1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月六日(水曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 丹羽喬四郎君
理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君
理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君
理事 岡本 隆一君 理事 兒玉 末男君
天野 光晴君 稻村左近四郎君
大倉 三郎君 正示啓次郎君
中村 梅吉君 堀内 一雄君
松澤 雄藏君 山本 幸雄君
井谷 正吉君 金丸 徳重君
西宮 弘君 原 茂君
玉置 一徳君 吉田 賢一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
総理府事務官
(近畿圏整備本
部次長) 八巻淳之輔君
総理府技官
(首都圏整備委
員会事務局長) 谷藤 正三君
建設事務官
(計画局長) 町田 充君
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五月一日
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六七号)
近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に
関する法律案(内閣提出第一六八号)
同月四日
近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備
及び開発に関する法律案(内閣提出第一六九
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
土地収用法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一四五号)
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六七号)
近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に
関する法律案(内閣提出第一六八号)
近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備
及び開発に関する法律案(内閣提出第一六九
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/0
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001・丹羽喬四郎
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
土地収用法等の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。西宮弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/1
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002・西宮弘
○西宮委員 それでは、土地収用法の改正案について若干お尋ねをいたしますが、私はこの前、本会議で、大臣あるいは総理の御所見も伺ったのでありますが、なおそれらの問題について、もう少しこまかい点についてお尋ねをしたいと考えておるわけでございます。
一体、そもそも、この法律の改正案を今度なぜ提案をしなければならないことになったかということが、まず問題だと思うのでありますが、申すまでもなく、土地の取得が非常に困難だ、こういうことから、この法律の改正案を提案になったのはもとよりだと思いますけれども、その土地取得が困難になる理由でありますが、第一は、土地の絶対量が足りない、こういうことはもちろん当然だと思いますが、もう一つの重要な理由は、地価が高騰する、非常に地価が暴騰しておる、こういう点にむろんあろうと思うのであります。そこで私は、いわゆる地価高騰の抑制策、こういう点について、この前本会議でもお尋ねをしたわけですが、この機会にもう少しその点をお尋ねをしてみたいと思うのであります。
地価が非常に高騰しておる、これがいろいろな意味で大きな問題であるということは、もうだれも百も承知のとおりでありますが、私は地価の高騰の結果として、たとえば土地の取得が困難になる、公共用地の取得が困難になる、そういう問題のほかに、いろいろ憂慮すべき問題があると思うのです。たとえば地価の高騰に伴っていわゆる担保価額が上昇していく、信用力が膨張する、こういう点がありまして、その信用力の膨張に伴って、いろいろ経済界に悪影響を与える、こういう点を見のがすことはできないと思う。あるいはまた、土地の売買をあっせんするブローカーの暗躍、こういうことによって、非常に社会的にも不健全な、不健康ないろいろな問題を提供しておる。あるいは不労所得が増大するという点で健全な社会生活を毒している、こういう点も見のがすことのできない害悪だと思うのであります。いろいろそういうことを考えると、何としても地価の高騰を押えなければならぬ、こういうことが当然考えられるわけでありますが、まず大臣に伺いたいのは、そういう意味で、その地価高騰を押える政策としてどういうことを考えておられるか。今回のこの法律の改正案もその一つではありましょうけれども、もっとそういうことよりも先にやらねばならぬ問題があるのではないかと思うのですが、その点について、まずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/2
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003・河野一郎
○河野国務大臣 お話しのとおりに私も考えて、実は取り引きの公正を期するため、もしくは価格について適正な価格を定めるため等について、所要の手を実はこれまでもいろいろ御審議願ったのでございます。しかし、何にいたしましても、わが国の土地の利用度は非常に低い。といいますことは、面積全体は、国が小さいとはいいながら相当なものはありますけれども、三分の二が山岳地帯で利用が困難である、これも道路交通等をさらに改善してまいりますれば、利用の面積がふえていくだろう、さらにまた、都市と農村との間の連絡が十分に利用ができるように——交通がまだ不完全であるというようなことがありまして、適正に土地を利用する、もしくは所要の目的に合致した土地というものが非常に少ないというところにあると思うのでございまして、問題は、一日もすみやかに、これらの、極端に申せば未利用、次に、使用可能であっても、それが公共投資が未熟であるというようなことになっておる点が多いと思うのでございまして、こういう点を完全にいたすことが必要である、そういうことをなるべく取り急いで行なわなければなりませんものが、つい、予算関係もさることながら、工事の施行等につきましても、進捗状況が十分でないというようなことがありますので、所要の法律の改正等について、いろいろな問題を取り上げて、ひとつ御協力願う、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/3
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004・西宮弘
○西宮委員 いまの大臣のお話だと、国全体が利用する土地の面積が狭い、したがって十分に利用されない、狭いところにもってきて十分に利用されない、いわゆる未利用地などがある、こういうお話でありますが、そういうことであるとしても、根本的に日本の国全体をどういうふうに利用し活用したらよいかというようなことで、土地利用計画というようなものを根本的につくり上げる、こういうことがもう少し積極的にできないかと思うのでありますが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/4
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005・河野一郎
○河野国務大臣 これもすでに御承知のとおりと思うのでございますが、われわれといたしましては、数年前までは主として地域格差の是正、国全体をそれぞれの部門におきまして開発をし、利用する、そこに産業を興こすということに重点を置いておりましたが、近時公開経済の影響を受けまして、利用される、もしくはそれを活用される地域が非常に限られてまいりました。その方面に過度の人口集中、産業の集中が起きてまいりました。そういう国際経済の影響を受ける面が非常に多くなっておりますので、今後のわが国産業の発展等とにらみ合わせて考えていかなければならぬ。いずれにいたしましても、いま申し上げますように、基本になるべきものは、土地を大幅に利用できるような施策を講ずる、公共投資を十分にするということだと思うのでございます。一貫した計画というものにつきましては、かねて一部お話し申し上げたと思いますが、今後二十年間のわが国の全国土の利用計画について各方面の御意見を承りまして、ほんの青写真でございますが、備えて、これを参考にしつつ、今後のわが国の推移をにらみ合わせて、これと調和をとりつつ開発していく、こういうことだろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/5
