1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十一日(金曜日)
午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 赤澤 正道君
理事 安藤 覺君 理事 正示啓次郎君
理事 古川 丈吉君 理事 戸叶 里子君
理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君
菊池 義郎君 竹内 黎一君
濱地 文平君 福井 勇君
三原 朝雄君 黒田 寿男君
田原 春次君 平岡忠次郎君
帆足 計君 松井 誠君
永末 英一君
出席国務大臣
外 務 大 臣 大平 正芳君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
外務政務次官 毛利 松平君
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
運輸事務官
(海運局長) 若狭 得治君
委員外の出席者
労働事務官
(大臣官房国際
労働課長) 久野木行美君
専 門 員 豊田 薫君
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二月二十日
委員竹内黎一君及び田原春次君辞任につき、そ
の補欠として江崎真澄君及び河野密君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員江崎真澄君及び河野密君辞任につき、その
補欠として竹内黎一君及び田原春次君が議長の
指名で委員に選任された。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/0
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001・赤澤正道
○赤澤委員長 これより会議を開きます。
通商に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、通商に関する日本国とエル・サルヴァドル共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件、千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件、千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件、以上七件を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。大平外務大臣。
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通商に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
通商に関する日本国とエル・サルヴァドル共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件
千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件
千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/1
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002・大平正芳
○大平国務大臣 ただいま議題となりました通商に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
この議定書は、第四十四回臨時国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
わが国と豪州との間の通商関係は、昭和三十二年十二月に発効いたした現行の通商協定によって律せられておりましたが、同協定署名の際の了解に基づき、昭和三十五年以来、豪州の対日ガット第三十五条援用撤回実現のための交渉を重ねました結果、昭和三十八年八月五日に東京で、わがほう福田国務大臣(外務大臣臨時代理)と豪州側マッキュアン副総理兼貿易大臣及びマッキンタイア駐日大使との間で、日豪間にガット関係を設定することに対応して現行通商協定に所要の改正を加えるための議定書が署名され、かつ、豪州はこの議定書の発効とともに対日ガット第三十五条の援用を撤回する旨の書簡が交換されました。
この議定書は、現行の通商協定中のいわゆる二国間セーフガードに関する条項、すなわち第五条を削除し、新たにガットの優先規定を設けるとともに、改正後の通商協定の当初有効期間を改正議定書の発効の日から三年後の日まで延長することを主たる内容といたしております。
よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。
次に、北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
現行のオットセイ条約は、日本国、カナダ、米国、ソ連の四カ国の間で、オットセイ資源の最大の持続的生産性を達成するための措置を決定するため科学的調査を行なうことを取りきめた有効期間六カ年(ただしその後一年間は新条約または改正条約が発効するまで効力を存続する)の暫定条約であり、一九五七年十月に発効いたしました。同条約は、一九六二年十月から最終年度に入ったので、条約の改正を検討するための当事国会議が一九六三年二月に東京で開かれ、この会議で採択された現行条約を改正する議定書案に字句上の修正を加えたものが同年十月八日にワシントンで四カ国により署名された次第であります。
この議定書は、条約の有効期間を六年間延長すること、陸上猟獲との関連において海上猟獲が許されるかどうかを研究すること、獣皮の配分方法を変更してソ連もわが国とカナダに獣皮を配分すること等の点について現行条約を改正することを目的としているものであります。
オットセイ資源につきましては、現行条約のもとですでに六年間科学的調査が行なわれたのでありますが、なお今後の調査の結果に待たなければならない問題が少なくありません。この議定書による改正点は、いずれも、オットセイ猟獲に関するわが国の従来の立場を反映した妥当なものであり、この改正に基づく今後六年間の調査により、オットセイ資源の最大の持続的生産性達成のための措置が一そう明らかにされることが期待されます。
よって、ここにこの改正議定書の締結について御承認を求める次第であります。
次に、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
この議定書は、第四十四回臨時国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定第五条Aは、わが国が米国から購入することができる原子力研究事業に必要な特殊核物質の量に制限を設けておりますが、最近のわが国における研究事業の拡大発展に伴って研究用特殊核物質の需要が増大しておりますので、この需要に応ずるために同協定第五条Aに定める制限量のワクを撤廃することにつきまして、米国政府と交渉を行なってまいりました結果、このために同協定の一部を改正することにつき合意に達し、昭和三十八年八月七日にワシントンで、わがほう武内大使と米側ヒルズマン国務次官補及びシーボルグ原子力委員長との間でこの議定書に署名が行なわれたものであります。
よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。
次に、通商に関する日本国とエル・サルヴァドル共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
エル・サルヴァドル共和国は、一九六一年以来中米地峡諸国間に成立している中米共同市場の中心でありまして、同国との通商関係を強化拡大することは、わが国の中米地峡諸国との間の貿易の振興及び経済協力の促進上きわめて重要なわけでありますが、従来、わが国との間には協定がなく、わが国の産品は協定税率に均てんし得なかったのであります。
よって、わが国産品に対する協定税率の適用と通商上の諸般の待遇の保障を実現するため、昭和三十七年以来通商に関する協定の締結について交渉を重ねた結果、昭和三十八年七月十九日に東京で、本大臣とエル・サルヴァドル共和国全権委員ハウレギ経済大臣との間でこの協定の署名が行なわれるに至った次第であります。
この協定は、関税に関する事項、輸出入及び為替に関する事項、出入国及び滞在に関する事項、課税、裁判を受ける権利、財産権及び事業活動に関する事項のそれぞれについて最恵国待遇を規定するとともに、工業所有権に関し内国民待遇を、また、財産の公用収用及び海運に関しそれぞれ内国民待遇及び最恵国待遇を規定しております。
よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
次に、日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
この条約は、第四十三同通常国会及び第四十四回臨時国会に提出されましたが、いずれにおいても審議未了となったものであります。
わが国は、アメリカ合衆国との間に領事に関する事項を規定するための領事条約の締結につき交渉を行ないました結果、昭和三十八年三月二十二日に東京で、本大臣とライシャワー駐日米国大使との間でこの条約の署名が行なわれた次第であります。
この条約は、本文二十七カ条からなり、これに条約と不可分の議定書が付属しております。その内容は、派遣国が接受国において領事館について享有する特権・免除、領事が接受国内で享有する特権・免除、領事館において事務的、技術的職務を行なう領事館職員の特権・免除、接受国国民である領事及び領事館職員の特権・免除等についての規定のほか、領事館の設置、領事の任命、これらの通報、領事の職務範囲、認可状交付の手続等に関する事項についての規定を設けております。
日米間のように領事関係が複雑多岐にわたるような場合には、その領事関係を一般の国際法及び国際慣行によってのみ律することとせずに、二国間において領事館及び領事の特権を各事項について具体的に取りきめておくことは、相互に利益となるものと考えられます。
よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。
次に、千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
コーヒーの生産は一九五〇年代の半ばごろより世界的に過剰傾向が顕著となり、その国際価格も一九五四年以降下落の一途をたどっております。かかる事態に対処するため一九六二年七月から九月にかけて開催された国際連合コーヒー会議で採択されたのが本件国際コーヒー協定であります。
この協定の骨子は、コーヒー輸出国に対し輸出割り当てを課すことにより、国際流通面において供給を需要にできる限り近づけ、その価格を安定させようという点にありますが、輸出国はさらに生産及び在庫についても規制を受けることとなっております。他方、輸入国は、輸入量及び輸入価格について具体的に制約を受けることはありませんが、原産地証明書及び再輸出証明書制度の実施、及び一般的にコーヒーの取引に対する障害をできる限り除去するよう努力すること等によって協定の目的の達成に協力することとなっております。
