1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年四月二十二日(水曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 亀山 孝一君 理事 田中 正巳君
理事 小林 進君 理事 長谷川 保君
理事 八木 昇君
浦野 幸男君 大坪 保雄君
熊谷 義雄君 小宮山重四郎君
竹内 黎一君 地崎宇三郎君
中野 四郎君 西岡 武夫君
西村 英一君 橋本龍太郎君
藤本 孝雄君 松山千惠子君
亘 四郎君 伊藤よし子君
滝井 義高君 八木 一男君
山口シヅエ君 本島百合子君
吉川 兼光君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
出席政府委員
厚生政務次官 砂原 格君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚 生 技 官
(医務局長) 尾崎 嘉篤君
厚生事務官
(児童局長) 黒木 利克君
厚生事務官
(保険局長) 小山進次郎君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
厚生事務官
(社会保険庁年
金保険部長) 實本 博次君
委員外の出席者
厚生事務官
(年金局企画課
長) 高木 玄君
厚生事務官
(社会保険庁年
金保険部国民年
金課長) 福田 勉君
厚生事務官
(社会保険庁年
金保険部福祉年
金課長) 安福 信雄君
厚 生 技 官 下河辺征平君
専 門 員 安中 忠雄君
—————————————
四月二十二日
理事河野正君同日理事辞任につき、その補欠と
して八木昇君が理事に当選した。
—————————————
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第一〇五号)
厚生関係の基本施策に関する件(社会保険診療
報酬の緊急是正に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/0
-
001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
理事河野正君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/1
-
002・田口長治郎
○田口委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、その選任は、委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/2
-
003・田口長治郎
○田口委員長 御異議なしと認めます。よって、八木昇君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/3
-
004・田口長治郎
○田口委員長 内閣提出の国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/4
-
005・滝井義高
○滝井委員 国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、昨日に引き続いて質問をさしていただきます。
本日は各論になるわけですが、昨日までに総論の御質問を申し上げました。途中で時間が切れましたので、あらためて昨日と同じことを各論の冒頭で繰り返すことになるわけですが、今回、障害福祉年金等の支給範囲の拡大が行なわれまして、特にその中で、内部障害を新たに年金の支給対象にすることになったわけです。その場合に、結核による全障害と非結核性疾患による呼吸器機能の障害、このように結核性のものと結核性でないものとを新たに内部障害で加えております。そのほかに、精神病質と神経症と精神薄弱を除く精神障害を加えたわけでございます。
そこで、ライシャワー事件等のこともございまして、精神病質と精神障害とどう区別するかという非常にむずかしい問題が、精神障害を支給の対象にする場合に問題として残るわけです。と申しますのは、ライシャワー事件で御存じのとおり、新聞等を読んでみましても、ライシャワー大使を刺した青年は精神分裂病であるという一つの意見があったし、一つは、いやあれは精神分裂症ではないんだ、精神病質者なんだというように、二つの意見が新聞に出て、われわれ自身もどちらかなとわからなかったわけです。たとえばきょうあたりの新聞を見ても、内村さんの精神衛生審議会等の記事の中にも——答申案にはそんなことはないですが、新聞の記事の中にも、やはり何かそういう混淆されたような形のものが出てきているわけです。そこで、結核と非結核の問題は、これはあとで具体的に質問をする場面が廃疾の認定のときに出てくると思いますけれども、精神病質と神経症と精神薄弱と精神障害との区別を一体どうして具体的にやるかという問題に直面をするわけです。そこで、これに対する政府のほうの、しろうとわかりのするような考え方を、まずその手続のところ、具体的な区別のところから御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/5
-
006・高木玄
○高木説明員 この問題につきましては、国民年金審議会障害専門委員会という特別のものを設けまして、それぞれの専門家に御検討をお願いして、その結果、内部障害の結核、精神を障害年金の対象にすることに踏み切ったわけでございますが、先生おっしゃいますとおり非常にむずかしい問題でございます。障害年金をもらいますためには、裁定請求のための診断書を添えて出すことになっております。その診断書は、精神に関する限り精神衛生法によりまして定められております精神衛生鑑定医、これの診断書を添えて裁定請求書を出すというふうな手続にいたしております。そうして出てまいりましたものを、県にそれぞれ専門の医者を置きまして、その専門の医者の方に診断書を審査していただいて、障害年金を支給するかどうかを裁定する、こういう手続にいたすことにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/6
-
007・滝井義高
○滝井委員 障害年金の裁定を請求する場合の、問題は診断書になるわけです。そうしますと、精神衛生鑑定医というものについて、またいろいろ微妙な問題が出てくると思うのです。当然これは、こういう国民年金の内部障害を専門にやる精神衛生の鑑定医というものを——鑑定医の指定はあると思うのですけれども、特にこの法律の指定をするというようなことが、また起こってくる可能性があるわけです。あまり医者をあれこれの法律で指定するということは、われわれは基本的には反対なんです。しかし、この場合には、そういう専門的な精神衛生を鑑定をする人というのは、どこにもおるというわけにはいかぬわけです。たとえばいなかの町や村等で出す場合には、そういう鑑定を受けるには大学のあるところまで行かなければならぬとか、県庁の所在地まで行かなければならぬという問題が起こってくる。そうしますと、わずかな年金をもらうのに、しばらく待つかというようなことになりかねない。したがって、むしろそういう受けやすい体制を一体どうしてつくっていくかということです。昨日、私ラジオを聞いておりましたら、何か閣議かその他で、ああいうライシャワー事件が起こってから、戸口調査をやるべきであるというような意見もあったんだが、戸口調査というのは昔の反動的な状態が出るのでいかぬ、パトロール、巡回をひんぱんにやったらというようなことをきめたということが出ておりましたけれども、私はやはり、こういう年金の制度が大衆に普及をされて、政府のほうでそういう年金という形で精神薄弱なり——精神薄弱でも百二、三十万おられるわけですから、そういうところの鑑別を一々年金の面からやっておくと、その資料をこういう警察に使うことはいきませんけれども、厚生省のほうで、こういう事件が起こったときには、こういう形があるのだということをすぐに言えることにも役立つのではないかと思うのです。こういう社会福祉のものをそういうことに使ってはいかぬけれども、厚生省で明白に把握する方策さえ講じておけば、ああいった事件が起きたときに周章ろうばいすることはない。ライシャワー事件が起こってから精神障害者対策をあわてて打ち出すということもなくて済むのではないか。
そこで、一体この法律を実施するにあたって、精神衛生鑑定医の診断をやさしくとる対策というものをどう考えておるかということが一つと、それから精神衛生の鑑定医の診断書が、これは高かったらまた問題なんです。そこで、その鑑定医の診断書の値段というものは、医師会その他に相談をして、当然、これは社会福祉の問題ですから、できるだけ何らかの形で考慮してもらわなければいかぬ。といって、これは医者のほうへ安くしてくれと言ってさせるわけにも、またいかぬところもあると思うのです。これは非常にややこしい鑑定ですから、簡単にすっといく鑑定ではない、普通の内科診断とは違うことになるのですから。そういう二面について、あなた方はできるだけ診断書を出しやすくする、診断書の値段をできるだけ安くしてもらう、しかしそれは、同時に裁定を請求する本人の負担にならずに、また医者のほうの負担にもならないような方法で考慮してもらわなければならない。というと、国がある程度責任を持ってやるという形にもなると思うのですが、それらの二点についての対策を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/7
-
008・高木玄
○高木説明員 先ほど申し上げました障害専門委員会の御意見で、この精神につきましては非常に認定がむずかしい、きわめて専門的な鑑定を必要とするので、一般開業医の診断書ではなくて精神衛生鑑定医の診断書をとるようにしてほしい、こういう専門委員会の強い意見でありますので、その線はくずしたくないのでありますが、私どものところで調べましたものによりますと、精神衛生鑑定医として現在指定されておる医者の数は約二千名でございます。全国的に、大体精神鑑定医のおられるのを市町村別に全部調べ上げております。それで大体においてはいけるのではないかというふうに考えておりますけれども、それでもし受給者の方々に非常にめんどうなり御不便をかけるということでありますれば、福祉年金につきましては、最初に障害福祉年金を裁定いたしましたときに一ぺんに大量の裁定をしたわけでありますが、その場合には医師の巡回班を組織して僻地、離島等を回った等の実情もありますので、できるだけそういったような医師の巡回班を組織するとか、そういったような方法を考えたりして受給者の便宜のために努力したいと考えております。
なお、診断書の問題につきましては、これも障害福祉年金の支給裁定のときに各方面に御協力をお願いした事例もありますので、この実施にあたりましては十分その点を検討して、非常に高額の診断書にならないように措置したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/8
-
009・滝井義高
○滝井委員 ちょっと私これは調べてきませんでしたが、普通は、精神衛生の鑑定医の診断書料というのは、一体幾らくらいするものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/9
-
010・安福信雄
○安福説明員 いろいろ診断する病状によりまして差があると思いますが、大体、過去の例によりますと五百円程度の診断料が要っておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/10
-
011・滝井義高
○滝井委員 五百円程度ならば、これはこれからずっと年金をもらうわけですから、あまり問題にはならないかもしれませんけれども、それにしてもやはり他の診断書に比べて高いわけですから、ぜひひとつその対策は講じていただきたいと思います。
それから全国二千人程度ということでございますので、これはやはりこの法律が施行されたらPRも兼ねて、同時にまた、精神薄弱者なり精神障害者を正確に把握するという意味からも全国的に医師会等の協力を得て、辺地その他には、全国的な巡回診断ですか、そういうことをやはりひとつ、いまライシャワー事件等で精神衛生対策というのは相当必要だというPRができておるわけですから、私はやる必要があるのじゃないかと思うのですがね。ことしはそういう予算はないのかもしれぬですけれども、これはどこからかでも捻出をして、そういうことをやることのほうが、おまわりさんが戸口調査をしたりパトロールを強化するよりか、もっと確実に、私は福祉の面から実態を見ることができると思うのです。それを実態をつかんだ上で、具体的に収容するかしないかというような問題が起こってくると思うのです。それで、きょう、内村さん等の答申か何かの新聞が出ておったような感じがしておりますが、大臣、そういうことをひとつぜひおやりになっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/11
-
012・小林武治
○小林国務大臣 昨日、内村会長からいろいろお話がありましたが、私ども、精神病の医師の通報義務というようなものを前から考えておるのでありまするが、これについて、きのう一番御注意があったのは、いまおっしゃるように、警察官が戸口調査的にやることは絶対に困る、こういうことを言われて、それで私も、そういうことはやりません。それで、保健所を中心として、保健所にしかるべき心理学等を心得た者を置いて、そして回ってみる、そして相談に乗る、こういうようなことをぜひしてもらいたいというお話がありましたので、いま実は保健所は、精神病についてはいわば無力な状態にありますから、この方面の人を養成するとともに配置をいたしまして、いまのようなことをいたしたい、こういうふうに考えておりますし、さしむきの国民年金開始のためには、ただいまお話しのようにひとつ巡回班というようなものをつくって、保健所を中心にそれをぜひやって、いまのようなお話の便宜をはかりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/12
-
013・滝井義高
○滝井委員 せっかくこの年金の制度ができて、その恩典に浴さないなんということでは困るから、この制度の普及のためにも、すみやかにこの法律の対象者が把握できる態勢をぜひひとつとってもらいたいと思います。
そうしますと、まず、それぞれ少し数をお尋ねしてみたいのですが、結核による内部障害と認定ができるような数を、一体どの程度と見ているのか。それから、非結核性の疾患による呼吸器機能の障害で対象になる者の数、それから精神病質者というようなものを一体どの程度にあなた方は見ておるのか。それから、神経症なんというのは、これは私自身も神経症だと言えば言えるかもしれぬ。健康もまた一種の病気なりということを言うので、現に政治家あたりは、みんな少しは精神病に近いのかもしれぬけれども、とにかく、健康もまた一種の病気なりと言うから、なかなかわからぬところもある。しかし、精神薄弱は、これは数はわかると思う。それから精神障害、こういうようなものを、一応あなた方がどの程度把握をされておるのか、それをひとつ、ざっと大数でいいから説明してもらって、あとは資料でこまかいところを配ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/13
-
014・安福信雄
○安福説明員 結核性につきましては、福祉年金の該当いたします数は、一級、これは福祉年金のほうでございますが、約二万一千名程度と考えております。もちろん、一級に該当いたします結核患者はそのほかにも相当あるわけでございますが、厚生年金なりあるいは他の年金制度等にもかかっておるものもございますし、あるいは所得制限等で該当しない人もございますので、そういうものをそれぞれ除きますと二万一千名程度であると思います。ちなみに福祉年金は、一級は対象になりませんが、拠出制が逐次進んでまいりまして二級までということになりますと、約十万人程度の方がこの年金の対象になるのじゃないかということを予測いたしておるわけでございます。
それから、精神につきましては、精神病質等を含めますと約二百万に近い数といわれておるわけでございますが、この中で、福祉年金の該当いたします一級、いわゆる相当重度の精神病に限定いたしますと約四万人程度、もちろんこれは、結核の場合と同様に所得制限等、あるいは他の年金制度等に入っておる方々を除いておりますが、約四万人程度でございます。同様に、二級の方々は、当面対象になる方は少ないと思いますが、拠出制が逐次進んでまいりまして二級まで対象になりますと、約六、七万人程度の方々がやはりこの年金の対象になるのじゃないか、このように考えておるわけでございます。
それから、非結核性の呼吸器病につきましては、ぜんそくとかあるいは気管拡張症というようなものが一応想定されますけれども、これは一級ということになりますとそう大きな数ではないのじゃないか、そのように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/14
-
015・滝井義高
○滝井委員 二番目の精神病質等二百万という、その内訳はわからぬですか。精神病質、神経症、精神薄弱を除いた精神障害と、こうなっておるわけでしょう。それで神経病質は入らないわけだから、したがってまず、二百万の中に精神病質——まあ神経症なんというのは、ちょっとこれはややこしいからとにかくとして、精神病質と精神薄弱と精神障害というものは分けなければならぬのじゃないか。きょう内村さんあたりの出ている記事をちょっと見てみますと、精神障害百二十四万で、収容しなければならぬ者が三十五万、治療を要する——通院治療ですか、とにかく何らか治療をしてやらなければならぬ者が四十八万とかいう数字がちょっと出ているのですね。これは信憑性のある数字かどうかということも、ちょっとぼくにわかりかねるのでいまお尋ねしているわけなんです。これは今後、いまのような鑑定医をもって巡回診療ででもこれを今度はやろうということになると、やはりおよその数を把握をして、どこらあたりに集中的に——都会のほうが多いことは明らかです。そういたしますと、多いところから先にやることになると思うのです。何かそういうおよその数が把握をされておらないと、具体的な政策なり予算の確保がむずかしくなってくるのじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/15
-
016・安福信雄
○安福説明員 この精神病質あるいは精神薄弱、これらの総数でございますが、いまわれわれが持っております資料によりますと、精神病の人々は約五十七万人程度、それから精神薄弱の方々が約四十万人程度、それからその他——もちろん精神病質というような方々をどの程度までということで、いま滝井先生が言われましたように、ものの見方によりましては相当の差が出てまいろうと思いますが、一応厚生省で精神障害者として調査をしました統計によりますと、約三十万人近くという数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/16
-
017・滝井義高
○滝井委員 そうすると、精神病五十七万と精神薄弱四十万とその他というのが三十万、こうなるわけですね。合わせて百二十七万程度ですね。わかりました。
そうすると、この中で結局この法律の対象になる者は、五十七万の中から対象になってくる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/17
-
018・安福信雄
○安福説明員 そのとおりでございます。もちろん、症状一級、あるいは拠出制であれば二級という範囲でございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/18
-
019・滝井義高
○滝井委員 わかりました。
そこで、もう一つちょっと関連して尋ねておきたいのは、今度非結核性の疾患による呼吸器機能の障害、いまあなたの言われるようなぜんそく、それから気管支拡張症ですか、こういうようなものをお入れになったわけです。これは、たとえば河野君も言っておったのですが、私はそれがどういう答弁の結論になったのか聞きそこなったのですが、先天性の心臓弁膜症とか、あるいは先天的に心臓の構造に欠陥があるとかいう、いわゆる東京女子医大の榊原さんのところで手術をしてもらうようなグループ、こういうものについては、どうして今度の内部障害の中に入れられなかったのかということです。そういう重いものはそのまま放置するということになると、非結核性の疾患によるぜんそくとか気管支拡張症というようなものと、全身症状その他を見てみましても非常によく似た形をとっている、そうすると、何か片手落ちのような気がするのですが、この心臓弁膜症というのは一体どういうことになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/19
-
020・高木玄
○高木説明員 先生御指摘の点、そのとおりだと思うのでありますが、この国民年金、障害年金の範囲を内部障害に拡大するにあたりまして、まずその内部障害の大部分を占める結核と精神にとりあえず手をつけて、しかる後にそれ以外の内部障害に及びたい、こういう段階でまいっておるわけでございます。
そこで先生御指摘の心臓系統の疾患等につきましては、なお認定等にむずかしい問題がございますので、その方面の専門の方々の御意見を聞いて、その御意見を聞いた上でできるだけ早い時期にそれも対象にするように処置したい、こういう心組みで運んでおるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/20
-
021・滝井義高
○滝井委員 そうすると、これは今度は支給の対象にしていないけれども、専門家の意見を聞いてだんだん追加をしていく、こういうことなんですね。そうしますと、脳溢血で半身不随が起こった。最近は、御存じのとおり都会の生活その他で非常に過労が多い。それから食い物が油っこいものをよけいに食べるというような関係から、非常に早く脳溢血が起こってくるわけです。したがって、若いうちに半身不随になって動けなくなる、こういう場合が起こってくるわけです。これは内部障害として、いわゆる廃疾の状態になるわけですね。これは対象になるわけでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/21
-
022・高木玄
○高木説明員 先生申されましたように、脳溢血に起因して半身不随というようなものは、現在は半身不随の状態に着目いたしまして、肢体不自由といいますか、体幹機能が不十分といいますか、そういう外部障害の面で対象にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/22
-
023・滝井義高
○滝井委員 問題は、ここが議論の分かれるところなんです。内部の障害と外部の障害とが並行的にある。こういうときには一体主眼をどちらに置くのかということになると、いまあなたの言われたように、結局障害年金というのは、病気、事故そのものを対象とするのではないのです。全く外にあらわれた運動機能の減退の状態、ここに着目をして、その人の生活を安定せしめるためにこういう制度をつくったのですと、結論的に言うとこういうものの見方になるわけです。それはそういうことで差しつかえないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/23
-
024・高木玄
○高木説明員 身体の障害によりまして日常生活能力に欠けている場合、その欠けておる度合いが大きい場合には一級として福祉年金を支給する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/24
-
025・滝井義高
