1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十二日(火曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事小平 久雄君 理事始関 伊平君
理事中川 俊思君 理事早稻田柳右エ門君
理事板川 正吾君 理事久保田 豊君
内田 常雄君 浦野 幸男君
小笠 公韶君 大石 八治君
海部 俊樹君 小宮山重四郎君
田中 龍夫君 中村 幸八君
野見山清造君 長谷川四郎君
大村 邦夫君 加賀田 進君
桜井 茂尚君 沢田 政治君
田中 武夫君 楯 兼次郎君
藤田 高敏君 山崎 始男君
麻生 良方君 加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
通 商 産 業
政 務 次 官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(重工業局長) 森崎 久壽君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通 商 局
輸出振興部長) 谷敷 寛君
専 門 員 渡邊 一俊君
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五月十二日
委員森義視君、米内山義一郎君及び佐々木良作
君辞任につき、その補欠として田中武夫君、山
崎始男君及び伊藤卯四郎君が議長の指名で委員
に選任された。
同日
委員田中武夫君辞任につき、その補欠として森
義視君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
軽機械の輸出の振興に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第一〇三号)(参議院送
付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きま。
まず、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。
内閣提出のアジア経済研究所法の一部を改正する法律案の審査のため参考人から意見を聴取することにし、人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/1
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002・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと秘め、よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/2
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003・二階堂進
○二階堂委員長 次に、内閣提出の軽機械の輸出の振興に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/3
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004・加賀田進
○加賀田委員 この軽機械の輸出の振興に関する法律の一部を改正する法律案は、非常に長い名前ですけれども、実際は時限法である法律を、単純に今後五年間延長する、こういう内容になっているわけですがちょうど昭和三十四年の三十一国会ですかに、衆議院で恒久立法を時限立法ということで修正をして、五年間経過したわけであります。しかし、時限法は時限法としての性格を十分にわれわれとしては審議して、五年間で行政指導その他行政処置に基づいてこの法の目的が達成される、こういう自信の上に立って時限法として通産省に委託をしたわけですけれども、五年後の今日になって、そのまま単純に五年間延長する、こういうことになってまいりました。したがって、われわれとしてはやはり五年間でこの法律の極付というものが化かされてきているものと見ておったのですが、さらに五年間ということになると、合計十年間ということで半恒久立法的な性格にまで変わるわけであります。そういう意味で、五年間に通産省としてこの法律に基づいて、ミシン業界並びに双眼鏡の業界についていろいろ指導や行政処置に努力したと思いますけれども、それらの努力の経過等について、ひとつ詳細に御説明を願いたいと同時に、さらにこれから延ばすわけですから、その努力にもかかわらず延ばさなくてはならなかったいろいろな障害についてひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/4
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005・森崎久壽
○森崎政府委員 法が三十四年に施行されまして以来、五年間の時限をもちまして、われわれといたしましては、この法律の目的を達成すべくいろいろと努力してまいりました。まず第一に、ミシン部品十二品目をさらに指定し、双眼鏡につきましても部品一品目を指定いたしまして、おのおのその登録基準をきめて、生産設備の充実向上をはかってまいったのでございますが、おかげさまで当時の輸出額、ミシンにつきましては百六十億円、双眼鏡については六十億円というのが、最近。三十八年にはミシンにつきまして百八十億、双眼鏡について六十五億という輸出の成果をあげてまいったわけでございます。その間にミシン業界におきましては、登録業者の数も漸次集中化されまして、ある程度の成果をあげてまいりました。また登録制度を通じまして品質の向上がはかられ。そのためにクレームの数といいますか、あるいは検査の合格率というものも非常に荷まってまいりまして、十分の品質の確保もできてまいったわけでございます。また輸出秩序の面におきましては、対米、対カナダ関係では十三の系列にこれを統合いたしまして、秩序のあるところの輸出体制を講ずることができたわけでございます。
さらに、この法律のもう一本の柱でございます輸出振興事業協会でございますが、この事業協会の活動といたしましては、一般に相手方のマーケットの調査、それから消費者に直結するところの需要調査ということをやる以外に、さらに、海外活動といたしましては、相手方の間のわがほうの輸出品に対するいろいろの阻害要因につきまして、こちらの駐在員が出向きましていろいろ検討いたして、ある程度の成功をおさめております。たとえば、御承知のとおり、アメリカにおきましてはミシンについてのシンガー問題でございますが、シンガー問題につきましては、昭和三十四年以来いろいろとシンガー側の画策がありまして、特許を集中いたしまして日本のミシンを締め出そうという運動があったわけであります。この問題につきまして、当方の振興事業協会の出張所員がいろいろと活動いたしまして、現在のところ、むしろシンガー側の敗訴という形でおさまって、当方の輸出に成功しておるわけであります。さらにまたEECにおきまして混合関税の問題が出たわけでございますが、その問題につきましても、最も強硬でありましたドイツについて、いろいろとこちらの事情を説明し、また向こうからこちらの状況を視察に来てもらうということもいたしまして、この三十八年の二月に、ついに西独代表から、ミシンについての混合関税を将来考えることは一時たな上げにするというところまでまいっておるわけでございます。そういう点におきましてかなり成功をおさめてまいったわけでございます。しかしながら現状におきまして考えてみますと、系列輸出につきましてもやっと米、カナダ向けの系列輸出に成功いたしましたけれども、今後の欧州に対する輸出問題、あるいはまた今後の新製品に対する輸出をいかにして開拓していくかという問題につきまして非常にまだ問題が残っておりまして、この五年間でついにすべてのことを解決することはできなかったわけでございます。今後主としてミシンにつきましては、対欧州関係の問題について、アメリカと同じような系列輸出を進めていく、また、双眼鏡につきましては、ミシンに比べてやや輸出の体制がおくれておるわけでありますけれども、ミシンの例にならいましてアメリカ、さらには欧州に対する輸出の体制を整備していきたいということを考えております。特に、最近では後進国の進出と申しますか、ミシンにつきましてはインドからのミシンの輸出がございますし、また、双眼鏡につきましては、御案内のとおり香港におきまして、双眼鏡の業者が相当大きな規模で輸出を始めております。また、先進国の巻き返しといたしましても、イギリスのシンガーが相当アメリカに対して売り近みをしておる。双眼鏡につきましても、アグファ等の優秀品を最近さらに出してきたということがございまして、問題が非常に出てきておるわけでございます。その間にありまして、今後この五年間を延長していただきまして、その間には必ずや海外輸出体制を講じていきたいということを考えまして、今回五年間の延長をお願いしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/5
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006・加賀田進
○加賀田委員 五年間で通産省の予定された計画とかあるいは実績等の説明があったわけですが、しかし海外市場のいろいろな問題については、これは法律がなくてもあっても、やはり通産省として努力しなければならない問題だし、この法律が五年間延びたからといって、海外市場が固定化するようなことではなかろうと私は思うのです。やはり外国といえども、自国の経済を守るためにはいろいろな努力をするだろうし、そういう意味では、この五年間あらためて延長する理由というものが、海外の状態だけでは認められないのじゃないか。ただここで一番大きな問題になりますのは、いま説明にもありましたとおり、ミシン業界ではある程度アメリカ等への輸出の系列化が進行した。しかし双眼鏡についてはほとんどなされてないようなことでありますが、そういうことでは通産省として、やはり業界自体の実態把握が非常に欠けていたのじゃないかと思うのです。ミシンはミシンとし、双眼鏡は双眼鏡としての特殊な業界の実態や内容というものがあると思うのです。そういうものを的確に把握して五年間指導しておれば、あらためて五年間の延長が必要じゃないのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。したがって海外の状況だけで五年間延長しなくても、通産省としてはやはり貿易関係にたんのうな方もいるし、行政指導としても、それはなされるのじゃないかと思うのですが、一体五年間でいままでやってきて、なお海外市場のことは別としても、業界との協力関係がうまくいかない、あるいは貿易の系列化もうまくいかないという、それをさらに五年間延長して、通産省としては自信はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/6
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007・森崎久壽
○森崎政府委員 御指摘のとおり業界の正確な把握並びに業界自身の一つのまとまりということが、輸出振興にとっては一番大切なことだと思います。特に御承知のとおりこのミシン、双眼鏡ともに中小企業の非常に多い業界でございまして、しかも中小企業の製品の大部分を輸出に向けるという、いわば非常に特殊の形態をとっているものでございますので、御指摘がありましたように単に海外だけの問題をわれわれで考えるのではなくして、そのもとになるところの業界の内部の問題あるいは業界の結束ということに対して十分留意をしなければならないと思います。私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、ミシンについては、当初百二十ばかりのミシン業者が、現在いろいろと統合、集中いたしまして、六十七社というふうに企業の数もまとまり、そしてそれをそのままの形で輸出の力に持っていっているわけでございますが、率直に申しまして双眼鏡業界は、この法律ができまして以来、登録業者二百十九社、これがそのまま横すべりの関係で進んでいるわけでございまして、また、この法律とうらはらになっております中小企業団体法における調整行為におきましても、ときどき問題を起こして不満がいろいろ出てくる、そういうことで、組合としてのまとまりがあまりよくないように思っているわけでございますが、私どもとしましてはその点について今後十分注意いたしまして、組合のまとまりをつけていくということが一番大切かと思います。特にこの間、この法案を参議院で御先議願ったわけでございますが、その参議院の御先議の結果の附帯決議におきまして、やはり同様のことが御指摘されまして、附帯決議の趣旨に言われているわけでございます。その附帯決議の御趣旨にさっそく沿おうじゃないかということで、双眼鏡業界といたしましてはここで組合を解散いたしまして、新しい構想のもとに出発するということで、鋭意新組合をつくる準備をいたしておるわけであります。私どもとしましては、その組合の指導を行なうと同時に、今後はさらに双眼鏡の部品あるいは完成品等につきまして中小企業近代化促進法の指定業種にいたしまして、これを側面から積極的な方法でまとめていくということも考えておるわけでございます。これは御案内のように、五年の期限を限ってやるわけでございます。私どもとしましては、そういった組合自体の調整行為のまとめをよくすることと、さらに積極的に設備の近代化を通ずる双眼鏡業界あるいはミシン業界の近代化をやるということによりまして、この五年間以内において十分の体制をぜひとりたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/7
