1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十五日(金曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 臼井 莊一君
理事 安藤 覺君 理事 正示啓次郎君
理事 高瀬 傳君 理事 古川 丈吉君
理事 戸叶 里子君 理事 穗積 七郎君
池田正之輔君 宇都宮徳馬君
大石 八治君 仮谷 忠男君
木部 佳昭君 竹内 黎一君
渡海元三郎君 野見山清造君
福井 勇君 三原 朝雄君
森下 國雄君 和爾俊二郎君
赤松 勇君 黒田 寿男君
帆足 計君 松井 誠君
永末 英一君
出席国務大臣
外 務 大 臣 大平 正芳君
出席政府委員
外務政務次官 毛利 松平君
外務事務官
(欧亜局長) 法眼 晋作君
外務事務官
(条約局長) 藤崎 萬里君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁交通局
交通企画課長) 宮崎 清文君
外務事務官
(条約局国際協
定課長) 徳久 茂君
外務事務官
(国際連合局外
務参事官) 力石健次郎君
大蔵事務官
(関税局業務課
長) 阪上 行雄君
運輸事務官
(自動車局参事
官) 増川 遼三君
専 門 員 豊田 薫君
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五月十四日
委員鯨岡兵輔君辞任につき、その補欠として三
池信君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員三池信君辞任につき、その補欠として鯨岡
兵輔君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
委員愛知揆一君、宇都宮徳馬君、鯨岡兵輔君、
園田直君、福井勇君、赤松勇君及び平岡忠次郎
君辞任につき、その補欠として仮谷忠男君、和
爾俊二郎君、渡海元三郎君、木部佳昭君、大石
八治君、山本幸一君及び野原覺君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員大石八治君、仮谷忠男君、木部佳昭君、渡
海元三郎君、和爾俊二郎君、野原覺君及び山本
幸一君辞任につき、その補欠として福井勇君、
愛知揆一君、園田直君、鯨岡兵輔君、宇都宮徳
馬君、平岡忠次郎君及び赤松勇君が議長の指名
で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
道路交通に関する条約の締結について承認を求
めるの件(条約第一四号)(参議院送付)
自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の締
結について承認を求めるの件(条約第一五号)
(参議院送付)
国際情勢に関する件(日ソ問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/0
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001・臼井莊一
○臼井委員長 これより会議を開きます。
道路交通に関する条約の締結について承認を求めるの件、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の締結について承認を、求めるの件、以上二件を一括議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/1
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002・戸叶里子
○戸叶委員 ただいま議題になりました条約につきまして、二、三点だけお伺いしたいと思います。この条約は、近く行なわれるオリンピック等におきましても自動車を持って日本に入ってくる人たちに非常に有利なために考えられたものであると思うわけでございますが、そこで、大体何台くらい日本に入ってくるのであろうというような想定を持っていらっしゃるか、たいへんむずかしいかもしれませんけれども、期待するといいますか、入ってくる台数は大体どのくらいと思っていらっしゃるかを念のために伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/2
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003・徳久茂
○徳久説明員 オリンピックに際しましてどの程度自家用自動車を携帯して入ってくるかという御質問でございますが、非常に算定がむずかしいわけでございます。ただ、私どものほうとして考えておりますのは、たとえば現在までに外国の免許証を持っておりまして日本に入ってきて、日本の国内免許証を申請している件数というのがわかっておりまして、大体、いままでの実績を見ますと、年間、その年度に日本に入国しました者の約一%が日本の国内免許証の申請をやっております。といいますことは、入国者の大体一%くらいが日本の国内で自分で車を運転したいという希望を持っていたということでございます。オリンピックに際しましてどの程度外国人が日本にやってくるかという数でございますが、大体約十三万というふうに想定されております。そのうちの一%が日本国内で自動車を運転したいという希望を持っていると仮定いたしますと、大体千三百名ということになりますが、必ずしも一人で一台の自動車を運転するわけでもございませんので、めのこでございますが、たとえば二人半くらいで一台を運転するというふうに見まして、二・五で千三百人を割ると、大体五百二十台くらいが来るのじゃないか。ただ、それは日本でいやしくも車を運転したいという者の数でございますので・おそらく五百二十台は入ってくるまいという想定でございまして、海上運賃の出費その他もございますので、おそらく、二、三百台くらいではないかというふうに推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/3
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004・戸叶里子
○戸叶委員 二、三百台くらいの御予定でございますけれども、そういう人たちの自動車置き場、いわゆる車庫みたいなことはどういうふうになっているのですか。いま日本で自動車を持っている人さえも自動車の置き場がなくて困っているのですが、そういう方がよけい入ってきますと、パークするところがなかったり、置きどころがなくてたいへん困るのじゃないかと思いますが、そういうことに対してどの程度考慮を払っていらっしゃるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/4
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005・増川遼三
○増川説明員 外国から入りました自動車の保管場所につきましては、これがおおむね日本に定着する車とは考えておりませんので、通常ホテルその他の場所に置かれるということで、普通の場合には所要の駐車をできる場所をさがして駐車をしていただく。ほかに、車が日本の国に定着するということでありますならば、当然保管場所というものも確保していただくということになりますけれども、この条約で考えておりますのは、おおむね短期の滞在でございますので、ホテルに宿泊する場合にはホテルの駐車場等、そういったようなところに置いていただくということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/5
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006・戸叶里子
○戸叶委員 いまの御答弁、駐車のできるようなところに駐車してもらうということは当然のことだと思います。日本の自動車だって駐車のできるようなところに駐車しているのですから、そういうような答弁は人をばかにした答弁だと思って非常に憤慨するのですけれども、ホテルに滞在するのでホテルに置いておくのだろうというふうなこともわからないでもないのですが、大体、いまの日本の自動車の状態でもパークするところがなくて大騒ぎをしておるのに、ましてや、国内の自動車を持っている人たちも東京目ざして自動車で来るというような場合も考えられると思うのです。そこへ外国の人が自動車を持ってきた、ことばはあまりよく通じない、やれまごまごするということで、事故を起こすような場合も考えられるのではないかと思って、心配をしてそういうふうに申し上げるわけなんでございますけれども、そういうようなことは絶対にない、だいじょうぶだという自信を持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/6
