1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十六日(水曜日)
午後一時二十九分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中村 幸八君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
岡崎 英城君 海部 俊樹君
神田 博君 田中 正巳君
田中 六助君 中川 俊思君
野見山清造君 長谷川四郎君
南 好雄君 村上 勇君
大村 邦夫君 加賀田 進君
桜井 茂尚君 沢田 政治君
島口重次郎君 森 義視君
伊藤卯四郎君
出席政府委員
総理府総務長官 野田 武夫君
公正取引委員会
委員長 渡邊喜久造君
大蔵事務官
(主計局次長) 中尾 博之君
委員外の出席者
専 門 員 渡邊 一俊君
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本日の会議に付した案件
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、内閣提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質議の通告がありますので、これを許します。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/1
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002・板川正吾
○板川委員 総務長官に伺いますが、総務長官の任務は、官房長官と二本の柱で総理を補佐するということになるわけですが、この国民経済上における公正取引委員会の任務というものについて、総務長官はどういうふうな御認識をされておるのですか。その点をまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/2
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003・野田武夫
○野田政府委員 公正取引委員会の任務でございますが、これは私どもの了解するところは、国民経済の健全な発達のために重要なる機関として公正取引委員会が働く、こういう考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/3
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004・板川正吾
○板川委員 抽象的にはそういうことですが、政府が物価政策というものを非常に重要視して——もともと所得倍増計画の中には、物価に対する項目がなかった。所得倍増政策は、名目所得を倍増しても意味がないということを、私は商工委員会で当時の池田さんに質問したことがあるのですが、物価を上げないで所得を倍増するのだ、こういうふうな言明をしておるのです。ところが実際は、所得倍増政策は、物価が値上がりしたことによって、われわれのほうから言えば失敗じゃないか。われわれは、もともと所得倍増政策というのはインフレを誘発するのじゃないかというようなことで危険性を強調しておったのですが、われわれの言うような方向に物価が異常な高騰をこの三年間示してきた。そこで政府も、これは物価政策に真剣に取り組まざるを得ないということになって、経済企画庁が中心で物価の抑制政策いかんということを、物価問題懇談会に答申を求めたわけです。その答申の中で、経済企画庁が答申を了承して閣議で決定したと思いますが、当面の物価対策として十四項目あげた。その十四項目の中に、公正取引委員会で直接手を触れる事項が四つから五つあるのですね。ですから物価対策の約三分の一は、公取の任務に負うところが大きいということになると思うのです。それから、いま下請支払い関係が非常に社会的な問題になっております。親会社がますます代金の支払いを遅延させる。七夕手形とか二百十日とかいうようなことで、零細企業、下請企業の犠牲の上に親会社の繁栄というものが築かれておる。これは不公正な取引だということで問題となって、下請関係の適正な運営というのは、公取が中心になってこの仕事をやっておるのです。また最近都市を中心として、不当表示、誇大広告、そして欺瞞的な広告で善意の市民を引っかけるというか、不当景品類及び不当表示防止法という法律ができて、この運用も公取が担当しておる。さらに大蔵委員会あるいは予算委員会で問題になりましたように歩積み、両建ての金融機関の問題、これも根本的には公取の仕事になると思うのです。こういうように公取の任務というのが非常に最近重要視されてきて、社会的にも公取の活動に期待するという面が強まっておるのです。こういうときに独禁法の改正として、内容は公取の組織の強化ということで、十五名の増員の改正案を提案されたわけであります。これは前の国会と前々国会の商工委員会で附帯決議として、将来公取の任務というものは非常に社会的にも重要になるから、公取の機能をもっと強化すべきである、こういう附帯決議がされておる。この附常決議を尊重された上でこういう十五名増員案というものがなされたのかどうか、この点についてお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/4
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005・野田武夫