この協定がわが国のコーヒーの貿易に直接に影響するところは必ずしも多いとは言えないのでありますが、わが国の参加は、世界的に急務となりつつある貿易を通ずる低開発国の援助及び一次産品問題の解決についてのわが国の積極的態度を明らかにするゆえんであると考える次第であります。この協定は、ブラジル、コロンビア、グァテマラ等二十六の輸出国及び英、米、独、仏等十五の輸入国の受諾を得、一九六三年十二月二十七日に効力を生じました。なお、本件は、さる第四十三回通常国会におきまして、先議の参議院を通過いたし、衆議院におきまして審議未了となったものであります。
よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
最後に、千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
わが国は、一九四九年の国際小麦協定以来、累次修正・更新されてきた小麦協定に、継続して加盟してまいりましたが、一九五九年協定は一九六二年七月三十一日に失効いたしますので、これにかわるものとして一九六二年の国連小麦会議で作成され、同年七月に効力を生じましたのが、この一九六二年の国際小麦協定であります。
協定の骨子は、小麦について一定の価格帯を定め、加盟輸出国は小麦の相場が高騰しても協定の定める一定数量までは最高価格で加盟輸入国に売り渡す義務を負い、他方、加盟輸入国は、自国の小麦必要量のうち協定の定める一定の割合だけは加盟輸出国から価格帯内の価格で買い入れる義務を負い、かようにして、加盟国の間において小麦の取引価格の安定と需給の調節とをはかろうとするものであります。
この協定は、一九五九年の協定をほとんどそのまま踏襲したものでありますが、改正点のうち主たるものは、価格帯が十二・五セント引き上げられたこと、加盟輸出国から加盟輸入国が買い入れなければならない小麦の右輸入国の小麦輸入総量に対する割合が変更され、わが国については、一九五九年協定のときの五〇%が八五%に引き上げられたことであります。
わが国は、この協定に加盟することによりまして、安定した小麦の供給を確保するとともに、さらに、小麦の国際貿易の安定した拡大にも寄与し得る次第であります。なお、この協定は、去る第四十三回通常国会におきまして、先議の参議院の承認を得たのでありますが、衆議院において審議未了となったものであります。
よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
以上の諸案件について、慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/2
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003・赤澤正道
○赤澤委員長 これにて提案理由の説明は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/3
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004・赤澤正道
○赤澤委員長 次に、経済協力開発機構条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。
正示啓次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/4
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005・正示啓次郎
○正示委員 私は、本日は、自由民主党を代表いたしまして、本委員会において審議中の経済協力開発機構条約の締結について承認を求めるの件につき、この案件にはもとより賛成でございますが、これをすみやかに本委員会としても態度を決定していただきたい、つまり、審議を促進するために、ぜひとも与党の立場を明らかにいたし、また政府のこれに対する所見をはっきりと本委員会を通じて国民に徹底していただきたい、こういう趣旨で若干の質問を外務大臣及び関係の各省の政府委員にいたしたいと存じます。
まず第一に、先般来当委員会でいろいろ国際情勢についても質疑があり、また本案件についてもすでに社会党の平岡委員からも御質問がございまして、われわれ大いにこれを傾聴いたしておったのでございますが、今日の国際情勢に対処いたしまして、外務大臣がさきの委員会で申しましたように、わが国の利益、国民の幸福と繁栄、こういうことを中心といたしつつ、流動する国際情勢に対処して国際世論に聞きつつ外交のかじを誤らずとっていく、こういうことについては私は委員会においても何ら異論はないと思うのであります。ただこれに対する各党の立場というものが非常にいろいろございまして、社会党さんは、流動する情勢に対処しつつ、しかしイデオロギーに膠着した外交論を非常に固執しておられるのではないか。これはたいへん私どもは国のために憂うるのであります。これに対しまして、わが党は、常に、先ほど申し上げたような外務大臣の考え方を全面的に支持しつつ、しかし、いわゆるいかりなき船ではないのでありまして、われわれはどこまでも今日国連中心の外交を推進し、この国連の場を通じまして東亜の情勢あるいは世界の情勢というものの推移に最もよく適合した外交施策を講じていくということでありまして、こういうことが私は今日の外交の基本でなければならぬと考えるのであります。そういう意味から、たとえばあしたから社会党さんは大会をお開きになるのでありますが、これもこの案件にも若干関係するのでありますけれども、たとえば、社会党さんは、最も関心の深い賃金政策を論ぜられるときには、もう口を開けば必ずヨーロッパ並みの賃金というふうなことを言っておられる。しかるに、ヨーロッパ並みの賃金を目ざされる以上は、日本の経済がヨーロッパ並みになるということが私は先決じゃないかと思うのであります。オリンピックが近く開かれるのでありますが、日本の選手がオリンピックにおいて日の丸の旗をあげるということのためには、大いにこれは実力を養成していかなければならぬのでございますが、賃金を支払うだけの経済の実力を養成するということは絶対に必要なる前提条件であることは、賢明なる野党の委員各位も御異論はないと思うのであります。しからば、OECDに加盟するということは、これは日本の経済レベルをヨーロッパ水準に持っていくということの非常に有効なる一つの方法ではないか、こういう点についてひとつこの際ぜひともこの委員会においても静かに思いを深く考えていただく必要があるのではないか、こういう感じを先般来の議論を通じて私は非常に深くしているのであります。
そこで、外務大臣にお伺いをいたしまするが、同じOECD加盟の承認を国会から取りつけるといたしまして、私はこれにはタイミングがあると思うのであります。やはりものごとにはいわゆるタイミングというものがあって、タイムリーに事をなすかどうかということは、一つのアクションをとる上においてもその効果に大小の開きが出てくるのは当然のことであろうと思うのでありまして、OECD加盟のこの条約について国会の承認を求めるのには、おのずからタイミングがあると思う。そこで、これはわれわれ国会において自主的にきめることでございますけれども、政府が本案を国会に御提案になりまして、今日たとえばIMF八条国移行の問題があり、あるいはいわゆるケネディ・ラウンドといわれる関税一括引き下げの交渉の問題があり、その他また若干このOECDと遠いつながりを持っておるところのILO調査団に対する政府の態度表明の問題もあろうと思うのでありますが、いずれも外交というものはつながりを持っておると思うのであります。経済であろうと、労働であろうと、あるいは政治であろうと、すべてつながりを持っておると思うのでありますが、そういう諸般の国際的な関係から考えまして、本件OECDに対する国会の承認ということにはおのずから政府当局において最も望ましい一つの時期的な時点というものがあろうと存じまするが、この点について、政府といたしましては、本件について、たとえかりに野党が反対であるとはいえども、しかし、これは国益を守る、国益を増進するという意味から最もタイムリーな時期にこの条約について態度を決定していただきたいという政府の希望を率直に明らかにしていただきたい。このことをまず第一にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/5
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006・大平正芳
○大平国務大臣 わが国の正式加盟実現の日取りは、すみやかに御審議をいただきまして、一刻も早くすることが望ましいと思います。と申しますのは、昨年夏満場一致で日本に加盟の招請をいただいているということに対する信義の問題が一つございます。それから、二番目の問題といたしまして、OECDの活動は、例年御承知のように九月から翌年の五月ごろにかけて集中的に活動が活発に行なわれているのが慣例でございます。特に、本年におきましては、いま御指摘のように、国連の貿易開発会議が三月にジュネーブで開かれることになっております。それから、ガット関税一括引き下げ交渉、これは五月から本格化することになっております。そういう問題に備えて、OECD諸国の間の詳細な事前の打上合わせというものがいま集中的に行なわれておるわけでございます。また、国際流動性の問題、これも、国際収支の問題をかかえているわが国といたしましては重大な関心を持っておりまするし、また、再建途上にある海運政策という問題につきましても、先進主要国の動向というものにつきまして寸時も無関心であり得ないというのがわが国の立場であろうと思うのでございます。したがって、一刻も早く御審議をいただき、御承認をいただきますならば、集中的にOECDにおいて仕事の行なえる段階においてわが国がフルメンバーシップをもってこれに参加するという必要を痛切に感じておるわけでございますので、いま正示委員がお示しになりましたように、本委員会におきましても、急いで御審議いただき、早急に御承認賜わりますように、切にお願いを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/6
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007・正示啓次郎
○正示委員 ただいま外務大臣がいろいろお話しになりました心の内容については私も拝察いたしますが、私は、これは野党の方々には非常にしつこいようで不愉快でいらっしゃいましょうが、もう一つお伺いしたいことがある。
わが国は、御承知のように、DAC、これはいわゆるOECDの下部機構と申しますか、開発援助委員会、このDACというものにはすでに参加をいたしておるのであります。ただ、これは条約というふうなものではございませんから、国会の承認というふうなことはございませんでしたが、このDACというのは、申し上げるまでもなく、OECDの一つの部門であろうと思うのでありますが、このDACに加盟したことに対して——今日までDACにおいていろいろ日本の役割を果たしているわけでございますが、国会においてはこれについてはあまり野党からも反対の御議論はなかったかと思うのであります。DACに参加しておった日本がOECDに加盟する、これは私はいわばオフコースの問題である、こういうふうにも申し上げていいと思うのであります、この精神において。しかるにかかわらず、今度はこれに対して、先般来本会議で平岡議員が第一陣を承られて、どうもリラクタントのような意味の発言があったことは、私はどうも理解に非常に困難を感ずるのでございまして、要するに、日本の外交、それを通じて日本の経済なり労働なりあらゆる部門の国際的水準へのレベルアップ、こういうことであれば、私は何もこれに対してイデオロギーの立場から反対されることはないと思うのでありますが、どうも、口を開けば、いやOECDはNATOの経済版だというふうなイデオロギー論が飛び出してくる。
