1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十九日(水曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 二階堂進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中村 幸八君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
遠藤 三郎君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 岡崎 英城君
海部 俊樹君 神田 博君
佐々木秀世君 田中 正巳君
田中 六助君 野見山清造君
長谷川四郎君 南 好雄君
村上 勇君 山手 滿男君
大村 邦夫君 加賀田 進君
沢田 政治君 島口重次郎君
藤田 高敏君 森 義視君
麻生 良方君 伊藤卯四郎君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
総理府総務長官 野田 武夫君
公正取引委員会
委員長 渡邊喜久造君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
専 門 員 渡邊 一俊君
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二月十八日
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七三号)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、昨十八日に付託になりました内閣提出の中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、通商産業大臣より趣旨の説明を聴取することといたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/1
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002・二階堂進
○二階堂委員長 福田通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/2
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003・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま提案になりました中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
中小企業金融公庫は、政府関係中小企業金融機関として、一般金融機関が融通することが困難な長期資金を中小企業者に対して融通いたすことによりまして、中小企業の発展に多大の貢献をしているのであります。
当公庫は、これまでその資金源を政府からの借り入れに仰いできたのでありますが、最近、中小企業の近代化を早急に実現することが国民経済の均衡ある成長発展のために特に強く要請されている実情にかんがみますとき、この際当公庫が債券を発行することにより、民間資金を調達する道を開きまして、中小企業に対する融資の一層の拡充をはかることが必要であると考える次第であります。
かような趣旨に基づきまして、今回、中小企業金融公庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
すなわち、中小企業金融公庫は、主務大臣の認可を受けて、資本金の二十倍に相当する金額を限度として、中小企業債券を発行することができるようにするものであります。これに関連いたしまして、政府が中小企業債券の元本の償還及び利息の支払いについて保証することができるようにするとともに、中小企業債券の発行に関する手続等について所要の規定を設けることとしております。
なお、このほか、中小企業金融公庫の業務の適正なる運営を確保するため、当公庫の監事の権限に関する規定を整備しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重ご審議の上、ご賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/3
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004・二階堂進
○二階堂委員長 以上で説明は終わりました。
本案についての質疑は後日に譲ることにいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/4
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005・二階堂進
○二階堂委員長 内閣提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/5
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006・中村重光
○中村(重)委員 渡邊公取委員長にお尋ねをいたしますが、昨日の委員会で三菱三重工の合併の経緯、またこれを認可するにあたっての公取の考え方というものは一応伺ったわけです。ところが、どうも最近の状況を見てみますと、大企業の集中合併というのが相次いでおる、こういう現状であります。特に三菱三重工の合併は、そうした寡占、独占的な大企業の合併にせきを切っていくというような、そういう形になるような感じがいたすわけであります。それらの点に対しても相当留意をされたとは思うのでありますけれども、いま一度公取委員会において、特に問題点になった点はどういうことであったのか、さらにまた、ただいま私が指摘いたしましたようなことはどのように評価しておられるのか、まずそれらの点について一応具体的な考え方、審査の経緯というものを伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/6
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007・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 お話しのように三菱三重工の合併につきましては、何と申しましても日本で指折りの大きなマンモス企業ができるわけでございまして、したがいまして、世間の関心も多い。同時にわれわれのほうとしてもこの問題は慎重に考えていくべきだというふうにやっておりまして、検討してまいりました。御承知のように、私的独占禁止法でもって合併をチェックする場合を規定してございますが、それは条件が二つありまして、一つは合併そのものが不公正な方法によってなされているかどうか、それから第二の点は、当該合併によって一定の取引分野における競争が実質的に制限されるかどうか、こういう二点であることは、これはもうよく御承知のとおりであります。前者の不公正な方法によって合併が行なわれたかどうかという問題につきましては、これはそういう事実はないということは比較的簡単にわかりましたが、第二の問題としましての、合併によりまして一定の取引分野の競争を実質的に制限することになるかならぬか、こういう点につきましては詳細に、まず合併によってシェアがどういうふうに動いていくとか、いろいろな点を中心にしまして検討してまいりました。御承知のように三菱三重工が現在の段階において一番主力を置いているのは造船の関係でございますが、造船につきましてはシェアが約二八%になる、この関係におきましては、現在は石川島播磨が一番大きなシェアを占めております。この合併によりますと、今度は三菱のほうが石川島播磨よりもやや大きなシェアになるということになります。ただこういったシェアの問題につきましては、昨日もちょっと申し上げましたが、大体三割をこえる場合には特にわれわれのはうとしては目を光らすという一応のめどは持っておりますが、競争の、実質的な制限になるかならぬかという問題につきましては、やはり相手方の需要者がどういう立場のものであるか、いろいろその業態自体の内容にまで突っ込んで入っていって見る必要があるのではないか。こういうふうに考えてみますと、正直言いまして、造船の仕事というものは、国際的に見ましても、将来どんどん伸びていくという仕事かどうかという点はどうも多分に疑問がある。これはある学者の人がおっしゃったのですが、世界の造船量一千万トンと見る、これはちょっと過大らしいですが、大事をとって一千万トンと見ましても、一トン百五十ドルにすると十五億ドル程度の仕事だ。御承知のように、自動車のようなものになりますと、アメリカだけでも六百万台、二千ドルにすると百二十億。将来のある仕事として考えてみますと、造船というものの将来というものは、そうどんどんこれから伸びていくというものとも思えない。結局、三重工合併によって造船のシェアは大きくなりますが、これ自体としては、いわゆる攻撃的といいますか、オフェンシブなものよりも、むしろディフェンシブなものじゃないか、防御的なもめじゃないか、こういうような判断か一つ基礎に入っております。その他いろいろ多角的な企業経営をやっておりますが、まだこれといって特に三菱か地歩を築いているもの、というよりも、むしろ自動車のようなものにしましても、それ以外に相当強い競争者があるといったようなことを順次詰めてまいりまして、そうして最後に残りました点が、昨日も申しました製紙機械の問題、ただこれは、三菱三重工から見ますと、まだまだきわめてわずかなシェア、しかし製紙機械というものから見ますと相当なシェアを占めている。そこで気になりましたのが、昨日も申しましたが、三菱長崎のほうがドイツのフォイトという会社と技術提携している。それから三菱新重工のほうがアメリカのベロイトという会社と技術提携している。もう一つ大きく技術提携しておりますのは、石川島播磨がカナダの製紙会社とやはり技術提携をしている。結局ニューエントリーがもっと可能であるかないかという点がだいぶ気になったのですが、たとえば日立なら日立が最近富岡機械という株をだいぶ持ちまして、そしてこの方面に進出しようとしているようですが、どうもやはり二つの会社と技術提携するということ自身は少し行き過ぎじゃないか。これは別に審決とかなんとかという問題じゃありませんでしたが、会社のほうへ一応話しましたら、会社のほうとしましては、そのどちらかと契約を切ることについてはあらゆる努力をする、こういうような話もありました。そんなわけで実質的な競争制限という面につきましては、何と申しましてもそれぞれの事業者がみな強い需要者を持っていますから、そう要するに消費物資のような関係ではないじゃないかという点をやはりわれわれとしては考慮に入れたいという点がございます。
