1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十日(火曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
遠藤 三郎君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 岡崎 英城君
海部 俊樹君 田中 龍夫君
田中 六助君 中村 幸八君
野見山清造君 長谷川四郎君
村上 勇君 山手 滿男君
大村 邦夫君 加賀田 進君
桜井 茂尚君 島口重次郎君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
麻生 良方君 加藤 進君
出席政府委員
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 柏木 雄介君
大蔵事務官
(主税局税制第
一課長) 山下 元利君
大蔵事務官
(国税庁徴収部
長) 小熊 清君
通商産業事務官
(中小企業庁計
画部長) 井上 亮君
専 門 員 渡邊 一俊君
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三月六日
中小企業者の事業分野の確保に関する法律案(
松平忠久君外二十八名提出、衆法第二四号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(松平忠久君外二十八名提出、衆法第
二五号)
同月九日
中小企業組織法案(松平忠久君外二十八名提出、
衆法第二六号)
同月七日
印刷業を中小企業近代化促進法に基づく業種指定
に関する請願(田中武夫君紹介)(第一〇八六
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七二号)
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七三号)
中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七四号)
中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出第七五号)
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫
法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七
号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上六法案を議題とし、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/1
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002・中村重光
○中村(重)委員 政策的な問題は大臣出席の際に質問いたすことにいたしますが、御承知のとおりに中小企業が倒産の一途をたどっておる、きわめて深刻な状態にいまあるわけでございます。これに対しましては、政府の見解も統一した見解でありませんでしょうが、大体見通しは立っていることと思います。先般の委員会におきましても、中小企業庁長官からいろいろその原因について御説明があったわけであります。しかし、いずれにいたしましても、中小企業がこのように倒産が激増の一途をたどるということは、何としてもこれは回避していかなければならない、このように考えるわけであります。政府といたしましては、年度末の対策として先般財投から五十億、自己資金から七十億、買いオペで百億、合わせて二百二十億の措置をいたしておるようであります。ところが、三月危機は何とか回避するとしても、四月、五月期は乗り切れないのではないか、そういった不安感も非常に強いようであります。これらの点に対しまして、見通しはどのようになっておるか、その点に対して政務次官なり中小企業庁長官のお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/2
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003・中野正一
○中野政府委員 いま中村先生から御指摘がありましたように、確かに最近における中小企業の倒産の状況あるいは不渡り手形の発生の状況等を見ますと、非常にわれわれも憂慮にたえない事態になっているんじゃないかというふうに考えております。もちろん原因についてはいろいろごさいますが、いずれにいたしましても、やはり中小企業の弱点というか、弱いところが最近の金融引き締め等の情勢下にこれが露呈をされてきたと見ていいんじゃないかというふうに見ているのです。それだけに対策も、短期の対策と長期の対策とあわせて講じていかなければならぬというふうに感じておる次第でございます。いま御指摘がありましたように、いわゆる三月危機という問題につきましては、政府といたしましても、金融的の面につきましては政府関係三機関に対する資金の追加、あるいは財政資金による一般市中銀行に対する買いオペの実施というような手をいろいろ打っております。また、これも御承知と思いますが、大蔵省から特に銀行局長通達を一般の金融機関に出してもらいまして、特にこの倒産の連鎖反応によりまして健全な企業が倒産に追い込まれないように善処してもらいたいということを言っております。また、中小企業向け金融の貸け出し比率が低下しないように、あるいは下請に対して特に手形サイトを延ばすことがないように金融の際にこれを気をつけようというような、いろいろこまかい配慮もやっていただいているわけでありまして、何とか切り抜けられるのではないかというふうに考えております。ただ、御承知のように最近の国際収支の情勢等から見ますと、今度の金融引き締めの基調というものは相当長期にわたって実施をしないとなかなか効果が出てこないのではないかというふうに、日銀総裁あたりはどちらかというとそういう見方をしておられるわけであります。政府におきましても、今度企画庁で出しました経済見通しというものは、大体いま私が申し上げたような基調に立って政策をやろうとしているわけでありますから、それだけに中小企業の置かれている立場というものがなかなか苦しくなってくる。
ここでもう一つ大事な問題は、四月からいわゆる開放経済に本格的に突入する、こういう情勢にあるわけであります。世界経済の荒波の中でわが国の中小企業はこれをやっていかなければならぬ、こういう情勢に置かれているわけであります。もちろん自由化の影響等については、通産大臣も再々予算委員会で言っておられますように、いろいろこまかい配慮をいたしております。また対外的にも、その点はいままでにおきましても政府としても十分説明をしてきて、特に日本の中小企業が非常にウエートが高くて、人数も多い、しかもまだまだ非常にひよわい形に放置されておる、過当競争をやっておる、こういう情勢を対外的にもよく説明をいたしております。したがいまして、自由化の波によりまして一挙に中小企業が押し流されるというふうなことは万万ないと思いますが、その影響が徐々に出てくるのじゃないか。
それからもう一つは、これはこの間出しましたいわゆる中小企業白書にも詳細に述べておりますが、中小企業がいままで成り立ってきました豊富低廉な労働力というものが根本的に構造的な変化を遂げたことは御承知のとおりでございます。最近われわれのほうでいろいろな調査をしたものを見ましても、人件費というものが中小企業においても相当上がってきております。そのわりに売り上げの伸びがあまりよくない。もう一つは、人手不足に対応して、どうしても設備近代化というものを政府が命令——命令というと悪いのですが、指導なり号令をかけるからやるというようななまやさしい時代ではなくて、中小企業者みずからが自分の身に火のついた問題としてこの問題と取っ組んできておる。その関係でやむにやまれず設備投資、設備の更新ということに追い込まれておるのじゃないか。それによりまして資金がどうしても寝るというか、焦げつくというか、売り上げのほうが順調に参らないと、そこにいわゆる機械化貧乏ということを世間でいっておりますが、そういう事態も一部には起こっておるのじゃないか。むずかしい情勢ばかり私申し上げたのでありますが、真相はそうじゃないか。それだけに政府としても、これからの中小企業対策というものは、いままでの中小企業対策と変わった観点から真剣に取り組んでいかなければいかぬのじゃないか。
それからもう一つ、先ほど申し上げました金融上の問題につきましては、来年度の財政投融資については相当の額を確保したつもりではございますが、これを弾力的に、機動的に運用するというようなことで四月以降の事態に対処していかなければいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/3
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004・中村重光
○中村(重)委員 恒久対策に対してはあらためてお尋ねしたいと思うのです。緊急措置に一応しぼってお尋ねをするわけですが、二百二十億の緊急措置に対して、非常に金融難におちいっている中小企業の資金需要というものは大体どの程度あるか、まずその点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/4
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005・中野正一
○中野政府委員 いまの事態から見まして、中小企業の資金需要がどの程度あるかということを数字的に明らかにすることは、非常にむずかしい問題でございます。われわれが年度末の資金需要等をとりました際も、窓口の申し込みの状況、相談の状況等々を勘案いたしまして、全体として二百二十億、政府三機関について百二十億の資金追加で何とか切り抜けていけるのじゃないだろうかというふうに考えて手を打ったわけであります。そのときそのときの情勢におきまして適切な手を打っていくということが適当ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/5
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006・中村重光
○中村(重)委員 抽象的でなくて、二百二十億の緊急措置によって年度末の危機を切り抜けることができる、また四月、五月危機ということがいわれておるが、それに対応する措置を考えておるのか、二百二十億を緊急措置した根拠というものがなければならない。もう少し具体的にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/6
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007・中野正一
○中野政府委員 これは三機関につきましては、最近の申し込み状況、窓口における相談の状況等を一つ一つ参考にいたしました。それから数字的な根拠としては、昨年の同期に対してどの程度伸ばしたらいいかというようなことも、一つ重要な資料になるわけであります。
一応三機関、中小公庫、国民公庫、商工中金について申し上げますが、今度百二十億追加をいたしました結果といたしまして、中小公庫については、去年の一——三月に比へまして三八・九%のアップでございます。それから国民公庫については四八・三%のアップ、商工中金につきましては、実はわれわれの計画は純増、純減ということで、商工中金については六割程度短期資金がございますので、これは何度もころがっていくために、貸し出しベースの計算というものはなかなかむずかしいのですが、去年の一−三月が——一−三月につきましては年末に貸した金が返ってまいりますので、一−三月の三カ月間の総計としては、いつも純減になるわけです。貸し出し増でなくて貸し出し純減になるわけでありますが、去年が六十九億の純減でありましたのに対しまして、今度の改定計画で四十一億の純減、こういうことにいたしております。ただ、それでは非常におわかりにくいかと思いますので、試みに一−三月の商工中金の延べ貸しベースに直して——一つの試算でございますが、直して全体を見ますと、中小公庫、国民公庫、商工中金——商工中金はいま申し上げますように純増、純減ベースでなくて延べ貸しベースに直して、三機関の対前年同期比を試算いたしてみますと、現在の計画は約二七%アップ、これを百二十億追加して三四・一%アップになりましたので、一般の金融機関の貸し出し増加の情勢等とにらみ合わせてみると、三機関についてはこの程度あれば、大体一−三月は切り抜けられるのではないかという試算をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/7
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008・中村重光
○中村(重)委員 財投にいたしましても短期の措置であろうと思いますが、自己資金の七十億も、これは三十九年度に影響していくのではないかと思いますが、そこらあたりの見通しはどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/8
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009・中野正一
