1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十五日(火曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 丹羽喬四郎君
理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君
理事 廣瀬 正雄君 理事 福永 一臣君
理事 岡本 隆一君 理事 兒玉 末男君
逢澤 寛君 稻村左近四郎君
大倉 三郎君 木村 武雄君
正示啓次郎君 田村 元君
根本龍太郎君 服部 安司君
堀内 一雄君 堀川 恭平君
松澤 雄藏君 渡辺 栄一君
勝澤 芳雄君 金丸 徳重君
西宮 弘君 原 茂君
玉置 一徳君 吉田 賢一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
建設事務官
(大臣官房長) 平井 學君
建設事務官
(都市局長) 鶴海良一郎君
建設技官
(河川局長) 畑谷 正実君
建設事務官
(住宅局長) 前田 光嘉君
委員外の出席者
総理府事務官
(行政管理庁行
政監察局監察審
議官) 諸永 直君
参 考 人
(首都高速道路
公団副理事長) 萩原 辰郎君
参 考 人
(首都高速道路
公団理事) 藤本勝満露君
参 考 人
(首都高速道路
公団監事) 原田 章君
専 門 員 熊本 政晴君
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二月二十日
委員渡辺栄一君辞任につき、その補欠として島
村一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員島村一郎君辞任につき、その補欠として渡
辺栄一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員田村元君及び玉置一徳君辞任につき、その
補欠として江崎真澄君及び小平忠君が議長の指
名で委員に選任された。
同日
委員江崎真澄君及び小平忠君辞任につき、その
補欠として田村元君及び玉置一徳君が議長の指
名で委員に選任された。
同月二十二日
委員玉置一徳君辞任につき、その補欠として小
平忠君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小平忠君辞任につき、その補欠として玉置
一徳君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
委員井谷正吉君辞任につき、その補欠として勝
澤芳雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員勝澤芳雄君辞任につき、その補欠として井
谷正吉君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十九日
河川法案(内閣提出第八号)
同月二十四日
福山市新涯町東部地区区画整理事業反対に関す
る請願(高橋等君紹介)(第七一一号)
阿武隈川流域地帯の水害防止のため河岸及び河
床改良工事の国直轄施行に関する請願(齋藤邦
吉君外一名紹介)(第七四二号)
伊南川の多目的ダム建設に関する請願(齋藤邦
吉君外一名紹介)(第七四三号)
豪雪地域における道路交通確保に関する請願(
齋藤邦吉君外一名紹介)(第七四四号)
二級国道宇都宮、米沢線の一級国道編入等に関
する請願(齋藤邦吉君外一名紹介)(第七四五号)
主要地方道郡山、標葉線等の国道編入に関する
請願(齋藤邦吉君外一名紹介)(第七四六号)
東北自動車道の早期着工に関する請願(齋藤邦
吉君外一名紹介)(第七四七号)
岡山市芳田地区の高速自動車道バイパス線建設
等に関する請願(逢澤寛君紹介)(第八六八号)
は本委員会に付託された。
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二月二十四日
車両制限令施行に伴う道路改良財源措置に関す
る陳情書
(第八五号)
低家賃住宅建設費国庫補助に関する陳情書
(第八
八号)
下水道に対する国庫補助増額に関する陳情書
(第八九号)
下水道事業の整備促進に関する陳情書
(第九〇号)
同
(第九一号)
新潟県の地盤沈下対策事業に関する陳情書
(第九二号)
中国地方の直轄河川事業促進等に関する陳情書
(第九三号)
中国地方の直轄国道事業促進に関する陳情書
(第九四号)
二級国道東京小諸線の整備促進に関する陳情書
(第九五号)
九州縦貫高速自動車道の建設促進に関する陳情
書(第九六号)
都市開発促進に関する陳情書
(第九七号)
都市計画推進に関する陳情書
(第九八号)
都市の区画整理事業に対する国庫補助率引き上
げに関する陳情書
(第九九号)
新潟県の地すべり対策事業促進に関する陳情書
(第一八九号)
中央自動車道飯田、小牧間の早期着工に関する
陳情書
(第二五三号)
道路整備に関する陳情書
(
第二五四号)
一級国道五十六号線の改良整備促進に関する陳
情書
(第二五五号)
砂利道の簡易舗装に関する陳情書
(第二五六号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
河川法案(内閣提出第八号)
河川法施行法案(内閣提出第二四号)
首都高速道路公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/0
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001・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
去る二月十九日本委員会に付託になりました内閣提出の河川法案、及び去る一月二十九日本委員会に付託になりました内閣提出の河川法施行法案の両案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/1
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002・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 まず、両案について提案理由の説明を聴取いたします。河野建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/2
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003・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま議題となりました河川法案の提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
現行河川法は、明治二十九年に制定され、その後、部分的改正は数回行なわれましたが、根本的な改正はなく今日に至っているのであります。しかるに、現行河川法制定後約七十年の歳月が経過し、当時の社会情勢、経済情勢並びに国情を背景として制定された現行河川法については、今日においては、種々の面において検討を加え、整備、改善をはからなければならない点が少なくないのであります。
まず第一に、現行憲法の制定に伴い、国の行政及び地方制度に大幅な変革が加えられましたが、このために従来の制度を前提とした河川の管理制度について、また、国民の権利義務に関連する河川管理方式の近代化について法制上検討を加え、整備をはかる必要が生じてまいりました。
第二に、各水系における沿岸流域の開発に伴い、かつ、最近の災害発生の状況にかんがみ、水系を一貫した全体計画に基づいて、財政負担の面も十分考慮しつつ、治水事業を計画的に実施する緊要性が一段と強くなってまいりました。また、近時における産業の発展と人口の増加に伴い、各種用水の需要が著しく増大しておりますが、これらの需要を満たすためには、各水系について広域的な見地に立ち、合理的な水の利用を確保する制度を確立し、水資源の総合的な利用と開発をはかることが現下の急務として要請されているのであります。そこで、国土の保全と開発に寄与するため、河川を水系ごとに一貫して総合的に管理する制度を樹立することが必要となってまいったのであります。
第三に、各河川には、治水利水の両面の要請から、また近時における科学技術の発達に伴い、大規模なダムその他の施設が数多く建設されてきておりますが、現行法においては、これらの施設の設置または管理に関する規定が必ずしも十分ではなく、その設置または管理の万全を期するため、所要の規定を整備する必要があるのであります。
以上の諸要請にこたえ、現在の国情に最もよく適合した新しい河川管理制度を樹立することは、現下の急務でありますので、ここに現行河川法を全面的に改正することといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案の理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。
第一に、河川管理の適正を期するため、河川管理制度について現行制度を次のように改めることといたしました。
まず、従来の適用河川、準用河川の制度を廃止して、河川を水系別に一級河川及び二級河川に区分し、一級河川は建設大臣、二級河川は都道府県知事がそれぞれ管理することとし、河川管理の責任を明確にすることといたしました。
なお、一級河川の管理につきましては、建設大臣は、一定の区間を定め、都道府県知事にその管理の一部を行なわせることといたしております。
次に、河川の管理に要する費用につきましては、原則として一級河川は国、二級河川は都道府県が負担することとしております。このうち一級河川の改良工事に要する費用につきましては、建設大臣が施行する場合はもちろん、都道府県知事が委任を受けて施行する場合もすべて国がその三分の二、都道府県がその三分の一を負担することといたしました。これにより、従来同一の水系における工事であっても、建設大臣と都道府県知事が施行する場合には、国と都道府県の負担の割合が異なっていたため、必ずしもその治水効果が十分でなかった一級河川の工事が、一貫した計画のもとに施行することができることとなります。また、二級河川の改良工事につきましては、国がその二分の一以内を負担することといたしました。
以上のほか、流水占用料その他河川から生ずる収入の帰属及び都道府県知事が行なう河川管理行政に対する監督につきまして、必要な規定を設けました。
第二に、流水の占用、工作物の設置等につきましては、地元の意見を十分尊重して、河川が適正に、かつ、合理的に使用されるよう水利使用の調整及び慣行水利権につきまして規定を設けるとともに、河川管理者の許可を受けて設置する一定規模以上のダムにつきましては、防災上の見地から、その設置及び操作について必要な規定を設けました。
