1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月七日(火曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君
理事 田中 正巳君 理事 大原 亨君
理事 河野 正君 理事 小林 進君
伊東 正義君 大坪 保雄君
熊谷 義雄君 倉石 忠雄君
小宮山重四郎君 坂村 吉正君
竹内 黎一君 地崎宇三郎君
中野 四郎君 西岡 武夫君
西村 英一君 橋本龍太郎君
藤本 孝雄君 松浦周太郎君
松山千惠子君 粟山 秀君
渡邊 良夫君 亘 四郎君
伊藤よし子君 滝井 義高君
長谷川 保君 八木 一男君
山口シヅエ君 山田 耻目君
吉村 吉雄君 本島百合子君
吉川 兼光君 谷口善太郎君
出席国務大臣
労 働 大 臣 大橋 武夫君
出席政府委員
法務事務官
(人権擁護局
長) 鈴木信次郎君
郵政事務官
(人事局長) 増森 孝君
労働政務次官 藏内 修治君
労働事務官
(大臣官房長) 和田 勝美君
労働事務官
(労政局長) 三治 重信君
委員外の出席者
議 員 五島 虎雄君
議 員 本島百合子君
専 門 員 安中 忠雄君
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本日の会議に付した案件
最低賃金法案(勝間田清一君外十四名提出、衆
法第三六号)
最低賃金法の一部を改正する法律案(本島百合
子君外一名提出、衆法第一九号)
中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
(内閣提出第八九号)
労働関係の基本施策に関する件(郵政省等にお
ける労使関係に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/0
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001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
勝間田清一君外十四名提出の最低賃金法案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/1
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002・田口長治郎
○田口委員長 提案理由の説明を聴取いたします。五島虎雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/2
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003・五島虎雄
○五島議員 説明をする前に、皆さんの手元にプリントを差し上げておきました。そこに二カ所ほど訂正しなければなりませんけれども、私が提案理由の説明の過程において訂正していきたいと思います。
それでは、ただいまから提案理由の説明を申し上げます。
私は、日本社会党を代表いたしまして、最低賃金法案の提案理由及びその概要を説明申し上げます。
本法案を提案いたします理由は、現行最低賃金法の内容が、憲法第二十五条、労働基準法第一条の精神をじゅうりんし、また、最低賃金制に関する国際的な水準であるILO二十六号条約及び三十号勧告の趣旨に、全く違反しているところにあります。また、全国一律最低賃金制を基本的な内容といたします本法案が、現実的に要請されます理由は、政府の高度成長政策の結果、若年労働力、技能労働力が逼迫し、そのために初任給の大幅な上昇をもたらし、現行法による最低賃金額が実効性をなくしている事実にあります。さらに、諸外国からの要請といたしましては、わが国のIMF八条国への移行、ガット三十五条の援用の撤回、OECDへの加盟など、自由化体制のもとでは公正労働による公正競争が前提であり、従来のソシアルダンピングという非難を回避するためにも、全国一律最低賃金制の実現が迫られているのであります。
私は、全国一律最低賃金法案の提案にあたって現行最低賃金法の廃案を強く要求いたしますが、それとともに、現行法による業者間最低賃金の欺瞞世性、その致命的な欠陥について具体的に指摘せざるを得ないのであります。
第一は、現行法が最低賃金額の決定にあたって労使対等の原則を無視しているということであります。
ILO第二十六号条約及び第三十号勧告を見れば明らかなように、最低賃金額の決定にあたっては、労使が対等の立場で参加して決定すべきことを規定しております。最低賃金制の趣旨が、労働者の最低生活を保障しようということにある以上、このILO第二十六号条約及び第三十号勧告の言うところは、当然守られなければならないものであります。しかるに政府は、いまなお第二十六号条約を無視して批准しようともせず、またこの条約に違反する現行最低賃金法の運用によって、わが国の低賃金構造を温存しようといたしておりますが、すでにその欠陥は、はっきりと実証されているのであります。
第二は、現行最低賃金法による最低賃金額の算定にあたって、労働者の生計費が全く考慮されていないという欠陥であります。
現行最低賃金法第三条は、最低賃金は労働者の生計費、類似の労働者の賃金、及び通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定められなければならないと規定されております。この規定は、最低賃金決定の基準として国際的通念となっている原則、すなわち、労働者の生計費、類似の労働者の賃金水準を勘案しなければならないことと相違しているのであります。しかも、最低賃金額を実際に決定するにあたっては、企業の賃金支払い能力のみが優先的に考慮されている実情でありますために、類似の業務に従事する労働者であっても、企業の規模が相違するというだけで賃金に非常な格差があるのであります。さらに、労働者の生計費を無視した企業本位の業者間協定による最低賃金額でありますために、最近の異常な物価騰貴により実質賃金は、ますます低下いたしているのであります。その結果、最低賃金制の根本思想であります労働者の最低生活の保障の原則は、全くくずれ去っているのであります。
第三は、最低賃金制の制度としては、全国一律に最低賃金がきめられることが国際常識となっておりますが、現行最低賃金法はこのような基本的な規定を持たないために、極端に低い最低賃金たとえば日額百八十円というような最低賃金額が存在しているのであります。その結果、労働者がその最低生活を維持することも不可能となり、すでに最低賃金としての実効性を喪失しているのであります。
第四は、現行法が労働者の組織化を妨げる役割を果たしているということであります。
周知のように、諸外国における最低賃金法制定の動機を考えてみまするに、最も大きな動機の一つとして、労働者の組織化の促進ということがあげられているのであります。この諸外国のあり方と比較いたしますときにわが国の現行最低賃金法の運営は、全くこれと逆行する傾向を示しているのであります。たとえば、大企業労働組合が労働協約を結び、その協約下に未組織の労働者を組織しようと努力している最中に、低い賃金の業者間協定を結んで、労働者の組織化の努力を水泡に帰せしめるということ、これはまことに遺憾なことでありますが、数多くの事実としてあげられていることであります。本来、労働行政の目的は、労働者の組織化を育成し、それによって労働者の生活の向上をはかることにあるのであります。この労働行政本来の目的に違反して現行最低賃金法が運営されている限り、私どもは根本的立場から現行法の廃止を要求せざるを得ないのであります。
第五は、現行の最低賃金が最高賃金化しつつある、ということであります。
このようになる理由は、現行の業者間最低賃金協定が、過当競争の排除と求人難の打開ということに基づいて決定されている実情の中にあると思うのであります。過当競争を排除するために業者が協定し、一定の賃金以下は支払ってはならないことを決定はするが、一たんその事態が回避されれば、この決定した最低賃金額が標準賃金として固定化し、結局、頭打ち賃金としての作用を持ってきているのであります。このことは、現行最低賃金額が業者本位にきめられている当然の帰結でありまして、このような事態が一般化する傾向を私たちは深く懸念するのであります。
次に、私は、日本社会党の最低賃金法案について、法案の概略を説明いたします。
第一に、本法案は、労働基準法第二十八条第二項に基づいてつくられたものであります。御承知のように、現行法の成立の際、第二十八条は修正され、第二十九条から第三十一条までは削除されております。
社会党案は附則において労働基準法第二十七条を削除し、第二十八条から第三十一条までを修正して復活しておりますが、その意図は次の点にあるのであります。
すなわち、労働基準法の最低賃金の規定は、憲法の精神を受け継いで具体化し、労働者の最低賃金を保障すべき立場からつくられたものであります。しかるに政府は、この憲法の精神をじゅうりんし、労働基準法の最低賃金規定を骨抜きにした現行最低賃金法をつくったわけでありますが、私どもは、現行最低賃金法が憲法及び労働基準法、ILO第二十六号条約及び第三十号勧告の精神にもとるものであると深く憂慮するのであります。ここに私どもが憲法及び労働基準法の精神に沿った、正しい意味の最低賃金法案を提案する理由があり、労働基準法第二十八条から第三十一条までを復活させた重大な意義があると信ずるのであります。
第二に、最低賃金額決定の基準は、必要生計費、一般賃金水準、その他の事情を考慮して定めることといたしました。これは、現行法の欠陥のところで述べましたように、業者の賃金支払い能力があまりに優先する企業本位の偏向を防止し、正しい意味の最低賃金額を決定させることにあるのであります。特に、必要生計費については、労働者が人たるに値する生活を確保するために必要な諸品目及びその数量を基礎として算出することにいたしました。
第三に、雇用されているすべての労働者の最低賃金額は、中央最低賃金委員会で決定することにいたしました。なお、この一般最低賃金額の改正につきましては、中央最低賃金委員会は、六カ月に少なくとも一回、すべての労働者の最低賃金額の適否について審議し、必要を認めた場合は、その金額の改正を決定しなければならないこととし、さらに六カ月の間に必要生計費が百分の三以上増減した場合は、これに応じてすべての労働者の最低金額の改正を決定しなければならないことといたしました。
第四に、労働協約に基づく地域的産業別最低賃金について規定しておりまして、中央または地方最低賃金委員会は、一定の地域内の同一産業の労働者の大部分が、賃金の最低額についての定めを含む労働協約の適用を受ける場合に、労働組合または使用者の大部分の合意による申請があったときは、すべての労働者の最低賃金額をこえる額で、その一定の地域内の同一産業の労働者の全部についての最低賃金を決定することができることにいたしました。ただし、労働協約の適用を受けていない労働組合または使用者は、拡張適用の申請について三十日以内に異議を申し出ることができることになっており、中央または地方最低賃金委員会は、労働協約の拡張適用についての異議の申し出があった場合、一定の範囲の事業について、その適用を一年の範囲内の期間で猶予し、またはその期間別の最低賃金を決定することができることにいたしました。
第五に、使用者委員、労働者委員および公益委員をもって最低賃金委員会を組織し、中央には中央最低賃金委員会、各都道府県に地方最低賃金委員会を置きまして、中央最低賃金委員会は、使用者委員及び労働者委員各十五人並びに公益委員五人をもって組織し、地方最低賃金委員会は、使用者委員及び労働者委員各十人並びに公益委員三人をもって組織することにいたしました。
また、使用者委員は使用者の団体の推薦するものを、労働者委員は労働組合の推薦するものを、公益委員は使用者委員及び労働者委員の同意を得て、労働大臣が任命することといたしました。
第六に、最低賃金委員会の会議は、使用者委員、労働者委員及び公益委員の各過半数が出席しなければ、会議を開くことができないこととし、特に、すべての労働者の最低賃金額の決定及び改正の決定並びに労働協約の拡張適用による最低賃金の決定及び改正の決定は、最低賃金の趣旨に照らして、出席委員の全員の一致で決定することにいたしました。さらに、最低賃金の決定にあたっては、まず労使委員がその協議を尽くし、公益委員は両者の意見に十分な考慮を払いながら適正な決定に到達するようつとめなければならないように規定いたしました。
以上が、最低賃金法案の提案理由及びそのごく概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/3
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004・田口長治郎
○田口委員長 次に、本島百合子君外一名提出の最低賃金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/4
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005・田口長治郎
○田口委員長 提案理由の説明を聴取いたします。本島百合子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/5
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006・本島百合子
○本島議員 最低賃金法の一部を改正する法律案について、私は、民主社会党を代表いたしまして、その提案理由を御説明申し上げます。
御承知のとおり、現行の最低賃金法は最低賃金の決定について、労働協約に基づくもの、審議会の調査審議に基づくもの等を認めておりますが、その主軸が業者間協定に基づく最低賃金にあることは明らかであります。
そのことは、同法施行後における最低賃金の決定状況を見れば一目瞭然であります。すなわち、これまでに決定を見た最低賃金の数は、昨年末現在で千四百八十二件、適用労働者数にして二百七十五万余人に達しておりますが、そのほとんどが業者間協定に基づくものばかりで、労使協定に基づくものは、わずかに四件しかないという実情であります。
この業者間協定につきましては、ここに多言を要するまでもなく、それは、あくまでも使用者側の一方的協定であって、賃金は労使で決定するという賃金決定に関するわが国労働法上の原則並びにILO条約の原則に合致しないものであります。
このような賃金決定の原則からはずれた業者間協定を最低賃金決定の基礎とし、かつ、この方式を主軸に考えている現在の最低賃金法は、すでに立法当時から多くの批難を沿びており、できるだけすみやかに改正さるべき要素を当初から持ったものであります。
われわれがこの際、最低賃金法を改正せんとする主たる動機は、そうした当初から矛盾を含んでいる現行法を、そのままの形でこれ以上存続させることは適当でないと考えたからにほかなりません。
もちろんわれわれは、業者間協定が過去におけるわが国の劣悪な賃金の引き上げにある程度の役割を果たしてきた事実を否定するものではありませんし、したがって、現在の最低賃金の存在理由を頭から否定するものでもありません。
しかし、われわれは、労働者の生活権擁護という立場から、社会情勢の進展に見合って、よりよい最低賃金制の確立のために常に努力しなければならない責務を負っております。
そのような見地から現行法を見るとき、それはきわめて不満足であります。
その第一の点は、現在のごとき、業者間協定を主軸とする最低賃金法を、この際幾ら強力に推し進めたところで、そこに好ましき最低賃金制の確立を期待することは困難であること、換言すれば、現行の最低賃金法は、今後のわが国における適正な最低賃金制の確立について決定的役割を果たし得ないこと、第二には、業者間協定の本来の性格からして、それが労働者の最低生活の保障と無関係に決定され、かつ、それが最低賃金ではなく最高賃金化しつつあるという弊害を生みだしていることなどがそれであります。
われわれは以上のような趣旨から、この際最低賃金法を抜本的に改正し、わが国における正しい最低賃金制度の確立をはかることが目下の急務であると考え、ここにこの法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
まず、第一に、現行の最低賃金法第三条では、最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力という三原則を考慮して定められる旨を規定しておりますが、通常の事業の賃金支払い能力を考慮するあまり最低賃金の実施が阻まれる傾向にある実情にかんがみ、三原則中からこの部分を削除いたしまして、最低賃金の本来の趣旨を明確にいたしました。
第二に、現行の最低賃金は、業者間協定に基づいて決定される最低賃金を中心としておりますが、これは使用者の一方的協定を最低賃金とするものであり、賃金についての労使の自主的決定の原則に反するものであるだけでなく、ILOの最低賃金に関する諸原則にも反するものと考えられますので、労使が自主的に決定した労働協約に基づく地域的最低賃金が決定できる場合には、これを第一といたしまして、次に、最賃審議会の勧告に基づく最低賃金及び行政官庁が職権により決定する最低賃金に最低賃金決定の主軸を移すことといたしました。同時に業者間協定につきましても、その内容が適当な場合には、これに基づき最低賃金を決定し得る道を残すことといたしまして現行の第九条から第十六条までを次のように全面的に改めることといたしました。
(イ) まず、労働協約に基づく地域的最低賃金につきましては、最低賃金決定の申請の要件を、労働協約の適用範囲及び申請の手続の二点でゆるめることといたしまして、労働協約に基づく最低賃金決定の道を広げましたこと(第九条)
(ロ) 次に、最賃審議会が最低賃金の決定または改正を適当と認めて、勧告を行なったときは行政官庁は最低賃金の決定を行なわなければならないことといたしますとともに(第十二条)、中央最低賃金審議会が、全国的最低賃金の決定または改正を可能かつ適当と認めたときは毎年四月一日に勧告を行なわなければならないこととし、行政官庁はこの勧告に基づいて最低賃金の決定を行なうことといたしましたこと(第十三条)
(ハ) 労働者百人以上の請求があいたときは行政官庁は最低賃金の決定のための調査を行なわなければならないこととし(第十五条)、行政官庁は、調査の結果または職権により最低賃金の決定をする必要があると認めましたときは、これを行なっていることといたしましたこと(第十六条)
(ニ) 業者間協定につきましては、関係労使の代表を含む最賃審議会が適当と認めた場合に限り最低賃金として決定し得ることといたし、業者間協定の地域的拡張適用についても同様といたします(第十条)。
(ホ) その他現行の第十二条(異議の申出)、第十三条(最低賃金の改正等)及び第十五条第二項(再審議の請求)とほぼ同様の内容を有する規定が必要でありますので所要の整理を行ないました上、第十一条(異議の申出)、第十一条の二(最低賃金の改正等)、第十四条(職権による最低賃金の改正等)及び第十六条の二(再審議の請求)の四条を設けましたこと。
第三に、現行の最低工賃は、最低賃金の実効を確保するために、関連家内労働について行政官庁が決定し得る旨を定めておりますが、積極的に家内労働者の労働条件の保護・改善をはかるという観点からこれを改めて、最低賃金にかかわりなく、行政官庁が最低工賃の決定を必要と認めたときまたは最賃審議会が最低工賃の決定を適当と認めて勧告を行なったときは、これを決定し得ることといたしております。
第四に、この法律の効果的な実施は、結局最賃審議会の活躍に待つところ大でありますので、最低賃金の決定にあたっての審議会の権限を強化するとともに、審議会の公正な運営を一そう確保するために、かつILOの勧告の線にも沿って、公益委員の任命にあたっては労使委員の同意を要することといたしました。また最低賃金を決定するに先立って労働協約に基づく最低賃金の場合を除いて、関係労使委員及び公益委員からなる専門部会を最賃審議会に必ず設け、これに専門事項を調査審議させることといたしております。また、船員に関しましても同様に船員労働委員会に最低賃金専門部会を設けることといたしております。
