1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十八日(水曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
浦野 幸男君 遠藤 三郎君
小笠 公韶君 海部 俊樹君
田中 正巳君 田中 六助君
中村 幸八君 野見山清造君
長谷川四郎君 大村 邦夫君
加賀田 進君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
森 義視君 米内山義一郎君
麻生 良方君
出席政府委員
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
厚生事務官
(年金局資金課
長) 河原 輔之君
国民金融公庫総
裁 石田 正君
中小企業金融公
庫総裁 舟山 正吉君
参 考 人
(商工組合中央
金庫理事長) 北野 重雄君
参 考 人
(日本中小企業
指導センター理
事長) 越智 實君
参 考 人
(全日本商店街
連合会会長) 山田 泰吉君
参 考 人
(年金福祉事業
団理事) 畠中 順一君
専 門 員 渡邊 一俊君
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本日の会議に付した案件
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七二号)
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七三号)
中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七四号)
中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出第七五号)
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫
法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七
号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上六法案を議題として審査を進めます。
本日建以上の各案の審査のため、国民金融公庫総裁、中小企業金融公庫総裁、並びに参考人として商工組合中央金庫理事長北野重雄君、日本中小企業指導センター理事長越智實君、全日本商店街連合会会長山田泰吉君、年金福祉事業団理事畠中順一君がそれぞれ出席されております。
両公庫総裁並びに参考人各位におかれましては、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。本日の議事につきましては、最初にごく簡潔に各団体の事業概要等について御説明をいただき、そのあとで委員から質疑がございますので、これについても忌憚なく御答弁をお願いしたいと存じます。
それでは、まず国民金融公庫総裁から御説明を聴取することにいたします。石田国民金融公庫総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/1
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002・石田正
○石田説明員 国民金融公庫が接触いたしておりますところの融資先からわれわれが感じ取っておりまするところの中小企業の経済、金融事情につきましては、第一に感ぜられますことは、金融引き締めの問題と、それからそれぞれの業界が固有に持っておりますところの当面しておりますところの問題、たとえて申しますれば、販売業にいたしますればスーパーからの影響がどうなっていくかというようなこと、繊維業で申しますれば暖冬異変の影響をどう受けておる、こういう問題等がからみ合って、そうして中小企業は相当苦しいということが看取せられるわけであります。それから第二の問題といたしまして、業種によってこれは区々でございますけれども、どうも大勢として、われわれの融資先であるところの中小企業は、取引額はふえておる、したがって収入はふえておるけれども、どうも利益、純益の点になりますると、これがかえって減る、こういうふうな状況にあるのではないかと考えられるわけでございます。当公庫に対しますところの申し込みは、昨年の暮れ以来運転資金も設備資金も増勢をたどっております。この融資申し込みを通じてわれわれが感じられる点が幾つかあるのでございますが、それを一つ一つ申し上げますると、第一に、金融機関、私申しまするのは、政府金融機関でない一般の金融機関でございますが、その金融機関のうちで、特に銀行方面におきまして貸し出しワクを縮小する、融資の選別をするというようなことから、当公庫のほうへ申し込んでくるというケースが多くなってきておるのではないかと思うのであります。例をとって申しますると、銀行あたりでは、むしろ自分の従来の取引先に対して、国民金融公庫へ行ってお借りになったらどうですか、場合によってはあっせんもいたしますというような面もあらわれてきておるようでございます。それからまた、従来どおり運転資金は出しますけれども、設備に関するものは政府機関のほうでひとつめんどうを見てもらったらどうですか、こういう傾向があらわれつつあるように感ぜられます。運転資金につきましても、これは買い掛けの決済資金であるとか、手形の決済資金であるとかいう、自分の支払いを済ますための資金、それからまたほかからの現金収入が減ってまいりまするので、それのつなぎをするというような資金、こういうものが目立ってきておるように感ぜられます。それから第二の点といたしまして、取引企業からの支払い代金がだんだんと長期化してくる、また場合によっては注文も減ってくるということのために、そのしわ寄せを受けたところの企業が公庫にかけ込んでくるというようなケースもだんだんとふえてきておるような感じもいたすわけでございます。それから第三の問題といたしまして、いろいろと倒産の問題が起こってきておりまして、その倒産の影響を受けました業者が公庫に申し込みをしてくる。こういう点も目につくように考えられるわけでございます。それから取引企業からの支払い代金が長期化したとか、あるいは取引企業の倒産によるとかいうふうなことで、すぐというわけではありませんが、それがだんだんと積もってまいりまして、資金繰りが悪化してくるために、公庫から新しく借り入れするということは前に申しましたけれども、そうでなくて、公庫に対して返済をする期間、これが苦しくなってきたから延ばしてほしい、こういうふうな申し込みをされる方もふえてきておるようでございます。そのほかといたしましては、暖冬異変によりまして業況が不振であって、大量の手持ち在庫をかかえておる、そこへ持ってまいりまして春ものの仕入れ期がきた、年末に買いました商品の決済期もきた、金融引き締めの影響も受けておるというふうなことで、資金繰りが悪化したので公庫から借りたいということで、これが相当目立ってきておるように思います。
大体そういうふうなことが、われわれとしまして、最近の情勢として特徴的に考えられるのでございまして、これに対処いたしますためにどういうふうに国民金融公庫はいたしておるかということを最後に申し上げたいと思うのでございます。
この四半期の貸し出し計画は、当初は二百六十五億円でございましたが、御承知のとおりに年末におきまして資金の追加がございました。その追加が昨年中に全部使えませんで、ことしに繰り越したものがございまして、その関係で大体三百十五億円ぐらいの貸し出しができるのではないかと思っておったのでございますが、それが二月に資金の御追加を政府のほうからいただきましたので、現在では第四・四半期、すなわち一月−三月の間に三百五十億円の貸し出しをしようということで現在仕事をいたしておるわけでございます。この三百五十億円という数字は、昨年の第四・四半期におきまするところの貸し出しの実績であります二百三十六億円に対しますと四八%の増加ということに相なっております。昨年は御承知のとおりに豪雪がございまして、そのための災害の申し込みが相当多かったわけでございます。これを除いて対比いたしますと、昨年度に対しましては、災害除きでは六六%増の貸し出しができるのではないか、かように考えておる次第でございます。最近の申し込みの金額で申しますと、一月は百十五億円の申し込みでございました。これは災害を除いて見ますと、大体前年の二四%増というような数字に相なっております。二月の申し込みは二百三十二億円でございまして、これは災害を除いて見ますと三九%の増に相なっております。三月の状況は、まだ全部締め切っておりませんので、ここで数字を申し上げることはできないのでございますが、大体先ほど申しましたようなぐあいに災害除きで六六%の増加の計画をいたしておりますので、まあ三月は何とかいけるのではないか、かような感じを持っておる次第でございます。
貸し付けのほうはどういうふうになっておるかと申しますと、大体一月の実績は五十八億円でございまして、災害除きでは九%の増加でございますが、二月になりますと百四億円貸し出しをいたしまして、これは四五%増ということに相なっております。三月は先ほど申しました三百五十億円ということから考えますと百八十七億円ぐらいの貸し付けができるのではないかと思っております。これは大体去年の三月の実績の倍をこえるというような感じになりますので、先ほど申しましたようなぐあいに、大体この三月に関します限りにおきましては何とかやっていけるのではないか、かような状況でございます。
はなはだ簡単でございますが、これで御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/2
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003・二階堂進
○二階堂委員長 次に、中小企業金融公庫総裁から説明を聴取することにいたします。舟山中小企業金融公庫総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/3
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004・舟山正吉
○舟山説明員 最近における中小企業金融公庫の資金需要といったようなものについて御説明申し上げます。
昨年末以来の金融引き締め政策がだんだんと浸潤してまいりまして、一般経済情勢にも影響が現われつつあるのでありますが、中小企業につきましては、金融引き締めのしわ寄せを受けやすい立場にございます。それに加えましてことしは暖冬異変ということもございまして、一部業界では倒産その他整理の事態を生じたのでございますが、金融引き締め政策が続きます限り、今後も中小企業の動向につきましては十分注意して見守っていく必要があると考えておる次第でございます。私ども中小企業金融の衝にあたるものといたしましては、世上言われておりますような企業間信用の累積とかあるいは金融機関からの締め出しといったような悪影響が中小企業にしわ寄せされまして、その経営が困難になっていくというような事態を極力防止しなければならぬのはもちろんでありまするが、また同時に、中小企業の近代化、合理化のおくれを取り戻しますために、いわゆる前向きに金融を考えていかなければならぬ必要もあると考えておる次第でございます。
こういうような事情にかんがみまして、この四半期におきましては、政府は今年二月、中小企業金融対策の一環といたしまして、本公庫につきましても貸し付け規模を三十五億拡大する措置を講ぜられたのでございまして、三十八年度の貸し出しワクといたしましては千二百九十億ということになりました。これは年初のワクが千百三十五億でございまして一八%ばかりの増加になったのでございます。特に第四・四半期におきましては三十五億の資金追加を加えまして、三百十四億の貸し出しを行なうことになったのでございますが、これは前年同期の貸し付け額が二百二十六億でございましたから、三九%の増加でございます。
そこで、他の金融機関の中小企業に対する政府の施策と相待ちまして、中小企業に対しましては相当の潤いを与えるものと信じておる次第でございます。私のほうの公庫のこの資金の扱い方といたしましては、この第四・四半期の三百十四億円のうち、直接貸し付けに百二十二億、代理貸し付けに百九十二億、この比率は直接貸し付けに三九%、代理貸し付けに六一%でございますが、こういう配分をいたしまして、代理貸し付けのほうを多くいたしましたのは、資金の浸透が早く行なわれるということでございますので、せっかくいただいた資金をできるだけ効率的に運用したいという意図に出たものでございます。
それから最近の情勢にかんがみまして、公庫におきましては特に運転資金の需要につきまして、支店及び代理店で特段に配意いたしますように弾力的な指導をしておる次第でございます。また不況が顕著にあらわれました地方につきましては、資金の配分にあたりまして特に資金ワクの増配をする等、現下の金融情勢に照らしまして考慮を払っておる次第でございます。一面、資金の需要につきましては、わが国が開放体制に移行しようとする際に、中小企業におきましては、その近代化、合理化のおくれを取り戻そうとし、あ
るいは労務関係の逼迫その他そういう
ことに押されまして、たとえば福利厚生施設の設置等、どうしてもしなければならぬ設備の資金需要というものが旺盛でございます。これはある意味では前年よりもこの需要は高まっておる
のでございます。それから金融逼迫から運転資金を公庫に依存しようとする傾向も最近特に強まってまいりました。そういうようなことで、私どもといたしましては一そう公庫資金の有効適切な運用、またタイミングを失わないような運用といったようなことに心がけておる次第でございます。
簡単でございますけれども、最近の状況につきまして御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/4
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005・二階堂進
○二階堂委員長 次に、商工組合中央金庫理事長から説明を聴取いたします。北野参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/5
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006・北野重雄
○北野参考人 商工組合中央金面の概況をごく簡潔に申し上げます。
まず、三十八年度の状況を申し上げたいと存じますが、ただいま両公庫の総裁からもお話がございましたように、昨年の暮れから金融も引き締まってまいりました関係もございまして、その一つは、大企業からの中小企業への支払い条件が、じわじわでございますが、だんだん悪化してまいりました。もう一つは、市中銀行の中小企業への融資の選別が強化される傾向がだんだんと増してまいりました。また昨年十一月以来、特に企業の不渡り倒産がふえてまいりまして、そのあおりを食らった関係の資金需要がふえてまいりました。そういったことからいたしまして、特にここ数カ月、中小企業からの資金需要がきわめて旺盛でございます。ことに御承知のように、商工中金は総貸し出し額の中で短期運転資金の比重が六割五分程度ございます。最近のこの資金需要が特に短期運転資金に集中しております関係上、同じく政府系の金融機関と申しましても、特に商工中金に対する資金需要が旺盛なように見受けられるのであります。
こういう関係に対しまして、政府におかれましては、昨年の十月中旬、年末金融対策を講ぜられました。さらにまた本年二月の初めにおきまして年度末金融対策を講ぜられたわけでありまして、これによりまして、商工中金に対しましては、昨年の秋は百六十億円の貸し出しワクを増加決定されました。そのうち財政投融資によります資金の投入が百三十億でございました。また本年二月におきましては、さらに商工中金の貸し出しワクを五十億増加を認められまして、そのうち財政投融資は十五億でございます。これにより・まして商工中金の貸し出し計画は、当初におきましては貸し出し純増ベースにおいて四百二十億でございましたものが、秋には百三十億ふえまして五百五十億になり、さらに本年二月五十億ふえましたので、六百億ということになったわけでございます。この二回にわたります政府の御措置によりまして、貸し出しワクも相当ふえた関係からいたしまして、一時は心配はしておりましたものの、商工中金の関係先に関する限りは、いわゆる三月危機は何とか食いとめ得るのじゃないかというふうに考えておるのでありまして、もちろん決して十分ではございませんけれども、まずまずこれで三月危機は乗り切り得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
次に、三十九年度の状況につきまして若干申し上げておきたいのでありますが、三十九年度の貸し出し計画といたしましては、当初計画、現在の段階におきましては、貸し出し純増べースにおきまして五百二十億純増という計画で進んでおります。ただ最近の資金需要の状況、また中小企業の置かれております苦しい金詰まりの状況、さらにまた金融引き締めがここ当分長期的に続くであろうというふうな見通し、さらにはまた本日から実行されます日本銀行の公定歩合二厘引き上げによりまして、中小企業に相当大きな影響がくるのではないかと思うのであります。
ただいま申しましたように、三月はどうにか切り抜けるといたしましても、新聞等でも盛んに論議されておりますように、三十九年度の第一・四半期、この四月−六月がまず心配でございまして、貸し出しの実態からいたしましても、三十八年度にまかないきれないで三十九年度に繰り延べをしていただいております長期資金等もございまして、三十九年度におきまして、はたして現在立てております五百二十億純増というふうな計画でやっていけるかということになりますと、非常に心配な面があるのであります。そういう点も考えまして、毎年年度の初めにおきまして、毎四半期ごとの貸し出し計画を立てることにいたしておりますが、この貸し出し計画を立てるにあたりましても、特に第一・四半期にかなりウエートを置きまして考えてまいりまして、今後の情勢によりまして、特に政府御当局のいろんな御配慮もお願いしながら、かつまた一般民間金融機関の中小企業金融への御配慮と相待ちまして、三十九年度におきましても中小企業に大きな悪影響のないように極力努力をいたしたいというふうな考えでおる次第でございます。
三十九年度におきましては、もちろんとりあえずは金融引き締めによりますしわ寄せをできるだけ防ぐ意味からいたしまして、やはり短期運転資金に重点を置いてまいりたいというふうに考えておりますけれども、一方また、いよいよ開放経済体制を迎えまして中小企業の近代化を大きく進めなければならぬ時期にもなっておりますので、前向きの資金についてもできるだけ考えていく必要があろうと思うのであります。そのために設備合理化資金といった設備資金、さらにまた長期運転資金、こういう面についてもできるだけ配慮をいたさなければならないというふうに考えるのであります。要は、商工中金の資金源の増強がはたしてどの程度いくかということにかかるわけでございまして、どうか諸先生方におかれましても、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/6
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007・二階堂進
○二階堂委員長 次に、日本中小企業指導センター理事長から説明を聴取いたします。越智参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/7
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008・越智實
○越智参考人 中小企業指導センターの事業の現況につきまして御説明させていただきます。
中小企業指導センターは、都道府県に置かれております中小企業指導員の養成、研修の事業と、それから都道府県の指導事業に対します協力と、それから中小企業指導に関します調査研究の三つの柱を中心として運営いたしております。
まず最初の、中小企業指導員の養成、研修の事業でございますが、これは第二年目に入りまして、われわれは三十七年の十月から業務開始をいたしまして、本年で第三回目に入るわけでございますが、養成、研修の事業も二つございまして、経営関係、いわゆる指導診断員の養成は一年かかります。それから技術員の養成に関しましては、六カ月ないし五カ月かかります。なお診断員に関しましては、特定の問題なり新しい教育をするために一カ月研修をする、こういうことでやっておるわけでございますが、特に診断員なり技術関係の研修といいますと、実習が最も大事でございますので、大体半分くらいは現場に行きまして実習するわけでございます。その関係で、第二年目に入りまして、実習と申しますと何十という中小企業の工場に参りますので、研修員を引き連れてまいりますと、ある程度迷惑もかかりますが、ややなれてまいりまして、われわれのほうの指導員が一緒に参りまして、一緒に診断をしつつ研修をするということになりまして、中小企業の向上にも非常に役に立ちますので、御援助を得まして、漸次指導関係も効果があがってきておる、やりやすくなってきておると思います。これが研修の事業でございます。
それから第二番目の地方公共団体の協力でございますが、これは私どものほうに十五人の経営並びに技術関係のコンサルタントがおるのでございますが、これは地方関係の要望に応じまして、工業団地の造成でありますとか商業団地の造成でありますとか、そういう問題に関しまして直接都道府県に応援に参る、こういう仕事でございます。これは正直に申し上げまして、昨年全部の実施計画を終えましてお断わりする事情でございましたが、これはもう少し地方団体と協力いたしまして計画的にやりますれば、もっと回数をふやせるのじゃないか、こういう反省をいたしまして、来年度からこういうふうに協調をして、もっともこれは押し売りではないのでありまして、要望によってやっておるのでありますが、そういうことでもう少し効率的に運営をしていきたい、こういうように考えております。
それから第三番目の調査研究でございますが、これは現在都道府県におきまして診断実施機関がそれぞれ各問題に取り組んでおるわけでございますが、診断指導者のそれぞれの疑問とする点が出てまいります。こういう問題を私ども取り上げまして、御存じのとおり知識経験者を集めまして、その解決なり、手引きなり、指導書なりというものを調査研究を求めまして、各都道府県に送り返して指導上の役に立たせる、こういう仕事をやっております。したがいまして現在やっております経緯からしますると、各全国から多数の人が来て、生活にふなれな人もございますので、明年度から寄宿舎も予定どおり認められますれば、さらに研修の効果があがるものと思います。さらになお一カ月コースその他で商工会方面の方その他も来ておられたのでありますが、本年度了承を得ますれば、商工会の指導員につきましても、さらに従来の経験に徴しまして三ヵ月間の新しい研修に邁進してまいりたいと考えております。
さらに技術関係に関しましても、直接地方単位で実施困難な技術向上のための施策、たとえば機械加工の自動化そういうふうな新しいものを、同様に自動機械の実習を中心として研修していきたい、こういう心組みで運営をしております。
