1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年三月六日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 中村 幸八君 理事 早稻田柳右エ門君
理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君
理事 中村 重光君
浦野 幸男君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 海部 俊樹君
佐々木秀世君 田中 正巳君
野見山清造君 長谷川四郎君
南 好雄君 山手 滿男君
大村 邦夫君 加賀田 進君
沢田 政治君 楯 兼次郎君
藤田 高敏君 森 義視君
麻生 良方君 伊藤卯四郎君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 渡邊喜久造君
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(重工業局長) 森崎 久壽君
中小企業庁長官 中野 正一君
建設事務官
(都市局長) 鶴海良一郎君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁交通局
交通指導課長) 片岡 誠君
建 設 技 官
(住局調査官) 尚 明君
専 門 員 渡邊 一俊君
—————————————
三月六日
理事中村幸八君同日理事辞任につき、その補欠
として中川俊思君が理事に当選した。
—————————————
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七二号)
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七三号)
中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七四号)
中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出第七五号)
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫
法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七
号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/0
-
001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上六法案を議題とし、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/1
-
002・中村重光
○中村(重)委員 委員長、ちょっとその前に資料を要求いたします。
固定資産の耐用年数を一五%短縮しますね。それによって減税額を規模別、機械別に出していただきたい。それからもう一つは、中小企業近代化資金の貸し付け、企業件別、規模別件数と業種、それから申し込み件数も同時に出していただきたい。次には、中小企業の分野であったところに大企業が相当いま進出をいたしておりますから、その進出の状況。いま一つは、中小企業金融公庫の都市銀行との協調融資の実績。次には、信用保険公庫の各保証協会に対する融資の実績、それから同時に貸し付けの利子。次には、資本金五千万円を範囲を拡大したわけですから、その対象業種がどういうものであるか。これの規模別件数。それから三十八年度に資本金一千万円以上の企業に貸し付けをいたしておるはずでありますから、その貸し付けの状況。それから、同じく民間金融機関の貸し付けの状況もあわせて出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/2
-
003・二階堂進
○二階堂委員長 それじゃ、ただいま要求されました資料につきましては、ひとつ政府のほうで……。何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/3
-
004・中野正一
○中野政府委員 いま中村先生からの資料要求の点、できるだけ御要望に沿うように私のほうでもつくりますが、たとえば、最後におっしゃいました民間の金融機関の規模別貸し出し状況ですね、これは大蔵省によく聞いてみなければわかりませんが、そういう資料はできていないんじゃないかと思います。
それから、もう一つ、最初の固定資産税の耐用年数の規模別、機械別ですか、これも私のほうには資料はないので、大蔵省に資料要求しなければいけませんので、いますぐそういう資料ができているかどうか、ちょっと私も承知しておりませんので、大蔵省に私のほうから相談をいたしまして、できるだけ御要望に沿うような資料にいたしたいと思います。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/4
-
005・中村重光
○中村(重)委員 あなたのほうで予算をおつくりになるときには、そういう基礎資料がなければ予算は編成できないはずですから、当然大蔵省にはあるはずだし、通産省がまたそういうことを調査をしておられないということはおかしいから、当然これは出していただかなければなりません。それから民間金融機関の貸し付け、それは規模別等において出せないことはございません。政府関係の金融機関等におきましては、民間金融機関のそういう貸し付け実績等を出しているんだから、当然これは出せるはずなんですから、出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/5
-
006・中野正一
○中野政府委員 民間の金融機関の貸し出し、たとえば中小企業と大企業向けというのは、これは日銀で発行しております。ただ規模別というまで資料があるかどうかちょっと疑問に思いますので、調査した上でお答えいたします。それから耐用年数等につきましても、できるだけ御要望に沿うようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/6
-
007・二階堂進
○二階堂委員長 麻生良方君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/7
-
008・麻生良方
○麻生委員 委員長に、私初めに本件の質問に入る前に、本委員会の基本的な運営について一言だけお伺いをしたいことがあります。それは、私一年生でよくわからないのですけれども、法案について与党からの質問が、私がいる間全然ありませんでした。委員会の運営について何かそういう、与党は一切質問しないというふうなことでもあるのでございましょうか。ちょっとお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/8
-
009・二階堂進
○二階堂委員長 麻生さんのお尋ねでございますが、委員会は与党、野党を問わず、質疑の通告があれば順次これを許可してやっておりますし、また、ただいまのお尋ねでございますけれども、与党のほうからも先般田中六助議員より質疑がございました。今後各党から、議員のほうから質疑の通告があれば順次これを許可いたして、審議を十分尽くすようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/9
-
010・麻生良方
○麻生委員 わかりました。たいへん存じなかったものですから……。われわれとしては、やはりこの商工関係はいろいろ多岐にわたる複雑な問題をはらんでおりますし、与党のほうの御意見等も、実はこういう席上でお伺いができると、はなはだ参考になると思って御質問したわけであります。私、きょうは初めての質問でございますので、おいでをいただきました御答弁を願う方にも、気軽な気持ちでひとつ御答弁をお願いしたいと思うのですが、実は質問内容がいろいろな問題にわたるものでございますから、政府関係の各関係の方にたいへんお忙しいさなか御出席をいただきましたことを心から御礼を申し上げたいと思います。
一番初めに、実は私が主催をしておりますものに中小企業経営相談所というものがございますが、私そこの責任者として、いろいろな中小企業者の苦情やら意見やらを持ち込まれております。その中で一つの実例を申し上げて、政務次官なり関係当局の方から、これに対する政府当局の考え方をお伺いをしていきたい、こういうふうに思うのです。その一つは、中小企業で働いている、つまり若い従業員の方々の結婚問題と、それにからむ住宅問題についてなんです。実例を申し上げますと、青年は年齢が二十四才、つとめは某印刷会社、これは従業員三十人ぐらいの会社でございます。それから月給は手取り一万八千円、これは寮費、食費差し引きの手取りです。それから預金が十万程度、出身は農家、これが青年です。それから女子はB子で、年齢二十一才、つとめがパーマネント屋さん、月給が一万三千円ぐらいで、預金は五万円程度、実家は東京の某地方公務員の次女であります。この二人が実は恋愛をいたしまして、両方ともこれを認めて結婚することになったのでありますが、過日私のところに相談にまいりました。何とか住宅問題を解決しないと、せっかく結ばれた両者が結婚できないということで相談を持ち込まれたのでありますけれども、以上のことを前提として、このような環境にある青年男女が住むべき住宅について、今日の政府の志向している政策をかいつまんでひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/10
-
011・尚明
○尚説明員 建設省住宅局からお答え申し上げます。中小企業の従業員に対します住宅対策といたしまして、まず一般的な公共の賃貸住宅といたしまして、低家賃で供給しております公営住宅の供給がございます。これは一定の収入以下の方に比較的安い家賃で公共団体が家主となって供給するものでございます。
その次に、給与住宅の助成方策といたしましては、住宅金融公庫の融資の中に産業労働者資金融通というのがございます。それから住宅公団の分譲住宅の中におきまして、同じく企業者向けの分譲住宅がございます。住宅金融公庫の産業労働者住宅は、たとえば三十九年度においては一万五千戸計画をいたしておりますが、特に中小企業向けに重点を置きまして、そのうち九千戸を中小企業者向けの融資と社宅向け融資とするようにいたしております。しかも本年は、中小企業の方が借りやすいように、在来融資率が木造が五五%、それから鉄筋コンクリートの共同住宅が六〇%でございましたのを、それぞれの融資率を一五%引き上げる、したがって自己資金が少なくなるというような方式を来年度よりいたしたいと思って、目下法律の改正をお願いいたしております。それから、住宅公団の産業労働者向け住宅は、本年は一万二千戸計画しているわけでございますが、これの場合は、応募の中から、中小企業から応募される方については優先的にこれを振り向けるという方針をとっております。
なお、これは建設省所管ではございませんが、厚生省の所管として厚生年金の還元融資というのがございまして、これによる社宅は三十九年度は三万八千五百戸程度計画されておられるようでございます。
それからさらに、住宅金融公庫が扱ってはおりますが、雇用促進事業団の住宅というのが、やはり給与住宅として三十九年度は七千四百戸程度計画されている。
以上のようにして産業労働者住宅を計画いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/11
-
012・麻生良方
○麻生委員 ただいまの御説明は大体私もよくわかりますが、しかし私の質問の要旨は、こういうような環境にある青年男女がいま結婚をする、そのときにどれが適用を受けるかということをお伺いをしたのですけれども、あなた御自身がその立場に立ったとしてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/12
