1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十八年五月十日(金曜日)
午後一時十五分開会
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委員の異動
三月三十日
辞任 補欠選任
山崎 斉君 前田佳都男君
四月八日
辞任 補欠選任
前田佳都男君 山崎 斉君
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出席者は左の通り。
委員長 櫻井 志郎君
理事
青田源太郎君
仲原 善一君
渡辺 勘吉君
森 八三一君
委員
植垣弥一郎君
中野 文門君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
山崎 斉君
大森 創造君
北村 暢君
安田 敏雄君
矢山 有作君
牛田 寛君
天田 勝正君
衆議院議員
発 議 者 芳賀 貢君
発 議 者 安井 吉典君
発 議 者 湯山 勇君
政府委員
農林政務次官 大谷 贇雄君
農林省農林経
済局長 松岡 亮君
食糧庁長官 大澤 融君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○農業災害補償法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○甘味資源特別措置法案(内閣送付、
予備審査)
○甘味資源の生産の振興及び砂糖類の
管理に関する法律案(衆議院送付、
予備審査)
○水産物の価格の安定等に関する法律
案(衆議院送付、予備審査)
○水産業改良助長法案(衆議院送付、
予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/0
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001・櫻井志郎
○委員長(櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。
農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、提案理由の説明及び補足説明を聴取することにいたします。大谷農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/1
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002・大谷贇雄
○政府委員(大谷贇雄君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
現行農業災害補償制度は、その制度創設以来すでに十数年を経過しておりますが、その間にこの制度が災害対策として農業経営の安定に多大の寄与をして参りましたことは、周知のとおりであります。
しかしながら最近におきましては、農業生産基盤の整備、耕種技術の改善等によりまして、農作物被害の地域差が拡大し、安定地域が増加する等農業災害の発生態様も変化して参り、この制度が農業の実態に必ずしも適合しない面も現われ、各方面からその改正が強く要望されてきたのであります。この要望にこたえるため、政府におきましては、農作物共済を中心に改善を加えることとして、第三十八回通常国会に改正法案を提出しましたが、審議未了となり、続く第三十九回臨時国会に再提出し、さらにこの国会から継続して審議されました第四十回通常国会において衆議院で修正議決の後、参議院で再び審議未了となりましたことは御承知のとおりであります。
このような事態に対処するため、政府といたしましては、とりあえず必要な予算措置等を講じて参り、特に昭和三十八年度予算におきましては、農作物共済及び蚕繭共済の単位当たり共済金額の引き上げ、家畜共済についての家畜加入推進奨励金の新設、農業共済団体等の事務費国庫負担金の増額等を行なうことといたしましたが、制度改正は農民の多年の要望でもあり、また、制度運営の現状を早急に改善する必要もありますので、これまでの改正法案の国会審議の経緯や、最近の実情等を慎重に検討いたしました結果、衆議院修正後の案を基礎に再びこの法律案を提出することといたした次第であります。
次に、法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
まず第一は、農業共済組合等の農作物共済の共済責任の拡充であります。
農業共済組合または共済事業を行なう市町村の農作物共済の共済責任を実質的に拡充するため、通常危険責任部分のうちの大部分の責任を組合等に保留させ、通常危険責任部分のうちの残りの部分と異常危険責任部分を農業共済組合連合会の保険に付し、連合会はそのうちの異常危険責任部分のみを政府の再保険に付することといたしました。この結果、組合等の共済掛金の保留額も多くなりますので、無事戻し制度の整備拡充をはかることができ、低被害地における共済掛金の掛け捨てが多いという不満も相当緩和されるものと考えております。
第二は、画一的強制方式の緩和であります。
経営規模がきわめて小さく、農業所得の比重が非常に低い農家については、組合等への加入が強制されることのないよう地方の実情に即して緩和し、任意加入資格者の範囲を拡大することができることとするとともに、事業量が僅少である等の理由がある場合には、組合等は、共済事業の一部廃止ができることとしたのであります。
第三は、農作物共済の損害補てん内容の充実であります。
損害が発生した場合の補てん内容の充実をはかるため、農作物共済の単位当たり共済金額は、従来、米麦の価格の七割を標準として定めていたのを、その九割を限度として定めた二以上の金額のうちから選択することといたしました。この結果、全損の場合の実質補てんの割合は最高の単位当たり共済金額を選択した場合には、米麦の価格の約六割三分にまで達することとなるわけであります。
第四は、農作物共済の共済掛金率の設定と共済掛金の国庫負担の方式の合理化であります。
組合等の共済掛金率を被害の実態に即応せしめるため、組合等ごとに過去の被害率を基礎として基準共済掛金率を定め、さらに必要な場合には、組合等の区域を幾つかの地域に分けて定めることができる仕組みにするとともに、共済掛金の国庫負担につきましても、基準共済掛金率の高低に応じ最低を二分の一とする超過累進の方法により、組合等別に国庫負担割合を定めることとしてその公平を期し、両々相待って農家負担の合理化をはかったのであります。
なお、この改正により農家負担が増加した組合員等に対しては、当分の間、その増加の割合を基礎として一定額の補助金を交付することといたしております。
第五は、水稲の病虫害の共済事故除外と共済掛金の割引であります。
最近における病害虫による被害の低位安定化の傾向に即応し、病害虫防除事業の推進に資するため、水稲について病虫害の防止のため必要な施設が整備され、その防止が適正に行なわれる見込みがあるものとして指定を受けた組合等においては、病虫害を共済事故としないで、これに対応する部分の額だけ共済掛金を割り引くことができることとするとともに、この割引によって不要となった国庫負担額のうち、割り引きされた農家負担の減額分に相当する額を限度として病害虫防除事業に対し補助することといたしました。
最後に、任意共済に関する制度の改正について申し上げますと、今回の改正により、連合会はその行なう任意共済についての手持責任の一部を、全国共済農業協同組合連合会の共済に付することができる旨の規定を新設したのでありますが、これにより建物共済についての農業共済、農協系統両団体間の事業分野の調整が促進され、両団体の建物共済の健全な発展がはかり得るものと考えるのであります。
以上が、この法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/2
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003・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案の内容につきまして補足して御説明申し上げます。
