1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十三日(金曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
浦野 幸男君 小笠 公韶君
岡崎 英城君 海部 俊樹君
田中 正巳君 田中 六助君
中村 幸八君 野見山清造君
長谷川四郎君 南 好雄君
村上 勇君 大村 邦夫君
加賀田 進君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 楯 兼次郎君
森 義視君 米内山義一郎君
麻生 良方君 伊藤卯四郎君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 干速君
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
委員外の出席者
専 門 員 渡邊 一俊君
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本日の会議に付した案件
日本貿易振興会法の一部を改正する法律案(内
閣提出第九一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の日本貿易振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。楯兼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/1
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002・楯兼次郎
○楯委員 貿易関係につきまして、私は二、三質問をいたしたいと思います。生来声が悪いので、だんだんやっているうちによくなると思いますから、ひとつよろしくお願いいたします。
まず最初に、これはまあ経済企画庁の関係でありますが、三十九年度の輸出入の見通しでありますが、六十二億ドルという数字が出ております。まあつくられたときはともかくとして、現段階におきましては、ちょっと常識では考えられない数字となってきたというふうに私どもは考えるわけであります。大体経済見通しというものは、過去の数字を説明していただくまでもなく、常識的に合致をしたことがないわけでありますので、ここでこの数字をとらえて議論をするほどの価値もないと思いますけれども、しかし現段階の外貨事情その他によって観察をしてみますると、あまりにも常識離れをした数字になっておる、こう私どもは考えるのでありますが、大臣はいかがお考えか、まず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/2
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003・福田一
○福田(一)国務大臣 いま楯委員からお話がございましたように、見通しというのはなかなかそう簡単に当たるものでもないし、またいまあなたが仰せになったように、これは神様がいてここでやっても、見通しということになると、ほとんどむずかしかろうと思います。でありますから、先生のような見方も私は成り立つと思います。ただ私たちが考えると、これはまあ意見の相違になると思うのでありますが、確かにいまの傾向でいきますと、四月、五月、六月くらいの輸入というものは、いままでの調子で伸びていけば、六十二億ドルの輸入を相当オーバーするような数字が出てくると思う。しかし私たちがいまやっておりますことは、ある程度経済の過熱を押えるといいますか、設備をむやみにその力どおりふやすのを押えるといいますか、いろいろの手を打っておりますので、おそらく私は六月くらいからはかなり生産もダウンしてくることと思いますし、また一方においていま相当製品在庫がふえてきております。原料の在庫のほうは最低線に近いところでありますが、これもいろいろ見方がありまして、原料在庫はいま最低線にある、いまから二年前、三年前と比べて七八%という数字では足りないではないか、こういう見方もありますが、これは輸送機関等の関係もございまして、その材料がほしいときに自由にこれが手に入れば、ほんとうを言えば原料などというものはあまりよけい持っていないほうが経済的にはプラスなんであります。そういうこともございますので、私はいまの原料在庫の数字は何もそれほど過小であると見る必要はないと思う。ということになりますと、原料在庫もそう過小でない、一方ある程度生品在庫もあるということになれば、かなりこの面ではスローダウンされていくものと見ておるわけであります。もとより六十二億ドルという数字にぴったり当てはまるかどうかということになれば、それはいろいろ考え方もあるところでありますが、そういうような姿にしていくことは日本経済の大きな意味での健全な発達にならないから、これはある程度金融の関係等から押えていくというやり方をいたしておりますので、私はいまこの段階においてこれを変える必要はないのではないか、こういうふうに思っております。もちろん来年度の七月とか八月時分になりましたときに、なおかつ輸入が少しもカーブを曲げないということであれば、これはまたわれわれとしても考えなければならないと思いますが、現段階においてこれを変えて、それじゃうまい数字が出てくるか、いわゆる事実と相違しない数字が出るかどうかということ等も考えてみまして、とにかくある程度生産をスローダウンさせるといいますか、企業があまり無理をしないような行き方に持っていきたいという政策が漸次浸透していけば、私は大体この程度で輸入を押えることができるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/3
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004・楯兼次郎
○楯委員 いまの段階では、数字を変えるということも政府としてできぬでしょうし、まあ努力目標としてお置きになると思いますが、それはあとで具体的に入っていきたいと思います。
次にお聞きをしたいのは八条国移行、OECDへの参加も並行しておるわけでありますが、この点についてお尋ねをしたいと思います。大体八条国移行というのは、国際収支上の心配が全くない、これがまあ日本の国から見れば至上命令であって、その上で移行をするという姿が一番望ましいし、またそうでなければならない、こう私は思います。政府が八条国移行の腹をきめましたのが大体一昨々年あたり、非常に外貨事情もよろしいというので、その腹をきめたのだと思います。とここが一昨年から昨年、ことしに至っては私が申し上げるまでもなく、各新聞、雑誌、各関係機関はあげて外貨事情の窮迫を訴えております。だんだん悪くなる、しかし見通しはますます暗いという段階においての八条国移行というものは、われわれ国民の側としてはどうも割り切れぬ。商工委員会で中小企業の問題がいろいろ議論されたのでありますが、戦後最高の倒産である、こういうようなことが言われておるにもかかわらず、極端に言えば、だれにも頼まれないのに、こういう事情の悪いときに政府は八条国移行をし、あるいはOECDに加盟をして、そうしてやれきびしい国際環境、やれ国民の努力が必要であるといって、自分から飛び込んでいって国民に緊張感と努力を強要をしておるということは、どうも私どもとしては納得がいかないのであります。しかも私がそのことを申し上げるのは、すでに三十五年から八条国移行という目標を掲げて、政府が最大の努力をした結果が今日の悪条件下にある、こういうふうに私は解釈をしておりますので、政府の態度がわからないわけであります。端的に聞きますが、一体八条国に移行して、あるいはOECDに参加して、われわれ国民にどういう利益があるかという点、あわせてひとつ答弁してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/4
