1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十四日(金曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 丹羽喬四郎君
理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君
理事 廣瀬 正雄君 理事 福永 一臣君
理事 岡本 隆一君 理事 兒玉 末男君
理事 山中日露史君
逢澤 寛君 天野 光晴君
稻村左近四郎君 島村 一郎君
正示啓次郎君 田村 元君
堀内 一雄君 堀川 恭平君
松澤 雄藏君 井谷 正吉君
金丸 徳重君 原 茂君
山崎 始男君 玉置 一徳君
吉田 賢一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
建設事務官
(大臣官房長) 平井 學君
建設事務官
(都市局長) 鶴海良一郎君
建設事務官
(住宅局長) 前田 光嘉君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局資金課
長) 海堀 洋平君
住宅金融公庫
理事 町田 稔君
住宅金融公庫
理事 中平 栄利君
参 考 人
(日本住宅公団
経理部長) 森 一衛君
参 考 人
(日本住宅公団
計画部長) 島 守一君
参 考 人
(日本住宅公団
宅地開発部長) 浅野 英君
専 門 員 熊本 政晴君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
首都高速道路公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二一号)
日本住宅公団法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第四五号)
建設行政の基本政策に関する件(高層建築に関
する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/0
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001・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
首都高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/1
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002・兒玉末男
○兒玉委員 法案の改正の中で、第十条の一項で、役員の人数が改正されることになっておりますけれども、この五人を七人にふやすという法的な根拠あるいはその必要性ということはどういうところにあるのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/2
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003・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 法案の十条で、五人を七人に改める。これは理事、監事といういわゆる役員ではございません。管理委員のようなものでございます。従来五人の管理委員を置いておりまして、そのうち二人は出資公共団体の推薦するものであります。ところが来年度から新たに神奈川県側につきましても道路工事をやるという方針になりましたので、神奈川県側の出資が予想されておるわけであります。したがいまして、出資公共団体がふえるということで、管理委員の増員をいたしたわけでございまして、この人数の点でございますけれども、これはちょうど阪神高速道路公団と合わせております。阪神高速道路公団が大阪側と兵庫県側とありまして、両方の工事をやっておりますが、二府県にまたがりますので、出資公共団体の多いということで七人にいたしております。これに平仄を合わせたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/3
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004・兒玉末男
○兒玉委員 羽田−横浜間にできる道路ですね、これは出資する団体というのは神奈川県になるのかどうか。どこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/4
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005・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 これは県と市と両方あろうと思います。特に横浜市は指定都市でございます。道路行政では県並みに扱っております。そういう関係で、県だけとは限らないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/5
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006・兒玉末男
○兒玉委員 新しくできる高速道路というのはいつから着工する予定でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/6
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007・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 これは三十九年度から着工いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/7
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008・兒玉末男
○兒玉委員 この予定道路の諸計画、すなわち土地の買収とか、そういうことは全部終わっているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/8
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009・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 これは来年度から着工いたしますので、まだ土地の買収等には手をつけておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/9
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010・兒玉末男
○兒玉委員 三十七条の四項の改正の項で、「公団に対して資金の貸付けをしている国際復興開発銀行」を加える、こういうことになっておるわけですが、これはもちろん外貨資金の借り入れということを前提としてこの改正になったと思うのですが、やはり外貨資金の借り入れをしなければできないのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/10
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011・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 首都高速道路の建設につきましては非常に巨額の経費が要るわけでございます。なお、その償還につきましても長期を要するわけでございまして、公団といたしましては、長期の安定した資金がほしいわけでございます。外貨でなければならぬという理由はございませんが、国内の資金状況もそれほどゆとりはございませんし、加えて世銀の貸し付け金につきましては、長期の安定した資金の供給が期待できますので、この際世銀の資金を受け入れたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/11
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012・兒玉末男
○兒玉委員 現在まで、こういう公団関係、特に首都高速道路公団では初めての試みだと思うのですが、大体資金の借り入れワクというのは制約を受けるものと思うのですが、大体どの程度の金額を借り入れの対象としているのか。先ほど長期の経費と言われたが、長期の経費であるなら、なおさら外貨に求めるよりも、やはり政府出資等に待つことが私は健全な行き方じゃないかと思うのですが、その辺のかね合いはどうなっていますか。この二点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/12
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013・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 この羽田−横浜線の建設に要します資金は約三百億円でございますが、そのうち、ただいままで世銀との折衝の結果、九十億円の借り入れができる見込みでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/13
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014・兒玉末男
○兒玉委員 九十億程度の金であるならば、特に外貨資金の借り入れをする必要性というものがないのではないかと私は思うのですが、その辺はどうですか。どうしても外貨を借り入れしなければ運営できない、こういうことは若干理由に乏しいと思うのですが、その辺の根拠というものをもう少し詳しく私はお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/14
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015・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 この問題につきましては、国全体の財政投融資の問題と関係いたしておると思います。毎年膨大な財政投融資の予算を組んでおりますけれども、その資金の調達には大蔵省の財政当局もいろいろ苦慮されておるところであります。この首都高速道路公団だけ見ますと九十億程度でございますけれども、そのほか道路公団であるとかあるいは電源開発であるとかいうものにつきましても、世銀との話を大蔵省では進めておられまして、全部合わせまして約一億ドル程度の世銀の借り入れを期待して、大蔵当局が財政投融資の長期計画を立てておられるのであります。その中の一環としまして、世銀の資金を受け入れやすい——やすいといいますか、受け入れるのに適する事業を選びまして、その上で交渉いたしておるわけでありますが、たまたまこの首都高速道路公団の道路もそれに適するということで、それを対象といたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/15
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016・兒玉末男
○兒玉委員 この借り入れ金の金利とかあるいは償還期限というものはどういうふうな仕組みになっておるのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/16
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017・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 羽田−横浜線につきましての金利なり償還期間等につきましては、これから世銀と折衝いたすわけでございますけれども、従来の実例から見ますと、五分ないし六分程度の金利で借りておる例が多いのでございます。したがいまして、国内で資金を調達するよりも金利は安いことになっております。償還期間につきましても相当長期のものでございまして、道路公団が借りておりますものにつきましては、二十年とかあるいは二十年半とか、そういう長期のものになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/17
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018・兒玉末男
○兒玉委員 先ほどの御説明によりますと、まだ用地の買収その他もできてないということですが、そういう状況であって、総額三百億というワクはもちろん一定の基準によって出された金額だと思うのですが、法律の改正に伴って来年度から着工ということでしょうが、その辺の計画についていろいろな問題があると思うのですが、用地の買収その他についてはスムーズに計画遂行できる見通しか、それから三百億の予算の基礎、こういうもの等についてはまた途中で計画変更とかそういう心配がないのかどうか、その辺の見通し等についても、この際ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/18