現行農業災害補償制度は、いわゆる共済保険方式によって災害による農家の損失を補てんする仕組をとっておりますが、従来からこの制度に対し、種々の面において不平不満があり、これがため、昭和三十二年に第二十六回通常国会において、一筆単位収量建制の採用による制度内容の合理化をはじめ、農家負担の軽減、共済事業の市町村移譲の特例等の改正を行なったのでありますが、その後も農業生産基盤の整備、耕種技術の改善等による水稲被害の地域差の拡大、安定的地域の増加等、制度をめぐる諸条件の変化により、さらに制度の改正を要望する声が強くなって参りました。
ここで問題とされております事項は、農家負担に比し、いわゆる掛捨てが多いこと、共済掛金率が被害の実態に即応していないこと、病虫害を共済事故とすることについて問題があること、共済金の支払額が損害に比して少ないこと、無事戻し制度の実効が上がっていないこと等でありまして、これらの問題にこたえて、このたびここに制度の大幅な改正を行なうことといたした次第であります。
この法律案は、提案理由説明でも申し上げましたとおり、第四十回通常国会で衆議院において修正議決されました案を基礎としたものでありまして、その内容はおおむね次のとおりであります。
まず第一は、農業共済組合等の農作物共済にかかる共済責任を拡充したことであります。
現行制度では、末端の農業共済組合または共済事業を行なう市町村は、その総共済金額の一割を保留して、残りの九割を農業共済組合連合会の保険に付し、連合会はこれを県ごとに取りまとめた上、そのうちの通常危険責任部分を保留して、異常危険責任部分を政府の再保険に付することになっておりますが、最近の農作物被害が次第に安定化の傾向を示し、また地域的に固定化してきたこと等にかんがみ、末端の組合等に通常災害に対応する責任の相当部分を分担させることとし、改正案では、組合等が通常危険責任部分の大部分を保留して、その残りの部分と異常危険責任部分を連合会の保険に付し、連合会は組合等ごとに、そのうちの異常危険責任部分のみを政府の再保険に付することといたしました。この結果、農家が負担する共済掛金の大部分が組合等に保留されることとなり、制度に備荒貯蓄的機能が加味され、組合等に生ずる剰余金を無事戻し、あるいは損害防止等に充当することができますので、掛捨てに対する農家の不満を相当程度緩和し得るものと考えております。
なお、この場合の通常危険責任部分のうちの連合会に付保する割合は、主務大臣が定めることといたしており、組合等の過去における被害の発生状況等を勘案して定めたいと考えております。
第二は、画一的強制方式の緩和であります。
現行制度のもとでは、水稲と陸稲の耕作面積の合計または麦の耕作面積が、それぞれ一反歩以上の農家は、すべて一律に加入が強制されており、それ以下のものについては任意加入ということになっております。これに対し、今回の改正案では、任意加入の幅をさらに広げることとし、当然加入と任意加入の限界となる農家の規模は、政令で定める範囲内で地域の実情に応じ都道府県知事が定めることといたしました。この場合、政令では、北海道は別として、水稲、陸稲または麦の別にそれぞれ一反歩ないし三反歩の範囲とする考えであります。
さらに、組合等の共済事業につきまして、一定の理由がある場合には、事業の一部廃止ができる規定を設けました。すなわち、組合等は原則として農作物共済、蚕繭共済及び家畜共済の全部を行なわなければならないこととなっておりますが、組合等の事業量が僅少な場合や、農家経済上さほど重要でない場合についてまで、なおこれを強制する必要はないと考えられますので、従来、きわめて例外的にしか認められなかった共済事業の一部廃止につき、今回その範囲を拡大し、農作物共済と蚕繭共済につきましては、共済目的の種類、すなわち、水稲、陸稲、麦、春蚕繭、夏秋蚕繭の別に、その事業規模が農林大臣の定める基準以下であること等、相当の理由がある場合には、総会の特別議決または市町村議会の議決を経て、共済事業を行なわないことができることといたしました。なお、このようにして共済事業を一部廃止いたしました場合でも、その後に再び総会の特別議決により事業を開始することはできることといたしております。
第三は、農作物共済にかかる補てん内容の充実であります。
農作物共済において、災害を受けた際に支払う共済金の額は、各耕地ごとに、基準収穫量の三割以上の減収があった場合に、単位当たり共済金額に、その三割をこえた部分の減収量を乗じて算出することとなっており、この場合の単位当たり共済金額は、米麦価の七割を標準として主務大臣が定めた金額のうちから選択することとなっておりました。しかし、これによりますと、全損の場合に、最高の単位当たり共済金額を選択しているときであっても、実質補てん割合は約四割九分に過ぎず、このため従来から、災害を受けても共済金の支払額が少なく、制度の効果が不十分であるとの批判があったことは、皆様御承知のとおりであります。この批判にこたえるため、改正案では、一筆ごとに三割以上の減収量に応じて支払うという方式は現行どおりでありますが、単位当たり共済金額の限度を九割に引き上げ、この限度内で主務大臣の定める二以上の金額から選択することといたしました。この結果、全損の場合の実質補てん割合は、最高の単位当たり共済金額を選択した場合には、約六割三分となり、従来に比し相当程度補てん内容を充実し得るものと考えております。
第四に、農作物共済にかかる共済掛金率の設定と、共済掛金の国庫負担の方式の合理化であります。
現行制度では、都道府県別に過去二十年間の被害率を基礎として共済掛金標準率を設定し、これを都道府県内の危険階級別に割り振って組合ごとの基準共済掛金率を定めることとなっております。このため、共済掛金率が必ずしも被害の実態に合わない面があり、特に低被害地の組合等におきましては、実際の被害率に比し割高になるというきらいがありますので、今回の改正案では、組合等ごとに、その過去の被害率を直接その基礎として基準率を設定することとし、組合等の被害率がそのまま基準奉に反映するようにいたしました。なお、組合等の区域内で被害の出方が異なるため、これを細分化する必要がある場合には、組合等は、その区域を二以上の地域に分けて、それぞれの地域ごとに共済掛金率を定めることができることといたしております。
また、共済掛金の国庫負担方式につきましても、これを合理化することといたしました。すなわち、従来は、その都道府県の国庫負担割合を、すべての組合等に一律に適用しておりましたのを、基準率の設定方式と同様、直接組合等ごとに国庫負担割合を定めることとしたのであります。この場合、従来の通常災害及び異常災害については半額国庫負担、超異常災害に対しては全額国庫負担という趣旨はくずさない建前で、基準率の高低に応じて、最低を二分の一とする超過累進の方法により国庫負担割合を定めることといたしました。これにより、従来の国庫負担の不均衡、不合理の面が是正されると考えております。
なお、今回の制度改正により、共済掛金率のうち農家負担部分が増加する組合等も予想されますので、そのような組合等については、改正制度の実施が円滑に行なわれるよう、当分の間、その農家負担部分の増加の割合を基礎として一定の方式で算定される金額の補助金を交付することができることといたしております。
第五は、水稲の病虫害の共済事故からの除外と共済掛金の割引であります。
最近では、病虫害防除も著しく進歩いたしましたので、その施設が完備すれば、特定の病虫害のほかは防除がおおむね可能となっております。したがって、水稲につき病虫害の防止のため必要な施設が整備され、その防止が適正に行なわれる見込みがあるものとして指定を受けた組合等においては、総会の特別議決または市町村議会の議決により、特定の病虫害以外の病虫害を共済事故から除外し、共済掛金のうち病虫害に対応する部分を減額することができることといたしますとともに、この共済掛金の減額によって不要となった国庫負担額のうち、農家負担共済掛金の減額分に相当する額を、病虫害防除事業費の一部として補助することができることにいたしております。
なお、この共済事故から除外しないこととなる特定の病虫害は、政令で定めることといたしておりますが、いね白葉枯病、いね黄化萎縮病等の現在の防除技術では、防除不可能と考えられているものを定める考えであります。
