1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十五日(水曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 丹羽喬四郎君
理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君
理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君
理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君
理事 兒玉 末男君 理事 山中日露史君
逢澤 寛君 天野 光晴君
稻村左近四郎君 大倉 三郎君
木村 武雄君 正示啓次郎君
中村 梅吉君 松澤 雄藏君
山本 幸雄君 渡辺 栄一君
井谷 正吉君 西宮 弘君
西村 関一君 原 茂君
山崎 始男君
出席政府委員
総理府事務官
(近畿圏整備本
部次長) 八巻淳之輔君
総理府事務官
(経済企画庁水
資源局長) 崎谷 武男君
総理府技官
(科学技術庁資
源局長) 橘 恭一君
建設政務次官 鴨田 宗一君
建設事務官
(大臣官房長) 平井 學君
建 設 技 官
(河川局長) 畑谷 正実君
委員外の出席者
農 林 技 官
(農地局参事
官) 永田 正董君
通商産業事務官
(企業局産業立
地部長) 馬郡 巌君
通商産業技官
(公益事業局水
力課長) 三島 慶三君
建設事務官
(河川局次長) 国宗 正義君
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四月十五日
委員西宮弘君辞任につき、その補欠として西村
関一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員西村関一君辞任につき、その補欠として西
宮弘君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
河川法案(内閣提出第八号)
河川法施行法案(内閣提出第二四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/0
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001・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
河川法案及び河川法施行法案を議題とし、審査を進めます。
前会に引き続き、質疑を続行いたします。西村関一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/1
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002・西村関一
○西村(関)委員 政務次官が途中から退席せられるそうでございますから、冒頭に政務次官にお伺いをいたしたいと思います。
本法案につきましては、いままでも審議が続けられておるのでございます。前国会においても問題になったところでございますが、本法案につきましては、省、政令にゆだねられておる部分が非常に多いという点でございます。四十二画会におきましても、省、政令の見込み事項というものが、当時の建設委員に配られたのでございます。このたび、この法案を国会に御提出になるにあたりまして、これが国会を通過してから、政令等を立案なさるということになると思いますけれども、これは、過去の経緯から考えまして、これが出されるまでにできているはず、だ、こう私は思うのでございます。法案の中身が省、政令にゆだねられておるという点から考えますと、たとえば四条、五条、六条、九条、十一条、十二条、十三条、十四条、これらはいずれもこのたぐいであると思うのでありますが、そういう点につきまして、すでに用意されておるのでありますか。もしあるとするならば、本委員会に御提出を願いたい。このように当然法案の中にうたいあげなければならないものが、多数省、政令にゆだねられておるということにつきましては、審議の過程において相当問題が残ると思いますので、この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/2
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003・鴨田宗一
○鴨田政府委員 過日、法律に規定すべきが当然ではないか、政令ではいかぬというふうな御意見が、ある委員から出されました。そのときに答弁いたしましたとおり、今回の改正につきましては、御承知のとおり、建設省の河川法というふうな一本の線でいけない面がございます。と申しますのは、非常に多岐に分かれておりまして、各官庁との連絡もございますし、関連いたしまする事項もたいへんございますので、政令にゆだねたということは御承知のとおりであります。そういう血からいたしまして、ただいま西村委員のお話しのとおり、当方といたしましては、これに対しましての御要求の諸項につきましては、実は皆さま方の御要望がありますので、提出の準備はできております。いずれこちらのほうから提出をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/3
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004・西村関一
○西村(関)委員 大体、いつごろ御提出をいただける見込みでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/4
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005・鴨田宗一
○鴨田政府委員 いま印刷中でありますので、でき次第、至急に出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/5
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006・西村関一
○西村(関)委員 いま政務次官もお話しになりましたように、河川法につきましては、利水関係の各省――農業用水につきましては農林省、飲用水、つまり水道につきましては厚生省、発電及び工業用水につきましては通産省、また、水資源につきましては経済企画庁、あるいは全般的な資源関係につきましては科学技術庁等とも関連があるわけでございまして、これら関係各省庁との間の連絡と申しますか、話し合いと申しますか、それらの点につきまして、前回、農林省と次官同士の間で覚え書きがなされたということで、その覚え書きの内容の資料提出を要求いたしまして、この前の委員会に資料が提出されまして、中身を拝見いたしました。これらのいま私のあげました各省庁との間における連絡はどのようになっておるのでございましょうか、その点につきまして、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/6
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007・鴨田宗一
○鴨田政府委員 ただいま仰せのとおり、各省庁と打ち合わせたお互いの申し合わせができているわけであります。ちょうど農林省と打ち合わせたとおりの、各省ともやはり立場は違いますけれども、同じような立場でもって、実は申し合わせ事項ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/7
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008・西村関一
○西村(関)委員 農林省と同じような申し合わせ事項、つまり覚え書きが交換されておる。それは、私のあげました全部の各省庁の次官同士の覚え苦きができておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/8
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009・鴨田宗一
○鴨田政府委員 それぞれの省との申し合わせ事項ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/9
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010・西村関一
○西村(関)委員 きょうは関係各省庁の担当の政府委員の方々に御出席をいただいておりますから、後ほど関連いたします事項についてお伺いをするつもりでございますが、同時に、前回農林省との問の覚え書きの内容を御提示いただきましたように、各省庁との問の申し合わせ事項の内容につきまして、本委員会に資料として御提出いただきたい。これは委員長においてお取り計らいをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/10
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011・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/11
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012・西村関一
○西村(関)委員 それでは、政務次官、その点もよろしくお願いいたします。
さて、本法案がいろいろな経緯を経まして本国会に提案されますまでには、次官も御承知のとおり、水利開発をめぐるところのいろいろな対立抗争があった。これは明治二十年時代から、あるいはもっとそれ以前にさかのぼるならば、神代の時代にまでさかのぼることができるくらいに、長いいろいろな抗争の歴史の過程を経て今日にきておる。その後、第二次世界大戦後、昭和二十八年に国土総合開発審議会なるものが設置されまして、その中の水制度部会におきまして、全面的に水利問題が検討せられた。このときを境といたしまして、水利問題をめぐるところの対立抗争が、従来、下部構造においてなされておったのが、上部構造に反映するようになってきた。こういう過程を経まして今日に至っておるのでございますが、水量の問題とか水温と水質の問題とか、あるいは利水の問題、これは社会経済的にどのような問題を持っておるかといったような点が取り上げられてまいりました。発電本位のダム操作が下流の農業水利を侵害するという主張に対しましては、ダム管理規則というものがつくられましたし、電源開発上の最大の障害といわれておりました補償問題に対しましては、補償要項がつくられました。水質汚濁の問題につきましては、水質保全基準に関する法律が制定せられました。地下水の過度くみ上げの規制のための工業用水法が制定せられました。また、水資源開発促進法と水資源開発公団法が公布せられまして、水資源開発につきましては、とりあえず利根川と淀川の両水域を対象として、水資源開発事業を始めることになった。こういうような事柄を見ますと、各省間におけるいわゆるセクショナリズムに対する批判の回答として、とりあえずこういう形をとってきたというふうに受け取れるのでございます。
そこで、政務次官にお伺いをいたしますが、今度の河川法案におきまして、いわば河川の番人であられるところの建設省においては、以上の経過から見、また現状の問題毒から見まして、日本の水をどうするかという水政問題の基本について、私は、河野大臣にお伺いをしたいと思っておったのでございますが、政務次官が大臣の代理としておいでになっておられるのでございますから、日本の水資源の問題、これを、今後、この河川法との関連において、どのように確立しようとお考えになっておられますか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/12
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013・鴨田宗一
○鴨田政府委員 西村委員のお説、非常に広く、深く、私たち、いろいろとお説を拝聴しておりまして、ごもっともの線が非常にございます。もちろん、さらに地下水の問題もございまするし、水の総合的な管理という立場から、われわれ省側といたしましても、検討を強くいたしまして、何とか共体的な構想をつくり上げたい、こういうふうに、実は現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/13
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014・西村関一
○西村(関)委員 きわめてばく然とした、抽象的なお答えでございまして、私としては、いまの御答弁に満足することができないのでございます。国政の問題の中における水の問題は、非常に重要な要素を含んでおるということは、いまさら私が申すまでもございません。人類の歴史にさかのぼるまでもなく、水のあるところから人類の社会というものが形成されていった。水のあるところから、人類の文明が発達をしてきたという点から考えましても、日本の国政という点から取り上げまして、水の問題、水政の問題というものは非常に重要であると考えるのでございます。河川法に関連をいたしまして、日本が四つの島から成り立っておる。また、多くの山があって、山から流れるところの幾多の大小の河川がある。この水の問題を――水の問題は河川の問題だけではございませんけれども、重要な要素であります河川の問題を、この法律によってわれわれが審議いたしておりまするこの中におきまして、国政の責任の地位にあるところの政府においては、この水の問題を鋭意検討中というのでは、私は、もう少し高度な次元におけるところの水政に対する考え方を、この委員会において、お述べをいただくことが望ましいと思うのでございまして、ただいま次官からそういうお答えがございましたので、すみやかに御検討をせられまして、そういう高度な次元における水政問題に対する政府の基本的な姿勢、私の先ほど申し上げました、各関係省庁との連絡において、一本化した日本の水政の問題という点を国会にお示しいただくことが、私は願わしいと思うのでございます。その点、重ねて次官に御要望いたしたいと思いますが、御意見いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/14
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015・鴨田宗一
○鴨田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、非常に高邁なお考えでありまして、われわれといたしましても、やはりそういう総合的な一つの理念を持ちまして、これによって水の総合的な行き方ということを検討し、これに真剣に取っ組まなくちゃならぬじゃないかということは、仰せのとおりでございます。御要望のとおり、いや、われわれといたしましても、この問題につきましては、さらに各省との関係を密にいたしまして、ひとつ総合的な線を早く打ち出したいという考えでございますので、御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/15
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016・西村関一
○西村(関)委員 河川局長にお伺いをいたします。