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008・加賀田進
○加賀田委員 この法律を延長するかどうかという問題は、もちろん通産省としての行政指導も重要な役割りを果たすわけですけれども、やはり業界がこの受け入れ体制を整えるかどうかということが一つの大きな問題になってくるのじゃないか。ミシンのほうは大体そういう成果があがっているようですけれども、双眼鏡のほうでは依然としてこの法律が制定された当時のままの状態のような感じを私は受けるのです。したがって通産省としては行政指導で、特に双眼鏡について五年以内にそういう成果があげ得るかどうか、指導方針というものについてひとつ明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/8
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009・森崎久壽
○森崎政府委員 先ほど申し上げましたように、ちょうどこの機会に組合が新発足するということで現在準備中でございますが、まずその一番眼目でありますところの調整行為のやり方につきまして、従来の不満をいろいろ調べてみますと、やはりまじめに調整行為を行なっているものと、それから調整行為の実績の上に眠るといいますか、そういった業者とは常に対立いたしまして、そのルール自身が非常に固定化されたためにだんだんと実情に合わなくなってきた、そういう点について非常に不満があるということが一つの大きな問題かと思います。したがいまして今後の考え方といたしましては、調整行為そのものに対して、最近の実情に沿うようにまじめに輸出をし、そうしてまともな値段で輸出されるようなものについては、やはりその輸出ワクが漸増するような形にするということと、それから一たん実績の上に眠りまして、実際はその実績をあまり使わないでいるというものに対しましては、われわれとしても巖重に注意し、また組合の間におきましてもそれを十分に監視し合うような仕組みを考えていくということを一つ考えているわけであります。それから積極的な対策といたしましては、先ほど申し上げましたように近代化促進法によってこれを促進いたしまして、双眼鏡につきましても新しい技術がずいぶん出てまいっておりますので、品質の向上と新技術の開発ということに十分に意を用いていくということが対内的な問題として一番大事な眼目だと思うのであります。
さらに輸出につきましては、ミシンにそういう例が一つできましたし、業界の方々もミシンの例をいろいろと検討してこられましたので、できるだけ系列的にこれを整備いたしまして、対米、対カナダあるいは欧州関係に対して秩序ある輸出体制をとるということを考えているわけでございます。ことにドイツにおきましては、ミシンは来年から自由化する。それから双眼鏡はもう自由化されておりますが、イギリスにつきましても最近来られました外務大臣から、来年の一月に自由化をしたいということが出ておりまして、要するに日本の製品としては、中小企業の製品ではございますが、輸出先は先進国の中の最も進んだ国に対して輸出をするわけでございますので、その輸出秩序の確立ということに最大の眼目を置いていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/9
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010・加賀田進
○加賀田委員 この法律が制定されてから、法に基づいて、輸出の振興事業協会が三十四年九月に創設されましたね。これはミシン業界も双眼鏡業界も同時にされたわけです。そこで問題になるのは、登録制がとられて、登録停止の時期が二年ほどずれておりますね。そして、ミシンのほうは同年の九月、それから双眼鏡のほうは三十七年ですか、その二年間ずれた理由、最もいま困難な状態の双眼鏡が、その停止が二年間もずれて、しかもそのことによって過当競争というものが、その二年間にさらに激化しているような気もするんです。二年間ずれたその理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/10
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011・森崎久壽
○森崎政府委員 双眼鏡の出発が少しおくれた理由でございますが、この法律ができました当初におきまして、双眼鏡の価格に値くずれが非常に激しかったわけでございます。ミシンももちろん値くずれがございましたが、当時の状況としまして、双眼鏡が非常に激しかったわけでございます。この法律ができる前から、組合のベースでもって、いかにしてこれを解決するかということをいろいろと検討いたしておったわけでございますが、一つの案といたしまして一手買い取り、一手輸出ということを考えたわけでございます。それで一カ所に買い取って出すということによって、値くずれ防止対策をやろうということが一つの眼目になっておりましたので、まずそれを実施した。ミシンについてはそういうことをやらないで、すぐにこちらのほうのあれに移したということがずれた理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/11
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012・加賀田進
○加賀田委員 ここに問題があるのじゃないかと思うのです。いわゆる業界の実態あるいは業者の実態というものを十分把握して——一方ではすでに登録停止を行なった、一方は買い取り会社をつくって、輸出の製品については一手に買い取ってそれを輸出に向ける、これによって価格の値くずれを防止しようとしたところが、七カ月か八ヵ月する間に十九万個ですか膨大な滞貨を持って、とても当初の目的の買い取り会社が採算がとれなくなった。こういうことで、業界自体もそういう政策について協力体制もなかったでしょうけれども、その買い取り会社をつくったこと自体に大きな問題があったのじゃないかと思うのです。しかも、そのあとの処理方法については、全部業界にそれが負担させられているでしょう。そういう不満が今日双眼鏡の業界に内在して、いまだ明確に通産省の協力関係というものが結べないのじゃないかと思うのですが、その買い取り会社をつくった経過並びにそれの処置について、ひとつ報告願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/12
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013・森崎久壽
○森崎政府委員 いまの御指摘の買い取りをやりまして、率直に申し上げまして、その買い取りがうまくいかなかったわけでございます。そして十五万個でございますが、十五万個のデッド・ストックをつくった。これにつきまして業界としましては、当初この構想を出したのも、業界がそういうことを寄り集まって相談の上、政府の指導を得ながらやったわけでございますが、結論的には、一年わずかでもってこれを中止せざるを得なかったわけでございます。これは一つには、いまから反省いたしますと、買い取り価格についてのきめ方に少し誤りがあったのではないか。と申し上げますのは、買い取り価格が当時の実勢価格よりもはるかに上回った価格であったわけでございます。もっと具体的に申し上げますと、三十一年につくりました当時のチェック・プライスそのものを買い取り価格にしたわけでございまして、非常にいい値で買い取り機関が買ったということで、業界といたしましては、それに対して非常に安易な気持ちで売り込んだ。輸出はまた別の観点から、それより低い値段で売るというようなこともしておったということでございます。もう一つは、自己のブランドのものははずすということでございまして、買い取り制度というものの裏をくぐるといいますか、みずからつくったものをみずから破ったということになっておりますが、自己ブランドのものははずしても、ブランドのないものは買い取るということになりましたので、比較的輸出には適格性の少ない、ブランドものでないものがこの買い取り機関に集中されまして、そのために実際はこれは輸出できなかったということでございまして、これに対しましては、役所のほうといたしまして買い取り資金をお世話し、また業界におきましても、このデッド・ストックになったものを一台輸出すれば自分の商品を四台輸出してもいいというようなルールをつくりまして、一挙にこれを解決するということにして、現在は、とにかく失敗ではございましたけれども、問題を残さないで解決したようなわけでございまして、御指摘のとおり、いろいろと考えた結果こういうところでちょっと大回りしているような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/13
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014・加賀田進
○加賀田委員 チェック・プライスの問題が出ましたけれども、これは私は、通産省としては実態の把握が欠けているんじゃないかと思うのです。これは双眼鏡だけではなくて、現在トランジスターでも、実際の価格と商社との取引価格というものは実質的に相違があるのです。そうして、あとで商社にリベートを払って表面的につくろっても、関税だけは通産省の指定どおり支払う、こういうような実態が、通産省としては——指導面ではやかましく言っているのでしょうけれども、何としても商売はある程度もうけなくちゃいけない。ある程度危険をおかしてでも、市場の価格に合わして要求に応じよう——こういう実態把握が行政一面で欠けているんじゃないかと思うのです。だから、そのチェック・プライスの問題にしても、香港の問題も出ましたけれども、香港が自由港として非常に海外市場を荒らしている。この実態に合わして制度をある程度整備する必要があるんじゃないか。そういう点が、買い取り価格によって輸出のルートを一つにしようという政策に大きな失敗を来たした。それについて、通産省からいえば、業者はけしからぬ、網の目をくぐってごまかしておったということになるでしょうが、そういうところに、双眼鏡について五年間その目的を達せられなかった大きな原因が起こってきているんじゃないかと思います。そういうことで、この法律を改めて五年延長するにしても、やはり十分実態に沿うた指導をやっていかなくちゃならぬ。ミシンは相当協力しておるようですけれども、双眼鏡は、聞きますと、いま申し上げたように、いろいろな関係で内部的にごたごたしております。商工組合も規制ができないような状態の中で、通産省として、これからこの法律を適用してうまくリードできるのですか、そういう自信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/14
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015・森崎久壽
○森崎政府委員 ミシンにつきましては一応のパターンができましたので、その線に沿いまして十分にやっていける自信がつきました。あと五年の間には必ずいい形のものが出ると思います。
双眼鏡は、ただいまも申し上げましたように、出発の当初におきましていいと思ってやったことが、結果的にあまりうまくいかなかったという点で、少しおくれをとっておりますけれども、最近の業界の情勢から考えましても、新しい気持ちで再出発するということにもなっておりますし、また市場調査も過去五年の間に相当進めてまいりましたので、必ず五年以内には、ミシンのあとを追って、とにかく輸出の秩序を確立するだけの体制をとりたいと考えておりまして、私どもとしては、この五年以内にはいい形のものに仕上げていきたいと思っておりますが、そのためには業界との関連において今後十分に検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/15
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016・加賀田進
○加賀田委員 それでは、双眼鏡のことはあとでまた質問することにして、ミシンの問題で通産省の出した資料を見ますと、三十八年度に国内生産のミシンについては三百三十五万ですか生産しておいて、その中の輸出が百九十五万、約六五%輸出しておるわけです。そこで、ミシン業としては相当大きな企業もありますけれども、国内価格と輸出価格の相違があるのじゃないかと思うのですが、国内価格と輸出価格の点について、二、三の実例をあげて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/16
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017・森崎久壽
○森崎政府委員 国内価格につきましては、ものによっては違いますが、標準もので現在小売り価格として二万三千円、これに対しまして、これが輸出され、米国の小売り業者の販売価格としては、一万八千円弱のところで一般の消費者に移っているというような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/17