○野田政府委員 私いま板川さんの御質問を拝聴しまして、全部大体同感でございます。所得倍増計画の中で、いわゆる物価問題というものは非常に国民生活に影響するところ大でございます。したがいましていまお示しのとおり、政府におきましても物価対策にいろいろな苦心をいたしております。したがってその関係におきまして、いかに公取が重要な役目を持つかということも全く同感でございます。ただいまのお尋ねの中で、今度の増員を御審議願っております改正案で、増員がわずか十五名であるというわけでありますが、これはいまお話しのとおり、いわゆる国民経済の健全性を保つためには、どうしても公取委員会の職務というものはきわめて重要である。と同時に、先般の商工委員会における附帯決議の趣旨も十分この中に勘案いたしまして、これは任務が重大であるだけに、業務量が非常に増してまいりますので、それに対応して、今回われわれはその板川さんの御趣旨に沿うようにこの法律案を提出したわけでございますが、これは決してこれでもって満足しているというのではございません。とにかくこの公取委員会の経済的、社会的の重要性を考えまして、この法律案を提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/5
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006・板川正吾
○板川委員 公取から今回の予算要求の場合、四十九名増員をしてほしいという要求があった。それは札幌に地力事務所を設けるほかに、広島にも同様に設ける。名古屋、福岡、現在あるところに増員をしてほしい。さらに本局に対しての下請課を中心とする国際課、取引課、審査部、こういうところに増員してほしいという要請があった。それほど公取の重要性というものが内閣において認められておるならば、この四十九名程度は受け入れられてもいいんじゃないか。われわれは実は四十九名でも不十分だと思っているんです。それは御承知のようにまだ東北にもないのです。北陸にもないのです。それから四国にもない。広島は要求案の中にありますからいいですが、少なくともそういうブロックには当然この地方事務所がなくては、不公正、特に不当表示防止法の運用、下請代金支払いの運用あるいは管理価格の問題に対する監視、あるいはその協定による価格値上げ等の監視、こういった国民経済に重要な影響のある問題を全国的に監視できるか、できないですね。北陸なり東北なり、あるいは四国なりという地域はないんですから、せめてこういう地域にも置くべきだと実は思っておるのです。公取の四十九名自身でさえ私どもは不足だと思っておるんですが、この中で札幌だけしか、しかも人員は十名の要求が六名になって、札幌とあとは本局に下請課、取引課に若干ふえておる、こういうことなんですね。これでは前国会の附帯決議を尊重したということにならぬじゃないか。少なくとも私は、不満であるが、この四十九名程度は認めてやって、物価対策、あるいは国民経済の上における公取の機能を大いに活動して、そして国民経済の健全な発達をはかるということは、池田内閣として当然やらなくちゃならぬことだと思うのです。どうしてこの四十九名の要求が十五名になり、それでもっていたし方がないという決着になったのか、この間の事情をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/6
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007・野田武夫
○野田政府委員 ただいまの御意見のとおり、私どもとしては、特に総理府といたしましては、板川さんと同様な趣旨で公取と打ち合わせまして、四十九名の増員を要求したのでございます。特に御承知のとおり、いまの池田内閣といたしましては、決して公取が四十九名をふやすのにそれだけの仕事があるとかなんとかいうことではございませんで、一般的に考えまして、なるべく役所の定員をふやさないというのが大体の考え方でございますが、各役所とも非常に業務量がふえております。そこで各役所から非常に要求がございまして、また今日の経済的、社会的、文化的、各方面を考えましても、どの部分の仕事も非常に仕事の量がふえておりますので、やむを得ない要求が相当ございます。したがって、公取の重要性はお話しのとおりでございまして、先ほどお話しになりました下請の支払い遅延の問題のごときも、これはいまのただ公取の仕事だからというのでなくて、大体日本の経済を進めていく上に、また産業、ことに中小企業の産業を擁護する上におきましても、これは絶対の必要な仕事でございます。したがって、今回出しました法律案の中にもこれを重要視いたしまして、下請課、取引課のところに取引部という部を新設いたしまして、強力にこの問題に携わりたい、こういう考えで、今度法律案の中にもこれを入れてある次第でございます。そういうことでございまして、もちろん私どもも、お話しのとおり、この独禁法を浸透いたしますためには全地域にこれが浸透力があるように、いまお示しになりました中国、四国、東北、北陸等にも支部を設けたい、この希望を非常に持っております。今回はそういう事情でございまして、決して軽んじたというのではなくて、各方面のいろいろな要求がございました上に、これはやはり政府といたしましては、ことに財政計画のこともございますし、いろいろのことを勘案されまして、今回の支部は札幌だけということになったのでございまして、 これは私といたしましても非常に遺憾に思っておりますが、現在の政府の方針、財政上の都合その他を勘案いたしまして、今回はこの程度の改正案をつくりまして御審議を願っておるところでございまして、いまの御意見に対しまして私も全く同感であります。今後はぜひひとついまお示しになりました地方支部もやはり実現したい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/7
