1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十一日(水曜日)
午前十一時十分開議
出席委員
委員長 丹羽喬四郎君
理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君
理事 廣瀬 正雄君 理事 福永 一臣君
理事 岡本 隆一君 理事 兒玉 末男君
逢澤 寛君 天野 光晴君
加藤 精三君 鯨岡 兵輔君
正示啓次郎君 竹内 黎一君
渡海元三郎君 服部 安司君
堀内 一雄君 堀川 恭平君
松澤 雄藏君 山本 幸雄君
渡辺 栄一君 井谷 正吉君
金丸 徳重君 西宮 弘君
原 茂君 山崎 始男君
玉置 一徳君 吉田 賢一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
建設事務官
(大臣官房長) 平井 學君
建設技官
(道路局長) 尾之内由紀夫君
建設事務官
(住宅局長) 前田 光嘉君
委員外の出席者
専 門 員 熊本 政晴君
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三月十一日
委員稻村左近四郎君、大倉三郎君、木村武雄君
及び田村元君辞任につき、その補欠として渡海
元三郎君、鯨岡兵輔君、加藤精三君及び竹内黎
一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員加藤精三君、鯨岡兵輔君、竹内黎一君及び
渡海元三郎君辞任につき、その補欠として木村
武雄君、大倉三郎君、田村元君及び稻村左近四
郎君が議長の指名で委員に選任された。
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三月七日
久慈川未改修地帯の工事続行に関する請願(塚
原俊郎君紹介)(第一〇八七号)
名塩国道一五三号線宮田村地区バイパス線の改
良舗装に関する請願(原茂君紹介)(第一〇八
八号)
日本住宅公団による住宅団地造成に伴う問題点
解決に関する請願(始関伊平君紹介)(第一一
一七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する
法律案(内閣提出第七七号)
道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第二二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/0
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001・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案に対する質疑を続行いたします。吉田賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/1
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002・吉田賢一
○吉田(賢)委員 産労住宅の問題は、中小企業並びにこれに従事する労働者のためには、きわめて緊切な問題であります。そこで私は、この法律の趣旨をさらに生かして拡大するくらいな運営をすることがきわめて緊切でないか、こう思うのであります。そこでお尋ねしたいことは、事業者が産労住宅の融資を申し込む金額並びに申し込み数、及び貸し付けを実行する金額とその比率。いま一つ、住宅金融公庫法の第三章第十七条による、住宅組合法による一般の住宅金融を求める場合の申し込み数と貸し付け実行の比率並びに金額、これを、数字がありましたら、ひとつお示しを願っておきたい、こう思うのであります。両者の比較をしたいと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/2
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003・前田光嘉
○前田(光)政府委員 産業労働者住宅資金融通法に基づくところの産労住宅資金の申し込み状況をまず申し上げます。昭和三十七年度までの実績を申し上げますと、全部で二十八万六千八百二十六戸申し込みがございましたが、これに対しまして、貸し付け契約をいたしましたのは十万三千六百十六戸でございます。昭和三十八年度は、計画一万四千戸に対しまして、申し込みが三万一千三百六十一件ございました。住宅組合につきましては、過去の分につきましては貸し付け申し込みの状況はわかりませんが、貸し付けいたしましたのは全部で約六千戸でございます。
条件は、産業労働者住宅につきましては、従来は一般の事業につきましては資金の五割五分、中小企業については六割、利率は七分及び六分五厘でございましたが、住宅組合につきましては、五分五厘の利子で、建設費の七割五分の貸し付けをいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/3
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004・吉田賢一
○吉田(賢)委員 住宅組合の貸し付け実行が六千五百戸であった、これに対する申し込みの割合は何倍ぐらいになるのですか。大体でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/4
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005・前田光嘉
○前田(光)政府委員 正確な数字をちょっと持っておりませんけれども、住宅組合につきましては、組合を結成いたしまして申し込みをしたものにつきましては、特別の欠格条項に該当しない限りは、全部貸すことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/5
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006・吉田賢一
○吉田(賢)委員 全部貸すといいましても、事実上は、需給の関係で、実際は数倍に上っておるというのが正しいのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/6
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007・前田光嘉
