1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十七日(金曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 山中 貞則君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 藤井 勝志君 理事 坊 秀男君
理事 吉田 重延君 理事 堀 昌雄君
理事 武藤 山治君
天野 公義君 岩動 道行君
大泉 寛三君 大久保武雄君
奧野 誠亮君 押谷 富三君
木村 剛輔君 木村武千代君
小山 省二君 島村 一郎君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
濱田 幸雄君 福田 繁芳君
藤枝 泉介君 渡辺美智雄君
卜部 政巳君 岡 良一君
佐藤觀次郎君 田中 武夫君
只松 祐治君 野原 覺君
日野 吉夫君 平林 剛君
松平 忠久君 横路 節雄君
春日 一幸君 竹本 孫一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第三部長) 吉國 一郎君
大蔵政務次官 纐纈 彌三君
大蔵事務官
(主計局次長) 中尾 博之君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 相澤 英之君
文部政務次官 八木 徹雄君
文部事務官
(大臣官房会計
課長) 安嶋 彌君
文部事務官
(大学学術局
長) 小林 行雄君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
農林政務次官 丹羽 兵助君
食糧庁長官 齋藤 誠君
通商産業事務官
(軽工業局長) 倉八 正君
運輸事務官
(自動車局長) 木村 睦男君
委員外の出席者
農林事務官
(畜産局参事
官) 吉岡 茂君
農林事務官
(食糧庁経理部
長) 亀田喜美治君
農林事務官
(食糧庁経理部
主計課長) 斎藤 吉郎君
運輸技官
(自動車局整備
部長) 宮田 康久君
専 門 員 抜井 光三君
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三月二十七日
委員長田中武夫君辞任につき、その補欠として
横路節雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員横路節雄君辞任につき、その補欠として田
中武夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事臼井莊一君同月二十五日委員辞任につき、
その補欠として金子一平君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二
号)(参議院送付)
国立学校特別会計法案(内閣提出第八二号)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第六四号)
自動車検査登録特別会計法案(内閣提出第六六
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/0
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001・山中貞則
○山中委員長 これより会議を開きます。
理事の補欠選任についておはかりいたします。
理事でありました臼井莊一君が去る二十五日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と命ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/1
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002・山中貞則
○山中委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長において金子一平君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/2
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003・山中貞則
○山中委員長 次に、外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。纐纈大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/3
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004・纐纈彌三
○纐纈政府委員 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
わが国は、世界経済の趨勢に即応し国際分業を通じて経済活動の効率を高め、わが国経済の一そうの繁栄をもたらすため、開放経済体制への移行を進めており、その一環として、来たる四月一日を目途に国際通貨基金協定第八条に規定する義務を受諾することとして着々諸般の準備を進めているのでありますが、これに伴い外国為替、外国貿易その他の対外経済取引に関する法制を整備することが必要となっているのであります。
次に今回提案いたしました法律案の概要を御説明申し上げます。
まず第一は、外国為替及び外国貿易管理法の一部改正であります。現行の外国為替及び外国貿易管理法は、外国貿易及び外国為替の適正な管理を行なうことを目的といたしておりますが、このため、貿易及び貿易外取引を通じ、外貨資金の使用はすべて外国為替予算の範囲内で許されるものと規定いたしておるのであります。ところで、わが国が国際通貨基金八条国へ移行するためには、輸入代金の支払いのような経常的国際取引のための支払いに対する為替制限を撤廃しておくことが必要となりますので、外国為替予算制度を廃止することとし、このため所要の改正を行なうことといたしました。
また、外国為替予算制度の廃止に伴いまして、外国為替予算の作成を主たる任務としております閣僚審議会はその存在理由がなくなりますので、これを廃止することといたしました。
さらに、現行の輸入貿易の管理は、外国為替予算を前提として行なっておりますが、外国為替予算制度の廃止に伴いまして、今後の輸入貿易の管理は、為替制限によらない方法でこれを行ない得るように所要の改正を行なうことといたしました。
第二は、外資に関する法律の一部改正であります。
その第一は、外国為替予算制度の廃止に伴う規定の整理でありまして、外資に関する法律に基づいて対外送金が認められるものの支払い予定額を外国為替予算に計上する制度を廃止することといたしました。
その第二は、届け出のみによる株式または持ち分収得制度の廃止であります。従来、外資に関する法律では、外国投資家の株式取得には原則として主務大臣の認可を要することとし、例外として、新株の取得であって、果実または元本の回収金の送金を希望しないものについては事後の届け出で足りることにしていたのでありますが、今後は送金希望のない新株取得についても認可を要することとするよう改正しようとするものであります。
これは、外資の導入については、すべて許認可を要することとするかわりに、許認可を受けて導入された外資の果実及び元木の対外送金は、弊害のない限り自由に認めることとして外資導入に関する制度の一元化をはかろうとする方針に基づき、昨年七月一日以降は、外資に関する法律上は届け出のみで足りる場合にも、非居住者につきましては、外国為替及び外国貿易管理法の許可を要することといたしておりましたのを、法律改正の機会に、外国投資家による株式または持ち分の取得は、すべて外資に関する法律の認可を受けなければならないたてまえとするよう整理をしたものであります。
その第三は、契約期間または対価の支払い切開が一年をこえる技術援助契約の締結並びに受益証券、社債及び貸し付け金債権の取得に関する規制の一元化であります。
従来、これらの外資につきましては、その対価、果実または元本の回収金の対外送金を希望する場合にのみ外資に関する法律の認可を要することとし、それ以外の場合は外国為替及び外国貿易管理法の規制を受けることとしておりましたが、適用法律を一にし、制度を簡素化するため、今後は、送金希望の有無にかかわらず外資に関する法律の認可を要することとするよう改正しようとするものであります。
その第四は、外国為替公認銀行への事務の一部委任であります。
これは、従来、主務大臣の事務の一部を日本銀行に委任し得ることとなっておりましたのを、国際経済取引の自由化を促進し、外資導入関係事務処理の円滑化をはかるため、さらに外国為替公認銀行にも委任し得るよう改正しようとするものであります。
以上、外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞすみやかに御審議の上御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/4
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005・山中貞則
○山中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/5
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006・山中貞則
○山中委員長 国立学校特別会計法案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案及び自動車検査登録特別会計法案の各案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。日野吉夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/6
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007・日野吉夫
○日野委員 質疑に入る前に出席政府委員を一応報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/7
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008・山中貞則
○山中委員長 出席の政府委員は、田中大蔵大臣、纐纈大蔵政務次官、大蔵省相澤法規課長、中尾主計局次長、以上が大蔵省です。農林省は齋藤食糧庁長官並びに同食糧庁斉藤主計課長、同亀田経理部長、畜産局吉岡参事官。なおしばらくしたら丹羽農林政務次官もこちらに参る途中です。農林大臣は参議院の本会議の日韓問題が終わりましたらこちらに参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/8
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009・日野吉夫
○日野委員 食糧会計の一部改正に関する法律案についてお伺いしたいと思うのですが、提案理由の説明にもありましたように、非常にこれは軽く考えられておるのであります。従来もそうやっていたし、そこに一本の食糧会計という柱を立てるだけだからときわめて簡単に取り扱われている。しかしこの背景というものが、非常にいまの八条国移行後の日本の経済に大きい影響を持つ、こういうことなんでありまして、きのうの農林委員会等でも三党共同でこれに対する決議がなされたようでありますし、非常な大きい反響を呼んでいるわけでありまして、そう簡単なものではないと思うのであります。この法律の持つ意味は、飼料需給安定法に基づいてやられると、大きな三つの内容があるわけであります。大体三十六億の損失の補てん、もう一つは六十億の予備金の支出、なかんずく濃厚飼料を中心としてふすまの値上げその他、値上げがこの基礎になっておるということですね。ここに大きい反響があるので、そう簡単な問題ではなかろうと思うのであります。これを大蔵省が提案される前に、農林省としばしば折衝が行なわれてこういう提案になった、こう思うのでありますが、大蔵大臣も見えておられますから、農林省との折衝の経過でも、一応こういう提案になるまでの、そしてこの三つの要素、三十六億の損失補てん、六十億の予備金支出、それにさらにいま問題を生じておる飼料価格の値上げの問題をどう検討されてまいったか、この経過をちょっと伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/9
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010・田中角榮
○田中国務大臣 御承知のとおり酪農振興が非常に重要な問題でございますので、飼料の確保につきましては、政府も誠意を持って前向きで努力をいたしておるわけでございます。今度の政府の操作するふすま及びふすま生産用小麦の売り渡し価格の引き上げという問題に対しての御質問でありますが、農林省及び大蔵省で十分検討いたしまして結果を得たわけでありますが、これは新しい計算方式をとったのではなく、在来のピーターソン方式に基づきまして、そのままの方式で計算をしましたというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/10
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011・日野吉夫
○日野委員 三十六億の損失補てんという基礎になったものは、いま大蔵大臣言われたように、ピーターソン方式による一つの算出、これは従来ともやっていた方式だと言われるけれども、このことがだいぶ問題になりまして、ピーターソン方式というのは非常に理解しにくい。農協等の役員等でも、この方式に対しては非常に疑問を持っている。ひとつ参考のためにわかりやすくこの方式というものを説明してみてもらいたい。
たとえば従来生産所米価を決定する場合、パリティ方式というのを使っていたが、これは終始わからないので、生産費・所得補償方式に変えられたのだが、パリティ方式は生産者米価を安くするための方式、ピーターソン方式は飼料価格をつり上げる、高くするための方式だと受け取られている。それでこれを私は農林省から説明を聞いたから、ひとつ大蔵省のだれか、わかりやすく説明するようないいあれをちょっと聞きたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/11
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012・田中角榮
○田中国務大臣 大蔵省と農林省が十分合意を見ておるわけでございますが、しかし大蔵省はあまりこまかいことは、農林専門なことは農林省の言うことを信じておるわけでございます。建設省の言うことは建設省の言うことを信じておる。そういうわけで、この問題に対しては専門的な所管官庁である農林省の申し上げる以外に私どものほうでつけ加えて申し上げることはないわけでございます。農林省の御発言で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/12
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013・日野吉夫
○日野委員 それでは農林省のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/13
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014・吉岡茂
○吉岡説明員 ふすま価格の算定のしかたについて、簡単に御説明いたします。
これは飼料需給安定法によりまして、一応政府が輸入し、管理し、売り渡す飼料の価格のきめ方でございますが、実は飼料需給安定法と申しますのは、政府が輸入飼料を管理、売り渡しをすることによりまして、飼料全体の価格と需給の安定をはかる、そういうのがたてまえでございます。そういう意味におきまして、その価格というものは、他の一般飼料の価格というものと均衝のとれた価格であるということが必要である、そういうように考えておるわけでございます。
その趣旨といたしますところは、飼料需給安定法は、輸入飼料というものの売り渡しという量的な操作を通じまして、価格の安定をはかるというのが目的でございますが、もしこの場合、政府が売り渡す価格というものが、一般の飼料価格に比べまして割り安である、そういうような場合には、政府の売る飼料に需要が殺到いたすわけでございます。しかも政府の売り渡す飼料というものは、一つの限界を置いてやっておるわけでございますが、その政府の飼料に需要が殺到するということも、かえって需給が混乱するということにもなりますし、また反面、政府の売り渡す価格というものが割り高である、そういうような場合には、これはなかなかうまいぐあいに売れない。かえって需給の安定がそれによって乱される。そういうような観点に立ちまして、他の一般のえさの価格と均衝のとれた価格が望ましい、そういうように考えておるわけでございます。そういう趣旨に基づきまして、ふすまにおきましては、大豆かすのたん白質と、それからでん粉におきましては、トウモロコシのでん粉と比較いたしまして、同じような飼料の成分は同じ価格を持つ、そういう前提に立ちまして、一応昭和三十七年の十月から三十八年の九月までの一年間の価格を平均いたしまして——実はこの期間をとりました趣旨は、昨年秋ソ連の大量な小麦の買い付けに基づきまして、えさは原料並びにフレートが相当値上がりをしたわけでございますが、その影響以前の価格を一応とりまして、そういうノルマルなときにおきます価格と均衡のとれた価格、そういう意味で計算いたしまして、一応輸入のふすま価格の売り渡し価格というものを決定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/14
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015・日野吉夫
○日野委員 いま説明を聞いたのですが、委員諸君、この説明ですぐなるほどということにはいかぬと思うのですよ、これは農協の諸君なども、どうもこの方式というものは納得いかない、こう言っておるわけです。終戦直後からずっと使われたパリティ方式というのは、廃止になる最後まで、みんなあの方式を何で使うのか、何が合理的かということはわからなかったわけですね。それと同じように、依然としてこれは飼料の値上げをするために都合のいい方式だとしか考えてないようです。で、問題はこの方式を使って計算した数字がここにあげられているように、ふすまにおいて幾らそれぞれ上がった。これを集計して輸入数量を計算すると、三十六億の一般会計負担になるというのがこの案の中心で、ここが大きな問題になるのでありますが、その値上げを決定して六十億の予備金をここにとってある。この予備金は一体何に使うつもりでとってあるのか、ひとつこの点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/15
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016・吉岡茂
○吉岡説明員 実は三十九年度の政府の食糧管理特別会計の中に入れますえさの勘定につきましては、一応買い入れが四百三十億、売り渡しが四百億、別に六十億の予備金をとってございますが、これは当初予定されないような原料高とか、予定をしないようなもの、たとえばトウモロコシとかコウリャンとか、そういうものを買うというようなことがありました場合に、その予備金を使うというわけでございまして、政府に対して支出権限を与えておるといいますか、そういう意味におきまして当初需給計画を予定していなかったものを買うとか、あるいは管理費とか輸送費がかさむ、こういうような場合に使う、そういう予定でございまして、一般会計からの繰り入れと相応いたします赤字というものとは直接の関係はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/16
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017・日野吉夫
○日野委員 大蔵大臣、いま説明のような予備金支出の内容であることをあなたは御存じですか。いまの説明を聞きますと、この法案に出ておるように、ふすま、小麦、これと別個にトウモロコシやそれらの輸入等に、これからいろいろの問題が起こって市場の状況が変わったり、そういう事情があった場合にもこれは取りくずして使える、こういう考え方のようですが、この予備金支出はそれでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/17
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018・田中角榮
○田中国務大臣 六十億の予備費をとりましたことは、御承知のように飼料の確保をしてやらなければいかぬ、これは非常に重大な問題でございます。特に飼料が不足をしておるというような面も考えられますし、年間において、一年間でございますからいろいろなものを輸入しなければならないという事態が起きてくる可能性は十分あるわけでございます。そういう意味で、ふすま、小麦、その他コウリャンの話がございましたが、そういうものもあわせまして、必要な場合、これを取りくずすということを考ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/18
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019・日野吉夫
○日野委員 ここに出ている食管法の中におけるものは、輸入飼料のうちでどのぐらいの割合になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/19
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020・吉岡茂
○吉岡説明員 昭和三十九年度におきまして、一応の飼料全体の需給推算をしておるのに基づいて説明いたしますと、輸入飼料全体を約五百四十万トンというように見込んでおります。そのうち三十九年度の予算におきまして、政府が買い入れるものは一応百五十五万トン、売り渡すものは大体百五十万トン、そういうように見込んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/20
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021・日野吉夫
○日野委員 そうすると、いまの売り渡しの三十六億の損失を、もし現状の価格で売り渡したとしたら、これにどのくらいの不足が出ると計算しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/21
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022・亀田喜美治
○亀田説明員 お答えいたします。ふすま価格を現状どおりもし上げなかったとすれば、約九億の差が出てまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/22
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023・日野吉夫
○日野委員 九億の差だと言うのだが、これは大蔵省の大きな台所から見ればさして大きい金でもないと思うのですが、飼料需給安定法の五条には、原価のいかんにかかわらず、これは、経済事情を参酌し、畜産業の経営を安定せしむることを旨として定める、こう規定してあるのですね。わずかに九億の負担をするために値上げをする必要はなかろうと私どもは思うのですが、この予備金を売り渡し価格操作のほうに取りくずすという考えはあるのですか、ないのですか。だいぶゆとりのある予備金のあれのようですが、その点をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/23
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024・吉岡茂
○吉岡説明員 お答えいたしますと、実はその予備金と申しますのは、先ほど私が申し上げましたように、一応四百三十億の買い入れということを予定しておるわけでございますが、それで足らなかった場合といいますか、たとえば海外の輸入飼料の価格が騰貴するとか、当初予定しないようなものを買う場合に支出するとか、そういうようなことで組んでおるわけでございまして、三十六億という赤字とは直接関係がないわけでございます。この九億のほうに六十億の予備金を使うということは、予算の仕組みといいますか、構成のたてまえからしてそういうようには参らぬのではないか、そういうように考えておるわけでございます。ただ、問題は、ふすまの値段を上げたということに関連いたしまして、そういう計算の方式がいいか、それから現在の畜産物の価格なり飼料全体の中において実際にどういうように対処するか、こういう問題につきましては、私たちといたしましても、去る二月二十九日に飼料需給安定審議会におきまして決議もありましたし、飼料需給安定法の趣旨にもございますので、慎重に市況の動向を見ながらやっていきたいと思っておるわけでございます。
それからもう一つ、蛇足までに申し上げますと、飼料需給安定法というのは、原価にかかわらずというたてまえになっておりますが、実はそういうたてまえに基づきまして三十六億の赤字を組んでおるわけでございます。その内訳を申し上げますと、ふすまで約十億、小麦で十四億、大麦で十一億の赤字を組んでおるわけでございますが、これは輸入したものをそのまま売りますともう少し高くなる。それを原価にかかわらず安く売る。そういうたてまえでこういう赤字が出ておるわけでございまして、これはその原価にかかわらず安く売る。程度の問題もございましょうが、一応現在の予算というものは、そういうたてまえで赤字を出して原価より安く売っておる、そういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/24
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025・日野吉夫
○日野委員 だいぶゆとりのある予備金であるからそういう操作もできると思うが、それはやりたくないようでありますが、いまの値上げによって、その他の輸入飼料、トウモロコシ、マイロ、そうしたものの値上がりが相当これはくるのでないか。そうなれば酪農家の負担が大きくなり、いまの日本の酪農振興に対して大きな圧迫になると思うが、その辺をどう考えておられるか。反響、影響、そういうものをどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/25
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026・吉岡茂
○吉岡説明員 お答えいたします。
現在、飼料というのは畜物の生産費の中で一番大きなウエートを占めておりますが、牛乳に例をとってみますと、大体三十六年、七年、五六%、それから鶏卵で見ますと、六〇%ないし六五%というようなウエートを占めております。そういう意味におきましてえさの価格をどのように安定さすかという問題は、将来の畜産の振興を考える場合、一番大きな問題であろうかと考えておるわけでございます。
そこで、今回のえさの値上がりというものをどういうように見るかということでございますが、現在輸入飼料の中で一番大きなウエートを占めておりますのは、トウモロコシとマイロでございます。これは三十九年度におきまして、全体の輸入量五百四十万トンくらい見込んでおりますが、そのうちで三百六十万トンくらいに見込んでおるわけでございます。ただこれは民間の自動承認制、いわゆるAA制、そういう品目になっておりまして、直接政府が管理しておるわけでございません。トウモロコシにつきましては、昨年の秋、ソ連の買い付け時には非常に値上がりいたしまして、一時は十六%というような値上がりにもなったわけでございますが、現在は一応市況は落ち着いておるのではないかと考えておるわけでございます。
それから政府のふすまにつきまして、これを現状に据え置くという場合九億くらいの赤字——赤字といいますか、現在よりたくさんの負担になる、そういうことは確かでございます。
そこで、今度は全体の畜産物の価格の中にどういうような影響があるかということでございますが、現在のえさの全体の供与量というものは、これは自家消費のものもありますので推定はなかなか困難でありますが、私たちといたしましては、一応二千二百億くらいあるのではないか、そういうような推定をいたしておるわけでございます。そういう中でそれほど大きなウエートを占めておるというわけではないのではないか。
それからもう一つ御参考までに申し上げますと、輸入飼料というものは、一時原料価格としましては相当値上がりをしたわけでございますが、それがさらに国内において配分飼料となって相当部分が消費されておるわけでございますが、配合飼料の値上がりというものは原料の値上がりほどにはなっていないのではないか、そういうような見方をしておるわけでございます。したがいまして、もちろん先ほど言いましたように、えさの価格というものは、これは畜産の発展の上に非常に大きな意義がございます。安ければ確かによいわけでございますが、その値上がりが、数量的に見まして、そしてまた途中の配合メーカーのところにおいても相当吸収されておりますし、それほど大きなウエートであるということではないのではないか、そういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/26
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027・日野吉夫
○日野委員 AA制になったので、農林省では把握がなかなか困難なようでありますが、大蔵省はトウモロコシとマイロのここ一、二年の通関統計はありませんか。正確なところ、どのくらい輸入していますか。——統一の問題ですから、それが見つかったらあとで報告してもらうとして、トウモロコシ、マイロの最近の輸入の統計というのは、膨大な数字になっているそうですね。これは海外市場の関係もあり、ソ連の小麦買い付けやいろいろの事情があって価格も上がっている。しかしこれが畜産物にどうはね返るかということになりますと、えさ高は結局生産高になって、コスト競争でそれはとても対抗できない一つの姿が出ているわけですね。畜産振興を掲げる政府としては、これはえさを安く供給するということがたてまえでなければならぬのに、いまほんのわずかのえさの値上げをやることによって、せっかく畜産振興がその緒についたばかりでこれをたたきこわしている一つの政策の矛盾が出てきている。この間の大蔵委員会でバナナの輸入がリンゴを圧迫するというので、ここで修正したことがありますが、畜産の面でも、いますべからざる自由化をやって、農作物を自由化する場合は国内の事情を十分横付しなければならぬのに、九三%までどんどん自由化して、せっかく農業改善事業を政府が大きな看板にしていながら、片っ端からこわしているという一つの姿が出てきているわけでしょう。畜産の場合もそうです。そうして国内でもたもたやっている間に、海外の市場ではもう戦争が始まっている。チキン戦争は皆さんもよく御存じでしょうが、AAとのいろいろの関係、EECでアメリカがチキン戦争で負けて締め出された、その製品がいま日本の市場に殺到しているという姿じゃありませんか。現に去年の九月、アメリカのチキン・ショウが行なわれて、ブロイラーの肉が日本に去年一年間で、過去の実績の十倍ぐらい入っているでしょう。五千トンくらいになるのじゃないですか、こういうことになっている。これは大蔵省の通関統計から見た実績ですが、こういうことになってまいりますと、これはいまブロイラーの問題ですが、日本のせっかく発展しかけた養鶏というものはめちゃくちゃになるじゃありませんか。こういう一つの姿が出ている。これに対する対抗策を農林省はどう考えておるか伺いたい。
それから先ほどの通関統計のついでに、ここ三年間の鶏肉——この間関税定率法でもちょっとここに出てまいりましたが、鶏肉の通関統計もちょっと調べておいてください。何かこういうものに対する対抗手段を考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/27
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028・山中貞則
○山中委員長 先ほどの通関統計について、相澤法規課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/28
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029・相澤英之
○相澤政府委員 トウモロコシとマイロにつきまして、最近三年間の輸入数量並びに金額を申し上げますと、トウモロコシは、三十五年、百四十六万五千トン、八千七百万二十七万五千ドル、三十六年、百八十四万七千トン、一億八百万一千ドル、三十七年、二百二十九万トン、一億三千二十四万一千ドル。マイロ、三十五年、五万七千トン、三百三万三千ドル、三十六年、十九万五千トン、一千五万五千ドル、三十七年、四十二万二千トン、二千百三十四万八千ドル、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/29
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030・日野吉夫
○日野委員 これは今一年度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/30
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031・相澤英之
○相澤政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/31
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032・吉岡茂
○吉岡説明員 ブロイラーについて申し上げますと、先ほどお話がございましたように、確かに三十八年——これは暦年でございますが、三十八年の一月から十二月までの輸入は三千トンをこえまして、三十七年の輸入量約三百トン足らずだったと思いますが、それに比べて十倍以上の伸びを示しております。この原因を考えてみますと、昨年夏以降の豚肉が非常に値上がりをしたということと、それと食肉の市場というものが非常に旺盛である、そういうものとも関連をして輸入がふえたのであろう、そういうように考えておるわけであります。一月以降の輸入状況について見ましても、一、二月とも五百トンぐらい輸入されております。そこで政府といたしましては、現在参議院で毎歳をお願いしております関税定率法におきまして、従来ブロイラーの関税というのは一〇%でございましたが、これを二〇%に引き上げるよう、案をいま提出いたしまして審議を願っておるわけでございますが、これは将来、それでは日本の国内のブロイラー産業というものはどうなるかということでございますが、これは現在の段階におきましては、日本のブロイラーというものはまだ日が浅くて専用種というものができておりません。これは雌を採卵鶏に使いまして、雄をブロイラーのほうに使う、そういうようなのが大多数であると思います。その結果といたしまして、卵の需要とブロイラーの生産が関連をいたしまして、肉の需要が多いときに出るという保証がないということが一つと、それからもう一つは、ブロイラー専用種に比べて、えさ効率といいますか、ブロイラー一キログラムをつくる場合にえさが幾ら要るかということでございますが、若干劣る、そういうように聞いております。将来のブロイラー生産対策の方向といたしましては、急速にブロイラー専用種というものを日本において確立する、そういう方向が急務であろう、そういうように考えておるわけでございます。実は農林省としましても、兵庫の種畜牧場をブロイラーの種畜牧場として急速に育てていきたいと考えておるわけでありますが、実は養鶏産業というものは、戦争前から相当な技術と経験というものがございますし、専用種というものの確立と並行して関税の引き上げ、そういうようなものとも関連いたしまして、日本のブロイラー産業というものは急速に伸びていくのではないか、そういうふうに私たちは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/32
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033・日野吉夫
○日野委員 ブロイラーの話になったのですが、この閥関税定率法の場合に審議をしていますが、二〇%の値上げは決定されたのだが、いまの生産費計算では、生産価格でフレートも問題になりますし、関税の障壁もあるけれども、それでもアメリカのブロイラーの肉には対抗できないのじゃないか。ただ向こうは冷凍で来るし、こっちはなまで売るから、食味の関係でこっちのほうは同じ価格ならいいということにはなりましょうけれども、こういうことではとてもえさの効率等を考えて対抗できない、もうすでに大手では第一冷蔵、日水、大洋等は大量のブロイラーをやっておるけれども、日本の生産組織ではいまの価格では、フレートと関税で障壁をつくっても、とても対抗できないという姿が出ている。同時に日本の養鶏というものは戦後からずいぶん発展していて、一瞬は香港等で日本卵というものはすばらしい勢いで発展していたが、いまはすっかり押し返されて、これもだめになっているのであります。これは全販が中心でやって、もうだめになっている。ブロイラーも市場の争奪戦でアメリカに負ける、そういうことになったら全くめちゃくちゃになって、せっかくここまで育てたものがだめになっちゃう危検が迫っているのです。アメリカでは日本市場というものは非常に有望な市場だといっている。アメリカでは一人当り一年に十八羽を食うというのだが、日本では平均一羽ですか、それぐらいしか食わない。しかし今後どんどん食っていくなにがあるので、ここをねらっていまやっている。いまの話のようにえさの効率が悪い、ブロイラーに適した極数がまだ出ていないと言っているけれども、アメリカなどではここ三年ぐらいの間に十倍ぐらいの生産にして、和知の改良のためにはすばらしい経費を使ってやっているのに、日本の畜産奨励は、農林省のこの政策を見ましても、予算的にもまことに貧弱な予算しかとってない。大蔵省もこの予算査定の場合厳格に過ぎるんじゃないかとぼくは思う。これはあとの問題にいたしますが、いろいろの立ちおくれですね、いまチキン牧牛、雌鶴戦争ともいわれているこういう攻勢に対して、対抗する力がもうない。そのときにえさの値上げをして、さらにこれを圧迫するというような策は、私は当を得たものではないと考えるので、農林大臣がいれば農林大臣に明確な、ひとつ腹をきめてかかってほしいと思うのであります。
もう一つ伺うことは、需給安定法の七条に、こういう値上がりの場合に対抗する手段が規定してあるわけですね。農林大臣いればこれをやるかどうか聞きたいんだが……。(「政務次官がいるよ。」と呼ぶ者あり)丹羽さんにひとつこれを開きたいが、需給安定法七条の解釈で、値上がりの場合に対抗するあれが規定してあります。農林委員会であなた御承知のように決議をしているというような情勢なのですが、これをやる考えがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/33
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034・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 ただいま日野委員から畜産振興、特に養鶏に関しての立場に立ってその飼料の重要性を説かれ、特にまたフスマの問題について、第七条について、今後政府としてはこれを適用する意思があるかどうかというお尋ねでございますが、なるほど飼料は非常に重要であり、政府としても慎重に取り扱っております。しかし、現在の段階、特に私も養鶏、酪農には非常に深く入り込んでおりますが、その立場から考えましても、現在のところこれを適用するところまでいっておりません。しかしどうしても回さなくちゃならない、こういう状態が起きてきたときには、これは大臣として適用していかなくちゃならぬじゃないか、現在の段階におきましては、そうした考えは持っておりません。なお、今後の推移によって考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/34
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035・日野吉夫
○日野委員 たまたま養鶏のほうに横道しましたが、農林委員会で酪農のほうを十分やったようですから、ぼくは養鶏をとったのですが、こういう事情である。いま農林委員会の決議などを拝見しますと、だいぶ含蓄のある決議をしているようですよ。ですから、やがて今日の畜産振興のたてまえと鶏戦争というような嵐の中に立たされてまいりますると、この七条適用が当面の課題になると思う。この推移について、いまここで直ちに適用するという回答は、農林大臣が来ても求めませんが、適用しなければならないところに追い込まれると思う。そういう場合は、日本の成長産業を育てる。ここで外国市場からの圧迫で産業が破壊されないような処置は当然農林省としてとるべきものであると思うのでありますが、そういう場合はひとつこだわることなく、日本産業擁護そのことが外資の節約にもなるんですよ。きのうあたりの閣僚懇談会で国際収支を改善しようという相談をしているが、これは国際収支に大きく響くのです。こういう場合に、大蔵大臣は思い切った国際収支改善、外貨節約、そして開放経済の対抗力をつけてやるために予算をあまりけちけちせずに思い切ってやられることを私は要望する。もうアメリカなどの一会社が年間に四億から五億ドルの金を使って品質改良やいろいろな計画をしているとき、日本の農林省の予算がこんなものでやっていたのではとうてい対抗できない。そしていまえさで圧迫され、製品で市場を荒らされ、これは全く立つ瀬がなくなると思うので、こういう事態をひとつとらえて、農林省と大蔵省は十分な協議を遂げて、こんなしみったれ予算じゃとても日本の畜産の振興などということは言えたものじゃないので、こういう点をひとつ配慮していただきたいという注文をつけておきますが、大蔵大臣、こういう事態に対するあなたの気持ちをここで——これはやがて追い込まれますよ。三党一致の決議ですから、そういう場合の腹がまえをひとつ承って私の質問を終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/35
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036・田中角榮
○田中国務大臣 畜産振興に対しては、政府も非常に力を入れておるところでございます。食生活の改作もありますし、とにかく輸入等をしないでいいようにまかなえるようにしなければなりませんし、特に、逆に今度は輸出ができるようにしなければならぬということでありますから、御説ごもっともでございます。二十七億に対して、畜産振興費その他を含めて三十九億予算も増しておりますし、畜産経営改善融通資金ワクも三十億から四十億、まあこんなことでは小さいのだ、こういうことでございますが、だんだんとふやしていく、こういうことでございます。
それからいまの値上げの問題でございますが、これは三党の農林委員会の決議をされたことをいまいただきまして私も読みました。読みましたが、財政当局として申し上げると、こういうことも十分検討してやっておるわけでございますから、財政当局の側もひとつ御理解になっていただいて、うまくこういう政策を推進するようにしていただきたい。
いま御承知のとおり三十二年を一〇〇としてずっと計算してみますと、飼料の値段は九八であります。それから豚肉は一七〇、牛肉は一三八、鶏卵は一一七、なま乳は一一八、それから畜産物の総合でもって一二九、そういう意味で政府施策を行なっておるために、だんだんと飼料の値段は下がっております。同時に、他のそれによって生産されるものの値は上がっておる、こういうことでございます。ですからこんなことにこだわってこれでいいのだというわけではございませんが、いずれにしても大蔵省も相当協力しておりますからこういう状態になっておる、こういうことはひとつ御理解いただきたいと思います。
それから、いまの値上げの問題、確かにわかります。一生懸命やらなければならぬときに、金額的に幾ら小さくても値上げするのはおかしいじゃないかということもわかりますが、先ほど申し上げたように、ピーターソン方式でもって計算をしておりますのと、それからフスマ等につきましてはピーターソン方式でもって計算するともっと高くなるものを安くしておるということもございます。