○中野政府委員 七十億の自己資金の追加でございますが、これは最近の自然的な回収増、それから商工中金につきましては、債券の売り上げの増加が、去年の終わりまでで約三十億以上ございましたので、そういう毛のを織り込んでやりましたので、来年度の計画には支障は来たさないと思います。実は七十億以上もうちょっと吐き出させる——吐き出させるというとことばが悪いのですが、努力をさせればというような試算もあったのでありますが、それはむしろ押えぎみにして、全部自己資金を吐き出して一文も余裕がないというようなことでは、来年に入ってからかえって計画が非常にかたいものになりますので、そういう関係もございまして、自己資金を一−三月追加したからといって、来年度の三機関の計画には支障はないようにしておるつもりでございます。今度の百二十億の一−三月の貸し出し資金計画の追加のうちで、御指摘がありましたように、七十億が自己資金で、五十億は財政投融資、財政投融資はちょっとこまかく申し上げますが、中小企業金融公庫が十億、国民金融公庫が二十五億、商工中金が十五億ということで、これには短期資金、いわゆる年末にやりましたような短期資金は含まれておりません。全部長期と準長期でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/9
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010・中村重光
○中村(重)委員 私がこのようにお尋ねをするのは、たとえば三十九年度の計画を見てみますと、財政投融資に対してそれぞれの措置があるわけですけれども、またその返す金というものがあるのです。そこに問題がある。ですから、緊急措置との関連において三十九年度に影響は起こらないかということが問題でありますから、お尋ねをしておるわけです。
それから百億の買いオペですが、これは中小企業のための金融措置であるということは間違いありませんけれども、その内容はどのようになっているのか。都市銀行、地方銀行、相互銀行あるいは信用金庫等にそれぞれ措置されたのだと思いますが、その点はどうなんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/10
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011・中野正一
○中野政府委員 百億の買いオペにつきましては、いまちょっと調べておりますのであとから申し上げますが、これは御承知と思いますが、中小企業向けに都市銀行あるいは相互銀行あるいは信用金庫、そういう機関が貸し付けをした実績に応じて買いオペをする、こういうことになっておりまして、実際には信用保証協会の保証つきで銀行なり信用金庫等、一般の市中金融機関が貸し出しをしたその実績に応じて出すという方法でもってチェックいたしておりますので、中小企業向けにいくことは間違いないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/11
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012・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、実績に応じて買いオペをやるということになってくると、新聞に二十五億あて等分に配分をするということが報道されている、それは実績という形になりませんが、新聞が誤報であるのかどうか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/12
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013・中野正一
○中野政府委員 申し上げますが、百億の内訳は都市銀行が二十五億、地方銀行が二十五億、相互銀行が二十五億、信用金庫に二十五億、合計百億ということを内訳にいたしておりまして、具体的に都市銀行のどこからどれだけ買うかという際に、先ほど私が申し上げましたような中小企業向け貸し出しの実績を勘案してこれを買いオペをする、こういう各グループ別の内訳はいま申し上げたようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/13
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014・中村重光
○中村(重)委員 保証協会がかつて金融逼迫の際に保証をする、そうして措置をしたことがあるわけです。そのときは、すでにいろいろ問題があった。保証協会の保証つきということがはたして妥当なのかどうかいろいろ検討を要するということになりまして、その後保証協会の保証という形はとっていない、そういうことだと思うのでありますが、今回はどのように措置しようと考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/14
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015・中野正一
○中野政府委員 買い上げの決定に際しましては、いま申し上げましたように保証協会の保証つきの融資の実績を勘案してやるのが一番実際に中小企業向けに妥当じゃないかというふうに考えて、そういうふうにやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/15
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016・中村重光
○中村(重)委員 勘案してやるということは、保証協会の保証つきによって、かつて買いオペをやった場合に、そういう実績が出てきておるわけですね。ところが今回は、それをどうしようと考えているのか。問題は、中小企業の金融問題を緩和するために措置をされるわけなんです。従来の実績においてそれを流したといたしましても、必ずしもそれは中小企業に流れていくとは言えません。ですから、中小企業向けに確実にその資金が流れていくのでなければなりませんから、それをどう措置しようと考えておられるのか、その点をひとつ明らかに御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/16
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017・中野正一
○中野政府委員 いま申し上げましたように、保証協会の保証つきの融資の実績等を勘案して出すというのが実際的じゃないか、その後逐次実績の報告を聴取いたしておりますので、大体間違いないようにいけるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/17
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018・中村重光
○中村(重)委員 実績勘案はわかるのです。実績の勘案はわかるのだけれども、今度百億の買いオペをやった、その買いオペは当然中小企業に資金が流れていかなければならないのだから、実績だけでなくて、今回はどうするのか、その点が非常に重要なんですから、それをお尋ねしているわけです。大蔵省でお答え願ってもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/18
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019・柏木雄介
○柏木説明員 百億の買いオペの金が確実に中小企業に流れるように、私どもといたしましては十分金融機関の指導をいたしましてやっておるつもりでございます。そういう趣旨の通達を出しておりますし、過去においても中小企業オペを何回かやっておりますが、そのつど中小企業に金が流れるように指導いたしまして、いま長官からお話がありましたように事後的に報告をとりまして、中小企業に金が流れるように特に指導いたしておるわけでございます。したがいまして、今回の百億につきましてもそのように末端に流れるようになるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/19
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020・中村重光
○中村(重)委員 それは指導はするでしょう。ところが指導だけをあなたのほうでなさっても、金融機関が必ずしも中小企業にその資金を流すということは言えないのです。何か確実な裏づけというものがなければならないのだから、それをどうするのかと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/20
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021・柏木雄介
○柏木説明員 まあ確実に金が流れるということを確認することは非常にむずかしいことでございますので、先ほど長官から御説明がありましたように、信用保証協会の保証つきの融資が行なわれるように指導いたしております。そうでありますれば、これが確実に中小企業に流れるということが確認できるように考えられますので、信用保証協会の保証つき融資を優先して行なうように指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/21
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022・中村重光
○中村(重)委員 信用保証協会の保証つきということになってくると、それはいまあなたのお答えのとおりです。ところが信用保証協会というものは、保証するということになってくると保証能力がなければなりません。いまですら保証能力がなくて、なかなか保証ができないでいる。特にこういう緊急措置に対して保証協会に保証させるということになってくるならば、その面の強化というものもはかっていかなければなりませんが、その点は考えられていないようであります。それをどうしようとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/22
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023・中野正一
○中野政府委員 いま大蔵省からも御説明がありましたように、できるだけ信用保証協会の保証つきでそちらのほうに金を回すようにということで、これは実際にはこの裏づけの措置が十分行なわれていないのじゃないかという点につきましては、御指摘のとおりだと思います。ただ、近く約三億五千万円ばかり従来貸しておった金が保険公庫に返ってまいりますので、それをそういう方面に回すというようなことをいま検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/23
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024・中村重光
○中村(重)委員 いまのはあなたの苦しまぎれの答弁なんですよ。そういうことは当然計画としてのせてこなければならない。いままでもそれが問題があった。だから保証協会の保証つきということがはたしてどうなのか、大蔵省としても、中小企業庁としても、その点に対してはおそらく頭をひねっているところじゃなかろうかと私は思うわけです。中小企業者に確実に資金が流れていくために保証協会の保証という措置をとったのでありますが、どうもいろいろとやってみたところがうまくいかない、だからこれを改めなくちゃならないのだということは、かつて大月銀行局長が明らかに委員会において答弁をしておるところなんです。今度それを保証協会の保証つきということでおやりになるのなら、従来の欠陥を補っていくという形でなければなりませんから、その点を明らかにしていかなければなりませんし、さらにまた保証協会の保証つきという場合は、保険公庫に対してこれまた緊急の資金的な措置をおとりにならなければなりません。保証協会に対しても当然融資をしていかなければなりません。それでなければ、いまあなたがお答えになった保証協会の保証つきということは、言うべくして行ないがたい。無理にそれをやると、今度は一般の金融面の保証というものにしわ寄せが出てまいりまして、何にもならない、こういう形になりますから、その点は当然確実に裏づけというものを当初から計画的におやりになるのでなければだめなんです。ここらあたりはどのように検討されたのか、もっと確実にひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/24
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025・中野正一
○中野政府委員 先ほど来申し上げましたように、中小企業向けの保証協会の保証つきの融資の実績等を勘案して資金は配分するということに決定しておりまして、実際には指導面におきまして、できるだけ保証協会の保証つきのものを優先するように指導はいたしております。しかしいま言われたように、そういうことをやると保証能力をふやしてやらなければいかぬじゃないかというのはまことにごもっともな御指摘でございますが、今度の場合にはその完全な裏づけなしにそういうことをやったという点は、私どもとしても今後十分反省を加えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/25
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026・中村重光
○中村(重)委員 次にお尋ねしますのは、国税庁長官から、困っておる中小企業者に対して税の分納あるいは延納、こういうことをやれというような措置をされたようでありますが、この点に対して大蔵省の山下税制第一課長が見えておりますから、その内容についてお答えをお願いたいし、また中小企業庁といたしましては、国税庁長官の通達というものに対して、どのようにこれが具体的に実効があがるのか、それを検討されたかどうか、またこの点に対して大蔵省に申し入れをされた事実があるかどうか、その点をひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/26