そこで、私は外務大臣にひとつ伺っておきたいのでございますが、一体日本の社会党さんが本会議場においてOECDはNATOの経済版であると非常に大上段に振りかぶってきめつけられたのでございますが、社会主義を奉じておられる各国あるいは共産主義の国でもけっこうでございますが、OECDをNATOの経済版だとおきめになったような国が一体あるんでございましょうか。そういう社会党さんとか労働党さんがあるんでございましょうか。この点私は寡聞にして存じませんので、非常に博識なる外務大臣にこれについてひとつ伺っておきたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/7
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008・大平正芳
○大平国務大臣 本会議におきまして平岡議員から御指摘がありましたNATOとの関連の問題につきましては、本会議におきましても御答弁申し上げましたとおり、たとえばOECDにはスイスであるとかあるいはスウェーデンであるとかいう国々も参加いたしておりますということで、NATOのうらはらであるという性格のものではないという一例を申し上げたわけでございます。
それで、第二点として、OECDは、いわば先進諸国がみずからの経済、金融、貿易、科学、農業、物価その他非常に広範にわたっての情報の交換、資料の交換を通じて協議をして、みずからの国の経済政策を立案し、それを実施していく場合にそれを活用していくということでございまして、この目的が経済の拡大にあり、貿易の拡大にあり、後進国援助の伸張にあるという大きな目的が掲げられておるわけでございまして、平岡議員が御指摘されたような、政治的なあるいは軍事的な意図を持ってそういうことを行なっておるではないかということは、今日までのOECDが果たしておりまする実績に照らして、そうでないことは明瞭であろうかと思うのでございます。たまたま、OEECから発達いたしまして、NATOの加盟国の多くがこれに参加しておったというところから御立論のきっかけをつかまれたのではないかと私は想像いたしますけれども、その後のOECDの活動というものを客観的に公正に御観察いただきますならば、そういった誤解は解消していただけるのではないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/8
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009・正示啓次郎
○正示委員 いま大臣がおっしゃられましたが、たしか本会議では松平議員がNATOの経済版だというようなことを言われたように私は記憶いたしております。私も実はこの点についてはあちこち聞いてみたのですが、どうも、私の聞いたところでは、イギリスのイーデンがそう言ったとか、あるいはアメリカで保守党の者がそう言ったとかということは聞いておるのでございますが、寡聞にして各国のいわゆる進歩的な政党にいまだかつてそういう考え方があったということを聞いていない。日本の社会党さんが本会議場で言われたのがどうも初めてのように伺っておりまするので、やや、われわれとしては、この点は社会党さんのほうにも何かそういう考え方がおありであるならばよくお調べをいただいて、今後OECDについての認識を改めていただきたい、こういう感じをいたすのであります。
そこで、さらに進んで伺いたいと思いますが、本日は労政局長がお差しつかえのようで、課長しかお見えになっておりませんが、申し上げるまでもなく、正式にOECDに参加がきまりますると、これは、いわゆる政府レベルばかりではなくて、民間産業あるいは労働その他、いま外務大臣が言われたいろいろな部門においてそれぞれの諮問委員会というものがあるのでありまして、いわば官民それぞれに国際的な大きな結びつきができ、そしてその部門部門において国際水準への、あるいはヨーロッパ水準へのレベルアップということがはかられてまいる非常に有意義なる条約である、私はこう評価をいたすのであります。
そこで、もう一つ私は労働問題を伺いたいと思います。ILOの問題につきましては、先般松平議員も、OECDがILOから調査を委嘱されたようなことがあったのではないかという質問がありましたが、この点はしばらくおきまして、OECDの直接のその一部門といたしまして、TUAC、トレード・ユニオン・アドヴァイサリー・コミッティーというものがあり、これはいわゆる労働組合諮問委員会として、自由労連の強力なるバックと、それによる活動が行なわれておることは申し上げるまでもないと思うのであります。そこで、OECDに正式に加盟いたしますと、日本におきましては、労働組合としては総評と全労、この二つの有力なる労働組合、これが国際的にも大いに活躍されており、先般はどちらがその代表になるかということで国際的にも問題を起こしたことがあるように承知をいたしておりますが、このTUACの中に、たとえば総評なり全労が入りまして、大いに、日本の労働組合運動のやや行き過ぎた、あるいは偏狭なというふうな考え方もわれわれできると思いますが、そういう労働組合運動の大いに国際性を持った健全なる発展ということも期待できるかと思うのであります。そういう見地から言っても、私はこれにむげに反対されるということはどういうことであろうか、こういう疑問を持っておるのであります。幸い国際労働課長の久野木君がおいででございますから、この点について労働省の見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/9
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010・久野木行美
○久野木説明員 正示先生からの御質問、現在OECDにTUACというものがございます。これは、先刻御存じのように、使用者と並びまして、労働者団体としての一つの民間諮問機関としての位置が与えられております。これの構成を見て見ますと、ICFTUとIFCTUというものの傘下の労働団体を中心にして構成されております。この加入、参加の問題につきましては、実は、このTUACの成り立ちから考えまして、母体がございましたせいか明白な規約がございませんので、現在のところ加盟についてどのような形で具体化するかということは調査中でございます。いずれにいたしましても、私どもの推測では、おそらく、このTUACへの加盟問題につきましては、労働団体が自主的に決定されることになろうかと思います。いずれにいたしましても、わが国の労組代表の方が、加盟実現の暁これに参加されるということは、けっこうなことだ、こういうように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/10
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011・正示啓次郎
○正示委員 いま久野木君からお話しのように、日本の労働組合の方にも大きな国際的な協調、結合の場面が開かれていくという意味におきまして、OECDへの参加ということに対して一部の人が言うように、日本の独占資本のヨーロッパ資本との結合だというふうなきめつけ方というものは、大学の貧弱なる神経衰弱的ノートブックの端くれに残された遺物ではないかというふうな感じを強めるのでございまして、どうかひとつ、この辺は、野党の方々にも、大いに胸襟を開いて、視野を広く、観点を高く持って、このOECD問題をもう一度考え直していただくように切に希望を申し上げつつ、私の質問を進めてまいりたいと存じます。
けさ私は新聞を読みますと、外国人財産保護条約というものをぜひつくってほしい、これは、日本の商工会議所が、国際商業会議所、いわゆるICCからの質問に答えたものですが、しかし、そういう外国人財産保護条約というものをOECDにおいて採択してほしいのだ、こういう記事が出ておるのであります。それから、内容を少し見てみますと、これは私どもの非常に大きな関心事である。これは野党の方々も共通の問題でありますが、低開発国への投資とか援助、そういうふうなことに関連いたしまして、投資国の財産の保護を十全にするための条約、こういうことのように受け取れたのであります。これについては、低開発国としてはまたいろいろその立場もあるでございましょうが、いわゆる先進国、これに対して投資なり援助をする立場のものとして、OECDにおいて一つの基準的なものをつくり、それを条約にするということが望ましい、こういう考え方のように受け取れたのでありますが、これは通商局長からでもけっこうでございます。こういう意味から言っても、OECDへの加盟ということが、低開発国援助、投資というようなことを推進する意味から言っても、やはり今日非常に緊切な、また、すみやかにやるべき必要のある事柄であるという一つの例証になろうかと思いますので、この際、この外国人財産保護条約というものについて、いままで通産省なり商工会議所の関係でどういうふうに話が進んでおったのか、また、政府としてこれに対してどういう考えを持っておるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/11
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012・大平正芳
○大平国務大臣 OECDが後進国援助のDACという委員会を持ちまして積極的な活動を行なっておることは御承知のとおりでございます。その後進国援助の一環といたしまして民間資金が後進国に対して投資された場合、投資されることが相当有力な役割を果たし得るということも当然考えられることでございます。このためには、投資された民間資金の安全性をはかる必要がありますので、OECDの財政委員会と後進国援助委員会すなわちDACにおきまして、いま御指摘の外国人財産保護のための国際条約案並びに多数国間の投資保険制度について研究を進めております。右につきまして民間の意見を聞くために、国際商業会議所やOECDの産業経済諮問委員会に意見を求めてきております。政府におきましても、OECDにおけるその検討作業に参加してまいって、この問題は、いま御指摘のように前向きに検討を現に進めておりますし、今後も進めてまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/12
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013・正示啓次郎
○正示委員 お聞きのようなことでございますので、OECDというのは一種の財界サロンだと言いますが、労働問題、あらゆる問題を含めた一つの国際的なサロンとして、ぜひともこの場面で日本があらゆる部面において活動できますように持っていくことが適当だという考えをますます深くいたすのであります。
