1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月三日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中村 幸八君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
小笠 公韶君 小沢 辰男君
海部 俊樹君 神田 博君
佐々木秀世君 田中 正巳君
中川 俊思君 野見山清造君
長谷川四郎君 南 好雄君
村上 勇君 大村 邦夫君
加賀田 進君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
森 義視君 麻生 良方君
伊藤卯四郎君 加藤 進君
出席政府委員
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 柏木 雄介君
中小企業信用保
険公庫総裁 山本 茂君
専 門 員 渡邊 一俊君
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二月二十八日
委員楯兼次郎君辞任につき、その補欠として實
川清之君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員實川清之君辞任につき、その補欠として楯
兼次郎君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十八日
特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一九号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七二号)
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七三号)
中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七四号)
中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出第七五号)
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫
法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七
号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上六法案を議題とし、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。島口重次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/1
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002・島口重次郎
○島口委員 今度の中小企業に関する財政投融資を見ますると、約二七%の増になっておるのでありますが、この二七%の増額というのは何を基準にしておられるか。その点、政務次官なり中小企業庁長官なりからまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/2
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003・中野正一
○中野政府委員 来年度の政府関係金融三機関に対しまする財政投融資の増加額につきましては、いま先生が御指摘になりましたように約二七%増ということになっております。財政投融資の額でございますが、来年度千六百十七億、これは三十八年度の当初の財政投融資の三機関に対する計画に対して約二七%増ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/3
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004・島口重次郎
○島口委員 ただいまの説明のとおり一千六百十七億、拡大率約二七%というのは、前年度に基礎を置くというようなお話でありますけれども、最近、特に昨年の十一月から破産、倒産が多い、さらに今年に至りまして、二月になりましてから拡大しておるというような状況を未然に防止し得るというような確信があってやっておるのかどうか、こういう点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/4
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005・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘がありましたように、最近の経済情勢あるいは金融情勢等からいたしまして、政府関係の金融機関に対する財政投融資の多寡というようなものにつきましては、その情勢情勢に応じまして適切な手を打ってきておるわけであります。御承知のように、ただ三機関だけではありませんが、昨年末、年末の金融対策として約六百五十億の資金追加をしております。それから本年に入りまして金融引き締めの影響等もございまして、中小企業の倒産等が続出するというようなこともありまして、年度末、本年の一−三月の金融対策といたしまして二百二十億、これは政府関係三機関に対して百二十億円の資金ワクの増加、それから一般の市中の金融機関に対しまして、財投資金によりまする買いオペ百億、合計二百二十億の資金追加をいたしたわけであります。このようにいたしまして、情勢に応じて適切な手は打っていくわけでございますが、来年度につきましては、いま申し上げましたように約二七%増の財政投融資の増加というようなことで、十分まかなっていけるんじゃないかと考えまして財投の計画を組んだわけでございます。しかし、御指摘がありましたように、この三月、いわゆる三月危機といわれておるようなものは、あるいは措置がよければ切り抜けることができると思いますが、さらに金融引き締めの情勢というものは、国際収支の状況等から見まして相当長期にわたってこれを堅持せざるを得ないというのが先般の日銀総裁あたりの御意見でもありまして、われわれもこれは長期にわたることを望んでおるわけではございませんが、特に中小企業の立場からいいますと、早く金融が正常化されますことを望むわけでございますが、影響が相当長期にわたるのじゃないかということをおそれております。その意味におきまして、来年度の計画につきましてはそのときどきの情勢に応じまして適切に、弾力的にこれを運用していかなければならぬというふうに考えております。たとえば四−六月の情勢はどうかという問題もございますが、来年度の計画は一年間の計画でございます。これを各四半期ごとに分けまして運用いたしますので、四−六月の情勢に応じまして年度の計画を弾力的に運用できると思いますので、まあ、そのときの情勢に応じて適切にやっていけるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/5
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006・島口重次郎
○島口委員 ただいまの、情勢の変化に応じまして臨機応変な措置をとるということは一応了承できると思いますけれども、全国の金融機関の統計を見ますると、年々中小企業対象の貸し出しが少なくなっておりますね。この少なくなっている例から見ますると、政府の三金融機関だけの若干の増額では、全体量としては依然として中小企業向けの融資が少ないと、こう考えますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/6
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007・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘がございましたように、確かに一般の市中金融機関の中小企業向け貸し出しの推移というものを見ますと、これは先般お手元に差し上げました中小企業に関する年次報告、これに詳細に数字が出ておりますので、あらためてここで数字的なことを申し上げませんが、大体の傾向を申し上げますと、市中金融機関のうちで都市銀行、地方銀行のいわゆる全国銀行といわれるものにつきましては、中小企業向けの貸し出しは相当ふえてはおりますが、大企業向けの貸し出しのほうがそれ以上にふえておりますので、比率は逐年下がっておるわけでございます。全国銀行については、中小企業向け貸し出し残高というものはここ数年来逐年比率は下がっておる。絶対額はふえておりますが、比率は下がっておる。それに反しまして、いわゆる中小企業専門の金融機関、相互銀行それから信用金庫、信用組合というふうな中小企業専門の民間の金融機関のウエートが非常に上がりまして、これの預金が非常に伸びまして、中小企業向けの貸し出しについては、大体全国銀行が四五%、それから市中専門金融機関が四五%というふうに非常に地位が上がってまいりまして、それで中小企業金融というものがまあまあうまく何とか今日までやってきたというような状況になっております。それから政府関係の三機関につきましては、政府の努力によりまして逐年財政投融資はふやしております。また商工中金等につきましては、自己努力によりまして相当資金ソースはふやしてはおりますが、中小企業向け全体の貸し出し残高における割合というものはほとんど変わらない、横ばいということで大体九%程度ということで、これはふえておりません。そういう詳細については年次報告についてごらんいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/7
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008・島口重次郎
○島口委員 市中銀行の中小企業に対する融資の比率を見ますと、長期信用金庫におきましては、昭和二十五年度におきまして一五・五%になっておりますね。三十七年度におきましては六・一%であります。あるいは信託銀行の例をとりますと、二十五年度におきましては、一七・八%でありますけれども、三十七年度におきましてはわずかに九%であります。こういう状況から申し上げますと、ただいま長官がおっしゃるように、三金融機関が、対中小企業の絶対量から申し上げますと、わずかに九%にすぎない。それが二七%増くらいでは中小企業の要望にこたえることができないんじゃないか、こう考えますが、どうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/8
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009・中野正一
○中野政府委員 確かに政府関係三機関のウエートは大体九%程度でございまして、最近の資金需要等から申しましてなかなか中小企業者の要望に十分こたえることはできない情勢にあることは、御指摘のとおりでございます。ただ先ほど来申し上げておりますように、中小企業向け金融を円滑に実施するというためには、政府三機関だけでなくて市中の金融機関、銀行特に中小企業専門の金融機関等の活動に期待するところが多いわけでございます。したがいまして、そういう意味で金融全体の正常化、特に中小企業向けに資金が順調に流れますように政府としては指導しておるつもりでございます。単に三機関に対するてこ入れだけをやればそれで足りるというわけではないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/9
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010・島口重次郎
○島口委員 金融機関全体からいたしますと、信用金庫にいたしましてもあるいは信用組合にいたしましても、庶民金融でありますから、その辺の指導なり効果というものも大きいだろうと思います。いずれにいたしましても、ただいま私が申し上げましたように、一般市中銀行のほうから申し上げますと、逐年対中小企業融資が少なくなっておるのでありますから、政府がみずからその模範的な例を態度で示すという意味から申しまして、少なくとも、二七%の増でありますけれども、これを倍くらいにいたしまして五〇%ぐらいのワクの拡大をいたさなければ、いわゆる高度成長政策なり国際開放経済に移行する現段階といたしましては、その手当てが十分ではないのではないか、こう考えますが、この問題は政務次官にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/10
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011・田中榮一
○田中(榮)政府委員 われわれもこの財投を政府三金融機関にできるだけ増大いたしまして、これを投げ込むことが最も必要だと考えております。われわれもまさに島口先生のおっしゃるように必要を感じておるのでございますが、いろいろ財政事情の理由からいたしまして、本年度は二七%増で一応満足したわけでございますが、われわれといたしましては、今後もこの増大につきましては最善の努力をいたしまして、融資ワクを今後ますます増大することに努力いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/11
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012・島口重次郎
○島口委員 政務次官の答弁で一応了承したといたしまして、今度は別個の角度から御質問申し上げたいと思います。政府が開放経済に移行いたしますために高度成長政策を強力にやってきたということはわかりますけれども、中小企業に対するそういう対策面はどうなっているのか。いわゆる大企業は設備の近代化、合理化をしなければ開放経済に対抗できないと同様に、中小企業でも近代化、合理化をしなければ開放経済に戦っていけない。しからば政府で考えておる中小企業の近代化というものは何年間で完了するものであるか。何年間で完了計画があるといたしますならば、その裏づけといたしまして財政投融資なり、あるいは市中金融の計画がどうなっておるかということをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/12
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013・中野正一
○中野政府委員 いまの先生の御質問は非常にむずかしい問題でございまして、たとえば所得倍増計画を昭和三十五年の末につくりました際も、十年間に中小企業の地位をどの程度に持っていき、また中小企業の生産性をどの程度に上げ、またその裏づけとしてどれだけの資金の裏づけあるいは自己資本の充実、そのほかいろいろな政府の施策というものをどうやるべきかということは相当論議をされたというふうに私も聞いております。また所得倍増計画の策定の過程におきまして、中小企業の専門の委員会もつくられまして、いろいろなデータも提出し、十年後にはたして中小企業のあるべき姿というものはどうなんだというようなことも専門家の間にずいぶん議論されたようでありまするが、しかし民間企業の発達の姿でございますので、これをかりに望ましい姿にいたしましても、これをはっきり規定をいたして、そこにこれを持っていくようにこうするというふうな所得倍増の計画にはなっていないようでございます。もちろん計画をつくる際の基礎データというものはございまして、それは別途経済企画庁のほうで発表いたしておりまするが、それらを見ましても、一応生産性はこの程度に上げるべきであるという数字は出ております。しかしそれを裏づける政策というものがかっちりしておったかどうかということになりますと、御承知のように、所得倍増計画というものは、その性格上一つの計画経済的な、統制経済的な数字ではございませんので、その意味におきまして、実際その後の経過を見ますとなかなか思うようにいっていない。小委員会でつくりました数字等を見ましても、生産性の向上につきましては、大企業のほうはむしろそれを上回るような趨勢になっておるにかかわらず、それから比べますと中小企業の生産性の向上というものは、所得倍増計画の小委員会におきまして想定をした数字までいっておらないというのが現実の姿でございます。その関係で、御承知のように経済企画庁におきましても、いわゆる所得倍増計画の見直しということをやりまして、先般来経済審議会におきまして企画部会というものを置きまして、そして中期の計画をひとつつくろうじゃないか、この際には中小企業の近代化、生産性の向上というものが当初所得倍増計画で考えたものよりもおくれておるということをはっきり認識をいたされまして、今度はこの問題を大きく取り上げよう、これがいわゆる所得倍増の第二ラウンドとかいろいろな形でいわれておりますが、この見直し作業をいまからやろうということでございまして、確かに御指摘のように、その裏づけの政策というものはいろいろ政府としても考えたわけでありますが、所得倍増の過程におきまして、大企業のほうが伸び過ぎて中小企業の伸びがおくれたというのがいま問題になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/13
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014・島口重次郎
○島口委員 御承知のとおり中小企業者は三百五十万、事業パーセンテージで申しますと九八%で、その大きな階層を占める中小企業が所得倍増計画の中に入っておらないということは、すこぶる政府が冷淡だと考える。そういう点は、田中政務次官はどういうお考えであるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/14
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015・田中榮一
○田中(榮)政府委員 もちろんこの所得倍増計画の中には、中小企業の所得の増大につきましても相当計算の中に入れられておるわけでございます。ただ現実の姿といたしましては、現在の産業の推移におきまして、大企業のほうがどうしても所得の収得が増大されまして、中小企業のほうが設備の近代化がまだ徹底しておりませんので、どうしても所得の格差がそこに起こってくるわけであります。そういう意味におきまして、政府といたしましては、今回の中小企業育成の精神に従いまして、生産性の向上、今後中小企業に重点を置きまして、両者の生産性の向上並びに両者の所得の格差をできるだけ少なくしていこう、こういう意味におきまして、現在いろいろ諸法案の改正方もお願い申し上げておりますのはそこにあるわけでございまして、政府といたしましては、今後中小企業の近代化のためにできるだけ融資をし、設備投資をいたしまして、労力不足の点をこの設備近代化によって中小企業の経営を合理化していきたい、こういう精神でいきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/15