それからもう一つの問題は、そういったようないわば法律論的な問題のほかに、とにかく何といってもマンモス企業ができるのだ、そこにどういうふうに関心を持つかという一つの点はわれわれも相当注視したのですが、三菱三重工としましては、結局合併によりまして今度どういうふうな分野に出ていくか、いろいろな問題はあろうと思いますが、大体予想される分野につきましては、現在において相当競争者がしゃんとしている。そういったことをかれこれあわせまして、この際独占禁止法の上からいってこの合併を阻止するというわけのものでもあるまいということで、一応承認いたしました。将来、こういうのが一つの機運になりまして、いわば大きな会社の合併が進行するのじゃないかというふうな考え方は、私もある程度そういう方向に向かい得ると思いますが、問題としまして、一つはやはり合併によって相当合理化される。まず三菱三重工などの場合におきまして、造船についていいますと、最近十五万トン程度のドックが必要になってくる。それを三社がみんな持つとすれば、非常な投資のあれにもなりますし、国際的あるいは国内的に見ましても過剰投資のきらいがある。そこで、それを合併することによってまとめたいといったような点、いろいろな利点がやはり片方にはあるわけであります。その利点は生かしながら、しかしそれによって需要者なり消費者の利益が害されることのないようにという点とにらみ合わせながら、われわれのほうとしては、今後出てくる事案につきましては、それ、それ個々の事案について具体的に見てまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/7
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008・中村重光
○中村(重)委員 委員長の御答弁のように、確かに資本力を強化するという、そういう面についての一つの利点というものがあります。合理化を強めてくるという、そういういろいろな面が出てくるわけですが、一方また非常に市場を支配するという形において、国民経済的に見てほんとうにプラスになるかどうかという問題点も出てくるわけですね。そういう点を公取は十分配慮していくということでなければならない、こう思うわけです。さきには三菱製鋼と三菱鋼材の合併があり、次から次に、先ほど申し上げましたように合併が集中、合同という形で行な走れているわけですね。そこで、いままでそうした集中、合同というものが、これは適当ではないということで認可を拒否された実績があるかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/8
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009・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 いままでの承認の拒否という問題につきましては、これは日本の事務のやり方といいますか、あるいは業界の人たちの気持ちといいますか、率直に申しますと、正式に書類を出す前に一応われわれのほうの意向を聞きに参ります。したがってその場合に、問題がボーダーラインにあるものは別としまして、もうこれははっきり無理だ、それは書類を出してもらっても、われわれのほうとしてはおそらく承認にならぬだろう、これはほんとうの委員会の決定とかなんとかいう意味で正式なものじゃないけれども、非常にむずかしいといったような話が出ますと、業界のほうはそれでもって得類を出してこないというふうな事例なものですから、正式に合併の申請が出てきて、そしてわれわれのほうで拒否した、排除命令を出したといったような事例はございません。ただ一応の話がありまして、おそらくボーダーラインで相当問題になるかもしれないが、しかしそれはやはり委員会で正式に決定してみなければ何ともわからぬという程度、あるいはそれ以上のものでないとなかなか出てこないということが、アメリカなどの例と違って、日本の場合はそうした、これはだめだといったような、いわば審決的な事例が出てこない原因じゃないかと思います。過去においてのことは私あまり詳しいことは知りませんが、書類に残っている限りにおきましては、御承知のように帝国製麻と中央繊維ですか、あれが合併になりましたが、これは麻関係を一応独占するような姿、しかしあの数年前に一応の話がありまして、そのときにおきましては、委員会として、これは正式な申請があってもだめだぞと言って断わった。数年たってまた話があったときは、繊維の事情がだいぶ変わってきたというので承認した、こういう市例があったことは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/9
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010・中村重光
○中村(重)委員 市場支配という問題を狭義に解釈するか広義に解釈するかということによって、だいぶ変わってくると思います。これを狭義に解釈していくということになってくると、市場支配するいわゆる競争会社に対する関係にしぼられてくることになるわけですけれども、広く解釈してくるということになってまいりますと、非常にマンモス的な企業が優越的な地位な利用して、下請関係その他労働者とかいろんな面において君臨していくという形は、非常な問題点をそこにかもし出してくる。そういう点もやはり独占禁止法の立場から公取としては考慮していく必要があるのではないか、こう思いますが、それらあたりに対する考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/10
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011・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その点はわれわれのほうとして、いまお話しのように、非常に広く解釈するか狭く解釈するか、むずかしい問題があるわけですけれども、結局われわれとしましては、個々の企業あるいはそれと結びついている業態、こういうものとにらみ合わせまして、そこに企業支配による競争の実質的制限といった弊害がかもし出されるか出されないか、その点を中心に考えているわけでありまして、もちろん単に一社だけが全部支配しているというものでなければ競争の実質的制限にはならぬというほど狭く解釈していくというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/11
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012・中村重光
○中村(重)委員 御承知のとおり、かつてはこれは一つの会社であった。戦後の財閥解体という形において、これは三つの会社に分離されたわけです。これらの点も、この三重工の合併を認可するにあたって考慮の一つになったのかどうか、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/12
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013・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その点もわれわれのほうとしましては一応検討の中に入れました。御承知のように、過度経済力集中排除法という法律があって、その通産経済力集中排除法によって、かつてあった一つの会社が三分割された。こういったようなことを一応頭に置きながら、現状において合併を承認すべきかどうか、結論として出ましたところは、あの法律と独禁法のねらっているところと多分に違った目的を持っているというのが一点、それからあの当昨における状態と、その後における日本経済の状態とにかなり大きな変化があったんじゃないか。現在公取としてこの合併を承認すべきかすべからざるかという問題は、やはり独禁法というものに立って、そして現在の実情を見ながらイエスかノーかきめるべきだ、一応分割の時代の経緯というものは、われわれとしてトレースはしてみましたが、最後の結論は、先ほど来申したようなことで結論を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/13
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014・中村重光
○中村(重)委員 確かに経済は大きく動いております。技術革新の中において、変化があったということは認めますけれども、やはり財閥を解体したというそのことは、独占禁止法の中の精神として生きてきているのです。やはりそういう点は、弊害をかもし出すという点について、財閥解体をしたということについては十分生かしていくということでなければならない、こう思うのです。この後十分な注意をもって対処されるものだとは思いますけれども、これらの問題に対する公取委員長としての心がまえといいますか、対処する態度というものについて伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/14
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015・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 われわれも中村委員の御心配になっているような点につきましては、細心の注意を払いながら実は事案を処理しているつもりですし、将来ともその方向でまいるつもりでおります。業態の種類によりますが、やはりそこに相当の規模を持つことによって初めて力のつくような業態もありますし、したがってそれぞれの具体的な事案を見まして、そのプラスの面は生かすが、しかしそれによって今度は逆に消費者、需要者あるいはその他の関連の事業者のほうへ大きくマイナスをもたらすということのないよう、もしそういうものであれば、われわれとしてはチェックしていく、こういったような方向で今後とも合併問題については対処してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/15
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016・中村重光