簡単でございますが、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/8
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009・二階堂進
○二階堂委員長 次に、全日本商店街連合会会長から説明を聴取いたします。山田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/9
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010・山田泰吉
○山田参考人 私は先第四十国会におきまして、全国百三十万小売り商業者が強い要望を持ちまして諸先生方のお力添えで制定を見ました商店街振興組合法のその後の概況を御報告申し上げ、あわせて現在、今後のあり方に対する御説明を簡単に申し上げたいと思います。
この法を制定いたしました一番の目的は、今日の流通経済に対処するために組織の近代化、経営の合理化を目途にいたしまして、新しい町づくりと商店街の近代化を目ざしてこの法律の制定をお願いしたわけでございます。しかるに、御承知のごとく流通革命は刻々と迫ってまいりまして、一昨年におきましては、全国で約三万の小売り商が閉店をしておるという事実があらわれてまいったのでございます。したがって私の申し上げたいことは、一日も早くこの法の目的を達成するように強力な措置を今後講じていただきたい、こういう考え方でございます。
商店街振興組合が今日までどれだけできたかということでございますが、二月末の全商連へ報告の参っておりますものは、設立認可されたものが百三十八団体、準備中がただいま約八十ほどございまして、五月中には五百余団体が認可をいただけるものと推定いたしております。連合会は名古屋市と東京都の北区、これがすでに認可をいただいております。ただいま準備中のものが兵庫県連と愛知県連、高松市、大垣市でございます。将来の設立対象となりますのは、五百余都市に約一万の商店街があるのでございまして、この設立にはかなり大きな努力が必要と考えておる次第でございます。出資金は、一口最低千円から最高十万円の出資金が出ております。ただいま一組合の最高出資金は、北海道旭川の緑橋商店街振興組合が四千四百五十七万円でございまして、平均百八十五万円の出資金でできておるのでございまして、加盟店は平均九十七店舗でございます。それからその設立がなぜおくれておるかという点でございますが、これは発足当時大きな期待を持ってできたのでありますが、議員立法であった関係かはわかりませんが、人口十万以下の都市に至りましては、振興組合の設立ができないというようなことがかなり広く流れておりまして、そのためにかなり足踏みをしておったところがたくさんあるかと思います。現在某県におきましては、出資金百万円以下は認可しないという状態でございます。これらも設立のおくれた一つの理由でございます。
いま一つ一番大きな理由は、肉づけともなります予算の裏づけがなかった点でございまして、この点で、振興組合をつくってもどういう利益があるのだというようなことから、業者の意欲がかなりそがれておったのでございます。しかるに昨年末中小企業の近代化資金、助成金の中に、新しく二億五千万円の助成金が生み出されまして、また小売り商業店舗共同化助成金で七億五千万円、一躍五倍以上の増額を見ましたことで、本年度に入りましてから各地において振興組合づくりの意欲が非常に活発に出てまいっておるのであります。
そこでぜひ諸先生にお願いしたいことは、本国会に改正案が出ております中小企業近代化資金助成法の一部改正、これをすみやかに本国会で改正を賜わりたいのでございます。いま一つは、小売り商業店舗共同化資金についてでございますが、これは昨年が一億四千万円でございましたのを、いろいろお願いをいたしまして、七億五千万円というように一躍ふえたのでございます。これは先ほど申しましたように、全国の振興組合づくりがこの予算のために非常に今春来活発に動いておるのでありますが、この取り扱いの中で実は商店街振興組合が除かれておるのでございます。やろうといたしますと、別な株式会社か、また別な協同組合をつくらなければこの適用が受けられないということでは、私ども商店街振興組合をつくる当事者といたしましては、仏つくって魂入れずではなかろうか、かように考えるのでございます。と申しますことは、この法を制定いたしますときには、商店街の近代化をやろう、新しい町づくりをやろう、これでみなが結束をしてまいったのでございますが、肝心のこの助成金が振興組合では当てはまらない。まことに私どもから考えますと奇々怪々でございまして、振興組合をつくってまた株式会社をつくらなければこの七億五千万円の助成金が当てはまらないということになりますと、せっかく活発に今春以来組織づくりに動いておりますのにまた水をかける結果になりまして、まことに前途不安でございます。この点もあわせひとつ御明察をいただきまして、本国会で改正されますならば、ぜひ一日も早く振興組合——私は振興組合がこの仕事をやることがほんとうではなかろうか、かように考えて全国指導をいたしておりますので、振興組合をつくらなければこういう恩恵に浴さないのだということを日夜説いて回っておる一人といたしまして、これがはずされておるということになりますと、私どもの指導が全然根底からくつがえるのであります。こういう点をひとつ御配慮をいただきたいと思うのであります。
いま一つ、本国会に出ております中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案は、目的は御承知のように範囲を明定するためのものでございますので、全面的に賛成いたします。この点も一日も早く御改正をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/10
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011・二階堂進
○二階堂委員長 次に、年金福祉事業団の理事から説明を聴取いたします。畠中参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/11
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012・畠中順一
○畠中参考人 年金福祉事業団の業務の概要を御説明申し上げます。
皆さま御承知だと思いますが、年金福祉事業団は厚生年金保険、船員保険及び国民年金の積立金の一部をいわゆる還元融資するのでございまして、これらの積立金の一部を事業主や法人に貸し付けまして、それらの事業主が従業員のための、被保険者のための福祉施設を建設するのに融資をするわけでございます。例を申し上げますと、社員住宅とかあるいは病院、保養所、体育館、給食施設、老人ホーム、母子ホーム、こういったような福祉施設を建設するための資金を低利で長期に貸し付ける機関でございます。そうして事業団は昭和三十六年の末に設置されまして、自来今日まで三年度にわたりまして融資をいたしておるわけでございます。したがいまして年金福祉事業団は、その対象となりますものは事業主全般でございますから、別に中小企業に限定されないわけでございます。しかしながら中小企業の問題がきょうの議題のようでございますので、中小企業に関係しまして申し上げますと、たとえば三十八年度の融資の実績を申し上げますと、中小企業事業主等に対する住宅の貸しつけは三十九億五千五百万円になりまして、住宅の戸数にいたしますと、世帯向けが約二千戸、単身者向けが八千五百人くらいの住宅をつくっておるわけでございます。そうして貸し付けの条件といたしましては、年利率六分五厘、融資の率は九割、償還期限ば三十五年以内というようなことで、住宅の建設資金を貸し付けております。なお、融資の方針といたしましては、中小企業の福祉施設の整備が非常におくれておりますので、これらの施設の融資には重点を置いてまいっております。なお、最近の中小企業の傾向といたしましては、御承知の共同給食——中小企業が集まりまして共同給食で従業員に給食をしていくという、いわゆる共同給食施設を設置する傾向が多くなってきております。また中小企業庁で御指導の工場団地の建設が非常に盛んでございますが、これらに対する住宅等につきましては、特に優先的に融資をするように心がけております。なお、資金の全体のワクを申し上げますと、三十八年度が二百億円でございました。
以上、簡単でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/12
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013・二階堂進
○二階堂委員長 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。
質疑の通告者が多数ございますので、できるだけ簡潔にお願いをいたします。中川俊思君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/13
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014・中川俊思
○中川(俊)委員 ただいま中小企業関係者の金融機関の方を中心とする皆さんから御意見を拝聴したのでありますが、率直に申し上げますと、今日までの経過を御説明願ったような気がするのです。本日皆さま方にお越しをいただきましたのは、皆さま方が実際面に日常携わっていらっしゃる御関係上、私どもが察知し得ない幾多の問題があるんじゃないか、それが聞きたかった。もちろん経過も聞きとうございますが、実際において、意見を聞く案件ということでございまして、皆さま方の御意見を私は拝聴したかったのでございますが、ざっくばらんに申し上げますと、そういう私の期待しておった意見があまり聞かれなかったように考えますので、実は率直にお伺いをしてみたいと思うのであります。
中小企業の問題は、もちろん日本の経済をささえる原動力とでも申しますか、大きな問題でございまして、一部の政府の閣僚の中には、中小企業の問題だけに携わっておるわけにはまいらない、国民経済全般をわれわれは見ていくんだからというようなお考えもあるようでございます。もちろんそれもそのとおりだと思います。しかし日本経済において中小企業が占めておるウエートというものがどういうものであるかということを考えますと、国民経済の全般を考えるんだから中小企業の問題ばかりに考えを及ぼすわけにはまいらないというような思想はどうかと実は私は考えておるのであります。申し上げるまでもなく、これは昨年の統計かと思うのですが、日本における全企業者総数中の九六%は中小企業者である。また日本の全輸出額中の五二%は中小企業者の製品である。また全従業員中の七五%は中小企業者の従事員でございます。かように考えてまいりますと、中小企業が日本経済の上において占めるウエートというものは非常な大きなものである。それが、政府の施策がいいか悪いかは別といたしまして、昨年来非常な危機に見舞われておる。先ほど来伺っておりますと、これは政府でもそういう答弁をしておるようでございますが、中小企業が非常に苦境におちいった最大の原因は暖冬異変にあるというようなことをよく言われておりますが、そういう天災地変だけに中小企業の危機をまかすべきであるかどうか、考えようによっては非常なひきょうな答弁でもあり、また意見でもあるのじゃないかと思うのです。もちろんそういう不可抗力に負う面も非常に多うございますが、しかし、そういうことを予測して中小企業対策も立てなければならない。暖冬異変なんというのは、これは人間の力で予測できないかもしれませんが、しかし、天災地変というものは、少なくともこういう中小企業の対策に対しては特に考えなきゃならぬのではないかと私は思うのであります。昨日中小企業庁長官から拝聴いたしますというと、負債一千万円以上のもので、今年の一月に入ってからの倒産件数が百九十八件、その負債額は二百八十二億円、二月に入るというと二百三十八件、三百五十一億円というように負債がふえておるようでございます。これは、おそらく三月、四月、五月と非常な累増を来たすのではないかというふうに私は見ておるのでございますが、特に昨日発表されましたように公定歩合の引き上、げ、担保率の引き上げ、これらによって、さらに中小企業は不況に追い込まれるのじゃないかと思うのです。そこで、私は率直にお伺いしたいのですが、特に北野さん、石田さん、舟山さん、中小企業関係の金融に携わっていらっしゃる方々でございますが、非常に御苦労さまと思いますが、皆さん方は直接貸し出しにタッチしておられるのでございますから、政府の中小企業対策はこういうふうにすべきじゃないか、ここに欠陥があるのじゃないかという御意見が必ずあると私は思う。もしそれがないとすれば、職務に怠慢というとはなはだ御無礼でございますが、御熱心じゃないのじゃないかと考えます。そういう点から、政府関係機関でございますから、あまり露骨なことは言えないだろうと存じますが、ひとつ私ども——私どもというとはなはだ僣越でございますが、私にお教えをいただくという意味で、こういう点はこういうふうに是正をしなければいけない、たとえば、一例を申し上げますと、中小企業関係機関から金を引き出そうと思いますとたいへんな苦労が要る。まごまごしているうちに中小企業はぶっ倒れてしまうというようなケースがかなりあるのじゃないかと私は思うのです。貸し出しの簡素化という点において何らかの便法があるのじゃないかと思うのです。その他いろいろな面におきまして、政府が親心でせっかく金融をして中小企業を助けようというのでございますから、その中間にあられる関係金融機関はたいへん御苦労千万でございますが、幾多の御経験上、私どもの考え及ばない問題点があるのじゃないかと思う。政府に対して、こういう点をこういうふうにしてくれたら、われわれの仕事が非常にやりよくなるというような面がかなりあると思うのでございます。そういう点をひとつ、特に北野さん、石田さん、舟山さんから私はお伺いしたい。
それから、越智さん、山田さんに特にお伺いしたいのですが、商店街をたくさんおつくりになっておることもけっこうでございますし、いろいろ指導をしていらっしゃることもけっこうでございますが、今日の時代に五百円や千円の会費を納めた組合員をおつくりになることも悪いことじゃございますまいが、一体その資金はどういうふうに使われておるのか存じませんが、商店街の近代化にどの程度役立つかという点でございます。ちょっと小さな店を直しましても百万円、二百万円はすぐかかるわけであります。もちろん政府で設備近代化資金もございましょうが、これはただいま申しますとおり貸し出しを求めるだけにたいへんな手続きを要する、長期の期間を要する、そういうことで、せっかく近代化を促進しようとしましても思うようにまいらない点があるのではないかと思います。したがって、私はよく、くにへ帰りまして中小企業の関係の方々とお話しをするのですが、やはり中小企業基本法に盛られておるところの企業の共同化と申しますか、こういう方面にうんと力を入れるべきじゃないだろうか。ところが、日本人は共同事業が非常にへたでございまして、きょうだいでも、一緒に仕事をやっておると三日もせぬうちにけんかをする国民でございますから、なかなか他人が一緒に寄って事業を営むのは容易でないと思います。容易でないと思いますが、いまや中小企業は、好むと好まざるとにかかわらずそういう方向に進まなければ、どうしても大きな企業に太刀打ちできない、やっていけない時期にすでに到達しておると思う。しておるがなかなかやらない。そうして自分の思うようにやりたい。これは話がちょっと脱線いたしますが、町村合併をやりまして、昔の三つ四つの町村が一緒になる場合に、農業協同組合が一本の形になりますれば政府から金を引き出すのにも非常に容易でございますし、近代化資金の補助もあるのでございますけれどもが、農業協同組合がなかなか一本にならない。よく調べてみますというと、一本にしたら、いままでおれが組合長をやっておったのが、今度はおれが組合長になれそうにない、こういうような自分個人の問題から、人の問題から農業協同組合が一本にならないで、日本の農業近代化も進まないのじゃないかと考えておりますが、同様なことが中小企業にも言えると思うのです。そこで、そういう指導の面においてどういうようなお力添えをしていらっしゃるだろうか。非常にむずかしい面だと思います。非常にむずかしい面だと思いますが、そういうことにもっと力を入れていただくわけにはまいらないだろうか。商店街組合をおつくりになることもけっこうでございますが、それよりさらに一歩先んじて、たとえば同じクリーニング業が同じ市内に二十軒あればこれを一つの法人組織にしてやるとか、あるいは呉服屋が十軒あればこれを一つの組織にしてやるとか、何らか方法があるんじゃないかとしろうと考えをいたしておるわけでございます。そういう面において、もし越智さん、山田さんにおいて具体的な御意見があれば伺わしていただきたい。
要するに私がいまお願いをいたしましたことは、北野さん、石田さん、舟山さんにはひとつ率直に意見を御披露いただいて、政府関係機関でございますから非常に言いにくい点もあると思いますけれども、この場だけで私は聞きおくつもりでございますから、参考にさしていただきたい、御教示をいただきたいと思うのでございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/14
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015・石田正
○石田説明員 国民金融公庫の融資先につきましては、御承知のとおり同じ中小企業と申しましても、さらにそのうちの一番下のところ、何と申しますか一番経済的に恵まれない層の方とお取引をいたしております。この件数を申し上げますると、われわれの普通貸し付けの件数は現在約八十万件になっております。八十万の方と取引しております。おそらくこのくらい多い件数を取り扱っております金融機関はないと思います。われわれが実際にそういう方々と接触いたしておりまして、率直に申しまして——いろいろな事情がございます。千差万別でございます。これを一つにして、こうしたらいい、ああしたらいいと簡単にいくものではない、かように思っております。そこで、なかなかむずかしいのでありますが、率直に申してどういうところを希望しておるか、現状に満足しておるかという点でございますが、私たちの接触している方々で、いま何が一番問題だろうかということになりますと、どうも人手不足に一番悩んでおられるように思います。仕事をしたくても人がおらない。小さな商店等におきましても、人がなかなか集まらない。雇用の条件等がほかと比べて非常に悪い。そのために人が集まらない。これが根本的な問題だと思います。しかし、それ自体は、労働力全体の問題にからみまして、なかなかむずかしい問題でございます。
その次にむずかしい問題は何かといいますと、私はどうも資金の問題ではないかと思うので、ございます。この点についてわれわれがいま言いますれば、結局われわれのほうの仕事の根本問題は何かというと、資金を増すということ以外にはないのだ、かような感じを持っております。ただ政府でもいろいろ御配慮になっておりますが、限度がございまして、率直に申しまして、なかなか十分だと思ってやっておるわけではございません。ただそのときにおきまして、苦しい資金の中からいろいろとやりくりされて、われわれのほうに資金を回していただいておると思いますが、そこで一つ感じますことは、北野さん、舟山さんを前にしてこういうことを申し上げてはどうかと思いますが、小規模事業というものについてほんとうに、政府としましても国民にしても、いままで真剣に考えたことがあったんだろうか——といえば語弊がありますけれども、まだもう少し考えなければいけないのじゃないかという感じを、毎日私どもは感ずるわけでございます。全体の資金を配分する場合におきましても、件数は非常に多く、金額的にも貸す限度は非常に低い、こういう中小企業の面における資金配分のバランス、こういうものを考えていただきたい。これだけ申し上げたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/15
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016・舟山正吉
○舟山説明員 私ども中小企業関係の機関につとめておりますものとしては、まず何よりも先に中小企業者のことを中心に考えなければいかぬじゃないか、こういうお示しもあったようでございますが、まことにそのとおりでございます。ただ中小企業といたしましては、国の経済全体との関連がある。国の経済全体が富んでまいりますれば中小企業も成り立っていくし、またその逆であれば中小企業も苦境に立つ、こういうような意味におきまして、国の経済全体についても関心を払わざるを得ないのでございます。
そこで、最近の中小企業者の苦境につきましては、暖冬異変のことだけに責めを着せているのじゃないかというおことばもございましたけれども、私どもはそうは考えておらないのでございます。ここ数年の経済成長というものが大企業を中心に急激であった。中小企業はこれに対して非常におくれを取り戻そうとし、そこにタイム・ラグがございまして、設備の新設更新をはかるということについてもおくれをとっておったのでございますが、ここで国の経済成長全体についてのテンポを調整するということになりますと、中小企業者としては、立ちおくれました設備がフル稼働をしないということにもなりますし、また借金でこれをまかなっておったものが借金もきかないということにもなりますし、またせっかく設備はできても、運転資金も借り入れを予想しておったんだが、それもできなくなるということで苦境に立つものも出てきたわけでございます。それで、中小企業全体の立場から申しますと、経済成長が安定した形で、しかもできるだけ高度の成長が望ましいのでありますが、私どものほうの公庫といたしましても、そういうことに関心を払わざるを得ない次第でございます。
具体的に公庫の融資をどういう方面に振り向けるかということになりますと、中小企業者と申しましても、資本金の差異もずいぶんありますし、業種も千差万別でございまして、それぞれ個別的に、いわゆるきめこまかい対策を考えていかなければならぬということでございますけれども、金融的面から考えますと、国民金融公庫総裁も申されましたが、要するに中小企業者にとりましては資金が足りない。政府機関の中小企業向け融資におきます比重は現在では非常に低いのでございますが、政府関係機関に政府資金をできるだけ導入いたしましてこのウエートを高めるということが必要でありますと同時に、民間の資金におきましても、できるだけ中小企業のほうに金が回るような措置、くふうというものを考えていかなければならぬ、こういうことになるかと思うのでございます。
それと同時に、中小企業者の指導——私どもから申しますと口はばったいのでありますけれども、専門の機関もできたことでありますし、これは非常に大事なことであります。ただ資金を中小企業者に供給するということだけでありましても、そのやっておられることがかりに方向違いでありますならば、いずれかの日に中小企業者は窮境に立たれるということにもなるわけでございまして、資金の融資と同時に、指導面も非常に大事になってきておる。ことに経済情勢のこういうような急激な転換を見るときにおきましては、それが大事になってきておるという感じがいたす次第であります。