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006・西宮弘
○西宮委員 いま、青写真をつくって各方面の意見を徴する、こういうお話でありますが、たとえばこういうのも、もっとオーソライズされたものにするために、そういう基本的な計画ができるならば、これは国会の審議にかけて、そういう土地利用計画を国会の議決を得て、そういう根本的な計画を樹立する、こういうことがあっていいんだと私は思うのですが、そこまでのお考えはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/6
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007・河野一郎
○河野国務大臣 いずれそういう段階になるかもしれませんが、申し上げましたように、日本の世界経済との調和、調整、もしくは国内の利用さるべき方向等が非常に変遷をいたしております産業につきましても、今後のわが国の方向が東南アジアの方向もしくはシベリア開発、これら周囲の状況、世界の状況等を見合わせた上で、それらの影響若しくはそれらの開発事情等によって違ってくると思います。そういうものの不安定な中に、わが国だけが独自の安定性を持った、国会の承認を得た開発計画というものは適当じゃないんじゃないかという考えを持ちまして、私はひそかに各方面の御意見を伺ったものを参考にしつつ、それを十分是正をしながらやっていくということで、ほんの各方面の御意見を承っておるという程度で、まだその段階に至っていない。ということは、その程度よりいくのは、むしろ危険じゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/7
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008・西宮弘
○西宮委員 そうだとすると、それを政府の成案として国会にかけるかかけないかは別問題としても、政府の成案としてそういう大方針が決定する、そういう時期はいつごろになる見通しでございますか。いつごろまでにそういうことが可能であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/8
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009・河野一郎
○河野国務大臣 これも、こちらでいつごろときめることは非常にむずかしいのであって、産業構造の再編成もしくはそういうことの進展、たとえば所得倍増計画の安定等と見合って言うべきものであって、私は、本来申せば、公共投資がなるべく高度に先行してまいるということが国家財政の上で許されるならば、産業の発展の上に非常に寄与する面が多いだろうと思うのでございますけれども、何ぶん今日戦後の痛手がまだ十分に直りませんし、また国としてなすべき仕事が非常に多いものですから、この方面に十分な公共投資ができぬというようなことがあります影響を受けて、建設行政も実はちぐはぐになっている面があるのではないか、こう思うのでありますが、そういうものをなるべくすみやかに是正して、一貫して大きな方針を立ててやれるようになるべく早くなることがわれわれとしては期待されるところじゃなかろうか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/9
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010・西宮弘
○西宮委員 それが非常に困難であるし、いま大臣のお話のように、いろいろな要素を前提として考えなければなりませんから、そう簡単にできないということは私どもにもよくわかります。わかりますが、できるだけ早くそういう対策を立てないと、さっき申し上げたように、地価の高騰というようなことがますます激しくなって、あとでどうにもこうにも始末がつかないという状態になってしまうのではないかということを私どもは心配するわけです。政府が出しております統計を見ても、これはいまさら引き合いにするまでもないと思いますけれども、たとえば地価の高騰で言うと、昭和三十七年は三十年に比べて、六大都市の市街地の住宅用地は六倍にも上がっている。特に郊外地になるほど上昇率が高い。そういう現象があるし、あるいは住宅の建造費の中で占めている用地の代金が、同じく三十七年度の統計で、六大都市が五割、東京都区部においては七割を占めている。これはどう考えてみても放置できない重大問題だと私は思うのです。特に、国費、公費を使ってする各種の公共的な仕事が、そのうちの七割が用地費に使われてしまう、こういうことでは全くお話にならないと思うのでありますが、これでは、いわば公費、国費を湯水のように使っている、湯水のように使っているということばは適当ではないかもしれないけれども、結果から見ると、その大部分が土地の買収費にだけ使われてしまう、こういうことでは、ほんとうに湯水のように使われた結果に終わってしまうと思う。これは、何としてでも、一日も早くこういう状態からのがれなければならぬということを私どもは痛感するわけでありまして、そういう点について、現在までの政府の対策がどうも手ぬるいのじゃないかということを私は痛感するわけであります。大臣が河野一郎という名前で書かれた「これからの国づくり」という書物の中にも、その点は非常に適切な表現をして、今後の国づくりについての方針を明らかにしていると思うのです。現在の情勢に対処するための整備だけで手一ばいとなって、先導的な役割りを果たすまでには手が回っておらない、しかしこれからは先行的な投資を強力に行なって、そのため必要とする国の助成措置など、諸施策を強力に講ずることにしたい、こういうようなことをあの書物の中で道路について言っておられるのでありますが、何も道路に限ったことではないので、どうしても先行投資、先導的な投資というものに全力を尽くさないことには、いまの地価の高騰などを押える根本的な施策はないんじゃないかというふうに私は考えるわけです。そういう点について、河野一郎という名前で書かれた大臣の書物などには、非常に適切な今後の見通し、あるいは今後の方針を述べておられると思うのだけれども、ただ残念ながら、それが少しも具体的にあらわれておらないという点に問題があると思うのですが、せっかくあすこに書かれたようなことをどういう形で実施をされるのか、もう少し具体的に聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/10
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011・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまも申し上げましたとおりに、戦争の痛手が非常に大きゅうございましたので、そのあと始末に実は非常に公共投資が食われて、そうしておるところに、公開経済ということがやってまいりまして、大都市に人口の過度集中が起こってきた。そこで大都市の土地の需要が急激に増大した、そこに家屋の非常な不足が起こってきたということが、いまお示しになりました三十年から三十六年、七年に至る——今日に至る地価の騰貴となり、それまでは、大都市においてはうちの売買は、土地よりもうちのほうでもって売買したものが、今度は土地のほうで売買するようになってきたということもそのためだと思うのです。これが解決の道としましては、どうしても大都市の周辺の土地を十分に利用できるような市街地つくりにあると思うのであります。そしてこれを適切に工場団地とし、もしくは商業団地、問屋団地、交通、自動車のターミナルというようなものを適切に配置して、そうしてそこに大きく環状線をつくってやるということであると思うのでありますが、いずれにいたしましても、私、建設大臣になりましてからまだ一年半、そろそろ二年になるのですが、手をつけ出しましてから、ものを覚えてからこれを予算に組んで仕事をするということになりますと、どうしても三、四年はかかると思うのであります。幸いに車が幾らか動き出したという程度でありまして、はなはだ不本意でございますけれども、これから御協力をしていただいて、そういった点について、全力をあげていきたいという気持ちを持っておるわけでであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/11
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012・西宮弘
