1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 山中 貞則君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 藤井 勝志君 理事 坊 秀男君
理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
理事 堀 昌雄君
伊東 正義君 宇都宮徳馬君
大泉 寛三君 奥野 誠亮君
木村 剛輔君 木村武千代君
小山 省二君 島村 一郎君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
谷川 和穗君 濱田 幸雄君
藤枝 泉介君 卜部 政巳君
小松 幹君 佐藤觀次郎君
田中 武夫君 只松 祐治君
日野 吉夫君 平林 剛君
春日 一幸君 竹本 孫一君
出席政府委員
大蔵政務次官 纐纈 彌三君
大蔵事務官
(理財局長) 吉岡 英一君
国税庁長官 木村 秀弘君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局経済課
長) 塚本孝次郎君
大蔵事務官
(国税庁調査査
察部長) 堀口 定義君
専 門 員 拔井 光三君
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四月九日
税理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五七号)
同月十一日
戦傷病者の国税等減免に関する請願(小川半次
君紹介)(第二二九〇号)
同(關谷勝利君紹介)(第二二九一号)
同(田中龍夫君紹介)(第二二九二号)
同(田村良平君紹介)(第二二九三号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第二二九四号)
同(藤井勝志君紹介)(第二四四三号)
同(小沢辰男君紹介)(第二五三二号)
同(砂田重民君紹介)(第二五三三号)
同(中村寅太君紹介)(第二五三四号)
元満州国政府等職員期間のある非更新共済組合
員の在職期間通算に関する請願外一件(大石武
一君紹介)(第二五八九号)
同外三件(内海安吉君紹介)(第二五九〇号)
同(長谷川峻君紹介)(第二七〇一号)
税務職員の守秘義務違反に対する罰則の国税通
則法に統一、明記等に関する請願(木村武千代
君紹介)(第二五九一号)
ガス、石油燃焼器具の物品税減免に関する請願
(天野公義君紹介)(第二七〇二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公認会計士特例試験等に関する法律案(内閣提
出第一五五号)
税理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五七号)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四〇号)
企業資本充実のための資産再評価等の特別措置
法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一五
号)
国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行
法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二
四号)
国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律
案(安宅常彦君外九名提出、衆法第五号)
税制に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/0
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001・山中貞則
○山中委員長 これより会議を開きます。
公認会計士特例試験等に関する法律案及び税理士法の一部を改正する法律、案の両案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/1
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002・山中貞則
○山中委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官纐纈彌三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/2
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003・纐纈彌三
○纐纈政府委員 ただいま議題となりました公認会計士特例試験等に関する法律案及び税理士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
まず最初に、公認会計士特例試験等に関する法律案について御説明申し上げます。
現在、証券取引法の規定に基づく財務書類の監査または証明は、公認会計士でなければ行なうことができないのでありまするが、同法の規定に基づかない一般の監査証明は、公認会計士沖の附則により、計理士も行なうことができることになっております。しかしながら、今日わが国経済の現状を見ますると、資本市場育成の見地から投資家保護の徹底及び開放体制への移行に伴う企業経理の一そうの健全化が特に強く望まれているのでありまして、その財務書類の監査証明に当たる者の社会的地位と監査水準の全般的質的向上をはかることが急務とされているのであります。この要請にこたえ、かつ、従来からの計理士問題の経緯を考えるとき、現在、経過的に残されている旧計理士制度は、この際、これを廃止することとし、そのかわり計理士及び計理士登録延期者で、試験によって公認会計士の資格要件を具備すると認められる者に対しては、公認会計士に登用する道を開き、また、主として計理士業務を悩む者で政令で定める要件に該当する者に対しては、認定により税理士となる資格を付与することが職業会計人制度の整備合理化にも資することが大きいと考えられます。また、現在の公認会計士試験第三次試験の実施状況等に顧み、これに口述試験を追加する必要があると考えられますので、この法律案を提出することにいたした次第であります。
次に、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず第一は、現在、公認会計士法附則第六十三条第一項または第二項の規定によりまして、計理士法廃止の際計理士であった者は、同法廃止後も、大蔵省に備える計理士名簿に登録を受けることを条件として、計理士業務を営むことができることとなっているのでありますが、この制度は、昭和四十二年三月末日をもって廃止することといたしております。
第二に、計理士制度の廃止に伴いまして、昭和三十九年七月一日から昭和四十二年三月三十一日までの間、五回を限りまして、公認会計士特例試験を次の要領により実施することとし、その合格者には公認会計士の資格を与えることといたしております。
なお、計理士制度廃止の期限及び特例試験の期限である昭和四十二年三月三十一日については、問題の経緯等にかんがみ、これを厳守することとし、延長措置は一切行なわない所存であります。
まず、公認会計士特例試験を受けることができる者は、大蔵省に備える計理士名簿に登録を受けている計理士及び計理士名簿への登録を受ける資格を有する計理士登録延期者に限定することといたしました。
次に、公認会計士特例試験の試験科目は、公認会計士となるのに必要な専門的学識及びその応用能力を有するかどうかを判定するために、会計監査、税に関する実務を含む会計実務及び商法の三科目につきまして、筆記の方法により行なうことといたしました。
また、公認会計士特例試験の合格者を決定する場合におきましては、試験の成績によりまするほか、計理士の職にあった実務年数を、政令で定める方法によりまして、しんしゃくすることといたしました。
第三に、計理士業務を主として営む者に対して税理士の資格を付与する措置でありまするが、昭和三十九年四月一日現在において計理士名簿に登録を受け、計理士の名称を用いて、主として旧計理士法第一条に規定する計理士業務を営んでいる者のうちで政令で定める要件に該当する者につきましては、税理士法第十三条に規定する税理士試験委員の認定を受けることを条件といたしまして税理士の資格を付与する措置を講ずることといたしております。
第四に、公認会計士試験第三次試験に口述試験を追加することといたしております。現在、公認会計士試験第三次試験は、財務に関する監査、分析その他の実務について筆記の方法により行なわれているのでありまするが、第三次試験の受験の要件とされております実務補習及び業務補助または実務従事の成果がよりよく反映されるようにするため、口述試験を追加して第三次試験制度を整備することといたしました。
なお、口述試験は筆記試験に合格した者について行ない、また、筆記試験の合格者には、その後行なわれる四回の筆記試験を免除することといたしました。
次に、税理士法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
現行の税理士制度は、昭和二十六年に施行された税理士法に基づくものでありますが、同法の施行後十数年間における社会経済情勢及び税制の著しい推移にかんがみ、これらの推移に即応した制度を確立する必要が認められるに至ったため、政府といたしましては、税理士制度各般にわたり根本的な再検討を加えることとし、一昨年に設けられました税制調査会において税理士制度につき鋭意検討を加えてまいりましたが、昨年末、同調査会から税理士制度に関する答申を受けたのであります。政府は、この答申を尊重しつつ、さらに検討を加えた上、本法律案を提出することといたした次第であります。
以下、この法律案の内容について、その大要を御説明申し上げます。
改正の第一は、税理士の職務が、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現に資するという、重要な意義を有していることにかんがみ、税理士の地位向上とその業務運営の適正化をはかり、もって、納税義務者に対する税務援助について一そうの充実を期するため、所要の改正を行なうことであります。すなわち、その第一点は、税理士の業務について、その範囲を拡大することであります。税理士業務の対象となる租税の種類は、現在、所得税、法人税等の特定の税目に限定されておりまするが、物品税等の間接税におきましても申告納税制度が採用されていることでもありまするので、登録税、印紙税及び地方税のうち法定外普通税等の特殊例外的なものを除いては、広く国税及び地方税の全般を対象税目とすることといたしております。
次に第二点は、税理士業務に新たに二つの制度を加え、納税者の信頼に一そうこたえることといたしたことであります。
その一つは、税務書類の審査に関する書面添付制度の創設であります。すなわち、税理士が、納税者の作成した申告書について、納税者から相談を受けてこれを審査し、その申告書が適正に作成されていると判断した場合には、その旨を記載した書面を申告書に添付することができる制度を設けたのでございまして、これによって表明された税理士の専門的な意見を尊重するため、この書面の添付のある申告書について税務官公署が更正しようとするときは、あらかじめ当該税理士の意見を徴しなければならないことといたしております。
その二は、会計業務に関する規定の新設であります。税理士の業務は、会計業務を基礎とする面が多いのでありますので、今回、税理士は、付随業務として、税理士の名称を書いて、財務書類の調整、財務に関する相談等の会計事務を行なうことができる旨を明らかにいたしております。
次に、第三点は、納税者が税理士に税務代理を委任した場合、税務調査に際して税理士が立ち会うことが納税者にとって望ましいわけでありまして、このために現在税理士に対する調査の事前通知の制度について、この通知の対象となる税目の範囲を現行の所得税、法人税等に限定している点を改め、すべての税目にこれを拡大することとし、納税者に一そうの安心感を与えることといたしております。
次に第四点は、いわゆるにせ税理士行為の発生を防止して、税理士業務の運営の適正化に資するため、税理士事務所の設置を一人一カ所に限定する原則を一そう徹底させるとともに、税理士事務所につき統一的な名称を付することとし、また、税理士の使用人に対する監督義務に関する規定を新設する等の改正を行なうことといたしております。
次に第五点は、税法がしばしば改正されることとも関連いたしまして、税理士業務の適正な遂行に誤りなきを期するとともに、税理士の資質の一そうの向上をはかるため、日本税理士会連合会の統一的な管理のもとに、税理士に対し定期的に所要の研修を行なうこととするための改正を加えることといたしております。
次に第六点は、税務職員から税理士となった者に対し、税理士業務の一号うの適正化をはかるための改正であります。すなわち、現在は税務職員であった者は、離職後一年間、離職前一年内に占めていた職の所掌に属すベき事件について税理士業務を行なってはならないとされているのでありまするが、今回この制限期間を離職後二年間に延長するとともに、現行の例外措置を一そう縮小し明確にすることといたしております。
次に第七点は、税理士に対する懲戒処分について、運営の適正化に資するための改正であります。すなわち、徴戒処分の手続を一そう慎重にするため、新たに国税庁に懲戒審査会を設け、国税庁長官が懲戒処分を行なうに際しては、あらかじめ、この審査会の意見を必ず徴することに改めるとともに、懲戒処分の効力は、懲戒処分をした時から発生することを明らかにいたしております。
次に、改正の第二の眼目は、税理士業務の定義について、誠実な納税運動の推進に支障のないよう配意しつつ、所要の改正を行なうことであります。
すなわち、税理士業務は、税務代理、税務書類の作成及び税務相談の三つからなっておりますが、現行規定にはあいまいな点がありまするため、税理士の独占業務としての税理士業務の範囲に明確さを欠き、ために、業務の取り締まり及び納税者団体等による誠実な納税運動の推進に支障が見られまするので、両者の調整をはかりつつ、規定の整備を行なうこととしておるのでありまして、これにより、税務代理には代理及び代行を含むこと、税務書類には通常の決算書類は含まれないこと、また税務相談には申告に際しての個別相談をいうこと等を明らかにしているのであります。
次に改正の第三の眼目は、税理士となる資格についての改正であります。現在の制度では、弁護士及び公認会計士のほかは、税理士試験を経て税理士の資格を与えることとしておりますか、税理士試験は、一般試験と特別試験とに区分されて行なわれております。一般試験と申しますのは、まず受験資格を一定範囲に限定した上、税法と会計学につき、行なうものであります。また、特別試験と申しますのは、一定の実務経験を有する税務職員等について、実務を主とした事項につき、行なうものであります。
このような現行の税理士試験のうち、一般試験につきましては、本試験一本で、しかも科目別に合格を判定することになっており、かつまた、数多の一部科目の免除制度がありまするために、制度が複雑になっているほか、受験者の数もきわめて多く、勢いその試験問題もいたずらに暗記力にたよるむずかしい試験になりやすく、反側、実務応用能力を十分に反映しがたい欠陥があり、職業専門家としての資格を判定する試験方法としては、必ずしも適当でない面がありました。
そこで今回、他の立法例をも参考といたしまして、整備改善をはかることといたしました。
すなわち、まず、一般試験については、受験資格の制限を廃止した上、これを一般的教養を有するかどうかを判定するための予備試験と、税理士となるのに必要な専門的知識及びその応用能力を有するかどうかを判定するための本試験とに分け、この場合本試験は、実務応用能力の判定に重きを置くこととするため、まず、基礎的な素養の判定を短答式試験によって行なった後、その合格者について、試験場に税法書を備えつけて、実務応用問題についての試験を行なうこととし、合格者の決定方法は、総合点主義によるものといたしております。なお、一度短答式による試験に合格した者は、その後五年間は、短答式試験を受けることなく、実務応用問題による試験のみを受ければよいことといたしております。
この改正案による税理士試験は、昭和四十年から実施することといたしておりまするが、従来の試験による一部科目の合格者等に対する既得権を十分尊重するとともに、この試験制度の改正により受験者に与える影響を緩和する趣旨から、所要の経過措置を講ずることといたしております。
次に、税務実務経験者に対する資格付与のあり方に関する改正であります。
