1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十一日(木曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君
理事 田中 正巳君 理事 河野 正君
理事 小林 進君
伊東 正義君 浦野 幸男君
大坪 保雄君 熊谷 義雄君
小宮山重四郎君 竹内 黎一君
地崎宇三郎君 中野 四郎君
西岡 武夫君 西村 英一君
橋本龍太郎君 松山千惠子君
粟山 秀君 渡邊 良夫君
亘 四郎君 高田 富之君
滝井 義高君 八木 一男君
八木 昇君 吉村 吉雄君
本島百合子君 吉川 兼光君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
出席政府委員
厚生政務次官 砂原 格君
厚生事務官
(援護局長) 鈴村 信吾君
委員外の出席者
厚生事務官
(援護局庶務課
長) 八木 哲夫君
専 門 員 安中 忠雄君
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本日の会議に付した案件
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第一〇六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/0
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001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。橋本龍太郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/1
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002・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 このたび、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正案が審議をされますことになりましたこの機会に、厚生大臣並びに厚生省当局に幾つかの点で御質問をさせていただきたいと思います。
第二次世界大戦が終結いたしましてから、もはやこれで十九年間、それこそ長い、苦しいいくさももはや国民の頭から次第に薄れてまいりましたし、戦後の苦しい期間を切り抜けてまいりました。政府も現在では所得倍増をうたい、高度経済成長を唱えて、国民もまたいわゆるレジャーブームを心から謳歌しておるように見えますけれども、そうした中にさえ、いまだにあの戦いの悲劇から抜け出すこともできずに、一家の柱となる人を国のために失いながら、何ら援護の手をも差し伸べていただけずに、いくさの悲劇をのろい、一片の法律の条文のために苦しい生活をいまなおしている、世間の無情を恨みながら、それでもなお、いつかは政府が必ずわれわれを救ってくれるに違いないと、一片の希望にしがみついて一刻でも早い救いの手を待っている方々が全国にはなお多数おられること、これは当局も十分御存じのことだと思います。今回の改正によりますと、戦傷病者戦没者の遺族の処遇がかなり改善されることになると思いますけれども、それでもなお、あるいは徴用工、あるいは動員学徒等、こうした方々の犠牲者に対する処遇、これは軍人軍属の御遺族の処遇に対してなお非常に劣っておると思います。戦いに参加した資格は異なるかもしれませんけれども、国の命令によって国を愛し、国を守ろうという一念から死地におもむいて犠牲となった方々に対して、軍人軍属の御遺族の処遇と区別をつけることは、これは本来非常におかしなことでありますし、なおこの点に今後改正をする余地が十分残されておると思いますけれども、厚生省は、今後ともこの法律の改正を行なって、少しでもたくさんの方々を救おうという意思があるかどうか。特に、明年は終戦後二十周年にも当たることでもありますし、これ以上この問題を放置することは、国民感情の上から言っても非常に残念なことだと思います。すみやかに根本的な施策を確立して、戦争犠牲者問題の徹底的な解決をはかることこそ最も必要なことだと思いますけれども、厚生大臣にかわり、政務次官から代表して御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/2
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003・砂原格
○砂原政府委員 橋本委員の御意見、しごくごもっともでございます。その問題に対しては大臣が出ましてお答えをするはずでございますが、本委員会に差しつかえがございますので、私が大臣の気持ちを率直にお答えを申し上げます。
御意見のとおり、大東亜戦争後の遺族の処遇につきましては、これまで、与野党の皆さんの一致した感謝の気持ちとその遺族の処遇についてのあらゆる手段は講ぜられてまいったのでございます。国の経済の成長とにらみ合わせまして、同時に、これまで定められました法のワクで縛られまして、拡大解釈をしても、現地で戦死せられた方あるいは内地におる場合との処遇がまだ十分でないということは、御説のとおりでございます。ことに準軍属の処遇等については、いろいろ社会悲劇も起こっておるものがたくさんあるのでこうした面についても、今後、及ばざるところにはもっともっと、委員の諸先生方の御意見を伺いながら、国としてはこれに大幅な改正を順次行なっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/3
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004・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 いま政務次官から御答弁をいただきましたけれども、戦後二十年を間もなく迎えようとする今日、わが国の経済が、少なくともこうした犠牲になられた方々、御遺族に対して、その生活の安定をはかるぐらいの資力はもはやできたと思われます。その法案の整備その他は立法府の責任でありましょうけれども、行政当局のほうとしても、できる限りの方法を講じて、一人でも多くの方々を救うようにお手配をいただきたいと思います。
それで今回、軍人軍属の公務傷病範囲の拡大を行なわれましたことによって、どのような方々が何人ぐらい救われると計算しておられるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/4
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005・鈴村信吾
○鈴村政府委員 今回の公務傷病の範囲の拡大によりまして救われますのは、第一が、従来大東亜戦争中におきまして軍人及び準軍人の方についてだけそういう取り扱いをしておったのでございますが、これを軍属の方にも広げておるわけであります。さらに、従来大東亜戦争中に限っておりましたそういうような取り扱いを、日華事変まで広げて軍人軍属を取り上げる。さらに、その期間中の負傷または疾病によりまして、いわゆる六項症以上の障害を有する方につきまして障害年金を支給する。結局、いま申し上げたことによりまして、一つは大東亜戦争中の軍属を救済したこと、それから支那事変にさかのぼりまして軍人軍属を救済し、しかも障害年金にまで拡大した、こういうことが今回の改正の要点になっておるわけであります。
これによりまして、対象人員としましては、障害者が約四百四十名、遺族につきましては約六千八百名が救済されることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/5
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006・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 ただいま日華事変まで範囲を拡大したというお答えがありました。私は、この点ちょっと納得がいきません。わが国では、確かに日華事変と第二次世界大戦、いわゆる大東亜戦争を分けて考えておりますが、世界の通念からいけば、これは両方とも第二次世界大戦という一つの大きな世界戦争の一環として数えられておるものでありますから、日華事変中の傷病による遺族年金あるいは障害年金を、大東亜戦争における犠牲者の方々の六割と定めた理由を伺いたいと思います。ただし、この点、何ゆえこういうお考えが出てくるのか、同じ一連の戦いによって倒れられた方々が、たまたま当時の中華民国一国を相手にしておった時代、その範囲が広がり、対アメリカあるいは対イギリスといったような戦線を広げた、いわゆる日本式の大東亜戦争の犠牲者と、どういう点で区別をつけられたか、その点のお考え方をお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/6
