1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十五日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中村 幸八君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
小笠 公韶君 岡崎 英城君
佐々木秀世君 田中 龍夫君
田中 六助君 中川 俊思君
野見山清造君 長谷川四郎君
南 好雄君 村上 勇君
大村 邦夫君 加賀田 進君
沢田 政治君 島口重次郎君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
森 義視君 伊藤卯四郎君
栗山 礼行君 加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(企業局長) 島田 喜仁君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
議 員 板川 正吾君
通商産業事務官
(中小企業庁計
画部長) 井上 亮君
参 考 人
(商工組合中央
金庫理事) 永野 量君
専 門 員 渡辺 一俊君
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二月二十五日
委員麻生良方君辞任につき、その補欠として栗
山礼行君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員栗山礼行君辞任につき、その補欠として麻
生良方君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十一日
市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する
法律案(板川正吾君外十二名提出、衆法第一二
号)
中小企業者の産業分野の確保に関する法律案(
麻生良方君外一名提出、衆法第一四号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(麻生良方君外一名提出、衆法第一五
号)
特定産業振興臨時措置法案(内閣提出第三九
号)
同月二十二日
商店街振興組合法の一部を改正する法律案(伊
藤卯四郎君外一名提出、衆法第一七号)
同月二十四日
鹿児島地方を中規模地方開発都市として建設促
進に関する請願(池田清志君紹介)(第六一四
号)
しようちゆう製造業を中小企業近代化促進法に
基づく指定業種に指定に関する請願(池田清志
君紹介)(第七一六号)
は本委員会に付託された。
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二月二十四日
中小企業の金融難打開に関する陳情書
(第七三号)
消費者物価の値上げ抑制に関する陳情書
(第七四号)
中小企業近代化のための融資拡大に関する陳情
書
(第七五号)
中小企業基本法制定に伴う施策の拡充強化に関
する陳情書
(第
七六号)
天然ガス及び石油鉱業政策の確立に関する陳情
書(第七七号)
貿易振興対策に関する陳情書
(第七九号)
中小企業基本政策の充実に関する陳情書
(第八一号)
中産業都市の建設に関する陳情書
(第八三号)
中小企業の振興に関する陳情書
(第二五一号)
物価の値上げ反対等に関する陳情書
(第二五二号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
特定産業振興臨時措置法案(内閣提出第三九
号)
市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する
法律案(板川正吾君外十二名提出、衆法第一二
号)
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七二号)
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七三号)
中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七四号)
中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出第七五号)
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫
法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七
号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開ききます。
まず、内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上六法案を議題とし、審議を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。田中君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/1
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002・田中六助
○田中(六)委員 政府に、中小企業関係の五法案を中心にして質問を申し上げます。
昨年暮れから最近にかけて、三月危機が懸念されておりました。しかし年末における財投三百億、買いオペ二百五十億の政府のそういう対処並びにこれに引き続き政府金融機関三公庫に対する追加財投百二十億、中小企業向け特別買いオペ百億の実施、また大蔵省から最近銀行局長通達で、中小向けの融資を配慮してもらいたいということを一般市中銀行に出しております。そういう前向きの政府の態度によって、この三月危機は一応何とかのがれているような形でございますが、しかし春需要の四、五月ごろの決済並びに春闘による賃金圧迫の傾向も見られて、やはり三月危機は一応何とか乗り切れたといたしましても、四、五月ごろになると同じような状況になってくると思うのです。しかも現実は金融引き締めがそろそろ浸透いたしまして、不渡り手形の増発あるいは企業の倒産、そういうかなり深刻な部面が出ておりますが、こういう諸情勢に対しまして、政府のいままでの諸施策は非常にけっこうだと思いますが、これから先どういうふうに対処していこうとなさっておられるかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/2
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003・中野正一
○中野政府委員 お答え申し上げます。
いま先生の御指摘がありましたように、世間で言われておりますいわゆる三月危機というものにつきましても、政府側として非常に事態を憂慮いたしておりまして、先般二月の十一日に百二十億の政府三機関に対する資金追加並びに財政資金による百億の買いオペというものを実施いたしまして、先行きやや落ちつきを取り戻しつつあるんじゃないかというふうに考えております。しかし二月に入ってからの倒産の状況を見ましても、倒産の件数、金額ともにあまり減るようなこともございませんので、今後金融の引き締め基調というものが次第に浸透していくにつれまして、相当の影響が出るのじゃないかということを心配しておるわけであります。しかも御承知のように、中小企業にとりましては、ことしの四月からいよいよいわゆる開放経済に入りまして、世界経済の荒々しい波風を直接に受けなければならぬという情勢にあるわけでありまして、輸出の面におきましても、輸入の面におきましても、自由化の影響というものがこれから出てくるのじゃないか、しかも大企業が御承知のように、自由化のあらしの中でそのしわを下請に寄せるというような傾向も非常にあるわけでありまして、その面からも中小企業は合理化を非常に迫られる。また御承知のようにここ一、二年来の労働の需給関係の構造的な非常な変化からいたしまして、中小企業者は安い豊富な労働力に依存して経営を続けるということが許されなくなって、賃金が高くなりまして、御承知のように人件費等も上がってきております。そういう中で、片方では必要な近代化の設備もやらなければならぬというようなことで、むしろこれからほんとうにお金が要る。したがって、金融もこれから十分めんどうを見てやらなければいかぬ。また中小企業の自己資本の充実につきましても、これからほんとうに対策をやらなければいかぬという、いま御指摘があったような情勢に来ておるわけであります。今後、四月以降の問題につきましても、もちろん政府金融機関に対する資金の十分なる充実、また一般の市中金融機関の中小企業向けの円滑なる調達の配慮等々にあたりまして、さらに情勢を見きわめつつ、きめのこまかい対策を逐次打ち出していく必要があるのじゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/3
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004・田中六助
○田中(六)委員 いまの御答弁ですが、四月以降諸情勢を見て、きめのこまかい対策を立てていくというふうにおっしゃっておりますが、しかしもう少し具体的な対策というものをほんとうは中小企業者は望んでおりまして、抽象的な、きめのこまかいというような、表現では、どうもほんとうに納得いかないのじゃないかと思うのです。最近の手形の不渡りの状況を見ましても、たとえば二月上旬の東京手形交換所調べの東京地区だけを見ましても、不渡り手形の届け出数が二万二千六百三十枚で、前年同期に比べまして実に二一%も多いような状況です。またこれは私の選挙区ですが、北九州手形交換所の調べをみましても、一月中の北九州市内の不渡り手形は四百四十二枚、二千六百三十八万円で、前年同期に比べますと枚数にして約一割増、金額では五割をこすというふえ方です。現実にはこのように金融引き締めがどんどんされておりますし、また倒産状況などを見ますと、これは東京商工興信所の全国企業倒産、負債額、これは一千万円以上のですが、今月の十二日現在まで見ますと、負債額百億、件数百二十件、前年同月の発生数は、これも十二日までですが、二月中の発生数は百二十億、百三十五件、もうすでに上旬で前年に迫っておるのです。しかも倒産状況などを見ますと、具体的に名前をあげてもいいのですが、いずれにしても毛織物とか建築材あるいは電動機あるいは造船あるいは建設機械、そういうふうにいろいろな業種にまで及んでいるのです。また、さっきもあなたは下請会社の話をされましたが、これはあとから質問したいと思いますが、北九州あたりでも、石炭あるいは鉄鋼、八幡だとか大手のもとにある中小の下請業者というものが非常に困って、次々に倒産している現実なんです。したがって、四月以降きめのこまかい方策をとるのだというようなことでは、これらの深刻に悩んでおる人々は納得しないのじゃないかと思うし、質問者の私も、ちょっとそういうお答えでは納得できない面があるのですが、もう少し何か具体的な対策、あるいはいまのきめのこまかいとおっしゃるならば、何かきめのこまかいものを一つでもありますれば御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/4
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005・中野正一
