1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十八日(火曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 始関 伊平君
理事 中村 幸八君 理事 早稻田柳右エ門君
理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君
理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
遠藤 三郎君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 岡崎 英城君
海部 俊樹君 佐々木秀世君
田中 龍夫君 田中 正巳君
田中 六助君 中川 俊思君
野見山清造君 長谷川四郎君
南 好雄君 村上 勇君
山手 滿男君 加賀田 進君
沢田 政治君 島口重次郎君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
森 義視君 麻生 良方君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 渡邊喜久造君
通商産業事務官
(鉱山局長) 加藤 悌次君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 宮本 惇君
委員外の出席者
議 員 小笠 公韶君
専 門 員 渡邊 一俊君
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二月十四日
金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法
律案(内閣提出第九七号)
同月十七日
軽機械の輸出の振興に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第一〇三号)(予)
電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一〇四号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法
律案(内閣提出第九七号)
石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案
(内閣提出第五二号)
電源開発促進法の一部を改正する法律案(小笠
公韶君外六名提出、第四十五回国会衆法第一
号)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、去る二月十四日付託になりました金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、通商産業大臣より趣旨の説明を聴取することにいたします。福田通産大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/1
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002・福田一
○福田(一)国務大臣 金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
わが国の金属鉱業は、貿易の自由化を契機として、急速にその体質改善を進め、金属鉱産物の低廉かつ安定的な供給体制を確立する必要に迫られておりますことは、御承知のどうりであります。金属鉱業の体質改善の方策としては、さまざまのものが考えられますが、最も重要かつ効果的な方策は、探鉱を急速に促進して優良資源の確保をはかり、採掘品位の向上をはかることであります。
このため、政府におきましては、従来から中小鉱山に対し新鉱床探査費補助金を交付し、地質調査所において地質の調査を行なう等の施策を講ずるほか、昭和三十八年度には、新たに金属鉱物探鉱融資事業団を設立して、探鉱に必要な資金の貸し付けを行なうことといたしております。これらの施策につきましては、今後とも鋭意その充実をはかる方針でありますが、探鉱を急速に促進するためには、これらの施策にあわせて、優秀鉱床の賦存する可能性の高い地域の地質構造の精密な調査を実施し、企業の行なう探鉱に指針を提供することがぜひとも必要であります。
近時、探鉱技術の進歩に伴い、従来の露頭を端緒とする探鉱方法からボーリング等による潜頭鉱床の探鉱へとその重点が移行し、各企業は、多大の資金と長年月を要して探鉱を行なっております。しかしながら、金属鉱床の賦存地域の地質構造はきわめて複雑でありますため、探鉱の前段階として、組織的な地質構造調査を実施し、その結果に基づき企業が探鉱を実施するのが最も効率的な方法であると考えられます。
このような調査は、その性格上、国ないしは国に準ずる機関が実施することが適当でありますが、金属鉱物探鉱融資事業団は、探鉱の促進を目的として設立された機関でありますので、この事業団に本調査の事業を行なわせることが最も適当であり、これによって従来からの探鉱資金の貸し付け業務もより効率的になし得ることと考える次第であります。
この法律案は、以上に申し述べました理由に基づき、金属鉱物探鉱融資事業団の業務を拡充して、これに地質構造調査を実施させることとし、その調査に必要な事項に関する規定を整備するため提案したものであります。
次に、この法律案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、事業団の業務の拡充に伴い、その名称を金属鉱物探鉱促進事業団に改めるとともに、理事一名を増員することであります。
第二は、事業団の業務として、探鉱資金の貸し付けのほかに、地質構造の調査を加えたことであります。この調査の実施にあたりましては、事業団は、あらかじめ利害関係人の意見を聞いて実施計画を作成し、通商産業大臣の認可を受けることといたしております。
第三は、本調査に要する費用は、政府の補助金、都道府県の負担金及び鉱業権者の負担金をもって充てることとしたことであります。
第四は、負担の公平という見地から、事業団が行なったボーリングにより鉱床が発見された場合には、その発見により利益を受ける者から納付金を徴収することとしたことであります。
第五は、本調査の円滑な実施をはかるため、土地の立ち入り、鉱物の採取等の規定を設けたことであります。
なお、このほか、調査結果の公表、区分経理、審査請求等の規定を設けることといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/2
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003・二階堂進
○二階堂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本案についての質疑は後日に譲ることにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/3
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004・二階堂進
○二階堂委員長 小笠公韶君外六名提出の電源開発促進法の一部を改正する法律案、内閣提出の石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案及び内閣提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、以上三法案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを順次許可いたします。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/4
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005・中村重光
