1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十七日(水曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
伊東 隆治君 浦野 幸男君
遠藤 三郎君 小笠 公韶君
岡崎 英城君 神田 博君
田中 龍夫君 田中 六助君
中村 幸八君 長谷川四郎君
村上 勇君 大村 邦夫君
桜井 茂尚君 沢田 政治君
島口重次郎君 楯 兼次郎君
藤田 高敏君 森 義視君
米内山義一郎君 麻生 良方君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 竹下 登君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 宮本 惇君
委員外の出席者
専 門 員 渡邊 一俊君
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五月二十七日
委員大石八治君及び田中六助君辞任につき、そ
の補欠として伊東隆治君及び天野光晴君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員天野光晴君及び伊東隆治君辞任につき、そ
の補欠として田中六助君及び大石八治君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
電気事業法案(内閣提出第一三六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の電気事業法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。大村邦夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/1
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002・大村邦夫
○大村委員 電気事業の運営が、昭和二十七年の十月二十四日以降の無法律状態の異常事態を救済するために、いわば間に合わせにつくられました電気に関する臨時措置に関する法律によって十二年間も運営をされてまいりました。ただいま提案をされております電気事業法案の立案に着手したのは、昭和三十七年五月十六日に電気事業審議会に諮問してからで、それまで法体系の整備をしないで長年放置をしていたということは、どういう理由があるにしましても、怠慢のそしりは免れないと思います。しかも、臨時措置法が制定されるに際しましては、可及的すみやかに法体系の整備を行なうよう決議がされております。電気と同様エネルギー産業であるガス事業につきましては、御承知のように二十九年に、さらにおそかった石油につきましても一昨年、それぞれ恒久法が制定をされております。また、私ども社会党といたしましては、昭和三十二年に基幹産業社会化委員会を設置いたしまして、電気事業の社会化政策を提唱したところであります。あるいはまた政府も再三にわたって指摘をしておりますように、電気事業の重要性等々を考え合わせましたときに、間に合わせ的な法制度で今日まで来た政府の責任は大いに追及されるべきだと考えるわけであります。したがって、政府は、これからこの法案を審議するにあたりまして、まずその態度というものを明確にする必要があると考えるわけであります。今日までおくれた理由について、まず大臣の所信をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/2
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003・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のとおり、審議会ができましてから二年間を費やしたわけでありますが、臨時立法が制定されてから十何年という間、いわば間に合わせ的な法律でもって今日までやってきた、これは非常な怠慢であるというおしかりでございますが、われわれといたしましても、なるべく早く本格的なものをつくりたいという考えではおったのでありますが、いろいろの事情もございまして今日まで延びてまいりました。ようやく審議会で答申案を得ましたので、今回これを成文化して国会に提出をして御審議を願うということにいたしたわけでありまして、その点は、いわゆるおくれておったということにつきましてはわれわれ自身も遺憾であると考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/3
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004・大村邦夫
○大村委員 くどいようですが、いろいろな事情とは一体どういう事情なんですか。その点を明らかにしてほしいということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/4
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005・宮本惇
○宮本政府委員 いま大臣からお話がございましたように、確かにおくれたわけでございますが、その間、実は何にもしなかったかということになりますと、そうではないわけでございまして、政府といたしましても、昭和二十八年の八月に電気関係法令改正審議会というものをつくりまして審議はして、一応の案はできたのでございますが、当時まだ国民経済が非常に不安定であった。特に電力開発の面で建設に追われて、電気事業としての将来の方向がまだ定まっておらなかったというようなこと、あるいは御存じのように復元問題という問題もございまして、いろいろこれが政治的に難航したというような理由からおくれたわけでございます。その点はわれわれ自身としても一生懸命にやったわけでございます。いろいろな理由からおくれたという大臣の御説明の内容は、大体そんなところじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/5
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006・大村邦夫
○大村委員 経済の見通しもなかなか立てにくかったというお話ですが、今日ただいまの時点で、これから十年後の経済を展望した場合に、やはり同じことが言えると思う。公共性の非常に強い、公益性の高いところの電気事業について、やはり単に経済の見通しが立たないからというだけで、あるいは復元問題等があった、そういうものがあればあるほど、国会で可及的すみやかに法体系の整備をしろということなんですから、やらなければならなかったと思うのです。おくれたことは事実だがといって、そう反省の点もないようでありまして、ただ私の言うことに対しての単なる答弁にすぎないようであります。もう少し明確にひとつおくれた理由をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/6
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007・宮本惇
