1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年三月十三日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 山中 貞則君
理事 臼井 莊一君 理事 原田 憲君
理事 藤井 勝志君 理事 坊 秀男君
理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
伊東 正義君 岩動 道行君
宇都宮徳馬君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 押谷 富三君
金子 一平君 木村 剛輔君
木村武千代君 小山 省二君
砂田 重民君 濱田 幸雄君
福田 繁芳君 藤枝 泉介君
渡辺美智雄君 卜部 政巳君
佐藤觀次郎君 田中 武夫君
只松 祐治君 日野 吉夫君
平林 剛君 春日 一幸君
出席政府委員
大蔵政務次官 纐纈 彌三君
大蔵事務官
(主税局長) 泉 美之松君
厚生事務官
(医務局次長) 大崎 康君
厚生事務官
(社会保険庁医
療保険部長) 竹下 精紀君
委員外の出席者
大蔵事務官
(国税庁直税部
長) 鳩山威一郎君
厚 生 技 官
(保険局医療課
長) 松尾 正雄君
参 考 人
(社団法人日本
医師会副会長) 阿部 哲男君
参 考 人
(社団法人日本
医療法人協会会
長) 荘 寛君
専 門 員 抜井 光三君
—————————————
本日の会議に付した案件
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/0
-
001・山中貞則
○山中委員長 これより会議を開きます。
租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は参考人として阿部日本医師会副会長及び荘日本医療法人協会会長がそれぞれ御出席をされております。
両参考人には御多用中のところ御出席をいただき、たいへんありがとうございます。本委員会におきましては、ただいま租税特別措置法の一部を改正する法律案を審議中でありますが、その中に医療法人に対する課税の特例を設ける案件がありますため、本問題に関係の深い団体の代表の方に参考人として意見を開陳していただき、もって委員会における審議に資したいと考えてお願いをいたしたわけであります。快く御出席をいただき、まことにありがとうございます。両参考人におかれましても何とぞ忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。
では、まず両参考人から医療法人に関する課税の問題につきまして御意見を述べていただき、そのあとに質疑を行なうことといたします。
では阿部参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/1
-
002・阿部哲男
○阿部参考人 ただいま御指名をいただきました日本医師会の阿部哲男でございます。
本日は日本医師会を代表いたしまして皆様方にお話し申し上げる機会を得まして、まことに光栄に存ずる次第でございます。
本日は、ただいま委員長のお話にございましたように、租税特別措置法の一部改正案というものを御審議いただくそうでございますが、この案によりますと、大体六十七条の第二におきまして、特定の医療法人の法人税率の特例については、法人税法の第十七条第一項第一号の規定にかかわらず課税率を百分の二十八とするということになっておりますが、本条を適用するに際しまして、これが被対象となるにつきましてはきわめて厳格な要件具備の規定が設けられようとしております。すなわち、「その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的運営されている」云々となっております。御承知のとおり医業がきわめて公益性の高いことは私から申すまでもないことでございます。このことは医療法の第七条の規定あるいは社会保険診療等において強い国家統制が加えられている等によりましても明らかでございます。したがいまして、ここにあらためて先ほどのような制約を設けるということにつきましては、いたずらに繁雑にして無益な分類を加えるものと考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、あえてかような条件を付することなく、すべての医療法人に対して本条を適用されるように善処していただくことができないものかどうか、強く要望を申し上げたい次第でございます。
ただし現在の医療法人の中には医師でない、すなわち非医師の開設するものが相当数に見受けられます。これらの医師でないものが先ほど申し上げましたこのきびしい制約のもとにありまする医業に対しまして、真に社会公益の福祉と称しながら利益を予定しないで資本を投下するということは、およそ考えられないことでございます。したがいまして、かような非医師の開設するものにつきましては相当の要件を備えたものについて本条を適用されんことを希望いたす次第でございます。
なお、医業の本質といたしまして、医師を主体として構成するところの社団または医師を真に主体とする財団たる医療法人については、すべて本条の特例を適用するということにお願い申し上げたい。ただし構成員のほとんどが医師でない、すなわち非医師である社団または財団におきましては、医療法上法人の理事に管理者であるところの医師を加えなければならないと規定されておりますが、この場合にほとんどその管理者であるところの医師に何らの実権が与えられていないという実態があるのでありまして、その点特に御留意をいただきまして、実質的に非医師のこうした医療法人につきましては、原則として厳格な選択をなされることもやむを得ない、またそう希望する次第でございます。
次にこの際に特にお願い申し上げたいことは、皆保険下の現在におきまして、すべての医師は福祉国家建設という国家目的の達成のためにその事業を代行していると申しても過言でないものと存じます。そうしてこの国家目的という前提、しかも代行しているということからいたしまして、あらゆる面において大きな制約を受け、またこれに従うことをしいられておる実情でございます。しかるに、このような制約を受けていながら、しかも私立におきましてはみずから全財産を投じまして国民福祉のために寄与している医業に対して、現行法では大ざっぱに申しますと、中以上の規模を持つところの病院の開設者がもし死亡いたすとするならば、これを相続する子供は全資産の約半分に相当する相続税を納めねばならないという結果になります。資産の大部分は病院の土地、建物あるいは医療器械器具等でございますから、結局納税のために病院の現状を維持するということが不可能となりまして、病院を閉鎖するのやむなきに至るという実例がしばしばあるのでございます。また孫の代、換言いたしますと三代目におきましては、もはや医業を継続し得ないということにもなりまして、医療法人として永続性を保つことができなくなる結果を招くという非常な矛盾が出ているわけでございます。これを解決いたしますためには、ぜひともこの相続税を御考慮いただきまして、これを免税にするという方向を打ち出していただきたいというのでございます。ただしその施設が医業を廃止するか、またはその施設を売却またはほかに転用する際には、その時点におきまする時価によりまして相続税を課していただく。医業の公益性から見ましても、さように御配慮願わしいものだと私ども考えておる次第でございます。どうか各位におかれまして十分御理解のほどお願い申し上げて、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/2
-
003・山中貞則
○山中委員長 次に荘参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/3
-
004・荘寛
○荘参考人 ただいま御紹介を得ました日本医療法人協会の荘でございます。本日この大蔵委員会のほうに、私たち参考人としてお招きをいただきまして、この機会をお与えくださいましたことについて、厚く御礼を申し上げます。
医療法人制度は、すでに御承知のとおり、昭和二十五年の第七臨時国会におきまして制定されたものでございまするが、当時の状況は終戦後医療機関が非常に衰退したあるいは戦災等によって数がだいぶ減っておりました。ことに私的医療機関のほうは非常に戦災を受けまして、なかなか復興できないというような状況と、並びに当時の日本経済情勢が非常に悪かったために、復興事業もなかなか容易でないというような実情にあったことは、もう申すまでもないことであります。さような状況でございましたために、政府として何とか私的医療機関のほうも救済をしなければいかぬ。公的並びに私的の両方を、国民の医療福祉のために復興させなくちゃいけないというようなお考えからこの制度が出発したのでありまして、昭和二十五年にこの制度が初めて制定されたことは、もう申すまでもないことであります。
その当時厚生省のほうとしては、医療法の一部改正というような法律の改正をやりまして、この制度ができたのであります。私的医療機関に対しまして、だいぶいろいろの恩典がございました。
それはまず医療機関を存続させなくちゃいかぬ。国民の医療政策のために存続させることが第一だというのが立法精神の主たるものであります。
それから第二には、医療施設を整備して完全な国民の医療を期せなくちゃいけない。それには資金の集積をはかることが必要である。その資金を主として医療面に充当させる。この二つが立法当時のねらいであったのであります。私たちは国の医療制度に全面的に協力いたしまして、各種私的医療機関の私財を全部投げ出して、国の医療施設に寄与しようというような考えで出発したのであります。ところが不幸にいたしまして、この制度ができましてから一年有余、昭和二十七年に突如としてこれが根本的に改悪されてしまいました。
その行き方を簡単に申し上げますと、相続税法の一部改正で、医療法人は当時は相続税、贈与税のほうは非課税であったのでありまするが、これを個人とみなして課税するというような、相続法の一部改正になってしまったのであります。それも私たち医療法人の病院は全然知りませんでした。そういうふうな改正があるということは承知いたしておりませんでした。また国会におきましても、相続税法の一部改正が大蔵省提案で成立したのでありますが、ほとんどその当時国会の諸先生方も御承知ないような状況であったのであります。
さような状況で、その相続税法の一部改正が国会を通過してしまいまして、あとで先般の、公益を目的とする事業を行なう法人、相続税法の一部改正の中にこういう字句がうたってありますが、それに医療法人も含まれておるのだ、そして個人とみなして医療法人に相続税、贈与税も課税する、こういうふうな通達が出たのであります。それは改正案が通過いたしましてから約一カ月後に、初めて厚生省もそれを知った。厚生省のほうから私たち全国の医療法人にこういうふうな改正があったのだという通知がございましたので、実は驚いたのであります。そうすると、せっかくの私的医療機関の存続並びに資金の集積をはかって、医療施設の完ぺきを期して、国民の医療を完全にしようという立法精神が、根本からくつがえされてしまいまして、ただいまも日本医師会副会長のほうからのお話のとおり、全国の医療法人は非常に窮地に入りました。二代、三代と相続を続いてやりますと、医療法人の病院はもう経営はできなくなる。病院でありますために、税のほうの問題を解決するのに病院の一部を切り売って納税するということはもちろんできませんし、非常な窮地に入りまして、二十八年以後こういうふうなせっかく国民医療の完ぺきを期するためにできた制度を、単に税の問題でくつがえされてしまったということはまことに不合理であり、心外にたえないというので、全国の医療法人がいろいろ問題を起こしておりました。ある法人は国を相手どって訴訟もするというふうなところまでいったのであります。その後われわれの監督官庁の厚生省のほうに、どうもこういうふうな改悪をされてしまうと、全国の医療法人病院はほとんど経営が成り立たない。現にその当時、経営難のためにぼつぼつ医療法人病院がつぶれてまいりました。ある病院は、もう病院を閉鎖してアパートにしてしまうというような例が、全国の統計を見ますと二、三ありましたので、この点を立法当時の姿に戻していただかぬと、医療法人病院はもう全く窮地に入って経営ができないというような実情に入っておりますということを、監督官庁の厚生省のほうにもすでにお願いしつつあったのでありますが、十年有余たってもこの問題がなかなか解決しない。それで一昨年の四月に、これは最高機関の国会のほうで取り扱っていただかなければ、とうてい百年河清を待つにひとしい。この問題が解決できないのだ。それで一昨年の四月に国会請願をいたしまして、国会のほうで各先生方の御審議を願って今日に至った次第であります。
さような経過をたどっておることを先に申し上げまして、次に私たちの要望事項についてお願いを申し上げたいと思うことは、医療法人は御承知のとおり法律で配当禁止をされております。収益があった場合には、その収益はすべて医療の用に供しなければならぬというような法律で強い規制がございます。こういうふうな規制があるのでありますから、非営利事業であるために法人税をまず第一に軽減していただきたいということが私たちの要望であります。現在のところにおきまして法人税法の問題は全く営利法人と同率であるのであります。百万円までは三三%。ところが医療法人は依然として営利事業というふうな、課税面においては非常に不合理な状況になっております。ですからこの法人税法の問題は、どうしても軽減していただかなくては病院が成り立たないということでこれをお願いしている次第であります。