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027・山下元利
○山下説明員 まことに申しわけございませんが、私直接それを担当いたしておりませんので、直ちに責任ある答弁を申し上げるように連絡をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/27
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028・中村重光
○中村(重)委員 中小企業庁長官としても、当然これに対して関心を持っていらっしゃると思いますし、また申し入れ等をなさったのじゃないかと思いますが、その経過をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/28
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029・中野正一
○中野政府委員 いまの御指摘の問題につきましては、最近の中小企業の置かれておる状況が非常に困難な状況になってきておるというので、これは税の問題について私のほうでここをこうしてくれという具体的な申し入れはいたしておりませんが、全体の問題として、金融、税制そのほかの問題として、大蔵省として十分考えてもらうように私から話をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/29
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030・中村重光
○中村(重)委員 今度国税庁がとられた措置に対しては、非常に困っておる中小企業の危機を打開するために特別の措置であるというようにあなたは判断していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/30
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031・中野正一
○中野政府委員 これは私の見ておるところでございますが、これは税制の国税庁の通達というか、運用面でそういう措置がいろいろ認められておるわけでありますから、特別に法律によってどうこうしたという問題ではございません。しかしよくやってくれたというふうに考えてはおりますが、これは現行制度にある範囲内の措置だというふうに考えております。したがいまして、当然そのくらいのことはやってくれてもいいじゃないかという気持ちは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/31
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032・中村重光
○中村(重)委員 お答えが非常に率直ではあるのだけれども、やらなければならなかったことをやらなかったのが悪いのでしょう。だからこれが問題であるわけであります。これからこれが具体的にどう消化されていくのか、この点に対してあなたのほうでもいろいろと検討しておられると思うのでありますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/32
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033・中野正一
○中野政府委員 この点につきましては、まだ国税庁の通達が出て、いま実行に移ろうとしておるときでございますので、われわれ中小企業庁といたしましてもその運用状況等をよく見まして、まだ不十分なところがあれば、さらにその点について検討するということで、いま担当の課長に命じましてそういう勉強をさせておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/33
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034・中村重光
○中村(重)委員 政務次官に一つお尋ねしますが、中小企業にとって税の問題というものはきわめて重要な問題であります。こうした危機に直面をいたしますと、金融上の問題だけでなくて、いかにして中小企業の重税に悩んでおる問題を、解消までいかなくとも、これを緩和してやるかということがきわめて重要な問題であるわけであります。その点に対して今度国税庁がとられた措置というものは、当然税制上やらなければならぬ、あらためていまこういうことが大きく取り上げられるのではなくて、常時これはやっていかなければならない。それがいままでやられていなかったのか、やられておったのか、特に何かアピールするためにこれをぎょうぎょうしく取り上げられたのか、この点が明らかにされなければならないわけでありますが、あなたはこういう程度でよろしいとお考えになっておるか、もっと徹底した措置を講ずる必要があるというようにはお考えになっていらっしゃらないかどうか、その点はどうあなたはお考えになっておるのか、見解をひとつ聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/34
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035・田中榮一
○田中(榮)政府委員 御説のように、中小企業で一番悩みは税の負担が重過ぎるということでございます。このことにつきましては、すでに中小企業各団体から政府に対しまして、中小企業関係の諸税の減免につきまして、過去におきまして再三、再四陳情なり嘆願なり、いろいろな筋を通してのお話がございまして、通産省といたしましては、中小企業の今後の振興ということよりも、むしろ中小企業をこの際経済的に、財政的に救う道は減税以外にはないというような関係からいたしまして、通産省としての中小企業関係の減税の一つの案をつくりまして、大蔵当局に対しましても、実はいろいろと申し入れをいたしておったのでございます。ところが、今回の予算編成に際しまして、政府としての財政上のいろいろの理由からいたしまして、中小企業向けの減税につきましては、通産省側の意向というものは十分には取り入れられておりませんけれども、通産省側の意向そのほか各団体の意向等、あるいは税制調査会等の意向等も取り入れまして、ある程度減税措置が講ぜられておるのでございます。したがいまして中小企業の負担を軽減するということは、こうした税務署のいわゆる行政措置ということよりも、やはり根本的には中小企業関係の現在の税制の合理化あるいは公平化と申しますか、そうした点、あるいはまた設備の償却年限をもっと短縮をするとか、そうした面において相当考慮を払う必要があるのではないか。要すれば税制対策を本質的に考慮することが私は先決問題であろうと考えております。ただ、さような情勢のもとにおいて、三十九年度の税制関係の予算もすでに編成されましたので、窓口行政といたしましては、従来個々の税務署におきまして中小企業者が、非常に税が重いので、減税ではないが、納税の期限についてもう少し考えてくれぬかというので、各税務署と中小企業者がケース・バイ・ケースでいろいろ話し合いをいたしまして、税務署におきましても中小企業者の苦しい立場を考えて、ある程度納税時期等につきましてはいろいろと勘案をしてくれまして、便宜は計らってくれておるのでございます。そういうようなことで、今回国税庁として、現在の中小企業の困難な立場について、全面的に税務署の窓口においてこのような措置を講ずるようにという通達が出されたのではないかと思っておりますが、私どもといたしましては、これは現場におけるいわゆる一つの行政措置、一つの便宜手段でございまして、原則としてはやはり何と申しましても税制の合理化、あるいは税の中小企業の負担の軽減、こうした措置を本質的には考えていかねばならぬ、かように考えております。現在の税務署の措置というのは、私どもの考えといたしましては適宜な措置ではないかと実は考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/35
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036・中村重光
○中村(重)委員 今度国税庁がおとりになった措置は、所得税法第三十条に基づいてやったのだと思うのです。当然その内容は、延納とか分納ということはやらなければならぬことなんです。それだけじゃなくて、通産省としては実に窮状に落ち込んでおる中小企業、そうした企業の危機を回避するために、当然何かもっと具体的なものを大蔵省に対して措置するよう申し入れをする必要があると私は思う。特別の申し入れをおやりになったというような形ではないようでありますが、一つの例をとりますれば、たとえば親企業と下請企業と受注関係においてある種の計画というものがあった。ところが今度の引き締め政策によってそれが中止になった。あるいはまた中小企業者が資金の借り入れをしようとした。ところがこの引き締めによってそれが打ち切りになった、あるいはこれが減額された。その他いろいろな計画が今度の引き締め政策によってどうにもならなくなったというような具体的な問題があろうと思うのであります。その場合には何らかの特別の減税措置というものが私はあってしかるべきだと思うのでありますが、そういう具体的な措置に対して通産省としては無関心であったのか。その点をお尋ねをしておるわけでありますから、どのように関心をお払いになったのか、また何ゆえに大蔵省に対して強くそれらの措置に対して申し入れをされなかったのか、そのことについてお答えを願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/36
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037・田中榮一
○田中(榮)政府委員 中小企業者間のいろいろな個々のそうした計画が途中でそごを来たした、それがために納税をすることができなくなったというような個々の問題は、それは相当あると思うのでございます。しかしながら政府として考えることは、むしろそれよりは税の減免問題中小企業に対する税の合理化といったような問題をやはり通産省としましては重く考えておりまして、そうした個々の問題につきましての申し入れというのは、まあこちらといたしましてはその当時やっていなかったのでございます。最近におきましてこうした情勢になりましたので、中小企業者の納税についてはできるだけひとつ困難な事情を勘案して、法の認める範囲において何らかの便宜をはかってもらいたいという申し入れはしておるのでございますが、そうした個々の問題について一々どういう場合にこうだああだとかいうようなことは、通産省側としては申し入れてございません。ただし、いま申し上げましたように、法の認むる範囲においての分納、延納というものができるものならば、これはできるだけひとつ広く中小企業者に恩典に浴せしめて、現在の窮況を緩和してもらいたい、こういうことは大蔵省には申し入れてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/37
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038・中村重光
○中村(重)委員 いまの御答弁では非常に不満でありますけれども、それはあらためてお尋ねいたします。
次に長官にお尋ねをいたしますが、下請遅払い防止法の強化策について、あなたのほうでは公取委員長と通産大臣の連名で通達をお出しになった。また下請遅払い防止法に対する統一見解といいますか、そういうものを今度はお出しになったようでありますが、その経過あるいはその統一見解について、五カ月間の手形を認めるというような形になっておるようでありますから、それらの内容についてひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/38
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039・中野正一
○中野政府委員 下請取引の適正化につきましては、二月二十一日に通産大臣から特に閣議で発言をしていただいたわけでございます。その要旨を簡単に申し上げますと、最近下請代金の支払いの手形期間が非常に長期化する傾向にある。このような現象は企業間信用の膨張に起因するということでありますが、特に最近の下請代金支払いの実態を見ますと、業種別にいうと、これは機械、金属関係等が手形が長期化しておるという傾向が出ております。今後金融引き締めが一段と進むにつれまして、支払い条件がさらに悪くなるのじゃないかということも考えられますので、その長期化の傾向防止、さらに進んではこれを改善するために、現在下請代金支払遅延等防止法がありますので、これを強力に運用する、そうして下請取引の適正化を積極的に推進したい、こういう意味合いの発言があったわけであります。
具体的には、まず第一に、下請代金支払遅延等防止法の運用方針を周知徹底させたいということでございます。これは御承知のように、現在の下請代金支払遅延等防止法によりますと、下請業者が物品を納入いたします、その納入等の給付をいたしましてから後六十日以内に代金を支払わなければならないということを、親事業者の遵守事項として規定しておるわけでありますが、これを現金で払う場合はもちろん問題ございませんが、手形で払う場合に、六十日以内に手形を交付すれば足りるのじゃないかというような間違った——これは明らかに間違った解釈でございまするが、そういうふうに考えて、不当に長い手形を交付しておるものがございますので、この際運用につきまして、下請業者が物品を納入する等の給付を行ないましたあと六十日以内に、親事業者の交付した手形が通常の金融機関で割引等によりまして現金化できない場合、これは法律の第二条の二及び第四条第二項の規定によりまして、支払い遅延に該当するということをはっきりさせようということで、これは先般公取委員長と通産大臣の連名をもちまして、おもな親企業、業界の団体等に対しまして通達を出しまして周知徹底をはかっておるわけでございます。
