1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年四月八日(水曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 中村 重光君
内田 常雄君 遠藤 三郎君
小笠 公韶君 小沢 辰男君
大石 八治君 海部 俊樹君
神田 博君 小宮山重四郎君
小山 省二君 佐々木秀世君
田中 龍夫君 田中 正巳君
田中 六助君 中村 幸八君
野見山清造君 南 好雄君
村上 勇君 大村 邦夫君
加賀田 進君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
田中 武夫君 多賀谷真稔君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
森 義視君 麻生 良方君
伊藤卯四郎君 加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 日原 正雄君
検 事
(民事局長) 平賀 健太君
大蔵事務官
(理財局長) 吉岡 英一君
大蔵事務官
(銀行局長) 高橋 俊英君
国税庁長官 木村 秀弘君
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 鉄藏君
通商産業事務官
(重工業局長) 森崎 久壽君
通商産業事務官
(鉱山局長) 加藤 悌次君
中小企業庁長官 中野 正一君
労働政務次官 藏内 修治君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 村上 茂利君
労働事務官
(職業安定局
長) 有馬 元治君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局農
業保険課長) 岡安 誠君
労働事務官
(労政局労働法
規課長) 青木勇之助君
労働基準監督官
(労働基準局監
督課長) 東村金之助君
参 考 人
(株式会社角田
鉄工所社長) 角田 五郎君
参 考 人
(中央ダイキャ
スト工業株式会
社社長) 田野市之丞君
参 考 人
(東京発動機労
働組合連合会中
央執行委員長) 前島 正男君
参 考 人
(東京発動機無
担保債権者協議
会事務局長) 田代 隆光君
専 門 員 渡邊 一俊君
—————————————
四月七日
委員岡崎英城君辞任につき、その補欠として小
山省二君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
委員米内山義一郎君辞任につき、その補欠とし
て多賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任され
た。
同日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
田中武夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員田中武夫君辞任につき、その補欠として米
内山義一郎君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
四月七日
物価安定等に関する請願(千葉七郎君紹介)(
第一九〇二号)
同(山中吾郎君紹介)(第一九〇三号)
物価値上げ反対並びに独占価格の引き下げ等に
関する請願(栗林三郎君紹介)(第一九三二
号)
同(久保三郎君紹介)(第二二三九号)
同外二十件(桜井茂尚君紹介)(第二二四〇
号)
同外二件(島口重次郎君紹介)(第二二四一
号)
同外八件(田口誠治君紹介)(第二二四二号)
同(泊谷裕夫君紹介)(第二二四三号)
同(野口忠夫君紹介)(第二二四四号)
同(畑和君紹介)(第二二四五号)
同(山田耻目君紹介)(第二二四六号)
同外三件(米内山義一郎君紹介)(第二二四七
号)
奄美群島の電気事業に関する請願(床次徳二君
紹介)(第一九三三号)
競輪の選手制度改善に関する請願(佐々木秀世
君紹介)(第二〇六五号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法
律案(内閣提出第九七号)
鉱業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五
三号)
中小企業に関する件(企業倒産に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/0
-
001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。伊藤卯四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/1
-
002・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 いま議題になっております本法案につきましては、同僚各位から相当詳細にわたって質問されてあると存じまするので、私は、大筋の五点について質問をして、大臣の御意見を伺っておきたいと存じます。
金属鉱業は、銅、鉛、亜鉛等の鉱産物を生産するきわめて重要な基幹産業であることは、私が申すまでもありません。そういう点から、各国ともこの産業には非常に手厚い保護を加えて、金属鉱業の健全な育成発展をはかっておるようであります。わが国の地質構造を見て今後探鉱をすれば、まだまだこれからの重要な鉱物が発見される可能性が多いという見地から、去る昭和三十七年の五月でしたか、衆議院においては金属鉱業の健全な発展を目標とする決議が行なわれておるのでございます。それがただいま審議をしているこの法律でございます。衆議院の意思に基づいて制定されたものでありますが、しかるに、政府の説明を聞きますと、融資の金額、融資の条件、たとえば金利を七分五厘、返還の期間を六年以内、こういうようにしており、かなりきびしいわけであります。融資の比率も六〇%と、あまりにも金融ベース過ぎるという点が言われておるわけでございます。もっと長期間計画をもって、探鉱資金を低利で長期の条件で積極的にやることを、われわれはさきの国会でこれを議決するときも強く要望してあるはずでございます。それらに基づきますとあまりにも資金も少ないし、金融の条件も悪いというわけでございます。金属鉱業を重要な国策産業として取り上げていないように私には考えられるが、この点について、こうした経過から見た点等をもお考えになって、大臣の所見をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/2
-
003・福田一
○福田(一)国務大臣 金属鉱物が、いわゆる産業の原料としても、あるいはまたその他の産業育成の手段としても、非常な重要な資源であり、しかも国内においてこれが十分な生産ができておりません。海外に依存しておる面等もあるのでございますから、できるだけ国内の資源を活用するという意味からいっても、いま仰せになりましたような低利の融資をもってこの鉱山業を育成する、あるいはまた何らかの探鉱資金等を国が持つというような施策等は、これはどうしてもわれわれとしては強力に推し進めていかなければならないと考えておる次第でありまして、昨年予算編成のときにあたりましても、われわれとしてはかなり努力をいたしたつもりでございますが、十分な結果を得ておらないことはまことに遺憾と考えておるところであります。今後ひとつ御趣旨に沿ってますます努力をいたしてまいりたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/3
-
004・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 次に、現在民間が出しております探鉱費は、年間に大体四十億円ぐらいを、減耗を補う意味において新たな鉱床の探査費を出しておると承っております。したがいまして、政府としても、また事業団としても、もっともっとこれらに対して、やはりそういう見地に立って増額をしてやる。あるいは金利も七分五厘なんというのは大体こういう事業の金利としては高過ぎることは、これはもうおそらく大臣もそうお考えになっておると思います。でありますから、大体こういう金利はその半分の三分ぐらいが妥当ではないかということは、これは一般にもいわれておることであります。したがって、事業の性質上から見ても、また償還期間も六年以内とかなんとかいうことで、はたしてこういう冒険的なものがやれるかというと、なかなか困難ではないか。でありますから、償還も十年ないし十五年くらいに長期に延ばして探査をやらす、私はこの探鉱事業の性質上そういうふうに考えるが、大臣はこういう点においてどういうふうにお考えになっておるか、この点もひとつお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/4
-
005・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま、いわゆる融資の資金について、利子が高過ぎる、金額が少な過ぎる、また償還年限が非常に短過ぎるというような点について、御指摘をいただいておるのでありますが、そういう面におきましては、われわれとしても、できるだけ融資面はこれを増額し、金利はこれをもっと低目にし、さらにまた償還期限等も延長をするようにいたさねばならないと考えておるのでありまして、今後とも大いに努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/5
-
006・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 第三点として次に伺いたいのは、本事業団は、どうも私どもの見るところでは、もっぱら大手鉱山を対象にしておるようでありますが、なぜ中小をこれにもつと対象として取り上げなかったか。御存じのように日本の金属鉱山は中小が圧倒的に多いのでありまして、従業員の数からいっても中小のほうが非常に多いわけで、非常に苦心惨たんをして、あの僻地でやっておることは、これはもう鉱山局長をはじめ大臣も御存じだと思う。中小鉱山には補助金を本年度三億円出しておるからいいじゃないか、あるいはこういうことをおっしゃるかもしれません。その考え方というのは、あまりにも従来の役所式の、事なかれ主義でお茶を濁しておこうというものであって、わが国の鉱業国策として、重要基幹産業であるから国が力を入れてやらなければならぬという点等に、どうも真剣に取り組んでおられないような気がいたします。三億円ぐらいでは、これはお考えになればわかりますが、全くあの冒険な事業としてはスズメの涙ほどだと言っても、私は過言でないと思っておるのであります。したがって、こういう当たるも八卦当たらぬも八卦というような、いわば山師的な冒険をおかしてやるこういうものに対しては、やはり国としてもっと計画的な探査がやり得るように指導してやるということが大事ではないか。そういう点から、もっと思い切って、金属鉱業に対して単に役所の行政上の問題だけで扱うというのではなくて、いわば国の政治が、この問題は国策として解決をして事業を進めさせていかなければならぬという点から見れば、やはりこの補助金の問題等でも、もっと効果のあがるように計画を立ててやられるべきではないか。単に少しずつ分けてやって、それで一生懸命やったぞということだけでは、あまりに総花式で、私は、この事業の性質上から見て、国策的でないと考えるが、一体三億円出してどのくらいの成果があがるとお考えになっておるか。この点は政府自身のほうでも疑問に思っておられるだろうと思う。私も、たった三億ばかりの補助金で、一体あの危険な事業がどれだけやれるかという点について非常に疑問を持っておる一人です。でありますから、必要資金のうち、自己資金で七割ぐらい調達するとしても、国も三割ぐらいは出してやるからというような形で、探鉱資金というものは、金融ベースから離れて、この事業というものは育成指導さるべきではないか、こう思いますが、この点について、今後のこと等もありますから、大臣の考え方についてひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/6
-
007・福田一
○福田(一)国務大臣 実を申しますと、補助金というものは、いろいろ一面において弊害もありますので、できるだけこれを整理をしたいというのが政府の方針でございますが、鉱山におきましては、これは特殊の事情もあるのでやむを得ないということであり、特に中小企業鉱山につきましては、お説のように経営等も非常に苦しいのでありますから、これをもっと増額をしてもらいたいという意味でわれわれも努力をいたしておるのでございますが、残念ながらこの程度にとどまっておるということは遺憾にたえません。しかし、今後私たちは、いま仰せのようにこれの増額を考えていきますと同時に、補助率のアップ等も考えまして、鉱山がもう少しいわゆるゆとりを持った経営ができ、また将来に備えての会社内部の充実をはかり得るような措置をとってまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/7
-
008・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 次に、金属鉱山は、御存じのように非常に低地域というか、山奥の不便なところでございます。そこで開発事業をやっておるわけでありますから、したがって労働者の雇用も非常に悪いわけであります。特に最近は中年以下の若い坑内夫を得ることが非常に困難になっております。これは金属鉱山も炭鉱も同様、これが一番大きな悩みになっております。でありますから、金属鉱山も炭鉱も人的に老朽老廃するのではないかということが経営者の大きな悩みになっております。おそらく政府のほうでもその点には同様の心配をされておる、こう私承ってもおります。したがいまして、この銅とか鉛とか亜鉛とかいうものは、国際的な商品でありますから、価格の変動が非常に激しいことは、過去の例から見てもきわめて明瞭であります。現在ちょっと値が上がっておりますので、幾ぶん景気が出ているようにも見えますが、これは過去の例から見て、長続きした例はほとんどありません。きょうは大体調子が少しいいかと思うと、もうあすの日はそれががたっと落ちて、にっちもさっちもいかないというのが、こうした製品の変動の激しい大きな悩みになっておるわけでございます。ただいまは金属鉱業等安定臨時措置法で合理化、近代化が進められておりますが、国際商品であるだけに、価格の変動を予想して、何とか価格の変動に左右されない方法を政府としてもやはり対処しておく必要がある。そういう点から、需給の調整、安定というか、あるいは価格の安定について少なくとも次の国会までくらいには何とかこの点についての施策を立てられておくということが、私は、わが国の金属鉱業の将来に対する重大な一つの国策でなければならぬと思うが、この点についてひとつ大臣のお考えを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/8
-
009・福田一
○福田(一)国務大臣 雇用の問題につきましては、石炭産業と同様なかなか若年労働者を得られないというような苦しい実情にございますので、今度鉱業審議会の中に雇用問題に関する懇談会を設けて、こういう問題についても対策の研究をいたしたいと考えておるのでありますが、要は、やはり何といっても鉱山が安定した、しかもいい職場であるようなところへ持っていくということが一番大事である。高能率、高賃金といいますか、とにかくよそよりも賃金もいいというところへ持っていくことでなければなりません。そういうことになりますと、ただいま御指摘になりましたように、価格が非常に不安定であって、高かったり安かったりする。高いときにはもうかるが、安いときにはえらいがた損をするというような姿ではいけないのでありまして、安定した事業の経営ができるようにするためには、あるいは何らかの準備金制度を設けるなり、あるいは何か変動に処しての対策を考えるなり、または税制において改革をはかって、その目的を達するなり、いろいろの方途はあると思うのでありますが、いずれにいたしましても、御指摘のような安定した経営ができる措置をするということは、鉱山業のために何としても必要かと存じておるのでありまして、御趣旨のような線に沿って今後も努力をいたしてまいりたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/9
-
010・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 ただいま大臣から、中年以下、若い鉱山労働者の諸君が山にとどまるためにはということについてのお考えを述べられましたが、問題は、やはりああいう不便なところでありますから、したがって、労働賃金、たとえば最低賃金などにおきまして、あるいはまた全体の労働賃金条件等についても、やはり都会より鉱山におったほうが、不便ではあるけれども、しかし待遇がよろしい、こういう一つの魅力が与えられない限りには、この問題は解決しないと思います。でありますから、中年以下の労働者を金属鉱山に希望を持ってとどまらせ、希望を持って就職に来させるというような点においては、その点が一番大事であるということをひとつ十分お考えの上、この対策を立てられるように、これは要望いたしておきます。
それから最後に、いま一点だけお伺いするのでありますが、金属鉱業におるたとえば経営者あるいは労働者ともども、いま幾ぶん景気はいいけれども、しかしあすの日はどうなるかわからないぞという頭から去らないものが何となくあるのです。でありますから、やはりそういう点から、労使双方とも、先年来からなにしておる炭鉱のような、ああいう斜陽産業としての悲劇を引き起こさないようにしなければならぬということについては、非常な警戒的な考え、それからまた労使この点については相当取り組んで対処しなければならぬ、ついては政府のほうもそういう考えで国策樹立をしてもらいたいという点、これも大臣はいやというほどお聞きになっておることと思いますが、この自由化を迎えておる今日でありますから、これは国策上一歩誤まると、従来のような放任的なことでやっておりますと、この心配をされておる悲劇というものがまたまた金属鉱山に起こってくる危険性が非常にあることを、私は大臣もお考えになっておると思うが、政府のほうでもこの点いまから十分それに対処する対策をお考えになっておいてもらわなければならぬ、こう思っております。それでなければ、日本の金属鉱業の健全な発展というものはあり得ないわけでありますので、そうすると結局外国からの鉱石、外国からの製品に押されてきてしまう。その製品を使うほうは安いほうがいいわけでありますから、したがって、国内の高いものを使うより、外国から安いものが入ってくればそれでいいじゃないかというのでありますから、したがって、金属鉱業をやっておるものとこの製品を使うものとの間には、そういう対立のあることは御存じのとおりです。でありますから、したがってこのあんばい、調整というものは、政府が政治としてやる以外には方法がないわけであります。そういう点から、今後とも金属鉱山の育成、健全化を講ずるためには、こういう点等も十分ひとつお考えおきを願いたい。
それから、一昨年の通常国会では、全会一致して国会の意思が明らかにされておることも御存じのとおりでございます。国の最高機関である衆議院の意思を、どうも今度の扱い方では尊重されておらぬような点を、私ははなはだ遺憾にたえないでおります。でありますから、国権の最高機関の意思決定というものは十分尊重されなければならぬ。政府は、国会開会中は、審議中の答弁とかあるいは態度とかを見ると、どうも非常に尊重しておるような、いわば率直に言えば従順な態度をとっておるが、閉会後になってくるとわが世の春だというようなことでやっておられる傾向が、これは常にある。それで福田通産大臣も永久に行政府の最高長官であるということはないのですから、やはりわれわれと同じように、国会議員として、いま私が言わんとするようなことをおそらく福田通産大臣も言わなければならぬときが来るのです。でありますから、国会尊重ということは、特に政府の各位もおられるから、こういう国会軽視をせないように、最高機関についてはやっぱり最大の尊重をしていく、そうして、その議決されたものを行政府のものはまじめに忠実に行なっていくというのが、行政官の職務である。こういう点をひとつ明らかにしておいてもらわなければならぬ。ついては、大臣はこの点についてどの程度お考えになっておるか、そういう点等を最後に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/10
-
011・福田一
○福田(一)国務大臣 この銅、鉛、亜鉛というような、いわゆる非鉄金属というものにつきましては、お説のように、自由化についてはわれわれもいろいろと慎重に考慮いたしまして、銅についてはタリフ・クォータ制、また鉛、亜鉛等については暫定勘定を設けまして、これが適切な運用によって自由化に処し得るように努力はいたしておるのでございますが、しかし、なお今後大いに検討をいたすべきことも多かろうと存じておりまして、十分個々の場合に処して、緩急よろしきを得て措置をとってまいりたい、かように考えておるところでございます。
なお、ただいま御指摘のございました院の議決、あるいは附帯決議、その他そういう問題、あるいは委員会における応答等について、もう少し政府が誠意を持って事を解決すべきである、院議を尊重すべきであるという御趣旨には、私たちも非常に同感の意をもっておるものでございますが、ただ、ここで言いわけをする意味ではございませんけれども、なかなか要求というものはたくさんございまして、一方会計のほうは十分これにマッチするものがない。そこで、それをどういうふうにあんばいするかということで、いろいろ苦労をいたしておるのでありまして、すべてを満足させるようなわけにもいかないことがあることも、ひとつ御了解を賜わりたい。ただし、一年でもって事が決するのではございません。だんだん毎年毎年の施策によって順次御発言の趣旨を徹底して、そうして合理化なりあるいは改善なりをはかっていくようにいたしまして、長い目で見ては院議を十分尊重するような方向に持ってまいりたい、かように考えておるのでございますので、御了承を賜わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/11
-
012・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたします。
本案について質疑を終局するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/12
-
013・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/13
-
014・二階堂進
○二階堂委員長 次に、討論に入るのでありますが、通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/14
-
015・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/15
-
016・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/16
-
017・二階堂進
○二階堂委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、海部俊樹君外二名より本案に対する附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず提案者より趣旨の説明を聴取いたします。海部俊樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/17
-
018・海部俊樹
○海部委員 ただいま可決されました金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案に対する、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党共同提出にかかる附帯決議案について、提案の趣旨説明をいたします。
案文はお手もとに配付したとおりであります。
—————————————
〔参照〕
金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、自由化を迎えて体質改善を迫られている金属鉱業の現状にかんがみ、探鉱を急速に促進して優良資源を確保するとともに、鉱産物の需給価格の安定を図ることにより、わが国金属鉱業の安定的発展に資するため、次の諸点につき特段の配慮を払うべきである。
一、金属鉱物探鉱促進事業団の融資額を増額し、金利の引下げその他融資条件の改善を図るとともに、地質構造調査の事業規模を大巾に拡大すること。
二、中小鉱山の探鉱助成を強化するため、補助金単価の引上げ等新鉱床探査費補助金の充実を図ること。
三、鉱床補填準備金制度の創設等企業の自己資本充実策を講ずること。
—————————————
あらためて申すまでもなく、開放経済体制に即応してわが国金属鉱業の体質を改善するためには、探鉱の促進によって優良資源の確保をはかることが最も重要かつ効果的な方策でありまして、従来、大手に対しては事業団による探鉱融資、中小に対しては新鉱床探査費補助金がありましたが、さらに今回の改正によって事業団の業務に地質構造調査が追加され、企業の行なう探鉱に指針を提供することになったのであります。しかしながら、審議の過程で明らかになりましたように、これらの制度の実情は必ずしも十分ではなく、なお一段と充実させることが必要であります。すなわち、第一に、事業団の融資額をさらに増額し、現在七分五厘の金利を引き下げるなどの融資条件の改善をはかるとともに、地質構造調査の事業規模も、本年度のように一億三千四百万程度でなく、大幅に拡大することが必要であります。また第二に、中小向けの補助金も、補助単価が低いため、五〇%の補助が現実には三五%程度にしかなっていない実情を十分に是正し、制度の充実をはかることが必要であります。さらに第三に、市況が上向いているこのときにおいてこそ、鉱床補てん準備金制度の創設など、企業の自己資本充実策を講ずべきであります。
これらの点は、ほとんど本会議並びに本委員会の金属鉱業に関する決議、あるいは事業団法制定の際の附帯決議にうたわれていることでありますが、従来の経緯にかんがみ、重ねて本委員会の意思を明らかにするわけであります。政府においては、この趣旨を十分尊重されるよう強く要望するものであります。
以上、各位の御賛同をお願いし、提案趣旨の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/18
-
019・二階堂進
○二階堂委員長 採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/19
-
020・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。福田通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/20
-
021・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま議決を賜わりました附帯決議の内容につきましては、十分その趣旨を尊重して善処いたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/21
-
022・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたします。
本案に関する委員会の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/22
-
023・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/23
-
024・二階堂進
○二階堂委員長 内閣提出、鉱業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑の通告がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/24
-
025・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今次の鉱業法の一部改正は、何を主目的として改正をされたか、ごく簡単に大臣から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/25
-
026・福田一
○福田(一)国務大臣 今回の改正の主眼としておりますのは、不適格者の排除とか、他権益との調整及び合理的開発、鉱山災害防止等のための諸制度の整備の三点を中心として改正をはかっておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/26
-
027・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず、一番鉱業権の根本になる性格についてお尋ねいたしたいと思います。従来、すなわち旧鉱業法では、未採掘鉱物は国の所有とする、こうありました。それを現行法では、「国は、まだ掘採されない鉱物について、これを掘採し、及び取得する権利を賦与する権能を有する。」こう規定をされておるのですが、現行法と旧鉱業法との法律的効果の差異はどういう点にあるか。これは局長から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/27
-
028・加藤悌次
○加藤政府委員 旧鉱業法の三条と現行の鉱業法の二条の相違でございますが、これは趣旨そのものには変わりはございません。鉱物を掘採するためには、土地所有権以外の鉱業権という特別の権利を、国の設権行為によりまして、その鉱業権に基づくのでなければ鉱物を掘採することができない、こういう趣旨であるわけでございます。ただ違いますのは、現行法の第二条の規定で、まだ土地から分離されてない鉱物という言い方であるわけでございますが、これは第三条に適用鉱物の規定がございますが、この二条で言う鉱物は、適用鉱物以外におよそ鉱物資源についての規定でございまして、この点形式的には旧法の第三条の鉱物は二条に規定がございまして、特定の鉱物をあげてございまして、三条で言う鉱物はその特定の鉱物に限るという解釈であったわけでございますが、現行の二条は、およそ鉱物を掘採するためには鉱業権というものが必要である、形式的にはそういうふうに変わっておりますが、実体は変わっておらないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/28
-
029・多賀谷真稔
○多賀谷委員 鉱業権に基づかない鉱物の帰属は、旧鉱業法と現行法とはどう違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/29
-
030・加藤悌次
○加藤政府委員 旧鉱業法の条文を持っておりませんので、あるいは条文等について間違っておるかもしれませんけれども、現在の現行鉱業法で、いま御指摘の鉱業権によらないで土地を分離した鉱物の帰属についても、新しい規定が八条に設けられておるわけでございます。旧法時代にもいろいろそういった場合に問題がございまして、実際の法律解釈上慣行として行なわれておりました解釈を、この前の現行鉱業法をつくるときに、それをはっきりさせるために第八条という規定を入れたわけでございまして、実際の、従前の運用をそのまま踏襲して規定にはっきりさせた、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/30
-
031・多賀谷真稔
○多賀谷委員 未掘採鉱物は国の所有とするという場合の鉱業権と、それから、いま国はその掘採する権能を与えるという場合の鉱業権、これとは法律的には全く同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/31
-
032・加藤悌次
○加藤政府委員 旧法の国の所有するという規定の趣旨は、国にそういった鉱業権を賦与する権能があるということを言っておるわけでございまして、実質的に、先ほども申し上げましたように、現行法の第二条の規定と同じでございます。したがいまして、その権能に基づきまして賦与をいたします鉱業権の実体も、旧法時代と現行鉱業法とは全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/32
-
033・多賀谷真稔
○多賀谷委員 土地から分離をされた、しかも鉱業権に基づかない鉱物の帰属というのは、その旧法時代には解釈がまちまちであった。すなわち国の所有だという議論があるし、鉱業権だという議論もあるし、あるいは無主物である、こういう議論もあった。そこで、権能を与えるという形から、そういうまぎらわしいものをのけて、現行法ではその帰属をはっきりしたという点は特色はあるわけですが、そこで今度の鉱業権、いわゆる改正法による鉱業権は、現行法の鉱業権と同じであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/33
-
034・加藤悌次
○加藤政府委員 同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/34
-
035・多賀谷真稔
○多賀谷委員 鉱業権は試掘権並びに採掘権ということを書いて、現行法にも書いてあるし、今度の改正案にも、順序は違いますけれども、前のところに書いてあるわけですが、そこで試掘権をどういう理由で今度はかなり変えた形で書かれておるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/35
-
036・加藤悌次
○加藤政府委員 現行鉱業法は、先生御指摘のように、その権利内容の定義につきまして特別に区分をいたしておりません。第五条にその規定があるわけでございます。「「鉱業権」とは、」ということで、この中には当然試掘権も入るわけでございますが、「登録を受けた一定の土地の区域において、登録を受けた鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の鉱物を掘採し、及び取得する権利をいう。」ということでありまして、表現は全く同じであるわけでございます。ところが、実際問題といたしまして、試掘権と採掘権を比べますというと、権利の本来の性質上、試掘は、本格的な採掘権を取得する前のいわゆる準備的段階の探鉱等を主体にするための権利でございまして、そういった面からの権利の実体をはっきりさせる必要があるのじゃなかろうか。と申しますのは、一方において権利の乱用、特に試掘権の乱用という問題が、御承知のようにいろいろ地上の諸権益との関係において乱用されまして、無謀な補償を要求する等いろいろな問題があるわけでございまして、そういった面で、この際試掘権と採掘権の本質をはっきり法律上うたったらどうかということに相なりまして、今度お願いしております新しい第五条では、試掘権と採掘権をそういうふうに区分して定義ないたしておるわけでございます。いま申し上げましたように、「「試掘権」とは、登録を受けた一定の土地の区域において、登録を受けた鉱物の試掘をする権利をいう。」、こういうふうにはっきりさしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/36