いろいろほかにもありますけれども、まずそういう点をお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/16
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017・北野重雄
○北野参考人 両公庫の総裁のお話となるべく重複を避けて申し上げたいと思います。
私ども、商工中金をお預かりしておりまして、一番大事なことは何かということになりますと、二つあると思うのであります。一つは、資金源を拡充いたしまして、中小企業の方々が真に必要とされる資金の需要にできるだけおこたえする。第二は、貸し出し金利の引き下げ、これによりまして、さなきだに金利負担の重圧にあえいでおります中小企業の方々の金利負担を少しでも軽減できるようにする、この二つであろうと思うのであります。
資金源の拡充につきましては、御承知のように私どものほうはいわゆる半官半民の機関でございまして、民間資金も動員いたしております。現在運用資金の七割以上が民間資金でございまして、三割弱が政府資金なのであります。もちろん民間資金の動員につきましては、これは私どもの自己努力でやっていかなければならぬのでありまして、私どもはまずこの自己資金調達に最善を尽しておるわけでございます。幸い各関係方面の御協力もございまして、これもおおよそ順調に伸びておりますけれども、まだまだこれを伸ばしていく必要があろうと考えておるわけでございます。日夜その方策についてあれこれ検討し、またこれを実行に移しておるわけであります。それにいたしましても、資金需要が非常に旺盛でございますだけに、その自己調達で足らない分は、どうしても政府の財政資金にお願いせざるを得ないのでありまして、幸い今日までも、政府としてはできるだけの御配慮をいただいておるわけでございますが、率直に申しまして、中小企業の近代化を大きく推進する意味から申しまして、ことに開放体制を迎えまして、政府の財政資金の私どもへの投入をもっとふやしていただきたい。財政投融資計画の内容も、その使途は非常に多岐にわたっております。ことに公共投資が非常に大事でありますだけに、その方面に相当お回しにならなければならぬといういろいろな事情もわかります。また、その原資の拡充そのものもいろいろな問題があることも存じておりますけれども、もっともっと中小企業への財政投融資の額をふやしていただきたい。これがかねがね政府にもお願いし、また諸先生方にもお願いし、また諸先生方におかれましても、今日まで非常な御高配をいただいておるわけであります。
それからもう一つ、商工中金は御承知のようにいわゆる組織金融でございます。中小企業の組織化はもう数十年前から推し進められておりますが、ことに今後の中小企業の行く末を見ますと、同じ中小企業の中でも、大企業に近づいていく力のあるもの、下請関係でも、下請から脱落して再下請、あるいは再々下請にならざるを得ない、あるいはそういう系列からはみ出してしまうというようなものも出てくる心配があるのでありまして、学者先生方の言われるいわゆる中小企業内部における階層分化が激しくなるおそれがあるのであります。これに対してどういう手を打つか、これは政府としても特にお考えいただいておる点でありますが、結局その一番有力な手段は、中小企業者の組織化あるいは協業化によりましてこれらの人たちを救い上げ、そしてその団結の力によってその基礎を固めていくというほかないと思うのであります。それだけに組織金融がいよいよ重要になってまいると思うのでありまして、政府におかれましては、この中小企業の組織化、協業化を一段とお進め願うように、都道府県とも御連絡の上、その指導力を一そう発揮していただきたいというのが私どもの率直な希望でございます。同時にそうなりますと、いよいよ商工中金の原資が足りないということになりますので、さっき申し上げた点について特別御配慮いただきたい、こう考えておる次第でございます。
なお、中川先生がちょっとお触れになりましたが、私どもの内部で改善できます問題、特に私どもできるだけ業界の皆さんと率直な意見の交換をしておるのでありますが、いつも言われますことは、どうも商工中金の貸し出し手続が繁雑で時間がかかり過ぎるということをしょっちゅう言われまして、私もここ数年来いつもその問題の改善に頭を悩ましておったわけであります。これは逐次改善しておりまして、ことに三十九年度におきましては、思い切って各営業店舗長の選考の権限を高めまして、支店長限りで相当の貸し出しができるようにすることにいたしまして、したがって本店にまで稟議をいたしまして決済をされるという問題が非常に少なくなる、そういうことで逐次貸し出し手続きの簡素化、簡捷化をはかっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/17
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018・二階堂進
○二階堂委員長 次に越智参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/18
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019・越智實
○越智参考人 商店街の共同化その他の指導上の問題でございますが、なるほどその実施面につきまして困難があることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、説得力ある、要するに経験のある説得者からしますと、多少打開できる道もございますし、またわれわれのところでも最近流通革命その他で、何とかやっていきたいから知恵を貸せという声もございます。それにいたしましても、われわれとして第一になすべきことは、優秀なるコンサルタントがおらなければ指導もできないわけでございますから、最近は商店街と申しましても、従来の経営だけではだめでございまして、将来の需要の動向をひとつ科学的につかむということ、それから購買者心理をまた科学的につかむということ、そういう技法が非常に進歩しておりますので、そういう技法を開拓しております。コンサルタントは幸いわれわれのほうにも来ていただいておりますので、ぼつぼつひまを見ては、モデル的に、そういう協業化なり商店街の診断に出てまいりますし、またそういうような簡単な手引き書なり調査書なりをサービスいたしまして、一つの有力な実績をもって指導してまいりたい、こういう意味で指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/19
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020・二階堂進
○二階堂委員長 次に山田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/20
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021・山田泰吉
○山田参考人 ただいまのお尋ねにお答えをいたします。
まず第一に、出資金がまことに寡少である。この寡少な出資金で何ができるだろうか、近代化がやっていけるか、こういう御質問、それから、いまは業種別共同化の必要があるのではなかろうか、こういうことでございますが、これがなかなか言っても実現しない。申しますならば、すぐに陰で一国一城のあるじだということばが出てまいりまして、なかなか人の言うことを聞かない。この点は仰せのとおりでございまして、私どもは、今日の日本の小売り商の問題を解決づけるには、まずこの古いのれんという考え方、一国一城というものをとれ、近代都市の中に古びた一国一城のマッチ箱が並んでおったのでは近代都市ではないではないかということを呼びかけておりまして、これらをどう指導するかという問題でございます。
そこで、指導の面につきまして、先ほど先生お尋ねの職業別で共同化をはかったらどうかということでございますが、これは協同組合法にございますので、この面は中央会さんが御指導されておりますから私は暫時省くといたしまして、商店街というものは業種別ではなかなか統制がとれないのでございます。いろいろな業種、またその中にサービス業も入ったりいたしまして、地域ぐるみの町づくりをやっていかなければ繁栄しないという難問題がございまして、いろいろ種々雑多な商売の方々が一つになって団結をはからなければならない。そこで、先ほどの出資金が少ないというお話もございますが、まず団結、組織化させることが先決だ、そうして声をかければすぐ人が集められる、そこで指導ができるという組織づくりだということで、ここ二、三年組織づくりに専念している次第でございます。そこで、そのつど全国を遊説いたしまして、個人主義思想を打破し、共同体でなければこれから大資本に耐えられないのだという指導を一生懸命にやっております。そこで、さて事業に取りかかろうといたしますと、案外、平素の出資金であるとか会費は弱体でございますけれども、彼らもいま一生懸命でございますので、近代化をやろうと立ち上がりますことにはかなり腹をきめて、前から日がけ月がけをやりまして銀行預金をして、それを裏づけにして銀行さんからも融資を受け、また国の助成をいただこう、こういう考えで、現在神戸の湊川商店街というものがございますが、ここは神戸でもあまり中心地ではございませんけれども、ただいま国のほうにも要望いたしておりますが、約十六億の予算で町全体を近代化しようという計画を立てておりますし、和歌山市の堀止商店街も、これも和歌山市といたしましてはやや中心からはずれております。ここもいま十億円の計画で町全体の町づくりをやろうということで立ち上がっております。したがって、かなり前から日がけ貯金で資金を用意いたしております。
そこで、きょうぜひ私は聞いていただきたいことは、今日の商業指導というものは、一体いままでの発展会の会長さん程度の方ではできないのではないか、これは非常に高度な商業指導をいたしませんと、御承知のような流通革命が刻々と迫っております。そうしてそこに非常なギャップがたくさんあるということ、たとえば大資本の方々がスーパーをなさる、そうすると、今後スーパーだけでなく、割引販売店とかいろいろな形ができてまいると思いますが、その巨大資本の方々の資本の量と質、これが現在の零細業者と違うということであります。と申しますことは、総合商社あたりになりますと非常な力がございますので、何百億という外資導入もできますし、融資も簡単に受けられる。しかもこれは担保がなくても手形一つでどんどん何十億のお金が出てくる。その金利が大体二銭を下回るということであります。ところが零細業者は担保がなければ五十万の金も借りられないし、その金利が非常に高いということでございます。そういうギャップのある金で正々堂々と互角の戦いはできないのじゃないか。その面を大きな見地から政治の面で御解決いただきませんと、小さいものがいかに団結いたしましても、私はこの質と量がこんなにギャップがあってはなかなか戦えないのじゃないかという見方をいたしております。
それから小売り商の将来を考えますと、ただいままで申しておりますような町ぐるみの近代化、経営の合理化をいたしまして、人件費などをどうして安くするか、物品の管理をどうするか、したがって問題は、利はもとにありで、仕入れであると思います。わずか五ダースや十ダース仕入れるのでは、トラック一ぱい仕入れる大資本に対抗できません。共同仕入れをやらなければ、ばたばたとつぶされていくのじゃないか。やろうといたしましても、これを指導する人がなかなかおらないということであります。いま各地で共同仕入れに立ち上がっておりますけれども、弱体であるためにこれが問屋からほとんどつぶされてしまいます。共同仕入れが成功いたしましても、立ち上がったほとんどの共同仕入れは途中においてつぶされてしまいます。これに対抗するには大きな政治の力なり大量の資金というバックがなければ、小資本の二千万や三千万でやったのではとうてい対抗できないのであります。こういう問題が非常に山積しておりますので、今日欧州やアメリカの小売り商が連鎖店制度、共同仕入れ機構、これらによって健全な経営を続けておられますが、これらにも歴史的な大きな指導者があったと思います。反対に大企業の方々には、すでに総合商社のスーパーに対しましてはアメリカ人が現地にまいって一切の指導をしておる。何十年の歴史を積んだ指導者が来ております。したがって、零細な業者がスーパーをやろうと意図いたしましても、なかなかやれない。こういう点からも大きな連携をしなければならぬと思いますが、悲しいかな今日商店街指導に一体どれだけのことがなされてきただろうか。振り返ってみますと、商店街指導というものはほとんど皆無にひとしかったのじゃないか。最近センターがおできになりまして、手をおつけになりましたけれども、これとても全国に二万からございます商店街、おそらく何年かかって足が向けられるだろう。こういうことも考えなければなりません。
私ども全商連は、ただいまのところまことにわずかな会費で、三十余名が日夜全国を回っておりますけれども、これらに対しましてどこからも補助は一切いただいておりませんので、足らざるところは私どもの小づかいを積み重ねて立ち回っておるというこの力では、百三十万の商業活動を完全に守るということはまことに日暮れて道遠しと私は思っております。こういう点をひとつ根本的に御研究いただきまして、流通革命と戦っておる全国の小売り商業者を立ち上がらせて、そして組織化、近代化、共同化、共同仕入れ、これらを完全なものにするようにバックアップしていただくならば、今日の流通革命に敢然と立ち上がる勇気を持つのじゃないか。しかもそういたしませんと、一部の大企業だけが伸びたのでは、まことに都会生活がさびれてさびしいものになります。これは私も自分の身命を賭してやっておりますけれども、私個人の力はまことに小さいものでございます。大きな政治の点でこの点をひとつ御判断いただきまして、一日も早く流通革命に対処し得る小売り商をつくっていただいて、消費者の物価を安くしたいと私どもは考えております。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/21
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022・中川俊思
○中川(俊)委員 非常に参考になりまして、御苦心の点もよくわかります。私どもも期待に沿うような方法を考えたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/22
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023・二階堂進
○二階堂委員長 桜井茂尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/23
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024・桜井茂尚
○桜井委員 中小企業金融公庫の総裁にお伺いいたします。
政府の現在の中小企業に対する近代化の考え方、この考えそのものがとにかく合理化、近代化をしていかないならば——ことに下請産業におきましては、たとえば自動車のような場合にはもう一目瞭然なんですが、非常に弱体なんで、大企業のほうへ少し資本投下、設備投資が片寄り過ぎたので、むしろこの辺で若干修正して、中小企業のそういうところを強化しなければならぬ、これが政府の基本的な考え方だと思います。そこで中小企業金融公庫総裁は、その政府の方針に基づいて当然金融の貸し出し等を行なうであろうと私は思いますが、その場合に現在のように選別融資、その他先ほどからたくさん話が出ておりますが、金融梗塞になってまいりますと中小企業金融公庫への依存度と申しますか、申し込みというものが非常に激しくなってくるだろうと思います。その場合に、もちろん中小企業金融公庫のほうとしては、やはり政府の方針に従って貸し出すということになると思いますが、今日あるいは今日以降における資金の梗塞によりまして、一方では相当つぶれていく、一方では公庫のほうで貸し出して育成するという形が出てまいりますれば、当然のこと日本の中小企業というものはかなり整理されてくる、合理的なものに再編成されてくるというように思うのでありますが、いかがなものでございましょうか。
それから国民金融公庫の総裁にお伺いいたしますが、たとえば最近におきまして物価騰貴その他によりまして、とにかくいずれにしましても、金融の申し込みの額はだんだん大きくなっているであろうと思います。一口当たりの額がだんだん上昇してまいる、そういたしますと、かなりの程度公庫のほうに資金がありましても、一口当たりの額が大きくなれば取引範囲の拡大というものは非常に困難になろうかと思いますが、いかがなものでございましょうか。
それからまた、私千葉県でございますが、農村地帯のおくれた方面におきましては、商工会を通じての申し込みというのがございますので、わりあいスムーズに取り上げられているようでございますが、たとえば市川とか船橋、こういうように京葉工業地帯の発展とともに急速度に発展した地帯におきましては、国民金融公庫の存在すらあまりよく知らないという人たちもかなりおります。そこで、そういうところになぜ支所を設けないのか、そしてまたなぜそういうところにもっと周知徹底させないのか、こういう点を若干調べてまいりましたところ、国民金融公庫ではパンフレットをつくるお金もないという実情だそうでございますが、そういう周知徹底させることをやらなければ、実際に国民金融公庫にたよりたいという人々がどんなにいるのかどうかということはわからないのでありまして、ただ従来の窓口を通じただけでは、それは既存のものにただとどまるということになるのでありますが、こういう点につきまして、もっと支所をつくるなりあるいは宣伝するなり、そういういろいろな運営面におきまして、ほんとうに借りたい人たち、零細業者のためにもっと本格的に取り組むというような心がまえがございますか、どうですか。
それから次に越智さんにお伺いいたします。これも一例でございますが、いま、ある一定の地域におきます都市をとってみますと、その都市におきますその周辺の大体の購買力というものは限界がございます。その購買力の限界というものがわかりますれば、大体その土地に、たとえば商業のような場合にはどの程度の商店が適正であり、あるいはまたどの程度の売り上げというものが見込まれる、こういうことは当然判断つくし、仕入れもどの程度にすべきであるということも判断つくわけであります。したがいまして、ただ単に経営分析、経営指導という面ばかりではなしに、もっとマーケット・リサーチといいますか、購売力調査といいますか、こういうものを指導員の養成をする場合におやりになったらどうか。この点は、たとえば市町村におきまして、国が国民の所得の計算をやりますごとくに、当然私はそのくらいやるべきだと思いますけれども、商工会を通じても、商業指導所を通じても、そういうことを当然やっていくというような指導の必要があるのじゃないか。末端市町村におきましてはそういう能力に乏しいために、むしろあなたのほうからそういう指導をするほうが必要じゃなかろうか。繰り返して申しますが、個人的な経営だけではもはや限界がある。それを越えた一つのマーケット・リサーチと申しますか、そういうものを総合的に把握する必要があるのじゃなかろうか、こう思いますが、いかがなものでございますか。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/24
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025・舟山正吉
○舟山説明員 ただいまの御質問は、今後中小企業対策、特に金融対策におきまして、選別融資等が行なわれてまいりますと、中小企業の整理合同というようなことが行なわれてくるじゃないかといった点かと思いますが、この中小企業の生きる道といたしましてはいろいろあるわけでございまして、世間でよくいわれておりますように、自分の専門を生かして独自の事業を営んでいくならば、形は小さくともりっぱに存立していけるというものもあると思います。しかしまた時代の進展に即応いたしまして、やはり協業化なりあるいは合同なりをしなければやっていけないといったような面もあるかと思うのであります。私のほうの金融方針といたしましては、いわゆる金融べースで、その企業が健全経営をしておるかどうかという点を中心にやっていきたいと思うのでございますが、こういうふうに協業化とか合同によりまして企業の再編成が行なわれるかどうかということにつきましては、そうしなければ生きられないものについてはそういうことが起こるであろうと思います。これは私の考えでありますけれども、また政府の中小企業白書とかあるいは予算措置を拝見いたしましても、そういったような御用意もあるので、その御方針に大きく離れておることではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/25
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026・石田正
○石田説明員 第一の点は、だんだんと申し込みの金額がふえてまいるので、それに対して資金量の点で対処できないという問題があるのではないか、こういうお話だと思います。この点はお話のとおりでございまして、毎年毎年申し込みの平均額及び貸し付けの実績の平均額はふえております。ただ、われわれも要求いたしておりますが、政府におきましてもそういう点を配慮の上で一応われわれのほうの資金供給を考えていただいておる次第でございます。ただそれが十分であるかどうかという問題につきましては、私は必ずしも十分ではない、しかしそれを考えながら政府のほうにおかれましても御配慮願っておる、こういう実情だと思います。
