1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十八年三月十四日(木曜日)
午前十時二十七分開会
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出席者は左の通り。
理 事
井上 清一君
草葉 隆圓君
長谷川 仁君
森 元治郎君
委 員
青柳 秀夫君
大野木秀次郎君
杉原 荒太君
山本 利壽君
岡田 宗司君
佐多 忠隆君
羽生 三七君
石田 次男君
佐藤 尚武君
曾祢 益君
政府委員
外務政務次官 飯塚 定輔君
郵政省郵務局長 佐方 信博君
事務局側
常任委員会専門
員 結城司郎次君
説明員
外務省条約局外
務参事官 須之部量三君
労働大臣官房国
際労働課長 岡部 実夫君
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本日の会議に付した案件
○千九百六十二年の国際小麦協定の締
結について承認を求めるの件(内閣
提出)
○日本国とフィリピン共和国との間の
小包郵便約定の締結について承認を
求めるの件(内閣提出)
○関税及び貿易に関する一般協定の譲
許の追加に関する第十議定書(日本
国及びニュー・ジーランド)の締結
について承認を求めるの件(内閣送
付、予備審査)
○所得に対する租税に関する二重課税
の回避及び脱税の防止のための日本
国とタイとの間の条約の締結につい
て承認を求めるの件(内閣送付、予
備審査)
○国際労働機関憲章の改正に関する文
書の締結について承認を求めるの件
(内閣提出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定の譲
許表の訂正及び修正に関する締約国
団の確認書の締結について承認を求
めるの件(内閣提出、衆議院送付)
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〔理事井上清一君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/0
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001・井上清一
○理事(井上清一君) ただいまより外務委員会を開会いたします。
昨日、当委員会に四件の条約が付託されましたので、本日は、まずその説明を聴取いたしたいと存じます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/1
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002・井上清一
○理事(井上清一君) じゃ、速記をつけて。
千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件、日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の譲許の追加に関する第十議定書(日本国及びニュー・ジーランド)の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題とし、順次提案理由の説明をお願いいたします。飯塚外務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/2
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003・飯塚定輔
○政府委員(飯塚定輔君) ただいま議題となりました、千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
わが国は、千九百四十九年の国際小麦協定以来、累次修正、更新されてきた小麦協定に、継続して加盟して参りましたが、千九百五十九年協定は千九百六十二年七月三十一日に失効いたしますので、これにかわるものとして千九百六十二年の国連小麦会議で作成されましたのが、この千九百六十二年の国際小麦協定であります。
協定の骨子は、小麦について一定の価格帯を定め、加盟輸出国は、小麦の相場が高騰しても、協定の定める一定数量までは最高価格で加盟輸入国に売り渡す義務を負い、他方、加盟輸入国は、自国の小麦必要量のうち協定の定める一定の割合だけは、加盟輸出国から価格帯内の価格で買い入れる義務を負い、かようにして、加盟国の間において小麦の取引価格の安定と需給の調節とをはかろうとするものであります。
この協定は、千九百五十九年の協定をほとんどそのまま踏襲したものでありますが、改正点のうち、主たるものは、価格帯が十二・五セント引き上げられたこと、加盟輸出国から加盟輸入国が買い入れなければならない小麦の右輸入国の小麦輸入総量に対する割合が変更され、わが国については、千九百五十九年協定のときの五〇%が八五%に引き上げられたことであります。
わが国は、この協定に加盟することによりまして、安定した小麦の供給を確保するとともに、さらに、小麦の国際貿易の安定した拡大にも寄与し得る次第であります。
よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
次に、日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
フィリピンは、万国郵便連合の小包郵便物に関する約定に参加していないため、わが国と同国との間では直接小包郵便物を交換することができません。よって、政府は、かねてよりフィリピン政府と小包の直接交換のための約定締結交渉を進めて参りましたところ、約定案文について合意が成立しましたので、昭和三十八年一月十六日東京で日本側により、一月十九日マニラでフィリピン側によりこの約定の署名が行なわれた次第であります。
この約定は、両国間で交換する小包の種類、小包の料金、差出郵政庁が名あて郵政庁に割り当てる割当料金、禁制品、小包について行なう業務の種類及び処理方法、損害賠償等両国の郵政庁が小包の交換を行なうために必要な業務の基本的事項を規定したものであります。
この約定の締結により、わが国とフィリピンとの間の小包交換業務は直接に行なわれることとなりますので、公衆の受ける利便が増大することは言うまでもなく、同国との間の経済上、政治上の友好関係も一そう促進されることが期待されます。
よって、ここに日本国とフィリピン共和国との間との小包郵便約定の締結について御承認を求める次第であります。
次に、関税及び貿易に関する一般協定の譲許の追加に関する第十議定書(日本国及びニュー・ジーランド)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
千九百六十二年三月九日わが国とニュージーランドとの間の通商協定を改正する議定書の署名が行なわれました際、将来両国間において若干の品目につき関税交渉を行なう旨が合意されたのでありますが、この合意に基づき、同年十月からジュネーヴにおきまして、ガット上の譲許を相互に追加し合うための関税交渉が両国代表により行なわれました。交渉は十二月二十八日に妥結し、その交渉結果が本件議定書に収録された次第であります。
わが国が与える譲許は羊肉一品目でありまして、現行の国定税率一〇%を据え置いたものであり、その千九百六十一年における対ニュー・ジーランド輸入額は五百八十一万ドルであります。他方、ニュー・ジーランド側が行なう譲許は、水産物のカン詰、ミカンのカン詰、生糸、絹織物、グルタミン酸ソーダ等二十九品目であり、その千九百六十一年における対日輸入実績は三百三十一万四千ドルであります。
わが国の譲許は、国会の御承認を得た後政府がガットの書記局に対して行なう通告によって効力を生ずることとなっております。ニュー・ジーランド側も近く右の通告を行なう見込みでありますので、譲許の相互引き下げの趣旨にもかんがみ、わがほうもこの通告をなるべく早期に行なうことが必要と考えられます。
よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。
最後に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
わが国とタイとの間に租税条約を結ぶことについては、千九百六十一年十一月、池田内閣総理大臣のタイ訪問の際、共同声明でこれを確認し、千九百六十二年三月バンコックにおいて交渉を行なった結果、実質的に妥結し、わが方より早期に案文確定方申し入れていましたところ、今般案文についても最終的に合意を見るに至りましたので、千九百六十三年三月一日バンコックにおいて、わがほう在タイ島津大使とタイ側タナット・コーマン外務大臣との間でこの条約に署名を行なったものであります。
この条約は、二十カ条からなり、基本的にはわが国がこれまでに締結した租税条約の型にならったものであり、その内容はパキスタン、シンガポール等との間の租税条約とほぼ同様の内容を有するものであります。この条約のおもな内容及び特色は次のとおりであります。すなわち、恒久的施設の定義を明確にし、恒久的施設を通じて事業を営むときに限り産業上、商業上の利得について相手国の租税を課されることとしております。航空機の運用から生ずる所得は、全額相互免税とし、船舶の運用から生ずる所得については五〇%免税としております。配当については、子会社から受け取るものは、二五%の軽減税率、配当を支払う法人が産業的企業である場合には、二〇%の軽減税率とし、さらにこの場合の配当が親子会社間のものであるときは、一五%の軽減税率としております。また、利子については、産業的企業にかかる社債または貸付金に関するものは一〇%の軽減税率とし、使用料については、一五%の軽減税率としております。さらに、産業的企業からの配当もしくは政府債の利子に対するタイの租税の額でこの条約の規定に基づき減免されたもの、またはタイの産業投資奨励法の規定に基づいて免除されたタイの租税の額は、日本で総合課税する際に、タイで支払われたものとみなして、日本の税額から控除することとしております。また、教授、留学生、短期旅行者等に対して広い範囲で免税を認めることとしております。