○中村(重)委員 私は公取に対して頑迷であれということを注文はいたしません。ですけれども、政府当局、特に通産省を中心としまして、それら国際競争力を強化する、産業構造を高度化していくという面については、積極的な取り組みがあるわけですね。公取は行政当局のやるそういう態度だけをチェックして、弊害を最小限度にとどめていくという態度がなければならない、こう思います。申し上げるまでもなく、十分その点は配慮しておられることとは思いますけれども、なお十分それらの点に対して注意深く対処していただきますように、強く望んでおきたいと思います。
次に、三十九年度の公取として対処するいろいろなかまえがあろうと思うのでありますが、最近の金融機関の歩積み、両建ての問題に対する非常に情熱的な取り組みに対しましては、深く敬意を表しておるわけであります。そこで、たとえば管理価格の問題等々、公取自体、また渡邊委員長個人といたしまして、いろいろと積極的な三十九年度に対処するかまえがあるようでありますが、それらの点についてひとつ考え方を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/16
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017・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 公取が昨年一応話題を投げたと申し上げるのもいかがかと思いますが、取り上げた問題が、歩積み、荷建てとか、いわゆる管理価格の問題、しかし、これはまだほんとうに緒についたばかりでございまして、私は三十九年度においてこそ、この問題に真剣に取り組んでいきたいと思います。それから、これは前から問題になっておりますが、下請代金の支払い遅延防止といいますか、あの法律であらわれております下請関係などを中心とした中小企業者と親会社といいますか、大企業との関係の正常化、これはいろいろ根の深い問題がたくさんあると思っております。もちろん従来やってまいりました仕事はわれわれとして続けてまいりますが、三十九年度においては特にそういった点に重点を置きながらわれわれの仕事に取っ組んでいってみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/17
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018・中村重光
○中村(重)委員 三十九年度の重点施策として、管理価格の問題、これに対して積極的な取り組みをするということが新聞等にも報道されておったのでありますが、それらの点に対してはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/18
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019・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 とりあえずの問題としましては、私どものほうとしましては、まずもっていわば硬直的な価格の動きを示しておるものを、一応日銀の物価指数を通じて引き出してみました。しかしこれは日銀の物価指数のつくり方にもよりますし、あるいは表面的な建て値が動かなくても、内容的なリベートであるとかいろいろな関係で動いておるものもあるというようなことで、そうした片方で一応引き出してみたものをもう一歩踏み込んで、そうして実質的な硬直性を持っているか持っていないか、その辺をひっかかりにしながら、しかもそれがわりあいに企業数が少ない、あるいはほかのほうの資料によれば生産性が向上しているといいますか、コストダウンができている、それにもかかわらず価格が硬直している、こういうものがありますれば、結局その裏に独占禁止法違反の事実があるかないかという問題がやはり一応疑問の上に乗っかってまいりますから、それを、われわれのほうとしては、どこまでも独占禁止法の立場でありますが、突っ込んで検討していってみたい。正直に言いまして、従来のやり方ですと、とかく申告とか、あるいは新聞に出たとかいろいろな関係でつかまえておりますが、非常にばらばらで系統立ったものがございませんので、そういうやり方はそういうやり方でもちろん続けますが、同時に、もう少しそうした系統立ったやり方を少しやってみたい、この意味でこの問題を取り上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/19
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020・中村重光
○中村(重)委員 時間の関係がありますから、具体的な問題についてお尋ねをしてみたいと思います。
金融機関の拘束預金というものが非常な問題点となっておるわけでありますが、この拘束預金の額といいますか、それは公取が相当調査しておられるようでありますが、大体どの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/20
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021・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 公取としましては、公取自体が拘束預金の額を調査するということはまだやっておりません。しかし、銀行協会から拘束預金がこの程度あるといった数字はわれわれのほうへ来ております。この数字の内容がはたしてどこまで正確性があるかないかということについては、私はまだ立ち入って調べるだけのことをする時期に来ておるとは思いませんので、やっておりませんが、金額からしますと、十月末でわれわれのほうへ出してきている数字はこういう数字であります。これは全国銀行でありますが、三十八年五月末の現在で、一般預金全体で十二兆一千二百十六億、その中で拘束性預金が一兆三千八百六億、三十八年十月末で、一般預金が全体で十三兆二千二百八十八億、その中で拘束預金が一兆四千三百四十七億、こういう数字を一応銀行協会が出しております。われわれのほうで直接調べた数字はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/21
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022・中村重光
○中村(重)委員 そのうちに、問題の歩積み、両建てと見られる預金というものは大体どの程度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/22
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023・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 これも私のほうで持っている数字は、いまのものとそのまま関連して銀行協会が出してきた数字ですが、三十八年五月末現在で九百三十一億、それから三十八年十月末現在で五百八十七億。正直言いまして、これは自粛対象だと言って出してきておりますが、その一兆四千三百四十七億の中で五百七十八億だけが自粛対象だというこの数字の出し方については、私は多分に疑問を持っておる。そこでこの数字をもとにしながら、一体どういう考え方で自粛対象をやっているのだという点を詰めているというのが現在の段階です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/23
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024・中村重光
○中村(重)委員 私が、予算委員会で大蔵大臣に、金融機関の自粛基準として提出しておるのはどういう内容かということを伺ったのでありますが、その際大蔵大臣は、いわゆる相互銀行方式ということになりますか、二〇%である、実はこういう答弁があったのでありますけれども、どうもそれは事実と相違するというようなことであったようであります。そこでどうもはっきりしないのでありますが、公取のほうにもその自粛基準というものが提出されてあるやに伺っておりますが、公取のほうへ提出された内容はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/24
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025・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 内容が二、三ページにわたってかなり詳しく出ておりますので、これは場合によりましたら資料としてあとで提出したほうがよろしくはないかと思いますが、ただ一、二の例を申し上げるのでしたら申し上げてもけっこうですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/25
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026・中村重光
○中村(重)委員 では具体的なことは資料として提出していただくこととして、大体のことを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/26
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027・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 それでは、そういう意味において一応ごく簡単に御披露しておきます。
その一は、自粛の対象となる歩積み、両建て預金。自粛措置の対象となる過当な歩積み、両建て預金は拘束性預金のうちで次の各項の一に該当するものをいう。
(1)は、貸し付けと同時にその貸し付け金の一部をもって創設された拘束性黄金。ただし、きわめて例外的なことではあるが債務者の都合または事情(たとえば取引先内部の経理事情等によるもので、その必要性が具体的に証明される場合をいう)により置かれていることが明らかなものは除く。
(2)が、貸し付けがあってその後に受け入れられた拘束性預金。ただし、相当の理由があると認められるものを除く。本項には「相当の理由があると認められるもの」というのはこうこうこういう場合であるという一応の注釈がついておりますが、これは資料でごらん願いたいと思います。