○中野政府委員 いまの御指摘の点でございますが、来年度からの金融対策につきましては、先般の政府できめました財政投融資計画におきまして、政府三機関については、それぞれ中小公庫、国民公庫については、貸し出しベースで申しまして二一%増、それから商工中金については約二四%増の貸し出しの計画をきめまして、それぞれ三機関に対して、ことしに比べまして来年は二七%増の千六百十七億の財政投融資を行なうということにいたしておるわけであります。したがいまして三機関については、限定をして考えますと、来年度につきましては相当情勢を織り込んでおりますので、相当弾力的な運用ができるのじゃないか。これはたとえばの話で、私からまだこのことを申し上げることはどうかと思うのですが、春になってからいろいろ情勢がまた動くということになりますれば、四-六月の計画等につきまして相当弾力的な運用ができるのじゃないかというふうに私は考えております。しかし御承知のように金融面でいいますと、政府関係三機関の中小企業向け融資のウエートというものは約九%でございまして、あとの九割は市中の一般の金融機関、都市銀行、地方銀行、それから相互銀行、信用金庫、信用組合というものが占めておるわけであります。そのうちで特に全国銀行と称せられる都市銀行、地方銀行というものの中小企業向け貸し出しのウエートというものが次第に下がってきておる。もちろん絶対額は相当にふえておるわけでありますが、ウエートが非常に下がってきておる。ここに資金の流れとして問題があるのではなかろうかということで、先般の二月十二日の大蔵省銀行局長通達にもありまするが、中小企業向け貸し出しの比率を下げないように行政指導をしてもらいたいということは、前々からわれわれとしては大蔵省に要求しておったのでありますが、今度そういう措置をとってもらったわけであります。ただ、それだけでそれじゃ十分いくかと言われますと、これはいろいろ問題があるかと思いますが、ただこの通達にもありますように、ほかの企業が倒れたために、連鎖反応によって、金融面からの理由で健全な企業が倒れるということがないように、これは金融機関の責任でもあるのではないかという点を非常に強調いたしておりまして、大蔵省としても財務局を通じまして、今後は相当こまかい指導を行なっていくということになっておりますので、大蔵省方面とも連絡をとりまして、そういう点にも気をつけていきたい。そういうふうに一般の市中金融機関に対する指導、それから政府関係三機関に対する資金の増ワク、あるいは運用の適正化等によりまして、何とか非常事態を切り抜けていくようにしたいというのがわれわれの方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/5
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006・田中六助
○田中(六)委員 政府のそういうきめのこまかい諸政策の方針というものもある程度理解しましたが、企業というものがだんだん社会性というものを帯びてきておりますし、ますますこれから通産省あるいは大蔵省が連絡をとって金融機関のいろいろな窓口規制というものについて、もう少し正しい方向で進めていってもらいたいと思います。
次に、さっきあなたもおっしゃいましたが、やはり開放経済体制の進展とか国内市場の頭打ちから、大企業のいろいろな合理化が進んで、このために大企業の下にある下請業者、そういうものが非常にきびしい選別強化の形で、いろいろな立場に迫まられております。特に最近の金融引き締めの状況において一段と下請業者を困窮に陥れるという方向に進んでおる状態でございますが、こういうこともありまして、今度の基本法の十八条にも、「下請取引の適正化」というサブタイトルで、この問題を取り上げておるわけでございますが、こういう大企業と下請業者との関係、こういうものについて政府の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/6
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007・中野正一
○中野政府委員 下請関係の適正化につきましては、基本法にもうたってございますように、まず第一には、現在ございます下請代金支払遅延等防止法というものの適正な運用等をはかる、と同時に長期的な観点に立ちまして、やはり下請と親との関係を近代化する。また合理的な分業関係に持っていって、行く行くは西欧的な、いわゆる日本的な下請との関係でなくて、親子が平等な立場に立った近代的な形のいわゆる部品専門工場といいますか、そういう形に持っていくというのが理想的な形だというふうに考えております。またそういう方向にともども進んでおる面も機械工業等についてはあるわけであります。ところが最近金融引き締め等の影響もございまして、また親企業が不当に下請業者のほうにいろいろな支払い条件等を悪くするというような事態が起こりつつあることを、非常に憂慮しておるわけであります。その意味におきまして、御承知と思いますが、去る二月二十一日に下請関係の適正化につきまして、われわれのほうの福田通産大臣が特に閣議で発言をなさいまして、最近の下請代金の支払い手形の長期化の傾向にかんがみまして、これが改善策を考えなければいかぬじゃないか。もちろんこの点につきましては、最近のいわゆる企業間信用の膨張、大体最近は十五兆に達するのではないかというようなことをいっておりまして、昨年一年の実績を見ましても、金融が大体昨年の春くらいからゆるんできたわけであります。そうなると企業間信用がむしろ改善されるというふうにわれわれは見ておったのでありますが、そうじゃなくて、一年間の実績を見ましても、企業間信用が非常に膨張しておる。これはいろいろな要素があると思いますが、一つには機械金属関係について手形の長期化ということがありまして、一つにはやはり機械工場が製品を売るのに割賦販売で売っていく、そういう形が非常に出ておりまして、これがまた一面から言うと、外国の機械の輸入に対応して競争するためには、ある程度やむを得ない面もあるのでありますが、そういう関係で売り掛け金の回収が最近非常に悪くなっております。そういう関係もございまして、やはり売り掛けが悪くなりますと、自然に買い掛け金のほうにしわを寄せるということもございまして、この企業間信用の膨張に対してどういう手を打つかということは、なかなかむずかしい問題でありますが、これは政府全体として考えようじゃないか。しかしさしあたり下請代金支払遅延等防止法の法律違反になるようなケースが相当出てきておりますので、この法律を強力に運用して下請関係の適正化を積極的に推進したいということで大臣の御発言があったわけであります。これにはまず第一に、長い手形に対する下請法の解釈をはっきりさせるということで、これは御承知のように法律にもございまするが、下請企業者が物を納める等の給付を行ないました後六十日以内に現金あるいは手形の場合は通常の金融機関で割り引けるような性格の手形でなければ六十日以内の支払いということにならぬという解釈を、したがってこれに違反する場合をはっきりさせようということで、近く通産省と公取委員長の名前で解釈通牒を明確に関係方面に出して趣旨の徹底をはかる。それから中小企業庁といたしましては、法律の第九条第二項の規定によりまして親企業、下請企業両方に対しまして書面調査あるいは立ち入り検査等を行なう権限があるわけでありますが、従来は主として子供のほう、下請業者のほうに中小企業庁としては調査の重点を置いておったのでありますが、やはり下請のほうから調べていってもなかなか真相がつかみにくい、どうしても親に対して弱い立場にありますので、ほんとうのことをなかなか言わないというようなこともございますので、今度四半期ごとに定期的に手形期間別の支出、支払い金額、主として支払い条件に関する調査を、これは書面調査でございますので大まかな調査になるかと思いますが、広く親企業について中小企業庁が調査をしようということになって、近くこの調査の要領、あるいはこの調査に基づきまして、たとえば百五十日を越えるような長い手形で出しておるというケースがありますれば、これは法律違反になるおそれが十分ありますので、そういう親企業に対しては地方の通産局で立ち入り検査をやる。そうして親のほうから入って、今度子供のほうも一緒に調べる、そういうやり方をいたしたい。そういたしまして立ち入り検査をした結果、支払い状況の不良な親企業につきましてはいろいろな改善計画を行なわせる。それからさらにそれでもなかなか聞かないというような悪質のものにつきましては、法律の第六条に基づきまして適正な措置をとるように公取委員会に中小企業庁長官の名前で請求をするというような、相当シビアーな運用をやりたいというふうに考えております。ただそれだけではなくて、同時に積極的な、たとえば手形の割引が円滑に行なわれるような金融措置あるいは下請協同組合を積極的につくらして、それに対して商工中金等から融資をさせる。商工中金の場合は、御承知かと思いますが、百五十日くらいの手形であれば、親企業の保証等によりまして、組合に割り引いてやるというようなことをやっております。通常の金融機関だと、九十日以上の手形というものは割り引いておりませんが、下請協同組合等ができておる場合には、商工中金は百五十日程度までの割引はしておるわけであります。そういうような意味において、下請の協同組合の設立の促進ということも実行したい。さらに先ほどちょっと触れましたが、長期的な下請対策の確立につきましては、先般開かれました中小企業政策審議会におきましてこの問題が取り上げられまして、下請小委員会という専門の委員会をつくりまして、これを近く発足させまして、下請問題全般にわたる検討と基本的な対策の策定について審議をしていただくという段取りを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/7
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008・田中六助
○田中(六)委員 政府の見解は、この前通産大臣も、あなたのおっしゃるとおり、ああいう態度を閣議でおっしゃっております。しかし商工中金関係は別といたしまして、手形の決済の延びが百五十日くらいは法律違反になるおそれがあるというふうに言っておりますが、現実にこれは法律違反じゃないかと思うのです。百五十日だけではなくて、すでにあちらこちらで百八十日の手形の決済の状況が現実にたくさんあるのです。したがって百五十日というようなことじゃない。それほど決済条件は非常に悪くなっておるのですね。それからまた一方、大企業はいままで下請業者をずっと利用しておったのですよ。それを今度不景気になって、平気で死命を制するというようなこともやってのけておるのです。したがっていろいろな立ち入り検査をやる、あるいは具体的にどうするというようなことをいまからやるという態度では、もうすでに一カ月も二カ月も前から現実には百八十日の手形決済というのを平気でやっておるのです。したがってこういう点の配慮というものを、私に言わせるならば、大体においというものは、どこの会社がどうだというようなことは政府もわかっておると思うのです。したがってそういうところには出先機関あるいは中央からどしどし――そういうのは本省あたりでいろいろなことを言っておる段階ではないと思うのです。具体的な行動を起こしてもらいたいというふうに思っております。
それから、これはまた中小企業の一つのあれでございますが、ちょっと懸念されることがあるのです。それは、今度中小企業債券が発行されるわけですが、この場合、政府保証債であるから消化ルートが一応違いますが、懸念されることは、いまの金利体系やあるいは金融諸制度を前提とする限り、中小企業専門金融機関でこの中小企業債券が消化されるとしたならば、かえって中小企業に対する資金運用を抑制するというような問題が出てくるのじゃないかと思う。そういう点に対する政府の考え方、見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/8
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009・中野正一
○中野政府委員 今度の財政投融資計画におきまして、中小企業金融公庫が百億円の公庫債、しかもこれは政府保証債を出して資金を吸い上げる、それからこれに必要な法律改正をいま衆議院の当商工委員会で御審議願っておるわけであります。こういうことをやって民間の金を公庫債という形で引き揚げて、これを中小企業金融に回すということですから、筋は非常に立っておるし、非常にいいことなわけでありますが、いま御指摘がありましたように、その吸い上げる先が中小企業専門の金融機関であると、結局それだけ中小企業に回るのが――結局は回るわけなんですが、右から左にいっただけのことで、そうそうふえたことにならぬじゃないかという御指摘、ごもっともでございます。政府保証債というのは、御承知かと思いますが、来年の計画において千八百十億というものが政府保証債、市中から借り受ける金額になっております。そのうちの百億は中小企業の関係の公庫債、政府保証債ということになるわけでありますが、これは政府のほうで一応管理銀行をきめまして割り当てをするようなかっこうになっておるわけであります。大部分は都市銀行、それから地方銀行、こういうところから吸い上げて、中小企業金融の政府機関にこの金を回す、こういうふうに運用したい。またいまのところはそういう内容になっておりますが、御指摘のような中小企業専門金融機関に悪い影響のないように、十分今後も配慮してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/9
