1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十三日(水曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 小沢 辰男君 理事 亀山 孝一君
理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君
理事 河野 正君 理事 小林 進君
理事 長谷川 保君 理事 八木 昇君
浦野 幸男君 大坪 保雄君
熊谷 義雄君 小宮山重四郎君
坂村 吉正君 竹内 黎一君
地崎宇三郎君 中野 四郎君
西岡 武夫君 西村 英一君
橋本龍太郎君 藤本 孝雄君
松浦周太郎君 松山千惠子君
渡邊 良夫君 亘 四郎君
伊藤よし子君 滝井 義高君
八木 一男君 山口シヅエ君
山田 耻目君 本島百合子君
谷口善太郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局次長) 中尾 博之君
厚生政務次官 砂原 格君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚生事務官
(児童局長) 黒木 利克君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 船後 正道君
厚 生 技 官
(児童局母子福
祉課長) 植山 つる君
厚生事務官 土屋勇喜男君
自治事務官
(行政局行政課
長) 倉橋 義長君
日本専売公社販
売部調査役 齋藤 欣一君
専 門 員 安中 忠雄君
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五月十三日
理事八木昇君同日理事辞任につき、その補欠と
して河野正君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
母子福祉法案(内閣提出第九四号)
母性の保健及び母子世帯の福祉に関する法律案
(伊藤よし子君外十一名提出、衆法第一八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/0
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001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
理事八木昇君より理事の辞任の申し出がありますので、これを許可することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/1
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002・田口長治郎
○田口委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、その選任は、委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/2
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003・田口長治郎
○田口委員長 御異議なしと認めます。よって、河野正君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/3
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004・田口長治郎
○田口委員長 内閣提出の母子福祉法案、及び伊藤よし子君外十一名提出の母性の保健及び母子世帯の福祉に関する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/4
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005・滝井義高
○滝井委員 大蔵省と自治省、ひとつ早く来るように言ってもらいたいと思います。
母子福祉法案について、初めに逐条的に御質問を申し上げて、そのあとに概括的なことをお尋ねするわけですが、昨年の五月でございましたか、厚生省のほうで児童福祉白書をお出しになったわけです。これは黒木さんがみずからお書きになったと思いますが、その中で、池田内閣の高度経済成長政策が過渡的な状態で日本の児童を危機に追い込んでおるという、きわめて大胆率直な書き方をおやりになったわけですが、私たちは、その書き方について、厚生省が実にずばり思い切ったことを言ってくれたと思って敬意を表しているのです。昨年五月あれが出てから、すぐにこの児童福祉白書を中心に御質問申し上げたいと思っておったのですが、機会がなくて今日に及んでおるわけです。すでにその白書も指摘をしておるように、日本における人口変動あるいは家庭の変動、そういうようなものが高度経済成長政策の弊害とともに織りまぜられて、非常に日本の児童問題というものが複雑な様相を呈してきておるわけです。なかなかこれを快刀乱麻の形で解決することは困難です。ステップ・バイ・ステップでやっていかなければならぬと思うのです。それだけに、この問題は非常に金を食う問題です。いままでのような厚生省の児童局のあり方では、もう問題にならぬわけです。そこで、児童局としては、今度内閣委員会で厚生省設置法の一部改正をして、児童局を児童家庭局ですか、というようなことにもされたのだろうと思うのですが、これは仏をつくっても魂がなかったら何の役にも立たぬわけで、ほんとうに厚生省なり内閣が、児童問題に魂を入れる情熱と勇気を持っておるかどうかをきょうは聞きたいわけです。
大臣がいないので、重要な点は大臣が来てからお聞きをするとして、まず第一にお聞かせを願いたいのは、母子家庭とそれから有夫の母子との間に、一体政策上の相違というものが具体的にどういうぐあいにあるのか、まず、あなた方の考え方をお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/5
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006・黒木利克
○黒木政府委員 従来、母子家庭に対しましては、戦後特に戦争なり戦災による未亡人母子家庭が発生をいたしまして、これに対する施策としていろいろな立法措置なり予算措置なりがなされてきたわけですが、御承知のように、戦争による未亡人母子世帯というものが激減をしてまいりましたので、従来のような考え方では処理できなくなってきたわけでございます。そこで、この母子福祉法案の立案にあたりましても、従来の母子福祉資金等の貸し付けに関する立法の趣旨から、さらに何か新しい理念をさがす必要があるというようなことで、この一条、二条に高度の福祉国家の理念を持ち出してまいりまして、母子家庭が特に経済的に、あるいは精神的に安定を欠く、そういう障害というものが考えられますので、低所得者対策としても新しく取り上げてしかるべきではないだろうか、そうして、先ほど申し上げました高度の福祉国家の理念から、母子家庭における児童というものが健全に育成される条件を、国なわ地方公共団体なり、あるいは地域社会の責任でつくり出していくというような理念によってこの法律の立案をいたしたわけであります。したがいまして有夫の、あるいはいわゆる完全世帯と申しますか、欠損世帯に対しまして夫婦子供のある世帯に対しまして、母子家庭のほうが経済的に、あるいは情緒的に、あるいはいろいろな面で児童が健全に育成される条件に欠ける点があるであろう、それを埋めていく、そうして積極的にその福祉を増進していくというような理念で、一般の家庭に対する施策とは別の体系を考慮している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/6
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007・滝井義高
○滝井委員 九千六百万の国民の中から特に母子家庭だけを取り出して、あなた方は低所得階層に属する方です、福祉国家においてはその低所得階層に属する方に特にこういう政策をやりますということのほうがいいのか、それとも全般の母子というとらえ方をして、そうして母子問題全体の中における一環として母子家庭、いわゆる欠損家庭の母子をとらえることのほうがいいのか、ここらあたり、やはりひとつ論議をしておかなければならぬ問題だと思うのですよ。諸君は低所得階層に属するから、政府は昔流の慈恵的な政策、上からお恵みであなた方を救ってあげるのだということは、むしろ欠損家庭であるということばがあらわすように、一つのひがみを持っているわけです。すでにそこに情緒的な欠陥がある。そういう情緒的な欠陥のある層に対して、何か政府がお恵みの、福祉国家では特別のものをやるのだということは、私はちょっとひっかかるものがあるのです。しかもそれは、たいして予算は組んでいない。母子福祉対策というものを見ると、ことしの予算は五億一千六百七十三万五千円しか組んでいないわけです。このほかに児童扶養手当等が別にありますけれども、それだけしか組んでいない。そうしますと、そういういままでの行き方というものが一体いいのかどうか、わざわざ児童局が児童家庭局ということに衣がえしようとすれば、いままでの大正から昭和にかけての未亡人家庭、母子家庭に対する政策というものを、もう一ぺんここらで考え直してみる必要があるのではないかという感じがするのです。それはあとでだんだん触れていきますが、考え直してみる必要があると思うのです。そういう点について、何かあなた方は政策的に、完全家庭における母子の問題の一環としてのとらえ方について検討したことがあるのかどうか。いまのように別に切り離して考えるという論と、有夫の母子家庭の問題ともひっくるめて、その一環として考えていく、こういう二つの方法があるのだが、いままでの行き方と違った、いま私の言ったような方法で検討したことがあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/7
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008・黒木利克
○黒木政府委員 確かに問題点でございますが、ただすべての家庭に対しまして広く浅く政府の施策をやるのがいいのか、あるいは傾斜的と申しますか、重点的と申しますか、特定の家庭に対して、あるいは階層に対しまして深く施策をやったほうがいいのか、これは政策の分かれるところでございますが、たまたま社会保障制度審議会で、御承知のように、日本の全国民あるいは全家庭というものを三つの階層に分けまして、低所得階層に対してもっと重点的に国費の投入すべきだというような勧告がございましたから、その線に沿いまして、母子家庭で特に低所得その他情緒的な安定を欠くおそれのある家庭に対しまして、一般の家庭よりも手厚く施策を浸透せしめたいというような立場に立ったわけでございます。
なお、母子福祉の理念も、先ほども申しましたが、二つの段階があったと思うのであります。最初は確かに慈恵的な段階がございましたが、その後母子家庭の持つハンディキャップを国の責任で埋めてあげる、いわゆるリハビリテーションと申しますか、これは身体障害者の立法と同じように、ハンディを国の責任で埋めるというような段階、それがさらに、この法案におきましては福祉国家の理念で、ハンディを埋めるというようなことでなしに、むしろそれも含めて、母子家庭における児童が心身ともにすこやかに育成されるための条件なり、あるいは母親が人間としての生活が保障されるような、そういう施策をやるべきだというふうに進展をしてまいっておるのでありますが、この第三の段階の考え方で実は立案をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/8
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009・滝井義高
○滝井委員 いま私、ここに「ソ連の母子保健」「世界保健機構のソ連視察団報告」という国会図書館から出ているものの目次だけ見てみたのですが、母親の保健という点については、完全家庭と母子家庭との違いというのは、産前、出産、産後、妊娠中絶、こういうところが違うだけです。そのほかのたとえば生殖器ガンの発見、法による保護、少女のための健康相談所などというのは全部同じなんです。それから組織の問題については、これは農村地区の施設とか都市の施設とかいう問題は、妊婦の休息の家なんというのが必要ないだけで、あとは完全家庭とちっとも変わらぬわけです。それから子供の保健の問題については、これは法律の問題にしても、新生児、これはないでしょうが、学童、病気の子供、これはミルクの供給からワクチンの接種から結核、ポリオ、歯の検査、こういうものはみんな同じなんですね。それから組織についても、保育所にしても幼稚園にしても、養子縁組み、幼児の家、それから学校、サナトリウム、非行児童、こういうようなものはみんな同じなんですよ。それから保健教育も同じ、職員の養成についても同じ、それからいろいろの研究、母子保健に関する研究というようなものも、ずっと普通の母子保健の状態を見ても、違うのは夫がいないのですから妊娠することがないので、ここが違うだけです。あと同じなんです。そうしますと、たいして金も出さないのに分けて、そうしてあたかも偉大なる政策をやっておるがごとき錯覚を起こさせずに、むしろ普通の完全家庭と国の政策としては何も変わったところがないのだ、しかしあなた方は夫がないという、この点について経済的な欠陥があるのだから、その分はよけいに厚くしますよという、大きな一環の中で特別の措置を提供していく政策のほうがいいのじゃないかという感じがするのです。そういう点については、老人福祉法を生活保護の中から特に取り出してきて、そうして生活保護から切り離して、老人福祉法の中に全部入れてしまいましたね。あの政策は、行き方としてはむしろ逆になっておるわけでしょう。だから、あの行き方のほうがむしろよかったのじゃないかという感じがするのです。老人福祉というものを持ってきて、生活保護の中から特に予算的には取ってきたでしょう。今度母子福祉の行き方は、それは御老人も低所得階層だということでやっておることは同じだけれども、何か情緒ということが非常に重大になるのですよ。だから、そういう点についてはこの際もう一回検討し直してみる、根本論としてやりかえてみる必要があるのじゃないかという感じを私は非常に強く持つわけです。何か母子家庭だけを特別に切り離すということでなくて、母子の一環として母子家庭、こういう形のほうがひがみもないし、児童の将来の健全な育成のためにも初めから差別を与えない。そういう点でぼくらは、学校給食をすみやかに実施しなければいかぬという主張を、そういうことからもするわけです。学校では、母子家庭の子供も完全家庭の子供も、教育の場においては差別ないのです。こういうことが児童に非常にすこやかなものを与えるわけです。ところが給食ということになると、開いた弁当が、隣の子供を見たらけんらんたる副食を持ってきておった、自分は梅干しとたくあんだというようなことで、やはり貧しい子供にひがみを与えるのですから、これは全部同じように、金持ちの子供も貧しい子供もみんな一様に給食をとるということから、差別感というか劣等感、コンプレックスがなくなるわけです。こういうことは、政策の面でも家庭生活の面でも、あるいは学校生活でも社会生活でも、そういう形があらわれていくことが必要じゃないかという感じがするのです。何かこういう特別なものだけやって、特別な人間と思われる可能性がある。そうでなくても母子家庭というものはそういう色めがねで見られているわけですから、これは少しく検討をしてもらう必要がある。違うことは、いま言ったように妊娠のところだけですよ。あとたいして違うところはないのです。妊娠があれば新生児がありますから、この二点ぐらいで、あとはたいして違うところはないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/9
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010・黒木利克
○黒木政府委員 確かに、先生のおっしゃるように、母子福祉の単独立法ということが外国でもあまり事例を承知していないのでありますが、それは全国民を一様に、平等に扱う社会保障のそういう原則も確かにあるわけでございますが、わが国では、先ほど申しましたように、全母子家庭というふうなものを、一般の家庭というふうなものに対して施策をやるとしますと、どうしても広く浅くならざるを得ない。財政の貧困な国では、やはり傾斜的な政策をとったほうが必要にこたえ得るのではないかというようなことから、このような単独の制度というものがつくられてまいったのであります。そういうことで、外国に例のない事例でありますけれども、わが国では沿革的に、最初は戦争未亡人あるいは戦災未亡人母子というようなことで、身体障害者と同じようにそれぞれ一般の社会人と比べまし、ハンディがある、そのハンディを国なり地方公共団体で埋めていく、本人の自立心を助長してその更生をはかっていこう、またその必要があったわけであります。先ほど申しましたように、それからさらに福祉国家の理念に一歩前進してまいったのでありますが、日本のような国で、やはり特定の対象に対してもっと傾斜的な政策を手厚くすべきではないか、これが先般の社会保障制度審議会の勧告の趣旨ではないかと私は思うのであります。これに対しては、社会保障を一律に平等にやるべきだという考え方には反しますけれども、わが国においては過渡的にはやむを得ないのじゃなかろうか。特に情緒的な問題が出ましたが、やはり一般の社会福祉主事とか児童福祉司が母子家庭の母親なり子供のサービスに当たるよりも、母子相談員というような特定の人たちが当たったほうが効果があがるのじゃないかというようなことで、こういうような別の体系をつくったわけでありまして、確かに理想からいいますと、福祉国家の構想からいけば過渡的な施策としてわが国ではやむを得ないのじゃないか。むしろ、こういう特定の階層に手厚くやる。ここに書いてありますように、母子が健康で文化的な生活が少なくとも保障できるようなほうに持っていくべきじゃないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/10
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011・滝井義高
○滝井委員 ちょっと、逐条から先にやるつもりだったのですけれども、変な方向へ行きましたから、少し議論してみたいと思うのです。
日本のような貧しい国においては、結局一律平等の社会保障はできないので、したがって母子福祉のように重点的にやることになる。私は一律平等にやれと言っておるのじゃないのです。まず網は母子全体を対象とする一つの体系をつくりなさい、そうしてその体系の中で、母子家庭においては経済的に完全家庭よりか劣っておるので、そこで情緒的な面をもカバーしながら経済的な厚い施策を講じたらいいんじゃないでしょうか、切り離す必要はないのじゃないかということを言っているわけです。なぜそういうことを言うかというと、母子福祉の問題と並行をして、その根底にある母子保健というものを見落としておると、この母子家庭の問題も誤ることになるということを私は言いたいからなんです。そのことはすでにあなた方もお気づきになっておると思うのです。というのは、中央児童福祉審議会に、母子保健の今後について、先日、小林厚生大臣は諮問をされたでしょう。このことは、やはり池田内閣の高度経済成長政策で過渡的な現象であったとしても、児童が非常に危機的な状態になってきた。ということは、同時にこれは母親もまた危機的な状態になってきておることを意味する。なぜかといえば、子供というものはわれわれ親の鏡であります。しかも子供ぐらい親をあらわしているものはない。われわれが選挙のときに、ある村に入っていくと鎮守の森で子供が遊んでおる。この子供は滝井の子供だとわかるぐらい、そのくらい子供は親に生き写しだ。一般的にしぐさから見ても、遺伝的に見ても、ことばづかい、声から見ても、みなよく似ているのですから、したがって子供が危機的な状態にあるということは、同時に家庭における母親も危機的な状態にあることを意味するわけです。したがって、母子福祉の問題の底流には日本の一般の母子の問題があるということをやはり頭に置いておかなければいかぬと思うのですよ。そういう意味のことを私は言いたいのです。そうだとすれば、その母子保健問題、母子福祉問題の一環としてこれをとらえたほうがいい、普通の欠損家庭の母子福祉問題をとらえたほうがいい。金が多いか少ないかは、これからの池田さんの政治の問題です。ちょうどそういう切りかえをするのに絶好の機会じゃないかというのです。なぜかといえば、これはあなた方も指摘しておるように、人口革命が起こってきておる。子供の生まれるのが少なくなって、ベビーブームのときは二百六、七十万の子供が生まれておったのが、現在は百五、六十万しか子供が生まれないのです。だから、これからしばらくすると、小学も中学も高等学校も、大学も、がらあきの状態になるでしょう。そういう状態になっておるのですから、子供というものが非常に重要になってきた。そういう客観情勢のある中に、内閣の首班の池田さんが人つくりをやらなければいかぬという政策を始めておるんだから、この波に乗らずして、いつの日にか母子問題が波に乗ることができよう。いまこそ絶好のチャンスですよ。この波に乗って、やはり大きな母子問題に対する社会保障政策を打ち出して、その中で母子家庭をできるだけ手厚くする。私は、こういう政策は当然とらなければならぬと思う。それがされていない。母子問題が国会で、お互いにこうやって目の色を変えて三人も四人も質問者が立って論議されたことは、いままでの国会ではないのです。だから、こういうようになること自体が非常にいいことです。鉄は熱いうちに打たなければさめてしまう。政治家なんか忘れっぽいのですから、忘れないうちにたたく必要がある。ということになりますと、まずものごとの出発というものは、母と子供というのはどこから出発するかというと妊娠から出発するでしょう。妊娠をして初めて母になり、子供が生まれてくる。だから、問題はやはり妊娠から出発しなければならぬ。そうすると、妊娠をやりそこなったときには、その家庭は母親がなくなる。母親が妊娠で失敗して死んだら、子供は生まれたけれども、その母親が死んでおかあさんがいなくなって、欠損家庭だということは明らかだ。こういう形が非常に多いでしょう。最近、諸外国に比べたら——イギリスが過去十カ年間に、出生十万に対して妊婦の死亡率は八十八人から三十九人に減っておる。ところが、日本は百七十六人から百二十九人にしか減少していないでしょう。ヨーロッパ諸国に比べてなお三倍も高い死亡なんです。そうしますと、母子の問題は、まず妊婦の問題からきっちとした政策を打ち立てておかなければならぬということになる。先日、長谷川さんが、一体この母子の問題はおなかの中の赤ん坊を含むのか含まないのかと言ったら、含まないとおっしゃっておった。この含まないということに一つの問題が出てきておる。これは質問が出ておるから一つの問題ですよ。日本では、ヨーロッパ諸国に比べて非常に妊婦の死亡率が高い。ということは、そこに欠損家庭ができるということですよ。これをまず防ぐ政策を考えなければならぬことになる。そのことが、今度は次の段階になったら何になるかというと、子供をうまく生んだ、生んだところが、日本の最近の高度経済成長政策のもとにおいては、共かせぎをしなければ食えないという状態になってきた。夫が死ぬ前に共かせぎという問題がある。そうすると、共かせぎをするときにはどういう問題が起こるかというと、赤ちゃんにお乳を飲ませることができないという状態が起こる。だから見てごらんなさい、「こんにちは赤ちゃん」という歌があれだけ国民の中に浸透するのはなぜかというと、赤ちゃんの生まれるのが少なくなって、サラリーマンの奥さんが、やはり子供に毎日かゆいところに手の届くような育児をやることができないからこそ、ああいう「こんにちは赤ちゃん」という歌が国民の中に浸透してくるでしょう。こういう微妙な心理というものは、政治家も行政官も把握しなければうそだと思うのです。そこに何があるかというと、結局人工栄養です。人工栄養とそれから母乳とは一体体質的にどうなんだ、これは明らかです。何も小児科の医者に聞かなくても、人工栄養のほうが欠陥があり、弱いことは、学術的に証明されておる。そうすると、そこには愛情の問題がある。これは武者小路實篤さんじゃないけれども、天に星があり、地に花があり、人に愛がなかったらだめですよ。そうすると、ここに愛情の問題がやはり問題になってくる。こういうところに欠陥があるでしょう。高度経済成長政策のもとでサラリーマンは家がないし、なかなか結婚ができない。結婚できても、共かせぎしなければならぬ。共かせぎすれば、今度は赤ちゃんが生まれても、「こんにちは赤ちゃん」の歌をはやらせなければならないような欠陥が家庭にある。しかも生まれた子供は人工栄養で弱い、こういう形があるでしょう。それならば、その人工栄養で弱い赤ちゃんが生まれる前の状態を考えてみると、妊娠をして赤ちゃんを生む年齢が一体どういう状態になっておるかというと、われわれの学生の時代はみんな二十四、五歳で初産をしたのです。いま二十四、五歳で初産をしたら、みんな家庭かたいへんだから妊娠中絶です。中絶の問題が起こってくる。そして初産はいつになるかというと三十前後、三十以上か相当あるわけです。一七、八%か二〇%ぐらいは三十以上の初産じゃないでしょうか。そうすると、ここにいわばお産の無理がいって、先天性の脳性麻痺の問題等が出てくるのです。こういう形になってくると、母子保健の問題は、単にあなた方が考えるように、もう夫を失ってここに母子家庭ができたんだ、この問題だけに、日本は金がないから重点を置いたらいいということになれば、日本民族の将来を誤ることになる。最近の都市における人口の集中は、日本人口の三分の二は都市に集中しているのです。そして新しく生まれる都市は、四日市のように亜硫酸ガスが立ち込めて、人間の住める状態でなくなっておる。こういう問題から、やっぱり人間の問題、母子の問題を考えて、妊婦のときの対策をどうするか、母子における人工栄養の問題をどうするか、母親の初産の問題が三十をこえてだんだん多くなってきておるが、一体これをどうするか、こういうところの基礎的な基盤を打ち立てておかなければ、母子福祉の問題は、基盤が薄弱だから、大きくビルディングとしてそびえ立たぬです。だからこれはすぐにこわれやすい。政策の前進がないと思うのです。そういう点では、まずこういう基礎的なところの地固めをあなた方は一体どう考えておるのかということです。こういうところにまず金を入れていく。その過程でサラリーマンの母子家庭になっておるならば、その母子家庭については財政的な援助を特に厚くしたらいいのです。ちっとも取りはずす必要はない。同じ母子保健あるいは母子福祉という大きな法律をつくるのだったら、低所得階層だけの母子でなくて、全体の母子に——母子家庭の所得を調べてみますと、二万円以下が五六%でしょう。それから二万円以上が四四%です。二万円以下が半数以上おるのですから、二万円以下の母子家庭に重点施策を持っていったらいい。何かそういうはっきりとした基盤の上に母子政策をお打ち出しにならぬと、取りはずしてぽっと母子家庭だけを出す、そしてこんなちゃちな法律を出して、おそらくあなた方、お恥ずかしいと思われるでしょう。母子福祉資金をぽっと廃止して持ってきただけで、あとは何も政策がない。そのほかにつけたりはあります。それは休養ホームとか福祉センターとかを持ってきているけれども、こんなものはまだ全国に行き渡るような状態でない、試験的な状態でしょう。そうすると、あるのは母子福祉資金と同じで、相談員というのはいままであったのですから、母子福祉の法律に名前を変えただけで、これが池田内閣における人つくりです。高度経済成長政策のために母子が大きな危機に直面する、危機的な段階にある、それを乗り切る政策と言えるかというと、言えないでしょう。恥ずかしいでしょう。こんなものを国に持って帰ったら、未亡人の皆さんから、先生、それはいままであった母子福祉資金と同じじゃないですかと言われた場合に、何のかんばせあって母子の家庭にまみえることができますか。だから、あなた方の機構もお変えになるのだから、法律ももう少し抜本的なものをお出しにならぬと、名前が恥ずかしい。私は、名前を変えただけで、これはもう母子福祉じゃないじゃないかということを言いたいぐらいだ。これを羊頭を掲げて狗肉を売るという。こういうことでは私はいかぬと思うのです。いまの基本的なところをきちっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/11
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012・黒木利克