-
037・多賀谷真稔
○多賀谷委員 現行法も、「鉱業権は、試掘権及び採掘権とする。」さらに、「試掘権の存続期間及びその延長」、こうありますね。特別変わったことはない。この定義をあなたのほうは第一段目を変えられておる。それからあと、それに基づいて法律効果がだいぶ違いますね。ですから、従来の試掘権の内容と新法の試掘権の内容は、内容的には同じものですか。ただ法律の慣行を明記しただけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/37
-
038・加藤悌次
○加藤政府委員 権利の実体には現行法も改正法も変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/38
-
039・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、第七条の試掘権の問題ですが、「国の行政機関その他政令で定める者がボーリングにより探鉱をするとき。」こういう場合には試掘権の適用を除外をしておる。これはどういう意図でそういうようにされたのか。これをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/39
-
040・加藤悌次
○加藤政府委員 御承知のように、現在原子燃料公社、こういったものが試掘をやる場合がございます。これは本来一般の鉱業権者が営利を目的として将来の本格的な採掘を目的にする場合と、実態的に性格が違うわけでございます。将来たとえば地質調査所だとか——あるいはこれは地質調査は、鉱業でいう試掘行為ではないわけでございますけれども、先ほど御審議を願いました探鉱促進事業団が精密地質構造調査をやる、場合によると、探鉱との区分が非常にむずかしい場合も将来あろうかというふうに存ずるわけでございまして、そういう本来国の行政目的、政策目的によりまして、地質調査あるいは場合によると探鉱的なことをやらなければいけない場合もあるわけでございますので、そういう場合に備えて新しくこの一号の規定を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/40
-
041・多賀谷真稔
○多賀谷委員 試掘というのはボーリングまたは坑道の掘さくによる探鉱ということになっておりますから、物理探鉱は入らないのですか、入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/41
-
042・加藤悌次
○加藤政府委員 試掘の中には入りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/42
-
043・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、地中に穴をあける以外は探鉱方法としては試掘に入らぬ、こう考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/43
-
044・加藤悌次
○加藤政府委員 鉱業法上の取り扱いといたしまして、試掘権がなくとも地表調査等による探鉱は行なえる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/44
-
045・多賀谷真稔
○多賀谷委員 探鉱の中で地中に穴をあける以外の探鉱方法というのは試掘権に入らぬ、こう考えていいわけですね。日進月歩技術は進みますからね。それで聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/45
-
046・加藤悌次
○加藤政府委員 ただいま仰せのとおりでございます。鉱業法で特別に試掘権というものを設けて、その権利をいろいろ保護する一方、監督をやるわけでございますが、それは仕事の態様がいわゆる土地の所有権と土地の使用、収用といろいろ競合する問題があるわけでございまして、そういった競合の面を、鉱業権という特別の権利を設定することによって、その間の調整をはかろうという趣旨があるわけでございますので、そういう土地の直接の使用の権利と競合の起こらないような地表探鉱というものは、この鉱業法でいう試掘権の範囲からは除外をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/46
-
047・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、次に二号、「前号に掲げる者以外の者が通商産業省令で定めるボーリングにより」これを特に書いた理由はどういうことですか。前の一号でいくんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/47
-
048・加藤悌次
○加藤政府委員 一号の「国の行政機関その他政令で定める者」と申しますのは、先ほどお答え申し上げましたように、国その他これに準ずる者が国の政策目的によりましてそういった探鉱をする必要性がある場合があるわけでございまして、そういう場合にこの一号の規定によって読もう、こういう趣旨であるわけでございます。二号は、御承知の石油、天然ガスというものは、非常に広範囲にわたって、地表調査はもちろんでございますが、場合によってはボーリングをするという必要があるわけでございます。非常な広範囲を全部鉱区にするというわけにまいりませんので、鉱区外についてこういった自主的なことをやる場合には特別な制限はございますが、この二号の規定によりましてそこまで鉱区にしなくてもやれる、こういう趣旨で第二号を新しく設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/48
-
049・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも二号を特に入れるという理由がぼくはよく理解できないのですが、なぜそれを試掘権にしては悪いか。ことに石油、天然ガスというのは流動性ですよ。石炭あるいはその他の鉱物のように固定していない。動くものですから、何も権利を持たない者がぼんぼんやって、流動をする天然ガスを試掘する場合にも、当然それに伴う採取というものがあるのですから、そういうものをこういうふうに野放しにしておいていいかどうか。ですから、通産省令で定めるというのは、何を考えているのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/49
-
050・加藤悌次
○加藤政府委員 石油、天然ガスはただいま御指摘のように流動するものでございます。これは非常に広い範囲にわたって、いわゆる地質の構造調査と申しますか、こういったものを本格的な採掘の前の段階としてやる必要があるわけでございます。いわゆる構造試錐というものをこの二号で考えておるわけでございます。その場合にどうして鉱業権を持たないでやれるようにするか、弊害があるのじゃないかという御指摘でございますが、鉱業権ということになりますと、非常に広大な面積にわたって鉱区にする必要があるわけでございますが、鉱区ということになりますと、当然鉱区税の負担もあるわけでございます。そういう負担の面から見ても、できるだけ不必要な鉱区の認め方というものをやる必要はないのじゃないか。それからもう一つ、乱用の防止の点につきましては、第百条の十六以下にいろいろ監督の規定というのがございまして、届け出あるいは地主の承諾等は当然必要であるわけでございますし、その仕事のやり方について保安上いろいろ問題があるという場合には、通産大臣はその面の監督をいたし得るような規定も置いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/50
-
051・多賀谷真稔
○多賀谷委員 鉱区税が高ければ、これは特別にそういう広範な鉱区の必要がある場合には安くてもいいわけです。この制度として試掘をする場合に、しかもこれは私企業でもいいわけですね。当然私企業を予想されておるから、要するに一号に書いていないわけですよ。一号に含まれていないというのは、私企業を予想しているのでしょう。私企業の場合にそういうことが許されるかどうかですね。そしてこれはこの土地所有権者の承諾によってそのボーリングをやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/51
-
052・加藤悌次
○加藤政府委員 二号によりまして石油の鉱業権者がボーリングをやる場合は、二つ考えられると思います。一つは、全然鉱区になっておらないという場合でございますが、これは当然土地にこういう試掘のための穴を掘るわけでございますので、土地所有者との話し合いによりまして土地所有者の承諾を得る、これは当然必要であるわけでございます。鉱区になっておる場合は、これはやはり石油の鉱区である場合と、石油以外の鉱区である場合、両方あるわけでございますが、いずれにしても他人の鉱区にこういう探鉱活動をやるわけでございますので、当然百条の十六の規定によりまして承諾を要する、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/52
-
053・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ここは私はもう少し詳細に今後質問していきたいと思います。実態もよくわからないですから。しかし、国または国の行政機関または政令で定める者以外に、そういう野放しに試掘権を認めて、試掘する場合に権利なしにやれるということを認めていいかどうか、これは今後非常に問題になる。試掘した場合に何か損害が起こったら、これは不法行為による損害賠償しかできないという問題だって起こるわけです。ですから、あるいは他の鉱区が設定されておる場合、あるいは石油の鉱区が設定されておるけれども、他人の場合でもできるというのですから、私は、こういった広範な権利というか、広範な野放しの状態にすべきではないというように思う。
そこで、私は石油、天然ガスに関連をして聞きたいのですが、大臣、領海外の鉱物の掘採について政府はどういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/53
-
054・福田一
○福田(一)国務大臣 これは領海という意味がまだ一定の範囲をどう見るかということでいろいろの問題もありますが、あなたのいまおっしゃられたのは、公海における、領海の外における掘さくということだと了解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/54
-
055・多賀谷真稔
○多賀谷委員 国際会議ではいろいろ問題があるけれども、いま日本政府は、この前も大平外務大臣が答えたように、まだ三海里説を伝統的にとっておる。国際会議ではいろいろ論議が出て、多数説も出ておるわけですけれども、一応はそういうことになっておるのですね。その領海の三海里であるかということは別として、いま日本政府は三海里説をとっておるのですから、三海里でもけっこうですが、領海外のいわゆる大陸だなといわれておる地域における掘採については一体どういう方針であるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/55
-
056・福田一
○福田(一)国務大臣 大陸だなの場合におきましては、試掘権についても鉱業権についてもこれを認める方針をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/56
-
057・多賀谷真稔
○多賀谷委員 領海外であっても、大陸だなといわれるものについては、国際法上通説になっておるかどうかということは一応別にして、試掘権も採掘権も認めるという方針ですね。そうすると、一体日本の鉱業法でそれが認可できるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/57
-
058・加藤悌次
○加藤政府委員 領海の範囲なりあるいは大陸だなについてもまだはっきりした国際法は御指摘のようにできておらないわけでございますが、私ども、国際慣行としては、大陸だなについては一応行政権が及ぶという解釈をいたしておりまして、現にそういった地域において鉱業権の設定を認めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/58
-
059・多賀谷真稔
○多賀谷委員 鉱業権の場合は、権者の資格、すなわち日本国民または日本国法人でなければならない。これ以外には、鉱業権の及ぶ範囲というのは、いわば日本領土であるというような規定はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/59
-
060・加藤悌次
○加藤政府委員 これは一般的にあらゆる法律についてそうでございますが、いわゆる法律の地域的な拘束力の及ぶのは領土の範囲内であるという一般原則によりまして、われわれは処理をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/60
-
061・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、領土に入るのですか。いまの時期に、大陸だなと称されるものについては領土に入るという答弁をしていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/61
-
062・加藤悌次
○加藤政府委員 実は外務省等ともいろいろ見解を伺いましてなにしておるわけでございますが、その地域そのものの領土権の帰属がどうであるとか、あるいは海でございますから、当然そこに魚族その他の海産物もあるわけでございますが、そういう問題を別にいたしまして、少なくとも大陸だなの地域の地下資源、鉱産物については、鉱業法によって処理してもよろしいという結論になっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、すでにそういう例は多々あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/62
-
063・多賀谷真稔
○多賀谷委員 では認可をした例はあるのでしょうけれども、認可を受けないで、たとえば秋田沖とか新潟沖のように、領海外に出て掘採した者に対する処置はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/63
-
064・加藤悌次
○加藤政府委員 そういう例があるかどうか、まだ私よく承知いたしておらないわけでございますが、今後の方向といたしましては、そういった場合にはできるだけ鉱業権の設定を受けさせるという方向で指導していったらばどうだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。また、いままでも、鉱業法に基づく鉱業権を取得してやるということになりますと、いろいろ権利の保護のための規定の適用は当然あるわけでございますので、実際問題としてこういった地域で探鉱あるいは採掘の仕事をやろうという場合には、大体において鉱業権の設定をいたしてやっておるというふうに聞いておるわけでございます。それから、指導上もそうしたほうがいいというのは、もう一つは、海中で鉱害問題等も比較的少ないわけでございますが、いろいろ考えられるという意味からいたしましても、実際の指導としてはそういう方向で今後とも進んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/64
-
065・多賀谷真稔
○多賀谷委員 指導行政としてはなるべくそれでいきたい、これはわかるが、一体そういうことを無秩序に放任しておいていいかどうか。許可をしないで、これは領海外だといってボーリングして、天然ガスや石油をどんどんとるという事態が起こったら、政府はどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/65
-
066・加藤悌次
○加藤政府委員 この点につきましては、もう少し御猶予をいただきまして、法制局等ともよく打ち合わせをいたしたいと思いますが、私の感じといたしましては、まだ形式的に、先ほどお話しの鉱業権がなければ掘ってはいけないという規定がそのままその地域に当てはまるかどうかということについては、多少疑念がないわけではないというふうに感じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/66
-
067・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これはもう現実に領海外の掘採についてあなたのほうは許可をしておるわけでしょう。ですから、十分想像されるわけですよ。ことに人の設定をしておる鉱区にも、その鉱区は無効だといってやるかもしれない。人が設定をしておる鉱区内にずいぶん石油が出るというので、これは領海外じゃないかということでやる可能性がある。それから全然別のところでやる可能性もある。ですから、少なくともこの問題はもう日本政府としては結論をつけて出すべき状態ですよ。アラビア石油のときだって、領海問題——あれは中立地帯になっているのですけれども、ああいうようにかなり岸から離れて現実に大規模に行なっている。ですから、秋田沖のちょっと領海外に一千万トンくらいの油田が出たといったら、たいへんですよ。ですから、こういう問題だって、せっかく法を改正されるのですから、当然お考えになっておいてしかるべきではないかというように思うわけです。一体外国立法はどうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/67
-
068・加藤悌次
○加藤政府委員 領海の範囲なりあるいは大陸だなの帰属の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、国際慣習的にはある程度のルールがあるわけでございますが、実定法的な国際条約はまだできておらないという段階にございまして、そういう時期に国内法が先ばしってはっきりとそういう規定を置くことについてどうだろうかという議論が、実は外務省との間にかわされたような次第でございます。確かにいま先生のおっしゃいますような感じで私ども当初考えておったわけでございますが、いま申し上げましたような事情で、今度の改正法ではこれをやはりはっきりいたさなかった、こういうわけでございます。
それから、先ほどこの大陸だなにおいてみだりに鉱業権なしに掘る場合の取り締まり方法はあるかということでございますが、私どもの解釈あるいは運用といたしましては、すでに先ほど申し上げましたような考え方に基づきまして鉱業権の設定をしている地域があるわけでございますが、この地域につきましては、少なくとも国の意思がはっきりしておるわけでございます。鉱区とし、その中での仕事は鉱業法に基づいて行なうということでございますので、この地域に対して第三者が鉱業を行なうというような場合には、この鉱業法におきまして当然取り締まりができるのだ、こういう解釈でございます。私が少し疑念があると申しましたのは、全然さら地で、鉱業権の設定もしてないところにかってにやる場合はどうか、こういうことでございまして、この点につきましては、きょうこの場で私の解釈をはっきり申し上げるわけにまいりません。私は多少疑念を持っておりますので、法制局ともよく相談をいたしまして解釈を確立いたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/68
-
069・多賀谷真稔
○多賀谷委員 続いて試掘並びに採掘の問題ですが、例の除外例として「可燃性天然ガスを営利を目的としないで、単に一家の自用に供する」こういうのがあります。この除外は慣行ですか。いわゆる既得権として認められておるのかどうか。しかもこれが大規模になったときにはどういうようにお考えであるか。これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/69
-
070・加藤悌次
○加藤政府委員 可燃性天然ガスが鉱業法に入る以前から、ここに書いておりますように、自家用の燃料ということで利用しておる方がずいぶんあったのでございますけれども、この可燃性天然ガスの鉱業法の鉱区を規定いたしますときに、やはり従前のそういった既得権を尊重する必要がある、またこれをそのまま認めても、本来の鉱業権にたいした支障もないであろうという考え方に基づきまして、現行法にもある規定でございますけれども、こういう規定を置いたわけでございます。この解釈といたしましては、「一家の自用に供する」ということになっておりまして、この「一家の自用」という場合の「一家」は、われわれは自然人が家庭用の燃料として使うというような場合に限定いたしておりまして、たとえば学校法人だとか組合だとか、もちろん営利目的じゃないと思いますが、そういう法人等がこの規定によって掘採するということになりますと、本来の鉱業権に対して非常に支障があるという感じがいたしますので、私どもの解釈としては、この「一家の自用」という場合には、自然人が家庭用に使う燃料としてやるという場合にこれを限定いたしておるわけでございます。そういうわけで、これが非常に弊害ができて鉱業権者に害を及ぼすというようなことはないとわれわれ考えておるわけでございますが、まあ二号の規定もあるわけでございまして、そういった場合に対処いたしまして百条の十七という新しい規定を設けまして、通産局長がそういう必要な場合には監督上必要な指示をすることができる。こういう規定を置いたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/70
-
071・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは燃料というのは自動車なんかの燃料も含むわけですか。それは当然天然ガスを使うでしょう、ボンベに入れて。自家用というのはそうだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/71
-
072・加藤悌次
○加藤政府委員 法律の解釈といたしましては、いま申し上げましたように、文字どおり営利目的に使わないで、自然人が自家用車に使うような場合ということになるかと思いますが、解釈論としてはそういった場合もこの規定の適用を受けてできるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。ただ、今後どの程度そういった面の利用が広がるかということもあるかとも存じますが、そういった場合にはいま申し上げました百条の十七の規定によりまして必要な指示をする、こういうことも可能かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/72
-
073・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この例外規定というのは、やはりかなりシビアーに解しなければなりませんが、またこれは従来天然ガス等があまり鉱区として設定をされないときの既得権としていままで慣行でやっておるという点もあって、権利の調整というのが非常にむずかしい点だと思うのです。
そこで、次の項目をお聞きしたいのですが、これは何のために鉱業権の目的となっていない石灰石、ドロマイト、耐火粘土というのを出したのですか。これは自用に供するといっても、これらの品物の用途というのを考えると、天然ガスの場合と違って、どうも私は合点がいかにのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/73
-
074・加藤悌次
○加藤政府委員 これもやはり沿革的にはここに書いておる鉱物を鉱業法の鉱物に追加するときに入れた規定であるわけでございますが、ここに書いてあるような品物は、いろいろの用途があるわけでございます。石灰石を化学原料にするとか、いろいろ用途があるわけでございますが、いままで石灰石、ドロマイト、耐火粘土等の物理的性状を利用することによって自家用に供しておる、こういう例が実はございまして、そういうものまで鉱業権者でなければ取っちゃいかぬということは少し行き過ぎではなかろうか、と同時に、他人の鉱区になっておるところにまでそういうものを認めるということにつきましては、少し行き過ぎがあるのじゃなかろうかということでございまして、その点が第一号の規定と違うわけでございますが、他人の鉱区になってないところで、たまたま石ころのつもりで持っていったのが石灰石であった、それを盗掘だということで刑罰の適用をするというのはひどいのではなかろうか、大体そういった感じでこの条文の解釈をわれわれはいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/74
-
075・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石灰石とかドロマイトとか耐火粘土、これは物理的な変化を利用して、化学的な変化を利用しないのですね。これは石としてならいいけれども、石灰石をもって石灰にしたらいかぬという、そんなことをいえば、みな鉱物を書いたらいいですよ。私は石灰石だけじゃないと思う。そういうたまたま持っていったものが金鉱であったとか銅鉱であったということを書くなら、これはもう鉱業権の目的となっていない鉱物ほとんど入りますよ。ですからどうもわからぬのですがね。特にここへ規定を設けたということ、それは現行法もそうですが、特に設けたという理由がはっきりしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/75
-
076・加藤悌次
○加藤政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、石灰石等を新しく鉱業法の鉱物に追加規定する場合に、いろいろ実情の調査をやってみたわけでございますが、確かに実際問題としては、先生の仰せのように、たまたま持っておった石が金の鉱物であったということも考えられるかもしれませんが、まあこういった場合が非常に多い石灰石、ドロマイト、耐火粘土につきましては、たとえば石垣の石に使うとか、あるいは壁土に使うとか、そういう事例が多いものでございますので、特にこの三つにつきまして、追加のときにこういう規定を入れた、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/76
-
077・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、石灰石、ドロマイト、耐火粘土というのを鉱業法でいう適用鉱物にしていなかった。ですからその慣習がずっと残っていたわけです。しかし、これは法律が改正になってからかなりたつのですから、こういうものはいわば経過措置的な条項ですよ。では銅鉱と石灰石と一体どう違うのだと言ったって、それもその分析なんかをして、それから鉱物を選鉱するというその過程を踏まない用途に使うというわけですから、私はこういった規定を残す必要はないんじゃないかと思う。というのは、適用鉱物に入れてからかなりたちますからね。それは経過措置としては、知らなかったのをそれまで罰せられたら気の毒だということはありますが、特にここでそういう意味においてする必要はないんじゃないか、こういうように思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/77
-
078・加藤悌次
○加藤政府委員 いま申し上げましたように、追加する場合に、いままでにある、たとえば金属鉱物なんかと違いまして、非常に地表にあり、しかも普遍的に方々にあるというふうなこれらの鉱物の性格からいたしまして、先生御指摘のその他の金属鉱物とはだいぶ性格が違うのではなかろうか。一般の善良な市井の一般人が、たとえば石垣用あるいは壁土用にこういうものを採取した場合に、こういう普遍的にあるものについて全部鉱業権の適用をいたしまして、鉱業権がなければそういうことはやっちゃいかぬということになりますと、非常に善良な市井の一般人を変なかっこうで法律の刑罰の適用と申しますか、そういうことに追い込むことに相なるのじゃなかろうかということで、一応限界をどこで引くか、鉱物の範囲をどこで区切るかということについて、あるいは問題があるかもしれませんが、いま申し上げましたような普遍性と、しかも大体において地表鉱物であるという面から、この規定が入っておるというふうに私ども考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/78
-
079・多賀谷真稔
○多賀谷委員 従来の権利を擁護する、あるいはまたいわゆる善良な市民をむやみに刑罰におとしいれる、あるいは法違反をさすというようなことのないような配慮というものなら理解できるわけです。そこまで配慮をされるなら、まだまだこの法律は配慮をすべき点が非常に多いのではないかと思うのですが、以下聞いていきたいと思います。
そこで、次に鉱業権ですが、鉱業権を物件とみなしておるのですが、この鉱業権というのは物権に基づく妨害排除の請求権の権利があるかどうか。ことに土地の所有権者との権利の競合においてはどういうように考えるか。これをお聞かせ願いたい。
〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/79
-
080・加藤悌次
○加藤政府委員 現行法第十二条、改正法も同じ条文でございますが、先生御指摘のように、「鉱業権は、物権とみなし、この法律に別段の定がある場合を除く外、不動産に関する規定を準用する。」というふうに規定をいたしておりまして、この解釈は当然妨害排除の請求権があるという解釈で、従前はまいっておるわけでございますが、そういった法律の解釈適用の問題について、現実の場合に遭遇いたしますと、いろいろ問題がございまして、たとえば土地所有権に基づく妨害排除の請求なんかに比べて、いろいろ弱い点もあったんじゃなかろうかという気がいたすわけでございまして、そういった面も考慮いたしまして、今度の改正法では、ただいま先生の御指摘の地上の諸権益との関係において、はっきりと明文で、たとえば特殊施設の設置の停止、あるいは変更の請求というかっこうでこれを法律の上ではっきり認めた、こういうように私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/80
-
081・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、土地所有権と鉱業権との権利関係を総合的にどういうように考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/81
-
082・加藤悌次
○加藤政府委員 土地所有権と鉱業権との関係は、実際の権利の行使の面からもいろいろ衝突を来たす場合が多いということは、先生御承知のとおりでございます。特に最近追加されております地表鉱物についきましては、権利行使がまさに正面から衝突するというふうな場合も多々あるわけでございますが、法律的な解釈といたしましては、全然別個の権利である。したがいまして、土地所有権者といえども、自分の土地の中にある鉱業法の指定鉱物は自由に掘さくし取得することができない、こういう解釈になっておるわけでございます。それで問題は、やはり場合を分けていろいろ考えなければいかぬというふうに考えるわけでございますが、地表の使用がいろいろ鉱業を実施する場合に起こるわけでございます。この地表の使用につきましては、全面的に土地所有者の、一般的な本来の土地所有権の範囲に属する権利の利用の形態でございまして、いかなる場合も鉱業権者は、地表を利用する場合には、土地所有者との契約に基づいて、その承諾のもとに行なう必要があるというふうに考えておるわけでございます。それから地下の使用の場合でございますが、これも場合が二つあるというふうに考えるわけでございまして、たとえば土地の一般的な利用形態、主として地表に近いところを地上とともに利用する、これは普通の居住用にあるいは工作用に使うという場合でございますが、この地表に関する限りは、土地所有者が絶対的な権限を持っておる。それでさらに単なる地表の利用の場合でございましても、通常の土地の利用の範囲を越えるような、たとえば大きなダムをつくるとかあるいはトンネルを掘るとか、こういった一般の土地の利用の範囲を越えるような場合に、この鉱業権との衝突の問題が起こるわけでございますが、これは民法にいわゆる相隣者関係の規定があるのと同じように、現行の鉱業法におきましても、ある程度の規定があるわけでございますが、いままでに土地所有権等に基づく権益との競合の問題、一番問題の多いのはこういった場合でございますので、いままでの現行法には必ずしも十分な規定がなかったということでもございますので、そういった面からの新しい規定を整備したというのが、今度の改正法の一つの眼目であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/82
-
083・多賀谷真稔
○多賀谷委員 英国のように、本来土地所有権者が、その所有権の及ぶ範囲は地上、地下無限に及ぶ、すなわち鉱物も土地所有権者が所有するという最初の英米法のいき方、それから後にそういうような情勢から鉱業権だけ別に法律をつくって、それを統一しようという動きに変わった、こういういき方と、日本のように大陸法として初めから土地所有権とは別個に鉱業権を認めたいき方、二つあるのです。そこで、土地所有権について大体対等の権利があるのかどうか。少なくとも地上にはないのですね。けれども地下については対等の権利があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/83
-
084・加藤悌次
