1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十六日(火曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 浦野 幸男君
小笠 公韶君 小沢 辰男君
岡崎 英城君 神田 博君
小宮山重四郎君 佐々木秀世君
田中 龍夫君 田中 正巳君
田中 六助君 武市 恭信君
中村 幸八君 野見山清造君
長谷川四郎君 村上 勇君
大村 邦夫君 加賀田 進君
沢田 政治君 楯 兼次郎君
藤田 高敏君 麻生 良方君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 鉄藏君
通商産業事務官
(重工業局長) 森崎 久壽君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
専 門 員 渡邊 一俊君
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五月二十六日
委員海部俊樹君辞任につき、その補欠として武
市恭信君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
アジア経済研究所法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七八号)(参議院送付)
電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一〇四号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず、内閣提出電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許可いたします。大村邦夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/1
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002・大村邦夫
○大村委員 日本開発銀行の融資状況を見ますと、電子工業の企業数が御承知のように大体二千九百五十企業のうちで、三十二年から三十八年間に融資した件数は七十一件であります。これを一カ年平均に見ますと、わずか十二件で、しかも内容を見ますと、資本金一千万未満が十三件の二億三千八百万円、それから一千万から四千万までの資本金の企業に対して融資件数十七件、四億二千五百万円、五千万から九千万が九件の二億五千五百万円、一億から九億までが二十四件の八億二千五百万円、さらに十億から四十九億までが融資件数六件の三億二千万円、五十億以上は二件の二億五千万円、こういうようになっておりまして、なかんずく一億から九億程度の資本金の企業が三十四社中二十四件の融資を受けております。これは全体から見ると金額も件数も比較的多いということでありますが、この開銀の融資は説明するまでもなく、第三機種に属するいわゆる性能または品質の改善、生産費の低下、その他生産の合理化を特に促進する必要があるものが対象になっております。そうしますと、資本金一億から九億円までの企業がこの対象機種、つまり第三機種が多いということでありましょうが、裏を返せば、それ以下の中小企業にはその対象となる品目は少ないということになると思いますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/2
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003・森崎久壽
○森崎政府委員 お答えいたします。主として一億から九億のあたり、二十四件の融資が行なわれておりますのは、御承知のとおり部品工業、主として部品関係の問題がここに大体集約的に出ておりまして、その点につきまして重点的に融資する必要があったからでございまして、特にいままでの分につきましては、大体新規関係が非常に多かったということで、この辺のところに集中されております。むしろ資本金の零細な面におきましても、私たちのほうとしましては相当優先的に考えたのでございますけれども、結果的に、件数にいたしまして比較的少ない四千万以下でもって三十件ということになっておりますが、今後は、こういう方面につきましても漸次新しい問題、あるいはまた生産性の向上のためどうしても必要な融資の申請が出てまいりましたときには十分に考慮していきたいと思います。要は部品関係に相当重点を置きまして、その部品関係の重点の個所がこの辺のところに集中しておったというふうに御理解いただけばいいかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/3
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004・大村邦夫
○大村委員 そうしますと一億円以下の資本金の企業に対しては部分品を生産する企業が少ないということになると思います。しかしいまおことばにありましたように、これからは優秀なものについては云々ということでありますが、そういう対象になり、かつ優秀なものがなかったのかどうか、また申し込みがかなりあって、あなたのほうで第三機種として取り上げるにはたいしたものではないから取り上げなかったのか、その申し込みの実績なり状況をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/4
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005・森崎久壽
○森崎政府委員 申し込みの実績につきましては後ほど申し上げたいと思いますが、申し込みは一億から九億円のあたりの業界に比べましては比較的少なかったわけでございます。それから、特に三十二年から三十八年にかけての前期におきましては、新規の部品の開発という点にわりあいに重点が置かれましたものですから、既存の部品でもって漸次改善していくという点につきましての要請があまりなかったという点が主たる原因だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/5
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006・大村邦夫
○大村委員 次にお尋ねをします。過日参考人を呼ばれていろいろ御意見を伺ったわけでありますが、その際、産業用機器の輸出振興につきまして、後進国はドル不足でこれから伸ばしていくにもなかなかむずかしい、あるいはソ連等におきましては特許権が盗まれるといいますか、権利がなくなってしまうということもあって、これもまた問題がある、アメリカは技術水準が日本よりぐっと上ですから、ここに輸出するなんてとてもないじゃないがむずかしい、ヨーロッパ等におきましてはことば上の問題があって、これまた至難である、こういうことが意見として出されたようであります。政府は今度の法案をさらに延長するにあたって、産業用の機器は今日民生用の機器の輸出と対比したときに弱力であるが、それを七年間で逆転をする、このことが目標として置かれておりますが、参考人の言ったこと等を考えますと、そのことはかなりむずかしいのじゃないか。さらにこの前私が申し上げましたが、民生用、すなわちテレビ、ラジオ等におきましては、なるほど国内では一巡的な傾向が出まして豊満的になっておりますが、しかし輸出については、この前日本電気を私が見学に行きましたときにもかなり将来性のあるようなことが言われておりました。そうしますと、一方の産業用の機器については先日申されたような理由でむずかしく、民生用のほうはこれから望みがあるということになりますと、逆転はなかなかむずかしいのじゃないか、こういう点を考えますが、その点はいかがでしょう。また、それに対する具体的な施策をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/6
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007・森崎久壽
○森崎政府委員 先ほどの御質問に対しましてちょっと補足させていただきたいと思いますが、たとえば融資の申請に対しましてどの程度推薦を開銀に対してやったか、三十八年度の実績で申しますと、申し込みが十四件ございまして、そのうち十二件を推薦しております。したがいまして、この推薦に漏れたのは二件程度であって、大体御要望に沿うような形で出していると思います。
なお、わりあい金額的に小さいという感じがおありのようでございますが、電子工業は御案内のように測定器とか、わりあいに簡単なものが多いわけでございますので、そういうかっこうになっております。
それからただいまのお話でありますが、特許の問題で輸出を阻害する面があるのじゃないかというふうな参考人の御意見もございましたけれども、主として業界としてまだ新しい見当が立っていない分野に対する一つの不安といいますか、そういう点からでありまして、はっきりとしたかっこうで、それがどうもむずかしいのだというような情報を得ているわけではございませんので、今後とも各国の特許事情その他について十分に検討していけば、漸次これが明るくなっていくかと思います。