○黒木政府委員 御意見を聞いておりますと、どうも母子という概念につきまして、母子保健という場合の母子と、母子福祉という場合の母子と実は違うのでございます。母子保健という場合には、未亡人の母と子供、それから有夫の母と子供、これは両方含むのでありますが、母子福祉という場合には、従来は未亡人の母と子供ということに、ことばを実は使い分けをしておるわけであります。
そこで立法の対象として、先生のおっしゃるように、未亡人の母子と有夫の母子を一緒に含むべきだという御意見については、私は母子保健に関する限りは賛成でございます。先ほどお話が出ました中央児童福祉審議会に母子福祉対策を厚生大臣から諮問しましたのも、母子保健立法をつくりたい、それについてどうであろうかという意図で諮問をしておるのでございまして、それについては先生の御意見と全く同感でございます。ただ、いわゆる未亡人母子福祉の問題につきましても、今回立法をいたしましたのは、母子保健とこの母子福祉の対象が、先ほど申し上げましたように未亡人の母子だけ、それから有夫の母子も含む場合と、行政的には使い分けをしているものですから、対象の異なるもの——母子保健は両方含む、母子福祉のほうは有夫の母子は含まないというような対象の異なるものを一つの立法の中に取り入れるということは、いろいろ目的とか運営に関して混乱が起こるという心配から、別の立法の体系でやったほうがよかろうということで、こういうような未亡人母子だけの単独立法にしたわけであります。
この内容も、一般の母子と違いまして、こういうような未亡人母子が経済問題、生活問題で、先ほど御指摘がありましたように、かなり低所得者が多い。それで生活保護で一律平等にやればいいじゃないかという御意見もあると思いますが、しかしボーダーラインの階層の母子というものを、何とか生活保護以外に生活の保障もする必要がある。それから住宅の問題にいたしましても、一般の有夫の母子世帯と比べてやはりいろいろハンディがあるわけですから、住宅についても何らか優先をしたい。あるいは就職の問題にいたしましても、いろいろハンディがある。たとえば特別の身元保証とか特別のお世話をしなければならない。あるいは情緒の問題にいたしましても、一般の有夫の母よりも特別の情緒というものの障害が起こり得ます。あるいは子供の就学とか子供の将来につきましても、夫なり父親にかわる何らかの施策を、一般の有夫の母子よりも特別にしてやる必要があるのではないかというような必要から、またそういうような必要のために未亡人の団体もできておるのでありまして、こういう団体から御要望がありまして、従来の貸し付け資金も、大体戦争未亡人対策というようなことで今日まできたけれども、戦争未亡人はだんだん少なくなって、施策もだんだん細まる心配がある。そこでもう一度未亡人母子の福祉についてのムードづくりというか、そういうものをやってほしい。そのために、単独立法でこういうような国民の理解され得るような雰囲気をひとつつくってほしいというような御要望で、実は立案した次第でございまして、先ほど先生がおっしゃったような政策論としては、確かに二つの方向があると思うのでありますが、そういうようないきさつからこういう単独立法をした次第でございます。
内容は、確かに従来の貸し付け資金等を踏襲したにすぎませんけれども、一条、二条、三条等で新しい福祉国家の方針というものを打ち出して、前向きで母子福祉の問題に取っ組もうという政府の意図を表明したものでありまして、内容は今後逐次改善をしてまいりたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/12
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013・滝井義高
○滝井委員 そうすれば、老人福祉法と同じように、生活保護の問題も全部ここに移されたらよかったのです。生活保護関係の母子に関するもの全部をどうして移さなかったわけですか。母子家庭というのは、生活保護が相当おるのですよ。それを全部ここに移して、そうすると予算ももっと大きくなるし、特別な施策がやれることになる。老人福祉は移してしまったわけです。これはやってないわけです。だから、いままであった母子福祉資金に関する法律だけでなくて、それもお移しになって、そうしてここへ特別な配慮を加えてやればいいのです。私はなまはんかなことではいかぬと思うのです。こういう政策を母子福祉法といってあらためて出してやるならば、生活保護から、それから学校の給食の問題から、教科書の問題から全部これに一括して、これがもう母子のすべての百科事典だということにならないとうそなんです。こういう形になりますと、母子家庭というのは、生活保護の問題は福祉事務所に行かなければならぬし、給食の問題は教育委員会その他に行かなければならぬ、母子福祉の金を借りるのは、県の児童局関係の母子福祉課ですか社会課ですか、何かそういうところに行かなければならぬということで、あっちこっち母子家庭が行くのは困るのです。やるなら全部一つのところでやって、この法律があるなら母子家庭は全部救われますということなら、それでもいいのです。そういうことになっていないのですよ。法律だけが多くなると、それだけ末端は手続がややこしくなって、あっちこっちに行く時間が多くなるから母子家庭は困るのです。まだ私は、あと失対の問題なんか触れていきますけれども、そういう点でなおこれはだんだん議論をしましよう。
時間がだんだん過ぎておりますから、逐条的に入りますが、この五条の3の「母子福祉団体」というのは現在どういう種類がございますか、そうしてどういう活動をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/13
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014・黒木利克
○黒木政府委員 都道府県及び指定都市に母子福祉団体というものがございますが、大体は法人になっておりまして、その法人のものが三十六団体、法人でない任意団体のものが十三団体、合わせて四十九団体でございます。それから母子福祉資金の貸し付け金の償還のための貯蓄組合というような形の母子福祉団体が、三十一都道府県に三十一できております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/14
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015・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、そういう都道府県なり指定都市にできている三十六の母子福祉法人団体あるいは任意の十三団体というのは、これは書記局なり専任の事務員を置いておやりになっておるのだろうと思いますが、この予算上の収入というようなものはどういうところから入ってくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/15
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016・黒木利克
○黒木政府委員 これは直接この貸し付け資金を借りまして事業をやっておりますもの、あるいは母子福祉センター等の施設を県でつくってもらいまして、その経営の委託を受けておるもの、あるいはその他公共施設内の売店の運営をしておるものと、いろいろな形態があるのでございますが、主として事業をやっておりますものはその事業収益でございますが、県あるいは指定都市から、あるいは共同募金からのいろいろの助成金等で運営をしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/16
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017・滝井義高
○滝井委員 そういうところにも少し問題があるように思うのです。売店をやったり、そのほか施設をつくってやるというような場合に、何かそういう法人がありますと、貧しい未亡人のかせいだお金を、悪いことばで言えば、ピンはねをすることになるのです。その法人の給料その他もまかなってやらなければならぬということになりますし、こういうところも、私は、この法律でこれからたばこの小売店や職業その他についても相当積極的にあっせんするような形になっておるわけですが、そういうものは、多くこういう母子福祉の団体を通じてやらなければならぬという形に結局なってしまうんじゃないかと思うのです。一万円かそこらしかおそらく給料はもらえないと思うのです。月にそのくらいの収入しかないと思う、二万円以下が多いのですから。あとでけっこうですから、ひとつ全国のその団体の収入の状態、それから職員の状態その他の資料を出してもらいたいと思うのです。こういう貧しい人たちの仕事にいろいろこういう団体ができて、そしてその仲介をしていくということはやはり問題だと思うのです。むしろ直接役所が、法律でできるのですから、ワクを、たとえばたばこの小売店なら全国でおよそ一年にどの程度の小売店が許可されるということはわかっておるわけですから、したがってそれによって、母子家庭のワクとしては、たとえば一年に二百なら二百の小売店ができるとすれば、その中の五十なら五十はもう母子家庭にもらうのですということになって、それで役所がもう直接にそういう人たちに、各県に配分をして差し上げる。それなら、何か変な団体を中に入れて、団体が売店等をやって、そして今度は未亡人を使うということでないほうがいいんじゃないかという感じもするのです。だからひとつその実態を、私ちょっと調べてみたけれども、なかなか把握できないのです。あとでけっこうですから、そういう実態の資料を出してもらいたいと思うのです。これは五条に関係あるばかりでなくて、十一条にも関係があるわけです。さいぜんあなたの御説明にもあったように、償還の貯蓄組合みたいなものがこれに当たるのかもしれませんけれども、こういう仲立ちの機関ができるということは、やはり問題だと思うのです。こういうことは役所がどんどんおやりになったらいい。その分で人数が不足ならば、人数はいただくということでいく必要があると思う。
次は、七条です。これは先般来伊藤さんがいろいろ御質問もしておるのですが、この母子相談員の一番新しい人数、待遇、それから勤務の状況等をまず御説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/17
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018・黒木利克
○黒木政府委員 これはお手元に差し上げてあると思いますが、「母子福祉法案参考資料」の一四ページに現況調べがございまして、母子相談員の数は、昭和三十八年四月一日現在で九百四十二名、勤務の状態は、非常勤が三百五十八名、常勤的な非常勤が五百二十七名、その他が五十七名でございます。平均給与は一万四千六百七十三円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/18
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019・滝井義高
○滝井委員 そうすると、常勤的非常勤というのはどういう形ですか。これはいわゆる地方自治体の定数になっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/19
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020・黒木利克
○黒木政府委員 これは勤務の形態、また常勤的な非常勤でもいろいろございますが、大体毎週毎日出勤というかっこうでございまして、身分的には正式の公務員になっております者と、そうでない者とあるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/20
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021・滝井義高
○滝井委員 全国で定数化している県はどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/21
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022・黒木利克
○黒木政府委員 定数化して一般職員として勤務しております者が五十七名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/22
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023・滝井義高
○滝井委員 何県と何県があるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/23
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024・黒木利克
○黒木政府委員 静岡県、それから和歌山県、徳島県、香川県、高知県、京都府でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/24
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025・滝井義高
○滝井委員 六府県ばかりありますね。そうしますと、厚生省の方針としては、こういう児童の危機的段階を救うために、当然こういう相談員は、指導としては定数化して身分を安定することが望ましいという指導をしているのか、それとも各県は各県の道があるだろうから、自由にしなさいという指導をしているのか、これはどっちです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/25
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026・黒木利克
○黒木政府委員 これも実は、年齢別に見ますと五十一歳以上というのが四百名近くおりまして、一般公務員化しますと定年退職の問題等がありまして、ちょうどやはり未亡人の相談相手にふさわしい経験者でございますから、そういうことを考慮して、あまり一般公務員化はすすめてはいなかったのでございますが、最近になりますと大学を出た人たち、相当資格を持った人たちも希望するようになりましたから、思い切りましてもう常勤化、公務員化の方向というものをたどりたいというので、少なくとも非常勤は常勤にしてまいりたいというような方針をきめまして、いろいろ県にお願いをし、また自治省と折衝をしておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/26
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027・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、常勤化をする隘路というのは、年齢が五十一歳以上の方が四百人もいらっしゃる、ここにまあ問題がある。私の調べたところでは、全国の母子相談員の平均年齢が五十二歳ぐらいであるようでございますけれども、いま言われたように五十一歳以上か四百人ということになると、大体そのくらいになるという感じがします。そうしますと、これは一挙に全部を定数化はできないかもしれないけれども、ある程度、年齢層の若いほうは、これは定数化することが可能なわけですね。そうすると、隘路は金の問題だということになると思うんですね。給料が一万四千六百七十三円平均だということになりますと、これは——自治省、いらっしゃいますか。厚生省としては常勤化、公務員化をしたい、ただまあ年齢的に定年退職等の問題があるのでということですが、これは池田内閣が重要な人つくり政策を打ち出しておりますし、高度経済成長政策の一番の波をかぶっているのは母子家庭なんだから、したがってその母子家庭を指導する母子相談員というものをやはり定数化したい。これは本人の皆さん方も、ぜひ定数化してもらって、身分をやはり安定した形でやりたいという要望は、全国の母子相談員連絡協議会等の状態を見てもそういう要望が相当あります。とすると、これは私はこの際そういう方向に持っていくべきだと思うのですよ。われわれが、やはりさいぜん言ったように羊頭を掲げて狗肉を売るという法案を一歩でも二歩でも前進させようとすれば、こういうところから直す以外にない。いままでも母子相談員というのは非常勤であるのだから、その非常勤であるものをやはり全国的にこれは定数化していく。しばらくの間は、あなたは非常勤でいいですか、それとも定員の中に入りますかということを、本人の希望を聞いたらいい。私は年をとっていてもいい、ぜひ入れてもらいたいということになれば、これは入れることが必要だと思うのです。一定の年齢以下の者はもうやはり強制的に定数化する、だからこの条文を私は修正すべきだと思う。非常勤でなくて常勤を原則とする、しかしその実態でやむを得ざる者は非常勤にしてもよろしいという二本立てで、もう原則は常勤、そうして例外は非常勤という形にこの条文を、私はひとつ党にも相談してぜひ修正すべきだと思う。そのためには、自治省なり大蔵省なりが、やはりこれは予算の関係がある、予算が通っておりますから、だからひとつまず自治省の御見解をお伺いをして、そうしてその後、大蔵省から中尾さんと船後さんに来ていただいておりますから、両者の御意見も聞かしてもらいたい、こう思うわけです。自治省から先にひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/27
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028・倉橋義長
○倉橋説明員 自治省としましては、現在の段階におきまして、この非常勤を削除いたしまして常勤とするということにつきましては賛成いたしかねます。この問題につきましては、任用の資格の問題でございますとか、あるいは財政の問題でございますとか、いろいろ問題があるわけでございますので、慎重に検討してまいりたい、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/28
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029・滝井義高
○滝井委員 任用における資格の問題、財政の問題、したがって私が言うのは、資格がない人が暫定的に母子問題について熱心におやりになっているということになれば、私はその人はやむを得ないと思うのです。しばらくは、いま言ったように例外のほうでいったらいい。七条の条文をごらんになりますと、「母子相談員は、非常勤とし、社会的信望があり、かつ、前項に規定する母子相談員の職務を行なうに必要な熱意と識見を持っている者のうちから、都道府県知事が任命する。」こうなっておるわけですから、したがって、これは相当なやはり女子の方だと思うんですよ。そうしますと、いまの資格と財政の問題ということ、資格は、これは私は、資格のない人がもしなっておるとするならば、当分の間はやむを得ないと思うんです。そうすると、あと残るのは財政の問題だけなんですね。財政も、何万人とおるわけじゃないですから、現在九百四十二人でしょう、このくらいの人で一万四千円程度の給与ですから、たいした額にはならないわけですよ。六千億も交付税があるわけですから、特別交付税だってその六%ですからね、三百五、六十億をこえるものがあるわけです。その中から日本の母子家庭のために——これは交付税でしばらくやるよりしようがないと思うんですよ。やれないという理論はどこからも出てこないと思うのです。それで、賛成できないと言うけれども、自治省はそれほどまでに冷酷じゃないと思うんです。まあ最近は、地方議員の歳費引き上げについては閣議でも直ちに問題になって、そうしてああいうブレーキをかけることになった、審議会方式にすることになったから、その分だけ、今度地方自治体ではベースが上がる分だけ押えられて上がらぬようになるから、その金をひとつ母子家庭の相談員に回す、これも一つのよい知恵です。これをひとつあなたが打ち出したら、あなたの名前は全国母子家庭に神さまのようにあがめられるですよ。ですから、ぜひ倉橋さん、それをひとつ出してもらいたい。そういうような冷酷な、賛成できませんというようなしゃくし定木なことを言わずに——たいした金かからないでしょう。一万四千円掛けるの千人掛けるの十二でいいわけですから、それに期末手当その他がつくくらいで、たいした額にならぬですよ、これは。こんなもの、ちょっとやりくりすれば、六千二百億をこえる交付税の中からですから、すぐ出るです、このくらいの金は。各県から〇・〇〇〇一%ずつくらい削ったって出ますよ。だから、その点もう一回ひとつ考え直してもらいたいと思うんですがね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/29
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030・倉橋義長
○倉橋説明員 なお慎重に検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/30
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031・滝井義高
○滝井委員 私は、きょう御答弁をいただきたいんですよ。それで、あなたが答弁ができなければ、ひとつ赤澤自治大臣にちょっと来てもらって——こっちも法案を上げるんだから、ぜひひとつ呼んでもらいたいです。まず自治省がオーケー言わぬ限りは、なかなか大蔵省がオーケー言うはずはないから、大蔵省は、中尾さんと船後さん、ごめんどうだけれども、もうちょっと待ってもらって……。厚生省の意向ははっきりしてきたのです。ぜひ常勤か公務員かに持っていきたいという意見ですけれども、自治省のほうで賛成できぬと言うなら、ちょっと大臣に来てもらいたい。
そうしますと、この母子相談員と婦人相談員との関係——売春防止法における婦人相談員、これは全国で四百七、八十人くらいおるようであります。平均年齢は、私の調べたところでは四十五歳くらいです。この関係は一体どうなっておるか。全然もう縁もゆかりもないものなのか。御存じのとおり、母子家庭というのは欠損家庭ですから、したがって、やはり相当問題をかかえておると思うのです。そうすると、婦人相談員と母子相談員の関係、これは一体どういうようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/31
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032・黒木利克
○黒木政府委員 母子相談員も婦人相談員も、社会福祉の職員であることは同一でございますが、仕事の関係で、母子家庭の中で、連絡は悪いのですが、婦人相談員の相談の対象になるような場合もあり得ますし、その場合に、母子相談員と協力して相談サービス業務に当たるという程度の関係で、常時直接的な関係はないように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/32
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033・滝井義高
○滝井委員 母子家庭が転落の頻度が高いことは御存じのとおりです。そうしますと、やはりここらにも行政の一つの盲点があるわけです。母子相談員と婦人相談員との連携をやはり密にする必要が出てくるのじゃないかという感じがします。同時に、児童委員との協力というのはあるのですがね。民生委員との関係はないようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/33
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034・黒木利克
○黒木政府委員 婦人相談員の協力なりあるいは民生委員の協力も当然のことでありまして、特に立法事項として規定するまではないと思いまして、代表的な意味で、児童委員というものの協力規定を置いたような次第でございますけれども、たとえば母子家庭において生活保護の適用をする必要があるというような場合には、当然民生委員も関係するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/34
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035・滝井義高
○滝井委員 母子家庭でお世話をやく人たちは、まず第一に相談員がおりますね。これはさいぜん言ったように、婦人相談員も母子相談員も、二つとも関係があるわけです。特定の家庭には、むしろ二つの関係が出てくる場合が多い。それから児童委員の関係が出てくる。これは法律の九条に書いてある。それから民生委員が当然出てくる。母親を通じて出てくるのです。そこらの関係なんです。私がさいぜん言うように、その母子家庭というものを取り出してきた、取り出してきたけれども、事実そこで世話をやいてくれる人が、児童委員あり、民生委員あり、母子相談員あり、婦人相談員あり、こういうように四人もおると、一体だれが主体的になってわが身の相談をしてくれるかということは、はっきりしないわけですよ。そして、最後になりますと、今度は福祉センターがあるでしょう。第二十一条の「母子福祉センターは、無料又は低額な料金で、母子家庭に対して、各種の相談に応ずるとともに、生活指導及び生業の指導を行なう等母子家庭の福祉のための便宜を総合的に供与することを目的とする施設とする。」というように、施設も出てきているわけです。そのほかにケースワーカーがおるわけでしょう。なるほど、がんじがらめに、あっちからこっちからやってくれるのもいいですよ。いいけれども、一体ほんとうに主体的になってやってくれるのはだれだというと、はっきりしない。母子相談員も非常勤でございます。これは資格の問題や財政上、常勤にするわけにもまいりません。そうすると、常勤で、一番がちっとして、心理学その他を勉強しているのはだれかというと、ケースワーカーしかいない。そうすると、ケースワーカーのことはこの法律では出ていない。法律に出ていない無縁のものが一番相談をするということになる。一番権力を握るということになる。だから法律というものをあちこちから集めて、ただ法律をつくれば選挙対策になるというようなことだけではいかぬわけですよ。やるならば選挙のことを考えずに一貫したものをやらぬと、これは選挙対策みたいなことになってしまう。そういう疑いを持たれるのです。だからそうでなくて、やはり系統的にきちっとしたものにする。予算もつける。約束をしたならば、やはり予算をつけなければ意味ないですよ。いままでと同じとおりの予算で、ただ法律だけは、こういう形でできてくるというのではわからぬでしょう。私が未亡人だって、これを読んでみたら、一体どこへ相談に行ったらいいかわからぬでしょう。児童委員だろうか、民生委員だろうか、相談員だろうか。相談員も非常勤で、市役所に行ってみたけれども、いつもいらっしゃいませんよ。三日に一回しか来ませんよ。それじゃ児童委員に行こうか。そうすると、児童委員にあんた行ったんだから、あっちにずっと相談に行きなさいと言って、つれなく相談員から当たられたら困る。これが母親の気持ちですよ、これが母子家庭の気持ちですよ。だから、どこかにきちっとすがるところを、まず柱を建ててもらう。柱を建てたら、それから派生したものがみんな寄って相談してやってくれ。その柱は、財政的に裏づけされ、法律的に資格を与えられた者が法律上きちっとしていなければいかぬというのです。いま言ったように、母子相談員は非常勤であって、いま自治省の言うように資格のないもののようなことでは、とてもぼくら納得できないですよ。だからこの法律をほんとうに生かそうとするならば、まず母子相談員を常勤にして、今後資格のある者を置く。心理学や、少なくとも母子の衛生ぐらいはわかる人を置く。そして、何でも法律事項その他の相談に応ずるという形をつくっておかなければいかぬと思うのです。それが欠けておる。いまの点からも、絶対に母子相談員は常勤でなくてはならぬ、財政的に定数化されて、裏づけされておらなければならぬということになるわけです。これは自治大臣を呼んでからでないと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/35
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036・田口長治郎
