1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 丹羽喬四郎君
理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君
理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君
理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君
理事 兒玉 末男君
逢澤 寛君 天野 光晴君
宇野 宗佑君 大倉 三郎君
正示啓次郎君 中村 梅吉君
堀内 一雄君 堀川 恭平君
松澤 雄藏君 山本 幸雄君
渡辺 栄一君 井谷 正吉君
金丸 徳重君 久保田鶴松君
西宮 弘君 西村 関一君
山崎 始男君
出席政府委員
総理府事務官
(近畿圏整備本
部次長) 八巻淳之輔君
総理府事務官
(経済企画庁水
資源局長) 崎谷 武男君
総理府技官
(科学技術庁資
源局長) 橘 恭一君
建設政務次官 鴨田 宗一君
建設技官
(河川局長) 畑谷 正実君
委員外の出席者
参 考 人
(滋賀県知事) 谷口久次郎君
参 考 人
(水資源開発公
団総裁) 進藤武左ヱ門君
参 考 人
(東京都水道局
長) 小林 重一君
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四月十四日
委員田村元君及び西宮弘君辞任につき、その補
欠として宇野宗佑君及び西村関一君が議長の指
名で委員に選任された。
同日
委員宇野宗佑君及び西村関一君辞任につき、そ
の補欠として田村元君及び西宮弘君が議長の指
名で委員に選任された。
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四月十三日
住宅地造成事業に関する法律案(内閣提出第一
五八号)(予)
同月十一日
二級国道宮崎国分線の改良工事及び舗装工事の
早期完成に関する請願(二階堂進君紹介)(第
二五七四号)
二級国道宮崎指宿線の改良工事及び舗装工事の
早期完成に関する請願(二階堂進君紹介)(第
二五七五号)
肝付川河川改修工事等の早期完成に関する請願
(二階堂進君紹介)(第二五七六号)
主要地方道串良内之浦大根占線の改良工事及び
舗装工事の早期完成に関する請願(二階堂進君
紹介)(第二五七七号)
滋賀県甲西中学校生徒の通学用国道一号線横断
地下道または陸橋建設に関する請願外三件(西
村関一君紹介)(第二六五〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
河川法案(内閣提出第八号)
河川法施行法案(内閣提出第二四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/0
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001・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
河川法案及び河川法施行法案を議題とし、審査を進めます。
本日は、両案審査のため、参考人として、滋賀県知事谷口久次郎君、水資源開発公団総裁進藤武左ヱ門君、東京都水道局長小林重一君、の三君の御出席を願っております。なお、大阪府知事左藤義詮君の出席も要請いたしたのでありますが、目下第六回大阪国際見本市の開催中のため、不本意ながら、当委員会に出席いたしかねる旨の申し出がありましたので、申し添えます。
参考人の方々には、本日は御多忙のところ、本委員会に御出席いただき、ありがとうございます。どうぞ忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。
議事の順序は、まず参考人谷口久次郎君から、両案についての御意見を承り、御意見の開陳が終わりましたる後、三名の参考人及び政府当局に質疑を行ないます。
それでは、谷口参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/1
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002・谷口久次郎
○谷口参考人 本日、参考人として陳述を申し上げる機会を与えていただきましたことは、まことに喜ばしいことと存じます。
河川法の問題につきましては、河川は、御承知のとおり、流水に関係がございますし、また、この流水は県民生活に非常に密着もしておりますので、その水位が大なる変動を来たさぬということを前提として、われわれは河川法に賛意を表しておる次第でございます。
なお、琵琶湖と、これに流入するいわゆる準要河川等につきましても、同じような一環の関係がございますので、この流入いたしまする河川につきましても、同様、河川法の適用を受けられるようにしていただきたい、こういうことをわれわれは念願をしておる次第でございます。
それらの関係もございまして、河川法については、ともかく水位について十分な考慮を払うていただくということを前提とし、また法の中にも、そのことはしるされておりますので、われわれはこの河川法に対しては賛成である、こういう態度をとっておる次第でございます。
次に、琵琶湖の水資源の問題でございますが、これは下流に何と申しましても大きな都市が展開されておりまして、この京阪神という地帯の今後は、どうしても人口は一千万人に達するだろう、われわれはそういう予想をしておるのであります。その上に、近ごろは各海面の埋め立てがどんどん進行されておりますし、また工場等の設置もどんどんと進められておりますので、今後の淀川水系による水需要というものは非常に大きくなってくるだろうとわれわれは解釈しております。ところが、いまの場合、いわゆる放流の合理化ということがまだ十分に行なわれておりませんので、放流も合理化して、永遠に下流の必要量を満たしていきたいということと、それに伴って何と申しましても、琵琶湖は海抜八十五メートル六十一センチ四というところに位しており、その水位の中に滋賀県民が生活しておりますので、その水位が大なる変動を来たすと、県民生活の上に大きな影響を来たすということであります。たとえば一昨年の渇水のときにも、水位がマイナス七十センチということで、七十センチをこえるという事態になってまいりますと、もう船が動かぬとか、あるいは井戸水がかれてしまって、つるべなわを足さねばならぬとか、その他、漁業方面やあらゆる方面に響響を来たして、県民から相当苦情が出た。それでわれわれは常に八十五メートル六十一センチ四という水位を基準にしまして、それより高くなっても、三十センチまではしんぼうできるけれども、これをこえると県民生活に非常に影響をする。また、これが低くなった場合でも、五十センチをこえてはならぬということで、冬季放流によって、五十センチを絶対こえてもらっては困る、という県民の声が昨年末から非常に強かったのであります。これに対しても、われわれは相当強い態度をもって臨んできたということであります。しかしながら、いま申し上げましたように、これからも琵琶湖の水位を守っていこうということになると、下流の需要を満たす上からいって非常に困難性があるということ、これにはどうしても年間放流する五十三億トンの水を有効に使う方法を講じていただかぬ以上、守り切れるものではない。下流を守らずして、琵琶湖のみを守ろうということは無理であるという観点に立って、われわれは常にいろいろのことを考えておる次第であります。ところが、御承知のとおり、いま淀川の水は極度に汚染されておりますために、琵琶湖の秒間八十八トン五という水を洗浄用に使っておるという状況なのであります。ところが、昔は京都から出てまいりました水はそう汚染されてはおりませんでしたが、今日はどうかと申しますと、京都のし尿は、滋賀県の農民が常に肥車を持って取りに行って、全部が肥料として使われるということのために、汚染されておる点が非常に少なくて済んだのでありますが、今日は御承知のとおり、化学肥料が発達をいたしまして、そんなところにわざわざし尿を取りに行かずとも、一握りの化学肥料によってこれが満たされるという時代がまいりましたので、現在では、京都に滋賀県の農民がし尿をくみ取りに行くということはほとんどなくなって、一台の肥車にも途中で会わぬという状況になってまいりましたので、近ごろ極度に淀川が汚染されてまいりましたということになったわけであります。私は、この状況をほっておいたら、将来は、下流の需要を満たし、工業用水とし、あるいは飲料水として満たしていくことは、どうしても不可能である。下流の需要を満たさないということになったならば、必然的に琵琶湖の水位を保つことはできぬようになるので、何らかの方法を講じていかなければならぬというようなことから、最近提唱しておりますのは、別の水路をつくるか、パイプで水を送るかして、その途中において汚染されるということを絶対に避けていく方法をとらぬ限りは、これは永久の方策はないというようなことからパイプ送水という、秒間二十トンの水をそれで送ろうということを提唱しておる次第なんであります。ところが下流のほうは、そのことに対しても、まあまあいけようというようなことで、あまり反響がないので、われわれはやはりこの際永久の方法を考えるべきであると思っておるのと、下流のほうがそれに対して非常に関心が薄いということを非常に遺憾に思います。この状態で進むならば、あるいは四、五年の後か、あるいは十年の後か、そのことは予測はできませんけれども、将来必然的に、下流は水のために非常な発展が阻害されるという事態が起こってくるであろうし、またせっかく埋め立てを行なった地帯でも、水需要が満たされないということになるであろうということを非常に心配しておる次第であります。これにはやはり淀川の水に依存することなくして、別の水路をつくって、下流の需要に対し、きれいな水をどこまでも流していくという方法以外にはないというようなことから、われわれはそういうことを考えて、いわゆるパイプ送水によってまず二十トンの水を送ろうではないかということを提唱しておる次第でありますが、二十トンの水ということになれば、すぐに起こってくる問題は、それはワク内でよこすのかワク外でよこすのかということは常に問題になるのであります。われわれはいまのところ、それはワク外でやると解釈しておるのでありますが、そんな小さな問題で将来の問題を解決することはできない。これはあくまでも八十八トンも洗浄用に使われているという淀川の水をそれらと合わせて、その途上においてよごされる水を別の方法によって外海へ流していくか、あるいは琵琶湖の水を合理化して別の水路によって流すか、どちらかの方法によらぬ限りは、永久の水需要を満たすことは不可能であるというふうにわれわれは解釈をして、永久の策としては、二十トンというようなことでなくて、淀川に流れておる水をもっと減らして、他の方法によって需要を満たしていくということ以外には道はないであろう、こんなふうにわれわれは考えております。その前提として、とりあえず二十トンの水を別のパイプ送水でやって、下流のいま切迫せる問題――昨年の冬季放流あたりは実に悲痛なものがあったのであります。しかしわれわれはこの琵琶湖の水位は八十五メートル六十一センチ四というものにプラス三十センチということになると、すでにもうこれによって滋賀県民は被害を受ける。それがマイナス五十一センチになると、また同様に船も動かず、漁業にも影響し、あるいは農業用の水にも影響する。一昨年の被害のときには、ちょうど農業の最盛期ではなかったために、農業用水の問題は起こらなかったのであります。ところが、これが農業の最盛期であったならば、たいへんな大きな問題に発展するおそれがあったと思うのであります。そういう関係もありますので、われわれはできる限りしんぼうしていこう、少々の無理があってもしんほうをしなければならぬ。下流の、日本の二大拠点といわれるような工業が発展しておるところ、それが水のためにもしも行き詰まりを生ずるというようなことになると、これは非常に大きな問題である、そういう責任をわれわれは感じておりますので、これはあくまでも何らかの方法によって満たしていく方法を講じていただいて、そして将来にわたっての水の需要を――何といっても、年間五十三億トンというような水を流しておる以上は、これが水不足を訴えるということは、放水の合理化がはかられていないために、この支障が起こるのであって、これを合理化していく、そして流すということであれば、永久にわたって、この上流、下流とも、絶対に不都合を来たすようなことはないだろう、このような解釈に立っておりますので、いまわれわれの考え方は、そういう方向によって今後解決をすべきものである、こう考えておる次第なんであります。
以上のような考えで進んでおることを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/2
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003・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 以上で、参考人谷口久次郎君の御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/3
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004・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。西村関一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/4
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005・西村関一
○西村(関)委員 ただいま、谷口参考人から、滋賀県知事としてのお立場からの御意見の開陳がございましたが、二、三の点についてお伺いをいたしたいと思います。
一つは、秒間二十トンの水を、別の水路もしくはパイプによって、下流の大阪方面の京阪神に流していこう、こういうお考えでございますが、これと琵琶湖の水位との関係、その調節、つまり、渇水時においてもこれだけの水を流すことができるかどうか、というような点については、どういうお考えをお持ちになっておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/5
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006・谷口久次郎
○谷口参考人 われわれも、ほんとうを蓄えば、二十トンの水を確保するということについては、非常に不安を感じておるということなんであります。しかしながら、二十トンの水なれば、いろいろの状況から判断して、確保できる、こう思っておる次第なんであります。これはやはり琵琶湖の水位というものに多少の影響を来たす。これで滋賀県としていま影響のない水としますれば、これは三十センチにマイナスの五十センチ、いわゆる八十センチというものが、滋賀県民にも影響のない水位なのであります。八十センチといいますと、ちょうど五億六千万トンの水があるということ、いわゆる一センチの高低によって七百万トンという水が生ずるということであります。八十センチといえば、五億六千万トンという水があるのである。それを南郷の洗せきの操作その他によって、うまくこれを利用するということになれば、二十トンの水は必ず確保できる、こういう考えに立って二十トンの水はワク外としてお引き受けしてよい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/6