○中村(重)委員 電発法の改正について大臣にお伺いをしますが、この法律案の改正の内容は、現在の理事五名を三名増員をして八名にする、そういう内容になっておるようでありますが、本委員会におきまして数回にわたって質疑が行われ、特に問題となっておる点は、理事を増員するということは運営の問題である、したがってこれは政府提案が適当ではないか、こういうことであります。この点に対する通産大臣の考え方を伺ってみたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/5
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006・福田一
○福田(一)国務大臣 この問題は、一昨年来実はそういうような問題が起きておったのでありますが、御承知のように昨年の通常国会におきましては、通産省としては三十幾つの法案を提出をいたしておりまして、なかなかそれ以上の提案をすることは非常に困難であるという事情がありましたところ、たまたま議員のほうから、 この問題は議員提案としてはどうか、また、この法案自体が議員立法でできておりました等の関係もありまして、議員提案でやってはどうかというようなお話があり、それはわれわれとしてもけっこうでありますということで、議員提案として、提出されたわけであります。しかし、その後、臨時国会その他におきましても継続審議の形をとってまいられたいと思うのでありますが、いままでこれが通過というか、御承認を得なかったわけであります。そうして今度も引き続きの問題でございますので、議員提案としてお出しになることについて、われわれとしてはこれに賛意を表しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/6
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007・中村重光
○中村(重)委員 議員立法の法律である、だからして改正案は議員提案ということが望ましいのである、そういうことになってまいりますと、あとでこの法律案の改正が政府提案として用意されておる。理事の増員のごとき運営に関する問題を政府提案とせず議員提案にするということになってまいりますれば、あとで政府が用意をしておりますようなそういうことが当然問題になってくるわけでありますが、それらの点に対しては大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/7
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008・福田一
○福田(一)国務大臣 議員提案によって、運営の問題についてここで提案されておりますが、政府としましては、その他の面については今後考慮をいたしたい、こう考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/8
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009・中村重光
○中村(重)委員 この理事増員の提案の内容は、それはきわめて簡単な内容になっておるが、三十数件の法律案の準備もあり、提案するにあたって非常に事務がふくそうする、そういう関係があったといたしましても、私どもが審議するにあたっては、これは同じになるわけであります。したがいまして、事務的に非常に繁雑であるからというゆえをもって議員提案にするということは、責任ある態度ではないと私は思う。数回にわたって電発総裁あるいは田中政務次官ともいろいろ議論をしたのでありますけれども、私どもが納得をする説明がなされない。いま少しく大臣はこの法律案の必要性について、あなたがどうしても理事の増員をはからなければならぬという積極的な考え方があるとするならば、私どもが納得できるような説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/9
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010・福田一
○福田(一)国務大臣 私は、実はこれはいろいろ議論のあるところとは思いますが、立法府の議員がこの法律を提案して、そしていわゆる国政を審議していくという姿は、決して間違った姿ではないと思います。もちろん政府が必要に応じて法案を提出することも、これは当然でありますが、私は議員のお方がやはりいわゆる議員立法といいますか、議員が必要であると思うものは提案されて審議をされるということは当然である。この権利を否定することは、かえっておかしくなるのじゃないかと私は思っております。だから法案を議員がお出しになった場合においても、政府の態度を言えと言えば、賛成できるものもあるし、賛成できないものもあるでしょう。この場合において、私たちはこの案には賛成でございます、こう申し上げるわけでありまして、それは御案内のように、おととし三十幾つの法案を出しますので、なかなかここまでは手が届かないと思ったところが、議員のほうで、これはぜひ必要であるから提案すべきである、こういってお出しを願ったと考えておるのでありまして、そのこと自体は私は時宜にかなったものであったと思うのであります。それを政府が出さなかったのは、そのとき怠慢である、こうおっしゃいますれば、確かにわれわれとしてはそこまで手が回らなかった、というのは言いわけになりますが、それはけしからぬとおしかりを受ければ、これはいたし方のないところでありまして、おわびをするよりしかたがないと思いますが、議員がお出しになったということ自体は、これは当然な権利を行使されておるのであり、今後も私はこの種の問題があることのほうが、いわゆる立法府の権限を高めるという意味ではかえっていいのではないか、こういう感触を持っております。もちろんこれは予算に関係があるとかいろいろなことになりますと、問題がございますけれども、これはわれわれとしても必要を認めておったところでありますので、議員立法にしていただきまして、議員立法でお出しになったことについては、われわれとしても賛成をしておった、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/10
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011・中村重光
○中村(重)委員 議員に提案権があるということはわかり切ったことなんです。しかしこの法律案の提案にあたって、そう大臣がいま答弁されるような単純なものはない、そこに問題があるわけです。電発総裁がいろいろ本委員会へ参考人として出てきて説明をされた。私どもはどうしても理事を増員してもらわなければならぬと思っておる、だがしかし、政府も非常に忙しそうだったので、むしろ議員のほうにお願いをするということのほうがいいと思った、そういった意味の答弁をしておられる。また田中政務次官の答弁に至っては、きわめて政府として無責任な態度であると私どもが感受されるような答弁をしておられる。だから私はいま大臣に指摘をしておるわけですが、少なくともいま大臣が言われたような根本問題に入ってまいりますれば、それは議論があるわけです。しかし、私はいまその根本的な問題に入って議論をするというのではなしに、いまの政府与党が取り組んできておる態度の中から、この電発の理事をふやすというようなことは、政府の責任ある態度として、どのように忙しい状態であったといたしましても、当然積極的にこれに取り組んでいくという態度こそ好ましいのではないか。そうたいして複雑な法案の内容でもないのに、それほど必要を痛感をしておられるならば、なぜに政府提案をするという責任ある態度をおとりにならなかったのか、ここを実は私は指摘しておるわけなんです。だから大臣の明快な答弁を伺いたいし、さらにまた理事三名を増員しなければならないという電発の内容の実態にわたってもお答えを願いたい、そういうことで質問をしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/11
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012・福田一