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008・板川正吾
○板川委員 総務長官と私の考え方はまさに一致している、こう言うのですね。しかし、一致しているが、実際にあらわれた数字は非常に違っているのですが、そうすると、公取なり総理府なりでは、考え方として、公取をもっと強化すべきだという意見は一致しておった、結局大蔵省の予算査定にあってこういう結果になったと思うのです。政府関係職員を無制限にふやせということは国民自身も希望しておりませんから、そういう意味で、ふやすことは、原則としていまのままでやっていくということもいいと思うのです。しかし、それはあくまで原則で、こういう公取のように日本経済の健全な発展の上から国民自身が要求している問題ですから、これで四十名や五十名ふえたところで、日本の財政にそれこそ〇・〇〇何%という程度の金額です。こういうものこそ国民のためにふやすべきだと私は思うのですが、大蔵省に伺いますが、この四十九名をいかなる理由で十五名に査定したのか、その間の事情をひとつ説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/8
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009・中尾博之
○中尾政府委員 大蔵省といたしましても、公正取引委員会の本来の機能、それから最近におきまする経済情勢におきまして特にその重用をなしているという事情は十分に説明を承っております。これはことごとく納得をいたしておるところでございます。一方で予算の問題がありますが、御承知のとおり、やはり予算には金額の限りがございます。これをいろいろな行政にこまかく配分をしていかなければならぬわけでございます。その重要性をそれぞれ応じたところへ、ほどのよいところへ配っていかなければなりません。したがって、当然その調整が行なわれるということになっているわけです。その調整の過程におきましてこういう姿になっているわけです。
定員の問題について特に申し上げまするならば、定員は原則として増員は行なわないというのが基本的な原則といたしているところでございます。もちろん学校の学年が進行いたしますとか、あるいは具体的に機械的な作業量がふえるというような場合に、人力をもってこれをどうしても補充しなければならぬというような場合におきましては、それは全然認めないというようなわけにいきませんから、それぞれそれに応じて認めているわけでありますが、一般に権限をもって仕事をいたしている役所につきましてはそういう関係が稀薄でございますので、やはり従来の定員をもって差し繰っていただいて、仕事の段取りにくふうをつけていただく、あるいは人の配置においていろいろなくふうをしていただいて能率をあげていただくというようなことでお願いをするという方針で予算を取り扱っている次第でございます。そのようなことでございますので、こういうような事務的な官庁における増員は、原則はほとんど増員を行なっていないのでございます。特に増員を行ないましたのは、本件のごとく特別に最近の状況におきまして必要であると認められますものにつきまして最小限度の必要量を査定いたしまして、それで御折衝をいたす次第でございます。そういうような経緯で今回の定員の増員を御審議願う段取りになった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/9
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010・板川正吾
○板川委員 官庁で原則として定員をふやさないという、これは一般的に了承できるのです。しかし、たとえば学校のような場合には、児童あるいは生徒に対して先生の定員数というのはきまっておりますから、ふえた場合にはふやす、これはそういうふうに作業の量がふえたから、人をふやすのはある程度はやむを得ない、そのほかについては能率を上げたり、あるいは局内、部内においての配置転換等でやりくりしてほしい、こういう原則である。しかしこの場合には、この程度までは認めたということなんですが、たとえば公取の現在の各組織等を見まして、これは配置転換でやるという状態じゃないでしょう。現在東北にもあるいは中国にも北陸にも四国にもないのですから、これは新しく配置転換をしてやるということにはならない。しかも公正取引委員会の活動というものを内閣自身が非常に期待して国民経済の健全な発達をはかろう、こういうときに人数をふやさないという理屈は立たないと思う。これは例外であっていいんじゃないか。例外として十五名というのですが、これはどうも大蔵省が公正取引委員会の任務というものについて認識不十分じゃないか。大蔵大臣は最近なかなか活発な発言をしておりますね。下請代金の支払い遅延防止法、あれなんかも改正しなくちゃならぬということを、公取や通産省に先がけまして具体的な案を出していますね。それから歩積み、両建て問題でも、どうしても銀行側が自粛の実績をあげなければ、すみやかに公取で特殊指定をしてもらって、その特殊指定を背景に取り締まりを強化する、こういうことも言っておる。それから大蔵省として予算編成上一番頭を悩ますのは物価問題だと思う。何とか物価を安定させる方向に日本の経済を誘導しょうとして苦心さんたんしておる。その物価問題の中では、何といっても値上げムードによる協定値上げとか、あるいは少数の寡占状態における管理価格、こういう問題もある。そのほか不当景品とか、下請とか、いろいろたくさんのものがありますが、そうした問題を取り扱うのは、これは実際は公取でやってもらわなくちゃならない。