1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十日(水曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 中川 俊思君 理事 早稻田柳右エ門君
理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君
理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
小笠 公韶君 小沢 辰男君
大石 八治君 海部 俊樹君
神田 博君 小宮山重四郎君
佐々木秀世君 田中 龍夫君
田中 正巳君 田中 六助君
中村 幸八君 野見山清造君
長谷川四郎君 大村 邦夫君
加賀田 進君 桜井 茂尚君
島口重次郎君 楯 兼次郎君
藤田 高敏君 森 義視君
麻生 良方君 加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 鉄藏君
通商産業事務官
(重工業局長) 森崎 久壽君
委員外の出席者
農林事務官
(農政局参事官)玉置 康雄君
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
通商産業技官
(重工業局電子
工業課長) 吉岡 忠君
参 考 人
(アジア経済研
究所所長) 東畑 精一君
(アジア経済研
究所理事) 渋沢 正一君
専 門 員 渡邊 一俊君
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五月十九日
中小企業振興に関する請願(唐澤俊樹君紹介)
(第三七六三号)
同(増田甲子七君紹介)(第三八一四号)
同(松平忠久君紹介)(第三八一五号)
同(小川平二君紹介)(第三九二五号)
同(下平正一君紹介)(第三九二六号)
同(中澤茂一君紹介)(第三九二七号)
同(原茂君紹介)(第三九七一号)
新産業都市の建設促進に関する請願(唐澤俊樹
君紹介)(第三七六五号)
同(増田甲子七君紹介)(第三八一六号)
同(松平忠久君紹介)(第三八一七号)
同(小川平二君紹介)(第三九二八号)
同(下平正一君紹介)(第三九二九号)
同(中澤茂一君紹介)(第三九三〇号)
同(原茂君紹介)(第三九七二号)
公衆浴場業に対する特別融資並びに電灯、電力
の料金軽減に関する請願(青木正君外一名紹
介)(第三八九四号)
同(岡崎英城君紹介)(第三八九五号)
物価安定等に関する請願(安宅常彦君紹介)(
第四〇七〇号)
物価値上げ反対並びに独占価格の引き下げ等に
関する請願(大出俊君紹介)(第四〇七一号)
同外二件(山花秀雄君紹介)(第四〇七二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
アジア経済研究所法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七八号)(参議院送付)
電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一〇四号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。
理事会において御協議願いました中小企業に関する件の調査のため、企業倒産に関する問題について参考人に出席を求めることとし、人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/1
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002・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/2
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003・二階堂進
○二階堂委員長 次に、内閣提出のアジア経済研究所法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、本審査のため参考人としてアジア経済研究所所長東畑精一君、同じく理事渋沢正一君の二名が出席になっております。
政府並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、これを許可いたします。桜井茂尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/3
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004・桜井茂尚
○桜井委員 昨日私は本委員会において通産大臣から、このような問題を国会において論ずるのはいかがかと思う、こういう御注意をいただきました。だが、大臣の御心配のような点は、低開発国が独立して間もなく、第一次経済五カ年計画をつくった当時の状況でございまして、現在の段階ではもっとすなおに日本の意見を要望している段階であります。現在通産省で出している経済協力白書にもこのような趣旨が書いてございますし、アジア研究所に対しましては、計画立案についての協力を各国から求められておる現状でございます。また、先日のアジア協同組合閣僚会議、あるいは農協組会議を通じても論ぜられておるのであります。アジア各国が懸念しているのは、日本はほんとうに援助してくれるのだろうかということであります。だから、私の質問に対しまして、大平外相の言明のように、ほんとうに苦楽をともにするという気持ちで御答弁をお願いいたします。また、審議に協力する意味において、昨日も申し上げましたが、私は整理して御質問しておるはずであります。ですから、御答弁もなるべく簡略に要領よくお願いいたします。
さて、昨日私は東南アジアと日本を含めた国際的決済方法の問題と、実務を兼ねた技術指導機関を多数設置するというような援助方式についてお尋ねしたのでございます。ところで、昨日の続きでございますが、農業技術の援助と中小企業育成のための援助が必要であり、そして経済協力白書にもこのことが指摘されており、ことにわが国が適任であるとも述べておるのであります。経済の構造的発展の中に中小企業を誕生させ確立させなければならない、そのためにも農林業の基礎的発展が必要となる、その生産並びに流通との結びつきの中にこそ中小企業は根をおろすでありましょう。それならば、技術援助については、あとでお聞きいたしますのでしばらく留保いたしまして、昨日お伺いいたしました、現在まで現地の中小企業にどのような援助をしてきたか、次にわが国からアジアへ中小企業はどの程度出ていったか、さらに中小企業の進出に対して政府はどのような援助を与えたか、また先日アジア協同組合閣僚会議並びにアジア農業協同組合会議が開催されましたが、そこで問題になった点は何か、きのうお伺いいたしておるのでありますが、まずこの御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/4
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005・山本重信
○山本説明員 東南アジア各国の経済開発にあたりまして、必ずしも大規模の工業に力を入れるだけでなく、中小企業の発展をはかるべきであるという先生の御意見につきましては私たちも全く同感でございまして、そうした考え方のもとに従来でき得る範囲のことをいたしてまいっておる次第でございます。
中小企業の日本からの進出の実績につきましてはなかなか正確な資料がございませんが、ただいままでわかりました範囲の数字を申し上げてみますと、従来の日本の海外進出企業総数六百七十件のうち約五十件余りが中小企業関係の進出でございます。約一割弱、金額にいたしまして四、五%に相当いたしております。ただこれは日本の進出企業が中小企業であるということでございまして、このほかに当然大企業の資本の一部で、現地で中規模あるいは小規模の企業を起こしておるケースがいろいろあろうかと思います。その場合に、中小企業としての特色を生かすような業種が当然その中心になっておりまして、陶磁器でございますとか魔法びん、あるいは自転車の組み立て、ラジオの組み立てというような比較的巨大な資本を要しないものが主体となっております。政府といたしまして、こうした中小企業の進出につきましては可能な範囲での努力をいたしております。率直に申しまして決して十分であるとは考えておりませんので、今後そうした方向に力を入れるべきであると考えております。
その一つの例は、現地で中小企業を起こしますためにまず資金が必要でございます。資金の供給につきましてはいろいろな方法で、たとえば円借款におきましてもインドの中小企業公団あるいはパキスタンの似たようなところに資金を使用することもいたしております。また特に重要な技術者の派遣につきましては、中小企業の技術協力のためにプラント協会が現地にそうした技術者の派遣をいたしておりますし、また商工会議所で技術者派遣のためのあっせん事業をいたしております。従来約二千件余りの登録の中で八百件くらい現地にあっせんをいたしまして、約三百件余りが成立いたしまして、現地に技術者が出かけてまいっております。そうしたようなことでございまして、できるだけそういう努力をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/5
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006・玉置康雄
○玉置説明員 先月行なわれました国際協同組合同盟主催による農協閣僚会議——これは俗称でありまして、ほんとうの名前は経済及び政策の発展に対する協同組合の役割りに関する会議となっております。俗に閣僚会議、閣僚会議と言っておりましたが、それに引き続きまして、日本の全国農業協同組合中央会主催による協同組合会議、これで問題になりました点をお答え申し上げます。
第一の閣僚会議のほうで問題になりました点といたしましては、項目だけ申し上げますと、農地改革と土地利用に際しての協同組合の役割り、農業普及事業と協同組合との協調、生産、販売、消費の関連、協同組合の発展に対する政府の役割り、協同組合教育と職員の訓練、組合員参加の問題、消費組合と生産組合の協調の問題、それから東南アジアにおける消費協同組合の問題、国際協同組合貿易発展のための障害及びその対策、それから東南アジアにおける協同組合貿易会議の開催について、そういうことが最後の結論となったわけでございます。なお、その各項目についてもう少し詳細に述べろということでございましたら、またもう少し詳細に申し述べます。
第二の全国農業協同組合中央会で行ないましたアジア農業協同組合会議におきましては、第一として、協同組合の見解で総合農協がいいか専門農協がいいか、第二といたしまして、協同組合貿易を進めるにはどうしたらいいかという、主としてその二点にしぼって議論が行なわれた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/6
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007・桜井茂尚
○桜井委員 いま御答弁がありましたとおり、中小企業のアジアヘの援助あるいは進出というものは実際は非常に乏しいのであります。しかもそれが香港であるとか台湾であるとかいうところはわりあいあるのでありますが、東南アジア方面に至っては非常に乏しい。また、農協の問題につきましてもただいま御報告がございましたが、農協の組合会議では、事実上各国の政府が責任をとってくれない、だから組合会議だけでは実践に移れない、だからいわゆる閣僚会議というものを開いて、政府に施策を反映していってもらいたいという意図のもとに開かれておるというように聞いております。そこで、閣僚会議の最後の問題になりました貿易の問題についてもう少しお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/7
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008・玉置康雄
○玉置説明員 貿易の実態となりますと、実は厚生省の御所管の生活協同組合におきましては欧州の協同組合との間に貿易が行なわれておるようでございますけれども、農業関係について申しますと、協同組合間の貿易というのは現状はほとんどゼロだと思っております。協同組合が商社を通しての貿易はございますけれども、この前集まった人たちが理想として持っておりますような協同組合同士の取引というものはほとんどないと思うのでございます。したがいまして、先般行なわれました最後の決議といたしましても、まず第一はアジアの各地域に協同組合を育成することでありまして、その次に協同組合貿易を開きまして、お互いに情報を交換しようということでございます。それからこの会議を主催いたしました国際協同組合同盟、ICAといっておりますが、その支部がございますので、各支部におきましてはその地域の情報を集めまして各国に流そうということでございます。つまりこの前行なわれました会議はまだほんとうの初歩の段階でございまして、将来協同組合貿易を伸ばしていくためのまず端緒を開こうというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/8
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009・桜井茂尚
○桜井委員 そこで、従来は援助といいましても、賠償以外は金もうけ主義と結びついた経済援助、早い話が掛け売りであります。しかも重化学工業の振興に名を借りたプラント輸出に片寄っていた、このように思うのでありますが、通産大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/9
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010・福田一
○福田(一)国務大臣 プラント輸出に傾いていくといいますか、中小企業の場合は資力その他がございませんから、なかなか進出はむずかしい。しかしできるだけそういう進出の機会を与えることに協力することはけっこうかと思います。まだ具体的にそれを意欲的に考えている人もわりあいに少ない、実際問題としてやってこないというわけになっております。プラント輸出のほうがどうしても中心になることはお説のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/10
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011・桜井茂尚
○桜井委員 そこで、昨日から論じておるのでありますが、現段階としてまず最初に必要なことは、生産技術の改善とともに流通機構の確立が必要となってまいります。流通機構の確立については、各国とも資本不足のためにこれができない状態にございます。タイでもインドネシアでもそうでございます。こういう点についての援助を考えたことがあるか、この点を大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/11
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012・福田一
○福田(一)国務大臣 われわれとしては流通機構という面からというよりは、いろいろの生産、流通その他いわゆる低開発国の経済を発展させるという意味合いにおいて開発銀行構想というものを一応持っておるわけであります。これはエカフェで今度は特に取り上げることに相なると思うのでございますが、われわれとしてはそういう構想をいままでももちろん考えておりました。今度はそういう形において推進をいたしてまいりたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/12
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013・桜井茂尚
○桜井委員 タイにしても、インドネシアにしても、お金がないために集荷ができないのです。私の申し上げておるのは、そういう意味の流通機構でございます。現地におけるその国の流通機構なんでございます。そしてそこで集荷資金がないし、従来はそれを華僑なりあるいはインド人なりが取り扱っていた。ですから開発援助だと申しましてトウモロコシをタイから輸入するにいたしましても、現地の農協なり何なりが集荷したものは非常に乏しい。現実に集荷ができませんというと日本への出荷ができないのであります。しかもそれはそういう団体にお金がないからです。インドネシアでもそうであります。ですから、おとといでしたか、朝日新聞にもありましたとおり、フィリピン、インドネシアにおいて密貿易が非常に多いといわれる根本のものも、そういうところにおける資金が不足しておる。だからそういう現地におけるその国の流通機構に対して、日本が援助を与え、流通資金を与え、そして日本に集荷する、これは政府のおっしゃる開発援助だろうと思うのです。その開発援助が港まででとまっております。港まででとまっておったのでは、これはほんとうの意味ではできないのだ、そういう意味におきまして私は質問しておる。その点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/13
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014・福田一
○福田(一)国務大臣 それは、その国からそういうような話が出て、日本との間にどういうような——いわゆるわれわれの協力関係ですから、われわれがよその国の問題にまで干渉するとか、何かそういう印象を与えてやることは好ましくない。やはりその国がそういうことを意図してきて、それに対してできるだけの協力をするという形でなければいけないと思います。そういう意味で、向こうから援助の申し入れがあったら幾らでもできるか、これはまた日本の財政の問題もありますから、具体的な問題について今後前向きに対処いたしてまいりたいとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/14
