1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年四月七日(火曜日)委員長の指名で、
次の通り小委員及び小委員長を選任した。
観光に関する小委員
有田 喜一君 木村 俊夫君
壽原 正一君 高橋清一郎君
塚原 俊郎君 南條 徳男君
増田甲子七君 山田 彌一君
井岡 大治君 勝澤 芳雄君
矢尾喜三郎君 山口丈太郎君
内海 清君
観光に関する小委員長 高橋 清一郎君
—————————————————————
昭和三十九年四月十日(金曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君
理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君
理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君
木村 俊夫君 壽原 正一君
高橋清一郎君 高橋 禎一君
中馬 辰猪君 南條 徳男君
勝澤 芳雄君 山口丈太郎君
内海 清君
出席政府委員
運輸政務次官 田邉 國男君
運輸事務官
(観光局長) 梶本 保邦君
委員外の出席者
専 門 員 小西 真一君
—————————————
四月七日
国鉄の安全確保に関する請願外二件(田中織之
進君紹介)(第一八九八号)
国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案
に関する請願(池田清志君紹介)(第一九三一
号)
交通の安全対策に関する請願(井岡大治君紹
介)(第一九三四号)
同(久保三郎君紹介)(第一九三五号)
同(五島虎雄君紹介)(第一九三六号)
同(勝澤芳雄君紹介)(第一九七二号)
同(泊谷裕夫君紹介)(第二二三六号)
国鉄の安全輸送確保に関する請願(羽田武嗣郎
君紹介)(第二〇四二号)
同(中澤茂一君紹介)(第二〇六四号)
精神薄弱児等の通園費割引きに関する請願(重
盛寿治君紹介)(第二〇四三号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一二〇号)(参議院送付)
国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二六号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/0
-
001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として審査を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。山田彌一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/1
-
002・山田彌一
○山田(彌)委員 国際観光ホテル整備法の一部改正にあたり、整備法並びに観光基本法の精神について、まずお伺いしたいと思います。
国際観光ホテル整備法は昭和二十四年に制定され、外貨獲得のために登録ホテル並びに登録旅館の助成のためにつくられた法律であり、なお、昨年成立しました観光基本法は、これまた第二条、第四条、第八条、第九条、第十条、それぞれにホテル、旅館等の育成強化について格段の努力を惜しまないという条項が羅列されております。特に一つの例として、第十条において、国は低廉かつ快適な旅行関係施設の整備をはかるために、これらの施設の適正なる運営の確保等必要な施策を講ずるものとすると規定し、施設の整備のための助成をうたい上げておるのであります。これらの条文からしても、観光基本法、国際観光ホテル整備法ともども、その精神は助成法であると解釈いたしておるが、この点について観光局長の答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/2
-
003・梶本保邦
○梶本政府委員 御指摘のとおり、昨年観光基本法を議員立法として御制定いただいた次第でございますが、観光基本法の精神は、ただいまお話しの御趣旨のような点に重点があるというふうに私どもも了解をいたしておる次第でございます。今回三つの法案を、——もう一つはすでに成立いたしましたけれども、観光局といたしましては、三つの法案を提案いたしました理由もすべてこの観光基本法の精神にのっとって、現在ございます法律の改正を要する点は改正をするというような気持ちで、この法案の改正に当たりましたような次第でございまして、すべて観光行政の基本は観光基本法の精神にある、かように了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/3
-
004・山田彌一
○山田(彌)委員 しかるに、このたびの法案は、助成が姿をひそめて、取り締まりが先行しているやに考えられるのははなはだ遺憾でありますが、しかしながら、そのようなことがなければまことにけっこうだと考えるものでありまして、これから質疑に入らしてもらいますが、私は今回の整備法の中で特に第六条の「宿泊約款」、同じく二の「遵守事項」、それから十六条の立ち入り検査、次にホテルまたは旅館の施設に関する登録基準を整備する件、主としてエレベーターについて、なお、二十八条中におけるいわゆる「七条の不均一課税」を加えるという問題、これらについてお伺いしたいと思います。
まず宿泊約款でございますが、第六条に「宿泊料金その他省令の定める業務に関する料金及び宿泊約款を定め、実施前に、主務大臣に届け出なければならない。」というふうなことがうたってありますが、まことにこれはあいまいでありますので、これをよくただしたいと思います。この宿泊約款は省令によらないでも、この整備法の精神というものは業者のためのことを考えてあるというような点からいたしまして、宿泊約款は業者側の立場において、一自由意思によってつくられてよろしいものだと考えるが、その点について、観光局長からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/4
-
005・梶本保邦