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005・福田一
○福田(一)国務大臣 これも楯委員のお考えも一つの考え方であると思うのでありまして、あえて私はあなたの意見にまっこうから反対するという立場ではありませんけれども、しかし私こういうふうに考えるのです。日本という国は、貿易以外には国民の生活を向上させる道はない、資源も少ないし、どうしても貿易にたよらなければ国民生活の安定も強化もあるいは福祉国家の建設もない、こういうことが前提になりますが、そういう場合に、貿易にたよるという場合には、自分のほうは窓を締めておいて、あなたのほうだけは窓をあけてください、あるいは門をあけてください。自分のところは門を締めておきますから、あるいは私のところは門を半開きにするけれども、あなたのところの門だけは全部あけてください、こういうことを言っても、これは国際通念上なかなか通らないことであります。そこでどうしてもやはり貿易の自由化ということをやらなければいけないということになるのでありますが、その貿易の自由化をやるときにあたって、やはり今度のIMF八条国に移行したのは、経常の取引を理由にして、外貨事情が悪くなったからといって自由化をしないということは認めませんよということでございますから、要するに、あなたのほうも苦しくても門をあけておきなさい、そのかわりこちらのほうも門をあけておきましょう、お互いがそういう形で貿易を進めましょう、こういうことになるわけであります。OECDの場合においても、まず大体において同じようなことになるわけであります。そこで日本は、この二、三年前から、大体日本もひとつIMF八条国に移行する、OECDに加盟するといって、いわゆる先進工業国と肩を並べた姿でどんどん貿易を予想していくほうが、国に経済力をつけることであり、国民生活安定の方法であるというたてまえから、これに踏み切ってまいったわけであります、いわば、未成年が成年になって、結婚したら仲間に入れてやろう、こういうのがIMFの八条国移行みたいなものだと思うのであります。そこで二、三年前から、それじゃ今度結婚しますよと言うておったのに、家の中がちょっとぐあいが悪くなったから結婚は取りやめました、こういうのじゃやっぱり信用がなくなってしまいます。どうも少しはつらい面があっても、ひとつ結婚をして仲間に入って、そこでまた一生懸命働いて、貿易その他を伸ばしながらやっていくというほうが、私はやっぱり信用を確保するという意味でいいんではないか。世の中で一番大事なことは信用だと思うのであります。国際間においても同じだと私は思うんです。信用をなくするということほど大きなマイナスはございません。われわれはすでにそういうたてまえでやってまいりました。確かに外貨事情はいま悪い。悪いからして、今度入るときに三億五百万ドルのスタンドバイをIMFから取りつけました。この一年の間には、この三億五百万ドルの金はいつ何どきでも借りられるという用心をして、あなたのおっしゃったような御心配もございますので、三億五百万ドルのスタンドバイを取りつけて、いつでも借りられるようにしておく、こういうふうにして踏み切っていったわけであります。でありますから、この段階において、楽な、安易な道であるとは申せません。これはやはり日本人としても相当腹を据えて対処しなければならない問題がいろいろあると思いますが、しかしなおかつそれに踏み切っていくところに、日本が世界の信用を得る大きな利益があり、またみんなと仲間になって共同してやっていくというプラスの面も大きくあろうかと思うのでありまして、このときにあたって遅疑逡巡するようなことがかえってマイナスになると思うのであります。また一方におきまして、政府が大体こういうふうにやるのだということでやってきたのに、少し外貨事情が悪くなったから今度やめたいということでは、いままでせっかく日本の産業が、八条国に移行する、あるいはOECDに加盟するのだからひとつ緊張してやらなければいかぬという緊張感を持って国民が臨んできておる気持ちも、かえってそこでくじけることにもなるのでありまして、等々いろいろ考えてみて、われわれとしてはこれを延期すべきではない、やはりこの約束した時期にこれを実現することが日本の経済を大きく育てていく道である、こういう観点に立って踏み切ったわけでございまして、もちろん私たちは何も前途を非常に楽観しながらこういうことをやっておるわけではございません。ひとつ国民とともに大いに緊張しつつこの荒波を乗り切って、そうしていわゆる光輝ある日本経済というものを打ち立てよう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/5
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006・楯兼次郎
○楯委員 通産大臣がそういう訓辞をたれるのはあたりまえかもしれませんが、にもかかわらず、きのう、おとといあたりのマスコミあたりは、非常に心配をした論説あるいは警告を発しておるわけです。だからあなたは、結婚をするためには家の中まで、あるいは外見を多少飾らなくちゃならぬ、しかし悪くなってきたけれども、そういう約束をしてあるから、いまさら日にちは延ばせぬじゃないか、こういうことですが、われわれの観測に立てば、日本はそれだけの自力がない。われわれは八条国移行にあくまでも反対しておるというわけではない。その条件が整うまで待っていいじゃないかと言うのです。子供が成人になったから結婚をしなければならないが、いまのままではちょっといいところからもらえないから、ひとつよそへ行って金を借りてきて、家の中も少し景気のいいように見せなければいかぬというので、社会党がいつも言っておりますように高度成長、あんなものは他人資本で外国から三十億ドルの借金をしてやった見せかけの繁栄だ。そういうことをやっている。八条国移行の前提条件である国際収支上の心配がないという最上の条件がくずれかかったならば、何も約束したからあわてふためいて何が何でも八条国移行をしなければならぬと言わなくたって、延ばせばいいじゃないですか。家が整うまで延ばせばいいじゃないかということを私どもは考えておるわけです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/6
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007・福田一