第五に、この法律の効果的な実施を確保するために、労働者または家内労働者が次の行為をしたことを理由に、これらの者に対して不利益な取り扱いをすることを禁止する規定を設け、これに違反した使用者または委託者に対して第四十四条の罰則(一万円以下の罰金)が適用されることといたしております。
(イ) 最低賃金または最低工賃以下の額の賃金または工賃が支払われた旨の申告を行なったこと。
(ロ) 最賃審議会等が行なう、最低賃金または最低工賃の決定についての調査審議に関与したこど。
(ハ) 労働者が最低賃金の決定のための調査の請求を行なったこと。
(ニ) 行政官庁から要求があったとき、これに対して報告を行なったこと。
第六に、その他関係条文の整備等を行なうことといたしております。
以上が最低賃金法の一部を改正する法律案を提案するに至った理由及びその概要でございますが、本法案が成立、施行されますならば、わが国における労働者の労働条件の向上と低賃金労働者の最低生活の保障に資するところがきわめて大であると信じております。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/6
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007・田口長治郎
○田口委員長 両案に対する、質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/7
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008・田口長治郎
○田口委員長 内閣提出の中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/8
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009・小林進
○小林委員 実は六百五十万組織労働者の組織ある春闘のかまえもいよいよ急迫を告げておりまして、たいへんな事態が起こりつつありますので、その問題を中心に大臣の御決意を承りたいと思っておったのでありますけれども、先ほどの理事会の約束で、与党の諸君がその前に法案の審議の進捗上若干の質問をしてほしいという要望がございましたので、急性のありまする春闘問題はあとで伺うことにしまして、最初は約束どおり法案を少しばかりお尋ねをしたいと思います。
この前にも大臣に申し上げまして、御反省をいただくものならばいただきたいということで話を打ち切っておりました建設事業における元請人の掛け金支払いの責任の問題であります。ああいうどうも雇用関係が不確定な状態にありまする下請、孫請、こういつた関係にありまする特殊な労働者に対して、掛け金の責任者というものがどうもあいまいになるおそれがありまするので、これはやはり元請人が掛け金の責任を負うべきではなかろうかというのが私どもの考えであります。いかがでございまするか、大一臣、この問題に対する御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/9
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010・大橋武夫
○大橋国務大臣 お答えを申し上げます。
建設業におきましては、工事は通常元請業者、下請業者、さらに再下請業者等数次の請負関係のもとに行なわれているところであり、本特例の対象従業員となります大工、左官その他の期間雇用者は、前記下請関係にある業者に雇用されておるのでございますから、したがって本特例における掛け金納付義務者は当然にこれらの労働者を雇用する下請業者となるものでございます。しかしながら、本特例を創設するについては、建設業におきまする労働力不足の現状にかんがみまして、これが対策の一環として全国建設業協会が中心になって強い要望があったといういきさつもございます。元請業者としては、組合が設立された場合、下請業者の労働者の掛け金についてはこれを請負代金の中で労務費、福利厚生費として考慮したいという意向を示しているところであります。また、法律作成にあたりまして、建設省とも協議の上、覚え書きを交換し、掛け金に関しましても打ち合わせを行なうことといたしておるのであります。
また、本特例制度が実効性を確保いたしまするためには、直接の雇用主である下請業者ばかりでなく、元請業者をも含め、業界全体が一致して協力体制を確立する必要があるものでありまするから、本特例におきましても、制度の実施主体を退職金共済組合というものにいたし、この組合の運営には元請業者も参加し得る道を講じております。また、元請業者に、下請業者にかわって契約締結、証紙購入等の事務を行ない得ることといたしており、下請業者の契約締結の促進、掛け金納付の励行を元請業者に担保させる方法を講じておる次第でございます。
元請、下請をめぐる問題につきましては、組合の設立認可を行なう際に十分に考慮をいたし、運用面におきましてもこれが円滑に運用されるよう十分監督指導をいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/10
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011・小林進
○小林委員 いま大臣が長々と読んで御答弁をいただきました。その中にこそ実は私どもは多くの矛盾と危険を感じておるのであります。おそらくその文章は、大臣みずからお書きになったのではなくて、私は官僚の作業だと思っております。私はそう思っている。そこに官僚の作業のおそろしさがあるのであります。血の通わない実情のおそろしさがある。いまお話にありましたちょうど求人難だ、大工でも左官でも求人難だから元請業者がむしろ中心になってこういう特殊労務者の共済制度をつくることを盛んに慫慂してきた、裏を返せば元請業者の要求に基づいて退職金共済法ができ上がったという現状になるわけです。だから、元請業者はいまのところはさっきお読みになったように労務費あるいは厚生費として請負代金のほうにそういう掛け金は入れてもよろしい、こういうことを言っている、だから実際の運営の面にあっては心配がないとおっしゃる、これが危険なのです。いまのようにオリンピックがあったり道路五カ年計画があったり土木事業があって求人難の時代は永久に続きますか。本来、元請と下請というものは、元請業者の本質は、下請代金をはたいて一銭でも五銭でも安く下請をさせたいというのが元請業者の本道なのですよ。心理状態なのです。また下請業者などというものは、仕事にあぶれてくれば食うためには労務者を遊ばせない、大工でも左官でも人を遊ばせておかなければならぬから、みすみすこの仕事は損だと承知しても元請業者から仕事をもらってその遊んでおる人たちの口を得るために仕事をする。これが長い不況時代における土木業界の通弊なのです。今日求人難の労務者の足りないというこの状態がかえって異常の状態なのです。この異常の状態をとらえて元請業者は求人難だから請負代金の中に労務費も入れてやる、管理費も入れてやる、共済年金も入れてやる、だから元請業者に責任を持たさぬでも何らの危険がないのだという、こういう回答が出てくる。実に実情にそぐわない。不景気のときどうしますか。不景気になったときどうしますか。下請業者はあらゆる元請業者のところに一生懸命に仕事をもらいにいきますよ。そのときには元請業者はあらゆる下請業者の中で一番安く入札した者に値段をはたいて請け負わせる。そのときに、共済年金下さい、厚生年金下さいと言ったら、そんなややこしいところに仕事してもらわぬでも、そんな掛け金も要らない、証紙も張らぬでよろしい、黙っておとなしく安い労賃で請け負ってくれるのがたくさんある、君に下請を頼まぬでもよろしい、こういう形が必ず出てくるのです。これがむしろ長い間の土建業界の慣習なのですよ。そこをわれわれがおそれるがゆえに今日の求人難の異常事態に即応してそんな甘っちょろい考え方で掛け金の問題を処理していくところに官僚の作業の危険があると私は申し上げたい。大臣、いかがでございましょう。時間がありませんから、この一点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/11
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012・大橋武夫
○大橋国務大臣 これはなるほど事務当局のこしらえたのを私棒読みにいたしたのであります。よく当たりました。しかしこの元請、下請をめぐる問題については組合の設立認可を行なう際に十分考慮する、運用面において円滑に運用されるよう十分監督指導する、こう最後に書いてあるのであります。私といたしましては、元請業者下請業者間の協定によりまして十分法的に元請業者が責任を負い得るような体制をつくるだろうことを認めた上で認可をいたしてまいりたい、かように考えておるのでございます。この点は前回にも申し上げた次第でございます。御趣旨につきましては、私も十分に御心配の点は同感に存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/12
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013・小林進
○小林委員 私は、いま大臣がおっしゃいました最後の、運用面において遺憾なからしめるとおっしゃいましたが、その運用面にも一つの危険があると見ている。それは、おそらくそういう運用面一において遺憾なからしめるということは、このいわゆる積み立て金を出した、出したところでいわゆる組合といいますか財団ができ上がる、その財団に元請業者が特殊な出資金の形ではいれるという一つの抜け道がこの中にでき上がっている。いわゆる掛け金としては出さないけれども、ほかの寄付か何かの形で特殊な出資金ができて、そしていわゆる資金財団の中に元請業者がちゃんと発言や運営にタッチできるような形ができ上がる。これなんかも、そうすると、一体その積み立てた金が何百億になるかわからないが、その金は結局元請業者の大きな力で積み立て金が自由に活用される、そういうふうな含みもこの中に含まっている。私はそれをさしているのだ。むしろそこにこそこの法律のまた穴があるといわなくてはならぬ。それが一点です。
それからまた、大臣もいま、元請人の事務処理の規定があるじゃないかとおっしゃっている。八十四条です。金は出さない。掛け金のほうには責任を持たない。運営面に何とか話し合いでできるようにしていく。法律には掛け金を出す責任というものは明らかにしない。不景気になったら、ちゃんと掛け金なんかかけないでも、下請業者の値段はうんと安くたたかれるような逃げ道をつくっておいて、求人難のときだけは、まあ話し合いで、幾ら出してやるからおれのところにいい左官屋さんを持ってこい、いい大工さんを持ってこい、そういう話し合いができるような自由濶達な方式にしておいて、一方には事務処理のほうだけは、八十四条で「事業が数次の請負によって行なわれる場合の元請負人が、下請負人の委託を受けて、特定業種退職金共済契約の締結その他特定業種退職金共済契約に関して下請負人が行なうべき事務を処理する」というふうに事務だけはちゃんと元請業者がやれるようにできておる。これもおかしいじゃありませんか、大臣。肝心の金のほうは責任を持たぬけれども、事務処理のほうは元請のほうがやってくれる。むしろ事務処理をすることによって、手帳をつくったり、証紙を張ったりしてやるように条文ではしておいて、ちゃんとよその飯場に行かせぬように事務で拘束をしておいて、元請と下請の関係だけは逃げられないようにしておこうと、私ども勘ぐったものの言い方だけれども、そういう形ができ上がっている。事務をやってくれるなら、金のほうもちゃんと責任を持ってくれたらいいじゃないですか。金のほうは下請がかってにおやりなさい。事務処理だけは元請のほうでちゃんとやってやります。こういうところに、八十三条と八十四条の法文も一貫していないじゃないか。だから、もしこういう法文をおっしゃるならば、掛け金のほうも運用面でいって、下請業者が責任を持ってやるとおっしゃるならば、八十四条においても、この事務をする業務というものはそういう元請業者にやらせないで、事務だけを処理する機関を中小企業者の中でつくらせたらいいじゃないですか。その機関にこの事務処理をする仕事を一切やらしたらいいじゃないか。だから、八十四条の元請人の事務処理の条項は削除して、むしろ中小零細業者のための事務処理組合を明確につくって、そこでやらせたらどうかと私は考えております。そうしなければ、法案のていさいをなさないじゃないですか。いかがでございましょう。
〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/13
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014・大橋武夫
○大橋国務大臣 事務処理について特別の機関をつくってやらせたほうがいいじゃないか、それがいい場合もあると思います。その場合には、この規約の中にそういうふうに定めてくるでございましょうし、またそれが事務的に適当だと判断いたしましたならば、むろん労働省としても認可をいたし、その新機構による事務の処理を監督してまいりたいと思うのであります。
それから、先ほど来申しておりまするごとく、元請業者は事務のほうだけやって、うまいところは自分のほうで押えつける、掛け金の義務は全然負わせない、こうおっしゃいますけれども、そうではないので、先ほど来申し上げましたるごとく、行政上の指導、すなわち運用面によりまして、実際上元請業者が掛け金についても法律上の義務を究極において負うような契約を設定させ、その契約を確認した上で認可をしようということでございますから、形式的には法律でやるか、あるいは契約でやるかというだけの違いで、運用面では同じような考え方、同じような行き方ができるものと心得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/14
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015・小林進
○小林委員 大臣の御答弁でやや前進をして、この法案の矛盾がややカバーせられるようにも考えられるのであります。それにいたしましても、やはり片一方は八十四条という法律で事務処理だけは明確にして、掛け金のほうだけは法律に明確にしないで、いまおっしゃるような契約に法律的な責任義務を負わせる、こういうような形でおやりになるというのは、私は法律ていさい上どうかと考えるのでありますが、時間もありませんので、この問題は私自身了解に達しないという程度で終わって、次の問題をお尋ねします。
それは八十二条であります。八十二条で、退職金が支給される最低条件といたしまして、掛け金の納付は三十六カ月になっている。ところが、一般の中小企業退職金は十二カ月であります。なぜ一体建設労働者だけを三十六カ月という三倍の期間を設けられておるのか。これも私は一つの矛盾じゃないかと思います。一般は十二カ月、建設労働者だけは三十六カ月にせられた、この理由をひとつ承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/15
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016・三治重信
○三治政府委員 この特例の場合は事業団の場合と異なりまして、いわゆる個々の企業からの退職となりますと、期間雇用でございますから、大体一般的に必ず一年未満というふうになるわけでございますが、そういうふうな退職については退職金を支給しないで、通算をする、合算をしていく、こういうふうに規定しているところでございます。したがって、一業種の全体をかりに一つの企業とみなして、その業種に長期間就労するということに着目して退職金を支払う、こういうふうなたてまえをとっておりますので、長期の勤続優遇の共済制度を設けるというふうにして、そのために初めの三十六カ月未満は支給しない、こういうふうにしておりますので、一般の各工場、事業場ごとの退職金と違うという特殊なスタイルをとっているということで、そういう制度をつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/16
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017・小林進
○小林委員 どうも私は頭が悪いせいか、いまの局長の御説明では了承できないのです。これは私も帰ってからまたいま一回勉強しますが、これじゃだめですよ。しかし時間がありませんから、この点も……。
それでは、同じく八十二条でついでに申し上げますけれども、これはいわゆる退職金をもらう条件が出ている。三十六カ月と同時に、あとは死亡したとき、あるいは退職したとき、あるいは負傷または疾病によって特定業種に属する事業に従事することができなくなったときとか、いろいろ書いてありますけれども、これを読んでいくと、結論的には死ななければもらえないという勘定になってくる。廃疾になるか死ななければこの共済の退職金はもらえないじゃないかという勘定になってくる。いわゆる定年というのがないのであります。私はこうやって退職金制度をお持ちになったならば、当然退職年限というものはその条項に入ってしかるべきだと思う。死んだときか、かたわになったときか、廃疾になったときしかもらえないというのは残酷非道だ。一体いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/17
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018・三治重信
○三治政府委員 定年ということが法律上の用語にできませんので、そこにあります、当該特定業種に属する事業の事業主でない事業主に雇用されたとき、または労働省令で定める場合に該当したとき、ここでいわゆる常識上の定年というものをきめて、その年令に達した場合には退職金を支払うことができるように省令で定めることにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/18
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019・小林進
○小林委員 そういたしますると、この八十二条の八の条項で、別に省令を定めなくて、その中で定年制をおしきになる、こうおっしゃる、それではそのようにひとつ了解をさしていただきまして、こういうような重要な項目は、やはり法律の中で明文化していただいたほうが一番ありがたいのでございまするけれども、何か法律で明文化するのが困難だというお話です。どういう困難があるのかわかりませんが、それではそのように了解をさしていただきまして、時間がありませんので……。
次に私の疑問と思いまする点は、九十一条の経過措置の条項は必要ないのではないかと思いまするが、いかがでしょうか。この条項は被共済者に対する経過措置、これは私は必要ないと思う。建設工事は、各業種の共同作業で成り立っているものでございますから、特定の職種だの地域をこんなに差別をしておく必要は私はないと思います。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/19
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020・三治重信