それから、これは全部上がるのが九億円ということでございますが、全部の輸入量は千四百億、千四百億輸入して九億の、税制の割合は〇・七というくらい、そういうものよりもあなたはもっと畜産に大いに力を入れることが国のためになるのだということでございますから、精神的にはよくわかるし、大蔵省もそういう方面に協力しておりますが、この事情は私のほうの立場にも立って十分御理解いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/36
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037・日野吉夫
○日野委員 時間がありませんから、要望だけいたしておきますが、いまの話で大蔵大臣の考え方もわかるが、それは単なる委員会の答弁だけでなしに、千四百億という外貨を割った再生産のために使わないで、国内で食いつぶしに使うということは実際もったいないじゃないですか。もう少し畜産振興のためにこの外貨を節約する。そして自給度を高めていくという方針に変えられるという場合ならば、全幅の協力をすることをお約束して、私の査問を終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/37
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038・山中貞則
○山中委員長 田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/38
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039・田中武夫
○田中(武)委員 私は、大蔵委員会へ来まして、法案について大臣に質問する光栄はきょうが初めてなんです。そこで少し基本的な点からお伺いいたしたいと思いますが、御承知のようにいま特別会計の設置が二つ、その改正が一つ当委員会へかかっております。
そこで、まず最初にお伺いいたしますが、一体特別会計というのはどういうものなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/39
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040・田中角榮
○田中国務大臣 特別会計は一般会計と経理を区分してやるほうがより合理的であり、国民のためにも非常に見やすいし、わかりやすいし、またそういうことが非常によろしいものということが財政法の規定にございますので、それを適用して特別会計をつくっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/40
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041・田中武夫
○田中(武)委員 この財政法の二条四項、それから十四条、会計法二条、また旧会計法の二条、十四条、これらを見ました場合に、いわゆる総計予算主義と申しますか、経理統一主義というのがとられているわけなんです。したがいまして会計は一般会計が基本であります。だがしかし、特別の場合に財政法十三条二項によって特別会計があることを規定しておるのです。しかしこの十三条二項の規定、これを一般会計と並列して考えてはいけないと思うのです。特別会計はあくまでも一般会計に対して特別理由があるもので、なるべく設けないほうがいいと思うのです。十三条の規定なり、いま私が申しました点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/41
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042・田中角榮
○田中国務大臣 田中さんの議論も一つの議論でございますが、法律上のすなおな議論からいいますと、第十三条
「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする。」ということでございますから、並列規定でございます。でありますから、一般会計と特別会計を区別して、特別会計はつくるべからずという規定にはなっておらないわけであります。しかし特別会計とは、次に「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」という特別会計設置の要件が法定してございますので、この要件に該当するものは特別会計にやるということでございまして、これは必要があってこの規定があるのでありますから、一般会計がもとであって、特別会計というものは一般会計に重点を置いてできるだけつくってはならないということではなく、この要件に該当することであって、一般会計と経理区分をすることが適当と認めるものに対しては、法律はその要件を定めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/42
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043・田中武夫
○田中(武)委員 並列的に考えるべきではありません。十三条二項は「限り、」ということなんです。しかも私が言っておるように、財政法の二条四項それから十四条、会計法二条、旧会計法の二条、十四条、この規定をごらんになれば総括経理主義をとっておるのです。そうでしょう。財政法のたてまえはそうじゃありませんか。総括経理主義じゃありませんか。たとえば財政法の十四条は総計予算主義の原則ということをうたっておるのですよ。いいですか。そうしますと、あくまでも財政面においては一般会計を主とする、特別に必要なときに限って一定の条件のもとに特別会計は許される、そう読むべきである。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/43
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044・田中角榮
○田中国務大臣 私は法制局長官ではございませんけれども、法律はたくさんつくってもおりますし、法律解釈に対しては趣味もありますので勉強もしておりますが、この財政法の規定を見まして、一般会計優先ということは考えられないわけであります。これは国会に対しましても二院制度であって、法律では確かに衆議院を先議院とする、国会の議長は衆議院議長をもって当てるということでありますが、憲法上二院制度をとっており、衆参両院は対等の法律上の要件を持つものであると同じ考えでございまして、財政法において一般会計を主にし、特別会計に対してはこれを従とするというような法律規定はないわけであります。ないわけであるばかりではなく「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする。」こういうことであります。ただ特別会計というのは御承知のとおり要件があります。特定の財源、特定の歳出、こういうことでありますので、そういう意味で特別会計に対する要件を左に規定しただけでありまして、一般会計及び特別会計が主従の関係に立つものであるというような考え方は、法制上どうしても読めない、このように考えます。
それからもう一つの問題でありますが、後段の御発言は、これは歳入歳出というものを差っ引きして、歳入があったけれども使ったから、その差額だけを計上するということをしてはならない。歳入は全部歳入として計上し、支出はあらためて項を立てて歳出をしなければならないということを規定したものであって、特別会計というものは原則的につくるべきものではないというのではなく、私はより積極的にこの条文がある以上、この要件に該当するもので、より合理的なものは特別会計をつくるということに解釈すべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/44
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045・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど憲法の二院制度をもって答えられましたが、これは筋違いであります。あなたはもちろん大臣であって法制局長官ではありません。だがしかし、大蔵大臣がそんな考え方を持ってもらっては困ります。それではお伺いいたしますが、旧会計法、戦前の会計法はその三十九条で特別会計は「須要二因り」設置するとなっておるのです。必要に応じて設置するたてまえを旧会計法は持っておった。ところが今日の新しい財政法によると、まず経理統一主義をたてまえにしておるのです。そうして十三条二項によって要件を与えて、これに限り置くということは、あくまでも一般余計が主であり、特別会計は特別な場合に設置する、そういう考えを持ってもらわなければ困る。もし大臣がいまのようなそういう考えであるとするならば、法制局長官あるいは財政法等の行政法に十分な権威を持つ人の悪見を聞きたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/45
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046・田中角榮
○田中国務大臣 法制局長官でも私と同じ解釈をいたすと思います。これは法律は全世界で統一した解釈があるわけでございますから、あなたが言われるその解釈のほうが正しいというわけには私は承認できません。少なくともこの財政法の規定において一般会計と特別会計を併記してあります。ただ特別会計をつくる場合には、一般会計でなければならないものに対して特別会計をつくってはならぬということは、それは確かにそのとおりでございますが、左の要件に該当するというものについてこの条件に適合する特別会計をつくるということは、一般会計を主に考えて、一般会計よりも特別会計というものは相当狭義に解釈すべきものだというふうには考えられないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/46
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047・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど言いましたように法律論争は避けたいと思うのですが、あなたがそう言うから言うのですが、旧会計法の三十九条の規定、これが財政法十三条二項の規定に変わったとこう見ますと、意義が違いがあるのです。一方は「須要二因り」必要があればいつでも置けるという書き方だったのです。ところが新財政法十三条二項はその要件をしぼっておるのですよ。しかも先ほど来私が述べておりますように、財政法の二条とか十四条とかあるいは会計法の二条、これは明らかに総括経理主義、予算一括主義というものをとっておるわけなんですよ。したがいまして、あくまでもできるだけ一般会計でやるべきであって、特別なとき、こういうことに限って特別会計を置くのだと解釈すべきである。したがって特別会計はなるべく置かないようにするのがいい、そういう上に立っておるのです。それは大蔵大臣の考え方といいますか、解釈は間違っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/47
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048・田中角榮
○田中国務大臣 どうも、間違っていますときめつけられても、はいそうですかというわけにはいかないわけです。一般会計及び特別会計とすると十三条に明文があるわけであります。一般歳入で一般歳出を規制するものが一般会計でございます。がしかし、政府は適当に特別会計をつくるのじゃありません。国民のために一般会計よりもよりよかれ、経理区分をすることが明らかであって国民のためになるという場合には特別会計をつくっておるわけであります。この特別会計をつくる法的根拠は十三条の二項の規定を基本として準拠法があるわけでありますから、一般会計でもってやるほうがいいという場合は、一般会計に当然入っておるわけであります。一般会計の中からはずして特別会計にしたほうがいいということになれば、この準拠法がちゃんとあるのですから、これは何ら問題ではない。だから、食管特別会計とか、たくさん特別会計はできたわけであります。それはみな理由があってできたわけであります。ですから、一般会計の中で全部やれるものであるならば、それは何も問題はないわけでありますが、一般会計でもってやるよりも特別会計にやったほうがより国民のためになるという、必要があるからこそ、この条文を置いたのでありまして、一般会計が主であって、特別会計というものは絶対につくってはならない、できるだけつくらないのだ、そういうふうに断定をするわけにはいかない。左の要件に適合し、国民のためになる場合は、法律要件を備えておれば、特別会計をつくることは、一般会計の中に置くと法律的には同じ状態である、このように解すべきであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/48
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049・田中武夫
○田中(武)委員 つくってはいけないと言ってはおりません。十三条一項の規定は、国の会計は一般会計と特別会計に分かれるということをうたっておるわけなんです。そして二項で、特別会計を設けるときの要件をしぼっておるわけなんですよ。しかも先ほど来言っておるように、二条とか、十四条とか、会計法二条等を見ました場合に、新財政法は戦前の旧会計法よりかもつとシビアーに特別会計というものを考えている。これはだれが見たってそうですよ。旧会計法の三十九条と現在の十三条二項をよく読んでごらんなさい。あなたの言うような解釈は出ませんですよ。それはあなたは勘はいい。大蔵大臣としてはまあ合格点ですよ。しかし法律はあまり知らぬ。つまらぬところで意地を張らぬほうがいいですよ。この法文を見て、並列だとか、何ぼつくってもいいというような考え方を持ってもらっては困ります。あなたは、経済のことだと大蔵大臣としては優等生かもしれぬ。しかし法律の解釈はここでかぶとを脱ぎなさい。脱がなければ、あなたは恥をかきますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/49
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050・田中角榮
○田中国務大臣 もう少しわかるように御質問していただけませんか。あなたがいま質問をされておるのは法律論でもって御質問をいただいておりますから、法律的にお答えをしているだけであります。あなたが言われようとするのは、第一段、前段に私から、あなたの御意見のとおりでございます、できるだけ一般会計でもってやって、やむを得ないものに限るべきでありますと、こういうことを前提として御質問しておられるようでございますが、法律上十三条において、一般会計と特別会計がいずれが優先するかという議論は、この規定からは出てまいりません。これは絶対出てまいりません。一般会計及び特別会計とする、その前段の法制を見ますと、その第一章財政総則において財政法の趣旨として、「国の予算その他財政の基本に関しては、この法律の定めるところによる。」という覚書規定があるわけであります。そして、その条項をずっと受けて十三条に一般会計及び特別会計ということがあるのでありますから、これに優劣をつけようということは、常識論であれば優劣はつけられますが、法律論として優劣をつけるということはできないわけであります。これは法律上優劣をつける場合には、当然一般会計をもってやるを原則とする、ただし左に該当する場合は特別会計を充てることができるという規定は、これは法制上あります。明らかにこういう法律条文は区分をしているわけでありますが、財政法には通してそういう規定はございません。いま飼料需給安定法の問題が出ましたが、その中に条文がずっとあり、同時に末尾にもう一条ありますが、前段の条文と後段の条文に優劣をつけるということは法律論としてはないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/50
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051・田中武夫
○田中(武)委員 前段の条文と後段の条文とにおいて優劣があると言っているのではないのです。まず財政法のたてまえは経理統一主義ですよ。いま言っているように、何回も言うが財政法の二条四項、それから十四条、法の二条等をごらんになったらわかります。そこで、あなたは勘がいいので、私の言わんとするところをそうだろうと言われた、そのとおりなんです。私は法律的からいってなるべく特別会計は置かないほうがいいのだ、しかし置く必要のあるときには十三条二項でいう条件を揃えた場合に置くのだという読み方、したがって私は特別会計をみだりにつくっていくことはよくないという上に立っておるのです。どうでしょうか。
それからもう一つ、さっき言ったように旧会計法三十九条、これには必要に応じて置くという書き方をしておったのを、財政法十三条二項では要件を二つあげておる。このこと自体が新しい財政法は特別会計ということについて戦前よりかシビアーに考えておる、こう解釈すべきであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/51
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052・田中角榮
○田中国務大臣 戦前の場合は確かにあなたがいま言うように一般会計優先で規定しておりますが、戦後はそのような状態よりも、より一般会計及び特別会計をもってやるというほうが時代に即応するという新しい観点に立って、新しい時代の要請に従って新財政法はつくられたわけでございますから、旧憲法時代のいわゆる天皇主権当時のものよりも、主権在民になってこういうほうがより国民にわかりやすいということでこういう規定になったわけですから、新財政法の規定に準拠してやるべきだという考えでございます。また前段の、一般会計を主にして特別会計はなるべくつくらないほうがいいのだという議論はどうしても生まれてこないのであります。これはかってにやっているわけではないのです。国民のために、よりこのほうが財政経理のためにはいいという状態のときに特別会計をつくるわけであります。いままで特別会計はたくさんつくっておりますが、これはみな一般会計の中に置くよりもそのほうがよりいいという考えの場合につくっておるわけでありまして、法律要件に適合した特別会計をつくることは——私は狭義に解釈をしてできるだけ一般会計の中に置くべきだという考え方にはどうしても納得できないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/52
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053・山中貞則
○山中委員長 質問者の田中君、法制局にここでちょっと発言させます。古國法制局第三部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/53
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054・吉國一郎
○吉國政府委員 私途中で入ってまいりましたので、大臣と田中委員との質疑応答をずっと聞いておりませんので、あるいは的をはずしたことをお答え申し上げるかもしれませんので、その際はあらためて御質疑いただいてお答え申し上げたいと思います。
まず旧会計法と新財政法との関係でございますが、田中委員の御質疑の中では、旧会計法においては特別会計の設置は財政法よりも容易にできるような規定であったのにもかかわらず、財政法の十三条においては一定の場合を限っておるのではないかという御趣旨でございます。まさに新財政法の十三条二項はこの特別会計を設置すべき場合を限定していることはお説のとおりでございます。しかしながら、旧会計法におきましては本来一般会計を原則にいたしまして、その附則におきまして先ほど来お話のございました第三十九条において「特別ノ須要二因リ本法二準拠シ難キモノアルトキハ」という要件を規定しております。この場合「特別ノ須要」という非常にむずかしい字を使っておりまして、単に必要があるという程度ではだめである。「須」という字を使いまして「須要」という字を用いておりますが、そのような非常に重要な要求があるという場合に、本法によりがたいような場合に限って認めるのだという趣旨は、旧会計法においても読み取れるわけでございます。これに反して財政法におきましては、第十三条におきまして頭から「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする。」ということを第一項にうたいまして、旧会計法におきましては、きわめて例外的な場合として附則で規定いたしました特別会計を、本則で一般会計のほかに特別会計があるということを明らかにいたしまして、その第二項におきまして、先ほど来お説のございます三つの場合をあげて、この場合に限っては特別会計を設置することができるのだといっております。したがいまして、この片方の見方をいたしますと、非常に限定された三つの場合に限って置かれるという意味では限定的でございますが、また半面から申しますならば、そのような三つの要件のいずれかに該当する場合には特別会計により得るのだということを、いわば本則をもって明らかにしたという意味では、財政法のほうが旧会計法よりもその点は一歩進んでいると申しますか、あるいはどう申しますかわかりませんが、三つの要件に該当する場合には特別会計は置けるということを明らかにしているわけでございます。大臣の御答弁はその点を強調なさったものと私は了解しております。大体法制局といたしましてはそのように考えまして、今回の特別会計の設置も、この第十三条第二項の三つの場合のいわば第三の場合に該当するということで、財政法の趣旨にも十分合致していると思って、かような立案をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/54
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055・田中武夫
○田中(武)委員 具体的にこの特別会計が十三条二項に合致するかどうかは、またあらためて後ほど伺います。いま言っているのは、あくまでも国の会計は一般会計が主であって、特別会計は特別な要件のもとに限って置かれるものである、そういう観念が大臣にはないようであります。したがってその点だけを明らかにしたいのです。法制局はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/55
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056・吉國一郎
○吉國政府委員 先ほどお答え申し上げました点の中に私は申し上げたつもりでございましたが、ことばが足りませんので重ねて申し上げますが、第十三条の第二項におきまして、国が特定の事業を行なう場合が第一、それから特定の資金を保有してその運用を行なう場合が第二、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入、歳出と区分して経理する必要がある場合、この三つのいずれかの要件に当たります場合には特別会計を設置することができるということを財政法は認めておるわけでございます。その要件に当たります場合でございますならば、当然一般会計のほかに特別会計は置けるわけでございますので、法律の上からいたしますならば、いずれが原則であり、いずれが例外であるということはございません、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/56
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057・田中武夫
○田中(武)委員 そういうことを聞いているのじゃないのですよ。財政法のたてまえは統一的経理主義をとっておる。これは争えない事実だと思う。あるいは先ほど来何回も言っていますが、財政法の十四条は総計予算主義の原則というのをうたってあるのです。したがって財政法はあくまでも大原則としては統一的経理主義なんですよ。しかしそうは言っておれぬから、節十三条二項において要件を三つあげて、これに該当するときには特別会計を置くことができる、こうなっておるのです。したがって私は、特別会計を置いてはいけない、置けないとは言っていないのですが、読み方としては、できるだけ特別会計は少ないほうがいい、これが財政法なり会計法あるいは旧会計法等を貫く精神である、そういうように言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/57
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058・吉國一郎
○吉國政府委員 私どもといたしましては、先ほど来のお答えを繰り返すようになりますけれども、おのおの三つの要件が備わる場合には……(田中(武)委員「財政法は統一財政主義をとっていないのか」と呼ぶ)単一会計主義には必ずしも徹していない、特別な場合には特別会計をもって経理することがあるということを財政法は認めておると私どもは考えておるのでありまして、単一会計主義の原則に徹しておることはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/58
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059・田中武夫
○田中(武)委員 どうも私は、できるだけ特別会計は少ないほうがいい、そういうのが財政法のたてまえである、こういうように解釈します。これは私が先ほど来あげている条文を読めば、それに間違いないと私は断言します。これだけ言っていてもどうかと思いますから、この点についてはもうおいて次に進みますが、十三条二項は置けるとは言っているのですよ。置けぬとは言っていない。しかしあくまでも統一的経理主義というのが財政法を貫く精神なんですよ。だからできるだけ特別会計は特別の場合に限って、要件をしぼって認められておると解釈すべきである、こう主張しておるわけなんです。法律のたてまえがそうなんです。そこを並列的に見て、一般会計も特別会計も一緒だ、何ぼでもつくっていいという考え方ではどうかと思うのですよ。それはあくまで狭義に解すべきである、特別会計はできるだけ少ないほうがいい、そういう主張なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/59
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060・田中角榮
○田中国務大臣 あなたの言うこともよくわかりますが、それは常識的にいままでの長い明治時代からの会計、財政の過去をずっと振り返ってみますと、一般会計優先主義でもって旧会計法、財政法がきたのでありますから、そういうことは言い得ると思いますが、純法律論から言いまして、現行法の規定で特別会計と一般会計のいずれが優先するかという議論は、法律解釈としては出てこない、こう思います。これはだんだん世の中が複雑になってまいりますと、一般会計が中心であるという気持は、あなたが言わなくてもいままで長いことそうであったのですが、しかし新しい事態に対処して法律を改正していきますと、一般会計及び特別会計をもってやる。もう一つまた別の法律が出てくるかもわかりません。実際の状況に対応していろいろの改正が行われるのでありますから、百年一日のような考え方、いわゆる旧財政法、会計法の考え方が新しい財政法にも貫いておるという考え方で法律上の解釈論というものを考えるわけにはいかないのであって、少なくとも一般会計及び——及びがついているのだから、一般会計が主であって特別会計はつくってはならぬ、こういう議論にはならぬのでありまして、本則に「一般会計及び特別会計をもってする」——国会議員とは衆議院議員及び参議院議員をもってすると同じことであります。だから、純法律論としてこれに差をつけるということは、私はどうしてもできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/60
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061・田中武夫
○田中(武)委員 この点についてはまたあらためて専門の人の意見も聞く、こういうふうにいたしたいと思いますが、あなたは、いま法律論ではないが常識論としてと言うが、私は法律上と言っているが、そこが違うのだが、みだりに特別会計はつくらないほうがいい、このことについてはお認めになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/61
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062・田中角榮
○田中国務大臣 まあ、みだりにというよりも、法律要件を変えてつくったり、また、法律要件を曲げて解釈してつくったりしてはいけません。この法律要件に適合することであって、一般会計と分離をし、明らかに特別会計として区分をしたほうがより国民のためになるという場合は、特別会計をつくるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/62
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063・田中武夫
○田中(武)委員 大蔵大臣、けっこうです。ともかく基本的な考え方で食い違ったんですから、それの上に立ってのあとの議論も食い違ってくるだろうと思うのですが、とにもかくにも、十三条二項によって、特別会計を設置するときには、特別な要件をあげておる。そうして、特別立法をもってやるべきであるということを明らかにしておる。そこで、特別会計をつくるときは、やはり法律によるわけです。大蔵省、現在特別会計の法律は幾つあるか御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/63
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064・相澤英之
○相澤政府委員 四十一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/64
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065・田中武夫
○田中(武)委員 去年まででね。現在この法律を除いて四十一ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/65
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066・相澤英之
○相澤政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/66
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067・田中武夫
○田中(武)委員 それのうち、各省に分けてのなにはやっていますか、大蔵省関係が幾ら、運輸省関係が幾ら、それから、もう一つの考え方として、いま三つの要件というような話もありましたが、この特別会計の性格に従って、たとえば事業特別会計、管理特別会計、融資特別会計、整理特別会計、特殊行政特別会計というように分かれると思うのです、一口に特別会計といっても。その性質に従っての分類と、各省所管の分類ができていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/67
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068・相澤英之
○相澤政府委員 四十一の特別会計のうち、大蔵省所管が十一、大蔵省及び自治省所管が一つ、文部省所管は今回の国立学校が一つ、それから厚生省所管が八つ、農林省所管が十、通商産業省所管が四つ、運輸省所管が四つ、郵政省所管が四つ、労働省所管が二つ、建設省所管が二つ、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/68
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069・田中武夫
○田中(武)委員 その性質別……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/69
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070・相澤英之
○相澤政府委員 この特別会計の区分でございますが、財政法の第十三条に、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り」、と、この三つの場合をあげておりますが、この規定に基づいてつくられました特別会計の種類、性質による、区分につきましては、法律上には規定はございません。したがいまして、学者あるいは関係者によりまして、いろいろな区分がつくられております。したがいまして、一がいにどのような区分に基づいて、標準に基づいて、区分するかという点に関しまして、実は定説がございません。しかし、大体におきまして、三つのタイプに区分して申し上げますと、まず、第一のグループが、特定の事業を行なう場合でございまして、このグループに属しますものが——これは私どもの局内でかりにつくっております区分によっておりますが、これによりますと、第一のグループに属する特別会計の中で、いわば企業的なもの、これに、印刷局、造幣、国有林野、アルコール専売、郵政、いわば企業的なもので、五現業の五特別会計。それから、保険事業の特別会計十四、公共事業が四つ、行政的事業が六つ、融資事業が二つ、これがいわば第一のグループの事業会計になるかと思います。第二のグループの、資金運用ですが、これが四つ、それから、第三のグループの整理区分会計、これは八つ。そのほか、先ほども申し上げましたとおりに、各学者の方々で他の分類をとっておられる方もございますが、省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/70
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071・田中武夫
○田中(武)委員 私がなぜこういうことを伺ったかというと、私は、特別会計が多過ぎるという上に立っておるわけなんです。この特別会計というものは、一般会計から独立をして、そうして一つの企業体のような働きをするわけですね、前に私は、予算委員会かこの委員会だったかにおいて、特殊法人が多過ぎるということを言ったわけです。ところが、特別会計も、もちろん法人ではありませんが、実際面においては、特殊法人と同じような作用をするわけですね。そういうものがあまりにも多過ぎやせぬか、こういう観点に立っておるわけなんです。これは、大臣がいないですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/71
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072・中尾博之
○中尾政府委員 財政の精度でございまするから、国の基幹的な制度であるわけで、その取り扱いについては、きわめて慎重でなければいけない、法律論以前の問題といたしまして、そういう考え方は一貫して世間に行なわれておりまするし、大臣以下私どももそういう心がまえで立案に当たっておる次第でございまして、そういう意味におきまして、ただいまの御質問の御趣旨は、十分に私ども理解しておる次第でございます。
なお、明治会計法に比べまして現在の会計法が、たいへん例示をあげ、その他詳しくなっております。こういう場合に限るという範囲におきましては、取り扱いとして同様に考えております。その際、現実に、この特別会計が多過ぎるという御批判でございます。しかし、これはいずれも、その法律上の要件を満たすことはもちろん、それによって得られまするところの行政的な便益というものを考えまして、やはり財政は、その基本的な制度ではございますが、一方、行政というものを十分伸ばしていく、ぐあいがよければ結局は国民の利益になるという見地から考えておりまするので、諸般の行政が、近年非常に分化いたしておりまするし、それぞれが財政活動として大きなボリュームになりまして、特殊なそれぞれの性格に基づいた事業が行なわれておる次第でございます。これらにつきまして、それぞれの角度から正確に御批判も願い、御審議もいただく、しかも、実行にあたっては、その仕事を伸ばしていけるという見地から、これをつくっておこうという立場から申しますと、多過ぎるという御批判もあるいはあろうかと思いまするが、私どもといたしましては、必要やむを得ざるものを実情に応じてつくっておる次第であります。一方で特別会計を設置いたしまする努力はもちろんいたしておりまするが、常時、現在ございまする特別会計の実情というものは検討を加えまして、いやしくも、すでに設定の趣旨がもうだいぶ変わってきたというようなものがございます節には、今後も遅滞なく検討いたしまして、整理をいたすつもりでおります、
現在のところ、御審議をお願いしておりますところの四十一会計、いずれも必要なものといたしておる次第であります。御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/72
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073・田中武夫
○田中(武)委員 もちろん、十三条二項の要件を満たさないものは特別会計として置いていないと思います。したがって、要件を満たした、こう解釈して設置せられたと思うのですが、とにもかくにも私は多過ぎると思う。これは大蔵省は各原局といいますか、各省に対して一般会計の膨張を防ぐために、できるだけ理由をつけて特別会計を押しつけるという傾向があるのじゃないですか。それともう一つは、先ほど言ったように、特別会計というものは一般会計から独立をして別個の働きをするわけなんです。それが法人でないという点は違います。特殊法人ではない。したがって民法上の人格はありません。だがしかし、実際は法律と同じような働きをする。その中に行政の企業化、できるだけ行政を企業のごとく持っていって、そして独立採算制をとらそうという大蔵省の考え方、こういうものがあろうと思うのです。われわれが一番警戒しなければならないことは、この行政の企業化的な傾向、これに対して批判をいたしておるのであります。大蔵大臣、ちょっと中座しておられましたが、私は特別会計が多過ぎる——現在四十一あります、多過ぎるというたてまえをとっておるわけなんです。その考え方は、一つはなるべく一般会計、いわゆる予算の膨張を、何と言いますか、ごまかすために特別会計へ持っていこうという傾向、もう一つは、先ほど言った行政の企業化、当然一般会計で行政としてやるべきことを特別会計へ持っていくことによって一つの企業のごとく取り扱う、この傾向が大蔵省にある、こういうことを言っておるわけなんです。その傾向は地方にもうつりまして、当然やらなければならない事業等を何々事業団だとか、こういう名前をつけて手数料を徴収する、こういうような方向へ持ってきておる。私はこの考え方を批判したいのであります。特別会計を置くときには、十三条二項の要件を満たすことは当然でありますが、あなたのいま言われましたような考え方は、結局は特別会計を押しつけていく、これは一般会計の膨張をごまかすためである一つは行政を企業化していく、こういう考え方があると思いますが、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/73
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074・田中角榮
○田中国務大臣 一般会計の膨張を阻止する理由は何もないわけであります。国民から、もっと金を出せ、もっと金を出せと言われておるのですが、これだけしかないのですといつでもお断わりしていなければならない大蔵省といたしましては、一般会計が大きくなって一向差しつかえありません。こういう問題は一つもございません。一般会計のワクを小さくするために特別会計に追い出すという、よくいわれる議論でございますが、そんな議論はそういうことのみを考えておられる人が言うことであって、われわれは全然考えておりません。それはひとつ、よく御理解いただきたい。
それから、特別会計になぜするかということを考えていただければいいわけであります。一般会計でもってすべてまかなうということは、これはやはり時代の変遷によって相当違ってきたのです。明治初年のように、国が全部やらなければいかぬというようなときは、それは確かに一般会計主義でありました。いまでも低開発国は大体そうです。しかしこれからだんだん世の中が複雑になってきて、より合理的な行政を行なうために特別会計にしたほうがいいという場合に特別会計にするわけです。特別会計だけではなく公社になっておるものもあるのです。ただ特別会計ではなくて、時代の変遷で、一般会計でもってやるもの、これは政府が渡しっ切りになるものですが、より企業性や、より弾力条項を発動したいものは特別会計になり、特別会計から三公社ができておる。三公社から特殊法人があるのです。特殊法人から何ができるかというと、御承知のとおり民間になるわけでございますから、民間と一般会計との間に、そうすることがより合理的であり、国民負担も軽減され、またその能率的に考えても合理性を有するという場合に特別会計制度、三公社制度、こういうものが時代の変遷によってだんだんとできてきておるのでありますから、私はこの特別会計がむやみに悪いんだ、こういう考え方ではないわけであります。そういう意味で、やはり新しい施策、新しい時代の要請というものにマッチをするように財政法も改正せられておるわけでありますから、そういうことをひとつよくお考えいただきたい。五現業というものが、郵政現業というようなものが一般会計で一体やれるのか、一般会計でずっと長いことをやってきたわけですが、しかし郵政現業になった。同時に専売や電電、国鉄、これをいま一般会計に返せといったところで、これを鉄道省などに返すことでなく、やはり三公社のほうが、いい、三公社よりもより前進的なものは民営にできないかという議論はありますが、鉄道省に戻せという議論はないわけであります。一般会計に戻せという議論はないので、時代の要請によってだんだんと法制も整備されてきておりますし、大蔵省もそういう意味で一般会計に置かなければならないものを特別会計に追い出すというのではなく、特別会計にすることがより国民的でもあり、合理的であるというものに対して、そういう制度を採用しておるわけでございますから、その間の事情は、十分理解いただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/74
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075・田中武夫
○田中(武)委員 大臣あまり答弁をはぐらかしてはいかぬ、私は郵政現業の問題とか、国鉄をいっているのではありません。もちろんこれも行政の一つかもしれません。今日大かたの傾向として、中央、地方にわたっていわれることは、行政の企業化、当然行政としてやるべきものを特別会計なり特殊法人をつくってやる。先ほどあなたはいみじくも同じようなことを言いましたが私も特別会計はやがて特殊法人に発展すると思うのです。これは自治体におきましても、当然自治法で規定されておる行政を、たとえばし尿処理とか、そういったものまでも結局特別会計だとかあるいはまた特殊法人をつくって——自治体のやつは特殊法人てはありません。名前は事業団等とつけております。いわゆる民法上の法人か何かでしょう。そういうものをつくってそこで独立採算制ということをとっていこうとする、そこに取らなくてもいい手数料を取る、あるいは手数料をだんだん上げていく、これが大臣の言う時代の趨勢でありますか。