○宮本政府委員 ちょっとことばが足りませんでございましたが、経済の見通しが立たないからということではなくて、電気事業自身がまだ当時開発に追われまして、将来どうなるかはっきりした見通しも立たないというような意味でございます。したがいまして、それも最近になりまして、これは言いわけではございませんが、一昨年から電気事業審議会でいろいろ審議をいたしましたし、電気事業といたしましてある程度安定的な見通しもついてきた。ですから、ついてきたからやった、その間は何にもしなかったという意味ではございませんで、一生懸命に法令は何べんも国会へ提出しようということをやってきたのでございますが、そういう理由、あるいはまた復元問題その他で政府と与党その他の調整がつかなかったというような理由もございましておくれたわけでございます。決しておくれたことが当然だというような意味ではなくて、われわれといたしましてはまことに申しわけないと思っておりますが、やっとここでできたので御提出を申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/7
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008・大村邦夫
○大村委員 きょうは総括質問ですから、あまり繰り返し繰り返し申し上げるのはどうかと思いますが、御承知のように昭和二十七年に九配電の分割が行なわれ、その後電発の解消論あるいは全国の四フロック再編成——もっともその直後に電源開発会社が誕生いたしましたが、その開発会社が誕生して後、いま申しますようにもろもろの問題が提起をされておるのであります。そういう中でありますから、かなり慎重にやらなければならないということはよくわかります。しかしもう十何年もたって、しかも今度の提案を見てみますと、いろいろ経済事情の推移等から内容の充実、強化をはからなければならないということを言っておりますけれども、当時としても、敗戦後数年を経てかなり経済状態もあの終戦当時のこんとんとした時期よりは安定しておったと思うのですが、そういう場合に公益性の強い電気事業について充実した法体系をつくらなかった、ということは、計画的に今日まで行なわれなかったということに言いかえてもいいと思うのです。なるほど何もやっていなかったわけではないでしょう。ないでしょうけれども、場当たり的な要素が非常に強かった。これは非常に遺憾であるということを申し上げておきます。
次に、電気事業は御案内のとおり自由企業から独占事業の時代を経まして国家管理の時代へと移行しましたが、終戦後過度経済力集中排除の指定を受けまして、いわゆる日発卸売り、配電小売りという統制形態より脱却をしまして、そして脱却をした新企業形態をつくらなければならなくなりました。自来電気事業民主化委員会や電気事業再編成審議会等で電気事業のあり方について種々検討されたようであります。そうして電気事業再編成法案と公益事業法案が第七通常国会に提案をされましたが、与野党の反対が多くて両案は審議未了になったのも御承知のとおりであります。経済力集中排除の指定を受けて約二年九カ月間ももたついておりましたから、業を煮やしたマッカーサーのいわゆるポツダム政令によって今日の九分割体制が実施されました。これはいわばアメリカから押しつけられたものだと思うわけです。少なくとも自主的に制定されたものじゃない。といって、押しつけたものがすべて悪いとは言い切れないと思います。が、しかし、問題はその内容でありますが、いま申しますようにその内容が与野党ともに相当熾烈な反対があって国会で審議未了になったというものを基礎として作成した法令である限りにおいては、やはり問題があると思うわけであります。その問題のある事業運営形態が今日に受け継がれているにもかかわらず、政府は、広域運営など若干の手直しを加えたのみでほとんどが現行体制を固定化するという法体系の整備でありまして、私どもはこの態度についてはなはだ理解に苦しむものであります。電気事業再編成以来十年以上を経過しております今日、かなりの矛盾が明らかになったと思うわけであります。その矛盾、功罪等について政府はどのように把握をしておるのか、この点を具体的に的確にお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/8
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009・福田一
○福田(一)国務大臣 私から概括的に問題点を申し上げまして、詳しくは事務から御説明を申し上げたいと思います。
お説のようにこれはポツダム政令によりまして九分割ということになりまして、その後電源開発株式会社というものがまた別個にでき、いわば十の会社が電気の事業に主として従事しておるという姿にいま相なっておるのであります。これの功罪ということでございますが、実を言いますと、われわれも当時はその九分割に反対をいたしておりました。総司令部あたりから大いにおしかりを受けたメンバーでございます。そういうことであれば、今度電気事業法をやる場合には、これはもういわゆる一社化的な、もっとドラスティックな案になるべきはずであるわけでございますが、しかし九分割をいたしました後、二年くらいの間というものは電力会社はなかなかうまく動かなかった。それは配電会社の人事交流その他において非常にいろいろな問題があった。組合の関係においてもいろいろな問題がございました。とにかく非常に人事的に不安定な時代が続いたと言えると思います。しかし、ようやく三年目ごろからどうやら本格的な仕事が始まった。そして、まず必要であることは、やはり何といってもエネルギーを開発することであるというので、各社とも電源開発にずいぶん力をいたしました。当初は、九分割した会社ではたしてどの程度の発電ができるかという意味で、われわれも非常に心配しておりましたが、思ったよりは発電が伸びたわけであります。そこへ電源開発も加わって開発をいたしてまいりまして、今日の状態で見ますと、大体日本の必要とする電力、エネルギーというものを十分に供給するだけの施設ができて、将来にわたっても、私はその能力をいま持っておると考えておるのであります。
御案内のようにエネルギーというものは安定して、しかも低廉なエネルギーを供給するということがその目的でなければなりません。こういうことから言いますと、一応安定感は得ておるということはいまの形において言えると思うのであります。一方この低廉ということになりますと、これはなかなかほかの物価の問題とか経済の状態等々もからみ合いまして、何も電力の値上げをしなかったというわけではございませんが、ほかの物価と比較してみますと、やはり比較的低廉なところに落ちついておる。これは数字的に御説明できると思うのであります。そこで問題は、九分割をいたしました場合に、地域的に電力料金の差が相当生じたということは事実であります。こういうことになりますと、分割をした直後におきましては水火力の調整ということが非常に問題になりまして、水力をよけい持っておるところはいいけれども、火力だけでやっているところはどうも電力料金が高くなって困るから、それを幾分でも差を縮めるためには、いわゆる火力調整金と言いますか、水力調整金と言いますか、とにかく水力をよけい持っておるところから調整金を取って火力地帯へ渡すというような制度もつくってみたわけであります。ところが今日になってみますと、御案内のように油が、いわゆる火力がだんだん必要になり、低廉に供給されるということになってまいりましたので、むしろ火力地帯のほうが安くなって、水力地帯のほうがかえって高くなるというような逆の現象を生じつつあるような事態でございますが、そういう点から考えてみまして、いわゆる水火力調整金というものはもうなくなってしまいましたが、今日においてはむしろ水力地帯をどういうふうに考えていくかということのほうが問題になるわけであります。