○前田(光)政府委員 住宅組合は、職域または地域によりまして、志を同じくする者が集まりまして、お互いに連帯保証をし合うという関係になりますので、なかなか組合の結成までに至ることはむずかしいようでございます。そのかわりに、まとまって、住宅組合として信用のある組合ができた場合には、住宅金融公庫においては、つとめてこれを活用するような方針で進んできたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/7
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008・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そういたしますと、住宅組合の結成については、何か至難な事情も伴いがちであるから、従来の実績といたしましては、申し込み者全部に貸し付け実行しておる、こういうふうに解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/8
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009・前田光嘉
○前田(光)政府委員 全部というわけにはまいりませんけれども、そのつもりで、特に心配のある組合とか、あるいは一定の条件に合しないものは別でございますが、なるべく内面的に指導いたしまして、住宅組合は、住宅金融公庫の貸し付けを予定してつくらせる、という方向で指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/9
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010・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そうしますと、住宅組合のほうは、貸し付け計画といたしまして、原資は相当豊富でございますか。これはこちらで調べておくべきでしたけれども、念のために伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/10
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011・前田光嘉
○前田(光)政府委員 住宅組合につきましては、住宅金融公庫の一般の資金のワクを使っておりますので、特に住宅組合としてのワクを設けておりません。個人貸し付けが相当ございますので、そのうちから、組合を結成したものにつきまして、貸し付けをいたしますが、最近の状況では、実は住宅組合の結成は困難でございますし、またその運営の実際を見ましても、むしろ組合として借りるよりも、個人として借りたほうが便利であるということから、組合を結成した者が組合を解散して、各個人に切りかえておるという状況でありますので、今後の組合の扱い方につきましては、さらに検討すべき段階にきておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/11
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012・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そういたしますと、一般の個人の貸し付けと同じように扱うものであるとするならば、三十九年度のこれの予算はどのくらいを組んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/12
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013・前田光嘉
○前田(光)政府委員 三十九年度の一般住宅は、一般個人貸し付けが五万戸と予定いたしておりまして、資金は二百八十九億ほど予定しておりますので、その中で組合が来れば貸し付けをしていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/13
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014・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これを尋ねますゆえんは、産労住宅の場合には、第二条一項一号によりまして、「常時五人以上の従業員を使用する者」、こういうことに一応事業者の資格を限定しておりますね。ところが、現実の事情といたしまして、こういう点は非常に重大であるのであります。この点は前回の委員会にも若干ほかの委員も触れておいでになりましたが、実は一例をとって、具体的な実例を申し上げますると、兵庫県に三木という市があります。人口四万であります。二万が労働者であります。そしてこの市は大工の金物の産地といたしましては、新潟県の三条市よりも、ずっと多いので、いわば日本の主産地であります。ところで、その大工の諸道具の生産の工場というのが、大体二万の労働者を擁しておりまするが、事業場の実情は平均三・五人であります。そこで、同地におきましては、土地の中学卒業者は、その市に就職する者が皆無なんです。そのような小規模の工業におきましては、典型的な家内工業かと思いまするが、全く近代化などは及びもよらないほど無資力なんです。どうして労力を確保するかということでやっきなのです。そこで、みんな相寄りまして、代表者を出して、九州、四国の山中を探し求めて、せめて中高層の家族ぐるみの労働者でも来てもらって、ともにやっては、とこういうような計画も進めておるようでありますが、魅力がないから、なかなか成果が上がってこぬのです。そこで、一つの対案といたしましては、どうしてもやはり安定する住宅を持って、それを提供する以外には手がない。そうでないとだんだんさびれてしまって、これはもう共倒れではないか、こういうような悲観の声さえだんだんと満ちてきたのであります。そこで、産労住宅の資金融通法の適用ができないということなら、これはたいへんなのですが、やはり住宅組合法によって打開をして、住宅を提供するという手しかないであろう、こういうことになるのではないかと思うのですが、その場合は、産労住宅の資金融通法の適用を受けるのではなくして、住宅組合をつくることによってこれを解決する以外に手がないかと思うのですが、その点はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/14