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018・加賀田進
○加賀田委員 輸出振興ということで、国際市場と価格競争しなければならないとか、いろいろな問題があることは知っておりますが、このミシン業者の中で比較的大企業といわれている国内の市場を持っているたとえばリッカーとか蛇の目とかという大きなところが、国内では国民に二万三千円という価格で販売しておきながら、他国への輸出では、これはアメリカ等の最終需要価格だと思うのですが、一万八千円ということになっていると思います。これはFOBでもいいのですが、FOBではどのくらいの価格で輸出していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/18
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019・森崎久壽
○森崎政府委員 HA1という一つのタイプがありますが、それを例にとって申し上げます。FOB価格で大体低いのは十三ドル二十九セント、それから十四ドル十七セント、この程度で出しております。これはもちろんヘッドだけの価格でありまして、モーターとかテーブルがつかないでそのまま出している価格でございます。これに対しまして、アメリカにこれが輸出され、モーターとかコントローラーとかケース・カバーがつきまして、先ほど申し上げたような価格になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/19
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020・加賀田進
○加賀田委員 ちょっと他の委員会に出席しなければなりませんので、私の質問は次回にまた譲りたいと思いますけれども、最後に、こういう国内の国民に対しては比較的高いミシンを売っておる。そうして見ますると、こういうミシン業界の大企業は相当の企業利潤をあげておる。本年三月の決算を見ますると、シンガー等は三億程度の企業利潤をあげております。配当が一割八分、前期で二割というような配当をいたしております。これらを総合的に、やはりミシン自体の発展も必要でありますが、輸出振興の総合的な問題として対策を立てなければ、国民には高い価格で相当負担をさして、単にドルを獲得するという国家的の目的のために他国に非常に安い価格で売っているという一それはそういう大企業は総生産量の輸出というのはわずか一〇%、二〇%程度でしょうけれども、これはやはり通産省としては何か指導をしなければならないのではないかと思うのですが、この点について通産省として今後の対策を考えるかどうかということを質問しまして、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/20
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021・森崎久壽
○森崎政府委員 やはりこの奥にありますのは、輸出面に対する過当競争を何とかして排除していくということが一番大切な問題だと思いますので、まさしく法律が考えておりますところの登録制度を通じまして、いい品質のものを秩序正しく出していくということが一番大切だと思います。それ以外にやはり考えられますのは、外国に対する日本のミシンの真の価値というものをもっと知らせる方法が必要でございまして、そのために技術的な向上その他を十分やっておる、その実績そのものを十分に認識してもらうということをやる必要がございますので、この点につきましても輸出振興事業協会を通じまして今後とも十分に宣伝、PRをしていきたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/21
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022・二階堂進
○二階堂委員長 山崎始男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/22
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023・山崎始男
○山崎(始)委員 軽機械の輸出の振興に関する法律の五ヵ年間延長をされる法律が出ておるのでありますが、この軽機法の内容というものは申し上げるまでもなく、端的に申しますと、登録をやって、そして品質管理をやる、あるいは技術の向上をやるとかいうことがねらいだろうと思うのであります。それが一点と、いま一点は、事業協会をつくって、そしてPRなりあるいはその他いろいろの海外の調査なりをやる、この二つが大体この法案の内容だと思うのであります。
そこで過去五ヵ年間、この事業協会が発足いたしまして、これからもう五年延ばしてくれというのでありますから、まず順序といたしますと、過去五ヵ年間、この二つの点のどういうふうな役割をこの法律が果たしたかということを反省をしてみる、言いかえますと、過去五ヵ年間における功績、あるいはかえって悪かったじゃないかというような功罪の面を反省をしてみる必要が私はあるのじゃないかと思うのであります。
そこでまずお尋ねいたしますが、事業協会そのものの過去五カ年間の民間から出しました総金額、それから政府のそれに助成を出した総金額というものはどのくらいな数字になっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/23
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024・森崎久壽
○森崎政府委員 事業協会の事業規模といたしましては、双眼鏡を例にとりますと、三十四年度に二千七百万円、三十五年度五千九百万円、それから三十六年度四千万円、三十七年度三千百万円という規模でやっているわけでございますが、その中で政府といたしまして助成をいたしておりますのは、輸出振興に関する海外活動の面について五割の補助をやっておるわけでございます。その金額は、三十四年度千九百八十七万円、三十五年度二千九百十九万円、三十六年度三千万円、三十七年度三千二百万円、三十八年度は三千七百万円ということでございまして、これは輸出の海外活動面のみの事業に対して二分の一の補助をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/24
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025・山崎始男
○山崎(始)委員 ちょっと先にお断わりいたしておきますが、私が本日お尋ねいたしますのは、軽機械法の中で特に双眼鏡に関してしぼってお尋ねをするつもりでおります。だからミシンのことは私お尋ねいたしません。それから同時に、私の質問の過程におきましては、どうしてもこの軽機械法を質問すると団体法との関連を避けることはできませんので、そういう点からお尋ねをするわけであります。
それから大臣御列席ですから、大臣に一斉申し上げておきますが、たかが一年間五十億か六十億の双眼鏡、ほとんど大臣の頭の中にはおありにならぬだろう、こんなちっぽけな金額、したがって、あまりにも小さな問題であります。しかし小さな問題といいますが、私は、これは金額が小さくても事柄は非常に大きいと思っておるのであります。そういう意味におきまして、大臣になまじっかお尋ねしても、局長以下の事務的な人に御答弁願う以外に手がないのであります。したがって、私の質問の過程を通じてよくお聞き取り願って、最後に大きな点だけ一、二点大臣にお尋ねいたします。あまりこまかいことをお尋ねしてもお気の毒ですから。しかし、うわのそらで聞いてもらっておったのでは私は困るのであります。
実は私が本日こうやって双眼鏡のことで質問に立った動機は、千葉県から出ておりました小川豊明という代議士がおりました。これが昭和三十七年に輸出のワク、これは双眼鏡ばかりじゃございません、ミシンあるいはトランジスターその他輸出のワクを問題にいたしまして、これは決算委員会でやつたのであります。ところが一昨年の十月、この小川豊明という代議士は死にました。ちょうど私は会館がすぐ隣だったのであります。死んだあとで、たまたま昭和三十七年から昭和三十八年の二月にかけまして、この双眼鏡のチェック・プライスの問題にひっかかって横浜の警察が手を入れました。横浜の地検が手を入れて、そうして日本の大手の三十数社というものがこのチェック・プライスにひっかかってしまって、外為法違反あるいは貿易管理法違反にひっかかりました。そうして横浜警察は全業者について、チェック・プライス制度ができました昭和三十一年ころから三十七年ころにかけましての全部の書類を押収した。どこまでこれがいくかわからない、このままほうっておいたら日本の輸出ワクを持っておる双眼鏡の業者は全部調べられる。それで私は二月に、小川豊明の遺志を継いで決算委員会でこのチェック・プライスの問題を取り上げた、取り上げた結果ようやく地検のほうも納得してくれまして、そうしてあとは手をつけないというので火を消した、こういう動機があるのであります。そういう関係で、私はそのときには双眼鏡のチェック・プライスだけの問題にしぼって通産当局に決算委員会でお尋ねをいたしました。しかし、双眼鏡業界というものはなるほど輸出の金額は年間五十億ないし六十億でございまするが、御承知のように日本の双眼鏡の全生産量の九五%くらいが輸出に向いております。ほとんど輸出に依存をしておる。言いかえると、大臣の御構想のいわゆる輸出貢献の金鵄勲章をやってもいいような業界なのであります。したがって私は、この双眼鏡に対する通産行政のやり方というものに対して、そのことがきっかけで調べてみましたところが、調べれば調べるほどこれは奇々怪々なのであります。順次その奇々怪々なることを申し上げて、御当局のほんとうの輸出の振興をどうやったらいいのかということをお尋ねしたいと私は思って、きょうこうやって参ったのであります。でありますから、大臣も金額が小さいからというので、何だそんなことかというお考えは持たれないように、ひとつお願いしたいと思うのであります。
まず、先の話に返りますが、この軽機械法は団体法と裏表の関連がございます。それで、これはまず団体法と軽機械両方に関係いたしますが、双眼鏡自体の性格というものも、今日の双眼鏡業界がてんやわんや内部的にも非常に騒いでおります。その騒ぐのには、賛成反対は別にいたしましても、騒ぐのには騒ぐ理由がある。そうして、その間に通産行政が行政指導においてほんとうに親切をもっていままで当たっておらないという数々の事実を私は知っておるのであります。
そこでまず、局長さんも課長さんもいまのポストにつかれて年月日が浅いといわれるのでありますから、私はあまり御存じないのじゃないかと思いますが、双眼鏡というここに一つの完成品がある、この完成品を組み立ててそうして輸出をするまでに、あるいは免税手続であるとか、あるいは税関手続であるとか、あるいは検査、こういうような関所というものはどんな品物でも避けることはできぬと思います。そういう手続、ネックといいますか隘路といいますか、それは避けることはできぬかもしれませんが、私がふしぎでかなわぬのは、この一個の完成品、これに驚くなかれ七つの隘路といいますか関所を設けていらっしゃる。これは私自身が何べん考えてもわからない。おそらく皆さん方も初めてだろうと思いましたので、あまりおとなげない話ではございますが、この現物を持ってきたのであります。どういうふうなネックがあるかといいますと、この金具がございますが、これが鏡体というのだそうであります。要するに金属でありますが、これはこれで通産省のほうで団体法によって割り当てになっている、切符が要るわけです。この目につくほうのレンズ、中にプリズムというものがあるそうでありますが、こっちは対物——向こうを見るというのですか、これを磨き上げてレンズになるわけでありますが、磨く前は成型というのだそうであります。要するに成型ということはガラスであります。そうするとその成型に一つのワクがある、こっち側にワクがある、中に入っているプリズムというものにワクがある、ワクといいますのはチェックされているということであります。そうして、今度は磨いてレンズになったらまたレンズとしてのこちらのワクがある、対物のほうにワクがある、中のほうにワクがある。言いかえたらこれは六つあるのです。六つあって、おまけに外の金具がワクがある。そうするとこれだけで七つです。七つでこれを完成する。日本の国に二百十二、三の組み立て業者がおるわけであります。そうしておまけにこの箱にワクがある。そういたしますと、これだけで八つなのです。八つのそういう段階を経て、そうして、事業協会に持っていって輸出の証明書をもらうという手続をやっている。私は、まずこの出発点において、こういう簡単なものを通産行政の上では八つからのワクをつけておくこと自体——これが今日の、平たくいえば産業の合理化といいますか、近代化といいますか、そういうことと、そういうふうなワクというものとの関連は、私は矛盾をしていると思うのであります。言いかえますと、この組み立て業者が輸出をしようとする、みんなこの部品の、そういうふうな鏡体であるとか成型であるとかレンズであるとか、あるいはケースであるとかいう部品業者が全部ワクを持っている。