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007・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、こういう点を考慮いたしたわけであります。現在、営内に居住すべき軍人が、これは準軍人も含むわけでありますが、大東亜戦争中に勤務関連によって死亡した場合には、その遺族に支給される年金を、通常の年金額の六割までを支給しているわけであります。そういう関連が一つ。もう一つは、大東亜戦争に比べまして支那事変の様相が若干苛烈さが薄いという点もございますので、そういう点を考慮いたしまして六割ということにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/7
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008・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 これはいま小林委員から何か御発言があったようですが、こうした最初の基準を定められました先輩諸氏の御意見もあると思いますので、この点に関しましてはこれ以上質問申し上げせんが、非常に不満であります。
同時に、先刻の援護局長の答弁の中にありました六項症以上の不具廃疾でなければ障害年金の対象としない、この考え方の裏づけをお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/8
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009・鈴村信吾
○鈴村政府委員 御承知のように、従来は、障害年金につきましては、いわゆる公務とみなすというような取り扱いをしていなかったわけでありまして、故意または重過失でない者を公務とみなしておったのは、遺族年金についてだけいたしておったわけであります。今回これを障害年金にも拡大したということであります。ただその場合に、これはあくまでも本来公務でないものを公務とみなすわけでありますので、やはりこれはある程度の重度の障害に限るべきではないかということで、一応六項症以上ということにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/9
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010・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 過ぐる大戦においてあるいは夫を失い、あるいは子供を失い、あるいは父親を失い、みなそれぞれ非常な打撃を受けられました御遺族の方々の中で、愛する夫、一家の柱としてたよりにしておった夫になくなられた戦没者の妻の方の打撃というものは、これは私どもが考えましても、察するに余りあるものがあると思います。幸い現在まで無事生き延びてこられた方々は、おそらく非常に長い、苦しい生活の日を余儀なくされたことだと拝察をいたしますが、政府もこの点に配慮いたして、昨年度、戦没者未亡人に対する特別給付金、これを支給することに決定いたしましたことは、私はこれは非常に喜ばしいことだと思います。現在その事務はどの程度進捗をいたしておりますか、簡単に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/10
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011・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまお尋ねがありました戦没者の妻に対する特別給付金の支給の事務の進捗状況でございますが、これは三十八年度から支給を開始いたしておりまして、昨年の八月から受付をいたしたわけであります。今年の六月八日現在で、二十四万六千八百五十九件という件数を、すでに大蔵省に対して国債発行の請求をいたしております。全体の数といたしまして大体四十四万を予定いたしておりますので、大部分が今年度内に終わると予想いたしておりますが、一部ごくわずかが来年度に残るということで、おおむね順調に進んでおるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/11
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012・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 その特別給付金の支払い対象になっておられる未亡人の中に、この特別給付金国債を担保にして生業資金の貸し付けを希望しておられる方が多々あるように伺っておりますけれども、厚生省としてこうした貸し付けを行なう計画、あるいはもし計画があるとするならばその準備は進んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/12
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013・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまお尋ねの貸し付けの件でございますが、すでに準備を大蔵省との間にいろいろいたしております。当初はもう少し早くと考えておりましたが、ややおくれまして、遺族の方から非常に強い要望があるわけでございますが、現在のところ大体月の中旬ごろから受付をいたしたいということで、国民金融公庫のほうで準備をいたしております。七月受け付けまして、八月から貸し出しができるものというふうに考えておる次第でございます。大体このワクといたしましては十億円ということでありまして、貸し付けの限度額は十万円、利率は年六分というふうに用意いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/13
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014・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 先ほど申し上げたとおり、戦没者未亡人に対して特別の配慮をいたすこと、これは非常に喜ばしいことです。今回の改正点の中に、再婚を解消した妻に対して遺族年金を支給するということがあげられております。ところが、いままで厚生年金あるいは国民年金、こうしたものはすべて再婚ということを失権の理由にいたしておりますが、今回この法律に限り再婚を解消した妻にまでその適用範囲を広げられたその考え方、これは次官からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/14
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015・砂原格
○砂原政府委員 戦没者の遺族については、終戦後、昭和二十一年の二月一日の旧軍人恩給の停止から遺族援護法の施行までの間に国から何らの援護もなされていなかったので、戦没者の妻の場合、終戦後生活難などのために再婚せざるを得なかった者が多かったという事情があろうと思いますので、再婚をした妻のうち、新たな結婚生活がうまく続かず、遺族援護法の施行の際には再婚を解消して戦没者の霊を祭っていた妻については、再婚しなかった妻と全く差別してしまうのは適当でないので、今回遺族年金等を支給することといたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/15
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016・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 大臣が来られましたので、ちょっと質疑の順序を変更いたしまして、大臣にお尋ねいたしたいと思います。
先刻から援護法について御質問申し上げているわけでございますが、戦後、はやすでに十九年を過ぎました現在に至りましても、なおその生死が明らかにされず、あるいは生存の資料がありながら外地にとどめられまして、何らかの事情で故国に帰り得ない事情に置かれております海外未帰還者が相当数あるように聞いております。これら未帰還者の実情を政府としてはどの程度把握しておられるのか、この点大臣から、簡単でけっこうですが、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/16