以上が、今回の制度改正の主要な内容でありますが、このたびこの法案を提出するにあたりまして、建物共済についての農業共済団体と農協系統団体との間の事業分野の調整を促進するため、農業共済組合連合会が建物共済にかかる手持責任の一部を、全国共済農業協同組合連合会の共済に付することができることとなりましたので、この旨の規定も今回の改正に加えることといたしました。これにより、今後、建物共済事業の円滑な推進がはかられることと期待するものであります。
なお以上のほか、との機会に農業共済団体の組織及び運営に関する条文についても規定を整備することとし、いわゆる農業法人の構成員が組合の役員になることができること、共済事業の市町村移譲の進捗に伴い、市町村の職員が連合会の役員になることができること等、若干の改正も合わせて行なうことといたしました。
最後に、この改正制度の実施時期でありますが、準備期間等も考慮いたしまして、昭和三十九年産水陸稲から適用することといたしております。
何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/3
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004・櫻井志郎
○委員長(櫻井志郎君) 次に、甘味資源特別措置法案を議題とし、提案理由の説明及び補足説明を聴取することにいたします。大谷農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/4
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005・大谷贇雄
○政府委員(大谷贇雄君) ただいま議題になりました甘味資源特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
甘味資源の生産の振興につきましては、昭和二十八年以来てん菜生産振興臨時措置法に基づき、寒地におけるテンサイの生産振興のための措置を講じてきたところであり、また昭和三十四年には甘味資源自給力強化総合対策として、国内産糖製造事業の自立基盤を確立するため、砂糖の関税及び消費税の振りかえを行なうとともに、日本てん菜振興会を設立して試験研究の拡充強化をはかる等の諸般の措置を講じてきたところであります。
寒地テンサイにつきましては、近年天候その他の理由によって、若干停滞の気味にあるものの、今後の伸長を期待し得るものがあり、西南諸島におけるカンシャ及びカンシャ糖、澱粉を原料とするブドウ糖につきましても、急速な生産の伸長があり、さらに暖地においてもテンサイ作の導入の試みがなされてきているところであります。
この間にあって甘味資源作物の導入がその農業経営の改善と農家所得の安定に果たした役割は、寒地テンサイにあってはその耐寒性作物であることと、畜産との有機的結合による輪作体系の合理化によって、またサトウキビにあっては、他に対比すべきものがない主要な商品作物として、それぞれまことに大なるものがあったと考えられるのであります。
したがって、今後におきましても、農業経営の改善と農家所得の安定のために、その地域における生産を振興することが必要とされる適地におきまして、これら甘味資源作物の生産を振興して参ることが必要であり、また、これと合わせてその甘味資源作物を原料とする砂糖類製造事業につきましても、その健全な発展をはかるべきことは言うを待たないところであります。
他方、農産物につきましても、今後国内生産保護のための所要の措置を講じて、可能なものにつきましては、できる限りすみやかに輸入自由化を行なうことが要請されておりますし、また、消費者の立場を十分考慮することも必要であると考えられるのであります。
以上の諸点を十分配慮し、今後における甘味資源対策の基本として、本法案を制定いたしまして、適地におけるテンサイ及びサトウキビの生産を振興するとともに、テンサイ糖工業、カンシャ糖工業及びブドウ糖工業の健全な発展をはかるため、所要の生産奨励、政府買い入れ等の措置を講ずることにより、農業経営の改善と、農家所得の安定及び国内甘味資源の国際競争力の強化に資するよう措置する所存であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、政府は、砂糖類並びにテンサイ及びサトウキビについて農業基本法第八条の重要な農産物として、同条の規定によりその需要及び生産の長期見通しを立て、これを公表することといたしております。
第二に、適地においてテンサイ及びサトウキビの重点的な生産の振興をはかることとし、その区域内の農業経営の改善をはかるため、甘味資源作物の生産を計画的に振興することが特に必要と認められる一定の区域をテンサイ生産振興地域またはサトウキビ生産振興地域として農林大臣が指定し、指定を受けた地域を管轄する都道府県知事は、毎年、生産振興計画を立て、農林大臣の承認を受けなければならないものとし、国は、その計画の実施に要する経費等につき必要な助成を行なうこととしております。
なお、農林大臣が生産振興地域の指定を行なうにあたっては、関係都道府県知事の意見を聞き、また都道府県知事からも指定の申し出をすることができることといたしております。
第三に、生産振興地域の区域内における甘味資源作物の生産振興とテンサイ糖工業及びカンシャ糖工業の健全な発展を確保するため、その地域内における製造施設の設置及び変更につき、農林大臣の承認制をとることとしております。
第四に、政府は、砂糖の価格が著しく低落した場合において必要があるときは、テンサイ糖製造事業者及びカンシャ糖製造事業者から、農林大臣が定める最低生産者価格を下らない価格で、生産者から買い入れたテンサイまたはサトウキビを原料として製造されたテンサイ糖またはカンシャ糖を買い入れることができる制度を設けております。
なお、当分の間は、糖価の低落以外の特別の事由がある場合にあっても、特に必要があると認めるときは、所要の政府買い入れを行なうことができることといたしております。
第五に、カンショ及びバレイショの需要の確保をはかるため、砂糖の価格が著しく低落した場合において必要があるときは、ブドウ糖製造事業者からブドウ糖の政府買い入れを行なう制度を設けております。
ブドウ糖の政府買い入れにつきましても、当分の間は、糖価の低落以外の場合においても、ブドウ糖工業の合理化を促進するため特に必要があるときは、所要の政府買い入れを行なうことができることといたしております。
第六に、甘味資源に関する重要事項を調査審議するため、農林省に甘味資源審議会を設置することといたしております。
第七に、本法の附則によりまして、食糖管理特別会計法の一部を改正し、同会計に砂糖類勘定を設てけ損益の明確化をはかることといたしております。
以上が、この法律案の主要な内容でございます。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申す次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/5
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006・大澤融
○政府委員(大澤融君) 甘味資源特別措置法案につきまして、若干補足して御説明を申し上げます。
第一章は、総則に関する規定であります。
まず、第一条は、この法律の目的を定めております。
この法律案を提案いたしました趣旨につきましては、御説明申し上げたところでありますが、この法律は、適地におけるテンサイ及びサトウキビの生産を振興するとともに、テンサイ糖工業、カンシャ糖工業及びブドウ糖工業の健全な発展をはかるため、生産振興地域の指定の制度、生産振興計画に基づく生産の奨励助成、生産振興地域におけるテンサイ糖またはカンシャ糖の製造施設の新設の承認の制度、テンサイ及びサトウキビの価格支持、テンサイ糖及びカンシャ糖の政府買い入れ並びに国内産ブドウ糖の政府買い入れの制度等の措置を講じ、もって農業経営の改善と農家所得の安定及び国内甘味資源の国際競争力の強化に資することを目的といたしております。
次に、第二条は、用語の定義を定めております。
第二章は、テンサイ及びサトウキビの生産の振興に関する規定であります。
まず第三条は、砂糖類及び甘味資源作物の需要及び生産の長期見通しの策定について定めております。
