1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月三十一日(火曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君
理事 田中 正巳君 理事 河野 正君
理事 小林 進君
伊東 正義君 大坪 保雄君
熊谷 義雄君 小宮山重四郎君
竹内 黎一君 地崎宇三郎君
中野 四郎君 西岡 武夫君
西村 英一君 橋本龍太郎君
藤本 孝雄君 松山千惠子君
粟山 秀君 渡邊 良夫君
亘 四郎君 伊藤よし子君
滝井 義高君 長谷川 保君
八木 一男君 八木 昇君
吉村 吉雄君 本島百合子君
吉川 兼光君 谷口善太郎君
出席国務大臣
労 働 大 臣 大橋 武夫君
出席政府委員
労働事務官
(大臣官房長) 和田 勝美君
労働事務官
(労政局長) 三治 重信君
委員外の出席者
専 門 員 安中 忠雄君
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三月三十日
生活保護法の一部を改正する法律案(八木一男
君外九名提出、衆法第三八号)
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律
案)八木一男君外九名提出、衆法第三九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
(内閣提出第八九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/0
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001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/1
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002・小林進
○小林委員 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案をお出しになったのでありまするが、この改正案を拝見いたしますると、大別いたしますと二つの点で改正が行なわれている。
一点は、三十四年にこの法律が施行せられて以来、三十六年に一回、このたび第二回目の改正が行なわれておるようでございまして、これは従来の法律の手直しが重点的に行なわれている、それが一点であります。
いま一点は、第五章が新しく追加せられまして、従来ない特定業種をこの法律の中に包含をして共済金を給付できるような、大きくいえば歴史的な改正、画期的な改正が行なわれている。この二点に特質があると思うのでございます。したがいまして、私もこの改正の二点を中心にして御質問を申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
実は、本日は参議院で予算が上がったり、午前中も種々の法案が審議せられて、労働大臣は、きょうは参議院へ行かれて衆議院のほうにはおいでにならない、こういう予定でありましたものが、はからざりしも出席をいただいておりまして、ややきょう一日の行事に計画のそごを来たしておるわけであります。特にきょうは厳格に定数制を実施して、ルールに沿うた委員会の運行をやっていただきたいと思います。定数のないときは、与野党を問わず直ちに休会に入るということをあらかじめ申し上げておきまして……(「委員長みたいなことを言うな」と呼ぶ者あり)当然であります。これは私も委員である以上は定数をよく守らなければならぬわけでありますので、この点でいきたいと思うのであります。
まず第一点でお尋ねを申し上げたいのでございますが、やはりこの法案を進めていく立場上最初にお尋ねいたしたいことは、日本の雇用労働者の実数は現在幾らかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/2
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003・三治重信
○三治政府委員 労働力調査によりますと三十八年の十二月で、雇用労働者の数は二千三百十八万人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/3
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004・小林進
○小林委員 二千三百三十八万じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/4
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005・三治重信
○三治政府委員 さらに詳細に申し上げますと、非農林業雇用者のうちで常用の労働者、それをいま申し上げましたが、それが三十八年の十二月で二千三百十八万人、臨時の雇用者が百五十三万人、農林業の雇用者が四十万人、非農林業の日雇い労務者が百三十一万人いうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/5
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006・小林進
○小林委員 次にお尋ねをいたしたいことは、その雇用労働者の中で一人から四人までの人員が幾ら、五人から九人、十人から十九人、二十人から三十人、三十一人から五十人、五十一人から百人、百一人から二百人までの雇用労働者の区分を承りたいと思うのであります。労働大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/6
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007・大橋武夫
○大橋国務大臣 政府委員から申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/7
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008・大橋武夫
○大橋国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/8
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009・三治重信
○三治政府委員 現在の統計からいきますと、規模別の統計につきましては労働力調査では出ておりませんので、ほかの事業所センサスのほうで申し上げます。一人から四人までが二百万四千人、それから五人から九人までが百七十二万四千人、それから十人から十九人までが二百一万人、二十人から三十人までが百二十三万二千人、それから三十一人から五十人までが百五十一万人、五十一人から百人までが百十八万四千人、百一人から二百人までが百十万六千人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/9
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010・小林進
○小林委員 そういたしますと、先般のわが党の吉村委員の質問にお答えがありました、一人から四人までのいわゆる共済契約の加入者が一万九千百九十四人とおっしゃいましたね。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/10
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011・三治重信
○三治政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/11
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012・小林進
○小林委員 五人から九人までの加入者が一万六千三百三十六人、十人から十九人までの加入者が一万四千八百四十三人、二十人から三十人までの加入者が六千八百七十九人、三十一人から五十人までが四千三百八十人、五十一人から百人までが二千五百八十八人、百一人から二百人までの加入者が四百三人とおっしゃいましたが間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/12
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013・三治重信
○三治政府委員 これは事業主でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/13
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014・小林進
○小林委員 被共済者のほうは一人から四人までが四万八千三百八十人、五人から九人までが十万二千百三十五人、二十人から三十人までが十四万九千四十三人、三十一人から五十人までが十五万一千六人、五十一人から百人までが十五万一千三十九人、百一人から二百人までが四万一千五百六十八人でしたね。間違いございませんな。——さようなことでいきますと、あなた方のいまのお話では一人から四人までのいわゆる雇用労働者が二百万四千人、そのうちでこの共済年金に加入している者がわずかに四万八千三百八十人、パーセンテージにしたら一体何%になりますか、御計算をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/14
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015・三治重信
○三治政府委員 いまの規模別のパーセンテージを申し上げますと、被共済者の割合は一人から四人が約二・四%、五人から九人が約六%、十人から十九人が約九・三%、二十人から三十人が約一二・二%、三十一人から五十人が約一〇・一%、五十一人から百人までが約三・九%、百一人から二百人が約三・九%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/15
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016・小林進
○小林委員 お尋ねいたしまするが、いま三治局長の説明のとおりでありまして、この数字を見てまいりますると、われわれがこの法律成立の当初から一番心配をいたしましたそのことが数字にあらわれておるのであります。この中小企業退職金共済法の真のねらいは、事業が不安定でいつ倒産するか知れず、そのときに裸のままで投げ出されて給料も満足にもらえないような、最下底における気の毒な労働者を守るためにこの法律をつくるのだという、これは立法の趣旨でありますからわれわれは賛成をした。それが立法の趣旨であるならば、三十人から五十人、百人から二百人のほうはあと回しにしても、一人から五人ないし一人から十人どまりのそういう方面に一番重点を置いてもらわなくちゃならないということを強く叫んだ。条件もおつけいたしました。ところがいまのお話によりますると、まさに一人から四人までのところで、二百万人からの雇用者の中で加入している者がわずかに四万八千人、パーセンテージにして二%。百人から二百人に至るまでの業種において、比率にすれば約四%の労働者を加入せしめているにもかかわらず、一番この法律のねらいとする零細なる企業の労働者は二%と少しであるというこの事実は、まさに法律のねらいが少しも生きていないという大きな証左じゃないかと私は思います。行政担当の最高責任者である大臣は一体これをいかようにお考えになっておりますか、所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/16
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017・大橋武夫
○大橋国務大臣 その点はお話のとおりでございます。そこで私といたしましては、この業務を担当いたしておりまする事業団に対しまして、大いに零細企業の労働者を加入せしむるよう、新たにくふうを加え、努力するように説示いたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/17
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018・小林進