それから(3)が、貸し付けの生ずる前に受け入れられた定期頭金、定期積み金で、貸し付けの日以後、それぞれの支払い期日または満期日が到来しているにかかわらず、貸し付け金の返済に充当されず拘束性預金となっているもの。ただし、返済に充当されていないことについて、相当の理由があると認められるものを除く。
(4)が、貸し付けの生ずる前に受け入れられた要求払い預金で、貸し付けの日以後拘束性預金となっているもの。ただし、相当の理由があると認められるものを除く。
(5)が、貸し付けを伴う定期積み金で、契約額が貸し付けの金額をこえるもの及び過度の一時先がけがなされているもの。
(6)が、手形割引に際して、徴求されている歩積み預金または根担保版金で、その程度が過当なもの。歩積み預金及び根担保頭金の双方がある場合には、両者を総合して、過度にわたらないよう配意すること。手形割引に際して徴求されている見返りまたは見合い預金も根担保預、金に準じて取り扱う。
(7)が、商業手形見返りの貸し付けに際して徴求されている根担保預金でその程度が過当なもの。
自粛措置としまして、一に掲げる自粛措置の対象となる過当な歩積み、両建て版金については、今後その受け入れば厳に自粛するものとするが、現存するものについてもすみやかに次の措置を講ずるものとする。(1)当該預金と貸付金を相殺すること。(2)当該預金の拘束性を解くこと。(3)上記のいずれかの措置を実施することができない場合にも次の金利措置を講ずること。A、預金を担保とする貸し付けの金利については、一件の金額百万円をこえるものは日歩一銭六厘以下、一件の金額百万円以下のものは日歩一銭七厘以下に引き下げること。なお、一件の金額百万円以下のものであっても、できる限り日歩一銭六厘以下に引き下げるよう努めること。ただし、一年もの定期預金を担保とするものはこれより一厘高として差しつかえない。まだこのほかに、手形割引きの措置に関しても同じようなことが書いてあります。
一応これが銀行協会のほうで配下銀行に昨年の秋に、自粛の点をもう一ぺんさらに強く銀行に申し渡すという意味で出したといって、われわれのほうに提出してきておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/27
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028・中村重光
○中村(重)委員 先ほど委員長は拘束性の預金の中に、いわゆる歩積み、両建てと見られる預金、これを金融機関のほうから提示してきた、それに対しては疑問を持つ、こういうお話があったわけです。まさに私も、その差額が非常に大きいわけでありますから、それが金融機関が自主的に判断をしたということが、公取の立場から見てあるいは政府の立場から見て、問題点にならなければ私は不思議だと思うのです。いま委員長が読み上げられました内容は、私は自粛に値しない、こう申し上げたいくらいであります。それらの点に対して、公取の委員長としてはどのような判断を持っておられるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/28
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029・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 ちょうど昨年の三月から四月ごろにかけまして、銀行局がサンプル調査でありましたが、銀行検査をした数字がございます。その場合には、拘束性預金の中の大体三割くらいが一応自粛対象という名前で呼ばれておりまして、このほうも私どもとしては、銀行局がどの程度のものさしでもって自粛対象を選んだかということを別途一応聞いております。そこで先ほど読み上げたところでわかりますように、相当な理由があるとか過度にわたるとかいろいろな点が、解釈次第で右にも左にもとれる。もちろん相当の理由があるとか、正当な理由があるとか、これは確かにそういう部分はあり得ると思います。しかしもう少しその辺を詰めていきませんと、正当な理由というところで、境目が幾らでもぼやかされてしまう、こういうようなこともありますので、多少時間はかかりますが、もう少しこの辺を順々に煮詰めていかなければ、たとえばわれわれが特殊指定をする場合におきましても、きわめてざる法的な特殊指定になってしまうのではないかというような感じもしておりますので、時間がかかってその点は恐縮ですが、私どもとしてはもう少し腰を据えて検討してみたい。ただ私どもは専門家でありませんから、やはり業者の言うことは十分よく聞いて、同時にまた借り手のほうの立場にある人の話もよく聞いて、そうして全体の問題を詰めていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/29
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030・中村重光
○中村(重)委員 委員長が言われることもわかるのですが、ところが先ほど私はこの合併の問題にからんで申し上げたとおりに、相当な理由というのは、金融機関のみの立場から言える相当な理由ということであってはならぬと思うのです。貸す人があって、借りる人があるということでありますから、したがって双方の立場から見る相当な理由という形でなければならないと思うのであります。そこで率直に言えることは、七百万円金を借りにいった場合に、一千万円貸そうじゃないか、そのかわり三百万円は定期預金をしなさい、こう言ってそれを拘束をする。金利は一千万円の借り受けの金利を払わなければならない。こういうことになっておるわけでありますけれども、これはまことに不合理きわまる話であります。そういうことが金融機関としてはどうして相当な理由と言えるのだろうか。七百万円金を貸してくれればいいはずであります。それをわざわざ一千万円貸して、そうして両建てをやらせるということは、これは借り主の側から見れば、まことにけしからぬ話でありますし、これは常識的に判断してもけしからぬことだと私は思うわけであります。また自粛問題が盛んにクローズアップした最近でも、政府金融機関の代理貸し、おそらく中小企業金融公庫という形になると思うのでありますが、これは事実なんですが、その金を某銀行から窓口を通じて借り入れ申し込みをやった。その金融機関と、申し込みをした当事者との間には取引関係があった。それじゃ取り次ぎをしよう。そのかわりに、一千万円の申し込みをやったわけでありますが、二百万円金を持っていらっしゃい。これは定期預金をしてくれ。――まだ金を借りてないのですよ。取り次ぎをするから、借りてやるから定期預金を二百万円積んでくれ、こう言うのです。前ならいざ知らず、大蔵省に対して自粛基準というものを提出したあとでそういうことを平気でやっているということです。こういうでたらめな話はないと私は思う。ですからいまの銀行が提出をしておる自粛基準、そういうものであっては問題の解決はあり得ないと私は思う。百年河清を待つがごとし。いま委員長はしばらく時間をかせとおっしゃる。信頼をいたしておりますから、相当是正をさせる努力をされるとは思いますけれども、やはりこれは努力だけではどうにもならない。私は法律万能の思想を持って申し上げるのではないのでありますけれども、やはり強力な制度をここでつくり上げていく必要がある。そこに、委員長がいつも言っておられることでありますが、いわゆる特殊指定というものをやってきびしい態度で臨むということ以外、それらの弊害を除去することは不可能ではないか、私はそのように考えるわけであります。最近の金融引き締めに伴っていわゆる預金準備率の引き上げ、続いては窓口指導、そういうものがこの歩積み、両建てとからみ合って選別融資という形になっておるというこの事実を私ども考えますとき、どうしてもいまのようなことではだめなんだ。何かもっと強い態度で臨まなければならないんだ、こう考えておるのでありますが、それらの点に対する委員長としての考え方をひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/30
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031・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 私も先ほど例示されたような、一千万円金を貸して三百万円定期、それじゃなぜ初めから七百万円貸さないんだといったような点については、同じように、銀行の態度として、何でそういう必要があるんだという疑問を持っておりまして、銀行は幾つか言っておりますが、私はどうも納得できる回答だと思っておりません。やはりあなたと同じように私は、何でそんなことをしなければならぬのか、それはおかしいじゃないかという気持ちを持っております。結局われわれのほうとしましては、おそらく特殊指定というような問題までいかざるを得ないのじゃないんだろうかという気持ちを持っておるのであります。しかし、それでは特殊指定をするという場合においては、とにかくかなりいろいろ詰めたものの考え方をしていきませんと、単純にパーセンテージをきめて、これならいいとか、これなら悪いとかといったようなことにきまる問題ではないわけです。したがって私のほうとしましては、銀行が片方で大いに自粛の実をあげる、大蔵省は大いに監督の実をあげるとおっしゃってくださっておりますから、それはそれでいい。様子を見ながら、しかし、かと言ってわれわれのほうはそれを期待するというよりも、並行しながら、特殊指定をするとすればどういうかっこうが一番いいか、こういうので仕事を進めておるわけです。具体的には私は、銀行でもって自粛措置の対象になるものはこういうものだということを出してきましたから、それじゃ自粛措置の対象にならぬものといいますか、同じ拘束性預金でジャステファイされるものはどういうものだ、それを書き出してくれ、これはつい最近出てまいりました。いわば紙の表と裏です。この紙の表と裏を突き合わしていくことによって問題点が割合にクローズアップしてくるのじゃないか。このクローズアップしてきた問題点をわれわれが詰めていくことによって、具体的な特殊指定の場合にどこまで基準ができるのか。これはわれわれも検討いたしてみないとわかりませんが、そういったことで、いわば逃げ道がふさげるようなものをつくっていかないとやはり意味がないのではないか。そういう意味で、あまり性急な立場で、いわば自粛基準などをもとにしてそれにへたに乗っかることはまだ危険だ、私はそういう考え方でいま仕事を進めていることだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/31
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032・中村重光
