1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十一日(火曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君
理事 塚原 俊郎君 理事 山田 彌一君
理事 久保 三郎君 理事 田中織之進君
理事 肥田 次郎君
岩動 道行君 木村 俊夫君
佐々木義武君 進藤 一馬君
壽原 正一君 高橋清一郎君
中馬 辰猪君 南條 徳男君
西村 英一君 細田 吉藏君
増田甲子七君 松田 鐵藏君
湊 徹郎君 勝澤 芳雄君
泊谷 裕夫君 野間千代三君
矢尾喜三郎君 山口丈太郎君
玉置 一徳君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
出席政府委員
運輸政務次官 田邉 國男君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 廣瀬 眞一君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 向井 重郷君
運輸事務官
(自動車局長) 木村 睦男君
委員外の出席者
日本国有鉄道副
総裁 磯崎 叡君
日本国有鉄道常
務理事 山田 明吉君
専 門 員 小西 真一君
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二月十一日
委員高橋禎一君、長谷川峻君及び内海清君辞任
につき、その補欠として岩動道行君、湊徹郎君
及び玉置一徳君が議長の指名で委員に選任され
た。
同日
委員岩動道行君、湊徹郎君及び玉置一徳君辞任
につき、その補欠として高橋禎一君、長谷川峻
君及び内海清君が議長の指名で委員に選任され
た。
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二月十日
特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七六号)
同日
国鉄備作線建設に関する請願(小枝一雄君紹
介)(第四四三号)
同(逢澤寛君紹介)(第四八〇号)
海上自衛隊鹿屋航空隊の飛行場を併用する大型
空港開設に関する請願(二階堂進君紹介)(第
五〇〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本鉄道建設公団法案(内閣提出第五号)
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六五号)
特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
道路運送車両法の一部を改正する法律案及び特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、提案理由の説明を聴取することにいたします。綾部運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/1
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002・綾部健太郎
○綾部国務大臣 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
最近における自動車数の激増とこれに伴う自動車事故の増加に対処するため、政府といたしましては、これが保安の確保につきまして種々施策を講じているところであります。
道路運送車両法におきましては、自動車の使用者に対し国が行なう定期検査、継続検査等の自動車の検査を受けることを義務づけ、常に適正な基準で車両が整備され、その安全性が確保されることをはかっております。
昭和三十八年度におきましては、自動車検査業務は、検査施設として全国に検査場六十一ヵ所を設け、要員七百八十七名により予算総額六億五千八百三十三万七千円をもって運営しております。しかし、近年における自動車数の増加に対処するためには、現在の施設、要員をもってしては満足すべきものではなく、特に検査施設については、これが相当多額の経費を要するため、その新設、拡張等の整備が遅れがちの状態であります。
したがいまして、この際、自動車数の急激な伸びに対応した検査施設等の整備をはかるため、自動車検査手数料の額を改訂することとし、このため、道路運送車両法に規定する手数料の限度額を改め、小型二輪自動車にあっては五十円、その他の自動車にあっては百円の引き上げを行なおうとするものであります。
この手数料の改訂によりまして、昭和三十九年度においては九億六千六百六万三千円の収入をはかり、昭和三十八年度一億四千三百七十五万八千円であった施設整備費を来年度三億二千七百五十八万三千円に増額し、今後、さらに検査場の能力を拡大するとともに、遠隔地の利用者に対しては所要の地に検査場を増設する等の措置を講じ、検査機能の大幅な充実強化をはかろうとするものであります。
しかも、道路運送車両法に規定する検査及び登録の事務に関する経理を明確にするため、自動車検査登録特別会計を設置しようとすることに伴い、検査手数料の収入は、直接、検査業務の経費に充当することができることとなりますので、本改訂の効果はきわめて顕著であり、その実効が期待できるものであります。
次に、自動車検査登録特別会計の設置に関連して、検査及び登録の手数料を一般会計の収入と区分して自動車検査登録特別会計の収入とする必要があるため、従来の収入印紙にかえてこれを自動車検査登録印紙をもって納付しなければならないこととし、所要の改正を加えることといたしました。
以上がこの法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
次に、特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
ただいま、議題となりました特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
特定船舶整備公団は、昭和三十四年に設立され、現在、海上運送事業者、港湾運送事業者等と費用を分担して、国内旅客船の建造または改造、戦標船の代替による貨物船の建造、はしけ、引き船等の港湾運送用船舶の建造を行なうことをその業務としております。
今回提案いたしております改正は、この業務の範囲を拡大して、老朽貨物船等を解撤して行なう内航貨物船の整備及び港湾運送事業用の荷役機械の整備を公団が行なうことができるようにしようとするものであります。
第一の内航貨物船の整備につきましては、最近の内航海運は、国内の輸送機関の中できわめて重要な役割を果たしているにもかかわらず、船腹の近代化がおくれ、今後における経済の発展に必要とされる適船が不足している実情にありますので、特定船舶整備公団を活用することにより、その代替建造を促進し、船腹の近代化をはかろうとするものであります。
第二の荷役機械の整備につきましては、近年労働需給の逼迫により、港湾における荷役労務者の確保はきわめて困難な状態にあり、この傾向は今後ますます顕著となることが予想されますので、この公団を活用して荷役機械を整備し、労働力不足に対処するとともに、荷役能率の向上と港湾運送事業の近代化とをはかろうとするものであります。