○滝井委員 したがって、もっと年金的なことばで言えば、他人の介護を要する程度の機能減退があれば大体対象になる、こういうことになるわけですね。そうしますと、まず精神薄弱の問題で関連してくることになるのです。この前河野君の質問に対して、大臣は、精神薄弱についてはそれがどうも年金の保険事故としてはなじみにくいのだ、だからこれは対象にはしませんという御意見だったわけです。そこで私から言わせると、その答弁は病気に着目した答弁になるわけです。それで、まず一つの例として脳性小児麻痺です。お産が重かった、そうして子供の脳の内部に非常な圧力が加わって、生まれた子供に運動機能障害がある、こういうのが脳性小児麻痺です。足で立つことができない。ぷらっと足が交錯して立ち得ない。ところで、これは福祉年金の対象になっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/25
-
026・高木玄
○高木説明員 福祉年金の対象にしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/26
-
027・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは子供だけれども、内臓に疾患がある、そうして外に機能の障害があらわれてきている、全く脳溢血と同じです。おとなの脳溢血における半身不随の姿と、脳性小児麻痺の子供における肉体的な機能障害としてあらわれている姿は、全く同じです。したがって、これは脳溢血も小児麻痺も障害年金の対象になる。これで両方片づいたわけです。
もう一つ同じ問題で精薄児。日本脳炎にかかって精薄児が出てくるわけですが、これは日本脳炎の後遺症として起こってくるわけです。初めのうちは元気だった。ところが夏になって日本脳炎にかかってしまって、そのうちにパーになった。こういう左巻きになったという形。どうもうちの子供は日本脳炎になったらさっぱりだめだ、こういうことなんですね。どうも手がかかるようになった。こういうことで後遺症が残ってくるわけです。そうすると、これは後天的な事故です。ところがこれは年金の対象になっていないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/27
-
028・高木玄
○高木説明員 日本脳炎に起因してそういう障害を起こした者は、福祉年金の対象にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/28
-
029・滝井義高
○滝井委員 私はいたしていないと思っておったのですが、いたしておればけっこうです。私、これはいたしていないと思って、そこから精神薄弱に切り込んでいくつもりだったが、それをいたしておるということになると、切り込まないでいいことになった。そうすると精神薄弱の中にも、いま言ったように精神薄弱を起こすというものは、生れつきからそういう体質を持っているものと、後天的に日本脳炎のようなものによって精神簿弱に転落していくものと、こうあるわけです。そこでいまのように、日本脳炎による後遺症として、後天的な事故によって精神薄弱になったものを年金の対象にするならば、先天的な精神薄弱であったものを入れなければならぬという理論になる。そうでしょう。そうすると、これはあなた方が精神薄弱を除いて精神障害だけをするというのは、理論が通らなくなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/29
-
030・山本正淑
○山本(正)政府委員 この問題は、実は現に福祉年金の支給に際しまして、厳格にといいますか、後天的な事故、要するに保険事故として発生するものと同じようなケースという場合について、二十歳以降において起こったものでないものについても確かに便宜取り扱いをしている、福祉年金の支給をしている。要するに、二十になって国民年金の被保険者になってから起こったのでない障害についても便宜取り扱いをしているということでございまして、そこで今回の精薄の対策につきましてどうするかということが問題になったわけでございます。一つの考えといたしましては、確かに精薄というものは、私ども聞きましたところ、学者の意見としては、要するに二十過ぎてから精薄になるということはないのだ、そういうケースはないのだ、少なくとも生まれて数年の間に起こってくる。したがって国民年金の被保険者となってから以降において、保険事故として発生するものでないということにはなるわけでございます。そこで、従来の理論でいきますと、拠出年金の事故に全然起こってこないものを福祉年金として取り上げるのがどうかという主張があるわけでございます。政策としてそういう必要はないじゃないかという議論ももちろんあるわけでございます。これは福祉年金というものをどういうふうに考えるか、拠出年金との関連性を非常に厚く考えるか薄く考えるかというようなことによって、取り扱いとして、この年金の中で精薄を取り扱ってはいけないということにはならぬわけでございますけれども、今回の措置といたしましては、精薄者に対する対策を講じなければならない、そこで技術的にどういう扱いをするかということになりまして、精薄児手当というものを別個に構成するという段取りにいたしました。そういたしますと、おとなの問題が残るわけでございますが、この問題は、追ってどちらで処理していくかということは、さらに検討してきめていきたいというような経緯をたどった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/30
-
031・滝井義高
○滝井委員 拠出制の年金の対象として、精神薄弱というものは二十歳以降に起こる例が少ないので対象にならないという理論が、即、今度は逆転をしてはね返ってきて、したがって福祉年金に取り込むことは問題であるということには、すぐならないことになる。いま言ったように、後天的な日本脳炎によって起こった精神薄弱は入れます。福祉年金の対象にしたのだから、しておれば、これは何も障害年金の拠出制の場合に、福祉年金で入れておるのですから除くと割り切らなくてもいいのじゃないか。ところが今度の法律の改正の説明の場合には、精神薄弱というものは除きます。入れておるくせに除きますというのはおかしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/31
-
032・高木玄
○高木説明員 二十過ぎて日本脳炎にかかって、それで精簿同様の痴呆状態になることもあるわけでありますが、その場合、それらは精薄と言わないのだというふうに専門の方から聞いておるわけでございます。それで、精薄というのは大部分が先天的なものでございまして、ほとんど二、三歳までにきまってしまう病気であるというふうに承っておりますが、そうなりますと、精薄それ自体は二十歳以後全く起こり得ない事故だということになりますと、福祉年金が現在国民年金全体で拠出年金を補完する、補う制度として仕組まれておりますので、拠出として出てこない事故を福祉年金で見るというのが制度の体系としておかしいというようなことから、こういうふうな問題になったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/32
-
033・滝井義高
○滝井委員 いま言ったように、国民年金の保険事故としては、精神薄弱はなじみにくいということは理論としてはよくわかるのです。わかるけれども、現実に日本脳炎で精神薄弱になったという現実があって、それは精神薄弱よしてというよりか、日本脳炎というものがあったということの現実は確かなんです。そしてその結果として精神薄弱が出てきました。これは精神薄弱だけれども福祉年金の対象にしております。こういうことでしょう、日本脳炎はしておるというのだから。だから前もって念を押したのは、その病気によって福祉年金を差し上げるということを決定するのでなくて、その病気によって起こった結果に対して機能の障害があるのだ、他人の介護を受けなければ一人前の生活ができないのだという、この現実をとらえて年金の対象にするのでしょうと聞いたら、そうだというわけだ。そうすると、それは日本脳炎であろうと何であろうと、そういう機能障害があれば精神薄弱でもやらなければならないではなか。ところが一方においては、精神障害だけで精神薄弱を除くということは理論が通らぬ、こういうことなんです。あなた方が、あまり福祉年金と拠出年金とを非常に密接に結びつけてものを考えるところに問題があるのです。いまそういう考え方を一貫して貫くとすれば、千円や千百円の年金で満足しておることは間違いであって、現実に七十歳以上の御老人には、少なくともやはり三千円くらいの金を差し上げることがたてまえなんです。ところが、これは関連があるがごとくないがごとくにしておいて、大事なときには、関連があって、うらはらでありまして、どうもぐあいが悪いという理論は成り立たぬと思うのですよ。だからやはり法の前には万民が平等でなければならぬ、しかも機能障害があって生活ができないという、そういう実体をとらえて福祉年金を出すということなら、拠出年金と関係する必要はないと思う。拠出年金になったときに、それを対象としておっても二十歳以上になってそういうものが起こらなければ、制度があったって金を出す必要はないのですから、ここは割り切って精神薄弱にもある程度考えてやる必要があると思う。介護を要する程度の機能障害があるかないかということは、鑑定医が見てくれるのですから、鑑定医の判断に待ったらよい。政策だけはそういうところを確立しておく必要がある。ここは、あなた方はそこにきますとどうも分裂しておりますよ。あなたたちのほうがシツォフレニーです。精神分裂をしておる。だから、そこらあたりをもう少し整理しておいてもらわぬと必ず問題が起こりますよ。隣のAさんは年金をもらった。うちの子供はあの人と同じだけれども、どうしてもらえぬだろうか。お前のところは精神薄弱だ。そうですか先生、わしも隣も精神薄弱だと思ったら、うちより上手の精神病ですか、同じように手はかかるのですけれども、というのでは困るのですよ。だから国民の間でそういう猜疑の心を起こさせないように、私も専門家でないし、あなた方も専門家でないので、もう少し専門家の意見を整えてもらいたい、こういうことを要望しておきます。
それからもう一つ、内部疾患としてアルコール中毒、麻薬中毒、モルヒネの中毒、こういうものは、もう御存じのとおり重くなるとなかなか手に負えぬですね。こういうものが、やはり生活の安定がないので麻薬を打って、何かふわふわしながら人生を過ごしていくということになるのですが、これは年金を差し上げるとだいぶ状態が違ってくると思うのです。差し上げた年金で麻薬を買い、ヒロポンを買うと困るけれども、ここらあたりの討議はどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/33
-
034・安福信雄
○安福説明員 麻薬あるいはアルコール、そういうことに基因する中毒性精神病は対象にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/34
-
035・滝井義高
○滝井委員 そういうように、一言のもとにツルの一声で答弁してもらうと非常にわかりやすい。
次に今度は、廃疾の程度ですね。三八ページをお開き願いたい。ここの一級のところに、今度新しく改正された廃疾の程度が出ておるわけです。これは内部疾患における一つの重要な基準になると思うのです。まずわかりやすくこれを分析してみますと、日常生活の用を弁ずることができないということですね。それから同時に、長期にわたる安静ということは、日常生活に著しく障害があるということですよ。日常生活の用を弁ずることができないし、同時に、日常生活に著しい障害があるということ、すなわちこれが一級や二級の障害年金を支給する程度になると思うのです。ところが、どうもそういうことではなかなかわかりかねるわけです。そこで当然、これに基づいて具体的な廃疾認定の基準というものができることにならなければならぬわけです。それはもうできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/35
-
036・高木玄
○高木説明員 ただいまその基準案を作成中でございまして、近日中に障害専門委員会を開きまして、専門の方々の御審査を経て決定したい、かように思っております。現在、案はできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/36
-
037・滝井義高
○滝井委員 できれば、この法律案が通るまでにやってもらいたいと思うのです。その案をお見せいただけるならば、ひとつお見せいただきたいと思うのです。これはいま言ったように、なるほど常識的には、日常生活の用を弁ずることができない、安静を要する程度のものだということは、頭ではわかるのです。さて、じゃ個々のケースに当てはめた場合に、一体どういう基準でものさしをはかっていくかということになると、なかなか議論の多くなるところです。したがってこういう基準をきちっときめておって、今度は医師の皆さんに巡回をやってもらう、こういうことになると、全国的にわりにいざこざがなくなることにまでなる。これはぜひひとつあとで見せていただきたい。
それから、結核による廃疾の程度を認定するにあたって、機能障害とともに、ここに、安静を必要とする病状ということになる。そうすると、病状が対象になるわけです。この病状というところが非常にむずかしいところなんです。いままでのものの考え方は、疾病は固定をしたときに労災の打ち切りがいく、こういう考え方なんです。ところが、「病状が前各号と同程度以上と認められる状態」なんでしょう。だから両眼の視力が〇・〇四の状態、手探りする状態、両足両手を切断されてだるまさんのようになっておる状態、こういう状態ということはわかる。それならば、それは一体、結核患者の病状の場合には、手探りをする状態とか、だるまさんのような状態というのはどういうことなんだというと、今度は外部疾患と内部疾患の結びつきがここでむずかしくなってくる。いわば立法としては画期的なものです。こういう病状が一つ対象になったのですから。そうすると、病状というものは、個人の自覚的な訴えと客観的に見ていく外にあらわれる現象、そしてそれを第三者がとらえる、こういうものが重なって病状というものが集約されてくるわけでしょう。ここらあたりのことも、具体的に法律にこういうのを入れたのですから、一体どういう基準にするのか、これはなかなかむずかしいところなんです。いままでこういうことがあるからこそ、内部疾患というものは、これは年金の対象には入れられません。外見的に見て目がほんとうに見えない状態だ、手足がなくて動けない状態だ、こういう状態を、客観的に万人が見て明らかなものであったのです。ところが病状というものは、自覚症状もあるし、客観的に見てわかることもあります。顔色が悪い、動いたら呼吸が非常に激しい。なるほど、色が悪くなって呼吸が激しいと、これは肺の拡張症があるのだろう、だからあんなに心肺機能が高進しているのだということがわかってくることになるわけで、これは専門家が見ないとなかなかわからぬと思う。万人が見てもそうだというわけにはいかない場合も、病状になりますとあるわけですね。それで、これは何かつくっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/37
-
038・高木玄
○高木説明員 障害専門委員会におきまして、呼吸器障害につきましては、対象が動けない、働けないという、つまり機能判定の必要のものと、動いてはいけない、働いてはいけないという、そういう病勢判定の必要なものとに分けて考えるべきであって、そのように別表に表現すべきだという御意見がありましたので、ただいま先生の申されたような別表の表現になってきているわけでございます。この点につきましては、非常にむずかしい問題でございますが、専門の技官が参っておりますので、技官のほうから御説明したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/38
-
039・下河辺征平
○下河辺説明員 結核性疾患及び呼吸器性の疾患につきましては、病勢判定と機能判定とでやるというふうなことで、まず大筋がきまっておるわけでございます。そして結核性疾患のほうでは、いわゆる病勢判定ですから、病状の固定というものがなかなかつかめない状態でも認定をするということになっておるわけでございます。それで、その時期は大体いつごろになっておるかといいますと、大体初診日から三年を経過したときには、認定の時期がきたというふうなことにいたしましょうというふうになっております。それで、そのときの状態といいますのは、大体結核予防会できめております安静度の一級及び二級、それを守らなければ本人の生命維持があぶないというような状態のときに、病勢が一級であるというように認めよう、こういうふうにいま認定基準案として考えておるのでございます。
それから機能判定につきましては、これは呼吸器の機能ということで判定するわけでございまして、たとえて言いますと、結核の悪いところを取って呼吸機能が落ちてしまいますと、これは結核ではないではないか。それで、結核だけ見るということになりますと、そういうふうな呼吸機能が——原病は結核でありますが、呼吸機能が落ちておる人が認定の対象にならぬではないかということが専門委員会の席上で問題になりまして、それじゃ、呼吸機能がどれどれ程度落ちた者はとにかく見ようということになりますと、結核以外のもので呼吸機能が落ちておる者も見ようということになりまして、こういうふうな別表のことばになったわけでございます。それで、呼吸機能といいますのは、ちょっと専門的になりますが、いわゆるパーセンテージ肺活量と、それから肺活量一秒率という二本の柱で認定していって、その程度で一級か二級かをきめましょう、こういうふうになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/39
-
040・滝井義高
○滝井委員 病勢の判定と機能の判定、その両方をとって廃疾の程度をきめていくのですが、そうしますと、結核はある、そしてある程度病勢は進んでおるけれども、主体が結核よりか結核以外の疾患、たとえば肝臓の機能の障害というものが同時に顕著にあらわれてきた。そして肝硬変なら硬変の状態になって腹水がたまってきたというような状態になったときに、これはもう動けないわけですね。こういう場合も、これは結核があるということで結核性の疾患として廃疾認定してもらえるのかどうか、合併症のある場合です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/40
-
041・下河辺征平
○下河辺説明員 いまのところは、いわゆる病勢判定で行なう対象は結核だけということになっておりますので、肝硬変症などが合併しておりますときには、やはり結核そのものかどうかということで認定されるということになっております。
それから機能障害で、それじゃ肝臓の機能障害というものはどうだということになりますと、機能障害のほうは、今度は呼吸器だけというふうになっておりますので、やはり落ちてくるというわけでございます。これは先ほど心臓弁膜症の話が出ておりましたけれども、問題が将来の問題として残っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/41
-
042・滝井義高
○滝井委員 そこらが、今度は診断書がものを言うことになるのです。人間というのは有機体ですから、肺臓の機能が悪くなれば必ず心臓の機能が悪くなってくる。肺臓と心臓の機能が悪くなればじん臓、肝臓に影響が起こってくる。有機体ですから、手の先を切れば、どこもみんな痛いのは同じです。手の先だけが痛いのじゃない。大脳に反射的にいくわけですから、大脳が痛いという命令を出して、痛いと言わせるわけです。したがって、ここらあたりは結核がもとになって、そして他の合併症が起こってきた。若いときのふしだらで、うんと酒を飲んでおった。結核で寝込んでおるうちにだんだん肝臓の機能の障害が起こってきて、肝臓のほうが主病みたいな状態になってきた、こういう形になる。健康保険の特殊疾患については加算がつきます。ああいう変な制度を設けた。そうすると、胃炎だったら加算がつくのです。五点の加算がつく。感冒だったら加算がつかぬ。初診は六点ですよ。そうしますと、感冒のときは感冒性の胃炎が起こってくるわけです。そこで医者のほうが、もし主病は胃炎ですと言うことになれば——先に胃が悪くなってからだが弱くなって、あとからかぜを引くということになって主病は胃炎だということになれば、これは加算がつくわけです。したがって、これはあとで私は関連があるから言うのです。それは初診と廃疾のほうの認定日——あなたの言うように、初診と三年の期間という問題が出てくるわけです。したがって、こういうふうに肝臓というものが主病になってきますと、その患者さんが結核でやがて保険が切れそうになる、そうすると、保険では結核が切れるとぐあいが悪くなるからということで、医者のほうとしては肝臓なら肝臓病を今度は主病にしてしまう、こういうことだってあり得るわけですよ。これは現場のやりくりで、役所の予算の流用と同じような形で、やはり患者は救わなければならぬ。長くなってくれば、とても現金は払えぬということになってくる。生活保護法の適用を受けたり病名を変えたりして、治療をしてもらわなければならぬ。これは、そんなことを言うとなんだけれども、天下の労災病院にしても国立病院にしても、みんなそうして困っている患者さんを救っておるわけです。したがって、今度は必ずカルテなり保険証が問題になってくる。これはそのときの証拠物件なんです。だからこういう争いの起こるようなことは、やはりすべきではない。機能障害も病勢の判定も全部結核でなければならぬ、こういうしゃくし定木のきめ方をしていると——人間さまは生きているのだし、肝臓は動いているのだから、雲が毎日動くように生々発展をし、新陳代謝があって、そうして老廃現象が起こっておるのだから、一つだけに限るということには問題がある。ここは法律はやむを得ぬから、運用でやはりある程度の弾力を持ってもらわないと、機能の判定も病勢の判定も、すべて呼吸器に依存をしたものでなければだめです——肺活量までやるのですよ。こういうことになるとこれはしゃくし定木になって、診断を書く医者のほうが今度は頭痛はち巻きになって、一体これはどっちで書くべきか、肝臓だったらもらえませんが、初めが肝臓だったらもらえる、こういう安静を必要とし、日常生活ができないのですから、それでもらえると思ってしたところが、これは全部呼吸器の障害、肺臓の障害でなければだめだと言われると、また医者が診断書を書きかえてやらなければならぬということになるので、ここらあたりは、運用で十分弾力を持って、ケース・バイ・ケースで考えてもらうということにしてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/42
-
043・山本正淑
○山本(正)政府委員 非常に専門的なことになりましたが、先ほど来出ておりますように結核と精神問題を取り上げた、残っておる疾病がまだたくさんあるわけでありまして、私どもといたしましては、内部障害をせっかく入れるということにいたしましたので、あとの残っておる問題につきましても早急に結論を得て、範囲を拡大していくという方向をとらなければならないと思っておるのでありまして、従来、審議会の専門委員は結核と精神の専門の方を委嘱しておりましたが、今回この法律が改正になりましたので、あとの分を引き続き御審議願うという意味で委員としての専門家を現在選考中でありまして、そういう意味におきまして他の疾患というものに拡張していく、そして全部カバーするようになれば問題は解決するわけでありますが、この間若干期間を要する点はあるわけであります。かつまた、この制度そのものが、そういう国費による福祉年金の問題でありますので、いま先生の言われましたような点も、確かに福祉年金としてそういった含みを持って考えていただくという御趣旨かと思いまして、その趣旨を十分含んで検討してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/43
-
044・滝井義高