○梶本政府委員 今回の法律改正で、宿泊約款についても届け出制をしいたわけでございますけれども、この宿泊約款というふうな約款ということばが何だか非常にむずかしいことを規制するような感じを一部には与えておるんじゃなかろうかという心配があるのでございますけれども、実は、法律的な用語としましては、約款ということば以外に他に適当な法律用語がございませんので、結局現在ホテルなり旅館なりで「利用者の皆さまへ」とか、あるいは「お客さまの皆さまへ」というふうなことでホテル、旅館のロビー等に掲示してございますが、ああいったものを私どもは宿泊約款と申しております。したがいまして、省令で宿泊約款の内容をきめるというふうなことは現在考えておりません。
それで、宿泊約款として一体どんなものがあるかということは、ただいまお手元へお届けしたわけでございますが、実はここに書いてございます「宿泊約款例」は、現在ホテル、旅館等で設けておられますものをいわば集約してここにまとめてみた次第でございます。まず「本約款の適用」、「当ホテルの締結する宿泊、宿泊の予約及びこれらに関連する契約については、この約款の定めるところによるものとし、この約款に定められていない事項については、法令及び慣習によるものとします。」、「約款の趣旨、法令及び慣習に反しない範囲で特約に応ずることができます。」しごくもっともなことがこの「本約款の適用」として考えられておるわけでございまして、こういう場合には宿泊の引き受けを拒絶することがありますというのが二条に書いてあるわけでございます。むしろこの二条をごらんいただきますれば、旅館側の立場に立って宿泊の引き受けを拒絶することができる場合を列挙いたしたような次第でございます。
「宿泊の申込み」が第三条にございますけれども、これは現在、どんなお客さんがお泊まりになりましても、氏名、住所だとか、外国人の場合には国籍、性別、年齢、住所、こういったものを書くことになっておりますので、これも現在行なわれているとおりでございます。
それから「予約」につきましても、特にこの予約につきまして問題になりますのは、たとえば旅館等の場合におきましても、五十人のお客さんがありますということで準備をしたが、実際来られたお客さんは半分ぐらいだった、五十人という約束だったが、どうして半分になったのだと文句を言いました場合に、文句を言うようなら、もう次からお客を連れてきてやらないぞと言われる。そうしますと、商売の悲しさ、そのまま泣き寝入りになるというふうな事例もあるやに聞いておりますので、こういった予約ということについてはっきりさしておいたほうがむしろ旅館、ホテル側にとっていいのじゃないか、かように考えた次第でございます。特にオリンピックの予約という問題に際会いたしまして、どうしてもこういった問題をはっきりさしておいたほうが、いわゆる国際的基準にまで日本のホテル、旅館を高めていく場合に絶対に必要なことである、かように考えた次第でございます。したがいまして、この「予約金」の場合も、予約を取り消された場合にはどの程度の違約金をいただくとか、あるいはお返しをするとかいうふうなことは当然これに書かれておるわけでございます。「予約の効力」につきましても同様でございます。
それから「料金」につきましても、お払いは玄関で御出発の際に払っていただくとか、あるいは第八条のチェックアウトタイムに至りましてはおそらく世界共通の問題だと思うのでございますけれども、日本でもいまだこのチェックアウトタイムがはっきりしていない場合があるわけでございます。一体十時なのか、十一時なのか、十二時なのか、こういったことをはっきりさしておくほうが、旅館側にとってもお客さまの側にとってもお互いにいいことではないか、かように考えておるわけでございます。特に外人観光客が今後おいおいふえてくることを考えますと、チェックアウトタイムというものをはっきりさしておくことが絶対に必要だ、かように考えております。
それから「営業時間」の第九条でございますが、これも食堂は何時から何時まで、あるいはルームサービスは何時までしかいたしませんとか、バーだとかコーヒー・ショップは何時から何時までということもはっきりさしておくことが必要だ、かように考えております。
それから十条が「宿泊者の義務」、これは当然のことでございまして、お客さんがえてかってなことをされたのでは困るわけでございますから、義務を負っていただく。
それから十一条が「宿泊の継続の拒絶」でございまして、これはホテル、旅館側がこのような場合には宿泊を継続することをお断わりすることができるという規則があるわけでございます。
それから宿泊を中断する場合の料金の収受、これが第十二条。
それから一体責任の初めと終わりはいつなんだというふうなことが十三条に書いてあるわけでございまして、要するに現在行なわれております「利用者の皆さまへ」とか「お客さまの皆さまへ」と書いてあるものを集約したにすぎないわけでございまして、根本的な気持ちとしましては、いわゆる宿屋という観念から近代的旅館に脱皮していただくためにはこういったことが絶対に必要だ、とのような考え方のもとに届け出制をしいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/5
-
006・山田彌一
○山田(彌)委員 ただいまの局長の答弁でよくわかりましたが、重ねて念を押しますが、配付されました宿泊約款の準則に基づいて旅館業者側の立場において適当に提出すればよろしい、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/6
-
007・梶本保邦
○梶本政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/7
-
008・山田彌一
○山田(彌)委員 なお、第六条の第二項は「主務大臣は、前項の料金又は宿泊約款が外客接遇上不適当であり、特に必要があると認めるときは、登録ホテル業を営む者に対し、その変更を指示することができる。」とありますが、この場合における「不適当」ということは、たとえばチェックアウトの時間とかいうふうに具体的に、この約款の中においてこれとこれについてこういうふうに不適当だということを示されるならば、具体的な例をひとつ示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/8
-
009・梶本保邦