なお、以上のほか、監事の監査機能を強化するため、監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長または運輸大臣に意見を提出することができる旨改めることといたしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/2
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003・川野芳滿
○川野委員長 田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/3
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004・田中織之進
○田中(織)委員 道路運送車両法の一部改正法律案に関連して、資料を二、三要求したいと思います。
一つは、この間予算委員会で同僚久保委員からも質問をいたしたのでありますけれども、一口に言って、タクシーの料金が引き上げになっても依然として乗車拒否があとをたたないという状況にありますので、運輸省として調査をしておる乗車拒否の実態についての調査の報告、それから第二には、最近六大都市をはじめとして、近郷の都市におきましても、タクシーにLPガスの使用車が相当ふえていると思うのであります。LPガス使用の車の台数、それからキロ当たりのLPガスとガソリンの場合の経費の比較、それからLPガスの場合には設備についてのいわゆる改装費などの費用計算、こういうようなものを二番目に資料として出していただきたい。それから三番目には、六大都市その他の都市におけるハイヤー、タクシーの運転手の給与の実態についての調査が、これまた資料があると思いますのでお出し願いたい。同時にこれは相当大きな会社でなければできていないと思いますけれども、タクシー運転手などの退職金がどういうような実情にあるか、以上の関係の資料を、この法案の審議に入りますまでに出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/4
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005・川野芳滿
○川野委員長 いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/5
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006・綾部健太郎
○綾部国務大臣 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/6
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007・川野芳滿
○川野委員長 両案に対する質疑は次回に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/7
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008・川野芳滿
○川野委員長 次に、日本鉄道建設公団法案を議題として審査を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/8
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009・久保三郎
○久保委員 この鉄道網の整備ということについて、いままで鉄道建設審議会の建議に基づきまして、それぞれ予定線あるいは着工線、調査線ということにやってきているわけでありますが、最近における経済の進展というか、そういうことに合わせて、言うならば今日政府の方針として総合的な交通体系を立てて、その中で新線建設はどうあるべきかということがまず考えられねばならない大きな前提条件だと思うのであります。提案された理由の中には、抽象的にはいわゆる経済の発展、地域格差の解消、こういうような意味でこの公団をつくって新線を建設するんだと言っておられます。この地域格差なり経済発展というものはどういう観点から考えておるのか。言うならば、先ほど申し上げたように総合的な体系立てた交通体系というか、そういうものの一環として新線建設の構想であるべきだと思う。それが意のごとくならぬというので、一つの公団方式でやろうというのが提案でありますが、公団方式ばかりが問題ではないのであります。少なくとも総合的な交通体系の中で新線建設というものが思量される、かようにわれわれは考えているわけですが、そういう基本的な問題についてどういまやっておるか、あるいは考えておるか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/9
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010・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。従来鉄道建設審議会におきまして調査線を取り上げる、あるいは調査線から着工線に格上げする場合にも、一応他の交通機関との関係も十分考慮しながら御審議を願っているのが実情でございます。
なお、従来全国総合開発計画あるいはこれに基づく各地方の開発計画は、経済企画庁が中心になって策定をしておりますが、この場合にもやはり各種交通機関を総合的に考えて審議をしているのが実情でございます。政府におきましても、あるいは鉄道建設審議会におきましても、一応総合的な交通網というものを頭に置きながら、たとえば道路輸送との関係を十分調整しながら従来審議をし、建議を行なっているのが実情でございます。それを受けまして、私どもは従来鉄道の新線を推進してまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/10
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011・久保三郎
○久保委員 いまの御答弁ではケース・バイ・ケースで考えているようなお答えでありますが、私がお尋ねして、いるのはケース・バイ・ケースでなくて、全体の交通網、交通体系の中で新線はどうあるべきかというような問題をどう処理されていくかをお尋ねしているわけです。言うならば、たとえば道路にいたしますれば、御案内のとおり整備計画によってこれはやっている。港湾もそのとおりであります。それと無縁で鉄道新線建設があり得るはずはない。たとえば新産都市、工業整備地域、これもありましょう。こういうものと無縁であるはずはないのでありますが、言うならば、いままで幾日かの質疑の中でわれわれが感じているものは、残念ながらいわゆる鉄道敷設法ができて以来、その歴史的経過としての今日の時点における着工線やあるいは調査線あるいは一部の予定線、こういうものをどう処理されるかということだけにしぼっておると思う。これでは残念ながら公団の是非は別としても、陸運におけるところの鉄道建設というものの位置づけ、評価、そういうものは、いままでの質疑応答の中からはあまり出てこぬ、こう思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/11
