1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十八日(水曜日)
午前十一時二十五分開議
出席委員
委員長 山中 貞則君
理事 臼井 莊一君 理事 原田 憲君
理事 藤井 勝志君 理事 坊 秀男君
理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
天野 公義君 伊東 正義君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 押谷 富三君
金子 一平君 木村武千代君
小山 省二君 佐藤 孝行君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
濱田 幸雄君 福田 繁芳君
渡辺美智雄君 卜部 政巳君
小松 幹君 佐藤觀次郎君
田中 武夫君 只松 祐治君
野原 覺君 日野 吉夫君
松平 忠久君 春日 一幸君
竹本 孫一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
建 設 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 纐纈 彌三君
大蔵事務官
(主税局長) 泉 美之松君
国税庁長官 木村 秀弘君
通商産業事務官
(鉱山局長) 加藤 悌次君
建 設 技 官
(道路局長) 尾之内由紀夫君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 青鹿 明司君
大蔵事務官
(国税庁間税部
長) 半田 剛君
専 門 員 抜井 光三君
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三月十八日
委員砂田重民君辞任につき、その補欠として佐
藤孝行君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐藤孝行君辞任につき、その補欠として砂
田重民君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三六号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六号)
揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一七号)
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九五号)
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第九九号)
とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七〇号)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、
税関支署及び税務署の設置に関し承認を求め
るの件(内閣提出、承認第二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/0
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001・山中貞則
○山中委員長 これより会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署の設置に関し承認を求めるの件、各案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/1
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002・堀昌雄
○堀委員 最初に物品税の問題からお伺いをいたします。
今回提案をされております物品税の取り扱いにつきましては、アンサンブル式レコード演奏装置、パッケージ型クーラー、自動車用冷房装置、こういうような物品の軽減税率の適用期間の延長が提案をされておるわけでありますけれども、物品税の取り扱いに対する考え方が、私は最近やや政府側においては変わってきておるのではないかという感じがしてなりません。そのことは、これらのアンサンブル式レコード演奏装置にしても、パッケージ型クーラーにしても、自動車用の冷房装置にしても、実は国民大衆の側からすれば、その使用頻度なるものはきわめて少ない。言うならば、まだ例外的な器具であるというふうに感ずるわけであります。この非常に例外的なものが、今回のように軽減税率が延長されるということは、まさに企業側の競争力の問題として問題が取り上げられておる。企業側の問題としてならばこれらの部分的な改正もやるけれども、国民大衆の利益に直接つながるものについては物品税の改正を——これから指摘をいたしますけれども、非常に不合理な問題がいろいろある。そういうものについてやらないというのは、これは一体どういうことなのか。私どもが常に言うように、一体自由民主党政府というものは、国民の利益を総体的に代表するものであるか、企業の利益を代表するものであるかということは、これまで、昨日の租税特別措置法その他でもいろいろ論議をされておりますけれども、今回の物品税法の改正も全く同じような角度から取り上げられていて、国民生活ときわめて遠い時点にあるきわめて小部分の問題が企業利益のために、競争力を保全するという目的のために、利用されておるというふうに考えざるを得ないのであります。これについて政務次官は、私どもが納得のできるような御答弁がいただけるかどうか、これが国民すべての利益につながっておると言えるかどうか、企業利益が優先されておるとわれわれは理解するけれども、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/2
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003・纐纈彌三
○纐纈政府委員 今回三品につきまして、物品税の税率引き下げを延長するという問題でございますが、ただいま堀委員からお話のように、この三品につきましては、あるいは大衆的にまだ使われていないもののように思いますが、これにつきましては、これがだんだん伸びますれば、将来輸出の上に非常な大きな望みをかけられておる品目でもございまするし、なお最近つくられつつありまする品目でございますので、さらにそれを伸ばしていくためには、この際さらに二年間の延長をしなければならない、こういう意味合いにおきまして、この改正案を提案したわけでございますが、お話のように物品税につきまして全般を考えてまいりまする場合におきましては、数の多いことでもございまするし、また堀先生のおっしゃいまするように、大衆向きのものについて考慮してないではないかというお話になりますれば、そうしたきらいは全然ないとは申しかねるように存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/3
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004・山中貞則
○山中委員長 ちょっと補足説明させます。主税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/4
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005・泉美之松
○泉政府委員 ちょっと補足して申し上げます。堀委員御存じのとおり、物品税につきましては昭和三十七年に根本的な改正をいたしたのでございまして、それによって現在の物品税の負担はおおむね均衡がとれているのではないかと私どもは考えているのでございまして、物品税につきましては、御承知のとおりいろいろの物品税がございますので、これを取り上げて改正するということになりますと、よほど慎重に各品目の間のバランスをはかりつつ考慮しなければならないのでございまして、そういう点からいたしますと、ちょこちょこと毎年改正するというのは適当でなくて、何年かに思い切った改正をするというのがいいのではないかという考えに立っておるわけでございます。したがいまして本年物品税につきましては、一切改正しないというのが私どもの方針でございますが、これは決して国民大衆のためを考えないというのではなく、国民大衆のためを考えて三十七年に大幅な軽減を行なった。その後の様子をしばらく見て、それからしかるべき時期にまとめて改正を行ないたいという気持ちになっておるわけでございます。しかしながら三十七年改正のとき、従来課税されていなかった物品七品目につきまして軽減税率をとって、その期限がちょうど本年の四月及び十月に参るわけでございます。しかしその措置につきまして検討いたしましたところ、これをお話のようにパッケージ型ルームクーラーあるいはカークーラー、ステレオなどにつきまして、国民大衆との関係を考えて、その消費がそれほど一般的でないから、直ちに本則の税率に戻していいかどうかという点をいろいろ検討いたしたのでございますが、この点につきましては、先ほど政務次官から申し上げましたように、この三品目につきましてはちょうどこれから生産が伸びていく過程にございますので、物品税の場合におきましては、その製品がこれから伸びようというときに税率を高くして、その生産を抑えるよりも、その製品がこれから伸びようとするときに、軽減税率でもって伸びる力を与えておくことが、将来その商品がさらに発展して、輸出にも寄与するというようなことが期待されるほうが、むしろ日本経済全体のためにいいのではないかという見地に立って、この三品目に限り、しばらく軽減税率を残していこうという考え方をとったものでございまして、決して企業の見地だけに立っておるものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/5
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006・堀昌雄
○堀委員 企業の見地に立ってというだけではないと言われますけれども、私は主たるものは企業の利益だと思うのです。そこでいま何年かに一回物品税は直す、三十七年の改正でおおむね均衡がとれ、バランスがとれておると言われるのですが、率直に言って私は全然バランスがとれていないと思うのです。これから一つずつやりますが、バランスがとれていない。だからいまのようにバランスが三十七年にとれて、私どもみんなが納得している状態にあるならば、まあきょうここで多少企業の問題であっても、これは軽減をすることだから、そのことは消費者のほうが買うという立場からはいいわけですから、声を大にして反対する理由はないわけだけれども、バランスがとれてないものがあまりに多いその中で、こういうものだけに措置することは、やはり企業の利益につながるということを言いたいわけです。
そこで、これはちょっと国税庁のほうでないとわからないと思いますから、少しお伺いをいたしますが、物品税は御承知のように非常に複雑です。物品税の税収としては、現在千五百億余りが物品税の税収としてあがっておりますが、この物品税の税収の中身というものが、実はわれわれよくわかっていないわけです。そこでこまかいことは無理であると思いますから、種類別に物品の——わかる年度でけっこうですが、第一種の第一類によるところの物品税収入は一体幾らなのか、第二類によるところの物品税収入は幾らなのか、第二種物品の第一類、第二類、第三類、第四類、第五類及び第三種の物品というふうに大まかにわかれておるわけですから、この税率のくくりで、現在の物品税収入の中身をお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/6
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007・半田剛
○半田説明員 ただいまの堀委員の御質問、わかる年度が一番よろしゅうございますので、昭和三十七年度の実績を申し上げます。
第一種の中の第一類二十億五千五百万円、第二類四億飛んで九百万円、小計しまして二十四億六千四百万円になるわけであります。第二種の類別では、第一類三十二億一千七百万円、第二類四十一億二千二百万円、第三類八百四十九億一千三百万円、第四類五十七億四千三百万円、第五類六十一億飛んで二百万円、小計しまして第二種全体では千四十億飛んで九千七百万円、こうなっております。第三種でございますが、第三種は十四億八千九百万円、以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/7
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008・堀昌雄
○堀委員 この税法は非常に複雑で、われわれも読んでみるときに非常に困ることは、免税点がこれらのものの中には、おのおのの段階でこれが入っておるわけです。非常にこの点が複雑なんですが、いまのお話を聞いてみると、一番収入の多いのが第三類、これは八百四十九億あります。この八百四十九億というのは、基本税率が二〇%ですね。いまのように、今回問題になったものの中には、おおむねアンサンブル式が、おそらくこれは基本税率二〇%ですから、これが第三類、それから自動車用冷房装置も第三類でしょう。それからパッケージ型クーラーが第二類、こういうことになっていると思うのですけれども、税法の中にこまかくいろいろ書いてありますが、この中で国民がいま非常に使用しておるというふうに考えられるものは、写真用のフィルムとか乾板、こういうものはいま非常に大衆が一般的に使用しておる、こういうものは一体免税点がいま幾らになっておりますか。第三種の十五、写真用のフィルム。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/8
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009・泉美之松
○泉政府委員 写真用フィルム及び乾板につきましては、免税点の制度がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/9
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010・堀昌雄
○堀委員 そうすると、いま日本では御承知のように写真機が非常に普及をして、行楽、遊びに行くときには——世界旅行でよくいわれるのですが、めがねをかけて写真機を持っておれば日本人だと思って間違いがないといわれるほど普及をしておる写真機、その写真機に使うフィルム、最も大衆が日常に使っておるフィルムのようなものが、いまの二〇%の基本税率のままで免税点がない。そうするといまここで問題になっておるこの二つですね。なるほどいまの意味で輸出その他の競争の問題はあるでしょう。しかし輸出その他の競争の問題があるというなら、フィルムだっていま自由化をされてきて、非常に競争も激しい状態になっておる。だからそういう意味で、企業の側から見るならば、あるいは全体の政策から見るならば、写真のフィルム——私は写真機等もおそらくそうなっているのじゃないかと思うのですが、そういうものといまのこれらとの間に、どういう差異があるのでしょうか。アンサンプル式レコードの問題あるいは自動車用冷房装置、このほうは一〇%にするのだ、片方は国民が非常にたくさん使い、自由化になってこれから相当競争もしなければならぬ、同じ条件が私はあると思うのです。そのほうは二〇%。ここらは国民の大衆の側から見たら、さっきあなたはバランスがとれている、こう言っておられるけれども、あまりバランスがとれていないのじゃないですか。どうですか、とれていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/10
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011・泉美之松
○泉政府委員 課税物品の効用というような点から申しますと、お話のとおり、ステレオあるいはパッケージ型ルームクーラーあるいはカークーラーというものと、フィルムとかあるいは小型自動車というものの間に、さような差があるとは私どもも考えておりません。ただこれらのステレオとかカークーラーとかパッケージ型ルームクーラーにつきましては昭和三十七年から、従来課税されておりませんでしたのを新しく課税することになったものでございます。そこで物品税が新しく課税になったという点からいたしまして、その課税の当初におきましては、従来の価格から急激に値段が上がるということを防ぎますために軽減税率を設けまして、その間に新しく生産が始まっておりますので、だんだんと量産しますればコストも低減します。そこで初めの間はそういうことでコストの低減を企業努力でやってもらって、物品税が新しく課税になることによって、消費者価格はあまり上がらないようにお願いするという見地から、軽減税率を設けておるのでございまして、今後この三品目につきまして軽減税率を据え置きますのも、そういう意味で企業努力を今後さらにしていただきまして、またその消費量がふえるということによって、今後本則の税率に戻す場合におきましても、消費者にあまり価格が上がらないでやっていけるような姿にまで、そういった企業が育っていくということを願ってやっておるのでございまして、消費の性質から申しますと、お話のようにこれらの間にさような差異があるとは私どもも認めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/11
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012・堀昌雄
○堀委員 そういうお話が出たから私、値段のことを少し聞いてみますが、昭和三十七年当時の価格と現在同一のものの税抜きの価格の下がり方、アンサンブル式レコード演奏装置とパッケージ型クーラーとでちょっと教えてもらいたい。実はステレオ等は最近価格がどんどん下がってきて、もし下がってないとするならば、その中にはいろいろな新しい設備、自動的にレコードが取りかえられるとか、各種の設備が加わっておるために下がってないものもあるかもしれませんが、実態としてはこの二年間にステレオの電気蓄音機というものは一〇%以上の値下がりが十分あったと私は思いますけれども、昭和三十七年当時と現在と二年間の価格の差を、同一品目でちょっと教えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/12
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013・泉美之松
○泉政府委員 ステレオについて申し上げますと、この生産が開始されまして間がないものでございますので、各社でいろいろ型式をしょっちゅう変えております。そのために、三十七年当時あった型式が現在生産されていないといったような事情がありまして、非常に比較しにくいのでございますが、生産台数とその金額から平均単価というものが出ておりますのでこれで申し上げますと、ステレオにつきましては三十七年当時二万九千百四十三円でございましたのが、三十八年の暮れには三万三千二百五十八円と一四%上がっております。これは御承知のようにFM放送が始まるということからいたしまして、さらに装置をつけ加えたという関係がございますので、このように上がっておるのでございます。パッケージ型ルームクーラーについて申し上げますと、平均単価が三十七年当時四十万九千三百五十円でございましたのが、三十八年当時におきましては三十六万九千四百二十三円というふうに下がっております。これは一〇%下がっておるわけでございます。それからカークーラーにつきましては三十七年当時十二万百七十五円でございましたのが、三十八年は十二万六百三十四円とまずほぼ横ばいという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/13
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014・堀昌雄
○堀委員 いまのお話で、ステレオは表面で見ますと四千円ほど上がっておると思うのですが、FMチューナーというものは大体一万円ぐらいするのです、別個につけるとすれば。そのFMチューナーがついて四千円ぐらいの開きということは、実質的にはおそらく一割は下がっておると私は思うのです。だから、いまおっしゃるようにそれが比較できないのは、いろいろな設備の開発が行なわれて高くなっておるわけで、実質的なものだけで比べれば、その分は下がっておると私は思う。だから、いまあなたのほうでおっしゃった急激に値段が上がるのは困るということはわかりますけれども、現実にはこれは相当下がってきておるわけなんです。私は自分のところでビクターのステレオを買ったとき、かつては一番いいのは九万円ぐらいしていたわけです。ところがそれがいまは六万五千円くらいです。その当時よりははるかに開発をされたものが出ているわけですから、そういうふうな意味では相当大幅に実は価格が下がっておるわけです。ステレオで値段がわかりましたが、要するに販売数、三十七年初めと三十八年暮れごろの、三十六年と八年で比べてもらってもいいけれども、二年間の販売数の変化というのは相当大きなものがあると思うのですが、どうなっていましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/14
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015・泉美之松