そうして組み立てる人間は、メーカーの二百十何社——実質的にはそうありません、百二、三十しかありません、あとは組み立ての権利だけを売っておるという状態でありますから。そういうふうな制度というものが、今日の特に開放経済にもなり、同時にいわゆる産業の合理化、あるいは近代化と反面言われておりながら、こういう現実が今日まで続いておるのでありますが、こういうような商品が一体他にございますか。あるかないか、これに類したようなそんな一これだけのものですよ。一つ例をとりますと、かりに一つの洋服をレディメードで輸出するというた場合に、いまの理論からいきましたら、生地は生地で製造のワクを持たなければいけない、そして糸は糸で製造のワクを持たなければいけない、そしてボタンはボタンで製造のワクを持たなければいけない、そしてえりしんはえりしんで製造のワクを持たなければいけない、そして輸出するときのレディメードの洋服の箱も製造のワクを持たなければいけない、そうしなければ一個の注文品としての許可がおりないんだ、こういうようなばかな制度というものが一体あるかないかということなんです。したがって、メーカーの組み立て屋というものは、輸出は輸出のワクを持っております。組み立てには組み立てのワクがある。合計いたしますと十三段階あるんです、最後まで勘定してみますと。今日の産業の合理化、近代化と言われておる中に、それは最後のほうの、税関のワク、あるいは物品税のワク、あるいは事業協会の手続のワク、あるいは検査、こういうようなものはあたりまえであります。しかしそれを合計いたしますと十三段階あるんです。絞首刑の階段みたいに十三からある。そういう中でなければ出ない。もとより輸出のワクもあるのです。したがって、組み立て業者というものはこういう部品を買って、輸出しなければならぬ期限が来る、納期が来て、あとの品物はできておるが、ケースだけはワクを買わなければいけないのですから、ワク屋はつり上げる、あるいは間に合わぬ、こうなってきたら輸出ができないのであります。これが実態なんであります。したがって、まず私は、こんな簡単な一個の商品に、いまも言いましたような、本体だけで七つも八つもワクがあるような商品が他にございますか、ありませんかということを局長にお尋ねしたい。
それからもう一点、大臣には、そういうふうなワク制度そのものがいわゆる産業の近代化ということに対して、私は矛盾しておる要素を持っておるんじゃないかと思うのでありますが、そういうワク制度が好ましいか好ましくないかということなんです。その点についてのお尋ねをまずしてみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/25
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026・森崎久壽
○森崎政府委員 ただいま御指摘の点、まず手続上の問題でありますが、御指摘どおり、一般の商品の輸出におきましても、手続の問題につきましては常にその簡素化を考えなければならない点がございますが、特に、この双眼鏡につきましては、部品関係で相当入り込んだ出荷確認制度がございますので、その点につきましてはもっと簡素な方法があるのではないかという点についていろいろと検討しておるわけでございますが、この出荷確認そのものにつきましては、やはりこの業界の特殊性からくるものだと思いますが、どうしてもこういうことがなければ正常なる輸出がはかれないのではないかということでございます。言いかえますと、双眼鏡業界は比較的分業が進んでおりまして、しかもそれが各組み立て及び各部品ごとに独立した業態が存在しております。しかもそれが大部分と言いますか、そのほとんど全部が中小企業によって、しかもそれが零細な中小企業によって占められるわけでございますので、各部品部品の段階におきまして過当競争が行なわれ、そうして組合活動を通じましてその調整がはかられておるわけでありまして、その部品部品の各段階段階におきましては、価格維持をはかる必要性が出ているわけであります。そのはめに、やはり出荷制限を行ない、そして数量割り当てをやっておるわけでございまして、これは中小企業団体法の運用によりまして、各メーカー方の総意によってそういうことが行なわれておるわけでございますので、その点は、当然この出荷確認制度を排除するわけにはまいらないと思います。特に、輸出の価格を維持する場合に、こういうふうに最後ではアッセンブルだけでありまして、その根元になっております部品は一つ一つ個々の部品を寄せ集めてやるわけでございますので、その個々の部品の段階におきまして、価格維持政策がはかられなければ全体の輸出製品自身の値くずれがくるということになりますので、これはまさしく双眼鏡業界の実態から、また、その特殊性からいいまして、どうしてもやむを得ざる方法でこれは行なわれておるわけでございます。しかしながら、手続上の問題といたしまして極力それを簡素化する必要がございますので、その一つ一つをある一カ所で確認する方法を考えて、手続を済ませる場所を一カ所に集中するとか、あるいはその出荷を確認する方法として通い帳式のものをつくりまして、その場で一覧式に見てわかるというようなくふうははかられておるわけでございます。中小企業の方々にとって、業界の特殊性とはいえ、非常にめんどうな手続ではございますけれども、極力そうした点で努力をし、われわれのほうも知恵をしぼっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/26
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027・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま、業界の輸出が五十億くらいだからあまり重要視しないといいますか、軽視するようなことがあってはならないというお説でございまして、これはごもっともだと思っております。小さいものを積み重ねていくようなやり方でありませんと、日本のような中小企業の多いところでの輸出というものはなかなかうまくいきません。たとえこれが十億のものであってもやはり十分注意をいたし、われわれとしても協力すべき面は協力をする、こういう形で進んでまいりたいと思うのであります。
そこで、具体的な問題といたしまして、そういうような輸出の規制のワクがたくさんあることは好ましくないという一般原則については私もよくわかるわけでございまして、そういうような規制があまりないほうがいいと思いますが、ただいま重工業局長が申し上げましたように、特殊事情があるわけであります。これは何かうまいくふうがないかということは、われわれとしても今後も研究をいたしたいと思いますが、山崎さんはたいへん御専門のようでありますから、何かいい御意見がございましたら、ひとつ順次開陳をしていただければありがたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/27
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028・山崎始男
○山崎(始)委員 いまの重工業局長の御答弁は、あなたの立場とすれば通り一ぺんの御答弁なんです。私が聞いておるのは、そういう他の商品に、それだけの数の多いネックのあるものがあるかと聞いておる。おそらくそういうネックをつくられるということは、結局は、過当競争を防ぐというような意味で私はネックをつけられておるのだろうと思うのであります。ところが、私が言うのは、結局日本の輸出振興という大きな立場からいうて、そういうネックは業者の性格から見てしかたがないのだというふうな御答弁に聞けるのであります。そうすると、いつまでたっても、この隘路を打開しようという次の一歩前向きの方法論というものは、あなたの御答弁の中にはうかがえてこないのであります。大体この部品業者と組み立て業者がおのおのワクに縛られておって、そしてワクを残してくれという賛成派もあれば、ワクがあったんじゃもうどうにもならぬじゃないかという反対派もあるのは御存じのとおり、しかもいまから二年前に、これはあなたの存任中じゃありませんが、部品業者、要するに成型、レンズ、鏡体、組み立て、この四つの業者が集まって相談をし合った結果、こういうふうにお互いにワクがあったんじゃ困るなというので、あなたの前任者の時分ですが、通産省立ち合いのもとで、これの改善策をやろうじゃないかという覚え書きを交換されておるのであります。二年前に覚え書きを交換されておるその前の一年間は、その実態調査を業者がみなやって、自主的にひとつやろうじゃないか、このネックというものを何とか解決する方法をやろうじゃないかという合意を見て、そうして通産省がお立ち合いで覚え書きを交換しておるのであります。言いかえますと、業者自身は今日、賛成反対というて相論争しておりますが、いま私が申し上げましたことは、業界の内部においては、これは過去何カ年間問題になって今日まできておるのであります。そういう事実があったのを御存じですか、どうですか。そうして、なお私つけ加えておきます。覚え書きまで交換しておって、その改善策の相談を四つの組合がやったときに、成型と称しますいまのガラスの素材の業者、この組合だけが反対をしたために、前向きの改善策というものができなかったのであります。そのときに、通産省が立ち合った上で覚え書きまで交換をして、一業者だけが反対をしてできなかったという、まことに悲しむべき現象がございます。私は、時間がございませんから、きょうはその内容を言いませんけれども、成型の業者は一体どういう性格を持っておるか。成型いうたら素材ですぜ、ガラスですぜ。これの日本の実際のワクを持っておるのは八、九〇%までは一人の人間が持っておるはずです。私は、この間にわたって詳しくは言いませんが、なぜ反対をしたか。要するにワクさえ持っておれば、つくらなくてもそのワクは売れるのであります。これは申し上げるまでもございません。仕事をしておらなくても、切符を売りさえすれば金になる。そういうふうな温存されたワク制度のもとにあぐらをかいて今日までやってきている。そういうふうな事実があったことを御存じですか、御存じでないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/28
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029・森崎久壽
○森崎政府委員 手続の簡素化につきましてそういう会合が催され、業界との話し合いがあったということは聞いております。その線に沿いまして私どものほうもいい案があればということで、業界との話し合いはたびたび進めているわけでございますが、いま御指摘のように、業界全体としての考え方のまとまらない点がございまして、今日まできております。ただ先ほど申し上げましたように、この四月に組み立てをやりますところの工業組合が一応解散いたしまして、新構想で発足しようということをいま考えているわけでございます。そういうおりに、やはりこういう問題をもう一度考え直して、皆さま先とよく御相談をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/29
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030・山崎始男
○山崎(始)委員 いま新組合が発足するといわれましたが、私もこの点は大切な点ですからあとでお聞きしようと思っておったのでありますが、御承知のように三月の五日に団体法に基づいて、三月三十一日で団体法の期限が切れるからというので、三月の五日にこの組み立ての工業組合が総会を開きまして、そうしてもうワクにはこりごりだというので、いわゆる法律の規定に基づく三分の二の賛成者が得られず、そうしてワクがはずれた。団体法の規制を受けるのはごめんだということになった。そうしたところが、同じ議題で三月の二十三日でございましたかに総会が持たれた。五日に敗れたものが、同じ議題で三月の二十三日に団体法の規制を受けるべきか受けぬべきかということで総会が持たれ、また同じように三分の一以上の反対でもって敗れた。私は不思議に思うのです。三月五日に法律上の手続に基づいて総会を開いて敗れたものが、同じ議題で三月の二十三日にもう一ぺん総会を開く。これはわれわれの常識からいえば一事不再議とでもいいますか、特別の事情の変化が起こらない限り、同じ議題では開けないと思うのだが、それが二、三週間のうちに開いておる。そうして結局三分の一以上の反対派が出たために、ついにこの組み立て業者だけは、この四月一日からワクの制限を受けなくなった、こういうことなんでありますが、いま局長の御答弁では、新しくまた工業組合をつくって、そのときに何とか前向きのものを相談し合って解決しようというふうに聞こえるのであります。そうでしょう、そういうことですね。敗れたほうの側、言いかえますと団体法の規制を受けるべきだという賛成派が新しい組合をつくる、そのときに、私がいま言うたそういうネックに対する前向きの解決策を考慮しよう、こういうふうに聞こえたのでありますが、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/30
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031・森崎久壽