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012・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 従来私どもが新線を取り上げます場合には、一応他の交通機関との総合的な調整、利害得失というものを十分勘案しながらやっておったと確信しておりますが、運輸省の官房の機構を昨年度強化いたしまして、従来以上に対港湾関係、あるいはこれは所管が建設省でございますが、道路の関係、それに鉄道新線というものを総合的に勘案できるようにいたしまして、総合的な交通政策を検討するようにしておりますので、従来以上にそういった点は運輸省としては総合的に検討、調整をしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/12
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013・久保三郎
○久保委員 総合調整をしておられるというならば、さらにお尋ねしたいのでありますが、ケース・バイ・ケースの路線ですね。こういうものについて、たとえば道路あるいは港湾、そういうものの計画と並行して、それじゃある特定の予定線なり着工線がその計画と合わせた時点において完成するのかしないのか、そういう点の詰め方はしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/13
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014・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 ある時点をとらえて道路あるいは港湾、それから鉄道の建設というものが一致して検討されるのはもちろん望ましいことでございまして、私どもは方向としてはそういう方向で検討をしております。なおこれは先走ったお答えになるかもしれませんが、これには資金の裏づけがもちろん必要なわけでございます。そういった意味で、今後私どもとしては新線鉄道建設のある程度の長期的な資金の裏づけというものを今後は極力努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/14
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015・久保三郎
○久保委員 資金の裏づけを努力していきたい、こういうことでありますが、資金の問題はあとにしまして、たとえば港湾整備五ヵ年計画一つとりましても、三十九年度から改定の計画だそうである。そこで、最近この港湾の規模というか機能というものもだいぶ変わってまいりました。御承知のように大きなコンテナ輸送が始まろうとしておりますね。なるほど港でコンテナを扱う大きなクレーン等の設備を五ヵ年計画でやりましょう、ところが、背後地におけるところの輸送の問題には、二十トンなら二十トンのコンテナ輸送の設備はどうなっているのかというと、これは残念ながらそういうものはあまり考えておらぬじゃないか。むしろ新線建設というのは、これは港湾というものに関係しての一つの例であります。港湾ばかりじゃなくて、先ほど申し上げたような全体の中での新線建設、こういうものがなるほどいまのようなお話で、ケース・バイ・ケースでも一応のテンポを合わせるようなかっこうでいっているというんだが、必ずしもこれはテンポが実際は合わぬ。だから、たとえば港湾一つできましても、新しく、たとえば私のほうに関係がありますが、鹿島港がいま着工になっています。鹿島港とその背後地の問題を考えますと、それではそういうもののテンポが合うような関係があるかというと、港湾の建設の計画は一応のめどがついておる。ところが新線建設のほうは残念ながらめどがついておらぬ。これは一つの例であります。これでは何のために新線建設をするのかわからぬという一つの理由も出てまいります。むしろ私は、ここで新たな観点から、着工線、予定線、あるいは建設線全体を含めて全体的な道路、港湾、あるいは地域の開発、こういうものに合わせてこの新線建設というものは構想を練り直すべきだ。それから出発して、いかような組織、いかような資金でもって建設するかというのが一つございます。それからもう一つは、港湾なり道路のほうが、資金の裏づけも五ヵ年計画としてある程度コンクリートされます。ところが新線建設のほうは、いままでの質疑応答の中では残念ながら資金の裏づけは運輸省試案にすぎない。そうだとするならば、これは片方がコンクリートされて、いわゆる年次計画によってやや的確に完成していく。ところが鉄道新線のほうはそういうものの保証は何にもないということでは、これは残念ながらこの提案の理由の冒頭に掲げ、あるいは法案の冒頭の第一条にあるところのいわゆる要求を十分満たすものとは私は言えないと思うのであります。どうでしょうか。これは運輸大臣からお答えをいただいたほうが適切かもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/15
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016・綾部健太郎
○綾部国務大臣 去日も久保委員のおっしゃるようなことにつきまして、経済企画庁が全体の計画をいま立てつつあります、この法案が成立して、この法案による新線建設が事業を開始するようになれば、その後の、あなたのおっしゃるような全体の計画につきまして資金の裏づけはやる、できる、国家財政の許す範囲内においてできるということを経済企画庁の総合開発局長もこの席で明言されましたように、そのときにおきましては道路はすでにそれができておるから、鉄道と港湾につきましてはさらに増額といいますか、必要の限度における増額は考えられておるということを明言されておりますし、大蔵大臣もそのことについては努力しているということでありますから、あなたの御心配になるような資金の面については、その全体の計画が適当であるか不適当であるかは見る人によって違いますが、政府が認めて、適切である総合の輸送機関によって国全体の経済を開発し、地方格差を是正するという、その基本方針についての資金につきましては、十分とはいかないかもしれませんが、とにかくいまよりはふえまして、そうしてその全体に応じての輸送計画に適応するような施策が資金面では講ぜられると私は思います。ただ、いまたくさんある予定線その他がはたしてその線になるかということにつきましては、今後さらに検討いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/16
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017・久保三郎
