1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十日(火曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君
理事 田中 正巳君 理事 大原 亨君
理事 河野 正君 理事 小林 進君
浦野 幸男君 大坪 保雄君
熊谷 義雄君 小宮山重四郎君
竹内 黎一君 地崎宇三郎君
中野 四郎君 西岡 武夫君
西村 英一君 橋本龍太郎君
藤本 孝雄君 松山千惠子君
粟山 秀君 亘 四郎君
伊藤よし子君 滝井 義高君
長谷川 保君 八木 一男君
八木 昇君 山田 耻目君
吉村 吉雄君 本島百合子君
吉川 兼光君 谷口善太郎君
出席国務大臣
労 働 大 臣 大橋 武夫君
出席政府委員
人事院事務官
(職員局長) 大塚 基弘君
検 事
(刑事局長) 竹内 壽平君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
林野庁長官 田中 重五君
労働政務次官 藏内 修治君
労働事務官
(大臣官房長) 和田 勝美君
労働事務官
(労政局長) 三治 重信君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 村上 茂利君
労働基準監督官
(労働基準局労
災補償部長) 石黒 拓爾君
委員外の出席者
農林事務官
(林野庁職員部
長) 森 博君
専 門 員 安中 忠雄君
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三月六日
毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一三〇号)(予)
同月七日
母子福祉法制定に関する請願(愛知揆一君紹
介)(第九一〇号)
同(小川半次君紹介)(第九一一号)
同(大西正男君紹介)(第九一二号)
同(神近市子君紹介)(第九一三号)
同(熊谷義雄君紹介)(第九一四号)
同(始関伊平君紹介)(第九一五号)
同(四宮久吉君紹介)(第九一六号)
同(田中伊三次君紹介)(第九一七号)
同(田村元君紹介)(第九一八号)
同(登坂重次郎君紹介)(第九一九号)
同(中井徳次郎君紹介)(第九二〇号)
同(中澤茂一君紹介)(第九二一号)
同(松平忠久君紹介)(第九二二号)
同(前田正男君紹介)(第九二三号)
同(淡谷悠藏君紹介)(第九六〇号)
同(加賀田進君紹介)(第九六一号)
同(仮谷忠男君紹介)(第九六二号)
同(久保田円次君紹介)(第九六三号)
同(田村良平君紹介)(第九六四号)
同(竹下登君紹介)(第九六五号)
同(谷川和穗君紹介)(第九六六号)
同(野原覺君紹介)(第九六七号)
同外一件(早川崇君紹介)(第九六八号)
同(森義視君紹介)(第九六九号)
同(森本靖君紹介)(第九七〇号)
同(森山欽司君紹介)(第九七一号)
同(押谷富三君紹介)(第九八〇号)
同(川崎秀二君紹介)(第九八一号)
同(正示啓次郎君紹介)(第九八二号)
同(進藤一馬君紹介)(第九八三号)
同(武市恭信君紹介)(第九八四号)
同(永山忠則君紹介)(第九八五号)
同(小泉純也君紹介)(第一〇〇八号)
同(木村俊夫君紹介)(第一〇〇九号)
同(笹山茂太郎君紹介)(第一〇一〇号)
同(鈴木一君紹介)(第一〇一一号)
同(永末英一君紹介)(第一〇一二号)
同(濱地文平君紹介)(第一〇一三号)
同(板川正吾君紹介)(第一〇三三号)
同(大久保武雄君紹介)(第一〇三四号)
同(金丸徳重君紹介)(第一〇三五号)
同(田中龍夫君紹介)(第一〇三六号)
同(丹羽喬四郎君紹介)(第一〇三七号)
同(森田重次郎君紹介)(第一〇三八号)
同(山手滿男君紹介)(第一〇三九号)
同(渡辺美智雄君紹介)(第一〇四〇号)
同(内田常雄君紹介)(節一〇七二号)
同(大高康君紹介)(第一〇七三号)
同(大村邦夫君紹介)(第一〇七四号)
同外一件(鴨田宗一君紹介)(第一〇七五号)
同(島口重次郎君紹介)(第一〇七六号)
同外一件(關谷勝利君紹介)(第一〇七七号)
同(高橋禎一君紹介)(第一〇七八号)
同(辻寛一君紹介)(第一〇七九号)
同(中野四郎君紹介)(第一〇八〇号)
同(藤田義光君紹介)(第一〇八一号)
同(松本七郎君紹介)(第一〇八二号)
同(堀内一雄君紹介)(第一〇八三号)
同(川村継義君紹介)(第一一〇七号)
同(櫻内義雄君紹介)(第一一〇八号)
同外一件(砂田重民君紹介)(第一一〇九号)
同(田邉國男君紹介)(第一一一〇号)
同外二件(毛利松平君紹介)(第一一一一号)
同外二件(植木庚子郎君紹介)(第一二〇五
号)
同(加藤常太郎君紹介)(第一二〇六号)
同(木村武千代君紹介)(第一二〇七号)
同(永田亮一君紹介)(第一二〇八号)
同(細迫兼光君紹介)(第一二〇九号)
P・T師法の制定及びあん摩師、はり師、きゆ
う師及び柔道整復師法の改正等に関する請願(
小金義照君紹介)(第九二四号)
動員学徒犠牲者援護に関する請願(永山忠則君
紹介)(第九七二号)
動員学徒、女子挺身隊、徴用工犠牲者援護に関
する請願(田口長治郎君紹介)(第九七三号)
看護人の名称改正に関する請願(湯山勇君紹
介)(第九八六号)
療術の制度化に関する請願(原健三郎君紹介)
(第一〇一四号)
同外一件(吉田賢一君紹介)(第一〇一五号)
同外三件(青木正君紹介)(第一〇二九号)
同外一件(田中武夫君紹介)(第一〇三〇号)
同(楢崎弥之助君紹介)(第一〇三一号)
同(堀川恭平君紹介)(第一〇三二号)
同(稲富稜人君紹介)(第一〇六七号)
同(大竹太郎君紹介)(第一〇六八号)
同外一件(佐々木良作君紹介)(第一〇六九
号)
同(谷川和穗君紹介)(第一〇七〇号)
同(山下榮二君紹介)(第一〇七一号)
同(井岡大治君紹介)(第一一一二号)
同(大倉三郎君紹介)(第一一一三号)
同(大村邦夫君紹介)(第一二一〇号)
同(押谷富三君紹介)(第一二一一号)
同(菅野和太郎君紹介)(第一二一二号)
同(久保田鶴松君紹介)(第一二一三号)
同(黒金泰美君紹介)(第一二一四号)
同(永山忠則君紹介)(第一二一五号)
同(和爾俊二郎君紹介)(第一二一六号)
児童福祉施設従事職員の処遇改善等に関する請
願(井出一太郎君紹介)(第一〇二七号)
あん摩業における盲人優先の確保に関する請願
外七件(内田常雄君紹介)(第一〇四一号)
生活保護基準の引き上げ等に関する請願(竹下
登君紹介)(第一〇四二号)
結核対策の充実に関する請願(長谷川保君紹
介)(第一〇八四号)
公衆浴場業の健全経営維持管理の特別措置に関
する請願(田中龍夫君紹介)(第一一一四号)
農林水産業の失業保険適用に関する請願(松浦
周太郎君紹介)(第一一一五号)
国民年金法第六十六条第二項削除に関する請願
(久保田鶴松君紹介)(第一二〇四号)
消費生活協同組合の育成強化等に関する請願
(大原亨君紹介)(第一二一七号)
同(細迫兼光君紹介)(第一二一八号)戦争犯
罪裁判関係者の補償に関する請願(進藤一馬君
紹介)(第一二一九号)
医学部卒業生のインターン制度改革に関する請
願(細迫兼光君紹介)(第一二二〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を
改正する法律案(内閣提出第五四号)
労働関係の基本施策に関する件(林野庁におけ
る労働問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/0
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001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/1
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002・河野正
○河野(正)委員 ただいま議題となった労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案について、若干の質疑を行なってまいりたいと思います。
本法律案の内容でございまする労働保険審査会の業務というものが、労働者災害補償保険法あるいはまた失業保険法さらには炭鉱離職者臨時措置法等に関しまする再審査請求の審査業務でございますることは御案内のとおりでございます。
そこで提案理由等を拝聴いたしますると、過去三カ年間の年間におきまする平均受理件数というものが二百六十件を超過をした、しかも逐次増加の傾向にある、こういうふうに説明をいただいておるわけでございます。そこでいろいろと後ほどの関連がございますので、まずもって、最近ここ何年かでけっこうでございますけれども、受理件数がどのように推移をいたしてまいっておるのか、ひとつこの辺の御説明を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/2
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003・和田勝美
○和田政府委員 お答え申し上げます。
最近におきます請求件数を見ますると、労災保険におきまして、昭和三十五年が二百四十五件、三十六年が二百五十三件、三十七年が同じく二百五十三件、三十八年が二百七十一件。失業保険のほうは、三十五年が十五件、三十六年が七件、三十七年が三件、三十八年が十二件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/3
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004・河野正
○河野(正)委員 一応概数の御報告を受けたわけでございますが、そこで労働省が取りまとめた昭和三十七年度の「労働経済の分析」をながめながら検討いたしてみたいと思いますが、その三十七年度の「労働経済の分析」によりますと、「三十七年の労働災害は前年までの好況下の設備の合理化の影響や安全管理の浸透がつづいたうえ、景気調整の進展で生産活動が低下し、所定外労働時間の減少など労働の繁忙度が低下したため全般的に減少した。」このように、労働災害というものが景気の調整によりまして減少するという傾向が一方ではあらわれてきている。そのことを労働省の「労働経済の分析」の中では強く主張いたしておる。労働災害は減少してきたが、再審査請求が逐次増加してくる。非常にアンバランスな傾向になってきた。ということは、ちょっと理側の上では納得いかぬと思うのです。労働災害が多くなってきたから、そういう再審査案件というものが多くなっていくというのがやや常識的だ。その辺のアンバランスが出てきた原因はどこにあるのか、ひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/4
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005・和田勝美
○和田政府委員 労働災害は、災害防止五カ年計画によりまして鋭意減少させておるわけでございまして、おかげさまで千人率につきましては確かに減少をいたしておりますが、対象労働者その他が多くなっております関係で、絶対件数自体につきましてはそれほど目立って減ってきておるということは申し上げられないと思います。それに対しまして、保険審査会の再審査請求がふえておるという点は確かに一応の矛盾もございますけれども、全体の災害発生件数とこの審査件数とを考え合わせますと、きわめて低い件数でございます。そういう点からいたしまして、件数は、先ほど申し上げましたように年間にして十件から十五件内外のふえ方ということでございますので、多少のアンバランスはございましても、特にきわ立ったものではないではないか、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/5
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006・河野正
○河野(正)委員 実は後ほど続いて触れてみたいと思いますけれども、傷害補償についてはいろいろ異論がございます。そういう傷害補償のあり方について異論がある。そのために画審査請求がふえてくる。こういうケースが大部分だと思います。
そこで、もう一点それに関連をしてお尋ねをしておきたいと思いまする点は、同じく労働省の労働経済の分析によりますと、毎月労働災害統計調査によりまする災害度数率が三十年に次ぐ大幅な低下を示したというようなことが示されておるわけです。この度数率というものは、一般に景気の調整期にはその転換、転職というケースが、だんだん景気が調整されますから転職が減少する。それから景気が調整されておるわけですから、したがって不熟練労働者が縮小される、そういうようなことで、理論的にもやはり災害の度数率は低下しなければならぬ一つの傾向があるということを考えるわけです。ところがいま御指摘を申し上げました審査件数がふえておる。そのことは、先ほど申し上げましたけれども、災害補償の面で問題が起こってまいりまする点は非常に多いわけですから、そういう労働災害補償のあり方に何か問題があるのではなかろうか。これは災害を受けた人の立場から言わせますと、十分な補償をしてもらいたい、それには当然予算の問題が伴ってくる。金の問題が伴ってくる。そういうことから災害そのものは減少した。ところが審査のほうは非常にきびしい。これは予算が伴いますから非常にきびしくやる。そこで災害は減少してきたけれども、審査請求がふえてきたのじゃなかろうか、実はこういう感じを持つわけです。そこで、私がいま御指摘を申し上げましたようなアンバランスは、災害補償、労災の補償のあり方がやはり問題となっておるのではなかろうか、そういうところに起因してそういうアンバランスが生じておるのではなかろうか、こういうことを感ずるわけです。そういう点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/6
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007・和田勝美
○和田政府委員 労災補償のあり方につきましては、戦後十五、六年を経過いたしました関係もありますので、いろいろ問題点も確かに出てまいっております。そういう点を勘案いたしまして昨年の暮れに労働者災害補償保険審議会に対しまして、労災保険制度の根本的な改正について諮問を申し上げております。この中身は、現在の労働者災害保険制度全体に対する問題点でございまして、いま河野先生から御指摘のありましたようなことにつきましても、十分審議会のほうで御審議をしていただきたい、かように考えております。
予算の関係で審査会における審査がきわめて厳重ではないかという御趣旨の御質問でございましたけれども、私どもとしましては、労働者の言われるものを十分に聞いて公正、的確に審査をいたしたいということを考えておるだけでありまして、予算上どうこうということで審査のあり方について特に配慮をすることは考えておらないわけでございます。
審査官は確かに労働省の役人でありますが、審査会は公正な、人格の簡潔な方々によって運営をしていただいておりますので、そういうようなことにつきましては、予算等を離れて十分災害の実態に即した審査をいただいておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/7
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008・河野正
○河野(正)委員 実は現在の法律の適正な運用という問題も一つございます。それからもう一つは、しからば現在の法律あるいは施行規則が現状にマッチした適当な制度であるかどうかという問題もあろうと思うのであります。そこで、やはり私どもがここで強く主張しなければならぬ点は、それならばやはり現在の実情を労働省がどのように把握しておられるか、その認識のしかたいかんによってはいまの二つの問題があるわけですから、一つはこの法律の、あるいは法律の施行規則そのものが非常に適切なものだという場合には、いまの官房長のお答えで十分だと思うのです。ですけれども、現在の法律あるいは現存の法律に基づきます施行規則が適切でない、現状にそぐわぬ点があるというような場合にはいまの御寺弁だけでは困ると思うのです。ですから、労働省がいまの労災問題というものをどのような認識のしかたをしておられるのか、この辺が私は非常に重大なポイントになると思うのです。ですけれども、それはまた具体的な例をあげていずれお尋ねしたいと思いますが、もう一点私どもがここでぜひ取り上げておかなければならぬ問題は、この労働災害というものは、いまも政府の労働白書が示しておりますように逐次減少しつつある。ただ一つ、これは労働省が頭を痛められておると思いますけれども、建設業の災害が非常にふえておる。最近高層ビルの建築あるいは高速道路の工事、こういう事業場でいろいろ事故が起こっておりますことは御承知のとおりでございます。このことはもちろん労働者そのものにも犠牲をしいておりますし、のみならず一般の公衆にも多大の被害を与えたというケースが非常に多いわけです。たとえば道路歩行中に高架線の上からいろいろなものが落ちてくるとか、そういうことでいろいろな問題がございます。したがってこのことが数の上から見てまいりましても、全国で死亡者が二千三百八名、休業八日以上の重傷者が十二万名、これに伴います経済的な損失というものが七百五十億、こういうふうな数字を示しております現況もございます。このことは人道的に見てまいりましても、あるいはまた国民経済の面から見てまいりましても、非常に重大な損失であろうと考えます。労働白書が示しておりますように、労働災害というものが逐次減少しておるけれども、この方面の労働災害というものはなかなか減少しない。むしろ増加しつつある。いまの数字が明らかに示しておりますように、非常に大きな犠牲を与えつつある、こういう現況をどのように御判断になっておりますのか。またどういう適切な指導を行なわれつつございますのか、この辺の事情もひとつこの際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/8
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009・石黒拓爾
○石黒政府委員 建設業関係の災害防止につきましてお答え申し上げます。
御指摘のごとく、建設業は各産業のうちでも最も災害の多い部門でございまして、したがいまして安全行政、労働災害防止行政上、従来から最重点業種として力を入れておるわけでございますが、それにもかかわらず、減少はしておりますものの、御指摘のごとく今日なお非常に多くの災害を出しておることは非常に遺憾に考えております。それに対する対策というのはいろいろなものがあるわけでございますが、第一にはいま建設がいわゆる建設ブームという状況になって、その間におきまして、一面においては元請から下請に発注する場合に、下請の能力を考えずに無理な注文をする、さらに突貫工事をさせられる、その結果はまた労働者のほうに対しましても、安全教育を十分するいとまなく、未熟練の労働者を使用して、それに過重な貧打をかけるというようないろいろな点があると存じております。それにつきまして、基準監督官が建設現場につきましては最重点事業といたしまして、特に厳重に監督をいたしておりますほかに、安全推進員、安全指導員あるいは安全パトロールといったようなものによりまして、自主的な安全管理も極力推進させております。それから法令の面におきましても、クレーン等の安全規則といったような法令の整備を極力急ぎまして、できたものから逐次出していく、さらに上のほうに対しましては、先日も労働省に各建設業者の大手の社長、重役を呼びまして、安全推進のための一そうの努力を強く要請するというようなあらゆる方法を講じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/9
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010・河野正
○河野(正)委員 建設業におきまする災害というものが比較的多くて、そのために人的にもまた経済的にも非常に甚大な影響を与えておる。そこで労働省が大手の幹部を集めて、いろいろ安全推進のために御努力願うというのはけっこうでありますけれども、現実にはなかなか減少しない。私はやはりそこに問題があると思う。そこでなるほど説明では第一線の指導性の高揚という点もありましょう。あるいは推進員、パトロールという御説明もありました。それからまた親会社の下請に対します積極的な指導という問題もあろうけれども、要はそれらの両面にわたります指導というものが、労働省が考えておるように適切に現場で行なわれておるかどうかというような点があろうと思うのです。これは私どもが世間でいろいろ仄聞するところによりましても、現場では業者との間におきますいろいろな事情等があって、なかなか労働省で考えておるように的確に運営されない。これは無礼な言い分かもしれぬけれども、特にこれは労働省と直接関係ございません。ですけれども、私どもはそういう方面も一元化してもらいたいという強い主張を持っておるというのは、炭鉱、鉱山あたりの災害というものは、そういう点が非常に影響しておる。そこで私はやはりいまのような説明はなるほどもっともらしい説明ですけれども、そういうことが適切に行なわれるかどうか。これはもちろん基準局の人的構成と申しますか、そういう問題もございましょうが、ただそういう問題を解決いたしましても、そういう一線と業者間とのいろいろななれ合いというのか、そういう点がもし世間で言われるように実在するといたしますならば、こういう問題をここで早急に解決していくという点はなかなか困難ではなかろうかというふうに考えます。しかしそれらについてはさらに努力してもらわなければ、答弁だけでは困るのですが、この辺は次官が御出席になっておられますから、次官から適切なお答えをひとつお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/10
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011・藏内修治
○藏内政府委員 いまの御質問の点についてでありますが、労働省といたしましては、元請関係が一番大きな支配力を現場に持っておりますので、元請関係の責任者にはさらに厳重にこの点を警告をし、今後も監督行政を続けることにいたしますが、それにつきまして業者とのなれ合いといいますか、くされ縁といいますか、このような点は省内の綱紀の点からも厳重に監督をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/11
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012・河野正
○河野(正)委員 そこで私一、二具体的な問題についてお尋ねし、御所見を承ってまいりたいと思います。