○加藤政府委員 土地所有権の効果といたしましては、先生御指摘のように、日本の民法の規定によりましても効果は地上、地下に及ぶわけでございますが、これはやはり一応考えられる土地所有権の一般的な利用の範囲内でいうことではなかろうか。原則的には地下にも及ぶわけでございますが、一応そういった限界もあるというふうに私たち存じておるわけでございます。ただ問題は、その土地に鉱業権が設定されまして、地下のそういった鉱物を掘採するというときには、当然掘採に伴う地下の使用があるわけでございまして、そういった面から、いま御指摘のような疑問が出てくるわけでございますが、土地の普通の利用の形態としては、大体鉱業権の地下の掘採と競合するというふうな場合はあまりないというふうに考えられます。たとえば深い井戸を掘るとか、あるいは大きな貯水池をつくるとか、そういう特定の場合に限られるのではなかろうかというふうに考えられるわけでございまして、そういった場合に、いま御指摘のような土地所有権との競合の問題がございますので、今度の改正法では、この間の法律関係を法文上はっきりさせよう、こういった趣旨から特別の規定を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/84
-
085・多賀谷真稔
○多賀谷委員 土地所有権というのは土地使用に関する全面的な支配権ですね。それから鉱業権というのは鉱物掘採のための権利ですね。ですから、土地所有権というものは包括的な権利を持っておる、こう理解をしなければいけない。ただ地下においても対等であるということを言われますと、あとからあなた方が地上権との権利の衝突の調整をいろいろやると言われても、なかなか理論としてむずかしい点が出てくる。抽象的にお話しになっても、また具体的な問題でいろいろ問題が——まあそれは具体的な例であとから聞きたいと思いますが、たとえば差しとめ命令、停止命令の場合にも、停止命令の場合には、物権としての防雪排除の請求権ができるならば、鉱業権があれば全部できそうなものですね。ところが、あなたの法律ではそういうふうに書いていない。鉱業権者が着手した後とか事業が始まった後において、こう言う。権利を持っておれば、当然権利から発生する妨害排除の請求権であるならば、権利さえ持っておれば全部できるはずです。それが制限を受けておる。これはなぜ制限を受けておるか、こういう点が、今後土地所有権との権利関係において非常に大きな問題になってくると思います。これらは、あとから逐次聞いていきたいと思います。この点は後の問題として一括して質問をいたしたい、かように考える次第であります。
次に、適用鉱物の追加をされる基準ですね。あなたのほうは次から次へと鉱物を追加されていますが、一体どういう基準で鉱物の追加をされるのか。これをお示し願いたい。法律が新しく出るたびに追加を少しずつされるのですが、それはどういう基準でされるか。基準をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/85
-
086・加藤悌次
○加藤政府委員 いろいろ鉱業法の適用鉱物以外にも、鉱業法でいう鉱物を現実に掘採しょうとしている事業はあるわけでございます。ただそういった事業の規模の状況なり、あるいはそれを生産する産業の国民経済における地位等からかんがみまして、相当事業規模が拡大する、将来もこの事業を保護していく必要がある、また国民経済全体の発展のためにもそれを法的な保護のもとにおきまして育成する必要がある、こういった場合に鉱業法の鉱物ということで指定していく、こういった基本的な考え方でいままでやってまいっております。特に地表鉱物の場合でも、そういった大規模になる場合には、やはり鉱業の一般工業と違う特殊性がございまして、災害防止あるいは鉱害防止という面から、鉱業法なり鉱山保安法の適用を必要とする場合が多々あるわけでございます。そういう面も考え合わせながら追加を考えてまいったし、今後もそういうことであろうというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/86
-
087・多賀谷真稔
○多賀谷委員 権利関係をもう一つ聞いておきたいと思いますが、この試掘権の譲渡というのは従来からもあるのですか。一体試掘権を譲渡するということが必要であるかどうか。採掘権の譲渡というのはわかるわけですが、あなたのほうは鉱業権一本で書いておられますから、試掘権も採掘権もその点は何も区別されてない。ただし抵当権は別ですけれども、相続その他の一般承継、譲渡、滞納処分及び強制執行の目的となるほか、権利の目的になることはできない、こう言って四つを列挙してあるのです。そこで譲渡ということが試掘権の場合必要であるかどうかということです。ことにあなたのほうは、試掘権についてこのたび明確に定義づけられておる。従来試掘権については鉱業法上定義はなかったわけです。今度は明確に定義をされておる。その定義をされておる試掘権の譲渡というのが必要であるかどうか、これをお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/87
-
088・加藤悌次
○加藤政府委員 試掘権と申しますのは、いわゆる本格的に採掘行為を行ないます前の段階でして、採掘に値するかどうかということをためすための権利であるわけでございまして、先生の御指摘のように、これについて広く譲渡を入れる必要もないのではないかということも当然あるわけでございますが、ただ現行の鉱業法はもちろんでございますが、従前からの鉱業法の一つの原則として、いわゆる先願主義という原則で貫いておるわけでございます。そういう先願主義の原則のもとにおいてこの試掘権の設定を許可した場合に、その人が必ずしも試掘行為そのものをやるに適格でない人もいるかもしれません。この先願主義というのは、一方において鉱物発見者をできるだけ保護して鉱物の開発を促進するという趣旨から認めておるわけでございますが、そういった、いままでの一つの原則の適用によりまして、場合によってはほんとうの適格者に試掘をさせるということが必要であるわけでございまして、鉱業法ではやはりそういった面から一つの財産権というふうに考えまして移転を認めておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/88
-
089・多賀谷真稔
○多賀谷委員 事業を営む意思のない者が試掘権だけ取ってそれを譲渡する、こういう事態は相当起こるですね。ですから、その場合はどういうようにお考えですか。そのことが予想されるでしょう。いままでもあったし、また今後もある。いままであなたのほうは、試掘権ということばは鉱業法に載っておりましたけれども、試掘権の定義というものを何ら書いておられなかった。今度わざわざ試掘権というものを明記して、今後いろいろな面において試掘権と採掘権が権利関係が変わっておる。変わっておるならば、初めから鉱業を営む気持ちのない者が権利だけ取ってそれを譲渡する、これでいいかどうか。ことに先願主義については、石炭と亜炭だけでありますが、能力主義という問題が出てきた。こういう際にこの譲渡という条文は検討をする要があるのではないか。これはどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/89
-
090・加藤悌次
○加藤政府委員 いままでの鉱業法の運用、あるいは今後においてもそういう場合があるかと存じますが、やはり先願主義の原則は変わらないわけであります、今度の改正で多少の修正は行ないますけれども。これはそれだけではございませんが、一つにはやはり鉱物発見者あるいは探鉱意欲のある者にできるだけ試掘の機会を与えるということでありまして、先ほども申しましたように、いままでもずいぶん例があったと思いますが、鉱物発見者保護という意味で試掘権を認めておったわけであります。それが、もともとやる意思がないのに、いろいろ弊害が起こりはせぬかという御指摘であるかと思いますが、試掘権が現行鉱業法でも形式的には一本の規定のしかたになっておりますが、あくまでも本格的な鉱業をやる前の準備的な段階の権利ということでございまして、権利の期間というものがあるわけでございます。この期間が過ぎれば当然に消滅するわけでございますが、御承知の延長の規定もあるわけでございますから、この延長を認めるか認めないかという場合に、そこでいままで本格的な試掘というものをまじめにやってきたかどうかということを審査いたしまして、これをほんとうに延長する必要のある場合にだけ期間の延長をする、こういうたてまえで十九条に規定があるわけでございます。いまの弊害は、そういった面で防止するという考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/90
-
091・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今度は存続期間というものがかなり長くなったわけですね。二年であったのが三年、それからたしか天然ガス、石油は五年ですか、そういうようになっておるわけなんですね。ですから、この問題はかなりあるだろうと思うんですが、しかし鉱物発見が主である、そういう弊害があってもやむを得ないのだ、こうおっしゃるなら、私もその政策を全然否定するものじゃありませんから了承いたしますが、これはやはり問題が起こりはしないか、こういうふうに思います。
時間も来ましたから、一応次の質問は次会に行ないたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/91
-
092・小川平二
○小川(平)委員長代理 午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時三十四分休憩
————◇—————
午後一時五十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/92
-
093・二階堂進
○二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
中小企業に関する件について調査を進めます。
本日は企業倒産に関する問題についての参考人として、角田鉄工所社長角田五郎君、中央ダイキャスト工業株式会社社長田野市之丞君、東京発動機労働組合連合会中央執行委員長前島正男君、東京発動機無担保債権者協議会事務局長田代隆光君、以上四名が出席されております。
参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがたく存じます。
会議を進める順序といたしまして、最初に各参考人の方々にそれぞれの立場から、大体十分程度の御意見をお述べいただき、次に委員から質疑がありますので、それに対しましても忌憚なくお答えを願いたいと存じます。
なお、発言の際は必ず委員長の許可を得てから発言をしてくださるようにお願いをいたします。また参考人の方が委員に質疑することはできないことになっておりますので、御了承をお願い申し上げます。
それでは、まず前島正男君から意見を承ることにいたします。前島参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/93
-
094・前島正男
○前島参考人 それでは十分ということでございますので、多くは語れないわけでございますが、われわれ東発労働組合といたしましては、二月二十四日の日に突然会社側から更生法を申請され、それ以降われわれに対して休業を宣告し、三月六日の日に八百数十名の首切りを出された、この事実につきまして、労働者の生活権の問題であるということから、それ以前において会社側の何らわれわれに対する説明のない事実と、あまりにも手ぎわのよいやり方に対して、これは突発的に起きた問題ではなくて、計画的であるということを言わざるを得ない。しかもそれ以降において、労働組合のみならず、無担保債権者に対する配慮も何ら行なわれていないという点から考えて、われわれとしては、富士電機を中心とする大口担保債権者の利益を守るのみに会社更生法が申請され、かつかような方向で次々と手を打たれておるということを具体的な事実をもって申し上げたいわけなんです。
この事実につきましては、一月の段階において、会社側は、富士電機の出向社員を中心として銀座において検討がなされ、金成会長が二月十日に辞任をし、二十二日に登記を行なっている。二十三日は日曜日、二十四日の日には会社更生法申請、即休業、非常に手並みのいいスピーディなやり方でやられておるということがまず言えるのではないかと思うのです。
東発は、いまさら申し上げるまでもなく、現在資本金五億、オートバイを中心としまして、ポンプ、船外機、汎用エンジン、その他のエンジン・メーカーとして過去四十数年の歴史を持っておるわけです。それがこの三年間の富士電機の系列に入った中で、七十億という膨大な負債を持って、二十四日に会社更生法を申請してきているという事実を考えてみた場合に、ただ単にこれは従業員の生命の問題ばかりでなく、中小下請業者、またその従業員を含めた一万数千名の社会問題であり、なおかつ、これと関連する商店その他のことを考えますと、多大なる社会的な問題であるといわざるを得ないわけです。かような意味から、われわれとしては、社会的な、道義的な責任においても富士電機が糾弾されなければならないのではないかということを意見として申し上げたいと思います。
それから富士電機と東発の資金関係のことについて若干触れたいと思いますが、東発が富士電機の系列に入る前は、富士銀行がメイン・バンクとしてのつながりを持ってやっておった。当然そういう関係がなければ企業として存立しないわけなんですが、富士電機が入る直前において、富士銀行としての再建計画というものが、富士電機の一方的な株の買い占めによってその主導権を奪われ、名目的なメイン・バンクとしかならず、以降資金調達については富士電機が一切これを行なってきている、いわゆる富士電機オンリーの資金調達で三年間行なわれてきた。しかもこの融資された二十四億という金は、一度にされたわけではなくて、ちびりちびり出されたために、設備投資に回るようなわけにはいかず、そのときそのときにどこかに消えてしまい、結局会社再建についての資金としての活用が十分になされてなかった。われわれとしてはこの金がいわゆる富士電機のメイン・バンクから出されたのか、あるいは富士電機の事業資金から出されたのかという点についても、これは富士電機の幹部に聞かなければわからないことではございますが、かような点で、富士電機が入ってきて三年間に主要な会社再建に対する努力がなされたということは、何らわれわれとして従業員の立場に立っても見受けられない。しかも出向社員は労務担当がかなり多く、ほとんどが労務対策に置かれ、東発の一番の欠陥である販売政策に対する補強には何らその重役陣の中では入っておらない。これは、言うなれば、三年前系列に入る時点においての東発に、電装品の市場として、富士電機が、他社が入り込むのを阻止するためにみずから入られたとしかわれわれには考えられない。しかもその労務政策たるや、施設管理権、人事権、経営権という大なたを振って、いままでのあらゆる労働者の権利を奪い取り、切り下げる。職場は暗くなり、職制はふやされる、こういうことで、日々に職場の中は暗くなる。これでは再建の意欲が出ないということは、われわれ再三にわたる種々の交渉の中でも反映しておったのでございますが、そういう点の組合の意見は一切いれられあるわけでございます。しかもこの二十四日の時点、二十日から二十三日の時点で千八百台という多大なオートバイが富士電機系列の各会社に搬出されているということはすでに新聞雑誌等にも出ており、各支店においては倉荷証券を富士電機の関係会社に裏書きしておる、あるいは不動産の担保の名義書きかえを一月中旬から二月二十日までに急いでやれということを各係に命令をしている。この二十日という期限の切り方が、われわれとしては結果から見て非常に納得できないということも申し上げられるのじゃないかと思います。われわれとしては、これに加えて、会社再建としての努力の点で、三月の六日の時点で経営者がお手上げをして裁判所に更生を申請しておきながら、まだ再建計画が組合と何ら話し合われない段階において八百十七名の八〇%に近い首切りを出してきているということは、少なくともこの会社再建に際して労働者の協力を得て行なわなければならないという観点に立つならば、われわれとしては非常に疑惑を持たざるを得ない。
かようなもろもろの実態を考えてみますと、ほんとうに富士電機あるいは東発の経営者は、この多大な社会的な影響、悲惨な状態をつくり出しておきながら、ほんとうに再建する意思があるのかないのかということが、率直な意味でわれわれとしては疑問に思わざるを得ないし、またこういう行為については当然社会的にも糾弾されるべきじゃないか、かように考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/94
-
095・二階堂進
○二階堂委員長 次に、角田五郎君より意見を承ることにいたします。角田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/95
-
096・角田五郎
○角田参考人 株式会社角田鉄工社長角田五郎でございます。
本日は、東京発動機対われわれ無担保債権者のためにかくもとうとい時間を分かち与えて参考人としての発言を許されましたことを、ここにお集まりの皆さんに厚くお礼を申し上げます。
ただいま東発の労働組合の方から経過報告をそれぞれの立場でお聞き取りのことと思いますが、私どもは東京発動機を親会社として、これにあらゆる部品、製品、そういったものを納めておった千何百名かの下請工場でございますが、突然として会社倒産ということで、これもどう考えてもふしぎでならない。二十四日に突然として通知を受けまして、なおさらに二十五日、二十六日に説明が社長からありましたけれども、なぜこういうことになったのだろう、いろいろ詰問して、その後北区公会堂において一般債権者が集められ、さらに経過報告、会社更生法の手続に至ったことをとうとうと東発の重役並びに社長から言い渡されたのでございますが、何をしても、大ぜいの従業員、その妻子、これをめいめいが養うといっては語弊がありますが、相助け合いつつつくった製品の、約半年間にわたって納めた品物の金額相当の手形が一方的に不渡りになった。これは、われわれとして今後どう処置したらいいか、ただ千何名の方は右往左往する限界に立ってしまいました。まず金成会長をつるし上げよ、あるいは談判、抗議しようと、激高のあまり収拾しがたくなりましたので、何とかして債権者だけでも意見を一応調整して——いたずらに、きのうまでは親会社でありがとうございましたと言っていたものが、豹変して社長、会長にまで危害を及ぼす段階に至ってしまった。これはわれわれも大いに自省をして、下請同士、無担保債権者が大いに話し合って、今後どう処置していったらいいのだろうかというこの集まりが六日、さらに三月十日に初めて千代田公会堂において無担保債権者の第一回の集会を開いたわけでございます。そして、いずれにしても東京発動機の社長は富士電機から出向されておるところの平島社長であり、全部が富士電機から来た出向社員によって、しかも富士電機がバックだからだいじょうぶなのだ、そういう豪語のもとに下請を安心させ納品させておきながら、ひそかに製品をいずれかに持ち去ってしまった。われわれの受け取った手形は空手形におちいってしまった。これではどうにも困る。まずもって、話が前後しますが、二十九日の不渡りが出る前に、なぜわれわれに相談してくれないのか、きょう二十九日の手形はどうせ銀行から買い戻しを請求されるのだから、われわれ債権者の持っている手形を一応持ち寄ってでも多少落としてもらえないだろうか、再三再四要請したのでありますが、富士電機社長いわく、もうすでにいわば弦を放たれたもので、皆さん方債権者にはこれ以上迷惑をかけたくないために、会社更生法を申請したのだ、こういうようなわれわれにはとんとはっきり意味がつかめませんでしたが、その後何回も会合に会合を重ねまして、われわれの一般債権を何とか確保していただきたいと言ったところ、富士電機社長いわく、われわれのほうとしても大きな債権者の一人である、富士電機は有担保、無担保合わせると、皆さま方が全部集まった金額よりもはるかに多いところの債権者であるが、どうにもならなくなったので、それで会社更生法によって皆さんの債権を何とか確保するために努力したんだと言われた。なるほど話はわかったようでございますが、おさまらないのは無担保債権者で、今後どうしていったらいいのか。すでに倒産は続出しまして、連鎖反応で膨大な数の人がそのために路頭に迷いつつございます。ここで初めて、相手は富士電機、東京発動機ではあるが、一般大衆に国会を通してわれわれは陳情しなければならぬ、それにはまずもってどうしたらいいのか、いろいろ案を持ち寄りました結果、約三百数部の陳情書をつくりまして、東京発動機株式会社倒産に伴う関連中小企業者に対する緊急救済措置要請に関する陳情書、これを各所にお配りしました。その意を了とせられましてか、去る四月一日に第一回の商工委員会、社会党の代議士の先生等にお願いしまして開いていただいたようなわけでございまして、きょうさらに第二回委員会で参考人の意見を申し述べる機会を得ましたことは、非常に皆さん方に厚くお礼申し上げますと同時に、なお私としてどうしたらいいのかと申しますと、まずもって会社更生法なるものは非常にいい、りっぱな法律かもわかりませんが、その法律の陰にこの上もない犠牲に耐えて、あした倒れていく人ができていいのか悪いのか、これを先生方を通じて国会で取り上げてもらいたい。何としても、われわれはもう二十九日から、中には東発の不渡りが出た二、三日置いてすでに倒産して、いまは債務者の立場になって債権者に追い回されておる方がございます。中には子供さんがやっと大学は受かったけれども、その入学金の二十万円の金が、毎日のように債権者からあべこべの立場になって追い回されていて、せっかくかちえた狭き門の大学も中断せざるを得なくなってしまった、こういう方も大ぜいございます。これを一々数えあげますれば枚挙にいとまもございませんが、これはまことにわれわれとしても大いに責任はあると思います。そんなおかしな会社に何を好きこのんで納入していたかと言われるかもしれない。しかし社会情勢はそう簡単にはいきません。いま言った労働者の方も、つぶれるような会社だったらば、なぜそんな会社にいつまでものんべんだらりとついていたのか、こういう言もいわれると思います。私どももなぜそんな会社にいつがいつまでも品物を納品していたのか、これは大いに私ども下請、無担保債権者としても責任はあると思いますので、実はそのことを富士電機社長または重役、東京発動機の重役さん方には、何かこの会社更生法を申請する前に、縁あって品物を買っていただき、また長いこと金も支払っていただいた間柄で、一方的な計画によって更生法に持ち込んでしまった、実に情けないじゃないか、われわれも東京発動機再建のためには万難を排しておつき合いしたい、しかしわれわれにこういった寝耳に水のような処置をとったのでは、私どもとしては何とも腹の虫がおさまらない、おさまらないといっても手も足も出すことはできない、万一東京発動機が再建されるならば、私どもも債権の一部を多少割引して肩の荷を軽くして発足できるようにしたらば、一番再建の道に早いのじゃないでしょうか、そのためには、富士電機の社長金成さん、あなたも縁があって会長までなっていたのだから、東京発動機に関する債権は思い切って割引して、債権を少なくしてやる方法はありませんでしょうか、こういう点で何回も面会を要請しましたけれども、なかなか遅々としてこの交渉が進みません。それで現在に至っておりますが、一方私どもは社会党の代議士先生のお骨折りによりまして、なお自民党の先生にも要請しておりますが、何とかこの問題は、事東京発動機対債権者だけではなくて、今後こういった倒産がどのくらいあとに続くかわかりませんので、ぜひともゆゆしき国家問題として検討していただいて、こういった事故の起こらないような善後策ができ得れば、私どもも救われると同時に、今後の中小企業者がいかに助かるか、また社会が明るくなるか、こういうことを私は最後に申し上げて、私の発言を終わりにいたしたいと思います。
大体かいつまんで申しますと、第二のこういったあれがないようにゆっくりと御審議いただいて、せっかくですから、今後中小企業者の第二の東発の事件の起こらないような処置をひとつお願いしたいと同時に、差し迫った問題を救う道を何らか考慮していただきたい。私どもも率直に申しますと、なおさらに緊急融資といっても、いままではほとんどが政府の税金もまんべんなく払っておりますが、こんなときにこそ何らか資金を、いただくのじゃなくて更生資金として国家の資金をお貸し願いたい、こういう言を大にして私の発言を一応打ち切らしていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/96
-
097・二階堂進
○二階堂委員長 次に、田野市之丞君から意見を承ることにいたします。田野参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/97
-
098・田野市之丞
○田野参考人 中央ダイキャストの代表取締役田野市之丞でございます。
現在は、私もこの二日間で社長の席を去らなければなりません。それはただいま二人の参考人の方の申されたとおり、私も先の見通しがなく、ただ仕事という面一方で東発の仕事をやっておったために、またふだんの計画の悪いために、貯蓄もなく、ただむしょうに東発の仕事を、独立以来十五年間やってまいりました。そうして自分の持っている財産を、わずかのものでございますがそれも全部投げ出して、また株の六〇%も譲りまして、そうして私どもの債権者に迷惑をかけないように、ただ自分だけその不明のいたすところを責任を持って負うつもりで、ある会社に全部委任いたしました。ところが幸いにも私は、また私どもの会社を再建するために常務取締役といたしまして、この借金を長い間に返すように、そうしてみなに迷惑をかけないようにするんだぞと言って、いまやっとどうやら歩みかかったところの会社でございます。こういうことを皆さんに泣き言を申すのじゃございませんが、私の感じたところで申しますならば、去年の六月以降十二月あるいは一月までいままでにないたくさんな注文をくれておいて、そうして一月に入って、岡谷工場の工場長並びに資材の係は、いまの注文は四月までいっておるけれども、その注文書は先の注文の日であるけれども、もっとどんどん入れてもいいのだからどんどん入れなさいよと言ってけつをはたかれ、また去年の十二月には、東京発動機のオートバイがあまり売れないから、下請の工場の皆さんよ、何台でもいいから買ってくれと言われた。それならば私のほうも売り掛け金があるのだからその代金として下さいと言ったところが、そのときに、「オートバイの五台分の代金は二十六万五千円払いましょう。その期日は六月の二十五日。このオートバイは私の関係の姉妹会社の東昌自動車会社から買ってくれ。あなたのところには東発の手形を支払いましょう。しかしこちらには中央さんの支払い手形を払ってくれ。」しかし、こちらの東発から払う手形は六月の二十五日。私のほうから払うのは四月の二十五日。「それでは東発さんからもらった手形をそちらへ払えばいいじゃないか。」「いや、それは、銀行に、東発の手形を下請、東昌に出すと融通手形になるの、だから、それはまずい。」それでも私はまだまだ富士電がついておるからそんなことはないだろうと思って、まだまだ親工場に何とか立ち至ってもらおうとしてその手形を払いました。ところが、二月の二十九日は不渡り。といって私のほうの四月の二十五日の手形は落とさなくちゃならない。そういうような、去年からもうまことに計画倒産の準備をしておったわけです。また二月の五日には会長は会長の辞任届けをする。そうして二十日にはそれが発令されている。また、新聞には、富士電機のほうの工場がたいへんだから会長を辞任するのだと言っている。どっちが大事なんだ。東京発動機のほうが大事にもかかわらず逃げているじゃないか。新聞では、片方が忙しい。自分のほうが忙しい。あすにもつぶれるという計画を立てておきながら、逃げておる。そうして二十二日には二千四百万の手形が落ちるのだ。しかしそれを落とさなければ二十四日の会社更生法の手続ができない。そのために無理して二十二日の手形を落としておいて、そうして、徹夜か何か知らぬ、弁護士の言うのには、徹夜でやったという。そして会社更生法の手続を出しておきながら、二十二日にはすでにオートバイをトラックでどんどん運び出している。私はそれをキャッチして、二十四日の朝早く、とにかく東発がつぶれてしまえば私もつぶれるのだ。しかし、相手がつぶれたからといっても、自分の従業員なり自分の仕入れ先に迷惑をかけることはできない。よし、とにかく私のところの車を全部朝早く出して、とにかく従業員に給料を払おうじゃないか。それには向こうの、相手の切り粉でもよい、何でもいいから、ともかくおまえたちのために取ってきたという、どろぼうでもいい、私が一人罪を着ればよいのだということで、私は四台の車を出して、そうして全部ピケを張ってある中をオートバイを五台持って帰ってまいりました。しかし、そのオートバイなりを売ってでも工賃を払おうとわれわれは努力しておるにもかかわらず、先ほど参考人の申したとおり、われわれの面会も言を左右にして引き延ばし、またその答弁たるや、まるで雲をつかむような、もう会社更生法に出ておるのだから、あなたたちがいかに騒いでもだめだよと言わんばかしな方法にいままで出ておったわけです。国会へ陳情しょうが、あなた方何ができるものか、何ができるのだというように、もうすべての点において私たちを法律によって縛りつけておる。私たちもここ十五年間、東発の仕事をしておって、それはまことに親子の関係だと私は思うのです。親子兄弟。そのときに、夫婦だ、夫婦であっても、もう夫婦関係はまずいのだ、兄弟関係がまずくなったのだ、われわれ一家は飯が食えないのだから、その兄弟、夫婦をほっておいて、いわゆる家庭裁判所へ行ってもう夫婦別れをするのだ、そういう出方をする親があるか。これが親子なのか。私たちは全精力を尽くしてやりました。東発の手形があぶないとすれば、いやもう東発は富士電がついておるから絶対だいじょうぶだから待ってくれ、こう言って東発の援助——援助と申しましょうか、陰になりひなたになってやった、そのばかさかげんが、いまありありとわかってまいりました。親子ならば話の場もほしい。実はこれこれこういう状態で食べられないから、下請の皆さんよ、今月の手形の払いができないから、あるいは払った手形が払えないから、半分待ってくれよとか、あるいはこういう方法でやりたいからどうだろうという一つの相談もない。そうしておいて自分の有利な会社更生法のほうに持っていく。それは会社更生法は法律できまったことですから、一つのいい方法と思います。しかしわれわれ無担保債権者に何があるか。だからして、私たちは会社更生法に反対するものでもない。いま会社が半分倒れかかっておるときに、会社更生法は待てないか。少しだけのてこ入れをしていただけば、一歩立つ。立った後ならば、東発が再建したときにおいても喜んで製品を入れましょう。しかし会社更生法が適用されるなら、そこまでもたない。であるからして、われわれ無担保債権者は何とかこの方法を講じていただいて、いかなる方法でもいい、手形の四月の期日が来たならば、それを富士電さんなりに手形を発行していただいて、百五十日過ぎて落としていただき、また、悪ければ切りかえるというような方法ででも持っていってもらわなければ、いかにわれわれが叫んでも、これは向こうの思うつぼだと思う。こまかい一つの例を申し上げることも、質問のときに申し上げたいと思っておりまするが、どうか先生方、この窮状に対して何とか方法を講じていただいて、先ほど角田参考人が申したとおり、きょうまたつぶれ、あしたもつぶれる。麦を食えじゃない、麦を食うそのものさえないのだ。これからいかにてこ入れされても、現在の状態ではもう一つの作業に立っていけません。であるからして、たとえば手形のてこ入れを富士電にしていただくとか、同時に、また、金でなくて——仕事も半減いたしました。だから、通産省、そのほうの関係の先生方にお願いして仕事のあっせんもしていただいて、また新しい仕事を得ても、仕事が違えば機械も違います。しかし、われわれは無謀な設備をするのでなくして、古い機械に入れかえる、その機械を貸していただく金もあっせんしてもらう。とにかく私たちは多くを望みません。ただ、生きていくのだ、その次のチャンスをねらうのだということのお願いでございます。たいへんまとまらないお願いでございますが、どうかその幾つかをくんでいただいて、われわれの生きる道を御援助願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/98
-
099・二階堂進
○二階堂委員長 以上で参考人の方々の意見の陳述は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/99
-
100・二階堂進
○二階堂委員長 次に、参考人並びに政府に対する質疑の通告がありますので、これを順次許可いたします。藤田高敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/100
-
101・藤田高敏
○藤田(高)委員 ただいま参考人から、今回の東発倒産に関連する窮状ないしは現状につきまして詳しく事情を聞いたわけでありますが、これら小口債権者と称する皆さん、あるいは労働者従業員の皆さんの窮状を考えますときに、ほんとうに何とも言えない気持ちになるほどお気の毒でございます。これはすでに商工委員会でも問題になっておりますが、政府としても早急に適切な措置を講じて、これら無担保債権者と称する方々ないしは下請企業が、何とかこの三月危機、四月危機といわれる今日の情勢の中で再建できるような方途を早急に講ずべきであるということを、まず質問に先立ちまして、強く要求をするものでございます。そこで私は、実はあらかたの経緯につきましては、新聞あるいは経済雑誌ないしはきょう参考人としてお見えになっておる方々から聴取いたしました資料等について大綱的なことは知っておるわけでありますが、なお政府に対して質問をし、あるいは関係機関に対していろいろな施策を要望をいたします場合に、若干参考人の方々からお尋ねをしておきたいことがございます。
まず組合の代表に聞きたいわけですが、今回の倒産が富士電機ないしは富士銀行、三井、三菱、協和の四銀行を中心とする、いわば親会社ないしは銀行を中心とした計画倒産であったという点については、きょうの参考人の意見及びその他の事情からも十分聴取することができるわけでありますが、具体的な問題としてお尋ねをいたしたいことは、三十六年に富士電機が東発の株を半分以上買い占めて、そして人事面においても、役員を中心として、いわば富士電機から入ってきて、そして東発を実質的には富士電機の出先機関的な会社として経営のさいはいをふるってきたといっておるわけでありますが、その役員の富士電機から来た社員というのは、東発の社員としての身分をもって経営に参加をしたのか、それとも出向社員として、富士電機の社員として、そういう重要な役員ポストについたのか、その間の経緯を明らかにしてもらいたいのと、どういうポストについてさいはいをふるったのか、そういった内容について聞かしてもらいたい。
また、組合関係はできるだけかためてお尋ねしたいと思いますが、労働者の権利に帰属すべき、いわば労働者組合の債権額としての賃金あるいは退職金ないしは予告手当、こういったものは大綱的に集約をしてどの程度あるのか、お尋ねをしたい。