○西宮委員 私がいま申し上げたように、そういう過密都市に投ずる公費、国費というようなものが、きわめて非能率的に、きわめて不経済に使われてしまっている、つまり土地買収費というものに大半が費やされて、そのために非常に効率が劣っておるということはいま申し上げたとおりです。これは大臣も十分御承知のところだと思うのであります。したがって、そうでないところに投資をするということが必要だと思うのだが、そういう地域も早くしないと、いまのうちにやらないと、やはり、これから何年かたって、今度はそっちのほうをやろうということになると、向こうのほうもだんだん値上がりをしてしまう、結局どこもここもさっぱり手が出せなくなってしまう、こういう結果におちいるのではないかということをおそれるわけです。現在ならば、そういう地域、政府のいわゆる開発地域というようなことばで呼ばれておる地帯、そういう地帯ならば、いまのうちならば安い値段でそういう公共事業もできるわけですが、おそらくここ数年たったらば、そういうところも現在の過密地帯と同じような、それに似たような状態になってしまうのではないか、こういうことを心配するので、一刻も早く、いまのうちにそういうところに手を尽くすべきだ、これがその河野一郎さんの名前でいわれておる、先行投資を強力に行なう、こういうことに当たるのだと思うのですが、統計で見ますと、たとえばいわゆる開発地域におきましては、いま申し上げたように、まだ地価が安いわけですけれども、それも徐々に上がりつつある。むろん過密地域とは比較になりませんが、徐々に上がりつつある。しかし同時にまた若干下がりつつあるところもあるわけです。たとえば開発地域の中で島根、佐賀、宮崎などといった地帯は、この政府の統計で見ますと、三十七年は前年三十六年に比べて若干下がっておる、あるいはまた三十六年は三十五年に比較して若干下がっておるというような地帯も若干あるわけです。これは比較しやすいように田畑、農地について調べたわけですが、それらで見ても、県全体の平均として多少むしろ下がりぎみだというところさえもあるわけです。こういうふうに、一方は天井知らずに上がっていく、他方は停滞をしておる、ないしはところによっては若干下がっておるところもある、こういうような現象が日本の国の中にあるということは、それ自体が大きなアンバランスだと思うのです。上がるならば同じ程度にみんなが上がっていくという状態でなければ、日本全体が平均して利用されておるということにはならないわけです。ですから、そういうような、地域的に見ると若干下がっておる地帯もあるので、そういう現象は、一方において非常に極端な高騰を続けておる、こういうところと対比をしてきわめてバランスを失すると思うわけです。そういうところをいまのうちに手を打つべきだ、本来ならばそういう地帯はよそよりも何倍か、よそよりも特に濃密な、あるいは高度な投資を必要とする、先行投資を必要とする。そうすることによって、そういう地帯が十分に活用されていくのだ、そうすればおのずから過密地帯の土地の需要というものも抑制されるし、したがって値段の高騰も抑制することができる、こういうふうに考えるわけです。たいへん同じようなことばかり繰り返すようでありますが、しつこいようでありますが、現在の地価の高騰を押える施策としては、まず根本的な施策はそれ以外にはないのじゃないかと私は考えるわけです。たとえば土地収用法などで強権力を発動して、地価を押える。都市周辺では直ちに地価抑制策ではないかもしらぬけれども、ともかくそういう方法で地価の高騰を押えるというような方法ももちろんないわけではないと思います。しかしそもそもの根本的な施策は、大臣が先ほど言われた未利用の地帯を利用する、そういう施策が何よりも先に先行しなければならぬ。たいへんくどいようでありますが、私はそれ以外には日本の地価を押える根本的な対策はないのではないか、こういうふうに考えておるので、特にその点を私は繰り返しお尋ねをしておるわけです。いままでいろいろ、まあそういう点にもだんだんやりますというような御答弁がありましたけれども、残念ながら具体策が伴わないといううらみが大いにあるわけです。その点について、たいへんくどいようだけれども、もう一ぺん、私の取り上げたような問題が、私は地価抑制の根本策だと考えるが、大臣はそうはお考えにならないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/12
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013・河野一郎
○河野国務大臣 全く意見が違うわけではございませんけれども、多少の食い違いが実はあるのであります。と申しますのは、先ほどお答え申し上げましたように、数年前までは地域格差の是正、国内を全体的に利用するということにわれわれも方針をきめて、たとえば新産都市の建設をするとかいうようなことで、いまお話にありましたような後進地域に新産都市をつくって、これを開発してまいるということに重点を置いていこうという方針でございましたが、御承知のとおり、経済の世界化ということになりまして、国民諸君の側から世界経済に対応するために、経済の世界化、公開化に対応するために、適切な土地はどこか、どこで産業の再編成をすることが一番有利か、ということを非常に強く認識されるようになりました。したがって、これが投資がおくれておりますために、極度に大都市の周辺に過熱してきたということだと思うのです。したがって、たとえば東京で考えますれば、東京そのものでなくても、東京の港、横浜の港に接近した関東の周辺から、ここに十分な交通路が完備しますれば、関東全域にわたって同様の意味において利用されるじゃないか、関東全体を通じて高速道路の設計の計画を立てて、横浜まで、東京まで一時間で物が運べるじゃないか、原料がとれるじゃないかということで、十分広域にわたって土地が利用できるようになるのじゃなかろうか。だから土地は広域に利用しなければならぬということについては同じでございますけれども、さればといって、いま御指摘になりましたような、利用するのに非常に困難なところは、どうしてもあと回しになるのじゃないか、こう考えます。
ただし、私がもう一点申し上げておきたいと思いますことは、当分の間と申しますか、今後大都市の中において、事業費の六割、七割、八割かかるようなところの土地買収費の必要なものについては、投資はあと回しにする、そうしてそういうところに公共投資をしていたずらに過熱させるということは適当でないというふうに実は思いまして、たとえば大阪の丼池の道路の開通の問題、これらにつきましても、全体の工事量に対する土地の買い上げ費用が八割以上になるということは適当でない、もう少しこれを多角的、立体的に利用するように考えようじゃないかということを意識して、実は指導いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/13
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014・西宮弘
○西宮委員 大臣が言われるいわゆる地域格差の是正、これも大きな政治目標であることは確かでありますが、ただ従来、地域格差の是正ということは、どちらかというと、そういう後進地帯をおくれたままにほっておいてはかわいそうじゃないかというような気持ちが、同じ日本国民ならば同じような利益を享受すべきだ、といったような観点から考えられる場合が相当多かったのじゃないかというふうに思うわけです。実は私などもいわゆる開発地域の住民の一人でありますが、そういう地方の者が地域格差の是正ということを主張する場合には、同じ日本国民でありながらわれわれは損をしている、というような観点から議論をする場合が多かったと思うのでありますが、私が先ほど来繰り返し主張しておることは、そういう意味ではなしに、これからの日本の経済を進めていくために、もう極度に飽和状態あるいは飽和状態をはるかに越えておるこういう地域に今後の投資を集中するというようなことは、国全体の経済のために何としても不適当だ、それよりも、さっき申し上げたようなことで日本の国全体を開発する、先ほど来繰り返して申しあげておるように、いわゆる河野一郎さんの名前で書かれておるあの大方針が、そのまま政策として具現されるべきだというふうに私は確信をしておるので、申し上げておるのでありますが、しかしこの点は、私のそういう考え方は繰り返し申し上げましたので、この程度にとどめておきたいと思います。
それにやはり関連がないわけではありませんが、一つ伺いたいのは、筑波山ろくにつくる都市でありますが、三千億の経費を投ずるというふうに承知をいたしておりますが、結局において、あそこにどの程度の人口を集中することになるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/14
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015・谷藤正三
○谷藤政府委員 筑波山ろくにおける研究学園都市の人口は、一応十六万という予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/15
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016・西宮弘
○西宮委員 予算は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/16
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017・谷藤正三