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017・小林武治
○小林国務大臣 この点は、お話のとおり政府としても非常に遺憾に存じておりますが、本年の四月一日現在で、政府が氏名を一応把握しております未帰還者数が八千五十七人、こういうことになっておりまして、その地域別は、ソ連地域が七百七十四人、中共地域が六千五十人、北鮮地域が三百七十八人、南方諸地域が八百五十五人、こういうふうになっております。政府がこれまでの調査で得た資料に基づき、未帰還者のうちで現に生存しておると推定される者の数が三千七百人で、そのうち帰国を希望している者が約七百人、こういうふうに一応の調べがついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/17
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018・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 いまのお答えの中に帰国希望者ということが出ましたけれども、その帰国希望者の受け入れ体制、これは、援護局長からでけっこうですが、簡単にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/18
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019・鈴村信吾
○鈴村政府委員 帰国希望者につきましては、従来あらゆる手を打ちまして、外交ルートなりあるいは赤十字ルートなり、すでに帰還した者からの情報等によりまして、これが受け入れについて配慮してまいったわけであります。ただ、一部の地域につきましては、本人が帰国を希望しておりましてもなかなか出国許可を得られないということで、いまだに外地にとどまってやっておられる方もあるようでございますが、そのような地域につきましても、最近若干出国についても緩和の気配と申しますか、そういうものも見えておるようでございますので、そういう地域につきましても、今後また引き揚げが逐次ふえるのではないかというふうに予想しております。
それから、こういう引き揚げの方の受け入れにつきましては、せっかく帰ってきてもなかなか内地における生活がうまくいかない、あるいはきょうだいとの折り合いがうまくいかないとかいうトラブルも若干ございますので、そういうことがないように、できるだけ生業のあっせん、そのための資金の貸し付け、あるいは住宅のあっせんに、そういうことにつきまして最善の努力を払っていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/19
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020・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 今日、いまだに生死不明のままに未帰還者として扱われておる方々、またそうした方々を持つ御家族の心境というものは、これは察するに余りあるものと言わなければなりませんが、政府として、このような未帰還問題というものを今後どのように処理していかれるおつもりか、これは厚生大臣からお答えをいただきたいと思います。すでに十九年を経過した今日、いまだに生死不明としたままで、それこそ宙に浮いたままになっておられる方々の処遇、これは当然国としても最大の努力を尽くしてこの方々の安否を知り、またそれによって現在未帰還者として扱われております方々の御家族に対しそれ相応の処遇をいたさねばならぬと思いますので、この点は、大臣からはっきりしたお答えをちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/20
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021・小林武治
○小林国務大臣 政府としましては、未帰還者の状態の把握とまた帰還の促進ということにつきましてはあらゆる手を使っておるのでございまして、当事国と外交折衝することはもちろん、赤十字ルートを通じていろいろと話し合いを続けてきたのでありますが、対外折衝の問題につきましては、いろいろの国際情勢のために急速な打開ができない状態でおります。しかし、お話のように、これらの遺家族の関係につきましてはまことにお気の毒のことと存ずるのでありまして、できるだけの手を従来とも尽くしてきておるのでありますが、今後とも帰還等についての努力をいたすとともに、これらの遺族の援護ということについては格段の注意をいたさなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/21
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022・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 最近になりまして、関係者の方々の非常な御努力の結果、中共地区への墓参が実現をいたしました。また先日ソ連のミコヤン第一副首相の来日によりまして、その際、また関係者のお話し合いにより、それこそ歯舞、色丹の墓参も実現しそうな傾向にあります。なお、忘れてはならないものとして、旧満州地域には非常に多数の死没者がありましたにもかかわらず、これらの御遺骨をいまだに収集することができずに、依然異郷の地に放置されたままになっております。これらの御遺骨を収集して故国へ持ち帰り、その魂を慰めることはわれわれの責務だと考えますけれども、この御遺骨の収集に関して政府はどのようにお考えになっておられるのか、大臣からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/22
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023・小林武治
○小林国務大臣 他の地域はともかくといたしまして、旧満州地域につきましてはほとんど手がつけられておらない、こういう状態で、政府としてもこの点を非常に残念に思っておるのでありまして、旧満州地域の問題につきましては、ソ連の参戦による戦闘とこれに続く引き揚げの途中で約二十万人の死没者がある、こういうことを考えておるのでございますが、その遺骨の大部分は持ち帰られておらないのでございまして、その埋葬の状況もほとんど不明である、こういうことであります。このように満州地区につきましては墓地の資料がないので、個々の墓に墓参をするというようなことも考えられないのでありますが、遺骨収集及び現地追悼を行なうにつきましては、いろいろの状況を勘案して検討をいたしておりますが、まだ目鼻がついておらない、こういう状態であります。中共地域の墓参も一応実現した、こういうこともありますので、続いてこれらの問題の緩和と申しますか、解決につきましても努力を傾けたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/23
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024・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 大臣が何か十一時半までということですので、とりあえず大臣に対しての御質問はこれでとめさせていただきます。ただ、これは最終的に結論で申し上げようと思っておりましたことのうち、大臣に聞いておいていただきたい点を申し上げたいと思います。
現在、次第に日本が復興してまいりますにつれて、この遺族援護という問題は次第に国民の脳裏から薄れつつあるように思います。しかしこれは決して終わってしまった問題じゃない。いまだに問題点が多数残っております。現在、援護法というものがありながら、その適用範囲にたまたまひっかからぬために、いろいろな事情でいまだに何ら国から援護の手を差し伸ばしてもらえない気の毒な方々、これも全国にはまだたくさん残っておりますし、また適用範囲にありながら、軍人軍属の御遺族、準軍属の方々、あるいは学徒動員、あるいは徴用工等でなくなられた方々の御遺族に対する処遇というものは、相当な開きがあります。本来、同じ自分の国を守る、自分の国のためにということで戦ってなくなられた方々に対して、こうした差別というものが残されておるということは非常に残念なことですし、この点にもまだ改正すべき余地が残っております。その他先刻お尋ねをいたしました未帰還者の問題、あるいは海外に放置されたままになっておる御遺骨の収集、こうした問題がまだずいぶん残っております。もはや戦後ではないということばが聞かれましてからずいぶんになる今日ですが、こうした問題でこうした質問をいたさなければならぬということは、これは非常に残念です。明年で戦後二十周年にもなることですし、これ以上この問題をあとに残すことなしに、また悔いを残さぬで済むように、政府として根本的な施策を確立して、こうした問題を一日も早く解決していただくように、この際お願いをいたしておきます。——大臣には、参議院のほうの時間がございますから、けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/24