第三に、建設大臣の諮問に応じ、一級河川の指定その他河川に関する重要事項を調査審議するため、建設省に河川審議会を設置するとともに、都道府県知事の諮問に応じ、二級河川に関する重要事項を調査審議するため、都道府県に都道府県河川審議会を設置することができることといたしました。
その他、河川の区域、河川に関する調査、工事等のための土地への立ち入り、損失の補償等につきまして、所要の規定を整備いたしました。
以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
次に、ただいま議題となりました河川法施行法案の提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
本法案は、河川法の施行のため必要な経過措置を定めるとともに、関係法律の整理を行なおうとするものであります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一に、新法施行の際、現に存する旧法に基づく適用河川または準用河川は、一級河川に指定されるものを除いて、新たな指定を待たずに二級河川になることといたしました。
第二に、昭和四十五年三月三十一日までに施行される一級河川の改良工事に要する費用については、国の負担率の引き上げを行ない、国が四分の三、都道府県が四分の一を負担することといたしました。
第三に、新法施行の際、建設大臣がみずから工事を施行し、または管理をしもしくは維持修繕を行なっている河川がある場合においては、その河川が二級河川となった場合においても、昭和四十四年度までの間は、それらを引き続き建設大臣において行なうことができることとするとともに、その費用負担等についても、旧法の制度によることといたしました。
第四に、新法の施行前に旧法またはこれに基づく命令の規定によってした処分等は、原則として新法の規定によってしたものとみなすことといたしました。
以上のほか、河川法の施行のために必要な経過措置を整備いたしますとともに、建設省設置法の一部を改正して、河川審議会に関する規定を整備する等、河川法の施行のために必要な関係法律の整理を行なうことといたしました。
以上が河川法施行法案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/3
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004・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 以上で両案の提案理由の説明は終わりました。
両案についての質疑は後日に譲ります。
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005・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 次に、首都高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
この際おはかりいたします。本案審査のため首都高速道路公団副理事長萩原辰郎君、理事藤本勝満露君、監事原田章君の三君を参考人として意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/5
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006・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
なお、参考人の諸君からは、質疑応答の形式で意見を聴取いたしたいと思いますので、御了承願います。
質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/6
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007・勝澤芳雄
○勝澤委員 それでは、行政管理庁が来るまでの間、少し監事制度の問題について質問いたしたいと思います。
公社、公団、公庫に対する監事のあり方というものは最近相当問題になりまして、行管からもこれについていろいろ意見が出されました、したがいまして、そのために、この監事という項に対する法改正が行なわれた、こう思うわけであります。今日まで、建設省として、監事の運営をどういうふうに行なわれてきたかという点について、まず最初に御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/7
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008・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 監事の運営につきましては、建設省所管のものにつきまして、首都高速道路公団も含めまして、執務に関する訓令を出しております。その訓令に従いまして、運営をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/8
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009・勝澤芳雄
○勝澤委員 その訓令の中で、監事はどういうふうにおきめになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/9
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010・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 訓令は二つの事項を規定いたしております。一つは、監事は、監査を行なった場合におきましては、その結果を公団の総裁に通知いたしますとともに、必要があると認めるときは、重要な事項につきまして、建設大臣に意見を提出するものとするということでございます。それから、監事は、建設大臣が監査の結果の報告を求めますときは、建設大臣にこれを報告するということになっております。それから、監事は、監査の対象機関等を特定いたしまして計画的に監査を行なう場合におきましては、あらかじめ監査計画をつくりまして、公団の理事長に通知いたしますとともに、建設大臣に報告するという訓令が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/10
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011・勝澤芳雄
○勝澤委員 公団の監事の方にお尋ねいたしますが、いまの訓令に基づいて、監事として、重要な事項について、建設大臣に意見を提出したことがあったら、その具体的な内容について御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/11
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012・原田章
○原田参考人 ただいままでは、正式に、理事長を通じまして大臣に意見を申し上げたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/12
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013・勝澤芳雄
○勝澤委員 いまの答弁は、この訓令とは違った答弁をなさっておったと思うのですけれども、この訓令は、重要な事項があったら、建設大臣に意見を提出せよとなっている。理事長を経由してということは何もないわけです。この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/13
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014・原田章
○原田参考人 理事長を通じて建設大臣に意見を申し上げたほうがいいんじゃないかと思いますが、そういう事例もございませんということを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/14
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015・勝澤芳雄
○勝澤委員 この公団の理事長と副理事長と監事というのは、直接大臣任命になっているわけです。それで、理事は理事長任命で大臣の許可を得る、こうなっているわけです。それほど監事の権限というものは上位に置いてあるわけですね。理事長と同位だとこうなっている。それをあなたは、いまのお話を聞きますと、理事長を経由しなければならぬということは、明らかに監事として理事長の下におってものを考えていると、こうお考えになっているようですが、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/15
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016・原田章
○原田参考人 直接大臣に意見を申し上げることができるわけでありますけれども、理事側のいろいろな意見も聴取しまして、監事として確信を持ちまして大臣に意見を申し上げるわけでございますから、事の運びとしましては、理事長を通じて大臣に申し上げたほうがいいんじゃないかというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/16
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017・勝澤芳雄
○勝澤委員 いま、大臣訓令では、監事は直接建設大臣に意見具申することができるわけです、あったかなかったかは別問題として……。そこの取り扱いの問題です。ですから、監事というものがしっかりしていないために、いろいろ、今日の国策会社といわれる公社、公団、公庫の中に問題が出ているわけです。監事は、まさに理事長なりあるいは総裁の諮問機関のごとく、言いなりほうだいになっていて、監事としての意見がはっきり出ていない。極端に言うと、監事の権限がなっていないという意見すらあるわけです。ですから、わざわざ監事というものの任命は、主務大臣が直接やっているわけでありますから、あなたが直接大臣に、重要事項については、意見具申をする権限があるのだということは、大臣訓令ではっきりしておりますから、それがあるということは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/17
