1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十三日(月曜日)
午前十時五十四分開議
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議事日程 第十七号
昭和三十七年四月二十三日
午前十時開議
第一 行政管理庁設置法等の一部
を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第二 労働省設置法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第三 経済企画庁設置法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
第四 漁業法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
第五 水産業協同組合法の一部を
改正する法律案(内閣提出)
第六 畜産物の価格安定等に関す
る法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第七 農業機械化促進法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
第八 国際通貨基金及び国際復興
開発銀行への加盟に伴う措置に
関する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出)
第九 外国人等の国際運輸業に係
る所得に対する相互主義による
所得税等の非課税に関する法律
案(内閣提出)
第一〇 国有財産法第十三条第二
項の規定に基づき、国会の議決
を求めるの件(衆議院送付)
第一一 臨時司法制度調査会設置
法案(内閣提出、衆議院送付)
第一二 地方公務員共済組合法案
(内閣提出)
第一三 地方公務員共済組合法の
長期給付に関する施行法案(内
閣提出)
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○本日の会議に付した案件
一、当面する経済政策に関する緊急
質問
一、日程第一 行政管理庁設置法等
の一部を改正する法律案
一、日程第二 労働省設置法の一部
を改正する法律案
一、日程第三 経済企画庁設置法の
一部を改正する法律案
一、日程第四 漁業法の一部を改正
する法律案
一、日程第五 水産業協同組合法の
一部を改正する法律案
一、日程第六 畜産物の価格安定等
に関する法律の一部を改正する法
律案
一、日程第七 農業機械化促進法の
一部を改正する法律案
一、日程第八 国際通貨基金及び国
際復興開発銀行への加盟に伴う措
置に関する法律の一部を改正する
法律案
一、日程第九 外国人等の国際運輸
業に係る所得に対する相互主義に
よる所得税等の非課税に関する法
律案
一、日程第十 国有財産法第十三条
第二項の規定に基づき、国会の議
決を求めるの件
一、日程第十一 臨時司法制度調査
会設置法案
一、日程第十二 地方公務員共済組
合法案
一、日程第十三 地方公務員共済組
合法の長期給付に関する施行法
案
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/2
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003・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この際、私は、当面する経済政策に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/3
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004・鍋島直紹
○鍋島直紹君 私は、木村君の動議に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 木村君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。大村禧八郎君。
〔木村禧八郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/6
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007・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、最近の経済情勢の推移並びに今後の経済の見通し、それと関連していわゆる藤山発言に関する質問をいたしたいと思います。総理、経済企画庁長官、通産大臣に質問をいたしたいと思うのであります。
第一の質問は、三十七年度の予算の編成の前提になりました経済の見通しが、その後非常に大きく狂ってきておるわけであります。これに対して政府はどういうふうに対処しようとしておられるか。これは総理大臣、経済企画庁長官、佐藤通産大臣にそれぞれ御質問いたしますので、それぞれから御答弁を願いたいと思います。
その理由は、まず第一に、鉱工業生産について見ますると、政府は、三十七年度の国際収支を一億ドルの赤字にとどめる、そのためには経済成長率五・四%、鉱工業生産五・五%、こういうことを前提にしておるのであります。そうして、特に鉱工業生産につきましては、昨年の十一月をピークとして年率九%で六月までこれが下がり、六月以後年率一二%でこれが上昇して、平均五・五%の前年度に対する増加率ということになっておるわけであります。ところが実際は、実績を見ますると、そのとおりに推移していないのであります。十二月にちょっと下がりましたけれども、一月はまた上がりまして、そうして、一月は通産省の鉱工業生産指数によりますと三〇四をこえているのであります。二月はちょっと横ばい、三月も横ばい程度であります。これは、政府が最初予定しました一—三月、これ二八七・四ぐらいになっておるわけです。その間大体二〇ポイントぐらい差がありまして、年率にしまして二%ぐらい差があるわけであります。当初においてもう非常に大きな相違が出てきておりまして、このまま推移するといたしますならば、五・五%の成長率は八%ぐらいの成長率になります。そこで、政府の見通しどおりにするならば、今後の成長率は三%以下にしなければ——二・六%ぐらいにしなければ、三十七年度に一億ドルの国際収支の赤字にとどめることはできないわけであります。そこで、三十七年度予算の前提になった経済見通しを大幅にここで修正しなければならない事態に追い込まれてきているわけです。
そこで、この修正についてどういう修正の方針をとるか。これは二つしかないと思います。その一つは、景気調整の時期をずらすということ。三十七年度に一億ドルの赤字にとどめる、秋に収支均衡をとるという方針でございますけれども、これは本年度内に収支均衡をとることはできません、このままでしたら。どうしてもこれをずらす、来年までずらす、そういう調整の時期をずらすのか。あるいは、ずらさないといたしますならば、成長率を三%以下にしなければなりません。ものすごいデフレ政策をとらざるを得ないと思います。いずれを選ぶのであるか。この点についてまず第一に伺いたいと思うのであります。
鉱工業生産は狂ってきております。さらに物価についても、政府は二・八%の消費者物価の上昇を予定しておりますが、もうすでにその後の上昇率を考えますと、四%は下りません。ここにおいてもまた、非常に大きな狂いが生じておるわけです。また、設備投資につきましても、設備投資は、三十七年度は三兆六千九百億で、前年度よりこれは減らす予定になっております。ところが、実際において、三十七年度の上期においては、三十六年度の上期より一六・二%ぐらい上回っているのです、もうすでに。したがって、このまま推移するといたしまするならば、私の計算では、国際収支は一億ドルの赤字どころではありません。三億五千万ドルくらい、あるいは四億ドルくらいになる見通しになります。大体鉱工業生産の見通しは、年率にしまして二%以上狂っておりますから、二%狂いますと、私の計算では、二億五千万ドルは輸入はよけいになります。それは、これから政府が予定するように、鉱工業生産が今後ダウンするとしてそうなんです。もしこれがずっと横ばいであったら、その赤字はもっと大きくなります。これに対してどう対処されますか。それから、予算の前提となる経済見通しが大幅に狂ったのでありますから、予算の運営につきましては、当然これは変化がなければならないはずです。予算通常についてはどういうふうに処理するか。私は非常に遺憾でございますが、こういう事態になることは、もうすでに予算審議の過程において明らかであったのです。それだのに、予算の審議の過程においては、こういう問題について政府はほおかぶりしてきたわけであります。そうして藤山発言によって初めてこの事態が世間に明らかになってきた。
そこで、私は、これに関連して藤山発言について御質問いたします。政府は、藤山企画庁長官が去る四月十三日、経済同友会で、経済の現状の分析、将来の見通しについて発言されたことが世間に大きく報道せられて、非常な波紋を起こしましたので、あわてて、表現は違うけれども、考え方は藤山さんと総理その他池田内閣とは同じであるというふうに、大平官房長官は発表しております。ところが、同じではないのであります。これから私が具体的に質問して参ります。