こうなりますと、私たちとしてはいわゆる広域運営というような姿におきましても、こういう問題を一つ取り上げて考えていかなければならない面があると思うのであります。今度は、それともう一つ形を変えてみまして、いわゆる電気のうちには工業用、いわゆる事業に使う電気と家庭用の電気とございますが、この電気料金がどういうふうになっているか、こういうことでございます。家庭用の電気は、これは米と同じでありますから、できるならば全国一律にするのが姿であろうと思うのでございますが、この問題につきましては、当初九分割をいたしましたときには、一番安かったのが北陸電力でございまして、一番高かったのがたしか中国電力でございます。そしてその比率が一対二・二という、倍以上高かったというところがあったのであります。その後、先ほど申し上げたような火力の進出というか、そういう事情が加わりましてだんだん格差が狭まりまして、今日では北陸が一番安いのですが、これに対して九州電力がたしか一・五という数字になっておると思いますが、格差は順決解消の方向に向かっております。これは火力がもっともっと加わってまいりますと、この傾向はもっと強まるのではないか、かように考えておるところであります。
一方、工業の問題でございますが、工業の場合におきましては、水力地帯では夜間発電という、夜間も川は流れておる、その流れに従って発電をしておる、貯水池式でない、流水式の発電と言っておりますが、そういうものにおきましては、夜使わない電力というものは非常に安い電力になる。これは売ったほうが得であるということでありますから、その安い電力を使ってする工業が、いわゆる水力地帯においては最初は非常に行なわれておったのであります。ところがだんだんこれがピーク時の火力発電がふえるに従いまして、水力というものはできるだけピーク時に使うという方向になり、またその後に建設されました水力発電は、多くは貯水池式の発電に変わってまいりました。そういう関係もあって、日本の産業は終戦後非常な伸びをしたのでありますが、その伸びをした期間における工業用の電力というものは、いわゆる夜間の安い電力を使ってやるというような工業ではなくて、工業自体その地帯における水火力のいわゆる総合した値段で払わなければいけないという、昔とはだんだんそういう意味におけるエネルギーが上がってきたというような状況になっておるわけでありますが、これも順次平準化される傾向にあります。平準化されるというか、むしろ都会地のほうが楽な形になっておるのでありまして、そこへ今度石炭問題というものが出てまいりまして、石炭をどうしても電気にして使わなければいけないという一つの問題が出てまいりまして、今日電発において火力発電を、また大規模なものを揚げ地発電で行なう、こういうようなことは、ことしの予算から実現に移る、こういう形になっておるわけでございます。
いずれにいたしましても、十分に電力を供給するという意味では大体目的は達しておる。ただ九つに分割されており、あるいは十に発電が行なわれておるというところにおいて、どうしても総合的に電気を使うという面においては、いささか欠ける面があると思うのでございます。御承知のように電気は一瞬にして青森から九州まで行くわけでありますから、それをうまく配合いたしまして使うということは、エネルギーを非常に有用に使うということになるわけであります。この面におきましては、九つにしておくのがいいか、あるいはまた一社にしたほうがいいのかという問題はもちろん起こってくる。こういう点におきましても、その後だんだん九電力会社の方々もやはり公益性というものを認識し、いわゆる電気の融通というものを考えなければいかぬというような空気が順次出てまいりまして、たとえばこの間の東北電力の値上げ問題等におきましても、東京、東北、電発というようなものがいろいろ相談をして、東北の電力料金をあまり上げないようなくふうをしておる。また同時に、非常に合理的に電気を使うというようなことも考えておる、こういうような形になっております。私たちはこの点をますますこの法律において進めるという形において、できるだけ欠点をなくすようにしてまいりたい、かように考える。一社化をするということになりますと、今度は配電部門等におきまして、これは昔あったのでありますが、官僚的な組織になるおそれがある。またいろいろの問題もございます。また人事の問題その他でますます二、三年の間混乱する事態も考えられるし、一応この事態になっておればこのままの姿で、電力融通その他の問題、いわゆる弊害と見られる面を矯正していけばいいのではないか、こういう考え方に立ちまして、この法案を提出いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/9
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010・大村邦夫
○大村委員 経緯等も含めて非常に詳細な御答弁がありましたが、その御答弁の中で、料金の地域格差の問題もありました。私ども社会党は、御承知のように国有国営一社化を考えておるわけでありますが、この料金の問題は、できるならば全国一律というような問題、これは諸外国等の例もいろいろあると思いますが、一律であるべきであるというふうに私は考える。なるほど九分割をした当時と今日の実態は、かなり差が縮小する方向にあるということは一応認めるにいたしましても、しかしこれから需用の増によりまして、相当な電気施設等の増大なり建設が予想されるわけでありまして、しかもその電気の需用は年々伸びると同時に、地域的にやはり需用構造に相当な差があると思いますし、その伸長の強度についても地域的な差があると思う。そうしますと、やはりこれは会社の内部留保に影響してくることでありまして、会社間の格差というものも、いままでよりは縮まったにしても、これからを展望した場合に、そういままでのようにどんどん縮まってはいかない。あるいはむしろ逆の現象が出るのではないか。そういう面を考えてみましたときに、これから料金の差が縮まっていくということは考えられないわけでありまして、そういう点を考えるならば、私どもはこの問題については解消する方向として全国一律化を考えなければいけない、こう思うわけでありますが、これからの展望を含めて、もう一度御説明をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/10
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011・宮本惇
○宮本政府委員 御指摘のように、九つの電力会社の今後の建設というようなことが、それぞれの地区の需用構成あるいは需用の伸びのテンポというようなもので違ってくるという点は、おっしゃるとおりだと思います。したがいまして、確かにその会社だけでいろいろやっていればそれぞれにアンバランスが出てくるということになると思いますが、先ほど大臣からお話がございましたように、広域運営というものが、いままでは既存の設備から出る余った電力を融通するというだけであったわけでございますが、一応これからは、もちろん限界はございますけれども、全国をとりあえず四つのブロックに分けまして、そのそれぞれの地域の中でいわゆる輪番開発と申しますか、あるいは共同開発というようなことをやって、たとえばある時点におきまして経済の苦しい会社に対しては、ほかの隣の楽なところがかわりに発電所をつくってやるというようなことをして、いま御指摘の開いていくのをある程度とめるという効果は期待できるのじゃないか。しかしながら広域運営自体が必ずしも一社が損をしてまでやるというところまではいきませんわけでありますが、そういう場合には、国家資金を使える電発が出ていって開発をしてやるというようなことで、そういうようなやり方で現在のところは十分やっていけるのじゃないか。理論的に申せば一社化ということも十分あり得ると思いますが、現状から見て、現段階においてはそういうやり方でいま先生の御指摘のいろいろな弊害は防げるという前提でこの法律をつくっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/11
