1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十二日(水曜日)
午前十時二十二分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君
理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君
理事 久保 三郎君 理事 矢尾喜三郎君
亀岡 高夫君 木村 俊夫君
佐々木義武君 進藤 一馬君
高橋清一郎君 中馬 辰猪君
増田甲子七君 井岡 大治君
勝澤 芳雄君 泊谷 裕夫君
野間千代三君 山口丈太郎君
内海 清君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
出席政府委員
運輸政務次官 田邉 國男君
運輸事務官
(海運局長) 若狹 得治君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 廣瀬 眞一君
委員外の出席者
議 員 久保 三郎君
運輸事務官
(海運局参事
官) 高林 康一君
海上保安官
(警備救難部
長) 猪口 猛夫君
日本国有鉄道副
総裁 磯崎 叡君
専 門 員 小西 真一君
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本日の会議に付した案件
日本国有鉄道整備緊急措置法案(久保三郎君外
四名提出、衆法第二七号)
水先法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
三三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
久保三郎君外四名提出の日本国有鉄道整備緊急措置法案を議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/1
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002・野間千代三
○野間委員 大臣は出かけられるそうですから、先に二、三質問させていただきます。
初めに、提案をされております緊急整備措置法案でありますが、いま事故が続出をして国鉄が国民からとにかく不安感を持たれている、不信感を持たれているという状況の中で、通勤輸送その他たくさんの問題があるわけですけれども、これらを解決するのに国鉄では一応第二次の五カ年計画を立てて進めておるので、その内容はまた別に国鉄から伺いますが、結局は政府のほうからの国鉄に対する財政的な措置の問題が、国鉄がいまの行き詰まり、あるいは過密ダイヤその他が解消されない、そういう国鉄をめぐる多くの問題の本質的な中心じゃないかと思うわけです。そういう意味で、今日まで国鉄に対してとられてきた政府のほうの財政的な援助の欠陥というものについて伺っておきたいのですが、制度上では公共企業体は独算制で企業性を追求するということがどうしてもたてまえにならざるを得ない。国有鉄道法の第一条でも、能率的な運営をして、そういう中から公共的な任務を果たしていくというふうにいわれております。たとえば西独なりフランスなり等では、公共性の問題がもし能率的な運営の中で阻害される、あるいはうまくいかない、そういう場合には政府のほうでこれを援助をする、あるいは政府の政策で公共負担がある場合にはこれを政府のほうで完全に補償する、そういう制度が行なわれているわけです。日本の国鉄も置かれている事情としてはやはりそう変わらないと思うので、この際もっと抜本的に公共企業体の財政なり、あるいは政府の国鉄に対する財政上の見方なり、そういうものについて国鉄の安全輸送を中心にした観点に立った見方をすべきじゃないか、かように考えるのですが、いま第二次五カ年計画が全体的には今年度でも五八%程度しか進み得ないのじゃないか、あと四十年一年しか残っていない、そういう状況では新しい計画を立てる必要があるのじゃないかということすら言えると思うのです。そういう時期に来ておりますので、こういう機会に政府のほうのもう少し本格的な国鉄に対する取り組みについて、特に財政を中心にして政府としてどう考えておるのかという点についてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/2
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003・綾部健太郎
○綾部国務大臣 鉄道省時代はもちろん、引き続きまして、日本の鉄道、国鉄というものは世界の信用を博し、また日本人にはもちろん、世界からも敬意の眼をもって見られておったのであります。ところが、近時いろいろな面におきまして国民の間に不信感とまでは申しませんが、何か割り切れぬような感じがあるということはいなめない事実でございます。
そこで、私どもといたしましては、すなわち運輸当局といたしましては、信頼するいまの国鉄の幹部がどういうような案でこの問題を解決するかということについて、私どもは日夜それを見ておるのでございます。それでできる限りのことをやりたいと考えまして、財政の許す範囲において、国鉄の働けるようなふうに、金の面で心配をかけないようにしようということが、われわれ運輸省としての根本的な考え方なのでございます。
この間の三十九年度の予算編成にあたりまして、たまたま国鉄の要求する予算が思うようにならなかったのを機会といたしまして、私は、この予算の閣議におきまして、これはひとつ抜本的な改革といいますか、方途を考えるために何か調査をする。あるいは調査をして、四十年度の予算編成にあたりましては、その衆知を集めた結果を予算の面に実現するようにしてもらいたいということを、予算を認めるにあたりまして、私は閣議に申して、記録に残してあるのでございます。その趣旨に基づきまして、来年度の予算編成、すなわち概算提出が大体八月ですから、それに間に合うように政府部内に国鉄の抜本策を検討する何らかの形の組織をやってみたいということを言いまして、その方法についていま考えております。あるいは調査会なり、あるいは閣僚間の懇談会になるか、いずれにしたって、ただいま私が申しましたような目的を達するための審議の話し合いの場を持つことを強く要望して、政府もそのつもりになっていま鋭意やっております。
そこにおきまして、あなたがいま御指摘になりましたる公共性の問題、企業性の問題、しこうしてそれに伴う運転の保安その他一切の問題についてひとつ徹底的に研究をして、こうすればいい、ああすればいいというようなことをひとつ大蔵当局、その他関係の役人はもちろん、民間の人の考え方を取り入れるためには、特に民間の人の意見を入れる等々をいたしまして、やっていきたいと考えております。
すでに御承知のように、交通基本問題調査会の答申がありまして、あらましのことはうたっておりますが、それをさらに財政的な裏づけをして、そうしてこれを実行に移すのにはどうしたらいいかというようなこと、あるいは単に機械だとか施設だとかいう面のみならず、私はいつも申しますように、幾ら精巧な機械ができても、それを動かすのは人でございまして、人に関する問題等につきましても根本的に考えてみたい、かように考えて、目下、その機関の設置に政府といたしまして運輸省も協力いたしまして努力中でございます。その結果を待ちまして、必ずや相当の成果のあがる何か組織ができてそれを具体的に移すようなふうになることを期待いたしまして、その組織に関する懇談会というか、組織の名称のいかんにかかわらず、実質的にはそういう目的を持った一つの組織をこしらえて討議いたして、その結果で善処いたしたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/3
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004・野間千代三
○野間委員 三十九年度予算の最終的なまとめの際に、いま大臣の言われるようなことで何項目かでまとまったことは当時の報告で承知しておりますし、大臣がそういう方面で努力されたことも承知はしておるのであります。いわばその努力に対して期待をすることになるのですけれども、ただ問題は、すでに国鉄問題というのは、特に三河島の事故等を契機にして、独算制の欠陥なり、あるいは抜本的な国鉄に関する政府のほうのかまえとしてどうすべきかという点が相当大きく論議をされておったと思うのです。それが鶴見事故あるいは鉄道建設公団等の論議を通じても、何回かそういう問題が論議されてまいりました。それで久保委員が提案をされております整備緊急措置法案の根幹になっておるところは、説明によれば、やはり政府のほうで財政を、必要額の三分の一をきちっと措置をしていく、そういう基本的な観点に立っていると思うのです。いま大臣の言われる懇談会なりあるいは調査会なり、そういう面で国鉄の性格等について検討をされて、抜本的な対策を考えたいという意味はわかりますけれども、すでに時期としては、政府のほうで、むしろ運輸省のほうで国鉄に対する財政的な考えとしてどうすべきか、そういう基本的な方針についてはすでに検討の時期ではないんじゃないか。具体的に運輸省として、運輸大臣として方策を持って、それを政府の方針に出していく。もしそれがなお政府の中において大蔵省なり何なりで多少問題があるとすれば、その方針について検討するなり、そういう意味での調査会であればそれはある程度必要性は認めますけれども、最初からもう一回国鉄の問題について検討し直すというなら、これは国民がいま期待をしておる国鉄の基本的な安全輸送、通勤輸送等の持っておる問題について解決を迫られている、そういう時期に運輸大臣のいまの回答ではわれわれとして納得しにくいと考えるわけで、少なくとも運輸省として、運輸大臣として、国鉄に対する財政上の基本的な方針ぐらいきちんと出して、それを検討するなり、あるいは関係の閣僚懇談会等で検討するなり、そういう方面であればまた一応の前進じゃないかと思うのです。そういうことについての運輸省の方針というのは、いまのところないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/4
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005・綾部健太郎
○綾部国務大臣 運輸省としては一定の方針を持っております。すなわち、いろいろな面を改良するにいたしましては、どうしても金の面、いわゆる財政の面が一番問題なのでありまして、それをさらに具体的に言うならば、税金の集積である国家の金でやるのか、あるいはその利便を受ける一般大衆によってその金を得るか、あるいは公債を発行してやるか、この三つより方法はありません。もし名案がおありならひとつお教え願いたいと思いますが、その三つのうちどれがいいかということを、われわれは今度ひとつみっちりいろいろな方面から意見を聞いてやっていきたい、かように考えておるのでございまして、運輸省としては三つ方法があると考えております。ただいま申しましたように、租税でやるか、すなわち国家資金でやるか、一般利便者すなわち使用者の負担においてやるか、あるいはそれは両方ともまずいというならば、公債を発行してやるか、これ以外に方法はないのです。そのいずれがいいかということを各方面から衆知を集めて検討いたしていく。それは資金面でございます。それから国鉄のあり方につきましては、公共性と企業性をいかに調和していくかということについての意見を聞き、それから何年でこれをやらねばいかぬかというようなことも聞き、そういうことを今度の懇談会でお知恵を拝借したい、かように考えておるのでございまして、私は野間委員のおっしゃることはよくわかりますが、私どもとしての考え方もおわかりが願えると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/5
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006・泊谷裕夫
○泊谷委員 大臣が時間の制約があるというので、お尋ねしたいと思います。私は、久保議員外四名の議員の皆さんが出された日本国有鉄道整備緊急措置法案に関して、当面国鉄はこの措置でもしなければ立ち往生するのではないかという立場に立ってお尋ねをしたいのです。時たまたまけさの新聞では、国鉄基本問題調査会から懇談会に移行するというふうに報じられておりますが、いま野間委員の質問に答えて、大臣もある程度運輸省としての方針があるというお話でありますので、この懇談会に臨む大臣の考え方をお尋ねしたいと思います。
重要な国鉄の諸問題について二、三点お尋ねをしておきたいのですけれども、いま国鉄で大きな問題は、その一つに借り入れ金の始末があります。東海道新幹線建設と第二次五カ年計画の進捗によって、この数年来借り入れ金、それから返済利子、債務取り扱い諸費のワクが累増しておることは、大臣も御承知だと思うのです。三十五年当時、国鉄経理局が今後の借り入れ金の償還予定を試算したことがありますけれども、それによりますと、三十九年度には四百二十億、四十二年度には八百二十八億にもなるということを報じておりますし、これに利子支払いの分を組み入れますと、四十年度ですでに一千億になると伝えられております。一千億といえば国鉄収入の二割に当たる巨額なものになるわけです。一方では過大な運輸収入を見積もり、一方では積極的な経費を押えて、さらにその一方では多額な借り入れ金の返済に苦しんでおるというのが、いまの国鉄の実情であると思うのです。政府は道路、港湾、造船などの融資に対して利子補給法が適用されておることも御承知のことと思うのです。国鉄だけ自前で利子の分もかせぎ出しなさい、こういう指導方針になっておるのですが、当然利子補給などについて適用があってよいのではないかと私は考えるのですが、大臣としてこの懇談会にどういう考え方で臨まれるのか、その方針をお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/6