まず第一に、経済の今後の見通しでありますが、藤山長官のお考えは、新聞の発表その他、きのう私はテレビの討論会で藤山氏から直接伺いましたが、藤山氏のお考えはこういう考えであります。「日本経済は今非常にむずかしい時期に差しかかっている。景気調整の現状について、何かたるんだような空気が出ているが、甘い見方は禁物である。もし甘い考えで進むならば、なしくずし的に危機をずらし、最後には、たいへんな、どたんばに追い込まれる。」こういうふうに述べているわけです。このことは、先ほど私が述べましたように、鉱工業生産がもうすでに政府の予定よりも大体二十ポイント狂っている。年率二%狂っている。それで、藤山長官の御意見は、「このまま行けば、これはずっと落ちないで、横ばいになっていくだろう。そうなれば、将来非常なデフレ政策をとらざるを得なくなる、国際収支が赤字になって。」そこで、藤山長官は、早目にここで調整をしなければ、将来のデフレ的な影響というものはかなり深刻なものになる。これに対して池田総理の考え方は、「もう少しこの事態を見なければわからない。大体鉱工業生産についても、四月ごろ、五月ごろの情勢を見れば、今までの引き締め政策がさいてきで、そうして時期は、ずれるけれども、これは、政府が予定したように、四、五月ごろから年率九%くらいで下がる、そうして十、十一月ごろ一一%くらいでまた上昇するだろう。特にここで再引き締め、そういう政策はとらなくても、このままでよろしい。」というのが池田総理の考えなんであります。そうしますと、池田総理の考えは、このままほうっておいても、四、五月ごろから鉱工業生産は下がり、やがてまた上昇するというのです。藤山長官の考えはそうではないのです。何かたるんだような空気が景気調整の現状において出ている。だから、このままたるんだ状態で手を打たなければ、鉱工業生産は下がらない。下がらないから、参議院選挙でも過ぎて、この秋あたりにでも行けば、今度はものすごいデフレになる。こういうことなんです。池田総理の考え方は、これからほうっておいても下がって、ある程度まで行って上向きという。藤山企画庁長官は、そうではない。逆にある時期まで行ったら非常なデフレになる。イスカのはしの食い違いで、食い違っている。大きな食い違いであります。(拍手)この大きな食い違いは、これは私は重大な問題だと思うのであります。これに対して、池田総理、企画庁長官もお答えを願いたい。
さらに重大なことは、第二に、それならば、こういう経済見通しの上に立って、今後どういう景気調整策をとるかです。この景気調整策についても、藤山長官のお考えと政府の考えは非常に大きな相違がございます。藤山長官は、昨年九月ごろから金融引き締めを行なってきましたけれども、それは、政府が買いオペとかその他によって金融をゆるめてしまっている。いわゆるたるんだ状態になっている。政府の甘い見通しだ。引き締めになっておらないというのです、藤山長官の御意見は。ですから、ここで急ブレーキをかけるべきだという御意見であります。急ブレーキをかければ、その影響は深刻であります。中小業者、労働者に大きな影響が出てくるでありましょう。したがって、私は藤山長官にお伺いしたい。急ブレーキをかけたとき、そのとき深刻な影響が出て参りますが、それに対してどういう対策をお考えでございますか。
また、池田総理に伺いたいわけでありますが、藤山長官は、この際、苦しくても、一時的に出血が出ても、急ブレーキをかけるべきだ。今までの景気調整策は調整になっておらない。金融引き締めは緩和してしまって、調整策になっておらないから、ここで昨年行なった金融引き締めその他の景気調整策を本格的にやれということです。本物になっていない。そこで、池田総理にその点は伺いたいのです。これについては、金利引き上げその他の景気調整策も含まれておりますが、総理は今後の景気調整をどういうふうにされていくのであるか。藤山長官が言われるようにされていくのかどうか。これまで政府の考え方は、参議院選挙があるから、ここで何とかしのいで、そうして参議院選挙後において再引き締めをやろうとしているのではないかと思います。いわゆるタイミングが違うわけです。時期が違う。このタイミングこそ非常に重要であります。タイミングが違うのでありますから、その点、総理に明確にお伺いいたしたいのです。
さらに、景気調整の時期について質問いたしますが、さらに具体的に、設備投資の抑制についても、藤山長官と政府の考えは違うわけです。それで、佐藤通産大臣に特に伺いたいのですが、前に通産大臣は、新規投資についてはきびしく押える。——財界では、これは官僚統制の介入じゃないか、こういうふうに理解しているのではないかと思うのです。財界は自主的な調整を怠ってきましたから、財界にも責任があるわけでありますけれども、財界では、これを契機として官僚統制が強まることを心配しています。通産省の考え方は、今後の設備投資は、ある一定の基準を設けて、だんだん官僚統制を強化していく方向にあるのではないかと思うのであります。あるいは自主調整とちゃんぽんにやっていくということも言われておりますが、とにかく官僚統制は強まろう、強めざるを得ない、これは財界がだらしがないからと、こう言われている。これに対して藤山長官は、官僚統制、政府の権力的介入が行なわれたら、これはたいへんなことである、だから、これを排除するためにも、民間の自主調整が強力に行なわれるべきだ、こういうお考えだと思うのです。この点は非常に違うわけであります。この点について明確にお答えを願いたいと思います。これは総理からも、重要な問題ですからお答え願いたい。
次に、物価対策について。これも非常に違うわけです。物価の問題については、物価値上がりの影響について、まず藤山長官と池田総理との間に違いがあるのであります。総理は、物価が上がっても、それ以上に所得がふえているから、家計を圧迫しないということを言っているのであります。藤山長官は、最近の情勢を見ると、物価値上がりはかなり国民の生活を圧迫しているという考えに立っているわけです。この点は明確に違う。また、物価騰貴の原因につきましても、池田総理は、高度成長政策をやれば物価は上がるのはやむを得ないという考え方です。総理は、卸売物価さえ上がらなければいいのだ、消費者物価については、所得がそれ以上ふえているのだから、上がっても家計を圧迫しないから、いたし方ない、高度成長のもとではあたりまえであると考えている。ところが藤山長官は、この物価値上がりは行き過ぎだ、高度成長政策そのものにあるのだ、池田内閣の高度成長政策というものをここで直さなければいけないという考えであります。根本的に違います。この点についても、総理並びに経済企画庁長官からお伺いしたい。
また、物価対策につきましても違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 時間です。結論を急いで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/8
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009・木村禧八郎
○木村禧八郎君(続) 経済全体の均衡と円滑な発展が物価安定の条件であるということを藤山長官は言われています。ところが池田総理のほうは、これは、さっきお話ししたように、大体積極的に物価を押えるという考えはそうはないようであります。成長政策をやればやむを得ない、消費者物価が上がっても所得がそれ以上ふえているから心配ない、こういう考えです。根本的に違っております。
それから金利政策についても、藤山長官は、金利機能を生かして金利を上げるという考えです。総理は、金利を上げても効果がない、むしろ資金の量的規制に重点を置くべきだという総理のお考えです。この点も食い違っております。
また、今後の経済の運営の姿勢につきましても、藤山長官は、これは高度成長政策に誤りがあったのだ、それで、いたずらに成長率の数字にとらわれることは誤りだ。——総理は成長率の数字にとらわれてきたわけです。そこで、経済に対する姿勢をここで直さなければならない段階に来ているのです。この点についてお伺いしたい。
時間がなくなりますが、最後に私の所見を述べます。
それは、これまで二カ年間にわたって経済の見通しを誤ってきたわけです。三十六年度は大失敗した。さらに三十七年度においてもまた、経済の見通しを大きく誤っているのです。前科二犯であります。その責任は重大であります。この根本の原因は二つあります。その一つは、長期政策を立てるために財政、金融、産業、貿易について実質的年次計画がないのであります。そうして、自由企業の原則のもとに、利潤追求をもとにして、自由競争で長期の経済政策を出しておりますから、当然、行き過ぎはあたりまえであります。計画的に運営しなければだめであります。社会党がいう総合計画的なそういう考えをやらなければだめなんであります。安定的経済はできません。第二の原因は、この安保体制のもとでアメリカとの間にものすごい片貿易をやっているわけです。国際収支の大幅な赤字の七、八割が対米貿易の赤字であります。これは安保体制に問題がある。ですから、問題は、この矛盾を解決するために、国内で金融を引き締めたり景気を調整するという考えでは、そういう調整策をとったら、この犠牲が中小企業、労働者に大幅に寄るのでありますから、前向きの形でこの問題を処理するためには、どうしても輸出をふやす必要があるのであります。輸出をふやすためには、アメリカに対して片貿易をなくするように強硬に申し入れるべきである。もう一つは、共産圏貿易に積極的になることで、つまり、単に経済政策だけでは問題の解決がつかない。外交政策で強力に、これはアメリカに対して片貿易を直すよう要求すべきである。共産圏との貿易についても積極的に努力を払うべきです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/9
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010・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 時間をお考え下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/10
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011・木村禧八郎
