1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十九日(木曜日)
午前十時二十七分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
遠藤 三郎君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 岡崎 英城君
海部 俊樹君 佐々木秀世君
田中 正巳君 田中 六助君
中村 幸八君 野見山清造君
長谷川四郎君 南 好雄君
大村 邦夫君 加賀田 進君
桜井 茂尚君 沢田 政治君
島口重次郎君 楯 兼次郎君
森 義視君 米内山義一郎君
麻生 良方君 伊藤卯四郎君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局長) 高橋 俊英君
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 柏木 雄介君
国税庁次長 喜田村健三君
専 門 員 渡邊 一俊君
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三月十八日
百貨店法の一部を改正する法律案(伊藤卯四郎
君外一名提出、衆法第二八号)
スーパーマーケット法案(麻生良方君外一名提
出、衆法第二九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七四号)
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫
法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七
号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案、並びに商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上三法案を議題として審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許可いたします。久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/1
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002・久保田豊
○久保田(豊)委員 まず国税庁のほうにお伺いいたしますが、政府側からいうと、中小企業に対しては総理大臣の言い方でいうと、来年度は六百億の大幅減税をした、なお今度の中小企業の危機に対しましても、いろいろの便宜をはかっているようです。ところが本年度の、現在の三月の所得税に対する所得査定その他について非常にこれは問題があるようです。全国的なことはわかりませんけれども、私の近くで特に零細業者に対する本年度の所得査定は非常にきびしい。たくさんの人が私のほうへ陳情に来ております。たとえば、これは薬局をやっておる人ですが、夫婦と子供三人計五人、これが昨年度は五十七万円で、ことしは七十万一千円、二三%の増になっておる。税金はどうかというと、これはいろいろあれがありますけれども、昨年度が二万九千円、ことしが四万九千円になっておる。これは青色申告の場合であります。それから白色申告の場合はもっと極端です。たとえば夫婦で子供がない、これは衣料商であります。この人は昨年度の所得査定が二十九万円、ことしが五十万円、したがって税金はどうなるかというと、昨年度は七千二百円、ことしが二万八千円、これは所得査定においては七〇%増、税金のほうでは約四倍、こういう例がたくさんありますけれども、実態はそれなに変わっておりません。多少これは物価が上がったり何かしていますから売り上げがふえておることは間違いがない。間違いがないが、こんなにはふえていない。これがみんな申告したものがこういうふうに訂正されてきておる。こういう査定の仕方をしては幾ら税金をまけるまけると言っても何にもならぬ。どういうわけでこういう査定をやるのか、この点についてまず説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/2
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003・喜田村健三
○喜田村説明員 お答え申し上げます。
現在所得税の確定申告が十六日で終わったわけでございます。昔よくこういうことを言われたのでございますが、一応割り当て課税である、前年に対して何割増しとか、全体この税務署では幾ら税収を上げろ、よくそういう非難を聞いたことがあるのでございますが、現在の所得税の課税のやり方は、青白を問わず大体一つ一つの納税者の実情に即して課税する、こういうようなやり方を守っておりますので、特にことしそれによって全体として所得税の課税を重くする、そういったようなことは全然考えておりません。ただ、その個々の課税の結果がどうなったかということは、現在まだ所得税の集計ができておりませんので、はたして前年に対して平均的にどのくらい所得が伸びたかという実績がまだわかっておりません。あるいは中には特に漏れの大きいと思われる方に対して重点的に調査をやるように、私のほうで心がけております。個々の一つ一つの例をとってみますと、あるいは所得が前年より非常に伸びたという方があるかもしれませんが、全体の水準として引き上げる、そういうようなことは、現在の所得税事務のやり方といたしましても、また本年度の課税のやり方といたしましても、全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/3
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004・久保田豊
○久保田(豊)委員 全体として考えておらぬと言っても、こういうようなのが各地で出ておる。これは実は商工会の書記連中から、私のところへ至るところからこういう訴えがきておる。これは多少ふえていることは間違いありません。あるいはいままで捕捉の仕方が不十分だったから、ことしは厳格にやったというふうな点もあるかもしれぬ。しかし、いままで一戸一戸については調査したといえば調査したでしょうが、数が多いですから、ほとんどそんなに調査ができておりゃせぬ。ところがこういう例が非常に多い。これはどうもいまの説明だけでは納得できない。これははっきりした数字が全般的に出てみて初めてそういったものを見なければ、言い抜けばどうでもできると思いますが、こういう上から押しつけの、特に白色のごときものは、ざっくばらんに言って、ほんとうの帳簿もございませんですから、大体においてこれだけだと言われれば、それきり泣き寝入りという場合が非常に多い。これが所得税だけではなく、御承知のとおり地方税その他ほかの課税基準になりますから、非常に実はふえてきている、こういう実情です。こういった点についてもう少し実態を調べて、どういう方針でやっておるのか、あるいはその実態がどう出ておるのかということを、ひとつお調べいただきたいと思います。
それから、これに連関して、もう一つ問題は、ことしの確定申告のあれに対しまして、半強制的に青色申告を押しつけている場合が非常に多い。特にこれは商工会の書記連中を通じまして聞いたことですが、そこのうちは能力的にとうてい青色申告はできない、ところがそれに対してこういうことを言っている。ことしは青色申告をやらなければ——来年白色ならば、所得査定をさらにふやすぞというようなことを言っておる。青色申告をすれば当然そういう連中は税理士に世話にならなければならない。税理士に世話になると、五十万円や七十万円の所得ではむしろ税理士に世話になった場合のほうが金がかかる、こういうことで悩んでおるのが非常に多い、これはどういうわけか。どういう方針であるのか。ことに、ほとんど全部について、ここのうちは青色申告は無理だというところにも二回、三回と言ってきている。しかし、特に年度の中途から青色申告をやっても、最終段階になって否認をされればこれは何にもならないわけです。
それともう一つ、能力がない。税理士にかかってやるということになればなお困難だ、こういうケースが非常に多い。これも私は十数人の書記連中から実は訴えを聞いておる。こういうのはどういう方針でこういうことになっておるのか。またそういう指導を現実にしておるのかどうか。この点を説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/4
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005・喜田村健三
○喜田村説明員 最初の、所得が伸びているのが非常に多いという問題でございますが、昔は、三十二、三年ごろまでは税務署のほうから、確定申告期には納税額の調査額のお知らせということを一応やっておりまして、それを目安として申告をしていただくという体制をとっておったのでございますが、それではやはり申告納税制度の本来の趣旨に反するということで、現在はこちらのほうからは原則として調査額はお示ししない。それで、ただ納税相談においでになったときに、かなりこちらの調査額に自信がある、そういうものについては調査額をお知らせします。また先ほどお話のあったような白の場合、自分たちの帳簿がないという場合には、一般のこれまでの調査実績をお話しして、大体の趨勢は全体としてまあ上がっているのではないかという、目安的な御相談に応ずるわけでありますが、具体的な個々の調査額を示してこれによって申告をしてほしい、こういったような指導はやらない、ことにそれを強制的に押しつけるようなことはないようにしておりますので、先ほどお話のありましたように、調査額によってこの申告を強制する、そういうような印象を与えるようなことがないように十分注意をいたしております。ただ、先ほどもお話のありましたように、今年の消費景気の上昇であるとか、あるいは物価の値上がり、そういったようなことから末端の事業所得者について調査をした実績を見ましても、ある程度やはり所得は全体として伸びております。そういう経済の動向等について納税相談のときにお話しすることはあると思いますが、それは決して強制ということはございませんので、もし自分の所得がほんとうにそれだけないと思われた場合には、あるいはこちらがもし数字をお話ししたといたしましても、決してそれによらずに申告していただく、こういうたてまえになっております。
それから二番目の御指摘の青色をある程度強制をしている、こういったような問題でございますが、現在の申告納税制度のもとにおきましては、どうしても帳簿をつけていただいて、それに基づいて申告をしていただく、こういうことが、申告納税制度をほんとうに軌道に乗せていくかなめになると国税庁といたしましても考えておりますので、なるべく青色になっていただく。白であまり帳簿もつけずに、見込みで申告をされるというようなことではなくて、ほんとうに青色の帳簿に基づいて申告をしていただくようになるのが望ましいということから、先ほど申し上げましたように、国税庁といたしましてもなるべく青色をふやしたい、こういうような考え方は持っております。ただそれを、いまお話がありましたように、とてもその能力がない、そういったような人はどうせ最後では否認されるにきまっている、そういったような人にまで青色を強制するようなことがないように、もしできればというような考え方で、なるべくなら青色になっていただきたい。ただし、無理やりに強制して青色になっていただく、そういうような考えは持っておりません。ただ、先ほどお話のありましたように、自分ではとても帳簿をつけ切れない、あるいは税法のむずかしいことがわからないという方々で、しかも、なるべくだったら帳簿に基づいて正確な申告をしたいという方が、たくさんおいでになるわけでございます。しかし、それには税理士に金を払うだけの余裕がない、こういったような小企業の納税者がかなりあるということで、本年から特にそうした方々のために青色申告会あるいは税理士会、そういったような外部の団体の協力を得まして、非常に安い値段で記帳あるいは納税相談というものをやっていただいて、いままでの税理士に払うような高い記帳料、納税相談料というようなものを払わずに、低廉な価格で記帳の代行あるいは記帳の指導、申告書の作成、納税相談、そういったようなものができるような制度を現在なるべく普及するように、いろいろの外部団体との協力のもとにそういった施策を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/5
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006・久保田豊
○久保田(豊)委員 生業的な零細業者というのは、二百五、六十万あるわけですね。その人たちはおそらく大体年の所得といえば百万円以下、おそらくは五十万円前後の人が多いんじゃないか。こういう人に全部青色申告をやらせるということは、私は少し無理じゃないかと思う。もしそれをやらせるなら税理士でなく、いまのお話で、税理士に非常に安くやるように言いましたけれども、税理士はやはり営業ですから、実際には相当高くなりますよ。そうすると税金で多少やっても税理士のほうを考えれば、結局何にもならぬ。むしろかえって経費が高くつくということになる。したがって、そういう人は大部分が商工会におるわけですね。商工会所属の人が非常に多い。いま商工会の職員というのは、納税期になればほとんど税務署の手伝いみたいなことをやらされている。それが本来じゃないにかかわらず、いやおうなしに、ほかにやる人がないものですからやる、こういうのが実態です。ですからそれならばむしろ税理士なんというものを使わずに、商工会の書記なりなんなりでやれば、これはほんとうの青色申告にはならぬかもしれないけれども、ある程度それに近いものになると思う。そういう零細な人の所得というふうなものは、御承知のとおりこれはほとんどどんぶり勘定です。一つの生業です。生業に食い込んだ税金になっているわけです。実際には現在でも生活費に食い込んだ税金に事実上なっている。こういうものに対してはやはり税理士を使うなんという制度はやめて、もっと別個の対策を私は立てるべきだと思うが、どうでしょうか。いまあなたが、特に安い税理士にやらせるようにしたと言うのは、どういう具体的な内容であるのか、それもひとつ説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/6
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007・喜田村健三
○喜田村説明員 先ほど税理士会あるいは青色申告会と申し上げましたが、そのほかにただいまお話しの商工会というもの等の協力ということで、先ほどお話し申し上げましたような記帳の代行あるいは納税相談、そういったようなことを活発にやるようにという商工会との協力ということも申し忘れましたので、つけ加えさしていただきます。
現在それじゃどのくらいの額で納税相談あるいは記帳の代行をやるかという話は、いろいろ各国税局ごとに税理士会、商工会あるいは青色申告会、それぞれ話し合っておりますので、場所によってはいろいろ違いますが、一例をとってみますと、記帳の代行をやるという場合には、月七百五十円から千円くらい。たとえば女子職員を使いまして記帳を代行してもらう、かわってつけてもらう、そういった場合には、いまのような値段でやるようになっておりますし、納税相談の場合には月たとえば百円、そういったような非常に安い値段でやるといったような制度を各団体打ち合わせまして実施する、こうした場合には年間通じましても、記帳を全部代行してもらうといった場合でも、かなり安くあがるんじゃなかろうか。納税相談をやった場合、申告書をつくってもらった場合にも相当安くできるんじゃないか、こういうふうに考えております。
それから商工会自身に納税相談と申告書の作成、その他をやらせたらどうかという問題がございますが、記帳の段階までは税理士法というものに触れないので、もちろん自由にだれでもできるわけなんでございますが、申告書の作成とか、あるいは納税相談ということになりますと、税理士法との関係がございまして、そこまで全部商工会だけに、あるいは青色申告会だけでやらせるというわけにはまいりませんけれども、そこにつきましては先ほどお話しました税理士会と協力して、そうした税理士法に触れるような問題については、税理士がタッチする。そうじゃない税理士法に触れないような問題につきましては、あるいは記帳の代行、指導、そういったようなものにつきましては、独自でやれる。そういったような各団体がそれぞれ職能に応じて、小企業納税者に対する指導ができる。そういったような体制をとるように、そういった組織をつくるように、現在各国税局で現地の各種団体と協力して指導体制を整える、こういうことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/7
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008・久保田豊
○久保田(豊)委員 いまのお話でも、かりに記帳を女の子に頼んでも月にして七百五十円から、ちょっと多いものは千五百円から二千円ということになる。大体、納税額が二万円か、せいぜい三万円の人が、結局年に一万円なり一万五、六千円出すということは相当大きな負担です。しかもそれが全部税金のあれになるのです。そこをもう少し何とか考えないと、あなたのほうは税金はとりいいかもしれない。公平になるかもしれない。しかしながら、納税者のほうから言えば、そういうことになる。生業的にやっておる人を、特に企業的にしろといったって無理です、特に、いなかの農村地区や小さい町では。そればかりで生活してないという場合も相当あるわけですし、ここらを何とかもう少し考えて、税理士法との関係もありましょうけれども、税理士も何か今度弁護士並みに扱えということになると、ますます高くなる。こういうこまかいやつは金にならぬから税理士は本気になってやってはくれません。ですからここは商工会なりなんなりもっと便利な、たとえば資格を与えるなり、税理士ではないにしても何かの資格を与えるなりなんなりというくふうをする必要がある。もし青色申告を全部やらせるという趣旨ならば、ここに何らかの対策を講じて、そういう生業的な商工業者が安んじて、しかも安くやれるような身近な方法を考えてやる必要がある。そうでなければ、いまのように、青色申告をやれやれと言って、やらなければ来年度は白ならば、うんと査定を上げるぞというのは、ほとんどおどかしです。あなたのほうではおどかしなんていうことは思っていないかもしれないが、末端ではみんなそうです。やらなければ、来年はというので、みんな能力のない人たちが困り切っておるという現状ですから、この点をひとつ改めてもらいたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/8
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009・喜田村健三
○喜田村説明員 ただいまちょっと申し落としましたが、小企業納税者に対する記帳の指導あるいは税務の指導ということについては、現在提出されております予算の中に約四千六百万の金が、そうした零細企業に対する税務の指導という見地から計上されるようになっております。これの使途につきましては、現在、中小企業庁と国税庁と打ち合わせ中でございます。この金なんかも十分に使いまして、先ほどの記帳指導あるいは記帳代行あるいは税務相談といったものが、納税者の負担にあまり大きく響かないように、そういう措置につきまして現在打ち合わせ中でございます。なお、それでもなおできないという方につきましては、これに青を強制するというようなことはないようには十分心がけてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/9
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010・久保田豊
○久保田(豊)委員 いま、こういう生業的な零細業者が大体二百五、六十万あるわけですね。そのうちで、青色申告をやっておるものと、白色とはどのくらいの割合になっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/10
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011・喜田村健三