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007・綾部健太郎
○綾部国務大臣 懇談会と申しますか、調査会と申しますかに臨む基本的な態度については、先ほど私が申し上げたとおりでございます。すなわちすべての問題を解決するために必要にして最大と申しますか、最小と申しますか、その金を得るのには、方法は三つしかない。すなわち運賃の値上げによるか、値上げといいますか、運賃問題に手をつけるか、税金でやるか、公債でやるか、この三つより私はないと思います。そのうちのいずれが一番いいかということについては、懇談会というか、調査会というか、その意見を聞きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/7
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008・泊谷裕夫
○泊谷委員 大臣、お答えをせっかくいただきましたけれども、第三者的なお話で、運賃値上げによるか、税金によるか、国庫支出によるか、そういう話じゃなくて、借り入れ金であれ、公債であれ、それは本来国鉄でしょわなければならぬものであります。それでこの国鉄の経営がもてるかどうかという根本的な問題について、大臣としての抱負がなければならぬと思うのです。ですからその三つの処理方針をオウム返しにお答えいただくのでなしに、具体的にこうしなければならぬという大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
あわせてこの公共負担の問題について少し触れてあわせてお答えをいただきたいと思うのですけれども、国鉄は公共企業体としての立場から、昭和三十六年度の実績だけでも、通勤通学定期四百六十九億です。それから学生割引二十七億、新聞雑誌七十九億、貨物特別等級割引が百四億、暫定割引が二十二億、その他八億、新線建設費が六十二億、総額七百七十一億にも及ぶ公共負担を行なっているのですが、これらについては、当然本来独算制を一面に持っております国鉄として、そのまま国鉄が負担すべき筋のものではないと私は考えます。やはり国策として何らかのこれに対する適切な改善策を持たなければならぬと思うのでありますが、これもあわせてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/8
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009・綾部健太郎
○綾部国務大臣 ただいまの問題について私の答えは尽きていると思うのでございますが、そういう負担その他を、結論的に申しましてどの方法によるのがいいかということ、いずれにせよどういう方法でも問題の解決点は要するに金に関することですから、その金を得る方法は何がいいかということを、今度の基本問題の討議にあたりまして、私どもは衆知を集めて善処をいたしたい、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/9
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010・泊谷裕夫
○泊谷委員 どうも大臣、これはきっと政界を去られてから、きょう答弁されたことは、心にもない逃げを打って恥ずかしい思いをしたという気になると思うのです。お金がほしいのは事実ですが、そのお金は、本来国鉄の独算制として経営が十分であれば、これで採算が合うという方式のものならば、それは確かにそういう言い方はできますけれども、いま申し上げたように、企業としては本来やらなくともいいものまで国の政策としてやらなければならぬものを公共企業体として要請をされておるわけです。数多い国民の中で、だれが、いまの事態の中で国鉄の経営をおれにまかせろ、採算を合わせ得ると言い切れる人が一人でもありましょうか。大臣だって私は言い切れないと思うのです。ですから、制度上にそういう欠陥があり、しかも国家要請としてそれを遂行しなければならぬというときに、求める財源の求め方というものはおのずから限定されなければならぬと思うのです。評論家的な立場で始末論を聞くのではなくして、現在の経営をいかにして確立せしめるか。それに政府のなすべき手が打たれていないという点について、閣僚を構成しております大臣として、当然その方針を明らかにしていただかなければならぬと思うのです。そればかりではありません。先日議論になりました国鉄の赤字線の問題を取り上げて考えてみますと、いま池田内閣の高度成長政策で、その基盤をなします地域格差をなくすという主張のもとに、採算ベースを離れて、俗に言う僻地にも交通網を確立しよう、これは今日始まったわけではなくて、いままでの国鉄百年の歴史の中で遂行されてまいったわけでありますけれども、社会政策の面から見ましても、昭和三十七年の実績は、採算のとれる線区は二十九線で、全体の一三%にすぎません。直接費をまかなえる線区が七十五線で三三%にすぎないわけです。直接費もまかなえない線区は実に百二十二線区ありまして、全体の五四%を占める形になっております。これでなおかつ独算制をしいて、国鉄だけにその負担を負わせるということについても、大臣としては気の毒だと感じないのか。誤りをおかしておると感じないのか。何とか国策としてその手を打たなければならぬと考えておるのか。三つの方法のうちのどれを選ぼうとしておるのかを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/10
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011・綾部健太郎
○綾部国務大臣 泊谷さんがおっしゃるように私は何も責任をのがれて答弁なんかしておりません。私は責任を持ってお答えをしておるのですから、その点誤解のないようにお願いいたします。さきに御指摘になった問題につきましては、私が先ほど来再三申しますように、案はせんじ詰めると三つしかないのですから、その案の中のどれがいいかということを今度根本的に調査して、衆知を集めていい案をやろう、これ以上お答えすることは、私は不可能であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/11
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012・野間千代三
○野間委員 三つしか案がないというのは、ほかに収入はないのですからわかるのです。国鉄は物をつくったり売ったりするのではないですからね。問題は、国鉄という企業は、いわば国の産業の基本だと思うのです。だからいわば政府のほうの考えとして産業の発展に即応する前に、国鉄という企業の基盤をちゃんとつくっておく。それが産業の発展の基盤になるという関係だろうと思うのです。そうなってまいりますと、どうしても利用者から得るものだけでは運営ができなくなる。また利用者だけに負担をかけさせておって、それではたして産業の前提になる、産業の発展に先行しなければならない国鉄の運営なり建設なり、そういうものができるであろうか、できないということは当然だろうと思うのです。ですから一つには一般利用者から得る資金と、それから税金からの措置、借り入れ金、この三つになるということは、私もそうだと思う。それは否定しませんが、問題は、いま申しましたような、国鉄の基本的な性格からすると、少なくとも、いま泊谷委員の言うように、政府の政策によって国鉄に負担をかけるもの、そういうものについて、これは利用者だけの負担でいいかどうか。これは一面では国の基本問題にかかわってくるし、国の経済政策にかかわってくるから、この分はとにかく利用者の負担でない、いわば国の投資なり税金の投資なりそういうことをしても間違いでないと思うのです。そういうふうに、一応この三つの問題には違いないが、その三つの財源をどういうふうに使っていくかということが基本の問題だろうと思うのです。いま大臣は三つの案のうちのいいものをやるということを言われたが、三つのうちの一つだけというわけにはいかないと思う。結局は三つ全部使うと思うのです。その三つを使う場合に、どういう性格で、国鉄にやらしてみる場合にはこれはこうするとか、たとえばフランスの場合には、国鉄の鉄道のところに踏切を置けば、この踏切は国がつくる、国鉄が国道の上を高架しなければならぬときは高架の分は国が補償するとか、そういう措置が行なわれていると聞いているわけです。おそらく西独の連邦鉄道もそうじゃないかと思います。そういうふうに一応の基本的な考え、大臣の繰り返して言われる三つの金をどういう性格に使うかというくらいの区分けをした方針は出せるのじゃないかというふうに思うのです。それをぼくらは聞いているのです。その程度の方針はひとつ運輸省としてはっきりしてもらいたいと思う。それがいいかどうかということは、これは調査会なりあるいは懇談会で検討してもらうのはいいが、ただ三つだけ並べられては困ると思うのです。その件についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/12
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013・綾部健太郎
○綾部国務大臣 そういう点を今度調査会で研究しようというのです。どういうことがいいとか悪いとかいうのは、われわれとしては案を持っております。持っておるが、信頼する国鉄の幹部が出す前提となる、そういういい案を実行する資金の確保のめどはどこへ置くのがいいかということを今度やろうというのです。それがきまらなければお答えにならない、私はかように考えて、その基本問題を今度やろう、こういうのですから、その結果を待たなければお答えできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/13
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014・泊谷裕夫
○泊谷委員 どうしても、私どもの尋ねたいところにさわってくれないのですけれども、気になることばに運賃値上げの話がありました。私どもも、この国鉄の運賃の組み立て方については、その中で育ってきた者としてどうも不自然な感じを持たざるを得ない。しかし、それは運賃値上げそのものを許容するということではありません。具体的に指摘をしてみますと、こういうことなんです。貨物運賃は十四等級に分けてあるのです。原価をまかなえる運賃は四等級と五等級の間で設定しているのです。言いかえますと、四等級以上が黒字で、五等級以下のものは運べば運ぶだけ赤字になっているわけです。ところが、国鉄輸送の大きなポイントになっております品物はほとんどが五等級以下に設定されているのです。石炭、粗鉱、石灰石など、これは全部七等級以下です。特にコークスとかセメントなど、大企業中心の輸送は格づけが低くなっているわけです。さらにどこかで水害が起きた、無償で輸送する、あるいは割引輸送、俗にいう災害の救恤品、公共割引、さらには米、麦、農水産物の特別割引、そのほか鉱石類、紙パルプ、木材などの俗にいう暫定割引だけで二十億にも達しているわけですが、何ゆえに国民の生活必需品の米輸送に比べてセメントをかくまで安い運賃で輸送しなければならないのか。このことについては適正な等級の設定というものがあってしかるべきだと思うのです。これは先ほども訴えましたけれども、もし国の産業開発のためにと主張されるのであれば、当然それは三つの方式でなくて、大臣としては、この部分について国の政策として助成策をとるのが緊急の仕事だと思うのですけれども、これについての大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/14
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015・綾部健太郎
○綾部国務大臣 そういう問題について今度根本的にやろうというのです。どれがいいかということをきめて、それに従って衆知を集めてやろうというので、具体的にどれを私はいまここでやろうと言ったってやれるものではないし、国鉄の幹部がちゃんと、そういう等級あるいは割引その他をいままでやってきたのだが、これじゃとてもいかぬ、それじゃあなたのおっしゃる国策の見地から絶対にそういう割引をやめるのがいいという結論が出るならばやめまして、それを改定していきたい。そのままやるならば、それじゃそれに見返る金はどこから出すのかという議論になる。そういうことをいま含めて全部やろうというのですから、その結果を待たなければ、私はここで言うことはできませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/15