これに関連をして小口債権者の代表の方にお尋ねをいたしますが、小口債権者の債権者としての債権額はどの程度あるのかをお尋ねしたいと思います。
次に、第三点として、二月の二十四日に会社更生法の適用の申請をして、そして具体的には会社倒産の実態というものを知ったということですが、その直後に労働組合が二十六日に会社と団体交渉をして、この種の企業倒産ないしは企業縮小、あるいはこれからの再建方法等をどうするかという点について、何らかの形の労使間における協定書を取りかわしたというふうに聞いておるわけですが、その協定内容というものはどういうものであったのか。ところが経済雑誌の資料によりますと、協定を結んだあくる日の二十七日に会社は異常な雰囲気の中で協定を結ばされたので、これは会社としては一方的にいわば破棄するのだということを組合に通告してきたと聞いておるわけですが、そういう異常な雰囲気の中でこの二十六日の協定書というものが結ばれたのかどうか。それとも正常な団体交渉の雰囲気の中で協定書が取りかわされたのかどうか。その点を第三点としてお尋ねをいたしたい。
次に、会社は、これはあとで触れますけれども、会社更生法の適用によって会社の再建をはかりたいと言っておるわけですけれども、これは最終的には裁判所が管財人を指名して、どういう方向で再建をするかということは、それは後日の問題になると思うわけでありますが、この会社更生法の適用の申請をした以降において、会社はほんとうに再建の意欲に満ちた再建の努力というものを具体的にやっておるのかどうか。やっておるとすれば具体的にどういうことをやっておるかという点について、組合なりあるいは下請の皆さんなりあるいは小口債権者の立場から見た実情というものを聞かしてもらいたい。
ひとまずこの程度のことをお尋ねして、続いてまた質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/101
-
102・前島正男
○前島参考人 第一点の富士電機の人事面、どういう形で東発に入ってきたか、現在どういうふうになっているかということについてお答えしたいと思います。
東発の会長の金成氏は、御存じのように、富士電機の社長であります。それから現在の社長である平島氏は、本社勤労部の次長であって、その後富士機器という会社の社長をやって東発にきておる。それから現在東発の常務をやっております瀬戸氏は、東発において営業担当をやっておりますが、以前は富士電機の札幌販売店長ということだそうでございます。それから本社の総務全体を担当する取締役の高橋氏は富士電機本社の勤労課長、それから東発の東京工場長である品田氏は以前富士電機の千葉工場次長、それから小菅常務は、東発の会計担当をしておりますが、富士電機本社の収納部長というふうに聞いております。そのほか重役ではございませんが、東京工場に総務部長としておられる水田という方は富士電機本社の勤労課の係長、この方が東発の部長ということで入ってきておる。この方たちは富士電機と縁を切ってきたというのではなくて、富士電機の出向社員として東発に入ってきておる。それで従来からの東発の重役としては曽根技術研究所長と海上工務部長という方二人でございまして、あとはいま申し上げました富士電機の出向社員によって占められておるということが第一点でございます。
第二点の、われわれの債権はどの程度であるかということについての御質問なんですが、現在の三月六日、二十日という形で解雇されておる方たちの債権としては約二億、しかしながら先ほどからわれわれも申し上げましたように、会社側に倒産という意図があるとするならば、その他の人も当然いずれは債権が起きてくるということを考慮しますと、実に四億近い数字になるということが言えるんじゃないかと思います。
次の第三点としましての二十六日の協定書のことでございますが、率直に申し上げまして、先ほども申し上げましたように、組合がこの会社更生法申請についての事実を知ったのは二十二日の夕方から二十三日の時点で、しかもそれもほんとうかどうかということは組合員に自信を持って言えないという状況で、朝の段階まで私たちは率直に申し上げて確信持った発表を組合員にできなかった。ただ、こういうことがあり得るということについて、突然受けたのではまずいから内示として組合員に知らせろということであったわけで、二十六日はその翌々日でございますから、われわれとしてはまず会社更生法とは何たるかも知らない。しかし会社が倒産したんだということもほんとうの実感の上ではまだ不安で、あしたからどうなるのか、会社は休業になっちゃうということでただ不安であったわけです。しかしわれわれとしては、この東発の企業というものには、勤めておる人もいるということから、考えればそれぞれの職場に対する愛着はあるわけです。かような意味から会社更生法の何たるか、今後どうなるのかはわからぬけれども、とにかく会社を再建しなきゃいかぬ。そのためにはわれわれに対する当面の保障がなされなきゃならないんじゃないか。またこの点については先ほども債権者の方も言われたように、なぜ前もってわれわれに対して相談するなりわれわれの保障をしてもらえなかったのかという不満もあったわけなんでございますが、とにかく会社を再建していくためにはわれわれの身分保障、生活保障がなされるべきではないか。こういうことから実はこの協定をわれわれとして労使間で取りかわしたわけです。それで、この中でどのように行なわれたかということにつきましては、少なくともこういうような状態の中で行なわれたわけですから、双方がなごやかに行なえるということ自体がおかしいんじゃないか。しかしながら労使間でいがみ合ったということじゃなくて、ほんとに労使としてこの窮状をどうしたら打開できるかという面で双方とも同じ姿勢に立ってわれわれとしては話し合いをすべき態度で臨んだわけでございます。
そういう中で結ばれました協定書を読み上げますと、
協定書
東京発動機株式会社と東京発動機労働組合連合会は左記の通り協定する。
尚協定事項を約する為に、それぞれ会社、組合は各壱通の協定書を保有する。
記
一、会社は資産、原材料、仕掛品及び製品等の処分を行う場合は組合の同意を得て行なう。
二、会社は、組合及び組合活動の自由を認め、組合が申し出た会社施設の利用を認める。
三、会社は、組合員その他従業員の解雇、配置転換並に、労働条件の変更については、組合と協議決定する。
四、従業員が退職した場合、就業規則、退職手当支給規程に基いて退職金を支給する。
五、会社は、会社再建まで組合が必要と認めた会社の諸設備の使用を認める。
六、右記一項ないし五項の有効期間は会社再建までとする。こういう協定書を締結したわけであります。
それ以前の若干の経過を申し上げますと、社長のほうから修正が出されまして、その席上でノートに修正の条項を書きまして、第一項の処分の組合の同意というものは、組合の提案では承認ということでございましたが、承認という字句はまずいから、これは同意に変えてくれということで、われわれは同意ということを認めたわけでございます。
それから第三項の組合と協議決定するということも、承認ということであったのですが、協議決定というような字句に変えたわけで、この書類は組合にございます。
それで、われわれとしてはこの保障があるならばあしたからでも会社再建部の方もいろいろ困難はあるだろうと思うけれども、ひとつがんばってもらいたいということで、私と社長とほんとうに握手しまして、この苦難を乗り切りましょう、それから工場長とも、ひとつ工場長、がんばりましょうということで、われわれとしてはその日に若干時間がたちましたが、この協定が社長自筆の署名でお互いに成立したというのが協定の内容並びにそのときの状況の説明なわけでございます。
引き続いて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/102
-
103・二階堂進
○二階堂委員長 参考人の方に申し上げますか、時間の都合やら質疑者も多いのでございますから、できるだけ簡単にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/103
-
104・前島正男
○前島参考人 最後に、会社再建の努力でございますが、この点については会社は二十四日に休業を申し出まして、組合としては休業の理由がないということで撤回を申し入れしたわけですが、再び二十七日から現在の時点に至るまで休業ということで操業をしない。お聞きと思いますが、東京工場ではポンプをつくっております。この火災の時期において各特約店、販売店からポンプに対する需要をかなり強く出されてきておるのですが、一向に開こうとしない。これは会社更生法の申請をして企業を存続していく観点から考えてみれば、率直に申し上げて、これは逆のやり方じゃないかというふうに第一点として考えております。
それから、みずから会社更生法の申請をしておきながら、まだ管財人も選ばれていないのに、かってに八百数十名の人間を首切ってくるということは、それ以前の時点で労働争議を起こそう。そういう向こうから起こそうということでは、はたしてこれは会社再建の努力がなされているかどうか。加えてこの二十四日の時点で販売店、特約店に対する何らの説明も対策も行なっていない。これは今後会社を再建していく上において重要な一環である販売店、特約店対策がなされていない点で、われわれとしては会社がその再建の努力をどこにしているかという点では、それを見出すのに苦労するのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/104
-
105・田代隆光
○田代参考人 第一番の、債権額ですけれども、富士電機また古河系統の大口債権ははずしまして、小口債権は大体二十二億円です。
それから債権返済の計画ですが、東発側では更生計画開始決定がされるものとみなされて、返済計画を三月三十日にわれわれ委員の一部の者が聞きましたけれども、その内容と申しますのが、ことしの四月から九月まで、及び十月から三月まで——要するにこの一年間は赤字だ、次の一年はその赤字を取り返す、それで返済は三年目から少しずつできるということを平島社長は言っていましたけれども、同席しました富士電機の宍戸取締役は、これはまるで夢を見ているような数字だ、当てにしないでほしいというようなことは言っていました。われわれもこの条件で更生に協力することはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/105
-
106・藤田高敏
○藤田(高)委員 さらに経過あるいは内容が明らかになったわけですが、話を聞けば聞くほど、非常に悪質な計画倒産であるということが明確になってきたわけです。そこで、時間の関係もありますので、参考人から聞かしていただいた事情あるいは答弁を通じて政府機関の局長あるいは次官、そういった方にお尋ねをしたいのですが、前回の商工委員会でわが党の田中議員が質問をし、主としてこれは会社更生法をめぐる法律問題について質問をされたと記憶するわけですけれども、私は会社更生法の立法の趣旨からいって、こういうふうに親会社と目される、今回の場合でいえば富士電機あるいは銀行筋が、自分の取るべき債権だけはかちっと押えておいて、そうして小口債権者やあるいは下請やあるいは労働者に対しては迷惑のかけっぱなし、こういう背信行為ないしは詐欺行為ともいうべき行為をした上で会社更生法の適用を受けるということは、非常に虫がよ過ぎるんじゃないか、こういう悪徳者に対して会社更生法の適用を受けさすということは、私は法律の立法の趣旨からいって了解かできないと思うわけですが、法務省の民事局長がお見えのようですから、それに対する見解を聞かしてもらいたいと思うわけです。
そのことに付帯して私申し上げたいのは、会社をつぶすことが目的でないわけですから、私は、できるだけ会社も労働者も下請も協力し合って会社を再建することについては賛成であります。しかしながら、会社更生法の適用による再建ということになれば、今回のように経緯が明らかになり、社会的にもこれは大きな問題として、ひとり中小企業の倒産という問題ではなくて、私は社会問題としての性格を持ってきたと思う。こういうものに対しては、いま参考人としてるる述べられました立場の人に対して、私は、やはりかなり八号の債権者に対する債務補償、こういうものがけじめをつけられた形の中で、ないしはそういうものが確約されるという前提の中で、会社更生法の適用というものが考えられてしかるべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、それに対する見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/106
-
107・平賀健太
○平賀政府委員 ただいま私どもも参考人の方から詳細な事情を伺ったのでございますが、この事件はただいま裁判所に係属中でございますので、いま参考人がお話しになったような事情も当然裁判所においては考慮されると思うのでございます。したがいまして、この具体的事件についてどうかということにつきましては、私意見を申し上げることを差し控えたいと思うのでございます。ただ、会社更生法の手続によりましても、裁判所としましては、はたして手続開始の要件が備わっているかどうか調査をいたすわけであります。もし要件が備わっていない、あるいは、具体的に申し上げますと、会社更生法の第三十八条に裁判所が申し立てを棄却すべき場合が掲げてございますが、ここにあるような事情がございますと、申し立てば棄却ということになるわけでございます。そういう次第でございまして、裁判所といたしましては十分調査した上で、この申し立てに対する何ぶんの裁判があることと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/107
-
108・藤田高敏
○藤田(高)委員 私は法律を取り扱っておる役所というのは、案外、失礼な言い方ですけれども、人間的にも冷たい感じの答弁を、私、今度国会に出てきてからもときおり聞くわけでありますが、やはり法律の解釈、運用はこれは人がやるわけですから、私は決して法律専門家である皆さんに対して、違法な行き過ぎたことをやれとまでは申し上げませんが、少なくとも今回のような事態に対しては、法務省は法務省としてのやはり主体的な、自主的な立場から、この会社更生法の適用を今回の東発の倒産問題に対して行なうという場合には、法務省の見解としてはこうだというくらいなものが、これはあってもよろしいではないかと思うんですね。というのは、具体的な事実として、これは裁判所に会社更生法の適用をしてほしいという申請がなされておるわけですから、必要に応じてこれは法務大臣が裁判所に出ていって意見を述べる、こういうことも法律の中に明記されておる以上は、今日の段階においてやはりここまで内容が明らかになれば、法務省としてはこうあるべきではなかろうかという程度の積極的ないしは自主的な見解というものがあっていいんじゃないかと思うのですが、重ねてその点に対しての見解をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/108
-
109・平賀健太
○平賀政府委員 会社更生法におきましては、ただいま仰せのとおり、法務大臣が関係人集会に出席いたしまして意見を述べることになっておるわけでございますが、法務大臣がある具体的な会社更生事件におきまして関係をいたしますのは、最初は更生手続開始決定があってからであります。更生手続開始決定があって初めて法務大臣に通知が参り、それから関係人集会が催されます場合には、その期日の通知があるということで、現在はまだ開始決定がない段階でございますので、正式にはまだ法務大臣としては本件の事件は承知してない段階なのでございます。更生決定がございまして、いよいよ更生計画案が関係人集会に出されるということになりますれば、法務省は法務省の立場から計画案の内容を検討いたしまして、意見を述べるということになるのでございます。そういうわけでございますので、先ほどの仰せ、非常にごもっともでございまして、私どもも個人的にはいろいろ考えさせられる点があり、債権者の方々、従業員の方々の立場には非常に同情いたすのでございますが、ただいま申し上げましたように事件が裁判所にいま係属中でありまして、まだ裁判がない段階におきまして、私どもといたしましてこの事件についてとやかく具体的な意見を述べるということは、差し控えたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/109
-
110・藤田高敏
○藤田(高)委員 先般の商工委員会の審議を見ましても、民事局長の答弁からは、おそらくいま答弁されておる以上にどうも御答弁がないと思いますし、私はこれは後ほど先輩ないしは同僚議員からも質問があろうかと思いますので、この件についてはさらに質問はいたしませんけれども、ただ一つお尋ねをしたいのは、この会社更生法の申請をしたということになれば、いわゆるそれから先の再建の方策ないしはだれが管財人になるかという点については、もちろん裁判所の行為として行なうわけですけれども、いわゆる会社更生法の申請をしたという段階には、実体論として、実質論としてそれまでの会社の社長あるいは会長というものは、これは辞任をしなくとも私は再建案を提示する権限がないと思うわけです。ところが、この会社更生法の申請を二月二十四日にやって、そして三月六日にはその会社は、片や裁判所に会社更生法の申請をしておきながら、片や労働組合に対して再建の方策の主たるものともいうべき解雇通告というものを何百人も出してきておる。こういうやり方は、会社更生法の適用をめぐる問題として違法と断定することはできぬにしても、はなはだしく不当だと思うが、その点についての法律的な見解をお尋ねしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/110
-
111・平賀健太
○平賀政府委員 会社の代表者といいますか、役員の権限というのは、更生手続が開始されまして、管財人が任命されると、管財人に全部移りまして、従来の役員は権限を失うわけでございまして、更生手続の開始決定前におきましては、たとえ申し立て後といえども、役員の権限というものはなくなるわけのものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/111
-
112・藤田高敏
○藤田(高)委員 私は、これで質問を終わろうと思ったんですが、ああいう答弁をされるとまた質問せざるを得なくなるのですが、役員としての資格はなくならないと思うわけです。しかしながら、再建期間中会社を代表するものはだれであるかということになれば、社長ではなくて管財人だと思うのです。やはり管財人がその会社を代表するということにならなければ、いろいろな債権債務の契約は管財人でなければ——半ば準禁治産者的と申しますか、広義の意味におけるそういう状態に立ち至っておる社長は、第三者を相手として契約を結ぶことはできないというふうに私たちは考えるわけです。そういう立場からいけば、私は法律の実体論として、少なくとも二月の二十四日に会社更生法の申請を裁判書い対してやったというこの具体的事実からは、会社としては、その解雇を含む再建案についてどうこうするということは、社長命ないしは会長命で出してくるのではなくて、やはり裁判所だったら裁判所の管財人に一任するというような形になるのが当然ではないかと思うわけです。そういう意味からいって、私はこの実体論として、かかる解雇を含む一種の再建案というものは法律的に見て不当ではないかということでお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/112
-
113・平賀健太
○平賀政府委員 私、申し上げておりますのは、会社更生法の解釈として申し上げておるのでございますが、管財人というのは、裁判所が更生手続開始決定をいたしますと同時に定めるのでございます。それは申し立てと同時に定まるのではないのでございます。したがいまして、開始決定があるまでは、従来の代表取締役はやはり代表取締役としての権限を持っておるわけでございます。ただ財産上の行為につきましては、事柄によりましてあとで管財人に否認されるということはございますけれども、代表取締役の権限はやはりあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/113
-
114・藤田高敏
○藤田(高)委員 それでは、私、角度を変えて他の部局にお尋ねをいたしたいと思いますが、今国会におきましても、商工関係の問題として一番多く論議をされたのは、下請代金に対する支払いの問題が非常にやかましく論議をされたわけです。ところが、今回の問題については、先ほど下請会社の代表の方からもお話がありましたように、お話にならないような手形決済の状態が発生をしておるわけです。私は、この問題は、ひとり会社更生法の適用問題にすべてを移すのではなくて、やはり下請関係全般の問題として、通産、あるいは労働省は労働省の立場として、あるいは基準局は基準局の立場として、協力できるものは協力をしていくこういう努力が必要でないかと思うわけです。
そこで、中小企業庁長官ないしは関係局長ないしは課長にお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほどの参考人の意見の中にもありましたような、あのような下請代金の支払いに対して通産当局はどういうような——下請代金支払い遅延防止法のたてまえからも、親会社ないしは富士電機等に対してどういう行政指導をやってきたか。これはむしろ公取に関係があろうかと思うわけですが、この問題発生以来、これだけ大きな社会問題として起こっております以上、当然私は適切な行政指導というものがあってしかるべきではないかと思うわけですが、それに対して具体的な措置をとられたかどうか、とられたとすればどういう具体的指導をされたかということをお尋ねいたしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/114
-
115・中野正一
○中野政府委員 東京発動機の今回の倒産問題に関連しまして、関係の中小企業者の方々が、下請を中心といたしまして非常な困窮の状態におちいられておりますことにつきましては、われわれもよく承知をいたしております。ただ問題は、先ほど来陳述がありますように非常に複雑なケースでございまして、われわれといたしましても、関係の会社、たとえば富士電機あるいは東京発動機、あるいは下請の関係等につきまして適切な調査もいたしまして、事件発生依頼、通産当局として調べられることは調べまして、また関係者の救済あるいは再建等につきまして、通産当局としてお手伝いできますことがありますればやりたいと思いまして、関係者でいまいろいろ研究を重ねておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/115
-
116・藤田高敏
○藤田(高)委員 たいへん失礼な言い分ですけれども、この東発の倒産問題に関連して、下請企業というものはばたばた、ある意味では倒れていきおるわけですね。こういう既成事実が進行しておる中で、世間のたとえではございませんが、へたな考え休むに似たりということわざがありますけれども、その、研究するとか検討するとか言っておる間に、これはばたばた倒れてしまうと思う。この会社更生法の適用を申請してからでもすでに四十五日という日時が経過しているわけですから、私は適切な行政というものは、タイムリーな施策を必要とすると思うのです。そういう点からいけば、複雑なというけれども、その気になってやろうと思えば、ある意味では単純な内容を持っておると思うのです。そういう点で、私はただいまの企業庁長官の御答弁は、何か役所の、いわゆる役人の一般的な答弁としてしか受け取れないわけです。そういうことではなくて、これはもう今日の段階で——いままでやってきていないといえばしかたがないでしょう。しかし、今日の事態に直面して、それは気長に研究をするとか検討するとかいうことでなくて、少なくとも専門の行政官庁ですから、どういうことをしたら一番この問題の解決に適切かということはわかっておるもてこういう措置を講じていきたいというような方針ないしは具体策を、ひとつぜひ明示してもらいたい。たとえば小口債権者が陳情をしてきておりますように、当面緊急融資として更生資金を出してほしいというような具体的な要求が出ておるわけなんですね。この問題に対して中小企業庁なりあるいは通産当局はどういうことをしようとしておるのか、これはもうあらかたの結論が出ておってもいいんじゃないかと思う。こういう問題に対してどういうふうに処置されようとしておるか、お答えを願いたいと思います。
それと、私の持ち時間の関係もございますので——基準局長ないしは労政局長、来ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/116
-
117・二階堂進
○二階堂委員長 労働省から村上労働基準局長、有馬職業安定局長が見えておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/117
-
118・藤田高敏
○藤田(高)委員 それでは、労働省関係からお見えになっておる方にお尋ねをしたいと思います。
私の調べておる範囲では、東発の従業員に対して——昨年の九月ごろからすでに退職者が出ておった。そうして三月の六日に、先ほど委員長のほうから説明がありましたように、首切り案が出ておるわけです。ところが、三十八年の九月ごろからの退職者に対しても、これは定年及び依願退職者を含めてそうでありますが、退職金が——基準法の二十三条に明記されておるように、労働者の権利に帰属すべき債権は七日以内に支払わなければいかぬと、こうなっておる。ところが現実には、該当する本人の了解なくして退職金が分割になり、あるいは今日遅払い状態が起こっておるというふうに私どもは事情を把握しておるわけですけれども、これは明らかに基準法二十三条の違反だと思うが、こういう実態に対してどういう具体的な適切な処置を基準監督署として講じてきたか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/118
-
119・中野正一
○中野政府委員 東発の無担保債権者協議会からの陳情はわれわれも受けまして、話は十分聞いております。ただここで皆さんが政府の緊急特別融資ということを要望しておられるわけでありますが、われわれとしても、関係の債権者の今後の債権等に対しては、金融面等でできるだけごめんどうを見てあげたいという気持ちでいま考えております。しかし政府の特別な融資というようなことは、これはもう御承知のことと思いますが、簡単にできる問題でもございませんので、これが対策に苦慮しておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/119
-
120・村上茂利
○村上(茂)政府委員 東発の関係につきましては、賃金不払いの問題と退職金の不払いの問題がございますし、かつ、それも今回の更生手続の申請をした以前における退職者の退職金の問題、今後に残るでありましょう退職金支払い、このような問題があるわけでございます。賃金の問題につきましては御承知のように二十四条、それから金品の返還につきましては基準法二十三条の違反の問題が生ずるおそれがあるわけでございます。労働省としましては、労働基準監督署に命じまして、本件につきましてはかねてから注意を払い、特に会社に対しましてはすでに注意を再三促してきたところであります。しかし更生手続の申請をしたというような事態になりまして、将来開始決定ということになりますれば、御承知のような更生債権として一種の凍結状態に置かれますので、その開始決定前におきましてもできるだけこれが賃金、退職金の支払いといった問題につきまして事態が改善されますように、対策をとるよう会社に対して申し入れをいたしました。先ほど申しましたように、行政的にはすでに三月に入りましてから注意をいたしまして、その後さらに、折衝を続けております。御承知のように開始決定がなされますと更生債権として凍結状態になりますので、その以前におきましてできるだけ善処されますように努力しているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/120
-
121・藤田高敏
○藤田(高)委員 先ほど組合の委員長のほうからの意見では、二月の二十六日に協定を結んで会社のいろいろな財産処分あるいは組合員解雇その他の問題については、労使双方で協議決定をするという協定書が取りかわされたというふうに聞いたわけですけれども、協定書を取りかわしたあくる日に、会社は一方的にその協定書の破棄を通告してきておるわけです。これは将来会社更生法の適用を受けるという前提でこの問題を理解する場合に、非常に大切な労使間の条件になると私は思うのです。また昭和三十年の一月二十一日の参議院の労働委員会における会社更生法適用会社における労働問題に関する件という質疑の中でも明らかになっておりますように、この協約問題は非常に大切な条件になると思うわけでありまして、こういう一方的な協定の破棄は効力がないと思うわけですが、労働省としてはどういう見解をお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/121
-
122・青木勇之助
○青木説明員 労働協約につきましては、一般に有効期間の定めのあるものと有効期間の定めのないものがございます。有効期間の定めのあるものにつきましては、有効期間中に一方的にこれを破棄することはできないことに相なっております。なお期限のない協約の場合でございますと、文書による事前通告によりまして、九十日前の予告をもって一方的に解約ができるというふうに法律的に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/122
-
123・藤田高敏
○藤田(高)委員 大体そういうことを私も知っておるわけですが、今回の場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/123
-
124・青木勇之助
○青木説明員 今回は二十六日に協約が締結されまして、翌日会社のほうから破棄手続がなされておるようでありますが、締結後の事情及び会社側の破棄した理由、その他詳細に私ども了知いたしておりませんので、どうこうと具体的にここで申し上げることはできないと思いますが、いずれにいたしましても、協約が有効であるか無効であるか、この破棄通告によって生きたか死んだかというのは、権利義務に関するきわめて重要な問題でございまして、結局は裁判所の判断ということに相なるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/124
-
125・藤田高敏
○藤田(高)委員 何もかも裁判所に持ち込んでしまうのではなしに、会社更生法の適用による範囲についてはどうだということは裁判所でやってもらうにしても、少なくとも労働省だったら、先ほどあなたも出ておって委員長が読み上げたのを聞いておるんですから、労働省は労働省としての労働協約に対する見解、解釈くらいば、いまのような答弁ではなしに、もっとしっかりしてもらわなければ、労働者の一つのサービス機関といわれておる労働省に対する信頼の問題になりますよ。先ほどの話で言えば、少なくとも社長みずから判をついておるわけですから、そうすれば組合長と社長名で、それぞれの団体を代表する者が署名捺印した以上は、この協定は有効だと見なければならぬ。これは常識だと思うのですが、その点についての解釈を念のためにお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/125
-
126・青木勇之助
○青木説明員 一般的な解釈は先ほど申し上げましたとおり、有効に成立した労働協約につきましては、有効期間中は事情変更その他の特段の事情がない限りは一方的破棄はできない。したがいましてそういう特段の事情のない限りは協約ば有効に存続する、こういうふうに先ほど来申し上げておるわけでございます。今回の具体的事案につきましては、その特段の事情があったかどうかという具体的認定の問題でございます。先ほどからずっとここで私お話を伺っておったわけでございますが、それだけでもって判断できる性格のものではない。したがって結局は具体的認定の問題にかかっておりまして、そういう具体的事件について、ここでそれが有効である、あるいは無効であるということは差し控えさせていただきたい、こういうふうに申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/126
-
127・藤田高敏
○藤田(高)委員 これも先ほどの法務省民事局長と同じように、これ以上のことはおそらくここで答弁できないでありましょうし、また、いわば水かけ論的なものになろうと思いますが、いま答弁がありましたとおり、こういう一種の異常な、広義の意味における紛争状態の中で協約というものを取りかわしておるわけですから、これは何事も起こっていない労使関係の状態とは若干趣を異にしておったかもしれませんけれども、これはごく常識的な労働慣行によって、労働常識によって解決する以外にないと思いますので、その点は、一応われわれの見解としては、これはりっぱに有効だという前提に立ちたいと思うわけであります。
ただ最後に、前回の商工委員会等の関連において、これまたわが党の松平議員が福田通産大臣に強く要望したことでありますが、今回の東発の倒産の経緯というものをずっと聞いてまいりますと、これは何といっても富士電機がこの債権問題にどう取り組むかということが中心にならなければいけない。したがってこれは法律上の問題もさることながら、通産省を中心とする富士電機の債権に対しての働きかけといいますか、行政指導をどうやるべきかということが再建への一つのかぎであるということを松平議員が言われたと思うわけです。そこで具体的な措置として、富士電機に対して、これら小口債権者ないしは下請及び労働者、従業員に対する債務補償の問題ですね、この債務補償を富士電機として行なうような政治折衝ないしは行政的な折衝を行なうべきである、この点については大急ぎで努力をしてみよう、こういう御答弁があったというふうに私は理解をしたわけですが、通産省を中心とする政府機関としては、その後富士電機に対して再建のためにどういう政治的な働きかけをやっておるか、この点についてお聞かせを願いたいと思うわ発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/127
-
128・森崎久壽
○森崎政府委員 前回の商工委員会におきまして松平議員から、そういう問題について検討せいというような御発言がございましたが、この問題につきましてはまだ検討中でございまして、現在のところお答えいたしかねます。ただ重工業局といたしましては、その問題とは若干別でございますけれども、こういう事態に対処しまして、まず同業者の方々にお話を申し上げて、少しでも部品その他の下請の仕事を供給することができないかどうか、そういう点につきまして、三月三十日以降数次にわたりまして各同業者に対して働きかけをしまして、御検討をいま願っておるという点を申し上げておきたいと思います。もう一つは労務問題でございますけれども、労働問題において、もししかるべきところに転業の希望者があるならば、それに対しましても十分あたたかい観点から受け入れるようなことについても協力願いたい、こういう二点につきましては十分に同業者に協力方を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/128