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025・小林武治
○小林国務大臣 私から一言申し上げておきますが、これはお話のとおりでございまして、戦争の犠牲者の援護というものにつきましては、なかなか簡単に解決できる問題ではございません。毎年いろいろな問題を、補充的と申しますか、こういうふうに改正を願っておるのでありまして、これらの方々の間に権衡をとるということは非常に大きなことでありまして、これはいろいろの御意見を総合いたしまして、続いてひとつぜひこれらの改善をはからなければならぬ。私、大臣になりましてからも、これらの問題に対する投書が一番多いのでありまして、これらの個々の問題につきましても私はそのつど関係局に特別な配慮を願っておる、こういうことでありまして、まだまだいろいろな問題が残っておることもよく存じておりますので、続いて私はぜひこれらの改善をして、少しでも遺族その他について、お慰めと申すか、御満足を得るような措置をとらなければならぬということを、かたく決心しておることを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/25
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026・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 大臣、政務次官がおられませんので、援護局長にお尋ねをいたします。
今回の改正で新たに遺族一時金という制度が定められます。この一時金というのは、どのような方々を相手にして支給することを目算として考えられたのか、またこの恩典に浴する方というのがどの程度全国的におられるか、その見積もりを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/26
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027・鈴村信吾
○鈴村政府委員 今回、遺族一時金の支給の対象にいたしますのは、従来公務傷病という立証がつかない方で、遺族年金を受けられないような方を救いたいという気持ちからこの制度を提案申し上げておるわけでありますが、対象となられますのは、二種類ございまして、第一は、支那事変以後に公務傷病にかかられた方が、退職後二年、結核と精神につきましては六年以内に死亡された場合でありまして、いわゆる併発傷病による死亡という場合にこれを対象にしております。それからもう一つは、戦地勤務を六カ月以上やられまして、やはり復員後に一年、結核、精神につきましては三年以内になくなられた方、こういう方を対象にいたしております。いずれもこういう方々は、公務による傷病という証明がはっきりつかないわけでありますが、それぞれの支那事変以後の勤務あるいは戦地勤務というものが、御本人の傷病にある程度の影響を与えておるのであろうと推測される方々であります。
これらの条項に該当される方の予想でありますが、一応われわれが予想しておりますのは、第一に併発傷病による死亡者が千四百九十人、それから戦地勤務六カ月以上で、復員後一年以内で死亡された方というのは九百三十人というふうに予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/27
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028・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 その遺族一時金の支給額、これは十万円と定められているようですけれども、これはどうも、いま言われたような事例の方々に報いるにしては、いまの物価からするとはなはだ軽少に過ぎるのじゃないか、そんな気がいたしますけれども、この十万円と定めた算定基礎はどういう点から生み出されたのか。これは簡単でけっこうですから、御説明をいただきたいと思います。
それと同時に、この支給方法は、一時に一括して払われるのかあるいは特別給付金等と同じように国債等で支給をされるのか、この支払い方法についてもなお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/28
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029・鈴村信吾
○鈴村政府委員 遺族一時金の額を十万円といたしておりますのは、他の給付等との均衡からいたしまして、十万円程度が一番妥当であろうということで十万円にいたした次第であります。
また支給の方法でございますが、これは一時に現金で十万円支給するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/29
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030・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 本年の一月七日の閣議で決定されました戦没者に対する叙位叙勲、これはどうも世上いろいろな批判もあるようですし、また特に野党の一部には相当むずかしい議論もあったように伺っておりますけれども、全国の遺族の方々は、国がようやく、自分たちの子供の、あるいは夫、あるいは父親の、国に対してささげた誠というものとの命というものに対して、精神的に認めてくれたということを非常に喜んでおられるわけです。援護法の制定のおかげで、不満足ながら物質的には一応国が援護の手を差し伸べてはくれたけれども、精神的には何らわれわれの不満を満たしてくれないという非常に満足をしておられなかった御遺族の方々に対して、この戦没者叙勲の処置というものは、国として戦没された方々に対して示し得るきわめて数少ない精神的な感謝と、それから弔意を表する方法であった。卓上のしちめんどうくさい議論、あえて申し上げれば空論にひとしいような反対論は抜きにして、非常に意義のあったことだと私は考えておりますけれども、この事務が非常におくれているのではないか。新聞で叙位叙勲ということが報道されたにもかかわらず、私のところには何も通告がないけれども、私の父親、あるいは私の子供はこのごさたから漏れているのだろうか、そういった御不満を私どもはときどき聞かされることがあります。そうした方々の不安を除くためにも、この事務が現在どの程度進行しているか、そして進達の順序、いつごろまでにこの作業が全部完了して御遺族の方々に御納得をいただけるのか、こうした今後の見通しについて、局長からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/30
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031・鈴村信吾
○鈴村政府委員 お答えいたします。
戦没者に対する叙勲の事務でございますが、これは本年の四月二十五日に、第一回一万百七十七名を発令いたしました。第二回が五月三十日に五千四百二十七名ということで、合計一万五千六百四名を現在までに発令いたしたわけであります。御承知のように、すでに戦後二十年近くたっておりますので、戦没者叙勲の仕事はむしろおそきに失したという考えで、われわれは急いでやりたいというつもりでおりますが、何ぶんにも二百万をこえる多数の方々がございますので、相当馬力をかけても五年はかかるということで、本年度は二十万をとりあえず予定しておりますが、この二十万をやるのにもかなりの努力を要するという見通しであります。ただ、遺族の方々のお気持ちもわれわれは十分わかりますので、一刻も早くやりたいということで努力しております。一応予定としましては五年ということになっております。
それから手続の順序でございますが、これは発令の内部手続の終わっている人が約百万ございますので、これはもうすでに終戦前に手続を一応いたしておりますが、そういう方々を先にやる。それから原則として下級のほうから先にやるということで、第一回、第二回は大体兵、下士官、准士官、いわゆる将校でない方を先にやっているわけでありますが、そういう方を先にし、それから死亡時期の早い人から先にするということで進めておりますが、大体の予定はそういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/31