○田口委員長 いま公職選挙法のほうで、どうしても席をはずされぬということですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/36
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037・滝井義高
○滝井委員 次は十条です。これも大蔵省がいないのですが、十条の一項の四号ですね。「前三号に掲げるもののほか、配偶者のない女子及びその者が扶養している児童の福祉のために必要な資金であって政令で定めるもの」、こうなっておるわけです。そこで、これはいままでの貸し付け金の項目を見ると、実にたくさんあるのですね。これはなかなか宙では覚えられぬくらい似通ったものがたくさんある。事業開始資金、支度資金、技能習得資金、生活資金、事業継続資金、住宅資金、転宅資金、修学資金、修業資金、それから母子福祉団体に対する貸し付けとして、事業開始資金と事業継続資金があるわけです。母子家庭に対する貸し付けは九つあるのです。この九つのほかに、いま言った「必要な資金であって政令で定めるもの」というのがあるわけです。これは「児童の福祉のために」と書いてある。非常に範囲が広い。この中に進学支度準備金は読めるかどうか、入れられますかということです。別にここには、何資金何資金と、九つの資金は名前をあげていない。あげていないけれども、どうも条文をさがしてみると、最近は、御存じのとおり中学、高等学校に行くのにも二万五千円から三万くらいの金が要る。まず入学の当初に要る。それから高等学校から大学に行こうとすると、もう十万円くらいの金が要る。私立学校に行けば、六万か八万の入学金を前もって納めなければならぬ。こういう形があるわけです。
先日、新聞に出ておりましたね。大学に行きたいけれども、入学金がないというので、友だちの米屋のうちに学生が強盗に入って、つかまえられたのがありましたね。ああいうあわれなことになるわけです。これはやはり母親が働いて、つめに灯をともして子供を養っておる場合には、おかあさん、二万円の金が入学金に要るんだよ、本代やその他はぼくがアルバイトしてかせぐんだけれども、一ぺんに二万、三万ないから、何とかして入りたいんだけどとは、なかなか子供は、純真であればあるほど言えないんですね。そうすると、やはり間違った犯罪等の問題が起こってくるわけです。当然あなた方これで読めると言えば、ここは大蔵省は要らぬことになるし、読まぬと言えば、大蔵省を連れてきて、どうしてもこの資金だけは、出さぬと言ってもきょうは私は母子家庭のためにもぎ取るんだ。これは強盗と言われても、きょうはもぎ取るのです。だから、それはどうなんですか、入るのですか、入らぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/37
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038・黒木利克
○黒木政府委員 この一号から三号までは貸し付け資金の代表的なものを規定し、その他のものは四号で政令に譲ったわけでありますが、入学準備金、支度金的なものは、代表的なものと考えて、この法律改正で規定することも可能でありましょうし、また四の政令事項に譲ることも法律技術的には可能でございます。どちらでいっても差しつかえないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/38
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039・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、あなた方としては、三十九年度にそういうものを入れる意思があるのかどうかということです。もう法律的には、これで新しく入れるか、資金の貸し付けの十条の一項四号で読めるという解釈が成り立てばけっこうです。もう読めるということになれば、法律で扱う必要はないのだから、あとはそれで実施をするかどうかという問題ですね。これは実施する意思があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/39
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040・黒木利克
○黒木政府委員 この入学支度金の問題は、未亡人団体からの御要望もあり、また厚生省としても必要だと考えまして、財政当局に予算要求をこの両三年度やっておるのでありますが、いろいろ他の制度との関連等もありまして、政府間の話し合いがつきませんで今日に至っておるのであります。したがいまして、三十九年度の予算措置としては、入学支度金、準備金としては予算措置ができていないのでありまして、ただ一億円ふえまして五億円の政府の予算措置でございますが、関係方面との話ができて、財政当局との話ができて、その政令制定のときに話がつきますならば実施が可能だと思いますが、いまのところは、政令事項としても関係方面とは話し合いがついていないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/40
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041・滝井義高
○滝井委員 これは隘路は大蔵省ということがわかったのです。母子相談員は隘路が自治省、それから入学支度金というか、進学支度準備金というか、それは隘路が大蔵省であるということがわかった。厚生省としては、ぜひ二つをやりたい。先日、池田総理が財界かどこかで演説をした中に、だんだん国民の消費がぜいたくになった、バナナの輸入が四千四百万ドル、それからエビが二千二百万ドルということをあげておった。その中に、同時に自分が一つの大きな誤り、見そこないをやったのは、高度経済成長政策で的を射そこなったのはどこかと言うと、賃金の上昇とそれから労働力の不足、特にだんだん所得が上がって、みんなが進学傾向が非常に強くなってきたところに、一つやはり問題があったということを白状しておった。そうすると、高度経済成長政策で金を持ったところの子供は、希望を持って青雲の志を抱いて上級学校に行くことができるけれども、母子家庭の子供は、そもそも入学をするときの支度金ができないために行くことができないなんという、こういう差別は、まさか保守党の政策でもやらぬだろうと思う。そうするならば、イの一番にこれをやらなければならぬ。私は、他のものを削っても、これをまずやらなければならぬと思います。もし財政当局がどうしてもやらなければ、これはひとつきょうはどうしても私——こんなものはわずかです、ばく大な金じゃないんだから、池田内閣の財政政策をゆり動かすようなものじゃないでしょう。当然出すべきですよ。こういうところが、池田さんは口では人づくりとかうまいことを言うけれども、全部底が抜けておるのですね。厚生大臣は、毎日トップ記事にいろいろなことを、医療制度をどうするのだ、何をどうするのだと毎日各新聞にトップ記事のようなことを言うけれども、こういうところをやはり国民に暴露しなければならない。厚生省が七重のひざを八重に折って母子家庭の子供の進学のための準備金を要求しておるけれども、くれない、こういうことをやはり声を大にして厚生大臣は言う必要があるのですよ、そうすれば池田さんも反省すると思うのです。
自治省の大臣が来られずに、佐久間さんがいらっしゃったけれども、まず、さいぜん倉橋さんにお聞きしたら、現在母子相談員がすでに六つの県で定数化されておる、定員の中に入っておる。静岡とか和歌山とか香川、高知等の県では定数化されておるわけです。厚生省としても、こういう高度経済成長政策で非常に影響を受けた層に対しては、ぜひ定数化したい。ところが、なかなか自治省との折衝がうまくいかずに、できないでおるということなんです。額は、九百四、五十人しかいないのですから、それで一万四千円ぐらいの給料しかお払いになっていないわけです。一挙にその全部をやることは、もう五十二歳ぐらいの平均年齢ですから、そう一挙にはできない。しかし、すでに六県について定数化されておるとすれば、他の県とのアンバランスがあるわけです。したがって他の県も定数化しようとすれば、やはり自治省がそういう政財措置を講じないとなかなかうまくいかない。最近自治省は、閣議でも赤澤さん等の発言で、地方議員の歳費はどんどん上がっておるが、これはひとつ審議会等をつくって、第三者の意見を聞いてからにしなさい、こう言ったから、それで大体地方自治体で都道府県あるいは市町村も、そうウナギ登りに歳費が上がることはないだろう。したがって、あれで上がるべき歳費が上がらなくなったんだから、その分だけ地方自治体は余裕ができておる。この金をひとつこの九百四十人ばかりの母子相談員に回して——どうせ上がったつもりだったんだから、六千億をこえる交付税があるんだから、その中から出したって九牛の一毛にすぎない。お出しになってこれを前進させる必要がある。いま母子家庭に対する相談員というものは、非常勤のために、ほんとうに母子家庭で支柱的に相談に応ずる人がいない。児童委員、民生委員、ケースワーカー、母子相談員、婦人相談員、相談員はたくさんおるけれども、みんな相談員であって、ほんとうにかゆいところに手が届くような主体が確立されていない。行政の主体がない。だから行政の主体をどこに置くかといえば、やはり母子家庭は母子相談員というこの人が一番いいのではないか、そうすれば、この人を非常勤ではいかぬ。財政的に裏づけてくださいと言ったら、倉橋さんは、資格の問題もあって賛成できません。そんなこと言わずに、あなたが冷酷ならば、赤澤さんは、おそらく貧しい島根県から出てきている人で農村の貧しい状態を知っておられるのだから、そういうことについてヒューマニズムを発揮するだろう、だから赤澤さんを呼ぼう、こういうことです。ところが、佐久間さんというヒューマニズムの局長さんがいらっしゃったから、おそらくオーケーを言ってくれるだろうと思うのですが、きょうは、ぼくは絶対あなた方がイエスと言うまではがんばるつもりです。きょうは鳴かしてみしょうホトトギス、こういうことですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/41
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042・佐久間彊
○佐久間政府委員 母子相談員につきましてのお尋ねでございますが、母子相談員の勤務の職務の実態が、仰せのとおりにだんだん内容も変わってきておるということも承知いたしておるわけでございますが、ただ、ここで一挙に常勤にしてしまうかどうかということにつきましては、私どもも、もう少し実情を検討さしていただきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/42
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043・滝井義高
○滝井委員 実情はもうわかっておるわけであります。実情は、全国で約九百五十人程度おって、年齢は五十二歳で、勤続年数は私の調べたところでは七、八年、夫が六割くらいおる、最近は若返りの傾向にある、こういうことははっきりしておるわけです。そうして、相談員の皆さん方も、ぜひ常勤になりたい、こうおっしゃっておるわけです。だから当然、厚生省当局もぜひそうしたい、こうおっしゃっておるのですよ。隘路は何か。財政上の問題だけだ。そうすると、池田さんは人つくりをやるのだとおっしゃっておる。人つくりの隘路はどこに一番集中的にあらわれておるか。児童にあらわれておりますということを、厚生省は危機段階にあるとおっしゃった。そうすると、児童を持っている中で、完全家庭はとにかくとして、母子家庭には一番そのしわが寄っております。これの突っかい棒であるあなたのところが、実情もいままで把握していなかった、これから検討しますというのでは間に合わぬですよ。ますます虞犯少年が多くなる。だから、ここは目をつぶって清水の舞台から飛びおりる以外にはない。ここに出て来たからには飛びおりてもらって、ぜひひとつやってもらわなければならぬ。どうですか、あなたのヒューマニズムをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/43
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044・佐久間彊
○佐久間政府委員 私どもも、何でもかんでもいかぬと、こう言うわけではございませんが、制度といたしまして、常勤を統一することにいたしますことにつきましては、やはり任用、財政等のいろいろの点も検討をいたした上で結論を出しませんといけませんので、御趣旨の点はよくわかりましたので、ひとつこまかく検討さしていただきたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/44
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045・伊藤よし子
○伊藤(よ)委員 ただいまの滝井先生の御質問に関連して申し上げたいのでございますが、いま実は現状は、母子相談員の場合にはほとんど五日から六日、少なくとも四日は勤務しておりまして、しかも仕事の性質上から、家庭へ帰りましても相談を受けたりしますので、事実上もうほとんど常勤と同じように、週六日間くらいは実際仕事をしているわけなんでございますから、この点から言いましても、当然私はこの際常勤にすべきだと思います。
それからもう一つ、東京都の場合でございますけれども、東京都の場合などは、昭和二十八年から三十二年までは週六日の常勤であったわけなんです。ところが婦人相談員ができましてから、売春防止法の施行によって婦人相談員との均衡のために四日制になって、非常勤になったようでございますけれども、実情はただいま申し上げるように、うちに帰りましてもいろいろ相談を受けましたり、また特に母子家庭の場合などは、おかあさんがおつとめしておりますので、夜になったりしなければ訪ねて行ってもいないというようなこともございまして、ほとんど一般のおつとめの方、公務員と同じように六日間は仕事をしているわけなんでございますし、特に厚生省のほうでも、なるべく常勤化に向けていきたいという御意向もあるわけでありますから、自治省もこの際ぜひ踏み切って、常勤化に向けていただきたいと思うわけでございます。少なくとも現状の非常勤というところをなくしていただきたいと思うわけでございます。常勤にしろと言わないまでも、非常勤という項目を取り除いていただくように、この際ぜひ私もお願いを申し上げたいと思います。と申しますのは、大体この貸し付け金法ができまして、母子相談員ができまして十一年になるわけでございますけれども、その間、最初は篤志、奉仕的な方たちがやっていらしたわけでございまして、特に相談員などという性質からいいまして、特殊の業務でございますから年齢の多い方がおりまして、定年制などがあるから、定年になった場合に常勤ということは少し問題があるじゃないかというお話も先ほどから出ておりますけれども、その際も、もし定年に達すれば、こういう特殊の業務の関係上、あるいは嘱託とか常勤と同じような待遇をしてあげることが、いままでの母子相談員に対して報いるところでもあるかと思いますので、非常勤という条項を、特に母子福祉法ができましたこの際に取り除いていただくことが私は一番いいのではないかと思いますが、その点について、先ほど来滝井先生もおっしゃるように、もう少し母子相談員に対する思いやりのある、そして前向きのお考えをこの際ぜひ伺いたいと思うわけでございます。その点、自治省のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/45
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046・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘になっておられます御趣旨はよくわかります。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、よく検討さしていただきたい。決していかぬという意味ではございませんで、ただこの席ですぐ結論を出せと申されましても、いろいろ私どもも関係をいたしております部面もございますしいたしますので、ちょっと時間をかしていただいて、検討さしていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/46
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047・伊藤よし子
○伊藤(よ)委員 もう一点。先ほど賛成できないというようなおことばがありましたが、これは特に自治省がそういうことをおっしゃいますとたいへん将来影響すると思いますので、ぜひそういうことではなくて、全国的に申しましても、現に、先ほどお話がございましたように六県くらいは常勤化しているのでございます。そして一つの県についてわずかな人数でございますから、予算上もたいしたことはないと思いますので、ぜひ前向きに、そういう御努力のみではなくて、早急にそういう常勤化の方向に向けていただくように、せめて今回は、少なくとも非常勤という項目だけでも取り除いていただくように。先ほど賛成できないというようなおことばがあったのは私は承服できかねるので、特にこの際といたしましてはそういうことばを取り消していただいて、積極的に御努力をいただくようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/47
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048・佐久間彊
○佐久間政府委員 あるいは説明員から賛成できないということを申し上げたかと思いますが、賛成できる、できないということにつきまして結論を出しますにつきまして、よく検討をさしていただきたい。お尋ねの御趣旨は私もよく理解しましたので、できるだけ御趣旨に沿いますように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/48
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049・滝井義高
○滝井委員 私は、それじゃだめなんですよ。こういう政策は池田内閣の重要な人つくり政策でしょう。それをいま検討すると言うのは、ぼくはきょう総理を呼びますよ。われわれ野党ががんばるのは、ここ以外にがんばるところがないのです。もうこの法案は通っちゃうんですよ。通ったあとはしり抜け観音になっちゃう。だからきょうは、もう私はどんなことがあったって鳴いてもらう。伊藤さんは女性でおとなしいから下がるんですけれども、ぼくは下がらぬです。ぼくはがんばったらどこまでもがんばる男なんです。野党が政策で前進するのはこの場所以外にはないんですよ。与党はやってきておるんです、与党はもうこれはよろしいといって国会に出してきておる。ところが野党は、これでは気に食わない。だからある程度、からだを張っても通さないためにがんばるんです。オーケーと言うまではがんばるんです。だから大蔵省にもあなたにも来てもらったのです。ここでオーケーと言えば済むんです。人つくりというのは池田内閣の一枚看板です。選挙で公約しておる。一番弱いところの人の相談相手が非常勤で、そのまま交付税のような不安定なことで通そうということは納得いかないわけです。だから交付税でやるならきちっと法律に書いて、そうして常勤化して、はっきりした言質をとっておかぬことには納得がいかない。そうなれば、いまから交付税のことも尋ねておこうと思うんですけれども、いままでだって交付税でやっておるんですから、交付税の単価その他もここできちっと説明してもらわなければならない。だからあなたのほうが計算するまで待ってくれと言うなら、それは待ちます。しかし、それは出すということを前提としてのことですから、出すか出さないかわからない、いまから検討さしてもらうと言うなら自治大臣にも来てもらって、総理にも来てもらいます。これは一番下積みになっておる層、社会保障制度審議会が三つの層に分けた、その三つの層の一番底辺の層の問題です。底辺の層の問題をやるんですから——財界に行ってもしゃべっておる。エビやらバナナの輸入について言われた。しかし困るのは、自分の見そこないから賃金が上がって、労働力が不足だ、その労働力の不足はどこからきておるかというと進学率がふえた。その進学にこれから何人かの子供が行こうとする場合に支度金がない。その相談をするときの重要な柱がないという問題ですから、これはあなたが検討するならひとつ検討してもらってけっこうだから、その間赤澤さんがやるという方向だけは打ち出してもらって、その上で検討するというならいいんです。こんなものは、そんなに長くかかるわけじゃないんです。これはやはりはっきりしておいてもらわぬと困るんです。だから検討するなら、私が質問をしてる間に検討してもらってけっこうです、これは留保しておきますから。どうせきょうはまだ半分しかやっておりませんから、午後もかかりますからいいですが、佐久間さん、それでよければ先に進みます。その検討の時間を与えるために待っていると言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/49
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050・佐久間彊
○佐久間政府委員 よく検討をいたしたいし、また御趣旨もよくわかりましたので、御趣旨もくみまして検討をその方向でいたしたいという趣旨のことを先ほど申し上げたわけでございますが、検討をいたすにつきましては、私どもの省内におきましても他の関係の局とも相談をいたさなければなりませんので、いまここでちょっと中座をいたしましてその間に検討をせいと仰せられましてもいたしかねまするので、ここはひとつしばらく時日をおかしいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/50
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051・滝井義高
○滝井委員 私がきょうこの問題をここで突如として出したのなら、佐久間さんそれでいいんです。ところが、この問題は、すでにさいぜん厚生省の説明にもあったように、もうすでに何回か相談されておって、そうして自治省が難色を示しておるという答弁がさいぜんあっておるわけです。自治省が難色を示しております。だからできないんですと。それから、全国の厚生省の母子福祉関係の主管課長会議でも陳情を受けて、みんな原則的に定数化の方向を支持している。ところがその隘路はどこにあるかと言うと、自治省と法制局と書いてあるんですが、法制局が難色を示しておるんだ、だからこれはできないです、こうなっておるんです。だからあなたの事務当局のほうが検討しておらぬことはない。私ははっきりここで申しますけれども、売春禁止法の婦人相談員までは定数化せいとは言いません。それから児童委員の定数化をしなさいということも申しません。ただ母子相談員だけは、これはもうすでに六県も定数化しておるし、いま私ざっと計算してみたけれども、やはり九百四、五十人として、一万四千円程度で十二カ月なら五千五、六百万から六千万円の金があったらいい。それに期末手当その他も入れて一億以下ですよ。一億以下で池田内閣の人つくり政策の盲点が脱却できるというなら、これは安いものです。だから私は、六千二百億もの交付税があるのだから、御存じのとおり交付税は公共事業の道路には一割八分くらいいくのです、公共事業に一割八分出す金がおありなら、日本のことしの予算の三割六分は公共事業にいくのだから、オリンピックを控えてそれを一日か二日延ばせば、これは一億くらい出ますよ。ものは考えようです。だからビルがそびえ立ち、りっぱな道路ができたって、人間が不良少年化したら何の役にも立たない。人間さまが主体なんです。だから人間を育てる方向に予算をつぎ込むべきだ。いままで日本の厚生行政において、まず第一にどこが一番金を食ったかと言うと、病気になったときの保険が食った。そうして予防に金を入れなかった。おとなのほうには金が入っていくけれども、児童には金が入らなかったのです。これが日本の厚生行政だったのですよ。いま高度経済成長政策では、公共事業その他に金が食われて、人間がどうにもならぬ状態です。だからこれをひとつ逆転をさせて、まず、ささやかですけれども、一億のはなむけをひとつ公共事業から削ってもらう。これは河野さんに言うたら、河野さんはすぐオーケーを言いますよ。公共事業の予算が、三兆二千五百五十四億、ミンナニイイヨということしの予算の中の三割六分を占めているのですよ。その三割六分の中から、一億だけひとついただこうというわけです。それから、いま言ったように地方議員のベースアップ分を上げないという情勢が出てきたから、それをひとつ目をつぶってこっちに回してもらおう。どこからもいい論理は出てくる。いいアイデア、発想は出てくるのですから、あとはあなたが踏み切ればいいのですよ。あなたが踏み切って交付税のほうで出す。こういうのは、行政局のほうじゃなくて柴田君のほうになろうと思いますけれども、しかし行政のあなたのほうが踏み切らぬことには、柴田君のほうはどうにもならぬですよ。だから、これを行政的にあなたが設置しましょうという腹になれば、柴田君を呼んで、交付税、どういう算定方式、人口どのくらいで何ぼ出すのだ、こういう形になると思います。これは厚生省は自治省と全然相談していないのですか、佐久間さんは、いままるきり知らぬようなことをおっしゃる。そういうことなら、厚生省はまた怠慢のそしりを免れないのです。さいぜん、自治省当局がなかなか難色を示すという答弁があったのですよ。それから、いまの入学支度金については財政当局と言うから、財政は大蔵省とこれはきまっておるわけだから、どうですか、これは時間を与えよといっても、三日も四日もじゃこの法案は気の毒ですよ。あした通そうというのですから、やはりきょうじゅうか、あしたじゅうにあなたのほうが検討して、返事をいただかなければならぬわけです。どうですか、きょうじゅうか、その返事をいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/51
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052・佐久間彊
○佐久間政府委員 自治省と厚生省といろいろお話し合いがありましたようでございますが、あるいは財政当局のほうに財政の問題につきましてお話もあったかと思いますが、私その経緯につきましては、ただいま正直のところ承知いたしておらないわけでございます。それでいろいろ財源の捻出方法等についても御意見を伺わせていただいたわけでございますが、これは所管でございませんので、そういう財政上の問題もございまするので、ひとつよく検討をさしていただく時日をおかしいただけるようにお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/52
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053・滝井義高
○滝井委員 そうすると、この法案は、あなたが検討するまでおいておっていいですか。いや、ぼくらはこの法案の眼だと思っておるわけです。だから、しばらくするというなら、それはそれでもいいですよ。委員長、それでもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/53
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054・田口長治郎
○田口委員長 それでは困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/54
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055・滝井義高
○滝井委員 だからぼくは、きょうはどうしても鳴いてもらわなければならぬ、こういうことになるのですよ。これを通そうとすれば、皮肉な言い方だけれども、野党はこういう迫り方をしなければ、野党の政策を実行するときはないのですよ。もう与党がみんな実行してしまって、あとはかすしか残っておらぬのだから、与党がやり得なかったことを野党ががんばってやれば、野党の成果があがる。これしかないのですよ。野党の成果をあげようがない、ここでがんばる以外には。だから法案のストップを命じて、政策を実現するという以外にいまの議会主義の方法はないのですよ、あとは、からだを張ってやったら新聞でたたかれるのですから、質問でがんばる以外にないのです。質問でがんばって、あなた方にひとつ泣いてもらうということ以外にないのです。どうですか、ひとつ明確な御答弁——それなら、これは佐久間さん一人では責任が重いですよ。いま言ったように、私ざっと計算しても五千万か六千万の金がかかりますから、赤澤自治大臣にひとつ来てもらって、佐久間さんの補佐で大臣の答弁をいただく。われわれ野党の役割りはこれ以外にないのですよ。