それからことばの問題でございますが、これは事電子計算機の問題に触れまして、特にヨーロッパに対する電子計算機のシステムの問題で非常にまだ問題があるというような話を伺っているわけでございますが、この点につきまして、電子計算機のごく一部についてそういう問題は確かに今後出てくるだろうと思います。ただ、現在はそれが直接ネックになって輸出を阻害するというかっこうではないと思いますが、将来はその点について十分に検討する必要がございます。たとえば国際的なスタンダードをきめるというような動きも最近ございまして、国際的に電子計算機に与えることばのシステムについて統一化していくということも今後考えられるのでございまして、あくまでもこの点につきましては前向きにわれわれは考えていきたいと考えております。
それから、後進国には金がないということで、全くお説のとおりでございますけれども、プラント輸出の一環といたしまして、たとえば通信装置を後進国に対して輸出するということにいたしますと、その通信装置のシステム全体が日本式のものになりますので、今後それが拡大されていきますと波及的な効果をもって輸出が振興できるという、そういうメリットに対して十分われわれは注意しなければならないのでございまして、ただむずかしいからということでなくして、できるだけ今後延べ払い条件の問題とかいった点につきまして、国別に弾力性のある態度をとって進めていきたいというふうに考えておりますので、将来の姿といたしまして、産業用の通信機械あるいは産業用のいろんな機器類でございますが、それに対する輸出については個々に物資別に検討を進めてまいって今後の計画を完遂していきたいと考えております。現在でも、有線通信だとかあるいは無線通信その他につきまして大ざっぱな実績をにらんでいきますと、三十二年度に比べまして三十七年度は、有線通信装置につきましては約五倍増になっております。そういうかっこうで、この伸びから考えてまいりますと、一つ一つ装置類についての輸出振興策を講じていけば、この間の参考人の方が言われたような——逆転はございますけれども、その点を克服していけば、将来とも産業用の輸出振興ということは十分にやっていけるという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/7
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008・大村邦夫
○大村委員 これから積極的前向きに策を講じていきたいということでありますが、そのことは理解するにしましても、アメリカを対象にしてこれから輸出をする場合には、これはかなりの技術水準が向上しなければできないし、またその重点をアメリカに置いておるとは考えませんけれども、しかしながら、アメリカが特にわが国より技術水準が高いということは、やがては後進国に対して日本の製品がどんどん行くことについてもアメリカに阻害をされるということも考えられぬことはないと思います。あるいはまたことば上の問題にしましても、これもことばを統一すればいいようなものでありますが、技術上の問題もこれまた関係してくると思います。そうしますと、結局は、前に私が触れましたように、研究体制をいまよりも充実強化しなければならないと考えるわけであります。この点は局長も十分お認めになったと思いますけれども、しかし、現実に今日の状態は、ただ認めただけでなしに、非常に不足をしております。共同研究の推進にしましても、あるいはまた民間の研究投資にいたしましても、きわめて不十分でありまして、これは早急に克服すべき問題だと思いますが、本年度において計上されておる予算額等を見ますと、ここ一年間は昨年と大差がない形で待たなければならないということになると思います。これでは、月の世界まで行けようかという時代に、つまり科学の急速なテンポに合わせてこの種の開発なり技術の発展は期し得られないと思いますが、この一年間においてさらにより積極的に施策を講ずる意思がないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/8
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009・森崎久壽
○森崎政府委員 お説のとおり、最近研究投資額、特に国の研究投資額が民間に比べましてわりあいに少ないということは事実でございますし、またその伸びもそう大きな伸びを持っておらないわけでございますが、ただ研究のしかたといたしましては、民間等の共同研究、あるいは国の研究所におきましても、むだのない集中的な研究を進めておりまして、かなり進歩しておると思います。さらに本年度におきましても、鉱工業技術研究補助金七億五千万円のうちの半分ばかりを電子関係に重点的に投入するということを行ないますほかに、三十九年度からは新しく委託研究費、これは金額的にはまだわずかでございますが、そういう構想を考えまして、国が直接特定の技術に対して委託をしてみるということ、あるいはまた予算のところで御説明を申し上げたと思いますが、重機械類の開発資金という制度を開銀融資のところで設けまして、ユーザーとメーカーとが一緒になってひとつ新機種をつくって、それを使おうというような場合におきましては、それに対して低利の資金を貸し付けるという制度を考えてみたわけでございます。この開発資金につきましては、ことしにおきましては、むしろ電子関係のテーマは、あるいは出てくるにしましても大きなものは出てまいりませんが、おそらく来年度以降におきましては、相当まとまった形で電子関係のテーマが出てくるだろうと思います。そういう場合におきましては優先的に考えていきたいというようなことで、研究関係につきましても今後十分の検討を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/9
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010・大村邦夫
○大村委員 これまた説明によりますと、三十八年度分よりは前向きの姿勢であるということはうかがえますが、しかし、いまおことばにありましたように、鉱工業技術研究補助金の本年度の計上分を見ますと七億八千六百万円で、この約半額程度が電子工業の研究補助金として考えられておるようでありまして、これは昨年度と比べてどれくらいの伸びを示しますか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/10
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011・森崎久壽
○森崎政府委員 昨年度に比べまして七千六百万円の増になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/11
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012・大村邦夫
○大村委員 たった——というのは少しひどいかもしれませんが、しかしこれから前向きでやろうとする中でわずか七千万円程度は、いかに単価が低いとは言いながらも、これはやはり私は問題があると思います。あなたが問題がないとおっしゃれば別ですが、問題があるということになれば、この点については今後十分に対処をしてもらわなければならないと思います。その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/12
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013・森崎久壽
○森崎政府委員 決して満足されるという数字ではございませんが、本年度の予算におきましては、われわれなりに努力をいたしました結果でございますが、今後とも十分に研究費の増加に対しましては努力いたしていきたいと思います。また新しい問題が、たとえば先ほどのことばの問題といいますか、応用技術といいますか、そういったところにだいぶん問題が出てまいりますので、そういう問題につきましても十分補助していくような体制を十分今後考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/13
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014・大村邦夫
○大村委員 次に、労働生産性についてでありますが、これは局長も御承知のように、この種のいわゆる電子工業界におきましては比較的人にたよる面がきわめて大きいと思います。そのことは、今日電子工業に従事しておる従業員が四十万、他の企業に比べてきわめて高い。また生産性に比較してみましてもそのことが言えるわけでありますが、これから輸出を伸ばしていくということになりますと、さらにまた安い労働者を求めるということがきわめてむずかしい。いわゆる求人難あるいは賃金の上昇等がだんだんと激しくなる。つまりコスト高になるということを考えますと、この労働生産性の向上については格別の配慮を払わなければならないと思いますが、いまのような形は改善する余地がないのかどうか。アメリカ等と比較しますと、まだまだ日本はそういう面について開拓の余地があると思いますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/14
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015・森崎久壽