○小林委員 三十四年にこの法律は施行せられて、三十六年の改正の要点は何かといえば、三十四年が百人と三十人であったのを、常用労働者数二百人以下、商業サービス五十人以下というふうに改正をせられて、法律の改正のたびに上のほうのワクだけを大きくしている。だんだんと零から小、小から中、中から大、中大企業のほうにこの法律を拡大していって、一番法律のねらいとする底辺のほう、いわゆる零細企業のほうに対しては、いまあなたがおっしゃるようにただ事業団あたりに勧告をしたか、忠告をされたか、口頭で申し込まれた程度で、この法律であなた方が守るという趣旨が一つも行なわれていないという点が、私どもはこの法律の改正に対して最も不満が大きいところであります。でありまするから、ほんとうに労働大臣がこうした零細業者に働いている雇用者を守るというお気持ちがあるならば、こんな二百人のワクを大きくして三百人にするとかあるいはサービス業者の人員をもっと大きくするとか、千円を二千円にするとかということよりも、優先的にこちらのほうにこそ私は何らかの手当て、改正を行なうべきではないか、かように言わざるを得ないのでありまして、そういう点に一体労働大臣として意を用いられるところがなかったのかどうか、いま少し具体的に言っていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/18
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019・大橋武夫
○大橋国務大臣 私は、この法律の施行上最も重要なる問題点は、ただいま小林委員の御指摘になりました零細業の関係労働者にいかにして普及させていくかということであると思っておるのでございます。そこでこれについていろいろ考えてみましたところ、従来労働省の行政機構の職分といたしまして、この法案の実施が労政局の担当になっておりますことは御承知のとおりでございます。しこうしてこの労政局の地方機関というものには、府県に労政課がございますが、その労政課は出先機関があまりございません。したがってこの制度を普及いたしますのには、労働基準監督署あるいは職業安定所というような労務関係の他の行政機関に全面的に協力してもらうことがどうしても必要だ、こう思っておるのでございます。そこでこの点につきましては目下関係者の間で具体的にどういうふうにしてこれらの機関に協力させていくかということを検討さしているわけでございます。明年度以降におきましては、こうした機関にも全面的に協力させることによって、零細事業関係の普及をはかってまいりたいと思ったわけでございます。しこうしてこのことは法律を改正するという問題ではございませんので、行政上の措置で欠点を補っていくということが大切なことだと思いますので、この法案の実施上一番大事な問題でございますが、法律改正のしょうもございません。したがってこの点は一応改正点には載っておらないのでございまして、その他の点が今度の改正案に載っておるわけでございます。私はこの改正案に載っております事柄も、本案の趣旨達成のためにいずれも大切な事柄であると考えておりますので、どうぞ小林委員におかれましてもその点を御理解の上御協力をいただきますと同時に、小林委員の指摘されました点は、私どもも最も大切な点であると考えまして、労働省の全省をあげてただいま策を練り、また誠意をもってこれを推進いたしたいと考えておるような次第でございます。この点もあわせて御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/19
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020・小林進
○小林委員 これは重要な点でございますので、まだとの質問をここでほこをおさめるわけにはいきません。将来やはり労働行政をこの点にくぎづけをして、もっときめのこまかい施策をしてもらうためにさらにお伺いいたしたいのであります。
いま申し上げました一人から四人、百一人から二百人、この区分における労働者の定着の状況をお聞かせ願いたいと思うのであります。労働省の御報告によりますと、こういう中小企業の退職金共済に加入しております労働者の定着年数は六・三年とかいうような報告が出ているようでありますが、これも規模によって定着している年数はそれぞれ違うはずであります。その定着年数を規模別にひとつ御報告願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/20
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021・三治重信
○三治政府委員 企業規模別に、関係のところだけの平均勤続年数について申し上げます。
十人から二十九人のところで四・二年、三十人から九十九人で四・三年、百人から四百九十九人で四・七年、百人から二百人の規模の勤続年数別の統計がございませんので、百人から四百九十九人で御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/21
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022・小林進
○小林委員 私が特に聞きたいのは、一人から四人、五人から九人、十人から十九人までにおける勤続年数の平均を承りたいのであります。企業が大きくなればなるほど定着年数、勤続年数が長くなるというのがわが日本の労働者の長いしきたりであります。小さい規模ほど定着年数は短いし、不安定な雇用状態になっているはずでありますから、それを私はお尋ねしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/22
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023・三治重信
○三治政府委員 残念ながら、この規模別の勤続年数につきましては、十人未満は現在まで調査されておりませんので、その関係はわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/23
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024・小林進
○小林委員 こういうことも早急に私は調査しておいていただきたいと思います。重要な資料でございますから。私どもの一人から三十人までの大ざっぱな調査資料によりますと、一人から三十人までは三・八年というふうな数字が出ているようでございますが、これは大ざっぱなものでございますので、もっとこまかくやっていただきたいと思います。これはずさんな数字でありますけれども、全産業の平均の勤続年数は六・三年、これは人員に制限はございませんけれども、そういう統計です。その中で一人から三十人までの勤続年数は三・八年、こういう状態であります。労働省のほうの数字もまだざっぱくなものでございますから、こういうものもひとつきめのこまかい数字を出していただくことにいたしまして、そのような状態の中にいる零細企業における雇用者に対して、労働大臣は法律改正の問題ではないから、これは出先の労働基準監督署なり職業安定所なりを協力せしめて行政的に処置していきたいとおっしゃいましたが、労働大臣の立場としたら、こういう中小企業退職金共済法の一部改正法律案などをお出しになる前に、しばしば言明していられるように、五人以下のこうした零細企業における労働者の強制的な健康保険やら労災問題やら失業保険の問題等を処置していかれるのが私は労働行政としては先じゃないかと思うのであります。そっちのほうをどうもお進めにならないで、こういうふうな大幅な共済金の改正をおやりになっていこうとするところに労働行政の本末転倒のやり方があるのではないか、かように考えるのでございまするが、一体なぜこの強制的加入の問題等われわれが多年要望している問題を先に取り上げられないのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/24
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025・大橋武夫
○大橋国務大臣 五人未満の事業所における失業保険並びに社会保険の適用につきましては、すでに当委員会におきましてもたびたび申し上げておりますとおり、労働省といたしましては急速にこれが実施に進む方針を決定いたしておるのでございます。ただ事柄の性質上直ちに実施するということは困難でございまして、昭和四十年度より実施するという目途のもとに、今年の予算におきましても、これが準備に必要な経費をお願いいたしておるような次第でございます。今回のこの中小企業退職金共済法一部改正案のねらっておりまするところは、さような問題ではなく、やや規模の大きな事業という方面になっておることは事実上否定いたしませんが、しかしながらこれは本末を転倒しておるというのではなく、すでにもとのほうはもとのほうで着々とやっておるのでございます。本末並行いたしておるのでございます。御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/25
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026・小林進
○小林委員 先ほどからもこまかく計数で私どもが調べてまいりましたように、一人から四人までの労働者が二百万人いる。この二百万人の労働者には失業保険もなければ社会保険もない。まして私がこれから質問をしようとする最低賃金の保障さえもない。全くこの中に投げ出されている諸君のうち、わずかに四万八千人だけにこの退職金共済金一口二百円の月掛けの金を集めてくれたところで、これがほんとうの労働者の保護政策になるかならぬかという問題を私はお尋ねしておる。この人たちが一番不安定なんだから、ほんとうにこの諸君にいま少し国のあたたかい行政をやろうとおっしゃるならば、四十年度だの、研究中だのとおっしゃらないで、われわれは数年前から、この問題を強制的に社会保険にも失業保険にも応用すべきだ、特に最低賃金法の実施などは十年前から言っているのですから、これを数年前にやっていただければこんな共済年金などというものをおやりになるよりは労働者に対してもっと血の通ったあたたかい労働行政ができたではないかということを申し上げておるのでございまして、今日数年前の労働行政をながめて、私をして言わしむれば本末並行ではなく、まさに本末転倒の労働行政であると言わざるを得ない。私はそういうことを言っているのでございまして、本末並行であるとは考えられないのであります。しかし本末並行であるとおっしゃるならば労働大臣にお尋ねいたしますが、なぜ一体こういう零細企業の中にいる労働者の賃金を保障する施策を先におやりにならないのか、全国一律の最低賃金法を実施しないのか。ストライキをやる権利もない、団結をする権利もない、何の力もなく投げ出された人たちに対してなぜ幾つかの柱の中のその一本の柱さえも与えようとなさらないのか。特に最低賃金法を実施してこそ私はこの人たちの身分が一番安定すると考えている。お尋ねいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/26
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027・大橋武夫
○大橋国務大臣 現在最低賃金法という現行法があるわけでございます。しかしこの現行法につきましては、その立法当時の経緯にかんがみまして、今日まで主として業者間協定の方式によって最低賃金を定めるということが行なわれておりまして、職権方式による最低賃金の決定はほとんど行なわれておらなかったのであります。そこで私といたしましては、労働省の諸君の意見も十分に聞きまして、就任以来この業者間協定の方式を主体といたしました現行法を改正していく、そしてヨーロッパ並みの最低賃金法をつくり上げていくということが必要であると考えまして、その線に沿うてできるだけの努力を払ってまいったような次第でございます。すなわち現行法の運用といたしまして、今回最低賃金審議会におきましても職権方式を大幅に採用しということに相なっておるわけであります。これによりまして今後は御心配になっておりまする五人未満の零細企業等につきましても、必要に応じて最低賃金を定めて、低賃金労働の絶滅に資することができる次第であります。しこうして、かように職権方式をも交えて最低賃金の普及をはかりまして、三年間の実績によって法の改正に進もうというのが現在の方針に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/27