○森崎政府委員 私の申し上げておりますのは、あくまでも組合の結成、調整規程の実施、これは業界の総意によって行なわれるものでございまして、ただ、いまそういう動きがあって、そういう組合ができる機運にあるということを申し上げたわけでございます。ただ、この手続の簡素化その他の問題につきましては、その組合ができた場合に考えるということではなくして、ちょうどこの法律を御審議願っているこの機会に、業界全体がいろいろな問題をわれわれのほうにも提示しておられまして、この機会にすっきりした双眼鏡の輸出体制を講じようじゃないかという観点からいろいろの問題をあらためて検討する、そういう意味で考えたわけでございまして、手続の問題につきまして、組合の問題と面接結びつけて考えているわけではございませんが、一方においてそういう組合の新発足、一方においてはいろいろのこういう問題が出ているときでございますので、この機会にこの手続の問題について検討さしていただきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/31
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032・山崎始男
○山崎(始)委員 いまの点、非常に大切な点なんですが、いまのあなたの御答弁を聞くと、いままで業界の中に私が申し上げたようないろいろな問題点があった。一方、この三月二十三日に組み立ての工業組合が総会を開いて、団体法の規制を受けぬようになった。そこで今度組み立ての工業組合というものが新しくでき上がったら、その後において解決策を講じようというふうに聞こえるのですが、もう一ぺんその点を御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/32
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033・森崎久壽
○森崎政府委員 組合があくまでも調整行為を行なうかどうかということが一番の観点でございます。その問題はその問題として別といたしまして、この手続の問題あるいは今後双眼鏡業界に対する近代化の問題、こういった問題については、そういうものとは直接関係はございませんけれども、この機会に十分に検討させていただきたいという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/33
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034・山崎始男
○山崎(始)委員 どうも私ちょっとわからないのですが、いま、新しく発足する組合というおことばを言われたので、私それに関連してちょっとお尋ね申し上げますが、三月二十三日に敗れたものが新しく工業組合を結成する、そのときに、正規の手続を経てくるのでありますから、あなたのほうでは御許可なさるわけですね。そうすると、同じ組み立て業者の七十数社というものがワクを撤廃するために反対をしておるわけですね。いま組合をつくるというのは、ワクを残すべきであるという側が新しく組合をつくるというふうに聞こえるのでありますが、そのときに、団体法に基づくアウトサイダーの規制令というものをおかけになる御意思があるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/34
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035・森崎久壽
○森崎政府委員 この問題につきましては、その組合の設立について現在業界の方々の中で御検討を願っているわけでございますので、それができ上がって、そしてまたその組合の中で調整規程ができて、そしてその調整規程についてアウトサイダー規制をかけるべきかどうかというその後の判断でございますので、現在のところ私のほうとしては、まことに申しわけございませんが、その点についてはお答えができないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/35
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036・山崎始男
○山崎(始)委員 いまのおことばは実に重大なことなんです。一体団体法の法の精神というものは業者の自主的な意思によってつくられたものだと私は思うのであります。それが法の命ずるままに、このワクの問題でこりごりしたから、組み立て業者が法律に基づく手続で、賛成反対は別にいたしましても、二へんも開いて三月二十三日にワク制度はやめよう、言いかえると団体法の適用を受けることはもうごめんだという結論が出たのですね。そしてそのあとの百十数人の賛成投票をやった連中が新しく工業組合をつくるという場合、いわゆる団体法に基づく調整規程、またそのワクを工業組合がもらう。そうなると、七十数社の業者というものはアウトサイダーというので、おまえのほうにはワクをやらぬのだ、こういう事態が起こる可能性が出てくるおそれが私はあるような気がするのでありますが、そうするといまのあなたの御答弁では、それはそれであとの問題なんだというお話なんですね。それは私は重大な問題だと思うのであります。まことに重大な問題だと思います。七十数社というものは、現に何人かの工員さんを使って組み立て業を毎日やっている。そのものが、法律に基づく手続で総会を開いて、負けたほうが工業組合をつくったら、それがワクをもらう、アウトサイダーのものはワクをもらえぬ、こうなるのです。そういうことがあっていいことですか、どうですか。私は絶対にあってはならぬことだと思うのであります。法律に基づく手続でやっておいて、数日ならずして新しく組合ができたら、そのほうへ団体法に基づく組み立てのワクをやって、あとの人間にワクをやらぬという結果が出てくる。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/36
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037・森崎久壽
○森崎政府委員 先ほどお答えいたしましたように、現在はそういう組合の結成の段階でございまして、その組合をつくろうという方々は、二十三日の総会におきましては三分の二以上ではなかったわけでありますけれども、相当な多数を占めておられますし、また生産量におきましても八割を占めるような分野の方々が御検討しておられるわけでございまして、かつまた発起人の方々が現在反対しておられる方々に対しても呼びかけまして、できるだけいい形の組合をつくるために努力しておられる最中でございますので、それができ上がるかどうかがまず問題でございますけれども、アウトサイダー規制命令がかけられるかかけられないかという問題につきましては、これはまたでき上がったときのその後の問題でありますので、非常に残念でありますけれども、いまのところ私のほうではちょっと申し上げることができないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/37
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038・山崎始男
○山崎(始)委員 いまのところ、あくまで組合のほうの自主的な意思が左右するのだ、こういうふうに、二へんも自主的な意思ということを言われたのです。お役人の立場とするとおそらく公式の席での表現はそうでありましょうが、そういうふうな御答弁をなさると、私は言いたくないのですが、少し苦いことを申し上げなければならぬ。決して自主的な意思じゃございませんよ。いわゆるお役所の意向で、舞台裏ではあなた方は組合をつくれという圧迫をどのくらい加えていらっしゃるか。現に私はここへ書類を持っておりますが、三月二十三日に、組み立ての工業組合が、アウトサイダーの規制を受けるべきだという賛成派が九十七、反対派が七十一、こういう数字です。こういう事態が起こったのが三月五日ですよ。ところが三月七日には、あなた方は組み立てのほうが団体法からはずれるのだ、これでまた部品のほうの人たちが、はずれたらたいへんだというので、あなた方のところへ部品の業者の工業組合の連中を呼んでいらっしゃるはずです。ここに私は原本を持っております。それが三月七日です。三月五日にはずれた。これはたいへんだ、部品までが団体法の規制からはずれたらたいへんだというのでお呼びになっておられる。お呼びになっておられて、形式は陳情書という名前になっておりますが、これは陳情書ではございません。この間のいきさつを私は全部知っております。えげつないことは私は申し上げたくないから、一応陳情書なら陳情書でよろしい。ところが驚くなかれ、十二人代表の方が行っておられますが、ほんとうに判を押していらっしゃる方は二人だけです。あとは全部拇印です。その部品の陳情者の方が、ほんとうに残してくれという意思があるのなら、前もって陳情書を用意していくはずです。こんな不細工な陳情書は見たことない。判は二つしかないのですよ。悪くいえば、あとはその場でもってあなた方の圧力によって、組み立てのほうは団体法の規制をはずしたけれども、君たちはあくまでがんばっておれと慫慂されておる。この場で陳情書を書け、こうなっているのです。したがって判を持っておらぬから拇印を押されているのです。三月三十一日がきたら団体法が切れるのですから、早くやらなければ間に合いませんよ、それでこういうふうなものをつくられて、その数日後には中小企業安定審議会に出されておるのです。団体法そのものの精神がいわゆる独禁法との関係があるから、あなた方は相当遠慮をして業者の自主的な意思と言うが、立法の精神、そのことをあなた方御存じなんです。御存じでありながらもこういうところまであなた方はくちばしをいれていらっしゃる。なるほどお役人の立場とすれば、法律をつくるほどよろしい。法律にあぐらをかいているわけなんです。業者は弱いんです。あなた方の言動一つによって、腹にもないことを賛成だと言うてみたりするんです。こういうようなばかな陳情書がありますか。私は参考のために皆さんに回覧します。でありますから、自主的な意思ということばは、こういう場合には必ずあなた方の立場では言われるのです。都合のいいときには自主的な意思、都合の悪いときには舞台裏で圧力をかけられる、これが実態なんです。特に双眼鏡のごとき、中小企業というても零細企業がむしろ多いような組合には、その圧力はかかりやすいのであります。だから、そういうふうな形式的な御答弁を私はしてもらいたくないのです。もっと腹を割って、これを機会に大いに前向きな、ほんとうに輸出振興になるような方法を考えるつもりなんだと、率直な答弁がほしいのであります。
それからいま一つ、私はいまのあなたの御答弁で、二十三日に、二へん目にこの議題でやった賛成派が百十四名で、反対派が七十三名。団体法の法律には三分の二と書いてある、そうでしょう。ところがいまのあなたの御答弁は、要するに団体法で制約して調整命令を受けるようにしてくれという業者が三分の二の数で敗れておるけれども、実質的には八割とか何とかということをさっき言われましたね。この観念はとんでもない観念です。法律には三分の二とはっきり書いてある。なぜ団体法に過半数という条文がないか、三分の二になっているか、これは昔でいえば私は一種の特別議決だと思うのです。いまは町村合併促進法なんか、やはり議決は過半数となっていますが、以前は三分の二だったはずなんです。それと同じように、団体法に過半数と書いてなくて三分の二ということばが使ってある。これは私は重大な意味があると思うのであります。あなたがいまおっしゃったのは、なるほど投票には敗れたけれども、組合をつくろうという、新しく残っておる方が、それもきょう現在はワクがない、それが実際の生産数量か何かが八割とかになる、こういうふうなことを言われた。その点もう一ぺん言うてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/38
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039・森崎久壽
○森崎政府委員 ただいま生産量を八割と申し上げましたのは、これは法律とは関係ございません。これははっきり申し上げておきます。私の申し上げましたことが、法律と関連して申し上げたというようにお受け取りでございましたら、取り消さしていただきたいと思いますが、賛成に回られた方々の生産量を全国の生産量で比較してみると、八割近いものがあるということだけを申し上げたのであって、あくまでも先生御指摘のように三分の二、三分の一という、そういう企業の数でこの問題は処理されるということだけは私もよく存じ上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/39
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040・山崎始男