-
129・藤田高敏
○藤田(高)委員 最後にお尋ねをいたしたいのですが、この倒産状態を少しでも緩和するように、そして窮状にあえいでおるこれらの関係者の立場を救うための対策、措置というものを早急に講ずべきではないかということに対しては、中野中小企業庁長官は、融資を中心として努力をしたい、先ほどこういう答弁があったわけですが、私はものごとを行なうためにはやはり一つの目標を設定して、たとえば今月の二十日だったら二十日ごろまでを目途として融資面についてはこうやっていこう、あるいはその他の面についてもこうやっていこうという条件が必要になってくると思う。
そういう点からいって、中小企業庁長官にお尋ねしたいわけですが、融資を中心とするいろんな対策を講じていく場合に、大体いつごろを目標にして——もうすでにおそきに失しておるくらいですから、私は即刻やってもらいたいと思うんだけれども、中小企業庁としての、いつごろを目標にして具体的な措置を講じようとしておるか、この目標についてお聞かせ願いたいと思う。いまの御答弁になられた方はどなたさんか知りませんけれども、私の質問したことに対しては何らやっていないということですね。そういう意味に理解してよろしいかどうか。それで問題は、やはり富士電機がどういうような債務補償をやるかということによって、たとえばきょうお見えになっておる関係者も、やりくり算段をして金を借りてでもまた事業をやるという手もあると思うのです。問題はここまでいろいろな債権を——富士電機に全部抵当権を設定するとか、あるいは製品を富士電機の倉庫にみな納めるとか、こういうことをやっておるわけですから、極端にいえば富士電機としては痛いところはないわけです。ですから、少なくともここで行政的にどういう手を打つべきかということになれば、松平議員が言ったように、やはり債務補償についての条件を通産省が中心になって取りつけていく、この努力が生きた中小企業対策ではないかと思う。そういう点について、これまた私の質問をそらした形で、こういうことについてはやりましたということじゃなしに、富士電機に対する債務補償を取りつけるための努力は具体的に、やっていないならやっていない——努力すると大臣が言っているんだから、大臣が言ったことを皆さんが、部下職員といっては失礼かもわからぬが、やらないという点については、私は職務怠慢だと思う。そういう点からいって、一つの目標を設定してそういう努力をやってもらいたいということを強く要望したいわけです。そういう点についてどういう目標のもとに努力をなされるか、その方針を具体的に承りたい。以上をもって私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/129
-
130・中野正一
○中野政府委員 問題は金融の問題でございますので、いつまでにどうするというような目標を立てることはかえって不適切じゃないかというように考えております。実際また、いま要望されておりますようなことに対する回答というのは、私の見通しではこれは非常にむずかしい問題を多く含んでおるというふうに見ておりますために、私は特に慎重な発言をいたしておるここを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/130
-
131・森崎久壽
○森崎政府委員 前回大臣がお答え申し上げましたように、十分検討してみたいというお話でございますので、大出にも十分御意見を伺いまして検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/131
-
132・藤田高敏
○藤田(高)委員 これはたいへんしり切れトンボになった形ですけれども、質問を終わるということを約束しましんから、私は質問いたしません。しかし先輩議員、同僚議員のほうから続いて質問であろうかと思います。
ただ、最後に私はたいへん遺憾の意を表しておきたいと思うのですが、何回も申し上げるように、この種の問題に関連して、通産当局のみならず政府各級機関としては、国民の生活、こういうものに対して、国政の場を通じて、できるだけ犠牲を少なくしていくんだ、そういう熱意のこもった対策を適切に講じてもらいたいということと同時に、やはり答弁につきましても、お互いがあげ足をとるとか追及するという形でなくて、こういう困った事態が起きた場合には、政府機関もわれわれも一体になって、この窮状を救うような姿勢でひとつ答弁をしてもらいたいし、またそういう姿勢で今後取り組んでもらいたいということを強く要望して、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/132
-
133・二階堂進
○二階堂委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/133
-
134・中村重光
○中村(重)委員 質問をする前に委員長にお尋ねしますが、この前の委員会で福田通産大臣が出席せられて、質問が終わらないうちに福田通産大臣は退席された。大蔵大臣、労働大臣あるいは法務大臣、こうした各大臣の出席を要求したのですが、前回も来ていなかった、きょうもまた出席をしておりません。どういう事情でこれらの関係大臣は出席をしなかったのか、その点について事情をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/134
-
135・二階堂進
○二階堂委員長 お尋ねでございますが賀屋法務大臣、田中大蔵大臣及び大橋労働大臣に対しまして、本委員会に午後出席方を要求いたしましたのでありますが、御承知のとおり参議院の本会議に出席を要求されておりますし、なお、参議院、衆議院における各担当の委員会の出席が要請されておりましたので、そういう事情等によって出席されないでおることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/135
-
136・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、福田通産大臣は何時ごろ出席になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/136
-
137・二階堂進
○二階堂委員長 参議院の本会議終了後、石炭対策特別委員会に出席要請があります。大体三時半ないし四時ごろには出席ができるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/137
-
138・中村重光
○中村(重)委員 それでは、できるだけ早く出席するよう委員長から要請をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/138
-
139・二階堂進
○二階堂委員長 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/139
-
140・中村重光
○中村(重)委員 先ほど来参考人の皆さん方に御意見を伺いました。かつ、また、経済雑誌その他によって、東京発動機株式会社倒産の実情を承知いたしておるわけです。全く不可解きわまる東発の会社更生法適用申請で、それによって被害をこうむられた関係の皆さま方に対して深くお見舞いのことばを申し上げたいと思います。
先ほどいろいろ参考人の御意見の中にも出てきたのでありますが、私のほうでも、問題がきわめて深刻である、かつまた重大であるということでいろいろ調査をいたしておるわけであります。念のために、私のほうで調査いたしておりますことについてお尋ねをいたしますが、それによって御承知である限りお答えを願いたいと思います。
富士電機の取締役会で経理担当常務が東発の切り離しを提案した。ところが、そのときが新年早々であったので、新年早々これを断行することは適当ではない、したがって二月に持ち越したほうがいいのではないか、こういうことで、富士電機のほうでは東発切り離しを二月に持ち越した、こういうことが伝えられておるのでありますが、これらの事実について御承知になっていらっしゃるかどうか、参考人の皆さん方には私のほうでどなたと指定をいたしませんので、御承知の方がお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/140
-
141・前島正男
○前島参考人 この具体的なことについてはわれわれとして聞いておりませんけれども、社内の業務の中で、富士電機としてそういうようなことも行なわれるんじゃないかということは、本社関係者においては若干の、確信はないですけれども、危惧として持っておったということはあったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/141
-
142・中村重光
○中村(重)委員 私がいまお尋ねをしたことは「東洋経済」の中にも明らかに書いてあるのであります。それから先ほど参考人の御意見の中にも出てまいりましたが、金成会長が十日に辞任届けを提出をし、二十日に登記を完了いたしておる。これと同時に、二月分の東発に対する手形決済のための融資二億八千万円の打ち切りを行なった。一月までは若干手形決済のための融資をやっておるようでありますけれども、二月にはこれを打ち切った、こういうことが伝えられておるのでありますが、この事実は間違いないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/142
-
143・田代隆光
○田代参考人 それは間違いございません。ただつけ加えておきたいと思いますのは、二月二十二日に約千五百万円の支手決済がありまして、その日に東発側であわてて銀行に千五百万円を振り込みまして、不渡りを何とか防いだ事実があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/143
-
144・中村重光
○中村(重)委員 先ほども参考人の御意見の中にも出てまいったのでありますが、十二月、一月、二月にかけて東発の集中発注が行なわれた、しかも会社更生法適用申請を出す近くまで、日曜等にも出勤をいたしまして納品の督励を積極的に行なったという事実が伝えられておる、このことは間違いないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/144
-
145・田野市之丞
○田野参考人 事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/145
-
146・中村重光
○中村(重)委員 東発の不動産、板橋志村にあるところの厚生施設、これは抵当権が設定をしていなかった、この東発の資産を富士電機に名義の書きかえをやっておる、しかも富士電機のほうから、これは二月十日ごろに名義書きかえをすみやかにやれ、少々違法性があってもよろしい、こういうことで名義書きかえを督励、厳達をしておるという事実が伝えられている、このことは間違いないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/146
-
147・前島正男
○前島参考人 ただいまのことは二月二十日までにやれということで、その他はそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/147
-
148・中村重光
○中村(重)委員 次にお尋ねいたしますが、二月二十二日の日付で富士銀行、協和銀行、三井銀行、三菱銀行へ、これもまた抵当権の設定をしていなかった工場、これをこれらの銀行に共同担保として一億三千百万円を設定しておるという事実が伝えられておるのでありますが、このことは事実であるのかどうか。しかもまた、この抵当権の設定のための準備は十二月ごろにできておったのだけれども、これをやらないでそのままにしておった。ところがこれを二十四日の直前、いわゆる二十二日に至急に設定をしたという事実、このことは間違いないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/148
-
149・田代隆光
○田代参考人 二月二十二日に富士銀行二千万円、協和銀行七千万円、三井銀行二千八百万円、三菱銀行千三百万円、合計一億三千百万円、間違いなく設定をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/149
-
150・中村重光
○中村(重)委員 東発の平島社長、この平島社長が支店長会議に出席して、富士電機との関係は従来どおりである、会社は富士電機が再建をするのだから安心をして経営に当たれ、こういうあいさつを支店長会議で送っておる、こういうことが伝えられておるのでありますが、この点は間違いないのかどうか。これは二十日ごろです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/150
-
151・角田五郎
○角田参考人 そのことは私自体は聞いてはおりませんが、私のほうの副委員長をしている方がとくとそのことは確かめておりますので、間違いないことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/151
-
152・中村重光
○中村(重)委員 二月二十四日に会社更生法の適用申請が行なわれた、この申請と同時に、いわゆる保全命令が行なわれておる、この保全命令は裁判所自体で行なうこともあり得るし、申請によって行なうこともあり得るのですが、これはどちらから行なわれておるのであるか、その点御承知であったらお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/152
-
153・田代隆光
○田代参考人 これは債務者側から申し出をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/153
-
154・中村重光
○中村(重)委員 その保全命令の申請をする際に、二月の二十八日に手形決済をしなければならぬのがある。したがって、二十四日に提出をして、二月二十八日までに保全命令を出してもらいたい、こういうことを裁判所に強く要請をしておるという事実が伝えられております。この問の事情を御承知でしたらお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/154
-
155・田代隆光
○田代参考人 私の聞きましたところでは、三月三十一日に開始決定が出る見込みのもとで東発側は事を運んでいたようです。それは私どもの副委員長である原さんが東発の平島社長からじかに聞いたことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/155
-
156・中村重光
○中村(重)委員 それから二月二十九日に、すでに保全命令が行なわれたあとであります、特にこれは会社更生法が申請をしてあることでございますが、その会社更生法に基づくと、会社の財産というものを裁判所の許可なくしてこれを移動することはできない、こういうことになるわけであります。ところが某債権者に、二月二十九日に支払いをした事実があると伝えられておる。このことは間違いないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/156
-
157・田代隆光
○田代参考人 私の知り得る範囲内ですが、二月の二十七日及び二十九日ですか、二回に分けて現金を払っているということをつかんでおります。受け取った本人も、場合によっては証人に立つということも、確約は得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/157
-
158・中村重光
○中村(重)委員 私が調査によって知り得ているものも二、三あるわけでありますが、いま一つは、二月の二十八日以降に、岡谷工場というのがありますね、その岡谷工場で、現金で外注先に発注しておるという事実が伝えられておる。このことはあなたは御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/158
-
159・田代隆光
○田代参考人 私が各債権者の統計をとっておりまして、岡谷の約十五メーカーが東発の岡谷工場の資材部のほうからいろいろ仕事を頼まれております。支払い条件は、品物を納入して一週間ないし十日後に現金で支払っている。この事実は、私はけさ岡谷工場に電話を入れまして、宇都宮資材担当部長から返事も得ました。右のとおり間違いありませんということも聞きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/159
-
160・中村重光
○中村(重)委員 まだいろいろ参考人にお尋ねしたいことがありますが、日原刑事局長おいでてすね。——会社更生法五十四条によると、申請後の支払い禁止規定というのがあるわけです。ただいま参考人が私の質問に対して答えられた事実は、これは法律違反であるというふうに解釈できるわけでありますが、その点はどのように判断なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/160
-
161・平賀健太
○平賀政府委員 ただいまお話しの二十四条でございますか、いま伺ってみますと、会社更生の申し立ての前後に債務の弁済行為でございますとか、あるいは担保権の設定行為というようなことがあったように伺ったのでございますが、本件の具体的事件がどうなるかはわかりませんけれども、多くの場合そういう行為は債権者を詐害する行為といたしまして、更生手続開始決定がございますと否認をされるというケースは多いだろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/161
-
162・中村重光
○中村(重)委員 こうした法的な問題に対しましては、あとで田中委員から質問することになっておりますから、あらためてまたあとで質問をいたします。
参考人に続いてお尋ねをいたしますが、先ほど来いろいろと富士電機と東発との関係についてのお答えもあったわけですが、もっと具体的にお尋ねをしてみたいと思います。
これは計画倒産であるという考え方の上に立って、しかもまた東発の株式東発の会長であり、富士電機の会長が東発の監査役である。それから十一名の重役中、九名は富士電機から出向しておるという事実、しかも東発の毎月の経理関係について、手形決済のための資金が必要であれば富士電機がいつもこの決済資金を融資をしておる。これらの事実等からいたしまして、事実上の経営主体は富士電機である。こういう考え方もあって、富士電機に強く折衝された。無担保債権者の債権の整理の問題あるいは労働組合の皆さん方はこの賃金等の問題についてもいろいろ折衝されたということを伺っておるのでございますが、具体的には富士電機が有する二十三億程度の債権のカットをすべきではないかといろいろ折衝しておるようでありますが、それに対して富士電機はどのような反応を示されたのか、それらの点についてお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/162
-
163・田代隆光
○田代参考人 富士電機の金成社長とも再三折衝しましたけれども、東発側が完全な資料を作成しないために、どの程度カットすればいいのかわからないから御返事はできない、われわれとしても東発側に早く資料を提出するようにと要望していると、まるで雲をつかむような回答ばかりしか得ていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/163
-
164・中村重光
○中村(重)委員 連鎖倒産の状況は、いま大体どういう状況になっておるか、現在どの程度倒産をしておるか、また倒産の危険性がある関連した企業がどのくらいあるのか、そのことを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/164
-
165・田代隆光
○田代参考人 私は連絡事務所にいまして、いろいろ調査してみましたけれども、何しろ企業というものは信用というものが大きな財産でございまして、倒産しても、私のところは倒産したとはっきり言うのはなかなかいないものでして、電話をしても出てこないとか、名儀変更になっているという会社は約五十ばかりありました。それらは私は倒産したのではないかと解釈しています。それから東発の直の外注とそれからまたその下の外注、これもかなりいろいろ出てきまして、きょうもおそらく傍聴人の中に、倒産して、それがための債権者が、きょうこの国会まで押しかけているのが何人かいると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/165
-
166・中村重光
○中村(重)委員 会社更生法の適用を希望されるかどうかということについては、いろいろ議論の分かれるところであろうと思いますが、そのことはあとでお尋ねをすることといたしまして、手形買い戻しをやらなければ、銀行取引が停止されるという形にもなってまいりましょうし、あとの取引ということは事実上不可能になる、こういうことになりますので、いろいろ金融機関との折衝というものも行なわれておるのではないかと思いますが、金融機関はこれに対してどのような反応を示しておりますか。手形買い戻し資金を融資してやるというような態度をとっておるのかどうか。そうではなくて、全然相手にしてくれないというような実情にあるのか、そのあたりをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/166
-
167・角田五郎
○角田参考人 率直に申し上げます。大体私は悲観的ですが、現在の経済をになっているのは中小企業かまたは——これは政府がここまで育成してきたのか、それとも関係官庁が指導しているのか、いろいろあると思いますが、ただ痛切に思うことは、倒れそうな企業には絶対現在の金融機関は貸しません。また私個人としても貸さないのが当然だろうと思いますが、いかにしてもこの金融機関の実態は、東発で八〇%ひっかかって再起不能になっているところにはおそらく貸さないのではなかろうかと思います。各企業個人個人の信用度において融資はつけられていると思いますが、その点で、小にして力のないところへは、六月過ぎ、七月の手形のまだ時期のこないものまでも一ぺんに買い戻しを要求されているような状態だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/167
-
168・中村重光
○中村(重)委員 銀行に対してはいろいろ折衝しておられると思うのですが、それと同時に政府当局に対しても、何とかひとつ金融措置を講じてもらいたいというような陳情であるとか、あるいは国税庁に対しては、税金を納めることはできないのだから、何とかひとつ税金の問題についても特別の措置を講じてもらいたいといったようないろいろな陳情交渉等が行なわれておるのではないかと思いますが、そういうことが行なわれておるとしますと、それに対しては通産省あるいは大蔵省あるいは国税庁はどのような態度であなた方に臨んでおるのか。もしそういう折衝が行なわれておるとすれば、このあたりについてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/168
-
169・角田五郎
○角田参考人 われわれはただ路頭に迷うだけで、東京発動機無担保債権者協議会としては、各関係官庁にはまだ強力なまとまった意見は申し出してありません。ただ通産省の通商局あたりからは、おまえたちはどうしているのか、説明してほしい。私どもの部類は通産省の鋳鍛造品課ですが、そのほうからは、非常に心配しているから、来て説明してほしい、こういう電話はかかっておりますが、団体としてまとまった意見として答弁するだけのまとまりがまだございません。ただ右往左往しているだけで、ただ頼みの綱は、現在のところは、富士電機がいかにわれわれの債権を肩がわりか何かしてくれるのか、または補償してくれるのか、または法務委員会にかけられた上で、通産省、関係官庁の方が親心をもって何らか政府機関で——私どもが強く要望したいのは、決して金をくれというのじゃなくて、現在まで終戦後二十年近い間黙々として働いた金は、政府、日本国の発展のために、われわれ中小企業は五八%の税金を支払っております。こんなときこそ何とか、たとえ五年間でもいいから低利で立ち上がる資金を貸していただきたい。決してくれというのじゃないのです。この前も代議士の方に私も私見を申し述べたのですが、人間には現在生命保険がある、自動車傷害保険もある、火災保険もある、海上保険もある。ここに最もいま私が要望したいことは、この間代弁してくれまして通産大臣にも申されたとおり、今後もあることですが、何とかして中小企業を救う道として事業保険のようなもので、各企業は企業の収益に応じて、売り上げに応じて保険金をかける、それによって、たまたま下請企業がこういった場合にその保険の力を借りて救われる道があるならば、早急にでもそういった保険制度を設けていただくならば、今後あらゆる企業がこの制度によってどのくらい救われるか。これは今後の見通しですが、ただ現在はこの国会においてわれわれの訴えを聞いていただいて、代議士諸公、先生からまた関係官庁のお役人にわれわれの言わんとするところを聞いていただいて、大いに救っていただきたい、これだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/169
-
170・中村重光
○中村(重)委員 それから念のためお尋ねいたしておきますが、東発の倒産によって、関連下請企業一千九十九社ともあるいは一千二、三百社あるのじゃないかともいわれるし、あなたのほうでもつかみにくい面もあるのじゃないかと思いますが、それらの関連下請企業の中にはいわゆる全面的に東発に依存をしておる下請企業もありましょうし、あるいは五〇%程度依存をしておるという企業もあるのではないかと思いますが、大体そのあたりがおわかりでございましたら、詳しくは要りませんから、大体の状況をひとつお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/170
-
171・田代隆光
○田代参考人 きのう資料をまとめたのですが、今回の無担保債権者の、資本金一千万円以下の債権者の中に、依存率五〇%以上というのは約三七%で、それから五〇%以下一〇%というのがほとんどです。一〇%以下というのはもうほとんどゼロに近いものでして、一番多いのは一〇%から五〇%、次に多いのが六〇%から八〇%でございます。数は、ちょっと私まだ全社を調べておりませんから、約二百五十社ばかり調べた範囲内ではそういう数字が出ました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/171
-
172・中村重光
○中村(重)委員 参考人に対しましては大体お尋ねしたのですが、あとでまたお尋ねすることがあるかもしれません。
そこで法務省の見解を伺ってもいいのでありますけれども、行政庁である通産省にお尋ねをしてみたいと思います。この会社更生法の適用、これはまあ裁判所が決定をするわけでありますけれども、その更生開始が行なわれるという場合においては意見を申し述べるという道があるわけです。いままでも会社更生法の適用申請が行なわれて、大体において更生開始というものが比率としては非常に多い、こう思うのであります。この件についてはあなたのほうもいろいろと調査をしておられるということであると、大体の見通しが立っておるのではないかと思いますが、あなたのほうの見通しとしてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/172
-
173・森崎久壽
○森崎政府委員 御質問の趣旨をこういうふうに理解したのですが、過去においてそういうこともあったか、どうか、それからまた本件についてそういう意見を申し述べるつもりがあるかどうか、この二点ということでお答え申し上げたいと思います。
過去におきましては、現在通産省全体の所管の作業につきましてはちょっと資料を持ち合わしておりませんが、重工業関係の資料に従いますと、いろいろ連絡がありましたけれども、いままでのところは意見を申し述べておりません。本件につきましては、現在更生手続開始の申し立てにつきましての通知はまだまいっておりませんが、おそらく近いうちに通知がまいるかと思います。私どもは、先ほどから企業庁長官が申し述べましたように、この問題につきましては通産省の立場からいろいろと検討いたしておりますので、その通知に対しまして意見を述べるかどうかということにつきましては、十分調査の上、その結果に応じて必要によっては意見を申し述べるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/173
-
174・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、更正開始の認否の判断というものは、どういうことを根拠にして行なわれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/174
-
175・平賀健太
○平賀政府委員 私のほうからお答え申し上げます。会社更生法の規定によりますと、会社の事業の継続が著しく困難となる、そういう状態を惹起しないでは債務の弁済ができないという事情にあれば、会社更生の申し立てができることになっておりまして、そういう更生手続開始の原因があるかどうか。それからさらに、先ほどもちょっと一言申し上げましたが、会社更生法の第三十八条におきまして、更生の見込みがあるかどうか、その他いろいろな要件が掲げられておりますが、そういう要件が備わってないということになれば開始決定があるわけでございます。法律では非常に抽象的に定まっておりますが、これは裁判所は具体的に事案を審理いたしまして、この法律の要件に照らして開始決定をするかどうかを判断することになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/175
-
176・中村重光
○中村(重)委員 会社更生法を適用する場合、五〇%程度のいわゆる債務の支払いが可能であるということが認否の条件となっておる、しかもその支払いは一時弁済でなくて月賦償還というのか、一時で払わなくてもよろしいのだ、こういうことになっておるということがいわれておるのでありますが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/176
-
177・平賀健太
○平賀政府委員 現在の債務の約五〇%程度が弁済できるかどうか、資産の状況によりまして債務弁債の可能性がどの程度あるかということは、更生の見込みを判断する上におきまして非常に重要な事項だろうと思うのでありますけれども、五〇%という基準を具体的に裁判所が一応の目安としてされておるかどうかは私存じないのでありますけれども、これは現在の会社の資産の状況、それから事業は一応継続するわけでございますので、今後の事業継続による収益の見込み、そういうものすべてを総合的に判断しまして、更生の見込みがあるかどうかということになると思うのでございます。でありますから、必ずしも五〇%以上なければだめ、だということにばならぬかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/177
-
178・中村重光
○中村(重)委員 この会社更生法の適用を決定するという場合、その会社自体の再建ということが重点になるのか、この会社の倒産によってたくさんの債権者が——むしろ倒産をして整理をする、財産処分をして直ちに財産の範囲内において弁済をするということのほうが実際は債権者にとって有利である——そうじゃなくて、やはり再建をして、一時弁済をしなくとも、それを毎月支払いをやっていく、こういうようなこと等、この会社自体の再建、そこに重点を置くか、あるいは債権者はどちらのほうを希望するであろうか、そこに重点を置くのか、そこらあたりはどちらに比重というものはかかってまいりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/178
-
179・平賀健太
○平賀政府委員 その点も、必ずしも抽象的には私申し上げられないと思うのでございます。債権者の保護ということを他方に考えると同時に、企業の継続ということもやはり同様に考慮しなくてはならない。企業が継続しないということになりますと、多くの場合破産を申し込まれる場合もありましょう。企業で雇用しておりますところの従業員がたちどころに職を失うという関係もございますので、やはりどちらがより重いということはいちがいに言えないのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/179
-
180・中村重光
○中村(重)委員 実際問題として私はお尋ねをするのですが、債権者の場合、特に力の弱い債権者というものは、五〇%を分割払いで五年も十年もかかってもらうよりも、三分の一でも一時弁済で即時支払いをしてもらったほうがよろしい、こういうように、その債権者の力の強弱によって事情はやはり変わってくるであろう、こう思う。当然私は裁判所の見解は見解としても、行政当局の場合はこれらの点についていずれが好ましいのか、こういうことが、更生開始の際に意見を申し述べるというような場合に、そのことが幾つも例が出てくるのでありますから、当然その後の意見としてでもどういうことが望ましかった、あるいは望ましい、こういうことをいわゆる意見として申し述べる必要があるのではないか、いままでの行政当局がとってきた態度はどちらに比重を置いて考えてきたのか、その点をひとつ伺ってみたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/180
-
181・森崎久壽
○森崎政府委員 いままでの例から申し上げますと、更生手続開始の申し立てにつきましての通知を受けまして、それに対する意見を申し述べたことの例はございません。今回につきましても、更生手続開始の申し立ての連絡あるいは将来もしこれが開始が行なわれまして、更生計画案に対する意見の要求、こういうものがまいりました場合にも、現在どういう角度からこの問題について意見を申し述べる必要があるかどうか、あるいは意見を申し述べないで——従来の例に従って、もう少しわれわれとしまして実態を十分に調査させていただきまして、それから検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/181
