1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十八年三月二十二日(金曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 永田 亮一君
理事 小澤 太郎君 理事 大上 司君
理事 纐纈 彌三君 理事 丹羽喬四郎君
理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君
宇野 宗佑君 金子 岩三君
田川 誠一君 富田 健治君
前田 義雄君 三池 信君
成田 知巳君 門司 亮君
出席国務大臣
自 治 大 臣 篠田 弘作君
出席政府委員
消防庁長官 藤井 貞夫君
消防庁次長 川合 武君
委員外の出席者
自治事務官
(消防庁総務課
長) 山本 弘君
専 門 員 曽根 隆君
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三月二十日
消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共
済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一三五号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
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委員派遣承認申請に関する件
消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共
済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一三五号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/0
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001・永田亮一
○永田委員長 これより会議を開きます。
この際、委員派遣承認申請び件についてお諮りいたします。
当委員会において審査中の道路交通法の一部を改正する法律案の審査に資するため、来たる二十五日に大阪府及び京都府内において実情の調査を行ないたいと存じます。つきましては、衆議院規則第五十五条により、議長に委員派遣承認申請をいたすことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/1
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002・永田亮一
○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
なお、派遣の期間及び派遣委員の選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/2
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003・永田亮一
○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/3
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004・永田亮一
○永田委員長 次に、去る二十日、参議院より送付されました消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/4
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005・永田亮一
○永田委員長 提案理由の説明や聴取いたします。篠田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/5
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006・篠田弘作
○篠田国務大臣 今回提案いたしました消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
まず、消防組織法関係につきましては、この法律は、国及び地方公共団体の消防に関する組織、機能についての基本を定めたものでありますが、最近の消防行政の推移と防災における消防の地位の重要性にかくがみ、その一そうの進展を期するため、消防の任務をさらに明確化し、消防庁の所掌事務について補足を行ない、市町村の消防体制の充実強化をはかることとするとともに、都道府県の消防に関する連絡機能を明らかにし、あわせてその他所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
次に、消防団員等公務災害補償責任共済基金法につきましては、昨年施行されました災害対策基本法の損害補償に関する規定に照応いたしまして、必要な整備をはかろうとするものでありまして、ここに一括して、両法律の改正案を提出した次第であります。
以下この法律案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、消防は市町村の防災活動上きわめて重要な地位を有するものでありますが、災害対策基本法の制定等により、防災における最も基礎的な地方公共団体である市町村の防災機関として、その役割も一段と重要性を加えることとなりましたので、従来被害の軽減の一環として運用されておりました災害の防除を消防の任務として明確にこれを規定し、防災活動における第一線消防機関の責務遂行を強く期待することといたしました。