先ほども私がちょっと御指摘を申し上げた、要するに労働災害は減少するが、審査件数は増加してくる。その問題に関連をしてでございますけれども、この審査件数、異議申し立てというものが非常に多くなったという中身については、やはり被害者のほう——災害を受けたほうで十分な手当てが行なわれない、また補償が行なわれなかった、そういう面が非常に多かろうと思う。その際に先ほども御指摘申し上げましたように、現在の現行法というものを適正に運用するという問題とあわせそういう適正な運用が行なわれたか行なわれなかったか、そういう面に対しまする異議申請審査案件というものがあろうと思うのです。それからもう一つは、やはりこの現行法というものが現状にそぐわない、そのために被害者のほうが、犠牲をこうむったほうが非常に不満で、そういう論拠に立って異議申請を行なう。そのために審査案件がふえていく、こういうケースもあろうと思う。大別すると、いまのような二つのケースがあろうと思うわけです。
そこで、第一の現行法が適正に運用されたかどうかという点については、いろいろ異論のある点でございます。それぞれ言い分があろうと思います。それでは第二の、はたして現行法というものが現状にマッチしておるのかおらないのか。そういう点で起こってくるであろう審査案件について、若干ここで論議をしておきたいと思う。
その一つは、労働災害で障害を受けます。その際に二重障害あるいはまた三重障害というケースが起こってきた場合に、現行法の労災保険法の施行規則第十五条第三項第一号の運営というものがはたして適切であるかどうか。私は、この点は非常に非科学的な規制だと思うのです。この点がやはり現行法を論ずる場合には一つの焦点になるのじゃなかろうか、こういうことを考えるわけでございます。こういう労災保険法のあり方、特に施行規則のあり方というものが、どのように労働省では理解されているのか、その辺をひとつお尋ねいたしておきたいと思います。
〔委員長退席、小沢(辰)委員長代
理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/12
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013・石黒拓爾
○石黒政府委員 お答え申し上げます。
御指摘のごとく、労災の審査請求の問題につきましては、審査会にのぼります件数は二百数十件でございますが、審査官にのぼりました件数は三十七年の実績では二千七百九十八件でございますが、そのうちの六九%が障害補償関係でございます。したがいまして、御指摘のごとく障害補償関係に当事者が不満を持つケースが非常に多いということは、十分われわれも察知いたしております。その点につきまして、現在の障害等級の分け方、並びに認定のしかたというものにつきましてはかなり問題があろうということは私どもも考えておりますし、またしばしば指摘もされております。したがいまして、現在法律改正の審議を審議会にお願いしておりますけれども、それと並行いたしまして、障害等級そのものにつきましても検討しなければならない。これは法規の改正に連なる問題でございます。同時に現在の運用につきましてそのときどきにおいてそれぞれにわれわれの考え得る限りの斯界の専門家にお願いをいたしまして、その専門家の意見に従って障害の認定基準というものを逐次出しまして、それに従って認定をいたすように措置いたしておりますが、医学の進歩に従いましてその認定というものが逐次変わってこなければならない点もあるということで、前に一度きまったからそのままでよろしいということではなくて、常時不断にその検討はいたしておるわけでございますが、何ぶんにも世の中の進歩、医学の進歩というものに必ずしも常に十分追いついていけるというふうにも申せない点がございまして、いままでの通牒からいえばこれはやむを得ないけれども、実情を伺えば、なるほどこれはお気の毒であるというようなケースが出てくる、そういう点につきましては、もちろん審査会で是正される点も多々ございますし、審査会のいわば判例のようなものができますれば、それに従ってもちろん直しますし、またわれわれの本省の目に触れる場合には事情の許す限り逐次それを直すように努力はいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/13
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014・河野正
○河野(正)委員 いま政府のお答えによりますと、この審議会で法改正そのものが検討されつつあるというようなお話もございますので、特に私はこの際私の意見も申し上げ、さらにまた労働省の御見解も承っておきたいと思います。
それは、いろいろ専門家の意見によって認定をする、そのことは当然のことだと思うのです。認定をしたが、それが施行規則の中で適切に運用されるかどうかという点が一つあると思う。それはもう御案内のように、この施行規則によりますると、障害が重なった場合には一級格上げがされるというのが法のたてまえなんです。ところが科学的に見ますと、二つ障害があれば災害者は二つの苦痛があるわけですから、当然その二つの苦痛に基づく補償というものが行なわれなければならぬ、ここに一つ問題が出てきます。三重障害になりますと、これはまた三つの、たとえば運動障害、神経障害、用廃というような三つの障害が重なってまいりますと、これは科学的にやはり三つの苦痛を受けるわけですから、したがって三つの補償を受けなければならぬ。ところが二つ重なった場合も一級上がる、三つ重なった場合も一級しか上がらぬわけです。これがいまの制度ですね。そうすると結局実際労働災害で被害をこうむった人は、これは当然不当だということで異議申請をするでしょう。これは異議申請をしても現行法というものがそういう形で縛られればやはりそのとおりいかざるを得ぬのですね。こういうケースが現実にあるものですから、私はこういうケースをそのまま労働省が放置されることそのものが納得できぬと思うのです。本来からいえば二重障害のときは二つ障害があるわけですから、当然これは二つの障害の補償を受けなければならぬわけです。ところが一級しか上がらぬ、三つ受けても一つしか上がらぬというところになお不合理がある、こういうことがいままでまかり通ってきたというところに私は非常に問題があるし、そういうことがあるからこの審査案件が非常にふえてきた。そこでこの法律改正によりますと、審査委員を倍にふやさなければならぬというようなことで、風が吹いたらおけ魔がもうかるじゃないけれども、そういう論法になっているわけですね。ですから、これはほんとうをいえば法そのものが適正な法律であり、適正に運営されておれば実をいうとこの審査会法というものは要らないわけです。ところがいまのような不合理が重なってくるものだから、ますます審査会法も必要だし、またその中身の審査委員というものを倍にふやさなければならぬ、こういうことになっていると思う。これが法改正の根本をなすものだと思うのです。それはもう労働災害の異議申請というものが七〇%で、大部分ですから、私はそういうことを申し上げても言い過ぎではなかろうと思うのです。これは特にいまお答えのように法改正というものを御検討になっているということでございますので、したがってこの際私どもの意見も申し上げて、労働省の御所見もひとつあわせて承っておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/14
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015・石黒拓爾
○石黒政府委員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、まことにごもっともであると私どもも思っておるわけでございます。規則の十五条におきまして二つ以上の障害が重なった場合につきましての格上げの規定がございますが、現在の障害補償は原則として理論上は労働能力の喪失度に応じて補償をするというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして障害が重なりましてもその苦痛の度合いは三つの障害であれば三倍になるかもしれませんが、労働能力の喪失度は必ずしも三倍にはならないというような観点に立ちまして、現在のような規則が一応できておるわけでございます。しかしながらそれが十三級以上に該当する身体障害が二つ以上あるときには一級上げる。その程度の労働能力の低下しかないかという点になりますと、これは科学的に非常に問題があると思うわけでございます。この問題は、実は法律の条文を改正するよりははるかにむずかしい問題で、専門家としてずいぶん議論もされておる点でございます。労働能力の喪失度をいかに判定するか、それに対していかなる補償をするかという問題、これは法律の条文をいかに改正しましても、障害等級数がまずければ、労働者は少しも幸福にはなりません。その点で私どもは十分の瞬間と医学の研究をかけまして、現在の医学の到達し得る最高の結論を出すように努力したいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/15
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016・河野正
○河野(正)委員 そこで、機械的に申し上げますと、二重の場合は二つ、三重の場合は三つの障害補償というものがこれは当然であろうと考えるわけです。ですけれども、いまの労働者の御答弁にありました、労働能力の喪失量という面から見ても、私は一級で押えることが適切だというふうに考えられます。やはり、この二つの障害が重なれば、それぞれ二つの補償ということになるのかもわからぬ。この労働能力の喪失量ということになると、三つの場合にはそれぞれ機械的に三つの障害度に応じた補償ということになるかもわからぬ。しかし、一級だけしか上がらないという喪失量ということではないと思うのです。それは、二級上がるべきか三級上がるべきかというような幅のある規定というものが、これは当然なければならない。その幅については、それぞれ専門学者がこの能力の喪失量に応じてどの幅に認定すべきかというようなことをおきめになる、それでけっこうだと思います。そういう幅がなくて、きちっとやられるということは、これは私は問題だと思うのです。ですから、別に算術的に、機械的に二つあるから、それぞれ二つを重ねなさい、あるいは三つあるから三つ重ねなさいということにならぬかもしれぬ。それは労働能力の喪失量からいえば、そういうことになるかもしれぬ。しかし、何もそれが限定さるべき性格のものじゃない、私は当然幅を持たすべきではないかと思うのです。その幅こそ私は専門家が認定すべきだと思うのです。この場合は、三つ重なっておれば、労働能力の喪失量からいうと二級上がるべきだ、三級上がるべきだ、その判断というものは専門家がやるべきであって、それを機械的に法律できちっと、施行規則できちっと規制しておるところに私は問題があると思うのです。ですから、機械的に、二つの場合は二つ重ねなさい、三つ重ねなさいというような論議は私は申し上げません。たとえ労働能力の喪失量から見てまいりましても、いま申し上げましたように、きちっとようかんを切るように規定すべきではなかろう。そうすると、専門家がりっぱな適正な意見を言っても、それは法の運営の場合に規制されるわけですから、何のために適正な意見を言ったかわからぬということになろうかと思うのです。ですから、そういう幅のある基準というものができなければならぬし、その基準については専門家というものが認定をする、こういう形というものが私は望ましいと思うのです。これはぜひそうしてほしいと思うのです。そうすれば、この法律の審査会に対しまする異議申請というものも私はかなり減少するのではないかと思うのです。こういうふうに私はむしろ建設的な意見を申し上げておるつもりでございます。この点はひとつせっかく政務次官御出席でございますから、政務次官のほうから御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/16
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017・藏内修治
○藏内政府委員 河野委員の御発言はまことにごもっともであろうと存じます。ただいま審議会にお願いしておる法改正の趣旨も大体御趣旨の線に沿って善処方を要望しておるわけでございまして、その点を御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/17
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018・河野正
○河野(正)委員 ちょっと、いまの答弁はいままでの政府委員の答弁と食い違っておると思うのですよ。そういうことで審議会に諮問なさっておるならば私は問題ないと思うのですけれども、労働能力の喪失量で現行法の基準というものがきまっておるようにおっしゃるから、その際には私がいま指摘したような方向でぜひ善処してほしい、そういうことを申しておるのです。だから、そういう方向で審議会のほうに諮問なさるということでございますならば、了解することにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/18
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019・藏内修治
○藏内政府委員 ただいまの点でございますが、大体労働能力の喪失の限度という点に問題があるわけでありますが、その点につきましては、一級上ぐべきか二級上ぐべきか、その点の幅を持たせる点につきましても、できるだけ幅を持たせ得るような方向に、あわせて審議会の御審議を願っております。そういう方向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/19
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020・河野正
○河野(正)委員 その点はいま申し上げましたような方向でぜひひとつ御善処願いたいし、御善処されれば必ずこの審査案件は減少するというふうに私どもは判断いたします。
それからさらに、いずれ労災法の法律審議の際にも触れてまいりたいと思いますけれども、この際一例だけここで触れてみたいと思います。
それは、これも職業病としては新しいケースでございますけれども、最近二硫化炭素のガス中毒という問題が人絹工場で発生をいたしております。これもいろいろ問題があるようでございますが、承るところによりますと、すでに労働省でも調査に乗り出したというふうにも仄聞いたしますので、その間の事情についてあらかじめ御報告を願いたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/20
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021・石黒拓爾
○石黒政府委員 ただいま先生の御指摘の事件は、熊本県八代の興國人絹パルプ工場のことであろうと存じますが、この件につきましては二硫化炭素中毒のおそれのある事業を営んでおりますので、熊本労働基準局におきましては熊本地検と協力いたしまして、ここ数年継続して工程管理の改善を指導いたし、かつ監督も厳重に行なっております。その結果、一応工程管理それ自体といたしましては、法律のワクをはみ出ることがないことはもちろん、かなりよくやっておるというふうに認められておったわけでございますが、ことしの一月ですか二月に至りまして、だいぶ前から療養をしておられました一人の労働者が、それは私傷病であるというふうに考えられておったのが、病院をかわられまして、新しく診断を受けられた結果、それは二硫化炭素の中毒による傷病である、その疑いがあるというような医者の判断があったということで、これが労働組合でも取り上げられ、新聞でも取り上げられたわけであります。労働基準局といたしては、本人ないし会社から業務上傷病の申請がございませんでしたので、その特定個人の事件は従来承知しておらなかったわけでございますが、直ちに工場の監督を実施いたしまして、工場の管理につきましては一応問題ないが、しかし、それとは別にこういう職業病につきましては現在の工場の管理がかりに良好であるとしても、ずっと昔のものが傷病の原因になっておるということはあり得ることでございますので、その特定個人の症状等につきまして現在精密な検査を行なって、業務上外の認定を行なうように目下調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/21
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022・河野正
○河野(正)委員 いま私が取り上げてまいりましたのは、興国人絹八代工場の従業員でございます奥野末男という人のケースでございますけれども、そのケースをめぐってこれが二硫化炭素ガス中毒であるのかどうかというようなことも一つの問題点でございます。それからもう一つは、これは職業病ですから、したがって同じ職場で働いておればやはりある程度の従業員というものは二硫化炭素のガス中毒に基づきます症状が出てこなければならぬ。大体こういう問題点があろうと思うのです。ところが、私ども仄聞するところによりますと、この八代の興国人絹の工場で二硫化炭素ガスを製造する従業員七十一名を検診をしてみた。ところがそのうちの約八〇%以上が睡眠不足、目まい、いらだち、手足のしびれあるいは手足のふるえ、胃腸障害、発汗過多症、こういうような症状を持っておった。そこで、この特定個人の問題についてはいろいろそれぞれ言い分がありましょうけれども、いまのように二硫化炭素ガスを製造いたしておる従業員七十一名の検診の中で八割以上がそれぞれガス中毒の症状を来たしておるということになりますと、もちろんそれは特定個人の問題であると同時に、これは職場におきます非常に大きな問題だと思うのです。この辺の事情をどのように御理解なさっておるのか、ただ特定個人だけの問題だということでお考えになっておるのか、この辺は非常に重大な分かれ目だと思うのです。そういう意味で、重ねてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/22
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023・石黒拓爾
○石黒政府委員 興国人絹パルプ八代工場の事件につきましては、御指摘のとおり、すでに病気が発生しておる方が業務上であるか外であるかという問題ももちろん重要でございますが、今後そういう者が出ないように予防するということがより一層重要であると考えております。
従来の健康管理につきましては、労働基準法、安全衛生規則に基づきまして年三回の検診を行なっております。その第一次検診におきまして多少でも疑いのある者は第二次検診を行なうという手続をとりまして、その内容につきましても熊本大学及び熊本労働基準局の指導どおりに行なっておりまして、その結果、二硫化炭素中毒と認められるものは発生しておらない状態でございます。しかしながら、現在八代工場で二硫化炭素関係の業務に従事しておる者は百五十九名というふうに報告を受けておるわけでございます。
御指摘のございました約八十名のうち大半が自覚症状を訴えておるという件につきまして、実は私どもどういう範囲の者をだれがどういうふうに調べてどういう自覚症状が出たかということについてつまびらかにしておりませんが、ともかく自覚症状を訴える者が相当数あるというふうにいわれておりますので、この点につきまして至急調査するように、これも熊本労働基準局に指示いたし、あわせて定期健康診断につきましてもさらに従来のやり方でよろしいかどうか、より一そう厳密に検討をするように指示いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/23
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024・河野正
○河野(正)委員 私どもが承るところによりますと、それぞれいろいろ言い分がある。その際、熊本の労働基準局でも熊本保養院、熊大付属病院などの意見を聞いておられるようでございます。そして二月の二十七日本省へ派遣をして、いろいろ打ち合わせをしておられる、こういうふうに承っておるわけです。そこで奥野さんという特定の人物のほうの問題はそれぞれの立場から十二分な調査が行なわれておると思いますので、私どもそれは特定の問題ですから、ここでどのように判断するかはさておいて、いまの集団検診の問題は数が多いわけですから、これはわれわれの立場からもかなり重要性があると思うのです。ところがいま私が説明をいたしましたように、熊本保養院も調査しておるし熊大のほうでも調査しているというようなことでございますので、大体その間の事情というものは御承知になっておると思うのです。わかっておりますればその間の事情をここで明らかにしていただいて、そういう資料に基づいて私どもは私どもなりの判断をしていきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/24
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025・石黒拓爾
○石黒政府委員 熊本大学には、御承知かと存じますけれども二硫化炭素等の有毒ガス中毒の専門家の教授がおられまして、その方が従来労働基準局の委嘱によりまして監督官とともに工場の指導に当たっておられたわけでございます。従来の実績におきましては、その専門家の御意見に従った集団検診で、労働省の定める基準以上の要するに中毒という有所見者というものが出ておらなかったわけでございます。しかし、それにもかかわらず今回自覚症状が出たということは、われわれの検診方法が間違っておったか、あるいはわれわれの定めた中毒所見の基準が適切でないのか、あるいは今回の八十名近くについて行なわれた健康診断のやり方に何か粗漏があったのか、そのいずれかであろうと思うわけでございますが、その間の事情につきましてはまだ私ども報告に接しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/25
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026・河野正