それから第二の点は、国民金融公庫のPRが不足ではないか、この点は私は率直に申しまして非常にPRに悩んでおります。商工会ばかりではございません。私どもは商工組合その他関係協力団体がたくさんございます。そういう方に非常に協力していただきまして、われわれの取引先というのは逐次拡大しておるのでありますが、振り返って考えてみますと、どうもそういう協力団体を通ずるところの新規申し込みのほうが多いのは当然でありますが、そういうことに関係のない方面の新規申し込みが一体どうなっておるか、ここが大問題だと思うのでございます。いま支所のお話がございましたが、支所は私のほうは九十六カ所ございまして、またさらに本年度四カ所やりますから、百カ所になるわけでございます。これを全国にぱっとまきますれば、支所があるというのでわかるという面もございますが、実際問題といたしましてなかなか支所をたくさんつくるというわけにいかない。これは予算の面もございますし、また人員を保持しなければならぬという面もございますので、なかなかいかぬのでありますが、ただ支所を置いたら必ずいいかということになりますと、私はまだ疑問を持っておるのでありまして、支所の所在地においてさえ、国民金融公庫の支所があるということを知らない人がたくさんある。こういう点ではずいぶん苦労しておるのでありまして、市町村等において説明会等を開いておるのでありますが、問題はなかなかそういうところに来られる方がない。これはどうするか。一時宣伝カーで、国民金融公庫がございますというようなことをやっていた時代もございますが、なかなかそこのところがむずかしい。これはじみちに努力しなければいかぬと思うのですが、パンフレットのお話がございましたが、パンフレットをつくるところの予算がないためにやらぬのじゃなくて、パンフレットをつくっても、そのパンフレットをどうしてほんとうに必要な人のところにお届けするか、こういう問題もあるわけでございます。たとえば支所に積んでおいて、どうぞおいでになった方はお持ち下さいといいましても、その人が持って帰っただけでおしまいになってしまう、こういうところに問題があるのでございます。もちろん私どもはPRをしなければいかぬと思っておりますが、問題はどういうふうにしてやるかといいますと、各支所ごとにそれぞれ事情がございまして、支所長が努力して新規層の開拓をその土地に合わしたようにやるよりないのじゃないか、支所に積み重ねていくよりないのじゃないか。ある地区におきましては、従来のお取引先から、こういうことがあって便利だよということを教えられた方が一番多いところがある。ある地区におきましては、インテリの方々がお友だちでもって、国民金融公庫で借りたらどうかというお話で来られた方がございます。こういうところのPRにつきましては、いま支所長、本部ともに頭を悩ましておるところでございまして、今後とも大いに努力はいたしたい、かように思っておることだけ申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/26
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027・越智實
○越智参考人 先ほどの御質問のございました商業の問題でございますが、なるほど最近は商業の個別指導ではございませんで、広域の範囲における流通を取り上げて、そうして個々に及ぼしていく、こういう考え方をとるということは、政府の方針のとおりでございますし、われわれも広域関係をとらえまして、指導員の養成に関しましてもすでに一連のカリキュラムの中に入れておりますし、また特にそういう問題を取り上げまして、短期一カ月のそれぞれ特定テーマだけをとらえましてそういう問題を教え込む、そういうふうな指導のしかたもいたしております。大体お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/27
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028・桜井茂尚
○桜井委員 舟山さんに再質問いたしますが、私は、すべての企業を保護育成するほどあなたのほうに予算はなかろうと思います。あなたの御答弁によりますと、何かすべてのものを専門化したりあるいは共同化する、こうおっしゃっておるように聞こえるのです。それからもう一つは、株式会社において共同というのは大体どういうことなのか。私は株式会社の共同なんというのはおよそ意味ないと思うのです。そういうことを御答弁くだすっておりますが、株式会社における共同などということにつきまして、どのようにお考えになっておるか。私は合併ですっかり——どうせ株式会社なんですから、小さいものが大きいものに合併される、これは資本主義の必然だろうと思う。したがいまして、小さいものは合併されるなりあるいはいろいろな競争場裏におきましてほかに転向するなりやめるなりというような形になり、そして合理的な近代的な施設を備えたものがどんどん発展していくというようになさるのが任務じゃなかろうかと思うのです。それを何かすべてのものがみなうまくいくようなことを御答弁なすっていますが、それでよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/28
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029・舟山正吉
○舟山説明員 ことばが足りませんでしたから、補足さしていただきます。
私は、すべての中小企業に対して私どもの公庫から資金の御融通をする、それによって全部が救われるということを申しておるわけではございません。中小企業としてはできるだけ自分で独立してやっていきたいだろう、それについては専門化で生きる企業というものもあり得る、現にあるのでありますが、そうでなくて、やはり協業化とかあるいは合同をしなければやっていけないというものも多いのじゃないか、そういうものにつきましては、好むと好まざるとにかかわらず協業化なり合同が必然的に行なわれる、こういうことを申し上げたのでございます。協業化と合同と並べましたのは、協業化というのは主として個人企業について申し上げた。まあ会社については企業合同という形をとる場合が多いと思います。そういったようなことばの使い方をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/29
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030・二階堂進
○二階堂委員長 加賀田進君。質疑の通告者が多いので、できるだけ簡潔にひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/30
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031・加賀田進
○加賀田委員 簡単にやります。
このプリントの順番に質問いたしますが、まず北野さんにお願いいたします。いまいろいろの説明の中で、三月危機と本年の一月以来やかましく言われたことは何とか切り抜けられるのじゃないか、こういうことがありました。このことは、いわゆる三十八年度の決算を何かうまく切り抜ければこのピンチを抜けられるのじゃないかというような、いわゆる倒産寸前の企業が相当あると私は思うのです。したがって、われわれとしては三月危機が延びたからといって安心するわけにいかないし、いま申し上げましたように、五月を前後として、さらに本日発表されたような公定歩合の引き上げを背景とした非常な危機の状態が来るのではなかろうかと危惧しておる。そこで、北野さんとしては、商工組合中央金庫を担当されておる方として、特段に政府に希望されることと、それからそれに対処する心がまえ、対策というものについて明確なお答えをいただきたいと思います。
それから越智さんにお願いしたいのですが、今度の法律が出てまいりますと、中小企業の経営者に対しても経営指導、診断の指導等を行なうし、あるいは中小企業の従業員に対しても研修指導を行なう、こういうことになっておるわけですけれども、ただ、ここで、今日までいろいろ当委員会で論議されているように、中小企業の労働者の流動性だけではなくして、定着性も非常に不安の状態に今日立ち至っております。いままでは地方公共団体の職員が研修等をやっているわけですけれども、中小企業の、経営者は別として、従業員をこれらの研修に参加させますると、その費用の点はどういうことになるのか、中小企業がそれを負担するのかどうかということが一点と、せっかく研修した者が他にやはり転ずるおそれがあるのではないか。これについては何か義務づけ的なものが考慮されているのかどうか。もしないとするならば、これらの従業員に対する選定についても中小企業は相当考慮しなくてはならないので、この点についてまず明確にしていただきたいと思うのです。
それから山田さんにお願いをいたしたいと思うのですが、いまスーパーマーケットの問題が出ましたけれども、現在全国で千八百軒ほどあるとか言われておりますけれども、これは相当の財力をつぎ込んで将来健全にスーパーマーケットを維持しようという良心的なものは別として、非常に悪質なものがあるということをわれわれ聞くわけです。倒産寸前の卸売り業あるいは小売り業からキャッシュで二割、三割とたたいた価格で買い取ってきて市場価格を混乱さすとか、あるいは最近特に労働者の持つクーポンを二割、三割引きで現金で買って、それでその商店街の店で品物を買ってきて非常に安い価格で売る。そのことがなくなれば——最近はスーパーというのは、すうっと立ってぱあっと消えていくということが言われておるのですが、そういう悪質なものがあるということを私どもは聞いているのですが、こういう事実があるかどうかということと、それから今後危惧されるスーパーマーケットに対する周辺の商店の影響等について、もしお聞きがあれば御説明を願いたいと思うのです。
それから畠中さんにお願いしたいのですが、中小企業だけではなくして、企業全般にわたる労働者の住宅その他の福祉施設に対する融資団体でありますが、今日非常に中小企業の労働者の流動性が悪い、定着性も悪いと言われていることは、特に中小企業の福祉施設というものが非常に貧困なために大企業と比較にならない、こういうことが一点となって大きな問題となっておるわけです。したがって、いまの説明の中では、これは中小企業に限らず大企業ともどもにこういう融資を行なうのだ、それは法律のたてまえはそうなっておりますけれども、やはり行政面として中小企業重点にこの問題を国策としてでもやっていただかなければ、今日の中小企業の労働不足を補うことは私はできないと思うのです。したがって、この融資についての一定のワクを中小企業に確保するという方法で融資することはできないかどうか、あるいはこれを検討する意思があるかどうか、これをまずお願いをいたしたいと思います。
それから石田さんに続いてお願いをいたしたいのですが、零細企業を対象として、金融の窓口で、金融の行政とは別といたしましても、中小企業の今日置かれておる非常に苦しい状態等をお耳にされていると思うのです。今日金詰まりで非常に困っておりまするけれども、零細企業、中小企業が金詰まりを緩和するだけでこの危機を切り抜けることは、私はできないんじゃないかと思うのです。いわゆる高度な産業構造に順々と発展する過程において、産業構造の変革に基づく構造的な背景というものから、やはりわれわれは中小零細企業に手を染めなければ、ほんとうの日本の経済の発展もあり得ないし、今日の中小企業を救うことはできないと思うのですけれども、そういう意味で、窓口でよくお聞きになる中小企業の率直な意見というものについてひとつお教えを願いたいと思うのです。
それから舟山さんにお願いいたしたいのですが、御存じのように中小企業基本法では、中小企業の定義というものが決定されております。これは与党とわれわれとば、中小企業の定義に対して今日もまだ論議をかわしておりますけれども、基本法によりますると、五千万円以下の資本金、それから三百人以下の常時雇い入れ労働者、こういうことのいずれかに適用されれば、これが金融は可能だということになっておると思うのです。そこで、そういうようにして今日産業構造がだんだんと発展し、設備近代化が進行する過程の中で、従業員ができるだけ少なくなって資本がうんと要る機械化というものは、これからずっと発展をすると思うのです。したがって、そういう定義で、三百人の労働者であろうとも、市場の占拠率等も考慮すると、大企業に匹敵するところも私は今日起こっておるのではないかと思うのです。したがってここで、もし皆さん、資料がございましたら五千万円以上の企業に融資した、パーセンテージでもけっこうでございますから、これについて明らかにしていただきたい。それからもう一つ、いま申し上げたようなことは、はたして中小企業金融公庫としては、そういう二つのいずれかに適用されれば金融が可能だというような大ワクの中で、ほんとうに困っておる中小企業を今日これからも救い得るかどうか、こういうことについてもひとつ御意見があればお伺いをいたしたいと思います。以上、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/31
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032・北野重雄
○北野参考人 三十九年度の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、毎年四半期ごとの貸し出し計画をきめまして、主務省とも連絡して了解を得た上でやっておるわけです。三十九年度につきましては、過去数カ年の状況は別といたしまして、三十九年度の第一・四半期の特殊事情というものを十分考えまして、例年四半期ごとに比率がございますが、その比率をある程度上回るようにしたいということで、いま主務省とも相談をしておるのであります。それでやっていきまして、なお、五月に入り、六月になって、そのワクでいけないということになれば、またそのワクをふやすということを政府にお願いしたい。そういたしますと、結局年度間を通じての五百二十億の純増ワクでは足りないということになるのです。まあ例年秋ごろになりますと、政府も年末金融対策という意味で財政投融資の追加もしていただけるものですから、おそらく三十九年もやってくださるだろうと期待しておるわけであります。もちろんきつぎも申し上げましたが、商工中金自体といたしまして自己資金の調達をできるだけふやしていくということをまずやっていきたい、こう考えております。
それからなお、貸し出しの方針につきまして先ほども一言いたしましたが、やはりこういう情勢でございますので、どうしても短期運転資金、特に手形割引でございますね、これにやはり相当ウエートを置かざるを得ない。ただ、それで困りますことは、設備資金なり長期運転資金のほうに十分回せないというふうなことで、近代化のおくれを取り戻すほうに十分に手が尽くせないといううらみがあるのでございます。しかし、これも一方で考えながらやっていく。結局原資が多くなくちゃどうにもならぬ、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/32
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033・越智實
○越智参考人 お答えいたします。私どもが本年から始めたいと思っておりますのは技術関係の研修でございますが、これは現在中央、都道府県でやっております費用の負担は、国が三分の一、地方庁が三分の一、民間が三分の一、したがいまして、私のほうは中央でやりますから、国と地方庁の分の三分の二を私どもが負担しまして、三分の一を研修者のほうで負担していただく、こういうたてまえになっております。
それから義務制の点でございますが、これは確かにわれわれとしても非常に困難な問題でございますけれども、法律上はどうも義務制をしきかねます。これはあくまで現に稼働しております機械設備の改善ということを目的にしておりますから、企業者から派遣をする、そういうたてまえにしましてその問題を解決したい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/33
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034・山田泰吉
○山田参考人 お尋ねの、スーパーの中でもほんとうに健全なスーパーをという良識あるスーパー業者もおると思いますが、現在のところは、大別いたしますと、やはり安いということで客を引こうというスーパーがほとんどに近いと思います。したがって、いかにして安い商品を見出すかということに懸命でありまして、先ほどお説のようなチケットを買い集めたというのは、私初耳でございますけれども、問屋の金融ものと申しますか、そこで大量に現金で仕入れますので、かなり安いものが入る。これが目玉商品となりまして、消費者に相当魅力のあるのはこの点だろうと思います。したがって、最近そういう資本金のある人が問屋さんを回って小売り屋さんよりは幾らかよく買うから、資本力のないのにスーパーを始めても現金で仕入れができない、少し安いぐらいじゃなかなかうまくまいらない。こういうスーパー業者が相当倒産寸前にあるようであります。資本力を持っておりますのは、現在でも私どもの地元でも、ある薬屋さんでは平均四割安、これは一般の小売り商ではとうてい仕入れられる額じゃない。これが、聞いてみますと、トランクに一ぱい札たばを入れて仕入れにおいでになる。たいへんな売り上げをいたしております。こういうのができますと、その周囲の受けます影響というものは相当深刻なるものができてまいりますが、これは周囲だけじゃなく、こういう形のスーパーというものは全市にわたりまして相当の影響力が出てくるということは、ほとんどが個人で薬品やスーパー商品を買いにくるというのじゃなく、あそこが三割安い、四割安いということで、そこへ買いものに行くから必要ないかということで隣近所が全部集まって、そして一括してだれかが買いにまいります。大体日本のスーパーは三百円から五、六百円と言われておりますが、ここのお店などはほとんどの方がふろしきを持って一括買いにきて、たいへんな売り上げをしております。全市の業者にたいへん大きな影響が出ておると思うのであります。目玉商品の仕入れ方はいろいろございますけれども、大体金融ものが強いのじゃなかろうか、こういう見方をいたしております。その結果が売り上げの減少、もう一つ、こういうスーパーのやっかいなことは値くずれであります。したがって小売商の方々も対抗せざるを得ませんので、特定商品をそこと対抗いたしますと利潤がだんだん低下してまいります。現実に申しますと、おそらく小さな小売商は、そこの資本を今日の不動産に評価いたしましたら、商売をおやめになったほうがいいというような方も多いのじゃなかろうか、そういう感がいたしております。したがいまして、私どもとしては、今後こういう方々を立ち向かわしていくのには、どうしても一つだけのことを考えてはいけないのじゃないか。と申しますことは、たとえば商店街の小売り商の手でスーパーをやれということも指導いたしますけれども、とうていそういう資金の面とか、活発な裏商品を探して歩く道がわからない、こういうことでなかなか手が出てまいりませんし、大量仕入れ機構をつくって、たとえば全国で三百とか五百とかいう商店のスーパーが共同仕入れをすれば私は対抗できると思います。しかしそういうように共同仕入れ機構でやり、それから近代化をやりながら、セルフサービスのできるものはやはり合理化をして壁を取って、そういうセルフサービスができる商人だけが一緒になって一つのスーパーをやれという指導をしておるのでございますが、残念ながらスーパーの卓越した指導員が日本にはおらぬのです。大企業の方々は近くそれらの学校的なものをおつくりになると聞いておりますけれども、これらに対しましても、やはりアメリカあたりから優秀な指導員を迎えてまいりませんと、とうてい大企業に太刀打ちできぬのです。
大体、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/34
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035・畠中順一
○畠中参考人 中小企業の福祉施設は、御承知のように大企業に比較しまして相当その整備がおくれておりますし、またそのために中小企業への従業員の募集等にあたっても、大企業に比較して非常に不利な点があるということは御説明のとおりでございますので、事業団といたしましても、この中小企業の福祉施設につきましては現在重点を置いて貸し付けをいたしております。また先ほど申し上げましたように、工場の団地とかあるいは共同給食というようなものには優先的に貸し付けるようにいたしております。その結果といたしまして、申し込みに対する貸し付けの比率をとってみますと、大企業に比較して中小企業がはるかに多いのでございます。しかしただいまのところ、中小企業に対する一定のワクというものは設けてございません。事業団も三十六年度末にできましたので、まだ実績が二年しかたっておりませんので、いろいろ改善していかなければならない点もあると思いますが、ただいまの中小企業に対するワクの問題につきましても、将来の事業別の資金の需要の趨勢等も考慮いたしまして検討いたしたいと思っております。ただ、厚生年金の積み立て金から還元しておりますので、したがって大企業を無視するわけにはいかないのでありますが、将来におきましてはそういった大企業、中小企業に対する資金のワクというようなものも、事業団でもう少し経験を積みまして検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/35
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036・石田正
○石田説明員 われわれの融資先でございまするところの小規模の事業をやっておられます方々に対しまして、われわれがどういう気持ちで仕事をやっておるかと申しますと、もちろんわれわれのほうは他の金融機関から融資を受けられない人を対象とするのでありまして、そういう人たちとお取引をしておりますけれども、気持ちといたしましては、そういう人たちを援助いたしまして、そうして私たちの手を離れてほかの金融機関へ行きましても借りられるというところまで育てるということを本旨としてやっておるわけであります。ただ遺憾ながら、現実の問題からいたしまして、それではみんなうまくいっておるか、規模が大きくなってみんなわれわれのほうを卒業してゆうゆうとやっておられるかというと、現実はそうではなくして、むしろそのときそのときの経済状態によって変化がございますが、まあたいした変化がなく現状を維持しているという方方が大部分ではないかと思っております。それから、中には倒産する方がございます。これはわれわれのほうのあれといたしまして、景況のいい悪いとか、金融引き締めの有無にかかわらず、これは恒常的な問題だと思っております。われわれのほうといたしましては、やはり金融機関でございますから、初めから金を貸しても立ち直る見込みがないというものに、倒産がわかっているのに貸すわけにいきませんけれども、とにかく金をお貸し申し上げれば倒産が回避できるのではないかというものに対しては、できるだけ親切に貸すということを心がけてやっておるつもりでございます。
なお、われわれのほうの特徴といたしまして、実は融資先におきまして、大福帳であろうと何であろうと、帳簿を持っておられる方は半分くらいしかない。実際は帳簿も何もないような方が多いのであります。われわれのほうは、終戦後生業資金ということが叫ばれまして、生業資金を国民金融公庫が出すということが一応通りことばになっておりますけれども、だんだん世の中が変わってきておるのでありまして、やはり事業資金ということを中心に考えなければいけない。ただ何だかわからぬが商売をやっておる、仕事をやっておるというだけではいけないじゃありませんかということで、できるだけお金を貸すにつきましては帳簿をおつけになりまして、どういう収支状態になっておるのかということをだんだんと十分お考えになってやったらどうですかということで、何と申しますか、相談相手になりながらやっていく。お金を貸し過ぎたために倒産するということが起こっては困る、どのくらいがほどほどであるかということを十分気をつけてやるようにしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/36