この条約を通じて日本・タイ両国間の経済、学術、文化の面にわたる交流が一そう促進されるものと考えられます。
よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、以上四件につきましてすみやかに御承認あらんことを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/3
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004・井上清一
○理事(井上清一君) 以上四件に対しまする提案理由説明は終了いたしました。
次に、補足説明をお願いいたしたいと思います。須之部外務参事官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/4
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005・須之部量三
○説明員(須之部量三君) ただいまの提案理由の説明がありました四件のうち、小麦協定に関連いたしまして、若干補足説明申し上げます。
小麦協定は、一番初めは一九四九年に締結されました。その後五三年、五六年、五九年というふうに、それぞれ更新されて参ったわけでございます。わが国は四九年の当初からこれに入っているわけでございますが、この五九年の協定が期間三年でございまして、一九六二年——昨年の六月末で終了することになりましたので、昨年の初めから、国連の主催によりましてジュネーヴで小麦会議が開催されました。ここで新しい一九六二年の国際小麦協定ができたわけでございます。
で、五九年の小麦協定の大体の構造でございますが、結局、これは一応小麦につきまして価格帯——つまり最高価格と最低価格を一応定めて、輸入国のほうは商業的な総輸入量、つまり通常貿易で輸入いたします量のうちの一定割合は、その価格帯の中の価格で加盟輸出国から輸入する。一方加盟輸出国のほうは、価格帯の価格で輸入国に供給する。すなわち、市場価格が高騰いたしまして価格帯の最高価格以上に上がりました場合でも、最高価格で輸入国のほうに売り渡すという義務を負うというのが、大体のおもな価格安定のやり方でございます。
一九六二年——今度の協定も、五九年の協定とこの基本的な構造においては変わりはないわけでございますが、おもな相違点をあげてみますと、第一が、価格帯の値段が引き上げられた、十二・五セント引き上げられたということでございまして、この値段は、小麦といいましても、いろいろ産地も品質も違うわけでございますので、標準といたしまして、カナダのマニトバ・ノーザン一号という種類の品質のもので、しかも一番近いフォート・ウィリアム、ポート・アーサー倉庫渡しという条件のものの値段を基準価格としているわけでございますが、この基準価格の最高価格が、従来はカナダドルで一ブッシェル一ドル九十セントであったわけでございますが、これを十二・五セント引き上げまして、二ドル二セント半にする。それから、一方、最低価格のほうは一ドル五十セントであったわけでありますが、これも十二・五セント引き上げまして、一ドル六十二セント半とするという内容でございます。昨年の春の会議が開かれました際に、この値段の価格帯の引き上げは非常に大きな問題になりまして、輸出国のほうが非常にこれを強くいたしまして、元来は二十五セント引き上げたいという要求が強かったわけでございます。これに対して輸入国のほうは、当然引き上げないでいきたいということであったわけでございますが、会議はそのために実は流会になるかというような状況まで参りましたが、結局妥協ができまして、その半分の十二・五セントの値上げということに落ちついたものでございます。
それから五九年協定と比較いたしまして違っております第二の点は、加盟輸入国が加盟輸出国から買い入れる一定の比率、つまり通常の総輸入量の一定比率は、加盟輸入国が加盟輸出国から買うわけでございますが、この比率が改正になったわけでございまして、その比率は協定の附表にそれぞれ国別にきめられているわけでございます。一九五九年協定当時は、各国の平均をとりますと七一%、つまり通常の輸入量の約七一%を加盟輸出国から買う、こういうことになっておったわけでありますが、それが平均で今回は八五%、こういうふうに買い入れの比率が高められているわけでございまして、日本の場合も、五九年協定では五〇%の買い入れ比率であったわけでございますが、それが今回は八五%というふうに変わっているわけでございます。
それからさらに、相違点と言うほどでもございませんが、新しい協定の特徴の一つとして、従来、ソ連がこの協定のワクの外に出ておったわけでございますが、今回はソ連が輸出国として加盟したということでございます。