○喜田村説明員 現在、零細という区分がはっきりいたしませんが、所得税を納税しております事業所得者につきましては、約四五%くらいが青になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/11
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012・二階堂進
○二階堂委員長 ちょっと申し上げますが、銀行局長は参議院の予算委員会に呼ばれまして、質問があとになったもんですから、しばらくお待ちくださいませんか。——銀行局からかわりに柏木財務調査官が見えておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/12
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013・久保田豊
○久保田(豊)委員 局長でないとまずいんだが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/13
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014・二階堂進
○二階堂委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/14
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015・二階堂進
○二階堂委員長 速記を始めてください。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/15
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016・中村重光
○中村(重)委員 それでは三法案について詰めてみたいと思います。
まず第一に、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案の問題点について、お尋ねしてみたいと思うのであります。
この法律案は、手形割り引き保証範囲を拡大をするとか、さらにまた出資を増額するといった前向きの内容になっておるわけでありますけれども、運用のよろしきを得なければ、悪法に転ずる可能性が実はあると思います。
まず第一に、問題点としてお尋ねしたいのでありますけれども、手形を割り引きをするその保証範囲を拡大をするということになってくると、有価証券の乱発を誘発する危険性が出てくるのではないかと思います。いわゆる現金払いというものを手形払いにするということになってまいりましょうし、それからいま一点は、これはお尋ねをしてみなければわかりませんけれども、手形の期間を何カ月ものを割り引きずるのかということですね。これは、いつかの委員会で長官が、商工中金に五カ月手形を割り引きをさせるといった御答弁があったのです。そうなってくると、この五カ月というものが公認される形に実はなってくる。手形の長期化を抑制をしていかなければならないということを強く私どもも主張してまいりましたし、またそれは当然であると思うわけであります。ところが、長期の手形を割り引きをする保証をするということになってまいりますと、短期化じゃなくて、長期化をさらに誘導するという役割を果たしかねない、こう思います。それらの点について明確でございませんから、まずその点について明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/16
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017・中野正一
○中野政府委員 第一点の御質問でございますが、この手形保証保険を実施することによりまして、現金払いを少なくして、むしろ手形で払うというようなことを助勢しやせぬか、こういうようなお尋ねでございます。われわれがこの制度を考えましたのは、現在、中小企業者が大企業からいろいろ優良な手形をもらいましても、これを銀行へ持っていってもなかなか割り引いてくれない。そのために、実は貸金業者等に行って割り引いてもらうというような事態が現実にあるわけでございます。それはどういう理由かというと、手形を振り出した人が大企業であってもそういうことになっておるのでありまして、これはやはり手形をもらった中小企業者の信用力に限度がある。したがって、銀行に貸し出しのワクに限度がある。こういうことからそういう事態が発生をしておるわけでございます。この意味におきまして、どうしても手形保証保険というようなものを広く実施をいたしまして、これによって手形を受けた中小企業者に信用力をつけてやるということが、今度の制度のねらいでございまして、これによって手形の乱発を助勢するというようなことはないんじゃないかというふうに考えております。
それから一般に銀行で割り引き得る範囲の手形のサイトというのは、常識的にいいまして九十日、したがって九十日以上の手形を持っていっても、それば銀行は割り引いてくれません。したがいまして、たとえば百二十日のものであれば、九十日に至るまで中小企業者はそれを持っていなければ金がつかない、こういう形になってくるわけでございます。ただ商工中金につきましては、協同組合等を下請業者がつくっておりまして、これに対して親企業のほうが保証するということをやる場合には、特別な場合には百五十日までのものを割り引いておる。これは商工中金の特別の中小企業者に対する措置であるというふうに考えております。ただこれが非常にいい制度かといわれると、非常に長いものを今度は親企業のほうは出せる。したがって、その意味で中小企業者のほうにそのしわを寄せておるということがいえますので、下請代金遅延防止法の実施にあたっては、できるだけ手形のサイトを短くするように指導をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/17
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018・中村重光
○中村(重)委員 いまあなたが最後に御答弁になった点が問題点として出てまいります。それから親企業と下請企業が、これは力関係から出てくるのですけれども、話し合いをやり、短い手形を一本出そうじゃないか、一本は非常に長期なものを出す、だからがまんをしろ、こういうことでいやおうなしにそれに従わなければならぬという問題も出てくるわけです。ですから、こういう前向きのようなものでありましても、よほど指導をうまくおやりにならぬと、これは悪法に転じます。ですから、そういうことについて相当詰めてみられたかどうか、その点どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/18
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019・中野正一
○中野政府委員 その点は確かに御指摘のとおりでございまして、手形保証保険というようなことによってかえって手形のサイトが長くなるとかいうことがあってはいけません。ただ、これはどういう方法でやるかということになると、いわゆる企業間信用の問題でございまして、非常にむずかしい問題もございますが、一つは下請代金支払い遅延防止法の厳正な運用ということも考えております。それ以外に、中小企業者に対して手形のサイトの長いものを出さないように、これは特に大蔵省のほうからも銀行方面に対して通達も参っておりますし、いろいろな手を考えて、せっかくこういう前向きのいい制度をやったためにかえっておかしな事態にならないように、事態の推移を見ながら手を打っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/19
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020・中村重光
○中村(重)委員 企業間信用の問題であるとか、長期手形に基づくいわゆる倒産の問題等あらためてお尋ねをいたしたいと思います。
いまあなたが、手形割引ができない、いわゆる信用力の弱いものの手形を保証割引をするのだ、こういうことですが、そこでお尋ねしますが、振り出し人とそれから受け取り人の信用の程度ということが問題になるわけです。そうすると、信用の程度が非常に低いというものもこれでカバーしなければ、この制度の意味がないということになってまいります。その点は手形が割れないような信用程度の非常に低いものを保証することによって割引をさせるんだ、もっと極端な言い方をしますれば、いままで割れないでおった手形、高利貸しに持ち込んでいかなければならなかった、こういうものが今度は割れるようになるのだ、こういう期待を特に零細企業の人たちが持つでありましょう。その期待を持っても、そのとおり間違いないのか、期待はずれという形にならないかどうか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/20
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021・中野正一
○中野政府委員 これは銀行がかりに保証いたしましても、銀行が手形を買い取るという形になるわけでございますので、やはりその当該手形をもらった中小企業者の信用力に限度がございますから、したがいまして、全然信用力のない、銀行取引の対象にならぬようなものまで全部この制度で円滑にいくというふうに期待するのは、期待し過ぎじゃないか。ただ従来銀行取引というようなものがなかなかなくて、銀行からも金が借れない、したがって、手形をもらっても割り引いてもらえないというようなものが、この保証によって、相当程度中小企業者の信用力がある場合には、新しい制度によって銀行取引ができる、したがって、手形をもらってもそれが割り引いてもらえるという形になる。もう一つは、従来銀行と取引があって手形は割り引いてもらっておったが、ワクがあって、ワクの拡大がなかなかむずかしいというような場合に、この保証保険制度によって、ワクを拡大してもらえる、こういう便宜がある。こういうふうに、この制度によりまして手形保証というものは相当程度拡大されるのではないかというふうに期待はしております。先生の御指摘のように信用力が全然ないものまでこの制度によって救われるというふうに考えるのは、ちょっと期待し過ぎじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/21
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022・中村重光
○中村(重)委員 信用力の問題は、これは育成をしなければ信用力は高まりません。だから、いま信用力のあるものだけを保証してやるといっても、これは信用力のないものはいつまでたっても伸びないということです。生業から企業の状態にならない。問題の根本に触れてこういう制度というものを考えていかなければならない、こう思います。いまのあなたの御答弁は非常に弱い。こういう新しい前向きの制度ができたんだから、いままで救われていなかった人たちを救うんだ、こういう考え方の上に立って取り組まなければ、これは意味ないと思う。
いま一つお尋ねしますが、この制度によって結局保証協会の保証能力を強めなければなりませんから、その点は考えておられると思いますが、どれだけの原資をこの新しい制度によって予定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/22
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023・中野正一
○中野政府委員 最初の点でございますが、信用力の弱いものを信用力をつけるように育成していくべきである、これは御説のとおりでございます。したがいまして、われわれとしては、これは保証協会の仕事になりますので、実は近くこの法律が通りますれば、さっそく全国の保証協会の方にも集まっていただき、私も地方に出かけていって、現実にはいま言われたような信用力の弱いものを保証協会が親切にこれを調査して保証してやるということが、まず前提でございます。したがって、そういう点については保証協会を十分指導して、御期待に沿うように持っていきたいと考えております。
それから今度四十五億、御承知のように保険公庫へ出資していただくわけでございますが、そのうちで約十億を手形保証保険に——従来から保証保険にいっておる金もございますから、プラスアルファとして十億程度は少なくとも考えたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/23
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024・中村重光
○中村(重)委員 保証協会の指導もやってもらわなければなりません。そうしなければ、銀行も選別融資だ、保証協会の保証も選別保証だという形に現実になっていますよ。ですから、いまあなたが十億の原資を用意している、こういうことですが、それが単にワクがなかったものをワクを拡大するということだけに役立つという形ではだめなんです。いまあなたが保証協会をひとつ指導するんだと言われた。そのことを、肝心かなめのあなた自身がそういうかまえを持つということです。そういうことでなければこの制度の意味はないんだということをひとつ銘記していただきたい。どういう実績があらわれるか、私どももこれを期待を持って見守っていたいと思います。その結果によってまたあなたにお尋ねをいたしたい、こう考えております。
それからこの法案ですが、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案とそれから中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案と二つの法律案が一本になって出されている。これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/24
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025・中野正一
○中野政府委員 これは私たちその点はいろいろ検討したのでありますが、法制局あたりとも相談をしまして、信用保険法とそれからいま御指摘の保険公庫法、これは非常に関連の深い法律でございますので、一本にして出しても差しつかえないのじゃないかという結論に達しまして出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/25
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026・中村重光
○中村(重)委員 あなた方は委員会の審議の議事録をお読みになりますか。あるいは附帯決議等を十分熟読をして、そして附帯決議を尊重していくというかまえで取り組んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/26
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027・中野正一
○中野政府委員 お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/27
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028・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、二つの法律案は一本で出してはならないということに委員会ではなっている、私はこの問題を取り上げて、法制局も呼んで、そしてこのためにまる一日という日にちを空費してしまったという過去のいきさつがある。そのときに、この後こういうことはいたしませんとはっきり約束してある。それをまた法制局といろいろ研究をしてきたけれども、どうしてもこれは関連があるからこれでいいのだということは、あなた方はこの委員会における決定を無視するという形になる。それでよろしいと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/28
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029・中野正一
○中野政府委員 いま先生御指摘の点は、私ちょっとうかつというか、そこまで調査をせずに結論を出したように思いますので、またよく調査をいたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/29
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030・中村重光
○中村(重)委員 これは問題があります。当委員会において再びこういうことはいたしません、こういうことでこの点は了承している。再度これを提案をしたということになってくると、委員会の権威においてもこれを承認するわけにはまいりません。ですから委員長、しかるべくこのことについてはお取り計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/30
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031・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたしますが、大臣が見えますから、この点については大臣に再度質問をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/31
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032・中村重光
○中村(重)委員 大臣に質問をするということで委員会の権威が守られますか。委員会において、再度こういうことをやってはならないということがきまっているのですよ。みずから委員会を冒涜することになる、委員長のただいまの御意見は。これは適当でないと思います。ですから、休憩するとか何か適当な措置をおとりになって、善後措置を講ずる必要があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/32
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033・二階堂進
○二階堂委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/33
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034・二階堂進
○二階堂委員長 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/34
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035・中村重光
○中村(重)委員 それから保証協会の融資の配分ですが、これがどうも適正でない、大きい保証協会にはたくさん配分する、こういうことがあるようです。この前たしか理事に来ていただきまして、ほかの委員が質問をしたことがありますが、その際は、小さいところにたくさん配分するようにいたしております、こういうことだったわけですね。そういう努力はしておると思いますけれども、保証協会連合会なんというのがあるでしょう。そういう連合会の会費であるとかなんとか、出費が非常に多いわけです。そういう関係があって、なかなか配分というものが適正にいかない。そういう問題点がありますから、この点はひとつ十分あなたも調査をされて——たとえば大阪であるとかなんとか、そういう大きいところの保証協会というのは能力があるわけです。また中小企業者も非常に能力のある中小企業者が多いわけです。ですから、企業間の格差を解消するとか、あるいは地域間の格差を解消するというような観点に立って、この配分は適正に行なわれなければならぬと思います。それから産炭地関係とか、いろいろな不況地域に対しては、不況対策としての特別の貸し付けがある場合に保証しなければならぬ、それだけまた原資が多く要ることになります。そういう点を加味して融資配分をするということでなければなりません。ですから、保険公庫とも十分連絡をおとりになって、私は公正でないとは申しませんが、適正でないという形になっておる、これは問題でありますから、その点をひとつ十分調査をして、実情に即するようにやってもらいたい、こう思います。その点に対するお考え方をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/35