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016・島口重次郎
○島口委員 所得倍増計画によりますと、十年間で約四兆円の近代化がされ、設備投資がされるということがうたわれておりますね。それが三十六年度におきましては、すでに大企業のほうにおきましては四兆一千億の投資がある。三十七年度におきましては四兆二千億の投資が出ておる。そういう大きなスピードをもちまして近代化、合理化をされておりますけれども、ただいま政務次官なり中小企業庁長官のお話のとおり、中小企業が立ちおくれをしておるというのは、ただいまの答弁から考えますると、こういう格差が出てきたということは政府の施策が誤りである、結論的には政府の責任だと考えますが、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/16
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017・田中榮一
○田中(榮)政府委員 現在自由主義経済のもとにおきましては、経営には主としてできるだけ自己の責任においてやらせておるわけでございます。したがって中小企業の設備の近代化ということも、要はやはりこの中小企業者の熱意と努力によってこれが現出されるわけでございます。したがって政府といたしましては、中小企業の設備の近代化、設備投資に対してできるだけ誘いの手を差し伸べて、そうしてまた中小企業者がその気持ちになって近代化のために努力するという、いわゆる御自身の努力と政府の差し伸べた手とがそこに合致しましてここに中小企業の近代化ができるわけでございます。したがってこの設備投資あるいは近代化というものは、あくまで経営者、中小企業者の自己の努力というものがやはり基盤になるのではないかと思っております。すべて政府の責任においてこの近代化をするというのは、これはとても政府としてはできないのでありまして、やはりできるだけ中小企業者の努力とまた熱意によって、これを政府が引き出していこう、こういう体制で現在進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/17
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018・島口重次郎
○島口委員 政務次官のおっしゃるとおり、何と申しましても自由主義経済でありますから、企業者の企業努力がなくして成功はしない、近代化はしない、これは議論をまたないのです。であるけれども、いまの産業構造なり金融構造から見ますと、いかに中小企業者の方が努力いたしましても、それに政府が協力体制をとらない限りは近代化も設備投資もできない。その現象が、私が先ほど指摘をいたしましたように、大企業だけははるかに計画をオーバーいたしまする設備近代化ができまして、中小企業はできないというところに出ている。これは政府の施策の責任があると考えておるのでありますが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/18
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019・田中榮一
○田中(榮)政府委員 この点は、大企業と中小企業の生産性の差異というものもございましょうが、政府としましては、できるだけ中小企業者に対しまして設備近代化資金助成の方法であるとか、あるいは減税の方法であるとか、あるいは従業員の獲得に対するいろいろな援助の手を差し伸べるとか、そうしたことによりまして、直接間接に中小企業者の設備近代化のために最善の努力をいたしておるわけでございます。したがって、今後はさらに中小企業者が設備近代化のためにいろいろな作業ができますように、われわれもできるだけこうした面の政府の施策のPRに最善の努力をいたしまして、中小企業者としても設備近代化に政府の協力を求められやすい立場に置いていきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/19
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020・島口重次郎
○島口委員 政務次官のお話を承りますと、アフターケアといたしましてこれから努力をするというような印象を受けるのであります。これからの問題はあとでまたゆっくりと御質問申し上げたいと思いますけれども、いままでやってきた点から見ますと、たとえば中小企業が金融機関に融資の申し入れをいたしましても、それに応ずるような体制ができておらなかったということは指摘し得ると思うのです。もちろん自由主義経済であるから、企業本人の努力だということが重点的ではあるけれども、それならば池田総理が政府を担当いたしまする際に、経済はおれにまかせろというようなことを言いましたのはどういう観念であるか、こういう点もこの際お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/20
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021・田中榮一
○田中(榮)政府委員 これはひとつ総理のお考えをお聞き願うことが一番いいと思うのですが、いままで政府としてもずいぶん努力をしておりまして、今日まで中小企業庁を中心にしまして、資金の面あるいはあらゆる面、労働力の面につきましては労働省、それからまたいろいろ運輸省とか厚生省とか、各省こぞって中小企業のためには相当努力をしてきたつもりでございますが、しかしかゆいところまで十分に手の届かない点はあったと思います。こういう点はひとつ今後ともわれわれ検討しまして、十分めんどうを見るようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/21
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022・島口重次郎
○島口委員 まあ経済はおれにまかせろというのは、田中政務次官に聞きましてもちょっと無理だと思いますから、いずれかの機会を得まして総理に質問したいと思います。自由主義経済だということは百も承知なんですが、やはりここの段階にくる前に、中小企業なり零細企業の諸君が融資を受けたい、政府の協力を得たいというときに、そういう受け入れ体制をとることが中小企業対策だと思う。今日の段階で大きな格差ができてからこれからやるということはすこぶる怠慢な処置である。先ほども申し上げましたように、どうも政府の責任でこういう大きな格差が出てきたと理解したいのでありますけれども、この点もう一度お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/22
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023・田中榮一
○田中(榮)政府委員 私がいま御答弁申し上げたとおりでございますので、ひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/23
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024・島口重次郎
○島口委員 それではまた前に戻りまして、ただいま申し上げましたとおり、大企業のほうは二年間で十年間の予定をはるかにオーバーしておる、中小企業はこれからやる、それに政府の金融機関が市中金融機関に範を示さなければならないのに、わずか二七%しか増額しておらないというのでは、どうしても足らないと思うのです。最近における破産、倒産の例を見ましても、昨年の十一月が戦後最高記録であります。さらに二月に入ってそれを上回るところの記録を更新しておるのです。こういう状況は、いかに高度成長政策の矛盾が現実の姿になってしわ寄せをされておるかということの具体的な表現だと思うのです。先ほどの長官のお話によりますと、弾力性を持たせて、そのつどそのつど適当な処置をとると言うけれども、基本的な年間における予算が少なければ、中間に対策をとる臨時の対策といたしましてもすこぶる弱体なものではないか。おそらく全国の中小企業や小規模企業者が要望する資金量はこれの三倍なり四倍あっても足らない。おそらくはこれから開放経済に対処いたしますためには、近代化、合理化しなければならぬ、当然機械による生産性を上げていかなければならぬという段階で、どうしても少ないと思いますが、先ほどの、前年度予算から試算いたしまして三百五十三億の増だけでは足らないと思いますが、この点もう一度お尋ねしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/24
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025・田中榮一
○田中(榮)政府委員 先ほども申し述べたとおり、財投の二七%増では少ないではないかという御意見でございまして、われわれとしましても決してこれで満足いたしておりません。たとえば三月危機に際して政府としましては買いオペ百億、それから融資ワクを百二十億増大いたしまして、二百二十億の融資を流しまして、この三月危機を何とかして打開しようという努力をいたしておりますが、政府といたしましては、そうした際に、そのつど臨機応変の予算的措置をとりまして、これに対して適当なる解決の方法を見出しているわけであります。今後もさような方法で、臨機応変の措置によってひとつ解決をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/25
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026・島口重次郎
○島口委員 一般会計に関連しておりますが、中小企業庁長官にお尋ねしたいと思いますけれども、県のほうに補助金を出しておる補助金制度がある。県のほうでは国民の皆さんに融資をしておるわけでありますけれども、これは前年度に比較いたしまして四億の増額であります。一〇%に満たない。このねらいはどういうようなねらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/26
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027・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘の点は、いわゆる設備近代化補助金のことだろうと思いますが、これは御指摘のように、本年度は政府予算が四十一億、これに対して来年度四十五億ということでございまして、これは政府が金をかりに四十五億出しますと、府県が同額の金を出すということになっております。また従来ずっと貸しておりました設備近代化補助金の還付金がございまして、したがって、これは府県を通じての貸し出しワクで見ていただいたほうがいいと思いますが、三十八年度は府県を通ずる貸し出しワクが政府の予算が四十一億に対しまして、百十四億が本年度の全国の貸し出しワクでございます。これに対しまして、来年度は四十五億政府が金を出しますので、府県の貸し出しワクが百四十三億ということになりまして、百十四億から百四十三億にふえますので、これは不十分といえば不十分でございますが、相当の増額になっておるのじゃないか。特に、これは府県のいろいろ負担力等もございまして、そういう点も勘案してやらないと、それこそいつか総理に対する御質問のときに——これは二分の一のいまの補助率でやるわけです。国が半分出して府県が半分出す。したがって、貧乏県等に対しては、財政力の弱いところに対しては、もう少し国の負担をふやせばいいじゃないかという議論はございますが、これはいろいろな関係で、二分の一の府県に対する補助率を上げるということはわれわれも過去においていろいろ主張してきたのでありますが、なかなか政府全体の話としては通りにくい話でございまして、二分の一ということでずっときておるわけでございます。これは法律によってきまっておるのであります。そういう関係もございまして、府県の負担力も考えなければならないわけであります。
もう一つは、設備近代化補助金の制度は、主として金融ベースに乗りがたいような、中小企業者のうちでも中以下の小規模の事業者に重点を置きまして、しかも金融ベースに乗りがたいような業者について、設備近代化をどうしてもやりたいというときに、府県を通じて無利子の金を五年間貸し付けよう、これが設備近代化の補助金の制度でございまして、これ以外に、御承知のように、政府関係の三機関を通ずる一般の設備近代化のための金融制度というものは財政投融資でされておるわけでございますから、そういう制度にもなかなか乗りにくい、もちろん一般の市中の金融ベースにはなかなか乗りにくい、こういうものを主体に無利子の貸し付けをしようということで、大体事業規模でいいますと、従業員が百人以下のもの——中小企業は御承知のように三百人以下でございますが、百人以下のものを重点に置いて府県から貸し出しをさせる、こういうことにしておりますので、なお、これは多いにこしたことはないじゃないかという御趣旨のほどはよくわかりまするが、実際に運営をいたしてみまして、私の感ずるところでは、本年度政府の金が四十五億、貸し付け規模で百四十三億というのは、相当ぎりぎり一ぱいの貸し付けワクじゃないかというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/27
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028・島口重次郎
○島口委員 通産省の予算説明書によりましても、昨年度が四十一億、本年度が四十五億、一〇%に満たない増額——増額でもないということです。国と都道府県とを合算いたしまするに二百八十六億でございます。そこで、いま長官のおっしゃるように、金融機関のベースに乗れないような零細規模のものを主として対象としている、政府のワク内からこれが最高のぎりぎりの線なんだ、こう言うけれども、先ほど私が申し上げましたように、零細企業なり中小企業者が近代化したい、設備の合理化をしたいという声に応ずるような姿勢でなければならぬと思うのです。そういう面から考えますると、二百八十億でございますから、一県当たり四千万か五千万よりもないのであります。私も青森県におきまして、この制度を注目をして見ておるのでありますけれども、申し込みの半分も借りておらない。しかもただいま長官が言うたように、金融ベースに乗れないような零細規模の諸君に融資をしてあげるというのでありますけれども、逆な現象になっておる。それは公務員の諸君は、金をくれるのではない、融資であるから、返済が確実でなければならぬという点に重点を置きますから、勢い零細企業でなくて中小企業のほうに多く貸し出しをしておる。中小企業のほうならば、長官もおっしゃるとおり、政府の金融機関のほうから借り受けをすればよろしい。特に県のほうがこの補助金制度を生かそうというのは、ほんとうの零細企業者だと思うのです。ところが、現実の姿はそうでないのであります。しかも融資の申し込みにいたしましても、半分も借り入れをしておらないのです。そういたしますると、中小企業、零細企業の近代化ができないということになるわけです。だから、先ほど私が質問いたしましたけれども、あなた方のこの財政投融資なり一般会計を通しての一つの予算というものが出てきておりますが、この計画でいきますると、一体何年後に中小企業や零細企業の近代化ができるんだ、こういうめどがなければならないのに、何も方針がない。その場限りの方針で国会に提案しているのではないか、こう思う。もっと五年計画なり十年計画なり、計画的に、科学的に、組織的な計画を立てまして、今年度はこれこれをやるんだというようなことでなければ、少なくとも行政指導といたしましても政府の指導といたしましても、正しい姿ではないと考えるが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/28
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029・田中榮一
○田中(榮)政府委員 政府三金融機関はもちろんのこと、市中銀行、庶民金融機関の窓口につきましては、やはりいろいろ事情がございまして、融資を申し込む額というものが、原資よりもおそらく十倍、十五倍の申し入れがあるわけでございます。しかもこうした設備近代化のための補助金は、これは多数の中小企業者の方々に広く利用していただかなくてはなりませんので、これを融資する場合におきまして、だれでもがというように無差別に——これはあくまで金融でございますから、やはりある程度返済力というものを中心にして考えなくてはいけません。また、同時に、担保というものも考えていかねばならぬのでありまして、そういたしますと、多少窓口におきまして、かりに三千万要求いたしましても、それが多数の人にこれを利用していただくということで、あるいはそれが千五百万になるということもあり得ると思います。これはひとりこの金融面だけでなくして、市中銀行においても私はそうじゃないかと思っております。それから、庶民金融の金庫である信用組合あるいは信用金庫におきましても、やはり同様な待遇を受けるのじゃないかと思っております。しかし設備近代化のためでございますから、できるだけこの融資を、希望者の立場を十分考えて、そうしてできるだけこれを貸与するようにひとつ努力はいたしまするが、これはあくまで金融でございますから、やはり返済というものをどうしても考えていかねばならぬのでありまして、多数の中小企業者のために設けられた制度でございますから、多数の者がこれを利用しなければならぬと思っておりますから、さような点は多少ひとつごしんぼう願わなくちゃならぬかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/29
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030・島口重次郎
○島口委員 政務次官のおっしゃるように、金をくれるのでないのですから、補助金ではないのですから、当然返済計画も明確でなければならぬ、それも承知しております。ところが、私のただいまの質問の要点は、二十人申し込んで十人なら十人に貸し付けをするという際に、どういう選択方法で、どういう条件で融資をしているかという具体的な問題。この際、比較的金の余裕力のある者、設備の力のある者に貸し付けをいたしまして、下のほうに貸しておらないのです。こういたしますると、長官のただいま答弁いたしましたように、政府の三金融機関のべースに乗れない者を対象として重点的に貸し付けをするんだということと矛盾してくる。こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/30