○森崎政府委員 お説のとおり、労働生産性の問題につきまして、それを他の産業と比較する点については非常にむずかしゅうございますが、ここ五、六年の電子工業における労働生産性の伸びというものをずっと見てみましたのですが、御指摘のとおりあまり伸びがございません。その形におきましては繊維工業型といいますか、そういう伸びの非常に少ない産業にいままでのところはなっているわけでございまして、それを裏づけるかのごとく開発銀行の設備投資もいままでのところ、七年間に二十三億という比較的金額の少ないことになっておりまして、これを反省してみますと、やはり人手にたよっている度合いが非常に多い。しかも、わが国におきまして電子技術が発足いたしました当初におきましては、技術革新が非常に激しくて、それを手の力にたよりながら次々と新しい機種をつくってきたというかっこうで、機種はだんだんよく育ってきたものの、労働生産性を統計的に見ると横すべりであるという点は、指摘されましたとおりでございまして、この点は一体今後どうするかということだと思います。実際問題といたしましては、前会にも御説明申し上げましたように、今後電子工業の部分につきまして、ある程度技術革新が一巡いたしまして量産体制あるいは規格が固まってくるというものがございますので、そういう形のものにつきましては機械化あるいは自動化を進めていく。これは今後課せられたわれわれの考え方の一番大事な点だと思いますが、いわゆる頭脳的な製品を頭脳的な方法でつくっていくということによりまして労働生産性を高めていくという考え方でございます。したがって、おそらく今後の開銀の設備融資などにつきましても、従来のようなわりあいに低い数字ではなくて、漸次この要請が高まってくるように考えるわけでございまして、それは大企業といわず中小企業部面においても、おそらくものものによりましてそういう体制がとられてくると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/15
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016・大村邦夫
○大村委員 合理化の問題等を出しますと、今日の資本主義社会の中では、とかく直ちに労働者の首切りということにつながるのですが、そういうことはまさかお考えになっておらないと思いますし、おことばにありましたように量産体制の強化という面におきまして考えなければならないと思います。この量産体制の強化について、これは第二機種の中に入ると思いますけれども、今日までの実績を見ますと、開銀融資が三千五百万円の一件だということになっておりますが、この点はそのとおりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/16
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017・森崎久壽
○森崎政府委員 二号機種は、その生産を開始するための設備でありまして、合理化といいますか、あるいは量産体制といいますか、そういうものにつきましては、むしろ三号機種に属するものがふえてくるわけでございまして、従来も三号機種のほうでそういう感覚を盛り込んでおったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/17
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018・大村邦夫
○大村委員 私の誤解かもしれませんが、「生産の開始又は生産数量の増加を特に促進する必要があるもの」ということで、生産数量の増加、つまり生産量をふやすということになると思うのですが、それは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/18
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019・森崎久壽
○森崎政府委員 この生産開始というものは一号機種、二号機種、三号機種と実は並んでおりまして、一号機種が研究開発、二号機種は研究を終了いたしまして企業的規模で立ち上がる、そのときに従来のような研究室でぼそぼそとやっておった程度のものではなくて、最小限度の規模で生産を始めなさい、それにはこれだけの設備が要りますというのが二号機種でございます。三号機種はそれからさらに量産化あるいは合理化、特定の水準以上にする、そういう形でいままで運用してまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/19
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020・大村邦夫
○大村委員 そうしますと、一から二、二から三というように、必ずそういう道を歩むものですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/20
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021・森崎久壽
○森崎政府委員 そういうことではなくして、一、二、三と、必ずシリーズにつながっていくものもございますけれども、日本の電子工業の研究の段階あるいは開発の段階に応じまして、途中からいきなり二号機種に入ったり、あるいは外国からの技術導入を一部てこにしまして初めからその機種に入るというものもございます。ただ、理論的には一応一号、二号、三号という並び方をしておりますけれども、おのおの、ものによりまして途中から入るものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/21
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022・大村邦夫
○大村委員 わかりました。
これから国際競争力を強めるには、いろいろ考えなければならない幾多の点があります。特に、いま私が指摘をしました生産体制の面における施策の強化、これはたとえば生産協調体制を実施するとが、あるいは量産体制の整備とか、さらにはこの法案の柱であるところのカルテル行為、つまりカルテル行為を適用しての規格の統一、こういう点がいろいろ考えられるわけでありますが、いま政府として生産協調体制なり量産体制の整備あるいは規格の統一等についてどのような施策を講じ、またやろうとしておるのかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/22
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023・森崎久壽
○森崎政府委員 基本的な方針といたしまして、まず研究部門におきましては極力共同研究体制を整備していく。そして生産の初めの段階から試験方法だとか、あるいは製品のつくり方につきましてスタンダードができるような形で共同研究体制を講じていくということによりまして、企業の出発から基本的なものを極力統一させていくということをまず考えております。それからまた、先ほどお話がございましたように、共同行為の問題でございますが、本法施行中に実施できなかったわけでございますが、もしこの法律の延長が決定いたしますと、現在のところ私のほうで直ちにということで準備いたしておりますが、前会にも申し上げましたように、電子管とかあるいは電子計算機の入出力装置とか、あるいはそういったものについての関係設備について共同行為を実施していきたいと考えております。さらにまた抵抗器だとか、あるいはコンデンサーといったものにつきましては、規格の統一を通じまして、これは中小企業性の多いものでありますから、みんなが同じようなものをつくっていくという形で合理化していきたいと考えております。御承知のとおり、共同研究体制からいけば、やはり企業間の協調といったことにつきましては、電子工業の特殊性によりまして特にわれわれとして意を用いていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/23
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024・大村邦夫
○大村委員 次に、需要部門との連携の問題についてお尋ねなり御意見を申し上げたいと思います。
今日、電子工業界では、不足でありながら試験研究がそれぞれの企業体あるいは共同体の形で行なわれておるわけでありますが、この成果というものがやはり生かされていかなければならない。つまりものはつくったけれども、売れないということであってはならないと思います。たとえば電子計算機に例をとりましても、なるほど小型や中型で、大型が今日まであまりできていなかった点もありますけれども、最近では大型の試験にも成功し実用化の段階に入ったと思います。ところが、今日国内の大型電子計算機の需要を見てみますと、かなりアメリカ等に依存をして、日本でできてもそれを買おうとしない、そういう実態があると思います。そういう点について、なるほど技術水準が低いために日本の製品ではだめだ、こういう考え方もあるかと思いますけれども、しかし必ずしもそうでないのではないか。この点についてやはり研究にあたって需要部門との連絡と協力を求める、連絡を密にするという必要性があるんじゃないかと思いますが、そういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/24
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025・森崎久壽