農業基本法第八条第一項によりますと、政府は、重要な農産物につき、需要及び生産の長期見通しを立て、これを公表することとなっておりますが、この甘味資源特別措置法第三条におきましては、政府は、砂糖類すなわち砂糖及びブドウ糖並びに甘味資源作物すなわちテンサイ及びサトウキビを農業基本法第八条第一項にいう重要な農産物として、これらにつき、農業基本法の規定により需要及び生産の長期見通しを立て、これを公表すべき旨を定めているのであります。
次に、第四条から第十二条までにおいては、適地において、テンサイ及びサトウキビの重点的な生産の振興をはかるため、生産振興地域の指定並びに生産振興計画の策定及び実施に関する制度を定め、その適地と認められる一定の区域を生産振興地域として農林大臣が指定し、指定を受けた地域を管轄する都道府県知事は、毎年、生産振興計画を立て、農林大臣の承認を受けるものとし、国は、その計画の実施に要する経費等につき必要な助成を行なうこととしているのであります。
まず、第四条では、農林大臣は、一定の要件に該当する区域であって農業経営の改善をはかるためテンサイまたはサトウキビの生産を計画的に振興することが特に必要であると認められるものを、テンサイ生産振興地域またはサトウキビ生産振興地域として指定することができることとしております。その要件は、第四条第一項の各号に列記しております。
第一号は、栽培に適する自然的条件が備わっているかどうかの点であります。この基準は政令で定めることとしております。
第二号は、その地域における農業経営の諸条件から見て、その生産が安定的に増大する見込みが確実であるかどうかの点でありまして、その判定にあたっては、その地域内の農作物の作付の体系、競合農作物の状況、農業労働条件その他の諸条件を勘案することとしております。これは、甘味資源作物の生産の着実な伸長のためには、単に自然的条件のみならず、農業経営上の諸条件が備わっていることが特に必要と考えられるからであります。
第三号は、その地域におけるテンサイまたはサトウキビの生産数量が、テンサイ糖またはカンシャ糖の製造事業が、安定的に成立するために必要な数量に達する見込みが確実であるかどうかの点でありまして、この必要数量は政令で定めることとしております。この第三号は、テンサイ及びサトウキビが砂糖原料作物であることから、これを原料とする製造事業との結びつきを考慮しなければならないこと、また、第一条の目的に規定してあります国内甘味資源の国際競争力の強化という観点等から、その製造事業も合理的な経営が可能となるものでなければならないこと等の理由により必要とされる要件であります。
なお、第四条第二項におきまして、農林大臣は、生産振興地域の指定をしようとするときは、関係都道府県知事の意見を聞くこととしており、さらに、第五条では、都道府県知事は、生産振興地域の指定をすべき旨を農林大臣に申し出ることができることとしまして、生産振興地域の指定につき、都道府県知事の意向も反映され得るように配慮しております。
第六条及び第七条は、生産振興地域の区域の変更及び指定の解除に関する規定であり、第八条では、生産振興地域の指定、区域の変更及び指定の解除は、告示をもってすることを規定しております。
次に、第九条では、生産振興地域の指定を受けた区域を管輯する都道府県知事は、毎年、関係市町村及び農業団体等の意見を聞いて、テンサイまたはサトウキビの生産振興計画を立て、農林大臣の承認を受けるものとし、その承認を受けたときは、その計画の概要を公示することといたしております。
この生産振興計画におきましては、土地改良その他生産基盤の整備、優良種苗の普及、栽培技術の改善、農業経営の合理化、集荷販売その他必要な事項を定めることとしております。
第十条では、生産振興計画の変更の手続について定めております。
次に、第十一条及び第十二条におきましては、生産振興計画の円滑な実施とその計画の達成をはかるため、政府は、生産振興地域のある都道府県に対し、生産振興計画の実施に要する経費の一部を補助することができることとするとともに、テンサイまたはサトウキビの生産者またはその団体に対して、助言、指導、融資のあっせん等の援助を行なうよう努めることとしております。
第三章は、生産振興地域におけるテンサイ糖またはカンシャ糖の製造事業に関する規定であります。
まず、第十三条から第十七条までにおいては、生産振興地域内におけるテンサイ糖またはカンシャ糖の製造施設の設置の承認及び届出の制度について定めております。
第十三条では、テンサイまたはサトウキビを原料として砂糖を製造する施設、すなわちいわゆるテンサイ糖工場またはカンシャ糖工場を生産振興地域の区域内において新たに設置するには、農林大臣の承認を要することとしております。この承認を必要とする製造施設の範囲は、政令で定めることとなっています。
この承認の基準は、同条第二項に定められており、農林大臣は、承認の申請がその基準たる各要件のすべてに適合していると認められるときは、その承認をすることとなります。
この生産振興地域におけるテンサイ糖またはカンシャ糖の製造施設の設置の承認制を採用いたしましたのは、原料生産の伸びに見合った秩序ある工場設置をはかり、その地域における生産の振興と、農家の利益の保護並びに製造事業の健全な発展を確保する必要があるからであります。したがって、承認の基準も、この必要性に即して設定しております。すなわち、第十三条第二項第一号は、その生産振興地域におけるテンサイまたはサトウキビの生産の見込みと既設、新設を合わせた製造施設の原料処理能力との全体としてのバランスを見ようとするもので、その原料処理能力が、先ほど御説明しました長期見通し等から推定されますその地域における生産の長期の見通しに照らして、著しく過大にならないことを要件としており、第二号及び第三号は、その製造施設が合理的な経営に適する規模と性能や立地条件を備えていること、第四号及び第五号は、その事業者が原料集荷見込みと経理的基礎及び技術的能力を有していること、第六号は、その他その生産振興地域内の甘味資源作物の生産と製造事業の健全な発展が阻害ざれることとならないこととしております。
第十四条では、生産振興地域の指定または区域変更があった際の既存製造施設にかかわる届出について定めております。さきに御説明しました第十三条第一項の承認は、生産振興地域が定められた後に新たに設置する製造施設についてのみ必要とされ、既存製造施設については設置の承認を必要としない関係上、既存施設の設置者から必要な事項を届け出させようとするものであります。
第十五条では、第十二条の指定製造施設の新設についての承認に見合って、指定製造施設の変更についても、農林大臣の承認を要することとしています。この承認基準も、新設の場合の承認基準を準用しております。
第十六条では、承認を行なう際には、その指定製造施設の的確な設置及びその施設による製造事業の適正な運営を確保するため必要な最小限度の範囲内において、その承認に条件を付することができることとしております。なお、この条件に違反した場合には、第三十七条の規定により農林大臣は、その施設による製造事業の停止を命ずることができることとして、条件の実効性を確保しております。
第十七条では、指定製造施設による製造事業の開始、廃止及び休止につき届け出させることとしています。
次に、第十八条及び第十九条においては、生産振興地域内におけるテンサイ糖またはカンシャ糖の製造事業者に対する指示及び勧告の制度について定めております。
第十八条では、製造施設の承認制を採用したこととも関連して、生産振興地域内における農業経営の改善と農家所得の安定をはかるため必要があるときは、農林大臣は、地域内の製造事業者に対し、テンサイまたはサトウキビの買い入れの価格その他生産者との取引の条件及び方法、原料集荷区域等に関し必要な指示をすることができることとし、これによる製造事業の適正な運営の確保と、後で御説明しますテンサイ及びサトウキビの価格支持制度の運用と相待って、農家の利益保護に遺憾なきを期することとしています。
また、第十九条では、第一条の目的にも規定してあります国内甘味資源の国際競争力の強化という観点等から、地域内の製造事業の合理化を促進するため必要があるときは、農林大臣は、地域内製造事業者に対し、経営の改善、事業の休止、経営の共同化等の措置をとるべき旨の勧告をすることができることとし、その勧告に従い所要措置をとる者に対しては、融資のあっせん等必要な援助を行なうよう努めることとしています。