○久保委員 私がお尋ねしているのは、鉄道の新線を必要とする理由ですね。そういうものが全体計画の中から出てこなければいけないのだろう、こういうこと、なんです。それからもう一つは、密接な関係があるものに道路がございます。しかし道路は、先ほど申し上げたように、テンポにしてもある程度はっきりしている。国鉄のほうははっきりしておらない。ということは、端的に言えば、新線を建設してもそれは無用の長物になる場合もありはしないかということです。かたがた、港湾の整備計画は、これまた道路と同じようにある程度きめられたテンポで進んでいる。ところが、これに直結するところの背後地の輸送は鉄道によらねばならぬものが多いのでありますが、そういうものの建設はちっとも目鼻がつかない。こういうばらばらな政策では残念ながらこの法案で——なるほど御趣旨のとおりいくとするならば、鉄道の建設はもっとスピーディにたくさんできるかもしれません。これは考えられる。しかしこれは、国家経済全体から見て、国民的な経済から見て、はたして妥当かどうかわからぬという、そういう無計画なことであってはいけないと思います。私が言いたいのはそれです。先ほどからの大臣の御答弁では経済企画庁とも相談でという。経済企画庁がやっているのは倍増計画の全体計画をやっている。その中でも、先般同僚委員からも御指摘があったように、倍増計画の中で、この新線建設について、これは賛成というか、やるべきだという意見は必ずしも出てきておらない。いま着工線なりあるいは予定線、あるいは調査線に上がっているものも、必ずしもこの倍増計画でいうところのものにはなっておらぬと思うのです。そういうものの調整がはたして今後できるのかどうか。大臣の御答弁では、いわゆる予定線の中でも上がるものもあるかもしれないが、なかなかむずかしいだろうという。これは予定線全体も、あるいは新しく予定される線があるだろう、あるいは今日着工線あるいは調査線の中でもこの新しい構想でいけばふるい落とされるものもあるし、拾い上げられるものもある。これは当然だ、時代の変遷でその他の計画が変わってきているんだから。そういう構想でこれは始められるのかどうか。鉄監局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/17
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018・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げたとおりでございますが、従来も鉄道建設審議会におきましては、いま久保先生のおっしゃったようなことを念頭に置きながら、調査線なりあるいは着工線を選定してまいったわけでございまして、従来の建設審議会の審議というものは、私は大局的に申しまして、先生のおっしゃったような趣旨に沿ってやってまいったと思います。しかしその後の事情の変化ということがございますれば、また建設審議会で御審議を願って若干の修正ということはあろうかと存じますが、全体としては正しい方向に向かっておるものと考えます。
なお大臣の、補足になりますが、たとえば先ほど例をおあげになりました港湾の計画にマッチしまして、背後の鉄道輸送をどうするかという問題は、従来とも港湾の取り扱いあるいは荷姿等を十分勘案いたしまして、線路規格なり輸送量というのをきめてまいっておりますが、そういった問題は今後もさらに慎重にやってまいりたい。
なお、全体計画につきましては、先般の委員会で経済企画庁から明確に答弁がございましたように、所得倍増計画のアフターケアの段階におきまして、港湾の五ヵ年計画の再検討、さらには国鉄の今後の長期計画、これには新線建設を含めてやる、大体金額は増すであろう、経済企画において総合的に検討するといっておりますので、私どももこれに大いに期待し、その線に沿って努力いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/18
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019・久保三郎
○久保委員 鉄道建設審議会という話を鉄監局長はよくお出しになりますが、これは超党派でやっておるものでありますから、国会答弁としては建設審議会の意見を聞いてやりましたといえば、実は隠れみのといっては語弊がありますが、実際は可能なのです。別に鉄道建設審議会の権威を私は軽んじたり非難はいたしません。しかし建設審議会と国会とは別な場所であります。そういう観点からやはりわれわれは考えていかねばならぬ。なるほど建設審議会には優秀なそれぞれの権威者がお入りになっているから、全体計画の中でも御処理をいただいていると思うのですが、必ずしも私はそうじゃないと思う。むしろ政府からいわゆる原案が出まして、審議会としての審議の余地というのは実際は限られた範囲でしか議論がなされておらないように私は考える。そういうところにも問題があるので、むしろこの際は鉄道敷設法を全面的に改正するということも考えねばならない段階ではなかろうか。これはいわゆる建主改従の時代にできた建設審議会であります。時代は変わってきているのです。そういう時代を考えないで、敷設法を全面的に廃止したり改正することは国会に抵抗があるということで、こういう法案を出してきた。だからこの矛盾の一つとして、いわゆる鉄道新線の建設は日本国有鉄道にも観念的には残すという御答弁が出てくるのであります。だからこの法案自体として、法律の体系としても、この前の答弁でも新しい法律が古い法律に優先するのだというような一般原則に基づいた御答弁が鉄監局長からありましたが、言うならば、この出された法案というのは鉄道敷設法の子法であります。そう理解しない限りは、私は実際なかなか筋が通らぬと思う。そういうところの矛盾も出てきている。言うならば、ここで提案説明というか、こういう法案を出すというならば、冒頭申し上げたように、総合的交通体系の中で新線建設はこうあるべきだというようなものが確定されまして、その手段、方法として公団法だ、こうこなくちゃほんとうじゃないと私は思う。そこらのところをひとつ考えていただかねばならぬ。もちろんこれはこれから経済企画庁とも御相談いただくそうでありますが、この法案の中には経済企画庁との協議事項は一つもございませんが、これはどういう理由でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/19
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020・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 この法案には特に経済企画庁との関係は入れてございませんが、従来から、全国の総合的な交通体系の開発というような観点から、鉄道建設審議会に経済企画庁の次官が入っておりますので、その辺で十分調整はとれるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/20
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021・久保三郎