○福田(一)国務大臣 議員立法として提案をされまして、そしてずっと引き続きそういう形で出ております。スタートのときにおいてそういう事情はありましたが、それならば議員の立法でやろうということでお出しになっておりますので、政府としても議員の皆さま方のそういう提案権というものも尊重を申し上げ、また引き続きお出しになるということであれば、われわれも何も反対でございませんので、それでお願いをいたす、こういう気持ちで実はこの問題を取り扱わしていただいておるわけでございます。
なお、なぜこれは必要であるかということになりますれば、いままでにも提案理由その他で提案者が申し述べられておるところとわれわれは意見一致をいたしておるところであります。なお、非常に電発の仕事が時代の推移に伴って順次複雑化し、また現在においてもその必要性が増してきておるというふうな観点で提案をされておるのでございますが、われわれもこの点については賛意を表し、そのように考えておりますので、意見を申し述べろということでございますれば、賛成であります、こう申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/12
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013・中村重光
○中村(重)委員 意見を言えといえば賛成であると申し上げるということでありますが、そういうことでいいのですか、通産大臣。運営の問題ですよ。理事三名を増員をしなければならないということをあなたが痛感をしておられなければ、また積極的にそれを求めるのでなければ、私どもは必要であるということをどうしても認めることはできない。この提案が成立をしなければならない、理事をどうしても増員しなければならないという積極的なあなたの説明があってしかるべきだと私は思う。意見を言えといえば賛成だ、そういうことであってはならぬと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/13
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014・福田一
○福田(一)国務大臣 これは姿の問題でございますから、どうもあれでありますけれども、議員立法として提案をされたことであれば、提案者はその必要性あるいはその他をすべて御説明に相なるのが私は筋であろうかと思うのであります。そうしてそれに対して政府はどうであるかという御意見を求められれば、これに対して政府の意見を申し上げる、これが私は議員立法の姿ではなかろうかと思います。だから私は、そのことについて意見を求められておるというふうに解しまして、われわれとしてはそうお願いしたほうがけっこうである、こう申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/14
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015・中村重光
○中村(重)委員 私は形式の問題だけを問うておるのではない。またあなたが、単なる形式の問題ではなしに、この議員提案の必要性、そのことを自由民主党の党員として、しかも通産行政を預かる当の責任者として、賛成であるならば、もっと積極的にこれに対するその必要性を説明をしていくという態度が当然なければならない。しかも先ほどあなたは、三十数件という法案をかかえて非常に忙しかったのだ、だからして、議員立法というような話が出たので、そういうことにしてもらったのだということをお答えになったはずです。また私の質問も、そういう議員提案という形式の問題と同時に、理事三名を増員をしなければならぬというその実態についてもお答えを願いたいと申し上げておるつもりなんです。だから、あなたは、そのような単に形式的な答弁は無責任だと私は思う。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/15
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016・福田一
○福田(一)国務大臣 どうもまことに頭が悪いのかもしれませんが、議員でお出しになった立法であれば、やはり議員が御説明になるのが筋でございまして、そしてそれがもし通れば、それを実行するのが政府の責任である、こういうふうに考えるのであります。しかし、その問題に関連して、これは行政問題であるから政府としても意見を述べろ、こういうことでございますれば、私としてはけっこうであります、こう申し上げておるのでありまして、これがどういうような経緯で提案されたかは別として、いやしくも議員が立法権を行使されて提案をされました以上は、これを十分尊重申し上げる姿こそは政府として当然なあり方ではなかろうかと思って、実はそういうふうに申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/16
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017・中村重光
○中村(重)委員 全くあなたの言われるのは単なる形式論ですよ。それは野党から提案をされたというような場合と与党が提案をした場合とは、取り組みというものが変わってこなければならぬと私は思う。しかも先ほど、同じようなことを繰り返すわけですけれども、あなたは、政府が忙しかったのだと言ったのだ。だから議員提案という形でやってもらうことになったというその経緯をお話しになった。また私どももこれを審議するにあたって、提案者からいろいろと説明を聞いている。しかし、どうもその答弁が納得できない。そういうことから、参考人として電発の総裁も来てもらった。政務次官にも数回にわたって答弁をしてもらったのだけれども、その法案の提案の形式の問題と同時に、その内容の問題にあたって、その必要性というものをどうしても納得いくような説明をしていただくことができないわけなんです。だから、大臣にその内容にわたって説明をしてもらわなければならない。私どもはこれを審議するにあたって、その行政の責任者であるあなたが、ほんとうにその三名を増員しなければならないという必要を感じられないでは、また、納得いくような説明をしてもらわなければ、この法律案を通すわけにはいかない。負担が伴ってくるわけでありますから、できないのが当然であります。そのことはあなたはわかっておられるはずです。そういう形式論に終始するのではなくて、問題を十分納得するように説明をしていくということが、行政の責任者としてのあなたの当然とるべき態度である、このように考えるわけです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/17
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018・福田一
○福田(一)国務大臣 実は電源開発促進法を議員提案され、通過したことがございます。そのときの政府も、いまの池田総理大臣が大蔵大臣でしたが、補助説明ということでありまして、説明員ではありません。政府の意見を聞かれたら言うだけであります。そういうふうに、議員立法というものは提案者が説明をする。形式にこだわってはいかぬとおっしゃいますけれども、私は形式も大事だと思うのです。やはり議員の権限を侵すということであってはいけない。だから、議員が御提案になれば、説明はやはり提案者にしていただくということに相なるわけであります。ただし、これに対して政府の意見を求めるということでありますれば、私は、それは必要であると申し上げておるのであります。
そこで、今度は、必要ならばなぜ必要か、こういうことで御質問があると思いますので、電発の事情が、当初法律ができましたときとは、非常に仕事の量もふえてまいりましたし、仕事の内容も複雑化してきておりますので、そこでやはり理事は増員をお願いいたしたい。この種のほかの事業と比べてみると、やはりこれはふやしたほうが均衡がとれるということを、おそらく提案者の方もおっしゃっていられると思うのでありますが、私としても、政府としてもそういう考え方に賛成でございますと、かように申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/18