○河野(正)委員 特に私はこの問題を取り上げてまいりましたのは、いずれこれも労災法の際にいろいろ論議してみたいと思いますけれども、三池におきます大変災の際の一酸化炭素中旬、その際に私どもは苦い経験を持っておるわけです。実はここで私どもの講釈を申し上げようとは思いませんけれども、当初もろもろの学者というものはあの三池の大変災が起こりました当時、これは一酸化炭素の一過性の中毒だから大体一週間もすればなおる、実はこういう前提で処理をされつつあった経緯がございます。しかし、その際私は現場に参りまして強く指摘いたしたわけでございますけれども、午後三時から十一時まで一酸化炭素のガスのもとに倒れておった。ですから、現在までのいろいろの臨床例がございますけれども、そういう判断では必ずしも適当な判断ではないのじゃないか。午後の三時から十一時まで、約八時間前後一酸化炭素のガスのもとに置かれておるわけですから、おそらくかなり脳神経にも組織的な、オーガニックの変化が起こっておるのじゃないか。もしオーガニックの変化が起こっておればなかなかなおらぬぞというようなことを指摘して、実は現場でもあわてたといういきさつがあるわけです。案の定、いままでの卓説でやってきたからかなり後手を招いた点が三池の場合にはあったろうと思うのです。ですから、旧来の学説が必ず正しいという方向でいくことが望ましいかというと、これは科学者といえども異議があると私は思うのです。ですから、少なくともこういう新しいケースが出てくれば、従来がそうである もちろん熊本大学に権威者がおられたと思う。ところが三池のあの大変災当時でも、一酸化炭素の権威者というものが日本でもたくさんおられた。ところが従来の概念できたので、実は必ず一週間くらいしたら直るだろう、そういう判断に立たれた。結果的には御承知のように、労働省では今度は労災病院をつくらなければならぬ、そうしてあとリハビリテーションをやらなければならぬという結果になったことは、私どもから説明するまでもないと思うのです。その際これはなかなか手ごわいぞ、おそらく八時間以上も一酸化炭素にさらされておるから、オーガニックの変化がきていますよというような指摘をした経緯もございますので、私はこういう場合にはやはり謙虚に実態というものを把握して——何か別な想見が出てくれば、それは偏見だというような立場に立って処理されますと、また三池のような事態が起こってこぬとも限らぬ。もちろん三池の場合、そういう事態が正確に把握されておってもはたしてうまくいったかどうか、これはまた別の問題ですけれども、そういう問題等もございます。そこでやはり別な意見が出てくれば、それは偏見だ、何か政治的な意図があるのだというふうに判断することは私は非常に危険があると思うのです。こういう面はやはり謙虚にお聞き取り願って、そうしてもしそういうことが適正な判断であったとするならば、やはり適切な処置を講じなければならぬわけですから、そういう意味で、私はこういう新しい問題が起こってきた場合には、いろいろな意見を謙虚にお聞き取り願うということを特に御忠告を申し上げておきます。
いずれこの問題についてはさらに御調査願うであろうと思いますし、数字によりますと、百名近い人が症状をあらわしておるといっておるわけですから、この際さらに御調査を進めていただくように強く要望したいと思いますし、その点に対しましては、ひとつ労働次官のほうから適切なお答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/26
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027・藏内修治
○藏内政府委員 河町委員の御説はまことにごもっともでございますし、産業がいろいろ両度化してまいりますと非常に思わざる災害の発生も予想されますので、その際は従来の慣例なり意見にとらわれずに善処方を制度上といいますか、法規上もできるだけ幅を持たして改正をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/27
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028・河野正
○河野(正)委員 それからさらにお伺いをしておきたいと思いまする点は、昭和四十年度には労災保険法の大幅な改正を行なう、したがって本年はその準備段階の年だ、こういうふうに言われておるようでございます。そこでどういう方向で労災保険法を改正されようといたしておりまするのか、これもこの際ひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/28
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029・石黒拓爾
○石黒政府委員 御説明申し上げます。
労災保険法の改正につきましては、労働大臣から労災保険審議会に対する諮問におきましては、労災保険制度全般についてその改善の方途をお願いしたいというふうに、特別の原案を示すなりワクをつけるというようなことなしに諮問をしたわけでございますが、その際、大臣の旨を受けまして労働基準局長から、諮問に至った経緯の御説明を申し上げておりますが、その中では、三十五年の労災保険法改正の際には年金制度なんかを取り入れたけれども、これはやや経過的、過渡的措置であって、将来社会保障制度全般との関連でその問題をさらに検討しなければいけないというようなことを国会の附帯決議でも仰せつけられたわけでございます。その後、社会保障制度審議会からも社会保障制度全般の答申がございましたし、労働省におきましても、労災保険審議会の内部に研究会を設けまして研究もしていただいておった。そういったようないきさつに基づいて、この際やはり改正の研究をすべきであるということになったけれども、特に労働省として重要に考えておることは、五人未満の労働者に対しても、現在労災保険は若干適用になっておりますが、全部の労働者に適用したい、これは政策としてそういうふうに強く考えておるので、その点を御検討願いたい。さらに年金化の問題は非常に重要な問題であると思うので、御研究をいただきたい。そのほか、通勤途上の災害であるとか、第三者の行為による業務上災害といったような具体的な問題についても、いろいろ今日世間で問題になっておるので、あわせて御検討願いたい。別にそれらの問題に限るというわけではないけれども、労働省としてはそういったような問題が特にお取り上げいただきたい点であるというふうに申し上げてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/29
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030・河野正
○河野(正)委員 大体四十年度に行なわれるであろう労災保険法の改正の主要点というものが述べられたわけですが、その中で、五人未満の事業所に対して労災保険法が適用されるようになるということは、これはきわめて望ましいことだと考えます。ぜひそうあるべきと考えます。要は、この労災保険経済というものが年ごとに悪化をしつつあるということはいまさら申し上げるまでもないと考えておりますが、符に最近の日本経済の動向に著しい影響を受けつつある、こういうこともいわれております。それらと関連をして、やはり今後さらに労災保険経済が悪化するのではなかろうかというような感じも持ちます。そういたしますと、また保険料率の問題も出てきましょうし、その悪化というものの労働者等に対しまするしわ寄せという問題が起こってくる可能性があるのではなかろうかということをわれわれ考えるわけです。そういう点に対する危惧がなくていいものかどうか、ひとつこの際お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/30
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031・石黒拓爾
○石黒政府委員 労災保険の収支につきましては、ただいま年ごとに悪化というような御指摘がございましたが、昨年に比べますと——昨年といいますか三十七年に比べますと、三十八年の収支残高は減少しておることは事実でございます。しかし昭和三十年くらいからは、おおむね逐次改善の方向にまいっておりまして、三十七年度の収支残が五十九億円でございましたのに対して、本年の収支残が大体三十億円前後というふうに見込んでおります。これは景気調整の影響であって、本質的に労災保険がいわば構造的に悪化したものではないというふうに考えております。もっとも今後景気がどうなるかということと関連いたしまして決して楽観も許さない、われわれとしては、楽観も許さないけれどもそう悲観したものでもない、要するに低迷ぎみであるから大いに注意しなければならないと考えております。しかしいずれにいたしましても、明年度中に労働者に対する保険給付に支障を及ぼすようなことは絶対にございませんし、また正当な給付費が不足するような状態に万一まいりました際には保険料率は当然引き上げらるべきものと考えておりますので、かりに労災保険収支が感化いたしましても、労働者にしわ許せをするということは絶対に行なわない所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/31
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032・河野正
○河野(正)委員 そこで、この法案そのものについて一、二お伺いをいたしてまいりたいと考えます。
その第一は、この審査会法第二十七条でございますが、第二十七条の委員の任命について若干お尋ねをいたしてまいります。「委員は、人格が簡潔であって、労働問題に関する識見を有し、かつ、法律又は労働保険に関する学識経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」こういうふうに規定をされておるわけでございます。そこで、今度法律が改正されますと、この委員三名が六名になるわけですが、現在の審査会の構成はどういう人々で構成されておるのか、その辺の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/32
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033・和田勝美
○和田政府委員 ただいまは会長は上山顕氏でございます。そうして委員といたしまして加藤光徳、同じく四方陽之助、この三人が御担当でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/33
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034・河野正
○河野(正)委員 どういう人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/34
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035・和田勝美
○和田政府委員 上山顕氏は、昭和二十二年に労働省の安定局長をおやめになりまして、健康保険関係のお仕事をやっておられまして、この審査会が成立いたしますと同町に任命された方でございます。
それから加藤光徳さんは労働省の労働衛生課長を勤めておられまして、やめられて委員になられた方でございます。医学博士でございます。
それから四方陽之助さんは東京基準局長をおやめになりましてこの審査会の委員になっておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/35
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036・河野正
○河野(正)委員 そこで、いま御報告を受けて感じたわけですし、またかねがね私ども考えておったのでございますが、閣議でも問題となっておりますように、公務員というものが横すべりをどんどんしていく。これは民間じゃございませんけれども、民間であろうと他の機関であろうと、たいして相違ございません。もちろん民間のほうが弊害が多いと思います。ですけれども、審査会法が改正されますと三名が六名になるわけです。そうしますと、これは失礼な話ですけれども、また労働省の古手役人がどんどん入っていくというようなことになりますと、天下り人事という面もありましょう。それからもう一つは、審査会というのは適正な審査をやるわけですね。それがお役所から横すべりしていきますと、審査が適正というよりもむしろお役所ペースになってしまう。こういう感じは払拭できぬと私は思うのです。ですから、実はそういう意味で現在の委員構成というものがどういう形で行なわれているだろうか、こういうことでお尋ねをしたわけです。今度改正されますと、あと三名委員がふえるわけですけれども、やはりその辺はお考えにならぬと、せっかく適正な審査をする——これは労働災害で犠牲をこうむった人が不服の申し立てをして再審が行なわれるということでございますから、依然として労働省の出先のようなかっこうで、そこで審査が行なわれるということになると、実際それが公正な審査機関であるか、私は性格的に疑問があると思うのです。こういう点はどういうふうに相なっておりまするのか。特に今度一名が六名にふえますから、私はこの際、天下り人事ということは、この国会でも閣議でも問題になっておるそうですから、ひとつ大臣からもその辺の御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/36
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037・大橋武夫
○大橋国務大臣 役所の公務員の人事の天下りは気をつけなければならぬことだということは申すまでもございません。たまたま今日この審査会の委員がほとんど公務員の前歴者ばかりでございますことは、ただいま申し上げたとおりでございます。しかし現在までこの審査会が運用されてきた実績から見ますと、特に労働省の言いなりほうだいに審査の実が上がらずにおるということはないようでございまして、やはり公務員というものの長い間身についた考え方、すなわち、その役目役目に従ってその役目の要求される使命を忠実に果たしていきたいという考えは、審査員としての仕事の上にも相当役立っておると思うのであります。もちろん今後とも十分注意しなければなりませんが、しかしこのことはこの審査会の委員は役所の人がいいということじゃございませんので、民間に適当な人がございまするならばぜひお願いをしたいと思っておりますので、どうぞまた御推薦いただければたいへんしあわせでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/37
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038・河野正
○河野(正)委員 これは審査会ですから、役所で認定されたことに対する不服が審査されるわけですから、それが同じようなかっこうで審査されては私は適切に審査されるかどうか、一まつの疑問を持たざるを得ぬと思うのです。特に先ほど来いろいろお尋ねしてまいったのでございますけれども、労災補償が大体七〇%を占めているわけです。その際に、この学識経験者を基準局でそれぞれ認定をして、そしてその認定に不服だということで審査会に持ち込まれるわけですから、かなり卓越した専門的な学識経験者というものがこの審査会に入らないとなかなか適正な裁定というものが困難ではなかろうか、そういうことを感ずるわけです。ところがなるほど医学的な知識のあられる方も一名加わっておりますけれども、この人もお役人ですね。まあお役人は、そういう意味の行政という点については一般の医師よりもすぐれておろうと思いますけれども、お役人が一般医療なら医療に対して非常にすぐれておるということとは別問題だと思うのです。ですからそういう微妙な審査をする審査機関でございますから、その中に学識経験者が入っておられないということは私はどんなものであろうか、こういうふうに感じます。この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/38
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039・大橋武夫
○大橋国務大臣 従来からも非常に微妙な特に専門学者にお願いしなければならぬような問題も取り扱ったことがございます。これらの問題につきましては必要な場合はそういう専門家に特に御協力をお願いするというような方法も講じてまいっておるのでございまして、現在までのところ人選によって支障を生じておるというふうには考えておりません。しかしこのたび増員に相なることでございますから、先ほども申し上げましたるごとく、適当な人がお引き受けくださいますならばぜひお入りいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/39
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040・河野正
○河野(正)委員 こういう審査機関、他の審査機関がどういう形になっているか私もつまびらかにいたしませんけれども、こういう重大な審査機関、公正妥当な審理をしなければならぬ審査機関の中に労働省の役人が横すべりされておる。しかも科学的根拠が重要な意義を持っておる面が強いこの審査会の中へ学識経験者が一人も入っておらぬ。こういうことは私はいかがかと思うのです。今度せっかく三名が六名になるわけですから、この倍にふえます分については、ぜひひとつ学識経験者ないしは一般の優秀なその方面の権威者を参加させられるように御配慮願いたい、かように考えますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/40
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041・大橋武夫
○大橋国務大臣 御趣旨には全く賛成でございますので、人選にあたりましてはぜひ考えることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/41
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042・河野正
○河野(正)委員 この二十七条と関連をして同じく委員の任命の点でございますが、その第二項には「委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために、両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、人格が簡潔であって、労働問題に関する識見を有し、かつ、法律又は労働保険に関する学識経験を有する者のうちから、委員を任命することができる。」とある。現行法の場合は三名ですから、したがって国会閉会中あるいはまた解放の最中には事後承認という形もあり得ると思うのです。ところが六人になるのですから、私は閉会中あるいはまた解散の際には事後承認させられるというようなこの項目の必要性については若干の疑問を持たざるを得ぬと思うのです。こういうことになると、私はむしろ国会の権威を傷つけるものだと思う。いままでは三名で審理をするわけですから、それが欠けますと、審理案件がありますとお困りの方もたくさん出てこられる。拙速をとうとぶというようなかっこうで、これは現行法の際には私はこの規定というものはやむを得なかったと思うのです。今度は六名になるわけですから、これさえもまた事後承認というようなことは私はちょっと考えられぬと思うのです。そういうことになりますと、両議院で承認をするわけですけれども、国会の権威が軽視されると思う。ですから今度の改正が行なわれた暁においては、それぞれの国会が同意をする、そうして内閣総理大臣が任命するという形が望ましいというように考えるわけですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/42
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043・大橋武夫
○大橋国務大臣 しいて理屈を申しますと、従来は三人で合議体を構成しておりましたが、今回は六人になるわけでございます。しかしながらその六人は二つの合議体に分かれまして、おのおのの合議体は三人ずつでできておるのでありますから、法律上特に変わった理由が生ずるわけではないと思うのでございます。ただ問題は運用上欠員を生じた場合にどうするかという問題でございます。やはり三人の合議体ということを考えますと、従来と同じような必要もあるのではなかろうかと思うのでございますが、従来からもこの委員の欠員の補充に際しましては、国会閉会中におきましても議運その他を通じまして国会の御意思のあるところを十分伺いながら人選をし、後に承認を得られないというような事態のないように十分留意をいたしてまいっておる次第でございますので、今後とも願わくばさようにいたしまして、運用の円滑を期するようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/43
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044・河野正
○河野(正)委員 この二十七条の第一項では、原則的には「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」ということになっているわけですよ。ところが現行法では三人しか委員がおりませんから、現行法のもとでは欠員ができたときには事後承認という形もあり得たわけですよ。ですけれども今度新法になりますと六人になるのですから、そういう場合は原則でいくべきだと私は思う。いままでは三名ですから、それが欠けて国会の同意を得られぬということになりますと、審査業務に支障を来たすということも私どもも十分承知しておるわけですけれども、今度は六人になるわけですから、六人になったならば、やはり原則の二十七条の一項でいくべきだと私は思うのです。これが原則ですから、何も原則をくずす必要はないと思う。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/44
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045・大橋武夫
○大橋国務大臣 国会でおきめになることではございますが、先例によりますと、社会保険審査会がやはり労働保険審査会と同じように六名になっております。そうしてやはり同様の規定があるのでございます。したがってこの先例を尊重していただけるものではなかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/45
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046・河野正
○河野(正)委員 先例じゃなくて、この審査会法の第二十七条では、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」ということが原則になっているわけです。しかしながら私どもはやはり三名の委員では欠員がございますと審査が不能になりますから、解散したときとか、国会閉会中は事後承認でもけっこうだったと思うのですけれども、今度六人になるわけですから、六人なら私は原則でいっても差しつかえぬと思う。これは何もここでいろいろ言うのではなくて、やはり国会の権威という立場から申し上げておるわけです。どうして原則でいけないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/46