もう一つ、これは大臣よりもあるいは法制局かもしれませんが、この特別会計で融資証券が発行できる特別会計もあります。あるいは一時借り入れ金、この特別会計にも一時借り入れ金の制度があります。こう見てきたときに、法人という人格の点を除いたら特殊法人と同じような活動もしておる。それからもう一つ、大臣はいま一般予算のワクの膨張を防ぐという意味はないと言うが、あなた商工委員をしておったときに競輪の特例をつくったでしょう、特輪法というやつを。あれは一兆円のワクに、予算を押えるために、トンネル勘定で、別にしたのでしょう。あなた一緒に商工委員をしていたときですよ。この四十一の特別会計の中にも、たとえば地方交付税の何とかいうやつ、あれはトンネル勘定でしょう。交付税及び譲与税配付金特別会計ですか、これはトンネル会計でしょう。そうじゃないですか。以上三点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/75
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076・田中角榮
○田中国務大臣 前段のお話で、地方自治体等が一般会計でやるべきものをいろんなことをやっておる、こういうことはよろしくないという御発言に対しては同感でございます。御承知のとおり地方分権制度が域後確立されて十九年でございますから、やはりそういうものは地方の問題でございまして、これは政府もそういうことのないように大いに行政指導をするということはあると思います。
第二の問題で、いま私がいろいろあなたの御質問に対してオウム返しに答える、それに対して派生的な議論が生まれてきているようでありますが、私が商工委員長時代にそういうことがあったかどうか、私は競輪に関することはあまり趣味がないのでよく覚えておりませんが、しかしその場合も一兆円に押えたいからやったのではないと思います。やはりしかるべきものがあったと思います。
戦後非常にたくさんできておると田中さん言われますが、戦前は五十幾つあったのです。そして戦後は非常に少なくなったのです。ですから私はそういうことを開き償って申し上げるわけでございませんが、戦前の小さな財政のときでさえも五十もあったものをだんだん小さくして、ようやくいま四十幾つということでございますから、しかもこうして審議をやっていただいておるので、戦後でたらめになっておるというようなことではなく非常にまじめになっておる、しかも主権主君から在民に転向しただけ十分に威儀を正しておるということをひとつ御理解いただきたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/76
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077・田中武夫
○田中(武)委員 戦前に五十あったかどうか、私は戦前のことは知りません。しかし先ほど来議論しておるように、法律の立て方が違っておるということは言えると思うのです。あなたは知らないと言うが、俗に特輪法というのはそうだったのです。これは一兆円予算をつくるのだということで、それを入れると一兆円こえるので、一般会計を、公約というか方針の範囲内に置くためにトンネル会計をつくったことがあるのです。今日あなたが大蔵大臣になってからはそういうことがないかもしれませんが、特別会計の中でもそういうトンネル会計があるわけです。その中をただ通すだけのトンネル会計があるわけです。いろいろ形態はあります。しかしやはり考え方のどこかに行政の企業化ということ、独立採算をとらしていくのだということ、そういうところにやはり手数料が値上げにな原因があるわけなんです。この法律がそうなんです。検査手数料を上げる、それを機会に特別会計にしようということは独立採算制をとっていこう、こういうことになるわけです。
そこで、これは委員長にお願いしておきますが、こういう議論をやっておっては次に進みません。次に進みたいと思うので、法律と別に特別会計のことについて、大臣の考え方の蒙を開くために、一ぺん大蔵大臣とじっくりやらしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/77
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078・山中貞則
○山中委員長 田中君、いずれ機会を見てそういう議論も委員会の運営の中へ持ち込みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/78
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079・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、大蔵大臣にここで一つ警告しておきたいことは、何度も言っておるように、行政の企業化という考え方に立って特別会計をつくってもらっては困る、そういうことだけは強く要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/79
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080・田中角榮
○田中国務大臣 言いっぱなしの御要望ということでございますが、非常に重大な問題でありますのでお答えしておきます。
行政に対して一般会計でなければいけないということは、先ほども申し上げましたとおり、日本の明治、大正から議論があったのです。だからいま世界的に見ても、低開発国は大体みんな一般会計が主なんです。ところが時代の変遷に伴いまして、一般会計よりも特別会計や三公社のような制度に移行していくことが好ましい、そのことが国民の負担を軽減することであり、かつまた経理区分が明らかになって国民のためになるということも、そういう時代の要請というものを無視するわけにはいかないのであります。日々これ前進をしなければならぬわけであります。そういう意味で特別会計や三公社のようなものになって行政が、企業に移っていくということに対しては、これは行政でもってある時期国民の税金をもってまかなっておっても、これを打ち切ってしまうまでの間には、どうしてもまだ何らかの方法をとらなければならないという問題もありましょうし、一般会計は国民の税負担であります。ある特定の人の利益を守るために、一般財政を使うよりも、特定の人から料金等を徴収して特別会計をもってまかなうほうが、より国民のために負担の軽減になるという場合には、特別会計に移行するわけでありますから、これは個々のケースで国民の皆さんにいいということを、政府もお互いにやらなければならないことでありますから、いやしくも国民のためにならないようなことは絶対にいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/80
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081・田中武夫
○田中(武)委員 国民のためにならないことをやっておるとは言いいませんが、やはり特別会計には一つのルールがありますから、それを十分に守ってもらいたい。
そこで運輸大臣が見えておりますので、具体的な法案の質問に入りたいと思います。
この自動車検査登録特別会計法案ですが、一方では検査手数料を上げる法律案が運輸委員会に出された。たとえば二輪小型自動車の横香料がいままで百円のものを百五十円にするとか、二百円を三百円にするとか、三百円を四百円にするとか、こういう改正が行なわれ、これを機会に特別会計にするということですが、この第一条の設置のところには、経理の明確化ということになっておるのですが、経理を明確化するだけでこの特別会計を置くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/81
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082・綾部健太郎
○綾部国務大臣 先ほど大蔵大臣が御説明申し上げましたように、どうすることが国民のためになるか、しこうして健全に国民のためになるように推進していけるかということを考えましてやった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/82
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083・田中武夫
○田中(武)委員 国民のためになるということは当然ですよ。国民のためにならないのに法律をつくるというようなばかな政府はないと思うのです。それは当然ですよ。この特別会計を設ける根拠、理由、それを財政法十三条二項と関連して説明をしていただきたい。この第一条には、経理の明確化だけしかうたっていないわけです。だからただそれだけの理由かということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/83
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084・綾部健太郎
○綾部国務大臣 これを特別会計にいたしまして、車の非常な増加に伴いまして検査その他がおくれがちであるので、それを早く改善いたしまして国民の利便をはかる、こういう趣旨でこの制度を設けたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/84
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085・田中武夫
○田中(武)委員 どうも運輸大臣ぴんとこないようですが、先ほど来議論しているように、十三条の二項に特別会計を設けるときの三つの要件が規定してあるわけです。この第一が事業を営むということで、検査を事業と見ているのかどうかということ、さらに十三条第二項の事業とはどういう解釈を下すのか、ここを聞いておるわけです。十三条二項の三つの要件のどのうちに入るのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/85
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086・綾部健太郎
○綾部国務大臣 十三条のいま御指摘のような部類全部が入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/86
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087・田中武夫
○田中(武)委員 全部が入ると言いますが、三つの要件について、この法律の特別会計の、どういう点がどれに該当するかということをひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/87
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088・綾部健太郎
○綾部国務大臣 収入をもって支出に充てるということで、私はこの制度によることがいいと考えております。
それから、いまいなかのほうにおいて車検の登録がおくれる、検査がおくれるということの非難がごうごうといたしておりまして、その非難にこたえて、これを早くやって、公衆の便宜をはかりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/88
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089・田中武夫
○田中(武)委員 この十三条の三つの要件は、一つは事業を営むこと、一つは特別の財産を保有すること、もう一つは特別の収入をもって歳出に充てる、この三つを規定しておるわけですね。さっきあなたはこの三つの全部に該当しておると言ったのでしょう。十三条二項でいう事業とはどういう観念の上に立っておられるかということです。運輸省は自動車検査を一つの事業と考えておられるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/89
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090・綾部健太郎
○綾部国務大臣 いろいろ御意見はあるようですが、大体三つのうちの第三に私は該当するものと思っておりますが、いずれにいたしましても事業という定石によりまして、これはなかなかむずかしい問題でございまして、事業とは何ぞやといえば、検査をすることも私は事業だと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/90
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091・田中武夫
○田中(武)委員 最初は三つの要件に全部該当しておると言った。いまはそうじゃなしに、三つ目の特定の収入をもって歳出に充てる、これだとお答えになって、しかもまた一に戻って事業といえば、事業と言えぬことはないと言われたと思うんです。輸運省は自動車検査を事業と考えておるのですか。事業とは一体何んです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/91
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092・木村睦男
○木村(睦)政府委員 大臣の説明を補足いたします。
自動車検査は、厳密な意味では行政でございます。ただ事業的な面が事実上はあるという意味でございまして、これはこの行政が非常に技術的なものでございますので、そういう意味で車がふえるのに対応しまして業務量がほとんど並行してふえるというふうなことから、事業的なものという意味を申し上げておるので、法律上は行政でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/92
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093・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、まずこの特別会計の設置というのは三つのうちの最後のほうで、ただ特定の収入をもって歳出に充てるためだ、こう理解していいのですね。そのことは自動車検査行政というものを一つの事業化せしめる、独立採算制でいくのだ、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/93
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094・木村睦男
○木村(睦)政府委員 特別会計の類型からいたしますと、ただいまお話しのように第三番目に該当するわけでございますが、この三番目の特別会計に該当するからと申しまして、決してこれを事業化していくという考えではございません。御承知のように手数料の収入をもって、これを全額今後の日勤車検査に関する施設の整備あるいは拡充等に充てたい、こういう趣旨から第三の特別会計にお願いしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/94
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095・田中武夫
○田中(武)委員 ということであるのに、大臣は、決裁しながらわからないと言ったのですね。結局は私が言っているように自動車検査も行政であります。ところがその行政を一つの事業化しているという傾向があることはいなめません。それだけ申し上げておきます。
この十一条に「この会計の負担において、」とあるが、この「会計の負担」というのはどういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/95
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096・中尾博之
○中尾政府委員 十一条は一般の特別会計の例文でございますが、この会計のそのものの財源において償還いたすべきものといたしまして一時借り入れ金をし、あるいは国庫余裕金の繰りかえ使用をすることができる、こういう規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/96
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097・田中武夫
○田中(武)委員 これは私は法制局の吉國君とはいつもやったのですが、これは例文でございますが、承知できないのです。これが例文だから、前にもあったからその例をとる、こういう答弁は承知できないのですよ。ではこの場合「この会計の負担」ということは、借り主はだれ、借用証を書くとしたら一体だれの名前で書くのです。これはどこから借りて、そして借用証書を入れるのはだれが書くのです。「この会計の負担」といって、特別会計は法人じゃありませんよ。権利義務の主体たり得ますか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/97
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098・中尾博之
○中尾政府委員 特別会計は単なる国の会計の区分でございまして、歳入歳出、資産、負債、そういったものを特定のものを区分いたしまして一端の経理をいたすものであります。そういう経理操作をする場合の単位でございます。したがいまして法律的な意味で国というものが法律の主体になると存じますが、そういう国と対外的な意味におきまして権利義務の主体になるということはございません。つまり民法的な意味において権利義務の主体になるということの適格はございません。ただ国がその主体になっておりまするところの権利義務というものを国の内部の管理といたしまして、どの経理単位において負担しあるいは帰属せしめるかという主体になっております。なおこの場合織り入れ金をするあるいは国庫余裕金を繰りかえて使用するということでございますが、この場合の主体といたしましては、実際のやり方としまして、この特別会計を管理いたしておりまするのは運輸大臣でございます。第二条の規定がございますが、運輸大臣がこれを管理しまして、ちょうど法人格があるのと同じような手続をもって政府内部の整理をいたしておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/98
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099・田中武夫
○田中(武)委員 この法律の「この会計の負担において、」ということを聞いたらいまのような答弁だったのですが、吉國さん、これは一体どういうことなんです。法律的にこの会計の負担ということは債権、債務の主体になるということじゃないですか。ただ単にその責任においてということですか。特別会計には法人格はありません。したがってこの特別会計が権利の対象とはなり得ないと思う。にかかわらず十一条では負担と書いておる。これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/99
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100・吉國一郎
○吉國政府委員 ただいま中尾主計局次長からお答え申し上げたのと、私の見解も同一でございますが、「この会計の負担において、」と申しておりますのは、せんじ詰めれば国庫という単一の、もちろん法人格でございますが、その内部でいろいろ経理をいたしますが、その経理をいたします場合に、この特別会計にその勘定を帰属するという意味で「この会計の負担において、」という文字を使っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/100
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101・田中武夫
○田中(武)委員 この答弁も不満であり、この例文にも私は疑義を持っております。しかしこれを取り上げてやるということはもう時間も許さぬようですから、あらためてやります。これは法制局もう一ぺん、罰則と同じように検討し直してもらいたい、例文だからといって気やすく入れてもらっては困る、もっとはっきりした法的根拠に立って法制局はものを考えてもらいたい、それだけ申し上げておきます。何か意見ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/101
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102・吉國一郎
○吉國政府委員 商工委員会時代から、毎回例文の点ではおしかりをいただいておりますが、単にこれも例文であるということで入れたわけでございませんので、「会計の負担において、」というのを、先ほどのような意味に理解をいたしておりまして、これはもちろん司法上の権利なり義務なりという突き詰めた問題ではございませんで、国の内部のいわば勘定の整理の問題であるという意味で、この「負担において」という文字を使うことが適当であるというふうに私ども従来は考えておったわけでございますが、いまの御要望の点もございますので、十分検討はしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/102
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103・田中武夫
○田中(武)委員 一問一答やっておると時間がかかるから、まあ例文だからということではない——しかし、主計局次長、あなたは例文だと言った。まあよろしい。それから負担ということばがここでは特別な意味に使われておって、いわゆる他の法律でいう負担ということとは意味が違う。権利義務の主体としての負担ではない、こういう点だけは明らかになったから、その程度にして議論は後日に譲ります。
そこで運輸大臣——これは大臣よう答弁せぬと思うのだが、お伺いしますが、このごろタクシーなんかはガソリンでなく、プロパンを多く使っておる。本来ガソリンを使う車にプロパンを使う、こういうことで車体検査を受けにきたときはどうしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/103
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104・綾部健太郎
○綾部国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございますから、事務当局からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/104
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105・木村睦男
○木村(睦)政府委員 車両検査の場合に、使用をいたします燃料で、ガソリンの場合とプロパンの場合と違うわけでございます。御承知のようにプロパンは危険度も高いというふうなことで、検査につきましても、プロパンについては検査の基準を設けまして、プロパン備えつけの車についてはそれに従って検査をするというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/105
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106・田中武夫
○田中(武)委員 プロパン車は表示をすることになって、小さく書いてあると思うのです。私が一つの疑問を待つのは、本来のガソリンを使う装置、それをパイプか何か通して、プロパンで動かすということ、こういうことは私は本来の使用法じゃないと思うのです。だから、検査にあたっては、プロパンを使う場合、このごろどうか知りませんが、一時はプロパンを使ったために大きな事故を何回か起こしております。最近聞くところによると、プロパンを使うような装置に変えた自動車も出ているようですね。したがって、私は本来ガソリンを使うこの車にちょっとパイプをどうこうするというようなことでプロパンを使う場合、自動車損害賠償保障法、この二条の二項でいうところの「運行」ではないじゃないかという解釈を打っておるのです。かつて商工委員会でこういうことを言ったことがあるのですが、そのとき、運輸省は答弁はできなくて、あとで答弁しますと言って、そのままになっておるのです。私は本来ガソリンを使うべき車に、ちょっと、ちょこちょこと何かパイプを通したか何かしてプロパンを使う場合は、この自動車損害賠償保障法の二条二項にいうところの「運行」ではない。これはその装置の用い方に従って用いることではないのです。それはあくまでもガソリンを使うものは、ガソリンを使う、これがその装置に従って用い方によって用いておるということになる。ガソリンを使う装置に対して。フロパンを使う場合は、その装置の用に従って用いる方法によって用いているとは言えないのです。その点、どうですか。そういう考え方もあわせて校正のときにはどうしておるのか。したがって私の意見からするならば、ガソリン車にプロパンを積んで事故を起こした場合には、この自動車損害賠償保障法の適用は受けない、こういう解釈なんです。実際は受けるようにしていますね、それはどういう解釈でやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/106
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107・木村睦男
○木村(睦)政府委員 まずプロパン車のことについて申し上げますと、プロパンを利用する車が非常にふえてまいりまして、プロパンの装置は現在のガソリンのエンジンに特殊な装置をいたしますと、プロパン・ボンベからプロパンを通じて運転できるようになっておるわけでございまます。そこで、いままでプロパン車が非常に事故が多かったのは、ただボンベをうしろのトランクに台を置いて入れておくということだけのために、振動の結果、継ぎ目その他からガスが漏れて事故が起きた場合が多うございます。これは昨年固定の施設、つまりボンベを車と一体に固定するように省令を改めまして、ことしの一月一日からは、新車につきましては、全部プロパン車は固定施設にしなければいかぬということで実施いたしております。在来の車は、ことしの六月末までの間に全部これを装置するということにいたしておりますので、この七月一月からは、全プロパンもについて固定施設で動くということになるわけで、事故防止その他の点は心配なくなるわけであります。それから自動車損害賠償保障法の二条にあります「自動車を当該装置の用い方に従い用いる」という意味は、ただいま申し上げましたように、ガソリンのエンジンでございましても、一定の装置をすればプロパンも使えるわけでございますので、ガソリンの機械にプロパンを使用でき得る装置をつけ加えますと、やはり「当該装置の用い方に従い用いる」という意味になると解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/107
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108・田中武夫
○田中(武)委員 この自動車損害賠償保障法の二条二項は、「当該装置の用い方に従い用いること」、この「当該」というのはその自動車それ自体なんです。それ自体がガソリン車である。そうすると、その自動車はガソリンを使用するというのが当該の車の装置なんでしょう。それにプロパンを使うということは、この二条二項の「運行」にはならない。プロパンを使うのはプロパンが使えるように装置する、これはボンベが動かないように同定するというようなことではなしに、そのエンジンといいますか、その中心部を変えなくちゃいけないと思う。あるいはガソリンとプロパンと双方使えるような装置を待つとか、そうでなければ当該の装置に従っての用い方によるとは言えないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/108
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109・木村睦男
○木村(睦)政府委員 ここに書いてあります「当該装置」という意味は、その車の装置という意味でございまして、先ほど申し上げましたように、ガソリン用につくった車でございましても、プロパンが使用できるように装置を付加いたしますと、付加された装置がつまりその「当該装置」になるわけでございます。しかもそういうふうな装置をいたしました場合には、必ず車両検査を受けまして、その検査に合格して使用するということにしておりますので、この法律上の文言の解釈からいたしますと、「当該装置」というものはプロパンが使えるような装置になっておれば、それがつまり「当該装置」というふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/109
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110・田中武夫
○田中(武)委員 これもどうやら意見が違うようですが、最近プロパン専用の自動車ができておる。これは当該の装置に従ってということになるでしょう。本来がガソリンを使うことになっておるのに、あなたがいま言ったように、ボンベが動かないように固定するということぐらいで装置を変えたということになりますか二条二項の当該装置に従ってということになるでしょうか。これはこれ以上議論してもしようがないから研究してもらいましょう。私はそうではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/110
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111・木村睦男
○木村(睦)政府委員 従来のガソリン市にプロパンガスを装置いたします場合は、ボンベを置くだけではございませんので、機械部面に特殊な機械をつけるわけでございますが、その点技術上のことでございますので、必要であれば整備部長がまいっておりますので、お答えをしてもよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/111
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112・田中武夫
○田中(武)委員 技術的な点だということでありますから、整備部長からひとつ納得のいくような説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/112
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113・宮田康久
○宮田説明員 いまのプロパン車についてのお尋ねでございますが、これはアメリカにおきましてもヨーロッパにおきましても使っております。先ほどお話のように、最初からプロパン車としてつくったものと、あとからガソリン燃焼装置を取り除きまして、そしてプロパン関係のボンベ、それから減圧弁等、減圧弁と申しますと、圧力を下げる装置でありまして、さらに混合器をつけます。これはガソリンの気化器に相当するものであります。したがって、ガソリンの燃焼装置その他を全部取りはずしまして、そしてプロパン関係の一連の装置を全部つけかえるわけでございます。したがって、できました中は、これはガソリン車ではありませんで、改装した車で、これはブロパン専用の車、場合によってはガソリン併用の車もございますが、それぞれの装置をつけております。それは本来の装置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/113
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114・田中武夫
○田中(武)委員 いまの話ですと大体了解がいきますが、それは最近でしょう。初めはそういうことじゃなかったでしょう。最近になってからそういうふうにしたのでしょう。したがって、いまの答弁にあったような基準において車体検査をする、そういうことをやるならいいのです。しかし、プロパンを使った最初のうちはそうではなかった、これだけは認めてもらえるかどうか、これを慰めるならもうよろしいです。最初のうちはそうじゃなかった、それをはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/114
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115・宮田康久
○宮田説明員 最初のうちは交換式等で、はなはだ不完全な面があったことは認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/115
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116・田中武夫
○田中(武)委員 認めるならよろしい。
そこで、タクシー会社等がプロパンを自動車に使うためにプロパンを貯蔵する、そういうことについて運輸省というか、実際は陸運局ないし陸運事務所だろうが、車庫の一つの基準があると思うのです。そういうのに対して、プロパンを使うようになってから、プロパンに対してどの程度貯蔵するとか、あるいは特別にプロパンを置く場合はこういう車庫にせよとかいったような指示なり監督なり指導なりをしたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/116
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117・木村睦男
○木村(睦)政府委員 プロパンを使用いたします場合の、プロパンの補給につきましては、プロパンスタンドで補給しておるわけでございますが、その点は通産省のほうの所管でございますので、来ておられると思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/117
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118・田中武夫
○田中(武)委員 高圧ガス取締法についてはあとで通産省に尋ねます。私がいま聞いておるのは、いままでと違ってプロパンを使用するようになれば、その車庫なりあるいはその会社のどこかにプロパンを相当量置くわけなんでしょう。それに対しては、運輸省として、あなた方がタクシー等の認可をする場合には、車庫の状況だとか車庫の内部の構造、こういうものについて検査をするのでしょう。いままでは外でガソリンを入れるという上に立ってつくっておった。プロパンを使うために、プロパンを相当車庫等に貯蔵しておるわけですよ。そういうことについて、運輸省としては特別な指導なり監督をしたことがあるか、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/118
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119・木村睦男
○木村(睦)政府委員 プロパンガスは特に高圧ガスの関係で危険でございますので、これはタクシー会社の車庫等には装置いたしておりません。専門のスタンドに行って補給をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/119
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120・田中武夫
○田中(武)委員 ところが、これは神戸の事故ですが、神戸のタクシー会社でプロパンの二十キロ入りのボンベを二十数本置いておいた、それが次々とはぜって、ちょうど火薬の爆発のような状態を起こし、そしてそのタクシー会社は全焼した、こういう事実があるのです。そうすれば、プロパンをタクシー会社の車庫なり事務所に置いておったということになる。もちろん家庭でもプロパンガスを使う場合に二十キロ軽度のものを一本や二本置いておる。しかし、大量にかためて一ところに置くということについて、運輸省としてまず車庫の構造等について考える必要はありませんか。現に神戸で事故が起こったのですよ。置いておくことはないとあなたはおっしゃいますが、現に置いておるのです。次々にボンベがはぜって、二十数本のボンベに引火して、火柱を立てて、ちょうど火薬が爆発したような状態を起こして、そのタクシー会社はまる焼けになっております。それでも置くことはないとあなたは言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/120
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121・木村睦男
○木村(睦)政府委員 その事実を私はまだ存じておりませんが、おそらくプロパンのボンベのままで置いておったのだろうと思います。ただ、そこでプロバンスタンドを持って補給するということではないかと思います。そういうことで事故を起こしたのじゃないかと想像いたしております。そこで、先ほど申し上げましたように、この七月一日からはボンベも全部自動車に固定になりますので、ボンベだけ車のトランクから取りはずして車庫のすみに置くというふうなことはなくなりますので、これでこの問題は解消するであろうと思いますが、それまでの間まだ期間がございますから、そういう点は十分注意をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/121
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122・田中武夫
○田中(武)委員 参考まで言っておきますから何なら調査してください。三月二十日の午後七時四十分ころ、神戸市長田区四苦町七の一安全タクシー会社、そこに二十数本のボンベ、すなわち二十キロ入りのボンベ、それに引火をいたしまして、次々に二十数本が爆発をした。まさに安全ではなく不安全だ。こういうことについては、一応高圧ガス取り締まりという面は通産省ではあるが、まずそれ以前の問題として、やはり陸運局なり陸運事務所等を通じて適切な指導なり監督をする必要があると思う。
それから高圧ガス取締法について、もう次官がないので簡単に伺いますが、高圧ガス取締法十五条、十六条でこの高圧ガスの貯蔵についてきめております。十六条の規定を見た場合に、「三百立方メートル以上の高圧ガスを貯蔵するときと」いうことで、三百立方メートル以上は知事の認可でありますが、それ以下は野放しです。それから液体の場合等を計算すると、十キログラムが一立方メートルという規定をしております。その計算でいくと、二十キロのボンベなら百五十本くらいになります。二十数本はこの対象になっていないわけですね。しかし、現にこういう事故が発生するということについては、もっと高圧ガスの取り締まりという点からこの貯蔵所の基準について考えていくとか、あるいは現にいま議論をしておるように、タクシー会社等がプロパンをどんどん使うという上に立って、これは運輸省とご相談になって、タクシー会社あるいはその他の車庫、こういうところにおけるプロパンの貯蔵について特別な規定を設けるとかそうする必要があろうと思うのですが、いかがでしょう。私がいまあげておる神戸の場合は二十数本の二十キロ入りのボンベであった。だから、高圧ガス取締法十五条、十六条では野放しになっておる。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/122
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123・倉八正
○倉八政府委員 お答えいたします。
最近のLPGの伸びが非常に迷うございまして、また自動車方面にも利用されております。この取り締まりにつきまして、われわれはいろいろ検討いたしまして、保安の面と経済上の実利、両方の面にマッチしたようなことから最近新しい取り締まり基準をつくったわけでありますが、いま田中先生御指摘の神戸の問題は、十五条の規定によりまして、この基準によって貯蔵しなければならないのでございますが、この着脱式のものが爆発した場合は、その基準どおりに貯蔵しておったかどうかということをいま調査中でございます。今後におきましても、保安の面から十分注意して、取り締まりあるいは基準の作成に当たっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/123
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124・田中武夫
○田中(武)委員 この三百立方メートルというのは、少し基準が高いのじゃないかと思うのです。だから高圧ガス取締法で貯蔵所のところを特に基準を下げるのがいいのか、あるいはタクシー会社のような特別なところでは、運輸省として車庫の検査に当たって適切な方法をとるのがいいのか、その辺のところは運輸省と通産省、相談をしてやってもらいたい、こういうふうに思いますが、これは運輸大臣に聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/124
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125・綾部健太郎
○綾部国務大臣 御指摘のようなことを勘案いたしまして、通産省とよく相談の上善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/125
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126・田中武夫
○田中(武)委員 通産省はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/126
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127・倉八正
○倉八政府委員 綾部運輸大臣のおっしゃったとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/127
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128・田中武夫
○田中(武)委員 まだ質問をしたいし、せっかく法案について田中大蔵大臣の拝顔の栄を得たのだから、もう少し突っ込んでやりたいのだけれども、ごらんのとおり隣でやめろやめろという矢の催促でございますので、きょうはこの程度で質問をおきます。しかしいま申しましたように、基本的な問題については日を改めてじっくり論議をさせて、留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/128
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129・山中貞則
○山中委員長 松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/129
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130・松平忠久
○松平委員 私は、今回の食管特別会計法の一部改正、すなわち農産物安定勘定から輸入飼料を独立させるというこの案件について、農林大臣の出席を求めて根本問題についていろいろ伺ってみたいと思うのであります。大蔵大臣は時間がないようでありますから、本論に入る前に、大蔵大臣にも伺っておきたいことがございます。