○森崎政府委員 ちょっと御質問に対しまして、はずれるかもかわりませんが、需要部門との連携につきまして、たとえば研究所が研究いたしましたものをどういうふうに需要部門にくっつけていくかということでございますが、会社の研究においては当然需要部門とのつながりを考えながら研究をしております。国の研究所の例をちょっといま思い出しましたので申し上げますと、昭和三十二年、この法律ができました前後におきまして、御承知のとおり電気試験所におきまして、わが国で初めての実用的な電子計算機マーク4というのを開発いたしました。それがきっかけになりまして、各産業界に対しまして、電子計算機をつくる一つのきっかけができたわけであります。さらに同年におきまして、通産省の機械試験所が計数型の電子計算機を備えました治具ボーラーという電子計算機をつくりまして、それを中心にして、それが全部業界のほうに流れ、その実用機が現在もう輸出されておるという状態で、割合にうまくつながった例であります。それからさらに電子計算機の場合に、特に大型の場合には、初めから需要につながっていくという必要があるということでございますが、御説のとおりでございまして、この点につきましては、その電子計算機を使いこなす技術、ソフトウエアということばを使うのでありますが、どういう方程式を入れてどういうふうに使えばこういうことになります、だからこういう用途に使えますということを研究いたします。そのときにメーカー側もユーザー側も、ソフトウエアの仕事については初めから参画し得るような形をとっておるのでありまして、電子工業振興会においては、初めからそういう勉強会といいますか、調査会といいますか、研究会を逐次催して、電子計算機をどういうふうに使っていくかということの需要者側の声も初めから聞き、また使い方も能率のいい方法を研究していくということでございまして、そういう大型電子計算機につきましても需要との結びつきを考えてまいりたいと思っております。ただ、御説のとおり、アメリカの大きな電子計算機に比べまして、日本の大型電子計算機がどこまで対抗し得るかという問題は今後の問題でございますが、ただ日本の電子計算機がどの程度進歩しているかという点につきまして、十分に一般の使用者に評価していただくということが大切だと思いますので、昨年秋に国産愛用ということで、政府のほうにおきまして、まず極力国産を愛用しようではないかということで、電子計算機につきましても政令でこれを指定いたしまして、われわれといたしましては、片っ端から、政府が予算上計上している電子計算機をつかまえて、国産機が使えるものかどうかということにつきまして十分なデータを送って評価してもらったおかげで、だんだん国産機に置きかえられるものは使っていただくという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/25
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026・大村邦夫
○大村委員 需要部門との連絡と協力を求める件について、これからやっていきたいというのですか、現在そのことが実施をされておるのですか、その点を明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/26
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027・森崎久壽
○森崎政府委員 現在も、先ほど申し上げましたように、そのソフトウエアの問題につきましては、電子工業振興会を中心にしてやっております。また国産愛用の問題につきましては、御説のとおり昨秋から——実はもっと前からやっておったわけでございますが、昨秋特に国産愛用という点でわれわれが中心になりまして、各省に働きかけて実施をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/27
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028・大村邦夫
○大村委員 今後さらにその点について御配慮をいただきたいと思います。
最後に、大臣にひとつお尋ねをします。私は、この前重工業局長にもお尋ねをし、また強調したところでありますが、開放経済体制下における電子工業の国際競争力を強め、さらにこれから特に競争力の弱い産業用の機器についての輸出の増大をはかっていかなければなりません。そのためにわが国の研究体制というものをもう少し強化をしなければならない。なるほどこの電子工業の研究費等につきましては他の企業と違いまして、そう一品目等について巨額の金が要るものではありませんが、しかしながらアメリカ等と比較をしますと、かなりアメリカが軍事的な要請があるとはいいながらも、民間だけを比較いたしましても低いということが指摘ができるわけであります。その点について研究体制をもう少し強化し、あるいは共同研究体制もこれからますます強めて実施をしていかなければならない。そうしますと、やはり研究費という問題、さらには融資融資は合理化の問題でありますが、研究体制の強化に備えるためにはかなりの研究費の国家的な投下というものが必要になってくると思います。その点は局長も認めておられますし、努力をしたところであるが、きわめて不満足であるがことしはこれでやらざるを得ない、こういう御回答でありました。通産大臣はその点についてどうお考えになるか、あるいは今後の所信をひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/28
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029・福田一
○福田(一)国務大臣 御質問の御趣旨のとおりでありまして、大体日本の技術に対する研究体制またこれに対する予算措置というものは私は非常に不十分である、こう考えております。これは電子工業だけではございません。ほんとうのことを言うと、もっといろいろな面にわたってまだまだやらなければならないと思いますが、特にこの先端をいっております電子工業というようなものについては、今後ひとつますますそういう意味において、予算的にもあらゆる意味において強力に措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/29
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030・大村邦夫
○大村委員 大臣、まいりたいということですが、するようにひとつ努力をし、実現をしていただきたいと思います。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/30
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031・二階堂進
○二階堂委員長 加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/31
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032・加賀田進
○加賀田委員 大臣にお尋ねいたしたいのですが、いま大村委員からもいろいろ質問がありましたけれども、御存じのように、電子工業というのは、宇宙開発から民生の一般日常生活まで浸透している非常に広範な、しかも産業としては若いし、これからうんと発展する要素があると思いますが、七年間この法律に基づいていろいろ運営してまいったわけですけれども、それがそのまままた七年間国会で延長の了承を得るということで出てまいりました。やはり産業がこれから青年期に入ろう、こういう時代に、七年前と同じ法律に基づいてそういう任務が果たし得るかどうか、こういう問題についてわれわれは非常に危惧をしておるわけです。先般参考人を呼んでいろいろ意見等も聞きましたけれども、こぞってやはりそういう問題についてもっと政府が積極的に運営をしてもらうべき性格のものであり、また国策上将来伸びるので、国家経済の上からも相当貢献できるのではないか、こういうような意見が非常に支配的でございましたが、いまの意見では、もちろんその意見はよくわかるけれども、今後そういう方向で努力いたしたいという抽象的な発言ですけれども、私は、この際、この電子工業振興会で、政府としてのやはり考え方を明らかにしていただかなければならないんじゃないかと思うのです。池田さんは何もしない内閣だといわれておりますが、これがその最たるようなもので、また今後七年間も同じような方法でこれをやっていこう、こういう体制を整えて出てまいったのですが、通産大臣として一応そういう点について腹がまえというものを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/32
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033・福田一
○福田(一)国務大臣 電子工業の重要性については、もう御説のとおりでございまして、同じような認識を持たしていただいております。法案が改正されないまま延長というのはいかがなものであろうか、こういう御質問であるかと思いますが、法文自体は変わっておりませんが、運用面その他においては順次時勢に応じた措置をとっておる、かようにわれわれは考えておるところでございます。なお、予算その他の面において非常に不十分であるというおしかりを受けておるのでありますが、われわれとしても決してこれで満足いたしておるのではないのでありまして、今後ともまた大いに努力をいたしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/33
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034・加賀田進
