1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十四日(火曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 山中 貞則君
理事 臼井 莊一君 理事 原田 憲君
理事 藤井 勝志君 理事 坊 秀男君
理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
伊東 正義君 岩動 道行君
大泉 寛三君 奥野 誠亮君
金子 一平君 木村 剛輔君
木村武千代君 小山 省二君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
福田 繁芳君 藤枝 泉介君
卜部 政巳君 小松 幹君
佐藤觀次郎君 田中 武夫君
只松 祐治君 野原 覺君
日野 吉夫君 平林 剛君
松平 忠久君 春日 一幸君
竹本 孫一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
大蔵政務次官 纐纈 彌三君
大蔵事務官
(主計局次長) 中尾 博之君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 相澤 英之君
文部事務官
(大臣官房会計
課長) 安嶋 彌君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計局) 赤羽 桂君
専 門 員 抜井 光三君
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三月二十三日
自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実
施に伴う関税法等の特例に関する法律案(内閣
提出第一四〇号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国立学校特別会計法案(内閣提出第八二号)
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四二号)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第六四号)
自動車検査登録特別会計法案(内閣提出第六六
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/0
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001・山中貞則
○山中委員長 これより会議を開きます。
国立学校特別会計法案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案及び自動車検査登録特別会計法案の各案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。卜部政巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/1
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002・卜部政巳
○卜部委員 まず今日の学術の進歩と同時に教育の民主化に伴いまして、大学の規模の拡大と教育の充実向上が強く要請されておる。このためにはやはり大学の財政について十分な配慮と適正なあり方が必要とされるということは、申すまでもないところであります。この意味におきまして、この法案を出されますに当たって十分な配慮が行なわれた、こういうふうに考えられますが、どの程度の配慮が行なわれたのかをお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/2
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003・纐纈彌三
○纐纈政府委員 ただいまのことについて、お答え申し上げます。御承知のように、国立学校の問題は戦前までは実は特別会計になってずっとやってまいった。明治の当初からそういう形でやってまいっておったのでございますが、戦後は一般会計によって取り扱うということになっております。ただいまお話しのように最近におきまする教育の重要性にかんがみ、ことにベビーブーム等の関係がございまして、それらに対する対処方としてずいぶんいろいろの施策を考えてまいりましたが、今日の教育の重要性、いろいろな関係から考慮いたしまして、特別会計にやったほうがいいだろうということの結論を、文部、大蔵両省において慎重に検討いたしまして、この法案を提出したような次第でございます。折衝の内容等につきましては、私も詳しいことを十分承知いたしておりませんので、御必要がありますれば事務当局のほうからその点につきましては御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/3
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004・相澤英之
○相澤政府委員 国立学校を特別会計にいたします点につきましては、実はかなり前から話がございまして、昭和二十六年に中央教育審議会の前身である教育刷新審議会が文部大臣に特別会計の設置について建設いたしております。自後、たとえば昭和三十年におきまして文部、大蔵両省間で付属病院を特別会計にしたらというようなことにつきまして検討いたしたこともございますが、実現を見ないでその後今日に至っているわけであります。
そこで、去年の七月ごろに昭和三十八年の大学教育の改善につきましての答申を受けまして、国立学校の充実のために財政上どのような方途を講じたらよろしいかという点につきまして、文部、大蔵両省の事務当局間で検討を始めたわけでありますが、その際この特別会計につきましても話が出ておったわけであります。その後これはあちこち影響のある問題でございますので、外部にはあまり出ておりませんが、両省事務当局間においては、この問題につきまして真剣に検討を進めておりまして、予算折衝の最終段階に入りまして、国立学校の充実をはかるためには、とにかくこの際特別会計に切りかえたほうがよろしいという結論に達しまして、特別会計に切りかえることに踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/4
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005・卜部政巳
○卜部委員 文部並びに大蔵が十分な緊密な連絡をとったと、こう言うのですが、文部省のほうからひとつこの点に対する見解を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/5
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006・安嶋彌
○安嶋政府委員 特別会計法案を提出いたしました経過につきましては、ただいま大蔵省の当局から御説明があったとおりでありますが、御承知のとおり、この問題は予算編成の過程におきまして大蔵省から提案があったわけであります。私どもは概算要求の原案といたしましては、このような要求をいたしておらなかったのでありますが、大蔵省側から提案があったわけでございます。提案がありましたあと慎重に検討いたしまして、法案の第一条にもございますように、この制度を実施することによりまして、国立学校の整備が促進される前向き積極的な性格のものであるということ、それからもう一つは、一般の事業会計等と異なりまして、独立採算制を目的とするものではない、そういった基本的な性格が明瞭になりましたので、私どもといたしましても、これを採用することに賛成をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/6
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007・卜部政巳
○卜部委員 いまの両者の言い分を聞いていますと、相違がないように見えて実は相違があるわけであります。緊密な連絡のもとにその提案に踏み切ったと相澤さんのほうからは指摘をされています。安嶋さんのほうからは、いわゆる一般会計での予算要求をしておる段階において、大蔵省から提案がなされてきた、こういうようなことの食い違いがあるのでありますが、この点をはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/7
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008・相澤英之
○相澤政府委員 私どもの考え方と文部省事務当局との間には、別に意見の相違があったわけではございません。経緯といたしましては、いま文部省の会計課長が答弁申し上げましたとおりに、文部省からは一般会計の予算として要求があったわけでありますが、その後両省で検討した結果これを特別会計として計上するという過程をたどったわけでありますが、これは大蔵省が、文部省が一般会計の要求であったにかかわらず、無理にこれを特別会計にさしたというようなことでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/8
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009・卜部政巳
○卜部委員 私の質問をしておるのはそういうことではないのです。意見の相違があるということはどこに相違があるかといえば、法規課長のほうからは、十分な検討が行なわれた後にこの提案に踏み切った、冒頭こう言われたのです。ところが安嶋会計課長のほうからは、予算要求をやろうとしておるときに、いま言うように特別会計云々の問題の提示をされた、こういうことの指摘があったわけですね。そうなると初めから踏み切ったものであれば、予算要求などというようなかっこうでもって考慮せずに、すでに特別会計になるそういう心組みが当然なされてしかるべきである。ところが現在そういうような状態の中で文部省が今年は一般会計で通していくのだという考え方であるのに、突如そういうものが出てきたのじゃないか、こういうことを指摘したわけです。ですから、そこに初めから踏み切った段階の中で意見の相違はないなどとおっしゃっていますが、そこら辺では十分な協議がなされておらなかったのではないだろうか、この点を指摘しているわけです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/9
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010・相澤英之
