1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年六月十一日(木曜日)
午前十一時十七分開議
出席委員
委員長 小泉 純也君
理事 青木 正君 理事 岡崎 英城君
理事 仮谷 忠男君 理事 辻 寛一君
理事 渡海元三郎君 理事 加賀田 進君
理事 島上善五郎君 理事 畑 和君
宇野 宗佑君 上村千一郎君
押谷 富三君 鍛冶 良作君
久保田円次君 篠田 弘作君
堀 昌雄君 山中日露史君
山下 榮二君
出席国務大臣
自 治 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
自治事務官
(選挙局長) 長野 士郎君
―――――――――――――
五月二十六日
委員宇野宗佑君辞任につき、その補欠として砂
田重民君が議長の指名で委員に選任された。
六月十日
委員砂田重民君辞任につき、その補欠として宇
野宗佑君が議長の指名で委員に選任された。
―――――――――――――
六月六日
選挙制度改正等に関する陳情書
(第六〇三号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一六五号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/0
-
001・小泉純也
○小泉委員長 これより会議を開きます。
内閣提出第一六五号、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。山下榮二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/1
-
002・山下榮二
○山下委員 過般、公職選挙法改正に関する質問を自治大臣に申し上げたのでありますが、一つだけまだ質問が落ちておりましたので、この機会にお伺いいたしておきたいと思うのであります。
それは長年問題でありました外航船舶の船員の不在投票の件でございます。これは長い間の懸案でございましたが、いまだにその解決を見ていないのであります。外航船舶の船員が国政参与の機会が得られないということは、日本国民としてきわめて不合理なことであると考えられるのであります。これに対しまして何らかの方法で国会議員、すなわち衆議院議員、参議院議員等の選挙の投票の道を開くことが当然過ぎるほど当然のことでなければならぬと考えるのであります。この機会に大臣のこれに関する所見を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/2
-
003・赤澤正道
○赤澤国務大臣 ただいま山下委員が御指摘になりました問題は、仰せのとおり長い間の懸案でございまして、長期にわたって外洋の船の上にある船員諸君に何らかの形で投票していただくということにつきましては、実は事務当局でも肝胆を砕いて検討をいたしている最中でございます。ぜひ今回は実現させなければならぬと考えましたが、ただいまの御審議には間に合いませんでしたので、すみやかな機会に政令の形でそれを実施に移していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/3
-
004・山下榮二
○山下委員 政令の形で投票のできるような道を考えたいという御答弁でございます。ぜひ来たるべき次の総選挙より必ず船員の不在投票が行なわれることのできまするよう格段の努力をお願いを申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/4
-
005・畑和
○畑委員 いまの山下委員の質問に関連をいたしまして、私もかねてからそういった要望があるのですが、それは何かと申しますると、東北方面を主として相当長期間にわたって中央のこちらのほうへ、あるいは中央とも限りませんけれども、出かせぎに来ておる人が、いざ選挙となりましてもなかなか帰れません。しかし住所は自分の出生地のほうにあって、なかなか選挙があっても投票ができないという人が相当あるのです。これは何とか簡便な投票の方法がないか、いままでの法律ではなかなか窮屈だ、そこを何とか考えてくれという要望が相当強くあるのであります。これに対して政府のほうは何かこれを簡便に投票させるような方法を、現行法で可能であるとすればその方法、あるいは現行法では不可能だとすれば、それを改正するような考えがあるかどうか、それを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/5
-
006・赤澤正道
○赤澤国務大臣 漏れなく有権者に投票をしていただくことが本旨でございますので、このことにつきましても、あわせて検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/6
-
007・小泉純也
○小泉委員長 おはかりいたします。
本案についての質疑はこれにて終了するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/7
-
008・小泉純也
○小泉委員長 御異議なしと認め、本案についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/8
-
009・小泉純也
○小泉委員長 ただいま委員長の手元に、青木正君、畑和君及び山下榮二君より、本案に対する修正案が提出されましたので、この際提出者よりその趣旨の説明を聴取いたします。青木正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/9