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028・小林進
○小林委員 問題は退職金共済法案の審議の過程でございますけれども、たまたま最低賃金法に対する大臣の御答弁が出ましたから、この際ついでに聞いておきたいと思いまするけれども、一人から四人、五人から九人までの間における雇用労働者に対して、いま政府が実施をしておりまするいわゆる業者間協定に基づく最低賃金法がどれだけ実行せられておるか。一人から四人が二百万人、五人から九人が百七十二万人、この中の何%の人たちが、私どもの言うにせの最賃法、政府の言う業者間協定に基づく最賃法が実施をせられておるか、この際参考までにお尋ねしておきたいと思います。
なお、いま一つお伺いいたします。その問題と同時に、大臣はいま職権に基づく賃金協定も進めながら三年間の経験を重ねてその後に法改正をやりたいとおっしゃいましたが、それと並行いたしまして、私はいま新聞の切り抜きを持ってまいりませんけれども、四、五日前の新聞紙の報道するところでは、労働大臣談話として、現在の最賃方式を一年以内に改めたい——これは何か総評ですか、中立労連あたりの労働者代表とお会いになったときの談話のように私は拝見したのでありますが、一年以内に改正するような方向に持っていきたい、そのためには労働組合の代表とも月に一回くらいずつこの問題に関して会談を進めていきたい等々の内容を主とした談話が発表されたように私は記憶しております。もしそれが事実であるとすれば、この際その真相をつまびらかにお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/28
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029・大橋武夫
○大橋国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、昨年暮れに中央最低賃金審議会が答申を出しておられまして、その答申の趣旨は、先ほど私が申し上げましたとおり従来業者間協定を中心に運用してきた最低賃金制度を今後は職権方式をも含めて進めていく、その実績に徴して三年程度で現在の方式について根本的な再検討をしよう、こういうことでございました。これに関連して、春闘に際し、ちょうど最低賃金制の獲得ということが闘争目標に相なっておる次第でございまして、三月の二十七日がたしか統一行動日だったと存じますが、そのときに総評の太田議長、岩井事務局長などを含む代表がお見えになりまして、いろいろこの問題について協議をいたしたわけでございます。そこで組合側の御要望は、その線でいいけれども、何とかその三年をもう少し繰り上げてもらうわけにいかないかというようなことがございましたので、私もできるだけ進度を早めるようにして、せめて一年くらいは短縮するようなことも考えたい。すなわち明年の末に召集されまする通常国会の会期中に法案が提出できるようにいたしたいということを申した次第でございます。しかし御承知のごとく、最低賃金の制度は労使間の問題でございますから、この制度の立案にあたりましては、労働者の意向も十分に聞き入れますと同時に、使用者側の意見をも十分に取り入れまして、円満にこれが取り運ぶよう、労働省としてはできるだけ努力をいたしたいと思っておるわけでございます。したがいまして、そういう意味で今後最低賃金法の改正問題について、必要があれば定期的にも組合側の代表とお話し合いを進めたい、かように申したわけでございまして、ある時期において使用者側の代表ともこの問題についてお話し合いをいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/29
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030・三治重信
○三治政府委員 最低賃金の適用を受けている規模別労働者数はいま手元にありませんけれども、たしか規模別で最賃の適用労働者数はとっていないと思いますが、あとでまた調べて御報告申し上げますが、現在三十九年二月末の統計によりますと、適用労働者数が二百八十七万一千人と相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/30
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031・小林進
○小林委員 私は二百八十七万一千人という加入労働者の数をお聞きしたいのではないのでありまして、その二百八十七万人の労働者がどういう規模の企業の中に所属しているかという、その区分をお聞きしたがったのであります。いま資料がないとおっしゃいますならば、早急に作成して、重大な資料でありますからお聞かせ願いたいと思うのであります。
委員長、いかがでございましょう、定数がないようでございますが、ちょっと休みましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/31
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032・田口長治郎
○田口委員長 小林君、質問をお続けください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/32
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033・小林進
○小林委員 それではこの際、参考までにお尋ねをいたしておきたいのでありますが、中小企業退職金共済審議会のメンバーは十五名でございますが、その十五名のメンバーの構成をお尋ねいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/33
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034・三治重信
○三治政府委員 退職金共済審議会の委員は学識経験者となっておりまして、普通の労働関係の審議会のように労使、公益の三者構成にはなっておりません。しかし、学識経験者ということでありますが、労働組合の中からの学識経験者としては、各組合別に、十五名の中に四人の方が出ておられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/34
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035・小林進
○小林委員 私はこの審議会の構成に対しても若干の異論を持っておりますが、既成の事実の中に名前をあげて云々するのもどうかと思いますので、きょうのところはやめておきますけれども、この構成に対しては異論があるということだけを速記録に残しておきまして、将来いずれこの問題をあらためてやる機会があると思いますので、あえて申し上げません。
次にお尋ねをいたしますが、このたびの法案審議の中の第一点の改正の点といたしましては、二百人を三百人にする、千円を二千円にしたというところにあると思うのでありますが、どういう経緯でこの中小企業の範囲を二百人から三百人にお引き上げになったのか、承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/35
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036・三治重信
○三治政府委員 今回の改正についてわれわれが考えましたのは、各方面、ことに中小企業の団体、商工会議所という面から再三にわたって法改正の要望がございました。これらの問題、要望のあった点をずっと拾い上げて、問題点としてこの審議会におはかりしてその問題点を整理した結果、このような答申が出た。その答申によってわれわれは改正したというのが一通りの筋でございます。中小企業者の範囲の拡大についての問題も、おそらくこれはそういう陳情というものは昨年の中小企業基本法の成立によって刺激されたことと思います。われわれも中小企業基本法によりまして中小企業者の範囲が大体において明確になった、そういうことからいってあの基本法が政府においても中小企業者を基本法の範囲のもとにおいて、それぞれ各方面から政府も施策を進めるようにというふうな法になっておるわけでございまして、そういう趣旨からいってわれわれのほうの中小企業退職金共済事業におきましても、中小企業者の範囲を三百人までに上げるということが適当だ、これは審議会においてもいろいろ議論がございましたけれども、全会一致でお認めいただいた、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/36
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037・小林進
○小林委員 その点なんです。その点が審議会のメンバーに対しても私は若干意見を申し述べたいという点であります。この問題は三十六年の改正のときにも一番論議された重点であります。その重点のときに当時の労働大臣は石田博英大臣であります。当時の労政局長は富樫さん、その富樫さんは三十六年の三月の二十二日に、この改正法の審議の際にこういう答弁をしている。「審議会の経過の中におきましては、三百人までという御意見もあったようでございますが、そこまでは少し行き過ぎだ、統計から見ましても、現在自前で半分の制度がないというところで、二百人まで門戸を開放することがまずまずいいところではなかろうか、」こういう答弁をしておる。われわれは二百人でも多過ぎるんじゃないか。もう二百人以上の企業家になったら退職金くらいは自前でやるんだ。何も政府や行政の面で心配してやる必要はないんじゃないか。一人歩きのできないものをめんどうを見なければならないということで、この論議がかわされておる。そのときに労政局長もそのとおりだ。それは審議員の中でも三百人にしたらどうかという意見はあることはあったけれども、それは行き過ぎだということで二百人まで開放したんだと言われておるにもかかわらず、まさに二年もたたないうちに審議会自体が全部意見をくつがえされて全会一致で三百人を承認したわけですよ。こういうようなことはわれわれに言わせれば朝令暮改、まことに大きな企業家あたりにけつをはたかれて、一つのひもつきの審議会ができ上がっている結果にほかならぬという、そういう勘ぐったものの言い方も実際はしたくなる。でありまするから、私どもはやはりこの三百人は多過ぎると思う。三百人くらいは二百五十人や二百人以上、雇用しているものは、あくまでも人を使っているからには退職金をくれるのはあたり前だ。自前でやるべきだと私は思う。何もこの中に含めて国がめんどうを見る必要はないと私はかように考えます。これは労政局長の意見ではなしに、労働大臣の意見をひとつ承りたい。特にあなたのときに、石田君もそういうふうに言っておる。二百人まで開放したのだと言っておるのを、二年もたたないうちに中小企業基本法で、企業のワクが少し広げられたからそれを受けて立つというような、そんな形式的な論争でわれわれを説得しょうといってもわれわれは納得するわけにはいかない。われわれが納得するような正当な理論を頭脳明晰な労働大臣から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/37
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038・大橋武夫
○大橋国務大臣 石田労働大臣の御在任期間は二年前とおっしゃいましたが、もう四年くらいになるのではないかと思います。二度目のときは池田内閣ができました当時でございますので、三十六年ではないかと思います。その後日本の経済は御承知のように非常に進んでまいりまして、生産の方面におきましても三割以上増強いたしておるような次第でございます。経済の規模も変わってまいったのでございます。したがいまして中小企業として考えていかなければならない事業の範囲もやはりそれだけ上になってきたのじゃなかろうかと思います。昨年できました中小企業基本法におきましては、三百人までの人を使っておるものは中小企業である、こういうことに取り扱われておるのであります。この中小企業退職金共済法も中小企業の退職金の立法でございますので、こうなってまいりますと、中小企業退職金共済法と言っておきながら、中小企業基本法できまっておる中小企業の中で抜けるものが出てくるということになると、これは名実伴わなくなってくるわけでございますから、やはりこの際中小企業基本法に平仄を合わせていくということが当然ではなかろうかと存ずるのでございます。すなわち、当時石田大臣の言われました御説明を否定するわけではございませんが、時世の進展によりましておのずから妥当な範囲が拡大してまいっておる、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/38