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031・中野正一
○中野政府委員 設備近代化補助金の運用につきましては、いま先生の御指摘になったような点が確かに問題になるわけでございまして、普通の金融機関あるいは政府関係金融機関等の金融ベースに乗るようなものを府県が貸すというようなことになったのでは、この制度の趣旨が生かされないということから、相当厳重な運用の基準をつくっております。もちろんこれは業種的にいろいろな制限がございます。設備近代化をやらせようという業種がございますので、これは相当広く拾っておりまするが、なおそれでも業種的に、最近の情勢から見て、そういうほうがあまりシビアー過ぎるのじゃないか。たとえば最近問題になっておりまする、いわゆる国民生活に密接な関係のあるような物資をつくっているような業種、こういうようなものをもう少し拾うべきじゃないかという議論があって、これはいまそういう方向で検討しております。
それから、従来は主として業種として拾っても、輸出産業にどちらかというと重点を置いてやっておったというきらいがございます。これも輸出産業というようなことだけでなくて、その業種が国民生活に密接な関係があって重要な業種であれば、輸出をやってなくても広げるべきじゃないかということで、来年度からはそういう業種的な広げ方もしたいという考え方をしております。しかし、いずれにしても、業種的には相当しぼっておるわけであります。
それから規模としては、原則的に百人以下の従業員の規模に貸す。それから一件当たりの金額についても——これはもちろん原則でございまして、府県で運用される際にいろいろ例外はございますから、そうやかましくは言えませんが、金額あるいは規模等についていろいろ制限を加えまして、中小企業の中でもできるだけ下の層に厚くいくように運用をいたしたい。いまあまり正確なことを申し上げてはあれですが、たとえば従業員四十人以下の規模でございますね、これはたしか全体の資金量の四割程度は貸しておったのじゃないかと思いますが、最近の実績は、相当下の層に厚く運用するように府県を督励いたしましてやっております。なお、そういう点で不十分な点がございますれば、これはなお注意をして是正したいと思いますが、そういう運用基準でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/31
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032・島口重次郎
○島口委員 設備近代化資金の指定業種と申しますか、そのワクを拡大いたしますることもけっこうですし、また業種別の規模を拡大をいたしますことはけっこうだけれども、資金量を拡大しなければ意味がない。資金量を拡大して、いわゆる指定業種も拡大するなら意味があるけれども、長官の答弁は見当違いじゃないか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/32
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033・中野正一
○中野政府委員 これは御指摘のような面もあるわけでありますが、われわれが予算折衝の際にいろいろやりましたのは、いま総理のおことばを引用するのはぐあいが悪いかもしれませんが、この間先生が総理に質問されたときに言われたのですが、設備近代化補助金制度については、根本的に政府の中でいろいろ問題があるわけであります。むしろこういうものは、この際金融ベースへ乗せるべきじゃないか。金融ベースへ持っていって、ある程度の金利を取ってやるべきじゃないかという議論もあるわけでございます。しかし、これは通産省、特に中小企業庁のわれわれの立場を申し上げますと、そういうことは非常にまずい。いま言ったように、一般の金融ベースに乗りがたいようなところの近代化をやるのだから、無利子の貸し付け制度を拡充すべきであるということで、一貫してわれわれは主張し続けまして、ようやく四十一億のベースを四十五億へ持っていったというのが予算折衝の過程でございまして、それでもなお不十分じゃないかと言われれば、われわれも、もうちょっと多い数字をいろいろ考えておったわけでございますから、不十分ではございますが、いま言いましたように、この制度自身の拡充ということについて政府部内でもいろいろ意見がございますが、特に補助金制度の審議会というものを大蔵省のほうで、御承知かと思いますが、民間の専門家に委嘱をしていろいろやっておりまして、そういうところでいろいろ検討しますと、この制度を拡充するということについては非常に疑問を持つ専門家も非常に多いわけでございます。そういうようなこともありまして、この制度を簡単に、四十一億をたとえばもうその倍にまでふやすというようなことはなかなか議論があってむずかしい。もう一つは、先ほど申し上げました府県の負担力、二分の一の補助率でありまして、そういう点についても問題はございます。しかし、われわれとしては、従来からこの制度については中小企業者の方々が非常に要望をされておりますし、また府県の貸し付けの実情等から見ましても、いま先生の御指摘のあったような要求、要望というものが相当強いわけでございますので、逐次これは拡充をいたしたい。そうしていま御指摘のありました点、運用上について問題があれば、そういう点を是正して、その制度がうまく運用されて中小企業者の皆さま方から喜ばれる制度にしたいというのが私どもの念願でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/33
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034・島口重次郎
○島口委員 先日総理に質問いたしました際、総理はこういうことを言われました。大蔵省なり通産省なり、うんと予算を拡大して革命的な施策をやるようにしろというような命令をしたけれども、通産省なりあるいは大蔵省のほうではその線に乗ってこないと、まるで池田内閣の中でないようなことを言っておりました。ところが、ただいま長官のお話を聞きますと、われわれのところではそういう要望をするけれども、大蔵省なりあるいは内閣全体として了承されないということで、非常に矛盾しておると思う。あなたも聞いておったでしょう。総理は、今度こそ革命的な施策をやりたいと思う。そういう面から、担当省である特に通産省のほうにそういう要請をしたけれども、革命的な施策が出てこない。まるで総理大臣でないようなことを言っておる。他人のことみたいなことを言っておる。総理の答弁とあなたの答弁と矛盾があると思うが、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/34
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035・中野正一
○中野政府委員 ちょっといまの点は、誤解がありますと非常に困りますので申し上げますが、先生がこの間質問されました、いま問題になっておる設備近代化補助金についての拡充をせよという御質問に対して、総理は、設備近代化補助金の制度については、いろいろ問題がある、むしろこれは少しでも金利を取って、資金のソースをうんとふやすということのほうがいいのじゃないかと自分は考えておるという意味合いの答弁をされたと思います。
それからもう一つ、いまの通産省や大蔵省にもう少しと言っておるのだけれども、なかなか資金をふやす方法についてうまくいかないのだというような意味合いのことを申されましたのは、設備近代化補助金の問題でなくて、中小企業金融公庫の資金ソースをふやすことについて、あるいは商工中金の資金ソースをふやすことについて、もうちょっと通産省や大蔵省はくふうすべきではないか、たとえば中小公庫については公庫債をもうちょっと出すくふうをやる、あるいは商工中金については商工債券をもう少し売るくふうをやるべきではないか、こういうことで大蔵省や通産省にやかましく言っておるという意味合いのことを言われたと私は記憶しております。設備近代化補助のことではなくて、むしろ政府関係金融機関の資金ソースをふやすことについて、そういうふうにおっしゃったのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/35
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036・島口重次郎
○島口委員 総理が言ったのは、もちろん個々の問題の面もあると思いますが、通産行政全体として革命的な施策をやれということなんです。だから、あなた方がどれをとらえてやるかということ、いわゆる担当省であるあなた方が具体策を樹立せよというのが池田総理の答弁だと思う。ところが、出てきた予算を見ますると、あえて革命的なものがない。革命的なものがないとすれば、私がただいま申し上げましたようなこれこそが、零細企業、金融機関から融資を受けることのできない階級に融資をしてやることが革命的な施策ではないか、こういう観念からただいま申し上げたのであります。無利息の問題が出ましたけれども、私の記憶によりますと、これは、従来商業組合や工業組合が共同施設をしておりました際に四分の一、都道府県が四分の一、合計いたしまして予算総額の二分の一を助成しておりましたあの制度にかわりまして、これが出てきたものだと考えておりますがどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/36
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037・中野正一
○中野政府委員 ちょっと過去の、どういういきさつでできたかということは調べないとわかりませんが、いま先生のおっしゃった共同施設に対する補助金の制度は、これはまた別に十億ございまして、本年度いまの個々の業者の設備近代化に関する補助金、これは四十五億でございます。それ以外に、商業組合、工業組合等の協同組合が共同施設をやる場合に対する補助金、これもやはり五カ年間の貸し付けで、無利子の貸し付けで、府県と国が半々持つわけでございますが、国の補助金が十億円、ことしは五億円でございましたが、倍額にしまして来年は十億円にしております。したがって、協同組合の共同施設に対する補助金、それから個々の業者に対する設備近代化の補助金、これが両方制度があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/37
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038・島口重次郎
○島口委員 いまの共同施設に対する補助金の問題はこの予算にも出ているとおり、中小企業高度化の資金の問題ですね。ただいま、あなた四十五億と言ったけれども四十三億八千万円ですよ。このことはわかっているんだ。ただ私がただいま申し上げましたのは、設備近代化資金の流れ経過はそうでなかったかということを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/38
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039・中野正一
○中野政府委員 ちょっと数字に誤解があるといけませんのでもう一度申し上げますが、中小企業の近代化促進ということの予算の中が二つに分かれておりまして、中小企業の設備近代化補助金、これが先ほど申しておりまする四十五億円でございます。これに対して中小企業高度化資金というのが四十三億八千六百万円というのがございます。その中に、たとえば工場の集団化だとか、商業の集団化だとか、小売り商業の店舗共同化だとか、そのほかいろいろ項目が分かれておりまして、そのうちで私がいま申し上げましたのは、従来からありまするものを高度化資金の中へぶち込んだわけでございますが、組合の共同施設に対する資金は十億円。だから四十三億八千六百万円のうちで、共同施設に対する貸し付けの金は、国の出すものが十億円、こういうことになっておるわけでございます。先生の御指摘になりました、従来からあった施設、制度がどういうふうに変わったのかということは、私はいまちょっと承知しておりませんが、ただ私の記憶では相当前から——ここ数年というよりはだいぶ前から両方の制度が併存をしておりまして、共同施設のいろいろな制度がこのたびの設備近代化補助金に変わったということでなくて、両方の制度が併存をしておった、ただ、どっちが古いかと言われると、共同施設の制度のほうが古いんじゃないかと思いますが、なおそういう詳しいことは、過去の歴史でございますので、正確にまた調べましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/39
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040・島口重次郎
○島口委員 そこで設備近代化の無利息の助成金ですね、これを利息をとりまして融資にしたらどうかというようなことは、総理もこの間言っておりましたね。ただいま長官も言っているわけだ。そういたしますると、零細企業の近代化のために前向きの姿勢で——前進の姿ではなくて後退の姿になると思うのです。革命的な施策ということから考えますと、まさに逆行するものだと考える。われわれの要望いたしまするのは、零細企業が要望いたしまするのは、この線を強化して零細企業の近代化のために前向きの施策をやってもらうんだ、革命的な施策をやってもらうんだ、これが国民の声だと思うのです。それを逆に後退するということは、池田総理の政治方針と逆だと考えますが、どう思いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/40
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041・田中榮一
○田中(榮)政府委員 ただいまの設備近代化の無利子の補助金の問題でありますが、これは通産省としては、利子をとって金融ベースに乗っけて今後計画したらどうかという考えは、いまのところは私どもは持っておりません。これは従来のような方針でいきたいと考えております。ただ中小企業庁長官の申しましたのは、大蔵省の内部におきまして、これはもう金融ベースに乗っけたらどうか、若干でも利子をとってやるのがこれはあたりまえじゃないか、こういう議論が相当強いのでありまして、今度の予算獲得の際にも相当これがために難航いたしたわけであります。しかし通産省側といたしましては、従来のような方法でぜひともひとつ設備近代化補助金、五ヵ年賦で無利子の方針でいきたいからということで、ようやく四十一億が四十五億になったわけであります。それでわれわれは、先ほど私が申し上げましたように、多々ますます弁ずるものでありますから、できるだけ多額の要求を今日までも続けたわけでございますが、ただ中野長官の説明のありましたとおり、これはやはり二分の一は府県に持たせるわけでありますから、やはり府県の財政の点も考慮しなければいけませんので、まあこの程度で本年はやむを得ず満足した、こういうわけでございます。
それからなお、立ったついででございますが、前回私からも申し述べましたごとくに、中小企業関係の予算が、これが革命的の予算であるかといわれますと、われわれもそうですということは言えないと思います。ただわれわれは中小企業関係の育成の予算というものは、いろいろ金融の面であるとか、あるいは減税の問題であるとか、あるいは労働力をできるだけこれを確保するという問題であるとか、あるいは産業分野の確立であるとか、あるいはまた官公需の確保をせねばならぬとか、いろいろ問題があるわけでありますが、そうした問題をひとつ総合的に取り上げて、中小企業に対しましても熱意を持ってやろうじゃないか、総理が農業問題と中小企業問題はひとつできるだけ努力しようじゃないかということを最初から言っておられましたとおり、われわれも一翼をになっておりますものですから、そういう関係で、単に予算の金額だけの問題でなくて、今後中小企業基本法に盛られましたあらゆる政策につきまして、これを具体的に熱意を持ってこれからひとつ実現に移そうじゃないか、こういうような気がまえで実は進んでおるわけでございます。したがって予算面の金額の少なかった面につきましては、もちろん私どもの努力の足りなかった点もあるのかも存じませんが、われわれとしては国家財政の許す範囲におきまして今後も最大の努力をしまして、この予算額の増大につきましては最善の努力をしていきたい、かような決意を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/41
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042・島口重次郎
○島口委員 補助金の制度から融資の制度に切りかえをいたしますのは、通産省のほうの意見でなくて大蔵省のほうの意見であるということが明確になりまして、こういう点は安心いたしましたが、そうでなければならぬと思う。少なくとも中小企業を育成する通産省のほうから、補助金であるものを融資の制度に切りかえるなんということは、非常識きわまることだと思う。ただいまの議論になっておるのは、その切りかえの問題ではなくて、いかにしてワクを拡大して零細企業の希望にこたえるか、そのためにはどうするかということの議論であるということを御了承願いたいと思う。皆さんの御努力によりましてこの制度が、中小企業があげて渇望しておる制度でありますから、最善の努力をしてもらいたい。なお個々の問題におきましては、私が先ほど指摘をしたように、金融機関のベースに乗れないものが救済される制度であるけれども、現実の姿はそうでないということを皆さん方も勉強してもらいまして、行政指導の遺憾なきを期してもらいたい、こう考えます。
そこで次の問題に移りたいと思いますが、皆さん方が中小企業、零細企業の企業指導なり営業管理なりの指導をいたしまするが、その際、大体中小企業の適正利潤というものはどの程度あったらよろしいかというような見通しなり理解で指導しておられるか、この点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/42
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043・中野正一
○中野政府委員 中小企業なりあるいは零細企業の利潤率なり利益率はどの程度あったらいいか、これは民間企業の実態、実勢に触れる問題でございまして、それを幾らに持っていったらいいかというような指導は、われわれとしてはいまいたしておりません。ただ、過去の実績等、数字が年次報告に出ておりますが、利益率が一体どういうような情勢になっておるか、あるいは大企業と比べてどういう情勢になっておるかという点につきましては、実績等を調べまして、この中小企業の経営者の皆さま方の参考に資するために、いろいろデータは出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/43