○谷藤政府委員 予算は、全体を通じまして、民間投資も全部入りまして、約三千億という推定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/17
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018・西宮弘
○西宮委員 私はそのこと自体を非難をするつもりはないのです。それはそれとして、それ自体としては別に非難する理由はないと思うのです。しかし、少なくとも三千億の金を投じて十六万の人口を収容するということであるならば、それよりも、たとえば現在ある地方の都市を開発することによって、これに都市施設を拡充するということによって、十六万程度の人口を収容するというようなことは、もっともっと少ない予算できわめてたやすいことだと思うのです。もちろんあそこに学園都市、研究都市をつくるということは、何も東京都の人口をそれで抑制しようというような、それだけが理由ではないことは私も承知をしております。承知をしておるけれども、事の起こりは、やはりあまり東京が膨張し過ぎる、だからその一部をあそこに移そうということから出発したのです。それでありながら、結局において三千億の巨費を投じて十六万の人口を収容するということでは、非常に政策として不経済なやり方ではないかと思うのですが、これは大臣に伺ったほうがいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/18
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019・河野一郎
○河野国務大臣 ただ単に十六万の人口を対象といたしますれば、そのとおりでございます。しかしそれは結果でございまして、私たちの考えますことは、東京都内にこれら研究所、試験場が相当広範な用地を使っております。第一に、その土地を利用したい。第二に、試験研究に従事されております諸君が東京からあまり遠隔の地に離れることは、試験研究の遂行上適当でないというような意味合いから、東京からあまり遠くへ離れないで、しかもいま申し上げますように、試験場、研究所でありますから、人口に比べて相当広範な土地を必要とします。それからまた同時に、この中には一部学校も入っております。そういう関係で、東京からあまり離れたくない、しこうして相当広範な土地が低廉にして取得できるという意味合いから、この地を一応候補にあげました。
しかし、もう少し先までお話しいたしますと、その後、地元においていろいろの御意見がございますが、地元の御意見を押え、押し切ってまで、土地収用法にかけてまで強行しようという考えはございません。これは歓迎されて行くべきであって、きらわれて行くという考えはございません。したがって、あまり地元でおいやなら、他に変わってけっこうであります。初めはぜひ来てくれというような非常な強い御要望でございましたから、それならひとつお願いしましようかと言ったのでございますが、このごろは半々ぐらいのことでございまして、半分ぐらいはここへ移って、半分ぐらいは別のところへ行ったらどうだというような考えを持って、一応その計画も縮めましてやっておるというのが実相でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/19
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020・西宮弘
○西宮委員 私が申し上げたいことは、いまの筑波山ろくの新しい都市づくりそのこと自体を問題にしようとしておるのではないのでありますが、その三千億という巨費を、そういう金を投ずるならば、私は東北の人間でありますから東北を例にとるならば、たとえば宇都宮でも、郡山でも、福島でも、あるいは仙台でも、そういうところに若干の金を投ずれば、まず第一に十六万人という人口ならばきわめて簡単に収容できるわけです。それからさらに研究都市、学園都市という点からいいましても、私は、現在の既設の中小都市にさらに都市施設を拡充することによって、そういう目的も達成できるのじゃないかというふうに考えるのです。ですから、そういう意味において、私はそういう考え方をとったほうが国全体として効率的ではないかというふうに考えるのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/20
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021・河野一郎
○河野国務大臣 実は、いま学園都市の話や研究都市の話が出ておりますが、かねて私申し上げておりますように、宇都宮の周辺、水戸の周辺、高崎周辺、これらには東京都の外の連合都市、いずれも五十万前後の新産業都市をつくっていこうというので、これについてはすでに計画を立て、そうして予算の一部も実は決定を願って、着手する段階になっておりまして、関東全域にわたって実はある程度の計画を立てておるわけであります。あともう一つ考えられるのは、道路が一番肝心でございますから、道路をなるべく早くやる場所に、早くこういうものをつくっていこう、こういうことで、東京−高崎線の道路にかかりますので、この間の、青梅からあの方面に何かひとつ考えたらどうだというので、お話のありますように、あいている場所、適当な場所については、みな一応の案を持って進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/21
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022・西宮弘
○西宮委員 私が言いたいことは、私の気持ちは大臣に了解してもらったと思うのですけれども、いま言う既設の中小都市が、非常に都市施設が不十分だ、こういうことから、十分開発されないままに今日あるわけです。私は東北の人間ですから知っているところを例にあげたのですけれども、必ずしも東北本線沿線に限ったことではない。南のほうについても同じようなことが言えるのだと思いますが、いずれにしても、そういう十分開発されない、あるいは十分都市施設が完備しない中小都市があって、非常に中途はんぱに終わっている。たとえばそれを拡充することによって、大臣の言う研究都市あるいは学園都市というようなものも、これは、私は仙台の住人だから、少し我田引水みたいに聞こえるかもしれませんが、そういうことを抜きにして、たとえば仙台なども、今日までいわゆる学都として成長してきているわけです。ですから、ああいうところを拡充することによっても、さらに十六万の人間をあそこに包容して、りっぱな研究都市、学園都市にするというようなことは実は朝めし前だと思うのです。ですから、そういうことのほうが、三千億の使い方としては、私ははるかに効率的じゃないかというふうに考えるのですけれども、その点いかがでしょう。
〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/22
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023・河野一郎
○河野国務大臣 仙台は、御承知のとおり、新産都市の指定をいたして、新産都市として十分御協力願う、また政府も、これに相当の先行投資をする所存でございます。ただ、こだわって申し上げるわけじゃありませんが、この問題は、中央研究機関ということになりますので、中央からあまり離れますと、国民全体の諸君が利用されるのに都合が悪いのじゃないかということを考えまして、首都の周辺ということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/23
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024・西宮弘
○西宮委員 私は、いまの研究機関なるものを、何も地元に誘致をしようというようなつもりで申し上げておるわけではないのです。しかし、そもそも私は、いま大臣の言われたことに若干の疑問を感ずるのですが、それは、中央の研究機関だから、中央と離れたのでは存在の意義が薄くなる、あるいは研究その他に不便を来たす、そういう点ですが、そういう考え方が根強く残っている限り、中央の過密都市の修正ということはできないのじゃないか、私は、むしろ思い切って東京というものと切り離して、そういう考え方を取り入れる、つまり研究機関のごときは、東京とつながらなければ、東京に依存しなければ存続できないのだ、そういう考え方をそもそも捨てて、そして研究機関は研究機関として、何も仙台に限ったことはありませんが、どこか適当な場所に一カ所にまとまって、それでやれるのだというような、そういう体制なりそういう考え方がまず前提にならないと、この過大都市、過密都市を改めていくということはできないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/24
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025・河野一郎