第二は、災害対策基本法の制定に伴ない、同法に基づく地方公共団体の事務で消防に関係のあるものについて、国、地方を通ずる連絡を特に緊密にするとともに、市町村消防に対する技術的な指導、助言を積極的に行なう必要があり、また、市町村の行なう救急業務の法制化に伴い、これに関する諸基準の制定を要しますので、消防庁の所掌事務に必要な整備を加えることといたしました。
第三は、近年の火災発生件数の激増に対処し、市町村における火災予防行政の推進と消防力の充実強化をはかるため、政令に定める一定の規模の市町村には、消防本部及び消防署の設置を義務づけることとし、所要の経過期間を置いてその実現を期することとしたことであります。
第四は、防災における市町村消防の重要性にかんがみ、消防に関する都道府県の所掌事務に改正や加え、都道府県は、関係区域内の市町村の消防が十分に行なわれるよう、市町村との連絡及び市町村相互間の連絡協調をはかることを明らかにするとともに、市町村相互間における消防職員の人事交流のあっせんをすることができることとしたことであります。
第五は、市町村の消防機関の設置等に関する措置を整備し、あわせて職制に関する規定の整備を行なう等所要の改正を加えることといたしました。
第六は、災害対策基本法第八十四条は、市町村等が災害に対する応急措置を実施するため、市町村長の住民等をその業務に従事させた場合における死亡その他の事故に対しまして、市町村の損害補償責任を規定いたしておりますが、これについては、消防団員等公務災害補償責任共済基金法による共済の取り扱いをすることが適当でありますので、これを加えることとし、その他規定の整備をはかることとしたものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/6
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007・永田亮一
○永田委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
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008・永田亮一
○永田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますのでこれを許します。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/8
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009・門司亮
○門司委員 ちょっと、このことだけ聞いておきたいと思うのですが、例の山林の火災が意外に大きな被害を及ぼしておることは御承知の通りだと思います。ことに山林地帯は消火に非常に不便であり、一たび火災が起こると、なかなか大被害になる危険性を持っている。従って、山林の火災予防に一体どういう処置がとられておるのか、この点法的にもし根拠があるならこの際明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/9
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010・藤井貞夫
○藤井政府委員 林野火災につきましては、大火がございました際には損害額も非常に増高を見るのであります。特に三十六年におきましてはかなり大火がございましたために、損害額も非常に増高を見たわけです。昨年は幸いにいたしまして大火等はございませんので、損害額等については相当の低下を見ましたけれども、件数等にいたしましてはやはり全国的には相当の数字を見ておるような状況でございます。現在、今お尋ねにございましたように、特に法的に林野火災に対して特殊の方策を講ずるというようなことには相なっておらないのでございます。しかしこれにつきましては、やはり自然に発火をするというようなことよりも、火の取り扱いの不注意等によって起きますものが圧倒的に多いわけでございまして、その予防の措置というものが最も重要であることは申すまでもございませんけれども、そのほかに、やはり一たん火災が発生いたしました際の消火措置等につきましては、現在の方法が十分ではないということをわれわれも承知をいたしておりまして、これに対してもっと技術的にも進んだ方策を徹底的に検討する必要があるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/10
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011・門司亮
○門司委員 ことしになってかなり大きな山林の火災があって、民家をかなりたくさん焼いておる実例があると思います。私ははっきり覚えておりませんが、たしかことしになってからだと思います。それで問題になりますのは、山林の火災があって部落が焼ける、こういうことが伴うのであります。だから何か特別の処置が講じられないかということを考えておるのですが、たとえば一定区域に対する防火地帯を設ける、森林とずっとつながない。山林の火災というのは水ではほとんど消えませんから、結局途中で火災の延焼を遮断する以外に方法はないのであります。そういう地帯をある程度こしらえる。それから民家の近隣と山林との間をある程度隔てる。たとえば田畑の場合にはいわゆる陰樹という、こういうやかましい規定がある。そうして何メートルか木を植えないような形にして行なわれておることははっきりしている。そういう形で、民家の周囲はどのくらいまでは山林を火災予防の建前から遮断するというような方法が、私は法律的にできないかどうかということを終始考えておる。これも所有権等の問題があり・私有財産の関係があってなかなかむずかしいことだと思うのですが、やはり都市に防火地帯をこしらえる、あるいは防火のための防具をこしらえる、焼けない建物を建てる処置が講じられている。従って、山林にも何か延焼を防ぐ防火地帯というものが考えられないかどうかということです。そうして安全性を保っていけるかどうかということについて、もしお考えがあるならばこの際聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/11