○泉政府委員 小売りで販売されたほうはちょっと統計がとれませんので、生産者から卸売り業者を通じて販売に出された出荷台数で申し上げますと、ステレオは三十六年の統計がございませんので三十七年間を申し上げますと、五十六万二千四百八十七台が三十八年は五十六万五千三百十九台と、これはあまりふえておりません。お話のようにステレオが売り出されました当時は、相当高い値段であったのでございますが、これは御承知のとおり生産台数がきわめて少ない当時のことでございまして、現在はある程度年々五十万ないし六十万台近くで生産が行なわれておりまして、比較的動いておりません。それからパッケージ型ルームクーラーについて申し上げますと、三十七年が三万四千四百四十五台が三十八年には四万二千百三十八台と、二二%伸びておるわけであります。これは最近そういった方面の需要がかなりふえておるという事情によるものと考えております。それからカークーラーのほうにつきましては、三十七年の一万四千八百十九台が三十八年には三万百十三台というふうに、約二倍三%ほど伸びております。これもこういった需要が急激に伸びつつあるという状態を反映しているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/15
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016・堀昌雄
○堀委員 いまのお話を聞いておりますと、これは別個なことになるかもしれませんが、パッケージ型のルームクーラーは一応一割ほど合理化して値段が下がった。生産台数二二%の増加でそれだけ下がっておる。カークーラーのほうは倍以上に生産が伸びて価格が上がっているというのは、これはちょっとおかしくないですか。そういうものに対して、要するにこれは私、会社のほうがいわば超過利潤を取っておるのだと思うのです。生産台数が倍になって、そうしてコストが上がるということになっているものに、軽減税率を使う必要はないのです。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/16
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017・泉美之松
○泉政府委員 いま申し上げました比較だけからいきますと、カークーラーについて、生産が二倍にもふえたのに価格が横ばいというのは、おかしいじゃないかというお話があるかもしれませんが、これはカークーラーにつきましては輸入品との競争上、最初生産台数が非常に少ない当時におきましては、いわば企業としては輸入品との対抗上赤字で出荷いたしておったのでございまして、現在も輸入品との競争関係がありますので、そういう値段になっておるわけでございまして、生産台数が二倍に伸びたから超過利潤を非常に取っておるのだということは言えないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/17
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018・堀昌雄
○堀委員 そうしたらカークーラーの価格、いまのは十二万六百円ですが、輸入品の価格というのはどういうことになって、関税率は一体どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/18
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019・泉美之松
○泉政府委員 輸入品いろいろございますが、一つの例を申し上げますと、アメリカからの輸入品でございますと、CIF価格が五万四千円、これに関税が三〇%課税され、一万六千二百円、それに物品税、商社の手数料等が加わりまして、卸価格は八万五千円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/19
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020・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ちょっと堀さんの質問に関連して、物品税のことについてお伺いしたいのですが、物品税は非常に不公平な税金で、私は前から物品税反対を言っているのですが、いまカークーラーなんかの税金の問題について、堀さんからいろいろ質問がされておりますが、物品税の品目の中には非常に種々雑多で、どうも収拾がつかぬような形になっておるのじゃないか。カークーラーあるいはジュースのようなものを取っておる。たとえばいまの機械なら機械、金属なら金属というような一貫した一つの方針でやるならばいいけれども、この十年間、私は泉さんを課長時代からよく知っておるのですけれども、どうも陳情か何かしたものだけはずして、そうして陳情の弱いものだけ残っているという、そういう点で非常に不公平だと思うのですが、そういう点は堀君がいま言われたように、あるのもにはもう一年間待ってやるとか、同じような条件のものでもあるものにはそういう特典を与え、あるものには特典を与えないような、そういう感じがするのですが、それはあなた方の主観でやっておられるのか、客観的な事情があってやっておられるのか、その点をひとつ伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/20
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021・泉美之松
○泉政府委員 御質問の御趣旨がよくわかりかねるのでございますが、物品税の課税物品は現在五十七品目ございます。ただこれにつきましてはいろいろの沿革的な事情がございますので、その国民生活上の便宜の程度というものをはかる客観的なものさしがなかなか見つかりません。私どもといたしましては国民の消費性向、たとえば所得が上がった場合にどういう品物を買おうとするかといったような点からいたしまして、所得が上がった場合にぜひ買いたいというような品物は、わりあいまあ課税物品として適当であろう。しかし生活必需的なものは対象とすべきでない。所得が上がっても上がらなくても買わねばならないといったようなものは、対象とすべきではないといったような考慮から、いろいろ検討もいたしてございまして、その結果三十七年の改正が行なわれたわけでございます。しかし三十七年の改正後におきましても、先般佐藤委員から御質問がございましたように、ジュース、コーヒー、ココア、嗜好飲料、こういった関係においてはたして現状のままでいいのかどうかという点につきましては、なお今後検討すべき点があろうかと思っておるのでございますが、こういった課税物品をどの程度課税すべきかという客観的なものさしというのはなかなかございません。もちろんお話のように陳情があったからそれは課税対象からはずすとか、あるいは税率を軽減するとかいうことを考えておるのではございませんで、いま申し上げましたような国民の消費の傾向といったものを勘案しながら、考えておるわけでございます。ただ概して申し上げますと、中小企業の生産品につきましては、できるだけその課税を軽減していくほうが、結局徴税当局にとりましても、また中小企業者にとりましても、けっこうではないかというような見地は入れておりますけれども、それ以外に陳情でどうこうということは考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/21
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022・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 どうも泉さんの言うのはおかしい。ものさしがわからぬ。ものさしがわからぬのにいま現に取っておるわけです。これはおかしい話で、あなたとしてはこれはちょっとおかしいのじゃないかと思います。そこで私は、あなたの言うことにものさしを掲げるべきだ。そういう点は大蔵省の主観だと思う。そこでもう一つお伺いしたいのは、私は大蔵委員をずっと長くやっておりますから知っておりますが、物品税はいろいろ過程がありまして、その過程の中で考えられることは、いま物品税の収入は御承知のように毎年非常にふえているのじゃないか。だからあなたのほうは、物品税は三十八年度はこれだけ取るとか、三十九年度はどれだけ取るという目標があるのじゃないのか、これが一点と、もう一つは、最近物品税がこの四、五年の間、昭和三十五年くらいからどのようにふえてきたかという二点を、あなたにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/22
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023・泉美之松
○泉政府委員 最近の物品税の収入の伸びを申し上げますと、昭和三十五年におきまして八百二十二億四千六百万円、三十六年に千六十三億一千九百万円、三十七年に千三十五億五千百万円、三十八年に、これはまだ確定いたしませんが、一応の見込みが千二百三十七億千四百万円、それから三十九年が予算で千五百十三億二千四百万円、こうなっておりまして、租税収入全体のうちに占める割合は、三十五年が四・六%、三十六年が四・八%、三十七年が四・三%、三十八年が四・六%、三十九年が四・九%、もっとも三十八年は第二次補正後の数字でございまして、決算になりますればこれが若干ふえるかと存じますが、こういう状況になっておるのでございます。もちろん私どもは物品税でどれだけの収入をあげなければならないというような、固定した観念を持っておるのではございません。収入の見積もりにおきましては、それぞれ最近の課税実績及び消費の動向から見まして、収入見込みを立てておるのでございまして、先ほど申し上げましたように物品税につきましては、いろいろ課税のバランスをはかるためのものさしといたしまして、国民の所得がふえる場合の消費傾向というものから、どの物品は担税力が強い、どの物品は担税力が弱いというようなことを判定しながら、それぞれ税率のあんばいをいたしておるのでございます。もちろんそういった一定の基準を持ってやっておるわけでございますけれども、必ずしもそれだけで事を決することのできない場合がいろいろある。先ほど申し上げましたように、新しく課税を始めるような場合におきましては、将来その課税品目がふえて、国内の需要もふえ、また輸出もできるというような事情を考えますと、必ずしもその生産が始まったときにすぐ重い税率で課税するのはどうか、こういったようないろいろの考慮も働かせつつ考えておるのでございます。
〔委員長退席、吉田(軍)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/23
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024・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 木村長官にちょっとお伺いをいたしますが、物品税は、私は非常に不公平な税金だと思っているのですが、この徴税方法にも——この前もちょっと質問したのですが、脱税をするような場合が相当多いのじゃないか。これは現実的に東京とか関西とかいろいろなあれがあるけれども、ある人は公平に納めて、ある人は公平に納めてないような場合が間々あると思うのですが、そういう防止をどのようにしてやっておられるのか。これはなかなかうるさい問題で、もし店へ参れば国税庁がうるさいとかなんとかいう問題があって、いろいろいやがられる面があるのですが、この脱税方法をどうやって防止されておるのか、この点をもう一点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/24
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025・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 物品税の逋脱をどういうふうに取り締まっておるかという問題につきましては、局あるいは署の消費税関係の内容を充実いたしまして、検査取り締まりを厳重にするという以外には方法はございませんので、そういう方法でやっております。具体的には間税部長からお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/25
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026・半田剛
○半田説明員 ただいまの佐藤委員の御質問ですが、一口に言いますれば長官の申されたとおりでございますが、この間も佐藤委員から御質問ありましたけれども、これは普及徹底、よく指導するというほかに、検査取り締まりの充実と、一言でいえばさような答弁に尽きるわけです。もう少し具体的に申しますと、先生も言われますように、物品税関係の業者は非常に小さいところから大きなところがあります。それで特に大きなところにつきまして、これを国税局あるいは税務署にまかしておきますと、なかなか人数の関係、それから各工場のいろいろな関係がありますので、そういうのにつきましては国税庁ないし国税局が主宰いたしまして、ここ毎年、いわゆる大ものにつきましては充実した完結検査を期して、それを実行しております。なお一般の物品税関係につきましても、犯則事件が相当あります。大ざっぱに申しますれば、全国に物品税で四万五千場ぐらいありますが、いままでの実績を見ますと、犯則事件になったものは約七%である。この間もお話ししたとおり、このように少ない人数で、大体消費税関係約二千人であります。それでいま庁、局、署一体となりまして、大きなものにつきましては完結検査、それから取り締まり、そのほか一般的につきましても、もちろん税務署も、検査なり、あるいはいま言ったような犯則事件を毎年やっている、このように申すことができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/26
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027・堀昌雄
○堀委員 そこで私、いまの答弁をずっと聞いておって、ちょっとふに落ちないのですけれども、いまのカークーラーの十二万六百三十四円というのは、卸売り価格ですか、小売り価格ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/27
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028・泉美之松
○泉政府委員 メーカーの製造場移出価格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/28
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029・堀昌雄
○堀委員 大体でけっこうですが、これが小売り価格ではどのぐらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/29
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030・泉美之松
○泉政府委員 小売り価格になりますと十五、六万になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/30
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031・堀昌雄
○堀委員 輸入品は、これはおそらく輸入商が出す価格でしょうね。そうするとこの八万五千円で出たもの、これは一体末端価格はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/31
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032・泉美之松
○泉政府委員 輸入品は小売り価格は十三万程度と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/32
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033・堀昌雄
○堀委員 そうするとこれは率直にいって、輸入品を扱うとずいぶんもうかるということですね。こうなると、もしあなた方が一つのポイントをそういう輸入移出の競争の面に置いておるということになるのなら、いまのかっこうで軽減税率をやったところで、率直にいってまだ相当な開きがありますね。おそらくこれは、そういう軽減税率は輸入品にも同じようにきくわけでしょう。そこはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/33
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034・泉美之松
○泉政府委員 これは輸入品に対しましては関税が課税になります。CIF価格プラス関税を基準にして物品税を課税してまいりますと、国産品と輸入品とで物品税に差別をつけるわけにはまいりません。これは同じになるわけでございます。したがって競争関係という点から申し上げますと、まだまだカークーラーにつきましては、国産品を軽減いたしましても、輸入品との競争関係はなかなか楽ではございません。ただこれは需要がそれになかなか伴わない。値段の関係もありまして、国産品に対する需要が伴わないという点があるのでござまして、結局わが国の自動車産業がもっともっと世界的な競争にたえるようになって、そしてまたカークーラーにつきましても、そういう競争にたえるようになる必要があるものと思うのでございます。さりとて物品税を全然課税しないというのも適当でございませんので、いまのところ軽減税率でやっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/34
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035・堀昌雄
○堀委員 私これを見ながら、輸入品と国産品が二分の一以下の差があるなんということは、これは率直に言って常識でちょっと考えにくいのです。なるほど向こうはずいぶん大量生産をしておるでありましょうけれども、十二万円に対して五万四千円、CIFですから船賃も入っているでしょう。だからどう考えてみても納得できないのですが、そればかりやっていてもしょうがないので次に行きますが、ちょっと法律を読んでいて、これはどうも法律がむずかしくてなかなかわからないのです。そこで一回調べてあれしようと思ったけれども、わからないのでちょっと伺いますが、この三類の中で基礎的な免税点のあるものがありますか。第三類の十二というところから二十九まで、この第三類の中で免税点のあるものがあったら、たとえば十二についてはどうとか、十三についてはどうとかということで、免税点のあるものについて教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/35
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036・泉美之松
○泉政府委員 第三類の第十二号、「写真用又は映画用の機器」等につきましては、免税点一個千円……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/36
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037・堀昌雄
○堀委員 十四ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/37
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038・泉美之松
○泉政府委員 十二でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/38
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039・堀昌雄
○堀委員 十二は「小型普通乗用四輪自動車」になってるけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/39
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040・泉美之松
○泉政府委員 その施行令のほうで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/40
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041・堀昌雄
○堀委員 私は別表で見ているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/41
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042・泉美之松