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039・小林進
○小林委員 時代の進展に基づいて中小企業の範囲も拡大をしていくという御答弁は、私は現時点においてはちょうだいしかねるのであります。やはり企業の二重構造があって、時代は進展していっても、その底に沈んでいる一人から五人、五人から九人、九人から十九人までというこの零細な企業者の生態がそのまま残されている限りは、この二重構造の形がそのまま残されている限りは、私は中小企業の上だけを拡大していって、保護政策をだんだん上のほうにだけ強めていく考え方にはどうしても賛成できません。できませんからこの法案の最後の仕上げに至るときに私どもの態度を明確にすることにいたしまして、次に質問の問題を延ばしてまいりますが、いまのワクの拡大の問題を含めて、中小企業退職金共済審議会の答申を一体政府は正しく尊重せられたかどうか、この点を一点お伺いをいたしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/39
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040・大橋武夫
○大橋国務大臣 労働省といたしましてはこれを十分に尊重いたして立案いたしたのでございますが、ただ答申の中で補助金に関する部門は、大蔵省との意見調整がつかないために、残念ながら割愛せざるを得なかったような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/40
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041・小林進
○小林委員 答申を尊重せられるというならば、この答申の中にはいろいろのことが行なわれております。いろいろのことが行なわれておりまするけれども、これはやはり先ほどから申し上げましたように、この答申の重点は、第五章を設けて、特定の業種にこの退職金制度を適用するような形にした、これは大きな改正の要点だと思うのですが、もう一つの改正の要点は、この答申の第三に行なわれている「給付に対する国の補助について」というこの項目が、この答申の重点になっておると思う。「中小企業者に対し、本制度を一層魅力あるものとするため、退職金についての国庫補助対象部分を引き上げ、掛金月額のうち五〇〇円までの部分について国庫補助の措置を講ずるとともに、補助率の引き上げ(掛金納付月数五年以上一〇%、十年以上一五%)についても配慮すること。」という、これが私は、この答申の最重点でなければならぬと思う。これが一体いかに尊重せられて本改正法案の中に生かされているか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/41
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042・大橋武夫
○大橋国務大臣 先ほど申し上げたことでございますが、ちょうど小林委員におかれましては、他の所用のためにお聞き取りをいただけませんで、まことに残念でございますが、重ねての御質問でございまするので、重ねてお答え申し上げます。
その点につきましては、私どもも、それがこの答申の一番大事な点だと存じまして、ぜひ実現いたしたいと思ったのでございまするが、大蔵当局との間に、どうしても意見の調整がつきませんでした。そうかといって、それが実現できないために、この際、他の改正をも全部断念することもまことに残念でございまするので、その点は今後に残すことといたしまして、それ以外の点をこの際改正していただこうということにして提案をいたした次第でございます。したがって、御指摘の点は、なお将来、時期を見て答申の実現に努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/42
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043・小林進
○小林委員 まことに私は残念でございまして、この中小企業退職金共済法の本質のねらいとするところが全部はずされている。どこに一体この改正の中心があるのかといえば、二百人を三百人に拡大をして、大きな企業にだけ恩典を与えるという、そういう点に重点が置いてあるとしか思われないのでありまして、中小企業退職金共済法ではなくて、「小」を取って「中」だけにワクを広げていっただけの改正じゃないかといわざるを得ないのです。ほんとうに改正してくださるならば、あなたのさっきおっしゃるように、時代の進展とともに、企業の形も変わってくる、もはや二百人を三百人まで中小企業のワクの中に入れなければならないとおっしゃるならば、たった二百円——二百円の部分について五%や一〇%のそんな補助金の涙金なら、それと同時に、その二百円を五百円、千円まで上げて、それに五%、一〇%のワクをきめるというならば、初めて、その時代の進展に適合した改正であると私は思う。そうじゃありませんか。あなたのおっしゃった先ほどの理屈ですよ。中小企業の範囲は、これまで時代とともに変わってきたんだとおっしゃるならば、その四年前の二百円をいまも二百円そのままにして、その二百円部分に、三年もかかってたった五%だけ国の補助金をつけてくれる、十年も掛け金をしてきて、それにわずかに一〇%の補助金をくれるなんという、こんなみみっちい点を少しも改正せられないなどということは、この法律を改正した意味がないと思うのですよ。大臣いかがでございますか。これこそ時代の進展に適合して、私は早急に改正しなければならぬ重点だと思うのでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/43
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044・大橋武夫
○大橋国務大臣 私は、法律の改正をするといっても、一挙に完全無欠までいってあとは何年間も改正しないでよろしいというようなことはなかなかむずかしいのではないか。やはり十の改正の問題点があればそのうち五つでも六つでもやっていく、残ったものはまた来年、さらに残ればまた来年、絶えず法律をよくしていくということのためには、役所の続く限り努力を重ねていくという態度でよろしいのではないかと思うのでございます。今回、五百円までの部分についての補助金が実現できなかった点はまことに遺憾でございまするが、しかし労働省といたしましては、財政当局に対して今年度いろいろ新しい要求もいたしておるのであります。これらの要求が全部はできないというような場合もあるのでございまして、私は、残ったこの問題が将来ある時期にある機会を得ればまた実現できることもある、それをあきらめずに努力してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/44
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045・小林進
○小林委員 私は、法律を一挙に改正していただきたいということを申し上げたのじゃないのでありますが、この法律の立法の趣旨からいえば、元来、将来の退職金のために国が幾らかの手伝いをしてやろう、そうして中小零細企業につとめている労働者の退職後の将来の安定をはかってやろうというのがねらいならば、この点にこそ改正の重点を置くべきではないか。私は、いま一挙に改正しようとするんじゃない。三十四年にこの法律が成立して、三十六年、三十七年と二回も改正をおやりになった。その改正のときの改正点がいつでも、中小企業のワクだけ大きくして、大企業のほうを救済するような方向にばっかり持っていって、その一番重点の、三十四年にきめた、掛金月額たった二百円の部分に国が五%だけつけていくという、このみみっちいところだけは一つも改正にならない。三十四年そのまま据え置き——もっとも、制定当初は五年以上五%の補助を、三十六年に、三年以上五%にして、二年だけちょっと縮めたという、スズメの涙もいかぬくらいな改正をしただけであって、その二百円の部分に五%国が補助金を出してくれるという、その一番大切なところは、三十四年から据え置きじゃありませんか。いま労働賃金の場合は、春闘の中で、労働賃金が安いということを言っておりながら、その労働者の賃金だっていま、一〇〇のものが一六〇なり一七〇に上がっているというさなかにおいて、これはすべての物価がそれ以上に上がっているのです。物価はばんばん上がっている。大根だって二倍にも三倍にもなっている。理髪料金だって上がっている。ひとつどんなに上がっているか、この資料をお見せしてもいい。物価のそういう値上がりの中に、中小企業の零細な企業家が、その血の出るような金で納めている二百円、千円を納めようと、二千円にしようと、政府が補助金をくれるのは、元金のたった二百円の部分だけで、その二百円の部分に五%の補助金を出すというそのワクを、四年も五年も六年も据置きにして、法律制定当初のときから何も変えないということ、一体そんな残酷な法律改正がどこにありますかということを言っている。私の申し上げていることに無理がございましょうか。せめてこの点ぐらいは、ほかの手直しをされるついでに、幾らか手直しされてもいいのじゃないか。ましてや、この審議会までも、こういう物価高の世の中だから、せめて掛け金のうち五百円までの部分について五%ぐらいの補助をするようにしたらどうかという答申まで行なわれておるのであります。尊重するとおっしゃるなら、こういう点をこそもっぱら尊重してもらわなくちゃならぬ。私は、一挙にやっていただきたいというのじゃありません。三十四年から続いているのでありますから、せめて今度の改正ぐらいには、それをやっていただいてもいいのではないかということを申し上げておるのであります。大臣、もう一回ひとつ御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/45
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046・大橋武夫
○大橋国務大臣 私どもも、その改正をやってもいいどころか、改正をぜひやりたいと思っておったのであります。今年は予算編成の都合等もあるとみえまして、どうしても大蔵省との間に話し合いがつきません。そのために、他の改正を断念することも不本意でございますので、妥協のつかない点は後年度にこれを実現することにいたしまして、話のついた点だけでもこの際改正をいたしたいというのが、提案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/46
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047・小林進
○小林委員 この法律を修正することは、予算を伴うことでありますので、私どもそう無理なお願いをするわけにいきません。幸いに大臣は後年度とおっしゃいましたから、後年度といえば四十年度、四十年度からは確実にこの掛け金五百円に対して国の補助金をつけていただけるものと、私どもはそういうふうに理解をいたしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/47
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048・大橋武夫
○大橋国務大臣 私は四十年度の予算要求の中にぜひこれを含めて、そうして強力に要求をしたいということを申し上げたのでございまして、最終的な結論は大蔵大臣と協議しなければ、この場合に申し上げるわけにまいりませんし、また大蔵大臣としても、現在の段階で明年度の予算について言質を与えるということは困難であろうと存じます。したがって、きょうの答弁といたしましては、政府はこの問題につきましても断念しておらない、今後も努力するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/48
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049・小林進