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019・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 ただいま三百億円程度と申しましたのは、全体計画を実現するためのもので、来年度につきましては、そのうち初年度といたしまして十三億程度の仕事をしたいと思っております。この十三億をもって来年度かかりますところは横浜測でございまして、しかも運河の上でございます。そういう関係で、用地の問題は非常に少ないところを選んでおります。なお、三百億の計画全体につきましても、ただいまさらにそれを幾らかでも安く上げることにつきまして、いろいろくふうをいたして、再検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/19
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020・兒玉末男
○兒玉委員 一応この法案の内容についてお伺いしたいのでありますが、二ページに「政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内」、こういうふうに表現されているわけですが、この「国会の議決を経た金額の範囲内」ということと、公団において必要とする資金との関係はどういうふうになっているか、その点をちょっとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/20
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021・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 この政府保証につきましては、この改正案で法律を直しますと同時に、ただいま国会で御審議願っております予算の中に、総則の二十三条といたしまして、条文を設けております。その条文の規定によりまして、この限度額がきまるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/21
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022・兒玉末男
○兒玉委員 現在首都高速道路が方々で工事をやっておるわけですけれども、この前代々木でしたか、あの辺で大きな事故が起きているわけですね。オリンピック等を控えて、昼夜兼行で工事が進められておるわけですが、直接この法律の改正とは関連があるかと思うのですけれども、特に突貫工事のために相当無理をした作業が進められておることを聞いておるわけです。これについて、当初の予算案等においてかなり突貫作業のために無理をしているというふうなこと、それから作業そのものが相当粗雑になる危険性というものがあるのではないか、こういう点について、現在の作業の状況、あるいは必要とするオリンピック等の期限までにできる可能性について、ひとつ全体的な状況をこの際お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/22
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023・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 首都高速道路の現在やっております路線のうち、一号と四号につきましては、オリンピック開催時にこれを活用するという意味におきまして、それまでには供用を開始するということで工事を進めております。一号と申しますのは羽田から都心に至る線でございます。それから四号といいますのは、都心から代々木を経まして甲州街道に至る線でございます。この二本を重点的に取り上げて工事をやっておるわけでありますが、この二本いずれも本年度末には八十数%まで工事が進みます。残りにつきましては来年度予算を組んでおりまして、八月には開通できるという見通しで、ただいま工事を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/23
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024・兒玉末男
○兒玉委員 せっかく大臣がお見えになりましたのでお聞きしたいと思うのですが、この前の高速道路の事故は重大な問題だと思うのです。おそらく私は設計上のミスなりあるいは現場監督等の問題点があろうかと思うのですが、特に所管大臣として、その後どういうふうな行政上の指導なり指示をしているのか、この点についてひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/24
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025・河野一郎
○河野国務大臣 事故が起こりまして、直ちに専門的に調査をいたさせましたところが、設計上の欠陥ではございませんで、施工上、下をささえるもの等に多少の遺憾な点があったというようなことでございまして、厳重に関係者を戒告すると同時に、工事請負人につきましては、一定期間営業の停止をいたし、自今そういうことのないように十分注意いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/25
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026・兒玉末男
○兒玉委員 先ほど局長の答弁になかったと思うのですが、工事関係で、大臣が、昼できなければ夜やれ、こういうことで、これは単に高速道路だけでないのですが、夜間作業のために相当当初の予算単価というものが上がっているというふうに聞いているわけです。その点での予算上の関係について、大臣が命令したということで、建設関係の人たちはおそれをなしているわけじゃないでしょうが、泣き寝入りのような形でやっているということもいろいろな新聞なり雑誌に出ているのですが、大臣が夜やれ、そのことはいいとしても、その辺の面においてかなり無理をして作業が進められているのじゃないか、そういうことがこの前のような一つの事故として起きているのじゃないかというふうに判断するのですが、予算等の問題についてはスムーズにやっていける見通しなり、あるいはそういうふうな点についての配慮がなされているかどうか、この点についてお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/26
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027・河野一郎
○河野国務大臣 私は、都内における工事は施工の上で一般市民に与える迷惑は、これが竣工期日をなるべく短期間にして、そして迷惑をなるべく少なくする、投資効果をなるべく早くするということが一番必要であると思うのでございます。そういう意味において、鋭意目的達成のために督励をいたしておるのでございまして、それがたまたま夜間工事になります場合に、これが工事を施行する上において、経費がふだんよりかさむという場合には、事情がそのとおりであれば別途相談に応ずる用意はしなければならぬ、私はこういうつもりでおりまして、御承知のように現にやっておりますものは、東京都のほうにおいてやっておるものは私のほうからは建設省として補助金を出して工事を施行させておるものが多いわけであります。したがって東京都のほうから、直接の監督者からそういう申し出があれば、むろんそれは私たちのほうにおいても十分考慮して、そして相談に乗るというような心がまえでおるわけでございます。ただ一番困っておりますことは、夜間工事があまり長期にわたりますと、監督いたしまする役人に困るのでありまして、その点はただ単に勤務時間が延長してその手当の問題でなくて、役人諸君が過労に陥るというようなことがありますので、その点につきましては特に考慮して、あまり長くそういうことにならぬように、もしくは勤務上において十分配意するようにいたしておるわけでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/27
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028・兒玉末男
○兒玉委員 先ほど局長からも一応聞いたのですが、今度の羽田−横浜間の高速道路について、国際開発銀行から金を借りるということを聞いたわけです。これは大臣にお聞きしたいのですが、その金額が九十億ということでありますが、償還の期限等も大体二十年前後、こういうことでありますならば、何も開発銀行から外貨資金を借りなくてもやっていけるのではないか、こういうふうに、私たちはしろうと的な考えでありますけれども思うのですが、大臣として、なぜ外貨を借りなければいけないのか、その辺のことを、大臣の立場からお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/28
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029・河野一郎
○河野国務大臣 私は、道路建設等はなるべく財源のある限り急速に、幅広にやったほうがよろしいという考えでございまして、その点借りられるものがあれば幾らでも借りよう、こういうつもりです。ほかにもっと貸してくれるところがあれば借りて、そして道路公団あたりの工事をどんどん進めたい、なるべく早く仕上げることがいいというつもりで、貸してくれるといえば借りる、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/29
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030・兒玉末男
○兒玉委員 この高速道路整備ということは、今日非常に車両等が増加しまして、都内の交通緩和ということにおいては、その効果を期待するわけですけれども、現在の情勢から判断しますと、この高速道路が完成しても、のべつなく車をどんどんつくる、こういうことになりますと、せっかくの高速道路がまた行き詰まりを来たすのじゃないか。結局イタチごっこみたいな形で、なかなか都内の交通緩和というものが期待できないのじゃないかというふうに判断するわけですが、ただ道路をつくることと車両の製造ということが全然関係なく行なわれているところに私は問題があると思うのです。統計によりましても、大体この四、五年間に車両の製作というのは相当な増加率を示しているわけですが、この辺の関連というものを考えなくして、どんなに国家投資なりあるいは外貨等を借り入れてやっても、私はその効果というものはすぐなくなってしまうのじゃないか。この辺の制限等についても、ある程度の考慮を払うべきじゃないかというふうに判断をするわけですが、その辺は大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/30
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031・河野一郎
○河野国務大臣 私は車が普及することはたいへんけっこうだと思うのでございまして、これをまだ道路ができないから車を制限するということはむしろ政府の怠慢になるのではないかと思います。非常に産業に支障を来たすということであれば別でございますけれども、そこはなるべく道路の方面を十分にいたしまして、そして車の普及はなるべくしたほうがよろしいということでございまして、それにはおのずから限度がありまして、しからばどの程度だということになりますと非常に困るのでありますけれども、先進国に比べまして、わが日本の車の所有率、利用率はどこに比べても非常に多いわけじゃないのでございまして、順次こういう傾向になっていくのであって、それに必要を満たすような街路を十分整備するということのほうがまず先決問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/31
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032・兒玉末男
○兒玉委員 せっかくの機会でありますので、今度たしか七月か八月から車両制限令が実施されると思うのでありますが、おそらく東京都内においても相当な制限個所が生じるのじゃないかと思うのですが、そうなりますと、高速道路を問わず、大型車の制限によって相当私は支障があると思うのですが、その辺のことは、オリンピック道路の完成を含めて、どのような措置がとられているか、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/32
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033・河野一郎