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044・島口重次郎
○島口委員 その企業別によりまして適正利潤という尺度も異なってくると思いますけれども、おおよそ一般の常識としてあなたのほうの指導するめどがなければ、これが適正利潤なんだ、あまりもうけても困る、経営が成立をしない利潤でも困る、そういたしますと、ある程度の常識的な適正利潤というのがこの程度であるから、こういうやり方をするのが一番健全な、堅実な経営ではないかということがあってよろしいと思うのです。それがなくして何の指導であるかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/44
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045・中野正一
○中野政府委員 いま申し上げましたように、過去のいろいろなデータの分析からどういうことになっておるというようなことは、いろいろ申し上げておりまするが、具体的に適正利潤をどこへ持っていくべきであるというような指導は、いまのこの自由主義経済の民間経営の指導のしかたからして、そこまで役所が立ち入るということはどうかと思って、そこまで立ち入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/45
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046・島口重次郎
○島口委員 それでは中野長官に聞きまするが、たとえば金を借りるといたします。それを五年間なら五年間で返済する。一体一つのめどがなければ、中小企業に融資をして五年間に返済してもらうのだ、返済してもらえるのだという一つのめどがなければ、五年間が適当であるか、七年間で返済してもらうのが妥当なんであるか、十年間で返済してもらうのが適当であるかというめどが出てこないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/46
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047・中野正一
○中野政府委員 いまの御指摘の点は、たとえば政府関係金融機関で金を貸す場合とか、あるいは設備近代化補助金で金を貸す場合にどうとか、それぞれ具体的な問題でございまして、それぞれ金を貸す場合等については、利益率がどうで、先行き何年でこれを返せる、何年でどれくらいの配当ができる会社であるというようなことは、それぞれ個々のものについて見当をつけて、これは必要があればそういうことをやるべきだと思います。もちろんずっと赤字経営で返済する見込みがないものに金を貸すというばかげたようなことはない。ただ、私が先ほど申し上げましたのは、一般的に中小企業の適正利潤は幾らでなければならぬというふうなことを一律に役所のほうできめてはいないということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/47
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048・島口重次郎
○島口委員 ケース・バイ・ケースで融資をするのは当然ですよ。どれもこれも同一な審査をして金を融資するというわけにはいかぬだろうから、金融機関としてケース・バイ・ケースは当然だろうと思う。ただ少なくとも日本に中小企業庁というものがあって、全国の中小企業者、零細企業者を指導する官庁として、零細企業者というものは年間どの程度の利益があったらやっていけるのだというふうなめどがなくて、何を目的対象にして指導するかということですよ。おそらく私は、そういう基本が出てこなければ、政府の三金融機関が融資をいたしますると、設備投資に関する限りは五年、思わざる事故があった際には二年間延長しておる、流動資金の際は二年程度であるが、そういう一つのめどが出てこなければ、法案なら法案を出す際のけじめがないと思う。
さらに私は申し上げたいのでありますけれども、今日の中小企業なり零細企業は、設備投資の場合ですが、五年間返済だ。そうすると、年に二割の返済をしなければならぬ。さらに利息あるいは営業費を計算いたしますると、年間三割五分の利益をあげなければいわゆる政府機関の償還期間には返済できないということである。少なくとも私の認識するところにおきましては、ただいまの中小企業、零細企業で、年間三割五分なり三割の利益をあげられるような事業体はないと思う。あなたもわかるとおり、大企業ですら年間一割あるいは一割二分の配当をしておる。最近に至りましては利益配当もしておらない会社がたくさん出てきておるのです。その際に、政府が中小企業者、零細企業者を救済すると称して融資をして、返済できないような期間で貸すとは一体どういうわけかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/48
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049・中野正一
○中野政府委員 御指摘のように五ヵ年間で返済をするということが中小企業者に酷であるかどうかというような問題は、確かにいろいろあると思います。たとえば中小企業金融公庫あたりの貸し付けの期間につきましても、これも先生この間総理に御質問なさったわけでありますが、原則として五年ということになっておりまして、もちろん個々の事情によりまして、五年以上になる、七年、八年というものもございますから、個々のケースについていろいろ適切に運用いたしておりまするが、政府の貸す設備近代化補助金について、五年では短いじゃないかという御議論は成り立つと思いますが、しかしそれじゃ何年にしたらいいかということになりますと、またなかなかむずかしい問題でございまして、無利子の貸し付けの償還五年ということは、相当われわれの見るところでは中小企業に対して優遇しておる措置である。したがって、先ほど先生も御指摘になっておるように、非常に中小企業者側からは喜ばれ、要望の強い制度でございますので、この制度はさらに拡充はしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/49
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050・島口重次郎
○島口委員 長官、勘違いしておるようだが、私は政府の三機関の融資をしております償還期間を言っている。三金融機関ですから、商工中金にしても国民金融公庫にしても中小企業金融公庫にしても無利子じゃないのだから……。私のいま言った前提というのは、あなた方の指導態勢というものが、一年間に何割の、どの程度の利潤をあげることが適正利潤だ、こういう前提がないから、五年でよろしいか、七年でよろしいか、十年でよろしいかということが出てこないと思う。私といたしましては、実に中小企業庁としては不勉強きわまるものだと思う。この議論がなくして五年が適当であるか十年が適当であるかという議論は出てこない。成立しません。ただいま長官が、そのケースによりましては七年、八年もの貸し付けをするという答弁でありましたけれども、一体しからばどういうケースの際、七年、八年で貸しているか、具体的に申してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/50
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051・中野正一
○中野政府委員 いま私の申し上げました中小企業金融公庫についての原則は五年でございますが、それ以上に延ばしておるというケースでございますけれども、たとえば機械工業振興臨時措置法というものがございまして、特別これは助成をすることになっておりますが、そういう業種に属する特定の機械に対する設備資金等に対しましては、五年でなくて三年ないし七年ということにいたしております。それから、たとえば特別の輸出産業対象業種に属しまして、たとえば輸出実績が二割以上あるというようないわゆる特別優遇すべき輸出産業、こういうふうなものにつきましては、設備資金について七年まで貸し付けするというような特例をいろいろ認めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/51
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052・島口重次郎
○島口委員 長官の言われるのは、そういう特定産業だ、こういう規定ですね。私の質問しておる趣旨は、あなたのおっしゃるとおりケース・バイ・ケースなのですよ。人によっては五年間でも返済できる方もある。人によりましては十年でも返済できない。無制限にあるというのじゃないけれども、そういうふうに違うのであります。その際、特定産業でない一般産業の方が希望された場合には五年に限定されるということでございます。私の知っている範囲におきましては、五年で貸し付けをいたしまして、災害、水害等がありましたときには十年に延ばすとかあるいは七年間に延長するということがあるけれども、それ以外は全部五年であるはずだ。だから私が先ほど申し上げましたように、五年で貸し付けをするけれども、一体適正利潤を幾らと見て五年で返済するという制度をやっているかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/52
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053・中野正一
○中野政府委員 いま私が申し上げましたのは特定の業種というか、特定の場合でございまして、もちろんそれ以外に、先生が御指摘になったような災害の場合とか、そういう場合については一応特例の措置を認めておるわけであります。何年でこれを返せるかというようなことについては、個々のケースについて、政府の関係の金融機関におきまして、ケース・バイ・ケースにこれを取り扱っておるわけでございます。原則は五年ということを認めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/53
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054・島口重次郎
○島口委員 中小企業庁ができましたのは、私の記憶ではたしか片山内閣のときだと考えておりますけれども、それから約十五年間もたっておる。それで中小企業、零細企業の適正利潤というものが研究されておらない、一つのめどがついておらないのは実にふしぎでならない。いまだかつてそういう討議をするとか検討をされたことがないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/54
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055・中野正一
○中野政府委員 先ほど来申し上げておりますように、過去の分析等につきましては相当詳細なデータを発表しております。先般も三十七年から三十八年にかけてのもろもろの中小企業の経営指標につきまして発表をいたしておりまして、そういうものについてもし御必要がありますれば詳細に説明をしたいと思いまするが、しかし中小企業の適正利潤が幾らでなければならぬということを一律に、政府においてその目標を立てるということは、これは私は実態に合わぬのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/55
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056・田中榮一
○田中(榮)政府委員 島口先生のお説は、私は各企業ごとに、たとえば設備投資その他の機械等のいわゆる償却年限をずっと計算して、あるいはいまの金融を何年に償却するか、元利を何年ずつで償却していくかといったような、いろいろな財政計画といいますか、経営の計画を立てまして、各企業ごとに計算したような、いわゆる原価計算的にずっと積み重ねて、そしてその結果これだけの利潤をあげなくちゃならぬというお説じゃないかと思っております。私はそういう考え方もあると思うのでございます。ただ今日の経済が自由主義経済のもとに行なわれておりまして、しかもいろいろ物価も需要供給のバランスの落ちついたところにおいてその相場というものがきまっておるわけであります。昔のように統制経済でマル公で販売価格がきまっているということになりますと、そういう計算が非常に私は簡単にできるのじゃないかと思っていますが、今日の状況ではどうしても需要供給のいろいろな経済現象から価格というものがある程度支配されていくような状態でございますので、いま言ったような科学的な原価計算からずっと企業ごとにやっていきまして利潤率が何%か、二〇%か三〇%かということをきめるということは、研究資料としてはございますけれども、この資料に基づきまして帰納的に通産省が、この企業については利潤が何%、何十%これはどうだということをきめることは、今日の自由主義経済のもとにおきましては、企業というものは創意とくふうによって、あるものは伸び、あるものは伸びないというような実情でございますから、そうした利潤率を一々企業ごとにきめて指導するということは非常に困難であるし、またやるべきことではないと私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/56
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057・島口重次郎
○島口委員 私はその商売によりまして、いま政務次官が言ったように、年間二割もある商売もある。あるいは五分もないものもある。商売ですから損するときも利益をあげるときもある。それが商売だと割り切っている。ところが適正利潤というものがなければ、指導の目標というものがないのです。これを逆な論理から展開いたしますと、たとえば確かに環境衛生法という法律がありますけれども、あれには床屋さんはこれこれかかるからこれだけの値上げをしてもらいたい、あるいはクリーニングの組合がありまして、ワイシャツの洗たく賃が一枚三十円から三十五円に上げてもらいたいと出てくる。あなたのほうにも来ると思うのです。その際値上げをしなければならぬというときには、どの程度の利益を見て値上げをしなければならないかという基準がなければ、何を基礎にして計算しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/57
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058・田中榮一
○田中(榮)政府委員 もちろん公定価格といいますか、公認価格の決定につきましては、そういう基準は一応算定はいたしますが、しかし私ども申し上げるのは、国の政策としてそういう企業ごとに利潤率をきめまして、この基準に基づきましていろいろな施策をめぐらすということが非常に複雑であり、困難であり、また非常に危険を伴うことであり、しかも今日の自由主義経済のもとにおいては、これに反することになりますので、できればそうしたことは、そういう料金等の認定の場合における参考基準としてこれを利用することはけっこうだと思いますが、ただ国の政策として、それを基準にしましていろいろな政策をそこから打ち出していくことは非常に困難なことじゃないかと考えておるわけであります。それを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/58
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059・島口重次郎
○島口委員 どうも平行線のようですけれども、企業によりましては相当格差があると思うが、中小企業庁として、日本の中小企業、零細企業というものを検討する際に、そういう基準というものがなければならないと思うのです。資本主義社会におきましては当然利潤というものをきめておるのです。ただいま申し上げましたように、これをもう二%なり一〇%値上げをしてもらいたいという要請が各業者から毎年あるはずです。その際、何を基準にいたしまして値上げを認めるか、あるいはこれを認めないかという常識的な議論の前提がなければならない。皆さんが担当しておられる中小企業庁が、中小企業、零細企業の適正利潤の基準というものが全然明確でないというのは、実に不勉強きわまると思うのだ。それがなければ施策の基本が出てこないのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/59
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060・中野正一
○中野政府委員 御指摘のように、いろいろな勉強はしておるわけでございまして、たとえば先生御承知と思いますが、中小企業の経営指標、こういうものを発表して勉強いたしております。これを見ましても、経営指標に基づきまして、営業利益率が幾らであるか、あるいは総売り上げに対して売り掛け率は幾らであるか、あるいは自己資本に対して利益率というものは幾らであるかというような、各方面から業者別にあるいは全体としていろいろなデータはとっておるわけであります。ただそれが適正利潤、適正利潤といっても、何に対して言うかというのはなかなかむずかしい問題がございます。総資本に対して言うのか、あるいは自己資本に対して言うのか、あるいは売り上げ高に対して言うのか、いろいろむずかしい問題がございまして、そういう点についてはいろいろ勉強はし、分析はいたしておりますが、それが幾らでなければならぬというようなことを政府側で——これはいわゆる自由主義経済でございまして、そのときそのときの情勢によりまして変わっていくわけでございます。ただ一般的な傾向として、大企業に比べてどういうふうになっているかということは十分研究をして、またそういう趨勢を見て政策の手を打たなければいけませんけれども、その点については今度出しました年次報告にも詳細に数字が出ておりますので、ごらんいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/60
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061・二階堂進
○二階堂委員長 島口委員に申し上げますが、山本中小企業信用保険公庫総裁、同菅理事も出席をされておりますので、そのほうにも質問をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/61
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062・島口重次郎