-
010・青木正
○青木委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。
本年四月三十日、政府は、選挙の公明化をはかるため、公職選挙法の一部を改正する法律案を本院に提出したのでありますが、その内容は、昨年十一月に行なわれた衆議院議員の総選挙の結果等にかんがみ、改正を必要とする事項について所要の措置を講じており、選挙の公明化に寄与するところ大なるものがあると考えます。しかしながら、法案の一部について現在の実情に即しないと考えられる点が二、三ありますので、これらの点についてここに修正案を提出した次第であります。
次に、この修正案の内容について簡単に御説明申し上げます。
第一は、供託金に関する事項であります。政府案によりますと、衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事の選挙の供託金の額を現行の二倍にすることといたしております。これは、いわゆる泡沫候補を規制し、選挙の秩序を確保するという見地からなされているのであろうと考えられるのでありますが、一方において、供託金を増額することは、立候補の自由を制限するおそれもありますので、慎重になされねばならぬのであります。そこで、修正案は、供託金を現行どおり据え置くことといたしております。
第二は、連呼行為等に関する事項であります。政府案は、臨時特例法どおり、車上の連呼を認めることとし、また、連呼行為、街頭演説及び街頭政談演説については、一律に午前八時から午後八時までの間に限り認めることといたしているのでありますが、このように規制することは、選挙運動の実際に即しないとの意見があり、また、今後行なわれる選挙の実情もさらに検討することが必要であると考え、修正案は、一応臨時特例法どおりといたしたのであります。
第三は、個人演説会のために使用する文書図画に関する事項であります。政府案は、衆議院議員、参議院地方選出議員及び都道府県知事の選挙について、個人演説会場前に掲示する立て札の公営の掲示制限を廃止し、候補者により掲示することといたしておるのでありますが、これは、撤去義務の問題その他の検討すべき事項もありますので、修正案は、現行法どおり、選挙管理委員会において一個掲示することとし、それのみでは個人演説会の周知の方法においてやや欠けることとなりますので、修正案は、新たに、個人演説会の告知用のポスターを公営掲示場に掲示できることといたしたのであります。
第四は、政治活動に関する事項であります。現行法は、政治活動のために使用する立て札及び看板の類の掲示については、規制されていないのでありますが、昨年十一月執行されました衆議院議員の総選挙等の執行の状況を見ますと、これらの立て札及び看板が街頭にはんらんし、選挙の公正を害している実情にありますので、これらについて規制することといたしたのであります。すなわち、衆議院議員、参議院議員、都道府県知事及び市長の選挙において、政党その他の政治団体の政治活動用の立て札及び看板の類については、選挙の期間中に限り、その事務所に掲示するものを除き、掲示できないものとすることといたしたのであります。ただし、確認団体は、その開催する政談演説会の告知用のものを、通じて五個及び政治活動用自動車に取り付けて使用するものを掲示できることといたしております。
また、参議院議員選挙の政治活動用ポスターの大きさを衆議院議員選挙のそれと同じく、タブロイド型の四倍とすることといたしております。
第五は、罰則に関する事項であります。政府案によりますと、いわゆる詐偽登録その他不正登録の防止について、種々の規則を加えているのでありますが、修正案は、さらに罰則の面についても強化をいたすことといたしたのであります。すなわち、修正案は、詐偽登録罪については、その刑を引き上げ、登録された者のほか、申請等の行為をした者についても成立するものとすることといたしております。
以上、修正案の趣旨並びに内容を御説明申し上げました。何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/10
-
011・小泉純也
○小泉委員長 これにて修正案の説明は終わりました。
修正案について御発言はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/11
-
012・鍛冶良作
○鍛冶委員 提案者に一、二承りたいのですが、第一、第二の修正でございますが、多数できまったものを私はあえて反対する考えはありませんが、私は原案がいいと思っておるのであります。なるほどここに書いてありますように、多少立候補の自由を制限するようなこともあるかもしれませんが、それらのことと供託金が安いために起こる弊害と比較いたしますと、相当考えなければならぬところがあると思うのであります。
それから、第一の連呼行為ですが、いまの特例のとおりにしますと、連呼をやらない選挙運動を認めることになるのです。ところが事実上において車の上で運動をやらせて連呼をとめようと言ったって、とめられないのです。だからこれはこのとおりでやれば不法を黙認すると同様のことになっておるから、こういうように改めることをわれわれも提案したのです。これはいかぬというなら、もう少し朝だけを運動を早くするとかなんとかで私はもっと考えるべきところがあったのじゃないかと思うのです。しかし、いまあなた方の出されたものを私はここで反対してみたってしようがないからこれは一応認めますが、ここで承りたいのは、このとおりに修正されたものを恒久法としていま通されるのでしょうか、それとも今後さらにこれを検討して、機会を見てよかったら修正するというお考えであるか、この点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/12
