二月十七日より同年三月二十九日までに使用されました八十二億余万円について承諾を求めているものであります。
第三に、昭和三十五年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用総調書(その2)について申し上げます。この規定に基づき、予備費使用の例に準じて昭和三十五年十二月十四日までに使用されました二百十四億余万円につきましては、これまた第三十八回国会で承諾を与えておりますので、今回は、昭和三十六年二月七日より同年三月二十八日までに、交付税及び譲与税配付金、食糧管理の両特別会計において使用されました合計四十六億余万円について承諾を求めているものであります。
第四に、昭和三十五年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用総調書について申し上げます。この規定に基づき、予備費使用の例に準じて使用されましたものは、郵政事業特別会計の分三十七億余万円であります。
第五に、昭和三十六年度一般会計予備費使用総調書(その1)につきましては、昭和三十六年度一般会計予備費の予算額二百二十億円のうち、昭和三十六年五月二日より同年十二月十九日までの間において使用されました百三十八億余万円について承諾を求めているものであります。
第六に、昭和三十六年度特別会計予備費使用総調書(その1)につきましては、昭和三十六年度各特別会計予備費の予算総額千百九十一億余万円のうち、昭和三十六年五月二日より同年十二月二十五日までの間において使用されました六十二億余万円について承諾を求めているものであります。
第七に、昭和三十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用総調書について申し上げます。この規定に基づき、予備費使用の例に準じて、昭和三十六年十二月十四日、郵政事業特別会計において使用されましたものは二十五億余万円であります。
最後に、昭和三十六年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用総調書について申し上げます。この規定に基づき、予備費使用の例に準じて、昭和三十六年九月二十二日及び同年十二月一日に使用されましたものは、造幣局及び国有林野事業の両特別会計の分で、合計四十億余万円であります。
決算委員会におきましては、以上八件につきまして当局の説明を求め、慎重審議いたしましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
かくて質疑を終わり、討論、採決を行ないました結果、右八件は、一括して承諾を与うべきものと、全会一致をもって議決いたした次第であります。
以上報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/36
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037・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
八件全部を問題に供します。八件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/37
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038・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって八件は承諾することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/38
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039・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/39
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040・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長宮沢喜一君。
〔宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/40
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041・宮澤喜一
○宮澤喜一君 ただいま議題となりました法律案は、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律外五件の法律の改正を内容とするものであります。
改正の第一点は、国会議員が受ける通信費の月額、議会雑費の日額、国会閉会中委員会が審査を行なう場合の委員の審査雑費の月額並びに国会における各会派に対する立法事務費の月額をそれぞそ改定するものであります。
その第二点は、新たに公務上の災害を受けた議員に対する補償制度を設け、これに関連して特別弔慰金の支給に関し、所要の改正を加えるとともに、本制度と国会議員互助年金法に規定する公務傷病年金、遺族扶助年金給度との間に所要の調整を行なっております。
第三点は、議員秘書の滞在雑費の日額を改定するとともに、議員秘書に対し、新たに退職手当制度を設けたことであります。
第四点は、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律を改正し、職務の関係で証人となった公庫、公団、その他政府出資の特殊法人で、議長の定めるものの役職員は、公共企業体の役職員と同様に、その旅費及び日当は支給しないことにいたそうとするものであります。
以上が本案の大要でございますが、なお、議員の公務上の災害に対する補償及び議員の秘書の退職手当支給の細則につきましては、両院議長が協議してこれを定めることになっております。
議院運営委員会におきましては、審議の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
以上報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/41
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042・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/42
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043・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/43
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044・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
参議院事務局職員及び参議院法制局職員の定員に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/44
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045・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/45
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046・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 議長は、本件につきまして、議席に配付いたしましたとおりの「参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案」及び「参議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案」を、あらかじめ議院運営委員会に諮りましたところ、いずれも異議がない旨の決定がございました。
両規程案に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/46
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047・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/47
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048・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
昭和三十七年度一般会計予算、
昭和三十七年度特別会計予算、
昭和三十七年度政府関係機関予算、
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/48
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049・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。予算委員長湯澤三千男君。
〔湯澤三千男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/49
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050・湯澤三千男
○湯澤三千男君 ただいま議題となりました昭和三十七年度予算三案の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