○小林委員 この問題もまた審議の過程に再質問することにいたしまして、留保いたして次に進みたいと思います。
次は積み立て金の運用について若干お尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、この資金の運用の実際をひとつ承っておきたいのであります。特に五十三条の三項による資金運用部に対する預託金は一体どれくらいになっておりまするのか、お聞かせを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/49
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050・三治重信
○三治政府委員 現在、三十八年の十一月末の余裕金の運用状況でございますが、合計で九十一億、資金運用部の預託金が五億五千四百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/50
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051・小林進
○小林委員 次にお尋ねいたしたいのでありますが、資金運用部に預託する金というものは、これは法律もありまするからですけれども、削除して、この必要はないのじゃないかと私は考えます。いかがでございましょうか、労働大臣から御見解を承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/51
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052・大橋武夫
○大橋国務大臣 これは法律できまっておりますので、どうも必要ないというわけには——法律上の必要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/52
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053・小林進
○小林委員 私のお尋ねいたしますことは、この法律の五十三条の三項を、このたびの改正で削除されたほうがよろしいのではないかということをお尋ねしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/53
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054・大橋武夫
○大橋国務大臣 どうもこうした資金につきましては、大蔵省のほうで預金部資金にぜひ入れさせたいというのが長年のお考えでございまして、今度は還元融資の点でその例外を認めるようになったわけでございますが、今度の例外を認めさせるだけでもなかなか骨が折れたのでございます。この五十三条の三項をやめるというようなことは、ちょっといまのところ思いも及ばないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/54
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055・小林進
○小林委員 この点も私ども反対であります。こういう金は労働者に与えられた金でありますから、つとめて労働者の福利厚生の方向にそのままストレートに使うのがほんとうだと私は思っております。
次に、同じくこの資金の問題についてお尋ねしたいのでありますが、現在この百億に近い積み立て金をどこに一体預託せられておるのか、その掛け金等の金融機関における収納状況をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/55
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056・三治重信
○三治政府委員 収納状況といいますか、各金融機関別でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/56
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057・小林進
○小林委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/57
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058・三治重信
○三治政府委員 都市銀行、信託銀行、地方銀行、相互銀行、商工中金、信用金庫、それから信用組合、労働金庫、そういうふうになっております。三十八年十一月までの全部の累計でいきますと、都市銀行が三十三億四千三百万円、信託銀行が七千二百万円、地方銀行が三十二億六百万円、相互銀行が六億三千七百八十万円、商工中金が三億五千三百万円、信用金庫が十二億四千三百万円、信用組合、二億九千百万円、労働金庫、二百十万円。端数は若干切り捨ててございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/58
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059・小林進
○小林委員 私はこの問題について特にお伺いいたしたいことは、この取り扱いです。金融機関の取り扱いについて、私ども労働金庫もつとめてこれを活用するようにということをしばしばお願いをしてきたのでありますが、ようやく一応労働金庫を一つの窓口にはしてもらったけれども、いまのお話によれば、都市銀行が三十三億、地方銀行は三十二億、あるいは信用金庫は十二億というふうな、多額の金を扱っているにもかかわらず、労働金庫はわずかに二百十万円。どうして一体この労働金庫の取り扱いの金額がかくも零細なのか、この関係です。この取り扱いの金融機関別の内容をいま少し納得のいくようにお聞かせを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/59
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060・三治重信
○三治政府委員 これはやはり各中小企業者が取引先の銀行を払い込みに利用しておるというのが、こういう結果にあらわれた第一の原因であろうと思います。したがって中小業者において労働金庫と取り引きするということがきわめて少ないということだろうと思います。労働金庫そのものも、その本来の趣旨からいけば、労働組合と労働者の団体を会員として、その預金、貸し出しを取り扱うものであります。原則として事業主が取引先になるということは法が予想していないものであるとともに、実際のこういう金融機関を利用する事業主といたしましては、いま申し上げましたように大体地方銀行なんかが多いというのは、まさに中小企業者そのものの実態をあらわしている、そう特別な、特異な現象ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/60
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061・小林進
○小林委員 こういう金融機関の指定等については、労働省が行き過ぎた干渉をせられることもどうかと思いますので、中小企業の預託をする人たちの自由意思にまかせていく、その点はあるいはそれでいいかもしれませんが、しかし何といっても労働者の利益のためにある金なんですから、そこはひとつ、一万二千もある代理店の中に、労働金庫ももっと積極的にこういう金を扱えるように、干渉にならざる程度の適正な指導をしていただかなければならないと思うのでございます。
この際、お伺いいたしておきたいのでありますが、事業団の構成をごく簡単にお聞かせを願いたいのであります。特に理事長や役員人事等でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/61
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062・三治重信
○三治政府委員 事業団の役員の構成は、理事長と理事四人、それに監事の二人、職員は本年度で百八十七人、三十九年度で増員もございますので、定員として二百五人というふうになっております。機構といたしましては、総務、業務、経理、広報の四部がございます。なお理事長は前労働次官の冨樫さん、それから総務部担当の理事が海老塚さん、これは労働省出身でございます。業務部担当の黒田さん、通産省出身でございます。それから経理部担当の照田さん、これは大蔵出身でございます。それから広報担当の宮島理事、これは労働省出身でございます。監事の小岩さん、これも労働省の出身、それからもう一人は谷口さん、大蔵出身でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/62
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063・小林進
○小林委員 そういたしますと、この事業団の役員は、理事長が冨樫さんで、これは労働省の前の事務次官、理事は四人で、そのうちの二人が労働省出身で、一人が通産省、一人は大蔵省出身でいらっしゃる、監事二人のうちの一人は労働省、一人は大蔵省、こういう構成になっておる。民間出身の有識者は一人もいないということでございます。労働大臣、この前も申し上げましたが、労働省や厚生省に下部機関がないから、役人をおやめになって天下っていく公社や事業団をおつくりになりたいというお気持ちはよくわかる。わかりますけれども、どうもこういう人事は不明朗でおもしろくないということを申し上げたのでありますが、今通常国会でも、この前も申し上げたように、私どもは四つの法案を上げてまいりました。厚生、労働で四つの法案を上げたが、これは四つとも全部、裏を返せば、お役人がおやめになって入っていくポストに関する法案だけです。私ども、どうもこれは、国会を開いたはいいけれども、委員会で、役人が落ちて行かっしゃるポストづくりだけを百五十日の間やらせられているのじゃないか、こういう錯覚におちいらざるを得ないのであります。これは私は実に不愉快千万なんであります。大臣はこれに対して、広く民間人も含めて、いま少し幅のある事業団の運営等をお考えになる余地はないものでございましょうか、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/63
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064・大橋武夫
○大橋国務大臣 もともと政府機構から独立しました事業団というものをつくり、これにこの種の事業を運営さしていくという機構は、人事の面におきまして小林委員の言われましたごとく、民間の人材を十分に活用していく、そうして腕をふるってもらうという趣旨であることは申すまでもございません。したがって、私は、ただいま小林委員の言われましたお考えには全面的に賛成でございます。ただ先般理事長が更迭をいたしまして、官界の前歴者が就任をいたしたのでございますが、この点は先ほど私も申し上げましたごとく、この中小企業退職金共済事業団の仕事の性質上、ただ府県の労政課あるいは労政事務所ばかりでなく、できれば労働基準監督署あるいは職業安定所というようなものにも全面的に協力してもらうというような方法をも考えていかなければ、なかなか零細企業に普及が困難である。ことに労働省といたしましては、来年度以降におきまして失業保険制度の五人未満の事業所への適用も考えておるような状況でございますので、これにつきましてもまた新たな所掌機関が必要となるでございましょう。ここ数年はこうした労働省の末端機関との業務上の連絡を十分にしていく、その基礎づくりをぜひやっていくということが業務の成績をあげる上からいって必要だと思いまして、特にその便宜を考えましてただいまのような人選をいたしたような次第でございまして、これがこの事業団の恒久的な人事の考え方であるというふうに思っておりません。全く事業を発展させるための、一時的な、便宜的な人事である、かように考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/64
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065・小林進
