1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月七日(金曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 關谷 勝利君 理事 西村 直己君
理事 久保 三郎君 理事 田中織之進君
理事 肥田 次郎君
木村 俊夫君 佐々木義武君
進藤 一馬君 壽原 正一君
高橋清一郎君 高橋 禎一君
中馬 辰猪君 南條 徳男君
西村 英一君 長谷川 峻君
細田 吉藏君 増田甲子七君
松田 鐵藏君 井岡 大治君
勝澤 芳雄君 泊谷 裕夫君
野間千代三君 矢尾喜三郎君
山口丈太郎君 内海 清君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
自 治 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
総理府事務官
(経済企画庁総
合開発局長) 鹿野 義夫君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 廣瀬 眞一君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 向井 重郷君
委員外の出席者
議 員 久保 三郎君
日本国有鉄道総
裁 石田 礼助君
日本国有鉄道常
務理事 山田 明吉君
日本国有鉄道常
務理事 川上 寿一君
専 門 員 小西 真一君
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二月七日
委員佐々木良作君辞任につき、その補欠として
伊藤卯四郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員伊藤卯四郎君辞任につき、その補欠として
佐々木良作君が議長の指名で委員に選任された。
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二月六日
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本鉄道建設公団法案(内閣提出第五号)
鉄道新線建設緊急措置法案(久保三郎君外八名
提出、衆法第二号)
日本国有鉄道の経営に関する件(東海道本線熱
海、湯河原間における列車脱線事故に関する問
題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。
この際、当局から発言を求められておりますのでこれを許します。綾部運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/1
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002・綾部健太郎
○綾部国務大臣 去る二月六日午前十二時二十二分ごろ、東海道本線熱海——湯河原間におきまして、上り貨物列車の後部十二両が脱線し、下り線側に傾斜したため、上下線とも不通になりました。下り列車は、脱線した列車の乗務員が発炎信号などを使用し、適切な処置を行なって停車させることができましたために、大いなる事故にならなかったことは不幸中の幸いであります。また死傷者はありません。
事故の原因につきましては、貨車の積み荷が片寄ったため車輪が浮き上がって脱線したものと推定されます。
下り線につきましては七日一時四十五分、上り線につきましては七日四時七分復旧いたしましたが、輸送の幹線である東海道線にかような長時間にわたる支障を生じまして、多数旅客に迷惑を与えましたことにつきましては遺憾に存じ、皆さまを通じて国民諸君におわびを申し上げたいと思います。
なお、詳細につきましては国鉄当局側から説明があることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/2
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003・川上寿一
○川上説明員 昨日の東海道線の事故につきましては、ただいま運輸大臣から概況が御報告ございましたが、私から原因その他について若干御説明を申し上げたいと思います。
資料を差し上げておきましたが、これを読むことをやめまして、最後から二枚目の図面をごらんになっていただきます。
脱線地点は、この図の右の端のほうに熱海方と書いておりますが、熱海のほうから参りまして、逢初隧道を出まして次の伊豆山トンネルにかかりますちょうど中間の橋梁の上にバッテンが印してあると思いますが、そこで脱線をしております。昨日、鶴見事故以来こういう途中脱線の技術的の検討をしております関係者が参りまして取り調べましたところ、線路の山側、図面でまいりますと下側でございますが、に脱線をしたレールの上に痕跡がございます。その痕跡が最初はたいへん薄くついておりまして、それから東京に向かって左側の車輪が脱線したわけでございますが、それと同時に右側のほうの車輪がまくら木の上に落ちておりますが、この打痕は非常に大きなものでございまして、それともう一つは、左側の車輪が線路から離れてまくら木の上に落ちます間に二メートルぐらいの間隔がございますが、これは専門家の計算によりますと、貨車の積み荷が車輪の上にかからない状態で車輪が落ちると、速度四十キロで走っておりますとちょうどそれに符合するように落ちております。そういった関係で積み荷の不整による乗り上がりの脱線と推定したわけでございます。積み荷は亜鉛板でございまして、約一トン近い梱包が十七個載っておりまして、両側に七個ずつ、まん中に三つ積んであったのでございますが、床板——床が鉄板でございましたために、輸送の途中にだんだんすべってまいりまして、右側に偏重がかかったものと推定されます。
それで今後の対策といたしましては、こういう積み荷につきましては運送規則にこまかく注意が載せてございますが、一トン以下のものにつきましてはどういうふうに緊縛をしろというようなことが書いてございませんので、今朝来、本社の中に事故防止委員会の荷くずれ防止分科会というのがございますが、それを開きまして、そういう問題につきましての盲点について十分検討いたしまして、今後そういうことのないように現在審議中でございます。
以上で原因と対策につきまして簡単でございますが御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/3
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004・川野芳滿
○川野委員長 本件の質疑はあとに譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/4
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005・川野芳滿
○川野委員長 日本鉄道建設公団法案を議題として審査を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/5
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006・田中織之進
○田中(織)委員 いま報告のありました事故の問題もきわめて重要な問題で、同僚山口委員から御質問を申し上げる予定でございますが、公団法の審議の関係で自治大臣が特に出席を求めて出てきておられますので、大臣の都合で、その自治大臣に関する問題を先に質問申し上げることにいたします。
自治大臣は御存じだと思うのでありますが、三十七年の五月三十一日付をもちまして鉄道建設審議会から鉄道敷設法四条の三項に基づく新線建設についての建議が行なわれておるわけでございます。その建議の具体的な実行のために、昨年の通常国会から鉄道建設公団法が提案をされまして、通常国会では、衆議院は通過したのでありますが、参議院で審議未了になって、今国会に再提案をされた形になっておるわけであります。勢い法案の目的が経済基盤の強化と、特に自治大臣の関心の深い問題である地方格差の是正のためにぜひ新線建設を促進しようということでございまするので、自治省も公団ができた場合にはあげてこれに協力をされることだと思うのでございますが、ただ新線建設に伴いまして、率直に伺いますけれども、地方自治体の関係におきましても当然負担が伴ってまいるのでございます。この点について、私昨年の通常国会の本会議に本案が提案されたときに質問をいたしたのでありますが、当時の篠田自治大臣の答弁では、特に地方公共団体が地域格差の是正のためとはいえ、鉄道新線建設のために特別な負担をすることは困るという意味の答弁をされております。大臣も御承知のとおり、この建議の付属資料の二についておる新線建設十ヵ年の資金計画の中では、地方公共団体の負担金として年間三十億円というものを予定いたしております。さらに日本国有鉄道が関係市町村に対して営業用の固定資産について固定資産税の税率の二分の一の税率で納付金を納めてもらう関係から年間八十億、この二つのものが一応資金計画の中には予定されておるわけであります。また、この資金計画は、きよう私、大蔵大臣の出席を求めて検討したいと思うのでありますけれども、最終的にもちろんきまったわけではないので、公団ができて具体的な建設計画が立てられた場合に、さらに今後公団ができて建設が本格的になった場合に初めて問題になることでありますけれども、この点について自治大臣としてどういうようにお考えになっておりますか、まず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/6
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007・早川崇
○早川国務大臣 従来そういうこともございましたが、今度の法案によっては、鉄道建設公団が新線建設等を行なう場合、地方団体に所要の財源を調達させることができないようになっております。また同法案の附則におきまして、地方財政再建促進特別措置法の一部改正を行ないまして、「地方公共団体は、」「日本鉄道建設公団に対し、寄付金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。」ということにいたしておりますので、両々相まちまして御指摘のようなことは起こらないのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/7
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008・田中織之進
○田中(織)委員 そうしますと、この建議の付属資料として出されておる一つの資金計画の素案でありますけれども、それによりますると、これはそれぞれ関係の法律に基づいて支出を予定しておるものだと思うのですが、地方公共団体が新線建設により利益を受ける分に対する分担金として年額三十億程度のもの、それから私が第二段に申し上げました固定資産税の税率の二分の一の税率によるところの納付金を納めるという関係は、いまの大臣の御答弁では、自治省としてはあずかり知らない、こういうことになるのですか。いま申されましたように、今度の公団法にそういう規定を入れる、あるいは地方財政再建促進特別措置法の改正によりましてこうした固定資産税の二分の一の納付金を納めるというようなこともやらない、こういう意味ですか。それ以外の地方自治体の負担というものは負わない、こういう意味合いですか。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/8
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009・早川崇
○早川国務大臣 それ以外の負担だけではなくて、田中委員の御指摘の分も負担させない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/9
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010・田中織之進
○田中(織)委員 そういたしますと、運輸大臣、自治大臣と並べておいてはなはだ恐縮でございますけれども、一応過日の委員会で——きょうは私それを中心に質問を申し上げるわけでありますが、現在の着工線と調査線について、約三千億円を十ヵ年間で調達するための大まかな資金計画の運輸省としての素案を出していただいておるわけです。それの資金調達の内容には、勢いこの建設審議会の答申の付属資料についておる関係の地方自治体の若干の負担というものが含まれるのではないか、このように見るのでありますが、これは合計いたしますと年間五百億のうちで市町村の分担金が三十億、それから納付金が八十億ということになりますと百十億で、五分の一強になる資金計画ということになるわけなんですが、それはいま自治大臣が答弁されたような形で地方自治体に負担をかけなくても調達できるというような方針なんですが、あの素案のときにはそういう内容までは検討されていないのですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/10
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011・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 建設審議会の建議の中には、確かに付属資料でいま先生のおっしゃったような調達方法というものが一例として——これもごく素案だと思うのですが、サゼストされております。その後政府部内におきましていろいろ検討いたしました結果、やはり新線建設をこれから積極的にやるということは、毎々申しております地域格差の是正というようなところに重点が置かれておりますので、建設審議会の付属資料では一応の御提案がございましたが、地方の公共団体に負担はかけない。それからまた固定資産税も、これは従来国鉄が建設します場合は、固定資産税の二分の一程度の納付金を納めておったわけですけれども、一応建設主体は変わりますが、従来と大体同じ目的でやるということで、これも従来どおりということに、政府部内でいろいろ検討した結果、両方とも取り上げないことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/11
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012・田中織之進
○田中(織)委員 特にあとの部分の固定資産税の税率の二分の一を納付金として納めるという関係は、今度の建設公団の場合には取らないということの確認があるわけですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/12
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013・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これは今度建設公団が国鉄にかわって納めるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/13
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014・田中織之進
○田中(織)委員 そういたしますと、特に自治大臣に伺いますが、今後建設公団の基本計画の中には鉄道敷設法の別表にあります着工線、調査線の再検討といえば問題があるのですが、特に公団設置の目的から見て、地域格差の是正の観点から、関係の自治体としては予定しておるものはぜひともやはり公団ですみやかに建設にかかってもらいたいという、片一方には要望があるわけなのです。その関係からくるところの地方自治体の財政負担の点は、その要望は実現したいけれども、財政的にはやはり現在の地方財政の状況から見て、負担しないで国のほうの特に公共投資という面で資金の調達をやってもらいたい。こういうことを今後も貫いていきたい、こういう考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/14
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015・早川崇
○早川国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/15
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016・田中織之進
○田中(織)委員 それでは私の自余の質問は山口君の質問が終わりましてから、運輸大臣、国鉄総裁、大蔵大臣、企画庁長官に伺います。
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017・川野芳滿
○川野委員長 それでは、日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。山口丈太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/17
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018・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私はお許しを得て、ただいま報告のあったことについて質問をいたしたいと思います。
昨日熱海と湯河原間におきまして貨物列車が脱線いたしまして、幸い死傷はありませんでしたが、非常に大きな災害を与えております。打ち続く事故につきましてはたびたび本院にも報告をされ、事故の絶無についてその方策がいろいろと述べられてまいりました。しかし、ここで報告をされるだけで、一向にその改善の跡を見ないのは、この事故の続出する事実をもって明らかでありまして、議論の外にあると私は考えます。私は、主としてこの事故に関し技術面からその方策をどう立てられておるのかを具体的にお尋ねをいたしたいと思います。
まず第一に、運転関係担当の方にお伺いいたします。国鉄は過密ダイヤによって事故を一そう大きくする結果になっておる。したがって、この過密ダイヤの解消のためには、施設の拡充強化が絶対条件である、こういうようにいわれておるわけであります。なるほどダイヤが過密になりますれば、それによって起きるところの事故を私は否定しようとするものではありません。しかしながら、だからといってその過密ダイヤ、いわゆる収容能力よりもはるかに上回る輸送の要請に従って過密ダイヤがやむなく組まれる。そのために事故が起こるのだと言ってそのまま済まされるものでは断じてありません。過密ダイヤになればなるだけの、やはり物心両面からするこれに対応する処置がとられて当然であります。しかるに今日、見ておりますと、そういった物心両面からする基本的なものに欠けておるのではないか、私はこのように考えますが、まずこれにつきまして総裁から、どのような処置を具体的にとっておられるのか、まずその基本について御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/18
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019・石田礼助
○石田説明員 お答えいたします。国鉄の今日の悩みは、ただいまお話にありました過密ダイヤ、これが一番大きな悩みであります。この問題は、これはしかし過去における長年の過小投資の累積でありまして、なかなか一朝一夕に解決のつくものじゃない。といって、しかしほっとくわけにはいかぬということで、私は、三十九年度の予算におきまして、その第一着手として、いままでおくれている第二次五ヵ年計画の完成を、三十九、四十年度にぜひ完成したいということで予算を請求したのでありますが、それは大蔵省のいれるところとならない。この過密ダイヤの解消ということは、これはむずかしいものである。しかしそのままおくわけにはいかぬので、今度は第三次五ヵ年計画においてぜひともこれを、少なくとも入、九年の間に何とかしなければならぬ、こういうようにも考えております。それから国鉄といたしましては、三河島事故、さらに鶴見の事故以来、指導訓練の問題、それから考査の問題、さらに輸送安全装置に関する問題、それらの面につきましては最善の努力を尽くしておるのでありまして、それとともに例の踏切の問題、たとえばこの輸送安全装置に関する問題につきましては自動停止機の問題あるいは自動警報機の問題というようなものは、これは昭和三十九年度において完成するということに計画を立てて着々とやっておるのであります。幸いに、この点につきましては踏み切りの問題とともに、大蔵省はわれわれの要求する予算をくれましたので、まず四十年の初めまでには踏み切りの問題、自動停止機の問題、自動警報機の問題、ともにこれは完成すると見ております。それから人の問題でありますが、いかにわれわれがこういったようなぐあいに輸送安全装置の問題を完成いたしましたところで、やはり事業は人なり、人という問題が大きな問題である。この点につきましては指導訓練、考査というようなことで最善を尽くしておるのでありますが、しかしわれわれはもう少し根本に入ってこの問題を検討しなければいかぬ。それにはまずいい人間を国鉄に採用する、そこから進まなければいかぬ、こらいろことで人の質の問題というような問題について検討しておりまして、三十九年度からとの点については着々と進めたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/19
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020・山口丈太郎
○山口(丈)委員 いま御答弁になりましたことは、これはもら再三聞きあきていることなんです。具体的にどういうことをやっておられるかを聞いたのですが、これは総裁には無理でありますから、逐次その担当者からお伺いすることにいたしたいと思います。
大体国鉄は、三河島のような大きな事故を起こした、そうするとやれ施設が旧式であるからとか、あるいは予算要求をやっても予算が十分にとれないから線路の過密ダイヤを解消することができないとか、それはなるほど一つの要因ではありましょう。しかし私も交通労働者出ですが、私はこう教えられた。運転台に立ったらばそこを墓場と思え。これは残酷なようでありますけれども、それだけのやはり気魄を持ってかからなければ、人の生命を安全に輸送することはできません、これははっきり言って。大体私は今日こういう事故が起こるのは、いわゆる首脳部がのんべんだらりと自己のいすにかじりついて、そうしていわゆる陣頭に立って不十分な施策を十分に生かして安全を確保するという気魄に欠けておるのではないか、まず幹部からそういう気魄に欠けておるのではないか、そうして公団をつくったりいろいろのものをつくって、退職したらば多額の退職金をもらって、のろのろとまた公団に行って多額の賃金をもらっておる。そういうことで幹部ばかりがのらりくらりやっておって、そうして肝心の第一線に立っておる人間に対して何らの積極的な指導もしない、それが一つのたるんでいる原因じゃないかと思うのですが、総裁はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/20
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021・石田礼助
○石田説明員 お答えいたします。この問題は私はなかなか答弁はむずかしい問題であります。私としては、現在の国鉄の幹部というものは、誠心誠意そういう事故のなからぬことを期して最善を尽くしておると思うのであります。さらに、いろいろの公団をつくってどうとかこうとかいうことは、これは過去においてはそういうことはありましたが、現在においては私はそういうことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/21
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022・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私は、総裁はそう否定されますけれども、現に審議中の鉄道建設公団法とかなんとか、その内容を聞いてみたらば、ほとんど幹部がその長になっている。こんなものは要らぬことなんだ。ただ経費をよけいあちらこちらに振りまくだけなんです。そういうことでは私はいかぬと思います。もっと国鉄の首脳部が誠意を持ってやっておれば、新線建設としたところでもっと進むと思いますが、これは別の問題ですからあとにします。
技術面でお伺いしますが、今日ダイヤはどういうふうに編成されているのですか。もちろん国鉄ぐらい車種の多いものはないのですよ。これについては私は同情します。いろいろの種類のものが同一線路の上を走っておるのであって、これを一がいに規制することはなかなか困難なことである。したがって、それはわかるのですが、ダイヤを編成するにあたって、どういう編成方針でダイヤを編成されておるか、その方針についてひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/22
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023・川上寿一
○川上説明員 ダイヤを編成いたします場合には、輸送の要請をまず見まして、その中から列車を入れていく場合でございますが、その場合は十分なる運転曲線の計算をいたしまして、所要時分の計算をまずいたします。それから信号装置その他保安設備を考慮いたしまして、列車の順序その他をきめるわけであります。その上で計算しました時分にそれぞれ余裕時分を加えまして列車を入れております。概況はそういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/23
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024・山口丈太郎
○山口(丈)委員 概括はわかりましたが、それでは、列車の編成についてお伺いいたします。
列車の編成はどういう編成でおやりになっておるか、これをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/24
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025・川上寿一
○川上説明員 御質問の意味がはっきりわかりませんが、それは旅客列車、貨物列車の編成でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/25
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026・山口丈太郎
○山口(丈)委員 それでは具体的に言いましょう。さきに言いましたように、貨車にいたしましても客車にいたしましても、それぞれ雑多な、いわゆる車の種類があります。そこで、列車を編成するにあたってどういう編成をされておるか、こういう雑多な車種をどういうように合理的に編成されておるか、こういうことなんです。列車の編成です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/26
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027・川上寿一
○川上説明員 旅客列車につきましては、電車を除きましてはいろいろな客車の種類がございますが、新しい客車と古い客車はできるだけ混合しないようにして、同一車種といいますか、同一性能に近いものを編成いたします。場合によっては、臨時列車等で多少車種が変わる場合もございますが、特に、最初にブレーキの調整などをいたしまして、ブレーキ性能につきましては、同じようにブレーキがきくようにいたします。
貨車の編成については、特にきまった規定はございませんが、空車と盈車とをできるだけばらばらにしないようにしております。そういう程度でございまして、特に、どういう盈車のあとにどういう空車をつけるというようなことはやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/27
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028・山口丈太郎