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012・大村邦夫
○大村委員 開きを縮めるために、これから国が重点的に比較的経営状態の弱い企業に対して力を入れていくということでありますが、これは、いわば財投等、国家資金をかなり投入し、あるいは国家資金がほとんど注入されておる電源開発会社等を活用するということになると思いますので、その国家資金を純私企業に、いかに公益性が強いとは言いながら、どんどんつぎ込むということについては、これは問題のあるところであります。この点に対する意見についてはあとに譲ることにいたします。
次に、これも電気料金に関係することでありますが、九電力体制による電気事業の新しい運営に関して、移行当時、いろいろ議論をされ、また心配して指摘をされた点があります。それは、私がいま申しましたように、電力会社の発電設備の不足によりまして、会社間の発電コストに差が生じ、そのために電気料金に地域的差が生じて、編成前に比べて需用家に対して差別待遇をするようになる。これは大臣も非常にお詳しいから御承知と思いますが、これの移行の前には、全国電気料は一本であったと思います。需用家の差別待遇をすることになる。これは公共の福祉に寄与するという電気事業の目的の一つに反するおそれがある。こういう議論が私はあったと思います。そのことが全く今日事実としてあらわれておる。で、一般の需用家等に、今日の電気料は幾らか。九州でつける六十ワットの定額、あるいは中国でつける六十ワットの定額、あるいは関東、北陸、そういうものについて電気料金がばらばらであるということは、知らない人が多いのであります。実は東京や関西、中部で使う六十ワットの定額灯が百四十九円。同じ六十ワットで中国では二百二円なのです。九州では二百二十円、四国では百九十三円、またメーターによるところの従量電灯もそれぞれ違っておりまして、そういうことを話すと、需用家といいますか、一般の人はたまげるわけでありまして、それは矛盾だ、こんなことがあるのですか、こう言うわけであります。私どもはそういう国民の意思としても、こういう電気料金に格差があるということがどうしても納得のできないところでありまして、それを解消するには一体どうしたらいいか。これは言うまでもありません、全国を一本化すればいいので、きわめて簡単なことであります。この一本化できない理由として、大臣からいろいろ御説明がありました。その中の一つに人事面の混乱、あるいは配電部門に対するところの配慮等もありましたが、私は、それもさることながら、今日政府はこの九配電分割に固執をしておられる理由は、やはりサービスの面とか、あるいは能率の面、企業意欲の面、そういうものが中心になっておるのじゃないかと思うのですが、そういう考えではないのでしょうか。と同時に、それといわゆる一般の——一般というより電気料金を統一するということのてんびんの度合いですね。どっちが一体大事なのか。公益性という立場をとれば、やはり電気料金についてまず考えていかなければならないと同時に、企業意欲やあるいは能率等については、これは運営の中で強化すればいいことであって、それができないというならば、電電公社は一体何か、国鉄は何か、あるいは専売事業は何か、いろいろお尋ねしたい問題があるわけですが、そういう点に対する御所見をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/12
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013・福田一
○福田(一)国務大臣 ちょっと御質問の趣旨を聞き漏らしておりますので、もう一度お聞きを願いたいと思いますが、電気などは料金を一本化すべきではないか、私は一つの御意見であると思っております。また私も、実を言うと九分割に反対したときにはそういう意味のことを申しておったことも事実でございます。ただしかし、今日のような事態ができてまいりますと、これをもう一ぺん一本化するがいいかどうか。分割した利益も決してないわけではないと思っておりますので、もう一ぺんそういうようなことをしたがいいかどうかということは、われわれとしては研究はいたしますが疑問があるというのが実態でございます。電気とか食糧というようなもの、特に米とか、そういうようなものはみな同じ値段がいいということであればごもっともでありますが、しかし、こういうことからいえば、水なんかも、人間にとっては大事なものでありますが、水道はみな各地で値段が変わっておる。水ぐらいはみな一緒にしたらいいじゃないか、なぜ一社化しないのか、こういう議論も成り立ち得るかと思うのであります。もちろんそれをして悪いということではありません。私鉄なんか、国鉄は全国一社化、みな同じでございますが、私鉄はみなばらばらでありまして、みな違っておる。こういうものは交通機関という関係からいえば、バスにしても私鉄にしてもみな一緒にしたらいいじゃないかという議論も成り立つわけでございまして、私は、その事業の性質、それからまた現在までの経緯、現在の姿、将来への展望、こういうようなものをいろいろ組み合わせて考えてみまして、そうして、やはりどれが一番国家的に合っておるか、また現実のいまの姿と将来の姿というようなものを考えて、どうこれを直していくか、こういう考え方で問題の解決に当たるべきじゃなかろうか。私たちが広域運営ということをここで打ち出しておりますのは、実はあなた方のおっしゃっていられるいわゆる一社化の利益というものをできるだけ吸収したいというか、実現をしたいという意図でこれをやっておるのでありまして、そういう意味では、私は、一歩前進させていただいておるのではないか、こう考えておるわけでございまして、急に一ぺんにそこまでいったらいいか、階段を踏んでだんだんと上がっていったらいいかというような問題も、一つの研究課題としていろいろわれわれとしても研究していまして、方向としては一致しておりましても、やり方の面でいささか相違がある、こういうふうに私たちとしては一応理解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/13
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014・二階堂進
○二階堂委員長 大村委員に申し上げますが、大臣は農林水産委員会の採決のあれがあるそうでございますので、暫時向こうに出席されまして、向こうが済まれたらすぐ帰ってこられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/14
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015・大村邦夫