○滝井委員 法律には書いてありませんから、ここでは大っぴらにそういうものを入れますとは言えないでしょうが、十分私の言います趣旨を生かしていただいて、苦しんでおる方を救える体制をとっていただきたいと思います。
それからいまの御答弁に関連して、病勢判定、症状の固定化、病状というものが入ってくると、なかなかつかみにくいというときに認定が起こる。そうすると、初診日と三年経過をしたというときが非常に重要になってくる。すなわち、初診日を一体どう見るか、それから症状固定の状態なり三年を経過したときのその終期というか、初診と終期、始まりと終わりというものが非常に重要になるわけです。そうしますと、固定をしたというときには、これは年金の開始時期が非常におくれる。しかし今度は、あなたの御説明のように初診と三年経過ということになると比較的早く認定ができて、もらえることになるわけです。これは非常に前進したわけです。そこで前進はしましたが、初診日ですが、結核患者は、御存じのとおり非常に再発の患者が多いわけです。前に肋膜をやった、そして会社に出て無理をしているうちにまた熱が出だして、見てみると今度空洞になっておった、こういうことになるわけです。そうすると、厳密な意味で言うと、これは保険証には昭和三十年の一月一日に結核性の肋膜炎が起こった。そして保険は、今度は三年たったけれども、転帰までいくようになったわけですね。そこで治療の面は、転帰までいくことになるからいいことになる。そうすると、傷病手当金は三十年一月一日から起こる。これはいま一年半ですね、傷病手当金は一年半です。そこで結核でずっと休んで一年半もらってしまった、途中幾ぶんか快気があって、これはよくなったといって会社に出ていった、そうしたら三ヵ月くらい出てまた悪くなった、こういうときも、保険当局の方針は、三十年一月一日が初診になっておるわけです。そのときに、今度医者の立場から言うと、この人は傷病手当金をもう少しやって休ましたほうがいいがという仏心を出して、そうしてたとえば三十年一月一日に初診をしたけれども、たまたまなおっていいというので三カ月くらい行った、行ったときがちょうど三十一年の一月一日からです。そしてまた三十一年の四月一日に悪くなってやってきたというときには、三十一年の四月一日を初診にすることも可能なんです。ところが傷病手当金の関係があるので、今度は保険のほうから文句が出てくるのです。この問題に直面をするわけです。これは年金は年金、保険は保険というわけにはいかぬことになるわけです。これは診断書が必要になってくるのですから、病状の経過を書かなければならぬという問題がある。この場合に一体どういう取り扱いをするかという、社会保険等との関係が出てくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/44
-
045・高木玄
○高木説明員 厚生年金のほうは、一たん病気がなおって社会復帰いたしまして、半年ないし一年働いて、その後また病気が再発したという場合に、あとの再発のほうを初診日として取り扱っているようでございますが、国民年金におきましてもその点どう取り扱うか、よく検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/45
-
046・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、社会保険は三十一年四月一日を初診日にしていますか。三十年の一月一日を、傷病手当金を出すから初診日にしていませんか。私がどうしてそれを詰めるかと言うと、これは認定の時期がずれることになるのです。初診日を三十年の一月一日にすれば三年で認定がくる。ところがそれを三十一年の四月一日にすると一年三カ月認定がずれる、こうなるのです。これが問題なんです。これは早く認定を受けて、金を早くもらえるようになるかならぬかということは、本人にとっては非常に重大なことになるわけです。そこで一にかかって認定日、始まるときと終わるときが大事なんです。いままでは症状が固定しなければだめだったから、そんなものはたいして問題はなかったのです。ところが今度は、初診の日から三年経過したら認定の時期がくる、こういうことになると、これは非常に重要になるのです。そこを御検討になっていなければ、もう少し事務的に十分意思統一をしていただきたい。これが大体、廃疾の認定日に関して、ちょっと私は問題にしなければならぬ点だと思っておりました。
次は、たいしたことはないですが、さいぜん私は、結核性の疾患と他の内臓疾患との関係について御説明を求めましたところ、肺疾患でないと一切だめだ、こういう御答弁がございました。ところが今度は、内部障害と外部障害との併合認定ですね、これは当然許されることだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/46
-
047・高木玄
○高木説明員 外部障害と内部障害につきまして併合認定をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/47
-
048・滝井義高
○滝井委員 そうすると、内部障害は、したがって結核と非結核性の呼吸器、精神障害だけに限ることになる。それと外部障害との併合認定をやるときに、全く外にあらわれるものは、他人の介護を受けなければならぬとか安静にしなければならぬとかということになるわけです。その場合の重点の置き方というか、診断書の書き方というか、これは私もいま頭の中でこういう場合はどうだという具体的な例をあげかねるのですが、内部と外部とが合併をしてきておるというときに、どういう重点の置き方で診断書その他を書いて認定をするようなことになるのか、ちょっと私もわかりかねるのです。内外やることはわかるのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/48
-
049・高木玄
○高木説明員 この併合認定の問題は、そのやり方は非常にむずかしいと思うのでございますが、従前、たとえば外部障害同士につきましても、二級の外部障害が二つある場合には一級に認定するというようなやり方をやっておりますので、それぞれ内部障害、外部障害につきまして認定いたしまして、二級の内部障害と二級の外部障害がある場合には、合わせて一級にして福祉年金を支給する、こういうようなことになろうかと思います。ただ、専門的に検討いたしますれば非常にむずかしい問題はなおあろうかと思いますが、おおよそは、いままでの併合認定のやり方でいけるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/49
-
050・滝井義高
○滝井委員 併合認定の問題は少しむずかしくて、いままで外部障害が二級二つあれば合わせて一級にするということだそうですか、これは私も何かいい質問が出ないのでやめますけれども、検討してください。
それから、今度内部障害を加えますと、この法律の経過規定のところがよくわからないのですが、施行をしたときからものごとが始まることになるのですか、経過的には。すでにいまから三年前にもう初診があった、そしてたまたまこの法律が通ったときに三年目になっておる、あるいは二年目になっておるという場合があるわけでしょう。こういう人がおる。そしてこれは保険料を一年以上か何か納めておかなければだめなんでしょう。だから保険料との関係が出てくるわけです。この関係をひとつわかりやすく御説明願いたいと思います。この法律が通って施行されたときにすでに三年になっておる、そしてその人はすでに保険料は納めておるというようなときは一体どうなるのか、あるいはそれが二年になっておるというとき、この法律の恩典を受ける廃疾の場合は一体どういう形になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/50
-
051・安福信雄
○安福説明員 たとえば初診日がずっと昔にございまして、現在、先ほど申し上げましたような結核の安静度なり肺活量の状態、いわゆる病巣なり障害の程度が、この法律は八月一日から内部障害を入れますが、その八月一日でそういう状態がございましたならば、昔ずっと前に廃疾認定がございましても、これはそれから適用になるわけでございます。具体的に九月から年金が支給される、こういう状態になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/51
-
052・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、廃疾の状態がずっと昔からあった、したがって、この法律が八月一日から施行されるとすれば、九月から障害年金の支給がある、そのときの今度は保険料のほうの条件です。保険料の条件がからまるわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/52
-
053・安福信雄
○安福説明員 拠出制の問題でございますが、拠出制は、御承知のとおり三十六年の四月分から保険料の拠出が始まっておりますので、その時期、たとえば三十六年の四月に結核の初診日がございまして、ずっと療養いたしておりまして、先ほど申し上げましたようなことしの八月一日は、そうすると三年経過しておりますので——話が少しこんがらかましたが、三十六年八月一日に初診日がありまして、そして三年間保険料をかけておりまして、八月一日で先ほど申し上げましたような病巣なり障害がありましたならば拠出制の対象に相なる、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/53
-
054・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いまのように八月一日には資格ができる病状だ、内部障害がある、しかし保険料のほうはまだ加入をしていなかった、あるいは一年以下であったという場合には、これは一年たたなければだめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/54
-
055・安福信雄
○安福説明員 いわゆる拠出制の障害年金は、御承知のとおり保険料の拠出の条件が必要になりますので、それに該当いたしましたならば拠出制になりますが、もしその条件に該当いたしませんでしたならば、福祉年金のほうに参るというのが原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/55
-
056・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、福祉年金ならば直ちに、納めていなくても八月一日で資格を得ることになるのですか。そうならないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/56
-
057・安福信雄
○安福説明員 かりに拠出制で、三十六年の八月から強制加入で被保険者でございました、それでなおかつ加入の手続もせず、あるいは免除の手続もせず、保険料も全然納めていない、そういう状態でございますから、年齢が二十歳以上というかっこうになりますが、そういう方々は、いわゆる拠出を全然サボっておった、あるいは適用をサボっておったということで、福祉年金の該当にならない場合も例外的には起こってまいる場合もあろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/57
-
058・滝井義高
○滝井委員 私がどうしてこういうことを言うかというと、御存じのとおり、そういう重度の精神病であったり重症の結核である人は、生活能力がないわけです。したがって、年金に加入していない場合が多いわけです。ところがこういう制度が出てきますと、やはりお金だけはいただきたいという気持ちになるわけです。そうしますと、いま言うように加入もしていない、免除の申請もしていない、しかし病気だけは受ける資格がある、拠出にはとても加入できませんということになると、福祉年金にいかざるを得ないのじゃないか。三十六年八月から強制加入の姿になっておったのだけれども、何せ当時のからだの実態が、みずから働いて保険料を納めるだけの能力がない、被保険者としての能力がないわけです。自己の家族かだれかが、かわりに納めてくれる以外にはない。ところが長期の四十年も納めなければならぬものを、そういう重度の精神障害があり、しかも結核があるという人にそれを強制することは無理だということになれば、この制度ができれば、当然これは差し上げなければならぬのじゃないか。私はこの場合が起こってくると思うのです。その場合は、当然福祉年金を差し上げるべきじゃないですか。そういう非常に特殊なケースなのですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/58
-
059・安福信雄
○安福説明員 非常にきわどい例でございますが、拠出制の被保険者になるときにもう初診日がございまして、初診日があった後に被保険者になって、そうしていろいろの家庭の事情等もございまして手続ができなかったという状態でございましたら、初診日はいわゆる被保険者になる前からあったということでございましたならば、これは福祉年金は当然支給されるというかっこうになろうと思います。
それから免除の関係は、いわゆる生活保護等を受けておるような方たちでございましたならば、これは法定免除でございますので、そこらあたりも、いろいろ実態に即した運用も十分考慮されるのじゃないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/59
-
060・滝井義高
○滝井委員 御存じのとおり、精神障害とかあるいは重い結核、あるいは非結核性の疾患でも、重症結核と同じような肺臓の機能の障害があるということになりますと、こういう人たちはむしろ積極的に福祉年金の対象にしなければならぬ。そうなんですね。
そこで、いまあなたの言われるように、拠出年金の被保険者になるという資格ができて、以前からすでに初診日があったということになれば、当然福祉年金の対象にしなければならぬ。その後の者でも、御存じのとおり反対運動その他をやっておったわけで、一年、二年と相当やっておったわけですからね。そうすると、家族の者は、そういう重症の者は入れなくてもいいだろう。たまたま反対運動の起こっておるときにそういう状態になっておれば、資格のできた後でもそういう場合はあり得ると思うのです。こういうことは、不幸な人のためのものですから、あまり法律をしゃくし定木にやらずに、十分考慮しておいてもらいたいと思うのです。
それから扶養義務者の所得制限の問題です。この扶養義務者の所得制限の状態を、わかりやすくちょっと先に説明してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/60
-
061・高木玄
○高木説明員 扶養義務者の所得制限を、今度の改正は、従前の扶養親族五人の場合の所得制限額六十万円でございましたものを、五万円引き上げて六十五万円にするわけであります。ただ、従前の規定のしかたでございますと、所得税法の改正等に伴いまして非常にわかりにくい、手続が非常にめんどうな形に行なわれておりましたので、その所得制限の基準を合理化するために、扶養親族ゼロ人の場合を基準にいたしまして規定し直したということでございます。簡単に申し上げれば、いままで扶養親族五人で六十万円であったものが、六十五万円に引き上げられたというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/61
-
062・滝井義高
○滝井委員 実は、この規定をよく読むけれども、税法等の関係その他もあってなかなかわかりにくいのですよ。何回読んでもわからぬからお尋ねをすることになるわけですが、四月十二日の朝日新聞の「声」の欄にこういう投書が出ております。それは「老齢、障害年金の改正を」という題で、五十二歳の男子の方が投書しておるわけです。それはどういうことを書いておるかというと、こういうことを書いておるわけです。「三月二十五日付本欄で、平野さんが「七十歳になっても老齢年金をもらえない。これでは政府がうたい文句にしている福祉国家も絵にかいたもちにすぎない」と訴えておられた。その年金だが、私の場合もこうです。私の父は八十一歳で全盲です」。この人は八十一歳の全盲のおとうさんをかかえておるけれども、この長男である投書者の給料の年額が六十五万円をちょっとこえておる。したがって、民生委員が見かねて福祉事務所に交渉してくれたけれども、六十五万円以上所得があれば、それは全盲のおとうさんをかかえておってもだめです。おとうさんは障害年金をいただけません、こういうことでだめだとして断わられた。そこで世の中では私のようにこういう全盲の老人を持っておる人はどういうことをしておるかというと、こういう制限があるので、世の中には老父母を間借りさせて年金をもらっている人もあります。そんなことまでしなければ年金をもらえないとは情けないではないか、こういうことなんです。しかし事実そういう人があるのだ。ところがこの人は、おとうさんは八十一歳で全盲なんだが、同時に母は来年は七十歳になります。そのほかに障害者の妹がおります。そこで七十歳の母と八十一歳の全盲の父と障害のある妹と、年金の対象者が三人おるということなんです。ところが、給料が六十五万をちょっとこしておるために、今度法律改正をしても、これはどうももらえぬ。年金対象者が何人おろうと、給料が制限をちょっとこえておるというのでもらえぬというならば、一体これはどういうことなんだ、非常に不満であるという投書なんです。「国の予算のしわを弱いところに寄せ、老人や障害者に暗い思いをさせなくても、国費の節約はほかのところでできると思います。長男の収入による制限など設けず、本人の収入や障害の程度で支給されるよう改善してほしい」、こう言っておるわけです。こういうように、いま所得制限の問題が出てきたわけです。被扶養者ゼロの場合は四十万円ですね、今度の改正では。そしてそれを、五人家族の場合、五万引き上げて六十五万となっておるわけです。そうしますと、これはしゃくし定木にいくと、いまのようなこういう不満が出てくるわけです。六十五万以上だったら障害者何人おったってだめだぞ、こういうことになるわけです。そこで、これに対する対策というのは、何かお考えになっておるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/62
-
063・高木玄
○高木説明員 つまるところは、この扶養親族による所得制限額の問題だと思うのでございます。御承知のとおり、三十四年十一月に出発しましたときには、扶養親族五人で所得制限額五十万であったわけです。昨年改正して六十万になり、これを六十五万に引き上げたいということで、逐次手直しをしてまいっておるわけでございます。いま先生の申されましたように、六十五万をちょっとこえるくらいの線でひっかかって、もらえなくなる人が出てくる。結局はこの線の引き方であると思いますが、今後は十分努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/63
-
064・滝井義高
○滝井委員 われわれの所得税の扶養親族控除があるわけですね。第一人目が幾ら、二人目が幾ら、三人目以上が幾ら、こういうふうに税法上の扶養控除があるわけです。その扶養控除と同じように、やはりおとうさん、おかあさん同時に——大体結婚というとせいぜい十くらいの差で日本では結婚していっていますから、父が八十くらいになると母は七十くらいになる。そういう場合に、大体父一人のときにはやむを得ぬ、しかし二人目になったら、二人とも障害があれば第一の人のときには、その所得の制限を、扶養控除と同じように六十五万から十万なら十万引きます。そしてそれを五十五万にしてやれば今度母一人はもらえる、あるいは妹がおれば今度は妹まではいくというように、何か障害者や御老人まで引くならば、それを扶養控除みたいな形で第一人目には幾ら、第二人目には幾ら、第三人目には幾らと引けばこの扶養控除をやれるという制度を講じてやる必要があると思うのです。そうしないと、こういう議論というものが非常に出てくる。それからいま一つ、あなたのほうの言うように、ゼロ人の場合は四十万、五人のときには六十五万、こういうことはそういう精神が幾ぶんここにあるわけでしょう。だから福祉年金その他についても、当然考えるべきじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/64
-
065・高木玄
○高木説明員 ただいま先生の申された点につきましては、その扶養義務者が老齢者なり障害者を養っておりますときには、その人の所得から老齢者、障害者一人七万五千円控除した残りの額が、六十五万円になるかどうかということにいたしております。したがいまして、扶養親族五人のうち老齢者、障害者それぞれ一人いた場合には、その人の所得が八十万でありましても、一人について七万五千円ずつ引いて六十五万、こういうことになるわけであります。その措置はすでに講じてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/65
-
066・滝井義高
○滝井委員 そこらあたりのPRが、この新聞の「声」には達していないということですね。したがってこういう意見が出ることになるわけです。私もそこまではちょっと気づかなかったのです。
それから、これとはちょっと別のことになるわけですけれども、ついでに、簡易保険に入っている、その簡易保険の額が相当の額であるというような場合には、何かそういう所得の制限をしますか。たとえば本人が五十万とかなんとかの簡易保険に入っている、あるいは生命保険に入っているという場合、これはいまのような老齢、障害年金等との競合が起こるわけです。これは何か制限をすることがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/66
-
067・高木玄
○高木説明員 別に簡易保険との関係では何も制限いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/67
-
068・滝井義高
○滝井委員 私がどうしてそういうことを尋ねるかというと、やはり同じようにこの「声」の欄にあるわけです。簡易保険に入っている、ところが生活保護すれすれになりますと、あなたは生活保護にはかけられぬ、しかし病気になったら医療扶助だけは上げますよ。そうして転落を防止するわけです。そうしますと、ケースワーカーが調べて、簡易保険に入っていると簡易保険を出ていらっしゃい、そうしないと医療扶助は上げませんよ、こう言う。これは郵便局員から出ている投書なんです。医療扶助を求めるために簡易保険をどんどん脱退していく、そういう制度はいかぬということです。生命保険も解約をすることになるように書いてある。御存じのとおり、簡易保険や生命保険というのは、いざという場合にわれわれが安心立命を得るために加入しているものでしょう。それを病気の医療扶助を受けるために解約してこい、それに納める金があるならばそれを回せばよい、こういう理論です。これは言いそうな理論です。現実に福島の郵便局員が出している投書ですから、間違いないです。医療扶助の対象基準として、保険契約高をある程度制限するのならやむを得ぬ。しかし、それを全部やめてしまいなさいと解約をすすめるというのは問題だというのです。こういうふうに、日本の制度というものはほんとうに恩恵が少ないくせに、その政府は、両方のものをやることを非常に好まないという一つの傾向があらわれている。ところが一方においては、公的年金と公務扶助料等については併給をやる。ちっとも一貫性がないのですよ。だから私は、やはりこういう一貫性のある姿をつくらないといかぬのではないかと思う。つくらないからこういう問題が起こってくるのですよ。簡易保険に入ったらだめです。私がいま特に年金との関係を尋ねたのはそういうところなんですよ。福祉年金とこれらの生活保護と非常に似ておりますからね。福祉年金を差し上げる、調べてみたら、なにあなたは簡易保険によけいに入っているじゃありませんか、それでは福祉年金は上げません。——あなたは頭を振っているけれども、医療扶助がそれをやっているのですからね。こういうユダヤ人以上のことは言わぬようにしてもらって、ぜひひとつ前進をはかっていただきたいと思うのですが、そういう点はだいじょうぶでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/68