○久保委員 建設審議会には関係各省の事務次官が並びで入っております。それでは企画庁の次官が何べん建設審議会に出ましたか。欠席が多いんじゃないですか、大蔵事務次官も……。出られるのは与野党の国会議員じゃないですか。そういうところに私は問題があると思う。建設審議会というところへ出てもらうのも必要でしょう。しかし政府が建設審議会に提案する前の作業というものがある。それは当然経済企画庁長官と協議の上に策定した案を建設審議会に出して審議を願うというのが筋じゃないですか。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/21
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022・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 先生のおことばですが、各省の事務次官は並び大名——これは決してそうではないんで、建設審議会に事務当局案を出す場合には、関係各省とも十分に事務的な連絡をとっております。場合によりましては御本人の出席がない場合もございますが、その場合にもしかるべき人がきちんと出ておりまして、十分審議を尽くしておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/22
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023・久保三郎
○久保委員 十分に審議を尽くしておられるというならば、倍増計画の中で、先般野間委員から指摘されたような文句は書いてないはずなんです。そうだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/23
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024・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これは前回御答弁申し上げましたが、所得倍増計画の最初の段階では、確かに原則としてローカル線等の建設は中止するということが出ておりましたが、その後、後進地域の開発を促進し、所得の地域格差を是正するという観点から、全国総合開発計画というものが策定されまして、その段階で、今後鉄道施設の整備拡充というものも推進していくんだということになりまして、決して矛盾はしていないというふうに考えております。これはこの前御答弁申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/24
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025・久保三郎
○久保委員 アフターケアというが、その中間検討報告を見ますと、新線建設には触れておらないで、道路、港湾、鉄道のいわゆる社会資本の不足を指摘しておる。これに対してどうアフターケアするかというようなことが力点になっておると思うのですが、間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/25
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026・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 昭和三十七年十月の全国総合開発計画、その中には明らかに、主要幹線の電化、複線化のほかに、特に既成大集積地帯及び大規模な地方開発都市を中心とした地方内の鉄道施設の整備拡充、工業開発地区を育成するための臨海鉄道を含む貨物鉄道輸送の増強整備、これに青函の関係と四国の関係の海峡連絡鉄道、こういったものは必要であるというふうに明確に述べられておりますので、その辺で調整はとれておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/26
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027・久保三郎
○久保委員 いま局長のお話のとおりでありましても、いま予想されるところの、公団でやろうとする着工線なりあるいは調査線あるいは予定線全体、これは必ずしも合っておりませんね。だからいまあなたが御答弁になった観点から全体を再検討し直すということになりますな、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/27
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028・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これは前のこの委員会で経済企画庁の総合開発局長が答弁しておりますが、アフターケアと申しますか、中期の手直しで十分新線の基本計画についても検討すると言明しておりますので、私どもとしてはその際に十分に協議を尽くしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/28
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029・久保三郎
○久保委員 それならば、基本計画の中に十分経済企画庁長官とも協議の上策定しなければいかぬというようなものが出てこなければ、うそではなかろうかと私は思う。実際にやるとおっしゃればそれでよろしいでしょう。ただこの基本計画の中で、この間じゅうも質問がございましたが、それじゃこれのビジョンというか、ブループランというかわからぬが、この基本計画というものの性格はどういうものか、ちっともわからぬ。というのは、前の御答弁では、ここに書いてあるように、どの線が大体着工線になる、どの線が名称は何という、始点と終点はどことどこだというようなことをおきめになるというのだが、これだけでは残念ながら基本計画にはならぬと思うのです。むしろ新線建設の基本問題が基本計画にあたる。それはどういうことかというと、必要な線路はつくるのだということが一つ、二番目には、つくるからには何年後には完成するのだというおよそのめど、そういうもの二つがなければ、どうも基本計画とは言えないのだが、ここに言うところの事業量とかあるいはその他こういうものはその中に含まれるのかどうか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/29
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030・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 私どもがこの法案の中で予想しております基本計画というのは、先般お答え申し上げたとおりでございます。いま先生の御質問の基本計画というのは、その前提となるべき長期のビジョンというものだと考えますが、そういったものは法案の中には予想しておりません。これは先ほど来お答え申し上げておりますとおりに、全体の長期的なビジョンというものは、私どもは今後政府部内におきまして十分調整をとりながら具体化の方向に向かって努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/30