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047・大橋武夫
○大橋国務大臣 社会保険審査会ももともと三名でございましたが、事務量がふえましたので六名にいたしました。しかし御指摘の規定は同法の二十二条に全く同じ文句でそのまま引き継いであるわけであります。したがって同じ趣旨で同じような仕事をする審査会のことでございますから、特に特別の新しい理由がない限り、先例に従うことがよろしかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/47
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048・河野正
○河野(正)委員 ちょっとくどいですけれども、私それは意味がわからぬのです。社会保険審査会がそうだからといって、何も先例にならう必要はなかろうと思う。適切な制度ならば、やはり適切な制度というものをここできちっときめていくべきだと私は思う。特に原則は、第一項で国会の同意を得るということが原則になっているわけです。ですけれども、その第一項の原則をくずすだけの根拠もあったと思う、三名しか委員がいなかったのですから。今度六名になるのですから、それを原則でいってどうして悪いのだろうか。これは話が何べんも重なりまして恐縮ですけれども、どうも納得いかぬのです。そうすると、国会の同意なんか初めから事後承認でいいじゃないかというような感じもするわけです。原則的には同意を得ることになっているわけですから、六名だったら原則でいったらいいじゃないか。何も社会保険審査会に右へならえせぬでもいいじゃないかという感じがするわけです。どうも納得がいかぬのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/48
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049・大橋武夫
○大橋国務大臣 六人で組織はいたしますが、先ほど申し上げましたるごとく、実際その仕事をやりますには三人ずつの合議体に分かれてやるわけでございます。したがって、合議体ということでありますから、三人いないとどうも合議体が成り立たないわけです。したがって、できるだけすみやかに補充する必要があると存ずるのであります。そこで、実際問題といたしましては、年間でまず最小限度七カ月以上はおそらく毎年国会が開会中だと存じまするので、あと不自由するのはその会期中でない四、五カ月ということになるだろうと思うのでございまするが、しかし、御承知のとおり相当事件も多いものでございますから、合議体の機能が果たせずにおるということは非常に不都合な場合も少なくございません。したがって、従来においてもありましたと同じように事後承認の例外規定をお認めいただきたいと思うのであります。もちろん、この運用に関しましては従前と同じように十分留意をいたしまして事後承認が必ず得られるような方にお願いし、またできるだけ得られるような手続きを前もって踏んで任命をするということにいたすことはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/49
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050・河野正
○河野(正)委員 原則が二十七条で規定されておるわけですから、望むらくは全部原則でいくというたてまえを取るべきだと私は思うのです。それなら原則でいけるのかといいますと、今度は二組になるわけですから審査が停とんするということはないわけです。それは二つでやったほうがいいことはわかっています。ですけれども、いままではそうしないと審査業務そのものが停とんするわけです。しかし、その点は解消されるわけですから原則でいくべきだし、また、いかれるということを私は判断したからそういうことを主張するわけです。それからもう一つは、いま大臣も御指摘のように一年間で七カ月は開会中だからという話だから何ですが、そういうふうに一年間に七カ月も国会が開会中であるから、むしろ原則でいったほうがいいのではないかという主張がもう一つ生まれてまいります。それからもう一つ、今後はどうか知りませんが、従前のやり方について若干問題があります。学識経験者が入っておらぬ。全部が労働省の役人が横すべりしておる。一般の場合はそれでいいと思うのです。一般の行政上の問題は、これは役人でもいいと思うのです。ところが労災保険というのは特に医者の技術が必要だといわれる。労災保険というものが七〇%ですよ。それにもかかわりませずそういう方面の権威者というものが一人も入っておられぬ。こういうように、極端に言いますと、労働省の——労働省はいい企業にいく職場がないということで閣議で問題になったそうですけれども、それだからこういう審査会に労働省の役人もいっていいということではないと思うのです。しかも、いま言ったようにせっかく権威者が求められておるという判断をしながら権威者が入っておらぬ、そういう経緯があります。そういうことから、やはりこういうことは国会の同意を得ておきめになればそういうことはなかったのではないか、こういうふうに思いますが、やはり原則的には第二十七条の第一項でいくべきだ、こういうことを申し上げます。
あまり話が重なりましてくどくなりますので、これ以上は追及いたしませんけれども、いずれにいたしましてもいまの方向だけはぜひ確認をいただきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/50
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051・大橋武夫
○大橋国務大臣 この規定のいかんにかかわらず、運用上は原則的には同意を得た上で任命すべきではないかということでございますが、これは私も全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/51
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052・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/52
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053・滝井義高
○滝井委員 まず第一に、労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げる前に、労働省にお尋ねをいたしたいのは、この法律案を作成するにあたって、御存じのとおり厚生省にも同じ種類の法律があるわけです。社会保険審査官及び社会保険審査会法という法律があるわけです。これはやはり最近において社会立法というのが非常な急速な勢いで国民各界各層に広がっておる現状ですから、当然労働省だけがわが道を行くというわけにはいかないと思うのですが、この立法にあたって厚生省のほうとも相談をされて、足並みをそろえてこれはおやりになるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/53
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054・和田勝美
○和田政府委員 今回改正を考えましたときには、社会保険審査会の運営の実態、それから取り扱われます件数、そういうものを十分参考にいたしまして、ほとんど社会保険審査会と同趣旨の法案にいたして国会に御提案をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/54
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055・滝井義高
○滝井委員 社会保険審査官及び社会保険審査会法と同趣旨というが、向こうは委員三人のままではないのですか。六人にふやしていますか。向こうもふやすような法案の手続をとっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/55
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056・和田勝美
○和田政府委員 向こうも先般の改正によりまして、社会保険審査会法の二十一条で、「委員長及び委員五人をもつて組織する。」となっておりまして、六人になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/56
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057・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、先般の改正で厚生省が先がけをして、労働省がおくれておった、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/57
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058・和田勝美
○和田政府委員 先がけかどうかということは別にいたしまして、社会保険審査会のほうが先に六人になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/58
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059・滝井義高
○滝井委員 実はこういう立法は、やはり内閣で統一をして最近は出しておるようです。というのは、御存じのとおり最近官房では非常に法律がたくさん出てくる。そこでこれはやはり統一をしなければいかぬというので、御承知のとおり、各省設置法というようなものを国家行政組織法の中でまとめようというような動きもあるわけです。それから同時に最近公庫、公団法の改正が出ておるわけです。これなんかも内閣の法制局で統一をして、そうしてどういうことにしておるかというと、二点の特徴を持って統一の改正をやっております。一つは監事というのを——いままでは監事というものが監査の結果を報告をするというような場合には明確な規定がなかったわけです。その場合に監事が総裁とか理事長に報告をする、同時に主務大臣に報告するときは、理事長とかあるいは総裁を通じて主務大臣にやる、こういうような統一的な見解をとって、統一的な法律の改正をやっております。いま一つは、政府の出資をふやす場合に、いままでは出資をふやすたびごとに法律の改正をやったのです。ところが今度は出資は自動的に法律を改正しなくてもできるという、こういう二点の改正をやっておるわけですよ。これはわれわれなかなかけしからぬことだと思って、問題があるところだと思うのです。二点とも問題があるので、これは修正してもらわなければならないと思っておるのですが、今度のこの改正にしても、先に厚生省がおやりになる、そのあとから労働省がいくということでなくて、やはりこういう法律をおやりになるならば、労働省と厚生省とは、同じ社会立法ですから足並みをそろえておやりになることのほうがいいのではないか、特に国会承認の人事ですからね。かつて厚生省と労働省とは兄弟であったわけですよ。分かれてだんだんいとこくらいになった。いとこは他人の始まりになるのかもしれないけれども、こういう社会立法の連絡は密にしなければならないと思うのです。最近における、たとえば五人未満の事業所において社会立法をどう適用していくかということについて、最近何かあなたのほうと厚生省とひとつ共同の調査をしてやろうじゃないかという機運が出てきたということを聞いておるのです。そういう調査その他を共通でおやりになるとするならば、やはりこういう立法も足並みをそろえる必要があると思うのです。私は実は前の古い法律を見て、厚生省のほうは改正していないのではないかと思っていたのです。ところが逆になって、厚生省のほうが先がけをして、労働省のほうがおくれておる。私の見た六法全書が古かったので、六人になっていなかった。いまは逆で労働省がおくれておる、こういうことですね。この点は、厚生省も呼んでおるのですが、官房長、こういう同じ種類の法律を改正しようとするときには、両省の間に横の連絡をとる必要があると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/59
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060・梅本純正
○梅本政府委員 御趣旨のとおり、十分今後連絡をとりまして、やっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/60
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061・滝井義高
○滝井委員 過去においては連絡をとっていないわけですね。今度の労働省の改正は知っておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/61
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062・梅本純正
○梅本政府委員 労働省と御連絡をとりまして、労働省がわれわれのほうに歩調を合わせていただいた、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/62
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063・滝井義高
○滝井委員 先がけをしないように、われわれが審議をする上においても、やはりこれは並べてやるほうが便利がいいのですよ。ですから、ぜひひとつそういうふうにしてもらいたいと思うのです。
そうしますと、改正の理由は、最近になって新しくできた法律もありますが、この取り扱い件数が非常に増加をしてきた、こういうことになっておるわけです。法律は四つ関係するわけですね。労働者災害補償保険法と失業保険法と炭鉱離職者臨時措置法と中小企業退職金共済法と、この四つになるわけです。そこで前にお等えになったかどうかちょっとわかりませんが、労災が七割以上で非常に多いということは聞いておるのですが、この四つの法律の審査請求の件数を法律別にちょっとお示し願いたいと思うのです。まず第一に三十八年度、ことしの分がわかればことしと、それから昨年三十七年度分をちょっと御説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/63
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064・和田勝美
○和田政府委員 お答え申し上げます。
三十八年は、一月から十二月までで労災保険関係が二百七十一件、三十七年は二百五十三件であります。失業保険は三十八年が十二件、三十七年が三件でございます。他の二法につきましては審査件数がいままでのところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/64
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065・滝井義高
○滝井委員 いま三十八年の一月から十二月までの労災が二百七十一件で三十七年が二百五十三件、それから失保は三十八年が十二件、昨年が三件、炭鉱のほうと中小企業退職金共済法のほうはない、こういうことですね。そうしますと、増加をしたのが十八件ですね。十八件増加したのが改正の理由。増加傾向にあるから、これが改正の理由というのはおかしいのですよ。主たる理由が、過去三カ年間の半間平均受理件数が二百六十件をこえ、なお増加の傾向を示しておる、こういうことでしょう。俸給を差し上げておる常勤委員ですから、こういう常勤の委員を、十件や二十件ふえたからといって、一挙に三人を六人にするということは問題があると思うのですよ。これではどうも理論的な根拠が薄弱なんです。ただ、あなた方が厚生省がやったから、先がけられてはいかぬからというので増加したということを理由にあげるというならば、あまりにも議員をめくらと思ってやしないかということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/65
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066・和田勝美
○和田政府委員 三十七年と三十八年とを比較いたしますと、いま先生の御指摘のとおり、わずかな増加でございますが、実は三十一年から審査を始めましてから以降毎年手持ち件数が大体請求件数と同数程度あるわけです。したがいまして、審査会で扱いますものは、平均すると十三カ月くらいかかっておるわけでございます。これでは救済を求めておられます労働者の方に非常に不便ではないか。もっと迅速に処理して明らかにすることが、請求しておられる労働者のために非常にいいことではないかと考えまして、単に増加ということでなく、早く結果を出すことによって、慎重にやらなければならぬことはもちろんでございますが、結果をできるだけ早く出しますことによって請求者の便益に資したい、こういうのが改正のおもな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/66
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067・滝井義高
○滝井委員 むしろ問題は逆であって、末端の基準監督署、それから地方の基準局における労働保険審査官、ここが問題なんです。この審査官がてきぱきと事務処理をやってくれるといい。ところが基準監督署と基準局と審査官、この関係がなかなかもつれてうまくいかぬので、上にきても事務が渋滞しますよ。地方から関係者を呼んだりなんなりするにしても、審査官のところなり基準局がきちきちと事務処理をやってくれないと、審査会だけでは機能を発揮しない。問題はそこにあるわけです。だから上の機構の三人を六人にふやしたからといって、事務処理がうまくいくかというと、私はいかないと思う。私もずいぶんいろいろと扱った経験がありますけれども、これはなかなか簡単にいかない。それならばむしろ審査官を三人とか四人にふやしたほうが早いわけです。いま国民の苦情処理というのは、あなたのおっしゃるように、非常にたくさんあって停滞している。これは何もこういう審査会だけが停滞しているわけでなく、日本の裁判所でもあるいは特許庁でもうんと停滞している。申請したものが全部ほこりをかぶって山と積まれているというのが現状でしょう。そうすると、中央の機構を強化するよりも、むしろ末端の機構における審査官の能率をあげるほうがいい。ここにもう少し権限を持たせる。そう何もかも中央の審査会に持ってこなくとも、審査官のほうでやれるという権限強化、このほうが私はこういう特に労災というようなものについてはむしろ重要ではないかという感じがする。その点一体どうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/67
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068・和田勝美
○和田政府委員 ただいま地方に配置されております審査官は、労災関係で六十四人、失業保険関係で二十人でございます。
この処理の現状を見ますると、労災関係におきましては、一件当たり平均約三カ月強でございます。失業保険のほうはもっと短くなっております。こういうふうにいたしまして、審査官のほうにおきましては相当の能率が現在のところあがっておると考えております。審査官は、先生御指摘のように、権限につきましては、独任で全部やり得る権限を持っているわけでございまして、特に審査会にたよる必要はないことになっております。ただ、審査官のやり方に不満がある場合に審査会に上がってまいるわけでございますが、審査官の権限としては現在のところ審査機能としては十分に果たし得る権限を持っている、かように考えております。ただ、この三カ月をさらに短縮するかどうかという問題等がもちろんあるわけでございますが、これは参考資料をとったりあるいは鑑定をお願いしたり、いろいろのことが労災についてはあることは先生御存じのとおりでございます。この三カ月をさらに人員増によって短縮できるかどうかにつきましては、私どもとしては今後十分検討をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/68
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069・滝井義高
○滝井委員 この審査を請求する総件数と、そしてそれが審査官で片づけられた件数と、上に上がってくる件数、これをちょっと並べてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/69
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070・和田勝美
○和田政府委員 三十七年度を例にとって申し上げてみます。労災関係は審査請求件数が二千七百九十八件でございました。それに対しまして、審査会のほうに上がってまいりましたのが、先ほど申し上げましたように二百七十一件でございます。ただこれは、二千七百九十八件と二百七十一件が全く同問題ではないわけでありまして、前年度の問題もありますが、一応比率的にごらんいただきますと、大体十分の一程度が審査会に上がってきておる、こういうことが三十七年度の実績でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/70
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071・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、一割程度中央に上がってくる。その一割程度を、これから三人を六人にふやして六人でやることになると、合議体は幾つつくることになるのか。二つつくるのですか、それとも三つくらいにするのですか。組み合わせによっては五つでも六つでもできるわけですが、これはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/71
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072・和田勝美
○和田政府委員 これはもちろん審査会自体がおきめになることでございますが、私どもが考えておりますのは、二つの審査会をつくって運営していかれたらどうだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/72