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007・増川遼三
○増川説明員 自動車の駐車禁止の規定等につきましては、公安委員会、すなわち実務をやっております警察当局がそれぞれの措置をいたしておりまして、道路標識等につきましては国際的な標識と同一にそろえてございまして、外人でもその点はわかるはずでございます。それから、日本人の車でも外国から来た車でも同様に、車庫の点で、あるいは青空駐車というようなことにつきましては、これを放置すべきものではないと考えておりますが、やはり交通のふくそうを避けるという意味でこういった保管場所の問題をわれわれとして取り上げておるわけでございますので、必要な限りにおきましては警察当局におきまして駐車禁止の措置というものを的確にとっていただくというふうにいたしておりまして、われわれのほうといたしましても、また道路管理者のほうにいたしましても、警察と十分協力をいたしまして適切な対策を講じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/7
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008・戸叶里子
○戸叶委員 私は警告をいまからいたしておきます。というのは、いまの御答弁を伺っておりましても、やはり、私たちは、日本の自動車の置き場さえない、日本の自動車だけでも相当混乱するのではないかという考えを持っておりますので、ことに、こういうような条約で便宜をはかって、かえっていろいろな不便も出てくるような場合も生じゃしないかということを心配するわけでございますので、そういう点もいまからよく御考慮しておいていただきたいということを要望します。
それから、自動車を持ってきて、そしてそのまま持ってお帰りになるので、税金の問題等がかからないようになっていると思いますけれども、もしも持ってきてそれが日本の国内で転売するというようなこともないとも限らないと思いますが、そういうようなときにはどういうふうな措置をとられるかということも伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/8
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009・阪上行雄
○阪上説明員 御答弁申し上げます。
条約によりますと、いま御質問のありましたいろいろ権利の乱用と申しますか、これについては一定の措置をするということもございますし、それから、再輸出されなかったという場合には、まさにここにありますように、保証団体で保証して税金をとるということになっております。したがいまして、別途これはこの条約に基づく国内法を御審議いただく予定でございますが、たとえば、この当初の目的に反しまして不正に譲渡されるというような場合におきましては、輸入者あるいはその譲り受け人、いずれからか関税をちょうだいするというようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/9
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010・戸叶里子
○戸叶委員 そういたしますと、普通に自動車を外国から輸入したと同じ税金をとるというふうに了解してよろしいですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/10
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011・阪上行雄
○阪上説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/11
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012・戸叶里子
○戸叶委員 それから、もろもろの違反ということも考えられると思うのです。そういうふうな場合にはどういう措置をとられますか。それから、いまの転売の問題ですけれども、初めは自分が使ってまた持って帰ろうと思っても、中へ入ってきてから違った場合と、また、初めから、まあ適当なときには売ってもいいんじゃないか、そういう気持ちで持ってきた場合と、両方あると思うのです。そういうふうな場合に、あるいはそれが発覚しないであとになって発覚するような場合、そういうようなときの違反も含めて、いろいろな違反に対してはどういうような措置をとられるかということも伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/12
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013・阪上行雄
○阪上説明員 いま御指摘のようなことがありました場合に、関税の問題といたしましても、いずれの場合も正当な関税をちょうだいするというようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/13
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014・戸叶里子
○戸叶委員 関税だけでなくて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/14
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015・阪上行雄
○阪上説明員 物品税ですね。要するに、輸入に関します税金はこの二つであろうかと思いますが、この税金によりまして正規にちょうだいするということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/15
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016・戸叶里子
○戸叶委員 いまの転売とか、そういった場合にはわかりますけれども、それでは、たとえば国内でのスピード違反とか、いろいろの駐車違反とか、そういった問題が起きた場合にはどいうふうにして扱うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/16
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017・力石健次郎
○力石説明員 これは、普通に自動車の持ち込み以外で日本に入ってまいりました外国人にわが国の法律が適用になりますのと同様でございまして・自動車を持って入ってきた場合も国内法に従ってそれぞれ処罰されるのは当然であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/17
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018・戸叶里子
○戸叶委員 今度の場合は、主として、オリンピックが目前に迫っておりますから、それを目当てにというようなことも考えられるわけですけれども、日本でもやはり自動車をほかの国へ持ち込んでいくことができるわけですね。そういうふうな場合は外国に比べて比較的少ないのではないかと思うのですが、日本から自家用車を持ち込んでまた持って帰ったというような例は大体どのくらいあるというお見通しの上に立ってこの条約を結んでいらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/18
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019・増川遼三
○増川説明員 現在までの実績を見ますと、大体一年間に十台前後でございます。多いときには二十台近くあったこともございますけれども、日本の地理的な条件からいたしまして、それほどよけいの車が出入りいたしておりません。今後国際交流が激しくなりますれば、ある程度の増加ということは考えられます。従来日本から出て行きましたものの内容を見ますると、大体、学生が夏休みを利用いたしまして東南アジアからヨーロッパの方面を走破するとか、新聞社あるいはNHK等の取材班等が車を持ち込んでおります。そのほかに国際親善等に関するような個人的な旅行者というものも多少ございます。また、日本から車を持ち出します場合にはやはり船賃というものが所要の港まで持っていくのにかかりますので、その点を考えますれば、ごく短期の旅行に際しましては非常に高くつく、かえって外国へ単身で行きまして向こうでレントカーを使うほうが安くつきますので、そういった場合には日本から持ち出すということはあまり考えられません。相当長期、三カ月とかあるいは半年とか、それ以上になりますると、やはり、なれた自分の車で外国を旅行したいという意思の方もおいおいと出てくるのじゃないかと思いますが、それほど急激にふえるものとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/19