○三治政府委員 いろいろ退職金の制度をやっていく場合に、その業界の実際の雇用の実態を十分に把握していかなければならぬわけでございますが、業界や政府のいろいろの資料を調べたところ、この建設業における各職種がほとんどが現場で作業が行なわれ、またそういう方たちについて、一定の基準でずっと雇用されてないために、しっかりした資料がないと、それから事務上やはりこの制度をやっていく場合に、大体対象になるのが最大限百七十万人くらいだと予想しておりますが、それと業界の組合設立と同時に、その事務がだれでも申し込んで開始されるということになりますと、非常に事務が混雑するというふうなことで、やはり業界のほうで職種をまずきめて、年度計画をやって、逐次広範囲に適用していく制度を設けるということで、もっぱら事務上の都合でこういう制度を設けたのであります。これもやはり実際の組合が設立されて、事務を開始して、そのいろいろの帳簿書類というものや業務手続を整理していく上において、順序だてが必要ではないかということでこういう規定をしたわけでありまして、これによって組合の事務、また実際適用を受ける事業主が秩序正しく行なわれていくというために特別設けたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/20
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021・小林進
○小林委員 時間もありませんから、私の納得しがたい点の項目だけを申し述べて、掘り下げた質問はこの次の機会に申し上げます。
この法律で私どもが一番感じますることは、重大なポイントを政令だとかあるいは労働省令だとかいうところでみんな逃げているというのです。これはあまりにも多過ぎる感じです。私はこの法が非常にずさんな法律の仕組みになっているということを感ぜざるを得ないということでございまして、特に私はここで八十三条の掛け金の問題でお伺いいたしたいのでありまするけれども、掛け金納付の日数は、これも政令できめるようになっておりますね。政令で定める方法で月掛けに換算するというふうになっておりますね。これは私は問題だと思う。一体一カ月の就労状況を労働省は何日と予定されるお考えですか。
〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/21
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022・三治重信
○三治政府委員 一応いまのところ二十一日程度できめたいと思っておりますが、これもやはり実際の業種の各職種にわたる一月の通常の就労日数というものも、いままで統計はございますが、ずっとこまかく年間にわたって調査したものもない。一定の月、そのときに現場で働いておる人たちの就労日数は調査してあります。そういうことで、これもその動きによってある程度変更ができるように、法律でいま直ちに客観的にきめても、その業界の状態を見て変えられるようにしたほうがいいということで、政令にしておるのでありますが、一応われわれは二十一日と予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/22
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023・小林進
○小林委員 現在失対法に基づく、日雇い労務者の一カ月の就労日数を労働省は何日と見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/23
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024・三治重信
○三治政府委員 たしか二十二日と見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/24
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025・小林進
○小林委員 あなた方は一カ月十五日しかくれなかったものを、失対労務者の激しい戦いと、われわれの国会における支援闘争とを通じて、ようやく二十二日まで引っぱってきた。あなた方は二十一日しかしなかった。ところが、そうして一カ月を二十二日に換算をするようなことをしておきながら、ほのかに聞きますと、今度こういういまの共済年金なんかの一カ月の換算日数になりますと、二十五日くらいに一カ月を換算していきたいというなお考えがあるのではないか、労働省はそういうお考でいらっしゃるのじゃないか。そういうお考を承っておりますので、それで私どもは非常に危険を感じたわけです。建設労働者というものは、必ず雨の降る日もありますし、風の吹く日もあります。一カ月とうてい二十五日も働けるものではないのであります。こういう建設労働者が、一日一日証紙を張って掛け金を納めていく。これを日数を月に換算して金をくれるということになるならば、一カ月少なくとも二十日に換算してもらいたい、こういう考え方を持っておる。二十日くらいが一カ月換算で一番適当しておると思うのですが、労政局長は二十一日とおっしゃいました。一日くらいは話し合いでどうにでもなるのでありますから、十九日くらいならなおけっこうでございますけれども、日雇い労務者なんかを押えつけて、一カ月に二十日か十五日しか働かさない。一方では一カ月を二十五日、二十六日に勘定しようというがめつい態度書、いままでしばしばお示しになったこともあるので、非常に危険を感じましたが、その点は間違いのないようにやってもらいたい。こういう一カ月の基礎換算日数は政令でなく、法律にきちっときめておくのがほんとうじゃないか。為政者がかわるたびに政令なんて動くんだから、為政者、時代が変わるたびにそういうふうながめつい形に改められることを私どもは非常におそれる。法律ならば安心であります。こういうこともできれば法律にきめていただきたいという希望を持っております。時間がありませんから、これも掘り下げた話はこの次に譲ることにいたします。
次に七十五条の一項三号において、今度は積み立て金の使い道について規定せられておるようでございますけれども、私どもは、この中小企業退職金の共済事業を行なう場合に、労働者の住宅だけにとどまらず、ひとつその積み立て金であるいは保養の施設、共同の宿舎、医療施設等をも含めて、広く厚生行政をやってもらえないか、厚生施設をつくり上げてもらえないか、あるいはまた退職金はやはり賃金の一部でもあるのでありますから、ひとつ当然労働者にもこの金をひとつ貸してもらえないだろうか、こういう問題であります。先ほども大臣にちょっと申し上げておきましたけれども、元請業者なんかにも若干の寄付金か何か特殊な金を出さしておいて、そちらのほうにはこの積み立て金を大幅に利用、活用させるようにちゃんと窓口を開いておくようでございまするが、労働者にはその金を貸し付けるというふうな規定は一つもございません。この点、労働者にも一体貸し付けてもらえないものか、お聞かせを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/25
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026・三治重信
○三治政府委員 福利施設の還元融資を考えておりまして、個々の労働者に貸し付けるまでは考えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/26
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027・小林進
○小林委員 先ほどの質問で落としましたけれども、この法案の中に、八十三条に、一日、十円から百円までというふうに規定されておりますが、あとのこまかいところはこれも政令か何かでおきめになるようでございますが、大体十円から百円までじゃ幅があり過ぎる。どれくらいを一体予定せられておるのか。われわれは風評には聞いております。風のたよりには聞いております。労働省は一体掛け金をどれくらいが適当とお考えになっておるか、お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/27
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028・三治重信
○三治政府委員 いまのところ、まだ業界のと申しますか、組合も設立されておりませんので、はっきりわかりませんが、いままでの私たちが関係しておりましたところでは、一応二十円ぐらいが出発の当初には適当ではないかというふうなことを聞いておりますので、これにつきましては、労働省としては、やはり全職種一律になるわけでございますので、業界の意思を尊重してきめたいと思いますが、できるだけ高いにこしたことはないわけでありますけれども、まあ一応二十円で出発するのではないかと推測をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/28
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029・小林進
○小林委員 これは大臣に特に申し上げておきたいのであります。掛け金は労働者の負担ではございません。経営者が負担してくれるのであります。それを退職金でもらう。だから労働者にすれば、十円から百円とおっしゃれぱ、百円の掛け金を積んでもらうのが一番ありがたい。多ければ多いほどいい。いまおっしゃったように二十円ばかりではどうにもならぬ。いま労働賃金が、一日働いて千五百円も二千円もしているときに、その中のたった二十円ぐらい積み立ててもらって、三年もたってその金をもらって、労働省がたった五%ぐらい補助してくれたって、ちっともありがたみがないのであります。労働者の全般の空気といたしましては、少なくとも十円から百円の数字をお示しになった以上は、そのまん中が五十円でありますので、最低は五十円、できれば六十円くらいはちゃんと掛け金ができるように、労働大臣から特別の御奮闘をいただきたいと思います。こういう希望が強いのであります。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/29
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030・大橋武夫
○大橋国務大臣 掛け金につきましては、いずれこの法案が成立いたしましたならば、業界におきましてもこの団体を設立する具体的計画を論議いたすと存じまするので、その際御意見のあるところも十分当事者に伝えますように計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/30
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031・小林進
○小林委員 ともかく五十円といたしまして、月に二十日といたしましても、一カ月一人の建設労働者に対する掛け金は一千円であります。月に二十口働かして一千円であります。一千円はわずかな金でありまするけれども、これを百七十万とおっしゃいましたけれども、概算二百万人が該当すれば、それだけで幾らでございますか。二十億。それで一年間といたしますると二百四十億。そうすると、二百万、一日五十円、月二十日といたしますると、一年で二百四十億の金が積み立てられる。これはばく大な金であります。でありまするから、百七十万としたところで二百億前後の金になる。もっとも労政局長の言われるように、たった二十円ということになりますれば、これはその半分にも満たない、百億近くの金になりますけれども、それが積み立てられるのであります。しかしその金は確かに労働者が賃金のかわりとしてもらった金なんですから、どうしても労働者の福祉、厚生を中心として貸してもらわなければならないし、できれば労働者個人の住宅をつくる、家を改造する、そのくらいの金にも貸していただくのが私はほんとうだと思っている。どうも私どもこの積み立て金をその奥底を考えてみると、やはり特定の元請業者や大企業のほうにその金が流れていくのではないかということを非常に心配をしているわけです。そういう心配のないように、私はこの事業団の資金運営の面には特に労働者の利益になるように使っていただきたいのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/31
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032・三治重信
○三治政府委員 この規定はいまの事業団の余裕金の運用の規定と同様にしてあるわけでございまして、元請業者や大企業のほうにだけ行くというようなことはなくて、組合員、従業員の福利施設というようなものに回るようにしていきたいと思います。
なお余裕金につきましては、これは長期資金でございますので、大体いまの事業団がいろいろ債券を買っておりますが、そういうふうな確実安全で有利な利回りの長期債券を主として買ってこの運用に当たりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/32
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033・小林進
○小林委員 時間もありませんから、私はもう質問の形式はやめて、希望だけを申し上げておきますので、次の委員会にお答えをいただきたいと思います。
第一には、省令で定めることになっております八十二条の第一項第二号の八の条項であります。先ほどもお尋ねしましたが、この退職金支給の場合です。少なくとも省令では五十五歳に達したときにこれを支給するという定年制を明確にしてもらいたい。それから第二番目には転退職をしたとき、いわゆるもう業務に携わらないというときを明確にしてもらいたい。第三には自営業者になったとき、こういうふうなことを八十二条の第一項第二号の八に明確に示して規定していただきたいということが一つであります。
それから労働大臣の任命による者あるいは労働大臣の認可を要するものという中に、第六十八条の第三項に、「労働大臣は、設立委員を命じて、組合の設立に関する事務を処理させるものとする。」この設立委員というものは大手の業者の団体である全国建設業協会に偏重してはいかぬ。先ほどのお話の中にもこの建設業協会の意向というものが非常に強く反映していると私は見受けました。彼らが、求人難のおりから、左官、大工の手間のないためにこういうものを促進せしめたように聞き受けたのでありますけれども、こういう業者だけに偏重するということをせず、広く人材を集めて適材者を任命するようにしていただきたい。たとえて言えば、建設業法に基づく建設業者団体あるいは労働団体等の中からも人材を集めてこの設立委員を任命していただきたい。
それから第三番目といたしましては、六十八条の第一項、理事長と監事、これも労働大臣が指名することになっておりまするけれども、これはひとつ中立的に労働者の立場も十分理解のある人物を選んでいただきたいと思います。
第七十四条の一項の評議員、これは人員は何名ですか、やはり「組合の業務の適正な運営に必要な学織経験を有する者のうちから、理事長が労働大臣の認可を受けて任命する。」ことになっておりますけれども、この中には、ぜひともひとつ労働者の団体の中の代表を含むようにしていただきたい、こういうことでございます。
そのほか第七十六条であります。務を委託する金融機関の中には、これはしばしば申し上げておるのでありますが、労働金庫等もひとつお忘れなくちゃんと含めていただきたい、こういうことであります。
これはもう時間がありませんから、希望として申し上げておきます。御返答は、次の審議の機会に詳しく承りたいと思います。いま何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/33
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034・三治重信
○三治政府委員 この定年の問題は、何歳にするかはまだはっきりきめておりませんが、先生のおっしゃるように、全然働けなくなったいわゆる死亡退職金というふうなことにならぬように、民間の工業関係における定年制の状況も見て、常識的な年齢をきめたいというふうに思っております。
自営業、転廃業は、退職金の資格のあるように規定することはもちろんでございます。
それから設立委員の問題につきましては、建設業協会、これはもう先生いかにも大企業ばかりのように言われますが、現在二万五千からの中小業者がおりまして、下請業者もたくさんいるところでございますので、決して大企業だけ団体ではなくて、建設業の事業主の中枢的な、最も中心的な協会であるという意味において申し上げたわけでございます。設立委員につきましては、もちろん大臣が広く人材を集めるべく設立委員を任命されることと存じます。理事長、監事その他の役員任命につきましては、大臣を信頼していただきたいと思います。
それから評議員につきましては、これはもちろん労働側の代表も入っていただくように考えております。
業務の金融機関委託の問題は、これはこの事業団におきましても、労金も同様に扱っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/34
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035・小林進
○小林委員 それではいまの質問に関連して、一点だけ御質問いたしますけれども、労働省では先ほども掛け金が二十円とおっしゃいましたが、二十円の掛け金で二十五年勤めたら、一体退職金は幾らになりますか。参考までにお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/35
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036・三治重信
○三治政府委員 当初は二十五年で二十円の場合には三十万八千五百六十円と予定しております。ただここで申し上げておきたいと思いますのは、退職率を五・五%という非常に少ない退職率に予定しております。こういうふうな予定でやる場合の退職率の資料というものをずいぶん検討してみたのですが、どうも適当な退職率を出すような資料がございません。したがって、ある有力な資料によっての一番確実な、これ以上退職率が減るということはないというものでございます。もちろんこれは五年ごとの検討にしておりますので、これは先ほど申し上げましたように、一生に一度退職金をできればもらうという体制にしておりますので、やってみて五年後に退職率の表ができてくれば、これは自動的に退職金がもっと有利になるかと思いますが、われわれのほうは、長期の積み立てでございますので、一応これが最低の出発の予定の退職金表というふうに考えていただいていいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/36
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037・小林進
○小林委員 大臣、お聞きのとおりであります。まあ退職率の問題は、五・五%とかいろいろの計数資料をそろえる予定もございましょうけれども、いずれにしても、現在労働省が予定せられておる数字は二十五年です。二十五年働き続けてきて、二十五年たってもらう金額が三十万八千円、こんな退職金が一体どこにありますか。ここに矛盾がある。少なくともこれくらいの法律をおつくりになるのならば、現在の時点で換算して、二十五年つとめたら最低百万円、この百万円だって、二十五年つとめて百万円もらっても、これはものの数ではありませんよ。けれども、零細な掛け金を集めていきますから、そう極端に大きいことは申し上げませんが、大臣、少なくとも二十五年つとめたら最低百万円、三十年つとめたら最低百五十万円になる、そういう形の退職金の共済法を出していただきたい。二十五年で百万円、三十年で言五十万円というように頭金を押えて、そこからひとつ掛け金をも換算して、血の通った制度をつくり上げていただくことを希望しまして、私の質問はまた次の機会に譲りたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/37
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038・田口長治郎