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015・前田光嘉
○前田(光)政府委員 この産業労働者住宅資金融通法の条項に該当しない方々もあると思いますが、一方で、先ほど申しましたように、住宅金融公庫では個人貸し付けを相当数多くやっておりますので、その個人貸し付けを各個人が御利用になる場合に、企業内で、企業主が、場合によっては適当な援助をされるということもあり得ると思います。この個人貸し付けを利用されるかと思いますが、さらにまた公共団体としては、公営住宅をつくりまして、そういうものにも融通するという方法によりまして、住宅対策に資するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/15
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016・吉田賢一
○吉田(賢)委員 個人個人が融資を受けて住宅をつくって、そうして新規に労働者を求めるとか、入れるというようなことは困難なのです。むしろそうではなくして、その平均すると三・五人という事業者が数十戸相寄って、そうして協同組合でもつくって、そこで、それを主体にしてこの労働者の住宅をつくるというふうにしてはどうであろうか。ところが、そこには産労住宅の資金融通法の適用を受けられないとすると、やはり住宅組合法でないとしようがないじゃないか。住宅組合法でないとしようがないとすると、それは、いま申したように、個々ではなしに、大ぜいの小さな事業主が寄って計画することでありますから——もっとも、この七条の第一項の二号によって協同組合をつくって、協同組合自体が資金を借り受けてやるということにする手もありますけれども、一番端的には、住宅組合法でつくるという手ではないかと思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/16
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017・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 前田局長に申し上げますが、低声で速記者が聞き取りにくいそうでありますから、大声で御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/17
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018・前田光嘉
○前田(光)政府委員 住宅組合をおつくりになることはけっこうかと思いますが、住宅組合をつくるまでもなく、各個人に住宅金融公庫が貸し付けをいたしておりますから、住宅をつくる方は、住宅金融公庫を各個人として御利用なさる方法が適当かと思います。しかし、住宅組合をおつくりになって申し込まれてもけっこうかと思いますが、そうでなくても、個人で来られてもけっこうであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/18
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019・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それは、個人個人が個々に資金を融通を受けて、一戸、二戸を建てるという手はありましょうけれども、やはりこれは、経済的に企業の利潤、採算等から考えまするならば、ある土地に宅地造成を共同でいたしまして、そうしてそこを共同の住宅施設の場所に充てるということにしたほうが、より近代的でもありますし、経済的で望ましいので、地方においてそういうふうに指導するとする場合には、いま申したような零細企業——中小企業でない零細企業に対処するには、やはり、ここはこれを育てる、これを振興さすというような方向へ考え方を持っていきませんと、ここに方法があるから借り受けてはどうだというのでは、これは野放しにいたしまして、実現至難である、こういうふうに考えるのであります。それほど、実は中小企業というよりも、零細企業は切実なのです。非常に切実な問題でありまして、住宅問題の解決が共同でできましたならば、一つは近代化への新しいステップになるかもわかりませんし、企業が倒れることが免れるかもわかりませんし、ひいては従業する人の生活のしあわせのためにも必要なことでもあるし、自他ともに非常によい望ましいということであるので、これはせっかく法律があるのだから、産労住宅の法律がもし適用できないとするならば、可能な範囲で積極的に住宅組合をつくらして、これに融資するということのほうが、政治としては当然あるべきでなければならぬ、こういう観点からお尋ねしておるのです。だから、個人個人に借りる方法があるから、それでやったらどうかというので、それでやりっぱなしならば、尋ねる必要もないのです。そういう切実な中小企業、零細企業の問題に当面しておりまするので、政府としての施策の方向、指導のあり方、住宅金融公庫に対しましても、だんだんとあなたのほうから御指導も願いたいと思うのです。それで尋ねているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/19
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020・前田光嘉
○前田(光)政府委員 住宅組合につきましては、先ほど申しましたように、過去の実績を見てみますと、むしろ組合の内部関係あるいは信用関係が非常に困難な問題が多いために、それほど活発に動いておりませんが、やはり基本的にもう一ぺん再検討いたしまして、住宅組合が健全にいくように研究しようと存じます。それによりまして、現在住宅金融公庫におきましても、住宅組合に対します貸し付けはすることになっておりますので、健全な組合ができ、長期にわたる信用が確保できるという場合には、いま御指摘のとおり、住宅組合による住宅供給ということも非常に住宅対策上意義があると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/20