○山口(丈)委員 特に貨車の編成にあたって、荷物を積んでおる貨車、それから空車、これの編成はどういうふうになっておりますか。別に規定も何もなくて、野放しに、出てくるのを便宜的につないでいくという方法をとっているのか、それとも、積み荷がこれだけあるとすれば、空車がそのあとにつく場合においても、その空車は自重その他から勘案して編成をされるか。またその場合においては、積み荷に対するブレーキ、制動機、空車に対する制動機の可動、これは能力がおのおの違うはずであります。それらを勘案してやっておられるのかどうか、こういう点について詳細にひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/28
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029・川上寿一
○川上説明員 いまの御質問に対しましては、一般的には、特に空車と盈車のブレーキの性能を見て貨車の編成はしておりません。ただ、危険品であるとか非常な重要品の場合には、その前後の貨車の編成を、急激な変化をしないように考慮はしておりますが、一般的には規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/29
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030・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そこで、今度は運転系統についてお伺いします。
まずカーブの速度の規制についてお伺いをいたします。もちろんカーブについての速度の規制は当然行なわれておるのでありますが、その行なわれておるカーブの規制は、どの列車についても画一的に、たとえば、わかりやすくいえば半径四百メートルのところでは四十キロというように、それは各車に共通した制限ですか、それとも別の制限ですか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/30
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031・川上寿一
○川上説明員 各車に共通しております。四百メートルの場合は六十キロであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/31
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032・山口丈太郎
○山口(丈)委員 それで、今度は乗務員のことになりますが、この速度の判定については、各車ともにスピードメーターでもつけておるのですか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/32
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033・川上寿一
○川上説明員 通勤電車につきましては、スピードメーターはついておりません。それから、長距離の急行以上の電車と、それから機関車については、スピードメーターがついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/33
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034・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そこでもう一つ重要な点についてお伺いいたします。積み荷の問題でありますが、危険物、もしくは危険物でなくても、その貨車の全体的な容量に対して、トン数は別といたしまして、荷が片寄りをする、あるいは荷くずれがする、あるいはうしろのほらに荷ずれがする、こういうような荷物を積む場合において、その積載管理はどういうようにやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/34
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035・川上寿一
○川上説明員 積載の管理は、一般につきましては駅の貨物係がやりまして、一定以上のものあるいは非常にむずかしいものにつきましては、検車を担当しております客貨車区の技術係、あるいは大きいものにつきましては客貨車区長が立ち会って判定をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/35
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036・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そこでお尋ねをいたしますが、客車というよりもむしろ——客車もありますが、電車と、それから従来の汽車と称されておる列車に使用する車両の構造、重心、そういったものをどういうように観察し考慮されて、運転を指導されておるか、これについてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/36
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037・川上寿一
○川上説明員 いまの重心の問題につきましては、客貨車あるいは電車を設計いたしますときに、現在の線路との関連におきまして、特に曲線の場合は、曲線の外側になりますところが、カントと申しまして、高くなっておりまして、遠心力で客貨車が外にほうり出されないようになっております。それも通過する列車によりまして、規定の速度を常に一ぱいに走っているとは限りません。静止する場合もあるわけであります。そういった点を考慮して設計のときからきめておりますので、運用をするときには、特にそのために制限はつけておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/37
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038・山口丈太郎
○山口(丈)委員 いままでお聞きしてまいりましたが、そこで私は一つずつ指摘をいたしますが、三河島事故にいたしましても、今日の事故にいたしましても、それぞれ調査せられる機関において徹底的に究明されるでありましょうから、私はそういったものを先んじてこれを究明しようとはしませんけれども、しかしながら、今日国鉄が起こしておる事故のうちにはいろいろある。きのうのは、これは支障がなかったし、積み荷が横向いたためだということで、そうして不可抗力だとは言っておられません。そんな無責任なことは言っていられない。このために何十万、何百万の人の足が奪われているかわからない。三河島のごときは百何十人という人が一瞬のうちに生命をなくしておる。まず第一に、私たち働く者の心がまえとして、私がさきに申し上げたように、何としてもこの貴重な人命、財産を安全に輸送するためには、施設がどうであるの、こうであるのとつべこべ他のそういうことを言うのは許さない。あくまでも自己の責任において貴重な人命、財産を守るべきだという責任感をまず持つべきだと私は思います。おのれの身、生命をなげうっても、人の生命、財産は必ず安全に保持して、そうして目的地に輸送するという責任感を持つのは当然であります。その場合に、施設がどうだこらだということは許されない。それを承知の上で、あなた方幹部も全部が承知の上で運行をせしめ、また運行をしておるのであります。したがってそれは言いのがれであります。そんなことは私は許されぬと思います。それだけの責任感をまず持つべきだと私は思います。
第二に申し上げたいのは、これはしかしながらそう言っても、いわゆる指導よろしきを得なければこういう事故は免れません。そこで、いままで御答弁をいただきましたが、ずさんであります。まず貨物の積載については、そういうように荷が偏載状態になったり何かすることは人為的に避け得ることじゃありませんか。その積載管理のよろしきを得れば、絶対にこういうことは起こらないのです。その管理をなおざりにしておいて、これは不可抗力であるとは言わせませんぞ。あなた方、責任をどう感じますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/38
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039・川上寿一
○川上説明員 責任の問題については、今回の事故について私ども不可抗力だとは思っておりません。深く責任を感じておりまして、昨日来、大体十数時間にわたりまして東海道線をとめましたことについて深く責任を感じております。いまの積み荷の問題にいたしましても、運送規則によりまして相当こまかく積み荷の指導をしておるわけでございますが、今回の場合も、貨車の床板が鉄板であったところへ、従来の木の床板であるのと同じような方法で積んでおりましたために起こりましたもので、この点についてはわれわれの管理が行き届かなかったことを深くおわびを申し上げる次第でございます。それで本日も、本社内の事故防止委員会におきまして、特に荷くずれ防止の分科会が従来から設けてございますが、そこでもう一回検討いたしまして、そういうこまかい点につきましても至急に指導するように、いませっかくやっておる最中でございますが、国鉄輸送全般にわたりましてわれわれの気がつかないこと、あるいは至らない点で次々に事故が起こっておりますので、一昨年来本社の中に安全企画室を設けまして、長期の問題につきましてはそこで検討する。それから私自身が昨年の五月に常務理事を拝命いたしましたときに、保安を担当しろということで、私がそういう点の責任を持っていま一生懸命やっておりますが、私の勉強、指導が行き届きませんために皆さんにたいへん御迷惑をかけておることを深くおわび申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/39
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040・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私は決定的なことはそれ相当の当局にまかすことにいたします。しかしせり上がりがあるとかないとか、これは運転操作の指導についても私はお尋ねしたいのですが、列車の編成にあたっては、まずその根本である積み荷の管理についてはそういう要因がないように、もっと厳重な指導監督をさせるべきである。
その次にお伺いいたしますが、これは運転技術についてであります。このカーブの列車通過の制限速度は共通であるとおっしゃっておる。私はこれははなはだしい冒険ではないかと思う。なぜかといいますと、いわゆる車種が雑多であるということもこれはお認めになっておるし、われわれも認めておるところであります。そういたしますと、その雑多な車種を編成いたしました列車で少なくとも重心が下にないものと目されるもの、すなわち空車の貨車でありますとか、あるいはまた満載した貨車でありますとか、そういうような旧来からの列車編成による車両というものは、下のほうには重心がないわけであります。積み荷を積めば積むほど重心は上になるのであります。それと電車とを比較して、電車がかりに四百メートル、六十キロの制限制度で通過して安全なりといえども、貨車においてはそういうことは言えないはずです。車種別速度制限をやることは当然ではありませんか。なぜそういうことをやらないのですか。ここに運転上重大な手落ちがあるのではないですか。これは一体どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/40
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041・川上寿一
○川上説明員 いまの曲線におきます車種別速度制限というお話でございますが、曲線におきますカントのつけ方は、そういうことを考慮いたしましてきめておりますのと、場合によって、そういうきついカーブの上で列車が停止する場合にも安全であるということも考えておりますので、その間には、何メートル重心が高くなったから制限を何キロにしなければならないというほどそう厳密なものではございません。したがってそういうものをひっくるめまして平均してこの速度がいいということで計算をいたしておりますので、曲線通過につきましては、非常に高速の場合は除きますが、現在の国鉄の運転速度の程度でございましたら、現在の制限速度で十分なものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/41
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042・山口丈太郎
○山口(丈)委員 あなたはそうおっしゃるけれども、それではお尋ねをいたしますが、その規制速度というのは、曲線通過にあたっての最大のものですか、最低のものですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/42
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043・川上寿一
○川上説明員 大体のところ中間とお考えになっていいかと思いますが、ものによって多少違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/43
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044・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そういう指導の方法では——事故の起こっておるのは曲線ばかりじゃないですか。今度起こっておるのもSカーブじゃないですか。鶴見事故だってSカーブじゃないですか。そうでしょう。そうすると、これは私鉄においても言えることですけれども、急行の場合の通過速度あるいは普通車の場合の通過速度はちゃんと別にしてありますよ。車両によって別にしてありますよ。いわんやいま言ったように、主として脱線するのはカーブであり、貨車なんですよ。原因はどこにあるかといえば、重心が下にないからですよ。上にばかり重心があるんですよ。これは理屈からいったってそうじゃないですか。遠心分離機にかけてやってごらんなさい。上のほうが厚くなれば下のほうは薄くなるんですよ。それで分離されるじゃないですか。そうなればますますもって貨車のような、ちょっとでも急なカーブを超過した速度で曲がれば、たちまちその乗客は反対側の外側のほうへ押しやられてしまうじゃありませんか。それでも人なら復元します。けれども、貨物は復元しないじゃないですか。だから、まず第一にあなたのいまの答弁では、ぼくは率直に言うておきますけれども、積載管理について不十分です。管理はさしておるというものの、そんな野放し的な荷物の積載というものが第一の原因だ。第二の原因は、やはり列車別カーブの速度制限を考えるべきです。それをしなければ、こういう事故が起こるのは当然ですよ。事故を起こすべくして起こしているようなものだ。そういうような研究をやられたようなことがありますか。
また、速度についてはスピードメーターのあるものも、ないものもある。私は、電車、列車を運転しましたけれども、スピードメーターがついたものはほとんどありません。けれども、目速によっては、これは時速一キロも違いませんよ。それだけの平素からの乗務員に対する訓練が必要だ。そういうような訓練をされているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/44
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045・川上寿一
○川上説明員 いまの先生の前のほうの御質問でございますが、列車の曲線通過に対する研究は従来からずっとやっております。ただ申し上げますのは、貨車の運動について、非常に精密な最近の最新式の機械を使いまして——あらゆる場合の貨車の運動についてはまだ十分とはいえませんので、この前の鶴見事故の対策の中にも入っておりますが、至急に新鋭の機器をそろえまして、長い間かかって統計的な手法を用いましてさらに勉強するつもりでございますが、今回の場合を例にとりましても、四百メートルのカーブを四十キロで走っておりますので、カントはややオーバーカントといいますか、貨車が外側よりもむしろ内側に倒れる傾向で走っておったわけであります。
それからスピードメーターについてでございますが、現在は、先ほど私が申し上げましたように、通勤電車を除いては全部ついております。それからスピードメーターでも、場合によりましては時速一キロ、二キロの誤差がございますが、乗務員が勘で何キロで走っておるかということは訓練の中に入れてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/45
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046・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私は、この原因についてもっと究明をしたいことはたくさんありますが、ここでこまかいことを言っておる時間がありませんからこれでおきますが、総裁は御老体ですから、ひとつ副総裁にお伺いします。
今後の管理について、私がいま申し上げたのは事故原因と目される一、二です。まだ運転操作でこまかいことを言い出せば、私は実地検証をみずから機関車の上に乗って自分でハンドルをとってみたいと思っている、私はそのくらい情熱を持っているのです。それでなければ安心して乗れませんよ。国鉄に今日払わされた国民の犠牲というものは、これは労働組合がごちゃごちゃ言うくらいのことじゃありません。労働組合は、ストライキをやったって命までとらない。あなたのほうは、業務命令でやらせれば何百人、何千人一ぺんに殺してしまう。平気じゃないですか。そんなでたらめなことはありませんよ。原因と目される重要な点について私はたった二つだけ質問してみた。まだまだ原因はありますよ。けれども、これらの二つの重要点について今後どういうように改正をしていくか、あるいはそれをどういうぐあいに指導していくか、これは山田常務理事、あなたに責任があるから、今後の基本についてはっきりとしたお答えを願いたい。そうでなければ安心して乗れません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/46
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047・山田明吉
○山田説明員 たび重なる事故でたいへん御心配をおかけして申しわけないと存じておりますが、昨日の事故につきましては、ただいま川上常務理事から、大体いままでにわかり得た結果に基づきまして、原因らしきものを考えて御説明いたしたわけでございますが、たび重なる事故にかんがみまして、単に運転関係、保安関係の関係者のみにまかせるわけにいかないということで、総裁以下全社的な対策委員会を設けまして、実は従来から、根本的な対策、それからたまたま起こります事故に対する対策を考究しておったやさきのまた事故でございまして、その点非常に残念に存じますが、先生の御指摘になりました点を含めまして、さらに昨日の事故につきましては、専門家を現地に派遣いたしまして、詳細な実地調査をただいま続行中でございます。後日、それらの調査が正確にわかりましたら、またそれらに関して御報告申し上げる機会があろうかと思いますが、ただいまの御指摘の点につきましては決してなおざりにいたしませんで、全社的に対策を考えてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/47
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048・山口丈太郎
○山口(丈)委員 それからもう一つ重要な点について要望しておきますが、貨車の編成にあたっては、空車いわゆる回送車両、列車と営業車両とをなるだけ区分して、列車の編成をやってもらいたい。あの混合編成は危険です。そしてその列車のカーブまたはポイント等の通過に際しての速度は、少なくとも電車、気動車、貨車、空車、列車、こういうように種別を分けて制限をすべきものである。ただ、いまの言われた答弁では、技術的にいうと私はもっと究明できますよ。そうしなければ、こんな画一的な、大ざっぱなスピード制限というものはありません。これは冒険です。でありますから、そういう点について十分配慮してもらいたい。それでなければ安心できません。
それから運輸大臣に一言だけお伺いしますが、こういうようにたび重なる事故が起きたら、起きるたびに国鉄は施設の改良が十分にいっておらぬ。あるいは予算が足りない、こういうことが常にいわれます。もう国民は、これは事故が起こったときの責任のがれとしての一つの口実にすぎない、ここまで言っておるのです。批判をしておるのです。ですから、私は運輸大臣に要望いたしますが、なるほど予算の制限ということはあります。しかしながら、それだけに事故を起こすのなら——東海道線の新幹線の建設も、それは急を要することであり、必要であります。ところが最初私どもには、経常収支の中からは新線予算には流用しないんだ、国鉄の改良五ヵ年計画は絶対に変更はいたしませんと、あれだけここで公言をされた。ところが昨年は新幹線には百億の流用をしたというけれども、何ぼ流用しておるか、われわれにはわからぬ。いま現に事故が起きたらば、どうも施設の改良がうまくいっておりません、でありますからということを口実にするのなら、一体これによってそこなわれる人命というものは幾らになるかわからない。国民に対する損害というものは幾らになるかわからない。東海道新線が一月や二月早くできる、できないの問題じゃない。運輸大臣はこの流用をお認めになったんだろうが、どういう考えでこういうことをやられたのか、国鉄に対するこれからの管理監督はどういうようにされるか、運輸大臣の所信をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/48
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049・綾部健太郎
○綾部国務大臣 御指摘のような点につきましては十分注意いたしまして、そういうことのないようにいたしてまいりたいと思います。また、国鉄四十八万従業員は、あなたのおっしゃるような心がまえで、運輸全般につきまして安全第一にやっておると私は考えております。
流用の問題につきましては、たびたび申しましたように、保安に関する流用はいたしておりません。さよう御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/49
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050・川野芳滿
○川野委員長 井岡大治君。——簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/50
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051・井岡大治
○井岡委員 川上さんにお尋ねをしますが、最近非常に事故が多くなってきました。それはいま言われたようなことからくるものも多くありましょうけれども、私はもっと根本的な問題があると思う。それは私は車両構造に欠陥があるのじゃないかと思うのですが、いろいろな脱線事故を起こしている車両がどこの会社でつくられたものかということを会社別にお調べになったことがあるかどうかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/51
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052・川上寿一
○川上説明員 会社別に調査をしております。しておりますが、どの会社のものが比較的悪い、比較的いいとかいうような結果はいまのところ出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/52
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053・井岡大治
○井岡委員 そこに問題があると思うのです。調べておいでにならないのじゃないかと思う。おそらく車両の構造上に問題がある。先ほど亜鉛板のお話をなさいましたが、いままでと同じように亜鉛板の積み荷をしておって、そうしてこの問題に関するだけ事故が起こっている。そこに車両的な構造上の欠陥がある、こう見るべきが私は正しいと思う、そうじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/53
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054・川上寿一
○川上説明員 今回の場合はそういう観点でただいま調べております。大牟田から出ておる亜鉛板でございますので多量に出ておりますが、従来どの貨車にどの程度積んでどこまで運んでおるかということも調べておりますが、全部まだ調べがついておりません。今回のものは二両つないでおりまして、その二両の車種は違っております。
それから、先ほどお話のございました構造上の問題については、設計は同一でございますが、材質とかあるいは製作過程とかいうものがございますので、そういう点を重点に従来も調べておったわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、どの会社のやつが悪いとか、これがいいとかいうのは出てこないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/54
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055・井岡大治
○井岡委員 私は、初めてあなたはほんとうのことを言ったと思うのです。いわゆる二両であって、片方のほうと片方のほうとあるわけですね。そこに問題がある。いわゆる構造の問題は、それは設計は同一でしょう。けれども、材質の問題だと思うのです。私はこの問題はスプリングの問題だと思うのです。最近の事故で全部脱線しておるのはスプリングの問題だ。だから、会社別に調べたことがありますかと聞いている。これらの問題はもっと精査をしてやらないと、単にカーブがどうであったとか、積み荷がどうであったとかいう問題じゃない、こういうように考えるのですが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/55
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056・川上寿一
○川上説明員 御指摘のような観点で私ども実は調べておるわけでございまして、スプリングの問題につきましても、検査のつどスプリングの強さが、それは全部全く同一であるとは申し上げませんが、ただプラス、マイナスどのくらいの範囲にあればいいかということは調べております。
それから同じスプリングでございましても、検査をしていく過程で、一枚、二枚、悪いのがありますと、それを取りかえますと全体の性能が変わってまいります。そういう場合も全部測定をいたしまして、その範囲に入っておればいいということでやっておりますが、事故を起こした車についてはそういう点も全部精査をいたしております。(「どこの会社のものか」と呼ぶ者あり)今回の場合は日立製作所であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/56
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057・井岡大治
○井岡委員 私は、最後にこれだけをお願いしてやめます。
それでは、ここ半年間に起こった脱線事故の脱線を起こした車両がどういう会社のものか、会社別に出してください。この資料要求をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/57
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058・川上寿一
○川上説明員 承知いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/58