○山崎(始)委員 団体法の三分の一、三分の二の法律とは関係なく、八割ということを生産量の上から言うたという、その御答弁はそれなりに私は理解できるのであります。ところが理解できる反面に、それは非常に用心せなければならない。言いかえると、三月の二十三日に敗れた方たちが新しく組合を結成をされた場合に、残るのは、数は三分の一であるが、生産量においては何割になるか、いまあなたがおっしゃるから、あと残った二割になるわけだと思うのでありますが、要するに、法律に命ずる方法によって総会を開いて、団体法からその組合が全部規制を受けないことになった。生産量が二割だから、あとの八割が言うてくるんだから、新しく組合を許可して、あとの二割のやつにはアウトサイダー規制命令をかけてやれ、この危険があるところに、私はことばの上では理解ができても、あなたの気持ちの中にそういうことをやられるおそれがありはしないかという懸念を持つということなんです。その点もう一ぺん私はお尋ね申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/40
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041・森崎久壽
○森崎政府委員 八割はあくまでも生産量を参考のために申し上げたつもりでございまして、法律の運用につきましては企業の数でやるということだけは十分に認識しております。また今後もそういう考え方は生産量のいかんにかかわらず、惑わされないでやっていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/41
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042・山崎始男
○山崎(始)委員 この問題は、私言いよると時間がありませんので、また中小企業団体法の法律もこの国会に出ていることですから、また次の機会にいまの件は譲りまして次に移りますが、あなたの、いわゆる敗れた連中は、数の上では負けたけれども生産量が八割だという、この観念ですね、この観念は、私はまた軽機械法のほうに戻りますが、この軽機械法の総代会の選出の条項が三十四条ですか、三十四条に総代を選挙する方法が書いてある。そこで私が知っておる範囲におきましては、法律の表面にはこれは出ておらぬのでありますが、たしか総代会というものが二十人でもって構成をされておるはずなんです。これはミシンのほうは関係ありませんよ、双眼鏡だけに私はしぼって言っておるのですから。二十人で構成されておるはずですね、そうでしょう。そうしてこの製品をつくっておる業者を大ワク業者、中ワク業者、小ワク業者と三つに分けて、四カ月一期として三千本以上をつくっておるものが大ワク業者、千本以下のものが小ワク業者、その中間が中ワク業者という三つのワクにしておられるはずなんです。そうして総代の数は大ワクから五人、中ワクから五人、小ワクから五人、あとの五人はいわゆるニコンだ、キャノンだというような高度の双眼鏡をつくっていらっしゃるような特殊のところから二名、ガリレオ二名、マイクロ一名、合計五名、これは別個です。けれども双眼鏡業界からは、全体で二十人という総代でもって構成しておる。その中で問題になると思うのは、先ほど申しましたあとの十五人の総代というものの比率が五、五、五になっている。ところが、大ワク業者は二十一社ですね。中ワク業者は四十九社、小ワク業者が百四十社。これを率にいたしますと、大ワク業者は二十一社で五人の総代を出している。そうすると四二になりますか、中ワク業者は四十九社で五人の総代を選出している。そうすると何ぼになりますか、とにかく私はまことに妙な選出方法だと思うのであります。言いかえますと、二十一社のものが五名の代表選手を送る、四十九社のものが五名の代表選手を送る、百四十社のものが五名の代表選手を送るこれは事業協会のメンバーが一人一票の投票権がないということになる、率から言いますと。昔で言えば、貴族院議員の多額納税者のような選挙方法をとっていらっしゃる。この事業協会の、法律の文面にはきれいなことが書いてありますが、実際の——これは特殊法人の定款できめておられるのかどうか知りませんが、こういうふうな選出方法をやっておられるんですね、そうじゃありませんか。そういうことをやっている。昔の貴族院議員のいわゆる多額納税議員というものが、私どもの子供の時分にあった。一つの県内で、多額納税者だけが十五人ほどで一人の貴族院議員を出したはずなんです。こういうふうな選挙方法をやっておられる。そうして総代を選んで、そうしてこの事業協会の会長あるいは監事というものは、この総代の推薦した者のうちから通産大臣が任命をするとかいうふうになっているんです。私は文章の形式を言うんじゃありませんが、こういうふうな選出の方法というものは、明らかに大ワク業者だけを特殊扱いにしている。これはどういうことでこういうことをやっておられるのか。いまのあなたの論法でいけば、大ワク業者はこの事業協会へ、一台の双眼鏡を輸出するごとに二十八円か九円の負担金を払っておる。したがって、これは多額納税者です。言いかえれば、選出の方法も、大ワクの人間の発言力をふやすためにやっていらっしゃるとしか見えないのです。要するに、こういう事実があるのかどうかだけ確認してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/42
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043・森崎久壽
○森崎政府委員 この問題は定款で定められることになっておりまして、定款では——定款は総会で十分検討されたものであると考えておりますが、いま先生か御指摘のありましたような観点から実は私ども検討いたしておらなかったわけでございまして、そういう観点からも今後十分検討さしていただきまして、そういう定款の変更が出てまいりますならば十分考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/43
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044・山崎始男
○山崎(始)委員 それで、いまあなたが生産量が八〇じゃなんじゃ言うて、妙にのどに骨がかかったようなことを言われるから、私はこういう問題を出してくるのです。この問題を出したら、これに関連をして、過日総会を開いて組み立ての工業組合が一これはいまから数年前に発足したときには、工業組合の役員の選出方法は、大ワク業者も小ワク業者も一人一票の投票権を持っておったんですよ。それをあなた方の前任者の、私は名前を言うことは遠慮しますが、課長さんが指導されて、これと同じような方法に工業組合の役員の選出方法をきめておるんですよ。本年の三月三十一日付をもってこの工業組合は解散いたしました。要するに団体法の規制からはずれたんだから。この解散をするまでの組み立ての工業組合の役員の選出方法は、この事業協会の役員の選出方法と同じようなことを、あなた方のほうが指導されてやらしたのですよ。やらすときにどういうえさをのぞかせたかというと、とにかくこういうふうにやれ、そうしたらスライド制というものを設けて、上に薄く、要するに大ワク業者に薄く小ワク業者に厚く、ワクをふやしてやるからということで、役員の選出方法は、いま私が申し上げましたようなこういう差別待遇的な規則に変えさしたのですよ。業者は弱いんですよ。通産省の課長がそう業者に言えば、それならしかたありません、規則を変えましょうというて、これと同じようなことをやった。そのえさは、みなワクの欲しい連中ですから、とにかく大ワク業者には薄く、小ワク業者には厚く、スライド制によって何ぼか保有ワクというのですか、何かの余分のワクを設けてやるからというので、これを二期だけ、分けてやらしておる。二期だけほんのわずか、まことに微々たるえさを与えています。そのあとはもう知らぬ顔です。したがって、この大ワク業者、中ワク業者、小ワク業者というものは過去八年間、一カ月百七十本ぐらいの最低数、割当とすれば一期は七百本ぐらい、大ワク業者は四カ月に一万五千本ぐらいのワクを持っておる。昔大名だったらいまも大名だ。足軽は何ぼ努力しても、八年間たっても足軽だということになっているのです。とにかく、この工業組合のそういうふうなやり方を見ても、こういうばかな、組合員が実質的に一社一票にならぬような役員の選出方法というものは、あるものではないと私は思うのです。この法律の文面だけ見たら、なるほどきれいなことが書いてあるようにも見えるのですが、実際の総代を選ぶ、会長、監事を推薦する最高の総代会の選出のしかたが、こういうふうな差別待遇をやっている。こんな非民主的な、こんなばかな制度が、他の特殊法人の役員の選出方法にありますか、ありませんか、私はおそらくないだろうと思うのです。この点について同僚のほうから関連質問をやるそうですから、ちょっと私は休憩します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/44
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045・田中武夫
○田中(武)委員 いま山崎委員の質問を聞いておりまして、実情はどうか私知りませんが、しかし、法律的に疑問が出ましたのでお伺いをいたします。
本法三十四条ですね、第一項では「定款で定めるところ」とある。したがって、大ワク、中ワク、小ワクですか、それぞれの企業別で選ぶというか、きめてもいいような解釈も成り立つと思いますが、第三項では、「投票は、登録事業者一人につき一票とする。」ということになっている。定款は、第二十九条によって、「通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」こうなっておるので、先ほど局長は、そういう方面に気をつけていなかったとかいったような答弁があったが、定款がそうなっておるならば、すでに通商産業大臣において認可をしているはずでしょう。定款の内容は十分御承知でなくちゃならないはずです。しかも、三十四条の第一項の「定款で定める」というのは、そういうものを指さしていない。いわゆる選挙方法その他を指さしていると思うのです。三項には一人一票の原則を掲げておるということは、そういうワク内において選出するということを三十四条一項において定款に委任したとは解釈できないのですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/45
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046・森崎久壽
○森崎政府委員 田中先生御指摘のとおり、この三十四条の第三項は第二項を受けました無記名投票によって行なうという、この投票を受けまして登録業者が一票を行使するということであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/46
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047・田中武夫
○田中(武)委員 実際は知りませんよ。いま山崎議員の言っておるように、いわゆるグループ別の人数をきめて、その中からいわば昔の貴族院のように、多額納税者から幾ら、男爵から幾ら、公爵から幾らというようなことを意味しているのじゃないでしょう。一人一票の原則というのは、そういう企業の大小にかかわらず協会に対して同一な発言権を持つ、そういう平等の原則の上に立ってやっておるわけです。したがって定款で定めておるかどうか——これは定款を要求したいのですが、その定款にかりにそういうように大企業、中企業、小企業でワクを設けたとしても、それは三十四条の趣旨からいって違反ではなかろうかと私は思うわけです。しかもその定款たるや、二十九条二項によって通商産業大臣が認可をしている、こういうことになると、そんなことを知らなかったとは言えないし、その定款自体は無効であると言わざるを得ないわけです。事実は知りません。したがって一応定款を要求いたしまして、答弁はあとで伺ってもよろしいですが、検討してください。もしそうであるとするならば、その定款は三十四条第三項の趣旨違反です。したがって無効です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/47
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048・森崎久壽
○森崎政府委員 御質問の点につきましては十分調べまして、後刻御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/48
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049・山崎始男
○山崎(始)委員 私が申し上げたいのは、いま同僚の田中委員からも言った今日の民主主義の世の中に、こういうふうな役員の選出のしかたというものは、まずどこの社会にもないだろうと思うのです。私はびっくりしたのです。ところが調べていけば、この三月三十一日に解散した工業組合自体が、発足のときには一対一で投票権を持っておった。それをその後、もとより一対一の投票権があるとはいうものの、これと同じように差別待遇をしておるのです。そういうふうな規則に変えさしたのは、あなた方のかつての同僚が変えさしたのです。お役所が変えさしたのです。要するに大ワクであろうと中ワクであろうと、みな一対一の投票権を持って役員を選出しておったのを、こういうふうなワクを工業組合の規則にはめたのです。それにはワクをやる、えさをやっておるのです。そういう事実があるのですよ。言いかえると、この業界に関してはどういうふうに通産省の役人方が考えられておるのか知りませんが、ややもするといまあなたのお話しのように、団体法で三分の一以上の反対をとって破れておりながら、また新しい組合をつくって、そうしてそれによって、まかり間違えばいまの残った連中にアウトサイダーの規制命令をかけるような事態がないとは言えない。というのは、いまのあなたのことばの中に、生産量が八割であるというように、いわゆる大ワク業者というものをいかにも尊重されるような発言が出るから、私はいまの事業協会の問題にまで発展したのです。それに関連をして、工業組合の役員の選出の規則も、大ワク業者を尊重せよという立場でもってあなた方のかつての同僚が慫慂し、指導しておるのです。だから団体法というものは業者の自主的な意思ということが立法の精神でありながら、決してそうでないということを私は申し上げておきたいのであります。