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021・吉田賢一
○吉田(賢)委員 その場合には、個人の住宅の建設の資金として、三十九年度には二百八十九億二千六百万円が、事業計画といたしまして予定されておるようであります。この中で振り当てるというのでありますから、もしこれが大規模に全国的に広がっていくというようなときには、容易ならざることであります。過去の実績から見まして、予定しました契約金額は全部貸し付け完了、こういうことになっておるのだろうか、余っておるのだろうか、足らぬのであろうか、こういう点もあわせて聞いておきませんと、結局これは幾ら問答をしましても、絵にかいたもちで、事実、金融公庫へかけ合ってみた場合には、せっかく零細企業が集団的にこういう新しい方向をめざしてまいりましても、それが成果があがってこぬということになるおそれもないではない、こう思うのです。でありますから、そのあたり過去の実績はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/21
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022・前田光嘉
○前田(光)政府委員 住宅金融公庫の個人貸し付けにつきましては、希望が非常に多うございますので、この予定いたしました金額は全部使い切ると思います。三十八年度につきましても、申し込みが、予定金額の二百三十八億に対しまして、千億をこえておりますので、その中におきまして、現在やむを得ず抽せんという制度をとっておりますが、しかし住宅組合で健全なものが結成されることになりますならば、この中において適宜処理はできようと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/22
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023・吉田賢一
○吉田(賢)委員 さきには、申し込んだ者に大体全部貸し付けができたようなお話もありましたけれども、いまの実情の御説明によりますと、ざっと三倍をこえておりますね。だから、申し込みの三分の一しか貸し付け実行ができず、こういうことになっておる。それからもう一つは、住宅組合は、内部の責任の関係その他の事情もあり、なかなか住宅組合として、組合をつくり資金の融通を受けていくということが困難らしくある。けれども、いま申しましたように、零細企業ないしは中小企業が、新たに住宅組合をつくるということで発足していくということになりましたならば、これは相当膨大な需要量になってくるかもわからぬ、こう思うのです。としますと、いまでも三分の一しか実行できないのならば、これはたいへんなことで、言うだけむだじゃないかという気になるのです。そういたしますと、個人貸し付け、個人住宅という以外に、これに振り当てるべきものはないのでしょうか。もっとも、これは何も公庫だけの金ではなくして、あるいは厚生年金の還元融資等もありはいたしますけれども、金利の関係から見ましても、金利は五分五厘ということであるならば、厚生年金融資の還元は大体六分五厘でありますから、住宅組合のほうが安い、こういうこともありますので、なるべくこれをもって需要を満たすことが好ましいことでありますが、いまのような実情から見ると、もっとほかに財源を求めることは、住宅金融公庫といたしましては、できないでしょうか。個人住宅で振り当てる以外のものが、これに引き当てられる方法はないでしょうか、その点は政府としてはどういうふうにお考えになりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/23
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024・前田光嘉
○前田(光)政府委員 個人住宅のワクを活用していただくというほかには、現在の住宅金融公庫にはワクがございません。しかし、先ほど申しましたように、住宅組合は、特に住宅金融公庫の資金を借りて運営していくという目的で結成されるものが多い関係上、従来におきましては、一般の個人住宅の中でも特別に抽せんをしないで、組合の結成をしたものについて、事前に審査して貸し付けておりましたので、今後におきましても、一般の個人の抽せんとは別個の方法で考慮していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/24
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025・吉田賢一
○吉田(賢)委員 もしいまのようなお説でございましたならば、別個の考慮も必要なことでありますが、さらに進んで、産労住宅資金融通法の第二条一項一号の五人以上というのを再検討いたしまして、場合によっては三人以上でもよい、というふうな弾力性を持たすように改正する必要があるのではないだろうかということ、もしくは住宅金融公庫に、個人住宅の資金のほかにさらに別ワクをつくらして、そういう住宅組合の新しい需要が増大する要因ができてくることも見越して、新たなる計画を立てるか、二者いずかにしていくというのでないと、せっかく重大な中小企業対策ないしは零細企業対策として計画をいたしましても、やはりこれは画餅に帰する。特別の選考の考慮をせられましても、ないそでは振れませんから、一がいに個人を排除するわけにいきませんので、それはどんなものでしょう。政府といたしまして、要はこの本法二条一項一号の常時五人以上とあるのを、常時五人ということでなしに、三人以上とするか、弾力性を持たして拡大することも一つの方法ではないか、こう思うのですが、それはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/25
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026・前田光嘉
○前田(光)政府委員 産労法におきまして五人以上としておりますのは、事業主体として、給与住宅を供給するのに適当な条件として限定されていると存じますが、これ以下に下げますことについては、その事業主体として、社宅を供給するという可能性なりあるいは資金の関係等もございますし、慎重に検討すべき事項と存じます。この条項に当てはまらないさらに零細な方々の住宅対策につきましては、先ほど申し上げましたように、あるいは住宅組合の促進をするとか、あるいはまた公営住宅を促進するとか、住宅金融公庫の一般貸し付けを御利用なさるとか、他の方法によって、十分活用できるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/26