それから、さらに取り締まり体制の強化といたしまして、中小企業庁では、従来は主として下請業者、子供の業者のほうの調査をいたしておったわけでありまするが、それだけでは非常に不十分じゃないかということで、おもな親企業に対しまして、法第九条第二項の規定に基づきまして、四半期ごとに手形の支払い期間等、主として支払い条件に関する事項を定期的に報告させる。そして、その報告に基づきまして、たとえば百五十日をこえる長期手形を出しておるというようなことになりますると、この法律の支払い遅延に該当するものと大体断定をしてもいいようなケースでございますので、そういうものにつきましては、親企業に対して立ち入り検査をする。それからさらにこれに関連をして、子供のほう、下請のほうの調査もやるというようなことで、違反事項の有無について厳重に検査をしたい。それから、立ち入り検査をした結果、支払い状況の不良な親企業に対しましては改善計画をつくらせる、事後報告を聴取する、あるいは監査を実施するというようなことで、漸次支払い条件の改善をはかっていくようにしていきたい。ただしこれにつきましては、私どものほうの通産大臣が、御承知かと思いますが、予算委員会において、漸次改善させるようにしないと、一ぺんにやるというようなことになると、かえって非常な混乱が起こるのじゃないかということを発言をしておられるわけでございますが、この二十一日の発言におきましても、そういう趣旨のことを大臣から言っておられます。それからなお悪質な親企業に対しましては、中小企業庁長官の名前で、法六条に基づきまして、適切な措置を取るよう公取委員会に請求をする。これはいつか御質問もございましたが、過去においてこの第六条を発動したことは一回もありませんけれども、今度はこれをひとつやろうという決心をしております。
それから、下請業者の申し立ての促進につきましても、苦情申し立てを匿名でもいいということを周知徹底させるというふうなことをやることにいたしております。
それからさらに積極的な面といたしましては、下請協同組合の設立の推進、これは下請業者の金融の円滑化、共同受注等、下請取引の適正化のために最も有効な役割を果たします協同組合の結成というものを促進いたしまして、親企業もこれに協力するよう要請をいたしておるわけであります。
それからなお、長期的な下請対策の確立ということも非常に必要なことでございますので、中小企業政策審議会に下請小委員会というものをつくりまして——これもすでにできたのですが、三月の十七日に第一回の下請小委員の会合をやります予定です。各専門家の方、学識経験者の方にもお集まり願いまして、これは専門委員として相当親企業の情勢もよくわかっている方に出ていただいて、下請問題全般にわたる問題と基本的対策の策定について、至急ひとつ審議をしていただく、こういう段取りにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/39
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040・中村重光
○中村(重)委員 従来とも手形期間が非常に延びてきている。また現金支払いが手形支払いに変わっておる。条件はますます悪くなっていく。こういうことであってはならないというので、当委員会におきましても、通産省当局に対し、あるいは公取に対して強く取り締まり方を要求してまいった。ところが、そうしたことをしり目に大企業はますます条件を悪化していくという形になった。今度あなたのほうでお取りになった措置、積極的に取り組んでいかなければならない、改善をしなければならないという考え方の上に立って通達をお出しになるならば——あるいはいま御答弁がありましたようないろいろな方法を講じられたということは、それ自体、私は評価をいたします。だがしかし、ほんとうの実効があるとお考えになっておるかどうか。さらにまた、下請支払遅延防止法は、これを改正をするということはいまのところ必要はないんじゃないか、法の運用によって強化をしていく形であればよろしいのではないかというようなことをお考えになっておるようであります。これはいま答弁されておったのでありますが、ほんとうにあなたはそれによってこれが改善されるという自信を持っていらっしゃるかどうか。さらにまた、下請支払遅延防止法は改正をする必要はないというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、まずその点を明解にひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/40
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041・中野正一
○中野政府委員 先ほど申し上げました大臣の発言に関連いたしまして、先般解釈通牒を関係団体、おもな親企業に出しますし、また担当の部長に、経団連におきまして主要な団体の方々に集まっていただきまして説明を十分にさせまして協力を願うというようなことをやっております。私の気持ちとしては、そういう通達を出すし、大臣が閣議において発言をされて、閣議で了解されておるわけでありますから、その趣旨に従って、私としてはいままでと違った厳重な運用をやっていきたい。こうなりますると、これは相当効果があがってくるんじゃないか、効果があらわれてくるように私としてはつとめておるのです。なお、法律の問題、これはさしあたりは現状でやれるし、私の見るところでは、下請支払遅延防止法は相当よくできておる法律ではないか、ただ運用を適切にやっていくことが最も大事なことだと考えております。しかし、法律でございますから、これは常に改正問題等については研究はいたしております。いま直ちにこの改正をする必要があるというふうには私は事務的には考えておりませんが、並行して研究は続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/41
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042・二階堂進
○二階堂委員長 中村君に申し上げますが、国税庁から小熊徴収部長がいま見えましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 田中大蔵大臣は、下請支払遅延防止法は改正をしなければならないということを明言しておる。また宮澤企画庁長官は同じく、改正をしなければならぬであろう、この改正について事務当局に指示をしたということが伝えられておる。ところがあなたのほうでは、いま言われたように、この法律はよくできておる法律だ、そういう考え方の上に立ったんだろうと思うのでありますが、せっかくそうした大蔵大臣なり企画庁長官が改正をしよう、しなければならないということをお考えになっておるのを、あなたのほうは差しとめて、これに水をさすということをおやりになったということは、重大なあなたのほうには責任がある。もしいまあなたがおやりになったような措置において、それが完全に行なわれない、改善されないということになったならば、あなたはどのようにその責任をおとりになろうとお考えになっておるか。また、あなたはよくできておる法律であるとおっしゃるならば、どうしてこの法律がほんとうに生きて動かないのか、その動かなかった原因はどこにあるか、あなたは明確に把握をしておられるのか、そこらをもっと具体的に御説明にならなければ納得できませんから、もっと確信ある、ただ単に自己満足、希望的観測ということではなしに、もっと確信ある御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/43
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044・中野正一
○中野政府委員 下請支払遅延防止法につきましては、これを厳重に適切に運用するということは、われわれの任務であるというふうに考えまして、そういうふうに申し上げておるわけであります。十分効果があるように私としては事態の推移を見ましてやっていくつもりでございます。ただ、法改正の問題は、これはどういうふうなことで御発言が各大臣からありましたのか、一一私は事情は知っておりませんが、ただ、閣議において二月二十一日に大臣が発言された際に、さしあたりこれでいこうじゃないかということで——閣議には当然大蔵大臣も宮澤長官も出席いただいておるわけでございます、閣議でございますから。私としてはその閣議の了解の線に沿って仕事をするということがわれわれ官僚としての任務でありますから、そういうふうに私は一生懸命やっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/44
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045・中村重光
○中村(重)委員 いまあなたのお答えのように、閣議では通産大臣がいろいろ説得をなすったのかどうか知りませんが、法の運用においてうまくやりたい、こういうことで関係大臣に説明をされたようであります。それならというところで関係大臣は了承をしたということが伝えられておるようであります。
そこであなたにお尋ねをいたしますが、二カ月以内に手形を発行する、その手形は二カ月以内に現金化するものでなければならない、こういうことであります。現金化しなかった場合は、親企業がこれを保証するかどうかの措置をやって現金化させる、あるいはその手形を現金化する手形に交換をするというのか、それは期限なんかによって変わってくると思うのでありますが、手形でなくて今度は現金を払っていくということでなければならないとか、いろいろ具体的なことが新聞報道においては伝えられておるようであります。ほんとうにあなたが期待するような形になりましょうか。まず、もう少しあなたの確信のほどを伺ってみなければ納得できないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/45
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046・中野正一
○中野政府委員 確かに御指摘のように最近の手形サイトが非常に延びたことは、この下請代金支払遅延防止法の運用の問題だけでなしに、さらに根の深いいろいろな問題があるわけであります。その意味で、先ほどもちょっと申し上げましたが、大臣からも、特にこれは通産省だけでこの問題は解決できる問題ではない、企業間信用の膨張ということが一つの大きな問題として前提にあるわけでございまして、したがって、そこからメスを入れていかないといけない。もちろん遅延防止法の運用は公取と通産省のほうでいままで以上にさらに厳重にやって、いま以上に事態が悪くならないように、またこの運用の面から逐次事態が改善されるように努力する、こういうことが大臣の発言でございまして、大蔵省方面でも特に企業間信用の膨張の問題、そういう問題を含めて、この問題とは真剣に取り組んでいただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/46
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047・中村重光
○中村(重)委員 企業間信用の膨張で根は深い、おっしゃるとおりです。実は私はきょうは企業間信用、不渡り手形の問題に対して相当突っ込んでお尋ねをいたしたいと思っておったのですけれども、いずれ大臣が出席された際にそのことについてはお尋ねをいたしたいと思っております。いまあなたがお答えになった企業間信用に根はある、膨張に根はある、こういうことですが、私もそのとおりと思っておる。ところが、この問題はなかなかこれは重要な問題点でありますので、この問題から解決をしていかなければ、とうていこれはいまあなたが期待するような形にならない、そのとおりであると私は思うのであります。であるから、私は、いまあなたが下請遅延防止法の強化策としていろいろ措置しようとしておられる気概にはそれなりの敬意を表し、それを評価しておるわけです。ところが、要は実効が上がらなければ何にもなりませんから、ただ経団連の会合に行ってあなたがいろいろと注文をつけるとか、井上部長がおいでになって注文をつげるということだけではなかなか問題は解決をしないと思うのです。せっかく大蔵大臣とかあるいは宮澤企画庁長官が、法律を改正をして、この法の欠陥を直していこうという意欲を持っておる、そういう際に、法律改正ということよりもこの法の運用においてやれるんだということを、あなたがこの法律はうまくできていると言ったんですから、確信を持っておっしゃったんだろうと思うのですが、それならばほんとうに親企業の人たちと十分話し合いをされて、確実にそれを取りつけるというようなことでなければ利はためだと思うわけなんです。だから、あなたのほうで強化策ということでそういう通達等をお出しになった。それをされるにあたっては、そういう関係面との取りつけというものが十分に行なわれておるのかどうか、その点が実は問題なんですから、そういう点ひとつ明確にお答えを願いたいと先ほどからお尋ねをいたしておるわけです。ただ一方的なあなたのほうの案だけではなしに、ほんとうにそれが消化される、こういうことでなければなりませんから、いろいろと折衝されたのであるならば、そのことについてひとつお答えを願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/47
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048・田中榮一
○田中(榮)政府委員 本件につきまして私からちょっとお答えを申し上げておきたいと思います。