○河野国務大臣 私も、抜本的には、政府が東京にあることが、今日東京の過熱する最大の原因になっておる、もし東京について抜本的にこれを処理しようとするならば、政府を他に移転することが一番早道である、しかも政府自身がやることですから一番可能なことであるという学者の諸君の御意見についても、相当な動かされるものを実は持っておるわけでございます。これについては、実は研究は怠っておりません。もし研究の進むにつれまして、ある程度の成案を得ますれば御批判をいただくというつもりで、鋭意研究はいたしております。したがって、いま申し上げますように、東京にとらわれてものを考えるという考え方はいたしておりませんが、何を申しましても、政府もしくは多数の国民諸君の一番便利なところに置く必要があるという考え方で、いま一応筑波山ろくということにいたしたのでございまして、今後のものの考え方として、私は全くその点は同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/25
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026・西宮弘
○西宮委員 ものの考え方として全く同意見だというお話でありますから、私はそういうことに期待をして、ぜひそういう態度で今後研究していただきたいと思うのでありますが、いま大臣の言われた、東京から政府の機関が全部移動する、こういうことも一つの案でありましょうけれども、いま特に私が言ったことは、何も東京から政府を移せ、ということを言ったのではなしに、かりに東京が政治の中心だという点は今日と変わらないとしても、研究都市、学園都市というようなものは、常に中央政府とつながっている、中央政府と出入りが便利な場所だ、そういうことを考えたのでは、根本的な都市の再編成というものはできないのじゃないかということ申し上げたのです。ですから、かりに政治の中枢は東京にあるとしても、いわゆる学園都市、研究都市というようなものは、そういうところと切り離して、独立した存在として考えていって、それで成立をするのではないかということを申し上げておるので、もう少しその点も伺いたいと思いますけれども、根本的な考え方は同じだという大臣の御意見でありますから、これ以上お尋ねをいたしません。私はそういう考え方で思い切って日本の都市の再編成ということに蛮勇をふるっていただきたいということを、特に申し上げたいと思う。
次には、この前、本会議でもお尋ねをいたしましたが、いわゆる地価の抑制策の一つとして、いろんな問題が具体的に考えられるわけです。社会党などは、党の機関として今日までいろいろと研究をしてまいりました。そういうことを一つの提案として本会議で申し上げて、大臣からも、できるだけそれも研究しよう、やれるものは実行しよう、こういう非常に力強い発言をいただいたわけでありますが、これに関連して、そういう点を二、三お尋ねをしたいと思います。これは、問題の内容によっては、大臣でなくてもけっこうでございます。
その第一は、土地の標準価格を設定して、これを公表する、こういうことができないだろうかということであります。たとえば、国あるいは地方の公共団体などが土地造成をやって、それを適正な価格で売却をする。それが標準価格の一つのモデルになるというようなこともありましょう。あるいは土地、宅地などの審議会の意見を聞いて、標準価格をきめるというようなこともあろう。あるいは土地鑑定人の評価をもとにして、それで標準価格を設定するというようなこともあると思うのだが、とにかく、いずれにしても、そういうことで土地の標準価格というようなものをつくってこれを天下に公表する、そういうことはできないだろうか、こういう点をまずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/26
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027・町田充
○町田政府委員 マル公のような意味合いでの土地の標準価格をきめることがいいかどうかということは別問題といたしまして、およそ地価のあるべき標準価格というふうなものが何らかの方法によってきめられて、これが何らの手段によって公表される、そしておのずから一般人民に対してその辺の地価のあるべき姿を周知させるということは、まことにけっこうなことだと思います。昨年御審議をいただきました鑑定法の立案の際にも、そういう原案を考えたのでございますが、鑑定士というものが誕生して社会的な権威と信頼を得るというふうな暁には考えようということで、しばらく制度的には見送っておるわけでございますが、実は今年度の予算で、鑑定士によりまして、標準的な地点を数百カ所選びまして、そこの地価を鑑定士に鑑定評価をさせる、そしてそれを建設大臣の名においてしかるべき方法で公示するという予算が、ごくわずかでございますが、組まれておりますので、鑑定士が誕生しました暁におきましては、そういう方法で、御指摘のような標準価格の公示ということをやりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/27
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028・西宮弘
○西宮委員 いま局長の申されたようなやり方は、それはあとで単に公表して人民に標準相場を知らせるということだけに終わるのか。それで人民に実際に取引させるというのについて、何か裏づけになる具体的な方策がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/28
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029・町田充
○町田政府委員 もちろんこれは一つの意見であり、不動産鑑定士の評価額でございますので、これを法律的に強制をする方途はございません。あくまでそういうものを参考にし、それを尊重して、一般社会においてそういった値段で公正な取引が行わなれるということを期待するのでございまして、これを法律的に、マル公というふうな意味合いで、強制をするというわけにはまいらないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/29
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030・西宮弘
○西宮委員 いわゆるマル公式に強制するということは非常に無理があると思うので、それはできないと思うのですが、たとえばその標準価格を設定して、標準価格以上で取引をしたものには特別に税を課するというようなやり方でも、これは標準価格を一つの基準として実際に扱う一つの裏づけになり得ると考えるのだけれども、そういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/30
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031・町田充
○町田政府委員 標準価格というものの性格が、先ほど来申し上げておりますように、どういう方法でやりますかは別問題にいたしまして、あくまでそれは鑑定士の一つの意見、一鑑定士の評価ということでございますので、それをあるいは課税の面で考えるというところまで直ちにいけるかどうか、問題があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/31
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032・西宮弘
○西宮委員 私は、いわゆる標準価格を設定をして公表するということだけでも意味があると思います。現在、地価がいたずらに呼び値で上がっていく、そういうのがいまの世の中の実際でありますから、標準価格を設定してそれを公表するということだけでも、地価の高騰を押える一つの方法にはなり得ると思う。そういう意味でも、私は十分意義があると思うのですが、できるならば、それをもう少し権威あらしめる方法の一つとして、いま申し上げたように、それをこえるものには特別の税を課する、こういうことが随伴しないと、裏づけとして非常に薄弱なものになってしまうということが懸念されるので、私はぜひともそういう点も研究してもらいたいと思います。いまの点は、税制の問題ともからむわけですから、即答も困難だと思いますが、ひとつ十分御研究を願いたいと思います。
その次は、土地あっせん機関として、公営の機関をつくることができないかということです。公営の土地あっせん機関の設置の問題、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/32
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033・町田充
○町田政府委員 土地の売買につきまして公的なあっせん機関が必要じゃないかという議論は、前々からございまして、実は宅地制度審議会、今年の四月から新しく宅地審議会になるわけでございますが、この宅地審議会で、土地の流通機構をどういうふうに整備していくかという問題の一環として、一つの大きな項目として研究してもらう予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/33