そこで自治大臣が来るまで、大蔵省が来ましたから、財政当局に隘路があるのは入学支度金です。これは、いまみたいなばく大な金はかからぬわけで、政策としてそれを新しく入れるか入れぬかの問題です。すでに母子家庭に対する貸し付けは九つあるわけです。その中に、じょうずの手から水が漏れるということが昔からあるのだけれども、これはおそらく入学支度金は落としておったと思うのです。いままでは、入学のときにそんなに金がよけいに要ると思わなかった。ところが、池田さんの高度経済成長政策のために物価も上がるし、私立学校その他の経営も困難になる、官立学校もなかなかそうはいかぬというようなことで、だんだん入学のときに金がよけい要るようになってきたのです。だから最近になって、ここ一、二年来、入学支度金というのがクローズアップされてきたのです。当然これは修正しなければならぬととろにきておるわけです。いままさにタイムリー・ヒットになるわけです。中尾さんなり船後さんに聞いていただきたいのは、いま厚生省の答弁で、この法律を修正することなく、入学支度金というものを十条の一項四号で大体読める、こういう説明があったわけです。入学支度金というのは、十条の一項四号の「児童の福祉のために必要な資金であって政令で定めるもの」というところで読めます、したがって法律の改正はやらなくても、財政措置ができればこれで出せます、こういうことになっておる。だからこれは条文はいじらなくてもいいことになった。そうしますと、あとは財政当局がこれを、九つのほかに一つ入れてくれるかどうかということだけになってきたわけです。それではっきりしたことは、三十九年度予算においては一億円程度資金ワクが増加をして五億になりましたけれども、その中には入っておりませんという明確な答弁があったわけです。そうしますと、法律はこれで読めるということになれば、あとは財政措置をしてもらうか、この五億の資金の中で、ことしはやりくりしてそれをお出しなさいということになってもらえるか、どっちか以外にないと思うのです。ひとつ財政当局の意見を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/55
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056・中尾博之
○中尾政府委員 法律の条文の関係でございますと、御質疑のとおり、第四号できわめて広い表現で資金の目的がうたってございますから、これでいく方法はあり得ると存じます。
それから資金の関係ですが、資金の関係は、今年度新規増額もいたしておりまするけれども、本件については明白にこれを含まないということになっておりますので、資金の裏づけはない次第でございます。予算がすでに成立、確定いたしておりますので、その方法がないというのが現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/56
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057・滝井義高
○滝井委員 だから、予算が通ったから国会は何もすることができないということになれば、この法律はわれわれはストップせざるを得ないのです。さいぜんからるる言うように、野党の役割りというのは、予算が通ったあとに法案を審議するのですから、したがって法案の中に欠陥があればそれを直して、予算は補正の予算、追加の予算の方法があるのだから、もう予算は通っておるのだからまた予算を修正する必要はないので、補正をしてもらったらいいので、ある資金、五億の資金を食ってもらって、年度末になって不足すれば厚生省の予算に補正をする方法がある。毎年補正をやっておるのですから、そうかたく考える必要はない。きわめてイラスティックに、弾力的にものを考えていいので、われわれ税金を出しておるのですから、必要なところに税金を使ってもらうのは当然のことなんです。これは明らかに、母子の団体も厚生省も、それはいまの段階では必要ですとおっしゃっておる。行政当局が言っておる。ただ問題は、財政当局がことしは出していなかった。それは私は、悪意はなかった、むしろじょうずの手から水が漏れていたという解釈をしておるわけです。だからひとつ漏れた水を年度末に補正してもらう。たいした額ではないだろう。というのは、もうことしは四月を過ぎちゃって、入学を終わっておるのだから、ことしは、途中で洋裁学校に行くとか、何か特別のもの以外にないのですね。だから少ないのです。ここであなた方お認めになれば、来年からこれは平年度化する。ことしは予算の額としては、たいしてあなた方の心胆を寒からしめるような予算ではない。だからひとつあたたかい気持ちで、じゃお出しをしましようということでいいんじゃないか。もう入学は終わってしまっているのです。いまごろから入る学校というのは、特殊学校——美容学校に入るか、散髪の理容学校に入るか、特殊の場合以外にないのですよ。その程度のことだから、中尾さんがお出しになると言っても差しつかえないんじゃないか。もう私、手のうらを言ってしまったわけですよ。これは、出していただくといっても、今度は実益は少ないのです。しかし、この法案の場合以外に言うときがないのです。もう来年になればこの法案が動き始めるから、ことし言うておかぬことにはだめなんですよ。だから言うわけです。ほんとうは、これはもう二月ころに先にやって勝負しなければいかぬところだったんだけれども、他の法案がつかえておって、げすのあと知恵になっておるのです、実を言うと。だからたいした額は要らぬですから、中尾さん、ここらでひとつあなたのヒューマニズムを発揮していただいて、佐久間さんがなかなか発揮しにくいから、あなたが先に発揮してもらったほうがいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/57
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058・中尾博之
○中尾政府委員 予算がすでにきまっておるわけでございまして、したがって、その予算の一億円の増額をいたしておりますが、これはこういうものに充てないということで国会に提出をいたしまして、御決定をいただいておるわけでございます。そういうことを申し上げた次第でございます。
それから中身につきましていろいろございましたが、問題として将来にわたってこれを検討することはおかしい問題であるというようなことを決して申し上げておるわけではありません。母子福祉の貸し付け金の制度をどうするかということは常に前向きに考えていくべき問題であろうと存じますが、現実の問題といたしまして、予算がこういうものを前提といたしませんで一億円の増額が行なわれておるということを申し上げておる次第でございます。
なお、補正予算というお話でございましたが、確かに例年補正予算を組む例があるわけでございますが、本年度補正予算を組むことを前提にいたしましてここでもってこういう措置を加えるということにつきまして何ぶんのことを申し上げるということは、現在のところできない次第でございます。これは事の性質上、御理解いただけるだろうと存ずるものでございます。状況はそういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/58
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059・滝井義高
○滝井委員 医療費もあとありますし——医療費は、もう内閣はやるということを言っている。それから、御存じのとおり仲裁裁定がやっている。これもやらざるを得ない、ことしはやるという約束をしているんだから。だから中尾さんがここで幾ら抗弁したって、客観情勢は、公務員ベースアップはもうやらざるを得ない。どんなに少なくたって二千三百円の鉄鋼は下らぬ。これはもう、いまの三公社五現業の給与総額でまかなえないことは明らかなんだから、移流用して、あとは補正をやらざるを得ないという客観情勢ははっきりしている。医療費もはっきりしているわけです。出ればやるということを厚生大臣も言っている。そうすると、この母子家庭の入学の支度金のわずかな金が、出せぬということはないはずなんですよ。そんな大ものだけは出すが、小ものは出せぬということはないのです、中尾さん。だから中尾さん、ないんだから、したがって、これはいまあなたは予算が通っておるからだめだと言うけれども、実はまだその予算を動かす法律が通っていない。だから法律を変えれば、予算は必然的に変わらざるを得ない。われわれは、その予算を審議するときには、そんな入学支度金まで中に入っておるかどうかという審議はやっていない。いま法律が出てきたところが、法律の中には、十条の一項の四号は非常に大ざっぱになっていて、この中でいま読めますと言っておるのだから、読めるならお入れなさい、こういうことなんです。だからこれは、われわれは法律を審議する権限があるのだから、修正する権限もあるのです。その権限に立って言っているわけだから、あなたが予算でだめだと言うなら、国会はまた予算をやりかえればいいのですから。だから、中尾さんは事務的にはだめですとおっしゃるから、これは政治的な判断をせざるを得ないので、今度はやはり大蔵大臣と自治大臣と一緒に出てもらって、最悪の場合は、人つくりの張本人は総理だから総理も出てもらわざるを得ない。これは八木さんがいつでも言うけれども、これはしようがない。事務当局がだめですと言うことだから、したがってきょうは私がんばりますから、大蔵省も自治省も、滝井義高というやつは、がんばり出したらとことんまでがんばる男だということは船後さんもよく知っておることだし、食いついたら通るまで離さぬのですから、それだけはひとつ心得ておいていただきたい。
一応これであれしますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/59
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060・田口長治郎
○田口委員長 午後二時三十分まで休憩いたします。
午後零時五十二分休憩
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午後三時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/60
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061・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/61
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062・滝井義高
○滝井委員 さいぜん私が持ち出しました財政当局に隘路のある入学支度金、自治省当局に隘路のある母子相談員ですか、これの答案が書けたかどうか。二時三十分まで休憩したのはそのために休憩しておったのですから、書けないならば、それはもうしばらくおいて、その次の質問に入って、もう一ぺんあとに戻ってくることになるわけですが、局長のほうの話何か前進しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/62
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063・黒木利克
○黒木政府委員 まだ具体的な話し合いをしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/63
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064・滝井義高
○滝井委員 これは委員長にお願いですけれども、法案を通さなければいかぬので、通すのか通さないかの判断は、そこらの明確な答えが出るか出ないかによって法案の運命がきまることになるわけですから、ぜひひとつ質問の終わるまでに結論を出してもらわなければいかぬと思うのです。
まあ時間の節約をしなければなりませんから、いまの二点は私の質問の終わるまでに相談をひとつまとめてもらうことにして次に移ります。
十二条で、貸し付け金の償還を免除する場合があるわけです。借りた金の全部または一部について償還を免除することができるわけですが、その場合には議会の議決が必要となる。しかしどういう場合に償還を免除するかは政令で定めることになっておるわけです。一体いかなる場合に償還の免除が行なわれるのかをひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/64
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065・黒木利克
○黒木政府委員 これは従来の母子福祉資金の貸付等に関する法律の十条の三に、償還の免除の詳しい規定があったのでありますが、今回はそれを政令に譲ったのであります。したがって政令事項は従来の十条の三を予定しておりますが、それによりますと、この「ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」というのは従来の貸し付け法によりますと、「ただし、保証人又は当該貸付金の貸付を受けた者と連帯して償還の債務を負担した、若しくは負担する借主がある場合におけるその借主が、償還することができると認められるときは、その償還することができると認められる額については、この限りでない。」という規定を政令に譲っておるだけでありまして、あとはここにありますように、「貸付を受けた者が死亡したとき、又は精神若しくは身体に著しい障害を受けたため、貸付金を償還することができなくなった」という場合は従来どおり法律事項にいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/65
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066・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いまのような十条の三に定めておる以外に、今度はいろいろの場合が——死亡とか精神に著しい障害が起こったという場合のほかは政令では考えていないわけですね。そういう場合だけを考えておる、こういうことですね。
それならば、次は十三条の2です。ここに「貸付金の償還金」の下にカッコを入れて、「(当該貸付金に係る政令で定める収入を含む。)」と書いているが、この「政令で定める収入」というのは何を意味するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/66
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067・黒木利克
○黒木政府委員 利子とか違約金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/67
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068・滝井義高
○滝井委員 貸し付けをしたら、それに対して当然償還金が返ってくるが、償還金は元利を意味するのじゃないですか。わざわざ違約金とか利子とかいうものを政令で書かなければならぬのですか。償還金というときには当然元利が入るのじゃないですか。違約金は別ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/68
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069・黒木利克
○黒木政府委員 実は、技術的にこの利子は事務費に充当することになっておりますから、この償還金の中から利子を除きまして、利子はこのカッコ書きの中でやりまして、これは事務費に充当するというふうなたてまえにしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/69
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070・滝井義高
○滝井委員 政令で定めるのは利子と違約金が入ります、こうおっしゃいますけれども、つぎをごらんになりますと、「及び附属雑収入をもって」と、こうなっているわけです。「償還金及び附属雑収入をもって」こうなれば、雑収入の中に利子や違約金は入るはずなのです。何もカッコに入れて、「(当該貸付金に係る政令で定める収入を含む。)」こう書かなくても、「償還金及び附属雑収入」ということになれば、利子や違約金が附属するものになるのじゃないですか。そうすると「附属雑収入」というのは何を意味するか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/70
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071・黒木利克
○黒木政府委員 この第三項をごらん願いたいと思いますが、「前項に規定する貸付けに関する事務に要する費用の額は、前項の規定に基づく政令で定める収入のうち」云々とございまして、事務に要する費用の規定を次に置くためにこういうような技術的な規定にいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/71
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072・滝井義高
○滝井委員 私はいま十三条の三項についても質問をしようと思ったのですが、利子を事務費に充てるのだから、したがって「償還金」にカッコをして、「(政令で定める収入)」として、違約金及び利子をしなければならぬという理由にはならぬのじゃないか。それと「附属雑収入」というものがあるのだから、そうすると「附属雑収入」とは一体何ぞやということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/72
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073・黒木利克
○黒木政府委員 これは銀行の預金利子であるとか繰り越し金とかを意味するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/73
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074・滝井義高
○滝井委員 どうも条文がしろうとにわかりにくいような形が多いんで、むしろこういうのをはっきり貸し付け金の元利償還金というようにしておいてもらったほうがいい。そしていま言ったように、銀行の預金利子とか繰り越し金とか違約金というものが附属収入です、こういったらしろうとわかりがするわけです。何か条文をしろうとにわからぬようにするのは問題だと思います。まあ、これはたいした問題でないんで……。
次の三項ですが、そうすると三項は、いまの御説明では、事務に要する費用の額を利子と違約金の二分の一、それから一般会計から繰り入れた額との合計額をこえてはならぬということになると、事務費というのが非常に弾力がなくなるわけですね。もちろん事務費をよけいに使うということは、よくないことです。よくないけれども、こういう利子と違約金の半分と一般会計から繰り入れる金額との合計額というと、当該経費に充てるため一般会計から幾ら繰り入れられるかということが第一にわからないわけです。一般会計からの基準がわからなければ、二分の一に加えた総額というものがわからぬわけであります。そうなると、二分の一なんということをやることの意味がなくなってしまうわけです。これはどうしてそういう事務費をややっこしいことにしなければならぬのか。それなら事務費はこれこれの定額にする、あるいは政令で定める定額でやるのだということで、政令を定めるのに、何億貸したときの事務費はどのくらい要るのだというふうに政令できめていったほうがいいのじゃないか。こういうことはどうも合理性が欠けておるような感じがするのですがね。こういう条文を書かなければならぬ合理性をひとつ説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/74
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075・黒木利克
○黒木政府委員 これは従来の母子福祉資金の貸付等に関する法律の規定をそのまま取り入れたわけでございますが、先生のおっしゃるように、事務費を乱用しないように一応そういう意味で限度を押えたのでございます。ただこの十年間やってまいりまして、この利子等の「政令で定める収入のうち収納済みとなったものの二分の一に相当する額」というのは、数年前までは三分の一というふうな額であったのでありますが、だんだん実際の経験から、それでは不十分だということで、つい先年の改正では二分の一にしたのでありますが、それをそのまま踏襲して、現在のところでは事務費についてはトラブルは聞いていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/75
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076・滝井義高
○滝井委員 この「当該経費」というのは、事務に要する費用の額を意味するのですか。事務に要する費用の額ではなくて、事務に要する費用として一般会計から繰り入れる額という意味ですか。「当該経費」というのは、何を意味するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/76
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077・黒木利克
○黒木政府委員 これは「貸し付けに関する事務に要する費用」に充てるためであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/77
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078・滝井義高
○滝井委員 そうすると、一億円なら一億円の貸し付けをすると、その一億円ということなんですか。当該経費に充てるための経費という、「当該経費」とは、一体何なんですか。事務費に都道府県の一般会計から入れるというならば、何も二分の一というものは要らぬということになる。当該経費に充てるための事務費というものは、適切な事務費でなければならぬわけです。それが必要な事務費の二分の一とか三分の一の少ない額では話にならぬと思うのです。だから「当該経費に充てるための一般会計からの繰入金の額との合計額をこえてはならない。」ということになっておるが、「当該費用に充てるための」という「当該経費」というのは、事務費なのか、貸し付けのために一般会計から入れる経費なのか、一般会計から貸し付けのために入れる経費というのは、国の額の半分しか入れないわけですね。その経費なのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/78
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079・黒木利克
○黒木政府委員 この「当該経費」というのは、貸し付けの経費でありませんで、貸し付けの事務に要する経費であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/79
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080・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、都道府県はみずからの住民の福祉を増進するために事務費を二分の一か三分の一以下しか入れないのでしょうが、当然これは事務費を全額都道府県が入れなければならぬと私は思うのです。それと利子が一体幾ら入るかということがわからぬのに、わからぬx掛けるの二分の一、それから事務の経費を入れる額との合計額しか事務費は使えない、こういうことはちっとも合理性がないのです。幾ら事務費が使えるのかということが、不確定要素になってしまうわけでしょう。何かもう少し条文を合理的に書く必要があるのじゃないかという感じがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/80
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081・黒木利克
○黒木政府委員 実は第三項の規定では貸し付け金の利子はまた貸し付けの対象の金になるわけでございますから、これはできるだけ貸し付けのほうに充当すべき筋合いのものですが、しかし事務費につきまして、やはり国が何らかの手当てなり援助をしなくてはならぬというような意味で、その利子のうちこういうような前提でそれは事務費に充当ができる、こういう趣旨の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/81
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082・滝井義高
○滝井委員 利子を国が充当するというけれども、その利子という果実を生んだものは、県から出した金と、国から来たその二倍の金とが集まって利子が生まれているわけで、国だけのものではないわけだ。その二分の一だけは事務費に使ってもよろしいということになれば、当該経費に充てるための一般会計から繰り入れる事務費の基準というものは、一体どういうことになるのかということなんです。そうすると、都道府県はなるべく事務費を入れまいとするわけです。それではいま言ったように、ここに二分の一の金が入ってくるから、それならば都道府県が事務費は全部出します、この金は貸し付けに回しますというととのほうが母子福祉の増進のためにはなるわけですね。こういうようにどうも厚生省はだらしがない。うしろに大蔵省の方がおられるからぐあいが悪いけれども、労働省、厚生省というのは、こういう利子みたいなものは当然貸し付け金のほうに回らなければならぬのに、事務費に一般会計から出すことなくして事務費に取られているわけです。たとえば失業保険の会計、労災の会計、みなそうです。その利子を今度は職員の住宅を建てるのに持っていかれたり何かして、その金が本来の労災なり失業者の保険給付の内容を前進させるという方向に回っていない。これもいわばその変形ですよ。氷山の一角ですよ。こういう金こそ事務費なんかに回さずに、少ない金ですから貸し付けのほうに回すべきだと思う。あるいはこういう経費こそほんとうにいま言ったような入学支度金に回すということになれば、それだけ財源が出てくるわけだ。これを事務費に取られているということはやはり私は問題があると思うのです。だからいい法案を出しておって至るところでしり抜けになっておる。こまかいことになるけれども、何しろ零細な百万に近い母子家庭を相手にする問題ですから、少しあなたのほうもけちけちしなければいかぬですよ。取る金は取るけれども、出す金は出さぬという立場で法案をつくらぬと、気前よくいままで三分の一出していたのを二分の一出すというので得意になっておってはいかぬ。三分の一のほうがいいわけだ。二分の一にしたほうが出血を多くするということになる。あなたのほうの金で事務費をまかなうということになって、大蔵省のほうがそれだけ得しておる。そういう点は私に言わせると、黒木さんはおおよう過ぎるのです。三分の一のほうがいいのです。そのかわりに一般会計から出してもらう。これのほうがよかったのであって、これは私に言わせるとむしろ改悪ですよ。こまかいことのようになるけれども、母子福祉の資金なんというのはこういうこまかいところから財源を出してこなければ前進がないでしょう。だから当然こういう事務費も社会保障なんだから、利子なんかじゃなく国から出していただくほうがよいですよ。むしろそれは貸し付け金の元本を食っているようなものなんだから、貸し付け金に回る金なんですからね。どうもそこらあたりあまりぴんとこないですな。