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015・桜井茂尚
○桜井委員 ですから、その点が現に農協閣僚会議で問題になっているのです。そして現地の人々が要望しているのです。それだから私申し上げておるのです。要望があるというならやりますとおっしゃいますから、質問はその点については終わります。
次は、集荷されたものを加工する段階になるのでありますが、そのための中小企業をつくるのに援助が必要だろうと思う。マレーシア、インドネシアの紛争の根底にも実はそういうものが潜在しているのではないかということを私は憂えるのであります。インドネシアからシンガポールへ持っていって加工する、そうしなければ、実際問題として国際的に流通しないという状況にあります。この点は外交問題に触れますので、非常に微妙でございますから、これ以上申し上げませんが、御念頭に置いていただきたいと思います。しかし、こういう集荷されたものを今度は加工するいう段階、これは中小企業でございますから比較的資金も少なくて済むわけであります。こういうものはわが国の得意だ、こう経済協力白書には書いてある。だからこういうものに対して援助をするお考えがございますか、それをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/15
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016・福田一
○福田(一)国務大臣 私はいずれも、先ほど申し上げましたように、その国民が要望しておるとかいうようなことだけで具体的に問題を前に進めていくわけにはいかない。やはりマレーシアならマレーシアの国がそれを取り上げて、そしてこういうふうにやっていくについて資金の面が足りない、ついては何か方法がないかというような具体的な問題が提起されたときに、日本のでき得る限りの援助をしていくということはけっこうだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/16
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017・桜井茂尚
○桜井委員 そうおっしゃられますと、私は質問するつもりはなかったのでざいますが、そういうことをエカフェなりそういう機関において日本としてもう少し話し合ってみるということが必要なんだろうと思うのです。そういう点をエカフェにおいて話し合ったことはございますか。私はあるだろうと思うのでありますけれども、あるならば、それに対して反応はどうであったか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/17
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018・山本重信
○山本説明員 エカフェにおきましては、いわゆる中小企業といいますか、コティジ・インダストリーのための特別の部会がございまして、そのつど各国でいろいろな問題を持ち寄りまして従来討議をいたしております。そのときどきによりまして、非常に具体的な問題が討議されますときと、一般的な組合金融とか何かについての討議が行なわれます場合とございまして、ただいまお話しのような問題が具体的にいままで討議されて何か結論が出たというようなことはまだないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/18
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019・桜井茂尚
○桜井委員 なければ、エカフェにおいて今後そういうことを討論するお考えはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/19
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020・福田一
○福田(一)国務大臣 私はこの場合、いま変な、大東亜共栄圏とか、昔、戦前のいろいろな問題がございまして、日本が好意は持っておっても、こちらからそういうことを提起いたしますと、いかにも何かそういう印象を受けるおそれがあると思いますので、向こうからそういうような話があった場合に応ずるという態度でむしろいまの場合は臨むのが望ましい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/20
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021・桜井茂尚
○桜井委員 そういう点を実は私も初めから心配はいたしておるのでありますけれども、しかしいまの段階はもはや変わってきている、だから申し上げているのです。
では、この点につきましてアジア研究所のほうにお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/21
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022・東畑精一
○東畑参考人 私、必ずしも事情をよくつまびらかにいたしておりませんが、おっしゃる流通問題につきましては、華僑を排撃するという一つの問題がございまして、そのために非常に流通界は乱れておるのじゃないかと思います。それじゃ華僑にかわって新しい流通過程の担当者というものが組織立ってできておるかと考えますと、まだ私は成熟してない、こういう状況だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/22
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023・桜井茂尚
○桜井委員 東畑先生、私の質問をはき違えて御答弁なすっているようですが、大東亜共栄圏的感覚をいまだに日本が持ってやせぬかということを心配して、現地の人たちにこちらからそういうことを率直に言うと非常に問題が生ずるのではなかろうかというような点につきまして、現地の事情はもはやかなり変わっていると私は判断する。それに対してアジア研究所のほうではどのような御判断でございますかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/23
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024・東畑精一
○東畑参考人 研究所としてそこまで詰めたことはございませんが、私の個人的な見解から申しますと、いま申しましたようにこんとんとしておる。それだから浮かび出るところが何であるかという実態がわからない、こういうことが一番正しい答えになるのじゃないか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/24
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025・桜井茂尚
○桜井委員 もう一度先生にお尋ねいたします。私の申し上げているのは、農業の開発であるとか中小企業の発展であるとか、こういうことについて、経済の構造的発展ということについて、日本がもっとアジアの人たちに言ったらどうだろうか、こういうことを昨日来申し上げているわけであります。こういうことを言ったならば、大東亜共栄圏を連想させやせぬか、そのためにアジアから反撃を食いやせぬかという御心配があるようでございますので、そういう心配があるのかどうかということを先生に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/25
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026・東畑精一
○東畑参考人 その場面に接したことはたった一回しかございませんが、実は先年来、アジア各国における三角貿易ということの発展ということになるかと思いますが、米の問題であります。例のライスバンクということを私のほうで実は研究を始めました。いろいろな人の御援助でやりだしたのでありますが、そのことはビルマもそうでありましたし、タイもそうだったと思いますが、向こうの新聞に非常に影響を与えまして、向こうからはそれはあたかも日本がタイ、ビルマの米穀商人がやっていることを横取りするのではないかという、非常に何といいますか、あまり好ましくないような雰囲気の新聞記事を送ってまいりました。そういうことはございました。これはあるいは桜井さんのおっしゃったような大東亜共栄圏になるかどうか存じませんけれども、そういったものがありました。これは華僑のほうから出たか、あるいはそうでないほかのほうから出たか存じませんが、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/26
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027・桜井茂尚
○桜井委員 それはいつごろでございますか。そして私の申し上げているのは、最近におきましてアジア研究所にいろいろと各国から意見を求めてきている、こう聞いているのでありますけれども、その場合に、アジア研究所は学者あるいは研究所として良心に恥じない報告を各国に出そうとするならば、やはり的確に言わざるを得ぬと思うのであります。そういう点について、向こうのほうから要望がある、意見を求められていると私は聞いておりますけれども、そういう点につきましてどうなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/27
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028・東畑精一
○東畑参考人 公式にそういう意見を求められたことはございません。ただ、いろいろ多数の訪問者がございますから、そういう方々からいま申しましたようなことについてはときどきいろいろな話がございまして、私自身はいつも個人的な話でありますが話をいたしておりますが、公式にそういったことはアジア経済研究所にまだ来たことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/28
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029・桜井茂尚
○桜井委員 そういたしますと、エカフェでもアジア研究所の研究を非常に高く評価して、そしてそれをいろいろと問題にしようとしている、こういうように私は聞いておるのでございますが、そういうことはないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/29
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030・東畑精一
○東畑参考人 エカフェも、われわれに対しましては、一九七〇年におけるアジアの経済の見通し、こういう問題につきましてはきわめて密接な関係を持ちましてやっておりますし、向こうもわれわれの研究を相当高く評価しておるのではないか。こちらも、同じような問題をエカフェでやっておりますので、それに対しては喜んで援助しよう——現に三カ月ほどこちらの男がエカフェのほうへ出向いたしまして、向こうの仕事を手伝っております。しかし、いま申しました大東亜共栄圏とかなんとかという、そういう種類のことにつきましては、何もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/30
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031・桜井茂尚
○桜井委員 いや、そういう錯覚を持たれやせぬかということを福田大臣が御心配なされておるから、それだから私は、アジア研究所の存立のゆえんも、そして各国に対する協力という点からも、学者ならば学者らしい良識に従って、良心に基づいて言わざるを得ぬ、したがって、そういうことをエカフェならエカフェで聞かれるならば、そうしたらやはりそれ相応にこちらもしっかりした研究に基づいて正直に言わざるを得ぬだろうと思うのであります。ですから、それは福田大臣のおっしゃるとおり、そういうことを注意しなければならないということは私もよくわかるのです。わかるけれども、そういうことについて、そういう印象を与えないような方法で、大東亜共栄圏などという印象を与えないように常に日本政府が努力しつつ、そして本格的に経済発展というものはかくなければならないということをサゼスチョンすることは一向差しつかえないのじゃないか、こういうことを私は言っているのであります。その点先生はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/31
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032・東畑精一
○東畑参考人 これはおっしゃるとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/32
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033・桜井茂尚
○桜井委員 では、次に移ります。
政府は中小企業の資本進出や合弁事業を考えているようであります。この点は昨日も若干触れましたが、宮澤長官から御答弁がございませんでした。台湾やマレーシアやタイのような創始産業法の施行されているところや、自由港である香港等では若干のそういうことが可能かもしれませんが、インドネシアやビルマ、カンボジア、セイロン等では、こういうことは問題になりません。またインド、パキスタン、フィリピン等でも困難でありましょう。昨日から申し上げているとおり、現地住民は停滞のまま放置されておりましたし、もちろんマニュファクチュアの段階も経ず、ブルジョアジーも存在しない、このような社会構造が中小企業の存立の前提条件を欠いているのであります。だから自由主義経済に基づく中小企業の発展ということは現地においては望み得ない。しかも民族意識の強いこれらの国に対して、いかにしてわが国の中小企業が民間ベースで進出し得るのか、これを大臣に教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/33
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034・福田一
○福田(一)国務大臣 御説のとおり、いまの段階においては、そういう民族的意識の問題とか、あるいは向こうの同じ仕事をしている人の権限を侵すとか権益を侵すとかいう問題があって、なかなか私は困難だろうと思います。しかし、長い目で見て、私たちがいつも善意を持っていわゆる東南アジアの人たちのことを考えておるということをもっと事実をもってだんだんと示していくならば、これも決して不可能ではない。これを私たちは忘れるとか、あるいはそういうことはもうだめだということであきらめる必要はない。努力はしていくべきである。しかし、功を急いでかえってマイナス面が出ないようにする注意は必要だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/34
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035・桜井茂尚
○桜井委員 ですから、昨日私は、実務を兼ねたような試験所あるいは技術指導所というものを多数現地につくるように援助をしたらどうかという提案をいたしたのでありますが、宮澤長官はそれはけっこうなことだというように申しておりましたから、これ以上質問いたしません。ただ、従来は、低開発国における軽工業の発展がわが国工業と競争状態になるということを懸念して慎重論をはくものもあります。それは現地の低賃金労働と結びついた企業であり、国民生活の向上に基づくマーケットの拡大と結びつかない企業でありますから、そうなると、いわば植民地経済の発展の変形ともいわれる企業になるのであります。いま私の言っているのは、現地の国民所得の発展と結びつきつつ軽工業を興こすのでありますから、より高度化しようとする傾向がその中に生ずるのは必然だろうと思います。したがって、わが国との競争どころか逆にわが国としてもマーケットの拡大につながるのではなかろうかと思うのでありますが、東畑先生の御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/35
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036・東畑精一
○東畑参考人 非常に広範なお話なんで、ちょっと的確にお答えできるかどうか懸念いたしますが、東南アジアインドは私は別かと思いますが、お話しになっているような地域におきまして中小工業がどの程度で横に広がっていき、どの程度で質的に進歩していくかということは、なかなかこれは問題だと思います。横に広がる可能性というのは多少強いかと思いますが、質的にレベルがどこまで上がっていくかというのは、例の何カ年計画というのを検討いたしておりましてもなかなか実はよくきわめがたい、こういう点が多いのであります。ただ、たとえばパキスタンのようなところ、インドもそうだろうと思います、香港もそうだろうと思いますけれども、繊維工業につきましては技術的な発展というものはある程度いっておる。ことに香港はそうではないかと思っております。そういう意味におきまして、もし日本に対して影響があるとすれば、日本の技術の進歩がそれよりおそかったならば当然影響を受けるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/36