○小林委員 この問題はこの委員会だけで論ずる問題ではございませんで、あるいは他の委員会、特に議運等も含めて国会全般で真剣に討議されなければならぬ問題でございますので、これに対する質問はこれだけで留保いたしておきますが、ついでといっては悪いのでありますけれども、役員の話が出ましたからここで申し上げておきますが、今度、三十五条の改正の中に「次の一項を加える。」ということが出ております。その一項によりますと、「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は理事長を通じて労働大臣に意見を提出することができる。」こうなっております。この「理事長を通じて」ということは、この条文だけではありません、これは前の審査官のときにも、監事の通告、意見については監事みずからが主管大臣に意見を述べることができるというふうに改正されましたが、これは前例にならってこの法律も当然修正をされなければならぬと思いますが、これはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/65
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066・大橋武夫
○大橋国務大臣 その点は、国会におきまして類似の法案について御処理になりました事例があるわけでございます。これに従って修正されることについては、政府もむろん異論のあるはずはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/66
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067・小林進
○小林委員 この点だけは完全に意見が一致いたしました。第一点の修正点は、粗雑な質問でありましたが、これで終わったことにいたしまして、第二点の改正点の問題にひとつ御質問を移していきたいと思うのであります。
この改正点の第二点は、退職金共済契約、先ほど申しましたように第五章を設けて、特定業種の退職金の共済制度をおつくりになったということでございますが、この特定業種に関して一体政府はどういうような業種を予定せられておるのか。新しく挿入せられた条文に基づきますと、第二条の第四項でありますか、あるいは六十二条ですかの規定には、労働大臣の指定する云々ということばがあるのでございますけれども、一体労働大臣はどういう業種を指定せられるお考えであられるのか、承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/67
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068・大橋武夫
○大橋国務大臣 これは当面建設業だけを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/68
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069・小林進
○小林委員 当面建設業だけを予定せられる、それならばこういうややこしい条文の書き方をしなくても、特定業種云々だの労働大臣の指定云々と言わないで、建設業とまっこうから打ち出してみたらどうなんですか。ぼくはそのほうがいいと思いますけれども、いかがでございましょう。明快に、こういう思わせぶりなものより、法文のていさい上そのほうが私はいいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/69
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070・大橋武夫
○大橋国務大臣 さしあたりはそれでも差しつかえないわけでありますが、何ぶん技術革新など目まぐるしく産業界の状況も変わる時代でありますので、一応かような原案のような姿にいたしておきまして、将来に備える考えがあったわけでございます。そうかといって、それじゃ現在の段階で建設業以外の何かが具体的に考えられるかというと、それはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/70
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071・小林進
○小林委員 どうも将来に備えてこうやっておくとおっしゃるのでございますから、将来やはり何か予定せられる業種がなくてはいかぬ。将来何を予定せられるかと言ったら、それはいまのところはわからぬということですが、これはどうも幽霊見たり枯れ尾花だ。何もないものを予想して、こういうもったいぶった法律のていさいをおつくりになるということは、よく天下の政治を行なう者の正しい姿勢じゃないと私は思う。幾らかでも将来予想せられる業種がある、予定せられるものがあるというなら別でありますけれども、将来化けものが出てくるか、枯れ尾花が出てくるか、幽霊が出てくるかさっぱりわからない。あるいは出ないかもしれない。そういうものを予定してこういうような法ていさいを設けるということは、実に行政のあり方、私ども法律をつくる者の立場からも、私は非常に無責任な、ひきょうなやり方だと思いますが、大臣いかがでございましょうか。あなたは法律のほうは専門家でいらっしゃる。弁護士もおやりになっておる。大臣をおやめになれば、あるいは国会議員をおやめになれば、直ちに弁護士を本職におやりになるだろと思いますが、こういうような不確定な法律のつくり方は、私はこれはとるべき態度じゃないと思う。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/71
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072・大橋武夫
○大橋国務大臣 法律上の議論につきましては、私は専門家でございますのでいろいろ考えはありますが、そういうことはまた他の機会に譲ることにいたしまして、ただいま小林委員の仰せでございますが、この条文が全然対象を考えずに無意味に規定されたわけではございませんので、先ほど来申し上げましたごとく、さしあたっては建設業というものが一つれっきとしてあるわけでございます。そのほかに何があるかということになりますと、そのほかにはいまのところ考えついたものはない。しかし将来、経済の変化、時勢の変化に応じて、絶対に建設業以外にはあり得ないという断言もできないのであるから、そこで包括的な規定をしておくことが実際的であろう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/72
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073・小林進
○小林委員 私はいまも申し上げておりますように、将来予定せられるものがかすかでもあるというのならば、そういう特定業種退職金共済契約というようなことばを用いるのがいいだろうけれども、将来何するかわからぬ。出てこないということも言えるでしょう。現在やはり予定せられるのは建設業だというならば、建設業ということばを銘打っておやりになって何ら不便がないだろう。しかも、この建設業を全国的に一つの事務所をもって、一つの事業団をもってやっていくというのでございますから、もし他に業種ができてまた全国的に一つの事業団ができ、組合ができてそこでまたやるのならば、それはいわゆるいまの共済年金のように、私学共済年金、あるいは農林業共済年金、あるいは国家共済年金という形にそのつど年金組合をつくっていけばいいじゃないですか。それを、将来出るかどうかわからないものに特定業種などという名前を打っておくなどというのは、法ていさいから言ってもとるべきことじゃない、私はそう思う。これは建設業退職金共済組合、こういうふうにやるのが私はやはり正しいと思いますが、大臣いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/73
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074・大橋武夫
○大橋国務大臣 こういう問題は、いろいろな考え方があり得るわけでございます。小林委員のお述べになりましたことも、確かに一つの意見として、それはそれで通用するものと思います。しかし、政府原案にありますような考え方も、これは誤りであるというものではないのでございまして、要は、どちらのやり方が、実際上労働行政の面から言って便利であろうというような、実際問題で選択されてしかるべきものではないかと思うのでございます。私どもといたしましては、ずいぶん大蔵省と苦労いたしまして、この建設事業団に対しましては補助金ももらっておるわけでございまして、この条文の中に一括しておけば、この次に他の事業に拡張いたしますときも、やはりこれが一つの先例になっておりますので、補助金を新しく要求する場合にも、わりあいに話が楽に進む可能性があるんじゃなかろうか。この際せっかくのそういう可能性を捨てて、建設業というようなこちこちのたった一つにしてしまうというようなことになりますと、この次また法律を改正しなければならぬというようなことでございますから、補助金などの面もなかなかむずかしいというようなものでございます。しかしこれは政府部内のことであって、外に申すべきことじゃございませんが、その実際上の便宜に従って、ことに労働行政の運営という面から言ってどちらをとるかということになりますと、いろいろ御意見はございますが、私どもといたしましては、できることならば政府原案をそのままお認めいただきますことが、労働行政に対する御親切の一端かと心得ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/74
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075・小林進
○小林委員 まあ大臣の御答弁には私も了承をすることができませんので、これはまた後日の問題として、この法案仕上げの道中においていろいろ私どもの意見も出すことにいたしまして、了承したわけではございませんので、ひとつ……。
次の問題に移りたいと思いまするが、特定業種退職金共済契約に関する第八十条の規定であります。特定業種退職金といえば、これはいま言われたように土建業者なんです。これは実際の面では建設業者退職金共済契約、こう読み直していいわけですね。第八十条の建設業者退職金共済契約の締結等に関する問題であります。「中小企業者でなければ、特定業種退職金共済契約を締結することができない。」土建業者における中小企業者というワクは、一体どういう形でおきめになるのか、お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/75
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076・三治重信
○三治政府委員 これは常用労務者、常用従業員三百人以下のものを、特定業種の中小企業者と指定するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/76
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077・小林進
○小林委員 そういたしますと、この三百人という規定は、一般の中小企業の事業者と条件は同じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/77
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078・三治重信
○三治政府委員 何と申しますか、退職金共済契約に入る期間雇用者は規模に入らなくて、中小企業者の範囲は常用の従業員の規模でその企業を判断して、この期間労務者がさらにプラスされるというふうに運用をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/78
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079・小林進
○小林委員 この建設業者に対する退職金共済組合のこの法律の一番のねらいであり、困難な問題は、日々雇用でございましょう。日々雇用、今日一日を雇う者もこの法律に該当するわけでございましょう。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/79
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080・三治重信