昭和三十七年度予算は、国際収支の均衡を回復することが、わが国経済に課せられた当面最も緊急な課題でございまするので、金融面の引き締め政策をこれまでどおり続けて参りまするとともに、高度の経済成長の結果、各分野に生じているひずみを是正して、安定した経済成長の基盤を確立していくことを基本方針といたし、平年度千二百四十四億円、初年度千四十一億円の減税を行なうほか、公共投資の充実、社会保障の拡充、文教の刷新、科学技術の振興等、これまで政府が力を入れて参りました施策に重点を置いて編成されております。
かくて、昭和三十七年度の一般会計予算の規模は、総額二兆四千二百六十八億円と相なっておりまして、三十六年度当初予算に比し四千七百四十億円の増加となっており、国民所得に対する割合は、前年度の一五・三四%に対し、一六・九六%と増加しております。また、昭和三十七年度財政投融資計画の規模は総額八千五百九十六億円でありまして、前年度当初計画に比べ千三百四億円の増加となっております。
次に、昭和三十七年度特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、一般会計に準じて編成されておりまして、経費を重点的に使用し、事業の円滑な遂行をはかることを主眼といたしております。なお、特別会計におきましては、農業災害補償制度の改正に伴い、農業共済再保険特別会計を廃止して、農業保険事業団を設けることと相なっておりまするので、年度中に一特別会計が減少することとなっております。
これら予算の内容につきましては、すでに大蔵大臣から本議場で説明がございましたので、時間の関係上省略させていただきたいと存じます。
これら予算三案は、一月十九日に国会に提出され、予算委員会におきましては、さきに、一月二十六日に水田大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、三月三日衆議院よりの送付を待って、五日から審査に入りました。自来、委員会を開くこと二十回、その間二日間にわたって公聴会を、また三日間にわたりまして分科会を開くなど、慎重に審議を重ねて参りました。
以下、予算委員会における質疑のうち、若干のものにつきまして、その要旨を御報告申し上げたいと存じます。
まず、経済一般の問題につきましては、「今回の施政方針演説において、総理は、あらかじめ起こるべき事態の的確なる予見と、これを回避すべき事前の応急策に十分でなかったことを認め、その演説中一言も高度成長政策ないし所得倍増計画という言葉がない。政府は所得倍増計画を放棄したのか。経済政策の失敗について責任を負うべきではないか」との質疑に対しまして、池田内閣総理大臣より、「高度成長政策は自由民主党の基本方針で、今後も続けていく。日本経済は発展途上にあり、しかも非常に高度の発展をしているとき、国際収支などで見通しが狂うことはやむを得ない。過去においても、昭和三十二年は国際収支は大幅な赤字となったが、三十三、四、五年は非常によくいった例もある。ひずみができたらいろいろ施策を講じ、経済の実態が破局にならぬようにして経済を伸ばしていくから、成長政策が失敗とは思わない」との答弁がございました。
次に、昭和三十七年度の経済見通しについて、「政府は鉱工業生産が昨年十一月をピークとして半年ぐらいは年率九%見当で下がり、その後次第に上昇するとみて、鉱工業生産の上昇率五・五%をはじき出し、これを基礎として成長率を五・四%とし、本年の秋ごろまでには国際収支は均衡するものとみていたが、十二月の鉱工業生産は若干下がったものの、一月は逆に三・八%の上昇を示し、二月も横ばい状態となるものと思われる。そうなると、ピークですでに一七ポイントぐらいの相違が出てくる。政府のいうように年率九%で下がるとしても、成長率は七%以上となり、国際収支の赤字は三億五千万ドルぐらいになると思う。もし、政府の最初の予想どおり一億ドル程度の赤字にとどめようとするならば、下期において引き締め政策を強化せねばならず、予算についても繰り延べの問題が起こってくると思うが、政府はどのような対策を考えているのか。また、このように鉱工業生産が政府の予想したよりも落ちない原因をどのように見ているか」との質疑があり、とれに対しまして、藤山経済企画庁長官から、「生産が政府の予想したよりも落ちなかったのは、何となく安易感があるためではないかと思われるので、できるだけ引き締め基調を堅持する。調整過程が幾分当初政府が予想したものよりずれていることは事実であるが、慎重に事態の推移を見守りながら、できるだけ努力目標を維持できるように政策を集中していきたい」旨の答弁があり、水田大蔵大臣から、「経済情勢のいかんによっては、予算の繰り延べ等の調整措置も必要であるが、しかし、一月だけを見て政府の予想が狂っていると断定するのは少し早過ぎる」旨の答弁がありました。この答弁に対し、さらに重ねて「生産の落ちない根本原因は、政府の財政金融政策が間違っているからである。最近の物価騰貴はインフレによるものであると思うが、政府はどう考えているか」との質疑がありました。これに対しまして、池田内閣総理大臣から、「最近の状態は成長過程における一つの状態であって、インフレだとかデフレだとかいう刻印を押すきべものではないと思うけれども、心配なのはむしろコスト・インフレであって、これについては十分の注意を要する」との答弁があり、藤山経済企画庁長官から、「今までの過程ではインフレとまで断定できない。しかし、放置しておくとインフレ的な傾向にならざるを得ない。そうならないよう物価対策というものを十分考えていかなければならない」旨の答弁がありました。
また、物価問題については、「政府は、最近、物価安定総合対策として十三項目を閣議了解事項として取り上げたが、これまで政府は、物価の値上がりは経済成長に伴う一つの過程で、ある程度の値上がりはやむを得ないとの答弁をしてきたが、このような態度では物価の抑制はできないと思うがどうか。公共料金は極力押えるといいながら、すでに私鉄運賃や電力料金の値上げ申請を認めようとする閣内の動きが伝えられているがどうか。消費物価二・八%上昇という見通しには、私鉄運賃、電力料金の値上げが織り込まれているのか。個々の価格対策とともに物価水準を安定させる施策が必要なのではないか。」また、別の立場から、「生産性の向上の成果は、労働者と経営者だけでなく、消費者にも均霑されなければならないにもかかわらず、消費者は全く「のけもの」にされており、物価値上がりの重圧は消費者だけが負わされておる。政府には、生産者や業者の利益を助長する官庁はあるが、消費者の立場を守り、消費者行政を強力に推進する中心官庁が欠けている。消費者のための生活省とでもいうべきものを置く考えはないか。」などの質疑がありましたが、これに対しましては、池田内閣総理大臣から、「消費者物価の引き下げについては、今後も全力を尽くしていきたい。政府は、先般の閣議で、総合物価対策として十三項目を決定し、今月末までに各省から具体案を持ち寄ることになっている」旨の答弁があり、藤山経済企画庁長官から、「公共料金については、極力値上げを抑制していく方針で、申請の出ているものについては慎重に検討をしている。消費者物価二・八%の値上がりの計算基礎は、各種の価格料金の動向から判定したもので、具体的に私鉄大手の運賃や電力料金の値上げが、かりに認可された場合、それらを織り込んでいるかと言われれば、織り込んでいないというほかはない。最近、消費者行政が非常に重要となってきたので、現在の経済企画庁のやり得る範囲内で努力をしているが、国民生活省ともいうような問題は、行政制度審議会で検討してもらうことが適当と思う」旨の答弁がありました。
次いで、減税問題につきましては、「税制調査会は、わが国の税負担は相当に重い、少なくともここ当分の間は、国民所得に対する税負担の割合は、おおむね現状程度にとどめるよう努力していくことが適当であると答申しているのに、政府は答申を全く無視している。所得倍増計画によって国民の所得格差は拡大し、低所得者の家計は赤字になっている。政府は、税制面で格差解消をどのように処理したのか。また、今後減税についてはどのような考えを持っているのか」との質疑がありましたが、これに対しましては、水田大蔵大臣から、「当時は税負担率は二〇%前後が妥当と考えていたが、経済が伸び国民所得が伸びてくると、必ずしもこれにこだわる必要はないと税制調査会も言っている。答申の減税と政府の減税とはほとんど同じで、実質的にはわずか二十五億円しか違っていない。答申は尊重したつもりである。三十六、三十七の二カ年間に、今まで納税者であったものが三百八万人も非課税となったことから見て、相当減税の効果が現われている。減税は今後も毎年やるべきものだと思う。税制調査会には引き続き減税について審議に当たってもらいたいと考えている」旨の答弁がございました。
次に、外交問題でありまするが、当面する重要案件が数多くありましたので、きわめて活発な質疑が行なわれました。まず、日韓問題につきましては、「政府は日韓交渉の妥結を急ぎ、過般の外相会談の共同声明でも、両外相の間において次期会談をなるべくすみやかに開くことに意見の一致を見たと言っているが、その後、韓国においては、尹大統領が政治活動浄化法に反対して辞任するという新たな事態が発生した。政府は、クーデターによって成立した朴政権の性格に関し、憲法によって民主的に選ばれた大統領が存続する限り、朴政権は前政権を継続した合法政権であるとの建前をとってきたのであるが、その唯一の根拠であった大統領が辞任したことによって、朴政権の合法性は完全に失われたのではないか。また、現在の韓国政府に選挙によって自由に選ばれた者が一人もいないということは、はたして一九四八年の国連の趣旨に沿うものであるかどうか。政府は、来年夏、朴政権は民政に移行すると言っているが、その保証があるのかないのか。今までの日韓の話し合いでどういう点が最も困難な問題として持ち越されているのか。日韓交渉の今後の見通しはどうか。日韓会談は一時中止すべきではないか」等の質疑がございましたが、これに対し小坂外務大臣から、「韓国は現在、尹大統領のもとで制定された国家再建非常措置法という法律によって運営されているが、その第十一条に、大統領に事故がある場合、国家再建最高会議の議長が大統領の権限を代行するという規定がある。大統領辞任の場合、どのような形で継続されるにしても、現存の法律によって、その法律のワク内で行なわれるものであるならば、法的の継続性、したがって、政権の合法性は認められるものと考えている。国連において直ちにこの問題が取り上げられるかどうかはわからないが、急にそういう問題が起きるとも考えられない。日韓の折衝でむずかしい問題はたくさんあって、なかなか合意に至らない。今回外相会談をやってみて感じたことは、根本的な認識においてまだ非常に開きがあるということである。たとえば、われわれからいえば、わが領土であることの明白な竹島の問題、国際法上許されない李ラインの問題等についてすらも、なかなか理解せられないということであるならば、十分に先方の様子を見ながら今後の会談に臨む態度を考える必要があろう。次期会談はソウルで開きたいと韓国は希望しているけれども、代表部のないところで交渉を行なうことは困難であると思う」との答弁がありました。