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037・桜井茂尚
○桜井委員 ですから最初にお断わりして申し上げました。香港とかシンガポールとか、あるいはインドもそうでございましょうが、こういうところにおいては企業進出していけるであろうけれども、現地の、昨日先生もおっしゃいましたが、農業の生産増大、これと結びついた工業の発展、これを日本が応援をしていくということになるならば、それは国民所得の増大になってくるから、したがって、そのマーケットの増大ということでいって、必ずしも国民所得の増大なしにものができればこれはすぐ輸出へ輸出へとなりますけれども、そうでない形態をとるのじゃなかろうか。そうすれば、その国の工業も発展すると同時に、だんだんには技術の高度化の要求も出てくるであろうし、量的にも質的にも日本の機械というものに対する要求が出てくるのじゃなかろうか。その意味において日本機械工業のマーケットの拡大にもつながるのではなかろうか。こういうことを御質問しているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/37
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038・東畑精一
○東畑参考人 私もそれはおっしゃるとおりだと思います。ただどれだけの時間でそれができるかということが問題でないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/38
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039・桜井茂尚
○桜井委員 したがって、日本における機械工業の弱点というのも、実はマーケットの不足にあるのでありまして、日本の機械工業の発展の展望ともからみ合わせ——もちろん、いまの私が申し上げたことは、三年や五年で実現するもの、急速にりっぱなものになるとは考えません。しかし、そういう方向をたどるであろう、またたどらせなければならない、こう思っておるのであります。そして、そういう大きな方針というものを政府としてお考えになる気持ちがあるかどうか。これを大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/39
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040・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のように前向きでこういう問題は進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/40
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041・桜井茂尚
○桜井委員 次に、先進資本主義国はともかく、アジアでは国家ないしこれに準ずる機関が貿易をつかさどる、こういう体制になっております。そしてビルマやインドネシア等のごときは、わが国の商社活動さえ禁ぜられておる。この傾向は、多かれ少なかれ各国とも同様であります。そして相手国は国家ないしこれに準ずる機関によって窓口が一本化されているのに、わが国のほうだけは民間の商社の自由にまかされており、しかも契約締結のときは、一々政府の許可をもらわなければならないことになっております。ことに延べ払い等、輸銀の資金を利用するときはそうであります。したがって、時間もかかり、相手側としても非常に不便を感じていると伝えられております。そして貿易を民間商社に一任しているところに短期的な金もうけ主義に基づく援助という政策が生ずる原因があるばかりでなく、商社間の競争による不当な値下げが発生して、悪評を買ったり、またわが国の国民経済的利益をもそこなう結果となっております。政府は現在のような国際状況——EECやアメリカではありません。アジアであります。アジアの国際的状況に対処するためにも、また先ほど言ったように、アジア諸国の経済の構造的発展のために貿易機構を抜本的に考え直し、窓口を一本化するような方向を研究してみる、こういう気持ちはございませんか。大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/41
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042・福田一
○福田(一)国務大臣 いまのやり方でそれほどマイナス面が出たり、不自由があるとは考えておりません。したがって、直ちにそういう窓口一本化の問題をやろうとは存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/42
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043・桜井茂尚
○桜井委員 私の申し上げておることは、昨日から一貫していると思うのでありますけれども、現地における生産の援助、そして、次に流通の援助、そしてその次に貿易という形であります。そこで、その貿易の段階にきてばらばらになってしまう。このばらばらな貿易のいわゆる現存の機構というものが、相手は窓口一本であるにもかかわらず、日本のいわゆるコマーシャルベースという政策以外には何ものをも生まれてこないという結果を招来しておるのではなかろうか。そしてこのことは、すでに現在ジュネーブで開かれている国連貿易開発会議において、アジアの諸国から問題にされている点ではなかろうか。したがって、こういう点をわれわれ自身としても、後進国に対する限りは、もはやあらためて考え直すという歴史的な段階にいま来ておるのではなかろうか、こう思うがゆえに御質問しているのであります。現に商社活動が禁止されているビルマにおいて、いかなる商社活動を行なうつもりでありますか。またインドネシアならインドネシアにおきまして、先ごろ来農協というものの振興ということがインドネシアにおいて大問題になっておる。かつて日本が敗戦のときに販購連の組織をつくり、そしてこのことはハッタ氏によって継承され、その後スカルノ現大統領によってますます強化されようとしている。しかも、先ほど来申し上げておりますとおり、農村における流通機構の確立ということについて非常に困っておる。そういう段階において、相手側は窓口一本化、しかも日本のほうの許可が一々おくれて、商社が約束しても政府の約束が取りつけられなければ実際化しないということで、数カ月もおくれるということで非常に困っておるという現実があるのであります。こういう現実に対処して考え直す、少なくとも考慮して研究してみるという気持ちもないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/43
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044・福田一
○福田(一)国務大臣 研究することについてはやぶさかではありません。これからもそういうことは研究はいたしてみますが、ただ私は、あなたのお考えが非常にコスモポリタン的なものの考え方で、非常に相手を信じ、相手はもう常に非常に正しいあれでくるという、こういう反応、リアクション、いつも非常に善意にとっておいでになるように承るのでありますが、私はなかなか向こうが——向こうのためにやろうやろうと思ってやっていて、かえってしかられるとか変に誤解を受けるとかいうおそれがなきにしもあらずであります。したがってそういう意味で私は慎重にやらなければいけないと思っておるわけでありますが、輸出の問題について、いわゆる輸出秩序を確立するというような面から言えば、必ずしも低開発国だけが問題ではありません。私は先進国も含めて、いまあなたのおっしゃったような問題を考えてみる必要はあると思っておるのであります。ただ、低開発国だけを目途にしてそういうものを考えることが必要かどうか、こういうお話でございますから、私はいまのところ低開発国だけを目途としてのような考え方は持っておらない、こういうことを申し上げるのであります。輸出秩序を確立するというような意味から言って、一つのそういうようなものを考えていくということについては、いままでもそういうことはやっておりますし、今後も前向きでやるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/44
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045・桜井茂尚
○桜井委員 私はわざわざ大臣が答弁しやすいように、実は東南アジアに限って申し上げたのであります。現に国連の貿易開発会議におきまして、日本の大蔵大臣さえ、補償融資の問題についてアメリカの提案に賛成してもいいんじゃなかろうかというようなことが新聞に出ております。そういたしますと、当然日本におきまして、輸入物資に対し財政援助をするなりあるいはまたプール計算をするなり、何らかの方法をしなければならなくなる。そういうようなことで、貿易構造全般にわたりましてこういう点が考え直されなければならない段階にきている。しかもそれがアジアについては、ことに相手国が窓口が一本なるがゆえになおさらそうであるということを申し上げているのであります。いま前向きに考えるという御答弁でございますから、あいまいではございますけれども一応了承いたしておきます。
次に、先ほどから繰り返し述べてまいりました理由から言っても、指導研究機関を現地に多数設置し、しかもこれが現実的に実務を行なう、中小企業としての役割りを果たす、こういう援助を行なうことが必要である、こう私は繰り返し申しております。現在でも各地に若干のモデル的な指導研究機関をつくっておるようでありますが、ほんとうにやる気でありますならば、いま述べたような実践的な研究機関というものをもっと援助すべきだろうと思うのであります。この点につきましては先ほど申しましたとおり、昨日宮澤長官から御答弁いただいておりますので、略します。
そこで現地の中小企業を考える場合、労働者が多数必要であります。広範な技術教育が必要になってまいります。わが国からも多数の技術者を派遣しなければなりません。ところがコロンボ計画による援助国別研修生受け入れ実績を見ますと、六〇年七月から六二年六月までの二カ年間で、アメリカの四千五百七十九名、イギリスの千二百七十九名、オーストラリアの九百八十七名に比しまして、わが国はわずかに四百九十四名であります。また技術者の派遣は五〇年七月から六二年六月までで、アメリカの千八百三十三名、イギリスの四百九十三名、オーストラリアの四百八十八名に対して、わが国は四百二十五名であります。アジアを中心とするわが国として、人口一千万程度のオーストラリアよりも少ないのであります。また、わが国と同様に敗戦しました西ドイツにおいては、六四年一月現在で低開発国からの留学生は一万四千名、実務家の受け入れば一万名で、このような状態でございます。ほんとうの意味でのアジアの発展には人づくりが実に重要でございます。経済外交を進めるためにも、長い目で見てわが国との親善関係を確立するためにも、国策として技術援助を大規模に実施すべきだと思うのでありますが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/45
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046・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のとおり、技術援助の問題は前向きで努力をしなければならないと思います。ただ、研修生の受け入れ等の問題は、施設あるいはその準備をよくいたしてやりませんと、かえってマイナスの面が出てまいる。それからオーストラリアと比べて日本が少ないというお説は、私は前々から申し上げておるとおり、やはり国力相応ということがあります。日本の国力でやれる限度においてできるだけ前向きにやる、こういうふうにやらなければなりません。現実に受け入れておるものでも、なかなか施設などがうまく行き届いておらなかったり、こちらの受け入れ体制がうまくいっておりませんと、かえって反発を招くという例も、あなたはすでに新聞紙上でおわかりかと思っております。これはわれわれとしてもっと前向きに処理をいたしていかなければならない、こう考えております。今後御趣旨のような考え方で前向きに処理していくということは賛成でありますが、いままでの経過は、日本自体がそれだけの国力あるいはまたそれだけの準備がなかったということであったかと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/46
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047・桜井茂尚
○桜井委員 非常に残念なお話を聞くのですが、オーストラリアよりも国力がないかのごとき日本であるというような印象を受けるのであります。ですから私は先ほど、国策として技術援助を大規模に実施する気持ちはないか、こう申し上げた。いま大臣の御答弁にもありますとおり、一昨々日の新聞に書いてあることでありますが、私は千葉県でございますが、千葉大への留学生が女子留学生の宿舎の問題で大学当局と紛争を起こし、文部省にも陳情を行なっている、こういう受け入れ体制というものが非常に不備である、不備であるからいれられないのだ、ではおかしいのでありまして、政府でありますから、政府がやる気ならば設備はできるのであります。ですから政府の方針として、重要施策としてこういうことを考える気はないか。あまりにもみっともなさ過ぎます。女子留学生となれば、これは日本人同士でも一つの部屋にいれられればかなり紛争を起こす。ましてや他国の、言語、風俗、習慣、すべての違った留学生を一室に押し入れるということになれば、問題を生ずるのはあたりまえであります。こういう状態のままで放置しておる政府に問題があるのであって、だから、これを国策として今後大きく取り上げる気はないか。これはそれこそ日本が東南アジア諸国と親善を結ぶためにも、百年の大計としても考えなければならない問題ではないか、このように申し上げているのであります。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/47
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048・福田一
○福田(一)国務大臣 私は先ほどの答弁でも、前向きに今後やっていきたいということを意思表示しておるつもりであります。いままでの過程においてどうであったかということについてあとでお話ししたわけであります。いまの千葉医大の問題にしても、向こうの人がこちらに女の人の寄宿舎が十分できてないのに、ぜひ留学したい、こういうようなことで来られる。まあまあよかろうという、まあまあでやるからこういう問題が起きる。受け入れる準備が完全にないのなら受け入れないほうがいい。そこら辺が、やはりやる場合はちゃんとやってあげる、しかしやれないのにやれるような形でやる日本人の妥協性がいけないのだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/48
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049・桜井茂尚
○桜井委員 その点は大臣のおっしゃるとおりであります。しからば文部省はそういう点につきまして、なぜ今日までそういう状態にしておったのか、そして文部省は今後におきましてもそれに対処するつもりはないのか。留学生をとってみましても、わが国への留学生は、本年四月十五日現在三百六十八名であります。ドイツの一万四千名に比べてあまりにも情けない状態ではございませんか。こういう点について文部省としてはどのようにしてきたか、また今後するつもりであるか、お考えを聞かしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/49
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050・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 外国人留学生の受け入れにつきましては、昭和二十九年度から国費留学生の制度を設けまして、当時は受け入れ数が三十人でございましたが、これが年々増員をいたしまして、三十八年度は百人に増員をしたのでありますが、さらに三十九年度はこれを倍増いたしまして、二百人の招致数に相なっております。人数はそういうふうになっておりますが、さらにこれが受け入れの体制につきましては、往復の飛行機旅費を支給いたしますとか、あるいは本年新しく設けたのでありますが、日本へまいりましてから着後手当を出しますとか、また給与も昨年までは月額二万五千円でございましたものを三万円に上げますとか、そういういろいろな措置をしてまいっております。
なお千葉大学の女子学生の問題につきましては、新聞等でも報道されておりますように、留学生課程に十三人女子がまいっております。これはこちらへ招致いたします条件も提示しておりますが、寄宿舎の施設が足りなかった場合には民間の家庭にお世話するということも当初から提示しておったのでございます。この十三人につきましては、日本人の女子学生寮が新しくできますので、とりあえずそのうち十室だけ与えようということでございましたが、個室でなければ困るということからいたしまして、三人はみ出るものでございますから、日本人の女子学生につきましては一室に二人入るという原則をとっておりますので、外人の場合も、将来は外人専用の女子学生寮を早急につくるという計画がございますけれども、とりあえずは日本人の女子寮を十室あてがおう、そのはみ出た人につきましては、とりあえず一室に二人入ってもらうか、さもなくば環境のよろしい家庭をあっせんするということで話し合いを進めてまいっておりますけれども、残念ながらまだ解決に至っていないという状況でございます。ただいま通産大臣もおっしゃいましたように、この留学生の受け入れにつきましては、前向きにこれらの受け入れ施設その他も十分検討して、そうして今後、主として東南アジアの学生でございますけれども、これらの拡大につきましては善処してまいりたい、かように考えておりす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/50