わが国の他の職業専門家に関する立法例や外国の税理士制度等を見ますと、行政庁に対する事務折衡を中心とする職業専門家の場合には、通常の試験制度のほか、当該行政庁において一定の実務経験を積んだ者を資格者のうちに含めている例が多いのであります。また、現在の税理士制度では、勤続十年ないし十五年の税務職員に対しては、一般試験において、税法の試験を免除することとしており、さらに、勤続二十年、地方税職員の場合には二十五年以上の税務職員に対しては、一般試験にかえて、会計に関する実務を中心とした特別税理士試験のみを行なうことといたしております。
そこで、今回、右のような試験免除に関する現行の特例等を整理するとともに、職業専門家に関する他の立法例を参考として行政庁における専門的実務経験を重視した改正を行なうことといたしました。
すなわち、税務官公署における国税事務にもっぱら従事した期間が二十年以上、または地方税事務にもっぱら従事した期間が二十五年以上になる者であって、かつ、当該事務を管理、監督する一定の責任ある地位にあった期間が五年以上になる者のうち、税理士試験審査会により、主として簿記に関する実務につき、その必要と認める口頭試問によって、税理士試験合格者と同等以上の学識を有する旨の認定を受けたものについては、税理士となる資格を付与することといたしております。
その他、税理士試験の実施機関として、税理士試験審査会の制度を設けることといたしたこと等、所要の整備改善をいたした次第であります。
以上が公認会計士特例試験等に関する法律案及び税理士法の一部を改正する法律案の提案の理由及び概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/3
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004・山中貞則
○山中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は次会に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/4
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005・山中貞則
○山中委員長 次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案、国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案及び安宅常彦君外九名提出の国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/5
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006・平林剛
○平林委員 私は企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。
もちろんこの法律の背景となっておる日本経済の体質、そしてその体質改善についていかなる方策があるかという点に質問を展開すると、はなはだいろいろな角度から議論せねばならぬ問題があると思いますが、きょうは提出された法律案の基礎的な問題について、当局からいろいろな御説明をいただきたいと思うのであります。
初めに、資産の再評価については、私の承知しておるところでは、昭和二十五年に第一次、昭和二十六年に第二次、その後物価が騰貴したことによりまして、帳簿価額の再評価が不十分となりまして、二十八年、二十九年にも両年にわたって第三次の再評価が行なわれたと記憶いたしておるのでありますけれども、今日までの資産の再評価についての経過といいますか、それを御説明いただきたいと思うのであります。そしてその経過の中における問題点などございましたならば、この機会にお聞かせいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/6
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007・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
資産再評価法は、お話のとおり昭和二十五年に成立いたしました。資産の再評価を行なうことによりまして、適正な減価償却を可能にいたしまして、企業経理の合理化をはかりますとともに、経済の正常な運営に寄与することを目的としておったわけでございます。その後お話のとおり、昭和二十六年に第二次、二十八年に第三次、続いて資本充実法によります再評価の強制をいたしました。また中小企業につきましても、三十二年に資産の再評価をいたしております。
そこで、その三回ないし四回にわたります再評価の実施状況について簡単に数字を御説明申し上げます。
昭和二十五年の第一次の再評価におきましては、再評価を実施いたしました法人の数が三万三百三十六社でございました。その会社が資産再評価をいたしました帳簿価額との差額、要するに再評価差額と呼んでおりますものが六千二百七十七億円にのぼりました。次の昭和二十六年の第二次の再評価におきましては、再評価を実施いたしました法人数は四千三百一社、再評価差額が九百八十一億円でございます。
それから昭和二十八年の第三次の再評価におきましては、再評価を実施いたしました法人が一万二千五百四十七社、再評価差額が六千三十五億円でございます。そのうち資本充実法によります強制再評価によりまして再評価を実施しましたものが千七百九十一社、再評価差額が五千百五十七億円でございます。
最後に、中小企業につきましては、再評価を実施いたしました法人数が四千八百二十社、再評価差額が百四十二億円でございます。
ただいま申し上げましたような経過によりまして、再評価差額の総計が一兆三千四百三十五億円に相なっております。この一兆三千四百三十五億円につきまして、そのうちから再評価の税を払ったり、あるいは決算の赤字を埋めましたりいたしました数字が八百八十五億円になっておりますが、一兆三千四百三十五億円からその八百八十五億円を引きました残りの金額のうち資本に組み入れました額が五千四十一億円になっております。したがって資本の組み入れ割合が四〇・二%ということになっております。再評価差額に対しまして約四〇%の資本組み入れを行ないました。現在のところ、再評価積立金の残額が七千五百九十億円ということになっております。
以上、経過を御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/7
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008・平林剛
○平林委員 ただいまのお話で大体の経過はわかりましたが、今日までに発生して積み立てられた再評価の積み立て金は一兆三千四百三十五億円。この中で資本に組み入れたものが五千四十一億円。とりくずしが、いまの御説明ですと八百八十五億円というお話でございましたが、昔、私この問題について検討したときは、とりくずしだけで千九億円という資料を承知しておるわけなんですけれども、いまの説明ですと、とりくずしが八百八十五億円となっておるわけで、その点が私の調査した資料と少し数字が違うのですけれども、とりくずし額について、どうしてそういう違いになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/8
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009・吉岡英一
○吉岡政府委員 お話しの千九億円という数字は、実は私ども承知いたしておらないわけでございますが、私どもの資料で計算をいたしましたところ、三十八年九月末現在でございますが、八百八十五億円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/9
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010・平林剛
○平林委員 もう一回私説明しましょうか。
これは昭和三十四年二月当時の大蔵省の資料で私読んでいるわけです。昭和三十四年当時発生をした再評価積立金は、いま説明がありましたように一兆三千四百三十五億円ございました。その中で資本に組み入れたものは二千百十七億円であります。いまのお話では、これが五千四十一億円に相なっておりますから、今日までの間に相当資本の組み入れが行なわれたということは数字をもって明らかになります。しかし同時に、当時の大蔵省の資料によりますと、とりくずしが一千九億円に相なっておる。具体的内容まで申し上げましょうか。再評価税の納めた額が大よそ五百億円くらい、欠損補てん再評価資本を譲渡した場合に、評価額の価額で売れなかった場合の譲渡損失評価減、その他合計で一千九億円、こうなっておるわけです。私、これだけ知っておるわけですから、大蔵省の数字であることは、間接的にあなたもおわかりになると思うのですが、一千九億円になっている。いまのお話ですと八百八十五億円。これは要するに同じように計算をされたと思うのですけれども、少し食い違いがございますから、それがどういう理由であるかということをお尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/10
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011・塚本孝次郎
○塚本説明員 御説明申し上げます。
本表は再評価差額の一兆三千四百三十五億円と資本の組み入れ額の五千四十一億円、それから再評価積立金の残高の七千五百九十億円、そこから再評価税及びとりくずし額の八百八十五億円というものを推計をしたわけでございます。最近、いわゆる全体の任意に再評価いたしました再評価値立金につきましての報告をとっておりませんので、したがいまして、従来の統計の原表から推計をいたしたわけでございます。その中には、再評価積立金から資本に入ったものなりや、または資本準備金に入ったものなりや、その辺不明確なものが若干ございますので、その辺が八百八十五億円と約一千億円の差額になって出ておるのではないかと推定をされます。この点につきましては、後刻調査をいたしまして、また御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/11
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012・平林剛
○平林委員 これは同じ大蔵省の資料でありますから、多少占い資料ですけれども、少なくとも前に提出された資料と、きょう説明された資料とでは、かなりの違いがございます。これはどういうわけかということは、ひとつ再調査をしていただきたい。大体、せっかく資本の充実をはかるために資本の組み入れをするという諸般の措置を講ぜられながら、とりくずしがあることは、まことにけしからぬ。私、そう思っておりまして、そのとりくずしの理由などについて検討をしておったのです。いまお話を聞きますと、当時から比べると、ばかに少ないものですから、あなたのほうの資料にちょっと疑問を感じました。この点はひとつ再検討をしていただきたいと思うのであります。そうでないと、いまお話しになりました組み入れ率が四〇%とかなんとか言われましても、どうもそれを信頼するというわけにはいかなくなるわけです。念のために当時の組み入れ率は、全法人の調査で一七%であった。いま四〇%になっておる。相当の組み入れ率になっておりますけれども、基礎になっておる、とりくずしの額が、私の調査したところと、いまの説明と違っておったのでは、正確な組み入れ率というわけにはいきません。ひとつ再検討していただきたいと思うのであります。
そこで、今回の法律の提案理由によりますと、「いまだ再評価積立金の最終処理を行なっていない会社がかなりの数にのぼっている」こういうふうに書いてございますけれども、大体どのくらいございますか。その現状について御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/12
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013・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
現在のところ、まだ最終処理を行なっておらない会社は千二十八社ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/13
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014・平林剛
○平林委員 この法律の対象になる会社はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/14
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015・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答えを申し上げます。
昭和二十九年に再評価を強制いたしましたときに、千七百九十一社あったわけでございますが、現在はただいま申し上げました千二十八社になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/15
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016・平林剛
○平林委員 私のお尋ねしておりますのは、今度配当の制限などを行ないますね。それによって、すでに八〇%以上資本の組み入れをしている会社も、その千二十八社の中にはあるのでございましょう。そしてまた、この配当制限に触れないところの会社もあるわけでしょう。そういうものを除いて、実際の法律の対象になるところの会社は幾らで、大体その資本の組み入れ額はどのくらいに想定しておるか、こういうことを明らかにしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/16
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017・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
ただいまのお尋ねの、実際にこれにかかると申しますか、そういう意味の会社は約四百十九社程度と想定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/17
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018・山中貞則
○山中委員長 吉岡君、質問の意味はよくわかっているかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/18
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019・塚本孝次郎
○塚本説明員 お答え申し上げます。
今回の改正によりまして、いわゆる資本充実法によって配当制限を受ける会社は、再評価積立金のうちで八〇%以上の組み入れをしていない会社か、または再評価積立金の残額が現在の資本金に対して一〇%以下になっていない会社か、いずれかの会社が今回の法律に実質的に該当するわけでございます。その数字が、いま局長から申し上げました四百十九社でございます。現在、再評価積立金を持っております会社は、全体で千二十八社ございますが、そのうちで、いま申し上げましたものに該当する会社は、全体で四百十九社ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/19
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020・平林剛
○平林委員 組み入れ額はどのくらいかと聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/20
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021・塚本孝次郎
○塚本説明員 これはお手元に資料を差し上げてございますが、いわゆる組み入れ割合ごとに申し上げますと、資本組み入れ割合が三〇%未満の会社、これが千二十八社のうち三百十九社ございます。その三百十九社のうちで、資本金に対する残額が一〇%以下になっておる会社は百四十三社ございます。したがいまして、その差額であります百六十六社が、三〇%以下の組み入れの段階ではこの法律に引っかかるということになります。