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019・中村重光
○中村(重)委員 ただいまの大臣の答弁では納得いかぬのですが、時間の関係がありますので、電発の問題は留保いたしまして、石油の問題に対してお尋ねをします。
いまガソリンの価格——基準価格が非常に値くずれをしておるという状態にあるようであります。それらの点に対して、通産省としてはどのような取り組みをしようとしておられるのか、まずお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/19
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020・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま石油が値くずれをしておるということでありますが、通産省からいえば、法律がございますれば、法律の範囲内において通産行政を行なう。また同時にもう一つ、法律がない場合においても、その産業が育成強化されるような方向に努力いたさなければなりません。この二つの面から見ていくわけでありますが、法律面から申しますと、値段の問題については基準価格をきめることができる、こういうことがございまして、一応基準価格は一昨年これをきめておるわけでございます。ところが、その後いろいろの事情がございまして、ただいま値くずれをいたしておるのは過当競争の結果であると私は思っておるのであります。しかし、その過当競争がなぜ起こってきたかということになれば、中村委員もおわかりかと思いますが、設備が過剰であり、生産能力が多い、それをよけい使っておるということが原因だと考えておるのでございまして、それを今度はわれわれのほうで、そんなに安くてはいけない、高くせいというような——一応の基準価格はきめておりますけれども、それにしなければいけない、それをしなければこういう処罰をするということはできないわけで、それはお互いで話をされて、基準価格に合わせられるというような努力をされることが望ましいということを申しておるところでございまして、これに対してこうせい、ああせいということは、いまのところ積極的には言っておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/20
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021・中村重光
○中村(重)委員 それでは、勧告をするという意思を持っておられない、こういうことに了解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/21
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022・加藤悌次
○加藤政府委員 かわりまして、私からお答え申し上げます。
標準価格を割ること自体につきましては、石油業法の上から勧告の規定はございません。ただ標準価格を必要に応じまして設定し、これを公示するということでございますが、 これが設定、公示された以上は、これをできるだけ守っていただくということが法の趣旨でございますので、私ども、昨年の暮れ以来、御承知のように市況がだいぶ悪くなっておりますので、これを少しでも早く標準価格に近く立て直しをしていただくようにという意味での行政上の指導はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/22
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023・中村重光
○中村(重)委員 ガソリン消費税はメーカー段階において課す、メーカーが徴収義務を持ってているということになるわけですが、現実にはどのように行なわれていると思っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/23
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024・加藤悌次
○加藤政府委員 御指摘のように、メーカーが蔵出しをするときにかけることになっておりまして、現実もさように税を徴収し、納めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/24
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025・中村重光
○中村(重)委員 現実には末端の小売り販売店がガソリン消費税を徴収をしておる、こういうことになっておると思うのですが、その点はどのようにつかんでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/25
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026・加藤悌次
○加藤政府委員 いまの御指摘の点がどういう事実があるのか、私聞いておりませんが、こういう事実はあるわけでございます。いま申し上げましたように、メーカー段階において、メーカーが蔵出しをするときにその数量に応じて課税をいたしておるわけでございますが、これを末端の特約店あるいは小売りが消費者に売る場合は、輸送途上における目減りがございまして、この目減りした分だけは税金を返すという事実があるわけでございますが、いま御指摘のような末端で税金をかけるということは、徴税の方法としては現在行なわれておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/26
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027・中村重光
○中村(重)委員 徴税の方法としては行なわれていないのだけれども、実際は小売り販売店が、ガソリン消費税は石油代と一緒にして消費者から徴収をしておるわけですね。そのことがいろいろな弊害をかもしておるという実情なんだから、それらの点に対してはあなたのほうではどう把握をしておられるのか、また行政指導をしておられるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/27
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028・加藤悌次
○加藤政府委員 御承知のように、ガソリン税は消費税でございまして、これを負担するのは最終の消費者が負担する、こういうたてまえになっておるわけでございますが、ただその徴税技術上、これをどの段階で税金を納めるかということになりますと、ただいま申し上げましたように、メーカーから蔵出しをするときにこれを徴収するということでございます。しかしいま申し上げましたような消費税の性格上、これは当然最終の消費者に転嫁されてしかるべきものであるというわけでございますので、私どもとしては現在ガソリンの標準価格というものをきめておりますが、その内訳といたしまして、ガソリンの中身そのものはキロ当たり一万一千三百円である、そのほかに二万六千百円の税金がかかるということで、合計三万七千四百円というのが、これは最終の消費者ではございませんが、元売りから特約に渡すときの値段であるということで、最後までこの消費税というものは石油の中身の価格のほかに、全体の価格としてついて回る、こういう性格のものであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/28
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029・中村重光