それは、日本の飼料対策は、この数年来の間におきましてほとんど計画的な統一性を欠いておるわけであります。つまり家畜の伸びについて、自給飼料あるいは購入飼料がすべてアンバランスな状況にあって、そしてそこに確固たる計画がないということが私は非常に大きな農林行政の今回の欠陥であろうと思います。そこで大部分輸入飼料にたよらなくちゃならぬけれども、その輸入飼料はアメリカがほとんど大部分を占めておる、こういう実情なのであります。私は今後日本のいわゆる開放経済に立ち向かう意味におきましての一つの行き方といたしましては、やはり低開発国との間の経済協力を進めていかなくちゃならぬわけでありまして、その点について、農業にもいわゆる国際分業的なものがだんだんと出ていくのではないか、こういうふうに思っておるのであります。したがって、端的に申し上げますと、たとえばタイ国からもトウモロコシ等を買っておりますが、このタイのトウモロコシは水分が非常に多くて、家畜飼料としては若干不適当なところがある。また輸送中において、水分が多いために、発芽して飼料にはならないというものも中にはある。こういう状況であって苦情が出ておるのであります。そこで農林省におきましても、昨年タイ国へ行ってこの問題について話をしてきたことがあるわけでありますが、私は最近タイの経済大臣と会ったときに、日本から少し金を貸してやって、倉庫その他を整備させたらどうか。また同時に、収穫時期を変えるとか、あるいは一律改良をして日本のものを持っていく。つまりいま日本はタイ国の食料用のトウモロコシを買っているわけでありますから、品種自体に水分が非常に多いものを買っているわけです。だから収穫時期を変えただけではこの問題は解決しないのであります。したがって、根本的に改善をするためには、どうしても品種改良をしなければならない。それにはかなり金もかかるわけであります。経済協力の一環として、私はあれらのいわゆる低開発国におけるエネルギーあるいは広大な土地、そういうものを利用した第一次産品の買い付けをしなくちゃならないと思うのですが、そういう場合においての日本の品種改善等の指導あるいは集荷の指導というものをあわせて親切にやってやるということにしていかなければならぬと思うのであります。距離の近いあれらの国における一種のいわゆる国際的な農業の分業というものを将来の方向として考えていかなければならぬと思うのでありますが、IMF八条国移行、OECD加盟というような日本の態勢のもとにおいて、それらのいわゆる農業協力、ことにその中における飼料に対する東南アジア等の協力については、どういう根本的な方針を持っておられるのか。これはまず第一に農林大臣に、さらにその上で大蔵省の考え方も聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/130
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131・赤城宗徳
○赤城国務大臣 おっしゃるとおり、開放経済に向かっての農業は、相当国際関連を持ちます。EEC等におきましても、農業の面におきましても国際分業的な傾向が非常にあらわれております。したがいまして、日本の農業におきまして、そういう面が強くなってくると思います。ことに飼料につきましては、私どもは自給飼料の面の督励も奨励も少しにぶっておりましたので、自給飼料の奨励に欠ける面が非常に多かったと思います。そういう点で乳牛等のために自給飼料の面を拡大していく、また濃厚飼料等につきましても、できるだけ自給度を高めていく、こういう方針でございますが、購入飼料が事実上非常に多いのでございます。ことに濃厚飼料は大部分購入いたしております。その購入先は主としてアメリカであるということもそのとおりでございます。しかし、国際的に考えまして、いま御指摘にありましたようなタイ国のトウモロコシという面についてのいろいろの御検討、御研究のお漏らしを願ったわけでありますが、私のほうといたしましても、技術指導その他協力によってどうしてもトウモロコシなどがタイから買えるような方向に進めていきたい、そういう進め方をいまいたしております。根本的には購入飼料はなるたけ少なくしていきたい。少なくしていきたいが、購入飼料を全部なくするというわけにはまいらぬような状況でございます。この購入飼料についてのいろいろな価格対策その他もございますけれども、分業的に購入先をどうするかというようなことでありますならば、いま御指摘のような方針で進めていく、こういう考え方を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/131
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132・田中角榮
○田中国務大臣 畜産振興等につきまして飼料の問題に対して十分検討していかねばならぬということはそのとおりでございまして、農林省の検討に待ちながら大蔵省としましても十分な協力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
御指摘のとおり、トウモロコシ等につきましてはタイから三十五年には三十一万トン、三十六年には四十五万トンでございましたが、三十七年には二十三万トンとだんだん減っておるようなわけであります。御指摘のように水分が多いということでございます。アメリカからは百万トンばかり三十七年に入っておるわけであります。コーリャンにしても三十六万トン、ふすまにしても四万トン、こういうことを見ますと、国際的にいろいろな砂糖等の問題もありましたように、一国からだけということではなく、将来のことを考えると、やはりこちらから出かけていって指導するとか、また特約を結んで、いま御指摘のような乾燥の問題とか、品質改良の問題とか、そういう問題に対しては農林省の意向を尊重しながら協力してまいりたい、このように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/132
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133・松平忠久
○松平委員 この問題について私もう少しあとで申し上げたいと思うのですが、大蔵大臣が時間がないというものだからその前に伺っておきたいと思います。
先ほど日野委員からも質問があったと思うのですが、昨日農林委員会において酪農振興対策等に関する決議案が上程されて可決されたのであります。この第一にありますことは飼料の問題でありまして、酪農経営の安定のために現行の飼料政策を根本的に検討しろ、それとともに、この際政府手持ちの飼料価格の引き下げにつとめて、政府管理の飼料確保につとめることということがあるわけであります。このことは、現在政府手持ちの飼料、この特別会計の中の三十六億円という金では足りない、もちろんこれは予備費もございますけれども、しかしとりあえずは、
この決議の内容は約十一億円ぐらい三十六億にプラスするというのがこの決議の背後にある考え方でございます。そこで、この問題については農林大臣はどういうふうに処理されるつもりであるか。すなわち一十六億円のほかに六十億の予備費を削ってきて十一億足してやるという考えであるのか、この決議の趣旨を尊重すると、政府手持ちの飼料の価格を引き下げなければならぬ、したがって、それだけ政府の持ち分をふやしていかなくちゃならぬということになるのでありますが、この決議を尊重するたてまえにおいてはどういう具体的な措置を講ぜられる考えであるか、これをまず伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/133
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134・赤城宗徳
○赤城国務大臣 決議の趣旨に従いまして事務当局に試算をさしておりますけれども、三十六億円の範囲でできるというような見通しはございます。まだ試算中でございますが、そういうふうなことでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/134
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135・松平忠久
○松平委員 私はこの決議は三十六億の範囲内でやれという考えではないと思う。もしそうであるとすれば何も特にここへ決議をする必要はないのであって、きのうの農林委員会における三党の責任者の間の話し合いは私も聞いておりますけれども、それによると三十六億を予定しておる、それよりももっと政府の手持ちのものを下げろ、こういうのが趣旨であると私は聞いておるのですが、そういう趣旨ではございませんか。農林大臣はそういうふうに受け取っておらぬわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/135
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136・赤城宗徳
○赤城国務大臣 輸入飼料につきまして政府の手持ちを払い下げるといいますか売り渡すことになっております。ところが現在の予算価格から見ますと、三十八年度より相当値上がりの見積もりになっております。でありますので、飼料対策として予算を見積もる上におきましては一つの成分比からいろいろ勘案して、そういうことになろうかと思いますが、いまの畜産の関係からいたしますならば、できるだけこれは低いほうがいいわけでございます。そういう意味におきまして、予算価格のとおりに上げるということは私は考えておりません。そういうことでございますから、これはほんとうは規定からいいますと入札によって払い下げるという法律になっております。しかしながら、大体入札でなく払い下げておるのが実情でございますし、その際に予定価格というものをきめなければなりません。そこで予定価格をきめる、あるいはまた最低価格をきめる、上限、下限をきめるというような場合等もございますので、いま審議会でこの価格のことを審議いたしております。私の考え方としては、予算価格よりは下がるような価格でなければいかぬじゃないかと思う。さりとて三十八年と同じような価格に持っていくかということでありますと、それと同じ価格に持っていくということは困難である。しかし、価格変更されるまでは現在の価格ですから、三十八年度の価格でいくということに相なろうかと思います。そういう見通しのもとに審議会に諮問いたしております。その諮問で私ども考えておるようなことでありますならば、また財政当局とも相談いたすことになりますが、三十六億の範囲内でできるような試算をいまいたして、これから折衝する、こういうような段階になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/136
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137・松平忠久
○松平委員 いま農林大臣の答弁だと、きのうの決議はどうもあまり反映されないような御答弁であったわけでありますが、そうではなくて、むろん予算価格より下げるけれども、この決議の趣旨というものはもっと下げろ、
こういうのが私は趣旨であろうと思う。したがって、これは大蔵省との間に話し合いをしなければならないかもしらぬし、あるいは予備費のようなものから出すというようなことにしなければならぬのじゃないか、こういうふうに理解しておるわけですが、私の理解は間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/137
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138・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私は、この決議の趣旨は現在より下げろ、こういう趣旨ではないと思います。少なくとも現在の三十八年の価格と同じにしろというような御趣旨かと思います。でございますが、私のほうで考えておりますのはそこまではちょっと無理じゃないか。しかし、予算価格がちょっと上がっておりますから、予算価格どおりにするということ、これも畜産の奨励といいますか、進めていく面からいってこれは非常に上げ過ぎておる、こういうように考えております。でありますので、これはどこまで下げるかということはまだ見当を持っておりませんけれども、いまのよりも下げろというような御趣旨ではない、少なくともいまの価格と同じである、いまの価格と同じであるということは、私どもが上げない間はいまの価格で同じでいける、こういう立場でございますから、そういう趣旨で、この決議の趣旨に私は合致した進め方をしよう、三十六億円で間に合わなければまた折衝しなければなりませんけれども、三十六億で間に合えばその範囲でもやるということで目下検討中ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/138
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139・松平忠久
○松平委員 これはこのくらいにしておきます。
次に進みたいと思うのですが、根本問題は、日本における動物たん白資源というもの、これを農林大臣は、推算物で大体何%、畜産物で何%、それを年次計画としてどういうふうな方向に持っていくべきであるか、そういうことを計画されておらなければならぬと思う。世界農業会議の結論と申しますか、出た議論といたしましては、実は世界的には水産物資源がなくなっていく。ところが日本では遠洋漁業その他によりまして、むしろ逆にふえておる傾向にあるわけであります。したがって、世界的の水産物の減少ということから、世界各国はそれを陸地で補うという考え方で畜産振興をやっておるわけでありますけれども、日本においては逆に水揚げ高が多くなっておるという傾向があり、もちろんそれは輸出にも向けられておるわけでありますが、そういう関係からいたしまして、見通しとして水産物資源と畜産物資源というものを、われわれ日本人の動物たん白資源としてどういうように調整し、どういうようなパーセンテージで将来進んでいくかという見通しがおありになるだろうと思うのですが、それをまず聞かせていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/139
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140・赤城宗徳
○赤城国務大臣 畜産物及び水産物によってたん白資源を充足している、こういうことに対してどういうウエートを置いて将来持っていく見通しであるか、こういうお尋ねでございますが、大きな線でいいますならば、水産物も、世界的に見ますならば、日本は水揚げも非常にふえておりますし、水産は世界一でございます。ほかの国とはそういうところで事情は違いますけれども、畜産物のほうも、農家の経営というような面その他からも、これは相当進めていかなければならぬ、ことに農業基本法等におきまする選択的拡大ということにおきまして、畜産のほうに指向していくことは非常に強調されておるわけであります。そういう意味におきまして、畜産物のほうがだんだんふえていくという情勢は見られますけれども、さりとて、いまお尋ねのように、的確に、その見通しにつきましてたん白資源としてどういう率にして持っていくかということは、実はこまかいといいますか、相当な見通しの計画というものを残念ながらまだ立てておりません。ざっぱくに考えますならば、いろいろざっぱくな考え方はございますけれども、計画的にどういうふうな見通しであるかというような数字的な見通しというものを持っておりませんので、いまちょっとお答えできないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/140
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141・松平忠久
○松平委員 数字的にはなかなかむずかしい問題じゃないかと私は思う。広い海におる魚をとるのでありますから、計画的な生産をして、それをとるというわけじゃありませんから、むずかしいのでありますけれども、しかし畜産を考える場合において、水産の見通しというものがなくて、いたずらに畜産を振興するというようなことでは、これは困るのじゃないかと思う。農業基本法の根本的なものの考え方というものは、その背景に大体米麦で約三分の一ぐらい、畜産で三分の一、それから畑作その他で三分の一のような日本の農業構造にしていきたいという考え方が私はあると思う。そこで選択的拡大という方向にきたわけであります。ところがそのことは、水産物との関係を考えなければ、私はたやすくそういう方向を打ち出していくことはできないじゃないかと思う。世界の傾向は、水産物は非常な勢いで減っております。おそらく、五十年後には、海から人間が食べられるような動物たん白資源はできないということを主張しておる学者もある。しかし、逆に日本の漁獲高はどんどんふえておる、こういう世界的にはちょっと奇現象があるわけであります。ですから、計画がなかなか立てにくいということはあるわけでありますけれども、しかし、畜産の地についた振興をやっていくということを考えると、政府としてはその辺の数字というものはある程度持っていなければいけないのじゃないか。農林大臣はその点についていま的確な数字はないとおっしゃいましたけれども、そういった根本的なことを考えて畜産をやっていかれるという態度があってほしいと思う。私は、農林省における所管事項として、両方、水産庁もあり畜産局もあるわけでありますから、それを考えてみるならば、ある程度の、五年後、十年後にはどういうような変化をするのだという見通しを立てて、そこに合わせていくという政策があってしかるべきだと思う。そういうことがないために、いわゆる農家まかせのような変なかっこうになっておって、そのこと自体がまた飼料の問題によけいな波乱を与えておる、こういうふうに見ておるわけですが、もう少し基本的な考え方を持って畜産と水産との関係を考えてみるようなおつもりはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/141
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142・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かに御説のとおりと思います。ことに水産はいま世界一のような状況でございますけれども、やはり世界の情勢からいってだんだん減ってくるというふうに私も見ています。一方畜産関係は、農林省といたしましても、成長部門といいますか、最近店開きをしたといってはあれですけれども、畜産の歴史は古いですが、本格的に扱ってきたのは最近でございます。そういう意味におきまして、いま将来の見通し等につきまして、御指摘のような面に欠くるところがあると私も思います。しかし、御説のとおり、水産部門と畜産部門、こういうものの将来の見通しをある程度つけまして、そういう線に沿うての力の入れ方ということがおのずから出てこなくちゃならぬというお考えにつきましては、私も同感でございます。そういう方向になお検討を続けていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/142
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143・松平忠久
○松平委員 私は民間のほうがそれは早いと思うのです。たとえば大洋漁業、日魯漁業その他にしても、大体見通しをつけて、陸上へ上がってきて何万羽もの養鶏をやらざるを得ないことになっておる。ヨーロッパにおいても非常に水産資源が少なくなっていることは事実なんです。そこで鯨をもって補おうということをして、盛んに南極のほうに行って鯨をとってきたところから、現在は鯨が非常な勢いで減ってきておる。交尾期にあそこへ行ってみんなとってしまうのですから、子を生まなくなってしまうということで、たいへんな勢いで鯨が減ってきております。そういうことからいうと、やはりある程度の見通しをつけて畜産対策というものを根本的に考えなければならぬということを、私は重ねて強調しておきたいと思うのです。
そこで、この畜産の関係でありますが、農林省の考え方は畜産と飼料との関係というものを初めから考えておっただろうと思う。所得倍増計画等におきましても、私はある程度の試算がなければならぬと思う。そこで畜産の振興に合わせて飼料対策というものを、自給飼料、購入飼料、外国からの輸入飼料というものの関係をどういうふうにやろうとして当初考えておられたのか、つまり、年次計画等をもって十年後には自給飼料を八〇%にするのだ、こういうことを言っておられる方もございました。そこで、当初畜産を振興するという場合において、自給飼料は目標としてどの程度一体確保するのだというお考えを持って畜産振興を始めたわけですか、このことをまずお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/143
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144・赤城宗徳
○赤城国務大臣 所得倍増計面当時の数字を私いま的確に御答弁申し上げられませんので、事務当局に答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/144
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145・松平忠久
○松平委員 私はこまかいことを言っているわけじゃないのですよ。何トン何トンというこまかいことを言っているのじゃないのです。しかし、少なくとも畜産振興について日本の自給飼料は何%までやっていくのだ、何年で何%までやっていくのだということを大臣が知らぬということはないと思うのです。事務当局でなくちゃ答弁できないということは——これは最も大事なことです。国の畜産の関係については、十年後に八〇%にするのだ、こういう何か目標がなければならぬと思うのですよ。そのことを大臣がこまかいから事務当局に答弁させるということは私は納得できない。最も大事なことなんです。大臣から答弁していただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/145
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146・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまちょっと事務当局と耳打ちしましたところ、草地が何町歩、何が何町歩ということでだいぶこまかいことを言っておるものですから、そういう答弁はちょっと私からできかねると申し上げたのでありますけれども、十年後においての自給飼料は七〇%以上にする、こういう目標で倍増計画の基本を立てておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/146
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147・松平忠久
○松平委員 私は、農林省のいろいろな統計を見ておりますと、もうことごとく違うのです。資料についてはもう出してくる資料全部違う。私はもうどういうことであろうかと思っておるのですが、これは確固たる目標を立ててやっておるのじゃないのであって、七〇%というのもその当時の目安で立てたわけであって、その後畜産のほうがうんとふえているとか、それに応じて自給飼料は追いつかないとか、いろんなことが今日畜産については出てきておるわけなんですよ。ですから、私はもっと確固たる資料、統計によりまして、そうして目標を七〇%なら七〇%達成するという予算措置をとっていかなければならないと思うのです。ところが、今日もう所得倍増計画の半ばを過ぎるようなころになっておりながら、なおかつ実は購入飼料のほうが金にすれば多いというようなことが現状なんです。そうなりますと、これは一体いつ七〇%達成するという計画をいまお持ちになっているか、そのことから伺っておかなくちゃならぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/147
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148・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほど申し上げたのでございますが、畜産高の店開きは非常に最近だというようなこともございまして、私もよく調べてみますと、統計等の整備がようやく最近できてきたというような形で、畜産の統計などは非常に薄弱な基礎のように私も見ております。そういう意味におきまして、ことに農業そのものはなかなか所得倍増計画の計画どおりにいくというような性質のものではございません。たとばえ、自立経営農家の問題等につきましても、しばしば御指摘を受けておりますように、二町五反の百万戸というものがなかなか達成しておらぬ。それ以上に畜産の問題等につきましては、先ほど申し上げましたように、統計が残念ながら十分でなかったというようなこともございます。それから見通し等につきましても十分なる見通しでないというような面もございます。七〇%以上の見通しが、この計画の途上において少しずつそれができるかできないかという疑問を持たれるような状況だと私は思います。しかし、計画そのものは十年後ですから、四十六年にそういう七〇%の自給度にしていくという目標で策定といいますか、案を立てたということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/148
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149・松平忠久
○松平委員 畜産局は局としてはだいぶ古くからあるわけです。だから店開き早々ではなくて、私はちょっとおかしいと思う。私はかつてどなたかの農林大臣のときに、農林行政のウエートをどこに置くのだと聞いたところが、畜産局に置く、こういうことです。じゃどういうことをするのだと言ったら、農林省の一番頭のいい役人を畜産局に集めるのだ、こういうことを言っておりました。これは私は本物だと思った。やはりほんとうに頭のいい者を一番畜産局に集めて、そこでもって真剣に案を立てるというようなことをしなければならぬと思っているのですけれども、いまどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/149
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150・赤城宗徳
○赤城国務大臣 店開きは確かに古いのでございますが、ずっと前には馬なんかばかり中心でやっておりました。最近ほんとうの本格的畜産行政といいますか、それにタッチしてきたようなわけであります。でありますので、どの大臣が申されたか知りませんが、やはり畜産局は私は畜産庁ぐらいにならなければならぬ、これぐらいに畜産のウエートを機構の上で考えております。したがいまして、畜産局の中には頭のいい者を集めて計画を立てさしているのでございますが、この頭のよさも相対的なものでございます。松平さんみたいなわけにはどうもいきませんし、そういう意味におきまして、悪いところは直しながら、この頭のいい連中を督励してなお進めていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/150
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151・松平忠久
○松平委員 いままでの畜産局の資料、それから年次報告等を見てみますと、たとえば三十七年度には家畜の伸び率が一五・七%伸びた、こういう統計が報告されているわけであります。ところが自給飼料のほうの伸びは、粗飼料において約七%、濃厚飼料において五一八%しか伸びておらない。それから三十八年度はたとえば牛は一四・三%伸びているとか、鶏は九・六%伸びている。ところが濃厚飼料は逆に減っている。三十七年度より三十八年度のほうが国内産が減っているというような数字が出ている。そのことはこの報告にもあるわけであります。私は非常な大きな欠陥がどっかにあるのではないかと思うが、その欠陥は一体どこにあるのです。つまり農林省が考えておった以上にどんどん畜産が伸びてしまって飼料が追いつかなかったということであるのか、あるいは飼料対策を怠っておったというのか、その辺大臣はこの数字をどういうふうに分析しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/151
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152・赤城宗徳
○赤城国務大臣 三十八年度だけを特にとりまするならば、長雨のような影響もございます。しかしそういうものを抜きにいたしますならば、やはり飼料の購入分がふえてきておるというのは、国内産の、たとえばトウモロコシなどの量が非常に少ない、あるいは輸入のほうが自由に入ってくる、しかもその価格は安い、こういうような影響で購入飼料がふえておる、こういうふうに私は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/152
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153・松平忠久
○松平委員 その大臣の言われたあとの理由というものはかなり私はあると思います。つまり、価格の面において外国のもののほうがいいから、どんどん入れるのだという傾向がずっと出てきておるのじゃないか。そのことはまた、実は全般的な食管会計のあり方になろうと思います。価格の決定のしかた、そういうところにもあると思う。たとえば大麦、裸麦のようなものはつくってもとても判りが合わぬというのでもって、おそらく十万町歩くらいずつ毎年減っているでしょう。ところがことしはそれにもかかわらず、外国から三十五万五千トンの大麦を家畜の飼料として入れるのだ、私は非常な矛盾があるんじゃないかと思う。外貨でもって三十五万五千トンの大麦を入れるのだ、一方において日本は国内において大麦の値段を安くしておるために農民はどんどんつくらない。私は国内でもってその辺の操作はできないことはないと思うのですが、大麦をつくらさないようにして外国から三十五万五千トンの大麦を輸入しなくちゃならぬという理由は一体どこにあるのですか、それをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/153
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154・赤城宗徳
○赤城国務大臣 大麦の食糧としてのウエートは非常に少なくなりましたので大麦の作付が減った、あるいは減らすような方針で進めたということは御指摘のとおりでございます。しかし私は、これは飼料としてあるいはまた食糧にしてもなお考える余地があると思いますが、ことに飼料としてはこれから奨励していかなくちゃならぬ、こういうふうに思っています。そういう点で、価格等の血にそれを進めていくのに支障があるということでございますならば、それは調整をしていくといいますか、均衡をとったようなものに改めていくべきだ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/154
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155・松平忠久
○松平委員 まさにそれを実行してもらいたいと思うのです。日本のいまのあり方というものは、国内の需給について国内産のものをつくらさないような価格政策にしておいて、そうして外国から入れていかなくちゃならない、こういう飼料対策というものが今日行なわれておるわけであります。大臣はいま価格調整をして云々ということでありますから、私はそれをぜひやっていただかなければならぬと思います。
その次にお伺いしたいのは、特別会計の中の三十六億円、これはほとんど鶏が七〇%食べるものだということであって、したがって配合飼料のことを聞かなければならぬわけですが、従来配合飼料はたん白質を高くしてカロリーを低くするという配合のしかたをしておったわけであります。ところが最近は、逆にカロリーを高くしてたん白質を低くする、こういう学者等の意見によって変わってきた。だから鶏のとさかはますますきれいになって卵を生むように見えるけれども、実際はたいして生まない。配合飼料のあり方について一体どういうことを考えておられるのか。ことに高たん白質、低カロリーというものよりも、高カロリー、低たん白質のほうが飼料の値段が安くならなくちゃならないはずです。安くならなくちゃならないはずなのに、いままでは粒食を食べさせておって今度は粉食にする、そして粉食の中には小ぬかや麦ぬかをかなり入れておるじゃないですか。私は実際に全購連等で取り扱っておる配合飼料を末端においていろいろ聞いてみると、これは脂肪分が多い。しかしカロリーは非常によけいにある。だからとさかは非常にきれいだけれども卵は生まない、つまり輸卵管に脂肪が付着しちゃって早く卵を生まなくなるのです。こういう状態なんです。どうして一体こういうふうに初めの配合の比率というものを逆に変えてきたのか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/155
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156・赤城宗徳
○赤城国務大臣 どうもこれも御答弁できないと言うとおしかりを受けるかもしれませんが、非常に技術的な学問的な問題で、私もたん白質からカロリー面に持っていった理由というものはどういうことか実はわかりませんから、事務当局に答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/156
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157・吉岡茂
○吉岡説明員 ではお答えいたします。
三十六億の赤字は鶏という御質問でございますが、現在輸入飼料五百何万トンのうちの一番大きなトウモロコシとマイロ、これは先ほど申し上げましたように民間の貿易で自動承認制で入っておるわけでございまして、これが大体三百六十万トンほどございます。これが大体配合飼料の一番大きな原料源でございますが、配合飼料全体の使用割合を見ますと、大体七四%が養鶏用ということになっております。残りの一二%が養豚、乳牛につきましては約一〇%、そういう数量に一応私たちの推定ではなっております。それから政府の輸入する飼料といいますのは、一応ふすまと小麦、大麦、これが一番大きなものでございまして、これが三十六億の赤字のもとでございますが、これにつきましては相当部分が配合飼料に入っておりますが、大部分はむしろ養鶏のトウモロコシ、マイロというのが配合飼料の根源でございますので、三十六億が特に養鶏用というようには考えておらぬわけでございます。
それから低カロリー、高たん白と低たん白、高カロリーという問題でございますが、これは先ほど御質問にありましたように、以前は低カロリー、高たん白という学説といいますか、要するに配合飼料の規格を考える場合にそういうようなのが一般的であったわけでございますが、最近の趨勢といたしましては、これは日本だけではないわけでございますが世界的なものの考え方としまして、畜産特に養鶏というようなものを考えていった場合は、むしろ高たん白というものを消化し、吸収し、そうしてたとえば卵を生ますというようなことを考えた場合でも、低カロリーというのでは消化なり吸収なりということがかえってうまいぐあいにいかぬ、そういう意味でたん白質を少なくしてカロリー分を高めるという方向で持っていくというのが畜産の、要するにえさの効率を上げるという意味で進歩である、そういう方向から一般的な考え方としてそういうようになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/157
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158・松平忠久
○松平委員 世界的なことと言っているのですけれども、ここで世界のことを申し上げる確実な資料は私ございませんけれども、たん白質を少なくしてカロリーを上げていくということはマイロをたくさん使うということになるわけなのです。したがって、先ほどあちらからも小さな声で私に応援してくれたわけでありますが、実を言いますとこれはアメリカの学説なのです。そこでアメリカの学説を受け入れをした日本の御用学者のようなものがあって、アメリカからマイロをたくさん買うということのために配合飼料の配分率を変えてきたということを言っておる者がかなり多いわけであります。私はそういうことがはたして事実であるかどうか知りませんけれども、しかしマイロの配合率を多くしていけば飼料の値段が下がらなくちゃならぬと思うのです。ところがそうではない。そこでこれをいままで粒食にしておったものをこのときから粉食に変えた、よけいに手間をかけて粉食に変えて、そうして値段は下げない、こういうことが配合飼料については行なわれておる。一体どうして粒食を粉食に変えたのですか、これも伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/158
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159・赤城宗徳
○赤城国務大臣 事務当局から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/159
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160・吉岡茂
○吉岡説明員 お答えいたします。
輸入の増大というものとマイロ、トウモロコシの関係について御説明をいたしますと、実はマイロの輸入がふえましたのは、確かに最近の趨勢でございまして、その輸入先というのはアメリカが圧倒的な量でございます。三十九年度についてみましても、トウモロコシとマイロと両方入れまして三百六十万トンというような試算をしておるわけでございまして、そのうちのトウモロコシは大体二百七、八十万トン、マイロが六十万トン、そういうように一応考えておるわけでございますが、トウモロコシとマイロというものの輸入が、なぜふえてきたかということでございますが、これは一言で言いますと、えさとしての価値のわりに価格が安かったということでございます。実は輸入ふすまを売る場合にも説明いたしましたが、同質のたん白質の価値……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/160
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161・松平忠久
○松平委員 粒食を粉食にどうして変えたかということを言えばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/161
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162・吉岡茂
○吉岡説明員 そのあとで御説明いたします。
これは、同質のえさの価値というものは、同じような価格で持つべきであるというように計算いたしますと、ふすまというものは現在政府が買い入れる価格より安く売らなければならぬということがございます。それは要するにふすまにつきましては、同じようなえさの価値が、トウモロコシなりマイロ、大豆かすに比べて非常に割り高であるということの裏の証明でございます。
そういう意味で、えさの価値の成分から見て非常に値段が安かったということと、それから特にそれが養鶏用に向いておった。そういうことで、非常にふえておったわけでございますが、粒食から粉食の傾向は、これはえさの規格のことでございますが、要するに消化、吸収、えさの効率というようなものを考えた場合、いままでのような粒食というようなやり方より給餌の形態といたしまして、粉食にするほうがえさ効率として効率的である、そういうようなことでこのような方向に参っておると私たちは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/162
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163・松平忠久
○松平委員 時間がきましたが、もう一つ、二つ伺っておきたい。
もし効率をよくするなら、どうしてソ連のように流動食にしないか。養鶏については、ほとんど流動食でやっております。そうして注射のようなものがありまして、大きなタンクの中にえさが入っておって、流動食で、それを鶏に一つずつ口をあけて胃の中につぎ込んでやっている。これは一番効率があがるのです。もしやるのだったら私はそういうことを研究してみたらどうかと思う。これは現にやっているのです。
それからもう一つは、鶏ふんです。鶏ふんのえさ化ということが今日行なわれておるわけでございますが、これは奨励をするおつもりですか。どうですか。今日出ているデータによりますと、大体鶏ふん四割、濃厚飼料六割が産卵率が一番いいのです。こういうことはあなた方研究しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/163
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164・吉岡茂
○吉岡説明員 お答えいたします。
ソ連のその給餌形態なり鶏ふんの問題につきましては、私らのところでもまだ研究不十分なところがございますので、将来において研究を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/164
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165・山中貞則
○山中委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後二時五分休憩
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午後三時二十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/165
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166・山中貞則
○山中委員長 休憩前に引き続きく会議を開きます。
質疑を続行いたします。卜部政已君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/166
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167・卜部政巳
○卜部委員 二十四日の委員会におきまして、文部大臣は、大学の自治は尊重する。この点は特別会計になろうともいささかも変わるものではないということを明言をされておるところであります。しかしながら実際問題といたしまして、特別会計制度という重大な問題を大学側に相談もなくきめたという、こういうような態度は大学の自治を否定するものだ、私はこのように考えておるわけであります。安嶋課長のほうから、国大協と相談をし、かつ緊密な連絡をしたというふうな問題をるるこの委員会の中で説明をされておりましたけれども、しかしそれは決して事実を語っておるのではない。と申し上げますのは、少なくとも国大協の批判、いわゆる意見井の中にもあらわれておりますように、国大協の批判としては「この制度の成文化及び実施にあたっては、大学の自主性が尊重されるべきことはいうまでもなく、また、この合計の運営上の重要事項については国立大学側の意向が十分反映されるような方途が講ぜられるべきである。」このようなことが述べられておる点を見ても明らかであると思います。私は、このことに対しまして、再びこれを蒸し返し、さらに追及をしようというふうには考えておらないわけであります。少なくとも大蔵省が秘密裏にこれの作成を進めておる。同時にまた大学側の意見が十分に反映をされなかったし、吸い上げようともしなかったという点につきましては、二十四日の委員会で明らかになり、委員長自体がそのために参考人の呼び出しに同窓をされ、かつその具体的な問題については理事と相談云々ということでありましたけれども、現実に議事の進行上、合同審査というような問題があったために取り上げられなかったことは事実といたしましても、その点を私は明確にしながらひとつ質問に入っていきたい、このように考えておるわけであります。
そこで、安嶋課長のほうからるる述べられておった中に、国大協の意見を十分反映させるための内容というものをお示し願ったわけでありますが、すべての大学の充実、このことを願っておったにかかわらず、大学間の格差というものが、一つも縮められていない。むしろそうではなくて、大学だけではなくて、工業専門学校、さらには国立学校全般の経理としたという、この点についてはいかがお考えなのかをまず第一に御質問を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/167
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168・小林行雄
○小林(行)政府委員 大学の間の格差というお尋ねでございますが、御承知のように戦後専門学校等を母体といたしまして大学に昇格したものと、従来から大学であったものとの間に、教員の組織なりあるいは施設、設備等にやや差等のあったことは、これは御指摘のとおりでございますが、その後漸次この地方の新制大学等につきましても整備をいたしてまいっておりまして、その差は、現在においては次第に縮小されてきつつある状況だと思っております。ことに御承知のように昨年からこの地方の新制大学等につきましても、充実したものにつきましては大学院を新たに設置するというような方法もとってまいっておりまして、これによって一そうその御指摘の格差というものは縮まってきつつあるように思っております。それから教官の整備にいたしましても、いわゆる学科目の教官につきましてできる限りの教授、助教授の配当等も最近において行なっております。なお、将来の問題といたしまして、これらの大学について施設なりあるいは設備の面で画期的な整備を行なってまいりたいと思っております。これらが両々相まちまして、この大学間の格差というものが次第に私どもとしてはなくなるように努力をいたしたい、現実に大学間の差等というものをなくすようにつとめてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/168