この協定の運用の機関といたしましては、理事会と執行委員会とあるわけでございますが、理事会と申しまするのは、全加盟国で構成されておりまして、したがって、いわば総会でございますが、通常年二回ロンドンで会合するわけでございまして、この理事会におきます各国の票数は、輸出国が全体といたしまして千票持ち、輸入国がまた全体として千票持ち、その票数が輸出国の間、輸入国の間で、個々の国にそれぞれ割り当てられるわけでございますが、日本は輸入国としまして英国は第一でございますが、日本は第二の票数を持つ大きな輸入国ということになっておるわけでございます。それから、理事会の下に執行委員会があるわけでございますが、執行委員会は十二カ国——輸出八カ国、輸入四カ国から構成されておるわけでございまして、毎年これは選出されるわけでございますが、現在、日本は輸入側の執行委員会のメンバーになっておるわけでございます。この運用の機関の構成も、すべて五九年協定当時と同様でございます。その他の点につきましては、ほぼ五九年の協定を踏襲しておるということが言えるわけでございます。
で、五九年の協定には四十三カ国が加盟しておりましたが、今度の六二年協定は四十六カ国が加盟するであろうという見通しになっておるわけでございまして、先ほど申し上げました輸出入国の票数のうち、三分の二以上の票数を持つ国の受諾がありますれば、これは正式に発効するということになっておるわけでございます。ただ、商品協定はいずれも同様でございますし、五九年の協定でも同様でございましたが、一応五九年の協定は昨年六月末で終了いたしておるわけでございますが、小麦の取引はその後も引き続き行なわれることになっておりますので、各国のそれぞれの国内手続を経て正式受諾するのがおくれます場合には、その間に空白ができまして、非常に実際上お互いに困るという点がございますので、その点を防ぎますために、すぐ受諾できる国はもちろん受諾するわけでございますが、国内の手続を要する国は、本年七月十六日までに国内手続を経て正式受諾をするように努力するということを宣明いたしますれば、それによって一応この協定の加盟国として暫定的に取り扱われるということになっておるわけでございます。この方式で空白を避けていけるわけでございますが、現在までに、すでに輸出国で八カ国、輸入国で二十カ国ももう正式に受諾しておりますので、わが国といたしましても、七月十六日以前には国会の御承認を得て受諾いたしたいと思っておるわけでございます。
五九年の協定によりまして、この五九年の協定の加盟輸出国と輸入国の間で行なわれました小麦の取引というものは、世界の全取引の九二%になっておるわけでございます。わが国としましては、大体最近の傾向は、年間二百七十万トンほどの小麦を輸入しておるわけでございますが、この一九六二年の加盟輸出国からの輸入量を見てみますと、六〇−六一小麦年度におきまして九八・八%、六一−六二年度におきましては九九・五%がこの加盟輸出国からの輸入量でございまして、この協定を受諾することによりまして、八五%は加盟輸出国から買うという一応形式的なワクがございます。はるかにそれを上回って買っておるわけでございます。むしろ安定した価格で買えるという利益のほうがもちろん大きいわけでございますので、今回の小麦協定に、引き続いて参加したいという考えでいるわけでございます。小麦協定につきまして、以上補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/5
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006・井上清一
○理事(井上清一君) 佐方郵務局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/6
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007・佐方信博
○政府委員(佐方信博君) 日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件につきまして補足説明をさせていただきます。はがき、手紙等の通常郵便物につきましては、万国郵便条約がありまして、世界のほとんどすべての国がこれに加入しておりますことは御承知のとおりでございます。しかし、小包郵便業務につきましては小包郵便物に関する約定がありますけれども、この約定に日本はもちろん加入しておりますけれども、世界のすべての国が加入しているものではございません。そこで、フィリピン共和国は、国内制度の関係上この約定に加入しておりませんので、わが国と同国との間では、直接小包の交換をすることができない状態でございます。今年の一月から、それでは困りますので、いわゆる台湾、中国郵政庁を仲介といたしまして、小包郵便物の交換を行なって参りました。大体毎月五百か六百程度の小包郵便物がこちらから送られているわけでありますが、このようにいたしますと、結局、第三国の仲介によって小包を交換いたしておりますと、スピードの点、それから料金の面で不利なことがございますので、何とか直接交換をいたしたいということで、在来行なって参りました交渉を進めました結果、ここに提案になっているような協定が、締結することに合意が成立いたした次第でございます。