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051・桜井茂尚
○桜井委員 先ほどから私は申しておりますが、ただ単に前向きという程度のものではなかろうと思うのであります。何しろ西ドイツの場合には一万四千名の留学生を受け入れており、こっちはいまの報告を受けますと、たった二百人、あまりにも情けない状態であります。そしてそれさえまともに処理ができない。結局今日までのわが国におきましては、いわゆる低開発国に対する政策というものはなかった。そして、ことにその対象となるべきアジア諸国に対する政策らしいものはなかった。いま宮澤長官がジュネーブにいらして朝海大使とともに苦労なさって、そうしてこれから何とかしなければならぬ、もっと長期的な方針を立てなければならないという段階に到達しているのだろうと思うのであります。したがって昨日来私が申し上げていることと、その点につきまして、各大臣、責任者より、とにかく前向きに善処するということを申しておるのでありますから、本日閣僚会議が開かれたかどうかは知りませんけれども、よく御検討を願いたいのであります。そしてほんとうの意味でのわが国のアジア政策というものを、長期的展望の上に立って、そして国際社会に伍して恥ずることのないような施策をしていただきたい、このように思うのでありますが、宮澤長官が担当のようでありますので、御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/51
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052・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 昨日からの御質問を承っておりまして、確かに御質問の奥にあります桜井委員の持っておられます疑問は、私はまさしくいまわれわれにとっての問題の核心をついておられるというふうに考えておるわけであります。すなわち、昨日もちょっと申し上げかけましたが、われわれにはその問題意識はかなりいまやはっきりしておるのでありますけれども、日本全体のからだがそれにしっかりまだついていない。これは経済問題についても、あるいは先ほど留学生、技術者の受け入れについてのお尋ねもございましたが、そういう方面についても同じようにそうでございます。考えてみますと、わが国がとにかく一人立ちできるようになりましてから、実はあまり時間がまだたっておりません。しかし低開発国の問題は、問題として時間の経過とともに大きくなってきておる。これを全面的に背負って立つほどわが国の体側そのものが整え切っていないということに私は基本の問題があると思います。先ほど福田通産大臣との御質問、御答弁の中で、オーストラリア云々ということがございましたが、過去何年か前を振り返りますと、実際わが国がそのくらいの力しかなかったときが過去においてはあったわけでございます。また現在といえども西ドイツとかあるいはアメリカ、西欧の国ほど十分に問題を背負い切る力があるとは残念ながら申せない面があるというふうに思います。しかし国連貿易開発会議等も開かれて、問題がここまで——ただいま歴史的な必然ということを桜井委員が仰せられましたが、私もそう思っておるわけです。第三次大戦がないという現状において、そういう歴史的な流れが必然的に流れてきておって、わが国もやはり区分けをすれば先進国の一員としてこれを受けて立たなければならないというところまできたと思います。困難はありましても、やはり受けて立たなければならないであろう。困難に伴う国内措置を講じながら、問題は正面から取り組まなければならないところへきたであろう。昨日来の御質問、問題の提起は、私は非常に次元の高い問題をお話しになっていると思いますので、こういうことが、だんだんやはりお互いの共通の問題として国民各位にも認識をしていただくということは、きわめて意味合いが深いと思うわけであります。そこで、当面の国連貿易開発会議につきましても、従来わが国としては一次産品、昨日申し上げました熱帯産品がおもでございますが、これらの輸入について、あるいは数量制限を設け、あるいは関税あるいは内国税等で輸入を一部防遏するような措置をとってきたわけであります。これらの中にも、わが国の農産物と競合関係にあるもの、あるいは代替関係にあるものがかなりあるからでございますけれども、やはりこの際そういう消極的な態度は、基本的な考え方として改めなければならないのではないか、そういうふうに考えます。それに必要な国内の調整措置は入り用でございますけれども、問題の多い農業においてすら、やはり前向きに問題を処理していかなければならないんじゃないだろうか。
またもう一つの問題であります鉱工業製品、これにつきまして低開発国が要求しておりますいわゆる特恵の問題についても、わが国にはわが国の特殊な事情がございますし、イギリスのように特恵というものを私どもは経験がございませんので、いろいろ問題はあろうと思います。しかし、いろいろ問題がありますから、そういう条件を付した上で特恵というものは原則としてはひとつ検討をしていこう。原則的に反対であるということでなしに、具体案を考えていくにやぶさかでない。いろいろ条件は付さなければならぬと思いますけれども、そのくらいな姿勢は取らなければならないのじゃないだろうか。この点は従来やってまいりました姿勢とはかなり大きな転換になることと思います。だからといって、急に国内に火の付くような大きな問題になってはいけませんし、するつもりもございませんが、しかし、やはり基本的にそこに姿勢の転換がある。なければならないということを考えます。
また援助の問題にいたしましても、低開発国の外貨収支のギャップを埋めるために、先進国が共同をして何がしかの財政負担をしなければならないであろうということ。また国民所得のある割合については、積極的に援助をしていくといったような考え方を持っていかなければならないであろう。そういったようなことを全部ひっくるめまして、確かにちょっといまのわが国にとっていろいろつらい点があると思いますが、基本的な姿勢は、やはり否定的でなく、肯定的なものでなければならない。こういうふうに考えております。
また今朝、関係の閣僚の懇談会がございましたが、懇談会の結論としてもほぼ同様なことに落ちつくであろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/52
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053・久保田豊
○久保田(豊)委員 関連ですから、一点だけひとつ応酬をやらしていただきたいと思います。主として東畑先生と宮澤長官にお願いいたします。
私は、アジアの問題、低開発国の問題を考える場合に、いま中ソ論争の一つの大きな議題になっておりまするいわゆる低開発国、特に政治的独立を完成——完成というと語弊がありますけれども、一応独立した国における非資本主義的な開発発展の方向というものが大体においていま大きな問題になっております。これは、どうも概念そのものもあまりはっきりしない。しないが、しかし、少なくともいまは、北ベトナムの状況、キューバの状況を見ますると、あれがいわゆる社会主義の体制だとはすぐにはとれません。同時にいままでの経済常識からいえば、ああいう非常な資本主義以前といいますか、そういう国が急速に資本主義の段階を乗り越えて社会主義にいくということは、いままでの経済常識にないことである。しかし、今日の世界情勢からいうと、そういう可能性も相当出てきておるということも予想されるわけです。そこで私は、これにはいろいろ政治問題とかむずかしい問題を含んでまいろうと思いますけれども、いわゆる非資本主義的な、社会主義ではないが少なくとも資本主義ではない、こういう開発方式というか、これが今後低開発国の大きな一つの底流にあろうかと思うのであります。もちろんこれは、その国々の民族革命の主体がどうであるか、いわゆる労働者が政権を握っている場合と、民族ブルジョアジーが政権を握っている場合、いろいろ違ってこようと思います。しかし、こういうことは今後少なくともアジアにおいては次々に出てくる問題であると私は思う。その意味において、日本は、自分のためにも、あるいはそれらの国の開発を促進する意味におきましても、どういうふうにこういった問題を理解し、あるいはこれに対するかということは、いますぐの問題ではありませんけれども、十分考えておかないことには、なかなか日本の経済発展をほんとうにスムーズにやっていくことは困難ではないか、こう思うのであります。したがって、むずかしいことばで言えば、いままでのように、アメリカがやっておるようなかっこうでの帝国主義的進出ということは、こういう地域にはだめだと思います。帝国主義は帝国主義であっても——帝国主義ということばに当たるかどうかは別にいたしまして、内容が変わってきておる。ある人は、これを経済的帝国主義ということで、新しい概念で規定しておる連中も一部にあるようであります。そこで私は、非常に問題がばく然としておりまするけれども、特に東畑先生にお伺いいたしたいのは、いわゆる低開発国、政治的独立をかちとった国の非資本主義的な発展は、どういう条件と、どういう方向を、どういう形態をとっていくのか。そういうものと結びついて——そのためには、そういうところに対する経済関係なり政治関係を——政治関係は非常にむずかしいでしょうが、どういうふうに設定していったほうがいいのかということをアジアの中における日本としてはやはり私は考えていかなければならないんじゃないかと思うのであります。これは非常に長期の基本的な問題になろうかと思うのでありますが、こういった点について御研究なりお考えがあればひとつお伺いをいたしたいし、そういうふうな長期の——今度の国際貿易開発会議の底流にある問題も私は大きな問題として一つあると思うのであります。そういったことと結びついて、いまのような問題が現実の問題としても私は出てきておるというふうに思いますので、こういう点について、宮澤長官の長期にわたるこれらに対する、日本がどう対処していったらいいか、どう評価していったらいいかというような点についてのお考えがありますればお教えをいただきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/53
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054・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 御提起になっておる問題は、私なりに非常によくわかるように思います。
そこで、東南アジアの各国の経済政策と申しますか、ただいま御指摘のような観点から分類いたしますと、大体三つの型があるのではないかと思います。一つは、かなり純粋な経済法則、自由経済の法則を持っておると思われる国々であります。たとえばフィリピン、あるいはタイなどはそれに近いのではないか。けれども、この場合に問題がございますのは、タイの場合には、昨日東畑教授から御指摘のありましたように、それが純粋の民族資本の上に乗っておるとも言いがたい点がございます。またフィリピンは米国と特別な紐帯を持っておるという問題がございますが、これらの国は市場経済の法則にのっとって経済を進めていこうとしておるのではなかろうか。次の、中間と申しますか、やや変貌の過程にあるのではないかと思われますのは、たとえばインドのような国ではないかと思います。それは経済をパブリック・セクターとプライベート・セクターに分けて、かなり意識的に考えていく考え方であろうと思いますが、私も深いことは存じませんが、やはりインド自身が年とともに経済法則——自由経済と申しては言い過ぎかもしれませんけれども、そのほうに向かおうとしておるのではなかろうか、その中間の段階にあるのではなかろうかという、皮相な観察かもしれませんが、感じがいたします。第三のグループは、先ほど久保田委員の御指摘になりましたように、ほとんど非資本主義的な経済の進み方をしようとしておると思われます。たとえばビルマでありますとかインドネシアでありますとかはそういう類型に入るのではないか。この場合には、国によりましては非常に軍事的な要素がからまっておる場合があると思います。したがって、私は人の国を非難する気持ちはさらさらございませんが、そのほうのウエートが多過ぎて、いわゆる援助というものが、経済の蓄積になかなか効率的になっていかないという姿があるのではなかろうか。インドネシアの場合とビルマの場合はたいへんに違うように思います。ビルマの場合のほうが、統制経済といいますか、計画経済を経済自身として進めていこうという意欲があるいは強いのではなかろうかと思いますけれども、しかし、これらはいずれも非資本主義的な行き方をいまの段階でとっておるのではなかろうか。しかし、これはその国の発展段階、あるいは民族性、いろいろなことがございますわけでしょうから、私どもとしてこうあってほしいという気持ちはありましても、しかし、それを何もこちらから積極的に注文をつけるという関係にはないわけでございます。たとえばアジア以外の中近東の国になりますが、ナツメヤシの実を日本がたくさん輸入してもらいたいという注文に対して、私どもそれは買えるだけ買ってやるべきだと思いますが、さて、輸出国で取得した外貨がタンクに変わってしまうというようなことはほんとうにいいことなのかどうかということは考えざるを得ないのですが、しかしそこまで申すことは差し出がましいことになるのでございましょう。そこで、結局基本的には相手がどういう経済体制をとっていようと、やはりその国民自身の生活水準が上がっていくということが私どもとしての最終の望みでありますから、先方の経済体制、経済思想いかんにかかわらず、やはりその国の国民生活の向上というものを私どもも協力してはかっていく、こういうことになるべきなのではないか。もちろん本質的に極端な共産主義国家であって、平和的な国でないという国に対しましては、そこに政治的な考慮が入ることはやむを得ないと思いますが、そうでないものについては、あまり先方の経済体制、経済思想についてこちらからとやかく申すことなく、民生の向上に役立つ援助はしていくべきだ、私は、基本的な態度はそういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/54
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055・東畑精一
○東畑参考人 久保田さんのお話、たいへん広範な、また長期のお話になりますけれども、どういうふうにお答えしていいかわかりませんが、いわゆる資本主義といい、社会主義といいましても、これは経済を運営する人的装備といいましょうか、これが十分できていなければ言えないと思います。いまおっしゃいました、いいことばでございますが、非資本主義とおっしゃいましたが、私は、大観いたしまして、非資本主義でもあり、非社会主義でもある、その前の段階に現在あるのではないかと思う。いま宮澤長官はおっしゃったのですが、フィリピンだとかタイだとかいうことになってまいりますと、自分の国の経済を運営する人的装備ができ上がっている。インドもそうかもしれない。そうでない国は——これはそう言うとあるいは語弊があるかもしれませんが、なかなかできていないのがある。先進国的に言えば、そういう意味では、ないかと思っております。どうしてもその経済の運営が、たとえばインドの場合は混合経済ということを聞かされておりますが、実態を見るというと、国家がやっている資本主義形態といいますか、漸次それを解消して、成熟していったならば民間へまかす、こういう面が非常に多いのではないかというふうにわれわれの研究所の男は報告いたしております。そんなわけでありまして、どの方法が一番いいかということは、これは他国の問題でありますけれども、大観いたしまして、これはいまの長官のお話と一緒になるかもしれませんが、やはり価格経済というか、市場経済的な方向でやっていくということがいわゆる後進国の中でもAクラスだと思っております。Bクラスといえば、ミックスということになるかもしれませんが、国家がずいぶんやるということであります。それからCクラスと言えば悪いのでありますが、やはりいかなる経済であれ、政局が安定いたしまして——つまり国民が無学であるというのが多いのでありまして、また経済的欲望も非常に少ない国であります。多少無理でも引っぱっていく、こういう形でなければなかなか大きな発展はできないのではないかと思う。
