1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十九日(金曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
浦野 幸男君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 小宮山重四郎君
田中 六助君 武市 恭信君
長谷川四郎君 大村 邦夫君
加賀田 進君 沢田 政治君
島口重次郎君 藤田 高敏君
米内山義一郎君 麻生 良方君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 鉄藏君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 宮本 惇君
委員外の出席者
専 門 員 渡邊 一俊君
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五月二十七日
委員森義視君辞任につき、その補欠として野口
忠夫君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
電気事業法案(内閣提出第一三六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の電気事業法案を議題として審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。大村邦夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/1
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002・大村邦夫
○大村委員 大臣も御承知のように、この前料金政策の一部に入りましたが、途中で中断いたしました。きょうは基本的な問題について総括質問なり意見を申し上げたいと思います。
まず第一に、電気事業は国民生活及び産業活動上欠くことのできない基礎エネルギーを提供するものでありまして、国民経済の発展と密接不可分の関連を有するきわめて公益性の高い基幹産業であるということは、政府はこの法案の提出にあたって趣旨説明の中で繰り返し強調されております。したがいまして電気事業のあり方を論ずる場合に最も考慮しなければならないのはその高いところの公益性、社会性をいかに生かしていくか、発揮するか、この点を論ずることなくして電気事業の真の使命の達成はできないと考えるわけであります。その点についてひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/2
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003・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のとおりだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/3
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004・大村邦夫
○大村委員 ということは、本法案の中でその点を十分考慮したということでしょうが、ならば、なぜこの電気事業を私企業にまかせておられるかという点であります。私が申し上げるまでもなく、私企業の本質といいますか、性格は利潤の追求であります。国家的利益を経営の原則とする私企業というものがはたしてあるでしょうか、私ははなはだ疑問に思うものであります。民間で企業を興し経営をしようとする場合には、それがはたして採算ベースに乗るかどうか、その点をまず検討して、採算の見通しが立って初めて企業に着手される、これは常識であります。もうけを第一目的とする私企業に、この公共性の強い、社会性の強い電気事業をまかすということは、はたしてその社会性が十分尊重されるかどうかという点あるいは実効があげ得られるかどうかという点について、私は非常に疑問に思うのですが、大臣はその点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/4
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005・福田一
○福田(一)国務大臣 公益性が強いことは事実でございます。そこでこれに対して、株式会社にはしておりますが、普通の会社とは違った監督を加えております。問題は、公益性の強いものをどういうやり方でやるかということはいろいろ方法があると思います。われわれとしては、今回の方法によっていままでよりは一段と、あなたが御主張されておるような面が実現を見ておるのである、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/5
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006・大村邦夫
○大村委員 従来よりはということであります炉、従来よりよくなればいいというものでもないし、あなたが考えておられるような、公益性については考慮したと言いますが、私の公益性の考え方を大臣はお尋ねにもならないで、そんなに見通しがきくものでしょうか。私は、その点については大臣のお答えはきわめて事務的であるし、不親切だと思います。もう少し具体的に、この法案の中でどこに公益性を尊重し、私の考えるような方向で法案が提案されておるか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/6
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007・福田一
○福田(一)国務大臣 あなたの考えておられる公益性というのを聞かないで答弁してはいかぬというお話でございますが、大体私としては、公益性が強いから国でやるとかあるいは一社化すというような方向が正しいという前提に立っておられるものと思って、実は御答弁申し上げたわけでございますが、今度の場合におきましては、私たちは、まず第一に電気の性質から見て、融通その他の面において、あるいはまた電気を建設する場合において、公益性を十分尊重するようにして、そうしてむだをしないようにするということで、一歩進めておると思っております。それからもう一つは、何といっても公益性が強いのでありますから、消費者の便利ということを考えなければいけません。消費者擁護という立場においても一歩進めた、手続その他の面でそういう面を特に重視しておる、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/7
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008・大村邦夫
○大村委員 公益性を高めるためにはいろいろの方法があるとおっしゃいましたが、私が先ほど御質問申し上げましたように、営利を目的とする私企業の中で、はたしてその公益性というものが十分発揮できるかどうか、それは、ある程度は目的を達成するかもしれませんけれども、少なくとも政府が強調しておられますように、国民経済発展のために欠くべからざる、きわめて公共性の強い事業であります。もうからないのに私企業がそういう立場を尊重するというのは、どう考えてみても私にはわからないのです。その点をひとつさらに御解明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/8
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009・宮本惇
○宮本政府委員 具体的に申し上げたいと思いますが、御指摘のように電気事業審議会におきましても、公益性と私企業性の調和点をどこに求めるかといった点が一番中心になったのでございます。この法案の内容といたしましては、電気事業が公益事業でございますということから、事業を始めますときから廃止まで一貫していままでどおり規制をすると同時に、まあ普通の私企業に比べまして、かなりのいろいろな規制を加えております。たとえば配当を一割で大体押える。それから、たとえば電気料金をきめます場合には政府の認可にかける。それからいろいろな設備をいたします場合には、従前よりは緩和されておりますが、やはり工事の初めから、設計からずっと規制をしていく、さらにはそれぞれの場所に主任技術者を置くというようなことにいたしまして、普通の私企業以上の非常に強い規制を加えておる次第でございます。といって、あまり規制を加え過ぎましてもまた身動きがとれなくなっても困るわけで、この法案が公益性と私企業性との調和をまさに求め得たということが言えるかどうかは別として、われわれとしては現段階においては、最善の調和をこの辺に求めていいんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/9
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010・大村邦夫
○大村委員 私の質問は、一般の私企業と全く変わらない営利を追求しておる、こういうことをお尋ねしたわけじゃないのです。少なくとも公益性の高い、いわば国家事業的なこの電気事業について、営利を追求する私企業に依存するというのは一体どうなんでしょうか。私企業というのはもうからぬじゃやらぬでしょう。ほんとうに公益性を発揮するということになれば、ほかに方法はないかというのです。一般よりは、それはお説のとおりいろいろな規制を若干は加えておるのであります。認可の許可制の場合、これについてもぼくは非常に意見のあるところです。むしろ逆の面があるのです。それはあとでまた意見を申し上げますが、私の質問にずばりお答えを願いたいと思うのです。
もう一回繰り返して申します。今日の電気事業が私企業である。そしてその電気事業は一般の私企業と何ら変わることのない利潤の追求をやっておりますということを申し上げたんじゃないのです。営利を目的とする企業なるがゆえに、どう規制を加えてみても、それはやはりしょせん営利を第一の目的とする会社には変わりはないじゃないか。公益性を高めるというなら、もう少しほかに方法はないかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/10
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011・福田一
○福田(一)国務大臣 これは方法の問題でございますが、一般の営利会社と違うことはおわかりを願っておると思うのでありますが、ではなぜこういうことにしたかと言いますと、やはり経緯があると思うのであります。九分割されるまでにいろいろの議論があったことは事実でございます。現在、九分割をされ、そうして九分割をされた電力会社は、発電所も十分つくっておる。また、電気料金についても極力値上げをしないようなくふうをしております。また、われわれもそれを認めないようにしてやっておる。営利をいかに追求しようとしても、われわれが監督しておるから、そうはいきません、その意味でちゃんと規制が行なわれておる。したがって、あなたのおっしゃるようないわゆる一社化というようなことをした場合、あるいは国営にした場合に、また、その面の弊害も出てくるとわれわれは考えておるのでありまして、現段階においては、そういう意味で十分あなたの仰せになった公益性も考慮して、そうしてこの現実に当てはめつつ一番適正なる方途を講ずるというのが、われわれがこの法案を出しておる意図でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/11