第二に、財団あり、社団があるのでございますが、現在のところ全国の医療法人病院は、統計をとってみますると大部分が社団になっております。ところが立法当時は社団は非常に少なかったのであります。医療法人の立法精神からいって、これはもう全部財団にすべきだということで、厚生省のほうもそれを全国に指導しました。そして、こういう制度ができたから、なるべく私的医療機関のほうは法人格を獲得して医療の完ぺきを期したらよかろう、そういう勧奨文が厚生省から全国にまいっております。したがって当時は財団が非常に多かったのでありまするが、不幸にして二十八年に、大蔵省国税通達によりまして、財団を社団に切りかえろという、まことに私たち納得できない不合理な通達が出ました。医療法人制度の根本精神からいいますと、自分の財産全部なげうって、そして法人格を獲得して、医療国策に寄与しようということが根本精神であったのが、財団から社団に切りかえろ、こういうふうな国税庁の通達が出たのであります。これも非常に驚いた。何のために財団を社団に切りかえなくてはならぬのか。これはむしろ本制度からいえば逆なコースになる。
その通達の内容を見ますると、出資持ち分のある社団にしなくてはいかぬという。なるほど大蔵省のほうから考えると、税を取り立てるのには、社団であれば出資持ち分に対してすぐ課税できるから、そういう点は便利かもしれませんけれども、しかし、それは単に大蔵省のいわゆる税金面のことだけをお考えになったやり方であって、国民の重要な医療の問題を全く度外視してしまっているのではないかというので、これもやはり国を相手どって訴訟を起こしたりする原因になっております。そういうふうな非常に不可解、不合理な通達が出ました。それでやむなく財団の医療法人は社団に切りかえざるを得なかった。もし切りかえなければ課税するぞ、そしてなお、切りかえさせるべく、不合理な点は清算事務はやらなくてもいい、初めから社団であったものとみなして、切りかえに対しては課税しないからというふうな、何といいますか、便法といいますか、私たちに納得できないような通達が出たのであります。そのためにいまは非常に社団が多くなって財団が少なくなった。単に税金を取り立てる面からいえば、それは社団であれば出資持ち分に対して相続するときにも課税できるというような点で便利かもしれませんけれども、ただいま申し上げたように医療国策、しかも医療法人制度の立法精神と全く逆な組織になってしまった、かような状況で非常に医療法人は年々窮地におちいってしまったというような状況であるのであります。
したがって第二にお願い申し上げたいことは、初めのとおり相続税、贈与税は非課税にしていただかないと、われわれ医療法人は、同じ政府で厚生行政のほうと税制面のほうとで意見の相違があったために、そのしわ寄せが全部全国の医療法人にきてしまって、非常に実害をこうむったのは医療法人である。極端なことばで申し上げますと、医療法人は政府からだまされたというような声が非常に全国的に高まりまして、私たち在京の執行部のほうに全国の医療法人から強い要望がございますために、一昨年国会のほうに請願して国会において正しい法人制度をつくっていただこうというわけで今日に至った次第であります。相続税、贈与税はやはり立法当時のように何ら配当もなし、収益もないのでありますから、こういう点から考えてみても、立法当時のように相続税、贈与税は非課税にせられたいということを強く私たちは念願しておる次第であります。
大体私からお願いする点はさような点でありますが、本日参考書類を持参いたしましたので、詳しいデータは全部印刷になっておりますから、それをひとつあとでごらん願いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/4
-
005・山中貞則
○山中委員長 続いて質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/5
-
006・堀昌雄
○堀委員 ただいまいろいろと参考人からお話を承りまして、実は私どもも承知をしていなかった問題が二、三出てまいりましたので、参考人のほうでどの程度御承知であるかわからない点もあるかもわかりませんから、ちょっと政府側のほうにその問題の所在を明らかにする点をお尋ねをしておきたいと思います。
ただいま阿部参考人がお述べになりました中で、これらの医療法人の中に医師でない者を主体として設立をされておる医療法人がかなりあるようなふうに承りました。そこで一体医師でない者を主体として医療法人がつくられて、そうしてそこに管理者としての医師を雇って行なわれておるような医療法人というのは現在どの程度にあるのか、厚生省側でひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/6
-
007・大崎康
○大崎政府委員 医療法人は御案内のように理事を一人あるいは数人置くことになっておるわけでございます。その中で一人は必ず管理者たる医師が理事に加わらなければならない。これは医療法人が病院、診療所を経営するというたてまえから、当然にそういうふうな規定があるわけであります。いま先生がお尋ねになりました数の問題でございますが、その主体といいますか、医師以外の理事者が多いというふうな医療法人が幾つあるかというお尋ねかと思いますが、その点につきましては私ども資料を持っておらないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/7
-
008・堀昌雄
○堀委員 いま私が伺ったのは、確かに医療法人の中には管理者たる医師が一名入っておりますから、形式的に区別はできないと思うのですが、しかし実質的には、要するに医師でない者が主体となって病院や診療所を開設できるわけですね。開設者は医師でなくても、そこに管理者たる医師がおれば病院も診療所も開設がいまできることになっておるわけですね。そこでそういうスタイル、要するに初めから医師がいて、その医師が働きかけをして、そうして医療法人ができたという形態のものと、最初に医師でない人たちの発起によって病院ができて、そこへ医師たるものを雇い入れて、それを管理者として理事に加えた。だから問題は、いまある形式的な区別ではなくて、沿革的な実体的な点について、厚生省側は把握しておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/8
-
009・大崎康
○大崎政府委員 いまお尋ねになりましたような数字は、残念ながら持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/9
-
010・堀昌雄
○堀委員 医療法人協会のほうでは御承知でありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/10
-
011・荘寛
○荘参考人 医療法人協会のほうで全国の調査をいたしておるのでありまするが、ただいまお尋ねのような問題につきまして、いわゆる非医師経営の医療法人病院、これは数が調査の結果はっきりしておりませんが、非常に少ないのでございます。と申しますのは、この制度ができましたときに、林譲治大臣が国会でこの医療法人制度の提案理由を説明した中に、将来は非医師の経営の病院は許可せぬ方針であるということを言われたために、従来のものが少し残っておりましたけれども、この制度ができましてからは非医師経営の病院はほとんどないのであります。その前からの継続のものがあった、それが医療法人に切りかえたものですから非常に少ないということを申し上げておきます。何病院という数字の点はいまここに統計が出ておりませんけれども、後刻また調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/11
-
012・堀昌雄
○堀委員 実は私今度のこの法案を見まして、私ども医療に携わっておる者は、日本の医療というのは公的病院及び私的病院、私的診療所によって全体が運営されておるというふうに理解いたしておるわけであります。そこで医療法人がいろいろな経緯で問題のあることは私もよく承知をしておるわけでありますが、ここに掲げられておりますいろいろな表現は、どうも必ずしも医療法人だけを該当して考えなくてもいいような表現がたくさん用いられておるわけであります。「その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与」するのは、これは医療法人だけでなく私的診療所、一般診療所においても同様なことでありまして、多少違います点は、ここで「公的に運営されている」というこの問題だけが一般の私的診療所と医療法人の一部のものとに多少相違があるという点を感ずるわけでございます。そこでいままでの経緯の中で一番表に出ております問題は、医療機関の永続性の問題、それから資金の問題の二つが医療法人設立の趣旨だと理解をしておりますが、先ほど阿部副会長もお述べになりましたように、医療機関の永続性の問題は医療法人であろうとなかろうと現状では必要ではないのではなかろうか。資金の点につきましては、もちろん両方必要でありますけれども、医療法人をなしておる病院のほうが一般の診療所よりはいまより以上の資金を必要とした時代も間違いなくあった、私はこういうふうに判断をいたします。ただ現在の段階で一番求められておるものは何かと申しますと、先ほどの荘参考人のお話の中にもありましたように、贈与税、相続税等の医療機関に対する問題というのが実は医療法人の中でも非常に大きな問題点ではなかろうか。もちろんその経過的な中における法人税等も非常に重要でございますけれども、しかし全体として考えるならば、この相続税、贈与税の問題というのは、医療法人の中で一番大きな問題ではなかったのか、こういうふうに感じますけれども、その点は荘参考人はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/12
-
013・荘寛
○荘参考人 お答えいたします。ただいまの堀先生のほうのお話でありまするが、私たちいまのお話のとおり相続税、贈与税の問題が一番ウェートを重く考えております。あとの法人税のほうは、先ほど申し上げましたように非常にアンバランスである。公益性の高い法人と営利法人と同率である。これは先ほど申し上げたとおりでありまするが、この医療法人は公益性の問題と資金の集積をはかって医療機関の整備拡張をするということはただいまのお話のとおりでありますので、これが先ほど副会長のほうからのお話がありましたように、相続の場合には一代で財産が半分になってしまうわけです。もし三代相続が続くと今度はほとんどゼロになってしまう。この点に非常に重くウエートを考えておりますので、ただいまの御質問と私のほうの考え方と全く一致しております。ただ一つ申し上げたい点は、公益性の問題はもちろん、私的であろうと公的であろうと、あるいは一般の診療所であろうとみな同じであります。この点はお説のとおりでありますが、ただ医療法人になりますと、いろいろ規制を受けております。この点が若干変わっておりますので、この点だけをひとつ御承知願います。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/13
-
014・堀昌雄
○堀委員 そこで、これはもう一回厚生省のほうにお伺いをいたしたいのですが、実は一般の税制上の問題でいきますと、ある個人の事業を営んでおるものが法人になりたいというときには、法人になるための資本金、あるいは発起人あるいは株主なり取締役なりの規定がありまして、そうして登記をすればこれは法人になれるわけです。一般的に法人なりと称して相当多数のものがいま一般社会では法人になりつつあります。まあ極端な例を申しますと、八百屋さん、魚屋さんにもこのごろは法人の八百屋さん、魚屋さんができておるというのが実態であります。ところが医療法人のほうだけは医療法の三十九条によりまして、「病院又は医師若しくは歯科医師が常時三人以上勤務する診療所」というふうに限定をされております。そこで厚生省側にお伺いをいたしたいのは、医師常時三人以上ということを規定しておるということは一般診療所と病院が医療法人の中にはかなり確然たる壁がつくられている、こういうふうにわれわれは理解をするわけですが、その医療法人になぜ三人以上医師がいなければならないという考え方が出てきたのか、ちょっと厚生省側の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/14
-
015・大崎康
○大崎政府委員 堀先生のただいまの御指摘でございますが、この点につきましては医療法人というものが、資金の集積というふうなことが一つの目的になっておるわけでございます。したがいまして、医療法人そのものにつきまして非常に小さな規模ということはあまり予定をいたしていないわけでございます。したがいまして、三人ということで一応区切っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/15
-
016・堀昌雄
○堀委員 いま病院と診療所の区別は何によってなされておるかといえば、ベッド数十九床までが診療所で、二十床をこえれば病院というのが一番基本的な区別ではないでしょうかね。どうですか厚生省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/16
-
017・大崎康
○大崎政府委員 病院と診療所の区別はお話しのあったとおり、ベッド数によって区別をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/17