○泉政府委員 第三類は十二から始まっておりまして、「小型普通乗用四輪自動車」から始まっておるわけでございます。そのうち免税点のあるものは、十四の「写真用又は映画用の機器」、これにつきまして一個千円、それから十五の「写真用のフィルム、乾板」につきましては、先ほど申し上げましたように免税点はございません。十六の楽器につきましては、これは楽器の種類によって免税点が違っております。アコーディオン、トランペット、箏、三弦、コルネット、アルト、バリトン、トロンボーン、ピッコロ、フルート、クラリネット、これにつきましては一万千円が免税点になっております。それからシンバル、ドラム類につきましては、一個または一組が八千円、その他の楽器につきましては一個五千円、楽器の部分品及び付属品につきましては、一個について千百円が免税点になっております。その次の十七の「蓄音機及びアンサンブル式レコード演奏装置並びにこれらの部分品及び附属品」につきましては、一個四千二百円というのが免税点でございます。その次の十八から二十一までは免税点がございませんで、二十二の暖房器具につきまして免税点がございます。これは電気ストーブは二千五百円、ガスストーブは三千五百円、液体燃料ストーブは五千円、それから電気座ぶとん、電気クッション及び電気敷布につきましては二千円になっております。その次の二十三号の電気器具、ガス器具及び液体燃料器具につきましては、品物によりましてレンジにつきましては一万二千円、天火につきましては五千円、湯わかし器につきましては七千円となっております。次の二十四号の照明器具につきましては、卓上用の電気スタンドは二千円、卓上用でない電気スタンドは四千五百円になっております。次の二十五号の家具につきましては、衣服用のたんすは一個または一組三万五千円、それからたんす及びたな物類につきましては一個または一組につき二万五千円。それから机、テーブル、いす及び寝台につきましては二万円、いま申し上げましたいすというのは長いすでございます。長いすでないいす、腰かけ、寝台、びょうぶ、つい立て及び火ばちにつきましては一個一万四千円。次に二十六号の皮革製の衣服類、ふとん類及び手袋につきましては、衣服類のほうは一万円、ふとん類は三千円、手袋につきましては千五百円が免税点になっております。その次の二十七号のかばん類、トランク類、袋物類につきましては、かばん類及びトランク類につきましては一万円、ハンドバッグその他の袋物類につきましては六千五百円が免税点でございます。その次の二十八号の喫煙用具につきましては、ガスライターにつきましては千四百円、ガスライター以外のライター及び電気マッチにつきましては三百五十円、スモーキングスタンドにつきましては二千円、たばこセットにつきましては千八百円、その他の喫煙用具につきましては四百五十円。二十九号の遊戯具につきましては、一個または一組につき千八百円が免税点になっておるのでございます。このように免税点を品物ごとに非常にこまかくきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/42
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043・堀昌雄
○堀委員 よくわかりました。これはひとつ与党の委員の皆さんも、いまの例をお聞きなってわかると思うのですけれども、私お話を聞きながら一番納得がいかないのは、たくさんありますが、遊戯類、トランプとかいろいろなものです。これはある一面でいえば大衆の娯楽品だと思います。ところがものによっては必ずしもそういう娯楽品を越えたいろいろな用途に使用されているものがあると思うのですが、生活必需品の程度では、後段に出てくるところの化粧品の中のクリームとかその他のものに比べてみると、日常の必要の程度においてはやや低いと私は思います。それでも千八百円までは免税ですね。それからたばこの喫煙道具その他も四百五十円までが免税点、ガスライターが千四百円、これなど最近よく売れてはおりますけれども、ガスライターや、ライターでなくてもマッチで火をつけられる。しかしそういうものが出ている。それからぜいたくだとかどうとかは別としても、皮革類の衣服が一万円までは免税です。皮革類の衣服なんて着なくたって、普通の衣服で用が足りるのです。いわばこれは大体いうとぜいたく品です。ところがこれは一万円まで免税になる。ここの中で免税のないものの中に大衆用のものがかなり多い。さっき触れている写真用フィルムはまさに大衆的な消耗品です。だからものの性格として、この中には備品的性格のものと消耗品的性格のものが、第三類の中にはごちゃまぜに入っている。そして消耗品的なもの、たとえば蓄音機用のレコードだって免税点がないのです。これも言うなれば消耗品的なものです。そういう消耗品的なものに対して免税点を設けないでみんな取ってしまう。そして実は備品的なもの、かなり奢侈品と目されるもの、日常生活に必ずしも必要がないのではないかと思われるようなものに、かなり免税点が設けられている。免税点があるということは物品税がかからないということです。ここは率直に言って非常に重大だと思うのです。そこで免税点を設けるものと設けないもの、何によって免税点というものを設けることになったのか、そのルールをひとつ教えていただきたい。金額はいいです。こういうものは免税点をつくるけれども、これは免税点をつくらないのだという積極的理由をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/43
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044・泉美之松
○泉政府委員 免税点をつくる場合の考え方はいろいろございます。これを申し上げますと、同じ品物に課税する場合におきましても、値段の高いものにはその負担能力を考えて、いわばぜいたく品として課税するのがいい。しかし同じ品物の中でも値段の低いようなものは、それほどぜいたく的な性質もないから、課税するのが適当でないというような見地から免税点を設ける考え方。それからいま一つは、品物をつくっておる製造業者あるいは小売り業者がおるわけですが、そういった製造業者、小売り業者のあまり値段の高いものをつくっていないようなメーカーについては、それを納税義務者としないほうが徴税行政の便宜からいっても、またそういったのは概して中小業者でございますので、そういった中小業者に課税するということはしないほうがいいというような点から、免税点を設けるという考え方。それから、先ほど申し上げました考えと同じになるわけでございますが、中小企業者が比較的に安い品物しかつくっておらないという場合におきましては、その中小企業者がつくっている程度のものは免税しようという考え方、こういうおよそ三つ程度の考え方で免税点を設けるわけでございますが、しかし免税点を設ける場合にもう一つ考えなければなりませんことは、免税点を設けることによって免税点以下の品物をつくろうとする。そこでどうしても品質が粗悪になる。消費者のほうからは、どうせ買うならもう少し品質のいいものを買いたい、しかし品質のいいものには税金がかかるということから、どうしても品質の粗悪化を来たすという点が問題でございます。それからいま一つは、これが課税の回避に使われやすい。免税点をごまかすと言っては語弊がありますけれども、特に低目に移出価格を仮装するというようなことによりまして、免税点以下の品物をつくっておるというようなことにして、回避をしようという傾向があるのでございます。したがって免税点をつくるにつきましては、いろいろ考慮いたしておるのでございますが、先ほどお話がございました化粧品等につきましては、なぜ免税点を設けてないかと申しますと、あまり免税点を低く設けますと粗悪品が出て、これは人の皮膚につけるものでございますので、あまり粗悪品が出て、かえって消費者が迷惑するということがあってはならないという考慮が払われておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/44
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045・堀昌雄
○堀委員 ちょっと理論的な問題ですから伺いますが、負担能力、奢侈品としての性格、製造業者の立場、徴税行政の便宜、四つあります。四つあれば順序がありますね。一群、二番、三番、四番、このうちどれが一番大事なのか。もう一つ私に言わせると、大衆の利益ということは省かれておりますね。負担能力というものは、取る者の側から見る負担能力、それから奢侈品というのは率直に言ってあまり庶民大衆には関係がないほうですね。製造業者は最初私が論議したように企業側の問題、それから徴税行政の便宜、ちょっとしっぽが出たかっこうですが、しかしここが実態は一番大きな問題であるかもしれません。そこでひとつ順序をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/45
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046・泉美之松
○泉政府委員 この四つの基準をどういうふうに使うかということについては、なかなかむずかしい問題でございますが、やはり根本といたしましては、物品税の性格からいいまして、その担税能力という点が根本になるわけでございます。したがって先ほど、それは取るほうの側から見た考えではないかというおことばでございますが、そうではなしに、消費者の立場から見てそういう品物について担税能力があるかどうか、したがって大衆の使用するような比較的安いものについては、できるだけ課税をしない。そうして比較的所得の高い人が買うような、いわば値段の高いものに課税する。同じ品物でもそういう配慮を働かすために免税点を設ける、これが根本でございます。それを基本にいたしまして、ぜいたく品には税率のほうでも、できるだけ高い税率を盛り込むということにいたしておりますが、その次は何と申してもやはり徴税行政の便宜ということを考えなければならない。最後に徴税行政の便宜ということとからみますけれども、製造業者で安い品物しかつくっていないような製造業者は、納税者にしないというような考慮を働かせておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/46
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047・堀昌雄
○堀委員 そこでいま一番負担能力、二番奢侈品となったので、奢侈品のほうでちょっと伺いますが、第一種第一類はまさに奢侈品ですね。貴石及び半貴石、それから真珠、畳金属、大体そういうかっこうですね。この第一類はやはり免税点がありますね。いま五千円ですか幾らですか。一般的にこれはたくさんありますから一だけでいいです。
〔吉田(重)委員長代理退席、原田
委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/47
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048・泉美之松
○泉政府委員 一般的に申し上げますと、第一種の第一類の品物につきましては、五千円というのが基本的な免税点になっておるのでございます。ただ品物によりまして、たとえば一の中で「貴石製品及び半貴石製品並びに貴石又は半貴石を用いた製品」、これにつきましては一万円という免税点になっております。第一類におきましては、一万円のそれと、それから毛皮の製品の場合に衣服類について八千円という免税点、この二つだけが例外でございまして、あとは五千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/48
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049・堀昌雄
○堀委員 そこで、一万円のダイヤモンドというのは、そうあるかどうか知りません。あったらよほど小さい、くずダイヤモンドだろうと思いますが、ダイヤモンドは一万円までは税金がかからない。象徴的な話をしますが、そうしてクリームは百円のものでも五%税金を取るのですね。こう比べてみますと、ダイヤモンドの指輪をしている人というのは、大体日本の女性で成年人口が幾らいますかね。五千万だから三千万ぐらい成年婦人があるでしょう。クリームをつける年齢はもうちょっとあるかもしれません。まあ三千万と仮定しましょう。その中でダイヤモンドの指輪をはめる人というのは、これは一体どのくらいおるでしょうか。主税局長、これはたいへんむずかしいですが、まあ百分の一とかいうものじゃないでしょう。まあ千分の一ぐらいになりはせぬですかね、どうですか。三千万の百分の一で——三百万人ダイヤモンドの指輪はしてないな。やはりもう少し下でしょう。だから二百分の一か、五百分の一か、千分の一となると三万人だから、もうちょっとしているかもしれないから、五百分の一程度じゃないですか。ざっとした、これは論議は非常にラフだけれども、しかし概念からすると、ダイヤの指輪をする人と、朝晩顔にクリームを塗る婦人というのでは、これはさっきのあなたの負担能力の問題から見るならば、権衡がとれますか。片方のクリームは免税点なしで五%あなた方は税金を取っているわけだ。片方は一万円まで、くずダイヤでもダイヤモンドをしている人は一文も物品税を取らない。これは公平ですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/49
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050・泉美之松
○泉政府委員 これはダイヤモンドと化粧品、ことにクリームとは、税率がずいぶん違うわけでございまして、片方は二〇%でございますけれども、小売り価格の二〇%、片一方は製造者価格のほうの五%、そこに税率のたいへん差がございますので、免税点だけから比較をされるのは必ずしも適当でないと思うのでございます。私ダイヤモンドのことを詳しくは存じませんけれども、たいていダイヤモンドといえば、一万円以下のダイヤモンドというのはまあ普通ないはずと思うのでございます。したがってダイヤモンドに対しては、ほとんど全部課税しておるといっていいと思うのでございます。もちろんダイヤモンドについてこの免税点を設けておりますのは、先ほど申し上げました四つの見地のうちからいいますと、あとの二つの、徴税行政上の便宜と、納税者の数をできるだけ減らすという、この二つの見地が強く働いておるわけでございまして、化粧品類につきまして免税点が設けられておらないということは、私先ほど申し上げましたような根拠に基づいて、現在まで設けられておらないのでございます。しかしダイヤモンドと比較することはともかくといたしまして、ほかのその他の物品と比較した場合に、化粧品類について免税点がないのが、いま言ったような、からだにつけるものだから、あまり粗悪品が出ないというような考慮だけでいいものかどうかという点につきましては、もちろん今後検討しなければならぬ点があろうというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/50
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051・堀昌雄
○堀委員 ダイヤモンドの一万円以下のものがないという話ですが、これはありますよ。小さなダイヤモンドですね。くずダイヤというのはたくさんあります。まん中につけるダイヤモンドではないですよ。しかしまん中に何かをつけて、横に小さいダイヤモンドを装飾的につける。時計なんかだったら、大体片方に四つずつくらいつけて、八つか十ついて、そうして〇・三カラットくらいというのがあるわけですから、これは一万円以下のダイヤモンドは実はたくさんあるのです。だから、そうしますとそういうものを使うのはぜいたく品なのですよ、率直に言って。そういうもののほうを免税にして——私は、だからこっちを取りなさいということを言っているわけじゃないのです。いろいろな問題をずっと見ておる中で、そういう消耗品的なもの、日常生活にきわめて密接な関係があって、性格として消耗品的性格のあるものは、まず免税にすべきじゃないかと思う。ただし免税にするのに問題があるならば——クリームだって何か新聞一ページ大の広告を出しているのもありますよ。たしか武田が、ビネラとかいう小さなもので、しわが寄らないクリームだそうですね。そうするとこれは何千円か知らないが、ばく大なクリームでしょう。それでなければなかなか一ページ大で、いろいろな御婦人が私も使っていますとかいって、写真入りで出たりしないでしょう。私いま国税庁に広告費の問題を調べてもらっていますが、そういうものはとにかく問題があるわけです。そういうものを免税にしなさいとは私は言わないのです。しかし少なくともあなたのきょう言われた免税点をどこに置くかは、千円だっていいわけですよ。あまり低く置いたら粗悪品が出るというのですが、何も低く置く必要はない。高く置けばいい、裏返しに言えば。だから、実際いまのあなたの皮膚につけてどうこうとかいうことは、まさにこじつけ中のこじつけであって、これほど説得力のない答弁は、主税局長、あまりやらないほうがいいと思う。主税局長の権威にかかわるから。だけれども、少なくとも私はいまのような点で、免税にしろとは言わないけれども、一般の大衆の消費品目で、それが消耗品的性格のものは、免税にすべきだと思うのです。あるいは税率の関係のあるものについては、そういうことで免税点を設けるべきである、こういうふうに思いますが、その今後の問題を二点聞いておきます。何年かに一ぺん物品税は改正するそうですね。何年かに一ぺんというのは大体どのくらいですか、それが一点。そのほかに、この次の何年目かに一ぺんのときには、私の考え方をこの物品税の中に——ルールでいきましょう。個々の問題というのじゃなくて、原則で。要するに大衆の消費品目、それから消耗品的なものは、一切やめるか、免税点を設けるか、どっちかにするというこの二点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/51
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052・泉美之松
○泉政府委員 物品税の改正を何年おきに行なうか、それはなかなかルールはきめにくいと思いますが、私どもの感じといたしましては、できれば三年か四年ごとに一回くらいは変えたらどうかという感じを持っておるのでございます。しかしこれは財政の全体の動きとも関連しますので、必ず四年ごとに一回というわけにもお約束申し上げかねますけれども、まあこれくらいな期間を置いたときまでには、いろいろの問題がたまってくるでしょうから、片づけなければならない問題が生じてくるというふうに感じております。
それからその際にどういう考え方でやるかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、根本は、国民が所得がふえた場合にどういう品物を消費する傾向にあるか、これが根本だろうと思います。そのときに、いま堀委員のお話のとおり大衆の消費するもので、しかも消耗品、これにつきましては、お話のように課税対象からはずすか、あるいは免税点を設ける、これは一つのりっぱなお考えだと思いますので、そういった点を考慮して検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/52
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053・堀昌雄
○堀委員 そこで物品税については最後に、第三種のマッチ、これも依然として課税しておりますね。さっきの例から見てガスライターは千四百円まで非課税、普通のライターは三百五十円までは非課税、マッチはすったら課税される。ところがガスライターやライターというのは、これは普通たばこをのむ人以外使いません。マッチというのは台所でみな使うのです。生活必需品中の最たるものです。人間が動物とどこが違うかと言ったら、火が使えるところが違うというくらい、この根本的な人間の生活をささえておるマッチに、あなた方は課税しているでしょう。これを前に武藤君が伺ったら、何か広告用マッチを使っているから、その部分で課税だ、こう言ったというのですね。きょうはあとで私は調査ができたら今度広告費でやりますが、一体企業の広告費、一晩のテレビの広告に二千万使っているものが経費で落ちて、大衆のささやかなマッチに、広告によることによって課税するなんて言ったら、これも権威に関すると思うのですが、マッチに課税しておることに対して権威を保てる答弁がありゃいなや、あったらしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/53
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054・泉美之松
○泉政府委員 マッチに対します課税は、多分に沿革的な要素があることは、堀委員御承知だと思うのでございますが、世界各国を見ましても、どこの国もマッチに対して課税をいたしておるのでございます。特に税率なんかからいたしましても、たとえばイギリスでございますと、千本当たり日本の金に直しまして九十六円二十五銭、西ドイツがやはり千本当たり九円、アメリカが七円二十銭、こういった課税をいたしておりまして、日本の千本当たり一円というのは、そういう課税に比べますと、きわめて軽い課税になっておるわけでございます。もちろん消費の性質から見ますと、お話のとおりの点がございますが、マッチの場合は、家庭用が六〇%、それからたばこあるいは宣伝用が四〇%ということになっておるのでございます。マッチに対する課税につきましては、物品税が問題になるとき、そのつどいろいろ問題になるのでございますが、沿革的な点が多く、外国も課税しているのだから、この程度はごしんぼう願っていただけるのではなかろうかということで、課税をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/54
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055・堀昌雄