-
013・尚明
○尚説明員 もし中小企業の従業員の方が結婚されるという場合で、私が住宅困窮者として考えますと、たとえば東京都に在住しておりますれば、まず都営住宅の申し込みをいたすことと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/13
-
014・麻生良方
○麻生委員 それでは、東京都の都営住宅の申し込み数の実態をひとつ御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/14
-
015・尚明
○尚説明員 都営住宅は実は毎年八千戸程度建っておりますが、しかしながら、御承知のように特に東京都においては住宅難がはなはだしいために、大体申し込みが三十倍ないし四十倍くらいになっているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/15
-
016・麻生良方
○麻生委員 そうすると、この青年に私が答えなければならないとすれば、三十倍、四十倍で当たる住宅が与えられるまで待てというほかはないということになりますが、そういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/16
-
017・尚明
○尚説明員 先ほど私は第一に公営住宅のお話を申し上げましたが、その次の段階といいますか、これと並行してでございますが、事業主の方がその職員のために住宅を建てようということをいたしますならば、住宅金融公庫に申し込むというのが一つございます。それから日本住宅公団から分譲住宅を購入するという申し込みをする、この二つの方法がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/17
-
018・麻生良方
○麻生委員 それは私もよく存じておりました。けれども実際にこの両人のつとめている会社の実情を調査しますと、とてもいまあなたが言われたようなものをつくるだけの自己資金を持っておらない。したがいまして、結果的には私としても、やむを得ざる回答としては、この都営住宅が当たるまで待つ以外にあるまい、しかしそれまで結婚を延ばせというわけにはまいりません。そこでやむを得ずこれらの人々は民間の貸し家アパートに入るわけでありますけれども、今日民間の貸し家アパートは東京都内においてどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/18
-
019・尚明
○尚説明員 ちょっと正確な数字はつかめないのでございますが、非常に多いということは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/19
-
020・麻生良方
○麻生委員 私の調べによりますと、一般に民間のいわゆるアパートに住んでおる世帯数が東京都だけで五十万世帯に及んでいるという結果が出ております。そこで私はもう一つお伺いしたいのですけれども、これらの民間のアパートに住むのに、特に都心部においてその家賃がどのくらい取られておるか、その実態を御把握でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/20
-
021・尚明
○尚説明員 家賃の実態は、大体一畳当たりが千円ないし千五百円程度というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/21
-
022・麻生良方
○麻生委員 いまその程度で入れる貸し家、貸し間がありましたら、周旋屋がたいへん喜んで飛びつくだろうと思います。今日の実情では、都心部においては大体四畳半一間でガス、水道がついて七千円から八千円という家賃が相場になっております。私はこういう点についてもう少し当局の御認識をいただきたいのでありますけれども、今度の政府の住宅政策、また七カ年計画、そういうものの中では——いま住宅が不足をしている原因は、戦前の貸し家、貸し間が著しく減少していることにある、これは私もよくわかります。しかし政府の七カ年計画を見ますと、結局不足戸数の約半数近くを民間住宅の自然増にゆだねているというような面があるやに承っておりますが、その点を少し明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/22
-
023・尚明
○尚説明員 住宅の建設におきまして、貸し間が戦後払底いたしましたことは事実でございます。これは長期低利の金融が民間等において十分に流動しないということが一番大きな原因だと思うのでございます。私どもは四十五年までに一世帯一住宅を実現するために七百八十万戸計画をいたしました。その中身は、大体政府がそのうち三百万戸行ない、民間が残りの四百八十万戸程度を建設するという計画でございます。その数字は、民間の数字につきましては、現在すでに民間はおよそ五十万戸程度の住宅を建てております。この民間と申します中には、先ほどお話がございましたようなきわめて小さい住宅は除いて計算してあります。ある程度の適格性を持った住宅がすでに五十万戸ぐらい建っておる。それが過去の実績におきましても年々八%ぐらいは完全に伸びております。したがいまして、今日の五十数万戸が年々八%ずつ伸びていくことを想定いたしまして、四百八十万戸が実現する。政府は三百万戸でございますが、これは現在三十九年度も三十一万七千戸計画していますが、このほうは今後一〇%ずつ引き上げていって、七カ年に三百万戸を建てよう。政府は今後伸び率をやや大きく見てやろうという政策にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/23
-
024・麻生良方
○麻生委員 その御計画はよくわかります。しかし実態として、いま東京都の特にこのような中小企業の中で働いておる従業員たちが、結婚をして住宅を得ようとすれば勢い道は二つである。それは政府のやるいわゆる公営住宅に当たるのを待つ以外にない、それが当たるまでは民間住宅、特にこれは小さな四号半住宅といわれるものに住まざるを得ない。その間五年なり十年なりという歳月がたちます。しかもこのように四畳半の中で生活して、子供が生まれれば、四畳半から追い出されるというような実例もたくさん出ております。そうなりますと、私は、これはせっかく大臣がお見えでございますから、たいへん失礼な御質問でございますけれども、大臣がこのような青年男女の立場に立ち、しかも民間の四畳半一間の生活の中で親子四人暮らしをしているような世帯が東京で五十万世帯にのぼっていますが、これで健全な夫婦生活であると大臣はお考えでございましょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/24
-
025・福田一
○福田(一)国務大臣 私は先ほどからあなたの御質問を承っていて、非常に現実的な面から政治に取り組んでいることに感心をいたしておるのであります。実は私も終戦後、私の家内とおふくろと子供と四人で八畳間に二年ほど住んでおったことがございます。もちろんこれは終戦直後のことでありますが、そういう生活は決して健康的なものでもなければ、実にわびしい生活であります。あなたが将来結婚される人たちの住宅問題について、いま非常に青年男女が悩んでいる姿をよく把握して御質問になっておる、私もまことにそういうことを充足できない政治であるということにむしろ非常なふがいなさを感じておるわけであります。御質問の趣旨はよくわかります。将来できるだけそういうことを解消する。特にアパートなんかつくりましても、悪いアパートをつくると隣の声が全部聞こえてしまうわけであります。防音ということは非常に、そういう観点からいたしますと、大事であろうと私は考えております。実は私はそういうような生活を身をもって体験していますから、よく気持ちはわかるわけであります。ひとつあなたの考えておられるようなことが政治の上に反映するように大いに努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/25
-
026・麻生良方
○麻生委員 まあ考えてみようとおっしゃっておられる大臣のお気持ちは了といたします。しかし問題は考えてみるだけでは、彼らに現実的な満足を与えるわけにはまいりません。
そこで私は、ここで再び当局にお伺いしたいのですが、都営住宅、つまり公営住宅がいまたいへん行き悩んでおります。その原因はどこにあるかということを一言お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/26
-
027・尚明
○尚説明員 公営住宅が行き悩んでおるということでございますが、おそらく公営住宅を建設するにあたりまして、まず最初に土地の取得が困難であるというようなことが大きな原因かと思います。しかしながら地方公共団体の公営住宅の建設意欲は、最近においてまた非常に高まっております。したがいまして、行き詰まっておるというような現象はいまのところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/27
-
028・麻生良方
○麻生委員 行き詰まっていなければ、三十倍も四十倍もに申し込みがはね上がらずに、その需要を満たすことができるはずでございますが、まあこれはよろしゅうございます。しかしこの土地の値上がりの問題は、これは何といっても、私どもから見ても、公営住宅に大きな行き詰まりを与えている原因だと思います。そこで私はこの際、時間がございませんので、特に中小企業従業員が住めるような住宅対策として私の考えていることを一つだけ申し上げて、ひとつ通産大臣及び政務次官の御参考にしていただきたい。
それは、公営住宅をつくる場合に、土地を政府が買ってそこに住宅をつくるという考え方は、もう東京においては土地の規制をするか、あるいは何らかの土地収用法みたいなものを考えないと、行き詰まっておるのじゃないか。したがいまして、そういう方向での対策を切りかえて、むしろ都心部に一般の木造建てのアパートを持っているような民間人、あるいは土地を所有しているような民間人、そういう土地や家屋の所有権をそのまま認めて、そこに対して政府が資金を導入して建物を三階建て、四階建てにつくる。そうしてその導入された資金を十年なり十五年なりの期間に返済が済めば、その建物の所有権はそのまま民間のアパートないし土地の所有者に移行する。そして家賃の収入は、一定の比率でその土地あるいは家屋の所有者と政府が分けるというような、ごくかいつまんだ考えでありますが、こういうような考え方に切りかえて、民間人のアパート所有者、土地所有者に協力を求めて、それを改造するなり何なりして、むしろ都心部にたくさんある二階建てのアパートを鉄筋にして、高層にして、そこでこういう人たちの住宅を満たしていくというような、これは一つの考えでございますけれども、そういうような点について御考慮を当局にもお願いをしたいし、特に中小企業行政といいましても非常に幅が広うございます。どれをとりましても、いろいろな他の行政機関と関連が出てまいります。特に中小企業従業員の福祉ということになれば、労働省の問題もありましょうし、それから厚生省の問題もありましょうが、特にこの住宅対策については、格段に新しい考え方からもう一度公営住宅のあり方を切りかえていくような方向を、建設当局も通産当局もお考えを願いたいということをお願いをいたしまして、この件に関する質疑はこれで終わりたいと思います。
それから第二に私が御質問申し上げたいことは、中小企業経営者と道路交通法の関連について御質問を申し上げたいと思います。