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012・藤井貞夫
○藤井政府委員 現在のところでは、私といたしましては結論を出しておる段階ではございませんが、先刻申し上げましたような予防の措置なり、あるいは消火技術についての改善措置なりということと並行いたしまして、さらに門司委員御指摘になりましたような、山林地帯においても危険地帯あるいは防火地帯というようなものの設定を考慮していくとか、あるいは民家等がありますればその周辺何メートル以内には森林接続は認めない、そういった根本的な対策等も、なかんずく森林火災による民家の焼失、損失を防止するためには、非常に有効適切なる手段ではないかというふうに私自身も考えます。しかしながらこの点につきましては別個所有権との調整の問題その他の点もございますので、さらによく検討をいたしまして結論を得るようにいたしたいと思います。結論が得られますれば、関係方面ともよく連絡をいたしまして、妥当な方策を打ち出して参りたい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/12
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013・門司亮
○門司委員 その次に、組織法の関係で聞いておきたいと思いますことは、例の基本法ができてその後の運営ですが、その後水防関係との関係はどうなっておりますか。災害基本法はできたが、消防団員も大体兼ねておる。そのかね合いがやはりあのままの姿がよろしいか、災害基本法ができたんだから、消防団員並びに水防団員というものを一まとめするというような、法律の一本化はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/13
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014・藤井貞夫
○藤井政府委員 この点は、実は前々から懸案事項になっているわけであります。確かに消防団員と水防団員というものがダブっておる。水防団員専属というのも若干ございますけれども、これはきわめてわずかでございまして、団員数にいたしましても全国的に見て十万そこそこではないかというふうに承知をいたしております。他の地区におきましては、ほとんど全部消防団員、水防団員を兼ねておるという状況になっておるのであります。従いましてこれを一本化する、なかんずく災害対策基本法ができたということで、この機会にこれらを一本化して、命令系統その他もはっきり整備をするというのが私たちといたしましても、確かにいい方法ではないかというふうに考えております。しかしながら、これは従来のいきさつもございますし、なお、水防法ができました当時の状況等のこともございますので、災害対策基本法ができました際に、一挙にそこまで統一をはかるということが実はできなかったのでございます。しかしお話の点、確かにこれは研究問題であり、確かに早急に解決をはかっていい問題ではないかというふうに考えておりますので、われわれといたしましても、目下その点については検討中であるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/14
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015・門司亮
○門司委員 検討中だといえば検討中でいいかもしれませんが、どうも地方へ行ってみますと、これがダブっているということで、町村長の消防団員あるいは水防団員に対する取り扱いというようなものが——いずれの場合にも危険な状況は同じなんです。火災の場合の危険も水防の場合の危険も、危険の状態は同じことなんです。そうしてその両方の法律があるから、ある場合には消防法の関係からくる消防団員としての取り扱いをする、ある場合には水防団員としての取り扱いをするというふうなことで、同じような立場に立って同じような仕事をする——それは仕事の目的は全然違います。片一方はもちろん家が焼けるのだし、片一方は広範囲に及ぼす被害という問題が出てくる。一つ一つが対象になっていることは事実であります。それからもう一つは、災害の原因についての問題が一つあります。だから、火災と水害は、そういう意味からいえば全然別だと思います。ものの考え方も別建で成り立つ。成り立ちますが、しかし問題は、扱うのはやはり市町村長であります。活動するのも同じ人間だということになれば、その間に何らかの形で調整をしていかぬと、問題が出てきはしないか。それからもう一つこの問題で厄介なのは、河川の場合には一つの町村だけで問題が片づくものではなくて、河川というものは流域が非常に長く、そこにある幾つかの公共団体がやはりある程度計画性のある水防対策というものを立てなければならぬ。同時に、従って、これは情報伝達の関係が当然出てくる。去年の神奈川県に起こった事件も、早く伝達されておればあんなに人を殺さなくてもよかったのではないかと思うのであります。しかし、災害の起こった場所と被害を及ぼす場所と時間の関係、これは実際問題として、本質的に全然違うと私は思います。実際、本質の違うものを具体的には同じ町村長が発動をして、同じ人間がやる。それから火災の場合においても、やはりある程度の情報連絡は当然必要だ。こういう問題を考え合わせると、やはり何らかの具体的な方法を講じて、そうして市町村長なりあるいは大臣なりが動きやすいような形をとるべきではないか、こういうふうに考えて、さっきアウトラインというか、筋道だけ、考え方だけを聞いてみたのですが、内容はそういうふうに、実際問題としておのおの異なる問題があると思います。それから本質的には違うという議論も、ある程度は成り立つと思う。しかし行政上の関係からいえば、一つの方がやりいいという問題はあると思う。