-
069・實本博次
○實本政府委員 先生のお話の生活保護法のほうは、これは公的扶助制度でございまして、そちらのほうでは例の資源の活用という一項目が入っておりまして、ほかに活用する資源があれば、全部それを食いつぶしたあとで生活保護をしましょう、こういう原則が入ってございますので、そういう話が出るのでありますが、福祉年金はそういうことはございませんで、そういうこととは関係なしに出すことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/69
-
070・滝井義高
○滝井委員 生活保護とそれから福祉年金の併給ということは、ここでやかましく言うてようやくやってくれることになった。私がやかましく言うたから、いまやってくれるようになっておるけれども、簡易保険みたいなものも、今度もらうことになってなにの財政が少なくなると、所得制限の中にそういうものを加えることになりはせぬかと、ころばぬ先のつえでくぎを打っておくわけです。
それと、いままで五人であったものが五十万、それが今度はだんだん、昨年六十万にし、今年六十五万にしたということになっていますが、この四十万から六十五万の段階はどういう段階になるのですか。扶養家族ゼロの場合は四十万、一人の場合はどれくらい、この所得制限の段階はどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/70
-
071・高木玄
○高木説明員 扶養親族ゼロ人の場合は四十万円、一人の場合は四十九万四千五百円、二人の場合が五十二万八千七百五十円、三人の場合が五十七万六百二十五円、四人の場合が六十一万二千五百円、五人の場合が六十五万四千三百七十五円、六人の場合が六十九万六千二百五十円、七人の場合が七十三万八千百二十五円、以下十人の場合が八十六万三千七百五十円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/71
-
072・滝井義高
○滝井委員 この五人の六十五万というものが今度出てきたわけですが、これは所得税法が改正されたときには、この関係はどういうことになるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/72
-
073・高木玄
○高木説明員 この所得制限は全部前年の所得で申しました。いまのは三十八年のもので申し上げたのでございますが、これが来年になりますと、いまの五人のところの例で申し上げますと、六十五万四千三百七十五円というものが所得税法の改正を反映いたしまして六十六万七千円、さらにその次の年になりますと六十七万円というように、所得税法の改正を反映して自動的に額がふえていくことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/73
-
074・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いままではそういう税法改正の反映がなかった、今度税法の改正を反映させることになった、そのためにある程度弾力ができたということですね。問題は、この幅が、扶養家族が多い場合にはもう少しこの額を多くする必要があるのじゃないか。特に普通の扶養家族五人の場合の六十五万が、いまのような七十歳以上とかあるいは障害を持っておるとこれから七万五千円を引くということになるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/74
-
075・高木玄
○高木説明員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/75
-
076・滝井義高
○滝井委員 そうすると、そういう障害者を一方においては今度はきちっとつけ出してもらって、それを把握してもらうということが必要になってくるわけです。ここらの周知徹底をぜひ市町村当事者等にさしておいてもらいたいと思うのです。私も寡聞にして知りませんでしたから、そういう質問をすることになったので、これは一ぺんあなたのほうで、念のために、やはり政治は親切でなければいかぬから、四月十二日の朝日新聞の村上市、成田与志雄五十二歳、この人に答えて「声」欄に出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/76
-
077・安福信雄
○安福説明員 ただいまの障害のありますような人を忘れていはせぬかということもごもっともでございますが、この届けを出す用紙の中には、そういうことがございましたら自動的に書き込まなければならぬような様式にしてございますので、そういうように注意はいたしておりますが、なお御注意の点を体しまして、十分PRをいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/77
-
078・滝井義高
○滝井委員 やはりこういう声が出たら、間髪を入れずにこの答えを、年金はまだみななじんでいないのですから、出してあげれば安心しますよ。ぜひひとつお願いしておきます。
それから、この前ちょっと関連質問でしました公務扶助料、公的年金、戦争公務によるものと公的年金に対して福祉年金を併給する点の説明を、ひとつ要領よく、わかりよく説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/78
-
079・山本正淑
○山本(正)政府委員 公的年金との併給の措置は、御承知のように、制度ができてあとで実施されるということになった次第でございますが、その際におきまして、併給の程度をどの程度にするかということが問題でございます。そこで、当初の事情は先生も御承知のように、現在拠出年金で、現行法では二十五年で月額二千円、年額二万四千円、こういう年金額があるわけでございます。そこで他の公的年金との併給については、年額二万四千円との差額を支給するということになったわけでございまして、それは申し上げるまでもなく、公的年金と福祉年金とは併給される。国民年金の中で拠出制の年金と福祉年金とは併給されないわけでございますから、その両者のバランスを考えますと、やはり二万四千円という線が出てきたわけでございます。そこで戦争公務による年金という場合、死亡による扶助料の場合におきましては、その限度がもう少し高いところにあったわけでございます。その限度をどこまで持っていくかということになりまして、たまたま遺族扶助料の額というものが、戦争公務による場合には通常の場合よりも倍率が高い。その倍率は、兵と下士官と尉官でございますか、その平均で大体三倍ぐらいになっているということでございます。そこで二万四千円を約三倍いたしまして、端数を切り捨てて七万円との差額を支給するということになったわけでございます。ところがその後ベースアップがございまして、それが昨年の十月一日から実施でございますか、そこで七万円を基本額がこしたわけでございまして、従来の福祉年金と併給してもらっておった人が、福祉年金はもうもらえなくなったという者が約二十三万人出てきたわけでございます。そこで、いろいろ理屈はもちろんあるわけでございますけれども、それは併給という制度が現実にできておるわけでありまして、現実できておる併給が、昨年の十月から二十三万人もらえなくなったという現実があらわれた。それにどう対処するかということになりまして、やはり従来年金、福祉年金を併給されておった人たちは、従来併給を受けておった額とおおよそ似たような額を、福祉年金としてもらえるという措置を政策として講ずべき必要があるのではないかということになります。そういたしますと、従来もらっておった人がほぼ同じ額をもらえるという限度は、七万円を八万円に引き上げることによって満たされるということになります。戦争公務の場合の併給を、八万円まで引き上げるという措置を講じたいという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/79
-
080・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、二万四千円というのは、結局拠出制の国民年金と福祉年金の併給はできかねるというところから、公的年金の基礎の二万四千円というものが出てきた。結局年金を二十五年かけて二万四千円になるのですね。したがってその最高額だということになると、われわれは、福祉年金と拠出年金というものと法律的には一緒だけれども、どうもこれは別なものにむしろ考えて厚生年金その他に併給をしてやるのならば、福祉年金と拠出制国民年金は併給する形をとらぬと不合理なのです。なぜ不合理かと言うと、公務扶助料のようなものはベースアップでどんどん上がっていくわけです。上がると、これはことしの十月にまた上がるわけですが、それに合わせることになる。そうしますと、こちらは上がっていくけれども、私がきのうるる申し上げたように、拠出制の年金というのは、国の財政上の理由によって前進しないわけです。前進しないで、いつまでも二万四千円に停滞しておる。そうすると、これは停滞しておるがゆえに、同じような条件にあるにもかかわらず、これはもらえないわけでしょう。そうすると、国民的に言ったら非常に不合理が起こってくるわけです。片一方はベースァップがあってどんどん上がるけれども、二万四千円のほうは上がらないのですから、いつまでも二万四千円で停滞しておると、もらう資格のある厚生年金、すなわち公的年金の併給者との間が非常に不合理になるわけです。ここなのです。これが結局、私がきのう言った根本論にさかのぼってくるわけです。片一方は、それは政策だと言うけれども、とにかく上がっていく。しかし、公的年金の部類に属する厚生年金なりは上がらない。それはなぜ上がらないか。拠出制の年金の前進がないからです。これがもし拠出制の年金の前進さえあれば、二万四千円が三万四千円になるわけです。だからこういう政策の片手落ちのものをいつまでも放置するわけにはいかぬわけです。したがって、どうしてももとを動かさざるを得ないということになる。もとは何かといえば、拠出制年金の前進です。だから、こういうような末端にあらわれてきておる不合理をなくするためには、四十一年において相当抜本的な思い切った、一万円年金はつくれぬにしても、一万円年金の足元に寄るくらいのものをつくらなければいかぬということですよ。そうしないと、至るところに不合理があらわれてきて、もはやこれは身動きがならなくなってしまうのです。そうしていたずらに、いま言ったような末梢的なことだけ議論する。結核の内部疾患だけを入れるとか、しかも精神病的なものの中の精神障害だけを入れていくとか、非常に枝葉の問題だけを論議して、根本論はそのままにしておく。いまに枝葉ばかりが大きくなると、根が張っていない年金は倒れることになる。風が吹いたら倒れますよ。そういう風前のともしびの状態にあるのがこの年金です。だから若者は魅力を持たないから年金に入らないのです。こういう形が、今度は逆に出てくるでしょう。だからこの際、二万四千円の根っこを上げるという、これにひとつあなたは猪突猛進をするし、大臣のほうは蛮勇をふるう。こういう猪突猛進と蛮勇が一体になって大蔵省に当たらなければ、とてもだめですよ。私がきのう言ったように、いまの日本の現状、日本の国家予算の弾力性を失った状態から考えて、とてもだめです。だからこういう末梢の議論に——これは末梢の議論でも非常に重要です。しかし、こういうことにうんと時間を費やすエネルギーと頭脳をもっと根本のところに働かしてもらいたい、こういうことですね。そういうことをひとつぜひお願いをしたい。四十一年というからには、私はことしからやはり具体的な改正案に取り組まなければいかぬと思うのです。これは年金審議会か何かに諮問しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/80
-
081・山本正淑
○山本(正)政府委員 先ほど来御指摘がありましたように、確かにあちこちで基本年金額との関連において問題が派生してくるわけでございまして、私たちもその点は十分認識いたしております。昨日の先生の御質問もありましたが、ただ私どもの意欲といたしましては、御承知のように国民所得に対する社会保障費の割合というものは、日本は非常に低いわけでございまして、現在五%余になっております。西欧先進諸国といわれるところでは大体一〇%をこしておる。そうすると、そこまで持っていかなければならないというのが社会保障の長期計画であり、かつまた厚生省で基本的にものを考える一つのめどになるわけでございます。それは、今後は所得保障、年金制が中心にならなければならないというふうに考えておりまして、そういう意味におきまして、この年金の給付というものは、いろいろむずかしい事情はございますが、思い切って引き上げていくという方向をとらざるを得ない、かように覚悟いたしております。そこで、国民年金につきましていま御指摘の点でございますが、国民年金審議会で、次の年金改正についてどういう構想で、どういう方法で臨むかということはただいま御審議を願っておりまして、やはりしばらく期間がかかると思いますが、年金審議会ではすでにこの問題を御審議願っておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/81
-
082・滝井義高
○滝井委員 ぜひこれは、大臣には蛮勇をふるってもらうし、山本さんには猪突猛進をしてもらうというくらいの体当たりでないと、とても国民年金の前進は不可能ですよ。私、小林理事さんと相談をして、時間があれば午後やらせてもらいたいと思うのですが、昨日も言ったように、医療問題はもう火がついたわけです。これはどこできめたか知らぬけれども、緊急是正というのを十月から実施するなんというようなアドバルーンが上がっておるわけです。十月から実施し、引き上げ幅は八%前後だという。これもどこでどういうぐあいにきまったか、かってにそういうことを大臣は閣議で言っておるようでありますが、やることになれば百億かそこらの金をすぐに出さなければならぬことになるわけです。そうすると来年度の予算編成で、ことし百億取られれば来年は平年度化するのだから、これはすぐ二百億とか二百五十億になってしまう、あるいは医療費の伸びを見ればそれ以上になってしまう。したがってますます困難になる。一説には、国民年金の拠出制が早かったという議論もある。しかし生まれたからには、子供が精神薄弱であればあるほど、先天性白痴であればあるほどかわいいわけで、やはりかわいい子にはうんと栄養を与えなければならぬことになる。与えなければ太らないのだから、インキュベーターというのですか、箱の中に入れてでも育てなければならぬことになるのですよ。そういう意味では、やはりあなた方がある程度いい栄養を国民年金という先天性白痴児に食わせなければいかぬ。そのためには、猛獣のおる中に行って、いいえさをとってこなければいかぬ。それであなたには猪突猛進が要るし、大臣には蛮勇が要るというわけですよ。国民年金というのは先天性白痴児です。この先天性白痴児に良質の牛乳を飲ませ、だんだん太るにつれていいたん白を食わせなければ、とても九千万の日本国民を今後おんぶしていくだけの力はできないですよ。しかも御老人が急激に多くなっている。そうして、もう二、三年もしたら人口の八%、九%にもなるのです。そういうように御老人の多くなる制度をやろうとすれば、ひとつ猪突猛進、大臣は蛮勇、この合いことばでぜひいい制度を確立してもらうことを要望して、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/82
-
083・田口長治郎
○田口委員長 午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
————◇—————
午後二時三十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/83
-
084・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/84
-
085・滝井義高
○滝井委員 御存じのとおり四月十八日に非常に日本の政治をゆり動かした中央社会保険医療協議会の懸案の答申が出たわけでございます。この諮問は昨年昭和三十八年十二月四日に「経済成長に対応する社会保険診療報酬の緊急是正について会の意見を問う。」という形で諮問をされて、これに対する答申が出たわけです。一言にして言えば、何ぞその答申の出るのおそきやという慨嘆をせざるを得ないのです。病院、診療所等は瀕死の重態にある、緊急に是正をしなければならぬというのに延々五カ月にかかった。その前にすでにこういう問題というものは非常に大きな政治問題になっておったにもかかわらず、非常に時間がかかっておるわけです。いま横からがあがあ言われておる方々は、いま出たんだからと言っておるけれども、厚生省当局は委員の中に保険庁の竹下君も出ておりますし、それから小山保険局長は医療協議会につきっ切りでやっておるわけです。いま出たからといって対策が立たないはずはないので、審議の過程の中で十分対策を立てながら今日に至った、こう考えざるを得ないのです。そこでお尋ねをすることになるのです。これは大臣も再々にわたって大みえを切られておった。あえて大みえと言うわけですが、答申が出れば処置をいたします。いよいよ待望の答申が出たわけです。
まずお尋ねをいたしたいのは、諮問以来十二回の審議で四月十八日に答申が出ましたが、これに対する大臣の対処のしかたですね、答申が出た、これに対して一体大臣はどういう対処をこれからされるのか、まず大臣の心がまえをお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/85
-
086・小林武治
○小林国務大臣 四月十八日に答申が出ましたので、その答申は私は二十日の日に寺尾委員から正式にこれを受け取りました。そして私は、二十一日の閣議にかくかくの答申が出ました、この取り扱いについては政府部内でもってひとつ相談をしたいと思う、こういうことを発言をして、その了承を得ておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/86
-
087・滝井義高
○滝井委員 その二十一日の閣議において大臣がどういう発言をしてどういうふうに対処しようとするのか、ちょっとわれわれもわかりかねるので、できれば少し詳細に大臣の考え方を御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/87
-
088・小林武治
○小林国務大臣 詳細も簡単もありませんで、私がそういう報告をして、この問題については早い機会において関係閣僚等で相談の上政府の態度をきめたい、こういう発言をいたしておりまして、それにつきまして実はこの答申の内容等につきましてもかなり抽象的なものがありますし、私のいまの考えといたしましては関係省の間で事務的にひとつ急いで検討をしてもらいたい、こういうことを事務当局に伝え、同時に大蔵、経済企画庁大臣にも申し述べまして、これらの関係省の間で事務的検討を至急進めてもらいたい、こういう要望をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/88
-
089・滝井義高
○滝井委員 そこでいまの御答弁に基づいて事務的な検討に入る前に、大臣としての答申に対する基本的な態度というものを事務当局にやはり指示をしなければいかぬと思います。ただ事務的に検討しようといっても、大臣の御指摘のようになかなか答申の中には抽象的なところもあってわかりかねるところがあるということになると、これは一々有澤さんのところに聞きに行くわけにはいかないんで、やはりこの答申は大臣の政治的な判断というものが相当重要な役割りを演じてくることになる。そこで、事務当局は横におられますから、事務当局の意見も聞かしていただきながらまず大臣の意見を特に聞かしてもらいたいわけです。
お尋ねしたいのは、今回の答申では、公益代表の提案に支払い側の全員が賛成をしているのですね。そうして同時に療養担当者側の全員が反対をしているのです。この意見対立に対する大臣の所見です。これを一体どうさばくおつもりなのか。これは答申の冒頭にあらわれてきているわけです。ここに公益側の提案というものをはさんで関係者の間に全く意見が対立をしておるということで、多数意見と少数意見という形になっておるわけです。いわば支払い者と療養担当者というのは車の両輪です。一方は前に行こうといい、一方はうしろに行こう、一方は左に行こう、一方は右に行こうという、こういう対立があるということです。こういう答申に対して基本的には大臣はいかなる方向を事務当局に指示することになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/89
-
090・小林武治
○小林国務大臣 基本的にはこの協議会の答申を尊重する、こういうことに尽きておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/90
-
091・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、協議会の答申の中に、公益の提示した意見だけでなくて、二号委員の意見というものがくっついてきているという現実があるわけです。そこで答申というものはこの二号委員の意見もひっくるめたものが答申になるのだろうと思うのですがね。そうでなくて、二号委員の意見というものは全く参考的な意見であって、答申というのは「現在の社会保険診療報酬には、」から始まって、一番最後の「可及的すみやかに結論に達するよう努力する用意があることを申し添える。」という、これで一つは終わっておるわけです。それから最後に「第二号側委員の意見」というのがくっついておる。これは付属資料とか参考資料とかいうものでなくて、答申の中に一緒になってきているわけです。そこで答申を尊重するといってもまっこうから対立した意見が答申の中に両方盛られてきているわけで、それでこれは全部を尊重するということになるのか、いま私が読んだ第二号側委員の意見を除いたものを尊重するということになるのか、そこらをひとつはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/91
-
092・小林武治
○小林国務大臣 私は、このごろもその点を若干確かめたのでありまするが、参考として付する、こういうふうに私は承っておるのでございます。それは前々から診療担当者側は並行答申をしてもらいたい、こういう強い希望を述べられておったようであります。すなわち並行答申というのは同じ重さを持って二つの意見を出せ、こういうことではないかと思いまするが、そういう主張がそのまま認められてこの答申が出たとは、私は了解しておりません。したがって、そのあとについたものは、参考としてつけられたというふうに了解すべきではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/92
-
093・滝井義高
○滝井委員 答申書の中にはそういうことは書いていないですね。これは第二号側委員の意見ということで、答申書というものに一緒に含まれておるようにあるのですね。そうすると、並行答申というものは認められていない。したがって二号側委員の意見というものは、全く参考意見である。こういう大臣の御解釈のようでございますから、そのように解釈をして質問を続けます。