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034・西宮弘
○西宮委員 私は、公営あっせん機関の設置ということは、地価抑制のための非常に大きな役割りを果たすと思うのですが、単に研究してもらうという程度では、たいへんに心細いと思うのです。政府の態度としてどういうお考えか、大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/34
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035・河野一郎
○河野国務大臣 事務当局からお答えしたとおりでございますが、何ぶん制度が非常にむずかしい制度でございます。したがって十分御検討を願いまして、その結論によって善処いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/35
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036・西宮弘
○西宮委員 非常にむずかしい問題だ——どうして非常にむずかしいのでしょうか。現に土地売買というのは人民が盛んにやっているのです。だからそれを公の機関がかわってやってもちっともむずかしくないと思うのだが、むずかしいというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/36
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037・河野一郎
○河野国務大臣 そういう機関をつくったら、また非常に各地につくりまして、そうして仕事のあるところ、ないところ、どこに仕事が起こってくるかわかりません。だから、役所の数がむやみにふえちゃって、そうしておさまりがつかなくなるのじゃないでしょうか。またそれが必要だといっても、どこにどういうふうに必要性が起こってくるかわかりません。したがって、十分御検討を願いまして、適切な方法があれば、私はそれについて善処するということにやぶさかではございません。十分御検討の必要がある、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/37
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038・西宮弘
○西宮委員 大いに研究をするということでありますから、将来の研究の結果に待ちたいと思いますけれども、ただ私は、どこでそういう問題が起こるかわからぬというが、現在土地の売買が盛んに行なわれているところは、政府でも十分わかっていると思う。ですから、そういう需要の多いところにそういう機関をつくっていく。たとえば人の雇用問題の多いところに職業あっせん機関ができると同じように——これだって、日本全体からいえば、どこでだれが人を雇うのかわからぬといえばわからぬことだと思うのです。しかし、おのずからそういう労働市場というのは、日本の国の中で大体見当がつくので、その労働市場の盛んなところにそういうあっせん機関を設けると同じように、土地の売買が大いに行なわれるというところに、こういうようなあっせん機関をつくっていくということは当然できると思うのです。私はこれらはそう抵抗なしにできることだと思うので、ぜひとも研究をしてほしいと思うのであります。それでは、これは大いに研究するというので、将来に待ちたいと思います。
いまの問題にも関連をするわけですが、大臣の言うように、どこで土地の需要があるかわからぬ、そういうものをつくったのでは、とても収拾がつかなくなるというお話でありますが、私はそこでお尋ねをし、あるいは提案をしたいのは、全国の土地の取引の価格なり、あるいはその他の各種の条件等があると思いますが、そういう全国的な取引状況を調査をして公表する、こういうことが必要だと思うのでありますが、そういう点、何か考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/38
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039・町田充
○町田政府委員 国が公共用地のために取得いたします状況につきましては、これはもちろん役所の仕事として当然に把握をいたしておるわけでございますが、一般の民間で自由に取引されております取引価格の状況につきましては、役所としては実は公に調査したものはございません。不動産研究所であるとか、しかるべき民間の機関で市場価格を調べ、実際の取引状況を調べておられる資料はございますが、それをわれわれが利用させていただいておる、こういう状況で、役所以外のものに関しましては、役所で公に調べたものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/39
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040・西宮弘
○西宮委員 こういうふうに土地の値段が大きな問題になって、冒頭に申し上げたように、あるいは大臣も言っておったように、事業費の七割、八割までが土地買収費に食われてしまう。こういうように地価という問題がこれほど重大問題になっている際に、政府としては何の調査もしていないということは、いささか、あるいはいささかならず怠慢じゃないかと思うのです。これから先、これに対してもう少し積極的な考え方はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/40
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041・河野一郎
○河野国務大臣 御承知のように、たとえば勧業銀行のような、かつては半官半民でありましたやや公正な機関等においては、十分担保価格等について調査をいたしており、また大蔵省において税を取る上におきましても調査があるわけでありますが、建設省としては触れない、こういうことであります。もちろんこれだけ取引があるのでございますから、それぞれ公正な機関によってむろん調査をされており、また課税対象になるものでございますから、そういうことについても十分諸君の納得するような調査があるというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/41
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042・西宮弘
○西宮委員 私はそういう調査を徹底的にすることとあわせて、さっき申し上げた標準価格をつくる、こういうことは、いまの地価を押えるということに大きく貢献するものだと思うのです。確かに不動産研究所その他の調査などもありますが、これは民間の調査としてほんとうにそういう特殊な人だけが利用するだけで、一般の国民はほとんどそういうことを知らないわけです。だから、それはぜひ政府が本腰を入れてそういうものを調査をして、さらにそれに加えてさっきの適正価格というようなものを示すことができるならば、それに比べて現在の実際の取引がどうかというようなことで反省させることによって、地価の抑制には大きな役割を果たすことができると考えるのですが、いまの取引価格の実際の調査というようなものをもっと積極的にやってもらいたい。全国的な調査をやってさらにそれらを基礎にして——これも大臣の一番初めの御答弁に関連をして申し上げたことですが、ある地方は非常に高い、ある地方は非常に安い、こういうことに関連をして、国全体の土地利用計画をつくっていく、こういうことがお互いに相関連して取り上げられなければならぬ問題だと思うのです。そういう点について、いま切れ切れに申し上げたことも、みんなつなぎ合わせると一つのことになると思うのですが、実際の取引状況を調査する、あるいはそれに標準価格を——これは単に標準価格として発表するだけでもけっこうだが、さらにそれに関連をして、国全体の土地利用計画を樹立していく、こういうことが当然になされねばならぬ政府の政策だと思うのです。そういう点についてもっと積極的に取り組んでもらいたいと思うのですが、ひとつもう一ぺん、そういう全体を関連づけて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/42
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043・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまるるお述べになりました問題は、いずれも土地価格に関する重大な問題でございます。なお、政府におきましても、これらの問題を一貫して十分勉強いたしまして、何らかの方策を立てるということにいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/43
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044・西宮弘