その内容は、説明書にございますように、重量十キログラムまでの小包を船便または航空便により直接交換する。それからまた、小包の差出国の郵政庁は名あて国の郵政庁に対し一キログラムに対して四十サンチームの料金を割り当てる。それからフィリピンの国内事情によりますけれども、小包の亡失、盗取、損傷の場合に、賠償は原則として行なわない。それから価格表記、別配達、到達書等といった特殊な取り扱いは行なわない。また、この約定の実施のための細目は、両国の郵政庁間の取りきめである施行規則で定めたい。以上が主たる内容でございますが、フィリピン共和国との間に小包郵便約定を締結することによりまして、両国との間に有利な条件で小包を直接交換することができることになりまして、一段と今後業務が改善されるというふうに期待いたしております。
簡単でございますが、補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/7
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008・井上清一
○理事(井上清一君) 須之部外務参事官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/8
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009・須之部量三
○説明員(須之部量三君) それでは引き続きまして、ニュー・ジーランドとの間のガットの譲許の追加に関する議定書につきまして補足説明を申し上げます。
この議定書の内容でございますが、昨年の三月に日本とニュー・ジーランドの間で通商協定ができまして、ニュー・ジーランドはガットの三十五条の援用を撤回することになったわけでございますが、そのときに、従来ニュー.ジーランドは日本に対して三十五条を援用をしておりましたので、当然日本とニュー・ジーランドの間に関税交渉は行なわれたことはなかったわけでございます。それで、今回三十五条の援用を撤回する際に、若干の品目につきまして、両国間で関税交渉を行なおうということになりまして、昨年の十月から交渉を行なったわけでございますが、その結果、両国間でガット上の譲許として与え合う関税につきまして合意を見ましたので、今回御承認を求めているわけでございます。その内容となりますところは、日本側では、羊肉につきまして譲許税率をニュー・ジーランドに与えたわけでありますが、その内容は、現在の一〇%の税率を据え置くという内容の譲許でございます。
それから、ニュー・ジーランドのほうから日本に与えました譲許は二十九品目あるわけでございますが、これらは、ある種類の魚とかエビ、カニ、それからカキ等のカン詰、あるいはミカンのカン詰、あるいは繊維品というようなものでございますが、合計二十九品目でございまして、その内容は、大体今までの税率をそのままやはり据え置くという譲許の内容になっておるわけでございます。ただ、グルタミン酸ソーダは、二〇%の税率を無税に引き下げるというのが先方の譲許の内容になっておるわけでございます。この新しい譲許は、国会の御承認を得まして、ガットの事務局長に対してわが国の政府が適用の意思を通告したときから適用されるということになっておるわけでございます。
それから、日本とタイとの間の二重課税防止条約でございますが、実は先般オーストリア、イギリス、ニュー・ジーランドの二重課税防止条約の補足説明を行ないました際、二重課税防止条約の基本的な形というものについては御説明申し上げたわけでございますが、今回のこのタイとの租税協定も、内容の基本的な立て方につきましては、従来の租税協定と同一であるということが言えるわけでございます。日本が今までパキスタンとかシンガポールとの間に結んでおります租税協定とも、ほぼ同様でございます。
ただ、あえて特徴は何かということになりますと、これは日本に対しまして、タイのほうが経済的に何といいましても弱い立場にありますために、もし日本と先進国であるイギリス、たとえばイギリスとの間に行ないます租税協定の比較をいたしますと、税金を配当、利子、使用料等の減免の率がそれ、たけ少なくなっておるということになっておるわけでございまして、さらに船舶の所得当たりも一〇〇%の軽減ではなくて五〇%にとどめられておるというような点があるわけでございます。と同時に、また、経済的に発展過程にある国との間の租税協定の特徴の一つといたしまして、みなし課税という言葉で言っておるわけでございますが、先ほど提案理由説明の中にもありましたとおり、タイ側のほうで本協定あるいは向こうの法律に基づきまして軽減される税は、日本で税額控除を行ないます際に、その分は軽減されないで向こうで課税されたものとみなしてこちらで控除するということでございまして、それによって日本の資本なり、技術なり等が経済活動をタイで行ないます場合に、二重課税のそれだけ有利な取り扱いを受けるわけでございます。資本の活動を奨励するという意味で、日本かほかの国と——他の経済的に発展過程にある国と結んでいる租税協定の中にもある条項でございます。その他の点につきましては、今まで結んでおりました租税協定とほぼ同一な内容であるということが申せると思うわけでございます。