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036・中野正一
○中野政府委員 保険公庫の融資基金の各保証協会に対する配分が、適正に行なわれなければならぬという御趣旨の御質問でございますが、方針としては先生のおっしゃったとおりにやっておるつもりでございます。弱小の保証協会を育成をするという方針でやっております。それから産炭地等で特別の対策をやる場合に、保証協会の保証能力をふやさなければいかぬという問題がございますので、それについても、先生も御承知と思いますが、すでに手を打っております。そういう特別の配分をやっております。なお調査をいたしまして、不十分なところがあればこれは是正をさせたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/36
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037・中村重光
○中村(重)委員 時間の関係もありますから、今度は商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案に関してお尋ねをいたします。
この商工中金に対しては、政府出資、それから財投、相当増額をされたわけですね。ところが、総貸し出し額に占める商工中金、国民金融公庫、中小企業金融公庫の比率は、大体何%になる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/37
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038・中野正一
○中野政府委員 数字で申し上げますが、商工中金が、これは三十八年の十二月末の数字でございますが、貸し出し残高が三千三百五十億、それから中小公庫が二千四百六億、国民金融公庫が千八百四十一億という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/38
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039・中村重光
○中村(重)委員 総貸し出し額の中で三機関の占める比率は何パーセントになるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/39
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040・中野正一
○中野政府委員 パーセンテージで申し上げますと、全体の中小企業向け貸し出し残高に占める割合が、商工中金が三・八%、中小公庫が二・八%、国民金融公庫が二・一%、合計いたしまして、政府関係金融三機関の全中小企業向け貸し出し残高に占める割合は八・七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/40
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041・中村重光
○中村(重)委員 いまあなたが正直に言われたのだと思います。いままでは九%であったわけですね。それが八・七%ということになってくると、むしろこれは低くなる。まああなたが相当がんばられたことはわかりますけれども、中小企業金融緩和のために政府関係の金融の貸し出し比率を高めていく、こういうことでなければならない。この後はどういうかまえであなたはいきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/41
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042・中野正一
○中野政府委員 確かに御指摘のように政府関係三機関の全中小企業向け貸し出し残高に占める割合が九%程度であったということは、二、三年前はそうなっておったと思います。その後逐次下がりぎみでございます。これは私は非常に遺憾に思っておりまして、九%がいいか一割がいいかということになると非常に議論がございますが、この比重を高めるように努力をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 銀行局長、いまあなたがお聞きのとおり、この政府関係三機関の金融機関の総貸し出しに対する割合、これは八・七%である。従来は九%程度であったわけです。それで三機関に対しては出資もふやした、それから財投も非常に多くしたのだ、こう言うけれども、いま指摘をいたしましたように割合は低くなってきておる。これではいけないと思います。ひとつ銀行局長もっとうんとがんばられて、そして三機関に対して出資、財投を大幅にふやしてもらわなければならぬと思いますが、あなたのひとつ心がまえを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/43
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044・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 三機関に対する財投としては、財投全体の伸び率の中では比較的高い伸び率を示しておると思います。ですから財投としては相当によく見ておる。全体の貸し出しの中における比率が、若干下げられたという統計上の問題はございますが、これは民間の中小金融機関の占める伸びが、一般の伸びに比較いたしますと非常に高い。つまり相互銀行とか信用金庫などの資金量の比率が非常に大きい。ですからいま九%から八・七%の変化はどのくらいの間の差であるかちょっとわかりませんですが、その意味ではここ三、四年の間をとってみますと、そういうものの比重が増大することによりまして相対的に中小三機関の比率が若干は低下するということはあるかもしれませんが、しかしそのことが財投として力を入れていないのじゃない、今度の三十九年度の計画を見ていただきましても、中小三機関に対する出資及び貸し出しの総ワクとしてはかなりよく見てあるという事情は、先生もよく御存じじゃないかというふうに考えております。これからもそういう点については、比率という点だけでなしに、三機関が全体の中小金融に占める重要度を考えまして、どの程度のウエートにしていくかということについては十分配慮してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/44
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045・中村重光
○中村(重)委員 昨年と比較して伸び率が高くなっているということは、それは認めます。だけれども、中小企業基本法が制定をされ、さらにまた、開放経済体制下において中小企業の置かれておる立場というものは、きわめて重要である。そうしたいろいろな観点から考えてみましても、中小企業に対する政府関係三機関の貸し出し割合というものは、これを大幅増額をするということでなければならぬと思う。ただ昨年よりも伸び率が高くなっているのだ、こういうことで満足をされるということであっては、私は納得できない。ですから来年度におきましては申し上げるまでもなく、途中においても、これは補正予算等の機会において大幅にこれを増額をするというような決意のほどをお示し願わなければ、どうしても了承できないわけであります。ひとついま一度あなたの熱意のほどを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/45
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046・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 先ほど数字を申し上げませんでしたが、たとえてみますと、三十七年の十一月から次の一年間におきまして、中小専門機関であるところの相互銀行、信用金庫、信用組合、全信連、これらの合計の貸し出し残の伸びは何と三〇%をこえておるわけであります。一年間に三割以上伸びておる。ですからこういうものの比重が高くなりまして、こちらのほうが相対的に若干減ったということになっておりますが、最近の趨勢を見てみますと、九月に比べては十一月のほうがシェアが高くなっております。十二月のほうが若干高い。ですから九、十、十一と並べて考えるとこの辺では若干取り戻しておるというような観がございますが、今後の問題といたしまして、最近の金融事情から考え、引き締め政策に伴いまして、中小金融にもし疎通を欠き——もちろんこれは中小金融はいかなる引き締め下においても絶対だいじょうぶだ、資金的に困らない、引き締めの影響は全く受けないということを保障するものではございません。全体として引き締め体制下にあると思わなければなりませんが、しかしそれがたとえば急激な、引き締めの浸透が早くて、そのために混乱が起こるというふうな場合には、われわれはここで財政資金云々ということを確約いたすわけではありませんが、しかるべき措置をとってそれに対処してまいりたい。その中には、場合によりまして必要とあらばむろん財政資金の活用も考えてまいりたい、そういう決意を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/46
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047・中村重光
○中村(重)委員 きょうは時間の関係上、私は一般質問的なことはやらないつもりですので、多く触れません。ただ、しかしいまあなたがお答えになったことで認識を改めていただきたいと考えるのは、相互銀行あるいは信用金庫の貸し出し比率が非常に伸びてきた、中小企業に対する金融の伸び率は非常に高いのだとこうおっしゃる。しかし私はそれだけで満足をするということになると問題であると思う。日本の経済の病根をなおしていかなければならない。そのことは経済の二重構造を直していく、大企業と中小企業との格差を解消していかなければならない。その他いろいろな格差があるわけでございますけれども、そういう諸格差を直していかなければならない。この考え方の上に立つならば、相互銀行、信用金庫の伸び率というものはいかに高くとも、格差解消というものには役立たない、このように私は考えております。都市銀行と相互銀行、信用金庫等の利子を考えてみていただけば私はわかると思う。三%、四%という——相互銀行と都市銀行との貸し出しの利率というものは違うわけです。相銀、信金は高いわけです。そうすると格差がある。大企業というものは非常に低い金利でもって資金を使うことができる。中小企業は非常に高い金利でもって資金を使っていかなければならない。こういうことになってまいりますと、中小企業の生産コストというものは高くなる。そうなってくると、いつまでたっても格差解消というものに役立たないじゃないか。こういうことを考えてみると、伸び率だけで満足することは間違いであると私は考えております。いわゆる低金利政策ということから考えますならば、政府関係の三金融機関だって年九%ということになり、都市銀行の貸し出し利率よりも高いということになっておる。これではいけないと私は思う。またあらためて意見も申し上げ、質問もいたしますけれども、そういう点に十分配慮されて、中小企業に対する金融の問題を解決する。このことはいわゆる金利問題も含めてやるのだ、こういうことで直ちにこの後は対処していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
次にお尋ねをいたしますが、商工中金の歩積みが問題になるわけでありますけれども、これに対しましては大蔵大臣が、今度の出資、財投を大幅にふやしたということに対して条件をつけておるのだということで、具体的に答弁を得ております。中小企業庁としては、この点に対してどのように把握しておられるのか。条件というのは具体的にどういうことなのか、ひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/47
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048・中野正一
○中野政府委員 商工中金の歩積み、両建てにつきましては、そういうことのないように強く行政指導をいたしております。それからいま御指摘のように、今度新しく三十億の出資をして、これによって金利を長期、中期のものについて三厘程度下げるということで、三十億の出資をいたすわけであります。その際にも、歩積み、両建てについてはさらに厳重に自粛するようにわれわれのほうから伝えてありますし、今後も監督は厳重にしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/48
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049・中村重光
○中村(重)委員 大蔵大臣は、商工中金の歩積みはけしからぬ、今度出資三十億、財投六十億で、九十億の資金の増額をやったということは、歩積みをやらせないのを条件にそれだけの大幅の資金を出したのだ、こういうことを答弁をしておられますが、そのとおりに理解してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/49
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050・中野正一
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、出資に際しましてそういうことを厳重に申し渡すつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/50
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051・中村重光
○中村(重)委員 あいまいに答弁をしないで、明確に答弁してください。私が申し上げたとおりに理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/51
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052・中野正一
○中野政府委員 三十億の出資をするわけでございますから、その際に歩積み、両建てについて十分自粛をするように、中小企業者から非難を受けないように、適正な運用をやるようにさらに厳重に申し渡しをするということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 大蔵大臣は明確に答えております。歩積みはけしからぬ、歩積みをやらせない、そのために三十億という出資をし、また財投もやったんだ。予算委員会におきまして私の質問にはっきり答えております。ですからむしろあなたの答弁が若干あいまいな感じすらあります。しかし三十億の出資をするにあたってそのことを強く申し渡しておるということでございますから、同じ意味合いであると理解をして、この点に対する質問は了承いたします。
次に、商工債の消化状況をひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/53
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054・中野正一
○中野政府委員 商工債の消化状況というか、発行状況、これは最近の数字で申し上げますと、三十九年一月末の数字を申し上げますと、利付債が千五百四十六億円、割引債が六百六十七億円、合計いたしまして二千二百十四億円が一月末の残高でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/54
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055・中村重光
○中村(重)委員 この消化の状況というものをお尋ねしたのは、中小企業者にずいぶん不平不満があるんですよ。金を借りたいばかりに引き受けたくない商工債を引き受けなければならぬ。それはもう歩積み、両建てと同じだ。こういう預金の問題とあわせて、この商工債の引き受けの問題に対してこぼしておる。相当無理をしておるのじゃないかというように判断されるわけでありますから、そのことをひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/55
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056・中野正一
○中野政府委員 その点は、われわれとしましてもかねてから非常に心配をしておる点でございまして、そういう金を借りる際に、それを条件に債券を強制的に買わされるというようなことのないように、きつく申し渡しておりますし、昨日もたしか商工中金の北野理事長が、そういうことのないように十分気をつけております、しかし支店の末端でそういうようなことがあるというようなことを耳にするので、そういう点は十分調査をして、そういうことのないように気をつけますと言って答弁をしておりますが、そのように厳重に申し渡しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/56
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057・中村重光
○中村(重)委員 あなたもわかっておられると思いますが、本店は消化のワクを各支店に割りつけるわけです。だから割りつけられたワクを消化しなければ支店の成績にかかわるのですから、支店は相当無理しています。ですからそういう無理をさせないようにしなくちゃいけない。これは事務的な問題でありませんから、大臣はいまおいでになってすぐなのでおわかりでなかったかと思いますが、この商工中金の商工債の消化、これは本店が支店に割り当てをやる。その割り当てを消化するために中小企業者に持っていって引き受けさせるということになるのですね。ですから金は借りたい、条件としては預金をしなければならない、商工債も引き受けなければならぬというので、相当無理をしているわけですね。また金利も非常に高くついておる、こういうことではだめなんですよ。ですからこの点は厳重に警告をし、改善をすべきであるということが私の主張であります。大臣もこれには異論がないと思いますけれども、考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/57
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058・福田一
○福田(一)国務大臣 そういう事実があることは、私まだ具体的に聞いておりませんが、それがあるとすれば、これは非常に遺憾なことでありますので、抑制するように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/58
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059・中村重光
○中村(重)委員 時間の関係がありますから、進めます。
この商工中金が組合金融と構成員金融をやっておるわけですが、この比率がおわかりでしたら、お知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/59
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060・中野正一
○中野政府委員 ちょっと調べて、すぐ御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/60
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061・中村重光