そうしますと、この答申の中に「当面高度経済成長に伴う諸事情が医療経済の安定を阻害している面のあることに鑑み、」ということになって、答申が行なわれてきておるわけです。この経済成長に伴ういろいろの事情のために、医療経済の安定を阻害しておるというこの意味を、一体どう解釈しておられるのかということですが、経済成長に対応する社会保険診療報酬の緊急是正について意見を尋ねた。そうしたら経済成長に伴ういろいろの事情がある。その事情が医療経済の安定を非常に阻害しておる面があるのだということを言われておるのですが、これは具体的に、どういう事情が医療経済の安定を阻害しておることになっておるのか。それがまず明らかにされなければならぬと思うのです。これはちょっと答申のいまの二号側委員の意見を除く部分だけをすっと読んだだけでは、わかりかねるわけです。私たちのもとにはいま資料としてはこれだけしかきていないので、これをひとつ大臣の御理解していられる範囲でけっこうでございますから、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/93
-
094・小林武治
○小林国務大臣 これはものには前文というものがあるので、前文をお書きになって、その前文は当然抽象的にお書きになると思うのです。それで結論的に、具体的に、こういうふうなものをいじるのがそれに合うのだ。こういうふうに結論をされて出しているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/94
-
095・滝井義高
○滝井委員 こういうものを結論としてはいじるんだというけれども、何かそこに高度経済成長政策に伴うこういう事情があって、そして医療経済の安定が阻害をされておるというものがないと、こういうものをいじるんだということはわからぬわけです。こういうものをいじるということは、入院料とか初診料とかいうことを書いています。しかしなぜ入院料、初診料をいじらなければならないかという、その高度経済成長に伴う諸事情、そしてその諸事情が医療経済の安定を阻害しておるというここの関係が、これだけではわからぬわけです。これを鮮明にしてもらわないと、入院料や初診料をいじるという理論が出てこないのです。これはちょっと私たちわかりかねる。しかし大臣、答申をお受けになるときには、これは有澤先生か寺尾先生かだれかから十分御説明を受けられているものだと思うわけですよ。大臣のほうでその点の説明が困難であれば、終始医療協議会を御指導され——指導と言っては語弊があるが、医療協議会に出ておられた小山保険局長のほうでもけっこうですから、ひとつその間の事情を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/95
-
096・小山進次郎
○小山政府委員 ただいまの仰せのように、私、医療協議会にずっと参列しておりました。そこで議論されましたことの要点だけをお知らせいたします。
まず医療協議会では、高度経済成長の結果、いまの医療経済にあるいは医業の経営にどういうふうな影響が出ているかということを、なるべく具体的な形でつかみたいので、あるだけの資料を全部出すようにという要求がございまして、私どものほうから、三十五年に実施をいたしました公的医療機関のうち、これは病院だけしか実施できておりませんでしたけれども、その結果に基づく経営分析とでも申しますか、それがその後の事情によってどういうふうに変わっているのであろうかというような推計についての資料と、もう一つは昭和三十七年の、これはおもな公的医療機関を経営しておりまする団体の文字どおり経営の実態でございますが、この資料を提示いたしまして、これによりましていろいろと御検討があったのであります。その結果、大方の人々が受けられた感じとしては、なるほどいまの病院の経営はもう明らかに無理が出ている。人件費の増というものに対応するためにも、あるいは主として入院の食事に対して典型的にあらわれているような問題に対応するためにも、これでは非常に無理があらわれている、こういうようなことをそういった資料からほぼ受け取られたようであります。
次いで、こういうような資料が診療所についてもないかというような御要求があったのでありますが、御承知のとおり遺憾ながら診療所についてはそういう資料がございません。したがって、その後いろいろ論議の過程におきまして、三十六年のときに行なわれた医療費の改定によって、診療所の経営がかりに収支バランスしておったとした場合、その後の経済上の変動に基づくいろいろな影響を受けて、この経営がどういうふうに変わっているであろうかというようなことについても推計をしてみろというような要求がございました。この要求に基づく資料も提示したのであります。その結果、診療所の場合においても、収入は非常に伸びておりますけれども、収入の伸び以上にコストも伸びておるし、また本来ならば、三十六年のときに与えられた相対的な所得をそのまま持ち続けるとするならば、どうしてもいまの医療費では無理であろう。おおむねこういうようなことを検討されました結果、ああいうようにやはり医業の経営というものは、現実の経済の成長に対応し切っていない。対応した状態にするためにはやはりある程度医療費を上げるということをしなくてはいかぬ。自然増が非常にふえておって、医療経済は決してそう苦しくないという意見も一部にはかなりにあるけれども、どうもやはりそういうのは無理だ、こういうような結論になったわけであります。
ただ繰り返して申し上げましたように、病院については端的な経営の実態を示す資料がございましたので、これはもうほとんど論議の余地ないくらいに必要だという点はほぼそういう考え方を持たれたようでありますが、診療所についてはそのものずばりの資料がありませんでしたので、やや議論にいろいろのあやが出ておった、こういう事情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/96
-
097・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、私の質問に対する答弁は幾ぶん答えが出ておるけれども、的確じゃないのです。高度経済成長に伴う諸事情ということは、しいていまの答弁から求めてみるならば、高度経済成長のために人件費が非常に上がった、
〔委員長退席、井村委員長代理着席〕
それから入院の食事というのは、食いものの値段が上がった、だから病院の経営が苦しくなったんです。端的に言うとこういうことですが、そしてそのことは、人件費が上がったことと食いものの値段が上がったことが、医療経済の安定を阻害しておる面でございます。いまの答弁では、こうなるのです。違うなら言ってください。私の質問したことに答えてくれぬものだから、長々と言ってくれたけれども、いまの御答弁ではそういうことにしかならぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/97
-
098・小山進次郎
○小山政府委員 そういうふうな人件費の増と物件費の増というものに対応し切れなくて、医業の経営にかなり無理が出ておるということのほかに、現在の医療費の制約からして、ほかの職種による人々の所得というものは、経済成長に対応してその成果を受けて相当伸びているけれども、どうも医療担当者の所得というのは、それに対応して十分に伸びていると言えば言えるようであるけれども、しかしその伸び方というものが非常に無理な条件のもとにおいて伸びておるというふうに間接に推論される。そこで主として議論されましたのは、所得のふえ方だけを見れば、いかにも伸びているように見えるけれども、一般の人々は労働時間をそれほど延ばさず、あるいはむしろ短縮しつつ所得を伸ばしているのにかかわらず、医療担当者はどちらかというと前よりももっと苦しい稼働状態においてかろうじて所得を伸ばしておる、こういうような傾向が出てきておる。そういうようなことからいたしまして、経済成長の余恵とでもいいますか、成果というものを十分に受け切っていない、こういうような二つの点をそういうふうな考え方であらわされたようにお聞きしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/98
-
099・滝井義高
○滝井委員 そうすると、やさしいことばで言えば、人件費が非常に経済成長のために伸びた、それから入院の物的な経費が伸びておる、そしてそれが経済成長に対応できない形にある、それから他の人は経済成長につれて労働時間の短縮をやって、なお所得の増加を来たしておるけれども、医療担当者はなるほど所得は伸びておるけれども、長時間労働になっておるのだ、結論はこういうことですね。したがってものさしが三つできたわけですね。人件費増、それから物的な、特に入院における食費その他のものが増加をした、長時間労働、こういう三つのものさしができましたから、これでひとつ議論をしていけば大体共通の土俵になってくるわけです。
そこで、昭和三十六年の七月、十二月に医療費の改訂があったわけですね、十二月の緊急是正がありましたから。そこで、いまの小山さんの御答弁の中にもございましたが、答申の「前回の改訂以後における著るしい人件費、物件費の上昇に伴う病院、診療所の経営上の困難を一応解決し、」これがまず第一段階ですね。当面一応昭和三十六年の医療費の改訂以後における人件費、物件費の上昇を改訂することが第一だ、これが第一段階です。かつ、いまあなたの御説明になったように、一般の所得水準、生活水準の向上に見合い、もう一つ、これは条件があるのです。いわゆる医療担当者に、それにふさわしい所得向上を可能にする。いわゆる専門技術者としての所得を与えるというのがいまもう一つあなたのこれには落ちているわけです。これはもう一つ追加しなければならないわけですね。それをお認めになりますね。人件費が上がった、物的にももろもろのものが上がった、そして長時間労働が行なわれておる、もう一つ、専門技術者としてのいわゆる所得の向上が必要なんだ、この専門技術者というところが落ちているでしょう。これは私は一番大事なところじゃないかと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/99
-
100・小山進次郎
○小山政府委員 私は先ほど、それにふさわしい職種ということを申し上げておりますので、おっしゃる結論は同意見、全く同じでございますが、断じてそういう大切なことは落としておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/100
-
101・滝井義高
○滝井委員 わかりました。そうすると、ものさしは四つになったわけです。これはもうあとないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/101
-
102・小山進次郎
○小山政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/102
-
103・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いまのような四つのものさしを基礎にして、大臣の諮問のありました経済成長に対応する社会保険診療報酬の緊急是正をやることになるわけですね。そうしますと、あなた方の見るところでは、一体どの程度の幅の医療費の引き上げをしたらいいというのか、厚生省の見解をまず述べてもらい、同時に今度は医療協議会自身の独自の主張をひとつ述べてもらいたいと思います。医療協議会は一体どういう意見であり、政治を担当する厚生省当局はどういう意見であるか。自由民主党はあとから小沢さんなり委員長なりに聞かしてもらいますからいいですから、まず医療協議会の見解、それから厚生省のこの答申が出た現段階における見解をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/103
-
104・小山進次郎
○小山政府委員 医療協議会の意見につきましては、公益委員がこの答申案の提案をする前に、いろいろ問題にされた事項について公益委員の統一した意見を申し述べ、その要点をしるした文書が載っております。これで申し上げることが一番正確でございますので、関係の部分を朗読いたします。「二号側委員は経済成長率(名目一三六、実質一二一)を基として、ほぼそのままの率で社会保険における診療報酬の総額も引き上げるべきであると主張しているが、この主張はにわかに納得しがたい。というのは、経済成長率に対比されるべきものは、診療報酬の引上率ではなくて、診療報酬によって確保される医療担当者の所得の伸び率であるからである。従って、この議論は、当然、医療担当者の収支両面にわたる状況を検討し、それから結論される医療担当者の所得が果して一般の経済成長率に見合っているかどうか、仮に見合っているとした場合でもそれがどのような条件のもとで見合っているかということの検討に及ぶべき性質のものである。」それから一号側委員——これは通称支払い側と呼ばれる方ですが、「一号側委員は、当局提出資料算定の「基礎的考え方」」——これは協議会から要求がございまして、ほぼ最終に近い段階——二、三回くらい前でございましたか、いままでの議論の経過を見ておって、いろいろの仮定を設けて、ひとつどのくらいの結果になるかということを計算して出してみるように、こういう要求がございまして、その際に、数値そのものを出すことはまだいろいろとデータがかたまっていない現段階においては差し控えさしてもらいたい、しかし算定の基礎的な条件を明らかにして、どういう方法で算定をしたらほぼどういうふうな結果になるかということの整理はつきましょうということで、それを提出したのでございます。これも文書で提出をいたしました。その「支出の推計において、A案をとった場合の幅を主張しているように見受けるが、」——このA案と申しますのは、概略申しますと、三十六年以降の所得の伸び率というもの、これだけの所得は考えなければなるまいというものを考える場合に、これを一般の経済成長率とほぼ同じ率の一三四をとって計算をしたもの、それでございます。なおその場合に、稼働時間がふえた結果所得もふえているはずでありますけれども、その場合には所得の増というものはそのまま収入の増に計算をいたしますけれども、稼働時間の増ということはとにかく一応そのままと考えて、特にそのための特別な考慮を加えない、こういうことが骨子になった案でありますが、これを「主張しているように見受けるが、一般に労働時間が短縮される傾向がある際に、激増する患者の診療に忙殺されている医療担当者の状態に対しては、配慮を加える必要があると考える。」そういたしまして、結論として「従って、関係者の双方が承認し合う算定のルールが確立されていない現段階の措置としては、(四)に述べた考え方に基づき、収支の両面にわたり医療機関の実態になるべく適合する見方を用いて収支を集計し、引き上げの幅を病院、診療所、歯科診療所の別に算定することが妥当と考える。その具体的な方法としては、当局の算定方法によらざるを得ないと考えるが、一般的な労働条件の推移から見て、B案の考え方がより望ましい方法と判断する。」B案と申しますのは、たまたま先ほど滝井先生が確認された問題について考え方を明らかにしたものでありますが、三十六年以降の医療担当者のあるべき所得というものは、やはりそれぞれにふさわしい程度の伸びというものを基本にして考えるべきであろうという考慮を加え、またその間における患者の増というものに基づく所得の増については、これはさなきだに苦しい状態にあって働いているのが一そう苦しい状態になったと一般に言われているのだとすれば、それについては特別な配慮を加えることが必要であろうということと、もう一つは病院における看護婦の勤務時間について、四十八時間労働ではなくて四十四時間制が実施できるという条件を満たすようなものを考える。およそこういうことをもとにした案でございます。こういうようなことからこういう提案をされたという経緯でございます。なお、厚生省としてはこの答申に基づきまして目下作業をちょうど開始したという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/104
-
105・滝井義高
○滝井委員 私がお尋ねをしておるのは、引き上げの幅は医療協議会はどの程度に見ておりますか、厚生省はどう見ておりますかということなんです。私いま非常にふしぎに思ったことは、天下の医療協議会、あれほど国会でもがたがたして公益委員を選んだわけです。その公益委員は独自の立場で資料をとっておやりになると私は思っていた。ところがみんなあなた方のペースでおやりになっておる。全部当局の資料でおやりになるというなら何も医療協議会は必要ない。国会でもできるはずだ。医療協議会というものは専門委員もあるので、そこで独自の調査をしておやりになったのだと思ったら、いまお話を聞いてみると、A案、B案というのは厚生省がおつくりになって、そしていま資料がないから当局の案によらざるを得ないという。当局の案によるなら、何も五カ月も六カ月もかかって医療協議会をつくってやる必要はちっともなかったわけです。しかも国会承認人事でしょう。専門家の経済学者の有澤さんや人口学者、統計学者の寺尾さんなんかを連れてきておる。というのは、そこで独自の立場でやってもらうので、あなた方のふんどしで相撲をとってもらうためにやったのではない。そこまであなた方がなさるということは、あなた方の干渉ですよ。医療協議会を骨抜きにしているということですよ。いまのことばを聞いて私はびっくりした。そういう医療協議会なら、これは公平な医療協議会とは言えない。何で医療協議会独自の立場でやれないのですか、あなた方の力をからずに。これはあれだけ臨時医療報酬調査会以来問題になって、そうして調査会をつくらずにこれをやるんだ、そのためには公益にしっかりしてもらって、そうして四人がどちらにも片寄らずに中心的にやっていくのだ、そのためには当然国会でああいう改正をやって、そうして同時に事務局機構も、すぐに置くわけにはいかぬだろうけれども、これは専門の調査員も置いてやれるのだ、こういう話だったはずでしょう。ところがどうもいまの御説明を聞いてみると、「関係者の双方が承認し合う算定のルールが確立されていない現段階の措置としては、(四)に述べた考え方に基づき」ということは、結局あなた方の出した資料によらざるを得ないということなんですね。そうしますと、これは医療協議会の委員の人たちは、何にも資料を持たないで、みんなあなた方から出してくる資料でやるのなら、何も医療協議会でしなくてもあなた方でできるわけだ。ここなんですよ。こういうやり方がわれわれには不明朗なんです。だからわれわれがいままで審議会とか協議会とかいうのを信用しないのはここなんです。みなあなた方が入っている。そうしてそこに資料を出しておやりになるということではいけないのです。独自の立場でやらせなければいかぬですよ。これはあなた方のペースじゃないですか。あなたは首を振ったけれども、あなた方以外には資料が入らないのだから。そこで私がお尋ねしているのは、ほかのことはいいのだから、医療協議会は引き上げの幅を幾らとお考えになっておるのか、あなた方は一体幾らとお考えになっているのか。お聞きしたいのはそこなんですよ。もしあなた方と医療協議会とが意見が一致して、何か閣議で大臣が言われたのか何か知りませんが、新聞ではおおむね八%の引き上げと答申をしているというが、答申にはそんなことは書いてないのです。閣議でそういう発言があったと新聞に出ているが、いまの説明を聞くとまるきりあなた方の資料でやっておることになる。だからそれはあなた方の資料はあなた方の資料でいいから、あなた方の資料だったら一体幾ら、医療協議会が独自の引き上げの幅をお持ちにならなければならないで、われわれの資料でやりました、その点だけでけっこうです。時間は四時までで大臣がいなくなりますが、まだ大事なことが残っている。くどくどした説明はいいから、幅は一体幾ら幾らと医療協議会は考えておったか。日本全国で一番資料を持っているのは小山保険局長です。事務局としては客観的にはこのくらいが適当だという資料をお持ちになっているはずですよ。それをここではっきりしてもらいたい。きょうは医療協議会に求めますなんて絶対に言わせませんよ。あなたは事務当局として客観性のある資料はこうです——それを上にするか、下にするかは政治的に大臣がおきめになったらいい。まず医療協議会に出すものをここできょうはきちっと出してもらわなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/105
-
106・小山進次郎
○小山政府委員 前段の点については先生のおっしゃることが事実に反するということだけを申し上げたいと思います。
それから、医療協議会はこういうふうな判断を出しまして、これは公開の席において、しからば公益委員のこの考え方に基づくというとどのくらいになるかという質問に対しまして、まあ大体八%前後というふうに思っているが、大体一〇%は確実に下がる、こういうようなことを言っております。それから、私どもはこれから作業するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/106
-
107・滝井義高
○滝井委員 いままであなた方は日本の病院が窮状にある、瀕死の状態だと言っておって、まだ作業もしておらぬのですか。客観的に見るとどの程度引き上げるということをやっておらぬのですか。これをまだやっておらぬと言うなら、きょうはあなた絶対不信任です。やめてもらわなければならぬ。この問題が起こったのはきのう、きょうではないのです。これははっきりしておかなければならないけれども、そうわれわれはいつまでもたぶらかされない、国会ですから。医療協議会には算定の基礎的な考え方、A案、B案を出しておって、ここではいまから作業をするなんていうことは絶対に言わせません。だから、保険を担当している専門家として一体いまの日本の医療保険の実態、池田さんの高度経済成長の実態のもとでは、一体事務的に見たら幾ら上げ得るかということです。幾ら上げたら病院というものはやっていけるか。これはこの前から窮状にあるということをみな言っておるわけです。私はこの前も、言わないと不信任だと言ったが、言われなかった。きょうは答申が出たのだから言わせますよ。言うまでは質問をします。はっきり事務当局として言ってくだざい。政治的には大臣が上にしようと下にしようと、保守党の医療政策としてわれわれは対決していきます。しかし、事務的にきょういまから作業をするなんて言ったら、われわれはきょう即日不信任です。これははっきりしてもらわなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/107
-
108・小山進次郎
○小山政府委員 先ほども申し上げましたように、この答申を尊重して、これからこの答申の趣旨をどういう意味で実現するか、この作業をするわけでございます。したがって、今日ここで幾らということは申し上げるわけにはいきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/108
-
109・滝井義高
○滝井委員 私が言うのは、答申を尊重する作業はいいのです。ところが、客観的に見て日本の医療機関は一体どの程度のものをやれば——いいですか、だから私は前から念を押しているのです。人件費の増に耐え、それから物件費の増に耐え、同時に長時間労働を解消して、他のものと同じように時間を短縮して、専門技術者としての所得を確立することができるかということは、これはあなた方の案の中からもわかり切っておることですから、医療協議会の答申を出すときからわかっていることなんです。したがって、事務当局としては、この程度のものはやらなければ日本の病院はやっていけませんというものがあるはずです。これはあなたと姉妹関係にある社会保険庁には病院があるのですから、事務当局に言ってもらえばいいのです。それから先ほどの、それが上にするか下にするかは政治的な判断で大臣に私は尋ねる。したがって、個々の事情によって違うなんていうことは、そんなことは、違うというのなら答申を出す必要はないのです。したがって、私はきょうは絶対事務当局に、あなたこれは言えないというなら、今度は社会党に帰って相談して、来てもらわぬです。不信任です。これは私はきついことを言うようだけれども、医療費というものは今度は真剣勝負です。よほどがんばらぬと医療費の増というものはあり得ないのです。だからいままで私どもは黙ってきた。がまんをしてきた。しかしもういいかげんに、昨年来緊急是正、緊急是正といってちゃちなことばかりやられてがまんしてきたけれども、ベルギーの状態を見てごらんなさい。ベルギーの状態を起こさせては困る。だからきょうはあなたも首をかけて言ってください。私も首をかけて言いますから。あなたは専門家として自分の専門的感覚から調査したところでは、この程度のものを上げなければ日本の病院はやっていけないのだということは、保険局長として保険経済に見合って当然言えることです。それをあなたは言えぬというならば、言えるまでがんばるつもりです。有澤さんのはわかった。まず八%だ。しかし一〇%は上回らないだろうという有澤さんのははっきりした。そこであなたとしては一体どういうことかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/109