それから三〇%以上四〇%未満の組み入れ割合の会社におきましては、全体で九十一社ございます。そのうち二十八社が一〇%未満になっておりますので、実質的に六十三社が該当することになります。それから四〇%以上五〇%未満の組み入れ割合の会社は全体で百社ございます。そのうち、資本金の額の一割以下の会社が三十五社ございますので、全体で六十五社が引っかかることになります。同じように、五〇%以上六〇%未満の会社につきましては四十九社、六〇%以上七〇%未満につきましては五十三社、それから七〇%以上八〇%未満につきましては十三社ということになりまして、全体で四百十九社ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/21
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022・平林剛
○平林委員 私も政府からいただいた資料を検討してみたのでありますけれども、その中で資本の組み入れ比率がたいへん悪い会社、企業がございます。たとえば電力のごときは一八・三%、また倉庫業ですか、二七・一%、陸運で二二・四%、洗ってみると、大体こういう企業におきましては非常に組み入れ率が悪いのでありますけれども、どういう理由でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/22
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023・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
お話のように、全体の平均といたしましては、資本の組み入れ割合が四〇%であるわけでございますが、業種別に見ますと、お話のように電力、陸運、倉庫業というようなものが平均以下と申しますか、組み入れ比率が低いわけでございます。いろいろな理由があろうかと思いますが、一つの大きな理由はやはりこれらの業種が料金を、統制と申しますか、料金を押えられておる、したがって資本金に組み入れにくい収益状況にあるというようなことが一つの原因かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/23
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024・平林剛
○平林委員 自己資本の充実についてはどういう方法がございますか、総合的に政府がお考えになっておる政策なり方法なりにつきまして御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/24
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025・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
企業の自己資本を充実させることは、特に開放経済体制を迎えまして必要であるわけでございますが、政府といたしましては一つは自己資本の充実のためになるべく増資をしやすくするということが一つの方策かと思います。次には、できるだけ企業の内部留保を厚くさせる方法があろうかと思います。さらに増資に関連をいたしまして、増資をしやすくするということは、企業の側から増資をしやすくするという面と同時に、投資者の側から増資を消化するといいますか、受け入れやすくするという方策をとるという方策があろうかと思います。増資の促進につきまして、ただいま申し上げました企業側の方策といたしましては、配当軽課と申しますか、配当に対する課税を普通の法人税よりも軽課いたしまして、企業の増資負担を低くして増資をしやすくするというような一連の政策をとってまいっておるわけでございます。それから増資を受け入れる側の、投資者の側につきましては、今回の税制改正でも投資信託について特別の税制をとるというようなことで、投資者側からも投資しやすくするというような方策をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/25
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026・平林剛
○平林委員 もう一つ方法があるでしょう。現在の企業は非常に借り入れ金が多い、この借り入れ金を社債に切りかえるというような手段によって企業資本の充実をはかるという方法がある。これには社債市場を育成するという手段がどうしても必要であると思いますけれども、この社債市場の育成につきまして政府の考え方はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/26
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027・吉岡英一
○吉岡政府委員 お尋ねが自己資本の充実というお話でございましたので、お答えを申し上げませんでしたが、お話のとおり企業の経営を安定させますためには、他人資本の中でも長期に安定した社債の割合を広げていくということは大事なことだと考えております。したがって社債につきましてもできるだけ短期の借り入れ金等でやることをやめまして、社債の部分を大きくしていくというようなことが望ましいと考えております。ただ社債市場の育成につきましては、いろいろむずかしい問題があること御承知のとおりでございます。金利の問題その他いろいろの問題がありますが、その中でも従来から社債の大型化その他を通じまして、社債引き受け金融を拡大する、いろいろな面で社債が単に金融機関だけに消化される点を、もう少し個人消化をさせるように証券会社等の指導もいたしております。社債市場をできるだけ拡大をしていく方向に努力をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/27
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028・平林剛
○平林委員 努力の方向はわかるけれども、具体的に何か最近政府が特に力を入れてやるというようなことはございませんか。これはあなたに聞いてもわからぬけれども、政府の当事者としていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/28
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029・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
社債市場の育成は非常に長い間の懸案と申しますか、従来からの重大な問題であるわけでございます。特に昨年あたりから社債の消化を円滑ならしめるためには流通が十分にいく必要があるわけでありますが、その一助にもなりますように、非常に小さな金額のこま切れの社債が出ておるというような状況を直します意味で、できるだけ社債の大型化、銘柄の簡素化につとめてきておるわけでございます。そのほか、従来から消化しておらなかったような一般都市銀行以外のいろいろな金融機関、投資機関、機関投資家等にも社債の消化をすすめるというようなことでいろいろ努力をいたしております。また昨年から日本銀行が社債の引き受けについての金融の道を講ずることにいたしまして、社債をいろいろな方面に消化をいたします際に多少の売れ残りができる、その一時的な売れ残りに対する金融の道をつけるというようなことも実施をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/29
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030・平林剛
○平林委員 今回の再評価積立金を資本に組み入れることによってどういう経済的影響がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/30
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031・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
再評価積立金を資本に組み入れますことによってどういう影響があるかというお尋ねでございますが、一応企業の側から申しますと、再評価積立金を資本に組み入れますことによりまして、いわゆる過小資本が是正をされまして、名目的な高収益率とかあるいは高配当率というようなものが適正化されることになりまして、企業の経営が健全化するわけであります。
もう一つは、積み立て金から資本に組み入れるだけでは実は勘定科目の変更だけでありますけれども、実際には資本金に組み入れます前に、過去の実績を見ますと、必ず抱き合わせの増資、有償増資があわせて行なわれるわけであります。したがって従来の実積から申しますと、大体二割の無償に対しまして、八割程度の有償の抱き合わせが行なわれることが実績のようでございますが、そういう意味で、それだけ自己資本の充実になるわけでございます。これは多少小さなあれになりますが、これだけ開放経済体制になりまして海外との交流が激しくなりますと、海外の投資家が勘定科目を見ました際に非常にふしぎな項目があるわけでございます。こういうようなものは、そういう意味での誤解を招くことにもなりますので、なるべく早くそういう意味でも清算をしたほうがいいということもあろうかと思います。
それから一般の投資家の側からいいますと、資本組み入れをすることによりまして、株主としての持ち分がはっきりすると申しますか、いままでは会社の内部にありまして含みとして株価に反映するというような意味で株主のものであったわけであります。それが非常にはっきりすることは明らかでございます。
それから先ほど申し上げましたような名目的な収益率、配当率というようなものが是正をされまして、非常に適正な配当率なり収益率なりがはっきりいたすわけでございます。そういう意味で、一般投資家も投資の判断をいたします際に非常に適正な判断ができるという効果が出てくるかと思います。
それから第三番目に、株式市場に対してどういう影響があるかという点でございますが、再評価積立金の資本組み入れによりまして、先ほども申し上げましたように、同時に有償の抱き合わせ増資が行なわれるというような実績がございますので、そういう意味で株式市場にもある程度の影響があろうかと思います。ただ今回の改正規定によりまして必要となります増資の金額は、過去の実績によります二割の無償に対しまして、大体八割の有償増資が行なわれると想定いたしますと、今回の改正の第一段階、最初の二年間でございますが、大体無償増資が約五十億円、過去の比率でこれに対する有償増資が約二百十億円というような推定をいたしております。第二の段階で、無償増資が約四十五億円、有償増資が約百九十億円というような想定をいたしております。したがって、株式市場にある程度の影響はございますが、全体の、一年間に五千億ないし六千億の有償増資をやっております株式市場に対してはほとんど影響のない数字になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/31
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032・平林剛
○平林委員 何回か議会に提出されました同じ法律案によりまして、再評価積立金がそれぞれ資本に組み入れられておる傾向につきましては、先ほど私がお尋ねしたのに対する政府の説明でわかりますが、この法律によりますと、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度以降一体どうするかという点が明らかでありません。あらためて追って法律で定めるというような提案説明がございますけれども、再評価積立金の処理について最終的にどういう考えを持っておるかということをこの機会に明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/32
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033・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
再評価積立金は、本来資本に準ずると申しますか、実は再評価をいたしましたときに、資本に組み入れるべき性質のものであると考えております。したがって、なるべく早くこういう措置は終結をすることが望ましいと考えておりますが、今回まで漸進的にやってまいりましたゆえんは、やはり経済情勢あるいは企業の収益力というようなものを勘案しながら漸進的にやってきたわけでございます。したがって、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度以降どうするかという問題でありますが、ここまで進んでまいりましたので、今後の三年間におそらく大体の資本組み入れの措置は終了いたしまして、お話のときにはおそらく最終処理ができるのではないかと、実は私どもといたしましては考えておりますが、それまでの経済の情勢、企業の収益、あるいはそれまでの資本の組み入れ状況等を検討いたしまして、最終的に決定をいたしたいと思いますが、なるべく早く最終処理を行ないたいという気持ちで対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/33
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034・平林剛
○平林委員 最終的の処理の場合に、なお情勢を検討してやるというのでありますが、政府としてはこの機会にどういうふうにするということを明確にしておいていい段階ではないかと思うのですが、具体的にこれをどういうふうにするというお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/34
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035・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
ただいま申し上げましたように、できるだけ早い機会に最終処理をいたしたいというつもりではおりますが、三年後にはたして最終処理を必ずするというところまで実は確信を持っておりません。ただ気持ちとしては先生おっしゃるように早く最終処理をすべきものだと考えております。ただそういう場合に先ほど御質問のありました電力、陸運、倉庫というような特殊の業種についていろいろな問題が起ころうかと思いますが、そういう問題も含めまして、三年後にはできるだけ最終処理をしたい方向で検討いたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/35
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036・平林剛
○平林委員 まあこの程度にしておきましょう。
そこで、問題は、今日まで日本の経済の体質改善という意味で長い間議論をされてまいりました中で、私ども全般的に見ますと、日本の企業が工業において非常に著しい発展をしておることは確かにそのとおりだと思いますけれども、その基盤の道路、港湾が整備をされておらないとかあるいは農業や中小企業が非常におくれてしまっておるとか、こういう企業の、日本の経済の体質という点が現在でも残されておる。これは忘れてならぬことだと思うのであります。同時に資本主義経済の中におきましては、大体金融によって動かなければならぬというのが原則でございますけれども、最近この金融政策、実際に経済を動かしておるかどうかということになりますと、かなり議論しなければならぬ点があります。また経済が量的に成長したといいましても国民の所得分布の点では、高額所得者がふえたことは事実であるが、一方において低額所得者が依然として多い。こういう問題はどうする、現在春闘ということでいろいろ議論されておりますけれども、勤労者の賃金引き上げをはじめとして、また組織労働者にあらざる国民の所得水準という点もなおわれわれは注目しなければならぬ点があると思います。企業自体を考えてみますと、当面問題になっておる自己資本が充実していないという点がございまして、各般の措置を講じなければならぬ。そのためには幾つかの方法があることは先ほどお話になったとおりですけれども、私はその問題をしぼって、企業資本の充実という目標に対して現在の企業の資本構成というものはどういうふうになっておるかということを、この機会にひとつ法律に関連いたしまして明確にしておいていただきたい。企業の資本構成の現状について正確にひとつお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/36
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037・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