○大村委員 それでは私は、きょうは総括的な質問を行ないたいと考えておりまして、個々の面にわたる点、あるいは具体的な面については、これは事務当局なり局長で御答弁を願ってもけっこうでありますけれども、基本的な総括ということになりますと、大臣がおられないとちょっと困りますので、私は、大臣がおられない限りは、一応質問を保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/15
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016・二階堂進
○二階堂委員長 それでは伊東隆治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/16
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017・伊東隆治
○伊東(隆)委員 ポツダム政令以来十二年ぶりにこの法律はできたわけでございまして、画期的なものでございます。よく読んでみますると、なかなか難解なところがところどころにございまして、裏から述べたりする点もところどころにありますので、それらの点についていろいろ質問いたしますると時間もかかることであり、また総括質問の場でもございますので、一々質問することは避けますが、この法律の主要目標はここの理由に書いてありますとおり、第一に使用者の利益をまず保護するということと、第二には、電気事業の健全な発達をはかることであり、また公共の安全を確保する、この三つが目標でこの法律は制定せられておるわけでありますが、この使用者の利益を保護するという点について、あまり十分でないんじゃないかという気がいたしますが、この点についていかなる配意を政府はなさったか、この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/17
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018・宮本惇
○宮本政府委員 確かにこの法律のねらいといたしますところは、長期で低廉な、しかも豊富な、さらに良質の電気を送ることによって、いわゆる電気をお使いになる方の便宜をはかるということが、電気事業の健全な発達とともに、一つの大きな柱になっていることは事実でございまして、法律上もいままでにない、たとえば質の確保の面で、電圧、周波数の維持義務あるいは業務の改善命令、さらには苦情処理制度というような、いままでよりは一歩前進した形で規定しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/18
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019・伊東隆治
○伊東(隆)委員 広域的運営ということが、すなわち使用者の利益を保護するということだとも言えるのであろうと思うのでございますが、この広域的運営という大きな目的のために、現在の九つの電力会社と、一つの電発会社、十の組織で第一の目的達成にも努力されるという趣旨でできておると思うのでございますが、この広域運営という点であります。その前に、まずこの九つの電力会社の事業運営の地域というものは、これは独占的だと考えていいものでありますかどうか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/19
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020・宮本惇
○宮本政府委員 旧公益事業令におきましては、法律的に地域独占の規定が入っておったわけでございますが、今度の電気事業法案におきましては、法的な独占の規定はございません。ただ、実際問題として、いろいろな供給設備を認可いたします場合に、それが重複しないようにという配慮からやるというだけでございまして、考えによりましては、その地域内に別の電気事業者が入ることがいけないというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/20
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021・伊東隆治
○伊東(隆)委員 電気事業審議会の答申を見てみますると、その地域内においては独占的な経営を認めているように思いますが、その点どういう御見解でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/21
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022・宮本惇
○宮本政府委員 実際問題といたしまして、電気事業というものが主として九電力——大きいところに関して申し上げるならば、やはり戦前のような電気事業の過当競争というようなことになりますと、国家的に設備が非常に重複をする、全体的に見てむだであるというような見地で、実際問題といたしましては、やはり供給区域というものを認可の際にきちっときめましてやる。もちろん離島その他は別問題でございますが、実際的な運営はいままでと同じでいくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/22
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023・伊東隆治
○伊東(隆)委員 では、やはり独占的な経営をするものと了承していいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/23
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024・宮本惇
○宮本政府委員 独占的と申しますか、電気事業は、その事業の性質上地域独占的性格を有するという意味におきましては従来とは変わらない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/24
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025・伊東隆治
○伊東(隆)委員 ところが、この第五条、第十五条等を見てみますると、電気事業の許可、あるいはまた許可の取り消し等を規定しておりますが、この電気事業の許可というのは、九つの電力会社以外の電気事業という業者に許可を与えたり、または取り消ししたりすることを規定しているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/25
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026・宮本惇
○宮本政府委員 電気事業者と申します場合に、いわゆる小売りまでやる一般電気事業者と、それから一般電気事業者、すなわち九電力会社その他にだけ供給する卸売り電気事業者というのがございます。一般電気事業者というのは、実際的には大部分は——九電力が非常に大きいわけでございますが、その他にも一般電気事業者というものがあるわけでございまして、たとえば大島電力というのがやはり一般電気事業者である。したがいまして、この法律自体といたしましては、一般電気事業者及び卸売り電気事業者に分けておりますが、一般電気事業者といえども、九電力が全部というわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/26