○堀委員 あまり説得力がないですね。これはだれが聞いても説得力がないと思うのです。外国が税金を課していたから日本もやるのだと言いますが、物品税の中で向こうで課税してないもので、日本で課税しているのはかなりありますよ。これをどうしますか。それではこっちをやめますか。それならいいけれども、やはりものは筋でいかなければならぬ。道理でいかなければならぬ。自分の都合のいいものは、よそでやっていますからこっちも取ります、向こうのやってないものについては知らぬ顔というのでは、私は納得できないですよ。大体私は筋でものを言っているのですから……。だから、泉さん、どうですか、筋が大事ならそうするけれども——あなた、筋は守れぬでしょう。守れますか。よそでやっていないものは日本の物品税をみんな落としますというのなら、私もあなたの筋に応じてマッチの税金を取るのをがまんしますよ。しかしそれができないのなら、その国々のいろいろな情勢の中で考えていいのではないですか。沿革は沿革としてわかりますが、もうそろそろその沿革が——いつまでも沿革があるなんということになったら、税制の改正なんて意味がないですよ。税制の改正というのは、そのときにおける客観的諸条件に応じて税制を改正するというのがわれわれの任務であって、客観的情勢の違う国の相互間の問題、沿革の問題等を含めて、いつまでもそこに拘束されているのでは、これは話は進まないと思うのです。
そこでさっきのマッチは、これは消耗品です。大衆の使う消耗品の中の最たるものだと私は思うのです。だからさっきのルールの中に入ると思うのです。あなたもそういう意味で検討を約束しましたからこれ以上は言いませんけれども、この次の物品税の改正では、さっき私があげました大衆の日常使う商品であって消耗品は、ひとつ物品税をやめるか、大幅な免税点を設けるということを確認をしてもらいたいのです。これは事務当局だけではしょうがない、ほんとうは大臣でなければだめだけれども、きょうは政務次官からお答えをいただきたいと思います。やると言わなければ物品税は上がらないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/55
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056・纐纈彌三
○纐纈政府委員 お答えします。理論的にいろいろ論戦を進めていかれる堀先生の御意見には傾倒いたしました。先ほど主税局長からもいろいろ説明をいたしておりますが、品目もかなり多い物品税でございます。また三十七年度に改定をいたしましたが、その後の経済の情勢、あるいはただいま御引例になりましたマッチの問題等につきましても、最近は相当ライターというものが、ガスライターとか、いろいろ進んでまいっておるようなわけでございまして、そうした経済情勢、あるいは生活状態がだんだん進んでまいりまするに従いまして、私はやはり根本的に検討しなければならぬと思います。なかんづく私はいわゆる消耗品的のものにつきまして物品税をかけるという問題につきましては、いささか疑問を持っておるわけでございまして、したがいまして来たるべき改定の際には十分考慮いたしまして、各般の情勢とにらみ合わせつつ、ひとつりっぱな物品税の税制をつくりたい、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/56
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057・堀昌雄
○堀委員 今後努力をされると思うのですが、次回の物品税の改正に際しては——いつも物品税の改正というのは急にぽこぽこと出てきて、あまり検討に時間がかかってないという問題が非常に多いと思うのです。そこで物品税はもっとガラス張りの中で処理されなければならぬ。さっき佐藤委員からお話のあったように、何か業者が運動をしたものだけが出てきたりするというようなことであっては、税の基本原則にもとるわけですから、その点は十分配慮してもらわなければならぬと思います。
私これからもう一回勉強しますが、これがちょっとわかりにくいので資料を要求したいと思います。一応一覧表にしてもらって、第一種の物品の第一類からずっといろいろありますが、これにつきまして、いまの税率のほうはわりにまだわかるのですが、免税点の状態が——いま伺ったのをちょっと記入しましたけれども、これをきっちり一覧表にして、われわれがぱっと見て問題が検討しやすい資料をひとつ提出してもらいたいと思う。たとえば、ちょっといま聞いた中でも毛皮になると、衣服類が免税点八千円が、皮製品になったら一万円というのがあるのですが、要するに同じですよ。毛皮と言ったって毛がはえているか皮だけかというわけで、土台は同じわけだ。ところが片方は八千円で片方は一万円だ。こうして見ると何か片方は実用品で片方は奢侈品のようだけれども、私は寒いところに行くと毛のついているほうが実用品の場合があると思います。毛皮の衣服というものの性格はどういうものかわかりませんけれども、いろいろ問題があると思いますから、一ぺん中をこまかく当たってみて、われわれとして別に業者と関係のない者が、公平な国民の立場から見たらいかにあるべきかということを少し検討をして、次の四年といえば来年か再来年は、どちらにしても物品税の改正をやられることになると思いますから、そのときには少なくともそういうことにやりたい。もう一つは、こういうものがちょこちょこ出てくるのは、きわめて私は適当でないと思うのです。あなたのほうでは、今度は全部の法改正ではないからと言って、いろいろ理由がありました。私は理由を調べてみると、率直に言って納得できないのです。これらの問題の中の問題点は、特にパッケージ型なんというのはかなり今年度あたり普及をするでしょう。ですからそういう普及するものについて、すでに価格も下がっておるものも軽減税率の必要があるのかないのか。もし軽減税率の必要があるというなら、これは税法全体の問題として考える必要があるのではないかとか、いろいろステレオの問題だってあります。今回はこれについては時間もあまりありませんから触れませんけれども、問題があるというわけです。物品税がそういう意味で非常に大衆生活の中に大きな影響を与えておる。もっとこまかく論議すれば、これらの私の最も納得できないものの物品税の最近の伸びや何かも伺っておきたいのですが、ちょっと時間がありませんし、あとのことにも触れておきたいのでやめておきますが、その分もひとつあわせて、消耗品的大衆品の最近における物品税の伸び率を資料として一回出していただきたいと思います。
次に、相続税でこの間から、医療法人の問題等に関連をして少し論議をしてまいりました。そこで私が考えております考え方は、この間もそこで述べておきましたように、医療法人のいろいろな問題が、三として租税特別措置として論議をされましたから、その問題の中では、何か医療法人だけに非常に比重がかかったようなかっこうになっておりました。ところがあの中に言われておる公共性、公益性あるいは永続性の問題というのは、何も医療法人に限ったことではなくて、現在の診療所全般にかかっておる問題なんです。ところが医療法人のほうについて言えば、贈与税を払って、持ち分のない社団になれば相続税というのは起きないというかっこうになってきます。実質的に言って医療法人は、この間論議をしたように、医師三人以上という規定があるために、一般の診療所は医療法人になろうといっても、簡単になれないという一つの規制がある。そういうような規制がある中で、医師の医療用の固定資産、土地及び建物等については、医療用該当分についてこれを相続していくということになると、この間の話のように三代やるとゼロになるということも起きかねない条件があると思うのです。そこでこれを私がこの前ちょっと提案をいたしましたように、医療用の施設については、相続が起こったときにその該当部分だけについては相続税を延納をする、そうしてその物件が用途の変更または売買を行なった場合には、その売買あるいは用途変更が行なわれた時点において相続税をかける。その場合にはすでにその他の基礎控除等が行なわれておるわけですから、その該当部分についてはそういう基礎控除等を設けずして、相続税法の税率をかけた、その時価における税をその時点で取る。ただし医療が継続中においては、そのまま延納が引き続き生きていくものとするという考え方で、そこの医療用資産の公益性その他の特殊性にかんがみて、そういう相続税法の改正をひとつ要望したい、こういうことですが、この問題に直接障害になる問題点があるならば、その問題点だけをちょっと述べておいてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/57
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058・泉美之松
○泉政府委員 相続税は堀委員の御承知のとおり、財産課税といたしまして富の集中化を抑制して、その再配分をはかるというのが本来のねらいになっておるわけでございます。したがってその課税につきましては、できるだけ中小の財産階層に対しては、課税関係が生じないようにすることが望ましいわけでございます。そういう意味で遺産の場合の基礎控除及び相続人一人当たりの控除というものを設けまして、できるだけそういう中小の財産の場合には、相続税を納めなくてもよいという考慮を払っておるのでございます。ところでお話のお医者さんの場合におきまして、医療施設がある、それを相続すると、相続税を納めるために非常に困難をするというようなお話でございますが、これは私、この前も申し上げましたように、はたして医者が三代も相続したら、ほんとうに医者を続けていくことができなくなるようなものかとうか、その実態を十分調査してみないといけないと思うのでございます。
〔原田委員長代理退席、山中委員長着席〕
どちらかと申しますと、堀委員御承知だろうと思いますけれども、従来はわが国におきましてはお医者さんと酒屋さんというのは、地方においてはとにかく名望家であり、財産家であったのでございます。その事態が今日どのように変わってきておるのか、その実態というものを十分調査してみたいと思うのでございまして、その調査をいたした上でないと何とも申し上げかねるのでございますが、現在御承知のように相続税につきましては普通の場合五年間、それから不動産等のなかなか換価が容易でないような財産が五割以上の場合におきましては、十年間の延納が認められておるのであります。その点からいたしますと五年ないし十年間の延納で、かなりの相続税も処理され得るものと思っておるのでありまして、はたしてお医者さんの場合に、医療施設を持っておって相続税を納めることができないような事態かどうか、これはなかなか問題ではないかと思うのでございます。いずれにいたしましてもその実態を十分調査した上で、そういう必要があるかどうかということを検討いたしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/58
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059・堀昌雄
○堀委員 私もまさに実態を調べてからのことでけっこうだと思いますが、さっきのお話の中で、なるほど昔は地方では、つくり液屋と医師というものは名望家である。ですから私の祖父がやっておりましたころには、一年に二回、正月と盆にしかお金も取らなくて、その時期にはみなが半年分なり一年分なりの薬代を持ってくるということにたえられた条件だと思います。私どもも子供のときには、家にそういう行事もあり、それから多数土地、田、その他を持っておりましたから、生活自体は成り立っておったと思うのでありますが、最近はもうこれは非常に違うわけです。私の祖父の話を聞きますと、私が診療に従事しておりますときの状態を見ながら、お前くらい働いたら、昔は大体一年働いたら一生食えたな、こう言うわけです。ところが現在はなかなかそうはいかないわけです。祖父の段階ではそうですけれども、父の段階で見ると、これはまた著しくわれわれの代とは違うわけでして、そういうふうにいまの医師の状態というものは、これほど下がったものも少ないのじゃないかと思うくらい、急激な変化があるわけです。そういう意味からいきますと、なかなか負担にたえられない条件が、今後は固定資産等の評価との関係で出てくるのじゃないかと思うのです。ひとつそういう意味で、早急に調査を皆さんのほうで進めていただいて、来年のいまごろはその調査をもとにした議論ができるような御配慮をお願いいたしたいということをお願いをして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/59
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060・山中貞則
○山中委員長 午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時五十九分休憩
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午後二時五十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/60
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061・山中貞則
○山中委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
建設大臣の御出席をいただきましたので、質疑を続行いたしますが、遅刻されました二十五分を差し引きまして、四時釈放の予定のところ、四時二十五分まで御出席をいただくことにしたいと思います。武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/61
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062・武藤山治
○武藤委員 河野建設大臣のおいでをいただいて——大蔵委員会で建設大臣をお呼びして質問をすることは珍しいのでありますが、特に今回は揮発油税の増税の問題、あるいは新五カ年計画の財源の問題などで、大蔵省との関係が非常に深い措置でありまするから、ひとつ大臣に委員長が出席を要求した時間までごしんぼう願って、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
最初に、専用家でありませんので、道路整備の新五カ年計画を策定するに至った大臣の所見を承りたいのであります。というのは、従来の五カ年計画が三十六年度から新たに実施をされて三年目に入った年に、あらためて五カ年計画をつくるというには、それ相当の理由がなければならぬと思うので、そこで河野建設大臣の構想をお聞きしたい。新五カ年計画は、こういう積極的な考え方で策定をしたのであるという内容を、ひとつお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/62
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063・河野一郎
○河野国務大臣 御承知のように従来の道路五カ年計画をもっていたしましては、国内の各方面の御要請にこたえることは困難であるということは、私がいまさら申し上げるまでもないことと考えるのでございますが、とりわけ最近のわが国の産業の実態、もしくは一般国民諸君の将来へのそれぞれの企業の計画等について、たとえて申し上げれば農村におきましてわが国の農業が曲がりかどに来ておるということばをよく聞きます。どういうふうに曲がりかどに来ておるのかといえば、従来の農業経営のあり方そのものではうまくいかない。しからばどうしたらよろしいのだということになると、私は農林大臣をしておりました当時と、今度とは多少心境を異にいたしております。将来の農業は、当然いつの場合でも同じと心得ますけれども、ことに重点を置いて考えなければならないことは、需要に結びつく生産、生産と消費の一体化ということが、計画の基本でなければならぬ。生産と消費を一体化するためには、これを結ぶものは道路であるということにほかならないと思うのでございます。そういう意味からいたしまして、すみやかに全国に将来あるべき道路網、将来かくなければならないと考えられる道路計画、しかもそれに対しての年次性、実現性というものを明らかにいたしまして、これによって国民諸君、特にそれは農業であろうと中小企業の諸君であろうと、そこに基盤を持ってそれぞれのお仕事の計画をお立てになる必要があるだろうし、そうすることが政治の要諦ではないかというふうに考えまして、実を申せばいま策定いたしました五カ年計画をもってしては、非常に不十分でございます。しかし一応国家の財政上の理由もございますしいたしまして、こういうような範囲において五カ年計画をつくった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/63
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064・武藤山治
○武藤委員 河野先生は戦前からの国会議員で、特に自民党内の実力者といわれる大臣でありますが、従来の五カ年計画が三兆一千億円の規模で策定をされておったのを、五年間で倍にする、四兆一千億円にする、こういう飛躍的な計画に切りかえたというところには、もっと積極的な理由があるのではないだろうか。主要都市と主要都市を結ぶ、あるいは消費流通を便利にする、こういう考え方からこれだけの膨大な——池田さんの所得倍増政策では十年間で所得を倍にしようというのを、河野さんの道路政策は五年間で倍にしようというのでありますから、これはまあたいへんな私は大構想だとは思うわけです、金額の上では。しかしその大構想が実現するかどうかは別といたしましても、こういう構想を実現しようとするからには、何か大臣としてもっと積極的な理由というものがあるような気がいたしますが、ただいま御説明した程度しかございませんか。特に、あなたの前の歴代の大臣がそういうところに気がつかなかったのか、一体どちらに原因があるのか、そこらもひとつお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/64
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065・河野一郎
○河野国務大臣 従来の大臣としてもお気づきにならなかったことはないと思うのでございますが、何にいたしましても公共投資にどの程度のものが許されるかということが、先だと思うのでございます。したがって公共投資の限度と見合いつつ、計画を立てなければなりませんので、従来の段階におきましては、あの程度の案で、——ところがそこに御承知のとおり経済の公開性ということから、日本の国内産業が急角度に方向というか、需給の方向が変わってきた点がございます。また大都市に人口の非常に過度な集中という事実もございます。そういうようなことからいたしまして、ここに従来の道路計画を急激に、あるものを非常に強めなければならぬ場合もありますし、また方向によっては急に変えなければならぬものもできてきたというようなことから、ますますその感を深くいたした、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/65
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066・武藤山治
○武藤委員 道路局長にちょっとお尋ねいたしますが、今回の新道路整備五カ年計画を策定するにあたって、十七年間の長期計画というか、構想というか、そういうものが発表されておりますが、一体十七年間という長い期間の計画を、計画に値するようなものがつくれるのかどうか。こういう数字は一体何を積算の基礎にしてつくり出しておるのか。あなたのほうでそれだけの大きな構想があって、やや具体的な青写真まで、十七年後まで見通したものがあるのですか、そういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/66
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067・河野一郎
○河野国務大臣 ちょっと私からかわりに答えます。実はただいままで申し上げましたような次第でございますが、一応新しい道路をつくっていかなければならないというようなことを考えますと、一体その道路が将来どういう重要性を持っておるだろうか。人の動き、物の動きというものが、どういうふうに変わってくるだろうかということも、むろん考えなければなりません。これらはあげて、従来と多少趣を異にいたしますのは、従来は国防上の見地であるとか、ないしはまた県庁の所在地と所在地を結ぶとかというような人の動きに、もしくは国防的見地によって道路の重点が置かれておりましたことは、申し上げるまでもございません。それを大幅に産業の必要性に切りかえる必要がある。そういうことになりますと、日本の将来が、たとえばここに新産業都市の指定をいたしておりますというようなこと等々からいたしまして、道路を、どの地点とどの地点を結んでいくとか、どういうところに将来人の集まりができ、物の生産が起こってくるというようなことも考えながら、一ぺんにはできませんから、年次計画を立てていく必要があるということのために、朝野の識者にお集まりをいただきまして、おおむね二十年後の日本のあるべき姿、産業のあるべき姿というようなものを、各方面の御意見を承りまして、二十カ年後のあるべき姿の予定図を一応かきました。そしてこの予定図をかきまして、その予定図に基づいて——これはむろん、今後しばしば変更していかなければならないものであることはもちろんでございますし、それはどの程度の実現性、現実性があるかはむろん私も自信はございません。ございませんけれども、建設大臣として一応の目標を立てまして、その目標に基づきましてこれを年次的に分けて、大体この程度にやっていかなければならぬだろう、最小限度この程度にやっていく必要があるだろうということでつくったのが、いまお話の点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/67
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068・武藤山治