-
110・小山進次郎
○小山政府委員 繰り返し申し上げますように、私は今日の段階においては、医療協議会の意見を尊重して、それに沿って考える以外に事務当局の意見なんていうものを振り回すということは、これは許さるべきことではないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/110
-
111・滝井義高
○滝井委員 許さることでないはずはないのですよ。第一資料はみんなあなたしか持たないのですよ。だから、これは当然こういう制度がいけないのですよ。医療協議会ではA案、B案の算定の基礎的な考え方というものをお出しになる。ここで言ったって絶対出さないでしょう。そんなものはありません、調査は一つもありませんと言ってきた。一体病院はどの程度上げられるのだ言っても、がんとしてみんな言わなかったでしょう。医療協議会では言うけれど、国会では言わない。国会は国権の最高機関ですよ。国権の最高機関で言わずに医療協議会でいろいろなことを言うのは第一けしからぬ。国会のほうが医療協議会の下にあるような考え方を持っておるから間違いなんです。医療協議会の独自性を発揮させなければならない。あなた方は資料なんか提出する必要はない。国会で言わないで医療協議会で言うことが間違いなんです。どうぞあなた方独自の立場で使ってやってください。これが中立の機関です。これが公の医療協議会です。それをのこのこ保険局長、何のために出かけていくのですか、委員でもないのに。呼ばれたら出ていって説明したらいい。のこのこと出ていくのが、これが間違いなんです。どうぞ独自の運営でおやりください。金が要るなら予算を組みます。それでもって専門の学者その他を動員してやるべきです。あなた、あたかも医療協議会を指導するような立場をとることが間違いなんです。こういうような運営のやり方をしておるから医療協議会にならないのです。だからきょうは絶対に言ってもらわぬことには動かないですよ。それをあなたはまだきょうは何もしておりません。いまから作業ですというようなことを言うけれども、作業は答申にのっとってやったらいいでしょう。いままでの五カ月は何をしていたかということです。(「それは大臣に聞けばいいじゃないか」と呼ぶ者あり)だから大臣には政治的に聞くのだ、池田内閣の政策を聞くのだ。あなたが一割なら一割、八%なら八%がわれわれの作業した結論ですと言えば、それでは大臣それをどうしますかということになるのです。だから医務局長にも来てもらわなければならないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/111
-
112・小山進次郎
○小山政府委員 滝井先生は誤解しておられるようですが、医療協議会では決して私はここで言わないことを言っておるということはございません。先ほど申し上げましたのは、これは繰り返し協議会で自主的にやっていただくという前提だから、われわれのほうの作業を要求なさる場合には、考え方の前提を明らかにして、これとこれとこれをこういうふうにやるとしたらどうなるかということで注文を出してください、そういう注文に応じた作業はいたします。その際でも数字を出すことはいろいろの意味でまた誤解を生じますから、それでその際でも考え方の基礎的なものだけにしてください、こういうことで終始しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/112
-
113・滝井義高
○滝井委員 そういうやり方、保険局自身が下にいくことが間違いなんです。あなたはどうぞ専門委員を使ってやってくださいというのがほんとうなんですよ。私どものほうは資料を出しますから言いつけてくださいというのはおかしい。言いつけたら資料を出しますというのはおかしいですよ。独自の立場でやってください。私はあなた方のほうから出た上で作業しますというのがほんとうなんです。そういうことになっておるのです。法律をお読みになったって専門の調査委員をつくることになっておるのだから、あなた方が専門委員以上のことをやる必要はない。だからさいぜんあなたの読んだ中にも書いてあるように、「その具体的な方法としては、当局の算定方法によらざるを得ないと考えるが、」とこう書いてある。結局当局の算定方法によらざるを得ないことになる、資料を持たない。だからそうするとあなた方のペースでみんなものが運ばれてしまう。こういう点は非常に不明朗なんです。だからきょうはひとつ言ってくださいよ。それをあなたはきょう日本の医療費の引き上げの幅というものについては全然わかりませんというならば、いままで五カ月何をしておったかということになる。あれだけ国会でやかましく早く出してくださいと言ったけれども、あのときも出さなかった。五カ月前にも何も出さない。昨年の暮れにも出さない。そうしてまた五カ月たった現在もそれはいまから作業をすると言って出さないというならば、あなたは無能だと言わざるを得ない。何も仕事をしておらない。保険局長として適当ではない。こうぼくは断定せざるを得ないのですよ。きょうはほんとうにやりますから、あなたはこれは当然ここで明白にするべきです。個人小山進次郎君にとっては非常にお気の毒だけれども、保険局長としては適任ではない。何なら、あなたは次官に栄転してもらってけっこうです。どうぞひとつ次官に御栄転になっていただきたい、こういうことです。能力としてはあるけれども、事、保険の計数についてはどうも的確でない、こういうことです。大臣、いやちょっと待ってください。大臣には質問をしておらないのです。大臣はあとでやってもらうのです。いままでとにかく大臣が出しているのは緊急是正で出したのですよ。これはゆっくりしていいというものじゃないですよ。病院は窮状にあるということはこの前みな言ったとおりです。窮状にあるのだから、何とかしてもらわなければならない、こういうことでしょう。もうこの答申が出たならば、われわれ事務当局としてはこの程度の引き上げというものはやるのです。あなたがこの答申とわれわれの作業したものとは一体どうかみ合わせていくかということが政治なんです。それが政治というものです。あなたは全然いままで何もやっておりません。答申ができたから、いまからやるのですということでは、一体何をしておったんだということになる。いまから資料を集めるということになります。こういうことになるでしょう。だからしたがって、小山さん、まだ大事な質問がたくさんあるうちに、イロハのイのところから行き詰まったんでは話にならぬ。一番大事なところですよ。ひとつあなたの所見を——それはあなたは八%なら八%でいいですよ。一割なら一割でいいのです。政治的な判断はそれを八%というものを一割にするか、二割にするか、それとも五%にするか、これは政治的な判断です。これは政治家同士で議論をすればいいのですから、事務当局にわれわれが聞くのは当然いまの客観的な情勢、病院の実情、保険経済の実態、それからいま専門技術者としての医師の姿、診療所の姿、こういうものを見て、一体幾らにするかという純粋の数字を出してください、こういうことなんです。これをいまからこれに基づいて作業をして、出す数字というものは政治的な数字になる。純粋の数字を聞いておるのです。それをあなたはここで言えない。純粋の数字は私は何も持ちませんというならば、保険局長はやめてもらって、適任ではないのだからかわってもらって、栄転をしていただきましょう。優秀ですから、ほかのところに下げるわけにはいかないから、御栄転をしてもらいましょう。これはひとつはっきりしてください。これは私はがんばりますから、いつまででもがんばります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/113
-
114・小山進次郎
○小山政府委員 こういう前提で、こういうふうに計算をした場合にはどうなるかというお尋ねであるならば、これは純粋な数字の問題でございますから、滝井先生のおっしゃるように申し上げなくてはならぬ問題だと思います。しかし先生さっきおっしゃることは、とにかくこの段階において事務当局としてのお前は幾らにするのが一番いいと思うのか、それを言え、 こうおっしゃるわけなのでありますから、これは私は先ほどから申し上げているように、私は今日の段階において、そういうようなことを事務当局が言うべきじゃない、こういう考え方に変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/114
-
115・滝井義高
○滝井委員 前提はあなた方がちゃんと書いておるのです。現在の経済が高度経済成長政策をとられておる。ところが、高度経済成長政策のもとにおいては、いろいろの高度経済成長政策の事情のために、医療機関は非常に苦しくなっておるということは、何も答申で言ってくれなくたって皆わかっておることですよ。そうすれば、一体どういうところが具体的に必要があらわれておるかといったら、人件費が増加して、物件費が上がって、医師の労働時間がふえておるということは確実です。そうして専門技術者としてのふさわしい技術料を確立しなければならぬというのは、これはもう昭和二十六、七年の医薬分業から、サムスの言った医療費体系の議論の帰結なんですよ。そうすると、そういう客観情勢に、今度は保険経済というものを見なければならぬ。保険経済がたえ得るかどうかですよ。ここはあなたしか知らないのですよ。保険経済を握っているのはあなたと保険庁の長官、この二人しかよくわからないのですよ。
そこで、これはきょうあなただけしか来ておらぬから、あなたがいま言ったような客観情勢と保険経済の実情とをにらみ合わせて、そうしてわれわれとして、保険当局としてはこの程度のものが当然、いまの病院の窮状を救うとすれば、引き上げの幅として妥当であろう、こういうことになる。しかし有澤会長の答申もあるので、これに基づいて、これがどう変化するかは、全く大臣の判断によります。こうなるのですよ。それを答申が出た段階で、この答申でなければこれから作業ができませんといったら、客観的なものは何もないということになるじゃありませんか。客観的なものを与えずして政治的に医療問題を解決してはいかぬと言い出したのはだれが言い出したのですか、あなたたちが言い出したんでしょう。これをいまにしてあなた方がこの段階で、答申が出たからといって、政治的なものを解決するというようなことは断じて許されない。保険経済の実情と、いま言ったような客観情勢の中から純粋に見たならば、この程度のものを日本の医療機関は必要とされておる。しかしゾルレンを出しても、あるいはザインを出しても、そのまま実現するかどうかということは、これは政治的な判断ですから、そこにもう一歩前進を必要とするのです。その前段階を言ってください、こう言っておる。これはちっとも無理なものではない。それをあなたがきょう言えぬというならきょうは質問をやめます。そのかわり一切保険局長としてはあなたに何も言う必要はない。国会に来てもらわなくていいです。これから保険の問題は一切大臣にやってもらって質問をします。だれが聞いても無理ではないですよ。医務局長が来たらあなたと違う意見を持っておるかもしれませんよ。ここに公的医療機関から手紙が来ておる。これはどうなっておるかというと、これは日赤の島津さんやみな入っております。これは少なくとも四月一日から二割六分引き上げてくださいと言っておる。二割六分引き上げてこれでなければやれませんと言っておる。こういう数字がなければならぬ、それならば日赤の島津さん、公的医療機関等を中心とする、これらの済生会、日赤とか、厚生連等の病院が二割六分引き上げてくれ、これでなければわれわれはやれませんといって、この数字を出したからといって、このとおり大臣がやってくれるかというと、やってくれはしない。この数字を私は聞かしてくださいと言っておるのです。これさえあなたが言えぬというならば、さいぜん何のために実態調査をして出しているのだということになる。その実態調査をあなたがやって資料を出しておるのだから、説明されたでしょう。こういうことまで一々言わせなさるなよ。三十五年に実施した医療機関の調査、それから三十七年の調査、そういうものを基礎にして物価の上昇その他をスライドして、これは当然病院の実態がこの程度の金がなければならぬということが出てくるはずです。そういうことさえもここでぬけぬけと、こういう資料を医療協議会に出しましたと言っておきながら、それに基づいて病院はいよいよ幅を最小限引き上げたらやっていけますという答弁ができないというならば何にも質問する必要はない。一番大事なところで答弁拒否ですから、それだったらわれわれは一番大事なところで答弁してくれなければ、国会は医療協議会の下請機関でないから、社会党としてはかわってもらう、こういうことです。納得いったでしょうか。公的医療機関を二割六分上げてくれと言っておる。そうすると、資料をお出しになって説明をした。その結果人件費、物件費が幾ら上がったということがわかった、したがって病院はこの程度の金を引き上げてやらなければ生きていけないという数字の幅が出てくるべきだと思う。それをあなたがここで仕切れぬとするならば、もう保険局長として無能力者であるというよりほかない。だから栄転してもらう、こういう結論になる。あなたほど頭のいい、腹のすわった、勇気のある人がここで言えないはずはない。言っても何のことはない。そのとおり採用するかどうかは大臣の判断ですから……。私の言っていることが間違っておるならば、私はこんな無理は申しませんよ。しかし私は無理ではないと思っておる。これは当然のことですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/115
-
116・小山進次郎
○小山政府委員 保険経済の状況がどうなっておるかということは先生のお尋ねにもなかったので申し上げなかったわけでありますが、これがどうなっておるかということならば、これは幾らでも明らかにできるのでございます。ただ先生のお尋ねは、事務当局として何が一番いいと思うかということであるから、それは申し上げられない、こういうことを言ったのでありまして、たとえば現在の保険経済の状況がどうなっているかということについて事情を明らかにするということでありますならば、これは資料も幾らでもございますから、御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/116
-
117・滝井義高
○滝井委員 いや、そういう顧みて他を言うようなことを言っちゃいかぬですよ。保険経済の実情を勘案し、そしてさいぜん出した四つの条件を勘案し、日本経済の国民所得の伸びその他を勘案して、一体いまの医療機関の窮状を救うためには、医療協議会は、八%程度出ておるが、あなた方事務当局は、一体幾ら見ますか。有澤さんが八%ないし一〇%出し得るものを保険局長の小山進次郎君が出し得ないとするならば、あなたは無能力者だと言わざるを得ない、こう言うのです。それを出してくださいと言う。有澤さんは低くても高くてもそれはあなたの判断で、私たちは一つの参考資料にしたいから出してください。それから先がどう動くかということは、政治的に自由民主党の池田内閣の政策が決定してくれます。こういうことなんです。だから、あなたは保険経済の実情は、もはや私どもとしては一文も上げられない情勢だ。病院の窮状、保険経済の窮状、この両者を勘案をすると、まずこの程度のものは事務当局としては上げざるを得ないのではないかというものがないとするならば、それさえ言えぬというなれば、われわれが質問してやろうとしても、あなたを信用してやれぬことになる。これはだれが聞いたって当然のことですよ。しかもまだ答申が出ておらなければいいけれども、出ておる。だからこれからはこの答申に基づく作業は自由におやりになっていい。しかしいままでの、三十五年からのこの実態の中からあなたが確信を持っておらなければ、あなたはその能力なし。いまから作業をしてやるならいつまでかかるかわからない。しかも病院は窮状にあるから緊急是正してくださいという諮問を出した。その大臣の一番の補佐役がそれさえわからぬというなら話にならぬのです。私のほうが理屈が通っているでしょう。だからずばりひとつ言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/117
-
118・小山進次郎
○小山政府委員 もし答申されたやり方に従って出る数値が、有澤さんが、かりにおおむねその程度になるのであろうと言われるような数値におさまるとすれば、私どもは、それが適当だと思っております。
それから、それと保険経済との関係につきましては、これは私はどちらかといえば、やはり問題は供給側のぎりぎりの条件というものはやはり満たしていくことを考えるべきだと思っております。この点は医療協議会でも質問があって申しておるわけであります。需要側としては、いかにしてそういう供給側の条件を、最低限度必要だと言われている条件を満たすようにするかというくふうをしていく方向でものごとを考えていく、こういうふうな筋合いのものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/118
-
119・滝井義高
○滝井委員 だからそれを早く言ったらいいのです。事務当局としては、有澤さんの言われた八%前後、一〇%は下るだろう——一〇%以下ということですね。結局上回ることはない。まあ八%から一〇%くらいのところだろう、こういうことなんです。それを事務当局としては妥当なところだと思っておりますと、それを早く言ってくれたらいいのです。そんなものを大きな声を出さなければ言わぬなんて、あなたはほんとうにだらしがないですよ、私に言わせると。そんなものはさっとはっきり言ったらいい。
そうすると、いまの供給側と需要側というのは、ちょっといままで医療には使わないのですが、供給側というのは療養担当者という意味ですか。それとも被保険者側の意味ですか。保険経済、供給側のぎりぎりの条件を満たしたいというような、供給とか、需要とか言ったって、金を出すのも供給になるし、医療を提供する側も供給になるし、わからぬから、もう一ぺんそこをはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/119
-
120・小山進次郎
○小山政府委員 熟さぬことばを用いましたけれども、供給側と申し上げたのは、先生がおっしゃるとおりに医療の経営をしておる方であります。そういう経営というものがぎりぎり成り立つための条件というのは、金を出すほうとしてはくめんをしても、何とか満たすような方向で考えるべきであろう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/120
-
121・滝井義高
○滝井委員 わかりました。そうすると、医療の経営側の十分成立をする——十分ということばを使うことはどうか——まあけっこうです。十分成立する条件だけは支払い側も考えるべきであろう。そうすると、それは結局八%ないし一〇%、ここらである。これははっきりしましたから、これで不信任案は一応取り消しておきます。
それから大事なところなんですがね。「現行診療報酬点数表の中で医学医術を尊重し、主として、次の項目に関係する点数の引上げ」に限定をした理由。次の項目というのは、入院料と、初診料、往診料等の診察料、歯科の補てつ、インレー、充てん、調剤技術料です。これは大臣にお尋ねするわけですが、答申を見ますと、四つに限定しているわけですね。この四つを動かしたら、何か人件費増、物件費増、労働時間短縮による生活水準の向上、専門技術者としての生活態様を確立することができることにならなければならぬわけですが、これはどういう理由でこの四つをやれば、そういうことが満たし得るという具体的な理由が、有澤会長のほうから大臣のほうに御説明があったならば、御披露願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/121
-
122・小林武治
○小林国務大臣 私はこまかい事務的なことはよくわかりませんが、協議会の答申がそういうことで全部に合うようなことが、こういうようなことで大かた満たされるであろう、こういうことでお出しになったのだと思うのであります。その内容等につきましては、いろいろのあれがありますが、私は一々まだ答申を出された方から聞いておりません。これから事務当局がいろいろ事務的に検討するについて、必要ならばお聞きになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/122
-
123・滝井義高
○滝井委員 大臣は詳しくお聞きになっておらぬようでございますから、終始協議会に参列しておった小山さんにお聞きすることになるのですが、この答申によりますと、「少なくとも今年度においては、医療保険各制度とも、これに対応するための保険料率の引上げを行なわないよう極力配意する」こうなっておるわけです。「少なくとも」云々とあって、同時に保険料の引き上げはやらない。「低所得被保険者の受ける負担の増加に対しては、政府は、その緩和のため国庫の負担において格段の措置を講ずる」こういう二つの問題がここに出てきているわけです。これについてはこのとおりに答申を尊重する、こういうことでございますが、これはこのとおりに大臣おやりになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/123
-
124・小林武治
○小林国務大臣 内容はいろいろわかりませんが、私よりか総理大臣が答申を尊重しましょう、こういうことを予算委員会等で言うておりますから、これらの内容は尊重されなければなるまい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/124
-
125・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、小山さんにちょっとここで財政上の問題をお尋ねしておきたいのですが、あなたは八%ないし一〇%が適当だ、こうおっしゃった。新聞には先に早々と八%を上げることで出ておるようであるし、大臣も閣議でおおむね八%の引き上げを答申をしておるというようなことも言われておって、すでに既成事実みたいになっておるような感じがするわけですが、各保険の財源見通しというか、所要費用というか、それだけをさっと言ってください。そしてあとはその八%の場合と一〇%の場合の資料を至急に当委員会に出してもらいたいと思いますが、とりあえず一番問題の日雇い、政府健保、それから国保、これにおける八%と一割の引き上げの資料を出してもらいますけれども、おそらく閣議で八%くらいだと言っておりますからあなたのほうで八%の計算をされておると思うのです。そうすると、八%ならば日雇いと国保と政府健保の三つにどの程度の国庫負担をしなければならぬのか、その保険経済に及ぼす影響等要約して簡単に説明してください。それから全医療費に及ぼす影響、その二点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/125
-
126・小山進次郎