以上簡単でございますが、説明を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/9
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010・井上清一
○理事(井上清一君) 本日は補足説明はこの程度にし、次に、国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
御質問のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/10
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011・長谷川仁
○長谷川仁君 この改正文書を見ますと、事業者代表と労働者代表各理事が十二名増加しているというふうになっておりますけれども、将来、労使側の理事に日本の代表が立候補するというような情勢はございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/11
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012・飯塚定輔
○政府委員(飯塚定輔君) それは労使ともに立候補する希望を持っておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/12
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013・長谷川仁
○長谷川仁君 この第七条の4によりますと、「使用者の代表者二人及び労働者の代表者二人は、ヨーロッパ以外の国に属する者でなければならない。」という現行規定を削除しているのですけれども、現在の政府あるいは労働者代表、それから使用者代表の各理事の地域的配分の状況をちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/13
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014・飯塚定輔
○政府委員(飯塚定輔君) 第七条の4項の今度の改正を要する問題は、実は以前は労使ともに、また政府代表も、ヨーロッパから理事が多く出て、ほとんどヨーロッパに占められるという実情でございました。政府代表のほうでは、一九五三年の総会において同じ規定がございましたが、その当時政府代表十八名を五十三年に二十名に増員いたしまして、そうしてやはりこれと同じ規定を削除したのでございます。今度の削除も、それ以来世界の加盟国は百五カ国にふえております。したがいまして、必ずしもヨーロッパばかりから理事が出るということでなく、ヨーロッパ以外からも理事がたくさん出ることができますので、この規定を削除したのでございますけれども、こまかく地域的にどういう割合になっておるかということにつきましては、担当の労働省の担当者からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/14
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015・井上清一
○理事(井上清一君) 岡部国際労働課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/15
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016・岡部実夫
○説明員(岡部実夫君) それでは御説明申し上げますが、現在の使用者側から出ております理事は、国名別に申しますと、スウェーデン、イタリア、イラン、ブラジル、イギリス、米国、インド、フランス、メキシコ等でございます。それに日本が加わっております。それから労働者側のほうは、パキスタン、インド、米国、オーストラリア、スイス、デンマーク、西ドイツ、イギリス、メキシコ、モロッコ、このそれぞれ十カ国でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104313968X01219630314/16
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017・井上清一
○理事(井上清一君) 他に御質問ございませんか。——ほかに御質問もございませんようですから、本日は、この程度で散会をいたしたいと思います。
午前十一時五分散会
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