現在わが国の企業の資本構成がどうなっておるかというお話でございますが、御承知のとおり戦前に比べましても、諸外国に比べましても、企業の自己資本の比率は非常に低いと申しますか悪い状況になっておるわけでございます。戦前の昭和九年ないし十一年の企業の資本構成を見ますと、自己資本が大体六〇%以上、六一%程度になっております。ところが最近、年によって多少の変動はありますが、自己資本比率というのは逐年低下をいたしてまいりまして、借り入れ金等の他人資本が激増しておるわけでございますが、三十七年度の統計で見ますと、法人企業統計によりますと、自己資本比率は二五・三%にまで落ち込んでおります。それからまた外国におきまする自己資本の比率を見ますと、アメリカ及びイギリスでは、戦前戦後を通じまして六〇%程度でございますが、西ドイツにおきましてはある意味で日本と同じような状況にあったわけでございますが、西ドイツにおきましてもなお四〇%余りの自己資本比率を有しております。そういう意味でわが国の企業の自己資本比率、資本構成は、戦前に比べましても、諸外国に比べましても、非常に低いところにあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/37
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038・平林剛
○平林委員 確かにいまお話になりましたように、昭和九年から十一年当時の自己資本比率が六〇・七%くらい、他人資本が三九・三%程度でございまして、だんだんにそれが悪くなって、現状はただいま御説明にあったとおりでございますけれども、一体政府としては、しからばどの程度にまで諸般の施策を講じて資本構成の割合を持っていこうとするのか、そういう計画などはあるのですか。その目標というのは、——ただ私はこういう資本構成の割合が悪くなった原因を単純に考えるわけにいかない、いろいろな要素が含まれていると思うのでありますけれども、それはきょうは議論は別にいたしまして、政府自体としては企業資本の充実、資本構成の改善というからには、一つの目標があると思うのですけれども、その目標は一体どの程度に置いてやっていこうとするか、そういう具体的な計画がおありになるのかどうか、これをひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/38
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039・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。
企業の自己資本比率が高いことが、企業の経営の安定をはかる上に非常に必要なことは申すまでもないことであります。したがって自己資本比率ができるだけ高いことが望ましいわけでありますが、外国の例等を見ましても、白日資本の中でかなり内部留保の比率が高いわけでございます。内部留保につきましては、内部留保をなるべく厚くしなければなりませんけれども、アメリカ等の企業が何十年かかかって蓄積をいたしました内部留保に、すぐさま追いつくというようなことは、なかなか困難なことであろうかと思います。したがっていま一挙にアメリカ並みの六〇%までを目標にするとかいうようなことは無理でもありますし、何%が最も適当かというような問題は非常にむずかしい問題でございまして、そういう意味での具体的な目標というものは別に持っておりませんけれども、少なくとも戦前、あるいは外国を通じて見ましても、いまの企業の自己資本比率がきわめて低いことは明らかであります。できるだけこれを上げていく方向に向かっていくべきだと考えております。お尋ねの端的なお答えといたしましては、何%というような目標はきわめてむずかしい問題でもあり、はっきりしたそういうものを持っておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/39
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040・平林剛
○平林委員 企業資本の構成について今後どういう目標を立ててやるか、政府でも、あるいはいろいろな角度から検討する経済学者の間でも、いろいろ議論のあることは事実でありますけれども、ただ私は、今日企業資本が、自己資本と他人資本の割合が非常に悪くなってきておるという原因は、しばしば申し上げておるように日本の経済の発展が非常に早かったということと、それから一番問題なのはいまお話になった外国の例と比較して、わが国の場合、企業の内部資金の範囲を越えて、はるかに大きな投資が行なわれた、そこに一番大きな原因があると思うのであります。ですからそのほかにも外部資金に依存するという企業経営者の考え、それから金利、金融市場の関係もあるでしょうけれども、日本の産業資本家の中でも全般的にながめるというと、なるべく外部資金にたよらず、自己資本で、しかも成果をあげている会社だってあるわけです。しかもそういう方策にたよらず、政府が太鼓をたたいた高度成長政策によって、やたら他人資本を借りて見せかけだけを大きくしていく、そして盛んな設備投資をやった。それに今日の企業資本について非常に悪い条件におちいった原因がございますから、そういう問題を抜きにしてただ目標だけをあげるということは、私どもあまり賛成しないところであります。しかしそういう問題についてはいずれ議論する機会もございましょうからきょうはやめますけれども、この法律について基礎的な問題についての質疑は私一応留保いたしておきます。検討した後にまた私どもの見解を申し上げたいと思うのです。きょうはこの程度にいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/40
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041・山中貞則
○山中委員長 税制に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/41
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042・只松祐治
○只松委員 一般の質問に入る前にちょっと国税当局のお考えを伺いたいと思いますが、私がいままで二、三回徴税問題その他を中心にお聞きしました。あとで多少お話を申し上げますが、私はその答えが正しい答えだとは決して思っておりません。そういう点を順次きょうなり、その次なり明らかにしてまいりたいと思いますが、国税当局は国会ですべて誤りのない答弁をされた、こういうふうにお思いになっておりますか。また国会というものを国民の最高の立法の場としてお認めになり、それに十分なる敬意を払い、それに対する態度をとっておられるかどうか、まずお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/42
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043・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 私は国会におきましては、誠意をもって御答弁申し上げておるわけでありまして、まず誤りはないと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/43
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044・只松祐治
○只松委員 それでは三月三日に私が幾点か御質問をいたしてはおりますが、その中で四つほど資料の請求をいたしております。木村さんが、二つ追って資料を提出いたします、こういう答弁をされ、泉さんもされておりますが、その後きておりません。このことは国会軽視もはなはだしい問題である。一私個人だけではなくて、本委員会としても、軽々しく答弁をして、その資料提出をしない、こういうことに至っては、この委員会並びに国会の権威にもかかわることだと思います。なぜ今日に至るも私の要求した資料を提出しないか、その答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/44
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045・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 資料として提出を要求されましたものは、私の記憶いたしますところでは、資本金十億円以上の欠損会社が一体どれくらいあるか、それからそのうちで二年以上にわたって欠損を続けておる会社がどれくらいあるか、それからそういう欠損法人に対して実際の調査の割合はどうなっておるかというような資料だと存じますが、これは三月の四日か五日ごろに、調査課長が只松委員のところへ持参をいたしておると記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/45
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046・只松祐治
○只松委員 その一部は確かにいただいております。しかし全部はいただいておりません。そのほかにもこまかいことですが、私は質問をいたしておって、答弁とかいろいろな返事があったのであります。時間もございませんので、一々ここでこまかいことは申し上げませんけれども、資料を要求したたらば、ひとつ正確な資料を今後ぜひ直ちに提出する、こういうふうにしていただきたいし、委員長としてもひとつお取り計らいをいただきたい、このようにまず要望をいたします。
まず最初に、私は徴税問題の中で、こまかい問題でございますけれども、今回国税局が一般的にも行なっておりますが、特に大工、左官さん、こういう人々に対して広範な徴税の調査資料の提出を求めております。この求め方は各税務署によっても非常に異なり、大体三十五万円でランクを引いて提出を求める。ある税務署では五十万、ある税務署では七十万、こういうランクで調査を行なっておりますが、この大工、左官に対する調査はどういう目的でおやりになっておりますか。またこういう類似の調査をどういう職業の分野にわたって行なっておられますか、ひとつお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/46
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047・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 大工、左官、とび職等の方々の所得につきましては、それが給与所得に所属すべき部分と事業所得に属すべき部分となかなか見分けが困難でございます。普通の業態と違いまして、そういう特殊の業態でございますので、われわれといたしましては十分実態の調査をして、そうしてそれが一体給与所得なりゃあるいは事業所得なりやという点については、誤りのないように調査を深めておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/47
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048・只松祐治
○只松委員 いまお聞きしましたように、大工、左官、とび職、そういう方々だけですか、それとも他の分野にわたってもこういう税務調査を行なっておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/48
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049・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたのは、こういう特殊の所得がいずれに属するか、非常に区別の困難な業態の方々についての調査でございまして、それ以外には一般に事業所得の内容の調査等はいたしておりますが、そういう区分けの困難なという問題は、特にこういう職業の方々以外にはあまり多くはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/49
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050・只松祐治
○只松委員 だからどういう職業をおやりになっておりますか。それから地域もついでにお聞きしますが、特定の地域に限って行なわれておりますか。それからいま申しましたように、お答えが不十分なんですが、ある地区では三十五万円、ある地区では五十万円、ある地区では七十万円、私の調査した範囲内では大体そういうランクを引いて、そういう対象を設定して調査をされておる。全員調査をされておるわけではないわけですね。だからひとつ私の質問をよく聞いて、全部お答えをいただきたいと思いますが、いま言いましたように、ある税務署では三十五万、五十万、七十万という額があって、そういう形でされておるのか、あるいは全員されておるのか、あるいは地域ではどういうふうにされておるのか、私の聞いたことを全部答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/50
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051・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 事業所得一般については全都調査をいたしております。これは全国にわたって調査をいたしております。しかし、ただいま申し上げましたように、大工、左官、とび職のような特殊な業態の方々につきましては、その所得の区分けと申しますか、そういうものがはなはだはっきりしない面がございますので、これも全国について、ある程度の抜き検査と申しますか、抜き調査と申しますか、全体を網羅というわけにはとてもいきませんけれども、地域ごとにある程度の数を取り上げまして実態の調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/51
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052・只松祐治
○只松委員 事業所得か給与所得か不用であり、そういうことを明らかにするために、こういうお話がありましたが、いま申しますように、国税庁は、三十五万円ならば給与所得であり、五十万円ならば事業所得である、こういうふうにお考えになっておるのですか。それとも給与所得は幾らで事業所得は幾ら、こういうようにお考えになっておるのですか。その署によって私の聞いたところでも、対象額が違うのです。どういう目的かということも聞いておるのですが、そういう対象額がどうして違うのか。ある税務署では三十五万円以上をやっている、ある税務署では五十万円以上をやっている、ある税務署は七十万円以上をやっている、こういうことがあるのです。私のほうは、広範囲に調査されておるのですから、大体そういう人たちに聞けば、ランクが出てきている。そのランクの引き方は署によって異なってきている。これはあとでお見せしますが、調査用紙なんかも全部違うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/52
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053・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 調査は各階層ごとに行なっておりますが、一応所得の内容、年収額によって、たとえば三十万円以下の場合においては八〇%を給与所得と児、それから四十万円以下の場合には七〇%というふうに進みまして、百万円以下の場合には二〇%、こういう一応の標準をつくってやっておるわけであります。しかしながら、これは昭和三十七年に出しました通達でございまして、その後やはりいろいろな物価の騰貴等実情が変わってきております。したがってことしは、やはりもう一回こういう数字の内容を洗って、そうして実情に即した割合というものを出したほうがいいんじゃないかということで調査を進めておる次第でございます。したがって、この割合は全国統一してございますので、署によって違うということはあり得ないことと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/53
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054・只松祐治