先般、大蔵大臣あるいは宮澤企画庁長官等が、本法が十分でないからこれを改正したらどうかという意見もあったように私は聞いております。しかし、この問題は将来の政治的問題として、政治的見解としてわれわれは十分にひとつこの点は考えなくちゃならぬと考えております。われわれも、現在の法律がこのままでいいかどうかということは、政治的に考えますと、これはやはり改正の要があるのじゃないかと考えております。ただ、現在の事務当局といたしましては、現行法ができておりますので、この現行法をできるだけ適切に運用いたしまして効果を十分にあげたい、こういうのが事務当局の意向であり、また努力せねばならぬ方向でございますので、ただいま長官から申し上げたような方向で実は答弁したわけでございます。
そこで、仰せのごとく、現在の下請代金支払遅延防止法というものは、実は公取におきましても中小企業庁におきましても、現実には実際に臨検もし、また調査をし、報告を求めて現実に取り締まりをやっているわけでございます。しかしながら、その取り締まりの効果というものがまだ十分に徹底いたしておりません。大企業側におきましても、支払遅延防止法というものの真の精神なり趣旨をまだ十分に理解いたしておりません。したがいまして、今回通産大臣から通達を出しましたのも、この支払遅延防止法の趣旨を十分にひとつ浸透さして、そうしてこれが協力を求めるということ。それからもう一つは、従来本法の非常にやりにくかった点は、御案内のように中小企業者、系列下請業者の協力がなかなか求められないという点でございます。そんなら君のほうはどれだけどういう事実があったかそれを言ってくれと言っても、なかなか真実を報告してくれないという点が本法の運営につきまして非常に支障をきたしておりまして、これは従来の親企業、系列工場のいろいろの関係でどうもやむを得ない事情が相当あると思うのでございます。しかし、この線を越して、中小企業者がひとつ勇気を持って、全体の問題であるからぜひとも協力してほしいといって強く呼びかける、今回の通達の線によってこれからPRを十分に徹底さして、どの程度にこれを効果をあげるかというのが今回の措置でございますので、ひとつしばらく時間をおかし願いたい。われわれとしましてはこの線で最善の努力をいたしまして、いずれまたこの結果について御報告申し上げる機会があろうかと存じておりまするが、この措置の効果につきましては、ひとつわれわれにしばらく時間をお与え願いたい、このことを申し上げまして御了解を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/48
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049・中村重光
○中村(重)委員 親企業がこの法律の精神や趣旨をわきまえていないのではありませんよ。この法律がなくたって、非常に弱い立場にある中小企業に、下請企業に対して現金払いをしなければならぬということはわかり切っておりますよ。長期の手形というものが割れないということはわかっているのです。これは法律以前の問題ですよ。わかっておってやらないのです。いまあなたのほうで、この法律の精神だか趣旨をわきまえずにいるのだというようなお考えをお持ちになると、これはたいへんなあなたの認識の誤りだと思う。法律そのものに欠陥がありますよ。そういうあなたの感覚で、せっかくこの法律を改正しなければならぬという雰囲気が出てきたのを、これに水をさすといったような態度であるということは、まことにけしからぬ態度であると私は言わざるを得ません。下請企業は何のために協力しないのか、これは置かれている立場が違いますよ。文句を言ったらお払い箱になるから言わないのですよ。そういう根本的な問題があるわけです。だから、そういう弱い者をもっと強くする、そういうことを制度づけていくのでなければなりません。たとえば公正な調停委員会、紛争処理の機関をつくるとか、いろいろ問題があるわけですから、あなたのほうでもそれに気づいておられないはずはない。ところがあまりいま急にそういう強化策をやると、角をためて牛を殺す——これは長官の談話で出ておったと思うのでありますが、そういう考え方がある。やはり大企業を何とかして守ろうという考え方の上にどうしてもあなたのほうは根ざしておるわけです。そこに問題点の解決がなかなかむずかしいわけです。そこへメスを入れないで、どうして問題の処理ができましょうか。いまの御答弁では納得できません。それであなたのほうで納得させようとするならば、いわゆる強化策としてそういう通達をお出しになって、銀行とどのような具体的な話ができておりましょうか。親企業とどのような具体的な話し合いに到達しておりますか。そういうことを明らかにしていただかなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/49
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050・田中榮一
○田中(榮)政府委員 これは二月の上旬に通達を出しまして、ただいま各通産局長を中心にいたしまして、各地におきましてそれぞれ大企業、中小企業者間ともよく話し合いを進めております。したがいまして、われわれとしましては、おそらく今月中にはもうそうしたことがだんだん浸透してまいりまして、何らか手形の面におきましても改善の具体的現象があらわれてくる、かように確信をいたしております。
なお、先ほどのおことばの中に、大企業だけを保護しておるじゃないかというようなお話がございましたが、そういうような考えは全然ございません。やはり支払遅延防止法の法の精神に従って、われわれは法を忠実に実行していく、これがわれわれのつとめでございますので、もしそうした大企業に不都合なものがあれば、どしどし法に照らしてこれは処置していく、こういうきつい決意を持っていままでやっておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/50
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051・中村重光
○中村(重)委員 それから、三カ月の手形というものはまず妥当であるというふうにお考えになっておられるやに伝えられております。それから商工中金が五カ月、百五十日の手形を割引している、その程度はやむを得ないのじゃないかというように、暗にこれを公認するような形のようでありますが、その点は誤りだと思いますから、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/51
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052・中野正一
○中野政府委員 われわれが聞いておりますところでは、大体普通の金融機関では九十日以上の手形は持っていっても割り引いてくれないというふうに聞いております。しかしそれでは九十日以内のものなら必ず割り引いてくれるか、ここがまた中小企業の非常につらいところで、一流会社の手形であっても、中小企業者自身の信用力というものに限度がございますので、その点でなお問題があることも承知しております。それから商工中金につきましては、長いもので最大百五十日のものまで、たとえば先ほど申し上げました下請の協同組合や何かがございまして、それに対して親企業のほうが保証をするというふうな方法をとっておるわけでございます。したがって下請の協同組合と親企業、商工中金、三位一体となって相談したような形で、特別に長い百五十日程度までのものを割り引いておるケースもございます。したがいまして、六十日以内に手形を払って、それが直ちにいま言ったような方法で割り引けるということであれば、これは下請業者のほうからも不平も出ませんし、したがってそう問題にしなくてもいいのじゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 手形のサイトの問題は、手形割引保証制度との関連においても出てくるわけであります。現実の問題としてあなたのほうで考えていただかなければならぬことは、下請企業というものはちゃんと貸し付けのワクもきまっています。同時に手形割引のワクがきまっています。それは金融機関の全体の金融政策と、それから資金操作というものにも関連をしてくるわけであります。だからそういうところまで具体的にあなたのほうでは金融機関なりあるいは親企業なりあるいは下請の企業の人たちと話し合いをして、その上に立って対策をお出しになるのでなければ、それこそ何の効果もない。いわゆる自己満足、希望的観測に終わる、こういう形になりますから、そこらをあなたのほうでどのように見詰められているか、その辺をひとつお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/53
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054・中野正一
○中野政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、親企業に対する協力方、これは親企業がやはり法の精神を十分承知して、そうしてやってくれなければいけないことだと思います。その点については関係団体に通達を出し、あるいは担当の部長から十分説明をさせる。それから先ほど政務次官も言われましたように、通産局の担当、これは大体商工部が担当することになっておると思いますが、関係部長の会議を開きまして、いま地方の通産局で、下部で十分親企業、それから下請企業のほうに徹底するようにやっておるわけです。これは調査はこれから定期的にわれわれのほうでやりまして、その調査の結果、悪いものがあればどんどん立ち入り検査をやって、今度は相当いままでと違った厳重な運用をしていくつもりでおります。ただその際に、いまも先生の御指摘になりましたように、主として親企業との連携等については十分とっております。また通産省につきましては、特に原局というのがございますから、ここから親企業のほうにも十分趣旨が徹底するようにやらしていく、そういういろいろな方法で浸透策についてやっておるわけです。ただ銀行との関係は、これは通達を出し、あるいは閣議で相談されるときにも大蔵省とは十分連絡をとって、こういう手を打てばそのはね返りというものが出てくるわけであります。一つには、いま言われた金融機関に対する反作用というもの、それから今度は下請業者に対する反作用というようなもの、逆作用というか、そういう面もよく考えなければならぬ。したがって、そういう面の運用をむしろ強化するに伴っていろいろ出てくる現象というものもいろいろ察知されます。したがいましてそういう点についても、まだいままでわれわれ十分だとは考えておりませんけれども、今後そういう問題についても——いずれにしてもこういう問題は運用を厳重にやれば出てくるわけです。したがって、それにまた手をつけていかなければ役所としては十分つとめがつとまらぬということでありますから、その点については十分やってみたいと思うのです。ただ銀行方面に対してどういう手を打っていくかということは、いま先生から御指摘がございましたので、もうちょっと研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/54
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055・中村重光
○中村(重)委員 強化策といっても、当然なことをおやりになっただけでありまして、従来そういうことをおやりにならなかったことは怠慢だ。あなたのことではない。あなたの前任者が怠慢だということになるわけです。しかしせっかくあなたのほうでも熱意を持っておられるということでありますからこれを期待して、その改善策が実効が上がらなかったときにはこの下請支払遅延防止法の抜本的改正——申し上げるまでもなく、親企業、下請企業の関係は、対等な立場において下請企業が十分その業績をあげ得るように、健全な発展をすることができるように、あなたのほうではこれは抜本的政策を打ち立てるという意思があるか。その点は政務次官並びに長官の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/55
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056・田中榮一
○田中(榮)政府委員 現行法を十二分に活用いたしまして、現在非常に弊害がありまするこの下請代金支払いの遅延につきましては、相当政府としましても決意を持ってこれに対処していきたいと考えております。従来法の上には、非常に悪質な業者に対しましては公表という制度もあるのでありますが、これもあまり利用されておりません。私は、悪質業者に対してはどしどし政府が公表でもして、そして対外的にそうしたことを広く公表したならば、大企業も非常に反省していくのではないか、おそらく大企業としては相当な打撃をこうむるのじゃないかと思いますが、こうしたことも一応法をうまく活用して、この問題をひとつ解決していきたいという熱意に燃えているわけであります。そうした上で、もうどうしてもこれが現行法ではどうにもならぬ、動きがとれぬ、またこれでは非常に効果がないということになりまするならば、またこうした問題につきましては、ひとつ根本的に各方面、各関係者の意見も十分聴取いたしまして、さらに政治的な大所高所から見まして、法の改正という点もまた当然考えなくてはならぬ問題だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/56
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057・中野正一