○三治政府委員 日々雇用の者も当然含まれます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/80
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081・小林進
○小林委員 日雇い労務者も入りますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/81
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082・三治重信
○三治政府委員 日雇い労務者も、期間的に雇用される者については入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/82
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083・小林進
○小林委員 その期間は一日でも期間でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/83
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084・三治重信
○三治政府委員 具体的にいえば、建設業におきましては大体工事期間があります。その工事期間の初めないし途中からその工事が終わるまでの間、期間的に雇用される、しかしそれが雇用形態として、日々雇用であろうが二カ月雇用あるいは半年雇用、十カ月雇用であってもその中に入る、こういうふうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/84
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085・小林進
○小林委員 そういたしました場合、一体掛け金をだれが出すかという問題、これは私は、特定業種に対するこの法律を具体化する中心の課題だと思うのです。一体この法律ではこの掛け金をだれが出す、雇用主に該当するものは一体だれか、掛け金をなす者は元請か下請か孫請けか孫々請けか、又孫の孫請けか、そこら辺が私はこの法律のほんとうの問題だと思う。お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/85
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086・三治重信
○三治政府委員 これは直接その労務者を雇用している事業主ということに法律上はなっております。ただ、建設業のこういう問題を取り上げたもとは、先生のおっしゃる元請のまたその大きな元請の業者の発意でございます。下請業者を使って元請が総合工事事業をやるわけでございますが、その下請に頼んでもなかなか労務者が集めにくい、あるいはどんどん建築技術がいくのにかかわらず、そういう技能を習得してりっぱな建築物をつくるような技能労務者が必ず不足するというふうな見地から、何とかして、自分たちは直接労務者を使わないけれども、下請が使う技能労務者の不足を何か補充して、魅力的にしていかなければ若い者がこの業界に入ってこないというふうな、業界のいわゆる支配的な業者が発意をしたところでございます。ところが、法律の形式からいきますと、いま先生がおっしゃったような下請の下請が、実際直接の雇用労務者を使う業種が支払うことになっておる。しかし現実の問題は、したがって元請がこういう下請の業者をどのように指導し、管理していくかという問題と、それは同時に労務賃金なり、こういう掛け金を請負契約として、はっきり見ていくということに相なるわけでございます。したがって、これは中小業者そのものからぜひこういうことをやってくれということではなくて、現在の建設業界の親玉連中がぜひこういうことをやって労務者の確保をはかっていきたいということでございまして、したがって負担金については十分下請にめんどうを見る、こういうふうな態勢でございます。
いま一つは、建設省との話し合いで、これをやるにつきまして、この経費について業界が定める場合には協議をしてほしいということになっておりまして、建設省そのものは、また大元請のまたその予算を握っているところでありますが、これが新しくできる場合においては、その経費について、適当なものについては建設省としても当然めんどうを見る態勢でございますので、実際の運用にあたってあるいは一部にトラブルがあるかと思いますが、業界全体の姿勢としては、この経費につきましては十分請負契約の中で見ていく態勢であるというふうに確信しております。法律上は、構成上どうしてもその元請が払うというふうには書けないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/86
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087・小林進
○小林委員 大臣もいまお聞きになったとおりでございまして、掛け金は日々雇用でもよろしいし、一定期間の中に、途中からやめていく者もあるし、また入ってくる者もありましょうが、その人たちに対する掛け金を実際に雇っている下請業者が支払っておるというふうになっておって、法律上は実際にその工事を責任を持ってやっております元請業者というものは何ら拘束力はないのだが、いまも三治局長が言いましたように、実際の面においては元請業者は技術員もいない、大工、左官も技術者もいないということで、どうしてもそういうものを確保するためには下請業者が証紙を買って、建設業労働者に払う金は請負金の中に入れて下請業者に払う、こういう形なんだ。しかし、元請業者は下請業者にその掛け金を払う責任は何もない、法律上の義務も何もない。ただ求人難の今日の世の中だから、人を得るためにそれだけの犠牲を実際の面に払うから、ひとつ労働省、早くこの特定業種退職金の法律をつくってくれ、こういう要望があったと思われるのであります。労働者の立場から見れば、実にこれは不安定な内容であるといわなければならぬのであります。いかがでございましょう。いまの三治さんのお話では、最も元請、大林だ、清水だ、あるいは間だという大企業をおやりになっている方々の要望、要求でこの制度をおつくりになったとおっしゃったのでありますけれども、そっちのほうはいいでしょう。しかし、労働者の立場から見れば、実に不安定きわまるものであります。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/87
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088・大橋武夫
○大橋国務大臣 御承知のとおり、この法案によりますと、この組合は労働大臣の監督のもとにあるわけでございます。そもそも設立行為そのものから、労働大臣の認可を受けなければならぬことに相なっておるのであります。したがって労働省といたしましては、いやしくもこれを認可し、そうして国民の血税から補助金まで出してまいります以上は、労働者に不安を与えるがごときものであってはならないのでございまして、その辺のところを十分確かめた上で許可をいたし、また事業の指導もいたしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/88
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089・三治重信
○三治政府委員 いまの点で、大手ばかり申し上げまして、ちょっとことば足らずでございましたが、最初の申し出は確かにそういうことでございましたが、この案をつくるにつきましては、中小業者の団体、それから労働組合ともその内容について相当われわれのほうとしては議論をし、要望も聞いてつくって、中小業者もあげてぜひこれをやってほしい、労働組合のほうもぜひこういうものを制度としてほしいということでございます。その技術的な部面につきましては若干異論もあるかと思いますが、こういう制度をつくりたいということにつきましては、大手も中小も労働組合のほうも、一致して希望しているということを追加して申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/89
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090・小林進
○小林委員 あげ足をとるわけではございませんけれども、労働大臣は国民の血税を出して、そうして補助金も加えるのだとおっしゃいましたけれども、この特定業種に対しては、まだ国の補助金をお出しになる規定も何もない、出すか出さないかも明確になっておりません。これはおそらく政令なり省令なり、何か別なところでおやりになるのでしょうけれども、法律には何もない。でありますから、そのおことばは、しばらくの間大臣にお返しをいたします。いま法律の論議をしていたはずであります。ただ、いまも申し上げますように、この証紙を張って掛け金を取るという方式も、その下請の、また孫請の又孫などというところへ入っていきますと、雇用関係が全く乱脈なんですよ。いまのように景気がよくて求人難のときには、それはあらゆる特典を与える意味において、一生懸命になって証紙も張るだろうけれども、やがて世の中が不景気になったときには、証紙を張ったり、こういう方面に金を出すということは、どうしても省略をしたり、なまけたり、逃げたり、結局、弱い労働者にしわ寄せをしたりするという形が必ず出てくると思います。特に土建業界、建設業界などというものは、大臣御承知のとおりであります。下請業者などというものは、ほんとうにもっこ一つ持たない、トラック一つ持たないでも、土建業の看板を出しているのがたくさんあるのであります。そういう者に使われている労働者にとっては、親方がだれだかわからぬ、あるいは元請の業者に頼まれて監督しているのか、あるいは監視しているのか、さっぱりわけのわからぬような形で人が働かされている。そして手帳に証紙も張らないでそのままぽいされれば、どこへ一体泣きついて、どこへこの問題の解決を持っていくかわからないような状態の問題が、日々起こってくることは明らかであります。この点が非常に不確実だと思う。この点を、大臣、明確にきちっとやれるという法律根拠が一体どこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/90
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091・大橋武夫
○大橋国務大臣 それは設立並びに事業の運営が労働大臣の監督を受けることになっておるのでございまするから、労働大臣といたしましては、ただいまお述べになりました御趣旨の達成のために全責任をとる考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/91
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092・小林進
○小林委員 実に大臣のおことばはりっぱであります。全責任をとるとおっしゃるけれども、実際には、この制度とこの形では、私は全責任はとれないと思うのであります。これは余談になりまするけれどもまたいずれ機会を改めて大臣にお尋ねしたいと思っておるのでありますけれども、いま農村の不況とともに兼業農家の進展で、季節労働者が非常に都会へ流れております。大体三月が過ぎて四月は春耕が始まりますから、みんな帰っております。この諸君の実態は、一体労働省お調べになっておりますか。賃金ももらわないで帰る者もいるのです。これは何も建設業界のことを私は言うのではないけれども、彼らは主として建設業に働いている者が多いのです。また、ここで論議されている下請業者に働いている者が多いのです。これが帰るときになると、今月の賃金は来月、君の実家に送るから帰ってくれ、こういうような形で、肉体労働の成果をキャッシュにして持って帰れないで帰る労働者もいるという状況なのです。まして彼らの実態を見ますると、労災にも入っていない、失業保険にも入っていない、社会保険にも入っていないというままで、季節労働で働いている者もかなりいるのであります。そういう実態をながめておりますると、大臣が、責任を持って必ず証紙を張らして掛け金を取って、そして退職金の通算が間違いないようにやっていけるとおっしゃっても、私はそのことばだけで信用するわけにはいきません。やはり法律の上に、間違いのないようにきちっと証紙を定めておく必要がある。その意味において大臣、どうでしょう、やはり一定期間職場の中に働くのです、そこには元請というものがあるのですから、この掛け金は元請業者が支払う、いわゆる下請業者の請負金の中にそれを含めるなどというあいまいなものではなくて、元請業者がきちっと証紙を張ってその掛け金を出すというふうに法律の上で明記できないものか。私はそうやるべきであると思う。そうしなければ、労働者の利益というものは守られぬと思う。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/92