この実例をひとつ申し上げます。特に通産大臣、政務次官にお考え願いたいのですが、その一つは、都心の某雑貨商で、軽四輪車を所有しております。駐車場はございません。やむを得ず某あき地に、他人の所有する土地に青空駐車場を借りまして、料金を払っております。その料金が、今日都心部においては一カ月で三万円の駐車料金にはね上がりつつあります。これは現実の姿であります。そこでこの雑貨商は、従来まではそれが出費ではなかったのが、この自動車の保管場所の確保等に関する法律ができたためにかような出費を余儀なくされているということに対して、非常なふんまんを持って相談に来たのです。それからその二つ目の実例は、これは都心の某牛乳屋さんの店員の話であります。軽四輪車を所有しておるのでありますが、前者と同じように駐車場がないために、同じ料金を払ってあき地を利用しておりますが、一方通行道路でございまして、片方は時間ぎめによって荷物の積みおろしを認めている。ところが片側は認められていないために、荷物の積みおろしが全くできない。二分か三分車を駐車しておくだけで、おまわりさんが回ってきて、いやな紙を張っていかれます。そのために、何とかしてくれということで相談に参ります。これははなはだ基本的な営業権と道交法との関連になってまいります。この二つの実例を御念頭に置いていただいた上で、お答えを願いたいと思うのでございます。
その一つは、一体政府当局は、ここ数年の間にこんなに車がはんらんをするということをお考えになっておったのでしょうか、もし運輸省の関係の方がおいでになったら御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/28
-
029・田中榮一
○田中(榮)政府委員 ただいまの中小企業の経営と都市交通問題との関係は、われわれももう長年の間実は頭を悩ましておったわけでございます。ことに最近交通法規の取り締まりが非常に厳重になり、かつまた自動車の保管場所の確保等に関する法律が成立いたしましてから、取り締まり当局におきましても、いわゆる中小企業者の駐車の問題につきましても相当取り締まりが厳重になってまいりまして、一般の中小企業者、ことに都心部の中小企業者は、車庫をつくるための場所の獲得が非常に困難でございまして、またいまお話しのように、たまたま保管場所を借りますと一カ月二万から三万五千、高いところでは四万円以上の保管料をとられるということで、非常に苦悶の様相を呈しておるわけでございます。そこで政府といたしましていろいろ考えておりますことは、たとえば商店街振興組合法等ができましたので、将来あるいは事業協同組合の商店街といった方面で共同施設として適当な土地の貸与を受ける、あるいはまた払い下げを受けまして、そこを各店舗の共同駐車場にするとか、あるいはまたケース・バイ・ケースで、所轄の警察署長とよく御協議を願いまして、いま申し上げたような時間的のいわゆるローディング・ゾーンあるいはアンローディング・ゾーン、ローディング・タイム、アンローディング・タイムというものを設定いたしまして、そうして個々の行政措置によって現在はいろいろ荷物の積みおろしをやっておるような状況でございますが、しかしこれからますます自動車がふえてまいりますと、このような状況だけでは、とても現場の行政措置では間に合わない結果になるのじゃないかと私は考えておりまして、一面において共同施設としての駐車場の設置あるいはまたそのほかの方法を講じて、これから中小企業者の駐車問題を解決していかなければならぬと考えております。特に、自動車の保管場所の確保等に関する法律が成立いたしました際にも、衆議院から、「中小企業者等が共同して保管場所を設置する場合は、官公有地の払下げ、貸付け及び建設資金につき特別な措置を講ずること、また租税負担の軽減を図ること。」というような附帯決議もいただいておりますので、この線に沿うて、関係庁とも十分協議をいたしまして、何らか具体的な対策を緊急に、ひとつ真剣に取り上げてまいりませんと、中小企業者としましても経営上に非常に大きな打撃をこうむり、また非常な困難性に逢着するものと私は考えております。御趣旨の点につきましては十分に了承いたしておりますので、今後最善の努力をしてまいりたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/29
-
030・麻生良方
○麻生委員 御趣旨はよくわかりました。
そこで、具体的なことをちょっとお尋ねしますが、この自動車の保管場所の確保等に関する法律が施行されたときに、それの適用を受ける、つまり青空駐車をしていた車の台数がどのくらいあったのでしょうか、わかりましたら、ちょっと当局から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/30
-
031・片岡誠
○片岡説明員 この法律の施行になりました三十八年の六月現在、東京都内の状況について申し上げますと、自動車が軽自動車を含めまして八十六万台ございます。それからその中で、この法律の登録する場合の規定の対象となります軽自動車を除きました車が、二十三区内で四十五万台くらいあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/31
-
032・麻生良方
○麻生委員 ちょっと私の調べた数字と食い違いはございますが、いずれにしましても五十万台前後が対象になっていたと思われますが、そのうちで今日まで正式に届け出があって、駐車場を設置できた台数はどのくらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/32
-
033・片岡誠
○片岡説明員 いまのは東京都内全域の問題でございましたが、三十七年九月末から昨年の末までの間に自動車の保管場所証明の申請が三十四万二千であり、そのうち三十一万八千について証明書を警察のほうで交付いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/33
-
034・麻生良方
○麻生委員 そうすると、まだ二十万から三十万台前後が自家用の駐車場を持てないという現状にあるということになると思うのです。そうしますと東京ではこの大部分が、私が先ほど申し上げた中小企業者、特に零細企業者に該当することになります。それで、その結果やむを得ざる措置として、民間の土地所有者に頼んで車を置かしてもらって、先ほどの駐車料を払っているということに相なっておるように私には思われるわけでありますけれども、この駐車場の営業規定というものがあると思うのでございます。成規にビルディングをつくって駐車場とする、あるいはちゃんと申請をして駐車場をつくる場合と、それから全く青空で、ひどいところは縄張りだけしておいて、車を置かして料金をとっている実例が最近非常に多うございます。こういうものの営業許可というものはどこで一体行なっておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/34
-
035・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 駐車場につきましては、営業許可制度をとっていません。ただし有料の駐車場で五百平方メートル以上のものにつきましては、東京都の場合におきましては、都のほうに届け出をする義務が課されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/35
-
036・麻生良方
○麻生委員 そうしますと、五百平方メートル以下は野放しという状態でございますか。つまり営業と認めているのでございますか、認めてないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/36
-
037・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 法の規制はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/37
-
038・麻生良方
○麻生委員 いたしておりませんということは、いたす必要がないという御見解ですか、それとも将来この種のものが出てくれば当然何らかの形の規制をするお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/38
-
039・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 ただいま申し上げました五百平方メートル以上のものにつきましても特段の規制はいたしておりません。ただ届け出義務を課しておるだけでございまして、それより小さいものにつきましても規制をする考えは、いまのところないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/39
-
040・麻生良方
○麻生委員 いずれにしましても自動車の保管場所の法律は、一部の土地所有者にかなり不当な利益を与えているやに私としては判断せざるを得ない。何にもしないで、建物も建てないで、全くのあき地そのままで車を十台置かすだけで月の収益が三十万以上にのぼっているところが、今日都心では相当数にのぼっている。ある中小企業者はこの事実を見まして、私たちはまじめに働いて税金を納めている。一家総出で働いている。しかし土地を百坪持っているものは何にもしないで、それこそ全く何にもしないで三十万の不当な利益があがる。こういうことでは中小企業者の勤労意欲というものが激減せざるを得ないと慨嘆をしておりますよ。こういう点につきましても、やはり政府としては、一つの法律をつくる以上はそれが必要であると思う。しかし一つの法律ができたら、それによって受ける国民の損害、中小企業者の損害というものを考慮せずして、もうやむを得ず車がふえちゃったからこうしなければならないというような法律のつくり方は、かような事態を招くという一つの実例として御認識を願っておきたいと私は思うのです。
それからもう一つ、この点についてお伺いをしたいのです。今日交通違反が激増をいたしております。この交通違反はスピード違反、駐車違反等々あると思いますけれども、これは本件に直接関係ございませんが、ちょっと参考にお伺いをしたいのでありますけれども、今日、駐車違反の収益が、三十五年度から三十七年度に至る三年間にどのようになっておるか、ちょっとかいつまんで御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/40
-
041・片岡誠
○片岡説明員 収益というのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/41
-
042・麻生良方
○麻生委員 罰金の収入でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/42
-
043・片岡誠
○片岡説明員 罰金の総額につきましては、法務省なり最高裁のほうでないとわかりませんが、ただ私どものほうで検挙件数と、それからおおむね一件当たりの一応の相場らしきものがございますので、その点についてお答え申し上げます。
いま申しました駐車違反の場合、二種類ございまして、道路交通法に基づく交通の安全あるいは円滑のために駐車禁止をしておる場所の違反、このほうにつきましては、三十八年の上半期を取り上げてみますと、車両の全体の取り締まり件数が、全国で二百四十一万六千八百件、そのうち駐車違反の件数が二十六万七千三百件、パーセンテージにしまして一一%ばかりであります。スピード違反が六十万三千五百件で、約二五%。それで駐車違反の場合は、おのおの各地の簡易裁判所で判決するわけでございますが、大体二、三千円が普通の相場のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/43
-
044・麻生良方