-
013・青木正
○青木委員 ただいまの鍛冶委員の御質問でありますが、お答え申し上げます前に、今回の修正についての全般的の立場について一応御説明申し上げておきたいと存ずるのであります。
御承知のように、先般の衆議院選挙の直前に自民、社会、民社の三党で話し合いまして、共同して特別法を議員提出として成立させたのであります。今回の改正にあたりましては、政府はその特例法をさらに参議院選挙を前にいたしまして、参議院選挙にも適用できるように恒久化するということで提案されたのであります。したがいまして、その基礎となりましたのは、申し上げるまでもなく三党の意見の一致した点を基礎にして提案されたという、実質的にはそういう形になっておるわけであります。そこで、臨時特例法恒久化の政府提案が出された場合におきましても、私どもの心がまえといたしましては、本来そのもととなった特例法が三党一致の案でありますので、今回の修正にあたりましても三党間で話し合いをいたしまして、そして意見の一致した点を修正するという態度を実はとったのであります。
供託金の引き上げの問題につきましては、鍛冶委員のお話のように、われわれといたしましては供託金を引き上げることが、いわゆる泡沫候補を防止する方法として、他に適当な方法がなかなかない以上、供託金の引き上げも発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/13
-
014・青木正
○青木委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。
本年四月三十日、政府は、選挙の公明化をはかるため、公職選挙法の一部を改正する法律案を本院に提出したのでありますが、その内容は、昨年十一月に行なわれた衆議院議員の総選挙の結果等にかんがみ、改正を必要とする事項について所要の措置を講じており、選挙の公明化に寄与するところ大なるものがあると考えます。しかしながら、法案の一部について現在の実情に即しないと考えられる点が二、三ありますので、これらの点についてここに修正案を提出した次第であります。
次に、この修正案の内容について簡単に御説明申し上げます。
第一は、供託金に関する事項であります。政府案によりますと、衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事の選挙の供託金の額を現行の二倍にすることといたしております。これは、いわゆる泡沫候補を規制し、選挙の秩序を確保するという見地からなされているのであろうと考えられるのでありますが、一方において、供託金を増額することは、立候補の自由を制限するおそれもありますので、慎重になされねばならぬのであります。そこで、修正案は、供託金を現行どおり据え置くことといたしております。
第二は、連呼行為等に関する事項であります。政府案は、臨時特例法どおり、車上の連呼を認めることとし、また、連呼行為、街頭演説及び街頭政談演説については、一律に午前八時から午後八時までの間に限り認めることといたしているのでありますが、このように規制することは、選挙運動の実際に即しないとの意見があり、また、今後行なわれる選挙の実情もさらに検討することが必要であると考え、修正案は、一応臨時特例法どおりといたしたのであります。
第三は、個人演説会のために使用する文書図画に関する事項であります。政府案は、衆議院議員、参議院地方選出議員及び都道府県知事の選挙について、個人演説会場前に掲示する立て札の公営の掲示制限を廃止し、候補者により掲示することといたしておるのでありますが、これは、撤去義務の問題その他の検討すべき事項もありますので、修正案は、現行法どおり、選挙管理委員会において一個掲示することとし、それのみでは個人演説会の周知の方法においてやや欠けることとなりますので、修正案は、新たに、個人演説会の告知用のポスターを公営掲示場に掲示できることといたしたのであります。
第四は、政治活動に関する事項であります。現行法は、政治活動のために使用する立て札及び看板の類の掲示については、規制されていないのでありますが、昨年十一月執行されました衆議院議員の総選挙等の執行の状況を見ますと、これらの立て札及び看板が街頭にはんらんし、選挙の公正を害している実情にありますので、これらについて規制することといたしたのであります。すなわち、衆議院議員、参議院議員、都道府県知事及び市長の選挙において、政党その他の政治団体の政治活動用の立て札及び看板の類については、選挙の期間中に限り、その事務所に掲示するものを除き、掲示できないものとすることといたしたのであります。ただし、確認団体は、その開催する政談演説会の告知用のものを、通じて五個及び政治活動用自動車に取り付けて使用するものを掲示できることといたしております。
また、参議院議員選挙の政治活動用ポスターの大きさを衆議院議員選挙のそれと同じく、タブロイド型の四倍とすることといたしております。
第五は、罰則に関する事項であります。政府案によりますと、いわゆる詐偽登録その他不正登録の防止について、種々の規則を加えているのでありますが、修正案は、さらに罰則の面についても強化をいたすことといたしたのであります。すなわち、修正案は、詐偽登録罪については、その刑を引き上げ、登録された者のほか、申請等の行為をした者についても成立するものとすることといたしております。