○只松委員 調査の対象は、私の調べた範囲では明らかに違うです。埼玉では大体三十五カ円以上が対象にされております。東京では、大体ある地区で五十万、ある地区では七十万、こういう線以上の年間収入が大体あると想定される人が調査の対象になっておるのです。だからあなたがそうおっしゃっても、実際やっておる下の税務署では、そういう年収額の対象を異にしてやっておる。だからもう一回、全国統一してやっておるのか、明らかに違うのか、ひとつお尋ねをいたしておきます。
それから御承知のように以前は自主申告なんですが、そういたしますと、これは明らかにいわゆる事前調査になると私は思います。確定申告を行なう前にこういうふうに事前調査を行なうということになればいままでの納税行政というものから違ってまいります。明らかに納税行政を混乱させてくる、こういうふうに私は思うし、それから自主申告の権利を侵害してくる、こういうふうに私は思っております。とうして、こういうふうに自主申告のたてまえまでもくずして承前調査をしなければならないか、提出をしなければならないか、いままでおっしゃったような理由だけでは、私はこういう税制の原則までくずしてしまうということはその理由がきわめて薄弱だと思いますが、そういう自主申告までも侵して原則をくずしてやられておるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/54
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055・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げました給与所得と事業所得との割合は、これは全国統一した基準で行なわれております。ただ調査につきましては、やはり只松委員がただいま御指摘になりましたように、必ずしも全国一定金額以上というふうにはきめてございませんで、その土地の実情に即して若干の出入りがあることは事実でございます。それから、事前調査の点でございますが、これは私たちはもちろん法律上許された範囲において事前調査を行なっておりますけれども、その趣旨はやはり税務署におきます処理の件数というものは非常に大量でございます。しかも、特に白色申告の方々等につきましては納税相談の際に署に殺倒される関係上、とうてい処理がし切れないということで、事前調査を行なって、そうしてある程度の所得の概要をつかむということでやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/55
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056・只松祐治
○只松委員 先ほど言いましたように、調査の金額も違えば、ここにありますが、調査の用紙も各地違うのですね。全国統一でやっておるのではないのですよ。だから国税庁としてはどういう通達を出して、どういう指令に基づいておやりになっておるのか。全国一斉、そういうふうにおやりになっておれば、もう少し——ぼくらはいわばするなという立場に立って御質問を申し上げて意見を言うわけで、こういうふうにばらばらのものをおやりになっておりますか。そういうことで全国一斉の何か統一したものが出てくるとお思いになっておりますか。どの程度おやりになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/56
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057・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 調査の様式等につきましては、各局にまかせております。趣旨ははっきりいたしておりますけれども、しかし一々の調査について様式等を指図はいたしておりません。したがって、局によって若干の調査の様式等は違いが出ておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/57
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058・只松祐治
○只松委員 税金は北海道におろうと九州におろうと日本国民である限りは、平等に同じ権利義務でもって納めるわけです。しかしその基礎になる調査が、趣旨は同じであっても調査する内容その他が異なってくると、おのずから、その結果も異なってくる場合もあると思うのです。それで、調査用紙というのは一律のそういうものでなくて、各局にまかせる。こういうずさんなことで、完全な、国民から、そういう税金を徴収するということが皆さん方できるとお思いになっておるのですか。重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/58
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059・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 調査にもいろいろな調査がございまして、悉皆調査のような場合、全国一律に同じ時点で、全部を調査するというような場合はもちろん庁でもって統一した様式で調査をいたすわけでございますけれども、このようにたとえば千人のうち五十人とか、あるいは百人とかいうように、そういう全国統一した調査でない場合には、庁としては方針、趣旨ははっきりいたしますけれども、調査の様式まで統一しておるということは普通やっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/59
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060・只松祐治
○只松委員 庁のほうではそうお考えになりましても、これを第一線に来て調面した人は、これを出さなければ少しおどしの文句を言って、出せば白色申告なら白色申告も大目に見てやるとか、あるいは出さぬでもいいのだ、こういうことを言いながら調査しているところもあるのですよ。その例はそれほど多くはありませんけれども、それほど末端に行けば、いわば強制的にあるいはおどかし的に調査をやっているのです。あなたが言うように、しかもこれは確定申告にかわるようなことばを使って調査しているところもある。あなたがおっしゃるように、単なる参考として末端に来て調査しておるというふうには受け取られてないのです。しかも今後おそらくそうでしょうが、こういうものを完全に出すならば、申告以上に確定的なものとして今後のそういう大工、左官、とび職の徴税対象にされるだろう、こういうことで非常に恐怖の念を持っているのです。現にそういう調査に来る人はおどしてくるわけです。なかなか、大工、左官、とび職などは実際上はどんぶり勘定で帳面なんかつけておらない。そういうふうにおどしてきて非常に困っておる。あなたがおっしゃるように単なる参考、ばらばらで金額も違います、様式も違います、ある程度の参考資料としております、こういう形では末端では受け取られておらない。あなたがおっしゃるように単なるあくまで参考という程度で、そういうふうに不確定のものであっても様式もばらばら、あるいは金額も局によってばらばら、そういう形で単なる参考という程度でおやりになっておる。そういうふうに確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/60
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061・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 私たちは調査をいたします場合に、いまお話にございましたように、おどかしをして調査するということは全く趣旨ではございませんので、御承知のように青色申告の場合は一々収入なり支出の明細をつけていただくことになるわけでございます。したがってこれに対して更生する場合には、具体的にその理由を付して更正をする。こういうことになるわけでございますけれども、白色申告の場合には、ただいまおあげになりましたような業種、業態の方々には多いわけでございますけれども、一々きちょうめんに帳簿をつけておられる方は非常に少ないわけでございまして、そういう場合には推計課税をせざるを得ない。またこれは法律上も認められておるところでございます。したがってただいま申し上げましたように、全部が全部調査をするということは、これはとうてい人手の関係から見てもできませんので、そのうち代表的な方々を選んで調査をいたしまして、そうしてできるだけ真実の所得を把握するようにつとめておるわけでございます。したがってこういう所得の調査は単なるその参考資料ということではございません。これはもちろん課税の場合の基礎になるわけでございます。しかしながらまた一方においては、全国的に見て所得の区分の非常にむずかしい業態でございますので、一方においてはやはりモデル調査と申しますか、そういう調査をいたしまして、そうして先ほど申し上げましたような給与所得と事業所得とに属する部分が平均的に見てどういう割合になっているだろうかということを探求をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/61
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062・只松祐治
○只松委員 いまの答弁を聞いても私が質問した答えにはなっておらぬ。はっきり私はあなたのほうの意図がわからないのですが、それと同じように——そう言っては失礼だけれども、大工、左官、こういう人の収入というのはどんぶり勘定なんです。日雇いでやっておられるときもあれば、そこらのちょっとした普請と修繕を請負ってやる、あるいは小さい農家を請負ってやるとか、いろいろの種類があると思います。いわば非常に不明確である。そういうふうに非常に収入のあり方が不明確であるということと、いままでの慣習で熊さん、八っつあんではないけれども、一ぱい飲んだりして、職人というのはそれほどこういう帳面には明かるくないのです。ほとんど記帳しておらないのです。こういう調査そのもののやり方が、私から言うとなかなか十分ではない。その調査の対象になる根源である大工、左官、とび職、そういう人々の日常生活から始まって、そういうのがなかなか明確でない。すべてが明確でない状態のものを調査して、あくまで、これが単なる参考意見として、またあなた方が強制しないで参考的なものにするというならこれは別だけれども、いまちょっとことばの端に出たように、単なる調査ではなくて、やはりそれが課税の基準になる、こういうふうな答弁があるとするならば、こういう、熊さん、八っつあんではないけれども、いままでどんぶり勘定でやって、記帳を全然されておらない、そういう人の完全な給与の捕捉というものをどうやってしようとされておるのか、あるいはできるとお思いになっておるか、その点まず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/62
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063・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 ただいまも申し上げましたように、こういう業態の方々の所得は非常に把握がしにくいということは事実でございます。しかし、さればと言って、把握しない、納税をしていただかないというわけには参りません。したがって、税務当局といたしましてはできるだけ真実の所得に近いといいますか、真実の所得を把握する努力はいたさなければなりません。したがって、一々帳簿をきちょうめんにつけておられない場合でも、いろいろな質問をし、また大体の、そういう当該の大工さんなら大工さんのランクと申しますか、そういうものを調査いたし、そうしてできるだけ真実の所得の把握につとめているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/63
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064・只松祐治
○只松委員 そういう、記帳をいままでしたこともない、また現に白色申告というのは記帳の役務はないわけですから、その役務のない人々をこうやって調査する、しかも完全に近い調査をするということは、逆な面からは、これは記帳の義務づけをしておる、こういうふうになってくるわけですね。こういうふうな記帳の義務のない人々を、しゃにむにこうやって記帳さしていく、こういうやり方ではなくて、あなたがおっしゃるような目的ならば、ほかにもいままでも多少調査されておったりいろいろな方法があるわけです。こういうふうに半ば強制的にそうやって、まちまちな、ばらばらなぶざまな調査をするよりも、ほかに方法もあると思うのです。あくまでこうやって将来あなたたちがこういうものを続けてやるとするならば、記帳の義務のない白色申告者に、記帳をしておかないと半年なり一年前のことを、そう言っちゃなんだけれども、職人さんあたりは、そう一々どこに働きに行ってどうということを覚えている者はないわけですね。そういうことを覚えていないとするならば、極端に言えば、でたためな申告をしてもこれはかまわないのか、こういうこともになりますね。覚えていないわけです。本人は悪意でなくても、申告する際にどこか一軒修繕したぐらいのことを忘れて申告しなかった。そういう場合に、あなたたちから見ればでたらめな申告をしたことになる。そういうことをしても、記帳の庶務も何もないものをこうやってするわけですから、あなたたちとしても特別な、申告させなければならぬ強制的な、法的な根拠でやっているわけではないですから、ある程度でたらめなことを報告してもかまわない、こういうことになりますか。あなたたちは、でたらめでいいということはここで答弁はできないでしょうけれども、実際はそういうことになりますね。大工さんなどは自分の収入や何かを一年前のなんか確実に覚えてませんから、そういう場合に、でたらめな申告をしてもかまいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/64
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065・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 もちろんただいまお述べになりましたように、記帳の役務というものはないわけでございます。したがって、われわれとしては記帳をできるだけしてくださいということは言っても、記帳義務はもちろんないわけですから、相手方が記帳をしないということならそれっきりでございます。しかし記帳がないからといって、先ほど述べましたように、全然納税をしていただかないというわけにはまいりません。記帳がない場合には、税法の規定するところに従って、税務当局としてはやはり推計課税をいたさざるを得ないわけでございます。推計課税をいたします場合に、やみに銃砲で、むやみやたらに根拠なく推計をやるのか、こういうことになると、これはたいへんな問題でございまして、したがっていろいろな人に当たってその当時の業況と申しますか景気、そういう業態の方々が一体どういう業況におられるかというような一般の業況あるいは概況の調査、あるいは御本人に直接当たって質問をいたす、そういうようなあらゆる手段で、先ほど申し述べましたようにできるだけ真実の所得の把握につとめておる、それではその調査は完全かといわれますと、これはもちろん私ここで完全と申し上げるわけにまいりません。しかしながらそういうふうに努力はいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/65
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066・只松祐治
○只松委員 そういたしますと、これは結論的にはできるだけあなたたちに有利な参考資料にはしたいけれども、そういうふうに調査の対象者も必ずしも記帳義務のない人々であるし、それから実際やっておる調査の用紙その他を見ても各局、各署によってばらばらであるし、まあある程度の参考資料であるということと、それから強制的なものではないということは先ほどからおっしゃっておりますけれども、私のほうは強制的なものでないというふうに理解しておきますが、こういうことを将来もおやりになる予定ですか、大体ことしだけである程度終わったならばもうやめたい、こういうふうにお考えでございますか、その点を最後にお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/66