○相澤政府委員 予算要求の段階では、これは文部省からは一般会計の予算として要求があったわけでございますから、まさにその段階に至るまでにおきましては、両省の事務当局間では別に両省の意見が特別会計に踏み切るということになっていなかったことは事実でございます。したがいまして、文部省から一般会計の要求としてありました以後におきまして、両省で検討して意見の一致を見て踏み切った、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/10
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011・卜部政巳
○卜部委員 では安嶋さんのほうにお伺いをいたしたいと思いますが、大蔵省のほうからその提案があったのはいつごろでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/11
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012・安嶋彌
○安嶋政府委員 大蔵省から内々お話がありましたのは十二月の初めでございます。なお、九月に私どもから大蔵省に概算の説明をいたします際にもそういったことが話題にはなっておったのでございますが、こうしてはどうかといった趣旨における御相談がありましたのは十二月に入ってからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/12
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013・卜部政巳
○卜部委員 ではここで明らかにしたいと思いますのは、最初に相澤さんのほうから、七月ごろから事務当局が十分に連絡を保って協議をしてこの提案に踏み切ったということはうそだ、そのあとの十二月の初めに初めて文部省のほうに連絡をした、なおかつその中からようやく文部省に納得せしめた、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/13
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014・相澤英之
○相澤政府委員 予算折衝の過程につきましては、私直接文部省の予算を担当いたしておりませんので、必要がございますれば、ここに担当の赤羽主計官が参っておりますから、補足して説明をいたさせますが、私が承知しております限りにおきましては、昨年の七月ごろから国立学校の充実、特に施設の充実の方途につきまして検討するように大蔵省から文部省に申し入れまして、その後両省の間において検討を進めておったことは事実でございます。ただ予算要求のございます八月末までにはその意見が一致いたしませんで、文部省といたしましては、一応従来どおり一般会計として国立学校の予算要求があったわけでありますが、その後具体的に特別会計へ組みかえてはどうかという話をいたしましたのは、先ほど安嶋会計課長から答弁ございましたとおり十二月になってからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/14
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015・卜部政巳
○卜部委員 安嶋さんにお伺いいたしますが、七月ごろから大蔵省とこの施設の拡充その他の問題につきまして相談があったのですか。その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/15
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016・安嶋彌
○安嶋政府委員 七月ごろという日付につきまして私はっきりした記憶はございませんが、御承知のとおり概算要求は、大体作業は七月から始めまして八月の末までに大蔵省に提出するわけでございます。したがいまして、この七月ないし九月というその日付につきましては、ただいま申し上げましたように明確に記憶はいたしておりませんが、とにかくその予算編成の概算要求の過程におきまして、そういうことが検討をされたということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/16
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017・卜部政巳
○卜部委員 どのように検討されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/17
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018・安嶋彌
○安嶋政府委員 検討の内容でございますが、国立学校の施設は非常に不足でもございますし、老朽化しておるものが多いわけでございます。そこでこれを何とか早急に整備をしたい。それにつきましては、現在の一般会計のもとにおきまして整備をするというこういう方式で、はたして十分かどうか、そういう点につきましては、問題点を整理いたしまして、具体的な方策等についてさらに検討する必要があるだろうという意見の交換を行なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/18
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019・卜部政巳
○卜部委員 では意見の交換を行なったということと関連をした問題といたしまして、先ほど相澤さんのほうから指摘された、中央教育審議会の答申に基づく大学予算、会計の調査会ができていますね。この点とのからみ合わせでどのようにやられたのか、ひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/19
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020・安嶋彌
○安嶋政府委員 先ほど相澤課長からお話をいたしました教育刷新審議会の答申におきまする特別会計でございますが、これはその答申を読んでごらんいただけばおわかりかと思いますが、特別会計の制度を採用すべしということを答申の中にうたってはおりますが、その具体的な内容につきましては、かなり内容の乏しいものでございまして、建議の主たる内容は、国立学校の予算をさらに充実すべきであるということがその建議の中心になっておったわけでございます。特別会計の制度をとるという会計の制度の内容につきましては、必ずしも明確な線が打ち出されておったわけではないのでありますが、ただしかし、考え方といたしまして、戦前もそうであったように、最近におきましても特別会計の制度をとって、これによりまして国立学校の施設設備等の整備をはかっていくことが必要ではないかという考え方は、底流としてずっとあったわけであります。相澤課長がお話になりましたのも、そういったこの問題が起こりました背景についてお話があったわけでございまして、昨年度の概算編成の過程におきまして、この審議会の建議を具体的に取り上げまして、それに基づいて検討したわけではございません。なお概算編成の過程におきましたそういうお互いの議論をいたしたわけでございますが、そのときにはお互いにこうしようじゃないかという結論は、もちろん得ていないわけでございます。問題点をいろいろ整理をいたしまして、意見の交換を行なったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/20
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021・卜部政巳
○卜部委員 国立大学の予算会計制度の調査会の問題についてはあとから触れてまいりますが、いま安嶋さんがおっしゃったことで、私は気になる点が一つあります。それは何かというと相澤さんのほうからは、その背景となるもの云々ということで、七月から十分に協議された云々ということでありまして、追い詰めてまいりますと、結果的には十二月に具体的に文部省のほうに話しかけた、こういうことになるわけですね。そういうことになりますと私が気になるというこの点は、文部省が当然主体性を持ってやっていかなくちゃならないこの問題を、大蔵省のほうから押しつけられたという、こういう感じがしてならないわけですが、この点は問違いないわけですね。いまの答弁を聞いてもそのとおりだ、こういうように考えますが、その点ちょっと質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/21
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022・安嶋彌
○安嶋政府委員 押しつけられたというおことばでございますが、私ども全くそのように考えておりません。提案が大蔵省側からあったことは事実でございますが、私どもはいい制度であるというふうに判断をいたしまして、喜んで受け入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/22
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023・卜部政巳
○卜部委員 あなたは喜んで受け入れられたのですか。受け入れられたとこういうことですね。では先ほどの会計制度の問題の調査会の結論とさらに答申を、どのように加味してあなたはそういうことをおっしゃるのか、その点を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/23
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024・安嶋彌
○安嶋政府委員 喜んでということばは、あるいは適当じゃなかったかもしれませんが、私どもは適当な制度と考えまして、これを受け入れたわけでございます。調査会の答申をどういうふうに考えたかというお話でございますが、先生おっしゃいます調査会が、もし国立学校の会計制度調査会の意味でございますならば、この調査会におきましてはこの種の問題の検討もいたしておりません。これは全然別個の観点から国立学校の会計制度を事務的に改善する余地がないかどうか、そういう観点から全く文部省内で設置しておる調査会でございます。それが国立学校の会計制度調査会でございます。そこからはただいま問題になっておりますような事柄に関して、一切意思表示は行なわれておりません。それからなお二十六年におきまする教育刷新審議会の答申でございますが、これをどのようにしんしゃくして内容を決定したかというお尋ねでございますならば、これは先ほどもお答え申し上げましたように、当時の建議というものは特別会計の会計制度といたしましては、かなり内容の乏しいものでございまして、むしろその建議の主たる内容は、国立学校の予算積算、予算の内容が不十分であるから、これを充実すべきであるというところに重点があったわけでございます。後者はむしろこれは予算自体の問題でございますので、したがいまして二十六年の建議を検討いたしまして、それをどういうふうにこの中に取り込んだかということにつきましては、格別の関連はないというふうに考えております。ただ考え方自体といたしまして、国立学校について特別会計制度をとることが適当であるという、そういう考え方は十分参考にいたしておるわけでございますが、内容につきましてはただいま申し上げたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/24