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016・泊谷裕夫
○泊谷委員 これでぼくは質問をやめますけれども、総括的に、いまの国鉄を私なりに言わしてもらうと、先日、古い本ですけれども、ある新聞記者の書いた本にこういうことが書いてあるのです。過去国鉄の首脳部が粉炭の購入価格について時の総理につながりのある炭鉱主から要請された価格どおりに買い取ることに難色を示した、どうしたことか、その難色を示した副総裁はその後労使問題の裁きが悪いということで国鉄を去られた、こういうふうに指摘しておるのです。この理由について、一新聞記者の書いた本でありますから必ずしも信憑性があるとかなんとかいうことは私は主張いたしませんけれども、ただこれを考えてみますと、国鉄の資材購入は、工事契約の面でも、石炭、車両、機械器具その他含めて年間約一千億も購入しておるのです。石炭は、国でできる石炭の一割を国鉄で使っております。車両は七五%です。それからレールは約三割三分という数字を示しておるのです。まくら木に至っては六七%、こういう大量に購入をしながら、これらの品目は必ずしもほかの企業と比べて低廉な価格で入っておるとは思われないのです。国鉄は独算制をとりながら公共性の名のもとに巨額の公共負担をしいられて、大企業には低運賃でその輸送を強要されて、さらに本来多量に仕入れる品物は安く買わなければならぬというのが理屈だと思うのですが、それがいろいろな事情があって必ずしもほかよりは安い価格で入ってこない。こういう中で採算性の問題だけを打ち出されるということになりますと、勢い国鉄当局の方針というものは、だれがそろばんを合わせたって合わないことになりますから、当然経営費を詰める、予定収入を過大に見積もる、こういうことで年から年じゅう四十五万従業員と首脳部との対立をかもすという形になっておる。それのみか、企業が崩壊に瀕するという事態に立ち至ってくると思うのです。こういうことで、その監督の立場にあります運輸大臣として、従来国鉄基本問題調査会ですべてのものをということを逃げ場にして話をされておりましたが、けさの新聞の書き方を見ますと、学識経験者などを入れない閣僚の懇談会でこの問題に検討を加えるというのであります。一面見ると、閣僚が国鉄の経営に責任を持ってもらうという利点がありますが、一面はこの鋭いところを突かれては困るという印象を国民に与えているとぼくは判断するのです。こういう時期にあたりまして、かりそめにもいまの大臣の口から運賃値上げというような話が出ますと、政府みずからきめられる電気料、鉄道運賃、郵便料金、これらを優先して値上げを決定することは、その他の諸がかりの累増を招いて、またまた数多い国民に生活の不安をしいることになると思います。この解決策は、あくまでも国鉄の公共性と独算制を両立して企業を行なわしめる場合に、国の政策として産業育成の必要な措置については当然他の企業に保護しておるような措置を政府として考えるべきだ。その主管担当であります大臣が強くその筋を押すことこそが当面の急務と考えるのですが、ここまでお話しても大臣の考えを明らかにしていただけないものであるかどうか、再度お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/16
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017・綾部健太郎
○綾部国務大臣 たびたび申しますように、そういういろいろな問題を考えて結論を今度の調査会で出そうと言っているのですから、一つも私は矛盾しておらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/17
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018・野間千代三
○野間委員 おっしゃっていらっしゃることはわかりました。
それで大臣が行かれる前に一つ伺っておきたいのですが、久保議員が提案をされております整備緊急措置法案で十年間におおむね三兆三千億円、とりあえず第一期工事を五年間としてその半額の一兆六千五百億円を充当して緊急に国鉄の整備をしようということになっておるのです。久保議員にお尋ねするのですが、いまの問題で、久保議員のこの一兆六千五百億円の資金の内容ですね、そういう点についてのいまの運輸大臣に対する質問に関連しての方向でひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/18
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019・久保三郎
○久保議員 いままで運輸大臣にお尋ねがあった点でありますが、まずひとつわれわれの態度を明らかにしておきたいと思います。
いわゆる国鉄の公共性の問題、これは、言うならば、公共性とはきめられた時間に列車を走らせなければならぬという一つの義務、あるいは運送は順序に従ってこれは輸送するという運送の義務ですね、あるいは運賃はきめられた運賃で輸送する、こういうふうなことが言うなら一つの狭い意味の公共性だと私は思っております。それからもう一つは、もっと大きく言うならば、公共性とは日本国有鉄道は国民経済上、その輸送を能率的に、しかも国民生活にその輸送をやることによって寄与するというのが一つの公共性だろうと思います。いま取り上げているこの公共負担の問題ですが、そういう意味から申し上げれば、たとえば文教政策上の学生の定期割引、あるいは学生の旅行に対する割引、あるいは農林水産物資あるいは特定の物資に対する特定の割引、これは産業政策上。こういうものは国家政策の遂行上必要であるから、今日までそれぞれの運賃の低減をしていると思うのですね。だが、これは直ちに国鉄が公共性として当然背負っていかなければならぬという性格のものではない。特に最近、というか、今日ただいまの国鉄は、そういう国策であるべき政策を背負っていくだけの余力はない。むしろ先ほど申し上げた国民経済上能率的に輸送を完遂できる立場にありません。たとえば安全輸送を一つとりましても、多大の不安感があるし、あるいは万全を期すためにはさらに多額の費用が要る。さらにもう一つは輸送の実態でありますが、これは過密ダイヤと言われながらも、輸送力というものは極度に幹線と通勤輸送では詰まっている。でありますから、この国鉄本来の使命が達成し得られないままに国家政策を遂行すべき立場にはもちろんない。まず第一に、国鉄に、その前提である国民経済上その機能を十分に発揮させ、なおかつ企業性の追求により、利潤と言っては語弊がありますが、利益が上がるということになりますれば、国家の政策を肩がわりしてやるというのも一つの方法として私はあり得ると思うのです。しかし今日ただいまは、先ほど言ったようにございませんから、まずもって第一番目にはこの政策的なものを国鉄の公共負担として今日強要することはわれわれとしていかがかと思う。さらに第二番目としては、このわれわれ自身がいま提案しております法案で政府の出資を、大体改良計画の費用の三分の一は政府の出資に待とう、こういうことでありますが、これはただいま申し上げたような一つの公共負担の肩がわり、こういう意味もございますが、それ以前に申し上げなければならぬのは、戦後特に今日まで国鉄の資産を食いつぶして——先ほど泊谷委員からも質問があったように、基礎物資といわれるようなセメント、砂利、石炭、鉄鋼というか、そういうものの運賃は採算割れしている。いわゆる政策的に、日本の経済を復興させるためには運賃を低廉にしなければならぬということから今日まできたわけです。そのために日本の経済は今日のような状態になっておるのです。一般の産業も非常な伸展を遂げておるわけです。言うならば、国鉄のいわゆる資産を食いつぶして今日の経済の興隆がなったということでありましょう。でありますから、当然のごとく、その資産食いつぶしによって麻痺状態におちいった国鉄を再建するためには、国家財政の中で少なくともめんどうを見るべきが当然だというのが私が提案している三分の一は出資に待とう、こういう概念であります。そういうことでございますが、先ほど運輸大臣から御答弁があった三つの方法の一つであります。運輸大臣の答弁を聞いておりますと、そうではないと思うのでありますが、政府から金を出す、いわゆる税金からこれをまかなう、あるいは運賃の是正によってこれをやるか、あるいは借り入れ金によってやるか、この三つの方法で、今度できるようでありますが懇談会にひとつかけて結論をつけてもらおう、こういうことでありますから、言うならばこれは三つの一つ二つを取り上げるのではなくて、三つをどういうバランスで配慮するかというのが、これが一番大事な点だと思うのであります。でありますから、まず第一に借り入れ金その他は、先ほど野間委員からも御指摘があったように、国鉄財政の今日の圧迫の大きな問題は借り入れ金の問題になってまいります。これは近くなってまいります。四十二、三年ごろに実はなってくるようであります。でありますからそういうものにもこれは限度がある。それから運賃収入については、御承知のように、これまた限度があります。また運賃値上げの問題も、大臣から少しお話があったようでありますが、さらに泊谷委員からもございましたが、採算割れしているから、これは採算点まで上げよという単純な運賃の是正はできかねるでありましょう。と申し上げますのは、国鉄の輸送分野というものをきめて、その上に立って運賃はまず第一にきめなければならぬ、こういうふうに考えます。でありますから、ものによりまして、あるいは距離によりまして、採算を割るものも将来にわたって出てくるかもしれぬ。しかし、これはどこまでもいわゆる採算割れをするようなものでは企業性とは相反しますから、言うならばやはり採算を基準に考えることは当然だと思うのです。しかし先ほど申し上げたように、国鉄ばかりが陸運でありませんから、その他の輸送機関との輸送分野、こういうものも勘案しながら、国鉄の機能を十分その独自の立場で発揮できるような適正運賃というものを探り出さなければならぬと思います。しかしこれは第一次、第二次五カ年計画ともそうでありますが、運賃値上げに主たる財源を求めたのが、まず第一にこの五カ年計画の破綻の第一歩であります。第二次もそうです。でありますから、運賃値上げと借り入れ金でもってのみ問題を消化するという方針には、もはや限界が来たと思うのです。でありますから、ここで先ほど申し上げたように、国家財政から現なまを出せということに一つはあるわけです。そういう考えで実は提案をしているわけです。
それから先ほどお尋ねの、それじゃ中身はどうするのだ、一兆六千五百億という第一次五カ年計画の中身はどうだ、こういうお尋ねでありますが、これは概算でありますからもちろん精査いたさなければならぬ点も数多くあると思います。しかし提案理由でも申し上げたように、今日ただいまの時点で、国鉄の投資不足は大体一兆四、五千億といわれております。これは国鉄内部でもそう言っておるようであります。でありますから、まず第一にその投資不足を取り返すというところに第一次五カ年計画は力点を置くということ。それからもう一つは、いまそう言っても国鉄が安全という問題を忘れては、今後の発展と国民経済上の使命は達成することができないと思う。でありますから、極端なことを言うならば、政府出資は大体においてこれは安全対策に振り向ける、そうするならば税金の使いどころも明確になるのではないか、こう思うわけであります。いずれにいたしましても、中身は大体幹線輸送で約六千億、電化で千二百億、通勤輸送が千三百億、踏切等の対策については千億、その他取りかえ等が大体三千三百億程度、車両については三千九百億、大体その程度で一応一兆六千五百億というものになる。これが投資不足を解消するまず一つだと思うのです。でありますから、先ほど言ったように、これにはもちろん新線計画は入っておりません。公団へ行っております。さらに巷間伝えられるところの山陽新幹線については、新幹線の構想は入っております。しかし、先ほど申し上げたように、幹線輸送増強については十分考慮していく、こういうふうに考えております。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/19
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020・野間千代三