○河野国務大臣 たびたび関係者が集まって会議をやるのですが、御承知のように、自動車のほうの行政は運輸省において主たる管轄をいたしておるわけでございますが、さらに取り締まりは警視庁が主になってやっておる、私どもの建設省は御承知のとおり道路をつくるほうです。この間に完全な一体的な行政指導がなかなかありにくいのでございます。これにつきましては——私つまらぬことを申すようで恐縮ですが、警察にはぜひ取り締まっていただかなければなりませんけれども、さればというて、御承知のように最近非常にゴー・ストップがふえてまいりまして、これは交通の隘路に相当なっております。流れを非常に悪くしております。ところが、これはわれわれと全然関係なしに、公安委員会のほうでおきめになるというようなことでございまして、そこらのところを基本的に考えなければいかぬのじゃなかろうかと思って、たびたび連絡会議でも主張するのでございますけれども、なかなかそこまでいきません。しかしいずれにしても、大阪あたりでやっておりますように、ある程度大型車の制限というようなことはやむを得ないのではないですか。またイギリス流に、道幅が狭いのですから、なるべく幅の狭い車の構造を考えてもらうというようなことはある程度必要ではなかろうかと思うのでございますが、われわれ建設省の立場とすれば、そういうこともさることながら、なるべく早く必要な道路の完成を見るのに専念することが一番私の使命であると考えて、及ばずながら努力いたしているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/33
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034・木村守江
○木村(守)委員 関連して。私はこの首都高速道路公団法の一部を改正する法律案、これはけっこうで賛成です。しかしこの法律の改正を必要とするのは、羽田−横浜間の首都高速道路をつくることにあるだろうと思うのです。ところがこの法律の改正では羽田−横浜間の道路がつくり得ないのではないかと思うがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/34
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035・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 もちろん法律の改正だけで道路ができるわけではございませんで、資金の手当であるとか、いろいろあるだろうと思うのです。しかし羽田−横浜間につきまして、国際復興開発銀行から金を受け入れることに政府の方針としてきめました以上、それが受け入れ得るような所要の改正は必要条件だろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/35
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036・木村守江
○木村(守)委員 私はそういうことを聞いているのではないのです。この首都高速道路公団法の第一条、目的の中にはこういうことが書いてあるのです。「首都高速道路公団は、東京都の区の存する区域及びその周辺の地域において、」と書いてあるのです。これは東京都の区の存する部分と東京都の区の区域以外のその周辺の区域と私は解釈するのがほんとうだと思います。そうすれば、この目的を改正しなければ、横浜とか神奈川県はできないのではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/36
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037・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 その条文の解釈につきましては、従来から区の存する区域とその周辺ということでございまして、その周辺の中には、都の中の周辺というものに限らず、区の周辺すなわち神奈川方面であるとか、埼玉方面であるとかいうものを含めて解釈をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/37
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038・木村守江
○木村(守)委員 この条文の書き方が非常に不明朗だと思うのですが、東京都の区の存する区域及びその周辺、東京都のその周辺の地域と解釈するのがほんとうで、東京都の中の区の存する区域、東京都の中のその区の存する部分のその周辺と解釈するのが、私はこの法文の解釈ではないかと思うのです。そうすると、このままではできなくなるのではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/38
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039・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 この条文の解釈につきましては、私が先ほど申し上げたような解釈で、いままでも運用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/39
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040・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 吉田賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/40
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041・吉田賢一
○吉田(賢)委員 公団の方にまず伺いたいのですが、どなたかお答え願いたいと思います。
首都高速道路公団のただいまの計画の実行に要する昨年及び今年の総資金量は概算幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/41
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042・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 お答え申し上げます。総資金量は昨年度三百三十九億でございます。高速道路建設費は二百七十一億でございます。本年度は高速道路の建設費自体は二百六十六億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/42
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043・吉田賢一
○吉田(賢)委員 お尋ねの前提として、若干明らかにしておきたいのですが、大体この事業に従事する人の概数はどのくらいでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/43
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044・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 現在首都高速道路公団に従事しております職員の数は約一千名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/44
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045・吉田賢一
○吉田(賢)委員 私は、法案の十九条の第五項につきまして伺いたいと思います。これを改正せられる直接の理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/45
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046・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 各公団、公庫に置かれております監事の職務の執行につきましては、従来簡単に規定が設けられておりまして、執行方法については詳しい規定がなかったのであります。昨年来行政管理庁におきまして、各公団、公庫の監事の職務の執行につきまして、これは各省関係でございますが、これにつきましていろいろと監査されました結果、監事の職務執行方法といたしまして、意見の提出ということが明らかになっていないという点を指摘されたわけでございます。建設省におきましては、監事の職務に関する訓令を設けておりまして、その訓令によれば、理事長なり建設大臣に意見が提出できることになっていますが、これを各省の所管の公団を通じまして明確にしようということに方針がきまりまして、公団法の改正の際に、そのことを明らかにするということになりましたので、この際公団法の改正の際に第五項を設けまして、その点を整備いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/46
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047・吉田賢一
○吉田(賢)委員 現行法の第十九条の五で、「監事は、公団の業務を監査する。」となっておるのを、今度は、「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は理事長を通じて建設大臣に意見を提出することができる。」ということに変えようとするのでありますが、これは非常に重大な事柄であろうと考えております。私は特に本年の政府の計画によって見ますと、これに投ぜられる財政投融資の資金量は、三十八年度二百八十八億円、三十九年度二百七十七億円、自己資金を加えますと、前年は三百四十七億円、三十九年が三百四十五億円に達するのでありますが、この国民の零細な金を集めましたばく大な金を使っていく首都高速道路公団の事業につきまして、公正な監査業務を行なうということは非常に重大な関心事であります。したがいまして、このような規定が、つまり現行法に比べまして非常に前進する規定ができますことは、これは一般的に歓迎すべきものであります。
そこで、これにつきまして、やはりなお明らかにしておかなければならないと思うのですが、大体理事が業務の執行体とすれば、そのトップにありますのが理事長である。そこで、これに対しまして、やはり公正に業務を監査するというのが監事の職務でありますから、いわば線は二本立っている。お互いに侵すことなく、お互いに尊重しながらその職務を全うするというところに、私は非常に重要な意義があると思うのであります。したがいまして、この監査をなす者と理事は、後者は業務の執行機関であり、しいて対立ということばは使いませんが、これに対して業務を監査する立場にあるのが前者だ、こういう関係になるものと理解してよろしいかと思いますが、この点大臣の明確な御意見をひとつ承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/47
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048・河野一郎
○河野国務大臣 お説のとおりでございまして、監事は大臣が直接任命することにいたしておりまして、対等の立場で業務を執行するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/48
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049・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そこで対等の立場にありまして、お互いに職務を果たしていこうとするのでありますから、理事の下に監事があるのではないということになりますと、あくまでもその監事の職務は、一種の独立的な地位を確保していかねば独立性はなくなってくる。こういうことになりましては、せっかくの地位は無視されることになります。そこで監事が、自己の業務に対する改善意見等につきましては、直接建設大臣にこれを述べる機会を与えるということが適当ではないか。なぜならば、同じ建物にあって、理事長にこれを出す、もしくは理事長を通じて大臣に意見を出すというふうなことでは、やはりそこに牽制される暗影が投ぜられる危険はないか。一種の独立の地位を確保しようと思えば、そのような法文は明確にする必要があると思うがいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/49
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050・河野一郎