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059・川野芳滿
○川野委員長 それでは、日本鉄道建設公団法案に対する質疑を行ないます。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/59
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060・田中織之進
○田中(織)委員 きょうは建設公団法の問題についての締めくくりという意味で、まだ質問者もあろうかと思いますけれども、伺いたいと思います。
先ほどもちょっと申し上げましたように、昨年の通常国会で本会議において説明がなされましたときに、私、社会党を代表して質問をいたしておりますし、衆議院の運輸委員会としてはいわば二回目でございますので、できるだけ重複を避ける意味で数日来通常国会の速記録もおよそ目を通したので、できるだけダブる点は避けたいと思いますけれども、勢い、締めくくりで念を押すような点も出てくるかと思いますけれども、その点はお許しいただきたいと思うのであります。国鉄総裁もお見えになっておりますので、総裁からもお答えを願いたいと思います。
けさの新聞によりますと、三十九年度の予算編成のときに、運輸大臣とのお約束によるところの政府自民党との国鉄問題の調査会をできるだけ早く発足させろということを、きのう官房長官に総裁みずから申し出られたような記事を拝見いたしたのであります。池田内閣の経済政策の重点として、所得倍増計画を推進してまいっておるのでありますが、どうもこの委員会の審議の過程を通じまして、倍増計画もすでに三十六年からいたしますと今年が四年目になるわけでございますが、特別に非常に伸びたところがある反面、予定どおり伸びない部分が出てまいっております。ことに地方格差はますます増大する傾向にあると思うのでありますが、その点から、新線建設公団の設立が急がれているという点は、そういう格差是正、経済基盤の強化の二点にねらいをつけておるわけでございますが、率直に言って、倍増計画そのものの中における交通政策、そういう問題はちょっと弱かったのではないか。道路、鉄道、港湾の三つが交通力の三つの柱であります。道路の点につきましては、大蔵省と建設大臣との間の意見の隔たりはありましたけれども、大体四兆一千億で道路整備を予定どおり進めるという大まかな計画もきまったようでありますが、運輸省関係の港湾と国鉄に関する問題が、まだそういう投資額の総額も最終的になかなかきまらない、こういうような状況にあるので、私は、勢いきょうの質問をそれに重点を置いて伺いたいと思うのであります。
まず国鉄総裁に伺いますけれども、所得倍増計画では、国鉄に対する三十六年以後四十五年までの投資総額というものを一応二兆一千億ということに踏まえておるわけなんです。そのうちで線路の補修強化というような関係には七千億を予定しておるということなんですが、現在までの状況から見て、この二兆一千億という全体のワクそのものが、私はやはり小さ過ぎるんじゃないかという感じを持っておる上に、現実にやはりこの二兆一千億という国鉄関係への投資というものの進行状況を見ますと、なかなか四十五年までに二兆一千億というものを達成するということは至難じゃないか、こういうふうに見るのでありますが、総裁は、十河さんのあとを引き受けられて就任をせられてから、特に国鉄の機能強化、輸送力の増強という点に格段の努力をされてまいっておるわけであります。今度新線建設の関係は、公団に移るということになったので、もっぱら改良関係あるいは複線化、複々線化というような点に総裁としては力を入れて、三十九年度においても所要資金を要求しましたけれども、私は目的を達しておらないと思うわけです。そういう点から運輸大臣との間の約束による、国鉄問題を新しい時限に立って再検討するための調査会といいますか、そういうものを早急に開いて、そういう点についての見通しをつけてもらいたい、こういうことがきのうの官房長官への申し入れになったのだと、このように理解するのでありますが、総裁に就任されまして、やがてかれこれ一年にもなろうとするわけでありますが、その間国鉄総裁になられましてから、倍増計画との関係で、国鉄をあずかっておられる立場で、政府の国鉄に対する取り組みについては、総裁としての希望もお持ちだろうと思いますけれども、そういうような点について、まず御所信を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/60
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061・石田礼助
○石田説明員 お答えいたします。
御承知のとおり、国鉄は戦時におきましてだいぶ打ちこわされた。戦後においての修理というものも、ようやくほんとうに真剣にかかったのは昭和三十二年からです。それまでというものは、ほんとうの寡少資本の投資によって十分の修理もやらなければ、また輸送力を増強することもやらぬ。一方に経済というものはしんしんとして発展いたしまして、輸送需要というものは非常にふえてきたというようなことで、第一次五ヵ年計画では主として修理の問題、輸送力の増強というものもありますが、これはきわめてわずかなものです。それをやっておるうちに、とてももう追っつけないというようなことで、途中で第二次五ヵ年計画というものを立てまして、それが四十年に完成すると、そこにおいて輸送力の増強というものも相当にやるということになったのでありますが、いろいろの財政上の都合で三十八年度までには六割を完成しなければならぬのがようやく四割しか完成しない。そこで、こんなことではとても国鉄としては輸送使命を遂行することはできぬ。一方に世界にも珍しい過密ダイヤのもとに運転している。したがって、あやまって事故でも起こるというと、連鎖反応によって大きな事故になる。ここにおいて何とかひとつやらなければならぬということで、私は国鉄総裁として総理大臣に対して第二次五ヵ年計画はあと三十九年と四十年の二年しかないのだから、その間に残りの六割をぜひ完成するようにしたいので、予算をぜひ考えてもらいたい、こういうことでお願いしたのでありますが、御承知のとおり財政投融資その他において千億ばかり打ち切られた。三拝九拝の後、ようやく債務負担というような、ことしには金の使えない、来年になってようやく金の使えるようなもので四百億円、そのほかに百億円というようなことで、頭をなでられたわけです。とてもこんなことでは国鉄としての使命を尽くすことはできぬ。この改善策を一体どこにわれわれは求めるか、こういう問題であります。
そこで、私の考えついたことは、これまでの国鉄の五ヵ年計画といい、何といい、すべてこれは国鉄だけの計画なんです。そうしてその計画の内容は予算を要求するときに至って初めてわかるのです。ほんとうに一般の人に了解されておらぬ。ここにわれわれのやり方についての過失がある。だから国鉄の輸送の状況というものは所得倍増計画にも関連する重大問題であるがゆえに、国鉄のいまの計画でなくて、政府の計画ということにしてもらいたいという意味におきまして、これに対しては、国鉄ばかりでなくて、特別の、大蔵省、通産省、それから国会議員その他の方々に入っていただいて、政府の案として計画を立てるように、そういう意味からして委員会をひとつ設置していただきたい、こういうことで、これはずっと前に申し入れたのであります。実はただいまのお話の、昨日官房長官に会ったというのは、私は催促した。これは早くやらぬと、四十年の予算の間に合いませんので、できるだけ早くそういう委員会をつくってやってもらいたいということをお願いした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/61
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062・田中織之進
○田中(織)委員 そこで総裁に伺います。きのう官房長官に督促に行かれたわけですが、官房長官の御意向はいかがですか。
それから総裁のいまの御答弁を伺っておりますと、私ども賛成でありますけれども、けさの新聞によりますと、政府、与党——政府ということになりますと、勢い大蔵省も経済企画庁も入るわけでありますが、与党との関係で、この国鉄問題を国の政策として取り上げるための調査委員会というか、そういうような構想のようでありますけれども、総裁のいまのお言葉を聞いておりますと、国会議員の諸君もというようなことでありますが、私ども少数野党ではありますけれども、やはり国会の三分の一近い勢力を持っておるので、政党内閣でありますけれども、政府与党だけで、現在こういうような状態に置かれておるということも、自民党の政府が長く続いておる過程で一つ出てきた欠陥ではないかと私は思うので、その点はお考え直しを願わなければならぬのではないかと思うのでありますが、まず官房長官に督促に行かれたとき、官房長官から総裁の満足のいかれるような御回答があったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/62
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063・石田礼助
○石田説明員 お答えいたします。この問題は、私は、官房長官として決定せらるべき問題ではなくて、総理大臣として決定せらるべき問題だと思います。官房長官からはイエスとかノーとかいうことは申されませんで、総理大臣にもよくその趣旨のことをお伝えしておきます。こういうことでありました。
それから社会党の諸君をどうとかこうとかいうことでありますが、私としては、別に社会党の国会議員を排してどうとかいうようなことの要望は絶対にしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/63
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064・田中織之進
○田中(織)委員 どうも予算編成の過程においてもいろいろの問題があると思う。総裁が申されたような立場で、国鉄の輸送力の増強という問題を、国の新しい方針として位置づけて、端的に言えば、それにいかに財政資金を投入するかということに帰着すると思うので、その点は、特に運輸大臣もおられるわけでありますから、あなたが国鉄総裁との間でそういう新しい機関をつくって、新しい気持ちで国鉄の問題に取り組もうということで約束されたのでありますから、総理に特にそういう機関の一日も早く発足できるように、私は運輸大臣の御努力を要請したいと思う。
そこで国鉄総裁に次の質問を申し上げますが、第二次五ヵ年計画は、三十九年度、四十年度、二年間残っております。しかし残っておる部分のほうが、後半の二年に六割という、半分以上も残っておるという関係がありますので、第二次五ヵ年計画は三十九年で一応打ち切って、四十年からは第三次五ヵ年計画という形で、新しい構想で進めたらどうかという御意見を持っておられるように予算折衝の過程の総裁の談話で承知したのでありますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/64
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065・石田礼助
○石田説明員 ただいまの御意見のとおりであります。もう第二次五ヵ年計画は三十九年で打ち切る、そして四十年から第三次五ヵ年計画に着手する、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/65
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066・田中織之進
○田中(織)委員 そこで総裁に、これはだめ押しの質問になろうかと思いますけれども、総裁の持っておられる国鉄の輸送力強化の重要な部分になります新線建設の関係は、総裁が就任される以前に、鉄道建設審議会の答申もありまして、昨年の通常国会にこの公団法が提出されたというようないきさつがあるわけです。そういう事態の進行の後に総裁に就任せられたのでありますが、国鉄自体の立場から見て、新線建設はやはり国鉄自体でやられるよりは、この種の公団でやられるほうがいいというお考えですか。それとも、まあそういうことに進んでおるならやむを得ないというような意味の考え方でございますか。この点を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/66
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067・石田礼助
○石田説明員 忌憚なく申し上げれば、新線の建設を国鉄から取られるということは、われわれ国鉄人から見れば自分の領土をとられるというような気持ちですね。あまりいい気持ちはしないが、結局事ここに至った原因というものは私は国鉄にあると思う。要するに落ちつくところに落ちついたということで、実はあきらめている。どうしてこういうことになったか、こういうことを申し上げると、われわれ国鉄としては幹線の輸送増力ということに一生懸命なんです。その結果、新線の建設というものに対しては、決してずるけておるわけではありません。ありませんが、どうもやはり新線建設を希望せられる方から見れば、つまり国鉄の新線建設に注いでいる力というものはどうも少し鈍い、こういうことに見られるのは、これは私は人情だと思うのです。そういうことで今日のように新線建設を国鉄にまかしておった日にはだめだ、こういうことに見られたということも、これは人情としてやむを得なかったと思う。別にわれわれがなまけておるわけではないが、どうしてもそう見られる。それじゃ将来はどうか、こういうことになると、国鉄としてはやはり幹線の輸送増力というものに対して全力を尽くしてやらなければいかぬ。そうせぬことにはいつまでたっても過密ダイヤというものの解消はできぬ。大きな事故の危険というものが依然として存在する。このほうに全力を尽くさなければならぬということのために、やはり新線の建設というものに対するわれわれの力の注ぎ方が、十分やっておるつもりでもどうもやはり新線建設の希望者から見れば御満足のいかぬようなことになるのではないか、ここにおいてか新線建設公団というものができた、どうもこれはしかたがない、身から出たさびだということであきらめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/67
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068・田中織之進
○田中(織)委員 総裁の率直な御答弁で、私もそれ以上伺いません。いま言われましたうちで、幹線の輸送力増強は、国鉄としてぜひ、特に過密ダイヤ解消の点から見てもやらなければならぬということであります。東海道新幹線が予定どおりいけば十月一日から開業できる方向へ向いておるわけですが、それに引き続いて、これもこの委員会で他の同僚諸君からたびたび質問が出るわけでありますが、山陽線の新線建設の問題が、幹線ということから当然日程にのぼると思うのであります。それについて、これも新線になりますから建設公団に移すか、東海道新幹線と同じように国鉄でやるか、こういう点について質問が出るわけですが、総裁としては、東海道新幹線の次に続いて予定される山陽線の新線建設は、これはやはり幹線として国鉄でやっていかれようというお考えでありますかどうか。特に今度建設公団ができまして、国鉄の新線建設の部分の職員等はそのまま引き継がれるわけでありまして、東海道新幹線に関する建設要員というものはそのまま国鉄に残るわけなんで、東海道新幹線が完成したあと、それらの職員が一体公団へ移るのかあるいは引き続き国鉄に山陽線の関係等で残るのか、この点は関係職員も不安に思っておる点だと思うのであります。その点は、総裁のお考えはそういう幹線建設はやはり国鉄としてやっていくというお考えでありましょうか。これはお気持ちの問題を伺うようなことになると思うのですが、先ほどの御答弁のように率直にひとつお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/68
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069・石田礼助
○石田説明員 この山陽線の新設ということにつきましては、まだあそこには輸送力の余裕も相当にありますから、多少の調査はやっておりますが、ほんとうに真剣にこれを建設するということの研究はまだやっておりません。それで、これを新線としてみなすか、国鉄としての幹線としてみなすかということについては、これは私は常識からいえばやっぱり国鉄の幹線ということに考えるのがあたりまえじゃないかと考えておりますが、この問題はあるいは将来問題になりましょうと思いますが、常識上からいえばこれはもう私は問題ないと思う。
それからして新線建設に関する人の問題でありますが、東海道新幹線のほうは落成する、したがってそのほうの人間があいてくる。それをそのまま新線に移すということは考えておりません。これは国鉄全体から考えまして、新線建設のほうに対しては適当な人をひとつ選定してやる、こういうことに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/69
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070・田中織之進
○田中(織)委員 これも総裁の率直なお気持ちを伺ってはっきりしたわけでありますが、山陽線の問題について調査を進めておるということで、すでに、たとえば予定の用地の買い占めに先走りをする、こういうような動きもあるやに聞いておるのであります。東海道新幹線の建設費が二回にわたって補正を組まなければ完成しない。これはもちろん初めての年限を限っての工事でありますから、当初の予算のどおりにいかなかったという事情はわかるにしても、用地の買収等にあたってとかくの黒い影をさしておる関係がありますので、総裁も慎重にお答えになっておるのだと思うのでありますが、この点は私一番最初に申し上げましたように、やはり国の経済の発展の関係から見て、全国的な観点から見て、鉄道の輸送網というものをどう整備し強化していくか、こういう観点に立ってやり、そういう弊害等の起こらない配慮は必要でありますけれども、調査はできるだけ早く進めて結論を出していただきたいことを希望しておきたいと思います。
そこで経済企画庁に伺いますが、私冒頭に申し上げ、総裁に要望として指摘した関係の問題でありますけれども、所得倍増計画の中に、いわゆる交通運輸の基盤強化という点で交通関係の小委員会が取り上げた方針が示されておるのであります。これはいろいろな意味において問題がある。まあ倍増計画そのものが私どもからいえばやはりひずみがすでに出てきている。だからこれは当初に欠陥があったのだと私は思うのであります。ところがそれは進行過程にできたいわば欠点、病気で、最近はその意味でアフターケアだというような医学の用語まで出して、実質的には手直しの段階へ入ってきておるように思うのでありますが、経済企画庁としては倍増計画の進行過程から見て、当初の——これは国鉄のみならず港湾関係あるいは道路の関係をひっくるめまして、交通関係ということになりますと、倍増計画では通信関係、航空関係も含まれておるわけでありますけれども、特に陸海の輸送力増強という観点から見てこの倍増計画の当初に策定した構想ではたして最後まで押し切れるとお考えになっているのかどうか、その点を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/70
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071・鹿野義夫
○鹿野政府委員 倍増計画の中に行政投資額が目標として設定されております。十六兆一千三百億円でございますが、当時の倍増計画の作成の事態といたしましては、一つの経済規模を想定し、そこにおける財政の役割を想定して、財政の中においてどれだけの投資額が要るかというようなことを各方面から検討した結果、一つの行政投資総額を想定し、その中のまた各事業間のバランスを相当長期にわたって専門の方々に議論していただいて出てきた結果が、御存じの道路は全体として四兆九千億、港湾が五千三百億円。そのときに、行政投資額の中には入りませんが、並んで国鉄の投資額として大体二兆一千億が考えられるというふうなことが述べられております。私、当時の作成のときから事務方としていろいろ参画しておりましたが、やはり当時の経済状態から見て、また財政のあり方から見て、一つのバランスのとれた姿を求めてそこにできた姿というものは、それほど食い違いのあったものだとは思われません。ただ、その後の全体の経済の動きというのは、御存じのように非常にスピーディに発展しまして、確かに経済の現在の姿と当時考えられた行政投資額の姿との間には相当のギャップといいますか、バランスがくずれてきているということは事実だと思います。そのゆえにこそ、先般も道路については四兆九千億、そのうちの前期二兆一千億を想定したわけでありますが、その二兆一千億の道路計画が大体四兆一千億に修正されることが内部的にほぼ決定しております。同様にそれぞれの投資額が現在の経済の状態から見れば寡少に過ぎるということは当然言えるかと思います。そういう意味において、おっしゃられた港湾の問題あるいは国鉄の投資額の問題も今後中期計画をつくるという段階におきまして十分検討され、かなりの修正をせざるを得ないことになるのではないかというふうに考えております。もちろんかなりの増額という意味での修正が行なわれるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/71
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072・田中織之進
○田中(織)委員 そうしますと、倍増計画は十年を目標にしておるのですが、中期の計画で再検討をして、方向は増額ということになるだろうということですが、その中期のいわゆる計画、これは手直しだとかいろいろ表現はあるだろうと思いますが、ちょうど中期に差しかかったという点でここで当初の計画とその後の進行状況等にらみ合わせて、後半の計画を練り直すことが私必要だと思うのです。大体その中期の構想を取りまとめられるのはいつごろを予定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/72
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073・鹿野義夫
○鹿野政府委員 大体秋ごろまでに取りまとめるという目標で作業を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/73
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074・田中織之進
○田中(織)委員 そこで、特に鉄道の新線建設の関係に戻るわけですけれども、まだ経済企画庁にもおそらく相談をされておらないだろうと思うのでありますが、政府及び与党のほうでは建設公団法を今国会のきわめて早い時期に衆議院を通過させて今国会で成立をさせたいということで非常な熱意を示されておりますので、状況から見て成立必至の情勢にあると思いますので、公団が発足した場合の資金需要と、それの調達の問題について渋るところを、運輸省内の一つの素案として、現在の四十三の着工線と十五の調査線、これにいま調査線に入っております青函と、それから四国への海峡線の関係は、これはまだボーリング等をやってみないことには設計自体もできませんから除外をしておりますけれども、そういう関係で大体三千億、キロ数にいたしますと、着工線約二千七十七キロ、調査線九百十七キロ、全体で二千九百九十四キロ、約三千キロに対しまして所要資金として三千三百十八億、これと、七年の五月三十一日でありますか、建設審議会の建議の別表の資料として出ておる四つの資金計画案がありますが、それと資金の総額はほぼ似たり寄ったりなものだということになるわけであります。初年度三十九年度は予算がきまっておりますが、百億しかございません。国鉄からの七十五億、政府出資あるいは財政投融資からの融資額を入れましても百億にはなりません。勢い発足いたしまして本格的な仕事にかかると、その程度のものではだめなので、逐年加速度的に増額をして、十ヵ年で一応五十八線を完成する、こういう目標による素案であります。十年計画として、各年度年割りにして一定の増加率を見込んで、ぜひそれだけのものを達成したい、こういう運輸当局の希望を含めての素案が出されておるわけであります。いま中期の倍増計画についての、特に国鉄への行政投資の関係を再検討せられるというような時期には、当面こういうようなものを参考にというか、当然やはり基礎資料として、これもまあ運輸省の確定的なものではございませんけれども、当然考慮をされるべきだと思うのでありますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/74
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075・鹿野義夫
○鹿野政府委員 中期計画の作成の場合に、当然その点も検討の対象になるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/75
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076・田中織之進
○田中(織)委員 そこでこれは直接国鉄とは関係がないわけでありますけれども、いわゆる経済の基盤という関係から見るならば、やはり国鉄に並んで重要な問題になる港湾関係の問題ですが、これは当初の行政投資五千八百億、これ自体非常な寡少だということ。私は、昨年でございましたか、予算でもその点を指摘をしたのであります。道路の関係の四兆一千億、そのときに特に運輸大臣として、港湾関係を一体どうするのだということでだいぶ閣議でがんばられたということはわれわれも承知しておるのでありますが、経済企画庁としては、この面についても、先ほど国鉄に対して述べられたと同じような観点で特に中期計画の場合にはお考えをいただかなければならぬ問題ではないかと思うのでありますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/76
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077・鹿野義夫
○鹿野政府委員 田中委員の言われるとおりだと思います。同様に、かなり根本的に再検討して考えていかなければならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/77
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078・田中織之進
○田中(織)委員 貿易関係を考えてまいりましても、非常に決定的な役割をなす海運と港湾、これは私は現在そういう点にウィークポイントがあるのではないかということを痛感いたしますので、この点は陸上における国鉄と同じ立場でお考えおきをいただきたいと思うのであります。
次に、これはあるいは国鉄に対する質問になろうかと思うのでありまして、経済企画庁のほうは、関連があるかもわかりませんが、もしほかの委員会の都合があれば以上でよろしゅうございます。
まあ幸か不幸かといえば両方の解釈もできるかと思うのでありますが、三十八年度は衆議院を通過したけれども参議院で審議未了になって、本国会で成立する段階になりましたので、三十八年度は国鉄で新線建設を従来と同じような形で引き続いてやってこられたと思うのでございます。三十八年度はまだ二ヵ月残っておりますけれども、三十八年度中における新線の建設状況はどういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/78
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079・山田明吉
○山田説明員 三十八年度、金額で申しますと、御承知のように予算は七十五億円あるわけでございます。この中には総係費が入っておりますので、実際に工事をやりました決算額は、十二月末で一応締めてみますると約六十億円、十二月末までに決算をいたしております。その後一月、二月、三月とさらに工事が進みますと、それと総係費を合わせまして、七十五億ちょうど一ぱい一ぱい使い切る見込みが現在立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/79