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067・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 先ほど申し上げましたように、こういう業態の方々に対する調査は二重の意味を持っておるわけでございまして、その方の真実の所得を把握するための調査、それによって納税をしていただく基礎になる、そういう調査は毎年継続をして行なわねばならぬわけでございます。しかしながらこの給与所得と事業所得との比率が一体どの程度になるのがそういう業態の方々の実情であろうかという調査は、これは毎年毎年継続してというわけではございません。たとえば三十六年に行ないまして三十七年に通達をいたしました分、そういうようなつもりでことし実態の調査をいたしまして、そしてまた一、二年はそのままで据え置けるんじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/67
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068・只松祐治
○只松委員 それではその問題は以上で一応終わりまして、もう少し調査の実態が進んでからまたお伺いをいたしたいと思います。
次に一般の税制調査についてお尋ねをいたしますが、現在国税庁管理のもとに調査官、査察官というのが全体として何名おいでになり、局に何名、それから署関係に何名おいでになるか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/68
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069・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 査察官は、これは署にはおりませんので、各局に配属してございます。これが四百三十五名でございます。それから調査官は一部署にございます。これは昨年の七月から署に置いたわけでございますが、署におりますのが三百七十人になります。それから局におりますのが千五十名でございます。そのほかに事務官がおります。調査官といえばいま申し上げたように局と署にその程度分属してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/69
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070・只松祐治
○只松委員 この前お聞きしましたときには、調査官は全体で千二百四十三人、こういう答弁になっておりまして、きょうの答弁と多少食い違ってきておりますが、どういう内訳になっているのか。それから私が多少お聞きしましても調査官の欠員のあるところが非常に多いようです。税理士や何かになられたりして欠員があるということですが、現在欠員はどの程度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/70
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071・堀口定義
○堀口説明員 お答えいたします。
ただいまの御質問のこの前の数字ですが、調査官の千二百四十三名というのは事務官が含まれておりますので、定員としては千二百二十一名です。これに対しまして、現員が千百五十八名ということであります。それから査察官につきましては定員としては三百五十名ですか、現員は三百四十六名ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/71
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072・只松祐治
○只松委員 この前からたびたびお聞きいたしておりますが、資料その他によって異なりますので、本年度の現在数における一番正確な数は幾らでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/72
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073・堀口定義
○堀口説明員 この現員は三十九年の一月一日現在になっておりますので、一番新しい数字ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/73
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074・只松祐治
○只松委員 法人数です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/74
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075・堀口定義
○堀口説明員 失礼しました。それは調査課所管の法人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/75
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076・只松祐治
○只松委員 いや、全部です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/76
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077・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 法人数は、三十八年十月一日現在でございますが、全法人七十三万二千百二でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/77
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078・只松祐治
○只松委員 だんだんふえてくる、急増してくる法人数、これをいま申しましたようなわずかな調査官、査察官で調査をされることはなかなかたいへんなようです。皆さん方の出先を私もいろいろ歩いて調査をいたしましたが、それで現地の声を聞きましてもなかなかたいへんなようでございます。本年度この膨大な法人数を皆さんのほうで署あるいは局、これで何%程度、どういう日程で査察する予定ですか。推計数字というのが大体各署各局によってあると思いますが、おわかりになりましたら、ある程度の資本別のランクによってお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/78
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079・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 御参考までに昭和三十七年度の実績を申し上げますと、税務署所管分、これは御承知のように資本金がその当時は二千万円以下でございます。いわゆる中小法人でございますが、これが資本金二千万円以下の法人の三六・八%を実際調査いたしております。それから資本金一が五千万円未満の法人につきましては五一・三%、それから一億円未満は五一・一%、一億円をこえるものにつきましては六五・三%、それから百億円をこえるものについては一〇〇%、これが実績でございまして、三十八年度につきましても必ずしもこういうふうにぴたっとした割合とは申しませんけれども、大体方向としては、小よりも中、中よりも大というふうな割合でもって調査をいたす計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/79
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080・只松祐治
○只松委員 私はいろいろ税務署のほうをお聞きして回ったわけですが、この数字とはだいぶ異なっておる。ところが、私が質問をするということで——いままで何にもそういうことをしないときにはそういう妨害もなかったわけですけれども、質問をするということで調査に回り始めたら、あなたのほうでその発言を中止されております。一切しゃべってはならない、こういう通達が出されておるやに聞いております。これはあとでいずれ別な角度から問題にいたしますが、そういうことをするのはたいへんけしからぬ。国会の正式な調査権を発動して行ったわけではないけれども、国会議員が勉強するのに協力することこそ国税庁や行政庁の任務である。にもかかわらず、それを妨害して調査するのをとめるというようなばかげたことをしておるとすれば与野党問わない、国会議員としての権限を行政府のほうでチェックしていく問題として大きな問題だと思います。こういう問題をここであなた相手にきょうやったって時間もありませんし、口をあらためてまたやります。ただあなたがそういうことをした事実があることだけを明確にここで申し上げて議事録にとどめておきます。これはきょうやらぬでも、いずれまた時間のあるときにゆっくりと本質的な問題からひとつやります。
たとえば私がずっと前に調べたものですから、これはあなたが発言を停止させた前ですが、あえて私の地元だから言っておきますが、浦和署では昨年度調べたのが四〇%なんです。川口署でもやはり四〇%調べております。その中で更正決定を行なったのが浦和署で九〇%、川口署で八七%、調査日が浦和署四・六日、川口署三・五日、こういうふうになっておるのです。あなたがおっしゃっておることと、全国で、私がほかのところでも目下調査をしてもらっておりますし、あるいはほかにも多少数字を持っておりますが、いろいろあなたがそういうふうに言明をなさっておりますから、差しさわりがある分だけは私はきょうは名前をあげません。そういうふうに数字が違っております。これはあなたが言っておるのが違っておるのか、こういう末端の税務署が違っておるのか、それとも税務署ではあなたが言っておるよりよけいに調査しております、こういうのは行き過ぎであるのかどうなのか、その点をひとつお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/80
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081・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 私が申し上げておるのは全国の平均でございまして、これは事実の数字で、国会で間違ったことを言うはずのものでもございませんし、そういうことになればこれはたいへんな責任問題でございますから、その点は御信用をいただきたいと思います。
ただ署によってでこぼこがございますことも事実でございます。しかしながらいまの更正割合を伺っておりますと非常に高過ぎるというふうな感じがいたしますが、私が以前申し上げましたのは、中小法人と大法人との所得階層別の更正割合を申し上げておるのでございまして、ただいまお述べになりました更正割合というものは一体どのランクをおとりになったのか、その点かちょっとわかりません。しかしながら私が申し上げておるのは全国平均でございますから、先ほど申し上げましたように、署によってでこぼこがあるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/81
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082・只松祐治
○只松委員 あなたは三六%と書っておるが、署によって四〇%をこしておるわけです。それから調査日数もあなたが言ったのよりこしているわけですが、こういうことは行き過ぎであって、こういうところにはこんなに調査する必要はないということをあなたの立場からいえば言わなければならぬ。徴税の立場からうんと調査をしろということかもしれませんが。浦和署の場合には行き過ぎがあるわけですね。そういう点をどういうふうにお考えになるのかということをまず聞いておるわけです。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/82
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083・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 税務当局の理想からいいますならば、もちろん全部一〇〇%調査をいたしたいわけでございます。しかしながらただいまの能力から見ましてとうてい一〇〇%の調査というものは実現が不可能でございます。しからば重点的にどの面を調査するかということになりますと、やはり業況として非常に盛んな業況、あるいは法人であれば大きな収益を得ておる法人、そういうところに重点を置いて調査をする。したがって調査の割合とか調査日数につきましてもそういう所得階層別にアクセントをつけて調査をいたしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/83
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084・只松祐治
○只松委員 それから、いま分けられたランク程度でけっこうでございますが、この調査の中で更正決定は何%になっておるか、さらにその中で摘発件数、摘発した中から重加算税をどの程度かけておるか、そのランク別によってひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/84
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085・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 更正の割合は、これは三十七年度の実績でございますが、税務署で所管をいたしております資本金二千万円以下の法人につきましては三五・二%、それからそれ以上の資本金を持っておるいわゆる局で所管いたしております分につきましては八〇・八%に相なっております。ただこの中で重加算税を課されたものが一体どの程度になるかということは統計をとっておりませんので、これはただいまのところお答えをいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/85
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086・只松祐治
○只松委員 三五・二%と、もちろんこの九〇%、八七%という中には、文書の違いはありましょうけれども、わずかの数字の違いやなんかも含んでのことだというふうに聞いております。しかしほとんど、一〇〇%まではいきませんが、税務署が調査した場合に非常に高い更正決定が行なわれておるわけです。ところがあなたのものを聞くと三五・二%ということなんですが、重加算税だけでもこの中の二〇%をこすやつが署ではかけられておるのです。むしろ更正決定数字じゃなくで、税務署で行なっておる重加算税とあなたが言った更正決定の数と近いわけです。署によってこれほど大きな相違があるのですが、あなたが言っていることがほんとうですか、署で言っていることがほんとうですか。それとも特定の署が苛斂誅求を行なっているのですか。どちらがほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/86
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087・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 重加をかけておりますのは、総処理件数の大体一〇%内外に当たると思います。
それから、署によって非常にでこぼこがあるというお話でございますけれども、やはりある程度署によってでこぼこがあることは事実でございます。しかしながらこの調査をいたします場合に、最近は機動的に、広く浅くというよりも、むしろ狭くても相当深く調査をするという方針に切りかえておりますので、そういう意味ではやはり更正あるいは重加を課すという場合も相当ふえてくると思います。ただしわれわれといたしましては何といっても、申告納税制度のたてまえから申し上げまして、調査をして更正をするというのはそれだけでは十分ではございませんので、やはり申告前の申告指導あるいは記帳等の指導、そういうものにもつと重点をかけるべきではないか、それによって更正の割合を落としていかなくてはならぬということで、ことしも基本方針の一つとしてできるだけ申告指導に重点を置いて、調査、更正というような従来の方法をできるだけ直していきたい、更正割合というものを減らしていきたい、こういうつもりで方針を立てておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/87
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088・只松祐治