-
018・堀昌雄
○堀委員 ところが医療法人法は病院または医師三人以上という規定になりまして、病院というほうは医師が三人以上なくてもワクの中に入ることにこの法律は規定されておると思いますが、そうするとこれはいまあなたの御発言とやや一致しないところがあるように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/18
-
019・大崎康
○大崎政府委員 病院と診療所の区別はお話のようにベッドでいたしております。しかしながら医療法人は病院の経営のために設けられた法人ではございませんで、病院と診療所につきましておのおの法人格を与えまして、その永続性なり集積をはかっておるわけであります。その際に、その規模をどのくらい定めるかということにつきましては、立法上いろいろな論議があると思います。一人の場合にも与えるべきだということも確かに一つの理由であろうと思います。しかしながら医療法人でございますから、ある程度の物的な設備ということも御案内のように法律に書いてございまして要求をいたしておりますし、その施設において診療に従事する医師の数もある程度以上のものにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/19
-
020・堀昌雄
○堀委員 ちょっと私その点は率直に言うと、この法律自体が納得がいかないのです。なぜかといいますと、病院で、二十床で皆さんのほうは病院になるわけです。十九床で片一方は診療所なんです。よろしいですか、その差は一床ですよ。ベッドが一つしか違いがない。二十床の病院より十九床の診療所施設で、はるかにあなた方のいう資金の集積も必要であるし、いろいろな固定資産等についても病院以上の診療所も現在はあるわけです。そうすると片一方は病院で二十床以上だということによって医師の数は規制されていない。診療所のほうは十九床までということのために、医師の数は三名に実は規定をされておる。現在日本の病院の中で、私ども拝見しておる中では、私的病院には医師の二人の病院というのは実はかなりある。皆さんいろいろ指導していらっしゃるでしょうが、現在の医師の状態から言って、必ずしも現在の実態は三名以上常在しておるということになっていないと思う。そうしてみると、私はまずここで申し上げたいことは、課税というものは私どもは公平の原則というのが非常に大事だと思う。これが医療法人のここで皆さんが二八%の公益法人並みの税率の適用を受けたいとおっしゃる理由だと思います。そうすると公平の原則の税の処理をする前に、医療法人というものには少なくとも小さな自宅の一部を利用して開業しておるお医者さんまでも私どもは医療法人にしなさいとは言いませんけれども、別個診療所を持ち、相当数のベッドを持っておるけれども、一応病院としては現在自分たちのいろいろな事情から適当でないと考えておる方たちも日本の中には最近たくさんできておるわけです。そうなってくると、その点は一般の企業における法人になる問題以上に実はここにはきびしい条件を与えておるわけです、三人以上という。だからこの点は今後この税法のいろいろの問題を考えていくときに、さっきお話しのございました医療法人の場合において相続税あるいは贈与税の問題等について何とかひとつもっと恩典を考えてもらいたいとおっしゃることは私も当然だとは思いますけれども、そうなるならば、もっと医療法人になれる制度になっていないと、これは私は前段としてその範囲において限るならば、一般の診療所との間に著しき不均衡を生ずることを私は憂うるわけであります。そこでこういう法律が出ております際でありますから、医療法人というものについてはもう少しこれらの土台のほうから、選択の自由が診療所側に与えられておらなければ、非常に一方的な権衡を失する措置にならざるを得ないのではないかという点を私は心配するわけです。そこで厚生省側にお伺いをいたしますが、いま申し上げたようにこの医療法第三十九条は、これがつくられた昭和二十六、七年当時は、まだいろいろな面で復興もしていなかったと思いますから、診療所の施設その他においても必ずしも十分でなかった時期であるかもわかりません。しかし今日においてはこれはかなり様相も変わってきておる、こう考えるわけです。ですからここで病院または診療所でということでいいのではないか。そのあと医師三人ということを規定すること自体は、もし規定をするのならば、逆に裏返して病院も、医師三人以上常住する病院ということになるのでなければ、これは問題があると私は思いますが、厚生省はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/20
-
021・大崎康
○大崎政府委員 医療法人の設立認可基準につきましては、先ほど申し上げましたように、定款または寄付行為の内容が法令の規定に違反しないということと、それから一定の資産ということを要件といたしておるわけでございます。それに相応いたしまして、医師の数も一定数を要求している、こういうことに相なっているものと考えております。そういたしますと、その医師の数を幾らで区切るかという問題が確かにございます。現在医療法の施行規則におきましては、病院における医師の数は、先生御承知のように一応標準といたしまして三人を要求いたしておるわけでございます。そういうふうな関係からこの三人というものがきまったと考えております。いま先生がおっしゃいました、その三人という要件を取りまして、病院、診療所云々ということで医療法人の実態を組みかえたらどうか、こういうふうなお話があるわけでございます。この点につきましては、先生の御意見も一つの御意見であると思いますけれども、医療法人自体は、実は商法上の会社のごとくいわゆる準則主義を設立についてとっていないわけでございます。さりとて民法上の公益法人のごとく自由裁量による認可主義もとっておりませんで、いわばその中間的な形態として医療法人が位置をいたしておるわけであります。そういうふうな医療法人でございますので、その際に、その規模を病院、診療所全部にまで広げるのが適切であるかどうか、この点につきましては私慎重に考慮を要すべき問題ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/21
-
022・堀昌雄
○堀委員 私も、何も無制限にやれというのではありませんが、病院という規定が、法律としては三十床以上のベッドを持つという点に規定されて、三人以上ということは法律にはないですね。だから、法律が優先するわけですから、われわれはここでは法律の論議をしておるわけですから、あなたたちがどういう基準を設けようが、それは行政上の問題であって、私どもはあくまで法律のワクの中で議論をするということにならざるを得ないわけです。そうすると、それじゃ三人の医者が二人になった病院をあなた方はやめさせていますか。やめさせていないでしょう。やめさせるわけにいかないと私は思うのです。指導はするかもしれないけれども、やめさせるわけにはいかないと思う。そうすると、もし医療法人の病院に医師が二名のところがあったら一体どうなるか、著しく権衡を失する問題が生じ得るわけです。しかし片方は病院となっている以上は、これは医師がどうなったって医療法人として認められるというふうに法律がなっているわけですから、そういう意味では、なるほど医療法人は取り扱いとしては民法上の法人と公益法人との間であるかもわかりません、しかし率直にいうと、医療機関の中にも、民法上の法人がありますよ。大蔵省にお伺いをいたしますが、いま株式会社の医療機関というのが全国にたしか三つほどあると思いますが、御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/22
-
023・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、非常に過去に認められたものだそうでございますが、株式会社の医療機関がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/23
-
024・堀昌雄
○堀委員 そうすると医務局どうですか。株式会社の医療機関があるということ、これは株式会社だから利益の配当等も何もできるということになって、過去であるかどうかは別として、現在医療法五十四条では「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。」というような規定になっておるときに、そういう株式会社がいまそのままあるということについて厚生省はどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/24
-
025・大崎康
○大崎政府委員 医療法の第七条第二項の規定によりまして、病院、診療所、助産所が営利を目的とする形態で開設をしようとする場合には、これに対して許可を与えないことができるという規定がございます。この規定は、与えないことができるという規定でございますが、現実的には、医業の公共性ということにかんがみまして、現在は与えておりません。先ほど主税局のほうからお話がございました株式会社組織の病院につきましては、昔のものがごくわずか残っているということでございます。残っていること自体につきましてはやむを得ないと考えますが、医業の公共性の見地から見て好ましい事態であるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/25
-
026・堀昌雄
○堀委員 既得権であるならばそれを認めておいてよろしい、そうしてこれからはそういうのを認めないという、認めないという原則がはっきりしているなら、何らかの措置によってそれはやめさせるべきじゃないですか。法律がそうなっていて、認めないことができるのなら、そのほうでいけないのですか。私がいま伺いたいことは、課税の問題については、私は公平の原則というのは非常に大事だということを何回も申し上げておるわけです。そうすると、片や課税の問題で株式会社としてのいろいろなメリットを持っておるところがあり、片方は医療法人は剰余金の分配もされない、一昨日のいろいろの委員の論議の中で、営利を目的とするということとそこで利益が出たものを分配をするということは、これは私は別の問題じゃないか、こういうふうな感じがしておるわけなんです。要するに、営利を目的とするというのは金もうけのためにそういう行為を行なうということです。ところが、それではいまの医療の問題について、金もうけのためにはやっていない、しかし、資本主義社会の中で一つの行為があって、それに結果として利益が生じてくるという場合に、その利益が生じてはならないのだというような規定はおかしいのじゃないか。そうなれば、全的に公的な機関ということにならなければ、片や私的な行為を営ませて、そこに生じてくる利益はあってはならないのだという考えは私はちょっとおかしいと思うのですが、厚生省のほうではこの点はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/26
-
027・大崎康
○大崎政府委員 医業というものは営利を目的とする業ではないということはお話しのとおりであります。しかしながら、医療を行なえば、そこに通常の場合には、医というサービスに対して対価があるわけでございます。したがいまして収入があるわけでございます。収入があるということはお話のように当然であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/27
-
028・堀昌雄
○堀委員 そこで、収入があればそれに伴ってある程度の利益、剰余金という形式ですが、ことばは剰余金となっていますが、剰余金というのは結果としてやはり利益と同じことだと思うのです。だからそういうものが出てきたときに、それを配分してはならないというのは何に根拠があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/28
-
029・大崎康
○大崎政府委員 医診法人にはその種の規定がございますが、その立法理由といたしましては、医業そのものが営利を目的としない行為でありますから、剰余金が出た場合におきまして、それを持ち分に応じてたとえば配当するというふうな法制のたてまえをとるということがあまりふさわしくないわけなんです。そういたしますと、すなわち剰余金というものの配当が可能であるというふうなたてまえをとりますと商法上の会社にきわめて類似しまして、医業の非営利性というものもそこなうおそれがある、こういうことがその規定の立法趣旨だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/29
-
030・堀昌雄