-
182・中村重光
○中村(重)委員 率直にいって、あなた方の態度はきわめて無関心である、かつ不誠意であると私は思う。戦後最大の倒産が続出しておる、しかも今回のような悪質の倒産、これは特別に関心をお払いにならなければならないと私は思う。あなた方は先ほど来いろいろ御答弁があった、調査をしたとおっしゃった。しかしその調査はこの東発の倒産によって、中小企業はどういう状態に追い込まれるであろうか、これを何とかしなくちゃならぬというための調査ではない。この事件が国会に取り上げられた、委員会においてどういう質問をされるであろうか、これに対してどういう答弁をしたらよろしいのであろうか、委員会対策としてあなた方は調査をされた。少なくとも中小企業は困っておるから、窮乏の中からこれを救っていかなければならない、この考え方の上に立つならば、私はもう少しはっきりした誠意のある答弁があってしかるべしと思う。いままでも幾つものいわゆる会社更生決定が行なわれた中に、その決定に対して、その是非について、あなた方はこれは好ましかったか好ましくなかったか、いろいろと意見というものがあってしかるべし、またなければならぬ、それが通産省の態度でなければならぬと私は思う。なっとらぬじゃないか、あなた方の態度は。今回のこの事件に対しても、これは裁判所が決定をして更生開始が行なわれたあとにおいて意見を求められるのだから、それが法律のたてまえなんだから、そういうような態度で終始するということは間違いだと思う。どんどんと倒産は続出してまいります。大きな社会問題としてこれは発展をしていく。そういうことに対する態度というものは当然あってしかるべし。重工業局にしても中小企業庁にしても、どういうことが好ましいであろうかということの、私は意思統一というものがなければならぬと思う。そういうことについて遺憾なくやったということの答弁ができますか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/182
-
183・中野正一
○中野政府委員 本件につきましては、通産省といたしましても、非常に大きな問題であり、また関係する範囲も広い、問題も深刻であるということは十分認識をいたしておるつもりでございます。先般来、中小企業庁、重工業局、寄り寄り方針等につきまして、また実態を把握するための調査等はやっております。また、これは主として東京都の通産局の管内のできごとでございますので、東京都の通産局にも命じまして、十分実態を把握し、また役所側としてできますことは迅速果敢にやるように指示をいたしております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、差しあたりの皆さま方の強い御要望であります政府からの緊急特別融資ということにつきましては、問題が問題であるだけに、先生方も十分御承知のように、これは処理が簡単な問題ではないということで、苦慮しておるということは、先ほど来申し上げたとおりでございまして、それ以外につきましては、われわれとしてできますことがありますれば誠意を持って処理してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/183
-
184・中村重光
○中村(重)委員 それほどあなたのほうで調査をしておるならば、今回の東発の倒産は計画倒産の疑いが濃厚であるというふうに判断しておりませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/184
-
185・中野正一
○中野政府委員 この問題につきましては、問題が非常に微妙でありますので、私は、いまこの席で意見を申し述べることを差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/185
-
186・中村重光
○中村(重)委員 微妙であるから意見を申し述べることを差し控える、それはここで、あなたも計画倒産であるというようにたとえ思っておっても、それは言えない。それを私が強くあなたに迫ることも常識的ではない。したがって、私はいまのあなたの答弁に対して、これ以上は追及はいたしません。だがしかし、役所ですることがあるならばやらなければならぬ、敏速果敢にやらなければならぬ、そういうことで取り組んでおる、こう言われたんだけれども、もう相当な期間がたっている。二月の二十四日会社更生法の適用申請をやっている。もういま四月に入ってきている。しかもこのことは、「東洋経済」であるとかその他の週刊誌あるいは新聞等々に、大きな社会問題として報道されてきた。また、あなたのほうには相当な陳情等も行なわれてきている。しかも、いまあなたが言われた、微妙な問題であるからこの際ここで意見を申し述べることは差し控えるというあなたの気持ちの中には、きわめて東発の倒産というものは問題がある。しかも、問題があるだけでなくて、関連下請企業は一千九十九社に上っておるし、東発の従業員は八百名首切りという状態にある。関連下請関係の従業員にしても相当な数に上っておるでありましょうし、家族等関係者は四万人といわれてきている。そういうようなことであるならば、敏速果敢に、役所のやるべきことがあればやらなければならぬ、こうおっしゃるが、やることばかりである。具体的にこういうこともしなくちゃならぬ、ああいうこともやらなくちゃならぬ、こういうような構想があなたのほうには当然なくてはならぬ。そして、そのことはどんどん進められておらなければならない。しかし、先ほど来の質問に対するあなたの答弁も、何もあなたのほうでは具体的な対策というものがあるようには受け取れない。われわれはそれでは満足できないし、また関連の下請企業は立ち上がることはできないのだから、もっと具体的な対策というものをここでお示し願いたいと思う。いろいろあるはずです。私がいま、こういうことはどうだと、あなたの答弁いかんによっては具体的な問題として提起をし、あなたの意見を聞きたいと思うのですけれども、あなたとしていま考えていることをここで明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/186
-
187・中野正一
○中野政府委員 われわれのほうで考えておりますことは、先ほど来申し上げておりますように、健全な関連企業というものが今度の事件でもって連鎖反応的に倒産に追い込まれるというようなことは、これは避けるべきである。これは今度の東発の問題だけでなくて、政府全体の方針としてそういうことはきまっておりますし、また大蔵省からは厳重な通達が各金融機関にもまいっておるわけでありまして、また今度の事件につきましても、われわれとしては一般の金融機関か——先ほど来参考人の方が金融機関の態度等に触れられましたが、なるほど金融機関は、今後再建の見込みのないものには貸さないというような態度で、いろいろむずかしい問題があると思います。政府全体の方針としてこういう方針をとっておりますので、私としてはさっそく大蔵省に対しては、今度の事件によって、健全な企業が十分再建できるように、金融面については十分めんどうを見てもらいたいということは申し入れをいたしております。
なお、先ほども陳述がありましたように、五〇%以上東発に依存しておるというような会社も相当あるわけであります。こういう面につきましては、できますれば何らかほかの仕事への転換の方策等も考えなければいかぬじゃないか。これは具体的に役所がどの程度できるかということになると、なかなかむずかしいと思います。それから、重工業局長が先ほど来言っておりますように、東発自身の今後の再建のあり方等についても、関係業界の意見を十分に徴して、関係業界に十分これに協力するように呼びかけをいたしておるわけであります。
また、先ほど来、小口の債権者に対する措置を何か特別にやったらいいのではないか、これもわれわれとしては考えておりまして、私も研究いたしました。ただ、これはいろいろとむずかしい問題がございまして、特にこれは、裁判所のことをあまり言うとまた先生からおしかりを受けますので、言いたくないのですが、実際問題として、裁判所に更生開始の手続の申請をいたしておりまして、しかも資産は凍結命令が出ておるということでございますので、どういうふうにしたらいいか、私もまだいい知恵はございませんが、できればそういう小口の多数の債権者等については、何らか特別の措置を関係者で講じていくことはできないかということも考えております。ただしかし、これはいま言ったような裁判になっておるというような問題もございまして、債権者の保護ということについては、別に会社更生法等で相当厳重な規定があるわけでありますから、その点については、いますぐここで、こうしたらいいと私が考えておるということは申し上げかねます。
そういう意味で、いろいろな面で研究はいたしております。ただ的確な、皆さま方がこれなら救われるというような妙手、妙案が、ただいまのところ持ち合わせがないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/187
-
188・中村重光
○中村(重)委員 先ほど私が言ったように、中野さん、あなたもお聞きのとおり、ともかく東発の切り離しを決定をして、金成会長は辞表を出してやめてしまった。そして富士に火の粉の飛んでこないように予防線を張って、そうして一千八百台というオートバイは持ち出してしまった。それから、抵当権を設定してないところの東発の財産は、無理に名義書きかえをやるとか、金融機関に対して共同担保で抵当権を設定するとか、自分たちだけは一つも損をせぬようにやっている。そうして下請企業あるいは労働者は死んでもよろしいというような、勝手きわまる、天人ともに許せないやり方をやっている。この富士電機のとった態度というものは、当然社会的責任というものは追及されなければならないし、それだけではなくて、富士電機が東発に持っている債権、二十三億と伝えられておるんだけれども、いま下請の人たちあるいは労働者の人たちが交渉しておるように、その債権をカットしろ、あるいはまた富士が保証をして手形の決済期限が来たものについてはこれを延期するなり、あるいは肩がわりをするなり、そういうやり方をやるべきであるといったようないろいろなあっせんであるとか、調停の道もあると思う。しかも抵当権をどさくさに設定をしたこれらの関係の銀行に対しては、その下請に対して融資の道を講じてやるように、あなたのほうで指導する道もあると私は考える。中小企業庁としては当然下請代金支払遅延等防止法の観点からいっても、あるいは通産省設置法からいっても、あなたのほうの責任というものはあるはずだから、指導しなければならぬ。あなたのほうの立場もあるんだから、指導するということは、そういう関係の気の毒な関連下請企業の人たちやあるいは労働者を救っていかなければならぬという精神がここにあるんだから、そういうきめのこまかい施策というものを講じていかなくちゃならぬと思う。いまあなたは、いまのところ持ち合わせばないんだという率直な答弁をされたので、私はあまりあなたを追及したくはないんだけれども、それでは、どうにもならないんだ。関係者の人たちは次から次へと倒産をしていく。一家心中という状態になるかもしれない。先ほども、せっかく大学入試に合格はしたんだけれども、金がないために進学をすることができなかったという、実に気の毒な状態も参考人の中から明らかにされた。一カ月有余の今日、いまあなたの答弁、それから重工業局長の誠意のない先ほど来の答弁、取り組み方、私はこれではならぬと思うのだ。もっと具体的な取り組みをしなくちゃならぬ。いま私がいろいろと具体的な一つの解決策というものを出したんだが、これらの点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/188
-
189・中野正一
○中野政府委員 取り組み方の是非の点につきましては、私どもも非常に真剣に誠意を持って従来も当たってきておりますし、今後も同じ態度でまいりたいというふうに考えております。ただ、具体的にいま先生が御指摘になったような点につきましては、それぞれ非常に問題点が多いことは先生も御承知のとおりでございます。しかし、そういう具体的な措置についてもう一歩さらに突っ込んできめこまかくやるべきであるというお考えには私も賛成でございますので、その趣旨に従って私としては努力をしてまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/189
-
190・中村重光
○中村(重)委員 やるべきであるとは思うのだけれどもと言っても、やらなくちゃどうにもならないんだから、きょうまでやっていないんだったら、あすからどういう態度で取り組みますか。通産省にも大蔵省にも、この際あなた方の決意のほどを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/190
-
191・中野正一
○中野政府委員 真剣に問題解決に取り組む所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/191
-
192・中村重光
○中村(重)委員 国税庁長官お見えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/192
-
193・二階堂進
○二階堂委員長 大蔵省から吉岡理財局長、高橋銀行局長、木村国税庁長官が出席になっておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/193
-
194・中村重光
○中村(重)委員 長官には先日の委員会にもおいでいただいて、プライベートにも私はいろいろ事情を御説明申し上げたし、またいま参考人の意見であるとか、あるいは質疑応答の中でいろいろ認識を新たにされた点もあるんじゃないかと思います。いま倒産続出の中において、あなたの名前でもって通達をお出しになった。一種の倒産対策というものを講じていらっしゃると思うのですが、その具体的な問題に対してはどのような態度でお取り組みになられるか、ひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/194
-
195・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 今度の東発の問題以前に、ことしの二月の十九日に、一般的な中小企業の納税に関連をいたしまして、納税の猶予、あるいは徴収の猶予、あるいは還付の促進、こういうような点についての通達を出しております。なお、三月の十六日には一歩突っ込んでこれらの問題について再度通達を出しておりますが、今回の東発の問題に関連いたしましては、私は、この二つの前に出しました通達で十分税の面はやっていけるということを確信いたしております。具体的に申し上げますと、更生手続の開始が決定をされました場合におきましては、その債権の二分の一が回収困難であるという処理が下請の会社等においてなされますと、これを所得の計算上は損金として認める、それから二分の一をこえます場合には、国税長官の認定をいたします限度までこれを損金として認める、こういうことになると思います。それから、このような場合におきましては、原則として当然やむを得ない場合には二年間の納税の猶予が認められるわけでございまして、この間の延滞税は原則として免除される、こういうことに相なっております。それで東京発動機の場合には特に板橋地区に下請の会社が多いということでございまして、四月の二日に板橋の税務署におきまして説明会を開いております。今後こういう面について納税者の方のいろいろな便宜等を考えまして、必要があれば税務署において説明会を開いていくということも考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/195
-
196・中村重光
○中村(重)委員 東発が倒産になったという場合は、債権の確保ができない場合は当然これは損金として取り扱う。ところが、会社更生法が適用されてこれが再建されたということになってくると、当然その債権は生きてくるということになる。そうすると、金は支払ってもらえない、税金は、これは当然債権は生きているのだから何らかの形で支払いをしていかなくちゃならないということになってくる。二重の負担ということになる。これらのこういうケースに対してはどういう態度で取り組まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/196
-
197・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 それはそうなりませんので、いまのように、東発に対する債権が回収不能になった、一方会社の更生手続が開始されたという場合におきましては、先ほども申し上げましたように、回収不能の債権の半分につきましては税務署長の認定でもって損金に落とせるわけでございます。それから二分の一をこえております場合は、これは国税長官が認定をいたしました限度まで損金として落とせるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/197
-
198・中村重光
○中村(重)委員 先ほどのお答えは声が低くて聞き取れなかった点もあるのですが、いずれにしても、そういういまお答えのような措置というものはあるわけです。隔靴掻痒というのか、事実上いま税金を納めなければならないといったような、直接その東発の損金というようなことに対する措置はいまお答えのような点があるわけですけれども、その下請企業というものが東発だけに依存をしているのではない、ほかの親企業の下請もやっているのだ、そのほうの収入もある、こういうようなことから一つの利益というものが認められて、税金を納めなくちゃならない形になるわけですね。ところが、非常に力の強い、資本蓄積のあるところの企業でありますればそうこたえないのだけれども、力の弱い企業であるために東発の債権が確保されない、そのためにこうむる打撃というものはきわめて大きいわけですね。ですから、現実の場合に、いまあなたがお答えになったような形では非常に実情にそぐわないというような点がいろいろ出てくる面があるのではないかと思う。ですから、できるだけ所得税法あるいは法人税法というものを拡大解釈をして、実際にその企業の再建をしてやる、こういう取り組みをしていただかなければ、それは事実上税金の面からでも参ってしまうのではないかと思います。ですから、それらの点に対していま少しくきめのこまかい取り組みをする意思があられるかどうか、まずその点をひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/198
-
199・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 ほかの取引先が健全でございましても、こういうふうにはっきり東発のような状態になって、そこに対する債権がございます場合には、ただいま私が御説明申し上げましたとおり、これをやはり損金として認めるはずでございます。しかしながら一般的に申しまして、やはりできるだけ納税者のほうから税務署のほうによく御相談をいただいて、税務署のほうとしては真剣に御相談に乗る、こういう心がまえでおります。税務署のほうではもちろんわれわれの指示どおり動くはずでございますが、これは何かふに落ちぬという面がございましたら、われわれのほうでよく監督をいたしまして、そういうことはないと思いますけれども、十分御納得のいくような方途を講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/199
-
200・中村重光
○中村(重)委員 通産大臣がお見えになりましたし、高橋銀行局長も見えられたようでありますが、私の大体の持ち時間の四時半がきてしまって、あとまた同僚議員がたくさん控えておりますからこれで終わりたいと思いますが、最後に銀行局長にお尋ねいたします。
先ほど、おそくおいでになったので私の質問をお聞きにならなかったわけなんですけれども、全く深刻な状態にあるわけです。そこで、いままで倒産対策として買いオペであるとか、財投であるとか、相当いろいろな措置をおとりになった。ところが今回東発倒産によっての関連下請は、三十億という実に膨大な債権額になっている、しかも大企業は自分だけがいいことをやって、下請の企業は倒れてよろしいというような冷酷無情なやり方をやっておる、倒産ということになると銀行もなかなか相手になってくれない、こういうようなことであります。けれども、どさくさまぎれに、四つの大銀行は東発が持っておった財産に追加抵当権を設定するといういろいろなことを実はやっておるわけです。ですから、この手形期限が到来したものに対して特別にそうした金融機関に対する指導をするとか、あるいは政府関係の金融機関に対して特別の措置を講ずるといったようなきめこまかい対策を講じていただかなければ、どんどん倒産は続出してくるのではないか。この問題についてはあなたのほうも相当関心を持っていらっしゃると思うので、まず具体的な構想がありましたらお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/200
-
201・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 一般的に連鎖倒産をできるだけ避けるように金融機関は配慮すべきであるという指導を行なってまいりましたが、今回のケースにつきましては、主たる銀行というのは、あまり大きな貸し出しはないのでわりに分散しておりますが、そのうちの一番主と目されておる関係銀行を通じて、その連鎖倒産の状況はどうか、あるかないか、そういう見込みはどうかという点について相当突っ込んだ調査をされております。いままでのところでございますと、私どもの調査で、本人が一応健全経営を行なっていながら手形の不渡り等によって倒産することのないようにという点は相当よく守られておるように私は観察しております。と申しますのは、これは現在までの銀行筋の調査でございますが、その下請あるいは関連会社は、数から申しますと非常に多いわけでありますけれども、比較的まとまった金額の会社は百三十数社でありまして、小口の零細な手形関係者、売り掛け債権があるとかいうようなものは千四百以上というように分散され、危険が相当広範囲に分散されておるということもございまして、銀行側としては、どうしても融資を打ち切らなければならぬという相手先はわりあい少ないのではないか。その銀行の調べでありますが、いままでのところでは二社取引停止になった。これはもともと企業の経営内容が相当よくないところに不渡りを受けることになったわけですが、そういうことで倒れたものである。今後の分としては、関係会社千数百の中で数社程度あるいは出るかもしれない。まだ出てはおりませんが、その数社は、東発に対する依存度が八〇%ないし一〇〇%というふうに、ほとんど東発一辺倒というような状態にあるところがあぶないかもしれない。つまり東発がほとんど動かなくなると自分の売り先がないというものだけであります。五〇%程度の依存度があったものでも救えるものが多い、救済し得るもののほうが圧倒的に多いのではないかということでやっておりまして、私どものほうも、できるだけそういう方向で倒産を少なくする、最小限度にとどめる——ほんとうに数社でおさまるというのは最小限度のことだと思いますが、その程度で済ませたいということで強力に指導をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/201
-
202・中村重光
○中村(重)委員 倒産をできるだけ最小限度に食いとめるように強力に指導するということは、金融機関に対する指導ということになるわけであります。そのことは了解できるのだけれども、どうもあなたのほうの銀行局を通じての調査と事実とはだいぶ食い違っておると思う。参考人が先ほど来いろいろ意見を述べられ、また私どももいろいろな方法をもって党の中に倒産対策特別委員会をつくって、それを通じて調査しておりますと、そういうことでは、ございません。銀行も相手になってくれないというので倒産が続出しておるというような状況にあります。もっときめこまかく調査を実施され、金融機関に対する指導——富士電機そのものには、産業資本でありますからあなたのほうの監督はないわけでありますが、そのバックには富士銀行もあるわけであります。さらにまた政府関係金融機関に対する財投とか、その他のいろいろな措置をとられ、特にこの倒産の下請企業に対しては特別の取り扱いをするように御指導していただきたいということをひとつ強く要請いたしまして、時間の関係がありますから私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/202
-
203・二階堂進
○二階堂委員長 田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/203
-
204・田中武夫
○田中(武)委員 大臣はおくれて参られたので、参考人の意見あるいは各委員からの参考人に対する質問、こういうものはお聞きになっていないのですが、私はむしろ大臣に結論からまずお伺いしてみたいと思います。
先ほど来の参考人あるいは関係政府委員の意見なり答弁を聞いておりますと、結局はすべて裁判所でなければ片づかないということになるわけです。会社更生手続の問題がこれ裁判所、それに対していわゆる詐欺罪を構成するかどうか、そういう事実があったかなかったかということを、いろいろ角度を変えて質疑応答がありました。かりにそれが成立したとしてもこれ裁判所、さらに二十四日に会社更生手続をやって、あとで二十六日に労働協約を結んでおる。その労働協約を翌日直ちに会社側が破棄しておる。それがはたして有効なのか無効なのか、あるいはそれに関係が出てくるわけですが、解雇が不当なのかそうでないのかというようなことは、結局はすべてが裁判所に持ち込まないと解決しないというのがいままでの論議の結果なんです。
そこで大臣に腹をお伺いしたいのですが、この問題を最終的に法律の第何条によってあくまでも討論を続け、最終的に裁判所において解決する、そういう道を選ばれるかどうか、私は、行政監督庁といたしましては、そういう道は下の下ではなかろうかと思うのです。先日の松平発言にもありましたが、ここで私は通産大臣だけではどうも十分でないと思われるので、実は大蔵大臣にも同じことを申したいと思うのですが、大蔵大臣はいないので——銀行局長しかいないのですね、次官も来ていないですね。そこで通産、大蔵両省からひとつ高度な行政指導によるといいますか、私は政治的解決というようなことはきらいなんですが、しかし高度な行政指導によって解決に努力する熱意があるのかないのか、これをひとつ通産大臣だけでなく、大蔵大臣にも聞きたいのですが、大蔵大臣はいないので、銀行局長代理してひとつ答えてもらいたい、そこでそういった下の下の措置をとってまでも裁判所にすべてをゆだねて解決するというならば、その方向で質問いたします。しかしそういうことは指導行政としては下の下であるから、すべて裁判所の解決を待つのでなくて、何らか行政的な指導あるいは努力等によって、裁判というようなことでなく努力したいということがあるならば、私はその方向に向かって質問を続けたいと思いますので、まず腹を伺いたい。これは労働省にしてもしかりであります。労働問題にしても、すべて争った結果は、ここで論議をいたしましても、最後はやはり裁判所ということになると思うのです。だからそういう下の下の措置をお互いにとろうとしておられるのか。そうでなくて、高度な行政指導によって解決をはかりたい、そういうように考えておりますか。通産、大蔵、労働の各責任者——といっても大蔵省は局長ですが、ひとつ腹を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/204
-
205・福田一
○福田(一)国務大臣 先般の委員会において松平先生からも、ただいま田中委員が発言をされたような趣旨の御発言があったわけであります。そこでこの問題を私たちいわゆる行政の面から見てどういうふうに判断をしたらいいか、また対策をどう考えたらいいか、こういう立場で問題を見てみたいと思うのでありますが、要は親会社が破産をして、そのために不渡りの手形が出る結果になる、またすでに出たものもあるということでございますが、この種の不渡りのものが出たときに、これを救済するような特別の法律が現に存していればこれは問題はないわけです。ところがいまのところこの種の問題を解決するような法律は現実にはないわけであります。もしこれを法律でいっていけば、ただいま田中委員が言われたように、裁判所の問題に結局はいくわけであります。私たちは行政官でありますが、行政官というものは、国民からどういう権限を与えられているかといえば、これはあなたに申し上げるまでもないことですが、せっかくここにたくさんのお方がおいでになるので、わざと私はこういうことを申し上げるのでありますから、お許しを願いたいと思うのだけれども、行政官というもののできることは、ほんとうを言うと法律に基づいてしなければならないことだけれども、これを義務としてやらなければならない。あとは指導行政というものがあるだけであります。指導行政というものは、これは指導はできるかもしれないけれども、強制はできない。強制したら、これは違法になります。またほかの人の権利を侵すことになる。いま非常に困っておられる人たちを救済するためにほかの人の権利を侵すということが許されるか。なかなかそれは法治国では許されないことは、あなたもよくおわかりと思う。しかし非常にいまお困りであって、そういうようないわゆる連鎖反応的な倒産が起きるというような場合においては、できるだけこれを食いとめるということは政府の方針である。これはしばしば大蔵大臣も申し上げておりますし、私たちも申しておる。そこでそういう意味でできるだけの指導をし、またわれわれとしても努力するということはまず第一に考えられるところでありまして、それについては、先ほど銀行局長からすでにここで発言をされたわけであります。そこで今度はそういうことでなしに、この間松平委員が言われたように、富士電機というものがこれに関係をしておったのだから、何らかのここに責任を——何かそこに関係ができて、そしてこれの処理ができるかどうか、こういうことになるわけであります。これは私は、その富士電機の責任者が自分のところの株主に対してどれだけの責任を感じつつも、自己の責任においてやらなければならないという気持ちになるかどうか、こういうところに帰着すると思う。それをしなければあなたはけしからぬと言ってみても、これまたどうにも法律的根拠はないことは、あなたも御承知のとおり。しかしそこにいわゆる道義というものがあってしかるべきではないかというお考えであれば、これは私もそういうことは考えるところであります。それじゃ、ああいう発言があったからどうしておるか、こういうことでございましょうが、これは微妙な問題でありまして、これ以上申し上げることは私は差し控えさしていただきたいと思う。ただああいうような何かできる方法はないかどうかということについては、政府といい、またこれは社会党もお考えになっておると思うが、自民党のほうも、また民主社会党でも非常に重大な問題としてみんなが考えて、何かしたいという気持ちで対策を考えておるわけでございまして、私は、こういう点から考えてみて、私のできる範囲内においてはこの際善処をいたしたい、かように申し上げる。ただし具体的にいまここで何をし、何をするのだということを仰せになっても、いまここで申し上げることは非常に困難であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/205
-
206・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 今回の件について私どもが金融機関に対してどういう指導を行なっているか。先ほど申し上げたとおりでございます。一般的にこれからも比較的中規模程度あるいはそれ以上の会社が倒産あるいはそれに近いような状態になることが予想されるわけでございます。しかし何と申しましても、いわゆる罪も何もない者が相手を信じて手形取引をしておったのが不渡りされる、その結果自分も銀行取引を停止されるというふうな状態になることは、社会正義の上から見ましても好ましいことではございません。できるだけそういう事態を発生させないように、従来以上に金融機関に対してその趣旨をよくのみ込んでいただきまして、今後ともどうにもならない、つまり本人自身が——これは従来もそういう例はございます。その下請なり何なりの企業内容自身がもう累積赤字をかかえておる、そうして本来そうでなくてもちょっと風が吹けば倒れてしまうような状態になっておったところは、やむを得ない場合がございます。そうでなく、その件だけでつまずくというふうなことは、ほとんど絶対に避けるというふうな覚悟で指導を強化してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/206
-
207・藏内修治
○藏内政府委員 お答えいたします。労働省の任務と申しますのは、委員よく御承知のとおり、労働者の保護ということが最大の任務でございます。そういう観点からいたしまして、今回の東発事件をながめてみますると、このような事態の発生に伴いまして、まず最初に考えられることは、賃金及び退職金の不払いという事態が想像されます。その次には不当労働行為がこの会社の就業閉鎖等をめぐりまして発生するおそれがございます。さらにそのあとに起こりますのが、失業された方々、離職された方々の処理でございます。これらの問題につきましては、現在直ちに裁判所あるいは労働関係の第三者機関に持ち込まれた問題はございません。これは御承知のとおりでございます。しかしそこまで持ち込むことは労働行政上好ましいことであるとは思いませんので、関係機関を督励いたしまして、事前に円満に解決するような方向に努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/207
-
208・田中武夫
○田中(武)委員 先ほどの大臣の御答弁ですね、これは行政官は法律に使われちゃいかぬ、法律を使うべきだと思う。したがって、たとえば通産省段階だけではできなくとも、大蔵省と通産省が力を合わすことによって可能なものもあろうと私は思います。ことにいま大臣が言われた、あくまでも行政官として、行政を行なう者としての立場ばかりをやっておると、私はそこに政治はないと思います。ここでいまさら池田内閣の経済政策を引っぱり出そうとは思いません。しかし、たまたまこの東発事件が新聞に出ました。そうすると、それ以外のやはり倒産した関連中小企業からたくさんの、陳情なり要望書が私の手元に来ております。いわゆる関連倒産ということは一つの大きな問題になっております。そうするならば、閣僚懇談会なり閣議にでも持ち出して法以外の処置もとれるのじゃないかというように私は思うのですが、そこまで持ち出してやろうという決意はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/208
-