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018・原田章
○原田参考人 存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/18
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019・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、今度はこの法改正であります。法改正を見ますと、これは建設省にお尋ねしますと、いま建設省で行なっている大臣訓令では、監事は直接建設大臣に意見提出ができる、とこう訓令になっておるにかかわらず、この法律改正では、「理事長又は理事長を通じて」とこうなっている。これは明らかに大臣訓令以下に法が改悪された、こうなるのでありますが、その点の解説を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/19
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020・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 訓令以下とか以上とかいう考え方もございましょうが、建設省所管の公団につきましては、ただいま私から申し上げましたような訓令が出ておったわけでありますが、公団はその他のものも多数ございまして、この公団等の監事の職務の執行につきまして、行政管理庁のほうで統一的に監事の職務運営の規定を設けたいというお話がございました。行政管理庁のほうで、建設省所管の公団のみならず、その他の公団につきましても、法律の改正のありました際にあわせて監事の職務執行の規定を設けるというふうにきめられましたので、それに従いまして、今回建設省関係では首都高速道路公団と住宅公団につきまして改正がございまして、そのほかよその省の所管の公庫等につきましても、改正がありました際にあわせて改正がはかられておるわけでございます。行政管理庁のほうで統一的に示された案文が、お手元の条文に載っておるような規定でございまして、その趣旨は、公団あるいは公庫等の組織の円滑な運営という意味から、監事の意見の提出は、理事長あるいは総裁を通じまして、所管大臣に出すということに相なっておるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/20
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021・勝澤芳雄
○勝澤委員 行管があとでまいりますけれども、行管の意見は、建設省の取り扱ってきた大臣訓令と同じような取り扱いになっておるわけです。ですから、行管の統一見解によってこうなったというのは、私はちょっとおかしいと思うんです。行管は、こういうふうに監事の権限を、監査結果によって、必要があると認めるときには主務大臣に意見を出せ、あるいはまた総裁に意見を出す、こうなっているわけです。だから監事そのものが直接大臣に出すべきだ、あるいは総裁に出せ、こうなっているわけです。この法律は、とにかく理事長を経由をして出せと、こうなっている。ですから、明らかにこれは行管の勧告、それからまた建設省の大臣訓令、これに相反した法改正が行なわれる、こういうことにならざるを得ないんじゃありませんか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/21
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022・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 この条文の書き方につきましては、すでに前例がございまして、鉄道建設公団ですか、これは成立しておりませんが、さきの国会に政府が提出いたしました公団の監事につきまして、行管、法制局、運輸省当局と相談の上、同趣旨の条文が入っておるわけであります。今回はその前例にならいまして、統一がはかられた、こういう経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/22
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023・勝澤芳雄
○勝澤委員 監事は主務大臣に直接意見具申することができておった、今度は法改正によって、直接意見具申することができなくなった、こういう、明らかに監事の権限が縮小された、極端な言い方をしますと、私はこう言わざるを得ない。それが何かいま法制局だとかあるいは公団法とかいうことと、私は少し関係がないと思うんです、建設省に対しても。この監事の権限については、こうせよという勧告があるわけですから、勧告がなされて、そうしてその勧告以前に、建設省としては監事の権限というものはこうあるべきだという権限をきめておった、まさに行政管理庁の勧告と一致をしておるわけです。一致をしておるにかかわらず、なぜ監事の直接大臣に対する意見具申権を削除したか、なぜそこで理事長を経由しなければならぬのかという、その根拠をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/23
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024・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 監事の大臣に対する意見提出権を変えたわけじゃございませんで、依然として提出権があるわけでございます。ただ経由につきまして規定をいたしたわけでございます。先ほど申し上げましたように、理事長を通じてというふうに規定いたしました趣旨のものは、公団としての組織の円滑な運営を期する意味でいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/24
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025・勝澤芳雄
○勝澤委員 理事長を通ずるか通じないかというのは、これはたいへんなものなんです。そこに今日の公団や公庫あるいは国策会社の問題点があるわけです。監事がなぜ直接大臣から任命されるのか。監事は理事長と同じように直接大臣の任命なんですよ。総裁なり監事というものは直接任命なんです。そこに監事の問題があるわけです。いままで建設省でもって別に問題がなかったわけです。先ほど監事の方から説明を聞きました。何も問題はなかった。大臣に対する直接意見具申権があったわけです。それをなぜ今度は理事長を通じなければならぬのかということについては、運営上——いままでそれでは運営上困ったという例があったのですか。これは先ほどの監事の説明では、なかった。なかったということははっきりしているわけです。だからそこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/25
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026・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 従来、運営上支障があったかどうかというお尋ねでございますが、従来、訓令に基づきまして、監事から大臣に対します意見の提出の事例を見ませんでしたので、そういう前例がない関係上、支障があったかどうかという実績がないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/26
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027・勝澤芳雄
○勝澤委員 運営上、監事が直接建設大臣に意見具申をすると困る、簡単に解説するとそういう答弁のように見えるわけです。答弁が違っておったら、あとで違うと言っていただけたらけっこうだと思います。
そこで、今度は理事長のほうにお尋ねするのですが、それでは、運営上困ったことがあったかなかったか、という点について御回答を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/27
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028・萩原辰郎
○萩原参考人 ただいまのところ、先ほど監事から申し上げたとおりでございまして、われわれ理事側としましては、別に支障はなかったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/28
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029・勝澤芳雄
○勝澤委員 運営上支障がなかったのに、なぜ監事が大臣に直接意見を具申する権限を縮小したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/29
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030・萩原辰郎
○萩原参考人 ちょっと補足させていただきますが、先ほど私が申し上げたのは、監事が申し上げたとおり、特に大臣に報告するような事例がなかったという意味も含めまして申し上げたのでありまして、この制度自身につきまして、理事長を通じるべきだとか、直接がいいとかいうことを私としては申し上げたわけではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/30
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031・勝澤芳雄
○勝澤委員 それは理事長の回答の権限ではないと思うのです。それは大臣訓令できめてあるのですから……。大臣訓令でそうきめてあったけれども、監事としては、大臣に直接言うことがなかったというだけのものなんです。しかし、監事が直接大臣にとにかく意見具申ができたということはちゃんとあるわけです。ですから、それをなぜ直接大臣に意見具申をすることをやめさせたかという点について、やはりもう少し納得のいく説明をしていただきたいと思うのです。運営上困るというなら、運営上困った例があるならばいいのですが、運営上困った例がないわけです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/31