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010・田中六助
○田中(六)委員 政府のそういう決意がはっきりしておるならば、行政指導あるいは運用面でそういうふうにしてもらうと、中小企業の債券の発行の意義というものがはっきりしてくると思うのです。一応百億が予定されておりますが、四十年度以降、この債券の発行についての考え方をちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/10
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011・中野正一
○中野政府委員 ことしの百億を出すときにも、いろいろ政府の中でも議論があったところでございまして、われわれの考えとしては、本来の財政投融資、資金運用部出資の政府資金、これを中小企業専門の金融機関にできるだけつぎ込んでもらうということが筋ではないか、またそういうことが望ましい。これは量的な意味合いもございますが、コストが安いという面もあるわけでございます。これは御承知のように財政投融資で借り入れれば六分五厘で借りられるものが、市中で調達すれば七分三厘、四厘ということになるわけで、コストが上がる。したがって、長い目で見たこの中小企業に対する貸し出しの金利を下げる、中小企業の専門の政府機関というものの金利を下げるべきであるという要望が非常に強いわけでありますから、その趣旨をそこなわないようにわれわれとしてはやっていかなければいかぬ、こういうふうに考えております。したがって、四十年度以降どの程度のものを出すか。ある程度のものはどうせ出すことになると思うのですが、あくまでこれは本来の財投の補充というか補足の意味合いにおいてやっていくべきじゃないかというのが――いまここで申し上げますのは、われわれ事務当局の大体一貫した考えでございますが、そういう方針で事務当局としてはいきたい。ただ、これは四十年度のことでございますので、そのときの経済情勢で、中小企業金融に対してどうしたらいいかという大きな問題がまだまだ出てまいりますので、その一環として当然これは考えなければならぬ問題なので、私はいま申し上げたとおりになるかどうか保証はできませんが、われわれとしてはそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/11
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012・田中六助
○田中(六)委員 確かにあなたの御指摘のように、これがどんどんふえていきますと金利引き下げに大きな影響を及ぼしますし、したがって、この点の配慮は十分考えていただきたいと思います。これは一応公募になっておりませんが、将来この公庫債を公募形態で発行するかどうかという問題を、ちらほら、あちらこちらで聞くのですが、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/12
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013・中野正一
○中野政府委員 公庫債を将来公募の形で発行したほうがいいんじゃないか、そうしたほうがかえって資金がうんと集まるんじゃないかということ、これは考えられないことじゃないわけです。しかし、これについては問題点が非常に多いと思いますので、われわれとしては、いまのところ公募ということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/13
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014・田中六助
○田中(六)委員 商工中金の関係の方、まだ来ていませんか。――商工中金債の売れ行き不振が長い間問題になっておりますが、この点について政府の知っている限り、ちょっとお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/14
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015・中野正一
○中野政府委員 いま、ちょっと数字を調べて申し上げますが、最近の商工中金債の売れ行きは、年度当初の計画を相当に常に上回っております。ただこの一-三月あたりについてはわれわれもやや心配しておりますが、十二月の実績は、当初の計画を相当上回って比較的好調である。これは市中の銀行が引き受けておるという点もありますが、商工中金自身が最近店頭売りを始めておりますので、こういうものが相当――したがって、これは商工中金の努力というか、これも相当影響しておると思いますが、比較的順調に売れておるというように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/15
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016・田中六助
○田中(六)委員 私は商工中金のほうの意見も聞きたかったのですが、今回、中小企業金融公庫の百億の企業債発行が認められておるわけですが、これによって、中金債と競合する形で、常識的には中金債の売れ行き不振が一そうはなはだしくなるというように考えるわけですが、こういう競合する面で、他の政府保証債を圧迫するというようなことについての見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/16
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017・中野正一
○中野政府委員 今度中小企業金融公庫におきまして政府保証の公庫債を出すにあたりまして、これは結局は一般の都市銀行、地方銀行等で消化されるわけでありますので、その意味合いにおきまして商工中金の金融債――これは主として利付債でありますが、利付債はやはり都市銀行あるいは地方銀行等によっていままで消化されておりますので、その意味合いにおいて競合する、したがって商工中金債の売れ行きが悪くなるというようなことになると、あるいはアブハチとらずというか、片一方でふえても、商工中金債が減ってくるというのでは何にもならぬじゃないかということで、われわれもそういう点で非常に心配をいたしておるわけであります。これは大蔵省とも十分連絡をとりまして――大蔵省でも、商工中金の利付債の消化に悪影響がないように強力な行政指導をするということを言っておりますので、通産、大蔵両当局で、そういう点については十分気をつけて、支障のないように処置してまいりたいというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/17
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018・田中六助
○田中(六)委員 行政指導などによって悪影響のないようにするとおっしゃいますが、何かそういう具体的な対策があるわけですか。行政指導ということだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/18
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019・中野正一
○中野政府委員 商工中金債の消化につきましては、いままで以上に行政指導を強化するということで、たとえば生命保険会社、こういうところに新しく、もう少しよけい消化させるとか、退職金事業団、これは従来からもやっておりますが、そういうところでやっていくというふうな、いろいろなこまかい点を今後とも大蔵当局と相談しながら進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/19
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020・田中六助
○田中(六)委員 今回の商工組合中央金庫法の一部改正案で、第二十八条がちょっと問題でございます。これに外為の業務を追加しておりますが、商工中金の所属団体及びその構成員のうちで海外取引を行なっておるのは大体どの程度か。政府の知っておる限りでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/20
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021・中野正一
○中野政府委員 いまちょっと数字を調べまして、あとで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/21
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022・田中六助
○田中(六)委員 外為の業務を追加した理由はどういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/22
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023・中野正一
○中野政府委員 今度の改正によりまして、商工中金が乙種為替銀行になるわけでありますので、結局甲種取引銀行との間の取り次ぎ業務というふうに簡単に考えていただいたらいいんじゃないか。組合員が外国との取引がありまして為替業務をやるという場合に、全然商工中金に取り次ぎができないというのも組合員のために非常に不便じゃないかということで商工中金法を改正いたしたということでございます。ケースとしてはそれほど大きなケースにはならないかと思いますが、しかしやはり商工中金としてその所属団体のメンバーの便宜をはかるために、この程度のことはやらしたほうがいいんじゃないかということで改正案を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/23
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024・田中六助
○田中(六)委員 ちょっといま条文がないのですが、二十八条の規定は、輸出業者は一応別としまして、これに輸入業者が明記されていないわけですね。一応中小企業基本法には共同化の精神というものをうたっているわけですが、第二十八条ノ二の「事業ノ合理化」という項目の中に、法律解釈を拡大して輸入の面を入れたらいいじゃないかという論があるのです。こういう点については、基本法との関係でどういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/24
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025・中野正一
○中野政府委員 今度の所属団体の準所属団体を拡大しようというのは、従来は御承知のように所属団体の構成員の輸出の場合には、その共通の利益を増進するためにできました法人に貸し付けができる、こういうことになっておったのを、今度はそれを少し広げまして、輸出の振興だけでなくて、事業の合理化をはかり、その共通の利益を増進するために必要な施設を行なう法人で主務大臣の認可を受けたものには商工中金は貸し得る、こういうことになるわけでありますので、いま御指摘のように、たとえばその事業が輸入の仕事でありましても、所属団体の構成員の事業の合理化をはかり、しかもその共通の利益を増進するための施設であれば、それに金が貸し得る、こういうふうにわれわれは解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/25