○木村禧八郎君(続) つまり、池田さんは政治の姿勢を直すと言いましたが、政治の政策では足りないのであります。経済、外交の姿勢を根本的に直さなければ、この問題は、国民を犠牲にしないで安定的成長を達成するという問題は解決できない。私はそう思います。この点について明確な、また懇切な御答弁を願いたい。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/11
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012・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
御質問の第一点は、経済の現状と将来の見通しでございます。お話のとおり、昭和三十七年度予算につきましては、昨年の十一月を基準として見通しを立てました。しこうして、その見通しにつきまして、今見通しどおりにいっていないことは、鉱工業生産が減ると思ったのが、今のところ案外横ばいでございます。そこで、この横ばいがいつ下降に向かって、いつまた上昇に向かうかという、今が一番大切なときでございます。お話のとおり、一月は低くなりましたが、二月、三月は上がったり横ばい、これが今後、四月、五月、六月にどうなるかということが、今後を左右する問題だと思います。ただいま政府はこれにつきましていろいろ検討を加えておるのでございまするから、あなたのおっしゃるとおりに、今後、減らずに横ばいでいくか、あるいは上昇するかということの結論を出すことは早うございます。もうしばらく見なければならぬと思います。
そうして次に、国際収支の見通しでございますが、国際収支の見通しにつきましては、信用状の状況は予想しておったとおりにいっております。すなわち、大体信用状だけの点から言いますれば、黒字が相当ふえてきております。ただ信用状なしの輸入につきましては、案外減らずにおります。したがって、輸出入の状況から申しますると、輸出の四十七億ドルは非常にむずかしい、困難だ、ほとんど不可能だと言われておりましたが、私は、民間の努力によりまして大体四十七億ドルの輸出は達成できる。また、でかすように努力する。私はできるものと見ております。ただ、輸入の四十八億ドルにつきましては、国内の鉱工業生産の動向によりまして、四十八億ドルこえるかもわからぬし、また、様子によりましては、こえずにいくかもわかりません。しかし、いずれにいたしましても、国際収支の面につきましては、私は、昨年の十一月に予想しておるところとあまり違いはございません。しこうして、今後におきましても、外国の日本に対する信用は決して落ちていない。私は、国際収支の点につきましては、あなたとは考え方を異にしております。次に消費者物価でございます。一月、二月、三月の消費者物価は、われわれの予想に反して、あまり下がりません。横ばいか、少しくらい上がっている。したがいまして、昨年の十一月の二・八%の上昇というのは、との四月から消費者物価が横ばいになった場合におきましては、二・八%じゃない。暦年で申しますと三、四%になりましょう。しかし、今後の政府の物価対策によりまして、私は相当下げていけると思いまするから、消費者物価につきましては、私は二・八%の予想を実行すべく努力をいたしたいと考えているのであります。したがいまして、先般御審議いただき、決定いたしました予算の実行につきましては、こういう状況を考えまして、消費者物価対策につきましては、私は予算の繰り上げ使用等をやります。しかし、物価に影響のあるものにつきましては、適切な措置をとることも考えなければならぬと思いまするが、今御審議を願いました予算につきましてどうこうするということは、まだ早い。申し上げ得ることは、物価対策につきましては早急に繰り上げて使うことあるべしという考えでいるのであります。
次に、藤山発言につきましてのいろいろな御質問でございましたが、私は先にも申しましたごとく、実質的に何ら藤山君、佐藤君と変わっていないと思います。食い違いがある、私が非常に経済を甘く見ていると、こういうことでございますが、決して甘く見ておりません。昨年の九月の景気調整策、また先般の物価総合対策、そうして去年の金融政策、ことに輸入規制、輸入担保率をうんと引き上げる等、いろいろな施策を講じまして、経済の調整に踏み出しているのであります。この点は、閣議で決定いたしました。みんなこれに賛成していっているのであります。そうしてまた、設備投資につきましても、通産大臣は、つとにその行き過ぎを押えるべく発言いたしまして、業界を指導いたしているのでございます。私は経済の状況につきましての見方は変わっていない。衆議院で申しましたが、非常に危機に面している、こういうお話でございます。危機とは言えません。非常にむずかしい状態で、誤りのないように、細心の注意をしていかなければならぬということは、常に言っていることであります。決して楽観したり甘く見ているのではございません。これをむずかしいからといって騒ぎ立てることは、経済自体にもよくないということを、はっきり申し上げておきます。
次に金融の引き締めにつきましてでございますが、金融を引き締めているか、引き締めていないか、この問題につきましては、専門家の木村さんはおわかりでございましょう。日本銀行の貸し出しが昨年の今ごろ五千七、八百億円だった。今一兆二千七、八百億円。七千億円の貸し出し増加になっております。これは金融を引き締めていないという証拠でございます。私は非常な金融の引き締めをしていない。七千億円も貸し出しが増加して、これを金融引き締めだというのは、これいかん、こういうことになります。御承知のとおり、昭和三十三年、四年、五年、三カ年間に合わせて十億ドル以上の輸出超過によりまして、日本銀行から三、四千億円三年間で出ている。三十五年におきましても、二千五百億円の散布超過、国際収支から申しまして。それが、三十六年に、輸入がふえたために、前年の二千数百億円の散布超過が、逆に二千数百億円の引き揚げ超過になった。したがって、国際収支から申しまして、五千億円の金詰まりということになる。そうして、政府の租税収入の増加等によりまして二千数百億円の引き揚げ超過。三十五年に比べまして、三十六年度は七千億円の金融の引き締まりをしているのであります。それに、経済の膨大によりまして当然日本銀行の貸し出し増になるべきものを押えておるという状態でございます。これが、貸し出しがふえましても、金融が非常な引き締まりになっているという証拠であります。これを直すのにはどうするか——設備投資を押えて、そうして外資の導入をすること、早い話が、毎年七、八千億円の増資が行なわれておる、三兆数千億円の設備投資が行なわれておるときに、しかもまた、その設備投資の関係上、また貿易自由化の関係上、非常に合理化の金を要するときに、日本人の蓄積のみによって——外国に比べますと、日本人の貯蓄性向、貯蓄率というものは非常に高うございます。ほかの国に比べればほとんど倍額近い貯蓄を持っております。それにしても、日本の急速な設備投資、貿易自由化の対策を、とこで国内の蓄積だけによってやろうということは、なかなかむずかしい。したがいまして、私は常に申しておるのでございまするが、日本の生産拡充のために、将来の経済の基盤を強化するために、外資の導入というものは当然行なわれなければならぬことであります。これが手おくれいたしております。私はこういうことを考えまして、今の金融は相当引き締めていく。今の会社の内容をごらんになりましたら、ここで議論するような問題じゃないと思う。私は今後もこの引き締め政策は続けて参ります。しかし、そこに日本全体として、この金融につきましての考え方をもっと積極的に正常化しながら、国際的のものにしていかなければならぬと考えております。
また、物価対策につきまして、私は物価が上がることをそのまま放任するというわけじゃございません。ただ、国民生活がどうかというときに、高度成長をして国民の所得が急激にふえますると、消費者物価におきまして、サービス料の増加、生活内容の変化等によりまして、ある程度消費者物価の上がることは、いやでございますけれども、ある程度やむを得ないと考えております。ただ問題は、昭和三十年ごろから所得がどんどんふえて参りまして、個人の可処分所得もふえて参りましたが、いかんせん三十六年度に賃金の急激な上昇と相伴いまして消費者物価が上がったことは、まことに遺憾であります。したがいまして、これに対しましては、物価総合対策を立てまして、そうしてこれを極力上がらないように、できれば下がるように、いろいろな各種の施策を今後していく考えでおるのでございます。要は、私は、先般も申し上げましたように、五・四%がいいか、これを今の状況によって三%に下げるか、四%に下げるか、こういう数字のもてあそびよりも、日本の経済をほんとうに基礎を固めて、安定した成長に持っていくように各般の施策を講ずべき今が一番重要なところだと、日夜心を砕いておるところでございます。(拍手)
〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍
手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/12
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013・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御答弁申し上げます。