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032・河野一郎
○河野国務大臣 だんだん御説明申し上げておりますとおりに、また御質問になりましたとおりに、従来建設省所管の公団におきましては、お話のとおり、また御説明申し上げたとおりであります。しかし、政府内部におきます政府関係の公団が非常にたくさんあり、これらの公団をあらゆる角度から検討いたしました結果、今回改正するように一律にしておいたほうが、今後の運営を政府がいたす上において適当であろう、という政府一致しての意見で、改正することにいたしたのでありまして、私も、これを改正することによって支障はないという意味合いから、改正することにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/32
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033・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、政府部内で統一する必要があったと大臣は言われたが、何に統一する必要があったか。統一する必要があるのは、監事制度について行管が全部調べて、調べた結果に基づいて、行管としての勧告を行なう。その勧告に統一すべきである。その勧告に統一されていないじゃありませんか。統一されていないので、私は言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/33
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034・河野一郎
○河野国務大臣 前回御質問のありました際に御説明申し上げましたように、法制局におきまして、法制上各方面の御意見も徴し、だんだん一本にまとめようということについて、法制局において、こういうふうにすることが日本の公団を運営する上において一番適当である、ということに政府の見解を一にいたしたのでございます。それによって、今度の改正をお願いいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/34
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035・勝澤芳雄
○勝澤委員 法制上という大臣のことばはよくわからないが、大臣訓令でいままで実施しておったわけです。実施したとおりに法律を直すならいいわけです。それが法制上いけないということについて、私はよくわからない。ですから、大臣は、それがおわかりになって、この法律の改正案を出したのでしょうから、もう少しわかるように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/35
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036・河野一郎
○河野国務大臣 大臣訓令でやっておりましたけれども、今回改正案を提案した程度でよろしい、その程度で、すべて公団の運営については、また監事の地位については、その程度が一番適当であるという見解を政府は一にした、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/36
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037・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、それは行管の勧告よりも違っておる。行管の勧告は、大臣に意見具申権を残しておるわけです。ですから、行管の勧告よりもとにかく下回っておる。そういうものが実施されると、これは明らかに監事制度の後退だと私は思うが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/37
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038・河野一郎
○河野国務大臣 行管から意見も出ました。その意見を十分にそれぞれの公団、所管の大臣、役所において検討を加え、法制局においてこれを総合的に検討いたしました結果、この種のものが適当であろうということにしたわけでございます。骨抜きだとか、これではできぬとか、どうだとかいう御意見でございますけれども、必ずしも監事が理事と対立的立場にあってやかましく言うばかりが能ではない、公団の円滑な運営、そうして機能を十分発揮するというところに妙味があるのだと心得まして、これで私は賛成をして、この法案の提出をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/38
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039・勝澤芳雄
○勝澤委員 私も、監事がやかましく言うばかりが能ではないというのは賛成ですが、いままで監事でやかましく言った監事というのは一人もない。一人もないから、とにかく公社、公団、公庫の監事は何しておるのだというような問題になる。ですから、それに基づいて、監事はどうあるべきかという検討を加えた。検討を加えたら、その中で、まあまあ建設省は、代々の建設大臣が実力があったので、監事についてのいろいろ仕事のやりくりや、あるいは監事の権限が明確にされておる。よそのほうでは、まるきり監事というのはおるのかおらぬのかわからぬというような状態、あるいは赤字がどんどん出ておるにかかわらず、監事がほったらかして、極端に言うと、その主管省の監督をしておった監理官がおやめになると、公団の監事になるのですよ。その監事がやがて年限がたつと、今度は理事になって、その理事が副理事長なり理事長になっていく。これでは監事というものが取り締まりができないじゃないか。監事はもっと高い立場から、その公社、公団、公庫、国策会社の経営全体についてやるべきだ。中身を見るのだったら、内部の監査で十分です。しかしこれは監事としてわざわざ大臣が任命するのですよ。総裁、理事長と同格に監事を置く、任命の上において……。一々理事長を通じなければ意見を具申することができない、これは法制上の統一見解だ、これは私はあまりにも、運営として、いままでやられてきて別に支障がなかったならば、やはりもう少し監事というものの地位を高め、公社、公団、公庫というものを全体的にものを見るようにやればいいので、理事長やあるいは副理事長と監事の意見が対立するなどというこんなことは考えられません。こんなことがあるとするならば、それはやはり主務大臣が任命しておるのですから、そういう点からいきまして、私は監事のこの法改正については、当然行政管理庁の勧告に従い、建設大臣訓令に従った修正をすべきであると思う。ましてや実力のある河野大臣が、当然長い将来のことを考え、国民の代表としてその会社の監査を行なっている監事についての権限を、もう少し強化する立場から、この際ひとつ修正をすべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/39
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040・河野一郎
○河野国務大臣 だんだんの御意見でございますけれども、監事と理事とはおのずから根本的に職責が違う。人選をいたします場合にも、執務の実行をなす者とこれを監査する立場にある者と、違った意味に立って任命をいたすわけであります。でございますから、ときに監事が理事にかわっていく場合もありますけれども、任命するときにおきましては、当然監事は監事の適格者という意味において委嘱するわけでございます。でございますから、理事長、副理事長、もしくはこれが選考した理事になる者と、監事は、全然別の意味において、この職責からいって、大臣が任命する。これは同格であるとか、立場がどうとかいうことではないのであって、当然その職責からいって、他の理事諸君、総裁が推薦してこれを認可するという者と、これを監督の立場に立つ者との使命が違うから、その意味において、大臣が任命しておるということだと思います。いずれが上とか下とか、同格であるとかないとかいうことがあるべきものではないと思うのです。そういうふうに考えまして——これが一つの会社を運営する場合にいたしましても、もちろん政府のほうから監理官が派遣されております。したがって、大臣としては、その監理官の報告を常時聴取し、もしくはそれぞれの所管省、所管局において監督指導をいたしております。しかし監事が正式にそれぞれの所管大臣に意見を具申いたします場合には、先ほども監事からお話がありましたとおり、それを、その公団の中において十分意見をきわめて提出されるということ、そうしたからといって、別に監事の地位が低まる、地位がどうなるということがあるべきはずはないと思うのでございまして、私はむしろこういうふうにして円滑に公団の運営ができるほうが適当じゃないか、こう考えまして、これに同意をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/40
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041・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣、どうしても私はわからないのですよ。わからないというのは、いままで大臣訓令で、わざわざ大臣に対する意見具申権があったにかかわらず、今度法改正でもって意見具申権をとった、権限が縮小した、このことが実はよくわからない。これも法制上の問題だとか、あるいは統一見解だとか、運営上の問題だとか——それは運営上の問題でそういう支障があったなら、これは当然そのときに考えればいいことであって、運営上何ら支障がなかったことです。何ら支障がなかったことが、実はいかにも支障があったようなことによって、こういうふうに改悪がされて、監事の権限を縮小して、そしていかにもその公社、公団、公庫がうまくいくようなものの考え方をしている、これがどうもわからない。大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/41
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042・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまもお話がありましたとおり、具申権がみななくなったのではない。書類の手続上、総裁、責任者を通して具申するということにしてあるだけであって、それに対して責任者が手を加えるとかどうするとかいうことはございません。しかし御趣旨の点、なお質疑を続けられる問におきまして、私といたしましても、もう一ぺんよく考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/42