○島口委員 問題は、先ほど来質問しておりましたが、前段のほうではそういう研究をしてないような話をしておりましたが、今度はしておるというようなことになりました。さらに答弁の中から、年次報告に出しておるから、こういうようなことを言うけれども、年次報告の際は年次報告の質問があるのです。ここはここでの答弁をしてもらわなければいかぬ。そういう面から、私がただいま申し上げましたように、適正利潤というものを検討はしているけれども、結論が出てこないというならまだわかる。先ほど来の答弁なら、ほとんどないというような印象である。さらに、あなた方がそういう勉強なり検討をしているとするならば、この検討した範囲における適正利潤というものをどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/62
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063・田中榮一
○田中(榮)政府委員 答弁が食い違って申しわけないのですが、島口先生の立っている立場と、われわれの考えていることとが本質的に違うわけです。われわれとしては、あくまで自由主義経済の上にすべての問題を立脚して考えております。したがって、そうした一定の業界に関する利潤を何%ときめて、それによって政府が指導するということは、これはある程度統制経済になってくるわけなんですね。そういうことは、現在のたてまえとしましては、政府としてはとらないのであって、あくまでこれは業者の自由主義経済の上に立って、そして創意とくふうによってやらせる、こういうようなことでありまして、いろいろ、ある業界についての料金決定の基準としましては、これは二割であるとかなんとかいうことは、これは参考として出ておりますが、それを政府が取り上げて、この業界は二割だ三割だとかいうことは、これはきめることは非常にむずかしいことでございまして、また現在の経済政策においてとるべき政策ではないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/63
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064・島口重次郎
○島口委員 いまの答弁を聞いてがっかりいたしましたが、私らはあなた方のようなベテランじゃない。政治が商売で、商売が副業なんですよ。それでも私らに零細企業や中小企業が相談に来まして、うちの企業を診断してもらいたい、どの程度の利益でいったらよろしいかということをしょっちゅう相談に来ている。その際、あなたの企業はやはりこの程度に持っていかなければ——その商売によりましては年間二割なら二割、一割五分なら一割五分の利益をあげていかなければ行き詰まりを来たすというような指導をわれわれですらやっているのに、あなた方は専門家でしょう。ベテランぞろいの皆さんもまだその結論が出ていないというのはまことに遺憾だと思いますから、遺憾の意を表しまして、次の問題に移りたいと思います。
そういう面から考えると、どうも政府の三機関が五年間で貸し付けをしているが、この制度ができた当時は、市中銀行と称するものが貸し付けをいたしますると、ほとんど短期で、長期の貸し付けがなかったときなんです。最近に至りましては、市中銀行ですら五年は普通で貸し付けをしているのです。三金融機関ができた当時は、確かに革新的であったのです。いまは当然ですよ。あたりまえの制度ですよ。こういう状況になったときには、やはり高度成長政策なりあるいは国際経済、開放経済に移行する現段階では、政府の三金融機関がさらに範を示しまして、七年なり八年なり、私の希望としては十年間やってもらいたい、こう思いますけれども、一挙にもいかぬと思いますから、少なくとも八年間くらいに償還期間を延長する意思がないかどうかをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/64
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065・田中榮一
○田中(榮)政府委員 政府の三金融機関の利子がどの程度でいいか、あるいはその償還年限がどの程度がいいかということは、これは非常にむずかしい問題でございまして、現在のところは法律によって規定されたような限度がまあ適正ではないかという考えで、政府としては進んでおるわけでございますが、この問題は、経済現象は動くものでありますから、将来これをどういうふうに動かすかということは、今後の経済現象と照らし合わせまして、通産省といたしましても検討はいたしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/65
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066・島口重次郎
○島口委員 たいへん恐縮な質問なんですが、政務次官はどういう御商売でどういう財閥だか、わからぬわけなんです。さらに中野長官にしても、高級サラリーマンではあるけれども、零細企業なり中小企業の経験がない。われわれはみずから零細企業で、市中銀行からも金を借り、政府の機関からも金を借りてやってきている。そういう経験から見て、ほんとうにこの零細企業者の声を国政に反映して、その上にやってもらわなければならない義務があるのです。日本国じゅうにありますどこの零細企業に聞きましても、みずから経験する、はだで感ずるものといたしましては、五年間では返済できない、無理があるということですよ。もし五年間で返済するとすれば、そのべースの上のものだけ借りることができる、それ以下のものは政府の三金融機関の恩典に浴することができないというのがただいまの制度なんです。ほんとうに零細企業を救済する零細企業の金融対策をやろうとするならば、これは少なくとも八年間に延長しなければならぬ、こう考えますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/66
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067・田中榮一
○田中(榮)政府委員 私も実は長い間、京都で経済部長を三年やっておりました。東京都で戦後経済局長を三年やっておりました。ただいまは東京第一区から出ておりまして、私の選挙民は大体全部が中小企業でございます。したがいまして、零細企業の方とか中小企業の方とは朝から晩までおつき合いしておりまして、そういう事情につきましては、私も十分心得ておるはずでございます。そういう点は今後もひとつ十分研究させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/67
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068・島口重次郎
○島口委員 そこで、政務次官が、選挙民の方も零細企業者なり中小企業の方がたくさんおられる、その方と運命をともにして歩まなければならないという御心境だそうですから、さらに御質問申し上げますが、その、あなたとおつき合いなさる——あるいは選挙の後援者でもあると思いますが、その方がいまの制度で満足しておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/68
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069・田中榮一
○田中(榮)政府委員 中小企業者の言としましては、もちろん返済期間は長いことを希望いたしております。ただ、現在は返済期間が長いとか短いとか、利子が高いとか安いとかいうことよりも、まず借りたいということが全部の希望でございます。長ければ多々ますます弁ずることで、よいことと思いますが、いろいろ政府の財政上の都合もございますし、現在といたしましてはこの程度の年限において適正ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/69
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070・島口重次郎
○島口委員 政務次官のおっしゃるとおりだと思うのです。零細企業、中小企業は、返済するよりも当座の金繰り操作に困って、まず借りることだと考えておる。もう五年間で返済し得るかどうかの能力の問題ではなくて、まず借りなければどうにもならぬということです。そういう現実に置かれておるということを認識をしてもらいたい。であるから、五年なら五年の償還期限で借り入れをいたしまして、返済できなければ、やみ金融にいく。私が先ほども申し上げましたとおり、少なくとも中小企業、零細企業ならば、年間二割五分の利益をあげれば非常に成績の優秀な中小企業だと思う。それが二割の返済金、利子を入れますと三割五分の利益をあげなければ返済できない。勢い町のやみ金融に走らざるを得ない。あなたが中小企業の一人であるとするならば、日本国内においてやみ金融を借りて破産しない商売がありますか。たとえば金利取り締まりに関する法律からいうと、月九分、日歩三十銭まで認めておりますね。月九分ですよ。一年たちますと元金の倍になる。返済するどころか、そんな利益が出てくるものではない。だから勢い、破産することがわかりつつもやみ金融に依存しなければならないというのが、今日の零細企業のほんとうの隠せない姿だと考えております。そういう面から、私は再三再四申し上げましてもどうかと思いますから、大体終わりますけれども、ほんとうに中小企業、零細企業の味方であるという考えであるならば、あなたの政務次官在任中に、少なくとも金利を下げる、あるいは償還期間というものを八年なり九年に延長してもらいたい。御努力をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/70
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071・田中榮一
○田中(榮)政府委員 島口先生の御意見としてひとつ十分承りまして、検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/71
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072・島口重次郎
○島口委員 大蔵省のほうから財務調査官が来ているわけですね。
金利の取り締まりに関することでお聞きしたいのですが、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律、これを見ますると、日歩三十銭まで金利が認められておることになっておりますけれども、この認識の前提はどういうことになっているか、お尋ねしたいと思います。はたしてその日歩三十銭の支払いをして中小企業なり零細企業がやっていけるという見通しでこういう法律が出てきたのか、どういうような理由で出てきたのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/72
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073・柏木雄介
○柏木説明員 日歩三十銭で中小企業が一体やっていけるのかどうかという問題でございますが、中小企業といたしましては、やはり普通の金融機関を通じて金を借りてやるということがたてまえと存じます。いま日歩三十銭と申します金利というのは、いわば質屋、そういうふうないろいろな町の小口の金融をするところの場所におきまして融資を受ける場合、社会常識から言ってみてとてもこんな高い金利ではやっていけないという点につきまして、いわば警察的立場におきまして、金利が日歩三十銭をこえるものを対象とするというか、そういうものは反社会的ということで取り締まろうという趣旨でできているものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/73
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074・島口重次郎
○島口委員 これは小口を対象にしているのですか。それとも、もちろん小口であろうけれども、ただいまの答弁によりますると、質屋さんなどに適用するのだ、こういうことなんですけれども、これはいわゆる町の高利貸しという方々もこの法律で規制されるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/74
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075・柏木雄介
○柏木説明員 貸し金業者というものは全国で約十万おるということになっておりますが、そのうち、質屋もございましょうし、いわゆる町の金融業者もおろうかと存じます。したがいまして、貸し金業者の数も年々非常な勢いでふえております。その中にいまお話しのような、いわゆる町の金融業者というものがあると思いますが、この法律の主たるねらいは、やはり先ほど申し上げましたように小口の金融をするというものの取り締まり、それから反社会的なる金利を取らないようにするというところにねらいがあると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/75
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076・島口重次郎
○島口委員 反社会的な利息を取らないように、こう言うけれども、一体零細企業なり日本の国民が日歩三十銭の利息を払いまして反社会的でないと考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/76
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077・柏木雄介
○柏木説明員 冒頭申し上げましたように、日歩三十銭で借りて商売をしたのではとても商売をやっていけないのじゃないかというふうに思いますから、普通の中小企業におきましては、当然町の金融機関ではなくて、全国的銀行、あるいは相互銀行、信用金庫その他の市中金融機関を利用して商売をやっているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/77
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078・島口重次郎
○島口委員 柏木財務調査官も、日歩三十銭では商売が成り立っていかないということを前提にしてお話をしているようであります。ところが、あなたの考えている姿と今日の現実の姿とは違いがあるのであります。今日におきましては、たとえば倒産、破産者の最高記録を出しているのは、二百十日から二百四十日という長い手形を大手メーカーが出して、黒字倒産、いわゆる帳じりは黒字であるけれども金がない。現金操作が苦しくてやみ金融に依存しなければならない。一たんそういう金を借りますと、ただいまも申し上げましたとおり、一年たちますと元金の倍になるのです。そういうことからの破産倒産が多いと思います。あなたは、質屋とか町の金融は、小口の人か特定の者だけがこの金融を受けているというように認識をしておられるようでありますけれども、現実の姿は違いがあるのであります。むしろ中小企業、零細企業がこれから金を借りまして、そのために破産、倒産がたくさん出てきている。しかも、政府の統計から見ますと、一千万円以上でなければ対象が出てこないけれども、一千万円以下、三百万円以下あるいは百万円以下の零細業者の倒産、破産というものが数え切れないほどあると思います。そのほとんどが町の金融、日歩三十銭の融資を受けて破産、倒産していると思うが、そういう点の認識はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/78
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079・柏木雄介
○柏木説明員 お説のとおり、中小企業がその金融に詰まり、結局町の金融業者に走るということになりますと、勢い倒産に至る場合も出てくるではないか。その点政府といたしましても非常に心配するところでございまして、そのためにこそ中小企業金融の円滑化につきましてはいろいろと施策をやっております。その点につきまして、この委員会でもいろいろお説があったと思いますが、一方では、市中金融機関の中小企業向け貸し出しをふやすように指導ももちろんいたしておりますし、政府三機関につきましても、昨年末財政投融資の追加をいたしましたほか、市中金融機関の持っております金融債買い上げ、いわゆる買いオペをし、本年の二月にいたしましても、そういった関係でさらに二百二十億追加するということをいたしております。さらに、おっしゃるように、中小企業者が持っております手形が割り引けないために町の金融機関に行って割り引いてもらうということが出てくることにつきましては、政府といたしまして、今後の手形取引の円滑化を期する意味からさらに信用補完制度を強化する、すでに御説明があったかと思いますけれども、来年度の予算におきましては、手形取引の円滑化を期するために、一方では中小企業保険公庫法の改正をする、あるいは予算上政府出資を増し、それによりまして、来年度、手形割り引きといった面の信用補完で、従来の三百億程度をさらに千億程度まで持っていく等いろいろ施策を考えておりまして、政府といたしましても、中小企業が金融の窮迫から勢い町の金融機関へ行くということをなるべく防ぐように努力いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/79
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080・島口重次郎
○島口委員 政府の三金融機関なり庶民金融を強化いたしまして、やみ金融から救済しようとするような対策をとられつつある、こういうけれども、少なくとも国内においてやみ金融と称するものが五千億から六千億流れているといわれている。それに先ほどの政府の三金融機関でワクを拡大いたしましたのが三百五十億、手形保証制度で四十五億、これは三回転するか四回転するかわからないけれども、いかにこまかく操作いたしましても、十倍あるいは十五倍程度にはならぬと思う。そういたしますと、やみ金融が五千億から六千億流れているときに、せいぜい八百億か一千億しかあなたのほうでは裏づけをしておらない。これだったら、いかに零細企業がやみ金融から金を借りたくないと思いましても、絶対量が少ないから勢いそこに行かざるを得ないじゃないですか。そういう点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/80
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081・柏木雄介