○野間委員 大臣が急いでおられるので、いま久保議員から答えもありましたが、先ほどの運輸大臣との問答の中で、大臣のほうでは、三つの方法をどういうふうに使っていくかというふうなことをこれから検討していくと言っておられたのですけれども、いまの久保議員の回答の中で、国のほうで、つまり一般税金のほうで見なければならぬという要素が国鉄の中で幾つかある。公共負担の問題、今日までの食いつぶしに対する補償の問題等が非常に重要な問題だと思いますが、そういうふうに、ある一つの性格が、今日までの国鉄の経営の分析の中でたくさん出ていると思うのです。したがって、その分析をしてもらう。これは当然一般運賃で負担すべきでない、しかも、運賃を値上げをすることについては、国の政策として、あるいは経済上でも問題があるし、当然限界が来る、したがって、国のほうで見なければならぬ性格のものが何点か、今日までの論議の中で出てきているわけですから、そういうものについては国のほうできちっと負担をするというふうにする。いま久保議員のほうでも、整備緊急措置法の内容として、一つの骨子として提案になっておりますけれども、そういうふうに今日の段階では明確に分析をして、それに何を振り当てるかということはおのずから出てくる問題じゃないかと思うのです。ですから、運輸大臣のほうで、基本的にこういう方向に基づいて国鉄の経営を改善をするために、運輸省として、懇談会にかけるなりして、それをすみやかに実施をしたいということであれば、そういうふうにして、調査会とか懇談会とかいうところで論議をすることももちろん必要でしょうけれども、今日の段階では、運輸大臣として明確に示す。そうして、それをすみやかに実施をしていく、緊急に実施をする、そういう必要がいま国鉄にあるんですから、そういう方向で大臣としては進んでいってもらわなければ、国鉄の企業、しかも国民からあるいは国民経済上から、になっている国鉄の企業が、むしろ国民経済の伸展を阻害するというぐらいの要素になっていくんじゃないかというふうな心配があるわけです。そういう観点から、大臣としてはもう少し明確な方針をこの委員会に示して、その方向に基づいて内閣の意見を早急につくり上げて政府の方針、政府の政策として実施をしていくというぐらいの気がまえを、いま国民の前に明示をする必要があるというふうに私は思うのです。ですから、先ほどのような回答を繰り返すのではなくて、もうけっこうですから、もう一回、いまの久保議員の言われる整備緊急措置法案の根幹になっておる問題とも関連をしながら、政府として当然しなければならぬ問題じゃないかと思うのでありますから、そういう点についての大臣の一つの心がまえといいますか、そういうものを国民に示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/20
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021・綾部健太郎
○綾部国務大臣 私は、たびたび申し上げますが、この調査懇談会の結論を待たなければ、私がここで幾らそれがいいと言ったって、それよりまだいい案があるじやないかというような案が出ないとも限らぬ。その結果に期待して——みながそう思っておれば、おそらくはいま野間委員が考えているように、租税でやるようになる。みながそれでいいと言ったら、すなわち財政が許すならば、私はあえてほかのことはやらぬでも、足らぬだけは全部国の財政でまかなうんだということがみながよろしいということになれば、それに従う、こういうことでこれでなければいかぬという考えは、私はここで申すべきでないと考えております。よりいい案があるかもしれない。よりいい案がないときは、それは私どもの考えている案でやりますが、よりいい案があるかないかは、これからやってみなければわからぬですよ。だから、その結論に従って善処する、こう言っておるんですから、これ以上押し問答しても結局議論になるのですが、私はそういう信念を持ってやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/21
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022・川野芳滿
○川野委員長 野間さん、大臣は、参議院の本会議からたびたび迎えに来ておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/22
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023・野間千代三
○野間委員 最後に、大臣、いい案があるかないかじゃないんです。いい案がないからそれを言っているわけです。——国鉄の首脳の方がいらっしゃいますから、最初に国鉄の方にお尋ねしたいのですが、第二次五カ年計画が三十六年から、第一次五カ年計画を打ち切って、しかも運賃値上げの財源を主として始めて、その際に資金計画としては九千七百五十億円でしたが予定をして開始をされたわけですが、途中、三十七年に緊急補正をして、最終的にはたしか一兆三千何百億に上る資金で第二次五カ年計画が始まったと思います。したがって、これは先ほどの運輸大臣の答えにございましたが、とにかく第二次五カ年計画は、運賃値上げに基づいて国鉄の輸送任務の達成ということを目標とし、これを公約として始めたと思うのです。それが三十九年度の予算の提案及びその決定された内容で見ますと、なお、たしか四千億円以上の資金が不足になっておった。第二次五カ年計画は昭和四十年度に打ち切られると思う。そういう内容になっておると私は記憶しておりますが、われわれのほうでは、この緊急整備措置の問題の中でもいわれておりますが、昭和三十八年で四一%程度の完成率と考えられる。三十九年度に及んでも五八%程度の遂行率ではないかというふうに分析をされておるわけですけれども、そういうことでは、これはあと一年しか残っていない第二次五カ年計画をどういうふうに進めていこうとしているのか。そして、四千何百億というふうにまだ残っておるわけですが、第二次五カ年計画の終わる昭和四十年でそれが完遂できるのかどうか。もう一つは、今日の三河島あるいは鶴見事故等の経験からして、事故小委員会等でも論議をされておりますけれども、この第二次五カ年計画ではたして国民の不安が払拭できるだけの国鉄の輸送力、安全対策、線増その他通勤輸送等、国民から期待されておる状態に国鉄がなり得るかどうかという点についても非常に問題があると思うのです。そういうことについて国鉄当局としてはどういうふうに計画を立てて第二次五カ年計画を遂行しつつあるのかどうか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/23
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024・磯崎叡
○磯崎説明員 ただいまの御質問の点でございますが、まず第一に現在遂行中の第二次五カ年計画はことしでちょうど四年目に当たっております。過般成立いたしました予算どおり全部消化するといたしまして、進捗率につきましては先ほど先生のおっしゃったとおり五八・四%でございます。東海道新幹線は十月一日に開業いたしますので一〇〇%でございますが、新幹線以外は五八・四%であります。したがいまして途中で改定いたしまして、当初九千七百億でスタートいたしました第二次五カ年計画は現在一兆三千五百億にふやしてございます。この一兆三千五百億のうちから東海道新幹線を除きますと、新幹線以外だけで約九千九百億になります。これにつきましてはただいま御指摘のとおり約四千億以上の残がございます。したがいましてこれをこのまま遂行いたしまして昭和四十年度に全部やってしまうということは、ほとんど不可能だということを申し上げてもいいと思います。私どもといたしましては現在たまたま本年度予算の折衝の過程において、先ほど大臣から御発言がございましたが、政府としても国鉄の問題を根本的に考え直してやろうという御意向もございましたので、その御意向に従いまして、できれば第二次五カ年計画は一応第四年目で中断いたしまして、昭和四十年度から新しい長期の計画を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。その規模その他につきましては、ただいまいろいろ大臣との間で御質疑がございました基本問題調査会等におはかりいたしましていろいろ御意見を承り、またその財源の確保についてもいろいろ御指示を賜わるつもりでおりますけれども、いずれにいたしましても昭和四十年度から新しい長期計画に入りたいということを考えております。
さらにもう一点保安対策の問題でございますが、これは一昨年の三河島事故以来緊急に保安対策費を大幅に増加いたしまして、全体で約六百億を計上いたしたのでございます。これはおかげさまで順調に消化いたしておりまして、すでに残すところ昭和四十年には百二十億程度のものになっておりますので、一応計画は遂行できるというふうに思っております。これはとりあえず当面の具体的な事故防止対策、たとえば踏切の問題とか車内警報装置の問題という、ほんとうに直接事故につながる対策だけでございまして、申しわけございませんが、いわゆる根本的な過密ダイヤの解消というのに一番大きな力になります線路の増設等につきましては含んでおりません。これは先ほど申しました一般の改良費に入っておるわけでございます。今後こういう直接の事故防止対策費のほかに、間接費と申しますか、根本的な事故防止対策をやるにはいままでの六百億ではとても足りませんので、これをやはり昭和四十年度以降の長期対策の中に織り込んでまいりたいというふうに考えております。とりあえず直接事故防止対策だけは一応現在予定どおり進捗いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/24
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025・野間千代三
○野間委員 三十九年度で第二次五カ年計画を中断するという問題が一つ、それから四十年度から長期計画を立てたいというのが一つ、それから保安問題については根本的な問題についてどうするかという問題が一つ、第二次五カ年計画の過程についていま副総裁の言われる中で、こういう三つの問題が生まれてきたように見るのです。まず最初の三十九年度に中断をするということは、結局は資金問題、財政問題だろうと思うのですが、運賃値上げによって始まった第二次五カ年計画が第四年目で中断をしなければならない、それがまた運賃値上げで四十年以降の長期計画を立てるということは国民に対する大きな公約に対する違反というか、裏切りというか、そういう性格になると思うのです。したがって、この三十九年度で中断することについて、国鉄当局として運賃値上げをして始めた国民に対する公約に対してどう考えておるのか。昭和四十年以降の問題について長期計画の基本をどう考えていくのかということと当然関連して、基本的な考えとして国鉄としては考えておかなければならぬ問題ではないかというふうに思うのですが、そういう問題についてどう考えておるのか、お聞かせ願いたいのが一つと、もう一つは、四十年度からの長期計画なんですけれども、長期計画といっても、いま直ちに当面緊急に先ほど運輸大臣との話の中で出ましたけれども、国民の輸送ということを完遂していこうとしておる国鉄としては、長期計画でのんべんだらりとするわけにはいかない。結局は緊急に措置しなければならぬということになると思うのですけれども、緊急に措置しようとする中での長期計画という性格になると思います。したがって、緊急には何をしなければならぬかということが四十年からの策定をする長期計画の基本になると思いますが、そういう問題について、最初の質問との関連を考えながら、長期計画の基本、とりあえず緊急の問題についてどう考えておるかという点についてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/25
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026・磯崎叡
○磯崎説明員 第二次五カ年計画をスタートする際に運賃を上げていただいたことは事実でありますが、三十六年から三十九年度までの実績を振り返ってみますと、いわゆる運賃値上げ並びにその後の輸送量の増加に伴います運賃の収入増加等によりまして約五千五百億程度の金を捻出して、事業費と申しますか、工事費に充てております。したがいまして、大体これと見合った金を借金いたしまして、全体の工事費の中の割合は、運賃から上がりましたものが約五五%、借金が約四五%というような割合で三十九年度まで経過いたしております。もちろんその途中に一番大きな問題は、何と申しましても新幹線の予算不足という問題が非常に大きな問題としてクローズ・アップいたしました。当初約二千億弱でスタートいたしましたのが、ほとんどその倍の三千八百億ということになりました。その差額の千八百億は、これはもちろん運賃ではなくて借金でまかなったのでございます。その分がほかの改良工事に対して相当大きなひずみを与えたことは事実であります。私どもといたしましては、ことしの予算をごらんくださいましてもおわかりのように、現在の運賃でまいりましても、減価償却いたしましたあとの、普通の会社で申しますればいわゆる利益金になりますが、私のほうではもちろん利益金はございませんから全額工事費に入れておりますが、これが約六百億、減価償却費が約七百億ありまして、減価償却後の利益が六百億、合計千三百億の利益を現在あげておりますけれども、これは毎年ベースアップその他の人件費の膨張等によりまして約二百億程度のものが増加してまいります。したがいまして、現在御提案の数字を拝見いたしますと、年間千百億の自己資金を確保することは相当むずかしくなるだろう。たまたまことしは千三百億ございますが、来年度は運賃の値上げを考えませんと、輸送の増加、すなわちお客さんや貨物がふえるという増収を見ましても、人件費高騰等を考えますと、まあ千億前後の自己資金しかないのじゃないかというふうに考えております。したがいまして、五年間なら五年間千百億の自己資金を確保するだけでも、現在の運賃ではちょっとやっていけないのじゃないかということが考えられます。もちろん今後の四十年度以降の五カ年計画の財源をどこに求めるかはこれからの問題でございますけれども、現在の推定だけからまいりましても、自己資金の分が非常に減ってくるということは事実でございます。これは何らかの形でカバーしなければならないというふうに考えます。その意味で昭和四十年度以降の長期計画の財源をどこに求めるか、あるいは運賃に求めるか、あるいは借金に求めるか、あるいはこの御提案のように三分の一を政府の出資に求めるかということにつきましては、今後大いに議論される問題と思いますが、運賃だけの面から見ましても、千百億円の自己資金を五年間確保することはちょっとむずかしいということだけは申し上げざるを得ない段階になっております。