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043・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣がもう一度お考えなさるというお話ですから、この問題は次に譲ります。
結論になったけれども、せっかく行管もいらっしゃっているのですから、行管として監事の職務権限と責任の明確化について、どのように勧告をしたかという点について、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/43
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044・諸永直
○諸永説明員 監事の職務権限の明確化につきましては、監事が監査の結果必要があると認めたときは、主務大臣または理事長に意見を具申することができるという一項目と、それから、特別監査命令によってするということと、決算報告書の添付書類として、決算の結果の監事の意見を出す際に、その意見の裏づけとしての報告書類、それを添付するというようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/44
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045・勝澤芳雄
○勝澤委員 私が先ほど言いましたように、直接大臣に意見を具申する、あるいはまた総裁、理事長に意見を述べる、こういう勧告をされたことが明確になりましたので、この問題は終わります。
次に、東京都の競馬会社の土地の所有権をめぐりまして、これは裁判も提起されておるようでございますが、それと同時に、ここの道路建設についてどのような取り扱いをしたかという点、これはどっちになりますか、公団のほうですか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/45
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046・藤本勝満露
○藤本参考人 概略御説明させていただきます。
首都高速道路公団は、御承知のように三十四年に発足いたしましたが、その公団の仕事の中で、一番先に高速道路第一号線という仕事からスタートを切ったわけであります。第一号線といいますのは、御承知のように、羽田とそれから芝浦の海岸を通りまして、江戸橋、あるいは上野、山谷そういう方面へ行くので、約二十キロ余に及ぶ第一号高速道路、ちょうど海岸を通りますときには、放射第十八号線、いわゆるわれわれ略して放十八といいますが、放十八号道路のまん中を通る。しかもこの道路を、二十五メートル程度のものを四十メートルに広げながら、そのまん中に十六メートル幅の高速道路をつくっていく、こういう仕事になったわけであります。
そのうちで、御指摘の大井の競馬場の付近は、いわゆる勝島地区とわれわれは称しておりますが、その勝島地区を経由をいたしまして、こちらから行きますと、羽田のほうへまいるわけでありますが、同時にその地区はまた鈴ケ森、いわゆる京浜国道一号線の鈴ケ森へ分岐する場所でもございます。御承知のように先般部分供用開始をいたしました地点、鈴ケ森のところから車に乗りましてすぐ競馬場にぶつかり、そこを通って都内へ来る、こういうことに相なったわけであります。この場所につきましては、昭和二十五年ころから、東京都の港湾局所管の用地を、競馬会社が十数万坪にわたって借りておったのでございます。同時にまた、この地区におきましては、すでに競馬会社も、競馬場として使っておるほかに、実はその表側にといいますが、川敷のほうに向かいまして、神戸さんという方が、競馬場との話し合いといいますか、ある程度の御了解のもとに、その土地を使用しておったわけであります。われわれは高速道路を通すためには、どうしてもこの個所の建物等の撤去、工作物の移転収去、こういうことをお願いしなければならぬのであります。そういう関係にぶつかりましたので、高速道路の仕事をいたすにあたりましては、一応東京都が土地の所有者でございますので、東京都の主として港湾局、それから放射十八号という街路事業は東京都の建設局の委託でありますから、建設局とも相談をする。またこれが公団自身の高速道路を建設するためにも必要でありますので、しばしば東京都の主として港湾局、建設局、そしてまたわれわれのほうと協議をいたしまして、この撤去方の促進をはかった次第であります。これにつきましては、いわゆる所有権が東京都にございます。そしてこれを競馬会社が賃借をしておる、そういう関係でございまして、競馬場に対しましては、いわゆるこの土地の借地権に対する補償という形で話を進めてまいったのであります。なお、競馬場から一部を借用しておる神戸さんの場所につきましては、法律上、実際上あるいは経緯にかんがみまして、いろいろ問題があったのでありますが、結論といたしまして、われわれこれを使用権に準ずる補償、こういうような形の中で関係者と幾度か協議をし、また、学説や判例やあるいは鑑定等も求め、また、関係主務官庁方面の意見なども伺いまして、結論的には、さように使用権に準ずる補償をたてまえとして、問題の解決をはかってまいったわけでございます。大ざっぱに言いますと、こういうようないきさつでございまして、この間におきましては、ずいぶんと時間とあれを要した次第でありますが、関係者の全体的了解が得られましたので、そのような経過の中で仕事を進めていったのであります。
なお、おおむねの坪数は、こちらが収用といいますか、こちらで獲得いたしました坪数は、全体で大体六千八百坪程度になり、そのうちで競馬会社のほうの関係が四千四百六十七坪、それから神戸さんのほうの関係が二千三百七十九坪というような次第に相なっておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/46
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047・勝澤芳雄
○勝澤委員 補償金額を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/47
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048・藤本勝満露
○藤本参考人 補償金額は、合計いたしまして、競馬会社のほうに一億八千四百八十余万円、神戸さんのほうに対しては、合計して二億五千八百万円、それからそのほかに、あの土地に約四十一世帯ばかり住んでいた方がございますので、その人たちのほうに二千八百二十六万七千円程度の金が払われ、円満裏といいましょうか、いわゆる強制執行というようなことも結論的にはなくて、全部移転を、おかげさまで完了させていただいて、現在仕事も終わり、すでにごらんのように供用開始をさせていただいておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/48
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049・勝澤芳雄
○勝澤委員 この補償の中で、緑地帯や道路まで補償金が払われているということですが、それはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/49
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050・藤本勝満露
○藤本参考人 これは、われわれこの補償の対象の中におきまして、考え方といたしまして、港湾計画上のものと、われわれが都市計画あるいは道路法的な見地からいろいろ見る場合とは、実は補償の対象あるいは補償の計算のしかたを異にしております。港湾局がみずからの港湾計画に基づいて、お話しのように緑地あるいは道路の予定地としておりますが、これは計画法上あるいは道路法上の道路ないしはその予定地あるいは緑地ではないのであります。法的拘束は受けてないものでありますので、そういうものの計画は、ほんとうの都市計画的な意味におけるものとしての扱いでなく、われわれは一般財産であるというたてまえで補償をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/50
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051・勝澤芳雄
○勝澤委員 しかし、現実に道路になっていて、現実に緑地帯だったのでしょう。そこを補償するというのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/51
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052・藤本勝満露
○藤本参考人 事実行為という意味においては、あるいはいろいろの形があらわれるかもしれませんけれども、われわれはもちろんその点にも配慮はいたしますけれども、この場合、道路あるいはまた緑地という形では、われわれは見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/52
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053・勝澤芳雄
○勝澤委員 それでは何で見たのですか。現実にそこには建物があったわけじゃない。現実にそこには人が住んでおったわけじゃない。そうしてその土地そのものは東京都の土地でしょう。東京都の土地で、人が歩いている道路になっておった土地を取り上げるのに、補償金を出さなきゃならぬということが私にはよくわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/53
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054・藤本勝満露