次は、十四条の2の意味が頭が悪いから読んでもよくわからぬのですが、「都道府県は、この法律による貸付金の貸付業務を廃止したときは、その際における未貸付額及びその後において支払を受けた貸付金の償還金の額に、それぞれ第一号に掲げる金額の第二号に掲げる金額に対する割合を乗じて得た金額の合計額を、政令で定めるところにより国に償還しなければならない。」ということは、幾ら国に償還するということなんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/82
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083・黒木利克
○黒木政府委員 この規定がありますが、実際にこういう例はいままでありませんから、その額等はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/83
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084・滝井義高
○滝井委員 実際にこういうのはないけれども——法文ですから……。条文の意味がわからぬのですよ、頭が悪くてね。どういうことなのか、どういうことを予想してこの条文が出てくるのか。国が貸し付けて、今度はまた国に都道府県がお金を返す、こういう場合がないというけれども、条文があるのですからね。あなたでわからなければ、これを専門にやった方、ちょっと説明してくれぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/84
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085・土屋勇喜男
○土屋説明員 こまかい説明でございますので、私から申し上げます。
これは国の貸し付け業務を廃止した場合、一定の金額が国から都道府県に貸し付けられておるわけでありますから、その金額に見合う額を国に返還していただくわけでございます。すなわち、国の金が三分の一入っているわけでございます。それから都道府県の金は三分の一でございます。そういうことで、いわゆる未貸し付け額について、国が貸し付けた部分を国に返還していただく、こういう規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/85
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086・滝井義高
○滝井委員 どうもわかったようなわからぬような……。これはあとで、よく個人的に聞かしてもらいましょう。条文が、ちょっと読んでも、具体的にどういうことになった場合にこういうことになるのかわからない。こういうような例はございませんからというなら、こういう条文は全部削り取ってもいいんだけれども、こういうことがあることを予想して書いておるんだろうと思うのです。ところが議員が全部じゃなくて、滝井義高頭が悪くてよくわからない。あまりわからぬけれども、例のないことを言っておってもしようがないところでありますから、あとでよく聞かしてもらいましょう。
それからこの十六条です。売店等の設置の状況です。一体こういう場合に資金対策というものが十分行なわれておるかどうか、まずその売店等の設置の状況とこれが資金の対策についてちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/86
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087・黒木利克
○黒木政府委員 お手元の参考資料の十七ページに売店等の設置状況が書いてございますが、売店等を設置する場合に、母子家庭の母と未亡人の団体とに分かれますが、いずれにいたしましても事業開始資金あるいは事業継続資金というようなものを主として融資いたしまして、開店をさしておるような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/87
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088・滝井義高
○滝井委員 この資料を見ますと、一年に百から二百の間の設置が大体できているようにあるわけです。ところが一体幾ら申し込んで幾らの売店等が設置されたか、わからぬわけですよ。問題は、申し込みの状態に対してどの程度その希望が達成せられたかということが、非常に重要なところなんです。そこで売店のところは資料がないので、たばこのほうを見るわけですね。いまのあなたの言う十七ページの上にあるわけです。それによると、昭和二十八年ごろは千四百五十六申請して五百五十七、三割八分程度の申請が指定をされておったわけです。ところが最近は三分の一の申請しかない。三十六年、五百五十八で申請の数が少なくなって、指定の数は百八十二ですから三割二分、三割台ということは同じなんですね。ところが最近になってこういう母子福祉の立法ができて、ますますたばこその他の設置を認めてやらなければならぬにもかかわらず、実質的には絶対数が減ってきておるということです。これはどうしてこうなるかというと、もう申請をしたって許可にならぬというので、初めから申請しない。申請するのは、ある程度コネクションその他で自信のあるところが申請するわけです。自信のあるところだけが申請をして、なお百八十二でしょう。これは私は扱ったことがあるから言うわけですが、これはたばこ組合というものがあって、率直に言ってボス的な人が支配しておる、なかなかこれは母子家庭の人がたばこの売店を取ろうなんていったって、たいへんなことですよ。これはやはり政治家その他に頼まなければ、とても取れる状態じゃない。だからここはむしろ私は専売公社の総裁を呼びたいのです。とてもいまの状態では取れる状態じゃない。だから私はここで大臣にもお願いしたいのは、たとえばたばこの売り上げというのはどんどん伸びておりますから、予算書をごらんになっても、一般会計に専売の納付金は千五百六十一億円です。これは昨年に比べて額はちょっと減少しておりますけれども、とにかく千五百六十一億入れるわけです。たばこの本数は去年が千五百五十一億本、ことしは千六百五十四億本ですから、うんとふえておるわけです。最近における消費状況を見ますと、肺ガンの問題で下火になって売り上げがちょっと落ちたけれども、またのし上がってきておるわけです。これはアメリカあたりでも同じです。したがってたばこの小売り店というものが——最近都市では相当団地その他ができて、人口が集中してくるから、たばこの小売り店ができる可能性が多いわけです。そこで私は大臣にお願いしたいのは、専売公社の総裁とお話しになって、こういう法律をおつくりになるのですから、たとえば一年に五百カ所のたばこの小売り店をつくるとすれば、そのうちの二割なら二割、三割なら三割は必ず厚生省にワクとしてくれるのだ、こういう言質をもらわないと、だんだん申請の数が少なくなってきて、そうして実際に許可がおりる絶対数というものは減ってくる。当初に比べてごらんなさい。昭和二十八年には五百五十七も指定を受けておったものが百八十二で三分の一になってきておるわけです。だから、この点はひとつぜひ大臣が阪田専売公社総裁とお話しになって、そうしてこれはがちっとワクを固める必要があると思うのですよ。どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/88
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089・小林武治
○小林国務大臣 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/89
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090・滝井義高
○滝井委員 こういうようになかなか厚生省は了承が早いので、ぜひひとつ大蔵省もこういうようにしてもらわぬと困る。了承をしたからにはちょっと専売の方を呼んでもらいたいです。善は急げですぐに来てもらって——委員長すみませんけれども、専売公社のたばこの小売り店を許可する人を呼んでもらいたいと思うのです。一歩一歩確実にしておいていかぬといかぬですから。
次は十六条の3です。「売店等の設置の可能な場所、販売物品の種類等を調査し、その結果を配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの及び母子福祉団体に知らせる措置を講じなければならない。」ことになっているわけです。ここが今言ったように、どうしてもワクを確保しておかなければ、知らしたわ、行ってみたらお茶を引いたということではいかぬわけです。そこで専売公社を呼んで、きょうは言質をもらうことになるわけですが、そうしますと、一体周知の方法というものはどういう具体的な方法をとっているかということです。団体にはすぐ知らせられると思うのです。しかし、都道府県知事は、一体売店の設置の可能な場所とか販売物品の種類等を絶えず調査してやるならば、それだけの経費と人が要るわけです。そして正確に母子家庭を把握して、たばこの小売りをやりたいとか、売店をつくりたいという希望をしている母子家庭を把握しておかなければいかぬわけです。こういう点については具体的に都道府県はどういうようにやっておるのか。ほんとにそういう知らせ、その他を現実にやっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/90
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091・黒木利克
○黒木政府委員 実際の運営は、母子福祉団体に公共団体から知らせる。母子福祉団体を通じて個々の母子家庭に知らせるというような方法と、もう一つは母子相談員があらかじめ母子家庭の自立上のいろいろな相談業務にあずかっておりますから、母子相談員を通じまして、自立上の一つのこととして、こういうような場所等の通知をして相談に乗るというような運営をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/91
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092・滝井義高
○滝井委員 たばこ等については百八十二指定をされた。それから売店等の設置状況は三十六年はたばこが百八十二で、売店等は国や地方公共団体、国鉄その他公共施設も加えて百十二である。こういうことになりますと、約三百程度が売店とかたばこの店にありついたわけです。そうすると、実際は、一体希望者は全部でどの程度地域的にあったのかということを、あなた方としては把握をしておかないと知らせるわけにはいかないわけです。そういう把握の機関というか、実態を厚生省はどういうようにして把握をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/92
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093・黒木利克
○黒木政府委員 先ほど申しましたように、そのために母子相談員がおるのでございまして、母子相談員が母子家庭の実情なり希望なり、あるいは自立の方法等について、常時母子家庭と接触をいたしておるのでありますから、母子相談員を通じてそういうことを把握さしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/93
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094・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、母子相談員は、単に身の上のことばかりでなくて都道府県全体における売店とかたばこの小売り店の設置の場所まで詳細にどこが適地であり、どこならば可能性があるということまで把握しなければならぬということになれば、国とか公共施設とか国鉄とかというのにもしょっちゅう出入りをしなければならぬし、それからその地域全体の発展の状態等も相当調べなければならぬということになれば、これはますます常勤の理論的な根拠がはっきりしてきたわけです。そうすると、その裏づけが出てきて、ますますわが意を強うしたというわけです。わかりました。
それから、いまのように母子家庭の売店や、たばこ小売り店の設置その他については、客観情勢を十分母子相談員が調査をする。その結果は厚生省には上がってこないわけですな。都道府県どまりになってしまう。だから全国的な情勢はいまのところ厚生省にはわからない、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/94
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095・黒木利克
○黒木政府委員 こういう売店設置の許可を得た者は報告をとっておりますけれども、どのくらいの世帯がそれを希望しておるか、これは常時報告は、求めておりません。ただ本年度予算で、こういう母子家庭の実績調査、意識調査あるいは希望調査というようなものもやるつもりでありますから、そういう機会に把握したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/95
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096・滝井義高
○滝井委員 結果はわかるけれどもプロセスはわかりかねるということですが、ここらあたりは、こういう法律をお出しになって、そうして、知事にそういうことを母子相談員を通じてやらせようとされれば、千人足らずの相談員ですから、やはりあなたのほうも一人一人の係を置いて、全国的な情勢を大所高所から把握し推進する必要があると思います。そうしないと、こういう政策は県段階だけで話がつかない場合があるのです。そこで私は専売公社に来てもらって、大きな全国的なワクは厚生大臣と専売公社の総裁なり国鉄の総裁なりと話し合って、そのワクができたならば、福島県は幾ら、それから大分県は幾ら、福岡県は幾ら、こういうような——やはり専売公社はわかっておるわけですから、およそどの程度のたばこの小売り店を出すということはわかるし、どういう駅が新設され、新しく改装されて売店その他をやるのだということは、国鉄の総裁に聞けば大体わかるわけですから、そこらの大ワクを——国鉄は国鉄自身の身体障害者や未亡人にもやらなければならぬから、外に開放することは、そうよけいはできないと思いますが、しかし、その中でも幾分でもさいてもらえるものが出てくる。そういう大ワクは、大臣同士の話、厚生省と関係各省との間で話し合いをしてもらって、そうして都道府県に流していくということになれば、厚生省は非常に尊敬されますよ。それくらいの母子福祉政策は、大所高所から見ていく。都道府県まかせではだめであると思います。
次に十八条、住宅ですね。公営住宅は、昨年が五万六千戸、今年が六万戸です。この中で一体母子に幾らもらうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/96
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097・黒木利克
○黒木政府委員 これは、昭和三十四年度以来、割り当て戸数は一千五百戸でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/97
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098・滝井義高
○滝井委員 昭和三十四年度以来一千五百戸とおっしゃるが、私の調べたところでは、どうもそうなっていない。この統計はあるいは違うかもしれませんが、三十四年九百二十一戸、三十五年が一千二百二十四戸、三十六年が九百九十四戸、三十七年が一千五戸、三十八年が一千二戸、総計五千百四十六戸となっておるのですがね。これは何かおたくからの資料で書いてきたんだと思うのですけれども、一千五百戸、ちょっと数字が違うようですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/98
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099・黒木利克
○黒木政府委員 これは建設省から割り当てを受けました割り当て戸数が毎年千五百戸。それで実際に地方自治体で建設いたしました建設戸数が、おっしゃるように五千百四十六戸ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/99
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100・滝井義高
○滝井委員 これはまさにふしぎなことです。千五百戸割り当てられていて——貧しい母子家庭は、いまや住宅を切望すること切なるものがある。ところが、実際には五百戸も建設をしていないという具体的理由は一体どこにあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/100
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101・黒木利克
○黒木政府委員 厚生省としても、地方庁を督励して、できるだけ割り当て戸数を消化するようにいたしておるのでありますが、いろいろ地方の財政等の都合でなかなかこの戸数が消化できないという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/101
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102・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、その五百戸ばかりの家は建設をしていないのですから、予算が余るか、予算が余っていなければそれは他のものに流用されてしまっているということになるのですね。これは他のものにみんな流用されてしまっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/102
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103・黒木利克
○黒木政府委員 建設省の関係ですから、その残りの、たとえば三十八年度において四百九十八カ所がどのような住宅のために建設されているか承知いたしておりませんが、少なくとも母子住宅としてはこの程度にしか消化ができなかったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/103
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104・滝井義高
○滝井委員 どうも黒木さん、ちょっと無責任のようだな。五万六千戸の中で千五百戸ずつ、ずっと割り当てられてきております。ところが、そのうちの約五百戸程度はどうなっておるかわからぬ。とにかく母子には回っていないのだ。それは地方の財政の事情でしょうということですが、私もいま住宅のことは少し研究不足ですが、とにかく三分の一の家がどこかわからぬところにいってしまっている。母子以外のものにいっておる。なるほどこれは公営住宅ですから、貧しい人にいっていることは間違いないと思うのです。他の貧しい人がそれだけ豊かになっていると思う。しかし、この母子福祉法というものをお出しになる場合に、その住宅の三分の一というものがここ数年来実現できていないというこの政策の現実に立って、そしてこの法案をお出しになっておるのですから、したがって、当然その隘路をこの法案は打開する内容を含んでいなければならぬわけです。ところが、その内容を見ると、特別の配慮をしなければならぬ、こうなっておる。そこで、一体この法案が実現をしたときには、五百戸については十八条のどういう特別な配慮をするかというのです。これは建設省がやるのでなくて、あなたのほうは、積極的にこういう配慮をしてくれということを言わなければいかぬわけです。その分については地方自治体に負担をさせず、全額国が建ててください——何か言わなければいかぬ。そのためには、厚生年金の積み立て金の還元融資を最優先的に自治体に出しますよ——これはあなた方のほうに権限があるのだから、そういうことこそあなた方の財源を使わなければいかぬ、一〇〇%活用しなければいかぬ。これは局長よりか大臣のほうになるのですが、大臣、どうですか、いま黒木さんの御説明のとおり千五百戸割り当てられているのだけれども、実際は、ここ数年千しかいっておらぬわけでしょう。そうすると、五百戸は他のものに回ってしまっている。そして、母子の住宅が非常に要望されておるにもかかわらず、それが建てられていない。母子以外の者が使っている、こういうことです。したがって、この際、地方自治体に住宅建設のために貸す金があるのだから、年金福祉事業団、国民年金なり厚生年金の還元融資、特別融資があるのだから、ひとつこの金を活用しよう、だから、母子のために五百戸を厚生省のワクに持ってきてくれ、こういうことは言えると思うのです。やはりこれは自分の権限を一〇〇%活用しなければいかぬと思うのですが、大臣、その見解はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/104
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105・黒木利克
○黒木政府委員 実はこの割り当ては、厚生省が建設省と協議をいたしまして毎年獲得するのですが、具体的な戸数は、個々の県等と建設省との協議になるわけでございます。私のほうでいろいろ実情を調べてみますと、家賃の減免というような規定で低家賃になっておりますから、地方庁としても、融資等の償還等でなかなか消化をしない。低家賃の住宅がなかなか消化をしないというような現実がございます。そういうことで最近マンネリズムになっておりますから、そこで今回特別にこういうような条文を置きまして、さらに地方庁の自覚を促し、かつ厚生省でもできるだけ——融資等の道が先生のおっしゃるようにありそうでございますから、この法律の通過の機会にはさらに督励をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/105
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106・滝井義高
○滝井委員 そういう抽象的なことではだめなんですね。法案を出して、特別な配慮をいたしますということを法案に書いておるならば、具体的に——もう現実に、ここ数年建たないのですから。これは現実です。むしろ冷酷な現実です。この冷酷な現実を解消するために、あなた方は法律に、特別な配慮をすると書いておるわけです。それならば、特別な配慮とは何ぞやという質問をしたら、打てば響くごとく、特別な配慮というものはこういうものでございます。現実に五百戸、こういう政策で解消いたしますということでなければ答弁にならぬです。与党の政策審議会ではそれで通ったかもしらぬけれども、ここの国会ではそれじゃ通らぬです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/106
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107・小林武治
○小林国務大臣 これはお話のような欠陥があると思うのです。厚生省と建設省と話し合いの上で地方団体に割りつけるわけですが、したがって、その割りつけの確約が実現するように十分に実際的に監査をいたし、またそれに支障があるなら支障を調べて、そうしていまの融資なり何なりによってやれるように実際的な取り扱いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/107
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108・滝井義高
○滝井委員 大臣は、それはなかなか具体的なことは言えぬと思うけれども、事務当局はもう少し具体的に言わなければいかぬと思うのです。まず家賃の減免の問題がある。これが一つの隘路である。それから、つくった千五百戸の住宅は低家賃なんだから、したがって、これは家賃を取って借りた金を返そうとすれば、これは非常に手直しをしなければならぬことになるわけです。ここに隘路があるでしょう。それから、いまの融資の返還の問題がある。こういう三つの問題がからまっておるわけです。この三つの問題を一体どう解決するかということになれば、家賃の減免のものについては、国が何らかの措置をやる以外には方法がない。地方の財政は苦しいのだから、実際に金を出すわけにいかない。そうすると、ここに三十九年度の予算には、母子福祉対策としてそれを計上しなければいかぬ。そうでしょう、当然計上しなけりゃならぬ。また、自治体が借りた金の利子よりか家賃のほうが安いということになれば、これは逆ざやになるわけですから、その逆ざやを解消するために何らかの措置を講じてやらなけりゃならぬと思う。たとえば交付税で半分は元利補給を見てやるか、それができなければ、少なくとも利子だけは見てやらなければならぬ政策を要求しなければならぬと思います。それから、いま言ったように、融資を非常に長期のものにしようとすれば、この金をやるときには、自治体に国民年金の金を貸しましょう、これについては大蔵省の理財局と相談をして、三分五厘でよろしいから、農業に貸すような金でいいから貸そう、こういう具体的な政策を持ってこなければ——特別の配慮をするということを書かなければいい。書いておるんだから、もう少し具体的に言ってもらわなけりゃいかぬ。子供だましでは済まされぬですよ。日々、楽な生活をやっているような人なら、いまの答弁でもいい。しかし、毎日に困っている、しかも今日住宅に入りたくてしょうがないという人に、政府が千五百戸割り当てておるのに、地方自治体が千戸しかやっていない、五百戸は他の者にいく、こういうことがわかっておって、いまの答弁でわれわれが引きさがれると思いますか、引きさがれぬでしょう。これはまた建設省に来てもらわなければならぬようなことでは困る。また、あなた方のほうが具体的な政策を出して、その上で、建設省どうだ、全部建ててくれ——地方自治体も、この千五百戸というやつはひもつきなんだ、こういうことだから、幾ら売店をしてあげます、たばこの小売り店をやります、住宅を建ててあげますと言っても、ちっとも実践が行なわれていない。実践のない法律というものはから念仏じゃないですか、そんなことじゃ自民党は創価学会に負けてしまう。だからから念仏じゃない、南無妙法蓮華経を唱えたらほんとうにごりやくがある形をつくってもらわなければいかぬですよ。またこれも建設省を呼ばなければいかぬようじゃ処置ないな。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/108
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109・黒木利克
○黒木政府委員 実は、この千五百戸と、実際の建設戸数との開きがあるということは、一つには地方の要望がこれだけないということも言えるのでありまして、問題は地方自治体がもっと母子住宅問題に責任を持つ、誠意を示すということがやはり根本じゃないかというような意味で、この母子法案を立案したのでありますが、おっしゃるように、国としても融資あるいはその他の何らかの援助をして促進するという必要もあろうかと思いますから、厚生省としては、できるだけ融資等の道が開けるように考慮してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/109
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110・滝井義高
○滝井委員 厚生省としては、融資の道を講ずるというのならば、具体的に一体どこから融資の道を講じようとするのか、これをはっきりしなければいかぬのです。だから、私は、一つの建設的な意見として、厚生年金なり国民年金の還元融資、あるいは特別融資がありますから、それをやってみたらどうですか、こういう意見を出しておる。しかし、あなた方は融資をやるといったって、どこからやるか言わないことには、絵にかいたもちですよ。法律が通ったら、これは実践してもらわなければいかぬ。だから、具体的にどこからおやりになるのか、もう少し明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/110