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012・大村邦夫
○大村委員 事務当局にお尋ねしたいのですが、大臣は、いまあまり会社が利潤を追求する場合には、それを規制することができる、させるんだとおっしゃった。あまりという、あまりの利潤とはどういうことなんですか。はっきりした基準はあるのですか。どの程度までもうけてよろしい、それ以上はもうけてはならない、そういうことがちゃんと明文化されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/12
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013・宮本惇
○宮本政府委員 あまりという点は、ちょっとあれでありますが、要するに、現在は配当を一割で押えておるわけであります。したがいまして、ですから、一割をこす場合には、これはそれ以上もうかっておるかどうかという問題も出てまいりますが、ただ、われわれといたしましては、現実問題として一割をこしておるというような配当は一割で押えております。したがいまして、償却その他の問題は出てくるわけでありますが、現在のところ、ほぼ定率一〇〇%以下でございまして、また、いろいろな各方面の償却不足とか、あるいは再評価不足といった点で、まだまだ多少ある時期においてはもうかったとしても、長期的に見た場合、しかも料金の長期安定という見地から見れば、やはり自己資本を充実させて、なるべく借り入れによらないで新しく建設工事をやっていくという余地は十分あると考えまして、そういう方向で指導しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/13
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014・大村邦夫
○大村委員 それでは、はっきりした基準はないじゃないですか。ただ配当を一割以上出してはいけない。それによってもうけるところの利潤は資本蓄積、つまり資本充実をやらなければならない、そのことは企業が安定し、やがて国民にはね返ってくるということで、はっきりした基準はない。そういうことですから、通産官僚の指導面がここにかなり入ってくる。公共性の高い企業ですから、本来ならばガラス張りでやらなければならないが、なかなかそういうことにならないと私は考えます。少なくともあまりもうけてはならないという、あまりという点についても、資本蓄積は一体どれくらいやればいいのか、こういう公共性の強い事業は、どれくらいの利潤を上げればもうそれ以上上げてはならないのか。あとは資本蓄積なり、さらに利潤で大事なことは、生み出した利潤は資本蓄積だけでなしに、利用者にそれがはね返ってこなければならぬ、そのことも考えなければならないと思います。そういう点がすこぶるむずかしい問題ではありますが、社会性が強いだけにはっきりしておかなければならない。その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/14
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015・福田一
○福田(一)国務大臣 そういう面については御案内のようにガラス張りでやっておる。毎年ちゃんと検査もいたしております。そしてそれが適正であるかどうかは会計検査院がさらにまたこれを見ておるわけでございまして、私たちからいって何もこれを隠しておるわけではない。もし必要とあれば、九電力がどういうふうにやっておるかということはいつでも明らかにすることができるわけで、まああまりこまかくなりますからそこまでは公表しておりませんけれども、私たちはそういう、たとえば配当は一割以上させないとか、それから償却はどういうふうにするとか、あるいはそれ以上にもうかれば、もちろんこれは電力料金引き下げの問題まで考えなければなりません。ただ、いままで現実にもうかっているところがないものですから、そこまで引き下げられるだけの余裕がないというのでこれは実現しておりませんが、もしそういうような事態が起きれば、われわれとしては電気料金の値下げ、いわゆる消費者にこれを還元するということも当然考えていかなければならぬ、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/15
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016・大村邦夫
○大村委員 常識的にはわかるのですが、これから電気の需用がだんだん伸び、ある地方によってはかなりの利潤も考えられますので、いまたいしてもうかっていないからというだけで対処するのは私はきわめて危険だと思うのです。
さらに、私は先ほど、公共性の強いものを私企業にまかすということは、私企業が利潤を追求する業態であるだけに、公共性がその中に埋没をしてしまうおそれがある、こういうことを申し上げましたが、考えてみますに、国鉄は御承知のように赤字と言われております。この前私が一本化の問題を大臣にお尋ねをしたら、全国すべてに鉄道が敷かれ、それが国鉄経営ばかりではないというような反論がありましたが、その国鉄は、赤字のところでも赤字路線をいま敷設をしておりまして、もうからないというので、それを引き揚げてはおりません。さらにまた逓信事業でもそうでありまして、戸数がわずか百戸足らずのところに電信や電話を取り扱い、さらには配達まで取り扱うという郵便局がある。あるいは電信事業も今日赤字でありまして、これがもし私企業であったら私はそういうものはやらないと思う。準政府機関、あるいは政府機関であるがゆえにそういうことがやられる。このことを私の質問と関連をさして考えてみましたら、私は、少なくとも公共性をより高めるためには私企業よりは国有国営のほうがいいんじゃないか、この点に関する限りははっきりしておると思うのですが、なおかつそれでも反論があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/16
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017・福田一
○福田(一)国務大臣 御案内のように、発電所はいまつくれば損をいたします。特に水力発電などというものは、だんだんいい場所がなくなりましたから損をする。しかし、損をしても、電気の需用はあなたの御説明のようにどんどんふえます。そうすると火力発電をやる。火力発電をやってもピーク時に対するためには水力発電をやらなけければならぬ。むしろいまの電力会社からいえば、発電所はもうつくらない、そして足りないままでその分をやっておれば、これが一番得であります。しかしそういうことは電力事業者も考えておりませんし、われわれもまたそういうことを認めておりません。一応需用に満てるだけの発電所をつくることを電力会社も考えており、われわれもそれをさせておる。実を言えば、いま仰せになったような赤字の分をずいぶんやっておるわけです。発電コストが五円も六円もするものを二円か三円で売ったのでは損をすることは明瞭であります。そこに電力会社の経営の問題があり、いま電力料金値上げの問題がよく出てくるわけでございまして、私はそういう音加味からいって、磁気事業は必要量を満たすためには場合によっては赤字を覚悟しながらやっておるという事実は証明をさしていただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/17
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018・大村邦夫
○大村委員 なるほど、一時的には赤字かもしれませんが、しかしそれは将来の展望に立ってもうかるからやるのであります。これから先もずっと赤字が続くということを考えてそんなことをやってはいないと私は思う。しかし、国鉄の場合はそうじゃないのです。あるいは逓信事業の場合でもそうじゃないのです。さらに大臣は、もうからない水力発電開発についてもどんどんやっておるとおっしゃいますが、電源開発会社があるじゃありませんか。これが、もうからないようなところにかなり政治的に、政策的に動いております。また、その企業が開発がむずかしいようなときに、国家資金がほとんど全面的に投入されておる電源開発会社で開発されておるのは事実であります。なるほど黒部、これは本来なら電源開発会社がやるべきでありましょう。しかし将来の展望に立って、これならもうかると思うからこそ、あれは民間でやったのであります。私は大臣の言われることはわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/18
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019・福田一
○福田(一)国務大臣 御案内のように、電力会社というものは、電気を引いてもらいたい、あるいは工場へ電気を供給してもらいたいというときは、これを断わるわけにはいきせまん。産業がどんどん伸びればどうしても発電量がふえます。そういう場合には電源開発と九電力が開発をするわけでありますが、電源開発というのはあなたも御承知のように大規模なものであり、そしてまた国の水利とかそうした問題と関連したようなものをやる、こういうことになっておる。そういうところへは国の金も出しております。しかし、九電力会社は、では電源開発会社がやってくれればやらないでいいか、そうはいかない。やはり自分のところで必要なものだけはどうしてもつくらないわけにはいかないのですから、私は何もそういうあなたに反論するとか何とかいう意味で申し上げておるのではないんで、実情はそういうふうになっているということを御了解賜わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/19
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020・大村邦夫
○大村委員 それでは参考までにお尋ねをしますが、日本全国で無灯部落が幾つくらいあるのですか。できれば企業別にその数をお知らせ願いたい。最高と最低でよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/20
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021・宮本惇