○中野政府委員 いまの政務次官の御答弁に尽きておると思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、三月十七日に中小企業政策審議会の下請小委員会を発足させまして、関係の専門家、学識経験者等にお集まりを願いまして十分審議を尽くしたい、そしていま先生も御指摘になりましたような下請関係のいわゆる近代化、結局はやはり西欧式な形の親企業と中小企業の関係に持っていくというのがわれわれの理想でございまして、これは常に申し上げておるところでございますが、しかしこれは経済的な問題でございまして、なかなか簡単にいかないのが現下の情勢でございます。何とか政策的にも十分検討して、そういう近代的な下請関係に持っていきたい、そういうことで真剣にこの問題と取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/57
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058・中村重光
○中村(重)委員 国税庁がお見えになっておりますので……。中小企業は年度末に直面をして非常な危機の状態にあるわけです。その緩和策として、今度所得税法に基づいて措置をされる、これは全般の中小企業に及ぶものであるか。かつて、炭鉱不況あるいは鉄鋼不況に際しまして、北九州その他限られた地域にいろいろ緩和措置を講じられたことがあるわけですが、今回はそういう特殊な地域、特殊な企業に片寄らず全般の中小企業に及ぼすのか、まずその点を明確にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/58
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059・小熊清
○小熊説明員 お答え申し上げます。最近の経済事情の変化によりまして、ことに中小企業の方々の資金繰りが困難になっておるという向きがあちこちにあると思います。それを受けまして、国税庁といたしましてはこの二月十九日に長官通達を出しまして、さしあたり確定申告に伴いまして所得税関係の還付金が発生いたします。また各月決算期が到来いたしますごとに法人税のほうで予定納税の還付金も発生を見てまいる。そのような還付金が発生いたしました場合には、できるだけ早期に還付金額を決定いたしまして納税者にお返しをする、従来以上にひとつスピードを上げるようにという指示を国税局を通じて税務署に流しております。また通達のもう一つの内容は、資金需要が困難になりますと、たとえば取引先が倒産をするというようなことによりまして、取引先に対する売りかけ債権が回収できなくなるというような場合も起こってくるわけでございます。そのような場合等を含めて、一時的に納税資金が非常に不足をするというような場合には、納税を一時猶予して延ばす、また分納によって、一年あるいは二年の期間を定めてそれ以内に納めていただくというような措置をとるということを納税者の方々にもよくPRをし、また、税務官庁としても当然積極的にこういった制度を活用するようにという通達を出したわけであります。
ただいま先生お尋ねになりました、これが一部の業種あるいは地域に対するものか、あるいは全体の企業納税者に対するものかということでございまするが、この通達は一部あるいは特定の業種ではなくて、およそすべての納税者の方を対象としてかような措置を通達いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/59
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060・中村重光
○中村(重)委員 いまの御答弁で明らかなように、従来も所得税法に基づいてやらなければならぬことはやってきた、ところが今度特別にそういう措置をおとりになるということになるならば、従来やってきておったことを、それをもっと法律等をできるだけ拡大解釈をやって、そして中小企業の危機を緩和するという形でなければなりません。何か特に今回は従来以上にこの法律を広く解釈して、できるだけ多くの中小企業者に対する徴税を緩和していくということをお考えになっていらっしゃるのかどうか、そうでなくて、こういうことは所得税法に基づいて当然やらなければならぬ、やるようになっていることだから、それをやりなさいという程度なのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/60
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061・小熊清
○小熊説明員 先ほど還付を早くするように、それからもう一つはいろいろな納税猶予等の制度を活用するようにと、二つの内容の通達をいたしたということを申し上げたわけであります。
第一の還付の点につきましては、もちろんある一定の条件が生じた場合に、所得税ないし法人税等をお返しするということは法律に定められているとおりでございます。その限りにおいては別に法律以外のことを新たに出すということではございませんけれども、実際の税務署あるいは国税局の還付の手続におきましてはいろいろな手続が定められておりまして、それによって調査をする、あるいは還付を決定するといったようないろいろな運びになっております。そのような手続をこの際思い切って簡素にする、あるいは場合によっては少額のものは調査を省略するといったようなことによって、実際の運用面においては、今度の通達によってある程度還付の早期促進ということが従来以上にはかれるのではないかというふうに期待しているわけであります。
それからもう一点の納税の猶予等の措置につきましては、これは従来から行なわれていることと内容は同じでございます。先ほど御指摘のありました北九州等の産炭地域に対してかような納税緩和措置を活用するようにということを通達いたしたこともございますが、その場合においても、やはり現在の法律のワク内で、これを最大限にひとつ活用するということを内容として通達いたしたわけでございます。今回においても、現在の法律で同様な場合を定めてございますが、それを万一納税者の方が知らないということがあってはなりませんので、まず税務署のほうで積極的に納税者に、こういう制度があるということをお知らせする、また納税者の方から御相談があった場合には、なるべく法律の趣旨に沿って、ワク内で納税の延期なりあるいは分納の御相談に応ずるという体制でございます。全体として今度の通達の趣旨はさようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/61
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062・中村重光
○中村(重)委員 先ほど私は通産当局に、私の考え方として申し上げたのでありますが、金融引き締めによって選別融資が行なわれているわけですね。そういうために、一応銀行との間に話し合いがまとまっておった、ところが銀行のほうから一方的に貸し付けを打ち切る、こういう例も多いわけです。あるいはまた親企業が下請に対して発注することがきまった、ところがこれを打ち切るというようなことで、中小企業は非常に計画が狂う、経営全般に非常な支障を来たすということがある。それらのような場合にも、今回の措置がやはり考えられるかどうか、その点をひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/62
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063・小熊清
○小熊説明員 たとえば今回の状況におきまして、手形のサイトが従来よりも相当に延びる、あるいは御指摘のような親企業からの発注が打ち切られて、資金計画等に非常なそごを来たすというような場合もあるかと思います。そのような場合には、ケース・バイ・ケースに検討させていただきまして、できるだけ分納の計画を出していただく、そして納税者のほうでまじめに納めていただくということでございますれば、いわゆる強徴処分をやっていくということはなるべく避けて、分納の計画によって納めていただく方向がとられるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/63
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064・中村重光
○中村(重)委員 まだいろいろお尋ねしたいのでありますが、時間の関係がありますからこの点にとどめますが、問題は、非常に今回の金融引き締めによって評判が悪いわけですね。池田内閣に対する不信感というものが高まってきている。そういうために、何かやらなければならぬ、こういうことで、いろいろ強化策であるとかなんとか、当然法によってやらなければならぬものが、あたかも何か抜本的な対策を講ずるかのごとくやられる。国税庁当局がそういうお先棒をかつぐということであってはならぬ。ほんとうに方法を最大限に活用して、中小企業のいわゆる徴税功勢を緩和していく、改める、こういう形でなければなりません。だから積極的な取り組みをしていただきたいということを強く要求をいたしておきたいと思います。
次に、中小企業庁長官にお尋ねをいたしますが、御承知のとおり都市銀行の中小企業者に対する資金貸し付けのワクが非常に縮まってきている、貸し付け比率は低下の一途をたどってきている、こういう状態です。三二%程度であったものが二二%程度に下がっているという形なのでありますが、これはこのままでは私は放置できないと思う。何らかの措置を講じなければ、あなたが先般の委員会においてお答えになったように、民間の中小企業専門金融機関が非常に貸し付けワクが増大をした、非常な伸び率を示しているんだから、それでいいのだとはおっしゃりませんでしたが、まあそれで何とか埋め合わせができるじゃないか、こういう形であっては私はならないと思う。だからそれらの点に対しては、何とかしなければならないとあなたのほうでもお考えになっていらっしゃるのではないかと思うのでありますが、ひとつ具体的な考え方がもればお聞かせを願いたい。
それから、この問題は中小企業基本法の法案審議の際に、大臣との間にもいろいろと質疑がかわされ、行政指導を何とかやらなければならないんだ、そして中小企業に対する貸し付け比率を高めていくという形にしなければならぬということを言われた大臣の答弁を私どもは信頼をしておったのであります。ところが結果は逆の現象があらわれている。いままでどのように取り組んでこられたか、その実績について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/64
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065・中野正一
○中野政府委員 一般の金融機関の中小企業向け貸し出しの動向に関連しての御質問でございますが、確かに御指摘がありましたように、全国銀行について申し上げますと、最近数年間中小企業向けの貸し出しの絶対額は相当ふえておりますが、全体の貸し出しがそれ以上にふえておる関係で、結局中小企業向け貸し出しの残高の比率が落ちてきておるというのは、御指摘のとおりでございます。これはいろいろな資料がございますが、いま私がここに持っておるものによりますと、三十七年の三月には全国銀行で申しまして二八・三%、これは二、三年までは大体三割をこえておったのであります。これが三十八年の三月になりますと二五%、大体二五%程度できておりまして、昨年の十二月の数字を見ますと二五%ということになっております。ただ、これは資本金を一千万円で区切って、一千万円以下のものを中小企業と見て統計数字が出ておるわけであります。御承知のように、昨年の基本法の制定に際しまして、中小企業は原則として資本金は五千万円というふうになりましたので、それに直して最近の数字を見ますと大体三割、去年の九月から数字が出ておりますが三〇・一%、去年の十二月が三〇・五%、これはその前からの比較する数字がございませんので、この数字だけを見て判断しては間違いじゃないかというふうに私ども考えております。ただ、そういうことでございますが、全国銀行以外のいわゆる中小企業専門金融機関というものが御承知のように非常な預金の伸びを示しておりまして、これが大体三十七年の三月から去年の十二月までで八、九割、倍近い預金の伸び率になっておるわけでありまして、これが全部中小企業向けに行なっておるというような関係で、いわゆる中小企業専門の銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合というふうなものの中小企業向け貸し出し残高におけるウエートというものは非常にふえてきておる。たとえばいま申し上げました相互銀行と信用金庫、信用組合の三機関だけで言いますと、三十七年の三月には中小企業向け貸し出し残高全体の中に占めるこの三機関の割合が四割程度であったものが、昨年の終わりになりますと大体四六%近く、四五・九%というふうになってきております。それから政府関係金融機関、商工中金、中小公庫、国民公庫でありますが、これの割合は大体一貫して八・七、八%、九%弱というふうな数字が出ておりまして、毎年関係者の努力でこの三機関に対する財政投融資が相当ふえておるわけでありますが、中小企業向け貸し出し全体がふえております関係で、比率はあまりふえてないという状況になっております。特にこの全国銀行について、中小企業向け貸し出しの絶対額は相当ふえてきておりますが、残高の比率が減っておりますので、これをできるだけ減らさないようにということは、具体的にはやはり現在のところでは行政指導によってこれをやる。この行政指導ということになりますと、通産省の所管でなくて大蔵省の所管ということになりますので、再々私も就任以来この点については銀行局長に対して、そういうふうな指導をやってもらうように要望をいたしております。ただ指導だけで十分効果があがるかということになると、これはまたなかなかむずかしいことで、中小企業の最近の実態から見て、都市銀行、地方銀行等が中小企業向けにどんどん比率を落とさないでやるような情勢にあるかというと、これはなかなか現実問題としてはむずかしい。しかし大蔵省としてはその方針でやってくれております。また、先般の二月十二日の大蔵省銀行局長の通達におきましても、その旨のことをはっきり明記をして、中小企業向け貸し出しの比率が低下しないようにやっていってもらいたいということを一項目わざわざ入れてあるわけでございます。今後もそういう意味で、われわれとしてはまず政府関係金融機関に対する財政投融資の資金ワクの増大ということをはかりますとともに、地方銀行等の民間の金融機関についても十分中小企業金融に協力してもらうようにわれわれとしては努力は続けていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/65