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169・卜部政巳
○卜部委員 格差の論議の問題につきましては、またあとから御査問をいたしたい、このように考えますが、いま格差の問題の中にちょっと含まれてお話があった、整備拡充をされる、こういう御答弁があったわけであります。一昨日ですか、大臣のほうから東大の農場なり、さらに東大校舎等を売り払って、それに伴ってあがる収益の中から、その悪い他校の校舎等を充実をしていくというような意見が出ておりました。同時にまた、そういうような形で出てくるから、特別会計というものは皆さま方が御懸念なさるような御心配は決してないのだ、その点について積み立て金にいたしましても、みな大学に還元をされるのであり、同時にまた一般会計のほうから教育に関するそういう繰り入れがあるのであって、当面する問題としては、大蔵省としてはむしろ反対をすべき法案であるにかかわらず、この点を踏み切って出したんだ、であるから御心配は要らない、こういうような御答弁があったわけでありますが、その点について、ひとついまの御答弁とからめて御質問をいたしたいのは、その点は条文のどういうところにあるのかをお示しを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/169
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170・中尾博之
○中尾政府委員 まず第一は、条文の番号に従って少しこまかく申し上げますが、第三条に、この会計においては、歳入はこういうものであるという規定の中に、一般会計からの繰り入れ金が最初にあげてございます。これは要するに、昨年度までは一般会計でまかなっておったわけでございますが、要するに一般会計の財源——税金を主たるものといたしますが、それから主たる経営費あるいは施設費というものが依然として入ってまいります。これが一つの道でございます。これは、こういう特別会計をつくりましても、運用といたしまして、一般会計の予算面にも、この特別会計に対する繰り入れといたしまして文教予算の最重要な事項の一つといたしまして、これが計上されるということに相なるわけでございます。
それから、その次は借り入れ金でございますが、第七条にございますが、「この会計において、国立学校の附属病院の施設費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、借入金をすることができる。」ということになっておりますが、これは御議論もございましたとおりで、国立学校の付属病院、これはもちろん研究施設でございます。しかし、一面現実の医療行為をやっておりますので、それに伴いますところの収入があるわけです。その収入をもって施設に充てるわけであります。しかしながら、収入は始終入るものでありまして、施設のほうはまとめて要するものでございますから、あらかじめ将来の収入を見込みまして現実の施設を早くつくるということを操作する余地があるわけでございます。そういうことを利用いたしましてここで借り入れ金の制度を設けたということでございます。三十九年度予算におきましては十億円ということになっておる次第でございます。
そのほかに、条文を追って申し上げますと、第十二条にございますが、「この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余金を免じたときは、政令で定めるところにより積立金として積み立て、なお、残余があるときは、翌年度の歳入に繰り入れなければならない。」という規定がございまして、以下積み立て金に関する規定が若干ございますが、要するに、従来でございますと、学校の関係は学校の予算ということで一般会計に計上されておりました予算でございますから、当然その範囲内で生活をいたしますわけでありますが、それに対する財源は一般会計として歳入面で用意されておる次第であります。しかしながら実際の実行にあたりましては、歳入は、実際において予算を超過する場合もあり得るわけであります。歳出のほうは、これを超過することはあり得ませんが、学校関係におきまして資金的に余りが出てまいります。これらのものはまた来年度におきまして一般の歳入となりまして一般会計の一般の財源に充てる。あらためてこれを来年度——現実に予算的に処理いたしますのは再来年度になりますが、もう一回各経費に割り当てることになっているのでございますが、その作業をいたします前に、この学校関係の剰余金をまずこの会計に留保してしまうということでございます。留保いたしました金はそのまままた来年度の歳入に入れてもいいわけでありますが、なお現実に余った金というものはとっておきたい。しかし現実に必要が生ずるのは、各大学、各学校それぞれの御事情がございましょう、将来まとめてこういう計画でやりたい、あるいはさしあたりはこういうことであるが、来年度あるいは再来年度こういうことが予想されるというような、それぞれの御都合があるわけでありますが、一般会計におきましては、そういう事情は全部消されて資金的にそのための用意をしておくことはできませんが、それを用意する道をこの十二条において開いておるわけでございます。これが積み立て金の関係でありまして、本件につきまして立案いたしました場合に、大蔵省といたしましていろいろな措置に踏み切った次第でございますが、この積み立て金の関係を別除いたしまして、これをこの学校会計そのものの帰属にいたしまして、もう翌年度以降はこれを一般の財源に充てないのだということにいたしましたことは、非常に多くの検討と議論を経た点でございますが、これは特別会計制度の非常に大きな特色であろうかと存じます。
そのほか学校の経営そのものを円滑にいたしますために、予算生活の拘束をなるべく苦痛の少ないものにするためにというので、支出未済額の法定繰越しの制度であるとか、あるいは予算上におきまして弾力条項の制度であるとかいうようなものがございます。なお、この附則のほうにまいりまして、付則の第四項でございますが、「この法律施行の際一般会計に所属する資産及び負債で国立学校に係るものは、政令で定めるところにより、この会計に帰属するものとする。」後に六項、七項等におきまして関連の規定がございますが、過日大蔵大臣より御答弁申し上げましたように、現在用に当てておりますところの資産はいろいろな形態でございまして、きわめて重要なもので、そのまま使っていくべきものもあり、あるいはもう使用の必要がなくなったものもあるというような状況、一方で不足しておるものもあるというような状況でございますが、これらにつきましてこれを学校の資産ということにいたしまして、以後はこれを換価処分いたしますれば、それをそのまままた学校の資産に転化していくということにいたしまして、ほかに漏れ出す気づかいのないようにいたしたわけであります。同時にいままで一般会計にありましたから、普通の財産を学校に当てますときは、もちろんただで当てておったわけでございます。それの特権と申しますか、恩恵もそのまま存続するということで一般会計から特別八^計にまいります場合には、経過的にはいろいろな例外的な措置がございますが、無償ということを原則といたしております。これによりまして従来どおり一般会計の負担におきまして、学校経営、特にその施設の充実ということにつきましては、今後もできる限り努力いたしますと同時に、これらの新たに設けましたいろいろな措置を極端に利用いたしまして、さらにその整備、内容の充実というものに速力をつけてまいりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/170
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171・卜部政巳
○卜部委員 いま御答弁がありましたが、この点でお伺いをいたしたいのは、今度出されております国有財産法の改正案とのからみ合わせですが、特別会計に属する国有財産の管理処分についても、その国有財産を所管する各省庁の長は、大蔵省に協議しなければならないという、この案件とのからみ合いはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/171
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172・中尾博之
○中尾政府委員 特別会計の普通財産を処分いたしまする場合に、大蔵大臣に協議いたしまするのは、また別途の考え方でございまして、これは普通財産の整理がだんだん進んでまいりして、一方で新しい行政需要のために国有財産も処分してこれを歳入の財源に充てるという見地一点ばりでは少し不十分である。これを活用するということにしなければいけないというような状況もございまして、そういうような関係から、いわゆる総括大臣としての大蔵大臣の、そういう意味の配慮を強化することを考えておりまするが、その一環の措置でございます。しかしこの協議に応ずるということだけでございまして、協議と申しましても、当然法律のたてまえに従うわけでありますから、この特別会計ができますと、この特別会計に帰属いたしておりまする財産処分をいたしますという場合には、当然処分する必要があるかどうかということは学校がおきめになることであります。それによる財源はこの会計に入る。この原則は何ら変わりはございません。なお学校のほうでは要らない。しかしこれを売りたいというときに、行政上必要があるからこれは一般会計が使うのだとか、他の会計が使うのだとかいうような場合は、そのほうが適当であると思えばそういうことになりまするが、その場合は有償ということになりまして、一般民間に売る場合と同じ収入の利益が、この会計の利益に入るようになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/172
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173・卜部政巳
○卜部委員 そういたしますと、文部省はいまの御説明によりますと大体六十億の収益があるというようなことをおっしゃっておるわけですが、そういう点について具体的な内容と、さらにその配分権というものがどこにあるかをひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/173
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174・安嶋彌
○安嶋政府委員 財産処分収入は、特別会計のほうの収入でありまして歳出となりますと、これは歳出の執行という形で予算が執行されるわけでございます。具体的に施設の整備等を行ないます場合は、これは事業の実施計画を立てまして、個別に文部省が内容をきめまして大蔵大臣に協議をして決定をする、こういうことでございます。したがいまして、歳入がストレートに歳出に結びつくということは理論上はないわけでございます。歳出は歳出といたしまして、実施計画を立てまして大蔵省に協議をする。歳入の配分について協議をするということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/174
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175・卜部政巳
○卜部委員 いま御答弁のとおり、歳出についてはそうなんですが、歳入についてはないということはわかっております。そこでこの売り上げたところの収入自体は、これは大体資金運用部の、ほうに預託されるわけですね。そうするとその点に対する積み立て金の還元率なりさらにこの点に対しての規制といいますか、大学の規制というようなことが当然出てくると思うのでありますが、その点はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/175
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176・中尾博之
○中尾政府委員 いま文部省のほうから御答弁になりましたことと若干重複するかもしれませんが、収益と申しましても、要するに歳入にあがってくるわけであります。歳入にあがりまして、その金が歳出の財源になる。それで歳出の財源に先ほど申し上げましたように今年度は充てないで、来年度にしよう、あるいは来年度以降にしようというお考えの場合もあろう。そういう場合に、ほかの金とごっちゃにしませんで、この会計の中に残しておくというのが、この積み立て金の制度に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/176
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177・卜部政巳
○卜部委員 質問は、その点はそれとして、いわゆる預託するということは事実なんでしょう。積み立て金は大蔵省の資金部に預託はしないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/177
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178・中尾博之
○中尾政府委員 積み立て金の状況によりまして、これは資金運用部になるべく預託をする、それによって収益を生みますから……。ただし預託をするのが目的の資金ではございませんで、いずれは使うための資金でありますから、それの差しつかえのない限りで遊び金を運用するという意味で預託をいたすわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/178
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179・卜部政巳
○卜部委員 遊び金を預託をするということなんですが、大蔵省預金部に預託をするその率と、それからこれはちょっと角度が違うのですが、企業的に投資するときの率というものが、金額的にだいぶ違ってくるのですね。なぜ大蔵省の預金部のほうに預託するのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/179
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180・中尾博之
○中尾政府委員 運用をいたします場合には、いわゆる国庫金というものは統一して運用いたすことになっております。これが実は会計制度の基本になっているわけであります。特別会計、一般会計いろいろございますが、歳計金は歳計金、歳計外の金は歳計外の金、それぞれ集まってまいります国庫金は統一的に管理をいたしまして、運用をいたします場合にも、統一的に運用をいたすことになっております。その方法として、預金部の運用ということが、一般の原則になっておるのでございます。それで預金部の預託ということになるわけでございます。預金部におきましては、これを安全かつ有利な方法で管理いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/180
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181・卜部政巳
○卜部委員 郵便貯金の問題につきましてもそのとおりなんですが、運用部資金に入れられるわけですね。実際問題として、郵政省自体がその金を利用したほうが、貸し出したり何かしたほうが、はるかに有利になることはわかり切ったことです。それに預託をして六分五厘の利子をもらって運用するところ、郵政の赤字があると同様に、特別会計の中でそういうところに入れておきますと、おいそれといまのような形でしぼられてしまって、むしろその点においては弊害があっても、利益というものはない、私はこのように考えるわけです。その点はその点でよろしゅうございますが、その点についての還元率は幾らかと質問しておるわけです。預託する積み立て金の還元率をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/181
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182・中尾博之
○中尾政府委員 いわゆる余裕金でございます。余裕金の管理の方法といたしまして、資金運用部資金法第三条に、「政府の特別会計の余裕金は、資金運用部への預託の方法による外、運用してはならない。」ということになっておるのでございます。この趣旨は、あくまで余裕金の運用ということであります。もともと収益率と申しますか、消費的な資金でございます。ただ何とかそれを使わないで持っておるという限りの資金でございますので、ここに集中いたしまして管理をいたしておる。しかもそれを運用に回しますると、利息も入る、こういう制度になっておるわけであります。いろいろしぼられるという話でありまするが、あくまで消費的な資金でございますから、それの計画にしたがいまして許されるだけの運用をしていくということでございます。さつしかえのあるようなやり方は、実行の面において事実上いたさないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/182
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183・卜部政巳
○卜部委員 それはもちろん預託をすれば、利息をもらうのがあたりまえなのですが、この条文の中にも明らかになっておりますように、率直にいって、今度の特別会計明確に企業的な運営になっていくということは避けられない状態だろう、こう私は思うのです。そうなりますと、当然上げた収入というものは、企業的なそのような会計の中で当然淘汰されてしかるべきものであって、何も預金部資金のほうに吸い上げていく必要はないのではないか。しかしそのことを論議しても問題はありますから、そこに吸い上げようとするところに問題があるこの法案なんですから、あえて申しませんが、では大学の積み立て金の規制というものは、どういうもので行なってくるかをお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/183
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184・安嶋彌
○安嶋政府委員 積み立て金のお尋ねでございますが、積み立て金は、法案の十二条にもありますように、決算上の剰余金のうち、政令の定めるところによって、その一部を積み立て金として積み立てるということになっておるわけでございますが、これは私どもの現在の考えでは、歳入超過額を積み立てるというような考え方をいたしておるわけであります。この積み立て金は同じく十二条の二項にもございますように、まず決算上の不足を生じた場合にはこれを充当するわけでございますが、さらに三項の規定によりまして、国立学校の施設の整備の財源に充てるということになっておるわけであります。実際の使い方といたしましては、歳入予算に積み立て金からの繰り入れを計上いたしまして、そして歳出予算に同額の施設整備費を計上すると、いうことになるわけでございます。したがいまして、この積み立て金から幾らこの歳入に繰り入れるかということ、したがって同時に、歳出予算を幾らにするということは、毎年度この特別会計の予算の内容として確定されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/184
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185・卜部政巳
○卜部委員 この十二条のことにえらいこだわっておっしゃるようですが、中尾さんのほうから、積み立てて、さらに預託をして、そして運用していくということをおっしゃっているのですが、実際問題としてはこの中にもあるように、預けておった資金も施設のいわゆる整備費にしか出されないという状態なんでしょう。その点は間違いないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/185
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186・相澤英之
○相澤政府委員 十二条の第三項におきまして、この積み立て金は、決算上不足を生じたときにはそれを補てんするために使われますが、それ以外の場合は施設整備のみに充当することができるとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/186
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187・卜部政巳
○卜部委員 そうすると、中尾さんがおっしゃったこととは若干会い違いがあるのですが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/187
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188・中尾博之
○中尾政府委員 私も同じことを申し上げたつもりでおったのでございますが、あるいはことばが足りなかったかもしれません。いま法規課長よりお答えいたしましたところと、私の意見は同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/188
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189・卜部政巳
○卜部委員 そうすると、大学の自主的管理という面からいたしまして、国大協が要望しておるようなものが全然取り入れられなくて、自主管理などということはもう全然無視されておる、こういうふうに解釈をしていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/189
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190・安嶋彌
○安嶋政府委員 国大協の要望書に自主的ということばがございますが、これは積み立て金の管理を国立大学が自主的にやるという、そういう趣旨でないというふうに私ども理解しております。これは会計全体の運営について、国立大学の自主的な運営が可能であるように希望するということでありまして、このことを言っておるのではないかと考えております。なお、この積み立て金は戦前の学校資金と異なりまして、各学校ごとに経理されないわけでございます。特別会計一本の積み立て金でございます。したがいまして、戦前の学校資金のように、各学校ごとに経理が行なわれましてそして学校ごとにこれを使用するという、そういう考え方をとっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/190
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191・相澤英之
○相澤政府委員 ただいまの説明に若干補足して申し上げますと、国大協の一月二十三日の意見によりますと、「この会計の剰余金は、全額この会計の財源とし、歳入予算超過分の一部は、積立金として積立て、施設整備のために歳入に繰入れうるものとすること。」ということがあがっております。この要望のとおりにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/191
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192・卜部政巳
○卜部委員 いまの御答弁でございますが、少なくとも特別会計をつくる以上は、自主管理をやはりやらしていただきたいという、国大協のいま申し上げておるその条項目の問題だけではなくて、いま嶋課長のほうからも言われた総体的な問題がありますが、ただ十二条の問題が出たので、そのことに触れたのでありますけれども、実際問題として、自主管理という問題からいたしますならば、少なくとも余剰金にしても、さらに上がってくる収益にしても、大学側がそれはそれなりに自主運営をしていく立場というものが取られなくてはならないという要望があるわけなんです。この点は無視されておるということは否定できないと思うのですが、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/192
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193・中尾博之
○中尾政府委員 いま資料で見ましたが、御質疑の文言は見当たりませんが、お話の点から問題を伺いましてお答えいたしますと、いわゆる予算生活として独立する、あるいは資金的に国庫と分離して独立するというような制度は、現在の憲法のもとにおいては無理かと存じます。国によりましては、学校あたりにそういう制度を設けておるところもあるようでございます。しかしそれはやはり憲法のたてまえが違いますので、そこまではなかなかまいりません。しかしながら、実際問題といたしまして、今回の特別会計をつくりますのも、当面とにかく施設の整備ということが非常におくれておる、まことに残念なことであるが、これを何とかして早くしていきたいということでございます。しかも、独立という、そういう点の憲法上の問題よりも、当面の問題といたしましては、一般会計からもこれを入れるだけ入れる。その他の手段もできるだけ動員するというたてまえでございまするので、そういうふうに御理解をしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/193
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194・卜部政巳
○卜部委員 前からの委員会の関連の中でひとつ御判断を願いたいのですが、何も独立の会計を別個に立てていけなどと言っているわけじゃないのです。さらにまた、外国でないとその例がないなどという答弁がなされておりますが、この間の、委員会の中でも触れましたように、四十年の帝国大学の特別会計法の中には、明らかにそういうことがあるわけですね。これは私が読み上げなくともおわかりかと思いますが、政府資金により生ずるいわゆる収入、授業料、寄付金、その他の収入をもって、その一切の歳出に充てることを許し特別の会計を立てしむると、こうあるのです。何も諸外国ばかりではなくて、帝国大学の特別会計法の中にもそれを見ることができるわけです。そういう面の中で、大学側もそういうむちゃな、わが国の憲法に違反をするようなことが述べられるはずがないのでありますが、そういう点についての自主管理という問題を無視したということについては、何としても否定できないだろうと思うのです。この点については答弁の余地がないと思うのですから、この点はこの点で進めていきたいと思います。
次に、この間も灘尾大臣とやり合ったわけでありますが、中尾次長のほうから若干補足的な意見が飛び出て何か混乱をしてしまいましたが、ひとつ整理をしていきたいと思います。一般からの繰り入れ金の問題でありますが、これは、率直に言って、特別会計予算の中では当然企業整備や大学再編成などが行なわれるだろうと思うのですが、しかも、その点について一般会計からの繰り入れという問題については、三十九年度に立てた収入から全然減るようなことはない、この点は確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/194
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195・中尾博之
○中尾政府委員 一般会計の収入をもちまして国立大学の主たる経営をやっていくということの体制は、特別会計を設けましても何ら変更されるものではございません。それにプラスしてほかの財源も動員できるということに御理解をいただきたいと思うのであります。したがって、予算の金額のことでございますから、そういう意味で御理解をいただきたいと思いますが、この特別会計をつくることによりまして従来の金額を減らしてしまうというつもりもございませんし、そういうこともないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/195
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196・卜部政巳
○卜部委員 そうすると、再確認をいたしてまいりたいのは、今度の歳入予定額として一般会計からの受け入れ並びに借入金、付属病院等の収入、授業料及び入学検定料、学校財産処分収入、雑収入、こういうことになっておりまして、その中に占める一般会計からの受け入れが八〇%になっておるわけですね。そのような形の中で常に八〇%を下回るものではないということに確認ができるわけですね。この中に含めるものと同じように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/196
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197・中尾博之
○中尾政府委員 いまの率の点はどういうふうに伺ってよろしいか存じませんが、この率自体は別に意味はないのでございます。社会保険あたりにおける国庫負担率というような問題ではございませんので、元来が国立学校の経営でございまするから、経営に伴いまする収入があることは事実でございまするけれども、もともと収益事業じゃないのでありまするから、主たる財源は必要に応じまして一般会計から見ていく、これが原則であります。ただそのほかに許されるこういう財源を特定化しまして学校にすべて還元する、またそういうことになれば学校側としての整理がやりやすかろうということだけのことであります。したがいまして、今後とも国立学校の経費というものにつきましては、経営費にせよ施設費にせよ、財政の許す限り重要なる事項といたしまして今後の予算編成において取り扱われることと存じます。しかし今度は、この特別会計が発足いたしましたことによりまして、ここで予定いたしておりまするような手段によるところの財源がまた非常に出てくるという場合には、またそれはそれで伸ばせるだけ伸ばしていきたいというのが私どもの気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/197
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198・卜部政巳
○卜部委員 そうすると、いまのことばと一緒だということですね、答弁にことばが多くを使われたけれども。一般会計からの繰り入れというものは、パーセンテージ云々というのですが、私がパーセンテージをなぜ固執をするかといえば、やはり金額面では物価高、きょうの討論じゃございませんが、賃金が上がっても物価のほうが上回っておる。だからそういうことで問題が糊塗的にあれされちゃ困ると思うのです。ですから、あくまでもそういう付属病院の収入、授業料、さらに学校財産の処分の収入だとか雑収入だとかいう、この中に占めるウェートは、八〇%を絶対に一般会計からの繰り入れば下がるものではない。その点は確認をしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/198
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199・中尾博之
○中尾政府委員 これも少し御説明のことばが足りなくて恐縮でありましたが、一般会計におきまして一般財源を用いましてこの学校のために充てていくということは従来と何ら変わるところはございません。それは毎年の財政の状況に応じまして、現実の需要に応じまして、不自由のないようにやっていきたいというのが私どものこの法案を立案いたしておりまするところの趣旨であります。なおそのほかに、学校自体収入がございます。この収入につきましては二つございまして、生徒の負担になるようなものだとか、そういうようなものは特別会計をつくることによりまして、先ほど来御質疑にも企業性云々というようなことばもございましたが、もちろんそういう面であるいは企業と言えるかもしれませんが、収益事業ではないのでありまして、授業料はどういうふうにするのかということは授業料自体として検討すべき問題である、そういうことはそういうことでありまして、特別会計をつくるからと申しまして、これを何らかの割合にスティックするかどうかという問題とは関連させておりません。
なお施設の点でございますが、これは立地条件が変わるとかあるいは様式が変わるとかいうようなことで換価して、また新しいものにかえるというようなことを主たるものといたしますものでございますから、財産価値としては増減はあまりないことになると思いますが、使用価値としてりっぱなものになるということを主としてねらっているわけでありまして、こういうようなものにつきましては、いまの八〇%とかなんとかいう割合ではなくて、国庫のほうもできるだけ出します。しかしこっちのほうもできるだけ伸ばしていくチャンスがあったら何もとめることはない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/199
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200・山中貞則
○山中委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/200
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201・堀昌雄
○堀委員 いまの答弁を聞いておりましてちょっと不安がありますので、少し確認をしておきたいと思うのですが、実はいま、次長は収入がふえることは大いにふやせばよろしい、それは収入が自然にふえるのなら私もふやしていいと思うのです。しかし、実は私自身過去に非常に苦い経験があります。私は昭和十六年大阪大学を卒業したのですが、私どもが学生でありました昭和十三年、十四年、十五年当時、大阪大学では、特に医学部の病院収入に関してでありますけれども、ポリクリの、要するに学生用の患者というものは激減をいたしまして、そして私どもは十人ないし十五人に一人しか——患者が十五人じゃないですよ、患者一人に対して学生が十五人もかかって、そうしてポリクリの授業を受けるという段階がきたことがあるわけです。そこで私どもは、学生の当時、ポリクリ委員会というものをつくって、大学当局に対して、少なくともそういう非人道的な行為をわれわれはすることができない、一人の人を二人ぐらいで見るのならいいけれども、十五人の者が寄ってたかって見たのでは、これは幾ら学用ということでフライの患者であっても、これは人道上許すことができないということで、私どもは何とかこの制度をもう少し、学用患者が多くなるようにやってもらいたいという要求を出しました。ところがその当時の大阪大学では——うちの大学というものは、当時の状況と今とは違うのかもしれませんが、少なくとも病院収入がある程度なければ学校の運営はやっていけないから——当時、帝国大学ですよ、この大学は昭和八年に帝国大学になっておるわけでありますが、当時、そのために一般患者をとることを優先をするのであって、学用患者が少数になったからといって、われわれの要望のように一般の患者を、学用の、ポリクリに出すことはできないといって、当時私どもは再三教授陣とやり合ったけれども、それが解決を見なかったという時代があるわけです。今から二十年前の話でありますから、現在はどうなっておるかわかりませんけれども、もしいまのようなかっこうになって、収益性に非常に比重がかかってくるならば、再びあの当時のようなことが起きかねないのではないか。ポリクリに対して、十分の学用患者のフライの患者がないときには、有料患者を含めて、その学生の教育に充てる。大学付属病院というものは本来教育のための機関でありますから、その学生の教育に充てることに十分さを欠くようなことが起こるようなことになるならば、この特別会計は何のために設けられるかわからぬということになりかねないのでありまして、その点について、文部省側はそういうことが一切起こらないということをここで確言できるかどうか、ちょっとお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/201
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202・安嶋彌
○安嶋政府委員 歳入の問題でございますが、一般医療費、これは学用患者以外の医療費でございますが、一般医療費とそれに対応いたします歳入の割合でございますが、これは過去数カ年の実績のとおり、三十九年度も八〇%の歳入ということで歳入予算を計上しております。したがいまして、特別会計になったからといって、その歳入について過大な見積もりをしておるということはございません。
それから、学用患者の扱いでございますが、私ども学用患者経費を積算いたします基準といたしまして、臨床講座の中の内科系の講座につきましては、一日六人の学用患者、その他の講座につきましては三人の学用患者を計上しております。各大学ともおおむねこの基準によって学用患者を採用し、教育研究のために使っておるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/202
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203・堀昌雄
○堀委員 内科系で一日六人ですね。いま大学の定員はたしか一般的に八十名だと思うのですが、八十名の定員でどういう形でいまやっておられるか、私はつまびらかにいたしませんけれども、少なくとも私どもがやっておりました当時は、ある一つの内科に対して、その八十人おる者の少なくとも四分の一ぐらいがそこに行くことになると思います。各科に行きますけれども、内科が一番数が多いですから。そうすると三分の一ないし四分の一の者が行けば、二、三十人行くわけですが、二、三十人に対して六人といえば、やはりいままでも一人の患者に五人か六人が寄って見るということになりますね、寄ってたかって見るかっこうになるわけです。そういう問題については、これまで大学のほうでは——かつては東京大学は、どうも学用患者だけでなくて、有料愚考をも含めてポリクリの用に供しておったということを、私はその当時調査をして知っておりますけれども、その他の大学ではいろいろスタイルがあって、特に大阪大学の場合にはやや営利性に傾いておるとわれわれは判断しておりましたけれども、有料の患者については一切学生に見せないというたてまえになっておったわけですが、いまのその程度では私は非常に少ないと思うのです。それで、その大学は、一般的に学生の診療用に供するポリクリの患者というのは、有料患者を見せないで、学用患者だけで処理が済んでおるかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/203
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204・小林行雄
○小林(行)政府委員 学用患者の学生との比率の問題でございますが、御承知のように従来一般の大学では、一般の患者も、病気の種類によっては先生が指導しながら学生と一緒に見ておるように私ども承っております。この問題につきましては、実は前々から文部省にも医学関係の視学委員等がございまして、話の出たことがございますけれども、特にこの患者一人当たりの学生数の比率の点については強い御要望を承っておりません。今後もし御指摘のような点がございますならば、さらに検討いたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/204
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205・堀昌雄
○堀委員 私もいまのお話を聞いて、突然質問をいたしましたので、調査をしておりませんから、ひとつ文部省側において付属病院を持っております各大学に照会をしていただいて、いまのポリクリの実情を御提出いただきたいと思います。
まあこの特別会計法は年度内には上がることになるかもわかりませんが、それはそれとして、今後の予算上のあり方として、いまの学用患者のとり方がそれでいいかどうかという問題について、私やや疑義を残しておりますので、ひとつ調査をお願いいたしておきたいと思います。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/205
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206・卜部政巳
○卜部委員 いま病院の問題が出ました。この点でひとつ質問をしてみたいと思うのですが、付属病院は国立病院と違って、その面では独立採算制なんかはとらぬ、こういうことを言っておりますが、この点に対する保障はどこにあるのでしょうか。この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/206
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207・中尾博之
○中尾政府委員 独立採卵制をとらないという保障と申しますよりも、現状の予算の立て方はいかなる意味におきましても独立採算的なメリットの立て方ができないようにむしろなっております。これは経理の関係でもそうであります。予算の関係でもそうであります。のみならずその以前の実態でございますが、実態におきましても、たとえば定員の配置その他一病床当たり何人とかというようなことではないのでございまして、たいへんに大ぜいの方が教育と研究というアクションでこれを扱っておられるということでございますから、われわれもこの分だけは病院の歴史というようなものを意識をいたしておらないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/207
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208・卜部政巳
○卜部委員 国立病院自体特別会計に切りかえられるときにも、当然いま中尾次長がおっしゃったようなことが言われておるわけです。現実には独立保算制だというかっこうの中でしいられてきておるわけですが、この点の見解はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/208
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209・中尾博之
○中尾政府委員 国立病院についていろいろ御意見もおありのようでございますが、国立病院のほうはいろいろな立地の条件その他によりまして、必ずしも民間の採算に乗らないような場合も多うございます。そういうような事実もございまするが、何と申しましても治療ということが中心になっておる施設でございます。したがいまして、そのベースにおいての取り扱いになるわけで、大学病院につきましても病院ということでございますから、同じようなものでありまするが、目的が違います。したがって、そういう観念でこれをとらえるということ自体がおかしいのであります。したがってそういうたてまえからわれわれは何ものも意識しておらないわけでございます。今回の制度におきましてもそうであります。何か過日どなたさまか特別会計として病院だけでどうかというような御意見もありましたが、われわれはそういうことにつきましては、実態がすでにそういうことでないものでございまするから、全然考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/209
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210・卜部政巳
○卜部委員 付属病院と国立病院とは大体性格が違うとおっしゃっておっても、事実は医療機関ですね。それに加えて地方に行っても、付属病院なんということになりますとむしろ国立病院あたりより、それからもろもろの病院よりも、医大などといったら権威があるものとされているわけです。わんさわんさと押しかけておるという現状はこれまた否定できないわけでして、この点では答弁は必ずしも私は納得できないと思うのです。