○宮本政府委員 未点灯の現状でございますが、昭和三十八年の三月現在におきまして、全国計で五万百四十七戸でございます。これは全戸数に対しまして〇・二四%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/21
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022・大村邦夫
○大村委員 どこの管内が最高で、どこの管内が最低か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/22
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023・宮本惇
○宮本政府委員 これは通産局別でございますが、札幌通産局の管内が三十八年三月末におきまして一万七千六百九十八戸それから仙台の通産局管内が一万八百十七戸、それから東京の管内が四千九百十七戸、名古屋七百七十二、冨山百八十八、大阪千三百六十三、広島三千二百六十四、四国八百七十六、福岡一万二百五十二、これの合計が先ほど申し上げました五万百四十七戸でございます。いま札幌、仙台と申し上げましたが、これは大体北海道電力、その他九電力管内の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/23
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024・大村邦夫
○大村委員 大臣は、もうからなくても発電所を設け、そして産業活動にあるいは国民生活に電力事業が寄与しておるとおっしゃいましたが、いまの説明でおわかりのように、全国で占める割合は少ないけれども五万、相当数の無灯部落があるわけです。少なくとも、今日池田総理はよく先進国とか大国とか、いろいろおっしゃいますが、その先進国、大国で無灯部落が五万もまだあるということは、私はどうも考えられないことであります。国民生活とはどうしても切り離しができない。いま少ないというおことばがありましたが、自分はほんとうに電灯がなく生活をしたことがあるのです。昨日も奄美大島の問題が出ましたが、今日電灯がなくて生活というものは成り立たないほど密接な関係があるわけであります。さらにこの内容を見てみますと、今日日本全人口の一割をこえるといわれる東京、ここに無灯部落が四千九百十七、札幌あるいは仙台、つまり未開発の地域、最も文化の恩恵のおくれておる、これから開発をしなければならないところの地域には、一万七千六百九十八とか一万八百十七というような内容が示されておる。私はこの点を考えてみますと、公益性をほんとうに尊重しておるのかどうか。大臣は、つけてくれといえば電灯をつけないわけにはいかないとおっしゃいましたが、この人たちはつけてくれと言わなかったのでしょうか。私は非常に疑問でありますから、そういう点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/24
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025・福田一
○福田(一)国務大臣 電灯の普及率は日本が最高でございます。どこの文明国よりも未点灯のところが少ない。ただしかし、それは少ないというだけで、まだ残っておることも事実でございますので、これは順次——いままでまだ相当ございましたが、順次われわれが督促をして、これをつけるように努力をして、未点灯部落が減ってきておる実情でございます。私はそういう意味で、〇・二四というような比率は世界じゅうで、日本はその意味ではいばれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/25
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026・大村邦夫
○大村委員 よそよりはいいからそれで済むというものでは私はないと思うのです。さらに質問を続けますが、政府は、発送変電技術の著しい進歩に伴う設備の大容量化、それから新鋭大容量火力発電による火主水従への転換、さらに企業間における格差の発生などの変化が生じ、設備を広域的に運用する必要性が非常に高まってきたということで、広域運営を最重点施策として取り上げておられますが、この広域運営のねらいといいますか、真の目的は一体何でしょう。と申しますのは、新鋭大容量の設備の稼働率の向上とか予備電源のプール、あるいは設備の適正配置等をはかるにしましても、それはいわば目的を達成するための一つの手段だと思うのです。それが目的ではない。そういうことをやって、そうして何かを達成するという、志向する目的があると思う。この点を明確にお尋ねしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/26
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027・福田一
○福田(一)国務大臣 電力の融通あるいは送電線の相互利用、あるいはまたいわゆる建設の場合に、場所によってうまく配置を考えていく、こういうことをいたしますと、現実の問題としてむだがなくなります。電力会社自体としてむだがなくなる。すなわち電力を安く供給するということが実現できるわけなので、その電気をできるだけ安く、しかも安心して豊富に提供する、これがいわゆる広域運営の目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/27
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028・大村邦夫
○大村委員 そうしますと電気の政策目標である低廉、豊富、安定、この使命を達成するために広域運営をやる、こういうことですか。——で、この広域運営についてでありますが、そういう使命を持っておるわけでありますが、この広域運営は企業間で採算を度外視して一体やられることがあるんだろうかどうだろうか。広域運営の真の目的というものは、いま大臣がお答えになりましたようにありますけれども、それを達成するためには、自分の会社がたとえば損をしてもお隣の会社にそれを提供する、あるいはお隣の会社はそれでもうかるかもしれない。しかしそれはどこまでも自分の会社に余力があるときに行なわれるので、自分のところの電力が不足になってまでは提供しないと思うんです。またそのことを今度の法律の中でも拘束するだけの規制はない。協調義務ということがうたってあります。具体的には省令とか政令とかいろいろきめるんでしょうが、ただお互いに事業者は協調しなければならない、こういう精神訓示になっておりますけれども、そういうことでは真の広域運営というものははかられない。もちろん今日まで電源開発会社あるいは九電力の間では電力融資、協調融資というのが行なわれております。それをさらに強化したのが今度の法案でありましょうが、しかしそれ自体でも私はいま申しますように、採算を度外視してやるということはやはりやらない、ある程度の利潤の確保の範囲内で行なわれる。また通産省にしましても政府にしましても、指導する場合に、採算を度外視してまで広域協調した運営をやれというだけの私は力がないと思います。そういう点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/28
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029・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のように一社化をして、それを統合してやった場合と比較いたしますと、お説のようなことになると思います。ただしかし、現在の形でありまして九つの電力会社がそれぞれ自分の利益だけでやるのと、それが相互に利益を配分するのと——それは損をしてまではやりません。しかし損をしない限度で融通し合う、これをやるほうがよりベターであるということは御認識を賜われると思います。これをますます全国的に運営をするような方向に持っていきたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/29
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030・大村邦夫
○大村委員 いま大臣の答弁にも明らかなように、よりベターに、よりょくやるということですが、それは確かにいまよりは少しよくなるでしょう。しかし広域運営のほんとうの目的であるところのいわゆる国家的な利益を広い立場で守るという、そのことは私は私企業の中においては十分達成ができない、こういうように考えておるわけであります。この点は大臣がどう答弁になろうとも、私どもはいまのような広域運営、通産省が指導するにしても、もうけの範囲内、強力に推進するといってもそういうことですから、私は強力にならないと思います。このように社会性を最も重視をして、最重点的に取り上げた広域運営の実態はこうでありまして、あとは私は推して知るべしだと考えるわけでございます。
そこでお尋ねをしたいのですが、国家資金の投入が、この電気事業にどの程度行なわれておるかということです。具体的に申しますと、戦後から今日までの電気事業に投入した財投の総額、それから総電力建設費に占めるその割合、さらに財投貸し出し残高について、事務当局から御回答を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/30
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031・宮本惇
○宮本政府委員 お答え申し上げます。
九電力に対し財投資金が昭和二十七年以降ずっと、確かに投入されておりますが、一応二十七年から三十八年までに投入されました総資金が三千四十九億でございます。その他事業者——公営電力とかいろいろございまして、電発を含めますと八千三十九億のうち三千四十九億ということでございます。それから残高でございますが、九電力の場合は開銀融資ということになりますが、これも現在のところ三千八億ということになっております。なお、総工事費に対する国家資金の比率につきましては、ちょっと手元にございませんので、調べまして後ほどお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/31
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032・大村邦夫
○大村委員 それから建設費は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/32
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033・宮本惇
○宮本政府委員 お答え申し上げます。全部の電力関係の過去の総工事費が約三兆二千億円でございます。したがいまして、先ほど申し上げました八千三百億円というのは、その約二五〇%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/33
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034・大村邦夫