○河野国務大臣 御意見でございますが、これは一長一短ございまして、公団の事務運営を円滑にしてまいります上には、お互いに話し合って、欠陥を指摘する点は十分指摘して、そうしてやっていく上において、いろいろ各省へ相談いたしまして、こういうふうに各公団は、監事の職務については法律の書き方を統一してやっておるわけでございます。いまお話しのように、特にそれが事務執行の上におきまして、御説のような事態があらわれてきますれば、それはまた考え直さなければいかぬのでございますけれども、私は書類を提出する場合にはむろんこういう形式をとらせますが、大臣も理事は理事、監事は監事で始終お目にかかってお話を聞いておりますから、かえってこのほうが円滑でよろしいんじゃなかろうか、こう考えて、一応こういう形式をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/50
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051・吉田賢一
○吉田(賢)委員 会計経理につきましては、監事は独立の意見を文書で出すことができるはずでございます。したがいまして、それは何も理事長に出すべきものじゃなしに、やはり意思表示を文書によってつくることになるのですから、この点はよほど注意しないと、監事は理事長の意のままになる人でないとつとまらないということであるならば、監事はないにひとしい。結局せっかくこの法律によってある欠陥を補正しようとしたことが、目的を達せられないことになるんじゃないか。ことに近時民主政治が日本の大きな土台をなすべきものでありますので、公団のごときものまでが官僚化する傾向にあるということはいかがなものでしょうか。何か独立の地位を持っておるようになると、それがお互いに確執するのでないかというような危惧の念をあらかじめ持つということは、いわばお互いに正しいと思うこと、公正と思うところはどしどし述べ合って、一致するところはあくまでもこれを推進していく、あくまでもお互いに話し合いも議論もしていくというお互いの地位は確保しておかなければならぬ。その点につきましては法文の上でももっと明確にする必要があると思うのであります。大臣は何かさらに必要が起こればお考えになるような御意向かと思いますが、私はこの機会にもっと明確に、徹底した監事の地位を確保しなければ何にもならぬと思う。昨年行政管理庁が各種公団公社に対しまして一斉に監事制度が骨抜きになっておる実情を指摘いたしまして、これは顕著な事実でございますので、これらのことが公団を通じて法改正になった大きな原因であると私も考えております。政府部内の行管の指摘しましたこれらのことは、はしなくもやはり国民の気づいたところであったのでありますが、いろんな不祥事の起こる以前に発見したということでたいへんよいことであるのですから、この機会にもっと徹底しなければ、監事の地位を確保しなければ何にもならぬじゃないか、こういうことさえ考えられるのであります。でありまするので、この法案を取りかえることができないのであるならば、運営におきまして、そのような監事の地位を侵されることがないように、適切に行なうことがなければならぬと考える。このような点についていかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/51
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052・河野一郎
○河野国務大臣 御趣旨は私も全く同感でございます。先ほどお答え申し上げましたように、法制局におきまして一応統一してこういうふうなことで運用をしていくようにということにいたしておりますので、万一お話しになりましたようなことがあります際には、私といたしましてはすみやかに考え直しますから、運用上十分注意いたしてまいるつもりでございますから、しばらくひとつおまかせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/52
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053・吉田賢一
○吉田(賢)委員 監事につきまして、その処遇の件でありますが、これはどういうふうになるのです。理事と同等ですか。理事よりも上ですか下ですか。処遇というものは単に給与だけではありませんが、これはどうなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/53
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054・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 役員といたしましては執行機関も監事も同等でございますが、給与の取り扱いにつきましては、監事のほうが低い扱い、監事のほうが理事よりも低い給与を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/54
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055・吉田賢一
○吉田(賢)委員 大臣に伺いますが、特に大臣が直接命ずる監事、重要な監査の任務を背負った監事を理事よりも低くせなければならぬという理由があるのですか。理事よりも上位に置いてこそ権威のある監査ができるのです。理事よりも低い監事ということになっては、やはりほんのつけたりの御意見を奉るということになるのじゃないかと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/55
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056・河野一郎
○河野国務大臣 諸外国のことは存じ上げませんけれども、わが国の一般会社等におきましては取締役と監査役との俸給は、やはり監査役のほうが低くなっておるように思いまして、さればといって決して地位の低い人が監査役になるわけじゃない、取締役をつとめ上げた人が監査役になる場合がたくさんあり得るのでありますから、地位としては、俸給と関係なしに、上下ありませんが、職掌柄、まあ社会通念というかどうか存じませんが、監事が理事よりも低いということに相なっておりますことが影響して、各公団におきましてそういう取り扱いをしておるということだと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/56
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057・吉田賢一
○吉田(賢)委員 この場合は単なるいわゆる社会的な顧問とか相談役とかいうものじゃなしに、やはり常時監査の非常に重要な任務を持っておりますので、でき得ることならば、給与等の処遇においてもさることながら、もしそれが事務の量からいたしまして適切を欠くというようなことでありとするならば、私は、経済的理由とは別の意味におきまして、監事の地位は高いというふうにする方法を講じ、金銭的にはかりに処遇は乏しくとも、高い矜持をもってこの監事の仕事に携わるようにすることが、河野建設大臣のような高邁な方の最も願うところではないかと思うのですが、ひとつそういうふうに処遇なすったらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/57
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058・河野一郎
○河野国務大臣 御趣旨の点私も十分了承いたしました。人選にあたりまして特に配意いたしまして、いやしくも理事よりも下でない方に監事に御就任願うように心がけたいと思います。しばらくひとつ御了承願いたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/58
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059・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 日本住宅公団法等の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
この際おはかりいたします。本案審査のため、日本住宅公団経理部長森一衛君、同計画部長島守一君、同宅地開発部長浅野英君の三君を参考人とし、意見を聴取いたしたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/59
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060・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
なお、参考人の諸君からは、質疑応答の形式で意見を聴取いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
また、住宅金融公庫から、町田理事及び中平理事が出席されておりますから、申し添えておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/60
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061・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。正示啓次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/61
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062・正示啓次郎
○正示委員 時間をできるだけセーブしながら、大臣御出席でございますので、住宅政策の基本的な問題を若干伺い、今回の法律改正案につきまして、私は根本的には賛成でございますが、なおこの際国民に対して、大臣及び建設当局及びわれわれ国会の考え方をはっきりさせていきたい、かように存じます。
まず第一に、住宅政策は、過般の総選挙におきまして、自由民主党初め各党とも、これを非常に重要な政策として取り上げたことは御承知のとおりであります。わが自由民主党といたしましても、いわゆる一世帯一住宅という目標をはっきり掲げまして、しかも具体的にその計画を樹立して、選挙においてもその趣旨を徹底をさせたことは、国民の非常に大きな理解と協力を得た事柄でございます。たいへんけっこうなことだと考えております。来年度の予算におきましては、七百万戸ないし七百八十万戸という具体的な数字につきまして、建設当局もしっかりと計画を打ち立てられたことにわれわれ敬意を表するのでありますが、さてこの際若干大臣のお考えを——これは私はあまり計数的にはっきりという意図はございませんが、大臣の大体の御感触を、ことに勘のよろしい河野大臣に伺いたいと思うのであります。
御承知のように、戦前は日本におきましても貸し家が相当ございまして、われわれ庶民も貸し家に住んだ経験を持っておるのであります。しかるに今日におきましては、七百八十万戸のうち、大体の見通しとしては、三百万戸以上はいわゆる政府施策による住宅、こういうことをいっておりますけれども、残りの四百八十万、あるいは若干それを下回ると思いますが、こういうものについてどの程度、いわゆる民間の自力あるいはさらに進んで他人のために住宅を貸してやるというふうな考え方ができてくるかということは、私は非常にいま問題であろうと思うのであります。もとよりコーポラスとか高級アパートとか、たいへんりっぱなものができておりまして、これは事業としてりっぱに成り立っておる。ホテル業に至ってはもとより非常に近代的な企業でございますけれども、一般の庶民のためのハウジング、住宅を供給するというふうなこと、戦前のように貸し家住宅というふうなことは、なかなか今日のところ考えられない。しかるに昨年以来私ども自民党及び建設当局において、いわゆる宅地債券の構想を打ち出し、ここに民間資金の宅地造成への導入という新機軸をつくり出し、これは規模においてはまだ微々たるものでございますけれども、一つの新しい行き方を示したものだと考えます。今回はまた特別住宅債券という構想にこれが発展していったことは、たいへんけっこうなことだと思うのでありますが、河野建設大臣の非常な鋭い勘をもってされて、今後日本が、われわれが将来において、またいま必要としておるところの膨大なる数量の住宅に対し、はたして民間の資金によって一般に貸し住宅を供給するという状況が近く相当程度に期待できるのであろうかどうか。戦前のことも詳しく、また今日の内外の情勢にも詳しい大臣でありますが、ひとつ率直なるこれに対する御見解を伺いたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/62
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063・河野一郎