先般来、いろいろ質疑応答の中で、より明らかにせられてきたと思うのでございますが、本法案の特色は、区間主義から水系主義に移ってきておるという点に私はあると思うのでございまして、その点から考えるというと――いろいろ問題はございます。昨日の参考人の意見等もあり、いろいろ問題はございますが、しかし一応水系主義をとったということは、私は、総合的な水の問題を取り上げる法律としては一歩前進だ、こう考えておるのであります。その点におきまして、私は、決して地域のセクショナリズムというものにとらわれるものではございません。確かにそういう点は一つの進歩だと思うのでございますが、厳密に申しますと、四条の四項及び五条三項に、名称及び区間を明らかにしなければならないというふうにありまして、やはり区間主義が混在しておる。河口から水源までの一貫的管理というふうにはなってない。これは、先般来いろいろ問題になっておりました実情にかんがみて、現実に即した措置をするために、こういうような規定がなされたのだと考えるのでございますが、この点につきまして、水系主義によるところの一貫した管理というたてまえ、このたてまえは、区間主義が混在いたしておりましても、この水系によるところの一貫的管理が、水資源開発の総合的な計画に基づいて行なわれるという見地に立って、私は、やはりそういうところにこの法案の中心が置かれておる、たとえ区間主義が混在しておっても、そういうところに重点があるというふうに理解をいたしておりますが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/16
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017・畑谷正実
○畑谷政府委員 お話のとおりに、一級河川にいたしましても、建設大臣が管理をいたしますが、その中に、指定区間と申しまして、県知事さんにお願いする区間がございまするが、水系一貫主義としての最も根幹となるべき、いわゆる河川全体の計画をどういうふうに立てるか、工事の実施規模をどういうふうにするかという実施基本計画につきましては、これば水系一貫として建設大臣がやる、なおかつ水系一貫として配慮を要すべき水利権の処分についても、水系一貫として建設大臣がやる、そういうことで、水系としての実質的な根幹はすべて一本にまとまっておる、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/17
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018・西村関一
○西村(関)委員 その点につきましては、私も、私の理解が間違ってないというふうに確認をいたしまして、その上に立って、水系主義と区間主義との調和という問題、これは昨日の谷口参考人の意見等もありまして、全国知事会等の相当強い要望もあり、その間の調和が、この法案が国会を通過いたしまして公布された暁において、運営の面において相当問題があろうかと思いますが、その点についての調和の問題――原則としては水系一貫主義であるという点については十分に了解をいたします。現実の面におきましては、この法案の中に水系主義と区間主義が混在しておる、それをどう調和していくかということについての、建設省側の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/18
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019・畑谷正実
○畑谷政府委員 調和の問題でありまするが、いまお話しのとおりに、根幹になるべきものにつきましては、水系一貫として掌握するわけでございます。その間に、指定区間と申しまして、県知事さんがやる事項、これは管理の内容としましては、その区間の河川工事あるいは維持、それから土地の占用とか土石の採取とか、あるいは工作物の設置、そういうような行政面がございまするが、それぞれ広域的な見地でたく、その区間において処分できる、そういうような管理行政面にタッチしてもらうということで、それもそれぞれの県の事情によりまして、知事さんと協議の上、それを指定いたしていくということで十分調和はとれる、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/19
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020・西村関一
○西村(関)委員 その指定区間外の問題が起こりました場合に、省と各府県の知事との間における調和の問題が起こり得る可能性があると思いますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/20
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021・畑谷正実
○畑谷政府委員 指定区間外の問題でございまするが、いわゆる実施基本計画を立てるにいたしましても、それから水利調整の工事をいたします場合にも、すべてそれぞれの利害関係のある県の知事とよく打ち合わせをしまして、そういう工事をするというたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/21
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022・西村関一
○西村(関)委員 先ほど次官にお伺いをいたしましたときにも触れましたように、現在の水の問題は、治水の問題と利水の問題とがからんでおると思うのでございます。また治水の問題にいたしましても、昨日の谷口参考人の意見、並びに質疑応答の中においても明らかになりましたように、上流と下流とにおける利害が相反する。治水の面においてもそういう問題がある。治水と治水の問題、また治水と利水の問題、あるいは利水と利水の相互間の関係を総合的に考えていかなければならないという問題が多々あると思うのでございますが、利水の問題につきましては、水資源開発法が総合開発について定めている。これは現在におきましては、淀川水系と利根川水系に限られておりますが、しかも、その主務官庁は経済企画庁である。一方、河川法におきましては、依然として治水の観点から利水の問題を調整していこう、こういうふうになっておると思われるのでございますが、この治水と利水の関係あるいは利水と利水の関係あるいは治水と治水の相互間の関係、水資源の総合開発の問題ないし調整の問題、こういうような点につきまして、河川法案はどういうことを期待しておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/22
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023・畑谷正実
○畑谷政府委員 治水と治水の問題、治水と利水の問題、利水と利水の問題、いろいろな問題があると思います。ただ、この河川法によりましては、いまお話しのとおりに、河川管理上における治水、それからそれに関連する利水、これらはそれぞれ別個の問題ではなく、総合的にしかも水系一貫として考えなければならぬということに、この法律体系はなっておるわけでご、さいます。
さらに高度の面から見まして、いわゆる国土開発的な、地域開発的な、水のもっと大きな利用開発ということがあるわけでございます。こういうような点については、それぞれ国土開発とか、そういうような計画と十分調和のとれた、それと合うようなものにしていくという調和をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/23
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024・西村関一
○西村(関)委員 その点に関しまして、さきの四十三国会におきまして、十六条の、工事実施基本事項を工事実施基本計画に改めた、そうでございますね。そういうことなども、いま私が指摘いたしましたような点に対する一つの答えではなかったか、そういうふうに前国会において修正されて、衆議院を通過した――参議院は通らなかったけれども、衆議院を通過しております。そういうことなども、やはりそういう問題に対する一つの答えであると思うのでございますが、これは河川工事の実施面だけに関してこの基本計画を出すということになっておるので、まだ十分とは言えないと思いますが、この点につきまして、局長はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/24
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025・畑谷正実
○畑谷政府委員 工手実施基本計画には、実施面と申すよりも、実施をする前の基本的な方針、こういうものをこの中に織り込んでおるというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/25
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026・西村関一
○西村(関)委員 それは河川工事に関してでございましょう。河川の管理ではなく、河川工事についての実施前の基本計画、こういうことではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/26
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027・畑谷正実
○畑谷政府委員 はい、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/27
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028・西村関一
○西村(関)委員 そうでございますから、私の伺っておりますのは、各関係省庁との間における治水と治水、治水と利水あるいは利水と利水の調整を行なっていくという上におきましては、単なる工事の実施面だけでは解決のつかないいろいろな問題がある。しかしそういう修正が本院を通過したということから考えて、これはやはり一つの答えだと思いますが、私が提起いたしました問題に対する答えが、まだ十分にこの法案ではなされていないというふうに私は考えるのでありまして、そういう点につきましては、先ほど次官にお伺いいたしましたように、各関係省庁との間における十分な連絡調整というものがなされなければならない。そうでありますればこそ、この法案の不備を、各関係省庁との間における申し合わせ、あるいは覚え書き、あるいはそれに基づくところの政令にゆだねられておると思うのでございまして、私どもの希望といたしましては、それらの点を一貫した水問題についての総合立法、水法といいますか、それは主管官庁が建設省であれどこであってもいいと思いますが、そういうものがやはり要求されると思うのです。しかしそれに対する答えとしては、この法案はまだ十分でない。だから各関係省庁との間における話し合い、申し合わせ、それに基づくところの政令を定めるということが考えられておるのでございまして、そこからやはり進んで、総合的な水法というものの制定が考えられなければならぬ、こう私は思うのです。これは建設省の立場、河川局長の立場としては、少しスケールが大きいですから、むしろ大臣にお伺いをしなければならぬ点だと思いますけれども、やはり河川の番人であるところの河川局長の立場からするならば、そういう観点に立ってこの法案を運営していく、そういうお考えが少なくとも必要じゃないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/28
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029・畑谷正実
○畑谷政府委員 確かにいまお話しのとおりに、そういうような目標を持って進むということは、われわれもずいぶん議論をし、今日もそういうことでございます。ただこの河川法の改正にあたりましては、現行河川法が、その後の状況に対応しまして、いろいろ改正しなければならないという、まず第一点からかかったわけでございまして、そういう点から見ると、まだまだいわゆる水法というか水政法というようなところまではもちろんいっていないわけでございます。今後それを進めていくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/29
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030・西村関一
○西村(関)委員 次に、経済企画庁の水資源局長にお伺いしたいと思いますが、ただいま私が問題にいたしました水資源の総合開発の問題に関しまして、水資源二法の主務官庁であられるところの経済企画庁の御見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/30
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031・崎谷武男
○崎谷政府委員 西村先生のおっしゃいました、水の総合開発のために水法のようなものを考えるべきではないか、河川水のみならず、おそらく地下水も含めて、水の総合的な利用をはかるために、水法を考えるべきではないかというお話でございますが、これは外国にも例があるようでございまして、十分検討しなければならない問題だと思います。ただ私ども見ておりますと、まだ日本の河川には相当水があるわけです。水資源三法といいますか、水資源開発促進法が、産業の発展だとか人口の集中増加に伴いまして、水を広域に解決しかつ緊急に開発しなければならぬという地域に限って、水資源の開発を促進する、あるいは利用の合理化をはかるというふうにしておりますが、さしあたり河川水の利用ということが中心になってまいる。まだまだ広域に問題を解決していけば、河川水も引当利用できるはずでございますし、いまの水資源開発促進法によりまして、緊急に水の開発を必要とします地域を指定するというやり方で、一応当面の水の緊急需要には対処していけるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/31
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032・西村関一
○西村(関)委員 日本の雨量はどのくらいございますか。そうしてその雨量が河川に実際に利用できるのはどのくらいでございますか。あるいはまた、向こう十カ年間においてどの程度の需要の伸びがあって、どの程度の需要にこたえられるというお見込みでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/32
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033・崎谷武男
○崎谷政府委員 いわゆる雨量と中しますのは、大体六千億トンくらい日本の国土の上に水として落ちてくるわけであります。これが河川に流れまして、河川でも、洪水その他で、無効放流といいますか、利用できないものもあります。大体河川水の利用できるものは、六千億トンの雨が降りまして、その中の三分の一くらいであろうかと一般にいわれておるわけであります。いまどの程度利用しておるかという問題でありますが、これはいろいろな数字がございまして、大体河川の水に依存しております水量が、農水、工水、上水を合わせまして、四百億をちょっとこえたところであろうと思います。大体そういうようなことでございまして、今後さらに、主として工業用水とか上水道の関係でふえてまいりますから、これは先ほど申し上げました水資源二法その他によりまして、対処していけるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/33
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034・西村関一
○西村(関)委員 いまの問題につきまして、科学技術庁の資源局長にお伺いいたしたいと思いますが、ただいま経済企画庁の水資源局長からの御答弁がございましたが、大体において、科学技術庁としても、調査の結果、そのような数字をつかんでおいでになりますか。ただいま経済企画庁のほうからの御答弁にはございませんでしたが、現在の水の需要、これは農業用水も工業用水も飲用水もその他一切の水の利用について、いま四、五百億トンと言われたのですが、一体どの程度の利用がなされておるか、そういうことについての科学技術庁としてのもう少し正確な資料をお持ちであれば、この機会にいただきたい。これから先十カ年の後において、これから先というよりは、むしろいまの所得倍増計画の当初の計画のときと、向こう十カ年後における水の需要の状態はどのようにふえていくか、というような点についての調査があれば、この機会にお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/34