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032・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 その五年の日数は少しでも縮めていただくように、できるだけ御努力いただきたいと思います。
そして、その戦没者叙勲に続いて現在なお全国の遺族の方々が非常に熱望しておられる問題、これはもう当然御承知のことと思いますけれども、靖国神社の国家護持の問題並びに祭粢料の問題があります。私どもは、靖国神社の国家護持ということは、これは少なくとも第二次世界大戦の最中に国が国民に対してお約束したこととして、実行するのが当然のことだと思いますが、いろいろな御議論もあるようですし、なお非常に根強い反対論もあるようです。これを議論しだしますと、非常に時間もかかることと思いますので、この点は後日に譲りたいと思いますが、祭粢料の問題に関して簡単にお尋ねしておきたいと思います。
この問題は、全国の遺族の方々の非常に熱望しておられることですし、私どもも、そのお気持ちは無理もないことだと思いますし、よくわかるつもりでおりますけれども、何か仄聞するところによりますと、当局としては、昭和二十七年当時弔慰金として出された五万円というものが、現在要求をされている祭粢料と同じ性格のものであるならもはや必要がない、あるいはその祭薬料という名前が、一部特定の宗教の宗教的行事を思わせるような名前であるからおもしろくないというような、どうも私どもからすると非常に納得のいかない、わけのわからぬ理由によって、祭薬料を支給される意思がないように見受けられるのです。はたして当局としてはどのようにお考えになっておられるのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
なお、名称だけの問題としたならば、あるいはこの祭粢料という名前を特別給付金あるいは特別弔慰金といったような別の名前に呼びかえるならば、実質的に祭粢料と同じような趣旨のものを国が遺族の方々に支給するお気持ちがあるのか、その点もあわせて次官からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/32
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033・砂原格
○砂原政府委員 御指摘の祭粢料の問題につきましては、いろいろな面から論議がかわされております。実際問題といたしましては、やはりこうした犠牲者の方々に対しましては、何とか処遇をいたしたいという気持ちは十分政府のほうも持っておるのでございますが、ただその運営の面についていろいろむずかしい問題が出てくるのでございまして、なお御指摘の方向に沿うよう十分検討をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/33
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034・小沢辰男
○小沢(辰)委員 政務次官、私、この祭粢料問題というのは前からありますから、この点でいまの橋本先生の質問に関連して申し上げたいのです。関連がないようですけれども、先ほど事務当局が答弁したことに関連して少し進めていきたいのですが、公務性の立証が困難な死亡した軍人軍属の遺族に対して一時金十万をやる、こういう政正があるわけです。一時金十万円については、これはどういう根拠で計算をされたかわかりませんが、大蔵省もいろいろ検討の上で十万円とされたんだろうと思います。ところが、三人きょだいのうち二人が男で、一人が女、女の人がもちろん戦争に行きませんから残っておって、弟二人が戦死したという例もある。この人たちにはいままで一体どういうものが援護として行なわれているかというと、昭和二十七年の五万円の弔慰金だけだと思うのです。それ以外にありましたらまずお伺いしておきますが、私はないと思う。そうすると直接戦闘に参加してなくなった方々であるその人に五万円の弔慰金が公債で二十七年当時支給をされて、今度公務性の立証が非常に困難だという、しかも復員後に内地で死亡された方々に一時金十万円あげる、こういう政策をおやりになることはたいへんけっこうなんだけれども、それならば、この弔慰金問題も二十七年以後すでに十二年たっておるわけですから、何かさらに考える余地があるのじゃなかろうか。これはやはり政治的判断で、厚生政務次官に特にこの問題を取り上げていただいてやらなければいかぬじゃないかと私は思うのです。もっとも、そういう人には実は別の援護がずっと行なわれている、だからいいのだというならいいですけれども、援護局長、その辺は私は寡聞にして聞かないのだけれども、そういう人には一時金の弔慰金だけで、あとは何らの援護はないと思うのですが、どうでしょうか。この改正点に反対するのじゃないですよ。これは非常にいいことだ。私は実は関連ですから言いませんが、橋本先生のほうにもいろいろな質問があろうかと思うが、この公務性の立証が困難な軍人軍属の遺族に対する一時金十万円の点についてもいろいろ別の問題で質問を申し上げたいことがありますけれども、いまの祭粢料に関連して申し上げるわけです。政務次官、これはどうでしょう。もしきょうだいがなくなった人が、親が残っておったりあるいは子供があったり妻があったりすれば、これは当然遺族扶助料がずっといくわけですけれども、そういう方々がいまほうはいとしてこの祭粢料要求運動というものに声を出しておられるわけなんです。確かに今度の改正はいい改正なんだけれども、公務性の立証は非常に困難だ、しかし公務の関連なりあるいは併発なり別の病気で死んだ人まで、こうやって復員後に気の毒だから一時金を差し上げよう、これはおそらくいろいろな弔慰も含まれ、あるいはまた遺族に対してあげるのですから祭粢の意味も含まれ、総合的なものだろうと思うのです、こういう一時給付金というものをお出しになるのは。とすれば、十二年前に五万円弔慰金をやったからその人たちはそれでいいのだ、こういう考えにはちょっと政治的にならない。この辺のところをどういうお考えを持っておるか。特に私はいま橋本先生と並んでこれを申し上げるのは、毎年こういう遺家族問題あるいは傷痍軍人その他万般の終戦処理の問題については、事務当局が予算要求をしないわけですよ。それで政治的にわあわあ言うから、結局やったんだというような政治予算的なものになる。私はこれは間違いだと思うのです。むしろ事務当局がほんとうにひとつ戦後処理ということについて、特に厚生省なんだから主導権を持って、どうやったら戦後処理が公平にいくか、そういう点を考えて堂々と予算要求をすべきで、これが頭にあるからいま申し上げるわけなんですが、政務次官のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/34
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035・砂原格
○砂原政府委員 小沢先生の御意見一々ごもっともだと存じます。援護の方法、いろいろと苦心をしてつくるのでありますが、どうしてもそういう苦心をしたもののうちからも、いまの御指摘のような問題が起こってまいります。したがって、それはそれでいいのだというような考え方はわれわれは持っておりません。何とかやはりそうした人に対しても国のあたたかい援護の手を差し伸べていかなければならぬと考えております。この問題は法制上の問題で非常にむずかしい問題だと思いますけれども、こうした点については事務当局へも厳に申しつけまして十分検討をいたしまして、御趣旨に沿うように努力を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/35
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036・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 私がお尋ねをいたしたいと思ったことを小沢委員から関連でみんなやっていただきまして、この点については私はこれでもうやめます。いま小沢先生並びに私から申し上げたようなこと、これは少なくとも九千万国民のうち相当多くの者が現在同じように感じていることなんであります。不合理じゃないか、われわれに対してあるいはその方々に対して国は一体何をやっているのかという非常に素朴な疑問が国民の中にあるということ、これだけは当局の方々はお心にとめておいていただきたいと思います。