○武藤委員 そういたしますと、十七年間に二十三兆八千億円の予算規模で計画を遂行していこうという、これは単なる目標だ、予定図だ——しかし単なる予定図、目標でありましても、やはり十七年間に、特に日本の国土を見渡した場合に、こういう目新しい何かを一つ考えるのだ。たとえば、社会党でしたら、いまの自衛隊というものを国土平和建設隊に切りかえて、北から南まで、山の頂上に道路をつくれというような大構想を発表しておりますが、そんな計画を発表しないで、二十三兆円と申しますと、一年間の予算に平均いたしますと、道路予算は一兆円以上ですよ。ところが、本年の政府の予算は三千億円でしょう。地方の道路予算を入れても、二千二、三百億円でしょうから、合わせて五千億円の予算、とても十七年間に二十三兆円ということは、予定図にいたしましても、目標にいたしましても、かけ離れておる。これはあとで五カ年計画の中身に入ると、さらにこの計画と実際が食い違っておる点が明らかになると思いますが、大きな、十七年間というこの青写真の数字を見ても、どうも常識的に判断つかぬのです。一年に一兆二、三千億円の予算規模がなければ、この青写真は単なる空論ですね。大臣、これは単なる、建設大臣が、おれは大臣に就任してこれだけ目新しい、でかい事業をやるぞと国民にばあっと見せかけのプラン、この十七年プランは、私はそんなように感じますが、この積算のある程度の目安、たとえば物価が五年後にはどうなる、十年後には大体どう推移するだろう、国民の富は大体こうなっていくだろう、日本の生産がここまで伸びた場合に、道路というものはこんなぐあいになるだろう、そういうような一つの想定図というものが、私はあってしかるべきだと思う。これは大臣に質問してもちょっと無理だと思いますので、局長が、担当の責任者として、ひとつそういう点、どの程度までこの十七年計画の中身というものを把握されているのか、発表されたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/68
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069・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 お答え申し上げます。大綱は、先ほど大臣がお話しになりましたとおりでございますが、この二十三兆八千億円の中身につきましては、将来の構想図に従いまして、いろいろ必要な幹線道路あるいは一般県道、市町村道、こういったものを、必要量を積み上げまして一応出したものでございます。その結果、どういうことになるかと申しますと、大体現在におけるヨーロッパ、先進国並みの姿になるだろう、こういうことで二十三兆八千億円を積み上げたのでございます。そのうちで幹線道路として考えておりますのは、約六千七百キロぐらいでございますが、これは近代的な自動車道路として築造したい、こういうような考え方でございます。それから一般県道等につきましては、これは国道も含めましておおむね十一兆ぐらいのものを考えております。それによりまして、現在の県道以上の主要な道路は相当程度整備される、こういう構想でございます。そのほか、都市内の街路の築造費でございますとか、必要なものを加算いたしますと、二十三兆八千億円くらいになるのでございます。これに対する財源とかその他につきましては、一応十七カ年間でございますので、まだどういうような種類の事業をするということ、たとえば有料道路でやりますとか、あるいは公共道路でやるというようなことも、相当長期にわたりますので、積算いたしかねます。したがいましてこれに必要な国費でありますとか地方費でありますとか、あるいは必要な財政投融資であるとか、こういったことまで実はまだ計算しておらないのでございます。一つの将来図に従いまして必要な量を積み上げてみた、こういうふうに考えております。それから現在の事業との規模の問題でございますが、大体道路事業は御案内のように過去二十九年から第一次、第二次、第三次と道路計画を改定いたしておりますが、これはだんだんしり上がりになっていく傾向を持っておりますので、二十三兆が十七年で割りますとかなり大きいようでございますが、必ずしも規模として過大であるというふうには考えておりませんし、ただいま申しましたように、財源的な内訳もまだきめておりませんので、なお検討を要する問題ではあろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/69
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070・武藤山治
○武藤委員 大臣、いまの局長の答弁で、財源的には考えていないのだ、これだけあれば日本の国じゅうの主要道路は舗装道路になる、あるいはかなりの修理はできる、欧州先進国並みになる、そういう考え方でこの二十三兆は一応策定したのだ、しかし財源はどうなるかということは、これはわからぬというのです。ところがいままで、従来の建設大臣が五カ年間で二兆円ちょっと程度しか計画ができなかったというのは、やはり財源的な制約があるわけです。河野さんになったからとたんに、金のなる木を植えたり、あるいは金をつくり出すことはできないのでありますから、そうべらぼうな、五カ年間で倍の規模にふくれ上げられるかどうかというのは、見ものなんです。そこで私は、こういう問題は財源と関連をして考えなければならぬと思うのですが、この十七年計画でいった場合の財源を考えた場合、そのころはたして河野さんが建設大臣をやっておるかどうかわかりませんから、そのあとの人が継ぐわけでございましょうが、とにかく十七年間の財源措置というものは一体何をある程度目安にしておるのか。たとえば揮発油税だけの収入では、従来の十年間の積算をずっとしてみてもこの程度しか伸びないだろう、あるいは今日の需要の状況からいってもこんな程度ではなかろうか。だとすれば、この計画を実現するためには、これこれこういう財源を考えなければならぬ、その場合の財源措置というものは一体何を中心に考えておるのか、これをひとつ大臣からお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/70
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071・河野一郎
○河野国務大臣 先ほども申し上げますとおりに、もちろん基礎になるべきものは国家の公共投資もしくは財政投融資でございます。金のないことにはすべてはもう話はないのでございますから。しかし一面から考えますと、私はいまの政治のうちで一番おくれているのは道路ではないかと思うのです。おそらく産業、経済、すべてにいろいろトラブルがあり、摩擦のありますことは、道路がおくれているからだ。都市の物価が非常に高くて、生産地の物価が非常に安い。国内に物価のアンバランスがある。これも道路がおくれているからだということを、大方の御認識がそこにいきますならば、政治が金がないからできないということはあり得ないのではないか。必要なものならば金は出てくる、出すべきものだ、こう考えます。現にガソリン税にいたしましても、今回値上げが大幅だとか、物価にはね返るではないかとか、いろいろお話もありますけれども、これとてもまだまだ欧米諸国に比べて最高になっておるとは私は考えません。まだ上げてもらっていいのではないかと私は考えております。物価にはね返るとおっしゃいますけれども、今日のトラック輸送が非常に麻痺しておる、そのためにトラック運賃がどのくらい高くなっているのだ、効率がどのくらい落ちているのだというようなことから考えますれば、これを積算いたしました場合に、いずれが是か非かという問題も多くの計算が出るだろうと思うのです。そういうふうに考えてみますれば、まだガソリン税でも上げる余地があるのではなかろうか。また道路公債の発行も、いますぐ発行しようとは私も考えておりませんけれども、おそらく来年なり再来年なり、適当な時期になれば、道路公債も発行していいのではないかというふうに考えます。したがってどの程度の道路は絶対に民主安定、産業伸長の上に必要であるかということから、すべてはきまってくるのであって、われわれが一応その局にある者として考えた場合に、この程度のものはどうしても必要だろうという考えから、いま局長が申したように積算をしてつくったものであって、しかしその中には、たとえて申し上げますれば、将来の日本の産業の実態から申しまして、僻地のほうはそんなに力を入れぬでもよろしいというような場合が、もし国会でそういう御認識でありますならば、もっと数字が減るかもしれません。しかしいまのように都市集中を避けて、全国平均でいけという御要望であれば、どうしてもその程度のものは入り用になるだろうということでございまして、建設大臣として、責任の衝にある者としては、そういう一応の案を持って、皆さんの御批判に供するということは私の責任だろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/71
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072・武藤山治
○武藤委員 ガソリン税の増徴がいいか悪いかということは、あとの議論にいたしまして、計画の内容についてもうしばらく進めてみたいと思います。新五カ年計画によると、四兆一千億円五カ年間必要である。おそらくこれも、実行予算というほど、何が何でもこれだけなければ現在の計画が達成できないのだという、そういう計画ではなくて、十七年間計画と同様に、予想図で、建設省として予算を獲得する場合に、大蔵省と談判する際に、あまり額が小さくてはというので、思い切って二倍、四兆一千億円というものになってきたような、実行の伴わないような規模ではないだろうかと実は感ずるわけであります。そこで四兆一千億円五カ年間必要とするならば、一体一年間どの程度の予算が必要であるか、それを五年平均すると幾らになるか、それを来年度、三十九年度の予算で何%実現をしたのか、今回参議院で審議しておる予算額の中で、何%この計画に対する予算がついたのか、そういう今日の状況を考えて、一体大臣は満足しておるか、不満足であるか、やむを得ないと思っておるか、これで事業が遂行できるとお考えであるか、この辺をひとつお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/72
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073・河野一郎
○河野国務大臣 四兆一千億の五カ年間、財政的な年次計画については、大蔵当局の承認を得たものでございます。したがって私は建設大臣として、この財政的な裏づけがあるとかないとかいうことは、大蔵省のほうへよく御質問いただきたいのであって、私は元来四兆一千億では足らない。最初はどうしても五兆ほしい、五兆の案で大蔵省と折衝いたしましたが、大蔵省のほうで、五兆では少し将来の財政的計画性に困難があるから、一応四兆一千億でいこうじゃないかというお話でございましたから、将来財政が好転したならばあらためて相談をし直すということにして、さしあたり今年度は四兆一千億ということで決定をいたしたのでございまして、五年間の年次計画その他財政的の裏づけにつきましては、大蔵当局にお尋ねいただきますれば、むろん大蔵当局から御説明があろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/73
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074・武藤山治
○武藤委員 大蔵省主計局の道路担当官にお尋ねいたしますが、いま大臣がおっしゃいましたように、五カ年計画は大蔵省で承認された案である。したがって歳出を伴うのでありますから、当然大蔵省としては、三十九年度は何ぼ、四十年は何ぼという、五カ年間のそれぞれの目安はあると思うし、さらに主計局としては、その目安はどういう財源で補てんしようかという計画もあろうと思いますから、その点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/74
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075・青鹿明司
○青鹿説明員 ただいまの年次計画につきましては、これは長期計画の性質上、年次別の予定は立てておりません。と申しますのは、やはり年々の財政事情に即応いたしまして、あるいは趨勢線以上に支出の可能な場合もございますし、あるいはそこまでいきかねる場合もあり得るかと思います。年次別にどの程度の投資を行なうかは、計画の段階ではきめておりません。それからどの程度の財源が必要であるかでございますが、これにつきましてはまだ計画の内容で未定の要素がたくさんありまして、いまの段階では正確に申し上げかねるわけでございますが、一応の試算をいたしましたところでは、四兆一千億の投資を実現いたしますために必要な国費額は、約一兆七千六百億という計算でございます。なお、そのほか地方の負担があるわけでございますが、これが一兆四千四百億、それから財政投融資資金が九千億という試算をただいまいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/75
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076・武藤山治
○武藤委員 五カ年計画を遂行する上で、揮発油税の伸びというもので、ただいまの一兆七千六百億円というものはややまかなえるのか、一般財源からの繰り出しがどの程度の比率で伸びていくのか、これをひとつわかっておったらお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/76
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077・青鹿明司
○青鹿説明員 ただいまの一兆七千六百億円のうち、揮発油税分がどの程度あるかという御質問でございますが、ガソリンの将来の伸び等の検討がまだ十分了しておりませんので、どの程度可能であるかというようなことは、ちょっとただいま申し上げかねる状況でございます。ただ全額をガソリン税でまかなうわけにはまいりませんので、やはり一部は一般会計の負担ということにならざるを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/77
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078・武藤山治
○武藤委員 大臣、本年の予算額が三千五億円でございます。地方が二千二百二十億でございますか、これでいきますと、本年は約五千億円というところですね。そうすると四兆億円を実現するためには、これでいったのでは八年もかかってしまいます。一体大臣は担当官として、これだけの予算を要求し、目標を立て、計画を作成した当事者として、こういう予算の状況でよろしゅうございますか、満足でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/78
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079・河野一郎
○河野国務大臣 四兆一千億を全部国道でやるわけではございません。したがってその中には府県で出すものがありますし、また御承知のように外債でまかなうものもございますし、財政投融資の分もあるわけでございまして、まあ釈迦に説法でございましょうが、そういう計数にはならない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/79
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080・武藤山治
○武藤委員 大臣、私のいまの質問しておる数字は、それを含めてあるのですよ。政府の全部の予算が現在三千五億四千百万円ですか、間違いないですね。さらに地方公共団体の行なう県独自の仕事だけの予算が二千二百四十四億であります。合わせて本年三十九年度、五千億円しか道路の予算というものはないわけです。そういたしますと、四兆一千億円には県の行なう仕事量も含まれているという大臣の考え方でいきましても、五千億円で四兆一千億円を割ると八年かかるわけですよ。もしこの四兆一千億円は国の行なう道路計画だということになりますと、三千億円しか三十九年度は出ておりませんから、十何年かかるわけです。それをいかにして五年で行なうかというところに、私の知りたい点があったわけであります。そういたしますと、三十九年度の道路予算というものは不満である。大臣として、まあまあ国家財政上やむを得ないのだ、だから道路計画のほうが修正をされるような結果になるのだ、やむを得ないのだ、こうお考えになりますか、それともまあ不満だと……。大臣の所見のほどを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/80
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081・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 ただいまの五千億円という数字でございますが、実は事業費にいたしますと、公共事業、有料道路事業、それから単独事業合わせますと六千七十億くらいになるのであります。いま武藤先生のお話の数字は、国の負担分と地方の負担分を足した場合でございまして、このほかに財政投融資分がございます。それらを事業費に換算いたしますと、約六千七十億ぐらいになります。それから従来の五カ年計画のペースでございますと、大体全体の総事業費の約七分の一に相当するものが、初年度の規模になっております。これは後年度にしたがいまして傾斜いたしておりますから、大体そういう規模になっております。それから申しますと、四兆一千億に対します約六千億というものは、過去の五カ年計画の傾斜からいいまして、おおむね妥当である、かように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/81
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082・武藤山治
○武藤委員 千億ふえて六千億として、六、七、四十二、七年分ですね。そうすると従来の五カ年計画の進捗状況というものは、計画に対して大体何割ぐらい実行しておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/82
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083・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 現行の五カ年計画は二兆一千億でございますが、これは三十六年、七年、八年と三カ年やっておりますが、大体この三カ年で全体の規模の約五九%になるかと思います。大体先ほど言いましたような勾配、傾斜をしております。前の三カ年というのはそのような割合におおむねなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/83
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084・武藤山治
○武藤委員 大臣、この計画を遂行するために、財源的に非常に窮屈になってまいる最後の五カ年目には、最初のベースでいっても、かなり遂行できない事業が残る。そこで公債発行あるいは公募債の増額、何かそういう形に財源を求めて、この計画を遂行しようというようなお考えをお持ちですか。その点をひとつ大臣からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/84
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085・河野一郎
○河野国務大臣 私はいまのお話で、四年目、五年目になると財源が窮屈になる。窮屈になったら公債を発行するか。私はそういうふうに考えていないのです。これはいまのままで、この程度のものをやるならば、別に公債発行ということは考えずに行ける。ただしこれでは不十分だ、したがって私が大蔵当局と話をしておりますものは、道路公債発行の可能な財政事情、もしくは経済事情にわが国がなりますれば、道路公債を発行して、さらに計画を大きくいたしまして、そうして道路を積極的にやるという所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/85
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086・武藤山治
○武藤委員 局長にお尋ねしますが、交付公債、あるいは公募債、それから国際開発銀行からの借入金、こういうものは前年度と比較して本年は全部合わせてどのくらい増額されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/86
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087・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 道路財源といたしましては、地方の財源についてはちょっと詳細なことはわかりません。これは自治省のほうになるかと思いますが、国の財源につきましては、交付公債は、これは元金収入の加算額だけが予算に計上されておりまして、これはきわめて少額のものでございます。国際開発銀行からの借入金につきましては、日本道路公団と首都高速道路公団に対して、若干収入として見ておりますが、この額は国際開発銀行借入金が道路公団に対して七十七億、首都高速道路公団に対しまして四億四千ぐらいの規模のものでございます。前年度はこれが日本道路公団だけでございまして八十三億、かような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/87