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026・田中六助
○田中(六)委員 第二十八条ノ二の後半ですが、あなたのおっしゃったように「主務大臣ノ認可ヲ受ケタルモノ」というふうに規定されております。この主務大臣の認可の基準は、どの程度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/26
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027・中野正一
○中野政府委員 これは法律にもございますように、事業の合理化をはかり、その共通の利益を増進するために必要な施設を行なう法人でなければならぬ、同時に、その直接、間接の構成員が主として所属団体あるいはその構成員であるものに限る、こういう限定がございますので、この法律の趣旨に従いまして、認可というものはルーズにやらずに適正にこれを運用してまいりたい。従来、輸出に関してこういう共通利益を増進するための必要な施設を行なう法人で認可を受けたものは日本レイヨン織物輸出振興という会社と日本魚介罐詰販売という会社、この二件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/27
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028・田中六助
○田中(六)委員 大体それでわかりましたが、最後の質問といたしまして、中小企業近代化促進法による三十九年度の業種指定の方針をお聞きしたいわけでございます。三十八年度は御承知のように二十業種が指定されたわけでございますが、三十九年度の方針をちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/28
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029・中野正一
○中野政府委員 中小企業近代化促進法は、この前の国会において成立いたしました基本法の関連法規の一つでございますが、これは施行されまして、いま御指摘ありましたように、三十八年度として二十業種指定したわけであります。さらに三十九年度の分としてどの程度指定するかということを、関係の業界あるいは通産省でいいますと関係の原局あるいは農林省、運輸省、建設省関係方面といま寄り寄り相談しつつあるところであります。いまの見込みでは、三月一ぱいくらいはこの審議にかかるのではないかと考えております。業種の数としては、少なくとも三十八年度の業種を下らない程度のものは指定をして、そしてできるだけこの促進法の趣旨に従っていわゆる近代化計画というものをつくって、開放経済下の中小企業のあり方としてこれに備えていきたいと考えております。
ただこの法律に、御承知と思いますが、業種指定は政令で行なうということになっておるわけでありまして、これは中小企業近代化審議会という機関がございますが、ここの意見を聞きまして、「次の各号に該当する業種であって政令で定めるもの」ということになっておりまして、第一の要件が「当該業種における事業活動の相当部分が中小企業者によって行なわれている」、これは当然なことだと思います。その次に「当該業種に属する中小企業の生産性の向上を図ることが産業構造の高度化又は産業の国際競争力の強化を促進し、国民経済の健全な発展に資するため特に必要であると認められる」、こういう法律上の制限というとぐあいが悪いかもわかりませんが、政令指定の範囲というものを法律できめておりますので、この法律の趣旨に従いまして、われわれとしては業種を選んでいきたい。ただこれは解釈の問題でございますので、具体的にその業種が入るか入らぬかということになると、いろいろ議論があるかと思いますが、関係省とも十分連絡をとって、できるだけ早く指定いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/29
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030・田中六助
○田中(六)委員 確かにこの近代化促進法の第三条の条件というのは、あなたもおっしゃるように、中小企業の占める比重の高い業種、それから第二が産業構造高度化に役立つこと、三が国際競争力の強化促進ということが条件でございますが、この条件を見ますと、われわれの国民生活、それからさきに指定されました二十業種の内容を見ましても、最近物価問題でいろいろ政府も与党も非常に攻撃されているわけですが、現在のようなこの条件を満たすものを政令で指定すると、これから先も、何か国内経済に響く物価とのそういうふうな関係、つまり日用の雑貨類や生鮮食料品あるいは印刷とかそういう関係などが抜けるおそれがある。こういう点について、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/30
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031・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘のような点、確かに最近の情勢から見て、この近代化促進法の第三条の限定のしかたが非常にシビアー過ぎるというか、制限的じゃないかというような御議論がございますが、そういう点については、われわれとしてももうちょっと時間をかけて検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/31
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032・田中六助
○田中(六)委員 大体政府のそういうあれもわかったのですが、やはりこの近代化促進法の策定によって、まだまだ零細な企業が切り捨てられて、一部の中小企業だけを育成する、そういうふうに現実に解釈されているのです。そういう点は十分やはり考えなくちゃならない。ほんとうは私に言わせれば、基本問題じゃないかと思うのです。そういう観点から、この条件などについても、もう少し弾力性のある方向を考えなくちゃいかぬし、それからこれを拡大解釈して、できるだけそういう国民生活の必需品あるいはわれわれの生活に直結するような面の業種を指定していくということを念頭に置いてこれから先やっていただきたいと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/32
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033・二階堂進
○二階堂委員長 この際おはかりいたします。
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案審査のため、参考人として商工組合中央金庫理事永野量君に御出席願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/33
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034・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/34
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035・二階堂進
○二階堂委員長 それでは質疑を続行いたします。田中六助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/35
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036・田中六助
○田中(六)委員 ちょっと商工中金の方にお聞きしたいのですが、商工中金債の売れ行きは現在どういうふうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/36
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037・永野量
○永野参考人 私、商工組合中央金庫の永野でございます。
ただいま御質問のありました商工債券の売れ行きの問題でございますが、私どもの債券は割引債券と利付債券の両方でございますが、割引債券につきましては、一つは証券会社に委託して売っております。一つは私どもの店頭で売っております。その二つの方法で割引債券を消化しておるわけでございます。利付債券につきましては、これは主として金融機関に引き受けてもらっております。利付、割引を総合いたしまして、最近の消化状況はおおむね順調でございます。ただ一つ申し上げておきたいと思いますことは、証券会社に委託しておりますいわゆる委託売りにつきましては、これは証券会社の状況によりまして、やや不振でございます。最近はおおむね純増がございません。月によりましては若干純減になる月もございます。しかし私どもは店頭売りによりまして最近相当成績を上げておりますので、この委託売りの純減ないしは増加の減少を相当程度カバーしております。店頭売りにつきましては、私どもの全国の店舗網を動員いたしまして、最近相当過去の実績を上回っておりますので、割引債全体といたしましておおむね所期の計画どおりいっております。利付債につきましては、これは主として金融機関の関係でございますが、これも年度当初計画いたしました資金計画に基づく利付債の消化計画をおおむね達成いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/37
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038・田中六助
○田中(六)委員 いま証券会社がやや不振だというふうにおっしゃっておりますが、それはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/38
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039・永野量
○永野参考人 証券会社の不振の原因につきましてはいろいろあるかと存じますが、これは証券会社の経営方針といいますか、御承知のように証券会社は株式の売買を主としてやっておりますので、あるいはオープンとかその他に重点を置いております関係上、私どもの金融債、特に商工債券につきましては、必ずしも十分の協力が得られないという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/39
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040・田中六助
○田中(六)委員 商工債券が証券会社で売れないというあなたの答弁、何かあいまいのような気がしますが、それは別としまして、店頭売りはかなりの成績を上げておられるというふうにおっしゃっておりますが、一部で私の聞くところによりますと、政府から、預金はとれ、債券は売れ、そういうふうなことを言われているから、あなたたちが自主的にやっておるのか、その辺は疑問ですが、そういう観点から、商中の貸し出しの際預金集めのために、各銀行で一応問題になっておるような歩積み、両建てですね、そういう傾向はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/40
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041・永野量
○永野参考人 預金につきましては、私ども年度当初にきめました預金の計画に基づきまして取引先にお願いしておるわけでありますが、私どもの商工中金の性格といたしまして、これは相互組織の機関でございますので、組合ないしは組合員に若干の協力預金ということでお願いしておるわけでありまして、ただいまお話しのように歩積み、両建てにつきましても、大蔵省の指導によりまして、あるいは全国銀行協会等の自粛の方針に従いまして自粛いたしておるわけであります。両建てというものにつきましては、私どもやっておりません。歩積みにつきましては、これは金融機関の商慣習もございまして、ある程度の手形割引等に関連しまして歩積みをお願いしております。しかしこれは過当にならないように十分注意してやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/41