犯罪人を警察や検察庁が扱うのと同じに、公取の活動によらなければ大蔵大臣が心配しておる問題は解決できないと思う。そこで、いまの公取の実態からいうと、今度北海道にできますけれども、東北にない、北陸にもない、中国にもない、四国にもない。この地方でいま言ったような問題が起こった場合に、一体だれが監視するか。下請代金の問題で不公正な取引が中国にあった場合には、それは近畿へ来るか、九州へ来るかしなくちゃならない。四国のものも、これは九州へ行くか、あるいは近畿へ行くか、大阪へ来るほかはない。青森あるいは秋田——東北にあったそういう不公正な取引というのは東京へ来なくちゃならない。実際そういう下請関係にしましても、あるいは銀行の歩積み、両建て問題にしましても、結局はこれを監視するのは公取の力に待たなくちゃならない、こういうふうに社会も要求し、大蔵大臣も一生懸命やろうというのに、大蔵省が十五人程度で今回はいいだろう、こう言うのは、私は公取の任務というものをあまりにも理解しないからじゃないかと思う。一体この程度で十分だというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/10
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011・中尾博之
○中尾政府委員 お話しの点は私もよくわかるのであります。そういう点を十分に考えまして予算をつくっておるという点も御理解いただいておるようでございますが、その結論といたしまして、十五人の増員をもちまして当面昭和三十九年度の事態に対処してやっていただくということでやむを得ないというふうに考えております。多々ますます弁ずるという点から申し上げますれば多きに越したことはないと思いますが、そこはただいま申し上げましたような、また定員の抑制、予算全体の問題——いまお話にもございましたような物価の問題も確かに重要な問題でございまして、根本は貨幣価値の維持あるいは国際収支というような点にその基本があるわけであります。そういうような大所高所から見まして、予算の規模、したがってその量的、質的な性格、方向というものが与えられるわけでございまして、その線に沿いまして、なおかつ公取的な条件と申しますものが、今日的な意味におきましてたいへん大事なことであるという特別の事情を十分に参酌いたしました結果、定員の増加を認めたものでございます。これをもって十分である、十二分である、こういうことでは決してないと存じますが、やはり予算生活をお願いしなければならぬというたてまえになっておりますので、そこは諸般の情勢の調和の上におきまして実際的な線を求めて、これによって努力いたしてまいるということは、これはやむを得ない次第であろうと思います。しかし公取御当局が来年の事態に対処されるということにつきまして、これではどうにもならぬという事態であるということでは決してないということで、十分に協議をいたしまして、この増員の結論を得たものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/11
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012・板川正吾
○板川委員 公取という仕事は、やらなければやらなくたって、別にどこからも苦情のくるところじゃない。管理価格が行なわれ、不当な下請支払いがあり、あるいは不当な歩積み、両建てが行なわれておっても、人数が足らないということもあってやらなければ、どこからも文句はこない。だから、これでやれといえば、それは公取だってやらざるを得ないのです。だけれども、そうじゃなくて、政府としてはこういうふうに予算もふやしてやる、人数もふやしてやる、しっかりやれということが、政府の政策を、物価問題にしろ、国際収支の関係にしろ、解消することになるのではないか、こう思うから——いまの人数を半分にしたって、どこからも特に文句は出ないでしょう、やらなければいいのですから……。公取というのはそういうところですよ。やらなければやらないで済んでいる。だから、いままでの公取の委員長なんてあまりやらない。国会でわれわれが文句を言うくらいのもので、公取なんという存在は国民一般から忘れられておって、不当な歩積み、両建てが当然のごとく横行する。また下請代金でも十カ月でも八カ月のやつでも当然のごとく支払われる。こんないまの社会で、経済の民主化といわれるときに、大企業が経済的に優越した地位を乱用して、下の人あるいは下請あるいは金を借りる人、こういうものの犠牲において自分たちが繁栄していても、だれも不思議になんか思わない。最近、それではやはり経済の全般の運営からいってかえってマイナスだということに気がついて、政府が物価対策の面やいろいろな問題で公取を強化していこうということになった。だから私は、十五人ふやしたんだから、これで仕事にやりくりがつかないはずはないということで逃げるのはどうかと思うのです。その点は少し認識を変えてもらいたいと思います。
それから、四十九名増員した場合には予算はどのくらいですか。十五名の場合には幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/12
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013・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 人件費だけを申し上げますと、四十九名増加の場合においてわれわれのほうで要求しました数字は三千三百万、それから今度の増員は十五名の予定になっておりますが、その場合においての分は六百十六万という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/13