○加賀田委員 どうも内閣の一員として、われわれとしてはもう一つ答弁が満足できないのですが、運用面といったって、基本計画と実施計画とをきめて、それに基づいて試験研究には補助金をつける、あるいは開発銀行等で融資のあっせん等協力する、この範囲でとどまっておるわけですけれども、もちろん基本計画とか実施計画について、もっと前向きな施策というものがあるでしょうけれども、民間だけにおきましても、年間約三百億から三百五十億という研究費をこの電子工業につぎ込んでおるということを、われわれは聞いておるわけです。そういう膨大な民間の電子工業に対する振興の意欲に対比して、政府の補助金というものが、鉱工業の試験研究補助金として——半額程度といっておりますが、年間三億二、三千万円程度しか出てない。先般の参考人も、これはいわゆる差し水程度だ、こういうことで、どうも政府としての積極性が私は欠けているんじゃないか。七年前には、ここまで相当積極的な発展というものを期待することは、なかなか見通しとしては困難だったでしょうけれども、今日ではもうすでに電子工業というものが産業機械の中で欠くことのできないような状態になっております。日本の産業機械を高度化していこうという政府の前向きの姿勢であるとするならば、この電子工業については、七年前と同じような体制を——逐次補助金は伸びているにいたしましても、わずかな迎え水程度のことでは、どうも私は今日の日本の電子工業のこれからになっていく任務というものを果たしていないんじゃないかと思います。今度は予算もきまりましたし、積極的な予算を大幅に増額することは困難でしょうが、少なくとも来年度予算編成にあたっては、大臣としてはもっと積極的な方向——通産省自体においても、もちろんこれは大蔵省ともいろいろの折衝があるでしょう。そういう折衝でもっと積極的にやっていただかなければならぬと思うのですが、大臣の所見を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/34
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035・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のとおり、通産省といたしましては、来年度予算にあたっては、極力この予算の増大その他の措置を講じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/35
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036・加賀田進
○加賀田委員 くどいようですけれども、業界においても、この問題に対して、法律の運営その他における政府の態度についても、数回にわたって論議されておるわけです。試験研究所の促進をどのようにしてやってもらうか、あるいはやっていくかということを補助金制度においても、非常に研究の速度というものがばらばらなんで、できれば研究準備金制度のようなものをつくって、総合的に研究を前進させるようにしてもらったらどうか、こういうようなことも、業界のほうで、協会のほうでもいろいろ論議されておりますし、輸出振興についてももっと積極的な市場開拓、特にEEC関係においても政府の特段の努力をしてもらいたい、アメリカのほうは当面大型の電子計算機を中心としていろいろ関心が高まっておりますけれども、欧州のほうにも市場を開拓してもらいたい、こういうようなことがいろいろ要求されておるんです。先般も参考人の意見を聞いてみますると、われわれとしては非常に意欲的にこういう問題を持っていろいろ論議したんですが、通産省との折衝の過程を通じて、やむなくこの法律をそのままに七年間延長することにわれわれは踏み切ったんだ、こういう答弁があったわけです。したがって、法律が出て、私の質問については、将来意欲的にいく、あるいはもっと抜本的にいろいろ検討してみるという答弁でありますけれども、すでに本年度、昨年度から、協会を中心として、業界の方々が数回にわたって通産省にこれを要請しておると思うのです。それにもかかわらず、いま言ったようなことで、われわれとしては、どうも前向きな体制というものを、この法律における通産省の態度では受け取れないんです。したがって、そういう経過についても一ぺん明らかにしてもらって、どうしてそういう前向きな体制というものができなかったのか、大蔵省との折衝の過程等もあったでしょうけれども、そういう事情を一応明らかにしてもらいたい。同じ内閣の中ですから、通産省は非常に善人が多いんで、敵を愛せよということで、大蔵省の言うことも聞いたのかもしれませんけれども、その点もひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/36
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037・森崎久壽
○森崎政府委員 産業界からの要望は昨年の秋からいろいろとございまして、私ども一つ一つそれを聞いております。ただ、先ほどお話がございましたように、研究準備金制度の構想でございますが、これは電子工業ばかりでなくして、全体の研究体制としては非常に大切なものでございますので、いろいろと研究をいたしたのでございますが、今回の税制改正におきましては、研究準備金制度は、一般の準備金制度と同様に見送られたのでございますけれども、そのかわりに研究設備の初年度九五%の特別償却という点を大蔵省と了解をつけまして、一歩前進したわけでございます。さらにまた、業界のほうからは、電子計算機につきまして応用技術についての体制を考えてくれ——これは、先ほど申し上げました、電子計算機を利用するための方程式を考えたり、利用する方法を考えるわけでありますけれども、そういう問題がございましたが、これはこの法律の運用で十分やっていけますので、問題は、これに対する補助金なり、もう少し政府の助成を必要とするという問題でございますので、この点については今後十分に進めていく、一部応用技術につきましては、機械振興助成金等によって実施するということで、この法律自身の改正に至らなかったのでございますが、内容的には十分の検討をさしていただいたわけでございます。特に今後この法律の実施におきまして、われわれとしては一番考えておらなければいけませんのは、利用との間の結びつきをどう考えていくか、これに対して補助金なり融資なりをどういうふうに考えていくか、特に今後共同研究の問題を取り上げてみますと、従来の共同研究は、ごく一部の範囲については共同研究がございましたが、これからは、おそらく大型の機械の試作とか、そういった研究自身も非常に大型化してまいりますので、それに対してどう対処していくかという問題がございますが、先ほど申し上げましたように、今年度開銀融資におきまして重機械開発資金という構想を、これは電子工業だけではございませんで、全般的に考えたわけでございますが、その一部につきまして電子工業を——ことしはおそらくあまり大きなものは出てこないと思いますが、来年あたりは相当大きなものが出てくるんじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/37
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038・加賀田進
○加賀田委員 電子工業の試験研究については、私企業が一単位で研究している機関もあるし、いまお話のあったいわゆる二、三の企業が合同して試験研究をやっている。あるいは政府機関の中においても、技術院等において、これは基本的な研究だと思うのですが、そういうものの研究をやっている。さらに、これは通産省だけではなくて、電子工業についての応用面だろうと思うのですけれども、大臣、各省に全部こういう電子工業に対する研究機関を持っておるわけですね。これはぼくは非常に——もちろん特殊性というものも加味するんでしょうけれども、各省のセクト的な考え方が非常に強くて、これはなかなか統一するということも困難でしょうけれども、こういうものはできるだけ政府機関の中において統一されて、基本的な総合研究機関というものを設けて、そこへ全部消化するという形のほうが費用的にもいいんじゃないかと思うのです。ちょっと調べてみますと、郵政省では電波研究所というものを持って、電波とか電離層等いろいろ研究している。農林省は農林省で、漁船についての電子機器で探知器等、いろいろな問題を研究している。厚生省は厚生省で、いま業界においても研究中でありますけれども、医療機器なんかを研究している。運輸省は気象研究所等で、電波とかレーダー等をいろいろ研究している。防衛庁は防衛庁で、電子通信機もまた別に研究しているということで、非常に電子工学の応用面において、各省がばらばらにこういうものを研究しておるということは、もちろんそれは特殊性があるんだということは認めますけれども、経費の節減とかその他お互いの研究速度を高めていこう、あるいは速度を合わせていこうという意味においては、もっと政府自体がこういう問題に対して統一的な方向というものを私は明確にする必要があるんじゃないかと思う。どうも、いま申し上げたように、各省というのは、お役人さんはなかなか縄張り争いが激しいので、うまくはいかないと思うのですけれども、しかし、これは一ぺん閣議あたりで検討していただいて、もっと経費の節減等もあわせて、こういう特殊な電子工業のことですから、総合研究機関というものを政府自体として積極的に方向づけるという努力をやはりすべきではないかと思うのですが、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/38