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007・西村関一
○西村(関)委員 いまの参考人のお考えにつきまして、建設省とのお話し合いがどの程度できておりますか。あるいはまた、きょうは水資源開発公団総裁もおいでになっておられますが、その方面との打ち合わせと申しますか、あるいはまた、経済企画庁の資源局あたりとの御連絡、そういう方面のことはどのようになしておいでになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/7
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008・谷口久次郎
○谷口参考人 いまお尋ねの点につきましては、どちらかといいますと、滋賀県はそういう考えには立っておりますけれども、各関係方面との意見の十分なる調整はできておりません。いまの場合は、まだ間接的にいろいろお話を申し上げるとか、また場合によっては、地建のほうと話をするとかいうことはしばしばやっておりますけれども、その場合にはどうするかという確定的な線までは出ていないというのが、現在までの事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/8
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009・西村関一
○西村(関)委員 近い将来において、いまの谷口参考人の御見解を実現に移していこうという場合に、さきに私がお尋ねいたしたような各関係方面との意見の調整、あるいはその関係当局の持っておられる科学的な資料等と突き合わせて、これが計画の実現にさらに具体的に前進していく、そういう運びをなさる御用意をお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/9
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010・谷口久次郎
○谷口参考人 いま御意見のとおり、これがもう少し具体化してまいりますと、この点は各方面と十分な協議を遂げて、どうやるのだという線を出さねばならぬと思うておりますが、しかしながら、先ほども申し上げましたように、下流のほうが比較的これに対して関心が薄いというようなことで、われわれはまだ切実感というものが出てまいりませんので、その点が多少おろそかにはなっておりますけれども、もっと下流との話し合い等が切迫感を持つというようなことになりますと、われわれもその点について十分な協議を遂げていきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/10
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011・西村関一
○西村(関)委員 琵琶湖の水の問題は、近畿圏の整備開発の問題と重要な関連があると思うのでございますが、滋賀県もその近畿圏整備の中の一つの地域といたしまして、この近畿圏整備法によりますところの近畿圏整備本部等との十分な御連絡があってしかるべきだと思うのであります。近畿圏整備本部としても、琵琶湖の水の問題を軽視しては、その本来の働きを全うすることができないと思うのでありますが、積極的に整備本部とお話し合いになって、下流地帯の反応があまりないというようなことの原因はどういう点にあるか、あるいはまた整備本部としての考えはどうであるかというような点等の、もう少し詰めたお話し合いをなさるのが必要ではなかろうか、その点についてどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/11
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012・谷口久次郎
○谷口参考人 いまお話しの点は、われわれもかねがね考えております。しかしながら、水の問題につきましては、近畿圏整備関係の会長をしておられます河野さんには、しばしばわれわれの意見は申し上げております。審議会において、私は水の問題について発言をするということまでいっておりません。また、下流のこれに対する覚悟もきまっていないので、あの審議会に申し上げても、何か一方的な感じになりますので、もうしばらく機運が熟したら、審議会で十分に私の意見を申し述べたいとは思っていまするけれども、もういまの場合、そういうようなことを待たずに、次の審議会あたりがあったら、やはりこの問題を強く発言をして、各方面の理解を得るということにつとめていかねばならぬのではないか、そんなふうに考えておりますので、次の機会あたりには、十分この点についてお話を申し上げて、下流の人々らの理解を求めていくという方向をとりたい、いまのところそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/12
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013・西村関一
○西村(関)委員 目下本委員会におきまして審議中でございます河川法に対しまして、谷口参考人はどういう御見解と申しましょうか、御要望をお持ちになっていらっしゃいますか。特に、ただいまの琵琶湖の水と関係をいたしまして、水系主義をとろうといたしております現在のこの法案については重要な関連があると思うのでございますが、淀川水系の一環としての琵琶湖の水という点に対しまして、この法案の審議にあたって、谷口参考人のこの法案に対する御見解、あるいは御要望等を、この際お伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/13
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014・谷口久次郎
○谷口参考人 河川法に関しましては、われわれ全国の知事会等では、しばしば反対の意見も出ておるわけなんでありますが、琴琵湖はああいう特殊な関係があって、ただ水位のみが問題である。それで私は常に、琵琶湖の場合は、水利権というよりもむしろ水位権といったほうが適当でないかというようなことで、学者あたりにもそういう意見を常に申し述べておるのでありますが、学者の意見も、この場合はなるほど水位権と言ってもしかるべきものであろうというようなことも言っておられます。それで、先ほど申し上げましたように、河川法については、あくまでも水位をどうして保全していくか、滋賀県民に被害を及ぼさぬような考慮を払ってもらいたいということは、われわれとしては非常に重要な問題になっております。ところが、河川法の中には、そのことについて、やはりわれわれの多少安心のできるような規定が示されておる。かりに南郷の洗せきの操作については、知事と協議をし、知事の意見を聞くというようなことが示されておることは、いままでかつてないことであります。いままでは、南郷の洗せきについていかなる操作をされても、知事はこれに対して発言をするということは許されていなかったのであります。今度の河川法り機会に、知事の意見を聞く、協議をするということが示されておる以上は、われわれは、これによって十分県民の意のあるところを発言する機会を与えられる、これはいままでより一つの進歩である、こう思っておりますので、基本的には、その点はわれわれが賛成をしておるという一つの理由なんであります。
なお、それに伴って希望を申し上げますと、琵琶湖の水と水位というものと、それから各河川――琵琶湖へは大体大小合わせて三百何十という川が流れ込んでおりまするが、その中の重要な、いわゆる準用河川といわれるものは、常に、その水の利用については琵琶湖と一環性を持っておるということで、これを別々になすということでは困るので、この河川法の適用は、あくまでも準用河川にも適用していただきたい、こういうふうにわれわれは望んでおる次第なんでありまして、この点も十分に考慮をしてもらえるもの、かように存じておる次第なのであります。そういう点は事務的にもよく検討をして、それぞれの方面へわれわれの意のあるところを折衝をし、また申し上げてもおりまするので、こうした点は十分に考慮をされるものとして、われわれはこの問題では賛意を表する、こういうことになったわけなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/14
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015・西村関一
○西村(関)委員 ただいま谷口参考人のほうから、この河川法にございますところの河川管理施設の操作規則、法の第十四条等について御意見があり、また、知事の意見を聞くことになっておるという点については、従来の、現行の法律と比べて非常な進歩だ、こういう御意見が述べられております。また、河川の指定にあたっても、やはり琵琶湖に注いでおいところの従来の準用河川の取り扱いを受けておった河川についても、同等の一級河川としての取り扱いをしてもらいたい、そういうような御要望、御意見であったように思うのでございますが、この一級河川の指定と一級河川の管理につきましては、一級河川の管理は、法案によりますと、建設大臣がやるということになっております。この点に対しまして、谷口参考人のお立場からは、何か御意見がおありでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/15
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016・谷口久次郎
○谷口参考人 その点につきましては、滋賀県の要望事項というものを建設省のほうへ出しまして、滋賀県は河川法についてこういうことを要望しておるのであるということを多々申し上げておりますので、言わんとするところは、あのいわゆる要望書に大小あげて掲げられておりまするが、これについて、事務的な御意見、回答のようなものもいろいろ示されておりますので、私は、いまの段階においては、まずだいじょうぶである、こういうふうに解釈をしておる次第なのであります。そのなには持ってきておりますが、また、ことに西村さんとは、県内の、これからしばしばお会いすることで、滋賀県はどういうことを言うておるかということをここで申し上げると、だいぶ長いことになりますので、そのことは、また個人的に申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/16
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017・西村関一
○西村(関)委員 ここは、御承知のとおり、衆議院の建設委員会という権威ある審議の場でございます。個人的な御見解を承る場はまた別にあると思うのでございます。わざわざ遠路参考人として本委員会においでをいただいたのでございますから、せっかくの機会でございますから、ただ本省との話し合いとか、あるいは個人的なだれかれとの話し合いとかというようなことで、まあ滋賀県の要望しているところはほぼだいじょうぶだ、といったような安易なお考えにならないで、この権威のある委員会の場において、滋賀県としては特にどういう点を要望したい、委員会の審議にあたって、こういう点をひとつ考慮してもらいたい、こういう点を、こまかい事務的なことはともかくといたしまして、私がちょっと申し上げておりますような、河川の指定、河川の管理等につきまして、これは、もし一級河川が全部、従来の準用河川が建設大臣の管理のもとに置かれるということになると、滋賀県の行政の上にもいろいろな支障や問題が起こるという点があろうかと思いますので、あえてこの機会に、はっきり滋賀県の立場を、この委員会にお述べをいただきたい。このことは滋賀県の問題だけじゃなしに、やはり同じような状況のもとにある他府県の場合にも関係があることだと思いますから、この際はっきり、谷口参考人から、おもな点だけをお述べおきいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/17
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018・谷口久次郎
○谷口参考人 実はその問題がわれわれが一番心配をしておることでございまして、琵琶湖の関係、あるいは準用河川の管理というような面は、非常に大きな問題でございます。滋賀県では、年間大体五千余件をこれによって扱っておるわけであります。そしてこの扱いは、滋賀県民または琵琶湖の実情を尽くしたものがやることでないと、県民に満足を与えることができぬというような関係がありますので、それらに関するいわゆる管理は、滋賀県知事に一任をしてもらいたい、こういうことを申し入れをしておるわけなんであります。事実上、これが国において管理されるということになると、県民のこれによって受けておる影響というものの実情を尽くすことはできない。これはあくまでも河川法によって、そして建設大臣に移管された場合でも、この管理の実際の仕事は滋賀県知事に委任してもらうのでないと、ほんとうの仕事はできぬであろうというようなことから、これをあげて知事に一任してもらいたい、こういうような申し入れをしておりますが、もしそういうことになれば、あらゆる仕事に対して実情を尽くしてやっていくことができる、こういうふうに思っておりますので、その点は相当理解を持ってもろうておるのではないか、こんな予測をしておるわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/18
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019・西村関一
○西村(関)委員 琵琶湖並びに琵琶湖に注がれております河川は、滋賀県民に重要な関係があって、そのこまかいところまでよくわきまえているところの滋賀県知事に、この河川の管理を委任してもらいたい、そうでないと円滑な管理が行なわれないということでありますが、確かに滋賀県民の生活に密着しておる琵琶湖並びにその関係河川の問題につきましては、事の大小を問わず、滋賀県知事の考えが強く反映しないと、十分な管理が行なわれないということであります。具体的にどういう点が一番大きな関係を持っておるかという点でありますが、たとえば内水面の漁業の問題もありましょうし、あるいは土地の占用とか工作物の設置の問題でありますとか、水面の使用とか、砂利の採取とかいうような問題があろうかと思いますが、特に滋賀県知事としてのお立場から、谷口参考人は、どういう点から、ぜひとも管理の委任をしてもらいたいということを強く要望なさいますか。この点につきまして、よくわかっておることだと思いますけれども、せっかくの機会でございますから、直接知事さんのほうから、この委員会に御見解を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/19