○只松委員 では浦和、川口や、埼玉における税務署だけがどうしてこんなに更正決定が高いのですか。これは苛斂誅求だといってあなた今後改めさせますか。更正決定だけでもそのくらいあるのです。納める人から見れば強い署長さんだけれども、あなたたちから見れば弱い署長さんで、その署長さんをあまりいじめるという形でぼくは言いたくないし、そういう立場から言っているわけじゃないけれども、ぼくはまだほかにも調べているのです。相当全国平均と末端の署とは違うのです。ぼくから言えばこういう中小法人や何か中小企業者には非常に苛斂誅求な徴税というものが行なわれている、しかし大法人というものは、あとでまたお聞きしますけれども、それに反して非常に手ぬかりがある、こういうことをぼくは繰り返し言っている。だからあなたが答弁しておることと、実際に末端の徴税行政が行なわれておることと違うということを、ぼくは数字をもって言っているのです。現に税務署に行って署長さんや法人税課長さんや何か何人も聞いて、一人や二人ででたらめを言っているのじゃない、ぼくが行けば署長さん以下全部出迎えて、全部数字を持ってきて教えてくれる、その数字とどうしてそんなに違うのです。末端の徴税というものが中小法人や中小企業者やあるいは中小所得者にこんなに重いということの実態を示しておるわけですね。これはどちらが違うのですか。あなたの言っていることが正しいのですか、税務署の署長の言っていることが正しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/88
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089・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 ただいま川口、浦和の署管内の事情をお述べになりましたが、われわれとしても一度数字を念査いたしまして、実情がはたしてどうなっておるか、特にこの二署についての調査をただいま手元に持っておりませんので、何かそこに数字の食い違いでもありばせぬかという危惧を持つのでございますが、一応調査をいたしまして次の機会にお答えをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/89
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090・只松祐治
○只松委員 そのときまでに調べていただくなら、私は東京の国税局と——したがって五千万以上になります、それから東京の国税局の管轄にある署の、いま申します実調率、更正決定率、それからそれに対する重加算その他について、ひとつ同時に資料として提出をしていただきたい、このように要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/90
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091・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 庁で持っております資料でできるだけ調製をいたしまして、御報告をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/91
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092・只松祐治
○只松委員 それから同時に本年度の推計計画があるはずなんですね。本年度はどの階層で何%調査して、それからそのランクには何日調査する、こういう推計数字がございますか。計画なくして無計画でおやりになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/92
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093・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 そういう割合はまだきめておりませんので、お答えをいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/93
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094・只松祐治
○只松委員 国税庁できめておらないのですか、局できめておらないのですか、署できめておらないのですか、お開きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/94
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095・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 各局できめるわけでございますが、しかし実績は必ずしもそういう計画とぴったりいくかどうか、その点は実績とはかなり食い違いが起きることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/95
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096・只松祐治
○只松委員 いや、いまきめておらないということですから、署できめておらないのですか、局できめておらないのですか、庁できめておらないのですか、どこできめておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/96
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097・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 署の分も含めまして、局できめるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/97
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098・只松祐治
○只松委員 だからどこできめておらないのですか。いまきめておらないと長官が答弁されましたが、どこできめておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/98
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099・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 局できめておらないわけでございます。ただし庁の方針といたしましては、先ほどちょっと触れましたように、できるだけいままでのように浅く広く、たとえばこの階層の法人に対しては実調率を何%にしなさいというようなことになりますと、ノルマというような感じから、非常に形式的に調査が行なわれるおそれがございますので、できるだけそういう方針をやめて、そして問題のある法人についてはある程度の裁量権を局なり署が持ちまして、そして深度のある調査をする、こういうことでございますので、一律に何%というようなことは、現在の方針としてはやらない。ただ先ほど申し上げましたように、一般論としては、大中小、それぞれの階層に応じてアクセントをつけながら調査を進めるということは、これは一般的な方針として言えますけれども、しかしそうかといって、何%にしなさいというようなことは弊害を伴いますので、やっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/99
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100・只松祐治
○只松委員 やっておらないとあなたは言ったって、やっておるのですよ。昨年度の数字もはっきりおっしゃったように出てきているし、本年度もそういう計画をあなたの下では立てておるのです。立てて、本年度は売り上げの何百万円までは何%調査して何日間、私はちゃんと調査した数字を持っておる。あなた方国税庁長官が知らないことをぼくが知っているんだよ。署で立ててからちゃんと計画をきめているのですよ。それじゃぼくが国税庁長官にかわりましょうか。国税庁長官が、署でやっていることをどうして知らないのですか。ぼくはさっきから言っているように、全部数字を出さないけれども、だいぶでたらめな数字をしておられる、こういうことを言っておるのですよ。だから、知らないなら知らないと答弁されればいいんです。知らないんじゃなくて、いたしておりませんとかなんとか——ぼくはきょう決定的な詰めの論議までしておるわけでないけれども、だいぶでたらめな数字があります。こういうことを前提として、だから国会をどういうふうにお考えになっているのか、こういってぼくは聞いている。ほんとうにあなた知らないんですか、ないんですか、どっちです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/100
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101・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 先ほど申し上げました実調の割合は三十七年度の実績でございます。これは先ほども答弁の中にはっきりいたしております。
それからただいま申し上げましたのは、庁としては、各局に何%実調をやりなさいということはいたさない。それをするということは、逆に調査が形式的に流れて、そしていわゆる件数だけふやせばいい、ノルマだけ果たせばいい、こういうような感じが出るおそれがございます。そういう弊害を伴いますので、われわれとしては何%やりなさいということは言っておりません。ただ局におきましては、先ほどここで申しましたように、ある程度のめどを立てて調査をやる。全然無計画にやるというわけには参りません。ある程度のめどを立ててやる、こういうことは事実でございます。しかしながら、今年については各局によってそういうめどをすでに全部立て終わったか、こういうことになりますと、まだ立てておりませんので、ここでお答えをいたしかねます、こういう答弁をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/101
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102・只松祐治
○只松委員 お答えをいたしかねますではなくて、本年度はしません、こう言った。一ぺん一ぺんことばが違ってきている。しかし実際はやっておるのです。ちゃんと卸売り業種別にこういう印刷までして、膨大な費用で印刷までかけて本年度の計画書ができているところもあるのですよ。あなたが見せませんから、ぼくも見せませんが……。だから、いまちょっと変わったような答弁をされたが、一番最初は、本年はいたしません、こう言っておるが、あなたの下ではちゃんと印刷までしている。また、本年度の会計年度は始まっているわけですから、四月も半ばになっているから、本年度のやつをしなければなりませんよ。どうして国税庁長官と下の税務署長なりとそんなに食い違うのですか。あなたの威令は下に全然行なわれないのですか。全然違ったことになるのですか。だから、さっきから言っているように、中小法人あたりをそんなにいじめるなと言っても、あなたの言うことに反して非常に高い実調率なり更正決定率が行なわれておる、こういうことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/102
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103・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 私のお答えしたことを多少誤解をなさっておられるのではないかと思います。それは、私は国税庁本庁といたしましては一律に何%やりなさい、この階級については何%、この階級については何%やりなさいということを指令いたしておりません、こういうことを申し上げた。しかしながら局におきましては、これは速記録をお読みになっていただくとよくわかりますが、局におきましては無計画に調査をするわけには参りませんので、やはりある程度の計画は立てておる。しかしながら法人の事務年度は御承知のように七月からでございますので、まだそこまでは至っていないということを申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/103
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104・只松祐治
○只松委員 法人だけではなくて、一般の事業所得その他についても全部計画が立ててあるのですよ。時間がだいぶ過ぎましたからきょうはこれ以上そういう問題について決定的に深追いをいたしませんが、そういうことをぼくのほうからちゃんと教えておきます。
それから一つお尋ねをいたしますが、これは何か御存じですか。長官、こういうものをごらんになったことがありますか。手にとってごらんになってもけっこうですよ。これは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/104
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105・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 それは電子計算機にかけるテープだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/105
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106・只松祐治
○只松委員 この前、給与所得者の別表の改正のときにお聞きしましたら、電子計算機がわかる者が十名おる、こういうふうにお答えになっております。私が国税庁に行って調べたら、大体二十名ぐらいそこの課においでになるということがわかりました。はっきりは知っておりませんが、こういう電子計算機がわかる方が何名おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/106
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107・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 電子計算機関係の事務は、国税庁といたしましては特に審議官室を設けまして、そこでやっておるわけであります。総員は二十名くらいおりますけれども、そのうち特にプログラマーは十名くらいでございます。したがって、電子計算機についてほんとうの知識を持っておるものは大体十名くらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/107
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108・只松祐治
○只松委員 その十名はどういう仕事に従事しておりますか。私の聞いたところでは総務課関係に属しておられる、こういうことでございます。この前はちょっとそこまでは突っ込んでは私は聞いておりませんが、わかる人ということだけで十名くらいという答えだったのです。私は国税庁のこういう調査を含んでの問題もそのとき多少発言しておるわけなんです。調査官の中に、何名この電子計算機がわかる人がおいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/108
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109・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 電子計算機は、ただいま申し上げましたように本庁におきましては審議官室——特別の審議官を置きまして、これに専担をさせましてやらしておるわけであります。これは先日当委員会におきまして答弁を申し上げましたように、昭和四十二年度を大体めどといたしまして、電子計算機を導入いたしまして事務の機械化をばかりたいというつもりからただいま準備をしておるのでございます。しかしながら、御承知のように民間の大会社等におきましては、すでに電子計算機を導入いたしておる会社は相当数にのぼっております。調査の際にも、少なくとも自分では機械をいじらなくても、機械に対する知識を持っておらなければ調査がしにくい、あるいは悪いことばでいえば、その会社にうまくごまかされてしまうというようなおそれもなきにしもございませんので、そういう面においては、今年度は各局の調査官も特別の研修を受けまして、そして機械に対する知識を得させると同時に、そういう専門の調査官を各局に配属をする、こういう計画を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/109