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042・田中六助
○田中(六)委員 両建てのほうはないというふうにはっきりおっしゃっていただいて、非常にけっこうなことだと思うのですが、歩積みについても自粛なさることを望みます。と申しますのは、協同組合を中心とする貸し出しで、なぜみんなが協同組合化するかというと、やはり零細企業というものが非常に多いわけですね。普通の一般銀行あるいは相互銀行あるいは信用金庫あたり、特に相互銀行ですが、最近顕著なことをいろいろ聞くのです。したがって、やはり商工中金あたりでそういう傾向にあるならば、これはますます中小企業者並びに零細企業者を圧迫することになるわけでありますから、あなたたちがそういう精神をいつまでも忘れずにやっていただきたいと思います。
もう一つ、これは私の選挙区で聞いた話でございますが、やはり借り出すときに、向こうの言う――おたくの支店の言う保証人あるいは土地などを担保に入れて借りようとしましても、やはり信用保証協会などを窓口としてやらなければ貸さないというような傾向が多少あるようです。そうなりますと、やはり手数料が問題になる。それは金利とは言えませんが、そういうふうに窓口で手数料を取られ、組合から手数料を取られると、店舗を持っている人に金が入るときにはかなりの負担になるわけです。こういう傾向はありますか。あなたたち聞いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/42
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043・永野量
○永野参考人 この法律の改正で、私どもは金利の引き下げをするための出資をお願いしておるわけでございますが、私どもはかねがね金利を少しでも下げたいということで、実は過去何回か努力してまいったわけであります。いまお話しの手数料と私どもの金利は、性質が違うと考えておりますが、しかしこの最終の借り受け人にとりましては、ややそれを混同する傾向がございまして、これはむろん借り受け人としては当然かと思いますが、手数料と金利を含めていろいろ議論される傾向がございます。性質的には違っております。したがって私ども金利を下げます場合には、私どもが引き下げたものがある程度手数料という名目で組合の段階で吸収されてしまうことが往々にありますので、この引き下げの際にはいつも監督官庁にお願いするわけでありますが、少なくとも私どもの下げました金利は当然下げる、その上にさらに従来とっておりました手数料もなるべく下げるという指導をお願いしておるわけであります。今回も実はそういうことでお願いしたいと思っておるわけであります。組合の手数料につきましては、これは組合の事情によって相当違うわけでありまして、ある組合では、たとえば年利率にいたしまして五分あるいは三分というものをとっておるところもございます。ある組合ではもっと少ないところもございます。これはそれぞれ業種業態によって、あるいは組合の性質によって違いますので、一がいには申し上げられないと思いますが、私どもの指導といたしましては、手数料を少しでも下げる方向で実は組合指導と申しますか、行政指導をやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/43
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044・田中六助
○田中(六)委員 手数料と金利は違うということですが、確かに違います。違いますが、負担者の身になりますと、結局同じような結果になるから、その点を十分お考えになってやっていただきたいと思います。
今度、政府にちょっとお聞きしたいと思うのですが、今度商工中金に政府出資として三十億増加した、もちろんこのために金利がかなり下げられておりますが、まだほかの公庫あるいは銀行に比べますと、金利の面でも下げ足りないのではないかという印象があるのですが、この点どのようにお考になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/44
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045・中野正一
○中野政府委員 商工中金に対しまして来年度新しく三十億の出資をするということによりまして、もちろん商工中金の自己努力も加わりまして長中期のものについて年三厘程度、それから短期のものにつきましては日歩五毛程度の引き下げをやることになりました。これによりまして、中期のものにつきましては九分になるわけです。しかし長期のものは九分二厘ないし九分三厘、組合貸しの場合と構成員貸しの場合と違うわけであります。まだ二厘程度の差があるということで、長期のものにつきましては、中小企業金融公庫等と実はいつも比べられるわけでありまして、われわれとしては、中小企業金融公庫の金利と同じくらいにしたいという気持ちを持っておりまして、今度三厘程度の引き下げをはかることにしたわけであります。今後の問題としては、先ほどもちょっと触れましたが、政府関係機関の金利というものはさらにもう少し下げるべきであるということで、当商工委員会でも前にたしかそのような御決議があったやに記憶しておりますが、その方向に持ってまいるように努力をいたしております。したがいまして中小公庫につきましても、商工中金につきましても、国民金融公庫につきましても、今後さらに貸し出し金利の引き下げということについて努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/45
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046・田中六助
○田中(六)委員 商工中金では、この点についてどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/46
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047・永野量
○永野参考人 ただいま中小企業庁の長官からお答えのあったとおりに私どもも希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/47
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048・田中六助
○田中(六)委員 中小企業庁の長官にお聞きしたいのですが、三十九年度は政府出資を三十億やりましたが、四十年度について何かお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/48
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049・中野正一
○中野政府委員 四十年度の問題については、方向としては先ほど申し上げましたように、商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫、ともに貸し出し金利引き下げに努力したいという決心でございます。したがいまして、これをやろうとすれば、少なくとも商工中金については政府の出資がないとすれば、自己努力だけでは非常に困難ではないかというふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/49
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050・田中六助
○田中(六)委員 これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/50
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051・中村重光
○中村(重)委員 関連して。永野さんにちょっとお聞きしたいのですが、協同組合の役員の個人保証を依然としてとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/51
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052・永野量
○永野参考人 組合金融をやります場合に、組合の役員の個人保証をとるかとらぬかということで、かつてこの委員会でもいろいろ問題になったと思いますが、私どもは、これはケース・バイ・ケースで考えております。現在でも、場合によっては組合の役員の個人保証をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 ケース・バイ・ケースといったら、どういう場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/53
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054・永野量
○永野参考人 これはいろいろ事情が違いますが、組合の役員に保証していただくという意味は、組合の役員に組合の事業なり組合員に対する転貸の責任を持っていただくという趣旨でございますので、それぞれの事情によって違うと思います。私どもは組合事業、いわゆる組合でいろいろな事業をやりますが、その事業の場合には少なくともその役員に相当重い責任を持っていただかなければならぬというふうに考えております。それから組合から転貸いたします場合につきましては、これは組合員の資産、信用力あるいは物的な担保の問題等を考えまして、それぞれの事情によって役員に保証していただくかどうかをきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/54
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055・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、協同組合の理事の個人保証をさせないことを原則にしておる、そういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/55
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056・永野量
○永野参考人 これは必ずしも保証しないことを原則とするというふうにきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/56
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057・中村重光
○中村(重)委員 個人保証をやらせた場合、協同組合が役員改選をやった。そこで個人保証をしておった理事がやめるわけですね。そしてあとの理事が出る。その場合、差しかえをやらしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/57
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058・永野量
○永野参考人 これは事情によって差しかえをやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/58
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059・中村重光