○小山政府委員 かりに八%ということになりますと、主として国庫負担に関係のある制度、つまり保険の各制度と生活保護、結核、精神というようないつも出てくる制度でございますが、こういった制度の三十九年度における総額はおよそ八千二百四十億と推定されますので、八%ということになりますと年間では六百二十一億の増加になります。
それから、保険料の負担では三百三十八億、これは当然の国庫負担でありますが、百三十億、それから患者の負担が百三十三億、このほかに生活保護、結核予防、精神等についての地方団体の負担が十八億強でございます。
それから、国民健康保険について内訳を申し上げますと、年間の増が百七十三億、これに対応する保険料の増が三十九億四千万、国庫負担の増が六十一億、それから患者負担が七十二億の増でございます。
それから、政府管掌健康保険は保険料の負担増が百二十九億、患者の負担増が二十四億、端数は全部切って申し上げております。
それから、組合健康保険が全部を一括いたしまして保険料の負担増が百二億、患者の負担増が十六億。日雇い健康保険が保険料の負担増が五億九千万、六億でございます。それから国庫負担の増が三億、患者負担の増が一億五千万。船員保険の保険料の負担増が三億九千万、大体四億でございます。患者負担の増が一億。各種共済組合は保険料の負担増が五十七億、患者の負担増が十六億、大体こういう内訳でございます。
それから、現在の財政状況でございますが、国民健康保険につきましては、これはすでに三十八年度の地域差撤廃のときもそうでありましたし、さかのぼって三十六年の医療費改定のときもそうでありましたけれども、現状からいいますと一度にこういう大きな負担増にたえるということが非常に困難な事情にございますので、これはやはり何とか特別な対策を考えて、少なくともこの引き上げによる保険料の増というものは今年度においてはしなくても済むというふうにする必要があるという実態に変わりございませんので、これは当然そういう措置を考えていくべきものと思っております。
それから、日雇い労働者の健康保険、これもまた当然現在すでに赤字が出ておる制度でございますから、これによる増というものには特別な配慮を加える必要があると思います。
現在問題としていろいろな意味で検討されておりますのが政府管掌の健康保険でございまして、これは引き上げの時期、引き上げの幅というものによってかなり問題があり得るわけであります。さらに今年度における政府管掌の健康保険の財政収支の動きというものがどうなるかによってすこぶる微妙な状況にあるわけでございます。船員保険も同様の状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/126
-
127・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、各保険別と、それから総計と、それから今度の引き上げの八%をやった場合にどういう状態になるかということと同時に、低所得階層に対する対策がいま抜けたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/127
-
128・小山進次郎
○小山政府委員 国庫負担については先ほど申し上げました百三十億のうち、保険関係の国庫負担としては年間どうしても六十四億要ることになりますので、これは当然年間六十四億として実施の月に応じてそれに必要な措置を講じなければならぬと思います。
それから、国民健康保険につきましては、これは例年どおり保険料負担の増というものを起こさないという態度を貫徹しなければなりませんので、年間分としては三十九億、したがって実施の月に応じましてこれは減じますけれども、それだけはどうしても国庫で負担する特別の対策を考えなければならぬと思います。それから日雇い労働者の健康保険も同様でございます。
問題は政府管掌の健康保険でございますが、さっき概略申し上げましたように、政府管掌健康保険は現在百五十五億の積み立て金を持っております。この積み立て金のうち、本年度のうちに七十億だけをくずすことが予定されておりますので、計算上今年度積み立て金の残として出てまいりますのが八十五億であります。したがって、もし幸いにして財政の収支が保険で見込んでおったような状況で推移し、あるいはそれよりもいい状態であれば、この際でございまするから、この八十五億というものは全部使うことができるわけでございます。年間で保険料の引き上げ百二十九億、保険料負担百二十九億でございますから、実施の月その他の調整等考えますならば、それでおさまり得る可能性というものは相当あります。ただ、これについては、過般滝井先生御質問になったときにも若干そういう傾向が当局の説明に出ておったのでありますが、本年度の七十億の赤字というものがはたしてそれで済むかどうかという問題があるのであります。三十八年度においては、まだ締め切っておりませんけれども、結果的にはどうやら百二十億に近い赤字が出そうだ、こういう状況でございますので、もしそうなりますと、八十五億というようなものをそのまま期待できなくなる。当然そこに特別の対策というものを考えなくてはならない、こういう問題があるわけでございます。
それから船員保険につきましては、これも性質上、政府管掌健康保険と同じような問題があるわけでございますが、これはいずれにしても規模が小そうございますので、そういう特別対策がかりに考えられるとしても、せいぜい五千万か一億足らずという範囲内の問題になる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/128
-
129・滝井義高
○滝井委員 総医療費でやりますと——いまの足し算をすればいいのですが、総医療費としては、八%上げた場合にどういうことになるか、それを最後にひとつ言っていただきたい。
それから国民健康保険のようなものの中で、低所得対策を考えなければいかぬのじゃないですか。いまのように保険料だけはやるというのならば、今年は現状どおりでいけるということはいえるのだが、将来の展望として、たとえば来年度平年度化してくるということになれば、これは問題になってくるわけです。低所得階層対策をいまから考えておかなければいかぬのじゃないかと思うのですが、それはどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/129
-
130・小山進次郎
○小山政府委員 八%引き上げた場合の年間の増は六百二十一億でございます。総医療費は、八千二百四十億の上に六百二十一億が加わりますので、これは八千八百六十一億、こういうことになります。
それから、国民健康保険についての対策は、さしあたりはとにかく今年度分だけを考え、来年度については、いわば恒久的な対策とともに考える、こういうことに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/130
-
131・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いま引き上げの幅、引き上げの時期が問題で、大臣がいなくなりましたけれども、これは事務当局で当然検討をしておるはずだと思うし、有沢会長等の意見では、一体緊急是正実施の時期はいつになるのですか。大臣の閣議の答弁等を見ると、十月というようなことを言っておるわけです。どうもこれは緊急是正、四月だとか十二月だと言っておったのに、ことしの十月だと、どんどんおくれていくということになって、とても緊急是正にならない感じがするのですが、これは医療協議会ではどういうことになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/131
-
132・小山進次郎
○小山政府委員 医療協議会では、時期の問題は、公の席では話し合いに出ませんでした。まあ全般的になるべく早く、こういうような話でございます。それから、議論の過程におきましては、どちらかといいますと、平年度における引き上げの幅をどうするかということが大切だという気持ちが特に医療担当者側の主張にございまして、実施の時期についてはそれとの関連においてある程度の弾力性を持って考える、こういうような意見が述べられまして、そういうことを含みつつ、なるべく早くというような気持ちで皆さん答申に当たられたようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/132
-
133・滝井義高
○滝井委員 二十一日の閣議では、大臣はこの答申の実施については十月から行ないたいという発言をしているのですね。これは、大臣がいなくなってしまったのだけれども、あなた方に相談をせずに大臣がやるはずはないと思うのですがね。これはどういうことなんですか。こういうことは隠す必要はないですからね。八%は、全く医療協議会の意見とあなたの意見が一致しているのですから。そこで、できるだけ早くということは、われわれはこれからあなたにもう一つ尋ねるのですが、一体作業はどの程度の時間がかかるかということです。そうすると、いまあなたが八%ないし一〇%だということになれば、結局これはあなたの作業は完了しておるのと同じなんです。きまっておるわけですから。そうしますと、作業はもうやらなくたって、あしたでもあさってでもすぐできるということになる。それを十月だということになれば、これは一体どういうことになっておるのです。この政府としての実施の時期はどういうことになっていますか。大臣は閣議で十月と答弁している。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/133
-
134・小山進次郎
○小山政府委員 私は十月に決定したというふうにはお聞きしておりません。できるだけ早くということでお話しになったというふうに聞いております。
それから、今後の作業でございますが、先ほど申し上げましたように、これからこの考え方に従って数値を入れて引き上げの幅等を最終的に詰めてみる作業が一つございます。この作業はそれほど長い期間はかかるまいと思います。問題はそういった幅の中で具体的な項目の引き上げをどうするか、これはかなり時間のかかる作業でございまして、およそ二月強かかると見込んでおります。具体的に申し上げますと、いろいろな項目を予想してそれを具体的に当てはめてその結果がどうなるかという検定の作業をするわけであります。いまのところ一番新しい資料として三十七年の五月の資料を使わざるを得ませんので、三十七年の五月の資料をもとにした検定作業ということになると思います。それで二月以上かかる、大体そういうふうに予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/134
-
135・滝井義高
○滝井委員 実施の時期は、新聞報道によると、十月から行ないたいという発言を閣議でしておるのだが、そんなことはない、できるだけ早くだ。そうしますと、二ヵ月かかるというと、六月の中ごろには大体作業が完了をすることになるわけです。したがって事務的な詰め方としてみれば、できるだけ早くということ、相当強行軍をやっても二ヵ月かかるということでございますから、まずまず七月くらいの可能性はある、こういう判断ができるわけですね。いま全く事務的に計算していくと、あなた方の力としてはその程度までくらいには作業は完了して、あとは、政治的な判断が七月実施だ、こういうことになれば、事務的には間に合いますね。大臣がいないですから、ただ事務的な段階だけ聞いておけばいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/135
-
136・小山進次郎
○小山政府委員 私どもの作業は、いまおっしゃった時期、若干動きはあるとしても、およそその見当、六月の下旬くらいまでにはほぼまとまると思います。それからもう一つは、今度は実施する場合の案をもう一度中央社会保険医療協議会にかける必要があるわけであります。このための審議の期間というものが実施までの間に必要でございます。それからもう一つは、いずれにしてもこれはかなりの幅の点数項目の改正作業でありますので、告示から実施までの期間というものはやはり一月程度は見ておかなくてはならぬ、こういうような問題があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/136
-
137・滝井義高
○滝井委員 いやいや、どうも世にもふしぎなことがまた言われ始めたのです。また医療協議会にかけるのですか。小山さん、私実はあなたがおそらくそう言うだろうと思っておったのです。医療協議会の法律をお読みになりますと——私、今度も医療協議会はひとつけしからぬと思う。医療協議会はこんな抽象的なものを出すのじゃない。医療協議会の法律上の義務は、健康保険及び船員保険における適正な診療報酬額に関する事項を諮問に応じて文書で答申、あるいは建議するのでしょう。今度こんな抽象的なものを出すことが問題なんです。私が言いたいのは、これは一体どういうことなんだということなんです。あなた方は法律家なんだから、法律を忠実に実施する者が、どうしてこんな抽象的なものを受け取ったのです。これは新聞にも書いてあるように、時期もばく然としてわからない、引き上げの幅もわからぬ。いま言ったように、談話か何かで、医療協議会の中で八%、まあ一〇%は上回ってはいかぬだろうというくらいのことでしたということでしょう。しかしそれは数字を言うたことは確実だから、言うのは言っておる。ところが法律は、診療報酬の額を出すこと、これが任務ですよ。あとは保険指導の大綱とか命令とかなんとか、ああいうものなんです。指定取り消しとか。ですからこんな抽象的なものを出すことが問題なんです。あなた方は医療協議会に行っておって、何で一体こういう抽象的なものを出せるんだということなんです。そして今度は、これができたらあなた方が独断でつくって実施に移せるのかと思ったら、また作業をして、具体案をつくってまたかけますというのなら、一体いつこの基準表はつくれるのですか。医務局長、こんな人をばかにしたようなことばかりあなた方はやらしているのです。法律違反をやっているじゃないですか。医療機関が窮状にあります。窮状にあるなら一体幾ら上げたらいいですかと言ったら、きょうはとても言いたい、のどから口のところまで出ておるんだけれども、現在はなかなかわれわれ事務当局はそれは言えませんといって、去年からことしの初めにかけて、私が大きな声を出したけれども、はっきりしない。そうしたら、今度出てきてみたところで、八%、一〇%なかなか口を割らない。そしていよいよ割ってみたところが、いまからまた作業をして、今度は入院料とか初診料とかどの程度上げるかということは、頻度その他を見て計算をして検算をしなければならない、その作業が二カ月かかる、二カ月かかったらまた今度はこの表を医療協議会にかけるのですと言う。医療協議会にかけたら、もう一ぺんこれをよくやってみて、その結果、今度は告示から実施に入ることになる。そうすると、実施までにはまた一ヵ月かかる。これではいつ実施できるかわからない。大臣がおるなら、一体どうして計算したら十月になるのか聞きたいところです。そんなことでは医療協議会はいつあがるかわからぬ。だからばかなことも休み休み言うてもらいたい。そうわれわれ国会議員を何かリモートコントロールするように茶化しては困る。
そこで、国立病院を担当している尾崎さんにお尋ねするのですが、あなたのほうの国立病院その他、あなたの所管している病院はみんな窮状にあるということは、この前私そこにあなたと小山さんと松尾医療課長と並んでいただいて、一人一人御答弁願ったときに、いみじくも松尾医療課長が答弁していただいたわけです。窮状にあります。何とか早くしなければ瀕死の重体ですと言ったのです。
〔井村委員長代理退席、委員長着席〕
そうしますと、あなたのほうは医療費の改定が一体いつできるのかわからぬ。緊急是正ですね、緊急ということは、一年も先になって医療費が上げられるというのは緊急じゃないです。そうすると、いまこの答申が出たんだが、あなたのほうは一体どの程度基準を上げれば、病院が専門技術者の給料をきちっと払って、そして人件費、物件費をまかない、入院その他も悪いめしを食わせないでうまくいけるという形態が出ることになるのか、これはもうあなた方のほうはちゃんと公的医療機関について計算されておるはずなんです。あるいはそれぞれのあなたの所管下の病院を実態調査されているはずだと思うのです。したがってあなたとしては、これはいつごろから実施してもらいたい、その幅は一体どの程度だと、医療協議会の答申が出ることを干天の慈雨を待つがごとく待っておったはずなんです。したがってこれは、窮状にある病院の監督指導の責任のある医務局長として、もうすでに答申が出た、いつぐらいからやってもらわなければならぬ、幅はどのくらい、これはわかるはずだと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/137
-
138・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 病院の経営につきまして、病院が相当苦しんでおることは事実でございますが、同時に、そこを何とかいろいろやりくりをして当面これは切り抜けるように努力をしておるわけであります。三十七年度決算におきましては、多少赤字の病院もあるが、全体としては大体バランスを例年と同じようにとっておった、こういうような状態でございます。三十八年度の決算がまだわかりませんが、国立病院につきましても、予算も大体今度予定しておったような状態で、それより少し歳入もふえておりますが、歳出もふえておるというようなことで、何とか切り抜けてきたような状態であります。したがいまして、医療費のアップは、この前ここでお答えいたしましたように、病院側とし、また医療機関として多いほうが望ましいことは当然でございますが、医者、看護婦等を、一体どれだけの数をそろえ、どれだけの待遇をするかというのは、これはやりようによりますので、絶対にこれだけの数を、これだけの費用をという数字がちょっと出せないわけでございます。食費においても同じことでございます。したがいまして、今度のアップがきまりますれば、そのきまった分だけ病院の経営としては楽になってくる。ただ、その楽になり方が十分であるかどうかという問題になってくると思います。われわれといたしましては、できるだけ早くこの答申が実施に移りますことを希望しておる、そういうわけでございまして、緊急是正でございますので、根本的の問題はいまからあといろいろ議論が行なわれるのではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/138
-
139・滝井義高
○滝井委員 それではまるっきり答弁にならぬですよ。これは数字の問題をいま議論しているのです。われわれの手元に、あなた方が監督の立場にある公的医療機関の日赤の島津さん、済生会の犬丸さん、厚生連の戸田さんのところから、こういう実態です。二割六分上げてくださいときておる。あなたのほうだって、国立病院が親方日の丸というわけにいかぬです。借り入れ金をしておるのですからね。今度は借り入れをして運営するようになった。国立病院の特別会計をつくったのですから、親方日の丸というわけにいかぬでしょう。借りた金を利子をつけて返すのですから。そこで一体どの程度のものがあればいいのか。小山さんは、私の専門家の立場からやったら八%か一〇%でよろしい、こう言った。あなたのほうは八%か一〇%でよろしいのかどうか、こういうことです。それで病院はこれから全部赤字は解消しますとあなたがここで太鼓判を押してくれれば、私はそれで引き下がります。そのかわり、しなかったらあなたの責任です。いま公営企業の問題が起こっておる。水道とかあるいは交通事業とか、あるいは病院とか、地方公営企業はみんなお手上げです。したがってこれは、公営企業の問題もはっきりしてもらわなければいかぬわけです。それは五割以上赤字でしょう。地方自治体の経営する病院の五割は赤字です。こういう点をあなたは考えてもらって、一体医務局としてはどの程度というものをやっておかなければならぬか——いま小山さんは、あなたはこんなことをやっておかなければ不信任だと言ったら、不信任はいやだと見えてようやく口を割った。それだったらまたあなたは不信任です。そんなものだったら医務局長の能力なしです。あなた方は実際だらしがないですよ。ベルギーを見てごらんなさい。ベルギーのような、ああいう状態になってから政府があわてたってだめなんです。その前にやはりあなたが勇気を持って言わなければ、それは早いほどいいです。時期はいつですかというと、時期も言わない、早いほどいいです。まあ、いま病院は何とかやりくりしております。やりくりしておるなら金なんか借りる必要はない。金を借りておる。だからあっさり言ってください。小山さんはようやく口を割ったのだから。八%か一〇%が私の専門家としての引き上げの幅です。これなら適当だと思います。とこういうことなんです。ただ保険経済はできるだけ医療担当者の生活レベルが上がるようにやりくりはいたしたい、こういうことを言っておる。保険局がそう言われて、医務局が黙って、そうか、あなたのほうが八%か九%か一〇%ならやむを得ぬと言って、黙って下がるのかどうか。下がるというなら下がるでいいのです。そのかわり、これで赤字が出れば、あなたの責任、不明を天下にわびてもらわなければいかぬことになる。保険局はそれでいいといま言うたのです。私はあなたにこんなこと言う必要はなかったのですけれども、サゼスチョンを与えておく意味で言っておる。あなた、それでいいのですか。実施の時期はわからない。いまの小山さんの答弁では、また出た点数表を医療協議会にかけるのだ、こういうことです。それからやるのですから、それじゃいつかわからぬ。私たち、早くと言ったら、五、六月ごろにはやれるのかと思ったところが、大臣は十月ごろだと言っておる。まだ四月、五月、六月、七月、八月、九月、十月と、足かけ七ヵ月待たなければならぬ。これはあなたのほうだって計算しておるはずでしょう。まさかあなたのほうは何もやらぬで、病院は窮状にあると言えないはずです。やっておるからこそ、実態を知っておるからこそ、窮状にあるというのです。その窮状にある病院は幾らの幅を上げたら、点数にして、単価にしてどの程度上げたら窮状が何とか打開できるのか、その幅をひとつお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/139
-
140・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いまの病院の経営につきまして、これは各病院病院によりまして、いろいろ御承知のとおりに、運営のやり方がありますし、またバランスも違っておりますので、医療費を二〇%、三〇%上げれば、それだけ楽になることは当然でございますが、いまの一〇%の全体の値上げがありますれば、いま困っておる点は、それだけはある程度救えてくるだろうと思いますが、それで全体的の、根本的の立て直しができるかというようなことは、これはまた別個に考えてみる必要があるのではないか、こういうふうに思っております。
なお、国立病院が借金をしておるじゃないかというお話でございますが、これは借金をしておりますが、整備費にかけて、それによって病院の経営もまた楽になっていく。これはあと何年間かたって漸次払っていくという立場でございますので、ここ一年、半年のバランスには直接関連は少ない問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/140
-