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020・谷口久次郎
○谷口参考人 いま西村さんからお尋ねの件でありますが、これを詳細に申し上げますと非常にたくさん事項があるのであります。ところが、やはり水利権の問題がおもなものになってまいりますので、たとえばいまお話しのように、砂利の採取ということと、それからその川をせきとめて用水を満たしておるという農業用水にしても、あるいはまたその他の用水にしましても、それを一々国においてやられるということになってまいりますると、実情に沿わぬ点が非常に多い。県内でやっておりましても、近ごろ砂利の採取がほとんど制限外の採取をやっておるというような状況にありますので、非常に各方面は苦しい。これからは、やはり琵琶湖の周辺の用水を満たすということになってまいりますと、琵琶湖の水を利用して、そして逆水をして、いわゆる飲料水にしましても、工業用水にしましても、農業用水にしましても、あらゆる用水はそれによって満たさなければならぬということなのであります。しかしながらこの琵琶湖の水は、途上において多少使いましても、みな琵琶湖に還元されてくるということになることは間違いのない事実なのであります。その点につきましては、かりにいままではほとんどため水を使うとか、あるいはそこらを流れておる川を利用して飲料水などに使っておりますが、近ごろはそれではならぬということで、簡易水道をやるとか、あるいは上水道をやるとかいうようなことが各方面から起こっております。それらのことを実情に即してやるということになると、やはり県において取り扱うということが実情に即するものである。いま起こっておりますものは、大体そういう水利関係のこと、それから漁業の問題、たとえば水利の問題にしましても湖魚の産卵地を大切にして、いわゆる産卵地帯に水のないようなことをしてはいかぬというようなことから、産卵期あたりには十分な水を貯わえておかなければならぬとかいうような、いろいろな問題がありまして、それら一つ一つを年間扱う件数は五千余件にもなるというふうな複雑な関係がありますので、これらを実情を尽くさずにやってもらうということになると、この受ける被害というものは非常に大きいということになりますので、これらをあげて滋賀県に一任をしてもらう、委任をしてもらう、そして一番滋賀県において実情に即した取り扱いをしていこう、こういうことになっておるのでありますが、いまいろいろお話しになりましたことは、これも申し上げているとだいぶ時間もとりますし、おもなるものは、読み上げるとだいぶ長くなりますし、福祉の関係にも影響しますし、それから農業にも関係し、工業にも関係し、県民生活の上に非常に至大な関係があるというようなことから、それらのものを拾い上げますとずいぶん多数にのぼりますので、これらは一々詳細に、どれ一つ残されたものがないということを十分に研究をしてやっておるということなんであります。これに対して、大体事務当局あたりからは、考え方というものは承っております。それらの事項を承っておりますと、大体において間違いがない、こういうふうにわれわれは解釈をしております。その辺でひとつ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/20
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021・西村関一
○西村(関)委員 御承知のとおり、本法案のねらいは、一級河川を建設大臣の管理のもとに置くというところにあるのでありまして、これは広域行政の立場から、従来の区画主義ではなくて、水系主義をとっておる。淀川水系一貫として建設大臣が管理をする、こういうところにこの法案のねらいがあるのでありまして、従来は上流県の知事が管理権を持っておって、水を下流に流す点についても何らかの制約をしようというときには、下流のほうはどうにもならなかったのを、一貫して建設大臣がこれを管理するというところにこの法案のねらいがあるわけでございますから、いま滋賀県の立場から、上流県の立場から、いろいろ述べられた点について、もっともだと思うのでございますが、法案のねらうところとはかなり矛盾するところができてくる。私は、滋賀県の立場からは、なおいま谷口参考人も言われましたようなぐあいに楽観することもできない問題が、下流の方面からやっぱりあると思うのでございます。これが本法案のねらいでございますから、いま谷口さんの言われましたようなぐあいに、そう簡単に煮詰まるものではない。法案のたてまえから言うと、なかなかそうはいかない性質を持っておる、ということを頭においてお考えをいただかなければならないと思うのでございます。やはり国が一貫的に管理する水資源の高度利用、総合利用という、水に対する広域行政のあらわれとして、この法案がこの国会に出ておるのでございまして、そういう点から、いわばこれは下流本位の法案であるということも言える。利水よりはむしろ治水の立場に立って、利水の面から言うならば、上流地帯よりは下流地帯の治水を高度に、これを重点的に考えておるところの法案だということが言えるのでございます。でありますから、そういう点と、いま谷口参考人の言われましたような、上流の滋賀県の立場とどのように調和していくことができるかというところに、われわれも、法案の審議に当たっている者といたしましては、十分な配慮をしていかなければならない点があると思うのでございます。そういう点から、この法案が水系主義をとっているけれども、区画主義というものも認めており、どちらかといえば並存しているというふうに私は考えるのでございますから、そういう点からも、上流の立場が強くこの法案の審議に反映するように、そうしてまたこの法案が成立をいたしますまでの過程において、そういう上流の地帯の立場、特にいま谷口参考人の述べられました慣行水利権の問題というような点が阻害されないような配慮を、国においてはしてもらわなければならない。水利権を新たに取得いたします場合において、従来の農業用水等において占めておりました慣行水利権というものが制約をされる、阻害されるというようなことのないようにしないというと――公益の大なるものという考え方に立って、公益性の比較的小さなものを犠牲にして、行政が行なわれるというようなことがないようにしていかなければならない点が、この法案の中にやはりあるというふうに私は考えておるのでございまして、そういう点からも、本日谷口参考人のお述べになりました御見解は、われわれとしても審議の上に十分参考にして、今後のこの法案の審議に当たっていかなければならないと思うのでございます。
なお、それに続きましてお尋ねをいたしたいと思いますが、そのことは、工事の実施基本事項についてでございますが、二級河川におきましては、二つの府県にまたがっている場合におきましては、各関係都道府県の知事の意見を聞くということになっているわけでございますけれども、一級河川においても、やはり工事の実施基本事項につきましては、関係府県の知事の意見を聞くというふうにしなければいけないのじゃないかというふうにも考えられますが、その点について、滋賀県知事としての立場からのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/21
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022・谷口久次郎
○谷口参考人 いろいろお話がありましたが、いろいろの工事を行なうということになりますと、これは雨天な関係がありますので、われわれが一番痛感しているのはその点なのであります。いまの水資源の問題といいますと、水の足らぬことばかりを心配しているということなんであります。ところが、われわれの一番心配するのは、いわゆる治水計画、洪水のときにどうなるかということ、これば琵琶湖としては一番大きな影響を来たすということであります。たとえば堅田締め切り案というもの、年間五十四億トンという水を、水のたくさんのときにためておいて、必要なときに流し出すというために、琵琶湖の水の平均化をはかるために、あの堅田締め切り案ということは構想されておりますが、私はこれあたりは、洪水の実情を知らぬ人の考え方であると常々言うておるのであります。近ごろ集中降雨がありますと、実情から申しますと、十分とたたぬうちに隣へ行けぬようになるのが洪水の状態であります。これがあげて琵琶湖へみな流れ込むということになりますので、琵琶湖の水位の向上は実にすばらしいものがある。このときに堅田に締め切りをやるというようなことを考えてもろうておったら、洪水のときにどうなるのか、いまの場合は、水不足ばかりを水資源の問題と考えて非常に重視をしておりますけれども、洪水のときに受ける県民の被害ということに対しては何らの考慮を払われておらぬ、この点を私は非常に遺憾に思うておるのでありまして、あの堅田締め切り案ということには、われわれはよほどの研究をしなければ賛成することはできない、こう思うておる次第なんであります。昔は瀬田川の下流が非常に高かったためにこの岩礁を掘さくをして、いまは水の流れがよくなりました。そうした心配は非常に薄れたのではありますけれども、しかしいざ洪水ということになると、昔から水の出盛りということを申しますが、水の出盛りほど全くどうにもならぬ、防ぎようのないものはないのでありますが、これが琵琶湖という貯水池へみな流れ込んで、琵琶湖の水位でも、きのうあたりもプラス二十二センチというようなものが出ておるということで、少し雨が降るとすぐに水位が上がってくるということであります。いわゆる集中豪雨が襲来する、このときの県民の受ける被害ということがちっともいま心配されておらぬということであります。われわれはこの間も水政審議会を開いた。みなあの明治二十九年の洪水のことは知っている人はあるまい、私一人より知らぬだろうが、あのときの状態あたりは、私の村では、四キロほど離れたところと浜べとは、ちょうど屋根のむねと平地と平均するくらいの落差があるのであります。ところが下のほうがつかえてくると、水というものは全くさばきがつかぬということで、役場を上流のほうへ持ってきましたけれども、これも村長のいる村でなかったら一寸も動くことができぬというようなことで、村長のいる村へ持っていって村会を開いたというような事実があります。いまの場合は豪雨というものもありますけれども、局部的な豪雨でありますが、これが全県的な豪雨が襲来したら、それこそプラス三十センチというものが五十センチになると、すでに水田に浸水を来たす、これが一メートルということになってきますと、床下浸水が床上浸水になってきて、あの明治二十九年では、ついにみなひさしまで水につかって、家が流れてしまうというおそれがあったのであります。このことについてはいまの時代には一向心配してない。河川法を考えてみても、水の足らぬことを、どうして上流と下流との間の調整ができるかということが主になっております。でわれわれは、やはり河川法では、利水にしましても、分断されておることはいかぬ、これはあくまでも一つの管轄のもとに置かるべきであるということから、賛成はしておりますけれども、治水方面になりますと、これが十分に実情に即してやっていただけるのかどうかということを非常に心配しておる次第であります。われわれは、いわゆる洪水時における琵琶湖をどうするかという問題については、あくまでも深刻に考えておるということであります。その点については今後の工事等についても、国でやられる場合でも、あくまでもやはり滋賀県民の納得のいく工事でないとやってもらってはいかぬ、こう思うております。そして工事を行なう場合は、それの管理権はわれわれにあるんだというて、国が独走してもらうようなことになったらたいへんなことになる、こう思うておりますので、それらはやはり滋賀県知事とよく相談してやってもらうということをたてまえとして、これはあくまでもわれわれは強い要求として申し上げたい、こう思うておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/22
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023・丹羽喬四郎
○丹羽委員 岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/23
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024・岡本隆一
○岡本委員 ただいま西村委員から、いろいろお尋ねしたいと思っておりますことをだいぶ聞いていただきましたので、補足的にお尋ねいたしたいと思います。
いま、知事さんから、パイプ案のお話を承りました。パイプ案につきましては、私は下流に住んでおりますので、相当深い関心を持っております。秒三十トンの水を淀川から別に持っていかれるということになってまいりまして、非常な渇水が琵琶湖に生じた場合、たとえば昨年一月三日、最低マイナス八十五センチというような事態になっておりますが、こういう非常に強い渇水が起こった場合に、淀川の維持用水というものがはたしてどうなるのだろうか、こういう点を私どもは心配いたしております。秒二十トンずつ大阪へ流しているんだから、こんなに渇水になったのではとても維持用水は流せない、だから洗ぜきを締めてくれ、こういう強い要求が、かりに滋賀県側からありとした場合、もしそういうことになりますと、淀川の維持用水はなくなります。そういたしますと、汚染の問題だけでなしに、今度は淀川の沿岸の両側の非常に強い渇水が出てまいりまして、井戸水はかれてまいるでありましょうし、ことに私の住んでおります伏見の町は酒どころでございます。冬季に渇水時でございますから、ちょうど酒の仕込み時期でございますが、その酒のための水がなくなるということも出てくるわけであります。だから滋賀県のほうでこのパイプ案を進められる場合に、いかなる場合があっても維持用水は引き続き流すんだ、現状より減らさないんだ、こういうはっきりとした意思表明がない限り、この問題には、下流の住民としては賛成するわけにまいらない、こういうことになるのでございますが、滋賀県側としてはいかなる御見解を持っておられるのか、この点を特にはっきりさせていただいておきたいと私は思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/24
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025・谷口久次郎
