1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 中村 重光君
遠藤 三郎君 小笠 公韶君
海部 俊樹君 神田 博君
小宮山重四郎君 小山 省二君
田中 龍夫君 田中 六助君
中村 幸八君 長谷川四郎君
南 好雄君 大村 邦夫君
沢田 政治君 島口重次郎君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
森 義視君 麻生 良方君
伊藤卯四郎君 加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 鉄藏君
通商産業事務官
(鉱山局長) 加藤 悌次君
通商産業事務官
(石炭局長) 新井 眞一君
委員外の出席者
議 員 遠藤 三郎君
専 門 員 渡邊 一俊君
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四月十日
工業整備特別地域整備促進法案(遠藤三郎君外
十九名提出、衆法第四一号)
同月十一日
東北開発株式会社の再建案反対に関
する請願
(勝澤芳雄君紹介)(第二三八八号)
同(川俣清音君紹介)(第二三八九号)
同外二件(五島虎雄君紹介)(第二三九〇号)
同外四件(田口誠治君紹介)(第二三九一号)
同(滝井義高君紹介)(第二三九二号)
同外四件(八木一男君紹介)(第二三九三号)
同外二件(横山利秋君紹介)(第二三九四号)
同(五島虎雄君紹介)(第二五〇一号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第二五〇二号)
同(小林進君紹介)(第二五六〇号)
同(長谷川保君紹介)(第二五六一号)
同(長谷川正三君紹介)(第二六二四号)
同(村山喜一君紹介)(第二六二五号)
同(吉村吉雄君紹介)(第二六二六号)
物価値上げ抑制等に関する請願(戸叶里子君紹
介)(第二三九五号)
同(吉村吉雄君紹介)(第二六四九号)
物価値上げ反対並びに独占価格の引き下げ等に
関する請願外七件(赤松勇君紹介)(第二三
九六号)
同(秋山徳雄君紹介)(第二三九七号)
同外十二件(淡谷悠藏君紹介)(第二三九八
号)
同外二件(井谷正吉君紹介)(第二三九九号)
同外六件(岡田春夫君紹介)(第二四〇〇号)
同(千葉七郎君紹介)(第二四〇一号)
同(川崎寛治君紹介)(第二四〇二号)
同(河上丈太郎君紹介)(第二四〇三号)
同(黒田寿男君紹介)(第二四〇四号)
同(田中武夫君紹介)(第二四〇五号)
同外二件(泊谷裕夫君紹介)(第二四〇六号)
同(堀昌雄君紹介)(第二四〇七号)
同外一件(村山喜一君紹介)(第二四〇八号)
同(伊藤よし子君紹介)(第二五〇三号)
同(大柴滋夫君紹介)(第二五〇四号)
同(金丸徳重君紹介)(第二五〇五号)
同(沢田政治君紹介)(第二五〇六号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第二五〇七号)
同外二件(細谷治嘉君紹介)(第二五〇八号)
同外十九件(八木昇君紹介)(第二五〇九号)
同(湯山勇君紹介)(第二五一〇号)
同(和田博雄君紹介)(第二五一一号)
同(勝澤芳雄君紹介)(第二五六二号)
同(川俣清音君紹介)(第二五六三号)
同(河野正君紹介)(第二五六四号)
同外一件(五島虎雄君紹介)(第二五六五号)
同(加藤清二君紹介)(第二五六六号)
同(卜部政巳君紹介)(第二五六七号)
同(佐野憲治君紹介)(第二五六八号)
同外六件(華山親義君紹介)(第二五六九号)
同(原彪君紹介)(第二五七〇号)
同外一件(松井誠君紹介)(第二五七一号)
同外二件(山中日露史君紹介)(第二五七二
号)
同外八件(板川正吾君紹介)(第二六三六号)
同(岡田春夫君紹介)(第二六三七号)
同外八件(久保田豊君紹介)(第二六三八号)
同外二件(東海林稔君紹介)(第二六三九号)
同外二件(千葉七郎君紹介)(第二六四〇号)
同外二件(畑和君紹介)(第二六四一号)
同外十一件(肥田次郎君紹介)(第二六四二
号)
同外六件(穗積七郎君紹介)(第二六四三号)
同外七件(細迫兼光君紹介)(第二六四四号)
同外三件(松浦定義君紹介)(第二六四五号)
同外四件(山内広君紹介)(第二六四六号)
同外一件(山田耻目君紹介)(第二六四七号)
同外四件(吉村吉雄君紹介)(第二六四八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
工業整備特別地域整備促進法案(遠藤三郎君外
十九名提出、衆法第四一号)
鉱業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五
三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、四月十日付託になりました遠藤三郎君外十九名提出の工業整備特別地域整備促進法案を議題とし、提出者より趣旨の説明を聴取することにいたします。遠藤三郎君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/1
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002・遠藤三郎
○遠藤議員 ただいま議題となりました工業整備特別地域整備促進法案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
わが国の経済が着実な発展を続けておりますことは御承知のとおりでありますが、今後引き続いて貿易為替の自由化を推し進めながら、安定した経済成長を維持するためには、なお解決すべき幾多の課題をかかえているのでございます。
なかんずく、京浜、阪神等の既成の大工業地帯における人口及び産業の過度の集中は、いわゆる過大都市化の問題として、工業用地の枯渇や地盤沈下等生産面における弊害のみならず、住宅難、交通難等生活面においても深刻な弊害を惹起しつつあり、また、既成工業地帯へのこの集中傾向は、同時に、それ以外の地域との間にいわゆる地域格差を生ぜしめる原因となっているのでありまして、これらは国土の均衡ある開発発展に重大な阻害要因として作用し、早急に総合的な対策を講ずることを必要としておるのであります。
以上のような地域的課題を解決する方策としては、いわゆる低開発地域における工業の開発を促進するため、低開発地域工業開発促進法が制定されており、また、全国的な視野に立った適正な産業配置の構想のもとに、産業の立地条件と都市施設の整備をはかることにより、新たに相当規模の産業都市を地方に建設することを目的として、新産業都市建設促進法が制定されておりますが、さらに、工業の立地条件がすぐれており、かつ、工業が比較的開発され、投資効果も高いと認められる地域について、工業の基盤となる施設その他の施設を一そう整備することが特に重要と考えられるのであります。この対策は、既成大都市の過大都市化の誘因を減殺し、また、工業整備特別地域が中核となってその地方の一そうの開発に大きな波及的効果をもたらすという点で、地域開発政策上、有効な手段たり得るものと考えるのであります。
この法律案は、このような趣旨から、地方の開発発展の中核となるべき工業整備特別地域の整備を促進するため、所要の措置を講じようとするものであります。
次に、この法律案の要旨を申し上げます。
第一点は、内閣総理大臣は、関係県知事及び地方産業開発審議会の意見を聞いて、鹿島地区、東駿河湾地区、東三河地区、播磨地区、備後地区及び周南地区にかかる地域を工業整備特別地域として定めるものとしたことであります。
第二点は、工業整備特別地域が定められた場合は、関係県知事は、国の地方支分部局の長及び関係市町村長の意見を聞いて、当該工業整備特別地域にかかる整備基本計画を作成し、内閣総理大臣に承認を申請するものとしたことであります。
第三点は、国及び地方公共団体は、整備基本計画の達成のため必要な施設の整備を促進することにつとめるとともに、これらの施設の用に供するため必要な土地につきましては、公有水面埋立法、農地法等の規定による許可等の処分をするにあたり特別の配慮をするものとしたことであります。
なお、整備基本計画を達成するために行なう事業に要する経費に充てるために起こす地方債についても特別の配慮をするものとしたことであります。
第四点は、国及び地方公共団体は、工業整備特別地域の整備に寄与すると認められる製造事業、運輸事業等の事業を営む者が行なう工場その他の施設の新設等について必要な資金の確保につとめるものとしたことであります。
第五点は、地方公共団体が工業整備特別地域内に工場を新増設する者に対して不動産取得税または固定資産税の減税をしたときは、当該地方公共団体に交付される地方交付税の算定の基礎となる基準財政収入額の算定につき、特別の措置を講ずるものとしたことであります。
第六点は、工業整備特別地域の一体的な整備を促進するため、関係市町村は、合併により、その規模の適正化に資するよう配慮するものとし、合併に際して議会の議員の任期等に関する特例を設けるものとしたことであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/2
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003・二階堂進
○二階堂委員長 以上で本案についての趣旨の説明は終わりました。
本案についての質疑は後日に譲ることにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/3
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004・二階堂進
○二階堂委員長 次に、内閣提出の鉱業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。沢田政治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/4
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005・沢田政治
○沢田委員 二回にわたって、私の先輩議員から大所高所からの鉱業法の問題に対する質疑を行なったわけでありますが、きょうは私は観点を変えまして、きわめてこまかい点についてお伺いいたしたいと思うわけです。
まず第一に、現行法では、第二条「国は、まだ掘採されない鉱物について、これを掘採し、及び取得」云々、こういうことでありますが、今度の改正法案では「土地から分離されない鉱物」こうなっております。土地から分離されない鉱物というのはどういう状態をさすのか。たとえば天然の地層のまま鉱物が賦存しておる状態をいうのか。その点で「土地から分離されない」ということは具体的にはどういうことか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/5
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006・加藤悌次