と同時に、私どもといたしましては、昭和四十年度以降の計画、これは長期計画をひとつ頭に置きました上で、いま先生のおっしゃいましたように、できれば五年あるいは三年くらいの具体的な実施計画をつくってまいりたいというふうに考えております。現在の経済情勢がわりあいに変動します時期におきますと、五年の計画というのは実施上ちょっと長過ぎるような気もいたします。したがいまして、できれば十年間くらいの長期の構想を頭に置きました上で、具体的な実施計画は三年くらいに切って実施するほうが実際的じゃないかということも考えられますので、あるいは三年にするか五年にするかは今後の問題となりますが、ただいたずらに五年ということを頭に置いておるわけではなしに、どうしたら計画と実行とがあまりそごを来たさないでやれるかという角度で、実は三年ということも考えておるわけであります。これはいずれ基本問題調査会等にもおはかりいたしまして、いろいろ御意見を承りたいと思いますが、その際にやはり何と申しましても取り上げなければなりません大きな問題は、先ほど久保先生のおっしゃいました、またこの法案の要綱にも書いてございますとおり、三つの柱がございます。一つは幹線の輸送力の増強でございます。これはもちろん輸送力増強と同時に、過密ダイヤの解消に役立つことは当然でございます。それから通勤輸送の緩和、これはやはりこの付近の二分、三分で走っております電車の間隔を広げるという意味におきましても事故防止につながる問題の一環でございます。しかし、何と申しましても、現在の通勤輸送のお客さんの伸び方は非常に大きなものでございまして、これにどう対処するかということが第二の問題でございます。それから第三の問題は保安対策の問題でございます。これは先ほど申しましたとおり、とりあえず六百億近い保安対策は大体完遂いたしておりますけれども、それ以外にもっともっと違った角度から保安度を高めたいという意見がたくさんございます。この三つの柱が何と申しましても一番大きな柱でございますが、このほかに電化、ディーゼル化という一種の鉄道の近代化と申しますか、多少のサービスの向上を含めた近代化を含めまして、今後やってまいりたいというふうに思っております。とりあえずはいまの幹線の輸送力の問題、通勤輸送の問題、保安対策の問題、この三つが四十年度から始まります計画の大きな柱であるというふうに申し上げて差しつかえないというふうに考えております。ただこれは私どものごく試案でございますので、的確な数字その他は申し上げられませんが、こういう考え方のもとにいずれ基本問題調査会なり何なりにいろいろ御意見を承りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/26
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027・野間千代三
○野間委員 一つ問題が出たのですが、長期計画のほうは考え方としてはそう問題はないと思うのです。問題はやはり財源になると思うのですが、その前に自己資金が今日までの経過でいくと、利益金としては自己資金としてまかなえる点は一千億程度ではないかという問題です。結局これは今日まで新幹線の問題あるいは借り入れ金の問題等の累積などから、どうしても利益が減ってくるということになるのじゃないかと思うのです。
そこで久保議員にお尋ねしたいのです。現在の状況で見ると、この久保議員が提案をしている千百億は無理じゃないかというふうに副総裁は考えているわけですが、いま私も言いましたように、今日までの累積からこうなっているのだと思うのですけれども、それらの問題が一応とにかくこれから始まるにしても、今日までの国鉄の実態を無視するわけにはいかないと思うので、今日までの実態からこれをどう始末をして、この自己資金一千億円というものを生み出していこうとするかということが、これからの問題としては一応の問題じゃないかと思いますが、その件についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/27
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028・久保三郎
○久保議員 いま副総裁から、私の提案説明にある一千百億を大体五年間コンスタントに自己資金として出すことについてはかなり無理があるというふうにお話がありました。なるほどそういうふうにおとりになるのは当然かと思うのでありますが、先ほど申し上げたように、公共負担の問題が一つございます。われわれとしては、前回の通常国会にはいわゆる公共負担に関する法律案を提案したのでありますが、今会期中にはまだ提案の運びになっておりませんが、遠からずこれも提案する考えでございます。でありますから、公共負担が年間最小に見積もって大体五百億ないし六百億ということになりますから、そういうものの考え方でくるならば、一千百億は十分まかない得るというふうに考えているわけです。
いまのお話をもう一度確認しますと、運賃収入、つまり利益金で一千百億というのは無理だろうというお話でありますが、運賃収入だけではそうですか、先ほど来申し上げたような方法で公共負担を国鉄の責任ということでなく持っていくならば、十分まかなえるというふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/28
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029・野間千代三
○野間委員 いま副総裁のほうで自己資金の問題についてお答えになって、いまの国鉄の考えでは一千億程度になるのではないかというお答えですが、これはやはりいま久保議員の言われるように、負担の置き方によって変え得る問題だろうと思うのです。そういう意味で、今日までとってきた国鉄のいわば自己資金と借り入れ金、つまり運賃収入と借り入れ金だけにとらわれて、そのワク内で進めてきたのでは、やはり副総裁の言われるようにどうしても破綻が出てくる、当然まかなうべきものもまかなえないという実態になってくる、しかもそれが借金に追われる、昭和四十三年ごろに破綻するという答申のようになると思うのです。したがって、昭和四十年以降、途中から中断をして、新しい計画に入るに際しては、国鉄としては、先ほどの運輸大臣のお答えにもあったのだけれども、運賃と借り入れ金だけに制約をされるという考え方だけで立案されていくと、問題が出てくる。途中でまた中断しなければならぬということになると思うのです。そういう意味で、もう少ししっかりと——総裁は最近たいへん元気がいいので、そういう元気をこういう基本的な国鉄の財源のあり方についても大いにふるっていただいて、結局は多少国費を使うにしても、その国費を使ったことが、運輸大臣の言う国鉄あるいは交通機関は利用者が主であるには違いないけれども、国鉄という企業の場合には、私が繰り返すように、産業の基盤として先行しなければならぬというものだろうと思うので、そういう点に立脚をして、税金のほうから投資をしてもらっても、これは経済全般として浸透をしていくわけですから、国民全般に与える経済上の利益、影響というものは非常に大きいと思うのです。そういう点に立脚をして、そういうほうに目を向けながらの長期計画の財政裏づけの立案、考え方ということについて、もう少し踏み切ってもらいたいと思うのです。これは以上お願いをします。
次に長期計画のほうですが、十年ぐらいの長期に基づいてすべていって、実施の場合の計画を二年なり三年なりというように区切るという考え方は、一応の考えだろうと思うのです。それで、久保議員の提案をしている整備緊急措置法案の考え方も、輸送力つまり幹線増強をする、それから通勤対策をはっきりする、それから保安対策というふうに考えられておるわけですが、問題は、繰り返すように、財源の問題になるに違いないが、一応財源の問題を政府のほうで大幅に投資をすることになった場合に、これは久保議員にもう一回お尋ねしたいのですが、今日置かれている国鉄第二次五カ年計画で十分でなかった点に対して、久保議員が考えておられる整備緊急措置法案でまいりますと、その後どういうふうに補充をしていくか。当然いままで国鉄がやっておった第二次五カ年計画が残されていて、そこを補充していかなければならぬ問題が相当多いと思うのです。そういう補充をしながら、かつ抜本的に国鉄の安全輸送、通勤輸送、輸送力増強というようなことになっていくと思うのですが、その辺の関連をどういうふうにしていくのか、その辺を少し説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/29
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030・久保三郎
○久保議員 いまのお尋ねは、いままでの五カ年計画でやり得なかったことをどういうふうに補充していくかということでありますが、一つは制度的に、私どもの提案は、いままでの五カ年計画は言うならば国鉄自前の計画でありました。政府によって、あるいは国会によってオーソライズはされておりません。でありますから、年々のいわゆる資金計画にいたしましても、これはそのときの財政事情、こういうことで左右されてきているわけであります。でありますから、当然のごとくこれは途中でくずれてきているという事情がある。もちろん先ほど副総裁からお話があったように、その他の事情もございましたが、大きくは、やはり政府によって道路や港湾のように五カ年計画なり何なりが権威づけられていない、承認されていないというところに一つあると思う。でありますから、この法案では、そういう国鉄だけの五カ年計画というものであってはならぬ、言うならばこの五カ年計画というか政府の計画は、政府が承認して政府の責任を明確にしていただく、こういうのが一つでございます。それからもう一つは、いままでやり得なかったところは今度はどういうふうに持っていくかというのは、先ほど申し上げたように投資不足が一兆四、五千億というのは、言うならば二つの面があると思う。一つの面は、現状に合わぬ、一つの面は、当然のごとくやらなければならぬ老朽施設の取りかえなり保安対策というようなもの、近代的な、いわゆる今日ただいまの国民経済に合っただけの国鉄の整備ができてないということです。それが一兆四、五千億ある。でありますから、これをまず第一次五カ年計画としてはさしあたりやるということであります。
それからもう一つは、それでは具体的にはどういうことかというと、たとえば東海道新幹線の建設のために、その他の幹線輸送の増強も意のままにならぬ。最近はそれぞれの新産都市あるいは太平洋ベルト地帯というようなところに、太平洋ベルト地帯はおおむね複線区間にはなっておりますが、ここでも輸送力が足りない、あるいは九州の一角においてももう単線ではやっていけない、こういうようなことがございますが、これも部分的な複線計画でいまやっておる、これを早く全線を複線にしなければならぬ、これは焦眉の急だと思うのです。そういうものもこの第一次五カ年計画では取り上げていこう、こういう考え方でございます。言うならば、先ほど繰り返し申し上げたように、保安対策がまず重点、次には輸送力増強、この二点にしぼらるべきだ、こういうふうに思っております。もちろん通勤輸送も入っております。ただ通勤輸送の場合は、やはり全体の計画で一言つけ加えて申し上げますが、この五カ年計画で、五カ年で一兆六千五百億、十カ年で三兆三千億というのは巨視的な見方でありまして、必ずしもこれは今後の推移によってはこのままではないのでありまして、これは当然変更があると思う。しかしながら、ものの考え方、投資のやり方として、いままでの国鉄自体の投資の方針は大きく変換してもらわなければならぬ、変えてもらわなければならぬという考え方をしております。一つには、言うならばやむを得ず企業性の追求というところに今日まで追いやられてきた。これは実際にはやむを得ずです。たとえば優等列車の増発、なるほどこれは一つの別な側面もございますが、優等列車の増発によりまして実は収益をあげよう、そのためにはローカル列車が時代に逆行してスピードダウンする、あるいは貨物列車がこれまた足がおそくなる、こういうような時代に逆行する面がいわゆるひずみの大きなものとして出てきたのですね。でありますから、国民経済上の立場からもこの姿勢は直していくということ、しかし国鉄自体が直すといっても、これはなかなかできません。でありますから、現在におけるところの経済政策全体の中でチェックしてもらわなければいかぬ。野方図の投資、いわゆる過熱を呼び起こすような投資、こういうものはこの際やはり総合的にコントロールして、その中でこの投資が行なわれねばならぬと思うのです。そうでなかったならば、たとえばわれわれの提案どおり実行されたにしても、これは際限のない話でありまして、国鉄は他産業のしりぬぐいをしょっちゅうやらなければならぬ。それでは国民の立場からいっても、国鉄が国民の国鉄にはならぬということになります。そういう点を十分考えてもらいたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/30