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073・滝井義高
○滝井委員 小合議体が二つできることになるわけですね。そうすると、その運営のしかたは、小合議体で決定をしたものを、またもう一回六人の合議体にかけることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/73
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074・和田勝美
○和田政府委員 その審査会は三人の審査でやれるという法律改正にいたしまして、その三人でやる審査会で終結でございます。もう一回六人にかけるというわけではございません。しからば六人でやる場合の問題は、ちょうど最高裁の小法廷と大法廷のような考え方や、社会保険審査会の運営を拝見しておりますと、従来行なった審査会の決定に反するような決定をしなければならないような事態が出てきたときには、大法廷的な六人の審査会でやり、あるいは意見が非常に分かれるというような場合におきましては、慎重にやる必要がございますので、全員でやるということが運営上一応考えられるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/74
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075・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、ちょっと私疑問が出てくるのは、社会保険審査会というのは委員が六人で社会保険審査会ができることになるのがたてまえだが、実際には社会保険審査会は三人でやるんだ、その三人の決定したものがいわば審査会の決定になる、こういう形になると、法律上疑義ないですか。委員は六人で構成をしております。国会に承認を求めるのは六人です。ところが、承認を求めた六人の委員の中で三人の決定したことが最高の決定になってしまう。あとの三人はその決定を知らずに、それが最高の決定になってしまうわけです。そうしますと、国会としてはそれらの案件について六人が全部関与するものだと思って承認をしておいたところが、実際には三人でやってしまって、あとの三人は知らなくてもいいんだということになると、何かちょっとおかしくないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/75
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076・和田勝美
○和田政府委員 その点は改正法律三十三条に、三人でやりますということを書いておりますので、そういう点を御了知の上で議院の御同意をいただける、こういうことになるのではないかと考えております。
〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/76
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077・滝井義高
○滝井委員 そうすると、問題は立法論になってくると思うのです。委員は六人おる、しかし、その三人だけでやったことが六人でやったことと同じになるのだということでは少しおかしくないでしょうか。たとえば、社会労働委員会で決定したものが国会の決定になるのだということにはならぬわけでしょう。しかもこれは基本的な人権に関する問題なんです。そうしますと、どうも六人にふやした意味というのがなくなってしまうのです。ただ事務処理のために六人にふやしただけだということになるでしょう。事務を迅速にやるために六人にするだけだということになると、労働保険審査会というのが、二組でやるなら二つできておるということになるのです。三十三条にそういうのがあるから、どうも立法論として、こういう立法形態というのがいいかどうか。だから私は少しそこに疑義を感ずるわけです。法律には二つつくるとは響いていないわけです。三人で構成する、こうなっておるだけで、説明を見ると、その小さいのが小合議体で、六人のときは大合議体だということが出ているのです。法律的には出ていないわけでしょう。私は何かここはちょっとひっかかるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/77
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078・和田勝美
○和田政府委員 今同定員を六人にしていただきたいということをお願いしておりますのは、事務をできるだけ迅速に処理をして裁決を早くすることによって、救済を求めていらっしゃる労働者の便益に資したい、こういうのが趣旨でございます。そういう意味からいたしまして、六人にすることによって小合議体をつくる、そこで裁決できることにしていただきますれば、二つの機能の組み合わせによっていろいろできます。現在考えておりますのは二つでやることを考えておりますが、一つが二つになるとそれだけ迅速処理ができる。この点は実は先生よく御存じのとおりでございますから、私のほうで例を引くのも恐縮でございますが、最高裁におきましても、特別な重要案件とかがない限り大体小法廷で処理をされて、重要な問題あるいは従来の判例を変えなければならぬというような問題とか、憲法違反の問題は大法廷でやる、こういうことになっておりますが、今回のこの審査会におきましても、その運営は委員会議で決定されますが、大体いま申し上げましたような趣旨に従って、普通の案件につきましては三人の合議体でやる、従来の決定例を変えるとか、そういうものについては全員の会議でやるということになろうと思います。その間、二つに分かれます場合における統一性は、もちろん委員の皆さんの会合その他が常に行なわれるわけでございますから、意思統一というものは十分にその間にできると思いますが、全体として非常に意見が分かれるというようなことは六人全員の審査で決定をいただくということによりまして、審査会の運営がばらばらになることはなかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/78
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079・滝井義高
○滝井委員 最高裁の問題とも関連があるらしいですが、不勉強のために最高裁の勉強までしてきてないので反論がなかなかできかねるのですが、問題は三十三条の二項で、審査会が定める場合においては全員の合議体でやるわけですね。その審査会の定める場合というのは、いまあなたが一つの例を出されたように、前の決定をひっくり返すというような場合のことをおっしゃっておるけれども、これは審査会が定める場合ということでなくても、何かこれならば、たとえば政令で定めるというようにここにものさしを示しておかないと、審査会の恣意にまかせるわけにいかないと思うのです、国民の重要な権利義務に関することですから。だから当然ここでは省令で定めるということで、労働省で何か一つのものさしというものだけはやって、これだけは合議体で絶対やるんだということをする必要があると私は思うのです。その会の運営規則みたいなものをつくるのならば、その会議にまかしておいていいです。ところが重要な国民の権利義務に関することを、委員は六人おるのに三人でやってしまった、そしてあとの三人はこれは知らなかったということでは問題だと思うのですよ。たとえばさいぜん河野さんに石黒さんがちょっと御説明になっておりましたが、たとえばいま一番労働災害で問題になるのは、こういう東京のような大都市の交通がひんぱんになると、通勤時における事故というものを一体労災で見るか見ないかということが大問題だと思うのですよ。これについていま審査をしておるということですけれども、現実に通勤時における事故というものがかかって、Aという人が審査長をしている小合議体はこれは労災と認める。非常によく似たケースで、片一方で今度はBという人が審査長をしている小合議体は、これは業務上の事故とは認めない、こうなった場合にはたいへんなことなんですね。したがって、やはり前例をくつがえすというんじゃなくて——それはケース・バイ・ケースで違うわけです。よくわれわれがこれは何とかしてくれと言うと、それはケース・バイ・ケースで、ここで一般論は出せませんと、こう言うのと同じで、審査会の委員でもそういう場合にはケース・バイ・ケースでやることになると思うのですね。そういう場合には、審査を受けたほうから見ると、これは同じ通勤中の事故というものでおかしいじゃないかという問題が出てくると思うのです。だから、どうしてもこれは六人の合議体で決定をする。その重要なものとは、どういう場合に決定するかということは省令で定めるか、あるいは法律で設例をしておいて、この程度のものは大合議体でやるということを示しておいてもらわぬと、二つくらいあって小合議体でかってなことと言っちゃ語弊がありますけれども、それぞれわが道を行ってもらっては困ると思うのですがね。どこかここら辺は法律的にちょっとひっかかるのですが、やはり三人ずつ分かれていても最終的な締めくくりは大合議体でやるという形をつくるほうが、国会にその承認を求める人事を遺憾なく活用する道じゃないかと思うのです。この三人だけでやるものでは納得がいきかねるところがあるのです。これは大臣は法律の専門家でもあるのだから、大臣の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/79
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080・大橋武夫
○大橋国務大臣 御心配はまことにごもっともだと存じます。ただしかし、これは実際にやってみると、はたしてそれだけ心配しなければならぬかどうかということはまた別の問題だと思います。現にたびたび申し上げて恐縮でございますが、社会保険審査会におきましては、同じような法律の規定に相なっておるのでございまして、その結果はただいままでのところ運用上特に支障を認めておらないようであります。したがって、私どもといたしましても、労働保険審査会でもこれで心配なくやっていけるのではないか、こう思っておるのであります。今後やってみた結果、まずい点があるということになりますならば、それに対して適当な法的措置を講ずることは当然でございまするが、しいて御心配ということに相なりますると、これは政令や省令でもってやるというよりは、やはり法律で書くことが適当だろうと思うのでございますが、社会保険審査会の例もございますので、しばらくその例に従って運用してみてはいかがか、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/80
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081・滝井義高
○滝井委員 われわれも実は社会保険審査官及び社会保険審査会法を審議するときに、うかつにも不勉強で、そこらまでの追及が足らなかったわけですが、私はいまの大臣の御見解のように、よく考えてみると、やはり省令じゃなくて、審査会が定める場合には大合議体でやるというそのところを法律事項とする必要がどうもあるような感じがするのです。こういう場合とこういう場合だけは必ずやらなければならぬ。これはいままでの実例からいって、たとえばいままでの長い慣習的な決定をひっくり返す場合とか、そういうものを二つか三つあげれば出てくるのじゃないかと思うのです。そうしてその他審査会が必要と認める場合、私はこういう形にしてもらう必要があると思うのです。それで特に六人にしまして、最高裁のこともあるかもしれませんけれども、六人の意思統一がきちっとできていって、これはいわば法律的な力のある一つの重要な慣行になるわけですから、だからそういう意味でその点だけはできればぜひこれをお通しになるときに労働省のほうでお考えになって、そのくらいの修正はしておいていただいていいのじゃないかと思う。三十三条の二項です、われわれが非常に心配するのは。あなた方がさいぜん河野さんの質問にも答えておりましたように、労災保険審議会にことしから検討をお願いするわけですね。三十九年度から検討をお願いするわけでしょう。特に通勤時における事故に対して労災保険を適用するかどうかということについては、いまの解釈は使用者の支配下にあるかどうかということできまってくるでしょう。そうすると使用者の支配下というのが、ある人はおれは通勤のとき象を出たら支配下にあるのだということを言う人もおるわけです。これはいままであなたのほうはそうじゃないのだ、特命で行くとかあるいは出張命令で行く場合、こういう場合が支配下にあるので、通勤途次はだめです、こうなっておるわけです。いまのような鶴見事故が起こる実態からいっても、これは救済の方法がないわけですね。国鉄でもホフマン方式の単式だとか複式だとかやかましいことを言ってなかなか金を出さぬ。長い間事業主が労災保険をかけてくれた、しかしそれももらえない、国鉄もなかなか金を出さぬということになれば、今度厚生年金とか健康保険とかいうところで救済するよりしかたがない。いわばわき道で救済することになるわけでしょう。こういう場合だってずいぶん審査会の問題になってくるところだと思うのです。そういう場合にでも、やはり六人がきちっとした統一見解を出せるような形を私は法律で規制しておく必要があると思うのです。きょうはこれでやめますけれども、そういう点非常に問題だと思いますので、あなた方も気持ちを大きくされて、私も省令だと譲っておったけれども、大臣も法律のほうがいいようであるならば、少しは考えてもらって、どうせこの法律は来週くらいにはお通しになるでしょう。それならばそれくらいまでに考えて、これくらいのことをここに入れたらいい。これはいいことですから、何もこだわる必要はない。そうすれば三人でやって、大事なところはそれでやるということでわれわれの主張も通ることになるわけです。ひとつぜひお考えを願いたいと思います。これは与党の理事さんにもお願いしておきたいと思うのですが、どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/81
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082・大橋武夫
○大橋国務大臣 原案を提出してあるのでございますが、委員会の御審査の結果に従うつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/82
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083・滝井義高
○滝井委員 ぜひひとつこの問題を話し合わせてもらいまして、きょうは私は一応これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/83
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084・田口長治郎
○田口委員長 暫時休憩し、理事会を開会いたします。
午後零時四十九分休憩
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午後二時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/84
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085・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/85
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086・田口長治郎
○田口委員長 連合審査会開会申し入れに関しましておはかりいたします。
大蔵委員会において審査中の租税特別措置法の一部を改正する法律案について大蔵委員会に連合審査開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/86
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087・田口長治郎
○田口委員長 御異議なしと認めます。よって、大蔵委員会に対し連合審査の申し入れを行なうことに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/87
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088・田口長治郎
○田口委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。小林君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/88
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089・小林進
○小林委員 それでは林野庁における労働行政について御質問をいたしたいと思うのでありますが、長官がお見えになりませんので、まず林野庁の職員部長にお尋ねをいたしたいと思うのであります。いらっしゃいますか。——それでは法務省の刑事局長がお見えになっているようでございますから、竹内さんにひとつお尋ねをいたしたいと思います。
ほかでもございませんが、林野庁の高知営林局におきまして、職員の懲戒処分の問題が起きているのでございます。その問題はいずれまた林野庁関係がお見えになりましたらお尋ねをすることにいたしまするが、その中で林野庁では始末書というものをとって、その始末書の問題に関連をして本人を懲戒処分にし、なおかつこれを告訴をしておられるというのでございまするが、私は刑事局長にお尋ねいたしたいのは、始末書と称するものの法律上における価値の問題。それからいま一つは、この告訴を受けられた検察庁では公安部でこの問題を取り扱っておられるというのでございまするが、こういう始末書に関係する懲戒処分の問題は、一体検察庁内部における公安部がこれを扱う事案であるのかどうか、こういう二点でお伺いいたしたいと思うのであります。
まず、第一点の始末書の評価の問題をお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/89
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090・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 お答えを申し上げます。この始末書がどういう性質のものであるか、どの程度の評価をすべきものかという御質問でございますが、始末書というのは、われわれ捜査に従事いたしまする者といたしましては捜査記録として、いわゆる供述書にかえて、供述者が事件のてんまつをみずから執筆して書面で出すという場合に、これを始末書と称することがございます。これは捜査書類でございますが、ただいまお尋ねの営林署の事件を申しますのは、自動車運転手が自動車事故を起こしまして、そのことに関連して上司に出した始末書、この始末書が役所の書類として編綴されて保管されておったものをむしり取って破損した、公用文書を棄損した、こういう罪で調べを受けたようでございますが、この始末書が捜査書類の始末書でないことは明らかでございますが、この始末書についての法律的な根拠とか性格とかということにつきましては、営林署御当局の内部規則等によってつくられるものだと思いますので、その根拠は私どもとして関知するところではございませんが、ただ一般論として申し上げますと、御承知のように、物品管理法という法律がございまして、国の財産である物品の管理保管につきまして、善良な状態でこれを保持するという必要からこの法律ができておるわけでございますが、もしその物品であって棄損亡失したというような場合には、この棄損亡失の状況を物品管理官から各省の長に報告をすることが法律上要請されておるのでございます。したがいまして、この営林署長は、管理官であられるかと思いますが、管理官といたしましては、自動車事故によりまして自動車にもし棄損の状況が起こったということでありますれば、そのてんまつを本人から口頭で述べさせるかあるいは口頭で述べさせるかわりにそのてんまつを書面で出させるか、こういうようなことをさせるものだと思うのでございまして、その始末書きはそういう性質の始末書きではないかと思うのでございます。もちろんそのほかにもたとえば監督者が身分監督上非違がありました場合に、その非違がある者からその非違に関する本人の意見、弁解そういうものを口頭で聞くこともありますし、その口頭にかえまして、始末書あるいはてんまつ書という形で当該監督官に提出させることもございます。しかし本件の場合には、編綴してありましたつづりが、一時的なものを処理するつづりという、そういうつづりの中に編綴されておったようでございますところを見ますと、まあ監督責任という面もあったかもしれませんが、それよりもむしろ物品管理の面からの始末書を出さしたものではないか、かように考えるのでございます。いずれにいたしましても、そういう始末書を出させますことは、物品管理官としてはもちろんのこと、下部職員を指揮監督いたします監督官の立場においてもそういうものを出させる必要がある場合に該当すると思います。したがって、出されました書面はいま申しました役所で保管をいたします書類つづりの中に編綴して保管をしておったのでございますので、これを、公用に供する公文書という刑法の二百五十八条にいわゆる公文書、公用文書に該当する、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/90
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091・小林進
○小林委員 長々と御答弁をいただきましたが、お伺いいたしまするけれども、ただいまもおっしゃったように、物品管理法に基づく物品だということではないんですな、そのいまの始末書は。物品管理法に基づく物品だというお話ではございませんな。ではなくて、そういう何か国家の財産を損傷したり、あるいは重大な過失あるいは故意過失に基づいて損傷その他をした場合に、物品管理法に基づいて届け出をする、そういうようなことのために始末書をとった、したがってその始末書は、これはやはり公文書だ、刑法二百五十八条に基づく、公文書であるとおっしゃったわけだ。そこを私は一番重点的に、実は竹内刑事局長にお尋ねいたしたいのでございまするけれども、いまおっしゃるように、この始末書というものはいろいろの性格があるということはいま明らかにされました。あなたたちが捜査上供述人になりかわって——本人に供述を自書せしめる始末書もあるというお話でございましたが、それもやはり公文書でございますか。これは参考までにお聞きしたい。あなたたちがおとりになる、それも公文書であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/91