今後の経済見通しにつきましては、数字的には、すでに木村議員も御指摘になり、総理も言われたとおり、鉱工業生産というものが、私ども予想いたしましたように、昨年の十一月を期として低下して参ると考えておりましたけれども、そのとおりには現在推移いたしておりません。したがいまして、その点に関して、われわれはさらに今後の情勢を十分検討をいたしまして、そうしてその起こっております原因等を考えてみなければならぬと思います。したがって、当時予想いたしました、五−七月ぐらいが最低であって、それから徐々に上昇の傾向に向かうという時期は、私は、ずれざるを得ないのではないかと思うのでございます。したがって、そういう状況から、輸出貿易につきましては、割合に努力目標に達し得るような状況下にございますけれども、輸入を四十八億ドルにとどめますことは、ただいまのような高水準の生産状況では、相当困難ではないかと思いますので、これに対する対策を十分に打って参らなければならぬと思っておるのでございます。したがって、今日この時期におきまして、われわれがまず第一に考えて参らなければなりませんことは、昨年九月に作りました総合対策というものを、ゆるみなくこれを実施していくことでございまして、十二月の危機が過ぎた、あるいは三月の危機が過ぎたというような状況だけから、安易な楽観をいたして参ることはできないかと思います。同時に、現在の状況を見ておりますと、生産が低下いたさないその結果として、製品在庫が非常にふえておりますので、これが幸いに輸出に向かって出てくれますれば、問題は適当な方向に進み得ると思うのでございますが、この製品在庫が、国内の刺激された消費のもとに出て参る、あるいは景気を調整する過程において、これが製品在庫としてかかえられますると、金融上にも大きな問題が出て参りますので、その辺の点につきましては、今後の経済運営の点にあたりまして、十分な配意をして進めて参らなければ、将来禍根を残すような事態が起こってくるのではないかと、私ども経済の見通しをいたしておりまする者の立場からは、そういうように考えておるのでございます。
また、設備投資の過大を招いたと申しますことは、何と申しましても高度成長という勢いが強く、お互いの市場占拠率というものの競争が激しかった結果であるのでございまして、したがって、設備投資をスロー・ダウンいたしますためには、やはり景気の基盤を安定的な成長に持っていかなければならぬと思います。そうして、民間自身の自粛によりまして、できるだけ今日の実態を民間の産業経営者の方々も把握して、そうして自分みずからそれに対して努力をされることが必要であろうと思うのでありまして、国家の権力によりまして統制することは、私どもいかがかと思います。ただ、そのためには、政府が、民間の自主的な立場に立ってこれらの問題を考え得るだけの基盤を今日作ってあげていくことが必要でございまして、そういう意味において、政府もまた重要な設備投資過大化を防止する政策をとって参らなければならぬと思うのでございます。
また、物価の抑制に関する問題につきましては、われわれとしては、先般、物価問題に関する総合対策として十三の項目をきめまして、それぞれ関係各省にお願いをいたしまして、物価の騰貴を押えていくようにいたして参りたいと努力いたしております。はなはだ残念でございますけれども、二・八%の三十七年度の物価の上昇というものは、年間を通じての二・八%でございまするから、したがって、現在の事情から申しますと、三月三十一日から横ばいに持っていかなければならぬような状況でございまして、これを横ばいに持って参りますためには、相当な努力が要ります。政府も相当な政策をいたさなければならぬと思うのでございまして、そのために先般物価の総合対策を立てて、そうして、できるだけこの点についての、十分にしてかつ適切な処置をとって参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
なお、金融の操作につきまして、木村議員から、急ブレーキをかけた、しかし買いオペ等でもって金融が引き締まってないではないかというお話がございましたが、その点、若干、私が申しましたこととちょっと違っておるのでございますが、急ブレーキをかけました結果として、その自動車の中に乗っている人が頭をぶつけたり、あるいは血を流したりする人ができてくれば、それに対しては、当然やはりある程度の手当はして参らなければいけないと思うのでありまして、したがって、金融引き締めのワクの中におきましても、そうした点について、必要があれば中小企業等の金融に対する買いオペをやることは、私はこれは当然やらなければならぬと思っております。が、しかし、全体のワク自体を金融の正常化に持って参りまして、そうして引き締めをやって参りますことが必要でございまして、そういう意味において、この金融の基盤を今日確立して参ることが必要ではないかと思います。現状においては、金融の正常化というものは必ずしも私は達成せられておるのではないし、また、そのために、高度成長による影響が非常にこの面に大きく現われておるのではないかと思うのでございまして、今後閣内にありまして、総理等にも、こういう点については十分進言をし、意見の交換もしながら、あやまらざる方向に話を調整して参りたい、こう存じております。私ども、今日、経済の場面を担当いたしまして、楽観をいたすべき時期ではないということを考えておりますので、率直に国民の皆様にその点を申し上げて、御協力をいただきたいと思う次第でございます。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/13
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014・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私に対しましては二点のお尋ねであったように思います。
第一は、今日の鉱工業生産、これがたいへん高い率だが、一体これはどうなるのか、大体いつ底をつくのかというのが、第一のお尋ねであったと思います。ただいま総理や企画庁長官から、いろいろお答えがございました。私ども持っておりますデータは大体同じでございますから、別に違ったことを申すわけではございませんが、問題は、やはり経済の動向については、その状態を十分把握し、そうして正しい認識を持って、しかるべくこれに対する適時適切な対策を講ずる、こういうことに実は尽きるのではないかと思います。で、鉱工業の生産は、御指摘のとおり、私どもが予想したよりやや時期がずれております。そういう意味におきまして、私どもも在来から計画いたしました対策をさらに時期を繰り上げたり、さらにこれを一そうの効果あらしめるべく、ただいま努力いたしておる最中でございます。たとえば、設備投資の計画にいたしましても、あるいは貿易収支の改善にいたしましても、五月時分が大体政府の具体的の案を立てる時期でございますけれども、今回は、これなども非常に繰り上げまして、大体近くこの設備投資についての資金部会も開くつもりでおりますし、あるいは、もうすでに貿易の関係につきましては、各業種別にそれぞれ相談をいたしまして、本年の四十七億ドル輸出目標達成のための強力な態勢をただいま作りつつある最中でございます。で、鉱工業生産そのものにつきましても、一月以降は、御指摘のとおり、私どもの予想より実情が変わっておりますが、四月の電力量の消費状況などは相当鎮静するのじゃないか、かような実は考え方をいたしております。ただいま企画庁長官からもお答えいたしたように、製品在庫がふえて参りまして、今日のような金融状態が続くということになりますと、当然、操短などの事態も起こって参ります。もうすでに鉄鋼や繊維等においては操短現象が現われておりますし、あるいは機械の受注が減少したりしておる。とういう事柄がやはり鎮静方向へ向かっておるものだ、かように私ども考えておりますので、できるだけ所定の軌道を走って行くようにはいたしたいものと、かように考えますが、十一月をピークと考えた鉱工業生産がことしにまたがっておる、そういうことを考えて参りますると、いわゆる調整の効果が出始めたとは言いながら、今日の状況で本年度の状態を判断するのはまだ早いように思います。これから先に私どもが気をつけなければならないことは、ただいまやっております諸政策、これの効果がどういうように出てくるか、その生産鎮静の速度の問題が一つの問題だろうと思います。そういう意味で実情把握に一そうの力をいたしたい、かように考えております。
第二点の設備投資の問題、申すまでもなく、私どもは自由経済の基盤に立っておりますから、自主的な企業並びに金融機関の調整・これが本来の姿である、かように考えております。また、そういう方向で設備投資の抑制なども計画をいたしておるわけでございます。いわゆる官僚統制という言葉が、どういう範囲を官僚統制と言われますか。——かつての物価統制だとかというような事態ではもちろんございませんが、やはり行政の範囲、あるいはまた政治のあり方といたしまして、一つの土俵を作る、あるいは一つのルールを考える、これはもう当然やるべきことじゃないかと思います。ただいまもこの設備投資につきまして、私どもは、産業合理化審議会の産業資金部会、これにお諮りをして、そして自主調整が十分効果をあげ得るように努力いたしておる最中でございますが、これらのことは、政府といたしまして、いわゆる官僚統制じゃなくて、行政本来の姿、指導のあり方ではないか、かように考えておる次第であります。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/14
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015・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一、行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案、
日程第二、労働省設置法の一部を改正する法律案、
日程第三、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長河野謙三君。
〔河野謙三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/16
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017・河野謙三
○河野謙三君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