次に、第四章は、テンサイ糖及びカンシャ糖の政府買い入れに関する規定であります。この章におきましては、生産振興地域内におけるテンサイ及びサトウキビの生産者価格の支持とテンサイ糖及びカンシャ糖の製造事業の健全な発展を確保するためのテンサイ糖及びカンシャ糖の政府買入れの制度を定めております。
御承知のとおり、政府は、従来より、てん菜生産振興臨時措置法に基づくテンサイの価格支持及びテンサイ糖の政府買い入れの制度を実施して参りましたが、この法律におきましても、同様の制度を取り入れますとともに、あわせて、サトウキビの価格支持及びカンシャ糖の政府買い入れについても同様の制度を採用することとし、これら甘味資源作物の生産の振興と国内産糖製造事業の健全な発展に遺憾なきを期することとしたのであります。
第二十条では、テンサイ糖またはカンシャ糖の政府買い入れは、砂糖の価格が著しく低落した場合において必要があるときに行なう旨を定めております。これが政府買い入れを行なう場合の原則でありますが、当面の諸事情を考慮し、附則第二条第一項において、当分の間、本則第二十条による政府買入れのほか、地域内製造施設の新設の当初において、その事業者が原料集荷等の面で受ける著しい不利を補正する必要がある場合その他政令で定める特別の事由がある場合において特に必要があるときにも、政府買い入れを行なうことができることとしております。
次に、第二十一条では、これらの政府買い入れの対象となるテンサイ糖またはカンシャ糖の範囲を定めております。これによりますと、政府買い入れの対象は、生産振興地域内において生産されたテンサイまたはサトウキビを原料としていること、これらの原料は最低生産者価格を下らない価格で生産者から買い入れられたものであること、これらの原料から地域内製造施設により製造されたテンサイ糖またはカンシャ糖であって、一定の種類、規格及び生産年のものであることとされています。なお、さきに御説明しました附則第二条第一項の政府買入れを行なう際の買い入れの対象につきましては、同条第四項において、生産振興地域外の農林大臣の指定する区域内において生産された原料から製造されたもの及び地域内製造施設以外の農林大臣の指定する製造施設により製造されたものをも買い入れることができることとしております。
第二十二条では、テンサイ及びサトウキビについての最低生産者価格の制度を定めております。すなわち、農林大臣は、テンサイ及びサトウキビごとにその生産者販売価格の最低基準となるものとして最低生産者価格を定めることとし、この最低生産者価格は、農業パリティ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌して定めるものとしております。
第二十三条では、第二十条によるテンサイ糖またはカンシャ糖の政府買い入れの価格を定めており、その価格は、最低生産者価格に標準的な製造販売の費用を加えて得た額を基準として、農林大臣が定めることとしております。ただし、附則第二条第一項による政府買い入れの際の価格は、同条第二項により、最低生産者価格に標準的な製造、販売の費用を加えて得た額を基準とし、その原料たるテンサイまたはサトウキビの生産事情、集荷事情その他の経済事情を参酌して定めることとしております。
次に、第五章は、国内産ブドウ糖の政府買い入れの制度及びブドウ糖製造事業者に対する勧告に関する規定であります。
御承知のように、政府は、従来より、農産物価格安定法によるいも澱粉の政府買い入れを通じて、カンショ及びバレイショの生産者の所得の安定をはかるとともに、イモ澱粉の新規用途としての結晶及び精製ブドウ糖の製造事業を育成するための諸施策を講じて参ったところであります。
今後におきましても、農産物価格安定法の適切な運用をはかることによりいも作農家の所得の安定に遺憾なきを期して参ることはいうまでもないところでありますが、この際、糖価の変動に対処してブドウ糖の生産を維持することにより、澱粉の原料となる国内産のカンショ及びバレイショの長期的な需要の確保をはかるとともに、合わせてブドウ糖工業の合理化を促進するため、国内産ブドウ糖の政府買い入れの制度を設けることとしたのであります。
第二十四条では、国内産ブドウ糖の政府買い入れは、砂糖の価格が著しく低落した場合において、国内滝ブドウ糖の生産を維持してその原料澱粉の原料となる国内産のカンショ及びバレイショの需要の確保をはかるため必要があるときに行なう旨を定めております。これが政府買い入れを行なう場合の原則でありますが、附則第三条第一項において、当分の間、本則第二十四条による政府買い入れのほか、国内産ブドウ糖の製造事業の合理化を促進するため特に必要があるときにも、政府買い入れを行なうことができることとしております。
次に、第二十五条では、これらの政府買い入れの対象となる国内産ブドウ糖の範囲を定めております。これによりますと、政府買入れの対象は、国内産のカンショ澱粉またはバレイショ澱粉を原料として製造されるブドウ糖であって一定の種類、規格及び生産年のものであることとされています。
第二十六条では、第二十四条による国内産ブドウ糖の政府買い入れの価格を定めており、その価格は、農産物価格安定法のカンショ澱粉の買い入基準価格及び運賃その他の諸掛に標準的なブドウ糖製造、販売費用を加えて得た額を基準として、農林大臣が定めることとしております。ただし、附則第三条第一項による政府買い入れの際の価格は、同条策二項により、カンショ澱粉の買入基準価格及び運賃その他の諸掛に標準的なブドウ糖製造、販売費用を加えて得た額を基準とし、澱粉の需給事情その他の経済事情を参酌して定めることとしております。
第二十七条では、政府が買い入れた国内産ブドウ糖は、随意契約により売り渡すことができる旨を定めております。政府が買い入れた物資は競争入札により売り渡すのが会計法の原則でありますが、ブドウ糖はその保管の可能な期間が短い等の事情があり、買入れ後すみやかに売り渡す必要がありますので、随意契約による売り渡しの規定を設けたわけでございます。
また、第二十八条では、第一条の目的にも規定してあります国内甘味資源の国際競争力の強化という観点等から、国内産ブドウ糖の製造事業の合理化を促進するため必要があるときは、農林大臣は、ブドウ糖製造事業者に対し、経営の改善、事業の休止、経営の共同化等の措置をとるべき旨の勧告をすることができること上し、その勧告に従い所要措置をとる者に対しては、融資のあっせん等必要な援助を行なうよう努めることとしています。
第六章は、甘味資源審議会に関する規定であります。
この法律の制定を機会に、広く学識経験者の御意見、御協力を得て、甘味資源に関する行政の適正を期するため、農林省に甘味資源審議会を設置することといたしております。
甘味資源審議会は、農林大臣の諮問機関として、テンサイ及びサトウキビの生産の振興、テンサイ糖工業、カンシャ糖工業、ブドウ糖工業及び精糖工業の合理化その他この法律の実施にあたっての重要事項を調査審議するとともに、これらの事項に関して農林大臣及び関係者大臣に建議することができることとなっております。
審議会は、これらの事項に関する学識経験者のうちから農林大臣が任命します委員二十五人以内で組織することとなっており、また必要に応じ専門委員を置くこともできることとされています。
第七章は、雑則でありまして、テンサイ及びサトウキビの生産者からの生産費調査のための報告徴収、テンサイ糖、カンシャ糖及びブドウ糖の製造事業者に対する必要事項の報告徴取及び検査、製造施設設置の承認に付された条件に違反した者に対する事業停止命令について定めております。
第八章は、罰則でありまして、製造施設設置の承認制度の適正な運用を確保し、また報告検査を実効あらしめるため、所要の罰則を設けております。
終わりに附則でありますが、重要な規定もございますので、その大要を御説明いたします。
この法律の施行期日につきましては、法律の実施準備の関係もあり、附則第一条で公布の日から六カ月以内の政令で定める日から施行することとしております。
また、さきに御説明しましたテンサイ糖及びカンシャ糖の政府買い入れの特例とブドウ糖の政府買い入れの特例につきましては、それぞれ附則の第二条と第三条で、政府買い入れをすることができる場合と、その際の買入価格を定めております。