○麻生委員 それでは私のほうで調べたことを御報告申し上げますから、ちょっとお聞き取り願いたいと思います。全国平均では、いわゆる罰金による収入は、総計いたしまして三十三年は二十億強であります。三十四年は二十六億、三十五年は三十三億、三十六年ば六十七億、三十七年は百三億とはね上がっておる。ずいぶん政府はもうけていらっしゃるものだと私これを調べてびっくりいたしました。
そこで、私はここでお考え願いたい。それは、この自動車の保管場所の確保等に関する法律ができた結果として、ここに一つの現実としてあらわれておることは、都心部、市街地に土地を持っていたものが不当な利益を占めている事実、これは事実でございます。と同時に、もう一つの事実は、政府の収入がそれによって一躍三倍にはね上がっておる。これは少し皮肉な言い方をしますと、この法律によってもうけたものは地主と政府だということになる。しかもこれらの金を支出しておるものを調べますと、特殊な悪質違反は別といたしまして、やむを得ざる理由によって駐車違反あるいはスピード違反を起こしておるという実例が相当数出ております。そうすると、その一番の犠牲を受けておるのが中小企業者であり、そこで働いて運転をしているオート三輪やオート四輪の若い、中小企業の運転者ということになるわけであります。これは事実としてひとつやはり政府当局もお認めをいただかなければならないことだと思います。
そこで私は、このような事実の上に立って、今後政府当局にお願いを申し上げたいことは、幾ら何でも一つの法律をきめて、法律違反を犯した者からあがる罰金を予算に組むなどということは、あまり好ましいことではありません。初めから犯人を当てにして予算を組むような措置は、いずれにしても影響を与えるところ大である。したがって、このような予算の組み方は御検討を願いたいということと同時に、少なくともこれによってあがった百三億に近い収益、この政府の収益をもって、駐車場を取り上げられた中小企業者に対して政府が積極的に駐車場を貸し与えるか、あるいはそれをある条件で売り渡すか、何らかの形でこれを還元するような措置を講じていただくような方法をお考え願いたいということを提言として申し上げまして、時間もございませんので、私のこの問題に関する質疑は打ち切らせていただきたいと思います。
それから引き続きまして、もう少し時間があるようでございますから、第三点に、これは中小企業の指導行政のあり方について、中小企業関係の方にお伺いをしたいのであります。
私は東京でございますから、特に東京商工会議所がこれをあずかっておるわけでございますが、質問点の第一は、東京商工会議所所属の指導員についてでございます。これの身分はどうなっているかということをお伺いをしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/44
-
045・中野正一
○中野政府委員 商工会議所に、特に、いま御指摘のありました零細企業者、小規模業者の指導に当たる経営改善普及員というものがございまして、政府と都道府県が給与を出して特別に指導に当たらせておるわけでございます。予算も組んでおります。身分としては商工会議所の嘱託職員ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/45
-
046・麻生良方
○麻生委員 その職員の採用のときの条件はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/46
-
047・中野正一
○中野政府委員 経営指導員につきましては、いま申し上げましたように政府のほうで補助を出しておりますので、この補助に対しまして、いわゆる補助要綱というものにおきまして、一定の任用基準を設けまして、その採用につきましては都道府県知事の承認を要することにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/47
-
048・麻生良方
○麻生委員 私の聞いておるところによりますと、これは嘱託制度でございますけれども、事実上、採用して指導員に嘱託としてお願いする場合、その指導員は他の事業、業務につかないという一札を入れているように承っておりますが、それは事実でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/48
-
049・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘のとおりでございまして、経営指導についての専従義務を課しまして指導業務に専念するようにやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/49
-
050・麻生良方
○麻生委員 そうしますと、それは嘱託という名目でありますが、事実上職員と同じようだという扱いに見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/50
-
051・中野正一
○中野政府委員 職員と見ていいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/51
-
052・麻生良方
○麻生委員 そうしますと、その指導員の報酬はどういう基準になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/52
-
053・中野正一
○中野政府委員 指導員の俸給につきましては、三十八年度までは、六大都市につきましては月額二万七千円ということになっております。これはベースが少し低いんじゃないか、もうちょっと高くしないといい人が得られないという御議論も非常にございまして、来年度からこれを二万九千円に上げることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/53
-
054・麻生良方
○麻生委員 それは若干補足の説明が要るようでございます。私の調べでは三十歳から四十二歳までが二万円から二万六千円、それから四十五歳から六十五歳が最高二万九千円、これが今度特に改正になった給与の内容でございます。そのことはよろしいのでございます。
そこで、この指導員は、事実上中小企業の指導のためにほとんど専属をしているという状態でありますが、いま長官がいみじくも申されましたように、給与としてははなはだ低い。特に中小企業の指導というものは、特殊な経験と技術を有する者でなければ適切な指導は行なえません。そういう点から見るならば、この給与は東京においては問題にならないほど低いと思いますが、たとえばあなた御自身がこの立場に立って、これだけの給与で家族五人をかかえて、ほんとうに中小企業の指導に専念できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/54
-
055・中野正一
○中野政府委員 確かに御指摘になりましたように、このベースでは適当な報酬であるということは言えないのではないかと思って、私どもも予算折衝のときには相当がんばりまして、ようやくここまで上げてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/55
-
056・麻生良方
○麻生委員 たいへん失礼な質問でございましたけれども、やはり政治というものはいつもその立場に立って考えていただきませんと、あやまちが出てくると思いますので、こういうような給与体系では指導員が本気になって中小企業、零細企業の指導ができない。したがってやることがおざなりになるということになります。おざなりになるのみならず、こういうような給与でやっておりますと、たとえば金融のあっせんをしたときに、目に見えないところで、あっせんをした業者から不当な金銭を取るというような実例が出ないとも限らない。私は出たといって申し上げるわけではございませんけれども、出ないとも限らない。やはり人を動かす以上、動かす立場に立つ人が、それだけの保障をしなければ動かない。これはあらゆる問題について言えることでありましょうが、特に中小企業の問題について私は強く指摘をして、この改善方をお願い申し上げたい。
それからもう一つ。これらの指導員は役所の部屋に閉じこもって事務をとるわけではございません。連日それぞれの業者のところを歩き回って指導に当たっておるわけでございますが、その交通費に対する支給の制度ができておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/56
-
057・中野正一
○中野政府委員 指導員が方々を回っていきますので、その際、交通費というか旅費というか、そういうものが要るわけでございます。月額三千円を基準にして予算を組んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/57
-
058・麻生良方
○麻生委員 私の調査によりますと、東京都の指導員の場合の交通費の支給額は、実際に受け取っている額は、月額一律に千二百円でございます。その辺に若干食い違いがございますが、そのことはいいとしまして、千二百円にしても三千円にしても、一生懸命で都内の業者のうちを訪問して、やればやるほど本人の赤字がふえるということになる。その赤字は全部本人負担になっておるというのが実情でございます。
私は長官に実情を知っていただきたいので申し上げるのでありますが、時間外についてもそうであります。特に中小企業者の相談は時間外が多いのでございます。昼間はみな働いております。したがって昼間相談に参りましても、お客さんが入れかわり立ちかわり買いにくるということで、とても十分に指導をすることができない。勢い夜分にお伺いをして指導するということになる。その夜分にお伺いすることは時間外になります。この時間外の勤務手当というものをどの程度までお認めでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/58
-
059・中野正一
○中野政府委員 予算上は時間外の手当というものは見ておりません。ただ実際には、いま御指摘がありましたようなケースもございますので、商工会議所あるいは商工会等で、自己負担で幾分見ておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/59
-
060・麻生良方
○麻生委員 そうしますと、東商の場合は十三時間まで認められておるということですが、これは東商の一存で認めておるということになりますね。十三時間と言いますと、これは問題にならない時間外です。逆に言いますと、それ以上は幾らやってもお前の負担だよということです。そうしますと、このような時間外手当の現実、交通費支給の現実、給与体系の現実、あらゆる面から見て、こういうような扱いが——一体政府がお考えになる中小企業に対して情熱的な立場でこの改善をするということと、このような一番末端において業者と接触をする一番大事な指導員の扱いとの間にかなり根本的な食い違いがあります。私はこれ以上御追及申し上げませんけれども、どうかひとつ通産省においても中小企業庁においても——問題は予算を取ったとか、それから法律がどう改正されたかにあるのではないのです。実際に仕事をするのは人であります。この人をどうやって使い、彼がどうやって情熱を持って働くかという条件を与えずして、上のほうだけで、涙金の助成をしたとか法律を改正したということだけではほんとうの行政にならぬということをぜひ御認識をいただいて、この点についてはひとつ大至急に通産、中小企業庁両方で大蔵省に折衝をするなりして、特に東商に厳重に申し入れをして改善をしていただきたいということを付言して、この点に関する質問は終わらせていただきます。