沖繩問題につきまして、「去る二十日のケネディ大統領の沖繩政策についての声明は、沖繩が日本の領土の一部であることを認めた反面、世界の緊張と脅威が続く限り、アメリカの沖繩における施政権は絶対に必要だということを確認し、沖繩におけるアメリカの軍事基地を半永久的に確保しようとする強い決意を表明したものであり、沖繩の住民はもとより、日本の国民に大きな不安を与えているが、実質的にはどういう利益を日本にもたらすか。政府は今後アメリカの沖繩に対する新対策に対し、具体的にどのような態度で対処していく方針なのか。今度の新対策を見ると、自治権の拡大については、期待されたものがほとんど満たされていないが、この点については今後アメリカとも十分話し合いをするつもりか。また話し合いの余地があるのかどうか」という質問がありましたが、これに対しまして、小坂外務大臣から、「平和条約第三条によって、沖繩は国連の信託統治となるよう運命づけられていたわけであるが、今度の声明は、沖繩は日本の領土の一部であって、必ず日本の施政権のもとに帰ってくることをはっきりと約束した点で、質的には大きな前進である。政府としては、沖繩の施政権返還を、今後とも機会あるごとに要求する所存であるが、これと同時に、沖繩における同胞の経済的、社会的、文化的な福祉増進をはかっていく考えである。新対策によれば、民政官は文民でなければならないことになっており、自治権の拡大の問題と直接関連があるので、民政官の機能、権限等については、自治権拡大の方向でアメリカ側と交渉をしていくつもりである。具体的にどういうふうにして自治権を拡大するか、その内容については、関係各省と相談して検討の上、具体案をもって折衝する考えである旨の答弁がありました。
タイ特別円問題につきましては、「昭和三十年に特別円決済協定が有効に発動しているのに、今回新たに九十六億円を無償供与とする協定が結ばれ、池田首相は日タイ両国友好の大所高所から決定したと説明しているが、これだけでは国民は納得しないと思う。この問題が紛糾したのは、特別円の処理に関して、日タイ間にあらかじめ合意した法的基準、評価基準、換算基準というものが存在せず、政治的妥協によって決定されたが、厳密な条約論としては、第二条の解釈については、最後まで日タイ間に意見の一致が得られなかったことが真相ではないのか。だからこそ新協定が必要となったのだというのが筋が通っていると思うがどうか」との質疑があり、これに対しまして、池田内閣総理大臣並びに小坂外務大臣から、「お説のとおりであって、わがほうはあくまで協定の第二条をたてにとって交渉したところ、日本が協定をたてにとるのであれば、タイ側としても何ともいたし方ないが、日本に貸したと思っていたものが、判をついてみたら、逆にタイが借りたような形となる解決方法は、タイの国民感情としては何としても納得できないということで、この問題については、政治的に大所高所に立って解決しなければならないものど判断し、前協定第二条について新協定を結んだ次第である」旨の答弁がありました。
なお、ガリオア・エロア返済問題に関しましても、その債務性の有無、はたして二重払いにならないかなどの点について熱心な質疑がなされました。
次に、再び内政問題となりますが、高校生急増問題につきましては、国の財源措置が不十分で、地方団体はその対策を立て得ないのではないかとの点について、突っ込んだ質疑があり、また農業問題につきましては、農業基本法、農業の近代化等に関する質疑のほか、旧地主の問題に関し、農地被買収者問題調査会の結論を待たず、勝手に二十億円の特別融資を決定したのは不当ではないか、などの広範な質疑がございました。
以上のほか、憲法改正における発議権並びに発案権の所在、青少年の健全育成対策、選挙制度審議会の答申と選挙法改正案の問題、ILO八十七号条約批准案の国会提出時期、アメリカの核実験再開とその対策、中共の国連加盟並びに日中貿易の促進、日ソ漁業交渉等の諸問題が取り上げられ、さらに都市交通対策、行政制度調査会の方針、中小企業の育成と金融対策、中央卸売市場をめぐる問題点とその改善策、医療制度の欠陥とその対策、区長選任に対する違憲判決と今後の対策、港湾労働立法の推進等の諸問題につきましても、活発な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。
かくて、本日をもちまして、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して藤田委員が反対、自由民主党を代表して平島委員が賛成、民主社会党を代表して田上委員が反対、参議院同志会を代表して加賀山委員が賛成、日本共産党を代表して岩間委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、昭和三十七年度予算三案は、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/50
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051・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。藤田進君。
〔藤田進君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/51
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052・藤田進
○藤田進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十七年度予算三案に対しまして、反対をいたすものであります。以下その趣旨を申し上げます。
まず、外交関係でございます。池田総理は、この本院におきましても、第三十七回国会において、事、外交に関する限り、国の運命を決するものである。客観的な情勢判断のもとに、広く国民の支援のもとに進めなければならないとの御発言がございました。しかるに、国連中心主義、あるいはアジア善隣ないし自由主義諸国家との連携、これらを取り上げてみますると、まことに西と東に分かれている対立の中で、あまりにも明確に、西、すなわち、西アメリカ追随の外交であると言わなければなりません。すなわち、今回委員長も報告に及びましたとおり、日韓交渉一つ取り上げてみても、御承知のとおり、軍事クーデターによりまして、一応選挙によって選ばれた張勉内閣が倒れて、そうして張都暎軍内閣ができ、皮肉にも彼は死刑の判決を受け、無期懲役になり、先日、御承知のように、尹大統領もこれまた辞職する、こういう事態を引き起こしているのであります。現実の国民の選挙とは縁の遠い軍事独裁内閣であることは否定できない事実であります。この韓国との間に、御承知のように、急速に日韓問題の解決と称して、請求権を中心とする交渉が持たれ、この中における内容を予算委員会においていろいろ追及いたしましたが双方ともに発表しないという一言で、われわれは、予算を審議し、外交を調査する権限を持つ議会において、つまびらかにされていないのであります。しかし、御承知のように、竹島問題あるいは李ライン問題あるいは請求権の内容、結局、彼我の主張が大きく対立したという姿がはっきりしたにすぎません。同時に、選挙を控えるこの国会におきまして、国民のいろいろな世論、指弾を前に、参議院選挙が終わるか、少なくともこの議会が閉会になるときを待って、さらに急速に進めるとのことであります。これはひとえに、アメリカが、本来軍事行政権は認めないと言いつつも、韓国における軍事基地その他の優位性を保持するためにこれを承認し、かつ、日本に対しても、経済その他の援助を含めて、日韓の外交を正常化するようにとの勧告に基づくと言って、決して過言ではないと思うのであります。
さらに、国連中心の姿は、この国連の中で、東西対立する中に、客観的な判断に基づいて日本政府は外交の措置をとられてきたか。過般の中共国連加盟の問題しかりであります。重要事項に指定するという、このことを手段として加盟を阻止するというのがその腹であります。このことは、アジアにおける各国を大いに失望させました。あるいはまた、池田総理が先般東南アジアに参られまして、そのおみやげとして、すでに両院は全会一致をもってタイ国に対する協定を結び、それを承認しているクレジットを中心とする協定の内容九十六億円というものを、無償で今度供与するという、総理みずから参られましての取りきめであります。本国会に提案されているところであります。思うに、このタイ国に対する内閣のあたたかいあの措置と、多年にわたるビルマにおける御承知のような協議留保事項のある賠償についてなかなか進展をしないというものとの関係を考えますときに、片やタイ国はSEATOの中心的メンバである。言いかえれば西の陣営である。片まビルマは中立の政策をとっている。こういうところに外交の差別があったと見るほかはないのであります。ガリオア・エロアの問題を取り上げても、しかりでございます。こういうふうに考えて参りますときに、私どもは、現内閣の言っておられるところの方針と実際に行なってきた政策なりその他の行動を見るとき、大きく違っているという点に関心を持たなければなりません。われわれ、アジアにおけるその立場を十分考えて、国の前途を誤なないようにすることが、ほんとうにわが国の外交でなければなりません。