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037・舟山正吉
○舟山説明員 中小企業の定義の線をどこで引くかということはなかなかむずかしい問題でありまして、昨年の中小企業基本法の制定にあたりましても、いろいろ御論議のあったことを伺っておるのでございます。現在資本金五千万円以下、従業員三百人以下という原則、これに従って私どもやっていって様子を見るというふうにしたいと思っておる次第でございます。ただ運営の実際にあたりましては、私どもといたしましては当該企業の中小企業性ということは相当考慮に入れておりまして、形は大きくなってもまだ小さい、中小企業から成り上がったばかりで、独立して資金調達力もないといったようなものもございますし、また大企業がバックにおりまして市中で金融がつき得るといったものもございます。そこは公庫が政府機関として補完的機能を営むというような趣旨に考えまして、場合によりましては市中にお借りにいらっしゃいというようなこともありますし、また融資額を圧縮するというようなこともありまして、なるべく法律の趣旨に近いような運営をしていきたいと思ってやっておるわけでございます。
それから資本金五千万円以上の貸し付けの計数でございますが、昭和三十七年度におきまして、資本金五千万円以上の会社につきましては、件数では〇・七%、金額で二・九%を貸し付けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/37
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038・二階堂進
○二階堂委員長 島口重次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/38
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039・島口重次郎
○島口委員 時間もないようですから、要点だけを質問したいと思います。
第一番には舟山中小企業金融公庫の総裁にお尋ねいたします。先ほども説明があったようでありますけれども、直接貸しと間接貸しの計数がどうなっているか。できるならこの間接貸しというものは縮小いたしまして、直接貸しに強力に転換すべきじゃないか。なぜかと申し上げますと、代理店になっておられます市中銀行では、おのれのコマーシャル・ペースで操作する面が多いんじゃないかという面から、できるだけ直接貸しをやるべきじゃないか。それから、そういう点から考えて、直接貸しをしようといたしましても、支所というものは大きなブロックに一つよりない。最近に至りまして若干支店がふえましたけれども、各都道府県ごとに支店を置きましたらこういう面が強化をされるのではないか、こういう点どうお考えになっておられるか。もっともこの問題を実現しようといたしますと、予算の問題、人員等の問題がありますけれども、それをなお乗り越えてやるべき必要があるのではないか、こう考えます。
それから先ほども資金量が十分でないということをるる説明しておりますから、あえて質問しなくてもよろしいようなものであるけれども、一方におきましては物価が騰貴をしておる、いわゆる資金量の拡大が要請されておる、一方には金融引き締めで市中銀行から皆さんのほうに融資のあっせんが来ておるというような状況が、どこの金融機関でも共通だろうと思う。そういう面から、今年度の予算というものがあまりにも少ないのではないか、こう考えますが、この点どうお考えになりますか。この点の問題だけは、商工中金におきましても国民金融公庫におきましても、お願い申し上げます。
それから商工中金のほうですが、先ほど、商工中金の当面の問題というのは、資金量の拡大と金利の引き下げの問題だ、こう答弁されておりますけれども、まさにそうだと思います。そこで金利の引き下げの問題でありますけれども、今年、年三厘下げるようでありますけれども、それにいたしましても、国民金融公庫なりあるいは中小企業金融公庫から比較いたしますと高いじゃないか。先ほど総裁もおっしゃるとおり、やはり組織を単位にする、組織単位でありますから、一件当たりの融資額というのは相当金額が大きいと思う。そういう面で、生産コストの面から申しましても、あるいは組織というものを奨励するという面から申しましても、もう少し下げてもよろしいではないか、こう思います。
それから総裁が申されました以外に、私は商工中金の当面の問題としては、これは半強制的と申しますと、強制しておらぬと言うかわからぬけれども、金を借りる方に商工債券を買ってくださいと、こう言っておる。これは強制的でないと言うけれども、借りるほうでは弱みがある。だめだと言いますと貸してもらえないから、オーケーだということになる。こういう面から、やはり今日における零細企業なり中小企業というものは債券を消化し得る力がないと考えるので、こういう点をむしろ解消いたしますことが商工中金の当面の課題ではないか、こう考えますが、その点どうお考えになりますか。
それから国民金融公庫のほうにお尋ねいたしますが、ただいまの一件当たりの貸し付け金額が幾らになっているかという問題、それからおたくさんのほうでも代理貸しと直接貸しがあるわけですけれども、その比率がどうなっているか、特におたくさんのほうの代理貸しというのは零細な資金を貸しているわけでありまして、信用金庫等がやっているわけであります。そういう面から、これまたなるべく直接の支所を開設したらよろしいじゃないか、少なくとも合併せざる以前における旧市を対象とした支所を開設をすることが、一般大衆に普及され、利用度も生かされてくるのではないかと思う。こういう面から、そういう御意思があるかどうかということでございます。
以上申し上げましたように、劈頭申し上げたことは三金融機関のほうからともに御答弁をもらいたいと思います。
それから、先ほど商店街の会長さん山田さんからの説明では、今年度の店舗共同化が七億五千万、こういうようなお話でありますけれども、前年度は一億四千万、これはどういうように活用されてきたかということを御説明願いたいと思います。なおかつ今度の新しく予算で切られました二億五千万との関連がどうなるのかということであります。
それから畠中年金理事さんにお尋ねいたしますけれども、おたくさんのほうで融資をしておるのでありますけれども、申し込みに対しまして融資をしておるのが何%出しているのかという問題、それから一件当たりは幾らになっているかという問題。
以上お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/39
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040・舟山正吉
○舟山説明員 お答え申し上げます。お示しのとおり中小企業金融公庫も、直接貸し付けのほうが公庫の考えておりますことが徹底するという利点がございまして、現在の直接貸し付けの比率をふやしてもらいたいと考えておる次第でございますが、今年度は大体三四%が直接貸しとなる見込みでございます。来年度はそれを四〇%程度に上げたい、行く行くは五〇%ずつに持っていきたい。と申しますのは、代理貸し付けも、全国代理店五千八百ばかりございますが、これを使いまして、僻地の方にも近寄りゃすいものになっております。また、全部直接貸しに集まりましても、支所があまりにも少ない、こういうことになりますし、代理貸しとしての利便もございますので、将来は半々ぐらいに持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。それから支店は、明年度の予算では二支店、四出張所を認めていただきましたけれども、これは順を追って支店の設置を続けてまいりたいと考えております。
それから、来年度の資金につきまして足りないことはないかというお話でございます。資金は多いにこしたことはないのでございますが、来年度の予算は、例年よりも非常にふやして御心配いただいたことでもありますので、これでやってみてまいりたい。将来私どもの使命達成に支障を来たすということがありますれば、またそのときには政府にお願いすることがあるかと思いますが、有効に使っていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/40
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041・北野重雄
○北野参考人 まず第一の三十九年度の資金のワクでございますが、たびたび申し上げますように、年度間を通じまして五百二十億純増の計画をしておるわけでございます。三十八年度の実績が六百億純増になるわけでございます。非常に平たく申しまして、それだけで見ても三十九年度はもう足りないんじゃないかということは言えるのでございますが、ただ、いまからどれだけ足りないかというようなことはもちろんわかりませんし、先ほど来申しましたように、とりあえずは繰り上げといいますか、四半期別の貸し出しワクを幾らかやりくりしておきまして、いずれ政府のほうにお願いしなくてはなるまい、こう考えております。ことに私どものほうの貸し出しの全体の六割五分が短期運転資金なものでございますから、どうも金融引き締めになって、しわ寄せの影響を一番受けるわけであります。その点、長期資金を主としておられる両公庫と事情が非常に違うものでございますから、いつもそういう点を政府にもよくお願いをして、お考えをいただいておるわけでございます。
それから、おかげさまで、ただいま御審議中の法律の改正ができ上がりますれば、来年度から若干の金利が引き下げられまして、一年をこえる中・長期につきまして三厘下げ、それから短期資金につきましては、これは去年の五月に自己努力で、五毛引き下げましたが、さらに五毛引き下げる。そういたしますと、総平均では年利八分九厘強になるわけでございます。両公庫のほうは長期資金を主としておられますので、御承知のように年利九分でございます。ですから、総平均だけで比較いたしますと、商工中金よりも若干下回るということになるのでございますが、一番問題は中・長期資金なんでございます。御指摘のように、まだ三厘以内の開きがあるわけでございます。これも、今後中金自体も努力いたしますし、また政府にも御配慮願って、将来においては中・長期をさらに引き下、げるようにいたしたいという希望を持っておるわけであります。
それから最後の債券の問題でございますが、私どものほうの自己調達の一番の中心は、利付債を金融機関に買っていただき、割商を一般に買っていただく。証券会社にもお願いいたしておりますが、最近非常に成績はふるいません。どうしても私どもの手で、人手も足りませんけれども、一生懸命売り込まなければならない。それについては、何しろ証券会社のようなわけにはまいりませんので、どうしても所属組合なり組合員の方々にお口添え願いまして、その紹介状をもらって一般の人への売り込みということをやっておるわけであります。しかし、私どもの方針としては、債務者の組合なり組合員の方に債券を無理に持っていただくというようなことは極力慎しまなければならないということでやっておるわけでございますが、率直に申しまして、いま御指摘があったように、若干お願いしている向きもあるようでありますが、これは今後特に注意いたしまして、あくまで基本方針に従いまして、割商の売り込みには努力いたしますけれども、これは債務者でない方に買っていただくというふうにやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/41
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042・石田正
○石田説明員 お話のございました第一の資金量の問題でございます。これはわれわれのほうは、三十九年度の予算といたしまして国会を通過いたしました資金計画から申しますと、千七百五十五億の貸し出しを予定しておるわけでございます。この千七百五十五億でもって三十九年度を通じて十分であるかどうか、足りないとすればどのくらいか、こういうことが問題だと思うのでございます。われわれのほうといたしましては、この千七百五十五億のうち、第一・四半期、すなわち、ことしの四月から六月までにどのくらいの貸し出しをするかということがまず第一の問題でございまして、この三月危機は乗り切れるにいたしましても、四月−六月というのは相当きついであろうと想像いたされますので、この千七百五十五億のうちの第一・四半期分につきましては、政府と話し合いをいたして、できるだけ多くの金額を予定いたしたいと思っております。資金の追加というような問題になりますれば、これはいま申しましたような方法で第一・四半期、第二・四半期の決算が済んだ結果、第三・四半期において、いわゆる年末においてどのくらいの金が要るかということの関連において考えたいというふうに思っております。
それから第二の、一件当たりの貸し付けはどうなっておるかという問題でございますが、これは昭和三十七年度におきましては、大体一件当たりの貸し出しの平均は三十二万円でございます。三十八年度は、まだ三月も済んでおりませんし、二月の集計もまだできておりませんが、四月から一月までの集計をとってみますと、これは三十五万一千円になっておる。したがって、平均貸し出し額は三十二万から三十五万一千円になっておる。そういう状況でございます。
それから第三の問題でございますが、直接貸しと代理貸しとの関係はどうなっておるか。これは当初におきましては、たとえば昭和二十五年度をとってみますと、直接貸しのほうが二十五億、代理貸しが五億九千万でございますが、そういうことからスタートいたしましたが、だんだんと資本がふえるに従いまして、直接貸しで扱う金額がふえてまいりました。それから比率のほうも、年間を通じまして、ここ十年来だんだん代理貸しは減ってくる傾向でございます。現在の状況はどうかと申しますと、三十九年の一月末におきまして、直接扱いで貸しております金額は千三百億でございます。これに対しまして代理貸しは三百億でございます。したがいまして二割を割っておるというような数字になっておるわけでございます。それではもうそれでもって——大体直接貸しの比率が多いから、もうあまり支所などは要らぬということは考えておりません。われわれといたしましては、現在九十六の支所が全国にございます。それから出張所が二つございます。本年三十九年度におきましてはさらに四支所の増設が認められましたので、支所といたしましては百、出張所といたしましては二ということになるわけでございます。なおわれわれといたしましては、これで十分ではないと思っておりますので、政府にお願いいたしまして今後も年々支所の増設につとめたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/42
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043・畠中順一
○畠中参考人 件数にいたしまして三十八年度は一・七倍、三十七年度は二・二倍、金額の比率をとりますと三・五倍ということになっております。
それから一件当たりの融資額は、対象が住宅とか病院とかいろいろございますので一律にはまいりませんが、五百万くらいから、病院などになりますと中には一億円をこしておるものもございますが、算術平均いたしますと三十八年度は千七百万円ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/43
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044・島口重次郎
○島口委員 国民金融公庫は政府のほうと折衝いたしまして、若干支所等が多くなるという説明を聞きましたけれども、中小企業金融公庫のほうでは、各都道府県ごとに支店を置く意思がないかということの見解に対する御答弁がない。また国民金融公庫のほうでは、少なくとも合併せざる以前の旧市を対象とした支所なり出張所なりを設ける考えはないか、こういう点を明確にしてもらいたいと思います。
それから畠中さんのほうは、融資申し込みに対する融資の比率がどうなっておるかという質問をいたしましたけれども、答弁がないからもう一度お願い申し上げたいと思います。
それから商工中金さんには、組合の幹部と申しますか指導者と申しますか、その方々にあっせんをお願いいたしまして消化につとめるという説明ですけれども、現実には、あなたの答弁にあったとおり、必ずしもそうではない。必ずしもそうではないというよりも、むしろ債務者に環境をよくしてやる必要がある。こういう点は総裁の意思が末端のほうに浸透するように一そう御努力願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/44
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045・舟山正吉
○舟山説明員 中小企業金融公庫の支店または出張所の設置につきまして、各県に必ず一つは置くかという御質問でありますけれども、支店、出張所をできるだけふやしまして中小企業者の御便宜をはかりたいと思いますけれども、これは一律、機械的にも考えにくい問題であろうと思います。たとえば既設店舗からの距離とか交通事情などが不便なところは早くやらなければいかぬ。しかし既設店舗から非常に近いところは置かなくても、そちらに行っていただいたほうがかえっていいという場合もあり得るわけであります。そういうような点で、必ずしも各県に一つ置くということは、ただいまの段階では何とも申し上げかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/45
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046・石田正
○石田説明員 私のほうは、すでに各都道府県に一カ所以上支所があるわけでございますが、なおわれわれは支所をふやそうと思っております。その支所をふやすにつきましてはやはり経済問題、地理的な関係というふうなことを勘案いたしまして、緊切のところから逐次やっていきたいと思っておるわけでありまして、お話がございました旧市全部やってしまうというぐあいには実際問題としてなかなかいかないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/46
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047・畠中順一
○畠中参考人 三十八年度におきましては、融資決定額は二百億円でございまして、それに対する申し込みが四百四十七億四千二百万ございますので、金額的な比率をとりますと二・二という比率になります。
それから申し込み件数は二千百三十二件ございまして、それに対して決定しましたものが一千百八十件でございますので、件数の比率をとってみますと一・八倍ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/47
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048・北野重雄
○北野参考人 御趣旨に沿いまして十分善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/48
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049・二階堂進
○二階堂委員長 簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/49
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050・島口重次郎
○島口委員 中小企業金融公庫総裁にお願い申し上げますが、確かに地理的な関係や資金需要の関係等があると思いますが、私らが金融問題だけではなくて、あらゆる政府の機関を見ておりますと、そういう地理的な環境、経済的な要請関係だけから検討いたしますと、国策的に見ると真空地帯があるんです。その地域はいつも政府の政策の恩典に浴することができないという状態にあるんです。未開の地を開拓するという強力な意思で開店いたしますと、けっこうお客さんも出てくる。だれでも、市中金融よりも政府の金融機関の融資を歓迎しておるんです。そういう面から、単に生産コストの面だけから考えないで、大局的に、皆さんは政府の機関なんでありますから、日本国内至るところに真空地帯のないような対策をとってもらいたいということを要請申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/50
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051・二階堂進
○二階堂委員長 久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/51
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052・久保田豊
○久保田(豊)委員 時間がありませんから、ごく大きなところだけを伺います。
いま三公庫の方々からそれぞれお話があったわけでありますが、要するに政府三公庫の資金量が足りないということはだれでもお認めになる。統計で見ましても、中小企業に対する年次報告を見ましても、三十八年九月末のあれで、中小企業に対する融資残高が八兆九千三百十億、この中で政府三公庫の貸し付け残というのはわずかに六千七百八十億で、率からいうと七・九ということであります。不況とか引き締めとかいうことを別にして、これの大幅ないわゆる資金ワクをふやす具体的な方法については皆さんはどうお考えになっておるのかという点であります。これらをやるにはもちろん店舗もふやしていかなければならぬし、あるいは事務員もどんどんふやしていかなければならぬというけれども、いままでのようなテンポでやっておったのでは、これは全体の金額もふえていきますから、いつも大体一〇%程度以下のところでもって立ちどまるということになるわけであります。三公庫としては、政府の指図でもってやることもさりながら、三公庫自体、真に国家金融機関として中小企業金融をやっていくには何年計画でどのくらいのところまで持っていくというはっきりした理想案がなければ、ただ大蔵省の役人の言うことをぺこぺこ聞いておって、ことしはこのくらいにしてください、ちょっとぐあいが悪いから少しよけいにしてくださいというその場限りのやり方では、これはどうにもならないと思います。皆さんのお考えとしては、もちろんこの中小企業金融の全部を国家銀行でやることはとうていできる話ではないと思うが、少なくともこれから先の中小企業の国家銀行の持つべき使命ということから見て、全体の金額はふえても全体のパーセンテージはふえておらない、むしろ減りつつある、こういう現状ではしようがないわけであります。引き締め云々ということは別にいたしまして、三公庫は、その対象者というのはほぼ見当がついておるわけであります。どのくらいを目標とし理想として今後資金増をやっていくか、その資金増をやる方法としては、公庫によってそれぞれ違いますけれども、大きくは政府の予算面の出資が一つ、財投のほうからの出資というか借り入れというか、これが一つ、自己資金の調達が一つ、ことし新しく出てまいりました政府保証債の発行が一つ、こういう四つあると思います。これは各公庫によって違いますけれども、どの方法をとるのか、そういう中でもってどういう点をやったらいいかということです。これはなるほど理想からいえば、政府の財投なり予算出資を増してくるのが理想であります。しかしながら、いまの政権といいますと語弊がありますけれども、自民党内部でそういうことを言ってみたところが、結局これは画餅に帰する。そうすればもっと早道を、しかも安い金利でやる具体的な資金増の方法はどこに主点を置いてやっていかなければならないかということを、少なくとも三総裁は十分お考えになっておることと思うが、この点について第一にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/52