これら三法律案は、いずれも衆議院において施行期日について一部修正の上、本院に送付されたものであります。
まず、行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案の改正点は、第一に、行政管理庁設置法の一部を改正し、行政管理庁が行政監察に関連して行なう調査の対象に、鉱害復旧事業団等四事業団を追加するとともに、定員外職員の定員化により行政管理庁の定員を十人増員すること、第二に、北海道開発法の一部を改正し、北海道開発庁の定員を、定員外職員千二百六十七人の定員化を含み千二百九十七人増員することであります。
本委員会におきましては、各省庁の部局の増設に対する行政管理庁の方針並びに臨時行政調査会の任務との関係、審議会等に対する政府の態度、方針並びに委員の人選、公団、事業団等に対する行政監察の実施状況、今回の定員化より漏れた厚生関係職員に対する措置等について質疑応答が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
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次に、労働省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案の改正点は、第一に、最近の賃金問題の重要性にかんがみ、賃金に関する事務の円滑な遂行を期するため、労働基準局に賃金部を設置すること、第二に、労働省の定員を、定員外職員六十六人の定員化を含み二百十七人増員することであります。
本委員会におきましては、賃金部設置の趣旨とその具体的な事務内容、労働基準監督官及び職業安定所職員の定員配置並びにその処遇、労働基準協会等の団体の実態、労働争議防止対策等について質疑応答が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案の改正点は、第一に、経済企画庁に水資源局を新設すること、第二に、審議官の定数を二名削減して三人以内とするとともに、職員の定員を、定員外職員七人の定員化を含み三十二人増員することであります。
本委員会におきましては、東北開発株式会社に対する経済企画庁長官の責任並びに権限、水資源開発審議会の委員並びに水資源開発公団の役員の人選、水資源開発基本計画の内容と策定の時期、新産業都市建設の構想、離島振興行政の所管等について質疑応答が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/17
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018・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案及び経済企画庁設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/19
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、労働省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/20
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021・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/21
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022・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第四、漁業法の一部を改正する法律案、
日程第五、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出)
日程第六、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案、
日程第七、農業機械化促進法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/22
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023・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長梶原茂嘉君。
〔梶原茂嘉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/23
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024・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 ただいま議題となりました法律案四件について、委員会における審査の経過と結果を報告いたします。
まず、漁業法の一部を改正する法律案は、第一に、漁業権制度について、漁業権の分類と内容を整理し、組合管理漁業権の行使方法を改め、また、定置漁業、組合管理区画漁業及び真珠養殖業の漁業権免許の優先順位の規定を改正し、さらに、区画漁業権の存続期間を改めるとともに、その延長制度を廃止し、
第二は、漁業許可制度について、従来の指定遠洋漁業の制度を改めて、指定漁業の制度を設け、これが許可方式、指定基準及びその事務処理を法定し、さらに、いわゆる大臣ワク知事許可漁業の種類を変更し、
第三は、漁業調整機構について、海区漁業調整委員会の委員の定数、構成及び任期等を改正し、また、玄海連合海区漁業調整委員会を設置することとした等であります。
—————————————
次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案は、漁業協同組合、同連合会及び水産加工業協同組合の組合員または会員の資格の改正、漁業協同組合及び漁業生産組合が漁業を自営する場合の組合員の漁業従事条件の緩和、漁業生産組合の組合員が保有できる出資口数の制限の廃止、漁業協同組合連合会の事業の拡大、水産業協同組合の管理及び運営方法の改正、独占禁止法の適用の全面除外及び行政庁の監督規定の整備等であります。
—————————————
委員会におきましては、これら両法案を一括して審議し、漁業の現況、水産政策の基本方針、漁業権免許の方針、区画漁業権存続期間延長制度廃止の当否、漁業権、特に組合管理漁業権の行使方法、許可漁業、漁業調整方針、水産業協同組合の現況及びそのあり方等の問題について、いろいろな角度から質疑検討が行なわれましたが、これが詳細は会議録によって御了承をお願いいたします。
質疑を終わり、討論に入り、まず漁業法の一部を改正する法律案を問題とし、森委員から、区画漁業権の存続期間の延長制度の復活を内容とする修正案が提案せられ、修正部分を除く原案には賛成の意見が述べられ、天田委員から、森委員提案の修正案に賛成し、政府原案に反対の意見が述べられ、清澤委員から、政府原案に反対の意見が述べられ、採決の結果、森委員提案の修正案は、賛成少数で否決され、この法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定されました。
続いて、天田委員から、この法律案の運用の適正と、近い機会の改正を期待し、組合管理漁業権の共同申請の規定の乱用の防止、指定漁業の許認可の場合における関係法令の悪質な違反者に対する措置及び船舶総トン数基準制の検討並びに中央漁業調整審議会の委員に漁業従事者代表を加えること等について政府の善処を求める内容の附帯決議案が提案され、次いで、森委員から、修正案の否決に対処して、特定区画漁業権の漁業権期間満了後の免許に際し、関係漁民の経営の不安を除くため、政府の適切な措置を求める趣旨の附帯決議案が提案され、これらの附帯決議案は、いずれも委員会の決議とすることに異議なく決定され、これに対し、中野農林政務次官から、趣旨を尊重し、特に特定区画漁業権の期間満了後の免許については、従来の漁業権者及び関係漁民の経営の安定をはかり、不当に不安を抱かせないよう知事に通達し、知事が漁場計画を立てないときまたは漁業調整等の理由で免許しない場合には、あらかじめ農林大臣にその事情を報告させ適当な措置をとる等、善処する旨の発言がありました。
続いて、水産業協同組合法の一部を改正する法律案を問題にし、藤野委員から、漁業共済制度の確立、特に養殖漁業の共済制度の整備充実について政府の善処を求める趣旨の附帯決議案を付して原案に賛成、森委員から、原案及び藤野委員提案の附帯決議案に賛成、清澤委員から原案に反対の意見が述べられたのであります。採決の結果、この法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定されました。
次に、藤野委員提案の附帯決議案は、委員会の決議とすることに異議なく決定され、これに対し、中野農林政務次官から、趣旨を尊重して善処する旨の発言がありました。
—————————————
次に、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案は、畜産振興事業団が、国内産牛乳の学校給食事業の補助、並びにおもな畜産物の流通の合理化のための処理または保管の事業、及び畜産の経営または技術の指導その他畜産振興のための事業に補助または出資を行ない、事業団のこれらの業務に必要な経費の財源として、政府は事業団に交付金を交付することができることとし、さらに、これが経理の方法その他事業団の役員及び事業団が行なう補助事業の適正化等について規定したものであります。
委員会におきましては、事業団の業務、畜産振興の具体的措置、牛乳その他畜産物の需給、品質の保全、貯蔵、加工、流通並びに段階別価格等の問題について質疑検討が行なわれたのであります。これが詳細は会議録によって御了承いただきたいと存じます。