○河野国務大臣 私は戦争によって損害を受けた、また引き揚げてこられた方々についての応急の処置としては、ある程度住宅問題は進んだと思っております。ところが何ぶんにも経済の急激な変化、と申しますのは、最近いわれますような公開経済、日本の産業構造が急激に変化いたしましたために、新たに住宅を要求する人が非常にふえてきた。そこで、従来でございましたらば、たとえば親子で同居しておった人、同じ職場におって働いておった者が、別々に働いて新たに一住宅を要求するというようなこと、ないしはまた産業の設備投資でもわかりますように、新たに工場の建設が非常に進んで、そこに住宅を要求する面が非常にふえてきた。一例をとって申し上げますれば、東京都の人口がこれだけ急激にふえてきた。これはいずれも新たに住宅を要求される諸君であるというようなことでございますので、これをこのまま全部政府もしくは、公営の住宅でまかなっていくというようなことは、とうていあり得べからざることである。私は住宅問題の解決には、当然官民一体となって当たるべきものであって、いまお話しになりましたような、政府施策が三百何十万戸、民間が四百何十万戸というような数字になって出てくることは当然であると思うのであります。ただ、しからば民間の住宅建設を誘導する際に、現状でよろしいかどうかということになりましたならば、私は、政府として施策する面が欠けているのじゃないか、たとえば固定資産税等においてさらに配慮するとか、もしくは一般会社が社員住宅を建設する場合に、これを経費の面においてどう認めるかというような、会社の経理の内容に立ち至ってまで配意して、そして民間会社がさらに大規模にそれぞれの社員住宅を建設するようにはからうことは必要じゃないか、またそういうふうな道を考えて、なるべく政府施策以外の住宅問題の解決に、一そう各会社が工場建設と同様な意味においてこれに当たる、もしくはそれ以上にこれに当たる面において、経理もしくは税制において考慮してやるということは必要だと思うのでございまして、この点は、閣議等におきましてもしばしば発言をいたしまして、それは、時に自治大臣がいろいろの面において住宅問題に深い関心を持たれたり、田中大蔵大臣が、住宅もしくはビルディングの建設について、高層建築について税をどうしようというようなことを発言されたり、それぞれの関係大臣が深い関心を持って非常に御協力願っておりますことに、私は深く敬意を表しておる次第でございまして、しからば、いまさしあたってどれがどう固まっておるかということになりますとまだ未熟でございますけれども、早晩、私は、これらのものがしかるべく実を結んで、相当に住宅問題解決に寄与できることになると考えておるのでございます。
そこで、私はこういうふうにして民間住宅が相当活発に建設されることを期待しつつ、さらに別の角度から考えますれば、ごく低所得者の住宅問題は、これは当然政府機関においてはからうことがあたりまえであります。またそうしなければならぬと思います。したがって、これには鋭意努力する必要がありますけれども、多少収入に余裕のある諸君がもしあるとするならば、これらの諸君はまず宅地の問題を解決して、そして宅地問題が解決つきますれば、上に建てるものは相当にそれぞれ道が開けてくるだろうというふうに考えますので、宅地の造成には一段と配意する必要がある。ところが、何ぶん、考えはいろいろ考えておりますが、また実行することに鋭意努力いたしておりますが、なかなかそれが思うように進んでまいりません。相当に大規模の団地の開発等も計画いたしておりまするし、さらに、すでに皆さんも御承知の、新たに開発いたしまする道路の沿線に相当に大規模の宅地を考えて、これと見合って道路の開発をしていこうというふうに実はいたしておるわけであります。さらに進んで申し上げますれば、従来と全然違った角度で、首都圏整備委員会もしくは近畿圏整備委員会等におきましては、たとえば首都圏におきましては、神奈川県の西湘百万都市、さらに群馬県高崎の手前のところに百万都市、それから宇都宮の手前あたりのところに百万都市等の計画を進めまして、すでに一部明年度予算におきましても、これらを推進するための必要な予算を要求いたしておりまして、これらが積極的に動いてまいりますれば、相当大規模な道路もしくは住宅建設の可能な土地が開発されまして、しかも安い地所ができるようになりましたならば、こういう問題を契機にして、住宅問題はめどが立っていくのじゃなかろうかというふうに、幅広には実は考えておるわけでございます。ただそういう話だけではしかたがありませんので、具体的にはここにあげておりますように、従来どおりの住宅施策といたしまして予算をとってやっておりますが、ここに御審議を願います具体的な予算のほかに、実はいま申し上げましたような幅広に社会的に問題の解決をはかるということに努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/63
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064・正示啓次郎
○正示委員 いま私が伺おうと思ったことを大臣が先にだいぶおっしゃっていただきましたので、質問を先に進めてまいります。
私の感じでは、戦前のように五、六軒の借家を持って小さな家主さんがりっぱに生活をしたというふうなことは、なかなか今日はむずかしい状況になってまいりまして、住宅というものを投資対象として事業をやっていくということになると非常に高級のものになってくる。そうしていま大臣がお述べになったような低所得の者には公営住宅、それから公庫、公団というふうなものがその上の者にはやっていくというふうなことで、その最高級のものと中ぐらい以下のものとの間に、われわれの戦前に体験したいわゆる庶民階級あての小家主層というふうなものがいま日本にはなくなっておるというふうな状況、それはなかなか再び昔のような状況にはならないということは大臣もお述べになって、そのために政府としては大規模な宅地造成事業というふうなものに積極的に進んでおるのだ、こういうことになっておるのではないかと私も大体考えるのであります。しかし、御承知のように、国民所得の年々の非常に急速なる上昇ということもございますので、われわれはこれから七カ年の将来の計画を立てる上におきましては、いわゆる七百八十万戸計画の資金の手当て、これについていまわれわれがここで審議しておりますような宅地債券あるいは特別住宅債券というふうな構想をさらに進めてまいるということが同時に必要ではないか、かような感じがたいへんいたすのであります。
これは若干横道にそれるのでありますが、今日私は、国民大衆は貯蓄をしなければならぬ、老後の安定のためにもしなければならぬ、それから有利なものならしたい、こういう意欲は非常に持っておるのでありまして、たとえば株式市場を見ましても、非常に有利なときには相当旺盛なる株式投資というものが大衆によって繰り広げられたのであります。しかるに一たびケネディ・ショックによって証券界が非常な沈滞に陥るや、大衆は証券界を急速に見捨てる、こういうふうなことが今日の状況であり、しからばこういう大衆にいたずらに消費を奨励するばかりではなくて、やはり貯蓄、しかも堅実なる貯蓄、いわゆる成り金を夢見るような貯蓄ではなくて、将来の堅実な生活を築き上げていくような、そういう貯蓄というものを奨励することが、私はこれは政府及び国会の大きな責務でなければならぬ、かようにも思うのであります。そういう意味からも、宅地債券や特別住宅債券の構想というものが非常にそういう面にこたえる、いわば家つくりと人つくり、これの一石二鳥の施策と申し上げても過言でないと思うのでございます。ところがこういう新しい施策をつくります場合にはなかなか骨が折れます。折れまして、昨年やっと日の目を見まして、ことしの特別住宅債券へと発展してきておるのであります。
幸いいま大蔵省から資金課長が見えておりますが、これもあまりはっきりした数字のことを私は求めはいたしませんが、七百八十万戸住宅建設の大まかな、たとえば社会保障の年金の積み立て資金というふうなもの、あるいは財政の、税金からあげた金、あるいは保険会社の金、そしてまたいまわれわれが審議しておるような宅地債券、特別住宅債券というふうなものでどうだというふうな、何か大蔵省として建設省の七百八十万戸計画に対する資金的裏づけの非常にばく然とした考えでもよろしい。しかしこれは同時にわれわれの努力目標でなければならぬと思うのであります。国民の所得を増加さして、いたずらに高い税金を取るばかりが能じゃないのでありまして、住宅を建てるための貯蓄については、いま大臣が言われたように、固定資産税の面でも、所得税の面でも、法人税の面においても、十分これを考慮してやって、堅実なる貯蓄の意欲と慣行を育てていくということは大きな政治の使命でなければならぬと私は思うのでありますが、大蔵省としては、そういう資金の問題について何か考えたことがあるか、あるいは考えようとする意欲でもあるのか、その辺のことをひとつ理財局の資金課長から一言御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/64
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065・海堀洋平
○海堀説明員 七百八十万戸という一応の目標を建設省から示されてございます。そのうちで相当部分が民間の自力建設に期待しているということでございますが、この点につきましては、日本経済の成長、国民の所得水準の上昇、過去の民間の自力建設の推移、つまり伸び、そういうところから考えまして、現在建設省の考えていらっしゃる民間自力建設の戸数というものは決して達成がむずかしいというふうな数字ではないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
それから、政府施策に期待されております戸数についての資金面の考え方でございますが、これは七ヵ年という長期の見通しになりますと、非常にむずかしい問題じゃなかろうかと思います。私は理財局関係の担当者でございますので、一般会計の税収の伸びというふうなことについての見通しというものは、お答えする能力も資格もございませんので、私のほうの担当しております財政投融資の関係について考えてみたいと思います。財政投融資計画の原資は、先生最もよく御存じのとおりに、資金運用部資金、簡保資金、そういった任意な国民の貯蓄、それから厚生年金といったような社会保険の積み立てというものがその大部分をなしているわけでございます。したがいまして、税金と違いまして、どちらかと言えば集まる金でございまして、政府が意図を持って集める金ではないわけでございます。たとえば厚生年金を例にとりますと、今度厚生年金の大幅改正が論議されております。これは厚生年金制度本来の要請から出ているわけでございまして、財政投融資の原資が要るから厚生年金制度が改正されるという性格のものではなかろうかと思います。したがいまして、財政投融資計画の原資を考えます場合に、任意な貯蓄につきましてはほぼ経済の成長というものを考えつつ、ある程度の見通しというものは立つわけでございますが、御存じのように、国民の貯蓄というものはそのときどきの、あるいは証券界の、あるいは金融界の事情によりまして、非常に動き得るものでございます。したがいまして、長期に原資の見通しを持てという要請は常に受けているわけでございまして、私たちも過去の実績その他に基づきまして、常にそういう作業を進めているわけでございますが、これはどの程度七ヵ年にわたって伸びていくのだという問題になりますと、非常にむずかしい点が多いということを御了解願いたいと思います。
それから運用のサイドをとってまいりましても、七ヵ年という長い期間を与えられますと、現在たとえば道路というものにつきましては、ある長期の計画がございます。それから国鉄なんかにつきましても、現在四十年度までに、政府としての国鉄の投資について、ある程度の長期の見通しを得べく検討しようというふうなことになっております。しかし財政投融資計画の各運用サイドのそれぞれについて、どの程度の要請が今後あるかということについて、全部を網羅して検討することは、七年という時点を与えられますと、やや無理があろうかと思います。したがいまして、私たちといたしましては、私たち財政投融資に期待されております住宅の建設につきまして、これだけの程度の金が要るであろうという検討と、それからそれが現在のところにおいて見込めます原資の中にはめていく場合には、どういうふうなウエートになるであろうということを常に検討いたしておりますが、必ずそれができるとかできないとかいうことを現在の時点において表明することは非常に困難でございますので、その点御了解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/65
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066・正示啓次郎
○正示委員 やはり大蔵省式の答弁をいただいたのでありますが、衣食住という住宅問題について、大蔵省はもっと積極的に考えなければいけない。宅地債券についても特別住宅債券についても、金をつくり出す方法ということでわれわれはこれを考え出したのでありますから、ただいまの海堀課長の答弁は大蔵省の金庫番としてはたいへん堅実でありますけれども、もう少し積極的に金をつくり出す構想を考えていただきたいことを要望しておきます。