以上によりまして、本件承認をすみやかにタイムリーに行なうことの必要性ということについて、私はあらゆる角度から伺ったのでございますが、さて、OECDへの加盟が日本にもたらす利益と、それによってこうむる日本の不利益といいますか、いろいろの義務を負う、プラスの面とマイナスの面、これが先般も本委員会において平岡委員がいろいろ御指摘になった点であったかと思います。もとより、われわれは、一つのアクションをとる場合、全面的に、利益というか、甘い面ばかりを期待してはならないのは当然でございまして、日本が伸びていくためには、みずから求めて国際活動場裏への参加ということをやっていく以上は、これに伴う当然の責任を果たしていくことは、もとより私が申し上げるまでもないことであろうと思う。ただ、われわれは、このOECDへの加盟による利益という点について、どうも非常にばく然とした考え方をしておるのではないか。たとえば、日本はすでにガットの場に入っておる。そうすると、OECD加盟ということとガットというものとはどうもダブってくるのではないか、こういうふうなプリミティブな考え方もあろうと思います。これはプライベートなことを申して恐縮ですけれども、ゴルフ場に一つ入っていればもういいのだというようなことではないと思います。そうではない。やはり、クラブはできるだけたくさん入っておりまして、実力を認めてもらってこそ私の腕がまた上がっていくのであります。そういうふうに、フリーなスポーツの場面におきましても、私はあらゆる機会にあらゆる人と接触していくということが必要であろうと思うのでございます。
さて、このOECDでありますが、私どもの輸出に対していろいろとヨーロッパ各国の中には差別的な制限を行なっておる国があるのであります。これは申し上げるまでもないと思います。こういう対日差別は何としても撤廃していかなければなりません。これは、あらゆる機会に努力をいたしまして、輸出によって生きていく日本としてはその障害を除いていくということはあらゆる場合に必要なことであることは、申し上げるまでもないと思うのでございます。そういう意味から言いまして、OECDへの加盟ということが非常に重要な意義を持つんだ、こういうことはわかると思いますが、これをもう少しかみくだいてこの機会に政府の立場をひとつ御説明願っておいたらどうか。特に、EECという非常に強力なる組織というか、機構というか、そういうものがヨーロッパにはあるのでありますが、こういうものを相手にいたしまして、われわれはこれから関税の一括引き下げの問題、いわゆるケネディ・ラウンドの問題、その他いろいろと困難な問題に取り組んでいかなければならないのであります。外交は孤立してはできない、こういうことは社会党さんからよく言われておることであり、また政府も近隣外交ということを進めると同時に世界的にわが国の立場をよく理解するものを常に求めていくということは、これは私は外交の基本の態度でなければならぬと思うのであります。そういう点については御異論はないと思うのでございますけれども、さて、この際、対EECとの関係、ヨーロッパのわが国に対する差別的ないろいろな制限を撤廃するという、そういう見地から見て、日本の経済、労働、あるいは海運その他のいろいろな特殊な利益を伸ばしていくという意味でOECDへの加盟ということがどんなふうにプラスになるかということをこの際具体的にひとつお伺いしたい。これは、外務大臣より、むしろ、いま幸い宮澤経済企画庁長官が、これは私がきょうお願いしたのじゃないのですが、野党の方の御質問でおいでになったようでありますから、ひとつOECD加盟のわが国にもたらす通商伸張、あるいは海運を発展させる上に対する具体的なプラスの面、こういうことをひとつ宮澤大臣からお伺いできれば幸いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/13
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014・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは正示委員よく御承知のことであると思いますが、やはり、先ほどからお話のように、現在加盟しております。いわば先進国と申してよろしいのではないかと思いますが、それらの国と一つのクラブに入る。御承知のように、ここはただ定期的に寄って相談をするというのではございませんで、事実上ほとんど毎日何かの委員会が開かれておりまして、何かについての業務が全く連日行なわれておるわけでございます。そこで、これらの国の意思が大体一致いたしましたところが、先進国としてのほぼ各般の問題についての進むべき政策に事実上なるわけでございますから、そういう政策がつくられる場というふうに私ども考えておるわけでございますが、この点は、貿易についてもそうでございますし、海運につきましても、また国際金融等につきましても、そのとおりでございます。
そこで、そういう相談に常に参画をして、わが国の立場も主張しながら、しかも各国との間で一つの一致したポリシーを打ち出していくということは、実はポリシーがきまりましてからあとでこれを受諾するかしないかというのに比べますと、きわめて自然に自分の立場と国際的な立場とが一緒に融合していく場に常時参画するということになると思うわけでございます。
それから、その同じことから生じます効果として、とにかく、そういう連中と毎日顔を合わせるわけでございますから、勢い、先ほどお話しの、日本にだけ適用いたすような特殊の差別待遇のリストといったような底にある考え方も、毎日顔を合わせて普通に一緒に仕事をしておれば、これだけをどうも除外するということは、別扱いにすることは何となく不当ではないかというような雰囲気にもなることだと考えます。特に、当面の問題といたしましては、御承知のように、低開発国に対しての国連による世界貿易会議というようなものも開かれるところに来ておりますが、やはり、これは一応ガットとの関連でございましょうが、しかし、事実上はOECDの加盟国がいろいろな意味で一番関心を持つ問題でございますから、そういう問題についてのフリー・ディスカッションのようなものもございますし、また、今年のIMFの総会においては、国際流動性の問題が議論されるわけでございますが、これにつきましても、一応十カ国蔵相会議という場ではやっております。これもOECDの主要メンバーというようなことでもございます。それから、第三作業部会では、やはりそのときの国際会議の問題が議論される。
そういったようなことでございますから、一言でまとめて申し上げますと、そういう国と一緒のメンバーになって毎日生活をする、そういう場から来るいろいろな意味での利益ということを申し上げればいいのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/14
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015・正示啓次郎
○正示委員 永末委員の質問の時間を取ってもあれですから、最後にお伺いいたしますが、まあ、いろいろの責任というか義務というか、こういうことについて、特に先般も平岡委員から海運問題について御質疑があったのであります。
申し上げるまでもなく、日本の貿易政策といたしましては、経済の基本的な方向づけを開放経済体制に持っていく、こういうことから、すでに九二%の自由化ということに踏み切っており、さらにこれを推進していく政府の方針から言いますと、私は、いまさらOECDに入るということが日本に対して非常にきびしい義務なり責任なりを負わせるというようなことにティミッドになる必要は毛頭ないと思いますが、しかし、万全を期していくということは当然のことであります。
そこで、通商局長と海運局長がおいでになっておりますから、OECDに加盟をいよいよ正式にわれわれがやっていく、こういう場合の国内の特に中小企業の方面に対する体制をどういうふうにとっていくつもりであるか、あるいは、逆に言えば、OECDに加盟しても、そういうことについて急激な変化は生じないような前提のもとに国内の経済政策というものが進められていくのだ、こういう考え方であるのかどうか、この点は野党の方々も非常に心配をしておられます。われわれとしても、国民に対しては政府の立場をもとより十分理解徹底していく必要があると思うのであります。この点を通商局長から伺いたい。
それから、海運企業に対しまして、日本の海運企業は本来非常に強いのだというような話が先般出ております。しかし、戦後の日本海運というものは、いま非常に苦しい中から立ち直りつつあることは申し上げるまでもございません。そこで、海運局長からは、OECDに加盟をして、それが日本の海運企業の立ち直り政策にどういうような影響を持ち、これに対して政府はどう対処しようとしておるのか、この点お答えをいただきたい。
この二点について最後に御答弁をいただきまして、永末委員に交代いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/15
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016・山本重信
○山本(重)政府委員 日本がOECDに加盟いたしますことによりまして、今後日本とOECD諸国との関係が密接になりまして、日本のOECD諸国に対する輸出も相当画期的にふえるようになっていくことが期待せられるわけでございます。それと同時に、日本といたしましても、従来から進めてまいりました自由化の線を、今後もその方針を堅持して進めていくことは、当然必要になるわけでございます。
OECDに加盟をいたしますためには、OECDの自由化規約がございまして、経常取引及び資本移動についての規約がございます。その規約につきまして、日本のいろいろ特殊な経済事情から、どうしてもそのままでは受諾できないものにつきましては、先般OECD事務局と十分に協議いたしまして、必要な留保をいたしたわけでございます。特に資本の問題及び技術援助の問題につきましては、もし日本が不用意に自由化を進めますと、国内産業にいろいろな影響が出てくるおそれがございますので、日本の特殊事情、特に農業、中小企業及び潜在的にあります日本の不当競争の状況をよく説明いたしまして、私たちといたしましてはあえて十分なだけの留保は取ったつもりでございますので、御心配のような中小企業に対する影響はないと申し上げて差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/16
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017・若狭得治
○若狭政府委員 御承知のように、日本は海運の先進国であります。海運の自由という原則に基づきまして今日までの海運政策をとってまいったわけでございます。OECDの自由化憲章につきましても、われわれは目標としては当然海運業の原則からこれに従ってまいりたいと思います。現にすでに海運委員会の仕事にはオブザーバーとして参加いたしまして、アメリカのシッピング・アクト等の問題について共同でこの問題を解決するように努力したいというような状況でございます。ただ、加盟の際に、日本は海運の再建の途上でございましたので、非常な問題が出てまいったわけでございますけれども、昨年のOECD加盟に対する海運対策というものをいろいろ実行していただくということになっておりますので、こういう点についてはわれわれは問題はないというふうに考えておるわけでございます。今後OECDの諸国とともに海運の自由の原則に基づきまして海運活動を積極的に拡大していきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/17