質疑を終わり、討論に入り、櫻井委員から、畜産物の流通及び価格の形成、生産費等、必要な資料の整備、及び畜産振興助成事業の効率化に対し政府の善処を求める趣旨の附帯決議案を付して原案に賛成、安田委員から、原案に反対、天田委員及び森委員から、それぞれ原案及び附帯決議案に賛成の意見が述べられました。採決の結果、この法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
また、櫻井委員提案の附帯決議案は、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定され、これに対し、中野農林政務次官から、趣旨を尊重して善処したい旨、発言がありました。
—————————————
次に、農業機械化促進法の一部を改正する法律案は、農機具の改良に関する試験、研究、調査及びその成果の普及並びに農機具の型式検査を行なうため、国と民間との共同出資による農業機械化研究所を設立することとし、これが組織、業務、運営、財務会計、監督、設立手続及び税法の特例等について規定し、また、農機具の検査制度を改め、検査は型式検査と事後検査とし、これらの手続及び実施方法等を規定し、さらに、農業機械化のための国及び都道府県の義務並びに都道府県に対する国の援助に関する規定を整備した等であります。
委員会におきましては、農業経営と農業機械化、構造改善事業と農業機械化、農機具導入の助成措置、研究所の資金計画、役員の性質、研究員及び運営方針、農機具の生産改良方針、関係普及職員の状況、農機具の検査の実施方法等が問題になったのでありますが、これが詳細は会議録に譲ることにいたします。
質疑を終わり、討論に入り、清澤委員から、研究所の施設の拡充を要望して原案に賛成の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
右報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/24
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025・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、漁業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/25
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026・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/26
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027・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、農業機械化促進法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/27
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028・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/28
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029・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/29
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030・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/30
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031・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第八、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
日程第九、外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案、(いずれも内閣提出)
日程第十、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(衆議院送付)、
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/31
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032・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長棚橋小虎君。
〔棚橋小虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/32
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033・棚橋小虎
○棚橋小虎君 ただいま議題となりました二法律案外一件につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
一九五八年末、西欧諸国通貨の交換性が回復されたことにより、短期資本の国際的移動は大幅に自由となりました。このため、短期資本の移動により、国際収支上の困難に直面し、その国の通貨信用が危険にさらされるという問題が生じて参りました。このような事態に対処するため、国際通貨基金においては、その資金的基礎を充実し、その機能を一そう強化するための検討がなされ、その結果、国際通貨基金の資金の補充が必要と考えられる場合に、主要工業国十カ国が一定金額を限度として自国通貨を基金に貸し付けることを約束するという取りきめが決議されました。
本案は、この取りきめにわが国が参加することに伴い必要となる国内措置を講じようとするものであります。
その内容を申し上げますと、大蔵大臣は、基金に対して補足資金の貸付を行なうことができることとするとともに、外国為替資金に属する現金を基金に対する貸付に充てることができることとし、その他、所要の規定整備を行なおうとするものであります。
委員会の審議におけるおもな質疑応答を申し上げますと、「わが国の外貨準備高の状況からして、今回の取りきめによる貸付をすることが適当であるか」との質疑に対し、「外貨保有適正量を数字的にきめることにはいろいろと議論があり、そのときどきの状況から判断して保有量をきめ、外貨の運用をはかるべきで、現在におけるわが国の外貨保有量からすれば、今回の取りきめにより貸付に応ずる余裕はない」との答弁がなされ、「わが国では、アメリカの市中銀行より外貨借り入れを行ない、一方においては、外貨を外国の銀行へ預金し、また、証券による運用をしているが、金利面から見て不合理ではないか」との質疑に対し、「国内問題、海外信用等を勘案して、外貨準備の減少による外貨不安等の起こらないように適当な措置として行なっているのである」との答弁がなされ、また、「今後の景気調整策と国際収支の見通しはどうか」との質疑に対し、「生産の下降が予想より小さく、現在その実態調査をしているが、その検討を待って今後の政策とか計画をきめていく考えで、国際収支についても、大体計画と違わない推移をしていくものと思う」との答弁がなされました。
その他、国際通貨基金の資金補充が必要になった理由と、それに対する政府の見解、同基金の使途に関する制限の問題、ドル危機の根本的原因と国際通貨制度等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、木村委員より、「第一に、今回の国際通貨基金における借り入れ取りきめの趣旨は、世界主要国通貨の交換性が回復され、短期資本の移動によって生じた国際収支の危機を救済するためのもので、具体的にはアメリカのドル危機に対処するものであるが、ドル危機の根本原因であるアメリカの軍事援助、経済援助政策のため生ずる国際収支の赤字を解決するものではなく、また、金とドルの関係を改善し、国際通貨制度上の金不足を解決する措置でもなく、根本的対策を回避しようとするものである。第二に、国際通貨基金の資金の供与は、原則として経常取引による支払いに限られているが、アメリカは、規約の拡大解釈により、ホットマネーの移動による国際収支の赤字補てんもできるとして、資金の運用をはかろうとしている。かかる場合は、当然規約を改正すべきである。第三に、現在のわが国の外貨事情からすれば、基金に対し貸付をする余裕はなく、この取りきめに参加すべきではない。第四に、借り入れ取りきめにあたり、わが国としての意見を開陳することなく、協定違反でないという理由でのみ参加することにしているが、いかにも自主性のないものである。以上の諸点より本案に反対する。」との意見が述べられ、次いで、須藤委員より、「今回の国際通貨基金強化策の根本原因は、アメリカの戦争政策からくるドル危機の問題と、ドルの減価にかかわらず、金一オンス三十五ドルの管理価格を維持していること、しかも、このドル危機を西欧諸国及び日本の犠牲によって回避しようとすることにある。また、この強化策は、ドル危機再現のもとでは全く効果はなく、世界通貨安全の根本的解決にはならない。かかるアメリカの政策に同調することは危険きわまることで、日本としてはなすべきでない。」との反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
次に、外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案について申し上げます。
本案は、最近における航空機の国際運航の著しい発展など国際運輸業の実情にかんがみ、外国企業の国際運輸業にかかる所得に対する相互主義による非課税制度を整備するため、外国船舶の所得税等免除に関する法律の全文を改正しようとするものであります。