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092・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 お答えいたします。捜査上必要のために本人からとります始末書、これが一たん検察官の手に入りまして、検察庁の保管する文書ということになりますと、この文書は「公務所ノ用ニ供スル文書」、二百五十八条のいわゆる公用文書ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/92
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093・小林進
○小林委員 そういたしますると、公文書とあなたは解釈せられるが、その公文書が正当に作成せられない場合、たとえて言えば詐欺とかあるいは脅迫とかあるいは本人の自供にあらざるものを自供のごとく欺固してみずから署名捺印せしめたという、公文書の形式をとられながらも内容において、作成の過程においてこういう正当ならざる手段行為によってそれが作成せられた場合には、公文書としての価値は一体有するものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/93
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094・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 刑法の二百五十八条は、これは文書毀棄隠匿の罪という四十章に規定してある罪でございまして、文書が文書でないということになりますれば、これは別でございますが、これは「公務所ノ用ニ供スル文書」というものを毀棄した場合のことを規定しておるのでございます。したがって文書が、中身がうそであるとかあるいは文書が出される方法が瑕疵があったといいましても、いやしくも「公務所ノ用ニ供スル文書」でございますれば、ひとしくここにいう公用文書、こういうことになる、かように私どもは理解いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/94
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095・小林進
○小林委員 この際、始末書などというものが最近非常にはやっておりまするから、若干時間を食っても問題を明らかにしておく必要があると思うのでございます。行政官庁あたりでつまらないことでよく始末書というものを書かせるのでありますが、この始末書を書かせるという行為はどこかにやっぱり法律的な根拠があるものでございますか、それをひとつお聞かせ願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/95
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096・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 捜査書類につきましては、刑事訴訟法に規定が必要な書類を作成することができるわけでございます。本件の場合はもちろん刑事訴訟法による始末書ではございませんが、そういたしますると、私一般論として申したのでございますが、一般論として申しますと、まず第一には、公務員法八十何条でございますか、懲戒権限を持っておる者が懲戒行為を行なう場合に、その事情を調査する必要があるわけで、それに必要な調査の場合に本人が答弁にかえて始末書をもって自分の意見を述べる、こういうことがあり得ると思うのでございます。それからまたもう一つの場合は、先ほど申しましたように物品管理法にいう国の物品であります自動車とかというものを棄損した場合には、その棄損の状況を各省庁に報告する義務を法律上課せられております。そしてその手続が政令で定められておりまして、さらにその政令に基づきまして各省庁で、営林署は営林省、法務省なら法務省で、それぞれ所管の規則がつくられておりまして、たとえば法務省について申し上げますならば、もし自動車を棄損いたしました場合には、自動車運転手は棄損の状況を報告する義務を負わされております。その報告をします場合に、口頭で報告してもよろしいし、口頭にかえて始末書を徴することもできるわけでございまして、始末書というのはそういうふうにして作成される。もちろん法律上の根拠は、右のような場合にそれぞれ根拠を持っておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/96
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097・小林進
○小林委員 物品管理法に基づいて始末書をとるということでは、ちょうど林野庁長官もお見えになっておりますが、ここに問題がある。これはひとつ具体的な事例で、始末書をとったことが正しいか正しくないかは、あとでゆっくりお尋ねすることにいたしますが、高知営林局における始末書をとったという事項には重大なる間違いがあるのです。しかし刑事局長からは一般論を聞けばよろしいのでありますから、始末書に対する解釈は大体いまの点で了解をいたしました。
いま一点の問題をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/97
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098・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 この事件を公安係検事が担当したことについての御質疑でございますが、高知地方検察庁には公安部という部制はございませんので、少数の検事がいろいろな係を担当しております。この事件を扱いました近藤検事は公安係の検事でございましたので、ただいま御質問のようなことが起こってきたかと思うのでございます。この係と申しますのは、検察官はどんな事件でもやるのでありまして、何も公安事件が専門だというのではないのでございますが、ただ公安事件あるいは経済事件といって分けておりますのは、やはりそれ相当の専門的な知識を必要とするのでございまして、平素そういう勉強もさせて、具体的事件の処理にあたりましては適正な判断ができるように私どもとしては指導いたしております。本件は、事件はなるほどいま申したような二百五十八条の刑法犯、文書毀棄罪でございますけれども、その文書毀棄が起こった背景をなしておりますのは、営林署の職員が勤務条件のことで管理者と折衝しておったさなかのできごととしてこの文書毀棄が起こったわけでございまして、そういう場合の事件でありますので、一種の労働争議に関連して起こってきた暴行事件とか、そういったようなものを大体公安係検事が担当しておりますので、おそらく近藤検事がこの事件を担当したもの、かように思うわけでございます。それ以外に他意はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/98
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099・小林進
○小林委員 地方の検事局に、それほど担当部署が明確にあるわけではございません、検事の数も少ないのでございますから。そういう関係で、たまたま公安を主にしていた近藤検事が取り扱われた、そういう意味においては私ども了承するにやぶさかではございません。その意味において了解いたします。
これは参考までにお尋ねいたしますが、第三点であります。これは高知の木山営林署というところでございますが、その営林署でいわゆる始末書なるものの破棄事件が起きたわけであります。破棄事件の起きた場所は、営林署の庁舎の内部ではないのであります。それは組合の委員長と署長との話が行なわれたのでありますけれども、最後に、それじゃ始末書を見せようじゃないか、その見せる場所が営林署の署内ではなくその署長の官舎であります。官舎というのは自宅でございましょう。われわれの住むところでございますから、公務を行なうところではございません。その官舎の中に行って、そこで署長、係の課長等を並べて、こちらは一人、それで書類をお見せになったというのでありますけれども、そういうような私的な場所で一体あなたがおっしゃるような公文書なるものが——それは私は公文書ではないと思いますが、その内容についてはあとで論じますが、かりに公文書としても、公文書ならば、なおさらそういうような場所で閲覧せしめたり交渉したりするようなことが一体国家公務員として正しい行為であるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/99
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100・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 仰せのように、その犯罪が行なわれました場所は、営林書に隣接する営林署長官舎南側の縁先の庭ということになっております。場所はなるほど役所の外でありまして、書類は役所に備えてある書類でありますので、役所に保管してあります書類は役所で見せるというのが通常の形だと思いますが、しかし本件の場合は特殊な事情がございまして、見せろ、見せぬというようなところから、そこで折衝のさなかにおいて、それでは見せようということになった模様でありまして、署長の命によってその文書を保管しております当面の責任者である庶務課長が立ち会って庶務課長からそのつづりの中の始末書を見せた。見せたとたんにその始末書を引き破いて、まるめて手に握りしめたあと口の中に入れてかんだということでありますが、こういうふうにして棄損したということでございますから、公務の用に供する文書を棄損した、まさに二百五十八条に該当するというふうに思われるのでありますが、これは公判の結果どういうふうに認定しますかは裁判所の判断にまかせるのが相当だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/100
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101・小林進
○小林委員 刑事局長、あなたは犯罪とおっしゃいましたが、犯罪ということばはまだお使いにならないでください。まだ犯罪が成立したわけではありません。公文書であるかどうかもまだ決定したわけではありません。私どもは公文書と解釈していないのです。ほんのラブレターかいたずら書きの紙切れくらいにしか解釈していないのでありますが、それはまああなたとは論争しません。いまこれから林野庁長官その他と私どもは不可解な点を質問いたしますが、ただあなたが、告訴されつつある問題の過程において犯罪などという不穏当なことばは、事実上犯罪が成立したように思われますから、まだ疑いのある段階でありますし速記録に残るのですから影響が大きいので、ことばを慎んでいただきたいと思います。同時にあなたのおことばの中でも、どうも説明が込み入っておりますが、要は署長の宿舎の中で閲覧した。しかもあなたは署長、庶務課長とおっしゃいますが、署長も課長も四人ないし五人ちゃんと官側がいる。そこで事実庶務課長がその書類を見せたのであって、それは署長みずから出て見せたか、課長が見せたという細部の行為を問うておるのではない。行なわれた場所は署長の官舎の中とおっしゃった。その縁側の上に上がっていたか腰かけていたか立っていたかは知りませんけれども、それは官舎であることは事実だ。公文書といわれるようなそれを破いたか、引っぱったときに自然に破けた、手に握っていたものをよこせと言って指を一々引っぱるものだから、売りことばに買いことばで一生懸命に手を握りしめた、窮余の策で口の中に入れた、そういうような細部のことは別だけれども、私のお聞きしているのは、それほど重大な公文書をなぜ一体官舎の中で、署長も管理官も庶務課長も、そういうトップレベルが四人も五人もたった一人の職員に見せたり見せられたりしなければならぬのかということを聞いておる。それが一体正当な管理者としての見せ場所であり、見せ方であり、やり方であるかどうかということをあなたにお聞きしているのですよ。あなたにその状況を聞いているのじゃないのです。状況の説明は林野庁長官に聞きますから。私の聞くのは、繰り返して言いますけれども、事務をとる役所じゃなくて署長の、いわゆる官舎というものはいこいの場所なんだ、公務を執行する場所じゃない。その公務を執行する場所にあらざる官舎、奥さんと寝たり楽しんだり、めしを食べたりする署長のいわゆる私宅でそういうものを見せたり見せられたりするようなやり方は——告訴に値するような重大な仕事であるならばなぜ一体そんなことをする必要があるのか、私はそれが一体正当であるかどうかをあなたに聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/101
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102・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 通常公用に供する文書は役所の中で見せるのが普通だと思いますが、この場合には異例の、いま言ったような勤務条件に関する当事者間の協議の過程において行なわれたできごとでございます。したがって犯罪という点から見ますと、見せ方が正当であったかどうかということは、私はこれは例外的な異例なことだと思いますけれども、それじゃ異例であるということが犯罪を阻却するかどうかということは、これは別の問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/102
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103・小林進
○小林委員 そこが刑事局長、公平にものを見てもらわなくちゃならないあなたたちの立場が、ともするとどうも管理者側に立ちたがると私どもは痛くない腹を探らざるを得ない。私は何もその行為が犯罪を阻却するかどうかということはちっとも聞いてない。しかし、いやしくも管理者としたら役所の中で公務をとるべきその仕事を、私宅の中でそういうようなものを見せたり見られたり交渉をしたりすることは正常な形でないだろうと聞いておるのでありますから、あなたは異例の行為である、その異例の行為であるというそのことばだけでよろしい。いま一回言ってください。正当であるかどうか、異例であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/103
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104・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 お答え申し上げます。
正当であるかどうかというおことばに私とらわれまして必要以上のことを申しまして申しわけないのですが、正常であるかどうか、私は異例なことだと思います。通常はそういうところでは見せないだろと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/104
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105・小林進
○小林委員 わかりました。刑事局長に対する私の質問はこれで終わりましたから、ほかの委員の諸君にお話がなければお帰り下さってもけっこうであります。
人事院もお見えになっていますか。職員局長にお尋ねをいたしまするが、巷間伝うるところとしておきましょう、いま申し上げまするように、われわれに言わせればまるでとるに足らぬと申し上げてもいいようなことが懲戒処分をせられて、人間の一生をここで断たれている。同時にそれが管理者側によって告訴せられておる。ところが、こういう始末書等を交渉の過程において破ったことは一体懲戒処分に値するかどうかということを決定するまでには、非公式か公式か知らないけれども、人事院に伺いを立てた。伺いを立てたということばが少し語弊があるならば、話をしてみた、意見を徴してみた、いずれも同じでありまするが、そういうことを聞いておるのであります。いまの高知本山の営林署などにおける懲戒処分の問題はもちろん御存じであると思いますけれども、この問題について事前に営林署側から懲戒処分に値するかどうかという相談ごとがあったかどうか、率直にお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/105
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106・大塚基弘
○大塚政府委員 お尋ねの件でございますが、林野庁の担当官が人院事に見えまして、この件の大要をお話しになりまして、懲戒処分の事由になるかどうかというふうなお尋ねがあったようです。日時は十二月の二十五日と記憶しております。しかしそのとき尋ねられましたのは、当方は服務の担当者の係長クラスでございまして、事実関係があまりはっきりいたしませんでしたので、明快な答えは全然いたしておらないようです。答えを差し控えたという形。なお当日は課長がたまたま病気欠席をしておりましたので、課長の意向も徴することができず、そのまま回答は保留したということのように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/106
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107・小林進
○小林委員 職員局長からはなはだ良心的な御答弁をいただきまして感謝にたえません。各省もあなたくらいに明確に答弁をしてくださいまするとそう余分な時間を費やす必要はないのであります。非常にけっこうであります。いま一回繰り返しますならば、林野庁の担当官が十二月二十五日に人事院に見えられて、こういう事実に基づいて、これが懲戒処分に値するかどうかと相談された、話し合いに来られたけれども、課長もおいでにならないで、課長補佐か係長くらいの方が応待をせられたが、事実関係がまだ明瞭でないからそれに対する判断は留保せられた、こういうことでございますね。これでよろしゅうございますか。——それでは、現在この問題は馘首せられた本人から人事院に提訴をされているはずでありまするが、この点御存じでございましょうか。もし御存じでありまするならばその範囲においてお聞かせを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/107
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108・大塚基弘
○大塚政府委員 懲戒免職を受けられた元の農林事務官の正岡慎一氏が不利益処分の審査請求を出されましたのは三十九年二月十四日でございます。人事院としては二月の二十九日に正式に受理をいたしております。その後公平委員を指名したり等の手続に入る段階までは現在のところまだ至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/108
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109・小林進
○小林委員 人事院とされましては、提訴をされておるということになるならば、その内容についてはそれ以上ここでお話になることも困難と思いますので、私はそれ以上のお話を承ろうとは思いません。どうかひとつ公平にこれの結論を出していただきたいと思うのでございます。
人事院はけっこうでございますが、次に林野庁長官にひとつお尋ねをいたしたいと思うのでございます。
林野庁長官は昭和三十八年の十月の十七日に高知営林局の本山営林署で発生をいたしましたトラックの横転事故はもちろん御存じになっていると思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/109
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110・田中重五
○田中(重)政府委員 報告を受けて承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/110
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111・小林進
○小林委員 この事故に基づいて、先ほどからもお話が出ておりましたように、高知の営林局から物品管理法に基づく報告というものが林野庁になされているかどうか、物品管理法に基づく報告が一体あなたのところへきているか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/111
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112・田中重五
○田中(重)政府委員 その点はよく調査をいたしまして御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/112
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113・小林進
○小林委員 委員長、こういう失敬な答弁がありますか。本人はこの問題を起こしたことに関連をして、これは自動車横転事故ではありませんけれども、その問題に関連をして一人は首になっているのですよ。首になっている問題の根本は、この物品管理法に基づいて報告がなされているかいないか、これは基本的な問題なんだ。本人を首にしておきながら、しかも三十八年の十月の十七口に問題が起きましたことを報告を受けています、長官は知っていると言うのだ。知っているとみずから答弁しておきながら、問題の発生の一番もとをなす物品管理法に基づく報告書類は本庁まできているかと言ったら、まだこれから調べて回答しますと言う、これがまじめな答弁だなんて言われますか。委員長ひとつたしなめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/113
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114・田口長治郎
○田口委員長 長官に申し上げます。詳細な答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/114
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115・田中重五