○加藤政府委員 最も一般的な場合は、先生御指摘のように、まだ天然の状態において鉱床の状況にある、これが普通の場合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/6
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007・沢田政治
○沢田委員 現行法では「採掘」と「掘採」という両方のことばを使っているわけですね。「採掘」と「掘採」はどう違いますか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/7
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008・加藤悌次
○加藤政府委員 大体意味合いは同じだと思いますが、現行法では試掘権と採掘権を同じ表現で規定をいたしておりますが、今度の改正法では試掘権と採掘権を別の表現でいたしておりますので、試掘の場合は文字どおりの探鉱をやるための権利でございまして、もとより採掘を目的とする権利ではございません。そういう規定のし方をやっております。したがいまして、もう一つの採掘権について、文字どおり採掘するのだというようなかっこうになりますので、現行法の掘採というまぎらわしい表現を避けて、こういう規定をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/8
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009・沢田政治
○沢田委員 この前にも多賀谷議員のほうから、試掘というものはどういう形態をさすのか、こういうような質問があったのでありますけれども、一応この中には、たとえば試掘の定義としては、「ボーリング又は坑道の掘さくにより探鉱をすることをいう。」これは文字どおりこのままこう解釈していいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/9
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010・加藤悌次
○加藤政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/10
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011・沢田政治
○沢田委員 たとえば私考えるには、ボーリングとか坑道を掘るほかに、物理探査、それから化学的な方法を使うところの探査方法、たとえば川の水の中に鉱物が溶け込んでおるその含有量といいますか、水分における鉱物質の量、こういうものを測定する方法もあるわけです。さらにまた金属、鉄を入れて、硫酸銅を含んでおる場合は、この銅が沈澱銅となって付着するわけですね、そういうような方法もあると思うわけです。さらにいま言ったような、一般的に地化学探査と言っていますけれども、そういう方法もあるわけです。たとえばウラニウムの場合はガイガー計算器でやるとか、そういうようなものは含まれないのかどうか、いまの改正法案では、ずばりいかにも自信あるように、坑道を掘る、あるいはボーリング、こういうことに限定しておるわけですね。なぜ私はこれを質問するかといいますと、たとえば水をガイガー計算器ではかるとか、こういう場合、悪質にこれを厳密に解釈したならば、たとえば試掘権を受けた、ただし法律にいっておる試掘の行為とは別の行為をやっているのじゃないか、こういうことで、地上権のある者との争いが起きる可能性があると思うわけですよ。したがって、ボーリングあるいは坑道の掘さくにより探鉱をすること等というならいいけれども、二つに限定されておるわけですね。したがって、これと別の方法で試掘をする場合には、法律上の試掘以外の行為になる可能性がありはしないか、こういうように考えられますので、その点に対する見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/11
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012・加藤悌次
○加藤政府委員 先生ただいま御指摘のような行為は、一般的にいって探鉱活動の一部をなすと思いますが、鉱業法上これらの行為につきましては、これは試掘権の範囲外の行為であります。逆にいえば、試掘権なしでもこういうことは行なえる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/12
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013・沢田政治
○沢田委員 それで、先ほどお伺いしましたが、適用鉱物の問題でお聞きしたいわけですが、たとえば——これはあり得るたとえばです。全然ないことではないわけです。たとえばずっと以前徳川時代に掘った廃鉱石がある。そこに何人も鉱業権を設定しておらない。当時は経済品位がなくて全然廃石になっておった。ところが最近は製錬、選鉱などの鉱石の化学的な処理の方法が発達をして、非常に経済品位になり得る鉱物ではあるわけですので、したがって、そういう鉱物はたとえば鉱業法上の適用鉱種の中に入るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/13
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014・加藤悌次
○加藤政府委員 そのとおりでございます。現行法の、改正法でも同じでごいざますが、三条の第二項にそのことを書いておりまして、土地と付合して一体になっておる、いわゆる一般の鉱業と同じような態様の試掘行為が必要であるというようなものは鉱物の中へ入れまして、鉱業権がなければそれは掘採、取得ができない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/14
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015・沢田政治
○沢田委員 そうなると、第七条との関連でお聞きしたいわけでありますけれども、「まだ土地から分離されない鉱物は、鉱業権によるのでなければ、試掘をしてはならない。ただし、次の」云々と書いておるわけであります。分離されない鉱物は鉱業権によるのでなければ試掘できないけれども、これは現に分離されておるわけですね。たとえば昔捨てた廃鉱石は分離されておるわけです。したがってそういうものをさがす場合には、この第七条は適用されないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/15
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016・加藤悌次
○加藤政府委員 一たん分離をされたわけでございますが、それが捨てられまして、その後長い年月を経て土地と付合して一体となっておるということでございまして、そういう場合について三条の二項で鉱物とみなすということになりますので、そういう付合して一体となっておる状況にあるようなものにつきましては、やはりこの試掘権がなければ試掘といえどもできない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/16
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017・沢田政治
○沢田委員 鉱業権を出願する場合、たとえば鉱業権の適用範囲でありますけれども、日本の国土であって、しかも行政権の及ぶところは、適法の手続によって出願したならば、理由なければこれを許可されるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/17
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018・加藤悌次
○加藤政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/18
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019・沢田政治
○沢田委員 しからば問題になっておる——たとえば竹島というのは韓国と問題になっておるわけでありますけれども、私なら私が適法の手続によって竹島に、ある鉱物があるということで出願した場合、これは許可しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/19
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020・加藤悌次
○加藤政府委員 日本の領土である限りにおいては、出願があって、しかも鉱業法による許可条件を満たしておれば、当然許可されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/20
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021・沢田政治
○沢田委員 かりに出願して通産当局が許可をした。ところが向こうの軍隊がおって竹島に行けない、これは国の責任によって本来国が解決すべき問題ですが、鉱業権があるけれども鉱業権が行使できないようになった場合、損害補償を一体国家が行なうかどうか、この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/21
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022・加藤悌次
○加藤政府委員 これは単に鉱業権の行使だけではなくて、その領土内で一般の私権の行使が、そういう事実上の行為によって制限されるわけでございますから、これは一般問題ということで処理することになると思います。鉱業法だけの問題ではないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/22
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023・沢田政治
○沢田委員 一般問題もあるけれども、鉱業権の場合、権利があるのだけれども、そうして掘らなければならぬのだけれども、実際問題としてそれを掘ることができない。したがって一般問題ではなくて、私は鉱業権の問題で聞いておるわけですが、それを現に行使できない、不可能だという場合に、その損害補償をするのかどうか。鉱業権に限って、具体的にそういう場合を想定して御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/23
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024・加藤悌次