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080・田中織之進
○田中(織)委員 大体総キロ数でどのくらい進んでおりましょうか。これは今後資金需要の関係から見て、最近における物価、労賃等の値上がりから、キロ当たりの建設費を推定する上においても参考にしたいと思うのですが、そういうような資料はまだできてきていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/80
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081・山田明吉
○山田説明員 実は総キロ数と申しましても、工事の内容によりまして、路盤に着工しているものもございますし、それからまだ設計の段階のものもございまするし、いわゆる四十三線の着工線のあらゆる線について各種各様でございます。そのうち大体三十九年度中に、部分改良を含めまして改良見込みのものが、先日資料を運輸省から提出されました、美幸線を含めました六線でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/81
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082・田中織之進
○田中(織)委員 四十三の着工線に、従来のしきたりからちょぴっとずつ進んでおるというのが実情だろうと思いますから、総キロ数なりあるいはキロ当たりの建設費の単価を推算するというようなことはなかなかむずかしいだろうと思いますから、まあその点は触れないでおきます。
その関係で、これは後ほど大蔵大臣が見えましたときに大蔵大臣にもちょっと伺いたいと思うのですが、こういう三十八年度分のいわゆる新線建設に対する利子補給の関係は四十年までですが、時限法の関係で当然三十八年度分はいただけるものだと思うのでありますが、それは金額にすればどの程度になりますか、これも数字がはじき出されておればお示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/82
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083・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 三十九年度の予算案に盛られております補助金は九億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/83
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084・田中織之進
○田中(織)委員 鉄監局長、それはいわゆる新線建設に対する利子補給額と受け取っていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/84
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085・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 利子相当額の補助金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/85
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086・田中織之進
○田中(織)委員 それでは引き続いて伺いますが、これも同じ問題で大蔵大臣の所見を伺わなければならぬことになるわけでありますが、先般泊谷委員の質疑中に私ども関連して要求して出していただきました十ヵ年の着工、調査線の総資金の需要額でございます。その点を過日来、昨年の通常国会の記録と照らし合わせて見ておりますと、着工線の関係は、先国会に出された資料によりますと、線数四十七というのは、あるいは提示をされた加藤委員の記憶違いの数字であるかもしれませんが、着工線四十七で、総キロ数二千二百二十五キロ、それに対する総事業費千九百四十三億二千九百万円、こういうようになっております。それから調査線は十五線というのが変わりがございませんで、これも総キロ数は、この場合は、この間の資料によると九百十七キロになりますが、これが八百六十五キロで、これはその事業費は一千十二億九千万円ということで、今度の調査線の総事業費一千五億というのよりは金額は多いのでありますが、同じ意味で出された資料と今度出された資金計画による数字との間に若干の食い違いがございます。この点はどういうことから出てきたのでしょうか。それは営業係数の問題で、加藤委員から出されたときに使っておる数字もやはり運輸省から資料が出されたのに基づいてやっておると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/86
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087・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 前回提出いたしました数字のうちから、その後全線開通したものがございますので、それを除きましたので、若干数字に違いが出てきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/87
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088・田中織之進
○田中(織)委員 そうするとキロ数の減った点は理解できるのです。調査線はふえているが、着工線のキロ数の減った点は理解できます。ところが総事業費の点では、約三百六十億ばかり着工線関係では総事業費の資金計画がふえてきておるわけです。調査線はその後調査線として追加されたものがある意味合いだろうと思うのでありますが、八百六十五キロから九百十七キロと言いますと、約五十キロばかり調査線はキロ数がふえて、それでいて総事業費の点は、八百六十五キロで千十二億というのが九百十七キロで千五億ということで、七億ばかりあべこべに資金が減ってきておるのです。その点はどういう事情でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/88
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089・向井重郷
○向井政府委員 この調査線につきましては、前回——今回もそうなのでありますが、まだ総工費の算定につきましては、実はもうちょっと調査を進めてみないとはっきりしない部面もあるわけでございます。そういうような意味で前回の資料の場合と若干食い違いが出ておりますが、それは一部調査を進めた結果、精査に基づいて違ってきた部分と、それからまた、まだ若干不確定な要素を含んでおるというようなことで、数字の違いが出ておるわけでございます。その点につきましては、今後さらに調査を進めてみないと、まだはっきりとした確定額が出てこないわけであります。この点につきましてはそういう趣旨でございますので御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/89
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090・田中織之進
○田中(織)委員 もちろん最終的な数字ではございませんので、そういう違いが出てきたという点はわからぬでもございません。ただ、キロ数がふえて、総事業費が調査線の関係でわずかですけれども減っておるというような点がちょっと理解しかねたものですから、質問をしたわけであります。
それからあとは大体大蔵大臣に伺いたい点が多くでございますが、二十二条関係で、公団が発足した場合には、鉄道敷設法の別表にある着工線、調査線について具体的な年次計画というものを策定して建設にかかる、こういうことになるわけであります。大体二十二条にいう基本計画と言いますか、これは、勢い年次計画になろうかと思うのでありますが、それは公団が発足したら大体いつごろまでに策定される見込みでありますか。
それから、これは当然法律によりまして鉄道建設審議会の議を経なければならぬということになっておるわけでございますが、この点については率直に申し上げますと、与党の委員の中からも、去年の国会あるいはその以前におきましても、この鉄道敷設法の別表について新しい時限に立ってやはり考え、検討すべきではないか、こういう関係がございます。着工線につきましては、これはすでに審議会の議を経まして毎年若干ずつでもやはり予算がついておるわけで、あまりそれが総花的でありますために、線によると今後二十年も三十年もかからなければ完成しないようなことが出てくるというようなところからも、これがはたしていわゆる経済線であるかどうか、全く政治線でなかったかというようなことが、いまの時限になればいろいろ議論も行なわれるわけであります。一つの既得権ということになりますから、なかなかむずかしい問題だと思うのでありますが、やはり新線建設というものを大きな国の立場における鉄道の輸送力増強、特に地域格差の拡大を防止する、こういう観点からやりますと、この基本計画の策定ということはなかなかの難事業だと思います。しかし思い切ってやらなければ、やはり仏つくって魂入れずのような結果になると思うのであります。その作業の大体の見通しだとか、そういうようなことについて、もちろんこれは建設審議会——私もその委員の一人でありますが、いよいよ具体的な作業の段階になるときに、私らの党内の関係で、私が委員に引き続きおれるかどうかというようなことはわかりませんけれども、私はやはり建設審議会の委員という立場においても関心を持っておる問題なんですが、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/90
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091・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 いまお尋ねになりましたのは、二十二条とおっしゃいましたけれども、二十条の基本計画だと思いますが、「運輸大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項第一号に掲げる業務につき基本計画を定め」る、これが今後公団が行ないます業務の一番基本になる非常に大事な計画でございます。それでいつごろこれを建設審議会にはかるかというお尋ねかと存じますが、附則の第六条の第二項によりまして、公団成立の日から一ヵ月以内にこれを建設審議会におはかりすることになっておりますので、公団法が成立しまして公団が成立しました場合に、私どもはなるべく早い時期にこの基本計画を建設審議会におはかりをしたいというふうに考えるわけであります。一ヵ月以内と法律で切ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/91
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092・田中織之進
○田中(織)委員 鉄監局長の答弁では、法律で一ヵ月以内と切っているんだというのですけれども、実際にその作業はそんなに簡単にできるでしょうか。もし一ヵ月という期間を守るということになれば、きわめて抽象的なものにしかならないおそれがあるんじゃないかと思うのであります。それは基本計画の第一年度の当面の年次の部分というふうにしぼってお考えなんですか、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/92
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093・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 いま私どもが基本計画にどのようなことをきめるか予定しておりますのは、敷設法にきめられました予定鉄道線路のうちで公団が建設すべきもの及びその建設に関する基本事項、これを基本計画にきめることになっておりますが、先ほども申し上げましたように、この基本計画は運輸大臣が鉄道建設審議会におはかりをした上で決定し、公団に指示することになっております。それでこの基本計画に記載する事項は政令できめることになっておりますが、大体私どもが予定しております内容は、着工線、調査線の別、それから線路の名称、起点及び終点、それからその途中のおもな経過地、それから線路の規格、これは電化であるとかあるいは非電化の別、あるいは複線、単線、こういうような大きな問題について基本計画を定めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/93
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094・田中織之進
○田中(織)委員 私、これを伺うのは、急がなければなりません。公団が発足しても、その基本計画がきまらないと、公団の具体的な業務が開始されないという心配が起こるのではないかという点から聞いておるのですが、いま鉄監局長が述べられたような内容を政令に基づいてきめた場合には、公団が発足してもこの新線建設の業務はこの間中絶する、現場の仕事が切りかえのために一定期間、何ヵ月かということになろうと思いますけれども、ストップするというような心配は全然ございませんか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/94
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095・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 附則の第三項に規定がございまして、この基本計画に基づきまして公団のほうは工事の実施計画をきめまして、これは運輸大臣の認可が要るわけでございますが、認可のあるまでは第一項の規定によって公団が行なうこととなった業務は、運輸大臣の指示によって行なうものとするというふうに経過規定を設けまして、その間工事の中断することのないように配慮してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/95
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096・田中織之進
○田中(織)委員 そこで私が先ほどお伺いしました基本計画の問題策定については、別表の着工線、調査線には直接入るものと入らないものとが出てくるというようなことは、いまのところ考えていない、こういうふうに理解していいわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/96
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097・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 お尋ねの趣旨は、敷設法別表のうちから着工線あるいは調査線というものはきまってくるわけでございますが、その別表に入っていないものというお尋ねでございますね。これは取り上げられないことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/97
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098・田中織之進
○田中(織)委員 私の伺っているのは、着工線の中でも勢いやはりそれへの投ずる資金量とかいうようなものから見て、優劣というか順位というか、そういうようなものが現実には出てこないかどうか、あるいは調査線の中からその機会にこれはいろいろの関係から見て着工すべきだ、いろいろの工事費の関係その他工事の難易の点から見て、この点は調査線を繰り上げて着工線とすべきだというような関係の別表自体の変動というようなものがあり得るかどうかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/98
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099・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 まずあとのほうからお答えいたしますが、別表自体の検討ということは、これはもちろん鉄道建設審議会でお取り上げになれば可能でございます。それから基本計画あるいはこれを受けました実施計画で前段のお尋ねでございますが、調査線からあるいは着工線に繰り上げるという問題、あるいは着工線の中でもおのずから重点的にといいますか、軽重はあろうかと存じますが、そういった問題は基本計画等を定めます場合に建設審議会におはかりをいたしまして、建設審議会で十分御検討願って、その上できめることになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/99
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100・田中織之進
○田中(織)委員 その場合には、やはり運輸当局のほうから具体的な事務的な案を用意されて、包括的というか、そういうような形の諮問なりはかり方ではなしにやられるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/100
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101・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 建設審議会でおきめを願いますが、もちろん私どもは一応事務的な素案というものは用意して十分に御審議を願うつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/101
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102・田中織之進
○田中(織)委員 それではさらに伺いますが、これもたびたび触れている問題でありますけれども、念のために伺っておきたいと思うのです。国鉄法の三条にありまする鉄道新線建設の固有の権能といいますか、これは公団ができましても、法制的にはなくならない、こういうことになるわけですけれども、いわゆる基本計画に定めた関係のものは国鉄はやれないという形で、事実上それは公団に移るんだ、こういうことになるわけですね。それからまた東海道新幹線のような幹線関係のやつは、先ほどの石田総裁の御答弁で、むしろ国鉄自体がやるべきではないかという点もはっきりするわけでありますけれども、公団以外に新線建設をやる場合も起こり得ると私は思うのです。たとえば、京葉臨海鉄道のような形の民間と国鉄の出資による部分というようなものが今後も一応予想せられるのではないかと思いますが、臨海鉄道以外の関係で、この鉄道新線建設公団以外で新線建設をやられるという場合は、臨海線以外には考えられませんかどうか。その点は、なにか建設公団法の中にそういうような例外の場合を列挙主義で入れていくべきではないかという点も考えられるんですが、その点については検討されたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/102
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103・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 昨日も私いろいろ答弁申し上げましたが、能力としては国有鉄道にも新線建設の能力を残しているわけでございますが、実際問題としては二十二条で「基本計画において公団が鉄道施設を建設することとされた鉄道新線については、日本国有鉄道は、鉄道敷設法第一条の規定にかかわらず、その敷設を行なわない」という規定を設けまして、基本計画に定めたものにつきましては、国鉄はその間建設を行なわないということにしたわけでございます。この理由は昨日も申し上げましたが、かりに大部分の新線建設を終わって目的を達してしまったという場合には、かりに多少のものがありましても、国鉄に行なわせたほうがいいというような場合もありますので、能力的には一応国鉄に残しておく。ただ実際問題といたしましては、ただいま申し上げましたようなかっこうで、必要なものは全部基本計画にあげるつもりでございいますので、その間は国鉄は建設を行なわないのが実際だと思います。
それから、山陽新幹線に例をおとりになりましたが、これも私昨日申し上げましたように、これは山陽新幹線をどのような性格のものと理解するか、在来線の増強と申しますか、改良というふうに認識をすれば、これは国鉄が行なうべきである。かりに新線というふうに観念すれば、これは公団が行なうということになりまして、この辺は私どもまだ詰めてございません。
それから、いま臨海鉄道を例におとりになりましたが、公団以外の新線建設はやらさないのかということでございますが、これは一地方の目的のために建設されるものにつきましては、鉄道敷設法の二条で、それは例外的に地方鉄道が建設することができるというふうになっておりますので、この規定はそのままでございまして、別表のうちでローカル的なものがあれば、これはもし私鉄等で建設したいというものがあれば、従来どおり建設することになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/103
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104・田中織之進
○田中(織)委員 それは、いま言われた敷設法の規定から、たとえば民間の鉄道なり、あるいは民間と国鉄の合弁会社のような形でやらせる場合もあり得るわけなんですが、そういう場合に、公団法の中に限定した規定を入れる必要はありませんか。何か附則かなにかで、その場合は敷設法の第何条によるというような形のものを入れる必要はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/104
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105・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これは地方鉄道法の規定で私ども十分だと考えておりますので、特に規定を設けません。
それから、いま地方鉄道の場合に国鉄と地方鉄道とが一緒にやるということをおっしゃいましたが、これも国鉄がかりに出資いたしましても、これは地方鉄道でございますので、私ども地方鉄道として扱うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/105
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106・川野芳滿
○川野委員長 田中委員にお願いいたしますが、大蔵大臣は予算委員会に出席の関係もございますので、大蔵大臣に対する質問を先にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/106
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107・田中織之進
○田中(織)委員 それでは委員長の言われるとおりに大蔵大臣に対する質疑を行ないます。
昨年の通常国会で、同じ法案の審議での大蔵大臣と特にわが党の加藤委員、あるいはまた勝澤委員、久保委員などとの間で質疑応答がありますので、それを詳細に読ましていただきました。しかし、どうも発言が非常に多いのでありますが、問題の核心をうまく逃げている点もありますので、重ねて伺わなければならぬようなことになったわけでありますが、大蔵大臣は、昭和三十七年の鉄道建設審議会のこの建議をなされたときの小委員長として、この新線建設の問題には閣僚のうちでも特に熱意を持っておられることと確信をするのであります。公団がいよいよ今国会で成立する見通しになりましたが、答申案によりますと、十ヵ年で大体着工線、調査線を完成する。そのために五千億の資金を四つばかりの方式に従って調達したらどうかということも答申をされておるわけでありますけれども、どうもそれは添付資料にすぎないのでありまして、いよいよ公団が発足するについて、建設公団の資金計画が一体どうなるかということについての見通しがさっぱりついていないというような感じをいたします。まあ初年度三十八年度で、予定した十億が追加されましたから、結局政府で出資と財政投融資の関係で二十五億、国鉄で七十五億、百億で三十九年から発足することになったわけでありますが、そんなことでは、とても十年間に、予定線を除きまして、着工線、調査線の五十八線にいたしましても、完成するかどうか非常に心もとないので、私どもは委員会の名において運輸当局に、答申案の中には大体着工線、調査線で約三千キロ、それに対する資金総額が約三千億、こういうように大まかな数字が出ておりますので、青函と例の四国への海底線の問題を除きまして、いわゆる調査線十五線、着工線四十三線、その三千キロをせめて三千三百億ぐらいの資金計画で達成する年度割りを一ぺん出してみろということで、素案を出してもらったのです。これは、もちろん運輸省としてもきわめて事務的に出したもので、だいぶん出したがらなかったのですけれども、公団が発足するというのに、今後十ヵ年の大まかな資金の見通しもつかないことではどうなるかというようなことで、無理やりに出させたのであります。大蔵大臣として、今後引き続き財政当局を担任せられるならばなおさらのことだと思うのでありますが、この答申案を具体化していく上において、建設公団の今後十ヵ年の所要資金をどういうように見ており、それをどういうようにこれから達成していこうとお考えになっているか、この際お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/107
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108・田中角榮