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039・福田一
○福田(一)国務大臣 お説ごもっともでございまして、私もそういう考えで何とかこういう問題も解決したい。このほかにも実はたくさんございます。これだけではないのであります。私は実際セット主義といいますか、お役所のあれには非常に不満でございます。といって、特殊事情もあるものですから、いよいよになるというと、なかなか仕事にしがみついていて離れないというのが実情であると思うであります。しかし筋としてはもうあなたのおっしゃるとおりでありまして、今後も大いにそういう方向で努力いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/39
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040・加賀田進
○加賀田委員 これは三億三千万円の補助金を出しているわけですけれども、この算定基準等についてはどういうようにして——民間の研究費から見れば五%程度ですけれども、各民間のほうからそういう研究項目について、あるいはその費用について申請があって、それに何%出すとか、そういうような基準というものがあるかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/40
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041・森崎久壽
○森崎政府委員 手続から申し上げますと、民間からいろいろな研究テーマで新しいものを持ち込んでくるわけです。そのときに政府といたしましても特に重要な研究テーマについては、研究課題制度という制度を設けまして、特に研究課題で重要なものについては、あらかじめヒントを与える意味においても課題は出しております。そして出てまいりましたものについて各専門の方々に審議を願いまして、その出ましたもの全体の中で、民間のほうである程度まかなえるというようなものについては、それを初めから落としまして、そして研究としてどうしても大切な部分だけをまずより出すわけでございます。そしてそのより出したものに対しまして、おおむね現在のルールでは五〇%補助というルールで実施いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/41
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042・加賀田進
○加賀田委員 そうすると、その補助対象となる研究課題に対しては五〇%…しているわけですか。そうすると、研究補助を与える必要があると認められた範囲をしぼるために、民間に対するワクが五〇%程度になっているのか、五〇%を出しているとするなら、私はその研究課題については補助金としては相当出ていると思うのですけれども、民間の研究費と比較してあまりにも少ないのですが、それはそういう程度なんでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/42
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043・森崎久壽
○森崎政府委員 統計的に出ております民間の三百億円というのは、国の補助金をもらってない、純粋に民間で支出している研究費を含んでおりまして、この補助金がくっついて研究しているという分野だけを取り上げますと、五〇%ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/43
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044・加賀田進
○加賀田委員 そこで各企業は、特許の関係もあってできるだけ自費で行なって、自分の力によって特許をとりたいというふうな意欲もあるでしょうが、政府が補助を与えた機種、項目について、もし研究が達成された場合の特許の問題等については、その研究した民間の企業がそれを取得するのかどうかということをちょっとお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/44
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045・森崎久壽
○森崎政府委員 これは補助金を交付いたしますときに民間との約束を一応かわしておりまして、全部民間のほうに特許を移すということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/45
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046・加賀田進
○加賀田委員 そういたしますと、政府が補助をして民間が研究し、特許等を取るということは、その私企業が、一企業だけが特許を取ってその技術というものが公開されないような形になっていくのか、そういう国家的な政策ということになりますと、一企業だけが独占するということになると、やはり電子工業自体の発展にも大きな阻害がくるでしょうし、そういう点を政府としてはどのように指導しておるのか、この点をちょっと明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/46
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047・森崎久壽
○森崎政府委員 前会にも御説明申し上げましたが、電子工業関係では、わりあいに特許の流通性といいますか、特許の商品化が進んでおる分野でございますので、私どものほうでも補助金を出します際にそういう注目すべき特許があって、しかもそれが利用範囲が非常に広いものであるならば、一般に公開するように契約と申しますか、補助金を出すときの約束でもって相談することはできると思います。現在のところは、そういう例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/47
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048・加賀田進
○加賀田委員 輸出の問題でひとつお尋ねをいたしたいのですが、民生用の輸出の伸びが相当なウエートを占めておるわけです。トランジスタラジオとかあるいはテレビの受信機とか、その他テープレコーダー等が相当出ておりますけれども、この輸出に対しての数量の割り当てとか、価格の制定等、いわゆるチェック・プライスということをやっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/48
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049・森崎久壽
○森崎政府委員 価格上の規制はやっておりません。それから数量の問題につきましては、特定の地域向けのところにつきまして自主調整といいますか、そういう関係で、若干の数量調整が行なわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/49
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050・加賀田進
○加賀田委員 この価格の制定はやっていないと言われますけれども、私の聞くところでは、たとえばトランジスタラジオなんかはABCとコーナーをきめて、Aのいわゆる技術の高度なものについては青天井だけれども、BCは相当価格制定をやって、いまは大体五ドル以上でなければ出してはいかぬ、こういうことで規制しておるということを聞いておるのですが、そういう価格についての指導監督はやっていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/50
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051・森崎久壽
○森崎政府委員 ラジオにつきましては、御説のようにABCに区別をいたしまして、もる程度の数量割り当て、自主調整をやらなければならぬ面につきましてはやっております。それから価格問題につきましては、ちょっと私うっかりいたしておりましたが、米加向けのテレビにつきまして、いま非常にアメリカ向けに対してテレビで出てまいりましたので、業者間協定によって価格をきめていっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/51
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052・加賀田進
○加賀田委員 香港等において、日本がBコーナーについての価格規制で五ドル以下で出してはいかぬというようなことで、すでに組み立て工場等ができて三ドル五十セントぐらいで出ておって、それに太刀打ちをするために業者が非常に苦労しておる。バイヤー等は、やはりそういう事態の中で価格を四ドルぐらいで出さなければ国外市場と競争できない。ところが政府のほうでは五ドル以下では出してはいかぬということになっておるので、その間いろいろバイヤー等が謝礼金とかいろいろな形で、実質的には四ドル程度で出させる、こういうことで操作して、しかも関税はそのまま五ドルの税金を取られておる、そういうようなことになっておりまして、それが表面化してきますと、関税法に触れるのだからというようなことで、数量の割り当て等で規制される、こういう事態が起こっておると聞いておるのですが、そういう価格については現在やっていないわけですか。この点を明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/52