○堀委員 私はどうもその点が非常にあいまいな問題が残っておると思うのです。なぜかというと、医業が営利を目的としないということの意味が、どうも私はきわめて形式的に理解をされていると思うのです。医業が営利を目的としないということは、要するに金をもうけようということのために、医療というものを手段として利用してはならぬ、こういうことに私は理解をするわけです。ところが現実にはそういうことがいま行なわれている場合があるんですよ。診療所その他の場合に、医師でないものが開設する資金を出して、そして医者を雇って診療行為をやって、その医者には月給だけ払って、その開設者が剰余金として持っていく場合にあなた方どう考えますか。それじゃ、いまの法人の問題は一応さておいて、法人でない診療所の場合を考えましょう。医療法人でない病院でもいいです。要するに、いま開設者は医師でない者が自由にできる制度でございますから、医師でない者が病院を設立して、管理者である医師を雇って月給を払ってやる、そうしておいて医者を働かしてやるならば、そこの中には利益が生ずる可能性があるわけですね。そして、その生ずる可能性のある利益は、いまの開設者である個人のふところに入るわけです。その入っていくものは一体何ですか。利益じゃないのですか。本人は医者として一つも働いていないんだから、あるいは固定資産その他に見合う家賃部分だけをとるというならこれはまた別でしょうが、家賃その他の所要経費以外のものをその開設者である医師でない者が持っていっている例はたくさんあります。それじゃその部分は一体何です。利益じゃないのですか。これこそまさに営利を、目的として設立をされている診療所である。そして利益をとっているという実態が片方にあるときに、あなた方のほうはそういうことには目をおおっていまのような考え方を貫くというのは、私は非常にこれも公平の原則にもとると思うのです。だから私がいま申しておることは、何も金もうけをしなさい、営利を目的にしなさいと言っているのじゃないのです。整理をして、そういう医師以外の者の開設する診療所、病院というようなものは、まず原則としてやめるべきではないかと私は思う。それが公共的団体、地方団体であるなら別ですよ。しかし、少なくともそうでないものについてはこれはやめる。いまあなた方が営利を目的としないんだ、五十四条の利益配分をさせないというのなら、そういうものは一切やめさせる方向に指導していかなければ筋が通らないと思うのですよ。どうでしょううか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/30
-
031・大崎康
○大崎政府委員 医業というものは御案内のように、生命を持続する、あるいは生命尊重という、とうとい目的から発して行なわれるものでありまして、たとえば報酬の有無によりまして、診療を拒否できないという本質があるわけでございます。これは医師法にも応招の義務があるという規定が御案内のようにあるわけでございます。そういうふうなものでございますから、営利ということの目的のために医業というものを行なうことはできない、こういうふうなことに相なっているわけであります。
そこで、一体医療法人制度として、それでは配当を禁止するかどうかという問題があります。一般の場合には確かに先生がおっしゃいますように、収入があれば、それは開設者の収入としてあがってくると思います。しかしながら、そういうふうな形態というものを即医療法人制度に取り入れるかどうかにつきましては、これは立法論として議論の分かれるところであろうかと思います。すなわち先ほど申し上げましたように、医療法人というものはいわば公益法人と商事会社の中間的な形態として全体が貫かれているわけであります。したがって、ここにおいては配当禁止という措置をとりまして、いわば医療法人の公益性という姿を出していきたい、こういうふうなことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/31
-
032・堀昌雄
○堀委員 私の伺っていることとお答えが少し違うと思うのです。私は要するに全部ストレートにものを並べ考えたいと言っているのです。ですから医療法人は五十四条で配当しなさいということを言っているのじゃないのですよ。要するに、医療法人は五十四条で配当はさせないのだ、医療は公共性の高いものでそういうことをさせないということが片一方にあるならば、片方で診療所の開設者の医師以外の者がみな医者を使って——いまあなたのおっしゃった応招の義務その他は開設者にはちっとも来ませんよ。診療所を開設している者がある資本家としましょう。金を出して病院をつくった。そうしてそこへ医者がおって、そこで応招の義務を問われるのは中におる医者だけで、開設者は何も医療法のそういうような医師としての責任を問われないのです。そうして大いにぬくぬくとして利益だけは持っていくことができるという制度を残すのは間違いじゃないかと私は言っているわけです。ですからそうでなくて、そういうものもいまのように認めるというなら、こっちも配当さす。営利を目的としているのではなくて、結果として出てきた利益なんだから、それを配当してもいいのじゃないか。どっちかに整理しないと、片一方は自由に第三者が金もうけをすることができて、片一方は医師自体がやっておる医療法人でありながら、金もうけのためじゃないが、利益が出たものはともかく施設や機械以外一切使っていかぬなどということはこれはまたおかしなことではないか。だから私がさっき医師でない者によってつくられておる医療法人の実態というものを伺ったわけですが、そういうものは私はつくらないようにしてもらいたいと思うけれども、いまの医療のいろいろな問題の中に根本的にあるのは、片や医師の責任を非常に強く要求しながら、開設者の部分が自由になっておる点が医療法の非常に大きな盲点だと思うのです。だから厚生省としてはどっちに考え方を統一するのかと聞いているわけです。だからそういう手段として利用されたくないということになるのなら、医師以外の開設者は、公的なもの以外は全部禁止するように法律を書きかえるのが私はたてまえでないか、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/32
-
033・大崎康
○大崎政府委員 医師以外の者が開設した場合にその収入について制限をするとか、あるいは医師以外の者の開設するものについて全部公的機関にすべきである、こういうふうな御議論かと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/33
-
034・堀昌雄
○堀委員 違うのですよ。私の言っているのは、公的なたとえば市だとか、県だとか、国とかでつくる場合は、開設者が医師以外ですけれども、そういう公的なものはやむを得ません。しかし、医業というのは、一般人が病院、診療所を開設をし開設者になって、医師を雇って管理者にすればいま医療法でできるわけです。それをやめなさいと言っているのです。それでなければそれは営利を目的としたことに現実になるということを言っておるわけです。いまのずっと話してきた中ではそうじゃないですか。そこへ入ってきた収入はみんな管理者のふところに入ってしまうのだから、その入る分については、医師以外の開設者が行なった場合はそこへ入るものは一体何かと言ったら、病院の償却とか、要するに建物の賃貸料であるとか、そういうものに限るというなら、医療法人と同じことになるわけです。そうしてその残りは医師及び従業員の給与としてやりなさいということで規制するならいいですよ。また話は別です。それなら医療法人と同じスタイルになるわけですね。それはよろしい。要するに医療機関の中へだけ金が入っていく。出てくるものは、もしその人間が事務員として働いているなら月給をとったらいい、そういうかっこうにならぬでしょう。いま開設者がやる場合に法人でないのだから、そこらのところはいまのような形で区切るならいいけれども、区切っていないからそういうのをやめたらどうか。そういう一般人が病院、診療所を開設することができるという医療法を改正するほうが筋が通るんじゃないかということを言っているのです。そんなものを公的な人間にしなさいと言っていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/34
-
035・大崎康
○大崎政府委員 一般人が開設する病院あるいは診療所につきまして、いま先生がお話しになったようなことを禁止するということは、実はなかなか困難である。医療法人制度におきまして配当制限をとったということは、医療法人制度が、そういうふうなことを要求される医療法人というものの位置づけからそういうふうな規定ができていく、こういうふうに考えて、その両者は必ずしも一致させるというふうな必要はないんじゃないか、こういうふうな気がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/35
-
036・堀昌雄
○堀委員 ところが、あなたはさっきはそうは言わなかったのですよ。五十四条というのは営利を目的としないという原則があるのでありますから、これはやれないのだ、こう言っているのですよ。また、医療法人の性格というものが何からきているか、医療法の原則を受けてこう書いてこうきているはずだから、それは私は答弁にならないと思うのです。
〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
そこで、時間も経過をいたしますから、まずここで一点明らかにいたしておきたいことは、これはまあ厚生大臣でも来てもらってやらなければしようがない問題だけれども、営利を目的としないということをほんとうに貫いていくならば、私は一般人の病院、診療所の開設をやめるべきである、それをやめない限りは、形式はいかようであろうとも、現実に営利を目的とする行為の手段に使われるという現実の姿があるということを含めて、厚生省側としては十分事務的にも検討すべき問題ではないか、そういうふうに思うわけであります。
その次に、先ほど私は阿部副会長のお話を聞いておりまして、なるほど診療所にとりましても相続税の問題はきわめて重要な段階にきていると思います。そこで、阿部副会長にお伺いいたしますが、たしか全国の病院、診療所等は現在固定資産税の減免をある程度されておるやに聞いておりますが、どの程度御承知かわかりませんが、かなり広い範囲にわたっておるように聞いておりますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/36
-
037・阿部哲男
○阿部参考人 ただいまの御質問でございますが、不幸にしてつまびらかにしておりません。固定資産税というのは医業に関係する部門につきまして、全免でございませんで、一部減ずる、こういう制度があるようでございます。私の地区におきましてはまだそれが出ておりませんので、はっきり御返事申し上げかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/37
-
038・堀昌雄
○堀委員 実は、私のおります関西地方では、東京都もたしかそうだったと思いますけれども、医療施設該当分に対する固定資産税というものが幾らかずつ減免をされておる地帯というのは非常に広範に広がっておると思います。そこで一体医療施設用固定資産税をなぜ地方自治体が減免をしておるかといいますと、やはり医療施設の公共性及び公益性に注目をいたしまして、どんどん医療というものが皆保険になっております今日、それに協力するという意味で地方自治体側としての配慮が行なわれておると考えております。このことは一般のいわゆる八百屋さん、魚屋さんの企業にはそういう例は私どもは聞かないわけですから、極端な例で恐縮でありますが、少なくとも八百屋さんあるいは魚屋さん、その他一般の業務に提供されておる施設と医療施設というものの間にはかなりの差があるということを、すでに現在の地方自治体の中で明らかにしておる、こういうふうに考えるわけです。そこで主税局長にちょっとお伺いをいたしますが、どうでしょうか、いまの医療用施設とその他の企業の施設とは、そういう意味で多少特殊的な取り扱いがされておるわけですが、そういう何らかの差があるという区分を、税制上の問題として認められますか、まあ抽象論ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/38
-
039・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、医療施設が公共性を持っており、その他の事業施設と違った性格があるということは私は事実であろうと思います。問題は、その場合に課税上どの程度の区別をつけるべきか、その点にあろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/39
-
040・堀昌雄
○堀委員 大蔵省のほうでも医療施設とその他の企業の施設とは程度としてどうするかは別として、質的には差があるという御答弁がございました。そこで、先ほどのお話を聞いておりますと、医療法人のほうでもいろいろと相続税及び贈与税の問題について大きな関心がありますが、これはやはりそういうものの性格上永続性を持たせたいということと、分散して相続ができないという性格、要するにだれか一人代表であるものがそこを相続するという形態をとっているということに大きな理由があると思うわけであります。