○中村(重)委員 この商工中金は組合金融をやるし、構成員金融も組合を経由してやるわけですけれども、構成員金融というのは比較的信用力が高いものが利用するわけですね。ところがこれの比率があまり高くなると、零細な業者が組合金融という形で配分を受けて金利が高くなっておりますが、融資をいわゆる転貸といいますか、こういう形で借り受けるわけです。構成員金融の貸し出し率が高くなると、組合金融の比率が非常に逼迫される形になる。その点は商工中金専門家がやっておることでありますけれども、十分中小企業庁としても配慮をして、適切な指導をおやりにならなければいけないと私は思いますので、その点も含めて御研究をし、対処していただきたいと思います。時間の関係がありますから、いまの点は必ずしもお答えいただかなくても、適当な機会に資料を御提出願えればけっこうだと思います。
次に、商工中金の保証保険をつけて融資をしておるものとそうでないものとの関係なんですが、先ほど私が触れたのでありますけれども、貸し出しを、選別融資というものを金融機関ではやっておるわけです。保険もいわゆる選別保険、選別保証ということになるわけですが、それをやっている。それでは信用力の弱いものはいつまでたっても安い金利で金を使うことができない。そういう意味で格差はいつまでたっても解消できないという形になってまいります。この点に対して、その割合等がおわかりであればお答え願えれば幸いですけれども、わからなければこれもまた後日でけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/61
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062・中野正一
○中野政府委員 商工中金の組合貸しと構成員貸しの比率でございますが、これは昨年末現在で組合貸しが七四・一%・構成員貸しが二五・九%でございます。先生の御指摘のような方針で指導しておるつもりでございますが、なおその点は注意をしてまいりたいと思います。
それからあとの御質問の点はさっそく数字を調べまして、資料として提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/62
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063・中村重光
○中村(重)委員 中小企業指導法の一部を改正する法律案に対しまして簡単にお尋ねをいたしますが、今度、経営指導員の研修を新たに行なうことになったわけであります。実は、いままで特別の研修をやらないでおったということ自体がふしぎであるとすら私は考えるわけであります。一般の中に入れて研修をやっておったわけです。しかもこれは一般と同じでありますから、きわめて短期間の研修であったわけです。今度は特別の研修をやるということでありますが、経営指導員に対しましては相当な出費も国の予算面から出ておるわけであります。ですからどういう指導員をまず任命をしておるのか、どういった経歴の人たちであるのか、この指導の中身をおわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/63
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064・中野正一
○中野政府委員 いま先生の御指摘の点は、今度の改正案にもありますように、「都道府県が研修を行なうことが著しく困難な中小企業の高度の技術に関し、中小企業者又はその従業員に対して研修を行なうこと。」ということで、いままでは技術関係の指導員、それから地方庁などにおります診断の指導員等の研修養成をやっておったわけであります。それだけでなくて、技術関係に関しては直接に中小企業者あるいはそこに働いておる方々に対して、指導センターにおいて研修ができるようにしようということが一点であります。
それからもう一点は、いま御指摘にありました「前各号に掲げるもののほか、第八条の目的を達成するため必要な業務」ということでありますが、これは商工会等の経営指導員の指導もこの条項によってできるように予算措置等を講じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/64
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065・中村重光
○中村(重)委員 その点はわかって質問しておりますから——いままでは他のいわゆる技術員とか指導員とかいうものと一緒に一年間に一回しかやっておらなかった。これが間違いであったことははっきりしております。ですからこれを改めて特別の研修をやることになったことは実情に即することだと私は賛成するわけです。ところがその中身が問題ですから、どのような研修をおやりになるか、あなたが把握しておられる点をひとつお聞かせ願いたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/65
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066・中野正一
○中野政府委員 研修の具体的な計画につきましては、いま手元に資料がございませんので、さっそく取り寄せまして資料として出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/66
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067・中村重光
○中村(重)委員 こういう新しい研修制度をおつくりになることを法律改正として御提案になっておるんですよ。どういう中身のものをやるんだという質問に対して、的確に答弁できないとは無責任だ。今度の改正点の重要な点に対してそういう不勉強ではだめです。先ほどお尋ねした経営指導員は大体どういう経歴の人から選んでおるのか、そういう点も調査していらっしゃらないじゃないかと思います。
時間の関係で続けて私は問題を指摘いたしますが、商工会によっては、この経営指導員の給料をピンはねしておるところだってある。これは活用していないということになってくる。そういう点をあなたは十分見守って、適正に経営指導員が活用されていくということでなければだめです。予算を計上したから零細企業に対しては十分意を用いているのだ、こういったような自己満足的なことであっては何にもならない。予算をつけることだけではだめだ。それの成果がどうあがっていくかということを十分あなたは把握して、その指導よろしきを得ていく、こういうことでなければだめです。そういう点をお尋ねしておるわけですが、大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/67
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068・福田一
○福田(一)国務大臣 予算を取っただけでは事実何も値打ちはありません。予算が適正に行なわれておらなければいけないと思います。いまの御発言でございますと、国の予算をピンはねしておるようなところもあるということでございますので、私はいま初めて承るのでありますが、そういうような疑いがあれば、商工会はどういうふうに予算を使っておるかということで今後厳重に調べさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/68
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069・中村重光
○中村(重)委員 これは私がきょう初めて発言しておるのではないんです。前の委員会でこの問題は取り上げられたことがあるんです。経営指導員に対する給料を一応商工会に入れるわけです。それから支出するんですから、その予算どおりの給料の支出をしていないところがある。その点を言っておるわけです。ですから、有効にそういう小規模企業等の指導育成という面から取り組んでいただかなければならないと言っておるわけです。
時間の関係もありますから、この三法案に関係のあることで、この監事の権限問題ですが、任命権者に直接意見を申し出ることができないということはきわめて不合理である。委員会におきましてもその点を修正するかまえだが、どうしてこういうような提案をされたのか、まずその点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/69
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070・中野正一
○中野政府委員 御指摘のように今度監事の権限を強化いたしまして、「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができる。」こういうことになっておりますが、この法文は中小企業庁関係の法律だけではなくて、内閣全体の方針でもございまして、われわれとしてはこれでいいのではないかというふうに一応考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/70
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071・中村重光
○中村(重)委員 内閣全体と言いますけれども、任命権者である主務大臣に監事が直接意見を具申することができないなどということはおおよそ不合理です。そういう権威のない監事をつくって総裁に直属させる。総裁を通じなければものを言うことができないというばかなことがあってはならぬと私は思う。公正な運営を期していくということであるならば、総裁を経由するのではなくて、当然主務大臣に対して意見を申し出るという形にしなければ、公正な運営はできないと私は思う。その点に対しての通産大臣の考え方をひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/71
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072・福田一
○福田(一)国務大臣 この前建設省関係の法案でもこのことが問題になりまして、閣議でももっともだということでございまして、いま中村委員のおっしゃることはごもっともだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/72
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073・中村重光
○中村(重)委員 この監事は業務監査あるいは会計監査を行なうと思いますが、具体的な職務権限というものを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/73
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074・中野正一
○中野政府委員 監事は公庫の業務を監査するということになっておりまして、もちろん決算そのほか一般の業務について常々十分監査をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/74
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075・中村重光
○中村(重)委員 どうもまことに誠意不足の答弁でありますけれども、時間の関係もありますから先へ進みます。
大臣にお尋ねをいたしますが、中小企業信用保険法、それから中小企業信用保険公庫法、この二つの法律の一部改正が一本になって出されておるということは不合理である。かつて商工委員会におきまして、このような形の提案があったので、これはいかぬというのでだいぶ問題になりまして、再びこのようなことはいたしませんとはっきり明言をされた。そういうことで、まさかこのようなことを再度繰り返すことはないだろうと思って、委員会におきましてもそれを了承をして通したことがあるわけであります。ところが再度こういうことをおやりになった。このことは委員会軽視もはなはだしいということで、先ほど長官に対してお尋ねをしたのでありますが、大臣が見えられてから考え方を聞かしていただくことがいいのじゃないかと思いまして、実は留保しておきましたので、ひとつ率直に大臣の考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/75
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076・福田一
○福田(一)国務大臣 信用保険法と信用保険公庫法は御案内のように非常に密接な関係もございますので、これは一本にして出しておるのでありますが、ただいまそういうやり方はおもしろくないというお話でございます。今後十分気をつけて処置をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/76
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077・中村重光
○中村(重)委員 十分気をつけると、こういうことですが、もっと明確にお答えになったらどうですか、そういうことはしないならしないと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/77
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078・福田一
○福田(一)国務大臣 今後はいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/78
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079・中村重光
○中村(重)委員 明確なお答えでございますので、がまんなりませんが、がまんをすることにいたしたいと思います。
この際大臣に申し上げておきますが、ともかく委員会において附帯決議等が付せられた場合に、大臣は附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、十分施策の上に生かしてまいりますという発言をしておられるわけです。ところがなかなかその附帯決議というものが尊重されないで、単に形式になっておる。こういうことでありますから、それらの点は十分その発言のとおりに実行されるように強く要望いたしまして、時間の関係もございますので、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/79
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080・二階堂進
○二階堂委員長 久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/80
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081・久保田豊
○久保田(豊)委員 私は主として今度の公定歩合の引き上げ、つまり金融引き締めの新しい段階について、中小企業に基点を置きましてお尋ねいたしたいと思います。
まず大臣に一つ、お伺いいたしますが、きのう、きょうあたりの新聞を見ましても、各方面でのあれにしましても、今度の公定歩合の引き上げ、しかも一挙に二厘引き上げる、それからさらに輸入担保率も引き上げるというかなりドラスチックな今度の金融引き締め措置をとったのであります。したがって、これの経済界ないしは特に中小企業に与える影響も大きい。しかもこれはいま言い出されたことでなくて、すでに一月時分にはおそくもやらなければならぬということが各方面の一致した意見だったというふうに考えられる。つまり時期を失しておる。時期を失したがゆえに、さらにこの公定歩合の引き上げの幅を大きくして、引き締めを強くせざるを得ないというふうな段階になったわけですが、これについては、政府にはっきり責任があると思う。なぜそうなったかと言いますと、一つは、政府の経済の見通しに対する甘さがあった。私はここでも宮澤長官に対して、ああいうふうな窓口規制とかあるいは預金の準備率の引き上げとかいう程度のものではだめだろう、それよりももっとこの際やるならやると言って、はっきりオーソドックスな公定歩合の引き上げなり何なりやるべきじゃないかということを言ったのですが、いやその必要はない、いままで総理大臣も、大蔵大臣も、あなたも、いわゆる公定歩合の引き上げとかあるいは輸入担保率の引き上げはやらないということを再三にわたって国会においても言ってきた。それを今回裏切って、要するに二枚舌を使って、今度のような措置になった。これは一つは池田さんの経済はおれにまかせておけという、経済の専門家をもって任ずる池田さんも結局は経済がわからなかったということに帰すると思う。もう一つは、池田さんと田中さんが少なくとも低金利政策という——これは理由はございますが、あまりに低金利政策ということにとらわれ過ぎた。もう一つは七月の総裁公選に——どうせ公定歩合の引き上げ等をやれば相当ひどい不景気が来る、特に今度の場合は時期が違いますから、いままでとは違う時期に来た、そういう点から今度のような時期を失して、しかも非常に大幅ないわゆる引き締め政策をやらざるを得なくなったと思うが、これに対してあなたも政府の経済閣僚のお一人ですから、しかもある意味においしは一番被害者のほうの代表者です。締めるほうは大蔵省でしょうが、そのしわ寄せを一番食うのはあなただ。その立場から見て、はっきりした政府の責任の所在と、これに対する基本的な反省がなくちゃならぬと思うが、これは明らかに池田さんを中心とするいままでの経済政策の誤りだと思う。またこれを黙っておった与党も誤りだと思う。これに対してあなたはどうお考えになりますか。まず第一に、この基本点からお聞きをしたいと思います。ただし、これは政治的にどうというわけではありません。今後の運用についても非常にこの点が重要なポイントになりますから、特にこの点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/81
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082・福田一
○福田(一)国務大臣 基本的なものの考え方と経済の見通しについての御質問だと思うのでありますが、私は、経済の見通しというのは、だれがやってもこれはなかなかそう大きく見通して間違いなきを期するということは困難だと思います。そこで、要はその見通しといささか相反することがあったときにでも適宜の政策を実行していったかどうかということが、実は問題になろうかと思うのであります。そこで、この公定歩合というのは、日銀が法律上権限を持っておるのでありますが、といって、日銀が全然政府と関係なしにやっておるとは思いません。もっとも私のところまでは相談は直接はございませんけれども、しかし、こういうふうに窓口規制をやりながら、そのうちやるぞやるぞと言いながらやったほうが、ある意味では私は直接受ける衝撃というものは少ないだろうと思います。私は、このやり方の問題について議論をすれば、いろいろ考え方はあると思います。しかし、そういうような窓口規制をやってから、なおかつ今度は公定歩合の引き上げをやった、そのこと自体がいかぬ、こういうことであれば、これは私は一つの御意見として承ることにはいたしますが、われわれとしては、金利の引き上げというものは、いわゆる産業界に与える影響というものが非常に大きい、ひいてはそれが輸出等に与える影響も大きいということを考慮しながら、できるならば金利はなるべく上げないでいきたいという考え方も、これは私は筋の通った考え方だと思っておるのであります。できればそうしたほうがいい。ところが、そうしてできるだけ上げないようにして、窓口規制だけでとめようと思っても、どうしてもそれがうまくいかないというような見通しを日銀が持って、そして日銀が今度は公定歩合も引き上げる、こういうことであれば、これは日銀が独自の考え——とは言いながらも、政府と連絡が全然ないわけじゃないと思いますが、今度の措置は必ずしも間違っておらない。まして、その時期を選ぶことは非常に大事でありますが、たまたま八条国へ移行するという、いわゆる開放経済へいよいよ乗り出すという時期が四月一日である。それならばその時期にこれを実行するのがいい、こういう考え方で踏み切ったことは、私はけっこうではないか——まあけっこうといいますか、やむを得なかった措置ではないか、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/82