次に、内政の問題でございます。このたびのこの国会におきましては、皆さん御承知のように、経済の高度成長あるいは所得の倍増、こういう施政方針その他の中に現われた文句はございません。外務大臣がわずかに触れられているだけであります。すなわち、経済の高度成長、所得の倍増、これは、すでに一年にしてくずれ去ったと言わなければなりません。なぜならば、時間がございませんが、三十六年度予算の審議の過程を振り返っていただけばわかるように、当時の迫水企画庁長官は、国鉄運賃値上げにおいても、なおかつ一・一%の物価の上昇であると言われました。外貨事情についてもきわめて楽観的な見通しでございました。しかるところ、九%の三カ年間高度成長なるものはすでに暴走をいたしまして、いよいよその年度途中において、設備投資その他の財政金融の措置をもって抑制しなければならない。ところが、なかなかブレーキがきかない。暴走をしたのであります。したがって、輸出入貿易において、その他の資本投資において、ついに外貨の危機は救いがたい現状であり、かつ、将来の見通しはないのであります。さらに、物価については一・一%が、昨年一月とことしの一月をとって見ても、一〇%、十倍の誤差が出ているのであります。そうして所得倍増は、この物価高によりまして、ちまたには生活苦を訴えるというのが現状ではありますまいか。自動車であれば、その暴走、スピード違反についてはブレーキをかける、相当の処分もございましょう。ところが、このスピード違反は酔っぱらい運転でございます。(拍手)そろそろ免許証を返してもらわなければなりません。
また、経済問題について、私どもが予算委員会を通じまして、その所信をただしましたところ、昭和三十七年度、輸出において四十七億ドル、輸入において四十八億ドル、差引一億ドルの外貨事情であるということでありました。しからば、具体的な根拠をもって、輸出貿易がどこの何という国におよそ幾らくらいという基準を求めましても、これは目標であって、という答弁にすぎない。何らその根拠はない。さらに、貿易の自由化を進め、一方、数日前も通産大臣が、設備抑制の強力な措置をとるというととでございますが、まことに二律背反の状態——外貨事情において、あるいはわが国の高度経済の成長と所得の倍増において、物価その他一連のものを考えてみますと、かつて一年前に、昭和三十六年度予算のときに指摘いたしましたと同様に、このまま参りますれば、日本の経済は、池田さんの言われるような高度安定の成長であり、また、水田大蔵大臣の言われる健全予算、健全財政ということは、すでに今日はっきりと、希望の持てない状態であります。ある人は、本日の予算の討論におきまして、今度の予算はコンニャク予算だ、つかみどころがない。私は、それも一つの表現でございましょうが、氷予算、冷たいことおびただしい低所得者その他に対する処遇。あとで私のメモによって具体的には触れますが、景気の過熱によって、やがて融けて蒸発するでありましょう。私は、党派ではなくて、日本国民のために、真に現内閣におかれまして、今後の政策の上に、また、予算の執行の上に、十分なる警戒と、そして妥当なる政策に切りかえていただかなければならないことを警告いたす次第でございます。(拍手)
その他経済につきましても数々ございますけれども、議運のほうで二十五分という、まあ無理な決定でございますから、具体的な予算の内容に触れてみたいと思うのであります。
そこで、三十七年度の予算の実態でございますが、当初この予算が、政府においていろいろ編成せられました過程において、健全成長予算であり、かつ、高度成長に見合うところの施策費を計上していくこと、あるいはまた減税につきましても、大幅な減税をするとか、いろいろなことを言われておりましたが、結局経済成長率を五・四%に押えまして、国際収支の均衡回復を明年度最大の経済目標とするのだと、いわば従来の反省の上に立って国際均衡ということを重点に考えてこなければならなくなって参りました。その予算編成上で、一般会計歳出規模を前年度とほとんど同様の二四%もふくらませまして、財政投融資計画におきましても一七%の増額を見込んだということであります。このことは、内閣が、ほんとうに健全予算、高度成長に見合うといったように考えてこのようなものを組まれたとするならば、その政府のむしろ健全性を疑うものであります。大蔵当局は、初めは景気調整の見地から一千億円以上の資金を組みまして、そして財源のたな上げをやって、そして実行繰り延べの予約、こういったようなことを大蔵当局は考えていたことは御承知のとおりであります。ところが、編成段階に入りますと、いろいろな団体、圧力団体あるいはまた、与党の圧力、こういったような影響を受けまして、先ほど申し上げた点は、ひとたまりもなく消えうせてしまいました。したがって、空前の大膨張予算であり、片や設備抑制という二律背反になってきたのは、これはもう、いなめない事実なのであります。昭和三十七年度は、後半に入りますと、国際収支が悪化をいたしまして、金融引き締めをさらにさらに強化しなければなりますまい。また、昨年の夏と同様に、歳出予算並びに財政投融資の削減、繰り越しが必至となるでありましょう。この予算は完全に執行することができなくなるでありましょう。その場合の内閣の責任は、私は重大であると思うのであります。
明年度国税減税規模は九百八十七億円でありますが、大蔵大臣は大減税だと自画自賛をしているのであります。ところが、自然増収額が四千八百六十六億、これに対比いたしますと、約二割ちょっとであります。減税後の租税負担率を見ますと、地方税を含めますと、二二・二%、去年三十六年度は、同様に計算しますと、二〇・七%、減税をして税金が重くなるのが現内閣の減税政策であります。おかしなことであります。このような減税は、しかもその配分状況を見てみますと、所得税減税四百三十八億円に対しまして、酒税や物品税、通行税、入場税の減税が五百七十六億円となっておりますから、政府は、近年の減税が直接税の軽減に重点を置きまして、消費税やあるいは間接税の引き下げに手が回らなかった、こう言うのでありますが、今回は、むしろ消費税、間接税に重点を置いて減税をやったと説明いたしております。しかしながら、物価が安定している場合であれば、これも一理屈でありましょうが、しかし、物価が一年に一〇%以上も、あるいはその前後上がっているという場合には、勤労者の生活はますます苦しくなってくるのであります。さらに減税品目の点を検討いたしますと、これは製造業者は、減税によりますところの売り上げの増加が期待されるでありましょう。また、今度の減税は、結局業者のふところをふくらませるという結果にすぎないことになると指摘しなければなりません。したがって、日本社会党といたしましては、政府の減税案に反対をいたしまして、減税規模の拡大、また減税は所得税を中心とすること、間接税は、酒、たばこ、砂糖、入場税、電気ガス税などの国民生活に密着したものに限定すべきだということであります。
歳出は、個々の内容に触れる時間の余裕がございませんが、公共投資に偏重しているということは、この予算の特色であります。設備投資がだんだんと手放しにふくれて参ります。これに追っつくために、公共投資をあとから強化していく、こういう悪循環であります。これがむしろインフレのもとをなすと言っても過言ではございますまい。また、行き過ぎた民間投資を押えますのに、しからば公共投資との関係において可能であるか。今日の自由主義、資本主義の方針を変えられない限り、これまた絵にかいたもちでございます。結局、三十七年度のごとき景気情勢のもとにおきましては、公共投資の規模の決定はきわめて慎重を要するものでありますが、政府案には、かかる配慮の跡が全然見られません。いわゆる総花的でございます。
社会保障の点を取り上げましても、総額は二千九百二十六億でございます。前年度の当初のものよりも四百六十億円ばかり増加はしております。社会保険費、結核対策費の膨張がその過半を占めていることでありまして、中年の医療費改定や、重病者強制入所制の平年度化、こういったものが多くございまして、社会保障の前進として見るべきものがきわめて乏しいと言わなければなりません。この予算で、生活保護基準、五人世帯が月千五百円、児童の食費一日七円五十銭、失対労務者の賃金が一日二十九円など、若干は引き上げられておりますけれども、一〇%に及ぶ物価上昇、あるいは今後さらに上昇するのであろう物価急騰、このようなことを考えますと、一般収入水準の向上も一面考えなければなりませんので、この程度の基準の引き上げというものでは、平均国民生活水準と最低層の生活水準の格差は一そう拡大されるということになるのであります。しかも、病気になりましたならば、国民健保も実除には高くて使えないというありさまであります。高度成長政策をとる場合、犠牲者である底辺部分の実所得は、国民一般平均より二、三倍の早さで引き上げる努力をしなければ、社会の不安は消し去れないわけであります。この点で政府の配慮は薄く、昭和三十七年度の社会保障は実質的に前年度より後退していることは、はなはだ遺憾であるのであります。
文教、科学関係予算につきましても、総額三千五十二億円、前年度比四百八十二億円の増ということになっております。しかし、この大半は、人件費あるいは物価値上がりによるものであります。高校生の急増対策、これも、あと三年もすればがた減りだからというようなことで、総理の施政方針演説の中にある、青年たちこそが国の宝でもあるような、この発言と、全く矛盾をするところでございます。
次に、農業予算に触れたいと思いますが、一般会計で、各省のものを合計いたしますと、二千四百五十九億円、初めて一般会計歳出の一割を上回ったということで自賛しておられるところであります。この中には、しかし、災害関係の費用が二百三十三億、食管赤字が何と七百十億円、こういうものが含まれているのであります。今回の農林予算でも問題となったのは、農業基本法によるところの日本の農業の根本的鍛造改善のための農林予算であります。農業基本法の掲げている経営規模の拡大とか、成長農産物の選択的増産、合理的農産物価格の維持などに、どれだけの資金が充当されているかということであります。詳しくは時間がございませんけれども、日本農業を前進させるような費目はちょっぴりしかついていないのであります。ところが、最近、あれほど岸内閣以来、国としては補償するつもりはない、最高裁の判決も確定したという、旧地主に対する補償問題がきわめて大きく取り上げられ、二十億の融資という形で、この国会に出て参りました。一般の農民の苦しみとまことは対照的なものでございます。