○中村(重)委員 公取にもあわせてお答え願いたいのですが、メーカー段階では、基準価格が値くずれをするということになってくると、いまあなたのお答えのように行政指導等で値段のくずれないようにやっておられる。ところが末端で小売り、いわゆる消費価格というものを業者間の協定をやると、これは独禁法違反になる、こういう形になるわけですね。ところがメーカーは、小売り店におろす場合はちゃんと担保をとっておろしておりますから、焦げつきになるということはまずまずない。ところが小売り販売店が消費者に販売する場合は、実際上担保をとるというわけにはいかない。ところがたまたま焦げついたというような場合、油代だけではなくて、消費税も焦げつくことになるわけでありますが、その消費税を問屋に払わなければならない、こういう形になるわけであります。それが適当であるかどうか、また公取としてもこの実態に対してはどのように把握され、お考えになっておられるか、まずそれらの点に対してお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/29
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030・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 御質問の点は、間接税の入った値段について焦げつきになったときに、債権自体について全額——要するに売り手のほうから請求があるということが妥当かどうかというお話のようでございますが、私のほうで独占禁止法で扱っております問題は、カルテルのほかにいわば公正取引の問題というわけになると思います。現在の全体のたてまえが、酒の代金の場合にも同じような考え方になっておりますが、一応消費税を込めた値段、それが即売買代金、税金というものを特に抜き出して云々ということになっておらぬというので、これがずっと過去に行なわれてきた一つの商慣習になっておりますから、いまの商慣習を一応是認した段階におきまして、それをすぐ公正取引というふうに考えるのは私は無印じゃないかと思います。むしろそういった場合に、この税金の転嫁というものをどう考えていくべきかということがあれば、これは別個の問題としまして一応立法的にお考え願うなり他の手段をとられるべきものではないか、公取としてはかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/30
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031・中村重光
○中村(重)委員 ガソリン消費税は蔵出しの場合に徴税をする、こういう形になっておりますね。ところが実際は私が申し上げておるように、これは小売り販売店がそれの徴収義務者という形に実はなっておるのですね。そこにやはり問題があるわけなんです。これは最終消費者が税金を払うということになってくるのでありますから、その点はわかるのでありますけれども、やはりその小売り販売店とメーカー、それから卸段階との間のいわゆる力関係というものに相当な無理がある、そういうことでありますので、それらの点に対して私はお尋ねをしたわけですが、通産省としては、これらの点に対してどのようにお考えになっておられるのか、まずその把握をしておられる点をひとつお答えを願いたい、こういうことでお尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/31
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032・加藤悌次
○加藤政府委員 先ほど申し上げましたように、ガソリン税というのは性格上消費税に該当するものでございます。これは理論としては、最終消費者がこれを負担すべきものである、こういう考え方でございます。三十九年度からさらにガソリン税等の増徴が考えられておるのでありますが、この増徴分を一体どこが負担するかという問題につきましても、やはりいま申し上げましたような線で私ども考えておるわけであります。ただ先生御指摘の、元売りあるいは精製業者に比べて、末端の小売り店が中小企業が非常に多くて、力が弱い。これが現実の力の関係でどういうふうになっておるかということでございますが、御承知のように、現在非常に石油の精製業者間のシェア争いといいますか、過当競争的な様相を呈しておりまして、ただいま申し上げましたが、現在標準価格で小売りされております内容は、ガソリンの中身は一万一千三百円、そのほかに税金が二万六千百円、合計三万七千四百円ということでございますが、この元売りから出す値段が相当値くずれをしておるということでございまして、本来最終消費者が負担すべき税金の一部を精製業者が負担しておるということも、考えようによっては言えるのではないか、こういうふうに存じておるわけでございまして、少なくとも現在の時点におきまして精製業者あるいは特約店、小売り等との関係を見てみますと、むしろ精製業者のあまりにもひどい売り込み競争によって、末端の小売りは、必ずしも自分たちが消費者から徴収すべき消費税を全部負担しなくてもいいというふうな状況にあるというふうに現在の事態を認識いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/32
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033・中村重光
○中村(重)委員 この問題に関してはまた後日あらためてお尋ねしますが、公、版委員長に、三菱三重工の合併の問題に対してお答えを願いたいと思います。
相当シェア、占拠率が高いものが入っておるわけなんです。三〇%あるいは四〇、五〇といったような非常に占拠率の高いものがあるのにかかわらず、これの合併を認めておられる。相当問題があったやに伺っておるのでありますが、これが認可ということに対しての経過または考え方を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/33
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034・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 三重工の合併につきましては、御承知のように一つのマンモス企業ができますために、公正取引委員会としましても相当慎重な態度で臨んだつもりであります。したがいまして、まず通常三十日という期間がありますが、これは会社の承諾を得まして延長することができる、それを一応六十日にまず延長してもらいまして、同時に公聴会を開く、あるいは各方面の御意見も、そのほかに書面あるいは口頭で伺うといったような態度でもって検討してみました。
シェアの面から見てみますと、三重工がいろいろな仕事をしておりますだけに、相当いろいろ違った形でシェアを示しております。一番主力をなしております造船関係は合併後大体二八%、それから船舶修繕が二七、舶用ディーゼルが二七、舶用タービン二七、電力会社向けタービンが二四、同ボイラーが四六、工場向けタービンボイラーが三五からあるいは四二、製紙機械の長網式が六三、トラック二五、バス二六、こんなのがおもな数字であります。公取委員会としては、一応の目安として三〇%くらいを考えておりますが、しかし、単にそうした数字というものよりも、もう少しそれぞれの仕事の性格といいますか、これもやはり頭に入れまして、ものによっては三〇%に至らなくてもやはり実質的な競争制限が起こる場合もあり得るだろう、あるいはそれ以上であっても必ずしもそうでない場合もあり得るだろうといったようなところで、相当突っ込んだ調査をしてまいったわけでありますが、共通して言えますことは、三重工が受け持っております仕事というものは、大体需要者側がそれぞれやはり相当の事業者でありまして、かなり力のあるものが多うございます。それから単に占拠率というだけでなくて、その会社の技術というものが相当ものをいう。したがって、占拠率が高いということですぐに実質的な競争制限ということもなかなか起こりにくい事情にあるのではないか。それから目につきます製紙機械の、特に長網の割合六三、これは大部分が現在の新三菱重工の持っているシェアでございまして、合併によって三菱造船の関係でシェアが多少ふえますが、その分は一・何%というようなきわめてわずかなものであります。