○谷口参考人 いまの御意見、まことにごもっともであると思います。私が申し上げております、パイプ送水によって二十トンの水を送るということは、最初に申し上げましたように、根本的の解決にはならぬという案をいま提唱しておるということであります。これもほんとうに永久にわたっての解決をしようということになれば、汚染される水を別途に外海へ流す、あるいは琵琶湖の水の大勢を別の水路によって流すというようなことが必要になってくることは当然であろうと思いますが、いまの場合、まだ事態がそこまでに至らぬのに、そういうことを申し上げても、実際は実現不可能であろうというようなことで、まず二十トンという水ならば、滋賀県の貯水量の水位の操作によってこれを満たすことはできるからということで、二十トンということを提唱しておるのであります。ところが、これもわれわれ、前途を考えてみると、決して根本的解決ではないと思われる次第なんであります。むろん淀川は農業用水もありましょうし、またいまお話しのように、飲料水に使われておるということでありますので、それらの問題ももっと大きく解決しようとすれば、根本的解決には、京都の汚水を別途に流し、あるいはまたその途中において起こる工業の汚染された水であるとかいうようなものも、別途に外海へ流してしもうて、淀川は琵琶湖の水ばかり流していくということにすれば、根本的の解決ではありますけれども、これは言うても非常にむずかしいことでなかろうか。それよりも、まずいわゆる淀川の八十八トンというものが浄化用に使われてはおりますけれども、その水をなるべく減らして、そして三十トンでも四十トンでも流していくという方法にすれば、これは相当の長い命脈を持った解決策になるんじゃなかろうか。この点は技術とともにあわせてあることであって、われわれは技術的に十分の自信を持つことはできぬのでありますけれども、遠い将来ということになってくると、もっとこの点をはっきりと割り切って、八十八トンというような水がいわゆる浄化用に使われ、洗浄用に使われるというような不合理な流し方をやっているということでは、永久の策にはならぬと思われます。もう少しその点を割り切って、そしてこの大量の水を別途に流す。下流の水の需要を満たし、またその途中の水も満たせるというような水量を別途に流していくということにしなければ、ほんとうの解決策にはならぬ、こうわれわれ考えておる次第なんであります。いま申し上げますことは、永久の策として、われわれは自信を持つというところまではいっていないということも事実であります。これは二十トンの水で十分であるという、これも主として工業用水等が、やはり冷たい水が必要であるということがよくいわれておりますが、工業用あたりには琵琶湖の水を流すというようなこと、そういうようなことになったら非常に役立つのではなかろうか。そう思うておることでありまして、その点については、私は、いま申し上げているパイプ送水という問題は、滋賀県の問題ではないぞ、これはあげて下流の問題である、下流の責任において考えるべき問題である、何も滋賀県はそんなことまで心配することは要らぬ、琵琶湖の水位を見守って、そうして流してさえいたらそれでいいのではないか、こういうことを私はいつでも言うておるのであります。その点は、下流においてどうすべきかということは、あげて下流の問題であって、滋賀県はよそのせん気を頭痛に病んでおるような話だと思うております。その点は下流においてよく御検討願いたい、こう思うております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/25
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026・岡本隆一
○岡本委員 先ほどからのお話によりますと、パイプ送水の問題については、もう一つ下流のほうに熱意が足らない。京都府としては、維持用水さえ満たされるなれば、パイプは通っていただいてもかまわぬという考え方を私どもは持っておる。ほしいのは大阪なんです。ところが、その大阪のほうが、どうやら笛吹けど踊らずというふうな形のように承れるのでございますが、これに要するところの費用が二百三十億と承っております、それだけの資本を投下することによりまして、かりに淀川の水を浄化することができますなれば、あえて新たにパイプを布設する必要がない、こういう考え方も出てくるわけでございます。いま知事さんは、京都のし尿でよごれるのだというふうなお説、まことに京都としては御迷惑をかけて相すまないと思うのです。しかしながら、これは単にし尿だけじゃないのです。京都にはすでにし尿処理施設もつくっておりますし、京都としては、できるだけそういうふうな汚水を流さないように努力はいたしております。しかしながら、御承知のように、京都は染色の町でございます。染料をたくさん使いますから、まっ黒な水が流れます。むしろし尿というよりも、京都が染色の町であるということ、そういうふうな特性があって、淀川の水が、三川合流地点から桂川が入っていく側のほうは両岸で色が変わっておるということを承りますが、そればやはりそういう町の性格によるのだと思うのです。だから京都市としても、この工場の汚水の問題については、非常に頭を悩ましておりますし、できるだけ早くこれを解決したいと思っております。また淀川の水質汚濁のいまの法律の適用の問題につきましても、京都市としては、その解決を早くつけるように努力をいたしておるのでございます。しかしながら、何ぶん財政的な問題のために、今日まだ行き悩んでおるのです。だからもしもいま知事さんが言われるように、途中にあるところの水が、工業用水であるとか、たとえば宇治にもやはり相当な工場がありますが、宇治その他これから工業がどんどん発達いたしてまいりますから、そういうふうな水の汚染の問題さえ片づくなれば、あえて三百五十億という投資をやって、別な水路を設けて、大阪へ配水するというふうな必要はないかのように思えるのでございますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/26
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027・谷口久次郎
○谷口参考人 いまの汚水の問題、何か京都の水が良心的に流されていないというようなふうに私が言うているように思われますけれども、いまのし尿処理の問題は、全国的に、われわれ県内の小さい都市でも、これの処理ということになるとやっさもっさの騒ぎをしておるということなんであります。いわんや、百五十万といわれる京都市の汚水の処理をやれというようなことは、これは言うても不可能なことだろうと私は思うております。これはこれから将来でも、いかほど良心的に考えてみても、あのし尿処理ということは、そう十分にはなかなかいかぬであろう、こう思うておりますので、私は、相変わらず、汚染度はどちらかといえば一日一日と向くなっていくものだ、こういうふうの解釈をとっておるわけなんでありますが、これがあえて京都市がわざと流されておるとか、あるいはやるべきことを怠ってよごされるということでなしに、あれだけは、小さい、たとえ三万か五万の都市でも、もういまこれを浄化しようということになると大騒ぎで、竹やりが向かうような状態になっております。滋賀県あたりもこれに悩まされておるということであります。いわんやあれだけの大都市の水を浄化して、一滴も汚水は流さんぞというようなことは、これば言うても行なわれぬことであり、将来をながめてみると、やはりこの京都から流れ出る水は、一日一日と汚染度が強くなるのではなかろうか、こう思うておるわけであります。この点になると、私はいつでも言うておるのです。あの京都市がちょうど八十年前に、明治十八年から二十三年までかかってあの疎水を掘ったということ、これは実に卓見であった。われわれは先人の功をおろそかにしてはいかぬ。いま、ある疎水によって二十三トンの水が流れておるのでありまするが、まだあれは相当量これから増量が必要かと思いますけれども、増量するということになると、また他の下流への影響もあるということで、増量はなるべくせずにあの水でやってもらいたい、こう思うておりまするけれども、パイプ送水という、先人がやられたあの功績というものは実に偉大なもので、八十年前にあれをやられた功績はわれわれは尊重しなければならぬということで、京都の水はできる限り確保していってやらねばならぬ、こう思うておるのでありまするが、いまの汚染の面は、なかなかこれはむずかしいということで、結局はやはりわれわれが提唱しておるような方向へ進んでもらわぬと、どうしても下流の水不足は必然的に来るものだ、こんなふうに私は解釈をしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/27
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028・岡本隆一
○岡本委員 京都市の汚水の問題は、これは淀川のパイプ送水が行なわれるとか行なわれないとかということとは関係なく、早晩解決をしなければならない問題です。かりに大阪のほうへ琵琶湖から二十トンの水が直送されたと仮定いたしましても、それじゃ京都のし尿処理の問題を、川へたれ流していいかといえば、そんな問題じゃないのです。やはりこれは公衆衛生の問題からいえば、どうしてもやらなければならない。そういたしますと、パイプ送水に投じられるところの金を、むしろ中間にあるところの水の汚染の処理の問題に投じて、それによって淀川の水を、そのまま川を流していくことによって、大阪へきれいなままで届けるということができるわけです。何も新たに非常にばく大なお金をかけて、直送するところのパイプをつくらなくても、水質汚濁の問題にさえ、それだけの資金を投入するなら、それによって解決するなれば、その新たな資本を投じなくても、それで十分解決できる問題である。だからそういう意味におきましては、私は、その二百三十億という資金を、必ずしも京都市の下水処理の問題に投ぜよとは申しません。それは京都市自体としても考えてまいりましょうし、また国に格段の努力をしていただくことによって、早期に解決をするということをやらなければならないと思う。むしろ私はそういうふうな回り回ったところの間接的な方法によって大阪へ水を届けなくても、現在ある水路を利用して、そのまま水を大阪へ届ければよろしい。新たにそういうふうな資金を二百三十億投ぜられるとするならば、それ、あるいはそれ以上の金を、むしろ琵琶湖自体のその治水問題に直接投じられていくほうがりこうなのではないか、こういうふうに私は考えております。
そこで、政務次官にお尋ねいたしますけれども、この琵琶湖は非常に大きな水面でございます。淀川の問題といえば、まず何をおいても琵琶湖の問題ということになってくると思うのでございますが、この琵琶湖の水面は、これは直接大臣が管理されますのか、あるいはまた知事管理区間になりますのか。それを、ひとつ建設省の方針を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/28
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029・鴨田宗一
○鴨田政府委員 琵琶湖のほうの水面は、現在は御承知のとおり、滋賀県知事がそれぞれ管理をしておるわけでありますけれども、新河川法が施行実施になりますと、原則といたしましては、やはり大事管理ということになりまするけれども、具体的な面といたしましては、法第四条にありまするように、河川審議会の議を経てということもございまするし、現実的な問題は、推測いたしまするに、知事管理になるのではないかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/29
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030・岡本隆一
○岡本委員 水系を一貫して、しかもこれだけの大きな水面が知事管理区間になるとするなれば、私は水系を一貫したところの河川管理というものが、淀川については行なわれておらないということが言えると思うのです。だから、琵琶湖が知事管理区間になるといたしまするなれば、これほど大きな水面が、しかも淀川に、これだけ大きな問題として、きょうも特に琵琶湖の問題として取り上げなければならないほど大きな問題を打っておるところの淀川の中の琵琶湖が、知事管理区間になるといたしまするなれば、私は河川法の改正の精神は死んでしまっていると思うのです。およそナンセンスだと思うのです。また現実に知事管理区間といわれましても、いま知事からもお話がございました河川敷の使用の問題、あるいは小さな利水の問題、砂利の採取の問題、そういうような問題は、なるほど知事管理区間として、知事の管理にまかされるかもしれません。しかしながら湖水の水位をどうするか、これが琵琶湖の管理の問題の一番重要な問題です。この琵琶湖の湖水の水位をどうするかという問題については、これは洗ぜきの操作規程できまってくると思います。これは知事世理じゃないと思うのです。そうすると、知事管理区間といっても、実質的には、なかなか知事管理でないわけですね。洗ぜきの管理は、現在どおり建設大臣が直轄でやられるのであろうと思いますが、念のためにお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/30
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031・鴨田宗一
○鴨田政府委員 ただいま私の答弁いたしましたのは、先ほど来お話のありましたとおり、新法案の第四条によりまする河川審議会、並びに関係知事、議会の議を営て決定をしなければならぬということで、そこでいろいろ具体的な問題といたしましては、部分的には知事管理の面も出てくるでありましょう。しかしながら、一級河川として指定した場合におきましては、根本的な計画につきましては、大臣の権限でございますので、水利権の処分であるとか、あるいは重要基本計画の策定ということについては、やはり大臣が直接これを行なう、具体的な面の、その他の面につきましては、知事さんに管理を委任するという線が出てくるのではないか、こういうふうに思考せられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/31
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032・岡本隆一
○岡本委員 まだ建設省からいただいておらないのでございますが、知事に管理を委任する区間という問題は、これはそれぞれの河川にとって相当重要な問題であると思います。一体どういうような基準で、知事管理区間というものは設定されるのか。そのときの御都合次第で、たとえば滋賀県側から猛烈な運動があるから、だから琵琶湖は知事管理にするのだ、それから利根川の上流のどこどこの部分については知事管理にするのだ――それにはやはり流域面相だとか人口だとか、いろいろなことがあると思うのでございますが、昨年河川法が一応衆議院を通過し、ことしもこうして、昨年の修正のまま出してこられるということについては、当然その基準というものが、少なくとも骨子ができていなければならないと思うのでございますが、いかがでをざいましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/32
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033・畑谷正実