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025・卜部政巳
○卜部委員 いま安鳩さんのほうから、答申並びに答申に伴う大学の予算会計制度調査会の設置の問題に触れられて、この点については何ら関係がないというような発言がなされたことについては、私はたいへん遺憾に思います。なぜなら、相澤さん自体が冒頭の私の質問に答えて述べられておるのが、三十八年の一月に出た中教審の答申の問題にも触れられてその点を十分加味した、こう言っておられるのですね。文部省のあなたが、そういうものは加味していない、全然別の問題である、ことにその中から出てきたところのいわゆる調査会、私は調査会と省略をいたしますが、それ自体の結論がまだ現在出ていないときに、まあこのことはまたあとから触れるといたしましても、そういう問題について全然ノータッチである、関係はないのだという言い方は当たっていない、こういうふうに考えるわけです。ではその点はまた別に論議をすることが多々あるわけですから、論議いたしましょう。
そこで問題御になりますのは、いま申し上げております文部省のほうからこれを積極的に出したということではないということははっきりしていますね。はっきりしておったら、はいとこう言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/25
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026・安嶋彌
○安嶋政府委員 概算要求の段階におきまして、特別会計制度を要求しなかったということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/26
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027・山中貞則
○山中委員長 ちょっと卜部君、発言の前に、先ほど内々お話ししましたとおり、文部大臣は三十分だけの御出席ということで、参議院の関係がありますから本日はやむなく了承いたしまして、本委員会において国立学校特別会計法案が上がりますまでにもう一回おいでいただくことにお約束をいただいておりますから、御協力をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/27
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028・卜部政巳
○卜部委員 文部省が少なくともこういうような法案に対しては、自分のほうからいろいろと答申の問題も出ておりますだけに主体性を持ち、かつその中で大蔵省と十分協議をされた中で大学の財政のあり方が打ち立てられていく、このことが私は正しいと思うのですよ。そういう点についていまあなたの答弁は、そういう予算要求の段階の中で明らかになった、こういう状態では若干自主性がなさ過ぎるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。
そこで大蔵省のほうにお伺いをしたいのは、その点について文部省当局とどのような状態で話し合い、さらに緊密な連絡をとった中でこういうものを出してきたのか。同時にまたこれを出すに至った経過ですね、少なくともそういう問題については自信があると思いますから、その点をひとつ触れてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/28
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029・相澤英之
○相澤政府委員 国立学校を特別会計にいたします点につきましては、若干なお補足して過去の経緯を申し上げたほうがおわかりいただけるかと思いますが、二十六年に、先ほど申し上げましたとおりに、中央教育審議会は特別会計の設置について文部大臣に建議をいたしております。昭和三十年当時、私、文部の担当の主計官をいたしておりましたが、その際にも文部、大蔵の間で、付属病院についてはこれは事業会計的な形態をとっておるのでこれをひとつ切り離して特別会計にしたらどうかというような点について検討もいたしました。しかしながら、学校の管理体制の一元化をくずすというような点において難点があるので、それはどうだろうかというような点に批判もあり、このときには見送ったわけでございます。それから当時また国立大学協会は国立学校の会計を特別会計にすることを検討するように文部省に要望もいたしております。そういったような経緯がございまして、国立学校の会計を特別会計にいたします点につきましては、かなり長い間懸案になっておったわけでございます。ただ、特別会計をつくることは、これはなかなか一大事でございまして、従来私どもと申しますか、大蔵省といたましては、特別会計の設置についてはたいていの場合において常に消極的であり、各省の要求があるのを断わっておるというような状況にあったわけであります。したがいまして、文部省といたしましても、国立学校を特別会計にするというようなことは、なかなか容易に実現されるものではないというような、そういうお考えがいつもあったと思います。私どもが、したがいまして国立学校の会計を特別会計にいたしますことを提案いたしますと、何か特に国女学校の予算を実質的に引き締めてやろうとか、あるいは巷間うわさされておりますように、これは授業料の引き上げのねらいであるとか、そういったようないわば他意のあってこれを特別会計にするのだろう、することを提案するのだろうというふうにとられがちだと思いますけれども、私どもが特別会計の設置を検討いたしました理由は、やはり現状におきましては、この七十二国立大学の施設をとにかく充実を急がなければならない、また、高校急増対策のしっぽがやがて近づいてまいります。国立大学の施設を整備することは焦眉の急となっておるわけであります。そのための方策といたしましては、やはり特別会計を設置していくことがいいのではないか、そういうような考え方から、その順序としてはいささか逆であるかもしれませんけれども、私どものほうから文部省のほうにこの特別会計の設置について提案をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/29
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030・卜部政巳
○卜部委員 この問題につきましては、大臣がお見えになっておりますから、大臣の質問のあとにしたいと思います。一応小松先輩のほうに譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/30
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031・山中貞則
○山中委員長 関連質問を許します。小松幹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/31
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032・小松幹
○小松委員 文部大臣にお尋ねいたします。
このたび初めて文部省関係の大学予算が特別会計として独立する形になりましたが、この点について文部省は一体大学教育というものをどのように考えておるかということについて質問をしたいと思います。
実はこの特別会計法というものは、戦前特別会計が大学にあったはずであります。ところがそれは明治の終わりからだんだん日本が軍国主義のはなやかな時代になり、国家予算の大部分というものは軍事予算がまかり通った時代になりまして、大学の自治、大学の教育の尊重という立場から、明治の終わりから大正、昭和にかけて大学自治を軍国予算から守っていくためにむしろ独立をして運営したわけでありますが、終戦後になりまして、日本は憲法を改正して、そうして軍事というものが政治の前面から消えたわけであります。そうして文化国家の建設、社会保障制度の確立の時代になって、国民の福祉政策が前面に出れば、日本の全予算は教育と国民福祉の建設のために、そうして道路や内政のために尽くすという予算編成の方針になって、教育の予算がこの一般会計予算の主軸になってきたのでございます。もちろん大学教育の充実もこのワクから出るわけではございません。文化国家の建設、そうして教育の充実という日本の政治の本命が一般予算となって今日大学予算は一般会計に繰り入れられておるわけでございますが、はしなくもこのたび会計技術上の操作か何か知りませんけれども、これを特別会計に移すということは、私はここに、文部省におる者の考えとしてどうして教育の分野の考え方を変えたのか、聞きたくなるわけでございます。一般予算の中に占める大学教育は初等、中等教育がおもで、大学教育は本命ではないのだ、わき役で特別会計予算の中で操作すればいいんだというような位置にどうして回ったのか。さもなくば、国防省を設置するというような時代になってくると、日本の一般会計予算は軍事態勢に向いてきたから、あるいは高等、大学教育の予算確保のために、あるいは大学の自治のために特別会計法を別個にこしらえて、プールされた大学、国立学校の予算をとるという必要に迫られて、ここに特別会計を設定したのか、ただ単におざなりに出たとこ勝負でやったのか、私はいろいろの観点があろうと思うのです。その点について文部関係の最高責任者であられる灘尾大臣として、国立大学、国立学校の自治と国立学校に対するところの大きな教育の理想像が日本の本命であるから、 一般会計から除かれたことに対する御所見を承りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/32
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033・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 お答えいたします。
今回の国立学校に関する特別会計法の問題でございますが、他意あっての提案ではございません。別に政治的にどうとか、あるいは国防の関係がどうとかいうふうなことではございません。法律提案の理由の趣旨の中にも書いておりますように、ひたすら国立大学の施設設備の充実をはかってまいりたい、と同時に経理を明確にしてまいりたい、このような趣旨で提案せられたものでございます。