○中村(重)委員 事情によってやらしてないというのはどういうことですか。日にちははっきり記憶いたしませんが、北野さんがお見えになったときに、この問題を議論したことがあるのです。理事なるがゆえに個人保証をするわけです。ところが民主的に組合の運営が行なわれてその理事がやめるわけですね。そうして次の理事が出るわけです。そういう場合、当然個人保証を差しかえることが正しい。それでなければ、当初理事個人の信用力によって保証させたのじゃないから、組合の理事なるがゆえに保証させられたのだから、その人がやめた以上は、その人の義務を解除してやらなければ、組合の運営そのものが、あなたのほうの締めつけによって民主的に行なわれないようになる。だから当然それは改善しなければならない。そういう方向でやるのだということをはっきり北野さんは約束したのだ。それを実行なされなければならぬと思います。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/59
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060・永野量
○永野参考人 あのときたしかここで御議論があったと思いますが、あの方針でやっております。ただ先生の言われます当然に差しかえをするということでもまいりませんので、実は過去の役員の時代にやった事業についての責任を持っていただくという意味で、当然に差しかえるということも実はいたしかねるわけでございます。原則として差しかえるということは、これは異論のないわけで、それぞれのケースによりましてやっております。この前ここで御議論になりまして、ここにその方針を御披露しましたが、その方針に基づいてただいまやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/60
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061・中村重光
○中村(重)委員 大体考え方がわかりましたが、あなたの判断でいろいろやられるとまた問題が起こるから、少なくとも組合にお金を貸し出して、個人保証をする、あなたのほうは解除しない、そういうことで組合自体にトラブルが起こる、ですから民主的な運営をあなたのほうで阻害をするという形にならないように十分ひとつ原則を生かして、いまあなたが言われるようなことが――ケース・バイ・ケースでお考えになると問題がありますから、いまあなたが言われたことは、具体的にどういう場合が当てはまるかわからないのだけれども、その幹部が組合自体の放漫経営をやった。そのことが組合に対して非常なマイナスを来たさせているというような場合、当然それは組合の幹部としては、あとはほったらかしてやめるなんということはけしからぬ話だから、そういう場合はわかります。しかしあなたのほうの、組合の運営というものがどうもうまくいっていないのじゃないかなという判断から、貸した金を回収するということにウエートを置いて、そういうことで理事の差しかえをやらぬということになると問題がありますので、十分注意をしてやっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/61
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062・永野量
○永野参考人 ただいま御指摘の点はまことにごもっともでございます。私どもは組合の運営自体も十分考えまして、ただ組合の内紛と言いますか、役員の交代に巻き込まれないように、しかも組合の実情を十分考えまして運営をしてまいりたいと考えております。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/62
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063・二階堂進
○二階堂委員長 この際、去る二十一日付託になりました、内閣提出の特定産業振興臨時措置法案及び板川正吾君外十二名提出の市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案の両案を議題とし、まず通商産業大臣及び提案者より趣旨の説明を聴取することにいたします。福田通商産業大臣。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/63
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064・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま上程されました特定産業振興臨時措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
御承知のように、わが国は、国際経済の一翼をになうものといたしまして、貿易・為替の自由化を着々と推進し、さらに関税の一括引き下げの動きに対しても、原則としてこれを受け入れていく方針を固めております。
このような国際経済環境の変化に対処しつつ、国民経済の健全な発展を確保していくためには、申すまでもなく、かかる情勢に敏速に適応し得るよう国内体制を十分整備しておくことが必要であります。ひるがえってわが国産業の実情をながめますと、今後の経然成長を先導することを期待されている重化学工業部門の多くにおいて合理的な生産体制がいまだ確立せず、経営基盤も脆弱であるという事情があり、国内の産業体制は遺憾ながらいまだ十分整備されているとは申しがたいのであります。したがいまして国際経済環境の変化のもとで将来の経済成長を確保するためには、これらの部門において、早急に合理的生産体制の確立、経営基盤の強化を通じ産業活動の効率化をはかっていくことが必要であると考えます。
わが国産業の包蔵するこのような欠陥を是正し、産業活動を効率化するための努力は、まず産業界において行なわれるべきことは当然でありますが、わが国産業の資金調達の方式をも考えますと、その努力を実効あらしめるためには、産業界と密接な関係を持つ金融界からも協力を得る必要があり、さらに国民経済の健全な発展を確保し、国民の福祉の向上につとめるという見地から、政府も民間における努力を助長する必要があると考えられます。
そこで、政府といたしましては、企業の自主性をあくまでも尊重しつつ、合理的生産体制の確立、経営基盤の強化を通じ産業活動を効率化するための助成を行なうことにより、特定産業の振興をはかることとし、その法的裏づけといたしまして、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要点について、御説明申し上げます。
第一は、この法律の適用を受ける特定産業の選定に関することであります。特定産業の指定は、あくまでも産業界の自主性を尊重して、将来の経済成長を先導すべき特定の重化学工業部門のうち、その業界から申し出のあったものについて審議会の意見を聞いて行なうことといたしております。
第二は、政府、産業界及び金融界は、合理的生産体制の確立、経営基盤の強化を通じ産業活動を効率化して特定産業の振興をはかるための基準について討議し、政府及び産業界の合意に基づいて基準を決定することであります。
この振興基準では、規格の整備、生産の専門化、設備の適正化、事業の共同化、合併等に関する特定産業ごとの一般的な方針が定められ、企業が自己責任に基づいて行動するときの好ましい判断材料を提供しようとするものであります。
第三は、特定産業を営む者、政府関係金融機関及び銀行が産業活動を効率化するために努力ないし留意すべきことを明らかにしていることであります。
第四は、政府の助成に関することであります。振興基準は、政府も参加して作成されたものである以上、その円滑な実施をはかることは、国策にも適合することでありますから、振興基準で定められた方針に従って産業活動を効率化するため必要と認められるときは、政府は、資金の確保につとめるとともに、法人税または登録税の軽減措置を講ずることといたしております。
第五は、合理化のための共同行為の特例に関することであります。合理化のためにする一定の共同行為が、あくまでも振興基準で定められた方針に従って、産業活動の効率化のために行なわれる限り、これを許容していくことが必要と考えられますので、公正取引委員会の認可を要件として、ここに独占禁止法との調整をはかることとした次第であります。
第六は、合併に関する判断の基準を公表することであります。これは、企業が合併しようとするときに、独占禁止法に抵触するかどうかを関係企業者容易に判断できるようにして、企業の合併を円滑ならしめようとする趣旨に基づくものであります。
その他、振興基準の内容を常に公正かつ適切たらしめるために、その作成にあたっては、学識経験者あるいは関連事業者並びに中小企業及び労働者等の利害関係者の意見を十分に聞くこととしたほか、政府、産業界及び金融界から振興基準を変更すべきことを請求し得る規定を設けるなど、所要の規定を整備いたしております。
なお、本法案は五年間の限時法といたしております。これは、貿易の自由化等により経済事情が著しく変動しつつある期間について、産業活動の効率化を有効に促進するため、本法案に規定するような措置を講ずることが適当であるという趣旨に出るものであります。
以上、本法案の趣旨の概略を御説明申し上げましたが、要は今後のわが国経済の成長を先導すべき特定の重化学工業部門の確立発展をはかるため、これらの部門のうち競争力培養に向かってみずから努力するものに対し、政府はもとより、金融界からもまた応分の協力を期待し、激動しつつある国際経済環境の中で日本経済の占めるべき名誉ある地歩をすみやかに築いてまいろうとするものであります。
何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/64
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065・二階堂進
○二階堂委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/65
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066・板川正吾
○板川議員 私は、日本社会党提出の市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案につきまして、提案者を代表し、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
御承知のように、日本経済の最も特徴的な現象は、高度経済成長策によって、産業構造の重化学工業化が進み、さらにIMF八条国移行、OECD加入等の開放体制を迎えて、大資本を中心として、資本と生産の集中、系列化がきわめて強化されてきたということであります。
もちろん、過小な規模の企業が多数乱立し、過当競争の弊害も一部に見られるところでありますが、これらの現象は、主として中小企業の側面について言えることがあって、資本面でも、生産面でも、独占的な大企業の成長は著しく、中小企業との格差をますます拡大しているのが今日の経済実態であります。このように独占資本が支配するわが国経済は、独占の弊害がもたらす当然の帰結として、物価問題、中小企業問題、農業問題等に多くの矛盾を現出して、高度成長政策を破綻させつつあることは、いまさら申し上げるまでもないと思うのであります。
第二次大戦後、西欧各国は、この独占の弊害を解決するために意を用い、その有効な方策としてEECを中心として独占禁止政策を強化してまいりました。そして、この独占禁止の精神は、現在の経済諸活動の上に強く反映されつつあるのが世界的趨勢であります。ところがわが国におきましては、独占禁止政策は一貫して緩和もしくは骨抜きにされるという方向に努力が続けられていることは、きわめは遺憾であるといわざるを得ないのであります。
ただいま政府から提案されました特定産業振興臨時措置法案も、開放体制のもとにおける国際競争力強化という美名のもとに、巧みに独禁法の骨抜きをはかって、さらに、独占、寡占体制を強化し、独占資本の利益を一そう高めることをねらったものであります。この法案は政府と独占的大企業との結合を明文をもって宣言し、政府は税制、金融その他あらゆる面での援助を公約し、カルテルを拡大、合併を愛励し、さらに政令によって指定業種を無限に拡大すれば、独禁法は完全に骨抜きとされ、この結果、中小企業には企業整理を、農民には高い農業資材を、一般消費者には物価値上げを、労働者には首切り合理化をもたらす以外何ものでもないのであります。