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018・赤澤正道
○赤澤委員長 永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/18
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019・永末英一
○永末委員 民社党といたしましては、今回のOECD条約にわが国が加盟をすることを非常に重大に考えております。それは、一つには、わが国が戦後、いわゆる籠城経済、たてこもって保護を加えてきた経済から、開放経済、開いた経済に移るということの意味で重大でもありますけれども、考えてみれば、このごろ池田内閣の総理大臣は何か世界の三本柱の一つだというように言っておりますけれども、ことしの初めソビエトのフルシチョフ首相が領土の平和的な処理等の件に関する方針の伝達を政府に対してしてきたときにも、まだ日本は旧交戦国の一つだという感覚で見られているような趣もございます。また、日本国の周辺を見ましても、決して戦後の政治的状態が安定をしたというところまでいっておりませんし、いわんや中国大陸における政権との国交も正常化していない、そういう場合にわれわれが経済的な関係を諸外国と取り持つという点については、戦後IMFなりガットなりに加盟をいたしてきましたけれども、いわば日本経済の中身まで立ち至って外国と折衝を持つというのは、おそらく私はこのOECDが最初である、こう思うのです。そういう意味合いで、民社党としては、この条約に加盟するに際してはいろいろな重要な点を明らかにしなければならぬと考えております。しかし、これは一番大きな方針の問題としては総理大臣に伺わなくてはなりませんし、また、これが日本経済の内部に及ぼす重大な影響については、それぞれの担当大臣、大蔵大臣、通産大臣、運輸大臣、農林大臣、労働大臣等に伺わなくてはなりませんので、それはしかるべき機会に詳しく伺うことといたしまして、本日は外務大臣と経企庁長官に対してこのOECD加盟に際してどういう基本的な腹がまえを持っておるかということについて伺ってみたいと思います。
第一点は、これまでの政府の説明によりますと、何か、OECDに加盟することによって、私はこのことばはきらいでございますが、経済先進国のクラブに加盟するんだというような、こういう言い方が非常に行なわれておる。しかし、私は、先進国というよりは、工業国ということばを使いたいと思います。工業国と申しましても、現在ありますOECD加盟国の中にはその範疇に属しない国も入っておるわけであります。これは、OECDが結成せられる過程から考えまして、NATOはどうかという議論もございましたが、明らかにこれはNATO諸国を加盟させろということで入っておるのが事実でございます。しかし、NATOのほかに中立国もございます。そういうことを考えてまいりますと、OEECからOECDに変わってきた経過、さらにまた、初めて大西洋周辺地域以外のわが国が加盟をする、いろいろな問題をはらんでおると思う。
そこで、第一に、一体OECDはどういう性格を持っていると判断されておるか、この点をひとつ外務大臣に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/19
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020・大平正芳
○大平国務大臣 これは、先進国と申しますか、あなたのいわゆる工業国と申しますか、二十カ国のクラブであるというわけでございますが、しかし、このメンバーは世界経済の運営にとりましては決定的に有力な国でございます。そして、今日、御案内のように、各国は孤立した運営はあり得ないということはもう常識になってきていると思いますが、各国の経済政策というものは、経済政策ばかりでなく、われわれの経済生活自体がもうすみずみにまで国際的な影響を受けておるということも、これは隠れもない事実だと思います。したがって、国々が経済政策を考える場合にバイラテラリーに他の国々と関連を持ってくるばかりでなく、もう国際的なスケールにおいて問題が取り上げられ、また、そうしないと解決されないようになってきておる。そういう事実の背景のもとに、この二十九国というすぐれた国々が、そういう背景の圧力を感じて、みずからいろいろ共同して経済の成長、貿易の拡大、そして後進国の援助という三大目的にひとつ歩調を合わせていこうじゃないかというクラブをつくったということでございます。これはクラブ以上のものではありませんが、今日の世界経済がそのようなものになってきたことから生まれたごく自然の成り行きであると思うのでございます。私は、日本が先進国のクラブに仲間入りするなんということを誇示しようなんでちっとも思っていないわけであります。国際経済につきまして決定的に実力を持った国々とできるだけ密な接触を、経済政策の進む以前に十分持っておるということは、これはむしろ決定的に大事なことじゃないかと私は思っておるわけでございまして、決して、そういうヴァニティから言っておるような、そういうぞんざいな考え方ではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/20
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021・永末英一
○永末委員 いま外務大臣は、自然にできてきたと言われたが、私はそうは思わない。やはり、それぞれの国がある目的を持ってOECDをつくってきたと私は判断しておる。なぜかならば、OECDの最初の中核であったOEECというのはマーシャル・プランから生まれた。それの受け答えの機関として、その中の六カ国がEECをつくった。ところが、EECをつくる場合に、それと同じ性格のものでないというので、同時にEFTAというものができた。しかし、ヨーロッパ各国は、自分の同一地域においてEECとEFTAとが別な形で進んではならぬという感覚から、OEECの中でだんだん相互関係を深めながらやってきた。こういうことなのです。したがって、その限りにおいては、非常にヨーロッパ的な、地域的な性格を持っておる。そこで言われるのは各国の経済成長であり、お互いに貿易の自由化あるいは資本取引の自由化ということが一番大きな眼目になってきておると私は思う。ところが、アメリカのほうから言えば、むしろそこまでふくらめてきますと、大西洋共同体の考え方ももちろんございますが、アメリカのドル防衛、特に後進国開発援助に対するアメリカの重荷をどうやって肩がわりするか、見れば確かにヨーロッパのほうは大きな経済力を持ってきておる、そこで、ヨーロッパの地域的な相互の経済発展という課題のほかに低開発国の援助という旗じるしを掲げて、それで新しい機構であるOECDをつくらしたのだ、私どもはこう見ておりますが、外務大臣はどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/21
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022・大平正芳
○大平国務大臣 EECの結成ということ、それから、EECに入っていない諸国のEFTAという共同市場的な仕組みができる、そういうこと自体が、私は、先ほど申しましたように、経済そのものの骨の髄までも国際的なものになってきたということは自然の成り行きだと思うのでございます。そして、EFTAとEECとの関連の問題というのは、いま永末さんが御指摘のような問題も出てくる。一方、先ほど正示さんが言われたようにガットという仕組みもある。国連もまたいろいろな発言権を増してきておる。これは経済それ自体がそういうのっぴきならぬ世界的性格を持ってきておる、国際性を身につけてきておるということの証左であろうと思うのでございまして、そのような局面が出てきた場合に、それに対して大きな責任を持ちかつ実力を持っておる国々が、われわれで、いろいろな機関ができたが、その間の調整もやらなければいかぬが、それをどう運営していくかについてもプリリミナリーな会合をしょっちゅう持って政策の調整をやろうじゃないかというように出てくるのもきわめて自然じゃないかという意味で、私は先ほど申し上げたわけでございます。
それから、アメリカが非常に意図的にドル防衛をやる都合があってこういうものをつくったというようなコンヴェンショナルな解釈、それは、どうも私は、敬愛する永末さんですが、あなたと見解を異にいたします。私は、そういうようなものでなくて、もっとすなおなものだ、OECDがやってきた事柄の実績を見て評価すべきじゃないかと思いますが、かりにアメリカ自身にとってみても、ドル防衛ということは死活の非常に重要なことだろうと思うのです。第三国がそういうドル防衛はせぬでいいのだとかどうだとかというようなことを言うのはおこがましい話で、アメリカとしてはドル防衛ということは非常に大事なこととして推進されることは必要だし、しかし、それを、世上で言うように、自分のほうで負担しきれないからよそに肩がわりするのだと言うことは、それにかわってにない手になる者の自主性を全く無視した議論でございまして、肩がわりを受けるか受けないかというふうなことを私ども日本は第一考えておりませんし、日本は日本で後進国援助を考える、欧州は欧州で、南北の問題というのは深刻な問題として、世界平和の観点から考えなければいかぬ問題だと思うのでございます。したがって、私は、OECDがそういうアメリカの便宜主義から機械的につくられたのであるという理解は、不幸にしてあなたとは見解を異にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/22
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023・永末英一
○永末委員 アメリカが便宜的につくったと私言っているのじゃなくて、あなたは自然にと言われましたけれども、自然の中身もいろいろあるのだということを申し上げたかった、そういうぐあいに御理解願いたいと思うのです。問題は、クラブに入るというとクラブはいやだから、入らなくていいんだ、こういう感覚になっている。
そこで、わが国の経済の内容にいろいろ困難なことができるだろうが、とりあえず加盟に際しての留保項目をあげた。その他これから起こるべき問題についても自主的にやるのだという印象を政府は与えたいと思っておられるようです。私どもが心配しておるのはそうではない。つまり、OECDの二つの性格というのは、いわゆるヨーロッパを中心にした地域的な性格、そこでは、一国の主権を、こういう機構で話し合いを通じながら、制限すると言えば言い過ぎでございますが、しかし、いままでの各国が独自でてんでんばらばらでやっておった経済のやり方に対して、この機構で話し合いをし、そうしてきめたものについては何ほどか拘束力を及ぼしていこうではないか、こういう形でこれができておると思う。わが国がこれに参加をすれば、同じようにやはり拘束を受ける面がふえてくると私どもは思うわけです。特に、この機構の成立についてヨーロッパの民主社会主義政党は非常に熱心である。その熱心な一つの原因はどこにあるかといえば、社会主義というのは、一国の分配の公平だけではだめだ、一国の生産力を上げるためには、二十世紀の後半の世界の経済構造から見て、やはり他国と手を合わせていかなければならぬ、こういう考え方から、国境を越えて国際的な経済機構をつくろう、手始めにヨーロッパを一つにしようというので動いておるわけであります。ただ、EECとEFTAとの間、ドゴール政権の方針がイギリスのEEC加盟を認めないということで行き悩んでおる、これがOECDという形で急速に進行してきた原因だとぼくは思っております。