○畑谷政府委員 いまのお話でございますが、先生の御指摘のとおりに、指定の区間というものが相当問題になろうかと思います。ですが実際問題として、現在の河川法によりまして、やはり相当重要な地区にわたりましては、直轄で施行いたしまして、そのほかは県のほうにおまかせをするこういう関係から見まして、大体新河川法に乗り移る状態のときには、現在の直轄で施行しておる部分につきましては大臣の直接管理、その他は県のほうにお願いするというふうに一応発足しましたあと、その他の問題につきましては、やはりいろいろ県の事情あるいは河川の状況等によりまして、知事さんのほうと御相談の上きめていく、こういうふうな考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/33
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034・岡本隆一
○岡本委員 現在の河川法の改正が、従来は知事が河川を管理しておる。しかし昔は官選の知事だった。だから、いわばそれは政府の直轄にひとしいものであった。しかしながら敗戦後日本の地方行政の姿も変わって、地方自治というものが確立をされて、地方の首長としての知事が管理をするということになると、そういうことでは、上流、下流の統一したところの管理ができない。だからやはり河川管理というものは、上下流一貫してやるためには、知事では困る、国が直接管理しなければいかぬ、こういう精神で、河川法の改正問題が出てきたわけであります。また、最初河川法の改正ということを政府のほうも考えておられた。私どもが改正してはどうかという意見を出しましたのは、やはり上下流におけるところのいろいろな利害の摩擦、それを高い次元において解決をしなければならない。単に一地方の利害の問題だけでなしに、その流域の住民全体の問題として考えていかなければならぬ。さらにまた国全体の問題として考えていかなければならない。そういう次元において河川管理をやらなければ、ほんとうの治水もできないし、ほんとうの利水もできない、こういう考え方に立って、私どもは、河川法の改正という問題の促進のためにある程度御協力したと思うのです。ところが、従来の管理の形態のそのままを今度の新河川法に持っていくのだということになりますと、河川法改正の本来の意義というものはないにひとしいのです。しかも私は、琵琶湖というものは――琵琶湖を持っておられる滋賀県の知事さんを前にしてこういうことを申し上げるのははなはだ申しにくいのですが、しかしながら、琵琶湖の問題は高い次元において考えなければならない問題だと思うのです。だから琵琶湖を知事管理にされるとするならば、これはもうあらゆる河川を一級にする必要はないと思うのです。二級だって同じことだと思うのです。そういう意味においては、私は、今度の河川法の改正問題というものは政治的な妥協の産物になってしまっておるという点で、非常に遺憾に思うのです。こういうことになってくると、あなたのほうの方針がはっきりわかりましたから、これはお互いに意見の相違ということでございますから、私どももそのつもりで、この法案の今後の処理に当たっていくよりほかにしかたがないと思うのでございますが、一応その点だけは特に指摘をしておきたいと思います。
そこで、引き続いて知事さんにお尋ねいたしますが、洗ぜきの管理を国が持っておる。そこで勢い滋賀県側としては、下流の洪水の間は洗ぜきをびっしりと締める。これは明治時代の洗ぜきをつくられたときからの運営の方針になっておる。そのために琵琶湖沿岸は非常に洪水に悩んでこられた。これは滋賀県側にまことにお気の毒だと私どもは思っております。だから洗ぜきを締めることによってたたえられたところの水を、今度は下流が少し引いてまいりましたら、どんどん流します。そして一刻も早く無害な水位になるまで、鳥居川で〇・三メートルですか、それまで放流しちゃうわけですね。このことは無効放流を非常に多くしておると思うのです。琵琶湖の面積一センチについて七百万トンたたえ得るというふうな知事さんのお話を、前回の水資源二法の立法のときに承りました。一センチについて七百万トンとなりますと、一メートルについては七億トンですか、非常に膨大な水であります。こういうような膨大な水を、洪水のときには急いで無効放流しなければならぬということ自体が、私は日本の水資源の問題からいけば、非常に残念なことだと思う。だから、こういうようなことに対処するのにはどうすればいいのか、できるだけ滋賀県もある程度の洪水にたえられるような施設というものを考えて、〇・三メートル以上に水を抱いておられる方針というものを何か考えていただく必要があるのではないか。そうしなければ冬期の渇水は避けられない。洪水のときにはどんどん〇・三メートルまで流してしまう。今度は渇水が来たならば、維持用水は流さなければならない。そうすると滋賀県のほうは勢い非常な渇水状態になってくるわけであります。だから滋賀県の渇水を防ぐためには、やはり琵琶湖自体がある程度の水を抱き得るところの能力を持っていただかなければならないと思うのであります。したがって、そういうふうな能力を滋賀県側に持っていただくために、いまあなたがパイプ案に使おうと言っておられる二百三十億、さらにまた水資源公団としても何かお考えがあろうと思います。、だから、水資源公団が付か新たな考え、あるいは国がそれに新たな考えというふうなものを人れて、大きな資金を投入することによって、琵琶湖自体がある程度長期の洪水にたえられるし、また渇水に備えるための水を蓄えておるということができるような状態というものをつくっていただかなければ、あなたのおっしゃる長期的な対策ということにならない、こう思うのでございますが、知事さん、何かお考えがおありでしょうか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/34
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035・谷口久次郎
○谷口参考人 この点につきましては、私がさきに答弁を申し上げましたように、琵琶湖の水位いわゆる八十五メートル六一・四というゼロ点から、プラス三十センチ、マイナス五十センチというものを被害のない水位におきまして、ここには七億四千万トンという水量があるのである。これの操作によっていける。しかしこれでもなお足らぬ場合が生じてくる。われわれの考えておりますのは、これをマイナス一メールまでくらい下げても差しつかえないようにするためにはどうしたらいいかということで、これには飲料水のほうは簡易水道とか上水道とかいうような施設をなるべく早くやる、またその他の用水につきましても、みな琵琶湖から揚水したものによって満たしておるということは事実であります。この逆水の操作も、もっと根本的、積極的に進めていって、場合によってはこれがいわゆるマイナス五十センチを、場合によると一メーター下げるというようなことをやっても、県民に大なる被害を及ぼさぬように、これからやっていくべきである、こう思っておりますが、これは滋賀県民の犠牲において、下流の水を満たすために、こういう工事を滋賀県民の負担においてやるということは、滋賀県民は承知しません。いわゆる水を少々金にするということの原因がそこにあるわけであります。これは国としてやってくれるでありましょうけれども、滋賀県の思うとおりにそういうことをやっていこうとすると、相当の資金を要する。これは滋賀県民の負担においてやるべきことではない。下流の水が、いままでどおり需要が十分に満たされるということであれば、そんな操作をする必要がないのであるけれども、下流がどうしても行き詰まりを生じてきたという場合には、これも考えておかなければいかぬということで、もう少し水位を低くしてもいけるような方法を考えねばならぬ。それには、沿岸の漁業から何からあらゆる問題に関係する、港湾のしゅんせつであるとか、その他の問題に関連して、非常に広範囲にわたることである、これにはかなりの金を要するが、この金を県民に負担せしめるということであったならば、どうしても県民は承知しないであろう。これをどこに財源を求めるかということは――われわれは、いわゆる水は売りたくはない、欲の深いものだと見られることが非常にきらいだ、私は、水を売って何か金もうけをしようと思われておるが、それは大きらいなたちなんですけれども、そういうことをやろうとするならばやはり金を要する。これはパイプ送水によるものも、一トン何ぼということで金を提供してもらうわけであります。これによって工事を思う存分やっていこうということで、金のほしいという原因がそこにあるということなんです。何ももうけをしてふところを肥やそうという意思ではないということを、はっきり申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/35
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036・岡本隆一
○岡本委員 ただいまのマイナス一メートルまでという考え方は、淀川河水統制第一期工事の中にあるわけでございます。淀川河水統制第一期工事が昭和十八年に始められて、二十六年に完了したということになっております。その治水工事によりまして、従来よりもはるかに低く水面を下げることができるというふうなことを行なってきたのであります。そのために必要な、琵琶湖沿岸の渇水によるところの補償もすでに終わっておるというふうなことを、近畿地方建設局の河川管理課長藤野良幸という人の、「淀川と琵琶湖」という書物に書いておるそうであります。そのことはまた、滋賀県から出ておりますところの「琵琶湖水政問題について」という文書の中にも出ておるのでございますが、この第一期治水工事の大体の事業の内容と、それによるところの治水効果、さらにまた、いま申しましたマイナス一メートルまで琵琶湖の水は利用することができるのだ、そのために必要な措置をこの機会に行なったのだ、ということがこの文書には出ておりますが、建設省から、その点についての御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/36
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037・畑谷正実
○畑谷政府委員 いまお話しのとおりに、第一期河水統制事業で、新規の十五トンという水量につきまして、一応の琵琶湖の水源を利用するという計画のもとに進めて、これが終了しておるわけでございます。その内訳を申しますと、大阪府の工業用水が五トン、大阪府営上水道用水二・五トン、大阪市の上水道用水六トン、阪神上水道用水一・七トン、合計十五・二トンということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/37
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038・岡本隆一
○岡本委員 それだけの水を流すための統制工事をやられまして、それによって琵琶湖の常時利用の水深をマイナス一メートルまで下げるという計画が立てられ、そのために、琵琶湖の港湾であるとか、かんがいであるとか、漁業、取り水等の諸設備の補償、水位の低下に伴う井戸の補償、洗ぜきの補強、瀬田川の掘さく、大戸川のつけかえ、第一疎水取り入れ口揚水機の設置等を行なったわけでございます。そういうようなことは完了しておりますが、これは、計画は立てたけれどもまだ実施されておらないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/38
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039・畑谷正実
○畑谷政府委員 補償の問題につきましては、一応そういう算定をいたしまして、実際の金額の支払いその他は終了しておるわけでありますが、当時のものにおきましては、実際のそういう動作がずっと事実行為としてあらわれていないというようなことから、現実の面におきまして、マイナス一メートルまでの補償の金銭は出ましたけれども、実害としていろいろな問題があるというのが現状でございます。そういう点から、滋賀県としても、いろいろなそれに対する実害をどうするのだという問題がいま起こっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/39
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040・岡本隆一
○岡本委員 現実に十五・二トンという水は下に流すことになっておる。そうしますと、そのために渇水が起こってまいります。そうしてまた、下に水を供給したために、昨年の一月のような異常渇水が起こって、琵琶湖沿岸の住民は非常に困っておる。ところが、それに対する補償措置は何ら講ぜられておらない、こういうことのように承るのでございますが、実際的には、国の方針として、下流の水の供給という大計画を立てられ、それを実施に移しておられる。しかも、それに伴うところのマイナス面については、滋賀県のめんどうは一向見ておらない、こういうことのおことばのように聞こえますが、その間の事情はどうなっておるのでしょうか。滋賀県の知事さんから、その間の事情を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/40
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041・谷口久次郎
○谷口参考人 ことしの冬季放流をやったときは、ずいぶん深刻なものがあったわけであります。それで、下流のほうは相当水不足を訴えられたのでありますけれども、いまの状態において、五十センチを割るということになると非常な実害が出てくるということで、われわれはがんとしてそれ以上の放流をすることはお断わりをしたということであります。この五十センチないしは六十センチ近く下がったということに対する影響、これはしさいに調査をしております。井戸水の低下あるいはその他浴湾に船が入ることができぬというようなこと、それらに対しては、一昨年のあの渇水当時の状況等の調べは十分にできておりますが、いまここで私は幾何ぼでどれそれにどうだということのお答えはできませんけれども、相当深刻なものであるということだけは事実で、われわれは下流の人らの水不足を無規するような意思はさらにないのである、このためにできる限りのことをやろうとしても、現在の場合は、五十センチを割るということになると滋賀県民の被害は非常に大きいということで、がんこにかまえておるということなんで、これはわざとやっておることでなしに、琵琶湖を守るためにやるのである、県民を守るためにやるのであるという観点から、ことしらも、あのがんこさにちょっとの融通もつけずにかまえたということはそこにあるということなんです。これだけ被害が大きいということは想像してもらえるだろうと思いますが、この計数的な、何々にはどれだけの被害があるかということは詳細に調べができておりますので、この資料は何どきでも出せるようになっておりますけれども、いまここには持参しておりませんので、詳しいことを申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/41
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042・岡本隆一