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027・伊東隆治
○伊東(隆)委員 そうしますと、この九つの電力会社というものは、その地域内において独占的な経営をする事実上の権利を持っておる会社だと了承するわけでございます。したがってその電気事業の性格から見ても、その地域内における住民の要望及び需用には十分こたえていかなければならないと思うのであります。したがって、その地域内において著しく料金及びサービス等において格差のある電力事業というものを放置しておくということは、この独占的な事業の性質からいって許可してはならぬことだというふうに考えられますが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/27
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028・宮本惇
○宮本政府委員 それぞれの電気事業者の間に非常な格差があるという点では、確かに先ほども御指摘ございましたように、その地域の住民に対して、できるだけほかと一緒にするような努力をしなければならないということは、おっしゃるとおりだと思います。ただ、その土地内のいろいろな事情とかそういうものから、現在といえども相当に開きがあるということは残念ながら認めざるを得ないのでございますが、われわれとしては今後できるだけ早くそういう条件を平準化していきたいというふうに努力をする決心ではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/28
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029・伊東隆治
○伊東(隆)委員 そこで、いま九州電力の経営しておる地域の一つである奄美大島地区におきましての電力事情でございますが、これは通産省におきましても係官を派遣して実情を御調査になったとおりでございまして、一般電灯料の約二倍半にも近い高い料金を払っておりますし、またサービスの点におきましても、夜間は十二時までしか電灯がつかない、しかも二十ワット程度の薄暗い電灯が各戸にあるくらいというような、実に内地、本土においては想像もつかないような電気事情であるのでございます。したがって病院等におきまする電気メスの使用とか、あるいは学校におきまする視聴覚教育とか、また最近テレビが導入されてまいりましたが、そのテレビを見るということも十分にできないというような実情である。こういうような地域が独占的な事業を許されておる、九分割の大きな電力会社の地域内においてあるということは、私は電力のごとき性格の事業のもとにおいては許されないことであると思うのでございますが、これに対する政府のお考えはどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/29
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030・宮本惇
○宮本政府委員 ただいまお話のございましたように、奄美大島の実情は確かに本土に比べまして電気料金が高い、また供給のいろいろな実情が十分でないということにつきましては、御指摘のとおりでございます。ただこの奄美大島は、先生御存じのように、米軍が一時占領いたしておりまして、昔は九州配電のあれであったわけでございますが、終戦後は占領下にございまして、これが日本本土に復帰後は、いろいろのいきさつがございまして、大島電力という別の会社でやるということになったわけでございます。政府といたしましても、過去から申し上げますと、開銀資金を相当大幅に重点的に投入いたしております。また九州電力が全面的に資本参加をいたしまして、大部分は、たしか株の九八%は九州電力ということでございまして、統計的に見れば、供給力も過去の七倍になっておるわけでございますが、現状は御指摘のように満足すべき状態ではありません。またロスが非常に多いわけでございます。四〇%のロスということで、この辺の改善の問題がやはり至急行なわれなければならない。したがいまして、本年度といたしましても開銀資金を一億つぎ込み、あるいは九州電力が大幅に増資をする場合に全部引き受けるというようなことで、電力施設の改善には全力をあげる予定でございますが、しかしながら将来の問題といたしましては、やはりわれわれといたしましても、いつまでもこの状態で置いていいとは決して思っておりませんので、九州電力のほうともよく話し合いの上で——ただこれをいますくということになっても多少問題がございます。と申しますのは、やはりロスが多いという原因といたしまして、まあ専用と申しますか、二十ワット、その辺の問題もございますので、この間われわれのほうから調査に参りまして相当はっきりいたしております。そういうふうに開銀なりあるいは九州電力の大幅増資ということに全力をあげて、そして同時に多少姿勢を正していただくというようなこともやっていただいて、とりあえず現状をとにかくよくする。もちろん将来の問題として、九州電力とも十分行政指導いたしまして、まあ将来いずれかの機会と申しますか、できるだけ一緒になるというふうな方向に持っていきたいと思いますが、いますぐということにはいろいろ問題がございますので、その問題はすみやかに解決の上、そういう方向で検討をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/30
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031・伊東隆治
○伊東(隆)委員 いま奄美群島は、大島電力という企業会社と四つの公共団体、町村の経営、五つのそういう主体が経営しておるわけでございますが、いわゆる広域的運営の反対の狭い狭域経営で、能率は上がらぬし、全く広域の反対の結果がもたらされておりますので、一日も早くいわゆるこの法律にうたっておる広域的運営によるサービスの向上をひとつ実現したいというのが郡民の非常な希望でございまして、御承知のとおり昭和二十八年に、いまからちょうど十年前に米軍の管轄下から、八年間の占領下から解放されて、日本本土に復帰しまして、国も特別法で二百十億という金を投じてこの復興に努力し、なおことしからはここに百五十億というお金でまた振興計画を立てておる実情でありますのにかかわらず、肝心な電力が内地の二倍半にも近いので、いろいろの産業が興りにくいのです。国がそれだけのめんどうを見ておってくださるのに、肝心な原動力がこのとおり非常に壁になっておるということは、今後の振興のためにも大きな阻害になっておりますので、一日も早くこの状態は解消いたしたいというのが郡民の希望でございます。さればこそかつて九九・八%という郡民の署名をとって、この復帰運動が成就して本土に帰ることができたのですが、今度は、この電気だけはまだ復帰していないというので、この前五万七千の人の署名をとって、通産大臣また両院の議長に、それぞれ署名録を持ってきたことは御承知のとおりだと思うのですが、それほどの熱望があるのでありますから、通産当局はこの問題を真剣に取り上げていただきたいと思うのであります。