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111・黒木利克
○黒木政府委員 御承知のように、これは地方自治体の建設なり経営でございますから、地方起債の方法と厚生年金の融資の方法、あるいは、場合によりましては新しく補助金を考えるなり、その補助裏を起債なり、あるいは年金の融資でやっていくというような方法が考えられますから、どちらの方法がいいか、そういうことを検討してみたいということを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/111
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112・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、三十九年度から千五百戸が建てられる姿になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/112
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113・黒木利克
○黒木政府委員 この法律の通過の機会に、大いに地方庁を督励をいたしまして、できるだけこの戸数は消化せしめるように努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/113
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114・滝井義高
○滝井委員 ちょっと私資料がなくなったんですが、公営住宅を六千戸建てるのに二百七十一億四千万円の予算が組まれているのですが、これは、自治体の負担は第一種、第二種で一体幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/114
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115・黒木利克
○黒木政府委員 三分の一が大体地方自治体の負担であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/115
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116・滝井義高
○滝井委員 そうすると、八十億程度負担をすることになるわけですね。これは自治体にとっては、母子家庭というのがやはり一つの足手まといだという観念があるわけです。そういう観念があるからこそ千五百戸割り当てられても、お茶を濁して、三分の二しか建てない。三分の一は切り落とす、こういうことなんでしょう。それに対して何か具体的な施策をあなたのほうからきちっと示して、予算はこういうことになりますよということにならぬことには、とても自治体は期待にこたえるような状態にならぬと思うのです。来年からあなた方がほんとうに——私は、住宅まできょうはここで確約をとろうとは思いません。これは来年に残してもいいんですが、三十九年からやはり千五百戸建てなければ意味がないんですから、それは自信がありますかと言うのです。いままで過去数年全部千戸そこそこしか建っておらぬでしょう。さいぜん私が読み上げたように、三十六年が九百九十四戸、三十七年が千五戸、三十八年が千二戸です。そうすると、三十五年が千二百二十四戸で一番よけい建っている。三十四年以来ずっと千五百戸割り当てられているのに千五百戸に到達した年は一回もありません。だから、こういう法律ができた機会にことしから千五百戸建ててください、これは一体間違いなくやれますかと言うのです。間違いなくやれるという言明ができれば、来年になって建てたものを見ればわかるのです。うそを言ったのか、から念仏なのか、真実を語ったのかわかるわけですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/116
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117・黒木利克
○黒木政府委員 千五百戸消化するためにこの規定を特別に置いたのでございますから、消化できるように最大の努力を尽くしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/117
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118・滝井義高
○滝井委員 住宅の問題はそのくいらにしておきましょう。
それから十九条です。「母子相談員その他母子家庭の福祉に関する機関及び公共職業安定所は、就職を希望する母子家庭の母及び児童の雇用の促進を図るため、相互に協力しなければならない。」ということになっているわけです。現在失対事業に母子家庭の婦人が非常に多くつとめていることは御存じのとおりです。ところが最近は、この母子家庭を、失対事業その他で能率が悪いというのでだんだん閉鎖的になってきているととは御存じのとおりです。それはどうしてかというと、資本効率が非常に劣るということと、それからこの就労者の能率が——やはり失対事業は婦人が多い。失対事業は四割三分くらいは女子労働者だ。そのうち母子家庭は三割はおるのです。そういう状態ですから、したがって労働省は、最近失対事業に女子がだんだんふえてくるということは困る、能率もあがらぬのだということで、失対事業の打ち切り的な政策をやろうとしたことは御存じのとおりです。ところが、いま母子家庭の働く場所がないのです。だから失対に行かざるを得ない。失対が一番安上がりだ。いわゆる母子家庭にとっては、一番安上がりというのは、金を使わずして就職ができて、しかもわりあいに生活が安定してくるということなんです。これと十九条との関係です。「公共職業安定所は、就職を希望する母子家庭の母及び児童」はいいとして、他の機関と協力して就職をさせなければならぬということになっているのでありますが、これは職業安定局と十分相談をしてつくった条文でしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/118
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119・黒木利克
○黒木政府委員 これも労働省と十分に相談をいたしましてこういう規定にいたしたのでありますが、労働省としては、中高年齢層の雇用対策で、特に母子家庭の母親で中高年齢層に属する者が多いですから、この有効活用あるいは場合によりましてはパートタイムの活用というものをはかるために、いままでも家事使用人等の職業補導等をいろいろやっておられるようでありますが、今回は婦人少年問題審議会に諮問をいたしまして、母子家庭も含めて中高年齢層の雇用促進につきまして答申をもらい、対策を講じてまいりたいということで、この母子の雇用促進についても積極的に今後施策を進めたいというようなところからこの規定を置いたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/119
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120・田口長治郎
○田口委員長 滝井君、自治大臣が来られましたが、ほかに用件があるようでございますから、自治大臣への質問を早くしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/120
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121・滝井義高
○滝井委員 これですぐ終わります。
そうしますと、母子世帯がだんだん失対事業から締め出される傾向が出てきている。傾向としては出てきている。そこで生活保護にいく。そうしますと、どういうことになるかというと、失対にいっておったときと生活保護と比べると五千円から六千円収入が違うのです。そうすると、政府の政策で締め出されたために生活保護にいったら母子家庭の生活レベルが下がることになる。政府の政策で母子家庭の生活レベルが下がるような政策をとることは逆行の政策です。それから同時に国や自治体が母子家庭の暮らしが楽になるような対策を何かやっておるかというと寡聞にしてそういうものを聞かない。たった一つ私は知っておる。それは東京都の緑のおばさんです。これならばある程度子供のめんどうも見れるし、最低の生活ができる。収入を何とか確保しておりますよ。このほかに自治体が画期的なものをやっているのを見ないのです。ということになると、緑のおばさんみたいな制度がないのだから、いまのところ失対から締め出されて生活保護にいく以外に方法がない。そうすると一体どうすればいいか。母子年金もたいして前進しない。それでは児童手当をくれるかというと児童手当もまだ海のものとも山のものともわからぬ。それでは広く低家賃の住宅政策でもしてくれるかというと、いま言ったように千五百戸割り当てなら千戸しかつくらない。これはどこを見ても母子家庭にとっては八方破れです。穴だらけで行き場がない。そしていま言ったように、条文では職業安定所でそれぞれの機関が連絡をして就職させますと書いておる。書いておるけれども、いま母子世帯の相当の数がいっている失対事業その他については、そういう状態で締め出そうとしている。生活保護にいっても食えない。それでは社会保障が充実しているかといえばそれだけでは食えない。四つも五つも受けなければならないという形です。だからいま失対にいくなり生活保護を受けておるのはざらですよ。子供が少し大きくて、病気になるとすぐ医療扶助を受けなければならぬ。そして医療扶助をしばらく受けておると、お母さんが全然仕事を休まなければならぬから、生活ができなくなって生活保護に転落をしてくるのです。そういう形になっておるのです。だからそこらあたりの政策、母子家庭に対する雇用政策というものをもっとしっかり打ち出す必要が出てくるのです。福祉センターも大事です。相談員も大事です。しかし中心はやはり母子家庭の雇用政策というものをどうするかということです。みずから働いて、みずからの生計を立てるという独立自尊の精神を母子家庭に起こさせることはこの十九条にあらわれておると思うのです。この十九条が一体いかに生々発展をして現実のものになっていくかということが一番大事なところです。ところがそれについてはきわめて抽象的で内容がないでしょう。もう少しここらあたりの母子家庭の雇用政策というものを中高年齢における雇用対策と同じように政府はやはり熱意を持って打ち出すべきだと思うのです。それがないでしょう。あなたのほうで、母子家庭に対する規定をつくって、何か具体的な雇用対策をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/121
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122・黒木利克
○黒木政府委員 雇用対策は労働省の所管でありますから、労働省に対しましても母子世帯の雇用促進についてお願いをいたしておるのであります。その結果、先ほど申しましたように、また先生の御指摘もありましたように、労働力不足というような事態が発生いたしておりますおりから、中高年齢層対策として何をやったらいいか。従来のホームヘルパーとか、その他いろいろな仕事をやっておるようでありますが、さらに徹底してやるために、先ほど申しましたように諮問機関にも諮問しておるというようなことで、しばらく新しい政策まで待ってくれというようなことであります。そこで厚生省としては、身体障害者に対しましては職業安定所に特別の係がございまして身体障害者の雇用促進に効果をあげておりますから、母子のためにも特別の係を置いてほしいというようなことをお願いしておるのでありますが、労働省といたしましても将来考慮しようというようなことで、この法案通過の機会に労働省とも密接な連絡をとりまして母子の雇用促進に努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/122
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123・滝井義高
○滝井委員 労働省のほうでは、普通の母子家庭に対して積極的な雇用安定の政策はなかなか打ち出せないのです。というのは、御存じのとおり労働省は厚生省ではないのですから、一般の雇用政策をやるのに手一ぱいで、特にアクセントを強めて母子家庭だけをやるということは——身体障害者雇用促進法という法律はありますよ。しかし身体障害者に対して前進した画期的な雇用が行なわれておるかというと行なわれていないんです。いわんや母子家庭においておやですよ。だから、その点は労働省が諮問機関に諮問しておるから待ってくれということで遠慮しておってはいかぬ。やはりあなたのほうが母子家庭の実情を一番よく知っておるから、百十五万ばかりある母子家庭の働く実態その他きちっと資料をそろえ、こういうところに雇用をやってくださいという具体的な雇用の種目なんかも掲げて、諮問機関の答申が出る前に、諮問機関の答申以上のものを、あなた方の研究の成果を労働省に突きつけて要求する必要があるのですよ。それを向こうがやるまでは待ちなさいといって、法案だけは出しておいて向こうがくるのを待っておったら、百年河清を待つにひとしい状態になって就職ができない。いまぺースを見てごらんなさい。労働省のぺースの中で母子家庭は把握をされてしまって、客観情勢は締め出されようとしておるのではないか、そこを厚生省が何か一言もの申すかと思ったが何も申さない。あれだけ昨年の通常国会でがたがた乱闘になるようなことになっても、労働省はこの失対の中にたくさん働いておる婦人、三十万の失対労務者の中で四三%働いておる婦人、それについてあなた方がもの申したことを一言半句も聞かない。だからそういう点についてやはり抜かっておるわけです。もうちょっと積極的に母子家庭の雇用政策——人間は働いてみずからの働きによって収入を得て暮らすことくらい満足を得ることはないから、それをやらせなければいかぬわけだ。だからこそ専売局のたばこの問題が起こり、売店の問題が起こってくると思います。だからそこらあたりをもうちょっと黒木さんのほうで、優秀なスタッフをお持ちなんだからしっかりやってもらいたいが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/123
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124・黒木利克
○黒木政府委員 御意見のように努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/124
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125・滝井義高
○滝井委員 何度も努力する努力する——努力が多くて肩の荷が重かろうけれども、ぜひひとつ死にもの狂いでやってもらいたいと思う。児童局にはこれくらいしかやることはありませんし、これが一番おもなことですから死にもの狂いでしっかりやってください。
次はちょっとはしょって、大臣がお急ぎになりますからまた繰り返すことになりますが、赤澤さん、佐久間行政局長からお聞きと思いますけれども、いま審議中の母子福祉法案、これはいわば自由民主党の重要な選挙公約に基づいて国会に出た。この法案の主体的な役割りを演ずる、いわば龍を描いて眼の部分に当たる母子相談員が七条にあるわけです。都道府県に母子相談員を置くことになっておるわけです。ところがその母子相談員は非常勤なんです。この母子家庭のいろいろな相談にあずかるのは民生委員もあずかりますし、児童委員もあずかりますし、母子相談員も婦人相談員もあずかりますが、全部非常勤です。同時にケースワーカーが福祉事務所におるが、この人は常勤です。ところがケースワーカーは非常に手広く生活保護その他全般についてやらなければならぬので、そうそう母子家庭にのみかかるわけにはいかぬということになれば、百万をこえる母子世帯のつえとも柱とも頼む母子相談員が現在全国で九百四十二人おられるわけですが、現在静岡、和歌山、香川等大県のものが常勤体制をとってやっておるわけです。ところが他の府県は財政上の理由その他で非常勤なんです。そこで龍を描いて眼の部分に当たるこの母子相談員をぜひ常勤にしてもらいたい。いまこの給与の平均を見ますと、一万四千円ぐらいです。だから、九百四十二掛ける一万四千掛ける十二カ月分とすると、五、六千万円あったらやっていけるわけです。主としてこの金はいくとすれば交付税でいくことになると思うのです。交付税は御存じのとおり六千二百億を多分ことしはこえていると思います。先日あなたの前任者の早川さんは、われわれが入場税の問題を指摘したら、まあ五億くらいの差だから、五億くらいの金ならば財政の過程で吸収することができますから、たいしたことではありませんという御答弁をしたわけです。そういう五億の一割にしか当たらない五千万円ですから、五億が吸収できれば五千万円はなお吸収できるわけですね。だから、ここに龍をせっかく小林厚生大臣が描いたけれども、龍が天にのぼるためにはやはり雲を得なければならない、天にのぼるためには眼が必要なんだが、眼を描く人はヒューマニズムに富んだ赤澤新自治大臣以外にない、こういうことになると思うのです。そこで先ほど倉橋さんに来てもらったけれども、倉橋行政課長さんは、私はどうも賛成でございませんと言った。そこで今度は、それでは賛成でなければどういう理由で賛成でないか、これは財政上の問題、それから任用の関係その他で賛成でございませんと言う。今度はその上の佐久間行政局長さんも来てもらったところが、御趣旨はよくわかりましたから、ひとつこれは前向きで検討いたしましょう、こう変わっちゃったわけです。そこで前向きで検討するにしても、この法案を上げなければならぬ、上げるためには眼がないと上がらぬわけですね。そこでだんだん上にいくほど答えがだんだよくんなってきているわけですから、そこで大臣に来ていただければ、五千万円くらいですから、ひとつ早川さんのことばもあったし、やりくり算段で、税の自然増もことしはなお相当ある。ことしは税の自然増は三千二百五十五億円程度見ておるけれども、実際はもっとあるわけです。したがって交付税も所得税、法人税、酒税の三税の二八・九ですから、自然増が上がれば六千二百億の予算よりももっと交付税は上になるから、これは多々ますます弁ずるということになると思うのです。だから、この際五千万円のものを出していただいて、そして九百四十二人の人をぜひひとつ常勤化してもらいたい。ところが九百四十二人を常勤化してくれといっても、この中には五十歳以上の人が相当いらっしゃるから、それを一挙に常勤化することは不可能だと思うのです。とすると、常勤化の可能性のある者はおそらく半分くらいじゃないか。五千万円の半分二千五、六百万円あったら足りる。こういうような問題があるわけです。そういう技術的な問題は厚生省当局と自治省当局と検討してもらってけっこうでございます。とりあえずとにかく答弁としてはこの非常勤というものを抜いてもらって常勤にいたします——具体的な九百四十二人のどの部分を常勤化するかという取り扱いについては、これは検討してもらって差しつかえない。これだけ弾力のあるところの質問をしておるわけです。だから私は墨をすって濃くして新しい筆につけてあなたに渡しますから、ひとつ墨痕あざやかに龍の眼を入れてもらいたい、こういうことなんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/125
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126・赤澤正道
○赤澤国務大臣 滝井委員とは久しぶりにお目にかかって、また例の緻密な論陣をいま張っておられるわけでありますが、いつでも当局の者は振り回されて往生するわけでございます。しかしなるほど筋の通ったことばかり申されますけれども、やはりこっちにはこっちの都合があるわけでございまして、いかにりっぱな議論をたくさんお述べになりましても、そう簡単に眼を入れるというか、そういうわけにはいかないわけであります。やはり限界がありますが、たった二千五百万円けちなことを言うなというような表現があったようでございますけれども、何六億二千万使っておっても、二千五、六百万円といったってたいへん大きな金額でございます。そこでやはり自治省といたしましては、交付税でこのめんどうを見ることになりますが、このこと自体は滝井委員がおっしゃるとおりでございまして、母子家庭のめんどうを見ます一番中心にならなければならぬ相談員が、給与が不十分であるということは残念しごくだと思うのです。だから近い将来やはりどんどん仕事の内容も加速度的に非常にふえてまいるでございましょうし、十分な報酬を出さなければならぬことは当然でございますので、おそらく行政局長が前向きでということを申し上げたと思います。前は向いておりますけれども、いまの時点で出さぬかというお話ですが、もうすでに地方財政計画というものは御承知のとおり、すでに終わっておるわけでございますし、これはやはり近い将来の問題として何とか御期待に沿えるような方法を考えなければならぬのじゃないか、ただ、いま一人当り一万四千円ぐらいやっておったのでは困る——常勤にしていけば倍にもなりますか、私、詳しい算定はいたしませんけれども、しかしながらいずれにいたしましても、将来は事務の内容等も十分研究いたしまして、そして厚生省ともよく協議をして、これは文字どおり前向きな形で解決していかなければならない、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/126
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127・滝井義高
○滝井委員 私は二千五百万円がけちな数字だと言っておるわけではないのです。あなたの前任者の早川君が予算委員会で、われわれは——外人の料理飲食消費税は閣議で変更されたのですよ。そうすると、地方財政計画に五億以上の変更が出てくるが、これについては変更する必要はないかという質問をしたら、それは変更する必要はございません、五億ぐらいのものは六千二百億以上もある交付税で、税の自然増収も今後見込めますから、したがってこれを吸収できますという答弁をしたのです。これはあなたの政府がしたのです。田中大蔵大臣もしたのです。だから五億の一割にしか当たらない五千万円ですから、したがって大臣が言ったように、地方財政計画ができておるから変更できないという論理は当てはまりませんよ。こういうことをあなたのほうの大臣が言っておるのです。そんなものは計画をつくっておったってだいじょうぶというような答弁をしてくれておるのです。だから、あなたはいま逆な答弁をしておるのです。そういう出たとこ出たとこで、いいかげんなことを言っちゃ困る。竜の眼ができるかできないかで、この法案が通るか通らないかがきまるのだから、ひとつはっきりしてください。これは早川君は五億円でもよろしいと言ったが、あなたはいま五千万円でもだめだといろなら、前の大臣と違うことになるのですよ。前は予算委員会ですぐ言ったのですからね。だけれども、これは五億円でも変更しましょう、変更しても、これは年度の途中でどんどん変わっていくものですから、とやはり言っておるのです。だから、そう地方財政計画を窮屈に言う必要はないわけです。これはあなたの前任者が私のほうに教えてくれたのです。だから、ぜひ県と相談しなければならぬと言っておるけれども、これは金をつけさえすれば、何も相談しなくたって県のほうは喜ぶわけです。五千万円ですから地方財政計画が狂っても吸収はできる。いまは五千万円違うかもしれない、しかしこれは修正ができる。しかもぼくもしろうとじゃないのだから、地方財政のことは知り尽くして質問しておるわけですからね。したがって、ぜひやっていただいて、普通交付税でまかなう——普通交付税ならば人口何万について何人置いたらどう、こういう基準が出るわけですから、ぜひそれをやってもらいたいということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/127
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128・赤澤正道
○赤澤国務大臣 以前滝井委員の理詰めの戦法にあって、途中である措置を政府がやむなくやった事例も確かにあったように記憶いたしますが、早川前大臣が何を申したか、私存じませんけれども、やはりそのときの時点ではかなりゆとりのある考え方を前大臣が持っておったのではないかと思うわけでございます。ただいまの滝井委員の御提案は、さっきのおことばにありました——なかなか早口ですから、ちょっと聞き違えたかもしれませんが、もうすでに行政局長から聞いておるだろうということだったのですが、たったさっきちらっとそういう御要求があったといって聞いたばかりでございまして、やはりこの問題は、先ほど申しましたように、いまの時点となりましては、一応われわれのほうといたしましては、金額はわずかでも協議をしなければなりません。ただ、この問題については前向きで善処いたしますということを行政局長が申したようでございますけれども、そういう姿勢でいましばらく検討の時間をかしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/128
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129・滝井義高
○滝井委員 この問題はあなたの来る前に厚生省が答弁しておるのです。自治省と折衝して認めましたが、財政当局がなかなかかたくて了承が得られていないのだということを言っているわけなのです。そこで御存じのとおり、与党はこれでよろしいと通過してきているのです。ところが野党が国会で出た法案を前進させようとすれば、法案を通すとき以外にないのです。野党が自己の持っている政策を前進させようとすれば、それ以外にないわけです。それは何かというと法案を通さぬという以外にないのです。だからあなたが前向きで検討するというなら、どうぞ前向きで検討していただいていい、検討するまで私は待てばいいのですから。通すなら君らの力で通したらいい。だから、与党がやったことで、あとは、野党がいいという言うことは何でもかんでもみな通さぬ、あなたがいまの答弁でそれはできないというなら、池田総理を呼べと言っておるのです。天下の池田総理が全国の百十万の母子世帯のために五千万円の金さえ出さぬというなら、それでよろしいというのです。これでわれわれは政策は対決しているのです。天下に公表すればいい。池田さんは人つくりと言うけれども、母子家庭のためにはわずか五千万円の金も出しませんよ、これでこの次の選挙は国民が批判してくれるのですから、それでいいのです。それがわれわれの主張なのです。だから、そこらを理論的にきちっとしてもらえばいい——われわれはその五千万円の金もないんだ。そのかわり今度は、金がないんだから地主に一文だって出すわけにはいかぬのですから。ところが地主には国会も半ばを過ぎて終わろうとするときに千億の金を出します、こう言っているのです。そして未亡人のためには金を出さぬという内閣ならば、われわれは鼓を鳴らして天下にこれを表明すればいい。だから、これは前向きならば、いつまで前向きで検討しているか、それを答えてもらえばいい。あしたまでですか、あさってまでですか、それとも会期が十七日で終わろうとしているのだから、終わりまでにはやってくれるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/129
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130・赤澤正道
○赤澤国務大臣 さっきも申すとおり、滝井委員のおっしゃること少し無理じゃないかと思うのです。なるほどこれは気の毒な母子世帯のめんどうを見るということである。ですから、私はあえて否定をするわけじゃないわけです。ただここでいいことをずっと並べて、これを直そうとするが、政府がやらなければ天下に訴えるとおっしゃるならやむを得ないと思う。しかし私が申しましたのは、われわれのほうにも都合があるので、そのことも考えていただきたいということと、いまの時点で急に言われて、また滝井委員の場合はすぐそれをうんと言えとおっしゃるけれども、いまの政治はなかなかそういう仕組みになっておりませんので、なおそういった姿勢で私は検討いたしますからということを申し上げたにすぎぬわけでございますので、その点はひとつ御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/130