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020・戸叶里子
○戸叶委員 この条約は一九五四年に発効したのですけれども、日本がいままで入らないで相当長い期間置いていたというのは何か特別の理由があるのでしょうか。それとも、何も別になかったけれども、必要ないからということで加盟しなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/20
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021・徳久茂
○徳久説明員 御質問の点でありますが、一番大きな原因は、従来外国車の輸入につきまして非常にきびしい輸入制限をやっていたわけでございます。先ほど御質問がございました転売差益の点が一番解決困難という点であったわけでございますが、御承知のとおり、外国の自動車の輸入の自由化というものが目睫に予想される事態になってきたわけでございます。それで、転売差益の誘因になります差益の幅でございますが、それが目に見えて縮小してまいっておりまして、ほとんどもう現在ではノミナルなものになってきつつあるという状況でございまして、その点での弊害ということがほとんど考えられない。まあ、この条約に入ります実益とバランスをとりまして、実益のほうが多いという見通しをつけましたので、今回この条約に入るという結論を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/21
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022・戸叶里子
○戸叶委員 これでよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/22
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023・臼井莊一
○臼井委員長 右両件に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/23
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024・臼井莊一
○臼井委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
右両件は承認すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/24
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025・臼井莊一
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、両件は承認すべきものと決しました。
おはかりいたします。ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/25
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026・臼井莊一
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/26
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027・臼井莊一
○臼井委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。
穗積七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/27
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028・穗積七郎
○穗積委員 昨日ミコヤン代表団一行が国会の招待でまいりましたが、直ちに政府との接触もあったようで、きょうもまた続いて行なわれるようですけれども、
〔委員長退席、高瀬委員長代理着席〕特にきょうの会談はやや内容にわたるものだと思いますから、それに関連をして政府の態度をこの際二、三お尋ねいたしておきたいと思うのです。
まず第一にお尋ねいたしますが、フルシチョフの池田首相に対する親書というのは、新聞その他に発表されているもの、あれは間違いございませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/28
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029・大平正芳
○大平国務大臣 あのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/29
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030・穗積七郎
○穗積委員 幾つかの原則を含む具体的な提案もあるわけですが、時間が十分ありませんから、政府のほうから、これらに対する、きょうの会談に臨むまたは今後の日ソ間問題処理に対するこの際この機会における御方針を最初に伺って、質問を進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/30
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031・大平正芳
○大平国務大臣 まず第一に、フルシチョフ書簡で第一に触れられておりますのは、一般国際情勢に対する評価でございます。ここ二、三年間に世界情勢が好転して国際緊張が緩和してきたことを歓迎する、その一つの転機をつくったのが部分核停条約の成立であるということで、こういう一般国際情勢が好転してきたということにつきましては私も同感でございますのみならず、ソ連のような大国が国際緊張緩和の方向に鋭意施策されるということを、世界平和のために期待もし、希望もすることでございます。
第二点として、核実験全面禁止問題でございますが、ソ連政府が日本政府と一緒になってひとつ地下実験禁止を声明しようじゃないかという一つの呼びかけが出ております。この部分核停条約は、再三御論議のあったように、それ自体不完全なものではございまするし、これを踏み台とし、一歩といたしまして、漸次全面完全軍縮の方向に着実な歩武を進めてまいりたいというのが私どもの願望でございまして、ソ連政府のこの書簡を通じての提案に対して、けっこうであると思いまするが、ただ、問題は、地下爆発実験がなぜ除外されたかという問題は、軍縮問題全体を流れる有効な国際管理との関連におきまして、双方、東西両勢力の合意を見るに至っていないという事実を銘記しておかなければいかぬと思いまするので、したがって、こういう提案をされる場合に、こういう国際管理の問題につきましてソ連政府がどう考えておられるのかそういった点については機会があればお尋ねもしてみたいと考えております。
それから極東の平和強化の問題でございますが、われわれは極東の平和と安全を確保し強化すること、もとより一番希求するところでございます。そのためには、極東に存在する国々の間に相互信頼関係が高まってまいることが大切だと考えております。そういう意味で、日ソの間におきましても、どのようにして日ソの間の相互信頼関係が増進さるべきであるか、そういう問題につきまして、いま日ソの間に横たわるもろもろの懸案等を通じて、お互いの理解が深まり、その解決の機運ができてくる、そういうことになりますと、一番基本になる相互信頼関係が増進されるわけでございますので、そういう意味で、極東の平和と日ソ関係の改善ということにつきましては、文化経済交流等も含めて、与えられた時間、できるだけ懇談をしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/31
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032・穗積七郎