そういうことでありますならばひとつお伺いいたしますが、企業収益を上げるためにハッパをかけないということと、それからもう一つは膨大な無給医がおるのですが、この無給医も特別会計と違うのですから、もちろん定員の中に入れてこれを定員化する、こういうかっこうになると思うのですが、その点は間違いございませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/210
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211・中尾博之
○中尾政府委員 ただいまの問題は、無給医のおりますことも一実でありまするし、そういう方々は研究することの前提によって予算の内容ができておる面もございます。しかしながらこれはこの特別会計の設置とは全然関係がございませんので、むしろ医育制度をどうするかという問題の回答の問題であろうかと存じますが、それらの点につきましては文部省当局あるいは関係の省といったようなところで御検討になりました暁には、われわれのほうもできるだけこれに協力いたしたい、こう考えておりますが、さしあたり本件、特別会計の問題といたしまして、どうこうといって申し上げることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/211
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212・卜部政巳
○卜部委員 特別会計になると、やはり収益性の問題が何といっても出てくるわけなんです。そういったとき、いま全然その問題は関係はないと言いながらも、現実に収益を上げるために下のほうで労働強化なりさらには定員の不足、さらにその点の合理化というものがしわ寄せされてくるということは、もう火を見るよりも明らかだということの点を私は知っておるが、ゆえに、またその点を将来憂えるあまりに質問しておるわけです。そういうかっこうの中では、どうなんでしょうか、この無給医の定員の問題はいかが取り計らうつもりなのかをひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/212
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213・小林行雄
○小林(行)政府委員 無給副手あるいは研究生というような名称で、各大学の附属病院にかなりの職員がおることは事実でございまして、これにつきましても文部省といたしまして数年にわたって実際の状況を調査いたしたデータもございます。ただこのいわゆる無給副手が、それが全部いわゆる診療要員として絶対に必要な数字というふうには考えられない資料もございますので、病院の外来患者数あるいは入院患者数との比率等も考えまして、必要な無給副手につきましては、これを定員化するように努力していきたいと思っております。三十九年度の予算におきましても一部その定員化をはかっておりますが、現状ではまだ不足でございますので、今後その点につきましては十分努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/213
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214・卜部政巳
○卜部委員 一部ということは何名でございますか、ひとつ具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/214
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215・小林行雄
○小林(行)政府委員 三十九年度におきましては二十人でございますが、三一十七年以来八合計として百三十人くらいの定員化をはかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/215
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216・卜部政巳
○卜部委員 五千名もおる中で二十名だとは、それは実際どういうことでしょうか。さらに将来といっても、百三十名という。実際問題としてこの五千名の無給医がおるから病院がまかなわれておるという現状もあるわけでしょう。この点についてはいかなる考えを持っていますか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/216
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217・小林行雄
○小林(行)政府委員 私どもの資料では、ただいま御指摘のありましたような、大きな数のいわゆる無給副手が出ておりますけれども、その中には全然調査機関の中で大学に来ておらないというよりな数字もかなり出ておりますので、その数字全体が定員化すべき数というふうには考えておりません。しかしただいま御指摘のものの大体三分の一程度は必要なものではなかろうかというふうに目算をいたしております。もちろん御指摘のございましたように、現在まで定員化してまいりました数は出校いたしますれば、きわめて少数でございますが、今後さらにその点につきましては努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/217
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218・卜部政巳
○卜部委員 先ほどの答弁の中にもありましたけれども、はたしてそのことが必要があるのかどうかということを十分見きわめまして将来の問題を考えたいと思います、こういう答弁があったわけです。そういたしますと、いまの答弁とのからみ合わせですが、大体病院に来ていない方も合わせて五千名だが、将来は三分の一は定員化したい、こういうことでありますがゆえに、三分の一以外のこの無給医というものは率直に言って使わぬということですね。病院におらすことはできない、こういうことですね。もし使っておるということになりますと、これは問題がありますよ。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/218
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219・小林行雄
○小林(行)政府委員 その三分の一以外のものはいわば要するに、たとえば自分の論文を書くとか、あるいは特殊の勉強をするという目的で来ておる者が多いようでございますので、そういったものにつきましては、学生に正規の学生と申しますか、研究生という形で身分を持たせる、いわば一種の学生として取り扱うのが妥当ではなかろうか。したがって実際に診療に必要な人間については、これを定員化するのが妥当であろう、そんなふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/219
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220・卜部政巳
○卜部委員 私はそこにからくりがあると思うのです。率直に言うならば、大学に就職をすると言うとおかしいのですが、研究するという名目のもとにこき使われ、さらにその中でかなりの役割りを果たしておるというのが現状じゃないかと思うのです。そういう面でおまえは学校の研究のために入ってくるんだからという、人間の弱みをとらえながら使用しておるというのが現状だ、こういうふうに私は思うわけです。そういう面におきまして、この三分の一の定員化もさることながら、インターンの問題が、だいぶ問題になりまして、この制度の問題を是正せよという問題も出てきておるわけでございます。この点を、いま堀委員のほうからも申されましたけれども、私も監視をしながら、事実こういうかっこうが三分の予算化されるその日がいつごろなのかを一応聞きながら、この問題だけの質問は終わりたいと思いますが、この点は大体いつごろでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/220
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221・小林行雄
○小林(行)政府委員 文部省といたしましては、計画を立てて財政当局と御折衝申し上げておるわけでございますが、まだ完全な御了解はいただいておりませんけれども、最大の努力をいたしまして、できるだけ早い時期に定員化をはかってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/221
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222・卜部政巳
○卜部委員 この点を最後と言って申しわけなかったのですが、もう一つ質問をいたしたいのです。
率直に申し上げて、国立病院の場合にはだいぶ整理統合が行なわれております。これは私は当然特別会計からしのび寄ってくる結果だろうとは思うのですが、大学病院の場合にはそういう面について整理統合するというようなことがないか。これは率直にいうならば、国立大学の場合におきましては、学部ごとのいわゆる整理統合というふうに解釈を願いたいと思いますが、この点についてはないのでしょうか、あるのでしょうか、その点をお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/222
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223・小林行雄
○小林(行)政府委員 国立大学の病院の整理統合ということは従来実施いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/223
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224・卜部政巳
○卜部委員 いや、私が質問したのは、文理学部の問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/224
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225・八木徹雄
○八木政府委員 国立大学の付属病院の性格は、あくまでも学問の研究というところに主体がなければならぬわけでありますから、学校の存する限り、これを統合したのでは意味がないわけでございます。その意味で大学付属病院を統合しようという考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/225
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226・卜部政巳
○卜部委員 だから、質問は最後まで聞いていただきたいのは、国立病院の場合は不良病院ということで統合されるけれども、それと似たような形の中で大学病院の場合には、病院自体は統合されることはないでしょう。しかしながら実際問題として、各大学の学部の統合が行なわれないかどうかということを私は聞いておるわけです。たとえば文理学部の問題ですが、そういう問題はどうか、こういうことを質問しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/226
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227・小林行雄
○小林(行)政府委員 御承知のように大学自体の持っております学部を統合しようというような計画はいまのところ持っておりません。御指摘のございました文理学部につきましては、これは戦後旧制の高等学校等を母体といたしまして発足したものでございますが、それ以外の学部と比較いたしまして、実はこれに対するいろいろの批判もございます。いわばそこの卒業生が比較的力が弱いというようないわれ方をしておりますので、この文理学部の将来の問題といたしまして、さらに強化充実する方向に研究をしていきたい、ことに大学入学志願者の急増時期が迫ってまいりますので、文部省としてはできればそういう整備強化する方向に研究をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/227
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228・卜部政巳
○卜部委員 そういうかっこうの中では、人件費を特別会計の中に入れる、こういうことになりますね。そうなると、実際問題としては、これは問題が出てくるというように考えるわけですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/228
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229・小林行雄
○小林(行)政府委員 整備強化の方向がきまりまして、また国立学校設置法等で法案を御審議いただきますれば、当然これに必要な教官の増ということも出てくるわけでございまして、その人件豊等も国立学校特別会計に組み込まれるということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/229
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230・卜部政巳
○卜部委員 その問題は別にいたしましても、人件費がこの特別会計の中に繰り入れられるということになりますと、かなり問題を提起してくると思うのですが、共済組合の掛け金の短期、長期の問題にいたしましても、一般会計から繰り入れられるものと、さらには特別会計から出てこなくちゃならぬ性格のものがあるのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/230
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231・安嶋彌
○安嶋政府委員 共済組合の国の負担金分でございますが、これは、国立学校関係の職員分は特別会計にすべて計上してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/231
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232・卜部政巳
○卜部委員 ですから、長期と短期でそれぞれ性格の異なるものを特別会計の中に入れることについて矛盾がないのか、むしろ一般会計のほうからそういうものは負担をすべきものではないのか、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/232
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233・中尾博之
○中尾政府委員 一般会計も特別会計も要するに、同じ国で、ただ整理の勘定でございます。ことにこの会計のごときは、経常的な経費のほとんど全部は一般会計で見ることになるわけであります。何らかの、内容の充実なりなんなりは、すべてこれは一般会計の問題として取り扱われることになるわけでございますから、その点はどういう御懸念か、ちょっと解しかねますが、要するに一般会計からほとんど入っておるので、足りないということになれば一般会計という会計でございますので、別段問題はないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/233
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234・卜部政巳
○卜部委員 別段問題がないといっても、問題があるから言っておるわけでして、やはりどっちかに統合するという形になってまいりますと、当然一般会計から繰り入れてくるのが、繰り入れてくるというよりも出すのが当然ではないか、人件費ですからね。そういうことについて、この特別会計の中に打ち込もうとすること自体が、率直に言うと、——先ほど来から質問をしております病院の問題もそうなんですが、人件費高によるところのしわ寄せをすべてこの会計にされてしまう、こういうかっこうになるだろうと思うのです。その点はどういうことか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/234
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235・中尾博之
○中尾政府委員 学校はやはりそういう一つのまとまった営造物としての仕事でございますから、これをもって特別の歳入歳出を意識いたして特別会計をつくるというのがわれわれの考え方でございます。他意はございません。それがおかしいというのは、あるいは御説明が足りないのかという点をおそれます。それは、一方でそれとは別に、事実問題として人件費が特別会計に入っていると窮屈になるのではないかということでありますが、特別会計にいる行は一般会計にいる者よりも人数が多いくらい、公務員は大ぜいいるわけですから、これはすべて差別はございません。同じ給与の制度であり、定員の法制におきましても、一般会計、特別会計の区別は意識はございません。すべて同じように扱っておるわけでございます。
なお、この会計は、重ねて申し上げますように、要は学校の合理的な運営にあるわけでありまして、それに必要なる財政措置をどうするかという問題であり、その主たる手段は一般会計の税負担でございます。特別会計とおっしゃいますが、特別会計の予算の内容の大部分は一般会計の査定できまるわけで、その点においては従来と大差はない。ただ特別会計独自の操作によりましてあるプラスがつくというだけであるというふうに考えられますので、その点も御懸念かとは存じますが、御心配はないことであるというふうにお答えできると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/235
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236・卜部政巳
○卜部委員 その点の討論をしても始まらぬことでありますが、ただ、その中でも言えることはやはりこの人件費を一般会計から支出をしないということは、何といっても、いかにことばを巧みに、さらに美しく飾りましょうとも、特別会計になれば、病院の問題もさることながら、企業性というものが当然出てまいりますから、その中では一収益という問題も出てくる。そういうかっこうになると、当然人件費が高い。これは池田内閣が特に強調するところでありますが、そういうかっこうでいつも予算が狭められておるという状態も出てきておるわけです。この点は論議をいたしませんが、そこに今度特会に持っていく意図があることも指摘できるのではないか、こう考えます。
そこで、次の問問題に移っていきますが、法人の寄付の問題の件についてでございますが、この点について私大側からだいぶ反撃があったと聞くわけですが、どういう理由で反撃があったのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/236
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237・杉江清
○杉江政府委員 国立大学への寄付がより容易になるのではないか、一言いたしますと、そういうことであります。特別会計に一括して受け入れるというような道も今後生じてくるのではないか。たださえ国立学校への寄付は国への寄付となって税の減免措置が行なわれるわけで、現在でも国立大学への寄付が私立学校への寄付を圧迫しているように思われる。それがなお一そう容易になるのではないか、こういうふうな御心配があったことは事実でございます。しかし、私どもは、それは現状とほとんど変わりありませんということを申し上げて大方の御了解は得られた、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/237
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238・卜部政巳
○卜部委員 そういう危惧されるような問題が何か現実に提起されておったのではないのでしょうか。またあったということについて御承知だったらお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/238
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239・杉江清
○杉江政府委員 具体的な問題、具体的な事実というふうなことは、私伺っておりません。むしろばく然たる危惧の念であったように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/239
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240・卜部政巳
○卜部委員 自衛大学の大学生が裏口から入っていけるところの学校については、そのままの自分で入ってくる。ところが、東大だとか京大だとかというようなかっこうでもって、裏口から入れないような学校については、自衛大学の学校をやめた、実際身分はあったにしてもやめたということでもって各大学に入ってきておる。こういう事実については御承知ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/240
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241・小林行雄
○小林(行)政府委員 私ども、ただいま御指摘のようなことは大学当局から聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/241
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242・卜部政巳
○卜部委員 委託学生は大体どれほどおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/242
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243・小林行雄
○小林(行)政府委員 私ども、まだその点については全然大学当局者から話を聞いたことがございません。あるいは調べればあるかもしれませんが、私どもの耳には現在まだ全然入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/243
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244・卜部政巳
○卜部委員 事実にそういう問題について把握ができていないということでございますね。その点はそういうことだと思うのです。そうした場合に、いま自衛大学のほうがその研究の資料がない、研究の資料というよりも、研究する場所としましては東大あたりに入らなくてはならないという分野があったり、さらに電子工学なんかの問題があるわけですが、そういうところにどうしても託していかなくてはならないということから、各大学に相談があったということについてはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/244
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245・小林行雄
○小林(行)政府委員 防衛大学校の学生を大学側がそのまま受け入れるというような話は私どもは全然大学当局者から承っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/245
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246・卜部政巳
○卜部委員 では、受験に来たということについても把握していないのですか。そういたしますと、現実に自衛隊のほうから出ておりまする者は、入学しておる自体は、二万円の俸給をもらって、身分はそういうかっこうで入ってきている。さらにその中からは、将来予算が当然に自衛隊からその名大学に入ってくるということが懸念されるわけですが、そういう予算については——寄付金ですね、そういう問題については絶対に受け入れない、またそういう番付金はもらわない、こういうことで解釈してもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/246
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247・小林行雄
○小林(行)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、ただいまの御指摘のようなことは私ども全然聞いておりませんので、もしそういうようなことがありますならば、大学当局者のお気持ちもいろいろと伺ってみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/247
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248・卜部政巳
○卜部委員 さっきから小林局長が言っているのですが、知らぬと言うのですけれども、現実にこの私のほうが知っているということについては、これは怠慢ではないでしょうか。その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/248
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249・小林行雄
○小林(行)政府委員 従来、ただいま御指摘のようなことが問題になったことはございませんので、私どもとしても把握はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/249
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250・卜部政巳
○卜部委員 これはそういうふうな局長のお話ですからあえて名前は申し上げませんが、名前を言おうものならば、それこそまた、公務員法か何か知りませんが、処分に関係してくるのだろうと思うのですが、ともかく某大学に入学している人もありますが、受験に来た方もおるわけでしょう。同時にまた、大学のほうから自衛大学のほうに問い合わせたところ、そのように裏口のほうから入っていける人については、身分はそのままで入っていきます、しかしながら、やかましいそういうような状態の学校については退学という名目で入ります、しかしながら、退学をしておっても、自衛隊としては、その身分は自衛隊の大学生だということで保証いたしますという、こういうことが明らかになっているわけですね。その点が把握できないなどということは、やはり問題がそういうことで提起されているだけに、知らないというような問題ではないと私は思うのです。それは知らないと言えば知らないということでいいです。しかしながら、実際問題としてはそういうことでは済まぬと思うのです。しかしその点についてはあえて申し上げませんが、しかし、その点について十分調査をして、その真相を明らかにし、この委員会の中でこの点の答弁ができるようにひとつお願いをいたしたいと思います。
私はなぜそういうことを申し上げるかといいますと、私大のほうがやはりこれに反撃を加えてきた、というのは、そういうようなかっこうでどんどんと各大学に寄付金がいく、こういうふうなことになってくるとしましたならば、いままで私大に加えられているところのいわゆる番付金というものが当然なくなってくる、こういうことからの反撃だというふうに私は考えますが、しかし、いまのこの自衛隊の問題なんかにつきましては、将来の大きな問題であります。今度の防衛庁の予算自体が大幅にふくらんでいるところを見ましても、私は、そういう点の予算も確かに入っているのではないかということを指摘をしたいのでございます。自民党の諸君あたりはにこにこ笑っておるわけですが、またそういうことはないというようなことを言っておりますけれども、実際はそういう点については真剣に考えていかなくてはならぬことだというふうに考えております。
次に大学の自治の問題に入ってまいりますが、先ほどいろいろ大学の自治の問題については触れましたが、その点について具体的に触れてまいりたいと思いますが、今日、安嶋課長あたりは絶対に自治を侵したことはない、同時に灘尾大臣も、この点については侵さないというようなことをおっしゃっておりますけれども、現実に熊本大学や佐賀大学、さらには北海道大学等におけるところの不当干渉、いわゆる学長選挙に対する不当干渉の問題が出てきております。この点に対してどういう考え方を持っておるのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/250
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251・小林行雄
○小林(行)政府委員 学長の選挙は学内の選挙規則によって行なわれるのでありまして、選ばれた候補者に対し文部大臣が任命するということでございます。文部省が学長の選挙に干渉したというような事実は全然ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/251
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252・卜部政巳
○卜部委員 確かにことばの上ではそうなんです。でありますから佐賀大学の場合におきましても今中さんの場合でありますが、この点についても、そういうような学長を持ってきては工学部ができなくなりますよという問題を文部省のほうからやるのではなくて、教授連から言わせるように方向づけてきておる。この事実は私は否定できないと思うのです。そういうかっこうならばなぜ早く発令していかないかという問題もありますが、こういう点は熊本、佐賀、北海道、鹿児島等の大学にもあらわれてきておりますが、これではたして自治を侵さないと言えるでしょうか、その点もう一度お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/252
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253・小林行雄
○小林(行)政府委員 私ども初耳でございますが、佐賀大学に工学部をつくりたいというようなことはいままで伺ったことがございません。ただいま御指摘のございましたような大学について、学長の選考に文部省のほうからくちばしをいれたというような事実はいままで全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/253
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254・卜部政巳
○卜部委員 だから先ほど申し上げましたように、開き直ればそういう形になるだろうと思いますが、そういうように表面的には圧力は加えられていないにしても、この四大学に対しましてはそのような形の圧力が加わっておるということを私は率直に指摘をいたしたいし、もしそうでなければ、文部省自体が早くこの学長の選挙をやれ、いま候補にのぼっておるそういう問題の人々をなぜ早く学長にせぬのかといようなかっこうで、むしろこの事態の推移を見守っておるというのではなくて、その点をやっていくべきではないか、このように考えておるわけであります。
それからその次に、この大学の自治の問題等が発展をして、いまごろ特に強められておりますのは、博士課程の学校、修士課程の学校、一般新制大学の課程の学校、それから高専というように順次この問題を強めてきておりますが、この点に対する教授会の反対があるにもかかわらずそれを無視したという点については、先ほどの事実がないということで逃げられる問題とは違って、これはもう完全に自治を侵しておると考えられますが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/254
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255・小林行雄
○小林(行)政府委員 お尋ねの御趣旨を実は的確に把握しかねたところでございますが、従来の大学、短大というもののほかに工業高等専門学校という制度を一昨年創設したわけでございますが、これは私ども世界的要請、産業界の要請に基づいてこういう制度があるというふうに判断をいたしまして、法律的な制度の御審議をお願いいたしまして、国会の御承認を得たわけでございます。これが直接大学の自治に関連を持つというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/255
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256・卜部政巳
○卜部委員 教授会の反対の意見が集約をされておる場合には十分にそれを参酌するのが自治だと思うのですりそういう場合においてどうなんでしょうか。自治が侵されていないということになるでしょうか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/256
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257・小林行雄
○小林(行)政府委員 教授会の規定は学校教育法にございまして、その教授会で人事その他、また教育計画に関するいろいろな審議をし、意見の決定をされるわけでございますが、そういうものに関する教授会の意見は、もちろん従来も尊重してまいりましたし、今後も尊重していくつもりでございます。それ以外のものにつきましては、必ずしも教授会の決定すべきものというふうには考えられないものもございます。そういうものにつきましては、むしろ学長等の意見も十分しんしゃくして現在の大学行政を実施しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/257
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258・卜部政巳
○卜部委員 その問題につきましては一応終わりますが、これは文教委員会の中でも大いに取り上げられておることだと思いますけれども、とみにこのごろ教育に対するところのいわゆる圧力といいますか、そういうものが加えられております。その点について私も重大な関心を持ってこれを見つめていきたいと思いますが、少なくとも今度の特会になる場合におきましても、この第二条にありますように、「この会計は、文部大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。」ということの中で、文部大臣自体の権が強まるということで、一五%の現在の文部省の持っておるところの運用金の問題についても、かなりこの点から各大学に対して強制をしておるというような問題も出ておりまするし、同時にまたそれをえさにして圧力を加えておるという事実も私たちは知っておるわけですが、時間の関係もございますので、その点を省略しながら次に進んでいきたいと思います。
そこでお伺いいたしたいのは、第七条のこの借入金の問題でございますが、この借入金の問題はあくまでも付属病院に限るということになっておりますが、この点については、ほかの意味の形の中では借りるわけにはいかぬわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/258
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259・中尾博之
○中尾政府委員 そうでございます。借りるわけにはまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/259
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260・卜部政巳
○卜部委員 やんやん時間を責められますので、質問しているほうも実際上がってしまって何を言っておるのかわからぬようになりますが、私もこの特別会計の質問を終わることにいたしたいと思いますけれども、いままで述べられた問題について、まず自治を守るということ——守られてないと私は思うのですが、少なくともこの特会の問題につきましては、ひとつ十分な配慮を行なっていただきたいことをお願いをいたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/260
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261・山中貞則
○山中委員長 野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/261
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262・野原覺
○野原(覺)委員 卜部君が相当詳細に質問をされましたので、国立学校特別会について、大事な点について、私は重複する点があるかもわかりませんが、一応確かめておきたいと思うのであります。
まず第一は、これは大蔵省にお尋ねします。
なお、私が特に指名しない限り、やはり大臣を代理しておられる方に御答弁を願いたい。私は局長、課長に尋ねる場合には申し上げますから、政務次官に御答弁願いたい。
それで、特別会計というのは予算の原則から見ますと、私はやはり変則だと思うのです。財政法上は特別会計を認めることができることにはなっておりますけれども、総計主義という予算原則からいって、このような特別会計というものはそうむちゃくちゃにつくられては困るわけです。これは大蔵省はよく御承知のはずであります。
そこで一体特別会計というのはわが国の財政上今日幾つつくっておりますか、これをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/262
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263・纐纈彌三
○纐纈政府委員 四十一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/263
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264・野原覺
○野原(覺)委員 そこで私がお尋ねしたいことは、その四十幾つかの特別会計については、もう整理する方針はとっていないかどうか。本年度は間に合いませんけれども、これは幾つかは整理しなければならぬ、そういう考えはお持ちじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/264
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265・纐纈彌三
○纐纈政府委員 午前中にも田中委員からいろいろ御質問がありましたが、大蔵省といたしましては、必要に応じて特別会計をやっており、その会計が漸次発展して、非常に有利に運用されているというような状態でございますので、いまのところではこれを整理する必要のあることは認めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/265
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266・野原覺
○野原(覺)委員 整理する必要があればなぜ出さぬかということになるから、そういう御答弁があろうかと思いますが、そこで次にお尋ねしたいことは、国立学校特別会計法の目的、これもすでに質問があったと思います。しかしこの質問に対する答弁は、私どもは不満なんです。今日まで一般会計でやってきたわけです。そうしてずっと教育制度、教育財政の歴史を見てみますと、昭和二十二年まで特別会計できておりますね。昭和二十二年に特別会計が一般会計ということに沿革が変わっておる。それが今度はまた特別会計になるわけです。だからこの目的を——一般会計ではどうしてもいけないのだ、国立学校の財政会計というものは特別会計にしないことには困るという本質的理由を明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/266
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267・纐纈彌三
○纐纈政府委員 特別会計にしたほうが積極的に有利だという考え方なんです。消極的じゃありません。そういう意味で午前中もずっとこの問題には議論がございましたが、国立学校に対しまする特別会計を認めました問題は、やがてベビー・ブームによりまして、大学の入学者もふえるだろうということもあり、現在の実際の状態にいたしましても、設備あるいは施設等につきまして、相当不十分な点もあるというようなことで、何とかしてこれをつくらせる方法がないかということを検討してまいりまして、結局文部省当局とも十分の折衝をいたしまして、大蔵省といたしましては——文部省も同一意見にまとまったわけでございますが、特別会計でやっていったほうが有利だ、こういうことだったのでございます。今回来年度の予算におきましては、国立学校に対しまする特別会計制度に踏み切ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/267
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268・野原覺
○野原(覺)委員 あなたの御答弁の有利だということが理解でき、納得できたら、私は賛成いたします、そこで、そういうつもりで私はお尋ねをいたしますから、具体的に有利だというところをもう少し御説明願いたい。あなたはいま大学生の急増対策にお触れになられた、一般会計で急増対策がどうしてできないか。特別会計にしなければ大学生の急増対策はどうしてもできないんだという、本質的な点を御説明願わないと、これは積極的な理由の御説明にはなりません。いかがですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/268
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269・纐纈彌三
○纐纈政府委員 野原委員も文教委員をやっていらっしゃいますから、よく御存じでございましょう。なかなか学校の施設というものは、いままでも思うように進んでおりません。いわんや大学等の施設につきまして、ことに古い大学等におきましては、教室その他につきましても……。(「それは一般会計でやらないだけなんだ」と呼ぶ者あり)それが財政の状態からいけないわけでありまして、だからそういう問題を少しでも——特別会計によっていたしますれば、剰余金は積み立てをするとか、あるいは従来処分した財帳につきましても一般会計に繰り入れられて、そしてこれは必ずしも文部省だけでなくて、ほかのほうにも振りまくということになるわけでございますので、今度は特別会計にしてそうした一般会計に繰り入れるような問題も特別会計のほうへ入れて、これが自由に使える、こういうことになります。また一般会計の繰り入れについても、大臣も言っておられますし、しばしば申しておるのでございますが、この特別会計を認めた際の来年度の予算におきましても、昨年よりよけい計上いたしておるわけでございまして、これを計上して絶対必要なものは、今後とも一般会計に繰り入れるだけの予算は、当然大蔵省としてもこれを認める、こういうことになるのでございますから、私は、そういうような意味合いにおきまして、絶対に特別会計になるために国立大学が不利になるというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/269
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270・野原覺
○野原(覺)委員 問題は教育に金を出したらいいのでしょう。一般会計でできるじゃありませんか。特別会計にしなければ、いまベビー・ブームの子供たちが高等学校におる、それがやがて大学に今度は入ってくる。したがって大学の入学は国立大学といえども何割かずっとふえるわけです。その急増対策だとあなたはおっしゃいますけれども、一般会計予算に金を出したらできるじゃないですか。特別会計しなければならぬという本質的な理由の御説明にはなりません。その説明がない限り私どものほうは上げるわけにはいかぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/270