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014・板川正吾
○板川委員 四十九名要求して、これは大部分は人件費ですから、人件費として約三千三百万、三兆二千億からいえば〇・〇一%ですか、そういう程度ですね。それから十五人の場合には六百十六万ですから、結局はこの人員をしぼったのは金額じゃないですね。これは金額で査定したのでなくて、政府の一般的な原則で、なるべく人数をふやすなというたてまえから、結局十五名ということになったと思うのです。どうもこんな議論をしても水かけ論になってしまいますが、問題は、私がいま強調しておるような趣旨を次の機会にどういふうにお考えになるか。なるほど今回はどうも少な過ぎたから、次の機会には何とか考えなくてはいかぬというふうな気持ちでおられるのか、それとも十五名やれば御の字だというようなことで考えておられるのか。これはいずれ私は総理にも徹底的に聞きたいと思っておるのですが、この点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/14
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015・中尾博之
○中尾政府委員 金額の点にお触れになった次第でございます。予算全体は膨大なる金額であることはそのとおりでありますが、それの編成にあたりましては、実は人件費物件費、いずれもこまかい単価、経費の積み上げでできておるものでありまして、こまかいものを一つ一つ十分の検討を加えて積み重ねておるという点を御理解いただきたいと思います。
それからいまの御質問でございましたが、これでは少な過ぎるからという点でございますが、別におことばを返すつもりはありません。予算でございまして、もっぱらその業務を十二分に遂行する責任を主張されるつらさもある一方で、全体としてこれをまた調整しなければならないという働きを持っておるつらさもあるわけであります。そういうことで調整をいたしました結果、来年度これで公正取引委員会の業務に支障がないという結論を得て、予算もそれから定員もお願いしておる次第であります。この点についてはさよう申し上げるほかはございません。もちろん先ほど申し上げましたように、そういう調整の結果でありますから、多きに越したことはないので、十二分にさらにやれという御観点がございますれば、そこでお考えも変わろうかと存じますが、本件を政府として取り上げました場合におきましては、もちろんその業務の実情を十分に推定いたしまして、責任の御当局である公取の当局ともその点は十分に検討、協議を加えましてやったものでございます。さよう御了承いただきたいと存じます。それから今後の問題でありますが、これは昭和三十九年よりもさらに先の話でございます。御承知のとおり予算は法律の手続きによりまして毎年度これをつくることになっておりますので、そのときそのときの状況に応じまして、ことし行ないましたような調整の過程を経て、できるだけ正確なる結論を得るように努力してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/15
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016・野田武夫
○野田政府委員 ただいま大蔵当局から御説明申し上げましたとおり、三十九年度の公取の仕事、もちろん十分ではないのでございますが、今度出しましたこの改正案の内容において万全を期したいという意味で、大蔵当局と公取の当局との話し合いで調整をしたのでございます。しかし先ほど板川さんもお話しになりましたとおり、今日の日本の経済界から考えまして、公取の任務の重大ということはますますこれを加重してまいりますので、また先ほど渡辺委員長最近はなかなか活発にやっておるという意味のおことばがございましたが、ひとつ三十九年度はさらに活発にやっていただきたい、こうなりますと、大蔵当局がいま申しましたとおり、だんだん仕事の量もふえますし、また重要性が、だんだん政府におきましてもそれを尊重するようになります。先ほど私が申しましたとおり、この公取の内容を十分強化するということが私どもは必然的に出てくると思っておりますから、政府といたしましては、三十九年度における公取の仕事、またその影響、これらを考えまして、四十年に至りましては一そう強化したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/16
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017・板川正吾
○板川委員 公取委員長に伺いますが、北陸とか東北とか中部、中国、四国地方、こういうところで拡大された公取の任務といいましょうか、これをやる場合、その地域としては現在地方事務所がないので、公取として仕事をやっていくについて非常に不便を感じておるのじゃないかと思いますが、現行十五名の増員ではその地域に事務所も設けられない。この地域における公取の仕事というものは一体どういうふうにおやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/17