そこで、先ほど阿部参考人のお話にありましたように、その医療施設該当部分がもしいまのようなかっこうで相続税の対象になりますと、だんだん最近固定資産、土地を含めての固定資産の評価というものは上がりつつございます。この国会でも政府は固定資産の評価を変えることを提案をしておりまして、今後の傾向は、これはどうしても上がっていく。ところがやはり、いつも大体人がよく通るようなところ、集まりやすいところ、交通に便利なところということが公共性の面からも要求をされているわけです。非常にへんぴなところに行って、人も来ないようなところでは医業は成り立ちませんから、どうしてもやはり交通の便利なところ。こういう交通の便利なところは最近の傾向は非常に地価も上がってきている。ところが、地価も上がると同時に建物その他も、最近は施設を完備しなければなかなか、片方にはりっぱな公的病院もできますから、それとの権衡上いろいろと努力をして設備投資をされ、機械設備等が充実をされていることは、これは病院だけでなく、診療所においても同様な現象が起きているわけです。そこで、そういうふうにして医療固定資産というものがだんだん大きくなるという傾向の中で、これを相続するということはなかなかたいへんな問題が起きてくる。ところが片面には医療の公益性、公共性というものは、これは万人の認めるところであるということになりますと、私はいろいろな措置のしかたがあろうかと思いますが、阿部参考人がお述べになりましたように、その医療該当固定資産分だけについての相続については、実質的な相続が開始されても、これが医療用に使用されている限度を限って、一応その部分の該当分だけの相続税を延期をして、そうしてもしそれが他に転用される、売買される等の事態が発生した場合には、そのときの時価において相続があったものとみなして課税をする、相続税の一時延期をするといいますから、相続税の延納をするという考え方というものは、私きわめて合理的な考えではないか、こういうふうに考えますが、今後この問題については、当委員会でひとつ与党の委員諸君の御同意を得て具体化のほうに進みたい、こう考えておりますが、当面これらの問題について大蔵政務次官はどういうふうにお考えになりますか。いまのこの医療法人の税制の問題をも含めて、今後の贈与あるいは相続の問題というのは、医療施設に永続性を持たして、社会的な公益性、公共性のために利用されているという限度においては、前向きにひとつ検討を進める問題点ではないか、こう考えますが、大蔵政務次官の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/40
-
041・纐纈彌三
○纐纈政府委員 お答えいたします。
御承知のように固定資産の評価がえはちょうどことしいたしまして、最近は特に土地の急騰がございましたのでかなり土地あるいは繁華街におきます家屋の固定資産税等も相当高うなっていると思います。
そこでまず従来の固定資産税の率をもってすれば相当増税のような形になる。これに対しまして、地方税に対しましても、御承知のようにはっきり声明をいたしまして税率等についての検討を加えつつ増税にならないような考慮をいたそうということをはっきり申し上げておるようなわけでございます。その問題はただいま堀委員のお説のように、医者のほうにつきましても相当固定資産というものは、特に場所のいいところですから、相当急騰することになるわけです。したがって、ことに先ほど来確定されておりますように、医業といたしましては非常に公共性があるということでございますから、これは主として地方税になりますが、固定資産税は地方税でございますから、そういう意味において、いまお話しのような点をひとつ十分考慮して、当然固定資産に対する率の改正というものが行なわれなければならない時期になっておりますから、その実施に対しましては御趣旨に沿うような前向きの姿勢で、ひとつ検討を経て来年度の固定資産税決定に資するようにしたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/41
-
042・堀昌雄
○堀委員 いま私の伺ったのと御答弁が違うのですが、確かにいま次官がおっしゃったことも私ども非常にけっこうだと思うのです。地方自治体がばらばら固定資産税の減免をしておる形は適当でないかもしれませんから、それは地方自治法でうたわれることによって公平な処理がされるということは望ましいことだと思います。と同時に、私がいま伺ったのは相続税の取り扱いの問題でございまして、医療施設の固定資産に見合う相続税についてだけは、相続が行なわれましても、むすこさんがやるわけですが、御承知のようにこれは持っておるからと同じでありまして、それを継続していく以上は、その他のどこから相続税の金を持ってこないと処理ができないわけでございますから、医療行為が継続しておる間はその延納の制度によって相続税をとるのを見合わす、しかしその事態が終止をいたしまして医療行為をやらなくなった、あるいは売買をして利益を生じたという場合には、その売買なり医療行為が終わってその医療施設が転用された時点における時価において相続税を評価してかけてよろしい。だから要するにその時点まで相続税を払うのを少し延ばしたらどうかということを私はいま提案しておるわけです。
まあこの問題についてはいますぐお答えいただくわけにいかないと思いますから、前向きに検討をして、医療施設というものの公益性及び公共性さらに医療法人の中にもうたわれておりますところの永続性という問題を含めて医療機関全般に対して、処理をされるという方向が片一方に出ますならば、私は、医療法人の中における贈与税、相続税の問題もこれにならって合理的な解決がされて、いまの医療施設関係についての取り扱いが公平の原則の上に乗っかるのではないか、こういうふうに考えますので、前向きの御検討をお願いできないかどうかということを伺ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/42
-
043・纐纈彌三
○纐纈政府委員 御承知のように相続税、贈与税等はいわゆる私有財産制度から出てまいっておりますので、そうした形でこの課税が行なわれているような形でございます。公益性が非常に医療機関は高いことは先ほども申し上げたとおりでございますが、ほかにもそういうものがございます。そういうことでございますから、そういう点等もあわせて前向きに検討する価値のある問題であろうと思いますので、相続税、贈与税につきましても、御趣旨に沿いまして検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/43
-
044・堀昌雄
○堀委員 これはひとつ与党の諸君とも私よく御相談をさしていただいて、できるだけすみやかにそういう措置がとられますことが必要だと思います。他の問題の中に、やはり同じような性格のものがあるかと思いますが、しかしいまの医療施設に該当するものと同じようなものはない。似たものはあるだろうけれども、同じようなものは私はないのではないかと思う。それは先ほど私厚生省と論議しました中でお気づきになったと思いますが、要するに医療というのは営利を目的としてはならぬのだということが、資本主義社会の中でありながら規定をされておって、いまのような諸条件がはっきりしておるわけですね。さらに先ほど医務局の次長が答えましたように、医師というものは応招の義務があったりいろいろな諸条件の中で考えてみますならば、どうもいまのようなあり方の中に、医療機関の特殊性というものは、そんなにこれと同じだというようなものは、私的な施設の中にはそうないんじゃないか。時間がございませんからこの問題についてはこの程度にとどめておきますけれども、そういうふうにひとつ御理解をいただきたい。
それからちょっと国税局のほうにお伺いをいたします。実は先ほど荘参考人からお話がございまして、何か国税庁の通達で、これまで財団であった医療法人は社団に戻れという通達が出されたとおっしゃったのですが、さっき参考人がお話になったように、医療法人はなるだけ持ち分のあるものは持ち分のないものへ、財団へといくのが要するに公共性の方向に進むことであって、もしこういう医療法人という制度を今後も維持していくということなら、それは望ましい方向だと私は思うのです。先ほどのお話で、これも私は気がついておりませんでした。新しい事実をいま承ったものでございますから、それについて一体どういう趣旨のもとに国税庁がそういうのを出されたのか、ちょっとお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/44
-
045・鳩山威一郎
○鳩山説明員 ただいまの問題につきまして、おそらくこれは昭和二十八年に国税庁から各局長あてに通達が出されております。当時のことを私詳細には存じておらないのでございますが、私の解釈をいたしておりますところでは、おそらく、医療法人が厚生省の指導によってできてまいった。その際に当然課税の問題があるわけでございますが、公共的な色彩の非常に強いもの、あるいはまた個人的支配がなくなるという本来の財団という形をとるようなものにつきましては、一定の基準を設けまして、ただいまで申せば租税特別措置法の四十条によりまして、大蔵大臣の承認を得まして、その際の譲渡所得とあわせて贈与税はかけないという取り扱いをいたしていたのでございますが、その際に内容を審査いたしますと、やはり依然として個人的支配が続いておるというようなもの、あるいは厚生省と御相談をした一定の基準による公的な運営がなされていないというようなものにつきましては、これは大蔵大臣の承認が得られないという問題が一つあるではないか。そういう際に贈与税あるいは譲渡所得税がかかりますと、その当時におきまして納税が非常に困難であるというようなことから、出資の持ち分があれば、その際にはその出資の持ち分が処分されたときに課税の問題が起こるわけでありまして、したがって出資の持ち分のあるものならばその際の課税問題は起こらないというようなことで、おそらくそういった厚生省との話し合いによりまして、持ち分のない医療法人をつくりましたけれども、課税の関係上持ち分のあるものにしたいというような、組織を変更するという申し出があればそれを認めて、その際課税はしないでおこうというような話し合いがあったと思われます。そういうようなことから、国税庁としては持ち分がある組織を奨励するというようなことを考えているのじゃございません。持ち分があればそのときに税金の問題は起こらないということであって、あるいはそういうことから反射的に国税庁が持ち分のあるものに変えろというような印象を与えたかもしれないと思いますが、実際はそういうことじゃない。持ち分があれば課税の問題は起こらないというだけの話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/45
-
046・堀昌雄
○堀委員 それはちょっとはっきりしませんが、もちろん鳩山さんもその当時おられたわけではありませんから、それ以上は伺いませんけれども、厚生省のいまのような御答弁で、どうもそれは課税技術上の問題だというふうに私は受け取りました。要するに、税金の問題を親心か何かかわかりませんが、国税庁で配慮して、そうしたほうがいいのじゃないかということがあったようにうかがいましたが、厚生省は指導上それをどういうふうに受け取ったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/46
-
047・大崎康
○大崎政府委員 医療法人には御案内のように財団、持ち分のあるもの、ないもの、社団がございます。それでその当時の事情は私もつまびらかにはいたしませんけれども、いま国税庁のほうから御説明がございましたように、医療法人の創設の際につきましては相続税等がかからなかった。それが二十七年の改正によりまして、かかるようになった。したがいまして財団なり持ち分の定めのない社団につきましては相続税の問題が起こったわけでございます。したがいまして、租税技術上の観点から組織を変更した、こういうふうな事実があったわけでございます。その点自体につきましては、租税対策上組織を変更するということは好ましいことではないと思いますけれども、しかしながらその当時の事情によってやむを得なかったのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/47
-
048・堀昌雄
○堀委員 古いことですから、私はそれはいいと思うのですが、現在はだからそういう最近の四十条に対する通達等いろいろ見ると、大蔵省のほうでも財団であるとか持ち分のないもので公益性の高いものは贈与税を免除しようという考えになっている以上、当時の考え方はいまはないのだ、できるだけやはり財団になり、持ち分のないほうを課税上も指向するのだということに理解していいですか。国税庁のほうと厚生省のほうから伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/48
-
049・鳩山威一郎
○鳩山説明員 国税庁といたしましては、医療法人に対しまして、政策的な考えは持っておらないわけでございます。医療法人が公益的な運用がなされるということのほうが私どもとして望ましいと考えておりますが、特にそのために何らかの、これは厚生省の御指導によるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/49
-
050・大崎康
○大崎政府委員 医療法人にはいろいろな形態があるわけであります。厚生省といたしましては、その設立者といいますか、その方の意思におまかせいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/50
-
051・堀昌雄