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053・舟山正吉
○舟山説明員 私のほうの公庫といたしまして、将来のあるべき姿をどう考えるかということ、ないしは中小企業向けの全体の金融のうちで公庫のウエートはどのくらいであるべきかということにつきましては、たとえば将来の職員の確保、養成ということにも関連をいたしまして必要なことでございまして、私ども研究はいたしておるのでありますが、景気変動ということもございまして、多年にわたる計画を立てることはなかなか困難な実情にございます。したがって、資金は多ければ多いほどいいということでございますが、それではどの程度であるかということは、ただいまのところ案の持ち合わせがないような次第でございます。
それから資金源の確保につきましては、国の資金を使っての政策融資でありますので、長期低利という特殊性を持っておるわけであります。したがって、政府関係の、産投からの出資とか資金運用部からの借り入れというような政府資金をできるだけ使わせていただくということが本筋と思っておりますが、なおそちらのほうもなかなか余裕がないので、来年度からは私のほうにつきましては中小企業債の発行というような新しい構想が打ち出された次第でございます。これにつきましても極力資金の調達に努力していかなければならぬと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/53
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054・北野重雄
○北野参考人 商工中金といたしましても、長期計画的なものはいろいろ検討しておりますけれども、ただいま舟山総裁がお話しになったように、なかなかむずかしいのでありまして、少し手間どっておるようなわけであります。資金源を拡大する問題につきましては、私どもはまず自己資金の増強に努力をしていきます。しかる上で政府財投の追加をしていただくというように、努力の重点は自己資金に置いておるわけでございます。自己資金調達の大宗はやはり商工債券の発行でございまして、利付商工債券は金融機関その他大手筋に持っていただく、これはいままでのところ幸いに順調に、年々予定額を若干上回る成績になっております。それについては政府当局からもいろいろな行政指導と申しますか、そういったお口添えもいただいておるわけでございまして、やはり今後もそういう方面に特に御配慮を願いまして、またもちろん私ども自身の努力も積み重ねまして、利付商工債券の市中消化量をふやしていく。それから割商につきましては、何としても証券会社だけにお願いしておるのではもう純減のきらいがございますので、全員セールスというようなかけ声で、役職員一丸となってセールスに努力しておるわけでございます。そういった面で、特に零細な預貯金者を対象にいたしまして、ことに家庭の主婦に呼びかけまして、たとえ一万円券でも持っていただいて、それを長く持ち続けていただくというようなところにいま食い込んでおりまして、特にPRなんかに最近は非常に努力しておるわけでございます。大体そういう方向で進んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/54
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055・石田正
○石田説明員 長期計画の問題でございますが、実はわれわれのほうは予算を要求いたします場合に、政府に対しまして二つの方法でわれわれの見込みを言いまして、お願いしておるわけであります。第一は、過去の実績からいいまして、申し込みというのが一体どういう趨勢に変化していくであろうか、これは大体二、三年、ときによりましては五年くらいの申し込みの需要を想定いたしまして、こういうふうなことでありますということを申し上げていろいろ折衝もいたしておるわけであります。それからまたわれわれの対象であるのが、日本の経済がバランスして発展していくについては大体これくらいの資金量が必要ではないか、その中で国民金融公庫からこのくらい出したいのだというような数字も、実はわれわれといたしましては試算いたしまして、ただ空に金を要求するというのではなくて、努力してみたのでありますが、実績は遺憾ながらどうもわれわれの数字自身も、あとの結果を見ますと、実際の数字と合っておらぬということで、悩んでおるというのが実情でございます。
それからもう一つ、われわれの一番の問題は、中小企業全金融機関、相互銀行であるとか信用金庫あるいは信用組合、こういう方とわれわれとの間には非常に密接な関係があるわけであります。その伸び方が一体どうなるか、そのかね合いというものも実はいろいろやっておりますけれども、なかなかその数字が合ってこない、しかしただお互いに要求するのではなくて、なるべく長期的な考え方を持ってわれわれもやりたいということで、試行錯誤いたしておるのが実は現状でございます。
それからその次に、資金量が足りない場合にはどうしたらいいかということでありますが、われわれのほうは端的に申しまして、出資と財政投融資以外にはやっていけないと思っております。これは件数は多うございますけれども、一件当たりの金額は少ないのでありまして、これは債券発行等によりましてとてもペイする問題ではない。われわれが一番先に望むのは出資であり、その次は財政投融資である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/55
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056・久保田豊
○久保田(豊)委員 国民金融公庫のほうは——中小企業金融公庫、商工中金については、もう少しはっきりした計画を責任者として持つべきだと思うのであります。
第一に、中小企業金融公庫の総裁にお伺いいたしますが、あなたのほうは、大体中小企業の近代化設備資金の提供ということが一番中心になろうかと思います。あるいはそれに連関して長期の運転資金があなたのほうの一番おもな仕事であると私は思う。ところが昨年の九月の政府のこの報告書を見ましても、設備資金の貸し出しの残高が全部で大体一兆六千億ある。そのうちであなたのほうが一番割合が大きいけれども、一二・三%しか出しておらないという実情です。国が本気になって中小企業の近代化をやる以上は、これはあとで大臣にも聞こうと思いますが、中小企業全体についての近代化計画、それに対する所要資金は当然はじき出していかなければならぬ。したがいまして、それに応じて、そのうちの全部を政府銀行がやるというようなことを主張するわけではないが、この一兆五千億のうち政府関係の三公庫の融資総額が、設備資金についてはわずかに三千三百十億、そうしますと、おそらくあとの資金は大部分がいわゆる一般民間資金の短期金融を借りる。これは貸し付けに貸し付けをして、高い金利をやっておるというのが実情だろうと思う。したがって、中小企業の設備資金が非常に高いものになる。これらに対して、たとえば十カ年計画もあることですし、政府としては、このうちの二五%を政府銀行が持つとかあるいは三〇%を持つ、あるいはこの業種についてはこういう点に重点を置いていくというようなことが当然計画され、それがあなたのほうの貸し付け計画なり資金獲得の計画に乗ってこなければ、中小企業の近代化だの何だの言っても、これは全くうそだというよりほかにない。中小企業者がせっかく昨年あたりから一生懸命とにかく無理な金を借りて近代化を始めた。そこで、あとでちょっとお聞きしますけれども、今度金融引き締めだ。おそらく入れた金はへたすると全部死んでしまいますよ。だから、金融引き締めになったから特にどうというわけではないのですけれども、こういう際にこそ政府銀行というものは、ただ大蔵省に頭を下げて、あてがいぶちでへいこらへいこらしておるのではなくて、ほんとうの中小企業の金融を、全般としてはそうでないにしても、少なくともこの機において近代化を、しかも不況倒産を避けながらやっていくのにはこのくらいの資金量がなくちゃならぬというようなことくらいは、ここで言えなければならぬはずです。それが言えないということは、はなはだ私は総裁として怠慢だと思いますが、あなたはどう思いますか。これは商工中金については少し性格が違いますから、同じようには言えません。同じようには言えませんけれども、商工中金のほうは短期の運転資金を提供するということが主でありましょうから、やはり短期の資金と長期の運転資金なり設備資金が両々相またなければ企業はうまくいくはずはありません。しかるにそのほうでもきわめて貸し出しが少ないということになれば、いまの政府三銀行というのは全く中小企業者の資金需要なり何なりをごまかすための単なる機関というほかないと思う。私はこの機会に両総裁から、少なくとも不況期ではないにいたしましても、政府のほうも中間のいわゆる五カ年計画ですか、何か立てるというようなことでありますが、ああいうところで中小企業問題が論じられましても、いつでもしまいにはどこかしり切れトンボになってしまう。しかもいま中小企業者だけの問題ではなくて、日本の経済全体を国際的に立ち向かわしていくには、中小企業の体質改善、少なくとも生産の拡充ということが一番の重要な一つのポイントになっている。それを政府三銀行、特に中小企業専門ともいうべき両総裁から、長期計画がございません、あってもなかなかむずかしいから、まあまあ、いまのお話では要するに大蔵省のお指図どおりということでは、話にならぬと思います。私はそういう意味でもって、商工中金の利付債にいたしましても、今度の政保債にいたしましても、結局問題は市中銀行が集めた金が、要するに大企業に集中している、これを国の保証と指導によってどう中小企業のほうへとるかということが問題だと思う。そういう観点から、私はいままでの利付債なりあるいは政府保証債というものに対する考え方を変えて——もちろんいまのような金利ではとれないと思います。結局は、ほっておけは——何かわれわれの党のほうでも盛んに資金のフローについて規制をすべきだという声がありますけれども、現実にはなかなかそれだけのことができない。とすれば、あなたのほうのやるべきことは、政府と一体になって、中小企業機関というものがあるのですから、通産省あたりを突っついて、大蔵省だって、何といったって大企業中心ですから、あれらの支配している少なくとも都市銀行、全国銀行の資金量からそれだけ、あなたのほうは一番確実なんだから、そのほうへ引っぱり込んでくる、それを中心にした資金計画というのを立てるのが当然じゃないか、こう思うのです。どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/56
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057・舟山正吉
○舟山説明員 将来の見通しにつきましては、長期的に見る場合と比較的短期に見る場合とあると思いますが、長期的に見る場合には、経済成長率とかあるいは設備資金の投資動向とかいろいろな要素を仮定して考えなければならないので、残念ではありますけれども、現在までのところ実用に供されるような長期計画というものはっくり得ないでおる次第でございます。短期の見通しにつきましては、ここでお断わり申し上げておかなければなりませんことは、中小公庫といたしましては、その性格が民間金融機関の補完というような点、民間金融で出せないところのものを供給するということになっておりますので、これまた市中の金融情勢によりまして、具体的に例を出しますと、昨年の春から夏ごろにかけては市中金融がゆるみましたので、そちらで相当の設備資金もまかなえたというようなこと、それが暮れから最近まで金融が詰まってまいりますと、設備資金並びに運転資金の市中調達がなかなか困難になってくれば公庫に依存してくる、こういったような波があるわけでございます。そういうようなことで、その点についても計画を立てることはなかなか困難な面があるのでございますが、ただ毎年の予算要求につきましては、公庫でこしらえております設備動向とかあるいはその他の資料を参考にいたしまして、次年度における設備資金需要、それに対して民間金融はどのくらい出し得るか、したがって公庫はそれを補完するためにはどのくらいの資金が要るかといったような、いわゆる積み上げ計算をやって予算要求をしているわけでございます。決して見通しなしにやっておることでないということをひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/57
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058・北野重雄
○北野参考人 五年ないし十年の長期計画というのは、所要資金量というようなものだけならばある程度の見通しはつくのでございますが、さてそれではどういう方法でそれを調達していくかというような問題になりますと、たびたび申し上げますように、私のほうはやはり政府資金にも依存しなければならぬ、財投のほうは、毎年毎年予算要求で出したのに対して、認められるのが非常に内輪になっております。こういうようなことで、なかなか思うにまかせない。その面を何とか自己調達で補いをつけるというような方向に向かって努力をしておるわけでございます。いろいろ御鞭撻いただきましたが、御趣旨は全く私ども同感でございまして、今後とも微力でございますけれども政府にもよくお願いして努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/58
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059・久保田豊
○久保田(豊)委員 それではその次にもう一つお伺いいたしますが、現在までのところ大体政府三銀行、特に中小企業金融公庫と商工中金で、民間金融機関の貸し付けとの状態はどうなっているか、つまりあなたのほうがラインになって、いま民間との協調融資関係というものがどういうように実際は行なわれておるのかという点を一点お聞きしたい。特に長期の設備資金等については、この点が非常に大事だと思うので、こういう点はどうなっておるのかという点、それから今後引き締め期に入ってきますと、こういう問題がなお切実に出てくるわけであります。さっき一応抽象的な今後の貸し付けの方針なり何なりというものはお話があったわけだけれども、こういう点については今後どうやっていくか。きのうのきょうのことですから、これからこうやりますということは、まだおそらくどなたも急に何とも言えないことだと思いますけれども、この二点をどうやっていくのかという点をひとつお聞かせをいただきたい。
それに連関してもう一つの点は、中小企業金融公庫、商工中金並びに国民金融公庫で、信用保証協会の保証を受けたものがどのくらいのパーセンテージあるのか、それからことしから新しく手形の割引をすることになっていますね、あれはたしか三百何億ぐらいになるわけでしょう。そういった点はどう扱っているのかという点をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/59
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060・舟山正吉
○舟山説明員 第一は協調融資の点でありますが、協調融資と普通に申しますのは、数個の金融機関が一緒になって特定の取引先に金を貸して共同歩調をとるということだと思うのでありますが、公庫としましては、商工中金と団地金融あたりの場合のように協調融資することがございますけれども、一般民間に対してはいわゆる協調融資はないと思います。これは設備資金に例をとりますと、中小企業者に対しまして設備資金を貸し出す、これは収益還元主義と申しておりますが、その設備が稼働すれば年々どれだけの利益を生むかということを計算いたしまして、元利の償還を受けるということを計算する、その間に市中の普通の金融機関はその企業に短期運転資金を貸したり引き揚げたりするというようなことをやっておりますので、そこで公庫と民間金融機関との息は合わなければいけませんけれども、そこは一応別でございまして、いわゆる協調融資ではないのではないかと思っております。
それから公定歩合引き上げ後の情勢にどう対処するかというお尋ねでございますが、やはりこれは金融引き締めの一環でもございますし、また市中金利も追随して上がることと思われますので、中小企業に対しては、これまで以上にこまかく観察してまいりまして、時期を失せず金融的措置を講じなければならぬのではないかと思っております。現に、昌頭にも若干申し上げましたが、公庫といたしましても長期運転資金を出す道もございますので、これはその量を多くいたしまして、中小企業を窮境から救い、また破局に達することのないように心がけてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/60
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061・北野重雄
○北野参考人 市中銀行といいますか民間金融機関と申しますかとの協調は、まだ十分ではございませんけれども、かなりやっております。都市銀行の関係なんかにおきましては、近ごろやはり設備投資なんか相当全体の額がふくれる傾向がございまして、そういうものにつきましては市中銀行のほうにできるだけ協力していただいて、私どものほうはその一部をおつき合いするというようなことで協調してやっております。それからまた地方銀行との関係におきましては、よく地方銀行との連絡を密にしておりまして、たとえば長期の設備資金をひとつ商工中金で見てくれ、短期運転資金のほうは自分のほうで見るから、こういうようなことでやっておる例もだんだんふえてきております。なおまた相互銀行、信用金庫との協調も逐次進めていきたい、こういうように考えておりまして、要は、私どものほうに大口貸し出しができるだけ少なくなるように、多くならないようにという心がまえでやっておる次第でございます。
それから公定歩合引き上げの影響は、やはりいろいろな面で中小企業に悪い影響が出てくるのじゃないかというので、昨日の夕方発表を聞きまして以来心配いたしておるわけでございます。とりあえず商工中金といたしましては、先ほど来申し上げましたように、まず第一・四半期の貸し出しワクを政府とも相談の上できるだけふやしまして、そうして現実の融資におきましても、特に黒字倒産というようなことを防ぐようにというようなことで、短期運転資金の融通に重点を置いてやっていきたいというように考えております。
それから商工中金といたしましては、信用保証協会の保証つきのものは昨年十二月末で百九十一億でございまして、全体の貸し出し量が三千三百五十億でございますので、それに対して五、六%に当たるわけでございます。信用保証協会の保証も、できるだけ保証なくして貸し出せるものは保証をつけない、保証があれば貸せるが、保証がなくては信用力が足りないというようなものに限るように十分徹底させてやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/61
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062・石田正
○石田説明員 第一の他金融機関との関係でございますが、私のほうは、法律の趣旨から申しますと、ほかの金融機関で借りられないものを貸せ、こういうことになっておるのでありますが、実際問題といたしまして、われわれの貸し出しておりますところの融資先は、おそらく半分くらいは、他の金融機関に預金があるとか、あるいは借り入れが多少あるとかいうことであろうと思います。私はこれはあまり法律的には割り切らない。ほかの金融機関から借りられておる以上は絶体に貸さないというようなのは実情に合わないのでありまして、やはり育成していく段階において、一番初めは国民金融公庫だけから借りられたけれども、その次は、ほかの金融機関からもだんだん借りられるようになってきた。その間はめんどうを見てやらないといけないのでありまして、やはりそういう心がまえで仕事をしていくべきだと思っております。
それから第三点の公定歩合の問題でございますが、実は私のほうは、三十九年度の貸し出し計画は千七百五十五億でございまして、それで去年の第一・四半期には三百四十五億ばかりの貸し出しをいたしたわけでございます。最近の、去年の暮れあたりからの情勢から申しますると、大体年末、第三・四半期が一番多いのでありますけれども、第一・四半期も相当重点を置かねばいかぬ。百億くらいつけましたところの四百四十億くらいの貸し出しをさせてくださいということを政府と折衝しておったのでありますが、どうもこういう情勢でございますので、さらに検討いたしたい、かように思っておる次第でございます。
それから信用保証協会の問題につきましては、われわれのほうは原則として保証協会の保証なしでやるということを理想としてやっております。ただ、われわれのほうは、それと同時にやはりできるだけ貸さねばならぬという使命がございます。信用保証協会の保証さえあれば、あぶなっかしいけれども貸そうというものについては例外的に取ってよろしい。それから災害の場合におきましては、これは保証協会の保証をつけなければ実際に回収不能であるというケースが多くなります。そういう特別な場合だけにつきまして、取ることはやむを得ぬという指示をいたしております。実情から申しますと、昭和三十八年度におきまして保証を取っておりますところのケースは件数にして〇・八八%、それから金額にいたしまして、一・〇四%、かような状況に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/62
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063・舟山正吉
○舟山説明員 信用保証協会の保証つきの融資でございますが、三十七年度の貸し付けにつきまして、代理貸し付けの金額では四・四%は保証つきであります。直接貸し付けにつきましては〇・一%、全体を合わせてみますと三・〇%であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/63
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064・二階堂進
○二階堂委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/64