209・福田一
○福田(一)国務大臣 私が先ほど申し上げたのは、法律というものがないのに、法律外のことをすることは非常に困難であるということを言ったのであります。しかしそれだからといって、政治的な問題を何も考えないわけじゃない、何らか考えてみたいとは思うけれども、なかなかいまここで明言することはできないということを申し上げておるわけであります。
そこで、この問題について、たとえばいまあなたのおっしゃったような連鎖反応的に起きる不渡り問題を処理するということを考えたときに、それには必ず金の問題が出てくるわけです。それはまた東発の問題だけを取り上げるわけにはいきません。全国のいかなる場合においても、倒産した場合に連鎖反応的な倒産が起きない措置をとるということでなければならない、それはもう皆さんも御承知のとおりです。法律は公平でなければいけませんから、だれに対してもそうあるべきであるということになると、そこに財源の問題もあるし、そういうことをするのであれば、これは国が今度は仕事をしたらいいじゃないか、仕事をすべきだ、国の責任に全部これを帰していくべきだという議論も出てくるでしょう。私はそれは一つの議論であると思うけれども、そういう措置をどういうふうにして考えるか、どういうような方法があるかということも考えながら、先ほど答弁を申し上げたわけでございます。何ら具体的な案もなしに、ただ何とかしますとか、あるいはそういうような発言をして一時を糊塗するということは、責任の立場にある者のすべきことではないと私は思っております。だから自分がまだ自信もないようなことを申し上げるわけにはまいりませんということをはっきり申し上げておるわけでありまして、私がこの問題について非常な同情と非常にお気の毒であるという考え方を持っておることについては、あなたと私は同様であると思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/209
-
210・田中武夫
○田中(武)委員 法律にないからできない、もちろん租税だとか刑罰とか憲法に保障せられておるものを法律以外のものでやるということはできないでしょう。そういうと、あるいは富士電機なら富士電機にこういうことをやりなさいと言うことは、これは憲法の財産権ということになるかもわからぬ。しかし私はそういう意味でなく、狭義の場合の法定主義に立つ場合はそうかもしれぬが、ただ法律に規定がないからやれませんでは、あまりにも手がなさ過ぎるじゃないか、大政治家として打つべき手ではないと思う。
そこで先ほど申しましたように、ひとつこういう関連倒産の問題をどう行なうかということで、閣僚懇談会の話題に出すとかあるいは閣議の問題に出すとかいうようなところまでは考えておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/210
-
211・福田一
○福田(一)国務大臣 そういう問題については大蔵大臣とも一度相談はしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/211
-
212・田中武夫
○田中(武)委員 私はその意味でも大蔵大臣と二人に来てもらいたかったのですが、ぜひ大蔵大臣とよく相談をして、閣僚懇談会あるいは閣議の問題として——これは何も東発の関係者だけではありません。今日全国でこういったケースはたくさんあります。一つの社会問題以上のものになっていると思います。そういうことで提案をしたわけなんです。
そこでこれは大臣なりあるいは中小企業庁長官でもけっこうですが、中小企業基本法の第七条、ここの「調査」というのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/212
-
213・福田一
○福田(一)国務大臣 第七条の解釈については長官から答弁いたさせますが、先ほど申し上げた意味をいま少しくふえんして申し上げるならば、相談をしてみるということは、閣議とかあるいは経済閣僚懇談会というものはそう簡単なものではございません。何でもかけていいというものではない。何か具体的な考え方を持ち、何らかの具体策を持って、これは開くべきものなんであります。いたずらに何か問題があったからどうしましょうかというようなものではないわけであります。そういう意味で、十分にひとつ考えた上でこれを処置してみたいという意味で申し上げておるということを、ここに重ねて追加させていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/213
-
214・中野正一
○中野政府委員 中小企業基本法の第七条は、御指摘のように、中小企業の実態を調査をして、定期的にこれを公表するということになっておるわけでありまして、いままでのところ、たとえば下請関係、中小企業の景況調査、あるいは産地の産業の状況調査等を調査いたしまして、定期的に公表をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/214
-
215・田中武夫
○田中(武)委員 条文をそのまま読むだけではいかぬです。中小企業基本法は、ちょうど一年前のいまごろこの場所で相当論議をしたはずです。第七条の調査というのは、ただ調査結果を公表するだけでなく、第三条の国の施策に反映しなくちゃいけないわけです。そのための調査でなくちゃいかぬわけです。そうでしょう、中小企業基本法の精神は。そういたしますと、これは審議会の議を経てとかいうようなことになっておりますが、今日、中小企業がそういった親会社等の倒産によって無過失でありながら倒れていっておるという状態がたくさんある。先日私が伺いましたところでは、あなたはまだその実態をつかんでいない。そこで、これは直ちに頓服薬にはならないと思いますが、しかし、これは直ちに中小企業政策審議会にはかり、その実態をつかみ、公表すると同時に、それを中小企業政策の中に生かしていく、これが中小企業基本法の精神じゃありませんか。直ちにこのことをいまから調査をして、発表をして、それを国の施策にあらわすと言ったって、これは現に倒産しかかっておるとか、あるいはもう生命が持たないというところまできておる人には、頓服薬にはならないと思う。しかし、基本的な問題としてはそうすべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/215
-
216・中野正一
○中野政府委員 最近の中小企業の情勢等につきましては、御指摘になったように、われわれも非常に心配をいたしております。特に先般の公定歩合の引き上げ以降のこの影響等につきましては、まずわれわれとしては地方の通産局に命じまして状況を十分調査をして、近く通産局長会議も開催をいたしまして、状況を詳細に聞くつもりでおります。また、ことに政府関係金融機関、特にわれわれのほうでは商工中金あるいは中小企業金融公庫の各支店に命じまして一週間ごとに現地の状況を本店に報告させ、それをさらにわれわれが事情を聴取するということでできるだけ実態を詳細に把握をして、それを政策に反映したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/216
-
217・田中武夫
○田中(武)委員 中小企業基本法の定めるとおりにいくと、相当時間を要すると思います。そこで、大臣お聞きのように、調査をする。その調査は直ちに国の施策に反映しなくちゃならないわけです。そういう意味において、この当面している問題について、これは熱意はある、こういうような御答弁ですから、これ以上の答弁はとれないと思うのですが、そういう実態調査をした上に立って、直ちに国の中小企業政策の上に反映してもらいたい、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/217
-
218・福田一
○福田(一)国務大臣 調査をすることは、もちろんこれからもあらゆる問題について調査をする必要があります。この問題等も——この問題というのはいわゆる連鎖反応的な倒産のことでありますが、これは全国的によく調査をすることはけっこうでございます。調査をすれば、それが政策に反映されなければ、お説のとおり意味がございません。ただその場合に、調査してどういうものを政策として出せるかどうかという問題は、われわれがいま一番頭を悩ましておるところであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/218
-
219・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来の大臣の答弁によって、大臣は田中大蔵大臣ともよく相談をし、そこに具体的な一つの結論でも得るならば、それを閣議なり閣僚懇談会にかけて、法律がなくともやれる方法はあるわけです。閣議了解事項というようなことでやった例はあるじゃないですか、そこまで確約さすことはどうかと思うのですが、気持ちだけはあるでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/219
-
220・福田一
○福田(一)国務大臣 どこから見ても公平であり、どこから見てもいわゆる国民の皆さまから筋が通っておるという案を得られれば、もちろんこれは処理をいたさねばならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/220
-
221・田中武夫
○田中(武)委員 それではもう少し具体的にお伺いいたします。
たとえば現在のままだったら法律では救いがたい、規定はない、しかし何らかの指導をすることによって救済の道があるということがありますね。たとえば、現在東発の下請の人たちは協同組合等の組織を持っていない、そこでそういうような組織を早急に指導をしてつくらす、そのことによって商工中金からの融資も考えられる、こういう例もあろうかと思います。そういう点については、それはどちらが先かあとかということになれば問題はありましょうが、私は、法律はそれくらいのことを幅広く読んだってかまわないと思う。法律は正義である限り、正義に適する限り広義に解釈してもいいのだから、現時点においては組織がないから商工中金の融資はできない、しかし組織をつくりなさい、そうすれば商工中金の融資の道も開けます、こういうような指導もあってしかるべきだと思いますが、これは答弁としては中小企業庁長官のほうが適当ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/221
-
222・中野正一
○中野政府委員 私が調査いたしたところによりますと、関連の下請企業のうちで、商工中金から融資を受けておられる金額は約六千万円程度のように聞いております。これはそれぞれ下請の事業者の方々がそれぞれの業種の関係等で組合に入っておられるのじゃないかと思います。確かに、御指摘のように東発関係の下請関係を主とした協同組合というものはございませんが、それぞれ関係の組合には入っておられる方も相当あられるのじゃないかというふうに考えております。いま先生が御指摘になったように、今度の問題で、商工中金から金融を受けるために下請の方々だけが組合をつくって、そうして金融の道がつくかということになると、これは私は非常に疑問があるというふうに見ております。したがいまして、そのために組合をつくらすという指導をやることは、指導行政として妥当じゃないのじゃないか、やってやれぬことはないじゃないかと言われればそれまでのことですが、私はもうちょっと研究させていただきます。この問題も、われわれは一部の方面から要望も聞いておりますので、もうちょっと研究させていただきますが、いまのところではそういう指導をやることがいいというふうには、ちょっと踏み切りがたいというのが私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/222
-
223・田中武夫
○田中(武)委員 私は融資のためだけで組織をつくれということであれば問題があると思う。しかし、この苦境を乗り切るために現在無担保債権者の組織というか、一つのまとまりはあります。しかしこれ自体は何ら法律に認められた法人ではありません。そこで、そういったような組織づくりをする、そのことによって融資の道も開けるし、たとえば東発自体がいわゆる会社更生法の適用になって再建更生をたどっていくのかどうするかは別としても、まず中小企業庁なりあるいはまた通産省の重工業局あたりになるかもしれませんが、かわった仕事を探してやるとか、あるいはその仕事を探してあげた中で前借り金といいますか、そういうものを出すことによって一つのやはり沈まんするものの生きる道もあるのじゃないか、そういうことで中小企業基本法でも組織化ということが一つの大きな課題となっておるわけです。またあなた方の中小企業庁でも、指導部なりあるいは組織指導がなされておるような部局があるわけです。だから、常にあなた方はそういった指導をすべき役があるわけです。だから拱手傍観ではなく、ただ調査だけではなく、一歩を進めて、そういった積極指導、これをやらねばならない。しかもそれはまた事、急を要する問題である、こう申し上げておるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/223
-
224・福田一
○福田(一)国務大臣 これは私が先ほど申し上げたことばをよく理解をしていただいて、そういういわば理詰めでこの問題をわれわれに発言をさせようとさしていただいても、われわれここでなかなかお答えはできない。それは何度仰せになってもできないものはできないのであります。ただしそういうような具体的なことは、うちの長官でも私でもいろいろ方法がないかどうかということは研究しておるわけなんです。現にまた研究しておるし、今後も研究する意思を持っているということは、先ほど私は申し上げておるわけなんです。これをこういうような参考人をたくさん呼んだ席上で、そうしてそういう問題について言うことは、私は委員会の問題としても問題があると思っている。大体国会の審議というものは……(「それはおかしい、そんなばかなことがあるか」と呼ぶ者あり)それはもしあなた方が御不満であれば、その言は取り消してもよろしゅうございますが、われわれとしてはこれ以上は申し上げられないということをはっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/224
-
225・田中武夫
○田中(武)委員 福田大臣、何か誤解をしておられるのじゃないかと思うのですが、私は最初徹頭徹尾法律でやりましょうかと言うたのです。そういう下の下の措置をとらずに、もっとニュアンスのある、幅のあることでやりましょうか、大臣のお答え次第によってどっちの道でも選びます、こう言った。そうしたら大臣は、あくまでも法律議論ばかりで裁判所に持ち込むというようなことは下の下だ、したがって高度の指導性を発揮するように努力をする、こうおっしゃった。そこで一つの設例として申し上げておる。そこでこういう約束を大臣にさして、それを参考人の人だとかあるいは傍聴者に私が聞かして言質をとるというようなちゃちな考えは持っておりません。だからその点だけはひとつ誤解があるようですからはっきり申し上げておきます。
それでは具体的な質問にかえます。
労働組合の前島さんですか、あなたにお伺いしますが、社内預金はしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/225
-
226・前島正男
○前島参考人 しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/226
-
227・田中武夫
○田中(武)委員 全然しておられないわけですね。
それじゃ二月の給料、たぶん二十五日がたいてい支払い日だと思いますが、二十五日の支払い日はどういうようになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/227
-
228・前島正男
○前島参考人 二十五日には全額支払いませんでした。支払いは約四、五日たってから残額を支払ったという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/228
-
229・田中武夫
○田中(武)委員 では現在賃金の遅払いはないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/229
-
230・前島正男
○前島参考人 三月分の賃金につきましては、われわれの見解でいけば遅配しておるということであります。その点の理由を申し上げますと、会社側は三月の六日付並びに二十日付で解雇してあるという観点で賃金の支払いをしている関係上、従来の賃金はそういう意味から支払われてないということに
なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/230
-
231・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど藤田君に対する答弁の中にも出てきておりましたが、会社が会社更生手続開始決定以前ならば、その役員は会社を代表するものであります。その会社を代表するものが労働組合との間に締結した労働協約、これの効力は有効に成立しておると思いますが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/231
-
232・青木勇之助
○青木説明員 どういう状況のもとにおいて締結されたか、その状況によってでありますけれども、通常の団体交渉によって締結されましたものである以上は、有効に成立しておることは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/232
-
233・田中武夫
○田中(武)委員 私の言っているのは、会社更生決定開始後は管財人に移るのです。以前ならば、申請しておったって代表権があるわけです。だからその間に結ばれた労働協約は有効かと言ったら、有効でございますと言ったじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/233
-
234・青木勇之助
○青木説明員 そのとおりでございまして、有効でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/234
-
235・田中武夫
○田中(武)委員 その労働協約に違反をして解雇をした場合は、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/235
-
236・青木勇之助
○青木説明員 御質問の趣旨、ちょっとはっきりあれなんでございますが、協約に違反して解雇が行なわれておれば、当然解雇は有効でないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/236
-
237・田中武夫
○田中(武)委員 前島参考人に伺いますが、この解雇せられた人たちに対し、会社は退職金あるいは労働基準法に基づくところの予告手当等は供託でもしていますか、それとも支給することになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/237
-
238・前島正男
○前島参考人 その点につきましては、非常に退職内容が複雑でございまして、いわゆるAグループの即日三月六日付解雇については、予告手当だけ供託しておって、退職金については供託しておりません。Bグルーブの富士電機グループあっせんについては、これは退職金を支給しないということを本人に個人通告しております。これは富士電機の関係会社に就職したときに、勤続年数を通算するということを言っております。それからCグループのいわゆる待機、オートバイを行なうようになったらば呼び寄せるという者については、これも同じく退職金は支払ってない。むろんB、Cグループについての予告手当は出さないことになっておりますがへ三月二十日の時点で一応本人の内諾がない場合は、解雇ということに切りかえております。よって、現時点においては予告手当というものはまだ全般的に供託はしておりません。部分的になされておる。ただ退職金については、何ら支払うということについてのはっきりした基準法に基づいた日にちも設定されておらないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/238
-
239・田中武夫
○田中(武)委員 いまの答弁せられた事項、労働法に対して全部正しいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/239
-
240・青木勇之助
○青木説明員 基準法の問題につきましては、ちょっと私のほうからお答えいたしかねますが、その点ちょっと御質問の趣旨がはっきりいたさないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/240
-
241・田中武夫
○田中(武)委員 ぼくが聞いておっても、そこに出ておる人は居眠りしておってはだめですよ、聞いておかなくちゃ。
いまの私の質問に対して、A、B、Cの三つのグループについて答弁があったのですね。Aについては予告手当は供託しておる。退職金はそのままだ。Bについては何もやっていない……。
そこで、それではAから聞きますが、たとえば労働基準法二十三条、これに基づくと、解雇するというならば、本人あるいは組合が了承する、せぬにかかわらず、まず第一に本人が受け取らなければ、解雇予告手当と退職金は供託すべきです。退職金は供託しておりません。労働基準法二十三条から見て、一週間以内に支払えということについてはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/241
-
242・東村金之助
○東村説明員 お答えします。
労働基準法二十三条の問題でございますが、退職金は請求があった場合には七日以内に払え、こういうかっこうになっておりまして、もし請求があって七日以内に払わなければ、これは違法でございます。それから予告手当の問題でございますが、予告手当につきましては、適法な解雇をする場合には、法に従いまして予告手当を払わなければいけない。ただその払い方については、供託をするということももちろん払ったうちに入る、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/242
-
243・田中武夫
○田中(武)委員 もうすでに退職金規程はあるのですね。ちょっと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/243
-
244・前島正男
○前島参考人 退職金規程はあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/244
-
245・田中武夫
○田中(武)委員 退職金規程があるならば、退職の事実、会社から言うならば解雇の事実発生と同時にそれだけのものは発生しておるのだ。請求の有無にかかわらず労働者の所属にかかわる物品なんです。違いますか。請求しなければ一週間以内に払わなくてもいい、二十三条はそう読めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/245
-
246・東村金之助
○東村説明員 私どもの承知しております東発の退職金……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/246
-
247・田中武夫
○田中(武)委員 東発を聞いておらない。一般的な規定を聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/247
-
248・東村金之助
○東村説明員 一般的な規定として申し上げますと、退職がありまして、そのときに具体的に何月何日退職後どういう、ふうに払うかという規定があれば、そのときを起点といたしまして請求が行なわれ、それで七日以内に払わないという事態が発生しますれば、違法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/248
-
249・田中武夫
○田中(武)委員 退職者の請求ということが要件になりますか。退職金規程があるならば、その支払い方にいろいろあるとするなら、退職の事実と同時にその債務は発生するのです。そうしたら、解雇せられた者が——現在ではそれは争いがありますが、その者が請求をしないと債権は発生しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/249
-
250・東村金之助
○東村説明員 退職金につきましては、退職をした場合にいかなる時点に払うかという規定がございますれば、その時点から起算いたしまして、があって七日以内に払わなかったということならば、違法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/250
-
251・田中武夫
○田中(武)委員 いわゆる債権者というか、解雇せられた者、退職者の請求ということが要件になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/251
-
252・東村金之助
○東村説明員 二十三条の関係においては、要件になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/252
-
253・田中武夫
○田中(武)委員 それはどういう規定ですか。ちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/253
-
254・東村金之助
○東村説明員 労働基準法第二十三条によりますと、「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。」こう書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/254
-
255・田中武夫
○田中(武)委員 それじゃ請求がなければ債権は発生していないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/255
-
256・東村金之助
○東村説明員 二十三条との関係におきましては、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/256
-
257・田中武夫
○田中(武)委員 いや、債権は発生しておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/257
-
258・東村金之助
○東村説明員 お説のとおり、債権そのものは請求の有無にかかわらずその時点になれば発生しますし、二十三条の関係で違法が成立しますためには請求が必要である。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/258
-
259・田中武夫
○田中(武)委員 私の申し上げておるのは、いまの場合、円満退職でないのです。一方は解雇したと言う、一方はそれは了承しないと言う。その場合、解雇を主張するのには供託するわけですね。そのときには予告手当だけではいけない。発生するすべてのものをよこさなければ適法な供託とは言えないでしょう。したがって、法律的要件を備えていないじゃないか、こう言っておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/259
-
260・東村金之助
○東村説明員 いまの先生の御質問はお説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/260
-
261・田中武夫
○田中(武)委員 それから富士電機へ行くといいますか、その者には退職金を支払わない。ここに、東発なら東発に退職金規程があるわけです。東発を退職したときには、それはもう退職という事実があったときに、直ちに債権関係が発生しておるわけですね。それを支払わないということは、どういうことですか。
さらに自宅待機、レイオフといいますか、この場合はオートバイを再開するまでは自宅待機、それがいわゆる会社の都合による休業とするならば、労働基準法による六割は出さなければならない。ところが、どうも、こういうことについては失業保険でカバーしようとしておる。そうした場合、失業保険法の三条の「失業の意義」ということですね。働く意思があって、なお失業しておるという事実、あるいは十五条の保険金の給付の要件に合いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/261
-
262・有馬元治
○有馬政府委員 失業保険の給付の関係は、失業保険法の三条ないし十五条の要件に従って給付を行なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/262
-
263・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、三百何日だったかな、数字はいい。おまえさんは待機だ、こういう場合は、失業保険で食っていけ、こう言ったのは間違いですね。当然基準法二十六条による休業手当を出さなければいけないでしょう。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/263
-
264・有馬元治
○有馬政府委員 自宅待機というのが、どういう意味かわかりませんが、雇用関係の終了、すなわち死亡か——死亡の場合は失業保険金の問題はありませんが、離職の事実がなければ失業保険の問題は起きないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/264
-
265・田中武夫
○田中(武)委員 このレイオフというのは、ともかく雇用関係を続ける、切らない。もし切るのだったら退職金を払わなければいけない。払わずいたしまして雇用関係を継続しながら再開まで待てというわけです。その間は失業保険をもらって食っておれというのが、現にたくさん行なわれておるのですよ。いいですか、通産大臣。徹頭徹尾法律論を展開するなら、こういうことになる。だから、私はそういうことをやっておっても、ものごとの解決には——けしからぬ、やっつけろ、これは私やり方によっては、会社当局者は会社更生法二百九十一条の詐欺更生罪になるということは立証してみせますよ。しかしそれでは解決にならないのです。だから、もっと高度な解決方法をはかりなさい、考えてもらいたい、こう言ったのです。きょうあと板川君も質問するから、もうこの程度にして、結論だけに入りますが、お好みならば、毎日この六法全書を見ながら法律論を展開いたします。どうでしょう。
もう一つそれでは話しておきましょう。今度は無担保債権者の代理の方、どなたでもけっこうです。この間の私の質問に関連してだろうと思いますが、東発の会社から通産省へ計画倒産ではないという資料が出ておるようです。それによりますと、あなた方の陳情書にある、この十二月、一月に異常な発注をした、こういうことが計画倒産の疑いを持つ一点だ、こう言っておる、それに対して、そうではないという数字をあげておるようです。その数字は、あなたがもしなかったら読み上げますが、御承知でしょうか。そうするならば、時間がないから数字は読み上げませんが、出しておるのを見ると、十二月、一月に特に多いというようにはなっていないわけです。しかしあなた方自体が注文を受けたわけです。その実績から見て、十二月、一月は異常な発注があった。そのあなた方が受けた受注の量と最終的生産となっていた生産量、こう考えた場合に、私はこういう資料の提出ではなく——これによると大体コンスタントに毎日いっておるという資料です。十二月、一月は決して多いのではないといっておる。しかし注文は普通どおりに注文しておいて、検収をしておいて、生産を落とした場合に、そこに検収後のあなた方の納めたものが残るわけです。だから、あなた方の受けた受注の関係、東発がその当時出していった生産の関係等々を見なければ、この数字だけでは前もって計画しておったかどうかということはわからぬですよ。そのことについて、三人のうちでおわかりの方があったら、明確にひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/265
-
266・田代隆光
○田代参考人 東発側が通産省に提出しました数字は、東発が外注先に支払った金額でありまして、われわれ債権者が言う債権額と言うのは、もらった手形ではなく、東発の注文により納品した金額を債権額と言っております。この際東発側は、注文書を出したものもありますけれども、出さなくて、電話注文による作為的な注文が往々にしてあったということと、それからその電話による作為的な注文により債権者が納品しますと、それをなかなか検収しなかった、また検収しても支払い対象としなかったもの、及び支払い対象としましても、翌月二十五日に支払うときに一〇〇%を支払わなかったことがあったわけです。東発側で支払いました十二月分、これは一月二十五日に支払いましたが、これは、当然支払うべき義務のある金額のうち八
〇%を外注先に支払って、二〇%を繰り越しました。一月分を二月二十五日に支払う予定になっていましたが、これもやはり八〇%支払う予定でいたらしいのですが、二十四日、更生法の適用の申請申し出をしたということになったわけです。数字的に東発側が示しています手形を振り出した金額ですけれども、私が調べた結果、三十三社はっきりした数字が出ましたから読み上げてみます。三十八年十一月、千五百八十八万二千円、十二月、二千七百九十四万八千円、三十九年一月、二千二百二十万六千円、二月二十四日までの分、千九百五十一万九千円。これをもう少し詳しく申し上げますと、東発側がオートバイを生産しましたのは、十一月が四千二百九十七台、十二月が十一月に比べて四・六%減っております。すなわち四千九十九台です。三十九年一月は十一月に比べ四三%減っております。数字は二千四百五十九台、二月は十一月に比べ五六%減っております。数字は千八百九十二台です。これは二月二十四日までの分です。
なおここで三十三社拾いました外注先が注文により納品した金額は、十一月が千五百八十八万二千円、十二月はこれの七六%ふえておりまして二千七百九十四万八千円、三十九年一月は十一月に比べ四〇%ふえまして千九百五十一万九千円、これは二十四日までの分です。なおかつ岡谷工場のほうでは現金払いでもって納めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/266
-
267・田中武夫