○岡本委員 建設省としては、淀川の河水統制の第一期工事は竣工しておる、こういうふうなことなんです。そして実際十五・二トンの水を下流の工業、上水道その他の川水に配分してもいいという計画は立てておられますけれども、しかしながらそれに対するところの滋賀県側に対する補償が伴っておらない。だからたとえば海湾になりますと、あの当時の新聞記事を見ましたが、底をついたために、その下のほかの船のいかりか何かに引っかかって船の底に穴があいたとか、あるいはその桟橋まで船が届かないとか、あるいは地盤沈下が起こってくる、いろいろな漁族の保存もできないというふうな問題が、滋賀県側に起こってきておる。初めからマイナス一メートルという計画を国は立てておられながら、実質的には五十センチでもって、がんとしたところの滋賀県知事の抵抗にあって、それ以上は水は使えない、こういうことになっているわけです。そうすると、淀川の河水統制工事というものは、プランとしてはりっぱに立てておられるけれども、実質上は行なわれておらない、完成しておらないということになると思うのでございますが、それでは、第一期淀川統制工事のあと始末を今後どうされるおつもりでしょうか、建設次官から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/42
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043・鴨田宗一
○鴨田政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、知事さんの言われますような滋賀県側の御意見も十分拝聴しておりますし、また、ただいま岡本委員からの御意見ごもっともと思いますので、建設省といたしましても、でき得る限り早い時期にこの問題の解決をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/43
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044・岡本隆一
○岡本委員 そんな抽象的な御答弁では、承っても承らなくても同じようなことでございますが、きょうは時間もございませんので、もう少し突っ込んだことをまた後日聞かしていただくことといたしまして、せっかく公団の総裁に来ていただいておりますから公団としては琵琶湖の水利用という問題について、何か抱負を持っておられるか、あるいはすでに抱負の程度じゃなしに、何らかの具体的な片面をお立てになっていらっしゃるか、そういう点をこの機会に承らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/44
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045・進藤武左ヱ門
○進藤参考人 琵琶湖の開発に関しましてのお尋ねでございますが、実は公団の発足が一昨年の五月一日でありまして、その前に水資源開発河川として政府から淀川と利根川が指定されたわけでございます。そしてその指定によりまして、さらに主務官庁から、淀川の地域に、こういうところをこういうふうな開発をするという、開発の基本方針というのを示されたわけであります。それから、実施方針をまた政府からお示しになりまして、その実施方針によって、水資源開発公団が開発をいたすわけでございますから、琵琶湖に対しましては、まだ実施方針が政府からお示しになっておられない。そこで、具体的にどうという意見を申し上げるわけにいきません。しかし、いままで淀川で工事をいたしましたのは、淀川の河口を締め切りまして、そして従来の河川維持用水をセーブして、これを工業用水、上水道に使うという長柄可動ぜきの工事がありますが、これは三月に洪水がありましたので、ちょっとおくれましたが、もうすでにほとんど完成いたしております。もう一つ高山ダム、月ヶ瀬のところにありますが、これも実施方針をお示しいただきまして、税に着手いたしております。それから三十九年度の予算といたしましては、政府の実施方針をお示しいただきますと、青蓮寺ダムの実施計画をつくるための調査をいたすことになっております。これだけが、淀川の河川開発として指定されましたあとの具体的な公団の仕事でございます。
琵琶湖はどうするかということになりますと、実は私からいま申し上げる立場ではございませんが、公団といたしましても専門の技術者がおりますし、特に、ここにいらっしゃる小林理事以下、前から関係した方がおられますから、調査は十分いたしております。ただ具体的に政府の実施方針を早く出していただきたいという希望を持っております。
他に、公団の仕事全体でありますが、一昨年発足いたしまして以来、すでに政府でお示しくださいました実施方針に対します工事は、ほぼ順調に推移しておると申しても差しつかえないと思います。三十九年度になりまして、実施計画に対する調査をしろという予算をきめておりますのが、利根川の河口せきと、それからいま申し上げました青蓮寺ダムだけでございます。でありますから、われわれの希望といたしましては、できるだけ早く、各主要河川を開発河川に政府でまず指定していただきまして――御承知のように、河川の開発は相当時間がかかるものでございますし、水不足は各所にいま現実に起こっておりますから、早く御指定を願いまして、われわれ自身の調査――予備調査と申しますか、図上調査になるかもわかりませんが、予備調査ができる時間をかけたい。もっと欲をいいますと、実施基本計画に対する公団の意見を述べる機会くらい与えていただいたらどうかという気がいたします。それから計画はできましても、実はいま工手を実施いたしますのにはアロケ-ション問題がございまして、アロケ-ションがきまらないと金がはっきりしませんから、工事に着工できないということがございます。これは三十九年度の予算の際に、大蔵当局、関係当局にお願いいたしまして、約七十億円、いわゆる公共事業費の先行投資という形で、公団債の発行なりあるいは借り入れ金をやって、公団が直接資金の調達をして、工事を進めて、あとから、水の需要の側から分担していただくということが現実にできましたが、御承知のように、現在の公共事業というのはだんだん内容が変わってまいりまして、たとえば、食糧増産から今度は国土保全の問題になってくる、さらに国土開発の問題というように、内容が相当変わってきておると思うのであります。国土開発をいたしますのには、従来の食糧増産あるいは国土の保全にかけたような考え方で、公共事業費をある程度先行的に出していただく、そして国土開発に対する基礎である産業ベースと申しますか、あるいは民生安定のべースだけはどんどん先に進めていくという方式をとっていただきますと、公団をせっかくつくっていただいたのですから、われわれも非常に能率的な仕事ができるというふうに考えておるわけであります。
ただいまお尋ねの琵琶湖につきましては、具体的の御返事はできませんが、ただいまのような状況です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/45
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046・岡本隆一
○岡本委員 淀川の水の問題といえば、琵琶湖が最大でございますが、この琵琶湖の水の開発というものを公団にタッチさせられるのか、させられないのか、これが一番大きな問題だと思うのです。この点は建設省の御見解はいかがでしょうか。たとえば、具体的に申しますれば、かりに締め切り案というようなものが、これは架空の問題でございますけれども、実現されるとするなれば、この締め切り堤の堰堤をつくって、そのトップの水の利用というようなことは公団の事業としてやらせられる、もしそういうようなことに公団を使われるなら、かりに大かたの意見がパイプ送水が是ということになれば、パイプ送水というものもやはり公団にやらすということになると思うのです。だから、琵琶湖の水の利用というものを政府の方針としては一体公団にさせるのか、あるいは新たなる琵琶湖開発公社のごときものをつくって、琵琶湖だけは別の問題として考えていかれるのか、これは方針としては大きな問題だと思うのです。そういう点について、あるいは問題が大きいから御検討中かもしれないと思うのです。御検討中ならそれでもけっこうでございますが、とにかく現在としては、政府はどういう方向へ向いておるのか、あるいは、こういうふうな考え方を持っておるのだがまだ検討中だ、というくらいの御返事はいただけるのではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/46
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047・畑谷正実
○畑谷政府委員 この問題は、いまお話しのとおりに、経済企画庁の水資源開発基本計画の線に沿って、それに従うわけでございますが、実際問題として、公団のほうでそういう事業をやるということであれば、私のほうもそういう線で差しつかえない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/47
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048・岡本隆一
○岡本委員 公団がやりたいと言えば、やらしてもいい、こういう御返事ですね、ちょっと聞きにくかったものですから、お尋ねしておくが、そういうことになりますと、やはり琵琶湖の水の開発の問題というものは、滋賀県にとって一番切実な問題じゃないかと私は思うのです。しかしこの際私は滋賀県知事さんにお願いいたしておきたいと思いますのは、明治五年から、この鳥居川の水位の計測が始まっております。五年以来の鳥居川の水位の最高、最低あるいは年平均というものを見ておりますと、洗せきができましてから非常に平均水位も下がっておりますし、最高、最低ともに下がっております。ことに第一期の河水統制工事ができましてから、最近は明治年代から約一メートル、上下とも水位が下がっております。これは淀川の疎通をよくして、琵琶湖周辺を開発していこうというふうな考え方に立って、いろいろなしゅんせつであるとか、あるいは淀川の狭窄部の開さくであるとか、そういうことが行なわれたためでありますけれども、そのことによりまして、琵琶湖の面積というものは非常に小さくなっておるのです。言いかえますならば、そこに農地が開発され、住宅もそこに建っていきまして、人間のほうが琵琶湖をどんどん食っていっているわけです。だから、そのことによって琵琶湖の湛水量というものは著しい縮小を起こしておるわけであります。いま言うように、たとえて申しますならば、明治八年のころは、鳥居川水位の最低が大体いまのプラス〇・三メートルぐらいになっております。だから、いわゆるいまの一番問題になっておるプラス〇・三メートルというところに最低水位がなっておるわけでございます。それがいまぐんぐん下がってまいりまして、最低水位がマイナス〇・八五メートルになっているというふうに、最高水位も最低水位もぐんと下がることによって、琵琶湖の面積は縮小され、それだけ土地の利用が行なわれておるわけであります。だから、そのことは同時にまた大きな降雨がある、豪雨があって洗せきを締める、そのために起こってくるところの琵琶湖の水害というものも、やはり大きく温存したままにきておるということになっておるわけでございます。だから、この点やはり淀川の疎通工事というものが行なわれたことによって、滋賀県の側は非常に大きく土地を利用していただいておるのでありますから、そのことについては下流のいろいろな水の利用ということについても、現在洗せきを締めることによって、いろいろな受忍行為をしていただいております。がまんをしていただいております。私ども、もちろんいつまでもこれにしんぼうしてくださいと申すのではございません、できるだけ滋賀県民の御負担を軽くしなければならないと思います。しかしながら、それと一緒に、やはり滋賀県自体でいろいろな計画を立てていただきまして、少なくともできるだけ浸水地域を少なくする、浸水地域を少なくすることによって、それと一緒に湛水量をふやすというような何らかの努力をしていただきたいと思うのです。それには、まず第一には、水源病衣の問題として、植林の問題もあると思うのです、ダム建設の問題もあると思うのです。それと同時に、やはりこれ以上の湖岸の埋め立てを規制する必要があると私は思う。水面の管理を知事さんにおまかせするということになってまいりますと、現地の住民としては、ことに十年に一回あるいは二十年に一回の洪水というところでありますと、使わせてくれ、使わせてくれということで、農地の造成あるいは工場用地の造成が行なわれます。そういうところに工場用地をつくって、水に接近してくる、それでさあ水がついた、これは困るではないか、早く放流させてくれ、こういうことになってくると、琵琶湖の湛水量は何ぼでも減ってくるのです。だから、琵琶湖の湛水量を温存しようとすれば、これ以上経済が水に接近することを停止してもらわなければならない。だから、少なくとも現在琵琶湖が知事の管理監督下になりましたならば、早く河川の台帳をはっきりさせていただきたい。少なくとも河川の領域は絶対に新たなる土地の造成はやらせないというふうな、河川敷の確保ということをやっていただきたい。それと一緒に、できますならば、私はこの浸水地域、あるいは三年に一回、五年に一回必ずつかる、そうでなくて年々必ずつかるところがあると思う。その年々必ずつかるというふうな地域については、やはりできるならばその半ばを用地買収して、その半ばの用地買収をやることによって、今度はその地域の土をしゅんせつし、掘り返してまくし上げて、その残りの半分のところに、浸水地域をかさ上げをして、護岸をして、つくっていただくというふうな形にすれば、私は琵琶湖の湛水面積がふえると思う。だから琵琶湖の湛水面積をふやし、周辺をかさ上げすることによって無害な地にする、そしてそこに工場誘致をする。そしてその工場誘致したところの費用でもって、その土地の売却費でもって、そういう事業に充てていくというふうなことをやれば、私は琵琶湖周辺の開発工事というものは、そう大きな経費の負担なしに、国もあるいは滋賀県も、琵琶湖の水利用という目的と合致して、同時に工業用地土地造成ができると思う。だから何かそういうふうなことを考えていただきますことによって、琵琶湖の湛水容量を現在よりもふやす努力を私は滋賀県側にお願いしたい。同時にまた、それによって琵琶湖の湖岸の周辺の浸水の問題も私は解決できると思うのです。これは一つのプランでございますけれども、ひとつパイプ工事だけに一生懸命にならずに、こういうふうな問題もあわせて御検討願いたいと思うのでございますが、知事さんいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/48
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049・谷口久次郎