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065・板川正吾
○板川委員 時間の関係がありますから、一言だけ伺います。
山田商店街連合会会長に伺いますが、今度予算で商店街造成について政府資金が二億五千万予算化されました。これは五カ所、三カ年計画で商店街振興組合をつくる、こういうことになっております。これは同額を府県で負担をしますと、五カ所、五億円という形になる。それとまた同額をたとえば出資によってやったとすれば、これは十億円という形になると思うのですが、そうしますと、先ほどちょっと伺っておりますと、十億、十五億という予算規模で商店街振興組合をつくっておるという予算等の報告もございました。また一面、いままでの商店街振興組合ですと、一組合百八十五万円程度で、ごく零細なものであります。今度の全国五カ所へ三年計画でつくろうというのは、一カ所約二億円程度になります。二億円程度で商店街をつくろうということになると、どんな規模のどんなようなものができるかという大体モデルを構想しながら、商店街というのがこの程度の予算でどういうふうなことになるだろうかということをひとつ想定の上で御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/65
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066・山田泰吉
○山田参考人 お答えいたしますが、ただいま出ておりますのは、神戸の湊川商店街、和歌山の堀止、大阪の和泉府中駅前商店街、堺の東駅前商店街と神戸の元町商店街でございます。このほかに三つほどできておりますが、おくれておりましたので、この五つが対象として研究されております。これらは、先ほど申しました当初の二つが、湊川が十六億と、堀止が十億の予算で計画を進めております。そこで政府の助成が本年度二億五千万円ですから、一カ所五千万円ということになりまして、これに県のほうが同額でちょうど一億円ということになります。これが三年継続事業でございますから、三年間と申しますと大体三億円、したがって地元が大体三分の二の負担力ということになっておりますので、かれこれ九億円から十億円の近代化ができるのではなかろうか。したがいまして大体いま出ておりますのも、湊川が百四十二店舗、堀止が九十八店舗、和泉府中が九十五店舗、堺が百四十七店舗、元町が四十四店舗となっております。大体百店舗からそれを上回ったものが多いのでありまして、こういう盛り場でございますから大きい店もございますけれども、平均いたしますと、一店舗の店舗そのものが十五坪か二十坪程度のものではなかろうかと思いますが、これらが百店舗集まりますと千五百坪ないし二千坪ぐらいの面積が必要になってまいります。ただ、いまやっておりますのは、どこでも現在の店舗では狭い。ただし土地が高価でなかなか買収困難だ。そこで立体式にいたしまして、従来下に持っておりました倉庫であるとか自転車置き場といったものは地下へ持っていくとか、倉庫を上へ持っていくとか、住まいは三階、四階へ持っていくとか、そしてできるだけ壁を取り払いまして横の百貨店式にし、どうしても一店舗でやっていきたいという専門店はどちらか一角に居を移しまして、そこでやろう、政府からもそういう御指導をいただいておりまして、欧米にも見ないような近代化をはかろうということでございますから、坪数からまいりますと地下一階、地上三階ぐらいのものをつくりましても、現在の建築費で大体やっていけるのじゃなかろうか、こういう見通しで指導もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/66
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067・板川正吾
○板川委員 全国的にそういう要望が、これは全く無数にあるのじゃないかと思うのですが、この五カ所程度では、これはある意味では全国の要望から見れば全くお話にならない数字だと思うのですが、全国でそういった要望というのはどの程度ありそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/67
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068・山田泰吉
○山田参考人 お答えいたします。ただいまのところは、御承知のようにこの法案が成立して予算化されましたのは昨年末でございますので、全国の業者もよくこの内容がわかっておりませんでしたが、今後この内容がわかり、しかもたとえ五カ所でもそういうものが生まれてまいりますと、当然各商店街が右へならえをいたしませんと自分のところがつぶれていくという結果になると思います。したがって今後に対しましては、かなり急速に希望者がたくさん生まれてくるのではなかろうか、このことを私も感じておりまして、現在の予算ではまことに心もとない。ただし問題は、これは一つの商店街が全部現在のものを取り払ってそして近代化しようというのですから、借地権の問題であるとかいろいろな問題で、まとまるまでにかなり歳月がかかります。したがって一方の共同化のほうで十店舗、十五店舗のものを指導いたしております。このほうがかなりたくさんございまして、昭和三十七年一億四千万円で成功いたしておりますけれども、ことしはすでに二百何十カ所から申し込みが出ておりまして、この面は七億五千万円になっておりますから多少ワクはあると思いますけれども、これとても資金量が非常に小そうございますから、将来二つともに、これが軌道に乗りますとかなり大きな予算を組んでいただきませんと画餅的になるのではなかろうか。しかも私の指導いたしております五百余都市の商店街地区だけでも一万余の商店街がございますので、約五十万の会員でございますが、これらに対しまする予算としては、現状のままでは将来どうにもならなくなるだろうという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/68
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069・板川正吾
○板川委員 次に伺いたい点は、商店街振興組合法ができまして、全国で商店街振興組合が着々できておるというのですが、この商店街振興組合が発展しない理由はどこにあると思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/69
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070・山田泰吉
○山田参考人 先ほども関連したことがございましてお答えいたしましたが、当初におきまして、人口十万以下のところには振興組合ができないというような流説が相当流れておりました。これがまず第一であったことと、もう一つは、たいへんな期待をいたしておりましたけれども、当初において振興組合というものの予算の裏づけが何らなかった。したがって難儀をしてつくっても何もいいことはないじゃないかというような身がってを零細業者の方々がせられたために、立ち上がりが非常におくれておったということでございますが、最近に至りまして、この二つの法案で十億の予算がついたということで、全国的に非常に活発な動きが始まったところでございます。ところが最初に申し上げましたように、共同商店街、商店の共同化の問題では振興組合は当てはまらないことになっておりますので、この点はまた振興組合をつくって、その上に株式会社をつくったり、共同組合をつくらなければ、共同化ができないということになりますと、せっかく立ち上ったものがまたあとずさりをするということで、法の精神から申しましても、私どもたいへん憂慮をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/70
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071・板川正吾
○板川委員 私は、商店街の人が商店街振興組合というものに非常に期待をしておるのは当然だと思うのです。しかし期待した結果が、その期待に十分に沿い得なかったという点で落胆するのも当然だと思うのです。それはあなたも御承知のように、商店街振興組合法の成立の過程を振り返ってみればわかるのです。あの法律は、最初社会党が商店街組合法という法律案を出し、やがて、自民党が会期終了まぎわ、一週間前に商店街の振興に関する法律案でしたか、商店街の組織に関する法律案ですか、こういう法律案を出した。そうしてその結果、実は委員会の審議を省略をして、共同提案によって社会党の修正を大幅に入れてあの法律が成立を見たのですが、あの法律の中でわれわれが一番問題にしたのは、こういう団体ができて特定政党に利用されるのは困るということである。特定政党に利用してはいけないということを四条の中にうたってあるはずなんです。しかし商店街振興組合連合会の運用を見ると、私はあまりにも特定政党に利用され過ぎているのではないかと思うのです。その一例をあげていいますと、あの法律が成立をした一カ月ぐらいあとに「商店街」という新聞が出た。その新聞の記事を見ますると、足利市において、某政党が党首を呼んで、この政党によって商店街振興組合法という法律がつくられたということで、足利市における某政党と商店街組合の関係をでかでか報道された。しかし商店街組合法をつくったときには某政党は全然これに関係していない。関心は持っておったのでしょうけれども、立案の過程では参加していなかった。共同修正には参加しました。そういう例が方々にあるようであります。しかも機関紙で堂々と特定政党を支持するかのごとき報道をするというのは、これはこの振興組合法の四条に違反することではないでしょうか。そういう点について、商店街振興組合連合会の会長の立場として、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/71
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072・山田泰吉
○山田参考人 お尋ねの件でございますが、実はその足利市の問題、私、申しわけないのですが、実際申し上げて、いまよく記憶を持っておりません。そういうことがあったかどうかも、いま記憶がないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/72
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073・板川正吾
○板川委員 それは四十国会の終わったあとですから、六月か七月ころです。商店街新聞という、おたくで発行している新聞に書いてあります。堂々と全国的にそれを報道しておるのです。ですから、それを知らなかったというのはまことに遺憾です。それは内容も事実と違います。その政党は、あの法律の成立の過程ではほとんど参加していなかった。だからそれを、まあどこの政党でもいいですよ、自民党でも社会党でもいいですけれども、特定政党のためにこの機関を利用しちゃいけないということになっておるのですから、こういうことのないように今後ひとつ努力してもらいたいと思うが、、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/73
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074・山田泰吉
○山田参考人 仰せのとおりでございますので、まことに私の微力で申しわけないところでございますが、今後十分注意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/74
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075・板川正吾
○板川委員 商店街振興組合法の八十五条、八十六条には、法令に違反した場合には八十六条で解散命令も出ることになりますから、ひとつ法令の趣旨を守ってもらいたいと思うのです。そういうことは一党一派に偏しないことが、経済的な団体として商店街組合というものが発展するもとであろうと思うので、そういう点は今後十分注意してもらいたいということを要望して質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/75
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076・二階堂進
○二階堂委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/76
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077・中野正一
○中村(重)委員参考人 説明員の皆さん方に、せっかくの機会ですからいろいろ御質問申し上げたいのでありますが、しかし関係の皆さん方に御質問申し上げると三時間も五時間もかかって、昼食抜きではたいへん失礼になりますから、それはいずれ適当な機会に御質問申し上げたいと思います。委員長にはそのようにお取り計らい願いたいと思います。
ただ、三機関その他の御出席の皆さん方に御希望を申し上げたいことは、第一線で中小企業金融にあたっていらっしゃる皆さん方としてはたいへん御苦労であると思うわけです。私どもは、第一線におって直接そうした業務に携わっておられる皆さん方に御出席を願って、なまなましいそうした事実を把握したい、こういうことでおいでを願っておるわけであります。ところが、各委員の質問に対する御答弁はきわめて慎重であります。まあ立場からいたしまして言いづらいという点もあることはよくわかっております。しかしやはり率直に意見を開陳していただき、質問にも答えていただかなければ意味がないと思います。たとえば、商工中金の商工債の消化の問題にいたしましても、利付債券のほうは大体順調である、割商のほうはセールスをやって大いにがんばって消化しておる、こういうことであります。私どもは中小企業者の皆さん方から直接いろいろな話を聞くわけでありますが、相当無理をして消化をしておられる。そのことが中小企業者自体にとっても大きな重荷になっているということが私は事実ではないか、こう思います。したがいまして、そうした点もひとつ理事長は十分把握していただきたい。理事長自身が御存じない点がある。第一線の支店になりますと、ワクをきめられておりますから、非常に無理をしておるということをこの際認識をしていただきたい。このように強く希望しておきたいと思います。
また中小企業金融公庫にいたしましても、あるいは国民金融公庫にいたしましても、先ほどいろいろ答弁がありました。三月危機は何とか切り抜けられるのじゃないか。まあこれは北野さんの御答弁の中から伺ったのでありますが、四月、五月の危機というものがやはり考えられるということでございます。資金量も出資金あるいは財投と相当増額されておるので、何とかやっていけるだろうということでしたが、私たち聞きたいことは、中小企業者が非常に金融に困っておるということは事実ですから、どの程度の需要があるのかどうか、その需要に対してどの程度それを満たしておるかということであります。それがきわめて重要な問題点であろうと思うわけであります。それらの点を率直に聞かしていただかなければなりません。
さらにまた、支店、出張所の問題に対しましても、支店をたくさんつくる、あるいは出張所を多くつくっていくということ自体が必ずしも金融をなめらかにすることにはならないのだ、こういうような意味合いの御答弁がございましたが、私はそのようには思いません。また中小企業金融公庫の支店の問題にいたしましても、大蔵大臣自体が予算委員会における私の質問に対しましても、一県一支店を設けなければならないのだ、それが理想だ、できるだけそういう線に沿ってやりたいということでありましたし、また国民金融公庫の支店、出張所に対しましても、できるだけ多く設置をいたしたい、これも政府側が一貫して答弁をしておるところであります。ところが第一線のあなた方によってその点が積極的に強調されないということになってまいりますならば、そうした支店、出張所を数多くつくるということは実現できないのではないか、私はこのように思います。皆さん方は直接現場を把握していらっしゃるわけでございますから、政府側の考え方あるいは私たち議員の考え方というものが必ずしも正当であって、皆さん方の意見が間違いだという断定は私はできないと思う。しかし常識的に考えてみますと、やはりPRの面からいたしましても、あるいは貸し付けを受けなければならない中小企業者の利便からいたしましても、やはり支店、出張所というものを数多くつくっていくということが私は適当であると思う。
それでは独立採算の面はどうか、もちろんいまの運営は独立採算でございますから、少なくとも政府関係の金融機関は、ある場合におきましては危険負担もやらなければならないでありましょうし、あるいは相当な赤字が出るといったような場合におきましても、それを越えてやらなければならぬ、私はそれが当然であると思うわけであります。
私のただいまの意見に対しましての反駁があろうかと思いますけれども、いずれまた適当な機会を持ちまして、もっと突っ込んだ御意見も伺いたい、このように考えております。きょうの私の意見は、言いっぱなしということでお聞き願いたいと思います。
ただ、畠中さんだけたいへん恐縮ですがお残りを願いまして、住宅の問題についてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/77
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078・二階堂進
○二階堂委員長 両公庫の総裁並びに参考人の方々におかれましては、長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。
それでは、畠中さんお残りいただきまして、ほかの方々は帰っていただいてよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/78
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079・中村重光
○中村(重)委員 厚生年金住宅のことにつきまして、さっき御説明願いまして大体わかったわけですけれども、各都道府県に対する配分の状況、それから業種及び事業規模別の状況、この点を伺いたいのです。業種とか規模別状況ということになりますと、詳しく御説明願うのも時間がかかり過ぎると思いますので、大体概略をお答え願えれば幸いだと思います。その点ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/79
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080・畠中順一
○畠中参考人 住宅の融資につきまして、都道府県に対するバランスの問題かと思いますけれども、全国から融資の申請がございますのを受け付けまして、各都道府県に対しましてはきちんとした一定のワクはつくってございません。ただ被保険者の数とかということで大体のバランスを見ながら、アンバランスのないように努力をしておるということでございまして、ただ各府県どういうふうになっておるかという詳しい資料は現在持っておりませんので、もし必要がありましたら後ほどお届けしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/80
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081・中村重光
○中村(重)委員 アンバランスがないように配分をしておると言われる。そうすると配分の基準は、そうした各県のアンバランスがないように配分をするということがたてまえになっておるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/81
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082・畠中順一
○畠中参考人 お説のとおりでございまして、できるだけ都道府県の間にアンバランスのないように審査決定をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/82
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083・中村重光
○中村(重)委員 それでは御答弁と関連をしてまいりますから、基準を具体的にお答え願いたいと思います。そうした都道府県のアンバランスの問題だけでなしに、まだいろいろと貸し付けについての基準というものがあろうかと思いますから、内容をひとつお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/83
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084・畠中順一
○畠中参考人 都道府県のバランスにつきましては、各都道府県の被保険者の数というものを参考にいたしまするのと、もう一つは各年度におきまする申請金額というものを両方にらみながら一応の数字を出しまして、厳格にはいきませんけれども、できるだけその比率に近づけるような審査をいたしております。それから規模別につきましては、先ほど申し上げましたように大企業と中小企業、その他につきましても、その申請の数をにらみまして、中小企業に重点を置きながら決定をしていくという事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/84
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085・中村重光
○中村(重)委員 それじゃ大企業と中小企業との貸し付けの比率、それから中小企業は大体どの程度の規模の企業が中心になっておるか、そうした業種あるいは企業に対しての配分をお知らせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/85
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086・畠中順一
○畠中参考人 三十八年度の住宅について御説明を申し上げますと、大企業の融資の申し込みが全体の比率から見まして五八・八%でございます。それに対しまして決定いたしましたのが六一・七%ということになっております。それから中小企業は申請が三一・七%でございますが、それに対する貸し付けの決定は三四・四%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/86
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087・中村重光