もう十分あるようでありますから、もう一つ引き続いて質問させていただきます。この問題は、すでに前々国会においてですか取り上げられておるようでありまして、重複をいたすのでありますが、最近特に目に余る事実が出ております。それはデパート営業と卸商との不当な取引関係についてであります。その実例を申し上げますと、これは中小企業庁長官にお尋ねしたいのですが、デパートが大売り出しというものをやりましょう。バーゲンセールとか大たなざらえとか……。あれは一般の消費者の立場からは、デパートが持っている手持ち品をこの際うんと安くして売るんだというふうに思います。しかし実情はそうではございませんね。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/60
-
061・中野正一
○中野政府委員 実情をよく調査してからでないと正確なことは申し上げかねますが、私どもが聞いておるのでは、デパートの手持ちの、たとえばこの間の暖冬異変で冬もの等がいろいろ余ったということで、それを処理するというようなこともあるでしょうし、また実際には卸から品物を納めさせてそれをデパートで売る、こういうような形をとっておるケースもあるのじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/61
-
062・麻生良方
○麻生委員 私の調べたところによりますと、大部分の品物はデパート側が買い取った品物を売っているのではなくて、むしろそのことのために卸商に対して、バーゲンセールをやるから今期間の納入はこれだけ値引きせよという不当な要求をしている事実がかなりあるやに見受けております。この点については特にひとつ御調査をお願い申し上げたいと思うのです。
それからもう一つ、これは名前は申し上げませんが、最近の事実でございます。都内の某デパートで、ある売り場で数人の女子職員を雇ったのです。デパートが雇ったのです。ところが、デパートが雇っておきながら、その人件費をその売り場に関係のある卸商に割り当てて受け持たせたという事実が出かかっております。こういうような事実がやはりわれわれの目に届かないところで行なわれております。こういうような関係について、長官の御見解としてはいかがでございましょう。もしそういう事実があったとすれば…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/62
-
063・中野正一
○中野政府委員 その事実につきましてはさらに調査をいたしたいと思いますが、実は百貨店法の施行といいますか監督につきましては、これは役所の中の話でございますが、中小企業庁でなくて企業局というのがまた別にありまして、そこで専門にやっておりますので、そちらのほうに私のほうから伝えましてよく実情を調査させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/63
-
064・麻生良方
○麻生委員 それに端を発しまして、もう一つ御調査をお願いしたい。これは質問というか御調査でございますけれども、最近都内の某デパートにおきまして、つまり派遣店員をもって全店員数の約半数近いものを埋めているというようなことを耳にいたしております。これはもし必要がありましたら私のほうからあとで、この席上ではなくて資料を差し上げたいと思う。あるデパートでは一割に満たない派遣店員で行なっておるところもある。特に派遣店員の場合は、その卸商の品物の扱いに特別な技術を要するとき、あるいはその品物を特に宣伝しなければならないという卸商からの要請があったとき、そういうようなときにはこれを派遣店員として認めることになりますが、そうではなくて、派遣店員の名目のもとに、デパート側が当然行なわなければならない業務に従事をさしておるというような結果になってくるわけでありまして、こういう点についてはなかなか表向きに出てまいりません。卸商が公取その他にこれを持ち出せばよろしいのでありますけれども、いまのような大企業と卸商との関係上からどうしても表に出せない。したがってこれは当然政府のほうで御調査願って、かかる事実があれば厳重にひとつ勧告をして、行政上あやまちなきを期していただきたいと思うわけでありまして、その点についてひとつ後刻委員会にその調査の御報告をお願い申し上げたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。お願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/64
-
065・中野正一
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、通産省の企業局のほうで担当しておりますので、いま先生御指摘の点をよく伝えまして、調査をさせまして、関係の責任者から報告させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/65
-
066・麻生良方
○麻生委員 ありがとうございました。あと三分ございますので、もう一点だけお伺いさせていただきたいと思います。
最近、設備近代化に伴いまして新しい機械を導入するメーカーが多くなってきております。当然それに伴って古い機械の処分問題が起こってまいります。この古い機械の処分問題に関連をいたしまして、最近の一つの傾向として、つまり親企業が要らなくなった古い機械を、下請企業へ支払う代金の一部としてこの機械を押しつけるような傾向が少し出てきております。ところが下請企業のほうでは、これを断わりきれないということで、その機械を買わされているような事実があります。これは事実でございますけれども、しかしいずれにしてもこの近代化に伴って新しい機械を導入した場合、古い機械の処分問題というものはきわめて当事者にとっては重要な問題であります。こういう点について、特に通産当局でこの問題に対しての御見解がおありになったらお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/66
-
067・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘ありましたように、大企業が自分のところで相当使って古くなった機械が、設備を新しくするために不要になるというようなことで、それを関係の中小企業者に売るというような事例があるように聞いております。またそれが一がいに全部悪いかというと、かえってそれを使いなれておるし、能率も中小企業にとっては非常にいいとか、あるいは維持補修も行き届いておる、安くも入れられるというようなこともあると思います。ただ、いま御指摘ありましたように、下請の代金のかわりにこれを押しつけるというか強制的に引き取らせるということになると、これは下請代金支払遅延防止法の遵守事項に違反するということになりますので、そういうことのないように、ひとつ厳重に取り締まりをやらなければいかぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/67
-
068・麻生良方
○麻生委員 通産省ではこの問題を取り上げまして、一昨々年にこの老朽機械を処分する別途会社を政府資金をもってつくって、そしてそういう老朽機械を全部買い取って処分をしていくというような考え方に基づいた案を作成したやに聞き及んでおります。しかしそれが結局日の目を見ずして終わっておるようでございますが、政務次官、その点についてはいま通産当局としてはどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/68
-
069・田中榮一
○田中(榮)政府委員 この老朽機械の買い取り機関の計画につきましては、通産省としては、過去の私の知っている範囲におきましては、そういう設置案を考え方として持ち上げたというようなことは事実ないようでございます。ただ、こういう問題につきましては、お説の点も事実あるかと存じておりまするし、また事実問題として押しつけるというのでなくて、いわゆる系列、下請工業のほうで親工業の持っている機械で不要になったものはぜひ譲り受けたいというような向きもあるやに聞いておりますので、こういう点につきましては、もう少しどういう方向にしたらいいかということは、ひとつ政府としても十分検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/69
-
070・麻生良方
○麻生委員 通産政務次官、これは重工業局長にお聞きになればおわかりと思うのですけれども、これを立案しまして大蔵省当局と予算折衝をした結果、大蔵省当局の承認を得られないでだめになっている事実があるのであります。これは答弁はけっこうでございますから、ひとつあとで重工業局長からお伺いをしていただいて、できるならこの種の案件をもう一度通産省としてもお考えをいただくようにお願い申し上げたい。
以上をもちまして、私、他に用意していることもございますが、本日は質問者がもう一人おられるようでありますから、打ち切らしていただきたいと思います。
最後に重ねて御要望申し上げておきたいのは、一つの法律ができる——ここで審議することは、その法律の内部にわたる問題も重要でございましょう。しかし一つの法律ができれば、それによって改善をされる面と、その法律によって従来の権益あるいは権限あるいは営業権あるいは生存権等を失うものが出てくるという事実を私はきょうおしなべて申し上げたのであります。法律をつくる立場にある政府当局としては、その法律ができたことによって国民が受ける損害に対しては、最小限度にこれを食いとめていくという措置をやはり並行して考えてまいりませんと、きょう御質問申し上げたようなしわ寄せが、結局は低所得階層、一般国民に及んでいくという実例として私申し上げました。どうぞひとつそういう趣旨でお聞き取りを願いまして、先ほど来申し上げた点についての改善策をお考えになるようにお願いを申し上げまして、私の質問はこれをもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/70
-
071・二階堂進
○二階堂委員長 大村邦夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/71
-
072・大村邦夫
○大村委員 私は、中小企業の近代化対策、さらには金融について若干お尋ねしたいと思います。前の質問者と同じように、私も初めての質問でありますし、違った分野で働いていましたから、あるいは珍問を発するかもしれませんが、御親切に御答弁をいただきたいと思います。
まず一つは、御承知のように政府は中小企業対策を、輸出振興、海運、農業と並んで三十九年度の重要施策の一つに取り上げられております。また池田総理も、特に革命的な振興構想を事務当局に要請されたようであります。そこで、私どもはかなりの期待を持っておったわけでありますが、いざふたをあけてみますと、実態は必ずしも革命的とはほど遠い感がいたします。そこでお尋ねをしてみたいのは、まず財政投融資についてでありますが、この三十九年度の財政投融資の使途別分類を検討してみますと、生活環境整備あるいは厚生施設あるいは文教施設、農林漁業などに比べまして、格段の配意がしてあるとは考えられないのでありまして、この点はどうでございましょう。なお、数字的に私のほうで資料がありますので、説明をしろといえば説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/72
-
073・中野正一