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110・只松祐治
○只松委員 現在何名これがわかる方がおいでになりますか、こう聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/110
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111・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 われわれのほうといたしましては昨年、一昨年、税務講習所で短期の講習をいたしております。そういう関係の者がおそらく全国で、はっきりここで申し上げられませんが、相当数おると思います。ただ、しかしながらそういう人は、何しろ短期講習でございますからして、ほんとうに専門的な知識を持っておるかといえば、これはまだ不十分である。しかしながら、全然知識がないかというと、やはり短期ではございましても二週間程度の講習を受けておりますので、ある程度の知識は持っている。したがって、先ほども申し上げましたように、もっとこれを専門化して、知識の深度を深めるということにことしは力を注ぎたい計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/111
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112・只松祐治
○只松委員 希望や願望や、そういうことではなくて、何名おいでになりますか。教えましょうか。私も専門家じゃない。少し聞いただけですか、IBMというのは、これでもわかるように一台一台穴が違うのです。少し知っておったくらいでは読めないのです。これをどうです、あなた税務署に持っていって沈めますか。調査官で、これがわかる人が何名現在おいでになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/112
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113・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように短期講習を受けた人数は、ちょっとここで正確に覚えておりませんので、後ほど全国で何人ということをお答えいたしたいと思います。
それから御承知のようにそういう磁気テープあるいは紙テープ等につきましては、それをすぐそのまま目で読むのではございませんで、やはり計算機にかけて数字に直して、見得る状態にして読むわけでございますからして、私はそのテープそのものを読む能力というものが必要なのではなくて、そういうテープを入力機にかけ、本体、電子計算機にかけて、税務署にとってどういう必要な書類が提出願えるかということの知識が必要なのでございまして、直ちにそれを読む必要はないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/113
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114・只松祐治
○只松委員 あとでもう少しそれは突っ込みますが、中小商店の場合は、仕入から販売から売り上げから全部調べ上げ、わからなければそこの店頭に立って顧客の出入りまで調べて綿密に調査するですね。ところが、いまこれを聞くと、あなたはこんなものはわからなくても数字に出てきたものがわかれば、ポイントさえわかればいいのだ、こういう答弁でございました。そんなことではできないということは、あとでよく教えますよ。
さらにそれでは、現在日本の大企業の中で、資本金五千万以上の会社でいいのですが、何社この電子計算機を使っておるか。その使っておる内容は、単なる自分の会社だけの統計か、あるいは仕入れから販売からそういうことを全部やっておるのか、四月三日の読売新聞をごらんになっても、六四%が電子計算機を採用しておる。そして相当事務部門に至っても採用しておるということが新聞には書いてあった。私だって読むのですから、当該の国税庁長官はそういうことをお調べになっておられると思いますが、何社くらい使っておるか、またその使用しておる内容についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/114
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115・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 ここで何社ということは確実には申し上げかねますが、約三百社使用しておると思います。それから同じ使用しておる場合でも、全部を機械化しておる場合と、それからその一部を機械化しておる場合とがございます。私はその三百社のうちで約半分くらいが全面的に機械化されておるのじゃないかというふうに推測をいたしております。
それから先ほどお述べになりましたように、テープを機械にかけて数字が出たからそれで調査が済んだというふうにはもちろん考えておりません。これは原始伝票というものは手書きでもって数字の形であるわけでございまして、原始伝票から最終的な帳簿に載るその中間段階がそのテープによって切られるわけでございます。したがって税務署といたしましては、その中間段階でどういう数字が提出願えるか、これは一体機械にかけて無理な数字、機械によっては出ない数字であるか、あるいは出る数字であるかということが問題になるわけでございまして、それで機械を自分で動かせなくても、機械に対する知識を持っておるということは、今後いよいよ必要の度が強まってまいりますので、先ほど申し上げましたようにそういう研修を特別にいたしておるわけでございます。もちろん最終数字だけではなくて原始伝票をいろいろ調べ、また本店だけでなく各事業所、現場を調べる、こういうことが税務の調査の肝心なところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/115
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116・只松祐治
○只松委員 東京国税局管内で、およそ何社使っておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/116
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117・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 東京管内で何社というぐあいに私ははっきり申し上げられませんが、いま申し上げました約三百社というのは、大体東京、大阪、名古屋に集中をいたしておりまして、ことに東京が多いということで、ここで何社ということは直ちには申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/117
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118・只松祐治
○只松委員 それじゃ私がお教えしましょうか。百二十八社東京で使っておる。自分の一番おひざ元の東京で使っているものくらいは、前にも一ぺん質問していますし、さらにきょうも質問するのだから調べてきなさい。百二十八社東京では使っているのです。そういうふうに会社の使っているところさえあなたは知らない。ましてや中身も知らないのですよ。そういうことで、さっきから言うように一台ごとの機械の穴も違う。なかなか私たちが行って聞いても容易でない。ちょっとの講習くらいではわからない。日本はアメリカに対して十年電子計算機の使用がおくれておる、こういうふうに言われております。したがって、今後さらにそういうものが急速に使われていく、こういうことはもう当然に予測されるところです。そういたしますと、目下研修中であるとかなんとかいろいろのことをおっしゃっていますけれども、いままでもすでに使っておる。現在百二十八社東京で使っておる。あなたが言うように全国で三百社をこえる会社が使っておる。そういうものがわからないことには完全な徴税はできないのです。あなたはできると言っているけれども、局や署に行って署長さんに聞いてごらんなさい。わかりませんからできませんと言っていますよ。こんなものが読めなければ、日本の徴税技術は非常に立ちおくれているから、こういうところへ行ったら私たちは打つ手がありません、こう言っているのですよ。あなたはここでのうのうとできる、そんなことをしなくてもポイントさえ知っていれば読める、あるいは符牒が読めなくてもポイントさえつかめればいいとか、のらりくらりとしたでたらめな答弁をやっているけれども、末端の署長さんや担当官はできないと言っているのだ、ネコに小判でわかりませんと言っている。こういうことであなたできると思っていますか。それとも末端の署長さんや何かが言うとおり、実際はやはりお手上げでわかりません、もっと私たちも徴税技術その他を近代化していかなければなりません、こう言っていることがほんとうですか。どっちです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/118
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119・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 先ほど講習を受けました人についてはちょっとお答えを留保いたしましたが、昭和三十七年に百名、三十八年に八十名、したがって全国で百八十名短期講習をいたしております。今年度はこれからまた講習をいたしたいというふうに考えております。
それから、ただいまのお話でございますが、署扱いの法人には絶無とは申し上げませんが、電子計算機を使用しておる法人はほとんどないといっていいかと思います。したがって、問題は局扱いの法人が問題でございます。われわれとしてはただいま申し上げましたように、三十七年、三十八年、百八十名程度の講習しかいたしておりませんので、しかもこれも短期でございまして、機械に対する知識は手でさわったという程度のものだろうと思います。ことしは人数よりもむしろ深度を深めた教育をいたしたい、かように考えておるのでございます。
現在東京におきましてはお手上げだとおっしゃいますけれども、そういうはずはございませんので、東京では現に法人の決議書は試験的な実験でございますけれども電子計算機を使っておりますし、知識が絶無とは考えておりません。不十分なことは認めざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/119
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120・只松祐治
○只松委員 この数字でも会社は大体自分の必要な面だけ数字化してそれであとは全部巻いてしまってあるのですよ。担当者以外にはわからないようにしてあるのですよ。あなたが言うように全部が数字化してあるのじゃないのですよ。行って調べてごらんなさい。私は行って調べてきたんだから。私の言っていることが誤りかあなたの言っていることが誤りか。担当部門で売り上げか何かが必要なところはそれを数字化する、仕入れのところで部分的に数字化して、昔のように全部が全部なっていない。これは全部保管してある。必要なときに数字化するのですよ。だからあなたが言うように、知らないでただできますとか——いま不十分だというようなことをおっしゃったからその程度にしておきますけれども、なかなかそうあなたの答弁どおりじゃない。だから、もっと税務署は早急にこういうものも勉強するし、ほかの徴税技術を改善して、千年一日のごとく弱い者だけいじめて、張り込んで調べる、大法人や何かはちょこちょこと行ってこういうものを見てああそうでございますか、こういう形では、近代的な徴税技術で大法人や何かの完全な調査はできないということを十分知っておかれる必要があると思います。
そこで、技術問題もそうですが、調査官、査察官で、さっきからお聞きしますといままではこういう日数で実調をなさったということでございますが、そういうことで十分間に合っている、こういうふうにお思いでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/120
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121・木村秀弘
○木村(秀)政府委員 第一の電子計算機の問題につきましては、当該会社が持っております電子計算機にテープをかけて税務にとって必要などういう数字をもらえるかということを知ることが一番重要なわけでございまして、御承知のようにきわめて短時間でテープから数字になし得るということでございますので、必ずしも機械全体についての知識がなくても税務の調査には間に合う、ただし、庁で行ないます電子計算機の運営については専門的な知識を要する、こういうふうに考えております。
それから、ただいまの調査なりあるいは査察の人員をもって十分と考えておるかどうかというお話でございますが、もちろん人数がふえてあらゆる階層にわたって一〇〇%の調査をなし得るということは税務にとっては理想でございますけれども、そういうことは望み得べくもございませんので、先ほど申し上げましたようにアクセントをつけて調査せざるを得ない。しからば現在の調査がそれほど粗漏であるかという点になりますと、御承知のように昨年の七月に調査課は所管法人の限度を二千万円から五千万円に引き上げております。これによって大体従来の調査課の所管法人の半数が税務署におりる、半数が調査課に残る。しかしながら、定員といたしましては、調査課の定員は若干減らしておりますけれども、ほとんど減らしておりません。したがって、資本金五千万円以上の中の上あるいは大会社につきましては相当深度のある調査ができるというふうに確信をいたしております。したがって、私は現在の定員でもって相当の充実した調査ができると確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/121
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122・只松祐治
○只松委員 時間がまいりましたので、これで質問を終わりますけれども、私がいろいろ調査した範囲内では必ずしもそういう大法人の十分な調査が行なわれておるというふうには思っておりません。本来ならば、あなたがそれだけ自信を持っておっしゃるならば——税務署員の都内なら都内出張、県外なら県外出張、この前から地方にも全部出張して支局、支店に至るまで調べておる、こういう答弁をなさっております。この調査官であるいはこの査察官で、あなたが言われたような日数に直して人員全部したって、そういうあなたが言うような十分な調査は行なわれておりません。この調査官全員の中で欠勤とか事故があったり何か、そういうのが大体一割か二割ある。そういうものを対象にして全部調べてごらんなさい。そういうものが全部延べ三百六十五日働いたってこの調査官ではできません。だからそういう点についても私はもっと突っ込んだ質問をしたいと思っております。
きょうは時間がきたので、この程度にとどめますけれども、そういう点についてやはりもう少し弱い者だけの税務行政をやるというのじゃなくて、公平に、大工とか左官屋さんとかそういうものまで徹底的にやり始める、しかし大法人とかあるいはこの前も言いましたように、不労所得あるいはマンションあたりで何にも所得がわからない、こういうところで生活をしておる、こういう人々の徴税だけは放任されておる、こういうことでは税の公平原則をきわめて欠くと私は思います。そういう点についてひとつ一そうの努力をされんことをきょうは要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/122
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123・山中貞則
○山中委員長 次会は、明十五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604629X03319640414/123
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