○加藤政府委員 いま申し上げましたように、鉱業法の中にはそういった規定もございませんし、考え方もはっきりいたしておりません。ですから具体的の場合に即応して、国がはたして補償すべきものであるかどうかということは別に検討すべきであろう、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/24
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025・沢田政治
○沢田委員 今度の鉱業法の改正は、一部改正ということになっていますけれども、実際問題としては根本的な改正になっている。したがって見方によると、現に開放経済に移行しておるという場合に、非常に鉱業法そのものが、許可、認可、取り消し、こういった官僚統制が非常に強まっておるのではないか、開放経済体制から考えるならば、非常に官僚統制が強くなっておる、したがって矛盾があるのではないかというような一部の声があるわけです。私はそれを肯定するわけではないけれども、そういう声がある。今度の法律改正によって、許可、認可、取り消し、こういうような面で統制色が強くなっておると思うが、その点についてどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/25
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026・加藤悌次
○加藤政府委員 今度の改正では、この前の二十五年の改正後十数年を経ているわけでございますが、その間の鉱業権実施におけるいろいろの実状、特に石炭の産地等の状況を見てみますと、最近土地の利用が非常に高度化いたしまして、いわゆる地上の諸権益と鉱業権との競合と申しますか、衝突と申しますか、こういった問題が相当起こるようなかっこうになりまして、その面から必要な規定をいろいろ整備する問題と、それから御承知のように石炭には非常に鉱害問題、災害問題が多いわけでございますので、何分にも地下を掘採するという、そういう特別の作業をやるわけでございますので、そういった点で、鉱害の防止、災害の防止という面から、いままでの経験に徴しまして、より以上の監督規定等を整備する必要があるという趣旨で改正をいたしておるわけでございます。開放体制とは直接的には関係がないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/26
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027・沢田政治
○沢田委員 現行法では掘進増区があるわけでありますけれども、今度の新しい改正法案では掘進増区の点を削除しておるわけです。この前の委員会で滝井委員に対する答弁があったわけですけれども、たとえば石炭鉱業合理化事業団の持っておる保有鉱区については、この問題はいまあなたのほうで考えられておるとおりでいいと思うのですけれども、私は石炭の場合と金属の場合は若干違うと思うのですね。たとえば非常に有望な鉱床があるけれども、どうしてもどこかの鉱区を迂回して採掘したほうが非常に採掘しやすい、こういう場合は現にあり得るわけですけれども、そういう場合、どうして掘進増区を廃止したのか、この点についてはどうも疑問に感ずるわけです。その点に対して御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/27
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028・加藤悌次
○加藤政府委員 掘進増区は廃止はいたしましたけれども、同じ目的を達成するために租鉱権の設定という方法が可能でございますので、改正法では、今後は一定の鉱床に租鉱権を設定するという考え方でいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/28
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029・沢田政治
○沢田委員 改正法二十六条の三で、今度は経理的な基礎を明確にしておるわけでありますけれども、経理的な基礎の一応の制限をつけたのは、どういう政治的な理由によるのか、これは行政の問題からくるのか、経理的な基礎というものを新設したのはどういう理由によるのか、こういう点を具体的にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/29
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030・加藤悌次
○加藤政府委員 九州の産炭地等における実例を見ますと、いわゆる零細な鉱業権者が多数おられるような状況でございまして、比較的そういった鉱業権者の鉱区に災害、鉱害等が多いというようなことにもなりますので、やはりそういった企業のうち、いろいろな問題を起こすような石炭並びに亜炭につきましては、ある程度能力主義的な考え方を入れて権利を設定し、あるいは移転の許可をする場合に考えたらどうだろうかということで、そのための一つの指標として、経理的な基礎があるかどうか、これを見たいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/30
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031・沢田政治
○沢田委員 石炭の場合は、零細事業では災害が頻発しておる、そういう面を考慮されたと思うのですけれども、その点については、金属鉱山の場合も言い得ると思うわけです。したがって石炭のみでなく、金属鉱山の場合にも、やはりこの経理的な基礎、こういう一定の基準を設ける必要があると思うのです。その点に対してどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/31
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032・加藤悌次
○加藤政府委員 この経理的基礎を鉱業権設定の場合に見ようということになりましたのは、ただいま申し上げたような事情に基づくわけでございまして、そういった面から見ますと、石炭に比べ、その他金属、貴金属等につきましては、災害あるいは鉱害の状況は一割ぐらいしかないわけでございまして、そういった面からの必要性ははるかに少ない。一方鉱業権の設定なり移転を許可する、処分の公正を期し、また迅速を期するためには、やはり能力的要件を見るということも必要ではございますが、やはり程度問題であろう。やはり従前からたてまえになっております先願主義はくずしたくない。その主義、原則を維持しながら、必要最小限度において、問題の多い石炭、亜炭について能力主義的な要素を加味しようということで二十六条の三を設けたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/32
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033・沢田政治
○沢田委員 次は二十六条の二あるいは五十五条の欠格条項の問題でありますけれども、これはいいと思うのです。ただこの中で二十六条の二の一項「この法律若しくは鉱山保安法」、「この法律」というのは、改正される鉱業法に違反した場合というのか、現行のものであってもさかのぼるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/33
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034・加藤悌次
○加藤政府委員 改正法が通過いたしまして施行せられた暁には、この鉱業法に基づいて初めてこういう処刑が確定するという場合は、この条項によって鉱業権の設定が受けられない、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/34
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035・沢田政治
○沢田委員 当然法律不遡及の原則でいくわけですが、それはそれでいいとして、この欠格条項の中に、たとえばこの保安法とか鉱山法に違反して刑に処せられた場合、これは欠格条項になるわけですけれども、この欠格条項にも一つつけ加えるものがあるのじゃうないか、こういうように私としては考えるわけです。たとえば鉱業とか保安法に違反した、こういうことは好ましいことではないわけでありますけれども、もう一つは、たとえばある企業が三つぐらい鉱山か炭鉱を経営しておった。ところが三つぐらいあるうち、A、B、C三つの事業場を持っておるうち、Aの山が経営不振になって、その事業場を閉鎖した。そして労働基準法に違反して、賃金も払わない、退職金を払わないという例があるのです。そして片方で事業をやっておる。こういうことは反社会的だと思うのです。したがって、こういう労働基準法違反も欠格条項の中に含めるべきじゃないかというふうに考えるわけです。例を引くことはあまり好ましくないわけでありますけれども、倉敷鉱業ですか、大土森という鉱山が宮城県にあるわけでありますけれども、あそこを閉山しておる。そして退職金も払わぬ、賃金も払わぬ、どこにも行けず非常に生活に苦しんでおる、こういう状態があるわけです。さらに北秋田のほうの宝倉鉱業ですか、中島産業が最近硫黄山を開山しておりますね。こういうことは許されない行為だと思うのです。当然保安法、鉱業法以外に労働基準法に違反しておる場合も欠格条項の中に含めるべきじゃないか、こういうように考えるけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/35
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036・加藤悌次
○加藤政府委員 御指摘のような御意見も当然出るかとも存ずるわけでありますが、普通の一般の立法例も全然ないとは言いませんが、大方の立法例にならって鉱業法で欠格要件とするものは、鉱山についての法律の違反に限るということにしたらどうだろうかということで、こういう結果になったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/36
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037・沢田政治
○沢田委員 それでは例をあまりあげませんけれども、たとえばAならAという企業者が賃金を払わない、常識的に考えて反人間的、反社会的なことを行なっておる、こういうことは現存する。あなたのほうでもその事実を知っておる。だけれども、一応鉱業法上の適法な手続によって出願された場合は、そういう背景は知っておるけれども、たとえばどこかの鉱区をまた出願した場合、無条件で許可するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/37