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031・久保三郎
○久保委員 そうしますと、基本計画というのは、現在建設審議会の答申に基づいて国鉄に命令するという形と何ら変わりはない、こういうふうに了解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/31
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032・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 この法案で考えております基本計画というものは、鉄道敷設法に定められた予定鉄道線路のうちで、公団が建設すべきもの、及びその建設に関する基本的事項ということを基本計画に考えておるわけでございまして、運輸大臣は鉄道建設審議会に諮問した上で決定をいたし、公団に指示をするということになっております。その内容は政令で定めますが、現在のところは着工線、調査線の別、線路の名称、起点及び終点、おもな経過地、線路の規格等を私どもは予定をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/32
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033・久保三郎
○久保委員 そうしますと、一番大事な私が質問しているケース・バイ・ケースの場合、一つの予定線というか、そういうものの完成時期などは全然基本計画には入らぬ、そこは建設しましょう、着工しましようというだけの話というか、そういうことだけであって、その着工線が着工後何年後にできるとか、やらなければいかぬとかいうような計画ではないのですね。そういうものは基本計画に入らぬ、そうしますと、この基本計画というのは具体的に言うとどういうことなんですか、毎年度きまるのですか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/33
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034・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 これはいま私から申し上げたとおりでございまして、結局ある具体的な線が何年ぐらいで建設が終わるかという問題は、全体の工事資金の問題とも関連してまいりますので、この基本計画の中にはちょっと含めにくい。したがいまして、先ほどの答弁に戻ります、その前提と申しますか、全体のビジョンというものは、私どもはなるべく政府部内で十分に折衝いたしまして、具体化の方向に努力をいたしたいということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/34
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035・久保三郎
○久保委員 一番いま大事なのは、新線建設がのべったらだというのです、俗な言葉で言うと。着工はしてもらったが、いつ完成するのだかわからぬ、そのうちに道路整備五ヵ年計画で道路はりっぱにできた、自動車輸送で十分間に合うという線があるじゃないですか。たとえば阪本線、こういうものはいつ着工していつ完成するのかわからぬ。最近は道路のほうがいいというのです。そういうものがあるのですよ。だから、着工するからにはその効果が十分発揮できるようないわゆる年次計画で完成させるというのが、円満な経済の発展に役立つ新線なんです。いまのような、着工線にはあげた、調査線にはあげたが、いつ完成するかわからぬ、毎年、しかも総花的に予算を一億かそこらつけて、せいぜいつけて三億で一キロか一キロ半だ、こういうようなことをやっていたのでは、国家財政の上からも、国民経済的にいっても、これは残念ながら利益にはならぬということです。必要な線路ならば年次を切って完成させるという気がまえがあるのかないのか、この法案と説明からは残念ながらそういうものは出てこぬ、こういうふうに私は思う。言うならば、われわれが提案しているように十ヵ年計画でせめてその事業量を策定し、 ケース・バイ・ケースでいって、その線路の進度はどこまでか、こうなれば、国民もこれに了解を与え、これに賛成をするだろうと思うのです。単なる公団をつくって、基本計画がいまのような説明では、残念ながらこれはとうてい国民的要望にこたえられるものではないと私は思うのです。だから、今後この基本計画には私がいま言うようなことが盛られるのかどうか聞いているのですが、盛られないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/35
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036・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 同じお答えになって恐縮でございますが、この法案の中にはただいま先生のおっしゃったようなことを予定をしておりません。しかし、全体の計画を持つということは私どもも好ましいことであり、必要であると考えますので、この法案とは別にその方向に向かって努力をしたいと申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/36
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037・細田吉藏
○細田委員 この際動議を提出いたします。
本案に対する質疑はこれにて打ち切られんことを望みます。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/37
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038・川野芳滿
○川野委員長 ただいまの細田吉藏君の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/38
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039・川野芳滿
○川野委員長 起立多数。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/39
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040・川野芳滿
○川野委員長 続いて討論に入ります。
討論の通告がありますので、これを許します。細田吉藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/40
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041・細田吉藏
○細田委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております日本鉄道建設公団法案に対する賛成の討論を行なわんとするものでございます。