○田中(武)委員 本日のこの委員会に警察庁刑事局長の出席を求めたのは、このようにして一つ一つの証拠固めをした結果、司法警察官たる身分を持つ人に来てもらってここで告発をしてもいいじゃないか、こういう考えも一つあったわけです。ところがそういうことをやったからといって一体どうなるのか。ただ悪いことをやったけしからぬといって縛るだけが能じゃありません。そこで私は大臣に徹頭徹尾裁判所で争うというようなことでやりましょうか、そうでない方法を選ぼうじゃ、ありませんかと申し上げたのです。こういうことをやっておると幾らでもあるのです。一つ一つ裏づけを参考人から言うてもらうというようなことでやっていくなら幾らでも出てきて、その結果あなたは司法警察官であろうから刑事訴訟法何条によって口頭をもって告発します。こういうことになる。そういうことはやったってしかたがないので、こういう場合はこういうかっこうになるのだという見本を示したにすぎません。
そこで最初に戻りまして、そういうことでなく、前向きに、もうこれは何回もおっしゃっておりますが、私のほうからもう一度大臣に申しますが、われわれは意図あって大臣をひっぱり出してきて、参考人あるいは傍聴人のおるところで言質をとろうとして言っておるのではありません。しかし前向きで大蔵大臣とも御相談の上で、手おくれにならないように措置をいたしてもらいたい、このことを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/267
-
268・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま法律論でやるのがいいか政治論でやるのがいいか、こういうことでございましたが、あなたがここでそういうふうに御発言になっていることは、やはり東発問題について関係者のために一生懸命におつとめになっていられることでありますから、法律論でやってぐあいのいいところがあるなら、法律論を大いにおやりになるのがいいと思う。それが当然の責務だと思う。しかし、それをやっても効果がないと思うなら、これは皆さんのためにおやりなさるのでありますからおやめになったほうがいいと思う。でありますから、あなたが法律論をおやりになることを私はおとめすべきではないと思う。むしろそれをやることが議会の姿においてそういうことが必要であり、やることが正しいということでございますれば、これはおやりになることは当然のことであると思います。ただ私はそれとは別に、いずれにしても、こういう場合にどうして問題を処理したらいいかということになれば、政治問題もあることは、これは認めております。だから私はそのほうは十分考慮しながら考えております。こういうことは申し上げておるわけでございまして、しかしそういうふうに私が考えておろうがおるまいが、もし法律論でおやりになることが皆さんのためになるということであれば、それをおやりになるのが当然だと思います。これはあなたのおことばがあるから政治論のほうをわれわれとして強くブッシュしなければいかぬ、こういうことにはならないと思うので、それでは少しおことばが過ぎはしないだろうか。お互いに信義を持って政治を論じておる者の間柄として利はそれは少しおことばが過ぎはしないかと思う。あなたのおっしゃるのは聞かなければいじめてあげますよというふうに、とりょうによってはとれるわけですね。それではお互いに衆議院議員としてここに相対してやっておるのでありますから、ここはひとつ良識をもって処置をしていただきたい。私は決してやらないと申し上げておるのではない。やらなければこうだぞと、こうおっしゃっても、なかなかそれ以上にお答えはいたしかねる、こういうわけであります。しかし私は前向きに考えておるということは、ここでまた明瞭に申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/268
-
269・田中武夫
○田中(武)委員 これでおきます。きょうは福田大臣何かどうもちょっとおかしい。何もあなたが言うことを聞かなければ、こうしてやりますよということは言っていない。たとえば東発なり富士の役員が会社更生法二百九十条により詐欺更生罪が出るとして、一体中小企業がどうして救われるのですか。悪いやつは悪いように罰したらいいじゃないかということはそうでしょう。しかし、われわれがいまここで一番重要に考えなければならないのは、そういうことで関連倒産のうき目を見ておる人たちに対して迅速に、的確にどういう救済の道を立てていくかということを論議をしよう、こういうことで申し上げたので、大臣きょうはちょっとからむようなところがあるようですが、これは真意がわかりましたから、この程度にしておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/269
-
270・森義視
○森(義)委員 関連して伺いたいのですが、先ほどから参考人に出席していただきました無担保債権者の方並びに東発の参考人として来ていただきました委員長の前島さんの悲痛な叫びを聞いておりまして、私は暴力事件が起きないかあるいは違法な行為が起きないかと実は心配をして、その気持ちになって聞いておったわけです。ところが通産大臣は、その悲痛な叫びをこの場で聞いておられないから、先ほどの発言を聞いておりますと、参考人の皆さんにとっては、大臣ともあろうものがずいぶん変な感情でものを言うなというふうにお聞きになっておられると思います。また先ほどからわが党の先輩の議員やあるいは同僚の質問に対する中小企業庁長官並びに関係各機関の代表者の答弁というものは、参考人の悲痛な気持ちを全く満足さすような答弁ではなかったと思うわけです。
そこで、いま田中さんからも質問がございましたし、通産大臣も前向きの姿勢でこの問題を解決するために努力する——従来委員会で大臣が答弁されるのは大体そのくらいでございますけれども、ずいぶんと長時間にわたって質問が出ておりますので、大臣以外の皆さんもお聞きになっておることと思いますから、この問題については早急に検討とか考慮という字句をやめて努力をしていただきたい、こう思います。
そこで私は、時間の関係がございますので簡単に重要な点についてひとつお聞きしたいのですが、前島さんにお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/270
-
271・二階堂進
○二階堂委員長 森委員にちょっと申し上げますが、通産大臣は所用のために五時五十分に出たいということでございますので、まだあとに板川先生その他の質問者もあるようでございますから、ひとつ時間を簡潔にお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/271
-
272・森義視
○森(義)委員 わかりました。前島さんにお聞きいたしたいのですが、あなたの組合はいつ結成されたのか。それから専従者が何名おられるのか。それから経営協議会あるいは生産協議会、そういうような経営に関する問題について組合と話し合うような機関があるのかどうか。それから従来の団体交渉はどういう規模で、相手方はどういう人が出てきて団体交渉が行なわれているのか。まず、こういうことについてお伺いしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/272
-
273・前島正男
○前島参考人 第一点の労働組合の結成でございますが、志村は昭和二十年の十二月に結成されております。岡谷工場が一年程度おくれまして結成され、京橋は五年あたり前から結成されて連合会を結成しておるわけであります。
次の専従者でございますが、志村の労働組合においては二名、岡谷工場においては一名、連合会として一名、計四名の専従者がおります。
それから経営協議会等の問題でございますが、これは富士電機の系列に入る以前と以降とは変わっておりまして、以前はかなり突っ込んだ組合側の意見も考慮された点があったわけなんですが、富士電機の系列へ入って、富士電機との関係においては、ただ会社が現況を説明するというのみにとどまり、ほとんどわれわれの意見も聞き入れず、あるいは履行されていないという点が明確でございます。
それから団体交渉の態度でございますが、これにつきましても、非常に決定的な段階においては何ら回答を出さず、富士電機の本社へ行って回答を得て帰ってくるという状況であったことを報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/273
-
274・森義視
○森(義)委員 大臣の時間の関係がありますので、板川先生から大臣に対する質問を先にやっていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/274
-
275・二階堂進
○二階堂委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/275
-
276・板川正吾
○板川委員 大臣に伺いますが、池田内閣が所得倍増計画のひずみを直す、こういうことで中小企業と農業の政策に重点を置くんだということを選挙のときに公約をし、また昨年、前国会において中小企業基本法を通したときにもそうした趣旨を大臣もるる述べられておりますが、今後中小企業と農業に政策の重点を置いていくというこの池田内閣の方針には、今日においても変わりはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/276
-
277・福田一
○福田(一)国務大臣 変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/277
-
278・板川正吾
○板川委員 そこで農林省の保険課長に簡単に伺いますが、農民の場合、お百姓をしておって自己の責任でなくて災害を受けた場合に、たとえば風水害あるいは虫の害あるいは寒冷害あるいは価格の暴落、こういった自分の責任ではないその場合に受ける損害、大きな被害ですね。この場合に救済制度なりあるいは保険といったたくさんの制度があると思うのですが、どういう種類のものがあるのか、若干例をあげて説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/278
-
279・岡安誠
○岡安説明員 農林省では、たとえば農作物でございますが、現在農業災害補償法という法律がございまして、対象は水稲、陸稲、麦、蚕繭、それから家畜でございます。これが大体災害を受けました場合には共済組合でやる。それから共済組合連合会、さらには政府が再保険しまして保険金を支払うわけでございます。
それから原因でございますが、原因は天災等の自然災害を主たる原因といたしております。ただ、家畜につきましては死亡と病気を対象といたしております。ただ、御質問の中の価格の暴落につきましては、現在救済の対象にいたしておりません。ですから、農作物、蚕繭につきましては一定の基準以上の被害を受けた場合には共済金が支払われるというようなたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/279
-
280・板川正吾
○板川委員 大臣も御承知のように、農業の場合にはたいへんな減収があった場合にいろいろの救済制度がございます。いまのほかに、たとえば価格の暴落した場合に肉とか卵とか、これは抜きましたけれども、そういう支持価格制度があるのであります。それで、池田内閣が農業と中小企業に重点を置くということは、農業のほうに重点を置いて中小企業は下に見ているという政策ですか、通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/280
-
281・福田一
○福田(一)国務大臣 どちらも平等に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/281
-
282・板川正吾
○板川委員 そこで通産大臣に伺いますが、農業にはただいま申し上げましたように、農民の責任でなくて災害を受けたような天災等の場合にたくさんな救済制度がありますが、中小企業、今回の場合のような下請企業、下請事業が、とにかく自分は一生懸命仕事をやっておった、しかし親会社のそうした計画的な倒産のあおりを食って、自分も倒産せざるを得ないというような場合に、中小企業の政策としてこれを救済する制度はございますか。——これはないということは、先ほどからのお答えでわかっておりますから、ないことはもうはっきりしておるのです。農業にあって、中小企業にないというのは、これは片手落ちではございませんか。通産大臣としてどういうお考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/282
-
283・福田一
○福田(一)国務大臣 私はそこに問題の性質の相違があると思っております。一方は土地を対象にし、あるいは果実を対象にし、あるいは畜産を対象にするというようなことでございます。ところが中小企業ということばで包含しておるものにどれだけのものがあるか、その業態がどういうふうになっておるかということは、板川委員もよく御存じだと思う。私はあなたが仰せになった今後そういう種類の問題を解決するために法制その他について研究してみてはどうかというお考えには、決して反対をいたしておるものではございません。そういうことを十分研究しなきゃいかぬでしょう。しかし、いまもし下請企業の問題についてそういう法律をつくったとしたら、それではそういうことでなくて、たとえば店で物を売ってその代金が取れなかったような場合一体どうするか。そういうものは、それがどれだけその人の商売に影響があるかということ、そういうことをいろいろ考えていきますと、いまにわかに——私は業種別にいろいろ考えて対策は立てていかなければならないと思うので、たとえば農業においても畜産の場合にはこういうふうにします、あるいは米の場合にはこうします、原因についてもいろいろ問題があるでしょう。私は、今度のような場合に処してどういうふうなことをしたらいいかということは、先ほども田中委員からお話がございましたから、そういうことは十分調査してこれに対する対策は考えたいと思いますということを申し上げておるわけでございまして、そのこと自体に何も異議はないのでありますが、それだから、まだできていないのはおまえたちの不勉強ではないか、こうおっしゃれば、これはもうまことに申しわけないといってお答えするよりいたし方ないと思うけれども、しかし一方において農業の置かれておる立場と、中小企業、商売というもの、特にこれはまた販売業と製造業とまた違います。またそのうちにもいろいろ種類があるのですが、それらのものを詳しく分析しながら、だれもがそれに対して文句はない、なるほどもっともなことであるということでなければ、法律の立案というものはできないだろうと思うのであります。そういうことをするには、やはり私たちとしては真剣に、事態をよく把握するということが必要であります。だから田中委員はもっと勉強せいとおっしゃったの、だと思っておるのでありますが、私はそういう意味において大いに研究をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/283
-
284・板川正吾
○板川委員 どうも話の焦点がはずされるような気がするのですが、農業の場合に、米や麦や、あるいは畜産、こういったものの補償制度がある。そのほか豪雪害とか風水害とかの場合に、これは農民ばかりでなくて、一般のものを対象とした救済制度もあると思うのですが、いま大臣は、農民の場合には米とか麦とか畜産とかまあ対象はきまっておる、こう言う。じゃこの中小企業の場合でも、一般の取引関係ではまあいろいろ問題があるから抜きにするとしましても、親企業と下請企業との関係、ここだけにしぼってみた場合には、畜産なり、あるいは米や麦というものと同じじゃないですか。だから私は、政府が農業と中小企業に重点を置いてやっておると言いながら、どうも中小企業のほうは、大臣、不勉強ですね。不勉強というものは、これは国会自身、われわれも含めて不勉強の点があると思うのです。大臣一人責めません。われわれもそうだと思うんですが、考えてみると農業関係にはそういう救済制度がたくさんあります。それは農民の経済的な地位が低いということもありましょう。いまの下請関係の零細業者の中には農民とそう違わないという方もたくさんありますよ。ですから、そういう企業が自己の責任でなくて、善意をもって一生懸命仕事をしておったが、たまたま親会社、しかも親会社と取引しておる自分のまた上の会社がつぶれた場合に、あおりを食って自分もつぶれる。まあそういう立場のものが今度の場合たくさんおるわけです。だから、そういう人たちに何らかの制度で農業と同じような救済制度があってしかるべきであったと思うのです。この点、大臣ばかり責めるわけではないが、前回も多少考慮するような意見を言っておりますけれども、あれはその場の答弁逃がれのことばのように思っておるものだから、いま少しそういう点を確認しておきたいという気持ちもあって質問したわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/284
-
285・福田一
○福田(一)国務大臣 仰せのとおり、下請企業の場合においては一つの特殊性がそこにあらわれております。それはお説のとおりであります。しかし下請企業の場合においても、そこの会社の仕事だけをしておる場合と、その会社の仕事は自分がやっておる仕事のうちで一〇%しかしておらない場合と、またそれの不渡りになった金額が百万円の場合と一万円の場合と、いろいろこれは問題があると思うのであります。そういうようなことをまず考えてみる必要はある。そこでいまさしあたりわれわれとしてできることは、先ほど言ったように金融の措置を講ずるのでありますが、それで更生できない場合があり得るではないか。たとえば先ほど銀行局長が言っておるのは、主としてそこの仕事ばかりしておったのでどうにもならない、ほかにどうにも方法がないというような場合には、これはどうにも道がないのだ、こういうことでございますが、企業の自由を認めて仕事をしてもらっておって、そしてその場合においてもうけた場合にはそれはもうけとして、まあもちろんもうかった分については税金がありますけれども、何も特別にどうするわけでもない。中小企業が大企業になったらいけないというわけでもない。これはもうそういうことは認められておる。これは私は原則を申し上げておるのですから、具体的にここにおいでになっている方について申し上げておるわけではないが、そういう場合があり得るわけであります。だから私はそこいら辺の問題をよく詰めてみませんと、下請のそういう不渡りになったようなものを全部すぐ救済する方途が講じられるかどうかということになると問題だと思う。特に今度の場合、ぼくは債権者の一覧表をこの間も見せてもらったが、きょうもずっと見ていると、飲み屋さんもあれば料理屋さんもある。それかと思うと、何か品物を納めた人もある。こういうのをはたして下請と言えるかどうか、非常に問題であります。そこでほんとうの下請という、いわゆるそういう品物を、たとえばオートバイをつくる場合の部品を納めておるのがどのくらいか、あるいは薬品を納めておるのがどういう場合かというような問題そういうものをどういうふうに下請と見るべきかというような問題も出てくるだろうと思うのであります。私はそういうことをもっと詳しく調べるということでなければ、なかなかこの問題の解決がむずかしいのではないかと思っておるのでありまして、あなたの三段論法で、どうしても農業と同じように仕事をやらねばいかぬじゃないかというふうに持ってこられる質問のうまさには、私は非常に敬意を払いますけれども、どうもそれだからといって同じでございますとお答えするわけにもいかない。もう少し勉強さしてもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/285
-
286・板川正吾
○板川委員 どうもほかされていかぬのですが、私が言うのは、とにかく農業の場合には農民に救済制度がたくさんある。中小企業には一つもない。ないということは、われわれも責任がありますが、少なくとも政府自身がもっと責任を感じて、そしてこれが対策を講じなくてはいけないことだと思うのです。
それはまあわかったと思いますから、もう一点だけ伺いますが、今度の場合、何といってもたくさんの負債をして倒産をした事実がある。覆水盆に帰らずではございませんが、とにかくこの東発の倒産で従来の企業をそのまま維持することができないということも明らかです。そうしますと、特に下請関係のもの、まあ東発自身については会社更正法がやがて結論を出してそれで軌道に乗るかもしれません。しかし軌道に乗ったところで従来の形で営業を経営するわけにはまいらない。その場合におのずからたくさんの下請関係者はどういうふうにあすからの生活をやっていくかということが一番問題だと思います。もちろん手形金融の問題もありましょう。ありましょうが、それを克服した後、とにかくどうして今後自分の企業を経営していくか、どこと商売をしていくかということがやはり一番必要な問題だと思うのです。この点は別に法律にございませんが、法律にないからやらないということじゃなくて、たとえばその機械が有効に使える同種の産業もありましょう。また類似の、私もしろうとでわかりませんが、たとえば自動車の部品等、そういう方向に転業できるような方法があれば、そういう面について大臣は積極的な努力をしてほしいと思うのです。自動車産業でもけっこうです。いまの機械を多少でも改良すれば、あるいは手を加えればそのままできる、しかも自動車産業はいまや日の出の勢いで伸びているのですから、その下請会社等で明日からの企業を営める、こういうふうな形を中小企業庁長官や大臣が中心になって、ひとつめんどうを見ていただきたい。法律にないからやらないなんて言わないで、とにかく救済制度がないということに対する大臣としての責任もあるはずですから、そういう点をひとつ一生懸命やってもらいたいということを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/286
-
287・福田一
○福田(一)国務大臣 どうも板川さんのように自分も責任があるのだというような非常に謙遜したおことばを聞くと、かえってこっちは恐縮するわけでありますが、しかし、いまおっしゃったうちには、非常に示唆のあるおことばがあると思うのであります。実はわれわれもそれを考えておるわけなので、たとえば下請のお方、いま債権者のお方といっても、実際業種はいろいろあります。組合をつくるといっても、組合をつくる本人たちが組合をつくる意思があっても、それば組合をつくってみても、たとえば責任者をだれにするとか、いろいろな問題があって、金を借りるということになればなかなかむずかしいのであります。そこで先ほどなかなかむずかしいという意味のことを中小企業庁長官は言っておる。しかし、そのうちでも同じ業種の人たちが、これを機会にひとつ手を組んでやろうというので組合でもおつくりになる、そういう場合においては、われわれは金融措置等については十分お骨折りをする意思を持っております。ただ、いまのような千何百人の方が全体で組合をおつくりになったからといって、なかなかそうはいかないということを言っている。またお仕事の点でも、やはりいま言ったように、そういうふうに組合でもつくったりしてひとつこの際やろう、こういうような意欲があって考えられる場合は、ここに重工業局長も来ておりますけれども、私はそういうようなものもできてやっておるのだから、何か考えてやれないかというよりな行政指導もやったり、あるいはあっせん等も考えてやっていいと思うのであります。おれのところはこういう仕事がどれだけあってどうだ、こういうことであればまたここに道は開けると思う。だから、われわれとしてはできるだけのことはして差し上げたいという気持ちはありますが、そこにやはり法律の問題もありますから、結局はもう一ぺんさっきの問題へ戻りますが、新しいそういうことができるかどうか、法律をつくれるかどうかということをもう少し勉強してみる必要があることと、具体的にいまの問題としては、いま申し上げたような方途であれば、これは考えるべきであり、また実際われわれ考えております。きょうも実はここへ来る前に、私は重工業局長を呼んでいろいろ聞いておるのであります。聞いておるけれども、なかなか何でもかんでもここで私がものを申し上げるということがいいことかどうかはわからない。ものを言わないでも、やはり考えておるものは考えておるわけなのです。そこはひとつあなたと私の間だから、長い間の関係でやはり信用していただくよりほかいたし方がないと思います。
そういうわけですから、どうかひとつ、またいい知恵がございましたら、これはわれわれ知恵がない場合もあるのですから、教えていただければ非常に幸いだと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/287
-
288・森義視
○森(義)委員 それでは具体的に前島さんにお聞きしたいのですが、二月二十六日の団交の模様なのですが、二十四日に会社更生法適用の申請を突如としてされたために、おそらく異常な雰囲気にあったと思うのです。ところが先ほどのお話を聞いておりますと、それほど混乱した状態でなさそうですが、たとえば社長室に多数が押しかけて強引に判を押させたというような協約でもなさそうです。そこで当日団体交渉の席上に入られたのは何名くらいであったか、あの協約が締結されるまでの時間、どのくらい時間がかかったか、このことをちょっと答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/288
-
289・前島正男
○前島参考人 それは当日ちょうど団交の予定でございましたが、さきほど債権者の方のお話がありましたように、債権者の説明が、協議会がありまして、予定した時間に会社のほうで開けなかったということで、われわれとしては時間がないからその場でやりましょうということでやったわけです。そういう点からいって、重役の方はほとんど、債権者の方の説明があったので出席しておりました。そこで行なわれたわけでございまして、行なわれた時間は午後八時でありまして、突然でございましたので、われわれとしてもその間の事情を聞く必要もございましたし、また協定も締結するということで、いろいろ時間を食いまして、結果的に調印いたしましたのは午前四時ごろということになっております。
調印につきましては、社長も自筆で書いて調印しておりますし、その点について会社再建のために、私と社長でほんとうにがんばっていきましょうということで握手して別れたのが状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/289
-
290・森義視
○森(義)委員 それでいまのような事情なんですが、法規課長、突如として会社が更生適用の申請をして、組合のほうが非常に混乱をしておった、そういう状態の中で、ずいぶん長時間待たされる中で団体交渉が行なわれ、若干時間を経過したようですが、最終段階では、社長と組合の委員長がお互いに再建に協力しましょうということで握手をして別れた、自筆の署名入りの労働協約なんです。この協約をした事情をお聞きになって、あなたは正しい協約として法的に認められるといまの時点でお考えかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/290
-
291・青木勇之助
○青木説明員 ただいまの先生の御質問につきましては、先ほども藤田先生の御質問にお答えいたしましたように、締結のときの状況、ただいま参考人の方から説明がありましたが、その他諸般の状況等もあるかどうか、われわれとしてはそういう実態をよく存じておりません。しかし正規にそれぞれ調印権限を持つ者が通常の団体交渉をやりまして締結いたしました以上は有効、これは一般的にそういうふうに申し上げることができると思うのであります。ただし、今回のいま問題になっております事案につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、そのときにおきまする諸般の事情というものを具体的に判断して決定するよりほかないのじゃないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/291
-
292・森義視
○森(義)委員 そこで組合のほうから、団体交渉による労働協約締結の事情を詳しく文書にして労働省の法規課に対して、いわゆる解釈についての問い合わせをした場合に、労働省としてはどういう手続をとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/292
-
293・青木勇之助
○青木説明員 組合側からもしそういう照会文書が参りました際は、会社側からも十分事情を聴取いたし、もしそれでもって判断できて解釈できる場合は返答をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/293
-
294・森義視
○森(義)委員 どのくらいの日数がかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/294
-
295・青木勇之助
○青木説明員 具体的な問題でございますから、その照会事案の内容いかんにかかわると思いますが、できるだけ早く出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/295
-
296・森義視
○森(義)委員 この協約は、先ほどもお聞きになったように、労働条件の変更は協議決定事項になっておるわけです。したがって、この協約が有効ならば解雇それ自体は無効であるということがはっきりするわけですね。もちろん最終的には向こうが提訴すれば裁判所の問題になるかもわかりません。しかし、労働行政庁としての解釈は途中の段階で出せると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/296
-
297・青木勇之助
○青木説明員 私どもといたしましては、労働協約の一般的な解釈は常々いたしております。しかし、それは具体的な事案につきまして紛争がございました際は、労調法にも規定がございますように、公正なる第三者機関としての労働委員会が設けられておるのでございます。その具体的事案の紛争処理につきましては、そういう機関によって公正な解決をはかるべきではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/297
-
298・森義視
○森(義)委員 それでは労働政務次官に聞きますが、労働省は労働法規の解釈についてよく行政解釈というのを通達で出すわけです。一々具体的な事例を裁判所で決定を見ずに労働省の行政的見解を出すわけですが、いまのお話では具体的な問題についてはいわゆる一般的に答弁できない、こういうお話なんですが、労働省は法規上の行政的な解釈についていつも出しているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/298
-
299・藏内修治
○藏内政府委員 法規の原則的な解釈については、労働省としての解釈を通達を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/299
-
300・森義視
○森(義)委員 原則的な問題じゃなくて、非常に具体的な問題でも出しております。こういうふうな非常事態の場合において、先ほどから中小企業庁長官や通産大臣、関係各省に対して重要な質問が行なわれているわけです。したがって労働省としても、労働者の身分を保障するという見地から、われわれから要求するまでもなく、そういう違法な使用者側の一方的な措置に対しては、先んじて調査を行ない、それに対する見解を出すほうが、私は労働省の行政官庁としてとるべき態度だと思うんだが、何も言ってこないから黙ってほっておく、こういう形でいいのかどうか、どのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/300
-
301・藏内修治
○藏内政府委員 本件の事件につきましては、三月十七日になりまして、労働者側の代表が初めて監督署にお見えになりました。そこで事情を聴取いたしまして、それに伴って直ちに使用者側を呼びまして、労働基準法違反の事案が発生せざるように厳重な勧告を発しておる、このようなことでございまして、事案の発生という事態がなければ労働省として指導できないというわけじゃございません。定期的に労政機関を通じての指導はいたしておりますけれども、具体的な事実についてはやはり労使双方からの申告を待つという事態が必要であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/301
-
302・森義視
○森(義)委員 協約の問題が有効か無効かということは、基準法の違反の前の、いわゆる解雇が有効か無効かの問題なんですよ。それを有効という前提に立って、実際実施される基準法の違反であるかないか、そういう問題よりも、一番根本的な問題を労働省のほうとしては関心を持ち、調査もし、それに対して適切な行政指導をやらなければいかぬと思うのです。そういうことをいまどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/302
-
303・藏内修治
○藏内政府委員 つとめてそのように、御趣旨に沿うように監督機関を通じまして指導をいたしておるつもりでございますが、個々の具体的な事案については、労働省としてのさらに決定的な法規の解釈というものを出す時点と申しますか、これよりも労働委員会なり第三者機関の判断を待つべき必要がある場合が具体的には多いのじゃなかろうか。一般的な原則的な指導は、労働省としては常に注意をして励行いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/303
-
304・森義視
○森(義)委員 ひとつ参考人にお願いしておきたいのですが、これは直ちに行政解釈を要請してください。と同時に、都労委に申請をしてその解雇無効のあっせんの申請をやっていただきたい、そう思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/304
-
305・中村重光
○中村(重)委員 この問題はきわめて深刻で重大な問題であります。各党間におきましてもそれぞれ対策を講ずるでありましょうが、当委員会におきましても、小委員会等をつくりまして適切な対策を講ずる必要があると思います。理事会にはかりまして、委員長においてはそのような措置を講ぜられますように要請をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/305
-
306・二階堂進
○二階堂委員長 理事会にはかりまして、委員長といたしまして善処いたします。
参考人の各位におかれましては、長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。
次会は明後十日金曜日午前十時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03119640408/306
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。