○大村委員 次に、地方公共団体等が起債で発電所などの電気施設を建設しておりますが、その建設した発電所等を電力会社に出資をして株を持っておる、そういうものがあると思いますが、それらの電力資本構成に占める割合を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/34
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035・宮本惇
○宮本政府委員 ほとんどないと思いますが、あとで調べましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/35
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036・大村邦夫
○大村委員 私が言いたいのは、今日の電気事業に対して国家資金がかなり投入されておるということです。それはいま説明になったとおりであります。さらに地方公共団体の起債などで建ったもの、こういうものを含めますとかなりの額になると思います。私が説明するまでもなく、財投というのは国民の零細な資金であります。国民年金、簡易保険、もろもろのものが入っておる。起債といえば、県が起債をするときには、結局これは県民の税金としてはね返っていく。そういう国家資金が電気事業ほど高額に投入されておる他の私企業があるかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/36
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037・福田一
○福田(一)国務大臣 他の私企業と比較すれば、非常に電気が多いと思います。ただし、これはあなたも御存じのように、エネルギーというものはすべての産業の根源になりますから、私たちは、実は敗戦後一番先に考えたことはこのエネルギーの充実で、その後ずっとその政策が続けられてきた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/37
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038・大村邦夫
○大村委員 国家資金が私企業に投入されておるその状況は、電気事業がまず第一である。なぜならば、それは公益性がきわめて高いからということを強調せられました。しかし、私はこの公共性なり社会性という問題は、先ほど広域運営の中でもお話しましたように実際には十分の効果は広域運営の中では発揮できないし、しかも、公共性を高める中の最重点施策でそれがある。では、公共性を高めるというのは政府は一体どこに重点を置いておるか、考えてみましてもよくわかりません。結局、これは言い過ぎかもしれませんが、公共性という名前を使って国家資金を投入しておる。そうして、なるほど事業の内容は——事業の内容と申しますか、これは地域独占でありまして、先ほど許可制の問題がありましたように、競争は許さない。全く国家権力によって保護された地域独占。そしてそれにどんどん国家資金を投入して、その投入するのは公益性である。そして今度、実際にそれを経営する場合には私企業である。利潤を追求する私企業。生産から販売まで、すべて国家によって保護を受ける。すべてというとひっかかりがあるかもしれませんが、現実に競争相手はつくらせない。金はどんどん公益性ということでつぎ込む。すべてということばを私はあえて使います。そうして、それを私企業のベースで販売をする。私はそういう事業というのは他にはないと思うのです。いろいろ調べてみましたら、これは独禁法の適用除外が適用されております。しかし結局、政府は公共性を高らかにうたい上げるけれども、それは事業者の擁護に終わっておるんじゃないか、私はそのことを言いたいのです。その点について、政府のほうではどうお考えなのでしょうか。いや、そうでないという考え方だけでなしに、実際に私企業の形態、中身を見てみますと、そうなっております。違うんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/38
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039・福田一
○福田(一)国務大臣 公共性という問題でございますが、公共性というのは、電気というものが生活必需品であり、同時にまた産業を興す製造業その他において欠くべからざるものでありまして、そこに公共性がある。それをやるのにどうしてやるか、こういうことであります。そうすると、独占を許しておるのは、これはむだな競争をさせることはいけない、こういうことでありますが、そうすると、その中において、電気が必要だといわれれば必ず供給しなければならない義務がある。一方において、これを建設するにはばく大な金がかかる。それはとうてい起債市場ではできない。そこで、そういうものは財投その他をもって国の力で補っていく、こういうわけであります。
それから、事業者を非常に——事業者という意味がいろいろございますけれども、重役ということでございましょう。あるいは株主ということならば、株主は配当制限を受けておるから、事業者ということになれば重役でございましょう。これはほかの企業と比べて非常に独特の待遇を受けておると思います。むしろほかの事業のほうが、月給その他から見てもいい待遇を受けておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/39
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040・大村邦夫
○大村委員 事業者ということばを使いましたが、訂正いたします。企業という意味です。
それで、重ねてお尋ねしますが、これほど国家資金に依存をし、国家が保護をしてやって、そうして私企業で経営さしておる公共性の高い事業というものはあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/40
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041・福田一
○福田(一)国務大臣 ほかにないと思います。それは電気の特殊性でございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/41
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042・大村邦夫
○大村委員 特殊性ということでいろいろ言われますけれども、結局特殊性、特殊性ということで企業にどんどん金を貸し付ける、つぎ込んでやる、これは私はおかしいと思うのです。特殊性なるがゆえに、それを遺憾なく発揮する方法をまず考えてやる。それは企業を大きくし、内容を充実すれば、それが必ず利用者にはね返るかというと、私はそうはならないと思います。それはある程度はなるでありましょう。大臣がどう御答弁になっても、私はいまの程度の御答弁では納得がいきませんから、もう一回御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/42
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043・福田一
○福田(一)国務大臣 どうもこれは意見の相違になってしまうかとも思うのですが、電気というものはやはり生活必需品でございまして、これはほかのものとはよほど違うと思います。ほかの、たとえばどんなものをお考えくだすっても、これと比較し得るものはない。これはやはり一つ独特なものだと思っております。そしてその起きた電気が一瞬のうちにして地球を七回りするというような、非常に時間的にあれがあるという点も違っておる、そこら辺に電気の非常な特殊性があると思います。それに国の資金を投入するということは、企業形態を一社にしたら、そのほうがいいということでございますが、私はそれをいますることはかえっておもしろくないのではないかと思う。いまのような形態でも十分発電できる、いわゆる安定した供給はできておる。それから料金もだんだん格差が縮まっております。また広域運営をやればむだがなくなります。そういう意味で非常にプラスの面がある。これを一社化しますと、また官僚統制というようなものになりまして、電気一つつけてもらうのにも頭を下げていかなければならぬ。いまはそういう点非常に厳重に言っておるので、サービスという面については注意させております。全部が全部そういっていないかもしれませんが、そういう意味でプラスの面もある。われわれはプラス・マイナスももちろん考えなければなりませんが、いまの段階においてはこの程度でやってみて、順次広域運営というものがほんとうに的確にできるようになれば、ほとんど一社化と同じなんです。私はそれにできるだけ近づけるようにしていきたい、こういう考え方を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/43
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044・大村邦夫
○大村委員 いまの御答弁でちょっとお尋ねしたいのですが、だんだん近づけるということばがありましたが、広域運営は供給の一元化ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/44
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045・福田一
○福田(一)国務大臣 できるだけブロック別に、いまのところは四つぐらいのブロックに分けてやっていきたいという考え方であります。しかしそのブロック間の融通ももちろん考えなければなりません。それが今度全部統合してやれるような仕組みができればなお有効かと思います。ただこれは計算その他いろいろな問題、技術の問題等がございます。たとえば九州で雨が降っておる、東京では雨が降っていないというようなときにどうしたらいいか、そこら辺を一瞬の間に電子計算機みたいなもので計算をして割り出す。その場合に、経費もどういうぐあいに負担したらいいかということを割り出す、これはできないことはない、技術の問題であります。順次そういう方向に持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/45
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046・大村邦夫