時間がありませんから他の問題に転換いたしますが、現在双眼鏡業界というものは、香港あるいは台湾において新しい競争メーカーが続々とできつつあるという事実がございますが、事業協会のほうから、その点に関して通産省のほうに、昨年の七月には事業協会からも業者の代表がつぶさに台湾、香港のこの双眼鏡の実態を調査に行っていらっしゃるのですが、報告が出ておりますか、出ておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/49
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050・森崎久壽
○森崎政府委員 香港の問題につきましては、かなり詳しい報告を聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/50
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051・山崎始男
○山崎(始)委員 その報告が出ております。したがってこれを強敵とお考えになりますか、たいして心配することもないというようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/51
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052・森崎久壽
○森崎政府委員 現段階におきましては、生産量が月に二万台というベースでございますけれども、将来はやはり相当大きなウエートを占めてくると思いまして、将来においては相当な強敵である、十分にわれわれとしては注意しなければいかぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/52
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053・山崎始男
○山崎(始)委員 いま局長の御説のように、いまのような、こういうふうに十三もワクがあるような、ワクをはめるという事態を前提にして考えた場合に、向こうはワクがなく、しかも大資本でもって鉄筋の九階建てくらいのものをつくって、上から順々に下まで一貫作業的にやっておることは御承知のとおりだと思うのであります。なるほどきょう現在では生産量はまだ日が浅いからあまり問題にしておられないかもしれませんが、おそらく日本の双眼鏡業界は、通産省の指導がきょう現在のままで改善をされないという前提ならば、やがて香港、台湾の業者に食われてしまうという見方をしておるのであります。大体事業協会は品質の向上をやるという。登録制度をやっておる以上は品質の向上が当然裏表にあるはずでありますが、検査協会のお方に聞いてごらんになってもおわかりになると思いますが、いまから五年前にこの軽機法ができてから、むしろ品質は下がっておるという事実があるのであります。ところが片方にはいわゆる香港、台湾でもって近代設備を備えた、しかも一貫作業をやっておる強敵があらわれておる。このままほっておいたら将来は非常な脅威になるだろうと思うのであります。一つの例を申し上げましても、香港に入れておりますイギリスのレンズの業者は、日本の部品のワクを持っておるレンズ業者が組み立て業者に品物を入れる。たしかいまの組み立て業者が買っておるレンズは、切符代まで入れて六十三、四円についておるのではないかと思います。その中にはワク代が五円ないし六円入っている。ところがイギリスから日本の組み立て業者へ買うてくれと言ってきておるレンズは、日本のレンズより品物がよい。よいのにかかわらず、代理店口銭から一切入れて五十一円くらい。おまけに向こうからの話というのは、もしレンズの粗悪品があったならば、その粗悪品に対しては、日本の組み立て業者が研摩をしてくれたならば研摩代は向こうが全部負担をする、こういうような条件で、いずれにいたしましても五十一円くらいな相場でイギリスから入ってくる。このくらい日本の、ワクにあぐらをかいておるレンズ屋から高いものを買わなければならない。レンズだけの実態を申し上げてもそうなんですね。ところが安いものが買いたくてもいまの団体法に、縛られておる。ワクのないレンズ屋からは買えぬことになる。安いものをみすみす、品物がよくて条件がよくても買えない。香港はどんどんそういうものを買ってやっている。こういう一つの実態を見ても、このワク制度がいかに品質の向上を阻害しているか。ひいては貿易の伸展を阻害をしておるか。私は最初に大臣にお尋ねいたしましたように、こういうワク制度と近代産業の合理化ということばは裏表になってくる。したがって、軽機法では登録制度というものがしかれております。登録制度は品質の向上という目的を持っておりながら、実際の検査協会の調査では、この五カ年間の軽機法ができてからの品質はむしろ下落しているのが実態なのです。またそれは下落するはずです片方は団体法で縛られて、いまのようにそのワクを持っておるところでなければ買えないという隘路がありますから、売り方は強気です。少々の粗悪品があってもそれは承知で、お前買え、こうなってくる。したがってレンズのごときは、日本商品は五%から六%の粗悪品が、買った場合出てくる、こういう実態で行政をやっていらしたならば、おそらく香港や台湾の近代設備を備えた業者に食われていく、これは火を見るより明らかだと私は思います。
私はここで一つ例をあげますが、いまからちょうど五年ほど前に、アメリカの合板の輸入量の八五%までは日本の合板だったはずなのです。それがきょう現在は輸出量が五〇%以下に下がっているのですね。この原因は一体どこにあったかということです。やや双眼鏡のワク制度に似た面があるのでありますが、五、六年前に日本の貿易商やメーカーがアメリカで合板のダンピンタ——ダンピングといいますか、安くやった。ところが双眼鏡と違って、アメリカには自分の国内に合板の工場がございます。したがってこれが政治問題になって、やあ輸入制限をするとかあるいは関税の問題だとか、やんやんやり出した。やり出したのをきっかけにして通産省の方から、アメリか向きに限ってメーカーのワクをつくった、輸出のワクをつくった。しかしこのワクはメーカーと輸出の二段階だけです。ワクをつくって、そういうことをやらせぬようにした。これは一応けっこうでしょう。ところが、それから数年たったらアメリカの需要がふえてきた。相場はどんどん上がった。日本のほうにはワクがある。したがってその当時一、二年の間、日本の合板に関するエキスポーターもメーカーもわが世の春をうたったのであります。ところが、いつの間にか頭のいい商売人が——アメリカ向けに関してはワクをつくったが、日本の合板がシンガポールあるいは香港へ行くのはワクがございません。したがって日本のベニヤ板をシンガポール、香港へ持っていって、積みかえてアメリカへ持っていって、なおかつ日本から直接買うよりはアメリカは安く買っている。そこで日本のあなた方は、今度はシンガポール、香港へ行く品物にもワクをはました。そうしたら今度は驚くなかれ日本のベニヤ板は西ドイツ、イギリスへ、これはワクがないから行った。そこで積みかえてアメリカへ行った。それでも日本から直接アメリカがベニヤ板を買うよりは安く入っている。今度はまたあわててあなた方は西ドイツやヨーロッパに行くベニヤ板にもワクをはました、こういう経過をたどっている。ワクがありますと、そういうふうなあぐらをかく性格がある。アメリカのバイヤーはこういう実態にあきれ返ったのです。それがきっかけで、その当時は全面的にベニヤ板の輸出ワクとメーカーワクというものをつくった。つくったが長続きはいたしません。とどのつまりは、アメリカが日本の商売人と結託して、台湾やフィリピンへどんどん機械を持っていって工場をつくり出した八五%出ておったものが今日五〇%以下に下がっているというのは——そういうワク制度にあぐらをかいて温存されておって、不当なマージをとっておった、こういう商売が長続きするものじゃない。ついに、きょう現在ではどんどんフィリピンや台湾へ進出して、向こうの現地の木材で板をつくってアメリカへ持って帰っている。これは減るはずでしょう。結局あなた方は、過当競争をさせぬためだ、ダンピングをさせぬためだからワクをつくるんだ、なるほど理論的にはそのとおりです。ところが私が心配いたしますことは、実際の産業経済というものは毎日生きて動的なものです。動いているが、お役所の規則なり指導というものは、一ぺんワクをきめたら、どんなに動きがあろうとワクはワクなんだというので、平行線をたどらないのです固定されてくる。静的な性格を持つ。そこに産業や商売の実態とマッチしない。したがって最近は日本の合板の輸出量がうんと減ってきている。ワクが有名無実になってしまっている。最近はとうとうラワン材に関する限りはワクをはずしたはずです。ただ今日残っておるのは北海道の雑木の一種であるセンであるとかカバであるとかいうものだけにワクをはめておるだけで、あとは一切ない。またあっても有名無実です。相場は下がる。数量は出ない。この原因は一体どこがつくっているか。結局通産行政が、いわゆる生きた商売の実態というものと現実というものを、一ぺん規則なり制度をつくったら、それが湖のごとく常に固定してしまっている。ことばでは輸出の振興であるとか伸展であるとかいっても、実態はブレーキをかけておるような行政が行なわれておるのが今日の実態だと思うのであります。こういう点はあらゆる産業において——たまたま私は、金額は小さいが双眼鏡の問題を見てまことに奇々怪々、あらゆる制度の面においても奇々怪々、ほんとうに通産省がもっと前向きに乗り出して、そしてワクの隘路としての欠陥を補い、あらゆる面においての御考慮を願わぬことには、いま申し上げましたような香港におけるああいう事態、強敵があらわれておる以上は、これはいまに食われてしまいます。
そこで、最後に一点だけ私は申し上げておきますが、同じ軽機法でミシンと双眼鏡の二つの品種に限られておりますが、私はミシンと双眼鏡は性格が相当違う面があると思っております。その第一番に違う面は、ミシンにはあちらこちらの国にシンガーであるとかあるいはその他イタリア、ドイツ、みんな大手のメーカーがおって、ほんとうにこれは国際競争裏の商品だと思っておるのであります。ところが幸いなことには、この双眼鏡というものは、アメリカあたりにはメーカーは軍需用のメーカー、いわゆる最高度のそういうメーカーしかないはずです。おそらくドイツにいたしましても、イタリアにいたしましても、メーカーというものは非常に微々たる数字だと私は思っております。言いかえると、何もあなた方がたくさんな不要なワクをかぶせて不当競争をチェックするのだとかなんだとか言って手かせ足かせかけて、おまけに素材にまで、成型というガラスにまでワクをかける必要が一体どこにありますか。ほんとうに国際競争において過当競争を防ぐというのならば、部品ワクなんかは全然要りはしません。実際言ったら、どこかで行政指導でワクをつけられたら私はけっこうだと思う。ほんとうに過当競争を防ぐならそれでけっこうだと思う。ところが海外の姿を見てみますと、日本の商品をたくさん入れたからといって、自国産業を侵害するの何のといって文句を言う国は、まず世界にないはずだと私は見ているのです。そこに同じ軽機法といいましても、ミシンの性格と双眼鏡の性格は相当の違いがあると私は見ている。そういうふうな違いがありながら、あなた方の行政というものは、名前は過当競争を防ぐのだ、あるいはダンピングを防ぐのだというような意味で軽機法で登録をやる、あるいは団体法で規制して、手も足もかせをかぶせてしまう。これは海外市場という観点から見た場合、こういうことをする必要がある商品でないのです。したがって、私は今日の軽機法というものは、なるほど提案理由の説明なりを読んでみますれば反対の論拠はございません。実にりっぱに作女ができている。できているが、過去五ヵ年間一体これはどういうふうな功罪があったか。私はほとんど見るべきものがないという見方をしているのです。過去五ヵ年間の事業において、事業協会というものがやはり軽機法の一つのねらいだと思いまするが、事業協会だって、まあまあ功績があったといえばPRをやったというぐらいなことが、私はせめてもの功績だろうと思うのです。ところが私から言わせると、事業協会は昭和三十五年に大失敗をやっております。チェック・プライスの問題で一手買い取りをやっているはずなんです。御承知のようにその当時は、三十一年ころからたしか三十七年ころにかけてチェックプライス制度をあなた方はやられた。商売には常に波がある、高低があるにかかわらず、糸を引っぱったような、過去何カ年間、これより下で売っちゃだめですよというチェック・プライス制度をつくられたはずなんです。実際の相場はそれをくぐっておった。そういうふうなことを防ごうと思って、この事業協会が買い取りをやられたはずなのです。