○藤本参考人 道路あるいは緑地とおっしゃいますけれども、現実には、さらに言いますならば、建物はともかく当初は八十尺それから撤去の当時には約二十三戸の建物があった。またその前のあいているところは、けっこう物を売る場所になっておったり、自転車の預かり場所になっておったり、あるいは自動車の置き場所、そういうようなことになって、いわゆる一般交通にも、もちろんそういう次第でありますから、けっこう使っておったでございましょうが、いわゆる補償の対象という意味におきましては、われわれは、この沿革なり、それの見解というものにつきましては、一般財産ということで、いわゆる補償の規制を受ける道路、緑地そのものではない、かように解釈してやってまいった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/54
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055・勝澤芳雄
○勝澤委員 人の歩いていた土地を、そこに高速道路ができるからといって取り上げるのに、補償金を出すというのがどうしてもよくわからない。そこをちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/55
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056・藤本勝満露
○藤本参考人 私たちの仕事の中には、公の道路と私の道路を収用する場合がございます。その私の道路、こういうものにつきましては、事実上の制約が相当ございますけれども、ある程度の補償を出して、そしてこれを解決してわれわれの事業の用地に供するという形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/56
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057・勝澤芳雄
○勝澤委員 それは私の道路じゃないのですよ。東京都の土地なんです。東京都の土地が東京都競馬株式会社に貸し付けられて、そして東京都競馬株式会社とその神戸与平さんですかとの間が、又貸しになっておるのか、貸してあるのか貸してはないのかわからないという状態、そして現実には、それはその辺には屋台店も建つでしょう、自転車置き場もあるでしょう。そういう屋台店や自転車置き場は別として、それ以外は道になっておるでしょう。その道を取り上げるのに、おしなべて補償金を出す。そこがよくわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/57
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058・藤本勝満露
○藤本参考人 東京都の土地と一口におっしゃいましても、この見方でございますけれども、われわれといたしましては、やはり特別会計港湾局所管の用地、こういうようなもの、あるいは別の見方でいえば交通局の用地、水道局の用地、これを取り上げる、と言っては失礼ですが、こちらにいただくという場合には、たてまえは、それを公用廃止をして、別途の観点から東京都が無償でもってこちらへ供与してくれる、あるいは東京都の建設局に所管がえをするというような問題は、これは別にございますけれども、われわれの考え方といたしましては、港湾局の用地は、たてまえとして、その限りにおいては、やはり補償を出してこれを手に入れる、こういう形でやってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/58
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059・勝澤芳雄
○勝澤委員 では、別の角度からお尋ねいたします。この補償額の単価はどういう区別になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/59
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060・藤本勝満露
○藤本参考人 この地帯は大体四つの地帯に分けました。そしてこの単価の出し方は、基本的には近傍類地補償基準にありますところの線に沿いまして、類地の価格とか、鑑定人の価格とか、精通者の価格とか、あるいは税から見た見方とか、いろいろな見方をとりまして、一応所有権単価というものを四つのブロックに分けて出しました。これに対しまして、借地権はどの程度に見るか。たまたま東京都にこれに関する条例がございます。そして、東京都はまたこの条例でもって公共用地その他を取得しておりますので、借地権関係の率を出すのにはこの線に従いました。その次には、今度は借地権を使用権に準じて取り扱う、こういう問題につきましては、御承知のように、公共用地の取得に伴う損失補償要綱という閣議決定がございますが、この十二条に使用権に関する取り扱いがございます。そこで、その十二条の思想といいますか精神をくみまして、この四つの各ブロックについての土地の従来からの使用目的あるいは建物のあり方、それから貸付期間、あるいは占用期間、あるいはまた公法上の制約の程度、有無、あるいはまたこれに権利金がついているかどうかというようなことの過去の経済的な見方とか、こんなような点を、われわれ採点法と言いますが、そういう按分した全体を一〇〇といたしまして、そのおもなものを点数をつけるような方法で、合議制でもって、この中の使用権に準ずる率をきめるのに、それらのおのおのの場所についての率をそういう観点からきめて、そのきめた率を先ほど言いましたように借地権率にかけ、さらに所有権単価というものをかけて、そしておのおののブロックの金額を出した、こういうことでございます。
なお、これは実はここが初めてではございません。実はあの沿線には、けっこうこの類似のものがすでになされておるわけであります。あの沿線ですでに五カ所ばかりこういう方式でやってまいった、そういうような前例等も参考にいたしまして、この場所の価格を算出した、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/60
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061・勝澤芳雄
○勝澤委員 具体的な単価を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/61
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062・藤本勝満露
○藤本参考人 地図でもないと申し上げにくいのでございますが、これはABCDの地区がございまして、土地の所有権の価格ですが、A地区が二十三万六千円、B地区が二十一万五千円、C地区が十五万円、D地区が十九万三千円というのが親金でございます。完全所有権の場合のものでございます。それに対しまして、たとえば二十三万六千円のものは、結論的には、補償価格が六万三千三百八十九円という、いわゆる使用権に準ずる価格のように、一例でございますが、計算をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/62
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063・勝澤芳雄
○勝澤委員 この中で、たとえばC地区とかB地区とかいうのは、緑地帯あるいは道路というふうに、これは登記面ですか、なっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/63
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064・藤本勝満露
○藤本参考人 登記上はなっておりません。だから、法律的の対抗要件は法律上はございません。ただ、計画上そういう予定地に、港湾計画——たとえば道路五カ年計画というような、港湾五カ年計画という計画で、極端には、東京都だけでかって、と言っては言い過ぎですが、東京都だけでつくった計画の中に入っておるということで、いわゆる対抗要件のあるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/64
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065・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、東京都から東京都競馬場株式会社に貸している条件というのは、二十五年の一月一日に貸して、そして毎年一年ごとに契約は行なわれている、こういうように聞いておるのですが、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/65
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066・藤本勝満露
○藤本参考人 さようでございます。私どももさように了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/66
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067・勝澤芳雄
○勝澤委員 一年ごとに契約をしておる、そしてなおかつ、この東京都競馬株式会社は、この土地を借りておって、現実にこちらが道路に使うときに、どういう使用状態になっておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/67
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068・藤本勝満露
○藤本参考人 一年ごとというものについては、御承知のように、解釈上も実際上も、これは継続的な内容いかんでございますが、この場合においても、内容は継続的賃貸借の関係にある、こう解釈され、また了解されておるとわれわれは承知しておるわけでございます。
それから、使用状態はどうなっているかということは、先ほどちょっと触れましたけれども、この競馬場のへいの外と中とはおのずから違っておるわけでございます。競馬場の中側は、もちろん競馬場自身の、競馬の走る場所、あるいは競馬の必要な建物、構作物あるいはその他の施設があったのでございます。へいの外の使用状況は、先ほどちょっと触れましたように、事実関係は、お話しのような神戸さん所有の建物、あるいは車の置き場所とか売店とか、あるいは事実上の一般共用になっておる場所もけっこうあったのでございます。これが使用の状況と思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/68
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069・勝澤芳雄