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271・纐纈彌三
○纐纈政府委員 御承知のように、一般会計の財源にはやはり限度がございます。まあ今度は所得税法の改正につきましても社会党の方々は、非常に反対をされましたが、税金をもっとあれして国の財政がよくなればそれはできますけれども、そこまではやはりこれは限度がございます。(「それはおかしいよ」と、呼ぶ者あり)それはありますよ。それは財政収入の大幅なものにつきましては、やはり税金の限度もあるのです。私はそう思っておるのです。そういう意味でございますから、やはり野原委員が言われるように、一般会計でも何でもできるのじゃないか。財政全般からまいりますれば、そう簡単には私たちは踏み切れない、そこで苦心惨たんをいたしまして、そうして何とか少しでもよくいくようにする、こういうことで特別会計にいったほうが有利だ、こういうような考え方で提出をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/271
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272・野原覺
○野原(覺)委員 どうも承服できない。じゃ文部省側に聞きましょう。この問題は、いま纐纈さんの御答弁を聞いて、全く答弁になっていないのです。本質的な理由は何も説明できないのです。
そこで文部省にお尋ねいたしますが、これはあなたのほうの主張で大蔵省にお頼みしてこの特別会計ということになったのかどうかということです。どちらが先に言い出したか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/272
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273・八木徹雄
○八木政府委員 先ほど来お話のありましたように、戦前の特別会計制度と今回の特別会計制度とは違いますけれども、戦前の特別会計制度はいわゆる資金制度で、その資金の利益によってまかなっているという性格であった。実は大学側にも戦前のよさというものにいわゆる郷愁を感じておられる方々そういう方々のほうから特別会計制度をひとつ考えたらどうかという意見はあったわけでございます。しかし資金制度に変えるということは現在の状態の中でなかなか困難でございますので、その意味でいままでわれわれのほうからは積極的にいつの時点から特別会計に踏み切るというようなところまで進んでおりませんでしたが、しかしその意のあるところは大蔵省側にも申しておったところでございます。今回の時点については、すでに御承知のとおり、多年の懸案であった特別会計制度を、この際いわゆる大学急増というものを目前に控えたこの時点でひとつやってやろうということで、最終段階におけるイニシアチブはどこがとったかといえば、これは率直に申し上げて大蔵省側からお話があったということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/273
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274・野原覺
○野原(覺)委員 それでは、今度の国立学校特別会計について、大蔵省側からいつ正式にお話がありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/274
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275・八木徹雄
○八木政府委員 もちろん今回の予算折衝の過程でございますから、正式には十二月の初句でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/275
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276・野原覺
○野原(覺)委員 大蔵省が、特別会計にしなければ急増対策もできなければ、教員の待遇もよくならぬし、施設もよくならない、こういうことをお考えになってやられたようです。それは私がそう言うと、心中じくじたるものが大蔵省にあると思う。だから、それはこれからおいおい明らかにいたしてまいりますが、大蔵省のほうで特別会計にしたほうがよいという結論を一体いつ出されたのか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/276
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277・纐纈彌三
○纐纈政府委員 文部省当局と内々話を始めたのは七月ごろでございます。予算編成の作業に当たった当時でございます。というのはすでに中教審の答中にも慎重を要するということはありますが、やはり特別会計にするという問題も二回くらいあって、三回目くらいには慎重を要するということに変わってまいったようですが、一応問題といたしまして中教審のほうでも特別会計の問題は考えられておりましたので、大蔵省としてもいろいろそういう問題もありますので、その問題に取り組み、結局特別会計にすればいままで一般会計でやっておるよりもさらに有利な形で設備施設のほうもできるのじゃないか、こういう判断を持ったわけでございます。さようなことで、先ほど文部政務次官から話がありましたように、十二月の初句に正式に文部省に申し入れた、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/277
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278・野原覺
○野原(覺)委員 予算編成はおそらく十月ごろから着手しておる、十二月初句といえば、予算編成は終わって、そして大蔵省としては予算の中身についてそれぞれ各省との折衝が相当活発に始められておるころなんです。そのときに文部省に正式に言い出したのですね。このことは一つここで明らかになったわけです。
そこで、私が疑問にたえないのは、これは率直に申し上げますが、いま纐纈さんは中教審ということを言われたが、この種の学校財政制度等については、中央教育審議会会というのが文部大臣の諮問機関として、教育の最初の権威ある機関としてずっと置いてきておる。一体中央教育審議会に対して、それでは文部省のほうはどういう格間をしてきておりますか。中教審は国立学校特別会計についてはどういう意見を具申しておりますか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/278
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279・八木徹雄
○八木政府委員 中教審に対しましては、御承知のとおり大学制度全体を諮問いたしておるわけであります。目的、性格、管理運営あるいは教員養成制度等々、一連の課題として諮問いたしております。中教審のこの問題に対する考え方としては、もう皆さん御存じのとおり、大学あるいは学校教育というものは独立採算的ないわゆる事業会計的なものにしてはならない、事業会計的な形の特別会計に対しては反対だ、こういうことがいわれておるわけでございます。
しかし今回の特別会計は、これまた御承知のとおり、区分会計と申しますか、事業会計では全然ないということであります。少し饒舌にわたるかもわかりませんが、先ほど来お話のありましたように、この会計のうちに千百四十五億という金額が一般会計から投入される。全体の八〇%以上が一般会計から入ってくるということであります。先ほど卜部さんからのお話もありましたように、その絶対額を今後も下げるという意思は、文部、大蔵両省間の話し合いの間にございません。これから後も一般会計を中心にしてこの特別会計が運用されていくということは間違いがないことでございます。それだけに、中教審なりあるいは国大協会あたりが心配しているような形でこの特別会計を運用されないことは言うまでもないことであります。ただしかし、これでなければならぬのかという質問で先ほど纐纈政務次官のほうにお話があったようでございますが、これでなければならぬという言い方は、八〇%に及ぶ一般会計の役人の実績からいっても、その発言はなかなかできがたいことだと思います。しかし、このやり方と一般会計方式のいままでのやり方と、どちらがベターであるかといわれるならば、今回のこのやり方のほうがよりベターである、だからわれわれはこれに積極的に賛成し、皆さんに御審議を願っておる、こういうような形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/279
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280・野原覺
○野原(覺)委員 文部政務次官にお尋ねしますが、そうしたら、中教審としてはここに提出しておる学校特別会計に賛成したわけですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/280
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281・八木徹雄
○八木政府委員 中教審の答申に大学の財政についての答申があるわけでございますが、このこと自体について諮問したわけではございません。しかし大学の財政についての答申の中に、国立大学の特別会計制度についてはなお慎重に検討する必要がある、こういう表現をいたしております。私はそれを受けて先ほどのようなお答えを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/281
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282・野原覺
○野原(覺)委員 十二月の十九日に大蔵省から話があって、そして国立学校の特別会計ということになれば、あるいは国立大学に対しても国立高等学校に対しても、あなた方がしょっちゅう言っておる、大学の自治を尊重する文部省でございますから、その意見も十分聞き、教授会でも十分練ってもらって、その意見も聞き、やるのが中教審の言った慎重なる検討じゃございませんか、中教審がこのよりな学校制度——つまり中教審では、明治四十何年以来からずっと特別会計制度の沿革がある、そして昭和二十二年まで特別会計でやってきた、これはある場合には七つの帝国大学だけの特別会計もあった、いろんな経過をたどってきておる、そして昭和二十一年に特別会計を廃止して一般会計になった、今度はまた特別会計だ、こういうネコの目をかえるようなことをやられたのではいけない、よほどの確信を持って当局は学校教育の財政制度を確立する必要があるから、慎重に検討しなければならぬと中教審は昭和三十八年に答申をしておるじゃないか、慎重な検討と言えますか。昭和三十八年、去年の十二月十九日に大蔵省から話があって——十二月十九日といえばもう年の暮れだ。そうして、一月の何日かには各大学に意見を出せ、その意見をとっておかないと大学の意見を聞いていないんじゃないかといって国会からたたかれるから、一月の二十何日に意見を出しなさいといって強制的に取り立てた。東大の今度総長になった大河内さんは憤慨しているじゃないか、ばかにするなと言っておるじゃないか、あなたはそういうことを知っていますか、大河内さんはおこっておりますよ。こういう人をばかにした話があるかと言っておるのだ。しかも中教審は、慎重に検討しなければならぬというものを十二月十九日に聞いて、そうしてもう大蔵省には頭を下げておかないと文部省の要求予算は何しても通らない。あなた方の正当な要求すべき予算があればどんどん大蔵省にすわり込んででもやったらいい。大蔵省の鼻息をうかがって、とにかく大蔵省から天下り的におろされてきたものは、十二月十九日といえば予算編成の重要な時期であるから、これはどうしてものまざるを得ないのじゃないかというのでのんだのが文部省の実態じゃないか。第一、こういうような特別会計に切りかえるならば、その言い出しはは文部省がすべきなのだ、しかも文部省は一年前に十分諸般の意見を聞いて、これはあなたも御承知のように何回となくこの財政制度は変わっております。そうして、慎重にやりなさいという中教審の答申もあるのだし、大学においては大学の意見もあるのだしするのだから、相当期間をかけて練りに練って、そうして今度はどうしても特別会計にしないと大学の急増対策もできない、待遇改善も、研究費の問題も解決しない、そういうことになったら、初めて大蔵省にひざ詰め談判して要求したらいい。大蔵省から天下り的にきてのまされたんじゃないか、それが今日の文部省だ。八木さん、あなたに言っているのじゃない。私は今日の文部省に言っている。今日の文部省は教育に対する何らの確信もない。大蔵省から十二月十九日に押しつけられこのまされて、そうして私どもは大学の自治を守りますだの、教育財政についてはこれでなければいけませんという、いいかげんな答弁はやめてもらいたい。国会を愚弄するものはなはだしいですよ。(原田委員「自民党でおれが言ったのと同じことを言っている」と呼ぶ)全く、自民党の原田君が文教部会でそういう発言をしたそうだが、そういう発言をしながらこういうものを与党が協力して出すということは原田君のためにきわめて残念に思う。
そこで、これは纐纈さんにお尋ねいたします。率直にひとつ御答弁願いたい。あなたのほうは財政規模がふくらんで困る。千何百億のこの国立学校を一般会計から落とさなければ、景気調整で財政規模がふくらむでないかというので、それぞれ経済評論家あるいは新聞その他がたたいてきておるから、それを落とそうじゃないか、それでやったのだ。そうして十二月十九日に文部省に押しつけたのですよ。だから教育財政というものを真剣に考えますならば、東大にも京大にも、日本の七十二の国立大学、二十八の短期大学、そういう学校、教授会、その他教育界の識者の意見を聞いて、慎重にやって出されたものならば、私どももこれに対してはよほど考えなければならぬと思いますけれども、そもそも出された出され方が十二月の十九日です。財政規模がふくらんだら困るから千何百万円落とせということで出されたものを、文部省がのみ込んで、そうして私どもはこのことについては賛成でございましたというような不見識なことを言っているのが今日の文部省です。私どもは、そういうことでは絶対に承服できないのです。
なお言いたいことは山ほどありますけれども、相当時間も経過して、他の同僚議員諸君も相当お疲れでございましょうから、それだけ申し上げて私の質問を終わらしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/282
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283・纐纈彌三
○纐纈政府委員 野原委員は天下りだとおっしゃいますが、天下りではございません、十分に文部省のほうに検討をしてくれということで、資料等も文部省から出していただいたわけでございます。
それからまた、財政規模のふくらむのを押えるの、だという御意見でございますが、大蔵省としてはさような考え方はなく、ひたすら何としても国立大学のいわゆる財産等を今後さらに確保するというような意味合いで、文部省の、少なくとも国立大学のために有利な点を考えるということが目的でございまして、それ以外に全然他意はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/283
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284・八木徹雄
○八木政府委員 先ほどお話のあったように、文部省は大蔵省に対して無抵抗ではないかというような話でございますが、前段でお話し申し上げましたように、文部省の内部においても、また文部省の外の国立大学のメンバーの中からも、特別会計制度にひとつ移しかえてもらいたいという要望はございました。もちろんその考え方の中には、特別会計のこの内容について、いろいろ意見がまだ完全にかたまったというこではございません。そこでわれわれも急増対策を前にして、予算の伸び率何ぼといったような形の中で、この大学急増対策に見合うにはなかなか追っつかないのではないか、飛躍的にこの予算をふやしてもらうためには、どのような線でするのがよろしいかといった点は検討しておりました。雑談の中でお話がございましたように、文教部会で有力メンバーである原田さんのように、この際特会別計に踏み切ったらいいじゃないかという御意見もあったことは確かでございます。しかしまだ結論的に、どの時点でそれでは特別会計をこういう形でやってくれというところまで私どもの態度がかたまっていなかったこと、これは率直に慰めなければならぬと思います。しかし今回の予算折衝の段階において、私は、正式に話を受けたのは十二月初旬と申し上げましたが、話としては会計課長等事務当局同士の話し合いの過程の中でも、そういうような話は断片的に出ておったのでございますけれども、大蔵省のほうの腹もほんとうにわからないし、私のほうのほんとうの態度もまだ確定をしないままに十二月を迎えて、そうして十二月の時点になって大蔵省のほうから、それではこういうやり方でやろうということで、それから後に私のほうもそれを受けて、何も向こうの言いなりになったということではないのであって、その考え方がはたしてわれわれの考え方とどれだけの違いがあるか、どれだけの利点があるか、慎重に審議をすると同時に、また一方受ける側の国大協会側の意見も聞かなければならぬわけでございますので、先方のほうの意見も徴して、先ほど申しましたようにベターであるという結論の上に今回これに賛成をした、こういう経緯でございます。決して言いなりになったということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/284
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285・野原覺
○野原(覺)委員 私は質問を終わろうと思いましたけれども、率直な答弁をしない限り私は終わるわけにいかぬので続けます。
私は、実はあなた方が、大蔵省の考えというものは、これは予算の規模がふくれておるから、そこでこのふくれておるようなことじゃ困るからというので十九日に案を出し、文部省はそれをうのみにしたのだ、それを認めるなら私は質問を下がろうと思ったのです。それに対して、いや、そうじゃないのだというなら、私はこれからそうであるかないか質問いたしましょう。先ほどは本質的理由について開いた、積極的な理由について聞いた、そうしたら、いろいろ御答弁があったけれども、その答弁も何ら中身はなっていない。
そこで次にお伺いしたいのは、これから急増対策をよくやります、それから待遇改善もやるのだ、学校は特別会計にしたらよくなるのだということになれば、問題は金の問題です。そうなると、特別会計といっても、これは入ってくる金は、たとえば授業料があるとか、雑収入があるとか、それはあるでしょう。ありましょうけれども、こういうものでは国立学校がまかなえないことは、これは皆さんがよく御承知のとおり。どうしても一般会計の繰り入れということが問題になってくる。一般会計の繰り入れ率というものは、急増対策ということになれば、ことしは去年より、来年はことしより、これは私は繰り入れ率は増加されなければならぬと思いますが、その辺はいかがですか。文部省はどう受け取っておりますか。この特別会計に対する一般会計の繰り入れ率、これは灘尾さんは、増加するとか増加しないとか、その点ははっきりわからぬようなことをあちらこちらで言っていらっしゃるようだが、どうなんですか。一般会計の繰り入れ率というものは当然増加すべきものだと私は思うが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/285
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286・八木徹雄
○八木政府委員 いまお話のありましたうちで、給与費の関係はこれは別途のことでございます。御承知のとおり、人事院勧告に従ってやっていくことである。もちろんわれわれのほうから、いわゆる大学教官の給与についてはより積極的にひとつ充実してほしいという要求は人事院にいたしておりますが、あくまでも人事院の勧告に従って措置するわけでございますから、問題はございません。学生経費あるいは教官研究費等は、本年度においても前年と比べると相当上回ってきております。これから後に大学教育をより充実発展させていくためには、一方には環境の整備をやっていかなければならぬ。そのためには施設、設備の充実強化をはかっていく。特に急増対策を前にしてその必要性が倍加していると思うのであります。しかし、同時に、教員の質の確保あるいは量の確保、並びに先ほど言った経常経費の増額というものは当然なされなければなりませんから、その意味で、本年が千百四十五億相当額の一般会計からの繰り入れでございますが、これはさらにさらにふえていくことは間違いがございません。また、そういう約束は、この特別会計をするにあたりましても、大蔵省と文部省が一番協議し、詰めているところでございます。すでに約束をいただいておるところでございますし、その点は心配ないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/286
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287・野原覺
○野原(覺)委員 会計の規模はふえる。それは当然ですね。学生の数が急増してふえるのですから。繰り入れ率はどうなのかと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/287
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288・八木徹雄
○八木政府委員 前にも大蔵省でお答えいたしたと思いますが、本年度は初年度でございますから、たとえば財投からの繰り入れも二億円程度、あるいはまたこの財産処分につきましても、まだ初年度のことでございますから、確たる見通しが立っておりませんから、わずかでございます。しかし、これを推進する過程において、年度においては財産処分がかなりふえるという場合があり得るのではないか。その意味でパーセンテージを本年度の八二%が絶対に下がらぬのだという言い方は困難だと思いますが、それはひとつ常識的に見るべきではないか。われわれは、大学教育、国立学校というものの運営にあたりましては、何としてもその主体をなすものは一般会計からの投入であることは間違いがない。事業会計ではないのでございますから、絶対そうであるわけであります。その意味において、いわゆる予算の絶対額、一般会計の繰り入れの絶対額がふえることは言うまでもないことでございますが、またそのパーセンテージの基調も現在の基調が変わるということはない。ただ、しかし、八二%が永久不変のものであるかどうか。あるいは八四%のときもありましょうし、あるいは八〇%のときもあるかもわからない。しかし、常識的に考えて、一般会計からの繰り入れが圧縮されて、そしてそれがその他のものの負担によって行なわれていくといったようなことだけはさせたくない。そういうことは竹に大蔵省に詰めておるところでございまして、大蔵省も基本的に了解いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/288
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289・野原覺
○野原(覺)委員 本質的に積極的に特別会計にしたら学校の教育はよくなるのだというならば、繰り入れ率が低下するということはあり得ない。ところが、あなたの答弁を聞いておると、低下することもあり得る。こうなれば、特別会計にしたって意味ないじゃないですか。繰り入れ率が前年度よりも低下するということになれば、前年度よりもそれだけ教育がよくならぬということになる。だから、会計規模は増大するのは当然です、学校がふえていく、生徒がふえていくのだから。しかし繰り入れ率というものは私は低下させるべきではないと思うのですけれども、灘尾文部大臣は、卜部君の質問に、繰り入れ率は低下させないと、あるときは答えたの、だが、大蔵省からの注意があって、いや、繰り入れ率のことは問題ではございません、それは会計規模は圧縮いたしませんというように答弁を変更されたように私は聞いておる。しかしこれは問題ですよ。この点はいかがですか。もう一度お尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/289
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290・八木徹雄
○八木政府委員 先ほど申し上げましたように、この会計制度の特徴の中にいわゆる財産処分というものがあるわけであります。たとえばいま学園都市という問題が政治の形として出ておるわけでございますけれども、かりに東京にあります国立大学の相当部分が同町に富士の山麓なりあるいは筑波山麓なりに移るといたします。その場合には東京にある国立大学特別会計が持っておる国立大学の施設を処分して移るということがあるわけであります。そういう場合には一時的にはその年のパーセンテージ自体は狂うことがあるかもしれませんが、本質的にパーセンテージを下げるようなことはいたしません。そういうような、言うならば特異なときの特異な年、そういうものがここ五年の間、十年の間にあり得る可能性があるわけでございますから、その意味でパーセンテージが少々狂っても基調として皆さんの心配するようなことにはいたさせない、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/290
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291・野原覺
○野原(覺)委員 いまの御答弁を聞くと、簡単に要約して言えば、大学の合理化といいますか、たとえば大学付属病院の病院収入であるとか授業料であるとか、あるいは農科大学であれば演習林の収益であるとか、そういった大学独自の持っている財産、そういうものを大学の経費にぶち込んで、ぶち込むことによって一般会計の繰り入れ率が低下する二ともあり得るのだ、こういうことになると、つまり表現はおかしいですけれども、大学の合理化によって、大学の犠牲によって国のまかない予算を減らしていこうという考え方なのです。特別会計にしたあなた方のねらいの一端がそこに出てきておるわけですね。私はやはりここは問題だと思うのです。一般会計を特別会計にするというならばするでもいいのだけれども、もう少しこれからの特別会計の運営について慎重に各方面の意見を聞いてやるべきなのだ。十二月二十日ごろから一月二十日まで、一カ月しかありません。その間にはもう大学は冬休み、正月休みで、しかも、たとえば東大にしても京都大学にしても教授会で議論は一回しかできなかった。こういうことにやるのだ、そうして大学の意見を出しなさいと、文部省の大学学術局か会計課か知りませんが、とにかく文部省から大学にその通達がいった。出さなければならぬというので、一応出すには出したものの、ほんとうに身の入った大学側の意見はあなたのほうに反映していないのですよ。だから、なる、ほどあなたは大蔵省の考えに全面的に賛成をした、これはいいことだ、こうおっしゃるかもしれませんけれども、それならそれで、いいならいいで、私はもっと時間をかけてやってもよかったのじゃないかという気がする。そういうことをいろいろ勘案していきますと、これは私がいつぞやの大蔵委員会でも申し上げましたように、財政規模の問題です。財政規模の問題で、予算編成でぶち当たったのです、大蔵省の主計局が。そうして、あまりにも財政規模が大き過ぎるから、千何百億円の特別会計を設置すればいいじゃないか、昭和三十二年まではやっておったじゃないかということで、ただそれだけの理由でこれは持ってきたことは明らかであります。何と言ってもこれは明らかですよ。それはどう答弁されても、大学の意見は聞いてない、中教審は慎重にやれといっておるのに、全くこれは慎重とは一言えませんよし何といっても、予算はすでに十二月十九日には国会が始まっている、第四十六通常国会が。そのときあなたのほうが聞いて、四十六通常国会にどろなわで提案するとは何事ですか。あなた方はよいと思っても、これはやはり学校の財政制度、またこれが十年かたては一般へ会計に返っていくというような、そういうたらしのない、自信のない特別会計の打ち出し方ということに、私は大きな反発を覚えておるのです。これは答弁は要りません。これは全く大蔵省から押しつけられた、無定見、それから確信のない、ほんとうに文部省としてはのみ込まされたものをいやいやながら出しておる、何といってもそうなんです。そうでないと言うならば、それがくやしかったら、一年間検討して来年出しなさい。だから私はこんなものはよろしく出し直してもらわなければならぬ。そのことだけ申し上げておきます。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/291
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292・山中貞則
○山中委員長 竹本孫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/292
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293・竹本孫一
○竹本委員 私は簡単に二つばかりお尋ねをいたしたいと思います。
先ほど来すでに論じ尽くされておりますので、重複を避けてお尋ねをいたしたいと思いますが、第一は、国立学校に関する特別会計ができるのでありますから、やはり教育の理想と申しますか、あるいは大学の自由とか研究の伸張とかいう問題についてのビジョンなりあるいは熱意なりというものがこの法案の根本になければならぬと思います。この特別会計が取り上げられました経過についてはただいまもいろいろと御論議がございました。確かにこれは順序が逆であります。文部省自身が国立学校の内容的な伸張や充実についての理想やお考えがあって、そこから特別会計を考えようということならば了解できるのでありますけれども、どうも震源地は大蔵省のほうにあり、あとからつじつまを合わせたというようなことになっておるのでございます。かりに大蔵省のほうから考えが出されたといたしましても、いやしくも文部省がこういう重大な問題を取り上げようというときには、やはりあくまでも教育に関する基本的な理念と申しますか、理想と申しますか、そういうものが筋を通して根本に流れていなければならぬと思います。先ほど政務次官の御説明の中では、専業会計ではないのだというお話もありましたけれども、この特別会計法の中に一体そういう教育に対する理想や熱意というものがどういうふうに貫かれ流れておるのか、その根本のお考えを伺いたい。
さらに、時間もありませんので、一緒に申し上げますけれども、そのお考えがこの法案のどこに、ことばの端でもよろしい、流れておるかということであります。私、法案を見ましても、ただ国立学校を充実するということばが一つあるだけでありまして、ほかのどの個条にもほとんどそういう教育の理想や理念の輝きはありません。これは根本にないのであるか、あるいはあるけれども出ていないのであるか、その辺を伺いたいのであります。充実ということばもどちらにも受け取れることばでありますけれども、もちろん第一条を読んでみればわかりますように、これは施設の充実というような意味でありまして、本格的な、内容的な意味の充実ではありません。そういう基本的な問題についてまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/293
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294・八木徹雄
○八木政府委員 特別会計を設定するにあたって、文部省はどういうビジョンのもとに、理想のもとにこれに賛成をしたかということでございますが、簡単に申し上げますならば、このことによって大学教育がより充実し、発展をし、よくなるということでございます。問題は、それでは今回特別会計にすることによってどういうふうな大学教育の伸びがあったかということになると思うのでございますが、もちろん施設、設備の面において飛躍する、これはもうこの大学の五カ年計画というものを推進する過程においては、当然触れなければならぬことでございますので、当然といえば当然かもしれませんが、特に大学教育を充実していくためには、先ほども申しましたように、施設設備の環境の整備をするということが一点でありますけれども、一方また学生経費をふやすあるいは教官研究費をふやすといったような人的な経常費の支出増に負うところが大でなければなりません。今回の予算の面におきましては、学生経費においては前年度対比で二〇%の予算単価の伸びをいたしております。それからまた教官研究費におきましては一五%の伸びをいたしております。いままでの伸び率と比べますならば、この二〇%、一五%の伸び率は近年にないことでございます。われわれはその意味において、この特別会計を実施することによって相当なわれわれの理想に——もちろんまだ届きませんが、理想に近づく体制ができた、このことは一つのわれわれの再びであるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/294
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295・竹本孫一
○竹本委員 ただいまの政務次官の御答弁でも、学生経費や研究費のことについての御説明はありましたけれども、私がお尋ねいたしましたような大学の根本のあり方等についての文部省のビジョンがどこにあるのか、またそれが法文の上にどこにあらわれておるのかということについては、依然として御答弁がなかったようであります。これについての御答弁とあわせて、先ほど政務次官はこれは事業会計ではないのだというような御説明がございましたけれども、事業会計ではないのだということはどういうことを意味しようという意味でありますか、それもあわせて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/295
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296・八木徹雄
○八木政府委員 大学制度全般の問題につきましてはすでに一昨年来から課題になっております。たとえば大学の管理、運営、目的、性格、教員養成制度等中教審に諮問しております問題を具現しなければならぬ時期が来ております。前にも私申し上げましたように、大学制度全体はとにもかくにも急増ということだけではなくて、本質的に検討しなければならぬ時期がきておることは間違いがありません。その必要性に従って中教審の答申を願ったわけでございますので、大臣とも寄り寄りお話し申し上げておりますが、この国会においてそれらの法案整備についての余裕がございませんので、可及的すみやかにこれら大学制度全体の、おっしゃるようなビジョンともいうべきこれからの体制については御相談を申し上げ、また皆さんに御協議、御審議を願うという場が近く出てくることだと思います。
それからいま言った事業会計ではないということはどういうことかと申しますと、端的に申しますならば、独立採算制ではないということでございます。先ほどもお話し申しましたように、全体予算の八二%に相当するものが一般会計から入ってくる、そういうようなものでなければ大学教育ができないわけでございますから、その意味で事業会計ではない、区分会計であるというふうに申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/296
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297・竹本孫一
○竹本委員 中教審の問題が出ましたから、それに関連してお伺いしますが、本質的な検討はこの審議会において十分あれしなければならぬというお話でございますが、その中教審の答申には、先ほどお話がございましたように、この特別会計の設置についてはなお慎重に検討を要するという答申になっておるようであります。それを押し切ってと申しますか、あるいはそれを軽視しながらこういう形になってきたわけでありますが、しかしこれからの問題といたしまして、各大学は非常に不安を持ち、あるいは不満を持っておるようでございますけれども、これらの大学当局との間にあらためて協議、相談をされる機会を持つお考えがあるかどうかをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/297
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298・八木徹雄
○八木政府委員 運営一般につきましては十分にひとつ御相談申し上げて、万全を期してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/298
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299・竹本孫一
○竹本委員 特別会計の問題につきましては、先ほど来お話がございましたし、われわれも特別会計が無原則にふえていくということには反対でありますが、これは論議を繰り返すことになりますし、見解の相違でもあるようでございますから、深く追及をいたしません。
そこで結論的にお伺いをいたしたいのは、財政法の第十三条で特別会計をつくる場合が三つあるということになっておりますが、その三つの場合のどれにこれは当たるかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/299
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300・中尾博之
○中尾政府委員 第三の場合に相当するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/300
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301・竹本孫一
○竹本委員 それでは特定の歳入をもって特定の支出をやるということだと思いますが、その場合に先ほど来千百四十五億円の一般会計からの繰り入れという問題が論ぜられております。そしてそれに対する御熱意のほどは若干理解できましたけれども、せっかく特別会計をつくって、しかも内容的に見れば、特別会計というけれども、先ほども御論議がありましたように、一般会計の中でも大蔵省に対して文部省ががんばれば十分に問題は解決すると思うのでございますけれども、しかもなお特別会計をわざわざつくるのだ、こういうお考えで無理やりにやられようというならば、それだけのまた御熱意が条文の上もあらわれて、この特別会計においては一般会計からの繰り入れについてはこれだけの原則でいくとか、この範囲のものまでは獲得ができるような保障を得ておく、たとえば中小企業基本法の中にさえも、非常に抽象的ではございますけれども、中小企業のためにこれだけの資金は考えなければならぬというようなことくらいはうたっております。今度の国立学校等の場合については、その程度の配慮もなされていないようでございますけれども、その理由を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/301
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302・中尾博之
○中尾政府委員 もともと学校に特有な歳入、これは全部学校の経費にそのまま充てたい。それから、もし充てるのが残りましたならば後年度においても充てたいというのが、特別の経費に充てるという趣旨でございます。一方でそれに充てる分だけを特定するわけに参りませんから、学校という一つの営造物の分を全体として会計いたしておりますが、学校ということになりますと、これはもともと国立の学校でございますから、学校には学校特有の収入もございますわけでございますが、主としてその経費をまかないますものは国の負担であることは、もともと学校という制度があることから当然のことでございます。したがいまして、その規定の裏といたしましてこの特別会計ができておりますので、学校そのものについての本質に関する規定は会計法上の関係上特にうたっておりませんが、たとえば歳入の規定等におきまして、一般会計からの繰り入れというものが一番大事なものであるというので、最初にこれを載せてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/302
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303・竹本孫一
○竹本委員 当然のことであるから書かないでもいいのだというようなお話でございますけれども、それならば中小企業基本法の中において、これは中小企業のために特別な考慮をするということはきわめて当然なことでございまして、あそこで書いておる意味は全く意味をなさないことになりますが、私はやはりそうではないと思う。せっかく国立学校の充実を期しよう、われわれの考えでいえば、一般会計で努力をすればいいのだと思いますけれども、それをさらに特別会計にまで持っていこうというならば、それだけのかまえと姿勢があらわれなければならぬと思います。これはその意味において非常に遺憾であります。
しかし、時間もございませんので、最後にもう一つ、今度の特別会計のつくり方の問題でございますけれども、全体としてやはり施設に重点があり、物の面に力が入れられておる。しかもそれは極端に申しますと、付属病院の問題等が中心になっておるようでございますが、それならば、あっさり付属病院だけについて特別会計でも考えるというようなことを検討されたかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/303
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304・中尾博之
○中尾政府委員 率直に申しましてこの特別会計の検討は実は旧特別会計廃止以来問題になっておりましたし、国立病院の特別会計ができた際等にそういう検討はもちろんいたしました。いたしましたが、特別会計といたしまして、大学の病院は国立病院と違うのであるから、これはあくまで試験研児施設かつ教育施設でございます。普通の治療をいたしますが、これを第一義といたしますものではございません。それから内部の組織、経理の実情、定員の配置事情その他、これを病院として明療に区別して管理することは実態にも即しませんし、そういう取り扱い方はかえって弊害があると存じまして、そういう考え方は過去において検討したことはございますが、その後放棄いたしまして、これは適当でないという結論を得ております。したがって、その系統の考え方は今回の学校特別会計においては全然継承をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/304
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305・竹本孫一
○竹本委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/305
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306・山中貞則
○山中委員長 武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/306
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307・武藤山治
○武藤委員 いよいよ本日採決をするというので、自動車検査登録特別会計法案について、少しく内容をお尋ねしておきたいと存じます。
三十八年度の自動車検査手数料の歳入と歳出は一体幾らになっておりますか。三十八年度の印紙収入がどれくらいあって、さらに、今度特別会計に新たに編成がえしたものに対応する三十八年度の印紙収入と、それの歳出、これをお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/307
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308・相澤英之
○相澤政府委員 三十八年度の検査登録印紙収入は十一億一千五百三十四万五千円でございます。それから、今度特別会計に取り入れました事務に対します前年度の歳出予算額は、十億五千二百五十三万四千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/308