○梶本政府委員 いま一番適切な例として考えておりますのはチェックアウトタイムの問題でございます。これもかりに、自分のホテル、旅館ではチェックアウトタイムを午前九時にしたいというふうな届け出がございました場合には、これは少し非常識じゃないかというふうに考える次第でございまして、やはり朝起きて、ふろへでも入って、ちょっと散歩して、食事をして、荷物を片づけてというふうな時間の余裕を見るのがチェックアウトタイムのチェックアウトタイムたるゆえんだと考えておる次第でございまして、要するにだれが考えてもあまりにも非常識であるような場合、そういうふうに御了承いただきたい次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/9
-
010・山田彌一
○山田(彌)委員 次に遵守事項についてお伺いしたいが、六条の二に「この法律に規定するもののほか、登録を受けたホテルの施設の管理の方法、登録を受けたホテルに掲示すべき事項、外客に接する従業員に施すべき外客接遇上必要な教育の程度及び方法その他外客の利便の確保のために登録ホテル業を営む者の遵守すべき事項は、省令で定める。」ということをいわれておりますが、これは業者が営業する上において、省令で定められる遵守事項の内容によってはなかなか重大な問題も起きるのであるから、遵守事項が発表される以前に業者側と話し合う意思があるかどうか、これも局長にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/10
-
011・梶本保邦
○梶本政府委員 このたびの遵守事項として追加いたしました施設の管理につきまして、どういうことを私ども考えておるかと申しますと、まず、水洗便所の水が常に出るかどうか、あるいは浴場にはちゃんと水が出るような設備になっておるかどうか、部屋にはかぎがかかるようになっているかどうかというふうなことを点検、整備していただきたいということを施設の管理ということの内容として考えております。
それから掲示すべき事項でございますけれども、いやしくも登録旅館、登録ホテルであります以上は、外人観光客接遇の向上という見地からの登録制度でございますので、まず登録を受けておるホテル、旅館であるという表示をしていただく。あるいはまた客室、食堂、共同便所というふうなものは、日本語のみならず、たとえば英文なら英文であわせて掲示していただく。あるいはここが非常口であるとか、避難階段はこちらにございますとか、あるいは消火器の場所がここにございますとか、あるいは非常ばしごがここにございますというような掲示、こういうことをやはり掲示していただきたいということでございます。そのほか両がえをする場所とか、あるいはいろいろ旅館の公共的な施設につきまして、お客さまのために和英両文で書いていただかなければならぬような場合もあろうかと思います。そういったことを掲示すべき事項としてわれわれが考えておる次第でございます。
それから外客に接する従業員に対する会話能力という問題につきましては、これは現在も、たとえば国際観光旅館連盟のほうで、従業員に対して英会話の講習というふうなことを年に何回か期限をきめてやっていらっしゃいますが、ああいった程度のものを私どもは考えておる次第でございます。何も別に従業員と文学を論ずるということの会話能力を要求しておるわけでは毛頭ございませんので、ホテルなり旅館の中で、食堂はどちらですか、あるいはバーの場所はどこにありますとかいう会話だけが一応でき得ればそれでけっこうだというふうに私ども考えておる次第でございます。要するに、ホテルなり旅館の中で、外人観光客が来て戸惑うことなく用が足せる程度、このように私どもは考えておるわけでございまして、別にそれ以上のむずかしいことを要求いたしておるわけでは毛頭ございません。
そういったことでございますので、従来も運輸省としては、ホテル協会あるいは国際観光旅館連盟、日本観光旅館連盟の方々に対しては機会あるごとに言っておったことでございまして、別に目新しい内容のことが今回特につけ加わったというわけのものではないかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/11
-
012・山田彌一
○山田(彌)委員 この遵守事項については、いまの局長の答弁ですと、施設に対する掲示とか、従業員の接遇上の教育というような、ことさらにいままでと変わった耳新しいものではないということを言われておりますが、そういうことであるならば、ここで省令で定めるという遵守事項は発表してもよいように思うが、これはいま発表するわけにはまいりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/12
-
013・梶本保邦
○梶本政府委員 実はまだ法律審査の段階でございますので、省令はまだ準備いたしておりません。それで、大体省令の中に盛り込みたいと思っておりますことのすべてを先ほど私申し上げた次第でございます。大体あの程度のことしか考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/13
-
014・山田彌一
○山田(彌)委員 それではこの問題はこの程度で終わりたいと思いますが、いま局長の答弁以外の、旅館業界の営業に大きく響くような遵守事項を定めようという考えの場合には、あらかじめ業界側と話し合うという考えがあるかどうか、もう一度お伺いします。そのような場合には話し合う考えがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/14
-
015・梶本保邦
○梶本政府委員 私ども、平素から行政を推進していきます場合に、関係の業界と十分に協調連絡を保っていきたいという気持ちでおるわけでございまして、その方針で現在までも来ておりますし、今後ともそのような気持ちで進んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/15
-
016・川野芳滿
○川野委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/16
-
017・川野芳滿
○川野委員長 では速記を始めて。
それでは、次会は来たる十四日火曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02519640410/17
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。