○勝澤委員 東京都が、わざわざ東京都競馬株式会社に貸して、一年ごとに契約が更新されておる、こういう中で、自分が必要なときに——そんなに差しつかえない土地なんですよ。それを契約を解除させずにおいて、そしてこのような膨大な補償金を出さなければならないという点は、そういう、出さなければならぬという必要性があるのですか。それは、必要性をどういうふうに御理解されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/69
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070・藤本勝満露
○藤本参考人 結論的に申し上げますと、競馬会社に関する問題については、東京都とその過去の契約のいきさつにかんがみ、競馬会社と東京都、それから私どもと、三者相談の結果、先ほど来申し上げました結論になったわけでございます。そのいきさつといいましょうか、御指摘のようなことですが、われわれといたしましては、この使用権あるいは借地権というものを支払えば、当然本人たる東京都、言うなれば、さらに港湾局に、いわゆる土地所有権に属する分を支払うという関係は残っております。それ以外のいわゆる借地権的なものについては、東京都から出資しておる会社とはいえども、やはり会社で、別法人で、個人法人でありますので、この部分については、やはり借地権相当のものを払う、こういうことに相なって、競馬会社のほうには借地権相当のものを支払う、それから港湾局のほうに払う分については、問題が今後の処理に属しておる次第でございます。港湾局とは、実はその他の場所についてもたくさん、港湾局の土地をいただいたり、あるいはまた港湾局からごくめん願った土地がございますので、そういうものと一括処理の場でもってこれを解決する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/70
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071・勝澤芳雄
○勝澤委員 東京都が東京都競馬株式会社に貸した土地が、又貸しきれたか無断使用されたか知らぬけれども、神戸さんに使われておった、そういう又貸しの状態の中で、二千三百七十九坪に対して約二億五千八百万という金が支払われた、使用権を解除するために。これは又貸しの権利を認めて、高速道路公団が立てかえて払っておる、これはどうも私は法的にも問題があると思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/71
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072・藤本勝満露
○藤本参考人 先ほども申し上げてありますように、いろいろな点の最後的に、使用権に準ずる権利ありといたしまして支払った、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/72
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073・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、又貸しというものが、正式に、東京都競馬株式会社と神戸さんというのと、契約書が取りかわされておったんですか。それについて東京都は承知しておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/73
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074・藤本勝満露
○藤本参考人 結論的には、やはりこの関係も、東京都の承知の上でもって、その使用権に準ずる支払いをしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/74
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075・勝澤芳雄
○勝澤委員 そういうことでなくて、この土地を神戸さんに使わせるということについては、東京都競馬株式会社と神戸さんとの間に契約が取りかわされておったのかどうなのか、それについて東京都は承知しておったのかどうなのか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/75
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076・藤本勝満露
○藤本参考人 われわれの承知している限りにおいては、書面上の契約書というものはなかったように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/76
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077・勝澤芳雄
○勝澤委員 書面上、東京都競馬株式会社と神戸与平さんの間に取りきめがないにかかわらず、あなたのほうの公団から、直接神戸さんに補償金を二億五千八百万も支払った根拠は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/77
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078・藤本勝満露
○藤本参考人 先ほど申しましたように、経緯はいろいろございましたが、結論的には、三者とも契約を——いわゆる書面のものはなかったけれども、ともかくこの内容を三者が認めて、そうしてその認めた範囲においてこれを支払うということについては、三者了解を得たのでございます。しかも支払いのしかたは、お話しのように、競馬会社から公団に、その神戸さんの分は所定のものを支払ってくれという書面の依頼を受けて、またそういう了解のもとに、支払った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/78
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079・勝澤芳雄
○勝澤委員 その分はその辺で、次の問題で、残存土地の使用権の解除、残存土地——東京都が東京都競馬株式会社に貸したもの、東京都競馬株式会社の土地を、神戸さんというのは契約書がないにかかわらず、使用しておった、そうして今度そこへ道路をつくろうとした、別に、道路をつくるに必要でない土地があった、その必要でない土地までも、残存土地の使用権の解除として、坪九万三千円も払った、千三百五十五万八千円ですか、金を出した、これについての御解釈はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/79
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080・藤本勝満露
○藤本参考人 まことにこの点は御指摘のとおり、われわれとしても、これの処理、配慮には困った問題であったのであります。そこで、実はこれは首都高速道路、あるいは放射十八号という道路の体系からいたしますと、たしかわずかに百坪足らず、この場合においてはあまり大きな坪数ではなかったのであります。この土地はほぼ一間、五尺ぐらいです。五尺ぐらいの幅でずっと細長い土地が、競馬会社とわれわれの道路との間に約九十坪だと思いましたが、でき上がってしまった。普通の民地の場合ですと、土地収用法にかかりますと、当然相手方から収用請求権が要求されまして、残地を買い取れ、こういうことが起こるわけでございます。収用法にかければ、使えないようなこんな土地ですが、きっと相手方はそういう要求をする。ところが、たまたまこれは東京都の土地でございました。なおかつこの場所は今後東京都全体の形の中で、いわゆる不法占拠とかだらしのない使い方はできるだけしたくないということで、一応東京都港湾局自身がこれを引き取るか、競馬会社がこれを引き取るか、あるいはまた首都公団が関連街路を東京都の予算で買い取っておくのがいいのかどうか、いろいろな観点があったのであります。必要でない土地をこの際競馬会社にやる必要もない。といって、道路の工事のためには、その場所は、たとえ五尺でも、工事期間中は必要な場所でございます。必要でありますし、今後のていさいの上からも、いい形の中に、そういう細長いものがあるということは適当でないということで、これは何といいましょうか、大きくいいますならば、暫定処理の形でとっておきまして、必要があるならば公団自身の工事あるいは管理用地、たとえば故障車を五尺か六尺のところに置けるかどうかわかりませんが、多少の補修の材料の置き場になるかどうか、そういうように公団自身がお使いになる目的があるのならば第一義的にこれを使う。あるいはそれがなかったら、東京都の計画局が、それこそその場所にグリーンの場所を東京都港湾付属地としてつくってもらう。あるいはまた港湾局等が御使用のこともありましょうから、こういうより高い角度で今後の使用方法を考えるというので、とりあえず、このところは、東京都の本来の道路幅ではありませんけれども、道路の際に一緒に片づけることが大きな目で必要だということで、この点は御指摘のように、必ずしも理論的ではなかったのでありますけれども、収用法上から見た残地買収逆収用の権利が発生するような場所でもあるということをあわせ考えまして、一応この点についてこちらの権利に入れてしまった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/80
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081・勝澤芳雄
○勝澤委員 土地そのものは、使用しておったというが、家が建っておって、その裏を出入りしておったという程度のものです。しかしその家については、先ほどお話がございましたように、四十一世帯で二千八百二十六万円立ちのき料を払った。立ちのき料を払えば、その家がなくなる。ですから、家がなくなれば、その裏の土地そのものは、少し残したとしても使用することは不可能なんです。土地そのものは東京都の土地なんです。御承知のように、東京都が競馬会社に貸しておる。競馬会社はもう使っていない。神戸さんに貸しておるのか、どういう形か知らないけれども、使われておる。ですから、何も関係のない土地なんです。極端な言い方をすれば、使用権、借地権、こうした権利が消滅してから取り上げても差しつかえないわけです。それを坪九万円、約一千三百万余の金を費さなければならぬという点については、やはり了解ができないのですよ。直接首都高速道路公団の仕事ではないとしても、東京都から請負ったとしても、東京都が東京都競馬会社を使い、そうしてその競馬会社の土地に道路をつくるときに、今度は東京都が、自分が直接交渉に当たらず、首都高速道路公団に当たらせて、三者が一緒くたになってやる。このやり方というのは、どう聞いても、現地を見ても、これはおかしいなと思うのが常識だと思う。いまあなたの御説明をいろいろ聞きました。それを私はもう少し突っ込んで聞きたいと思いますけれども、いまだいぶあなたの御説明がありましたから、また議事録もでき上がりましてから、もう一回現地を見て、資料もいろいろ見せていただいて、あとでまた別なところで質問させていただくということにして、私はこれで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/81