○大村委員 私は広域運営は、ことばをどう変えてみても、結局供給の一元化ではないかと思うわけであります。九州の果てから北海道の果てまで、企業の協調によってお互いに助け合いあるいは需用を満足させるのですから、そういう広域運営ということになれば供給の一元化である。このことはこの前私がお尋ねしましたように、十二年間というものは間に合わせ的な旧法体系でやってきた、この間におきましていろいろな矛盾というものが、あるいはプラス面も出たと思いますが、はっきりしてきたと思います。その功罪についていろいろお尋ねをしたところであります。この広域運営は功罪の罪、つまり矛盾が九配電分割によって生じた、それをカバーしょうというのが私は広域運営だと思うわけです。ところが政府の御答弁によりますと、従来も協調融資をやったが、より合理化するためにということで、いまの形をより前進させるという一つの出発点があるわけであります。私どもの考えとはおよそ異なるわけであります。この広域運営というのは九配電分割に伴うところの矛盾である、その矛盾をいかにして克服するかということで考えられ、そしてその姿は供給の一元化である。先ほどから国有とか国営とか、私が言う前に大臣から私の気持を察して御答弁になるわけですが、私はこの供給の一元化ということは国有、国営を志向しておる、またそうすべきであるというように考えるのですが、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/46
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047・福田一
○福田(一)国務大臣 これはちょっとことばの使い方の問題ですから、あなたもそういう気持ちで使っておられると思いますが、一元化ではなく供給の合理化でございます。一元化するという意味ではない。一元化したほうが合理的にやれるということであればまた別ですが、ことばの使い方だと思いますけれども、確かにあなたのおっしゃったように一種の矛盾がある。九つに分割しておのおのが利益だけを追求してやるのは矛盾があるから、それをできるだけ矛盾をなくするようにするんだ、広域運営はその意味でやるんだということは御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/47
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048・大村邦夫
○大村委員 次に料金政策についてお尋ねしたいが、一般の電灯と小口電力さらには大口電力間に格差がございます。この格差というのは原価主義を採用しておるところからきておるものと考える。その原価主義はどういうふうにして算出されるか、深く内容まで聞こうとはしませんが、個別原価主義か総括原価主義かどっちか、御回答願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/48
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049・宮本惇
○宮本政府委員 いまの御質問は、電気料金の算定のやり方はどういうことかということであろうと思いますのでその点を申し上げますが、確かに算定する場合に、ある時期から将来二年間にわたる総括原価、つまり二年間のいろいろなかかります費用、金利、償却、全部含めまして総括原価を出すわけでございます。そうしてそれがきまりましたところで、今度はそれを電灯とかあるいは電力あるいは大口、小口というようなそれぞれのやり方によって個別に配分をしてまいります。したがいまして、まず総括原価をきめてからそれを個別原価に配分するというやり方でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/49
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050・大村邦夫
○大村委員 ここに発電所があり、送電線を引っぱる。そうして変電所を幾つかつくる。大口、小口、一般需用、高低はあるにしましても配線しておるわけです。あるいは卸売りしておるわけです。実際問題として、そんなにきちんと科学的に料金は算定できないと思うのです。これはやりようによりますと、人件費一つをとらえても、これまでは大口に要した人件費であり、これから先は一般用である、そういうものはなかなかむずかしいと思うのです。言いかえれば、あるほうにそれをかぶせてもわからない問題だと思います。先ほどガラス張りの経理だと言われましたが、こういう面から考えると、これは必ずしもすっきりしたガラス張りの経理じゃない。不正がないということとガラス張りの経理ということとは必ずしも同じじゃない。そういう意味で、この原価主義というのはきわめて不正確なものである、ごまかしのきくものである、こういうように考えるのですが、あなたのほうではその点について自信があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/50
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051・宮本惇
○宮本政府委員 現在われわれといたしましては、御承知のように電気料金の算定基準という一つの通産省令によってやっておるわけでございますが、やり方をもう少し詳しく申し上げますと、先ほど申し上げましたように、まず総括原価のやり方は将来の二カ年間を原価計算期間といたしまして、それはいろいろな将来の電気の需給というようなものを前提としてでございますが、二ヵ年間を見通しまして減価償却費、営業費、諸税あるいは事業の報酬というようなものを総括原価に加えるわけでございます。したがいましてその場合、いま御指摘の人件費というようなものは一応総括原価として出てくる。では、それをどういうように個別原価に配分するかということでございますが、一応総括原価を水力、火力、送電、変電、配電、販売というような場所別の原価に分けまして、それを固定費と可変費というふうに分けるわけでございます。それから固定費と可変費につきましては、設備の利用率に応じまして常時電力その他というふうに分けまして、これを電灯とか低圧電力、高圧電力というように分けていくわけで、そのやり方は、詳しいことは別にいたしまして、一定の方式がございまして、それに基づいて配分をいたすわけでございます。ただ、それが御承知のように、電力会社によりましては、昭和二十九年ごろにそういうことでやったのがいま現実と合っているかどうかという問題は残るかと思いますが、料金を算定する場合のやり方というのは一定のルールに従ってやっておる、こういうことを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/51
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052・大村邦夫
○大村委員 ここで算出方法についてお互いに論じても、複雑ですから時間的にもむずかしいし、私もしろうとですからよくわかりませんが、少なくとも料金を算定するには基準があることは確かであります。しかし実際問題として、ある距離までは一つの送電線を通って流れる、しかも目では見えない電気の特殊性等を考えましたら、私はこの料金算定というのはいかに説明をされようとも、単独でやっておる、あるいは同種目をやっておる企業のようにぴっしゃりとは出ないと思います。特に、今日の電気料金が一般電灯用の料金と小口用の電力料金と大口電力料金との格差がはなはだしい。先ほど私が質問し大臣が御答弁になりましたように、国家資金に依存をしておる。その依存度がきわめて高い。しかもその国家資金とは財政投融資、国民の零細資金であり、県等で起債した県民の税金である。そうなりますと、何よりもまず国民の利益にそれが還元をされなければならない。国の経済を発展させるためには、あるいは大企業、中小企業等も大いに振興し伸ばさなければならないと思いますが、何といってもまず国民に利益を還元させなければならない。ところが一般用と大口を比べてみますと、その料金の格差というのはかなり開いておるわけであります。その開きは何かといえば、原価主義だ。しかしその原価主義も、はっきりそれができるような内容になっておるかと考えれば、ある程度は科学性があるでしょうけれども、絶対性はない。そういうことを考えますと、やはりこの料金というものは政策的にもある程度考えなければならぬ、つまり国民に還元する方向、大口と一般用との料金の格差はいま少し縮める必要があると思うのですが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/52
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053・福田一
○福田(一)国務大臣 一社化されておった昔のときにおきましても、大口電力と小口あるいは一般とはうんと差がありました。いまよりは差があったかもしれません。それから国民の利益に還元しなければいかぬということからいいますと、電気料金は、戦前との比率を見ると、ほかのものに比べまして非常に安いわけであります。そういう点でもかなり考慮されております。それからいまあなたのおっしゃったように、その比率を変えるということもあれでありますが、一定の基準でやっております。またそれが産業にいって、それからまた還元して返ってくる。先にもらうかあとにもらうかということになるかと思うのであります。そこいらは一社でやりましても、比率の問題はやはりなかなかむずかしいと思います。いままでの比率で一応やりまして、そしてほかの物価と比べて安いということであれば、やり方はこのままでいいとは申し上げませんけれども、そういう格差があるということはやむを得ない。何となれば、どうしても経費はよけいにかかります。個々のうちに電線で持っていく、そういう経費がかかる、ロスも多い、それをどう認定するかということでありましょうけれども、やはりある程度の格差ができるということはやむを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/53
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054・大村邦夫
○大村委員 大臣は先回りをして、私の顔を見れば一社化、一社化と言われるが、私はこの問題は一社化で言うたのではない。これから言いたい。一般と小口と大口との間に電気料金の差があるが、この差が少しひど過ぎやしませんか。もう少しこれを縮めたらどうですか。縮めなければならない理由は、公共性ということで国家資金をかなり投入されておるから、その投資をした国民にまず返してやるべきだということをぼくは申し上げておる。大臣は私の顔を見ると一社化と言われるが、私の質問を聞いてから——ひとつ先回りしないようにお願いしたいと思う。
それから同じく電気料金の問題ですが、私は前回の委員会で、一般電灯と小口電力と大口電力がそれぞれの中で地方ごとに料金が違うのは不合理じゃないかと申し上げました。それに対して大臣は、できるならば全国一律化が望ましいとお答えになりましたが、私は、できる限りにおいてはということでなく、料金の統一はやらなければならない大切なことだと考えるわけです。なぜならば、これは話が少し大きくなりますが、政府は、これから日本経済を伸張させ、日本の経済をさらに発展させるためには、後進国の開発が必要であるということを再三繰り返されます。その後進国の開発のためには先進国が積極的に援助をしなければならないということであります。私ども社会党はかって反対しましたが、ガリオア・エロア、タイ特別円の問題、近くはまた韓国に対するところの有償無償の問題、これらはすべて後進国の開発ということが内容的には含まれております。またそういう観点で行なわれておることは、池国総理の答弁の中にも指摘ができるところであります。また国際貿易開発会議、世界百二十一カ国が参加しまして、日本も参加しましたが、これもそういう観点からだと思います。