○田口委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/38
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039・河野正
○河野(正)委員 春闘もいよいよきわめて重大な段階に突入いたしてまいりました。特に今日開放経済のもとにおきます賃金問題をめぐっての戦いでございますので、したがって、きわめて重大な情勢だと考えております。ところがこのような情勢に対処いたしまして、政府ではすでに先般も次官会議等で非常にきびしい態度で臨むという方針を決定いたしたようでございます。しかしながら労働大臣は、むしろ労働者の権利というものを擁護する立場にあることは、これはもう何人も否定することができないと考えております。
そこで今日のような情勢に対しまして、労働大臣はどのように対処——まさに十七日の半日ストライキを契機として一そう激化しようとしている情勢に対処されようとしておりますのか、その辺について、あらかじめひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/39
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040・大橋武夫
○大橋国務大臣 春闘の柱といたしましては、少なくとも五千円以上の大幅賃上げ、次は最低賃金制の獲得、は労働時間の短縮、さらに加えては職場における安全の問題、これらが今回の春闘における経済闘争の主たる目標に相なっているわけでございます。
賃上げの問題は別といたしまして、後に述べました最低賃金問題、労働時間問題、安全問題、これらにつきましては、労働行政としても今後努力しなければならぬ点があると存じますので、これにつきましては、いろいろな機会に申し上げたるごとく、労働省といたしましても、十分これらの問題を取り上げて、今後解決を急ぐようにいたしたいと思っておるのであります。
そこで残った最大の問題であります賃上げの問題でございますが、これはたびたび申し上げておりまするごとく、賃金は労働条件の最も主要なるものであり、そして労使間において自主的に団体交渉によって決定されるべき事柄でございまするし、また当事者間において決定が困難であるという場合におきましては、公正なる第三者機関にあっせんあるいは仲裁を依頼するという方法もあるのでございまして、労働省といたしましては、当事者双方が現在の日本の状況、内外の情勢というもの、また日本の産業の置かれたる立場、また日本の労働といものの持っておる立場、これらを十分に認識されまして、自由なる話し合いを通じて決定されていくことを期待をいたしておるわけでございます。しこうして、これらの話し合いに際しましては、あくまでも労働法規の命ずるところによりまして、妥当な合法的な手段によって労使双方が堂々と話し合っていかれることを期待いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/40
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041・河野正
○河野(正)委員 賃金問題が労使間の自主的な交渉によって解決することが望ましいことは、これはもう当然のことでございます。なおまた労働法規の命ずるところによって行動が行なわれることもこれまた私どもも否定するものではございません。ただそういう方針に便乗して、今日まで当局側が非常に商い姿勢で臨んでまいったという事例が何件か、若干ございました。当委員会におきましても、たとえば全総訓の暴力事件、あるいは郵政におきましては博多郵便局におきまする暴力事件等々についても、いろいろ論議をかわした経験がございます。私もその際指摘をいたしたのでございますけれども、ややもすると最近管理者側、当局側というものが非常に高い姿勢で労働者に臨んでまいる、そういう傾向が非常に強まったのではないか。そういう高い姿勢というものは弾圧にも通ずるわけでございますけれども、そういう姿勢というものが、今日の労使関係というものをいよいよ激化の方向へ推し進めつつあるのではないか、こういうようなことを御指摘を申し上げました経験がございます。われわれも賃上げ問題、その他労働者の労働条件の問題が、自主的に自由な話し合いによって解決するということが望ましいことについては大賛成でございます。しかしながら、いま私が御指摘申し上げまするような事情に基づいて、今日あるいは今後の労使間の紛争が起こってくるといたしますならば、これは私どもといたしましても全く遺憾に感ずる点でございまして、そういう意味で、私はやはり今日の当局側、管理者側の姿勢というものを無視をして、今日の労使関係というものを考えないわけにはまいらぬではなかろうか、こういうことを考えるわけでございます。そういうことをめぐって、最近不当労働行為、不当処分、こういう具体的な問題が非常にたくさん出てまいっておる事情もございます。さらに先般の次官会議の決定等も見てまいりますと、そういう方針というものがかえって労使間の紛争というものを激化させる原因になっておるのではないか、こういうことを考えますので、ひとつ労働者の権利を守る大臣の立場から、そういう一つの傾向についてどういうふうにお考えでございますか、重ねて御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/41
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042・大橋武夫
○大橋国務大臣 私は今度の春闘について、特に使用者全体が高姿勢をとっておるというふうにはながめておりません。労使間はもとより双方協力して初めて産業が成り立つのであり、労働組合も使用者がつぶれては成り立たない。また使用者も、労働組合が健全に発展してくれなければ企業が成り立っていかない。こうしたものでございますから、双方常に相手方の立場を頭に置いて協力するという気持ちを終始持っていかなければならぬものと思うのであります。時として労使間に紛争が発生いたすのでございますが、この紛争というものは常によりよき協力関係をつくり上げるための努力でなければならないと思うのでございまして、そういう意味から申しまして、特にこのたびは紛争が多少激化しておるということは、昨年あたりから比較いたしますと否定はできないかもしれませんが、特に一方がいたずらに相手方と無用に刺激しておるというような意味の高姿勢は特に認めてはおりません。ただ、こうした際でございますから、双方ともいろいろ言い分はございましょう。それらの言い分について十分に話し合いをし、また公正なる第三者機関の調停、仲裁等を持って適切な解決を急いでいただきたいと存ずるのみでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/42
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043・河野正
○河野(正)委員 労使が相協力をしてそれぞれの使命が達成されるあるいは作業が完遂されるということは、私どもも否定するのではございません。ただ、ことばではなるほど労使が相協力するということでございますけれども、現実には一方のペースで協力を要請する、こういう事態というものが起こってまいる際にいろいろ紛争の原因というものが起こってこようかと考えます。
そこで、そういう一般論だけではなかなか結論が出てまいりませんから、特に最近あらわれてまいりました二、三の具体的な現象を取り上げて、そういう現象を通じて、今日の労使関係というものがどういう方向に進みつつあるか、こういう点についてひとつ論議を進めてまいりたいと考えます。
そこで、第一に私が具体的な問題を取り上げてお尋ねをいたし、そうして労働行政の最高責任者でございます労働大臣からの率直な御意見を承ってまいりたいと思います。それは今日までは労働委員会で問題となりました経緯はございましたけれども、いまだ裁判ざたにはならなかったような事態というものが実は郵政省関係に一例起こってまいっております。その事実は全逓の兵庫地区本部が三月上旬から春闘行動の一環として実はリボン戦術をとったのでございます。その胸に着用いたしましたリボンには「さあ団結で大巾賃上げをかちとろう」こういう黄色のリボンを胸につけまして、そうして執務を行なったわけでございます。ところが、大阪の郵政局では、これは就業規則に違反するということで、当初は八名の訓告処分を出したのでございますけれども、いま申し上げますように、三月末までには兵庫地区の十二郵便局で二百十二名の訓告処分が出てまいったのでございます。この点については、組合のほうでは全く一方的な無謀な処分である、そういう断定に基づきまして、神戸地方裁判所に訓告処分取り消しの仮処分の申請をいたしたという事実がございます。このことはかつて北海道におきまして、地方労働委員会の問題としていろいろ判定が行なわれたケースがございます。しかし、裁判にまで発展しなかったわけでございますけれども、こういう特異な事態が今度の春闘では発生をいたしました。このような特異な事態が発生するということは、私は、当局側の姿勢というものが一歩転じて非常に商い姿勢になってまいったというふうに判断せざるを得ないと思うのであります。こういう事態につきまして、どのようにお考えになりますのか、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/43
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044・大橋武夫
○大橋国務大臣 これは、組合側はリボンをつけるのが何で悪いかというお考えでありましょうし、管理者側はリボンをつけることはどうも官庁内の規律を乱すのだ、こういうところにこのことが問題になったろうと思うのでございます。これについて、私どものほうで、この場所でさばきをつけるということは、問題がすでに裁判所に提訴されておりますので、いかがかと存じます。私個人としてはいろいろ意見もあるわけでございますけれども、この際、この場所で私の立場からお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/44
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045・河野正
○河野(正)委員 いま、かねがね信頼いたします労働大臣からそのようなお答えを聞いて、非常に失望いたしたわけです。と申し上げますのは、すでに三月の十九日に全逓の下村書記長に対しまして、このリボン問題につきましての大臣の見解というものが表明をされておるわけです。その概要というものは、組合は団結することが第一条件なので、そういうリボンを取れとか、取らなかったら処分するなどとは非常識に思う、こういうふうに、このたびの処分というものが非常に不当であったというような意味の御所見というものがすでに表明されておるわけでございます。いやしくも、この労働行政を担当いたします当委員会におきまして、大臣から一般には意見が表明されながら、われわれに対しては意見が表明されぬというような態度につきましては、私どもまことに承服しがたいわけでございます。私は、やはり労働大臣というものが労働行政に関しましては最高の責任者でございますので、そこでやはりそういう行政に関しましては、この委員会に、率直な御見解を述べられますことがきわめて重要な点であろうというふうに考えますし、またそのことが日本の労働行政を円滑に推進する道である、また労使間の問題を円滑に収拾する道であるというふうに私どもは強く確信をいたすのでございます。そういう意味で、ひとつ率直にお答えをお願いするように、重ねて要望するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/45
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046・大橋武夫
○大橋国務大臣 この問題が裁判所で問題になっておりますので、そこで私といたしましては、裁判所に証人として呼ばれて意見を問われるということならばともかくもでございますが、この問題についてここで個人的な見解を表明するのはいかがかと存じます。ただし、御指摘になりましたように、労働組合の方がお見えになりましたときに、この問題につきまして話をいたしましたということは否定をいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/46
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047・河野正
○河野(正)委員 裁判になっておりますのは仮処分の申請でございます。私がお尋ねをいたしましたのは、そういう労働者の権利の行使について処分をするというふうなあり方が、労働大臣の立場から見られて適切であるのかどうか、こういうことを実はお尋ねをいたしておるのでございます。そこで、裁判で審査されております案件と、私がお尋ねをしております事情とは、おのずから内容的に異なるものでございます。ところで、労働大臣は労働行政に関する最高責任者でございますから、そういう点に対する行政指導は当然必要なわけでございますので、単に全逓で起こった具体的な事例ではございますけれども、しかし、こういう問題が各企業に波及するかもしれません。でございますから、やはりこの際大臣としては労働行政のあり方という面から、ひとつ率直にお答え願いたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/47
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048・大橋武夫
○大橋国務大臣 組合員が組合法上の正当な権利を行使したということに対して処分をするということは、これは労働法上許さるべきでないということは当然でございます。したがいまして、組合員が組合員たる標識を着用したということが処分の理由になるということは常識上考えられないところだと思います。しかし、これは一般的な問題としてお答えを申したものであります。具体的な案件につきましては、なお詳細に実情を調査いたしておりませんので、一応お許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/48
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049・河野正
○河野(正)委員 この問題は最初のケースでございますけれども、今後及ぼします影響は非常に重大なものがございます。ところが、このリボン戦術というものは何も全逓の兵庫地区で始まった問題ではありません。今日までリボン戦術というものが各組合におきましても、各企業におきましても、いろいろ行使されたケースでございます。ところが、今回の春闘にあたりましては、このリボン戦術に対しまして業務命令を出して、そして違反する者については処分をする、こういうことになりますと、それならば一体、制服でございますならばその胸に万年筆をつけるのも悪いのか、あるいはまた赤い羽根をつけますと、これは勘ぐりますと、赤いわけですから、思想的に赤いのかどうかということで、赤い羽根をつけても処分の対象になる。極端な例を言いますと、そんなら一体女の子が頭にリボンをつけたら一体どうなるか、こういうふうな点にも、こういうことが一方的に許されるといたしますならば、波及して紛争の種をまき散らす危険性というものが多いと思うのです。そういうような事情等もございますから、私はやはりこの際——この問題をあるいは当局側では大した問題ではないというふうにお考えかもしれませんけれども、労働行政を担当する私たちとしては非常に重大視しなければいけない。こういう考え方を強く持っておるのでございます。
そこで、具体的な点につきましては、郵政省も御出席でございますから、次々とお尋ねをしてまいりたいと一思いますけれども、いま私が申し上げましたような点について大臣は一体どういうようにお考えになりますか。やはり大臣の所見を聞いておきませんと、今後こういう事態がどんどん波及して、そのためにいたずらに労使間の紛争が起こってくるということは私ども遺憾に思いますし、またそれを防止するというのが、一つは労働行政にあたる者の使命でありますので、そういう意味で大臣からこの際、率直な御意見をお聞かせいただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/49
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050・大橋武夫
○大橋国務大臣 問題はいろいろあるようでございますが、まず、組合の主張をあらわす一定の標識を着用したという場合でございますが、一般的には、これはやはり組合員の団体行動としての正当な行為であると言えると思うのです。ただ職務の性質によりまして、さような標識をつけるということによって職務の正当な実行が妨げられるというような場合もあり得ると思います。たとえば、俳優が雇われて舞台でやる場合に妙なリボンなんかをつければ、それはもうどうも正当な労務提供になり得ない場合もあり得る。そういう場合におきましては、これは職務命令として、当然服装について命令ができると思うのであります。職務の執行に妨げがないという場合においては、そうした服装上の命令を出すということは、職務命令の範囲を逸脱しておるという場合があり得ると思うのでございます。それらの点について具体的なケースがどうなっておるかは別として、一般論として考えられるところは以上のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/50
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051・河野正
○河野(正)委員 そこで、だんだん大臣のお答えをいただいたのですが、一つは組合員としての権利行使としてリボンを着用するということは、これは当然だ。それからさらに第二の問題として、もしつけた場合、そのことが正当な職務執行に妨げある場合は別として、正当な職務執行に妨げがない場合においては、そういうリボンを着用するということはこれは当然の権利だ。大体要約いたしますと、いま私が指摘を申し上げた二点についての御所見というものが大臣から申し述べられた、かように理解をいたしますが、そのように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/51
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052・大橋武夫
○大橋国務大臣 そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/52
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053・河野正
○河野(正)委員 大体、いま大臣から、労働者の権利として、リボンの着用ということは当然の権利である。第二点としては、そういうリボン着用することが、正当な職務執行に妨げになる場合は別であるけれども——たとえば映画俳優というような例があげられましたけれども、それ以外の場合は当然の権利だというような非常に良識的なお答えを労働大臣からいただいたわけでございます。ところが郵政省のほうでは、いままではこのようなリボン戦術を認めてきたけれども、今回の春闘にあたっては、これは業務命令に違反するというようなことで、二百十二名に及びまする訓告処分を行なわれたということであります。ところが労働行政に関しまする最高の責任者であるところの労働大臣は、このリボン戦術につきましては、いまのような所見の披瀝が行なわれたわけでございます。そういたしますると、やはり郵政省の今回の訓告処分というものについては、非常に不当な処分であるというような理解が当然成り立つわけでございます。この点についてどういうふうにお考えになりますか、この際率直にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/53