日本としては一体どうなんだというお話になりますと、これはよその国に干渉することはできませんが、こういうことは考えられないかとしょっちゅう思っております。それは、どこの国へまいりましてもよく聞くことは、いろいろの援助という問題があるが、一番足らぬ問題は、プランナー、つまりプランニングを立てる、頭脳援助というものがほしいということは、私が先年諸国を回わりましたときに政府の当局からも聞いたことがあります。これはもっともだ。日本の場合も、過去を考えまして、明治年間にはたしてそういうプランナーがおったかどうかということは非常な問題であった。幸いにして今日は非常にプランナーがおる。あるいは多少多過ぎるかもしれませんが、そういうことになっておりますので、こういう能力は、相手のほうから要求があれば喜んで日本が提供すべきではないかと私は思っております。現にこれは政府の問題ではございませんが、民間的な意味ではインドと日本との間に経済協力三人委員会というのがございまして、これは向こうは政治家と学者と実業家であります。日本も、政治家は入っておりませんが、そういうふうになっております。お互いの経済計画について知識を交換しようではないか、こういうことになっております。これはただ楽しみとしてやっているのではございませんで、実際上はたとえば日本の計画経済がございますし、インドにも計画経済がございますが、計画経済とは号しながらも、無計画の部分は一番欠陥にならざるを得ないというのは結局貿易問題ではないかと思います。これは希望数字が計画に入っているという点が非常に多いと思う。こういうことにつきまして、もし相手の国と日本との間に経済計画がからみ合うことができる、日本の計画と相手国の計画がからみ合っている部分が——部分的にもインターナショナルな計画的な部分がふえてくる、そうなってくると、資本の移動あるいは貿易の長期契約ということができるようになってくれば、いわゆる統合という問題の大きな準備にもなるし、お互いに利益するところが多いのではないか。貿易につきましても過当競争というようなものがよほど制限されてくる、こういうふうになってくる。インドと日本とは——私も実は関係いたしておりますが、アジア経済研究所もその事務を引き受けるようになっております。そういう形で進めていきたい。先年池田総理がビルマへ参りましたとき、私もそれについて行ったのでありますが、その席上も、ビルマの総理大臣と日本の総理大臣との間に、いま申しましたような話し合いがありました。不幸にしてビルマはその直後に革命が起こったものでありますから、それきりになっておると思いますが、いずれにいたしましても、いま申しましたような計画のからみ合わせということをやっていくことができるようになれば、一大進歩ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/55
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056・久保田豊
○久保田(豊)委員 この問題は非常に長期なむずかしい問題だと思います。しかし、日本としては、どうしても、少なくともアジアで進歩的な役割りをし、同時にいろいろの形態の国とつき合っていかなければならないというふうに思うのであります。その場合にやはり一番基本の問題になるのではないかと思うのであります。アジア経済研究所等では、こういう問題についての一つの概念がどうかという概念も実ははっきりしていないわけですね。と同時に、これらがそれぞれの国々で特徴を持っておりましょうけれども、こういったものがどういうふうに発展していくのか、それに処して日本が長期の——最長期のといいますか、そういう観点からどういうふうにこれに対処するかということも、ぜひひとつ御研究なり何なりをお進めいただいて、われわれにお教えをいただきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/56
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057・東畑精一
○東畑参考人 先ほどの久保田さんの御質問に対してちょっと忘れておりましたのですが、マラヤで、イギリスのコンサルタントと一緒にマラヤ政府の経済計画というものをつくったわけであります。それをひとつチェックしたいということになりまして、何か外務省のほうへそういうお話がありまして、だれか日本でその計画をチェックするいい人がほしい、こういうお話があったそうであります。まだ内輪の話になっておりますが、私どものところにどうだということになっておりまして、私のほうでいま相談しておりまして、本人さえ承知すれば、マラヤへ数カ月派遣いたしまして、マラヤの経済計画をチェックするといいますか、そういうことができるのに多少でもお役に立てば、研究所としてはうれしいことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/57
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058・二階堂進
○二階堂委員長 桜井君、理事会の申し合わせの時間もありますので、簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/58
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059・桜井茂尚
○桜井委員 もうあと一問で終わります。
私、この前の質問におきまして、国連の貿易開発会議の問題が非常に重要であるということでお話し申し上げたのですが、残念ながら宮澤長官がそのときお見えになりませんで——いずれにいたしましてもこの問題は非常に大きな影響を将来持つ、だから、もっと政府においてもこの問題について研究するのみならず、発表をし、国民全体にも訴えていく、そして国民世論を喚起していくという中から政策を実施していくということが非常に大事じゃなかろうか、この点を御注文としてこの前申し上げておきました。それからまた、この審議の初め、昨日でありますが、委員長にも申し上げたのですが、アジアといいましても二十数ヵ国ございます。したがいまして、これを一国一国審議してまいりますと、十日以上かかる。先ほど宮澤長官が久保田委員の質問にこたえて御答弁なさいましたいろいろなタイプがある。私も実はそういう問題について事こまかに質問をしたかったのでありますが、だけれども時間の制約があります関係上、総論だけで終わりにする、こう私は最初申し上げました。こういう問題を国会において審議するという時間があまりに少な過ぎるのじゃなかろうか。ことにこの前も申し上げましたが、外交をとりましても、経済外交が条約その他外交のほとんど七割を占めておる。それ以外に、協定から実際上のいろいろなこまかな問題になりますと、今日における外交の主要な点が経済問題である。こうなりますと、国会におきまして、当委員会において、もっともっと真剣に審議をしなければならない。しかるに、これに割り当てられまする時間というものが非常に乏しい。私はほんとうに、アジアにばかり限って、しかも総論しか本日までも申し上げることができないのであります。その点は非常に残念だと思います。そこで、なるべく今後の御審議におきましては、どうかこういう点を御留意くださいまして、どうかそういう機会をおつくりくださることを切にお願いいたします。
最後に、東畑先生にお伺いいたします。
いろいろ述べてまいりましたが、現地の風俗習慣を含めまして、社会経済的調査を十分踏んまえた政策を行なってまいりませんと、何事も失敗するのではなかろうか、このように考えます。戦時中におけるわが国の大陸政策の失敗もこの点にあると考えます。また、御承知のとおりアメリカの南ベトナムにおける政策の失敗も、この点が抜けているのではなかろうか、このように考えます。こういう調査はすべてアジア研究所で行なわれるべき本来的な仕事である、このように私は思うのでございますが、どうでございましょうか。
次に、私は、かつて満鉄の東亜経済調査局におきまして企画立案をいたしておりました。その当時満鉄調査局の予算は一千万円であり、調査員の数は一千人以上でございました。そうして現地に長年駐在して研究調査を続けておりました。いまのお金に換算いたしまするならば、おそらく四十億でありましょう。東畑先生は人がないとおっしゃいました。しかし当時よりも大学卒業生は多いはずであります。確かに中堅幹部が乏しいことはわかります。もっと身分なり待遇なりを考慮いたしまして、優秀な人材を集めるお気持ちはございませんか。これが第二であります。
さらにまた、文部省との関係でございますが、現地語を話せる人が少ない。アジアの事情を知っておる人が学生の中で少ない。こういう点は、文部行政の中におきまして、そういう者を養成していかなければ、直ちにアジア経済研究所にとると言ったって、それはないのがあたりまえであります。したがって、文部省との連絡が不十分じゃなかろうか、もっと文部省にはっきり方針を立てさせて、そしてアジア研究所の職員を養成するために協力してもらうということが必要なんじゃなかろうか。
次に、アジア研究所のいままでの調査は、旧満鉄調査局の調査の再編や、外国文献を利用する机上調査が多かったようであります。しかし、いまや、もっと現地の実態を調査するという意味におきまして、実態調査に主力を注ぐべき段階にきているのじゃなかろうか。
さらに、昨日中村委員からの御質問にもありましたけれども、何か私企業の下請的調査をかなりやっておるような感じがいたします。もっと国策に沿って、国策の方向を決するような、そういう基本的な調査に専念すべきではなかろうか。
最後に、アジア研究所におけるこういう調査が政府において今日までどの程度生かされてきたか。政府の基本的政策の中に取り入れられてきたか。
以上の点を東畑先生にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/59
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060・東畑精一
○東畑参考人 お答えいたします。
第一点のアジア諸国の風俗、習慣、その他を研究しなければ、ほんとうの実態がつかめないのじゃないかというのは、ごもっともな話でございます。われわれの研究所といたしましても、最初に申しましたが、経済及び経済発展の諸条件ということがわれわれの大きな目標になっておりますが、諸条件というものは、宗教一つとりましてもキリスト教とまるで違うということで、非常に特殊な影響を経済に与えている。習慣、もちろんそうです。社会の構造と申しますか、それも非常に日本と違っておる。過去の、われわれが日本を見た眼ではとても違った問題があるということで、われわれの研究所も、言うまでもなく経済以外の研究部門というのは非常に多くなってきております。実は学校の卒業生からいいますと、研究担当者の半数に近い者が今までのところ経済学部を出た人でありません。ほかの科の人が多くなっておる。そんな次第でありますが、おっしゃった点は私はごもっともだと思います。
それから第二点、人材の養成という問題につきましていろいろお話がございました。これは実に苦労いたしておる点でございまして、何といいましても、人も認めるが、本人自身もプライドが持てるというりっぱなものをつくっていかなければならぬ。これは一番努力いたしておるところであります。満鉄のお話がございましたが、当時に比べまして、なるほど大学卒業生は多いのでありますが、経済が発展し、のぼりつつあるときは、勉強したがる人が非常に少ない。どうも私の経験では、不景気のときは勉強する人が多くなってくる。そういう点では、多少不景気になったほうが人間は養えるんだけれどもということを思いましたり、なかなかむずかしい点でありますが、もとより景気のいかんにかかわらず勉強しようという人はございます。そういう人をいろいろな手を通じて求めております。
それから、文部省とのお話はごもっともなお話でありまして、現在の日本の大学の制度が講座本位ということになっております。インドを特に研究するとかシナを研究するとかいうのは、歴史のほうの講座という関係だとできるのであります。その意味で歴史の研究はなかなか日本も進んでおるのでありますが、もっと現在の問題について、それぞれの諸先生及び助教授の人が自分でやられるという限りにおいてはいいですけれども、制度としてはなかなか人を養うというふうにはなっていないのであります。幸いにして東京大学にも教養学部というのがございまして、これはよほど広くやっておられるものでありますから、そこからは後進国問題を専門にやるという人が多少育てられるのじゃないかと思っております。文部省とは、文部次官がわれわれのほうの参与をしておりますので、そういう話も寄り寄りいたしております。
それから、机上調査のお話はごもっともであります。できる限り実態調査もやります。しかし、行く準備の意味で、多少の机上調査をして、非常に不明な点がある場合はあらためて実態調査をやっております。ただ、これは相手国がございまして、場合によりますと調査をされることを何となしにいやがるということがございます。その交渉にもなかなか時間がかかりまして一しかしつい最近にその成果が出版されましたが、一昨年何カ月かインドの村へ参りまして、これはなかなかりっぱな調査ができておりますが、実態調査をやるということについては賛成いたします。
それから、私企業のためにいろんな調査をやっておるというお話でございますが、別に、特定な私企業が特定な問題をやってくれという、そういう意味の調査はやりません。問題自身が、提起してくる問題が非常にりっぱな問題であるというならば、喜んでわれわれは取り上げる。気のつかぬことも多いものでありますから、そういうふうに運営いたしております。
それから、政府がどういうふうに取り入れられたかということは、私のほうではなしに、政府のほうへ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/60
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061・福田一
○福田(一)国務大臣 ちょっと私、先ほどの御意見のうちで非常に賛成する面があるので、お願いしておきたいと思います。
それは、いわゆる国連の貿易開発会議は非常に大きな問題なんであります。ところが国内的にその認識が非常に薄い。この間経済閣僚会議の中で発言したときも、自民党あたりも、もっと大いにこの問題を研究しなければいかぬということを言ったのですが、これは何も自民党だけの問題じゃない。日本国民全体が受けていく問題ですから、ひとつ各党各派においてこの問題をもっと研究して、PRというか、国民に実相を知らせるという努力をもっとしなければいかぬという御意見は全く同感であるし、私は非常に感銘を受けております。どうかひとつそういう意味でますます御努力願いたい。
それから、こういうような問題をもっと勉強するのに時間が足りないじゃないかというお話でありましたが、これは私からもひとつ逆にお願いしたいのですが、もっと委員会を開いていただきたいと思います。われわれは、時間のある限り夜中でも出てきて、いつでも審議に応ずる覚悟であります。時間がないなんと言わないで——そのかわり、私はまた問題はあると思う。こういうことをやっていくことは必要ですが、そういう場合、定足数などということにあまりこだわらなくて勉強する、そういうこともひとつ——私の申し上げておるのは、普通のいままでのやり方においての法案の審議等については別ですが、いまあなたのおっしゃったような、こういう問題をもっと勉強しながらいこうという場合においては、そういう考え方も取り入れていいんじゃないか、私はこう思いますので、あなたの御意見は非常に賛成だから、この際特に発言を求めて私の意見を述べさせていただいたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/61
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062・桜井茂尚
○桜井委員 いま答弁がないのです。政府はアジア研究所の研究に対してどの程度施策に取り入れておったか、それを東畑先生にお伺いいたしましたら、東畑先生からはお答えがなかった。それからまた、われわれがかつて戦争の当時の大陸における政策の失敗も、こういう点も考えなかったからじゃなかったか、またアメリカのベトナムにおける失敗もそうではなかろうか、こういう点についても御答弁がございませんでした。私の見るところでは、今日まで政府におきまして、アジア研究所はつくったけれども、研究所の成果を生かして使っているというような施策がどうしても見受けられないのであります。さらにまた、私が昨日来申し上げておりますのは、宮澤長官が申しておりますけれども、日本の国力においてできることは何だろうかということを私自身心配しつつ、どうしたら日本の国力の範囲内において協力ができるだろうかということを考え考え、私はいろいろ質問と提案を含めてやっておるのであります。ですから、国力がないからだめなんだという、木で鼻をくくったような形で御答弁なさらずに、実はもっと真剣にお答えくださることを期待しておったのであります。国力があるなしということにつきましては、私自身十分知っております。ですから、その範囲内においてもなおかつアジアに協力すべきものは協力しなければならないんじゃないか、こう考えて私は御質問を申し上げておったのであります。
最後に、いままではともかくといたしまして、今後アジア研究所の研究に対し文部省とも連絡をより密にし、そしてほんとうに人材を養成していくと同時に、なおかつその研究の成果を国の政策の基本に生かしていくということをお考えになりますかどうか、この点を福田大臣にお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/62
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063・福田一
○福田(一)国務大臣 いままでも研究はわれわれが取り入れまして、いろいろ政策立案の具に供しております。今後も大いにこれを活用いたしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/63
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064・二階堂進
○二階堂委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/64
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065・中村重光
○中村(重)委員 通産大臣にお尋ねをいたします。