○谷口参考人 いま岡本先生からお話しの議論は、滋賀県でもよく考えております。それで、先ほどの一メートル下げるということも、あれはパイプ送水が実現した場合に、その責任を果たすためなら一メートル下げてもしかたがない、こう私は思うておるわけなんです。しかしこれには実害が非常に大きいものがあるから、この実害を少のうするためにいろいろの工事を施していかなければならぬということになりますので、その資金を要するということが、パイプ送水に金を要するということにも関連する次第なんでありますが、この琵琶湖の埋め立ては、昔は、一ヘクタールの埋め立てをすれば他に一ヘクタールだけ水面をこしらえなければならぬ、 こういうことを言うておったのであります。しかしこの琵琶湖には二百七十億トンという水を貯留をしておりますけれども、これのほんとうの利用されるものというたら、まあ七万トンぐらいしかない。それを超過するということになると、滋賀県民は非常に深刻な影響を受ける。いままで、淀川の沿岸堤防を守るために、洪水のときにあの南郷の洗ぜきをぱっと締め切ってしまって、何ぼ陳情してもこれをあけてくれない、このために常に被害を受けて、あの伊勢湾台風のときにも六億円という人造の被害を受けておる。あれは自然の被害ではない。南郷の洗ぜきを締め切られて受けた被害なんだ。これの補償はだれもしてくれやしない。農業災害補償法によって補償されるだけしかない。こういう事態をわれわれはいままで繰り返されているということなんです。沿岸は、かりに一メートル下げるということになってくると、一キロからの陸地ができてくるというようなこと、これあたりを深く掘り下げて、一メートル水をやっても被害のないようにというような操作をしてかからねば、これはできぬということなんです。そういう操作をすれば、有効水量というものを少しはふやすことができるであろうということ、これにはいまのような淀川に依存するということなら一滴の犠牲もかなわぬ、あのなすべき仕事を下流が怠って、パイプ送水というようなことに耳をかさぬということなら一滴のなにもかなわぬが、しかしそれをやろうということであれば、滋賀県も二十トンという水をあくまでも確保して責任を果たさねばならぬ。このためには、場合によると一メートル下げねばならぬ場合もあるぞというようなことで、いま考えておるということなんであります。そのことについては、私は最悪の場合は責任を負おう、こう覚悟をきめているということなんであります。これに対してはどういう工法をやるかというと、技術に関係することでありますので、われわれしろうと口には、いろいろこうやったらよかろう、ああやったらよかろうということも考えてはおりますけれども、それは技術的によく研究をして、そうしてこの責任をあくまでも果たしていきたい、こういうことなんであります。その内容については、私のような技術的には何も知らぬ者がかれこれここで申し上げると、これは責任が生ずることになりますので、何も申し上げることはできませんけれども、あくまでも二十トンという水に対する責任だけは負うていこう、こう思うておることは事実なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/49
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050・岡本隆一
○岡本委員 まだいろいろお尋ねいたしたい問題も残っておるのでございますが、あと西村さんの御質問がまだ残りがあるそうでございまして、この辺で終わりたいと思います。
琵琶湖の問題につきましては、滋賀県の皆さん方にとって非常に大きな問題でございますが、同時にまた、近畿圏にとっても、これは経済の一番中心の問題になると思いますので、いずれもう一度、琵琶湖問題について委員会でみんなが自由にフリートーキングをやって、その中で何かいい方法を、琵琶湖の治水問題について、生み出していくということをやりたいと思いますが、建設省は、琵琶湖の問題について、ただいま進藤総裁から承りましたら、何ら琵琶湖についての方針を打ち出しておられないというふうなことは、まことに遺憾であると思うのです。ひとつ建設省のほうも、これだけ大きな、近畿の琵琶湖の問題でございますので、この水の利用並びに治水の問題については、もう一度真剣な御討議を、ひとつ部内でもしていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/50
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051・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 宇野宗佑君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/51
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052・宇野宗佑
○宇野委員 私は、いままでの参考人並びに建設当局に対する各委員の質疑を通じまして、建設省並びに公団の総裁にお伺いいたしておきたいと思うのであります。
パイプ送水案のことは、いま知事からの説明もありました。またそれに対する質疑が重ねられ、その結果最終的に、岡本委員より局長に対して、このパイプ送水案は、是とするならば公団にまかしてもいいかという御質問があり、それに対し、局長のほうは、まかしてもいいと言われた。そこで総裁にお尋ねいたしますが、この送水案によれば、秒トン二十トン、したがって一日約百七十万トン、年間にいたしますと六億トン、大体全国の相場でいたしますと、トン五円として、三十億円の水を一応料金を徴収して、そこから何がしかの償却費あるいは経常費を差し引いて、残った金額をもって、琵琶湖の低水位対策に充てるというのがその本旨であります。したがいまして、たとえば公団が、このパイプ送水案というものを是なりとしてお引き受けになった場合に、はたして、公団でトン五円だとかあるいは六円という料金を徴収してもいいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/52
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053・進藤武左ヱ門
○進藤参考人 先ほど申し上げましたように、公団の仕事は、政府の実施方針をお示しになったあとでなければ、われわれは意見を出すわけにもいきませんし、また研究もできないわけでございます。でありますから、この問題はそういうことで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/53
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054・宇野宗佑
○宇野委員 ただいまの水資源開発公団法よりいって、料金は徴収できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/54
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055・進藤武左ヱ門
○進藤参考人 公団法によりますと、いまアロケーションで仕事をいたしておりますから、料金は、できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/55
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056・宇野宗佑
○宇野委員 料金は徴収できないのであります。したがいまして、負担金あるいは分担金等を、各府県あるいは受益者に課することができるのであります。だから、料金が徴収できないとすれば、低水位対策に対するところの一切の補償ができないのでしょう、局長、そうじゃございませんか。公団が実施された場合には、今日の法律では料金は徴収できない。料金が徴収できないときに、パイプ案によって一メートル下げてもよろしいと滋賀県の知事が言われた、あるいは政府が、実施計画に基づいてそれがよかろうと、こうなった。ところが、では、この一メートル下げたときの補償というのはどこがするのですか。あなたは公団にやらしてもいいと言われたが、建設省がこの補償をするのですか、できないのでしょう。やるならやるで、公団にやらしてもけっこうですよ。そこをひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/56
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057・畑谷正実
○畑谷政府委員 まだ計画の実態その他の、そういう詳細なことがわからないわけでございますが、先ほど私が御答弁しましたのは、経済企画庁の基本方針として、そういう計画、それから実施、そういう面が確定いたしまして、そういう面に織り込まれる場合には、私のほうも差しつかえない、こういうことでございまして、内容的な検討は、そのときやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/57
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058・宇野宗佑
○宇野委員 現在、この法律からいくならば、できないのです。またせられることはかってでしょう。たとえば第一期河水統制事業によって、補償総額は、昭和十八年より昭和二十六年に至るまで、当時の物価というものは別にいたしまして、昭和十六年は昭和十六年の金高という計算に基づいて、トータル八千五百六十三万八千三百五十四円というものが滋賀県に渡されておるのです。しかし、先ほども岡本さんのこの問題に関するところの質疑がございましたが、あくまでも、戦争中に、いわゆる電力需用ということに基づいて計画されたのが第一期河水統制なんです。今日はすでに電力という問題よりも、むしろ水資源開発二法によって明らかにされましたとおり、工業用水もしくは上下水道というような、人間一日四百リットルの水を必要とするという時代がきたのですから、おそらくそうした問題から考えましても、すでにしてマイナス一メートルまで琵琶湖が水位を低下しても、その補償完ぺきならばだいじょうぶだということは、知事さんが、将来のためにそこまでは考えておるんだと言われたが、とうていこの八千五百六十三万八千三百五十四円というような少額では、これは絶対に補償はできぬ。したがいまして、一応第一期河水統制事業というものは終了いたしましたから、そこに知事が申されるようなパイプ送水案という一つの考え方を、何も滋賀県でやるのではなくて、たとえば大阪、京都あるいは滋賀県あるいは兵庫県、いまそういった地帯において水を必要とされるのだから、そうした案でもどうだろうかというのですから、そこら辺は、ひとつ建設省といたしましても積極的にお取り組みになる必要が私はあると思うのです。
そして、経済企画庁の水資源局長がお見えになっておると思いますが、昭和四十五年、今日のたてまえからいたしますと、近畿にはすでに一千万の人口があるが、大阪三百五十万、京都百三十万。しかし、昭和四十五年になればおそらく京阪神だけでも一千万の人口に膨張するだろう。しかも全国の人口の五分の一、全国の産業の三分の一が中京から京阪地帯にあるとするのならば、そのとき琵琶湖にたよらんとするところの年間水量は、昭和四十五年に大体どれくらいのものを想定されておりますか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/58
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059・崎谷武男
○崎谷政府委員 一昨年でございます、淀川水系の基本計画をつくりますときに、琵琶湖の問題につきましては、ただいま御議論になりましたようなむずかしい問題がございますので、琵琶湖についてはさらに調査の上計画をきめる、こういうふうに一応きめたわけでございます。その後、淀川水系につきまして、淀川を利用する水の需要、それに対する供給方法、各省、各県いろいろ相談してまいりまして、大体いま宇野先生のお話しの四十五年におきましては、農工水、まあ農業用水はわずかでございますが、大体毎秒六十数トンくらいの水が需要量としては想定されるわけでございます。それに対しまして、琵琶湖以外からと申しますか、琵琶湖から流れる水でないほかの水、高山ダムとか青蓮寺ダムとか、そういう水がございますが、そういう水を手当ていたしましても、まあ二十トン前後が想定されます。したがいまして残りが、いま宇野委員の御質問に対するお答えになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/59
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060・宇野宗佑
○宇野委員 では琵琶湖からは昭和四十五年に秒トン四十トンくらいのものを期待するということでございますね。すべてで六十トンで、他のところから二十トンくらいは提供されるから、琵琶湖に期待するところは秒トン四十トンですか、二十トンですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/60
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061・崎谷武男
○崎谷政府委員 需要のほうが六十数トンでございます。これは必ずしも関係各省、関係県が納得した数字というふうには、まだ申し上げにくい数字であります。それに対しまして、供給のほうが、大体見当がつきますのが二十数トンでございますので、差し引き四十トンくらいになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/61
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062・宇野宗佑
○宇野委員 口では簡単に秒トン四十トンと申しますが、これは年間にいたしますと十二億トンになりますよ。年間いま流れておる五十四億トンにプラス年間十二億トンですから、琵琶湖としましても相当な低水位を覚悟しなければならないわけです。したがいまして、もう目と鼻の先の昭和四十五年に、そういう事態が近畿で起こるのです。建設省は、それに対して琵琶湖総合開発の調査をやっていらっしゃいますが、大体その結論をいつお出しになって、ではいま企画庁の局長が言われたとおり、昭和四十五年に、下流に、現在の流量プラス秒トン四十トン、年間十二億トン、この水を供給し得るんだということをいつ計画されるのですか。ひとつその構想を話していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/62
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063・畑谷正実
○畑谷政府委員 琵琶湖の問題につきましては、相当前からその調査をしております。まだ実は結論が出ていないのであれですけれども、私どもとしましては、琵琶湖の渇水問題にしましても、いろいろいままでのお話のような問題にしましても、早急にこの問題を解決しなければならぬ。それにはやはり河川全体としての見地からも考えまして、これの現実の問題に取り組まなければならないというので、これは、私どもとしては、新年度になって早々この結論を出して、それを皆さんにおはかりしたいということで進めてまいったわけでございますが、ちょっとこの時日はおくれておりますが、早急に私のほうで結論を出しまして、皆さんにおはかりいたしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/63