ちょうど十何年か前に、この同じ遺族問題でその早期解決を主張いたしましたために閣内で対立を起こしました私の父が、とうとうその主張に破れまして厚生大臣のいすをみずから去らなければならなかったという思い出を持っております私にとって、本日この援護法の問題で質問をするというのは、非常に感無量なものがあります。しかもその当時、財政的な困難と対外的な考慮を理由に、この問題の解決は時期尚早であると主張せられました当時の池田大蔵大臣、現在内閣総理大臣として率いておられる政府に対してこの質問をいたしますことは、何か私にとっては妙な因縁のようなものさえ感じざるを得ません。しかし、あの当時は時期尚早とせられたこの問題も、現在では古典的な問題になりつつあります。次第に国民の間からも関心が薄れ、立法府あるいは行政府の中でも心ある一部の者しか関心の持てないような古典的な問題になっておりますけれども、この問題は決して解決された問題ではない。問題はまだたくさん残っておるわけです。援護法がありながら、いまだに、あるいは証拠がない、あるいはたまたま法の定める期限より多少長生きをせられた同じような結果でなくなられた方、そういったいろいろな事情で、何ら援護の手を差し伸べてもらえずに苦しい生活を続けておられる方が全国にはまだたくさんおられます。また繰り返して申し上げるようで恐縮ですけれども、この援護法の適用範囲にありながら、軍人軍属の御遺族に対してなお不十分な処遇しか受けられない学徒動員あるいは徴用工等、気の毒な方々の御遺族に対して、なお改正すべき余地は多々残っておると思います。その他、未帰還者の問題、あるいは海外にいまだ放置せられておる御遺骨の収集など、なお多くの問題を私どもは解決せねばなりません。先刻大臣には聞いていただきましたけれども、もはや戦後ではないということばを使われ出してからしばらくになります。しかし敗戦後二十周年というのを間もなく迎えるいまになって、なおこうした問題で質問をしなければならないというのは非常に残念です。おそらくこの中にも同じような考えをお持ちの方がたくさんおられるでしょう。この問題の根本的な解決をこれ以上おくらしてはなりません。一日も早く戦争犠牲者の御遺族が納得のできるような根本的な解決策を講じて、悔いをこれ以上後日に残さないように、そうして国民が自分の国というもの、自分の国の政府というものの約束を信用できるように十分な処置をしていただくことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/36
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037・砂原格
○砂原政府委員 今日の平和と国民の繁栄をもたらした陰には、こうした幾多の犠牲者のおかげであるということを一億の国民こぞって忘れてはならないと思います。その一億の国民の心を心として、この問題については十分検討をし、御期待に沿えるよう、さらに精進を続けてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/37
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038・小沢辰男
○小沢(辰)委員 まず橋本先生から非常に原則論からいろいろ各論にわたって詳しい質問がありましたが、なおこの法律改正の中には傷痍軍人等の改正もありますし、また若干遺族問題についても、この法律改正の要綱第一の二に関連して、少し私質問をさしていただきたい。
傷痍軍人関係の戦傷病者特別援護法というのは、御承知のとおり当委員会におきまして委員会提出の法律で、与野党一致の発案でできたものでございます。この戦傷病者特別援護法の改正というのは、その当時予算に影響ないように、いろいろな法律の中にありました戦傷病者援護法の関係のものを特に集めまして一つの単独法にしたという意義はあったわけでございますが、この前当委員会でつくりましたときには、あまり具体的な前進はなかったわけでございます。しかし、私は非常に大きな前進だと思っておりますことは、この法律の第一条、目的という条項でございます。この中には「国家補償の精神に基づき、」ということをうたってある。これは、この戦傷病者特別援護法を予算に影響しないようにつくるために、いままであちこちにありましたものを一本にまとめただけで、内容としてはたいして前進はなかったのですが、この援護法を当委員会で委員会提出で与野党一致でやりました意義は、むしろ第一条の「国家補償の精神に基づき、」ということをはっきり貫いたというところに私はあると思うのですが、この点の認識を、これは議員立法でございますので、以来政府はどういうふうに考えておられるか、私の考えに間違いがないか、法の施行、運用に当たる政府の見解をまず承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/38
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039・砂原格
○砂原政府委員 御指摘のとおりだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/39
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040・小沢辰男
○小沢(辰)委員 そこでそのときに、法律の条文で第二十三条、これを入れることにつきまして、当時いろいろな大蔵省方面等の意見もございまして、これが単独立法でありましたものを、ここへ入れる際に、特に予算の点も考えまして、第四項で「運輸大臣が定める。」という、あの単独法の規定そのままをここへ持ってこざるを得なかったわけであります。しかしながら、第一条で「国家補償の精神に基づき、」とあるわけですから、したがってこの二十三条の運用にあたり、あるいは将来の改善にあたりましては、そういう精神を貫いたこの戦傷病者に関する運賃の減免というものについては、はっきりした政策をとっていただきたい。ところが、今年度予算要求をされなかった。そこで来年のことにつきまして、ひとつこの法律に入れた意義を十分よく厚生省も考えていただいて、厚生省から、この援護法の施行に要する経費として、ぜひひとつこの二十三条を実施するに必要な経費を予算要求し、そうしてこの法律制定の趣旨に合うように、はっきりとしていただきたいという点が一つでございます。この点については、法文の書き方も前の単独法そのままを持ってきたものですから、当然予算がとれれば修正をしなければいかぬ点もあると思います。けれども、これについて厚生省がみずから積極的にお世話をする意図があるのか、いや、実はあれは国鉄の問題ですから、私どもは実はもう向こうへまかしておきますというような感じではなかろうかと思うのですが、この点をひとつはっきりさしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/40
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041・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、従来運輸省の予算で処理をしておったわけであります。この問題に関しまして、経費の問題、それから事務費の問題をめぐりまして、大蔵省当局、厚生省当局、及び運輸省当局と、あるいは内閣法制局と、関係官庁の間にいろいろ折衝もいたしておるわけであります。事務費の問題等につきましても、かなりいろいろな折衝がございまして、また、大蔵省内部におきましても、いわゆる運輸省の担当官と厚生省の担当官との意見が必ずしも一致しないというような面もございまして、いろいろ問題があったわけであります。われわれといたしましては、この戦傷病者特援法の趣旨からいいまして、できるだけ厚い援護をして差し上げるというのが趣旨でございますので、できるだけそういう面で努力をいたしたいと考えております。ただ、何ぶんにも、従来この所管が運輸省にございました関係、また、大蔵省の意向等もございますので、関係官庁の間の連絡を今後十分密にいたしまして、できるだけ御要望に沿い得るような線で努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/41
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042・小沢辰男
○小沢(辰)委員 あまり深追いはいたしません。
それからもう一つ。なかなか質問の機会がありませんので、この機会に伺っておきたいのですが、靖国神社の合祀の基準について伺いたいと思います。靖国神社の合祀の基準はどういうようなやり方をされておるのか、どこで決定をされるのか、この点をまず最初に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/42