最後に、防衛関係予算でございます。第二次防衛力の整備計画を盛った防衛庁費が二千億を越すのであります。これに、旧軍人遺族等の恩給費千四十二億円、賠償関係費三百九十二億円、これらを合わせまして、一連の再軍備と過去の戦争のものとを合わせてみますというと、きわめて膨大に、三千三百九十一億円というものになり、しかも非生産的な予算であります。予算全体に対して二三・七%、国民所得に対しましても二・三%に達していることを指摘いたします。しかも、第二次防衛計画の整備計画によりますというと、防衛費は年々三百億を累増いたしまして、やがて昭和四十一年には三千億円をこえるという説明がなされているのであります。わが党の再軍備に対する見解は御承知のとおりでございます。何のためにこのような膨大な予算を投じての軍備——岸総理が、かつて、国力、国情に応じと言われたこの方針を、今日の池田内閣も踏襲されております。しかし、池田内閣総理大臣は、近代における全面戦争はもうない、こういうことも言明されているのであります。しかりとするならば、今の軍備、日本の軍備というものが、現代戦において、はたしていかなるものをその実戦力において持つのか、またこのような軍備がほんとうに必要になる時代が来るのかどうか、深く検討を要したいのであります。無益なる経費に対しまして貴重な税金を使うということに対して、断固反対するのもであります。
以上、池田内閣の実績を検討いたしまして、外交上、内政上、また経済政策の上で、数多くの重大なる失敗を重ねて、今日の混迷と国民生活の不安の原因を作り出しているということは、断じて許し得ないところでございます。
以上をもちまして、反対討論にかえる次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/52
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053・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 館哲二君。
〔館哲二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/53
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054・館哲二
○館哲二君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております三十七年度予算外二案に対しまして、賛成の意を表するのもであります。
池田内閣が高度経済成長政策を確定しまして、その施策を進め、日本経済が異例の成長を遂げつつありますことに対して、世界も驚異の目をもって見、大きくこれを評価しておるのであります。
池田内閣の経済成長政策によりますれば、約十年間に国民総生産を倍増しようとするのもであることは、周知のところであります。ところが、近時、一部では、経済の高度成長の過程に生じました一時のゆがみによって、高度経済成長政策そのものが失敗であるかのような言辞を述べる人がありますが、これは私は、はなはだ遺憾とするところであります。福祉国家の建設を究極の目的といたし、国民総生産の倍増計画を増進するとともに、その過程において、産業間並びに地域間における格差を是正し、また完全雇用を実現しようというこの施策の大眼目は、一時のゆがみによって、ごうまつもゆるぐものではないと信じます。ただ、国民の燃えるようなエネルギーが、時に当初の計画をはるかに越えまして、設備投資に走り、その結果として思わぬ輸入増を来たし、国際収支に不測の赤字をもたらしたということは、これは事実であります。また、経済成長政策の実施の過程において、一部にいわゆる便乗的な値上げなどがあって、若干の物価値上がりがあったということも、また事実であります。しかしながら、経済成長政策そのものを否定する議論とはこれはならないものと考えます。これらの行き過ぎでありますところのゆがみは、国民的な課題として、世論を背景に、一切の政治力を集中して、これが是正解決に当たり、これを突破し乗り越えまして、輝かしい彼岸に到達すべきであると信じます。政府は、国際収支改善という当面するこの緊急の課題に対しまして、昨年初秋から、財政金融土の引き締めなど一連の政策を実施して、内需の抑制、あるいは輸出の振興に力を尽くされてきておるのであります。その効果も、ようやく経済の各分野に浸透しつつあるということも認められるのでありますが、国民経済に与えます打撃を最小限度にとどめ、しかも早期にその目的を達成するということは、これは容易ならざることであります。この上とも、政策があげこての施策推進に格段の努力を払われますことを要望いたすものでありますが、ただその間、引き締め政策の余波が、低所得者層、または中小企業、あるいは農林漁業部門に苛酷におおいかぶさるということのないように、慎重な配慎を加えられますことを期待するものであります。
かかる情勢のもとにおいて提出せられました三十七年度の一般会計予算は、二兆四千二百六十八億円であります。三十六年度当初予算に対しまして二四・三%の伸びでありますが、一部においては、この予算を膨大なりとし、インフレ的な予算であるという非難をするのであります。しかし、予算は国民予算の拡大につれて膨張していき、また国力の発展に伴って増加することは、これは当然であります。三十七年度の歳出財源は、租税その他の普通歳入によってまかなわれており、しかも大幅な減税を行なった上での、収支均衡を得た健全なる予算であるといわなければなりません。またさらに、円滑なる経済発展の基盤を整備するための公共投資、社会保障、文教など、わが党の公約いたしました政策を最も忠実に具現した予算であるといい得るものであります。
次に、内容に入って若干検討を加えてみたいと思うのであります。
まず第一は、文教政策に関してでありますが、文教ほど直接に国の将来をになうべき青少年の動向を大きく左右するものはありません。すなわち、文教施策のいかんは直ちにあすの国の運命にかかわるものと信じます。ところで、文教予算は、理工科教育を中心として、文教の刷新と科学技術の振興について飛躍的に充実が行なわれております。その予算額は前年度に比べまして四百八十二億円の増、増加率は約二〇%となっております。社会保障費あるいは公共投資関係費の増加率をしものぐのがあるのであります。池田総理はさきに施政方針の演説において、文教の刷新と充実、特に次の時代をになう責少年諸君の育成が念務であることを強調せられたのでありますが、その方針はここに着実に予算化されておると信じます。さらに、世の父兄があげて期待しておりましたところの義務教育図書の無償配布につきましては、先ほども法案も通りましたが、三十八年度からこれが実現に至る措置を講ぜられたのでありますが、私は、一年でも早く、この義務教育のすべての生徒児童に対して、無償の教科書が配布される時期の早く到来することを期待するものであります。次に、文教施策において画期的なものとしましては、新たに全国に十二の工業高等専門学校が新設されようとしておるのであります。応募者が二十倍も三十倍もあるというような事実から見ましても、これは、時代の要請にこたえ、また国民の期待に沿うものであることを、現実に証明しておると考えます。
第二には社会保障についてであります。わが党の立党以来、福祉国家建設の大目的達成のために、その大切なる支柱の一つとして、社会保障の拡充強化をはかってきたのであります。不幸な人に愛情のある政治の手を差し伸べて、国民各階層間の格差を縮め、国民全般の生活水準を年とともに引き上げるということは、わが党の念願であります。この念願が年々着実に予算化され、現実の施策として盛り込まれて今日に至っております。特に、昨年は各種の面において予算化されて実現されてきたのでありますが、本年はさらに、予算おきまして、この社会保障関係費は前年度比において五百十五億円、約二〇%の増加率を見ているのであります。もとよりこの数字をもってわれわれは十分満足しているものではありません。今後さらに施策の拡充と強化をはかっていかなければならないと存ずるのであります。
第三には減税の問題であります。累次にわたります減税に続きまして、このたび平年度において、国税においては千五百五十億円、地方税合わせまして千九百七十億円に及ぶ大幅の減税を行なおうとするものでありますが、減税総額に占める直接税、間接税の割合は、四対六となっております。しかるに、この三十七年度の税負担率が二二・二%であるということをもって、さらに減税の余地があるという異見があります。また国民の税負担率は二〇%程度が望ましいとされておりますが、これはあくまで一応の基準でありまして、負担率の是非は、そのときの情勢を背景として考慮して決定されねばならないと考えます。高度経済成長の実現には、一方においては、道路、港湾等、成長基盤の育成の配慮せねばならず、また一方においては、成長の過程において取り残され、またあるいは取り残される懸念のあります人人に、あたたかい社会保障の手を差し伸べなければならないものであります。今日は、公式的に税負担率を二〇%に押え、その結果として、高度経済成長の基盤におくれを来たし、その成長に渋滞を来たすことになり、あるいはまた、一方において打つべき社会保障施策にも事欠くようなことがあっては、はなはだおもしろからざることであると思います。この社会保障費、また公共事業費とを勘案いたしまして、三十七年度予算に見られます減税の施策は、当を得た、バランスを得ておるものと固く信ずるものであります。さらに今回の減税措置は、特に間接税を減税することによりまして、所得税の減税による利益を受けない人々に、広くその恩恵をもたらすこととなっております。それと同時に、中小所得者の負担軽減をはかるために各般の措置がとられておりますこと、また、国、地方を通じます税源配分に適正な措置が講ぜられておりますことなどは、高く評価すべきものと考えます。