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083・久保田豊
○久保田(豊)委員 いまの御答弁は、これは顧みて他を言うようなものでございまして、新聞でも出ておりますとおり、日銀当局としては、すでに昨年の十二月ないしは一月のころに公定歩合の引き上げということを強く要求していたことは間違いない。それをいままで押えてきたのは、池田さんと池田内閣。ですから日銀総裁は職を賭してやるというほどの強い決意を持ってようやっと今度の措置に出た。これが時期を失しているということは、もう明らかですよ。いままで十二月か一月か二月か、この一番中心の問題になっておるのは、言うまでもなく国際収支の悪化という問題。この悪化はどのくらい出ておるかといえば、三月末で十八億ドルというものを予定しておった。それがもうすでに切れているじゃないか。まず十七億五千万ドルないしは六千三、四百万ドル。これがおそらくこの三月末のあれでしょう。五千万ドル以上切れている。しかも輸入の増勢というものは、一月がかけ込みもありまして九億六千三百万ドル、二月が五億九千四百万ドル、三月が五億四千三百万ドル、つまり六十五億ドルベースでずっときている。今後四月、五月もこれはそんなに減りませんよ。しかも外貨はどうかというと、これからよくなるというめどはない。ここでできたギャップというものは、これから先ずっと日本経済全体を圧迫する最も大きな材料になることは明らかなんです。ですからこの三カ月というものは非常に大事なんです。それをいままで時期を失したというのは、そこにあるわけです。この点はどうですか。それはさっき言いましたような三つの事情で、要するに内閣が日銀に圧迫を加えた、それなるがゆえに、しかもそれは主として政治的な理由から圧迫を加えたからこういうことになった、こう見ざるを得ない。これは私の見方だけじゃない。一般のどこも大体そう見ているのが普通だと思うが、この点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/83
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084・福田一
○福田(一)国務大臣 私は皆さんがものをどういうふうにごらんになるか、また、一般がどうお考えになるかということについて、とやこう申し上げることはできませんが、少なくとも私の見ておる限りでは、まさか、総裁公選に関連させてこういうことをやったとは私は断じて信じておりません。そんなことで一国の政治に関与するなどということは、できるものじゃありません。私はそんなことは断じて信じません。しかし、これは考え方の問題でございますから、私がそう申し上げるだけで、これはいたし方がないところではございます。
それから、そういうようなことで、政府が圧力を加えたのではないかということですが、私は圧力を加えたとは思っておりません。これは日銀総裁——ただいま参議院の予算総会でも聞いてきたのですが、日銀総裁が何と言ってこの問題について答弁しておるかというと、自分らとしては独自の立場においてこの問題の処理をやってまいりました。もちろん、独自の立場でやるということは、政府と何ら連絡なしにやるという意味ではありません。しかし、最後の決定は私たちがやるのであるが、独自の立場でやっておる。いままでにやるべきであったが、なぜやらなかったかというようなことは、私自身の問題であって、日銀の立場でやる。今度どうしてもこれはやるべきであると思うから踏み切ったわけであります。こういうような趣旨の御答弁があったわけでございます。政府といたしましても、日銀からもし相談を受けたときに、何ら意見を言わなかったかということになれば、あるいは言っておるかもしれません。しかし、きめるのは、法律によって日銀がやるということになっておりますから、日銀がそのときに踏み切ってやられる、これで私はよかったのではないか、ただ、そのやり方をやったことで、経済に与える影響、すなわち、輸入が非常にふえたではないか、それが今後の経済に悪影響を及ぼすのではないかということになりますと、意見を言った政府のほうにも責任があるかもしれないし、日銀もこれは責任があるかもしれません。私はその問題は今後の経済の動きを見、経済の発展状況を見ながら判断していただく。ただ、私はこれを簡単に三月とか半年とかいうことできめるべきではない、やはり、長い目で見て、はたしてあれが当たっておったか、当たっておらなかったか、こういう判断で御判断願うようにしませんと、経済というものはいつでも波がありまして、それはいいときもあれば悪いときも出てくるものでございますから、長い目で見て御判断を願う以外、道はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/84
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085・久保田豊
○久保田(豊)委員 それは日銀総裁が国会に来て、政府に押さえられましたからこうしましたとは言いませんよ。しかし、これは天下周知の事実です。そういう事実を、日銀が権限に基づいてやったのだからといって、ごまかしたって通りません。やはりこれは日銀なら日銀のいわゆる中立性といいますか、金融上のはっきりした権限を尊重するという立場に立って初めてできることであって、それにさっき申しましたような世間一般が見ておるような総裁の三選の問題であるとか、あるいはその他の政治的要素を加えて、そうしてやるということがこういう間違いを多くするもとですから、この点は、特に、被害者の立場を代表するような立場にある通産大臣としては、大いに閣内ではっきりものを言ったほうがいいと思う。それが言えないようで、同じ閣僚ですから、あまり総理大臣や大蔵大臣の悪口は言えまいが、そのくらいの気魄を持ってやらなければ、私はだめだと思う。
この点はそれくらいにしまして、次に伺いたいのは、大蔵大臣はこれを短期決戦のやり方だ、こういうことを新聞にも発表されております。閣内ではこの短期決戦ということをどういうふうに御理解になっておるのか。これはいま問題になっておりまする輸入が大体六十五億ドルベースでもってどんどん進んでおる。輸出のほうは大体いまのところ五十五億ドルだが、来年度六十二億ドルになるかもしれない。そういうベースで輸出入のバランスが短期にとれるという意味か、あるいは国際収支全体がどうやら明るいめどがついてくるという意味で言っておるのか、あるいはいわゆる引き締めをごく短期にやらせる、その短期というのは、大体いつごろまでをめどとしておるのか、いわゆる短期決戦なるものの意味を閣内としてはどういうふうにお考えになっておるか、これを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/85
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086・福田一
○福田(一)国務大臣 私は大蔵大臣から、その短期決戦だということばを聞いておりません。新聞には出ておるようでございますが、新聞に出ておる短期決戦ということをもし大蔵大臣が言っておられたとすれば、その意味は、一厘上げるか二厘上げるかという考えがあると思うのであります。今度一厘上げておいて、うまくいかなかったらまたもう一ぺん上げるということでは、その間に相当時期のずれが出てきます。そうすれば長期にもなりますから、二厘上げるという意味は、一挙に二厘上げるということで短期にその効果をあげる、そういう意味でやったんだ、そういう意味でやることを大蔵大臣としては認めたんだ、こういう意味で大蔵大臣は言っておられるのだ、こう私は私なりにいま理解しておるわけであります。まだそのことについて政府部内の統一見解が出たわけではございませんが、私はそのように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/86
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087・久保田豊
○久保田(豊)委員 銀行局長、いまの点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/87
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088・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 確かにいま通産大臣の言われましたように、一厘上げればどうかという意見もあったかと思います。しかしこれはそういうこまかい討論をしないで結局二厘がよかろうというふうになったと私は聞いておりますが、二厘引き上げということは従来の経緯にかんがみますと、日本の場合——外国では日本よりもっと引き上げ幅が大きい例もございますが、大体一挙に二厘引き上げるのが一番高い引き上げになる。むろん水準としてみますと、この一年半ばかりの間に四厘引き下げていますから、一銭八厘というのは必ずしも水準として高いわけではない。そういうことでこの辺が妥当であろう。そうしてできるだけ早い機会にまず貿易収支を均衡に持っていき、それから貿易外収支も合わせました経常収支を漸次好転させる。これにつきましては田中大蔵大臣は、かつて予算委員会でありましたか、経常収支を完全に均衡させるのには数年かかるんじゃないかというふうなことを言っておられました。私ども事務屋から申しますと数年は少し長過ぎるので、もっと早く経常収支を均衡さすべきじゃないかと思いますが、そういう点から申しますと、今回の引き締めの程度は、公定歩合とそのほか窓口規制あるいはクレジット・ラインの活用、売りオペの問題、こういう点を総合的に勘案いたしますと、比較的早い時期に国際収支全体を経常収支面において均衡させるのにかなり役立つのではないか。相当確実な見通しは、はっきりした意見は申し上げられませんが、漸次よくなる。一年半かかりますか二年かかりますか、私は相当に均衡に近づくのにはその程度の期間はかかると思いますが、しかしいままでのような輸入の状況から見れば、かなり早く生産の鈍化とともに輸入は減少に向かうことも期待されるんじゃないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/88
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089・久保田豊
○久保田(豊)委員 そうしますといまの大蔵省の見解では、今度の公定歩合の引き上げあるいはその他の引き締め措置は相当長期にやるということ、それからさらに公定歩合の引き上げその他の引き締め措置を今後状況によってはとるのかとらないのか、大蔵大臣は新聞等ではこれで大体一段落だというふうなことを言っておりますが、そういう見通しに立っておるのかどうかという点ですね。この二点については、これは大蔵省から聞いたほうが、通産大臣よりいいかと思いますが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/89
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090・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 この見通しというものは非常にむずかしいものでございまして、日歩二厘の引き上げで、これで終わりだというふうに断言できるとも思いませんが、しかし願わくばこの程度の金利をもって事態を終息せしめたいという願望は持っております。ただし、公定歩合に関する実際の操作の権限と申しますか、これは日本銀行にあるわけでございまして、私どもがこの場で、これで終わりだとかどうとか申し上げる筋合いのものではありません。
ただ、見通しという点で申しますと、先ほどの一−三月の輸入の承認が非常に高い水準であるということ、私ども同感でございますが、今般の担保率引き上げ等を含めましたこの措置によりまして、非常に近い機会にILの水準は下がることが期待されます。しかし、何分にも今回の場合−三十六年度の場合には約一年余りたちまして引き締めを解除いたしました。引き締め期間は実際には一年余りでございました。今度の場合三十六年度の状況と比べますと、だいぶ様子に違う点がございまして、非常に過大な設備投資の増大という現象が見られないこと、それから在庫の面におきましても非常に厚い在庫を手当てしているわけではないということ、そういう事情を考えますと、一時的にそういう民間経済の圧縮といいますか、それが生産水準を引き下げるのには役に立つでございましょうが、前回の場合ほど長期的に生産の水準が押えられるというほどにはいかないだろう。それでありますから、そういう点から考えますと、たとえば——たとえばでございますが、この秋の初めごろに国際収支が非常に好転したかに見えるような時期がありましても、私どもはそれに満足してはいけない、最終需要全体として調整されてくるような情勢が望ましいのでございます。一時的な生産の停滞に目を奪われることなく、もう少し長期的な観点に立って予測いたしますと、やはり前回よりは若干長い時間を要することが私どもとしては事務的には予想されるのでございますが、しかしこれは私どもの意見であって、いろいろな方の意見、それからいろいろな資料を見ながら日本銀行の判断とともに私どもも的確なる判断を得るようにこれからも努力してまいりたいと思います。しかし、前回の引き締め期間よりは多少長い期間を予測しておいたほうが安全ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/90
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091・久保田豊
○久保田(豊)委員 いまのお話で、とにかく今度の措置に出たこの引き締め態度のいうのは——前の三十六年は一年だ、あれは設備投資が中心で、それの在庫増、その前はもっと短かった、それは主として輸入がふえた、在庫投資、原料在庫がふえた、ですから、わりあい短くて済んだ、こういうわけですが、今度はまるで状況が違う。したがって相当長くなる。一年以上は少なくともかかる、こういう見通しですね。
そこで、その次にお伺いいたします。これは大臣にお伺いいたしますが、今度の措置で生産もある程度落ちるでしょうし、したがって、何といってもまず当面としては輸出入の貿易のしりがバランスをとるのが当面の一番のねらいだろうと思います。そこで、そのためにはどうしても生産を落とさなければいかぬ。そして輸入も落とさなければならぬ。こういうことで今度の措置をとられたと思いますが、見通しとしてはいつごろこれが合うようにお考えになっておられるでしょうか。と申しますのは、今度は私はこういう金融上の措置だけでなかなか簡単には——生産のレベル・ダウンといいますか、これも相当困難ではないかというふうに実は思うのです。それはいまもお話のありますとおり、借金で非常に膨大な生産設備をつくってしまった。したがって、損益の分岐点が非常に上がっている。したがって、これを少しでも操短をしてくれば、操業度を落とせば、これはずっと企業全体が悪くなる、こういう状態。とりあえず当面の問題としては、輸入在庫の在庫比率も七七幾らというので非常に低い。したがって、決して余裕のものをよけいに入れておるというものではないように思う。特に一部消費物資が入り過ぎているというのがありますけれども、これは全体として見れば知れたものだ。こういう点から見て、また片方において企業のほうとしても、いわゆる開放体制に向かうために、一面においてはシェアをどうしても確立しなければならぬ。あるいは一面においてはどうしてもいわゆる企業の合理化、あらゆる意味のものを含めて合理化投資というものも相当しなければならぬ。こういう状態の中で生産のダウンをこういう引き締めによってどれだけ期待をするのか。いま大体二月末の数字が前年同期に比べると二一・四くらい上がっているようです。政府の経済見通しによれば、これは鉱工業生産九%ないしはこの調子でいけば七%くらいにならして落とさなければいかぬと思う。それでなければ、私は少なくとも輸出がべらぼうにふえてくれば別として、輸出入の均衡だけでは私はなかなかバランスがとれまいと思う。そうすると、いまの水準から少なくとも一五ポイントくらいは落とさなければならぬ。これがそう簡単にできるかどうか、特に現在大企業の手元の流動性というものは、いままでの借りだめその他からいって相当潤沢というか、余裕ができておる。こういう状態の中で、私は、そう簡単に急速に——あなたのほうでは、大体六月ごろになれば輸入はうんと減ってくる、だから六月か七月ごろには大体の輸出入のバランスはとれるだろうというふうな見通しを新聞に出されておるようです。しかし、そう簡単にいくかどうかということは、私は非常に疑問に思う。この点はどういうふうに見通されておりますか、これを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/91
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092・福田一
○福田(一)国務大臣 六、七月ごろになれば経常収支、貿易の関係においては、大体うまく収支が合うようになるだろうという見通しは、大蔵大臣が出されておるのかどうか、私まだ直接には見ておりませんが、私の考え方といたしましては、これをどういうふうにやったらいいかということは、いま久保田委員のおっしゃったのは、輸入がどんどんふえるだろう、そしてまた設備過剰であるからその設備過剰のものを動かすためには、どうしてもやはり原材料を入れていかなければならぬ、こういうことになるだろう、だから、とてもそれは実現できないじゃないか、こういうようなむしろ悲観的な考え方で御質問があったと私は了解しておるのです。私は、この前の引き締めのときもそうですが、こういう引き締めをやりますと、国内的には一般に警戒ぎみになります。そうするとあまり物を買わない。そうなると逆に輸出に力を入れるようになる。大体日本の財界というものは、少しそういう意味で日本人自身が考えなければいけないのですが、物が高く売れることになると国内へみんな向けて放出してしまう。輸出はキャンセルしてもそれは国内向けに売ってしまう。高いほうへ売る。こういう傾向がございます。ところが今度のようになると、一般がこれはたいへんだ——やはり押えられるということになると、一般も買わない。そうなると、また輸出のほうへドライブをかけてくるということになって、輸出のほうはかなり伸ばせると思います。それからいま久保田委員が在庫が非常に少ないではないかということ、確かにいまは低い水準でありますが、私は低水準だからといって、二年前に七七%であったのと今日の七七%ではいささか事情が違うと思う。それは交通機関の関係、それから合理的に物が生産されるという段階で、何も在庫というものをよけい持っていなければならないというわけじゃない。在庫がたとえ五〇%でも、常に順々にうまく原料が入ってくるようになっていればそれでいいわけでありますから、私はこの在庫をあまりふやさないで、なおかつ生産のほうを上げていくことができるようになると思うのであります。それからもう一ついま考えてみますと、製品在庫が相当ふえておることは……。(久保田(豊)委員「あまりないでしょう」と呼ぶ)いや、ふえました。数字がこれを示しております。この製品在庫がふえておるのに、なおかついまここでそうどんどんつくってみても売れないということになれば、なるほど設備をしたのを動かさなければ企業利潤が低下するということもわかりますが、製品にして在庫をどんどんためていってそれでいいかどうか、これは経営者としては考えるでありましょう。やはりある程度生産増加ということをチェックするというか、押えるようになると思うのであります。また銀行信用ということも問題でございますが、銀行としてもその会社がどれくらいの製品在庫を持ち、どれくらいの原料を持ち、将来の見通しをどれくらいでやっておるかということを無視して、私は銀行マンがそうそうむやみに金を貸すとは思わない。したがって今後は、あなたのほうでは、製品在庫がふえておるから、もう少し生産をスローダウンしたらどうかというようなことを言うことも、当然行なわれてくると思うのであります。そんなに生産が上がってくる、あるいはいまのような横ばいでいくとは思いません、ものによっては上がるものもあるでありましょうが、私はそういう意味でやはり生産はスローダウンする、一方において輸出ドライブがかかる、こういうことであれば、あまりそれほどいまの日本の経済として悲観をする必要はないのじゃないか。むしろ問題はそういうような経常収支よりは、経常外の収支であるところのいわゆる運賃といいますか、あるいは観光支出といいますか、そういう面においてこれがどれだけスローダウンできるかということのほうが問題ではなかろうかと私は考えるのでありまして、経常収支における輸出入のバランスというものは、今度の措置あるいはいままでとってまいりました一連の措置によってかなり接近した。これはもう全然差がないとは申し上げられません。経済のことでございますから申し上げられませんが、大体改善されるものと私たちは信じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/92