○中村(重)委員 委員長もおられたと思うのでありますが、特殊指定については大蔵省は反対をしているのじゃないか、公取がこの問題に取り組むことは、金融行政の二元化であるということから、難色を示しているということが伝えられているがどうかという私の質問に対して、大蔵省はこれを否定された。いや、むしろ特殊指定が行なわれるということになってくると、大蔵当局としては金融行政上やりやすい面があるのだから非常に歓迎をするという答弁であったわけでありますから、そのあたりに何もちゅうちょされる必要はないのじゃないか、こう思います。公取委員長は勇断を持って特殊指定をやることが必要であると思うのでありますが、もう一度決意のほどを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/32
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033・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 大蔵省が特殊指定の問題について多少ものを言った時期が全然ないとは、私も言いません。しかしそれはきわめて最初の間です。結局、独禁法と銀行行政の関係ということを簡単に説明し、理解してもらったら、その点は簡単にわかるかもしれない。現在におきましては、お話のように、大蔵省として特殊指定を困るとか困らないとか、そういったものの言い方は全然しておりません。むしろ公正取引委員会は公正取引委員会の立場において、独自の判断で独自にその措置をとってほしいという意味、同時に大蔵省としてもできる限りの協力はするという体制になっているというわけでございますから、私のほうとしましては別にそういった意味の配慮でなしに、現在私のほうでじんぜん日が延びておりますが、特殊指定のやり方についてもう少し納得できないものを全部洗っておかないと、特殊指定をしてみた、しかし何だこんなものがといったかっこうになるおそれがある。その点だけを私どもおそれて、それで日をかけているというわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/33
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034・中村重光
○中村(重)委員 成案が煮詰まるのは大体いつごろになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/34
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035・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 私いますぐここでスケジュールをいつかというのは申し上げる自信を持っておりませんが、ここ数カ月うちと言いますか、早ければ一カ月ないし二カ月、あるいはおそくもことしの半ばまでの間には――要するに特殊指定につきましては、まずこの場合は金融業者の意見を聞く、公聴会を開く、こういう問題もありますから、ただわれわれのほうの一応の原案は、そう先にならない間に固めていき得るのじゃないかと思いますが、いまここでもってタイミングをはっきり申し上げるだけの自信はまだございません。ただ、決してその日を延ばしているという意味ではなくして、問題がむずかしいだけに、それに取っ組んでいる間に相当時間がかからざるを得ないということだけを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/35
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036・中村重光
○中村(重)委員 問題は深刻でありますから、どうかひとつさらに情熱を傾けて取り組んでいただくように強く要望いたしておきます。
ついでにお尋ねしておきますけれども、商工中金の歩積みに対しましては、どのような見解を持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/36
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037・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 商工中金のお話としましては、こういう話を私は聞いております。商工中金に対しまして金を借りにいく場合におきまして、今度は商工中金債を持たされる、それが一つの貸し付けの条件になる。いずれにしても歩積み、両建てと同じことになる。もちろんその中金債自身は他に売却することもできますが、他に売却しようとすれば、商工中金から買った値段じゃ売れない。電話公債などと同じように、別の値段になって、結局金利負担が、そこで余分に買ったと同じような結果になる。こういったような意味の行為があるという話は聞いております。商工中金の当局にちょっと聞いてみましたが、あすこの理事長といいますか副理事長といいますか、その辺では、そういうことは一切してはいかぬというふうに実は言っているんだ。しかし、中金債を売れということは公庫でいっているんですから、末端のほうでそういうことをやっている事例がないとは言えないから、それは大いに一注意するようにしようという話し合いをしております。いまこの問題を、一般の金融機関と商工中金は、御承知のように多少性格も違っておりますから、一般の金融機関と同じように、やはり同じ平面でこの問題を取り上げますと、かえって問題がぼやけるきらいもありますから、この問題はこの問題として、歩積み、両建てのほうは歩積み、両建てとして、従来のやら方でやる。商工中金の問題は、私もちょっと気になる話を聞いております。向こうの理事長なり副理事長には注意しまして、一応問題があったら、至急君のほうでも検討してくれという話をしていました。それで実効が上がる、上がらないという結果を見て、われわれのほうとしてはまた別途ものを考えていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/37
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038・中村重光
○中村(重)委員 今度三十九年度の予算の中に、出資と財投で六十億、こういうことになるわけです。そこで、今度三厘金利を引き下げることになるわけですけれども、それは大蔵大臣の説明によると、商工中金の組合員になるためにはまず出資をしなければならぬ。それから借り入れをするときには預金をしなければならぬ。これはある意味においては、銀行の歩積みと内容的には同じなんです。それからまた、商工債を引き受けなければならぬというような形になっておりまして、商工中金を利用する組合金融でありますから、この組合員というのは比較的小規模な企業が多いわけです。相当な過重であり、高金利を負担しておるという形になるわけです。ところが、今度三厘も引き下げるということは、いままでのそういう行き方を改めさせる、そのためにやるんだということをはっきり大蔵大臣も言明をいたしておることでありますから、この点に対しましては、公取委員長の先ほどの、焦点がぼやけてくることがあるということはわかります。わかりますが、まず政府が、政府三機関の一つである商工中金に対して、ただいま私が指摘しましたような問題点を直していくということでなければ、民間金融機関に対して強い態度で臨むということも私はむずかしいと思いますから、それらの点に対する注意も十分ひとつ払っていただく、そういう問題を直していく、こういう態度で取り組んでいただきたいと思うのですが、それらの点に対するお考え方をいま一度聞かしていただきた
いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/38
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039・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 御承知のように、商工中金は組合金融でございますから、組合員になるということの資格において、ある程度の出資といいますか、これはあまり大きな額ではございませんけれども、これは組合金融の立場からすれば、それが一つのたてまえであるということは前提になると思います。問題は、貸し付けの場合に拘束性の預金をする。これは、商工中金であろうが一般銀行であろうが、われわれのほうのいま問題に取り上げている分の中へ入ってきます。私が先ほど申しましたのは、この一般の分の外にあるものとして、もう一つ気になる問題として債券を買わせるという問題があるというふうに聞いている。ただ、いずれにしましても、商工中金は最近の状況におきましては、政府が出資するとか、相当政府自身が監督の手を伸ばしているんですから、こういう特殊指定とかいろいろなものが出れば、もちろん商工中金もその対象になりますけれども、その以前に、お話のようにまず体制を立て直すということは当然あってしかるべきことじゃないかと思います。もちろん私のほうもそういうことを強く要望しますし、同時に監督官庁である大蔵省なり通産省においても、その態度において臨んでもらうことを私どもとしては切に要望したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/39
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040・中村重光
○中村(重)委員 金融引き締めによって、先ほど申し上げましたように、非常に成長性の強い中小企業等に対しましては、まあ金融機関も相手になってくれるのでありますけれども、どうもしわ寄せが一般の中小企業に強くおおいかぶさってきておるわけであります。なかなか銀行も手形を割ってくれないということから、勢い町の金融機関のほうに近づかざるを得ない、こういうことになっております。その結果は、私が調査したところによると、日歩十銭であったものが、最近は十五銭から二十銭というようになっておるということでありますが、公取もそれらに対する調査をしておられると思いますが、公取調査の結果はどういうことになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/40