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027・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これは誤解をせられておるのかもわかりませんが、個人個人が、たとえば三人、五人を使用いたしまして零細企業をやっているものが数百あり、そしてそれが何百になって、日本の重要な産業の一部を担当しているような現実具体的な問題があるのですから、そういうような方面の新しい企業の廃頽的な斜陽的な頽勢を盛り返して振興せしむるというには、住宅対策が一つの大きな問題点ではないか。そのためには、個人個人が借りるという手はあろうけれども、そうではなしに、無資力でもあり無知でもあり、そういう人が寄りまして、協同組合をつくってこれで借りるという手を打っていくことがいいのではないかという、こういう一種の示唆に富んだ方向をさしまして御質疑しておるのであります。ですから、いままであるものを活用するとか利用するとか、そういうふうな意味ではないのです。だから、やはりここは、この法律の二条の法案に手を触れて拡大するということにするか、さもなければ資金をふやすか、ともかくこういう大きな要請に向かって対処し得るだけの財源あるいは法律の根拠というようなものをこちらから打ち出しておいて、受け入れの態勢をつくっていくというのが、行き届いた住宅行政、政治ではないのであろうか、こういう観点から伺っておるのであります。だから、その点はやはり、いままであるのだからそれを利用しなさいというのでは、これは質疑応答にならぬです。積極的に政府の一つの方向をお示し願いたい。これは実は大臣に聞きたかったのです。どうしてもこの問題は行き詰まってしまうので、大臣に聞きたかっのですけれども、やむを得ませんのですが……。だから、局長としては、これははっきりしておいていただかぬといかぬ。行き詰まってしまっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/27
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028・鴨田宗一
○鴨田政府委員 ただいまの御質問でありますけれども、結局総合的に考えまして、資金量の問題、さらにまた法案第二条を改正する場合におきましても、諸情勢、他の法律との関係を勘案いたしまして、よく検討してやってみたい、こう考えております。ただ、国といたしましては、住宅七カ年計画がございますので、この線に沿って十分善処いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/28
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029・岡本隆一
○岡本委員 議事進行。定足が不足ですから、暫時休憩願います。——さっき委員長と約束があります。大臣は半までに入りますという約束があります。半になってもまだ入りませんが、どういうことですか。暫時休憩してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/29
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030・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 定足はあります。大臣はいま委員室へ向かっている途中ですから、すぐ来ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/30
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031・岡本隆一
○岡本委員 それまで休憩。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/31
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032・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 休憩はいたしません。このままで待ちます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/32
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033・吉田賢一
○吉田(賢)委員 住宅局長に伺いたいのでありますが、全体、最近の中小企業者の悩んでおりまする大きな問題は、何といいましても、中小企業に対して、労働者の安住し得る魅力がだんだん欠けてきたのであります。とりわけ大企業に比べまして、生活の環境が断然劣っております。生活の環境の第一番に言うのは、やはり住宅であります。従来は三人、五人を一室に閉じ込めておったというような前近代的なものもあって、なおそれが続いておる現状でございます。こういったものから新しい若年労働を吸収するためには、どうしても環境の整備である。その第一に数えられるのは、何といっても落ちついた住宅が大事になってまいりますので、中小企業におきましても、零細企業におきましても、この住宅問題の解決以外には手がないとさえ言っております。これがなければ労働者の魅力はもう全然ないと言っておるのであります。だから、この点につきましては、単に産労住宅のいままでの行き方、あり方、運営のしかただけではなしに、これはもう住宅政策といたしまして、そのほうにうんと資金を投入するという手を打つより方法がないのじゃないだろうか、資金をうんと投入をいたしましたならば、これは幾多の方法が生まれてまいるのであります。