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035・橘恭一
○橘政府委員 まず第一点の、経済企画庁の水資源局長の答弁いたしました数字は、科学技術庁としてもそのような数字で現在抑えております。約六千億トンと申しますのは、平均の過去の雨並等の統計を見まして、年間千六再ミリの雨が降るという計算で、六千億トンと押えております。その他、現在の使用量約六百億トンは、やはり科学技術庁も全く同じ数字を現在考えております。
それから第二点の、将来の需要の伸びでございますが、これにつきましては、経済企画庁でいろいろ所得倍増計画と対応して算定せられており、また関係の農林、通産、厚生その他各省庁が一応予測したその数字につきましては、やはり現在のところ、それ以外にもっと正確な数字というものは持ち合わせておりません。ただ、科学技術庁といたしましては、水を平均化して使う、そういうことによって、もっと水の利用率を上げるということ、及び水の需要測定の精度を上げるにはどういうことをやるべきか、利水の量をもっと正確にしたほうがきめのこまかい水の需要測定ができるから、そういうメソッドについて寄り寄り検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/35
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036・西村関一
○西村(関)委員 三月二十六日の本院農林水産委員会における角屋委員の質問に対しまして、科学技術庁の資源局長は、いまの数字とは違った御答弁をなすっておいでになりますね。その点、この会議録によりますと、数字が、少しくらいの違いなら私は問題にいたしませんけれども、だいぶ違っておるのですね。その点について、いまここで私はそういうことを指摘して、とやかく時間を費やすことを避けたいと思いますけれども、的確な科学技術庁としての資料を出していただきたい。この農林水産委員会における水資源涵養保安林の問題についての、向こう十カ年間これを延ばすという法案の審議において、角屋委員の質問に対してお答えになったのでございますが、それによると、当初はまだ四百億そこそこであったのが、これからの需要の伸びというものを加えてこれを計算すると、六百五十七億くらいになる。需要の伸びを加えてそのくらいになるというふうな御答弁であったように会議録に出ておりますが、そういうようなことなども、もう少しく私はここでお伺いをしたいのですけれども、時間がありませんから、もし私の読み方、あるいは聞き方が間違っておるならば、むしろ的確な資料によってただしていきたいと思いますので、いまの問題について資料がおありだろうと思いますから、資料をひとつ出していただきたいし、できれば河川別に、利水度がどのようになっておるか、河川別また利用別、あるいは年次別の一覧表というようなもの、それから将来に対する需要の伸びの見込みというような点につきまして、河川の水がどのように利用されておるかということについて、科学技術庁の資料を御提出いただきたい、こう思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/36
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037・橘恭一
○橘政府委員 資料を提出いたしたいと思います。
なお需要につきましては、当日も六百億トンと申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/37
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038・西村関一
○西村(関)委員 科学技術庁にお伺いをいたしますが、河川水については、ただいま資料を出していただくということでございますが、この地下水の問題、これは河川法とは直接関係がないようでございますけれども、水という点において大いに関連があると思う。また河床を流れておるところの地表水だけでなく、伏流水もあります。そしてまた非常に膨大な地下水がわが国土に埋蔵されておるということ等を考えまして、地下水の調査の資料、あるいは地下水の利用の現状、また地下水の利用によるところの弊害が出てまいりましたので、先ほど申し上げました工業用水法というものができて、規制されておるというような点もございますが、しかし全般的に見て、日本の地下水はまだまだ未開発の部分が非常に多いと思うのでございますが、そういう点について、科学技術庁は、水資源の中の地下水の状態をどういうふうにおつかみになっておいでになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/38
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039・橘恭一
○橘政府委員 地下水につきましては、河川水ほどの調査はまだいたしておりません。水の循環の一つの経路といたしまして、地下水そのものの重要性は認識しておりますが、現在のところでは、まだ数字的な資料がまとまっていない状態でございます。なお、部分的に地下水くみ上げによる地盤沈下等については、具体的な地域について、いろいろ地盤沈下について調査したことはありますが、現在数社的に御参考になるような資料はまだ整っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/39
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040・西村関一
○西村(関)委員 私の手元に、地質調査所の編さんにかかりますところの「日本鉱産誌」の六巻のb、これは地下水、地表水及び海水に関する調査研究の集積でございます。これを見まして、私は非常に啓発されたのであります。ただしかし、この書物は少し古いのでございまして――古いと申しましても、昭和三十年に発行されておるのでございますが、これ以後、これよりもさらにもっと深められた調査資料が、科学技術庁にはあるというふうに私は考えましたので、お伺いしたのでございます。まだまだ、総合的な水の開発を考えます場合において、海水の利用というところまでは、なかなか経済効用率からいって、ほど遠いと思いますけれども、河川水の利用だけでなしに、地下水の利用、これが非常に片寄った利用がなされておるために、弊害が出てきておる。そういう点から、地下水の利用はあまり前向きになっていない。むしろ河川水がまだ余っておるのだからというような考え方で、日本の地下資源の非常に大事な部分であるところの地下水の問題が、ただずっと昔からの浅層地下水、つまり井戸によるところの水の利用ということくらいで、工場地帯におけるところの地下水の利用が規制をされなければならないといったような、へんぱな利用がなされてきておって、日本全体としての地下水の利用面においては、非常におくれておるというふうに私は考えるのでございまして、科学技術庁としては、この点に着目せられて、もう少し本格的な日本の水資源政策、先ほどから申し上げておりますような、総合的な基本的な水法の制定を考える場合に、地下水の基本的な調査が必要であると思うのでございますが、
〔委員長退席、廣瀬委員長代理着席〕
私はこの書物を読んで非常に啓発せられましたが、さらにその専門のお役所であるところの科学技術庁におきましては、この大事な問題について、現在の資料、現在お手元にあるいままでの研究の成果を、本委員会に御提出いただきまするとともに、今後の前向きの地下水に関する調査研究をやっていただきたいということを申し上げる次第でございます。資源局長、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/40
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041・橘恭一
○橘政府委員 御指摘の点は、今後その方面の資料の充実をはかるように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/41
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042・西村関一
○西村(関)委員 経済企画庁にお伺いをいたしますが、促進法の第二条によりまして水資源の基礎調査、第四条によりまして基本計画というものがなされることになっておりますが、きのうの岡本委員の質問に対しまして、まだ淀川水系についてはできていないという御答弁でございましたが、その点は私としては非常に不満なんです。まだこの法律が公布されてから日が浅いし、公団ができてからもまだ日が浅い、二年そこそこですね。でありますけれども、昨日も問題にされましたように、淀川水系における琵琶湖の水の問題は、この阪神地方におけるところの工業地帯の工業用水の問題からいいましても、また京都、大阪、神戸等を控えておる、あるいは堺市等を控えておるところの、膨大な人口をかかえておる地帯における飲用水の問題等、いろいろな面において、琵琶湖の水の利用ということは非常に大きな問題だと思うのであります。そのためにこそ淀川水系が指定をされた、こう思うのでございますが、この法律によるところの基礎調査、基本計画がまだなされていない。まず、基礎調査がどの程度までできておるか、基礎調査がどういうふうに進められておるか。その基礎調査に基づいて、基本計画がなされると思うのでございますが、基本計画がまだできてなければ、基礎調査はどの程度進んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/42
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043・崎谷武男
○崎谷政府委員 水資源開発促進法ができましてもう二年以上になりますが、淀川水系の水資源開発基本計画というものはできていない。一方、利根川のほうは、実は最近できたと申しますか、利根川の水資源開発基本計画というものは、一応四十五年を想定いたしまして、四十五年の水の利用はこれこれ、それに対する供給の目標はこれこれというものは一応できたわけであります。淀川のほうの水資源開発基本計画も、できていないといいますか、一応三十七年の八月に、水公団が建設省からのダムの引き継ぎ、その他のためにも必要でもございましたので、一応基本計画というものはできておりますが、ただその中に、利用の見通しだとか供給の目標だとかという数字を必ずしも入れていない、と同時に、きのうもお話が出ましたが、琵琶湖についてはその当時やはりいろいろむずかしい問題がございまして、たとえば、どの程度まで琵琶湖からの水が期待できるか、その点についていろいろ議論がございまして、琵琶湖についてはなお調査の上決定するという書き方をして、一応基本計画としては、文章として入れたわけであります。結局琵琶湖についてだけは調査の上ということになりまして、琵琶湖から水をどういうふうに、どの程度取るのかという基本計画らしくなくなって、基本計画らしいものはできていないのであります。この点につきましては、先生御指摘のとおり、私どもも早く琵琶湖の問題を解決したい、滋賀県のためにも解決しなければなりませんし、下流県の水利用というものを考えれば、淀川水系は結局琵琶湖の水に依存せざるを得ないのでありますから、琵琶湖の水について早く基本計画らしいものにしたいと考えております。いままでの調査というのは、先生御指摘のように、開発促進法二条によりまして、建設省はじめ農林省その他各省が、つまりこれは公団でなく、政府レベルで基礎調査を進めております。これは何年も続いておりまして、相当いろいろな調査が現実にはできております。ただこの調査の結果、琵琶湖を、たとえばどこでどういう施設をつくって、どういうような水位の上げ下げをするかということは、まだ各省とも調整ができておりません。現に滋賀県と下流県の問題もございます。この点はすべて関係者の納得ずくで基本計画に盛ってまいらなければなりませんので、おくれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/43
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044・西村関一
○西村(関)委員 ただいま局長の言われました実情も、私は承知していないわけではないのであります。しかし、これは関係各省庁との間における打ち合わせも必要でございましょうし、上流と下流との意見の調整ということが一番大事な問題であります。また非常にむずかしい問題ではございますけれども、やはりこの点を鋭意進めていただかないと、せっかくできました水資源二法が生きてこないと思うのでございます。私は、琵琶湖の水の問題は日本の産業、経済、社会、日本の政治の問題を取り上げる上において非常に大きな問題である。ただ一滋賀県の問題ではないと思うのであります。きのう谷口参考人は、滋賀県の立場からいろいろ意見を述べられた。これは一県をあずかる知事として、当然な見解だと思う。私も滋賀県から選出されている国会議員として、滋賀県の立場から琵琶湖の水を考えるということは当然出てくるわけであります。しかし国会議員という立場に立ちますと、国政という大きな高い次元に立って考えるときに、これはただ滋賀県だけの考え方で琵琶湖の水の問題を処理することはできないと思う。もっと総合的な、もっと高い次元に立って、この水をどう高度に利用するかということを考えなければならない。同時に、滋賀県民がこれによってこうむるところの犠牲は、何らかの方法によってカバーしていかなければならないということだと思うのであります。そういう点について、いろいろ意見が一致しない点があって、なおさらに調整を要する点があるから、基本計画の中に琵琶湖の水の問題を入れることができなかった、という点も私は了といたしますが、しかしいつまでもこのままでは、水資源二法が死んでしまうと思いますので、もう少し前向きの姿勢で、この問題の解決に御努力を願いたい、こう思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/44
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045・崎谷武男
○崎谷政府委員 仰せのとおり、琵琶湖の問題は、滋賀県だけの琵琶湖ではなく、琵琶湖の水の利用あるいは琵琶湖に関する水政といいますか、滋賀県だけの琵琶潮の水政方針であってはならない、これは必ず下流、中流を含めました近畿圏といいますか、近畿地方の琵琶湖に対する政策といいますか、水政方針が出てこなければならぬ。近畿圏といいますか、それはやはり今度は琵琶湖をいかに処理するか、琵琶湖の水政基本方針というものは国の方針であるべきだ。水資源開発促進法の思想はまさにそういう思想でございますので、琵琶湖につきましては、御指摘のとおり、さらに各省の調査を待ちまして、調整してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/45
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046・西村関一