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041・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 町の金融機関の関係につきましては、たしかあれは大蔵省のほうで所管している問題であろうと思いますし、このごろ私のほうも、正直に言いまして、手の割合に仕事をたくさん始めましたので、現在のところ、町の金融機関の問題は大蔵省のほうにまかしている。私のほうとしては、独禁法の問題としてすぐ取り上げるという事案とも思いません。ただ、政府全体として、それぞれの分担はありましても、お話のようないろいろな面が出てまいりますから、相互に連絡をとりながら、やはりそうした悪い面は直していくということについては、私、気をつけなければならぬと思いますが、現在公取としてその面について特殊な調査はやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/41
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042・中村重光
○中村(重)委員 公取の直接的な対象として取り組まなければならぬものではないかもしれない。しかし、そういう広く調査をする、資料を集めていく、そういうものを組み合わして取り組んでいくということでなければならない、こう思います。したがいまして、私は、まずある程度は調査をしておられるのではないかと思ってお尋ねをしたのでありますが、非常に人員が少ないのでそこまで手が伸びていないということは、よくわかります。しかし、大いに増員を要求されて、予算もふんだんに取ってもらって、ひとつ張り切ってやっていただきたい、そのことを強く要望いたしておきたいと思います。
続いてお尋ねをいたします。下請け関係でありますが、いつも問題となっております手形のサイトの問題、最近非常に延びてきたのでありますが、公取調査によりますとどういう程度になってきておるのか、最近の動向をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/42
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043・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 下請けの問題は、私も、先ほど申しましたように、明年度の仕事としまして大いに力を入れていきたいと思いますが、いま御質問の点は、サイトにおきましては、最近私のほうの九月調査でつかまりました――と言っては語弊がありますが、発見されましたところでは、一番長いのは、いわゆる台風手形といいますか、二百十日というのが最長として使われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/43
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044・中村重光
○中村(重)委員 最近の動向はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/44
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045・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 動向は、やはりどちらかといえば改善されていない、あるいはむしろ悪化というようなことになっているんじゃないかというふうに思います。私のほうで一応御提出を申し上げております資料で、いろいろな数字が出ておりますが、実はこれは、調査される対象は順々に変わってきているのです。同じ人に対して毎年調査をしているのですと、調査の継続性がありますから、実は動向が割合にはっきりするわけですが、調査される対象が、たとえば三十八年度の第一期に調査された分と第二期に調査された分と、調査される対象が変わってきておりますので、調査する対象の上から数字的に動向を見るというのは、これは実は無理なのです。ただ係の者が、一応大体同じような状態ですから、見ての感覚としては、昨年の春ごろ若干よくなったような様子でありますが、その後の状態はまたもとへ戻ったとか悪くなっている、こういったような印象を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/45
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046・中村重光
○中村(重)委員 総務長官にお尋ねいたしますが、ただいま私が指摘いたしましたように、公取委員長からいまお答えがあったのでありますが、非常に手形は悪化する、結局はこれは長期化するということになるわけでありますが、その他取引条件が悪化する傾向がある、こういうことがあるわけであります。そういう点を非常に憂慮いたしまして、さきの国会におきましても附帯決議をこの法律案改正の際につけたわけであります。ところがこの附帯決議は一向生かされていない、そのように実は受け取っておるわけであります。そうしたことから、 いま議題となっております法律案の改正の問題にいたしましても、総務長官としてはそれは配慮されたとは思いますけれども、どうも、あとでお尋ねいたしますが、何というのか機構の問題、それから人員増の問題、予算の問題等々も、私ども実は非常な不満を持っておるわけでありますが、それらの点に対する総務長官としての考えをひとつ聞かせておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/46
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047・野田武夫
○野田政府委員 ただいまのお尋ね、ごもっともだと思います。今度この法案を出しましたゆえんも、現在の公取の陣容、それから予算その他の内容がきわめて不足だというので、すでに公取からお答えいたしたと思いますが、今度の法案でもとりあえず、特にいま御指摘の、下請支払いの遅延というような問題は、中小企業者にとっては実に致命的な問題でありますので、これを考えまして、今度特に公取の中に取引部を新しく設けまして、もう少し活発に有効的に動きたい。同時に機構の上におきましては、それ以外に今度札幌に地方支部を設けました。まだまだこの程度では十分ではございません。地方支部も、できるならば東北とか北陸とか中国などにもつくりたい、さらに人員も増したい、同時に予算も少し増加したいというようなことは、御指摘のとおり私のほうでも十分心得ております。また、その実現に対して努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/47
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048・中村重光
○中村(重)委員 札幌に地方事務所をおつくりになる、これは前向きでありますから、そのことは了解いたします。ところが少なくともいまの経済状態、開放経済に当面しておるという立場、そのことはまた非常に国民経済的な大きな問題をかもし出してくるわけであります。したがいまして、公取の役割りというものもきわめて重要性を帯びてくるわけでありますが、こういう際に対処するために、ただ地方事務所を札幌に一つつくる、これで総務長官は満足されたのか、いろいろの面において不満であるとはいまおっしゃっておられますけれども、そういうことではなしに、もっと具体的に、たとえば一つの県に一地方事務所をつくるというくらいでなければならぬと私は思います。どういう態度で予算折衝に臨まれたか、要求はどういうことであったか、まずそれらの点についていままでの経緯と、それから総務長官としての取り組むかまえについてひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/48
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049・野田武夫
○野田政府委員 中村さんの御意見ごもっともでございますが、私といたしましては公取についていろいろな折衝をいたしまして、できるだけ独禁法の全面的浸透、この浸透というのは、どうしてもいまの機構、陣容では不足する、その前提で、まず各県に地方支部を置きますことができましたらけっこうでございますが、従来の公取のいろいろ取り扱った事件の内容その他から考えまして、いま申しました現在三カ所あります以外に、とりあえず地方支部を増加したい、その意味におきまして、これは打ち明けて申しますと、予算の関係もありまして、大蔵省といろいろ折衝いたしましたが、大体この一つの基点、今度地方事務所を新設するということからいたしますと、当然大蔵省といたしましても、これは次にわれわれが将来要求する、いま私が示しました東北、北陸その他にも新設するという前提となっているのでございます。これは経過を説明しろということでございますが、まあ予算の折衝ということは、なかなか公取だけではなく、ことに総理府関係というのは御承知のとおり、たいへん八百屋みたいにたくさんあるものでありますから、各方面でやっておりますので、そこで公取については非常に重要性を認めておりまして、最初はいろいろ大蔵省も言っておりましたけれども、これは何としても国民経済の発達を企図する意味においては絶対これだけは曲げられない。そこでまず地方支部の拡張においても、拠点と申しますか、ひとつまず漸進的にやる。それからいまお話しの下請支払い遅延というのは非常に大きな問題ですから、これは部を設け、もう少し強化をしてやろう、こういうことで話し合いがまとまったのでございまして、決して先ほど申しますとおりこれでうまくいくとか、これで満足だということは毛頭考えておりません。今後も中村さんのお話のとおり、さらに十分われわれのほうといたしましても公取の強化につとめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/49
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050・中村重光
○中村(重)委員 非常に気骨のある積極性のある総務長官が就任されたのでありますし、また非常な画期的な予算を獲付するであろうし、機構が強化されるであろう、かてて加えて渡邊委員長の情熱ということになってくると鬼に金作ということで、実は非常に期待を持っておったのでございますけれども、どうも予算総額においては二億二千二百万でありますか、昨年度と比較いたしますと三千五百九十七万円の伸びでありまして、まことに貧弱だ。どうして総務長官が、また渡邊委員長がこれで引っ込まれたのだろうと思っておるのでありますが、もう少しそこらあたりお話をいただかなければ、どうも私はこういう法律案を唯々諾々としてのむわけにはまいりません。まずほんとうに、じゃあやむを得ない、これはひとつ承認をしようじゃないか――これはおそらく与党の方々もこれで満足はせられないであろうし、修正をひとつやろうじゃないかということを与党のほうからも申し入れがあるだろうと私どもは期待をしておるのでありますが、まずその点についての考え方を長官、委員長からいま一度お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/50