さて、時間がございませんので、大臣にもう一点お尋ねをいたしまして、私の質問を終わりますが、住宅政策のネック——資金はいま言われました。しかし金をつくり出すことはできると思います。そこでこれはネックと考えておりません。宅地が一番のネックであり、その次に木材、これは内地材と外材、それからセメントというふうなものをどういうふうにして、しかもあまり値段が上がらないようにしてわれわれ庶民の需要を満たすか、こういう問題になってくるのではないかと思うのでありますが、幸い河野大臣は建設行政にも非常にお詳しくなられたのでありますけれども、農林関係も特にお詳しい。そこで私は河野大臣にお伺いいたしますが、宅地は今日までにすでに暴騰しておりますが、これを今後若干でも暴騰の程度を引き下げつつ、あるいはさらにこれから値上がりしないような方法で確保していく——先ほど百万都市の構想あるいは郊外にそういう広い団地をつくる構想というものを伺いましたが、やはり農地の問題と若干の関係があるということも一つの事実ではないかと思いますが、現在の農地を転用する制度について、もっとわかりやすいことばで言えば、宅地が安直に手に入るようにするには、農地制度についてさらにこれを合理化するようなことを必要とするのではないかという点が第一点。それから第二点といたしましては、住宅を建てる資材といたしまして、内地材と外材、この問題は私は森林政策の上からも非常に大きな不安を持っておると思うのです。先年の木材の暴騰に対して、河野大臣はちょうど農林大臣になられたときでございましたが、外材をお入れになって、木材の暴騰を押えられた。ところが一方においては、内地の森林業者はもう内地材というものの将来はどうなるかというふうな一つの不安も持っておる。建築というふうな面から、これは木材の問題は建築ばかりではありません。パルプその他いろいろございますけれども、少なくとも住宅を建てていくという見地から、内地材と外材について、大臣はどういうふうなお考えを持っておられるか。今後森林政策との関連がありますので、この点を第二にお伺いしておきたいと思います。
なお、第三には、最近ブロックあるいはコンクリートの新しいいわゆるプレハブ住宅というふうなものも大へん新しい問題として論議されておりますが、将来河野大臣は日本の住宅建築の上において、木材とそういうコンクリート製品との関係は一体どういうふうになっていくというふうに考えておられるか。またどういうふうにもっていくということが、森林資源の保護、国際収支の面からいって必要であると考えておられるか。これまたはっきりと数字でどうこうというのではございません。一つの勘どころを申し述べていただけば幸いと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/66
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067・河野一郎
○河野国務大臣 宅地の問題の話になります際に、いつでも出るのは農地関係のことでございますが、これは非常に誤解がございまして、農地の転用がめんどうなために宅地が云々ということはほとんど私はないと思います。さらに申しますれば、大規模な何百万坪という工場の敷地の場合にはいろいろ意見がありますけれども、ごく小規模な宅地もしくは万坪程度の団地という場合にはほとんど問題はない。一番問題のありますのは、町村の農地委員会がいろいろ意見を言いまして、ここで書類を押えたり、もしくはここでいろいろ問題がありますが、これは非常なさかさだと思います。町村の農地委員会にそんな権限はない。町村の農地委員会は書類を取り次ぐ程度で、意見があれば意見を付する程度で、これが許すとか許さぬとかいう権限は私は与えていないと心得ます。したがって、これは県の行政等が十分に徹底しますれば、そういうことはないはずだと私は思います。いま農林省と建設省の間にはそういう問題について少しも意見の扞格はございません。たいていの問題は両者よく協議して円滑に事務を進めております。
特に、私が大方の御理解をいただきたいと思いますことは、道路をなるべく早く開設することによりまして、現在の、たとえば東京で申しますれば、東京の通勤区間は大体一時間、それがバスによるにせよ、電車、汽車によるにせよ、一時間ということにしますれば、道路の改修によって、一時間のところまでを住宅として、宅地として適地である。そういう円が道路改修によって非常に伸びていく。たとえばいま全然そういうことになっておりません高崎、東京間も、この道路を三年でぜひやりあげたいと思っておりますが、これを開発いたしますると、いま全然そういうことになっておりません秩父山系一体が、高崎までが池袋から七十二、三キロでございますから、これが五十分あれば大体行ける距離になります。こういうものをもし開発いたしますれば、この秩父の山系の丘陵地帯の一帯が、住宅、団地もしくは宅地の適地として開発されることになり、神奈川県方面の一帯がそういうことになり、さらにいまの日光線と申しますか、東北縦貫道路と申しますか、これを一本いまぼちぼちやっております。こういうものが開発されてきますれば、いずれもこれは大きく円を描きまして、先ほど申し上げました宇都宮辺までが大体一時間、高崎辺までが一時間ということになりますれば、ここに至る両側の地域がいずれも宅地として開発されるということになれば、いま宅地景気でむやみに地価を上げておりますけれども、実際問題としては、こんなに急激に開発が進めばそういうことにならぬのじゃなかろうか、ただ宅地で思惑さえしておれば金が必ずもうかるというようなことで、むやみに投資をその方面に向かってやっておりますけれども、実際問題として、四十六年までに七百万戸の家を建てれば、これで宅地が済んだということになりますれば、これだけの宅地の所要量はどれだけだということを計算しますればこういう問題は当然新たな道路を開発することによって問題が解決するというふうに思うのでございます。したがってなるべく早い機会に各大都市もしくは新たに住宅建設予定地にさるべき地区の宅地の予定数量というようなものを合理的に計算をいたしまして、発表でもすることによって、宅地を押える方法があるのではないかというふうに考えます。これは思惑違いがいまが頂上で、私はだんだん道路の開設が進むにつれて、たとえて申しますれば名神のあれを、名古屋まで年内に開通しますれば、名古屋方面からの開発も相当に進みます。神戸、大阪方面からの宅地も全然変わった角度で宅地の物色が出てまいるということになると思うのでございます。したがっていまは宅地の問題が都市を中心に急激に困難を見ておりますけれども、これはもうほんの一両年でむしろそういう方向に行くんではないか、したがってそれまでにひとつ建設省としても詳細な計画、宅地を予定される供給源等についての推移等も計算をいたしまして、一ぺん世論に問うというような方法もとりまして、上がることを押えるというようなことも一つの方法ではないかと考えております。
それから木材のことについてお話がありましたが、これは当然金さえあれば、許されるならば不燃性の家屋に変えていくことがわれわれの希望でございます。一般の家を要求される諸君もこれを希望しておられることはもちろんでございますから、なるべくその方向にいきたい、ただ問題は、和歌山県あたりはたくさん砂利を持っていらっしゃいますけれども、大都市の付近に砂利がなくなってまいりまして、これはどういうことをしたものだろうか、新たに砕石でもひとつ大規模に起こさなければいかぬだろうと考えてみたり、大都市の周辺の河川はみな砂利が日ならずして枯渇する状態になっておりますので、川は荒れる一方でございますから、そういう点等も、山の荒れるよりも川の荒れることも一方において非常に高く評価しなければならぬのじゃなかろうかと思っておりますので、これらをあわせて両々ひとついまにして対策を立てなければいかぬのではなかろうかと考えておりますが、いずれにしても木材のほうは一応安定いたしまして、ごらんのとおり国内の植樹面積もだんだんふえてまいります。したがってこれはシベリア材の開発もありますし、また木材の輸入も、船舶が非常に大型化いたしまして、従来と違って外材の輸入が非常に安く、楽になっておりますから、そういう意味において住宅建設の上におきましては、そう大した支障があるとは考えておりません。ただ国内の森林政策、これはまたおのずから別の議論になると思います。ただ問題は、砂利資源をどうするかという問題が新しく浮かんでくるのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/67
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068・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 原茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/68
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069・原茂
○原(茂)委員 きょう住宅公団の皆さんが来ているようですが、私自身時間がありませんし、ちょうど大臣がおいでになっておりますので、基本的な住宅の問題を二、三大臣の考え方だけお聞きしたいと思います。
第一は、現在七百八十万戸、七ヵ年、こういう計画が持たれております。大体政府の建設が三百万戸、民間の自力が四百八十万戸、この比率を見ますと、大体三割八分五厘が政府、六割一分五厘が民間の自力ということになるわけでありますが、ここで二つお伺いしたい。
自民党自体が政府に要求した七百八十万戸というのは、各内訳別に正式な長期計画をつくってもらいたいということが自民党の要求だったように聞いております。大蔵省はちょっとむずかしいというようなことから、第五次公営住宅建設計画というものだけが三ヵ年計画として正式に決定をされている。したがって公営住宅の三ヵ年に関しての内訳は大体われわれにもわかるのですが、いまのその比率ですが、住宅建設の内容別の比率が、民間と政府との比率というものは七ヵ年間ずっと続くのかどうか、いまと同じような比率が毎年度同じ比率でいくのか。現在は非常に低いわけですが、ずっと先へいくと、政府の比率が多くなり、民間の比率が少なくなるというような率なのか、逆なのか、それについてまず第一に基本的な見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/69
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070・河野一郎
○河野国務大臣 最初のお話の、七ヵ年間の長期計画をなぜ明瞭に示さないか、この点は、御承知のとおり、いま政府におきまして、後期所得倍増の五カ年計画を計算しております。これと見合ってコンクリートなものを持っていきたいというために、初めの三ヵ年だけを暫定的にお示しいたしておるわけであります。この数字を申し上げますと、いまお話しのとおりに、民間のほうと政府の伸び率が云々ということでございますが、一応われわれといたしましては、昭和三十八年度の実績にかんがみまして、昭和三十八年度は政府施策では二十八万七千、民間が約五十万戸というものを基本にいたしております。それに対して政府は伸び率を一〇%、正確に申し上げますと、一〇・五%というものをことしの予算におきましては考えまして、そして三十一万七千戸、民間のほうは八%ということにいたしまして五十四万戸、こういう数字を、今後も、政府は一応この伸び率で伸びていくことは可能である、予算の面でこれだけずつ、おおむね一〇%ずつふえた予算をとって、住宅対策に当たっていくことは今後可能であろうという意味合いから、この一〇・五%というものを基盤に置きまして、これを七ヵ年と計算いたしまして、四十五年度におきましては五十六万一千戸、民間のほうが八十五万三千戸ということに一応計算をいたしておりますが、私は先ほども申し上げましたように、政府のほうがこれだけ伸びていきますれば、民間のほうはさらにもっと伸び率が多くなりまして、おそらく四十五年にはいま所定いたしております数字よりもよほど伸びた数字が出るのじゃなかろうか、しかしいずれにしても政府の責任においてはこういう伸び率で七ヵ年間やっていこう、こういうつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/70
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071・原茂