○堀委員 開設者といいますか、理事の自主的な判断にまかせられるならいいのですが、私ども聞いておりますと、やはり依然としてまず医療法人になりたいというのがチェックされておるというようなことが第一に耳に入る。それからその他の点についてもいろいなことが耳に入りますから、いまの点非常に重要ですが、そういうルールにかなったもの、希望するものはいまの条件にかなえてやるということを確認をしたいのと、さっき申し上げたようにいまの医療法人になるなり方の中の諸条件については私は再検討を必要とするのではないかというふうに思います。最後にあわせて、これは医療法人の特別措置でありますから、直税部長がお見えになりましたからちょっと伺っておきたいのですが、実は全国の私的医療機関では、御承知のようにいま租税特別措置法二十六条の適用を申請しておるものというものがほとんど大部分だと思います。ところがその私的医療機関で所得が二八%、経費率七二%と法定をしておりますから、私は医療機関に対する調査等については——一昨日来ここでずいぶん公的病院の自費診療部分についての問題を論議をしてきましたが、その問題について自費診療部分がかなりあるということが予想される医療の形態もございます。現在医療保険の適用外になっておる面で婦人科その他の科目において一般の内科、外科その他の科に比べてやや自費診療が多いと目されるものがありますから、それらについてはともかくとして、国民皆保険下の今日、ほとんど九七、八%というような割りで社会保険診療を行なっている施設に対して、実は全国の国税局からいろいろな経費をこまかく書いて出しなさいということが行なわれておるやに聞いておるわけでございますが、いまの所得率を定めておる以上自費診療把握のためということならやむを得ないと思いますが、一%や二%、三%内外の自費診療の把握をしようというために、その一年間の経費をこまかく書いて出せなどということは、そうでなくても事務負担の高い医師にとっては非常に大きな問題だと思いますので、その点については私がいま申し上げた自費診療が相当あると目される方は例外として認めますが、一般的にきわめて少ない一般の人たちに対しては、その人たちが、青色申告ではなくていまの租税特別措置法二十六条の適用を受けるということになっておる場合には、そういう調査は必要ないのではないか、こう思いますけれども、ひとつ国税庁側の御回答を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/51
-
052・鳩山威一郎
○鳩山説明員 国税庁といたしまして、一般的にはやはり申告納税というただいまの税制のたてまえからまいりまして、やはり納税者のほうで所得が幾らあるのだ、それから経費が幾らあって、したがって自分の所得はこうなんだということを御自身で計算していただきたいという方向で一般にお願いしておるわけでございます。ただおっしゃいましたように、経費の計算というものは相当手間を要するということも事実でございます。私どもただいま、青色申告制度というものがやはり申告納税制度の理想であるというような考え方をいたしておりまして、青色申告の普及を一方でいたしております。それにつきましてはやはり記帳をしなければならぬという問題が必ずついてまいります。記帳をいたしますには相当な事務手数がかかるという、こういった悩みがあるわけでございます。私ども現実に運用いたしております考えは、なるべく御自分でおわかりになった方は御自分で書いていただきたい。経費でもどういうものにかかったということを書いていただいて、これをいろいろ課税の参考にもいたしたいのでございます。ただ、ただいま堀委員のおっしゃいましたように、一般のお医者さんはやはり社会保険の診療が大部分を占めておるという事実はこれは確かでございます。したがいまして、当面の運用といたしまして、自費診療が相当多いという方にはぜひひとつ書いていただきたい。そのほかの方にも日常この帳簿が非常に完備をされて書けるという方は書いていただきたいということを、こちらのほうでお願いをいたしておるわけでございまして、ただお忙しい納税者の方でございますから、これは強制いたすというようなことは極力避けるように、そういうふうに指導をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/52
-
053・堀昌雄
○堀委員 阿部参考人にお伺いをいたしますが、いま私が申し上げたように、租税特別措置法第二十六条によりまして、「当該支払を受けるべき金額の百分の七十二に相当する金額」が経費だということに定められておるものですから、私は忙しければまあ必要がないと思っておるわけなんですが、実際にはちょっと行なわれておるようでございますが、いまの医師の実態としては社会保険診療に従事して毎日診療し、請求書を書くという非常に大きな事務的処理のためにとても日常租税特別措置法の適用を受けたいというような方は薬品を幾ら買ってどうしたというようなことが、記帳はとてもできないのではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/53
-
054・阿部哲男
○阿部参考人 ただいま堀先生のおっしゃるとおりでございまして、おそらく記帳はできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/54
-
055・堀昌雄
○堀委員 一般の医師の方は大体私もそういう実情だと思いますので、ひとつ国税庁におきましては、私がいま例外的に自費診療が相当あるというのは過去の経過からわかっておると思いますから、そういう方たちに対してはひとつお願いしていただくのもけっこうだと思うのですが、医師全般に対して書類を配ってそれを何日までに書いて出しなさいというようなことは、そうでなくても非常に事務負担に追われておる現状の医師の実態でありますから、十分御検討をいただいて、あまり負担のかからないような措置を御配慮をいただきたいということを要望いたします。
それでは、一応いまの問題の締めくくりとして、私の考えを少し申し上げておきたいと思うのですが、いまここで法律は明らかに持ち分の定めがないものとなっておりますから、私はやはりこの法律のあり方によって、私の考えではやはり医療法人はできるだけ公共性の高いものになっていただきたいということで、さっきのような何かブレーキのようなものがかかったことはたいへん私は遺憾だと思いますが、今後はそういうことのブレーキはかからないと思いますから、厚生省のほうでも自主的な判断にまかせるということになっておりますし、税当局においても、そういうことによっていろいろな考え方を差しはさむ意思はないということでございます。
〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
ですから自主的な判断によってできるだけひとつお医者さんにおきましては、持ち分のある方は持ち分のないほうへということで公共性が高まるような御配慮を関係者の皆さんがお考えいただくことが適当だと思います。その際における贈与税その他の減免の問題につきましては、いま御承知のように非常にきびしい通達が出ておりまして、どうなろうかというような点に問題が残っておりますが、これらについてはそういうものにおける贈与税の問題というものが私はなくなることが望ましいと思うのです。ただ、それがもしそういうことで持ち分のあるものをないほうに移動する場合に、贈与税等がなくなるという、こういう時点の問題については私は一般診療所との権衡というものもございますから、その面では私はさっき提案をいたしましたような相続税等の取り扱いの特例等の問題を含めて、私は医師全体のそういう均衡のとれたひとつ課税上の公益性、公共性に見合う措置を大蔵省側として検討を進めてもらいたいということを私は要望いたしまして、私の質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/55
-
056・山中貞則
○山中委員長 藤井勝志君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/56
-
057・藤井勝志
○藤井委員 ただいま堀委員から詳細な質問がございましたので、私は重複を避けます。きょうはたまたま医療を中心とした税制の問題について、いろいろ先日来各委員から質問もありますし、私も先般の大蔵委員会で意見を述べたわけでございますが、この際ひとつ主税局長にお願いをかねてお尋ねをいたしますが、先ほど医師会のほうから参考人として御意見が出た中に、特に相続税、贈与税、こういった問題でもう医者は三代と続かない、こういう実情をるる述べられたわけでございます。私もそうであることを前提に先般質問したわけでございますけれども、主税局長のほうでは、それは少しオーバーな言い方であるというふうな見解でございます。この点はやはりお互い部分的な問題を取り上げて議論し合っても水かけ論になろうと思うのでありまして、やはり実態をこの際あらためて大蔵省当局も把握していただき、間に立って厚生省がもっともっと現在国民皆保険制度が進んできて、医療問題というものは非常に大きな転換期にさらされておる。それに沿うた税体系というものがあらためて検討さるべき時期が来ている。それがいろいろ具体的な問題に派生して、まじめにやっておられるお医者さんたちは非常に困っておる。その中にある程度制度を利用して利潤を追求する。こういう傾向に片寄った面もある。大蔵省ではそういう面をとらえて、まじめに医療法人の制度に沿うて努力するお医者さんが成り立たない。あるいはまたまじめに私的医療機関を存続しようとしてもできない、こういうふうな状態になっておることは明瞭であろうと思うのであります。したがってこの際私は一括お願いをすることは、先ほど堀委員からも適切な質問が出ておりましたが、ひとつこの際この医療法人をめぐる租税特別措置法の改正を通じて、できるだけすなおな見方をして医業の特殊性、公共性ないし永続性、こういったものに対して窮屈な条件というものはひとつ排除してもらう、こういうふうにひとつお考えを願いたい。すなわち政令において要件を定められるというような場合、できるだけ善意の解釈を持ってもらう。同時に医業自体がそのような軌道に乗るように厚生省は行政指導をしていただく、このようにひとつお願いをすると同時に、相続税、贈与税については、来年度は他に累を及ぼすようなことは、私は医業の場合とほかの場合とはそう関係がない、区別のつく問題があると思うのでありまして、そういう点をひとつ考えていただいて、次会御検討をお願いすることを希望いたしまして私の質問を終わります。質問というのは、主税局長に先ほどの実態との関連において十分お考えをいただけるかどうか、御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/57
-
058・泉美之松
○泉政府委員 先ほど来からお話がございます医業の施設の相続税、贈与税の問題、いろいろ問題はあろうかと思いますので、私ども、はたして相続税がそういった医業をやっておられる方にどういうふうな状態になっておるかという実態は十分調査いたしたいと思います。ただ、先ほど政務次官からも申し上げましたとおり、相続税というのは私有財産制を前提としておるわけでございます。その私有財産制を前提としておりますと、その財産の用途と申しますか使用目的といいますか、それが公共的であり公益的であるという場合に、その相続税の対象からはずすということになりますと、ひとり医業だけでなしに、たとえば社会福祉事業をやっている場合、それから更生保護事業をやっている場合、これらの場合にもいろいろ問題が出てくるのではないかというふうに考えられるのでございまして、そこの公共性、公益性の高さの程度、この辺はなかなかやっかいな問題がありはしないかと思うのでございます。そういった点を含めまして実態調査をいたしましていろいろ検討してみたい、かように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/58
-
059・山中貞則
○山中委員長 春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/59
-
060・春日一幸
○春日委員 私は、医師会の代表が久しぶりに御出席を願った機会でありますので、医者の所得に対します租税特別措置法、すなわち社会保険診療収入七二%の損金算入の限定課税のあり方について、この際御意見を伺っておきたいと思うのでありますが、その前に医業の所得はどういう性格の所得であるのか、この際正確に認識をして判断をする必要があると考えますので、主税局長にお伺いをいたしたいのでありますが、この医業による所得はどういう所得と区分されておりますか。まずこの点について泉さんから御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/60
-
061・泉美之松
○泉政府委員 医業の所得につきましては所得税法第九条の第一項第四号に掲げております事業所得というふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/61
-
062・春日一幸
○春日委員 これが法律上事業所得として区分されておりますにもかかわりませず、事業所得であるならば、これは当然地方税においても事業税の課税対象にならなければ相ならぬ筋合いのものであろうと思うのでございます。しかるところ、地方税は社会保険の診療収入に対しては非課税措置をとっておるのでありますが、これはいかなる理由で特に営業所得に対してのそのような非課税措置がとられておるのであるか、この辺の理解をいかにされておるのか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/62
-
063・泉美之松
○泉政府委員 地方税のほうは自治省の所管でございますので、私どものほうでどういうふうに理解しておるかということを申し上げたいと思いますが、自治省のほうの理解とあるいは多少食い違いがあるかもしれませんが、その点は御容赦いただきたいと思うのでございます。地方税のほうの事業税の課税にあたりまして、お話のように社会保険診療の報酬につきまして事業税を非課税といたしております。これは思うに、そういった社会保険診療報酬の場合におきましては、本来営利を目的としておらない点からいたしまして、課税上特例を設けまして非課税にするほうが望ましい、考え方としましては他の収益性の低い事業の場合に軽減税率を課しておる場合もございますので、軽減税率でやっていく考え方もあろうかと思いますが、社会保険診療報酬の収入につきましてはそれが公益的であるという点を考えて非課税にしてあるものと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/63