○福田(一)国務大臣 あなたの仰せになるように、マスコミが非常にいろいろ心配して書いてくれますが、私は非常に喜んでおるわけであります。マスコミがあまり楽観論でも書いてくれた日には、国民はますますゆっくりしてしまって事態の認識を誤るおそれがあるのでありますが、私はマスコミが書いている気持ちも必ずしも反対ではない。むしろ国民に警鐘を乱打するという意味で、また為政者に警鐘を乱打するという意味であれは書いていてくれるのだと実は感謝をしておるわけでありまして、あなたのお説もございますが、実際問題としてオリンピックをやるときに、たとえばオリンピックの選手になるときに、おまえ出たら必ず勝てるか、必ず十着以内に入れるか、そんなことは実際問題としてわかりゃしません。しかし入るつもりで参加するのであります。そこはやはり勇気というものも要るでしょうし、決断というものも要るでありましょう。私は、今度日本がOECDに入るあるいはIMFに入るというのは、ある意味においてあなたのおっしゃったような不安感があることはいなめないと思います。しかしその不安感があるからといって入らないでいたんじゃ、いつまでたったらその不安感は抜けるでしょうか。これが一つの問題。
それからもう一つは、これだけ日本の経済が開放経済に対処して進んできておるときに、急にやめるというようなことにしたら、急ブレーキをかけるということであります。急ブレーキをかけるというと、よく間違ってどこかにぶつかったり、かえってそこに混乱と紛糾を招くおそれのほうが多いと私は思う。むしろそのコースを、スピードは少し早いようであるけれども、スピードをセーブしながら走っていくほうが、急ブレーキをかけてぴたっととまったときに、そこに起きる混乱を避けるという意味からいえば、やはり今度入ったのが間違いでない、こういうことでございまして、これは楯さんの言われるようであれば、われわれのほうが間違っておるということになるかもしれませんが、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/7
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008・楯兼次郎
○楯委員 どうも福田さんの話を聞いておると、何というか漫談調になってしまって、おかしくなるんですが、急ブレーキをかけてけしからぬといって警告しておったのは、社会党が池田内閣に対しまする経済政策ですよ。通産大臣、あなたのほうはいつも急ブレーキをかけるから、国民が自動車の天井へ頭をぶっつけて困っておったんです。これは社会党が、あなた方の経済政策に対して常に警告を発してきた点ですよ。いまあなたはさかさまなことをおっしゃいます。そこで、入ってみなければわからない、添ってみなければわからないとおっしゃるんですが、私は寡聞にしてそういうことを知らないのでありますが、もし八条国に移行をした、やってみなければわからない、入ってみなければわからないんだが、入ったら外貨事情その他の逼迫によってどうも困るわい、こうなった場合には、また十四条国にバックできるのですか、どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/8
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009・福田一
○福田(一)国務大臣 バックはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/9
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010・楯兼次郎
○楯委員 それでは具体的問題についてお聞きしたいと思いますが、経常取引の制限がなくなっております。ところが、けさの大蔵大臣の新聞等の言明を見ましても、資本取引の制限はできる、こういうことを盛んにおっしゃっておるんですが、これはできます炉、たとえばどういういうような場合……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/10
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011・福田一
○福田(一)国務大臣 資本取引の制限は、IMFでは何ら制限を加えておりません。だから、できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/11
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012・楯兼次郎
○楯委員 私は冒頭にOECD参加を並行してお尋ねしたわけですが、OECD参加と八条国移行とを並行して考えた場合には、この資本取引の制限はできるとおっしゃいますが、どうもそれができないような感じを私は受けるわけです。たとえば日米通商航海条約の改定をやれ、こういうことを盛んに社会党は今国会の当初から主張をしております。これはOECD参加が関係があるかと思いますが、日米通商航海条約の十二条の解釈をもってすればできぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/12
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013・福田一
○福田(一)国務大臣 まずOECDへ加盟した場合の資本取引でございますが、これは御案内のようにいろいろ問題もありますので、もちろんOECDは自由化をたてまえといたしておりますが、しかし、直接投資の場合においては、国の経済に非常に影響がある場合には制限してよろしい、こういうことがまず条項できまっております。それから、それ以外の問題についてはいろいろ疑義がありますので、この際日本としても入る場合にははっきりしておかなければいかぬというので、あなたも御案内のように十七項目については留保をとりつけております。この留保さえ実現できれば、それほどわが国の経済には悪影響はない、こういう観点で、留保がとりつけられておりますので、私たちは今度はOECD加盟を踏み切っておるわけであります。
一方、今度は日米通商航海条約の問題でありますが、この議定書の六項というのに、通貨準備に悪影響を与える場合においては制限を付することができるという意味のことが書いてあるわけであります。十二条には、あなたのおっしゃったような条文があります。そこで、私たちは——その通貨準備に非常な悪影響を与えるというものには、直接与えるものと将来に与えるもの、間接直接いろいろございますが、そういうような条項がありますので、すなわち外資を導入したときには、アメリカから資本が入ってきたときには、通貨準備に非常にプラスになるけれども、それが来ることによって産業が非常な影響を受け、日本の経済が大きな影響を受けるような場合には、将来日本の外貨準備に大きな影響を与えるというようなものは制限ができるのであるという解釈をとっておるわけであります。このことにつきましては、この間の日米経済閣僚会議をやりましたときにも、資本取引の問題は起きました。話をホッジスさんともしたのでありますが、日本が将来順次自由化をする——われわれは何も資本の自由化を全然しないというのじゃありませんから、いま自由化をしようとして非常に努力をしておるということはよくわかる。したがって、日本がこの際そういうようないわゆるスクリーンをしていくことについては、当分の間やっていこうというならばそれはけっこうだ、——けっこうとまでは言わぬが、黙認するといいますか、異議は言わないと、こういうような態度をあらわされておるわけであります。でありますから、この際さしあたり日米通商航海条約の改定もわれわれは考えておらない、こういうわけでございます。法文の解釈、それから実情をいま御説明いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/13