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053・森崎久壽
○森崎政府委員 価格問題につきましては、現在やっておりません。
それから香港につきましては、御承知のとおり、若干香港製品が出回ってまいっておりますけれども、これは主として六石以下の高級でないラジオでございまして、技術的にはやはり日本が相当成果を上げておりますので、現在のところは、そう脅威的なものではないと考えております。ただ日本の場合は、今後の方向としまして、やはりラジオ一つを取り上げてみましても相当な高級品に向かうということが大切かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/53
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054・加賀田進
○加賀田委員 ラジオ等は、生産の九〇%まで輸出しておるということを聞いておるのですけれども、過去いろいろ批判のあった日本製品の安かろう悪かろうというようなことは——もちろんこれから通産省が努力してそれを規制していくということについては、われわれとしては反対するわけじゃないのですが、しかしできるだけ海外市場の実態に合って敏速にそれに対応するという姿勢が必要じゃないかと私は思うのです。したがって、そういうことでひとつ特段の御努力をお願いしたいと思います。
最後に大臣に、先刻から大臣にいろいろ質問いたしましたけれども、来年度の——来年のことを言えば鬼が笑うといいますけれども、四十年度にこの電子工業に対する振興の研究補助金等について特段の努力を払って、商工委員会に態度を明らかにする腹があるかどうか、この点を最後にひとつお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/54
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055・福田一
○福田(一)国務大臣 先ほど来熱心にこの点について御質疑をいただき、また御勧奨いただきまして、われわれも感謝をいたしております。今後は大いに努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/55
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056・二階堂進
○二階堂委員長 加藤進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/56
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057・加藤進
○加藤(進)委員 最初に大臣にお尋ねしたいのですが、この前も電子工業の一番大きな産業、工場の代表の方を参考人として呼びまして、電子工業の臨時措置法の改正について意見をお伺いしたわけですけれども、この措置法の電子工業に対する大きな効果というものに対して口をそろえて強調しておられましたし、またこれを今後さらに七年間延長するということについて非常な熱意を示しておられたわけですが、私はこの法案は、もちろん電子工業の中心としてその主役を占めておられる大企業、大資本の代表の方たちの御意向や要望にとたえるということが、この重要な内容の一つだと考えておるわけです。しかし政府がこの法案を準備し、今後七年間さらに電子工業の振興のためにこの法案を延長するという以上は、一部の大資本、大独占の御意向、御要望ばかりでなく、これに関連する中小下請企業の振興ということ、またこの産業に働く労働者の福祉の増進、生活の向上についても十分な配慮を与えてこの法案が出きるべきであるというふうに私は考えるわけでございますけれども、その点について大臣の御所見はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/57
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058・福田一
○福田(一)国務大臣 この関係しておるところの中小企業を十分に考えながら処理していかねばならないということはごもっともだと思います。労働関係につきましては法定はいたしておりませんが、趣旨においてわれわれは賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/58
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059・加藤進
○加藤(進)委員 趣旨がそのような点で一致すればけっこうだと思います。
ところで、電子工業を振興させるという目的を持ったこの法案を今後実施していこうとするならば、この産業の置かれておる実態というものについて、政府も十分に調査なり御研究なりをされておることだと考えておるわけですが、それに関係して二、三お尋ねをしたいわけです。もちろん大臣ばかりでなく、政府委員のほうで必要ならば御答弁願いたいと思うわけです。この臨時措置法が実施されて以来の七年間に、たとえば私の調べた資料とにらみ合わせてみてお尋ねするわけですけれども、この前参考人として出ておられました日本電気ですね、この日本電気の企業が七年間にどれだけ売り上げの増進をこれによってもたらしたか、また利益がどれだけふえたか、こういう点を簡潔な数字でお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/59
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060・森崎久壽
○森崎政府委員 実はその個々の問題につきまして現在データを持ち合わせませんので、ちょっとお答えしかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/60
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061・加藤進
○加藤(進)委員 私の知る範囲では、わずか三年以内に売り上げは倍以上になっています。利益もまた倍増しているという事実がございます。これはいかに電子工業振興臨時措置法が、たとえば日本電気に対して非常な大きな振興の役割りを果し、会社に膨大な利益を保証したかということが、これによってはっきりとあらわれてきていると考えております。私はもし政府におきましてこの点をもっと正確に調べていただくことができるならば、ぜひ調べて、この委員会に報告として出していただく必要があるのではないかと考えるわけであります。これは日本電気にとどまらないことは言うまでもありません。
もう一つ、電子産業というものは、国際的な貿易におきましても非常な大きな役割りを果たすことはいままで御説明を聞いて明らかになっておるわけでありますが、もう一つ別の面があると私は考えます。それは、電子工業は軍事的にも非常に重要視されておる産業の部門であるということでございますが、政府において御調査の結果、もしおわかりになるならば、最近防衛庁から電子工業の主要なメーカーに対してどのような発注が行なわれたのか、またどういう品種の発注がその中にあらわれてきているのかという点をお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/61
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062・森崎久壽
○森崎政府委員 突然の御質問でございますので、実は防衛庁からの軍事的に重視されているものについての発注の個々の問題については、現在データを持っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/62
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063・加藤進
○加藤(進)委員 ですから、私は質問の最初に、この措置法をさらに七年間延長しなくてはならないという積極的な理由があるならば、この工業の実態についてもう少し政府は真剣な調査なり研究なりをされておると私は考えたわけですけれども、残念ながら非常に期待にはずれるわけです。
そこで次にお尋ねいたしますが、先ほども労働生産性があまり伸びておらない等々の御答弁がございました。さてこの電子工業におけるいわゆる労働生産性を裏づけるような労働者の労働状態、さらに会社の行なう労務管理その他の問題について、ここで労働生産性の低いという言明の裏づけとして必要な点におきまして、政府のほうのこれに対する内容をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/63
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064・森崎久壽
○森崎政府委員 私どものほうの労働生産性の調査でございますけれども、あくまでも統計的な資料からグローバルな形でこれをつかんでおりまして、個々の労務管理その他のところにいわば掘り下げはいたしておりません。先ほど申し上げましたように、工業統計表によりました労働生産性といいますか、そういう統計的にいって、ここ数年間あまり伸びがないという観点から、全般的な電子工業に対する生産性の向上ということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/64