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309・武藤山治
○武藤委員 そういたしますと、三十八年度はここへ一億円余り繰り入れになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/309
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310・相澤英之
○相澤政府委員 いずれも一般会計の歳入歳出でございますから、繰り入れというような関係はございませんが、差し引き一億円の歳入超過ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/310
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311・武藤山治
○武藤委員 そこで、今回の特別会計設置によって四億ばかり印紙収入がふえるわけでありますが、それを普通車、小型車、小型二輪車、さらに継続検査の場合、構造変更検査の場合、この場合それぞれ増収はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/311
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312・中尾博之
○中尾政府委員 いま手元の資料でそれぞれの数字がございますので、比較の差し引きを計算してお答えいたしたいと思います。しばらく御猶予を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/312
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313・武藤山治
○武藤委員 今回の値上げで一般車が三百円というのが四百円、あるいは型式指定が百五十円が二百円というように、一応百円、五十円という形の手数料値上げになるわけでありますが、これから車検場における人員、人件費というものも年々増加をすると思うのです。過去の伸び率を見ましても、また実数を見ましても、昭和三十七年と八年を比較して五十名ふえている、三十八年と明年度を比較すると八十名ふえている。このように、これから車体数がふえるにしたがって人員もふえると思うのです。そういう人員がふえた場合の人件費というものはこの特別会計で全部まかなうのか。そうなると、かなりこれから手数料というものを年々引き上げないと、非常に運営がむずかしくなるのではないか、こういう心配があるわけでありますが、人員の増とそれの人件費の捻出の方法というのは一体どんなことを考えておるのか、そこらをひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/313
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314・木村睦男
○木村(睦)政府委員 人員につきましては、一般会計、特別会計差別がございませんで、定員として認められるわけでございます。ただ人件費の負担は特別会計になるわけでございます。今回の特別会計によりまして、また他面手数料の値上げによりまして、ただいま御指摘のような年間の収入になるわけでございますが、その中で、施設の整備の増強それから人員の増加につきましても、必要な人員の増加に努力いたしたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、定員の問題は一般特別会計通じて同一に律せられますので、これは特別会計だから人員の増加について将来計画をいまから持つ、そうしてそれがそのとおり具現できるというものじゃございませんので、一応計画を持ちながら努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/314
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315・武藤山治
○武藤委員 その人員も、一般会計で負担する人員と、今回の特別会計で負担する人員と分かれておりますね。一般会計で負担をする人は九百八十四名、特別会計で負担するのが千五百六十九名となっております。そこでその中身についてはきょう質問する時間がありませんが、この千五百六十九名が、年々車の数がふえるに従って人員もふえざるを得ないのではないか、これがまず第一です。ふえるということになれば、一般会計から繰り入れできないこの会計の規定になっておりますから、どうしても手数料を値上げする以外に人件費をまかなうことができないんじゃないだろうか、こういう点を質問しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/315
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316・木村睦男
○木村(睦)政府委員 もちろん一般会計の業務をやります人員もふえてまいります。その人件費は特別会計の中の収入でもってまかなうということになるわけでございます。これらもいずれも特別会計でございますので、今回の手数料の収入でもってこれをまかなうということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/316
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317・武藤山治
○武藤委員 今回は、三十八年の実績は十億歳出ですね。大体一般会計で十億出しておる。今度は十五億になるのですから、三十九年度は予算は非常にゆるくできておる。しかしながら車の台数は年々ふえるのですね。その仕事を処理する人員というものも当然ふえてきますよ。従来の実績を見ましても、車検場における人員の推移を見ただけでも、三十七年と八年で五十名ふえておる。三十八年度と明年度三十九年度では八十名ふえておる。これは特別会計で負担する部分の増加ですよ。陸運事務所などの別に一般会計で出す人員は、いまの数字には含まれていないのです。そういたしますと、これから年々車の増の見通しとそれの仕事を処理する人員増加率というものは計算をしておると思うのですね。そうなってまいりますと、手数料をまた上げなければまかなえないのではないか、こういう心配をしておるわけです。その点の計画が一体どうなっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/317
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318・木村睦男
○木村(睦)政府委員 車が年々ふえてまいります。そうしますと、手数料収入もふえてまいるわけでございます。また車がふえますと業務量がふえますので、人員の増加も必要となってまいります。ただし人員につきましても、従来ともそうでございますが、車のふえる数に比例して必ず人が要るということにはならないのでございまして、いままでもその点は努力してまいっておりまして、たとえば民間の優秀な整備工場を活用いたしまして、こういう人員増加につきまして対策を立てる、あるいは検査のやり方、業務のやり方につきましても合理化、簡素化をはかりまして、できるだけ人員の増加は押えながら、最小限度必要な人員を今後ともふやしていくという方針でございますので、この人員の増加に伴います経費は、車両増加に伴います手数料収入の増加の範囲内でまかなうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/318
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319・武藤山治
○武藤委員 車体数の増加によって人件費の増加はカバーできる、こういう答弁でありますが、具体的に過去の積算をして平均を出せば、これからの三年なり五年の車の台数の増加はわかるわけですね、大体の見通しはつくわけです。そういうものを皆さんが一体どのようにこれから見通しておるか、車の数のものと、さらにそれを処理する人員の増加の表を、あとでひとつ資料として提出を願いたいと思います。委員長、取り計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/319
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320・山中貞則
○山中委員長 では、それはあとで資料として出して下さい。個人資料でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/320
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321・武藤山治
○武藤委員 そういたしますと、検査手数料は当分上げなくともいいとお考えのようでありますが、一体当分とは、いつごろまで手数料を上げなくとも現在の料金でこの特別会計を運営できるとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/321
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322・木村睦男
○木村(睦)政府委員 今回の手数料の値上げによりまして、少なくとも五年間につきましては一応の計画を立てております。五年間以後におきましても、五年たちましたそのときの状況によりまして考えるべきでございますが、一応いわゆる当分は上げなくてもいいのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/322
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323・武藤山治
○武藤委員 それから今回の特別会計の予算の中で、繰り越し明許費が三億二千七百五十八万三千円ございますね。この繰り越し明許になっておる施設整備の場所、どういうものに使うか、府県までわかったらお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/323
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324・木村睦男
○木村(睦)政府委員 もう一度お願いいたします。繰り越しというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/324
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325・武藤山治
○武藤委員 予算書の中で、一応繰り越し明許の提出をしておるわけでしょう、というのは、ことし一年間では施設整備が全部やり切れぬから予算が余る。それを特別会計予算の中で翌年度に使えるようにしたいという決議を国会に出しておるわけですね。そこで一体施設は来年度はどことどことどこを一応整備するのか、しかもそれが繰り越し明許にしなければならなかった理由、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/325
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326・木村睦男
○木村(睦)政府委員 三十九年度の計画といたしまして申し上げますと、車検場の新設が、神奈川が一件ございます。神奈川にはいま一つありますので、もう一つ第二車検場をつくる予定でございます。それから現在の車検場の施設を、狭隘のために他に移さなければいかぬという移設がございます。これは旭川、山形、東京第二車検場、栃木、高知、佐賀、以上六件でございます。それから現有の車検場を拡張する計画がございます。これは兵庫県の姫路、福岡県の小倉、熊本、福井、函館の各市でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/326
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327・武藤山治
○武藤委員 こういう施設整備費というものは、特別会計にしないとこれだけの予算はとれないのか、従来の実績からいって、三十七年、三十八年の実績と比較して、積極的に特別会計にしないとこれだけの設備はできぬのだ、そういう理由は何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/327
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328・木村睦男
○木村(睦)政府委員 従来の一般会計におきます実績はいま三十九年度で申し上げました、ほぼ毎年半分くらいの整備をいたしております。一般会計から特別会計にいたしたいわれわれの大きな趣旨は、やはり一般の予算でございますと、予算全体の規模でそれぞれ制約を受けるわけでございますが、特別会計にしていただきますと、収入というものがあらかじめ見通しが立ち、また立った収入は他に逃げるものではございませんので、その中でこういった計画を立て得ますし、また収入も今後ふえてまいりますので、こういった整備の充実が期待できることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/328
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329・武藤山治
○武藤委員 提案説明によりますと、一時借り入れ金ができるようになっておるようですが、借り入れ金の利子というものが一応考えられておるようですが、どういうところから借り入れをすることが認められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/329
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330・相澤英之
○相澤政府委員 一時借り入れ金は、支払い上現金に不足がある場合にこの会計の負担においてなされますが、通常は資金運用部から借り入れることになります。ただし、この会計におきましては国庫余裕金を繰りかえて使用することができますから、国庫余裕金に余裕がある場合には通常国庫余裕金を繰りかえ使用いたします。国庫余裕金の繰りかえ使用には利子を伴いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/330
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331・武藤山治
○武藤委員 大蔵大臣お見えになったようでありますからお尋ねしますが、本日この特別会計法案が採決に付されまするので、大臣にひとつ最後のお尋ねをしておきたいのであります。
午前中もたいへん議論された問題は、予算総計主義というものがだんだんくずされていって、一般会計予算で国の予算規模やあるいは税負担との比較などされても、特別会計が四十一もできたのでは、どうもこの予算というものが景気調整に及ぼす影響度や関係というものを直ちに発見することができないという非常な不便を来たしておる。そういう一般会計からどんどんはずしていくという傾向は、あまり好ましくないと考えるのでありますが、大臣の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/331
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332・田中角榮
○田中国務大臣 午前中にも申し上げましたとおり、一般会計でやるべきものであれば一般会計でやりますが、特別会計をつくるということは、それだけの理由があって特別会計に移すほうがより合理的であるという場合にのみお願いをしておるわけでございますので、もうその使命が終わったというようなものがあれば、これはまた整理をすることはもちろんでございますが、現在お願いしておるような、この三特別会計等は一般会計よりもより合理的だという考え方でおるわけでございますので、一般会計、特別会計を通じて、政府としましてもこうして御審議を願い、同時にこれが及ぼす影響等も十分配慮をしながら運営をしてまいるつもりでおりますので、その間の事情はひとつ十分御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/332
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333・武藤山治
○武藤委員 田中さんはいつから大蔵大臣におなりになったのか、就任の年をちょっとお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/333
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334・田中角榮
○田中国務大臣 昭和三十七年の七月だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/334
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335・武藤山治
○武藤委員 あなたはいま特別会計にすることが一般会計より合理的で、何かこの会計の場合にはよろしいとおっしゃいますが、三十七年七月に大蔵大臣に就任されて、三十八年にはそういうことに気がつかなかったのですか。三十九年のいま、そういう特別会計にすることが合理的だと考える根拠ですね。なぜ一年前にそういうことがわかっておらぬのか。わかっていたとしたらできなかった理由ですね。これは一体どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/335
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336・田中角榮
○田中国務大臣 昨年は、中小企業高度化資金融通特別会計でございますか、これができたわけであります。だんだんと一年よりも二年ということでわかってくるわけでございまして、そういう意味で今年度になると大体、目も全部通じますので、このほうがよりいいということで、君名と相談をした結果、こうしておつくりを願うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/336
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337・武藤山治
○武藤委員 どうも大臣の答弁はこじつけのような気がするのです。もし一般会計で自動車検査の問題の予算を計上するよりは合理的で正しいという判断だとするならば、大蔵省は、あなたが大蔵大臣になる以前からずっと主計官もおり、同じような行政処理をしてきたのですから、当然それだけの積極的な合理性があるとすれば、もっと以前に気がつかなければならぬ。運輸省の局長どうですか、あなた、ずっと前からこれは特別会計にしたいという、その合理性を知っておったのですか。大蔵省へ要求しておったのですか。ちょっと答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/337
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338・木村睦男
○木村(睦)政府委員 車両検査登録の行政につきましては、毎年車が二割前後ふえてまいりまして、それに並行して業務量がふえている。しかし、一般会計ですとやはり全体のしわを食いますので、何とかしたいということは、もうすでに以前からいろいろ研究してまいりました。いろいろな方法も考えてまいったのでございます。また、特別会計制度につきましても、そのことに気がついて検討してまいってきたのでございますが、特別会計にいたしましてもそう一朝一夕に利害得失を判断するということは非常に困難でございますので、ここ数年来この問題につきましていろいろ検討をいたしました結果、やはり特別会計にしてもらうことが、今後この行政の充実をはかる上に最もよろしいという結論を得まして、来年度予算につきまして大蔵省へ要求をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/338
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339・武藤山治
○武藤委員 大臣、自動車検査の特別会計、さらに国立学校の特別会計、それぞれ特別会計をふやしていくという傾向は私は好ましくないと思うのです。大臣は合理性があるということで、好ましいか、好ましくないかということについては答弁しておらぬようでありますが、学校会計にいたしましても、本来は合理性とかなんかでなくて、本年の一般会計がたいへん膨張してしまう。経済の環境というものは、あまり膨張予算は好ましくない、景気調整の役割を予算は担当しなければならぬという予算編成を迎えた。それで何とか予算規模は大きくふくれ上がらぬのだという印象を国民に与えるために無理した特別会計の設置というものがあるのではないか。この自動車特別会計の場合は額が十五億くらいでありますから、さほど大きな予算縮小の役割りは果たさないけれども、国立学校特別会計の場合にはそれが明らかなんです。この点については大臣どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/339
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340・田中角榮
○田中国務大臣 予算が刺激的な規模にならないようにということのために、特別会計に移したのではございません。自動車の問題に対してはもう長いこと検討し、公社案も出たわけでありますが、今日は車の台数が非常にふえるということで、実際われわれの車を検査場へ持っていっても順番をとるのに、朝の五時から出かけていかなければならないという事実があります。こういうことで、わずか三分か四分の検査を受けるのに何日がかりということでありまして、この必要性から特別会計についに踏み切ったということでございます。
学校特別会計につきましても、これは御承知のとおり明治からずっと五十何年、約六十年にわたり学校特別会計が行なわれてきたのであります。それが昭和二十二年か三年に一般会計にまた戻っておったわけでありまして、学校というものに対して、一体これでいいのかという問題はもう絶えず国民的な問題として検討してきたわけでございまして、じんぜん日をむなしゅうしてはならないということで、昭和三十九年の予算編成に際しまして踏み切ったわけでありまして、これはもう三十九年の予算編成の十一月、十二月の問題ではなく、二十二、三年の特別会計廃止のときから、どうすればいいのだという問題は国民的関心として検討をされてきた、それに対して終止符を打って、新たに学校特別会計をつくったという歴史的な沿革もございますので、そういう意味で、予算規模を小さくするというような考えに出るものでは絶対ございません。これだけは十分御理解いただきたい。ある意味においては、歳出要求もたくさんありますので、場合によればこれだけ予算をつけたのだということを国民の前にも明らかにしなければならない立場もありますので、ただに予算のワクを操作をするというような考えでは絶対にないということを、ひとつ十分御理解いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/340
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341・武藤山治
○武藤委員 大臣の答弁に納得いたしませんが、予算規模が拡大するということについての批判は、私がいたさなくてもすでに新聞や評論や、あらゆる雑誌等でも、それぞれの専門的学者や評論家からも、これは田中蔵相の苦肉の策である、こういう批判はされておりますから、このほうが私はより事実に合っていると思いますから、そちらの主張のほうが正しいと思います。あなたはそれを認めるわけにはいかぬと思いますけれども、あなたのただいまの答弁は詭弁と受け取って、納得はいたしません。
時間の関係がありますから、もう一つお尋ねをしておきたいのであります。従来の一般会計のときの歳入歳出の状況を先ほど聞いたのでありますが、十一億円の印紙収入に対して十億円出しておる。大体収入に見合った歳出をしておるということで、そういう経理というものは従来の予算編成のときに考慮すればできておるわけでありますから、今回も、これだけ手数料を上げることによって収入がふえれば歳出をふやしてやるということは一般会計で当然できるわけですね。ですから、特別会計にしなくとも、私はその経理というものは明らかにやれると思う。それを無理に特別会計にしなければならないという積極的な理由、これをひとつ大臣にお尋ねをして、うまい答弁ができれば、これで質問をやめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/341
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342・田中角榮
○田中国務大臣 一般会計と特別会計を比べてどっちが一体いいかという問題については、議論がたくさんせられたところでございます。学校にしましても、自動車検査特別会計にいたしましても、一般会計の中でやっているよりも特別会計にしたほうがより合理的だという考え方をまず前提にしておるのでございます。それはどういうことかといいますと、借り入れ金の制度ができましたり、それから、いまですと、学校等に対しては土地等を売り払いましても、それは雑収入として一般会計に入って、また予算でもってこれを支出をするということになるわけでございますが、今度は二千百億にものわけであります。それから、それを今度一般会計でもって使用する場合には、有償として特別会計に一般会計から金を払わなければならぬわけであります。いままではただ取り上げられたわけであります。また弾力条項がありまして、予定収入を上回ったものは当該年度の支出に充てることができる。これはちょうど三公社の例を見ていただけばわかるとおり、弾力条項があるわけであります。予算総則によって、当該年度の予想を上回った収入は当該年度に建設費等に使ってもよろしいというようなことが、一般会計よりもどのくらい合理的であるかということは十分おわかりいただけると思うわけであります。
そういう意味で、特別会計をつくるということは、過去において、これよりももっとひどいといわれた治水特別会計、道路特別会計、ダム特別会計、港湾特別会計などをつくって一体何になるのだという議論もありましたけれども、現在、治水特別会計をつくり、ダム特別会計をつくり、また道路特別会計をつくったがために、一般会計年間八十七億だったものが四兆一千億にも五カ年計画が伸びる。この十年間の事実に徴してみても、やはりある種目に対しては特別会計制度を採用することが一般会計よりもより合理的だという面が多々あるわけであります。私がそんなことを申し上げるのは釈迦に説法でありまして、そういうことは十分御本知の上で御質問をいただいておることと思いますので、どうぞひとつ、政府が十分考えて、あなたにもほめられるだろうと思って出したことであるということをもう一ぺん考えていただいて、何とか御賛成をいただきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/342
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343・武藤山治
○武藤委員 特別会計が四十一もでき、さらにまたふえていく、これは予算総計主義という財政法のたてまえ、原則の考え方からいうとあまり好ましくない。それはいろいろの理由が——法律によれば三つの理由があれば特別会計をつくることができるということになっておりますが、好ましい方向ではないのですね。やはり予算というのはできるだけ一般会計にして、国民にすぐ一つでわかるような、そういう親切な編成というものをすることがより財政法のねらいとするところなんで、そういう点からいくならばどんどんふえるという傾向は好ましいか好ましくないか。私は過去にこうあった、あああった、いや道路予算が四兆億円になったというようなことを聞いておるのではない。この個別の問題を除いて、そういう傾向は一体好ましいか好ましくないか、これをひとつ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/343
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344・田中角榮
○田中国務大臣 午前中もいろいろ申し上げましたが、理屈を申し上げるわけではございませんが、戦前の会計法及び財政法では全く除外例として特別会計を認めておったのですが、そのときであっても五十幾つあったわけであります。それが今度は本則に御承知の一般会計及び特別会計とこのように非常に明文を置いておるわけであります。それは言うまでもなく、時代の進展に伴いまして一般会計というよりも特別会計というような制度で経理会計をすることがより合理的だという思想をあらわしておるものだと考えるわけ府が一方的に一般会計でただ支出をする、やったきりというような状態である国は別でありますが、日本のようにこれからだんだんと経済が成長し、こうして複雑になってきますと、やはり一方的にその支出をするという一般会計よりもより弾力条項のある特別会計制度を併用するということは、やはり時代の必要性からきているものだと思うのです。皆さんからも、一般会計が特別会計に移り、特別会計が三公社に移り、三公社が特殊会社に移り、やがて国鉄は民営にすべきだ、こういう議論さえあるのでありますから、やはり時代の趨勢によってこういう制度が採用されておるのでありまして、私は一がいに一般会計絶対主義であって特別会計というものはもう必要やむを得ざるもの以外はつくってはならないというのではなく、この条文に適合し、こうすることがより国民的に利益を守ることである、会計経理をより区分することであって適切だと思うものに対しては、やはり一般会計と同じく、並列した考え方で考えていただくのが私は法の精神だというふうに考えております。しかし私はその意味でこれからでも幾らでもつくろうという考えではございません。そういうことはございませんで、この三つの特別会計などはこれはほんとうに、真にやむを得ずであるし、またこうすることが一般会計で経理しておったよりもより適正であり国民的である、こう考えておるのでありますから、どうぞひとつ了解していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/344
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345・武藤山治
○武藤委員 大蔵大臣の答弁は全く納得いかぬのです。三十七年に大臣に就任して三十九年になって学校の特別会計をつくる、あるいは自動車検査の特別会計をつくる、これは合理性があるのだ。合理性があるのだったら、初めからわからぬような大臣の脳みそでは困ると思う。いまになってやったということは、できるだけ予算規模を縮小しようという意図から行なわれたことは明らかですよ。私はそういう点を強く指弾して、大臣とこれ以上議論いたしましても平行線ですから質問はやめたいと思いますが、これからそうみだりに特別会計をふやさないということを強く私は要求をして質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/345
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346・山中貞則
○山中委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/346
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347・山中貞則
○山中委員長 これより順次討論、採決に入ります。
まず国立学校特別会計法案及び自動車検査登録特別会計法案の両案を一括して討論に入ります。通告がありますので、順次これを許します。卜部政巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/347
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348・卜部政巳
○卜部委員 私は日本社会党を代表いたしまして、国立学校特別会計法案並びに自動車検査登録特別会計法案の両案に反対の趣旨を述べんとするものであります。
そもそも特別会計制度そのものにつきましては、総計主義というものを無視するものであり、加えて一般会計の膨脹を防ぎ、この面から国民の目をそらそうとする意図である以上は、その特別会計制度そのものに対して、社会党といたしましては賛成できかねるものであります。
なかんずく国立学校の特別会計法案につきましては、これはIMFへの移行、さらには開放体制への移行に備えたところの、いわゆる池田内閣がその基幹産業の拡充のために、そこにあらわれてくるいわゆる増収対象というものの限界に逢着をした観点に立って、ただこれが教育という面から、さらにまた学問の充実という面からこの特別会計法案が提案されたのではなくて、その意図するところは、会計法案自体が、それによって生ずるところの国民の目を糊塗しようとするところは申すまでもないところであります。少なくとも、今日のこの会計法案に見られますように、そのことを物語りますように、中教審の答申にいたしましても、さらにまた大学側の意見聴取にいたしましても、すべて本委員会において明らかになりましたように、その点が無視されておるというこの現実に立脚をいたしまして、私はこの特別会計法案が決して真の意味の学問の探究、さらには教育の充実のためにあるものではないということを指摘せざるを得ないのであります。
かかる観点に立ちまして、わが社会党は、国立学校の特別会計法案並びに自動車検査登録特別会計法案に対して反対をするものであります。
以上をもちまして、反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/348
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349・山中貞則
○山中委員長 小山省二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/349
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350・小山省二
○小山(省)委員 ただいま議題となりました国立学校特別会計法案及び自動車検査登録特別会計法案の両法案に対し、私は自由民主党を代表して、賛成の意見を表明せんとするものであります。
まず、国立学校特別会計法案について申し上げますと、この法案は国立学校の施設等の充実に資するとともに、その経理を明確にするために特別会計を設置し、一般会計と分離して経理しようとするものであります。
この会計を設置する場合の利点をあげますれば、第一に、この会計の決算上剰余金が出た場合全額和み立て金とし、その積み立て金は施設整備の費用に充てることができ、また不用となった財産を処分して、施設整備に充てることができる点であります。
節二に、国庫債務負担行為を行なうことができることで、三十九年度予算においても三十五億円の債務負担行為を計上し、病院施設の充実に充てておるのであります。
第三は、病院施設充実のため借り入れ金ができることで、三十九年度は十億円を資金運用部から借り入れを予定しております。
第四は、歳入歳出予算の弾力条項が設けられていることで、付属病院等収入がその予算以上に増加したときは、その増加額に相当する金額を事業量の増加のため必要とする経費の支出に充てることができるのであります。
さらに、研究費、学校運営費等について、弾力的運営ができる点であります。その他、予算の使用について、収入金があれば、四半期別使用のワクを越えて使用することができる等、この会計設置の利点は少なくなく、国立学校の充実のためきわめて適切妥当な措置であると存ずるのであります。
なお、本特別会計法案審議の過程において、特別会計設置の真心は、一般会計の歳出ワクを減らし、財政膨脹をごまかすごとき意見も出ております。本会計の歳入総額は千三百九十四億五千九百万円で、そのうち一般会計からの繰り入れば千百四十五億一千四百万円で、その差額は二百四十九億円であります。一般会計繰り入れ分は一般会計の歳出に計上されており、木会計が今後も歳入の八〇%程度は一般会計からの繰り入れでまかなわれることは明らかであります。差額の二百四十九億円は一般会計歳出の一%にも足らない程度のもので、したがって本特別会計の新設が一般会計の膨脹、予算規模の膨脹を避けるというごときは全く当たらない見方であります。したがって、本特別会計設置は、さきに述べたごとき各種の利点を持つ妥当な方法であると思うのであります。
次に、自動車検査登録特別会計法案について申し上げますと、この法案は、自動車数の激増に伴い増加する自動車検査登録事務について、年々の伸びに応じた処理態勢を確立して、検査、登録待ちの解消等利用者に対するサービスの向上をはかるため、特別会計と設置して、これを一般会計を区別して経理しようとするものであります。
この会計設置の利点は、第一に、この会計において剰余金を生じたときは、これを同会計の翌年度の歳入に繰り入れることができる点であります。
第二に、支払い上現金に不足があるときは、一時借り入れ金をし、または国庫余裕金の繰りかえ使用ができる点であります。
第三に、この会計の当該年度末までに支出済みとならなかった歳出予算を翌年度に繰り越し使用ができることであります。
その他、この会計設置によって予算の弾力的運用ができる等幾多の利点があるのであります。
以上申し上げた種々の理由により、われわれは両法案に対し賛成であることを表明して、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/350
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351・山中貞則
○山中委員長 竹本孫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/351
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352・竹本孫一
○竹本委員 私は民主社会党を代表いたしまして、両案に反対の討論を行なわんとするものであります。
まず国立学校特別会計法について申し上げます。
もちろんわれわれは国立学校の整備、大学院学部の増加、国立高専の新設等に反対するものではありません。
第一の反対は、特別会計の無原則なる増設についてであります。われわれは基本的立場といたしまして、財政の民主化、予算制度の単純明確化の見地から、特別会計のふえること自体に原則として反対であります。これに反対することのほうが、むしろ時代の新しい流れだと信じております。しかるに、今回の国立学校特別会計につきましては、これを設ける積極的理由がどうしても見当たらないのであります。もちろんそこには教育の理想、大学の自治がこれによって大きく前進を持つことを期待されるような事情もありません。ただ従来どおりの考え方で、従来どおり予算の大半を一般会計から受け入れるにとどまっております。しかも昨年の中央教育審議会では、先ほども問題になりましたように、大学教育の改善について答申を行ないました際にも、大学の財政については特別会計の設置はなお慎重に検討する必要があると答申をしたほどであります。したがいまして、この特別会計はおそらくは予算編成のテクニックとして、端的に申し上げますならば、先ほど来論議の行なわれましたように、国際収支の赤字と消費者物価の値上がりの中で、膨大なる三兆円の放漫予算に対する国民大衆のきびしい批判を巧みに避けるために、国立学校助成費三百三億円を一般会計の中から削って、これを外ワクに出したというのが真相ではないでしょうか。われわれは、かかる小細工によって無原則に、安易に、特別会計がふえること自体に反対であります。
第二は、本法案は、文部大臣の管理権を強化することになっておりますけれども、それも、しかも施設中心、物中心の考え方が強いことであります。法案を検討いたしてみましても、第二条、第四条の規定にも明らかなごとく、単に文部大臣の会計管理を強化せんとするものでありまして、逆に一般会計が国立学校のために何をなすべきであるか、何をなそうとしておるのかは、何も規定いたしておりません。付属病院に関する措置と、大事な大学教育の問題とを混同してはならないものであります。
また、文部大臣の権限強化の形で、特別会計が設置せられることは、戦前から文部省に伝統的に流れつつあります教育大権的な思想、教育統帥権の独立といったような思想にもつながるものでありまして、この点はむしろきびしく監視、監督しなければならないと考えるのであります。
第三に、木会計が、国立学校の充実に資するとともに、その経理を明確にするということのために設置せられることになっておりますけれども、これがやがては、大学病院の営利事業化や、あるいは授業料の値上げにもつながる危険性があり、可能性があること、また、こうした考え方では、現在問題になっております各大学の格差の解消ということも何ら期待できないのであります。
こうした理由によりまして、国立学校特別会計法に反対するものであります。
次に、自動車検査登録特別会計法案に反対の理由を申し上げます。
その第一は、特別会計の無原則なる増設でございますが、その理由は、先ほど申し上げました。
第二は、政府はこの特別会計の設置を機会に、検査手数料を三割ないし五割程度引き上げ、そのかわりに、ここ数年間はこれでいこうというのでありますけれども、この検査手数料の引き上げ自体が、今日のように物価抑制を強く要請せらておりまする日本経済のこの時点におきまして、はなはだ当を得ないものであると考えるのであります。
第三に、検査手数料収入をもって施設整備費の財源を調達しようというがごときは、手数料が通常サービスの対価であり、人件費、事務費等の実費弁償と見るべきものでありますから、この実費弁償を越えた手数料を徴収することは、不当に問題をこんがらかせるものでありまして、賛成することができません。
以上の理由によりまして、われわれはこの改正案にも反対であります。
以上、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/352
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353・山中貞則
○山中委員長 これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。
両案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/353
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354・山中貞則
○山中委員長 起立多数。よって、両案はいずれも原案のとおり可決いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/354
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355・山中貞則
○山中委員長 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
おはかりいたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/355
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356・山中貞則
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/356
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357・山中貞則
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/357
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358・山中貞則
○山中委員長 次会は、来たる三十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X02719640327/358
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