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014・楯兼次郎
○楯委員 こういう問題については、あとで同僚議員から質問があると思いますので、十二時まで私の時間ですから、ほかに聞きたいことがありますから先に進みます。
われわれしろうとが考えますと、開放体制になった、そうすると、国内産業の弱小といいますか弱い産業は、関税政策によってこれを擁護しなければならぬというのが、まず考えに浮かぶわけですが、自由化によって打撃を受ける国内産業は、関税による擁護政策を考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/14
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015・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま、関税一括引き下げの問題が、御承知のように国際的な議題となって前進をしておる段階でありますので、私たちは関税政策でいわゆる企業を擁護するということについて全面的にこれを支持するというような非常識なことは考えておりませんが、ものによっては、必要があれば、まだ何も国際協定がきまっていないのでありますから、その段階においては、やろうと思えばやれるものだ、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/15
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016・楯兼次郎
○楯委員 二、三日前の新聞によりますと、アメリカとEECの会議では、盛んにアメリカのケネデイ・ラウンドに対して抵抗をしておるように私は読んでおったのでありますが、日本の立場はEECの立場を支持されるのか、あるいはアメリカの主張に将来同調されていくのか、どういう考えを持っておられるか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/16
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017・福田一
○福田(一)国務大臣 詳しいことはむしろ通商局長からお答えいたしたほうがいいと思いますが、基本的な立場ということであれば、やはり関税の一括引き下げに同調する。しかし、日本はやはり日本の立場がございます。特殊性がありますので、こういう点は国際会議の席上においても十分これを主張し、またその実現を期するよう努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/17
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018・山本重信
○山本(重)政府委員 ケネディ・ラウンドにつきまして、アメリカとEECとが意見の相違を来たしておることは御指摘のとおりでございまして、その当面の問題は、アメリカが五年間に五〇%一括引き下げをするということを強く主張しておりますのに対して、EEC側は、その五〇%一括引き下げをする前に、現在の関税でアメリカのほうが比較的高くてEECのほうが低い、この不均衡を是正することを考えるということを主張いたしておりまして、いわゆるディスパリティの問題として議論されておる次第でございます。アメリカもその議論には一応賛成をしてまいっておりますが、どういう方法でそのディスパリティを調和させるかという方法について、まだ最終的に煮詰まっていない段階でございます。日本のケネディ・ラウンドに対します基本的な考え方は、できるだけ国際間の交流を盛んにするという意味で、基本的には関税引き下げの方向には賛成でございますけれども、中小企業とか農業とか、まだ体質的に弱い産業がございますので、そうしたものは例外としてこの関税引き下げの対象からはずすということを何とかして確保したいということが一番の日本の主張でございまして、ただいまアメリカとEECの間で当面題になっておりますディスパリティの問題につきましては、特に非常に重要な関係がないといいますか、それほどでない。むしろ例外を確保するということに大きな重点があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/18
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019・楯兼次郎
○楯委員 折衷案で、ケース・バイ・ケースによって対処していく、こういうことですか。それでは、よく商工委員会等でわれわれが各委員の話を聞いておりますと、簡単に集約すると、日本の貿易というのは買いの自由はあるけれども売りの自由はない。こういう議論が結論として言われるわけです。そこで、関税障壁対策についてお伺いしたいと思いますが、自由化、自由化ということは言っておるのだが、しかしアメリカにしてもEECにしてもなかなか自国の利益優先で、相当な差別取り扱いをしておると思うのですが、こういうものに対する考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/19
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020・福田一
○福田(一)国務大臣 通商ということは、御案内のように売り買いのことでありますが、売り買いをしておれば、これは国内的にごらんくだすってもわかると思いますが、売るほうも買うほうも自分のほうの利益を主張するのは当然であります。そしてその利害がどこかで一致したところで商談が成立する、こういうわけでありまして、おのおのが自分の立場を主張することはこれは当然であり、日本だってよそから見れば、日本はちっとも自由化しないじゃないか、われわれが主張しておる自動車なんというのはいつになったらやってくれるのだということを、ずいぶん前から言ってきておるわけでありまして、向こうから言えば、日本は門戸を開かないじゃないか、こう言っておるわけであります。ところが最近は御案内のように、もうすでに百八十二品目のみが残されることになっておりまして、そのうちの三十七が将来とも自由化しないでいいという品目になっていますから、百四十五くらいはやはり自由化品目になっておる、しなければならない。いわゆるIMF八条国に移行した以上は、将来はしなければならない。それじゃ日本だけがそういうものを持っておるかというと、外国もみんな持っておるのでございまして、フランスも日本に対してはいまでも二百二の非自由化品目を持っておるわけであります。こういうことでありまして、お互いに自分の国の利益を主張するということは、商売の上ではどうしても起きてきますから、すなわち売る場合も買う場合も思うようにはならないというのが商売の常道だろうと思う。これはもし買う場合に思うようになれば非常に安い物が買えたということであり、また売る場合に思うようになれば高い物がうんと売れたということであり、これは相手国に対しては決してプラスではありません。相手国はそれに対していろいろな反対をしてくることは明瞭でございます。