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043・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいま靖国神社は宗教法人法による宗教法人でございますので、一応宗教法人たる靖国神社の理事会で決定しておるように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/43
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044・小沢辰男
○小沢(辰)委員 そこで、どういう基準でやっておられるか、厚生省はおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/44
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045・鈴村信吾
○鈴村政府委員 宗教法人の管轄が文部省でございますので、直接私のほうで所管しておりません。ちょっといまここでその基準を承知しておりませんが、——もちろん調べればわかると思いますが、ちょっといまここでは資料を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/45
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046・小沢辰男
○小沢(辰)委員 私がなぜそれを言うかというと、この改正点の要綱の二に、先ほど言った公務性の立証が困難な軍人軍属の遺族に対して、遺族一時金を十万円支給するという改正がある。たとえば、戦争で傷つきまして、内地に送還をされる。陸軍病院でいろいろ手当てを受けて、なおってまた戦争に行った。また負傷して帰ってきたけれども、ぐあいが悪いというので帰してもらった。その人が別の病気でなくなった。そこで、いろいろ公務扶助料の申請なりその他やるのですが、うまくいかない。いわゆる公務性の関連性ということについて、いろいろ医学的な疑義がある。いわゆる審査会で医師の診断——医師はやはりその死亡原因については、非常に直接的に、厳密に考えますから、その場合に、あるいはまた、いわゆる公務性の立証の困難な軍人遺族も一時金を十万円もらう。これを支給することも、もちろん援護の一つではありますけれども、同時に、戦傷したり、あるいは戦傷によって何らかの理由でその後なくなられた方々の一番の関心事は、靖国神社に合祀されるかどうかというところにあるわけです。これはむしろ事務当局よりは政務次官の御高配なりあるいはあれをいただかなければならぬと思うのですが、そういう点について、なるほど宗教法人だから宗教法人の理事会でいろいろありましょう。けれども、この靖国神社の合祀の問題、これはやはり主管の厚生省でどういう範囲のものを合祀して——援護はただ金をやることだけではない、もちろんものも大事ですが、遺族に対しては精神的な面も非常に大きな援護の一つであろうと思うのです。そういうような意味で、いま援護局長はおわかりにならぬようでございますが、靖国神社合祀につきましての問題を真剣に考えていただいて、戦争で犠牲をこうむられた万般の人について、理論上どうしても金の面では援護ができない場合には、そういう精神的なめんどうも見ていくという改正を考えていくべきではなかろうかと思うのです。これについて、ひとつ政務次官から決意のほどを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/46
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047・砂原格
○砂原政府委員 御指摘の問題は、われわれとしても遺族の気持ちはそのとおりだと思うのであります。したがって、この問題については、厚生省自体としては、従来発言権がないわけでありますが、靖国神社のほうとも十分折衝をいたしまして、遺族の皆さまの御満足のいくように善処をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/47
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048・小沢辰男
○小沢(辰)委員 要綱第一の二項についてもう一つ伺っておきたいのですが、ここでは「公務性の立証が困難な」と書いてあります。「公務傷病に併発した」と書いてありますが、これはどういうように解釈したらよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/48
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049・八木哲夫
○八木説明員 今度の遺族一時金の範囲で併発病を取り上げましたのは、復員後短期間の死亡でございますとか、あるいは公務の傷病というものがあります場合に、内地等の死亡でありましてもその影響があるのではないかということで、根っ子の病気が公務である、あるいは戦地で発病したということになりますれば、それが戦地で苦労して内地へ帰ってくればずいぶんからだも衰弱しておるのではないかということで、ほかの原因が考えられないで根っ子の原因の作用が考えられるという場合には、かなりのものが弾力的にとれるではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/49
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050・小沢辰男
○小沢(辰)委員 ちょっと不明確なんですが、たとえば、具体的に申し上げたいのですが、私ある事例にぶつかったことがございます。それは、これには「退職後」と書いてありますが、退職後ではなく、戦争で負傷しまして帰ってきた。そして、直接の原因は腸閉塞でなくなった。ところが、これは遺族の申請によりましても、医者が腸閉塞でなくなったのだという。本人が戦地で負傷したのは弾丸に当たってけがをしたのだから、腸閉塞とは、全然場所も違うし、関係もない、これは却下だ、こういうことになる。これは退職後二年以内においても、おそらくいまの答弁だと相当広く解釈をされますから、戦地で相当の苦労を積んで衰弱もしているだろうというようなことで、直接死亡原因でなくとも、できるだけ救っていこうという趣旨だろうと思うのです。退職後でない、いわゆる軍人の時代に陸軍病院でそういう事例にぶつかった場合、私は医学的な所見について全くしろうとごでざいますけれども、やはり盲腸なり腸閉塞をそれに併発してなくなるような場合、その本人が相当の医学が進んでいる現状ですから、もしも衰弱もしてないで相当頑健であれば助かっているのじゃなかろうかとしろうと考えで思われるそういう場合にはできるだけこの改正の趣旨に立脚して、今後も審査にあたっては広く解釈をしてやるかどうかという点、これをひとつ承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/50
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051・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、遺族一時金の条分でございます三十九条の二の一号に、支那事変以後における、「昭和十二年七月七日以後における在職期間内に公務上負傷し、又は疾病にかかり、当該在職期間内又はその経過後二年」とありますので、ただいま仰せのようなのは大体有利にとれるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/51
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052・小沢辰男
○小沢(辰)委員 「当該在職期間内」と三十九条の今度の改正規定の中にあるのですから、この改正の遺族一時金十万円の支給の対象にはなる、こういう説明だろうと私は思うのです。ただ在職中に、公務に関連すると認められると、遺族扶助料をもらえるわけですね。戦争で死亡した者、戦傷病者が、いわゆる公務に従事して負傷した、それで陸軍病院に収容中に死んだ、直接原因はそうでなくても、それがいわゆるその負傷に関連性があると認定をされた場合には、何らかの扶助料がもらえるようになっておる。それは間違いないと思いますが、もし間違いがあれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/52
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053・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまのお話、大東亜戦争中に、たとえば内地のいわゆる営内居住者が勤務関連で死亡したというような場合には、特例遺族年金が出るようになっておりますが、そういう限定がございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/53