○柏木説明員 中小企業の中にもいろいろあろうかと思います。要するに非常に堅実な経営をやっているところもありましょうし、いろいろな思惑等の関係から経営が思わしくないところもありましょう。最近の、昨年末来の倒産の状況を見ますと、金融の引き締めによって倒産したものが非常に多いかと申しますと、むしろ問題は過去数年間にわたる、いわば赤字の累積からくる倒産が非常に多い。その赤字の累積の原因は、一部には設備のやり過ぎとか、思惑という点もありまして、一がいに金融引き締めの結果どうかなっているということではないのではないか。しかし一方では金融の引き締めのために非常に困っているということもまた事実でございますので、先ほど申し上げましたように、政府といたしましても、各般にわたっていろいろな施策をやり、市中金融機関の中小企業におけるウエートが非常に多いのでございますから、銀行の指導者に中小金融の円滑化を期するように、前からも指導いたしておりますが、先般銀行局長通達を出しまして、その中小企業金融の円滑化を期するようにという趣旨の指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/81
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082・島口重次郎
○島口委員 なるほど、ただいまの答弁にあるとおり、ここ数年の赤字の累積で倒産した方もあると思うのです。その赤字の累積をいたしました原因は何であるかというならば、私どもの理解で申し上げますと、池田内閣の所得倍増政策が大企業だけを対象といたしまして、中小企業を差別待遇するから、そのしわ寄せが赤字の累積になったのだ、こう私は理解しております。さらに、池田総理にいたしましても、あなたにいたしましても、思惑をしたから破産、倒産した、こういうことをよく言うのです。しからば一体破産、倒産の何割が思惑で破産、倒産したのか、それを言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/82
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083・柏木雄介
○柏木説明員 実は、その倒産、破産の原因別内訳というか、そういうような統計はございませんが、昨年十二月以来の倒産の非常に大きなところを見ますと、非常に多くのものがいま申し上げましたような、たとえば暖冬異変による繊維の思惑の失敗、その他そういうものが非常に目立って多いということを申し上げておるわけであります。統計的に思惑、あるいは設備の行き過ぎその他によるものが幾らかという統計はちょっと私どもの手元にはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/83
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084・島口重次郎
○島口委員 いまのところ資料を持っておらないのに、あたかも思惑で破産、倒産したような説明、表現をすることはおかしい。やはり資料を持って、これこれが思惑による破産、倒産だというなら国会答弁にもなるけれども、ここに来て、すべてがそれらしいような答弁では了承できないと思うが、そういう点どうなんですか。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/84
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085・二階堂進
○二階堂委員長 御静粛にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/85
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086・田中榮一
○田中(榮)政府委員 池田総理大臣からもお答え申し上げたと思うのでありますが、全部が思惑とかそういうことで倒産したのではない。一部にはそういう現象があったかもしれぬが、必ずしもそうではない。現在は非常に信用というものが膨張しておるという点も、これも一つのあるいは破産、倒産の原因であるかもしれぬ。ある意味において、若干金融の引き締めというようなことも心理的な影響もあるかもしれぬ、こういうように私は聞いておるのでございますが、いま島口先生のおっしゃったように、倒産のすべてが思惑であるとか、それから設備投資が過熱状態にあったから、私はそういうことではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/86
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087・島口重次郎
○島口委員 それでは政務次官にお尋ねいたしますが、ただいま申し上げましたとおり、やみ金融は約五千億から六千億円流れていると称している。そしてそのやみ金融のために命を取られているのが一番多いだろうということも想定できるだろうと思う。おそらくは一千万以下、極端になりますと百万以下の方が多いと思いますが、そういう方が一度高利の世界に足を踏み入れると抜け出すことができない、直ちに破産、倒産に直結していることだと思う。このやみ金融制度を是正しなければ、なくしなければ零細企業、中小企業をほんとうに救済する対策でないと考える。そういたしますと五千億、六千億というのがやみ金融に流れておりますから、それに見合うところの政府の予算的裏づけがなければ零細企業者、中小企業者を救済することにならない。六千億の金が必要なのに一千億も裏づけしておらない。これで政府は中小企業なり零細企業を救済し得ると言えますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/87
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088・田中榮一
○田中(榮)政府委員 ただいまやみ金融が五千億ありますかどの程度ありますか、はっきりしたことは統計資料を持ち合わせておりませんので、その点については私もはっきり申し上げかねますが、現在の中小企業には、どうしても手形が落ちぬとかあるいは融資の方法がないということで、やむを得ずそうしたやみ金融にぶら下がる中小企業者もあることは私は認めております。したがいましてこういった中小企業者がやみ金融にぶら下がらぬように、政府としましてはできるだけの措置を講じておるわけでございますが、いま島口先生おっしゃるように一挙に五千億を政府が出資してこれを救済するということは、現在の状態ではなかなか困難でありますので、徐々に、と申しましてもできるだけ急速にこれをひとつ融資をいたしまして、こうしたやみ金融によるところの中小企業者の困難性を政府としても救済していきたい、こういう努力を払っていかねばならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/88
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089・島口重次郎
○島口委員 どうも答弁が形式的に流れまして、努力いたします、こういう答弁だけでは納得できない。私がただいま申し上げましたとおり、あらゆるマスコミにおきましても、あるいは中野長官はわかっていると思いますが、大体五千億から六千億流れている。この零細企業者に対するガンを外科手術をしなければ零細企業、中小企業は救済できない。これはあなた方一応肯定できると思う。できなければ、努力するではしようがない。少なくとも五千億の金があるならば零細企業をやみ金融から救済できる。とするならば、これを五年計画なら五年計画でなくするという具体策が出てこなければならぬと思いますが、その具体策がなくて、単に抽象的に努力するということでは了承できないと思います。こういう点はどうか。
もう一点は、ただいま柏木財務調査官が申したとおり、やみ金融があるから零細企業が破産、倒産につながるということを認めた。そういたしますと、そういう悪法、悪い制度をなくしてよろしいと思う。しかも、柏木財務調査官にお尋ねいたしますけれども、利息制限法との関係はどうなるか。利息制限法からいきますと、たしか十万円未満の場合は年二割、十万円以上百万円未満の場合は年一割八分、百万円以上の場合は年一割五分と、こう規定している。この利息制限法と金利取締法との法律の関連をどう調整し、どう行政的に操作しているのか。一方におきましては、これ以上取っては零細企業、中小企業が立っていかないということで、最高年一割八分、十万未満でありますならば二割で押えておきながら、一方の法律におきましては日歩三十銭というものを認めている。これはどういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/89
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090・柏木雄介
○柏木説明員 利息制限法の場合には、年二割あるいは一割八分をこえる利息につきましては、裁判所で、取り立てても無効となる、いわば民事上の制裁があると申しますか、民事上それをこえる利息につきましては請求できない。利息制限法には、それに反する利子があった場合に、刑罰を課する目的がございません。一方、日歩三十銭の問題は、刑事上の問題でございまして、先ほど申し上げましたように、日歩三十銭をこえて利息を取るという場合には、これは反社会的なる行為ということで警察の取り締まりの対象になるとか、あるいは刑罰の対象になるでありましようから、一方は民事、一方は刑事というふうに御理解願って差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/90
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091・島口重次郎
○島口委員 そうすると、利息制限法の規定しておる年二割以上利息を取られた場合には、こっちのほうではそれ以上払っているから返してもらいたいと言うと、刑罰にはならぬけれども返済してもらえるということですね。年三割なら三割の利息を支払っている。ところが、利息制限法からいきますると、年二割が最高である。そうすると、こっちのほうから一割多く払っているから、それは不当利息だから返済してもらいたい、こういう場合が出てくる。そういう場合には、これは刑事事件ではないけれども、返済してもらえる法律効力がある、こういう解釈なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/91
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092・柏木雄介
○柏木説明員 利息制限法の第一条第二項にございますが、「債務者は、前項の」年二割をこえる「超過部分を任意に支払ったときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。」でありますから、自分が年二割をこえておることを知りながら任意に払ってしまったという場合には、あとからそれを取り戻すことはできない。いまだに払っていないとすれば、逆に、金を貸しているほうから年二割をこえる利息を払ってくれという請求があっても、それは断われる、自分のほうで任意に一ぺん支払ってしまえば、あとから取り戻すことはできない、ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/92
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093・島口重次郎
○島口委員 なるほどただし書き条項にはそう書いてあるわけです。そういたしますると、この利息制限法は、最高なものだ、これ以上払ってはならないという非常に大きい規制力があるけれども、ただし書きをつけているのはどういう理由ですか。あなたは当時の係官ではないから、あなたに聞くのは無理かもわからぬけれども、一方ではこういう基準を示しておきながら、ただし書きでざる法になっておるということですね。
それから、もう一つはっきりあなたに答弁してもらいたいのは、この関係と日歩三十銭のほうとの関係はどうなるのか、対象になる業者が違うからこうなるのかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/93
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094・柏木雄介
○柏木政府委員 利息制限法は昭和二十九年にできました法律でありまして、立法の当時の経緯を必ずしもよく存じませんが、年二割をこえる利息は無効であるということを知りながら払っておった場合に、その初めから無効であることを知りながら払っておいて、あとから戻せということは、公平理念からいって必ずしも適当ではないではないか。これは民法の九十条とか、いろいろほかの法律にございますけれども、悪いと知りながらやっておいて、あとから自分は悪いことをしたから返してくれと言っても、なかなか通らないというのが、むしろ民法上の考え方といたしましては妥当するのではないかというふうに思います。
それから、第二点の日歩三十銭の法律の対象となる貸し出し、それから年二割をこえてはならぬという貸し出しとの関係はどうかということでございますが、先ほど申し上げましたように、一方は民事の制裁で民事の問題、一方は刑事の問題でありますが、対象となる業種といたしましては全く同じようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/94
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095・島口重次郎
○島口委員 どうもはっきりしませんが、いずれにいたしましても、日歩三十銭の金を借りて商売をやっても零細企業は成立しないというようなあなたの認識であるならば、これは悪法であるから、これを廃止するという意思はないか。大蔵省の見解と政務次官の見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/95
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096・柏木雄介
○柏木説明員 出資の受入、預り金及び金利の取締等に関する法律の金利が日歩三十銭は高過ぎるではないかという点につきましては、この法律ができましたのは、当時の情勢から日歩三十銭がきまったものと思いますが、その後の金融情勢のみならず、一般社会情勢の面から申しまして、その日歩三十銭が妥当かどうか。これは慎重に研究していかなければならぬと思います。いま直ちにここで引き下げなければならぬというふうな結論が出るかどうか、何とも申し上げられませんが、とにかくそういう社会的通念として、日歩三十銭が反社会的であると言えるか。この点につきましては、大蔵省のみならず、法務省なり警察庁等とも十分お打ち合わせの上でないと、政府としても何とも言えないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/96
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097・田中榮一
○田中(榮)政府委員 いま大蔵省の係官の御答弁いたしましたとおりでございまして、本件につきましては、政府内部におきましても十分検討いたしました上で、またあらためて答弁させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/97
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098・島口重次郎
○島口委員 最終的な答弁は、通産大臣、大蔵大臣からあとで機会を見まして答弁を願いたいと思うのです。それに対する私の見解をまた質問申し上げたいと思います。ところが、いまの柏木財務調査官の答弁は見当はずれですよ。なぜかと申し上げますと、利息制限法は二十九年にできて、時間的な紆余曲折を経ましてから金利の取り締まり等に関する法律が出てきたんだろうと言うけれども、ともに二十九年ですよ。そうすると、時間的なずれでこうなったんだろうというあなたの答弁はどうなんでありますか。もう一度答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/98
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099・柏木雄介
○柏木説明員 先ほど申し上げましたように利息制限法のほうは、いわゆる民事の問題として処理するものであります。一方の日歩三十銭をこえる金利を反社会的な行為として取り締まる法律のほうは、刑事の問題として取り上げる。したがって基準としておのずから差があってもやむを得ないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/99
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100・島口重次郎
○島口委員 刑法と民法の問題じゃない。さっき、あなたは、利息制限法は二十九年にできて、その間年月を経過いたしまして、紆余曲折を経まして今度は金利の取り締まり等に関する法難が出てきたんだろう、こうあなたは答弁したんじゃないか。私はともに二十九年にできた法律であると言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/100
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101・柏木雄介
○柏木説明員 あるいは私のことばが不足したかもしれませんが、両法律とも二十九年にできておりますが、対象といたしましては、一方は民事の問題として取り上げ、一方は刑事の問題として取り上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/101
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102・島口重次郎
○島口委員 山本中小企業信用保険公庫の総裁に御質問いたしますけれども、今度あなたのほうに四十五億が出まして、それを各都道府県の信用保証協会のほうに融資基金として出す、こういうことなんでありますけれども、この四十五億の中身の問題ですけれども、融資基金として出すというのは、各都道府県のほうに出資として出すのですか、それとも一時の貸し付けをするのですか、その点からまずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/102
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103・山本茂
○山本説明員 四十五億円の政府出資につきましては、各都道府県にありまする保証協会に対して貸し付け金として出すわけであります。出資金あるいは短期貸し付けというものではありません。一応長期資金として出しますと、二年ということになっておるのでございますが、これは二年の期限がきても、取り上げるのではありませんで、従前の例からいいますとと、あらためてさらにその金額を貸すということになっておりますので、二年たったらそのまま返してもらうというようなことは、いままではやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/103