われわれといたしましては、今日数におきましては世界にその比を見ないくらいたくさんの国立学校、ことに国立大学を時っておるわけでございますが、その国立大学の内応、実質あるいは施設、設備、そういうふうなものの充実をはかってまいりますことが私どもの非常に大きな任務であると心得ておるような次第でありまして、今日までも、そのために御協力を得て努力してまいったようなわけでございます。しかし現在の国立学校の状況を見ておりますと、いかにもその施設、設備が貧弱であります。これをなるべくすみやかに整備することが急務であろうと私は考えるのであります。その意味から申しますと、何とかうまい方法はなかろうか、たとえば大学で申しますれば、かなり国有財産を持っておるところもあるのでありますが、その国有財産等をもっと活用して、大学の施設整備に充てるという方法はなかろうか。いろいろ考えておったようなわけでございますが、要は、これをすみやかに整理したいという考えからでございます。
これにつきまして、今回大蔵省のほうから先ほど来お話もあったようでございますが、特別会計をつくったらどうか、こういうふうなお話がございました。その特別会計と申しましても、内容いかんによることでございますので、文部省といたしましては大蔵省と十分お話し合いを遂げ、その内容においてこの特別会計を設けることが施設、設備の整備の上に役立つ、このように考えましたので最終的に私と大蔵大臣との間でこの特別会計設置に踏み切ったようなわけでございまして、心持ちは、いま申し上げましたとおりに、どこまでも国立学校の整備、充実をなるべくうまくやってまいりたい、財政的にいろいろと制約のある中におきまして、できるだけやっていきたいという心持ちで、この特別会計を設置したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/33
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034・小松幹
○小松委員 文部大臣の言としてはまことに情けない考え方だと私は思うのです。その動機は大蔵省から誘いがかかったからということですが、終戦後文化国家の建設、そうして教育予算は一般会計の中の本筋でまかり通ってきたんです。それが終戦後二十年になってなぜわき役に回らねばならないのかということなんです。教育予算というものは、昔私たちは長い間教育界におって、実に困難をしてきた。戦争はなやかな時代は、戦争戦争で教育予算はわき役に回る。しかたがないから、陸軍大臣を文部大臣に迎えて、少しでも予算をとりたい情けない思いをしてやってきたこともあります。しかしそれでも大学は大学の自治という立場で独立を保ってまいりました。ところがいま大臣のおっしゃることは、大学の自治のために特別会計にするんだという決意はない、ただ予算が足りないから、施設が足りないから、しかたがないから特別会計のわき役に回りましたのですという、何たる情けないことを言うんです。いまの池田内閣は人つくり、少なくとも教育ということを中心テーマとして出しておるわけであります。それがいまあなたの言うたことばは、これはプラグマティズムです、実用主義で、銭がほしければ、どんなことでもする、金がほしければ、どんなわき役にでも回って据えぜんを食おうという考え方で人づくりができますか。金がほしいあまりに特別会計のすみに押しやられて、国有財産の売り食いをしてでも何とか設備をせよと言われて、はいはいと人づくり政策がなっていくところに私は問題があると思う。人づくり政策を前面に出している池田内閣ならば、堂々と一般会計予算の中で大学教育の予算を大幅にとっていくことが本命ではないですか。その本命からはずれて売り食いをしようということは何でありますか。これをしかたがないと認めていく文部大臣の人づくりの根性というものはなっていない。単に日教組対策かなんかの人づくりしか頭にはない。ほんとうの人づくりというものは、日本の政治というものは教育が中心であるという本命に立っての人づくりでなくて、何の意味がありますか。わき役に回って、そうして国立病院の収入をちっとふやして、授業料をちっとふやして、土地を売って何とか売り食いをして教育の設備をしよう、こういう考えは戦前ですらもなかったと私は思う。戦争中でも大学の自治は売り食いで確立はしていません。この点から考えて、文部大臣は長らく行政経験のある方と思う、文部大臣を二度もおつとめだと思う、その文部大臣がそういう弱腰といいますか、いわゆる理想像のない文部大臣では意味がないと思うのです。国立学校の予算が一般会計でまかり通って何が悪いんです、何の欠点があるんです、まかり通っていいじゃないですか。第一一般会計に回ろうが特別会計に回ろうが、大部分の予算というものは一般会計の繰り入れがなくては成り立たないのであります。たった十億円の、もっとみみっちいことを言えば、本年度十億円の借り入れをして、付属病院の施設をするために、しかたがないから国立学校特別会計をつくったんだ、こういうようにも考えられるし、あるいは、お前は金が要るであろうから、お前の持っている国有財産の売り食いをするために少しでも便利がいいように、特別会計を設定してやろうという大蔵省のあたたかい考えに、はいはいと従っておる文部大臣の考えは、まさに教育的な定見は一つもないと私は考える。初等、中等教育の予算が大部分一般会計の中に入っておれば、大学教育の予算ももっともっと一般会計の予算で幅をきかしていいのが当然ではないですか。第一あなたも纐纈さんも内務省の育ちでしょう。内務省というものは教育と、もとは厚生はなかったでしょう、福祉行政と道路建設という建設があるだけです。何がありますか。教育、国民福祉、そうして道路などが内務省であり、内政の中心問題であります。この内政の中心問題である普通教育、高等教育の予算をなぜ別格官幣社にしていかねばならないのかというところに私は疑問を感ずる。別格官幣社で特別にこの大学自治を尊重し、予算を特別つけるというならば話は別です。それじゃなしに、売り食いをせよと言わんばかりの特別会計の設定に唯々諾々としてついていった文部大臣の責任は重大である。これは長い文部省教育行政の歴史の一ページの中にあなたははからずも大きなあやまちを犯したのではないかと思う。それがきちっとした理想があればいいですよ。少なくとも大学の自治を建設するために私は断じてこれがほしかったのだという決意があるならばいいのです。けれども、いま言うたのはそういう決意でもない。何か売り食いをするのに都合がいいから、そのほうが何ぽか自前でやるのに都合がいいくらいな考えしか出ていない。この点、灘尾文部行政について、人づくりをいうのですから、私はもう少し理想像を持ってもらいたいと思うのですが、その点、灘尾さん何か反省はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/34
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035・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 だいぶ激しい御批判をいただきました。私はこの大学に関する会計が一般会計であるのと特別会計であるのと何も変わりはないと思うのでございます。大学自治とそれが何の関係があるかと実は申し上げたいと思うのであります。大学自治が尊重すべき原則であるということは、特別会計であろうと一般会計であろうと同じことであります。その問題と結び合わしての御批判は私はちょうだいいたしかねます。問題は、大学の施設設備をどうしてやるのが適当な方法であるかというところの問題になってくると私は思うのであります。この点があるいは小松さんと考え方が違っておる、おまえがだらしがないのだ、こういうふうに仰せになることになるかと思います。私自身は大学の自治、大学をりっぱにしていくということは特別会計であろうと一般会計であろうと、政府としては当然考えなければならぬ重大な問題であろうと思うのであります。会計がどちらであろうかということとはひとつかかわりなく御検討をいただきたいと思うのでございます。
また、特別会計にしたのはただ借金するためばかりか、こういうことでございますけれども、われわれとしてはさような考えを持っておりません。要は日本の国立学校というものをどうすれば早く整備し充実することができるか。この意味において役に立つ方法なら私は採用してよろしいのじゃないかと思うのであります。そのような考え方から、今回の特別会計という大蔵省の御提案に対しましても十分検討した上で私は御同意申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/35
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036・小松幹
○小松委員 大臣は二つの問題を言われました、特別会計というようなものは大学自治に影響はないとおっしゃいますけれども、大ありでございます。この大学自治という問題は特別会計にあろうがなかろうが同じことでありますけれども、文部省なりあるいは政党政治における政治家なりが文部行政を担当する、大学はこういうものから未来の教育のために独立をせなければならぬ。ただ理論的に理想的に観念として大学自治があるわけではありません。まず、大学自治は人事の面に存在せねばならぬ、その次には会計の操作の上において大学自治が存立をしなければならぬ。この点、車の両輪のごとく、大学自治というものは人事、教育の内容の分野にわたって会計の操作においても自治というものが存立をしていかなければ、幾ら教育の内容が独立をしておっても、人事が独立をしていない、あるいは会計が独立しておらなければ大学教授というものは文部省の小役人に引き回されるのが精一ぱいです。いまでも地方大学の学長と庶務部長は文部省に日参をしているじゃないですか。地方の駅弁大学等の総長は全く文部省の一課長のために振り回されているような現状である。こういうようなことの実態から考えてみたときに、やはり私は大学自治というものは財政、そういう面までの独立、自治というものを許されるように考えなくてはならぬから関係があると思うのです。それは次にしまして、もう一つの点は、あなたが、教育は大学の施設などを充実することを考えればいいのだ、私はそのために考えたけれども特別会計にした、こうおっしゃる。それほど考えたら、なぜ池田内閣において大蔵大臣のところに行ってどんどん予算をとらないのですか。一般会計で予算はとれないのですか。一般会計で予算がとれぬから、特別会計だったら何か予算がとれるという妙案がありますか。妙案はないでしょう。大蔵省で一般会計に入れば予算がとりにくいが、特別会計になれば予算がとりいいという、そして教育充実の予算がとれるというのは一体どこを言うのですか。一般会計にあれば充実ができぬが、特別会計なら充実ができるというのはどういうところを言うのですか。大蔵省に行ってとり切らぬのですかとり切れるのですか、そこら辺のところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/36