以下、本案の概要について申し上げますと、船舶の運航から生ずる所得につきましては、従来の制度では、船籍主義により、相手国に船籍のある船舶にかかる所得のみが免税の対象とされてきたのでありますが、今後は、企業体主義により、船籍のいかんを問わず、相手国にある企業が運航する船舶にかかる所得について非課税とし、航空機の運航から生ずる所得についても、船舶の場合と同様に、新たに非課税とすることといたしております。
また、地方税につきましては、従来は、事業税についてのみ免税の規定を置き、住民税については、国税の免除に応じて免除されていたのでありますが、今回の改正におきましては、事業税のほか、道府県民税及び市町村民税をも含めて相互主義により非課税とすることができることを明らかにしております。
委員会の審議におきましては、外国航空会社及び日本航空の相互の進出状況、この相互主義非課税制度の利害得失、租税条約とこの非課税制度との関係、並びにこの非課税制度の前提として、相互主義による国際航空路の乗り入れを確保することが必要ではないか等の諸点につきまして、質疑応答がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
最後に、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件について申し上げます。
本件は、葉山御用邸付属邸暖房設備の新設外二件について、皇室用財産として取得する必要があり、いずれもその価額が三百万円以上となりますので、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めたものであります。
委員会における審議の詳細は、会議録に譲ることを御了承願います。
質疑を終わり、討論、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/33
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034・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/34
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035・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/35
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036・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/36
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037・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/37
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038・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件全部を問題に供します。委員長報告のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/38
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039・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本件は委員長報告のとおり可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/39
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040・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第十一、臨時司法制度調査会設置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長松野孝一君。
〔松野孝一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/40
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041・松野孝一
○松野孝一君 ただいま議題となりました臨時司法制度調査会設置法案に関する法務委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
この法案は、最近における訴訟事件の激増と事件内容の複雑化に伴う訴訟遅延の現象、並びにこれに伴う裁判官等の確保の必要性にかんがみ、法曹一元の制度を基調とする司法制度、裁判官、検察官の任用及び給与制度等を、総合的、抜本的に、かつ、緊急に調査審議するための機関として、司法制度調査会を臨時に内閣に設置しようとするものであります。調査会の構成は、委員二十名以内、会長はその互選とし、なお、専門委員若干名及び事務局を置くこととし、さらに、この法律は、本調査会設置の趣旨にかんがみ、早急に答申案をまとめあげる必要上、施行の日より二年を経過した日にその効力を失うことといたしてあります。
法務委員会においては、二月二十七日提案理由の説明を聴取した後、各委員から、臨時司法制度調査会を特に内閣に置いた理由、及びその予定する機構をもって十分に目的を達し得るかどうか、この法案と最高裁判所裁判官の任命制度との関係及びいわゆる法曹一元制度の採否の点その他について熱心な質疑がありましたが、その詳細は会議録に譲ります。
四月十九日質疑を終了して、討論、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/41
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042・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/42
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043・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/43
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044・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第十二、地方公務員共済組合法案、
日程第十二、地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案、
(いずれも内閣提出)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/44
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045・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長小林武治君。
〔小林武治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/45
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046・小林武治
○小林武治君 ただいま議題となりました二法案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
まず、地方公務員共済組合法案について申し上げます。
本法案の趣旨は、地方公務員の病気、災害、退職、死亡等またはその被扶養者のこれらの事故に関して給付を行なうため、国家公務員の場合に準じて、相互救済を目的とする統一的な共済組合の制度を設け、もって地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上及び公務の能率増進をはかろうとするものでありまして、その内容は、
一、組合の組織は、地方公共団体及び職種の別により、地方職員共済組合等七種に区分し、そのうち、市町村職員共済組合及び都市職員共済組合については、それぞれ全国組織の連合会を設ける。
二、すべての地方公務員は、いずれかの組合の組合員となるものとし、地方公務員共済組合または国家公務員共済組合の組合員期間は通算する。
三、長期給付は、退職給付、廃疾給付及び遺族給付とし、その内容は国家公務員のそれに準ずる。
四、短期給付及び福祉事業についても国家公務員共済組合に準ずる。
五、組合の給付に要する費用は、組合員の掛金及び地方公共団体の負担金をもって充てるものとし、負担割合は、短期給付については掛金百分の五十、負担金百分の五十、長期給付については、掛金百分の四十五、負担金百分の五十五とし、組合の事務費は全額地方公共団体の負担とする等のことを骨子とするほか、
現行の地方議会議員互助年金法附則の規定に基づき、同法を廃止して、地方議会議員の年金制度に関する規定を本法案の中に統合するというものであります。
次に、地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案は、地方公務員共済組合法の施行に伴い、長期給付に関する経過措置等を定めることを内容とするものであります。