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031・野間千代三
○野間委員 勝澤先生のほうで少しあるそうですから、あと二、三で終わりますが、一つは副総裁の先ほどの答えの中でも関連をするのですが、いま久保議員の言われるように、第一次、第二次というように五カ年計画が進んできたのですけれども、あらためて第三次五カ年計画なり長期計画を組まなければならない。この第三次の計画というのは、先ほど副総裁の言うように、輸送力と安全、そういうふうに第二次五カ年計画のときの性格よりももう一歩前進をしたといいますか、むしろ安全輸送のほうに中心を置きながら輸送力を増強していくという方向に施策を持っていかなければならぬじゃないかというように思うのです。これは先ほどの答えでも私はそう思いますが、問題は、そうなってまいりますと、どうしてもこの整備緊急措置法案が考えている、むしろ政府の積極的な参加といいますか、財政的にもあるいは政策的にも政府が交通政策の重要な部分として参加をしていくということがどうしても不可欠の条件じゃないかと思うのです。国鉄としては、今日までの運営の状態からすると、そこに一歩前進をしていくということについて、どの程度にといいますか、そういう方向で進もうとしているのかどうか、まず第一にそのお考えをひとつ示してもらいたいと思います。
それともう一つは、ついでですが、久保議員にお願いしたいのですけれども、いまの池田内閣の所得倍増計画によりますと、三十六年ごろの旅客の輸送状況、資料によると千三百十八億人キロになっておりますが、これを一〇〇とすると、昭和四十五年には一五五、五十年には一九五になるというふうに推定をしています。それが今日の特に通勤輸送になりますと、三十六年が一〇〇で四十年が一二七という数字では間に合わないのじゃないか、もっと増加するのじゃないかというふうに私は思うのです。そういうふうに見てまいりますと、そう見るからこそ、国鉄の輸送力増強、通勤対策が必要なんですが、それにあわせて当然業務量が非常な増加を示すということになるわけですね。そういう意味で整備緊急措置法案が考えている財政上あるいは計画的な問題はいろいろありますが、久保議員にお尋ねしたいのは、要員上、いまたしか四十五万六千何ぼの要員事情になっていると思いますが、これがやや不減不増で、三十九年度のように非常に輸送量が増加をすることが見込まれていながらも二千三百人程度しか新規採用が認められていないという実態ですけれども、要員政策について、当然国鉄という事業あるいは運輸事業は金と人によってやらなければならぬというような性格が強いと思うが、そういう面について整備緊急措置法案の一つの背景としてどう考えておられるかを副総裁のお答えのあとで伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/31
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032・磯崎叡
○磯崎説明員 いままでの第一次五カ年計画並びに第二次五カ年計画が必ずしも予定どおり遂行されなかった一つの大きな原因といたしましては、やはりこれが完全に政府において権威づけられていなかったということが大きな原因の一つだと思います。道路にいたしましても、港湾にいたしましも、非常に計画どおりやっておられるのに、国鉄の長期計画だけが満足に実施されてないというのは、もちろん私どもの責任も重大でございますが、やはり財政的な裏づけが薄かったということも一つの原因かというふうに考えます。したがいまして、私どもが考えております今後の長期の計画につきましては、今後ぜひこれは政府の案として取り上げていただき、政府の責任のある財政的な裏づけをしていただきたいというふうなことを非常に強く考えておるわけでございまして、そういう趣旨から政府のほうにもいろいろお願いをしておるわけでございます。今度の基本問題調査会にもそういう角度から非常に大きな期待と希望を持っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/32
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033・久保三郎
○久保議員 ただいまのお尋ねは、いわゆるこの緊急整備計画というか、その裏づけになるもの、当然輸送量が多くなる、輸送力も大きくなるということでありますから、背景になる人間の問題はどうだというお話でありますが、当然そのように考えているわけですが、どの程度ふやすかというのはわれわれとしてまだ試算をいたしておりません。おりませんが、一つの問題は、国鉄というのは、他産業と違いまして、サービス業といいますか、そういうことでありますから、当然人間が主体になりまして機械は従であります。これは近代化、合理化にも限度がありまして、そういう面からいうならば、製造工業に見るように、機械をもって人間にかわらせるというのにはかなりの隔たりがあります。いままでともすれば近代化、合理化というので人間の人員縮小というか、輸送力がふえてもあまり人間をふやさぬという面がありましたが、特に最近の安全輸送の面から見ても、たとえば東海道新幹線のように、コントロール室から列車の操縦までできる、運転士はただ見張りに乗っていればいいというようなことに相なりましても、やはり機械にたよるというのには限度がございます。でありますから、やはりそこにはそれ相応の人間が必要だとわれわれは考えています。それからもう一つは、御承知のように国鉄の職員というのは、他産業に見られないような勤務形態であります。勤務の状況、御承知のように危険にさらされておるということでありますから、これは十分な能力と体力が備わっていなければ、輸送の万全は期し得られないと思うのですね。かたがた、全体的な国民的な労働時間の問題も日程にのぼっておるわけでありますから、時間短縮と国鉄職員の労働の質と量、こういうものをかね合わせてやはり近代的な労働条件をつくらねば、近代的な輸送に携わることが不可能だろうと思うし、さらにもう一つは、これは単に短い期間の養成で、機械にたよるから、もうだれでもできるのだ、代替がいつでもできるという仕事ではないと私は思うのですね。そういう意味からいくならば、これは職員の養成についてもここであらためて考え直す。いわゆる長期計画の中で人間の養成の問題もあらためて取り上げる必要がある。そうすれば、当然のごとく養成定員というか、そういうものは増加せざるを得ないだろう、こういうふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/33
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034・川野芳滿
○川野委員長 勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/34
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035・勝澤芳雄
○勝澤委員 それでは法案の提出者の久保先生にお尋ねいたします。
この緊急措置法は、今日、政府のほうで、基本問題調査会という形で次の五カ年計画の基本的なあり方について相談をされるようになっておりますが、それとの関連から言って、この措置法はどういうふうにお考えになっておりますか、まず最初に提案者にお尋ねいたします。
〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/35
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036・久保三郎
○久保議員 政府でもって、先ほど運輸大臣からお話があった三十九年度予算原案を最終的にきめる場合に約束されたそうでありますが、基本問題調査会というのをつくる。ところが、けさの新聞で御承知のように閣僚懇談会ということで、これは事務次官クラスで構成して何かやろう、こういうことでありますが、私どもの提案には直接には関係ございません。これは関連はございません。言うならば、先ほど野間委員からも運輸大臣に質問がありましたように、国鉄の五カ年計画というか、整備事業、そういうものは三十九年度予算原案ができたときに、これはどうするか、将来にわたってきめるべきなんですね。でありますから、三十九年度予算でもう大きな蹉跌を来たしたのですね。たとえば改造費約一千億近く削られた。それから運輸収入は六百億水増し、さらにもう一つは、債務負担行為、これは不渡り手形と私は考えておるわけですけれども、四百億、こういうもので一応やって、かっこうは一応とれたにしても、実を言うと、これは残念ながら、もう国鉄予算については自信がないので、やはり調査会をつくろう。調査会も、いろいろ内部的にはあったでありましょうが、懇談会に格が落ちたということであります。こうなりますると、この懇談会に私自身は今日ではどうもあまり期待を持っておらぬ。言うならば、方針を示して、きめて、もう国鉄はどうにもならぬからどうするのだ、三十九年度原案、これではとてもやっていけない、だから第二次五カ年計画はことし一ぱいでしかたがない、これだけやって、四十年からはこうやろうということの裏づけがあって初めて予算提案になるならいいのですが、全然中身がなくて、三十九年度は、あとはどうなるかわからぬという予算を出した。だからわれわれはそういうものに対して反省を促すためにもこの提案をしたのです。関係がありとするならば、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/36
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037・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、今日国鉄の中には公共負担が約七百億余あるといわれております。公共負担は政府で補償するのが当然でありますけれども、それ以外に国鉄の公共性というたてまえから言うならば、関連的な交通運輸機関と同じような立場から約千百億の公共投資を行なえということはまことに当然なことだと思うわけでありまして、公共負担との関係、それから公共投資に対する考え方、ここらに対する提案者の御解明を次に願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/37
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038・久保三郎
○久保議員 いわゆる公共投資と公共負担の問題でありますが、先ほども少し申し上げたのでありますが、いわゆる一千二百億という概算でありますが、そういうものの政府出資は、御指摘のように公共投資として考えてしかるべきものだ。さらにこれを発展させるというか、伸ばしてまいりますれば、過去におけるところの資産食いつぶしによって、日本経済が今日の段階に来たんだから、その意味からもこれはあってしかるべきだというのが私どもの考え方であります。
それから公共負担は、先ほど来申し上げたように、国鉄が十分収支相償ってなおかつ余りあるというふうな状態になったときには、国家の機関でありますから、当然のごとく国家の政策を代行する場合もあり得る。その場合には国鉄の責任で政策割引もありましょう。しかし今日ただいまではそういうことは不可能である。だから当然のごとく国鉄の背中からこれをおろす。政府の政策は政府の責任においてやる。でありますから、御指摘のように七百億程度の公共負担は、これは国鉄のまかないでやるべきではない、こういうふうに考えております。
なお、公共負担は先ほど申し上げたようなことでありますが、利益が出た場合、国鉄が利益を生むようになった場合も、この配当はいわゆる利用者に還元さるべきでありますから、直ちにこれが公共負担とか政策割引のほうへいくということではありません。これは勘案して政治的に考えるべきだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/38
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039・勝澤芳雄
○勝澤委員 鉄監局長にお尋ねいたしますが、公共負担に対する考え方でありますけれども、私は公共負担は限度であって、なるべく減少さしていくのが当然だと思うのでありますけれども、これについての監督官庁としての鉄監局のお考えをまずお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/39