次に、この法律によるテンサイ糖、カンシャ糖及びブドウ糖の買い入れ及び売り渡しの会計処理につきましては、附則第六条で、食糧管理特別会計法の一部を改正し、同会計に砂粒類勘定を設け、これら砂糖類の買い入れ売り渡しは砂糖類勘定において行なうこととして、砂糖類の買い入れ売り渡しによる損益を明確にすることといたしております。
なお、この食糧管理特別会計制度の改正は、予算の編成及び執行との関係もありますので、附則第七条で砂糖類勘定の設置は昭和三十九年度分の予算から適用することといたしております。
最後に、附則第八条の農林省設置法の一部改正は、甘味資源審議会の設置に関連しての規定であります。
以上をもちまして甘味資源特別措置法案の補足説明といたします。
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007・櫻井志郎
○委員長(櫻井志郎君) 次に、甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたします。芳賀衆議院議員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/7
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008・芳賀貢
○衆議院議員(芳賀貢君) ただいま議題となりました芳賀外二十六名提出の甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案につき、提出者を代表して、その提案の理由を御説明申し上げます。
わが国における甘味資源としましては、テンサイを原料として製造したテンサイ糖、カンシャを原料として製造したカンシャ糖及びカンショ、バレイショを原料とする澱粉から製造したブドウ糖等でありますが、その生産量は、昭和三十七年度において、テンサイ糖一六万トン、カンシャ糖二十万トン(沖繩の生産十四万トンを含む)ブドウ糖六万トンで合計四十二万トンとなっており、国内需要量百六十五万トンの四分の一にすぎず、毎年百二十万トン以上を輸入に依存している状況であります。
これら甘味資源のうち、テンサイについては北海道における寒地農業の重要作物として昭和初年から奨励せられ、砂糖の自給化政策と相待って昭和二十七年にはてん菜生産振興臨時措置法が制定され今日に至っているわけであります。
次にカンシャの生産につきましても、奄美及び沖繩における重要な作物であり、その農家所得の中に占める比重はきわめて大きいものがあります。更にブドウ糖の生産につきましては、カンショ、バレイショ生産農家の所得の安定のため、澱粉需要の確保の見地からも、大いに振興する必要があることは論を待たないところであります。
政府は昭和三十四年甘味資源自給力綜合対策を決定し、十年後の昭和四十三年度における砂糖類の総需要量を一五二万トンと推定してテンサイ糖については四〇万トン(北海道三〇万トン、府県十万トン)カンシャ糖二十万トン(奄美六万トン、沖繩十四万トン)ブドウ糖十五万トン合計七十五万トンの生産目標を立て、自給度五〇%の達成を指向したのであります。
しかるに、その後この長期計画の推捗状況は不振をきわめ、すなわち北海道のテンサイについては、三十七年度の計画面積五万三千ヘクタールに対し作付面積は八三%の四万四千ヘクタールであり、砂糖の生産目標二十万トンに対し七〇%の十四万トンと大きく下回っている実情であります。また府県のテンサイについては、三十七年度の砂糖の生産目標十万トンに対し一三%の一万三千トンという状況であります。さらにその後の需要の増加は著しく、三十七年度において百六十五万トンに達し、長期計画による四十三年度百五十二万トンの需要見込みをはるかに上回っている現状であり、今や長期計画そのものをすみやかに全面的に改定すべき事態に直面しているのであります。
このような甘味資源の生産の不振につきましては、政府の長期計画の策定に欠陥があることはもちろんでありますが、この計画達成のための施策に積極性を欠き、ことに畑地改良等の生産基盤の整備の立ちおくれ、テンサイ生産者価格の低価格、さらには国内糖業対策の不徹底等、政府の無為無策に起因するところが多いのであります。現に北海道においては、原料の生産と確保を度外視して政治的な工場の過剰誘置が行なわれ、結果的には製造業者は原料不足による製品のコスト高で経営難に陥り、生産農民は原料の低価格により増産意欲を減殺している実情であります。また府県においても、政府の呼びかけにこたえて、テンサイ糖生産に乗り出した民間製糖会社も、原料不足により、大分県における新光テンサイ糖工場は昨年秋操業中止のやむなきに至り、生産農民及関係会社の損失はもちろんのこと、暖地テンサイ生産の前進に暗影を投じている状態であります。かかる結果を招来した政府の施策の失敗は、国民の批判の前に十分反省せらるべきであります。しかるに最近における政府の甘味資源対策を見ると、輸入砂糖については現行の外貨割当制を廃して自由化の実施を急いでいる模様であります。砂糖の輸入自由化についての政府の方針には、明確な根拠がなく単に自由化率九〇%達成のために国内甘味資源の保護対策を犠牲にするかの態度が濃厚であります。
ひるがえって欧米諸国における砂糖政策の状況を見ると、砂糖の輸入が完全に自由化されている実例は皆無であり、あるいは政府輸入の方式をとり、あるいは輸入割当制、高率関税の採用、国内甘味資源に対する補助金制度等いづれも強力な保護政策を講じ国内自給度の向上に努めている実情であります。
ことにイタリアにおいては第二次世界大戦直後の一九四六年にテンサイ糖生産量二七万トンであったのを十年後の一九五四年には一四十万トンの生産量に躍進させ、砂糖の自給化を完成した事績に徴しても、その国における政府の政策実行に臨む熱意こそが、生産発展の成否を制することが実証されるのであります。これに反して、池田首相初め政府の態度は、甘味資源生産振興についての明確な対策もなく国内態勢未整備のままで、いたずらに自由化だけを強行せんとする意図であり、全く理解に苦しむところであります。
わが党としては、甘味資源の生産振興と糖業の発展を国の施策として積極的に進めるためには、砂糖の自由化は行なうべきでない旨をここに明らかにしておくものであります。
以上申し述べた現状と観点に立ち、今後の甘味資源対策を強力に進めるために、すなわち、テンサイ及びカンシャの出産を振興するために必要な措置を講ずるとともに、砂糖類の需給及び価格を安定させるために政府が砂糖類を管理することとし、もって農業経営の改善と農家所得の安定をはかり、合わせて砂糖の自給度の向上と糖業経営の健全化及び国民の食生活の安定に資するために、この法案を提出することとした次第であります。
次に、この法案の内容について概要を御説明申し上げます。
第一は、砂糖類需給計画の策定でありますが、農林大臣は砂糖審議会に諮り、砂糖類の需給見通し、砂糖類の生産目標、テンサイ、カンシャ及びブドウ糖原料の澱粉の生産目標、砂糖類の輸入見通し等の重要事項について、毎五カ年を一期とする長期需給計画を定め、これに基づく毎年度の需給計画を具体的に定めて、施策の方向を明らかにして、これを公表することといたしております。
第二は、テンサイ及びカンシャの生産振興についてでありますが、生産条件がテンサイまたはカンシャの栽培に適しており、農業経営の改善により生産が増大する見込みが確実であり、さらに製糖企業を成立せしめるだけの生産量を確保し得る見込みのあること等を考慮し、農林大臣は都道府県の区域につき生産振興地域の指定を行なうものであります。次に、生産振興地域の指定を受けた都道府県知事は、甘味資源生産振興審議会に諮り、生産振興計画を定め、農林大臣の承認を求めることとしております。
第三は、砂糖類製造施設の承認制でありますが、現在の製糖工場は原料不足等の理由から、不安定な経営に陥っている現状であり、これら製造施設の合理化はもちろんでありますが、設備が過剰とならないよう、原料の生産に即応し施設の設置または変更につき農林大臣の承認を要することといたしております。
なお、ブドウ糖の製造施設についても同様の承認を要することといたしたのであります。
第四は、生産振興地域内において生産されたテンサイまたはカンシャの集荷及び販売については、地産者団体を通じて一元的に行なわれるように、また生産者団体及び製造業者はこれらの事項につき契約を締結するようにいたしたのであります。