それから、御承知だと思いますが、現在、製紙機械につきましては通産省の指導もございまして、新しい設備をみんないま抑制しております。したがいまして、通常の競争状態ということも認められないのじゃないかということが一つありました。ただ、私のほうとしまして気になりましたのは、新三菱重工はベロイトというアメリカの会社と技術提携をしております。それから三菱造船はドイツのフォイトという会社と技術提携をしております。そのほかに石川島播磨が、いまちょっと名前を失念しましたが、カナダのある会社と技術提携をしております。そのほかに、まあ技術提携に値するような大きな会社があったという点を調べてみましたが、ないことはありません。しかし、一応ベロイト、フォイトというのは世界でも一流の会社ですから、新しい会社がこの二つの会社と技術提携をするということは、これはほかにもいろいろ問題があろうと思いますが、行き過ぎではないだろうか、将来のニューエントリーを阻止するのではないだろうか、この点について、私のほうとしましては、会社のほうにどちらかの技術提携は離すようにということを要請しました。会社のほうとしましても、相手方のあることでございますから、一がいに断言できませんが、離すことについてあらゆる努力をするというふうな書面も来ております。
以上、いろいろと勘案しました上で、われわれのほうとしては、三重工の合併は現在の独禁法に照らしまして実質的な競争を制限するほどのものでないということで、これを承認といいますか、一応排除措置をとらないということに決定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/34
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035・中村重光
○中村(重)委員 具体的にお尋ねしたいことがあるわけですけれども、時間が長くなりますから、きょうはこれで、私は質問を留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/35
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036・二階堂進
○二階堂委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/36
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037・板川正吾
○板川委員 私は、電源開発促進法に関する改正提案に関連しまして、電源開発株式会社の直接の監督者である通産大臣に、二、三伺ってみたいと思う。
第一は、この電源開発促進法というものと電発の実態というものが、どうも最初から今日までずっと、法律の方向と実態というものが食い違っておるように感じてなりません。私ども、電源開発促進法が議員提案で出たときの事情が実はつまびらかではないものですから、大臣は当時関係しておられたようですけれども、そこでお伺いしたいのでありますが、法の方向と実悪とが食い違っておるためにいろいろの疑念がわいてくると思うのです。たとえば、法律では、電源開発株式会社の目的は電気の供結を増加することを目的としておる。事業の範囲は、電源開発及びこれに付帯する送電変電施設の設備をし、そうして発電施設及び送電変電施設の貸し付けまたは譲渡をする。電源開発に主眼を置いて、送電変電施設の整備をする、そしてそれを譲渡または貸し付けをする。ともかく、電発が発電の開発をしたならば、九電力に貸し付けまたは売れるというのがたてまえである。しかし、その最後に、電気事業者に対する電気の供給というのがございますから、卸売りをやってもいいということにもなるでしょう。しかしこの法律全体に流れる、思想というのは、電源開発株式会社がとにかく電力を開発したならば、電力会社に貸し付けまたは売るというのがたてまえである。だから、そういうたてまえで電源開発株式会社があるというならば、理事が五名でよろしいということは当然だと私は思う。ところが実態がそうじゃないのです。実態がそうじゃなくて、開発をして、売って、あるいは貸し付けするということは一つもない。開設以来一つもなくて、そうして三号の「電気事業者に対する電気の供給」、こういう事業だけやる。それは末端の電気の小売りはしませんが、電気事業者の九電力、電力業者に電気を卸売りするという仕事をやる。そうするといま言ったように理事が五名じゃ不足だからふやそう、通産大臣も、なるほどごもっともだという、こういう考え方なんです。だから法律のたてまえから言うと、たてまえがそのまま運用されておるならば五名でいいのじゃないか。開発して売るあるいは貸し付ける、運用は全部電力会社にまかせるという形になれば、そう理事を何名もふやす必要はない。ところがそうじゃないところに問題がある。われわれは法律のたてまえから言うと、法律のたてまえで電発会社が運営されているならば、理事をふやさなくていいじゃないか、こういう議論になっておる。そこら辺が食い違いで、簡単な法律のようだけれども意外にごてごてしているのはそこにあるのですね。大臣はその点、どういうお考えを持ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/37
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038・福田一
○福田(一)国務大臣 私はごもっともな御質問だと考えております。といいますことは、そもそもこの電源開発促進法というものが成立したときの前後の経緯というものが、かなり問題があると思います。いまの九電力ができましたのは、日発というものがあったのがポツダム政令によって九分割されたわけでありまして、その当時の院内、当時の保守党といわず社会党といわず、院内の空気は、実をいうと分割には大体反対だったわけであります。だけれども、これはポツダム政令によって、命令によって九分割することにきまったわけであります。そういう事情がございました。そこでそのときにあたりまして、九分割されたのでありますが、当時は電力、エネルギーが非常に必要である。そこで九電力会社ももちろん発電には努力をいたしますが、とても大規模なものなどは発電ができない、能力がないという、その場合、九電力が外国から金を借りてきてやったらいいじゃないかという意見もあった。同時にまた、国の金を電力会社に貸し付けるといいますか、そういう形でもいいから、とにかく発電はどんどんやらなくちゃいかぬじゃないか、こういう意見もあったわけであります。しかし、個々の九つの電力会社に国の金を出資するというような姿というものは、いかに公益事業であるとはいいながら、どうもそこに変ないろんな請託が行なわれたり、変な利害関係から金がよけいいったり少なくいったりするというようなことがあってはいけないじゃないか。だからこの際は発電をする分については別途にそういうような会社をつくって、そうして発電を——大規模なものであるとかあるいはまた公共事業と直接関係のあるようなものは、ひとつそういう別途に発電所をつくって、それに国が援助を与えるということによって発電量をうんとふやすようにしょう、こういうことに、事後の措置ですね、一ぺん日発が分割された事後の措置として、それよりほかは方法がないじゃないか、こういうことであります。そのときに、私は実はその当時提案理由を説明したものでありますが、その当時考えられておりましたのは、できるならば設備をやったりしても実際は——もちろん設備をやったものは譲渡したり貸し付けたりしていいのだけれども、実際は貸し付けも希望しないし、電力会社が買いもしないという場合があっては困るから、その場合はやはり運営するということも入れるべきだ、だから両建てといいますか、両方ともはっきり同じ順位に置いてきめたらいいじゃないか、こういう空気も実はあったわけであります。ところがこれがGHQへ行って——この法案は実はGHQのオーケーをとって出した法案なのでありまして、われわれの自由でやったわけではありません。