現在、わが国では、従業員千人以上の大規模事業所は、事業所数で全国製造業事業所数の〇・三%を占めるのにすぎませんが、収益では全体の三三%を占めているのであります。また、最大五社で市場の五〇%以上を占めている業種は、バター、チーズ、ビール等の食品、ナイロン、テトロン、ビニロン等の合成繊維、硫安、尿素等の肥料、銑鉄、粗銅、各種鉄鋼製品、アルミ、セメントをはじめ、軽三輪、乗用車、トラック、造船、重電機等、わが国の主要産業のほとんどにわたっているのであります。現行独禁法のもとにおいてさえ、このように大資本を中心とした独占、寡占体制が確立され、中小企業者、農林漁業者、労働者、一般消費者にカルテル価格、管理価格をもって高物価を押しつけていながらさらに特定産業振興臨時措置法をもって独占、寡占体制の強化をはかろうとすることは、まことに言語同断といわざるを得ません。
今日、政治の立場にあるものとして最も大切なことは、さらに独占、寡占体制を強めることではなく、独占、寡占のもたらす弊害をいかにして除去するかということに意を注ぐべきであると思うのであります。本法案を提出した理由も実はここにあるのでありまして、独占、寡占の弊害、危険に対して、公正取引委員会の機能を強化し、独占禁止法の不備を補完することといたしたものであります。
市場支配的事業者の経済力乱用を防止する法制については、すでに同様のものが、イギリス、西ドイツ、 ノルウェー、オランダ、ベルギー等においても存在しているところであります。わが国の独占禁止法は、カルテルによる価格維持については規制しておりますが、少数の大企業間で暗黙のうちに形成されるカルテル価格や、またいわゆる管理価格については、規制が不十分でありますので、独占禁止法を補完する意味で本法を提案した次第であります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、この法律案では、公正取引委員会が、商品または役務の供給量、設備の規模、資本の額等がその取引分野における支配的事業能力を有する事業者を市場支配的事業者として指定し、これらの市場支配的事業者が、取引上優越した地位を不当に利用することによって形成された管理価格等による取引につきましては、現行独占禁止法の違反行為とみなしてこれを排除する措置をとらせるようにいたしました。
第二に、国内の会社であって、その総資産が百億円をこえるもの、または、外国会社であって、公正取引委員会が指定する基準に該当するものは、毎事業年度の業務の状況その他必要な事項に関する報告書を提出させ、公正取引委員会は、市場支配的事業者の活動状況を調査し、本法の適正な運用上必要ある場合はそれを一般に公表することができることといたしました。
第三に、公正取引委員会に市場支配審議会を置き、この法律の施行に関する重要事項について調査審議し、公正取引委員会に建議することができるようにいたしました。
最後に、公正取引委員会は、この法律の運用状況及びこの法律の目的達成上必要な意見を国会に報告することとし、これによって、市場支配的事業者の規制について万全の対策を期すことといたしたのであります。
以上、本法案の趣旨を簡単に御説明申し上げましたが、要は、すでに今日、独占、寡占体制を確立している市場支配的事業者に対して、その経済力の乱用を防止することにより、常にその犠牲となっている中小企業や、一般消費者の利益を保護し、もって国民経済の健全な発達をはかりたいと念願した次第であります。
御承知のように、政府・自民党は、過般の総選挙にあたり、わが社会党の物価問題についての公開質問状に対し「管理価格の疑いあるものにはすみやかに検討を加え、もし不当な価格維持が行なわれていれば、これに対して必要な措置を講ずることは当然である」と回答し、管理価格の排除を国民に公約いたしたのであります。
したがって、本法の制定は、この政府・自民党が国民への公約を果たすことでもあると存じますので、何とぞ、すみやかに御審議の上、御賛同くださいますようお願い申しあげます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/66
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067・二階堂進
○二階堂委員長 以上で両法案の説明は終わりました。
両法案についての質疑は後日に譲ることにいたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/67
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068・二階堂進
○二階堂委員長 引き続き、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案外五法案について質疑を続行することにいたします。栗山礼行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/68
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069・栗山礼行
○栗山委員 私は中小企業近代化資金助成法の一部改正に対します若干の質問を申し上げたいと存ずるのであります。
端的に申し上げまして、中小企業近代化資金助成法の一部改正の問題の要点は、一つは中小企業基本法に基づきます関連法の整備にあり、第二点といたしましては、新たに商店街の近代化に対します高度化資金として追加する、こういう二つの面に要約されると思うのでありますが、私の了解点でよろしいかどうかということについて御答弁をお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/69
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070・福田一
○福田(一)国務大臣 御趣旨のとおりと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/70
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071・栗山礼行
○栗山委員 この説明を拝見いたしますと、いわゆる商店街ぐるみの近代化ということが今度の対象の内容になっておると承知をいたすのでありますが、そういたしますと、小売り商業店舗共同化資金制度との関連の問題、あるいは商店街ぐるみの近代化の内容とはいかなる内容を定義し、理解して、これの方向づけをされるか、こういうことについてお伺いを申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/71
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072・井上亮
○井上説明員 今回資金助成法を改正いたしたわけでございますが、この中では、御指摘のように、従来ありません商店街の造成という問題についても新たに高度化資金の中から助成をしていくという制度に改めたわけであります。従来これに類する制度といたしまして、小売り店舗の協業化の問題、卸団地の造成の問題、商業関係につきましてはこの二つあったわけでございます。これを今回さらに町ぐるみの商店街の近代化をはかるというような趣旨からいたしまして、商店街の造成ということを考えたわけでございます。
さらにもう少し簡単に申し上げますと、商店街の造成といいますのは、私どもいま考えておりますのは、大体五十店舗以上の商店街につきまして、土地の有効利用あるいは顧客に対しますサービス、共同駐車場の設置というような近代的な形で商店街をつくる。しかもその経営にあたりましてはできるだけ協業化をやっていただくというような体制で、この運用をやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/72
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073・栗山礼行
○栗山委員 いまの商店街の近代化の方式の内容をお伺いいたしたのでありますが、その資格は商店街の五十店舗以上を対象にする、それから商店街のサービスの向上の方向の一つとして、車庫の問題等も含めて近代化の方向にする、こういう内容でありますが、サービスとは非常に広義なものであり、内容が多岐にわっておるわけでありますが、具体的に御理解されておるサービスの内容規定といいますか、内容の理解といいますか、その御見解をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/73
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074・井上亮
○井上説明員 ただいまサービスということを申し上げましたが、このサービスの具体的内容は、むしろ私ども政府の立場から考えますと、一応この商店街をつくろうとされる方々の創意くふうをやはり第一に考えていきたいというふうに考えております。ただ私ども、国の資金、地方公共団体の資金を合わせまして、建物、施設等につきまして大体半額程度の無利子の融資をいたすわけでございますので、したがいましてこの商店街をつくられますときに、やはりできるだけ協業化をやっていくような体制、つまり中小企業の今後のあり方としましては、単独で小さなものがそれぞれ別途にやりましても、なかなかコストの引き下げとか、あるいはその面から品質、またいろいろサービスするという体制は十分とれませんので、できるだけ協業化体制をとる。たとえば共同仕入れというような問題もありましょうし、さらには個別の企業が五十店舗以上集まるということを通じまして、従来広範な土地を小さな店舗が占めてやっておったわけでございますが、これを近代的な、たとえば四階建の高層建築にするというようなことをいたしますと、その間わりあいに土地が有効に利用されるという面がありますので、店舗等がつくる共同施設もあわせてその地帯にできましょうし、あるいは共同駐車場というようなことも考えられるわけであります。そういった全体の形を通じましてできるだけ近代的な姿に商店街をつくっていく。そのことを通じて、できるだけコストの安慰品物、あるいは五十店舗以上が相協力し合ってやるという意味におきまして、その間にサービスも改善していくという体制に持っていきたい。根本は、やはりここに集まろうとされます商店の方々の創意くふうが何といいましても一番大事だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/74
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075・栗山礼行
○栗山委員 いまの五十店舗の問題でありますが、既設の商店街が近代化の方法として、さらにそういう方向づけで近代化の推進をする、こういう問題と、非常に散漫でありました商店街を新しい一つの構造変革の近代化をしよう、こういう二つの問題があろうと思うのでありますが、これは二つともその対象として理解する、こういうことに御理解なさっておるのか、そういう点をひとつお伺いいたしたいのであります。
もう一点は、商店街の近代化の方向に関連して、防災建築法との関連においてこれをどうとらえるかということも、近代化の重要な課題であろうかと思うのでありまして、そういう問題についての御意見のほどをお伺い申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/75
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076・井上亮
○井上説明員 最初の問題は両方やっていくという考え方でございますが、特に防災街区造成事業との関係につきましては、実際問題といたしまして、商店街の造成は国が助成資金を都道府県に一応交付しまして、都道府県から直接に指導しながら交付していくという体制でございますので、地方公共団体の防災関係の担当部局と本件を取り扱います部局との間で十分連係をとりながら、そこに遺憾のないような体制をやっていただいて運営していただくという方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/76
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077・栗山礼行