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037・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 大蔵省に対して予算を要求しそれをとるという問題は、このたびの特別会計の性格から申しましても、一般会計からの繰り入れ金に期待するところが最も大きいのでありますから、この性格は変わってまいらないと思うのであります。したがって、特別会計であろうと一般会計であろうと、文部大臣として大学、国立学校等の充実をはかりますためには同じ努力をしなければならぬと思うのでありまして、その点においては何ら私は変わりもないと思うのであります。それを前提としてお考えいただきますならば、今日の場合特別会計にしたほうがよりよいということが私は言えると思うのでありまして、その意味におきましてこの特別会計設置に同意したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/37
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038・小松幹
○小松委員 特別会計であろうが一般会計であろうが、文部大臣が予算をとるということあるいは予算化するということは同じだ、努力も同じ結果も同じだ、しかし特別会計にしたほうが都合がいいというのはどういうことなんですか。特別会計にしたらどこかよそから金が来るというわけですね。そのよそから金が来るというのは一体どういうたてまえ——そのたてまえは売り食いということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/38
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039・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 今度の特別会計法の内容について御検討いただきますならば、少なくとも従来よりもやりやすくなっておるということは私は言えると思うのであります。売り食いもその一つ——売り食いということばは語弊がありますけれども、今日持っております国有財産を活用するということだけでも一つの利益であろうかと思うのでありますが、そのほかにも積み立て金の活用でありますとかあるいは借り入れ金の制度でありますとか、いろいろいままでではやりにくかった問題ができるわけでございますので、それだけでも私はプラスだと思うのでありますが、もちろんそれだけで解決つく問題ではございません。根本的にはやはり国費の大きな負担ということをわれわれは要請せざるを得ないのでありまして、これは特別会計になりましても相変わらず、あるいはより以上に私は要求してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/39
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040・小松幹
○小松委員 大臣が最後に言った、特別会計であろうが一般会計であろうがその頭金に類するところの一般会計からの支出というものは大きなものであります。特別会計を設定して一般会計からこれほど大きな金を持ってこなければならぬのは食管特別会計の赤字を埋めるときか、文部会計が一番大きいと私は思うのです。だから、特別会計を設定したとしても、これはほとんど大部分の金は一般会計からの繰り入れを見なければならぬ。これを忘れたならば私は意味がないと思うのです。大蔵省方面は、特別会計になったのだからおそらく独立採算制を強く押してくると思うのです。独立採算制で売り食いが尽きたら一体どうなるかということでございます。この点、常に一般会計にあると同じ立場で、むしろそれ以上にあなたがやると言った、その以上にやるという覚悟がない限り、この特別会計の操作上に私はやがてはじりじりと独立採算制で占められてくるということは当然であろうと思うのであります。これはもうはっきりしている。たとえたならば厚生省の国立病院がこの三年前に独立をしました。そのときはこんなに差があった。ところがことし三十九年度の予算を見ると国立病院の会計はとんとんになっておる。いつの間にかバランス・シートを合わせて独立採算で本会計からはびた一文出さぬというような体制になってきた。これは会計の設定がしからしめるところで当然そうなる。もう少し何とかその辺の特別会計や何かで操作してみい、もうちょっと売るところがあるのじゃないか、売ってみい、一般会計からはこれだけしか出さぬのだというような観点になると、だんだん一般会計の占める比率が少なくなって独立採算制の比率が上がってくるということは、これは一般的通念であり歴史である。この点から考えると私はこの特別会計できょうはいいでしょう、きょうは特別会計何とか売り食いのいわゆる活用ということばを使えばまことにけっこうですが、活用する。じゃ活用し尽くしてもうなくなったらどうなるか、その次にはえらいまた文部予算の要求をよけいしてきたな、ここからまた、スタートし始めなければならぬ。せっかく大きなボリュームをとっておるところの予算が独立採算で売り食いして、しばらくお預けを食っている間にもとのもくあみになってくる可能性もあると思うのです。そこからまた再びもう売るものはなくなったのだ、持っている手持ち財産はもうなくなった、活用物資はなくなったから大蔵省金くれと行ったときに、初めて私は三年か四年か先に売り食いの悲しさが出てくると思うのです。私はこういう点を考えたならば、決してこの特別会計がいわゆる活用という名にごまかされて衣を脱いだということは、私は何だか操作的には、会計の操作の上では外堀を埋めたという感がしないでもないわけです。しかしそれがこれからの政治家の考え方であり、文部省は一体となって内政の本命という考え方で予算折衡していかなければ、だんだん教育というのは非生産的なものですから落とされることは間違いない。これはもうかつて教育界に身を置いた者がすべて味わったことは、荒木大将を文部大臣に入れたときから、とにかく軍人の大臣をつくらねば予算がとれないのだという悲しき歴史があるわけなんです。この点を考えると文部省はうかつにこういうものに乗っかってその日幕らしの手持ち財産の活用のみを考えておったならばとんだ失敗をしでかすのじゃないか。もっと教育が重大で、教育が大事になればそんな売り食いをしいられないでほんとうに予算をとってくるべきだ。手持ち予算を、財産をこんなに売り食いする必要はないと思うのです。
もう一つは借り入れ金でございます。借り入れ金の制度が初めて出ましたが一体文部大臣、借り入れということは返済能力があることによって借り入れが成立する。返済能力がなければ借り入れはない。一体教育というものに返済能力が何かあるのですか。教育というものは、これは消耗であり一方交通である。返済能力がないものだ。その返済能力のない教育の分野に借り入れ金というものが入ってきたのですが、一体どういう考え方で何で借り入れを返すという考え方か、教育は商売をするということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/40
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041・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この特別会計になりましても、先ほど申しましたように国立学校の運営につきまして特別会計だけでやっていけるものでないことは、これは明確なことだと思うのであります。われわれもその点ははっきりと自覚をいたしておるところでありまして、やはりあくまでも特別会計からの繰り入れ、これの増額を求めなければならないのがいまの状況ではないかと思うのでありまして、その点につきましては大蔵省の考え方も明確であると私は思うのであります。したがってこれはわれわれの今後の努力でございます。また皆さんの御協力のもとに一般会計からの繰り入れを減らすとか、売り食いをしてそれだけは減らしてしまうとかいうような消極的な考え方でなくて、国立大学の充実をはかっていくというための一つの方法としてお考えを願いたいと思うのでありまして、根本的にはその意味におきましては小松さんと違ってはいないわけであります。われわれといたしましてはあくまでも日本の国立学校の充実をはかっていきたいということで一路邁進あるのみ、かように考えておる次第であります。
いま借り入れ金についてのお尋ねでございますが、これはもちろん一般の大学につきまして借り入れ金ができるはずのものじゃないと私は思います。考えられるものは、いわゆる国立大学の付属病院、この付属病院について借り入れということの可能性はあろうかと私どもは思うのでありますが、それにいたしましても大学病院というものの使命というものは皆さん御承知のとおりでありますから、ただもうけ主義でやっていいというはずのものではないのでありますから、これに大きな期待をかけるということはあるいは困難かと思います。しかし可能性というものはあるわけでありますので、それに従って借り入れの道も開いておくことが便宜であるということは言えるであろうと思うのであります。いずれにいたしましても国立大学の使命を達成いたしますために施設、設備の整備をはかっていくということが必要であります限りは、もしそれに対して国立大学側において幾らかでも財源が出せるというのならばそれは出してよろしい、財源が出せない場合におきましてわれわれは引っ込んでおる理由はないと思う。あくまでも大蔵省の協力のもとに予算の増額をはかっていこうということに変わりはないわけであります。そのように御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/41
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042・卜部政巳
○卜部委員 あした合同委員会があるそうですから、その中で私は大臣に質問をしていきたいと思っております。
そこで、いままで私の質問に答えられた問題を整理していきたいと思うのです。大蔵省のほうの相沢さんの発言は、七月に文部省のほうに相談をいたしました。その中で文部省との意見の一致を見た中で、この法案を出すことに踏み切った、こういうことがありましたが、文部省の安嶋さんのほうからは、そういうことではなくて、予算折衝の過程の中で十二月に大蔵省からそういうものが突如として出されてきた、しかしながらその中で検討を加えた後に、これはいいものである、こういう了解点に達した、こういう点がいままでの答弁の中の整理された点だと思うのです。
そこで私は次に、そのように大蔵省がこれは当然に文部省のほうが主体性を持って本提案に対してはかなり大きな力を持って動かなければならないのにかかわらず、大蔵省のほうからこの提案を行なってきて文部省のほうがこれを了解点に達したというようなことを聞くことがあっては、これはおかしいではないか、この点がいままで論議されたところだと思うのです。その中で一つ次に質問を発展させていきたいと思うのですが、この点に対して大蔵省のほうとしてはやはり文部省と教育財政のあり方というものについては慎重を期さなければならない、こういうことを十分配慮されておると思うのでありますから、この点についていろいろと先ほど来から出ておりますところの中央教育審議会のいわゆる答申の問題や、さらには国立大学予算会計制度調査会の問題等にも若干波及をいたしたわけでありますが、この点についての答弁をまず求めたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/42