GHQが一応こういう法案ならばよろしいということで、また当時はそういうようにGHQのオーケーがなければ議会へ提案することもできない、修正をする場合にもGHQのオーケーをとって修正するという事情に相なっておったわけでありまして、そこでいろいろの経緯はございましたが、こういうような姿において出されたというのが実相であります。そこであなたのおっしゃいましたように、われわれが考えておった目的から言えば、やはり会社の目的にあります電気の供給を増加することを目的とする、これはもうそのとおりなのであります。それから業務の範囲になりますと、いま言った二つのことがあるのでありますが、当時GHQでは、実を言うと、譲渡と貸し付けだけにしなさいという意見が相当強かった。それを説得するのに——説得というか、それじゃどうもわれわれの意見と違います。そのいろいろ話をしたときに、そんなこと言ったって一部発電というのがあるじゃありませんか、最小限に考えてみて、たとえば発電所を十万キロつくる場合に、まず五万キロ最初につくる、あとの五万キロは一年後にできる、そうすると、全部ができて、借りにくる電力会社がある、あるいはまた買い取る電力会社があるまで、先にできた五万キロの発電所は動かさないでおく、これは実に国家の資源をむだに使うことになる、当然これは売ってもいいし、そういうような売電をしていいじゃないか、そういうことがあるから絶対にこの条項は必要であるということから、だんだん話をほぐしていって、実はこの三号が入ってきたわけなのです。そういう経緯があるわけでございます。これはもう率直にその当時の事情を私申し上げてみたので、そういうことでございまして、 いまおっしゃったような意味から言えば、条文の並べ方その他から見ますと、あなたのような御質問が出るのは私は当然であると思うのであります。しかし実際問題といたしまして、電発はその後いろいろ発電所をつくりましたけれども、だれも買いに来たものもなければ、借りに来たものもないというような状況でございまして、現実にはやはりつくった発電所の電力を電力会社に売電をいたしておるというのが、いまの実相でございます。そうなりますと、電力の供給をふやすという目的は達せられたのでありますが、業務の内容の一部はまだ行なわれておらないじゃないかという御疑問が出るのは、これは当然なことでございますが、実態は、発電はできた、電力はふえた、その電力を電力会社に売っておるというのが、いまの電発の姿である、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/38
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039・板川正吾
○板川委員 今日は海岸線近くに火力発電というコストの安い電力が開発されるようになりましたから、今日、この電源開発株式会社が開発した発電所を売ってくれというところはないと思います。しかしこの会社ができてから数年間、とにかく国家資金で安い金利で、国家の技術を用いてやって——そうすると建設のコストというのは実際は安いと思うのですね。安いものをなぜ電力会社が買わなかったのですか。どうもその間がふしぎでならないのです。国家の資金で、安い金利で大きい設備をつくってくれた。九電力のどこかで磁力を買うならば、同時に発冠施設まで法律の目的に沿うてぜひ売ってくれといって、こちらも第一義的には売るのが目的ですから、売りましょう、あるいは貸しましょう、こういう話になっていいと思うのですが、事業範囲の二の号が会社創立以来一回も行なわれなかったということは、どういう原因かなと実は思うのです。この間どういう事情でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/39
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040・福田一
○福田(一)国務大臣 これは私は電力会社のことをそんたくして御説明申し上げる以外にないのですが、私の考えでは、その当時電発からは安い電力が買えるわけですね。そうすると、設備をしないでも安い電力を買えるならば、金をそれに投入しますと、今度自分の発電所をつくりたいと思うところができなくなるわけですね。だから、まだまだ電力のほうはどんどん必要になりますから、そこで自分のところの金は新しい発電所に投入をしていって、安い電力は電発から買っておいたほうが売電が楽だ、みんなによけい供給できる、こういうところであったと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/40
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041・板川正吾
○板川委員 それと、もう一つ実体法との関係ですが、この法律が最初通過するときに参議院で附帯決議をしておるのですね。その附帯決議によると、「政府は電源開発株式会社の業務運営に関し、電気事業者に対する電力の供給に主点を置き、発電施設等の譲渡又は貸付は特殊の必要がある場合に限るよう、善処すべきである。」といって、法律の趣旨は、開発し、設備をし、譲渡または貸し付けを行なうというのが一義的な目的であるにかかわらず、逆な附帯決議を参議院ではやっておる。しかも電源開発株式会社もこの趣旨を尊重して今日まで来たということになっておる。とにかく日発のときから今日まで、この法律の方向と実態というのが、常にちぐはぐなんです。それほ先ほど大臣が言われたように、当時占領下にあって、向こうの意思も尊重しなくてはならないということもあって、実質的にはわがほうの主張をとりながらも、形式的には向こうの法律的な形式、これは向こうに譲ったという形、そうしますと、今日はこういうちぐはぐな法律であるならば、場合によってはそういう点を実態に合うように直したらいいんじゃないでしょうか。この点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/41
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042・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のように、参議院でこういう附帯決議がついたわけであります。当時の法律は、提案をする場合には必ずGHQの判がなければいけない。修正をする場合にも判がなければいけなかったようなことで、附帯決議についてはそういうことはなかったわけです。そこで、かすかながらと言うとおかしいのでありますが、占領行政に対する非常に不満があったわけです、院内全体において。そこでこういう附帯決議が出てきた。それに対して、われわれもそうだと思っておるわけだから、ある意味で決議が出まずければ、院議は重んじます、民主主義でございますからということでお答えをしておったというのが実相です。だからあなたのおっしゃる御疑問はごもっともであるというのは、この経緯をお考え願えばおわかり願えると思います。しからば、いま法案と実態が離れておるならば直したらいいんじゃないか、これはごもっともな御意見で、私は適当な時期にひとつ直すように考えるべきではなかろうか、そう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/42
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043・板川正吾
○板川委員 これは大臣は、議員立法だから、議員のほうからひとつしかるべく直してほしい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/43
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044・福田一
○福田(一)国務大臣 それはそうではございません。いまあなたのおっしゃったのは、政府が直すつもりがあるかとおっしゃいますから、適当な時期に政府としても直していいと考えております。こう申し上げたのです。何も議員立法だから政府が修正してはいかぬということもないし、政府が出したのを議員が修正していかぬということもないと思います。だから私の申し上げたのは、われわれとしても当然考慮しなければならない、かように考えておると申し上げたわけでありますが、これはいますぐかと申しますと、十分考えさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/44