そこで問題になりますのは、この法律にちょっと書いてありますが、この法律で水防団の諸君に対する待遇と消防団に対する処置というものは全く同じであるかどうかという、この点だけ一つはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/15
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016・藤井貞夫
○藤井政府委員 公務災害に関する部面から見ます場合には、水防活動の場合も、消防活動の場合も、全く同じように取り扱っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/16
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017・門司亮
○門司委員 そうしますと、こういうふうに解していいのですか。公務災害の場合は全く同じであるということと、それからもう一つの問題は、こういうことがあるのです。水防の場合は、ことに水害の場合等においては、たとえば堤防の切れた場合よりも、むしろ下の方に大きく被害をもたらしているということが、事実上あると思うのです。そういう場合の行政措置としてはどうしていますか。損害が起こった場所でそういうことを処置する、こういうことになっていますか。火事の場合は、隣接した市町村からその火事の起こった場所に応援に来たあるいは応援を要請したというような場合に、損害等については当該市町村が行なっておるのですが、水防の場合はやはりそういう形で被害の起こったところで公務災害については賠償することになっているのか、どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/17
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018・藤井貞夫
○藤井政府委員 被害が起きましたところ、その場所を中心にいたしまして、それぞれの公務災害補償の責任を当該市町村がとっておるという建前でございます。従いまして、ある町、ある村の消防団員、水防団員これが公務のために負傷をしたという場合は、その所属の市町村がその責任を負うという建前になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/18
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019・門司亮
○門司委員 火災でなくて、水防の場合ですよ。水防の場合はやはりそういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/19
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020・藤井貞夫
○藤井政府委員 水防の場合も同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/20
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021・門司亮
○門司委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/21
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022・太田一夫
○太田委員 ちょっと関連して。
藤井さん、この提案説明を承りまして、ちょっと審議のために聞いておきたいことがあるのです。
災害の防除を消防の任務として明確にこれを規定するということが第一の改正の目標になっておりますから、災害の防除ということになればこれは大へん広範囲なことでありますけれども、実に大事な眼目が入ったと思うのです。消防というものがこれで生きてきた。利は大賢威で、そうでなくちゃなりませんし、これがあることによって、東京都民も今後消防というものに期待するところ非常に大なるものがあると思うのです。ことに江東ゼロメートル地帯などにおきましては、いかにして水から守ってもらえるか、この非常な大問題に直面しておりますから期待は大と思いますけれども、そのためには消防の——これは消防法に関係をしてくると思いますけれども、もう少しいろいろな機材あるいは施設というものの整備拡充という点に予算上の措置をしませんと、災害の防除は、規定はされたけれども、なかなか発動しにくいということになろうと思います。現在その施設を整備するという場合、あるいは機材を充実するという場合に、国の与えておる援助の実情、たとえば防火水槽をつくる場合はこういうふうだ、あるいはまた物見やぐらをつくるにはこういう援助を与える、あるいはまた消防車そのものをつくるのにはこういう援助があるとか、こういうことを全般にわたって、あなたの方の御記憶にあるだけで、わかっておるだけでけっこうですから、現状をちょっとそこでおっしゃっていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/22
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023・藤井貞夫