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054・小沢辰男
○小沢(辰)委員 一時金じゃなくて、ありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/54
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055・鈴村信吾
○鈴村政府委員 いまのような大東亜戦争中、しかも営内居住という原則に合致をいたします場合には、そういう特例遺族年金が出る道がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/55
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056・小沢辰男
○小沢(辰)委員 その場合の公務関連性なんですけれども、今度の改正のようなところまで一歩進めてお考えになるとすれば、公務関連に関する死亡については、それはなるほど、純粋医学的に見てほんとうにこの死亡原因が何であるかということを厳密に考えていけば、あるいはこのこの関連性というものについては非常に狭くなると思うのです。ところが、やはりたまに当たって相当傷害を受けて帰ってきているのは精神的にも肉体的にも弱っている。ほかの何か大きな手術をした場合に、本来なら助かるべきものが助からぬ場合だってこれは医学上もあり得ると思う。したがって、そういう意味での公務関連性というものについては、行政上の運用でできるだけこれを弊害のない程度には、少なくとも退職後二年以内の者まで、併発ということによって公務性の立証が困難な人に遺族一時金の十万円をやろうという改正なんだから、従来の審査に当たった基準をさらに一歩進めて、そういうような点も考えて、公務関連性というものは相当広く考えてやるべきじゃないか。こういう改正がなければまた私の議論は成り立たぬかもしれませんけれども、退職後二年たった人でも、公務性の立証が非常に困難だというような人でも、相当広く解釈をして、併発した疾病による死亡、その遺族について遺族一時金をあげようというならば公務中、いわゆる在職中に公務関連によって死亡したかどうかという認定については、できるだけひとつそういう客観的な総合的な状況判断でやるべきじゃないかと思うのですが、この点は、今後審査会その他の運用にあたって、どういうように考えてやられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/56
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057・鈴村信吾
○鈴村政府委員 いまお話しの点でございますが、われわれ援護法の適用をいたします場合には、その精神にのっとりまして、できるだけとれるものはとりたいということで、全体の精神としては広く救済してまいりたいという考えを持っておるわけでごいざます。ただ、いまおっしゃいましたような、いわゆる勤務関連の疾病による遺族年金という場合には、あくまでも大東亜戦争中でありますとか、営内居住でありますとか、そういう一つの限定がかかっておりますが、さらに、勤務に関連する疾病という一つの限定があるわけです。ただ今度の遺族一時金の場合には、公務上の負傷または疾病に関連した疾病によって死んだ場合は当然救済されるわけでございますが、結局一方は勤務に関連した疾病、一方は負傷に関連した疾病ということになってまいりまして、どうしてもやはり勤務関連の疾病のほうがやや狭くならざるを得ない。これを全く同じに解するというのは、かなりわれわれが援護の幅を広くするという精神から申しましても、若干無理ではないか。したがって、広くとりたいという気持ちは全体にございますが、全くそれを同一に考えるということには、どうしてもやや無理があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/57
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058・小沢辰男
○小沢(辰)委員 二は公務傷病に併発した疾病によるのだから、したがって、この書き方は、死亡原因となった病気は、公務傷病に関連性が、より強いような気が私はするのです。したがって、病気そのものが公務傷病で、その公務傷病にかかった人が、その病気で死んだということでなくて、併発しているのだから、たとえば結核の人、あるいは外傷の人が、その外傷の部位によって、何か当然併発と考えられるようなものによってなくなった人ということになるから、先ほど課長の説明にあったように、しかく広くはなかなかとれないのじゃないか。したがって、私の言うような公務関連性というものについて、その死亡原因がいかに公務に関連するかという判定をされる場合には、当時の、その本人の死亡原因以外の医学的な身体的な総合的な所見というものが、一体公務関連性に加わってくるような配慮をするかどうかという質問に対しては、あまり答えになっておらないわけです。非常にめんどうな問題だと思うので、そこで私は、さっきの靖国神社の合祀基準をお尋ねしたわけです。いろいろなケース、ケースによっては、親から見たり遺族から見たり、いろいろしますと、何ら区別がないじゃないかというしろうと考えがたくさんあるわけです。ところが、これについてやはり純粋に医学的に判断をすると、いやおまえさん、そう言ったって、公務関連があると認定ができないのだ、だからこれはどうしても扶助料なり一時金なりの支給対象にならぬのだ。しかし靖国神社の合祀という道を考えて、これをひとつ戦争でほんとうになくなった人と同じように靖国神社合祀の処遇をして霊を慰めてやろうというような措置をやることによって、私は一つは遺族の何か満たされない気持ちを満たしていくことができるのではないかと思う。そういう意味で合祀の基準というものについていろいろ伺ったわけなんですが、これは宗教法人だから靖国神社の理事会で決定すると言われますけれども、厚生省のほうでこういう点についてやはり相当配慮してやるべきじゃないかというふうに私は思いますので、この点は広い意味での遺族の立場に立ってさらに検討をお願い申し上げておきます。
それともう一つは、最後に、戦傷病者特別援護法の問題ですが、母子福祉法でもあるいはその他の福祉立法には相談員というものがある。この傷痍軍人の方々を見ますと、傷痍軍人のいろいろな法律の適用、あるいは当然恩給法の問題に関連をする皆さんの所管以外の点もあるわけです。したがって、なかなかしろうとがわかりにくい恩給法とか、いろいろ援護法とかの内容、手続について、その仲間の中で相談員というようなものを厚生省なら厚生省がこれを委嘱して、そしてこの人たちの相談に乗ってやるという中で、傷痍軍人なら傷痍軍人の間で相談に乗ってやるような、そしてそれが行政庁との連絡なりあるいはいろいろなお世話をするということをやることが私非常に必要だと思うのです。そういう意味で、この戦傷病者援護法の中に相談員というものを私は置いてもらいたいという考え方を持つ一人でございますが、これについて厚生省の考えを、政務次官もしあれでしたら局長でもいいですが、せっかく、戦傷病者援護法の政正をやる機会でございますので、この辺のところのお考えをひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/58
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059・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまお話しのありました相談員の件でありますが、われわれもぜひこれを置きたいということで本年度の予算に要求いたしたのでありますが、遺憾ながら予算措置ができなかったわけであります。したがいまして、来年度予算にはぜひこれを実現した上で設置することにいたしたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/59
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060・田口長治郎
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
午後零時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X05419640611/60
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