そこで今度は具体的にアメリカと日本の関係などを考えてみますと、アメリカは日本が輸出するもののうちで三〇%くらいは自主規制をさせておる、ずいぶん不合理じゃないか、こういう問題がありますが、しかしまた一方日本においても相当程度非自由化品目を持っておるのでありますから、向こうのほうから言えば、それはあたりまえじゃないか、こういう言い分が一応成り立つわけであります。これはアメリカの立場です。だからこの間も経済閣僚会議を開いたとき、私は、ホッジスさんが日本の国民に、なぜアメリカがこういうことをやっておるかということをひとつよく説明してくれ、そうして私が今度アメリカへ行って、アメリカの閣僚になって、そしてアメリカの国民に、日本がなぜこういうことを言うておるのかということをよく説明してわからせないと、これはほんとうに両国の国民が納得して、なるほどそれだからこうなっておるのかということはわからぬかもしれない、冗談でありますが、そういう話をしたわけであります。これはおのおのその国がその国の主張をすることは、これはもう将来もあり得ることでありまして、これがいわゆる商売だと私は思うのであります。
EECの関係においてもみなそうであります。EEC六カ国といいますが、 フランスといい、イタリアといい、西ドイツといい、その他の国々といい、日本との間にはそれぞれ利害が違います。こういうものはお互いに両国間の話し合いでだんだん非自由化品目を減らして自由化していく、こういうふうな努力をしておりますが、日本の軽工業品あるいはその他のもののうちには相当やはり競争力を持ったものがありますから、向こうはそういうこっちの競争力を持ったものはできるだけチェックしようとするわけであります。日本のほうだって、向こうが競争力を持っておるものを自由化しようとするときにはできるだけチェックしようとしておる。チェックしないならば、自動車なんかもっととっくに早く自由化すべきだが、それがどういう影響を与えるかということを考えると、そう簡単にできないということでありまして、これは相互にそういうことがあるのであります。その間を縫ってお互いに自由化をする努力をし、また日本は産業に力をつけて、自由化しても対抗できる、逆輸出できるというような力をつけるように努力をする、こういうことが今後の経済政策の——これまでもそうでありましたが、今後もますますこの政策が日本にとっては重要な課題になる。それで初めてみんなと肩を並べて、しかも日本の輸出を伸ばす道に通じているのだ、こういうふうに、私たちは考えておるのでありまして、今後もそういう努力を続けてまいりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/20
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021・楯兼次郎
○楯委員 それでは時間もたちますので、これは大蔵大臣が本筋だと思いますが、通産大臣も専門家でありますので、簡単にお聞きをしたいと思います。国際収支の問題は先日も社会党の久保田委員からいろいろ議論があったと思いますので、私は簡単に触れておきたいと思うのであります。
まあ相当の赤字が見込まれる、また自由化をした場合にもこのままでいけば相当な赤字が拡大をしていくであろう、これは常識的な見方でありますが、まずその輸入抑制にどういう対策をとるか。最近、総裁選挙があるので公定歩合の引き上げということはちょっとぐあいが悪い、だから売りオペの二千億をやったのだというようなことが議論されておるのでありますが、この輸人抑制に対してどういうような方向で将来これを規制をしていくのか、通産省としてはどういう考えを持っておるのか。お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/21
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022・福田一
○福田(一)国務大臣 これはあなたのおことばを何も間違っておるという意味で申し上げるのじゃありませんが、規制という意味じゃないのでございます。規制ということになりますと、自由化ということに対して非常に大きな問題になるわけでありますが、どういうふうにして輸入量を少なくするかということは、一つは財界が景気が行き過ぎにならないようにさせていく。いま相当設備ができた、その設備を動かすために原料も必要であるというような事情もありましょう。また、いわゆる消費需要がふえてきたために消費物資をどんどん生産するというような、国内消費のための生産をするというような事情もありましょう。こういうようなときにあたって、いまや八条国へ移行して非常に重要な時期であるから、もしへたをしてあまり外貨が減るようなことがあっては、大きな意味で、日本の将来の経済の発達にも産業の興隆にも非常な不利益をかもすであろう、また、そのこと自体は国民に対しても大きなマイナスをもたらすことになるのであるからというような意味のことを、よくわれわれとしては皆さん方に申し上げておるのでありますが、そういうことと同時に、一方において、今度はさらに設備をあまりに増設するというようなことは、ひとつ十分考えてやってもらいたい。それにはいままでの企業の姿を見ますと、銀行からどんどん金を借りて設備をしたほうがいい、あるいは技術の革新をしたほうがいい。もちろんその企業企業には、それをやるにはやるだけの理由があってやっておるのでありますから、これを絶対悪いとは言うわけにはいきませんが、しかしたとえそれをやった場合においても、企業が考えておるだけの利益が上げられないということであれば、企業家としてはひとつ十分注意をしてもらいたい。今日の状況は、あなた方が考えられるほどにどんどんそういうことをやっても利益が上がらないように見られるのです、だから、その点は十分慎重にやってもらいたいというのが、いわゆる窓口規制等をやっておる気持ちであります。これは私は大蔵大臣でもございませんし、あなたのおっしゃったようにまことにしろうとでありますから、私の話を聞いていただいても御参考にならぬかと思いますけれども、たとえば公定歩合の引き上げなんかの問題にいたしましても、公定歩合を引き上げることによって景気が行き過ぎないようにさせるのも一つの方法ですが、これにはやはり一つの大きなマイナスがある。