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038・加藤悌次
○加藤政府委員 そういう場合には、先ほど御質問のございました新しく別に鉱業権を取得することになりますので、その段階において経理的基礎が十分あるかどうかという一つのふるいにかけられるわけでありまして、基準法違反で賃金が払えないといったものが、この経理的基礎の要件にパスするかどうかということでチェックできるのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/38
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039・沢田政治
○沢田委員 経理的な基礎の問題は石炭のみでしょう。金属の場合、経理的な基礎というものは何もないでしょう。金属鉱山にはそういうのが非常に多いわけですよ。したがって金属鉱山の場合経理的な基礎は全然ないのだから、どの条項でこれを判断して制限し、チェックするのか、この点明らかじゃないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/39
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040・加藤悌次
○加藤政府委員 この鉱業法で考えております欠格条項は、こういう人に鉱業権の設定を認めて、鉱業という事業が適格、適正にやれるかということを見たいという趣旨でありまして、こういった関係から鉱業関係の法規をいままで順守しておったかどうかということを見たいというのが、この条項の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/40
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041・沢田政治
○沢田委員 二十六条の他人の鉱区との調整の問題です。この前も事業団の法案審議の際申し上げましたけれども、たとえば日東の相内、古遠部あるいは松峯、内の岱、あの付近は鉱区が非常に錯綜しておるわけですね。したがってああいうものを具体的に調整する意思があるのかどうか。私は当然調整すべきだと思うのです。ばらばらに開発するということでは、この前申し上げましたように非常に経費の浪費である。したがって、ああいうものをさらにあの近傍にまた出願してくる人もあるかもしれませんが、そういう場合に、具体的に二十六条に基づいてどういうような調整をするか。まだ他の項にもあるわけでありますけれども、その点、具体的にどういうように調整するという考えがあるならば御答弁願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/41
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042・加藤悌次
○加藤政府委員 二十六条の規定は、最初に鉱業権の設定を出願する場合の措置をここで規定しておるわけでありまして、三十四条以下、出願があった場合の許可の基準等をいろいろ書いておるわけでございますが、こういった基準に該当するのかどうかということを判定するために、一般の処理のほかに特に必要があってこういう処理をとるということでございまして、いまの御指摘の相内等につきましては私よくは存じませんが、すでにあの辺は全部鉱区になっておるわけでございますので、この二十六条の適用にはならないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/42
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043・沢田政治
○沢田委員 今度の新しい改正法案では、採掘の場合はもちろんでありますけれども、試掘の場合にも、従来は設計書の提出でやったわけですが、今度は試掘説明書を通産当局に出さなければならぬことになっておるわけでありますけれども、たとえば予想される鉱石の状態、これは試掘の場合、あらかじめ明確にわかって試掘権を願い出るのじゃないのですよ、大体あるということで願い出るわけです。したがってこの改正法案で示すような具体的なことをはたして出し得るかどうか、私は出し得ないと思うのでありますが、この点に対してどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/43
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044・加藤悌次
○加藤政府委員 先生御指摘の二十二条の試掘説明書の規定でございますが、これは鉱業出願を処理するための判定材料として、一般の資料だけでは足りないという場合に、どういう方法で実際の採掘等の事業をおやりになるかということを聞くわけでございますので、もちろん採掘権と試掘権の場合は鉱床の状態等の判明状況も違っておるわけでございますから、内容的に精粗の違いはあるかもしれませんが、一応試掘権は試掘権なりに、どういう方法で試掘されるのかということを見たいということでございますので、その段階において判明し得る程度のものを出していただくということで、やむを得ないのではないか、こういうふうに存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/44
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045・沢田政治
○沢田委員 三十五条でありますが、通産局長は、鉱業出願地における鉱物の試掘または採掘が経済的に価値がないと認めるとき、こうなっておりますけれども、経済的な価値がないということはどういう客観的な基準で判定をするのかということです。たとえば経済的な価値が現在ないけれども、市況等の関係で将来非常に経済的な価値があり得るという想定がつくものもあるわけです。したがって、ここで経済的な価値のないものについては出願を許可してはならぬといっておりますけれども、私はこの基準はとりようがないのじゃないだろうかと思うのです。具体的に、しからばどういうものをさして経済的な価値がないというふうに判断するのか、その点を具体的にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/45
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046・加藤悌次
○加藤政府委員 先生御指摘のように、経済的価値の有無の判断は、そのときの経済情勢によって非常に違ってくると思います。ですからこの条項の適用といたしましては、その出願があってそれを処理する時期において、ある程度長期的に見てこれを開発することが十分ペイするかどうかということで、この規定の適用をいたすわけでございます。たとえて申しますと、地下相当深部にわずかばかりの鉱床があるという場合に、鉱業権の乱用と申しますか、ほかに意図があって鉱業権の出願をしてくるというような場合があるわけでございまして、そういうような場合にはこの条項によって処理するということに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/46
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047・沢田政治
○沢田委員 第三十四条の問題ですが、たとえば「鉱業出願地における鉱物の試掘又は採掘が他人の鉱業の実施を著しく妨害する」という場合は許可してはならないという点があるわけでありますけれども、具体的に「他人の鉱業の実施を著しく妨害する」という「著しく」というのはどういう範囲を言うのか。たとえばそれを許可したために片一方の現に稼行しておる鉱区なら鉱区が陥没するとか水没するとか、そういう場合をさすのか、こういう基準についてはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/47
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048・加藤悌次
○加藤政府委員 これはケース・バイ・ケースの判断に相なると思いますが、新しい隣接の鉱区を許可したとき、その仕事のやり方から見まして、これは鉱区が隣接するわけでありますから、全然隣の鉱区に無影響というわけにはまいりませんが、その新しい鉱業権の仕事を始めることによりまして隣の鉱区に非常な支障を及ぼす、その支障を及ぼす程度と、新しく許可した鉱業権の実施によって得る利益と比較考量してどちらが大きいか、そういった社会的な価値判断に基づいてこの条項を適用するということに相なるわけであります。多少の支障があるということは、いわゆる法律上相隣関係と申しますか、そういった関係でまいるわけでありまして、当然お互いに仕事をやる場合にある程度の協力あるいは受忍義務が課せられるというぐあいにわれわれは解釈しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/48
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049・沢田政治
○沢田委員 三十五条の二の五でありますが、「農業、林業その他の産業の利益を損ずるとき。」ということがありますけれども、これは当然出願を許可してはならないということになっております。特に金属鉱山の場合には、選鉱、製錬あるいはまた採鉱の段階でも、硫酸銅が出てくるということで、特に農業については絶対利益を損じないということでは、できないと思うんですよ。これは完全に利益を損ずるわけです。したがって、この利益を損ずるというのはどういう限度をいうのか。たとえばいままで三石米がとれておったものが一〇%減った、これは利益を損ずることになるが、その基準をどう考えておりますか。非常にばく然としておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/49
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050・加藤悌次
○加藤政府委員 ただいま申し上げましたように、新しくその場所で鉱業を行なうことによって得る国家的あるいは公共的な利益と、それが農業にある程度の影響を及ぼしますその損失を両方比較しまして、ある程度の損害であればこれを認めたほうがいいだろうという価値判断が出てきますが、そういう両利益の比較考量によって局長が判断するというたてまえになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/50
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051・沢田政治