鉄道の新線建設の必要性につきましては、世上いろいろ議論をなすものがございますけれども、私は、国民経済的に見て道路運送よりも鉄道運送のほうが有利であるというものが、日本の場合はまだまだたくさん残っておると考えるのでございまして、地方経済圏の整備、あるいは地域格差の是正、あるいは臨海工業地帯の問題、新産都市の問題、こういったものの基盤を整備する一つとして、鉄道新線建設がまだまだ必要であると考えるのでございます。この鉄道の新線建設につきましては、戦後昭和二十七年から再開されておるのでございますが、ただいままでの状況を見ますると、国有鉄道が、言うならば片手間に新線建設をやっておるというような形でございまして、かつては建設費の予算が改良費に流用されたこともございます。どうしても、国有鉄道としては、現在の鉄道の運営、また改良ということが、これはもちろん一番大事なことでございますので、そういう点にとかく重点が置かれがちでございます。こういった点から、昭和三十七年五月三十一日に鉄道建設審議会が建議されたのであります。この建議に基づいてこの法案が出てまいったものと考えるのでございます。この法案は、鉄道の新線建設に対して、公団を新しくつくって責任を明らかにする、そして、新たな鉄道をどしどしやっていく、こういうのが一番基本のたてまえになっておりますので、最初に申し上げました鉄道の新線建設の必要性から考えまして、最も実際に即したものである、私どもかように考えておるのでございます。
なお、この機会に二、三要望を交えまして、質疑応答その他から出ております点ではございますが、つけ加えて申し上げておきたいと思います。
第一点は、せっかく公団ができましても、何と言っても建設線をどしどしやっていきますためには、予算の総ワクが増加いたさなければ何にもならないのでございます。本年、昭和三十九年度は、国有鉄道の出資七十五億を加えて百億ということで、この程度では、現在の着工線四十三線、調査線十五線、これだけでも三千億円の金がかかるので、このテンポではとても長くかかるわけでございまして、私どもは、この公団ができました本旨にかんがみまして、政府の出資なり、あるいは財政投融資なり、こういうものを大幅に増額して、建設の促進をするように進めていただきたい、かように考えるのでございます。過日大蔵大臣の御発言もございましたが、強くこの点は要望いたしたいと思うのでございます。
さらに、先般来の質疑応答の中でいろいろ出ておるものでございますが、計画が非常に長いというような点につきましては——道路、港湾等につきましては五ヵ年計画が昭和三十九年度当初年度としてできることになっておるわけでありますが、新線建設につきましても、できるだけすみやかに、法律の中に基本計画というものもございますので、これの全体の見通しをつけていただくように、第二点として要望いたしておきます。第三番目といたしまして、法案の第二十三条に、有償または無償で貸し付けまたは譲渡するということがあるのでございます。私は、新線の大部分は不経済線でございまして赤字線と考えますので、これもすでに質疑応答で明らかになっておりますが、条文のいかんにかかわらず、ほとんどのものが原則的に実際としては無償のほうが多いのではなかろうかといったように考えているのでありまして、有償というような場合にはよほど特別な御配慮を政府としてはされる必要があるのであります。そうでないと、国有鉄道に非常に大きな負担をかけることになるのではなかろうか、かように考えるのでございます。
最後に要望しておきたいと思いますことは、新しくできます公団につきましては、経費を最小限度にする必要があると思うのでありまして、もともと公団の経理は非常に苦しくなる可能性が多いわけでございますので、役員でございますとか、あるいは管理部門等につきましては、強力簡素なものにぜひしていただくように、格別な御配慮をお願いいたしたいのでございます。
以上、簡単でございますが、本法案に対する賛成の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/41
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042・川野芳滿
○川野委員長 肥田次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/42
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043・肥田次郎
○肥田委員 私は、反対の立場でその趣旨を明らかにしておきたいと思います。
このたび再度審議されましたところの日本鉄道建設公団法案は、四十三国会におきまして、社会党、民社党の反対、自民党の賛成、こういうことで参議院に送られました。ところが、参議院では結局審議未了、廃案になったという経過を持っておるのでありまして、今日までの審議の中でも、この不安定な法案の性格というものがきわめてはっきりしておると思うのであります。
われわれのほうで特に反対の理由を明らかにしておきたいのは、現行の敷設法によりますと、予定路線というのは二百三十一線を数えまして、これは実に四十数年の長い積み上げによるものであります。これをわれわれのほうでは今日まで強く取り上げてまいりました。そのように、二百三十をこえるところの多数の予定路線というものがそのままになって、法文の上で眠っておる。こういうふうなことでは、国の運輸行政、政策に対して国民が疑惑を抱くのではないか、不審の感を持つのではないか、こういうことを強調してきたのでありまして、鉄道建設公団法は、そういう問題を何ら明確に処理することなく、ただ単に、新法は旧法に優先をする、こういう程度のものの解釈で提案されてきておるのでありまして、きわめて多くの矛盾を含んでいるといわなければなりません。
次に、政府は、経済成長政策というものと地域格差の解消という問題を大きく取り上げて、そうして、特にこれは鉄道建設審議会の意見書として出してきておるのであります。けれども、実際にこの公団が設置されて、そうして、いよいよ公団が建設に着手する、そういう場合に至って問題が起こってまいりますのは、先ほど言いました敷設法との関係と、それから鉄道建設審議会、さらには運輸審議会というものがあります。この関係を無視して建設公団が運輸省の指示に基づいて建設事業を進めていくというようなことは、とうてい不可能だというふうにさえ考えるのであります。こういう矛盾を何ら解決をされておらないために、この鉄道建設公団法はつけ焼き刃である、こういうことが言えるのではないかと思うのであります。今日最も緊急を要する問題は、現在ある日本国有鉄道の輸送に対して安全性を確立するということだろうと思います。安全設備に対しては、経費を削る、そして、人員の合理化をやり、その上で、さらにこの国鉄がやり得る能力があるところの新線建設の仕事を新しい建設公団でやらそう、この矛盾をわれわれはどうしても理解することができない。われわれは、すみやかに今日大問題であるところの国鉄の輸送の安全性を確立するということに焦点を置くべきであって、その点については国鉄当局も怠慢であるとさえ私は思うのであります。国鉄当局は、なぜ強力に国鉄の輸送の安全化のために努力をしないのか、言うべきところを主張しないのか、こういう疑惑を持つのでありまして、これらを抜きにして、鉄道建設公団法をつくる必要はさらさらないとさえ考えるのであります。