約五億の金融をして、そうして一手買い取りをやるのだ、チェック・プライスのそれの趣旨に沿うようにやるのだ、それで事業協会は八ヵ月間ほどやって、とうとう手をあげてしまわれたはずです。とうとうストックができて、そうしてそれを業者のほうに、もうたまらぬから買い取りはやめた、協会の倉庫に積んであるストックは全部おまえらのほうに引き取れと言った。それで、その金利から一切をこの零細な業者が負担をして、当時の総金額にして約八千万近いはずのものを負担させておる。それがために三十社に近い小さな、力の弱い業者が倒産をしておるのです。なるほど事業協会は規則をつくって買い取りをやることができるのだ、その趣旨に沿って買い取りをやられたのだと私は思うのですが、その損害はかけつばなしです。しかも三十社に近い業者が倒産をしておるのです。それに対して事業協会はどういう責任をとられたか、一片の責任もとっておらない。それなのに通産省の当時の責任者は、そういう倒産業者に対してどういう処置をとったか、知らぬ顔の半兵衛ですよこういうふうな事態を見た場合に、過去五ヵ年間一体何をやったかというのです。登録制によって品質の改善をやるのだというのですが、きれいな文句ですけれども、実際は品質は下がっている。事業協会はPRをやるのだ、買い取りをやるのだと言っているが、買い取りの面ではこれだけの迷惑をかけているのです。それに対して何の責任もとっていない。こういう点から見ますと、私はこの双眼鏡に関する限り——ミシンは性格が多少違うと思いますが、双眼鏡に関する限り、私個人の考え方からいいますと、この軽機法からはずれてもけっこう可能なものだ、PRといっても、事業協会にPRをやってもらわぬでも業者が負担金を出しているのですから、業者へ海外にPRをやれと言えば、けっこうそれくらいのことならやるだろうと思う。極論すれば私はそういうことを言いたいのです。あまりにも過去五ヵ年間のいわゆる双眼鏡業界に対しての通産行政の無為無策、せっかくできたこの事業協会という法律の趣旨というものが、文章はきれいだけれども、過去の功罪というものが、私の見る目からすればむしろ罪悪のほうが多かった。あなた方はもしこれが五ヵ年間延長したら、その間に子、ういう欠点はぜひ除くのだ、除いて大いにこの文章のごとく輸出の振興をはかるのだというだけの御決意があるのかどうか。もしそれができなかった場合には、もう今度五ヵ年間たったら再度提出は、時限立法の延期はいたしませんというだけの御決意があるのかどうか。私個人から言ったら、双眼鏡に関してはなくなったっていいのです。あるいは、せめて一年か二年その間の実績を見て、それでもし実効があがらぬものならやめるべきだ、はずすべきだとさえ言いたい。しかも、いま総代の役員選挙のしかたを一つ例にあげたけれども、見れば見るほど奇々怪々です。極論すれば、これは通産官僚の温存の機関という以外にない。どうですか。これは大臣がまだおられたら聞くつもりだったのですが、田中政務次官、いま延期を出されておりますが、時間がありませんので、私も迷惑をかけてはいかぬと思って早口にしゃべっておりますけれども、私が申し上げましたようなことをお聞きになりまして、過去五ヵ年間において、双眼鏡に関しては、私から言ったら、事業協会そのものは何の功績もなかったと言いたいのです。というのは、これはやろうと思っても、片方団体法によってしばられておる。団体法で足かせ手かせでチェックをしておるためにこの法律が生きてこない。こういう因果関係を持っている。それにもかかわらず、もう一ぺん五年間延期してくれと出してきているのです。私の見解では双眼鏡に関してははずしたってかまわぬと思う。はずさぬでも五年というのは長過ぎる。せめて二年くらいの延期期間で、その間の実績を見て、時限立法なんですから、これが五年五年といったら恒久立法と変わらぬと思う。これは実際言うたら意味ないのです。いま五ヵ年間の時限立法の延期の改正案が出ているのですが、いま言いましたような、この業界の、ほんとうに今日のこの軽機法の審議を契機とし、あるいはこの国会の商工委員会に団体法がかかっておりますが、おそらく同僚議員からも団体法の欠点その他が出てくるだろうと思うのでありますが、それを契機として双眼鏡業界の、いま私が申し上げましたたくさんの隘路、輸出をむしろ阻害をしておる隘路がある、これを抜本的にこの際こそ改正をする絶好のチャンスだと私は思うのですがそれをおやりになるというだけの決意があるというなら、私もこの軽機法の延期に賛成をします。それがないというなら、いままでどおりくさいものにふたをして、たかが五十億か六十億のものだ、あまり出しゃばったことは、こういう気持ち——出しゃばったことをしてという気持ちでありながら、舞台裏へ回っては、いま私が申しましたように、こういうふうなことを強要しておられる。強要しておられぬというなら、私は一部始終これからあともまた申し上げます。実際強要しているのです。こういうふうな団体法の精神に反することをやっておられる。だから私は、いろいろ大きな声をしていやみも申し上げましたが、決して皆さん方を困らせようとか、いじめようとかいう意思で言ったのじゃないのです。言いかえますと、通産行政が輸出の振興振興と言いながら、こういう弱い業界に対しては、いわゆるお役人の勢力の温存をするという気持ちのほうが先に立って、立法の精神を無視して容喙をしてみたり、そしてたくさんな関所を設けて、むしろ輸出の振興を阻害をしておるという、この欠点というものを前向きで抜本的にこれから解決していこうというほんとうの気持ちがおありになるかどうか。私は、大臣がおられたら、この最後の締めくくりは大臣に聞きたかったのです。まず政務次官並びに局長の御決意のほどをひとつお聞きしておきたいのであります。
それから、かりにこれが通過するとしても、今まで五年たっておると同じような状態がまた五年続いて、もう一ぺん時限立法で五ヵ年延ばしてくれということは言われますか、言われませんか、言いかえれば、それまでに欠点を直さなければならぬことになるのですが、その二つに対しての御答弁をお聞きして、だいぶんお昼も近うなってまいりましたので終わりますから、どうぞ御答弁を…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/53
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054・田中榮一
○田中(榮)政府委員 双眼鏡の業界のことにつきまして、先生から非常に具体的な詳しい実情につきましていろいろお話がございました。私どもも、またそうした事実があることも了承いたしております。この双眼鏡がこういう法律の対象になりましたのは、先生も御承知のように、双眼鏡というものが非常に各種の、いまお話しのように、レンズ、成型、鏡体、組み立てといったような各種の分業組織になっておりまして、日本のいまのこの状態が要するにそうしたものを寄せ集める組織からなっておりますので、当時も三十年ころでございましたが、この業態をどうするかということにつきまして、業界方面からもいろいろ意見がございまして、将来双眼鏡の輸出振興のためには、こういう制度をやるほかないんじゃないかというような業界の御意見等もございまして、通産省としては、こういうアッセンブル方式の現在の双眼鏡の業態に処するためには、この法律以外にはなかろう、こういう見解から進んだわけでございます。そして一応五ヵ年の時限立法にいたしたわけでございますが、その間いろいろ中小企業の関係でお互いに利益が相克いたしまして、いろいろと問題があったことは、われわれも了承いたしております。そこで今回の五ヵ年の延期につきましても、いろいろ議論があったわけでございますが、とにかく従来の業界のことについて、通産省側としてもさらにひとつ認識を新たにいたしまして、この際ひとつ前向きな姿勢で、従来のメンツとかそういうものにこだわらないで、今後業界と十分意見の交換をして、さらに業界の刷新改善並びに輸出の振興にひとつ役立ってもらいたい、こういう趣旨からこの法案を出したわけでございます。したがって、五年の後になってまたさらにもう一回出すのではないかという御心配がありますけれども、通産省側といたしましては、五年ということになっておりますが、もしもこれが五年内にそういう目発が達成したならば、これは何も五年待つ必要はないのでありまして、五年が三年であろうと、四年であろうと、これはその際廃止しても差しつかえないのではないか、こういう率直な気持ちで実は今回出したわけであります。先般、参議院の御審議の際にも、業界の意見を十分にお聞き取り願いまして、また、参議院側といたしましても本法案の今後の通産省の運営については、こういうような点について、十分注意をしてやってくれという、非常にこまかい具体的な附帯決議もつけられておりまして、当時通産大臣からも、こうしたことにつきましては十分にしんしゃくし、考慮した上で実行いたしますということをはっきり名言しておりますので、通産省当局といたしましては、いま先生のおっしゃったような気持ちを体して、今後なるべく摩擦を起こさぬように、また、先生のおっしゃったような意見を十分くみ入れて運営に努力していきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/54
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055・森崎久壽
○森崎政府委員 双眼鏡につきましては、先刻から申し上げておりますように、中小企業の関係しております非常に重要な輸出品としての役目を果たさねばならぬわけであります。しかも、輸出市場は、ほとんどが先進国でありますので、高い技術を必要といたしますし、また、いろいろと先進国に対する輸出については努力の必要があると思います。先ほど御指摘がございましたように、今後われわれの行政方針にも十分弾力性を持たせまして、五年以内に必ず目的を達するようにあらゆる努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/55
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056・山崎始男
○山崎(始)委員 そうすると、いまのおことばはこういうふうに解釈していいのですね。五年という時限立法は出したけれども、それが二年でも三年でも一年でも、目的を達成したらやめるんだ。やめるということの内容においては、その目的を達成をするということなんですね。その目的を達成するということは、いわゆる輸出の振興に相当寄与したという結果が出るということなんです。そうすると、私が言うておるのは、団体法の関係があるから、何ぽこの法律の文面がりっぱであっても、団体法で制約を受けて、品質の向上をしようにもできぬようなことになっておる。この一つを見てもネックがある。あるからこそワクにあぐらをかいて、切符だけを売って、直接輸出する組み立て業者は、船積みの日にちはきた、バイヤーから納期は迫られた、弱みがありますと、品質は少々悪くても出すというような結果から、品質は向上しないということになる。言いかえますと、三年なり二年なりで目的を達したらやめるということは、この軽機法の精神が実現した、ややしたという時期——実現をするということは、私がいま申しました隘路は団体法に関連してある。この解決をやはり双眼鏡に関しては前向きに、いま言うたこの一個の商品で七つもあるような、こういうものの解決まで何らかの形でやらなければ、いまのおことばは私は信用できないのですよ。したがって、こういうネックの問題をあなた方は今後前向きに解決する積極的な意思をお持ちだというふうに解釈しなければ、いまのおことばは出てこぬのです。でありますから、こういうネックの問題も前向きの姿勢で解決する、こういうふうに解釈してよろしいかどうですか、もう一ぺんひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/56
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057・森崎久壽
○森崎政府委員 先生のおっしゃいますように、そういうネックの問題についてもあわせて検討し、前向きの姿勢でやっていくということをあわせて申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/57
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058・山崎始男
○山崎(始)委員 それでは、また明日も委員会があるそうでありますから、私もたくさんお尋ねをすることがあるのでありますが、きょうはだいぶん時間もたちましたので、この辺で私の質問を終わりたいと思います。前向きでひとつやっていただきたい、このことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/58
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059・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、明五月十三日水曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04219640512/59
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