○栗山委員 予算措置の内容を伺いますと、当初計画として二億五千万、それから地方団体がこれと同額の無利子の貸し付け、こういう内容を持っておりますが、合計いたしまして五億円の金で商店街ぐるみの高度化というようなことは、非常に理解に苦しむのであります。これはもとより初年度の一つの計画としては、どういう方向で計画化するか、あるいは長期計画としておそらく全国にわたります商店街のこの種の近代化の要請にこたえましてどういう方向に持っていくかという一環等ともこれは関連すると思うのでありますが、そういう問題についていわゆる一つの思いつき、場当たり的じゃなくて、流通機構の近代化の内容から、これをどう推進するか、こういうような内容がどのように理解されておられるか、こういうことも一ぺんお尋ねを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/77
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078・井上亮
○井上説明員 お答えいたします。商店街の近代化資金といたしましては、ただいま御指摘がありましたように三十九年度の、これは初年度でございますが、予算といたしましては二億五千万円が一応計上されておるわけでございます。これはなるほど五十店舗以上の商店街造成という資金といたしましては、御指摘のようにきわめて少ないというお感じをお持ちになるかもしれませんけれども、一応ただいま御指摘のありましたように、国は二億五千万円でございますが、ほぼ同額程度を都道府県から出していただき、合わせまして融資金とするという考え方をとっておるわけでございます。この商店街の造成につきましては、これは何ぶんにも従来の小売り店舗の協業化等と違いまして、先ほども申しましたような防災計画との調整等も含みまして町ぐるみの改造計画ということになりますので、やはり一年限りではこの計画を遂行することはほとんど困難であるという見通しを立てまして、私どもとしましては一応この二億五千万円の対象になります地点といいますか、この予算では五カ所程度を考えておりますが、これは三カ年計画くらいで一応完成したいというふうに考えまして、予算としましてもその二年年計画の初年度というような積算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/78
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079・栗山礼行
○栗山委員 通産省が府県に御指示をされておる内容等から見まして、いま地方から五件申請中だ、こういう理解をいたすのでありますが、お説の内容によりますと、適格、不適格は別にいたしまして、五カ所を三年計画で一つ方向づける一時的な資金としては今度の予算内容、こういうことになりますが、そういたしますと問題は、五カ所が商店街高度近代化の一つのモデルケース的内容ということに終わりまして全国の広域にわたります商店街の近代化の方向からは非常に春遠しの感がございます。特に一商店街の五十軒単位以上を考えましても、防災との関係あるいはサービス、御指摘のような近代化の内容というものについては、非常に膨大な資金量を必要とするということは、もう御承知のとおりであります。そういうものについて初年度の計画、金額の中では、それは何といいますか、筋や方向づけだけするということであってほんとうに三年でこれだけのものを、日本の流通機構の一つ、商店街造成を国の施策として推進する、こういう意欲的な内容というものについては、きわめて悲観的な内容を持つのであります。結局は長期計画の上に立って、五カ所を定めて、それをモデルケースの方向で国が育成するのだ、こういうように理解をできるのでありますが、それでようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/79
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080・井上亮
○井上説明員 先ほども御答弁申し上げましたが、来年度は初年度でございますので――予算というものは一挙になかなかたくさんとれないものでございまして、私ども努力も足りなかったのでございますが、一応五カ地点ということになったわけでございます。確かに、御説のように、商店街の造成という問題につきましては、しっかりしたモデルといいますか、こうありたいというようなりっぱな意欲的な計画にまで私どももこれを計画されます業界の方々と協力しましてつくり上げたいという気持ちは持っておるわけでございますが、決して五カ地点で十分だというふうに考えておるわけでは毛頭ございませんで、むしろ次年度以降につきましては、もう少し五カ地点の経験に徴しまして――これは一つの経験になると思いますので、この経験の上に立ちまして、、もう少しよりよい構想ができれば、発展させながら、もうちょっと拡大して今後計画を立てていきたい、決してこれだけで十分だ、モデルだからいいんだというふうに考ええておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/80
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081・栗山礼行
○栗山委員 大体お説のほど、理解ができるのでありますけれども、第一次のそのような重要な流通機構の方向づけの中に、あまりにも私は金額が微温的な弱少資金であると思う。御承知のとおり、やはり土地から、そういう近代化の体系というものについては一店舗においても、今日もう何千万というようなことが常識でございまして、それを一つの地域構成をするという内容から見ますと、あまりにもこれは貧困だ、こういう指摘を強くいたしまして、これを年次計画の中に完成せしめるという意欲的な一つの方向をお願いを申し上げたいのであります。
これに関連いたしまして、最近の流通機構は、高度な革命の転換に進んでまいっておりまして、そういう中に、こういうとらえ方があると私は承知しておるのであります。こういう基本線については、私は非常に望ましい、前向きの施策の一つだと理解しておるのでありますけれども、一番重要なことは、やはり流通機構の整備と、それに相伴いましてやはり商店街が、住民、消費者を対象にいたしまする一つの流通機構でございますから、消費者保護の方向づけを、同時にこれをどう肉づけしていくかというようなことが考えられずして、名前だけ、においだけを見せて中途はんぱな不健全な内容に終わるというきらいがあろうかと思うのであります。私の危惧が吹っ飛ぶようなすばらしい内容であればけっこうでありますが、いま申し上げましたように、こういう流通機構の近代化の一つの方向については、今度通産省に消費経済課をお設けになるやに承知しておりまして、非常にけっこうなことでありますけれども、やはり流通機構の中に消費者保護の一つの方向を強く行政指導の対象としてとらえていくということが非常に重要な問題であろうかと思うのであります。これに関連いたしまして、私の見解について、どのような御理解をされておりますか、こういうことでお伺い申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/81
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082・田中榮一
○田中(榮)政府委員 その前に、ちょっと栗山議員から質問のございました商店街資金造成の関係でございますけれども、実は本年度初めてこの商店街に対する資金造成を始めたわけでありまして、通産省としましては、当初相当大きな考えを持っていたわけであります。全く栗山委員と同じような考えでおったわけでございますが、いろいろ他の関係もございますので、とりあえず一応本年度は二億五千万円、地方負担としまして二億五千万円、五億円という考え方でいったわけでありますが、やはりこうしたものはその初年度、最初にやったケースが成功いたしませんと、他へ非常に影響を及ぼすものでございますので、とりあえず五カ所、三カ年計画程度で進めまして、これを今後指導いたしましてりっぱに完成をしながら、また明年度におきましてさらにこれに増した相当な予算を要望いたしまして、できるだけ御期待に沿うように努力いたしたいと考えておりますので、この上ともひとつ御協力のほどをお願いいたしたいと存じます。
それからいま一つ消費面との関係でございますが、今回の商店街の資金の関係も、もちろん中小企業者自体の振興のために使われる費用でもございますが、一面におきまして商店街を振興するということは、どうしても消費者、需要者との関係が非常に密接な関係がございまして、需要者に対して十分なるサービスを与えるとか、そうした面を考えることが商店街全体としての一つの振興になるわけでございますので、今回のこの資金関係におきましても相当消費者の便宜とか消費者の保護とか、そういう面を多分に考えまして今後育成していきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/82
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083・栗山礼行
○栗山委員 問題は一本にしぼっておりますので、私の要望をいたしまする点は、指摘いたしましたような内容を吟味をしていただきまして、ほんとうにこれを貫くという方向づけを強く望みたいということであります。
それから現在の五カ所申請いたしております適格、不適格については、政令その他において私どもまだ関知するところでございませんけれども、いわゆるこの種のものについては一党に偏したりあるいは特定指定の方向なりあるいは便乗組という内容等も世上の乱れる姿でございまして、これを新産都市問題のように何カ所と定めまして、これをまた拡大するというようなことでは竜頭蛇尾に終わるという危険があろうと思いますから、その条件の持っておるところを的確にとらえて、それを普遍のモデルとして方向づけることを私は強く要望申し上げたいのであります。
それから同時に、御承知のとおり大都市においてはデパートという一つの大きな拠点がございまして、商店街とデパートの関連において、流通機構の問題についてはいろいろ取り組み方がございますが、私はやり大都市に商店街の近代化の造成をするということよりも、これからの都市構造のひとつの変革に伴って、その周辺の新しい都市の都市計画と振興策の一環として傾斜方式でやって、拠点をそういう方向で定めてまいるということが望ましい一つの地点の選び方ではなかろうかと思うのであります。五カ所が都市集中いたしておりますか、あるいはまた衛星都市に集中いたしておりますか、それは存じないのでありますけれども、いまの場所の選定につきましては、あらゆる角度から将来のそういう広域な都市近代化の方向の一環として商店街の設定をしていただきますことを強く意見を申し上げまして、またこの問題のお手並み拝見ということを強く指摘いたしまして、私の質問を終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/83
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084・田中榮一
○田中(榮)政府委員 ただいまの五カ所の選定につきましては、通産省としても最初のテスト・ケースでございますので、いろいろな諸条件を十分に勘案いたしまして、いまお話がございましたように大都市だけの地域を指定するとか選択するとか、そういうことのないように、たとえばその周辺の都市であるとか、あるいは地方都市であるとか、そういう点も十分に考慮いたしまして、公平なまた将来性のあるりっぱな商店街が造成できるような地点を選びまして、今後育成に努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/84
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085・二階堂進
○二階堂委員長 次回は、明二十六日水曜日午後一時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01219640225/85
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