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043・中尾博之
○中尾政府委員 国立学校につきまして特別会計を今回設けることで御審議をお願いしておりまするので、非常に制度としては変わりますので、いろいろ御懸念なり何なりございます。ごもっともなことでございまして、私どもとしてもその点の御了解をいただかなければいかぬということを十分心得ておるわけであります。
先ほど来伺っておりますが、まず第一に、この文教関係で国立大学の予算あるいは国立学校の予算というのは重要な予算でございます。それから学校自身は決してこれは営業的な経営になじむものではございません。そういう意味におきまして、その財源といたしましてはもちろん一般会計からその主たる部分を出して経営していかなければならないことは言うをまたないところでございます。今年度におきまして特別会計を設けましたけれども、このいわゆる一般会計の一般財政負担からこれを支出いたしまする金額といたしましては千百四十五億、前年度に比べまして百六十七億円近くの増額を行なっておる次第でございます。今後とも財政の許す限りその充実をはかってまいりたい。もちろん国政いろいろ需要がございますからそれらも考えなければなりませんが、その中におきまして最も重要なる経費として取り扱っておるということは、大蔵省といたしましても従来からその方針でございまして、今後といえども全然変わりはございません。その点は明瞭に申し上げることができると存じます。
次に特別会計の問題でございますが、これはいわば経理の制度でございます。文部省におかれましてもいろいろ御検討がございました。しかしながらわれわれといたしましては要するに国政の万般すべてうまくいくように、どういう制度が一番よろしいかということにつきまして、常時検討をいたしますのが大蔵省の責任でございます。そういう見地から、予算の問題とは別に特別会計を設けることにつきまして、夏以来文部省側とも、いろいろ資料をちょうだいいたしまして、検討をいたして立案をいたした次第でございます。先ほど来いろいろお話が出ておりますが、特別会計を設けますことは予算の関係も出てまいりますが、むしろ会計を分けるということ自体に実は意味があるのでございまして、その結果予算も別の予算になる、繰り入れの関係の予算になるということでございます。一般会計の負担におきまして国立大学の予算を充実するということにつきましては、従来も今後も何ら方針の変更はございません。しかしながらそのほかにさらに学校といたしまして、これはとにかく永久にその基礎を固めていかなければならないものでございますから、現在のように一般の行政財産ではまずい。現在の学校の使っております財産は、これはすべて学校そのものの財産として別除しようということでございます。評価関係が必ずしも時価と合っておりませんけれども、しかし簿価によりましても二千百億をこえるところの資産が、学校の財産ということで特定されることに相なります。従来でありますれば、これが用途を廃止いたしまする場合には、これを売りますると一般の収入になります。それは文教にも充てられるでございましょうが、そのほか公共事業にも充てられましょうし、一般に充てられることになりますが、今後はすべてあげてこれが学校の経営の財源と相なるわけでございます。なおそのほかに学校といたしましてはやはり予算生活をいたしておりますので、若干の収入もあり、予算もあるわけでありまするが、計算をいたしてみますと毎年十億から二十億程度の剰余金が出ております。これは収入というものと、それから予算生活をしております関係上当然そういう結果が出てくるわけでございます。これらもそのまま従来のようにしておきますと、一般の財源に相なるわけであります。これも今後はあげて学校そのものの財源に特定いたしまして、学校そのものに還元をすることができるということでございます。そのほかいろいろございまするが、予算の関係ではなくて、そういう財産の管理、経営というものの基盤を別除することによりまして、大学に強固なるものを与えるというのが趣旨でございます。
なお売り食いというお話がありましたが、売ることは売りますが、決して食うわけではないのでありまして、あるいはアロケーションでありますとか、スクラップビルドといったような関係で、学校の近代化というものがはかられていくことを期待いたしておるものでありまして、これを経費に使ってしまって、食ってしまうということでは決してございません。
なおそういうような制度にやると、一般会計からの繰り入れがだんだん劣えてくるのではないかという御懸念がございます。これはごもっともなお話で、予算はいろいろプレッシャーの強い作業でございますから、御懸念の点は十分理解できるのでございますが、そういう趣旨ではございません。予算のことをここで明瞭に申し上げるわけにはまいりませんが、方針といたしましては国立学校の経費というものにつきまして、財政の許す限り今後とも従来と同じように、あるいはそれ以上に、十分に一般会計からその財源を投入すべきものであるというのが大蔵省の方針でございます。
なおそのほか借り入れ金の点もございますが、ただいま文部大臣から御答弁がありましたようなことでございまして、収入をあげるために金を借りるわけでは決してございませんし、金を借りたから収入をあげるということでもございません。研究のために病院を経営しておる、しかし一面におきまして一般の商業ベースの営みもそこにあり得るわけでありますから、それによって許される限りの金はやはり動員して病院自身の充実に充て、研究の内容を向上していくということがあれば、これはけっこうなことではないかということでありまして、ほかに他意はない次第でございます。いろいろ御懸念があるようでまことにごもっともでありまするが、実情、それから大蔵省あるいは財政当局といたしましての真意と申しますものは、いま申し上げたようなことでございます。御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/43
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044・卜部政巳
○卜部委員 逐条審議に入っていく過程の中から、いま御答弁にありました種々の問題をとらえて私は質問をしていきたいと思っておるのです。ただしかし私がその前段としていま質問をしておる中で、中尾さんはこういうように言われております。どのような制度がよいのかを検討するのは大蔵省のたてまえである。そのため文部省から七月あたりに資料をもらって云々、こう申されておるのであります。私はこれは解せない発言だと思うのです。むしろこういう問題については文部省のほうが十分な検討を加え、かつ財政的な面は大蔵省と十分に検討を加えながらも、やはり教育財政のあり方としてはどうあるかという、こういう問題はあくまでも文部省さらには大学側の意見などを聞き、そうしたものが反映されなくてはならないと私は思っておるのです。ただその点が先ほど整理した中でも申し上げましたように、ただ文部省の意見を聞くという程度に終わったという、こういう法案がはたして日本のこれからの教育に十分に即応できるような法案なのか、この点に危惧があるので私は質問をしておるところです。この点についてでは重ねて質問をいたします。中尾さん、三十八年に出ましたいわゆる中央教育審議会の答申について、どのように受けとめておられるのかをお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/44
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045・中尾博之
○中尾政府委員 お答え申し上げます前に、ちょっと私の先ほどの発言を補足さしていただきますが、大蔵省といたしまして、財政制度の関係、これを常時検討する責任があるということを申し上げたのでございます。なおそういう意味で、検討は三十九年度の予算に間に合うようにという段取りで、大蔵省といたしましても検討をいたしておるということでございます。しかしこれの決定そのものにつきましては、特別会計を設けることと設けないことは予算にはたいして関係がないのでございまして、予算のほうはどちらになりましても同じことと考えておったわけです。制度の入れものの問題で、中身には関係のないことでございます。ただ先ほど申し上げましたような資産の管理とかというような面で特別会計を設けるということにいたしたのであります。しかし本件につきましてももちろん重大なる問題であることは間違いございません。先ほどおあげくださいました答申の線にももちろん沿いまして十分に検討いたした次第でございます。重大な問題であるという御指摘が答申の御本意であります。答申自体といたしましては、慎重に検討することを要するという、むしろやや消極的な気分のある答申でございます。それだけにわれわれといたしましても十分に検討いたした次第であります。しかもこの問題は予算の折衝と同時には行なわれましたが、予算は予算、会計制度は会計制度、これは別個の問題として取り扱ったものでございます。しかもこの案自体につきましては、文部省側におかれても十分に検討されまして、いきさつをいろいろ申し上げるのもどうかと存じますが、手続的に申しますと、文部省とされましては、文部省自体で御検討になるのはもちろん、大学側、あるいはそれぞれの関係の有識の方々、そういう方々の意見も十分に徴されまして、大蔵省の原案につきまして十分検討されたのであります。その結果、大蔵省の案の線に沿って財政制度を整えることが適当である、そのほうが現在一般会計に置いておくよりもよろしいという文部省自体の御判断で本件が法案としてでき上がったものでございます。したがいまして事態はあくまで文部省あるいは文教関係の責任の衝にあられる方々の御判断によってできたものでございます。ただ私が申し上げましたのは、事は財政関係のいわばテクニックの問題でございます。したがいまして、そういうような問題につきましては検討いたします、いわば常時そういうことの衝に当たっております大蔵省において、それがいいことであれば、これを十分に検討し、提案をするということが本来の任務であると考えておる次第であります。問題といたしましても財政関係の問題であります。したがって国会におきましても当大蔵委員会で御審議を願っておるというようなことになるわけでありまして、大蔵省が提案をいたしたということ自体、特別なおかしいとかいうようなことではないと存じます。ただ事柄は、御指摘のございましたように、文教あるいは国立大学のあり方というものに対して大事な影響のあるものでございますから、もちろん大蔵省のきめるべき問題ではない。文部省だけできめるべき問題でもない。大学当局、関係の経験のある方方、あるいは関心のある方々、そういう方々の意見を十分徴されまして、その結果おきめいただいたものでございます。それを御審議をお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/45