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066・中村重光
○中村(重)委員 どうもいまのあなたの答弁では非常に言いわけみたいになっているようですが、絶対額がふえておってもこれはどうにもなりません。要は大企業と非常に格差が拡大をしている、これを解消する、是正をするという形でなければどうにもなりませんから、大企業との比較において中小企業の貸し付け資金の伸びはどうかということが問題にならなければなりません。あなたの白書の中でも問題点を指摘しておられる。絶対額は伸びているけれども、その貸し付け比率というものは一つも縮まっていない。ここに問題があるわけですから、そこにメスを入れなければ、都市銀行は減った、地方銀行も伸びていないようでありますが、とにかく民間の専門金融機関——相互銀行、信用金庫等をさしておると思いますが、こういうところは伸びている、それでやむを得ないのだという考え方であっては私はだめだと思う。肝心の政府金融機関におきましてもこの貸し付け比率というものは停滞の状態にあるということは、これまたあなたの白書の中で明らかにしておられるところであります。私が言っているのは、中小企業に対してどうしたならば大企業との格差を解消するための金融、税制の指貫を積極的に行なうかというところにあるわけです。そこに問題点をしぼってお尋ねをいたしておるのでありますから、まずその点に対するお答えがなければなりません。
しかし、時間の関係もありますからあらためてお尋ねをしてみたいと思いますが、政府関係金融機関で零細企業に対する融資の措置、貸し付けの簡易化、具体的には、期日をどう早めていくか。あるいは信用力の弱い中小零細企業でありますから、担保ももちろんないようであります。あるいは保証人を求めるという場合にもなかなかうまくまいりません。ですから、そういう無担保、無保証ということが零細企業に対する金融の措置としては絶対に必要であるということが指摘されてまいっております。またその線に沿うて措置していくということが政府自体としても行なわれてまいったわけでありますが、あなたが取り組んでこられた実績をひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/66
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067・中野正一
○中野政府委員 小口金融というか小口貸し付けの問題についての御質問でございますが、政府関係機関としてまず国民金融公庫は、御承知と思いますが、ほとんどこれはいわゆる小口貸し付けでございまして、このうちで無担保が、最近の実績で言いますと、件数でいって九六・六%、金額で九五%近くのものが実は無担保になっております。ただ、これは非常にむずかしい問題でございますが、保証人もとらぬでいいじゃないかというふうな説もあるのでございますが、これもいろいろいま研究いたしております。何とか手続をもう少し簡素化して何かいい方法はないかということは研究しておりますが、どうも政府機関にしても、これは金融でございますので、保証人もなしというところまで踏み切ることはちょっと、金融ベースというか金融の常識というか、そういうものからいって無理じゃないかということの考え方で来ております。しかし、できるだけ小口金融につきましては、たとえば中小公庫につきましても小口貸し付けという制度がございまして、これも担保徴収等についても代理店の裁量にまかせて無担保でもよろしいというようなことにいたしておりますが、貸し付けの手続を非常に簡略化するというようなことで、小口貸し付けの簡素化ということは国民金融公庫についても、あるいは中小企業金融公庫についてもやらしております。それから商工中金についてもこれと同じような金融制度をやっております。しかしいずれにいたしましても、担保についてはそういうふうにある程度弾力的にやり得ると思いますが、それでもわれわれがいろいろ皆さま方から聞いておるのは、ちょっと担保徴収の手続が非常に繁雑できつ過ぎやせぬかというようなお話も方々で聞きますので、その点については、いま両公庫、商工中金等についても、もうちょっと研究するようにやらしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/67
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068・中村重光
○中村(重)委員 都道府県においてやっておることが政府関係金融機関においてできないということが、私はむしろふしぎに思うくらいであります。しかしこの問題はいずれ三機関のそれぞれの責任者に来ていただいて、その際にあわせてあなたのほうにお尋ねいたします。
最後に、今度提案されておる法律案の中で一点だけお尋ねをしておきますが、いわゆる中小企業の革命政策の一つとして取り上げておる中小企業公庫債、この点に対して若干お尋ねをいたしておきます。端的にお尋ねいたしますが、これは財投に依存をしなかったのはどういうことか。公庫債、いわゆる公債政策になるのですが、これはたとえば商工債その他の関係も出てくるのではないか、いろいろ弊害も出てくるのではないかと思うのですが、あなたはこの点を前向きとお考えになりますか。公庫債による積極的な面をひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/68
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069・中野正一
○中野政府委員 政府三機関に対する財政投融資の問題でございまするが、これにつきましては、本来ソースが財政資金による投融資でございます。これによるべくわれわれとしても努力をしたわけであります。しかし、来年度以降につきましては中小企業に対する資金ソースというものを相当ふやさなければいかぬということが、一方非常に強い要請もあったわけでございます。そういう点を勘案いたしまして中小企業金融公庫について、財政投融資全体が八百三十三億でございます。そのうちの百億を政府保証の公庫債ということで、それだけ本来の財投にプラスアルファになるようにわれわれとしては努力をいたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/69
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070・中村重光
○中村(重)委員 八百三十三億、これは国民金融公庫あるいは商工中金等々この資金量からいってみますと、これはプラスアルファという形にはなっていない。特にいま政府の政策が中小企業金融公庫を中心に進めておるという形においてそのことが言えるわけです。また国際競争力の強化であるとか、あるいは産業構造の高度化、こういったような政策は、そのウエートは中規模企業に対する金融政策であり、税制政策というものが行なわれてきた。その関連において生じてくるのは、どうしても中小企業金融公庫が重点になってまいります。ですからその資金が大幅にふえていくということは当然でありますが、八百三十三億、そのうちに百億公庫債が加わっておるということは、プラスアルファにはならない。まずこれを革命政策の一つとして取り上げたということは、これは問題が実はある。かりにあなたが言うようにプラスアルファであるといたしましても、こういう政策をおとりになることが他に及ぼす影響というものを私は無視することはできないと思う。それらの点に対してはどのようにお考えになっておりますか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/70
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071・中野正一
○中野政府委員 来年の財政投融資について非常にわれわれとして配慮いたしました点は、いま先生の御指摘の点を含めた問題でございまして、全体の数字をちょっと御参考のために申し上げておきますと、来年度の三機関に対する貸し付け規模をできるだけふやしたいということで——これは例年大体一五%アップというのがここ数年来の計画になっておるわけです。前年に比べて一五%アップということじゃいかぬというので相当われわれとしてがんばりまして、中小公庫については貸し付け規模が来年はことしにくらべまして二一・一%アップ、国民金融公庫につきましては、これは全体の数字もございますが、普通貸し付けというのが大体中小企業に一番関係の深いものでございまするので、これをやはり一二一%、だから二一%アップということにいたして、これから自己資金等を引いて逆算して財政投融資の額が出てきておるような格好になっております。特に商工中金に対する配慮というものも、中小公庫が相当伸びていくのはいま御指摘のとおりでございますが、これと並んで商工中金の資金ソースというものをふやさなければいかぬ。同時に、これは大臣が前から非常に強調しておられたのですが、貸し付けの金利をどうしても下げたい、この際商工中金の金利を大体中小公庫並みに下げたい。これは念願と申しますか、悲願に近い念願ではないかと思いますが、これをぜひ貫徹したいということで、御承知のように出資を三十億、財投を六十億ということで、貸し付け規模は商工中金が一番伸び率が大きくて二三・八%中小公庫の二一%に対して二三・八%の伸び、こういうふうな数字になっておるわけでありまして、われわれとしては中小公庫だけを大事にするとか重点を置くとか、そういうようなことではなくて、中小公庫、国民公庫、商工中金、この三機関はそれぞれの特徴があるわけでございますので、それぞれのいき方でぜひ伸ばしたいというのがわれわれの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/71
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072・中村重光
○中村(重)委員 私は商工中金の問題については触れておりません。商工中金は今度は出資三十億、財投六十億、九十億の融資ができるわけですね。それに対して大蔵大臣は、商工中金がやっているいわゆる歩積みをなくするためにはどうしても政府出資あるいは財投をふやさなければならぬ、そこでこれをふやして三厘の値下げをやったんだ、こう明確にお答えになっておる。ですからそれらの関連において、いずれ他の機会にお尋ねしたいと思っておりますが、きょうは中小企業金融公庫の公庫債にしぼってお尋ねしておりますからその点に対して明確に私の質問にお答え願いたい。プラスアルファにならない、私はこう言っておることが第一点であります。
第二点としては、あなたはプラスアルファであるとお考えになっておるが、あなたの言うとおりであるとした場合、この公庫債はいろいろな弊害というものも出てくる、こう私は考えますので、それらの点に対してどのように配慮されたのか。問題点があるはずでありますから、その点に対してまずお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/72
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073・中野正一
○中野政府委員 中小公庫の公庫債を出すことについての問題点、これもいろいろあると思いますが、私の気がついている点を申し上げますと、公庫債が将来非常な大きな規模になってきたというような場合に、将来に当たって中小公庫の利下げをやりたいという、これはたしか国会の委員会の決議か何かあったように思います。いま私、詳細は知りませんが、確かにそういう決議もあったように思います。それから中小企業者も非常に要望しておるわけであります。そういう方向に持っていかねばならぬわけですけれども、その意味で公庫債が非常な大きなウエートを占めてくれば、当然将来の利下げの支障になりはせぬかというような問題があるわけであります。
それからもう一点は、これは政府保証債で、実際にはある特定の銀行が幹事役になってシンジケートみたいなものをつくって、割当制度みたいな形になっていくわけです。したがいまして、商工中金債は政府保証でなくて一般に広くいっておるわけでありますから、これと競合して、どちらかというと、商工中金債の売れ行きが悪くなりはせぬか、そういうような心配もしたわけでございます。しかし、第一の中小公庫の利下げの問題については、来年百億でございまして、これは将来どうなるかということについては私からいま確たる見通しはできないことになりますので申し上げられませんが、われわれの希望としては、現在計画しておるような程度の比較的小規模のものであれば、財投が相当部分占めますが、六分五厘の金が大部分でありますから、利下げには支障ないのじゃないか、将来の利下げには支障は来たさないのではないかというふうに、いまのところわれわれとしては考えております。それから商工中金債の売れ行き等の問題につきましては、これは私どもの最も心配した点でございまして、大蔵省とも十分協議しまして、商工中金債の売れ行きに悪影響のあるようなことがないように、これは行政指導をできるだけやろう。それから商工中金自身も、もちろんこれは従来から非常に努力しておりますが、そういう努力もしてもらわなければいけませんが、政府側においてできることがあれば、たとえば生命保険会社、そういうところでもう少しよけい引き取ってもらうとか、あるいは政府関係機関等でもう少しよけい引き取ってもらうとかいうことは具体的にやっておりますから、それ以外に一般の銀行で引き受けするとか、ここらあたりについても——だから、これは商工中金に都市銀行なり何なり一般の銀行が相当協力するというようなたてまえから、相当買ってくれていたのではないかというようなことを言われる向きもあるものですから、心配しておるわけでありますが、そういう行政指導等を通じまして、他の方面に悪影響が起こらないように努力はしていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/73