もう一つは、われわれが常に問題にしておりますように、今日都市におけるところの交通難という問題は、これは捨てておくわけにはまいりません。いわゆる国の高度経済成長政策というものと結びつけて、都市の交通問題を解決せずしては、不可能だと考えておるのであります。都市における鉄道の地下化あるいは高架化、それからバスや自動車その他のものに対するターミナルの建設、こういうことがすみやかに行なわれてこそ、初めて当面するところの輸送問題が解決するのでありまして、これらの問題を抜きにして鉄道建設公団法をつくることのみに焦慮をしておる、こういう状態でありまして、どうしてもわれわれは反対の意思を明らかにせざるを得ないのであります。
特にこの公団法では新線建設の具体化というものがきわめてあいまいであります。一体現在あるところの四十三線の着工線、調査線となっておるところの十五線、これを十年間にどのように具体的に資金的な面を立てて建設を進めていくのか、これに対する質疑を今日まで繰り返してきましたけれども、これらに対しては何ら具体的なものが示されておらない。去年の四十三国会におけるところの政府側の答弁では、ことしはできなかったけれども、来年は資金的な面を確立する、こう言っておる。けれども、今年になってもなおそれができておらない。こういうふうな矛盾を持っておるのでありまして、そのような形では、建設公団ができたとしても、いわゆる新線建設が——政府というよりも国の政策であるところのいわゆる経済成長政策と地域格差の解消に沿ったところの新線建設が行なわれるとは、これはとうてい考えられない。こういうことをわれわれはまことに残念に思うのであります。
要するに、われわれはこういう事由をもって反対をし、さらに百歩を譲ってこの法案に賛成をするとしても、なおかっこういう大きな問題もありますし、もう一つわれわれががまんならないことは、わが党で出しておるところの鉄道新線建設緊急措置法案を全然無視をして、一方的にただいまのように審議打ち切りをする。しかも、ただいまの審議の打ち切りは、わがほうの田中委員が発言を求めておる、しかも議事進行について発言を求めておるのを一方的に打ち消して、そして細田委員の発言を取り上げ、審議を打ち切ってしまう、こういうことについてはわれわれはとうてい賛成することができないところであります。この点を強く主張いたしまして、国会の審議権というものを尊重する点からも、再びこういうことのないように強く要望して、反対の討論を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/43
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044・川野芳滿
○川野委員長 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/44
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045・玉置一徳
○玉置委員 ただいま議題となっております日本鉄道建設公団法でありますが、昭和三十七年五月三十一日に鉄道建設審議会におきまして建議されました問題をもとにいたしまして、今般政府から提案されたわけでありますが、ただいま肥田委員からお話がございましたように、大正十一年の鉄道敷設法以来ばく大な建設線、調査線、予定線がたなざらしになっている問題があります。地域開発その他の要望に基づきまして今般これを強力に進めるためにこの法案を出すということに対しては、事情まことに了とするわけでありますけれども、ただいまもお話しになりましたように、もともとこういうばく大な数にのぼる予定線をたなざらしにしておったというところに国民の非常な不満があったと思います。こういうことに基づきまして、この法案が通りましたならば、現在すでにいろいろと事情の変更がありますので、大正十一年に定められましたいろいろな予定線でありますが、まことに緊急やむを得ざるものからやっていただかなければ、鉄道建設審議会を通るとは申しますものの、国会の全く審議の対象になり得ない。道路その他のように五ヵ年計画ないしは十ヵ年計画を国会に提案されまして、そこでもって緊急度合いをチェックする場が与えられない限り、非常に問題点を残すのではないかということを心配するわけでありますが、この点が明らかになっておらないという問題と、せっかく独立採算制で国鉄が運営されておりますが、ほとんど赤字を生むだろうと思われるような路線が多くございます。こういう問題は、世界各国を見ましても、文明国で黒字経営をしているというのは日本だけだと思います。ほとんどが赤字になってきておるわけでありますので、日本の国鉄運営にとりましでも将来相当な問題を残すこの法案が、そういう点に慎重な配慮のないままに今日採決をしなければならないようになっておるわけでありますが、私たちは、社会党と同様、この二点におきまして十分な審議がなされておらない、十分な解決が与えられておらないという点を不満といたしまして、反対の意思を表明するものであります。(拍手)
〔「採決、採決」「委員長どうするんだ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/45
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046・川野芳滿
○川野委員長 採決いたします。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/46
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047・川野芳滿
○川野委員長 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/47
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048・川野芳滿
○川野委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお、おはかりいたします。
本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/48
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049・川野芳滿
○川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/49
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050・川野芳滿
○川野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X00619640211/50
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