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040・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 貨物旅客のいわゆる公共負担の問題でございますが、これはいろいろ考え方はあると私は考えております。まず、運賃理論として公共負担をどうするかという問題があります。旅客の問題からわかりやすく申し上げますと、通勤、通学の大幅な割引をやっておるということが旅客全体の負担から考えて妥当かどうかという問題がまずあると思います。ただ現在の運賃の立て方は、旅客運賃全体として収支が償うというかっこうで立てられておりますので、平ったいことばで言いますと、それだけ国鉄が持ち出しになって損をしておるというかっこうには実はなっておらない。ことばをかえますと、定期の大幅な割引をやっておればそれだけ一般の旅客に負担がよけいかかっておるということは言えますので、そういった運賃の負担で妥当であるかどうかという問題は確かにあると思います。要するに、いままでの考え方は総括原価主義的な考え方でやっておりまして、旅客は旅客全体でバランスがとれておる、貨物は貨物全体でバランスがとれておるというかっこうをとっておりましたので、今後の問題としてはこれをなるべく総括原価主義を個別原価主義に近づけていくという一つの考え方はもちろん問題としてございますが、定期割引の負担がそれだけ持ち出しになっておるという考え方ではないと私は存じます。それから貨物にいたしましても、同じ考え方で等級制度をとっておりますので、確かに安い等級のものは原価以下で運ばれておるということは言えます。それから高い等級のものは原価以上で非常に高い運賃を負担して運ばれておるということは言えますので、これも全体として貨物運賃として見ますれば、収支が償っておるという考え方で立てられておりますので、旅客と同じように高い運賃を負担し過ぎるという問題がございますし、一定等級の貨物は安く運ばれ過ぎておるということはございますが、収支は、貨物運賃全体としては一応バランスがとれておる。これも総括原価主義を一応たてまえにしておりますのでそういうかっこうになっておりますが、今後の問題といたしましては個別原価主義に近づける。それから他の輸送機関の関係もございますので、個別原価主義に近づけるという、運賃体系の理論としてそういう議論は大いになさるべきかと思いますが、いわゆる国鉄のいっております公共負担がそのまま貨物についても持ち出しになっておるという考え方は私どもはとっておりません。将来の問題として大いに考えるべきだと考えております。なお、厳密な意味で申しますれば、いわゆる特別等級も一応運賃の体系に入っておりますから、したがってごく限定いたしまして、たとえば貨物の暫定割引等は、これはあるいは理論的には運賃原価に入っていない、持ち出しという考え方はできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/40
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041・勝澤芳雄
○勝澤委員 公共負担をだれがしているかという点について、やや明確になったと思うのです。それで、公共負担をだれがしているか、総体的な中でやりくりをしているんだ。結局、そのために企業が投資不足になっているという実情は認めざるを得ないと思う。貨物の運賃をお客が、あるいは定期の運賃を一般旅客が、こういう肩がわりの中で公共負担というのがされている。大まかにはそのとおりだと思うのです。それでは、そのために施設あるいは各個所の改良しなければならぬことがおくれているということも当然だと思う。結局公共負担が多過ぎるから投資不足になり、いろいろな原因が起きている。それは給与の問題あるいは人の問題、施設の問題、いろいろ出ていると思うのです。それが今日は、これが限度だ、こう言われているわけです。もうこれ以上負担をかけるのでなくして、根本的に直さなければならぬというところに来ている。根本的に直さなければならぬところに来ているのだったらば、やはりこれ以上過重な負担をさせないようにしなければならぬと思うのです。その一つの例として、これは最近の新しい例ですが、もうこれ以上公共負担をさせていかぬにかかわらず、たとえば石炭運賃の延納が行なわれた、石炭運賃の延納一つ取り上げてみても、これは国鉄が負担すべきものではないわけですね。全体的に国の政策の中で負担すればいいのを、国鉄にしわが十三、四億寄っている。こういうことはやはり運輸省としては監督官庁としてやらせるべきじゃない。あるいは最近会計検査院から指摘をされた連絡運輸における貨物の貨車料金にいたしましても、当然監督官庁として是正をして、国鉄の経営をよりよくするようにしなきゃならぬと思うのですが、これらの問題についてのお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/41
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042・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 公共負担がどの程度国鉄の経理に圧迫を加えているかという問題かと存じますが、確かに先生のおっしゃるような面もあるとは考えておりますが、三十六年に運賃の改定をいたしました際には、一応五カ年計画の資金を借り入れ金、自己資金によってまかなうということで計画を立てまして、いまの公共負担等も十分に考慮に入れまして、当初の計画では一応五カ年計画が遂行できる、要するに自己資金を十分捻出いたしまして、これと政府等からの借り入れ金、これをもって五カ年計画を遂行するというかっこうで発足したわけでございますが、先ほど国鉄の副総裁から答弁がございましたように、現在の時点におきましては、新幹線を含めて考えますと、四年目に——三十九年度は四年目に当たるわけでございますから、八〇%程度は遂行ができておらなければならないわけでございますが、大体六九%、約七〇%の遂行率、したがって一〇%程度はおくれておるということが申せるわけでございます。これにはいろいろ事情がございまして、五カ年計画のうち一番大きな柱でございました東海道新幹線は、先ほども答弁がございましたように一〇〇%遂行いたしております。これは輸送力増強の中で、一番大きな柱でございます。したがいまして、新幹線の資金量が最初の考え方は二千億足らずでございましたが、終局的には三千八百億、約二千億の増額となるのもやむを得ない事情でございます。そういう問題あるいは三河島事故以来特に保安対策等にさらに追加の費用があったというようなことで、やむを得ない事情がございましたが、三十九年度におきまして約一〇%おくれておるということは事実でございます。そういったような観点から五カ年計画をさらに再検討するという段階になっておることは御承知のとおりでございます。しかし要するに、現在の第二次五カ年計画の当初におきましては、自己資金も十分捻出できるというかっこうで考えておったわけでございます。
なお最後にお尋ねのございました連絡運輸の貨車使用料の問題、石炭運賃延納の問題、これは確かに額は別といたしまして、国鉄に負担をかけておることは事実でございますが、政府といたしましては、政府全体のいろいろな問題から、やむを得ずあのような措置をとったわけでございます。これは確かに最初の計算の運賃には入っておらないわけでございます。なお私鉄の問題は、国鉄と私鉄の関係は相互に唇歯輔車の関係にございますので、国鉄の立場も十分わかりますが、特に小さな私鉄に対しましては、急激な変化を与えるということは、現在の段階で非常に問題がございますので、この辺は両者の間に入りまして、常識的な処理をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/42
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043・勝澤芳雄
○勝澤委員 きのう私は決算委員会で建設省の話を聞いたわけでありますが、その中で特にオリンピックの道路の最初の計画が四百億であったそうです。四百億のオリンピック道路計画について、最終的には予算は七百億になってでき上がるそうです。それから首都高速度の計画が八路線で九百億の計画に対して、最終的には千八百億になるだろう、こう言われております。それから名神高速道路、東名高速道路、これも当初計画に対して相当大幅な予算増になるということが明確になっております。このように道路の計画が、最初の計画から比べて、完成時の計画というものは相当大幅に予算が伸びておるにかかわらず、国鉄新幹線というようなものと対比してみますと、政治的に問題になっていない。これはどこに原因があるか。道路というものが一つの方針を立てて、それがその省の中で全体的なものとして取り扱われてきているからであります。先般私は田中大蔵大臣と話したときに、大蔵大臣は、もう道路は終わった。道路はほっておいても、みんなが国会の中であるいは政府の中で問題にして、道路はどんどんできていく。これからは鉄道だ。特に北海道や四国の鉄道なんかはもう鉄道をつくらなければしょうがないじゃないか、こういう話をしておりました。まさにそのとおりだと私は思うのです。ほっておけばできないわけでありますから、これに力を注がなければいかぬということが言われておりまして、私も当然なことだと思うのです。ですからその基本的なものの考え方でいきますと、道路に費してきたいままでの考え方というものを、今度は鉄道に向けてもう少し真剣にやらなければいかぬ。ましてやこのごろのように事故が続出しておると、何とかしなければいかぬ、このときにこそこの基本問題調査会というものが生まれてきて考えられたと思うのです。それは大蔵省の考え方、運輸省あるいは国全体、国民全体の考え方から来たと思う。しかし先ほどの御説明によりますと、基本問題調査会の考え方は、閣僚ベースから今度は次官ベースになった、こういう話を聞きまして、実は一体最初の意気込みと今日の実情からいってどうだろうかと私は心配をしておるわけであります。それについての力の入れ方といいますか、御見解はいかがですか。政務次官か鉄監局長かどちらかから、最初の計画と何も変わりはないのだという力強い御意見を聞かしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/43
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044・廣瀬眞一
○廣瀬政府委員 勝澤先生のおっしゃるとおりでございまして、私ども公共投資の三本柱として、道路、港湾、鉄道ということが一番大事な三つの柱であると考えております。そこで私どもといたしましては、やはり現在の進行中の第二次五カ年計画も、国の成長から考えますと、結果的にはやや過小であったというふうに考えております。そのほか先ほどから御議論がございますように、特に保安対策というものも十分考えていかなくちゃいかぬ。たまたま政府におきましては、所得倍増十カ年計画の中期のアフターケアの作業を現在進行中でございます。そういったことから考えまして、私どもとしては四十年度を初年度といたします新しい長期計画を鉄道につきまして立ててまいりたいというふうに考えております。先ほど国鉄の副総裁から答弁がございましたように、従来の国鉄の第一次五カ年計画、第二次五カ年計画というものは、形式的には確かに国鉄の案でございまして、政府に完全にオーソライズされたかっこうになっておりませんので、この辺確かに私は問題があると考えまして、先ほど来大臣も答弁をしておりますように、今回はぜひ政府全体の問題としてこれを取り上げてまいりたいということで、運輸省ではなくて総理府に、国鉄基本問題懇談会というものを設けました。これは関係各省の次官をもって構成いたしまして、これに有力なる民間の学識経験者という方に自主的に御参加をいただきまして、ここで議論を十分尽くしまして、この結論を得ました場合には、政府全体としてこれを担保してまいるというかっこうでやりたいと思っておりますので、私どもとしては非常に力を入れておるわけでございます。従来の五カ年計画と違いまして、政府としてぜひ取り上げてまいりたいというふうにかたい決意を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/44
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045・勝澤芳雄
○勝澤委員 道路のことですけれども……(關谷委員「道路は目的税があるから……。」と呼ぶ)これはいま閾谷先生からもガソリン税があるから、目的税があるからと言われる。そういうこともあるでしょうけれども、直接政治家の選挙の票につながっておるわけですよ。しかし鉄道そのものを見てみましても、一つの駅をあるいは利用債でつくる、あるいはまたここに新線をつくる、あるいは改良をやる、これも実は政治あるいは選挙にもくっついてはおるのですけれども、その結びつきが私は薄いのじゃなかろうかと思うのです。ですから道路のほうがどんどん進んでいながら、国鉄のほうがおくれているという原因は、その辺にもあるのじゃないだろうか。すなわち国鉄だって何もないかといえばあるわけです。たくさんの固定資産税を納めていまして、通行税を納めているわけですから、取られるものだけ取られて向こうからは何もお返しがないなんということでは、何も本質的に道路と変わりないわけです。ですからやはり道路が、ましてや私が先ほど言いましたように新幹線が政治的にいろいろ問題になりましたけれども、たとえばいま東京のオリンピック道路につきましては、連日のように汚職や疑獄が起きているけれども、問題にはなっておるが、たいして問題にならずに、四百億が七百億になった、あるいは九百億が千八百億になった、こういう状態でおきながら、どんどんやられておるわけです。ですからそういう点で私は運輸省がもう少し国鉄について、これを何とかしなければいけないのじゃないか、こんなに事故が起きては困るじゃないかという認識が足りないのじゃないかと思うのです。その結果が生まれてきて、何とか昭和四十年からやらなければならぬということにはなってきたけれども、いま言いましたように、最初は閣僚でもって相談をしてやろうというのが事務次官で御相談になるということなんです。これはたいへん残念だと私は思うのです。