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054・増森孝
○増森政府委員 郵政省の所見を申し上げます。
ただいま労働大臣からお話しになりましたとおりだと思います。ただ、私のほうで今度訓告処分にいたしましたのは、第二段の問題でございまして、窓口等で、「さあ団結で大巾賃上げをかちとろう」といったようなリボンをつけておるということが、正当な職務内容とは思えない。むしろそういったようなことを対外的に宣伝するといったようなことでございますので、正当な職務内容ではない。しかも国家公務員等は、いわゆる職務に対しまして専念しなければならないということがございますので、そういったようなものにも違反をするということで、今回訓告処分にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/54
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055・河野正
○河野(正)委員 リボンをつけておることがどうして職務に専念しておらぬということになるのか、そういうことでありますと、私ども国会議員のバッジをつけておりますと、どうも国会議員として職務に専念しておらぬということにも通じると思うのです。私どもは国会に出る場合に、それぞれ政見というものを述べて、国民の負託を受けて国会に出てまいったと思うのです。ですから、このバッジの中には、私どもの政見というものが刻み込まれておる。そういう結晶が私どものバッジの精神というものだと私どもは理解をしておる。そうしますと、そういうリボンを着用することは、どうも国家公務員という職務に専念しておらぬのだ、こういうふうな理屈は、これはだれが聞いても納得するわけには参らぬ。これはいまライシャワー大使が刺されまして、精神病対策が非常にやかましく言われておりますけれども、精神病院に行けばいざ知らず、そういう理屈がこの国会の中でまかり通るというようにお考えになられると、これはたいへんなことになると思うのです。この点は、われわれは納得するわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/55
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056・増森孝
○増森政府委員 多少私のことばが足りなかったかと思いますが、私どもリボンをつけている——先ほど労働大臣が申されましたように、たとえば単に親切運動のリボンをつけようというようなことに対しましては、私どもはいけないということを言っておらないのであります。ただ今度の場合、いわゆる組合の闘争目標といったようなものを公衆にPRしよう、つまり、郵政職務とは関係のないものを公衆にPRしようというような目的がありまして、そしてそれが勤務時間中であるというようなことで、好ましくないと判断するわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、そういう観点のもとにいろいろと数次にわたりまして取り払うようにということを警告したのでございますけれども、取りはずしてくれない。そこで、私どもはその取りはずさないということをとがめまして訓告をした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/56
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057・河野正
○河野(正)委員 取りはずすことを慫慂したけれども、取りはずすことをしなかったために処分したということでございますけれども、私はその前提があると思うのです。その前提があって取りはずすことをあなたのほうから慫慂せられたと思うのです。ですからその前提をたな上げをして、そしてあとの取りはずさなかったことだけをここでお答え願ってもわれわれは納得するわけにまいりません。特にこのリボンの「さあ団結で大巾賃上げをかちとろう」ということが大衆に対して働きかけるのだというふうな一方的な見解のようでございます。私どもは常識的に見て必ずしもそう考えない。それは今日までもあることでございますし、昔からいわれておりますことばに、まず服装を正せ、これは何も服装を正して人に働きかけるというのではなくて、自分の姿勢を正すということだと思うのです。そうしますと、リボンをつけておることが第三者に働きかけることではなくて、やはり組合員自身の心がまえというものを組合員として正していこう、そういう組合員の内部的な要素を持っておることを私は否定するわけにはまいらぬと思うのです。リボンをつけておるからそれは対外的だということではなくて、リボンをつけることによって自分の姿勢を正していこう、これは昔からしばしば言われておることばの中にもございます。でございますから、リボンをつけているのだからそれは他に働きかけるのだ、そこでのけなさいということは私は理屈が成り立たぬと思うのです。ですから、いまの局長の答弁ではこれまた納得するわけにまいりません。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/57
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058・増森孝
○増森政府委員 ただいまの先生のおことばを返すようでございますけれども、なるほど先生のおっしゃいますように、「さあ大巾賃上げをかちとろう」というリボンをつけていることによって対内的に、つまり自分たちにも言い聞かせているのだという面もありましょうけれども、もう一つは、私どものほうは公衆に対するサービス業でございます。したがいまして、公衆がそういうものを見た場合に、郵政事業としましてあまり外見上好ましい姿ではない、こういうふうに存じまして、私どもは社会通念上正しい服装とは思えない、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/58
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059・河野正
○河野(正)委員 いまお答えになったような御答弁でございますと、リボンをつけておることが公衆に対して望ましくないということでございますならば、それは局長がリボンをつけておることは好ましくないということで判断なされるのではなくて、むしろ公衆自身が判断すべき問題だと思う。公衆が、リボンをつけておることによって嫌悪の情を抱くか抱かぬかということに通じていくと思うのです。それを今度の場合には、局長自身が、リボンをつけておることは公衆に対して嫌悪の情を抱かせるのだ、こういう判断で処分をされておると思うのです。いまの局長の答弁でございますなら、むしろそういう判断は局長がやるのではなくて公衆がやるべきである。公衆の中から、そういうリボンをつけておると嫌悪の情を抱きますよ、そういう世論が出てきたときに初めて処分をするというなら話はわかりますけれども、ところが実際には局長が一方的に判断をして処分をされた。この点はあなたのお答えの中からはわれわれは納得するわけにはまいりません。もう少し筋の立った答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/59
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060・増森孝
○増森政府委員 ただいまお答え申しましたようなぐあいでございまして、なお補足して申させていただきますならば、そういうリボンの内容が職務とは無関係なもの、郵政職員として、さあ大幅賃上げをかちとろうといったようなことは職務内容とは無関係なものでございます。そういう無関係なことを外に向かってPRするということは、公務員として、先ほど労働大臣が申されましたように正しい職務内容ではなかろう、こういうように私了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/60
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061・河野正
○河野(正)委員 リボンをつけ、その中の団結しようということばが悪いという御所見であるとするならば、組合活動が悪いのだ、こういうふうに理解せざるを得ないと思うのです。そうしますとこれはたいへんなことで、さっき労働大臣がおっしゃいました、組合活動というものは組合員に与えられた権利でございます。その権利を制限されようとなさる所存でございますのか、いまの局長の御答弁ではそういう理解をせざるを得ぬと思うのです。この点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/61
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062・増森孝
○増森政府委員 私の答弁は組合活動を弾圧するとかそういうことは申してないのでございまして、ただ先ほど労働大臣が申されましたように職務内容のリボンであれば差しつかえないということを言っておられたと思います。私どもの考え方といたしましては、そういう正しくない服装をしまして、それを取りはずせということを累次にわたりまして勧告したにもかかわらず取り去らなかったということで訓告をしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/62
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063・河野正
○河野(正)委員 労働大臣の御答弁をもう少しよく聞いておいてもらいたいと思うのです。労働大臣はそういうお答えではないですよ。労働大臣のおっしゃっておるのは、職務内容のリボンであればよろしいとおっしゃっておるのじゃなくて、職務執行に妨げにならないリボンであるならばよろしい、こういう見解を労働大臣は述べられておるわけです。それですから、あなたは労働大臣がおっしゃったことばを十分聞き取らぬで、そういう確実な答弁を資料としてお答えになっては困るので、少なくとも国会でお答えになる以上は、もう少し労働大臣の答弁等も十分聞き取った上で正しい答弁をしていただきたいと思います。労働大臣はそういうふうにおっしゃっておらない。職務内容のリボンであればとおっしゃってない。職務執行に妨げがないリボンならばよろしい、そこで私が言っているように、じゃ、そういうリボンをつけたら職務執行に影響がありますか、何もないでしょう。そのために能率が落ちますか、そういうことはないでしょう。そういうことをいっているわけですから、もう少し大臣の言うことをよく聞いて、そういう答弁に基づいてお答えを願うように、この点は注意を喚起しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/63
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064・増森孝
○増森政府委員 ちょっとことばが足りなかったかと思いますが、労働大臣のおことばとして私の了解しておりますのは、つけた場合に、執行上妨げになるかどうかということではなくて、つけた場合に、それが業務と関係がない場合は取りはずさせたほうがいいだろう、こういうふうに了解して御答弁申し上げたわけでございます。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/64
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065・田口長治郎
○田口委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/65
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066・河野正
○河野(正)委員 局長に対して注意を申し上げたのですけれども、依然として御理解がいかぬようですね。先ほど大臣のお答えにもございましたように、特に大臣は具体的な例をあげてお答えになったのでございます。すなわち映画俳優が変なアクセサリーをつけてやると撮影に差しつかえが生ずる。そういう場合のリボンの着用は業務に支障を来たすわけだから困るのだ、こういうふうに例をあげて具体的にお答えを願っておるのです。ですからつけることが業務の執行に差しつかえがあるかないかということ、差しつかえなければよろしい、こういう趣旨のお答えであったのでございます。そこで、私が言っているのは、それならば全逓の場合はリボンをつければ正常な職務ができぬのか、私どもはそういうような考えでない。その点を私は指摘をいたしておるわけですから、そういう点を十分ひとつ理解をして正しくお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/66
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067・増森孝
○増森政府委員 リボンをつけることが物理的にじゃまになるのかというふうに私先生のおことばをとりましたのでちょっとややこしくなったのかと思っておりますが、私どもの考え方をもう少し率直に申し上げますと、郵政業務と何ら関係のない内容をリボンとして佩用することは業務上差しつかえがある。結論的にいいますと差しつかえがあると存じます。なぜかなれば、それはわれわれの事業の信頼性ということから申しまして、勤務時間中にそういうようなリボンをつけることは好ましくない。それからまた勤務時間中に職務とは無関係のPR活動を行なうということになりますので、そういうことは業務上差しつかえがある、こう申させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/67
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068・河野正
○河野(正)委員 労働大臣のほうは率直に、つけてもそのことが職務の執行に差しつかえなければよろしいということですから、いま申し上げまするように、それならばつけたことが郵政業務に差しつかえを来たしますか。これはだれが考えても、リボンをつけたために業務が渋滞するということは考えられません。ですから、それをとやかくおっしゃるほうが頭がおかしいので、これは正常な答えだというふうに理解するわけにはま鳴りません。
それから、いまのお答えによりますると、リボンをつけることは勤務時間中に組合活動をした、こういうふうに御理解になっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/68
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069・増森孝
○増森政府委員 お答え申し上げますが、勤務時間中にそういうような職務と無関係なPR活動を行なっているということが差しつかえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/69
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070・河野正
○河野(正)委員 そうすると、結論的に申し上げますならば、職務時間中に組合活動をしたのだ、そのために処分をしたのだ、こういうふうに理解すべきでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/70
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071・増森孝
○増森政府委員 私ども、必ずしも組合活動をしたからということだけで処分しているのではないのでございまして、それもございますし、職務と無関係なものを佩用して講習に嫌悪の情を持たしている、こういうことで処分するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/71
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072・河野正
○河野(正)委員 いまの御答弁を承っておりますると、一つは、リボンが公衆に対して嫌悪の情を抱かせる。いま
一つは、リボンをつけておることが組組合運動だ、勤務時間中に組合活動をすることと同じことだ、こういう二つの点で処分をした、こういうふうにおっしゃっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/72
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073・増森孝
○増森政府委員 正確に申しますと、勤務時間中の組合活動だから処分した、こういうふうな御理解のしかたではなくて、これは勤務時間中でございますれば宗教活動でも同じことでございまして、職務と無関係な、たとえば何々宗教に入ろうとか、そういうようなリボンをつけても正しい服装とは言えない、こういうふうに私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/73
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074・河野正
○河野(正)委員 たとえば簡易保険の募集等がございます。そうしますと、強調週間というようなことでリボンをつける。要するに当局側のリボンはいい、組合側のリボンは悪い、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/74
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075・増森孝
○増森政府委員 仰せのように保険の募集週間といったようなリボンでございますければ、職務内容になってまいりますので、つけても差しつかえないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/75
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076・河野正
○河野(正)委員 先ほど労働大臣の御所見を承ったのでございますけれども、そうしますと赤い羽根等はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/76
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077・増森孝
○増森政府委員 赤い羽根等は、労働大臣の申しましたように、職務にことさらにじゃまになるとも解せない。その辺は常識で判断するのが至当だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/77
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078・河野正
○河野(正)委員 お答えを承っておりますと全く支離滅裂です。本来から言うと、私どもそういう論議を必ずしも好まないわけでありますけれども、どうも当局側の御答弁には満足するわけにはまいりません。
地方紙等を拝見しておりますと、リボンをつけて公衆に嫌悪の情を抱かせるというような見解は全くナンセンスだ、むしろ逓信省従業員の制服とシャッポを変えたらどうか。全く明治型で昔のオイッチニの薬売りを思わせる、こういうきびしい批判が実はなされておるのでございます。私は、このリボンをつけたというごときで、これが公衆に対して嫌悪の情を抱かせるというような見解で処分をなさる前に、むしろこの全逓の従業員の服装というものをもう少し近代化されるほうが先決なのではないかということを私も考えますし、また地方の新聞でもそのようなことを強調いたしておるわけでございます。