国際的にはそうでありますが、一方国内的に考えましたら、後進地域の開発ということがこれまた同じように叫ばれております。新産都市あるいは今度議員提案になりますところの工業整備特別地域の促進に関する法律案、これらはみなそうだろうと思います。今日、日本の現状をながめますと、太平洋のベルト地帯に東京を中心とした地帯、横浜、阪神、北九州、こういうところに会社が密集をして、人口がふくれ上がっております。これを分散させるという趣旨もあるでしょうが、これを分散させて後進地域の開発に役立たさせる、あるいはまた新たに企業を興して地域開発をやる、こういうことになると思います。その場合に、企業がある地域で事業を興そうとする場合には条件があるはずであります。それは港湾、道路あるいはダム、産業基盤の問題もあるでありましょうが、私は政府みずからが言っておるように、電気事業というものは日本の産業活動の基礎をなすところの重要な産業であるといいますが、そのとおり電力料金というものが高いところに一体企業が行くだろうかどうだろうか。私は、わざわざ企業は後進地域の開発ということで産業基盤、条件が充実していないところに興きないと思います。結局もうかるところ、条件のいいところ、そういうところに会社はどんどんできていくのじゃないでしょうか。そういう点を考えますと、電気料金というものはむしろ未開発地域、後進地域には安く提供しなければならないと思います。それがはたしてそうなっておるかどうか。いろいろ調べてみましたら逆であります。私はそういう点については、少なくともいまの姿よりは変わった形でなければならない、つまり後進地域のほうが安くなければならぬのですが、そこまではいろいろ事情があって無理でしょう、無理でしょうが、比較的経済の発達した地域は料金が安いのですから、この安い分を高い後進地域に回してやる、均てん化をはかる、このことは非常に重要だと思うのですが、これは一本化は単に望ましいという程度で済まされる問題かどうか、大臣の所見をお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/54
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055・福田一
○福田(一)国務大臣 私は、いわゆる東北ですとか北陸というような、どちらかといえば未開発地域のほうが、たいしたことはないが、料金は安いと思っております。それはむしろ東京とか大阪のほうが高いのであります。しかし問題は、あなたの仰せになったのは、産業の興きるか興きないかということは、いま、電気も一つの大きな要素となりますが、いわゆる道路とかあるいは土地の代金とかあるいは労働力が供給できるかというようなことがまた一つの大きな要素になると思います。いま都市集中をしてわれわれは非常に困るということを言っておる、いわゆる低開発地域への分散ということを考えなければならぬというときに、もしこの東京のようなところをますます電気料金を安くしたら、ますます東京とか大阪あるいは横浜というようなところに集まってしまいまして、むしろ逆な結果が起きるのじゃないか。私たちとしてみれば、東北や何かでは事業が興きない、確かにこれは交通の関係が実は一番大きいと思うのでありまして、一方において土地の値段とか労働力の供給というようなことではむしろ非常に得であります。だからそういうところにぼつぼつ仕事は伸びておる。だから新産都市などというものもそういう方面へつくりたい、こう言っておるのであります。そこはいまあなたのおっしゃったのも一つの理屈というか、一つの筋でありますが、われわれが申し上げておりますのは、やはりそれにはそれでまた弊害も出てくるのでございます。
そこで問題は、あなたの言われるように、全国みんな同じにしたらいいじゃないか、それにはやはり一社化というようなことが望ましい姿である、こういうことでございますが、そこは私たちは、九つにいま現実になっておって、それをすぐ一社化することがどうもあまり時宜に適しない、こういう考え方で、なるべくその弊害をなくしながらやっていかねばいけない、こういう考え方でございまして、そこはやはりどうしても、結局はそこへ争点がくるので、あなたに一社化なんて言うなと言われても、やはり基本はそこら辺が一番の争点になるのじゃないかと私は思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/55
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056・大村邦夫
○大村委員 料金については若干誤解をしておりましたが、大臣のおっしゃるように、これから後進地域を開発していくためには、どうしても産業の基礎をなすところの電気事業を積極的に興していかなければならぬ。御承知のように民間でも、これは人の名前を言って恐縮ですが、堤さんにしましても、これならやれそうなというときにはまず鉄道を引っぱる、そしてそこにタウンができていく、そしてだんだん発展する。これと同じように、私はこの電気事業というものは積極的に未開発地域の開発をしていかなければならないと思います。そういう点が、先ほど申し上げましたように、私企業ではたしてできるだろうかどうだろうか、そんな冒険をあえてやるだけの力があるかどうか、そういう点については、私企業形態にしておくことはきわめて危険じゃないか、好ましい姿じゃない、こう言ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/56
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057・福田一
○福田(一)国務大臣 これは御案内のように、東北なんかは工業用電力が四円、それから北陸なんか三円七十銭、一番安いのです。東京なんかは五円、それくらいの値段になっていますが、しかしそれだからといって、では東北へ、あるいは北陸へどんどん工場ができるかというと、なかなかそういかない。なぜかといいますと、いわゆる道路、交通関係が悪い。あるいはまたその他の資材もそこにない。いろいろな理由があるわけでありまして、電気だけの問題で産業の分布とかそういうものをきめていくというわけにはなかなかいかないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/57
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058・大村邦夫
○大村委員 私はすべて電気に依存するという観点で申し上げたのじゃないのでありまして、電気事業はあらゆる産業の基礎産業であるから、これをより積極的に推進していく必要がある、そういう観点で申し上げたのであります。
最後に、エネルギー政策について触れておきたいのであります。過日も本会議で八木委員が社会党を代表していろいろ質問なり意見を述べたのでありますが、今日の日本の総合エネルギー政策というものは確立をしていない、石炭にしましても石油にしましても、あるいは第二次エネルギーである電力にいたしましても、どちらかといえば個別的である、そこに総合性、計画性というものがないと私は思いますが、これは三大エネルギーの持つ使命からして、ここで総合的に検討するような施策が立てられるような一つの専用的な権威のある機関をつくって、そして検討するような意思はないのかどうか、その辺をお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/58
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059・福田一
○福田(一)国務大臣 御指摘の点は非常に重要な問題でございまして、いままでもそういうような総合的な問題の研究をいたす部会とか、そういうものもございますが、特にこの際そういうものについて何か考える必要があるのではないかということについては、われわれとしても十分考慮に値するものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/59
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060・久保田豊
○久保田(豊)委員 関連して、資料をひとつお願いしたいと思います。
どうもこういう機会にちょっと文句を言ってすまぬと思うのだが、電気に関してはほとんど資料が委員に渡されていない。これでは審査できませんですよ。前からのあれですから、もう少し資料をしっかり整えて出すように、政府も骨折ってもらいたい。
そこで、とりあえず資料の要求をいたします。第一は、各九社のみならず、これは特別ですが電発も含めて、電発は多少違ってきましょうけれども、各担当区域がありますね、その区域別の需用家の数、電灯の灯数、電力のキロワット数、特にそのうちで大口のものがどのくらいか、件数並びにキロワット。
第二は、やっぱり各十社の発電施設。それは、内容は水力、石炭、油、あるいは混焼のものもありますね、そういうものを含めての施設の数、あるいは出力でいいです。これは一々場所をずっとする必要はありません。大体こういうふうに区分けをして、数がどのくらいあって、これの総合の出力が、どのくらいという点でけっこうです。それから送電、変電、配電の施設が全体で、これも大きなものと小さなものと区別して、これはキロ数でけっこうです。
第三、各十社の資本金、年度売り上げ、なるべく最近のもの。それから負債総額、その負債総額に関連して、自己資本と他人資本の実態、割合がどうなっているか。それから売り上げ総利益金はどのくらいになっているか。純利益、最終利益はどのくらいになっているか。それから毎年の返済の元利償却高。これは特に利子、社債その他全部ひっくるめて、内部保留をするのでなくて、それを除いて、払っていかなければならぬ元利償却額はどのくらいになるか。各社別に。その場合の利子の平均利率。最低と最高がわかればなおけっこうですが、平均利率はどのくらいになるか。
それから各社ごとの総括発電原価。これの内容の分折ができれば、大ざっぱでもいいから分折をして出してもらいたい。各社で最高と最低。これは総括ですから各社の平均になるでしょうが、そういう区別はあるはずです。各社で非常に発電原価の高いところと安いところがありましょうから、これも送配電から何から入れるとなかなか複雑になろうと思いますけれども、しかし大体発電所ごと程度でけっこうでしょう、そういうものの原価、コスト。それからこういうものもあればほしいのです。たとえば夕方なら夕方の一番ピーク時の高いときの原価がどのくらいになるのか。それから深夜なら深夜の一番安いときの原価はどのくらいになるのか。これはなければしかたがないからいい。もう一つ、それに連関して、さっきお話のありました料金の算定方式がきまっておるはずです。これを出してもらわないと、原価主義だの何だのと言ったって内容がちっともわからない。