第五は、砂糖類の政府買い入れの措置について、国内産テンサイ糖及びカンシャ糖にあっては、砂糖製造業者の申し込みに応じて政府買い入れを行なうことといたしております。またブドウ糖については、市価が低落して、ブドウ糖の生産の確保と価格安定のため必要と認める場合は政府買い入れを行なうこととしております。
第六は、生産者価格及び買い入れ価格についてでありますが、まず、テンサイ及びカンショの生産者価格については、選択的拡大の重要作物とみなして、生産者米価の算定と同様に、生産費所得補償方式に基づき生産者価格を定めて告示することといたしました。
次に、テンサイ糖及びカンシャ糖の政府買い入れ価格については、テンサイまたはカンシャの生産者価格に砂糖の製造及び政府への売り渡しに要する経費を加えた額を基準として定めることとしております。なお、ブドウ糖の買い入れ価格については、農産物価格安定法に基づくカンショ、バレイショ澱粉の政府買い入れ基準価格に所要の経費を加えた額を基準として定めることとしております。
第七は、砂糖の政府輸入についてでありますが、政府は需給計画に基づき必要量の砂糖を輸入することとし、政府以外の輸入は認めないことにいたし、また関税については、政府輸入の立場からこれを免除することといたしてあります。
第八は、砂糖類の標準販売価格についてでありますが、砂糖の販売価格が国民食生活に及ぼす影響等を配慮して、標準販売価格の算定については国産砂糖の生産費、家計費、物価事情等を参酌して価格を定め、告示することといたしました。なお、農林大臣は糖価安定のために必要な勧告を行なうこととしております。
第九は、砂糖類の政府売り渡しについてでありますが、政府は需給計画に基づきその所有する砂糖類を売り渡すものとし、売り渡し予定価格については、標準販売価格を基準としてそれぞれ定めることといたしております。
第十は、助成措置についてでありますが、国は予算の範囲内で生産振興地域の都道府県に対し生産振興計画の実施に要する経費の助成を行なうこととし、及び砂糖類の製造施設の設置につき必要な資金の融通のあっせんを行なうものといたしました。
第十一は、砂糖審議会等の組織についてでありますが、甘味資源の生産振興及び砂糖類の需給計画に関し、テンサイ等の生産者価格、砂糖類の政府買い入れ価格及び砂糖の標準価格の決定に関する重要事項を調査審議するため、農林省に砂糖審議会を設置することといたしております。
また、甘味資源の生産の振興対策及び原料の集荷、販売等に関する重要事項について調査審議するため、生産振興地域の都道府県に甘味資源生産振興審議会を設置することといたしました。
第十土は、行政機構等についてでありますが、本法案の円滑な運用をはかるため、食糧庁に砂糖所管部の新設及びこれに伴う定員の確保を行なうための農林省設置法の改正、砂糖類の政府管理に伴い砂糖類管理勘定を設けるための食糧管理特別会計法の改正、政府が砂糖の輸入を行なうため、関税免除のための関税定率法の改正、その他諸規定の整備を行なうことといたしております。
以上、本法律案の提案理由及びその内容の概略を申し述べました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
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009・櫻井志郎
○委員長(櫻井志郎君) 次に、水産物の価格の安定等に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたします。安井衆議院議員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/9
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010・安井吉典
○衆議院議員(安井吉典君) ただいま議題となりました水産物の価格の安定等に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
わが国の水産業は、戦後上昇の一途をたどり、昭和三十六年度には漁獲高が六百七十一万トンに達しました。見落としてはならないことは、このような急激な発展の槓杵となりましたものは、イカ釣漁業、あぐりきんちゃく網漁業、サンマ棒受網漁業等、中小漁業者によって営まれる漁業であって、そのおもなる魚種は、イワシ、イカ、サンマ、アジ、サバ等、一般家庭の食ぜんをにぎわす大衆魚であるということであります。
これらの大衆魚は、北海道、東北地方あるいは九州方面等、水揚地点における受け入れ態勢の不十分な漁場に片寄って、しかも短期間に集中的に漁獲されるという特徴を持っているのであります。
したがいまして、これらの多獲性大衆魚は全国的に見まするならば、その供給は必ずしも需要を上回っていないにもかかわらず、地域的または時期的には、はなはだしい過剰生産の様相を呈し、その価格は暴落し、せっかく大量の漁獲をあげながらも、漁業者の所得はかえって減少し、漁業者はあすの油代、あすの生活費にも事欠くという事態をしばしば招来しているのであります。しかも不思議なことには、このような場合におきましても、これらのものの消費者価格は、生産地における魚価の低落をそのまま反映しないのが通常でありまして、ここに水産物の流通、価格政策に重大な欠陥があるのであります。
このことは、単に漁家経済あるいは漁業経営の面からのみならず、国民生活の観点からもゆるがせにできないところであります。
農業におきましては、米麦を初めカンショ、バレイショ、大豆、菜種、豚肉等重要農畜産物に対しては、内容は不十分ではありましても、とにもかくにも価格安定装置ができ上がっておりまして、豊作貧乏の嘆きを緩和できるのであります。ところが、水産業におきましては多年にわたる水産物価格安定対策樹立の強い要望にもかかわらず、今日まで実効ある制度が打ち立てられなかったことはきわめて遺憾であります。
政府は、昭和三十四年度において、わずかにサンマかす及びスルメに限り、系統機関が共同保管した場合、その組合員に対する前渡金の金利の一部に相当する金額を補助する措置を講じましたが、これは全く一時的な糊塗策であったにすぎないのであります。また、第三十八通常国会において成立を見ました魚価安定基金法案及び漁業生産調整組合法案にいたしましても、その考え方はきわめて消極的で、漁業調整組合員に対し、同組合が組合員に調整金を支給する場合、その支給に要する経費の全部または一部に相当する金額を支給することとしたほかは、サンマかすの調整保管に要する金利及び倉敷料の一部を補助するための仕組みにすぎず、見るべき効果を上げ得ないことは、実施以来の経験によっても明らかであります。
日本社会党が、本法案をあえて提案することといたしましたのは、以上の二法案によっては、関係漁業者の所得の保障と多獲性大衆魚の適正な魚価水準の実現はとうてい期し得ないと信ずるからにほかなりません。
以下、法律案の骨子について御説明申し上げます。
第一点は、この法律で対象とする魚種を、アジ、サバ、サンマ、イワシ、スルメ、イカ等の多獲性大衆魚としたことであります。
これらの魚種は、その漁獲量においていずれも重要な地位を占め、年間三十ないし五十万トン程度の漁獲を示し、しかもその平均販売価格は一キログラム当たり十五円ないし三十円という最も低廉なものであります。
第二点は、農林大臣または都道府県知事は、組合の申請に基ずき、また、漁船等の生産能力を基準として、それぞれ組合ごとに標準販売数量をあらかじめ決定、この数量の限度内において価格を保証することとし、その手続規定を定めたことであります。
第三点は、政府は、多獲性大衆魚につき、その生産費を基準として水産物価格安定審議会に諮った上、その保証価格を定めなければならないこととする一方、漁業者が漁業協同組合または同連合会を通じて指定市場において漁獲物を共同販売することを条件として、その平均販売価格が保証価格に達しない場合には、政府はその差額に標準販売数量の限度内における販売数量を乗じた額に相当する金額を、組合に交付することとしたことであります。
また、交付金の交付を受けた組合は、その組合員に対し、組合員の販売数量に応じて按分してこれを交付しなければならないこととし、組合員の生産費等を補償することといたしております。