そこで郡民が非常に希望しておることは、いまのお話にもありましたとおり、もと九州配電の所管であった関係もあり、また今日九電が非常によくめんどうを見ておってくださる実情にもかんがみまして、いっそのことこれを九電の中に包含していただくわけにいかぬかということでございます。いま九電に抱いてもらいますと、約一億円くらいの赤字を九電は背負わなければならぬような結果になるのでありますが、いまの施設のいわゆるロスなるものを改善いたしますれば五、六千万程度の赤字で済むのじゃないかと思いますので、大島電力会社自身体質改善なるものをみずからやって、九州電力が包含しいいようにしておいて、一日も早くその実現を見たいと思うのでありますが、との九電地域におけるこういう奇形的な存在がいま奄美群島にあることについて、九電との関係における郡民の希望達成方については通産省はどういうようにお考えでございますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/31
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032・宮本惇
○宮本政府委員 九州電力管内は、確かに大島電力の問題もございますが、まだそのほかにもいろいろ離島もございますし、いま御指摘のように、いままでも開銀の融資をかなりつぎ込んでおりますし、やっておるのでございますが、やはり実は先ほど申し上げました送電ロスの現状というのが、これはわれわれの係官が調査に参りましても、定額の場合に、二十ワットのところへ百ワットの電灯が幾つもついておるという事情もございます。それから銅線ではなくて、ひどいところは鉄線でいっておる。至急とにかくそういう設備をよくする。それと、九州電力ということになった場合に、われわれとしてはいままでほど奄美大島に特に重点を置けるかどうかという問題もございますし、現段階といたしましてはとにかく——われわれこの間調査団を派遣いたしまして、現状はどうなっておるかということが大体わかりまして、とりあえずそれをどうしたらよくなるか、次の段階でそれでもどうしてもだめな場合に合併——合併と申しましても、これは御承知のように今度の法律でも合併命令というものは規定はできませんし、結局九州電力と奄美大島電力とのお話し合いになるわけでございますが、もちろん電力会社がそういうものをお引き受けする場合には、現在のままでただ引き取れといわれましても、そこにコマーシャルベースの問題としてむずかしい問題もございます。そういう意味で、ステップといたしましては、現在の大島電力がどうしたらよくなるかというところにまず重点を置きたい、しかる後に、きれいにした上で考えたらどうか、もちろん九州電力のほうにはその点のお話し合いをしていただくような行政指導は十分いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/32
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033・中川俊思
○中川(俊)委員 ちょっと関連してお尋ねしますが、先ほど来局長の話を聞いておると、私はいま通産省が出しておる電気事業法案の趣旨に反すると思う。この電気事業法案は主として広域運営のための事業法でしょう。それならばなぜそういう問題を放任しておくか。それから、実情調査したら二十ワットのところへ百ワットのものをつけておる、けしからぬ、鉄線を引いておる、けしからぬ、これはやむなくそういうことをやっておる。君は自分のうちで二十ワットの電灯をつけて生活してみたまえ、できないと言うから。できないから、背に腹はかえられなくて島民はやっておるのだと思う。だからそういう問題を解決してやることが公益事業局の仕事じゃないか。行政指導もいいけれども、九州電力とよく話し合って、そういう問題はすみやかに解決していかなければいけませんよ。第一いまの憲法に、国民は健康にして文化的な生活を営む資格がある——二十ワットの電灯をつけておって文化的な生活ができると思いますか。だからそういう問題をよく解決してやらなければだめなんだ。ウナギ問答みたいなことを先ほどから私聞いておるけれども、通産省としてどうするのだというときには、隣に政務次官がおるから、政務次官から通産省の意向を言わせなければいかぬ。そうでしょう。あなたが、通産省の局長が通産省を代表して言う資格が一体あるか。政務次官を無視してはいかぬ。通産省の意向はどうだ、政府の意向はどうだというときには、政務次官がおれば政務次官に答弁してもらうのが本筋じゃないか。先ほど来私は聞いておるけれども、君は僭越だよ。だから行政指導する面は、よく九州電力と協議をして公益事業局は行政指導すべし、政府はどうするかというときには、政府の代弁者として、大臣の代理として政務次官がおるのだから、政務次官に答弁をしてもらう。筋道を立てないとだめですよ。やっておることが本末転倒している、首尾一貫していない。こんなことだったらこの電気事業法案は審議しませんよ。政務次官から答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/33
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034・竹下登
○竹下(登)政府委員 ただいまの奄美群島の大島電力の問題でありますが、これについては伊東先生からもたびたび私ども陳情の形において実情を聞かされております。そこで、ただいま局長から答弁を申し上げましたが、先般の時点においてさっそく取りかかりましたのは、四〇%に達する送電ロスの実情調査ということであります。この調査も一応終わりまして、将来の企業のあり方といたしましては、ただいまの御意見にもありましたごとく、九州電力との合併の慫慂という形で検討すべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/34
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035・中川俊思
○中川(俊)委員 それではお尋ねしますが、一体その時期はいつごろになるのですか。九州電力のほうにもいろいろ御都合がございましょうし、これをやるのには相当の予算を伴うことだと思います。したがって、政府は九州電力のほうにいきなりこれを持っていってみたところで、経費の点で即答はされないだろうと思う。そういう点について、政府は開銀からこういうふうに融資してやるとか、あるいは政府のほうでこういうふうにやるからこうしてくださいという積極的なる意思で働いてもらわなければ困ると思うのです。これを九州電力にまかせ、それから通産省として事務当局にまかしておりますと、いつまでも日の目を見ない結果になるのではないかと思うのです。だから大体の目算を立って、すみやかにこういう問題は善処してもらわないと、お互い日本国民でありながら、二十ワットの電灯をつけて、全くテレビも見ることができない、子供が勉強することもできないというような不幸な状態に放任しておくということは、一日として許さるべき問題ではないと思うのです。ですから、政府は今後積極的にどういう手を打つというのか、もう一度政務次官からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/35
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036・竹下登