○沢田委員 利益の比較と簡単に言いますけれども、どういう比較をするかというわけです。たとえば鉱区を出願して、鉱物は何万トンある、それによって得られる社会的な価値が一億円あるいは五億円ある、その地域においては、農業の場合は五億円にはならぬ、四億円くらいだ、したがって五億円を掘ったほうが国家的な利益になる、こういう基準なのか。その点は比較と言いますけれども、なかなか比較のしようがないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/51
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052・加藤悌次
○加藤政府委員 御指摘のように非常にむずかしい複雑な問題であるわけでございますが、この条項の普通の適用の場合は、たとえば非常な美田の地帯がありまして、そこにたとえば斜坑を掘るというような、斜坑地帯があるという場合が典型的な場合であろうと思いますが、普通の場合はできるだけ両利益の共存がはかれないかということで、権利をかりに認めましても、施業方法をいろいろ制限し監督することによりまして損害を最小限、あるいはゼロにするということも可能でございますので、この第五項の適用を受けるのは、いま申しましたように非常にはっきりとした害を及ぼす、しかもこの害を防除する適当な方法がないというときに限って、いま申し上げましたような例の場合ですが、不許可をするということがあり得るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/52
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053・沢田政治
○沢田委員 三十七条の二項の現行法では「他人の鉱区となっている部分又は代人の鉱業権」ということがあるわけでありますけれども、今度新しい改正法案では、表現上「他人の鉱区」というものはないわけです。なぜこの「他人の鉱区」という問題を削除したのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/53
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054・加藤悌次
○加藤政府委員 今度の鉱業法では、鉱業権をいわゆる三分類主義にいたしておりますので、かりに異種の鉱床でございましても、それが同一分類の鉱業権である場合には重複設定を認めないというふうになりましたので、そういった意味からこの表現を変えてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/54
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055・沢田政治
○沢田委員 五十三条ですが、公共の福祉に非常に反する場合は当然取り消すわけですね。その場合、結局取り消された場合、国がその鉱業権者に対して損害を補償することになるわけでありますけれども、私は単に鉱業権者のみに国が損害補償をするという、これだけでは不十分だと思うわけです。たとえば金属鉱山を例にとるわけでありますけれども、鉱山ができるために自分の林を売る、また、たんぼをつぶされてしまったということで、これでは生活の道がないから、鉱山周辺で零細な商売をやった。それが結局公共の福祉に反するということで取り消されるわけです。したがって、受ける打撃、受ける損失というものは決して鉱業権者のみじゃないと思うのです。自分の田地田畑を犠牲にして商売がえをして、今度は取り消された、こうなると結局鉱業権者だけではない、周辺の地域住民にも大きな損失を与えるわけです。したがって、そういう場合は一企業家の責任ではなく、国の責任によって取り消すのだから、当然国が保償するのが筋じゃないかと思いますけれども、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/55
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056・加藤悌次
○加藤政府委員 現行法、改正法も同じでございますが、そういった間接的な損害を受けた者に対する補償規定はないわけでございます。ただこの五十三条の実際の発動でございますが、実はこの条項によりまして取り消しをした例はいままでないわけでございます。と申しますのは、三十四条なり五条で、当初鉱業権の設定の出願があったときに相当厳密にふるいにかけまして、将来を見通しまして公益害のおそれがあるという場合には鉱業権の設定そのものを認めないということにいたしておる関係もあるかと存じますが、実際問題としてはいま申し上げましたように、そういう例はほとんどないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/56
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057・沢田政治
○沢田委員 例があったとかないとか、そういうことじゃなく、あり得ることを一応予想しておかなくてはならぬわけです。例がないといったら、こういうことも要らぬのじゃないですか。たとえば五十三条の二の三項、「取消しによって著しく利益を受ける者があるときは、その者に対し、その利益を受ける限度において第一項の規定による補償金の額の全部又は一部を負担させることができる。」ということも例がないわけですね。例がないけれども、一応ここに明確にしておるわけです。したがって、例がないということでは答弁にならぬと思うのですよ。取り消しによって利益を受ける者からは負担させるわけでしょう。したがって、取り消しによって損失を受ける者に対しては、鉱業権者以外に地域住民に対しても当然補償するという条項がなければ片手落ちじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/57
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058・加藤悌次
○加藤政府委員 確かに御指摘の点があるかと存じますが、これは鉱業法上の問題としては少し間接的じゃなかろうかという気がするわけで、現行法にもそういう規定がないのだろうと思います。問題はそういう場合がありましたときに、いかにもこれは非常にひどいというようなことが事実問題として起こり得る可能性はあると思います。そういった場合には、この法律とは別に、行政的な手段で救済方法を講ずるということもあるいは必要になるかと思います。それはあくまで鉱業法以外の場でやれば十分ではなかろうかという考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/58
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059・沢田政治
○沢田委員 行政的な手段で何かうまいことをやると言っていますけれども、これは非常にむずかしいと思うのです。鉱山が閉山する場合は、地元住民と経営者側といつも激突をしているわけです。私は佐渡の例を知っておりますけれども、佐渡は四、五十人でまだやっておりますか、あれが閉山になる場合でも非常に強い争いがあったわけです。たとえば佐渡の相川付近で三菱金属が、砂金といいますか、昔の品位の少ない鉱石が海岸にずっと捨ててあったわけです。ところが最近に至って非常に経済価値が出てきたということで、海の石を全部すくい上げたわけです。それによって非常に井戸水に海水が入ってくるということになって閉山になった。一体どうしてくれるか、これは閉山の場合だから一企業に対する責任をとらせる手段があるけれども、この場合国が取り消すのだから、その損失を補償するという点をなぜ法律上とられないのか、とることがいけないのかどうかということです。行政上でやると言っておりますけれども、行政上の問題よりも、法律的にそういうものをやるということを明確にしたほうが一番いいのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/59
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060・加藤悌次
○加藤政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、鉱業法の問題としては、相手にするのが鉱業権者でございますので、鉱業権者に対して直接補償を考えるということにとどめておるわけでございまして、いまお話しのような場合に、一般論といたしまして、法律的に請求権があるのかどうかという問題が出てくるのではなかろうかと思うのです。実際問題としては、非常にお困りの場合が多々あると思います。これはしかし単に鉱業だけの場合じゃなくて、一般の工場が経営者の経営のやり方の失敗によりまして閉鎖になるという場合にも同じような問題が出てくるわけでございますので、鉱業法だけにそういう規定を置くことについては、鉱業法の本来の性格から見てもどうだろうかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/60
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061・沢田政治
○沢田委員 どうも納得できないわけであります。鉱業法だけではおかしいと言いますけれども、たとえば五十三条の二の三項の問題、これも明確に鉱業法だけではおかしいのではないのですか。取り消しによって利益を受けた者から補償させるというのだから、損失を受けた者に対して補償するということは、当然それの代償行為としてあるべきではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/61
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062・加藤悌次
○加藤政府委員 鉱業権の取り消しによって直接的に利益を受ける場合が考えられるわけでございます。そういった人との負担の公平という意味からこの三項の規定を置いてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/62
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063・沢田政治
○沢田委員 たとえば「取消しによって著しく利益を受ける者」というのは、何を想定しているかわからないのです。具体的にどういう事態をさして取り消しによって利益を受ける——一応想定されるものを、具体的に考えておるのならひとつお述べ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/63
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064・加藤悌次