第四点は、組合が、多獲性大衆魚を販売ずる市場は指定することとし、この指定市場の開設者は、組合が多獲性大衆魚をその市場において販売した場合には、その販売価格及び販売数量を農林大臣に報告しなければならないこととし、これに要する経費は国が負担することといたしております。
第五点は、多獲性大衆魚を原料として製造した魚かすの低落を防止し、その価格の安定をはかるため、農林大臣は、必要に応じ輸入魚かすの輸入業者に対し、その輸入した魚かすを水産物購買販売事業団に売り渡すべきことを指示することができることにしたことであります。
第六点は、多獲性大衆魚の価格の安定に関する重要事項を調査審議するため、委員二十人以内で組織する水産物価格安定審議会を設置することであります。
第七点は、多獲性大衆魚等の適正な魚価水準の実現をはかるため、特殊法人として水産物購買販売事業団を設けることであります。
事業団は、多獲性大衆魚の保管等のため生産地及び消費地において冷蔵庫の建設、運搬施設の整備等を行なうほか、多獲性大衆魚及びその製品が著しく低落、もしくは騰貴し、生産者または消費者を保護する必要がある場合における買い入れ、売り渡し、あるいは大衆魚の需要の増進等に関する業務を行なうものとし、その資本金は、政府出資額二十億円と都道府県、水産業協同組合等の出資額の合計額(成立当初の資本金は二十五億を予定)とし、その他の組織規定は他の同種組織体の例にならって、これを設けることといたしております。
以上が本案の提案理由及びその概略でございます。
何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/10
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011・櫻井志郎
○委員長(櫻井志郎君) 次に、水産業改良助長法案を議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたします。湯山衆議院議員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/11
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012・湯山勇
○衆議院議員(湯山勇君) ただいま議題となりました水産業改良助長法案について、その提案理由を御説明申し上げます。
わが国の水産業は、近来目ざましい発展を遂げ、年間七百万トン近い漁獲をあげ、国民経済の成長と安定の上に重要な役割を果たしているのでありますが、一たび漁業の内部構造に眼を転じますならば、そこには企業形態の相違による生産面の断層はきわめて著しく、資本漁業の漁獲は零細な漁家漁業のそれを圧倒しており、多数の漁民を擁する沿岸漁業の悲運は、日に深刻の度を加えているのであります。
このような現実の事態に対する反省の上に立って、ようやく、水産政策の重点を沿岸漁業の振興に向け、各般の施施をここに集中すべきであるとの機運が次第に醸成されて参っていることは、各位の御承知のとおりであります。しかしながら、これらの諸施策が真に実効をおさめるには、漁業者の自主的な再建意欲を盛り上げ、その活動を助長するための裏づけとして、技術と経営に関し、国と地方公共団体とが力を合わせ、強力な指導と援助を行なうことができる基本制度の確立がはかられなければならぬことは、言うを待たないところであります。
近年、沿岸漁村においては、青壮年による研究グループが続々と結成され、沿岸漁業振興の推進力として実践活動を行ない、その成果には見るべきものが少なくないのであります。国及び都道府県における試験研究機関の相互の連絡を一そう緊密にし、能率的に試験研究を推進助長するとともに、漁民の要求に応じ、あるいはみずから進んで彼らに接触し、漁撈、養殖及び加工の各般にわたり技術の改良と経営の刷新に役立たしめるよう広くこれを提供し、あわせて生活改善の原理と技術を授け、もって、水産業の合理的な発展と漁民生活の安定に資することができる基本法制を整備いたしますことは、現下の最も重要かつ適切な施策と考えられる次第であります。
以上申し述べました趣旨に即し、この際、所要の法的措置を講じ、水産業改良普及事業の積極的発展の基礎を固めたいと存じ、ここにこの法案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の大要について御説明申し上げます。
第一に、試験研究に対する助長措置でありますが、水産業改良普及事業に関する試験研究を推進するため、国は、都道府県その他の試験研究機関に対し、次の各号に定める経費を補助することといたしました。
(一) 水産業改良研究員の設置について都道府県の要する経費の三分の二、
(二) 改良普及事業に必要な試験研究を行なうための試験研究施設の設置及び運用について都道府県の要する経費の三分の二、
(三) 国及び地方の実情からみて緊急と認められる都道府県及びその他の試験研究機関の行なう特定の試験研究に要する経費の全部または一部、
(四) 都道府県の行なう水面の総合利用をはかるため必要な調査並びに試験に要する経費の二分の一。
第二に、農林省の試験研究機関の協力についてでありますが、都道府県水産試験場は、この法律の目的を達成するために行なう試験研究に関し、農林省の試験研究機関に対して必要な助言と協力を求めることができることといたしました。
第三に、水産業改良普及事業に対する助成でありますが、国は都道府県に対し、水産業改良普及事業に要する経費のうち、次の各号に定める経費を補助することといたしました。
(一) 水産専門技術員及び水産改良普及員の設置のために要する経費の三分の二、
(二) 水産専門技術員または水産業改良普及員の巡回指導、出版物の配布、講習会の開催、器材の利用その他の手段による漁民に対する水産業または漁民生活の改善に関する教示及び実地展示のために要する経費の三分の二、
(三) 水産専門技術員及び水産業改良普及員の養成と研修のために要する経費の三分の二、
(四) 水産専門技術員または水産改良普及員に協力して水産業または漁民生活の改善を推進する漁民の育成のために要する経費の二分の一、
(五) 漁村における研究団体の自主的な活動を助長するために要する経費の二分の一。
第四に、水産業改良普及事業の実施についてでありますが、この法律の規定により補助金の交付を受けた都道府県は、水産業改良普及事業の実施にあたっては、農林大臣と協議して定めた方針によらねばならないことといたしました。
第五に、改良研究員、専門技術員及び改良普及員の任務その他についてでありますが、改良研究員は最も高い資格を有する研究者を充てることといたしており、改良普及事業に必要な試験研究を行なうことをその任務といたしております。専門技術員は、試験研究機関及び水産改良研究員と密接な連絡を保ち、専門の事項について調査研究をするとともに、水産改良普及員を指導することが任務となっております。改良普及員は直接漁民に接して水産業または漁民生活の改善に関する科学的技術及び経営上の知識の普及指導に当たることを任務といたしました。日常漁民に接し、技術、経営及び生活改善についての普及指導に当たるのは主として改良普及員であり、その能力のいかんは水産業の発展と漁民生活の改善に大きく影響いたします関係から、水産専門技術員及び水産改良普及員の養成と研修を積極的に行なうことといたしております。
第六に、水産改良普及所についてでありますが、各都道府県の特性を勘案し、水産改良普及所を設置し、水産業改良普及員の行なう水産業改良普及事業に関する事務の連絡調整、その他水産業及び漁民生活の改善に関する科学的技術及び経営上の知識の総合的な普及指導に関する事務をとらせることといたしました。
第七に、専門技術員及び改良普及員の勤務の状態を考慮し、特に水産改良普及手当を支給することができることとし、その支給額を法定いたしました。
以上が、本案を提出した理由及び法案のおもな内容であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104315007X02619630510/12
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013・櫻井志郎
○委員長(櫻井志郎君) 本日はこれをもって散会いたします。
午後二時三十四分散会
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