第四に公共投資でありますが、公共投資関係は、前年度比九百三十八億円、三六%増となっておるのであります。特に重点を置かれておりますものは、最もおくれておるといわれております道路関係費に対しまして千八百七十六億円が計上せられ、前年度に対しまして三百七十七億円の増加であります。これによりまして五カ年計画が大きな前進を見ることを信ずるものであります。そのほか重要港湾の重点整備とか、あるいはまた国土保全のための治山治水の費用の増額がここに盛られておりますことは、時宜を得たものと信じます。
第五に農業並びに中小企業に関してでありますが、生産性の向上と所得格差の是正を眼目として、さきに農業基本法が制定せられました。同法に基づきまして各種の施策を推進するために、ここに農業関係の予算に大幅の増額が計上されたのであります。農業基盤整備費あるいは林野公共事業費などの増加、あるいはまた農業構造改善対策費の増加、またさらには、農業近代化資金融資促進のために約七十億円が計上され、前年度の二倍に増額を見ております。これらは、農林漁業金融公庫の資金増額とともに、農林漁業関係者に明るい希望を与えるものと言わねばなりません。
中小企業対策費としましては、前年度に比しまして約二倍の増額を見ております。中小企業近代化促進費の増額と、あるいはまた、工場団地化補助が三倍になり、共同施設補助が二倍になった。いずれもきわめて適切な措置と申さねばなりません。
第六には、財政投融資に言及してみたいと思いますが、その原資の総額は八千五百九十六億円が予定されております。その運用にあたりましては、主として輸出の振興、中小企業金融の円滑化に重点が置かれており、さらにまた、生活環境施設の改善、あるいは道路、港湾、工業用水など、いわゆる産業基盤の育成を指向した点は、時宜を得た配慮であると信ずるものであります。
第七に地方財政について一言いたします。地方財政は、国、地方を通ずる健全化への努力によりまして、経済成長につれまして著しい改善が見られてきております。さらに、このたびの税制改正によりまして、地方自主財源の強化がはかられましたことはすでに述べたのでありますが、それとともに、臨時地方特別交付金が廃止せられまして、健全化を一そう促進するために、地方交付税の率が二八・九%に引き上げられましたことなど、その措置は当を得たものと信ずるのであります。
以上、幾つかの点につきまして申し述べましたが要するに、三十七年度の予算は、経済の高度成長のため、また現下の情勢において必要であり、適切なる施策を織り込まれました健全妥当な予算であると、深く賛意を表するものであります。
ただ、三十七年度の予算は、その規模はすでに申し上げたように大型なものではありますが、したがって、これを実施いたします際には、経済、金融の面に与える影響が少なくないことは想像がつくのであります。そのほか政府においては、この執行運用にあたっては、きわめて能率的であり、また効果的であることを考慮せられることはもちろんでありますが、さきに大蔵大臣が述べられておりますように、経済情勢の推移に応じて弾力的に対処して、緩急よろしきを制して、国民経済の安定のために十二分の配慮をはかられることを切に望んでやまないのであります。
終わりに、私は、物価抑制に対しまして、政府に格段の努力を要請いたしたいと思います。経済の高度成長の過程において、物価の上昇はある程度やむを得ないものでありますが、今度政府は、これが抑制のために総合対策を打ち出されました。政治力を結集して物価問題に対処せられようとする決意を披瀝されましたことは、私どもの心から賛意を表するところでありますが、しかし、その対策は、総花的ではなくて、対象を数点にしぼって、それによって抑制の突破口をまず開かれまして進んでいただくことを期待するものであります。具体的には、流通機構の整備もありましょう。また公共料金の値上げの抑制もありましょう。また間接税の引き下げに見合う小売物価の引き下げということも考えられるのであります。さらにはまた、生産性を無視した恒例的なベース・アップの抑制ということも考うべきであると思います。特に、生産性を無視した絶えざる賃上げの要求のごときは、やがてはコスト・インフレに通ずるものがあることを思いますと、厳に戒慎を加うべきことを考えるのであります。
以上、私は、一般会計予算ほか二件に対しまして賛成の意を表するとともに、この運用に関して所見を若干述べまして、私の討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/54
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055・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 向井長年君。
〔向井長年君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/55
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056・向井長年
○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和三十七年度一般会計予算案ほか二案に対しまして、反対の意思を表明いたしたいと存じます。
わが党は、一月二十三日の本院本会議において、わが党曽祢書記長が質問演説の中で明らかにしましたように、私たちが政府案について最も遺憾にたえない点は、池田総理は、二十八年、三十二年、三十六年と三回にわたって、全く同じような経済政策の大失敗を繰り返しておるのでありますが、これに対しまして何ら反省の意思がない点であります。また、現在国会審議の焦点となっておりますガリオア・エロア問題及び日タイ特別円問題についても、国民の抱く当然の疑問点を少しも解明することなしに、予算上これに返済または供与の額を計上いたしておるのであります。さらにまた、政府は本年秋より貿易自由化を大幅に実施する方針をまとめながら、明年度予算案に盛られた産業政策上の諸経費は、中小企業、海運業、石炭産業、農業の近代化、沿岸漁業の諸対策費のいずれを見ても、まことにきわめて微弱であります。これらの諸点については、すでにわが党が問題点として指摘をいたしておるのでありまして、私はここであらためて繰り返しません。
私がここで特にこの壇上から政府案について指摘したい第一点は、衆議院における政府予算案採決以来の本院における審議、並びに、その期間、すなわち、三月中におけるわが国経済の動向の実態にかんがみまして、政府案の成立については、ますます不安と疑惑を持たざるを得ないのであります。ということは、最近の新聞は、現在の経済動向を称して、景気の中だるみと申しております。これは、国際収支じりが十二月以来若干好転し、東京証券市場の旧ダウ平均も千五百円台を回復してきた事実をもって、景気回復は間近い、国際収支の均衡回復は間近いと判断する錯覚があるようであります。このような錯覚はさておき、景気中だるみ現象が実際に起こっている点に重大な問題があるのであります。すなわち、昨年九月以来の金融引き締めによって中小企業が痛めつけられておる事実ははなはだしく、大企業に対する市中銀行の貸し出しには、水増し融資、水漏れ金融等々、金融引き締めとは反対の方向の融資が横行し、そのために最近の鉱工業生産水準はきわめて強気となっておるのであります。昨年十二月は約二%の生産減となったものの、一月には三・八%の上昇、二月もそれに横ばいとなり、三月前半も高水準を続けておるのであります。現在のところ、輸入に依存する原材料は、在庫品を使用いたしておるといたしましても、遠からず、このままでは再び輸入が増加に向かうことは明らかであります。この状態のまま推移すれば、明年度の輸入を四十八億ドルで押え、明年度末の国際収支じりを一億ドルの赤字で済ませることがはたして可能でありましょうか。したがって、総理がしばしば言明しておるように、はたして本年秋までに国際収支の均衡を回復することが可能でありましょうか。また、明年度の経済成長率を五・四%程度で押えることが可能となりましょうか。現在の経済推移をもってすれば、政府の予算編成の根幹となるべき政府の明年度経済見通しは、現在すでに崩れつつあるのであります。すなわち、政府は、明年度予算の成立を前にして、明年度経済の見通しを改定すべき必要に迫られているのであります。私どもは、このような予算案を支持することはできないのであります。
第二に私が申し上げたい点は、物価の問題であります。本年度の消費者物価は、政府の見通しに反して、東京では一割近くの値上がりになっております。政府は、明年度こそ物価を抑制すると、にわかごしらえの総合物価政策を発表されておりますが、政府部内の足並みがそろわないで、藤山企画庁長官のごときは、「私鉄運賃の値上げは物価政策の例外としたい」というような暴言を吐いておられるようであります。参議院選挙を前にして、党利党略上、物価を上げないと言いたい気持はよくわかりますけれども、国民の受ける印象は、選挙が終わったら物価政策の例外が続出するぞと予告をされておるのと同じであります。私どもは、予算審議を通じて、物価に関しては、むしろ政府が進んで引き上げていく方針をしばらくは控えているという判断を下さざるを得ないのであります。二兆五千億に近い大型予算を編成し、金融引き締めといいながら、大企業に対しましては水漏れ金融を行なっているのであります。これでは物価上昇を刺激するのはむしろ政策自身と言わざるを得ないのであります。