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131・滝井義高
○滝井委員 都合があるというならば、一体どういう都合があってできないのか言うてもらわなければ困る。倉橋さんは何を言うたかというと、資格の問題と財政の問題です、こう言った。資格の問題は、われわれは資格のない人はやってもらわなくてもけっこうです。非常勤でけっこうです。そうすると、あとは財政の問題だけだ。財政は一体どこに隘路がありますかというと、地方財政計画をつくったから、こういうことなんでしょう。それは前の大臣は、五億くらいの金はいつでも吸収できます。六千二百億もあるのですからという御答弁がありましたよ。こういう実態はわれわれもよくわかっておる。掛け算をしてみたら五千万か六千万にしかならぬのだから、そのくらいのことは吸収できるのじゃないでしょうか。だから、私は隘路と言った点を全部反論しているわけです。そうすると、できない理由は具体的にどこにあるのですか、こういうことなんです。いまのように都合があるならば、その都合を言ってもらわなければ困る。政府が法案を出して、厚生省当局はいまの段階では非常勤ではいけません、これは常勤にすることが、定員化することが一番いいのですと言っている。しかも仕事をする皆さん方も、私は実際はもう六日、七日と出て仕事をしております。だから定員化してもらうほうがいい、こう言っている。行政を担当する当局が常勤化を主張する、働いていらっしゃる相談員の皆さんが常勤化を望んでおる。隘路はただ財政だけだ。そうすると財政は、六千二百億の財政から出ない客観情勢があるならば御説明を願いたい、こういうわけなんです。理詰めだといっても、理屈で言うその論理をひっくり返すことができなければ、納得しなければ民主政治というものはない。何のためにわれわれが勉強して質問するのか意味がない。だから、あなたがきょう答え切れぬならばあすまで待ちます、こういうわけです。短兵急のようであるけれども、私は、これは鳴くまで待とうホトトギスというわけにはいかぬ。鳴かしてみしょうと初めから言っている。あなたができなければ池田総理に来てもらって、どうしてもできぬというなら、それであきらめます。内閣は人つくりを唱えておるのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/131
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132・赤澤正道
○赤澤国務大臣 母子相談員の定員化だけ——今日大きないろいろな問題を控えておるので、それに一つこだわった形で持ち込んでこられますけれども、私はそういうふうに考えておらぬわけでございます。これはほんのわずかなことのような表現にちょっと聞こえますけれども——ということは、これもその主張が通った、その次はこれだ、その次はこれだという形は、これは社労関係だけでいっておるわけじゃありませんので、われわれのほうとしては、ああいうふうに計画を立て予算も組んでおるわけでございます。御趣旨はよくわかるわけでございますが、だから、いまどうだ、あすまでに回答するか、でなかったら総理を呼ぼう、法案を通さぬというようなことじゃなしに、もう少しゆとりのある立場を与えていただきたい、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/132
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133・滝井義高
○滝井委員 十分ゆとりを与えておるわけです。九百四十人の中で資格のない人はけっこうです、全部やっていただかなくてもけっこうです、こう言っている。母子相談員はたいしたことないというけれども、この法律でもし母子相談員を抜いたら何がありますか。みんな寄せ集めの法律ですよ。やはり一歩でも前進しようとすれば、これを常勤化する以外にない。これが活動の中心です。九百四十人全部してくれということは言っておらぬわけです。おそらくその中の半分くらい資格があるでしょう。そのくらいの財政はひとつ出してくれませんか、こう言っている。これが一体無理ですか。三兆になんなんとする国の予算を組んでおって、地方財政も同じような予算を組んでおって、その中から、百十万の貧しい日本の母子家庭のために二千万か三千万の金を出せないはずがない。私は前もって言っている。一つを言うと、滝井のやつは必ずまた他の者の常勤化をやれと言うだろう、そういう勘ぐりはしなくてもけっこうです。同じように婦人相談員がありますけれども、この常勤化は申し上げません、民生委員や児童委員の常勤化も申し上げません、この法律を通すにあたって、これだけをひとつやってください、こういうふうに非常に限局して自治省にはものを言っている。大蔵省にはもう一つある。しかし自治省にはたった一つそういう形でものを言っている。しかも九百四十人全部とは言っていない。資格、財政の許す範囲でけっこうですから常勤化してください、こういうことなんです。だから無理は言っていない。しかも、あなたはきょうが初耳かもしれぬけれども、事務当局との間には、この法律をつくるためには相当折衝している。だからこそ倉橋行政課長は来るやいなや、質問に対して、それはもう折衝したけれどもできかねます、それは資格と財政の問題だ、こう言っている。だから、資格のない人はけっこうですと、私のほうは譲歩しておる。そうすると、あとは財政の問題だけだ。財政は計画があるといっても、六千二百億の計画で、いま言ったように税というものは動くものだ。したがって二八・九は動かなくてもかける主体が動くのですから、収入はふえたり減ったりするわけです。客観的にふえる情勢です。私は無理を言っておるわけじゃない。無理なら、友だちのあなたに言わぬですよ。実際に無理でないからこそ言っている。私は初めから宣言している。きょうは一日でもがんばりますよ、こう言っている。だから、きょう御答弁ができなければ、納得いくように事務的に御検討願って、あすでもけっこうです。あさってでもけっこうです。十七日まで会期がありますから待ちます。衆議院を通れば参議院はすぐ通してくれるわけですから同じことですよ。衆議院で私ががんばらなければ参議院で同じように藤田君かだれかががんばるわけですから、早いところ能率をあげたほうがいい。こういうものはどうせ出さなければならぬものなんです。がんばったって、こっちもがんばるんだから。これ以上答弁を求めませんから、ひとつ今夜一晩よく眠って、貧しい母子家庭のことを夢に描きながら、あした涼しい頭でもう一ぺん出てきていただいて、ひとつ議論させていただきたいと思う。それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/133
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134・赤澤正道
○赤澤国務大臣 先ほどから申しましたとおりで、一銭も出しておらぬわけではない。私はいま非常勤でありながら出しておる金額は幾らか実はうかつで知らなかった。あなたのお説によると一万四千円出ておる。それを常勤にすると何倍になるか存じませんけれども、これは単に何%の賃上げというふうなことではないわけなんでして、やはりほかにもいろいろそれと同じようなものがたくさんございますから、そういったものもからめて——さっき滝井委員はこれだけなんだ、ほかのものに波及することは断じてないということを私は初めて伺ったわけでありますが、やはり事務当局のほうでは、いろいろないままでの例からいって勘ぐっておるかどうか知りませんけれども、何か考えるところがあって、ことしはせっかくこういう計画のもとにやっておるのだから、お認め願いたい、そして来たるべき年にはやはり前向きでいたしますという答弁を行政局長がしたのではないかと思うわけでございます。私も実はそう詰めて研究しておるわけではございませんから、またこの問題につきましてはよく相談をいたしまして、答弁をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/134
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135・滝井義高
○滝井委員 相談をして、ぜひひとつすみやかに結論を出すようにお願いをいたします。これは委員長、いまお聞きのとおり、ちょっとペンディングになりましたから……。
専売公社の販売部の調査役齋藤さんがいらっしゃっておるそうですか、実は齋藤さん、まだお聞きになっていないと思いますけれども、母子福祉法という法律案をいま審議中なんです。その法律の十七条に専売品販売の許可というのがあるわけです。専売公社は母子家庭の御婦人に対して「製造たばこの小売人に指定するように努めなければならない。」ということになっておるわけです。最近のたばこの指定の状態を見ますと、昭和二十八年には千四百五十六人が申請をして五百五十七人、三割八分程度許可されておったわけです。ところが最近はだんだんその許可がむずかしくなったものですから、申請する数が少なくなって、三分の一になったわけです。五百五十八人申請して、指定された数は百八十二人で、二十八年当時、いまから十年前に比べて三分の一程度になってしまったわけです。申請が少ないから、百八十二人の指定というのはなるほど三割二分に当たるわけですが、このようにだんだん少なくなる傾向があるわけです。ところがたばこの販売高は御存じのとおり、ことしは納付金は減りましたけれども、販売高はうんとふえておるわけです。したがって、全国でどの程度のたばこ小売り店が年に増加をしておるのか、まずそれをちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/135
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136・齋藤欣一
○齋藤説明員 お答え申し上げます。
全国の小売り店は現在大体十七万店ございます。年々の増加の数と申しますのは年によって若干幅がございますけれども、大体四千店から五千店でございます。したがいまして、割合にいたしますと二、三%ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/136
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137・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、四千店の中から百八十二件指定されたわけですね。非常に少ないわけです。そこで母子福祉法で国鉄その他公共施設に売店をつくったり、特に専売公社のほうは母子家庭のために小売り店に指定するようにつとめなければならぬという法律をつくったからには、これは普通の者に対する規定ではつとめなければならぬという訓示規定でいいと思うのです。ところが失対からも追い出されて、他に職がないという母子家庭であれば、やはりこういうところに優先的にやってもらわなければいかぬわけです。
そこでお尋ねをしたいのは、厚生大臣にさいぜん専売公社総裁と四千なら四千のワクの拡大が毎年あるとすれば、その中の一割とか二割は必ず母子家庭にもらう、こういう話し合いをしたらどうだと言ったら、了承いたしました、そういう話をやりますということになった。しかしこれは善は急がなければならぬので、この法案はやがて通さなければいかぬから、したがって、あなたのほうで厚生省と——きょうは数を言ってもらう必要はない。しかし少なくとも四千あれば、二割くらいの八百くらいは母子家庭に優先的に提供する必要があると思うのです。最近私はたばこ専売その他にちょっと頼まれて関与したことがあるが、なかなかたばこの組合が、いろいろ問題がある組合ですが、がんとして聞かない。特に弱いような人のときには反対をしてなかなか許可がもらえない。そこで多くたばこの許可は政治家が介入しています。したがって、そういう政治家が介入せずに、役所なら役所にもらったならば、それを各都道府県の未亡人の母子家庭の人口に案分をしてやって、公平に、フェアプレーの政治が行なわれる形をつくる必要がある。そして声なき声を率直に聞いて、未亡人母子家庭に小売り店を配分していく必要があると思う。そのためにあなたのほうで厚生大臣と話し得る態勢があるかどうかということです。そして二割なら二割というものをきちっと厚生省にワクをやる意思があるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/137
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138・齋藤欣一
○齋藤説明員 滝井先生もよく御存じかと思いますが、母福法、身福法によりまして、専売公社はそういう方々の申請に対してできるだけ指定するようにつとめなければならないことになっております。それを受けまして、私たちのほうもいろいろ取り扱いがございまして、一般の申請に比べまして、ある程度甘い基準を設けて処理しているわけであります。したがいまして、さっきお話のありましたように、かりに一般の指定割合と申しますか、これが大体四人に一人くらいの指定割合になっておりますのに対しまして、母子家庭の申請者の場合は四割くらいになっておる。いま御指摘のございました申請者の数がだんだん減ってきておりますのは、どういうわけか、私もよく存じませんが、少なくとも現実の数字を見てみますと、申請された中の、たとえば十人のうちの四人までは指定になっている、一般の方だとそれが二人半くらいというわけで、私のほうで指定をいたします場合のものさしと申しますか、取り扱いを、そういった家庭に対してはかなり緩和しておりますために、そういうことになっていると思うわけです。ただいまお話がございましたけれども、指定につきましては、私どもは公社自身でやっております。したがいまして、たとえば販売組合とかそんなものは一切関与しない。私たちの指定の取り扱いの基準と申しますか、これは数字的にできておりまして、それ自身についていろいろ検討すべき問題はございますが、現行の手続と申しますのは、第一線で適当にあんばいするという性質のものではございませんので、非常に事務的にやっております。したがいまして、たとえば販売組合が非常に反対しているので、せっかく基準に合うにもかかわらず、母子家庭が指定にならないというふうなことは、私たちは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/138
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139・滝井義高
○滝井委員 販売組合は関与しないというけれども、選挙のときなんか見ると、販売組合の命令一下、特定候補のビラをぱっとたばこ店に掲げてしまう。これは選挙のときくらいはっきり統制がわかるものはない。私は政治家で、商売で選挙をやってきているから、ちゃんと一目瞭然にわかる、どこを支持している、だれを支持しているということがすぐわかる。それくらいですから、必ず政治家が関与する。だから、あなたが幾らここで抗弁されても、現実はそうではない。たばこ組合の力というものは非常に強い。しかも特定のところでは政治家が組合長になっているから非常に強い。したがって、未亡人なんかがそれを簡単に取れる情勢でないから申請をしないのです。したがって、やはりこういう法律をつくるには、あなたのほうの四千なら四千のワクの中から一割とか二割を厚生省に差し上げる、そしてそれでやるということにならぬと、つとめるということにならぬです。訓示規定になってしまう。これは私は無理じゃないと思うのです。それから先は数字的な条件が必要によってくる。まず、たばこ屋をやるためには金が十万とか二十万とか要ります。その金をこっちから貸してもらわなければならぬのですから、そういう条件は厚生省のほうで母子家庭のためにそろえてやる。そろえてやれば、今度はあなたのほうはそれを認めてやる、こういう形にならなければいかぬと思うのです。それにはワクがなければ——厚生省もそのために未亡人にこの法律では知らせなければならぬことになっている。今度たばこはあそこにできるから、あなたは申請しなさいということを一々知らせなければならぬことになっている。ところが、ワクをもらわずしてこれはやみくもに知らせるわけにはいかぬわけです。知らせたわ、取れなかったわでは困るのです。だから政策を実効あるものにする、この法律をほんとうに大衆の中に生きたものにするためには、やはりワクをおたくからもらわなければいかぬわけです。やったからといって、厚生省が恣意的に許可するんじゃなくて、当然おたくと合議の上で許可をする、しかし母子家庭のワクは四百なら四百、八百なら八百という、こういうワクをちゃんときめてもらわなければいかぬ。そうしないと、これを見ると五百もそこらも許可になっておったものがだんだん減ってきておる。これはそれだけ条件がむずかしくなってきた、競争が激しくなったからです、だから申請したくてもあきらめているわけです。だから、われわれのところにも、母子家庭でぜひひとつたばこ屋になりたいというのがたくさんきております。たくさんおるけれども、見通しがつかぬですから、われわれのほうは、それは出したって金も要るからむずかしいと言って断わっておるのです。しかし、法律でそういう形になれば、仕事がなくて困っている母子家庭にはそういうものができることになるわけです。だから、厚生大臣はぜひひとつ専売公社の阪田さんと相談してやりたい、こうおっしゃるけれども、あなたのほうの事務当局がそういうものはだめですと言えば、総裁はまたやらないのです。いまの赤澤さんと同じだ。事務当局が反対すると、大臣も、いまのビューロクラシーなかなか強いですからね、簡単にはいかないのです。阪田さんは、役人出身だからあなた方を押え切れるかもしれぬけれども、やはりものごとは事務当局から積み上げていかなければならぬ。だから私も、あなた方を呼んで言っているのです。やはり一定のワクをやるだけの雅量を持っているのかどうか、あるいは、もちろんワクはあなた方と厚生省と話し合ってきめるものだ、きめたら厚生省がそれを都道府県に配分をして、そして都道府県から、数字的に見て合理的な母子家庭に優先的にやらしていく、こういう形にならぬと、手のうちに切符を持たずして汽車に乗りなさい、乗りなさいと言ったって、切符がなければ乗れないのですから、切符をあなたのほうから発行してやらなければいかぬ。発行してやりますかと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/139
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140・齋藤欣一
○齋藤説明員 実はちょっとくどくなっておしかりを受けるかもしれませんが、さっきの販売組合の問題について申し上げますと、販売組合はやはり同業者の団体でございます。したがいまして、あまり同業者がふえますと困るというふうな事情は十分ありまして、小売り屋さんの指定がふえることについて、かなり警戒的な空気を持っているというふうに私たちは判断しております。しかし、私たちの理解しております範囲におきましては、少なくとも母福申請関係のことについて販売組合がそういう空気を示しているということは聞いておりません、母福申請はしようがないのだというふうに思っていると私は理解しております。
それから、ただいまお話しのありましたワクの問題でございますが、実はきょう初めてお伺いしましたのでちょっと見当がつきかねますけれども、結局問題は、私たちの取り扱いのものさしの問題といいますか、そういうことであろうかと思うのでございますが、たばこ屋さんと申しましても、これは比較的、こう言ってはあれでありますが、わりあいだれにでもできるといいますか、わりあい営業しやすい商売でございます。営業しやすい商売でございますけれども、やはり店の位置でございますとか、結局お客さんにある程度買いやすいというか、便利な所でなければいけないとか、いろいろなことがございまして、そういったことの適格な方がだんだん減ってきておりますと、申請があってもこちらでは、いまのものさしでは指定できないということに相なるかと思うのでございます。ですから、適格な母子家庭の方なら、申請をしていただければ、いま私が申し上げましたように別に販売組合の方も反対する筋合いのものではございませんし、またこれは別に販売組合がきめるわけのものではなく、私どもがきめるものでございますから、その辺のところは御心配ないと思っております。
まあ、ワクの問題につきましては、繰り返しますけれども、いま申しましたようにちょっと見当がつかないのでございますけれども、かりに厚生省からそういった申し入れがございましたら、とにかく私たちとしてはいろいろ検討してみて、どういうことになるか勉強しなくちゃならぬわけでありますが、一体ワクをつくった場合にどういう姿になるかということをいろいろ検討した上でないと、はっきりしたお答えはいたしかねるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/140
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141・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、母子家庭が申請をした場合には最優先的に認めていく、しかし認める条件は店舗の状態、便不便、それから金の問題があるわけです。これだけのものが大体そろえば、小売り組合等の反対があっても許可をいたします、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/141
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142・齋藤欣一
○齋藤説明員 大体御承知かと思いますが、小売り屋さんを指定する場合にいろいろな条件がございます。ございますけれども、その中でかりに大きな条件を三つとってみますと、隣の店との距離の問題がございます。あまり近い所に小売り屋さんを置くことはかえって不適当なことがございますので、各地域によって、距離は何メートルおきにしなければいかぬということになっております。もう一つは、それとうらはらの問題でありますが、その店が一カ月間にどの程度売れるだろうということ、あまり売り上げの小さい店をつくると公社側としてはいろいろな経費もかかりますし、能率も悪いわけでありまして、これも都会地とかいなかとか、いろいろクラスを分けまして、この地域にはどれくらいの、標準売り上げ高と言っておりますが、どれくらいの見込みがあるかということをいろいろと計算いたします。もう一つの問題は、資金の問題でございます。それで、標準取り扱い高に対してどの程度の自己資金を用意しなければいけませんという、三つのものさしがあるわけでございます。このおのおののものさしについて、母子家庭につきましては一般の場合よりもある程度割り引きしたものさしをつくっているわけでございます。したがって、そのものさしに合ったものについては、私たちは、これを指定するということについて別に何もためらうことはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/142
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143・滝井義高
○滝井委員 わかりました。そうすると、隣の店との距離、一カ月間のいわゆる標準売り上げ高、それから標準取り扱い高に必要な資金、この三つがそろえば、母子家庭が申請をすれば最優先的にやることについてやぶさかではない、こういう御答弁をいただきました。
そこで、厚生省にお尋ねするのですが、厚生省は、この十七条をおつくりになるについて、専売公社と一回も相談したことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/143
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144・黒木利克
○黒木政府委員 これは先生方がおつくりになりました母子福祉資金の貸付等に関する法律、この十年前の立法にもございまして、その当時から専売公社あるいは大蔵省と相談した上でこの規定をつくっているのでございますが、ただその後、いま言ったような割り当ての問題等につきましては、直接折衝したことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/144
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145・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、あなた方としては、一体、たばこの小売り申請というものについて、全国の未亡人会その他からの要請がどの程度あると見ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/145
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146・黒木利克
○黒木政府委員 お手元にあります過去の実績、これは二十八年当初はかなりの実績があったわけでございますが、いささかマンネリズムになっていることは事実でございますから、この機会にひとつ努力したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/146
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147・滝井義高
○滝井委員 どうもこういう点が、あなた方はきわめて消極的なんだ。だから、やはり母子福祉政策をやろうとすれば、単に金を貸すというところだけではないわけです。金を借りたら、それを使うところを開拓してやるというところに、やはり相当重点を置かれなければいかぬと思うのです。それがやられていないから、こうして専売公社を呼んでみるとあなた方との連絡が全くないので、そういう割り当てその他の話も何もありませんということになって、まるっきりこの法案というものは母子福祉の貸し付けの点ばかりが問題になっておって、さいぜん言ったように雇用の問題とか、売店の問題とか、あるいはたばこの小売りの問題というのが具体化されていないわけですね。こういう点をもうちょっと黒木さんのところで具体化して、関係各省と折衝して、やはり全国的にこの法案を動かすような体制をつくらなければうそだと思うのです。それで、いま齋藤さんのほうから具体的な基準も出してもらったのですから、それからあなたのほうと小売り店の問題については具体的にひとつ相談をしましよう、こういうことなんですから、きょうは私はワクを何割くれとは申しません、これは資格がなければならぬことは当然なんで、専売品ですから、古いたばこを、売れもせぬたばこを長く店頭にさらしておいて、たまに買いに来たら、そのたばこにはカビがはえておったということでは消費者にたいへんな迷惑をかけるわけで、ひいきの引き倒しでは困るので、そういう点は資金の面なり、距離の面なり、売り上げの面等を十分配慮してもらって、全国の未亡人の団体その他各県にも通達をして、全国的な希望数を出してもらって、そうしてそれを年次的に折衝して、一年に四千程度ふえますというのが出ておるのですから、その中で一体未亡人の要望をどの程度達成していくかということをはっきりしてもらいたいですな。どうもしろうとの私が気がつくことを、専門家の黒木さんのほうで気づかずに、やっていないなんというのは、どうも黒木さん怠慢ですよ。もうちょっとふんどしを締め直して母子福祉の前進のためにがんばってもらいたいと思うのですね。それでは、ひとつ専売公社のほうも児童局のほうと、この法律ができたのですから相談をしていただいて、いまの条件に当てはまるものは優先的に認めてもらう体制を全国的につくっていただくことを要望して、この問題については終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/147
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148・田口長治郎
○田口委員長 暫時休憩いたします。
午後五時四分休憩
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午後五時四十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/148
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149・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/149