○穗積委員 それでは、逐次具体的にお尋ねいたしますが、一昨日この委員会で審議かつ採決をいたしました部分核停条約の問題として、私どもは、全面かつ完全なる禁止に向かう第一ステップとして、いまあの条約で許されておる地下実験はまず少なくとも禁止に向かうべきだ、それから、逐次製造、保有、拡散並びに使用の禁止に向かうべきである、こういうことで、その大体の目標については政府とわれわれの考えているものは一致したわけです。しかも、それに対して、日本政府がこの条約機構の中に参加するにあたりましては努力を約されたわけです。たまたま、その議論をし、しかもきょう本会議でその批准承認を決定しようとしておるときに、フルシチョフ首相から日本政府に対して、政府間の公式提案として提案があったわけです。これに対しては当然前向きにお考えになるべきものと思いますが、きょうは、ただ査察の問題について意見を聞くというだけでなくて、日本側の積極的なこの問題促進のための態度・方針というものをこの際打ち出すべきではないか、この御用意がありますかどうですか、そのことを期待しながらお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/32
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033・大平正芳
○大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、軍縮問題は、地下実験禁止ばかりでなく、全体を貫いてこの実効を確保するためには何らかの形における有効な国際管理というものが関連を持っていることは、過去の軍縮論議を通じましてわれわれが読み取ってきたところでございます。それから、さらに、膨大な軍備を持つ国、特に核を保有しておる大国の軍縮問題に対する責任という問題のことは、本会議を通じましても、本委員会を通じても、また国連の総会におきましてもわれわれが世界に訴えてきたところでございます。したがって、こういう軍縮の基本の問題について、そういう御提案をされるソ連側がどのようなお考えを持っておるのかということを十分われわれとしては聞きたださなければならないのじゃないかそう考えておるのが私のいまの心境でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/33
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034・穗積七郎
○穗積委員 私は二点について日本政府に対して提案をしながら御所見を伺いたいのです。
一つは、軍縮委員会というものがやはりこの全面禁止の問題については一つの舞台であることは間違いありません。しかしながら、日本はこれに入っていないのです。日本は核武装する考えは毛頭ないわけであるのに、今度の部分核停にあえて参加したのは、この条約機構のワク内において、またはその土俵の上において、この問題に対して促進する立場を確保する、そういうことでございますから、軍縮委員会に対して期待をかけるだけでなくて、日本自身としては、軍縮委員会に入っていないけれども、幸いにして今度この部分核停条約機構の中へ参加いたします以上は、それを通じても促進する、こういうことでなければならぬ。特に、日本としては、非核武装の問題については、これは熱心に主張する権利と義務があると思うのです。被爆国としての指導的な立場、発言権というものは、われわれは特殊に持っておるわけですから、そういう観点でこれはぜひ提案すべきだ、これが一点。
第二点は、この原締約国であるソビエトが、この問題に対して日本訪問の際に、被爆国である日本の立場、そしてまたアジアにおける日本の立場というものを尊重をして、そしてここで一ぺんこの問題について話し合いをしてみようではないかということについては、日本の自主外交のお考えから見まして、東西両陣営の橋渡しのためには、国際管理または査察に対するソビエト側の意見を聞きおくというような消極的な態度では、この間の御説明と態度が反すると思うのです。
そういう二点の立場から見て、これはぜひこの際ソビエトとの間でまず話をして、そうしてアメリカまたはイギリスの西側の保有国に対しましても日本が積極的なイニシアチブをとっていく、これは当然とるべき、国民の要望する私は態度方針であると思うのです。そういう意味でお尋ねしているのです。地下実験の禁止問題をやるについては国際管理または査察制度に対する問題が付随しておる、これはわかっております。そうでありますならば、査察問題についてのいままでの討議の中で、われわれは野党としても意見を持っておりますが、日本政府自身としても、この東西両陣営における一つの懸案になっておる査察問題に対してこれを積極的に解決をしていくという立場で、むしろ今日以後のミコヤン使節団との会談には積極的な態度で臨むべきである、この二つの立場を私は指摘いたしまして、外務大臣の決断を要請したいと思う。
そういうわけでありますから、いまの御答弁では、はなはだ消極的で、無方針で、自主性がない。こういうことでは、被爆国日本の国民というものは納得するわけにはいきません。だから、一昨日も御答弁になりましたように、積極的な態度で臨んでいただきたい。お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/34
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035・大平正芳
○大平国務大臣 軍縮問題全体につきまして日本が発言する権利もあり義務もある、その点ははからずも穗積さんとぼくと意見が一致するわけなんです。ただ、それからどうやるかが、あなたとだいぶ意見が違うところなんです。私の申し上げておるのは、ところかまわず、時期をかまわず何でもやれということは、日本の国際信用からそう軽率なことは私はできぬだろうと思うのでございまして、われわれは、第一に、われわれ自身が軍縮問題について十分の知識、素養をまず持たなければいかぬ。ところが、これは、いかんながら長いブランクの期間がありまして、ずいぶん世界からおくれてしまった。そこで、外務省はおくればせながら若い新鋭をすぐって勉強に入っておるわけなんでございまして、軍縮問題というのは、ことばは簡単でございますけれども、非常に奥行きの深い問題でございます。世界平和の観点からも、わが国の安全保障の立場からも、われわれは真剣に究明しなければいかぬ課題だと思うのでございまして、そういう討議、検討を通じまして、われわれ自体のたたずまいを十分見きわめていくということが、いまわれわれの任務じゃないかと考えているわけでございます。
それから、軍縮問題は、しかしながら、日本の検討いかんにかかわらず、世界で討議が行なわれていることも事実でございまして、毎回国連総会におきましてはこの問題が取り上げられ、決議され、そうしてジュネーブの軍縮委員会にその討議が国連の名においてゆだねられているわけでございます。日本といたしましても、この軍縮委員会に入って討議に参加したい希望を持っておるわけでございまいます。しかし、たまたま、非常にいかんでございますけれども、この日本の参加について反対されたのはソ連であったということをわれわれは記憶しておるわけでございます。しかしながら、これは、国連全体の機構にどのようにわれわれがわれわれの持っておるエネルギーを配分していくかという問題は、各国とのバランスもございまして、日の当たるところばかりに日本がおれないわけでございまするから、そのあたりは、経済社会理事会、安保理事会その他国連全体の機構の改編の問題も含めまして、いま問題になっておることは御承知のとおりでございまして、われわれは、国際的な理解が許されるならば、軍縮委員会に入って討議に参加していきたいという願望は捨てていません。したがって、そういう軍縮問題に取り組む段取りというものを踏みしめていくことが、いまの段階のわれわれの仕事でございまして、穗積さんのようにすぐれた方は、もうそういうとこを通り越して、すぐこういう提案をせよ、具体的にこういうアクションをせよということをしょっちゅう迫られるわけなんでありますけれども、そういうように軽快に動けないのでございます。十分地固めした上でやっていきたいということ。
しかし、冒頭に返りますけれども、この問題を討議する権利もあれば、提案する義務もあるわけでございまするから、それに応じて一軍縮問題という大事な問題につきましては精力的に取っ組まなければいけないし、幸いにソ連の首脳が来られるというような機会を通じてこういう問題の討議の機会を持ったということは非常にしあわせだと思うのでございます。大いにわれわれも、先方の意見も十分聞きただしてみたいし、われわれの気持ちも伝えなければならぬと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/35