○中村(重)委員 ただいまのお答えですと、やはり大企業に偏しておるというように考えられますが、中小企業、大企業、そのいずれにも貸し付けをすることになっているということは、ただいまの御答弁でも先ほどの説明でもわかるわけでございますけれども、たてまえとしてやはり中小企業に重点を置くという形で運営されてないのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/87
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088・畠中順一
○畠中参考人 審査にあたりましては、中小企業に重点を置いておりますが、先ほど申し上げましたように資金の全体の振り合いというものは、申請の金額も考慮に入れなければなりませんので、したがって融資の決定額でありますと、大企業が六一・七%、中小企業が三四・四%となっております。しかし申請の数から見れば、中小企業のほうが比率的には多くなっているのじゃないかと思います、ただいま申し上げましたのは中小企業の事業主でございますが、このほかに協同組合のような中小企業を相手にしたような団体がなお対象になっておりますので、一緒にしますと、中小企業関係というのが三八・三%くらいになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/88
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089・中村重光
○中村(重)委員 申し込みのルートは銀行を通じて行なっておるのだろうと思うのでありますが、その場合に、その上申に対しての銀行の考え方ということが審査を相当支配しているというように伝えられております。その点は非常に重大な問題であろうと思うのでありますが、その審査にあたってのかまえというのか、まずそこらあたりを詳しくお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/89
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090・畠中順一
○畠中参考人 申請は、御承知のように窓口が金融機関でございます。そこで一応受け付けましたら、いろいろな調査をいたしまして、その事業主の事業の経営状況とか、あるいは特に償還能力をどうするか、あるいは担保の点がどうなるかというようなことにつきまして、詳細に金融機関の意見がついてわれわれのほうに来るわけでございます。われわれのほうとしましては、その意見に基づいて審査をいたしますと同時に、申請者のいろいろな調査もございますので、それを直接に審査いたしまして、そして適切と思われるものに融資をしておるわけでございます。したがいまして、金融機関の意見というものは相当にしんしゃくをしておりますけれども、現在までの実情から申し上げますと、金融機関で、たとえば償還能力がない、したがって貸し付けするのは適当でないというものの数は非常にまれでございまして、金融機関で大きく貸し付けの適、不適を左右しておる面はそんなに多くないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/90
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091・中村重光
○中村(重)委員 金融機関がその窓口で、あなたのほうへ申請することを拒否するという事実はないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/91
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092・畠中順一
○畠中参考人 金融機関の指導につきましては力をいたしておりますが、受け付けたものにつきましては、金融機関で却下せずに、すべて事業団のほうに提出するようにというように指導いたしております。ただあるいは中に、受け付ける前にあまり不適当なものについてはそこでチェックすることがあるかもしれませんが、われわれの指導としては、申し込みがあれば全部受け付けて、それを全部事業団のほうに持ってくるというような指導をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/92
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093・中村重光
○中村(重)委員 審査にあたって、中小企業者に対する貸し付けが、いわゆる国際競争力の強化、産業構造の高度化、そういった成長性の高い中小企業に貸し付けをするといったような貸し付け基準があるのかどうか、また審査にあたってそういう点を配慮しておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/93
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094・畠中順一
○畠中参考人 中小企業の間の優劣につきまして、特に先ほどお話のございましたような企業の重要性といいますか、内容に従っての融資の順位をつけるというようなことは、現在のところそういうことはいたしておりません。ただ、先ほどから申し上げますように、政府のほうで御指導になる工場団地とかあるいは最近非常に盛んになりました中小企業の共同給食というようなものに対しましては、最優先的に貸し付けることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/94
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095・中村重光
○中村(重)委員 そういった企業が数多くあるということになっていくと、一般の中小企業に対する貸し付けの機会というものはなくなってくるんじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/95
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096・畠中順一
○畠中参考人 ただいま私の御説明が不十分であったかもわかりませんが、そういうように共同給食とかあるいは工場団地等には優先しておりますけれども、その他の企業につきまして、あるいは輸出産業であるとかそうでないとかというような、そういう企業の内容によって順位を現在つけておりませんので、御心配の点はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/96
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097・中村重光
○中村(重)委員 実は、こうした御質問を申し上げておるのは、いろいろ非難もあるわけです。大企業に非常にウエートがかかっているとか、あるいは中小企業の中でも大企業等の系列関係の企業、そういったところが重点的に取り扱われておるとか、もろもろの批判が実はあるわけですよ。ですから私は、この年金福祉事業団の住宅の貸し付けというものは、大企業と中小企業の格差をなくする、また中小企業者間の格差をなくする、地域間の格差をなくする、その考え方の上に立って対処してもらわなければならないのじゃないか、実はそういう考え方でお尋ねをいたしておるわけです。まずその基本的な考え方、くどいようでありますけれども、ひとつもう一度お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/97
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098・畠中順一
○畠中参考人 融資にあたりましては、われわれのほうとしてはきわめて公平を旨としてやっておりまして、ただいま申し上げましたように都道府県のバランスと、それから大企業、中小企業等のバランスというものを考えなから、そして保険料の細入状況とか、あるいは事業計画の内容が適切であるかどうかという点を十分に審査して貸し付けを決定しておるつもりでございますし、今後そういう方針でますます注意を払いながら業務をやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/98
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099・中村重光
○中村(重)委員 厚生年金の掛け金が一回でも滞納しておった場合にはその資格を失うということになると伝えられておりますが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/99
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100・畠中順一
○畠中参考人 還元融資でございますので、保険料の納入の成績というものは一応考えておりますが、一回そういうことがあったから貸さないというわけではございません。過去一年間の納入状況をとりまして、そしてたとえば一月おくれとか二月おくれというようなものにつきましては、一年のうちにどれだけそれがあるかというようなことを検討いたしまして、成績のいいものを優先しておるということでございます。資金の需要との関係がございますので、あるいは成績の悪いものは次に回されて融資ができないという実情はあるかと思いますが、一回どうであったからどうというようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/100
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101・中村重光
○中村(重)委員 窓口である金融機関がトンネル機関という形にはならないのかどうか、申し込みがあった、その申し込みを直ちにあなたのほうに上申するという形で運営するわけにはいかないのかどうか、非常にチェックしておるというようなことが伝えられておりますから、私その点をお尋ねをするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/101
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102・畠中順一
○畠中参考人 金融機関を経由しておりますのは、事業団には支所がございませんので、窓口をやはりどこかに設けなければならない。そして還元融資でございますけれども、やはり金融でございますので、その事業主の経営状況とかあるいは貸した金が償還できるかどうかというような点については、専門の金融機関の意見を聞いたほうがいいと考えまして、現在のようなシステムをとっております。したがいまして申請が金融機関の窓口に来ますと、われわれのほうからの指示に従いまして、金融機関では十分に調査をして、そうして意見を付してわれわれのほうに出す、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/102
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103・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、申し込みがあったら、必ずあなたのほうに書類を申達しなければならないのですね。そこでチェックして却下する、こういうことは起こりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/103
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104・畠中順一
○畠中参考人 先ほど御説明申し上げましたように、受け付けたものは、たとえ金融が適当でないと思いましても、それはその意見をつけまして、金融機関だけで却下することなく、全部事業団に送るように指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/104
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105・中村重光
○中村(重)委員 その点わかりました。ところが実際は、金融機関から意見がついてまいりますと、それに相当のウエートがかかってくる、こういうことになりますと、実際の支払い権は銀行が持っているという形になります。それは好ましいことではありません。経由しては出てきたけれども、単なるそれは経由機関にすぎない、こういうことで、あなたのほうでも十分ひとつ都道府県の意見その他を考慮に入れてやってもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。
それから、御承知のとおり地価は非常に上がっております。九倍、十倍、平均六、七倍といわれておりますが、その用地費あるいは建設費等の単価、これは相当見積もりと実際の建設費あるいは用地買収費というものとは違うんじゃないかと思いますが、そこらあたりの手当てはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/105
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106・畠中順一
○畠中参考人 事業団融資におきましては、土地あるいは建物につきましては単価がきまっておるわけでございます。これはほかの類似の政府機関に比較しまして不利にはなっておりませんけれども、御説のように時価と比較しますと、地域によって違いますけれども、時価との開きは相当あるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/106
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107・中村重光
○中村(重)委員 時価とは相当開きがあるわけですが、開きがあったんでは、これはどうにもならないわけですね。九〇%でしょう、貸し付けが。一〇%も自己資金がそこに必要になる。時価との開きがあると、またそこで相当自己資金が必要になってくる。そうすると弱い中小企業は手が出ない、こういう形になります。ですから公平にあなたのほうがやろうとしましても、そういう問題から公平にならない、公平にいかない、こういうことになりますから、その点あなたのほうを責めることはこれは間違いなんですから、政府にひとつこの点は認識を新たにしてもらわなければならぬ、こう思いますが、運用にあたってもその点あなたのほうで十分注意をしてもらいたい。これらの点に対して政務次官並びに中小企業庁長官、これは中小企業の住宅ですから、あなたのほうは十分これらのことについて関心を持っておられなければならないし、建設省が所管であるとか、あるいは厚生省が所管であるとか、そういうことでこれに対して関心を持たないということは、これは間違いであると思います。これらに対してどのように考えておられるか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/107
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108・田中榮一
○田中(榮)政府委員 従来厚生年金の融資につきましては、われわれも現実に融資を受けたもの、現在融資を受けつつあるものの意見等もいろいろ拝聴しておるのでありますが、大体におきまして中小企業の福利施設に重点を置きまして、あるいは給食施設であるとか、あるいは研修施設であるとか、そうしたものを重点に融資をお願いしておるのでありますが、やはり希望額どおりいくということはできませんけれども、大体におきまして要望額に達した額を融資を受けまして、そうしてまたいろいろの点につきまして相当な指導も受けておりますので、非常な不平、不満というものはないと思っております。ただ、いま中村委員のお話のような単価の問題であるとか、そうした問題につきましては、実際において実情に即しない点も若干あるのじゃないかと思いますが、こうした点はひとつ厚生年金当局の十分なる理解を待って今後措置していただきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/108
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109・中村重光
○中村(重)委員 ともかく政務次官、あなたはいつもどうも楽観的な答弁が多いですね。政府ですからそういう答弁になりがちでしょうけれども、実際の姿と、いまあなたが答弁しておられるようなことと、だい。ぶ違うのですよ。先ほど来、私の質疑応答の中でも一つの問題点が出てきたと思います。大企業と中小企業との配分の関係、それからまた何というのか、中小企業の中でもやはり相当力がある企業でなければ利用できないということは、現実に起こってくると思うのですよ。これはいろいろ言っても、銀行の意見というものは相当ものを言うわけです。そういう点等、ほんとうに中小企業という立場から、あなたはもっと真剣に取り組んでいっていただかなければならぬ。
それから最後に御質問いたしますが、一九六一年ILOの勧告が出ておるわけですね。あなたはその勧告の内容は御存じでございますか。——それでは私から申し上げます。長官は十分御存じでしょう。一九六一年ILOの勧告は、使用者が雇用者に対して住宅をつくって貸し付けるということは、これは当該の労働者に対し、あるいは労働組合に対して社会的な支配、あるいは影響を与え好ましくないから、直接公共機関で住宅をつくって貸し付けをしろ、実はこういう勧告がなされておるわけですね。産労住宅は建設省の所管でありまして、実はこの点が相当問題になったわけです。こういう点は政務次官会議等におきましても十分議論されなければならない点だろうと思いますが、これから先中小企業担当のあなた方としては、どのように対処されるか。ILOの勧告に沿うてこれを積極的に改善をしていくという熱意があるのかどうか、その点をひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/109
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110・田中榮一
○田中(榮)政府委員 一般の住宅につきましては、公営住宅をできるだけ多数に建設いたしまして、中小企業者並びにその従業員等にこれをできるだけ利用してもらうことが私は非常に望ましいことだと考えております。しかしながら、今日の現状から申しますると、公営住宅を幾らつくりましても、なかなか入居希望者が満足することのできないような実情でございますので、やむを得ず事業主、事業者等がいろいろ金融機関から金を借りまして、そうして中小企業者みずからその従業員の住宅を建設して、その福利施設をできるだけ充実して雇用をなるべく容易にする、こういうような実情になっておるのでございまして、公営住宅が非常に整備してきた暁におきましてはさようなことはないと思いまするが、今日の現状では、どうしても中小企業者、雇用主自体が、ある程度その従業員のために福利施設としての住宅を建設して、これを提供する、あるいはまた利用せしめるというような措置を講ずるほかないのではないかと私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/110
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111・中村重光
○中村(重)委員 あなたの考え方は間違いだと思う。あなたのほうが事業主に貸すのか、労働者に貸し付けるのかという問題にもなるわけであります。たとえば炭鉱離職者対策にしても、この住宅を建設する場合、二十万円という金を労働者には貸さないで、あとから、雇用する、いわゆる使用主に貸すわけです。離職者、労働者を雇う、その雇い主に二十万円という金を渡す。これは労働者に渡すべきだということを強く主張した。それがまたILOの精神なのです。いまあなたが言われるようなことを、国が金を出さないで、ただ何というのか、使用主にのみ住宅を建てさせるんだ、それで満足するということであれば話は別です。しかし少なくとも労働者に直接貸し付けをして、労働者がその住宅を建てる方向に行政運営を行なっていくということであるならば大きく改善されると思う。あなた方のかまえの問題なのです。それを言っておるのです。どういうかまえでいくのか。いまあなたの答弁はきわめて消極的ですから、そういうことではなしに、もっと日本も国際社会に仲間入りしたわけでありますから、少なくともILOの勧告を尊重するというかまえで進まなければならない。そのあなたのかまえ、これをお尋ねしておるわけでありますが、それに沿うたお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/111
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112・田中榮一
○田中(榮)政府委員 私は、いま中村委員の御質問の趣旨を少しはき違えておったかと思っております。もちろん中小企業の従業員の方々に対して直接国が援助して、そうしてその従業員の方々に住宅を持たせるということは必要であろうと思っております。したがって、そういう方々にできるだけ低利の金を貸与してみずからの住宅を持たせるということは、やはりその職域に安定して、いろいろと今後の産業の堅実なる従業者としての立場を尽す上において一番必要な措置ではないかと考えております。ただ一般の、そこまでいかない若い店員、そういうものに対しましては、やむを得ず現在使用しておる人が住宅を建てまして、それに貸与しておる、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/112
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113・中村重光
○中村(重)委員 そこで、先ほど地価の問題あるいは建設単価の問題、時価と相当かけ離れておるということですから、これは事業団のほうに無理を言ってもしょうがまい。あなたのほうで予算を獲得をして、そういう時価とかけ離れないような単価を出す、こういうことでなければなりません。特に中小企業庁長官は大いに張り切ってがんばってもらいたい。そのことを強く要望いたしまして私の質問を終わりますが、資料をお願いいたします。
都道府県別、それから大企業、中小企業別の比率、それから業種あるいは規模別、そういう関係、貸し付けの内容が明らかになる資料であればいいわけですから、できるだけ詳しい資料を参考までに御提出願いたい。それではこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/113
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114・二階堂進
○二階堂委員長 資料の提出はできるだけ早い機会にお願いいたします。
次会は、明十九日午前十時より委員会を開会することにいたし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02219640318/114
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