そこで、次にこの法律についてもせっかく社会党からいい法律が出ているわけですから、運輸省としても国鉄としてもこの法律については全く賛成だと思うのです。反対なんというのはちょっとおかしいと思うのです。そこでやはりこの計画を閣議の中に持ち込んで固定をしてもらうということをやはりお考えになっておいてもらわなければいけないと思うのです。いま総理府にそういう調査会ができ、民間の人も入ってやる。そのことが最終的にはやはり閣僚の中で取り上げられて、そして実施に移される。こういうことにしていかなければいけないと思いますし、それもまた最初の計画のとおり、来年度の予算の中に入るようにしていくということも考えていかなければいかぬと思います。大臣いらっしゃいませんけれども、ひとつそれらについては大臣もことごとにそういう答弁をされているようでありますけれども、しかし、答弁されていることと現実の動きというものは相当ずれていると思う。七月に内閣改造があって、大臣も政務次官もお残りになることも間違いないわけですから、ひとつ力を入れてそこら辺でやっぱりきちんとまとめておかなければ、次になれるかなれないかも問題になってくるわけです。ひとつ結論を出すようにやっていただきたいと思うのです。その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/45
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046・田邉國男
○田邉政府委員 勝澤委員の御高説十分拝聴いたしました。
ただいま提案されております法案でございますが、私はこれは一つの考え方だと思っております。そこで、先ほどから御質問がございますように、それに対しまして運輸省といたしましては、今回基本問題懇談会というものを政府に設けまして、これによりまして最善の策を考えてもらいたい。そして勝澤委員が御心配なさっておるような諸問題を含めて十分検討をして、次の四十年度の予算には間に合わせるような措置をしたい、かような考えで進んでおりますので、御了承をしていただきたい。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/46
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047・塚原俊郎
○塚原委員長代理 次に水先法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/47
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048・久保三郎
○久保委員 水先法の改正でありますが、これは一昨々年だと思うのでありますが、あるいは一昨年かと思うのででありますが、横浜港とか京浜港等においてかなりの衝突事故がございまして、実はその際に本委員会でも取り上げてきたわけです。これによって多少今度は水先法の水先というか、そういう制度の改革をしようというのでありますが、一つにはこの水先人の組合の問題がございます。この組合の問題の以前に、水先人のいわゆる乗らねばならぬ区域、そういうものの指定が今回の改正ではあまり変わりはないんだろうと思うのでありますが、その点はどうですか、まず第一にその点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/48
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049・高林康一
○高林説明員 水先区の指定につきましては政令に委任されておりますけれども、目下のところは特にこれを変えるということは考えておりませんが、しかし、いろいろ法制の変化等もございますので、その点についてはさらに検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/49
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050・久保三郎
○久保委員 特に最近狭水道において衝突事故が非常に多い。ついせんだっても、御承知のように濃霧のためといわれておりますが、二、三回続けて瀬戸内で衝突事故があった、と見たわけですが、そういうものを考えますと、水先区の区域はかなり拡大せねばならぬかと思うのですけれども、そういう用意は今日ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/50
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051・高林康一
○高林説明員 狭水道といたしましては、瀬戸内海地区というふうに全体的に水先区につきましてはなっております。ただ問題は、先生がただいま御指摘になりましたように狭水道におけるところの事故、こういうようなものが最近相当あるようにも考えられます。したがいまして、これは特定水域航行令におきまして、狭水道の現在は、たとえば備讃瀬戸とかいうようなものだけが考えられておるわけでございますけれども、浦賀その他のようなところについて特定水域航行令の範疇に属さしめることをいま検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/51
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052・久保三郎
○久保委員 次に水先人の免許でございますが、免許のほうは若干変わったと思うのですが、要点はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/52
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053・高林康一
○高林説明員 水先人の免許要件につきましては、従来の資格を引き上げております。資格を引き上げまして、従来の千トン以上の船長経歴というのを三千トン以上というふうにして、船長経歴も、経歴期間を二年を三年というふうに引き上げて、全般的に船舶の大型化に対応できるように水先の能力の引き上げということをはかっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/53
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054・久保三郎
○久保委員 それで、あとで質問いたしますが、かなり水先人も人数をふやさなければいかぬかと思うのです。しかも、いまのような御説明で、大きい船ばかりじゃなくて、小さい船の問題もあると思うのです。そういうことは考えていくべきだと思うのですが、これはあとで野間君等から御質問があると思うので先へいきます。
さっきの組合でありますが、水先人組合の性格は法人ということでありますが、やはり水先人そのものの仕事と、いわゆる水先人の契約ですか、そういうものには組合は関係ないわけですね。今度の改正でも、現行どおり水先人が契約の対象になる。組合はそういうものはタッチしない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/54
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055・高林康一
○高林説明員 水先業務を行ないますときの主体は、あくまでも水先人でございます。したがって、個々の契約締結者になります者は現行法どおり水先人ということでございます。ただ、水先人会を特に設立させました理由は、水先の申し込みの受け付けとか、水先人の相互間の連絡とかいうようなことで、いわば合同して事務を処理しなければならない点が各水先区について多々ございます。そういうような合同して事務を処理いたしますために、そういう一種の合同事務所的な設置運営というようなことを考えるものといたしまして、水先人会をここで設ける次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/55
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056・久保三郎
○久保委員 大体共同業務の処理ということが組合のようでありますが、これだけでは少しどうも足りないように思うので、この点もあとでまた質問します。
そこで、さっきの資格でありますが、免許の要件でありますが、これはこの前問題になったときに、水先人の制度の中には多分にギルド的な制度が多い、この点を指摘したのでありますが、今度の改正では、そういう点は解消されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/56
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057・高林康一
○高林説明員 御指摘のように、水先の従来の状況を見てみますと、そのような弊害がときどきあるやにも考えられるわけでございます。この点につきましては、私どもといたしましては、やはり水先に対するところのいろいろな監督規定、これは現行法におきましては非常に不明確でございます。そういうような不明確な点を明確にいたしまして、業務の改善その他に関しますところの命令規定を置くことによりまして、サービスの確保ということを確保したい、かように考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/57
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058・久保三郎
○久保委員 いまのお話ではあまり前進がないように思うのですが、たとえば見習いというか、習練というのですか、修業というのですか、わかりませんが、その場合のあり方などはどうなんですか。あまり変わりないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/58
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059・高林康一
○高林説明員 修業生の件につきましては、これは現行の試験制度のワク内においてでございますけれども、昨年これを相当大幅に変えた次第であります。昨年、ただいま先生の御指摘になりましたような問題点もございましたもので、この点につきまして、運輸省の諮問機関でございますところの海上航行安全審議会にいろいろおはかりした次第でございまして、水先人試験の方法について中間答申をいただきましたので、この中間答申の趣旨に沿いまして、改善措置を三十八年度から実施しておる次第でございます。この中間答申の要旨は、まず毎年各水先区におきます水先人の適正員数を定める、そうして水先人が付属いたしますところの水先区につきましては、水先人試験を必ず実施いたしまして、この試験を一次、二次に分ける。一次試験の合格者の中から水先修業生というものをとり、それで修業生として実務を修習した者について二次試験を行なうというふうにいたしまして、そうしてただいま問題になりましたところの修業生の採用につきましては、この海上航行安全審議会の委員等によりますところの合議体をつくりまして、その合議体によるところの選考によって修業生を採用するというふうなシステムになりまして、各水先人組合のいわば恣意といいますか、そういうふうなことによって修業生をはばむというようなことのないように、これらの委員会システムによりまして水先人修業生の採用を審議する、こういうようなかっこうで、実質的にははこれは相当改定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/59
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060・久保三郎
○久保委員 時間もありませんから、本件については後刻また質問を続けさしてもらいますが、ひとつ資料の要求をしておきたいのです。先ほど私が申し上げた水先地区の別表はありますからいいですが、それから次には最低の員数ですね、これを出していただきたい。それから現在の員数、これは各水先区域ごとですね。それから水先人が一カ月間に水先をした回数、一カ月間の回数ですね。そこらでいいでしょう。大体そういうものを整理して出していただきたい。
以上できょうは打ち切りにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/60
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061・塚原俊郎
○塚原委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X02919640422/61
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