○西宮委員 すでに宅地審議会等においても論議をされた問題もありますが、現在の土地の売買には投機的な売買が非常に多いわけです。これが地価の高騰と悪循環を繰り返しているのだと思うのです。昭和三十五年に内閣審議室で調査をした土地の需要に関する世論調査というのがありますが、それで見ますると、住宅を建てる計画について、宅地入手後、建築予定が五年後であるもの、あるいは建築時期が不明であるもの、あるいは建築意思なしというもの、それらを合わせて三〇%を占めているわけです。これらはいずれも単に土地を投機の対象として取得しているにすぎない。ですから、そういうやり方では土地を投機的に売買するということが横行して、そのためにますます地価をつり上げていくと考えるのですけれども、この投機抑制という点について何か考えている点はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/44
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045・町田充
○町田政府委員 土地の投機的売買の抑制で、いま西宮委員のおあげになりました内閣調査室で調査いたしました土地利用の状況、何年か後に家を建てるつもりで、まず土地だけ買っておくというふうな、ささやかな庶民の土地の取得、そういうものをはたして投機的売買というふうにきめつけていいかというふうな問題もございまして、一体何を投機的売買と見るか、したがってそういう売買に対して、たとえば税制措置を考えます場合に、一体どういうものを投機的売買として押えるかというようなこともなかなかむずかしい問題でございますので、土地増価税というものも、そういう投機的売買に対する一種の制裁という意味合いで、いろいろ宅地制度審議会でも御検討をいただいたわけでありますが、先ほど申し上げましたような、何をもって投機的売買と見るかという押え方の問題、あるいはいまの土地市場の状況から見まして、どうしてもそういった税金を考えると、転嫁というような問題も起こってくるのではなかろうかというような議論もございまして、実施についてはなお慎重に検討する必要があるというふうな中間報告をいただいておるわけでございますが、さしあたり、これは私どもの所管ではございませんが、所得税法の改正におきまして、短期の売買による所得——土地を比較的短い期間内に転々売買をするというような所得につきましては、一般に認められておる譲渡所得の半額課税という特例を適用しないということによって、多少なりとも投機的売買による差増益というものを押えていこう、こういう方策は打ち出されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/45
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046・西宮弘
○西宮委員 その土地の投機的な売買を抑制する方法として考えられるのは、税制の問題だけですか、何かほかにはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/46
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047・町田充
○町田政府委員 さしあたり、そういう税制措置以上に新しい方策を、いまのところ考えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/47
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048・西宮弘
○西宮委員 これも実際は非常にいろいろむずかしい問題があると思いますけれども、たとえば一定のある規模以上の土地の取得というものを規制するということも、少なくとも研究していい問題ではないかと思うのですが、そういう点は全く研究なさっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/48
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049・河野一郎
○河野国務大臣 お話しになりました点にお答えいたしますが、非常にその限界はむずかしいと思います。ただ広さだけから申せば、たとえば住宅団地を造成するとかというような事業をなす者もあるわけでございます。こういう団地等の造成をして、工場適地、住宅適地にするという仕事もあるわけです。こういう場合には相当大規模でなければ仕事になりません。ただ、どの程度が思惑であり、どの程度が真に事業としてやっておるかという点もございまして、ただ大小だけできめることも困難ではないか。なお十分検討はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/49
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050・西宮弘
○西宮委員 さらに検討するというお話でありますから、ひとつ御検討願いたいと思います。
さっき、局長が土地増価税の問題について触れておったのですが、いわゆる空閑地税、土地を遊ばしておく人、それに対する課税という問題については研究しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/50
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051・町田充
○町田政府委員 これも宅地制度審議会で十分御検討をいただいたのでございますが、やはり何をもって空閑地と認定するか、おそらく非常に市街化が進んでおって、当然宅地として利用されなければならぬ、また宅地として利用するのが合理的であるという地域でございましょうが、それがためには、まずそういった市街地として、あるいは宅地として利用すべき区域であるということが何かの方法でオーソライズされなければならぬ、そういう地域区分、土地利用計画といいますか、それが前提である。かりにそういう土地利用計画ができましても、はたして何をもって空閑地というか、そこにかりに小屋でも建てた場合に、はたしてそれが利用されていると言えるのか言えないのかという徴税技術上の問題もございまして、将来十分それにたえ得るだけの土地利用計画というものが確立されれば、その暁においては、宅地としての利用を促進するという意味合いで、空閑地税というものは検討に値するという中間結論はいただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/51
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052・西宮弘
○西宮委員 私は、そこでまたさっきの議論にもう一ぺん返るわけですが、そのいわゆる土地利用計画というようなものですね、それをオーソライズする、さらにさっき申し上げたが、そういう利用計画というものをつくり上げて、これを国会の審議を経てオーソライズする、そういう手順を踏んでいくということがどうしても必要になってくると思うのです。そこまでいけば、いまお話をされたような問題点は解消するわけです。障害は除けるわけなんですから、やはり結局はそこまでいかざるを得ないのではないか。私は、そうすることによって、増価税にしてもあるいは空閑地税にしても、あるいはまた例の標準価格以上のものについて特殊の課税をするというような問題なども、同時に解決をされていく、あるいはさらに、さっき申し上げた、ある規模以上の土地の売買についてはこれを規制していくというようなことも可能になってくると思う。これは局長なり大臣も言われたとおり、むずかしい問題がたくさんあることはわれわれもよくわかりますけれども、今日地価の高騰ということがこれほど大問題になっておるのでありますから、そういうむずかしい問題を乗り越えても、これらはぜひやらなければならぬ問題だ、ほんとうにそれに積極的に取り組まなければならぬ問題だ、というふうに私は考えるわけです。そういう点の根本的な考え方について、最後に答弁をいただきまして、私はきょうの質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/52
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053・河野一郎
○河野国務大臣 だんだんの御意見であり、御質問でございましたが、私は最初にお答えいたしましたとおり、できるだけ早くやるほうがいい、やるべきものだという点については全く同感でございます。しかしいろいろな条件が変更してくるということがありまして、そのために、決定することによってかえって一般の人に誤解を招き、また迷惑をかけるというようなことがありますことも考えなければなりません。かえってそういうのを発表することによって、そこに仮需要が起こるとかいろいろなことが起こる場合も、実はあるわけでございます。したがって、よほど慎重にいたしませんといかぬ。しかしこれを要するに、私の立場といたしましては、そういうものを早くつくって、そうして一般の国民諸君が、日本の将来の構造に対して自信を持って事業の計画をされ、将来の計画を立てるということのできるようにして差し上げることが一番親切な政治である、すみやかにそうあるべきものだという点については、私も同感でございます。ただそこに至るまでに結局屈曲があるということについては、なるべく慎重にやらなければならぬという点で、実は考えており、お答え申し上げておるわけでございまして、できるだけ努力をいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/53