そこで私は伺っておきたいのであります。いままでに使い切れなかったような資金面があるのではないであろうか。他に使い切れなかった資金面があるならば、主として中小企業、零細企業に振り向けるということ一本に集中するような方向へ、資金の使い方をそれに重点を置く。大企業は何といっても金融機関を持っておりますし、余裕があるのです。だから中小企業と零細企業というものに重点を置かなければ、住宅政策というものはもう成果がないのです。ここを突き詰めるとそこへまいりますので、中小企業、零細企業に特別に考慮を払うというような、そういう点につきまして、何を具体的に考えておられるであろうか、この点をはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/33
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034・前田光嘉
○前田(光)政府委員 中小企業に重点を置くべきであるという御意見はごもっともでございまして、われわれもそういう方向に従って努力をいたしてまいりました。特に昭和三十九年度におきましては、住宅金融公庫の資金のうち、産業労働者住宅資金を増しまして、前年度一万四千戸に対して一万五千戸といたしましたが、そのうち特に中小企業向けのものにつきましては、前年度の七千六百戸に対しまして九千戸というふうにふやしまして、この方面に対する融資の量もふやします。同時に、中小企業が公庫の資金を借りやすくできるために、ただいま御審議願っておりますように、貸し付け割合を高めまして、中小企業の事業主がその労働者のための住宅を建てやすくする、という方向に向かって努力をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/34
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035・吉田賢一
○吉田(賢)委員 もう一つ聞いておきますが、これは中小企業、零細企業に重点を置いていただくのはけっこうですが、実行ができますように、事実、基準単価と実施の単価はよほど違っておりますので、したがいまして、この土地の入手にいたしましても、なかなかに一万円以下では入手できませんのが実情なんです。でありますから、これは全体を通じまして、適当に、なるべく実現し得るように配慮する必要があるのではないか。
それからもう一つは、事実上これを実行しなければ意味がありませんので、実行するためには自己資金が——このような基準単価が安いので圧迫を受けて、自己資金の捻出難、他の金融を受けねばならぬ、こういうことになるのですが、自己資金というものも、なかなかに中小企業金融公庫などでもそう潤沢にいたしませんし、選別融資いたしておりまするから、だからこの実行予算、実施する予算というものと、政府並びに公庫などが持っております基準単価がよほど違っておりますので、その差金の自己資金が意外に膨大になっております。この点につきましては、何でこれを埋め合わしたらいいであろうか。たとえばさっきも申しましたような、厚生年金の還元融資なんかも、同一の目的に向かってはダブってこれを貸してくれませんので、それをどうしたらいいだろうか、これは事実上借ろうとするものにみな共通した悩みらしいのです。でありますから、実際におきまして公庫から借りる金の差額が、二割五分にあらずして実は五割以上になるらしいので、融資を受ける手についてさらに配慮するということが政府としては必要ではないであろうか、こういうふうに考えておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/35
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036・前田光嘉
○前田(光)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、住宅金融公庫の貸し付けの標準単価と実際の建築費にはかなり差があり、この差をなくすように努力をいたしてまいりまして、本年度も、先般来御説明いたしましたように、木造住宅等につきましては二〇%、その他につきましても七%程度上げておりまして、できる限り実態に即するようにしたいと思っております。また、一面、建築の工法等にも特に改善を加えまして、従来よりは低廉に家ができる方法というものを研究いたしまして、なるべく建築費の単価の引き下げという方向にもくふうを講じまして、実際家を建てる方々の支障をできる限りなくしたいと思って努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/36
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037・吉田賢一
○吉田(賢)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/37
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038・岡本隆一
○岡本委員 本日は、私は大臣に対して、本法案についての基本的な問題についてお尋ねをしようと思っておったのでございますが、すでに定刻を一時間二十分過ぎておりますが、まだお見えになりません。こういうような誠意のないことでは、本日は質問する気持にはなりません。
本日はこれにて散会されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/38
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039・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 いますぐ参ります。
(「委員長、早くやれ」と呼び、その他発言する者あり)
日本社会党の委員諸君が現在退席されておりますが、実は事務当局を通じ出席くださるよう、再三督促いたしましたが、出席になりませんので、やむを得ず議事を進めます。
岡本隆一君の質疑の通告がありますが、出席になりませんので本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/39
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040・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/40