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046・卜部政巳
○卜部委員 中尾さんなかなかお詳しうございまして、中央教育審議会の問題についても、慎重に配慮する必要がある、こういうことを言われておるだけに詳しいのですから、私は当然大学の予算会計制度の調査会の問題も十分この中で論議をされたと思うのですが、その点はどうなんでしょうか、ひとつ中尾さんにお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/46
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047・中尾博之
○中尾政府委員 いまの調査会というお話でございますが、それがどういうものでございますか、私は承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/47
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048・卜部政巳
○卜部委員 ほめておいてあとからくさすということばはちょっと悪いのですが、いま中尾さんは、中央教育審議会、さらには大学側との意見も十分に聴取をしたなどという発言がなされておるのですが、実はここにきて安嶋さんから、中教審の答申がここの中で問題になりそうだ、いわゆる慎重を期すのだ、こういうように教えてもらって発言しているのですよ。そういうことは率直に申し上げるならば、文部省、さらにはそういう答申と同時に——答申にもまあ問題がありますが、しかしながら大学協会とかそういうものの意見を十分参酌した上に立ったこの会計制度の今度の提案ではないということをいみじくも暴露しているのですね。その点も何かしらんことばたくみに、文部省のほうからも十分意見が出され、また大学側の意見も聴取されたと言っておるけれども、現実には大学側の意見なども無視されておるというのが現状ではないでしょうか。ことにこの答申の中にもありますように、「国立大学の財政のこのようなあり方の実現を特別会計制度の採用に求める意見がある。過去の大学特別会計制度は、上に述べたような趣旨も含んで設けられたものであるが、その後の経済事情の変化や大学の発展に伴って必ずしも所期の目的を十分達成し得なかったことを省み、かつ現在の国立大学が内容、規模において急速なる発展、拡充の過程にあることを考えると、国立大学の特別会計制度については、なお、慎重に検討する必要がある。」このようになっておるわけです。同時になお調査金がこれに伴って三月に発足をしておりますが、その結論もいまだに出ていないのでしょう。出ていないときに、大蔵省がこれを抜き打ち的に出してきた、また秘密裏に事を運んでおったというこの事実については、何としても否定できないと思うのです。なぜに秘密裏に事を運んでおったのかをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/48
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049・中尾博之
○中尾政府委員 御質問でございますが、別に秘密裏に進めておったという事実は全然ないのであります。大蔵省としての原案を一応つくりまして、それで文部省の御意見を伺った。文部省はさらに大学側、学校側の御意見も伺うという順序でございます。その順序に従って作業をいたしましただけの話でございます。別にかまえて秘密に取り扱うというようなあれはございません。ただ実際問題といたしまして、結論を得ますには相当苦慮をいたしたのであります。簿価では二千百億ちょっとであります。さらに、時価といたしましては膨大なる財産になります。これらのものを学校の財産としてこの特別会計があります限り、これにいわば出資したような形になるわけでございます。それだけのことが国有財産的な運用といたしまして財政上可能であろうかどうであろうかというような問題、これはやはり相当な検討を必要といたしまする問題です。そういう点で、なお各条にわたりまして御質疑もあるようでございますが、それぞれの点につきまして慎重なる検討を重ねてなるべく実情に即した、学校そのものを伸ばすためにできるだけ役に立つような特別会計をつくりたいということで検討いたしておったのでございます。事柄が相当重要なるいろいろな決定を含んでおりますので、慎重を期してはまいりましたが、別段秘密とかそういうようなことは全然ございません。結論を得ましたのがちょうど予算の作業の大詰めになる前に当たりましたので、何かと御懸念があるかと存じますが、実情はそうではないのでありまして、七月、八月あたりからいろいろ作業をしておったということをあえて申し上げますのも、そういう御懸念があってはと存じて申し上げておる次第で、あくまで重要な案件といたしまして慎重に検討をいたしました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/49
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050・卜部政巳
○卜部委員 十分慎重を期した、こう言われております。なおこの点に、私が調査会の問題を申し上げますと、安嶋さんがにこにこ笑っておりますが、これは若干の食い違いがあると思うのですが、しかしながら、答申の最後の項に、慎重を期するならば、少なくとも「国立大学の経理手続き、管理運営費のあり方等について技術的専門的に調査するために必要な調査会を設けることを検討すべきである。」という答申も出ておるのですよ。そうなれば、少なくともいま言うような慎重を期するならば、なぜこういう調査会をもつくって検討もしていないのか、こういう点も私は出てくると思うのです。こういう点も私はひとつあとからお答えを願いたいと思いますし、秘密裏にやっていなかったとこうおっしゃいますが、私はここに新聞がありますから読んでみます。「大蔵主計局会計課の文部係は組合代表のいくつかの質問に対し「国大協の意見書は見ていない。秘密に進めたのは横槍が入ってせっかく大学のためにしたことが、 つぶされるといけないからだ。」」こういうことを言っておるのです。これは交渉の席上で明らかにされております。だから、これは秘密に行なわれていることは明らかなんですね。中尾さんがどのようなことを申されようとも、そういうことを申しているわけです。私はここに証人を出せと言うなら、その証人を連れてきてもいいと思うのです。その中にも、私が聞いた範囲でもこれと同じようなことを言っておる某官がおります。某官というのは事務官の方がおります。こういう点から見ましても、これが秘密裏に運ばれておるということだけは事実です。そのことは差しおきましても、その調査会を設けて検討すべきであるという、こういうふうな問題についてやはり槙重を期さなくてはならなかった文部省側も、さらに大蔵省側も、この点に対してはどのような配慮が行なわれたのかをひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/50
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051・安嶋彌
○安嶋政府委員 調査会のことにつきまして御説明を申し上げたいと思いますが、卜部先生お手元にお持ちのようでございますが、中教審の答申の最後におきまして、「国立大学の経理手続き、管理運営費のあり方等について技術的専門的に調査するために必要な調査会を」設けて、これらの問題を検討すべきであるということを答申しておるわけであります。それからまた、中教審の答申の全体の構想は、国立学校の会計制度は一般会計であるという、そういう前提に立っておるわけでございます。一般会計の中におきまして、国立大学の経理手続や管理運営費のあり方についてさらに問題点を技術的、専門的に検討をする、こういう趣旨でございます。したがいまして、この調査会におきましては、国立大学の会計制度につきまして一般会計制度をとるか特別会計制度をとるかという、そういう基本的な問題について検討するということは全く期待されていないわけでございます。この調査会は文部省の内部に置かれます調査会でございまして、官房長を調査会の会長といたしまして、構成員は国立大学の事務局長、会計部課長であります。内容といたしまして検討いたしております点は、この技術的、専門的な問題であります。たとえば物品管理というような問題があるわけでありますが、こういった手続をさらに簡素化することができないとか、あるいは国有財産の取得、交換、管理等について現在の諸手続をもう少し合理化する余地がないだろうかといったようなきわめて技術的、専門的な事項を検討しておるわけでございまして、制度の基本に関する問題をここで検討しておるわけではございません。したがいまして、ここの意見を求めなかったということは、本来趣旨が違うことでございますので、そのように御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/51
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052・卜部政巳
○卜部委員 安嶋さん、「国立大学の財政は、「大学の管理運営について」において述べたように、大学の自治の実質的な面のあらわれである。したがって、そのあり方は、教育研究上の必要に即して、自主性、弾力性を備え、かつ、長期的観点からの計画的運用を可能とするものでなければならない。」以上から、この国立大学の財政のこのような取り扱いの特別会計の問題もこの中に入っておるのですよ。だから、なるほどその最後の調査会の云々というこの問題については、そういう字句解釈はそれは可能でしょう。しかし、この答申が必ずしも一般会計の問題のみということでいっておるのではないし、また大学の、先ほど触れたような「自主性、弾力性を備え、かつ、長期的観点から」行なっていかなくてはならないということを指摘しておるのであります。だから、この面ではいま安嶋さんがおっしゃったような、ただそういう字句解釈にのみこだわっておる問題ではない、こういうことを私は指摘したいと思うのです。
それからもう一つ私の指摘をいたしたいのは、ここにもあるわけでありますが、この答申に基づいてということで、昭和三十八年三月に、先ほどから私が言っております国立大学予算会計制度調査会が設置をされておるという、これは間違いないでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/52
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053・安嶋彌