○田中国務大臣 いま田中さんが言われました、運輸省がお出しになられた十年間の概算というものは、無理にお出しになったそうですから、まだ私たちは関知いたしておりません。しかし、私は、この機会に簡単に申し上げておきたいと思いますのは、鉄道建設公団の将来の資金計画というものは、いま策定をするということになれば、どうしてもやはり見込みによって大ざっぱなものしかできないと私は思います。しかし、前にも申し上げましたとおり、この法律案が通って公団が設立せられれば、ある時期に相当正確な五ヵ年計画、十ヵ年計画というものが策定せられて、そのせられたものに対しては、財源の方途も十分考えなければならぬときが必ずくる、こういう前提に立っておるのであります。御承知のとおり鉄道建設審議会の建議に基づきまして、予算折衝において認めたわけでございますが、なぜこんなものを認めたかということは、率直に言いまして、日本の明治初年から九十年にわたる経済成長を見てくると、戦前までは、鉄道の建設テンポと非常に合っておるのであります。その戦前で一体どのくらいやったかというと、戦前は年間千キロというような鉄道建設が行なわれてきたわけでありますが、戦後だんだんと小さくなって、百キロを割るような面も出てきたわけであります。ところが、ときあたかも昭和二十七年を契機にして、道路整備緊急措置の法律をこしらえまして、道路五ヵ年計画というものができたわけであります。道路五ヵ年計画ができ、その後港湾五ヵ年計画ができて、道路を主にし、港湾といのうもが第二になり、鉄道の計画に対しては、占領軍が命令をしたときのように、特別会計で、鉄道というものは全く自己資金でまかなうのが原則なんだと、独立採算ということを非常に強く要求せられておりますし、その反面、戦後の非常な混乱期に対処して九〇%、九五%の割り引きをしなければならないというような、相反するものを要求されている鉄道の中では、どうしても現在ある線路の維持補修だけで一ぱいで、新線建設というのは、もう建議が出るから、やむを得ず七十五億のワクで遅々としてやるんだ、それもなるべくやりたくないというようなことが続いてきましたので、一体経済計算をするとどういうことになるかということを大蔵省と検討したわけであります。そうしますと、道路は一級国道九千九百キロ、二級国道一万五千キロ、それから主要地方道が二万七、八千キロ分ぐらいですと、どうしても道路も鉄道も合わせてならなければいかぬということになります。これは日ノ影線の例をとってみますと、阿蘇を取り巻いた道路計画をやっていきますと、道路は無料公開の原則でありますから、つくってしまえば、あとの維持、修繕は国や地方公共団体でやればいいということで、比較計算がされませんけれども、日ノ影線が一番高い、キロ一億二千万円ないし二億五千万円かかったとしても、運賃は取れるのでありますから、道路と鉄道で計算してみると、少なくとも単線では鉄道のほうが有利であるということが、国の財政上考えられるわけであります。でありますから、こういう事態にあるにもかかわらず、鉄道の新線建設が遅々として行なわれないということは、国家財政の立場から見てもどうにもならないことであるし、しかも大都会に対する過度集中を排除して地方開発を行なうということになりますと、どうしても鉄道とあわせて考えなければならない。でありますから、所得倍増計画の中の鉄道五ヵ年計画というものを今度新しい立場で諮問したわけでありますが、所得倍増計画をやっていくときに、地域開発とか新産都市とか、産炭地振興とか離島振興とか、その後新しい法律がたくさん出ておりますので、昭和二十五年に制定した国土総合開発法というものをもとにしたその後の情勢に対処してやるときには、どうしても道路と鉄道と港湾というもので分けてやらなければ、これはとてもさばき切れない。こういう結論に達したので、現在の状態で、まあ一般会計から鉄道に入れ得るかというと、これは利子補給の道が、昭和四十年まで時限立法でありますけれども、これは新線七十五億に対する微々たるものであるし、とても国鉄でやるわけにいかぬ。ときあたかも鉄道の九分割案、三分割案というものも真剣に検討されておっだときでありますので、大蔵省としても思い切って新線建設公団に踏み切ったわけであります。でありますから、これから地域開発などが全部でき、人口、産業の再分布図が書かれるときに、初めて、道路は新五ヵ年計画というものが今度きまりましたが、これによってまかなわれるものと、内国航路によってまかなわれるものと、あわせて鉄道でもってまかなわなければならないものというのがおのずから出てくるわけであります。でありますから、新産都市とか地方開発とか僻地開発の法律も出ておりますので、これらの計画をいま経済企画庁でも立てておりますし、また所得倍増計画のうちの五ヵ年計画に対して、公共投資のあり方はどうあるべきかということの答申をまとめております。この答申の中には、鉄道新線建設公団でやらなければならない建設費の総額は十ヵ年間かくあるべし、こういうものがきっと出てくるだろうと思うのです。私たちはそういう意味で、これだけの法律を通すのだから、新しい制度をつくるんだから、ここで何とかして十ヵ年計画を出せといえば、あまり合理的なものが出ない。出ないから、無理に出さなければいかぬということになるので、議論として、お互いに将来のことを十分議論することは必要であるし、当然そうあるべきだと思いますが、鉄道新線建設公団の発足と日本国有鉄道と合わさないと、鉄道というものは将来うまくいかないんだということをお考えになっていただいて、十ヵ年計画をいま幾らにして確定して——確定すれば財政でもって幾ら出すかと、こうくるのでありますから、それよりも、新線建設公団の発足が先だ、こういうことでおるわけでありますから、去年十億、ことし二十億、こういうことで御議論なさらないで、そういうことは国会でひとつ将来大いに議論をしていただきたい、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/108
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109・田中織之進
○田中(織)委員 大蔵大臣は、私どもが無理やりに運輸省から出さした十ヵ年の資金需要額の試算表は大蔵大臣としては関知しない、こう言って、紋切り型にあいさつをして、あとは、元小委員長であったときのように、なかなか高邁な意見を吐かれるのでありますが、大臣がお見えにならない前に、経済企画庁の開発局長に出ていただきまして、大体所得倍増計画の当初のいわゆる行政投資の面でいま大臣も述べられましたが、道路四兆九千億から四兆一千億、それから港湾六千億から七千億ですか、国鉄二兆一千億という行政投資の大まかな数字を押えたということも、むしろ道路は最終的に四兆一千億ですか、新五ヵ年計画で今度の予算と同時にきまったようでありますが、それ自体もやはり所得倍増計画の中で、経済基盤という点から見れば、やはり道路、港湾、国鉄——特に港湾、国鉄という運輸省関係の部分がどうもいささかまま子扱いにされているんじゃないかという質問をいたしました。大臣がお答えになりましたと同じように、中期の、今後五年間の、あとの五年間の計画を策定するのにあたって、大体ことしの秋ごろまでにはそういう面の若干のひずみを是正したい、おそらく経済企画庁の計画でも、これは行政投資額にいたしましても、むしろ増額という方向に改定計画が出てくるだろうということを言われたわけですが、大臣がいま言われるように、公団をとにかく発足させて基本計画というものも立ってくるということになれば、やはり少なくとも今後十年間ぐらいの建設公団の十ヵ年計画なり、あるいは第一次五ヵ年計画なり、そういうものも資金計画の面で打ち立てるというのと時期的には大体同じころだと見ていいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/109
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110・田中角榮
○田中国務大臣 私はいま国鉄がお出しになった五千億という数字の内容は承知いたしておりませんけれども、鉄道新線建設の法律案があるわけでありますから、あなたも委員でありますが、ここでその建議をしながら、法律的にはやらなければならないと言っておりながら、やらないのです。これは財政上の理由ということで、非常に地方開発ということが阻害せられておったということになるわけでありますが、私はその当時、前の国鉄総裁も委員でありましたので、五千億に近い案を小委員長として提示を受けたことがあります。しかしそのときといまとは相当違うのです。なぜかといいますと、港湾五ヵ年計画も改定をしなければならない。今年度を起点として改定をいたしますと言ったが、道路は二兆一千億から四兆一千億になったのであります。でありますから、その当時の考え方から、国鉄だけの考え方で新線建設を進めるということには私はならないと思うのであります。ですから今度の四兆一千億になりましたのは、先ほど申し上げた九千九百キロの一級国道を一万二千キロないし一万三千キロにしようというんだし、二級国道一万五千キロ前後のものを二万キロ近くしょう、それから主要地方道を約二万七、八千キロやろう、こういうような考え方のようでありますから、こういうことでもって、いまこの内訳を一般公共で二兆二千億、それから有料でもって一兆一千億、それから地方単独で八千億、こういう案だと思うのでありますが、こういう案がこまかく路線別に分けられたとき、同時に新産都市建設法とか、それから御承知の首都や大阪の疎開法式なものがいま出ておりますから、こういう計画が出てきますと、いままで新線建設に対して建議を受けた順位と、それにプラスをしなければならぬのか、またその中に優先順位を立てなければならぬのかという問題を、私はこの法律案が通れば、この公団でも運輸省でも鉄道でも検討すると思いますし、公団が通った以上、大蔵省でも検討しなければなりませんし、ちょうど経済企画庁でいま所得倍増計画の五ヵ年計画中の公共投資というものに対しても諮問しておりますから、そこで議論をされれば、その中間投資の中には国鉄でもって負担すべきもの、また国鉄でやる新線、それから鉄道建設公団でもってやらなければならないもののおおよその案は出てくると思います。だからそう長いことではないし、またオリンピックに集中しておりましたから、オリンピックが終わって、また同時に新幹線六百億のワクがあくということになれば、私は、当然国有鉄道と新線建設公団というものをあわせて検討すれば、その時期には当然この五ヵ年計画ないし十ヵ年計画というものが出てくるという考え方であります。私が特に考えておりますのは、道路五ヵ年計画のうちの割り振りに対しても議論がいま国会でもあるようでありますが、しかし、五万キロないし六万キロという主要道路以上のものと一般府県道十万キロを道路で無料公開の原則でやる、有料道路であわせてやるというのと、鉄道でもってやるという場合の経済計算はいままでも出ているのであります。東京都内においても、地上の道路を拡幅するよりも地下鉄でキロ当たり四十億かけても地下鉄のほうが効率的だという議論がもうすでに出ているのでありますから、こういうことが、ことし一年間ぐらいの間には、もうわれわれだけの考えではなくて、日本人全体の考え方として当然出てくると思います。ですから私は、ある意味においては、経済的に考えれば鉄道新線建設公団の事業量というものは自動的に算出されるだろうとさえ考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/110
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111・田中織之進
○田中(織)委員 特に、公団が発足した場合に、二十条に基づいて具体的な年次計画を含めた基本計画を公団が持たなければなりませんので、それは当然建設審議会に諮問されます。そこで、いま大臣が言われた着工線の中でも、たとえば優先順位を考えなければならぬ。調査線の中からやはり着工線に繰り上げられるものも出てくる。私、委員に昨年からなっていますが、まだ委員会には一度も出ておりませんだけに、やはり建設審議会の新しい行き方を提唱したいと思う。端的に言えば、大蔵大臣もかつて小委員長までやられているのでありますけれども、多分に政治的な、極端なことばで言えば選挙目当てのローカル線というようなものもずいぶん入っている。もちろん地方格差の是正ということは特にやらなければならぬ問題ではありますけれども、そういう政治路線というようなものがあると、結局やはりそのときどきの財政需要の関係から押えられると思うのであります。公団が発足して、国の動脈としてのいわゆる鉄道網を整備強化するという観点に立てば、別表についても根本的に考えるべきではないか。しかしこれは審議会で述べる議論だろうと思いますから多くを申し上げませんが、それでは、いわゆる大臣の構想に基づいて公団を発足させるならば、所得倍増計画の中期の構想の練り直しの問題、あるいは全体としての港湾、道路、その他の経済基盤の拡充という観点から見て、なかなか難事業でありますけれども、早急に資金需要の問題についても見通しをつける、こういう言明だというふうに理解して、その点はもうこれ以上追及しません。
そこで、その場合の資金調達の問題でありますが、一般会計から全部というわけにはもちろんいかないと思う。財政投融資の面においてもおのずから限界があるわけでありますから、その場合に、この公団法によりますると、いわゆる公団債券の発行ということによる資金調達の方法も予定しているようだと思うのでありますが、その場合の公団債券というものが、いまの鉄道債券のように利用債なのか、一般に公募をするものなのか、これはさきの財政計画との関係ではなかなかいま言えないという点もあろうかと思うのですけれども、公団として、資金調達の方法としていよいよ債券発行というものを法律に規定した以上は、その公団債券の性格というものはこの際明確にしておきたいと思うのです。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/111
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112・田中角榮
○田中国務大臣 これは政府保証債という明文はございませんけれども、実際発行するということになれば政府保証債でやっていくというふうにしなければならぬと思います。しかも、これは個人的な意見ですが、鉄道の利用債というようなものに対しては、私はあまり賛成していないのです。これはやむを得ず鉄道がやっておられることですが、この新線建設公団というものが国家目的を達成するためにできた。しかし道路の何キロかの改修整備費まで入れたら、鉄道のほうがより安い。しかも道路は無料公開ですし、鉄道は運賃がとれるのであります。しかも日本は半分雪が降るところであるし、山岳地帯でありますから、経済計算を技術的にしますと、道路の何キロ以上は国でやらなければならないけれども、それ以上は鉄道のほうが地域開発のためには必要だということは出てくるのです。ですからそのきまり方によって、政府が一般会計でもってどれだけ負担すべきであるというか、これは明治から大正とずっと戦争までは国有鉄道といっても鉄道省だったのですから、一般会計からまかなってきたのです。そういうような長い歴史もありますし、新しい立場に立って新線というものはどういうようにして資金を調達すべきであるかということは、この鉄道建設公団の持つ事業の重要性からおのずから出てくる問題でありまして、現在申し上げられるのは、御審議を願っておる条文どおり、政府保証債の明文はないけれども、利用債というような狭義のものではなく、当然政府保証債として考えておりますということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/112
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113・田中織之進
○田中(織)委員 公団債を発行する場合は、いわゆる政府保証債として考えるという点は明確になりましたから、それはそれでよろしいのであります。
そこで、これも公団が発足してからの問題になりますが、でき上がった新線は、赤字線は当然無償で国鉄に貸与するということになると思うのです。大臣は先々国会で、これは有償が原則ではあるけれども、みすみす赤字だということを見せているものを有償というわけにはいかないという点を申されておるので、いわゆる着工線の大部分というものは赤字線が予想されておるというのが実情ではないかと思いますから、したがって実質的には赤字線は無償で国鉄に貸与するということになると思うのでありますが、その点は間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/113
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114・田中角榮
○田中国務大臣 もちろん公団でありますから、前に申し上げたとおり有償が原則でありますけれども、国有鉄道が建設できないものを他の大きな国家目的のために鉄道建設公団でもってつくろうということでありますから、政府が他の目的をもってつくったものを国有鉄道に経営せしめるという場合には、おのずからその分担というものはきまるわけであります。そういう基本的な考え方から言えば、その案件別に検討をしながら、根岸線のように当然もうかるというものを無償にするわけにはいきませんが、少なくともいまの新産業都市建設計画によりまして、また大都会への集中を排除するために新しい都市をつくるという法律によって、別な国家目的のためにある二点をつなぐ新線をやった場合に、当分の間赤字になるという場合には、当然こういうことはその事態に対処して無償の期間を幾らに切るというようなことにしていくわけであります。
さっきの問題でちょっと申し上げますが、政治的な考え、選挙運動的なにおいもあったと思うがというのですが、そういうことはございませんからひとつ申し上げておきたいと思います。これは絶えずどこからでもそういうことが出るのです。赤字の線をつくったら選挙運動だ、こういう考えにおびえて今日まで新線ができなかったのです。しかし道路といっても、このごろはだれでも道路がいいと言うのですけれども、キロ当たり五億も八億も十億もかかるという道路と、鉄道の単線でやると、一体どのほうが経済的かということを考えるときに、当然投資効率の多いものをとらなければならないわけですが、何か選挙運動というようなものにおびえておりますと、なかなかこういう新しい施策はできない。財政当局者がこんなことを言うのはおかしいので、どうも運輸大臣に申しわけないのですが、北海道の鉄道は全部赤字であります。しかし北海道から赤字の鉄道をとったら北海道に人は住みません。北海道を千万にしなければならないという大きな政治目的を持っておるときに、北海道の開発にはどうすべきかということを真剣に考えないと、東京でもっていまオリンピックの道路をつくっておりますが、千億の道路費をかけながら、八百五十億は一体何かと言ったら補償費です。こういうことが一体続けられるであろうかということはまじめに考えなければならない問題でありまして、明治初年の東京−大阪間の鉄道敷設のときには赤字でありました。でありますから、いまの三倍ないし四倍の料金を算定しなければならなかったのですが、それでもなお赤字だった。千百万になった東京でも、明治時代につくった省線の上を通っておるというところにこの過密ダイヤの問題がいま論じられておるわけでありますから、やはりわれわれも千年、万年とは言いませんが、五十年、百年の将来を考えて日本の国内均衡をはかり、不均衡を是正しようという観点から大蔵省でも認めたわけでありますから、財政当局者としては相当な踏み切りをして認めたのであって、大臣の政治的感覚、もちろん選挙運動的感覚ということは絶対にないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/114
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115・田中織之進
○田中(織)委員 私は大蔵大臣が選挙運動的な感覚でこの問題を考えておると申し上げたのではないのであります。私も鉄道建設審議会の委員でありますけれども、かっての審議会で、これは満場一致という制度をとってきておりますけれども、その議決の中にはやはり多分に政治線的なにおいのするものもあるから、ある意味からいえば、今後二十年も三十年もかからなければ完成しないというようなところに、毎年わずか千万円と言うたら語弊があるかもしれませんが、そのくらいのことで百年河清を待つような形の新線建設が進んできたということを申し上げたのであります。
そこで、この点も大臣は先々国会でケース・バイ・ケースできめると言っておりますが、有償であるか無償であるかという点は一線一線でやはり具体的におきめになるという点は間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/115
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116・田中角榮
○田中国務大臣 そうあるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/116
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117・田中織之進
○田中(織)委員 それから将来の問題ということになるわけですが、特にできたものを有償で国鉄に貸与するというような場合には当然問題になるわけでありますが、国鉄の運賃の問題ですね。やはり建設公団の新線建設の問題とも関連してくると思うのでありますが、国鉄運賃の将来の構想というようなこと、これは国鉄総裁もそばにおるが、これは手を触れても根本的にあまりにも公共負担が多過ぎるのじゃないかということを総裁も言われておるわけであります。その点については大蔵大臣として物価政策の元締めでもありますから考えなければならぬ問題だと思いますが、国鉄運賃のあり方というものについてこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/117
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118・田中角榮
○田中国務大臣 運賃に対しては二つの問題があります。一つは国鉄の運賃そのものは一体どうかという問題であります。もう一つは、新線を建設される場合に、赤字が非常に多いことを前提として建設をしたから、その路線に対しては特別の料金をとるという問題であります。私は国鉄の運賃は原則的には安い、こういう考え方を持っております。これは先ほど言いましたように、鉄道というものは、鉄道省の時代にあっても、明治初年から大正の歴史を読んでみれば非常に簡単に出るのは、いまの物価指数に換算すると確かに三倍、四倍という高い料金を取っておったのです。そういうことから今日の独立採算制ということを要求できるような国有鉄道というものができたのでしょうけれども、これが全部もうかるものであれば私鉄でもできるのでして、これはそうでなく、ある場合には九割、九割五分の社会保障的——政府が当然行なうべきものも運賃でもって割り引きせい、こういうことをやるために国有鉄道の制度があるわけでありますから、私はやはり、財政当局者としては金を出すことはもう困る、私の金を出すわけではない、国民の金を出すわけですから、出すことに対しては絶対に、という考え方もありますけれども、どうも国有鉄道の明治から大正、昭和にかけてのずっと投資の状況を見ますと、日本の経済の発展のわりには鉄道投資というものはある時期にストップしたのではないか、そのしわ寄せが現在の国鉄に寄っているのではないかという考え方はまじめに持っております。でありますから私は、国会の本会議の質問に対して、国鉄の機構、構成その他のあり方もまじめに検討しなければならぬとお答えしたら、そんなこと聞いてないというやじがあったので、あと続けないでやめたのですが、私はまじめに考えて、国有鉄道の持つ社会性、公共性——国家が国有鉄道として法律のもとにこれをやっておる。国有鉄道の財産は国のものだと法律に書いてあるのですから、そういうことでやっておる国有鉄道の状況を見るときに、運賃だけでやれるわけではない。また政府が公共料金ストップといえば、過密ダイヤをいまにもやめなければならぬ、やめなければ総裁がやめるというくらいにほんとうに困った状態にあるにかかわらず、独立採算制で、これが限度ですから、押えられておる。こういうことを考えますと、全部が全部運賃でまかなうことがいいというふうに、在来の財政当局の考え方をそのまま言う勇気は持ちませんけれども、まあやはり一部は利用者の負担ということが普通だと思います。そういう意味で、ある時期には、まじめな意味で、鉄道の国民に及ぼしている利益も考え、また影響も考えて、ひとついい値段でやるということは、これは起きると思います。これはいま物価政策をやっていますから、物価が下がるようになれば、これは運賃値上げをしないということになりますけれども——物価は安定的にしようというのですから。そうすると鉄道運賃はいつの日か修正をすべき、値上げというよりも再考をすべきであろうというふうには考えます。これはしかし、もう政府はいま公共料金ストップの閣議決定をしておりますから、運賃値上げを考えておるのだというようなことではなく、全く私のただ鉄道運賃に対する個人的感触といいますか、そういう意味で申し上げたのですから、御了解いただきたいと思います。
第二の、特別な路線を建設したために特別料金を取る。そこは、新産業都市などに対しては、別に地方税をまけろ、こう言っているものとは逆に、いまの利用債と同じ制度で受益者の当然負担ということで別立ての料金を取っておりますが、こういうことをしておれば、いつまでも地域格差は、拡大こそすれ、よくはならないので、鉄道会計というものは苦しいでありましょうが、国鉄、運輸省は、やはりつくった以上全国プールの運賃でいくべきだ。昔とにかく東京や大阪に一般会計投資でもってこれだけ網のような鉄道もつくったのですから、いま時代が変わったからといって、鉄道収入の中からつくる新線が特別料金であるということはどうもうなずけない。これは私は選挙運動で言っているのではない。まじめな立場で地方の格差をなくそうという考え方です。国鉄総裁は反対でしょうが、私はそのような考え方をとっている。重ねて申し上げますが、運賃値上げが必要であるということを申し上げたのではないのですから、これはひとつ御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/118
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119・田中織之進
○田中(織)委員 国鉄のいわゆる独立採算制というものを運賃収入にのみ求めるという機械的な考え方は私は問題だと思う。その意味で建設審議会の答申も、特に新線建設の関係を、これは公共投資として考えるべきだという原則を貫いてきておるのだと私は思うのであります。国鉄運賃全体のあり方については、大蔵大臣と同じように、われわれはやはり高い政治的な立場で考えるべき問題があるという点は私も同感でありますけれども、当面、政府は物価安定だと言っておりますが、安定の前に少なくとも物価の上昇を押えるという強力な手を打たなければならぬ時限に、運賃改定についての論議はふさわしくありませんので、私もこれ以上申しませんけれども、国鉄等の独立採算制を基礎にした特別会計は、今度国立大学なんかも特別会計に持っていっているけれども、私は国立病院のときの特別会計についても、当時大蔵委員でございましたけれども、国立病院などを独算制を基礎にした特別会計というような考え方そのものが間違いだという点を強調して、これには反対した立場でありまして、特にこういう非常に公共性の強い、また公共負担の非常に重いところに対してそういう単なる企業性からくるところの独立採算制を強要してもらいたくないという点は大蔵大臣と同じ意見なので、その点は申し上げておきます。
そこで大蔵大臣にもう一、二点伺いますけれども、採算のとれない赤字線は無償で国鉄へ貸与する、これはもちろん一定の期間を限るなり、そういうような条件は具体的にきめるということになるわけなのですけれども、大きく言って、公団が発足する場合に公団での新線建設についてのいわゆる建設費の償却という問題も大きな立場で考えなければならぬのじゃないか。もちろん無償の場合も多くあるということなのですけれども、有償がたてまえになっているということになれば、建設公団で建設したものを使用する側の国鉄でまさか建設費の償却をやらせるというような考えではないのでしょうね。その点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/119
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120・田中角榮
○田中国務大臣 それはもちろん有償を原則といたしますが、他の政策目的をもってつくられたもの等で当然赤字が予想せられるもの等に対しては無償という道を開いておるわけでありますから、これは言わずもがな、田中さんも十分御承知だと思いますが、現在の鉄道ではやれないものをやれないからといってそのままほうり出すということでは国のためにならぬということで、鉄道の補完的な意味、別に言えば明治初年に日本国有鉄道をつくったと同じような立場に立ってとの新線建設公団をいま設立しようとしておるのでありますから、何でもかでも鉄道の負担で、鉄道がもうかっておるということになれば国有鉄道が当然やるべきものを、新線建設公団で一時やったのだから、償却は国鉄でやってくれということを言い得るのですが、いまの国鉄の状況を見ますと、そんな甘い国鉄の状態じゃないわけでありまして、でありますから、こういう原則的な立場から考えまして、国鉄に新線建設の負担をいまより以上に与えようという思想に出るものではないということを明らかにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/120
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121・田中織之進
○田中(織)委員 これで私の大蔵大臣に対する質疑は終わりますが、先ほどもちょっと触れられました時限立法で、四十年までということになっている。国鉄へのいわゆる新線建設に対する利子補給ということで限定されておりますから、公団ができた場合には当然国鉄への利子補給というものはかりに四十年という時限立法がありましても三十九年からはなくなるというふうに理解すべきかと思うのでありますが、その点については大蔵大臣どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/121