第三に私が指摘する点は、最近、政府が提出した石油業法案に見られる政府の自由化対策のあいまいさであります。なおまた、中小企業法案をついに政府も与党も提出できそうもないという、中小企業対策軽視の事実であります。私たちは、自由化に備えるために、わが国が消費する石油の九八%を支配している外国資本と連係のある石油業者に対しては、強く国家の制度として規制する必要があると思うのでありまするが、しかるに、政府の石油業法案は、一体何ものをおそれ、何ものに遠慮をしているのか。成立しないうちから全く行政効果が期待し得ないところのザル法と言わなければなりません。これでは、政府の貿易自由化対策に対して、国民は信頼を寄せるわけには参りません。一方、自由化の被害を最も強く受ける中小企業製造業者の保護について、ついに政府は、中小企業基本法の準備すらなかったことを暴露いたしておるのであります。また、中小企業対策費は、二兆五千億円予算のうち、わずか百億円足らずにすぎません。私は、自由化の進展に伴って、同じく被害を大きく受ける石炭産業、海運業に対する政府の予算計上が、あまりに些少に過ぎる点、自由化に備えて強化せねばならない農業と沿岸漁業の近代化予算も、これまたきわめて少ない点を、どうしても政府の責任として追及せざるを得ないのであります。
第四点として私が指摘する点は、ガリオア・エロアの支払い、日タイ特別円協定による供与額の計上のごとき、秘密外交の悪臭が鼻をつく諸経費が、公然として計上されている点であります。また、防衛庁費におきましても、着々師団編成が進められ、しかも、いかなる外敵か、いかなる内敵か、その仮想敵すら明らかにし得ないほどあいまいな自衛力の理念を抱いたまま、二十万をこえる青年をここに収容している事実を、私どもは見のがすことはできません。すでに、わが党が、三月二日、衆議院予算委員会の本案採決に際して明らかにしましたように、私は、明年度予算案について、国民が最も期待を持ち得た点は、予算規模が四千八百億円もふえ、減税財源九百八十七億円を加えると、実に五千八百億円近くも本年度に比べて財源が増加しているという事実であります。このうち七百億円を向ければ、医療保険は国庫負担が平均七割になって、各保険の別なく、また家族もすべて、医療の質は向上し、かつ医療費の値下げが実現するのであります。百八十億円を支出すれば、小中学校の全員に教科書無償配布が実現できるのであります。これらの諸政策は、今や、やる気さえあれば実現可能になっている事実、すなわち、その財政的基礎が充実しているという事実を、立法府にある者はお互いに銘記すべきであります。わが党が、明年度予算をあげて国民福祉予算として編成せよと主張し続けておりますのも、わが国が財政的にはすでにその可能性を内包しているからであります。
この意味におきましても、参議院選挙における内政面の政策は、わが党提唱の、すべての勤労者の福祉国家建設こそが、事実上各党共通の問題点となるでありましょう。政府におかれても、世界の先進国が……(発言する者あり)田中理事、静かにしなさい。世界の先進諸国がひとしく国民福祉の実施に……(「発言する者多し」)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/56
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057・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/57
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058・向井長年
○向井長年君(続) 政策を転換し、従来の大企業中心の政策を捨て去り、予算編成においても、この方針を実現されるよう望んでやみません。私はこの見地に立って、世界の政治の水準から見て下回り、しかもわが国経済を再び危うくするおそれの強い政府案に対しまして、反対せざるを得ないのであります。
以上の理由を指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/58
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059・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 加賀山之雄君。
〔加賀山之雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/59
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060・加賀山之雄
○加賀山之雄君 私は、ただいま議題となっております昭和三十七年度予算三案につきまして、参議院同志会を代表して賛成の討論を行なうものであります。
今回の予算三案におきましては、社会党代表藤田君が討論に言われたような、はしにも棒にもかからぬというような予算ではないことはもちろんでございます。と同時に、与党の館議員が述べられたように、これはもう完璧であって、けっこうずくめの予算でもないと私は判断をしております。特に私は、時間の関係上、予算編成過程と、また、本予算の執行の問題、さらに今回の予算の性格というものにつきまして、心配になる点があるのでございまして、その点について論及し、政府の善処を強く要望いたしたいと思うのであります。
まず予算編成上の問題でございますが、毎年夏の各省概算要求に始まりこの復活要求が出てくるまでの一連の過程は、旧態依然といたしまして、少しも改められてはいないのであります。私どもは、そのたびごとにこれを指摘いたしまして、改善を求め、こういうことでは国の予算編成上心配であるということを、絶えず説いて参りましたが、今日までいまだ改められておらない。相変わらずそういう状態のもとに、あるいは予算のぶんどりであるとか、あるいは圧力団体の跳梁にまかせられるとか、そういう事態が行なわれている。これはまことに遺憾千万と申さねばなりません。特に、この予算が、そういうことで、万一党内の派閥か、あるいは選挙対策というようなものに乗ぜられるような、あるいはこれに毒せられるようなととがあっては、国家国民の将来にとってまことに心配きわまりない点でございますので、今後予算の編成全般について、ちょうど今回臨時行政調査会が設立せられたのでございますが、この予算制度全般、行政機構の問題も含めて予算制度全般について、政府が今までの経験に徴して十分に考慮されることを望むものであります。
第二に、予算案の規模とその内容の一部についてでございます。今回のこの予算の規模は、三十六年度当初予算に比しまして二四%、第二次補正を含めれば一五・二%、かような増加になっております。膨張になっておりますが、これは、現在のわが国力あるいは経済力から見まして、決して過大なものとは言えない。私はその説に賛意を表するものであります。ただその内容なり実行の面から見て、これはよほど気をつけなければならない面がある。特に、予算の審議にあたりまして最も議論されましたところの経済成長とそれに伴う種々の影響の問題であります。わが国がこの目ざましい経済成長を遂げてきましたことは、これはまことに国民全部が喜ぶべきことでありまして、申すまでもないことでございます。また、われわれは心からこうした経済成長がさらに続くことを望むものであります。ただ、今までの経済成長が、おのずからこの所得倍増という言葉からの魅惑や、あるいかはこの設備投資の行き過ぎといたっものから、ひずみが出て参りまして、むしろ非常に重要な課題が生まれて参った。そうして、これは下手をいたしますと、今後日本のこの成長どころか、安定にもひびが入るおそれがあるという事態に到着したわけでありまして、この事態は池田総理も率直に認められまして、これに対する手直しを十分に考慮されておるという御答弁でございましたが、私どもから見ますると、この施策に対する手当は幾らかタイミングがはずれて、おそ過ぎた。また、最近特に憂えられておりますところの消費物価の値上がり等につきましても、この対策が、金融、財政全般として、総合的に、具体的に強力にとられなければならない今日、いまだ、具体的十三項目はあげられておりますが、具体策に欠くるところがありまして、非常に心配がある点でございます。で、そのうち特に私は公共投資について述べたいと思うのでごいざますが、前年度比一五%増でございますが、この公共投資は、従来ともすればいわゆる社会資本が過少であった、公共投資がおくれておった、民間の設備投資におくれて参っておることは事実でございまして、その面が経済成長のむしろ隘路となってきた面が多いのでございまして、私どもは、この費目が多く組まれておるということに必ずしも反対をするものではありませんが、しかし、この公共投資のための予算は、これは効果をあげるのは、非常に長い、早くて数年後に効果があがって参るのでございまして、しかも、当座といたしましては、すぐにこれが需要面を刺激して、この一般の消費増大とともに、先ほど申しましたような、せっかくやろうとしておる景気調整の効果を妨げ、阻害するような危険をはらむ面があるのでございまして、この点、特に予算の執行にあたって、政府がこの点に注意をされて、厳重なる監督のもとに正しい使い方をしていただく、執行していただくということを、特に御配意いただきたいと思うのでございます。
第三は、この戦後歴年の予算案を通覧いたしまするに、その歳出面におきまして、それぞれ法律あるいは既定の事実に基づきまするいわゆる義務的経費というものが著しくふえて参っております。で、こういう経費の増加は、その他政府の政策を反映するいわゆる政策的経費というものは、比較的に次第に圧縮されるという傾向を伴うことは明らかでございまして、このことは、とりもなおさず、予算の性格上、予算を硬直化させ、弾力性を喪失せしめることを伴う可能性があるのございまして、したがって、新規政策の遂行をようやく困難ならしめるものといわなければなりません。で、これに関連して、来年度においていろいろの施策を政府は掲げておられますが、たとえば減税方策にいたしましても、また社会保障の関係につきましても、特に総理が施政方針演説の冒頭で非常に強く言及された青少年、また国民精神生活向上の面における諸施設が足りない、不足していると考えられるのでございまして、一般経済成長に比しわが国が精神生活の面において立ちおくれているということは、これは最も今後のわが国の発展上考えるべき点であろうと私どもは考えるのであります。