○西村(関)委員 建設省におきましても、琵琶湖の締め切り案というものが案の案といいますか、ほとんど表にまだ出ていない、素案の素案といいますか、そういうものが出たことがあります。これは局長も御存じでございますが、それに対して、きのう谷口参考人は、滋賀県の立場から絶対反対だということを表明しておりました。滋賀県の立場からは、パイプ送水ということについての意見の開陳もございました。これと関連をいたしまして、琵琶湖の水を、増水時渇水時の調整をはかるという点にも関連をして、湖水の中にダムをつくる。いわゆるドーナツダムといいますか、湖水の中に水位より高いダムをつくって、増水時における水をためておく。渇水時には、水位とは影響なく、その湖水の中にあるダムから、増水時にためた水を流していくという考え方が、農林省の方面から出ておるというふうにも聞いておるのでございますが、経済企画庁のほうでは、そういう計画について、関知しておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/46
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047・崎谷武男
○崎谷政府委員 琵琶湖の水を幾らとるか、また水位の上げ下げにも関係いたしますが、どの程度の施設をつくるか、それは御指摘のとおり、堅田締め切り案、建設省の案を初め、いわゆるドーナツ案、農林省案もございます。それからいま申し上げたような滋賀県の考えておるパイプ案もございます。その辺につきまして、私どもまだ十分に――いまの水資源開発促進法といいますか、経済企画庁の土俵の上で、十分に論議は、たとえばドーナツ案についても、いたしておりません。そういう計画の案のあることだけは、承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/47
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048・西村関一
○西村(関)委員 農林省の永田参事官、いまのドーナツ案については、どの程度まで具体的に計画ができておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/48
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049・永田正董
○永田説明員 農林省としまして、琵琶湖の水を下流で利用することを、全体について立ち入って計画をしようというつもりはございません。私のほうは、農業川水としては、突っ込んで考えるべきだとは思いますけれども、農業以外の水の利用について、突っ込んだ考え方を打っておるわけではございません。ただいまのドーナツ案と申しますか、そういうものがすでに新聞にも出されたことがあるようでございますが、これにつきましては、近畿農政局としましても、成案となっておるものでもございません。したがいまして、農林省といたしましても、それを検討したり成案としたり、そういうことをしたわけでもないし、今後も、いまのところするつもりはないわけであります。ただいろいろ琵琶湖の問題が重大になってきておりますので、技術屋として、お互いに建設省とか農林省とか言わずに、どういうぐあいにやったらいいかという話し合いの段階で、こういう案もどうだということで、近畿農政局の技術課で、そういう一つの案というものを書いてみた、こういう程度のものであると理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/49
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050・西村関一
○西村(関)委員 そのドーナツ案につきましては、御承知のとおり、香港の島の外に、海中にダムをつくって、飲料水をためるということをやっておるのです。現にやっておるわけなんです。しかし琵琶湖の場合ですと、これは工事のために、いろいろ琵琶湖の漁業に影響を与えたり、あるいは水を汚濁したりするような点があって、これも工事の実施の面においていろいろ問題がある。いろいろな点において、まだこれから検討を要する点が、どの案につきましてもあることを、私は承知いたしておりますので、いま経済企画庁の局長が言われましたように、いろいろな案を一応俎上に載せて、政府ペースにおいて、どうこれをこなしていくかということを検討しているんだ、ということもうなずけるのでありまして、これからもまだその他の案もいろいろ出てくるかと思いますが、要するに、琵琶湖の水の高度利用、これは淀川水系として、この河川法において一級河川の指定を受ける場合において、この法案に非常に関係があるわけでありますが、そういう点も考えながら、琵琶湖の水の高度利用、しかも利水の関係あるいは治水と利水の関係、あるいは治水と冷水の関係等々の関係を勘案しながら、私は水資源二法が生かされるような基本的な計画を早く打ち出していただきたい、これは経済企画庁だけでなしに、各関係省庁、特に河川の番人の役目をしている建設省におかれては、これらの問題を十分に考慮に入れながら、今後の水に対する施策を進めていただきたい、こう思いますが、建設省の河川局長の考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/50
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051・畑谷正実
○畑谷政府委員 ただいまお話しのとおりでございまして、私どもも一日も早く、そういう、特に琵琶湖の問題についての結論を出しまして、一貫としての水政管理の面の基本をつくりたいと思います。それで、琵琶湖の基本調査につきましては、従来やってございましたが、大体調査の段階を終えまして、その資料をまとめて結論を出し得る、こういう段階まできておりますので、なるべく早い機会にそれを結論を出して、こちらの案として出しまして、皆さんのほうにお配りしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/51
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052・西村関一
○西村(関)委員 次に、近畿圏整備本部のほうにお伺いをいたします。
ただいまお聞き及びのとおり、水の問題は、広域行政としての近畿圏整備の問題と非常に関連が深い重要な要素を持っているということは、十分にお認めになっておられる点だと思いますが、近畿圏整備本部としては、水の問題、特に琵琶湖の水の問題、近畿の中の琵琶湖の水の問題を、どういうふうに広域行政という中においてお取り上げになっておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/52
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053・八巻淳之輔
○八巻政府委員 御承知のとおり、近畿圏整備法が昨年の七月に制定されまして、それ以来近畿圏整備本部の事務的体制を整え、あるいは粋議会を構成するというようなことをやってまいりまして、ことしの春から、その審議会の下部機構でございまする専門委員会というもので、これを法制部会と計画部会に分けまして、研究を始めております。
まず計画部会におきましては、「近畿圏整備計画」というものが近畿閥整備法の八条にございますように、近畿圏における人口の規模及び配分、産業の配置、土地、水その他の資源の保全及び開発、都市の整備及び開発、交通体系の確立というようなものについての総合的、かつ、基本的な方針を定めるということが第一点。その次は、その方針に基づきまして、近郊整備区域であるとか、都市開発区域及び保全区域の指定ということが第二点。
〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕
第三点といたしましては、産業基盤施設、国土保全施設、住宅及び生活環境施設、教育施設、観光施設その他の施設で、広域性を有し、かつ、根幹となるべき施設計画を定めるということに相なっております。したがいまして、計画部会におきましては、さしあたり近畿全体の将来における人口の規模及び配分、産業の配置等につきましての基本的な方針をまず固めていかなければならぬというので、目下その方向で検討を進めております。この整備計画の中心議題となりますものが、ただいまもお話がございましたように、水資源の保全及び開発という点が非常に重要なポイントになるわけであります。産業の配置につきましても、水資源というものの将来の利用可能性ということが把握できませんと、なかなかその適正配置ということもできないわけでございまして、その意味におきまして、将来における水の需要及び供給につきましての長期の見通しを立てなければならないと考えております。中でもその大宗をなすものは琵琶湖、淀川の水の利用開発という問題であるわけでありまして、私どもといたしましても、十分今後こういう問題に取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/53
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054・西村関一
○西村(関)委員 ただいま近畿圏整備本部の次長さんから、全般的な事柄についてのお答えがございましたが、琵琶湖、淀川、いわゆる淀川水系の水の問題については、鋭意調査をし、また計画の中に取り上げていきたい、こういう御答弁でございましたが、近畿圏整備本部が組織されてまだ日が浅いですから、いまこの時点において十分なことを要求することは無理かもわかりませんが、いろいろなすべきことは多いと思います。特にこの琵琶湖の水の問題については、先ほど来、各関係省庁の政府委員の方々にお尋ねいたしまして、お答えがありましたように、近畿圏整備本部の仕事としても、私は非常に大事なお仕事の一つじゃないかと思うのであります。この点はいまの総括的な御答弁によって承りましたが、特に重点的に、琵琶湖の水の問題を今後近畿圏の中においてどう高度に利用するか、ということを十分に検討をしていただきたいと思います。そうして先ほど来申上げておりますような、総合的な広域行政の面にどう取り上げていくかということを、ぜひ打ち出していただきたいと思います。
それに関連をいたしまして、先般、農林水産委員会において私が質問をいたしました際に、近畿圏整備本部の調査員の方が、水資源の保全、涵養ということに関連をして、山に木を植えるということは、いろいろ学説もあって、その木が水を吸い上げてこれを蒸発させるので、水資源の保全、涵養にはならないというような、まことに奇妙な御答弁をなすった。これは私は聞きのがすことができないので、さらに重ねて追及をいたしまして、林野庁長官の見解を尋ねましたが、そういうことはございません、山に木を植えるということは、やはり水資源の保全、涵養の面において重要欠くべからざることである、こういう林野庁長官の御答弁がございましたし、またあなたの部下の調査員の方も、少し言い過ぎましたというように訂正をなさいましたけれども、これは私は一調査員の意見として聞き流していいと思いますが、いやしくも国会における答弁として――これは河野本部長の代理として来ておられるのですから、河野本部長の代理として答弁をしておられるというふうに心得るのであります。これはこの機会に、次長のあなたから、こういうことについての見解をあらためて承りたい。水資源の保全、涵養ということは水資源二法の審議のときにもやかましく論ぜられた、これは御承知でございましょうし、こういう点について、きょうは河野本部長がお見えになっておりませんが、それこそ河野本部長の代理としての次長から、水資源の保全、涵養について、農林省との関係においては、ますます造林に力を入れなければならないものであるという――私はかたくそういうふうに信じておるのでございますが、そういうまことに奇怪なお答えがございましたので、この際はっきり御訂正を願うものならば願いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/54
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055・八巻淳之輔
○八巻政府委員 二月の中旬の農林水産委員会におきまして、私のほうの藤野本部員から御答弁申し上げました中での発言で、造林と水資源の関係につきまして、軽率な発言をいたしましてお耳ざわりの点があったことを、深くおわびいたします。私ども、広い立場から総合的にものを考えなければならぬ者といたしまして、そうした発言があったことを深く遺憾に存じます。
この造林、また水源涵養林というようなものが、洪水時の調節能力を増すというばかりでなく、渇水時における保水能力も増すということによりまして、これは水資源の保全のために欠くべからざるものであるということにつきましては、疑いをいれないことでございまして、水資源の保全のために、そうした水源林の造林というものが必要であり、そのほかに林業の経営であるとか、あるいは後進地域の開発というような幅広い面から申しましても、これは総合的な意味で必要なものであるということにつきましては、私からはっきりと申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/55
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056・西村関一
○西村(関)委員 ただいまの八巻次長の御答弁について、私は了解をいたします。
最後に、通産省の産業立地部長がお見えになっておられると思いますが、京阪神の工業立地計画というものと水の利用の問題につきまして、通産省としてはどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/56
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057・馬郡巌
○馬郡説明員 ただいま御質問の、京阪神の工業立地と水の関係でございますが、御承知のように、京阪神は現在過密地帯ということでございまして、今後のこの地区におきます工業立地のやり方につきましては、今後近畿圏整備本部とも御連絡申し上げまして、近畿圏整備計画に基づきまして立案してまいりたいというふうに考えておりますが、ただ、京阪神が、どちらかと申しますと、軽工業中心でございまして、重化学工業に少し乏しいというような点で、京阪神の地先にある程度の埋め立てが行なわれておりまして、ここらあたりに用水型産業がかなりまいっておるわけでございます。それと、この地帯は、御承知のとおり、地盤沈下地帯でございまして、三十二年以来、私たちは、工業用水法に基づきまして、地下水のくみ上げ規制を実施してまいっております。これにかわる代替用水としての工業用水の施設ということも順次やってまいっておりまして、ようやくこの四月から、大阪市の一部の地区につきましては、工業用水の完全な給水ができまして、地下水のくみ上げを完全に停止することができるというような地帯も出てまいったようなわけでございますが、その地盤沈下対策としての工業用水の施設というものと、先ほど申しましたような用水型産業に対します水の補給というような点、その二つで、現在大阪、尼崎地区でございますか、三十八年度末までに給水いたしておりますのが約七トン程度でございます。そのほか、四十二年度を目標にいたしまして建設中のものが約十九トン・パーセカンド程度、その程度の工業用水の建設をいま実施いたしておるところでございます。それで大体大阪、尼崎地帯と申しますか、淀川に水源を求めてまいります地帯の工業用水のものにつきましては、この建設が終わりますと、この地区におきます地下水のくみ上げは、全面的に停止することができるような状態になろうと思いますし、またこの地帯におきまして今後出てまいります用水型産業の水の補給にも、大体対応できるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/57
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058・西村関一