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018・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 地方事務所の所在地は、現在西のほう名古屋、大阪、福岡、それから北のほうへいくと札幌、ただ管轄区域が一応きめてありまして、全国をカバーすることにはなっております。ただどうしても拠点がいまお話しの東北とか北陸とか四国にはございませんから、あるいは大阪、あるいは名古屋でそれをカバーしなければならぬ。私のほうとしましては、それによってできるだけ穴ができないように努力はしております。それはそこの中にそれぞれ拠点を持った場合に比べれば、人数の関係ももちろんですが、事務所の関係も、拠点がないだけにもう一つ足りない点があるというおしかりをこうむることはやむを得ないんじゃないか、そんな意味で、北海道は特に離れておりますので、いままで東京でやっておりましたが、とにかく一応一つの拠点をつくる。あそこら辺にもわりあいに問題がありまして、始終東京へおいで願うというようなことにもなりますので、一応とりあえず北海道につくる。将来の問題としましては、われわれの希望としましては、いまお話しのような拠点を少なくともお話しのような点にはつくりたい、そうしないとわれわれが十分の働きができないんじゃないか、こういう考えを持っております。たださしあたりといたしましては、予算の折衝とかいろいろな過程を経まして、一応の結論が出た以上は、その与えられた組織、与えられた人員にできるだけ有効に働いていただきまして、そして職責を果たすことに万全の努力をしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/18
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019・板川正吾
○板川委員 それは管轄をきめても、地方の人が歩積み問題で公取に申し出ようと言ったって、東北の人は東京まで来なければならないし、北陸の人もあるいは大阪か名古屋か、こちらへ来なくちゃならないんですね。だからそういう意味で、せめてその地方に数県を管轄する地方事務所がなければ、私はこれからの公取行政というものは円滑にやっていけないと思う。
そこで、最後ですが、総務長官がしばしば、他の地方にも将来置きたいという言明をされておる。これは、まあそういうことで努力しようということだろうと思いますが、もう一ぺん次の機会に各地方に、少なくともさっき言った東北なり北陸なり中国なり四国なりという地域には、そんな膨大な人数を必要としないんですから、これは池田内閣の経済政策を遂行する上から、このくらいの人数をやることは決してマイナスじゃないと思うのです。こういう点を総務長官はしばしば発言はされているけれども、正式に聞いていないので、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/19
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020・野田武夫
○野田政府委員 お話しのように私も大体板川さんの御意見に同感ということを先ほどから申し上げました。独禁法を浸透させるにはどうしても各地域に地方事務所の必要を認めております。今回予算編成にあたりましても、公取当局とわれわれは、ぜひこの地方事務所だけは各地域の中心地に置きたいということを希望いたしておりましたが、先ほども申し上げましたとおり、また現実に法律案として出しました内容は、札幌だけになってしまいました。しかし私ども総理府というよりも、政府として考えますに、今回はいろいろ予算の関係もありましたし、またなるべく経費をふやさないという一つの考え方もあったんです。そういうことで、内部に新たな部を一つつくりましたようなことがございまして、やむなく地方支部は一カ所、札幌だけにいたしたのでございます。これは将来と申しますか、四十年度後に、なるべく早い機会に当然地方支部をいまあげられました地域には置くべきだ、またそれに対してできるだけ私は強力に推進したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/20
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021・板川正吾
○板川委員 ひとつ総務長官の今後の努力に期待をしまして、以上をもって私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/21
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022・小平久雄
○小平(久)委員 ちょっと関連して。今度のこの独禁法の改正は、要するに公取の機構拡充と申しますか、機能の充実といいますか、そういうことがねらいだろうと思うのですが、ただいま事務局定員配置図というのをちょうだいしたんですが、これをちょっと拝見すると、官房は八十人ということですね。全部で二百五十何人ですから、約三分の一近くを占めておる。そのほかは大部分が十数名、一番少ないのは国際課がたった九名の定員だそうであります。地方の事務所等に至っては、名古屋が七人ですか、福岡が八人、今度できる札幌は六人、看板は下げても実際これで仕事ができるのかどうか。要するに、私の言いたいのは、人員の配置ということなんです。定員そのものをふやすことも必要でしょうが、人員配置がはたして適正に行なわれておるのだろうかということです。全然内容を知らずに申し上げるのははなはだ失礼ですが、ちょっとそういう感じがいたしますので、そのいう点は再検討になったことがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/22