その他、エネルギーの対策であるとか、あるいは国際収支の面から見た海運あるいは観光の政策等、いわゆる緊要と思われる施策の実施にあたりましては、政府は、こういった総費の不足ということから、十分に手が打たれてないうらみがあるのでありますが、今後、よろしく従来の弊害や欠陥を率直に認められました場合に、反省すべき点は反省し、また進むべきことは勇敢に推進されまして、そして現在変貌しつつある国際経済、あるいはわが国自体の経済に対処して、今後の予算の弾力的施行に誤りなからんことを期せられるよう特に強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/60
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061・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 岩間正男君。
〔岩間正男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/61
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062・岩間正男
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、ただいま議題になっている昭和三十七年度予算三案に反対するものであります。
本予算案は、安保条約の実施を保障し、わが国の侵略的軍国主義体制を強めるために、所得倍増計画のボロをつくろいつつ、独占資本を強め、すべての犠牲を勤労者に転嫁し、わが国をますます危険な道に追いやるものであります。
まず第一に指摘しなければならない点は、本予算案に織り込まれている政府の経済見通しと基本的経済政策は、まだ本予算案が成立しないうちから、早くも大きく変更しなければならないところに追い込まれていることであります。設備投資の抑制、輸出の振興など、ことごとくしかりであります。政府の手によって生産の規制をせざるを得ないと言う佐藤通産大臣の発言は、このことを端的に示しているものであります。このように、予算案成立以前に、その基本政策を大幅に変更せざるを得ないことは、いまだかつてその例を見ないところであります。これ一つだけとってみても、政府は直ちに予算案を撤回し、あらためて出直してくるべきであると思います。
本予算案が矛盾に満ちていることはこれだけではありません。国際経済の動向については、政府部内においてすら意思が統一されていないほど見通しが狂っていたのであります。ヨーロッパ共同市場に対する見通しを誤った政府は、今さらのようにあわてふためいて同市場に割り込もうとやっきになっているが、いまだにその打開策を持ち得ない状態であります。下手をすると国際資本主義経済社会で孤立することを心配せざるを得ないありさまであります。そして一方で、依然としてアメリカにしがみつきながら、アメリカからはドル危機への協力と貿易為替の自由化を強要され、それに屈服している現状であります。
しかも、アジア諸国への経済進出を強化しながらも、政府の軍国主義、帝国主義復活政策に対するそれら諸国民の反対のため、意にまかせない状態にあります。他方、中国、ソ連その他アジアの社会主義諸国への敵視政策を強めることによって、経済交流拡大をみずから狭めている。こうして、日韓会談やガリオア・エロア、タイ特別円協定に見られるように、アメリカの反共軍事政策への積極的加担によって極東の情勢を激化させ、みずからの首を絞めるような愚かなことをあえてしているのであります。こういう政策を強行するために、国内の軍国主義体制と独占資本の強化を促進し、国民に対する収奪をますます強めようとしております。
本予算案は、このような傾向を一そう強めるためのものであり、すでに国民は戦いに立ち上がっております。国鉄労働者の実力行使を何と見るか。続続と上京している炭鉱労働者数万のデモを何と見るか。国税通則法、物価値上げに反対する市民の戦い、基地撤去を要求する各地の闘争等々、これこそ池田内閣の足元を掘りくずす葬送曲であります。最近の世論調査の結果は、はっきりとその一端を示しているのであります。わが党は、本予算案と池田内閣に反対し、国民とともに断固として戦うものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/62
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063・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
三案全部を問題に供します。三案の表決は記名投票をもって行ないます。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/63
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064・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
[投票箱閉鎖]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/64
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065・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/65
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066・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百五票
白色票 百二十票
〔拍手〕
青色票 八十五票
〔拍手〕
よって三案は可決せられました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十名
杉山 昌作君 温水 三郎君
谷口 慶吉君 田中 清一君
櫻井 志郎君 加賀山之雄君
村山 道雄君 稲浦 鹿藏君
大泉 寛三君 鈴木 恭一君
白井 勇君 佐藤 芳男君
吉江 勝保君 奥 むめお君
常岡 一郎君 三木與吉郎君
田中 啓一君 山本 米治君
高瀬荘太郎君 近藤 鶴代君
村松 久義君 堀末 治君
藤野 繁雄君 村上 義一君
大谷 瑩潤君 太田 正孝君
笹森 順造君 黒川 武雄君
泉山 三六君 杉原 荒太君
野上 進君 山本 杉君
谷村 貞治君 天埜 良吉君
米田 正文君 鳥畠徳次郎君
岸田 幸雄君 金丸 冨夫君
川上 為治君 徳永 正利君
仲原 善一君 鈴木 万平君
石谷 憲男君 増原 恵吉君
前田佳都男君 勝俣 稔君
佐野 廣君 江藤 智君
鍋島 直紹君 上原 正吉君
岩沢 忠恭君 岡崎 真一君
武藤 常介君 野本 品吉君
小柳 牧衞君 田中 茂穂君
新谷寅三郎君 斎藤 昇君
紅露 みつ君 木内 四郎君
石原幹市郎君 宮澤 喜一君
吉武 恵市君 永野 護君
林屋亀次郎君 小林 英三君
寺尾 豊君 大野木秀次郎君
平井 太郎君 大川 光三君
中野 文門君 堀本 宜実君
村上 春藏君 鹿島 俊雄君
植垣弥一郎君 赤間 文三君
青田源太郎君 安部 清美君
松村 秀逸君 井川 伊平君
上林 忠次君 梶原 茂嘉君
高橋 衛君 高野 一夫君
前田 久吉君 河野 謙三君
横山 フク君 平島 敏夫君
館 哲二君 松平 勇雄君
小林 武治君 大谷 贇雄君
青柳 秀夫君 柴田 栄君
高橋進太郎君 小沢久太郎君
西郷吉之助君 小山邦太郎君
安井 謙君 木暮武太夫君
迫水 久常君 重宗 雄三君
堀木 鎌三君 郡 祐一君
草葉 隆圓君 一松 定吉君
青木 一男君 木村篤太郎君
津島 壽一君 野田 俊作君
天坊 裕彦君 西田 信一君
岡村文四郎君 剱木 亨弘君
重政 庸徳君 西川甚五郎君
下村 定君 湯澤三千男君
井野 碩哉君 植竹 春彦君
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反対者(青色票)氏名 八十五名
石田 次男君 牛田 寛君
柏原 ヤス君 中尾 辰義君
原島 宏治君 白木義一郎君
小平 芳平君 辻 武寿君
市川 房枝君 北條 雋八君
千田 正君 大森 創造君
野上 元君 豊瀬 禎一君
千葉千代世君 山本伊三郎君
武内 五郎君 小柳 勇君
鶴園 哲夫君 横川 正市君
鈴木 強君 中村 順造君
松永 忠二君 占部 秀男君
森 元治郎君 大河原一次君
光村 甚助君 藤田 進君
亀田 得治君 加瀬 完君
大和 与一君 大倉 精一君
小笠原二三男君 中田 吉雄君
荒木正三郎君 小酒井義男君
高田なほ子君 米田 勲君
吉田 法晴君 木村禧八郎君
阿具根 登君 永岡 光治君
松澤 兼人君 岩間 正男君
須藤 五郎君 大矢 正君
森中 守義君 北村 暢君
永末 英一君 基 政七君
安田 敏雄君 藤田藤太郎君
相澤 重明君 田上 松衞君
田畑 金光君 伊藤 顕道君
木下 友敬君 平林 剛君
秋山 長造君 久保 等君
片岡 文重君 相馬 助治君
向井 長年君 戸叶 武君
山口 重彦君 椿 繁夫君
矢嶋 三義君 成瀬 幡治君
天田 勝正君 東 隆君
岡 三郎君 佐多 忠隆君
田中 一君 重盛 壽治君
藤原 道子君 村尾 重雄君
中村 正雄君 曾禰 益君
千葉 信君 近藤 信一君
羽生 三七君 内村 清次君
江田 三郎君 赤松 常子君
棚橋 小虎君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/66
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067・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 暫時休憩いたします。
午後十時七分休憩
〔休憩後開議に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01519620331/67
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