アジ研の運営の問題に対しましては、昨日来東畑先生にいろいろ問題点を指摘してお尋ねをいたしてまいりました。御承知のとおりに、アジア、アフリカ、中近東、低開発地域の問題は、わが国だけではなくて、国連の場において重要な問題として取り上げられておるわけです。わが国の経済依存度も非常に高い。しかしながら、アジア地域の地域統合の問題、あるいはアフリカ、中近東の政情不安により、経済統合の問題もなかなかうまく進まない、農業は不振であるし、他の産業の開発も遅々としてなかなか進行しない、こういう状態にあるわけでありまして、そうした中において、わが国のこれら地域における経済の依存度からいたしまして、さらにまた国連の場において、経済ベースという点を離れて、これらの地域の開発をしていかなければならぬという点等を考慮いたしますとき、このアジア経済研究所の果たす役割りは非常に大きいと私は思います。そういう面から今回提案されておる理事の増員に対しましては賛成をいたすのでありますが、それと同時に、大臣の考え方を聞かしていただきたいのは、職員を増員するということに対しまして七カ年計画を策定いたしました。ところが実際にはこれがうまく進んでおりません。さらに今回四カ年計画を策定いたしまして、四カ年後におきましては、現員百八十名程度を二百七十名くらいに増員しようという考え方のようでございます。これに対しては、大臣は積極的にこの計画の実現をはかっていくということでなければならないと思うわけであります。昨日もいろいろ指摘いたしましたが、このアジア経済研究所の自主性を持った積極的な取り組みに対しましても、大臣としては十分留意をしていただかなければならぬと思いますけれども、それらの問題に対しての大臣の考え方をこの際聞かしていただきまして、お答えに満足いたしますれば、ただいまの質問をもって終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/65
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066・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のとおり、日本が東南アジアに占めておりまする重要性を考えてみますときに、今回の研究所の機能の充実ということは非常に重大でございまして、重要でもございます。われわれとしてはこれは積極的に推進いたさねばなりません。したがいまして、その機能の充実のうちには、人員の拡充あるいはその他の経費の拡充等もございましょうが、いま仰せになった人員の問題等についても、積極的にこれを推進して、その実現に邁進いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/66
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067・二階堂進
○二階堂委員長 参考人の各位におかれましては、長時間にわたり御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。どうぞ御退席くださってけっこうであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/67
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068・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたします。
本案についての質疑を終局するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/68
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069・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/69
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070・二階堂進
○二階堂委員長 内閣提出の電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。大村邦夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/70
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071・大村邦夫
○大村委員 時間もだいぶ経過したようで、まことに恐縮でありますが、しばらく質問なり意見を述べさせていただきます。
昭和三十二年の六月に本法律が制定、施行せられましてから、電子工業の研究開発、それから国産化、さらには生産合理化等が促進をされまして、制定当時に比べまして、生産額では四・一倍の六千九百億円、それから輸出額では十七倍の一千三百八十億円、雇用数では二・八倍の四十万人、企業数では一・七倍の二千九百五十企業という著しい発展を示しております。しかし、先進国、特にアメリカと比較をしますと、技術水準、水産性等の面においてまだかなりの遜色がありまして、特に産業用の電子機器についてはこの傾向が著しいわけでありますが、産業用機器は生産額におきまして全体の二七%を占めております。ところが、アメリカは七九%でありまして、これと比べると非常に低いわけであります。また、産業用機器の輸出入については、輸出額では七・六%にすぎない状態であります。輸入額では逆に九〇%を占めておる状況でありますが、識外国にこれを比べますと、非常に立ちおくれを見せております。特に電子計算機を初め重要な産業用機器は、国際競争力も弱く、まだ自由化されていない。このようなわが国の電子工業が、特に産業用機器に関して、技術面においても、生産合理化の面においても、まだ問題があるから、技術革新の急速な伸展と品質の向上の世界的趨勢におくれをとらないためには、さらに現行法の措置を続行する必要があるという理由に基づいて、政府は有効期間を延長する趣旨の本改正案を提出されておりますが、この延長期間を現行と同じように七年間にした理由、これをまずお尋ねをしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/71
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072・森崎久壽
○森崎政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、今日まで非常に伸びの大きい産業の一つといたしまして、電子工業があるわけでございますが、内容的には産業用がまだ二七%、そしてそれ以外が民生用と部品でございます。ちょうどアメリカの事態と比べまして逆のような形になっているわけでございます。また、輸入におきましても、九〇%が産業用でございまして、逆に輸出は九〇%がラジオ、テレビの民生用ということは、先生御指摘のとおりでございます。まずそこに私たち、この法律の現在までの効果は非常にあげてきたものの、なお御延長をぜひお願いしたいという点がございまして、まずこの産業用と民生用とのバランスの問題をいろいろと検討いたしまして、先の見通しを立ててまいりまして、少なくとも、大ざっぱにいいまして、産業用四〇%、それから民生用六〇%、こういうパーセンテージを適当に六割、四割くらいのところに逆転させるという程度にまで日本の電子工業を発展させていきたい、そして産業用と民生用とをバランスのとれた形で踏んまえた、しっかりした電子工業に育てていくために、いろいろと計数的な計算をいたしまして、見当をつけてまいったのでありますが、従来の趨勢から考えまして、やはりここで七、八年の月日がなお必要があるのではないかという点が、この七年間ということの考え方の第一点でございます。
第二点は、御案内のように、この法律の構成は、研究開発から企業化、さらに工業化というところまで考えているわけでございまして、振興計画についても、それの一つ一つについて検討することになっておりますが、電子工業における研究開発からその工業化までに至るタイミングと申しますか、時期をいろいろ検討いたしました結果、やはり六年から八年、この辺の間のところに相当ばらついてまいりますので、従来どおり七年間の時限をもう一度延長していただくということを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/72
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073・大村邦夫
○大村委員 この現行法が成立した当時には、やはりかなりの展望に立っておられたと思うのです。今度またいまおっしゃるような理由で七年間延長して、その間に産業用の機器を増大していく、こういうことでありますが、どうも私は当初の見通しというのが甘かったのじゃないか。あるいは七年間では、産業用機器を伸ばして、輸出の増高、外貨の獲得をはかるということはむずかしい。が、しかし、十年とか十五年とかいう時限立法はないから、ひとまず七年間でというような趣旨があったのではないかと思うのですが、そのことをお尋ねしても、いやないと言われればそれまででありますから、控えます。しかし、この七年間でいまおっしゃるような諸点が克服をされまして、本法律の終止符が満足な形で打たれるかどうか、この点は今後のこともありますから再度お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/73
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074・森崎久壽
○森崎政府委員 今日までの七年間につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、民生用中心という形に結果的になってしまったわけでありますが、なお当初考えておりましたいろいろの研究の結果が実用化されるという見通しのもとに立っておったものが、やはり研究のやり方について非常にむずかしい問題が途中で出てまいりまして、その当時の見通しどおりに参なかったともいう点もございまして、ついにこの七年間でこれを完成することができなかったわけでございますが、今後の七年間におきましては、先ほど申し上げましたような観点から、最小限七年間いただければ、そういう形に実施することができるのではないかという見通しを立てております。特にこの法律は、御案内のように、材料から部品、それから回路、機械、そういう非常に幅の広い総合的な観点に立った形で、この振興計画を立てるというたてまえになっておりますので、こういう形の法律はあと七年間の間に実施してまいれば、こういう形の法律としては最小限度もう一回この七年間の延長をいただければ、この法律として満足な形に持っていけるのではないかという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/74
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075・大村邦夫
○大村委員 御承知のように、電子工業は、物理あるいは化学、数学などの基礎科学や、これを基礎として生まれるところの基礎、応用技術の進歩によって開発をされ、また発展をしてきた工業ですが、この化学や応用技術の進歩というものはだれが見ても限界がないと思います。したがって、これにささえられている電子工業も絶えずその影響を受けると思います。先進国において、政府が指摘しておりますように、新技術や新製品が次々に開発されていくことが考えられるわけでありますが、このように技術革新のテンポのきわめて早い電子工業の技術開発を七年間の時限立法で措置をするということは、また同じ轍を路むのじゃないかという気がするのです。言いかえますと、恒久法的なことを考えられたことはないのかということです。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/75
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076・森崎久壽
○森崎政府委員 御指摘のとおりに、この法律を制定いたします当初におきまして、恒久法的な観点から電子工業の振興を考えたこともございますが、御案内のように、この法律につきましては共同行為の指示ということがございまして、独禁法の例外をなすものもあるという観点から、臨時立法にしたといういきさつもございます。しかしながら、実行いたしてまいりますと、やはりこのように材料から製品に至る総合的な体制で電子工業を振興していくという形の法律は、むしろ時限的にこれをきめていただきまして、ここあと七年間に問題を固めて、そうして電子工業全体の体力をつくるという一般的な施策でもってこれを進めることが大切ではないか。それ以後におきましては、御指摘のとおり、電子工業はおそらく無限の発展をするものでございましょうが、ただこれは一つ一つの応用の形で発展をしていくというものでございまして、この一般的な体力をつくった後におきましては、個別的に、たとえば最近よく言われている微小回路だとか、あるいは電子計算機のごく一部の非常にむずかしい問題だとか、そういうところで問題が出てくるかと思いますけれども、それを、この法律をそのまま延長することによって、さらにその問題だけを追求するという考え方はしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/76
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077・大村邦夫
○大村委員 次官にお尋ねしたいのですが、最近時限立法というのが非常に多いようです。さらに、これは大げさでなしに、その延長法案がかなりある。しかし、時限立法を立てられるときには、いつもその期限内で十分な成果をおさめる、こういうことで出されると思うのです。ところが、現実には、この電子工業の関係だけではなしに、その他についても、いま申しますようにかなり時限立法の再延長というのが出ております。一体時限立法の趣旨というものは何なのでしょうか。そこら辺についてお尋ねしたいと思います。
それからなお、この前の法案の中で、時限立法を再度延長しても必ずしもその期間に固執するものでない、十分な成果をあげ得れば途中でも打ち切りたい、こういうことが言われたと思います。それは常識としてわかることなんですが、現実の問題としては、そんな見通しのあいまいなものはないと思うし、むしろ延びる傾向にあると思いますので、そういう点もあわせてお考えをお聞きしたいと思います。どうも道はやすきにつくといいますか、そういう傾向が非常に強いと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/77
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078・田中榮一
○田中(榮)政府委員 前回御審議を願いました軽機械の輸出振興法は、一応五年の時限立法をさらに五年延期していただいたわけでございます。その際に私からもお答え申し上げましたとおりに、でき得るならばこの五年も、あるいは四年、三年内に目的が達成いたしましたならば、その際にこうしたものも廃止してまいりたいというような考えを申し上げたわけなのでございます。この電子工業振興臨時措置法におきましても、やはり年限をどの程度に延長したらいいかということにつきましては、通産省部内におきましても相当いろいろ検討を加えまして、あるいは五年がいいか、六年がいいか、七年がいいか、いろいろ検討いたしたのでございますが、現在の電子工業の時点から測定いたしまして、他の先進国の電子工業の発達の状況等から考えまして、これを恒久法にするということは、いま森崎局長からお答え申し上げましたとおりに、共同行為によるところの指示というものがございますので、これは独禁法の一つの例外措置ということになっておりますので、この独禁法の例外措置を恒久法とするということは、独禁法を排除してしまうということに相なりますので、そういう観点から、あくまでこれは臨時措置法ということで考え方をまとめまして、そういう観点から何年がいいかということを検討いたしました結果、電子工業の今日の時点から測定しまして、大体七年ぐらいならばとにかく先進国並みの電子工業の発展の状況まで追いつくであろうというような考え方で、実は七年ということをきめたわけでございます。もちろん臨時措置法でございますから、あくまで臨時措置法のたてまえから、もし本法案の目的が六年、五年で達成いたしましたならば、当然かかる臨時措置法は廃止すべきであろうと私は考えておりますが、一応七年ということで取りまとめました次第でございますので、その点ひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/78
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079・大村邦夫
○大村委員 局長や次官の御回答の中に、本法案を時限立法にした理由の一つとして、カルテル行為の問題が出ています。そこでお尋ねしたいのですが、この法律が制定せられて今日まで、これが発動されたかどうかということです。その点をお尋ねしたいと思います。私の記憶では発動されていないと思います。そういう点からいうと、すこぶるいま言われることも私は納得ができないわけでありますが、その点をひとつ御回答願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/79
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080・田中榮一