そこで、一つ伺いたいのは、日本政府がこれからOECDに加盟して、いろいろな経済上の取りきめに対してやはり責任を果たさなくてはならぬことが出てくると思うのです。これに対してあなたのほうは前向きにそれに行くつもりなのか、やはり引き下がってその防壁を高くするつもりなのか、その辺の基本的な腹がまえをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/23
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024・大平正芳
○大平国務大臣 結論から申しますと、前向きでございます。孤立した繁栄はない、国際的協調によらなければ、日本ばかりでなくて各国の繁栄はないと思います。特に、トレーディング・ネーションとしての日本は、いわばその必要の度合いが高いと思います。したがって、基本的には、あなたが前段におっしゃたように、前向きで協調の中に繁栄を見出すという意味で、OECDのコードには忠実に、また今後新しくできるであろうコードに対しても忠実にその拘束を甘受していかなければいかぬと思います。ただ、日本は主権国でございますから、何でもかんでもむやみにコードに盲目的についていくという、そういうつもりはございません。私どもは、よくそれを消化して、みずからの問題として、そして日本の国内の経済政策の中で受けとめて、全部それを消化して前進さしていって、日本の経済のためになるようにしなければなりませんが、日本の経済の特質から言ってぎりぎりこれはどうしてもいけないというものは留保していかざるを得ないと思いますけれども、基本的方向は前向きで前進すべきものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/24
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025・永末英一
○永末委員 私は、OECDの発生過程から見まして、地域的な性格が最初濃厚であった、そこで、日本が加盟を要請し始めてから、特にヨーロッパ諸国の地域的な利益を保持するためには、極東から日本の加盟を認めるべきではないという議論が従来の加盟国の一部にあったことを聞いております。そこで、全会一致日本の加盟を認めたというのでありますが、一体彼らは日本の国が加盟することによって何を期待していると判断をされておられますか。これは外務大臣と経企庁長官と二人に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/25
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026・大平正芳
○大平国務大臣 日本の国、そうしてそれが象徴する日本の経済力というものを無視して世界経済の円滑な運営はできない、つまり、日本の経済的実力に対する正当な評価というものが一つあると思います。それから、日本の経済運営の実際が、OECDコードでいろいろスクリーンにかけてみても、若干の留保はございますけれども、おおむねメンバー各国と軒輊がない状態にまでなっているという日本の持っている国際信用というものが裏づけにあると思うのでございます。したがって、それからまたアジアにおける唯一の先進工業国というのは日本だけでございまして、アジアの問題を問題にする場合に、日本の加盟というものは、南北の問題を考える場合にこれは無視をできないという認識があると思うのでございます。それは、各国ばかりでなく、「エコノミスト」でございますとか、「ル・モンド」でございますとか、その他のジャーナリズムの世界でも、すなおにそのように評価しておる事実がございます。これは私もそういう評価に対してわざわざ遠慮する必要はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/26
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027・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 現在の加盟国おのおの自分の国としての見方をきっとしておると思いますけれども、共通なことは、やはり、先ほど外務大臣が言われましたように、OECDというのはある意味では決定的な力を持っているグループでございますから、そこでものを考え、きめて、それを実施する、積極的な性格のものも消極的な性格のものもあると思いますけれども、その際に、これだけの経済力を持った日本というものをその外に置いておいて決定的な問題を決定的にきめるということは、やはり現実的にはむずかしいではないか、一緒に相談に入ってもらうことがむしろしかるべきではないか、各国に共通した動機といえばそういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/27
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028・永末英一
○永末委員 かみ砕いていまお二人の言われたことを私流に解釈してみますと、日本経済のごく最近における対外経済進出が非常に激しいということの経済的数量から判断しますと、やはり、OECDの現加盟国側としては、日本の経済進出に対して何ほどかあっちのほうが情報も取り、でき得べくは会議体にかけて、ある一定の拘束、というのは言い過ぎかもしれませんが、何らかの調整をしようという意図があるように私は思う。
もう一つの問題は、いま外務大臣が言われましたように、アジアの問題、特にアジアの新興国に対する経済援助について強い期待を日本に対して持っておる、私はそのように思うわけですが、そう解釈してよろしいですか、外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/28
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029・大平正芳
○大平国務大臣 戦後の日本の経済の躍進が非常に顕著である、これは手綱を締めずに置いておけばえらいことになるかもしれないから、ひとつ締めにかかろうじゃないかという意図が加盟国の間にありはしないかということでございますが、私ども、ただいままでのところ、そういう意図があるという徴候をどこにも発見しないわけでございます。永末さんはどういう根拠でそういうように言われるのか、私、わかりませんけれども、私どもがいままで知り得た材料から客観的に見まして、そういう意図でなくてもっと、私が前段に先ほどの答弁で申したような感覚であるように受け取られるわけであります。
それから、第二番目の、アジア新興国に対する対外援助を日本に期待しておるのではないかという点、これは、確かにそう思っておるということは、ことばの上には出ておりませんけれども、当然考えていいことだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/29
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030・永末英一
○永末委員 私が第一点で問題にしましたのは、OECD加盟の交渉がどんどん始まっておるさなかにおいて、——OECDは経常的貿易外取引、あるいは資本移動についての自由化の規約を持っておる。ところが、貿易そのものについて直接にまだ手を差し伸べる段階には至っておらない。これはほかのいろいろなところでやっていると思うのです。ところが、この日本の加盟の交渉が行なわれているさなかにおいて、EEC、アメリカがわが国に対して貿易の問題についてむしろ制限を加えてくるかのような傾向があります。これはもう御承知のとおりであります。このOECD関係のところでも、たとえば造船の問題についても、御承知のようないろいろないきさつがございまして、そういうことを考えてみると、私が第一点に指摘したように、日本に野放しの経済発展をさせるのではなくて、何らかの制限を加えてくるという意向がありはしないかという考えがないことはないのではないか。これを打ち破ろうと言われるのなら、やはり、OECD加盟と同時に、貿易に対する自由化というものをわが国がやっていこうとする限りにおいては、われわれの相手方のほうも制限をさせないような、やはり何らかの保証なり取りきめというものが同時に並行していかなければ片手落ちになると思いますが、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/30
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031・大平正芳
○大平国務大臣 前段で言われたEECから日本に対して貿易に制限を加えるというのは、全然逆でして、EECの対日通商政策というものはまだできておりませんが、私どもは、すでに、御案内のように、フランス、ベネルックス三国ともそれぞれバイラテラリーに通商の話し合いをやりまして、三十五条の援用の撤回もお願いしたし、それから、センシチブ・リストというものの品目を減らしていっているわけでございます。そして、貿易は、御承知のように、一昨年から昨年にかけては二五%も伸びておるわけであります。EEC側から日本側に対して貿易の制限を加えておるというのではなくて、むしろ事実は逆だと思います。
それから、アメリカの問題でございますが、アメリカの問題も、私は日本側に少し事実の認識が十分でないきらいがあるのではないかと思うのでございます。アメリカという国は、御承知のように、貿易の自由化を非常に世界に鼓吹しておるスポンサーなんで、そのスポンサーをやっておるボスのくせに、いろいろ日本からのアメリカに対する輸入に対して注文をつけてけしからぬじゃないか、こういう声がばくとしてあるわけであります。しかし、これは、一々分析してみますと、アメリカの要求は、日本はまだ自由化してない品目が百八十九あるわけでございまして、これをいつ自由化してくれというような、そんなことは言っておりません。日本自体が自由化を進めておる努力は多といたします、ということを言っておるだけでございまして、いついつまでにこれは自由化してくれなければ困るというような、そんなやぼな注文はいたしておらないわけでございます。日本は、日本の必要に応じて、また条件が整えば漸次自由化していっていることは、御承知のとおりでございます。アメリカは原則として自由なんです。自由なんでございますが、いま言うところの綿製品というものと金属食器というものにつきましては、一つのクォーターというものを持っております。綿製品は、御承知のように、国際協定がございまして、これはアメリカが一方的にやっておるというのではなくて、国際協定によって両方の合意によってやっておるのでございまして、これは漸増方式によって三%ずつふやしていこうじゃないかという方針が貫かれておるわけでございます。そして、業界も非常に不満足と思っていないのです。ともかく、そういう話がついて、フェアに行なわれたわけでございますから、これは一応話がついておる。そして、金属食器の問題につきましては、クォ−ターがなかなかふえない状態にあるということが一つの問題である。そのほかに自主規制の問題がありますが、これは、両国政府の問題というよりは、両国業界の間の話し合いでやっておることでございまして、業態によりましては、非常にうまくやっておるものもございますれば、また、過当競争のために非常にうまくいっていないところもあるということでございますが、これはアメリカ政府がやらしておることとか何とかいう性質のものではないわけでございまして、それはかみ分けて、区別して考えてやらないとフェアでないと思うのでございます。すなわち、EECと同様にアメリカの貿易も非常に順調に伸びておるわけでございますから、したがって、何か非常に日本が痛めつけられておるような曲がった印象を根拠なく持つことは、決して日本のためにならぬ、また、アメリカに対する理解にも役立たぬと思うのでございまして、いや、お前はそう言うけれども、こういうことがあるじゃないかという具体的な事例をあげていただければ、それに対してお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/31