以上、修正案の趣旨並びに内容を御説明申し上げました。何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/14
-
015・小泉純也
○小泉委員長 これにて修正案の説明は終わりました。
修正案について御発言はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/15
-
016・鍛冶良作
○鍛冶委員 提案者に一、二承りたいのですが、第一、第二の修正でございますが、多数できまったものを私はあえて反対する考えはありませんが、私は原案がいいと思っておるのであります。なるほどここに書いてありますように、多少立候補の自由を制限するようなこともあるかもしれませんが、それらのことと供託金が安いために起こる弊害と比較いたしますと、相当考えなければならぬところがあると思うのであります。
それから、第一の連呼行為ですが、いまの特例のとおりにしますと、連呼をやらない選挙運動を認めることになるのです。ところが事実上において車の上で運動をやらせて連呼をとめようと言ったって、とめられないのです。だからこれはこのとおりでやれば不法を黙認すると同様のことになっておるから、こういうように改めることをわれわれも提案したのです。これはいかぬというなら、もう少し朝だけを運動を早くするとかなんとかで私はもっと考えるべきところがあったのじゃないかと思うのです。しかし、いまあなた方の出されたものを私はここで反対してみたってしようがないからこれは一応認めますが、ここで承りたいのは、このとおりに修正されたものを恒久法としていま通されるのでしょうか、それとも今後さらにこれを検討して、機会を見てよかったら修正するというお考えであるか、この点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/16
-
017・青木正
○青木委員 ただいまの鍛冶委員の御質問でありますが、お答え申し上げます前に、今回の修正についての全般的の立場について一応御説明申し上げておきたいと存ずるのであります。
御承知のように、先般の衆議院選挙の直前に自民、社会、民社の三党で話し合いまして、共同して特別法を議員提出として成立させたのであります。今回の改正にあたりましては、政府はその特例法をさらに参議院選挙を前にいたしまして、参議院選挙にも適用できるように恒久化するということで提案されたのであります。したがいまして、その基礎となりましたのは、申し上げるまでもなく三党の意見の一致した点を基礎にして提案されたという、実質的にはそういう形になっておるわけであります。そこで、臨時特例法恒久化の政府提案が出された場合におきましても、私どもの心がまえといたしましては、本来そのもととなった特例法が三党一致の案でありますので、今回の修正にあたりましても三党間で話し合いをいたしまして、そして意見の一致した点を修正するという態度を実はとったのであります。
供託金の引き上げの問題につきましては、鍛冶委員のお話のように、われわれといたしましては供託金を引き上げることが、いわゆる泡沫候補を防止する方法として、他に適当な方法がなかなかない以上、供託金の引き上げもやむを得ないのではないかという考え方を実はとっておるのであります。しかしながら社会党側といたしましても、そのことについて相当程度理解はお持ちのようでありますが、いまの段階で直ちに供託金を引き上げるということにはにわかに賛成しがたいというようなことで、泡沫候補の立候補を防止する問題は、これはこれとしてさらに引き続いて私どもは社会党側と話し合いまして適当な方法があれば考慮しようということで、今回は一応この政府案を修正するということにいたしたいのであります。
次に第一点の連呼と街頭演説の問題でありますが、御承知のように政府案は八時から八時ということになっておったのであります。これにつきまして私どももそのほうが適当であろうというように考えるのでありますが、率直に申し上げますと、社会党側といたしましては、できることならば朝の六時ごろから夜おそくまでできるようにすべきではないかという御意見が相当多数であったようであります。しかしこれにつきましては、朝早くから連呼を認めるということは自由民主党側に異論があるばかりでなく、連呼の時間を早朝から認めるということにつきましてはいろいろ考えなければならぬ点もあるのであります。そこで、この点は地方によりあるいはまた議員の立場によりいろんな見解があるわけでありますが、それをどう各党一致の線におさめるかということになりますと、結局前回の選挙で三党一致した特例法の線で、この提案説明にも申し上げておりますように一応特例法どおりにするほかはないのじゃないか。なおこの点につきましては、提案説明で申し上げましたごとく、衆議院選挙は特例法でやったのでありますから、次の参議院選挙もやはりそれでやっていただきまして、その実施した結果に基づいてなお直す点があればその次の段階でさらに検討をいたそう、こういう結論に到達いたしたのであります。
なおまた鍛冶委員のお話で、これでもうおしまいにするのじゃないかというようなお話でありましたが、申し上げるまでもなく選挙法の改正というものは不断の努力にまつほかはないのでありまして、また急激にはなかなか理想的な姿にまいりませんので、たゆまず一歩一歩前進し改善に進んでいくという態度をとらざるを得ないかと思うのであります。したがいまして、今回の修正案をもって私ども決して十全のものとは考えておりません。これはこれとして、さらに引き続いて選挙制度審議会の御意見も承り、また社会党あるいは民社党その他の方面の御意見も承りつつ、お互いに協力して一歩一歩公明な選挙が実現できるように努力を続けていくべきものと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/17