○藤井政府委員 消防用の設備、機材というものを整備いたしますために、国においても助成措置を講じておるわけでございます。その一つは、消防ポンプ、それから消防の水利——水でございますね、貯水槽その他の消防の水利、それから火災の報知機、それから無線の電話、消防用連絡施設、こういうものに対しまして、所要経費の三分の一の助成を国庫から出しております。来年度の予算は七億ということに相なっておるのであります。従来、毎年度若干ずつふえてきております。本年、三十七年度は六億八千万でございましたのを、二千万増額いたしまして、来年度は七億ということで、今予算案の審議をお願いしておるような状況でございます。
それから第二の点は、起債の措置がございます。これは縁故債といたしまして、特に関係のある損保から出してもらっております。本年度はこれが十二億五千万円でございまして、損保債につきましては財政力が比較的豊かなところ等を対象にして、それから消防庁舎等もその損保債の場合には、割当の対象にしていこうという措置を並行して講じておるような次第でございます。現在国として特別の措置を講じておりますのは、この施設補助と損保債との関係でございまして、他は消防の建前といたしましては、市町村消防の建前から、市町村自体において負担するのが第一義的の建前になっておりますために、毎年交付税その他につきましては、できるだけ現状に見合うような、また前向きの姿勢になるように努力をしておりまして、今日に至っておるというのが現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/23
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024・太田一夫
○太田委員 たとえば、地方の市町村民などでは、部落消防費というのを年間五、六百円程度とられているのです。それは常設消防じゃ足らないから、義務消防というものを養成しておかなければならない。それらはみんな出たがらないから、一人当たり五、六百円くらい出して、これは全町民でありますが、そしてその費用によって義務消防の施設を充実したり、あるいは慰労をしたりということになっておるわけですが、だんだん逐年この会費が減らずにふえているのですね。最近ふえる傾向にある。それで税外負担の関係もあって、各地で議論を巻き起こしているところなんですけれども、ポンプ、水槽等に三分の一の補助でけっこうですけれども、これさえも場合によっては相当の寄付を出さなければやりませんし、この三分の一というのは、少々少ないじゃないかという感じがします。引き上げる努力も必要だ。なお、ほかにサイレンとかあるいは防火用の服装、制服といいますか、防火服といいますか、そういう万般の機材、資材等に対しても、何か援助があってしかるべきだと思いますが、この補助対象を拡大するとか補助率を引き上げをするとか、そういうような御計画というのはないのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/24
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025・藤井貞夫
○藤井政府委員 補助対象をもう少し広げる、あるいは補助率の引き上げをやるということについては、私たちといたしましてもその必要性は認めておりまして、今までも予算折衝の段階においては主張を繰り返してやってきておるのであります。ただ遺憾ながらわれわれの力が足らない点もございまして、その点はまだ実現を見ておりませんが、しかし私たちといたしましては、その点あきらめたわけではございませんで、毎年の予算折衝を通じて強く今後も折衝を進めて参りたいと思っております。何分にもこの種の補助金というものにつきましては、他の補助金との関連性ということもございます。これは一方一つ改定がなされるということになうと、他にも波及するとかなんとかということともございまして、なかなかむずかしい点があることは事実でございますけれども、しかし、ほかならぬ消防ということの体制整備のためには、何としてもやはり国といたしましても、もっと積極的に乗り出していくという建前をとることが、しかるべき措置であるというふうに考えられますので、今お話の点も含みまして、今後さらにその改善措置については努力を重ねて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/25
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026・太田一夫
○太田委員 具体的な例で一つお尋ねしますが、たとえば深川方面において、江東地帯に急激な出水があった。これはいろいろな原因によるものですが、天災の場合が多いと思うのです。雨がじゃんじゃん降る。そして風が吹き出してきた。そして川が増水をした。その川の増水と潮の干満とが重なり合って、思いもかけないときに異常洪水の現象が出そうだといったときに、来るぞという報知は、今まではこれはだれがやることになっておるか知りませんけれども、おのずから口から口に伝わる以外に科学的な方法がない。これは相模川の問題がそうですね。相模川のときも口から口へとか、有線電話をたよっておるということでは、ああいう異常出水に対して人命を守る万全の措置が講じられなかった。従ってサイレン車を購入する必要があるということをおっしゃったのでありますけれども、その準備も神奈川県においてなしたとか、する予定であるとか、当時御説明がありましたが、サイレン車というようなものに対しては補助の対象に入っておりませんし、そういうものを通報しなければならないということも、何らか起こらない限りは出てこないと思いますけれども、危ないときにはそういうことを用意しておく必要があると思いますね。この間のあの北陸の山津波の場合にも前兆があったというのですから、防災活動という立場からするならば、何か農協の有線放送にたよらない前に、サイレン車によるところの救急警報ということもあり得たのではないかと思いますが、そういうことはどうなんですか。具体的に江東に異常洪水があったときにはどうするのですか。今の防災業務は固有の業務としてここに規定しておる場合、何か変わったことが起きますか起きませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/26