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054・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 この際おはかりいたします。
本案審査のため、参考人の出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/54
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055・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
なお、参考人の人選、出頭日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/55
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056・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/56
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057・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 次に、去る一日本委員会に付託になりました、内閣提出の首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律案、及び去る四日付託になりました近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律案を一括議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/57
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058・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 まず三案について、それぞれ提案理由の説明を聴取いたします。河野国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/58
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059・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま議題となりました首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律は、既成市街地への産業及び人口の過度集中を防止するため、既成市街地のうち、東京都区部、武蔵野市及び三鷹市を工業等制限区域とし、この区域内においては、一定規模以上の工場、学校は制限施設として、許可を受けなければ新設できないこととして、昭和三十四年四月施行されたものであります。
その後、昭和三十七年十月には、同法の一部改正しまして、制限施設の規模を引き下げるとともに、新設のみならず増設をも制限することとして、制限の強化をはかり、今日に至っております。
政府は、この法律の施行とともに、その他の人口の過度集中防止対策を実施してまいったのでありますが、首都を中心とした既成市街地の現状を見ますと、依然として人口集中はやまない状況であり、交通難の異常な深刻化をはじめとして、生活環境の悪化、公共施設の不備等、都市の過大化による弊害はとみに深刻の度を加えておるのみならず、これらの弊害は、現行の制限区域の周辺地域にも及びつつある実情にあります。
これが対策といたしましては、市街地開発区域の整備によって、首都に対する産業と人口の流入の防止、首都人口の分散をはかる一方、工業等制限区域を現行の制限区域の周辺地域に拡大し、既成市街地への産業や人口の集中を直接抑制することがきわめて緊要と考えられるのであります。
以上がこの法律案を提案する理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、工業等制限区域につきまして、従来、既成市街地のうち東京都の区域のみに限られておったわけでありますが、すでに述べましたような理由により、東京都の区域外の既成市街地、すなわち横浜市、川崎市及び川口市の区域につきましても、制限区域の指定をすることができるようにするため、規定を改めようとするものであります。
第二に、制限施設の許可権者についてでありますが、従来は東京都知事としておりましたが、制限区域が東京都の区域外に拡大された場合の許可権者は、制限施設の所在する都県の知事または地方自治法で定める政令指定都市の市長とすることとし、指定都市の市長が、許可、不許可の処分をする際には、知事が意見を付して首都圏整備委員長に進達することにしようとするものであります。
第三に、首都圏整備審議会の委員の構成についてでありますが、政令指定都市の市長及び議会の議長を審議会の委員に加える必要があるので、所要の改正を行なおうとするものであります。
以上が改正案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。
この法律案は、近畿圏整備法第十五条の規定に基づく付属法律でありまして、同法第二条の既成都市区域のうち、一定の区域を工場制限区域として定め、この制限区域内においては、人口増大の原因となる大規模な工場、学校の新設及び増設を制限し、これらの区域への産業及び人口の過度の集中を防止することを目的としたものであります。
その内容の第一点は、制限の対象となる施設についてでありまして、首都圏における工業等制限法と同様、人口増大の原因とされております工場、大学、高等専門学校及び各種学校を取り上げております。
第二点は、制限区域についてでありまして、これは既成都市区域のうち政令で定める区域といたしておりますが、これには京都市、大阪市、堺市、布施市、守口市、神戸市、尼崎市、西宮市の区域のうち、人口密度の高い市街地の部分を対象として定めることを予定いたしております。
第三点は、制限施設の新増設の許可に関することでありまして、制限区域内においては、府県知事の許可がなければ、制限施設を新設または増設することができないものといたしております。
ただ、地方自治法で定める指定都市にあっては、この許可の権限は市長が行使することにいたしております。
その他、許可基準、経過措置、許可申請手続、違反に対する措置等を規定いたしておりますが、いずれも首都圏の工業等制限法の例に準じ、所要の規定を設けております。以上が、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、近畿圏整備法第十三条の規定に基づく付属法律でありまして、近郊整備区域を計画的に市街地として整備し、また、都市開発区域を工業都市その他の都市として発展させるため必要な事項について規定し、これにより、近畿圏の建設とその秩序ある発展に寄与しようとするものであります。
その内容の第一点は、近郊整備区域または都市開発区域の建設計画の樹立に関することでありまして、その作成の主体は関係府県知事がこれに当たり、内閣総理大臣の承認を得て設定せられることといたしております。
第二点は、近郊整備区域における工業市街地の整備及び都市開発区域における工業都市としての開発をはかるため、工業団地造成事業を施行することができるようにいたしておりまして、この工業団地造成事業についての都市計画決定、その施行の主体、施行を確保するための措置並びに団地造成事業によって造成せられた敷地等の管理処分方法等につきまして、所要の規定を設けております。
第三点は、近郊整備区域または都市開発区域の建設計画を達成するための優遇措置等についてであります。すなわち、国及び地方公共団体は、これらの建設計画を達成するため必要な施設の整備の促進につとめること、国有財産の売り払い代金等の延納を認めること、鉄軌道を敷設する者等に対し国は資金のあっせんにつとめること等のほか、都市開発区域への工業の立地を促進するため、地方税の不均一課税に伴なう地方財源の補てん措置を講ずることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/59
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060・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。
三案に対する質疑は後日に譲ります。
次会は、明後八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604149X02619640506/60
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