何がマイナスか。日本の産業のうちでいま世界の産業に比較して一番弱いのは何かといえば、やはり金利であります。金利の面が一番弱い。労働問題等におきまして賃金等の問題もよく出ますが、大体賃金はイタリア並みまで伸びてきておるのでありますから、そう世間から誤解を受けたり、非難を受ける筋合いはないと考えております。また技術の面においても相当進歩してきましたから、これも劣ってはおりません。ただ非常に心配なのは、日本は金利が高い。その金利がコストに大きく影響いたしまして、いわゆる輸出力をかなりセーブしておるという事実は認めないわけにはいかないと思っておるのでありますが、こういう意味からいえば、金利を上げるというようなことはどうもおもしろくないのではないかという意見が相当一部にあるのであります。金利の問題は日銀が専管されるところであって、われわれがああせい、こうせいという意味では申し上げるわけではありませんが、そういう空気が相当日本の国内にある。そういうこともよく理解しながら日銀が今日のような措置をとっておられるのである、こう私は理解をいたしておるのでありまして、いずれにいたしましても、あまり設備を急に増設するとか、あるいはまた、少しくらい得だからといって急に技術の革新をはかるとかいうことをやっても、その入れた元手に対する利益がはたして上がってくるかどうかということをひとつよく考えてもらいたい、ということを明らかにするためのやはりいま申し上げたような窓口規制等の問題であると思うのであります。
一方、今度は輸入を押えるといいますか、輸入を少なくするという意味では、日本の消費財が相当いいものができてきておるのに、日本人というのはどういうわけか知らぬが西洋崇拝でございまして、何でも向こうでつくった物はいいと思っておる傾向がある。たとえば洋服地などはいまアメリカで日本の品物のほうがずんといいというので、イギリスよりはよけい入っているような事態であります。そういうことになっていても、日本の国内では、やはりメイド・イン・イングランドと横のところに書いてないと承知しないというような傾向がある。これはまことに残念なことである。こういうことは私たちとしてはもっと大いに宣伝をし、また理解を深めていく必要があると思います。また官公需等におきましては特に、同じ値段であったらできるだけ国産品を使うようにというような措置も考え、この技術が同じであればもう当然国産品を使うようにということも考える。一方において、機械類は延べ払いで外国から売り込んできますから、こちらも延べ払いで対抗するということも考えたい。これは詳しいことは局長からまた申し上げますが、大体そういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/22
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023・楯兼次郎
○楯委員 どうも通産大臣の該博なる知識をお聞きしたいのでありますが、もう時間が二十分しかありませんから、あなたのほうも都合が悪いだろうと思いますので、質問したところだけを答弁していただきたい。
それでは国際収支について、一番問題のあるのは貿易外の収支だと思います。これは先日来各委員会等においていろいろ議論をされておりますが、何としてもこの貿易外収支を改めなければ、対策を立て早急に赤字を縮小しなければ、この自由化に向かっていけないと思うのですが、これに対する対策をどうお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/23
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024・福田一
○福田(一)国務大臣 直接私の所管でもございませんので、簡単にお答えいたしますが、やはり船舶関係の問題は非常に重要だと思います。これは早急に対策を立てて改善をはからなければなりません。将来はまた航空機関係の問題もいまからよく考えておかないと、そういう事態が生ずることを非常に心配をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/24
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025・楯兼次郎
○楯委員 まあ海運が本年度末は四億ドル、それから外資導入による利子配当、手数料、特許料がこれも四億ドル、合計約八億ドルに貿易外収支はのぼるであろう、こういうことを言われておるのです。で、海運のこの赤字解消について、ただ対策を立てるというだけではわれわれも納得しないので、これは多少時間をさいても、どういう具体策を持っておるか、説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/25
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026・福田一
○福田(一)国務大臣 これは運輸省所管のことでありますから、私が詳しいことを申し上げることは、また申し上げる力もございませんが、いま考えておりますことは、大体年間さしあたり来年度あたりは百万トン以上国内船をつくる必要がある、いま六十四万トンでございますが、これを相当ふやさなければいけない。いま運輸省が考えておるのは、この三、四年の間に五百三十万トンの国内船を増強したい、こういうことでございます。これはドックその他の方面はあいておると思いますが、はたしてそれだけの資金が手当てできるかどうかということに問題があると思うのでありますが、しかし、われわれとしては、極力この面には財政力を投入してもこれを実現するように努力をいたしたい、こう考えておるわけでございます。詳しくは、これはひとつ運輸大臣のほうにお願いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/26
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027・楯兼次郎
○楯委員 そう言われれば、これはやめておきましょう。
それでは、外貨保有に対して最近政府はゴールド・トランシュとか、あるいは延べ払いの債権の分を貿易収支に計上するとか、形式だけはふくらましたが、内容は変わりはありません。それで私どもしろうとが考えまして、なぜ日本は金準備の比率をふやさないのかということが、幾ら政府の説明を聞いてもわからないのです。その必要は痛感するがという答弁は、終戦以来たびたび聞いておるのですが、一向にふえておらぬ。だから、日本が幾ら大きなことを言っても、インドを例に引いては申しわけないのですが、インドと日本は同じである、それで大国だ、大国だと池田さんが演説をなさっても、どうもぴんとこないわけです。だから金の保有率を少なくとも先進国に仲間入りするということならば、そのくらいの比率までは有すべきじゃないか。そのことにおいて国民が非常な安定感を持てば、一方においては緊張せよ、努力せよ、国会においては外貨については心配はございません、こういう矛盾した答弁を繰り返さなくても、私は一目りょう然国民に安心感を与えるような気がするのです。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/27