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036・穗積七郎
○穗積委員 外交においては、メーク・チャンス、テーク・チャンスといわれて、あらゆる機会をのがすべからず、これは私はどの国の外交でも大事な問題だと思うのです。タイミングの問題とチャンスの問題というのは、外交において非常に大事にこれを活用しなければいけない。いま伺うと、国際的の立場もあるというのは、アメリカとの関係でしょう。こういう問題について、アメリカの意向、内意も聞かないでソ連と話をしてはアメリカに対しておそれ多い、それがいまのあなたの、国際的な日本の立場もあるからそう軽々しく——軽々しくじゃなく勇敢に動くわけにはいかぬ、こういうことじゃないですか。そういうことでは国民は納得いたしません。特に、この問題が問題なんです。われわれは、この条約機構というものが非常に欠陥の多い、抜け穴の多いものであるにかかわらず、あえて政府の参加に対して終始賛成をしようというのは、それを期待し、そのことに対してあなた方が積極的に前向きでやると言うから、われわれはこの条約機構参加に対して賛意を表しておるわけです。国民全体もそういう期待を持っておると思う。そういうことでは積極的な核禁止に対する政府の前向きの情熱というものは何も感じない。こんないいチャンスはないじゃありませんか。
もう一点は、いま告白されましたのであえて追及いたしませんが、査察問題については、これは探知の技術の問題と関連をしていると思うのです。したがって、過去における、査察制度が必要であるという具体的な提案は、今日は必ずしも必要でなくなりつつある。そういうことに対してこれから勉強していくのだということでございますけれども、あまりに不熱心であり、おそきに失することをわれわれは遺憾に思います。そこで、こういう問題について具体的に日本はこういう提案でやりたいと思うということでありますならば、あと、共同アピールにするかしないかという、外交上の行動をとるについて、意見発表についての手続・方法論の問題はございましょう。しかしながら、ここで伺っておきたいのは、再度それに対する具体的提案をして、積極的にこの際意見を述べられるべきであると思うのです。向こうからの提案ですから、まず向こうの意見を聞くのはけっこうです。しかし、聞きっぱなしではいけないこちらはそれに対してむしろオピニオンを持って進めなければいけない。これはわれわれの要望でございます。そこで、その具体的なものについてもう少し、いま意見を述べると最後におっしゃいましたが、意見の内容について聞きたい。
それから、少なくとも地下実験までも禁止するという原則的な政策については異論のあろうはずはないと思うのです。日本政府はこれを支持いたしますね。この点についてお尋いねたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/36
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037・大平正芳
○大平国務大臣 有効な国際管理を伴って真の世界の軍縮に役立ち平和に役立つような形の地下実験禁止、まことに賛成です。
それから、あなたとのやりとりで私はちょっと用心しておらなければいかぬと思うのですが、私が申し上げると、アメリカに気がねしてだろうがというようなことをあなたはすぐ非常に御親切につけ加えられる。私、非常に耳ざわりになるのですがね。これは私に対しても非常に失礼だと思うのです。そうかってに解釈されないように願いたいと思うのです。私が申し上げることをそのまま受け取ってもらいたいと思うのです。国会の論議でざごいますから、ありのままに私が申し上げることをそのまま受け取っていただいて、それを赤とか黒とかいうて自分で御解釈されて、その前提に立っての御質問にならぬように穗積さんにお願いしておきたいと思うのでございます。私が申し上げておるのは、先方からこういう御提案があった、だから、国際管理の問題についてはソ連側がどう考えておるかということをよく聞いた上で、聞きごたえがあるかどうかひとつ聞こうというわけですから、それを聞いた上でわれわれは判断してみたいと考えておるわけでございます。それを聞いた上でないとわからぬわけですから、その点を御理解いただかないと、突然アメリカが飛び出してきたりすることは非常に迷惑なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/37
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038・穗積七郎
○穗積委員 アメリカ問答でこちらの意見を逃げられては困る。私はあなたを誹謗したのではない。激励しているのですよ。あなたの善意と合理主義については、かすかながら共通の場ができるように私は期待している。自民党といっても幅が広くて、お話にならぬ御意見もあるようですけれども、あなたの善意と合理主義に対してはわれわれ大いに激励をしている。だから、いまみたいなあいまいな、国際的な立場があるから云々というようなことについては、これは何もあなたを誹謗するためではない。私の誤解ではない。過去における日本政府の、すなわち保守党内閣のとってまいりました外交的な行動、言動、あるいは政策の過去の事実を見て、私が、常にアメリカに追随し、アメリカに迎合し、アメリカをおそれ、そして自主性を欠き、みずからの利益を放棄する、こういう態度から早く脱却してもらいたい、それを大平大臣に期待しておると言ってあなたを激励しておるというのに、大臣は感謝もしないで失礼だとは、そういうことが失礼ですよ。きょうは会談前ですから具体的なあれはありませんでしょうが、会談を見ましてからまた来週の適当な時期にお尋ねをし激励をいたしますから、どうぞひとつ検討をしてもらいたいと思うのです。
さらに、続いてお尋ねいたしますが、第二の提案として、具体的な極東の平和と安全に対して何か提案があったということでしたが、私は、日本とソビエトとの間においては大きな柱は二つだと思うのです。一つは、日ソ間の平和条約を締結すること、もう一つは、おとといの核停協定で討議したように、アメリカを含むアジア・太平洋における非核武装地帯の設置の提案、これは絶好の機会だと思う。向こうは、提案があるならばこれに対して率直に応じましょう、こういうことでありますから、平和条約の問題と、それからアジア・太平洋における非核武装地帯の設置の問題は、アジアの平和と安全のために、日本政府がこの際この機会に積極的に折伏すべき機会である、私はこう確信するが、この平和条約並びに非核武装地帯設置の問題についてのお考えを伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/38
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039・大平正芳
○大平国務大臣 平和条約の問題は、たびたび申し上げておるように、われわれも平和条約をつくり上げるということを心からこいねがっておるわけなんであります。領土問題が介在して双方の主張が合わぬということは御承知のとおりでございまして、この問題につきましては、機会あるごとにソ連側の考慮を求めてきておりますし、今回のミコヤン副首相の来日を機会にこの問題も討議されると思います。
第二点の、非核武装地帯設置問題でございますが、これは、たびたび申し上げておるように、こういう問題は第一義的には核保有国の決意が問題なんでございいいます。われわれが関心を持っておるのは極東が平和であることでございまして、極東がいまのように軍事力のバランスの上に立ってどうにか平和を維持しておるという場合に、そういう地域においてそういう宣言をすることが実効的であるかどうかさらに、もっと申し上げますならば、一体そういうことがまあ実行可能かどうかという点をよく見きわめないといけないと思うのでございまして、これは、思想の問題でなくて、現実の問題として、実際政治の問題として考えてみなければならぬ問題で、われわれは、直ちにこの非核武装地帯を宣言する意図があるかというと、イエスと言うわけにはまいらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/39
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040・穗積七郎