○原(茂)委員 いまの伸び率と関連して、三ヵ年だけで、あと後半は、いまの経済政策の手直しといいますか、作業をやっていくという不明瞭な部分が多少あるのですね。したがっていま説明がありました程度のもの、ある程度勘といいますか、この程度はいくだろうという前提に立って七ヵ年の七百八十万戸というものがここに提示された。そこでこれは何といっても力のある河野さんですから、将来の見通しについてお伺いしたいのですが、日本のいまの経済のこれからの伸び率というものを考えるときに、世界的にもそうですか、日本の場合にも産業構造というものがこれから思い切って変化していくだろうという前提に立たないわけにいかないと思う。その中の大きな理由の一つとして、いわゆるイノベーションといいますか、技術革新といいますか、科学技術の、私たちが追いつけないような非常にはげしい進歩というものが、いまあるわけです。原子力に例をとりますと、たいへんな、想像を絶したわれわれの生活革命が行なわれていく。そういうようなことを考えてみますと、イギリスの例のウィルソンが言ったのでありますけれども、完全雇用のイギリスですらあと六年たった一九七〇年になりますと、どうしようもない、一千万人の失業者が出るだろう、これも科学技術の進歩が現在の趨勢にある限り防ぎようがない、したがって新しい産業というものを起こさない限り、どうも完全雇用という線は守れそうもないのだ、こうウィルソンあたりが喝破しているし、私も、それほどに激しく科学技術革新というものが産業構造を思い切って変化させるし、同時にそれから出てくる矛盾が失業者という状態になって非常に出てくるのじゃないか、 これを救うためにも、いま考えていられないような新しい産業というものが興ってこない限り救いようがない。これは国際的に世界の一つの趨勢になるだろう。日本もその例外ではないと思う。七年後に一体、日本の産業構造を含めた、いま言った科学技術が非常に導入されてまいりましたときに、いま想像されている民間の自力建設というものが期待できるような状態にあるだろうか。自民党もいままでやってまいりました所得倍増政策なりあるいは高度経済成長政策というものが順調にいくだろうという前提に立ったわけですが、いますでにある程度の手直しが必要になってきておりますが、この手直しをこれからの七年間の建設の中に必要としないだろうか。思い切った社会経済のあるいは産業構造の変革というものが必然的に起きてきて、民間の自力建設に期待できるどころか、非常にいやな言い方ですが、中年層高年層の失業者の増大というようなことも、うっかりすると予想されるのじゃないか。そういう前提に立っていきますと、日本の技術革新——イギリスと比較して言うならば、そのような状態になるのには十年以上はかかるかもしれません。イギリスと同じにはやっていないと思いますけれども、しかし相当大きな国民の所得の変化、しかもそれが思い切って片寄って、思い切って片方には所得のないという現象がいまよりも激しくなるというふうに考えることが一つなんですが、一体そういうところまである程度見込んだ七年計画で七百八十万、しかも民間の自力がこの四十五年になりますと八十五万というようなものを期待して間違いないとお思いかどうか、ということが一つ。
時間がありませんから二つ目。そこで、政府ではいまの低所得階層の住み得る住宅を特に取り上げて考慮されているわけですね。少なくとも一万五千円というような程度で世帯を持つ人が非常に多い。あるいは二万円程度で生活している者が非常に多い。こういうものに対する力の入れ方、いま前段に申し上げたのとあわせて、もっと思い切ってこれに対してウエートを置いていきませんと、ちょっと合わないのじゃないかというふうに考えますが、その二つをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/71
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072・河野一郎
○河野国務大臣 私も、たとえば道路の五ヵ年計画の決定を一応政府としてはいたしました。しかしこの五ヵ年計画を大蔵大臣と決定いたしました際に、私は大蔵大臣と、別途財源に余裕を生じた場合にはこれを改定するという約束をいたしております。同様に住宅問題にいたしましても、道路問題と同様に、緊急中の緊急の問題でございます。したがって財源が許す、もしくは社会情勢が変わるというような場合には、この七ヵ年計画を五ヵ年計画で完遂するというように、改定の必要が生じてくる場合があり得ると思います。しかしそれはそのときのことでございまして、いま政治をやりますわれわれといたしましては、一応七ヵ年の計画を立てて、国民諸君の御了承を得るということにいたしませんければ、先のことはどうなるかわからぬぞというのでは御了承が得られませんから、一応やっておりますけれども、これで満足しているものではないのでございまして、情勢の変化もしくは財源の調達ができ次第、なるべく短時日のうちに期待にこたえるようにいたさなければならないのではないかと考えておる次第でございます。せっかくの御協力をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/72
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073・原茂
○原(茂)委員 いま私が申し上げた二つの問題は、特に今後の政治を担当される場合非常に重要だと思いますので、あと手直しをやろうとしていまの経済政策を策定しているわけですから、その策定する中には、思い切って民間の自力というものを減らしまして、政府の建設というものをぐっと広げていく必要があるだろうと私は思う。現在この手直しがあまりになまぬるい。こういう考え方ではどうも実際にはこの計画の数が実現できないおそれがある、こう考えますから、時間のあるときに特にこまかい点を伺いますが、そのことを一応も二応も考えていただきたい。後半の経済政策をつくる上にどのような考え方を一体織り込んでいただけるか、後刻またこれはお伺いしたいと思います。
二つ目にお伺いしたいのは、いまの建設行政全般の中で、先ほどもちょっと正示さんからお話があったのですが、アメリカでいうバイ・アメリカンではありませんが、非常に大きな財政活動のウエートを占めておる建設省ですから、思い切って国産品愛用というものを思想として流す必要があると思うのですが、そういうことに特に重点を置いて、建設省自体がいわゆる国産愛用、とにかく日本の製品をとことんまで使っていくという思想が十分に行き渡っているか、そういう方針でおやりになっているかどうか、あわせて大臣からひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/73
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074・河野一郎
○河野国務大臣 前段のお答えはいずれまた十分御意見も承った上で申し述べたいと思います。
後段の問題につきましては、たいへんいい御注意をいただきました。いままで私は、建設大臣就任以来そういう思想を一ぺんも持ち合わせておりませんでした。これは特に注意いたしまして、さっそく各方面に指示をいたすつもりであります。
〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/74
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075・原茂
○原(茂)委員 これは河野さんではお答えができないかもしれませんが、局長さんでもだれでもけっこうなんですが、先ほど第一点でちょっと触れましたように、科学技術の非常な進歩ということばの裏に、原子力がやはり中心の座にあるわけです。道路工事でもあるいは河川の問題であろうと、住宅建設の問題でございましても、もうすぐ私は原子力そのものが思い切って取り入れられる時代が来るだろうと思います。これもいまの国産品愛用ではありませんが、やはり建設省自体が科学技術庁その他にまかせっぱなしではなくて、建設省の中に、行政全般の中に原子力というものがいつになったら取り入れられるのか、いつどういう角度からこれが入ってくるのかも、そろそろ考えておかなければいけない時代が来ていると思うのです。したがって、これも後刻でけっこうなんですが、建設省自体として、一体原子力というようなものを中心にした思い切った科学技術というものが、どういう面に、将来いつごろ取り入れられるようになるとお考えになっているだろうか。この点は各省とも考えておく必要があるので、この点もひとつきょうお答えがなければ、後刻、そういった三つに分けた問題を、むしろある意味ではお教えをいただいて、それについてまたこまかく私どもの意見をはかしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/75
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076・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 それでは吉田賢一君。
〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/76
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077・吉田賢一
○吉田(賢)委員 簡単に伺っておきたいと思います。
住宅公団の方がいらっしゃいますが、住宅建設計画につきまして最大の問題が、ガンとせられておりますのは宅地価格の問題であるということは、最近の通説のようでございます。それで審議会等におきましてもだんだんと御審議になった経過もあるようでありますが、まだ一向に適切な結論は出ないようであります。私ども見ますと、いろいろな手は打たれておりましても、地価問題と本格的に取り組むということでないと、ひとり住宅問題だけではなく、道路整備の問題にいたしましても、その他地方開発の問題にいたしましても、一切の問題の根底をなすとさえ考えられる重要性があります。そこで公団の立場といたしまして、宅地価格の最近の趨勢が容易にきまりそうもありませんし、またきまるだろうという希望意見はありましても、それは何ら具体性がないのでありますが、この点について、将来の価格趨勢と計画の実行をどのようにお考えになり、これを把握しておられましょうか、その点まず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/77
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078・河野一郎
○河野国務大臣 宅地の価格の問題は、先ほどもちょっと粗雑な意見を申し上げましたが、ひっきょうするに、現在は思惑投資というようなものが非常に先行しておる、そのために必要以上に需要を上回った価格が出ておるということも一つには見られると私は思います。一方には、確かに需要が供給を上回っておるというような懸念から土地がだんだん上がってきておる、一つにははなはだ遺憾なことでございますけれども、たとえば鉄道、道路等、公共投資がオリンピックを目ざして非常に急がなければいかぬ、急激にやらなければいかぬというようなことのために、土地を多少つり上げたきらいがないとはしない、こう私は思うのであります。そこでこれらの道路敷地を取得いたします場合等につきましては、特に注意をして、先行してこれを取得しておくとか、もしくは土地収用法を活発に活用するとかいうことによりまして、今後は可能な限り、こういう原因で土地の価格をつり上げるようなことのないようにいたさなければならぬことは当然でございますけれども、その反面におきまして、また政府自身も各種の公団等と十分に連絡をとりまして、この方面の開発によってこれだけの土地が利用できるというような、宅地の供給面に協力を十分にしてまいるということによって、もしくはこれを、今年度はどの程度にそういう供給の可能な面があり、来年、再来年、三年後というような年次計画を立てまして、道路の開設もしくは交通機関の整備等によって、これら住宅、工場等に必要な土地の供給面がこの程度に可能であるというようなことを先行して発表することによって、これらの需要と供給を合わせていくというようなこと等によって押えることがぜひ必要である。実際申しまして、農村のほうから都市に労力が相当に移動しております。したがって、全国的に見れば、農地の利用度は、労力が相当に都市に偏重いたしました関係から、落ちておるというように私は考えるのでございます。したがってまだ依然として地方によっては非常に安い田畑がある。あるところにまいりますと、田んぼであるから安いというようなところさえあるのでございまして、これらを十分に利用する面において、利用可能なように、道路を開設するとか、もしくは駅との間に交通をどうするとかいうようなことをしてまいることによって、できるのじゃなかろうか。ことに、こういうことを申してははなはだよろしくないかもしれませんが、大都市周辺に国鉄が新線を開発するということは絶対ない。全部民間の鉄道だけであって、国鉄自身が大都市の周辺に新たに輸送関係において協力するという面が絶対ない。こういうことも新たに土地の利用度を高めるという面に欠けているのじゃないか、私はこう思うのです。たとえば東京の鉄道の外環状線をすみやかに開設してくれというようなことも要求しておるのでございますけれども、そういう問題が、東海道新幹線のためかどうかしりませんが、おくれておるというように、人口の集まっているところ、集まろうとしているところに鉄道が新たに開設されるという例がない。これらも大いに考慮しなければならぬ点じゃなかろうかと思うのでございまして、今後十分注意をいたしまして、御期待に沿うようにいたしてまいりたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/78