-
064・春日一幸
○春日委員 私は、この際率直に医師会代表からその御見解をお述べ願いたいと思うのでありますが、ただいま泉主税局長から御答弁のございましたとおり、公益性の高い、しかも収益性の低い社会保険診療収入に対しては、営業所得である場合はことごとく事業税の対象になさなければならないものであるにもかかわらず、そのような理解の上に立って地方税は非課税措置がとられておる。しかるに所得税においてこれが二八%にいたしましてもとにかく課税がなされておるということの実態をいかがお考えであるのか、いずれにいたしましても国の政策に二論があろうはずはございません。地方財政も乏しい。また国の財政もともに必要なものを弁じなければならない。国民は法律の前に平等でなければならぬが、しかしながら、政策的意図に基づいてそれぞれ特別施策が講ぜられておる。これは当然認むべき事柄でございます。かかる意味合いにおいて、営業所得に対しては事業税が課せられなければならないにもかかわらず、その公益的性格にかんがみ、またその収益性の低さに徴してここに地方税の非課税措置が講ぜられておるにもかかわらず、国税においては限定課税にしろ課税がされておる、この政策の二律背反と申しますか、この矛盾についてどのようにお考えになっておるのであるか、率直に御見解をお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/64
-
065・阿部哲男
○阿部参考人 ただいま春日先生の御質問でございますが、お話のとおり私どもはそういう点は非常に不満に思っております。前々から公的医療機関が非課税であり、一般の私的のものがそういう課税の対象になっておる、こういうことにつきましては非常に不満を持っておりますが、法に暗いままに、また徴税法の内容等は私どもよくわかりませんのでそれに応じていたということでございまして、春日先生のおっしゃったような非常な矛盾があるということは私ども認めております。それでお答えになりますかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/65
-
066・春日一幸
○春日委員 私は、この機会に特に衆議院大蔵委員長にもひとつ御想起を願いたいことがございます。と申しますのは、本委員会はかれこれ十年前でございましたが、特に地方税と国税との間におきます課税の不均衡を指摘いたしまして、地方税においては事業の公益的性格を重視し、かつはまた、その所得の低さを十分認識をいたしまして、ここに地方税が非課税とされておるのであるならば、少なくとも社会保険診療収入に対しては、ちょうど米の供出等に対する国税の減免措置が格段の措置が講じられておりますこととも比べて、これは非課税の措置をとるべきであるという強い主張が行なわれました。かくてそういうような政策方向に向かって、社会保険診療収入に対する課税措置は全廃すべきであるという理論と、いまその段階にあらずという理論とがいろいろと交えられまして、特に本委員会におきます修正で——当時は二党でありましたが、共同修正が行なわれて、二八%の限定課税が行なわれました。ところがその当時一個の約束であるということはございませんけれども、含蓄としてお互いに念頭に置いてその妥結をいたしましたことは、将来この問題は解決しようということでございました。解決の方向が那辺にあるかは、それぞれのよって立つ立場によって論じ、煮詰めなければ相ならぬでございましょうが、しかしながら、ここに地方税が非課税措置がなされておるという現状、わけてそのような医療機関に対しては、固定資産税においてすら格段の減免措置が講じられておるこの実証、このような事柄とあわせ判断をいたしまするならば、この医療機関の国民に対する公益的役割の重大性にかんがみて、当然現在二八%の課税がここになされておるという現実は、すみやかにこれは全面的非課税措置がとられてしかるべきものであると思うのでございます。当然そういう方向に向かって努力することが含蓄されて、二八%というような暫定的な、かつはまた中途はんぱな税率が定められておるのでございます。こういう意味において、すべからく医師会においても、その当時の経過は御承知であられるでございましょうから、こういう問題について、政策的な要求でありますとか、当然何らかの要求がなされてしかるべきであると思うのでございます。しかるに、再診料の問題についての声ははなはだ大きいのでありまするが、本委員会においてすでに懸案的に、いうならば宿題的に残されておりますこの問題について論じられるところ全くありませんが、そういうことは一体どういう経過になっておりますのか、差しつかえありませんでしたら、この機会に御意見を開陳願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/66
-
067・阿部哲男
○阿部参考人 お答え申し上げます。
再診料につきましては、先生方すでに御承知のとおりで、ただいま申し上げることはございませんが、非課税の問題につきましては、そういう声が全国的に出ておりますけれども、徴税法というものについて、そういうわけにいかぬということが、いろいろ私ども耳に教え込まれておりますので、そこまで手が伸びていなかった、非常に申しわけないことでございますが、そういう実態でありますことを率直に申し上げ、今後先生の御趣旨のような線に向かってひとつ努力をいたしまして、その際はしかるべくお願い申し上げると思いますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/67
-
068・山中貞則
○山中委員長 ただいまの春日君の御発言は、委員長に対してもあったようでございますが、現在の社会保険診療報酬に対する特例措置の経過は、議員立法でなされておることにおいても明らかなように、一点単価改定の際の緊急措置としてとられた中途はんぱなものであることはいなめない事実であると思います。しかし、一方自治省のほうとしては、同じ課税対象に対して政府としての考え方において非課税、減税等の措置がとられておることについて、課税の均衡という点に基本的に問題が存在したまま今日まで推移してきたと指摘された点は、事実そのとおりでございますから、大蔵省だけの問題でもございませんので、大蔵省事務当局、ことに主税当局と自治省の当局者との間にこの問題について相談を開始させて、しかるべき方向への結論を出すように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/68
-
069・春日一幸
○春日委員 委員長からいま重大なる示唆がございましたが、山中委員長は自民党内におきまする実力者でありますので、ただいまさような御発言を得たことは、医療行政のさらに大幅な前進のためにわれわれは歓迎すべき事柄であると思うのでございます。いずれにいたしましても民主政治というものは世論政治であります。まず主権者たる国民の声を世論の声にしてこれを高めて、そうして国政の中に反映させることが当然の事柄であろうと考えますので、信ぜられるところに向かって大胆率直にその声を高めていかれますことを強く要望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/69
-
070・山中貞則
○山中委員長 只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/70
-
071・只松祐治
○只松委員 先輩各位がいろいろな方面から御質問になりましたので、予定いたしておりました質問の重複を避けまして、簡単にお尋ねをいたしたいと思います。
まず阿部さんにお尋ねをいたしますが、医者の生活は、私の回りにもいろいろ医者がいますが、そんなに楽ではございません。きのう埼玉県の医師会のお話を承りましても、埼玉県内でレントゲンの備えつけのある医者が約二五%、それからこれは人手不足その他いろいろな意味もあってでありますが、看護婦がいない病院が七〇%、こういうふうに聞いてまいりましたが、全国的な医者の大まかな生活状況、あるいはいま一、二の例をとりましたように、病院の機械化あるいは人員、こういうものがどういう状態になっておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/71
-
072・阿部哲男
○阿部参考人 お答え申し上げます。
ただいまのお話でございますが、看護婦のいない診療所、これはおそらく診療所だと思いますが、やはり七〇%くらいはございます。昨年非常に詳細な診療所実態調査をいたしましたが、その集計がまだ出ておりませんで、それにはいろいろございまして、たいていの場合看護婦のいないところは家族労働でまかなっている。奥さんあるいはお嬢さんが手伝ってようやく間に合っている程度でありまして、その数字も大体お話のとおりでございますが、なお詳細につきましては、後ほど折がありましたら、先生に差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/72
-
073・只松祐治
○只松委員 おおよその感じでもけっこうでございますが、埼玉県のデータというものは当たっておるか、全国的な数字であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/73
-
074・阿部哲男
○阿部参考人 お答え申し上げます。
これは診療所と申しましても、無床診療所、これをぜひ分けていただきたいと思います。この無床診療所におきまして、看護婦がいない、家族労働でまかなっているというのは、やはり全国平均におきましても七〇%くらい実際ございます。有床診療所というのが別にございますが、これは十九床までの有床診療所でございますので、ただいまのお話は無床診療所についての数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/74
-
075・只松祐治
○只松委員 医療単価がまた混乱しておりまして、したがって医療費が非常に単価が低い、そういうことでいろいろな矛盾が出てきておりますが、率直にいって、個人病院ではいろいろやりくりもしてあります。しかし、公立病院というのはなかなかそういううまいやりくりができない、そういうことで、公立病院ではたいへん赤字が出てきていることは御承知のとおりだと思います。たとえば上尾市の市立病院が三月一日をもって閉鎖になりました。三十七人の従業員を持ち、年間約一億の経費を使って、近県工業都市として発展途上にあるこの上尾市の市立病院が赤字で閉鎖をしなければならない、こういう現象を私は知っておりますが、全国的に公立病院はどういう状態にあるのか、赤字の病院が何%くらい出ておるか、そういう状態について、おわかりになりましたら御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/75
-
076・阿部哲男
○阿部参考人 ただいまの上尾市の病院の問題については、ほかにもそういう前例がたくさんございます。
それから御質問の全国の公立病院の赤字がどれくらいあるか、これは厚生省でも発表してございますが、国立病院におきましては二七%、それから公的病院においても、大体それに見合うような赤字を出しておる。総額につきましては、相当の総額でございまして、三十八年度は公的病院だけでも三十億という数字が出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/76
-
077・只松祐治
○只松委員 こういうふうに私的の病院もなかなか人手不足あるいは資金不足で機械設備その他医療の近代化もできない。したがって、公立病院あるいは大病院でそういうものを補なっていかなければ国民の完全な医療行政というものはなかなかできない。ところが個人病院は人手不足、資金不足で近代化ができない。国民の医療のめんどうが十分見れない。公立の場合も、こういう状態で、赤字で閉鎖さえしなければならぬ、こういうことで、どうやって皆さん方医療に携わる方は国民の医療を守っていこうというふうにお思いになっておられますか。その解決策その他ございましたらひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/77
-
078・阿部哲男
○阿部参考人 お答え申し上げます。
現在の個人診療所におきまして、実際赤字をいかにして埋めているかという実態を申し上げますと、やはり先ほど申し上げました家族労働によりましてそれを補なうということ、それから時間外労働をやっておるということ、それからすべてのものを節約して、つじつまを合わせている、そしてそのためにようやく生きているという程度でございまして、この解決策といたしましては、まず医療費問題というものにつながる問題でございますが、第一に従来は医師の技術料というものは全然認められていなかった、この社会保険診療報酬制度におきまして、再診料というものを手始めといたしまして、技術料を評価していただきたいというのが第一の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/78
-
079・只松祐治