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041・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案に御賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/41
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042・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/42
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043・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対しまして、玉置一徳君から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者玉置一徳君から趣旨説明を求めます。玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/43
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044・玉置一徳
○玉置委員 まず案文を朗読いたします。
産業労働者住宅資金融通法等の一部
を改正する法律案に対する附帯決議
(案)一、政府は中小企業従業員に対する住
宅対策をさらに強化することとし、
特に零細企業従業員の住宅事情の現
況にかんがみ、これらの者に対する
住宅供給方策について特段の配慮を
行なうべきである。
趣旨は、吉田委員からの質問にございましたとおり、ややもすると、資金の関係で、大企業のほうに供給が流れやすいと思われますので、時節柄中小企業の振興の非常にやかましく言われておるときでありますし、また産業構造の変化に伴いまして、労働人口の移動が非常に激しくなっております。つきましては、中小企業のこれら従業員に対する住宅対策に特段の御配慮をいただきたいと思いますことと、五人以下の従業員という零細企業につきましては、いまのところ手がつきませんので、将来、この方々にも特別の御配慮をいただきますように、法的な改正もしくは行政措置につきまして、特段の御配慮をいただきたい。ことに先般、河野建設大臣からの本委員会における御発言がございましたとおり、ひとつ来年度からは、住宅政策につきまして、こういう問題を含めて、特段の御努力をお願い申し上げたいというのが趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/44
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045・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議について発言の申し出がありますので、これを許します。瀬戸山三男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/45
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046・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいまの附帯決議を付することに反対の意見を申し上げます。
いまの民主社会党の代表玉置委員からの附帯決議の御趣旨は、しごくごもっともでありますが、御承知のとおりこの法案自体が、その趣旨に沿って提案されておるのでありますし、なお、政府が先般来当委員会において御説明なさった住宅政策の方向も、当然にしかるべきであるということを申されておるし、現にそういう政策が進められておるときでありますから、あらためて、特に国会の意思として附帯決議を付するまでの必要はなかろう、こういう次第でありますから、残念ながら附帯決議を付することに反対いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/46
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047・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより採決いたします。
本動議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/47
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048・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 起立少数。よって、本動議は否決されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/48
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049・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 おはかりいたします。ただいま可決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/49
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050・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/50
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051・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 次に、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案に質疑を申し出ておられる日本社会党の委員の諸君が退席されておりますので、本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる十三日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X01119640311/51
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