○中野政府委員 中小企業向けの財政投融資でございまするが、これはいろいろな観点から御批判が出ておると思いますが、われわれといたしましては、特に昭和三十九年度は、いま御指摘もありましたように、いわゆる開放経済化に本格的に進んでいくという情勢でございまして、中小企業の近代化もそれこそ画期的にこの際手を打っていかなければならぬじゃないかということで、いろいろ予算あるいは財政投融資、税制等の面につきまして主張をしたつもりでございます。財政投融資につきましては、大体従来は財政投融資といいますのは、御承知のように金融関係でいいますと商工中金それから中小企業金融公庫、国民金融公庫、この政府関係三金融機関に対する財政投融資、こういうことになるわけでございますが、いままでの政府の考え方は、前の年に比べまして貸し付けの規模をどの程度ふやすかというときにいろいろ使われた数字が、大体過去の数字を見ますと、一五%、ことしと比べて来年の三機関の貸し出し規模をふやすというところが、大体例年の例になっているところだろうと思います。そこでわれわれとしては、そういうことでは困るじゃないか、いま言ったような新しい情勢に対処して、それこそ画期的な財政投融資も組まなければいかぬというときにその程度では困るということでいろいろ折衝をいたしました結果、国民金融公庫、中小企業金融公庫の両公庫につきましては、貸し付け規模を昭和三十九年度は三十八年度に比べまして二一%アップということで、財政投融資がきまったわけであります。それから商工中金につきましては、特に組合金融というようなことで非常に要望も強かった関係もございまして、これは約二四%アップ程度にこれをふやすということでございまして、特に商工中金につきましては、そのうち三十億円は財政融資でなくて投資、出資金を三十億とりまして、御承知と思いますが、長期のものにつきましては金利を約三厘、短期のものについては日歩五毛の利下げをする、融資の規模をふやすと同時に金利も下げるという手を打ってきたわけでありまして、いろいろ御批判はあるかと思いますが、例年のやり方に比べますと相当画期的な財政投融資の額が確保できたんではないか。これは財政投融資の全体の伸び率等から考えても、まあまあ——われわれとして非常に満足かといわれますと満足ではございませんが、相当努力のあとを認めていただけるんではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/73
-
074・大村邦夫
○大村委員 ただいまの御答弁によりますと、画期的とは言わないが、かなりということばで御答弁なされておりますが、私は、この財政投融資の使途別分類を見ますと、たとえば生活環境整備につきましては前年度の伸びと比較をして一二八・六%であります。それから厚生福祉施設関係を見ますと一二五・九%の伸びであります。さらに文教施設につきましては一三二・一%、中小企業と同じように本年度の政府の重点施策の一つになっております農林漁業関係につきましては、前年度との伸び率が一二九・六%、こういうように出ております。そうしますと、問題は、その伸び率というよりも中小企業の一たとえば財政投融資が使われますところの政府関係三金融機関につきまして、中小企業の需要が満たされるなら別でありますが、満たされていない。そういう中にあって、政府が本年度最も重点的に力を入れるというこの中小企業の財政投融資が一二五%で、他の部門と比較をして低いということは、どうしても私どもは納得ができないわけであります。そういう点、予算折衝等の面もあったでしょうが、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/74
-
075・中野正一
○中野政府委員 私、先ほどちょっと説明を落としたわけでありますが、一二一%というのは貸し付けの規模でございまして、財政投融資は三機関に対しまして千六百十七億でございまして、これは本年度に比べて来年度は約二六%アップ、したがっていま先生がおっしゃった数字で言うと一二六%ということになるわけでございます。ほかの部門と比べてどうだという御批判はあるかと思いますが、相当伸びておるというふうに見ていいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/75
-
076・大村邦夫
○大村委員 あまり追い打ちをかけて恐縮でありますが、私が申しました一二五%というのは前年度との比較の伸び率でありますが、しかしこの中小企業関係の伸び率を、三十七年度を基礎にし、三十八年度、九年度と推移を見てみますと、三十九年度の比較の対象になった三十八年度は、三十七年度に比べて中小企業関係は一一五・二%の伸びであります。そうして一方、中小企業関係のほかに、先ほどいろいろ申し上げました生活環境整備あるいは厚生福祉施設関係、文教施設関係、農林漁業関係等につきましては、比較の対象になった三十八年度は、前年度に比べてさらに伸び率がふえております。おわかりでしょうか。私の言わんとするのは、前年度と比較をしてその伸び率を見た場合に、他の部門と中小企業関係は、中小企業関係のほうが低い。しかも、その対象になった前年度の伸び率は、中小企業関係が格段に低い。こういう低いものを基礎にしてなおかつ低いということは、どう御答弁になっても、努力が足らぬというよりも、重点施策だとおっしゃる一方、必ずしもそうなっていないのじゃないか、そういう点で、われわれの数字が間違いなら御指摘いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/76
-
077・中野正一
○中野政府委員 中小企業の場合は、数字を比べる場合——私が先ほど申し上げましたのは、三十八年度の当初計画に比べて、来年度の計画は貸し付け規模で一二一%、商工中金については一二四%、それから財政投融資でいいますと一二六%、こういうことになるわけでありますが、実は中小企業につきましては、例年のことでございますが、年末資金それから年度末の資金等について、大体例年追加資金が行なわれまして、本年度につきましても、御承知かと思いますが、昨年の末に六百五十億、それからことしに入りまして二百二十億の資金追加をやっております。したがいまして、実績と申しますか、そういう途中で資金を追加したものに比べますと実は落ちる、こういうことになるわけでありますが、本年につきましても、これから先のことでございますので何とも申し上げられませんが、たとえば年末等につきましては、大体やはり中小企業等でいろいろ資金需要が逼迫することが起こりがちでありますので、その際には機動的に、弾力的に財投の追加ということを行なうようなことになっておるわけでございますから、そういう点もひとつ考慮に入れて数字を見ていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/77
-
078・大村邦夫
○大村委員 ただいまの御答弁によると、毎年の慣例として、追加的に財政投融資が導入されるということですが、しからば生活環境や厚生福祉、文教等についてはそういう関係がないかというと、数字は持っておりませんが、私はあると思います。そういう点についてはどうお考えですか。それと、中小企業関係について、毎年のように年末あるいは年度末に追加があるとすれば、本年度、三十九年度は大体どれくらいの腹組みを持っておりますか。それはそのときの事態に応じてという場当たりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/78
-
079・田中榮一
○田中(榮)政府委員 財政投融資の額が少ないではないかという御発言は、他の委員の皆さま方からも再三お話がございまして、その際当局としても、なるほど数字的にはあるいは足りないかも存じませんが、しかし、いろいろ国家財政の全体の関係もございますので、適当なところで一応話をつけまして、長官からも話がございましたように、中小企業関係の三金融機関につきましては二一%、それから商工組合中央金庫につきましては前年度よりも融資額を二四%増にいたしており、全体としては二七、八%まで伸びておりまして、この程度で一応進みまして、そしてまた中小企業関係につきましては、毎年の例によりまして、いろいろ景気、不景気あるいは経済状況によりまして環境が常に変化いたしておりまして、そういう際には適宜な方法によりまして、そのつど財政投融資を相当額を要求いたしまして、それによってその時期の困難な問題を解決し、また打開をしてまいっておる次第でございます。したがって、三十九年度におきまして、しからばどれだけの財政投融資を要求する腹がまえかということを御質問いただきましても、私のほうから、これだけだという数字を申し上げることは非常にむずかしいと思います。長官から話がございましたように、昨年末六百五十億と、さらに一月に二百二十億、合計八百七十億の財政投融資の追加をいたしております。そういう点から考えまして、われわれといたしましては、大体それ以下にならないように今後努力をいたしまして、必要によってひとつ財政投融資の要求をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/79
-
080・大村邦夫
○大村委員 いままでの委員会で、中小企業関係の金融、特に今日の中小企業が金融難で苦しんでおるということが、いろいろ数字をあげて申されております。私もくどくど申し上げませんけれども、御承知のように昨年末の日銀による預金準備率の引き上げ、あるいは今年一月早々の窓口規制の強化、さらに公定歩合引き上げも時間の問題だといわれておりますが、こういう引き締め方向にあって、市中銀行はかなりの金融引き締めを行なっております。常に中小企業はしわ寄せをされておるのは御承知のとおりでありますが、三十七年度末の全国銀行の中小企業向け比率は三〇%であったのが、三十八年度末には二五%へと減っておるということを聞いております。しかも今日、中小企業向けの金融の約四六%をまかなっておりますところの全国銀行の融資が、このようにだんだんと減少をしておる。あるいは、先ほどお話しになりましたところの政府の三機関——国民公庫、中小公庫、商手中金、これの資金量もあまりない。中小企業向けの金融全体の一〇%にも満たない。こういう実態の中で、しかも他の部門と財政投融資を比べた場合には、中小企業関係が非常に低い。こういうことを考えますと、できるだけとか漸次とか言われましても、私どもは納得のできないところであります。
一応この分はこれでおきまして、次に一般会計についての支出面を見てみますと、大蔵省、通産省、労働省、この三省を全部合わしての中小企業対策費が、御承知のように総額百六十五億六千五百万円であります。前年度に比べて四十七億の増でありますが、政府当局に言わすと、あるいは関係省に言わすと、常に比率を対照になりまして、前年度より約四〇%程度伸びておる、こういうことが終始いわれております。私は伸び率を比較するというよりも、むしろその内容が問題ではないかと思うのです。御承知のように全国で約三百五十万の事業所のうち、中小企業が三百四十九万あるといわれております。全産業の九九・八%を占めるこの膨大な企業を対象として、中小企業信用保険公庫のいわゆる補完制度を除いた中小企業対策費は百二十億でありますが、この百二十億で全産業の九九・八%を占める中小企業を近代化し、あるいは育成するということは非常に困難ではないかと思います。これを農業に比較してみますと、農業の就業人口は約一千三百万人でありますが、これに食管繰り入れを除いた一般予算の計上は二千三百三十四億であります。一方中小企業の就業者は千七百二十万、これと比較した場合に、格段の相違があると私は思います。そういう点について、単に伸び率でなしに内容的に見てどうかという点について御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/80
-
081・田中榮一