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065・加藤進
○加藤(進)委員 私はあまり形式的に労働生産性云々ということを議論申し上げたいと思っているわけじゃないのです。労働生産性を裏づけるような、労働者が製品をつくる場合にどんな状態で働いておるのか、働かされておるのか、こういう点を政府は責任を持って調査し、実態をつかむ必要がある、こういうふうに考えておるわけです。
そこで私一つお聞きしますけれども、この日本電気の三田工場は約二万人に近い大マンモス工場であります。ところがこの工場で二万人のおよそ一割に当たる二千人の労働者が、昨年一年間に日本電気三田工場をやめているというような状態が事実あります。これはお調べ願いたいと思うのです。こういう状態がどうしてあらわれるのか、こういう問題が一つ。それからまた、ここで働く労働者の賃金は決して他に比べて高くないです。花形産業、成長産業といわれて、そのもとで働いておられる労働者の諸君のいわば賃金水準が他に比べて非常に見劣りがするということは、一体これは何を意味するか。たとえば中学校卒業で十年間勤続の労働者が、まだ手取り二万円足らずですよ。結婚もできない、こう言っておるのです。こういう状態のもとで労働生産性を云々するということは実体のない論理であるし、これは資本家の利益ということを頭に置くだけの議論の立て方だ、こう言われても私はしょうがないと考えております。
賃金の問題や会社をやめていく方の問題はそれくらいにいたしますけれども、ここでこういう作業が行なわれております。作業の速度をはかるために、どれだけの早さでその手が動くのか、指の早さがどれだけで動くのかということをはかるための特別の作業速度専門の係が置かれておるということです。きびしいものですよ、これは。また、つい最近です、三時と十時にいままでは十分間休憩をとらしていた、十分では多過ぎると、これを二分にしたのです。五分の一にしたのですよ。一分さえ休ましては損だ、こういう立場で労務管理が行なわれているという事実もはっきりしておるのです。きたない話になりますけれども、これは便所です。これはお調べ願いたい。曇りガラスで外からは見られないような便所が、今度は外からも監視できるような状態にしたというのです。一つ一つのとびらの窓にガラスののぞき窓をつけたというのです。こんなことをしてまで働いて電子工業を振興させなくてはならないという状態に労働者が追い込まれておるということは明らかじゃないですか。こういうことについて、政府は十分に労働者の状態、労務管理の状態、そうしてその上にあらわれてくる労働生産性という問題を真剣にお考え願わなければ、一体この電子工業振興臨時措置法というものは、大資本の利益は十分に与え、保証して、彼らの希望どおりのことをあえて政府の力によって、法律によってこれを行なわせる、しかし労働者はといえば、労働者はこんな状態で苦しみ抜いておる、こういう事実が明らかじゃないでしょうか。
私はあまり長い時間をいただいておりませんので、最後に政府のほうにおいて御調査を願いたい点が一つございます。それは四月二十七日に起こったことで、やはり日本電気の三田工場に起こったことです。松崎清さんという四十四才の労働者が風呂場で自殺されたのです。会社側は、それは病気だから、ノイローゼだと、こう言っておる。しかしこの松崎清さんの働いておられる課は加工課メッキ係というのです。メッキ係というところでは、トリクレンという麻薬の一種を使うそうです。また青酸カリなどという劇薬を使ってやる仕事場だそうです。松崎さんはこういう劇薬を使って作業しておるために、ふらふらになった。もう眠くなってしょうがない、こういうことで、どうか職場をかえてほしいということを会社側に申し入れた。ところが会社は、そんなことは必要ない、もしかわりたければやめろ、こう言い渡された。この工場の中のこの職場は、三田工場の中では地獄職場と呼ばれているそうですよ。職場の諸君は、これは会社が殺したのだと、こう言っておるのです。こういう状態ですよ。こういう地獄職場で労務管理をきびしくして、低賃金でこき使って、そうして電子工業の振興、国際競争力の強化、これが、今度の臨時措置法をさらに七年間延長してほしい、政府の権力の背景のもとで、こういうばく大な利潤をもっともっと保証してほしい、こういういわば法律の内容、性格になるのじゃないですか。私はそういう意味において、今度の電子工業の臨時措置法というものは、このもとで働く労働者、関連中小企業、こういう非常に広範な中小企業と労働者にとって、決して福利の増進にもならないし、さらに産業の振興育成にもなっていない、こういう事実の一端を申し上げたいわけです。
こういう点について、政府がもし法案を一産業の振興という点に重点を置いて提出するならば、ここで働く労働者、これに関連する産業、そうして国民生活の向上安定、福祉に役立つかどうか、こういう観点を真剣に調査し、研究し、そういう上に立って確信を持った法案を出していただかなければ、逆に国民の働くほとんどの人たちはありがた迷惑である、犠牲はすべてわれわれが受けて、われわれの犠牲の上に大資本の利潤をさらに一そう拡大するために役立てる法案だと言われてもしようがないじゃないか、こういうことを御注意までに申し上げまして、私は質問を終わらしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/65
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066・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたします。
本案についての質疑を終局するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/66
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067・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/67
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068・二階堂進
○二階堂委員長 次に、討論に入るのでありますが、討論の通告もございま
せんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/68
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069・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
採決いたします。
本案を原案どおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/69
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070・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/70
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071・二階堂進
○二階堂委員長 内閣提出のアジア経済研究所法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案は去る五月二十一日質疑を終局いたしておりますので、討論に入るのでありますが、討論の通告もございませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/71
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072・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/72
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073・二階堂進
○二階堂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/73
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074・二階堂進
○二階堂委員長 おはかりいたします。
ただいま採決いたしました両法案に関する委員会報告書の作成に関しましては、いずれも委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/74
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075・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/75
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076・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、明五月二十七日水曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X04919640526/76
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