○西村(関)委員 最後に、建設省の河川局長に御見解を求めまして、私の質問を終わりたいと思いますが、ただいままで、工業用水との関連において、また本日は、各関係省庁の政府委員の方々をわずらわしまして、関連する諸問題について質問を試みまして、これらの点によって、十分ではございませんが、本委員会における審議の過程において、いかに本法案が関連するところが大きいか、また国策の上から申しましても、総合的な水政策を目ざして一歩でも前進の形をとって、河川法案が上程されておるという点にかんがみまして、これは建設省の所管にはなっているけれども、いわば総合的な水法を目ざしての、現時点における、非常に古い現行河川法を改正していこうという試みである、こういう見地から、非常に高度な目標を目ざして、水の問題を取り上げているのです。他の関係法律の中にあって、中心的な役割を果たしていく大事な法案であるということは、いまさら私が申し上げるまでもないところだと思いますが、いままでの御答弁の中においても、建設省のお考えが述べられておりますけれども、最後に集約として、私は建設大臣のお考えを伺いたいのでありますけれども、おいでになりませんので、河川局長から、これらの問題についての御見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/58
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059・畑谷正実
○畑谷政府委員 いままでのお話の点につきましては、まず第一点として、今回の河川法が先生御指摘のように、いわゆる水法的に見て完全なものではないということは、私どもも承知しているわけですが、先ほど申し上げましたとおりに、現在の河川法から一応一歩出たということだけでございますので、さらに二歩、三歩ということを考えて、これに対応した動作をしていかなければならぬというふうに思っております。
またもう一つは、御指摘の各省という問題は、これは関連する省が非常に多いわけでございまして、私ども、いままでも、法案の作成の過程におきまして、十分各省と意見を調整し、また地元とも非常に関係が深いわけでございますので、そういう方々ともいろいろ打ち合わせをしてまいりましたけれども、私どもその運営にあたっては、それを確実に実行するということが一番問題であろうと思いますので、今後これが運営にあたるという聖者になりましたならば、一そうそういう点に気をつけまして、総合的な観点から調和のとれた、そごのないような運営のしかたをしてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/59
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060・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/60
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061・岡本隆一
○岡本委員 この間から、たびたび通産省や農林省の方々に来ていただきましたが、質問ができなくて御迷惑をかけておりますが、それらの問題から先にお尋ねしてまいりたいと思います。
最初に、通産省のほうにお尋ねしたいと思うのでございますが、ダム使用権の問題でございます。ダム使用権は物権とみなすというふうに、多目的ダム法に書いてございますが、ダム使用権というものはどういうものか、その中身をわかりやすく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/61
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062・馬郡巌
○馬郡説明員 これは私たち専門家でありませんし、よく存じませんので、あるいは的確なお答えができるかどうかわかりませんが、私どもは、この権利は公の権利でございまして、私権ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/62
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063・岡本隆一
○岡本委員 物権というのは、これは私権じゃないのですか。ダム使用権は物権とと見なすということは、私権をそこに与えているということになるんじゃないですか。だから、私権としてのダム使用権というものはどういうものか、ということをお尋ねしているわけです。多目的ダム法は、経済企画庁の関係の法律ですね。建設省ですか。それじゃ、建設省の見解はわかっているのです。しかし、建設省の見解はわかっていても、やはり直接物権としてのダム使用権を獲得した人、たとえば工業用水あるいは電力用水、ことに発電ダム、多目的ダムでない一般の電力用のダム、こういうようなものも、やっぱりダムの設置を許されたということは、ダムの使用権を許されたということになる。だから、そういうダム使用権が発生した場合、私は、そのダム使用権というものはどういうふうなことをその内容にしたものかということは、やはり通産省の一定の解釈があると思うのです。だから、通産省の解釈を私は聞かしていただきたい。
〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/63
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064・馬郡巌
○馬郡説明員 これは、この法律の主管官庁でございます建設省の解釈に、私たちは、従いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/64
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065・岡本隆一
○岡本委員 それでは、この間お伺いいたしましたが、もう一度確かめますが、ダム使用権というものは、ダムをつくってそこに水をたくわえる権利を得たということ、それが一つですね。それと同時に、たくわえた水によるところの経済効果を発揮する権利、この二つがダム使用権の内容じゃないかと思うのです。間違っているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/65
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066・畑谷正実
○畑谷政府委員 この間のお話は、いわゆる水に私権が及ぶかどうかということから、お答え申したわけでございますが、いまのダムの使用権につきまして、その貯留した水に私権が及ぶかどうかという問題でございます。私どもはこの水については私権は及ばない。ただしダム使用権というような問題につきましては、ある一定の水を引用するという権利、それからもう一つは工作物を設置するという、それに許可条件があるわけであります。それによってダムというものができ、そのダムができますと、そのダムの効果として、一定の水位の水がたまる、こういうような利用効果がある、こういうことでございまして、もちろん効果に対するいろいろな問題は付随して起こりますが、いわゆる私権の対象にならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/66
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067・岡本隆一
○岡本委員 法律というものは、だれにでもわかるものでなければいかぬと思うのです。特別の学者であるとか、特別のそれを立案した人だけにわかっていたのでは、これは法律じゃないと思うのです。だから、法律というものはわかりやすくつくってもらわぬと困る。私のような頭の悪い者にも、ちゃんとわかるようにしておいてもらわぬと困る。だから、私はそういう点についてくどくお尋ねするわけでございますが、なるほどあなたは、水をたくわえる権利、それをまた利用する権利、これは私権と見なしておる、しかし水そのものは私権の対象じゃない、こう言われる。しかし水を利用することによって電力を得たり、その他工業用水に使って、一定の経済効果を上げるのですから、やはりその水そのものは――たとえば電力用のダムに水がたまっております。それを放流すれぱゼロになるのです。たくわえて、その水を有効に発電所に使っていけば、それで相当な経済効果が上がるのです。だから、その者が、たくわえる権利を与えられ、使う権利を与えられたということは、やはりその水そのものが私権の対象になっておる、これは当然そう理解いたしますよ。それであたりまえです。それが常識的な判断です。だから、常識的な判断に従って理解できるように、法律はつくっていただかなければ困るわけです。あなたは私権の対象でないと、この間私の質問に対しておっしゃいました。ところが昨年の審査の場合には、当時の山内河川局長でございますが――私ばこの前にあなたにもお尋ねいたしました。その流水については私権の目的となることはできない。それではそのダムにたくわえられた水の放流を命じた場合には、補償が要るのか要らないのかと言ってお尋ねいたしましたら、あなたは、補償は要らないというふうにお答えになりました。ところが、昨年の委員会では、流水については従来どおり私権の目的となることはできないという考え方だが、しかしながら、その放流の指示をした場合には、普通の状態では、やはり補償の問題が生じてくるのではなかろうかと考えております、こういうふうに、前の山内局長はお答えになっていらっしゃる。補償が要るということは、そればそのなにが私権の対象になっているということであります。さらにまた、そのときの建設大臣のお答えは、「緊急の場合に放水を要求することは、これは緊急事態の処置でございますから、補助をするとかしないとかいうことを離れてやらなければならぬ処置でございます。」洪水が予想される場合には、補償とかそんなことを別問題として、どうしてもそれはやらなければならぬ問題だ。「しかしよって生ずる問題につきましては、非常に解釈がむずかしゅうございます。したがって、これにつきましてはなおよく検討も加えますし、裁判所の判定に待つということもいいのではないかという気もいたします。」だから建設大臣は、この問題は未決定の問題だ、だから裁判所できめてもらおう、こういうてふうな考え方を持っておられる。従来の河川法におきましては、はっきりと、流水は私権の対象にならないということが規定されております。今度は、河川は公共のものであってという規定はございます。しかしながら私権の対象にならないという規定はない。しかもダムの調節機能というものについては一項大きく設けられまして、それが以前は勧告であったのを、指示と直されました。とにかく、一定の指示権を河川の管理者は持つということになっております。私は、そういう指示といった程度では弱い、だからもっと強い命令権を付与する必要がある、こういう理解に立っております。また今日この河川管理というものが、いままでの、その水をどんどん早く海へ流してしまおうというような考え方から、流量の調節をやろうというふうな考え方に変わってきて、その考え方が大きく今度の河川法の中に入っております。したがって、現在ではまだダムの数は少のうございますけれども、たとえば十年、二十年たちますと、もう二十、三十の大きなダムができてまいります。そういうような場合には、その流域、集水面積というものから計算して、洪水の出方というものは、簡単に私は電子計算機で出てくると思う。したがって、流量調節をはっきりうまくやっていけば、洪水を起こさずに済む。そういう場合くらいは強い命令権がなければ、これは電力用にためておるのだから、放ってもらっては困る、無効放流してもらっては困るというような強い権利の主張があっては困る。だからそういう権利の主張をはっきりと否定をしておく必要がある。少なくともここ数十年改正することができなかった河川法なんです。いま改正する場合には、将来禍根の種になりそうなことだけはきちっときめておかなければいかぬと思う。だからそういう意味において、この解釈というものをこの機会にはっきりさしておく必要がある。流水が私権の対象にならないと規定されておったものを、なぜ今度の場合にはずされたのか。そうしてまた、あなたは流水は私権の対象でないと言われるなら、はっきりとそのことを法律の中に一項書き入れてどうして悪いのか。流水は私権の対象でないと言っておられるのなら、そのことをもう一度念のために、われわれのような頭の悪い人間にもわかるように、一項を入れておいてどうして悪いのか、これを私はお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/67
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068・畑谷正実
○畑谷政府委員 この間の問題ですけれども、私権と補償という関係は、私は関連を認めておりません。この間のお話のとおりに、いまのダムの問題について、そういう水には私権はない、こういうふうに考え、またこの法文上にも出ておると思います。ただ私権がないから、放流に対して、そういうような補償とかいうものは要らないということとは別でございます。先ほどからお話ししますとおりに、ダムの設置によって、そういう水位の確保、あるいは水がたまるという利用効果というものがございます。効果の減少によって、そういうような補償とかなんとかいう問題が起こってくる、こういうふうに考えております。したがいまして、この間の指示の問題につきまして、いろいろお話がありましたときに、私もお話し申し上げましたとおりに、指示とはどういうことであるか、この河川法の四十四条以下に、いろいろなダムの特別について出ておるわけでございます。特に今回、四十四条でもごらんのとおりに、ダムを設置する場合に、従来の河川の機能というものを一歩も傷つけてはいけないという、そういう施設なり措置なり全部をやる、これは明文化して、いままでの水と同じ状態より悪くするということは一切させない、こういうような条件で、許可をまずいたすわけでございます。しかる後に、これをいかに操作をするかという操作の条項につきましても、十分な流水を円滑に流すという操作を入れまして、適正を期しておるわけであります。そういう範囲内で操作をいたしておりますれば、ダム管理者としては十分それによって自分の義務を執行することができるわけでございまして、この指示事項によりますのは、緊急な場合、たとえば下流に大災害が起こるというようなことで非常事態を認めたときに、どういうふうにするか、これはダム操作の規定の中でやればいいのですけれども、それ以上にそういう操作を指示するということでございまして、これはこの間もお話ししましたとおりに、ダムというのは河川の横過物でございますので、やはり一般的に河川の横過物として洪水の場合に水をうまく流す、それから下流にも損害を与えないというような協力義務というものを持っておるじゃないか、その義務の範囲内において、なお受忍の範囲内において指示するならば、これは補償するというようなところまでいく必要はないじゃないか、こういうお話を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/68
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069・岡本隆一