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074・中村重光
○中村(重)委員 時間の節約をはかるために、私は項目別に問題点をお尋ねいたします。
あなたも、百億という程度であるならば高金利という形にもならないのではないか、弊害は少ないだろうが、この公庫債が非常に多くなってくると高金利の方向へ進み、消化の問題等々で弊害の起こる可能性のあることをお認めになった。そこでお尋ねいたしますが、この巨億の公庫債は公募債になっておりますが、今回はどこで消化をなさるのか。将来ともに今回の措置と同じような形で消化をすることになるのか、その点をひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/74
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075・中野正一
○中野政府委員 公庫債の消化先は全国銀行でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/75
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076・中村重光
○中村(重)委員 今回は全国銀行でございます。ところが、将来ともに一般公募はしないという保証がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/76
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077・中野正一
○中野政府委員 将来の問題について私もいま確たることを申し上げることはできませんが、政府保証の公庫債については全国銀行にこれをはめてもらうようにわれわれとしてはやっていきたいと思います。と申しますのは、信用金庫とか相互銀行あたりにこれをあまりはめ込むと、これは本来中小企業金融機関なんですから、そこから金を取り上げていって政府機関から金を貸す、こういう形になりますから、好ましい姿ではないというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/77
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078・中村重光
○中村(重)委員 好ましい姿でありません。ところが、なかなかあなたの思うようにはまいらない。今回は百億でありますが、将来これが何百億あるいは、一千億という形にならないという保証はない。そこに問題がある。
それから、この公庫債の利率は幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/78
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079・中野正一
○中野政府委員 応募者利回りが七分三厘でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/79
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080・中村重光
○中村(重)委員 七分三厘ということになってまいりますと、財投は六分五厘、したがって八厘の持ち出しという形になるわけですね。それだけ金利は高くなる。原資が高くなるということは、結局貸し付けがそれだけ圧迫されるということになってまいりますから、低金利政策というものはなかなか実行できないという形になります。その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/80
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081・中野正一
○中野政府委員 まことにお答えしにくい問題になってきたのですが、たとえば——これはたとえばの話で、私はそういうことを望んでないのですが、いま言った中小企業金融債が非常に高くなって、金利が下げられないじゃないかというような問題が出てきた場合に、一つの解決策として、何も私それを望んでいるとか、そうなるだろうということでなくて申し上げるのですが、たとえばどうしても中小企業に対してもう少し低金利の政策をとらなければいかぬという政府の方針であれば、それは利子補給か何かすればいいんじゃないか、そういう方法もあり得るということ。誤解をされないようにしていただきたいのですが、だから金利問題だけからこの問題を論ずることも私はどうかというふうに考えております。もし金利問題だけなら金利問題で解決の方法があるんじゃないかという反論も、これは反論なんですが、あり得るということだけ御参考のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/81
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082・中村重光
○中村(重)委員 利子補給の道があるならば、当然今回そういう措置を講じなければなりませんし、それから一般公募が好ましくないということであるならば、一般公募はしないということを法案の中に明確にしなければなりません。そうしなければあなたがお考えになっていることと逆な、弊害が非常に強く出る方向へ私はこれが運用されることをおそれるわけです。
いま一つは、私が商工債と競合するおそれがないかと言うことは、一般公募になる可能性がある。それから今回のように全国銀行で、限られた機関によって消化されるという保証は将来ともにない。それから商工債の割高は七分一厘、今回の公庫債は七分三厘ということになってくると、当然これは商工債に対する圧迫という形になる可能性がある。いまですら商工債が中小企業者に対して非常な負担になってきている。このことを考えてみると、今回の公庫債というものは大きな弊害をかもし出す可能性があるから、問題点として私は指摘をし、質問をしておりますから、それらの点に対してひとつもっと将来の保証ということとあわせて明確にお答えを願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/82
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083・中野正一
○中野政府委員 先ほどちょっと私間違って御答弁申し上げたようでございます。公庫債は応募者利回り七分三厘と申し上げましたが、これは約七分一厘でございます。それから利付の金融債、これは商工中金債で、割引債でなくて長期のものでございますが、これは応募者利回りが七分三厘。割商は一年もので六分二厘二毛でございます。
それから将来の保証の問題ということになると、私、ちょっとまたこれも非常にお答えしにくい——私としては、政府保証債で来年はいくわけでありますから、その方向でいくべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/83
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084・中村重光
○中村(重)委員 それからいま一つ問題点として考えられることは、いまでも中小企業金融公庫は全国銀行との間に協調融資というものが行なわれておる。今回の公庫債は全国銀行がこれを消化するという条件が出てくる可能性があります。公庫債は引き受けるが、これは協調融資に応じろという要求が出てくる可能性が私はあると思う。そうなってくると、中小企業の金融というものはゆがめられ、大企業金融緩和という方向へずっと運用される危険性がないとは言えないと私は思う。その点はあなたはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/84
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085・中野正一
○中野政府委員 いまのところ、先生の御指摘になったようなおそれは私はないと思っております。しかしそういう可能性というものが考えられますので、そういうことがないように十分気をつけて、またこれらの対策等も今後研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/85
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086・中村重光
○中村(重)委員 私が資料として中小企業金融公庫の協調融資の実績を要求いたしましたのは、それを参考にするためであったわけであります。そこで、きょうは資料がまだ間に合っておりませんからお尋ねをいたしますが、中小企業金融公庫の全国銀行との協調融資の実績はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/86
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087・中野正一
○中野政府委員 これはこの前もちょっとお答え申し上げたかと思いますが、その資料が統計的にないわけなのです。それで実際のケースとしては、そういうことは代理貸しでなくて、先生の言われるのは、中小企業に貸すときは、それに関連して都市銀行あたりが金を貸す、協調融資というものはそういう意味じゃないかと思いますが、そういう資料はちょっと統計的にありませんので、その点はもうちょっと調べてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/87
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088・中村重光
○中村(重)委員 私はその資料が出ないということはないと思う。あなたのほうの管轄下にある中小企業金融公庫が貸し付けをやっているわけです。そういう場合に協調融資というのはあるわけですよ。だからそれが資料として出ないということは私はおかしいと思う。現在もあるのだから、今度公庫債を全国銀行が引き受けるということになってくると、引き受けはするけれども、いわゆる協調融資にも協力をしろという形が出てくる可能性がないとは言えませんよ。そうすると中小企業金融公庫の貸し付けが実質的な形でゆがめられる可能性が実はある。
それからいま一つの問題点は、政府保証債である今回の公庫債、これは非常に増大をしていく可能性がある。なぜかと言うと、これはいわゆる金融資本というものがこれに抵抗いたしません。政府保証債であると、これは買いオペの対象になります。そうすると日銀の貸し出しというものは五分五厘、七分三厘で公庫債を全国銀行が引き受けたといたしましても、一分八厘の利ざやというものはありますから、全国銀行はその公債をトンネルする。そうしてその利ざやをかせいでいくという形になりますから、これは全国銀行は抵抗をいたしません。そうすると、どうしてもこの政府出資であるとかあるいは財投ということよりも公庫債に依存をしていくという形が将来とも大きくなる可能性がある。この点は私は問題だと思っております。ましてや商工中金のごとく、いわゆる半官半民的な組織ではなくて、純粋の政府機関であるその機関で、いわゆる公庫債政策をとって融資をしていくという形は、私は変則であると考えておる。そういうことはとるべきではない。にもかかわらず革命政策の一環としてこういううしろ向きの政策がとられたということに、私は問題点を指摘いたしておきます。そういう点に対してあなたのほうでは十分研究をして対処されたのではないか、こう思いまして、先ほどからこれらの点に対してお尋ねをいたしておるわけです。しかし、きょうは時間の関係もございますから、いずれまたあらためてお尋ねをすることにいたしまして、これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/88
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089・久保田豊
○久保田(豊)委員 資料の要求を一つしておきますが、さっきお話のありました二月二十一日に下請代金の遅延防止の通達を出しておりますね。それの全文を成文でみんなに至急配ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/89
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090・中野正一
○中野政府委員 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/90
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091・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、明十一日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X01819640310/91
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