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093・久保田豊
○久保田(豊)委員 問題はその時期をどのくらい見ておるかということが一つです。いつごろまでに大体輸出入のバランスがとれると見ておられるのか。それともう一つは、いまの当面の引き締めの問題はそうでしょうが、いまお話がありました貿易外の経常収支、これは六月はうんと悪くなります。これはどうしたって、いまの輸出入のユーザンスの決算の関係からだけ考えてみても相当悪くなる。そうなると、その時期にはよほどこれは早期に改善されなければ、日本の外貨の実質手持ちというものはまず十五億ドル台に六月なり七月に突っ込む形勢が相当あると思います。ですからこの生産のスローダウンなり、あるいはそれが同じようにバランスがとれていくとは思いませんけれども、生産のスローダウンなりあるいは原材料の輸入が時期的にどの程度いくかということがやはり一番大事だと思う。それをあなたのほうでは、けさ見た新聞によると、大体六月ごろにはほぼ見通しがつく、輸出入のバランスがとれるということが新聞に書いてあります、発表しております。(「観測記事ですよ、新聞記者がかってに出している」と呼ぶ者あり)それはそれでもいいが、どう見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/93
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094・福田一
○福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。まあしかし新聞でそういうことが出ておるのは、中には大体それくらいになれば何とかなるだろうという楽観的な考えを持っている人もあるから、そういう記事も出ておるのだろうと思いますが、そう申したわれわれの意見ではございません。しかし、もしどうしても時期を予測せよ、こうおっしゃられれば、私は七月ごろから九月ごろまでの間ぐらいは何とかなるだろう、こういう感じで見ておるわけであります。
それからまたあなたが仰せになりました、いわゆる外貨事情が非常に六月には悪くなるだろうということは、一つの見方としてわれわれももちろん肯定せざるを得ません。だからこそ大蔵大臣は、IMFに対して三億五百万ドルのスタンドバイをとりながら、そういうときに処してはすぐ外貨を取り入れられるというくふうをして、そうしてこの事態を切り抜けよう、こういうような措置をとっておるわけでございまして、政府全体としての考え方としましては、決して楽観しておるわけではないわけであります。しかしながら、それではこのままずるずると日本経済が参ってしまう、そういうような非観的なものの考え方は私たちはいたしておらない、これで一応立て直しつつまた前進を続けよう、こういう考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/94
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095・久保田豊
○久保田(豊)委員 その点は、私も全然悲観しているわけじゃない。それで、そうなると結局、一番当面の問題は輸入の抑圧ということでしょう。減らすということでしょう。しかし、その前提になるのは、どうしても生産のスローダウンということです。これは通産省としては、今後大体、さっき言いましたように、いまの水準からいえば、理想的な水準まで行くには、どうしたって一五ポイントくらいこれはスローダウンしなければならない。三十二年ですか、あのときは一〇ポイント、一〇%くらいでしょう。ですからあれ以上に大きなスローダウンをしなければならぬということになろうと思う。これをどういうふうに、あなた、指導されるつもりですか。金融面その他ありますけれども、通産省としてはどういうふうに指導するつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/95
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096・福田一
○福田(一)国務大臣 生産をスローダウンするとおっしゃいますけれども、これはものによりけりだと思います。やはりものによってはスローダウンしてもらわなければいかぬものもできますが、輸出関係においてはスローダウンできない。それから設備の問題——実はきょうも閣議で主張いたしたのでありますが、今度のような公定歩合の引き上げが行なわれたからといって、いわゆる輸出関係の企業であって、設備をどうしてもしなければならないというようなところに金融が十分に回らないということであってはたいへんだ、だから大蔵大臣においてもその点を考えて、金融問題は十分そういう面も考えてもらいたいということを主張しておいたのであります。私は輸出の関係からいいまして、どうしても必要なものは何もスローダウンする必要はない、また原材料はどんどん入れていいと思っております。入れて、出すことこそ日本の経済を保っていく道であると思っております。ただしかし、消費物資その他あるいは一部の国内だけの消費に向けられておるようなもの等については、できるだけスローダウンしてもらいたいという感触はないわけではございません。またそのような方針で金融等が行なわれていくものだと私は思っております。事実またこれだけの措置をすれば、国民もこれはたいへんだ、やはり少し金を持っていなければならぬ、あまり物を買うよりは金を持っていたほうがいいかもしれないというような空気にもなってくるでしょう。こういう感触が一番大きく経済には影響するのでありまして、私は、二厘引き上げの効果よりはそういう感触を国民に持ってもらうことが一番大事だと思っておるのでありまして、そういう意味合いにおいて、われわれはあまり悲観はいたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/96
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097・久保田豊
○久保田(豊)委員 悲観とか楽観とか、そんな抽象論を言っておるのではございませんから、具体的にお答えをいただきたい。
銀行局長にお伺いをいたしますが、今度の措置も従来のままを引き継いでいく、つまり金融の量的引き締めをそのまま引き継いで、さらに公定歩合の二厘引き上げをその上に乗せたかっこうになる。そうすると、いままでの措置は、預金準備率の引き上げで約八百億ぐらい引き揚げたわけだ。それからクレジットラインの設定で約一千億か一千二百億くらいではないか。この点ははっきりしませんが、さらに四月末の売りオペで、買いオペが中小企業向けに二百億ありますから、二千億円の売りオペをすることになりますと、大体においてこれが千八百億、それから輸入担保率の引き上げ分が大体三百億、これらを合わせて現在の——現在というと語弊がありますが、今度の引き締めを始めた時期から比べてどのくらい金融引き締めのワクが数字的に小さくなるか。それからもう一つ、公定歩合の引き上げは二厘ですが、これによって金融のワクは小さくなるわけです。これにどのくらいのものを期待しておるか、こういった点を数字的に少しはっきり御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/97
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098・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 いま御質問でいろいろ数字を申されましたが、たとえていいますと、準備預金によって数百億円銀行の資金を吸い上げたという点は、それは金額的に見ますと大体終わっておるわけです。ただ、今後の資金量の増加に伴いまして、毎月増加に見合うだけの準備預金の増加がございます。これは金額としては非常に大きなものとは申せません。しかし、これは、もちろん今後においても強化することはあっても、ゆるめることはないわけであります。あとは今後の資金の量的な規制の面におきましては、窓口規制と称しまして、全体のものにおいては三カ月を単位としておりますが、銀行の貸し出しが前年同期に比べてどの程度伸びることが許されるかをやっておるわけであります。一−三月におきましては大体前年の実績よりも一割ダウンの水準で押える。四−六月についてはまだ日銀で決定しておりませんが、ゆるい線は出てこないのではないかと期待しております。そういうわけで前年の貸し出しよりも下回った貸し出しをしなければならない、こういう形になっておるわけであります。都市銀行の中の大どころの十行を選んで、その十行に対しては、数字は申せませんが、日銀が個々別にクレジットラインを設定しておる。クレジットラインと申しますのは信用予約みたいなもので、ここまでは普通にいま貸し出ししますが、それ以上は罰則的な金利にしておる。いまの情勢で申しますと、それらの都市銀行は、一時的にせよそれにひっかかるということで非常に不名誉に考えております。都市銀行も非常に過当競争がひどいのでありますが、こういう場合において、一つの競争意識が働いて、これに一番先にさわるのはよくないやつだということで警戒しておる。クレジットラインは一昨年の秋に始めたのでございますが、当初は非常に寛大なやり方でございました。一番月中で高い貸し出し水準になりました際も、クレジットラインまでは、全体としては二千億くらいあきがあるということでやってまいりましたが、この金融調整方式はうまくいかなかった。いまやっておるのは、四月において二千億円の売りオペを行ない、一方中小企業には買いオペをやりますけれども、都市銀行等を中心に大幅な売りオペを行なうので、貸し出しは減らないわけであります。逆に三月末に比べますといやでも貸し出しがふえざるを得ない、貸し出しがふえることによりましてクレジットラインにピーク時における残高が非常に接近をする。これを一行当たりにしますと、数十億円しか余裕がないクレジットラインに頭がさわるということになってまいりますから、銀行としてはそれを非常に警戒しておりまして、常日ごろ貸し出しを押えていかなければならない、これが量的規制であります。そういう方法によりまして、前年における貸し出しの増勢もさることながら、最近数カ月及び一年間における貸し出しの増勢が行き過ぎでありましたので、今日のような要請が起こったのでありますから、その貸し出しの増勢に対する傾向線は落としていきます。それが生産の増勢を落とすのと密接に関連がある。大事なことは、要するに傾向線が非常に大切である、一年間を通じてどうなった、どの程度の上昇傾向を示すかということは、われわれも非常に関心を持つところでございます。そういう点を勘案しながら四半期別の貸し出しを押えていきたいと考えております。数字でもってはっきり何千億がいいかは申すことはできません。貸し出し額の傾向を非常に重視しておるというのが量的規制の姿であります。
それから公定歩合の点につきましては、設備投資、在庫投資の三十六年度と若干違う点を先ほど申し上げましたが、要するに最近の大企業は特にそうでありますが、相当高い生産水準、生産上昇を続けなければ収益が保てないような状態にある。つまり収益面に相当不安を感じておりまして、中には相当な大会社であっても今度減配をしなければならぬのではないかという不安を感じておるところが多い。それだけにこういう大企業、大商社というものに対しては、金利は二厘でありますけれども、かなり影響がある。つまり将来の採算に不安を持つということ、それが彼らの経営態度を非常に慎重ならしめる効果がある。そういう点が非常に大事ではなかろうか。金利負担といたしますれば、表面的にいえば、一割強の増加にしかなりませんが、これらの適用を直接に受ける大企業、大商社の経営態度が相当に変わってくることを期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/98
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099・久保田豊
○久保田(豊)委員 次の問題に移りますが、山の一つになりますのは、設備投資をどういうふうに規制するかということが一つの問題である。ことしの政府見通しでは四兆一千億を全体としては見ておるわけだ。この中にはおそらく八千億程度の中小企業の設備投資が昨年の実績から見て予定されておるのではないかと思う。それにいたしましても大体三兆二千億程度の大企業の設備投資があるわけだ。これをどういうふうに押えていくかということが一つの金融引き締めのポイントになろうと思う。これについては、通産大臣としては、中小企業のほうはまたあとで伺いますが、どういうふうに指導していかれるつもりか、これをどれだけ圧縮していくつもりか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/99
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100・福田一
○福田(一)国務大臣 大企業の設備投資の問題でありますが、これはわれわれが統制をやっておるわけでありませんから、直接の措置はできないわけであります。ただしかし、技術導入をいたしますとか、あるいは外資を導入する場合とか、その他設備の許可を持っている、たとえば石油業法等のような許可事業等々におきましては、いわゆる過剰設備にならないような措置でそれを押えてまいりたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/100
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101・久保田豊
○久保田(豊)委員 この点は過剰設備にならぬように押えていきますというだけでは話になりません。しかし時間がありませんから、それ以上突っ込んで聞くことはやめます。
その次に、私は、当面の中小企業に対する特に金融面からのいろいろな政策をお聞きいたしたいと思います。
当面の公定歩合の引き上げは市中銀行だけですね。そうすると、地方銀行の金利はどうなりますか。それとさらに相互銀行ないしは信用金庫、こういうところのいわゆる量的引き締めなり、あるいは金利の関係は、大蔵省としてはどういうふうに指導されていくつもりか、またどの程度の影響がこのほうにあらわれてくるのか、この点をひとつ御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/101
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102・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 公定歩合の引き上げ並びにそれに引き続きますところの市中金利の引き上げは、都市銀行と地方銀行では区別がございません。銀行は全部一律でございます。それから相互銀行、信用金庫等の中小金融機関はもとから臨時金利調整法の適用も受けておりませんし、今回の引き上げとは直接関係がございません。それで従来のそういう金利引き上げの時期あるいは引き下げの時期等において、これらの相互、信金等の金利水準がどう動いたかをつぶさに点検いたしましたが、あまり関係のない動きをしている点が特徴でございます。三十二年当時、あれは非常にドラスチックな引き締め政策、財政投融資も大幅に切ったような時期でございますが、あの当時におきましても、月別の金利の平均をとってみますと、ほんのわずかの上昇が見られる程度であり、しかしその後におきましては、また再び下がり始めている。信用金庫、相互銀行をとりますと、少なくとも約定金利につきましてはずっと長年にわたって低下の一途をたどっておるという状況でありまして、今回の引き上げにあたりましても、これらの中小金融機関の金利はあまり動かないのじゃないかと思っておりますし、また私どもの指導といたしましても、それほど上げないほうがいいんじゃないかという考えでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/102
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103・久保田豊
○久保田(豊)委員 四月の二千億の売りオペは、民間銀行にはどういうふうに割り当てるつもりですか。この三月の二百億の買いオペは、市中銀行、地方銀行、それから相銀、信用金庫にそれぞれ二十五億ずつ大体において割っているわけですね。二千億の売りオペの場合は、これをどういうふうな消化のしかたをするつもりかということです。なお二百億の買いオペはどういうふうにこれをやるつもりか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/103
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104・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 久保田委員の御質問、売りオペ、買いオペがやや混同しておる点があると思います。二千億は、日本銀行が銀行に対して行なう売りオペの額でございます。ですから、いままで一年くらいの間に相当買ってまいりましたが、これを一挙に二千億売り戻すのであります。その内訳——これはもちろん日本銀行の貸し出しにかわるような措置でございますから、内訳は私どもはあまり存じませんが、いままでの買い入れの状況から推しまして、都市銀行分が圧倒的に多いと思います。ただし地方銀行からも従来買っておりましたから、地方銀行も分に応じてその対象にすることにしております。そういった日本銀行の行なう純粋の金融政策としての一般的な調整手段のオペレーションは、銀行を対象にやっております。希望はありますけれども、まだ相互銀行、信用金庫に至っておりません。
一方の中小向けの買いオペレーションでありますが、中小向けには別途にそういう時期におきましても買いオペを行なっておりますが、三月に実行いたしました分は、仰せのとおり二十五億ずつ分けております。この四月の分は、二百億の内訳を申しますと、都市銀行五十五億円、地方銀行五十五億円、それから相互、信金それぞれ四十五億円ずっとなっております。しかしこれは同時点におきまして、ずっと前に行ないました買いオペレーションの売り戻し期が到来しております。そのうちの百五十億円は繰り延べるが、百億円は返していただくことになっております。それを差し引きして相殺いたしますと、四分の一ずつが手元に残る、つまり純増になります分は四分の一ずつであるというふうな配慮をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/104
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105・久保田豊
○久保田(豊)委員 あなたのほうは二月の何日かに各銀行に通達を出しておりますね。この中で、都市銀行並びに地方銀行等は従来の貸し出し残高の中で中小企業向けの比率を下げないようにしろ、それから健全な中小企業の連鎖的倒産については特に金融上の配慮をしろ、それから下請支払いのための親企業に対する金融上の配慮を特にしろということを、百二十三号ですか、通達を出しているわけですね。これは今日の時点で、今後の引き締めがさらに一段と強くなった段階で具体的にどうやるのですか。こういう通達を出しても、出しっぱなしでは何にもならぬ。具体的にどうやるのかという点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/105