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082・吉田賢一
○吉田(賢)委員 ちょっと関連しまして、一点伺っておきたいと思うのです。
首都高速道路公団などが必要として、収用ないしは買い受け、入手しまする土地におきまして、補償を支払う場合に、公共財産、国または地方公共団体の持っておる行政財産なども一年ごとに契約を更新する、その種の賃貸の土地につきまして、これを補償するということは、よほど警戒しないと問題が起こるだろうと思うのです。ですから、これはやはり一般に一年ごとに契約をするような土地の賃貸借に対しても、なお相当な使用権、借地権ありというような前提のもとに、これの補償でもするということの原則でもあるだろうか、どうだろうか。これは一般に対する影響も非常に重大であると思いますので、明らかにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/82
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083・藤本勝満露
○藤本参考人 御承知のように、官公署の契約は、公有土地等あるいは建物等に関するときは、一年ごとの契約が出ておるのがけっこうあるわけでございます。これはやはりその契約の実態、内容、実質をきわめてみまして、われわれも慎重にこれがほんとうの意味における長期契約あるいはまた短期の、ことばどおり一年のものかどうかというようなことについては慎重を期しまして、、そうしてこれに対する補償関係あるいはその賃料というものの支払いを考えて、処理しておる次第でございます。たとえば工事のためにお役所の土地を一年限りで借りるというような場合には、明らかにこれは長期のものではございません。建物所有のために公の土地を借りるというような場合は、もちろんこれはたとえ一年ごとの形になっておっても、法律上長期契約に属することは当然でございます。そういう点につきましては、実質、内容をよく検討して、慎重に御趣旨のように処理していきたい、かように考えております。
なお、公の問題のいわゆる補償関係、公共補償につきましては、現在御承知のように、まだ普遍的といいますか、一般的な補償基準ができ上がっておりませんし、せっかく建設省御当局で御検討をいただいておるので、その線の決定を待って、その線を伺った上、よりよいものにし、また実施上より円滑を期していきたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/83
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084・吉田賢一
○吉田(賢)委員 堅牢な、たとえばコンクリートの建築物などの敷地にたとえ公有の土地を貸す場合においても、一年ごとの契約ということは解せません。そんなことは法律上あり得ないことは御承知だと思うのです。また、一年ごとという以上は、まず文字どおり正直に一年ごとの契約に違いないのだから、一年後には、期間が満了したときは、一応は明け渡しを覚悟して借り貸しをしておるはずなんです。だから、千姿万態の実情だとおっしゃいますけれども、しかし、一年ごととなっておりますものは、一応は国または公共団体の所有土地のごときは、真正面からそう解してしかるべきじゃないかと思うのです。普通の一般民間の貸借とは違います。したがって、一年ということを限定するものと考えます。ですから、その点は、建物等によって数十年のものを一年と約束するということ、こんなことは考えられません、また、あり得ません。いかに国の財産でありましても、公共団体の財産であっても、それは考え得られません。ましてこの種の場合は、いま問題になりました競馬会社等の関連の場合におきましても、やはり一年ごとというのは、一年を過ぎたときには明け渡しを覚悟して使用権を短期に持っておるもの、この認定に立たねばなるまいと思う。これをしも五年、十年の使用権があるものとごっちゃにして、混雑して、一々補償の対象にするということであるならば、千億円の予算を組んだって公団は経営はできないと思う。やはり公団の金というものは国民の大切な財投の金だということは万々御承知なのです。また都が投資しておるといえども、四百数十億円というばく大な金をもって経営しておる会社なのです。極端に言うならば、これを湯水のように使われてはたまらぬです。だから、その辺は一々厳重に考えて、一年ごとの契約なら、一年ごとの契約のたてまえをまず貫いて、そうではないのだ、実はそうであるけれども、その他の類似のものと同じく、十カ年もしくはそれ以上の長い期間の使用権があるのだという反証があがって、その上で、それはというので、しかるべき補償をするなら別ですけれども、いまのいろいろなお話を聞いておりましても、どうもこれは大きな補償をなさっておるということがまゆつばものだという感じがしてならぬ。ことに一年ごとということが随所に起こってくると思いますので、これはきわめて厳重にかつ丁重な扱いをしていかなければならぬと思うのです。その点はっきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/84
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085・藤本勝満露
○藤本参考人 厳重にかつ丁重に、今後一そう慎重に処理いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/85
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086・吉田賢一
○吉田(賢)委員 だったら、この問題につきましては、相当遺憾であるということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/86
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087・藤本勝満露
○藤本参考人 御見解はいかがと思いますけれども、われわれは正しい線を進んできたと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/87
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088・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そういうようなかたくななお立場を貫きなさるなら、やはりこの議論は相当展開しなければならぬ。やはり神様でないのですから、われわれが委員会において公平に国民の立場から批判するときには、率直にお受け入れになるべきです。あまり高姿勢でものを考えておられて、これが正しいのだ、これ一本でいく、という貫いた態度を強調なさることはいかがかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/88
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089・藤本勝満露
○藤本参考人 高姿勢と言われるとはなはだ申しわけございませんが、われわれとしては、正しい考えの線で進んでまいった、こういうことでございます。決して高姿勢とかいう意味ではございません。そういう考えのもとにやってまいりましたということでございます。ただ、先ほどの慎重にやれということについては、今後一そう御趣旨の線に沿うて実施をいたしていきたいと思いますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/89
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090・吉田賢一
○吉田(賢)委員 将来のことをことばだけでおっしゃったところで、幾らそんなことを繰り返し言ったって、意味のないこともありますので、やはり現在及び過去の事実につきまして、相当誠意ある御答弁をなさることがしかるべきだと私は思うのです。どうしても正しいことを貫いてきたのだというふうに断定をして、がんとして譲らないということであれば、この議論はさらに展開することを相当覚悟しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/90
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091・萩原辰郎
○萩原参考人 ただいま、具体的な問題については、担当理事から御説明申し上げましたとおりでございますが、ただいま吉田委員の御注意のとおり、われわれも万全を期してやっておりますけれども、いろいろ反省すべき点ももちろんないではないと思います。それらの点につきまして、将来、そのことを含めて、一そう戒心をしていきたいと思いますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/91
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092・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 本案につきましては、他に質疑の通告がありませんので、これにて、本案に対する質疑は終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/92
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093・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
次会は、明二十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X00619640225/93
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