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104・島口重次郎
○島口委員 これは各都道府県の保証協会に貸し付けをするわけですね。貸し付けをいたしまして、この金でどの程度保証金が拡大するという見通しなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/104
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105・山本茂
○山本説明員 この融資基金の効果でございますが、三十七年度において保険の契約高は三千六百億になっております。三十八年度は、まだ集計いたしておりませんが、多少推定をいたしますと、四千五百億くらいの保険契約ができると思っております。相当の伸び率があるのじゃないかと思いますが、これは四十五億の政府資金だけのなにでございませんで、地方の出資金あるいは地方の貸し付け金というものを入れまして、こういう保険の伸びができるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/105
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106・島口重次郎
○島口委員 どうですか。あなたのほうで都道府県の保証協会に資金として流してある、保証いたしますワクが多くなってくる。ワクが多くなりましても、政府の金融引き締め政策で市中銀行のワクが伸びない。保証協会が保証いたしましても、金を借りることができない、融資を受けることができないという現象が出てくると思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/106
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107・山本茂
○山本説明員 これはあくまでも保証協会がやりますことは保証でありまして、実際の金は金融機関から出るわけでありまするが、中小企業については、政府も非常な力を入れられるということになっておりますので、われわれの予定した金額は政府のほうで力を入れられてくださるものとわれわれは確信して、仕事を続けたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/107
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108・島口重次郎
○島口委員 それじゃ、まだやろうとすれば一時間くらいやらなければならないので、きょうはこの程度にして次会に——山本さんにもまだまだあるのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/108
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109・二階堂進
○二階堂委員長 いま始められたばかりなので、山本さんに対する質疑はもうしばらく続けてもらったらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/109
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110・島口重次郎
○島口委員 いままでも、保証協会が保証をしても、金融機関のほうでは融資してくれないという例があるのですが、今度はあなたのほうがワクを拡大して、保証協会が保証しても、金融機関の資金量の問題で、融資を受けることができないという現象が出てくるという見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/110
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111・山本茂
○山本説明員 保証の申し込みと実際の融資を受ける場合とは相当いままでも差額がありました。これはワクを拡大しましても、やはり保証を申し込んだ者が一〇〇%融資を受けるということはなかなか困難であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/111
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112・島口重次郎
○島口委員 私は一〇〇%などとは希望しておらぬ。ですけれども、保証協会の申し込みによる融資を受けたパーセンテージは九八%になっています。しかし、ほんとうに零細企業者が金がなくて、保証協会に融資の申し入れをする、それが九八%まで融資を受けているとすれば、町の金融がなくなっていると思いますよ。現場のほうにいきますと、この程度なら貸してもらえるかどうかというまず交渉を始めます。交渉段階で、あなたなら保証してあげましょうと言われる者が、初めて申請書に書きまして、保証申し込み書を出す。だから、実際問題として、九八%も要望する方が融資を受けておらないと思う。いまの段階でもそうです。それに、今度は、さらに政府のほうから四十五億出してもらい、その四十五億を都道府県の保証協会へ貸し付けをいたしますので、それで保証のワクが拡大した。ワクが拡大したのはけっこうだけれども、保証協会はどこまでも保証でありまして、金を貸すのではない。金を貸すのは市中銀行である。市中銀行は引き締め政策で資金量がない。いままででも一〇〇%出しておらない。今後はどうなるかということ、そういう見通しの問題なんですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/112
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113・山本茂
○山本説明員 これは、私どもの希望としては、できるだけ金融機関が金を出してくださることを希望するのでありまするが、私の力として、金融機関に対してそれを強制する力は実は与えられておらぬのが非常に残念であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/113
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114・島口重次郎
○島口委員 田中政務次官、そういう点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/114
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115・田中榮一
○田中(榮)政府委員 まあ保証協会の保証のワクが増大したのでありますから、保証協会としては、保証がしやすくなったことでありますので、政府としましては、保証協会に対しましてできるだけ保証するようにひとつ行政指導をやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/115
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116・島口重次郎
○島口委員 政務次官の答弁はいつも努力しますとこういうことなんだけれども、政治的に、この程度ならいける、これ以上ならめんどうだという具体的な答弁でなければ、どうも納得しがたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/116
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117・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘のありました、せっかく政府が四十五億円の金を各府県にございまする保証協会に貸すわけでございます。これは非常に低利で貸して、これによりまして信用補完のワクをふやそう、こういうことでございまするから、したがって、その保証の増大に伴って、やはり金融がつくというのがわれわれのねらいでございまして、いま政務次官も御答弁なされましたように、そういうふうにわれわれとしても努力いたします。実際問題としては、この金は保証協会から関係の金融機関に御承知のように預託するわけでございますから、その関係で、それだけ資金源というものがまだ金融機関にふえるという形にもなるわけでありまして、保証協会と金融機関、また府県も、これは実際はいろいろ監督なり助成をしておりますから、われわれとともどもに、関係金融機関とも十分相談をいたしまして、円滑に保証した者に金がつくようにわれわれとしては努力する所存であります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/117
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118・島口重次郎
○島口委員 私も、保証協会の担当理事をやっていたことがあるのですがね。政府のほうの資金、それから都道府県の資金合わせまして、銀行に預託する。預託すると、市中銀行でも、営利銀行ですから、もうけるものでなければ、営業率のよいものでなければなかなか出してくれない。いままでの考えからいうと、金庫のほうから、おたくさんのほうから出た金と都道府県の保証協会が県のほうから出してもらいました金とを銀行へ預託すると、その金額の大体十倍程度よりも融資しておらないのが事実なのであります。それにもかかわらず、昨年度の年末から引き締め政策で市中銀行が相当出し渋っている。そういたしますと、従来の例からいっても十倍なんです。ましてや、いまの引き締め政策のさなかにおきまして、あなた方の考えているようにそう甘く、保証したから金を出してくれるということはないと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/118
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119・山本茂
○山本説明員 私どもは、私どもの力の及ぶ限りの努力をする以外にないのでありまして、及ばぬところはこれはどうもいたし方ありませんので、その点は大蔵当局なり通産当局なりにお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/119
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120・中野正一
○中野政府委員 いま先生御指摘のように、金融引き締めのさなかでございますので、なかなかうまくいかないのじゃないかという点は御指摘のとおりでございます。そういう心配がございますので、先ほど来申し上げておりますように、関係者がひとつ努力しまして、せっかく政府の金をつけて中小企業の信用補完というものを拡充しようというわけでございますから、その目的は十分達成できるようにやりたいということがわれわれの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/120
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121・島口重次郎
○島口委員 実に政府の庶民金融対策は一貫性がないと思うのです。一方では引き締めをやり、一方ではその保証制度を拡大して融資のワクを拡大する。どっちがほんとうなんだかという問題、こういう点は山本さんにお聞きいたしましてもどうにもならぬと思いますから、田中政務次官がどう考えておられるかという問題であります。
それはあとにしてもらいまして、さらに総裁にお尋ねしたいのですが、この保証制度をやる際には、根抵当を組んで、その根抵当のワク内で保証する、こうなっていますね。私の言ったことが間違いでありましたら、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/121
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122・山本茂
○山本説明員 それは、たとえば、現在保証協会の三十協会ぐらいが手形割引保証をやっておるわけでございますが、手形というものは数が多いので、一枚一枚について保証するというのは非常にめんどうな手数がかかりますので、ある限度を保証するということをやっております。したがって、ある限度でございますので、利用されない部分があります。利用されない部分についても保証料を取られる、きわめて不利だというような事情がありますので、来年度からは政府のほうへお願いして、利用されない部分についての保険料はまけていただくようにお願いしております。大体政府のほうのお考えとしては、普通の保険料の一割五分ぐらい、一五%ぐらいの減にしていただけるようなことになって、来年度は手形割引保険というものは相当伸びてくるのではないか。これは民間の分もありますので、さように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/122
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123・島口重次郎
○島口委員 柏木調査官に聞きますが、確かに十年か十五年前までは、金融機関のほうでは貸し越し制度を組みまして——あるいは東京とうちの用語が違っている場合もあるから例を申し上げますが、私なら私が三百万の貸し越しを金融機関に組む、そういたしますと、三百万までの限度はいつ行っても金を借りることができたのであります。ところが、その後におきまして、大蔵省の指導によってその制度が廃止されているように聞いております。なぜ廃止をされておるかということを聞きましたら、貸し越しの最高限度をきめておくと、最高限度まではいつ行っても金を借りることができる、そういたしますと、金融機関の面から申し上げましても、大蔵省のほうから申し上げましても、資金計画が立たないということで、この貸し越し制度というものを廃止をしたということを聞いておりますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/123
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124・柏木雄介
○柏木説明員 大蔵省としまして当座貸し越し制度をやめるように指導したということは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/124
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125・島口重次郎
○島口委員 そういう行政指導もしたことはないですか。それからもう一点、しからばそういう貨し越し制度を組んでも、あなたのほうの資金計画は、計画どおり流れるかどうかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/125
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126・柏木雄介
○柏木説明員 十年前からずっとどういう指導をしたか私はっきり覚えておりませんが、当座貸し越し制度をやめるようにというような指導をしたことはないと思います。それから、金融機関といたしましては、当然それなりの資金計画というか、業務計画を持っておられると思いますが、役所のほうで特にどういうふうにしろというふうな指導はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/126
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127・島口重次郎
○島口委員 根抵当なり担保を組んで金融機関のほうで計画が破壊されないということで、この制度がよろしいということなら問題ないと思います。ところが、私がただいま発言いたしましたとおり、貸し越し制度やら根抵当の制度というのは、大蔵省のほうの資金計画が思うとおり操作ができないからやめてもらいたいという行政指導があったということを聞いておりましたから、念のために聞いたのであります。
そこで、政務次官のほうにもお願い申し上げますけれども、やはり四十五億のワクを拡大して、保証制度のワクを拡大したということは非常によろしい。よろしいけれども、せっかく保証を受けましても、資金量の関係で市中銀行のほうでは融資ができないということがあっては困りますから、そういう点十分留意をしてやってもらいたい。私らも、これから行政の流れの状況を見まして、悪いようであるならば適当な指摘をいたしまして御協力を申し上げますから、その点しかるべくお願い申し上げたいと思います。
それから総裁にお尋ねいたしますが、ただいま都道府県のほうに資金を貸し付けておりますけれども、この貸し付けば幾らで貸しておるのか。四十五億が出ますね。それを都道府県保証協会に貸し付けるわけですね。その金利は幾らか。それからもう一つは、保険制度がありますけれども、この事務的な作業というのは一筆ごとに保険制度をやっておるのか、あるいは包括なり残高制度でやっておるのかどうかということを聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/127
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128・山本茂
○山本説明員 現在百四十三億の金を都道府県の保証協会に貸しておるわけでございますが、そのうち約八億というものは代位弁済を促進するのが主でありまして、その他若干のなにもありますが、それに貸しておるのが約八億であります。それは利息が年二分であります。それから残余の長期資金については、利息が年二分五厘ということで貸し付けをやっております。信用保険制度は一筆ごとにやっておるわけでありまして、残高主義ではやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/128
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129・島口重次郎
○島口委員 各地の都道府県の信用保証協会の状況を見ますと、非常に苦しい金繰り操作をやっておりますね。これは総裁もおわかりだと思う。しからば、保証協会の金繰り操作を緩和いたしますには、どこにその是正を求めるかと申し上げますと、あなたのほうから貸した貸し付け金の金利を下げる以外にないと思いますが、こういう点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/129