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122・田中角榮
○田中国務大臣 国有鉄道に対しましては七十五億ないし百億程度のものに対しての予想をいま立てて利子補給をやっております。またこれは四十年までの時限法でありますから、この公団ができて新線をここで行なうという道が開かれれば、この法律は停止をする、もうなくなるというふうに理解していただきたいと思います。同時に、すなわち国鉄に出しておるものを今度公団がやるのだから、しかもそれよりもより大きくやらなければならないから、そのまま利子補給の道を公団に開くかという問題でありますが、公団にはいまの法律を見てもおわかりになるとおり、出資の制度があるわけであります。でありますから、現在の段階において利子補給を公団にしようというような考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/122
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123・田中織之進
○田中(織)委員 その点でありますが、先々国会の記録などを見ますと、特にわが党の勝澤委員からこの点については時限立法であってももちろん延長すべきだ、そういう意味でもちろん今後の新線建設の関係はとまりますけれども、新線建設の関係に投じた建設費の関係の償却が完全に行なわれていない間は、やはり国鉄へのそういう意味における利子補給というものは継続すべきではないかという点で、大蔵大臣と過ぐる通常国会でも議論をしておるわけです。その点はいま大臣が述べられたように、四十年ということで一年残っておりますけれども、もうそれは停止する、こういうお考えだというふうに理解すべきなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/123
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124・田中角榮
○田中国務大臣 これは新線建設公団が発足すれば四十年までは利子補給をやりますけれども、四十年でこの法律を延長する気持ちはありません。これは金額は九億くらいあるそうでありますが、国鉄が五千億、六千億をやがて一兆円も働いてもらわなければならないというところに、九億程度のものを——財政当局者としてはたいへんな金でございますけれども、そういうものよりも、この新線建設公団ができることを契機にして、国有鉄道の将来の財政はどうあるべきかという問題が検討されると思いますので、やはりこういう新制度ができたときにはちゃんと打ち切って、新しい視野に立って検討されるべきものであって、現在の状態において四十年以降、年間七十五億ないし百億くらいずつ出してきた過去の新線が大部分償却されないうちは、この制度を続けるというのは、この利子補給の制度自体の問題からいたしまして問題があると思いますので、いまの事態ではこの問題を延長継続する考えはありません。それよりも新線建設公団に対して財政上どうあるべきか、またそうした公団によってつくられたものの運用は国鉄によってやるのでありますし、無償の道も開いておるのでありますから、そういうものによって吸収して考えていくべきだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/124
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125・久保三郎
○久保委員 ちょっと関連して。——運輸大臣にお尋ねしますが、いまの大蔵大臣の御答弁は、先般の運輸大臣の答弁とはちょっと違うのでありますが、その点はどうなんです。利子補給については打ち切るというのがいまの大蔵大臣のお話でありましたが、先般私の質問に対して、前向きの姿勢で考えていかねばならぬだろう、そういうふうに努力します、こういうふうにあなたはおっしゃったわけですが、その辺はもちろんまだ何とも詰めてはいないでしょうが、そういう見解はずいぶん違うと思いますが、いかがですか。大蔵大臣がおっしゃるのは総体的にものを考えていこうということであります。そういうふうにとればもちろん私は何もここであなたに答弁を求める必要はないのでありますが、いわゆるこれから出資する部分についても、これはこの間の話では、利子補給を続けていくのである、こういうふうに質問に対してあなたはそのとおりに考えて何とか今後も努力したいという。いまの大蔵大臣の御答弁はいわゆる無償貸し付けその他全般的な中で考えていくというのが後半、前半の断言はもう利子補給は打ち切ります、こういうことなんですね。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/125
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126・綾部健太郎
○綾部国務大臣 私が申しましたのは、四十年まではこの時限立法の期限はやる、それから先についてはあらためて考慮するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/126
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127・久保三郎
○久保委員 私は四十年までの時限立法について申し上げたのではなくて、それを含めて出資金に対する問題はどうかということで御答弁を求めたら、あなたは実際はそういうふうに私の質問に対してそのままそっくりお答えになったのですよ。それが今のお話では、四十年までのものはこれはあなたはやっていきたい、そのあとはやめる。時限立法だから実際はそのままにしておけばそうですね。しかし今後を言えば、先ほど来大蔵大臣は、国鉄の中身についても、所管大臣でないにもかかわらず、十分御存じなので、そういう御存じの方でありますから、私から何も質問する必要は毛頭ありませんけれども、知っていれば知っているほど、七十五億というものに対する利子の問題は、これはやはり軽いものではないと私は思うのです。実際はそういう問題もひっくるめて、あとの譲渡の問題、それからいわゆる貸し付け料というか、そういう問題をひっくるめて解決するというなら、私は一応話としては聞けますが、利子補給はもうやめます、これではちょっと味がないのではないかと私は思うのです。国鉄の経理について御理解深い大蔵大臣でありますが、どうもその点少しシビアなように思いますが、大蔵大臣の御意見をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/127
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128・田中角榮
○田中国務大臣 これは先ほど申しましたように新しい制度ができますから、国有鉄道が七十五億程度の金をお出しになっても、いままでのように七十五億ずつ出してやるというのではなく、先ほど田中さんがおっしゃった五千億——五ヵ年間五千億といえば千億ずつでありますが、それまでいくか、もっと大きくなるかわからない話でありますが、とにかく国鉄がやっておった何がしかの仕事をやって、それは全部国鉄が経営するのであります。しかもその中に無償の制度さえも開いておるのでありますから、八億、九億というものに対しては時限立法でありますので、私の考えではこれでもって打ち切って、そして他にもうそれよりも多い出資も公団において行なっておるのでありますから、そういうものをひとつしさいに検討しながら、合理的な方法を見出すべきだと思います。そういう意味からいって、いまの利子補給の道は、国鉄にこれからも七十五億ずつ出しますという九億の利子補給をそのまま延長しますという考えにはなりませんということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/128
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129・久保三郎
○久保委員 大蔵大臣はもうけっこうですが、大蔵大臣の答弁されることは、よく記録でも読まぬと実際はわからぬですよ。前に言ったこととあとに言ったことと、実際はわからぬ。先ほどからの答弁を聞いておってそうです。半分はわかったが、半分はわからぬところにいってしまう。これはやはり大蔵大臣たる答弁でしような。しかしもちろん長いこと大蔵大臣はやっておられないでしょう、総理大臣になる可能性はあるが、そうだろうと思う。運輸大臣も同様である。そこで私が先般来も申し上げたように、やはり法律は法律としてきちんとしなければならぬということを再三申し上げているのです。新線の建設が決して政治路線などというやぼなことは言いません。しかしながら、こういう公団をつくれば新線が全部できるのだというふうな、いわゆるごまかしと言っては語弊があるが、そういう宣伝が行き渡っておるのが今日です。私のほうにも陳情が来ます。公団を早く通してくれ、通してくれと言うが、中身は全然知っちゃいない。一番大事な点は、たびたび申し上げるように、基本計画というものがしり抜けだということ、先ほど田中委員からの御質問で、鉄監局長がとうとうと答弁されておりますが、中身としては政令できめるのは何だといえば、着工線はどこで、名称は何で、起点、終点はどこだ、あるいは建設線はどうだ、こういうことでしょう。これは基本計画はもちろんそうですか、第一課でしょう。実際いうと、こういうものがほんとの基本ではないですね。先ほど国鉄総裁は国鉄五ヵ年計画というか、改良計画についていみじくも申されたが、しり抜けなんですね。これもしり抜けだ。なるほど運輸大臣の責任だけでやれるかもしれないが、中身はちっとも資金の全体の量もあげない、もちろんそれは経済の変動によって変わってまいりますけれども、しかしながら、ちっとも底上げをしていないのでありますから、これはひどいものです。実施計画というのは何かというと、基本計画に基づいて、たとえば日ノ影線の話が出ましたが、例にとれば、熊本のほうからことしは何キロつける、来年は何キロつけるとか、そういうのが実施計画でしょう。そういうものは法律のなかで論議する必要は毛頭ない。だから、この尻抜けのやつをどう解決していくか、私は聞きたいのです。利子補給の問題なんか小さな問題です。大臣、だいぶ時間が過ぎましたからあとで答弁してくださってけっこうですが、私の言いたいのは、基本計画というのは、今後十年間の策定をするのか、そしてその資金計画もおよそつけるのか、さっきの大蔵大臣ははっきり言うとつけるようなつけないような話ですよ。ちっとも責任を持った話はしておりませんよ。私はそういうふうに聞いておりました。たいへん責任を持ったような話をしようとし始まると、あとからくるっと変わって何もない。そういうことではこういう法案が通るはずはありません。関連ですから一応申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/129
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130・川野芳滿
○川野委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時半より再開することとし、休憩いたします。
午後一時四十二分休憩
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午後二時五十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/130
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131・川野芳滿
○川野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/131
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132・田中織之進
○田中(織)委員 あと二、三十分間、これもおさらいになるかと思いますけれども、残った問題を質問いたしたいと思います。
一つは災害復旧に関する問題でありますが、公団が建設しました新線建設について、災害等のためにいたんだ場合は、原則としてとれは当然公団がその復旧をやるべきだと思いますし、いままでの審議の過程では、そのように鉄監局長から答弁されておるようでございます。ところが、この関係は、特に公団が建設したものにいたしましても、国鉄で運営をしていくわけでございますので、災害復旧は、いずれにしても、きょう午前中にありました質問の関係等を見ましても、五十何両牽引していた貨車のうちで三分の一程度の脱線転覆の関係から見ましても、事故が発生してから優に半日以上一日近くも東海道線が全線にわたって麻痺状態が起こるというようなことになりますので、私が申し上げておる災害による事故というような問題は、ある意味でもっとそれより大規模なものになるのではないか。そういう関係から、災害復旧のタイミングの問題がやはり列車の運行の上に重大な関係を及ぼすと思うのです。それで国鉄自体としては、通常の保線、保守の問題につきましては、あるいはまた改良工事は、国鉄自体が持っておる技術陣で進めることなので、私はそれは保守の費用分担の点がむしろ明確でありさえすれば、必ずしも——公団が新線建設を行なっておる関係の現場の作業員を災害現場へ引っこ抜いてこなければならぬというような関係のものは時間もかかると思うのです。絶えず、いつ起こるかわからぬ災害のために備えて、災害復旧関係の要員を待機させておくという筋合いのものではないと思いますので、災害復旧のタイミングの点から見まするならば——この災害復旧の問題については、もちろん公団が建設したもので、それは有償、無償にかかわらず、国鉄に、人格の別なものに貸与しているという関係になるのですから、所有者が補修をやるのが当然だという考えはわかりますけれども、そこのところは私やはりタイミングの考え方で機宜の処置をとる必要も出てくるのではないか、こういうふうに考えます。この点は、同僚諸君も同じ観点から二、三回にわたって取り上げておりますけれども、重ねて国鉄及び運輸省の両方から、この場合に処する方針を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/132
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133・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。災害の復旧工事のやり方につきまして第十九条で規定しておりますが、この考え方は、国鉄が行ないます通常の鉄道施設の維持あるいは修繕、こういったものは別といたしまして、災害によって鉄道施設が破壊された場合には、その責任の分担というものを明確にいたしまして、これは建設公団がやる、通常の施設の維持あるいは修繕というものは、使っている国鉄側がやるという分担区分を明確にしているものでございます。したがいまして、ただいまお尋ねがございましたように、実際に復旧工事をだれがやるかということはおのずから別でございまして、いま御指摘がございましたように、公団のほうの職員は実は手もあまりございませんで、調査とか設計とかあるいは監督というような要員が公団の職員でございまして、国鉄が行なっております通常の保線区あるいは線路班、こういった前面に人がおりませんので、災害復旧をスムーズにやるという観点から、おそらく実際の場合は、費用は公団が負担して、実際は鉄道施設の維持、修繕等と関連いたしまして、国鉄のほうでやるというケースが多くなろうかと存じます。いずれにいたしましても、いまお尋ねの御趣旨のように、機を失せず復旧をやる必要がございますので、その辺はスムーズにやるように両者間の連絡を緊密にしてまいりたい。要するに第十九条の規定は、責任の所在を明確にし、経費の負担をはっきりしたという趣旨のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/133
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134・田中織之進
○田中(織)委員 その点、山田常務理事が見えておりますが、国鉄のほうもそういうことでそういう場合には対処できるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/134
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135・山田明吉
○山田説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/135
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136・田中織之進
○田中(織)委員 その点はそういうことで、責任の分担、したがって費用の負担の所在を明確にするということで、ぜひとも災害復旧の早急にできる体勢をさらに考えてもらいたいと思います。
それから次に、建設公団が行ないます新線建設に付帯する業務、これはそれぞれ法律の中に付帯業務の内容が列挙されておるわけでございますが、これは実際は現在の国鉄がやっておる本来の業務に属する部分でございまするので、そういう付帯業務ということになっておりまするけれども、いわば鉄道に付帯する施設の建設を建設公団が担当するというふうに理解していいのだ、鉄監局長の答弁もそのようになっておると思うので、したがって、そういう付帯施設の運営の仕事は、でき上がった新線も、すべて国鉄に譲渡または貸与することによって、国鉄が一貫的に運営するのでありますから、その付帯施設の運営というか、経営というか、それは勢い全部国鉄に一元化するものだというふうに理解すべきか、またそうでなければ、建設公団としてはいささか任務を逸脱するのではないかと考えるのですが、私の理解でいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/136
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137・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 前の国会でも御答弁申し上げましたが、これもまた十九条の第一項の四号に「前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。」となっておりまして、ここで予想しておりますのは、あくまで一号から二号、三号を受けまして、この業務に付帯するということでございます。例をあげれば鉄道建設、それからでき上がった鉄道施設を国鉄に貸し付けあるいは譲渡、それから災害復旧、こういったものを受けまして、これに関する調査研究あるいは教習所、病院等の経営あるいは鉄道の建設に伴う砂利採取事業といったようなものについて、あくまで第一号から三号までに付帯したきわめて限定したものを考えておるわけであります。
その次のお尋ねは、第二項の第一号でございます。これもこの前の国会でも御論議がございましたが、要するに「当該鉄道施設の建設に伴って公団が取得した土地に建設し、及び管理すること。」となっておりまして、これは例示を申し上げますれば、公団がたとえば高架の鉄道施設を建設する等の場合に、一体として建設することが適当であると認められる施設、たとえば事務所とか倉庫とか店舗あるいは駐車場、車庫、小規模工場といったものを管理するということでありまして、これはあくまで管理でございまして、みずから経営するということは考えていないわけでございます。この前と同じことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/137
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138・田中織之進
○田中(織)委員 管理の問題等になりますと、若干国鉄の行ないまする業務との関連が出てまいりまするので、もちろん国鉄とは無縁の存在ではございませんから、十分その間の緊密な連絡がとれることだと思うのでありますが、ともすれば、そういう意味で、これが付帯業務の関係から見て、第二国鉄になったのでは——第二国鉄なら第二国鉄で地域的な関係から考えればいいので、この公団のアイデアから言えば、全く異質なものですから、その点は業務の競合というようなことが起こらないように十分戒心をしてもらいたいと思うのでございます。
それから次に、これはいわゆる営業性といいますか、採算の問題に関連して泊谷委員から二回にわたって質問をされたのでありますが、端的にはお答えにならなかった。それは先ほど大蔵大臣も言いましたけれども、北海道の鉄道はすべて赤字だ、しかし北海道はやはり一千万の人口ということに急速に持っていくためには、いわば公共性という点から見て、あそこに何千キロの鉄道が敷設される、敷設法の別表を見ましても、今後北海道の新線建設、着工線も相当あるわけであります。そこで泊谷君が、特にその意味で北海道の国鉄が主として使っておる石炭の購入代金の問題について、国鉄が買い上げておる炭価というもの、これはいわば石炭業界との関係で、あまり公共性というようなものは考慮されないで、いわゆる石炭産業の立っていくということを前提にして、石炭産業に対する政策転換闘争と炭労の首切り問題に関連して、一昨年でありましたか、議論になりましたときにも、やはり国鉄用炭の買い上げと自然増、そういうようなものを相当見込んできているわけであります。一方、そういうように国鉄の必要な燃料である石炭については、石炭産業本来の立場から見て、炭価というものがきめられておる。そこに私が大蔵大臣も触れた運賃問題の再検討の問題等も含みますけれども、いま申し上げましたように、公共性の点から運賃がきめられていくという点から見れば、いかにそういう意味でハンディキャップがあるかという点を現地で二十何年取り組んできた立場から泊谷君が御質問申し上げた。全般的に言って国鉄が買い上げておる石炭の炭価というものが、他産業が国鉄に並んで大きく使っているのは電力用炭だと思いますが、電力用炭などとの比較において炭価の問題が一体どうなっておるか、その点から見た国鉄自体の企業性というか、営業性を強調していくということになれば、勢い国鉄が使う炭価は、これは二重炭価というようなことも、徹底すれば考えてもらわなければならぬことになろうかと思います。公団の問題とはちょっと離れたかっこうになりますけれども、やはり国鉄の採算性、営業性という点から見れば、私は深い関係を持つ問題だと思うのであります。その点は国鉄当局からお答え願うほうが適当かもしれませんけれども、現在国鉄が買い上げておる石炭の価格の問題は、他産業の使用しておるものに比べてどんな関係にありますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/138
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139・山田明吉
○山田説明員 先日の泊谷先生の御質問、大体私当時の記憶が間違っておるかもわかりませんが、北海道で一般の産業が買い上げる際に政府からその代金の補助があるような御発言でございまして、国鉄はどうかということで私は御答弁いたしませんでしたが、私の記憶では、一般の産業が石炭の購入の際に政府から補助を受けているということは、そのままの意味ではないのじゃないかと承知しておるわけでございます。したがいまして、国鉄が年間粉炭を合わせまして大体四百五十万トンくらい、金額で二百億円程度の石炭を購入しておりますが、これは御承知のように、カロリーで、用途によりましていろいろの種類の石炭を買っておりまして、同じようなカロリーの炭を使っております一般産業で買っておる値段にカロリー計算で引き直しまして、ほかの一般産業が買っておる値段と大体同じ値段を交渉の最初の値段といたしまして、あとはネゴシエーションで石炭業界に値引きをさせて買っている実情でございます。したがって、泊谷先生が御指摘になったことばのとおりの政府からの購入に際しての補助というようなものは、現在もございませんし、従来もそういう意味ではございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/139
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140・田中織之進
○田中(織)委員 私も、いま申し上げている点は、いま山田常務理事のお答えで、他の産業よりむしろ低いくらいで国鉄は買い入れているということであれば、それ以上問題がないわけではございませんけれども、まあまあだと思うのであります。しかし、それにいたしましても、国鉄はかなり多量の石炭のいわば需要家なのですから、そういう点で、この炭価というものが国鉄のいわゆる輸送原価にどういうように響くかということも検討してまいらなければなりませんし、私はその点から見れば、電力用の石炭の炭価のほうが国鉄なんかよりもはるかに安いのじゃないかというふうにも聞いている。これはもちろんカロリーに直して厳密に計算してみなければなりませんけれども、そういう意味で、まあ言うてみれば、民間の電力会社はそういう意味で徹底的にやはり採算の点からやりますけれども、国鉄というような企業は、どっちかといえば、そういうことを言われれば国鉄の理事者諸君を侮辱したことになるかもしれませんけれども、親方日の丸の殿様企業だというような考え方から、石炭もかなり高いものを買うておるというようなことで、石炭はつつ一ぱいの値段で買わされて、運賃の面では公共性から押えられるというようなことになれば、国鉄の独算制というものはいつまでたっても実が上がらないのじゃないか、こういう意味で泊谷君が申し上げたのではないかと思うのでありますが、今後これは公団とは直接関係はございませんけれども、国鉄経営の問題としては、石炭産業に関する問題は、政府として重要なエネルギー源でありますから、政府が別途処置を講ずべきであって、一方、国鉄は国鉄で、経済界全般に大きな影響を持つところの一つの産業でありますから、そういう立場で、やはり国鉄が買う炭価についてもそういう配慮がほしいという意味合いで申し上げておるのでございます。
もう一点は、過日根岸線の問題に関連をいたしまして、たとえば現在六十一億ばかり建設費がかかっておりますが、そのうちの五十億程度の債務額を控除した部分は現物出資になるということをおっしゃられたわけでありますが、これはもちろん国鉄から毎年今後十年間という、試算表では一応の計画になっておるわけでありますけれども、いわゆる七十五億の出資ともちろん別個でしょうが、そういうような関係のものは、引き継ぎの時点で、根岸線なんかのような形で、間もなく開通するというような関係のものの場合にははっきりしてくると思うのでありますが、それ以外に、公団ができましたとたんに、国鉄がやっておる新線関係の一切の施設というか、そういうようなものも引き継ぐことになると思うのでありますが、そういう現物出資の額というものは大体全部で幾らになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/140
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141・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 ただいま根岸線を例にあげて御質問がございましたが、そのほかにも従来国鉄が手がけてまいりました建設線関係で、公団が成立いたします日までに営業しないもの、こういった資産をあげて公団に国鉄が現物出資することになっておりますが、ごく概算で申し上げますと、建設仮勘定の資産が約二百億円、工務施設が約八億円、貯蔵品が約一億円で、合計で国鉄の現物出資の額というものは二百九億円程度になるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/141
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142・田中織之進