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093・大橋武夫
○大橋国務大臣 その辺のところは、いずれ設立に際しまして、この組合規約あるいは組合の業務執行方法等が業者によりまして自主的に相談されるわけでございます。労働省といたしましては、その相談の結果でき上がりましたる規約等を点検いたしまして、これならば労働者の利益が十分に守られ得るという確信を得た上で認可いたすのでございまするから、一応おまかせいただいて支障なかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/93
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094・小林進
○小林委員 いま大臣のおっしゃった契約と申しますのは、元請と下請業者との契約でございますか。その話し合いできまるというのでございますか、いま少し内容をお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/94
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095・大橋武夫
○大橋国務大臣 大体役員となるべき者あるいは会員となるべき者なども、いずれこの法律ができましたならば業界において話し合われると思います。それらの関係者の協議の上で業務の執行方法その他ができるのでございまして、いま御指摘の点なども、その規約等に明記されるべき事柄の一つだと存じます。その点も十分、認可に際しましては注意をいたしまして、労働者の利益が完全に守られるという確信を得た上で認可をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/95
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096・小林進
○小林委員 私は、どうも大臣のおっしゃることがのみ込めないのでございます。認可によって決定するということですか。そうすると、個々の業者とあるいは大林なら大林と、そしてその大林の一定の仕事を下請する業者との間に何か話し合いできめられる。それを事業団なり組合なり、監督官庁の労働省なりが、個々のケースに従ってその契約なり約束を認可される、こういうことなんでございますか。あるいは清水とその下請の間に、その下請が使っている労働者の掛け金は清水が払うという約束ができ上がったら、それを見て許可する。片っ方の今度大林のほうは、大林と下請との契約においては、その掛け金は下請が払う、そういう形の契約ができ上がる。それも支障がないと思えば、そっちのほうもケース・バイ・ケースで認可をする。こういう仰せなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/96
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097・大橋武夫
○大橋国務大臣 それはちょっと違うのでありまして、私どもは、これででき上がります組合は、全国を通じてさしあたり単一だと考えております。そこで発起人ができまして、発起人が会員となる人たちと十分に協議をしながら、業務の運営方法をきめてまいります。その業務の運営方法において、掛け金をどうやって納めるかというようなことは、これは一番肝心な点であると存ずるのでありまして、その場合に、元請が納めるかあるいは下請が納めるかというようなこと等も、はっきりさせなければなりません。私どもといたしましては、やはりできれば、元請がまとめて納めるということが全般的に行なわれることが、事業の運営上望ましいとは考えますが、しかし、これらは民間の組合のことでございまするから、たてまえ上は、やはり関係者が自主的にきめられるべきものと思うのでございます。そのきまった結果を見まして、わが意を得たり、これならばだいじょうぶいけるだろうと思ったときに認可するのでございまして、もしいささかなりともその点に不安がありましたならば、その点を指摘して認可を与えないというようなことにいたしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/97
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098・小林進
○小林委員 それでは 時間ですのでこの問題は保留しておきますが、いま大臣のおことばによりますと、だから、八十条の「中小企業者でなければ、特定業種退職金共済契約を締結することができない。」大企業は組合員でない、組合員でなければ契約の締結ができない。でありますから、私はやっぱりこの問題は、この法律自体を改正していかなければだめじゃないかということを申し上げたいのでございます。組合員でなければ契約の締結ができないのでありまするから、この際三百人というワクをはずして、大企業もみんな組合員にするか、それが私の先ほどから論じた、いわゆる中小企業だけじゃなくて——絶対それだけは譲れないということならば、やはり証紙を買って、そして掛け金だけは、元請業者、大企業者にもきちっと法律上でも責任を負わして、組合員でなければ契約ができないなどという条項を改める何らかの措置を講じなければいけないと思います。
なお、大臣が言われたように、こういう掛け金を支払うなどという基本的な問題は、組合の定款なんかにゆだねるべきじゃない、どうしてもこの点は法律の上に明確にすべきであると私は思っておる。片っ方のほうは、ちゃんと事業主が一カ月二百円、最高二千円までの金は払うと法律に規定しておきながら、同じ法律の中でも、建設業者になるとそれが法律に明記できないで、定款にまかせるなどというような、そういう逃げ方は私はけしからぬと思う。
まだ問題はたくさんありまするけれども、時間になりましたから、いまだけの御答弁をいただいて、あとはまた次の機会にひとつ質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/98
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099・三治重信
○三治政府委員 これが中小企業退職金共済法の中で規定していくという関係から、中小企業者に対して掛け金の納付の義務を課しておる。ただいま大臣が申し上げましたのは、この点について、やはり現在の建設業の下請の実態からいって、下請にしわ寄せがいかないようにということについて業界でよく話をまとめて、その実際の運営についても、法律に抵触しない限りにおいて、できる限り大企業と下請との関係、この掛け金の納付についての確保の方法というものについては、組合の設立並びに定款の作成上において十分注意を払って、実効を確保していくようにしておる。それが十分確保されないような場合においては、この組合の設立については確保されるまで設立を留保していく、こういうふうに申し上げておるわけでございます。法の構成上といたしまして、中小企業に対して国が援助をする、そのための法でございますので、法の形といたしましては中小企業者が法律上の責任者となる。ただし、経済的には、先生がおっしゃるように元請、下請でございまするから、その裏づけとなる資金が出ないことには、下請業者もその掛け金の納付が十分講ぜられないわけでございます。その関係については、実効上、定款その他各業界との申し合わせというような方法で指導をしていきたいということでございます。
さらに、もっと根本的に申し上げますと、この退職金の法律そのものが、加入者の加入、脱退というものが自由でございまして、社会保険、また社会保障関係法のように強制適用の関係でないわけでございますので、どうしても法律上の表現といたしましてすっきりしない点があることは、前提として任意加入、任意脱退であるということを御承知おき願いたいと思うのであります。ただし、期間を定めて雇用される者について、そういうふうなことでは実効が確保されないということから、この立法上、非常にこの退職金共済契約につきましての表現に注意をいたしまして、一たん加入した場合においては、将来にわたって雇う者もそれを共済契約者とするというような若干説明を、一般のほうと変わった共済契約の内容を規定しておる次第でございまして、そういうふうなニュアンスで実効上の問題を確保していくということでございます。
いずれにいたしましても、これが退職金という性格から、強制加入、強制適用というふうにいかない点に非常に法上にあいまいさがあるということは、私たちもやむを得ないかと思いますが、そういう意味からいきましても、事業団というふうに国が直接外郭団体としてやるのではなくて、業界の意思としてやるというふうなこと、それがやはり強制加入としていかなくても業界が実効を確保するというような、みずからの責任というものを負わすという意味において、組合の設立というふうなしちめんどうくさい制度をとったということにも、これが確保される一つの手段として業界の自主性を確保するということから、こういうふうな制度をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/99
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100・小林進
○小林委員 もう時間がありませんので後日に延ばしますけれども、特に私は大臣に申し上げておきます。いいですか、掛け金を払うような重大な仕事を、中小企業退職金共済法というようなことばにこだわって、中小企業の下請業者に責任を負わしている。実際の面は大企業が払うのだけれども、法律には根拠がないこういう規定をしておきながら、今度は、その証紙を買ったり手帳を持たせるという事務処理は全部大企業にやらしてしまっている。法文を見てごらんなさい、事務処理やそういう仕事は大企業が責任を持っている。元請業者が全部責任を持って証紙も張る。元請業者は事務処理をしながら、下請業者を全部自分の幕下に置いておけるのです。くぎづけにしておけるのです。そういう形でもって、ひもつきにしている。そうして、肝心の金を出すことまでは法律上の根拠がないというので、下請業者にまかせておる。そのときの風まかせで、求人難のときには、やれ掛け金だけはおれが出してやるからおれの職場へいらっしゃい、不景気になったときには、おまえのほうで掛け金を払っておけばいい、おれのほうは責任はないのだという、賃金カットの形になってくる。ただ事務処理だけは、ちゃんと法律に元請業者がこれをやると書いてある。まことに、われわれに言わせれば、大企業のために至れり尽くせりの親切な形で、この建設業共済組合の制度ができ上がっている。そういう矛盾を、この次の機会に私は大臣に直接お尋ねをいたしますから、法律上の矛盾、理論的の矛盾のないように御答弁いただくように、いまからひとつ勉強しておいていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/100
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101・大橋武夫
○大橋国務大臣 私は、その辺の法律関係を十分に指導し、そして労働者の利益を守り得るというものになった場合に認可をする、こういうふうに申したわけでございまして、小林委員がこの法律を運用される場合と、私が運用いたす場合とは、心がまえが根本的に違うように思われまするが、その点はまたこの次の御質問を待ちまして、ゆっくり解明さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/101
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102・田口長治郎
○田口委員長 暫時休憩いたします。
午後零時四十三分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02719640331/102
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