○田中(榮)政府委員 お説のとおり、まだこの共同行為の指示ということは、本法の規定の根拠に基づきまして発動はいたしてないのでございます。ただ電子工業というものは、今後国際競争が非常に私は熾烈になっていくのではないかと思っております。現在日本の電子工業は、先進国から比較しますとややおくれておりますので、まだそこの域に達しておりませんが、これから、過去の実績から考えますと、日本の電子工業というのは相当私は顕著な進歩を遂げるのじゃないかと考えておりますが、そうした場合におきまして、国際競争力との対抗上、場合によりましてはそういう法の発動というものが考えられるわけでございます。さような関係から、こうした規定を存置いたしまして、そういう場面における措置としての準備をしておく必要があるのじゃないのか、かように考えて本法の延長を願った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/80
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081・大村邦夫
○大村委員 今後は共同行為の必要性が予想されるということですが、少なくともこういう規定を設け、あるいは今後は必要かもしれないからというような、まぐれ当たりというと恐縮ですが、非常に無責任な考え方は私はいかぬと思います。御承知のように、このカルテル行為というのは、独禁法の関係から、できるだけ行なうことは好ましくない行為でありますが、しかし、そういうことが必要と予想されるならば、あるいは一歩先んじてそういう体制に持っていくように検討を進めるということが必要じゃないですか。そういう点は、必要なときにはやるというような消極的な態度で、一体これからの開放経済体制下における、あるいは貿易完全自由化におけるところの電子工業部門の輸出の増高、あるいは技術の進歩、そういうことが期せられるのでしょうか、どうでしょうか。必要ならばもう少し積極的に考えるべきじゃないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/81
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082・森崎久壽
○森崎政府委員 この制定当時、共同行為の対象としてまず考えておりました点をちょっと振り返って申し上げますと、たとえば電子管の受信管でございますが、こういうものは当然その当時の生産形態から見まして、品種別生産数量の制限という共同行為をやりたいと考えておったわけでございます。ラジオ用の受信管は、御承知のようにその後トランジスタが出てまいりまして、しかもそのトランジスタが非常に数多く大量に実用化に移っていったという問題がございまして、またテレビの受信管は当初予定しておりましたように大量生産形態にそのまま移りましたので、この電子管の中で受信管を共同行為の中に入れるという考え方は見送ってしまったわけでございます。またそれ以外に抵抗器、蓄電器につきまして技術の制限を考えておったのでございますが、それも当初予定しておりましたよりも技術革新が非常に激しくなりまして、特にトランジスタの成長と相関的にこれを改良していかなければなりませんので、それを一ぺんに一定の規格できめてしまうということが不可能であったわけでございます。またもう一つ例をあげますと、ゲルマニウムくずでございますが、ゲルマニウムのくずを、材料の購入方法の制限ということで共同行為にするという構想を持っておったわけでございますが、実際上やってみますと、トランジスタが非常に量産化されたために、ゲルマニウムのくずだけにたよるようなことでなくして、大量に二酸化ゲルマニウムの輸入をしなければならぬ、そしてゲルマニウムくずは自家製の再製品として処理すればいいというふうなところにいってしまいましたので、この点につきましても、当初すぐにでもという考え方がございましたが、共同行為に入らずに今日に至ったわけでございます。しかしながら現時点におきましては、こういう観点から見回しますと、たとえば電子管におきましても、用の電子管、これは御案内のように非常に少量生産であって、しかし多種類をつくらなければならぬ。しかも外国からの輸入が非常に激しい問題でございまして、こういうものにつきましては品種別に生産数量の制限をいたしまして体制を整えていきたい、あるいはまた電子計算機でございますが、電子計算機本体そのものは、まだまだ技術革新が激しくてどういう方向をとるかということを見きわめることができないわけでございますが、御案内のように電子計算機本体ではなくして、入出力装置と申しますが、カードリーダーとかあるいはカードパンチャーとか、あるいは電子計算機の計算した結果出てまいりますものを印刷するものとか、そういった主として機械的な点から考えられる装置につきましては、これももう生産品種の制限をやって能率をあげていくという段階にきていると思っているわけでございます。そういうふうな観点で、今後は現在の法律で一応実施ができなかった条項が生きてまいりまして、十分な今後のやり方をこの中に生かしていきたいと思っております。しかもいま申し上げましたような関係は、すでに現在いろいろな観点から検討を加えて、すぐにでも実施に移るような体制をとりつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/82
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083・大村邦夫
○大村委員 お尋ねしますが、この電子工業振興臨時措置法によりますと、電子工業の振興基本計画をまず立てて、そして毎年これを実行に移すために振興実施計画が立てられる、こういうことになっております。私はよくわかりませんが、この七年間延長に伴うところの基本計画は、この法案が通過をして、その後電子工業審議会の意見を聞いて通産大臣がつくられるのでしょうかどうでしょうか、その点をお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/83
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084・森崎久壽
○森崎政府委員 御質問のとおり、これができましたら、新しい延長されました法律に基づきまして振興計画をつくり、そして案をつくりまして審議会にかけてきめるという形になります。現在はこの法案がもし延長された場合には直ちに着手できるように準備をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/84
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085・大村邦夫
○大村委員 順序としてはそういうことになると思いますが、通産省ではこの法案を提案されると同時に、あるいはその前から、一応電子工業審議会の意見を聞く腹案というものがあるのじゃないかと私は思います。その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/85
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086・森崎久壽
○森崎政府委員 現在骨子を持ちまして検討いたしております。当然そういう腹案を持ちまして諮問するわけでございますが、現在は大きな骨子だけは準備いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/86
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087・大村邦夫
○大村委員 そうしますと、その腹案と申しますか骨子の中に、第三条の二項三号に「前項第三号の電子機器等の目標年度における性能又は品質、生産費その他生産の合理化の目標」等をこの基本計画の中に載せなければならないようになっていますが、先ほどおっしゃいましたところの共同行為はこれから必要であろうし、直ちにそういう方向に向かって着手をしたいということでありましたが、これとの関係において、政府のほうではいま言われたことが骨子の中にあるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/87
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088・森崎久壽
○森崎政府委員 当然この基本計画の骨子の中に入れ、そして実施計画にさらに盛り込みまして、それに基づいて行なうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/88
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089・大村邦夫
○大村委員 次に移ります。先ほどから私も申しましたし、局長からも御答弁の中にありましたが、わが国の電子工業は、ここ数年来飛躍的な発展を遂げてまいりました。その中心はテレビやラジオ等民生用機器が中心でありまして、それも最近国内の需要の一巡、平衡化を迎えまして、輸出はわりに好調でありますけれども、生産は伸び悩んでおるという現状であります。したがってこれから後、特に力を入れなければならないのは、産業用の機器だろうと思います。今後におけるこの産業用の機器の開発なり生産の増大なりについて具体的な措置ですね、これは基本計画との関連もあると思いますが、先ほどおっしゃいました骨子とか腹案とかいう関係もありますので、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/89
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090・森崎久壽
○森崎政府委員 少し抽象的になるかもわかりませんけれども、生産の合理化、特に機械化を行ないまして、生産性の向上をはかっていくということがまず第一点。第二点といたしましては、研究開発のための研究投資をいま一そう増加していくということ。第三点といたしましては、先ほどの共同行為と関連いたしますけれども、産業用機器の問題につきまして、必要に応じて生産体制の整備と申しますか、品種別の生産の制限を行なったり、企画の統一を行なう、そういう観点からこの産業用機器を増加していくというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/90
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091・大村邦夫
○大村委員 お尋ねをします。
わが国の電子工業の技術水準は世界的に見ますとそう低くはない、かなり高いと思います。しかし、先進国、特にアメリカと比較をしますと、相当な格差があることは事実であります。その相当な格差というものは一体どこから出るか、その原因について知っておられるならばひとつお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/91
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092・森崎久壽
○森崎政府委員 御指摘のとおり日本における電子工業関係の研究費は、民間が三百億、それに対して政府関係としましてそれの一割程度のものが加わりまして、三百五十億程度の研究投資を考えております。それに対しましてアメリカは非常な大きな金額を投下しておりまして、一つの資料によりますと、昭和三十六年で民間企業の投資だけで千六百二十億円というような大きな数字が出ておりまして、軍関係を含めた政府関係の研究投資は三千三百六十億という統計も出ているような状態であります。なぜこれだけの格差が出たかということでございますが、一つには、軍需関係から出てまいります電子工業の研究という点がアメリカと全然違っておりまして、アメリカは軍事あるいは宇宙開発という観点からも電子工業の振興のための資金がずいぶん出ているわけでございます。あるいはまた研究者の数という点につきまして、われわれとしてはまだ検討いたしておりませんけれども、それを支える研究者の数がやはり今後とも日本の場合には不足してまいりますので、それに応ずるだけの研究投資も頭を打ってくるという心配もあるわけでございまして、そういう観点からこれだけの研究の格差が出ておりますが、一番根本的には、何と申しましても、私たちのほうの研究がまだ非常に歴史が新しいということでございまして、この法律ができました昭和三十二年ごろにやっと電子工業における研究体制が整備されてきたというような段階でありまして、それから急速に研究費をふやしていくということで努力してまいりましたけれども、現状におきましては先進国アメリカに比べまして非常な格差があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/92
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093・大村邦夫
○大村委員 ただいまの御答弁によりますと、アメリカとわが国との間の電子工業技術水準の格差が相当あるのは、アメリカは軍事的な要請にささえられて、政府は多額の研究支出を行なっておるということも一つあったと思います。しかし、御答弁の中にちょっと触れられたと思いますけれども、軍事関係を除いてみましても、民間の研究投資は、日本はアメリカの約十三分の一であります。そうしますと、軍事的な要請という面も否定はできませんけれども、まだまだ民間の研究投資というものが非常に低いということが言えるのではないかと思うわけです。もちろんこの生産額に対するところの研究費を見てみますと、かなり高いということは言えますけれども、アメリカと比べるといま申しますようにかなり低い。こういう点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/93
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094・森崎久壽
○森崎政府委員 アメリカと比較するまでもなく、われわれのほうの観点から日常いろいろと接している日本全体の研究投資というワクそのものが、非常に低いわけでございますが、電子工業につきましても歴史が浅いという観点から、研究の伸びがそう思ったようにも伸びていかないという点もございまして、研究費がうまくついていかないという点もありますけれども、やはり研究費の絶対額が不足している。先ほど御指摘がありましたように、民間の研究投資は売り上げ高に対して四%をこえるような比較的高い水準での研究投資をしておりますけれども、その絶対額がやはり三百億余りのものでございまして、その絶対額の不足は絶対に今後克服していかなければならないと考えておるわけでございまして、研究経費の増額につきましては、民間が極力研究投資に金を回すような方策が講ぜられるとともに、政府関係におきましても国立試験研究所あるいは補助金を通じましてますます今後とも研究投資に重点を置いていかなければならないという考え方が、特に電子工業の場合には大切だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/94
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095・大村邦夫
○大村委員 そこであとに振り返るわけですが、先ほど産業用電子機器の開発なり生産についてどういう諸点を具体的にお考えですか、こういうことをお尋ねをいたしました。そのお答えの中に、研究体制の不十分さ、逆に言いますと、研究体制を強化するということも民生用機器の開発なり生産に大いに役立つわけです。その後いろいろお尋ねをしてみますと、研究体制が不足しておる、あるいは研究費が足らない、こういうことを言っておられますが、私はその点は大いに取り上げていかなければならないと思う。先ほどの御答弁の中にはその点が触れられていなかったように思う。言われることと実際に考えておられることが実行が伴わない。具体的に申しますと、昭和三十九年度の鉱工業技術研究補助金を見ますと七億八千六百万円になっておると思います。この中で、私の知っておる範囲では、電子工業に振り向けられるのが大体五〇%程度だと思います。これは昨年、三十八年度の三億五千三百万円の研究補助金とほぼ同額である。日本はなるほど出発がおくれたから単に補助金等の問題だけで消化ができない立ちおくれがある、こう言っておられますけれども、本現行法を延長する中には、先ほどいろいろ言いましたように、民生用機器の開発なりあるいは生産の増大なり技術の振興をはかるということを急速にしかもはからなければならないということが指摘をされておる。このことを考えますと、昨年とことしも研究補助金は同じであるし、一方では足らないとおっしゃるし、また一方では産業用機器については研究体制の充実強化という点についてはそう強く指摘もされておらないようでありまして、私はこの点は非常に遺憾と思うのですが、そういう点についてどうなんでしょう。ほんとうに前向きの姿勢でやられる考えがあるのかどうかということをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/95
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096・森崎久壽
○森崎政府委員 研究費の増額につきましては、率直に申しまして、私どもは非常に力を入れて予算その他において努力をいたしておりますけれども、その伸びは非常に微々たるものでございまして、なおさらに大いに努力していかないといけないと考えております。特に、ただいま御指摘のありましたように、産業用の電子機器ということになってまいりますと、単なる小ぢんまりした基礎研究ではなくて、実際に一つ一つ試作をしていかなければならないというような大型の研究を必要とすることになってまいりますので、そのやり方といたしましても、単なる研究所の研究室でやるということからさらに一歩出まして、産業界同士の共同研究、ユーザーとメーカーが一緒になって共同研究するとか、あるいは同じような方向を向いている会社が集まって共同研究するといった、そういう大型の研究方式が導入されなければならないと思っております。現在すでにそういう共同研究のきざしが出てまいりまして、例を二、三あげさしていただきますと、大型の電子計算機につきまして、昭和三十七年から発足しまして三カ年計画でひとつ大型の電子計算機を試作しようという動きがございます。これに対して、約三億円程度の補助金になると思いますが、補助金を投入いたしております。さらに、また、微小回路と申しますか、最近は電気の回路が非常に小さくなりましてほとんど米粒大くらいの回路にまで発展するといわれておりますが、そういう微小回路の問題につきまして、部品の会社が三社あるいは四社集まりまして共同研究をする。それに対して補助金を出すという形をとっておりますので、こういう方向を十分活用いたしまして、産業用の電子機器の研究に対して取っ組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/96