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079・吉田賢一
○吉田(賢)委員 私は、この問題はひいては物価全体に対する悪循環の大きな要因にもなるものと考えられるのであります。大臣は、需要供給の関係からやがて自然の宅地価格に落ちつくだろうというお考えがあるいはおありになるかもしれませんが、どうも今日のわれわれの経験するところによりますと、普通の経済原則によって宅地価格が決定されておるように思いません。そういうことも確かにありますけれども、しかし事実上はそうでない要因のほうが重大ではないでありましょうか。たとえば道路を敷設する場合に、新しく住宅をつくります場合に、土地を購入するときに、一体何を基準にして適正な宅地価格を御決定になるのでありましょうか。こういうふうなことを考えますと、いまの公共投資の道路、鉄道敷設なども例におあげになりましたが、それも一例にすぎませんです。やはりそこの呼び値あるいは現実の取引の実例とか、そういうものが決定しておるのであります。したがいまして、そういう要因によって支配されておる面が大きいのでありますから、宅地価格というものが売り手の土地所有というものによって一つの大きな障壁をなしております以上、強制的にいかなる場合でも買い取るわけにいきませんし、価格をきめるわけにいきませんから、どうしても価格というものにほんとうにぶつかって取り組んで、適正なものを何とか設定するという手を打たない限りは、私は宅地獲得もしくは地価安定対策の結論は得られないのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、その点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/79
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080・河野一郎
○河野国務大臣 お話しになりましたような場合もむろん私はあると思います。確かにいま申しましたように、急ぐということから、その周辺の呼び値が時価になるというようなことになっておることは事実でございます。同時にまた、土地もしくは自分の家屋に対する非常な愛着心がございますので、なかなか話がつきにくい、そこでついつり上がるというようなことになっておることも事実だと思います。われわれといたしましては、不動産の鑑定士制度を新たにつくりましたので、これらによって適正な価格の決定をしてまいる。さらにまた、これまでの道路開設等に、従来の道路を拡幅してまいるということが非常に多うございましたから、必ず宅地であるとか家屋の移転とかいうようなことをやりましたために、必要以上の高値で土地を取得しなければいけなかった。これを最近は、従来の道路を拡幅するよりも、なるべく別途、田、畑、つまりバイパスの方向で道路は新設していくという方向に指導いたしておりますので、従来のように高く地価をつり上げるというようなことは極力避けるようなことにいたしておりますし、また都市等におきましては、あまり土地の高いところには道路はつけない、道路はさわらぬということにいたしまして、用地費にあまり金のかかるところはしばらく置いておいて、やりませんということに私はいたしておりますから、地元でお考え願わなければ建設省としてやるわけにはまいりませんということにいたしておりますので、幾らかお考えいただけるようになるのじゃなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/80
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081・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それは根本の問題に触れていきますので、つまり宅地価格の今日の一番の重要点は、日本におきましては、特に宅地の対象になり得る土地の価格の公共性に対する認識が自他ともに足りないということも原因ではないであろうか、こういうふうに思われます。公共性があらゆる角度から持たれるような方途が講ぜられるということが施策の一つのねらいでないかと私は思うのであります。これは何も憲法を云々するわけじゃありませんけれども、やはり私有財産絶対ではございませんので、公共の福祉というものが尊重され、それに適合するということが必要ではございましょうし、こういったところに法律の一つの立場もあるわけでありまするから、特にわが国におきまして、住宅の不足からくる社会不安、これに伴いまするいろんな不安定な情勢から考えますると、宅地価格にほんとうに取り組んで、抜本的な対策を立てるということをこの際建設省が率先しておやりになることが一番大事なことではないだろうか。そうしないと、私はこの問題はあらゆる機会にずっと繰り返されていくのではないだろうか、こういうふうにも考えるわけであります。せっかく審議会もありはしまするけれども、さらに一歩を進めまして、宅地価格に取り組むということに、ひとつ河野さんもほんとうに徹底的におやりになるということはできないものでしょうか。これをひとつ御覚悟のほどを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/81
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082・河野一郎
○河野国務大臣 私も全く同じ意見でございまして、何とか憲法の改正でもできないものだろうかと実は悩みをそこに持つわけでありますが、これだけで憲法改正というわけにもまいりません。何か法律で持っていくと、そういう点で法制局でひっかかってしまうわけであります。そういう点でどうにもならない、隔靴掻痒の感がございますけれども、ぼちぼち大方の御認識を得て御協力願うということよりほかにしかたがないというのが現在の状況でございまして、そういうことを言うと、言いたいことは実はたくさんあるわけであります。言いたいことはたくさんあるけれども、それを言うたところでどうにもならないから、御協力願いたい、御協力願いたいと言っておるのでございますけれども、そう言っておるうちに、だんだんお小言を食うような場面になってしまうということで、できることなら思い切ってやりたいと思いますけれども、それがどうにもならぬのが現状でございまして、何かひとつ具体的にこうしたらよかろうという案があって、できることがありますれば、拝聴いたしまして、このことについては私はもうできるだけやってみたいと思っておりますけれども、いまお話しのとおりなところで引っかかるというようなことでございますので、ひとつ今後とも御協力をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/82
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083・吉田賢一
○吉田(賢)委員 実は私自身が暗中模索でございまして、どうすればいいんだろうということに頭を悩ましておる一人なんでございます。
最近特に目立ちますことは、やはり都会地付近もしくは公団の住宅などが建つあと先、あるいは相当な会社の用地になるような、そういった前後、道路の拡張等のあと先、そういうときに、民間の宅地造成屋というものがずいぶん悪らつなことをするということを相当われわれ経験するのであります。この点につきましては、規制する方法もないではないようでありますけれども、今日の実情から見ますると、やはり野放しではないだろうか。次から次へと抜けている穴をくぐりまして、ずいぶん悪らつに地価値上げ、あるいは利益の取得というようなことで人泣かせもやる。このようなことに逆効果を来たすような結果を至るところで見るわけでありますが、こういう方面に対しましても、もう少し取り締まりができないものであろうか。もっともこう言っても、私自身それならばどういうふうな方法でという案もいまのところないのでありますけれども、ともかく私もどうももどかしく思いまして、こうものを野放しにされておることが、またばっこ跳梁いたしますることが、どんなに善良な人の悩みになっておるかわからぬ。最近も、数人の年ごろの社員の雑談の席上におきましても、最近中年社員がというよりも、中どころの社員が定年退職になりまして、自分の家を持つことが一体できるだろうか、なぜか、第一宅地の入手が困難であるから、せめて宅地だけでも入手しておいたらというような気持さえするというようなことが真剣に出されておったというのでありまするが、こういうことにかんがみましても、民間の悪らつな悪質な造成屋というものに対しまして、厳にこれを規制していくということを積極的に施策することも一つの手でないだろうか、こういうふうに考えるのですが、こういうことはいかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/83
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084・河野一郎
○河野国務大臣 吉田さんがただいまお話しになりましたことは、社会問題としてもずいぶんやかましく各方面で論ぜられ、もしくは研究されていることであっても、これをどうにも、別に法務省あたりでも取り締まりの方法がないといわれておるようなことでございまして、われわれの限界におきましてはいかんともしようがない、問題はかえって法務省あたりの問題ではないかと私は思うのでございまして、建設省としては、いまさしあたりどうもしょうがない、まあなるべく間違いが起こらぬように誘導していきたい、さらにもしくは善良なるりっぱな宅地造成に協力していくということが対策ではなかろうかと思っておるわけであります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/84
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085・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 この際建設行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。井谷正吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/85
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086・井谷正吉
○井谷委員 もうお互いの生理的な時間がきておりますので、簡単にお尋ねをしたいと思いますが、御承知のように、松屋で今回火災がございました。その前の西武の火災の場合も、新聞を見ただけで、私詳しいことはわかりませんけれども、窓が少なかった。今度の場合も、窓とかあるいは内部構造に遺憾な点があったというようなことを報道されておるので、この高層建造物に対しまして、これからできまする場合に、建設省としてはどういうような指導、監督をなされるか、これは消防庁だけにまかせる問題ではないと私は思う。さらに現在ありまするもので、窓の少ないといえば、白木屋あたりはほとんど窓がないが、あるいはそのほかのデパートにおきましても、表通りは電車通りで広いけれども、裏へ回れば非常に複雑で、もしそういうところから火災が起きましたような場合には、どうにもならぬ状態をわれわれ見ておるのでありますが、現在ある建造物に対しても、やはり一つの注意というか監督というか、そういうようなことがなし得るものであるかどうかということについてのお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/86
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087・前田光嘉
○前田(光)政府委員 デパートその他特殊な建築物につきましては、一般の建築物に比較いたしましてさらに強い防火規制を行なっておりますが、さきに西武デパートの火災の後にも、このような種類の建物の関係者を呼びまして、特に火災の発生等には十分留意するように注意いたしました。
なお、さらに、今後における高層建築物の建築にもかんがみまして、現在の建築基準法の規則における防火規定の強化を考え、さらに具体的には設計等にも火災の予防が十分できるような方法を、関係の学界等と協議を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/87
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088・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十九日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00419640214/88
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