○田中(榮)政府委員 農林水産漁業の持つところの予算総額二千三百億に比較いたしまして、通産省関係の予算というものはようやく五百億円の大台に乗っかったわけでございまして、大体四分の一程度でございます。そういう点から申しますと、通産省の予算というものは非常に少額ではないか、これによって中小企業の対策なんかができるだろうかという御質問がしばしばあるのでありまして、数字的に申しますればまさに農林予算の四分の一であるかもしれませんが、しかし内容につきまして、先般大臣からもお話し申し上げましたし、また私からも長官からもるるお話し申し上げましたごとくに、ただ金額だけではなく、そのほか通産省の中小企業対策としましていろいろ打つべき手を、中小企業基本法の精神に沿いまして、その中小企業基本法の求める政策を逐次実現に移しておるわけでございます。したがいまして、金額的には非常に少ないのでございますが、われわれとしましては、ただ金額だけではなくして、そういう方面の政策に十分重点を置きまして、今後中小企業育成のために最善の努力をしていきたいと考えておる次第でございます。もとより私どもは、この数字をもって絶対に満足はいたしておりません。中小企業のために、また全産業のために、通産省の予算の獲得のためには今後も十分努力はしていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/81
-
082・大村邦夫
○大村委員 いつも次官の御答弁は政治的な御答弁で、私どもは面くらうわけですが、絶対に満足していないと言うけれども、私どもに言わしたら絶対に不満であります。政府は三十八年度の中小企業に関する年次報告を出しておられますが、その中で「企業規模別格差とその推移」、この項で「中小企業の大企業に対する付加価値生産性格差は、三十七年においては前年に比べ縮少をみせたが、まだ従前の拡大傾向から縮少傾向に転じたとは判断しがたく、かつ、その開きは依然として大きい。」こういうように開きの大きさを認めておられます。あるいはまた、「三十七年は不況の影響で停滞したが、それまでの傾向としてはなだらかな発展を示している。しかし、大企業との成長率の開きは拡大し、中小企業分野への大企業の進出がみられるとともに、」云々とありますが、このように終始一貫して今日大企業と中小企業との格差がだんだん開き、池田総理をして、所得倍増のアフターケアとしてこれらの抜本的な施策を講じなければならないと言わしめておる。その中で、いま私が指摘したような面から考え、ただ単にこれから逐次とか漸次ということでは抜本的になりませんので、この点については大きな不満を持っておるわけであります。これをさらに追及してもお互いに押し問答になると思いますので、大いに不満を感ずるということをまず申し上げておきます。
さらに今度の一般予算の内容を見てみますと、中小企業信用保険公庫の出資十五億の増、この補完制度の問題を除きますと、高度化資金と設備近代化資金とでほとんど占められております。その中で、高度化資金は約二十億の増が計上されておりますが、今日、中小企業の共同化や集団化が非常に活発になっておりますが、二十億程度で一体これがまかなえられるかどうか、またこういう質問をすると、満足じゃありませんがかなりのところまでいっております、こういうことになると思いますけれども、もう少し需要なり、それと比較しての御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/82
-
083・中野正一
○中野政府委員 高度化資金につきましては、いま御指摘がありましたように、総額で申しまして四十三億八千六百万円で、これは前年度に比べまして九一%増ということでございまして、われわれも予算編成に際しましては、特に中小企業の近代化の中で、この高度化資金の拡充、これはいわゆる中小企業者の集団化あるいは協業化というものを促進するための制度でございますので、これに特に力点を置いた次第であります。
中身を申し上げますと、まず第一が工場の集団化資金でございまして、これは中小企業者が企業規模の拡大、相互の有機的連係を強化するための団地化を積極的に推進しようということでありまして、これにつきましては、来年度は新しく二十七団地を考えております。これは大体三カ年計画でやることになっておりまして、各府県を通じまして実際に需要をいろいろとりまして、やはり相当計画の確実なものを取り上げるということでなければなりませんので、いろいろ調査いたしました結果、新しく二十七団地を取り上げればほぼ需要はまかなえるのではないか。これは本年度は二十五団地をやったわけでございます。したがいまして、これは継続が四十五団地でございますので、全部で、従来の四十五団地に新しく二十七団地が加わるということになるわけであります。あわせまして、土地の償還期限が従来は三年でありましたが、これも三年で償還するのはあまりにも短過ぎるのではないかという中小企業者の非常に切なる声がございましたので、これは五年に延長いたしたわけであります。
それからその次に、商業の集団化資金でありますが、これは市街の中心地にあるために交通難というようなことで流通段階の十分なる機能を果たすことができなくなるというようなケースが特に卸商について見られますので、これを郊外地へ集団的移転をさせるということで四億四千万円、これは本年度一億円でございましたので、一挙に約四倍に上げるということで、これも大体各府県からの需要というものをいろいろ調査いたしまして、ことしは五団地でございますが、新しく七団地を考えておるわけであります。大体ほぼこれで需要は満たせるのではないかと考えております。
それから第三番目の共同施設の資金は、従来からございます中小企業者が、その自主的な組織である協同組合等を通じまして事業の共同化、相互扶助の強化ということをやる場合の、たとえば共同加工施設、試験研究施設、福利厚生施設等の共同施設でありまして、これに対しましては、本年は五億でありますが、これを一挙に倍の十億にふやす、これは特に消費者物価対策、商業対策等を加味いたしまして十億を計上いたしまして、特にその半分の約五億を商業関係に回したいというふうに考えておるわけであります。これも大体各府県の需要からいいますと、これは私の見るところでは十分過ぎるくらいではないかというふうに考えております。
それからその次は企業合同資金でありまして、これは中小企業近代化促進法の指定業種に属する中小企業者の合併、共同出資等で主務大臣の承認を得たものに対しまして貸し付けるということで、これはケースもそう多くないかと思いまして、一億五千万円の予算を計上しております。
その次が、小売り商業の店舗共同化の金でございまして、七億五千万円を確保してございます。これは本年度が一億四千万円でございます。これは御承知のような最近の流通、販売機構の変革等に対処いたしまして、小売り商業の近代化をはかるために、本年度から小売り商業者の協業化によりますスーパーマーケットあるいは寄り合い百貨店というようなものを助成いたしまして、小売り商業の体質改善をはかることにしておるわけでありますが、本年は一億四千万円で件数は三十七件取り上げておりますが、来年度はこれを一挙に百五十件にふやして、予算もいま申し上げましたように約五倍半の予算を獲得しておるわけであります。
その次に、商店街の造成資金であります。これは高度化資金としては新しい項目でございまして、商店街というものが各市町村におきます商業活動の中核体である、そこで商店街ぐるみの店舗改造、近代化をはかりまして魅力のあるショッピングセンターをつくろうという動きが各地方にございますので、これに対応いたしまして、新しくいま申し上げましたように高度化資金の中に商店街造成資金というものを二億五千万円加えまして、三カ年計画でこれもやりたいと思いますが、初年度大体五カ所を助成対象にしたいというのがその高度化資金の中身でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/83
-
084・大村邦夫
○大村委員 ただいまの御答弁を聞いておりますと、まことにけっこうずくめのような気がするのですが、一つお尋ねします。
この高度化資金は、中小企業近代化資金助成法を受けてきめられておると思うのですが、それを見ますと、大きく分けて一から四、さらにそれがいろいろ細別されております。たとえば事業協同組合の施設あるいは商工組合の施設あるいはいま申されました商店街振興組合の施設あるいは環境衛生同業組合の施設、企業組合の施設、こういうようにいろいろ載せられております。この細別されたものを受けてこういうように大きく区分してあると思うのです。しかしいずれにしても、この資金助成法に基づいて個々に予算が累積をされ、それがこういうように大別をされておると思うのですが、その点についてもう少し詳しく、この細別をされた項目は、一体この四つに分けられた項目のどこどこに入るのか、それをひとつ御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/84
-
085・中野正一
○中野政府委員 中小企業近代化資金助成法というふうに昨年の国会で改正になったわけでありますが、その際にいま申し上げました高度化資金というものが入ったわけでございます。それでいま御指摘のありましたのは第三条じゃないかと思います。第三条に、国は、中小企業者の事業の共同化、工場及び店舗の集団化その他中小企業構造の高度化に資するため、都道府県が次に掲げるような資金の貸し付け事業を行なうときに、都道府県に対して予算の範囲内において資金を貸し付ける、こういうことになっておるわけでありまして、その一が先ほど申し上げました協同組合あるいは協同組合連合会、二が商工組合、それから三が商店街振興組合、その次が環境衛生同業組合、その次が企業組合、こういう各組合の共同施設に対して国が金を貸すということで、予算でいいますと、先ほど私が三番目に申し上げました共同施設の資金、本年が五億円、来年が十億円でございますが、いわゆる協同組合の共同加工施設であるとか福利厚生施設とかあるいは検査施設とか、そういうふうな共同施設に無利子で金を貸すというのが、いま申し上げました第三条の一、二でございます。
その次の第三号でございますが、中小企業近代化促進法の指定業種で合併とか共同出資で会社をつくったものに金を貸すというのが第三号でございまして、これが先ほど私が、ケースはあまり多くないんじゃないかというので、第四番目に申し上げました企業合同資金の一億五千万円でございます。
その次が三の二でございますが、事業協同組合もしくは事業協同小組合が云々というのがございまして、これは要するに、中小の商業者が共同してスーパーマーケットをつくる、あるいは寄り合い百貨店をつくる、これは会社でもよろしいし組合でもよろしいわけでありますが、そういう店舗の共同化の計画をつくっていろんな施設をやろうという場合に、その内容が政令で定める基準に該当して、中小企業近代化に著しく寄与するものと認める場合には金を貸しますというのがこれでございます。最後から二番目に申し上げました、小売り商業店舗共同化資金七億五千万円、本年度が三十七件に対しまして来年度が百五十件貸し付けを取り上げたいと申し上げたのがこれでございます。
その次の第四号は、事業協同組合もしくは事業協同小組合の組合員または所属員が、その経営の合理化をはかるために工場等の集団化計画あるいは店舗の集団化計画——店舗という場合は卸商のほうでございますが、卸商なり工業者、製造業を営んでおるものが集団して移転をする、こういう場合に、やはり中小企業の近代化に非常に寄与するというときには、その資金を無利子で貸します、この場合には、特にイ、ロとありますように、たとえば事業協同組合がその組合員または所属員たる中小企業者の事業の用に供するために土地を取得する、土地を造成するという土地の造成資金、土地の取得資金にも金を貸すということで、従来土地の取得について国が無利子の金を貸すというようなことは全然例がないわけでありますが、これを新しく昨年から始めたわけであります。土地だけでなくて、あるいは建物をつくるというような場合にもその金を貸すということで、これが先ほど予算のほうで一番最初に言いました工場の集団化資金で、来年度は十七億九千六百万円でございます。それから商業の卸商の集団化資金が四億四千万円、最初に二つ申し上げました工場の集団化資金と商業の集団化資金がこの第四号に該当するわけでございます。それがこの中身でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/85