○穗積委員 外務大臣は当時外務大臣の地位にあられませんでしたから、きょうの会談、または今後の会談に臨まれるについて御参考までにお伝えしたいと思います。われわれ、野党でありますが、日本の社会党であり、日本の国会議員ですから、日本の国民的なインタレストを踏まえて行動しておるつもりです。平和条約は領土問題にからんでおることは当然明瞭でありまして、この問題についての実はフルシチョフ首相の意見というものをこの際お伝えいたして、検討をしてもらいたいと思う。当時法眼局長は在ソビエトの公使としてモスクワにおられましたので、これは会談に参加はしていただきませんでしたけれどもお心得になっておると思います。実は、われわれ社会党は、自民党と違いまして、南千島だけではなくて、千島全体について領土権を主張いたしております。これは過去の日ソ間における戦争その他を通じましての条約を見まして明瞭である。ただ、問題は、フルシチョフ首相と話し合って煮詰めた結果は、いま千島列島を日本に返還をした場合に、その領土がソビエトを攻撃することを対象とした軍事基地に使われる危険があるということ。これは非常な大きな問題ですね。もとより、条約上は沖繩の領土権の返還の問題とからみ合いはありません。関連はありません。ありませんけれども、南においては、沖繩の領土権を日本はまだ回復してないが、そこにおいては、特に中国またはソビエトその他社会主義諸国を仮装敵国とする核基地ができつつある、その事実を見たときに、南千島に対する領土権返還は、日本自身が核武装していないけれども、日本人民のために、日本の平和、日本の経済の繁栄のために役立つよりは、むしろ、アメリカの軍事基地として、そうしてソビエトに脅威を与える、そういう段階においては、領土問題については、これは話し合いするのに非常に困難な条件にある、こういうことが、向こうのものの判断の中でだんだん明瞭になってまいりました。そこで、われわれは主張していわく、元来、領土の問題というのは、実はサンフランシスコ条約で放棄しておるのが第一の条約上の日本政府のミステークである、しかし、それは、われわれ国民としても、サンフランシスコ条約に反対しても、これができておる以上は、これにオブライジされなければならぬ、そうであるなら、この条約上の誤りを修正すること、これから解放することと、それから、同時にもう一つ大事なことは、これを日本人民のために、日本の平和的経済繁栄のために利用するのであって、ソビエト攻撃を目的とする軍事基地に使うのではない、そういう考えはわれわれ国民の中には毛頭ないのだということを、極力説明をいたしました。そういたしますと、結論はこういうことです。それはよくわかりました、日本の外交政策がそういう平和政策を明らかにしていただくならば、いまの領土に対する日本人民の願望について御要望の線に沿って話し合いをする用意があります、こういうことです。これは当時の議事録に残っておりまして、私が推測して話しているのじゃない。これはフルシチョフのことばです。したがって、今度アジアの問題について、平和条約の問題について向こうが提案しておる以上は、この点を頭に置いて対処していただきたい。われわれ野党でありますけれども日本の国会議員であり、鈴木茂三郎前委員長を団長とする使節団とクレムリンにおける会談の内容でございます。南千島だけでない、北千島まで含んでわれわれは話をした。それに対して、そういう態度を表明したわけです。これは、党としてではありませんけれども、政府の首相として、発表されることを予期した公式な方針の表明であったわけです。そうでありますならば、この機会に、日本側の平和政策、平和外交路線というものを明確に約束することによって、そうして領土問題の解決をし、話し合いを進め、そうして平和条約締結への前進をはかるべきである。
私は、さっきの核停の問題にいたしましても、この平和条約の問題にいたしましても、今度来ておるミコヤン使節団というのは、国会を代表する使節団でありまして、日本政府と交渉する任務を持った使節団ではありません。しかしながら、ここに妙味があると思うのです。彼は同時に政府の責任者である第一副首相の地位にもあるわけですから、そこで、ここで妥結をしろとか合意に達しろとか、そういうことを私は言っておるのではない。そういう、何というか幅のある使節団でございますから、妙味があると思うのですね。こういう話を懇談の中で話をして意向を打診する。意向を打診する以上は、こっちから具体的な提案なくして相手の意向を打診するわけにはいきません。黙っておって意向を打診するなら、第一手紙の中で向こうは提案するでしょう。そうでなくて、話し合いの中で意見を聞きながら意見を述べていこう、そして平和条約締結に前進をしよう、こういうことでございますから、ぜひその方針でひとつ対処していただきたい。われわれの野党外交、はなはだ徴力ではあります。正式な外交権を代表するものではありませんが、先ほど言いましたように、われわれといえども、第一野党の公党であるし、同時に日本の国会議員という立場で、日本のインタレストの立場で領土問題の話をしたときに、相手は首相の地位で会っているのです。しかも、場所はクレムリンのフルシチョフの政務室の接見室で会ったわけです。これは公式な意見としてバトンを受け取っていただいてしかるべきだ、こう思うのです。
そういうことで、本日午後の会談において、あるいはまた滞在中に機会がございましょうから、メーク・チャンス、チャンスをつくろうというならば幾らでも機会があると思いますから、そういう態度でひとつ進んでいただきたい。これに対する大平外務大臣の御見解も伺っておきたい。
第二点は、非核武装地帯の問題につきましては、これまた、使節団の性格が、ここで合意を取りつける、交渉するということではないけれども、非核武装地帯設置の問題については、一昨日の核停条約の審議の際にも反対はされず、望ましい方向である、目標である、こういうことには違いはありませんから、これはお互いに宿題として、その条件を実現するためにはどうしたらいいかということを話し合いし、話し合いが具体的に至らぬところについては、お互いにこの提案を宿題として、ひとつ今後検討を続けるという前向きの態度で話を進めるべきであると私は希望するわけです。
この二つについてもう一度外務大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/40
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041・法眼晋作
○法眼政府委員 ただいま私のモスクワ在勤の時代のことに御言及がございましたから、一言お答えいたしたいと思いますけれども、これは、日本は平和的意図しかないんだということについて常に声明をしておるわけでありますし、過去においても、日ソ交渉の過程におきましても、常に日本は平和以外に考えておらぬということは先方に十分説明しておるわけでありますから、(穗積委員「アメリカの軍事基地があるじゃないか」と呼ぶ)——それは本土のことでありまして、系争地域にはないのでございまして、したがって、そのことはしばしば明確に平和的意図を述べてあるわけでございますから、問題は、日本政府が過去の交渉において述べてきた平和的意図をいかなる程度において信ずるかという点にあると思います。ただいまのお話につきましては、当時新聞にも報道されたことでありまして、私も存じておりますけれども、過去においてしばしば日本は防衛する意図しかないということを言っておるわけでありますから、それをどう信ずるかという問題でありますので、私は、願わくは、日本の平和的意図については、過去にしばしば説明しているとおり、それを信じていただきたいということを申し上げたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/41
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042・穗積七郎
○穗積委員 大臣の答弁を求めます前に、法眼局長にちょっとお尋ねいたします。
それは、南千島ないしは北千島は、われわれは全千島列島を主張しておるけれども、それが日本の領土に返ったときには、安保条約の基地設定の義務は免除されますか。除外されますか。そうではないでしょう。条約機構の精神から言えば、日本に新たに復帰した領土に対しては、安保条約の基地設定の義務は全部含まれるわけなんだ。そこが問題なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/42
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043・大平正芳