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097・大村邦夫
○大村委員 ただいま共同研究のことに触れられましたが、これは電子計算機の技術研究組合のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/97
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098・森崎久壽
○森崎政府委員 電子計算機につきまして電子計算機技術組合がございます。それ以外の微小回路につきましては実質的な共同研究をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/98
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099・大村邦夫
○大村委員 いままでそれをやっておるということなんですか。私の調べたのではそういうようなのがないようですけれども、どこどこが参加をして共同研究をやっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/99
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100・森崎久壽
○森崎政府委員 これは初めての試みでございますが、昭和三十七年に技術研究組合法に基づきまして設立いたしまして、メンバーは日本電気、富士通信機、沖電気、この三社が一体になりまして、相当大きな形の、現在言われておる大型電子計算機でございますが、それを三カ年計画をもって試作するということを始めております。三十七年度には八千七百万円、三十八年度には一億二千万円、三十九年度はまだきまっておりませんが、大体三億円程度の補助金をこれに投入いたしまして、今年の末、あるいは本年度の終わりごろに一応組み立てを終了するという形をとっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/100
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101・大村邦夫
○大村委員 いま私が、電子計算機の技術研究組合ですかとお尋ねをしたのは、局長が共同研究について触れられ、これから三億程度云々と言われたから、そのことなんですかとお尋ねしたわけですが、それなんですか、違うのですか、もう一回教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/101
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102・森崎久壽
○森崎政府委員 いま三億と申しましたのは、昭和三十七年、三十八年、それから三十九年はまだきまっておりませんが、そういうものを含めて三億、これが電子計算機の技術研究組合ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/102
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103・大村邦夫
○大村委員 昭和三十六年から三十八年末まで、過去三年間におけるところの研究補助金の交付実績を大中小企業別に見ますと、資本金二十億円以上の企業が六十八件で五億二千三百万円、資本金五千万円以上、二十億円未満の企業が七十一件の三億三百万円、五千万円以下が四十九件の一億一千八百万円ということになっておりますが、この中で一件当たり、かつ大中小企業別に最大と最小の額は幾らなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/103
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104・吉岡忠
○吉岡説明員 私からお答えいたします。
この三年間の交付件数は、ただいま先生の御指摘のとおり、合計で百八十八件にのぼっておりますが、最高額は、先ほど話題になりました電子計算機の技術研究組合に対します一億二千万円。最低額は百万円になっておりますが、件数はかなりございますので、例示いたしますのを省略させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/104
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105・大村邦夫
○大村委員 さらにお尋ねしますが、大企業、中企業、小企業は、それぞれ研究の対象品目が違っていると私は推測をするわけですが、主として大中小企業はどんなものを研究しておるか、それをお尋ねしたい。と同時にその関係において輸入との関係はどうなっておるかということです。いま研究をしておるわけですね。そういう品目について外国から輸入しておるものもあると思います。そういう関係もひとつお尋ねしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/105
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106・森崎久壽
○森崎政府委員 主として大企業といわれておりますのは、電子計算機、オートメーションに関連する各種の計測機器でございます。それから中企業と申しますか、中小企業といわれておりますのは、部品材料、それから測定器の小型のもの、こういったものが中心になって補助金が支出されております。
それから先ほどの輸入との関係でございますが、やはりこの鉱工業技術補助金を交付するにあたりましても、輸入防遏にきわめて効果的なものということが一つの審査基準になっておりまして、現在輸入されておるものを極力早い機会に国産化する、あるいは将来輸入が非常にふえてきそうだというものについて、先行的にまず補助金を入れまして研究させる。そういう観点から交付しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/106
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107・大村邦夫
○大村委員 ところで、その輸入の中心は、一番額の多いのは電子計算機ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/107
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108・森崎久壽
○森崎政府委員 輸入の額の非常に大きいのは、御指摘のとおり電子計算機が中心でございます。それに次ぎますものとしましては各種の測定器類、特に高度の技術を必要とする測定器類、これがこれに次いでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/108
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109・大村邦夫
○大村委員 そうしますと輸入防遏、輸出増高という面から考えると、そこら辺にかなり力を入れなければならない、これは局長のおっしゃるとおりであります。しかしこの研究補助金の内容を見てみますと、私はこれではもの足りない。このことも局長の確認されたとおりでありまして、同感でありますが、しかしこれからさらに輸出を伸ばしていき、特にいまおっしゃったのは民生用機器だと思いますが、そういう点を考えますと、ただ単にまあ残念だ、足らないのだだけでは私は済まないと思うわけです。この点、次官はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/109
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110・田中榮一
○田中(榮)政府委員 お説のとおり、やはり各種のものに対して助成金を交付しまして、おのおのの持てる特徴を生かしまして、それぞれの伸長をはかるようにせねばならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/110
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111・大村邦夫
○大村委員 考えたらひとつ実行に移してください。
それからこれは長期計画、実施計画との関連があるわけですが、研究補助金の交付実績と申し込みの割合、これを件数、金額等について、これは一々小さくは要りませんが、大中小企業別に、ひとつわかっておればお示し願いたい。私は必ずしも満足する形ではない。もちろんこの電子工業の研究の内容を見ますと、普通の化学工業等と違いまして一件がそう大きな研究費は要らない。何となれば、施設等につきましても、これはそんな大がかりなものが要らないのですから、そういうことは了知していますが、しかしなおかつそれでも申し込みは交付実績に比べてかなりオーバーをしておるんじゃないかと思うわけであります。その点をひとつお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/111
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112・森崎久壽
○森崎政府委員 ここにちょうど過去三カ年間の申請件数がございますので申し上げますと、三十六年には申請件数二百六十件に対しまして採択件数百二十四件、三十七年は二百八十三件に対しまして採択が百三十九件、三十八年は二百五十七件に対しまして百二十八件でございまして、大体採択率は四割から五割というところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/112
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113・大村邦夫
○大村委員 お聞きのとおりでありますが、私、大臣お帰りになってもけっこうですと申し上げましたので次官に申し上げておきますが、これから急速な技術の開発をはからなければならない。輸出を増強するには、ただ単にコストだけではなしに、あるいは世界的な水準を維持するだけではなしに、アメリカよりもっと高度な水準を持つ、このことは輸出を増高する一つの大きな重要なものだと思います。それをするには、先ほど申し上げましたように、アメリカと研究費を比べてみても、あるいは政府の研究体制を見ましても非常におくれておるわけでありまして、何としてもこの際、提案の趣旨にあるとおり急速にその技術の進歩をはかるためには、研究体制の充実なりあるいは研究費の増額なりさらには、時間の関係がありますから触れませんが、融資等については、先ほど必要だと認めますがと言われましたが、必要と認めるというだけでなしに、さらにさらにひとつ積極的にやっていただきたい。これは輸出と、輸入の関係を見てみましても、電子工業というものは、非常に重要な役割を持っておると私は思います。その点を十分熟知していただいて、御努力をいただきたいと思いますが、いかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/113
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114・田中榮一
○田中(榮)政府委員 現在わが国の輸出産業といたしましては、鉄鋼、繊維に次ぐ輸出品としましてはホープに属しておるわけでございますので、こうした点われわれも十分考えまして、今後いまお話のような世界水準の維持向上に達しまするように、研究施設に対する助成あるいは研究費そのものの援助、こうしたことにつきましては十分考慮いたしまして、増額その他につきましては最善の努力をいたしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/114
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115・大村邦夫
○大村委員 電子工業におけるところの外国技術の導入、これが非常に多いように思うのですが、その中心は、調べてみますと特許が中心である。この特許は、化学工業のように製造法まで取り入れてやるのではなしに、全く文字どおり特許権であって、年間約九十億程度を支払っておるようであります。この特許権に対する九十億は、全生産額に対する比率を見るとまあまあというところでありますが、しかしこの特許権によって、いろいろの企業の製品が生産をされ、それに関連して売り上げも相当額にのぼっておると思うのでありますが、特許権に関係してそれぞれの企業が上げておる売り上げといいますか、そういうものは大体どの程度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/115
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116・吉岡忠
○吉岡説明員 ただいま特許を使いましたことによりまして、どれだけの生産額を上げておるか、こういう御質問でございましたが、品種によりましていろいろ違っておりますが、一例を申し上げますと、真空管につきましては、特許権を使いまして出しておりますものが全体の生産量の約八〇%に上がっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/116
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117・大村邦夫
○大村委員 そういうように外国技術の導入、なかんずく特許によってかなりの製品売り上げが確保されておるわけでありますが、これからもこの特許権というものは相当入ってくると思います。そこで外国資本が特許権によって国内企業に制約を加える、あるいはまた国内生産を独占するような事態というものが、開放経済体制下では考えられないこともないと思うのですが、こういうような事態を避けるために、制度上の対策というものをいまから検討しておく必要があると思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/117
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118・森崎久壽
○森崎政府委員 電子工業の特許につきましては、先ほど先生から御指摘がありましたように、いわゆる物をつくるという特許よりも——パテントのほうではなくて、特許料を支払って基本的特許を入れるということのほうが、非常に多いわけでございまして、その点では電子工業の特許は、国際流動性と申しますか、流動性が非常に高いものでございまして、商品化しまして、金を払えばわりあいこれを獲得することができるという流動性の強いものでございますので、その点、他の産業における特許よりは、特許を手に入れる方法は非常に多いわけでございますが、ただ御指摘のようにやはり特許の点につきまして十分な検討をいたしておかないと、結局外国の特許によって輸出その他についても非常に阻害をされるという問題がございますので、この点につきましてはわれわれとしては十分検討を進めているわけでございまして、基本的には研究開発を促進いたしまして、向こうが取る特許に対しましてこちらが防衛的に特許を取っていく。さらには外国の特許をこちらが取りまして、外国との間に特許の交流をいたしまして、極力外国から導入するところの特許も安くする。そのかわりにこちらの特許も相手方に使わせていく。クロス・ライセンス・システムと申しますか、そういう点を十分に指導いたしまして、電子工業の特許の流通性と、それから外国の特許の攻勢に対する防衛措置を講じていきたいと思っております。現在のところは国内研究開発の根本的な障害になるというような、そういった特許は見当たりませんが、今後とも十分の注意をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/118
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119・大村邦夫
○大村委員 私はただいま御指摘をした点は概念的、観念的に単に注意をするというだけでなしに、これから制度上の問題として十分考えておく必要があると思うのです。この点を強く要望しておきます。
約束の時間がまいりました。また次の機会に意見なり質問をやらしていただくことを委員長にお願いしまして、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/119
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120・二階堂進
○二階堂委員長 次回は五月二十一日木曜日午前十時三十分より委員会を開会することとします。
なお、当日午後一時より農林水産委員会との連合審査会がございますので、委員の方々の御出席をお願いいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04619640520/120
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