○竹下(登)政府委員 ただいまの御答弁で申し上げました四〇%のロスの実態調査のほかに、未点灯部落の解消状態、末端配電電圧の状況、需給バランス、収支の見通し、この四項目を重点事項といたしまして調査を一通り完了いたした今日であります。私の口からきょう、何年度を目安にということを断言するだけの準備はいたしておりませんが、その結果をもって検討いたしまして、早期に先生のおっしゃった方向で努力するということをわれわれとしてはっとめなければならな、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/36
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037・伊東隆治
○伊東(隆)委員 ただいま中川委員及び社会党の委員の先生方からもまた無言の応援がございまして、私非常に力強く感ずる次第でございます。
そういう実情でございまして、いまや十年間にわたり、復興事業に二百十億もかけてやってまいりましたために、道路や港湾その他そういう建設事業は非常に目立ってよくなり、船も大体各港に横づけになるようになってまいりましたが、生活内容は、肝心なこの電気問題が解決いたしておりませんので、依然として二十ワット状態であることはまことに悲しい次第でございますので、これは一日も早くその主管省である通産省のひとつ熱意を持った解決を切に希望する次第でございます。
この機会にひとつまたお尋ねしておきたいことは未点灯村の解消の問題であります。米軍の占領から解放されて本土に復帰いたしましたときには、未点灯村というものは約五〇%に近かったのが、いまや解消されて、八四%の町村がみな電灯がつくようになった。でもなお一四、五%は未点灯村がありますので、これらの解消になお努力をいたしておるのであります。しかるに、もし奄美の電気が九電に統合された場合には、各電気会社に対する開発銀行の貸し出しが、大体事業量の二割とかいうふうな制限があるので、いま奄美に対する融資のような恩恵的な率が課せられないから、かえってそれは九宙に合併されないほうがいいじゃないかというようなことを九電の方面から言っておるということを伝え聞いたのでありまするが、ここで、開銀の当局者がいないので、お尋ねするのもどうかと思うが、これは一体どういうことであるか。すなわち、九電に合併せられても、ひもつきで、これは奄美群島の分だといって、それだけの融資を特に配慮してやるということは、開銀としてできることだと私は思うのですが、これについて通産省としてわかっていることがあったらお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/37
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038・竹下登
○竹下(登)政府委員 私も特段いわゆる根拠になる法令等を持ってお答えする自信が今日ございませんけれども、そうした場合に開銀融資にあたって、たとえばそれぞれの地域開発法に基づく地開ワクというものがあるごとく、そういう形は検討すればできるであろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/38
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039・宮本惇
○宮本政府委員 さっき中川先生からおしかりがございまして、私がおこがましいことを申し上げた点はおわびをします。ただ、先ほど私が申し上げた中で、二十ワットでいいという意味で申し上げたのではございませんので、よけいな電気が要るならば、従量電灯なら従量電灯に改めていただくという意味で申し上げておるわけでございまして、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。もちろん私は決してその努力を怠るという意味ではございませんで、その点は今後政務次官の趣旨に従いまして一生懸命やるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/39
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040・伊東隆治
○伊東(隆)委員 そこで、だんだん奄美群島の電力事情の実態がはっきりわかりつつあると思うのでありますが、その時期等については、政務次官もいまはっきり言えないというのも無理ないと思うのであります。しかし、大体この機会に、この電気事業法という、こういう画期的な法律ができて、広域的運営が強調されておるこの際でありますから、奄美群島の電力事情がある程度——いわゆる、近ごろよく体質改善ということばで表示されておりますが、ロスがだんだん減少していくというようなこともあり、そう大きな負担を九電にかけることがなくなったときには、一日も早く九電に併合して広域的運営をすべきものであるという見解は、この機会に通産省として述べてしかるべきものだと思うが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/40
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041・竹下登
○竹下(登)政府委員 そういうお答えをしてしかるべきであると私も思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/41
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042・伊東隆治
○伊東(隆)委員 それならば、ぜひひとつその点は、政務次官のこの発言ははっきりしておいていただきたいと思うのであります。実は、全国において九つの電気会社以外にこういう電力があるのは、北海道の利尻島に四、五百キロ、また瀬戸内海の島の四つ五つに、四、五十キロ程度の電力があるだけでございますが、奄美群島では七千キロの大きな重力を、いま内地の二倍半の料金でもって住民は使用しておる、こういう奇形的な存在でございます。国を九つに分けて、広域的運営をやって、料金やサービスの向上をはかっている際に、七千キロにも達する大きな電力が、ただ一つ日本国の中で奇形的な存在としてある。しかも八年間米軍の占領下にあって、せっかく本土に帰ってきても、これのめんどうが十分見られていないという実情は、これは何としても主管省である通産省としては一日も黙視してはならないと私は思いますので、この場においてのいまの政務次官の発言はぜひひとつ実現してもらいたいと思うのであります。
なお、さっき宮本局長も言われたとおり、そういう合併命令を役所として出すわけにはまいらぬでしょうが。行政指導と申しますか、やはり九電当局ともよく話し合って、一日も早くこれを統合するという方向に進めていっていただきたいということを切にお願いいたす次第でございます。
以上をもって私の質問を一応終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/42
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043・二階堂進
○二階堂委員長 それでは暫時休憩いたします。
午後零時五十八分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らな
かった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05019640527/43
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