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023・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 いまの点につきましては、私のほうも再検討するつもりで続けております。官房のほうの審判官室と申しますのは、審判官、あるいは審判関係の事務をやる関係でございまして、ある程度必要なわけでございます。庶務課のほうには、小使いとか、守衛とか、そういった者の人数が入っております。これは要するに、会社とか、そういうものであれば、あるいは請負的なものにそれを回して仕事をしているところもあると思いますが、ほかの役所でも同じだと思いますが、いわば用人的な者も入っておる。それから会計とかいうものも全部入っております。総務課のほうでは、総括的なもののほかに、広報宣伝というようなこともやっております。ただ、現在の全体の配置がこれでいいのか、もっと有効な使い方ができないか、これは私どもといたしましては、今後現状に満足しないでもって、もっと再検討を加えながら、いわば定員の問題は定員の問題として、その内容の充実をはかりたい、これは努力してまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/23
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024・小平久雄
○小平(久)委員 その点は、委員長のほうでぜひ善処をお願いいたします。
それから今度の十五名の増員、この人件費の予算が六百十六万と申しますと、大体平均いたしますと、一人当たり月三万三千円くらいの人件費ですね。そうすると、本俸からいうと、せいぜい二万円かそこらくらいの人だろうと思います。たとえ十五人でも増員する以上は、それによってもちろん公取の働きをふやそうということには違いないと思いますが、一体、こういう人はどこから補充するのですか、この程度の人件費で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/24
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025・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 先ほどの数字がちょっと説明が足りなかったかと思います。六百十六万円による十五人の増員は、法案の附則のほうに書いておりますが、七月一日からの増員、したがってそういった意味において、数字がおっしゃいました数字より多少変わっております。先ほど三千三百万、四十九人と言ったのは、四月からの増員であります。十二カ月予算であります。という点で、数字がちょっと合わないのじゃないかというようなお話がありましたが、今度の予算は九カ月予算になっております。そういう点が一つ。それからどういう人を増員していくかということにつきましては、実はこまかい等級別があります。たとえば、先ほどの六人の場合にいたしましても、所長として三等級の者を一人、あるいは課長の四等級の者は二人、こういうふうに一応全部、どういうクラスの者を何人、わりあいにこまかい積算をやっておりまして、そして出た数字が九カ月予算で先ほどの数字であります。それからこれを今度実員的にどういうふうに埋めていくかという問題でございますが、私としましては、もちろん若い人を補充する問題のほかに、やはり少し各省との間に人事交流をやりまして、そして一面では内部の多少マンネリズムになっておる人心を刷新する。うちの人も外へ、よその省に行っていただくと同時に、よその省からうちのほうへも来てもらう。企画庁などから一応お話もございますし、そういったような意味で少し人事交流をやりまして、そうして気分を新たにし同時に全体の仕事を強化していく、こういうことをやってまいりたい。これには多少関係の省にも下相談といいますか、具体的な話でありません、こういうことに協力してくれないかという話はしております、したがいまして、定員の問題は定員の問題でございますが、いま御指摘になりましたような点においての与えられた定員の中でいかにそれを充実したものにしていくか、これは公取としても十分考慮すべきでありますし、今後努力してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/25
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026・小平久雄
○小平(久)委員 もう一言。委員長のお話を承って大体の方針を承知いたしましたが、いま、われわれの知る限りでもややともすると公取等の人事というものは沈滞しがちであるし、また人事交流ということがいままでもなかなかむずかしかったのではないかと思います。そういうふうに、どうかひとつ委員長も総務長官も、たとえ少数の増員でも有効になるように、ぜひとも御尽力していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/26
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027・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、明後二十八日金曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01319640226/27
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