○加藤政府委員 五十三条の取り消しの規定は、一般的に公益上鉱業権の存続を許すことができないという場合でございますが、たとえばその地域に鉱業による地下の掘採によって非常な影響が出てくる工場がたまたまあった、普通であれば、地下の掘採がもし行なわれていることになりますと、当然その工場に対する被害が予想される、あるいは工場があるがために地下が掘れないということになった場合に、鉱業権者に対して何らかの補償措置も考えざるを得ないような場合があるというときに、この鉱業権が取り消されるということによって、当該工場の経営者は非常に利得するということに相なるわけでございますので、負担の公平上、そういった特別の利益を受けられる方にも一部の経費の負担をさせてしかるべきじゃなかろうか、こういうのがこの三項の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/64
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065・沢田政治
○沢田委員 休眠鉱区の問題でありますけれども、たとえば休眠鉱区といっても、これは非常にいろいろの場合があり得るわけですね。引き続き五年以上事業を休止しているときといいますけれども、これにはいろいろ理由があると思うわけですね。たとえばいま掘らぬで将来掘ったほうが非常に有利だ、こういう一つの企業としての政策上の問題もあると思うわけですね。そういう場合、どういう限度でこれを判定するのかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/65
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066・加藤悌次
○加藤政府委員 先生のいまの御指摘の点は、いわゆる予備鉱区の問題だろうと思いますが、それは五十五条の二の第一号にそのことを規定いたしております。当該鉱業権者がその鉱区に手をつけるのは十年先であるといたします場合に、現在の当該鉱物の需給見込みが非常に逼迫して、その開発をもっと早めなければいかぬという場合には、かりに予備鉱区的な考え方がその場合に成り立つとしても、これはやはり休眠であるということでも仕事をしていただくという考え方も成り立つんじゃなかろうか。したがいまして、この予備鉱区もいわゆる不動の基準があるわけでございませんで、やはりそのときどきの経済情勢あるいは当該鉱物の開発の緊急度とからみ合わせながら判断すべきではなかろうか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/66
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067・沢田政治
○沢田委員 五十三条の二項の「通商産業局長は、前項の規定による鉱区若しくは目的鉱物の減少の処分又は鉱業権の取消しをしようとするときは、あらかじめ地方鉱業審査会の意見をきかなければならない。」こういうことになっておりますけれども、地方鉱業審査会の構成はあとで書いてございますけれども、具体的にこれはどういう人をもって構成するか、この点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/67
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068・加藤悌次
○加藤政府委員 この地方鉱業審査会というのは、鉱業とその他の一般公益その他の事業との関係の調整をはかるための新しい機構でございまして、したがいまして、その組織は当然そういった面の審議が十分できるというものでなくてはいけないと思いますので、鉱業以外の一般公益その他の利益を代表するような方、あるいは中立的な地方庁の長、あるいは各官庁の出先、こういったものもこの審査会のメンバーには加える。それによって文字どおり公平に鉱業とその他の一般公益なりその他の事業の調整がはかられるようなものに持っていきたい、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/68
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069・沢田政治
○沢田委員 改正条文が膨大にわたるもので、まだ最後まで勉強していませんけれども、この地方鉱業審査会は行政単位、都道府県単位に全部置くわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/69
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070・加藤悌次
○加藤政府委員 各通産局ごとに置くことにいたしております。百六十五条でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/70
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071・沢田政治
○沢田委員 この前も滝井議員から質問があったわけでありますけれども、これは取り消しの処分ですから非常に客観性がなければいかぬと思うわけです。これは当局だけの主観によって取り消し、また処分する、こういうことであってはいかぬと思うわけです。したがって、この前の御答弁では、関係市町村長ですか、これを構成の中に加える、こういう御答弁であったと思いますけれども、そのとおり受け取っていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/71
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072・加藤悌次
○加藤政府委員 まだ最終的には決定をいたしておりませんが、何ぶん人数の制限もございますので、大体関係官庁と申しますか、そういったようなのは直接の利害関係の非常に多い——市町村までになりますと、これは数も非常に多いわけでございますけれども、大体現在考えておりますのは、都道府県の知事を入れたらどうだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/72
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073・沢田政治
○沢田委員 第五十四条、これはあまり現行法とは変わらないわけでありますけれども、たとえば「鉱物の試掘又は採掘が他人の鉱業を著しく妨害するに至った場合」この場合、排除する方法がないと認めたとき、これは先ほど質問したわけでありますが、先ほどの答弁では非常に納得できないわけです。非常に将来争いのもとになると思うわけですね。どの程度がこの妨害あるいは著しい損害を与えるというのが、こういう点は争いの起きそうな可能性が非常にあると思うのです。したがって、こういう場合の一つの想定があったならば、ひとつ御答弁願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/73
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074・加藤悌次
○加藤政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、こういうことのできるだけないように、鉱業権設定の段階で一応の考慮をするわけでありますが、その後の事情の変化、作業の進捗状況によりまして、こういう場合が起こり得るわけでございます。この条文の適用の場合としては、そういうことになったときには、できるだけ当事者同士で話し合いをいろいろやっていただく。鉱業権を取り消すなり鉱区の減少をいたさなくても、施業方法の制限等で両方の鉱区が両立してできるという場合もございますので、できるだけ当事者の話し合いによって、その結果減区なり、あるいは鉱業権の取り消しがどうしても必要であるというふうな場合につきましても、通産局長は取り消しはいたしますが、その取り消しによって当然一方の鉱業権者は損害を受け、一方の鉱業権者は利得をするわけでございますので、その辺の利害の調整については当事者同士でいろいろ話し合いをしていただく、こういう考えでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/74
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075・沢田政治
○沢田委員 二十七条の優先権の問題ですが、二項の「願書の発送の日時が同一である」こういう場合、「公正な方法でくじを行ない、優先権を定める。」こういうことでありますけれども、具体的に「くじ」というのはどういう状態をさすわけですか。たとえば、抽せんとくじは違いますか。宝くじを抽せんするということを言いますが、くじというのは何を意味しておるのです
か。抽せんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/75
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076・加藤悌次
○加藤政府委員 いわゆるくじ引きでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/76
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077・沢田政治
○沢田委員 従来は、鉱業権の名義変更ができなかったわけですね。今度名義変更ができるようになっておるわけでありますけれども、名義変更できるような道を開いた一つの目的、理由があったならばお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/77
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078・加藤悌次
○加藤政府委員 ちょっと先生の御趣旨がはっきりしないわけでございますが、鉱業権そのものの譲渡と申しますか、これは現行法でも認めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/78
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079・沢田政治
○沢田委員 二十五条の、たとえば、石灰石、ドロマイト、耐火粘土等、非常に地表に近い部分に存する鉱物について非常に損害を与える場合、この意見を聞かなければならないわけでありますけれども、たとえば石灰石、ドロマイト等でなくとも、銅鉱の場合でも、山から銅鉱を掘るというようなことが従来の実績としてあったわけでありますが、最近はたんぼのまん中を掘る、こういう状態が非常に多くなってきたわけです。花岡等では現にあの付近の地盤が陥没しておるという状況もあるので、一応の例示として石灰石、ドロマイト、耐火粘土等をここにあらわしただけで、その他の鉱物でも、やはり土地を利用するものに対する妨害がある場合には当然この中に含まれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/79