○田中(重)政府委員 重要な問題でもございますので、よく調べて御答弁をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/115
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116・小林進
○小林委員 こういうような重大な問題を、甘を切っておきながら調べてみなければわからぬという答弁がありますか、あなた。そんなふまじめ答弁がありますか。調べなさい、さっそく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/116
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117・田中重五
○田中(重)政府委員 さっそく調べて御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/117
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118・小林進
○小林委員 調べてくるまで待っていますから、早く調べるように言ってください。——物品管理法に基づく報告書類があるかないかということは私の質問の中心ですから、ころいうようなごまかしの答弁で論争を進めていくわけにはいきませんが、その間のつなぎの時間として林野庁長官にお尋ねしますけれども、昭和二十五年から昭和三十九年現在まで——これは参考までに私はお聞きするわけでありますが、林野庁、長官は昭和二十五年を基準にして何代交代をせられて、そして林野庁長官をおやめになっておられる方が、現在どういう職務におつきになっておるか。これは私どもが国政を論じていく上において参考になることでありますからお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/118
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119・田中重五
○田中(重)政府委員 昭和二十五年と申しますと横川長官の時代かと存じます。横川長官は現在栃木県の知事をいたしております。それが二十七年までであったかと存じますが、二十七年から柴田長官になりました。柴田長官は現在御承知のとおり参議院議員をいたしております。それから三十年から三十三年までは石谷長官でございます。これも参議院議員でございます。その次が三十三年から三十六年まで山崎長官でございます。山崎長官は現在参議院議員をいたしております。それから三十六年から昨年まで吉村長官でございます。吉村長官は林業信用基金の理事長をいたしております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/119
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120・小林進
○小林委員 その吉村長官のあとを引き継いであなたが現長官である。ほのかに聞くところによれば、将来はあなたも参議院議員に全国区からお出になりたいという希望をお持ちである。これは希望は自由であるが、お持ちであると言われておる。先ほど言われました横川さんが二十五年から二十七年までおやりになる前は三浦さんでありましょう。この方も参議院議員。林野庁長官をやれば全国区参議院議員はきまったようなものです。三浦さんが参議員議員。横川さんも現在は栃木県の県知事ですけれども、その前は全国区参議院議員をやっておる。横川さんも参議院議員。その次に出られた柴田さんも参議院議員。その次に出られた石谷さんも全国区参議院議員。その次に出られた山崎さんも参議院議員、指折り数えれば七名。日本中で各官庁は山ほどあるけれども、長官をやったり局長をやれば、参議院議員がまさにきまったようにずんずん当選していく役所などというものは、本林野庁長官をおいてほかにありません。これは林野庁七ふしぎの一つと言われる。いま七ふしぎをあげてあなたと話しているひまはありませんけれども、しかしこういう姿勢を国民が正しく理解しているとお考えになりまするか。林野庁などというものは山や木をばかり相手にしていると思った。厚生省なんか気の毒に、環境衛生局長でございますなんといって、一生懸命に町の水道や下水道を追っかけ回して、町の人々を相手にしているところが落ちている。同じ農林省だって、経済局長だといって人の経済を相手にしている安田君あたりが落選している。木や山を、人なんかいないところで相手にしている林野庁長官がやめればどんどん当選していくんだ。一体林野庁長官というものは多額の給料をお取りになっているのかと言ったら、いや給料はそんなに高くありませんと言う。だから一体参議院議員に出るのにどこから多くの金を持ってくるのかと言ったら、これは七ふしぎでございますといわれている。しかしこんな形が一体いい形であるかどうか。林野庁長官がおやめになれば必ず続々として参議院議員にお出になるのです。あなたの前任者の吉村さんだけが林業信用基金の理事長をおやりになっておる。この理事長などというのもほかのお役所を見た方々には垂涎おくあたわざる場所だ。しかし世人はまことに吉村というのは見上げた男だ、参議院議員に出なくて、よくもこういうところに落ちついた、りっぱなものだ、こういうふうに賞揚をせられるぐらいだ。まさに林野庁長官は次期参議院議員がきまっているというように思われている。いい傾向であるとお考えになりますかどうか。これは国民になりかわって林野庁長官の田中さん御所信を承りたいと思うのであります。一言でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/120
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121・田中重五
○田中(重)政府委員 従来の長官それぞれ本人の意思もあるでございましょうが、そういう進路をとったと思います。私自身はそういうような考え方はございませんので、そのように御答弁をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/121
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122・小林進
○小林委員 あなたは参議院議員にお出になるなら、大いに出てひとつやってください。国民の自由なんだから大いにやっていただきたいが、しかしどう考えてもノーマルな姿でないことだけは事実であります。一般国民の常識では考えられない事実が行なわれていることは事実でありますが、これは単に私の所見と警告だけにとどめまして、もう電話をかけて内容を聞いていただいてわかったことだと思いますから、本論に戻りまして、物品管理法に基づく報告がきているかどうか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/122
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123・田中重五
○田中(重)政府委員 もうしばらく時間をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/123
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124・小林進
○小林委員 しかし出ていないのですよ。あなた方は出ていないと言ったらいいじゃないですか。そういうことをやりながら全部ごまかして、そして計画的に人の首を切っているのであります。大根や菜っぱのような残酷な首の切り方をしている。
それでは物品管理法の報告の問題は、いま若干の時間を猶予してあげることにいたしまして、次に申し上げますけれども、あなたたちは、この本山営林署の関係について始末書をとっていられるのでありますけれども、この始末書は物品管理法に基づく報告をするために一体始末書が必要であってとられたのか。一体いかなる理由でこの始末書をおとりになったのか、その理由をお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/124
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125・田中重五
○田中(重)政府委員 始末書をとったという意味は、将来に対しましてこのようなあやまちを重ねて犯さないという注意をしてもらうという意味も含めまして始末書を徴した、こういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/125
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126・小林進
○小林委員 そうすると、将来こういうあやまちを犯してもらわないという理由だけで始末書をおとりになった、こうおっしゃるのですね。それだけの理由で始末書をおとりになった、こういうことでございますね。ここは重大なポイントでありますから、いま一回お聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/126
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127・田中重五
○田中(重)政府委員 まず、たいへんおくれましておわびを申し上げますが、物品管理法に基づく報告は営林局まで参っているようでございます。林野庁へはまだ届いておりません。そういう状況でございます。
それから始末書を書いてもらった内容といたしましては、先ほどお答えをいたしました趣旨に出たものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/127
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128・小林進
○小林委員 あなたは、先ほどからも申し上げますように、三十八年の十月十七日問題が発生したことは了承をしているとおっしゃるのでありますから、その問題にからんで、いわゆる懲戒処分にあって大事な一人の職員が首になっていることはあなたは御承知なんです。あなたも了承をせられていると思うがいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/128
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129・田中重五
○田中(重)政府委員 そのことにつきましては承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/129
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130・小林進
○小林委員 本人を首にすることだけは了承しておいて、その首になる理由の発生のもとをなしている、物品管理法に基づく報告書はあなたは見ていられない。あなたの手元にもきていない。それは人の首を切るには少しずさんな首の切り方ではございませんか。いかがでございますか、長官、お聞かせを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/130
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131・田中重五
○田中(重)政府委員 懲戒処分が行なわれましたのは始末書の内容等の関係ではなく、始末書を破棄した、そういう事実に基づいての懲戒処分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/131
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132・小林進
○小林委員 問題はだんだん核心に入っていきますけれども、いまも言うように一体なぜ始末書を書かしたかと言ったら、御承知のようにあなた方が雇っておられる二人の運転手と助手さんが車を横に倒した。わずかの損害であります。修繕料が五千円程度のわずかな損害で、本人の二人は負傷もしていない。けれどもそれに対し、いわゆるあなたの部下の営林署の署長は、この問題は警察に報告をしない、だから一応始末書だけは書け、こういう形で始末書を書かした。書かしておいて、その問題は今度はちゃんと警察に取り調べられている。警察にも知らせない、内部でおさめるといいながら、警察にも取り調べられておる。本人が自分たちの過失によって起こした問題ではないのだ。ないのだけれども、そういうようなことで言われるから、まあ上司の言われることだから、警察にも言わない、内聞に済ますというならば始末書を書こうじゃないかといって本人は始末書を書いた。ところが始末書を書かしたことをあなた方は次々に裏切っていっておる。裏切っているから、初めと約束が違うからその始末書をひとつ返してもらおうじゃないかということで、弱いから組合に問題を出した。組合の委員長は、それはけしからぬ、組合の総意がそこへいくならば、組合の力に基づいて署長に会って——欺罔であります。詐取だ。偽りのもとで書かしたような始末書は始末書としての価値がないのだから返してもらおうじゃないかといって話にいったところ、それが高じて、破ったとか破らぬとかいうような問題にいったのでありますが、したがって問題の発端は始末書なんです。始末書を書かした行為にある。その始末書も報告書も何ら見ないで そういうような偽りのものを書かしたからけしからぬ、返してもらいたいと使いにいったその組合長をその行為がけしからぬといって首にするというやり方は、これは本末転倒もはなはだしいじゃないですか。その原因が成立しなければ結果が生じないのはあたりまえなんです。私の言うことにうそがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/132
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133・田中重五
○田中(重)政府委員 本末転倒とは考えていないのでありまして、公文書を破棄した、そういう事実行為に基づいた懲戒処分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/133
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134・小林進
○小林委員 先ほども言うように、その始末書を書かしたという根拠は一体どこにあるのですか。始末書を書かした事実上の根拠、法律上の根拠、そこをひとつ明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/134
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135・田中重五
○田中(重)政府委員 始末書を本人が書いた、その内容、動機としては、これは先ほど来お話の出ております車の事故によるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/135
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136・小林進
○小林委員 法律上の根拠ですよ。始末書を書かした事実上の根拠、先ほども言うように事実上の根拠は何だ。それから法律上の根拠は何だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/136
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137・森博
○森説明員 始末書の法律的根拠と、こう申しますれば、物品管理法上のあとの賠償の責任、それから始末、てんまつというようなものを報告することになっておりますので、そういう手続の必要上これをとる必要があるというふうに考えるわけでございますが、また一般的にも将来注意を喚起します意味におきまして、その始末書をとるというのは慣例にもなっていると私のほうは考えております。(「何の法律のどこの条文に該出するのか」と呼ぶ者あり)法律はたしか物品管理法第三十四条だったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/137
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138・小林進
○小林委員 それじゃまた前の問題を繰り返しますけれども、物品を損傷した、そのために物品管理法に基づいて報告をする必要上始末書をとったというならば、なぜ林野庁の最高責任者の長官のところまでその報告書数を出さないかというのです。昨年、三十八年の十月十七日に起きた問題をまだ届けていないじゃないか。いままでこうやって何回も電話で交渉して行ったり来たりしておりながら、いまでも報告してきていないというじゃないか。それほど、始末書までとって物品管理法という法律義務をあなた方が正しく行なおうとするならば、なぜその報告書類を上まで早急に持ってこないかというのです。一体物品管理法の三十四条の報告はどこへ報告するのです。地方の高知の営林局長に報告するのですか。それでいいのですか。最高責任者の林野庁長官のところまで報告するのが物品管理法三十四条の精神だろう、なぜここに持ってこないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/138
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139・森博
○森説明員 所属の林野庁で申しますれば、林野庁長官まで報告いたすということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/139
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140・小林進
○小林委員 そうでしょう。物品管理法三十四条を読んでみましょう。「物品を使用する職員は、故意又は重大な過失によりその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、その損害を弁償する責に任じなければならない。」、これは第一項、第二項は「第三十一条第二項及び第三十二条の規定は、物品を使用する職員がその使用に係る物品を亡失し、又は損傷した場合について準用する。」、この準用規定に基づいて報告の義務が生じてくる。その報告の責任は所属長官に持ってくるのがあたりまえです。それほどあなたたちが物品管理法に正しく奉仕するというならば、なぜ長官に報告しないのですか。その報告をしない管理者の責任は一体どうなるのですか。それをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/140
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141・田中重五
○田中(重)政府委員 物品管理法に基づく報告がなお到着していないことは、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、到着しないということで懲戒処分ができないとかいうふうには考えていないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/141
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142・小林進
○小林委員 三十八年の十月十七日に起きて、そこでとった始末書がもう年を越え、いまきょうは三月の十日じゃないですか。十日になっておるまでなぜその書類を出さないかと言うのです。これは管理者の営林署長、営林局長の怠慢じゃないかと言っておるんだ。林野庁長官の部下を掌握する力がない証拠じゃないかと言うのだ。そのあなた方の責任をどうするかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/142
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143・田中重五
○田中(重)政府委員 報告につきましては、いつまでに報告をしなければならないということではございませんので、ただそういう事故の報告については口頭による報告が、その直後にあったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/143
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144・小林進
○小林委員 これは重大問題ですから、いま一回念を押して聞きますが、そういう物品管理法に基づいて出すべき報告書類は、報告を提出する期間がないから、何年、何十年そのままにしておいてもよろしいという、こういう答弁でございますね。そういうことでございますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/144
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145・田中重五
○田中(重)政府委員 何年、何十年ということではございませんので、できるだけ早くやるたてまえでございますけれども、普通は三カ月くらいかかっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/145
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146・小林進
○小林委員 普通は三カ月とおっしゃった。最も単純な——国家の品物を損失したなどということは、これは国家に損害を与えることなんだ。その損害を与えたことが重大な問題だ。それを普通三カ月だ。まことに誇らしげにあなたはいま答弁をせられた。しかし事実は三カ月じゃないんだ。事件が起きているのは十月の十七日。そして三十八年の十月の十九日に始末書をとっている。事件が起きた二日後に始末書をとっている。参考までにその始末書を読んであなたに聞かせようか——始末書を一体見られたか見ていないか、それが一つ。
第二番目は、いま言うように十月の十九日でありますから、三カ月ではありません。もはや完全に五カ月に足らざること一週間前後だ。あなたの言われる三カ月も通過すること、まさに二カ月近くなっているのであります。これで一体正当な物品管理法に基づく報告義務を、報告の責任を完了しているとあなたはお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/146
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147・田中重五