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106・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 第一点の中小向けの貸し出し分は、その比率を確保すると同時に、高まるように努力せよ、これは数字で把握できることでございますので、今後も毎月これらの点を各行別にとりまして、そういう配慮が行なわれているかどうかを点検いたすつもりであります。
それから健全な経営を行なっている中小企業に対する連鎖倒産などの被害を受けないようにという点、また下請事業者に対する支払いをよくするように、そういう点につきましては、これはわがほうの監督だけでは不十分でございますので、先般も公定歩合の引き上げを行なうことを決定いたしましたときに、大蔵大臣が日銀総裁に会見いたしまして、その際も、日銀として個別にこういったこまかい点についてまで各銀行に対する融資の注意を怠らぬようにということをきつく申し入れました。なお、私ども一般的な検査をさせます場合に、こういった点が具体的にどのように行なわれておるかを監督していきたいと思います。
なお、連鎖倒産云々ということを防ぎ、健全な中小企業に被害が及ばないようにする点については、すでに一部は、具体的に地方に起こりました事件につきましても、そういう努力を銀行が行なっていることがございます。多少の連鎖倒産はありましたけれども、それはほとんど銀行側から判断いたしまして、相互に融通手形を乱用しておるというようなものではやむを得ない、つまり過去における赤字が相当累積しておりまして、どうしてもこの際整理していただかなければならぬものは整理してもらいましたけれども、そうでないものにつきましては、救済融資を行ないまして倒産を防いだという実例もすでに出ております。今後もそういった具体的な事件に対して処置してまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/106
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107・久保田豊
○久保田(豊)委員 通産省のほうも、黒字倒産の企業に対しては、債権については特に金融上の特別措置を講ずるというようなことを考えておられるようですが、具体的にはどういうことを考えておるか。またすでに今月に入ってからも百五十以上の千万円以上の負債のあるものが出ていますけれども、それらについて具体的にどう措置しているのか、ひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/107
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108・中野正一
○中野政府委員 先ほど銀行局長がお答えしましたように、一般の市中の金融機関も、いわゆる連鎖反応によるところの倒産、健全な企業が倒産することのないように十分配慮していただくようにわれわれのほうからも要望いたしております。また個々のケースにつきましても私のほうで調べまして、大蔵省に連絡をとって措置しております。なおそれ以外に、政府関係の金融機関、特に中小企業金融公庫と商工中金につきましては、資金の配分の際に地方的に相当——たとえば京都の西陣であるとか、ああいうところで一つの大きな商社が倒れた、その連鎖反応で健全な企業が倒れることがないように、商工中金、中小企業金融公庫におきまして特別の配慮を加えて、すでに着々実行いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/108
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109・久保田豊
○久保田(豊)委員 とりあえずは二月の中小企業向けの二百億の買いオペ、この程度で——いまのお話だと、実態はそれより少し少なくなるのじゃないですか。この程度で中小企業のこれからの金詰まりというものが解決できると見ておられるのかどうか、あるいは引き続いてなおこういう買いオペのワクを大きくしてやっていく考えがあるのかどうか、これはどういうふうな見通しと計画を持っておるのか、この点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/109
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110・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 そういった中小企業のための、これは財政資金でやっておるのですが、財政資金による買いオペの政策は、今後も全体の引き締まりの状況、中小企業に対する影響の度合い等を、的確に数字をもって把握することはもちろん非常に困難でございますが、大体の見当はつきましょう。そこでこういった措置は必要のつどやってまいりたい。ですから、四月にやったからもう第一・四半期はやらないのだということではございません。もし六月に——六月は非常に揚げ超期に入ります、したがいまして、日本銀行としてもある程度の買いオペレーションを予定しております。そういう場合に、一般的な買いオペの額を若干減らして、中小企業向け専門の買いオペを加えるというふうな配慮をやっていかなければならぬと思っております。少なくとも一般の金融の引き締めの政策がいろいろな波乱なしに——波乱を生ずるのは大体その直後でございまして、直後と申しますのは、数カ月の間が一番問題でございます。あと全体の水準が是正されてまいりますと落ちついてまいる。でありますから、特にこの半年間におきましては特別の注意を怠らないようにして、買いオペ等を実施してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/110
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111・久保田豊
○久保田(豊)委員 金融引き締めが今後なお強化されてくれば、企業間の信用はますます大きくなるのじゃないかと思われますし、当然そういうことが予想される。いままで企業間信用については、下請については中小企業庁あたりからかなり具体的な対策が出ておる。しかしながら、一般についてはまだこれという決定的なきめ手を政府は出しておらない。具体的にはこの企業間の信用が生産を落とさない一つの基礎だと思うのです。ダウンさせない一つの大きな基礎だと思います。しかもこれがあってなおダウンしてくる場合には、ますます大きな波紋というか、混乱を起こす一つの大きな原因になろうと思う。これに対しては、やはり決定的なはっきりした対策をとるということが必要だと思う。これについて大蔵省としてはどういうことを考えておるのか。また単に下請という関係でなく、通産省としてはどういうことを考えておるのかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/111
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112・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 企業間信用の増加は、特に三十六年の引き締め以降非常に目立った現象であります。最近の非常に近い時点までの数字が得られませんので、よくわかりませんが、やはり昨年の三月ごろまでに相当増大いたしまして、これは特に大企業について多いのでございます。下へ行くほど実はそれほど多くなってないのが産業の統計にございます。そういう点について考えますと、いままでは販売競争というふうなものもからみまして、そういうものが非常にふえてまいったと思いますが、金融が十分につかないということであれば、つまり、どこかでそれの割引が行なわれるとか、貸し出しの担保になるとかいうことがなければ、無限にふえ得る性質のものではないと私ども思っております。いままでのところですと大体二〇%、年間売り上げ額の二割から二割五分程度ではないかと思います。その程度のものが残高としてある。これが三割でも四割でもふえ得るものかどうかについては、そうはならないのではないか、つまりあるところまでふやしていけば、それ以上は全然回転しなくなる、どこの段階にいっても吸収されない。資金化されないということであれば続かなくなってくる。ですから、いまのこれからの見通しとしては、金融が次第に梗塞してまいります。でありますから、手形をもらってもどうにもならぬ場合には、やはり手形を拒否するということになります。それを受け取るということは、やはり自分がそれだけの資金繰りにたえられるということであり、つまりそれがもう受け取れない状況にきておるではないか。これは企業により会社により差異はございましょうけれども、しかし全体として、引き締めの結果として、これからも企業間信用が膨張していくという点につきましては、私どもはそうならないのではないかというふうに思います。しかし、そういう観測だけではなお不十分でございますので、先ほど申し上げましたような、下請に対する支払いを、いままでは解釈がかなりルーズであった、手形で支払っても六十日以内に支払えばいいのだという解釈であったのが、それが現金化されないということであればいかぬのだというふうに解釈を厳重にいたしまして、そういうことでこれからも強い監督、指導が行なわれていくものと思います。これは直接私どもの所管ではありませんが、しかし公取もなるべくそういうものを取り上げるような措置を講じますし、通産省も同じことであると思います。そういうことで、個々のケースについてもこれらの規制を厳重に守るようにしていく必要は十分にある。しかし、全体としての傾向を申しますと、いまの資金情勢から考えまして、無限にふえていくような性質のものでは絶対にあり得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/112
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113・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま銀行局長から申し上げました中小企業の関係は、いわゆる銀行が割引しないようなものはいけない、こういうたてまえをとっておるわけであります。それから、その中小企業以外の大企業、中小企業までの問の企業等につきましては、私は、いまのような信用膨張によって仕事をしていくことの不健全であるということは、あらゆる機会に行政面において指導をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/113
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114・久保田豊
○久保田(豊)委員 歩積み、両建てについては公正取引委員会が特殊指定をする、こう言っているわけでありますけれども、まだ一向にやらない。いつやって、そうして特殊指定をした場合にどれだけの効果が実際にあるのか。特に、これは相銀、信金等においては相当大きな問題であろうと思う。これについて実際の解消方法というものは具体的にどうやっていくのか、これは通産大臣なり大蔵省は具体的にどう考えておるのか。さらに特殊指定をして、それによってすべてがうまくいくというふうな単純な問題ではないと思いますが、どう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/114
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115・福田一
○福田(一)国務大臣 きょうの閣議においてもその発言をいたしまして、歩積み、両建てをこの機会に解消せねばならぬ。そうすれば、中小企業は実質的の金利がかえって下がることにもなるのだからということを発言をいたしました。その結果、日銀と大蔵省との間で何らかの適当な査察機関でもつくって、そうしてこれを査察する。私は、公正取引委員会が出動して、そうして特殊指定までやられるというところまで黙っていていいものかどうか、行政当局としては問題があると思いますが、銀行行政という面から見ても問題がある。ここには銀行局長もおられますけれども、おそらく大蔵大臣と御相談をされて、今度は適当な措置をとられるものと確信をいたしております。ただし、閣議が済んでから銀行局長が大臣と会われたかどうか知りませんので、その間の事情はつまびらかにしませんけれども、いま久保田委員の発言したような趣旨に基づいて、今度は政府が強力にこの問題についての解決に乗り出すことを私は確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/115
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116・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 ただいま通産大臣から言われましたように、閣議においてもこれを非常に重大な問題として取り上げまして、特別の監視班をつくれということでございますから、私ども、かねてからそれは考えておりましたが、わがほうにおける検査のための要員をある程度そのために専門にその方面に従事せしめる、足らなければ日本銀行のほうへも応援を求めるというようなことで、具体的にケース・バイ・ケースで追及していきたいということが一つでございます。しかしそれだけでは、非常に件数が多く、銀行だけでも何百万件というような貸し付け件数でございますので、これをある程度マクロ的に押えていかなければいかぬ。一件一件を追及するだけで、またほかのほうが悪くなったのでは何にもなりません。全体としてこの比率が下がるようにしなければいかぬということで、各行別に計画を出させまして、その計画に従ってまず債務者預金の率を減らすとか、債務者預金の中での拘束預金の割合を減らすとか、そういう指導をこれまでも行なってまいりましたが、一そうそのほうの監督を厳重にして、確実にそれらの実施が計画に沿うものであるかどうかを確かめながら全体の是正をはかってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/116
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117・久保田豊
○久保田(豊)委員 歩積み、両建ての総額が、はっきりしたことはわからぬが一兆四、五千億ある。それが単なる監督なり取り締まりで片がつくものですか。何らかやはり経済の合理性に沿った措置というものをとらなければ、私はそう簡単に監督ややかましいことを言っただけではうまくいかないように思うが、この点について大蔵省としては何か考えているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/117
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118・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 いままで、昨年までの状態で申しますと——これはそれ以前何年間かの懸案でございましたが、まあいってみれば通達を出しておって、通達が守られなかった、こういうことでございますが、昨年からはだいぶその点様子が違っておりまして、この問題が国会等で相当きびしく取り上げられると同時に、大蔵省といたしましても姿勢をだいぶ違えております。計画的に数字の上で債務者預金を減らせというようなことは従来やっておりません。初めて試みでございまして、ただそれがあまりにも性急に過ぎますと守られないことになります。守り得ないような、守られないような荒っぽいことを要求するのは、私は実際に即しないと思います。やはり計画的に、いまのところ計画期間は二年になっておりますが、今後も二年刻みくらいにやっていく。しかし、二年後まではほっておくというのではないのです。それはその中間においても報告をとりまして、最終二年後の目標に対して十分一年間においてそれだけの成果をあげているかどうか、あげていなければ、われわれ監督行政の上でいろいろな手もございますから、それを守らせるようなことはできるんじゃないか、法律のような手段でこれを訴えるのには、問題はあまりにも複雑でございます。これは相手方の信用程度その他によりまして、いろいろ両建てをとる割合も長い間の習慣で違っております。わりあいに低い率であるところと、比較的高い率であるところと、それはいろいろな信用の度合い等に応じまして違っておるわけでございます。しかし、これがやはり実際には実質金利の問題にもからんでおるわけでございます。いま大企業に対してもしばしば一銭八厘、二銭という金利を適用されておりますが、中小企業でありましても二銭五厘、六厘というのが多いわけであります。しかもそれは長期の資金の金であるわけです。その格差が非常に少ないといっても、実際は両建てでカバーをとっておるような面も多分にある。これは外国における金利格差その他もいろいろ調べておりまして、どの程度までの金利格差が許さるべきものであるかという点を考えておるわけでありますが、いまの表面金利の差はあまりにも狭過ぎる。無理やり表面金利だけ下げて、低金利、低金利と言ってきた面がありまして、これは今後は考え直していかなければいかぬ。表面上安いことを言いながら、実質上高い金利をとっておったというのがこれまでの金融機関のあり方でごさいました。こういう点を実情に応じて是正しながら、しかも実質金利は上げないようにというふうな指導は行なってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/118
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119・久保田豊
○久保田(豊)委員 中小企業に対する年次報告を見ても、歩積み、両建てについては何回か通牒だとかなんとかのいろいろの措置をしているけれども、一向に改まらないのが実情です。いつも国会の答弁のときには、しかるべくと政府当局、大蔵省なり通産省は言っておるけれども、一つも実績があがっていない。これが実態だろうと思う。国会でもやって、ちっとめんどうなことを言うやつがなくなれば、まあまあということでまたやってくる。その間にまた歩積み、両建てがふえてくる、こういうことです。私どもほんとうの専門家でありませんが、実際に私はただ単に取り締まりや監督だけでこの問題が片づくものではないと思う。経済合理性に合った対策というものを大蔵省なりなんなりが考えていかない限り、単なる法律や行政上の措置だけではいけないのではないかというように考えますので、この点については、きょうの閣議で、これからすぐということでは、すぐにまだ対策がないかもしれませんが、十分お考えをいただきたいと思います。
なお、たくさんありますが、時間がありませんからやめますけれども、特に、これはどうしてもこういう金融引き締めがあれば、政府当局としてはいろいろ中小企業の保護といいますか、そういったものに対しては手は打つと思います。打っても、何しろ相手の金融機関なりなんなりというものは、やはり採算ベースに乗るものでなければやらないということになると、いまの実情からいうと、どうしても市中銀行や特に地方銀行は選別融資がだんだん強くなり、大企業の選別取引といいますか、そういうものが強くなるというと、どうしてもこれは相当に倒産等が出てくる。これはやむを得ないものはしかたがないかもしれないけれども、しかし、いまのように資本金の二十倍、三十倍というふうな、あるいは五十倍というふうに仕事を広げ過ぎておる。これは不自然といえば不自然ですけれども、しかし、そういう情勢でいままで政府がいわゆる高度成長政策というようなことで全般的に、雰囲気的には指導してきた、その指導の責任というものはやはりこの段階にきて、あとはおまえたちがやり過ぎたんだ、不健全なやり方をしたのだからつぶれるのはさしつかえないというようなことではなくて、最後までやはり中小企業の倒れそうなものあるいは倒れたものの再生というようなことについて、特に金融面から政府としても十分な責任を持って、そういったものをできるだけ少なくする、あるいは救っていくという対策がぜひ必要だと思いますが、この点について大臣の御所見を聞いて、まだほかにたくさんありますけれども、時間がありませんから、質問を打ち切りにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/119