141・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、あなたのほうは、病院によっていろいろ赤字の幅その他も違うけれども、一〇%上げてもらえば大体何とか全般的にやっていけるんじゃないか、こういうことですか。ここを私ははっきりしてもらいたいのです。あなた方お二人が一番の専門家ですよ。その専門家がこの国会にきて、あいまいもこ、ゆらゆらした態度を示すから日本の病院はだめになってしまうのです。一方は保険経済の元締め、一方は日本の医療機関を指導する元締めでしょうが。その両横綱がぐらついておったらすもうにならぬですよ。ベルギーでああいう状態が起こっておるのだから、日本でああいう状態を起こしてはいかぬですよ。もう韓国まで騒動はきておる。ぼやぼやしておると日本にくるんですよ。だから一〇%ならいいですか。一〇%なら大体日本の病院のいまの状態の緊急是正に適切な額だ、こういうことで考えていいですか。これは、あなたのことばは私はそのまま大臣に迫るのですから、あなたが一番の責任者だから、そこをはっきりしておいて、責任ある答弁をしてもらわなければ困るのです。こういうことさえ尾崎さん、しっかりわからぬのだったら、あなたも医務局長だめだ。実際情けないことだ。大蔵省やなんかの役人を呼んでごらんなさい。課長クラスでぴしっと言うじゃないですか。課長でも、じっと見ておると、田中大蔵大臣のそでを引っぱって、大臣、そんな答弁したらだめです——あの元気のいい田中さんでも、引っぱられるとそうかそうかと言って坐ってしまう。そのくらいの勇気がなければ、もう答申が出て、小山君のほうで八%か一〇%要ります。そのくらいなら保険事務当局としてだいじょうぶでしょう、こう言っておる。そうすると、現実に国立病院を運営し、監督をし、他の病院を監督していらっしゃるあなたが幾らかわからぬというようなことではしょうがない。一〇%だいじょうぶでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/141
-
142・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 先ほどから申しておりますように、一〇%上げれば、すべての医師とか看護婦の数も十分置けるとか、またその待遇も、みんなが満足をするほどいけるという意味で言っておるわけではないのであります。現在相当困っておる病院が、八%なり一〇%のアップがあれば、その分これは当然の話でございますが、楽になってくる。いまいろいろ努力しておる状態をおそらく続けざるを得ないと思いますが、現在でも何とかやりくりしておるのであって、それはもうその全部がこれで完全にいけるというふうなところまではいけないかもしれませんが、窮状はある程度抜けるということを私は申し上げておるわけです。なお、この全体の点数がどうなるかというふうな問題にもいろいろ関係いたしますので、ここで将来絶対だいじょうぶだというふうなことまで言えと言われましてもちょっと無理だと思いますので、内部でまたいろいろお互いに話をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/142
-
143・滝井義高
○滝井委員 まず大局的にものは見なければいかぬと思うのです。達観して、一体日本の医療機関の窮状を打開するためにはどの程度のものが専門家として見た場合に妥当な引き上げの幅かというのがあるわけです。その妥当な幅というのは、やはり国民の負担能力その他当然考えなければいかぬわけです。病院の立場ばかりでものを考えるわけにはいかぬわけです。そういうものを総合的に見て、達観的に、一〇%ならよろしいか、こういうことを言っておる。ところがいまあなたの答弁では、一〇%くらい上げても、医師、看護婦の数を十分に定則どおり、法律どおりに置くというわけにはいかぬ、正確なことばで言えば。だけれども、満足するほどじゃない。けれども、一〇%程度アップしてもらえば、いまの努力を続けていけば、窮状は何とかなるんじゃないか——非常に消極的な、つつましやかな、まるきり乙女の恋を訴えるよりかかすかな訴え方でしょう、これは。もうちょっと大胆な訴え方をしてもらいたいですね。恋はすべてを焼き尽くすというけれども、もうちょっとやはりしっかりした、医療機関の監督者として医療機関の経営をやって、国立病院の経営の一端の責任をになっているあなたとしては、全体の点数がどうなるかによってきまるという他人的な、第三者的な立場でなく、こうしてもらわなければならぬという要求を小山さんに出さなければいかぬ。そういう積極性がない。そういう積極的なところもあわせてやってもらわなければ、この狂乱怒濤の中にある日本の医療行政を打開するというのはとても困難です。これはもうちょっと勇気を持ってもらいたいです。午前中は山本年金局長に猪突猛進を要求した。今度はやはりあなたにも猪突猛進を要求せざるを得ないです。点数もあなたは小山さんに要求していいのですよ。あなたも一〇%程度やれば何とかやりくりがつくということがわかったですから、これで大体事務当局の両横綱が八ないし一〇ということになれば、この程度は政府はひとつ責任を持たなければならぬことになる。これから先は、今度は大臣が来たときに詰め寄ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/143
-
144・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 私の申し上げたのを少しおとりになり方が違っておる面もあるようでございますから訂正いたしますが、いまの八%とか一〇%のアップで、全体がそれで窮状を切り抜けるということを私一〇〇%までここで確約しているわけではございませんが、現在の相当苦労しておるものがこれでほっと一息つくという意味で申し上げたわけでありまして、やはり相当程度の努力をしなければならないということであります。
なお、点数につきましては、点数を変えるのに保険局にこちらからもいろいろと数字を持っていくということは先ほど申し上げたわけでありまして、点数の改定につきましては、こちらからの意見は保険局にも相談をしてもらうように私どもは考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/144
-
145・滝井義高
○滝井委員 これは私はっきりしておきたい。一〇%程度上げてもらったならば、病院は苦しいけれども、何とかかんとか生きていける、しかし点数その他の問題もこれは影響があるので、点数は小山さんのほうと相談をいたします。こういうことなんでしょう。何か回りくどく言うけれども、頭が悪いから、簡明直截に言ってくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/145
-
146・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 点数の上がり方によりますが、一〇%程度上がれば一〇%分だけは楽になる、こういうことでございます。しかし、それで病院の経営全体が——いろいろ各施設ありますので、そこの施設施設の状態により、余力の程度により、これからの人件費のアップ等の情勢によりまして、いろいろ違ってくるだろうと思いますので、将来のいろいろの動きにより全部のことが見通せるわけではないわけでございますが、まあほっと一息はつくだろう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/146
-
147・滝井義高
○滝井委員 一〇%上がれば一〇%楽になるということはきまっている。一%上がれば一%楽になる。そんなことを尋ねておるのじゃない。病院の監督の責任者として、日本の医療行政の担当者として、あなたは当然——これは小山さんのほうの使った資料は二十五年の公的医療機関の調査を使っておるんですよ。それから三十七年の公的医療機関の調査を使っておるのです。あなたのほうは一番関係がある。医療法であなたのほうは公的医療機関の診療報酬なり実態を調査する権限がある。あなたの権限のあるところを小山さんがあなたの知らぬ間にいつの間にか盗用している。一〇%上がれば一〇%役に立ちます。そんな答弁はない。一体幾ら上げたら窮状を打開できますかということを尋ねている。能動的な質問なんですよ。まるで小山さんのふんどしを借りて相撲をとるような行き方はいかぬですよ。あなたとしては幾ら上げてもらいたいと要求しているのですか。公的医療機関はここに文書が来ている。計算も出ておる。二割六分上げてください、これだけなければ窮状は打開できませんと言うている。物件費、人件費、専門技術者にふさわしいような医療体系をとり、入院料のまかないをやろうとすれば、二割六分でなければだめですよということは日赤、済生会、公的医療機関から来ている。こういうものが公的医療機関から来ているが、あなたとしてはどうですかと言っている。それは一〇%でよろしいか、これでだいじょうぶと胸をたたけますか、こう言っている。たたけないならば一体幾らですか、こう言っているのです。その答弁をしなければならぬ。まるきりよその馬のこけたようなことを言ったってだめですよ。あなたが主体性を確立しなければ、いつまでたっても保険局医務課長になってしまう。どうも尾崎さん、あなたも勇気がないですよ。はっきり言ってください。幾らですか。一番いい絶好の機会じゃないですか。きょう言わなければ言うときがありはせぬですよ。幾らですか。小山さんは言ったのです。保険局長が言えたものを医務局長が言えないはずはない。——局長が答えられなければ松尾医療課長を呼んでもらいたいです。この前医療課長は答えているのですから……。
現在の日本の医療というのはどういうことになっておるかというと、巷間こういうことを言われている。私は率直に言いますよ。もはや尾崎さんのところは力がない、医療行政というものは保険局の医療課でやっておるのだ、こう言われておる。だからこの前三人並べていろいろ言ったけれども、窮状にあると断定できたのは松尾君一人しかいない。松尾君が言った。そうしていま言ったように、あなたの基礎資料は彼のところで彼がつくっている。小山さんと違って彼は技官です。だから小山さんは法科的な立場でものを見ているけれども、彼は医学的な医師的な立場でものを見ている。だから私がこの前から非常に不満に思っているのは、医療協議会の四人の公益委員の中で一人として技術のわかった者はいない。医療技術者がいない。私はこれを要求したけれども、あなた方は拒否した。今度は私は全部調べておるから、任期が来たらがんばります。当然入れなければならぬ。入れぬから技術料の尊重が出てこない。こういう欠陥をあなた方はおやりになった。推薦でも平気でおやりになっておる。こういう医療という人命に関する問題をビジネスとして法科的な頭脳で片づけているところに日本の医療行政の混乱があり、問題がある。だから私はいまあなたの意見を求めたけれども、この前窮状にあるとは技官としての松尾君一人しか言わなかった。あなたは言わなかった。みんな並べておったけれども、彼が言った。だから医務局長が言えないならば、実力を持っておる彼を呼んで言わせざるを得ない。こういう行政は、失礼な言い方ですけれども、もはや小林厚生大臣のようなしろうとではなかなかわからない。だから専門家のあなたのほうの間で議論をして、そうして詰めて、政治的な判断を求めるよりしかたがない。あなたが遠慮して言わなければ、失礼な言い方だけれども、実力者を連れてくるよりしかたがない。この前、小山さんの部下だけれども、彼一人医療機関は窮状にありますと発言した。窮状にあるならば、一体幾ら上げたら窮状が打開できるかということは、彼以外に答弁できない、あなたができないのだから。あなたができるならばやってもいいですよ。こんなことまでわれわれが大きな声を出して言わなければならぬ日本の国会というのは、権威の落ちた国会になってしまっている。権威を確立せざるを得ない。秘密主義で、外の協議会や審議会には資料を出してものを言うけれども、国会ではものを言わぬ、そういう行き方は許されぬですよ。だからきょうは尾崎さん、あなたは気の毒だけれども、それさえもわからぬというならば、今度は厚生次官に栄転してもらいますよ。さいぜんは小山さんに栄転してもらったけれども、小山さんは答えたのだから……。だから一体幾らですか。小山さんは答えた。一〇%もらえばその分だけ楽になる、こんな失礼な言い分はないですよ。個人的にはあなたを尊敬しておるけれども、この数字を医務局長が言えない。そうして小山君のほうは、みんなあなたの監督下の公的医療機関の資料を盗用しておる。悪いことばで言えば盗用です。そっと使っておる。あなたが知らないのだから、あなたが知っておるならば、その資料ではこうなりますということを言わなければいかぬ。小山君のほうはその資料を使っておるのですよ。使っていま説明した。幾らですか。幾ら上げたら窮状を打開できるのですか。当然言わなければならぬ。責任者が言えなければ言える人とかわってもらわなければならぬ。小山君のほうが言えたのに、あなたのほうが言えないはすはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/147
-
148・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 病院の経営につきまして、国立病院につきましては現在の点数において借り入れ金、整備費とか病院看護婦養成所の二分の一、医療機械というような例年の大体のルールによりまして、いまの点数によって人件費のアップがなければ大体三十九年度もやっていけるように予算をきめておりますが、ほかの病院につきましてもいろいろ苦労してやっておりますので、その関係におきまして医者は医療法の定数でいいかどうか、もう少し大きくしてくれというような意見もあろう。その待遇をもう少しよくする、また看護婦その他についても同じような問題がありますが、そういうようなことでなしに、いまの経営でやっていけば一〇%上がれば、楽にはならないにいたしましても、ある程度の運営はできていくのではないか。しかし人件費のアップ等の重大な変化があれば話は別でございますがということを私は先ほどから申し上げておるわけでございます。ただわれわれとしましては、病院が相当苦労してやっておるのでもう少し点数を多くしてもらいたいという気持ちは前から申し上げておりますとおりにあるというのは事実でございますが、いろいろ中でどう検討したかということまでちょっとここで申し上げることははばかるのでございますが、一応いまのパーセントが出ましたら、それによってわれわれは大きな筋がきまりました以上は、その筋によって運営をしていくように努力したい、こういうふうに思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/148
-
149・滝井義高
○滝井委員 あなたは一〇%上がれば、よそのものがこけているようなことを言ってはいかぬと言うんです。そしてわれわれのほうで検討しているけれども、ここでは言えません、そんな秘密主義をとる必要がありますか。検討したことを言ったらよろしい。検討した結果はこの程度上げなければいけない——ここをごらんなさいよ。公的医療機関からきているのは、二六%上げてくれ、二六%上げていただかなければやっていけません、こうおっしゃっているんです。そうすると、この資料を見たときに、監督官庁として、あなたは専門家としてどの程度上げなければならぬかというその要求を検討しているけれどもここで言えませんなんということは許せませんよ。言えなければ言える人にかわってください。この前も、大蔵委員会にかかっている租税特別をやったときに、あなたのところの次長はうそを言った。聖路加病院は税金がかかっておりますというようなうそを言った。私はそれはかかっていないのだと言ったところが、かかっております。大蔵省の言うとおりですというようなことを平気でおっしゃる。自分の所管の病院、しかも天下の聖路加病院、問題の注目の的になっている聖路加病院、しかもこういう公的医療機関のチャンピオンじゃないですか。それが税金を払っているか払っていないかということさえ知らぬ。そういう実態だからだめなんです。一〇%上がったならばその分だけ楽になるという答弁ではなくて、幾ら積極的に上げてもらいたいかということを私は聞いておるんです。上がったらということではなくて、幾ら上げてもらいたいということを言ってくださいと言っておる。そうしたら病院は最小限度ベルギーのような混乱が起こらずに、ほんとうに人間の命を守る体制を最小限度確立していくのはこの程度です。これを言ってください、こう言っておる。主体的にものを言ってください。それは幾らですか。小山さんが言えたことがあなたが言えないはずはないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/149
-
150・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 われわれのほうは医療機関が発展をしていき、そういうためから見ましてできるだけ点数の多いことを、医療費の楽なことを望むものでございますが、現在の緊急事態といたしましては、八ないし一〇%のアップがございますが、そのうちのこれは入院とか病院の関係とかいう問題もございますが、この点でちょっと一息つけるという状態である、こういうふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/150
-
151・滝井義高
○滝井委員 八ないし一〇%の引き上げがあるということはきまっておらぬのですよ。あなた、それはきまっておるのですか。八ないし一〇%の引き上げがあるそうだと言っておりますが、それはきまっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/151
-
152・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いまから点数構成によりまして病院側がどういうようになるかわかりませんし、その金額もわかりませんが、その程度あれば息がつける、こういうようなことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/152
-
153・滝井義高
○滝井委員 その程度あれば息がつけるということでなくて、一体どの程度必要なのかということを尋ねておるのですよ。それを言ってもらいたいのですよ。小山さんのほうは、八ないし一〇%あったら保険経理は相当無理がくるけれども、保険経理は何とかやりくりして医療機関の御期待にこたえたい、こうおっしゃっておるのです。八ないし一〇%が緊急是正として妥当です。こう言っておるのです。事務当局の専門家としてそう言ったのです。あなたは医療機関の監督者として、あるいは公的医療機関をみずからお持ちでしょう、国立病院というものを。その実態はわかっておるのだから、国立病院は全部黒字ではないのだ。だから幾らあったらいいのですか、こう言っておるのです。あなたも一割でよろしいと言うならそれでよろしい。一割ならだいじょうぶ引き受けますよ、そのかわりこれは責任が生ずる。一割でだいじょうぶだと言って、公営企業その他の関連する地方自治体の病院が依然として四割も五割も赤字だったらあなたの責任は重大だ、こう言っておる。同時にあなたが一〇%と言えば一〇%でいい、黒字になる資料を要求します。当然これは要求しなければならぬ。だからそこまでこっちは突っ込んでいく腹を持っておるからはっきりと答えをしてください、こう言っておるのですよ。あいまいな答えは許されない。きょうは真剣勝負なんだからはっきりしてください。資料はあるのですから当然資料を要求しますよ。これは秘密文書ではないのだから、あなたの公的医療機関というものはみんな資料が出てきておるのだから、日赤その他は二割なければやっていけません、こう言ってきておる。それをあなたが一割でよろしいと言うなら、あなたと日赤の院長を呼んで、事務局は一割でいいと言うけれども、あなたはだいじょうぶですかということを聞かなければならないことになる。(「財政事情もある」と呼ぶ者あり)だからその財政事情その他も勘案をして、大臣の補佐役としてのあなたは幾らあるならいいのですか。主体的なところを言ってくださいといっているのです。幾らですか。検討する必要はない、幾ら検討したって同じことです。五ヵ月検討したのです。いままで竜をかいておって、眼を入れないでやめるというわけにはいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/153
-
154・田口長治郎
○田口委員長 ちょっと研究さしたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/154
-
155・滝井義高
○滝井委員 研究といったって、何年研究しますか。三十五年と三十七年の資料しかありませんと言っているのです。公的医療機関の主管省じゃないですか、主管局ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/155
-
156・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いまお話しいたしましたように、病院の経営につきましては、いろいろ各病院によって違い、その経営方法も相違がございますし、またにわかの条件の変動もございますので、われわれといたしましては、できるだけいい医療をやろうという立場で医療費の多いほうがいいというのは当然でございますが、さしむき現在のところにおいては、最小限八ないし一〇ほどあれば、自前の苦しさはかなり切り抜けていけるのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/156
-
157・滝井義高
○滝井委員 それならば、すでに全国の地方自治体の病院が五割以上赤字ですから、八ないし一〇上げた場合に、それが黒字に転化するという資料をひとつお出し願いたいと思います。
きょうはこのくらいにしておきますが、それが黒字でなければ、あなたのいまの証言というものは、答弁というものは間違ったことになるので、修正していただくことになります。それはいいですね。八ないし一〇上げれば、少なくとも大局的に見たら病院の窮状を打開できる、こういうことなんでしょう。だからここに二割六分という数字が出ておるけれども、二分の一か三分の一程度でよろしい、こうならば、それは計数の上である程度あらわれてこなければいけないわけです。ここであいまいな答弁だけで切り抜けて、それでいいというものではないのです。それはなぜかというと、これは緊急是正なのですよ。そしてあなたもさいぜん言われたように、そのあとにまた恒久的なものが続いてくるのです。そこで緊急是正とはどういうことかというと、こういう大前提がある。「前回の改定以後における著るしい人件費、物件費の上昇に伴う病院、診療所の経営上の困難を一応解決し、」こうあるのです。したがって、いまの病院の窮状を一応解決するという、こういう前提に立って質問をしているわけです。それはあなたも答申を読んでいるはずです。したがって、それが八ないし一〇出ても、いまの公的医療機関の窮状が解決されなければ、八ないし一〇はうそになるという前提で質問をしているわけだから、その前提に立って答えが出たら、その答えに基づいて今度は資料をあなたのほうに要求することになる。その資料を必ず出してもらわなければいかぬですよ。いいですね。それをはっきり答弁してください。三カ月も四カ月もそんなにかかると困りますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/157
-
158・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いまの緊急是正というものの考え方は、いまお話しのような問題がございますが、その程度は、いろいろ見方があると思います。公的医療機関におきまして、独立採算で全部やらすべきかどうかという問題もございますが、資料は作成してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/158
-
159・田口長治郎
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十三日午後一時から開会することとし、これにて散会いたします。
午後五時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X03619640422/159
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。