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027・藤井貞夫
○藤井政府委員 天災、なかんずく気候条件、気象条件等の異常によって何らかの災害が起きるというような場合においては、現在のそういう情報連絡の体制というものは、気象庁が中心になりまして、それからさらに県を通じて、市町村の下部機構に連絡していくという体制になっております。しかし気象条件等によらないものにつきましては、それぞれの管理者が、その責任によって情報の連絡なり対策を進めていくという建前になっておるわけであります。従いまして、今御指摘になりましたような点につきまして申しますと、江東地区等につきましては、これはやはり河川管理ということが主体になって参りますので、都の関係といたしましても、やはり建設局というものが中心になってその対策を講じていく、現在の行政措置としての体系からいえばそうなるわけであります。ただ現実の活動面ということになりますと、それぞれの持ち分に応じて、管理者自体が自分の手足でもってやる場合もあるし、それに対して消防機関なり警察機関というものが現実の現場活動というものをやっていく、そういう建前になっておるわけであります。今度の消防組織法の改正によって防除するということが加わるということによって、合御指摘のような点が現実にどういうふうに変わってくるかということになりますと、これはすぐにどうという変化が活動の上で出てくるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/27
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028・太田一夫
○太田委員 そうすると、先ほど私が引例いたしました北陸の山津波ですね、大きな地すべりによって鉄道も民家も一挙に壊滅したというような場合に、あのとき消防は何をやっておったのでしょう。ああいう場合、ほとんど何もやっておらなかった。今度これが改正されれば何らかのことをやるべく義務づけられるのか、そういう点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/28
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029・藤井貞夫
○藤井政府委員 その点につきましては、確かに法律上の建前としては変わってくる、また変わらなければならないと思っております。ただここに防除ということをつけ加えましたのは、私たちといたしましては全く新しい機能をつけ加えたとは実は考えておらないのであります。現行の組織法の建前で消防の任務というものを規定いたしております際には、何といってもやはり火災活動というものが第一義的で、火災については予防から鎮圧というところまで、一連の行為としてこれをやっていくという建前になっておりますが、その他の災害というものについては、被害の軽減ということを中心にして規定いたしておるのが現行法の建前であります、被害の軽減ということになりますと、これは現実に災害が起きたことを前提にして、それの拡大を防止するということで、非常に消極的になってくるわけであります。しかしこれでは困るわけでありまして、そうかといって消防があらゆる災害について予防から何から全部引き受けていくというのは、今の建前からいって少しそれは行き過ぎであります。また力もそこまで及びません。たとえば治山治水というようなものまで、全部消防がひっかぶっていくということはできない。しかし現場活動といたしまして、たとえば地すべりが起きた場合、今引例されましたが、そういった場合に、地すべりが起きてしまって、それから今度は助けにいく、被害の拡大を防止するということだけが、消防の任務だというのは非常に狭きに失しはせぬか。やはりわかっておれば、その被害が起きる前に現場的に応急の手当等をやるということを当然の消防の使命として規定した方がいいのではないか。現実に今までもそういう活動をやっておる部面もございます。事実地すべりまた洪水になるというような場合に、堤防に出ていって堤防が決壊する前に補強工作をする。これは現実の活動としてやっております。そういったことを事実上の行為というのでなくて、やはり現実の法律上の消防活動の一環としてやるべきである、またやらなければならぬということを、はっきりここで規定をいたしまして、消防の法的な任務というものを確立しておく方が一歩前通であり、また現実に合うのじゃないかというのが、この改正案の御審議をいただこうとしておりますねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/29
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030・永田亮一
○永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104304720X01819630322/30
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