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051・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 予算関係は総務長官にお願いしているわけでございますが、もちろん私としましてもあなたまかせというつもりでもって傍観するのでなくて、総務長官にお願いしながらも、できるだけ機構の充実ということについては努力してまいったわけでございます。一昨年は増員ゼロ、昨年は六人、ことしは十五人、数自体として決して私も多いと思いませんが、割合からすると、昨年の六人に比べれば二倍半ということになりだして、今後われわれとしましては、やはり仕事の相当の実、続々はっきり出していって、それに伴いながら機構を充実していく。もちろん定員の問題もありますが、同時にやはり、何と申しましてもこれを生かすか生かさないかはそこに働いている人たちの士気の問題あるいは質の問題、いろいろな問題がございます。われわれとしましては、予算のことでありますから、われわれだけが一方的に希望していることがそのまま全部が全部通らない場合もあり得るわけでございまして、一応この程度の数字として、われわれとしては非常に不満でございますが、政府として予算がその上できまったわけでございまして、従来に比べれば相当私はよくめんどうを見てくれたほうだとは思います。しかしわれわれとしましては、与えられた人数の中で、同時に相当の人事交流などもいろいろ内部的に考えておりますが、質的に優秀な人を集めまして、そして情熱を持ってこの仕事に当たっていくということによってできるだけの成果をあげたい。そんな意味で、不満といえば不満でありますが、まあ従来の経過から見ますと、相当めんどうを見てくれたといったような感じもありますから、もちろん満足しているわけではありませんが、与えられた予算、人員の範囲においてわれわれとしては万全を期してやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/51
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052・野田武夫
○野田政府委員 ただいま渡邊委員長からも申しましたように、また繰り返してお答えいたしておりますとおり、決して満足いたしておりません。ただ渡邊委員長が、委員長としての非常な熱意を傾けておられまして、私は、もちろん機構、陣容その他非常な不足でございますが、渡邊委員長の情熱を信頼いたしておりまして、多少今度ふやしました人員、機構その他を十分活用いたしまして、成果を得るようにおそらく渡邊委員長は決意いたしておると思います。いろいろなことは非常に私も同様に不満でございまして、今後の施策といたしましては十分心得まして、ひとつできるだけ将来不足のないように、十分といかなくても、一応これまでの機構の充実ができたらやれるという段階までいきますように、今後私もさらに努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 それは情熱、精神力というものは必要でありますけれども、何といっても予算の裏づけというものがなければどうにもしようがないということです。ですから、先ほど私が申し上げましたように、少なくとも予算ももっとふんだんにつけていく、それから機構の面においても十分充実をする、こういうことでなければならない。私どもも予算の要求というものに対しては積極的に取り組んでおりますけれども、総務長官とされても――また公取委員長として総務長官を信頼されることはわかります、わかりますけれども、もっとひとつ積極的な取り組みをやるように、与党の議員諸公にいたしましても、積極的に予算を取るためにひとつがんばってもらうようにおやりにならなければ私はだめだと思う。まさか公取の予算を獲得するのに与党の議員諸公がうしろ向きで歩かれるようなことはないであろう、こう私は考えておりますから、積極的にひとつやってもらわなければならぬということを強く望みたいと思います。
具体的な問題に対してお尋ねをしますが、支払い遅延防止法の問題に対して、例の二カ月ということがどうも解釈がまちまちになっているような感じがいたします。私どもが修正をいたしました際、修正は金利の問題だけではございましたが、この六十日という問題に対しまして、六十日の問に手形の割引が可能であればいいのではないかといったようなことであるとか、その他解釈がまちまちになっておるようでありますが、公取はこれに対してどのような解釈をしておられるのか、正式な委員長の解釈をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/53
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054・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その点につきまして、委員会としてどういう解釈をとっているかという点について申し上げますと、六十日以内に現金または手形でもって払う、その場合の手形は一応金融機関に持ってまいりまして割引が可能である、こういったような手形でもって払われれば、一応あの条項に該当する、違反でない、こういうふうな解釈をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/54
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055・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、七カ月とかあるいは十カ月とか、そういう非常な長期の手形が出てきたわけですね。初めの手形はそこで割引ができるかもしれない。ところが、その次にもらった手形は、もうそれが一つの債務になっていますから、持ち込んでも、なかなか手形の割引ができないというような問題が出てくるわけですよ。これば非常な問題点なんです。ただその期間に手形が割れればよろしいのだ、それは違反にならないのだ、これは幅広く解釈をすると委員長の言われるとおりであるかもしれません。二カ月の間に現金化したのだから、そういうことになるかもしれない。しかし金利の問題としてはやはりこれは残るのです。二カ月をオーバーする金利の負担はだれかするのだ。それは支払い遅延をした金利というだけではない。そのオーバーした期間の金利というものは親企業が払うというのでなければ、この精神は生きてこないのですよ。そういうもろもろの問題があるわけですよ。それらの点に対してはどのようにお考えになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/55
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056・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 あるいはお話が繰り返しの問題になると思いますが、いまちょっと例示されたように、二百十日といったような意味のものは、これはもちろん金融機関へ持ってまいりましても割り引ける性質のものとは思っておりません。したがいまして、六十日以内に現金または手形で払う場合においては、その手形は要するに割引可能な程度の手形で払う、こういうふうに解釈をしているわけです。それから金利の問題につきましては、これは条項がまた別途になっているわけでありまして、金利の問題につきましては、六十日を経過した日から支払いをすべき日までの期間についてということになっているわけでありますが、この場合は、先ほど申しました条項に族当しない場合だけがこれに当たる、こういうふうに考えております。ただ、一応税金払いをするかのごとき契約をしておいて、さらにその後において手形で払っているというような場合におきましては、これは四条三号の「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。」この問題としてわれわれのほうとしては処理しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/56
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057・中村重光
○中村(重)委員 総務長官がお忙しいようでありますから、お帰り願う前に一点だけ伺いたいのですが、先ほど手形の動向ということを私が質問をいたしましたら、調査対象が違う、だからわからないのだ、こういうような委員長の答弁であったわけです。これはひとつ問題なんですよ。企業数が非常に多い、ところが公取の陣容が非常に貧弱である。そこでこの調査が、たとえばことし調査したのは来年調査をするというわけにはいかなくなる。これでは動向がさっぱりわからないですよ。これが問題なんです。だから調査対象となる企業数がどのくらいあるのか、何年に何回調査をしておられるのか。これは予算の要求、機構の整備ということに関連する問題ですので、総務長官がおられるうちにお答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/57
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058・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 親企業の数というものは、大体八千から九千くらいの数だというふうに踏んでおります。そして一応私のほうで年間書面調査の対象にしておりますものは、今年度において千八百、したがってそれを終わりますと、何年に一回回ってくるかということになるわけです。ただ、やり方としましては、われわれのほうとしては、問題の多そうな業種を中心にしまして特に重点的にやるということでやっておるわけですが、こういったようなやり方をもう少し改善する必要があるのではないかということについては、私のほうも考えております。特に中小企業庁のほうにも一応その権限はあるわけですし、ただ向こうのほうでこの仕事を担当している陣容は、私のほう以下といいますか、そういうことでございますが、しかし、通産局にしましても、中小企業庁にしましても、全体の陣容から見ればかなりの人数があるわけですから、内部的なやりくりをしていただいて、もう少しこの点について力を入れていただく、同時にわれわれのほうと中小企業庁のほうとがお互いに責任を分かち合いながら、唇歯輔車でもってやっていくという点について、もう少し実効のあるやり方をやろうじゃないか。これはそういう方向で協議を進めるように、いま中小企業庁と話し合っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/58