○田中(織)委員 最後に、国鉄から引き継がれますところの現在国鉄の施設関係におられる職員の待遇の問題でありますが、これも昨年の通常国会で特に加藤勘十先輩などから詳しく質問をいたしておるのであります。もちろん国鉄へ本人の希望によって戻る場合の保留の問題もございますし、それから、たとえば勤続年限の通算の問題その他のことも不利にならないような配慮が一応なされておるということになるわけであります。ところが、一応つとめる現場はそれぞれ新線の建設の現場からそう変わるわけではないと思うのでありますが、国鉄から公団へということで、新しく所属が変更になるわけでございまするので、その点は長く住みなれたものから新しいところに移るというような、気分的な変化もあると思いますけれども、全般的に待遇の問題は、現在の国鉄よりも若干よくなるという程度のお答えなんですけれども、その点についてはまだ基本的にどの程度引き上げられるか。また、その点はその要員でそれぞれの現場におる大体七百名から八百名内外というふうに聞いておりますけれども、どうしても国鉄の施設に残りたいというような関係の場合には、本人の希望というものはいれられるものかどうか、そういうような点についてお伺いして私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/142
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143・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 現在国鉄の工事経費の関係の職員が全体で一万一千七百十九人おりまして、そのうちで私どもが公団に移行するであろうと考えております職員が七百九十三名でございます。この国鉄から公団に移行します職員につきましては、もちろん身分が変わるわけでございますから、国鉄といたしましては、本人の意向等を十分尊重して処理をする予定にしております。なお、公団に移行しました場合、できるだけ公団と国鉄の間の出入りが自由になるようにということは考えておりまして、これは仕事の性格から申しまして、公団に参りましてまた国鉄に帰る場合がございます。退職年金の通算措置、これは附則の八条でございますが、あるいは国家公務員または国鉄職員が公団に転出する場合、また公団から復帰した場合の退職手当の期間の計算等十分配慮いたしまして、スムーズに公団に行ったりあるいは公団から国鉄に帰ってくることができるようにという措置を講じておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/143
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144・田中織之進
○田中(織)委員 もうこれを最後に終わりますが、先ほど来ずっと御質問申し上げたように、今後とも、公団が発足しました場合に、やはり国鉄との間の協議をしなければならぬ事項が多々あると思うのでありますが、そういう関係の事項の常時連絡機関というか、そういう協議のためのものは、たとえば特別のセクションを考えておられるのか。もちろん新しい公団の役員構成にも国鉄からも出られると思うのでありますけれども、そういう元国鉄におったという人的なつながりだけの問題で解決できないで、別個の法人になるわけでありますから、その意味から見れば、国鉄とこの公団との間の協議のためには、何らか別個の機関、セクションを考えるべきではないかと考えるのでありますが、公団の機構の上でそういう点について何か配慮している点があればお伺いして、私の質問をこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/144
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145・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 この法律案の中にも、重要な事項につきましては公団と国鉄の間の緊密な連絡を保てるような条文が各所にございます。それからまた、一番もとになります建設審議会にも、国鉄総裁のほかに公団の総裁も加えるということで、事実上あらゆる点が緊密にまいるように考えております。特別な組織というお尋ねでございますが、これは各種公団を置いた場合に大体同様な組織をとりますが、運輸省といたしましては公団を管理するセクションを設けます。その辺で十分に運輸省としては緊密にやってまいるつもりでございます。あるいは国鉄においても、何か特別の考えを持っておられるかもしれませんが、これは山田理事から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/145
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146・山田明吉
○山田説明員 国鉄といたしましては、まず第一に公団が発足するときの種々の打ち合わせがございますが、これは部内で、正式な形ではございませんが、関係者集まりまして委員会をつくりまして、運輸省と緊密に連絡をとっております。
それから公団が発足したあとは、法律にもございますように、仕事の関係では、公団から協議を受けたりあるいは報告を受けるように、法律上も明文をもって規定してございますし、それ以外には、いわば兄弟のような関係になる公団でございますので、その点は万遺憾なく連絡はとってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/146
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147・田中織之進
○田中(織)委員 終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/147
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148・川野芳滿
○川野委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/148
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149・川野芳滿
○川野委員長 速記を始めて。
それでは暫時休憩いたします。
午後三時二十八分休憩
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午後三時四十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/149
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150・川野芳滿
○川野委員長 再開いたします。
日本鉄道建設公団法案及び久保三郎君外八名提出の鉄道新線建設緊急措置法案の両案を一括議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。内海清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/150
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151・内海清
○内海(清)委員 この日本鉄道建設公団法案につきましては、御承知のようにすでに四十三国会でいろいろ論議されまして、そうして衆議院は通過いたしたわけでございます。ところが参議院段階でこれが流れまして、再び本国会に上程されておるものでございます。ところが四十三国会におきましては、結局、いろいろ問題ございましたけれども、最終的にこれを通過させたということでございまして、その内容につきまして十分納得のいくだけの論議がされていない、こういうふうなうらみがあったのでございまして、そういう点でついに私も質疑打ち切りの動議のために質疑を行なうことができなかったという段階であったのでございます。再びここに上程されたのでありますが、私の見ますところによりますならば、法案そのものは、原案そのものは前のとおりだ、何ら変わっていない。前四十三国会におきまするいろんな質疑の内容というものについて、その後検討されたあとがうかがえないのであります。この点についてはどういうふうなお考えで今日これを再び出されたか、その点につきましての大臣の御所見をひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/151
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152・綾部健太郎
○綾部国務大臣 私どもは、この前の国会に出した法案が何ら変更する理由がなくて、それが、毎々申しますように、日本の経済の地方格差是正その他経済発展のために必要であると考えまして、もとのままで出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/152
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153・内海清
○内海(清)委員 なるほど、私は四十三国会で討論いたしましたときに申し上げましたように、確かにいままでのままで国鉄で新線建設を行なうということについては、国鉄の性格上この公共性と企業性というものが存在しておるために、国鉄の現状から公共性を十分に考える余裕がない。したがいまして、この矛盾を解決する意味において公団法が出された、このことはわかるわけであります。わかるわけでございますけれども、しからばその法案そのものの内容について十分納得いく線が出なかった。そのことは今回の、先般からの委員会におきまして各委員からいろいろ質疑をなされております点から考えましてもうなづけるわけでございます。したがって、四十三国会でいろいろ論議されたけれども、それはただ聞きおく程度であって、この法案については何ら考慮する必要はない、こういうお考えかどうか、その点をひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/153
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154・綾部健太郎
○綾部国務大臣 先ほど申しましたように、この法案で、四十二国会に提出したままで、現時点におきましては私は一番いい案だと考えて出しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/154
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155・内海清
○内海(清)委員 大臣がそういうふうにお考えになっておれば、これはもちろんやむを得ぬわけでありますが、しからばもう一歩進めまして、法案そのもの、原案は前のままであるけれども、これがいろいろ取り扱いにつきまして、あるいは政令、省令等で何かお考えになったものがあるかどうか、この点ひとつお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/155
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156・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 基本的考え方につきましては、ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、省令その他の手続き的な段階ではいまいろいろ準備をしておりますので、この委員会でいろいろ御議論のありました点はなるべく反映をさせたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/156
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157・内海清
○内海(清)委員 そういうふうなものを現実にお考えになっておれば、今回の委員会におきましても、先般来の質問でそういうふうなことが答弁されますならば、もっと私は納得のいく線が出るのじゃないかというふうな気がいたします。そういうものを御研究になってお考えになっておれば、もし具体的なものがあれば、ひとつお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/157
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158・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 いまお答えしたとおりでございまして、重要な問題につきましては大臣のお答えしたとおりでございますが、省令等の段階になりますと手続的なものがきわめて多いわけでございまして、そういったものは、なるべく今後政府部内におきまして、何といいますか、りっぱなものをつくってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/158
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159・内海清
○内海(清)委員 基本的な考え方については大臣の言われたとおりだ。さらに省令等にわたりましては、今日までの質疑を十分考えてこれからやるということであります。四十三国会でも論議されたことが今度も十分論議されておるわけです。したがって、四十三国会から今日までの間にはまだ具体的なものは考えてない、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/159
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160・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 重ねて申し上げますが、省令の内容等につきましては、この法案が通る見込みが立ちまして——いま部内的には検討しておりますが、正式には、この法案が通過した場合に、関係方面と十分連絡をとってやってまいりたい。まだいま省内の事務的な準備をしている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/160
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161・内海清
○内海(清)委員 いま準備段階ということで、それは発表の限りでないということのようでございますが、この点は私は、こういうふうなものについてはいま具体的にこういうふうに検討しつつあるという、そういう過程においても誠意を示されるならば、より審議はスムーズにいったであろうということを考えるわけでございます。しかしそれがまだこれから種々連絡をとってやるということであります。これはやむを得ぬと思います。しかし四十三国会から今日まで相当の期間があるので、この間にそういうふうな問題についていろいろ研究されておることは私は事実だと思うのです。これが発表の段階でないということになればそれまででありますけれども、さような点につきましては、少なくとも原案を出されますならば、もう少しそういう点についての御答弁が私はあってしかるべきじゃなかろうかというふうに考えるのであります。今日までのいろいろな論議を聞きましても、前国会の場合と比べて何ら進展がなかったように実は私は承っておるのであります。その点はたいへん私遺憾に存ずるわけでございます。
それでは次に移りたいと思いますが、大体この法案の中で私どもが十分考えなければならぬ問題は、このいわゆる基本計画なるものでございます。これも、二十条によりますならば、公団が設立されてこれをやろうということで、いまは何もないということなのであります。これらの点について、もっと基本的なものについてもある程度の考えを示されるならば、今回のこの審議にあたって、もっと各質問者が了解される点が多かったと思うのであります。ところが、これにつきまして私が考えますのは、社会党の案につきましては、御承知のとおりに十ヵ年の計画というものが定められておる。この点を私はひとつこの法案審議にあたりまして承っておきたいと思うのでありまするが、社会党の先生から、ひとつその点についての御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/161
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162・久保三郎
○久保議員 内海委員からのお尋ねでありますが、いわゆる鉄道新線建設の基本的なポイントである基本計画でありますが、御案内のとおり、政府提案は、先ほど来審議もありましたように、単なる基本計画でありまして、それには何らのめどというか、そういうものは示されておらないわけであります。われわれのほうは、この提案理由の説明の際にも申し上げたように、現在少なくとも、先般運輸省から資料として提出されたように、約三千三百億程度実はあるわけであります。これをいままでのような建設方式では、残念ながら、前文句は地域格差、あるいは経済の伸展、これに見合った新線建設といいながらも、やはりこれではどうもめどが立たぬというところが一つの問題点であろう。そこで私のほうは、ただいまお尋ねのあるように、十ヵ年計画ということで基本計画を確定しよう。しかも政府案では、基本計画は単に運輸大臣がこれをきめるわけであります。建設審議会に諮問をいたしましてきめるわけでありますが、われわれのほうは、もちろん基本計画の手続としまして、国鉄総裁がこの計画を立て、案を策定する、これを運輸大臣が受け取って、関係大臣である経済企画庁長官あるいは大蔵大臣と協議の上、閣議でこれを決定するということで、いうならばこれと大体同じような長期計画については、御承知のように道路整備計画あるいは港湾整備計画がそのとおりになっています。ここで初めていわゆる新線建設に対して政府自体が責任を負うという明確な線を出そうというところが一番大事な点であります。繰り返して申し上げますが、政府提案は、運輸大臣がこれを建設審議会に諮問してきめるというだけであります。私のほうは、最終的には、御案内のとおり、先ほど申し上げたように、これは政府の責任で閣議決定事項にするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/162
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163・内海清
○内海(清)委員 今度のこの法案につきましても、私はいわゆるこの基本計画というものが今後新線建設をするということにおける最も大事な点だと思う。その点について、いまの社会党案は、いま提案者のお話にあったものでありますが、この社会党案に対しまして、運輸省方面ではどうこれをごらんになっておるか、その点をひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/163
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164・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 今回御審議を願っております法案は、御承知のように一昨年の鉄道建設審議会の結論を受けておるわけでございます。鉄道建設審議会の考え方は、やはり長期的な見通しというものを立ててということでございまして、私どもいろいろ政府部内において検討いたしましたが、けさの、午前中の大蔵大臣等の御答弁でも明らかなように、現在の段階では、まず公団をつくりまして、責任体制を明確にして建設線の仕事をやっていこうということであります。
なお、運輸省のほうで省内の素案として一応の長期的な見通しは提出したわけでございます。そうしたものにつきましては、今後政府部内におきまして検討いたしまして、経済企画庁のお話もございましたように、交通政策全般あるいは国鉄の今後の長期計画とも関連いたしまして、所得倍増のアフターケアの作業とも関連いたしますが、なるべく早い機会に一応の長期的な見通しというものを立ててまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/164
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165・内海清
○内海(清)委員 運輸省案は鉄道建設審議会の建議の考え方そのままということでございます。ところが社会党の案におきましては、これはやはり閣議決定を経てこれをやっていくという、きわめて基本計画としては根のあるもののように私は考えるのであります。これらの点につきましてどうお考えになりますか、もう一度お聞かせを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/165
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166・久保三郎
○久保議員 ただいまのお尋ねは、いわゆる一昨年の鉄道建設審議会の建議に合っているかどうか、運輸省提案というか、政府提案は大体それに近いものではなかろうかというふうな御意見のように聞いたのでありますが、大体政府提案は忠実に鉄道建設審議会の建議を受け取っていないのです。御案内のとおり建設審議会の建議は、骨子は二つであります。一つは先ほど来お話しになっておりますように、新線建設をはばんだのは何かというと、これはいままでの国鉄自前で独算制の中で建設資金を出していくことについては疑問がある。言うならば道路、港湾と同じように——鉄道新線建設そのものは少なくとも公共事業である、だから公共事業の一つとして新線建設はやれ、そのために主たる財源はいわゆる公共企業として政府が負うべきである、というのが鉄道建設審議会の大きな建議の柱であります。
もう一つは御承知のように建設の組織というか機関、これには三つ並べてございます。このいずれをとるかはもちろん政府の自由裁量にまかせたようなかっこうになっていますが、一つは従来どおりの、いまのままの姿でやるか、あるいは国鉄の中に特別会計を置いてやるか、もう一つはこの提案になったような公団方式ということでございます。でありますから、公団方式という、その建設の担当者はこれは付随的なものでありまして、いままで新線建設が遅々として進まぬのは、何といってもこの新線に対する扱い方がきまっておらなかった。かたがた国鉄は御承知のように昭和二十四年以来性格を変えまして、公共企業体になったというギャップがあったからこそ、新線建設が意のごとくならなかったという一つの理屈がございます。そういうものを整理していくことが、ほんとうのまじめな新線建設の態度である。言うならば政府提案のほうは四十三国会から引き続きもう二年間提案しておりますが、先ほど来内海委員が御指摘のように、何らの反省も何らの検討もしておらないのが事実であります。かかることは政治的にも、いかなる政党政治ができましても、これは民主政治の名に反すべきものだと私は思っております。何がゆえに四十三国会で半年間かかって通らなかったかという反省がないのであります。同じものを出してきて同じ答弁をしておる。これでは政治の進展ではなかろうと思う。ぜひ私たちのほうの案についても、与党の皆さんからも真撃な御質問をいただいて、言うならば新線建設については意見は一致したようでありますから、この際われわれが提案いたしましたところの新線建設の特別法に御協賛いただきたい、かように考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/166
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167・内海清
○内海(清)委員 いま久保議員から御答弁がありましたように、建設審議会はもちろん三つの案を出したわけであります。ところが運輸当局におきましては公団をつくるという一つの方法に踏み切ったということであり、社会党はこれに対しまして、現在の姿で、もっと国鉄が公共性を追求できるような形にいこう、こういうことだと思うのであります。そこでさっきの私の質問は意味が通らなかったかもしれませんが、運輸当局にお尋ねしたいのは、なぜこの公団方式をとったか。社会党案に対して、それはどこに非常なすぐれた点があったか、こういう点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/167
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168・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。三十七年五月三十一日の建設審議会の建議は、三点から成っております。第一が新線建設の規模、それから第二点が新線建設の財源、第三点が新線建設の施工方式、この三つから成っておりまして、第一点は、十ヵ年で大体五千億程度が適当であろうということでございます。それから第二点が、財源としては公共投資的な考え方を入れて、国鉄と政府が金を出し、地方公共団体も一部負担する。第三点は、施工方式としては、国有鉄道とは別個の方式で、たとえば鉄道建設公団のごときものをもって対処することを適当と認めるというのが本文でございまして、付属資料のほうに、施工方式としては、政府の直轄工事、国鉄の工事、公団工事という三つがございます。本文のほうではさらに明確に、別個の組織で公団ということをうたっておりますので、私どもはこの三つをなるべく忠実に現在の段階でできるように、政府部内でいろいろ議論を重ねました結果、お手元にあるようなかっこうで提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/168
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169・内海清
○内海(清)委員 この点は、それぞれ案を出された面におきまして、それぞれ主張があるだろうと思います。これは今後の新線建設がより進むにはどういうふうに考えたらいいか、しかも今日の国鉄の状況から考えて、はたして国鉄にやる能力がないのか、けさの総裁の答弁を聞きますと、国鉄としては自分の領域を侵された、しかしこれは今日まで国鉄が足らなかったのでやむを得ない、こういうお話があったと思います。そうすれば、その真意を見ますと、国鉄も公団ができるのと同様に、政府資金が十分出されていくならば、国鉄もやり得るであろう、むしろ国鉄は、けさの話から考えまするならば、そのほうが好ましいのではないかというふうな考え方であります。しかし、すでにこういうふうにきめられて出されたからやむを得ないというふうな答弁であります。この点につきましては、いま総裁はおられませんけれども、国鉄当局は、もしいままでのままで十分公共性を追求するだけの新線建設に対する資金的なものが裏づけられるならば、国鉄でも十分やり得る、こういうふうなお考えかどうか、国鉄当局にお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/169
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170・山田明吉
○山田説明員 ただいまの御質問に対する御答弁は、午前中総裁が申し上げたところに尽きるわけでございますが、国鉄が行なっておりました新線建設につきまして、いろいろないきさつもございましたし、いろいろな歴史もございまして今日に至ったわけでございますが、その遅々として進まなかった理由に、資金不足という点も確かに一つの要素としてございました。現在こういう法案が提出されている段階から考えますと、さらにより高次な立場でものごとを考えて出されておる段階でございますので、国鉄としては、こういう新たな事態に対処して今後考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/170
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171・内海清