○岡本委員 あなたのおっしゃることが私にはのみ込めない。私にのみ込めないということは、やはり一般の国民にのみ込めないということになると思う。そう言えば、これは私の頭が狂っておるのだと言われるかもしれませんが、しかしそんなにむずかしいものであってはいけないと思う。水の経済効果を期待してダムがつくられて、水がたくわえられておる、それを捨てればそれだけの経済効果を失うのだ、だからたまっておる。ためられた水、たくわえられた水に対しては、ある権利があるわけです。権利があるということは、私権があるということなんです。だからそういうふうに回りくどくおっしゃっても、そういうことはなかなかすなおに国民の頭には入っていきません。そういうことを法律に書いておってもだめなんです。だから法律には、国民の頭にすぐわかるように書いてもらわなければ困る。だからあなたが私権がないとおっしゃるのなら、私権がないということをここにぴちっと入れておけば、これで問題は解決するわけです。これはここで議論しておりましても、平行線のような感じがいたします。だからあとでまたゆっくり別な機会に、与党の諸君ともよく相談いたしまして、この問題は処理いたしたいと思いますが、いまの形のままでは――ダムにたくわえられた水は私権の対象とされておるというところは、どうしても私には理解できません。また前回、山内局長は、補償の問題が出てくると思う、こう言っておられるが、あなたは補償の問題がないというふうにお答えでございます。これは建設省の解釈がその後変わったのですか。それから、大臣が、この問題は裁判所の判定を待つのがいいのではないかということを、前回の委員会でおっしゃっておられますが、その後一年間期間がございますから、地役省側でもいろいろ検討された結果、前回の委員会であなたがお答えになり、今日も、それは受忍義務なんだというような理解に立って、補償の必要がないという統一解釈になったのか、そういう点をはっきりしておいていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/69
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070・畑谷正実
○畑谷政府委員 前回の答弁と私の答弁とは少しも変わっていない、こういうふうに了解しております。前回いろいろお話がございまして、ダムの操作についてどういうふうな処置をするべきか、勧告というところから出たわけでありまして、指示とか命令とか、いろいろ問題がありました。その後、私ども具体的にいろいろダムの様式、ダムの操作、そういうものを検討してまいったわけでありますが、先日も申し上げましたとおりに、われわれが多目的ダムとして、いわゆる洪水調節用としてつくっておるダムは、これは本来の目的が洪水調節でございますから、十分な洪水調節の能力を持つような構造であり操作である。ところがここに出てまいりますものは、本来そういう目的を持っておらないダムでございますために、極端に言うならば、そういう洪水調節というものはなし得ない。実際はある程度の限界があって、なし得ないことはないから、こういうことになるわけでございますが、本来そういう洪水調節の機能も構造も有してないダムに洪水調節をさせるというのは、実際問題として限界がありまして、いわゆる先生がお考えのような、普通の洪水調節目的を持っておるダムのようにお考えにたるということは、これは構造上からいっても、操作上からいっても不可能でございます。そういうことで、もしそういうことをほんとうの洪水調節という積極的な前向きの問題から取り上げていくならば、それは命令でもよろしゅうございましょうが、要すれば構造を直すとか、あるいは全然発電の目的に使わずに、ただ水を捨ててしまう、そういう問題になりまして、当然補償なり損害賠償の問題は起こってくると思う。この前の討論のときに、そういう点につきましては、当然補償も起こる問題がある、ただ私どもはそういう問題をその後討論した結果、そういうような洪水調節能力あるいは洪水調節の目的のないものに金をかけてしても効果は薄い。ですから、本来そういう洪水調節的目標を持つならば、それを正式に河川費でもってダムの高さを上げて、洪水と兼用した一種の多目的ダムに直すとか、あるいは新しく洪水ダムをつくるというふうにすべきであって、現在ここで緊急に間に合わすためには、やはりそういう非常に範囲の狭いものでございまするが、操作規定の内部におきまして、なおかつ協力義務を背景としました受忍の範囲内の指示よりできない、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そういう範囲内におきましては、補償という問題もいろいろ検討されまするけれども、受忍の範囲ということで、補償という問題はあえて考えなくてもいいのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/70
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071・岡本隆一
○岡本委員 先ほど、ダムというものは従来の機能をそのままじっと持続させるのだ、こういうお話でございまするけれども、しかしながら、そういうことは事実上は不可能です。そういう特別の施設を設けようとすると、勢いそれに伴うところのいろいろな副作用が出てまいりまして、実質的には従来の機能を保存しようといたしましても、できません。さらにまた、発電ダムは洪水予防能力がないのだ、こういうふうなお話でございますが、その発電ダムとても、やはり相当洪水に影響を及ぼしておるわけです。たとえて言えば、ダムがございます。ダムの上にゲートがある。そしてなるほどこのダムの高さまでの水を放流する機能は持っておりません。しかし一メートル余りあるところのゲートは、その一メートルの面積に応じ、一メートルの高さの水深を調節する能力を持っているわけです。だから、かりにこのゲート一ぱい水がたくわえられておったとします。大雨にならないだろう、だからゲート一ぱいためておけということで、水を持っているのです。そのときには相当下のほうは増水しているのです。そこへ上のほうから集中豪雨か何かどっと流入してきた場合は、オーバーフローします。オーバーフローするのがこわいものだから、一斉にゲートを上げるのです。そうすると、相当増量しているところへ、一斉にゲートを上げたために、奔流が出て、なるほどそのときには上から流れてくる水と同衆だと言われるかもしれませんが、そういうときこそ、急激な水の増量を避けるために、予防効果をあげるべきなんです。ところが、そのゲートをあけて待っておらないから、大きな水が流れ込んできたときには、調節能力はゼロです。そのために大きな被害書を下流に起こす。これが今日しばしば起こっておるところのダム災害だと思うのです。だからそういうふうなダム自体、幾ら発宙ダムといえども、ある程度の調節能力は持っておる。一時的に、たとえ短時間でも洪水を抑え、急激な衝撃を下流に与えるというふうなことをしないようにしなければならないものが、逆に非常に急激な衝撃を与えるようなことをしておるのが、今日のダム操作の現状なんです。だから発電ダムといえども、洪水が出そうだから一斉にゲートを開けといって、ともかくたとえわずかでも、自分の持つところの調節能力を発揮させる、しかも相当な面積にわたって一メートルの水深といえば、わりあいに大きな調節能力があるわけです。だから発電ダムといえども、調節的機能を果たすところの役割りを、管理者は命ずる必要がある。そういう場合に、私どもは、命令権を管理者は持たなければいかぬし、またその命令権には必ず従うという義務を負わせなければいけないし、またそういうものなんだという理解をすべての人に与えるためには、幾ら施設の中にたくわえられたものであっても、洪水容量というものがなくても、やはりその水は私権の対象でない、だから命令に従う必要がある、こういう認識を持たせる必要がある。だから、そういう意味においてば、この法律にそういうことをはっきり書いておく必要があると思うわけです。
この問題については、山中さんから御意見があるそうですから、一緒に御答弁、願ったらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/71
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072・山中日露史
○山中(日)委員 いま岡本さんからいろいろ尋ねられております緊急非常の場合、特に洪水の場合ですけれども、洪水のおそれがある場合に、河川管理者がそのダムの調節について命令を発する、あるいは指示をするという場合に生ずる起業者の損害を、補償する義務があるかどうかということが、いろいろ議論になっておるようでありますが、私は命令であろうが指示であろうが、そういう緊急の場合にそういう措置を講じた場合における損害は、普通の法律の理念の緊急避難という考えで、そういう補償はする必要がないということが生まれてくるのではないか。そういった洪水の起こった緊急の場合に、河川管理者がその起業者に対して、その機能を調節するという指示、命令は、これは緊急避難でございますから、そのために生ずる相手方の損害または第三者の損害というものは、補償または損失の賠償をする必要がないというのが一般の法律上の観念としてあるから、そういう点、命令であろうが指示であろうが、その損失補償ということについては全然責任がない、管理者は払う義務はない、当然そういう理念が生まれてくるのではないか、そういうことでいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/72
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073・畑谷正実
○畑谷政府委員 そういう考え方は持っておらないわけでございます。先ほどから御説明するのですが、少なくとも、私権でないから補償にならないということでなく、ダムを設置するためにどうしても利用効果というものが少なくなる、そういう問題においては補償が起こる、こういうことでございます。
もう一つ、補償の問題でございまするが、これはいまの緊急非常の場合に、いわゆるそういうダムを設置した人が利用効果が少なくなるということに対する補償という問題は必ず起こってくると思い幸するが、先ほども申し上げましたとおり、緊急な場合に、その洪水調節なりそういう機能を持っていない人に、いわゆる協力義務の範囲、受忍の範囲内において指示をする、そういうことであるから、あえて補償という問題までからめなくてもいいのではないか、それを過ぎれば当然補償なりあるいはそういう調節、あるいは工作をすること、あるいは操作をすることによるひとつの費用というものは別に生じてくる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/73
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074・山中日露史
○山中(日)委員 私権があるかないかということですが、私は緊急避難によるところの損害の補償とは全然別だと思う。私権があるとかないとかいうことは全然別であって、とにかくいま洪水でたいへんなことになるという場合に、そのダムの調節によってその洪水を避けられるというような場合に、その措置を命ずる、指示をするということによって生ずる損害は、当然やるべきことであって、それをやらないということは、大衆のために非常に損害をこうむらしめておるのでありますから、当然河川管理者は、そのダムの使用者にその私権があるとかないとかということとは全然別個に、つまりそういった緊急避難行為として、当然その命令もしくば指示に従った場合において生ずる損害というものは、補償する必要はないのではないか、こう私は考える。そういう理論でなければ成り立たないのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/74
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075・畑谷正実
○畑谷政府委員 いろいろなお話ですけれども、問題は、実際にダムの指示なりそういうことをする、どういう動作をするかという問題に尽きると思うのです。先ほど来から申しますとおりに、緊急非常事態である。それだからそういうふうにしてもいいではないかといいますのは、これは緊急非常事態に備えるものは、それぞれその目的をもったダムなりそういう操作をするところがやるべきであって、本来そういう目的なり構造なり、そういうものを持っていない――ただやはりいまお話しのとおりに、緊急事態でございまするから、やはりそういうものに対する一つの協力義務あるいは受忍の範囲というものがございまするから、それらの範囲内において行なうべきである、こういうことにおいて一応補償というものはそういう対象として考えられる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/75
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076・山中日露史
○山中(日)委員 もう一点、別に議論する気持ちはありませんけれども、たとえば火事の場合、お隣に類焼することをおそれて、そのうちをこわしてしまうということは、こわされるほうがその火事に耐え得るあれがあるとかないとかということは全然別にしまして、結局火を消すというほうの立場からすれば、どうしてもそのうちをこわさなければ他に類焼するおそれがあるという場合においては、それは当然できるわけですね。そういう観念で考えなければ、この問題は解決しないではないかというのが私どもの考え方なんです。その場合に、こわされるほうがその火事を防止する機能を持っているとか持っていないとかということとは、全然考え方が違うんじゃないかと思うのです。その点どうですか。
〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/76
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077・国宗正義
○国宗説明員 ただいまの第五十二条の洪水時におけるダムに対する指示につきましては、緊急避難であり、したがって補償は要らないのじゃないかというお話でございます。そして消防の際も緊急に他人の家を破壊する場合は補償が要らないじゃないかとも仰せられるわけでございますが、この河川法案におきましても、第二十二条に規定いたしておりますように、これは洪水時における別個の緊急措置でございますが、「洪水、高潮等による危険が切迫した場合において、水災を防御し、又はこれによる被害を軽減する措置をとるため緊急の必要があるときは、河川管理者は、」云々とございまして、他人の土地を使用したり、土石、竹木を使用し、もしくは障害物を処分することができる道を開いておりまして、これにつきましては、第三項におきまして、河川管理者は、「損失を受けた者があるときは、その者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。」明文をもって補償の義務を規定いたしておるわけでございます。したがいまして、当該の五十二条につきましても、緊急避難的な事態であることは認められるわけでございますが、緊急避難であるがゆえに、かような積極的な権利の侵害といいますか、他人に受忍をしいるといいますか、さようなことができるわけでございまして、一般の緊急避難におきましても、したがいまして違法性はなくなる。しかしながら、その場合において刑事上の違法性はなくなりますが、民事上の損害賠償につきましては、常になくなるということでばございませんので、場合によっては補償することを必要とするわけでございまして、現にいま申し上げました二十二条は、補償する場合を規定いたしておるわけでございます。でございますから、五十二条の洪水時の指示は、緊急の事態でございますが、受忍の範囲内であるかいなかに、補償の要否がかかっておるわけでございまして、洪水調節の機能を持たないダムにおきまして、貯留を積極的に放流せしめるのではなくて、大雨注意報という具体の危険の接近が客観的に認められる時分になりまして、貯留を待った、貯留を制限いたしまして、その時点における水位をもって制限水位的――制限水位そのものというのは、これは多目的ダムで採用する思想でございますが、利水ダムにおきましても、そのときの水位をもって制限水位的に扱いまして、そこで貯留を待った、入ってくるものは全部出さなければならない、さようにいたしまして、洪水予報等の完備した河川について行なうわけでございますので、洪水のピーク時は相当確実に想定される河川がございます。さような場合に、洪水のピーク時に至って貯留を始めるように指示するわけでございます。さようにいたしますれば、わずかな水量でございましても、ピーク時の洪水のカットでございますので他の多目的ダムの働きと合しまして、非常な効果を発するわけでございます。さようなことを命じます場合に、常時河川においてダムを設置し、河川の効用を利用している利水ダムでございますので、平生は利用しておりますので、第四十四条において、先ほど説明ございましたように、従前の機能維持につきましては、必要にして十分な役割りを果たすように、これは操作規程で措置いたしますが、それに加えて、さらにこのような場合にはおつき合いする義務がありまして、先ほど申されますように、緊急避難的でございます。しかしながら受忍の範囲を越えない。いまの私の申し上げた例には当たるわけでございます。したがいまして補償は要らない。しかしながら、いま具体に考えられる措置はさようなものでございますが、大きな容量を持つダム、あるいはもう少し調査計画を進めますれば、さらに積極的放流が考えられるわけでございまして、前回の答弁におきましては、その両者をひっくるめての答弁でございまして、したがいまして、補償は要する、しかしながらやらなければならない、あるいは補償を要するかもしれない、しかしながらやらなければならないという答弁でございます。したがいましてもう一度申し上げますと、補償を要する場合と要さない場合とがある。それは一にかかって受忍の範囲内であるかどうか、かように考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/77