それから、いわゆる広域運営ということを今度は非常に重く見ているわけです。この実態が、会社から配られた簡単なものはありますけれども、よくわからない。抽象的にはわかるが、少なくとも過去五年間の広域運営の実態がどのくらいあるかということを具体的に数字的にはっきり出してもらいたい。これも各社別に総括をして、同時に、各社別に、たとえばある電力会社に、広域運営でもってほかから大体どのくらいの電力が、その場合の価格はどういう価格できているのか。個々の場合の価格はわからなければいいです。
それからもう一つ、各社の職員数、平均勤務年数、平均給与、平均の初任給——平均というと、これはむずかしいでしょうが、初任給のおもなものがありましたら出してもらいたい。これは本来から言うと、九分割をしてから後のやつがほしいのですが、むずかしいかもしれぬから現状でけっこうです。
以上、大体において私の分類では六つになる。それから、そのほかに料金の算定方式というものがありましたね。これはさまっておるのでしょう。これだけのものが出なければ、この法案の審議はできません。これだけのものを早急に出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/60
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061・二階堂進
○二階堂委員長 ただいま久保田委員の資料要求の件について、ひとつできるだけ早くまとめて提出をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/61
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062・大村邦夫
○大村委員 ただいま大臣から、総合性、計画性を持ったところの国のエネルギー産業のあり方を確立することを検討するエネルギー問題調査会のようなものを制定してはどうかということに対しては、私も、貴重な意見ですから、そういう点については将来検討してみたいという御答弁でありました。そういうものを検討するときの心がまえでありますが、電気事業は国民生活にきわめて関係が深いから低廉でなければならない。このことは、の政策目標の第一であります。その電気に石炭を使用する場合と重油を使用する場合、私はコストにかなりの開きがあると思う。もちろん石炭を使う場合も、揚げ地発電と産炭地の発電とは、同じ石炭でもコストが違ってまいります。大まかにいって、重油燃焼と石炭を使う場合には、コストに影響してまいります。そういう点についてどういうふうに考えられるのか。その辺の調整をどうしようとされるのか。その点についてひとつお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/62
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063・福田一
○福田(一)国務大臣 審議会をつくって審議するということでございますから、そういう問題も合わせて、どういう比率でどうしてやるかということを研究せなければいかぬと思うのであります。しかし、いまの考え方はどうであるかということでございますれば、御案内のように石炭は五千五百万トンを出す。そしてその分だけは消化するようにつとめる。そのためには電力会社でもって四十二年を目途として二千五百五十万トン火力に使う。こういう根本方針、これははっきりきまっておるわけであります。この点は政策的に動かす余地がないわけであります。その場合に、最後には三千万トンくらいは石炭を火力発電に使っていこう、こういう考え方に立っておるわけでありますが、この点はもう方針としてしばしば政府として言明をいたしております。しかし将来のことを考えれば、石炭というものは油よりは高いということであれば、もっと原料に使うくふうはないだろうか、こういうことも考えてみていいと思う。こういう研究もいたさなければなりません。総合的にエネルギー問題を考えるときには、安定して、しかも安い、こういうことでございますから、その安定ということから考え、安いということから考えてみて、高いものを使うのは何も好ましいことではない。しかし、石炭が日本の産業の中に占めておる重要性、またこれが労働問題の中において占めておる重要性、地域においての重要性、こういうことを考えれば、これだけはやはり使わなければいかぬ、こういうことは一応きめておるわけであります。油の関係はどうなるかと言いますと、これは順次電力の需用がふえてまいりますから、石炭のほうもだんだん使いますけれども、油を使っていくと、かなり薄められるわけです。電力料金も一キロワットアワー二円五、六十銭というのと三円十銭、揚げ地発電で三円ちょっとであります。これもなかなかむずかしいので、産炭地の火力発電も、そこで電気を使ってしまえばこれはわりあいに安いものなんです。送電しますとロスがありますから、これで一割以上ロスが出てくるということになると、三円でつくったものが実際使うところでは三円三十銭になってしまう。こういう問題も起こってまいりますから、一がいにはなかなか言えませんけども、まあそういうことがございます。そこで、何としてもやはり電気の需用が伸びていくという段階においては、油あるいは石炭というものを使っていく。ところが、いつでも一定に電気は出てきますから、ピーク時にはどうしても火力発電、特にダムによる発電というものが必要になる。こういうことになりまして、そういうことも考えていかなければならない。これをコンビにしてどううまく運用していくかということであります。だからこれから研究するといいますことは、油の特殊性、石炭の特殊性、それから電気におきましても火力と水力の特殊性、これに原子力を将来どう配分するか。それから油自体についてもいろいろな問題がたくさんあることは御存じのとおりです。石炭についても、私が言ったことくらいでは解決していないたくさんの問題がある。こういうことを全部合理的に処理をしていく、工夫をしてもっと研究していかなければいけない。それから時世が変わってきますと、こういう比率というものもまただんだん変わってくるものでありますから、これも考えていかなければならない。こういう意味で、将来そういうことを大いに研究するということはけっこうなことである、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/63
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064・大村邦夫
○大村委員 エネルギー産業のあり方について大臣から基本構想といいますか考え方を述べられましたが、私は同感であります。特にその中でも石炭の問題でありますが、大臣御指摘になりましたように、たとえこれがコスト高になろうとも、国内資源の尊重あるいは産炭地の振興あるいは雇用政策、そういう点も大いに考慮しなければならないのは言うまでもないのであります。今日産炭地におけるところの非常に悲惨な状態は、大臣はいやというほど御承知と思いますが、そういう点はその中で十分考慮しなければ、もうこの程度では動かされない問題だというだけでは済まないと思うわけであります。それからまた電力の使命であるところの安定、そのためには火力発電も水力も、また火力の中でもいろいろな形の火力というものを考え、つまり多様化していかなければならない。このこともそのとおりであります。どうかひとつエネルギー産業のあり方については早急に推進をしていただきたい。このことをつけ加えておきます。
それから次に、申し上げるまでもなく電気事業はきわめて固定資産の大きな企業であります。しかもこれから、ある程度安定したといいながら、需用は増大をするものだと予測するものであります。そうしますと毎年巨額の資本を必要とします。ところが地域分割という企業の立地条件から、特にこの需給構造と、需用の伸長度の地域的強弱というものが発生してくると思いますが、このことはこの前御指摘申し上げたとおりであります。それは結局内部保留の格差を増大しまして、それが企業の間の格差の拡大の原因になると思うわけであります。この点について大臣はどうお考えになるか、いま一度——この前ちょっとお尋ねしたのですけれども、この企業の格差がこの形ではますます大きくなってくるのじゃな・いかと考えるのですが、御答弁願いたい。つまり、需要横道が違うでしょう。それから分割されていますから、地域の需用の伸長度というものが変わってくる。強弱があるでしょう。そうすると企業間の格差というのが開いてはこないか。つまり一元化をしたほうがいいのじゃないかということにつながっていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/64
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065・福田一
○福田(一)国務大臣 確かにエネルギーの料金が違うということによって、そのこと自体が企業間の格差に影響することは事実だと思います。しかしそれはいろいろな問題が影響しますから、たとえば電気料金は非常に高いけれども、土地代が非常に安いとか、いわゆる資本費がその意味で安い、あるいは労働力を得るのに条件が非常にいいとか、いろいろな要素が組み合わされて、いわゆる企業の利潤が上がるか上がらないか、利益が上がるか、生産性が上がるかという問題が出てきますから、これは一がいに、電気が高いから絶対にそれで格差が開くということはありません。同じ条件でありますれば、おっしゃるように電気が高ければ、これは格差が開く、こういうことに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/65
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066・大村邦夫
○大村委員 しかし、現実に格差というものはいまあるでしょう。もうかるところはどんどんもうかっていくし、もうからないところはますます下降的な状態をたどっておるのじゃないですか。それをひとつお尋ねしたいのです。これは電気事業のことです。エネルギーから話が飛びましたから、どうも大臣のほうではぴんとこなかったようですけれども、電気事業に関してであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/66
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067・福田一
○福田(一)国務大臣 これは確かに九分割しておいて、需用の伸び方、たとえば一般の電灯需用が伸びるか、あるいは産業用が伸びておるかという比率その他によって格差は相違を来たします。格差は相違を来たしますが、その場合に非常にもうかるところがあれば、これはもう料金の値下げという問題、私はこういうところまでいかなければいけないと思います。それから一方、電気の需用は伸びたけれども、それを供給するためには発電所をつくったりなんかして、いろいろなあれができるということになると、とてもそれではやっていけない。いまの電気料金ではやっていけないということになれば、また電気料金値上げの問題も起こる。格差が開くか開かないかということは、むしろその電気料金の問題に一番大きく響いてくる。電気料金を上げれば——それはどうしたって電気というものは使わないわけにはいきません。ですからその点はあれですから、そうむやみに上げられるものではない、こういうことであります。そこで、こういう場合にも広域性、広域運営というものをやりまして、できるだけむだのないようにして、発電所なんかよけい無理してつくらないでも、よそから持ってこれるというようなくふうをするとか、そこにいろいろのくふうが要ると思います。それで、格差というものはできるだけ解消するような方向で処理をいたしていかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/67