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032・永末英一
○永末委員 アメリカの問題でも、われわれが自主規制という名前を使いますけれども、純経済的に見れば、これはアメリカが日本を差別待遇しておるということです。アメリカ側からこのことばをとると、日本がかってに自主的におやりになっている、こういうことになっている。そこで、円満にいっているようだけれども、純経済的に見れば、これは日本が、ほかの国と同列に並んだ場合には、対アメリカ貿易についてはやはり差別待遇になっておると私は考える。それが毛製品にまで及んできておる。EECの問題につきましても、繊維や雑貨、鉄鋼、船舶等にEECは新しい制限を加えようという、差別を加えようという動きがあるわけであります。その一つがOECDの加盟問題に対して出てきておるとわれわれは考える。われわれの言いたいのは、いやこれでもう一流工業国になり得たんだというような甘いムードをまき散らしておるけれども、その中には具体的に解決しなくてはならぬ問題が次々に起こりつつある、その用意を忘れてはならぬと言っておるのであって、おかしくなっているとか、すべてがどうだというようなことをわが民社党は申し上げておるわけではない。
各論に入りますから、これはまたの機会に譲りまして、もう一つの重要な問題について伺います。わが国は、OECD加盟に際して、特にアジア新興諸国に対する経済協力について期待せられておるとわれわれは判断いたしておる。したがって、この機会に、政府はどういう心がまえで、これに対処していこうとしておられるか、伺っておきたい。私どもが見ておりますと、アジア諸国に対する経済援助、特にそれが非同盟諸国の場合には、アメリカ側、ソビエト側、自由陣営、あるいは共産陣営ということばを使ってもいいと思いますが、それぞれの思惑に従って援助が加えられておる。特にいわゆる非同盟諸国については非常に多くの両陣営からの経済援助が加えられておることは事実であります。しかし、同時にまた、アメリカと同盟関係にある国々については、アメリカの援助というものは非常に軍事に偏重し過ぎておる。これが、全体的に見て、非同盟諸国といい、あるいはアメリカと同盟関係にある諸国といい、非常に政情不安を巻き起こしている一つの原因になっておると私は思うのです。そこで、一口にアジア新興国に対する経済協力なんと申しましても、それぞれの国が持っておる性格、政権の性格というものも違えば、国の内容も違います。一色には私はいかぬと思います。そこで、ことばはきれいなのでありますけれども、従来政府がとってきた経済協力というのは、コマーシャル・ベースばかり考えて、あまりそれ以上に出さなかった。たとえば賠償の問題もだんだん底をつきつつある。この前のDACに加盟し、インド、パキスタンに対するコンソーシアムの問題も、一応それはそれでございますけれども、その他の経済協力と申しましても、相手方の国のニュアンスが、いろいろ政権の性格が違う。どういうぐあいにこれに対処しようとしておられるか、根本的な態度をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/32
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033・大平正芳
○大平国務大臣 仰せのように、アジアの国々、それぞれ特有の事情、条件、性格を持っておるわけでございまして、アジアの経済援助一般という原則があるわけではございません。私どもの気持ちといたしましては、欧米各国の援助、これが全然アジアにない状態なんというのはよくないと思う。やはり、すなおに方々の協力を得て、アジアの安定、繁栄というものをはかっていかなければならぬ、復興をやっていかなければならぬわけで、したがって、私どもは、もう排他的に日本だけがやるのだというような、そんな頭はまず第一にございません。
それから、第二点として、私どもはアジアに対して最も親近な友だちでありたいと思っておるわけでございます。したがいまして、日本の賠償をはじめ経済協力にいたしましても、アジア地域が重点になっておるということは御承知のとおりでございます。一番親しい友だちでなければならぬと思います。したがって、あなたが言われる、非同盟国であるとか同盟国であるとかいうことを、援助する国に、よそさまの国ではあるいはそういうことをいろいろ考えるかもしれませんけれども、私どもとしては、そういう、非同盟国だからどう、同盟国だからどうというように区別して特に考えておりません。いかなる場合におきましても最もクロースな友だちでなければならぬということでございます。
第三点として、しかしながら、このことは押しつけることでないのでございまして、その国々が自主的に計画を立てて、そして持ち出してこられて、政府ベースで話し合うわけでございますから、そういう先方の御計画というものを親切に一緒になって考えてあげて、可能な限り有効な開発をするように考えてまいりたいと思っております。ただ、不幸にいたしまして、アジア諸国の行政水準、計画能力と申しますか、そういう点、まだ十分とは言えません。したがって、われわれが期待したようにどんどん実のあるプロジェクト、すぐれた計画のもとに出てくるという段階ではございませんで、そういった点は隔靴掻痒の感がございます。したがって、私どもとしては、まず資金や物資の援助ということと並行いたしまして、やはり広い意味の技術、したがって、コロンボ計画その他によりまして研修生を受け入れるとか、それから日本から技術者を派遣して現地で訓練をするとか、あるいは現地に訓練センターを置いて、そこで初歩的な技術を扶植していくとかいう段階の仕事に相当日本として重点を置いてここしばらくやらなければならぬのじゃないか。これは、ひとりアジアばかりでなく、私がヨーロッパを回って各国の首脳と話してみましても、アフリカなんかにしましても、欧州諸国は特に力点をそこに置くのだというように彼らも言っております。これは経済援助全体の問題として相当深く考えていかなければならぬ問題だと思うのでございます。そして、あなたが触れられましたように、賠償義務は予定どおり果たしてきておりますが、あともう五年たちますとインドネシアの賠償が終了いたします。そういたしますと、賠償計画、賠償はだんだん下降線をたどるようになりますので、賠償を中心にした経済、いままでは賠償が主力でございましたけれども、漸次これを本来の経済協力、技術協力、そういうものに重点を移していくような用意を政府がやってまいらなければいかぬ、そういう心組みでせっかく調査し検討を進めておるという実情です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/33
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034・永末英一
○永末委員 いま、同盟国であろうと非同盟国であろうと同様に扱うんだ、そこのところをちょっとはっきりしてほしいと思います。政府は、たとえば北京政権に対しても、政経分離、こういうことを言っておる。一体、アジアの各国が今どういう姿であるか。日本の国のように、あるいはOECDに加盟しているような資本主義国であれば、政治と経済とがぴしゃっと分かれているような姿も一応とられます。つまり、民間と民間とが接触をするということも可能。ところが、われわれがいま対処しようとしているアジアにおける新興国というのは、政治と経済とがそんなにしかく分明に分かれているわけではない。そういう国に対処しようとする場合に、もし日本の経済協力がアメリカとの軍事同盟の関係にあるいわゆる同盟国に与えられるということは、一体アジアの平和と安全のためにどういう意味合いを持つかということは、政府としては慎重に考えてもらわなければならない。そういう意味合いでは、非同盟諸国がいま要望している日本に対する協力のあり方と、アメリカとの同盟国が要望しておるあり方ということを考えた場合に、ほんとうに池田政府がアジアの平和と安定というものを望むならば、アジアに対する経済協力といってもおのずから方針が出てこなくちゃならぬと思いますが、私がこう申し上げても、あなたのほうはこれは同列でございますという考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/34
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035・大平正芳
○大平国務大臣 たとえば、インドネシアにいたしましても、ビルマにいたしましても、あるいはインドにいたしましても、これはわが国が賠償をはじめ経済協力をしておる国としては顕著な例になっておるわけでございます。この国々は非同盟国であるということは御承知のとおりなんでございます。こういう国だからというて私どもは援助の手をゆるめるというようなことは一つもしていないということであります。あなたが言われたのは、逆に同盟国の場合については若干手かげんをしたらどうかというようなお気持ちでございますが、私が申しましたように、そういう被援助国が主権国家としてみずからの判断に基づいてみずからの経済計画をお立てになる、それによって日本の協力を求められる場合は、日本としてはクロースな友だちとして十分御相談に乗るということ、それは同盟国であると非同盟国であるとを問わないんだ、同盟国であるとか非同盟国であるとかいうことは日本がきめるのじゃなくて、それは相手国の被援助国が主権国家として独自にきめることでございまして、私どもはそういうことで手かげんをするというようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/35
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036・永末英一