○只松委員 そういう医療の内部の問題については今日の主題でございませんので、この程度にとどめまして、先ほどから各委員より御質問がありましたように、またいまお答えのように、医療というものはたいへんに公共性を持つものだ、したがって、地方税が非課税になったり、あるいは七二%の特別措置が行なわれている、こういうことでございますが、しかし医療単価が非常に安い、しかもこれは政策的にきめられておるわけです。こういうふうに、いわば一言にして言うならば、現在の医療というものは、きわめて私的な部分が少くて、非常に公的な部面が多い。お医者さんの収入もほとんどそういうことになりつつございます。国の施策も社会保障制度の確立とともに、医療行政の公的化と申しますか、そういう方向に進んでおりますとするならば、国有財産あるいは府県、市町村の公の財産あるいはそういうところの仕事には税金というものはないわけでありますから、医療の税金の問題も、その単価の問題とともにそういう方向で解決をしていかなければならない、これは当然だろうと思います。先ほど春日委員の質問に対しても、そういう趣旨のお話がいろいろあったわけでございますが、これは泉さんでもけっこうでありますが、今後の医療関係に対する課税方針というものは、そういう方向に進んでいくものと解釈してよろしいかどうか、またその国の方針はどうか、ひとつお聞きいたします。また医師会のほうでも、特にそういう点についてのお考えなり要望があれば、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/79
-
080・泉美之松
○泉政府委員 お話でございますけれども、事業税の課税と所得税の課税とが必ず一致しなければならぬかどうかということは、やはり一つ問題があろうと思います。たとえば現在農業に対しては事業税を課税いたしておりませんけれども、所得税は課税いたしております。それから医業の場合も、社会保険診療報酬の収入については、事業税のほうは、先ほどのように非課税になっておりますが、所得税のほうにおきましては、経費率七二という特例が設けられているわけでございます。そのように必ずしも事業税と所得税とは同じでなければならぬということにはなるまいかと思うのでございます。しかしながら、本来社会保険診療報酬の収入に対して七二という経費率にすることは、診療単価の一点単価の問題の際に、一点単価を押えるかわりとして設けられたいきさつがあるわけでございます。本来税制で措置すべきか、あるいは一点単価のほうを是正すべきか、ここにやはり根本の問題があると思うのでございまして、そういった点を含めた上で検討すべきでありまして、医業が公共性を持っているかといって、直ちに所得税まで非課税にするのが、はたして国の租税政策として適当であるかどうかというような点は慎重に考慮しなければならないと思うのでございまして、やはり租税特別措置につきましては、一般的にこれを拡張するという方向へいくべきものでないのではないかという感じを持つのでございます。ただ医業の公共性という点につきましては、いろいろな考慮すべき点がありますので、そういった点は、先ほど申し上げましたように、相続の実態等も調査いたしまして、今後十分慎重に検討いたしたい、かように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/80
-
081・阿部哲男
○阿部参考人 ただいま御質問の点は、表現が非常にむずかしいのでございますが、先ほど不満として一応申し上げたのでございますが、主税局のお話では、七二という恩典があるというわけでございますが、これはこういうものが出ましたのは、御承知のとおり昭和二十六年の十二月に初めて二五ないし三〇という線で出たのでございます。それが二十六年、二十七年と続きまして、二十八年には御破算になりまして、二十九年には議員先生方の御努力によりまして、議員立法で初めて現在の二八%というのが出ております。しかし現在御承知のとおり経済成長とともに人件費、物件費が相当に高騰いたしておりまして、二八%がはたして妥当なものかという問題になりますと、全国の医師は非常に困っております。そこでこの二八%をまず全免していただければ最もいいわけでございますが、これを漸進的に一五とかあるいは一〇とかそういうパーセンテージにだんだん低めていっていただくという方法をとっていただけないものかということを考えております。よろしくお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/81
-
082・只松祐治
○只松委員 いろいろな医療行政統計、厚生省からの発表等を見ましても、いまの二八%、七二%が正しいかどうかということは——薬代あるいは医療器具、こういうものが国民の医療費の中に占める割合が非常に高くなってきているといことは、これは政府統計によっても明らかなところなんです。したがいまして、当然に医者の収益というものが少なくなってきているわけですから、この比率についても、これは先ほどから申しましたように、前向きの姿勢で解決をしていく、こういうふうにしなければならないと私は思います。ひとつ大蔵省もそういうふうに御努力をお願いしたい。
さらに特別措置法と関連をいたしまして、新しい器具あるいは病室、こういうものをつくる。先ほどから申しますように、医療というのはほとんど公的な性格を持っておるわけでございまして、巨大資本、独占資本の使うもの、あるいは工業用等において新しい機械を使用する場合には、多くの特別措置が行なわれておりますが、医療の場合には新しい機械を使ってもそうそれがどなたにも使えるようなものばかりではないし、あるいはある特殊の病気に非常に必要だ、こういう機械もいろいろあるわけでございますが、そういう点についての課税関係あるいは特別措置というものがどういうふうに行なわれておるか、ひとつ主税局のほうにお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/82
-
083・泉美之松
○泉政府委員 医療機械につきましては租税特別措置法の特別償却の制度は現在のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/83
-
084・只松祐治
○只松委員 一般の産業においても産業発展上重要だとか、いろいろな形で租税特別措置が行なわれているわけです。先ほどから言うように、われわれ国民の健康をつかさどる公的な医療行政、それがますます社会の近代化とともに公共性を帯びてきておることは、これは日本だけじゃなしに世界各国、歴史の示すところなんです。そうすると、そういうように新しい医療器具あるいは病室なんかも、これはお医者さん個人が必要とするのではなくて、国民が必要とするわけでありまして、こういうものについては当然に特別措置を講ずる。単に新しい家をつくる、貸し家住宅をつくる、こういうことだけで特別措置が行なわれておりますけれども、一般の貸し家住宅あたりにそういうことをするならば、これは住宅払底ということもありましょうが、そういうこととは別に、やはり病室等においても十分税の関係から考慮する、こういうことが租税負担の公平なことだと思うのです。こういう点について今後努力する意思があるか、特別なことを行なう意思があるかどうか、また医師会側としても、こういう点についていままでお働きかけなりあるいはそういうことをどういうふうにお考えになっておるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/84
-
085・泉美之松
○泉政府委員 先日来のお話で、医療機械につきまして特にレントゲンとか心電計等につきまして、機械の更新が非常に早いというようなお話がございました。それにつきましては、本来の妥当な耐用年数できめるという方向につとめるのが適当ではないかと思うのでありますが、その点につきましては、申し上げておりますように今回機械設備を中心といたしまして平均一五%耐用年数を短縮することにしております。医療機械につきましてもその耐用年数の検討をいたしたいと思うのでございます。それから病室の点でございますが、これにつきましては、新築貸し家住宅の建設は住宅政策という見地から出ておるわけでございまして、住宅政策以外に建物の建設をどこまで広げていくのが適当かどうかという問題になろうかと思うのであります。そこでそういった点を含めまして、今後どういう実態にあるかということを十分調査しました上で検討したいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/85
-
086・阿部哲男
○阿部参考人 ただいまお話は前段と後段と二つに分けられるようでございますので、第一の機械器具設備等の問題についてまずお答えさしていただきたいと思います。
この問題につきましては、やはりわれわれといたしまして再生産という意味が多分にございます。そういう余裕がないような現在の医療報酬制度では困るじゃないか、こういうことを再々支払い者側に申し上げていたわけでございますが、現在までに御理解を得ておりません。しかし日進月歩の医学でございますので、機械器具設備等も年々変わってまいっておりますので、この新しい設備をもちまして国民に対して新しい完全な医療をしてあげるというのがわれわれに課せられた使命でございます。その点から言いまして、ぜひともそういう点まで含めましたところの大きい意味の再生産というほうまで医療報酬制度を確立さしていただきたい、こういう念願を持っております。
またそれに使います後段の建築の設備等につきましても、現在においては無税の病院がどんどんデラックス病床をこしらえまして相当の収入もあるようでございます。中には一般の私的病院においてはとうてい手足の出ないところもあるようでございます。こういう点もぜひ公平にごらんいただきまして、日本の国民医療並びに医療制度のあり方というものにつきましての正しい御判断まで持っていっていただきまして御指導願いたい、こう念願する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/86
-
087・只松祐治
○只松委員 最後にひとつ政府側としても完全な医療行政の確立を推進されることを望むとともに、租税特別措置がただいまのこの社会保険診療報酬の所得課税の特別措置あるいは米穀所得課税の特別措置、こういう一、二のいわば大衆をごまかすといっては失礼だけれども、目をはぐらかす、しかもいま医者の医療機械あるいは病室、そういう一、二の例をとりましても明らかなように、医者の場合でも完全な租税特別措置が行なわれておるわけではないのです。ただそういう一、二のごまかしによって独占資本に奉仕する租税特別措置というものの目をそらしていく、そういうことのないようにひとつ特別措置を行なうならば、医療行政の面においても完全な特別措置を行なう、こういうふうに努力され、あるいは単価の改正とともに医療の税金の問題も前向きの方向で解決されることを要望いたしまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/87
-
088・山中貞則
○山中委員長 荘参考人よりさいぜん発言を求められておりましたので、この際これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/88
-
089・荘寛
○荘参考人 先ほど堀先生からの御質問に対しまして私がお答えいたしました中に、ちょっと落とした点がございますので、それを追加させていただきます。
医療法人には財団あり社団ありであります。その経過報告は先ほど申し上げましたが、初めは財団が非常に多かったのでありますが、中途において社団に切りかえるようにというふうな通達が出ましたために、今日は社団が非常に多いのであります。ほとんど八〇%くらいは社団であります。その社団の中に出資持ち分の定めのある社団と出資持ち分の定めのない社団とこういう二種類があるのでありますが、今日の全国の医療法人の調査をしてみますと、出資持ち分の定めのない社団というのは全国で二例しかございません。たった二例であります。あとはみな出資持ち分の定めのある社団になっておりますので、今日の租税特別措置法の改正の中に、法人税なんかの問題が関連しますが、私たちの念願することは、出資待ち分の定めのある——現在九九%がそうなっておりますから、それも法人税法の特別措置のほうに入れていただきたいということを念願するのであります。もし万一これがどうしてもいかぬというような事態があるとするならば、医療法人病院の存続する限りは各出資持ち分に対して返還請求をしないというような条項を入れていただけば、ほとんど財団と同じような性質のものになるのじやないか、さように考えておりますので、もう一つこの問題をぜひお取り上げになっていただいて御検討願うことをお願いいたす次第であります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/89
-
090・山中貞則
○山中委員長 これにて両参考人に対する質疑は終了いたしました。
両参考人には御多忙のところを長時間にわたり当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会といたしましては、両参考人の御意見を今後の法案審議に十分尊重反映せしめたいと思います。ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手)
本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時四分休憩
————◇—————
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02019640313/90
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。