○内海(清)委員 山田常務理事のいまのお話は、非常に謙虚な立場だと思うのであります。けさの総裁のお話は、私は、さっき私が言うたように受け取ったのでありますが、非常に遠慮しての御発言だと思うのであります。まあこれは一応その程度にしておきたいと思いまするが、いずれにいたしましても、この点につきましては私ども、新線を建設するということ、これは産業の基盤を強化し、地域格差をなくする、そのために新線を建設しなければならぬということについてはだれも異論はない。どういう形で、いかにしたらよりこれが進められるかということが私は焦点だと思うのであります。今後の問題でありますから、私どもなかなかこれを即断するわけにまいりませんが、今日私どもがこの法案を見ましたときに一番危惧を持つものは、そういう基本計画がいわばしり抜け的な形であって、これができなければ資金的な裏づけもなかなかむずかしくなってくるのであります。そういたしますならば、これが公団になりましてからも、なかなかこの公団が予想いたしておりますように、今日まで述べられましたような、はたして新線建設がわが国の産業の基盤を強化し、地域格差をなくするというこの大目的に向かって、いわゆる今日まで政治路線といろいろいわれて批判されておりまするが、そういうものも公正に配慮してやっていけるかどうか、こういう点が一番私は問題であると思うのであります。これにつきましては、運輸当局なり、同時に社会党の提案におきましても、それぞれの考えはあるのでありますが、私は今朝来の総裁のあの端的な御意見というものは、国鉄の意見というものを率直に申し述べたものではないかというふうにさえ考えるのであります。しかしまた、一面から考えますならば、企業性を持たない、公共性のみを追求しようという公団のあり方も考えられないこともないのでありますけれども、しかしそれを考えるにしてはあまりにその裏づけというものが、私どもの十分納得いきにくいものだ。ここに私は今日いろいろ論議される問題があるのだと思うのであります。しかし、この問題はこれ以上尋ねましても、おそらく今日までの答弁が繰り返されるのにすぎぬと思いますので、この辺でとどめておきたいと思います。
次に私がお尋ねいたしたいと思いますのは、四十三国会のいろいろ議事録を読んでみますと、この当時におきましては、運輸当局からいたしましても、いろいろ資金獲得の面につきましても論議がされておるのであります。政務次官の言を見ましても、三十八年度の五億やあるいは十億のものではどうにもならぬ、さらにこれが大幅な資金を獲得するようにわれわれは考えておるという御発言もございますし、あるいはきょうも大蔵大臣の答弁がございましたけれども、当時の大蔵大臣もさような御答弁があったのであります。ところが三十九年度を見ますならば、やはりわずかに八年度の倍額——倍額といえば大きいようでありますけれども、五億ずつふえたにすぎぬということ。なおその当時の運輸大臣の御答弁を見ましても、これに対してはひとつできるだけの努力はしよう、こういうことであったのでありますが、こういう点から考えますと、この公団法というものに対しましてもちろん運輸当局は御努力になったと思うけれども、はたして大蔵省その他の政府機関というものが十分理解してこの予算編成に当たったかどうかということがはなはだ疑問に思われるのでありますが、その辺の経過につきましてお話を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/171
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172・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 お答え申し上げますが、率直に申し上げまして、予算折衝の過程では、三十九年度公団の工事経費としては二百億程度を考えて、私ども強力に折衝し、また大臣も非常に努力をされたわけでありますが、結局財政全体の考え方から、現在提出をしております予算案、国鉄出資の七十五億、政府の出資、産投会計の十億、それから融資が十億というかっこうになったわけでございます。この点については、私ども政府全体の資金計画からやむを得なかったと考えておりますが、今後は公団が発足いたしました場合には、来年度はさらに強力に折衝をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/172
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173・内海清
○内海(清)委員 全体の資金計画からむずかしかった、こういうことであります。この問題は、私は国の予算編成にあたっては、それぞれの部門において毎年度のそれぞれの要求があるのであって、これが資金が余るからこちらにやってやろうということはないと私は思うのです。いつまでたってもない。そういたしますならば、真にこの公団法というものが——わが国の産業の基盤を強化した地域格差をなくさなければならぬ、これは政府の一つの旗じるしであります。したがって、そういう観点から見れば、公団法というものが、真に政府部内において、最もそういう地域格差の解消あるいは産業基盤を強化する上に重要だと認められるならば、私はまだ予算がつくべきである。しかも四十三国会の経過から見ますと、三十九年度は大体東海道新幹線が完了するから、そうすればこの公団に多く移るだろうということでございますが、三十八年度に比べますならば、三十九年度は、新幹線におきましては、かなりこれは減っておるわけです。国の負担というものは二百億以上減っておると思う。そうするならば、そういういままでの本委員会におきまする答弁の経過から見るならば、少なくとも運輸省がこの公団に二百億を要求したならば、これが現在の予算のようなことで押えられるとは私ども考えられない。そのことはこの公団の重要性についてなお十分な政府部内における認識が足らぬのではないか、こういうふうに考えるのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/173
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174・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 同じことを繰り返すことになりますが、私どもはきわめて重要な公団だと考えまして最大の努力を払ったのでございますが、財政当局が全般の観点から査定を加えられまして、いまの段階としてはまことにやむを得ないと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/174
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175・内海清
○内海(清)委員 運輸当局がこれが重要法、案であるということはもっともな話であります。ところが、全般の資金計画からやむを得なかったということ、これはきわめて簡単でありますが、そのことはさっき申しましたように、政府部内でこれがきわめて重要であるという認識があるならば、そういう全般の資金計画の中から大幅にこれに充当されてしかるべきだと思う。このことはさっき申しました基本計画というものができまして、これが閣議決定になって、これはこういうふうにどうしてもやっていかなければならぬということになるならば、やはり資金の面におきましても十分獲得ができるのではないか。いわゆる道路の新五ヵ年計画につきましては閣議決定になって、金額も、きょう午前中にもございましたけれども、大幅に全体計画で上がっておるのです。そういうところに今度の資金の獲得が十分にいかなかったということについての問題があるのじゃないか、私はさように考えるのですが、その点いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/175
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176・綾部健太郎
○綾部国務大臣 午前中大蔵大臣も言いましたように、政府といたしましては、三十九年度はこれでやっていきまして、公団を設立することが非常に望ましいことであるから、公団ができまして、その公団が今後新線を進めていく場合にとるべき財政上の措置については、新線建設をしてできないような状態には置かないと、きょうしばしば大蔵大臣言われているとおりでございますから、私どもは三十九年度は忍びがたきを忍んで七十五億、あと二十億、本年度の五億、百億で三十九年度はやっていくという考えをいたしまして、この公団が一日もすみやかに設立されるよう念願する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/176
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177・内海清
○内海(清)委員 大臣のおことばでございますが、大蔵大臣は、四十三国会におきましても、資金を本年度の倍やそこらではどうもならぬだろうという御発言があり、さらに東海道新幹線建設の問題も言われたわけであります。そういう点から考えれば、これはどうもそういう言の下でこういう本年度の予算の状態であるならば、大蔵大臣の言われたことはそのまま受け取っていいか悪いかということ、結局その担当者みずからが予算をかち取らなければという、それだけの気迫を持って財政当局でも説き伏せるだけの熱意と力を持ってやらなければ、予算のぶんどりというものはなかなかむずかしいと思うのです。大蔵大臣がこう言うからそれを信じておるということだけでは、今日までの経過から見ても、私どもなかなか安心ならぬ面があるわけでございます。これは結局政府部内において道路の五ヵ年計画は閣議決定がなされた、ところがこの交通関係の分野でありますけれども、この交通というふうなものについてはそういうことがなされておらぬ、そこらにお互いみんなが十分納得しない原因があるのじゃないか、公団をつくってからやる、つくってからやるということでありますが、いままでの経過から見て、つくってはたしてそれができるかどうか、こういう点がお互いがみな心配しておるところであります。これを将来のことで非常にむずかしいと思いますけれども、少なくとも来年度におきましては、東海道新幹線が終わるわけでありますから、四十年度においてこの公団のほうに大幅の資金がとれるかどうか、こういうことに対しまする見通しなり、あるいは当局の決意というふうなものがありましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/177
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178・綾部健太郎
○綾部国務大臣 私は、四十年度におきましては、いまあなたのおっしゃるような鉄道全般に対する予算につきましても相当額がとれるよう努力もいたしますし、またとれるということを確信いたしております。どうかこの上とも皆さん方の御支援を得て、さらにそれを確かにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/178
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179・内海清
○内海(清)委員 大臣のそういう御決意まことにけっこうであると思うのであります。ところが今日までの経過から考えますならば、これはなかなか容易なことではない。せっかく公団ができたけれども新線建設はなかなか進まない。こういう状態に追い込まれる心配が非常に強いのであります。この点につきましては十分ひとつ腹を固めてやっていただきたい。そのためには、どうしても私どもは十分な一つの基本計画が必要であったということをさらに痛感いたすわけでございます。この点は来年度におきまする成果を期待いたしたいと思うのでございますけれども、いまのところはまだないようでございます。山陽新幹線というふうなものがさらに上がってまいりますならば、それも、東海道新幹線が済んだから、新線建設が大幅な資金の裏づけを得て十分進捗するという状態については、そごを来たすような考え方もございます。これらにつきましてはひとつ十分お考えいただきたい、こういうふうに考えるのであります。
それから法案そのものにつきましていろいろと質問したいのでありますが、これは今日までかなり質問されておりますので、いずれまたあとからお尋ねをいたしますが、人の問題、要員の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。新線建設を今日まで担当しておりました人、これが約八百名、新たに九十五名ばかりふえて八百九十五名くらいでこの新線建設をやりたい、こういうふうに承ったと思うのでありますが、その九十五名の増員というのは、これはどういうふうな方面から出されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/179
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180・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これも先ほどお答えしておりますが、国鉄の工事経費の職員の中から八百名、七百九十三名というものは公団に移行することを予定しておりますが、私どもが考えております定員は八百九十五名、若干ふえますが、これは主として管理関係その他でございまして、やはりこれも大部分は国鉄から移行することを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/180
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181・内海清
○内海(清)委員 大部分は国鉄ですか。国鉄からいまの七百九十三名ですか、これはいま新線建設に従事しておる者、これはそのまま持っていって別に国鉄のほうに差しつかえないわけですね。ところがあと約百名近くの者をさらに国鉄から移すということに対しては、今日それでなくても国鉄の定員の問題はいろいろ問題があるわけであります。現業員に聞きましても、なかなか有給休暇さえ思うようにとりにくいという状態において、さらに管理部門といえども、そういう百名近い者を国鉄の中からあちらに移行さすということについては問題ございませんか。しかもこれは主体が違うわけでありまするから、おそらく本人が承諾しなければ行かれぬだろう。そういう中におきまして、そういう問題はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/181
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182・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 若干ことばは足りませんでしたが、七百九十三名と申しますのは、国鉄の工事経費の関係の職員の一万一千七百十九名の中から七百九十三名は公団に移行を予定しておる。そのほか総務の関係であるとかあるいは経理の関係、こういった一般管理的な仕事もございますので、こういったものは従来国鉄におきましてもほかの勘定でやっておるものでございますので、そういったものも公団の新設によりまして移行をする。これは主力は国鉄になりますが、運輸省も若干動くかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/182
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183・内海清
○内海(清)委員 百名近くの者も、やはりいままでの国鉄の一般の仕事をやっておるが、新線に関係した仕事もやっておる者がおるからそれを移そう、こういうことですね。そういたしますと、それが新線建設の仕事のみやっておるなら問題ございませんけれども、他の一般的な仕事もやっておったということになれば、国鉄のほうでそちらのほうには支障ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/183
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184・山田明吉
○山田説明員 一般的に申しますと支障はないと考えております。それから、こまかい話になりますが、新線建設の仕事をやっております者はその仕事と一緒に行くわけでございますから、これは国鉄もその仕事がなくなるという意味で七百九十三人は予算定員としても落とされております。そのほかに百名近くの者を、経理とかあるいは用地とか、中には自動車の運転手もおりましょうが、そういう実際の国鉄の仕事もいままでやっていた連中が行くとしますと、そのあとは国鉄としては当然補充する考えでおりますし、そのための定員は落とされてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/184
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185・内海清
○内海(清)委員 それは国鉄においては定員から落とされたものであれば決して労働強化ではない。定員はそれは補充するということでございますね。わかりました。
それから、これは本人の意思を聞かなければならぬだろうと思う。この問題でもし公団に予定されるだけの承諾を得られぬという場合がかりに出てまいりましたならば、これは命令するわけにいかない。その時分にはどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/185
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186・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これはもちろん職場が変わるわけでありますから、本人の意思を十分尊重する必要があると考えております。したがいまして、七百九十三名というものは、私どもとしては仕事とともに公団に移っていただきたいと予定しておりますが、かりに本人の同意が得られないということになりますと、この分はやはりたとえば最近退職をして建設関係の仕事をやっておった人といった中から補充することになりますが、幸いにいたしまして、現在のところは公団に参りたいという希望者は非常に多いと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/186
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187・内海清
○内海(清)委員 公団に参りたいという希望者が多いということで、たいへんけっこうでございます。公団に参りたいということは、公団のほうがいいということですね。それは公団に行ったほうが、本人の勤務状態なり、あるいは給与の問題その他でいいというところがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/187
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188・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 もちろん給与の関係も重要な要素と考えております。先般来申し上げておりますように、給与の関係は他の公団との振り合いもございまして、大体一割程度のアップを考えたわけでありますが、それよりもこの公団に行く職員の人々は大体は技術者でございまして、結局仕事に打ち込んでいくということが、一番こういった技術の方々の、何と言いますか、魅力があるところではないかと思いますので、公団に参りまして従来よりも——先ほど来先生方の激励もございますが、何と言いますか、きちんと建設線の仕事に打ち込んでいける。わずかではございますが、七十五億程度のものが百億程度の仕事ができる、この辺も技術屋としてはやはり魅力ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/188
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189・内海清
○内海(清)委員 これまた鉄監局長の御説明を了といたします。確かに技術屋としては自分の技術を生かすことに非常な興味といいますか、熱意を持っておるわけであります。この点はけっこうだと思いますが、技術以外の人につきましては、そうばかりもいかないと私は思うのであります。それで国鉄から公団に移行しますと、給与は一割くらいいいということでありますが、たしかこの法案を見ましても、退職金につきましては、これは前後を通算するのであって、公団に行っておる間は、これはならないということになるわけですね。その点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/189
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190・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これは附則の第八条でございますが、退職年金の通算措置というのは、国鉄職員が公団に参りまして、さらに国鉄に帰ってくるという場合に通算するというものでありまして、帰ってこないで、公団で退職すれぱ、公団で退職金は出るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/190
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191・内海清
○内海(清)委員 これは技術者にしても、若い人は帰ってくる場合があろうと思います。これもこの間からいろいろ議論されましたが、大体十年間に予定される新線建設が終われば、——一応済んであとまた出てまいると思いますけれども、これが永久的なものと考えればまた別であります。しかし一応そういうたてまえからいきますと、これはかなりの人が、若い人は帰ってくるということが考えられるわけです。その場合の退職金はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/191
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192・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これは若い職員が仕事と一緒に公団に参ると申しましても、やはり本人の希望もございましょうし、それから建設線の仕事と申しましても、やはり改良工事とも密接な関係がございますので、両方一体にいたしまして技術を育てていくということが肝要かと存じますので、そういった意味で、出入りが自由になるようなかっこうにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/192
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193・内海清
○内海(清)委員 ちょっと私の質問に対するそれは的確な答弁でないと思いますが、その間に退職金のほうはどうなる。本人はそれだけ不利になるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/193
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194・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これは結局公団における期間を除いた前後の期間は、計算の基礎として通算をいたすことになっております。前後通算でございます。計算の基礎として、期間として前後を通算するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/194
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195・内海清
○内海(清)委員 これは給与のことだけだということもあるようですが、人を扱う上におきましては、これはきわめて重要なことだと思うのです。そうすると、前後を通算するのであって、公団に行っておる期間が相当の期間であったとするならば、本人は退職金についてはそれだけ不利だということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/195
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196・山田明吉
○山田説明員 その点実際個々の人に当てはめてみないと、どちらが不利かどちらが有利かということは一がいに申せないと思うのです。それで一般的に不利になっては困るというところから、国鉄職員であるよりも大体一割以上高い給与で転出をしてもらう。したがいまして、転出する際には一応それまでの国鉄の在職年数を計算いたしまして、普通退職の退職金を計算いたします。それからその本人が、私なら私が公団へ行きまして、三年なり五年なりつとめてまた国鉄へ復帰するというときには、その公団のときの職員としての退職金をもらって参ります。それから国鉄へ参りましてまた五年なり十年なりつとめまして退職する際には、公団へ行きます前の国鉄の在職期間と、それから帰ってからの国鉄の在職期間を通算した年数に対する国鉄の特別退職といいますか、国鉄としての退職金を計算いたしまして、公団へ転出する際に計算しました国鉄の退職金との差額を支給するわけでございます。したがいまして、非常に給与の低い人が——非常にと言ったら語弊がございますが、比較的給与の低い状態で公団へ転出して、公団の期間が非常に長かった人とか、あるいは中ぐらいの給与の人で公団へちょっと行って、すぐ復帰してきたときとか、人によっては有利になる場合と不利になる場合と理論的には考えられますが、大体国鉄職員よりも一割程度給与が高ければ原則として不利にならないという一応の見通しで、いま話し合いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/196
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197・内海清
○内海(清)委員 退職金の通念からすれば、結局勤務年限が古いほうが有利になる、これが退職金の大体の通念でございます。したがいまして、いまお話しのように、個々によって多少の出入りがあろうけれども、一般的な退職金の通念から申しますと、公団に行っておる間は不利になるというのが大体の考え方です。しかしそれを補うために給与を一割上げて、これで補おうということで、公団職員になったがゆえに特に優遇するというわけではないわけですね。そう理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/197
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198・山田明吉
○山田説明員 国鉄の立場として、ただいま運輸省にお願いし、かつ将来公団ができましたら公団に折衝したいと思っておりますのは、国鉄から転出した職員が不利にならないという意味で、若干給与をよくしてもらいたいという意味で申しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/198
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199・内海清
○内海(清)委員 この点は少なくとも九百人近い人の待遇の問題ですから、十分慎重に考慮されまして、公団に行くがゆえに特に老後において不利になるというふうなことのないように、これは万全の処置をお願い申し上げておきます。
年金については全部通算するようでございますから、これは問題ないと思いますが、——年金はさようでございますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/199
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200・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 退職年金につきましては、先ほど申しましたように、国鉄−公団−国鉄というような場合には、全部通算措置をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/200
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201・川野芳滿
○川野委員長 次会は来たる十一日火曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00519640207/201
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