○永末委員 日本との同盟国ではないのです。日本はアメリカと同盟関係にある。アメリカが同盟関係を持っている国、しかもアメリカがそれらの国に与えている援助の内容は先ほど申し上げたとおり。これらのことがワンセットになって一体アジアの平和と安全にどうなっているかということを考えて、日本政府の方針をお立て願わなければならぬ。善意だけでは通らないということをわれわれは心配している。これは別の機会に聞きます。私は、アジア新興国に対する経済援助といっても、政治的にはそういう重要な意味合いがあるということを民社党は見ておるぞということをこの機会に申し上げておきたい。
経企庁長官に伺いたいのでありますが、一九六一年DAC移行前のDAGにおいて、それぞれの国は国民所得の少なくとも一%を新興国援助に出そうじゃないかという提案があって、なかなか議論が出ておるということを承ったままになっております。私ども民社党が加盟しております社会主義インターは、すでに一九五六年以来この方針を打ち立ててやってきておる。したがって、OECD加盟の諸国の政府の中にはわが党の友党が政権をとっている国国もあり、相当強い要求になってきていると思います。日本の場合、賠償を入れるべきかということでいろいろ議論をされたと思うのでありますけれども、日本の現在の経済状況からして、少なくとも日本の国民所得という概念はあいまいでございますが、一%以上を供出して新興国援助に充てるという方針をお持ちかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/36
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037・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 かつて、国連の総会でございますか、後進国援助については一%程度先進国が出すことが望ましいということがあったように承知をしておりますが、OECDに加盟をいたします結果として、そういう厳密な意味での義務を負うということはないと考えております。
それから、賠償をその中に入れて考えるかどうかということは、従来DACでは入れておりますし、そのたてまえを今後変えなければならないとは思っておりません。そういうことの総額がわが国のGNPの一%に必ずなっていくか、なっていかないか、過去何年かは大体その辺のところで来ております。けれども、常にそうでなければならぬかということになれば、必ずしもそういうものではないであろう、そのときどきの受け入れ側の事情もございますでありましょうし、わが国の経済情勢の動きもございますので、それを最低のいわばノルマ、ということばは悪うございますが、そういうものとしては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/37
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038・永末英一
○永末委員 数字というのはおかしなもんでして、数字をあげてしまうと、あげられたときにはたいした意味がなくても、何かそれが一つの目標のように受け取れる。OECD加盟諸国の全部のGNPが約一兆ドルと推算されている。その一%が百億ドルでありますから、その程度のものが新興国の援助に動いていくとすると、相当のことが私はできると思うわけです。しかも、日本が、先ほどお話にございましたように、少なくともアジアの新興国の経済援助に対してイニシアチブをとっていこうという覚悟なら、義務づけられるわけではないという答弁ではなくて、わが国の一%以上を出すのだ、こういう方針を打ち出して、それをOECD機構の中へ持ち出し、そうしてそこで日本の主張を実現させ、それによって自主的にアジアの新興国に対する経済協力のあり方を日本が考えていく、こういう用意はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/38
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039・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 基本的には私はこういうふうに考えるわけでございます。現在のわが国の経済の持っておる生産力から言えば、しかもそれと国内における内需との関係から考えますならば、わが国は相当低開発国特に東南アジアの国に援助を与え得る経済力を持っておると思うのであります。そこで、先ほど外務大臣が答弁されましたように、賠償等はある段階では切れるわけでざいますけれども、物的な経済力から言えば相当進んで経済援助を与えることが好ましいということはもちろんでありますし、それだけの経済力は持っておる。これは私は確かだと思います。現実には、その場合にわが国自身の持っておる外貨の保有量などの関係で、それが思い切って動かないということは、過去にも何回か経験しておるわけでありますが、これらのことも、ある程度平常化していけば、ことに国際流動性の問題というものが解決がつけば、物的な経済力は十分むしろ進んでこれらの国に経済援助を与え得る力を持っておりますし、また、そうあるべきだというふうに基本的には考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/39
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040・永末英一
○永末委員 方向としてはそうありたいけれども、いま、すでに議題になったような姿で一%以上を日本も負担するからほかの国もやれというようなところまでは、いわゆる方針としてはいっていない、こういう状態でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/40
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041・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 現実にはそれに近い姿であろうと思います。なかんずく、いま永末委員の指向されましたような方向に進みますためには、国際流動性の問題について何かの新しい解決策ができて、そしてわが国の物的な経済力をささえる外貨なり国際的な金融というものがそのバックになる、こういうことが非常に望ましいことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/41
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042・永末英一
○永末委員 国際流動性の問題は、まさしく外貨不足に悩むわが国にとって非常に重要な問題だと思うのです。しかし、それらと関連しながら、相手方のほうの通貨の価値なり経済力というものはまことにまた違った姿を持っておる。そこで、経済協力ということばは何か援助ということばにとられがちではありますけれども、わが国はやはり率先して東南アジアの新興国と貿易を盛んにしていくということを方針としてとっていかねばならぬのではないか。そうでなければ、相手方の経済的な力も伸びないと私は思います。その場合には、これらアジアの新興国は軽工業品を産出する国としてだんだん編成がえをしつつある。まっ先にわが国のほうがこれらに対する窓口を開いていく。市場が対外的にも対内的にも問題が起こってくる。いわんや、また、従来から問題となっておりますようなこれらの国々の一次産品の輸入という問題についても特別の考慮を払わなくてはならぬ。米産国のわが国としては問題がある。これらの問題について経企庁はどの程度見込みを立て研究をされておりますか、お伺いをしておきたい。アウトラインだけでけっこうです。
〔委員長退席、正示委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/42
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043・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 そこらはまさに問題の核心だろうと思います。非常にむずかしい問題だと思います。昨年、世界各国から、学者が多かったと思いますが、イタリアに集まりまして、そういう問題を討議いたしましたときに、ただいま永末委員が仰せられますように、先進国はむしろ国内の経済秩序に再編成を行なうことによって、低開発国で生産できるような軽工業についてはこれをむしろ低開発国から積極的に買っていく、そうして自分の国の生産はなるべくそういうものからより重化学工業化するといいますか、そういうもののほうへ振り向けていく、そういう姿勢を一九七〇年に向かってとっていかなければならない、こういう勧告が出されたと承知いたします。しかし、大まかな方向として、わが国もそういうふうになりつつはございましょうしいたしますが、とにかく、これだけ中小企業の多い国でございますから、もう低開発国でできるような種類の軽工業は積極的にやめていこうという方針を政府が打ち出すには、いかにも、経済の構造、特に底辺部が複雑であると考えます。また、いわゆる第一次産品につきましては、米は一番わが国と競合する品物だが、それを除けば茶というふうなものが問題があろうかと思います。それから鉱産物に一部問題があるかと思いますが、米を除けばさして大きな問題はない。国際商品協定等によって、ある程度の協力はそれは可能であろう。ただ、わが国の経済構造をそれに向かって積極的にこれから改めていくのだという、いわゆる昨年のそういう世界の学者たちの勧告については、非常に正直を申せば、にわかにそこへ飛び込んでいけない。もう少し、あと数年と思いますが、わが国の労働の需給関係その他から二軍構造というものがかなりいま解消されつつある過程で、これがもう少し目安がつきましたら、やや自然に、しかもそれにある程度政策上の努力を加えることによってそちらのほうに向かっていけるのじゃなかろうか、大まかに申しますとそういう感を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/43
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044・永末英一
○永末委員 まだたくさん質問したいのでございますが、正常な休憩の時間になったようですから、私の質問は一応これで中断をいたしまして、次の機会に質問をいたすことを留保いたしておきます。
それから、資料をひとつ要求したい。インド、パキスタン以東のいわゆるアジア各国というものに対して日本がいろいろな名目で経済協力、経済援助をしている。これをひとつ年度別に、三十九年度以降も続いているものがあろうと思いますが、これの一覧表をつくっていただきたい。それから、それらの国に対して日本以外の国がやっているものもありますから、これもひとつつけ加えて一覧表をいただきたいと思います。委員長からしかるべくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/44
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045・正示啓次郎
○正示委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X00519640221/45
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