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064・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 参考人の方々には、本日は貴重な御意見をお述べいただきまして、両案審査のため非常に参考になりました。委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/64
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065・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 政府当局に対する質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/65
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066・宇野宗佑
○宇野委員 いまの局長のお答えによりますと、建設省は昭和四十五年に差し迫った問題があるにもかかわらず、それに対する具体的な施策が何らなされておらないと解する以外には道がないのであります。
そこで、先ほど谷口さんから言われたように、特殊なパイプ送水案というものが滋賀県から打ち出されたゆえんというものも、下流の方々のそうした需要に対して、せめて昭和四十五年に四十万トン以下、とりあえず琵琶湖の水位に一応支障なきものとして、二十万トンをテストケースとして送りましょう、そうしてそれによって年間何がしかの財源を得るならば、さらに四十万トンであろうが、五十万トンであろうが、その態勢を敷きましょう、こういうふうに、先ほどから参考人ははっきりと申しておるのであります。した、かいまして、私といたしましては、たとえばそれを推進する上につきましても、今日の河川法の上で、ひとつ当局の御意見を聞いておきたいと思います。たとえば現行河川法に基づきますと、この十八条によって、流水を占用せんとするときは、関係地方行政庁の許可を得なければならないということが明示されております。その結果、河川行政監督令の第五条によりまして、そうしたときには関係都道府県の知事と協議しなければならないと書かれておる。協議整わざるときは、建設大臣の許可を受ける、協議が整わなかったときにおいて、初めて建設大臣の認可を受ける、こういうふうに河川行政監督令では示されておるのであります。しかし、今日提出されております新河川法によりますと、現行法の十八条は第二十三条に変わって、流水を占用しようとする者は、建設大臣の許可を仰ぐ、こういうことでございましょう。しかも、その三十三条におきましては、省令の定めるところによるということが明示されております。そこで、新河川法というものが成立いたしましたときに、この河川行政監督令というものは存在するのか存在しないのか、ということを承っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/66
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067・畑谷正実
○畑谷政府委員 それにかわりまして、法案の中に織り込んでございます。例を申し上げますならば、一級河川につきましては、これは水利権の区分は管理者が大臣になります。したがいまして、それぞれの県の内部のものは大臣に入ってくる、こういうことであります。それから小規模の知事委任区間の問題でございますが、これは政令で定めるものはやはり大臣に入ってまいりまして、大臣の認可によってやるということで、それが最終の結論を出す、こういうことになります。それから、二級河川につきましては、管理者が知事でございまするから、したがいまして、その知事間における協議はしてもらう。ただし、それが協議整わないときの問題については、これは一応いわゆる一般的な問題として、私のほうであっせんするとか、そういうようなことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/67
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068・宇野宗佑
○宇野委員 いま私は、一応一級河川という問題で御質問いたしております。そこで、いま局長が申されたとおり、二十三条に基づきまして「河川の流水を占用しようとする者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。」それに対して、第三十六条によって、いわゆる管理者すなわち建設大臣ば、知事の意見を聞かなければならない。また第四十条においては、事前に河川審議会の意見を聴取しなくちゃならないということになるのです。しからば、いま私が申した河川行政監督令の第五条というものは、これは今日提出されておられませんが、自然廃止されるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/68
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069・畑谷正実
○畑谷政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/69
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070・宇野宗佑
○宇野委員 私は、廃止されるものならば問題はなかろうとは思いますが、ここにおいて一番問題なのは、たとえば二級河川におきましてもそのことが言えると思いまするが、第十五条において、いま局長がお答えになりましたとおりに、関係都道府県の知事が協議しなくちゃならない、こういうように書かれております。したがいまして、協議という場合は、相手が協議に応じなかったならば協議にならないわけなのです。現に今日、現行河川法に基づいて、滋賀県が、むしろ大阪が主張することをこちらが主張して、ひとつ下流の方々とともどもに、昭和四十五年、秒トン四十トンというばく大な水を必要とする時期が目睫の間に迫っておるのだから、いまの間に何らかの形でこういう問題は解決しようじゃないかというので、滋賀県は建設大臣に事業認定というものを申請する。ただし、その場合には、今日のこの河川行政監督令に基づきまして協議をしなくちゃならないけれども、大阪と協議をしようといたしますと、向こうは逃げるのです。現に本日も大阪の知事さんがお見えになっていらっしゃらないのは、あるいはいろんな関連があるかとは存じますけれども、逃げられる。そうすると協議というものはさっぱりできない。したがいまして、この第十五条に示されておられるがごとくに、たとえば二級河川において協議をしなくちゃならないということは示されておりますが、逃げた場合にどうされるか。全然協議はなされないのですか。協議整わざるときはということは、その協議自体が整わないどころか、協議がなされないで、寄ってみたところが、きょうは協議じゃございませんと向こうから一発言われたときは、それは協議じゃない。法律には協議をしなければならないと書いてあるけれども、そうした場合に、建設省はいかなる具体案を持って、その協議なるものを推進できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/70
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071・畑谷正実
○畑谷政府委員 私ども、一般的には、二級河川においてはそういう問題はまずないというふうには考えておるわけでございますが、しかし、現実の問題として、そういうものがもしありとするならば、やはりこれは私のほうで、そういうような両者といいますか、お互いの御意見を聞きまして、それによって、やはりあっせんなり、そういうような仲立ちになるという気持ちは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/71
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072・宇野宗佑
○宇野委員 それはケース・バイ・ケースによって、いろいろと御奔走願わなければならない問題であろうと思いまするが、その点、現行河川法よりも確かに新河川法のほうが一歩進んでおるということには、私もこれを首肯することができるだろうと思うのであります。そこで、第十四条に関しまして、もう一点お尋ねいたしておきたいと思いますが、「河川管理施設のうち、ダム、堰、水門その他の操作を伴う施設で政令で定めるものについては、」「操作規則を定めなければならない。」ということが明示されております。その場合に、その政令の内容をいまからお伺いしてもいろいろと支障があろうかとは存じますが、河川局長といたしましては、たとえば、先ほどから問題になっておりました琵琶湖の第一期河川統制事業による補償等におきましても、なかなか不十分な面があるわけなんですね。しからば、いままで建設省オンリーで南郷洗せきの開閉をやっていらっしゃったが、将来は操作規則というものができるのだから、知事の意見も十二分に聞かなければならない、こうなっておりまするが、やはり水をたくさん流してもらっちゃ困るというときに――つまり集中豪雨によって、琵琶湖の水位が一メートルに高まった。一メートルで七億トン、南郷洗せきを全開いたしましても、一日七千万トンしか流れないから、十日間やらなければ七億トンの水は下がらない。ところが全開してもらっては、宇治が水浸しになってしまうから困るということを、さっきから岡本さんも言っていらっしゃった。そうした点についても、操作規則をつくらなければならない。その場合に、関係都道府県知事の意見を聞かなければならないが、操作規則の中には、たとえば湛水の場合、あるいはまた冬季渇水期において琵琶湖は水がなくても、下流に水を流さなければならないから、この水はどんどん流すのだという、プラスの水位の場面におきましても、マイナスの水位の場面におきましても、被害を伴うわけなのです。したがいまして、そうしたことは、この操作規則の中に、政令の範囲内でおうたいになるつもりであるのかないのかということを、この際、伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/72
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073・畑谷正実
○畑谷政府委員 この操作規定の内容の問題でございまするが、いわゆる常時、普通の状態といいますか――非常なる大渇水の問題とか、あるいは非常なる想像以上の洪水というような問題について、それをどこまで規定するということはなし得ませんけれども、通常の状態において最高水位をこれだけにとめる、それから最低水位はこれだけにとめるというものは、当然内容として入ってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/73
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074・宇野宗佑
○宇野委員 その場合に、従来と違って、法に基づく命令をすることによって、操作規則というものがつくられて、プラスはここまで、マイナスはここまで、たとえば、第一期河川統制によるときはマイナス一メートルまではいいのだということが、一応調停されたとか調停されないとかいうことを聞いておりますが、一応第一期河川統制は終わってしまいましたが、そうした場合に、当然被害というものがあるわけですね。それに対してはどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/74
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075・畑谷正実
○畑谷政府委員 いまお話しのとおりに、非常ないわゆる大渇水とか大洪水とかいう問題になろうと思います。そういう場合には、個々のケースにおいて、その原因とかいろいろなものを究明いたしまして、それに対処しなければならぬ、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/75
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076・宇野宗佑
○宇野委員 大洪水ということは、下流において起こる問題です。滋賀県においては洪水ではなくて、災害基本法に示されたごとくに、湛水なのです。温水にあらずして湛水なんです。温水ということは水があふれることである。だから、下流では、堤防から水があふれて大洪水になったというので、名称はつけられましょうが、滋賀県においては、集中豪雨等による場合は、水があふれないから湛水しておる。湛水被害だというので、災害基本法の中にも特に湛水ということばを入れてもらって、いま応急にその対策を練ったわけなんです。ところが、あれにいたしましたって、そうたいしたことはない。それよりも、やはり操作規則をつくるという場面におきましては、そうしたいまお考えのような異常なる災害というものが対象ではないのです。低水位において、静かなる、見えざる、深く潜航しておるとかなんとか、そういう災害のほうが多いのです。たとえばマイナス一メートルになれば、沿岸の県民の家では、井戸水が枯渇しておる。これは大被害です。ところがこれは目には見えない。災害基本法をもってしても、これは救助することができないでしょう。そうしたこと等が一応対象になる以上は、操作規則というものも当然いまお考えになったようなことで、プラスはこうだ、マイナスはこうだというふうな御意見はあろうかと存じますが、関係都道府県の知事に意見を聞かなければならないというときは、十二分にその辺の実情も加味されて、ひとつ制定していただきたいと思いまするし、なお、この河川法の審議中におきましても、その政令の内容が準備されておりましたのならば、一応われわれの手元に御配付を賜わりたいということを御要望申し上げまして、私の質問をこれで打ち切らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/76
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077・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 次会は、明十五日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02119640414/77
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