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088・武藤山治
○武藤委員 公募債は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/88
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089・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 公募債はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/89
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090・武藤山治
○武藤委員 そこでガソリン税のこれからの推移について少しくお尋ねをいたしたいと思いますが、まず三十九年度の揮発油税の収入見積もりは、実際過去の実績と比較した場合、消費量というようなものが過小ではないのか。この点については一体主税局長はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/90
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091・泉美之松
○泉政府委員 三十九年度予算におきましては、揮発油の消費量を九百七十五万キロリットルと推算いたしておるのでございますが、これにつきましては最近の揮発油の消費の動向からいたしますと、三十六年から始まりました五カ年計画で想定している消費の伸び率は、だんだん数量が多くなるに従いましてだんだん落ちてまいります。その落ちてまいります傾向からいたしますと、この程度の収入は期待し得るところではないかと思うのでございます。ただ過去の例から申し上げますと、武藤委員御承知のとおり、三十七年度におきましては五カ年計画で予定いたしておりました数量のとおりまいりませんで、二十七億予算に対しまして不足をいたしております。三十八年度におきましても、先般当委員会で申し上げたかと思いますが、約四十億に近い予算に対する収入不足が出るのでございます。そういった点からいたしますと、三十九年度におきまして増税をいたしましても、二千三百三十七億程度の収入にとどまるのではないかというふうに見ておるのでございまして、だんだんと伸び率が落ちてくるのはやむを得ない傾向ではないか。もとのベースの数量がふえてまいりますだけに、そういう傾向にならざるを得ないのでございまして、これを過小見積もりというのは当たらないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/91
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092・山中貞則
○山中委員長 先ほどの答弁中取り残した点がありますから、発言させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/92
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093・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 公募債の分、ちょっと申し落としました。三公団を含めまして三十九年度は四百二十五億ほどでございます。このうち道路計画分として考えておりますものが、三百九十五億ほど含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/93
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094・武藤山治
○武藤委員 鉱山局長にちょっとお尋ねしますが、過般石油審議会で昭和三十九年度から四十三年度までの五カ年間の供給計画を策定をし、答申をしたと思いますが、その数字を見ますと、三十九年度のガソリン消費量というものが一千百五十九万四千キロリットルですか、この数字には間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/94
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095・加藤悌次
○加藤政府委員 ただいまお話のように、三十九年度を初年度といたします五カ年間の石油供給計画が、過般の石油審議会で決定を見まして、十七日の官報で告示されておるわけでございます。その中でお尋ねのガソリンの数字でございますが、ただいま先生御指摘の千百五十九万四千キロリットル、この数字は三十九年度におきまして国内で生産をいたします揮発油の数量であるわけであります。ガソリン税のもとになりますのは、この生産の中には輸出に向ける分というものも含まれておりまして、ガソリン税との関係においては国内でどれくらいの需要を見込んでおるかという数字を申し上げたほうが、御参考になるのではなかろうかということでございまして、その数字は千百二十五万一千キロリットル、こういう数字に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/95
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096・武藤山治
○武藤委員 千百二十五万が需要になるだろうという想定でありますが、これは輸出を除いた生産のほうですから。それにしてもまだ八十万キロ近く、それだけのものはいつも在庫として年度内に保有されておるものであるか。実際の消費というものは審議会ではどのように見ておるか。その点鉱山局長、もう一度、実際の消費の量というのはどのくらい年度間にあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/96
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097・加藤悌次
○加藤政府委員 ただいま申し上げました千百二十五万キロリットルという数字は、石油精製業者のほうから外に販売される数字でございまして、石油精製業者あるいは元売り自体における在庫の増減は、この中に含まれておりません。ただ石油精製業者が販売をいたしましたその数字が、そのままそっくり当該年度の消費になるかどうかということにつきましては、いわゆる販売業者、消費者の手元にある在庫の増減という問題がございますので、その辺になると私のほうははっきりとつかんでおらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/97
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098・武藤山治
○武藤委員 主税局の見積もりの量と石油審議会の供給計画との間に、約五十万キロリットルの差があるわけですね。そういう差は当然当初から予想して税収見積もりを立てておるのか、それともこの分が自然増収という形で入ってくるのか、そこらは主税局はどのような見通しを立てておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/98
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099・泉美之松
○泉政府委員 揮発油につきましてはお話のように生産数量といいますか、引き渡しされる数量が千百二十五万キロリットルでございますけれども、御承知のとおり航空機用の揮発油については免税が行なわれております。また石油化学工業用の揮発油も免税が行なわれておるわけでございます。ガス用のものにつきましても免税が行なわれます。それらの数量を差し引きますと、課税対象となるものは九百九十七万三千キロリットルになるわけでございます。そこからいまの消費はこの年度計画でできておりますが、税収のほうになりますとそこにズレが出てまいります。約二カ月のズレが出てまいるわけでございます。そこでそのズレの分を二十二万三千キロリットルと見込みまして、九百七十五万キロリットルというのが揮発油税の課税対象となって、三十九年度内に収入になるところの基礎になる数字、こういうふうになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/99
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100・武藤山治
○武藤委員 揮発油税のこれからの伸びの率と申しますか、一体ガソリン税で増徴になる傾向というものはどういうことになるのか。主税局長はどういう見積もりを立てておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/100
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101・泉美之松
○泉政府委員 揮発油の消費の見込みにつきましては、いろいろの考え方があるわけでございますが、一応われわれといたしましては、三十九年から始まります五カ年計画に対応して、揮発油税の収入がどうなるであろうかというような見地から、その需要見込みに基づいて推算をいたしておるのでございます。このやり方がいろいろございますので、平均の数字をとって申し上げますと、いま申し上げました三十九年の課税対象となる数量が九百七十五万キロリットル、これが四十年には二一丁四%伸びまして千百五万三千キロリットル、四十一年度におきましては四十年、前年に対しまして一二・一%伸びまして千二百三十九万キロリットル、四十二年度におきましては前年に対して一一%伸びまして千三百七十五万六千キロリットル、四十三年には一〇・一%前年に対して伸びまして千五百十四万八千キロリットル、この程度の需要はあるのではないかというふうに推算いたしておるのでございます。しかしながらこれにつきましては、先ほど申し上げましたように三十七年、八年に、われわれの想定しておった需要のとおりまいっておりませんので、なお今後さらに詳細に検討しなければならぬ点があろうとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/101
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102・武藤山治
○武藤委員 大臣、いまお聞きになりましたように、揮発油税の増収ということがそう期待できない、これからそう伸びない。ということは、石油審議会においても今後五カ年間の需要増加率というものを明らかにいたしておりますが、その中で最も伸びるものはナフサという石油化学原料に使うもの、さらに重油、そういうものであって、ガソリンは逆に今後減っていくであろうという傾向を、審議会は答申をいたしております。ですから今日の税制の中で、特に道路目的税という形で徴収をされておる道路財源というものは、あなたの策定をしておる四兆一千億円の道路計画を遂行するのにマッチするような税収の伸びというものは、期待できないと私は判断をいたしておるわけです。そういうガソリン税の増徴が期待できないという時点が、もう目の前にきておる。三十八年度はすでに予算は五十二億円減ってしまった。三十七年も二十七億減ってしまった。こういうような情勢の中で、一般財源からかなり道路に出さなければならないという情勢にあるわけです。そういうような情勢の中でも、それだけの財源を確保することは建設省としてできる。大臣はこの四兆一千億円の計画を遂行する資金は確保できる、こういう自信はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/102
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103・河野一郎
○河野国務大臣 これは建設大臣の問題ではないのであって、政治家としての問題だと思います。また皆さまから、一体そういうふうな金を使うことは、道路はやめたらいいだろうということであれば、道路はつくらぬでよろしいというだけであって、こういうふうに道路が全国に諸君が入り用だとおっしゃれば、どこからでもお金は出してもらわなければしかたがない。揮発油税だけが道路の財源ではないと私は心得まして、常に道路をこれだけ入り用か入り用でないかということを建設大臣として、十分御認識願うように各方面に御説明を申し上げるのが、私の役目でございまして、金は大蔵大臣に出していただく、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/103
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104・武藤山治
○武藤委員 大臣のいまのことばはちょっと極論ですよ。道路をつくらなければいいなどということは、だれも国民は考えておらぬ。だれだって環境がよくなるほうがいいですよ。道路は全部、農道も舗装になったほうがいいのです。そんなことは三つ子でも私はわかっていることだと思うのです。問題は、これが国民の物価値上げにはね返ったり、あるいは国の財政事情を乱したりするような形に発展しない範囲内における道路の整備なり、国のあらゆる政策の進展を、われわれは期待しているのであります。ですから道路は、そんなに財源がなければ、あるいは一般財源から出すのが悪ければつくらなければいい、それは私は大臣として発言すべきことばではないと思うのです。それはちょっと極論過ぎると思うのです。そうではなくて、真剣にこういう計画を遂行するための財源措置が、可能であるかどうかということを審議するのも、われわれ国会議員の一つの任務でありますから、私はお尋ねしておるのであります。もっと親切にひとつ答弁をしてもらいたいと思うのです。
そこで、こういうガソリン税を引き上げをするということに対しては、いろいろな意見があります。大臣は先ほど諸外国と比較して、日本のガソリン税はまだ高くない、だから本年の引き上げ程度ではなくて、まだ引き上げしても可能なんだ、大丈夫なんだ、こういうことばを出しておりますが、一体世界各国と比較をしても、ただ単に価格だけの問題ではなくて、それぞれの国の所得や、あるいは国民の生活水準、そういうようなものをいろいろ勘案をして、これだけの税金を取ることが無理であるかどうかということの判断を出さなければならぬと思いますが、一体世界の国と比較して、日本のガソリン税は、今回値上げをしても高くないという、その論拠を大臣からひとつ御答弁を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/104
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105・河野一郎
○河野国務大臣 私は、わが国の道路のおくれを欧米並みに取り戻すということが、国民諸君の非常に大きな御期待でございまして、それを実現するためにガソリン税をこの程度上げる、もしくは可能であるなら、もう少し上げていただいて道路をやるほうが、政治家としても私は適当である、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/105
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106・泉美之松
○泉政府委員 揮発油につきまして、わが国の小売り価格に対する関税、消費税を合わせました負担率を申し上げますと、現在のところ六〇・五%でございますが、今回揮発油税及び地方道路税を増徴いたしました場合に、その増徴分が、かりに全部小売り価格に反映するといたしますと、小売り価格に対する税負担率は六二・七%になります。外国のほうと比較いたしますと、アメリカは御承知のように非常な産油国でございまして、また揮発油の値段が安いので、ちょっと比較の対象になりませんが、これは小売り価格に対しまして三二・四%でございます。あとイギリスは小売り価格に対しまして六三・五%、西ドイツも同じように六三・五%、フランスは最近ちょっと減税いたしましたが、小売り価格に対しまして七四・三%、イタリアは最近増税を行ないまして、七六・二%になっております。したがいましてわが国の税負担率六二・七%は、イギリス及び西ドイツとやや均衡、若干わが国のほうが低い。それからフランス、イタリアに比べますと、相当まだフランス、イタリアのほうが高い。そういう意味ではわが国の税負担率は、外国に比べてまだ低いということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/106
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107・武藤山治
○武藤委員 ただいまの世界先進国五カ国と比較して、大体日本とやや同格が多くて——日本より安い国はあるのですからね。安いといっても大体六二・七%とイギリスが六三・五%、西ドイツが六三・五%、ですからまだ日本のガソリン税は、これから引き上げても大丈夫なんだという先ほどの大臣の感覚で、この次また値上げするというようなことを考えたのでは、これはもう日本は一番高い国になってしまいますね。ですからそういう点を、外国がこのくらいの率だから、日本もこのくらい取っても大丈夫だろうというので、どんどん取り上げる。その伸びが一体この計画にマッチしていくのかということが、たいへんな問題になると思うのです。その点は、税収と比較して、ガソリン税のほうでヨーロッパ並みに引き上げたら、もう引き上げはしない、こういう考え方でいきますか。それともヨーロッパを追い越して、世界で一番高いガソリン税になっても、道路をよくするためには、国民のためにそのほうがよいのだ、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/107
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108・河野一郎
○河野国務大臣 ものには限度もございます。一般の良識もございますから、わが国の国情に照らして妥当なところに決定すべきことは、もう論をまちません。ただ私、痛切に考えますことは、何にしてもわが国の公共投資が非常におくれまして、そして道路が非常におくれておる。道路のおくれが一般産業にはね返って、生産費もしくは産業の伸展に非常な大きなマイナスになっておるということは、もう論をまたぬと思うのであります。したがってこれを欧米並みにすることについては、ある程度一般国民諸君の御協力を得て、ぜひそこまで持っていくことに努力しなければならぬのではなかろうか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/108
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109・武藤山治
○武藤委員 池田内閣は昨年、今後一カ年間公共料金の引き上げはしない、あるいは物価がとにかく上がり過ぎておるから、何とかこれをとめなければならぬということで、懇談会までつくって、非常な努力を払いつつあるわけです。そういう事態のときにガソリン税を引き上げるということは、諸物価に相当の影響があると思います。小さいトラック屋さんにしても、あるいは運送用に使わない中小企業の消費にいたしましても、ガソリン税が上がることによって、物価に相当はね返ってくる、そういうような心配に対して、あなたはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/109
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110・河野一郎
○河野国務大臣 私、あまり専門的にガソリンのことを勉強しませんから、はっきり申し上げかねますが、従来の例からまいりまして、税を上げたから、すぐそれが小売り価格にそのまま上がっておるようには聞いておりません。今回ガソリン税をこの程度上げたら、それがすぐ小売り価格にそのまま影響するかどうかということについても、私は多少の議論があるだろうと思います。またガソリン税がそれだけ上がって、これが全然別の用途に使われればともかくといたしまして、ガソリンを、道路をよくすることによって、どの程度セーブできるかということもむろんあるだろうと思います。これは御承知のとおり、今回の道路計画におきましては、全国の主要県道までは少なくとも舗装しよう、昭和四十三年までには一級国道、四十四年には二級国道、四十五年には主要国道、これをいずれも全部舗装するということのたてまえで計画を立てておることでございますから、これらが全部舗装されることによって、ガソリンの消費、自動車そのもの、もしくはガソリンを使用する機械の摩滅、消耗が、相当に逆にまたプラスになるのではなかろうかと思いますので、ガソリン税を上げたら、それがそのままこれらの負担になるということではないだろう。ことに私は痛切に感じますのは、このごろは人口もしくは車の数の集中のために、車の効率が落ちておりますが、新たに道路を開設するということによって、相当に効率が上がるということになりますれば、逆に相当のプラスがここに生まれてくるのではなかろうかということを感じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/110
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111・武藤山治
○武藤委員 物価懇談会なり経済企画庁では、ガソリン税引き上げをすることによって物価にかなりはね返ってくるから、ガソリン税は引き上げないほうがいいという抵抗があったやに聞いておりますが、大臣がこのガソリン税の増徴をした際に、そういう抵抗はどこからもございませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/111