○安嶋政府委員 本省内部において設置されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/53
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054・卜部政巳
○卜部委員 その設置されております調査会はどのような結論を出しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/54
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055・安嶋彌
○安嶋政府委員 昨年三月設置をされておりまして、会計上、経理上の問題につきまして今日までずっと検討中でございます。まだ結論は出ておりません。しかしながら、先ほど申し上げましたこの調査会は、一般会計制度のもとにおける国立大学の経理上の諸問題を検討することを趣旨といたしておりましたので、今回特別会計制度が実施されるということになりますと、基本的な前提が異なるわけでございます。したがいまして、本年に入りましてからこの調査会は休会といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/55
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056・卜部政巳
○卜部委員 それは問題があるじゃないでしょうか。これはたとえば昭和三十五年に松田文部大臣が中教審に対して「大学教育の改善について」という諮問をしたわけです。そのあとにこの答申といたしまして、大学財政の問題については、大学のいわゆる教育研究の自主性を持ち、十分にその使命を果たし得るようなものでなければならない、こういうような答申に基づいてこの調査会ができたわけです。そうでしょう。これに基づいて三十八年三月に文部省内に設置されたでしょう。そうなるとただ一般会計の範疇にあって、それが特別会計になったから全然違うんだといって、こういう調査会を休会ですか、こういうかっこうにしてしまったら、何のための答申であるか、さらに何のための諮問であるかということが問題になってくると思うのです。少なくともそういうような複雑な日本の大学の教育をするためには、財政を確立するためには、このように慎重に配慮しなくてはなりませんよということがこの中にも出ておりますし、さらには調査会を設けてやらなくてはならぬという、こういうものに結びついてきておるのですから、十分にここに配意をされた慎重な姿というものが出てこなくてはならないのに、大蔵省自体が独自にやっている。安嶋さん自体がそうでしょう。安嶋さん自体が十二月の十五日ですか、そのときにそのことをはっきりさせられた、こう言っております。同時に文部省の次官あたりは、それを受け入れた瞬間に、たいへんだということで大蔵省に飛んでいっているじゃないですか。この事実を見ても、このようなかっこうの、このような法案が示されなくて抜き打ち的に出されてきたということは、これは厳たる事実です。そういう形の中には真の意味の大学の意見も反映されていないと思う。だから国大協あたりが、あの意見の中に発表されていますね。十分な時間もないということは手続上遺憾である、こう言っているわけですね。中尾さんに言わせるならば、それは十分に参酌した上に立って、もう非の打ちどころのないようなかっこうで——これはあまりことばの言い過ぎでしょうが、そういう形で提案をしております。ずいぶんズレがあるのですね。これは私は問題だと思うのです。そういう点で、私は先ほどちょっと申し上げましたが、なぜ秘密裏に出されなくてはならなかったかというこの問題について、私はやはり問題にしなくてはならない、このように考えておるところです。
そこで私は申し上げたいのですが、委員長、特に私はお願いがあるのですが、やはり大学側の意見も、同時にまたいま私が指摘をいたしておりますように、十分なしかも慎重な配慮というものがとられていないということは委員長もお聞きのとおりだと思うのです。そのためには私は——あした合同審査があるということですけれども、やはり参考人を呼んでいただきたい。参考人を呼ぶ技術的な問題については、委員長並びに理事の方におまかせをいたしたいと思いますが、少なくとも本委員会は、ただうまく答弁をし、またおしゃべりをしているというそれだけの委員会じゃないと私は思うのです。この問題に関しては、これは与党、野党を越えて日本の教育のあり方、同時にそういう財政がどうあらねばならないかという慎重を期するためにも、メンツにこだわることなく、撤回すべきものは撤回をし、是正すべきものは是正し、意見を聞くべきものは意見を聞くという慎重な会議が行なわれてしかるべきだと思うのです。その意味で、委員長にそのことをお願いをいたしたいと思いますが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/56
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057・山中貞則
○山中委員長 一委員からそのような形の要求ということの処理でなくて、理事会としてどう処理するかは相談いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/57
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058・卜部政巳
○卜部委員 そこで、条文に入る前ですが、一つ質問をしておきたいと思いますが、国立大学の充実に資する、こういうことがまず大きな問題点として提案の中にも述べられておるわけなんですが、どのように充実をするのか、具体的にどのように考えたらいいのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/58
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059・中尾博之
○中尾政府委員 先ほどちょっと触れた問題でございますが、施設、設備、これを近代化をしてまいりたいというのが眼目でございます。そのほかに本件の特別会計の構想の中には、いろいろ大学側の資産を維持する問題でありますとか、財源を特別に確保する問題でございますとか、いろいろな点を考えてございます。いま申し上げましたのは、やはり立地の関係で研究施設として従来ございましたものが古くなったというようなものは新しくいたしたい、あるいは場所を集中して管理に適するようにいたしたいとかいうような、いろいろな要請がございます。先ほど何とか大学というようなお話もございましたけれども、いわゆる国立大学、全国にございますが、いずれもきわめて大事な施設でございまするので、これに対してあらゆる手を講じて、その施設の内容を充実したいということでございます。そのためには、一般会計からの繰り入れによりまして、これを処理することはもちろんであります。そのほかに動員できるいろいろな手段はすべて動員をいたしまして、できるだけ早く施設の改善、近代化というものにつとめたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/59
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060・卜部政巳
○卜部委員 時間も過ぎましたので、またあしたの合同審査の中でも申し上げたいと思いますが、ひとつ資料要求をしたいと思うのです。
まず、いま貧弱な云々というようなことも出てまいりましたし、施設の拡充をしてもらいたい、こういうこともありましたので、私は国立大学の貧弱劣悪な施設の現状をどのように改善計画をしていくのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたい。これは資料要求です。同時に、大学のいわゆる格差解消のために政府の行なってきた努力と現状を明らかにしてもらいたいと思います。同時にまた国立、私立を含めた大学教育、その機関の現在の取り扱い方、さらに移行措置についての将来の計画を明らかにしてもらいたいと思います。その中から逐条的な問題に入ってまいりまして、いろいろと国立病院との関係から出てまいります今度の病院施設の問題、こういう問題に入っていきたいと思いますので、この点を資料要求いたしまして、発言を保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/60
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061・山中貞則
○山中委員長 卜部君、いまのお話を承りますと、資料として出すには少し数字とか何とかいう問題じゃないようですから、その問題は、あしたあなたが質問するときに明確な答弁のできるような準備をさせて、そうして資料になり得るものがあったら資料をつくらせるということにいたしたいと思います。大蔵省よろしいね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/61
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062・中尾博之
○中尾政府委員 資料と申しましても、具体的な計画のあるものと、それから全体の構想は、現在計画のあるもののほかに、この制度によりまして、そういう計画を今後立てていきたいという面がございますので、いまのお話の中のある分については具体的にその一部は、これは文部省側で御検討になっておるようでございます。そのほうの分とか数字的につかめるものだけはつかむということであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/62
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063・卜部政巳
○卜部委員 いま委員長がまとめられた形で私はいいのですが、いま中尾さんがおっしゃったのですが計画がないとか、そういうことも触れられたのですが、文部省のほうから出てきていませんが、私はそのことを中心にしてこれから論議していこうと思うのですよ。ないとかできないということは私はないと思うのです。私は可能だからこそ要求をしておるのですからね。自分がおそらくこうだからこういうものに結びついてくるんだろうということで要求しておるのですから、その点はひとつ委員長のおっしゃられたような形でまとめていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/63
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064・山中貞則
○山中委員長 了解しました。
本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02419640324/64
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