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080・加藤悌次
○加藤政府委員 この規定は、鉱業権と土地所有権の両方の権利の行使が最も正面から衝突する典型的な場合、いわば地表鉱物のように土地を上から掘らなきゃいかぬ、そういう場合にはやはり事前に土地所有者の意見を聞いておいたほうがいいんじゃなかろうかということで規定を置いてあるわけでございまして、いま御指摘の地下深くにある銅鉱物を掘るという場合は、この二十五条の規定の適用はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/80
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081・沢田政治
○沢田委員 第四十一条ですね。さっきこの問題についてお伺いしたわけでありますが、「鉱業出願人の名義は、変更することができない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。」こういう点を具体的に例をあげてここに出しておるわけでありますけれども、この場合、たとえば三号の「鉱業権者がその鉱区に隣接する区域についてその目的とする鉱物」というのは、これはどういうことを意味しておるのか。この点を具体的にお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/81
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082・加藤悌次
○加藤政府委員 ある鉱業権者が、ある自分の鉱区で作業をいたしておりますが、その隣接した地域がいまさら地である。しかもそこにやはり鉱物がありそうだという場合に、新しい鉱業権の設定の出願を隣接の地域でやるわけでございます。その出願の途中におきまして、自分のその地域における鉱区を第三者に譲りたいというふうな場合もなきにしもあらずでございますので、本来の鉱区が移転される場合には、それと密接不可分の関係にある隣の、出願中ではございますが、この出願の権利と申しますか、これもやはり移転を認めたほうが合理的であろうという考え方に基づいてこの第三号の特例があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/82
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083・沢田政治
○沢田委員 四十二条の三の指示の問題、これは新設だと思いますけれども、「鉱業の実施に関し必要な指示をすることができる。」というのは、具体的にどういう状態の場合をさしてこれを指示するのか、この点も明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/83
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084・加藤悌次
○加藤政府委員 出願地に、現にそういうものはございませんが、近い将来においてある公共的な施設がそこにできそうだという場合に、場合によるとその鉱業権の取り消しというふうな問題も起こるかもしれないわけでございまして、そういうある程度の公共施設等の設置の見通しのある場合に、条件つきで鉱業権を認める、それによって鉱業出願の処理の促進をはかるという意味もございましてこの新しい規定を入れたようなわけでございます。したがいまして、たとえばこの指示の例をあげますと、いま申し上げたように、ある公共施設ができそうだ。そのできる前にこの地域についての採掘は全部完了するようにしなさい。あるいはそういう施設ができた場合には、ここからここまでの採掘は制限になりますよ。そういった意味の条件、制限を承知の上でなら鉱業権の設定を認めてあげましょう。いわば条件つき、制限つきの鉱業権を認めるという新しい制度を開いたわけでございまして、それはただいま申し上げましたように、鉱業出願の処理を促進するという面からの必要もあってこの規定ができたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/84
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085・沢田政治
○沢田委員 戻りまして、適用鉱物でありますけれども、三種くらい新しくふえているわけですね。それで、これは従来からも問題がありますけれども、採石法における岩石、こういうものと鉱物の区分をどうするかということですね。たとえば、これはあるところで金属鉱山の銅あるいは鉛、亜鉛を出願して採掘権を認められた。ところが鉱石も掘っているけれども、岩石を粉砕して砂利として売っているところもあるのですよ。私は現に知っています。したがって、この適用鉱物と岩石の分類、これは明確にする必要があるじゃないか、こういうふうに考えますけれども、これに対してどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/85
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086・加藤悌次
○加藤政府委員 この前の多賀谷先生からの御質問のときにございましたが、一般的に鉱物はすべて鉱業権がなくては掘れないという格好に法律上なっておるわけでございますが、すべての鉱物についてそこまでやる必要がないという考え方から、現行法では三条でございますが、この鉱業法の三条以下の各条項の適用を受けさせる鉱物はこの範囲である、こういうことになっておるのであります。したがいまして、この鉱業法のいろいろの規定は両面からの規定があるわけでございます。一つは、土地所有権者の恣意によって地下の鉱物が自由に掘採できない。土地所有者がうんと言わないとなかなか坑道も切れない。特に地表鉱物なんというものはそういうわけのものでございますが、そういった当該鉱物を開発する必要性が非常に大きいのにもかかわらず、土地所有者の言に左右されて採掘が進まない。そういう場合に土地所有権とは離れて別個の鉱業権というものを設定して、その事業を保護してやろうという考え方が一つあるわけであります。それからもう一つは、それと裏腹になるわけでございますが、鉱業というのは作業の態様から見て非常に危険を伴うものであります。地表に対して鉱害をきたす、あるいは従業員等に対して災害を引き起こすというような面もございますので、そういった心配が相当顕著になるような規模で事業が行なわれるというふうな場合に、やはり従前の土地所有者との契約だとか、あるいは採掘権をどうしようということでなくて、そういうものから切り離して鉱業法の適用を受けさせよう。それによって、一方において監督をする、一方において土地所有権者からの保護を与えよう、こういう趣旨で、それがいわば基準になって、鉱業法の適用鉱物とするかどうかということをきめてまいっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/86
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087・沢田政治
○沢田委員 重ねて二十二条に対する考え方をお聞きしたいわけですが、「試掘権の設定を受けようとする者は」「鉱床の存在が予想される理由及びその鉱床の予想される状態を記述した試掘説明書を提出しなければならない。」これは新しく設けられたわけです。したがってこれをシビアーにしたならば、一度物を探してから試掘を出願しなければならぬ、こういうことになろうと思うのですよ。大体、「鉱床の存在が予想される理由」、そこまではわかるわけだけれども、「鉱床の予想される状態を記述し」ということになると、これはボーリングでもおろしてみなければ、その状態というものは予想できないと思うのです。私はなぜこれを聞くかといいますと、大企業の場合は地質課がありまして、専門家がおるわけです。したがって、ある程度学説的な、地表を見て、こういう状態でこうあるんだ、こういう予想を出し得るけれども、中小企業の地質屋さんがおらぬところは、もう試掘権なんか全然出願することはできない。こういうことで中小企業の試掘に対する大きな圧迫になるのではないか、こういうふうに考えるので、この点に対する御見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/87
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088・加藤悌次
○加藤政府委員 この二十二条の一項を設けました理由は、従前試掘権が、いわばみずてんと申しますか、そういうことで許可されておったようなきらいがなきにしもあらず。逆に言いますと、試掘権が乱用されている。本来の権利のねらっております試掘行為をやるのではなくて、そこに何かダムができそうだというふうな場合に、損失補償、補償をもらうことを目的として、その試掘権を設定するというふうな場合が実は多々あったわけでございますので、そういう試掘権制度の乱用を防止するためにある程度のチェックをする必要があるということでこの規定を置いたわけであります。おっしゃいますように、鉱床の状態を初めから説明するということはかなりむずかしいかと思いますが、先ほどお答え申し上げましたように、いわゆる地表探査、これは鉱業権がなくて自由にやれるわけでありますが、そういった地表探査の結果に基づきまして、ある程度の地下の状況がその鉱床試掘説明書で説明されればいいのじゃないか、こういうふうに運用いたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/88
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089・沢田政治
○沢田委員 この場合、二十二条の第二項の場合もさっき言ったようなことが言えるんじゃないかと思うわけです。たとえば「出願の区域について目的とする鉱物の鉱床の位置、走向、傾斜、厚さその他鉱床の状態を記述」し、提出しなければならない。これも、採掘権を出願する場合、大企業の場合では、たとえば坑道を切ってある程度の鉱石の賦存状態、状況、こういうものを明確にできるわけでありますけれども、中小企業の場合は一度掘ってみなければわからぬ。そこまで先回りした営業探鉱なんかはできないという場合があるわけです。したがって、手続面から非常に中小企業に対する圧迫になる可能性が出てくるんじゃないか、このように考えるわけだけれども、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/89