そこで、私どもは今度の当局側の行為というのは全く組合活動の弾圧であり、また組合活動に対するいやがらせであるというふうに断定をせざるを得ないと思います。その点は労働大臣のほうから率直な意見が述べられましたので、ひとつ十分労働大臣の意見等も傾聴して、そしてひとつさらに考え直していただきたい、かように考えます。
これは三十九年四月二日の朝日新聞の記事でございますけれども、その朝日新聞の「今日の問題」といたしまして取り上げておりまする記事がございます。その一節をここで引用いたしますると、「たかがリボンをつけただけで規則違反というのも、いかにもお役所式の杓子(しゃくし)定規」でナンセンスだ、こういうように批判を加えております。私はこういう調子では、これも朝日新聞が指摘をいたしておるのでございますけれども、労使の相互不信というものはいつまでたっても解消できないのじゃないか、さらにまた、こういうことでは労使の対立感情というものは一そう深まるばかりではないか、このリボン闘争に対しまする処分をめぐって有力紙というものもこういう批判をしておる。このことが今日の労使関係というものをかえって激化する要因になっている、こういうふうに指摘をいたしておるのであります。この記事を見てどういうふうにお考えになるか。これは今後の問題を含めましてきわめて重要だと思いますので、率直な意見をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/78
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079・増森孝
○増森政府委員 一面を語る記事ではございましょうけれども、私ども、一万何千からの郵便局、現場を持っておる者としましては、やはり職場規律というものを正していかなければいけないと存じますので、やはり正しく筋を立ててやっていかなければいけない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/79
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080・河野正
○河野(正)委員 いま私が指摘をいたしましたように、大体この朝日の記事というものは、一つには私は、国民というものはこのリボン闘争についてはこういう見方をしておるという一つの判断になると思うのです。そういう点について、今後筋を立ててとおっしゃるけれども、筋を立てるとか立てぬとかいう問題ではないですね。そういうリボンをつけたという行為に対して、世間ではこう考えておるというようなことを新聞は取り上げておるわけです。これは筋の問題じゃないと思うのです。そういう現象について国民というものはこういうふうな見解を持っておるということが報道されておると思うのです。ですから、そういう国民の声、あるいは国民の態度についてあなた方はどう反省されますか、こういうことをお尋ねをしておるわけです。この記事に対してそういう意味での率直な御意見を聞かせていただきたい、こういうように申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/80
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081・増森孝
○増森政府委員 先ほども申しましたように、確かに意見として傾聴に値する記事だと思います。しかし私どもとしましてはやはり現場を持っておりますので、服装を正しくするとか職場規律を正しくしていくということも、これもまたやむを得ないわれわれの仕事でございますので、意見は意見としてわれわれ聞くにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/81
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082・河野正
○河野(正)委員 私が言っておるのは、リボンをつけたことが服装を乱したのかどうか、これについては見解の相違があるわけです。あるいはまた、リボンをつけることが職場規律を乱したかどうか、これについてもわれわれとあなた方では見解の相違があるんです。しかし第三者はそれについてはこういう判断をしておる。これが朝日新聞の記事の内容です。ですから何もいまあなたがお答えになるように、職場規律をどうするとか、服装をどうするとかいう見解の問題ではないのです。それについて私どもはあなた方と見解の相違があるわけです。ですけれども、第三者はこれについてはこういう判断をしておるということが新聞に載っておるから、これについてはあなた方はどうお考えになりますか、こういうことを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/82
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083・増森孝
○増森政府委員 先ほど申しましたように、そういう御意見は御意見としてわれわれも傾聴しまして反省の種にいたしたい、こういうように申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/83
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084・河野正
○河野(正)委員 傾聴に値するということですから、もう十分そういう世論の判断については理解をいたします、またそういう世論について理解するわけですから、やはりまあ考え直すべきだというふうに私ども理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/84
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085・増森孝
○増森政府委員 私どもとしましては、あながちリボンをつけたからすぐに処分するといったようなことを考えていたわけではないのでありまして、るる申し上げましたように、それを再三再四にわたりまして取りはずせということを申したにもかかわらず、上司の命令に違反したということでございまして、先生のおっしゃるようにその朝日の世論といいますか、朝日の記事というものに対してどう考えるのだということに対しましては、われわれもその意見は、こういう世論があるのだということは十分承知しております。しかしやはり一万数千からの職場、現場というものの規律を維持するためには、やはり正すべきものは正さなければいけない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/85
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086・河野正
○河野(正)委員 そういう結果論でなくて、取れと言ったけれども取らなかったから業務命令違反だということで処分したということですけれども、その取れと言ったについては前提があるわけですね。そこに私どもがいろいろ議論を申し上げておるわけです。ですからそこをたな上げして最後の結論だけ聞きますと、業務命令を出したけれども業務命令に従わぬから処分をした、こういうことになるわけです。ですけれども朝日新聞がいっておりますのは、まあいずれにしてもそういうことを規則違反だということで処分をするということは全くナンセンスではないかということです。ですから、業務命令違反だ、こういうように指摘をされて処分されたこと自身がナンセンスだ、こういうように指摘を受けておるわけですよ。その点については、あなた方も傾聴されるということですから、やはり反省の余地があろうと私は思うのです。傾聴して反省の余地がないということはおかしい、傾聴した以上は反省の余地があろうと思うのです、その点はどうですか、こういうように言っておるわけですから、率直にひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/86
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087・増森孝
○増森政府委員 たぶん先生の御質問は、反省した結果こういう処分はやめろ、結論的にはそういうふうにおっしゃられたいのかもしれませんけれども、私どもとしましては、諸種の事情を勘案しまして対処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/87
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088・河野正
○河野(正)委員 私がその点を繰り返して指摘をいたしておりますのは、新聞で指摘されておりますように、そういうふうなお役所式のしゃくし定木のやり方では、労使間の相互不信というものがいつまでたっても解消できぬ、あるいはまた今日春闘の中で労使間の関係というものが非常に激化しようという傾向にございますが、そういう情勢の中で、労使の対立感情というものが一そう深まるのではないか、こういうふうな見通しもございます。そこで私どもは、この労使間の不信が深まるということは好ましいことではございません。また労使間の対立感情が激化することも好ましいことではございません。そこで私どもは、そういう好ましいくないことを未然に防止するためには、やはりいまのような動向というものに対して私どもは大いに考えなければならぬ、こういうように私はこの問題を非常に重視をしておるわけです。特に今度の春闘では、私が先ほど指摘をいたしましたように、次官会議等でも非常にきびしい態度で臨むというふうな政府の方針も決定しておるようでございます。そういう情勢の中で、いままでこのリボン闘争というものは、なるほど北海道ではございました。労働委員会の問題としてこの問題が論議されたことがございます。ところが裁判ざたになったのは今度が最初のケースでございます。こういうふうに特異な現象というものが出ておるわけでございます。そこで私はこの問題を特に重視をいたしたわけでございますし、同時にいまこの問題が北海道の地労委で審議が行なわれておりまするので、その資料を御指摘申し上げておきたいと思います。
これは昭和三十七年三月二十四日王子製紙苫小牧の組合で要求貫徹のリボンの着用を指令した、これに対しまする地労委の判断でございまするけれども、これを見てまいりましても、この会社側がリボンをつけてはならぬという禁止令を掲示して、そして玄関、出入り口でリボンをはずすように勧奨をした、そういう事件に対しまする提出案件でございまするけれども、その審議結果は、禁止令を掲示して、そして着用者の氏名を確認した行為は当を得ていない、要するにリボンをつけてはいかぬという禁止令を出すこと自体が行き過ぎておる、こういうふうな地労委の判断が出ておるわけです。ですから、この裁判でどういう結論が出てくるかわかりませんけれども、先ほど労働大臣からもお答えになったように、やはり北海道の地労委においても労働大臣と同じような結論が出ているわけです。結局そういう方向と違うのは郵政省だけでございます。ですから、これは私どもがここで指摘するのではなくて、やはり郵政省としても大いに頭を切りかえていただかなければならぬ、こういう資料はいま申し上げるようにあるわけです。
さらに、学者等の意見を聴取いたしましても、これは先ほど労働大臣から映画俳優の話が出ましたけれども、リボンを着用して、それが正常な職務を執行する場合に困るという事例は、食品衛生業務に従事する従業員にとってはかなり問題があるのではないか、これは学者の意見です。このリボンが、たとえばおそばを持っていく、うどんを持っていく、食べものを持っていくときに、そのリボンがついて、不潔だというような点がございますから、そういう職務に従事する従業員等においては若干問題になる場合があるかわからない、しかしその他の職務においてはリボンをつけることが職務を執行することに支障があるということにはならぬのじゃないか、こういう学者の見解があるわけですよ。ですから、北海道の地労委でもそういう判断が出ておる。それから労働行政の最高責任者でございます大橋労働大臣からもきわめて賢明な御答弁が出ておる。さらに学者の意見を承ってまいりましても、リボンをつけて問題になるような業種というものは食品衛生に従事する従業員くらいであろう、その他の点では問題にならぬ、これが学者の意見です。どこをついても郵政省がお考えになるような考え方は出てこない。ですから、世論を代表する新聞を見ても——これは新聞がすべての世論を代表するとは考えませんけれども、しかし私は大部分の世論は新聞が代弁していると思う。そういう世論を代表する新聞を見ても、労働行政の最高責任者でございます労働大臣の見解を聞いてみても、あるいは地方労働委員会の見解を聞いてみても、さらに学者の方々の意見を聞いてみても、すべて問題にならない、そういう見解が出ているわけです。あなた方は、単に一局長の判断によってそういう見解を出されたということでございますから、全く科学的根拠も薄いし、また論理的根拠も非常に薄いということに私は帰結するであろうと考えます。そういう意味から、私は今回のリボン闘争に対しての処分は行き過ぎだというふうに断定せざるを得ない。別に私は組合の代表をしているわけではない。私はこのことを発言するためにはいろいろ検討いたしてまいりました。そうして結論的にこれは組合が言っているように今回の郵政省の理論というものは全く不当性が強い、こういう判断に立って実は論及をいたしておるわけです。一方的に私が組合から依頼を受けて言っているわけではございません。私は、私が申し上げましたようなもろもろの条件が整って申し上げているわけですから、この点は先ほどの話でありませんけれども、大いに傾聴に値すべき意見であろうと私は思うのです、自画自賛になりますけれども。ですから、十分お聞き取り願って、今後の郵政省の方針について大いにひとつ改めてもらわなければならぬ、頭を切りかえてもらわなければならぬと考えますが、御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/88
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089・増森孝
○増森政府委員 たいへん有益なお話を承りまして、私も十分検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/89
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090・河野正
○河野(正)委員 そういたしますと、今回のリボン闘争については、いま申し上げましたようなもろもろの意見があるわけでございますから、そういう意見を十分尊重して、そうして今後の方針等についても大いに検討を加える、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/90
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091・増森孝
○増森政府委員 ただいまこの問題は司法関係にも係争中でございまして、ここで明快なお答えのできないことは残念でございますが、私どもといたしましては、何度も申しますように、いろいろ先生の御意見等も参酌いたしまして、今後の状況をいろいろ検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/91
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092・河野正
○河野(正)委員 この問題は単に全逓の問題ではございません。このリボン闘争というものが今日まで労働組合の闘争の際にはしばしば戦術として使われた問題でございます。それに対しては、いま申し上げますように、学者なり、あるいは労働行政の最高責任者でございます労働大臣なり、あるいはまた新聞の世論なり、そういうもろもろの意見の上に立って、いま申し上げますような私の見解を申し述べたわけでございますし、今後に及ぼす影響も非常に多いと思います。これらの点については十二分にひとつ善処と、さらにまた適切なる行政指導をやってほしいと考えるわけでございます。この際、大臣からもそれらに対しまする御所見を重ねて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/92
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093・大橋武夫
○大橋国務大臣 先ほど一般的な問題としての見解を申し上げましたが、具体的なこのケースにつきましては、先ほど郵政省の政府委員からも申し上げましたるごとく、目下係争中の事件でございまして、私からかれこれ申すことはいかがかと存じます。ただし今後の問題もございまするので、なお労働省といたしましては、こうした問題についての見解を十分に検討いたし、各省間のこれについての解釈なども必要があれば将来統一をするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/93
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094・田口長治郎
○田口委員長 暫時休憩いたします。
午後一時四十三分休憩
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午後三時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/94
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095・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/95
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096・河野正
○河野(正)委員 午前中、春闘をめぐりまする諸問題について若干御質疑を行なってまいったのであります。特にその際御指摘申し上げましたように、春闘におきまする労使間の関係、労使間のあり方というような点について、若干リボン闘争を中心としてお尋ねを申し上げたわけでございますけれども、それらの問題と関連をして、さらに若干の質疑を行なってまいりたいと考えております。
それは、労使間の対立関係というものが、いろいろな要素に基つきまして激化する方向をたどるわけでございますけれども、その一つのあり方として当局の組織介入あるいはまた不当労働行為、こういう点を私どもは若干この際指摘をしなければならぬというふうに考えております。
午前中も全逓におきまする労使間の問題を若干取り上げてまいりましたので、それらに関連をして、さらにこの際御指摘を申し上げておきたいと思いまする点は、いろいろございますけれども、その具体的な一例として非常に顕著な例というものは、昨年印末闘争が展開されまして、そういう闘争の中で当局側のきわめて露骨な組織介入を行なってまいりました例として、実は石川県におきまする事例がございます。これは具体的な例でございますけれども、具体的例を取り上げて申し上げますることが、一番事実関係を明らかにいたしますので、そういう意味から一例として石川地区におきまする組織介入の点を取り上げてみたいと思うのでございますが、それは昨年の十一月末より展開されました年末闘争の中で押水局という局がございますが、その局長が、組織の分断工作をやりまた組織の破壊工作をやったというきわめて露骨な例でございます。このケースはある場合は、組合員を自宅に呼びつけまたある場合は家庭訪問を行ないまして、そうして全逓はもともと普通局中心であって、特定局をなくそうとする運動である、したがって全逓に入っている限り特定局の職員というものは救われないのだ、こういう意味の説得工作をやりまして、そうして組織介入と同時に不当労働行為を行なったというケースでございます。もちろんこの事実につきましては、実は当時局長自身が肯定をしたということでございますから、当局側としてもあえてこれを否定ができない案件だと私は考えております。こういうあり方というものは、これは労使関係のあり方としてももちろん違法行為でございますし、許さるべきではないということは当然のことでございます。局部的でございますけれども、そういう露骨な当局側の組織介入がございますというと、それがひいては全逓そのものと郵政そのものとの間におきまする大きな問題として、労使関係というものが激化の方向を進んでいくということはこれはもう当然のことでございます。そこで私どもは、こういう事態というものは単なる局部的な案件として軽視していくわけにはまいらぬというふうに考えるわけでございます。こういうような事態に対しまして郵政当局はどのようにお考えになっておるのか、ひとつこの際率直にお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/96