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112・河野一郎
○河野国務大臣 いま申し上げましたように、これだけ上げて全然影響がないということは私も考えておりませんが、これは総合的に検討いたしました場合に、政治家としていずれをとるかということになれば、この程度のガソリン税の引き上げ、それによる道路の改修ということは国家のためになるという結論で、私はこれを提案しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/112
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113・武藤山治
○武藤委員 これは通産省ですか、主税局ですか、わかっておるほうでお答え願いたいのですが、前回のガソリン税の増税のときに、増税の分が企業側、小売り側のどちらに吸収されていっておるかという率をひとつお調べしてあったら発表願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/113
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114・泉美之松
○泉政府委員 揮発油税につきましては、三十二年、三十四年、三十六年と増徴が行なわれておることは、武藤委員御承知のとおりでございますが、この間増徴されました直後におきましては若干値上がりを示すのでございますが、その後におきましては、精製業者の企業努力あるいはまた国際的な原油価格の引き下げ、こういったことによって吸収される分が多うございまして、結果的に申し上げますと、この三十二年、三十四年、三十六年の増税額合わせまして一万三千百円になるわけでございますが、小売り価格の値上がりといたしましてはキロリットル当たり六千円ほどしか上がっておりませんで、結局その大半は企業努力によって吸収されておる、あるいは企業努力の中には原油の国際価格の引き下げも入っておりますが、そういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/114
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115・武藤山治
○武藤委員 小売りのほうが六千円程度、企業側が四千円程度というと、六割じゃありませんか。小売りにはね返える分は、先ほどあなたはおっしゃったじゃないですか、キロで一万三百十円というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/115
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116・泉美之松
○泉政府委員 いま申し上げましたのは、キロリットル当たりでそのようになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/116
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117・武藤山治
○武藤委員 キロリットル当たりで小売り価格にはね返える分と企業側へ吸収された分の比率はどうかという質問をしたのに対して、あなたは比率を言わないで実数で発表したから、私はいまそれをちょっと比率に直してみました。そうすると三回で一万三百十円値上げをした、そのうち小売りのほうにはね返ったのが六千円程度だ、企業側に四千円程度だというと、小売りにはね返える率のほうが高いじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/117
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118・泉美之松
○泉政府委員 一万三千百円引き上げたのでございますから、六千円が小売り価格に影響いたしましても、残りの七千円は企業側のほうで吸収されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/118
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119・武藤山治
○武藤委員 それは失礼いたしました。私は一万三千円じゃなくて一万三百十円の計算で考えたからです。そうしますとやや半々のところにいっているわけで、かなり物価に影響があるということだけは明らかなんですよ。しかも零細業者あるいは小さい運送屋さん、そういうところへいけばいくほど、その負担というものは実感として重く感じておるわけですね。だからガソリン税を世界並みに引き上げたならば、あとはもう引き上げをしないという方針か。先ほどの建設大臣のように、まだ安いからもう一回ぐらい上げてもだいじょうぶという安易な考え方でガソリン税の増徴をやることは、国民生活をかなり圧迫する、物価を騰貴させる誘因になることは明らかだ、こう私どもは考えて、増徴に対する反対を唱えておるわけです。大臣は、物価騰貴にそう影響がなくて、政治家としてどちらをやるかということになれば、道路をつくるほうがいいと思うから今回の措置も主張した、こう言っておるわけですが、これもまあ一つの理屈は私は立つと思います。そういう考え方でやることはけっこうでありますが、やはり国民の生活、特に本年の課題は、貿易収支の赤字をとにかく何とか解消しようということと、物価騰貴を押えようということが、いまの政治の要点になっておるときです。そういう時期にこれだけの増徴をするということは、私どもはやはり逆行だと思うのです。国民の期待に反する方向の道路財源の捻出だと思うのです。当然こういうものは一般財政から出すべきで、増徴によって道路財源を埋めるということは邪道だと思うのです。特に物価騰貴との関連において私はそう思うのですが、大臣は先ほど答弁した心境と全く変わらぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/119
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120・河野一郎
○河野国務大臣 アメリカのように油が出る国は安い、わが国のように国内資源が非常に少ない、大部分を輸入に待っておるという場合に、輸入を防遏しなければならぬという場合に、なお、外国よりも油が安くなければいけないのだというお話は、それでなければいかぬでしょうか。私は外国並みぐらいに上げたって、別に国民諸君に対して政策的に不忠実であるというようなふうには、少しも考えられないと思うのです。これを外国よりも高くないのだ、高くない油を国内でじゃんじゃん使っているから、輸入は非常にふえるのだというような議論をなさるならば、これは考えなければいかぬかもしれませんけれども、税金を安くしておいて油の値を下げておいて、そしてじゃんじゃん油を使う、たくさん使っていただくから道路がどんどんできるというようなことにもなるわけですが、これをせめて外国並みぐらいまでに上げるということについて、お小言を受ける理由はないのではないか、私はこういう気持ちがするのです。いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/120
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121・武藤山治
○武藤委員 ちょうどいま日本の自民党政府が、国民から要求されておる大きな課題は何かというと、物価を上げないということである。物価を上げないために、一年間上げずに済むものはできるだけ下げよう、上げないようにしようということを、物価懇談会においても閣僚会議においても決定をいたしておるわけでしょう。そういうときに百八十五億か何ぼの増税を、物価にはね返るような形で取るということはけしからぬと思う、当然そういうものは一般財源の中から引き出して、なるべく物価騰貴にはね返らない措置をとるべきである、私どもはこういう主張なんですよ。なぜそういう措置がとれなかったか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/121
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122・河野一郎
○河野国務大臣 お話の点、私もごもっともに考えます。ごもっともに考えますけれども、しかしさればといって、それではむだな支出があるかと申しますれば、いずれも国家的行政、政治を運行いたしますのに事情やむを得ざるものばかりでございます。その際に、それではやむを得ないものばかりであって、道路はおくれていいのかということになりますと、私は先ほどから申し上げますように、道路のおくれが生産地と消費地との間の物資の輸送に、相当不円滑を来たしておる非常に大きな理由である。これを円滑にするという道路行政の進展が見られるならば、たとえば生鮮食料品のごとき、確かにこれらの大都市周辺の道路が開通されることによって、私は都市の物価は下がると思います。そういう意味から、総合的に考えまして、政治をやっていくことが正しいのではないかというふうに考えまして、道路行政を運行し、もしくはその財源をこれに求めておる、こういうことでございまして、一つの部分をおとりになってお考えいただきますと、いまのようなお話が出るかもしれませんけれども、全体的に政治をながめた上において、道路財源を他に求める点がないということであれば、やむを得ずここにその財源を求めてやっても、その結果が国民諸君から非難され、その結果わが党の政策に背反するということには、決してなっていかないという考えで私はやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/122
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123・武藤山治
○武藤委員 百八十二億の財源措置というものが、どう考えてもほかにないのですか。大臣はいま、国家全体の歳出の中でむだはない、そういう金を出すところはない、こう言っておりますが会計検査院の検査の結果を読んでみても、あるいは私どもが個人の能力で調べた範囲内だけでも、ずいぶんむだがありますよ。たとえば海外経済協力基金にいたしましても、五年間も百八十億円の予算を取りながら、当初四年間にはわずか十五億円しか使っていない。現在でもまだ六、七十億は残っておる、こういうような効率の低い、私どもに言わせれば非常に歳出の使い方が乱れておる、そういうものに閣僚がもっと目をつけて、むだのない予算にするならば、百八十五億や二百億の金は私は楽々発見できると思う。これを物価値上がりの原因になるガソリン税の引き上げに持ってきたというところに、政治の姿勢が間違っておると私は指摘をしておるのです。こういう点で、だんだん財源が足りなくなってくると、海外からの借り入れ金あるいは公募債、こういうものが増大をしていく傾向になってくる。これも非常に危険な方向だと思うのです。したがって政治のあらゆる姿勢を正さないと、道路ばかりどんどんつくろうという実力のある大臣が出れば、道路のほうにだっと金が行く、あるいは社会保障のほうに実力のある大臣ができれば、そちら側にだっと行ってしまうというような傾向に、もし日本の政治が引きずられていったとすれば、これは国民大衆から指弾をされてしかるべきだと思うのです。いまの池田内閣の三十九年度の予算の中身というものは、たくさんまだむだもあるし、正すべき点があると思う。そういう点を実力者といわれる河野建設大臣が粛正をせずに、ガソリン税の増徴に求めたというところに、私はどうも賛成できない点があるのです。もう一回確認をいたしますが、こういう財政事情になってきても、あなたの考えでは絶対公債発行はしないということを確認できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/123
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124・河野一郎
○河野国務大臣 最初から申し上げておりますとおりに、財政もしくは公共投資につきましては、その財源がいずれに求められるかということにつきましては、最も尊敬する大蔵当局に私は一任いたしております。大蔵当局において正しく日本の財政全般をお考えになってやっておられるものと私は期待いたしております。私は当初五兆の道路計画を持っておりましたが、大蔵当局から、現在の時点においては適当でない、もうちょっと縮小してくれということで話し合いました結果、四兆一千億に縮小いたしたわけであります。その財源等については、大蔵当局の示された財源によって私はやっておるのでありまして、しかもそれは私は決して責任を転嫁するものではありません。最も尊敬しておる大蔵当局の成案でございますから、それに期待をいたしておるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/124
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125・武藤山治
○武藤委員 堀委員から関連質問がありますから、時間をあけたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/125
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126・堀昌雄
○堀委員 大臣にお伺いをいたしますが、実はこの前私どもの地方で、第二阪神国道が開通をいたしました。この開通には大臣もみずから開通式に御参加になりましたので、あの道路の様子は詳しく御存じだと思います。あの道路が開通いたしましたために、あの道路に接触して建ってりおます学校は、非常な騒音にいま悩まされておるわけでございます。具体的には兵庫県立芦屋高等学校が、この道路に直接面して校舎が建っております。それから尼崎市の小学校が一つ、道路に面して建っておるわけでございます。これは大臣は開通式のときにお越しいただいただけで、あるいはおわかりになりにくいかと思いますけれども、あの幅であの道路ができましたために、最近阪神間の交通は非常にスムーズになっておりまして、古い国道の側よりも、特にトラックその他の自動車は、ほとんどあの第二阪神国道のほうを通っておる。そのためにわれわれが予想しなかったほどの実は激しい騒音が起きておるわけでございます。そこでこれらの学校としては、あるいは校舎の移築その他の措置を講じない限り——壁を厚くしたりいろいろいたしますと、夏季には暑くてとうてい授業が行なえないというような問題等もありまして、実はいま非常に大きな問題になっておるわけでございます。日本でこのような道路のための激しい騒音というのは、おそらくこの第二阪神国道が最も顕著な姿で出てきたのではないかと思うのでありますが、この問題に対して建設大臣として、これは国道でございますので、何らかの配慮をぜひひとつ建設省側でしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/126
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127・河野一郎
○河野国務大臣 御承知のとおり第二阪神は、沿線の各都市の当局が連合して区画整理しておつくりになった道路でございます。したがいまして建設省で、これの責任を回避するとか、いまお話しになりましたような事態に対して、責任をとらぬというようなことは毛頭考えておりません。しかしスタートはそういうことで、地元の連合でおつくりになりました道路であるということをお考えいただきまして、いまお話のような事態に対しましては、十分調査をいたしまして、しかるべき対策があるならば、これに対して対策をとることにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/127
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128・堀昌雄
○堀委員 それでは特にいまの点、御調査をいただいて、御検討を進めていただきたいわけでありますが、特に芦屋高等学校の場合には、校舎の端っこの、こうなっておりますかどに、実は信号灯がついておるわけであります。信号灯がついているために、トラックが一斉にとまります。トラックがとまって、それから発車をするときに御承知のように激しくふかして出ますために、普通に走っているときよりもさらに、信号灯の所在のために激しい騒音が起きている。二重の条件が実は出てまいっておりますので、これらの実情を一回お調べを願って、いろいろと問題点はあろうかと思いますが、関係市町村と県も含めまして、早急に施策を御検討いただきたいということを要望いたしておきます。
次に、これは明日私どもは論議をいたすつもりでおるわけでございますが、実はガソリン税について、先ほどの大臣のお答えでは、まだもう少し将来上げる余地があるというような御答弁があったわけであります。これが主として道路の目的税のようなかっこうになって、いまそのためにガソリン税は上がりつつある、さように私どもは承知をしておるわけであります。ところがそれに付属をして、現状では道路の主要目的以外の各種ガソリンに対しても、ガソリン税がどんどん増徴されるという、きわめて矛盾した状態が起きておるわけであります。道路の必要については、もちろんわれわれもこれを認めるにやぶさかでない点はありますけれども、しかしそのことのために道路に無関係なものの負担が、非常にどんどんふえていくということについては、私ども納得のできない問題があるわけでございます。特にここ数年来この国会の中で議論をされております農業用ガソリンの問題などにつきましては、まことに当を得ない措置が現在とられておるというふうな判断を私どもはするわけであります。その道路関係の財源を目的とするこの揮発油税の増徴の問題とそれらの関係について、これは主管は大蔵大臣ではありますけれども、河野さんは農政についても長い御経験のある方でございますから、あなたの立場からは一体この問題はどういうふうにお考えになるか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/128
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129・河野一郎
○河野国務大臣 先般予算委員会におきまして、その問題について社会党の代表の方と大蔵大臣との間におけるやりとりを私は伺っておりまして、その結末も承知いたしております。たいへんけっこうなことで、十分政府においても検討の上、明年度から善処するという答弁でありましたから、善処されるものと期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/129
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130・堀昌雄
○堀委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/130
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131・山中貞則
○山中委員長 建設大臣、けっこうでございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/131
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132・武藤山治
○武藤委員 資料要求をいたします。物品税の問題でありますが、先ほど堀委員がほとんど質問をいたしましたので、私も予定しておったのですが遠慮いたしましたので、資料だけ要求いたしたいと思います。
輸出免税になっておる物品税法十九条の規定による免税額というのは、一体どのくらいになるか。第二の資料は、日米安保条約に基づいてアメリカ軍、さらにその家族の使用する物品に対して非課税にいたしておるその物品の金額、税額。第三には、沖繩と日本との関係で物品税に関係をする問題があろうと思いますが、たとえば沖繩から持って帰る外国製品、こういうものに対してはどういう取り扱いをいたしておるのか。ただいま申し上げた中で、私どものほうも適切な数字を握っておりませんので、正確なものはなかなかむずかしいと思いますが、大体必要とする意図をひとつくんでいただいて、できるだけ詳細な資料を提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/132
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133・山中貞則
○山中委員長 ただいまの要求の御趣旨に沿うような資料を作成させて提出させます。
国税庁当局に申し上げます。国税庁からの特別の希望もしんしゃくをして、予算に直接関係のない法律でありますが、承認案件を本日わざわざ議題にいたしておることは、百も承知のはずであります。このような場合に、委員会が休憩のままで当事者の出席を待たなければならないという状態は、はなはだ心外であります。国税庁当局の反省を求めます。
堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/133
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134・堀昌雄
○堀委員 ここに提案をされておりますところの税務署の設置につきまして、二、三お伺いをいたします。