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045・板川正吾
○板川委員 政府は、世界銀行から電発が借款をする場合のことを考慮して法案の一部改正を行ないたいと思っているようですが、その際にひとつ御検討願いたいと要望しておきましょう。
さらにあと二点だけ、簡単ですが、監督者の通産大臣としてこれはどういうふうにお考えかということを伺っておきたいのです。それは、提案理由の中で非常に強調されておる点は、広域運営の強化ということを提案理由で実は三か所か四か所同じ文句があるのです。「広域運営の強化」「広域運営の進展強化に伴い、」「広域運営等、業務」がこういうふうに増大しておるから理事をふやせ。電源開発株式会社が日本の電気事業の広域運営に責任を持つのは、法律的に根拠がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/45
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046・福田一
○福田(一)国務大臣 私は法律的に根拠はないと思っております。それは九電力会社と電発とが合わさってお互いに発電をむだにしないように、また電気をむだに使わないようにしようという意味のことを言っております。事実問題をこれは述べておられるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/46
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047・板川正吾
○板川委員 法的には何らないのでありますが、この提案理由は、広域運営に責任を持つ立場から、業務が非常に増大したというふうな説明をしておるのでどうかと思いましたが、それはないことが明らかであります。
もう一つは、提案理由は提案者に聞いてくれということじゃないのです。これは政府に関係があるのですが、提案理由の中に、水力発電の必要性というのを非常に強調しております。これは今後も水力発電を電力の二割程度確保すべきじゃないか、そしていわゆる調整的な役割を水力発電でやることが最も能率的だ、そこで水力発電というのは火力の二割程度保有しておることが望ましい、そして今後原子力、大型火力発電等が進めば、したがって水力を二割程度開発していくとすれば、水力発電の需要というのは今後も相当大きいものがある、ただし水力電源の開発というのは非常に遠隔の地になって、開発に非常に金がかかる。それから開発は豊富な経験を有する電源開発株式会社に担当させたほうがいい、国家資金が安く使える、こういうことを言っておるのですが、そこでこの法律に基づきますと、電源開発株式会社の開発計画というのは、審議会の意見を聞いて内閣総理大臣が電源開発の基本計画というのを立てて、そうして公表するということになっております。その基本計画を見ますると、水力発電というのはごく少数ですね。この提案理由のように二割程度確保するという状態ではないように思うのですが、この点は水力発電を将来どういうふうに政府としてお考えになっておるか。コストも高い、あるいはもう奥地になっておる。しかも一方においては、海岸線における大型火力発電というのがコストが非常に安いという状態になってきておる。こういう場合に、将来の水力発電というのをこの提案者がおっしゃるような形で政府がお考えになっておるかどうか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/47
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048・福田一
○福田(一)国務大臣 詳しいことは政府委員から答弁いたさせますが、これは私のこれに対する感じ、考え方でありますが、大体こういうようなことでいいのではないか。と言いますのは、これはあなたも御存じのように、夕方になりますと電気がぐっと必要になります。それから、これはよくおわかりと思いますけれども、そういうような場合には、火力のいわゆる能率を上げていく場合には、大体十万キロなら十万キロのうちの九万キロなら九万キロをずっと一定に出していかなければなりません。ところが、それでは、夕方になってぐっと需用がふえたとき困ります。そこで、水力で一ぺんにずっと落としてそれをカバーしていくわけであります。それで水力がどうしても必要になる。こういう貯水池式の電力が必要になるわけであります。したがって、原子力発電ができても、とにかく火力発電ですね、一定レベルでずっと発電をしていくような発電が、ございますと、それをふやしますと、どうしてもそれに見合った水力発電というものがあって、いざというときにぱっと水力をふやす、こういうことが必要になるわけでございまして、そういう意味では、やはり水力発電の意味は今後も尊重、重要視されなければならない。ただお説のように、やはりだんだん奥地に行ったり非常に不便なところで、高い発電になるわけであります。そこを私はコストの面でいろいろ考えて——だから、やはり日本の発電量というものはむやみにふやせないという限界がくると思うのです。というのは、ピーク時に間に合うだけのそういうものができないのに、火力だけで補っていくということができるかどうかということになると、私はそこに一定の限界がくると思いますが、当面まだその水力発電の開発はできるのではないか。したがってここに説明がありますような御趣旨は一応ごもっともと、私たちは考えておるわけであります。詳しいことは政府委員から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/48
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049・宮本惇
○宮本政府委員 数字的に申し上げますと、昭和二十六年から三十七年度まで、つまり先日差し上げました資料の前の年までの電源開発調整審議会で決定されました着工出力、これは水力、火力合わせまして三千六十七万キロワットでございます。その中で水力は九百六十一万キロワット、したがいまして、全開発量に対する比率は三二%に達しております。
それから、この前お配りいたしましたこの資料でございますが、電力会社、公営その他電発、全部を合わせまして、これは二ページ目の資料をごらんいただきますと、水力の新規の合計が百十六万二千キロワットになっております。水力、火力、原子力全部を合わせました新規の着工が三百十二万七千キロになっておりますので、割合から申し上げますと、三七形に達するわけでございます。ただ、これは年によってでこぼこがございまして、来年度あたりは水力が減るといたしましても、長期的に見まして、大体四十七年度ごろまでずっと試算をしてみましても、たとえばいま未解決の四国の吉野川とかあるいは中部の揖斐川というようなものが具体的になってまいりますと、大体平均二〇%をこすのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/49
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050・板川正吾
○板川委員 私の質問は以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/50
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051・二階堂進
○二階堂委員長 次会は明十九日水曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X00919640218/51
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