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028・福田一
○福田(一)国務大臣 これは大蔵大臣にも御質問になった上での御質問かと思うので、私はどうもあなたよりはしろうとかもしれませんから、答弁がうまくいかないかもしれません。しかし私は、要するに国際間においても信用が大事だと思います。たとえ現金を持っていなくても、また金を持っていなくても、日本の円がそれにかわるだけの力を持っておるということであれば、すなわち日本の一ドルが三百六十円という為替のレートは完全に維持できる、日本の円を獲得してもそれは必ずできるんだ、しかし金にはそれはかわらないかもしれないが、ドルにかえることは十分できるんだという、世界の人がそういう感じを持っていてくれれば、あえて金を持つ必要はないのではないか。今日までそれで済んでおるのも、また今後もあえてそういうことをしないでも信用が維持できれば私はいいんじゃないか、こういうふうに感じておるわけであります。ただし、これはどうもほんとうにしろうとですから、答弁が違っておったらあるいは訂正をさしていただくかもしれません。(板川委員「ドルの信用が変われば損をする。」 と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/28
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029・楯兼次郎
○楯委員 いま板川君が言ったように、ドルの信用が変われば損をするというところだろうと思いますが、しろうとなんと言われれば、私はあなた以上しろうとですから、やめておきます。
そこで輸出拡大ということが、これまた至上命令だと思いますが、資本主義諸国の貿易というのは、いろいろなことを言ってもそれはもう頭打ちで、拡大なんということは大して私は望めないと思うのです。社会党の持論と言われるかもしれませんが、とにかく共産圏貿易を広げなければ何ともしかたがないじゃないか、こう思うわけです。私は二、三年前池田さんに言ったことがあるんですが、われわれ社会党の立場と自民党の立場は違うでしょう。しかし英国あるいはドイツあたりがやっておる、いわゆる西欧陣営諸国並みくらいはいまの池田内閣でもできるじゃないか、こういうことを数年前言ったわけであります。いろいろな立場があれば、なぜ西欧陣営諸国がやっておる線までやらないのか。最近は共産圏貿易は非常に拡大をしてきたわけですが、しかし最近の新聞紙等によりますと、イギリスは延べ払いを十五年、それからフランスは中国承認ということで、立場は違いますが、五年以上をどんどん適用をして経済交流あるいは人の交流をやっておるわけなんです。なぜ日本だけ五年以下に固執をしてやっておらなくちゃならぬのか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/29
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030・福田一
○福田(一)国務大臣 私はやはりこれは国力の相違もあると思います。ということは、共産圏は御案内のように、どこの国を見てもあまり外貨を保有しておられません。その外貨を保有しておらない国が物を買われる場合には、どうしても延べ払いという問題が起きます。延べ払いということになることはいわゆる貸し売りをすることです。日本に国力が相当あればそれは貸し売りもどんどんできるでしょう。具体的に説明すれば、輸出入銀行の金がたくさんあればあるほど延べ払いの財源も出てくるわけでありますが、ところがこれには限度がございます。これを考えてみると、そう簡単に延べ払いのワクを、また年限を延ばすということは、いいか悪いかわかりません。それからまた、われわれとしては西欧並みにやっておりますが、いまあなたが仰せになったように、フランスがそれじゃどれだけいま具体的にやったかということになりますと、実を言うとかけ声は大きいけれども、まだそこまでいっておりません。イギリスの場合も同じでございます。イギリスの場合も、数字をとってお考えください。そうして日本の経済力、いわゆる外貨保有量というようなものとイギリスの立場とを見ながら比較していただけば、決して日本がそれほど劣っておるとは思っておりません。ただ、おしなべて言えることはあなたがおっしゃるように、何も向こうが——どこの国とも私たちとしては一応諸外国がやる程度においては延べ払いの期限等も考えておりますし、また、あまりほかの低開発国と均衡を失しないようなことも考慮に入れながら、共産圏に対する輸出ということをやっております。現に、ソビエトとこの間も交渉してみると、どうしてもこっちの買いたいものは向こうはいやだ、売れない、こっちが売りたいというものはいやだ、こういうのでは、なかなかそれがうまく合わない。合ったところでやっていくよりいたし方がないのであります。それにしてもやはり順次ふえておることだけは間違いない。一割何分今度ふえました。そういうわけでありまして、私たちとしては積極的に貿易をするという姿は気組みとして持っておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/30
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031・楯兼次郎
○楯委員 先ほど大臣が、延べ払いについては輸出入銀行を通してやるとおっしゃいましたがOECD参加については、輸出入銀行を通してやるということは問題が起きませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/31
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032・山本重信
○山本(重)政府委員 OECDにおきまして、最近の延べ払い、それに関連いたします信用供与というようなことが問題になっておりまして、その部会がたびたび開かれておる実情でございます。ただ、いままでのところでは、そこで信用供与の条件その他につきまして、それからたとえば公的な機関を使うことにつきまして、特に制限を加えるというような具体的な話はまだ出ておりません。ただいまのところは、五年以上の公的機関を通ずる延べ払いにつきましてお互いに情報を交換をしようじゃないかという提案がございまして、まだそれも結論に到達していないというのが現段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/32
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033・楯兼次郎
○楯委員 それでは福田さんに、いやな話かもしれませんが、けさの新聞を見ると、台湾の蒋総統が、通産大臣が、第二次中共ビニロン・プラント輸出分に対してああいうことを言ったのはけしからぬといって、たいへんおこっておる、こういうことを読んだのですが、その内容と、台湾の発言によってあなたの心情が変わらないかどうかということをお聞しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/33