○田中(重)政府委員 ただいま三カ月程度と申し上げたのでございますが、この分につきましては、いま申し上げましたように、なお報告になっておりませんが、しかし先ほども申し上げましたように、口頭における連絡は受けておりまするので、その点については間違いはない、こう考えております。
なお、始末書については見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/147
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148・小林進
○小林委員 そういたしますと、まだ聞きますが、口頭で報告を受けていれば、その始末書は、物品管理法に基づく報告書類は、五カ月でも六カ月でもあなたの手元に来なくても、書類が提出されないでも、行政官としての実務と仕事において何ら支障がない、何ら差しつかえない、正当な行為である、あなたはこうおっしゃるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/148
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149・田中重五
○田中(重)政府委員 実務に支障があるかないかは、この年度内に到着いたしますればその点の支障はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/149
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150・小林進
○小林委員 三十八年度、年度内にさえ到着すればそれでよろしい、一向支障がないから、行政官として何ら非難さるべき行為ではない、もっともノーマルな、平常な行為であるとあなたはおっしゃるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/150
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151・田中重五
○田中(重)政府委員 ノーマルかどうか、それはただいまも申し上げましたように、それぞれのケースによって多少の報告の期間の長短はございます。その内容について相当に手間がかかるというようなものにつきましては、これは普通の場合よりは時間がかかる場合がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/151
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152・小林進
○小林委員 差しつかえがないとおっしゃるのですね。簡単でよろしい。あなたの部下がそのようにして五カ月も六カ月もあなたのところにその報告書を出さないのは、仕事に差しつかえないからこれでよろしいのだ、こうおっしゃるのでございますね。これは重大問題ですから、もし差しつかえがなくて、それで正当なものとおっしゃるならば、国家行政事務のあり方としてわれわれはこれは重要視しなければならない。これは総理大臣なり農林大臣なり来てもらって、理事会も開いて問題を処理しなければならない。たいへんな問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/152
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153・田中重五
○田中(重)政府委員 現在のこの物品管理法に基づく報告については、その報告の手続につきまして、これは十分に調べてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/153
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154・小林進
○小林委員 何をお調べになるのですか。何をお調べになるのか、お聞かせを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/154
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155・田中重五
○田中(重)政府委員 物品管理法に基づいた報告書の報告の手続、特にいまお話しの報告のしかたについてよく調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/155
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156・小林進
○小林委員 こういうような長官のもとにこういう局長や営林署長がいて、しゃにむに始末書を書かしておいて、そして五カ月も六カ月も、とった書類をそのまま報告もしておらないようでございまするから、普通の常識ならば、そういうものに対して重大なる喚起を促すなりあるいは警告を発するなりするのが、国の仕事をあずかっている行政の長として私は当然の行ないだと思う。ところが、こうやって執拗に問答を繰り返しておきながらも、いまだ一向に反省のことばもない。まるであたりまえなことだと言わぬばかりの答弁であります。こういうようなことは私は断じて見のがすわけにいかない。こういう答弁を符なければいいですけれども、得た以上は、私ども委員会としては、これはこのまま黙認するわけにはいきません。了承するわけにはいきません。さっそくひとつ休憩をいたしまして、理事会を開いていまの答弁をどう処置するか、緊急にこの委員会としての態度をきめなければなりませんので、委員長、しばし休憩をされて、理事会を招集していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/156
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157・田口長治郎
○田口委員長 暫時休憩いたします。
午後四時四十一分休憩
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午後五時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/157
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158・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/158
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159・小林進
○小林委員 ただいま休憩をいたしまして、理事会を開きました。その結果により、物品管理法に基づく行政省庁の責任者が、大蔵大臣または会計検査院に対する報告書類を慣例上どれくらいの期間に提出すべきかという問題について、委員長のほうで研究をせられて、次の委員会までに明確な説明をされるということで了解がつきましたので、本日のところは、大蔵大臣または会計検査院長のこの委員会における答弁をいただくことは一歩譲りまして、この問題は留保のままにして次の問題に移りたいと思うのであります。
お尋ねいたしますが、林野庁長官は、あくまでも物品管理法第三十四条に基づいて、重大な過失ないし故意によって国の所有たるトラックに損害を与えたものである、こういう解釈に立っておられるようでありまするし、しかもその報告の期間は何らおくれていない、これがあたりまえであるというような見解に立っておられるようでございまするが、私は、このトラックが横転をしたことについて、運転手とその助手には故意も重大なる過失もなかった、こういう見解に立つものであります。先ほどからも申し上げましただけではなく、現に本山の営林署の署長が本人からじかに取られたその始末書の内容を参考までにここで読み上げますけれども、この始末書の中にも本人の事故と責任に基づくようなことが明らかにされていない。いま読み上げます。
始末書
昭和三十八年十月十七日、午後二時十分ごろ、豊永製品事業所より素材約八立方メートルをトラックにて輸送中、谷相林道九キロメートル付近にて民間トラックが伐木積み込み中のところに差しかかり、道幅が狭いので待避を要求しましたが、先のトラックが通れたので通れるはずだといって容易に待避してくれそうにないので、特に運転に注意して通過しようとしましたが、路側が意外に軟弱であったため後輪が路側に沈み、そのまま横転してトラックに損傷を与え、また皆さまにたいへんな御迷惑をおかけしてまことに申しわけなく思っております。今後は二度とこのような事故を起こさぬよう十分に注意して勤務する覚悟ですので、このたびは寛大な措置をお願いします。
なお事故の際、私たち二人とも身体に全然異常ありませんでしたので、申し添えます。
昭和三十八年十月十九日
運転手 印
助 手 印
こういうことになっておるのでございまして、私はこの始末書の中で、いわゆる物品管理法三十四条で要求をいたしておりまする故意または重大なる過失というふうにくみ取るわけにはいかない。どこに一体故意と重大な過失がこの始末書の中にあるのか、長官からお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/159
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160・田中重五
○田中(重)政府委員 その前に、私の先ほどの答弁の内容について、非常に御迷惑をおかけいたしまして、審議を滞らせたことにつきまして深くおわびを申し上げます。
物品管理法に基づきます報告につきましては、できるだけ急いでそれを聴取することにいたしまして、現在おくれておりますことについては深く遺憾の意を表したいと存じます。
それから、いま御質問の重大な過失あるいは故意があったかどうかという御質問につきましては、そのようなことはあったと考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/160
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161・小林進
○小林委員 ようやく、長官もまともな答弁をしていただいたのでありまするが、その長官の言われたとおりだ。本人に重大な過失と故意がないとおっしゃった。故意と過失がないものならば、何で一体報告の責任があるのか。始末書も取る必要がないじゃありませんか。その事故も過失もないものを、物品管理法に基づいて報告する義務があるからといって、本人から始末書を取るという行為それ自体間違っているじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/161
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162・田中重五
○田中(重)政府委員 職員が所管をいたしております機材、器具等につきまして、それを破損したというような場合には、そのものの程度によりますけれども、やはり始末書を徴することによりまして、先ほども申し上げましたそういう過失を繰り返さないようにしてもらうということは、あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/162
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163・小林進
○小林委員 物品管理法の報告の責任を課しておるのは、いわゆる国家の財産に故意または重大なる過失に基づいて損霊を与えたときにその報告書数をお出しなさいという要求をしておる。重大なる過失も故意もないものを、何で一体物品管理法に基づいて報告する必要があるか。ないじゃありませんか。どこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/163
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164・森博
○森説明員 三十四条の「故意又は重大な過失」の場合には賠償責任があるということをいっているのでございまして、その場合におきましてはそういうことでなくて、そういう事故がありました場合にはその所属の長に報告するということで、故意または過失の場合は、これは賠償責任がある、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/164
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165・小林進
○小林委員 私は、この問題の論争も、これはいまの答弁には満足いたしません。いたしませんが、時間の制約もありまするからこの問題を留保いたしますが、いまも始末書を続みましたごとく、この事故が起きた直接の理由は、前にトラックがとまっていて、荷積みをしていて道を譲らなかった、これが直接の原因でございましょうけれども、もっと重大なる原因は、いわば林野庁で、国で管理をいたしておりますこの道路は、いわゆる国の車用道路なんです。その道路が、そういう荷物を運搬して歩くだけの十分の道幅がなかったということなんです。これが第一の理由であります。
第三の理由は、道路の路面が軟弱だったということなのです。そういう木材を積んだ車、素材を撰んだ車が通るに耐え得るような正当な道路のかたさがなかったということなんです。
それから第三番目に、特に大きな問題は、五トン車の車に八トン近くの、八立方メートルの品物を積ませているということなんです。一トンというのは、大体一・二立方メートルだ。だから、五トン車の車といえば、六立方メートルがせいぜい積み商の限度なんです。その六立方メートルしか積めないものに、八立方メートルの木材をあなたたちは積ましている。これは道路交通法違反ですよ。そういうあなたたちの管理上の違反行為に基づいてこういう事故が起きている。いかがでございますか、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/165
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166・田中重五
○田中(重)政府委員 ただいま御質問のこの林道は、市町村道の林道で、現在併用林道に申請の手続中のものでございます。それで、この併用林道と申しますのは、町村道であって、営林署の事業にもその道路を使用するというような場合に、併用林道という制度に基づいて、営林署側もその道路を使わしてもらうという道路でございます。
それから、道幅につきましては、そのような町村道であるわけでございますから、必ずしもトラックが完全に安全な運行のできるようには修繕がいたされていなかったという面もあるかと存じます。
それから、積載量が過重であったといたしますと、これはまことに遺憾なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/166
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167・小林進
○小林委員 ただいまあなたのおっしゃるとおり、併用道路という、その道路の性格の問題は別にいたしましても、あなたたちが管理をしている道路であることは間違いない。その道路が、いまあなたの御答弁のとおり完全に修理されていないということもあなたはお認めになった。その荷物も、道路交通法第五十七条の「政令で定める乗車人員又は積載重量若しくは積載容量の制限をこえて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。」云々に違反しておることも事実なんだ。ところが、なぜ一体そういう違反するような量目を積んだかといえば、五トン車に八立方メートルを積載するのは道路交通法五十七条違反であるにもかかわらず、営林署は、通常積載量は十立方メートルまで積むように、もし警察につかまっても二回くらいはかまわない、警察のほうは何とかもみ消しをするからと、こういうことを言って、いわゆる積載量以上の荷物を積ましておるようにあなたたちは指導しておる、運搬させておる。道路交通法違反をするようなことをあなた方が指導して運搬させて、しかもその道路の修繕も修理も管理もあなた方は十分やっていない。そのために車がやわらかい土の中に輪を突っ込んで、それが横転したら始末書を書け、こういうようなやり方は、だれが考えても責任はあなた方じゃないですか。あなたおっしゃったじゃないか、そういう指導をしておるのです。現実に積ましておるでしょう、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/167
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168・田中重五
○田中(重)政府委員 積載量につきましては、過重な積載量を積み込みをするように指導しておるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/168
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169・小林進
○小林委員 指導はしていないとおっしゃいますけれども、現実に積んでおることをお認めになるでございましょう。積んでおるという事実は、長官もお認めになるでございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/169
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170・田中重五
○田中(重)政府委員 その点につきましては、いま御質問のとおりの過重の積載をしていたのかどうか、私のほうではいま事情を承知していないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/170
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171・小林進
○小林委員 そういうことも調査するなんとおっしゃいますけれども、あなたのほうであくまでも現在そんな積載量以上の、道路交通法違反のものを積ましておらないとおっしゃるならば、私どものほうでも調査いたしますよ。全国の林野庁関係の現実に動いておる車全部を調査しますよ、調査するだけの能力があるんだから。だから、私どもに言わしむるならば、かくのごとくあなたたちが全部物品管理法の違反をやったり、あるいは道路交通法の違反をやったり、労働基準法の違反をやって過重な労働をやっておきながら、やむを得ず必然的にそういう形で事故が起きた、しかも始末書を取る、その始末書を取るについても、いま言うように警察にも言わない、どこにも言わない、内輪に内輪に済ませるからひとつ始末書を書きなさいといって、先ほど私が読み上げたように、何ら故意も過失もないのに始末書をだまし討ちみたいに取られた、だましておいて、この問題が解決すればそれを直ちに警察に訴えておる、こういうやり方。しかもはなはだしいのは、その始末書の最後に何と言っておるかといえば、「なお事故の際、私たち二人とも身体に全然異常ありませんでしたので、申し添えます。」こういうことを書かせておる。トラックが横転したのでありますから、あとで後遺症が出てくるかもしれません。そういうものが出ても、これは後遺症じゃない、あくまでもこれは公の作業に携わってできた事故ではないということを自分で書かしておいて、そうしてあなた方は上司に対しては、本山の営林署に対しては公傷はありません、事故はありません、無事故であります、こういう管理者の実績をつくり上げようとする。そういう責任をのがれること、これはどこにもあることなんだ。あえてこういう末尾の文章も添えております。でありますから、本人のほうでは納得できないので、こういう始末書を取られたけれども、事実は、官側との約束とは違って私どもは警察に取り調べられておる、だからあの始末書は、最初の約束とは違っているから返してもらいたいということで、組合の中に泣きついてきた。それじゃおまえ一人行ってその始末書を貸してもらってこい、そういう話し合いができてきた。その話し合いの過程において、その始末書の取り方が悪いのに、自分が悪いのに、その事実上の問題だけ取り上げてこれを懲戒処分にしたり、告訴したり——あなた方がそういうように道路を不完全にしたり、積載量をオーバーしたり、その自分たちの責任を、全部懲戒処分にすることによってこれをごまかしておくのだ、こういうことが一体許されると思いますか、私は了承はできません。したがいまして、もう時間もありませんから、きょうのところはこれで結論を急きますが、ひとつ長官、私も武士の情けで申しますが、どうです、いますなおにあなた方の行政上の責任を反省せられて、その懲戒処分をお取りやめになる意思がないかどうか、やめる意思はないかどうか、あるいは自分たちの行為があくまでも、正当である、この林道はやわらかいのに積載量をオーバーに積ませるのも断じて管理者の責任ではない、あくまでも自分たちの行為が正しいとおっしゃるのか、承っておきたい。その答弁によっては、また次の委員会にあらためてひとつこの問題を追及することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/171
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172・田中重五
○田中(重)政府委員 先ほど来御質問の中でいろいろ御批判をいただき、お騒がせをいたしました事件を起こしておりますことにつきましては、まことに遺憾でございまして、私、深くおわびを申し上げたいと存じます。それで、いまの事件を取り下げるかどうかという御質問に対しましては、これはすでに係争中の問題でもございますので、その判断に待ちたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/172
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173・小林進
○小林委員 いまの答弁は、結局自分たちのおやりになることについては何らの反省がない。やはりあげて罪を弱い者にしわ寄せをして、そうして自分たちの責任は一つもとらないというやり方でございます。これでは了承することは断じてできません。きょうは、日を改めてまたこの問題をこまかく追及させていただくことをかたくお約束いたしまして、本日はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/173
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174・田口長治郎
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。
午後五時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X01719640310/174
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