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090・加藤悌次
○加藤政府委員 この規定は、採掘権を許可する場合の条件を規定しているわけでございますが、普通いきなり採掘権の設定の許可を受けて仕事をするという場合は少なくて、まず試掘権の設定を受けて、その試掘の結果、ある程度地下の状況がはっきりした場合にこれを採掘権に直す、こういうのが一般的な場合じゃないかというふうに存じますので、この規定がそういう中小鉱業者にとっての圧迫というのですか、こういうことになることはなかろうというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/90
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091・沢田政治
○沢田委員 質問が飛び飛びになって非常に恐縮ですが、今度新しく適用鉱物をふやしたわけですね。したがって、これ以上この適用鉱物にするという鉱物はあり得ないと考えているのかどうか、将来また適用鉱物というものはふやす可能性があるのかどうか、また予想されておるのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/91
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092・加藤悌次
○加藤政府委員 今度の改正の際に、これ以外にも適用鉱物の追加の御要請もあったやに聞いておるわけでありますが、一応現在の段階では、この三つの鉱物を追加指定するということにとどめたわけでございます。その他、先ほど来申し上げておりますように、技術の進歩あるいは経済情勢の変化等によりまして、現在鉱業法の適用鉱物になっていないものでも、先ほど申し上げたような趣旨から、鉱業法を適用したほうがより適切であるというふうなものが出てこないとも限らないと存ずるわけであります。これは今後の推移を見て、また必要な場合には追加をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/92
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093・沢田政治
○沢田委員 これは現行法にもあるわけでありますけれども、改正法にも同じような条文五十二条がありますけれども、実際こういう場合があり得るかということです。錯誤によって鉱業権の設定または変更を許可した場合、これを取り消し、あるいは変更の処分をしなければならない、こういうことは、実際に過去の実績としてあるのかどうかということです。私はあり得ないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/93
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094・加藤悌次
○加藤政府委員 いままで、この条項によりまして取り消しをした例がないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/94
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095・沢田政治
○沢田委員 たとえば、錯誤によって鉱業権の設定または変更を許可したと仮定して、もうすでに鉱業権を何人かの出願で許可しておった、それを知らぬで、さらにまた許可した、こういう場合は、完全に許可した側に責任があることは否定できないと思うわけです。したがって、許可を取り消された者は損害を受けるわけですね。一たん認められて、鉱業権を設定して、鉱山機具でも買ってやろうということで準備をした。それが取り消されたのだから、これは明らかに損失になるわけです。その場合、当然これは許可した側の責任としてこれを補償することになるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/95
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096・加藤悌次
○加藤政府委員 そういう場合にはケース・バイ・ケースでございまして、当然錯誤の側に責任があるわけでございますが、それによって非常に損害を受けたというような場合には、訟訴その他によって損害賠償を請求することが可能である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/96
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097・沢田政治
○沢田委員 先ほどの質問に戻るわけでありますけれども、五十三条の二の問題で、たとえば公共の福祉に反するということでこれを取り消すわけでありますけれども、従来の鉱業法では施設の破壊というようなことばがあるわけですね。今度の場合、公共の福祉に反する場合ということで、条文そのものが非常に強化されているわけですね。今度は全然破壊ということばがないわけです。したがって、なぜこれを非常に統制、規制といいますか、強化したか、この点についてもう一ぺんお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/97
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098・加藤悌次
○加藤政府委員 五十三条の規定は三十五条の二の規定を引いておりまして、その意味は、そこに列挙してございますように、「公共の用に供する施設又はこれに準ずる施設の保全に支障を生ずるとき。」ということでございますので、現行法の五十三条の破壊するというのとたいして意味は変わらない、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/98
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099・沢田政治
○沢田委員 これは直接鉱業法の改正とは関連がないわけでありますけれども、関係はありますね。で、お伺いしたいわけでありますけれども、いま北海道の阿寒湖のそばの阿寒硫黄山というのが再開されておるやに聞いています。あの阿寒硫黄がどういう経営者によって経営されておるか、この点お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/99
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100・加藤悌次
○加藤政府委員 この席でお答えするだけの準備がございませんので、また時間をあらためまして調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/100
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101・沢田政治
○沢田委員 おそらく中島産業という会社がやっているんじゃないかと考えられます。あの中島産業という会社は、秋田県の宝倉という鉱山もかつてはやっておったわけです。それで相当にわたる賃金の不払いによって、地元住民に対しても大きな迷惑をかけたわけです。借金に借金をしょって、そうして鉱山を閉鎖したわけです。そういう経営者がまたさらに再開をしたと、地元民としては非常に激怒しておるわけです。したがって、そういうことを知っておってさらに再開を許可したのかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/101
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102・加藤悌次
○加藤政府委員 いま御指摘の経営者が従前から鉱業権を持っておられたのかどうか、その点がはっきりいたさないわけでございますが、少なくとも法律的には、いままで休んでおった山を再開するということにつきましては、届け出だけで足りるわけでございまして、「許可」にはなっておらない。しかも、現行の鉱業法の原則から申しますと、鉱業権を遊ばしておってはいけない、権利の上に眠っておってはいけない。予備鉱区等特別の事由のあるもの以外は、設定等を受けて六カ月以内に仕事に着手しなくてはいけない、こういうかっこうになっておることは御承知のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/102
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103・沢田政治
○沢田委員 たとえば、中島産業がやっているかどうかわかりませんよ、私は正確に調べておりませんので。しかしかりにやっておって、すでに阿寒硫黄は鉱業権、採掘権を持っておった、それを再開しただけだから、届け出だけで足りる、その面まではわかりますよ。今度中島産業というような、われわれに言わせれば不良会社です。そういう不良会社が新しく、これは岩手県でも長野県でもどこでもけっこうですけれども、鉱山局、通産局長に対して新しい鉱区の出願をした、そういう場合、あなたのほうでは明らかに知っておるわけですよ。中島産業とか倉敷鉱業とか、そういう場合、重ねて聞くわけだけれども、そういうことを知っておってやはりこれを許可するかどうかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/103
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104・加藤悌次
○加藤政府委員 先ほども御質問がございましたが、現行の鉱業法の三十四条以下に新しい権利の設定をする場合の基準が書いてございます。そういう基準から見て合格するというものにつきましては、通産局長としては権利の設定を認めざるを得ない、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/104
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105・沢田政治
○沢田委員 まだたくさんこまかい点がありますけれども、きょうはこれで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/105
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106・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、明四月十五日水曜日午前十時三十分より委員会を開会することにし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03319640414/106
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