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034・福田一
○福田(一)国務大臣 確かにけさの新聞を読みましたが、何か私がステートメントを出して大いに何かやるようなことでけしからぬということのように書いてありました。しかし、これは毛利外務政務次官が帰られてからよく事情を聞いてみたいと思っておるのであります。ただ私は、台湾との関係において、私たちはやはり信義を守って、台湾とは条約を結んでおるのでありますから、信義を守って台湾と友好関係を保っていくいうことについては、何ら意思は変わっておりません。今後両国間での相互が善意を持ってこの問題を解決するようにわれわれとしては今後とも努力をしてまいりたいと思います。それだからといって、何もここでああいうことが新聞に出たからどうということで、私の心境はひとつも変わりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/34
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035・楯兼次郎
○楯委員 それではあと十分ですから、ジェトロの問題に一言触れたいと思いますが、先ほども雑談があったように、革命的な中小企業に対する対策とおっしゃったのですが、出てきた中小企業関係法案によってはどうもその革命的な裏づけが見当らぬというので、理事会でも議論があったわけです。ばかりか、むしろ戦後最大の倒産である。これはそっくりそのまま貿易関係にも当てはまると思うのです。大体中小企業の貿易なんというのはめくら貿易で、大企業あるいは外国商社から非常なしわ寄せを受けておる、こう私は思うわけです。そこで、このジェトロの中にも、パンフレットを読むと、中小企業に対していろいろのお世話をいたしますというようなことが麗々しく書いてあるわけです。ところが内容を見てみますと、どんなお世話、対策なのか、具体的な項目がちょっと見当りませんので、どういうようなことをやっておるのかというのが第一点。
それから口が悪いようでありますが、巷間言われておるのは、ジェトロというのは、あれは大企業のためのサービス機関である、あるいはおこられるかもしれませんが、あれは官僚の海外出張機関である、これはみな言っておるのですよ。これは人の言っていることを聞いてメモに書いてあるのですが、これでは私はいかぬと思うのです。私どもが特に要望をしたいのは、このジェトロを中小企業のための貿易機関とするか、あるいは少なくともジェトロの中に中小企業のための別ワク機関を設けてもらいたい、こういうのがわれわれの要望であり、また中小企業の熱望であろうと思う。大体国内も外国もそうでありますが、大企業なんというのはほうっておいたっていいのです。ところがほうっておいたって大きくなるものばかりを政府機関が擁護し、援護し、救済をしなければならぬ中小企業に対しては無為無策というのが、どうも日本政府のいままでの態度じゃないかと私は考えるわけです。この二点についてひとつ答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/35
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036・福田一
○福田(一)国務大臣 一般論的に申し上げましてジェトロがそういう大企業偏重あるいはまた中小企業をわれわれが無視するというような考えはございません。具体的な問題については政府委員から答弁をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/36
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037・山本重信
○山本(重)政府委員 ジェトロのただいま行なっております事業のうちの相当部分が、実際は中小企業のための事業になっております。と申しますのは、発足当時に比べますと、大企業等は自分の力でかなり海外に人もどんどん派遣いたしましたり、自分でいろいろ宣伝活動をするようになりましたので、ジェトロとしては、そういう大企業が自分でできるところからは、もうできるだけ手を抜きまして、中小企業のほうにウエートをかけて努力いたしておるつもりでございまして、楯先生の御趣旨のような気持ちで実は努力いたしておる次第でございます。具体的に申し上げますと、たとえばジェトロがやっております国際見本市の事業は、出品者総数のうち七〇%が中小企業者でございます。またトレード・センターの展示会の出品者の中では八〇%が中小企業でございます。それから貿易相談所の利用も平均いたしまして七割ないし八割が中小企業でございます。その他在外施設への委託調査の利用等も七割五分が中小企業の委託であります。かようなことになっております。今後もできるだけそういう方向で努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/37
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038・楯兼次郎
○楯委員 その対策と、別ワク機関を設けるかどうかというような考えについてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/38
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039・山本重信
○山本(重)政府委員 御趣旨でございますので、検討をするようにジェトロにも話をしたいと思いますが、何かワクをつけますとかえってそれが制約になるのではないかというような心配もちょっといたしますので、十分検討した上でどうするかきめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/39
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040・楯兼次郎
○楯委員 それでは時間になりましたので、声をなおしてからまた御質問申し上げることにいたしまして、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/40
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041・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、来たる十七日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することにいたし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02019640313/41
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