○大平国務大臣 その点は安保条約の性格にかかるわけでございまして、安保条約というのは一〇〇%防衛的なものであるということは、これはもう安保条約の論議を通じてよく御了承いただいておると思うのでございます。アメリカが日本と共同防衛をやっておりますけれども、日本の意思に反して作戦行動はできない仕組みになっているわけであります。このこともまた御承知のとおりでございまして、いま法眼局長から申し上げたのも、日本の防衛以外に考えていないのだという趣旨は、日本のあらゆる施策を通じて一貫しておりまして、それに対して先方に理解を求めるということ、そしてそれをどの程度向こうに理解していただくかという問題であります。われわれは、誠心誠意、精力的に理解を求めるように努力していかなければいかぬということであります。
それから、第二の、非核武装地帯の設置。これは、この前にも、そういう環境が東アにできることが望ましいということは私申し上げたのでございます。それは、要するに、現にある軍備というものを、核兵力を含めまして漸次バランスをとりながら水位を下げていって、そしていま世界の平和をささえておる軍事的な均衡というものを失わないということでございまして、一地域、一局地だけをいじくると、 かえって平和を害するということも私申し上げたつもりなんでございます。したがって、全体の軍縮問題との関連において、世界の平和の脅威にならぬように、軍備の水位がだんだん下がるように鋭意施策していく、そういうワク内で考えていくべき問題じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/43
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044・穗積七郎
○穗積委員 ただ、その非核武装地帯の問題につきましては、その趣旨、目標については、これは同意見でありますから、お互いの研究題目として宿題とするという態度については御異存はないと思いますが、その点もう一ぺんお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/44
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045・大平正芳
○大平国務大臣 あなたに対する答弁はよほど用心してやっておかなければならぬので、私が申し上げているのは、軍縮問題、核を含む全面完全軍縮ということが究極の目標なんであります。これはあなたと私と全然同一なんです。それで、問題は、そうなってくると世界全体が非核武装地帯になるわけでございますけれども、しかし、あなたの言われる極東における非核武装地帯ができるということ、それにはいろいろな条件が要るわけだ。これは、極東の勢力のバランスというものを失わないように、平和を失わないようにしながら、漸次そこの軍備の水位を下げていくようになることが望ましいことで、これが究極において非核武装地帯になるということは望ましいことであるという意味において、私は賛成します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/45
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046・穗積七郎
○穗積委員 はなはだ遺憾ながら、時間がなくなりましたから、残るところは次にお尋ねするとして、一括してここでお尋ねして終わりにいたしますから、外務大臣、具体的にそこにメモしていただいて、一つ一つ丁寧に、私は好意を持ったあなたの激励者ですから、そうこわがったりきらったりしないで、よく答えていただきたい。一あと残る問題は、一つは文化、科学の交流に関する問題。これは、具体的に言えば、法眼局長はよく御存じだが、文化協定の妥結の問題ですね。これは、もういいところまで行っているわけですから、この際これを話して、ここで、先ほど言ったように、あの使節団との間に調印妥結ということはないといたしましても、内容については妥結を目途として話し合いをすべきである。これが一点。
第二点は、航空協定または相互乗り入れの問題でございます。これは、国際的な航空路線として、日本、北京、モスクワ、ヨーロッパという航空路線は、日本人民のみならず世界の人民にとって東西交流に非常に大事なコースでございましょう。のみならず、経営的に見ても、これは日本の航空業にとっても大事な路線である。だからして、フランスはおそらく今度北京乗り入れをやるでしょう。続いてその路線を東京に延長するという努力をするにきまっている。そういう情勢の中でありますから、この際民間航空機の相互乗り入れの問題は、これまた、ハバロフスクからモスクワまでの線のスパイをどうして防ぐかという、もうほんのさまつな技術的な問題にしぼられてきておるわけでしょう。そんなものは、日本がこの際積極的にこの路線開発のために努力をすべきである、私はこう思いますが、その点についてはどういう御方針であるか。
その次には、貿易の問題です。これは、特にシベリア開発に伴う重要物資の日本からの輸入、鉄鋼、機械類その他建設資材を中心とし、あるいはまたソビエトの場合は消費資材まで含む輸出の可能性がある。日本の今日のオーバー・プロダクションと市場競争の中で、これまた、ソビエトの利益だけではなく、日本の利益も含む相互利益の問題ですから、積極的に提案もし、向こうの方針を聞き、これを促進するという態度で臨むべきだ。私は具体的な提案をしたいけれども、きょうは時間がないから問題だけ提起して、政府側の答弁の時間にあとは譲りたいと思います。
最後は、首相または外務大臣の訪問問題でございますけれども、これは、私の判断では、政府の立場に立ってみても二つ問題があると思うのです。一つは、フルシチョフ首相自身が日本を訪問する相互訪問なのか、その場合には一体どちらが先に訪問するという意図を持っておるのかということ。ソビエト側が池田首相を招待すると言う以上は、そういう下心もあろうかと思う。それについての外務省の判断はどうであるか。したがって、首相訪問の問題はそれにからんでおる。同時に、首相の訪問を池田首相あての親書の中で歓迎する提案がありますけれども、これは、必ずしもこの際話し合いの中ではそれだけに限らないで、まず大平外務大臣の訪問ということも、これは検討の余地のある問題ではないか。したがって、首相訪問歓迎の提案については、フルシチョフとの相互訪問をどう考えておるのか。第二は、大平外務大臣の訪ソの問題をも含んで意見の交換をすべきではないか、私はこう思うのです。
以上の具体的な三点について、ひとつ的確に率直にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/46
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047・法眼晋作
○法眼政府委員 文化、科学の交流と、それから航空問題につきましては、いま双方具体的に案を出し合って交渉中でございますので、これはそのうちのあるものにつきましては非常に早く進むかとも思われます。あとの航空問題も、双方案を出し合っておりますから、審議中でございまして、これはこまかい点がたくさんございますので、目下双方とも話し合いをしている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/47
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048・大平正芳
○大平国務大臣 御承知のように、日ソ貿易というのは非常に順調にいっておりまして、日本全体の貿易の伸展の度合いよりはむしろ日ソ貿易の伸び方のほうがスピーディであると言ってもいいぐらいでございますし、延べ払いの状況も、成約はもとより残高も相当あるぐらいになってきております。われわれの基本方針は、あくまでもこれは商業ベースで進めてまいる、貿易のチャンスがあればそれをキャッチしてまいりたいということでございまして、これを押えこれを伸ばすとか、そういう政府が意図的に制約を加える、それから、特にソ連貿易に限ってプロモートする、そういうような考えはないのです。商業ベースで進めてまいるということで考えております。(穗積委員「送油管の輸出のことについてちょっと触れてください」と呼ぶ)パイプ問題につきましては、これはメーカーとの商業ベースでの話し合いの問題でございまして、政府のとやかく言うべき問題ではございません。(穗積委員「言うじゃないですか」と呼ぶ)とやかく言うておりません。
それから、私に対するインヴィテーションの問題でございますが、私に対しましてはことしの初めにグロムイコ外務大臣からの御招待がありまして、いずれ時期を見て考えさせていただきたいと答えてあります。ただいまその心境に変わりはありません。総理大臣のほうは、総理大臣がどのように考えておられますか、きのう書簡を受けたばかりで、お考え中と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/48