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130・山本茂
○山本説明員 これは私どもから貸しておる金は、短期については年二分、長期については二分五厘、これはきわめて安い金でありまして、保証協会はそれを地元の金融機関に通常の利息で預けておるわけでありまして、その利ざやというものは保証協会の経理改善に大いに役立っております。現在よりももっと利息を安くするということは、現在の貸し付け利率は、われわれはいろいろとバランスを考えておりますし、これを安くするということになりますれば、相当政府のほうからわれわれのほうに多額の出資をいただかない限り、現在の利息を安くするということはむずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/130
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131・島口重次郎
○島口委員 東京都のような人の密集地帯ならよいけれども、未開発地域におきましては相当お客さんの分布状態が荒いわけですね。そういう面から、この貸し付けのコストが非常に高くついている。さらに、ただいまあなたのおっしゃるように、保証協会が代位弁済をする。代位弁済したものを取り立てをするのに、都会における三倍も四倍もの手数を食っているわけです。そういう意味から非常に高い生産コストになっているということから、私はただいま金利の問題を申し上げるのですが、そういう都会なりと、あるいは青森県、北海道、四国なり九州、ああいうような未開発地域における貸し付け金利の差額をつけてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/131
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132・山本茂
○山本説明員 御指摘のように大都会と辺陬の地域と利息を区別するということは、これは政府の財政政策といいますか、政府の問題でありますが、私の個人の考えで、これは答弁にならぬと思いますけれども、そういうことは考え得ることだと私個人は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/132
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133・島口重次郎
○島口委員 あとで政務次官からもお伺いしたいと思いますが、いま言うように、非常に未開発地域における保証協会が苦労しております。あなたもおわかりかもしれないけれども、保証協会の職員というのは市中銀行のベースから見るとはるかに低い給与なんです。独立採算制を強制されておりますから、勢い市中銀行の職員よりも、あるいは地方公務員よりも、はるかに下回るベースで生活をしておる。しかも、労働はどうかというと、ただいま申し上げましたような非常な悪条件が多いから、苦労しておる。そういう面から考えて、金利の問題で調整ができないとするならば、たとえば政府の制度からいいますると、地方交付税交付金と称するものがありますね。あれで大都会で比較的財政の余裕のあるところには少し、あるいはやらない、未開発地域には地方交付金をつけるというようなことをやっておりますので、そういう面の操作ができるかできないか、政務次官と総裁にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/133
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134・山本茂
○山本説明員 御指摘のような点は十分われわれのほうも承知をしておりますので、中小企業の——中小といいますか、小規模の協会については、この委員会でもレベル・アップというような御決議になっておりますので、現在といえども小の協会に対しては普通の配分率よりも手厚く金を貸しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/134
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135・島口重次郎
○島口委員 配分率を手厚くしていると言うけれども、どの程度やっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/135
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136・山本茂
○山本説明員 これは、A、B、C、D、四つのグループに分けておりまして、Dの協会については資金量を、いま数字を私手元に持っておりませんが、融資資金を相当手厚く配分しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/136
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137・島口重次郎
○島口委員 それでは答弁にならぬから、あとで資料を出してください。
それからもう一つ。先ほどの答弁では、保険をつける際、一筆ごとにやっているという話ですが、非常にこれは非能率的だと思うのです。やはりあなたのほうの公庫と都道府県の保証協会が毎年取引があるのだから、残高でやったら事務能率が相当あがると思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/137
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138・山本茂
○山本説明員 われわれのほうの事務の簡素化、能率化という問題についてのお尋ねだと思いますが、これは特別会計を引き継いだのでありますが、公庫ができましてから、できるだけ事務の簡素化、能率化ということにつとめて、不要な届けといったようなものは廃止し、手続もなるべく簡単にしておるわけであります。ただいまのお話の、一件一件について保険をつけるということは非常にめんどうなことだから、残高でやったらどうかということ、これもわれわれのほうで実は研究したのであります。ところが、保険をつけるということ自体は、残高でやれば、これはおそらく毎日変化しますから、毎日やらなくちゃならぬと思いますが、保険をつけるのは非常に簡素化になると思います。けれども、事故が起こった場合にはこれがやっかいになる。われわれのほうとしては、一件一件の保険をつけたものについて保険金を支払うということになりますので、一件一件の個々の事案について把握しておりませんので、そのときの保険金を支払うということは相当やっかいな問題になり、あるいは場合によっては一々調べに行かなければならぬ。したがって保険金を支払うのにいまよりも相当おくれるというようなことになりはせぬかということで、これはなかなか簡単に踏み切れぬ問題だと思っておるわけでありまするが、御指摘によりましてなお十分研究をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/138
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139・島口重次郎
○島口委員 あなたのほうの公庫の職員が全部で何名ありまして、いまの保険制度に勤務する職員の方がどの程度あるか。おそらく、いま総裁の答弁がありましたように、何か事故があって、たとえば宮城県なり福島県なりに調査に行かなければならないという現象が出てくる人員よりも、ただいまおる人員のほうがはるかに膨大だと思う。保証協会とあなたのほうは親子の関係ですよ。相手の機関というものを尊重し信用したら、あえて一筆ごとの保険をつけるという方法はやらなくともよろしいと思う。一件ごとの保険をつけているためにいかに多くの職員を要するかということは、私も大体想像がつくのでありますけれども、参考のために、あなたのほうの全職員の何割が保険制度の職員であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/139
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140・山本茂
○山本説明員 現在私どもの職員は三百十六名おりますが、二百名がそれに当たっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/140
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141・島口重次郎
○島口委員 そうでしょう。おそらく六割以上も一筆ごとの保険で職員を要しておるのです。大体私がただいま申し上げましたとおり、公庫と信用保証協会は親子の関係なんですよ。定期的に一カ月に一回なり二カ月に一回帳簿の点検をしていると、あえて二百人というものは必要でないと思う。そういう意味から、事務の簡素化の面から申し上げましても、予算の節約から申しましても、まだまだ合理的にやらなければならない。やり得ると思う。そういたしますことで都道府県の保証協会に対する貸し付け金利もうんと下げられると思う。そうなりますれば、都道府県における保証協会の職員も普通並みの待遇は受けられるということになる。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/141
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142・山本茂
○山本説明員 残高主義で簡単に事故が起こった場合には現金を支払うということになりますると、保険の制度を離れて、むしろ損失補償の問題になるかと思いますので、これは制度の根本的の革新になり、政府の方針となりますので、私はちょっとお答えしにくいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/142
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143・島口重次郎
○島口委員 もちろん政府の責任者がやらなければならぬけれども、その事務を担当しておられるあなたがそういう気持ちにならなければ、これは所管大臣といえども腹をきめられないと思う。そういう面から特に私はあなたに申し上げて、あなたのほうから所管大臣のほうに要請するようにしてもらいたい。私も所管大臣のほうに要請をしなければならないと思います。
それから、この保険制度そのものをどうするかということの相手を信用する度合いの問題ですが、もし保証協会が代位弁済いたしましても、七、三であなたのほうが七割の責任を持ち、保証協会が三割の責任を持っておるわけだ。それこそ十二、三年前には、あなたのほうが九割責任を持ちまして、保証協会が一割の保証制度であった。どうせ保険が代位弁済さしてもらったものが返済しないとしても、なおかつ保証協会の責任があるんだから、私は相互保証機関制度でやっていってもよろしいではないか、こう考えるのであります。もしただいまのとおり一件ごとの制度であるとするならば、従来約十年か十二、三年前に私がやっておりました当時の代位弁済のあと始末の問題は、公庫が九割、都道府県の信用保証協会が一割、こういう比率であったのであります。そういう点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/143
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144・山本茂
○山本説明員 これは、いまの残高主義でありますると、一件一件の保険について、事故が発生した場合に、保険金が非常に違ってくるわけであります。これは私がほんとうの最高責任者であれば、それに踏み切っていいと個人としては思うのですけれども、実はわれわれのほうの経理については、会計検査院の厳重な検査もありまするし、監督官庁の方針もありまするので、私としてはまだ——ただ私が最高責任者になって、会計検査院の検査も要らぬということになれば別問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/144
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145・島口重次郎
○島口委員 ただいまの答弁について、政務次官なりあるいは中野長官にひとつ見解を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/145
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146・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘の保険手続の簡素化、特に残高保険についてどうかということでございますが、これは、いま総裁からも御指摘がありましたように、現在は個々の保証を包括で保険公庫へ一時持ってくるということになっておるわけであります。残高だけでやるということになりますると、個別の保証債務に対して、その実際に負担する危険の内容を知り得ないのではないかというような問題がございまして、一種の損失補償になるのじゃないかというような疑問点もございます。それから、保証の残高というものも常に変動しておりますから、それを一々正確に知りにくいというような点から、保険料等の算定も非常にめんどうになりはせぬかというような問題もございまして、いまのところは実施上いろいろな難点があるんじゃないかというふうに一応考えております。しかし、保証保険というものが今後どんどん拡大していかなければならぬということでございますので、何とかこの保険関係事務の簡素化ということについては、相当抜本的にわれわれとしても研究せにゃいかぬというふうに考えておりますので、残高保険の問題を含めまして、今後さらに十分検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/146
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147・島口重次郎
○島口委員 まあ研究してもらうことも前向きの姿勢でひとつ検討してもらいたいということです。これが合理化すると——私がただいま質問して、総裁から答弁がありましたが、三百人の中で二百人も保険制度の事務職をやっておるということは、非常に事務が複雑であり、しかも経済的にも金がかかるということだと思うのです。あなたのほうの公庫がそうであるとすれば、各都道府県の保証協会もそういう状況なんです。これでも事務に忙殺されて、本来の保証業務が促進されないというような憂いも多々あるのであります。そういう面から前向きの姿勢で検討してもらうということと、それからただいま申し上げました代位弁済したこの回収の問題、これはどうもただいまの七、三が妥当ではないのじゃないか。実際保証協会がいなかの山村僻地に行きまして金を集めてきて、それをあなたのほうに返済する。それが七、三の割合なら、各都道府県の保証協会に対しましてはちょっと酷じゃないか。そういう面から、以前の制度でありました九、一の負担率に変更することができないかどうか。もしこれも総裁が答弁できなければ、長官のほうから、もしくは政務次官のほうからお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/147
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148・山本茂
○山本説明員 これは、現在われわれのほうで払うのが七割で、保証協会の負担が三割になっておりまするので、回収金の場合にはその割合で分けるということになっておるのでありますが、ただいまお話のありましたように、回収のためには非常な手数、費用がかかりまするので、たいていの協会から、何らかの措置を講じてもらいたい、要するに経済的な負担を軽減してもらいたいという要望がありまするので、われわれとしては努力をしまして予算を要求したのでありまするが、現在のところ私どもの要求が残念ながら通っておりませんが、これは将来も続けて、回収した場合に何らかの補償ができるようなことにしたいという努力はしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/148
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149・島口重次郎
○島口委員 これ一つで次会に譲りたいと思いますが、これは特に総裁、中野長官にお願いしておきますけれども、未開発地域における保証協会の職員の待遇が非常に悪いのです。これは何かの政策的な手の打ち方でもよろしい、あるいは事務的な打ち方でもよろしい、少なくとも保証協会に働く職員は全国一律の賃金ベースで支給のできるような態勢を組んでもらいたいということです。おそらくは、都会におきましては、一人当たりの保証額が何億という程度にいっていると存じますけれども、後進地域における保証協会の一人当たりの保証高は六千万か七千万程度であると思う。したがいまして、そのワク内で独立採算制を強制されておりますから、後進地域における保証協会の職員の待遇が非常に悪い。全国一律とまでいかなくても、格差を短縮するような用意があるかどうかを最後にお聞きして、あとの質問は次会にまたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/149
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150・山本茂
○山本説明員 ただいまのお話は、保証協会のレベル・アップの問題だろうと思いまするので、前回にもそういう御発言がありまして、その趣旨に沿うておるのでありますが、なお本日のお話の趣旨をくんで、保証協会のレベル・アップにつとめたいと思いまするし、短期資金を貸す場合に何か手心を加えるというようなことも考えられるんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/150
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151・中野正一
○中野政府委員 政府側としましても、後進地域におきまする保証協会の健全化、レベル・アップまたは職員の待遇の問題等について十分善処したい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/151
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152・二階堂進
○二階堂委員長 次会は明四日水曜日午前十時三十分より開会することにいたし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01519640303/152
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