-
018・鍛冶良作
○鍛冶委員 大体わかりました。ひとつ今後とも御研究の上で、よりいい案を出していただくことをお願いいたします。ことに第一の連呼ですが、もう一時間早くしてもいいのじゃないかと思うのです。あと夜は個人演説会のふれを連呼行為とみなすとしておりますが、いまのは五時までですか、あれだけはひとつ特にやってもらわぬと非常にめんどうになりますから、それらの点を十分考慮の上で、もう一ぺん御研究御提案のほどをお願いします。
その次は第三ですが、修正案は、あとのほうで、新たに個人演説会の告知用のポスターを公営掲示場に掲示できることといたした、こうありますね。いま一投票所に三カ所になるか五カ所になるか知りませんが、その掲示場に一枚演説会の告知用ポスターを張るということですね。ところが現に十人なら十人きまった場所が公営掲示場にこしらえてありますが、特に個人演説会の告知用のものを張る場所をふやすのですか。それからもう一つは、枚数はここに書いてないのですが、何枚張ってもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/18
-
019・青木正
○青木委員 個人演説会の告知用のポスターを認めましたのは、御承知のように特例法ですと公営の立て看板が二枚であったのでありますが、それを選管の事務能力等から見まして、二枚は無理だということで今回は個人演説会の公営の立て看板を一枚にいたしたのであります。そうしますと、個人演説会の周知の方法が不十分ではないかという御意見もあり、そこで個人演説会用のポスターを別に認めてはどうかという意見も出たのであります。しかし個人演説会用のポスターを別に認めるということになりますと、これを自由に張るということにいたしますと、せっかく公営のポスター掲示場制度を設けました趣旨が没却されますので、個人演説会用のポスターは認めるが、それはあくまで公営掲示場に張るということにまずきめたのであります。
そこで、どこに張るかという問題でありますが、これはこまかい問題になりますけれども、御承知のように、公営のポスター掲示場はそれぞれ各候補者ごとに場所がきまっておるわけであります。そのきまっておる場所の中に張るということであります。したがいまして、このポスターの大きさが、こまかい話になりますけれども、縦が四十二センチで幅が三十センチというのが普通の選挙用のポスターでありますが、ポスターの掲示板を縦にする場合も横にする場合も考えまして、一区画を四十二センチ平方にしてあるのであります。そこで縦に張った場合に十センチのあきができるわけであります。そのあきに張ることができる、こういう考え方であります。横にした場合は、やはり横にこういう個人演説会の告知用のポスターが張れる、こういうことでございます。したがいまして、個人演説会告知用のポスターは、縦は一般のポスターと同じく四十二センチでありますが、横は三分の一の大きさの十センチということにいたしたのであります。
なお張れる枚数につきましては、これは公営のポスター掲示場に張ることになるのでありますから、改正案によりますと、一投票場につき五カ所ないし十カ所、定められた公営掲示場の各候補者に定められた場所に張ることができる、こういうことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/19
-
020・鍛冶良作
○鍛冶委員 この修正案だけではそういうことがわかりませんが、何かあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/20
-
021・青木正
○青木委員 必要事項、そういうこまかいことは政令で十分だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/21
-
022・押谷富三
○押谷委員 これはわかり切ったことですが、一応念のためにお伺いいたします。第四の点であります。
政党の立て看板の制限でありますが、この政党の活動用のポスターはもちろん許されておる。それはタブロイド判の四倍型が許されておる。ところがその掲示のしかたについては制限がないのですか、これは立て看板に用いてもそのものでやったらいいわけですね。そう承っていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/22
-
023・青木正
○青木委員 ポスターの公営掲示場の制度が設けられましたが、これは御承知のごとく候補者についての公営掲示場でございます。したがいましてタブロイド四倍の政党のポスターの掲示は別に制限はありません。したがいまして、これを政党の政治活動用といいますか、その他政党の政治活動のために必要なる立て看板の代用として使うということは一向に差しつかえないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/23
-
024・小泉純也
○小泉委員長 他に御発言がなければ、この際、国会法第五十七条の三の規定により内閣の意見を求めます。赤澤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/24