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150・滝井義高
○滝井委員 午前中から、母子相談員の問題、進学支度準備金と申しますか、あるいは入学準備金と申しますかの問題、それから公営住宅を母子家庭にどの程度配分していくかという問題、あるいはたばこの小売り店の申請に対してどの程度許可をするかという問題等について、いろいろ御質問をしてまいりました。で、もう少し厚生省当局はふんどしを締め直して、これらの具体的な施策の実現に邁進をしてもらいたいと思います。
特に、最後にお尋ねをいたしておきたい点は、母子相談員その他については自治省でなお検討をするそうでございますから、ここで最後に大臣にお尋ねをいたしたい点は、入学支度金と申しますか、準備金と申しますか、この問題についてでございます。これは午前中以来、大蔵省とそれぞれ文部省なり厚生省と御相談をして御答弁をいただく、こういうことで午前中の質問の終わりは休憩に入っておったわけです。相談ができたと思いますが、厚生大臣として、母子家庭の子弟が高校なり大学に行く場合に、最近は非常に金もかかるようになっておりますし、入学にあたっての支度金なり準備金が要ると思います。これに対してどういうように話がまとまったのか、大臣から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/150
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151・小林武治
○小林国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、母子世帯で入学にあたり学費の支出が困難な者に対し、その必要な資金は、来年三月より貸し付けられるよう善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/151
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152・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、入学にあたりということでございますから、入学金その他のことをこれは意味するのだろうと思います。これは大蔵当局も、いまの答弁に対して当然財政の裏打ちをしてもらえると理解をして差しつかえありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/152
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153・中尾博之
○中尾政府委員 財政当局といたしまして、ただいま厚生大臣からお答えになりました御趣旨の線に従いましてその具体化に当たるわけでございますが、事情の許す限り、うまくまいりますように十分に協力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/153
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154・滝井義高
○滝井委員 大蔵当局なり厚生大臣の答弁、非常にこの法律の前進を確立することができたと思います。ぜひ来年の三月には、母子家庭の子供が高らかに入学の凱歌をあげることができるように、その具体化に万全の準備と努力をしていただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/154
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155・田口長治郎
○田口委員長 本島百合子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/155
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156・本島百合子
○本島委員 大体、社会党の方々の御質問で細部にわたってございましたので、私、大まかな点で御質問をしておきたいと思うわけでございます。ということは、条項に基づいていたす予定にしておりましたが、こうした時間で採決も迫られておるような状況でございますので、わずかな時間しか与えられておりません。したがって、その間に御質問することですから、私のほうでもなるべく重複しない点でお尋ねしたいと考えておる次第であります。
そこで、先ほどから論議になっておりました非常勤の問題でございますが、厚生省関係でもたくさんの非常勤者がある。ところが、厚生省ばかりでなく、ほかの省におきましてもあるわけなんです。しかも給与がアンバランスになっておりまして、私の調査によれば、通産省関係が一番給与は高いようになっておるのです。最も民生安定に直結しておるところの厚生省関係の非常勤は、その給与が非常に低いということになっておるわけです。そこで、これは全般的な問題でございますが、非常勤勤務ということは、その仕事に携わる人の情熱もなくなる、また仕事の点におきましても、たとえば五日勤務としても、結局一週間まるごと働かなければならない。同時に、婦人相談員等におきましては日曜日も働かなければならぬ、こういうことになっておるわけなんです。そうでなければ実績があがってこないわけです。人と人のつながりの問題を取り上げておる厚生省所管の非常勤勤務というのは、それくらいにやらなければ人らしい生活の保障を確約してやることができないわけです。したがって、これは各省全般の要望ですが、非常勤勤務というものはなくしてもらいたい。同時に、これは常勤に切りかえなければ——厚生省だけでは担当できないので非常勤勤務という職責を設けられたと思うわけですから、こういう点は、閣議等におきましてもお話し合いを進められて、できるだけこの非常勤勤務なんという制度をなくしてもらいたいと思う次第です。こういう点について小林厚生大臣はどういうふうに思っていらっしゃいますか。この母子福祉法案の審議にあたって非常にこれが論議されておる。私も、この点についてはほんとうに考えなければならぬ、どうして、民生安定という最も国民につながっている点において、給与が低くていいのかという疑問すらあるわけです。そういう点について、ひとつお考えをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/156
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157・小林武治
○小林国務大臣 この問題は最近始まった問題でなくて、政府全体、至るところにさような職員があるのです。この前も、これを定員に組み入れる、こういうような方法を講じたことがありますが、なかなか全部増員がむずかしいということで整理ができなかったわけであります。しかし、能率その他の点からいって非常勤職員というものはあまり適当ではない、こういうふうに私は考えておるのでありまして、この問題は、厚生省に限らず政府全体の問題として、やはりあくまで適当のときに整理というか、あるいは本務員に組みかえる、こういう問題をいたさなければならぬ、かように考えておりまして、お話のようなことはぜひひとつこれからも続いて考えなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/157
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158・本島百合子
○本島委員 これは臨時職員の問題と関連して常に論議されておるわけですが、臨時職員というものも、法的に見て私どもはこれはいけないことだ、できるだけ早い機会に順次正規職員に直すということで、社労委員会におきましても私はこうした意見を吐きまして、順次これが解消されてきておるのです。そういう段階にあって、非常勤職員の問題というのはやはり同等に考えていってもらいたい。たまたま、こうして本日滝井委員からも相当強く要望されておりましたが、その確約があまり得られないでおることは非常に残念でございます。本来ならばこの委員会において修正等を行なってやってもらいたいくらいの意思を私たち持っておったわけですが、それができなかったということは、大臣の言明を信じて、今後一日もそういうことの早く来ることを願っておきます。
次に、母子世帯の範疇の問題でございます。ここに第五条の中に六項目あげてありますが、この中に、適用しないでしかも母子世帯と同じ状態にあるものがあります。ということは、夫が障害の場合あるいはまた海外に出ておる場合ということは規定してありますけれども、現に夫があって酒乱あるいはまた性格異常者、こういうことのために、子供をかかえて夫のうちを逃げ出しておるというような人が非常に最近ふえておるわけなんです。母子寮あたりでも、取り扱い方は準母子世帯という考え方を強めて、一歩進めて拡大して、ある程度のめんどうを見ていただいておりますが、さていろいろの適用を受けたいといったときには、有夫の婦ということになってこれは除外されるわけなんです。そのために子供を上級学校にあげさせたいと思っても適用されない。その苦しみというものは、ほんとうに地獄のような苦しみの生活をしている母子世帯が多いわけなんです。最近はとみにこれがふえてきておるものですから、こういう点についてはどういうふうに措置されるお気持ちであるか、この際明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/158
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159・黒木利克
○黒木政府委員 精神に障害があって、長期にわたって労働能力を失っておる者というのでありますから、アル中の患者等は精神の障害ということで対象になり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/159
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160・本島百合子
○本島委員 私が聞いているのは、アル中患者と認定された場合はいいのです。アル中患者ではない、しかし酒乱だ、しかしなおそうという意思もない、そしてそれが繰り返されておる、そして非常に家庭悲劇を起こしている・わけです。あるいはまた性格異常者ということがある。まあ男性議員のたくさんいらっしゃるところで申しわけありませんが、第三者に向かってはりっぱに紳士なんです。ところが、妻や子供に対してはもうほんとうに判断のできない、その人の地位あるいは経済的立場、そういうことを逸脱して、精神異常的なものが非常に多いわけなんです。これに耐えかねて子供を連れて逃げていく、こういう人が多いわけなんです。こういう場合に、子供をかかえて、かりに半年なり一年なり逃げ回っておる。しかし夫はなおらない。子供はもう進学しなければならない。しかし、そういうときにこの母子は困るわけなんです。その本人が夫のところに帰っても、とうてい子供の養育もできない、自分たちの暮らしもできない、こう訴えておる母子家庭に対して、ある程度この範囲を適用されるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/160
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161・黒木利克
○黒木政府委員 法のケースの問題ですから、実情に即しまして取り扱ってまいりたいと思います。大体、長期にわたって労働能力がない、精神の障害でございますから、ただいまの場合は該当する場合が多いのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/161
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162・本島百合子
○本島委員 それからこの母子福祉法案が通過いたしまして後、厚生省の機構改革で児童家庭局ができるわけですね。もうできておりますか。これはどういうふうな見通しになっておりますか。そして同時に、その場合に私どもが常に考えさせられることは、この母子福祉法できめられた内容だけのものができるということになれば、この中には母子世帯に対しての思いやりの線がおっこっておるわけなんです。そういう点、この間も質問の中にあったようですが、母子住宅の問題、母子寮の問題等についても、建築の面からいっても、私たちは、もっと大幅に母子住宅なり母子寮というものを増設して、ほんとうに不安のない母子家庭を建設してあげたい、こう思っておるのですが、そういうものがこの中に入ってきてないものですから、そうした点は今後どのように考えられるのか、また今後児童家庭局ができた場合、どういう構想であるのか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/162
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163・黒木利克
○黒木政府委員 児童家庭局は、先日衆議院の内閣委員会を通過いたしましたので、近く本会議で御可決をいただくものと考えておりますが、その内容は、単に問題の児童だけではなしに、一般の児童を持った家庭に対して行政のサービスを及ぼしていこうという構想でございます。
それから、母子福祉法案の内容の充実につきましては、今後逐次努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/163
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164・本島百合子
○本島委員 逐次検討されるのでは、私ども非常に不満なんです。こうしたものができる機会に、ある程度母子に一貫した政治を行なう執行機関として発足していただきたい、こう思っておったわけですが、それが残念ながらできていないように聞いておるものですから、今後母子、婦人と児童に対するこうした問題については、この局が全般を握っていけるようにしていただかなければ、一貫した政治は行なわれないと思うのです。これは要望でございます。
次に、この法案が通過いたしましても、母子に対する職業が非常に幅狭く考えられておるのです。これだけでは、とうてい今日の母子世帯を救済していくということはむずかしいのではないか、こう思うのです。これ以外にもっと幅を広げてやってみたいというような御構想があるはずですが、そういう点がありましたらお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/164
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165・黒木利克
○黒木政府委員 母子の職業の問題は、主として労働省が所管をいたしておるわけでありますから、労働省に積極的に御活動願いたいと思っておるのでありますが、ただ厚生省におきましても、内職とか授産とか、あるいは母子センターにおきましていろいろ職業補導的なものもやっておるのでございまして、労働省と協力いたしまして母子の職場の開拓なり、あるいは雇用促進等に努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/165
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166・本島百合子
○本島委員 スピードで御質問しておるものですから、こちらの思うように申し上げられないのですが、たとえば伊藤よし子さんが最初に、この法案が提出されたときに御質問されております。その中で最も注目すべきことは、今日の婦人の労働です。母子世帯でなくとも、いま婦人が労働の面に非常に進出しておるわけです。同時に、母子世帯の六一%ですか、こういうものがどうしても子供をかかえて働かざるを得ない、こういう状況に立ち至っておる、こういうことを言っておられるのですが、こういう母親の職業というものが、今日まともな職業——まともと言うと合わないかもしれませんが、たとえば事務的な仕事をしたいと思っても、中年過ぎての就職になってまいりますから、なかなかこれは思うようにいかないわけです。ほとんどが肉体労働に就労させられる、あるいはまた夜の職業といわれるサービス業、こういうものに多いわけです。私たちは、健全な家庭、健全なる子供の養育ということを考えてまいりますときに、労働省が担当しておるからということだけでは、私済まされないと思います。やはり厚生省におきましてもある程度の、たとえば身体障害者の雇用促進法と同じように、中年過ぎた人々の職場を開拓する、そして役所等におきましても率先してある程度の割り当ては取ってもらう、こういう形において正規の職業が得られるようになってくるならば——私は、今日の非行青少年たちの調査をいたしてみましても、母親がそうしたところに働いておる家庭、あるいは貧困なるがゆえに、また子供をたくさん持っておるために、まともな職業が得られないでアルバイト的に細々と暮らしておる、また生活保護を受けておる、こういう状態の中にある。御承知のとおり、住宅は雑居生活であって、四畳半に七人も八人も暮らしておるという暮らし方をしておる。そういう中から、この非行青少年が非常に生まれておるわけです。警察庁のそういういろいろの統計等を調べてみましても、いかに母子世帯に対して思いやりのない政治が長く続いておるかということを痛感せざるを得ないわけです。こういう点、厚生省としてもやはり思い切った開拓というものをしていただいて、これを労働省とあわせ持って、母子の家庭がしあわせに暮らせるという方向づけをしていただかなければならぬと思うわけです。そういう点で、労働省労働省とおっしゃると気に食わないのですが、こういう点、厚生省としてもこの程度はできるのだというものはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/166
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167・黒木利克
○黒木政府委員 実は老人福祉法等で老人のためのホーム・ヘルパーとか家庭奉仕員、あるいは保育所なりその他児童福祉施設においての福祉職員、あるいは児童遊園地等の管理なり子供の遊び相手というようなことで、厚生省だけでも婦人の働く職場がたくさんございますから、そういう面を積極的に開拓するとともに、そのための事前訓練と申しますか、これもおいおい活発にやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/167
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168・本島百合子
○本島委員 もう一つ、私お尋ねしておきたいのですが、大体最近の——最近と言うより数年前、特に未亡人の職業開拓としてビルだとかあるいはまた官庁の掃除婦、こういうものが続々と生まれてきたわけです。ところが今日においては、そういう仕事ですらも民間の特定のボスに握られておる。これは大体未亡人の方々が多いわけですが、そういう掃除をする人たちに聞いてみると、時間的にはある程度いいけれども、まあ自分たちが欲するだけの賃金はそのボスにはねられてもらえないわけです。ですから、そういう点で未亡人団体が率先して、未亡人団体でそういうものの取り扱いをなさるというような県もかなりあるわけです。ところが東京のような職場の多いところで、民間のボスが組織をするそうしたものの中に入っていかなければならぬというような、そういう現象を私どもは何とかして食いとめたい。これを職業安定所等でしていただくならば、もっと合理的に賃金をピンはねされなくて済むのではないか、こういうふうに考えてきたわけなんです。ところが、なかなか労働省の手が届かないでこれができないわけですが、こういう点、厚生省としては未亡人団体等とも手を握られて、もっと積極的に開拓してみる意思がおありになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/168
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169・黒木利克
○黒木政府委員 御意見まことにごもっともでございますから、御意見の線に沿って今後努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/169
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170・本島百合子
○本島委員 だんだん皆さん集まっておいでになって、もう採決に入られるようでございます。この母子福祉法に対しましては、私ども未亡人の議員としては、もっとたくさんのことを質問したいと思って用意をいたしておりましたが、過日来の質疑の中からも相当の前進の姿が見られておりますので、この法案をこのままうのみにするのではなくて、やはり母子のしあわせのために、積極的な方途を今後講じていただくように要望いたしまして、これで質疑を終わらせていただきたいと思いますが、最後に、児童の問題等につきましては、特段の御留意をいただかないと今日のように非行少年が多く、しかも刑法上の罪に問われるような犯罪少年の大体六割が低額所得階層の母子世帯になっております。私たちは、未亡人の家庭の子供がそういう刑法上の罪に問われるような犯罪を犯したときほど、自分の胸を締めつけられるような、刺されるような思いをすることはございません。その原因は、何といっても第一番に住宅の問題であり、同時に職業の問題である。そうして子をかかえた親が生きるために悪戦苦闘しておる姿、こういうことが日本の社会からなくなっていって、夫に死に別れ、あるいは不幸にも夫が長期の病にかかったり、あるいはまた、先ほど申しましたような特別な事情に置かれましたときに母子が安心して行ける場所、そうして夫がりっぱな人になるまでの間、この期間中どこかでめんどうを見てもらわなければならぬと思うのですが、そういった施設が全然ございません。そこで、こういう法律案が出ました機会に、厚生省としても一時的でもいいから——昔はそういうときかけ込みました尼寺があったわけですが、現在はそういう場所もございませんので、どうかそういうような人々のためにも手を伸ばしていただいて、この法律案がほんとうに生きたものになるように私はお願いをしたいと思います。そういう点、厚生大臣はそういうものが現実にあるのかとお思いになるかもしれませんが、今日は憲法違反、法律違反というようなことで、なかなかかけ込む場所というものはつくっていただけないのです。思い切って来年度の予算あたりでそういうものをつくることをお考えいただけるかどうか、最後にこれをお尋ねをして、終わりといたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/170
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171・小林武治
○小林国務大臣 ぜひ御趣旨に沿いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/171
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172・田口長治郎
○田口委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、これにて母子福祉法案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/172
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173・田口長治郎
○田口委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/173
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174・田口長治郎
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
内閣提出の母子福祉法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/174
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175・田口長治郎
○田口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/175
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176・田口長治郎
○田口委員長 この際、松山千惠子君、伊藤よし子君及び本島百合子君より、母子福祉法案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。松山千惠子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/176
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177・松山千惠子
○松山委員 私は、自民民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる母子福祉法案に対し、附帯決議を付するの動議を提出いたします。
以下、案文を朗読いたします。
母子福祉法案に対する附帯決議
母子福祉法の制定にあたり、政府は左記事項を速やかに実施するよう努力すること。
一、母子福祉法については、その問題の重要性に比し、その内容は十分と認められないので、雇用、自営等の自立の助長並びに住宅その他各般の問題につき更に強力な改正案提出並びに行政措置を講ずること。
二、母子福祉資金の貸付制度については、更にわくの拡大、貸付条件の緩和改善等につき善処すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/177
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178・田口長治郎
○田口委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/178
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179・田口長治郎
○田口委員長 起立多数。よって、本案については松山千惠子君、伊藤よし子君及び本島百合子君提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、小林厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。小林厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/179
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180・小林武治
○小林国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を尊重して善処したいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/180
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181・田口長治郎
○田口委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/181
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182・田口長治郎
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/182
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183・田口長治郎
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十四日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後六時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04119640513/183
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