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049・高瀬傳
○高瀬委員長代理 帆足計君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/49
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050・帆足計
○帆足委員 大臣も御退席の時間が迫っておりますから、ごく簡単に申し上げますし、また、ただいま野党の立場から大臣に大いに激励し要望する主要な項目は同僚穗積議員から申し上げましたから、私は簡単に補足だけいたしたいと思います。
とにもかくにも、隣邦ソビエト連邦の副首相が議員団の団長として見えたことは、平和のために慶賀すべきことだと思います。数年前に私どもも衆議院議員団としてまいりましたし、また、多数の数知れざる議員がモスクワを訪問いたしました。アジアのことわざで、行きて迎えざるは礼なきなりと言います。初めて今度こちら側も先方の議員団を招待いたしましたから、これで互恵平等、礼儀を尽くしたものとしても大いに歓迎する次第でございます。昨日のミコヤン氏に託せられたフルシチョフ首相のメッセージを読みまして、心なき一部の人は、微笑外交などと言って、警戒すべきだと言っておりますが、過去ならばいざ知らず、今日の段階は、原爆、原子科学の時代、平和共存、雪どけの時代でございまするから、これは、私は、いわゆる戦略的微笑外交でなくて、平和を望む笑顔の外交であろうと思います。したがって、苦虫かみつぶし外交よりはるかにいいことでありますから、笑顔に対しては笑顔をもってこたえるという心組みをまず外務委員として政府に要望し、国民諸兄にその理解を期待したいと思うのでございます。
そこで、ただいま御答弁を伺いますと、いろいろまだ困難な問題が残っておりますから、必ずしも私どもを納得せしむる御答弁でなかったことは遺憾ですが、ひとつ事実を指摘いたしまして御参考に供します。
国会議員というものは、いつも申し上げますように、政府の生徒でございませんから、必ずしも政府の教えを受けて唯々諾々としておるだけが職能でございません。国民を代表して、政府を激励するためにときとしては苦言、批判も呈する。切磋琢磨することが必要でありますから、はっきり申し上げておきますが、千島の問題につきましは、かつて、私どもも党は違いますけれども与党ながら尊敬しておりました植原悦二郎氏が外務委員長でありましたころ、鳩山さんと相呼応いたしまして、法理的には、国際法的には、沖繩と違って合法的手順を経てすでに放棄しておる、放棄したものをだれが拾ったかということは第二の問題であって、拾ったほうの側で適当に相談してどうやら合意ができておるようである、したがって国際法上は問題がない、それを国際法上に問題があるかのごとく因縁をつけることはまことに卑しい態度と言わなければならぬ、真実を国民の前におおい隠すことは政治家として恥ずべきことである、——当時の速記録をごらんください。このように植原悦二郎氏は述べております。しからば、植原外務委員長がどう述べたかと申しますと、この方は大体ものの考え方、大脳皮質の動き方がフルブライト外務委員長にも似ている合理主義派でございまして、したがいまして、その合理主義という点では大平さんも理解くださると思いますが、対策といたしましては、国際法上はそうなっておる、しかし、あと残された問題が二つある、一つは、侵略によって得た土地でない限り寸尺の国土といえども講和会議にあたって他国から取ることはしないということが当時連合国の誓約でもあったし、また日本としても伝統的にもまた国民感情としても千島を完全に放棄してしまうことは忍びがたい、また、ソ連側としても経済的に別に必要な場所ではない、ただ、軍事的に言うならば、戦争中にあそこで重大な封鎖その他の問題があった、したがいまして、今後この問題は雪解けの過程において友情と理解をもって解決すべきことであろう、法理論的には済んだ過去のことである、それを済んでいないかのごとく言いくるめることは与党の立場としても恥ずかしいことである、国民にうそをついて、そして問題をごまかすことはよろしくない、したがって、平和条約を結んで雪解けの国際緊張緩和の線の中で話し合いで解決していくということのほうがむしろ順序正しい方法であるまいか、こういう発言をしておるのでございます。どうぞ当時の速記録をごらんください。穗積君の発言はまさにそれと相呼応するものでありまして、しからば、そのようになったならば、千島についてはわれわれは礼儀として軍事基地を置かない、防衛的であろうと侵略的であろうと、軍事的にその区別はできません。これはもうすべての軍事評論家が言っているように、防衛的軍事基地、攻撃的軍事基地、それは心がけの問題でありまして、女心と秋の空と申しますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/50
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051・高瀬傳
○高瀬委員長代理 帆足君、発言中ですが、総理が官邸で外務大臣を待っておりますから、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/51
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052・帆足計
○帆足委員 簡単にいたします。そこで、苛烈な軍事基地の問題につきまして、区別はできません。したがいまして、穗積君が質問したように、安保条約はせめてこの新たに返還された島には適用しない、そういうことから問題を解きほぐす決心がつきましたならば、この問題は軌道に乗るでありましょうから、私は、この問題は社会党としても未解決の問題と思いますけれども、ただいまのような秩序整然たる法理に従って処理すべきものであることを政府に勧告する次第でございます。卑しいことをしてはいけません。
したがいまして、お尋ねしたい最後のことは、政府は笑顔に対しては笑顔をもってこたえるお心組みであるかどうか、そのお心がけのほどを伺いたいと思います。私どもは、ちょいちょい外務大臣から、このこんとんたる情勢を割り切ろうとするのは、多少頭が悪く、簡単ではあるまいかと言われますけれども、あるいはそうかもしれませんけれども、心ばえだけはまことにしとやかにして美しい心ばえを持っているつもりであります。卑しいことは外務委員会において言うたりまた外交上したりしたくはないと思います。筋を立ててこそ初めて国威、国の実力があらわれる。ネール首相が人気があったのもそういうことであろうと思います。したがいまして、外務大臣は、ソビエトの平和共存の主張、そして、そういうふうにソビエトが接近してきたことに対してどうこたえられるか。アメリカもまた、なきケネディの考え方がそうでありますし、それから、ジョンソン大統領については、ずいぶん心配したのですが、予想外にケネディの思想に忠実なようであります。フルブライト外務委員長の思想もそのようであります。そういう合理主義的平和共存の流れの上に起こっているこれは歴史の一こまでありますから、そういう趣旨をもってミコヤンさんと懇談されるかどうか、そのお心持ちのほどを確かめておきたい。国民だれしもそう思っておるわけですから、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/52
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053・大平正芳
○大平国務大臣 きのう表敬訪問を受けまして、きわめて和気あいあい、春風たいとうでございました。国際情勢が大きく変貌を遂げつつある今日でございますので、先入観念なく、すなおに公明な気持ちで会談いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/53
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054・帆足計
○帆足委員 それでは、いまの千島の問題につきましては議論するとかえって事が紛糾いたしますから、もうこれだけにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/54
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055・高瀬傳
○高瀬委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603968X02419640515/55
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