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097・増森孝
○増森政府委員 お答えいたします。ただいま先生が組織介入をして不当労働行為をしているのではないか、それからそれを局長が肯定している事実があるというお話でございましたけれども、私どももこれは非常に重要な問題でございますのでさっそく調査をいたしたいと存じます。もともと私どもといたしましては組織介入とかあるいは不当労働行為にわたるといったようなことは極力避けなくてはいけない、避けるべきだ、こういうふうに存じまして私ども下部を指導しておるのでございますが、ただいま先生のお話では局長がそれを肯定しているようであるというお話でございます。しかし調査によりますと、なるほど石川県、富山県等におきまして脱落者といいますかいわゆる全逓脱退者はございます。しかし私の調査しました範囲におきましては、局長がそういう不当労働行為をしたいという事実はないように聞いております。それでおそらく先生の御指摘になりましたのは一こういう事実はあるようでございます。年末時におきまして業務の正常な運行を確保するために局員を自宅に呼んで、そして三六協定を結ばないかということを言ったような事実はございますけれども、不当労働行為にわたるといったような事実はない、こういう結果になっております。なお郵政局長等もそういうことを肯定しているはずはないのでございまして、その辺本省郵政省としましても組織介入といったようなことは毛頭考えておりませんので、郵政局段階等におきましてもおそらくそういうことはないことを私確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/97
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098・河野正
○河野(正)委員 組織介入ということは極力避くべきだというお答えはけっこうですけれども、要はそれらの方針というものが現実に貫かれておるかどうか、この辺がきわめて重大だと思うのです。特にこの石川地区におきまする押水局をめぐります組織介入の問題というものは、いま三六協定を結ばぬかということで自宅に呼んだという事実の披瀝もございました。もちろん、そういう三六協定の問題をめぐって自宅に呼びつけることがいいか悪いかという問題も一つございます。そういう協定を結ぶ、結ばぬという問題を自宅に呼びつけていろいろ話し合えば、当然それは当局側の威力でかなり大きな影響を与えるのでございましょうし、そのこと自身を取り上げてまいりましても、これは不当労働行為に該当するというふうに私どもは考えざるを得ないのでございます。
そこで、さらにそういう組織介入あるいはまた組織分断工作をやった事実を認めたか、認めぬかという問題についてはあとでお尋ねするにしても、いま局長がお認めになった三六協定を結ばぬかというようなことで組合員を管理者が自宅に呼びつける、こういう行為というものがはたして許さるべきものであるかどうか、私はこれは非常に重大な発言だと考えます。そこで、この点は労働省のほうからひとつ御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/98
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099・三治重信
○三治政府委員 いまのお話だけで一般化すれば、そういうふうな労働協約関係のお話は職場で行なわれるのが一般であって、必ずしも適切なことではないというふうに考えます。ただし、こういう具体的な問題につきましては前後の事情もあるかと思いますけれども、一般的にはそういうのは職場で行なうべきであるというふうに考えるのが普通ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/99
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100・河野正
○河野(正)委員 いま労政局長から御見解を承ったのでございますけれども、これは常識的に判断すれば、そういう協定というものを管理者側が自宅に呼びつけて、そして締結させるというようなことが不当であるということは、もう当然のことだと思うのです。これはもうあなたがお認めになった最小限の限度とは思うのですけれども、そういう具体的な事例をあげてまいりましても不当労働行為という事実というものが明らかであります。ですから、あなた方がお認めになるか、お認めにならぬかわかりませんけれども、私どもが承知しておる範囲内においてはさらに具体的な事例というものがあるわけでございます。したがって、局長も実はいままであったことは過去のことで、なかったことにしてほしい、こういうような発言もございます。ですから、私はいま局長がお認めになった限度においては、労働省は一般論としては不当な行為だ、こういう御見解でございます。ですから、郵政省当局が認める範囲でもそうですから、私どもが承知しておる範囲においてはさらにいろいろな問題点がある。したがって局長もいままであったことはひとつ水に流してほしい、こういうような意見というものが述べられたと思うのです。ところが問題でございますのは、過去のことはなかったことにしてほしい、こういうようなことを組合側に申し入れながら、依然としてこの組合介入を引き続き行ないつつある。こういうことでございますと、勢いこの労使関係というものがますます不信感を深めますし、なおまた感情問題というものも非常に深まっていくことは、これはもう当然のことでございまして、むしろいま労使間の問題がこの春闘を中心として非常に激化の方向をたどろうといたしておるその原因というものは当局側がつくっているものだというふうに私はあえて申し上げましても過言ではなかろうというふうに考えるわけであります。そういう事実について郵政省はどのようにお考えになりますか、ひとつこの際明確にお答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/100
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101・増森孝
○増森政府委員 ただいま先生の御指摘になりました自宅へ呼んで、業務の円滑な運行に協力するために三六協定を結ばせる、そういうこと自体不当労働行為ではないかというようにおっしゃいましたけれども、私どもは不当労働行為とまではいかないのではないか、自宅へ呼んでそういう話をしたということは非常に誤解を招くことでございますので、この点はそういうことのないように今後指導したいと思っております。
それから第二点の問題、不当労働行為、たとえば組織介入というようなことが行なわれているのではないかということにつきましては、私ども、そういうことがないだろうということを信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/101
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102・河野正
○河野(正)委員 第一点の、自宅に呼びつけて、そうして三六協定の締結を要望するということが単に誤解を招く行為だ、こういうふうなお答えでございますけれども、協約というものはやはり労使対等の立場で行なわるべきであって、それが管理者側が自分の自宅に呼びつけるということであるといたしますならば、これは労使対策の原則というものもじゅうりんをされておりますし、また精神的、心理的に及ぼす影響というものも私はかなり甚大なものがあろうかと考えます。ですから、これはむしろそういう誤解を招くというふうなことでなくて、もう明らかに不当労働行為に該当すべきものだ。一般論としては労働省もそのようなことを明確にされておるわけですから、具体的な点としても、そういうことを行なうということは当然違法行為である、私はこういうふうに断定せざるを得ないと思うのです。この点は、まあいずれにしてもあなたのほうも誤解という点まではお認めになっておるわけですけれども、しかしこれは誤解という程度でなくて、むしろやはり不当労働行為に該当するというふうに私どもは指摘せざるを得ぬと思います。この点は労働省のほうの率直な御見解もあることだしいたしますので、あなたのほうでも、その労働省の見解については十二分に傾聴して、そして今後についてはそういう非を改める、こういう方針で臨まれるべきだ、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/102
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103・増森孝
○増森政府委員 ただいま先生がお話しのように、労使対等ではなかろうということは確かでございますので、私どももそういうふうなことのないように下部を指導したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/103
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104・河野正
○河野(正)委員 いま大体いままでの非についてはお認め願ったようでございますので、今後はひとつそういう点については大いに反省をして、そうして労使間のあり方について考え直していただきたい、こういうふうに考えます。
さらに私どもが指摘をしなければならぬ点は、もともと、いま私が指摘いたしますように、管理者側が組合員を自宅に呼びつけるというふうな全く非近代的な、封建的な、昔の徒弟制度的な労務管理でございます。そういう思想でございますから、以下申し上げまするような事例があるということはもう容易に考え得る点だと考えるのでございますが、その一つとして、ここにさらに取り上げてみたいと思いまする点は、組織介入をはかり、組合から脱落することを次々と強制をしていく、そのことも重大でございますけれども、ところが私どもが最も心外に感じますることは、実はこういう事実がございます。それは、個人の名前を出して恐縮でございますけれども、西村次官がいずれ近く参議院選挙に出馬をする。もちろんこれは公職選挙法にも問題があると思いますけれども、したがって全逓から一人でも二人でもよいから脱退させるように行動してほしい、こういうふうな働きかけをしたという事実がございます。もちろん現職の事務次官がそういう事前運動をされることも問題でありましょう。けれども、それに事寄せて、そうして組合介入をはかり、さらに組合員の脱退を強制していく、こういう全く心外にたえないような事態をわれわれは仄聞いたしております。このような労務行政というものが行なわれておるといたしますならば、私はいわゆる労働大臣が卓越した適切な労働行政の指導をされましても、日本におきまする労使関係というものは必ずしもうまくいかぬ。むしろ今日いろいろ紛争の事態というものが起こっておりまするけれども、そういう事態というものを当局側が、しかも特に多くの従業員をかかえております郵政省においてそういう行為が行なわれておるということにつきましては私どもの断じて承服することのできない点でございます。こういう事態についてあなた方がどういう御見解を持っておられますのか、この際ひとつ明確にお答えをいただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/104
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105・増森孝
○増森政府委員 ただいま西村次官が事前運動をしているというお話ですが、私、不幸にして西村次官が立候補するといううわさも聞いておりません。したがいまして、そういうことが言われている、その運動をしているということも信じられないと思います。
それから第二点の、だから脱落しろ、全逓を脱退しろということを干渉しているということも私聞いておりません。私どもといたしましては、先ほどからるる申し上げますように、組織介入といったようなことがあってはいけないと存じておりますので、こういうことを下部においても行なわれてはならないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/105
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106・河野正
○河野(正)委員 そういう組織介入を行なってはならぬし、極力避けるべきだというふうなお答えは当然のことと思うのです。しかしながら、要はそういう方針というものが下部末端まで周知徹底をしつつあるかどうか、この点が私は重大だと思うのです。たとえそういう方針だけをここでお答え願っても、単にそれが絵に書いたもちでは、あるいはまたから念仏で終わるということでございますならば、全くこれは意義のないことであって、要はそういうお答えになったことがそのまま下部兼端まで管理者の間に周知徹底せしめられるか、このことが非常に重大な点だと思うのです。そのことがなければ、結局いまお答え願ったことを私どもは額面どおりに、はい、そうですかというわけにはまいらぬと思うのです。ところがまことに残念ですけれども、下部においては、あなたの意思に反するかどうかわかりませんけれども、そういう行為というものが行なわれておる。特にまた具体的に名前を出して恐縮でございましたけれども、西村次官が立候補するかどうか、そのうわさも聞かないということでございますが、そういううわさがあっては、これは正直言ってたいへんなことですね。現職の次官ですから、これは公職選挙法にも抵触するでしょう。と同時にやはりそういうことを中心として、下部で何らかの行動が行なわれる、あるいはまたそういう行動が行なわれたような疑惑を抱かせるということ自体も、私はこれは非常に大きな責任だと思うのです。ですから単に人事局長が、そういううわさは聞いておらぬのだとおっしゃっても、そういううわさというものが現実に下部で流れておるし、また喧伝されておるということになるといたしますならば、私はそのことだけでも非常に重大なことだと思う。そこでやはりそういううわさが流れ、現実にそういう話というものが喧伝されておるということになりますならば、私は、それはそれ相応の責任というものを郵政省はお感じにならなければならぬ、かように考えます。自分が知らぬのだから、そういうことは問題にならぬというようなことではなくて、やはりそういううわさなりそういう話というものが流れておるということは、またそれに近い疑惑を世間に持たしておるということについては、私は郵政省にはそれ相応の責任があると思うのです。ですからそれらの点について責任をお感じになるのかならぬのか、ひとつ率直にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/106
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107・増森孝
○増森政府委員 ただいまの立候補の話でございますが、これは私の承知しておる範囲では、本人が立候補するということを言ったのを一言も聞いたことはございません。むしろこの前の委員会等でそういう話が社会党の先生から言われたということで、われわれ逆に承知しているような形であります。これは本人は全然まだ私どもに意思表示をしたことはございません。そういうことはあり得ないと私は信じております。
それから下部に対して徹底させてはどうかということでございますが、私どもも組織介入というようなこと、不当労働行為にわたるようなことがございませんように、常々会議等でもしょっちゅう関係者に申しております。そういうことのないように今後とも十分注意してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/107
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108・河野正
○河野(正)委員 今後ともそういうことのないように注意するというお話でございましたけれども、特に今後注意願うといたしますならば、私どもあえてもう一、二取り上げてさらにひとつ善処願っておきたいと思います。
いま私は具体的に押水局の局長の言動について取り上げてまいったわけでございますけれども、この石川地区におきます特定局長の会、これはもちろん押水局の局長等が中心的な存在だと思うのでございますけれども、それらを中心とする特定局長会というものが実は組織介入について非常に露骨な行動に出ておる事実がございます。たとえばこの三月、某所で行なわれました——これは行なわれておる地域も承知しておるのでございますけれども、特定局長の会議の席上で、この組織介入に対して非常に消極的な局長に対しましては局長会が非常な圧力をかける、そして局長会が中心となって組織分断をやる、こういう悪らつな露骨な言動が行なわれておる、こういう事実がございます。そこでその一つの例としてここで指摘をしておきたいと思うのでありますけれども、たとえば現在まで組合員を脱退させることのできなかった局長に対しましては、おまえは管理者として能力がないではないか、こういうような集中的な攻撃が浴びせられる、そこでそういう良心的なまじめな局長は非常に困っておる、こういう具体的な事実があるのでございます。またある人のごときは、自分自身はできるだけそういう組織分断あるいは介入工作というものは慎んでいきたいというふうに考えてきたけれども、局長会で集中的に無能者呼ばわりをされるので、なかなか自分の信念が貫かれないのだ、こういうことばでこぼしておる局長もおられるという事実がございます。私はやはり、局長としてはそういうこぼされておる局長というものがきわめて正しい考え方であると確信いたしますし、またそういう局長に対しまして集中的に無能者呼ばわりをするような行為を露骨に行なってまいりました特定局長の会に対しましては、そういう行為を私どもは断じて許すわけにはまいらぬというふうに考えるわけでございます。具体的な実例はいろいろございますけれども、いずれにいたしましても、局長からお答え願ったように、組織介入なり分断工作というものは極力慎まなければならぬ、また今日までそういう方向で下部を指導してきたのだ、こういうお話でございますけれども、現実にそういうふうな具体的な事実がある。このことは私はまことに遺憾だというふうに考えざるを得ません。私は、こういう管理者側のあり方については一考も二考も要すべき問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。特にそういうふうに、個々ではなくて集団的に不当労働行為、組織介入が行なわれるということについては、これはきわめて重大な問題でございますので、この点についてはひとつ労働省からも率直な見解と今後の指導方針等についても明らかにしていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/108