地方行政委員会におきましては、これら法案の重要性にかんがみ、五名の参考人より意見を聴取し、また、特に池田総理大臣の出席を求めたほか、安井自治、水田大蔵、荒木文部の各大臣、その他当局との間に、減額退職年金制度と恩給の若年停止との比較関係、長期給付の掛金率の算出基礎、恩給方式から共済組合方式へ移行の真意、共済組合に対する国庫負担の関係等、多くの問題点について、きわめて熱心に質疑応答を重ね、終始慎重審査を行なったのでありまするが、その詳細については会議録によって御承知願いたいと思います。
四月二十日質疑を終局し、討論に入りましたところ、鍋島委員は自由民主党を代表して、「本法案は、地方公務員の退職年金制度について複雑な現状を改め、国家公務員の制度に準じて統一的な共済組合制度を設け、もって地方公務員の福祉の向上に資する趣旨のものであるから、本法案に賛成である」旨を述べられ、次いで附帯決議案を提出されました。附帯決議案の内容は、
というものであります。
山本委員は、日本社会党を代表して、本法案に反対の旨を述べられ、反対の理由として、掛金率が恩給の納付金の二倍以上に引き上げられても、これに伴うほどの給付の向上は期待できない。また、財源率の計算が適正でない等の点をあげられ、また、附帯決議案に対しては、賛同すべき点もあるが、法案との関係上賛成できない旨を述べられました。
かくて両法案について採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次いで、附帯決議案については、多数をもってこれを委員会の決議とすることに決定した次第であります。
この附帯決議に対し、安井自治、荒木文部の各大臣より、決議の趣旨に対し慎重に善処したい旨を述べられました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/46
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047・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 両案に対し、討論の通告がございます。宛書を許します。山本伊三郎君。
〔山本伊三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/47
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048・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方公務員共済組合関係二法案につきまして、反対の態度を表明するものであります。
御存じのとおり、今回の地方公務員共済制度は、明治初年にわが国の文官に対して施行されてきた恩給制度を共済制度に変革する歴史的な改革であります。池田総理初め、自治、文部両大臣は、地方行政委員会に出席をして、常にこういうことを口をそろえて言っております。今日、すでに恩給制度はもう時代にそぐわない、近代的な年金制度としては、共済制度でなければならないと、口をそろえて言っておられます。なるほど戦後民主主義に根ざす新憲法ができまして、かつて天皇の官吏であった公務員は国民全体の奉仕者になった、こういう意味において、公務員自身もその点を了解しておると思うものであります。また、一般国民から見ますと、この特権的な制度には、とかくの批判をされておるというのも、公務員諸君も知っておるのであります。しかし、政府がそれほど恩給制度がいけないんだ、悪いのだと言われるならば、われわれのほうにも言い分があるのであります。しからば、昭和二十八年になぜ軍人恩給を復活したかということであります。私は、ことで軍人恩給についてとやかく論じようとはいたしません。しかし、何かしらん、公務員の諸君の中には割り切れないものがあるのでないかと考えるのであります。
さて、わが党が本案に反対する理由は、恩給制度が共済制度に変わったという形式的なものではありません。以下、数点についてわが党の反対する主要な点を述べたいと存じます。
まず第一に、今回の制度の変更によりまして、掛金が二倍以上に激増したことであります。従来は俸給の二%程度でありましたが、今回の改革で四・四%、二倍以上に増加したのであります。大臣の側近の高級公務員については、この程度の増額ではあるいは生活に支障はないかもしれませんが、地方公務員の中には、御存じのように、町村、末端の職場に行きますると、いまだ一万円程度の給与で、家族三人、四人の生活を支えている地方公務員のあることを、忘れてもらっては困るのであります。そのような低給な地方公務員、市町村職員だけではありません。今回の二倍以上の掛金の増額は、一般の地方公務員にとっては非常な苦痛であります。政府は昨年十月に人事院勧告を尊重するといって、七・一%の公務員のベース・アップをいたしました。しかし、昨年一年においてすでに物価は一〇%上がっているということであります。公務員の生活は決して楽ではありません。その上、しかも、今回共済制度への移行によりまして掛金が倍増するのであります。公務員の生活の実情を考えまして、わが党はまずこの点において反対するわけであります。
次に、給付の内容であります。政府は今回の改革で、退職年金の給付、特に退職年金については改善をしたのだということを再々言われております。なるほどこれも一般的に見まして、掛金の増額されたという要素を除けば、あるいは長期勤続者については有利になっておることは認めます。また廃疾年金も改善されたことも認めます。しかし、その掛金の増加率と内容の改善率を比較いたしますと、政府の主張は当たらないのであります。本会議は時間の制限がございますので、委員会のように条項と数字をあげて説明のできないことは残念でありますけれども、大まかな「はかり」ではかった数字だけ申し上げます。今回の恩給制度から共済制度に改革されることにより、年間の所要費用が約五百億円といわれております。これをかりに、元の制度の比率で掛金を考えますと、組合員いわゆる地方公務員の負担部分は二%ですから百億であります地方公共団体、国の負担するのが四百億に当たります。しかし、今回の共済制度に移行いたしますと、組合員の負担が二倍以上、二百二十五億、地方公共団体の負担が二百七十五億ですから、ほとんど半額にひとしい負担が組合員の肩にのしかかってくるのであります。その比率を考えますと、今回の改善の内容ではわれわれは納得できないのであります。
次に、組合運営の問題であります。今申し述べましたように、従来のような大部分の費用を地方自治団体あるいは国が負担をしている恩給制度のときには、一方的な運営というものは許されますけれども、今回のように負担の割合がほとんど折半であります。そうすると、民主主義の原則からいいましても、他のこの種組合の運営から見ましても、当然その組合を運営する代表者は、半数を組合員から選んで、民主的に運営するのが当然であります。しかるに今回の法の内容を見ますると、市町村に関する組合については、あるいはこの点を若干入れておりますけれども、公立学校の共済組合、あるいは地方職員共済組合、(これは道府県の職員の構成する組合でありますが)または警察職員共済組合においては、一方的な大臣の任命であります。掛金は半分を負担しながら、この運営に対する発言権は、大臣が選んだ運営審議会委員を通じてのみしか組合員の意思が反映しないという、これが今日の民主主義の時代に許せるかどうかという問題であります。
次に、資金の運用の問題であります。この共済制度の長期給付の運営資金は、さきに申し上げましたように、年間五百億円であります。これが本法施行による退職年金の資格が発生する二十年後まで累積いたしますると、年利五分五厘のいわゆる複利として計算いたしまして、一兆八千億の金が累積されます。しかもこの莫大なる資金が、政府の資金運用部資金、または地方公共団体の起債の資源とされるのであります。一部はなるほど組合員の福祉資金に回されますけれども、きわめて少額な限定されたものであります。これがわが党の反対する第三点であります。
最後に、御存じのように本案の長期給付は、さきに制定された厚生年金保険法、あるいは国民年金法とひとしく、緻密な保険数理によってのみこれが給付に見合う掛金率が決定するのであります。したがって、正確な統計数字なくしては、この数理の結果は出ないのであります。しかるに、地方行政委員会の審議の過程では、出された資料がきわめてずさんであります。一々数字はあげませんけれども、きわめてずさんであります。しかも市町村に関しては、何らの統計数字が出されておらないのであります。この法案が本院を通過して、衆議院でかりにこれが成立して公布された場合に、その後、保険数理によって市町村の各組合の保険料率が政府の約束する百分の四・四を上回る場合には、一体だれが責任を持つのですか。組合員の負担の不確定な法律案が、本院でこれが通過するということについては、わが党としても絶対反対であります。
以上がわが党の反対の主たる問題点でございます。
最後に一言つけ加えまするが、本案審議にあたりまして、与党の地方行政委員の諸君も非常に真摯な態度で本案に取り組まれ、最後に自民党独自で、先ほど委員長報告のとおりに、附帯決議をつけられました。これについては敬意を表します。しかし、その附帯決議の内容といえども、わが党の主張から見ればほど遠いものがありますので、わが党は附帯決議に対しても反対の態度を表明するものであります。
以上、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/48
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049・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/49
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050・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015254X01819620423/50
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