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078・岡本隆一
○岡本委員 私どもは受忍の範囲内のものよりも、むしろ受忍の範囲外のものを問題にして言っているわけなんです。積極的に予備放流をやらせる。それでもってなくなったあと、もし雨が降らなかった、洪水が入ってこなかったら、予備放流した分だけ無効放流したことになるから、それに対して補償の必要があるのか、といって前回もお尋ねしているのです。だから、いまあなたの言われる、補償を要する場合に該当しているわけなんです。前回の委員会で私が河川局長にお尋ねしたのも、そういう意味においてお尋ねしておる。そのようにはっきり申し上げております。予備放流をさせて、ダムをからにさせて、あと洪水の入ってこなかったときにはどうするのだ、それによるところの損失を補償する必要があるのか、こういう表現でお尋ねしております。それに対して、局長は、要らない、こういうふうにはっきりお答えになったから、これは、去年の山内河川局長の場合と、建設省の考え方は変わった、こういうふうな理解に立ったわけなんです。したがって、今度の修正案を作成する場合にも、そういう理解が変わったという考え方に立って、私どもは修正案の作成に着手しておるわけであります。だから、そのように理解が変わったのなら、そのことをはっきり法律の中にあらわしておかぬといかぬ。だから、私権の対象にならないということをはっきりさせてくれ、私はこういうことを要求しておるわけなんです。
そこで、二点についてお尋ねをいたしますが、それでは、今後、発電オンリーのダムというものは設置を許可されるかされないかということが一つ。それから、発電オンリーのダムの許可をされた場合に、従来でありますと、下部にゲートがございませんから、予備放流の能力というものはきわめて乏しゅうございます。しかし、今後河川管理というものがこのように流量調節ということに重点が置かれるというふうな情勢になってきた今日の時点においては、ダムの構造を、発電オンリーのダムであっても、緊急に備え得るように、下のほうに吐出口を設けて、洪水の調節能力を持たせるような構造であることを要求するように、午後許可の方針を変更される必要があると私は思うのでございますが、そういうことを今後お考えになるかならないか。この二つの問題について、まず第一にお答え願いたい。
その次には、いま出されておるところの法律案におきましては、指示ということばが使われております。緊急時に洪水を予防するためにとるべき必要な措置を命ずる、勧告であったのが、それが指示に変わった。しかしそれを命令としてどうして悪いのか。命令ということばと指示ということばと、どのように内容が違うというふうに理解をしておられますか。その二つの点について、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/78
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079・畑谷正実
○畑谷政府委員 前にもお話ししましたとおりに、この前のいろいろな御討議の結果、私ども、操作の内容について、いろいろ検討してまいったわけでございます。先ほど先生からお話しのとおりに、ダムによっていろいろ下流に問題を起こしておる。ダムの操作が非常に悪かった、あるいはいろんな問題が起こっておるというのは、概してその雨量に対する、これからといいますか、ある時点からの見込み、これを発達オンリーとして考える点、あるいは総合的に川の水をどういうふうに処置するという点、と非常に差があるわけでございまして、先生のお話のとおりに、操作がまずいというと非常にいけないかもしれません。やはり操作の内容によって、非常に下流に、本来ならば軽減できるやつも軽減しないでおくというような、いろいろな問題があるわけでございます。そういう問題は、大部分これによって解消できるのではないか。もう一つは、いま次長のお話のとおりに、本来機能は持っておりません、目標は持っておりませんが、この非常事態と目される洪水の最大半が起こったとき、これを頭をカットすることによって非常に大きな災害の防止なり、軽減ができるわけでございます。この効果は決して私は少なくないと思います。そういう動作は、先ほどお話しいたしましたとおりに、現在の操作規定では一応いいですけれども、ただそういう操作の内容において、いろんな問題をこちらが指示をして、そういう緊急事態と認めたときに、貯留の制限なり、そういうのをピークに合わせてうまくやるということを十分に指示する、こういう考えでおります。
それから、これからつくる発電ダム、いわゆる利水ダムに、洪水調節の機能を持たせるべきじゃないか、これはごもっともでございます。これは洪水調節で必要なものがあるならば、当然河川事業費を一緒に入れましてそれをやる。それから、元来私どもが考えておりますのは、先ほど申しましたとおりに、洪水調節の必要があるならば、本来そういう施設をつくる、いわゆる河川事業費でもって、そういうものに対処していくべきじゃないか。ただそう言ったところで、現在まだなかなかそこにいきませんから、こういう問題が起こってくるわけでございます。
それから第三点につきましては、これも先ほどお話ししましたとおりに、命令というのは非常に不適当である。いわゆる操作の内容におきまして、その範囲内における協力義務を負う問題でございまするから、その範囲内において指示をする、これは十分相手方もこれに受け答えてくれるだろう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/79
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080・岡本隆一
○岡本委員 協力義務に応ずる範囲内においてという、その範囲内ということばどういう場合なんですか。私は協力義務に応ずる範囲というふうなものはないと思うのです。あくまでも災害防止のためには、予想される事態に対しては対処していく。一応科学的な計算が出て、その計算に基づいてこういうふうにやりなさいと言われた場合には、そのとおりやらなければいかぬと思うのです。いやしかし、おれのほうはこの程度までよりできないのだ、そういうふうな範囲というものはないと思うのです。やはりその場合には、あくまでもそれに応じる必要がある。だから、あなたのおっしゃる、義務に応ずる範囲内においてその指示に従うのだから、命令などということはできない、こういう意味が私には理解できません。それでは、はっきりしたところの、洪水調節機能というものを、意欲的に、積極的にやっていこうというふうな意図がこの河川法にはない、こういうふうに理解するよりしかたがないと思う。それが一点です。
その次に、発電ダムをかりにつくる場合にも、もし洪水調節の能力を持たせるならば、河川事業としてやるべきだ、経費も持つべきだ、こういうことなら、それは多目的ダムなんです。しかし私が申し上げようとするのは、通常の洪水においては、そういう必要は予想されない。しかしながら、あなたのほうの河川の管理計画でも、五十年に一回の大洪水というものを予想したところの計画を立てる、こういうことでしょう。そういたしますと、五十年に一回はその計画をこえるところの洪水が出てくるかもしれないということを頭に置いて、あなたのほうは洪水計画を立てておられる。そういたしますと、そのような大洪水が出てきた場合には、あらゆる能力を発揮しなければならない。だからそういう場合には、発電ダムといえども、そういう非常緊急の事態に備える能力を持つべきである。そのときこそ、あらゆるものが動員されて、災害の予防に動かなければならない。だから五十年に一回、三十年に一回の洪水に備えるためにでも、やはりダムを建設する限りにおいては、その技術上の問題はあるでしょう、しかしながら今日の科学的な技術の中では、そういうふうな災害防止能力を構造上あわせ備えさせるということは、不可能でないと思うのです。だからそういうふうな場合に、私補償してやってもいいから――それくらいの補償をしたって知れてますね。だから、補償してやってでも、そういう能力は備えさせるべきだ、こういう理解に立っておるわけです。ただし三十年に一回のそういうふうな補償なら、その間に、うんとその人は、水を利用することによって、その企業は利益をあげているのだから、補償は要らない、こういう考え方もできるわけなんです。だから、あなたのほうで、流水は私権の対象にならないという考え方なら、そういうような非常緊急の場合には、全部あけなさい、からにしなさい、発電ダムは全部からにして待ちなさい、大洪水がくるかもしれない、このくらいの命令は出せるようにしなければいけない。そのときに、いや、おれのほうは、発電用として許可されたダムなんだ、だからそんなのかってですよ、知りませんよ、というふうなことをやられたら困るから、強い命令権というものがそこになくてはならない、またそういうふうな計画性、科学性を持たなければ、予想しないような大洪水というものに対して備えることができない、こういうふうに考えておるわけなんです。その二点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/80
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081・畑谷正実
○畑谷政府委員 原則的にどうしても食い違うといいますか、先生と私の考えが違うのですけれども、私権と補償とは別個の問題であるということは何回か申し上げておるのです。私権がないから補償はやらないのだということではございません。補償という問題は、私権があるなしにかかわらず、ダムを使用する人が、ダムをつくることによる利用効果というものがなくなる、そういう問題にからんでおるということを私何度も申し上げておるのが、この基本的な考えでございまして、第一点の、しからば、おまえのほうはいまのダムに対してそういうことをしないから、そういう点で意欲的でないじゃないかとおっしゃいますけれども、私どもとして、そうは思っておりません。私どもは、この河川の洪水を防御し、下流の沿岸の人のいわゆる災害を防除するためには、積極的に河川体制を整えて、工事実施基本計画というものを明確にしまして、さらにこれが実現をなるべく早くやりたい、こういうことでございまして、本来洪水調節をやって河川の管理を全うするためには、積極的に洪水防御の調節用のダムをつくる、こういう原則に立っておるわけでございます。もちろんそれ以外に、利水専用、あるいは発電とか農業、そういう問題はこれは別個の問題でございます。ただ現在ここに起こっておりまする緊急事態の問題でございまするが、これはやはり本来ならば操作の内容として織り込んでおりまするが、その範囲内において、いろいろな動作というのはある程度考えられるのじゃないか、そういう点を考慮して、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/81
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082・岡本隆一
○岡本委員 これはどうも平行線です。あなたのおっしゃるとおりです。私もやっぱりたくわえられた水の利用効果、そういうものを考えるから、私権の対象とみなされる。それをあなたのほうで、私権の対象にならないのだと強弁しておられる。こういうふうな理解に立っておられるわけですから、これはもう平行線です。だから、この議論はここらで一応打ち切りましょう。
通産省の水力課長にお越し願ったそうでございますが、これはどうですか、変わった御意見はございますか。このダム使用権の内容です。ダム使用権の内容は、ダムという施設を設け、そこへ水をたくわえるという権利が与えられ、さらにまたその水を自分のある目的で放流することによって経済効果を上げる、二つの点にあると思うんですね。だからダムの水を、洪水が予想されるから捨てなさいと言って、予備放流させます。予期した洪水がこなかったから水はたまらなかった、経済効果を失った、そういうことになりますと、補償の義務があるのではないか。またそういうことを主張する権利が発生しておるのじゃないか。ダム使用権は物権とみなす、こういうことでございますから、ダム使用権は物権であるということは、そういう場合に補償を要求する権利を与えられておる、こういうふうな理解に立てないこともない。だから、流水は公のものであるということ、さらにまた、前の河川法では、河川の敷地並びに流水は私権の対象にならない、こういう規定がございました。ところが多目的ダム法の中には、ダム使用権を物権とみなすという規定がある。この二つの規定は衝突しておる、矛盾しておる、こういうふうに私は理解しておるんです。そうして今度、衝突しておる側の片方が消されました。新河川法には、流水は私権の対象にならないという規定がなくなりました。だから片一方の多目的ダム法の中の、ダム使用権は物権であるという規定が非常に強くなる。だから将来必ずそういう問題が起こってくる。だから、むしろこの母法であるところの――やはり多目的ダム法というのは利水立法でありますが、一貫の水に関する立法の中では、あくまでも付属的な立法です。だから母法であるところの河川法の中に、そういう規定をしておく必要がある。そのことによって、多目的ダム法にかりにそういうふうなうたわれ方がしてあっても、それの力は弱い、できるならば消すべきである、こういう考え方を私は持っておるのですが、通産省では、その私権とみなすということの内容、さらにまた補償の必要があるのかないのか、経済効果を失った場合に、補償の必要があるのかないのかということをどのように理解しておられますか。通産省としての御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/82
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083・三島慶三
○三島説明員 ただいまの御質問の点でございますが、ただいままいりましたので、よくわかりませんけれども、いま国宗次長のほうから御答弁のありました受忍の範囲、そういう考え方でいいのではないかというふうに考えております。受忍の範囲を越えるような協力命令が出ました場合においては、やはり補償といいますか、電力の損失に対して補償していただく。しかし、たとえば水を放流いたしましても、そういう大きな水の出ておるときでございますから、すぐ回復するかもしれません。回復してしまえば問題はないわけでございますから、受忍の範囲の中であろうというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/83
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084・岡本隆一