-
025・赤澤正道
○赤澤国務大臣 本修正案につきましては、ただいま三党の共同修正案の提案者であります青木委員が若干御説明になりましたとおりに、なかなか議論がたくさんございまして、大幅に修正されております。しかし長い間本院において審議なさいました結果でございますので、内閣といたしましてはやむを得ないと考えます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/25
-
026・小泉純也
○小泉委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/26
-
027・小泉純也
○小泉委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
これより採決いたします。
まず、青木正君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/27
-
028・小泉純也
○小泉委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次にただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/28
-
029・小泉純也
○小泉委員長 起立総員。よって、内閣提出第一六五号、公職選挙法の一部を改正する法律案は、青木正君外二名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/29
-
030・小泉純也
○小泉委員長 ただいま青木正君、島上善五郎君及び山下榮二君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。
本動議を議題とし、その趣旨の説明を聴取いたします。島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/30
-
031・島上善五郎
○島上委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、附帯決議の趣旨を説明いたします。
まず、案文を朗読いたします。
公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六五号)に対する附帯決議案
一、政府は、選挙に際して告示の事前事後の違反文書図画の絶無を期するため、厳格な取締りを励行すること。
二、政府は、国会議員の選挙に際しての政党によるテレビ放送の合理的制度の確立について検討し、その速やかな実現を期すること。
以上であります。
以上でおわかり願えると思いますが、若干趣旨の説明を加えますと、最近の選挙の状況を見ますると、告示前あるいは告示後にわたって違反文書図画が非常にふえております。あるところによっては、はんらんするというようなところさえあるのであります。これは言うまでもなく選挙の公正を著しく乱すことでございますから、法的にも今後検討する必要があろうかと思いまするが、現行法の厳格な実施によってもこれが防止が可能でございますので、このために取り締まりを励行する必要があろう、こう考えます。
第二のテレビの点でありますが、最近のテレビの普及状況にかんがみ、選挙にテレビ放送を活用する必要という点につきましては、各党においてもまた識者においても一致して認めるところでございまして、今回の改正に際して検討を進めてまいりましたが、残念ながら今日結論を得るに至りませんでしたので、今回の検討をもととして、今後さらに政府において検討を進めていただきたいと思います。現在選挙中法的な根拠に基づく放送ではございませんが、実際には民間放送等において利用されており、やや公正を欠くきらいがございますので、これらも含めて公正なテレビ放送のルールを確立するということが、きわめて必要であろうと存じます。この意味におきまして二つの附帯決議を出したい、こう考えております。
何とぞ御賛同を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/31
-
032・小泉純也
○小泉委員長 採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/32
-
033・小泉純也
○小泉委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、自治大臣より発言を求められておりますので、これを許します。赤澤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/33
-
034・赤澤正道
○赤澤国務大臣 いずれも同意でございます。御趣旨を体しまして善処いたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/34
-
035・小泉純也
○小泉委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/35
-
036・小泉純也
○小泉委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/36
-
037・小泉純也
○小泉委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604219X01219640611/37
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。