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068・大村邦夫
○大村委員 もちろん格差の縮小については考えていかなければならないところでありますが、それほど国家統制を強めなければならないような電気事業——つまり、あんまりもうけ過ぎれば、もうけが多過ぎるといって指摘をし、指導をし、もうけが少ないといいますか企業内容が非常に悪ければ、そのことは料金にはね返っていくから国家資金を投入して助けてやる。このように国家統制を行なわなければならない電気事業をなぜ私企業にしなければならないのか。そこをもう一ぺんお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/68
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069・福田一
○福田(一)国務大臣 それは先ほど来申し上げておるところでありますが、現実に九分割はいたされまして、いまこれが運営をされておる。これをすぐいわゆる国家統制に移すことがいいか悪いか、こういうところに帰着すると思います。われわれといたしましては広域運営等によってその弊害を是正しつつ、しかも安定して廉価な電気を供給する、こういう方向へ持っていきたいと思う、こういうことを申し上げておるのであります。それから先はもうちょっと、これは議論の範囲に相なるかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/69
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070・大村邦夫
○大村委員 国有化、国営化、一元化等について、いろいろこういう点を克服するには一元化にしたほうがいいんじゃないか、あるいは国営にしたほうがいいんではないかということを申し上げましたが、大臣は、いまある姿がりっぱとは言わないけれども、しかしいまここで切りかえるということは、かなりの混乱が起きるということを一つは言われております。私は意地の悪いような考え方ですが、昭和二十七年から約十二年間というものは、いわゆる間に合わせ的な臨時措置法でやってきたのであります。その間何もしなかったかと言えば、すぐ補助が出たり、電源開発会社をつくってみたり、あるいはその間におきまして四ブロック制の議論が沸騰してきたり、いろいろなことがありましたが、曲がりなりにもそれぞれ対処して、今日のような電気事業の状態になってきたわけであります。それはそれなりにある程度評価できるにしましても、そういう発展過程にあるときこそ、計画性のある策というものを立てなければならないのに、それをやらないで、ここが問題だからこうする、あそこが問題だからこうする、まあ場当たり的というか、そして実績を固めてきて、いまこれを切りかえるには問題があるじゃないか、混乱が生ずる、こういうことを言われておるようだし、またそういうことを意識的に政府は今日までやってきたんじゃないか。九分割体制を固めるために、私企業として経営するために、あえて法の体系の整備をやらないでおったのじゃないか、こういう気がするわけです。そのことをお尋ねしても、いやそうじゃないと言うて逃げられるでしょうから質問はいたしませんけれども、私はそういう気がしていかぬのです。時限立法でも、軽機が五年、あるいは電子工業にしましても七年、そんなに長い時限立法というものはないのであります。たいがい政府は必要ならばそういうものをつくったりするのでありますが、戦前戦後に失効した旧法令によって十二年間もやってきた。そしてこういう体制をつくっておって、この体制の矛盾はこういう点にあると言いますと、最後には、いまこれを再編成するにしても、かなりの問題が生ずると言う、そういう逃げ方はないと思います。この点は非常に遺憾だと考えるわけであります。さらに企業格差の拡大を縮めるには、料金等を上げたり下げたりするのが一番早道だということはわかりますが、しかしそれも簡単にはやれない問題である。この企業格差がある程度広がるということは現実にあるのですが、これはそこで働く労働者の賃金に影響してこないかどうかということです。私は現実に影響しておると思うのですが、この姿というものはそれこそ大口と小口と一般と、それとはまた内容を異にしまして、同じ労働者が同じ電気を操作して地域的な差によって賃金が違うということがもしあるとすれば、これはやはり考えてやるべき問題じゃないか。そう言いますと、また大臣は、同じ日雇いでも東京と四国と九州は違うじゃないか、こう言われるでしょうけれども、そういうものじゃないと思いますが、その点についてひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/70
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071・宮本惇
○宮本政府委員 御指摘のように、各電力会社によりまして給与ベースの差はございます。一人当たりの九社の平均が五万三千九百六十九円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/71
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072・大村邦夫
○大村委員 あとで資料を出してください。いまは最高と最低を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/72
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073・宮本惇
○宮本政府委員 最高は東京電力が五万七千五百十三円、最低は北陸電力の四万九千九百六十八円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/73
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074・大村邦夫
○大村委員 こういう実態をどう考えられるかという答弁が抜けています。先ほども申しますように、大口とか小口とか一般用は生産コストがそれぞれ違うとかおっしゃいましたが、この電気労働者というものは、同じ電気を運営してそうして賃金がそう地域別に違うというというのは、やはり妥当な方法じゃないと私は思う。もちろんそれは企業間のそれぞれの企業の利潤とか収入とか、そういう点から考慮されるのでありましょうけれども、九分割するためにそういうことが起き、格差が開き、その格差の開くことを理由にして労働者の賃金が違ってくる。これは私は妥当でないと思います。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/74
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075・宮本惇
○宮本政府委員 先ほど申し上げましたけれども、賃金は総括原価の際に全体としてきめますので、別に大口電力用の人がどうということはございません。先ほどは合計を申し上げましたけれども、それぞれのあれによって違いますので、基本給をちょっと申し上げますと、三万三千三百七十一円、これが九電力の平均でございますが、一番高いのが三万四千四百七十二円、これは関西でございます。それから一番低いのが北陸でございますが、三万二千三百十七円、確かに全部統一ではございません。各会社によって多少の開きはございますが、これは先ほど来の九つの会社のそれぞれの企業実績によって開きがあるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/75
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076・大村邦夫
○大村委員 春闘を引っぱり出して恐縮ですが、ことしの春闘の中でも、最終的に池田総理が確認をされた点の中に、民間企業と公企体労働者との間の賃金を縮めることは法律的な義務である、こういうことを言われました。私は同じ労働者の中で同じ電気というものを取り扱うなら、企業の実績がこうでございますから賃金の違うのはやむを得ません、そういうことで済まされる性質のものじゃないと思う。このことを幾ら繰り返してみても、これも水かけ論争となる。ですから事ほどさように、今日の電気事業の実態を見てみますと、あまりにも公共性が強い。そして国家資金への依存度が高い。さらにはまた、あまりにも産業、経済に及ぼす影響が強過ぎる。こういう点を今度の法案と関連をさせながら、あるいはまた今日の形態であるところの九電力分割の実態等といろいろ関連をさせて強調したところであります。つまり、だから国営国有化あるいは一元化をはかるべきだということを申し上げたのでありますが、それに対していろいろな御答弁がありました。私どもはそれぞれを孤立させて一元化なり国有論に結びつける意思はないのでありまして、総合的に勘案してみても、やはり国有国営化をはかるべきである、一元化をはかるべきである、こういうように考えるところであります。
詳細に関しましては、これから続けられるところの委員会で、それぞれの委員から、あるいは私も加わって具体的に所見なりをただし、また意見を申し上げたいと思いますが、きょうはこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/76
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077・久保田豊
○久保田(豊)委員 さっきの資料要求で一つ落ちましたから追加いたします。一つは、たしか三十八年から四十二年までの計画、これからの開発計画があるでしょう。それも一応できれば各社別に分けて、内容を少し試験計画その他ともあわせましてつけて出してください。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/77
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078・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、来たる六月二日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X05119640529/78
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