○岡本委員 そういう大きな雨があるから、すぐ回復するかもしれないとあなたはおっしゃるが、大きな雨を予想して捨てさせたが、雨がこなくてからからだ、そういう場合にどうなるか、こういうことを尋ねておるのです。だからお答えの内容が少し違うのです。しかし、どうも顔色を見ながらのお答えでは、お答えをいただいたことにはならない。やはり通産省は通産省として、工業、産業を保護する立場から、どう考えておるのだということを、自信を持ってはっきり言っていただかなければ、お答えにならないのです。こういう問題については、あらかじめ相当折衝があったのではないか。折衝があって、きちんときまったものなら、あなたのほうは補償という問題をあきらめておられるのだ、水は公共のものではないというふうな御理解に立っておられるならば、受忍の範囲だとかそんなことは何もおっしゃらずに、水は公共のものでございますからいたし方ございません、こういうふうにでもおっしゃっていただければ、問題は簡単なんですが、しかし、これでは答えが一貫して同じようなお答えでございますから、これは私どもの考え方とは平行でございますから、きょうはこの程度で打ち切っておこうと思います。
農林省から来ていただいて、これは御迷惑をかけっぱなしになりますけれども、また次の機会に質問させていただきまして、きょうはこの程度で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/84
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085・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 ちょっと関連……。先ほど来いろいろ質疑応答がありましたが、承っておって、何かやや観念に混乱がきておるのではないかという気持ちがいたしております。といいますのは、農業用水などもありましょうが、いわゆる利水ダムをつくる場合には、もちろん、それには各種の洪水防御等も配慮いたして、ダム設置の条件がいろいろ備わっておる。その条件のもとに、水利権の使用を許可している、それに伴って施設をしている。こういうふうになっておると思います。
そこで、いろいろ議論になっておりますのは、緊急と申しますか、相当おそるべき災害が起こる予想の際に、どうするか。同時に、損害の補償の問題が議論されておるわけであります。ところが政府の答弁は、その条件というものは、簡単にわかりやすく言うと、約束をされておる範囲内では当然その約束を守るべき責任が、ダム等の設置者についてはある、その範囲で当然やるべきであるから、その際には補償の問題は起こらないであろう、こういうことが第一点。
もう一つは、しからば、その範囲ではなお災害等を防ぐことができない場合があり得る、これは現にあり得るわけであります。そういう際にどういう措置をするか。それ以上の、約束をオーバーする措置を、この法律によりますと、指示することができる。そういう際には、なるほど緊急の場合――先ほど山中委員からも御質問がございましたが、緊急の場合でありますから、そういうときには、社会公共のために災害を防除して、いわゆる人命を保護するための措置をしたのであるから、たとえそのダムの設置者について損害があろうとも、それは損害補償という問題にはならないんじゃないか、こういう前提に立っての御質問であって、そのときには受忍の義務という説明をされるものですから、そこに何となく常識的には、何かそういう災害のときに受忍の義務なんというのはなまやさしい、おかしいじゃないか、腰抜けだというような頭がおありになるような気がいたします。そういうことでなしに、条件をつけて設置さしておりますから、その条件以上のことをやらせる場合もあるわけであります。そのやらせた場合には、これは設置者としては条件以上のことを公共のために命令されたので、したがってそのために、放水等のために安全能力等も低下して財産上の損害を来たす、これは全然観念が違うんじゃないかと思うんです。そういう公共のために特定の事業者が損害をこうむったときには、これは補償の問題は当然に起こるべきものです。しかし約束の範囲で――これは約束されておりますから、洪水防御等については、緊急時にはどうしろ、こうしろということが全部そうなっておる。その範囲のときには、当然それはもう予定のそれを受忍というのですか、了承の上で設置しておるから、その指示に従って災害防除の対策を講じたときには、当然に損害補償等の問題が起こらない。しかしながら、重ねて申し上げますが、それ以上のことを公共のために負担さした場合、そのときには当然にこの補償の問題が起こるであろう、こういうふうに二つに分けて御説明なさると、もっとものごとが早くわかるんじゃないか。受忍の義務といいますと、そのとおりでありますけれども、論議を聞いておりますと、災害のときに受忍しないとは何ごとだ、こういうふうに、一般の常識論で御議論があるものですから、そこに混乱を起こしておる。約束以上のことをさした場合にはかりに公共のためといいましても、個人としては、それに対して、指示をしたほう、公共の側の責任のある政府あるいは都道府県知事は、それに対して補償をする、こういうことになるんじゃないかと思いますが、さらにその点について御答弁をしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/85
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086・畑谷正実
○畑谷政府委員 いま先生の御指摘のとおりに、確かに私、いままでは私権、それから補償、受忍というふうな限定された範囲でお話を申し上げたので、私ども、非常に舌足らずだったというような感じがいたします。いま先生の御指摘のとおりに、そういう補償のある、ないという問題、いわゆる受忍の範囲内における問題は、これは一応補償という問題に直接関連しなくてもいい、ただし、それ以上に、やはりそういうような指示をする場合には、そういうこともある、こういうことで、私どもは考えておるわけであります、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/86
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087・岡本隆一
○岡本委員 問題が、補償ということがからんできておるから、複雑になると思うんですが、私は補償以前の問題を申し上げておる。いま瀬戸山さんが言われたように、ダム設置にはあらかじめ約束がございます。その約束の範囲内のことは当然守らなければなりません。しかしながら、それ以上、その約束の範囲を越えて、やはり災害の防止に協力してもらわなければならない場合がある。その場合に、指示といった程度では協力してもらえなくてもしかたがないのではないか、指示はあったけれどもほおかぶりされたというふうなことがあってはならない、だから命令と変えなさい、こういうことを私は主張しているんです。強いところの強制権を持たなければだめなんだ、また、そしてそれに違反した場合は罰則がつかなければだめなんだ、こういうことを主張しておるんです。災害防止の立場から、私は、指示ではいけない、命令権を河川管理者が持つべきだということを主張しておる。それに付随して、補償の問題が出てまいります。その補償の問題は、考え方としては、私は補償してもいいと思っているのです。だから前回の修正案では補償を、通常生ずる損害を補償をしなければならないというような規定をつけました。今度の場合は、あなたのほうではっきり私権を否定されましたから、補償は必要ないだろうと思ってつけなかっただけで、かりにあなたのほうでつける必要があるというなら、補償する必要があるというなら、補償されてもいいと思うのです。問題は補償の金額とかそんな問題ではなしに、国民の生命その他の大きな被害をどうするか、どうしてそれを防ぐかということについて、私は議論をしておるのでございまして、私権の対象でないということは即命令権、捨てよという命令権を持つということを意味する。だから私権というものを否定しろ、こういうことを主張しておるわけです。しかしながら、設置しておって、ある程度の損害を受けた場合には、それは補償してやってもいい、しかしながら少なくとも大災害が予想される場合には、強い命令権というものを河川管理者は持って、あくまでも、流水を貯留しておるものを捨てよという、強い強制力を持たせる必要がある。だから私権の対象になるのかならないのかということは、命令権を発し得るかいなかということと大きな関連があるから、私権というものを否定せよということを私は主張しておるのです。この点誤解のないようにしていただきたいと思います。別に国として補償する金がもったいないから、そんないじましい考え方でやっておるのじゃないんです。ただ付随して発生してくる問題であるから、補償というのはつけ足りとして、意見として出てきている、考え方として出てきているわけでございますが、要は、強い命令権を、河川管理者が緊急の場合に持ち得るかいなかということ、そのことと関連するから、私権の否定ということが重要である、こういうことを主張しておるのであるということを、誤解のないようにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/87
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088・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 この問題については、非常に議論されて、私は、率直に言って、まじめに聞いておるわけであります。そこで、流水は私権の対象にならないということを、しばしば政府は答弁された。河川法上当然なことであります。ただ従来の河川法には、そのことが明らかに、流水は私権の対象にならないということを書いてあるのに、今度の法案には、それが正面そういうことを書いてない。ただ公共用物であるということで、当然それを前提にしてある、こういうふうな案になっておる。そこで、きょうは農林省おられませんけれども、漁業権の場合を考えますと、たとえば東京湾あたりは漁業権という、海水を使用するというとおかしゅうございますが、海面における権利を認める、これは私権であります。物権ということに学説はなっておると思いますが、しかし、だからといって、海水が私物になり、私権の対象になる、こういうふうな議論はどこにもないと思うんですが、しかしその漁業権を対象にした仕事、公共的な仕事をいたしますときには、それに対してやっぱり補償をする、そのために今度は特に土地収用法の改正までいたそうということで、これは常識であります。それとの関連において、建設省の御説明を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/88
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089・畑谷正実
○畑谷政府委員 これは、先ほどから申し上げるのですけれども、私権と補償という問題はどうしても私ども別個な問題であるということを、私のほうからも繰り返してお話し申し上げなければならぬ点かと思いますが、ただ私権というものは、いわゆる流水に対する私権はございませんけれども、そのものを設置することによって、その設置したものを使用する、あるいはそれによる利用の効果があるということに、いまの補償の問題が生じてくる、こういうことで、私ども考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/89
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090・岡本隆一
○岡本委員 海水の場合とダムの貯水の場合とは性格が迷うと思うんです。海水というのはそのままいつまでも同じ状態にあるものです。片一方は放流すればなくなるもので、だからそこで性格が違うわけです。私権の対象になるかならないかということは、先ほどから何べんも申しますように、これはやはり強い命令権を管理者が持てるか持てないかということと関連しているわけなのですが、しかしこの問題は、これだけ話し合っても平行線でございますから、もう一度あとで懇談的によく話し合い――また瀬戸山さんと私とも考え方が違うようでございますし、それからまた政府も、私からいえば、私の考え方を誤解しておられるように思うのです。私は別に補償の必要があるとかないとかということより以上に、この河川管理者がどれだけの命令権、どれだけの強制権――指示というくらいの程度では、大洪水が予想されるからあけてくれ、からにしてくれ、こう言った場合に、しかも洪水流量ばかりでなく、電力容量までもあけてくれ、こういうふうな要求をしても、いややはりこれは困るというふうなことで、そうは言っても雨は来そうもないじゃないかということで、言うことを聞かない場合があったとしたら困る。やはり天候に対するところのいろいろな科学的な分析あるいはまた豪雨があった場合の流量に対する科学的な分析、その分析の結果、指示が出た場合には、かりにその放流か無効に終わろうとも、それに従うということがなければならないと思うのです。そこに企業とかダム設置者の私見が入ってはならないと思うのです。やはり管理者の命令に従わたければならないのだということが、きちっとこの法律に規定されておらない限り、災害が起こったときにほぞをかむということが起こる。そういうことがないように、将来たくさんのダム群を指示する場合には、それくらいのことがなければ、ダム群の指二本ができない、こういうことを私は主張しておるのでございます。これはお尋ねというよりも意見でございますので、この程度で本日の委員会を終わっていただきまして、山中さんの御意見があるそうでございますので、あとでまた、私は懇談的にいろいろ意見を戦わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/90
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091・山中日露史
○山中(日)委員 はなはだ恐縮ですが、先ほどの私の緊急避難の議論に対して、瀬戸山さんから御意見がありましたが、ちょっとその考え方が違うかと思いますし、誤解があってはいけないと思いますので、明らかにしておきたいと思います。
私の言っているのは、結局受忍義務、協力義務の範囲内において操作を行なった場合においては、これは補償する必要はないと思います。受忍義務の範囲をこえてやった場合には、たとえ公共のためといえども補償しなければならない、という瀬戸山さんの御意見だと思いますが、私の言うのも、公共のためであれば、何でもかんでもただでやっていいということではなくて、それが緊急の場合、時間的に切迫している場合、人命にかかわる場合、緊急避難行為は民事責任も刑事責任もありませんから、そういった場合に生ずる損失に対しては、補償の義務はないという考え方が出てくるのではないか。先ほども高潮のことについてお話がありましたが、将来高潮が来るかもしれないということで、設備をするために、他人の土地なら土地、建物なら建物を動かす場合においては、当然補償しなければならぬが、いま水が来る、人命が危いという差し迫った場合の緊急避難行為については、補償なんていう問題は出てこないのではないか、そういう意味で申し上げておるのでありますから、その点だけ明らかにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/91
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092・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる二十二日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02219640415/92
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