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109・三治重信
○三治政府委員 いまお聞きしておる範囲内では、そういう組織介入の事実とかいうふうには私受け取れませんが、いずれにいたしましてもそういう組織介入というようなことは労使関係を乱すもとであり、郵政省の人事局長も、そういうことはやってないし、やらぬように常々言っておるわけであるし、指導もしておるというわけでございますので、それでいいのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/109
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110・河野正
○河野(正)委員 どうもいまの労政局長のお答えを聞いておりますと、私の質問を十分お聞き取り願わなかったために起こってきた誤ったお答えではなかろうか、かように考えるわけです。と申しますのは、当初取り上げました第一点は、御承知のように管理者側が組合員をかってに呼びつけて、三六協定の締結を要請する、こういう封建的な徒弟的な、非近代的な労務管理というものが行なわれておるわけです。この点については先ほど、これは確かに不当であるというふうなお答えだったと思うのです。それから、郵政省がお認めになった最低線の点について御指摘を申し上げた。したがってその他いろいろございますことは、いままで申し上げたとおりです。さらにもう一点は、この局長会というものが個々の局長に対して圧力をかける、そしてそれぞれの局長というものが組織介入、あるいはまた分断工作についてさらに露骨な行動に出るように、こういう慫慂を行なっている、こういう事実がある。こういう点は、私は今後の労務管理についてもきわめて重大な点だというふうに考えるのであります。したがって、こういう具体的な事実というものがこの民主主義社会の中で横行することが適当じゃないということは当然のことだと思います。したがって、やはりこういう点については、今後郵政省に限らず、労働行政として当然お考え願わなければならぬ点ではなかろうか、こういうふうに考えるので、いま率直な御意見をお聞かせ願いたい、こういうふうに申し上げたわけであります。そういう意味でございますから、ひとつ率直にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/110
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111・三治重信
○三治政府委員 局長会の問題ですが、その中身の御議論につきましては、なお郵政当局と先生とは意見が一致しない、中身については違うようでございます。一般的に申しまして、使用者が組合の組織について支配、介入するということは法律ではっきり禁止していることで、こういうことはなすべきでないというのは申すまでもないわけでありますが、その局長会ということで、その中身の問題で組織介入の点を協議した、またそういうことをやらない局長に対しては忠告というような問題、これは事実問題になるので、そういうことの主張につきましては、ひとつ公労委のほうで判断してもらわないと、労政局としてそれがどちらかということは申し上げられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/111
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112・河野正
○河野(正)委員 私が御指摘申し上げました点の中で、最低線でございます点については郵政省もお認めになっておる。しかも、そのことが労働省の見解としても当然行き過ぎだ、不当労働行為として当然考えるべきだ、こういう御見解であったわけでございます。したがって、午前中のリボン闘争もそうでございましたけれども、午後取り上げてまいりました組織介入の問題、そのうちの何点かを具体的に取り上げたわけですけれども、それについてはいろいろ見解の相違もございます。ございますが、少なくともその中のある部分については確かに行き過ぎがあった、こういう点はいまそれぞれお認め頼ったと思うのです。したがって、それらの点については郵政省としても当然労働省の見解に対しては傾聴さるべき点だと思うし、またそれらの点については今後の労務管理の中で大いに反省してもらわなければならぬ、かように考えます。そういう点についてはいかがでございますか、人事局長から率直にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/112
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113・増森孝
○増森政府委員 第一点のリボン闘争につきましては、午前中にお答えしたとおりであります。
第二点の、自宅へ呼びつけて、そして三六協定を結んではどうか、こういうことにつきましては、疑わしいので注意をしたというお答えをしたのであります。
それから第三点につきましては、不当労働行為、それから使用者側の組織介入というようなことは絶対にあり得てはいけない問題でございますので、私どもといたしましても今後十分注意をしたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/113
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114・河野正
○河野(正)委員 大体結論が出そうになりますとまたはぐらかしたようなお答えが出ますから……。いろいろ御指摘を申し上げました諸点については、若干見解の相違がございます。ありますけれども、その一部については労働省においても見解を明らかにされたわけです。ですから、それらの点について、たとえば個人を自宅へ呼びつけて勧奨する、こういう点は行き過ぎだという労働省の見解もあるわけです。そういう点については最低級ですけれども、郵政省としても反省すべき必要があろうと思う。ところが、依然としていまお答えになったような御見解では、いつまでたっても私ども納得するわけにはまいりません。やはり傾聴すべき点についてはあなた方も十分傾聴して、そして今後労使間のあり方について誤りなきように対処されるということが望ましいと思うのです。これは建設的意見でございますので、率直にひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/114
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115・増森孝
○増森政府委員 ちょっと私のことばが足りなかったので先生の誤解を招いたと思いますが、私ども労働省の見解について異論をさしはさんでいるわけではございません。十分労働省の労働行政を尊重いたしましてやっていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/115
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116・河野正
○河野(正)委員 いまいろいろ前向きのお答えをいただきましたので、その点は今後の推移を見るということにしまして、いまいろいろと取り上げてまいりました不当労働行為等に関連をして、いま一点だけお尋ねをしておきたいと考えます。
いまから取り上げます問題は、最近世間でも非常に大きな焦点となってまいりましたし、なおまた先般テレビにおきましてもゆらぐ証券界といって、証券界におきまする合理化、またそれに対処いたします労働組合の運動、こういう点が取り上げられてまいりました。特に証券界の労使関係というものはきわめて非近代的でございまして、たとえばベースアップのごときも大体三カ年間に一度というふうに、非常に劣悪な労働条件のもとに置かれておるようでございます。そういうような点もございますし、さらにまた労使間におきまする団体交渉等の点を見てまいりましても、非常に一方的であり、また非近代的であるというようなことで、この証券界におきまする労使問題というのは最近非常にクローズアップされた問題だと考えます。そこで、この非近代的、封建的と言われております証券界におきます労使関係、こういう問題について労働省当局はどのようにお考えになっておりますのか、具体的な論議に入る前に一応御見解をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/116
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117・三治重信
○三治政府委員 労使関係については産業によって違うわけのものではないわけであります。ただ一般にやはり労働組合の発生の状況や、その発展の状況からいけば、こういうホワイトカラーの従事する産業のほうは諸外国においても労働組合の組織率は一般的に低いという傾向は見えますけれども、しかし、一たん組合が組織され、団体交渉が行なわれるという場合において、それがほかの産業の労使関係、団体交渉というものと特に変わるというふうには何ら例外を考える必要はないのだというふうなのが一般見解になるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/117
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118・河野正
○河野(正)委員 いま労政局長から御見解を承りましたように、たとえば証券界といえどもその労使関係というものが他の労使関係に比して特別であっていいという理由はない、こういちょうな御見解でございましたし、私も全くそのとおりだと思います。ところが、私が冒頭に指摘をいたしましたように、その実態というものは他の企業におきます労使関係よりも非常に劣悪な条件のもとに置かれておる。これは三年に一回だというベースアップの一例を取り上げてまいりましても明らかでございます。それと同様に、その労使関係というものが非常に非近代的だというようなことのために、むしろ社会問題化したというふうな実例というものが非常に多いようでございます。たとえば野村証券のキーパンチャーが労働強化の中でノイローゼになりまして、そしてビルから飛びおり自殺をした。これは週刊誌でも非常に大きく取り上げられております。あるいはまた、会社側のあくどい営業上の追及を受けて、そのためにかみそりで割腹自殺を遂げる。あるいはまた、労働組合が一般労組に加盟をいたしますと、委員長以下十九名が北は北海道から南は長崎というように、ばらばらに配置転換をされる、こういうような全く無謀といえば無謀な労務管理というものが行なわれておる。こういう事例が非常に多いわけです。私どもも、いま労政局長からお答え願いましたように、たとえ証券界の労使関係といえども、他の労使関係よりも劣悪な条件にあってよろしいということはないわけでありますから、やはり証券界におきます労使関係も一日も早く近代化しなければならぬという一つの使命というものがあろうかと考えます。
そこで、労使関係というものが非常に非近代的だ、封建的だ、そのためにむしろ社会問題として問題を起こすというケースが非常に多いということを指摘をいたしたわけでありますけれども、もう一つ、その一例として、実は一組合員が、藤本美代子という女の人でございますけれども、この人が非常に組合活動をした。そのためにある場合には興信所を使って本人の調査を行なう。さらに本人に中傷をする、あるいはその父親のつとめ先に行っていろいろ圧力を加える、それからまた職場を離れて帰宅いたしまする際に尾行をする、それからさらにまた一年足らずの間に四回も配置転換を行なった、こういうよらないやがらせをやる。組合活動に熱心だということでいやがらせをやる。そこで藤木美代子さんという女の子は、とうとう自殺をしなければならない、こういう社会問題が起こってまいったという事例もあるわけです。このことは、もちろん労務管理が非近代的だということは当然のことでありますけれども、一つには私は序はり人権上の問題があろうかと考えております。しかもこの藤木さんの場合は、二月二十七日大阪の法務局人権擁護部に対しまして提訴されたというように私ども仄聞をいたしておるのでございます。こういう労務管理が許されていいということは、これは当然考えられないわけでございますけれども、こういう事態が現在なお存在しておるということをひとつ労働大臣も十分お聞き取り願わなければならないと思うのであります。これらの事実に対して労働大臣としては今後どのようにお考えになるか。それからさらにまた法務省のほうでは、もうすでに人権侵害ということで提訴されておるそうでありますので、その後の調査でどのような御所見でございますのか、それぞれひとつお答えをいただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/118
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119・大橋武夫
○大橋国務大臣 労使関係の近代化につきましては、労働省といたしましても常に努力をいたしておるところでございます。いろいろな業界におきまして、旧来の陋習がまだ残っておる面もあり、これに関連していろいろ労働問題が発生いたしておるところもあります。労政当局を鞭撻いたしまして、かような方面の指導に努力いたす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/119
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120・鈴木信次郎
○鈴木(信)政府委員 ただいま御指摘の野村証券大阪支店の女子職員が自殺したという事件に関してでありますが、昨日までには私どものほうに何らの報告が入っておりません。昨日当委員会から御連絡がありましたので、急遽あっちこっち連絡いたしました結果、ようやく次の事実が判明したのであります。と申しますのは、二月二十七日付の大阪毎日新聞に次のような報道がされたのであります。
その内容は、本年の二月十四日に野村証券大阪支店の庶務課に勤務しますただいま御指摘の藤本美代子(二十歳)という方が自宅でガス自殺をした。藤本さんは当時受付係をしていましたが、庶務係に配置転換されて庶務課長の席の前に位置させられ、つまらぬ雑用のみを命ぜられるので、二月十二日に他の職場に変えてもらいたい、こういう申し出をした。ところが、その申し出を拒否されましたので、翌二月十三日から休暇届けを出して休んでいた、こういうのであります。野村証券においては、総評系の労働組合を結成しようとする者と従業員組合との間で組合員獲得をめぐる対立があった。この藤本美代子さんは総評系組合の組織づくりに熱心であったため、受付係から庶務係に配置転換をされ、自宅付近の聞き込みをされたり、家族から帰宅時間その他についての事情聴取をされたり、また同僚に藤本とはつき合わないほうがいいと言いふらされたりして等のいやがらせをされた。藤本はこれらのいやがらせを相当気にしていたようで、組合幹部に、私はしっかりしていないとくじけてしまいそうだと訴えていたこともあった。したがって、会社並びに従業員組合の所為が同人を自殺に追い込んだものであるが、会社等の藤本に対する所為は労働者の団結権を犯し、かつ個人の自由を犯したものであるという記事が毎日新聞に出たのであります。
これに対しまして、人権侵犯を担当いたします地元大阪法務局におきましては、この新聞報道の際に、なお引き続きまして、前記総評系の労働組合の幹部がこの事件を大阪の法務局に申告することに決定した、こう書いてありましたので、その申告を待って事情の詳細を聞いた上で調査に着手する予定でいましたが、現在までその申告がない。したがいまして調査がおくれているというのが現在の状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/120
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121・河野正
○河野(正)委員 申告があるないは別として、実はこの藤本さんがいま指摘をいたしましたように、会社側のいやがらせ、あるいはまた人権を犯すような行為によって自殺に追い込まれる直前に、自分の学校時代の先生に出しました手紙があるわけです。それを見ますと、いま若干御説明のありましたように、「昨年はいろいろ御協力ありがとうございました。私の会社の本社で労働組合ができたのを御存じだと思います。大阪では第二組合が十二月の二十七日に結成され、ことしは大混乱が起こりそうです。現在私に対する風当たりが一番強く、思想的にもっともっと鍛えられないと攻撃に負けてしまいそうです。二十八日は会社が終わったので、すぐ徳島の祖母の家に来て懸命に学習しています。年賀状がおそくなりましたことをお許しください。ことしも御支援くださいますようお願いいたします。私のことはだれにもおっしゃらないでください。」こういうような手紙が死の直前に出されているわけでございます。したがって、いずれにいたしましても会社側の不当な人権圧迫、あるいはまたいやがらせによって本人が死に追い込まれたというふうに考えることは非常に容易だと思うのです。したがって、それらの点もあったと思いますけれども、この藤本さんのなくなりましたことに対しまする会社側の措置というものも、かなりいろいろ載量されているようでございます。こういう点も、やはり藤本さんが会社のいやがらせ、あるいはまた不当介入によって窮地に追い込まれたということを裏づけする一つの事実であるというふうに私は思いますけれども、いずれにいたしましてもこのような人権を侵害するような非近代的な労務管理が行なわれているというのが、いまの証券界の労使の実態だと思います。そこで、私はこの際いろいろ重ねて取り上げようとは思いませんけれども、しかし私は、近代社会の中でこのような社会問題が次々と起こってくるというふうな労務管理、あるいは労使関係の存在というものは、これは人道上から許されないと思います。でございますので、今後こういう方面に対しまする労務のあり方という面につきましては、さらに格段の御配慮を労働当局にお願いしなければならぬ、かように実は考えます。そこで人権擁護局のほうではそういう申告がございましたならば直ちにその解明に努力をして、そして今後の労使関係のあり方というものについて大いに明快な御見解をお願いしたい、かように考えます。
それから労働省においては、近代社会の中でいま申し上げるようなきわめて非近代的な、封建的な労使関係の存在することを、私どもも遺憾と考えますと同時に、そういう現実の事態があるということを十分御認識いただいて。今後何分の強力な行政指導を行なっていただきますように強く期待をいたします。それらの点について労働大臣から最後に御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/121
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122・大橋武夫
○大橋国務大臣 河野委員の御意見につきましては、私どももさようにあるべきだと存じます。なお野村証券の問題につきましては、労働省といたしましても大阪府庁に依頼いたしまして、事情を取り調べまして、将来の参考にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/122
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123・田口長治郎
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明八日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後四時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X02919640407/123
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