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120・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま久保田委員の述べられましたような点を十分配意いたしまして今後措置をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/120
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121・中村重光
○中村(重)委員 この三法案は本日で質疑を終局するわけですが、最後に、非常に重要な点を大臣にただしておきたいと思います。
私どもも、この三法の内容に対しましては不満足な点もございますが、将来に期待をして賛成をしたい、そのように考えておりますが、ただ、どうしても納得のいかない点があるわけです。それは、従来政府関係の金融機関に対しまして政府が出資する場合、法律事項になっておったわけでありますけれども、これを法律事項からはずす、こういうことのようでございます。この点、どうしても納得がいきません。どうして従来のとおりに、出資する場合に法律事項として議会の当該委員会の審議を経るということにしないのか。その点をひとつ明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/121
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122・福田一
○福田(一)国務大臣 この問題はいろいろ議論のあるところでございますが、われわれとしては、今回の措置においては予算措置をとった場合には法律に書かぬでもいいようにしてはどうか、といいますことは、あまり法律が多くなり過ぎる、何でもかんでもみんな法律でやるという形がはたして行政上いいのかどうか、こういう問題もありまして、今度のような措置をとったわけでございます。これはいろいろ御議論のあるところであると私も考えるのでありますが、しかしこれが弊害を生むようであれば、またこれを是正するということもけっこうであります。一応ひとつやらしてみていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/122
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123・中村重光
○中村(重)委員 ただいまの大臣の答弁はきわめて不見識であり、私は民主政治のルールを全く無視しておる、このように考えます。予算さえ通過したならばそれでよろしいというような考え方は間違いである。少なくとも民主政治の中におきまして、この議会におきましても常任委員会中心主義になってきておる。その常任委員会におきまして十分議論をするということが一番正しいのだ。法律が多くなることは、官僚にとっては好ましくないかもしれません。しかし民主政治というものは、国民の声を政治の場に大きく反映をさせるというところにあるわけです。それならば当然法律事項がふえてくるということはあたりまえである。これがまた正しい方向であるわけであります。にもかかわれず、国民の声を押え無視するという考え方というものは、私は逆行であると考えております。この際、ひとつ通産大臣は、ただいま答弁されたようなことに対して反省をして、法律事項として従来のとおりに国民の声を政治の場に大きく反映をしてこれを決定していく、こういう考え方に改められる意思はないかどうか、その点を改められるならば賛成をいたしたいと思いますけれども、ただいまの答弁のとおりでありますれば、遺憾ながら賛成はできないのであります。いまひとつ明確にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/123
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124・福田一
○福田(一)国務大臣 私は政治をやるやり方について国会が御批判を賜わるのは、決して法律審議の場だけではないと思っております。予算審議の場においても十分その場はあるわけでございます。また予算委員会でなくても、そういうような措置をいたしました場合においては、こういう商工委員会その他各委員会で審議ができると思うのでございまして、こういう措置をとったからいわゆる議員の審議権がそれで制限を受けたとは私は考えておらないのでございます。そういうような意味合いにおきまして、私たちとしてはあまり一々の問題について法改正をするということは、今度はしばらく差し控えたい、こういう措置をとってきたということを御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/124
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125・中村重光
○中村(重)委員 予算委員会におきましては、あの膨大な予算を限られた期間において十分に審議をするということは、私は不可能であると思います。常任委員会の制度というものは何のためにあるのか。あなたのただいまの議論というものは常任委員会制度というものを無視しておるわけです。そういう考え方は私は間違いであると思います。そういう考え方では、どうしても私どもは納得いきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/125
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126・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたします。三法案の質疑を終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/126
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127・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/127
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128・二階堂進
○二階堂委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して始関伊平君外二名より、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/128
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129・二階堂進
○二階堂委員長 まず、提案者より趣旨の説明を聴取することといたします。始関伊平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/129
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130・始関伊平
○始関委員 ただいま議題となっております中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案による修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。
修正案の案文はお手元に差し上げてありますが、念のため朗読いたします。
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第二条のうち第九条に一項を加える改正規定中「総裁を通じて」を削る。以上が修正の内容であります。
政府の改正案の提出の理由については、公庫の業務の適切なる運営を確保することと、またさきに行政管理庁等の勧告の次第もあった経緯にかんがみ、監事の職責を明らかにし、公庫業務の監査についてその万全を期するという趣旨からこの改正案を提出せられたのであります。したがいまして監事は総裁に監査の結果を提出するのほか、直接主務大臣に意見を提出することができることとするほうが、さらに改正案の趣旨を生かすことになると信ずるものであります。
以上が修正案の提出の理由であります。何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/130
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131・二階堂進
○二階堂委員長 次に、三法案並びに始関伊平君外二名提出の修正案を一括して討論に付します。浦野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/131
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132・浦野幸男
○浦野委員 私は自由民主党を代表いたしまして、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案並びにその修正部分を除く原案及び商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の各案について、賛成の意を表するものであります。
御承知のとおり、今回の中小企業指導法改正案は、業務範囲の拡大、中小企業信用保険法改正案は、保証範囲の拡大と保険の付保限度額の引き上げ、中小企業信用保険公庫法改正案は、監事の権限規定の整備、商工組合中央金庫法改正案は、準所属団体の範囲の拡大と外国為替業務の追加をそれぞれ内容とするものでありますが、そのほか三案を通じて政府の追加出資についての規定を整備しているのであります。
まず、政府の追加出資に関する規定の整備については、従来二つの方式があり、追加出資のしばしば行なわれる可能性の多い機関については今回の改正案のような方式をとり、しからざるものについては、そのつど法律改正を行なうということになっておるようでありまするが、昨年末閣議の申し合わせもあり、今後法律事項とする必要のない問題については、法律改正を要しないよう措置する方針がとられ、この方針に基づいて今回の改正案が提出されたものであります。この点については反対論もありまするが、追加出資については別途予算に計上せられ、十分な審議の結果、国会の議決を経るものでありまして、さらにまた重ねて法律事項とすることはいたずらに手続を繁雑にするものであり、国政の円滑な運営に資するものではないということであります。
次に、その改正点並びに修正点は、特にここで申し上げるまでもなく、適切かつ妥当なものであります。
以上をもって私の賛成討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/132
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133・二階堂進
○二階堂委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/133
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134・板川正吾
○板川委員 私は日本社会党を代表いたしまして、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案には賛成、中小企業指導法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案の修正部分を除く原案並びに商工組合中央金庫法の一部を改正する法律、案の三案にはいずれも反対の意を表明するものでありまして、以下反対の理由を明らかにいたしたいと存じます。
御承知のように、国の財政運営の基本原則は、憲法によって明確に定められております。すなわち、憲法第八十三条には、「國の財政を處理する權限は、國會の議決に基づいて、これを行使しなければならない。」とあり、同じく第八十五条には、「國費を支出し、又は国が債務を負擔するには、國會の議決に基くことを必要とする。」と規定され、国会の議決を基礎とする民主的な財政処理が原則となっているのであります。
ただいま討論に付されておりまする三法案には、いずれも政府が予算の範囲内で追加出資ができるという条項が含まれておりますが、これは憲法による財政処理の基本的精神に逆行するものといわざるを得ません。なぜならば、予算に計上すれば自動的に出資が可能となり、法律改正の議決を必要としなくなるということをねらったものでありまして、国会審議を通じての国民の批判を避け、非民主的な財政運営を可能にしようとするものと見られるからであります。
政府は今般、国会審議を省略する趣旨に法律体系を統一する方針をきめ、今国会から多数の同趣旨の改正案を提出しております。この三法案もその方針によったものでありまして、国民の血税の使途に対する国民の批判を避けようとする意図に基づくものと言って過言ではないと存じます。
さらに遺憾なことは、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案は、全く内容の異なる二つの法律について異なる内容の改正を一本の改正法案で片づけようとしていることであります。
申すまでもなく、国会は唯一の立法機関であり、したがって、国会の最も重要な任務は立法行為であります。この重要な任務と権限を無視して、予算の審議があれば法律案の審議は要しないという規定を是認し、また二法案を一法案として処理するという便法を認めることは、国会議員が国民から付託されたみずからの責任を放棄するものであります。賛成者は、予算委員会で審議するのだから、国会審議を無視するものではないと弁解されておりました。御承知のように、予算委員会における予算案の審議には時間的制限があります。個々の施策、個々の機関別にきめこまかな検討を加えることは不可能でありまして、これはどうしても専門の常任委員会にゆだねる必要があるのであります。特に多額の財政措置を伴う重要施策についてその必要性が強いのであります。この意味からいっても、委員会審議に制約を加えるがごとき今回の改正案には賛成しがたいのであります。
さらに、この改正案が成立するならば、今後、政府関係金融機関の運営について批判を加えられる機会がなくなり、機関運営が官僚的、独善的に流れ、やがて国民の不信を招くおそれが出てまいることは必定であります。
以上申し上げましたごとく、三法案の中の追加出資関係の規定が財政処理の基本的原則に反し、また国会の審議権の縮小を意図するものである以上、わが党は決して賛成するわけにはまいらないのであります。
以上の理由を明らかにしまして、三案について反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/134
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135・二階堂進
○二階堂委員長 麻生良方君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/135
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136・麻生良方
○麻生委員 私は民主社会党を代表いたしまして、議題となっております中小企業指導法の一部改正法案、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部改正案、同修正案並びに商工組合中央金庫法一部改正案の四案にいずれも賛成の意を表するとともに、次の三つの点を強く要望いたしたいと思います。
その第一は、昨年の第四十三通常国会におきまして、わが民社党の主張に端を発しまして中小企業基本法が成立をいたしましたが、基本法はあくまで中小企業の憲法的な性格のものであり、この基本法を生かすためにはそれに呼応する一連の関連法案の制定が必要であります。わが党はこの観点に立って、すでに本委員会においてスーパ一マーケット法案、百貨店法改正案、商店街振興組合法改正案、中小企業の官公需確保法案、中小企業の産業分野確保法案の五案を提案をしておりますが、政府もこれらの点について積極的に推進をしていただきたい。
第二に、三法案の審議と関連して重要なことは、昨日から実施された政府と日銀の公定歩合の二厘引き上げの問題であります。総選挙以来、国際収支の悪化と関連してとられた日銀の窓口規制等、金融引き締めの影響は直ちに中小企業に波及し、昨年秋から中小企業の不渡り手形の激増、倒産が相次いでおります。こういう情勢の中で突如として公定歩合を引き上げたことは、池田内閣の再三にわたる国会答弁に相反するものであり、池田内閣の所得倍増政策の失敗を雄弁に物語るものであります。われわれは、このような公定歩合の引き上げに関連して、危機に瀕しつつある中小企業に対して政府は特別の配慮をもって善処されることを要望したいと思います。
最後に、指導行政において、先般私が本委員会において指摘をした中小企業指導員のあり方について、すみやかにその矛盾を改善して、その予算が適正に使用されることを要望いたしまして、賛成の意思を表したいと思います。
以上をもって討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/136
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137・二階堂進
○二階堂委員長 以上で討論は終局いたしました。
これより順次採決いたします。
最初に、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案を採決いたします。まず、始関伊平君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/137
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138・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次いで、ただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/138
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139・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって、本案は始関伊平君外二名提出の修正案のとおり修正議決いたしました。
次に、中小企業指導法の一部を改正する法律案及び商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/139
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140・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって、両案はいずれも原案のとおり可決いたしました。
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/140
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141・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたします。ただいま議決いたしました三法案に関する各報告書の作成に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/141
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142・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
次会は、来たる二十四日火曜日午前十時理事会、理事会散会後委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X02319640319/142
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