今回、東京国税局に向島税務署外二税務署、名古屋に中村税務署と北税務署、このように税務署が新設をされることの承認を求めておりますが、この税務署の新設に対して、本年度国税庁は、一体何人の職員の増員を定員のワクの増加として要求をいたしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/134
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135・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 遅刻をいたしまして、まことに申しわけございません。今後こういうことのないように注意をいたします。
ところで、ただいまの御質問でございますが、税務署の新設はいたしますけれども、そのために全体の定員のワクを増すということは考えておりません。ただし若干、廃止いたします署の定員を新設いたします署へ増配をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/135
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136・堀昌雄
○堀委員 この提案理由の説明には、これは廃止のほうは書いてないのですが、そうしたら一体廃止はどことどこで、その廃止する税務署の職員の数は一体何名そこで減員になって、今度の税務署の定員は一体どうなっているのか、ちょっといまのところを少し詳しく具体的にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/136
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137・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 新設の場合には、申し上げるまでもなく、国会の承認事項になっておりますが、廃止いたします署はそうなっておりませんので、この提案の中には出しておりませんけれども、廃止いたします署は三署でございます。その一つは関東信越国税局管内の安塚署、あとは名古屋国税局管内の細江署と養老署とでございます。それで署の定員でございますが、安塚署は十九名、細江署が二十三名、養老署が二十六名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/137
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138・堀昌雄
○堀委員 いまので足しますと、六十八名三税務署で減員になりますね。ところがこちらの新設をする税務署というのは、都会の税務署ですから、これは相当多数の人員を要しておると思うのですが、この各税務署あたりの新設税務署の定員をちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/138
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139・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 新設いたします税務署は、これはいずれも現在ある税務署の規模が過大となっておりますので、これを分割いたす関係上、それほど人数はふえません。たとえば墨田署でございますと、現在三百三十七人おりますが、これを本所署と向島署の二つに分割をいたしまして、もとの構成に比して五名の増になるわけでございます。また江東署にいたしましては十二名、川崎署八名、そういうふうにこの新設署におきましては若干名ずつが増員になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/139
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140・堀昌雄
○堀委員 そうすると実質的な新設による増員は、合計何名ですか。新設によるいまの分割をしてもなおかつ増員になる者の総計は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/140
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141・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 東京局におきましてはいまの三署で約二十五人、名古屋局管内におきましては約三十人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/141
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142・堀昌雄
○堀委員 そうすると要するに今度税務署を減員するのが六十八名ですから、新設による定員の増加はそれを上回らない、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/142
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143・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 結論においてはそういうことになりますが、それでは減員になるかと申しますと、これは定員の再配分を考えておりますので、残りはその他の忙しい税務署に回るはずになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/143
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144・堀昌雄
○堀委員 税務署ができることは一長一短だと思うのです。確かに納税者は便利になりますから非常にいいわけですが、逆に税務署ができたために、その周辺は大いに念入りに調べられて、税額が上がるということも必ずしも起きないではないと思うのです。そういうふうに考えてくると、どちらがどうかということになりますが、いまのお話で私は税務署の新設によって人員のほうにひずみがかかるとするならば、これはやはり問題が残ってくるのではないかと思ったので、念のために伺ったわけです。その点については人員はワクの範囲内であるようでありますから、けっこうでございますが、ひとつ税務署ができたから、その周辺が苛斂誅求の対象になるというようなことのないように、やはりこれはちょっと考えておいてもらわないと、今後こういう案件が出たときに、ちょっとそう簡単には通りにくいということになりかねませんから、その点ひとつ、税務署ができてもそれは住民のサービスのためにはいいことでありますから、そういうサービスのほうに比重がかかって、その他についてはこれまで以上の特別の取り扱いはしないというような問題、それはいろいろな関係もありますから、必ずしも現実の問題としてどうなるかを別個としても、特に税務署を設けたために、その周辺に特別の影響が生ずるというようなことは適当でないと思うのですが、その点、国税庁長官の考えをひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/144
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145・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 堀委員御承知のように最近納税人口あるいは課税対象というものが、都市に次第に集中をしてきております。一方、農業関係の課税人口は減っております。そういうことから、従来いなかにございます税務署は、ただいま御指摘になりましたようにこのままにしておくと、むしろいなかのほうは目が届き過ぎると申しますか、それから都市のほうは目が届かなさ過ぎる、こういうような傾向になってくるおそれもございますので、そういう点を是正いたしまして、地域的に見て公平な納税をしていただけるようにという趣旨から、今度の提案をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/145
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146・山中貞則
○山中委員長 関連質問を許します。有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/146
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147・有馬輝武
○有馬委員 昨年大蔵委員会で品川の税務署を視察いたしました場合にも、またおととしの国政調査の際にも、税務署の定員の問題について実情を聞き、その委員会の調査の結果に基づいて、国税庁に要望をしました。定員が充足されてない面について格段の配慮が望ましいということが言われ、なお中堅職員の諸君の民間会社への引き抜き、そういうことが熾烈に行なわれておるので、これに対する対策も講ずべきであるというようなことが言われたわけであります。この点について国税庁としてはその後どのような努力をしたのか、また現在の充足率はどのようになっているかを、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
なおこういった機会に、これは役所のやり方として、一方で減員になるのでこの際は特にやらなくてもいいというような進め方は、私は非常にへたくそなやり方だと思いますが、むしろこういった機会にこそ増員の要求をすべきなのに、それをやらなかった理由もあわせてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/147
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148・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 二月一日現在で約五万の定員のうちで、欠員が約千百三十五名でございます。これは有馬委員御承知のように四月になりますと、新規に学校を卒業した人が採用されますので、欠員がなくなる。それからそれが年間を通じてあるいは退職あるいは死亡その他の事実によって、実員が減ってくるという傾向になっております。大体各省を通じましておそらく欠員率が年間二・五%内外かと存じますが、それに比べて国税の欠員が特に多いというととはないと存じます。
それからこういう機会になぜ増員をしないかというお話でございますけれども、私たちは現在の各職員一人当たりの労働の量が、ほかの方法をもってしては増加せざるを得ないというようなことで切り抜けられなかった場合には、増員をお願いいたすことはやむを得ないと思いますが、現在のところではまだ内部事務等で相当整理すべきものがある、もっと合理化すべきではないか、あるいはただいま税務署の廃止統合等で行なわれておりますように、ひまな署の職員を減らし、仕事の多い署へ職員を配置がえにするというような方法をとることによって、現在の定員でできるだけのことをやるべきである、こういう考えに立っておるのでございます。昨年以来始めました事務簡素化につきましては、報告、上申等の整理をいたしまして、その五割以上を切り捨てておるのでございます。そういうふうにして、まだまだ事務の合理化をすることが可能であると信じますので、そういう段階において増員の要求をいたすことは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/148
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149・有馬輝武
○有馬委員 一つは、私はいまの千百三十五名というのは、どうも現在まで見てきた状況からすると信じがたい数字でありますが、これは確かめておきたいと存じます。
それから重ねてお伺いしたいのは、都市と農村その他ではバランスがくずれておるのじゃないか。ただ五万人が充足すれば、それでいいのだということではなくて、たとえば都市においては最もほしい中堅どころがなかったり、そういったアンバランスがあるのではないかというような気がするわけです。そこら辺については支障なくいっておるのかどうかということと、それからいま長官の答弁がありましたけれども、事務の合理化によって云々ということを言われるのですが、少なくとも現在税務職員の諸君が労働過重になっていることは御承知のとおり、ちょっとやそっとその事務を合理化したから何とかやっていけるのだという根本的な考え方、これを、この労働過重をできるだけ負担を軽くしていくという基本的な立場に立って、職員の諸君のことを考えていかないと、私は問題が残ると思う。そういった機会にこそ、私は現在までの過重労働というものを解決していく努力が望ましいのじゃないかと思うのです。あなたひとり超然としてすわっていて、何とか事務を合理化していけばいいのだというような考え方で、負担を押しつけるような態度というものは、この際改めてもらいたいと思うのです。二点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/149
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150・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 都市といなかとではバランスが失しておるようだというおことばでございますが、これは私たちもそういうことを気づいております。確かに都市のほうに経済力が集中する程度には、税務の機構なり職員が移動しておらない、こういうことはやはり不自然でございまして、とうてい現在の経済力の集中度合いに応じて、定員なり機構を移していくということはできませんけれども、しかし何とかそれに追いついていくだけの手はずは、われわれの責任としてやはりとるべきである、こういうふうに考えております。
また現在の税務職員の労働の量が非常に過重になっておるというお話でございますが、これは確かにそういう面はございます。私はむしろ肉体的な労働よりも、精神的な労働と申しますか、労働の質において非常に過重になっておるということを考えておるのでございます。できるだけ一人当たりの労働量を平均化し、また過重にならないようにすることも私たちのつとめでございまして、そういう点についてはかねがね意を用いております。事務の合理化、簡素化ということ、これをもっとやる余地があるということを先ほど申し上げましたが、たとえば従来税務署におきましては、一人別の徴収カードというものをつくっております。ところが大体納税者の方の七割は完納をされるわけでございまして、こういう方についてまでも一々この一人別の徴収カードをつくる必要はあるまいというようなことから、こういう面の整理、あるいは税務署に対して局に報告をしろとか、局に上申しろとか、あるいはまた庁が一々上申なり報告をとるというものが、あまりにも従来多かったのではないか、そういう面で先ほど申し上げましたように、五割以上の事務量を切り捨てておるのでございまして、まずこういう方面から職員の方をすかしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/150
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151・堀昌雄
○堀委員 大臣が御出席になりましたから、実は私午前中、物品税の論議をしておりましたので、締めくくりとして一つだけ大臣の御答弁をいただきたいと思うのです。実は午前中の論議で事務当局は、物品税の改正というのはあまりちょこちょこやるのは適切でないので、何年かに一ぺんさっとこうやるのが適切だと思いますという事務的な答弁をしているわけです。そうすると何年に一回というのは、どのくらいが事務的には適当かというと、三年ないし四年に一回だろうとこう言っているわけです。そこで実は昭和三十七年に物品税の一部改正が行なわれて、八年、九年は本格的な物品税の改正は行なわれていないのです。ところがきょう委員会で明らかにしたのですが、いまの物品税は不合理な問題を多分に含んでおるわけです。それで確認をいたしましたことは、政務次官も、私が提案をしております消耗品のようなもので大衆生活にきわめて密接な関係のあるものは、物品税を免税にするか、あるいは免税点を設けて、大衆のそういう必要を満たすべきではないかという点については、賛意を表しておられるわけですが、一番問題になるのはその時期でございます。そこでこれはその時点時点における減税のあり方として問題のあるところだと思いますが、大蔵大臣も、少なくとも長く見ても四年に一回、財源が許すならば三年に一回くらいのそういう間接税の減税というものを考えるのが、私は至当であろうと思いますが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/151
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152・田中角榮
○田中国務大臣 三十七年に間接税の大幅な減税を行ないまして、八年、九年は所得税中心と、うことになっているわけであります。お答えとしては、三十四、五、六、七、八、九とずっと続いてまいりましたので、大体バランスがとれておりますと、こういう答えをしておりますけれども、物品税の問題に対しては確かに問題があると思います。いままでは相当高級品であり、ぜいたく品であると思っておったものが、もう一般的なものであって、生活の必需品になっておるというものもございますし、時代のテンポが非常に早いので、実情から考えますと現行税率では高い、また免税にしなければならないというような面もあることは、御指摘のとおりであります。私はその意味では、三十九年度の臨時答申をいただきますときに、税制全般に対して間接税というのは一体いまでいいのか、間接税と直接税というものをどちらにウエートを置くべきかというようなものを、外国の例にも徴しながら、しかし日本の特殊な状態も十分考えながら、検討していただきたいということでございましたが、御承知のとおり三十九年の予算編成に関係する分だけ答申があったわけであります。私は近くこれらの問題に対してはやはり答申があると思います。あると思いますが、その答申のあるなしにかかわらず、ことしもやむにやまれないもの、どうしても整理をしなければならないもの等に対しては、御審議を願っておるようでありますが、三年に一ぺんということは——これは恒久的なものができれば三年に一ぺんというふうにはならぬと思いますが、いまの状態であると、やはり三年目、四年目くらいにはもう一ぺんあらためてまじめな意味で、検討するということは必要であろう。いまの固定資産税の問題が、ちょうど三年ずつでもって時を見るということになっておりますから、テンポの早い時代、三年くらいたったらもう一回静かにまじめな意味で検討するということは、常識的には必要だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/152
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153・堀昌雄
○堀委員 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/153
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154・山中貞則
○山中委員長 ただいま議題となっております各案中、物品税法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署の設置に関し承認を求めるの件の両案件に対する質疑は、これにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/154
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155・山中貞則
○山中委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
まず、物品税法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/155
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156・山中貞則
○山中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。
おはかりいたします。本件を承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/156
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157・山中貞則
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は承認するに決しました。
ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/157
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158・山中貞則
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/158
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159・山中貞則
○山中委員長 次会は明十九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02219640318/159
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