-
086・大村邦夫
○大村委員 少し回り道をしましたが、いま細別的にいろいろ申されましたが、その項目についてそれぞれ予算を計上して、それが集約になったと思うのですが、ここに掲げられておるのは四つの項目でありまして、たとえば事業協同組合、あるいは商工組合、あるいは商工組合連合会さらには商店街振興組合、あるいは環境衛生同業組合、こういうものが共同施設資金の中に含まれておる、こういうことでした。そこでお尋ねしたいのは、こういうように幾つかを合わして共同施設資金ということにしますと、一つのものに片寄らないかということです。やはり中小企業の育成をはかるためには、これらの項目を普遍的に実施をしていかないと、一つのものに片寄って、だんごになっておるんです。たとえば事業協同組合をつくろうというので、そのほうの申し込みが多い。環境衛生のほうは少ない。しかし実際には環境衛生の同業組合等については指導して、もう少しつくらさなければならない、こういう要請があっても、それがなかなかやれないというように、資金が片寄らないかということをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/86
-
087・中野正一
○中野政府委員 いまの御指摘の点は、協同組合、企業組合あるいは商工組合、環境衛生組合等々がございますので、全体として十億の金を予算がとってあるわけでございますので、一つの項目なり二つの項目に片寄らないように、運用面で十分気をつけていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/87
-
088・大村邦夫
○大村委員 十分気をつけてと言われればそれまでですが、その中身についてお聞きをしたいのですが、控えます。
そこでさらにお尋ねをしたいのは、御承知のように地価が上がり、物価がだんだんと上がってまいりました。そこでこの高度化資金の基準についてもかなり考えなければならない面が出ておると思うのです。私の聞くところでは、政府の基準が非常に低い。そのために自己負担がふえて、先ほど需要はどうかと言ったら、まあまあ大体のところ、こういうことですが、潜在がかなりある。希望しても、なかなかそれが申し込みとなってあらわれない、つまり自己負担が多いからということになると思うのです。そこでその基準についてですが、工場等の集団化資金の土地等について、坪当たり幾らになっておりますか。あるいはさらに商業団地の資金ですね、これも坪当たり幾らになっておるのですか。政府の基準です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/88
-
089・中野正一
○中野政府委員 いまちょっと担当の課長が来ておりませんので、詳細のことは私ども承知しておりませんので、後刻さっそく調べまして報告したいと思います。
基準がやや低過ぎるんじゃないかというような声は、われわれとしても聞いております。今度の予算の編成の際にもいろいろの点で相当改善はしたつもりでおりますが、なおそういう点につきましては御要望をよく聞きまして、十分検討を続けていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/89
-
090・大村邦夫
○大村委員 詳細はあとにしましても、私の調べたのでは、工場等集団化資金の土地ですね。これは造成費を含んで坪当たり二千五百円、それから商業団地資金は坪当たり三千五百円、これはいずれも造成費を含むのですが、こういうことで一体やれるのかどうか。御承知のように政府は固定資産の再評価をされましたが、これとの関係においてひとつお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/90
-
091・中野正一
○中野政府委員 大体の数字を申し上げますと、工場の集団化につきましては、坪当たり造成費を含んで二千五百円、それから商店街のほうは造成費を含んで三千五百円というふうに見ております。これは要するに予算獲得のいろいろのあれに問題もあるのですが、実際政府で全部見るということになると、いろいろこれは議論もあるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、土地について相当助成をするというようなことは相当画期的な施策ではないか、これは私のときやったのではなく、去年始まったのですが、そういうように私も感じております。そういうようなこともあって、貸し付け対象の面積等につきましてもやはり一定の基準をつくって、その基準にはまる分だけ補助対象にするというようなやり方をしておるために、実際の団地の計画と合わぬじゃないか、したがって、その分だけ自己負担がふえるじゃないかというような御指摘は、御指摘のとおりだと思いますが、こういうものは特別な助成措置でございますので、そういう一定の基準をつくってやっておるわけであります。これが実際に非常にこれじゃぐあいが悪いということになれば、基準そのものを変えなければいかぬということになるのですが、いまこの基準をきめて、予算を獲得して——もちろんまだ予算は通っておるわけじゃありませんが、今後の問題として考えていきたい。先ほど申しましたように、たとえば土地を三年間で返せというのは相当酷じゃないかというふうな話もずいぶん私ども聞きましたので、この点についてはほかの、建物等と同じように、五ヵ年の返済ということに変更いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/91
-
092・大村邦夫
○大村委員 ただいまの御答弁では、土地の造成までやるんだからかなり思い切った施策だということですが、私は政府がきめた基準から聞きたいのです。土地の購入については二分の一を貸し付けるということなんでしょう。政府が二分の一の半分、府県がその半分ということでしょうが、その二分の一というのは何かの基準がなければならぬ。それはただ基準がきめてあればいいというものでなしに、実態に合う基準でなければならぬと思う。それが二千五百円というのは、どう考えてみても、低ければということでなしに、現実に低い。工場集団化をやったり、あるいは商店街の共同施設をやったりする場合に、いなかの離れたところにそういうものをつくるかといいますと、私はそうじゃないと思う。やはり交通の便のいいところ、あるいは都心にやや近いところにそういうような集団化がはかられると思う。今日、二千五百円で土地がそんなに入りますか。それと、重ねて言いますが、固定資産の再評価を政府は実施されました。これは一体農地あるいは宅地が全国平均どのくらいになるか、そこら辺との関連を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/92
-
093・中野正一
○中野政府委員 ただいまの御指摘の再評価というか、固定資産税のとり方を変えるという、自治省のほうで、そういうことに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/93
-
094・大村邦夫
○大村委員 評価ですよ。資産税は別です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/94
-
095・中野正一
○中野政府委員 固定資産の再評価ですね。間違いました。これはどういうようにやるかということは、まだ決定しておらないようでありますが、実際には……(「ことしの一月からやっておる」と呼ぶ者あり)ちょっとその点は詳細に承知しておりませんが、業者のほうの税の負担がそのためにふえないようにするということを、通産省から自治省のほうに申し入ればいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/95
-
096・大村邦夫
○大村委員 ただいまの答弁は、私は答弁にならないと思うのです。
重ねてお尋ねしますが、坪当たり二千五百円くらいで土地が買えるかどうかですよ。私は、山口県の防府、しかもそのいなかですけれども、二千五百円なんていう土地はないです。そんなのがあるのなら、ひとつお世話していただきたいと思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/96
-
097・田中榮一
○田中(榮)政府委員 私から御答弁いたしますが、一応予算要求の一つの基礎数字としまして二千五百円という数字を限度として持ち出しておるわけでございまして、政府側が二千五百円で土地が獲得できるというような考えでやっておるのではないのでありまして、これは予算を要求する一つの基礎資料、基礎数字としまして一応二千五百円というものをやっておるわけでございます。現実に二千五百円で土地が獲得できるかということになりますと、おそらく土地の状況によってはできないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/97
-
098・大村邦夫
○大村委員 そうするとこういう方法をやってもいいのですか。工場の集団化をやりたい。それで土地が一千坪必要だが、千五百坪ぐらい要求すればこれは買えるかもしれない、そういうときに政府は目をつぶらぬでしょう。やはりこの土地は坪当たり二千五百円だ、こういうことで、その半分を貸し付けるということでしょう。その点は問題ないですか。問題が私はあると思います。そこでどう答弁されても、これは二千五百円なんてないですよ。政府として必要なら改正するというようなことを言われましたが、改正されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/98
-
099・田中榮一
○田中(榮)政府委員 現実に土地の価格が非常に騰貴する傾向にあることは事実でございますので、実際に合わない面につきましては、当然通産省としても予算要求の際には、この点を十分考慮して今後要求していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/99
-
100・大村邦夫
○大村委員 いずれにせよ二千五百円なんていう土地はどこをさがしてもありません。一方で幾ら高度化資金をふやしても、その内容がこういうような辛いものでは、実際に借りようとしても借りられない。中小企業は今日御承知のように金融難で苦しんでおるのです。そういう実態の中で、こういう基準がいまもってつくられておるということについては、政府当局としても早急に御検討願いたいと思います。
次に、金融面についてお尋ねをしたいと思うのですけれども、内容が非常に複雑で長くなりますので、次の機会に譲りまして、きょうはこれでやめます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/100
-
101・二階堂進
○二階堂委員長 理事の辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。
理事中村幸八君より理事辞任の申し出がありますので、これを許可することにし、その補欠選任につきましては、委員長において指名するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/101
-
102・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
委員長は、理事に中川俊思君を指名いたします。
次会は、来たる十日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01719640306/102
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。