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059・中村重光
○中村(重)委員 なるほどそれは改善する余地もあるかもしれません。改善は大いにやってもらわなければなりません。ところが八千も九千も対象業種がある。それを千八百ぐらいしかできないということになってくると、三年か五年に一回ぐらいしか調査ができないということになる。単なる調査が目的ではないはずです。親企業が優越的な地位を利用して君臨しているために、中小企業、下請企業はそのような状態に追い込まれている。その大きな弊害をなくすることに目的があるはずです。そうすると、やはり調査というものは、もっと短い期間に反復的に行なわれていくというような形でなければならぬと私は思うわけです。結局これは人が足りないということですよ。改善の余地があるといいましても、きわめて最小限度の余地しかありません。したがいまして、私が先ほど予算の問題で指摘いたしました点は、こういうことになるわけであります。地域的にも各県ごとに地方の事務所をつくる必要があるということ、もっと増員をする必要があるということ、予算をもっと大幅に獲得する必要があるということ等々、もっと積極的な取り組みでなければならないと思うのであります。総務長官も非常に実行型の総務長官でありますが、それらの点については、大蔵大臣と四つに相撲をとっていくという態度でなければならぬと思いますので、もう一度ひとつあなたの御決意のほどを伺いました上で、お帰りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/59
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060・野田武夫
○野田政府委員 ただいまの調査の問題一つ取り上げましても、いま中村委員のお話のとおりで、しごくごもっともだと思います。特にいま御指摘の問題につきましては、公取の委員長からも答えられましたとおり、公取で全部それがやれるような体制ができることは、これは最上でございます。もちろんやれるように努力しなくてはならぬと思いますが、同時に、政府機関の中で関連いたしております中小企業庁のほうにも協力を求めることができるということになっておるようでございますから、やはり相連絡して総合的に、そういう調査の完成のために、みんなが一緒になってやるというような――先ほど情熱なんと申しましたことから、おこられましたが、どこも熱意を持ってやりますれば、多少カバーできるのではないかと思っております。しかし、本質的にはやはり公取が大きな責任を持ってやることでございまするから、十分そういう点のことはわかりましたので、今後私どもも、予算の折衝、機構の問題等につきましても、十分心得て、御意見に沿うように努力するということをこの際申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/60
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061・中村重光
○中村(重)委員 先ほどの金利の問題の法律解釈でありますが、これは違反として摘発をするといったような場合、これは厳密にその法律解釈というものが正しく行なわれなければならぬということはわかるのです。しかし問題は、弊害を除去して、下請をどう守っていくかということにあるわけです。やはりその精神を生かした取り組みというものがなければならぬということであります。そうなってくると、金利の問題にいたしましても、割引料というものは、これは手形を割ったときに取られるわけですから、一年の手形なら一年分の金利を取られる。二カ月なら二カ月の金利で済みますよ。そうすると、十カ月の手形の場合は、八カ月分の金利はだれが負担するのかということが問題点として出てまいります。さらにまた先ほど申し上げたように、これは割引のワクがちゃんとあるわけですから、何ぼ持ち込んでも、いつでも持っていらっしゃいといって割り引いてくれるのではないわけですから、そうすると長期の手形を割り引いてもらう場合、前の期限が満了するまでは、ワクはもう満配であとは持ち込んではいけない、こういうことになってくる。法的には問題はないにしても、実際に当てはめてみるとそういう問題があるわけですから、それらの点に対してはどう対処していくのか。いわゆる支払い遅延防止法の精神というものをどう生かしていこうとされるのか、そこが問題なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/61
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062・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 私も、一応の法解釈はもちろん大事ですが、同時に法解釈の上からいいましても、いま言ったような問題は、やはり割引可能の範囲――単に期日だけで割引可能とかなんとかいうことを簡単に言い切れないというふうに思っております。したがいまして、そうした実態に即してよく見まして、その上で当然勧告すべきものは勧告する、勧告に応じなければその次の手段をとる、こういった方向でこの法律の規定を、その目的に沿ったように生かしていくということについては、公取としても今後も努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/62
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063・中村重光
○中村(重)委員 発注、検査、納品、手形発行、こういう形になっておる。そこらあたりはスムーズにいっておると思いますか、それから二カ月との関連、これは検査を中心としてどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/63
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064・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 結局現在私どものほうで考えてやっておりますやり方は、納品といいますか、それの締め切り日から支払い日までの日数というものと、それに支払いの状況、この二つを見ているわけですが、具体的な問題としまして、検収を非常におくらかすことによって、一応締め切り日を翌月へ回すとか、いろいろ親企業の苦しさだとか、いろいろな原因はあるでしょうが、この法律の穴を抜けそうないろいろだ措置がなされている例が幾つかあります。そういうものはわれわれのほうとしては全部摘出しまして、そしてそれを、正常な姿に移すようにという意味の勧告なり行政指導はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/64
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065・中村重光
○中村(重)委員 現実にはなかなか行なわれておりません。下請け企業がそれに不服を言うと、それでさよならだ、こういって、どうにもならない。下請けは泣き寝入りだというのが実態です。これは取り組みの弱さというものもあるのですけれども、やはり法の不備というものもある。どうしても法律改正ということも必要になってくるのじゃないかと思います。それらの点に対しての考え方もあろうかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/65
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066・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その点につきましては、私どものほうといたしまして、現在これはやはり早急に結論を出すべき問題と思っておりますが、実施官庁としての過去の事例というものから考えて、どこに問題点があり、どこに法的にあるいは行政的に直すべき問題があるか、この問題は実は本日の午後、私のほうの委員会で一わたり検討してみよう。まずそこからできるだけ早急に結論を出してみよう、そういったようなことで、事務当局から一応の結果を、本日の午後、私のほうの委員会で検討するという段取りになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/66
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067・中村重光
○中村(重)委員 それでは検討されるようでありますから、前向きの検討の結論が出ることを期待をします。とにかく親企業というものはふんだんに交際費を使い、政治献金をやる。下請けの犠性の上に乗って親企業が安住しておると申し上げても極論ではないと思うのです。どうかひとつ公取委員長としてはさらに情熱を傾けて正常な取引が行なわれるように、取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私のきょうの質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/67
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068・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、明後二十一日金曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01019640219/68
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